第1回労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会(議事録)

 

1.日時 令和元年12月19日(木) 15:00~16:31
 
2.場所 厚生労働省労働基準局共用第六会議室(中央合同庁舎5号館3階)
      (東京都千代田区霞が関1丁目2番2号)
 
3.出席委員
(公益代表委員)
○東京医科大学公衆衛生学分野講師 小田切 優子
○筑波大学ビジネスサイエンス系教授 川田 琢之
○東京海洋大学大学院海洋工学系流通情報工学部門教授 寺田 一薫
○法政大学大学院イノベーションマネジメント研究科教授 藤村 博之
○慶應義塾大学大学院法務研究科教授 両角 道代

(労働者代表委員)
○日本私鉄労働組合総連合会交通政策局長 池之谷 潤
○全国交通運輸労働組合総連合軌道・バス部会事務局長 鎌田 佳伸
○全国交通運輸労働組合総連合トラック部会事務局長 貫 正和
○全国自動車交通労働組合連合会書記長 松永 次央
○全日本運輸産業労働組合連合会中央副執行委員長 世永 正伸
  
(使用者代表委員)
○公益社団法人日本バス協会労務委員会委員長 齋藤 隆
○一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会労務副委員長 清水 始
○一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会副会長兼労務委員長 武居 利春
○公益社団法人全日本トラック協会物流政策委員会委員 浜島 和利
○公益社団法人日本バス協会労務委員会副委員長 槇田 浩昭
○公益社団法人全日本トラック協会副会長 馬渡 雅敏
 
4.議題
(1)自動車運転者労働時間等専門委員会の設置・運営等について
(2)改善基準告示内容の変遷と今後の検討について
(3)その他
 
5.議 事
○小川監察官 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第1回「自動車運転者労働時間等専門委員会」を開催します。
委員の皆様におかれましては、御多忙のところ集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
本専門委員会の進行について、委員長が選出されるまでの間、事務局にて議事進行を務めさせていただきます労働基準局監督課の小川と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
まず、本専門委員会の開催に当たり、労働基準局審議官の松本より御挨拶を申し上げます。
○松本審議官(労災、建設・自動車運送分や担当) 労働基準局審議官の松本でございます。
委員の皆様方には、日ごろより労働基準行政につきまして、格段の御理解、御協力を賜っていますこと、この場をかりて厚く御礼を申し上げます。
また、本日は12月の大変お忙しい中、御出席賜りましたこと、重ねて御礼を申し上げます。
昨年6月には、働き方改革関連法が成立をいたしまして、同法により改正されました労働基準関係法令の規定が、この4月から順次施行されてきているところでございます。
既に時間外労働の罰則つきの上限規制も、一部の企業で施行されてきているところでございます。
御案内のように、この働き方改革の関連法におきましては、自動車運転者の労働時間規制については、貨物運送、旅客運送を取り巻く業務実態等を踏まえまして、上限規制の適用が令和6年4月まで5年間猶予されているところでございますけれども、衆議院、また参議院の厚生労働委員会の附帯決議においては、過労死防止等の観点から、改善基準告示の総拘束時間等の改善につき速やかに検討を開始するということや、自動車運転者の業務の特性を踏まえた見直しの検討が求められているところでございます。
今般、これらの一連の流れを踏まえまして、改善基準告示の見直し検討を御議論いただきたいと考えておりますけれども、その際には、自動車運転者の健康の確保、長時間労働の是正、過労死防止という観点が一つございますし、働き方改革全体をうまく回していくために生産性の向上という観点も一つございます。さらには、日本経済の根幹である物流を支えているということや、少子高齢化社会の中で、地域公共交通というものを確保していくというような観点を3つの業態が担っておるわけでございますので、そのようなところにつきまして、業務の特性、地域的特性等を調査いたしまして、どのような見直しをしていくことが適切なのかということについて、丁寧な議論を行っていくことが必要ではないかと考えているところでございます。
今後、委員の皆様方から、卓越した識見に基づく御意見をいただきながら、また、業所管省庁の国土交通省とも緊密に連携をとりながら、過労死防止の観点を初めとしましたさまざまな観点から見て、公労使の皆様が御理解いただける、令和の新時代にふさわしい改善基準告示づくりに向けまして、建設的な御議論をいただけたら幸いだと考えているところでございます。
どうぞ委員の先生方、よろしくお願いいたします。
○小川監察官 続きまして、条件分科会会長から指名された委員の皆様方を御紹介いたします。
お手元の自動車運転者労働時間等専門委員会の委員名簿順に御紹介いたします。
公益代表の小田切委員。
川田委員。
首藤委員は本日欠席でございます。
寺田議員。
藤村委員。
両角委員。
労働者代表の池之谷委員。
鎌田委員。
貫委員。
久松委員は本日欠席でございます。
松永委員。
世永委員。
使用者代表の齋藤委員。
清水委員。
武居委員。
浜島委員。
槇田委員。
馬渡委員。
以上18名となります。
なお公益代表の首藤委員、労働者代表の久松委員の2名につきましては、本日御欠席と伺ってございます。
続きまして、本日の資料の確認をさせていただきます。お手元の資料を御確認ください。
まず、通し番号の1ページであります資料1が1枚物でございます。
通し番号の3~7ページまでが、資料2-1、2-2、2-3、2-4ということで、それぞれ1枚ずつつづられております。
通し番号の8ページ目が資料3でございます。
通し番号9~11ページまでが資料4-1ということで、それぞれ改善基準告示の推移を示したものです。
通し番号12ページが資料4-2ということで、主な論点を入れさせていただいております。
以降、13ページが参考資料1として、上限規制の適用の猶予・除外となる事業が1枚。
通し番号14ページが参考資料2ということで、平成30年度「過労死等の労災補償状況」の公表に関するもの。
しばらく飛びまして、通し番号41ページ目が参考資料3ということでつけさせていただいてございます。
資料に不足のある方は、事務局までお申しつけください。
詳細につきましては、後ほど事務局から改めて説明させていただきます。
それでは、初めに資料1の専門委員会の運営規定(案)をごらんください。
11月25日に開催されました労働政策審議会労働条件分科会では、専門委員会の議事の運営に関しては、専門委員会において別途定めるとされたところです。
こちらの資料1のとおり、第3条に委員長の選任及び委員長代理の指名に関すること、第4条に委員以外の出席に関すること、第5条及び第6条に原則公開とすること、第7条に専門委員会で検討した事項は労働条件分科会へ報告することなどについて規定して、案を提出いたしておりますが、御承認いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○小川監察官 どうもありがとうございます。
御賛同いただきましたので、専門委員会の運営規定案については了承とさせていただきたいと思います。
ただいま承認いただきました運営規定の第3条2項に「専門委員会には委員長を置き、専門委員会に属する委員の互選により選任すること」とございます。これに従い、委員長の選任を行います。
委員長の選任について、どなたか推薦ございますでしょうか。
両角委員、お願いします。
○両角委員 藤村委員が適任だと思います。
○小川監察官 ただいま両角委員より、藤村委員を推薦するとの御意見をいただきました。
ほかに御意見はございますでしょうか。
御意見がないようでしたら、藤村委員に委員長をお願いしたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○小川監察官 それでは、御賛同いただきましたので、藤村委員に委員長をお願い申し上げます。
それでは、委員長に御就任いただきます藤村委員長より、御挨拶いただきたく思います。よろしくお願いいたします。
○藤村委員長 委員長に選任されました法政大学の藤村と申します。
私は専門が人事労務でございまして、社会人の学生に対して労働時間を初めとした人事にかかわることを教えております。
労使関係というのも大事な研究テーマでございますので、この委員会の中で労使双方の御意見を聞きながら、最もいい解決策を探していきたいと思っております。
どうぞ皆様方の御協力をよろしくお願いいたします。
○小川監察官 ありがとうございます。
カメラ撮りについては、ここまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○小川監察官 以降の進行は、藤村委員長にお願いしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○藤村委員長 それでは、これより議事を進めていきたいと思います。
初めに、本委員会の構成等について、2点お諮りをいたします。
まず、運営規定第3条に委員長代理の選出とございますので、委員長が出席できない場合に代理で備えることにしたいと思います。
運営規定第3条第3項において「委員長は、委員長代理を指名することができる」とございますので、私のほうで指名させていただきたいと思います。
両角委員に委員長代理の件をお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○藤村委員長 異議なしということですので、両角委員に委員長代理をお願いいたします。
続きまして、運営規定第4条に、委員長が必要と認めた場合には、委員以外の者の出席を認めるという点がございます。
本委員会における議論の内容が国土交通省の所管する事項に関係することから、国土交通省自動車局安全政策課の石田課長に、本日以降、オブザーバーとして御出席願おうと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○藤村委員長 ありがとうございます。
それでは、国土交通省自動車局安全政策課の石田課長は、オブザーバーとして御出席をお願いしたいと思います。
それでは、議事に入ります。
お手元の次第にありますように、その他を除きますときょうは2つの議題がございます。
まず、事務局から議題「(1)自動車運転者労働時間等専門委員会の設置・運営について」という資料を説明してもらいまして、意見・質問をお聞きし、それが終わりましたら、議題「(2)改善基準告示内容の変遷と今後の検討について」という資料を説明してもらいまして、委員の皆様から意見を聞き、議論するという段取りで進めたいと思っております。
それでは、まず議題「(1)自動車運転者労働時間等専門委員会の設置・運営等について」、事務局から御説明をお願いいたします。
○加藤過重労働特別対策室長 それでは、労働基準局監督課の加藤から、説明を申し上げます。
議題の自動車運転者労働時間等専門委員会の設置及び運営、今後の進め方についてでございますが、資料の3ページをお開きください。資料2-1は、先ほど松本審議官の挨拶にありました国会の附帯決議の関係でございます。
昨年改正されました働き方改革関連法の国会附帯決議の中から、自動車運転者に関係する部分だけを抜粋させていただいております。
この中で、参議院の厚生労働委員会の附帯決議におきましては、項目8番ということで太字にさせていただいております。自動車運転者につきましては、過労死等防止の観点から、改善基準告示の総拘束時間等の改善について、関係省庁と連携し、速やかに検討を開始することとされております。
「また」以下ですが、その見直しに当たりましては、トラック運転者について早朝・深夜の勤務、交替制勤務、宿泊を伴う勤務など多様な勤務実態や危険物の配送など業務の特性を十分に踏まえて、労働政策審議会で検討し、基準を定めることとなっております。
また、衆議院の厚生労働委員会におきましても、下の枠の項目2でございますが、特に自動車運転業務につきましては、長時間労働の実態等があることに留意し、改正法施行後5年後の特例適用までの間、過労死の発生を防止する観点から、改善基準告示の見直しを行うなど、必要な施策の検討を進めることとなっております。
こういったことから検討が必要になっているところでございます。
資料の4ページ、資料2-2をごらんいただければと存じます。こちらは11月25日に開催された労働条件分科会にて改正の承認をいただいた運営規定ですが、第9条に専門委員会の設置の根拠規定を新たに設けてございます。
続きまして、資料の6ページをごらんください。資料2-3でございますが、こちらも労働条件分科会にて承認をいただいたもので、自動車運転者労働時間等専門委員会の調査事項については、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の見直しに係る事項などとしております。
続きまして、資料の7ページ、資料2-4をごらんいただければと存じます。自動車運転者労働時間等専門委員会の今後の進め方案について御説明をいたします。
左側の枠の専門委員会は、改善基準告示の見直しに係る検討を行うことを主たる役割とし、右側の実態調査検討会は、実態把握や調査を行うことを主たる役割としております。
専門委員会については、11月25日に労働条件分科会で設置の承認を得て、本日第1回目を開催し、専門委員会設置の経緯などの説明や実態調査に向けた議論を行うこととしております。
実態調査に向けた議論では、改善基準告示の見直しの検討を行うに当たり、どのような論点があるかを議論していただくことを想定しており、詳細については後ほど議題2で説明させていただきます。
第2回目は、令和2年4月以降、具体的には右側の実態調査検討会から検討結果の報告があった後に開催させていただき、実態調査検討会での検討結果を確認し、実態把握調査に向けた論点の整理を行った上で、その方向性が専門委員会で議論するために必要な情報を得ることができるようになっているかの確認を行うことを想定しています。
第3回目以降は、令和3年1月以降で、具体的には右側の実態調査検討会が令和2年秋ごろに実施する実態把握調査結果の報告があった後を予定しております。実態把握調査結果の報告を踏まえて、改善基準告示の見直しの議論を複数回行い、改善基準告示の見直しの検討結果を取りまとめ、労働条件分科会へ報告することを想定しております。
欄外の参考は、改善基準告示の見直しを行い、施行を自動車運転者の上限規制適用猶予期間終了と同時の令和6年4月1日とした場合のイメージでございます。
続きまして、資料8ページ、資料3をごらんください。これは実態調査検討会事業の詳細に関する資料です。概要としては、ハイヤー・タクシー、トラック、バスの3分野について、それぞれ専門家による検討会を設置し、専門委員会等で審議された内容をもとに、自動車運転者を使用する事業場に対する実態調査等、今後実施すべき具体的事項等についての検討を委託事業で実施するものです。
検討会のメンバーについては、専門委員会の議論を踏まえた検討を進めていただくことが重要でありますので、本日の専門委員会の委員の皆様で構成していただきたいと考えており、オブザーバーとして厚生労働省、国土交通省等をメンバーに加えることを考えております。
検討会の進め方ですが、専門委員会の議論を踏まえて、令和2年1月~3月の間にハイヤー・タクシー、トラック、バスそれぞれの分野において、自動車運転者の労働時間等の実態把握調査の方向性を検討していただき、その結果を4月ごろに専門委員会へ報告いただきます。
令和2年度においては、各分野の検討会にて実施すべき具体的事項をもとに、調査設計などの手続を経て、令和2年秋をめどに実態調査を実施します。
実態調査実施後は、調査結果を報告書に取りまとめ、専門委員会へ報告する流れでございます。
以上で説明を終わります。
○藤村委員長 どうもありがとうございました。
ただいまの説明について、御意見、御質問等がありましたら、どうぞお出しいただきたいと思います。いかがでしょうか。
世永委員、どうぞ。
○世永委員 ありがとうございます。
今、御説明いただきました資料3の8ページの委託事業について、1点要望がございます。
事業場に対する実態調査を実施するということですが、その際には、ぜひとも事業者だけではなく、労働者への調査・アンケートもお願いしたいということです。
実は、文科省の科学研究費助成事業の助成を受けて、タクシー問題研究プロジェクトが、タクシーの乗務員を対象に、労働条件、働き方に対するアンケートを実施し、9,000部の回答を得て調査を公表したと聞いております。そのアンケートは全自交労連、交通労連、私鉄総連といった労働組合を中心に配付・回収を行ったということで、労働組合のある事業場の把握となっております。
そのため厚生労働省の賃金センサスや国交省の調査などと比べると、労働条件などに、かなり開きがあるということであります。 そういう意味では、今回の検討会におきましては、労働組合がない事業場の労働者に対するアンケートについても、きちんとやっていただきたいということについて、1点要望させていただきます。ありがとうございます。
○藤村委員長 今の御要望について、いかがでしょうか。
○加藤過重労働特別対策室長 今、いただきました御要望につきましては、具体的な調査の実施方法については検討会の委員の皆様で御検討していただきたいと考えているところでございます。
ただ、過去の見直しにおいては、事業所、それからその事業所で働く労働者の方に対する調査も実施した実績もございますので、そのことも踏まえまして、検討会のほうで検討して決めていただければと思っております。
○藤村委員長 どうもありがとうございます。
そのほかございますでしょうか。
進め方について、よろしいですか。
特に御意見がないようですので、次の議題に移りたいと思います。
議題「(2)改善基準告示変遷と今後の検討事項について」、事務局から御説明をお願いいたします。
○加藤過重労働特別対策室長 それでは、議題(2)について御説明をさせていただきます。
資料の9ページ、資料4-1をごらんください。
改善基準告示の推移について、主なものを取りまとめたものです。
自動車運転者の労働時間等の規制については、昭和42年以降、実作業時間規制を中心にした通達により、監督指導が行われていましたが、平成元年に通達の拘束時間、最大拘束時間、休息期間及び運転時間にかかわる事項について告示がされました。
以降、労働基準法の労働時間に関する規定の改正に伴い、数次にわたり改正がなされ、直近では平成9年に法定労働時間が週44時間から週40時間制に移行したことに伴い、改正されております。
平成9年改正の主なものとして、ハイヤー・タクシー運転者の改善基準告示に関しては、拘束時間の1カ月について時間を短くする見直しが行われております。
次のページをごらんください。トラック運転者の改善基準告示に関しては、平成9年改正の主なものとして、拘束時間の対象期間及び時間について見直しが行われております。あわせて、休日労働の対象期間の見直しが行われております。
次のページをごらんください。バス運転者の改善基準告示に関しては、平成9年改正の主なものとして、拘束時間及び運転時間について、対象期間と時間の見直しが行われております。また、貸し切りバス等についての基準が設けられております。
続きまして、資料12ページ、資料4-2をごらんください。改善基準告示の見直しの主な論点についてです。先ほど御説明しましたように、働き方改革関連法の国会附帯決議を踏まえて、過労死等の防止の観点から、総拘束時間等の改善について、改善基準告示の見直しが必要となっており、ハイヤー・タクシー、トラック、バスといった業態、長距離運行と近距離運行といった運行内容、都市と地方といった地域差等の実態をよく把握した上での見直しが必要と考えております。
その上で、改善基準告示の見直しの主な論点になると思われるものを、拘束時間、休息期間、連続運転時間、その他のそれぞれについて示させていただいております。改善基準告示の見直しの検討を行うに当たり、どのような論点があるかについて、委員の皆様から御意見をいただきたいと考えております。
以上で、資料の説明を終わります。
なお、本日及び今後の議論の参考にしていただくものとして、参考資料を1~3までつけております。資料の13ページ、参考資料1は、法改正後において時間外労働の上限規制の規定の適用が猶予となっている建設事業、自動車運転業務、医師、鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業の一覧です。
この中で、猶予期間終了後の特例ありとなっているのは、自動車運転の業務と医師となってございます。
続きまして、資料の19ページをごらんください。これは参考資料2の平成30年度過労死等の労災補償の状況の中の脳・心臓疾患の支給件数、業種別でございます。業種別の中分類では、1位が道路貨物運送業、4位が道路旅客運送業となってございます。
続きまして、資料の41ページをごらんください。これは自動車運転者を使用する事業場に対する平成30年の監督指導等の状況でございます。中には改善基準告示違反の状況などをまとめております。
以上でございます。
○藤村委員長 どうもありがとうございました。
ただいまの御説明について、御意見、御質問等があればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
浜島委員、どうぞ。
○浜島委員 浜島でございます。
ただいま御説明いただきました資料の中で、19ページに脳・心臓疾患の支給決定件数の多い業種とございまして、1位が運輸業、郵便業、4位が運輸業、郵便業、どちらも道路貨物運送業と道路旅客運送業ということで、件数的には非常に多い件数になっておりますけれども、実態として、その業務に従事している総従業者数を分母とした場合、どのぐらいの割合でそれぞれの業種がここになっていくのかというのを知りたいなと思いまして、今、御意見をさせていただきました。
○藤村委員長 いかがでしょうか。
石垣さん、どうぞ。
○石垣監督課長 労働基準局監督課長の石垣でございます。
今、浜島委員から御指摘いただきました19ページのほうに、私どもの労災の業務を行いました結果として、その労災補償の状況を公表しているわけでございますけれども、ここに今、御指摘いただきましたように、1番が道路貨物運送業、4番に道路旅客運送業とあるわけでございます。
これは母数ということを考えずに労災の申請が出てきているものについて実際にどういう分野で認定をしたかというものでございまして、私どもの業務の統計としては、そういう形でしかないわけですけれども、確かに数だけというより、割合的なもので比較が必要だという委員の御指摘は非常にごもっともだと思いますので、どのような形で比べられるのかというところを含めまして、少しお時間をいただいて、私どものほうで検討させていただきたいと思います。
ありがとうございます。
○藤村委員長 浜島委員、よろしいですか。
そのほか、御質問ございますでしょうか。
武居委員、どうぞ。
○武居委員 今のことに関連するのですけれども、今回の改善基準の見直しというのは、基本的には過労防止ということがメーンだと思います。ですから当然、運輸業は労災適用が多いのだというところから、改善基準の見直しだという話になっていくわけであります。
今、我々の業界、トラック、バス、タクシーなのですけれども、実は非常に高齢化が進んでおりまして、特にタクシーの場合には、全国に行きますと平均年齢等が高い。当然、高齢者は健康的に若年層と比べて問題が多いということでございまして、これは業界体質の問題が少し入ってくるのだろうと、私は思っています。
それと同時に、今後、実態調査をしていくわけでございますが、労働者不足が近々の問題として3団体ございまして、そのあたりを今後、アンケートの中に年齢構成も含めて入れていただきたいと思います。改善基準と労災との因果関係は、ある意味では高齢者雇用という部分が影響として出てきますから、そこが果たしてイコールではないのではないかと若干言いたいところでもあると思います。
どちらにしても、今、この改善基準の見直しというのは、全国のタクシー業界から大変注目されておりまして、今後どうなるかというのが非常に大きな部分としてあります。
先ほど労働組合のほうからありましたように、全労働者の年齢構成も含めてアンケートの中には全て入れていっていただいて、実態を把握した中で、改善基準をどのように見直していくかというところに入っていってほしいと思います。
以上です。
○藤村委員長 ありがとうございます。
加藤さん、どうぞ。
○加藤過重労働特別対策室長 ただいま武居委員から御意見いただきました関係でございます。
御指摘の関係について、今後、検討会のほうで調査項目、具体的な調査設計が行われていきますので、そこの中での考慮がしっかり行われるよう、検討会のほうに橋渡しできるようにしていきたいと思います。
○藤村委員長 よろしいでしょうか。
きょうは資料4-2、改善基準告示見直しの主な論点の議論になるべく多くの時間を確保したいと思っております。
そこで、改善基準告示見直しの主な論点について、ハイヤー・タクシー分野、トラック分野、バス分野の順に、各代表の皆様から10分以内で御意見を伺いたいと思います。
まず、ハイヤー・タクシーについて、労働者代表からの御意見をお願いしたいと思います。
どうぞ。
○松永委員 ありがとうございます。
ハイヤーとタクシーというのは職業的に違う部分があるので、まずはタクシーのほうから申し上げると、先ほど武居委員から話があったように、大変高齢化が進んでおります。これは東京の一部以外は全国的にも60歳という平均年齢を迎えている業界でありますから、当然、私たち労働側からすると、特に強調したいのは、今、北海道等で進み始めているインターバルの時間の設定を明確にしたいというのが私どもの考え方であります。
なぜかといいますと、当然、仕事が終わってから自宅に帰って、朝、出勤するまでの時間帯というのは、平均したら通勤が片道1時間だとします。そうしますと、往復2時間、またその中で、9ページにおいて連続休息時間は8時間とうたってあります。その間の11時間という幅はあるのですが、実際にその中で夕食を食べ、朝食を食べ、風呂に入り、一般生活として睡眠をとる時間として8時間というものが、利用者の安心を提供し、私たち運転業務として安全を提供する立場において適切な時間なのかというのを、ずっと疑問に思っております。
そういった意味では、拘束時間オーバーという問題、過労死問題もあるのですが、私たちとしてはこのインターバルというのをしっかり決めていくことが、タクシー部門としては必要ではないかと思っております。
ハイヤーについては、職種的なものがありまして、サービス業の原点として、利用者、お客様優先という議論が大変多くあります。ですから、利用者にも御理解いただく、しっかりした議論をしなくてはいけないと私たちは常に思ってまいりました。
ハイヤー部門とタクシー部門を今まで分けてきたのもそういう観点がありますので、ハイヤー・タクシーと一概に一体のくくりで議論できないことも御理解していただきながら、そういったものはしっかり皆さんに丁寧に御説明を今後していきたいと思っています。また、先ほどの世永委員の発言の補足なのですが、タクシー労働プロジェクトということで、ことし3月に9,000人のアンケート調査を終了しました。1万5000枚ほど配った中で9,000という大変多くの回答が来ました。
この調査は、私ども8つの労働組合が主体でやりましたが、残念ながら、このタクシー業においては7割以上で労働組合がありません。ですから、私たちが実施したのは労働組合のある3割が対象であったということで、労使関係が大変いいために、しっかりと良い結果が出た部分があるのですが、7割の全国の労働組合がないところの調査ができていない。そういった意味では、労働側として先ほど申し上げたように、労働者にも丁寧にそういったアンケート調査をしてほしいというのは、環境によって、また地域によって、この職業の仕事が随分違いますので、そこも御配慮いただきながら、ぜひとも今の人手不足が何に問題があったのか。それと、改善基準の中で何を直さなければいけないのかということを皆さんに御議論いただいて、いいものをつくり上げたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○藤村委員長 ありがとうございました。
続きまして、ハイヤー・タクシー使用者側の代表から御意見をお願いいたします。
○武居委員 タクシーの責任者、武居でございます。よろしくお願いいたします。
今、松永委員からお話がありましたとおり、私どもで一番気になるところは、トラックとバスとタクシーでは、賃金体系は全く違うというところから御理解いただかなければいけないと思います。
というのは、御存知のとおり私どもは歩合給が基本でございます。これには厚生労働省から、累進歩合の問題を含めいろいろ御指摘は受けるのですけれども、しかし現実論として、全国で歩合給というのは基本的にございまして、残念ながら基本給だけでやっている会社はほとんど皆無という実態があります。
その中で、拘束時間の見直しというのは、当然生産性を上げないと、基本的には賃金が上がらない。ということは、1時間単価をいかに上げるかという話になってくるわけでありまして、今の労働者不足をある意味では増長してしまうような状態になるのではないかということで、経営者側は非常に危惧しております。
というのは、時間を短くすれば生産性を上げない限り、賃金が下がる。これ以上下がれば、今でさえ労働者がほとんど入ってこない状態の中に、さらに労働者不足が加速してしまいます。地域の問題として、今、交通空白地帯という問題がございまして、我々は全国では、それに向けてデマンド交通を初めいろいろな形でITを使いながら対応しています。東京では事前確定運賃という新しいサービスもスタートいたしました。いろいろとタクシーを御利用いただけるように努めておりまして、アプリの配車も全国でスタートしています。
いろいろな形で生産性を上げて、何とか総拘束時間の見直しをして、ある意味では、今よりも拘束時間が短くなっても生産性が上がれば賃金は同じですよねとなるように努力しています。そうすると若い人が入ってくるのではないかということで、我々は一生懸命やっているわけですが、残念ながら現状では、拘束時間を見直しすると生産性がイコールではなかなかいかないと思います。特に地方ではそういう部分が出てきますので、これは慎重に論議をさせていただきたいというのが本音でございます。
それと、私は常に言っているのですけれども、厚生労働省の監査結果では、3団体とも違反率が8割程度なわけです。
労働基準監督署が調査に入ると、3団体の80%程度に確実に指摘項目があるのです。これが今の実態でございます。
その中で、改善基準違反というのが大体40%ぐらい全国であるわけでございまして、一番指摘をされるのは、実は総拘束時間ではなくて、1日の最大拘束時間違反でございます。
この辺も踏まえて、現実論として、忙しいときにもう少し働けるようにしたい。そして、総拘束時間を短くするならば、1日の拘束も含めて再検討する必要が出てくるのではないかと思います。
私としては、そういう形で監査結果の実態も鑑みながら、委員会では丁寧な形で議論していきたいと考えています。
労働組合とも、実態的にはお互いに理解をし合っています。そういう意味では、どういう形でも、いい形で最終的に結論が出るのかなと思います。ここまで来れば、短くしようねというところから入ってこられているわけですから、我々とすると、どういう形で違反率をゼロにしていくかというところも重要になってくると思います。そういう部分の中で、改善基準の1日の拘束時間の見直しを中心に、我々産業としてはお話をしていきたいというのが、お願いをするところだと思っております。
以上でございます。
○藤村委員長 ありがとうございました。
続きまして、トラックについて労働者代表から御意見をお願いいたします。
○貫委員 トラックの労働側として発言させていただきます。交通労連の貫でございます。
トラックの労働側としますと、一つは、今の改善基準告示、トラック運転者1つの基準が適用されているということでありますが、現在、荷物の種類によって運転者の運行形態はまちまちであるということで、日勤のドライバー、長距離を複数日かけて運行するドライバー、これらのドライバーの改善基準告示が今と同じような同一のものでいいのかどうなのか。今の時代、日勤ドライバーと長距離、複数日運行するドライバーの基準は分けて考える必要があるのではないかという認識を持っているところでございます。
また、先ほどの資料の説明等の中にもありましたけれども、過労死認定の第1位が10年続いている。これは総拘束時間の課題が一番多いというところだと思っております。しかしながら、先ほど使用者側の武居委員が言われておりましたけれども、トラックの世界においても歩合給がまだまだ給与の多くを占めているという中において、走らなければ賃金にならないということで、ドライバーはどうしても走ってしまっている現状があると思います。その辺についても、いかにして賃金が下がらないような形の中で総拘束時間が短縮できるのか。これは業界団体、労働組合ともに考えながら進めていかないといけないものではないかと考えているところでございます。
あと、今、通販だとか宅配が非常に多くなっている中で、軽貨物運送事業者というものが非常に台頭してきているという中において、この改善基準告示の適用が、告示の適用から外れているという部分がございます。
配達をする者という意味で考えますと、我々緑ナンバーでの日勤ドライバーと同じような考えは必要なのではないかと思っておりますので、軽貨物運送事業者、個人事業主が該当してくるかもしれませんけれども、そういった方々に対しての改善基準の適用という面も検討していく必要があるのではないかと考えているところでございます。
以上でございます。
○藤村委員長 ありがとうございました。
続きまして、トラックについて使用者側代表からお願いいたします。
○馬渡委員 2人とも話しますので、浜島さんのほうから。
○浜島委員 私のほうから、先にお話をさせていただきまして、その後、馬渡委員のほうからお話をさせていただきます。
私のほうからは一般論としての話でございますけれども、まず、働き方改革、労働時間の短縮は本当に社会的な要請でございまして、労働者確保あるいは労働者保護という観点からも、この業界として喫緊の課題だという認識は持っております。
しかしながら、貨物運送事業者の実態を見てみますと、過度な規則の強化というものは、むしろ規則が守られないといった逆の作用を及ぼすことも考えられるかなと考えております。
これはあくまでも一般論なのですけれども、今、その代替策として、例えばモーダルシフト、IoT、技術革新といったことでいろいろな研究が進められているところでございますが、それらを導入するにいたしましても、まだハードルは高い、あるいは解決すべき課題が多いのではないかと認識している次第であります。
この内容は、ここの場におきましても、やはりその実態に踏まえた議論を進めていかなければならないのではないかというのが私の考えでございます。
以上でございます。
○藤村委員長 どうぞ。
○馬渡委員 私ども、全ト協は、中小事業者が非常に多くございますので、今、浜島さんがおっしゃったことに補足をさせていただきますと、先ほどからタクシーのほうでも議論がありましたけれども、時間単価を上げていかなければいけない。これから標準的な運賃の告示という問題も国交省さんのほうでお願いをいたしているところでありますが、その場合でも、賃金を上げていかないことにはいけない。そのためには運賃そのものが、労働時間を短めていこうとか、勤務実態に応じて上げていかないことには、運賃そのものから原資を得ていかなければいけないという部分がございますので、そこのところもかみ合わせてお話をいただけたらいいなと。
それから、我々のトラックの業界も歩合の部分がございますので、時間を短めると賃金が減るから嫌だという運転手さんはまだまだいらっしゃいます。そういった中で、うちの業界からまたほかの業界へ行かれるとますます人が足りなくなるということがありますので、運賃の問題も含めて解決できたらなと思っております。
1日の拘束の話も、先ほどおっしゃったように、参議院の附帯決議の中にも業務実態とかそういうのに応じて、十分に特性を踏まえて考え直してくださいと書いてありますので、今の改善基準告示が金科玉条ではないと我々も思って、960時間という法規制が初めてできたわけでありますので、我々としてはその推移も見ながら、どのようにその特性に応じて告示が決まれば、守りやすくなるかと言うとちょっと語弊がありますけれども、運転手さんも気持ちよく守っていただかなければいけない。それから経営者も、賃金を上げていってあげなければいけない。休みもあげなければいけないという実態がありますから、そこのところはバランスをとって議論をさせていただければと考えているところでございます。
以上でございます。
○藤村委員長 ありがとうございました。
次は、バスについて労働者代表からの御意見をお願いいたします。
○鎌田委員 交通労連の鎌田です。
今ほど、トラック、タクシーの話もありましたが、結論から言うと、我々の産業に魅力がないので人が入ってこない。長時間労働、低賃金というレッテルがなかなか剝がれないので、そこをどう改善していくかということになると、ここに書いてある拘束時間を短くして、総労働時間を減らしても、年間の総賃金が下がらないような賃金制度もつくっていかなければいけないということもあります。拘束時間については、先ほど来出ていますとおり、8時間という時間が妥当なのかという問題があります。
3年ほど前に、国交省経由でドライバーのアンケート調査をやりました。平均睡眠時間は70%が5時間です。先ほど松永委員が言ったとおり、仕事が終わって車で家に帰って、風呂に入って、御飯を食べて、寝ようと思ったら、それしか時間がないのです。でも、3年から5年ほど前は、休息時間を10時間とか11時間にすべきではないかということを言っていました。我々も厚生労働省も言っておりました。
ただ、今それをやると、仕事が回らなくなるのです。ダイヤが組めないのです。そういうところまで陥っているので、非常に悩ましいなと。どうしたらいいものか、アンケートはこれからやるわけですけれども、それをいかに改善していくかというのが課題なのではないかと思っております。
私からは以上です。
○藤村委員長 よろしいですか。
どうぞ。
○池之谷委員 私鉄総連の池之谷でございます。
今、鎌田委員からありましたとおり、バス産業の特性を含めて、ほかの産業と同様に人手不足の中でどうしていったらいいのかというところは悩ましい問題であります。
私鉄総連としても独自にアンケート調査を行った結果、拘束時間が長過ぎることによって、なかなか自宅で時間がとれないというアンケート結果が結構出ているのです。この拘束時間の中でも特例がありまして、分割特例といった特例を活用したときに、見た目の65時間以上の拘束が実はあるのだということです。体としてはそれだけ休めないということがありまして、分割特例というところをしっかり見直していかなければいけないというところがもう一つの論点なのだろうと思っています。
そして、これはどういうところで発言をしていいのかわからないのですけれども、厚生労働省に聞いたり、国土交通省に聞いたり、もっと言えば地方運輸局とか、地方の労働基準監督署とかにいろいろ聞いても、改善基準告示に統一した見解が見られていないというところがよくよくあるのです。ある地域の中ではこれはよしとしても、違う地域に行ったらこれはだめだよという判断が下されたり、そういったところで統一的な対応が実態として見られていないということもございます。そのために改善基準告示が、産業の統一の労働条件とはなっていないというところもありますから、こういったところもあわせて、この改善基準告示見直し議論のときに、全国統一した基準となるような議論も必要なのだろうと思っています。
以上です。
○藤村委員長 ありがとうございました。
それでは、バスについて、使用者側の委員から御意見をお願いいたします。
○齋藤委員 日本バス協会の労務委員長の齋藤でございます。
言いたいことは幾つかあるのですけれども、紙に書いてきたので、それを読む形でかえさせていただきます。
バス事業は、大きく分けて地域公共交通で生活の足を担っている乗り合いバスと、観光や企業の従業員、学生輸送などを担っている貸し切りバスの2つの種類があります。どちらも国民生活に欠かせない大変重要な役割を担っていると考えています。
我々バス事業者は、人の命を預かる立場としまして、安全最優先で、日ごろより乗務員教育、安全装備の導入など、さまざまな安全対策を行っているところであります。
安全・安心に、もちろんゴールはありません。今後も安全・安心に、皆様に御利用していただけるよう努力してまいります。
先ほど来から話題になっていますが、そんなバス事業でここ10年近く、運転手不足が大変深刻な問題となっております。運転者不足に対応するために、地元の理解を得ながら、運行便数の減便、路線の縮小など、大変厳しい経営判断をしなければならない状況にございます。
そのような中で、各バス事業者は、人口減少、地域の過疎化、特に乗り合いバス事業者は、乗客の大幅な減少傾向が続く中、大変厳しい経営状況が続いており、地方部では何と8割が赤字、大都市を含めましても、7割のバス事業者が赤字という現実となっております。
このようなバス事業の経営環境は厳しいものがありますが、近年の自然災害時における鉄道の代替輸送などで重要な役割を担っており、バスの必要性が大変注目されていると考えております。
今後は、少子高齢化により免許返納が進むと、高齢者の移動手段としましてもバスの必要性と需要が高まると考えております。
今後もバス事業者が利用者のニーズに応えるためには、地域支援も必要ですが、バス事業の経営の一層の健全化が大事であると考えています。
そういうことを踏まえまして、本来のバス事業者が尊重しなければならない改善基準告示の内容でございますが、先ほどの資料にあるとおりですけれども、1日の拘束時間13時間以内、4週を平均した1週間当たりの拘束時間は原則65時間、休息時間継続8時間、運転時間限度1日の運転時間は2日平均で9時間、休日労働は2週間に1回が限度という遵守しなければいけない内容が非常に数多くあると認識しております。
ただ、これらを実行するために、事業者の所属乗務員の改善基準が違反とならないよう、1日とか4週単位とか非常に神経を使っている。運行管理者はこれらを一個一個ではなくて総合的に、それも数名の運行管理者で対応しなければならないというのが今、実態であると考えています。
したがいまして、現状では、複雑でわかりにくいということがありますので、できるだけこの改善基準をもっとシンプルでわかりやすくしてもらう必要があるのではないかと考えています。
その上で、なおかつ、バス運転者の過労が減り、バス事業の継続にも考慮した実効性のある改善が望まれるのではないかと思っております。
そして、地域の足、地域の公共交通であるバス業務と、それに従事するバス運転者の勤務実態や、都市部と地方部とのバス事業の大きな違いなど、事業と勤務の実態や問題点を踏まえた検討を希望します。
今後、バス事業がさらに信頼される公共交通機関としてその使命を全うしていくためには、安全確保に配慮しながら、現場の実態を踏まえた運転手の労働時間等の改善基準の見直し、運用を図ることが不可欠であると考えます。どうぞよろしくお願いします。
国土交通省の方が入っておりますのであれなのですけれども、現在、国土交通省などにおきまして、運転士の確保の一助とすべく、運転者職場環境良好度認証制度というものの実施細目、運営につきまして検討中ということではございますが、この改善基準の見直しとこの制度が関係してきますので、その整合性もとれるようにする必要があるのかなと思っております。
長くなりましたけれども、あともう少しです。済みません。
次に、改善基準の見直しの上の論点にも示されておりますけれども、これに関連しまして、幾つかバス協会の中で検討が必要という中身につきまして、3つほど述べさせていただきたいと思います。
1つ目は、運行計画、それから運転者の始業、ダイヤ、道路状況。
運行計画につきましては、道路渋滞とかそういうものも踏まえて運行計画をつくっております。それも改善基準に合うようなものを現在つくっている。しかし、今の日本の道路の現実を見ますと、渋滞等が発生いたしますし、これらについて、これもオーバーしてということになりますと、なかなか改善基準の遵守が難しくなってくるのではないかということでございます。
したがって、その場合についての猶予措置というものもあわせて必要になってくるのではないかと思っております。
2つ目でございますけど、自然災害時でございますが、バス運行の乱れ、または事故で不通となった鉄道の代替というようなことがございますけれども、それによりまして、改善基準告示が守れない場合が生じております。
このような場合でございますけれども、緊急対策として、改善基準告示につきまして特例があるのかないのかということを考慮する必要があるのではないかと思っております。
3つ目、先ほどの資料にもございましたけれども、トラック、タクシーにつきましては1カ月というのが基本的に拘束時間の目安となっておりますけれども、バスにつきましては4週となっております。1カ月というのは基本的に労働関係の締めということもありますので、今の4週に加えて、選択でございますけれども1カ月当たりというのもバスの改善基準の中に入れるほうがよろしいのではないかと考えております。
4週を残すというのは、現在4週で先ほどの複雑なシステム等をつくっている部分がありますから、これを直せということになるとまた大変でございますので、1カ月または4週というようなものを検討していただければなと思っております。
長くなりまして申しわけございません。
以上でございます。
○藤村委員長 どうもありがとうございました。
今、それぞれ3つの分野について、労使双方から御意見を伺いました。
きょうは5時まで時間をとってありますので、まだお時間はございます。今、双方から出てまいりました意見について、さらに質問あるいは御意見をお出しいただいて議論しておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
どうぞ。
○馬渡委員 トラックのほうでもう一つ大事な問題がございまして、国交省さんのほうでも調べていただいた部分はあるのですけれども、今、荷待ち時間の問題があって、我々経営者がこの時間までに戻ってこいと幾ら指示しても、荷物を届けないで帰ってこいという指示ができないのです。時間が過ぎたら帰ってこいという指示はまずしたことがないですし、お金の問題も発生しますけれども、基本的には届けて帰ってくる。
そうすると、発荷主さんには、我々からも働きかけるし、大分いろいろなことをわかっていただけるようになってきたのですけれども、着荷主、届けてきたのは、私があなたを頼んだわけではないという感覚ですので、基本的にはうちの仕事の整理がつくまで待っておきなさいと。早くやりたいならば運転手がおりて、フォークリフトを運転して、整理をして、パレットだったらパレットを持って帰りなさいというのが常態化しているわけです。
ですから、改善基準告示というのは、今回働き方改革に応じて960時間規制というのは法的に決まったわけですし、一般の方は720時間ということになりましたので、これは我々もほかの団体さんと一緒にアクションプランを出して、守りましょうと。2024年までにはそういった違反業者をゼロにしましょうということで、業界団体挙げてやっておりますけれども、1つだけ完全に蚊帳の外にいらっしゃるのは着荷主さんです。
着荷主さん、荷待ち時間がある運行では、今のところ平均拘束時間が13時間を超えるという状況が常態化しております。それから、1運行当たりで2時間を超える荷待ち時間が全体の3割近くあるということでございますので、我々が幾らこの時間までに帰ってきなさいよ、罰則があって我々経営者が捕まるから、あなたたちも大変になるから帰っておいでねと言っても、おろさないで帰ってこいという話にはどうしてもならない。
ですから、その辺のところが、1分1秒でいろいろな告示が決まっているということになると、もう着荷主さんをどこか捕まえて、そういうことをしてはだめですよということがない限り、なかなか難しい状況がある。
特に中小業者の立場では、発荷主さんにやっとこのごろ物が申せるようになってきたのに、着荷主さんとけんかをして帰ってくると、お前のところの運転手が着荷主とけんかしたから、お前のところはあしたから来なくていいということになりかねないので、運転手さんには向こうのおっしゃるとおりとりあえずやって帰ってきなさい。でも今はデジタル化していますので、例えば16時間を1秒超えても違反は違反ですよと言われるのが実態です。ですから、着荷主さんとか発荷主さんのことがもうちょっとちゃんと守れるようなことが片方であれば、我々もこういった改善基準告示をきちんと決めて、経営者は守らせなさいよと言われても、何とか頑張りますと今のところ言えると思うのですけれども、荷待ち時間を含めて、サービスの整理時間とかも含めると、その辺のところの罰則とか、荷主さんの御理解とか、先ほどバスのほうで出ていましたけれども、我々の運転手も我々も荷主さんもわかるようなシンプルなものになるとか、そういうことでないと、なかなか改善基準告示を立派なものに決めましたといっても、本当に守れるのかという話が怪しいなと。
怪しいなというのは、我々は守れると言いますけれども、実態は守れないまま野放しになるのでは、余りにも運転手がかわいそうだなと思っておりますので、その辺のところもアンケートをされるときに、何で守れないのかとかそういうことも聞いていただくと、実態がよりわかるのではないか。
特にトラックの場合はそのようなことなので、荷物をどこかでおろしていくわけにはいかないというのがいろいろな場面でも出てきます。例えば建築資材なんかでも、きょうは雨は降らないはずだったのに急に降りましたね。大工さんが、きょうはもう仕事は休みといって現場にいないわけです。受取人がいませんから、資材はおろさないまま、持って帰らなければいけない。これは、1回運んだことになるのか、それともどうなるのかという話もしなければいけませんし、結局もう一回、大工さんがいらっしゃるときに運ばなければいけないとか、いろいろな問題が現場で発生しています。
さっき、特性に応じてというお話もしましたけれども、長距離で農産物を運ぶときとか、いろいろな場合、ちゃんとした荷主さんも何割もいらっしゃるかわりに、ちゃんとしていらっしゃらないというか、着荷主さんでは、うちがあなたのところに頼んだわけではないから、待つのは待ってちょうだいとか、工場の門の前で待つと近隣の人の御迷惑になるから、高速道路の上の辺で待っていたらという話になって、また変な話、駐車料金がどうだという話になっていますので、その辺の実態も踏まえて調査をしていただいた上で決めていただかないと、みんな罪つくりな話になるのかなと感じておりますので、そのあたりもぜひお願いをしたいと思います。
○藤村委員長 ありがとうございます。
働き方改革の一つの大事な目的は、商習慣を変えていくことだと思います。発注側が偉くて、受ける側はそれを全部聞かなければいけないということではもうもたない。商慣行を、働く人たちも、経営者も幸せになれるように変えていくことが非常に大きな目的だと思っておりますので、今の御発言は非常に大事な点を突いておられると思いました。
そのほか、ございますか。
松永委員、どうぞ。
○松永委員 松永です。
トラック側、バス側それぞれの話を聞かせていただいて、私たちの業界にも大変感じるところがたくさんあります。国の会議等で議論しているのは、交通空白だとか、もう一つは交通不便地という言い方をする、バス停まで自宅から500メートルだとか、1キロという定義はよく取り沙汰されるのですが、東京都内にも当然そういう場所がありまして、東京都内でバス停まで500メートルあったら、不便な地域と言われるわけです。
今、国が、共助という私たちには到底理解できない部分の議論をして、周りの形で助け合えばいいという議論が多く出ていて、私たちは平成大合併を論じる必要はないと思うのですが、これだけ自治体が広大になったことで、先ほどバスから出たように、バスが減便になったことで、タクシー業界が、今まであった地域にタクシーがなくなって、大合併をした町のところからタクシーが出向くということも多くあるわけです。当然、労働時間は長時間になる可能性もある場合があります。
また、631というタクシーの営業区域があることで、隣の県との境に田舎の町があって、50人しかいない町と、県境をまたいだだけで1,000人の町があって、その1,000人の町からはタクシーは来てはいけないことになっています。
ですから、交通空白だとか、私たちが改善基準を論じさせていただく中で、改善基準議論だけではなくて、私たちそれぞれバス、トラック、タクシーの今の事業実態があるので、都心型や地方型を分けていただきたいということも考えています。全く職業が同じであっても、実態が違うということも、ぜひ先生方にも一緒に勉強していただいて、本当に今の日本の国は、タクシーは地方は50%、100台あっても50台しか稼働しないような厳しい労働者不足の実態の中で、そこで働く労働者は必死に闘って、頑張っているわけであります。そういったものを少しでも何か労働環境が改善できるものがあれば、人は入ってくると私たちは信じております。その改善をしていただく場ですから、今の私たちそれぞれの3職業の厳しさは、幾らでも語れるぐらいあるのですが、ここで論じる時間は決まっていますので、ぜひともこの厳しさをわかっていただきながら、さきほどそれぞれからあったように、私がインターバルを求めているのは、睡眠時間なくして、休息時間なくして、安全な仕事ができるのかというクエスチョンを自分も現場にいて散々体験しました。
ですから、その大切さと総労働時間の問題と残業時間の問題、全て一体なのですが、まず安心な仕事をさせる運転手をどういう状況に置いてあげるかということを、しっかり議論していただくのが一番いいことだと思っています。会社体質も労使関係ももっとよくなれば、それが必ずや人を入れていく環境に変われると思っていますので、ぜひともいろいろ質問を出していただいて、私たちそれぞれの業種がいろいろな話をしていく場をつくっていただければ、それが専門部会になると思うのですが、ぜひともそういう場を多くつくっていただくことで、もっと今の日本の状態も、私たちも労働環境も改善できると思っていますので、よろしくお願いいたします。
○藤村委員長 わかりました。
石垣さん、どうぞ。
○石垣監督課長 監督課長です。
労使の皆様方からお話をいただいた中で、事務局が1回目からお話をするのも何なのかもしれないのですけれども、幾つか発言をさせていただければと思います。
まず、武居委員から御発言いただいたことの中で、私どもの労働基準監督署が、労働時間や改善基準告示を守っているかどうかという状況のところで、改善基準告示ではもう少し違ったりしますけれども、違反が8割ぐらいあるというところでございます。
ここについては、運送業に限らずということになるのですけれども、監督官の数も十分いるわけではないものですから、いろいろな情報の中からある程度目当てをつけてといいますか、そういうところで立ち入らせていただいているということがありまして、もちろん違反はないことに越したことはないのですけれども、違反がありそうなところについてお邪魔をしているというところがあります。
そこはもちろん遵守をするためにということでお考えいただくのは非常にありがたいことでございますので、それは今後もお願いしたいと思うのですが、私どもとしては、そういう観点で行かせていただいているというところがございますということが一つ。
その違反の中で、1日の最大拘束のところが違反が多い。多いので守れないようなところがどうなのかという御趣旨のお話だったと思うのですけれども、今回、きょうから始まって、スケジュール的に言えばかなり長い期間でじっくり皆様方に御議論いただくわけです。そのときに、もちろんどこを見直さなければいけないとか、どういう方向でないといけないというのは、最初に申し上げた国会の附帯決議といった状況以外には特にないわけですので、全般にわたって御議論いただきたいと思っていますけれども、そのときに、違反が多い状況だから守れていないということだけも必ずしもないものですから、そこは実態を調べる中で、よく実態に即した御議論をさせていただければ大変ありがたいということです。
何を申し上げたいかというと、違反の割合のところだけで考えてしまうと、ちょっとよくないかなと思いますので、私どももその辺はよく注意していきたいということでございます。
何人かの委員の方から、改善基準告示が複雑でわかりにくいという御意見をいただいたと思います。わかりやすく告示の内容をつくっていくのは、これからの見直しの中で大変重要だと思いますし、できたものをしっかりと十分な期間をもって周知広報していくというのが、私ども厚生労働省としても大事だと思っています。
一方で、本日、都市と地方の状況、あるいは業態によって違ってくる部分があるとかそういうお話がありますと、そこに合わせてきめ細かくしていきますと、かなり複雑になるという状況もあります。
一律で切ると、業界の具体的な事情が反映できないようになる場合もあるかと思いますので、そこのところは両方ともおっしゃることはごもっともなのですけれども、シンプルさを追求する部分と業界の実態を踏まえるという部分は、場合によってはトレードオフになるようなところもあると思いますので、その辺はこの先いろいろと御議論をお願いできればありがたいなと思っています。
調査の中で、守れない理由を聞くべきであるとか、年齢の属性を聞くべきであるとか、いろいろとお話をいただきましたので、冒頭に申しましたように、これから春先にかけまして、調査の項目なども含めていろいろと御議論いただきたいと思っておりますので、事務局としてそういったことを踏まえて、きょういただいた御意見も含めて、今後の御議論に資するように整理をさせていただきたいと思います。
あと2点ほどありまして、池之谷委員からだったと思うのですが、分割特例などのところの中で、監督署の告示の解釈などが統一されていないのではないかというお話をいただきました。私どもとしては、拘束時間というのは改善基準告示にもございますが、労働時間、休憩時間、その他使用者に拘束されている時間をいうということでございまして、休息時間は拘束を受けない時間というということでございます。
何をもって拘束をされている時間か、そうではないかというところについては、結局トラブルが起きたときに個々に御相談いただいて、そのときに、その職場の状況を個々に見させていただいて判断をするというところがございますので、ともすれば、同じような状況なのに違っているのではないかというお話をいただくことがあると思いますが、私どもとしては、統一した基準で運営をさせていただいているつもりではございます。
ただ、今後の御議論も含めて、また、そうではないところも含めまして、具体的にこういうところがわかりにくいとか、あるいは少し整理をすべき必要があるのではないかというところを今後の議論の中でいただけるようでしたら、そこは告示の見直しの議論にかかわってくる部分もあろうかと思いますので、しっかりと検討させていただきたいと思います。
最後に、災害の関係で齋藤委員からお話をいただきました。災害の関係で申しますと、今の改善基準告示の中でも、私どもは通知の中で、一部拘束時間の適用に入れない部分についての対象を示したものがございます。自動車運転者の労働時間等の改善のための基準にかかる適用除外業務についてということで書いております。
その中で、災害関連ということで申しますと、災害対策基本法などに基づいて、緊急車両という扱いになった場合には除外になるという形になっているものが事実としてございます。
ただ、この範囲がいろいろな状況を見たときに適切なものなのかどうかということで、もっと広げるべきではないかとか、変えるべきではないかという御議論はあろうかと思います。そういったことも含めて、改善基準告示に関連することだと思いますので、次回以降、さらに具体的に御議論をお願いできればありがたいと思っています。
長くしゃべってしまいましたが、いろいろといただいたことについて一通り申し上げさせていただきました。
以上です。
○藤村委員長 ありがとうございます。
世永さん、どうぞ。
○世永委員 ありがとうございます。
先ほど、資料の7ページはあくまで参考ということでしたけれども、告示の改正・公布が令和3年12月ということと、周知施行の準備期間ということで、翌年4月から2年間という御提案といいますか、これから決めて、議論していくべきなのだろうと思いますけれども、労働側としましては、この猶予期間終了後、上限規制の関係は、その後も特例ありという業種に対して、今いる人、これから入職を希望する人、それと企業とウイン・ウインのものをつくれるかどうか、これはクエスチョンがあるのです。
ただ、施行の関係でいきますと、早い施行のほうが働き方の見直しにはつながるだろうという考えも持ち合わせておりますので、これから各モードごとにいろいろな議論がスタートしますから、詰めて話をしていきたいと思っております。
以上です。
○藤村委員長 ありがとうございます。
そのほか、ございますか。
清水委員、どうぞ。
○清水委員 タクシーの清水でございます。
先ほど石垣監督課長から、1日の最大拘束の問題のお話がありましたけれども、最低基準である労働基準法一般則では、1勤務1日の時間外労働の上限の定めはなくて、1カ月だとか年間での上限を定め、その範囲で柔軟に働くことを可能にしているのに対し、改善基準告示は、日勤はもう16時間ですよ、隔日勤務については21時間ですよという定めがあって、これはタクシー需要が非常に多い金曜日あたりは、お客様がまだまだいる時間に帰ってこなければいけない。そして祭日、日曜日は、夜中、人がいないときに、そこも走らなければいけないという、生産性という面からすると余りよろしくない走り方をしているわけでございまして、生産性の高い働き方を否定するもので、ぜひ、忙しい日はしっかり働いて、そうでない日はしっかり休むという基準にしていただきたいという考えがございます。よろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。
○藤村委員長 わかりました。
○武居委員 あともう一点だけ。
実は都市圏では、ハイヤー・タクシーだけではなくて、自家用自動車の運行管理が相当数います。例えば東京都内の場合は何千人が運行管理で、お役所関係もそうなのですけれども、東京都にも運行管理をやっています。この場合バス運転者等の改善基準が適用されることもあるということになります。我々タクシー会社へ一部上場の企業から、白ナンバーで車ごと寄越しなさいという話の仕事には、運行代行という非常に特殊にやっている会社もありますけれども、タクシー業界でも、実は都市圏では相当数の人間がかかわっています。改善基準はバスと同じように適用される場合もあるのですけれども、多分、今までこの運行については問題視されたことが1回もありません。運行管理の仕事というのはすごく大変な仕事なわけです。簡単に言うと、きょうこれから六本木に飲みに行く、夜中の3時に帰って、あしたゴルフだから5時に迎えに来いというような仕事なわけです。
白ナンバーですから、とは言いながら、各会社から運転者を派遣しているわけです。実体をみて、今の改善基準の中のバス運転者等として適用される場合もあるということになっておりまして、この辺の実体のアンケートもきちんとやりながら調査をやらないといけません。ハイヤーがだめならば運行管理に移るぞという話になっていって、労働者側はそっちのほうが稼げるとか、給料がいいということになると、かなり該当者が出てくるのかなと思います。
正直言って、東京では役所も含めて今、運行管理の方向にどんどん行っていまして、青ナンバーよりも白ナンバーという形が非常に多いので、そこら辺はできたらアンケートの中に少し入れていかないといけません。アンケートから除外するということになると、労働の実態は相当の人数がそこに労働者として働いているというところもありますので、そこだけ気になるところかなと思っております。
以上です。
○藤村委員長 ありがとうございます。
齋藤さん、どうぞ。
○齋藤委員 改善基準を今よりも改善するといいますか厳しくすることは、そういうことなのでしょうけれども、それとの問題で、要するにそれを厳しくして、今ある事業規模を維持しようとすれば、当然、バスで言いますと運転手さんの数をふやさなければならないという問題があります。ふやすということは、イコール事業全体の総額人件費は上昇してきますという問題です。先ほど赤字の話をさせていただきましたけれども、それに一層輪がかかってきてしまうおそれがありますよと。
一方、これもなかなか厳しい問題なのですけれども、1人当たりの運転手さんの給料が、時間外が少なくなるイコールマイナスになっていきます。これとの兼ね合いをどのようにするかというのは、先ほど来から皆さんおっしゃっていますが、テーマとして切り離せないのではないかというところです。
働き方は、我々はこれだけ働いて、みんな健康的にやっていますよと。それはそれでよろしいのですけれども、それが事業として維持できるのかどうかというところを、アンケートも含めまして、よくよく事業者のほうにも聞いていかないと、これが発効されましたイコール事業が今よりもということになってしまうと、いかがなものなのかなということを改めて申し上げたいと思います。
それから、今、よく生産性という言葉は使われるのですけれども、生産性をどうやって上げていくかというのは、どの業種もそうなのですが、結構ぎりぎりのところでやっていますので、これ以上の生産性、例えば今、自動運転の技術とかがありますけれども、それは相当先の話になる。それから、バスで言いますと2両連結のバスだとかがあります。ところが、変な話なのですけれども、2両連結のバスは下手するとバス1両の単価の3倍以上かかります。でも、2倍運べるわけではないみたいな問題もありますので、その辺をどのように調整していくかをやっていないと、片一方の議論だけ進んでしまいますと、事業全体がおかしなことになるというのは、ぜひ頭に入れていただければと思います。
○藤村委員長 わかりました。ありがとうございます。
そのほか、ございますでしょうか。よろしいですか。
まだ、予定の時間には達しませんが、きょうのところはいろいろと御意見をいただきまして、今後さらに考えていくべきことがより明確になってきたかと思います。
物事は単純ではなくて、いろいろなところがかかわり合っているので、そこを全部、一気に網をかけてやっていく必要があるということがよくわかりました。
最後に、きょうの意見、議論の内容に関しては、実態調査の検討会のほうでこれから議論していくことになりますので、事務局にしっかり御対応いただきたいと思います。
最後に次回の日程について、事務局から御説明をお願いいたします。
○小川監察官 次回の専門委員会の日程や場所につきましては、先ほど来年の4月以降ということを御報告させていただいたところですけれども、調整の上、追ってお知らせさせていただきたいと思います。
また、3業態ごとの検討会につきましては、専門委員会に先立ちまして、日程調整をさせていただいたものを、年明けから実施する予定でございますので、また御連絡さしあげたいと思います。
以上でございます。
○藤村委員長 ありがとうございます。
それでは、これをもちまして、第1回「自動車運転者労働時間等専門委員会」を終了したいと思います。
なお、議事録の署名につきましては、労働者代表の松永委員、使用者代表の武居委員にお願いしたいと思います。
本日は、お忙しい中、ありがとうございました。
以上で終わります。