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- 令和元年度2回適正使用調査会
令和元年度2回適正使用調査会
日時
場所
(千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館)
出席者
出席委員:(12名)五十音順、敬称略 ◎座長
- 安達 知子
- 薄井 紀子
- 梶原 道子
- 上條 亜紀
- 喜多村 祐里
- 鈴木 洋史
- 田中 純子
- 長嶋 公之
- 西脇 公俊
- 野村 恭一
- ◎半田 誠
- 矢口 有乃
欠席委員:(2名)五十音順、敬称略
- 國土 典宏
- 西村 元延
秋田県赤十字血液センター:敬称略
- 面川 進
兵庫医科大学 血液内科:敬称略
- 藤盛 好啓
国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 輸血部:敬称略
- 牧野 茂義
日本赤十字社:敬称略
- 瀧川 正弘
- 遠藤 正浩
- 杉山 朋邦
事務局:
- 石川 直子 (血液対策課長)
- 松永 夏来 (血液対策課長補佐)
- 富樫 直之 (血液対策課長補佐)
- 大島 雅和 (需給専門官)
議題
2.血液製剤使用適正化方策調査研究事業について
3.その他
配布資料
議事
○松永血液対策課長補佐 定刻となりましたので、ただいまから、「令和元年度第2回適正使用調査会」を開催させていただきます。安達委員におかれましては、遅れて到着という状況ですが、先に始めさせていただきます。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中御出席くださいまして、誠にありがとうございます。本日の会議は公開で行うこととなっておりますので、宜しくお願いいたします。委員の出席状況です。上條委員、國土委員、西村委員から御欠席との連絡をいただいており、14名中11名の委員に御出席いただいております。また、本日は参考人として、秋田県合同輸血療法委員会代表世話人の面川進先生、兵庫県合同輸血療法委員会委員長の藤盛好啓先生、国家公務員共済組合連合会虎の門病院輸血部部長の牧野茂義先生に御出席いただいております。また、日本赤十字社血液事業本部から、瀧川正弘経営企画部次長、遠藤正浩技術部次長、杉山朋邦供給管理課長に御出席いただいております。
続いて、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。議事に入る前に、本日の資料の確認をお願いいたします。本日の会議は、ペーパーレスで行わせていただきます。資料はお手元のタブレットを御覧ください。タブレット上にマル1議事次第からマル10資料2-2「平成30年度血液製剤使用適正化方策調査研究事業(面川参考人提出資料)」のPDFファイルが表示されているか、御確認をお願いいたします。ファイルが表示されていない場合や不足がある場合等には、お近くの職員にお声かけください。
タブレットの使用方法については、お手元の「ペーパーレス審議会タブレット操作説明書」を御覧いただき、御不明な点等がございましたら事務局までお声かけください。カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。以降の議事進行については、半田座長にお願いいたします。
○半田座長 皆様、こんばんは。令和2年最初の調査会です。宜しくお願いしたいと思います。今日議論していただく議題は、主に2つです。1つは、全国の血液製剤の実態調査です。もう1つは、血液製剤の使用適正化方策調査研究事業、両方とも国の研究事業ということで、今まで10年あるいは10年以上やってきたこういう研究事業について、ちょうど節目なので、今日は事業の今後の継続性とか、あるいは在り方、方向性等を皆様専門家の方々、参考人の方々も含めて是非議論していただいて、これからの5年、10年という方向性を是非アドバイス願いたいと思います。
それでは最初に、議題1です。「血液製剤使用実態調査について」、まずは本調査の概要について事務局より、その後、牧野参考人より資料の説明をお願いいたします。
○松永血液対策課長補佐 事務局です。血液製剤使用実態調査については、血液製剤の適正使用の推進に必要な方策を検討するため、医療機関の血液製剤の管理体制、使用状況など、医療機関における血液製剤の使用実態を把握することを目的として、日本輸血・細胞治療学会に委託して実施していただいている調査です。調査結果等については、本日お越しいただいている参考人より発表していただきます。以上です。
○半田座長 では牧野参考人、早速宜しくお願いいたします。
○牧野参考人 宜しくお願いいたします。この血液製剤使用実態調査というのは、安全で適正な輸血医療の実践のために、輸血を行っている全国の医療施設における輸血の管理及び実施体制や血液製剤使用状況を正確に把握することを目的に、国の委託事業として、日本輸血・細胞治療学会が日本臨床衛生検査技師会及び日赤の協力を得て2008年より実施しています。この調査も10年以上経過しましたので、今回の報告は2部構成にいたしました。まず、過去の血液製剤使用実態調査から、主に輸血管理体制の整備と適正使用の推進状況についてまとめを行います。その結果を踏まえて、令和元年調査結果を提示したいと思います。
まず、資料1-1-1を御覧ください。安全で適正な輸血医療の実践のためには、各医療施設の輸血管理体制の整備と適正使用の推進が重要であることは明らかです。そこで、今回明らかにしたいことが2つあります。1つは、輸血管理体制の整備状況を施設規模別に示したいと思い、今どういう状況かということを示したいと思います。2番目に、適正使用の状況ですが、血液製剤の使用が適正かどうかという評価は個々の症例によりますので、全体的に評価するのはなかなか難しいのですが、国際的に見て日本の血液製剤の使用量は多いのか、平均的なのかということを確認する必要があります。
そのために、まず表1に2007年当時の主要国の血液製剤の使用状況を提示しております。諸外国の輸血事情を踏まえて、赤血球は400mL1単位、血小板は成人治療単位である15単位を1doses、FFPは160mLを1単位として比較しておりますが、赤血球製剤は、日本においては人口1,000人当たり23万単位であり、これはどの国よりも少ない使用量です。血小板製剤は4.1万dosesということで、これはある程度平均的だと言えます。一方、FFPは11万単位ということで多く、アルブミン製剤もアメリカやフランスと並んで使用量が多いことが分かります。そこで、適正使用の推進としては、FFPとアルブミン製剤の使用量が削減されてきたかどうかということを中心に検討していきたいと思います。
2ページを御覧ください。国内で日赤より血液製剤の供給を受けている施設は約1万施設であり、その輸血実施施設を対象に調査を行いました。調査回収率は、過去5年間は50%を超えています。施設規模が大きくなるにつれて、アンケートの回収率は高い傾向があります。2018年調査で、300床以上施設の回答率が90%近くになって、急に上昇しているのがありますが、これは一般病床数が300床以上施設のみを対象として、療養型や精神病、感染症病棟等を除いた場合の300床以上施設における回答率を計算しましたので、高くなっています。実際、本来あるべき姿だということで、一般病床数が300床以上施設の回答率であることは間違いありません。輸血実施施設の90%以上は300床未満施設であり、残りの10%の300床以上施設において全血液製剤の80%以上が使用されていることが分かりました。
この調査に含まれる血液使用量と廃棄量を足した全血液製剤量というのは、前年に日赤から供給された量の80%の捕捉率であるということで、本調査は本邦における大半の血液製剤使用状況が含まれているということが分かります。
輸血実施施設は、各施設の結果から推定した結果を表3に示しております。同種血輸血は、約100万人の方に輸血されております。自己血輸血は、10万から14万人前後の患者さんに輸血がなされていることが分かります。同種血及び自己血輸血の患者さんの数というのは、この10年間で緩やかに減少傾向であるということも判明いたしました。
次に、輸血管理体制ですが、輸血療法の実施に関する指針に記載されている項目である輸血業務の一元管理や輸血責任医師の任命、輸血担当検査技師の配置、臨床検査技師による24時間体制や輸血療法委員会の設置を挙げて、その整備状況を「輸血管理料」が施行された2006年前後から解析いたしました。図1を御覧ください。300床以上施設は、既に90%以上施設で輸血管理体制が確立されています。全施設でも、明らかに輸血管理体制の整備が進んでいることが分かります。輸血管理体制が整備されるにつれて、図2に示したように、血液製剤の廃棄率が減少してきています。
図3には、各輸血管理体制項目の有無と赤血球の廃棄率を比較したものが記載されています。300床以上施設に限って見てみますと、各項目が整備されたことによって赤血球の廃棄率が低下していることが分かるかと思います。最後の、右下の臨床輸血看護師が配属されている施設は、これも廃棄率が低い傾向が見られました。このように、輸血管理料の施設基準に含まれている輸血管理体制の項目を満たす施設が増えており、今現在では全国で2,400以上施設が取得しております。図4に示したように、国内の90%以上の血液製剤は、輸血管理料Ⅰ、もしくはⅡを取得した施設で使用されています。つまり、国内のほとんどの血液製剤は、輸血管理体制が整った施設で使用されているということが分かるかと思います。
次に、適正使用が進んでいるかどうかを比較するために、国が平成16年に施行した「血液製剤の使用に当たって」に記載されている平均的使用量についてのデータを示しました。表4を御覧ください。一番左端の「前」というのと「後」というものがありますが、これは平成16年のデータと今回、平成30年のデータを比較したものであり、施設の病床数、全身麻酔の数、それから心臓血管外科の手術の有無、移植や治療的血漿交換の有無により分類いたしました。50%値というのは半分の施設が使用している量、つまり平均値になりますし、90%値というのは9割の施設が使用している量ということで、これを超すとかなり使用量が多いということが言えるかと思います。この中で、濃いオレンジ色になっている部分は50%値が平成16年よりも20%以上増加したものを示し、薄いオレンジ色は90%値が20%以上増加したものを示しております。
FFPとアルブミン製剤に関しては、以前から20%以上増加したグループはないということが分かります。適正使用の項目として、FFPとアルブミンの使用削減というのが1つのテーマだったわけですが、これを見ても、適正使用としてはかなり進んできています。少なくともFFPとアルブミンの値は、増加することなく低下していることが分かります。一方、免疫グロブリンに関しては、大規模医療施設においてその使用量が2倍以上に増加している所がありますが、その他、中規模医療施設でも20%以上の増加が認められます。これらは、神経難病や小児科の川崎病等の使用量、血液疾患の免疫不全に対する量などが急速に増えてきていることを反映しているものと思われます。
図5を御覧ください。図5は、免疫グロブリンの使用量を規模別に示したものです。大規模医療施設を中心に免疫グロブリンの使用量が増加していますが、他の規模においても増加が認められています。図6を見てみますと、CIDP等の神経難病の疾患に免疫グロブリンを使用している施設が増加していることが分かります。
6ページのまとめです。今回の10年の調査では、輸血管理体制がどう進んできているか、それから適正使用がどうかという2つの項目について検討したところ、輸血管理体制は、300床以上施設においてはかなり整備が進んできています。それは、1つには輸血管理料等の実施というのが影響している可能性が高いと思います。しかしながら、300床未満の施設においては、まだまだ十分ではないということがあります。
資料1-1-2を御覧ください。在宅赤血球輸血ガイドというものがありますが、300床未満の小規模医療施設及び外来や在宅輸血における輸血の適正使用ということに関して学会がまとめたものです。こういうものを出して、小規模医療施設における安全で適正な輸血に関しても対策を今後立てて、実施していく必要があるということだと思います。
適正輸血に関しては、FFPとアルブミンの使用量が低下しておりますので、かなり達成できているかなと思います。これからは全体ではなくて、診療科ごとの使用量や輸血を使用する場所ごと、疾患ごとの使用量をまとめていく必要があるということで、そういうデータをもとに令和元年の調査に移っていきました。続けて宜しいですか。
それでは、資料1-2を御覧ください。ただいまの10年間のまとめを踏まえて、「令和元年度血液製剤使用実態調査」を開始いたしました。今までは、1月~12月の1年間のデータをまとめていたのですが、今回からは4月~3月、年度でまとめたデータになっております。1ページの真ん中ぐらいの回答施設のデータですが、今回の回答率は1年間に2回調査したにも関わらず、49.03%、50%前後の回答率が得られました。今回のデータは、データの信憑性を高めるということで、オーダリングシステム、輸血オーダリングシステムや部門システムを導入している施設での血液製剤の使用量を解析しております。輸血部門システムの導入は、300床以上施設は97.4%、300床未満施設も含めると37.7%の施設で導入されておりました。こういう部門システムを利用して、血液型や使用量、廃棄量等のデータを容易に抽出できることが分かっています。
2ページにその内容等がありまして、なかなか疾患ごとのデータは難しいのですが、診療科ごとなどのデータは部門システムから比較的容易に抽出でき、信頼性が高いということが分かりました。
2番目の診療科ですが、今までは全体的な施設としての使用量を聞いていたのですけれども、これからは、各論としては診療科ごとの使用量を調べる必要があるということで、まずは診療科分類を行いました。一番最後の参考資料2を御覧ください。後ろから2枚目です。これは、厚労省診療科コードというものを用いて、各診療科を24に分けて、今後、診療科ごとの使用量を解析していきたいと思っております。
2ページに戻っていただいて、診療科を尋ねると最も多いのが整形外科や循環器内科ですが、血液製剤の使用量の多い血液内科や救急科、心臓血管外科等は診療科としてあるのが非常に少ないということが分かります。非常に少ないのですが、使用量が多いということです。
3ページは、診療科ごとの各血液製剤の使用量を示したものです。赤血球製剤に関しては、総量として一番多いのは血液内科、2番目が心臓血管外科、3番目が消化器内科という形になっております。赤血球の1単位製剤は、小児科が18.81%と非常に使用量が多いということも当然のことかと思います。血小板に関しては、全体の63.83%が血液内科で使用されています。1~5単位の小さいものに関しては、やはり小児科の使用が多いことが分かります。FFPに関しては、心臓血管外科が27.94%と多く、その次が救急科、消化器外科の順に使用量が多いのが分かります。FFPの480に関しては、血漿交換等で使うためか、膠原病リウマチ科とか神経内科とか、その辺りの使用量がパーセンテージとしては多い傾向があります。特殊製剤として、洗浄血小板やHLA血小板というものに関しては、9割以上が血液内科で使用されていました。
4ページは、血液製剤が使用される場所ごとに見たものです。赤血球製剤は病棟で52.81%が使用されており、外来で13.9%ということです。一方、血小板は病棟で68%、外来で13%ということで、比較的外来での使用も結構あるということです。FFPに関しては、手術室や集中治療室で使用量が多く、全体の60%がこういう手術室や集中治療室で使われていました。
5ページは、各血液製剤の廃棄率を見たものです。どの製剤も病床数が多くなるにつれて、廃棄率は少なくなる傾向があります。FFPに関しても120、240、480とありますが、製剤が大きくなればなるほど廃棄率は少ない傾向がありました。洗浄血小板やPC-HLAやWPC等は非常に廃棄率が少ないということです。
最後ですが、6ページを御覧ください。免疫グロブリンの使用量の割合です。過去10年間のデータでもお分かりのように、免疫グロブリンの使用量がかなり増加してきているということで、その現状を把握するために今後こういう診療科ごと、使用する場所ごとのデータで経過を見ていく必要があるかと思います。まず診療科としては、やはり神経内科が41.4%ということで、かなり多くの免疫グロブリンを使用しています。神経難病に対する免疫グロブリンの大量療法、それから、最近は病態の安定、維持を目的とした高濃度の免疫グロブリンの使用というのが外来等で多くなってくる可能性があるということで、今後注目のところだと思います。
免疫グロブリンは神経内科、小児科は川崎病で使われておりますし、血液内科では重症感染症等で使われているかと思います。この3つの診療科で、全体の70%を使用していることが分かります。多くが病棟で使われていますが、今後外来での使用も増えてくる可能性があります。
データとしては以上で、次ページに参考資料として、国内における血液製剤の供給状況というものがあります。赤血球、血小板、血漿ともあまり増加傾向ではなく横ばい、もしくは若干減少傾向を示しておりますし、アルブミン製剤に関してはかなりの勢いで使用量が減少してきているという現状があります。ということで、血液製剤の使用実態調査というものも、10年たって適正使用がかなり進んできて、各施設の輸血管理体制もかなり進んできているということが分かりますが、今後は免疫グロブリンの使用状況とか、そういうものを含めてさらに詳しく見ていき、血液製剤の予測というのもやっていく必要があるだろうと思います。
最後に、今までは私が担当していた影響もあり、このグラフなどの有意差、多い傾向があるとかそういうことで言っていましたが、今後は統計学的解析というものも含めて、本当に有意なものはどういうものがあるかということを明らかにしていくことも、1つ大きなテーマであろうと思います。以上です。
○半田座長 牧野参考人、ありがとうございます。当該実態調査に関して、昨年度までの約10年間の調査を一応まとめをしていただいて、それを踏まえて、今年度は課題となったものに関して調査をしていただいたということです。いかがでしょうか。まずはフリートークで、先程、申したように、この事業が今後継続するということであればどういう方向性がいいのかということです。そういうところも含めて課題、そして、方向性等々、それから、現状の今までの御発表に関して具体的な御質問等々を、まずはフリーでやっていただきたいと思いますが、委員の方々、いかがでしょうか。
○薄井委員 薄井でございます。大変貴重なデータをありがとうございます。先程、先生も何度か御指摘になっていらっしゃいますが、回答率ですけれども、たくさん使う500床の所は、かなりアンケートの回答率は良さそうなのですが、それ以外の所は依然として回答率が上がってこない。これはやはり調査をするのであれば、こういった回答率を上げていくことも何らかの手法を取ってやっていかないと現状から離れてしまうのではないかと思うのですが、何かそういう方策とかありますでしょうか。
○牧野参考人 昨年のアンケート調査では、300床以上施設も9割近い87%の回答率、それから、全体としても50%以上で、かなり上げてきましたけれども、我々がやった方法としては、学会の委員の人たちにその回答を促すメール、それから、はがきで連絡をしていきました。そういう学会の会員がいる所は結構そういう方法がありますので、回答率に関しては影響が出たというように思います。学会の会員でもない、誰もいない、そういう所には手紙やはがきなど色々やってはいるのですが、0床施設とか、やはり小規模に関しては回答が得にくいので、我々としても、このような分厚いアンケートの紙が届くとなかなか回答しようという気にもならないということで、小規模は小規模医療施設での非常にシンプルな回答にするとか、そういうのも今までもやってきておりますので、そういうことを踏まえて今後、回答率を高めるということを色々対策はやっていく必要があるかと思います。
○薄井委員 宜しくお願いいたします。
○半田座長 宜しいでしょうか。他にいかがでしょうか。
○梶原委員 梶原です。今回、調査時期の1月~12月が、4月~3月という形に変さらになったのですが、先程、座長からの御発言にもあったように、今後どういう形で継続していくかということになるかと思いますが、こういった調査に回答する立場の輸血部門の者としては、調査時期がいきなり切り替わる点とか、それから、全ての都道府県ではないと思うのですが、東京都の場合ですと1月~12月での調査というのが別にあったり、大学病院ですと輸血部会議の集計があったりで、それが今まで1月~12月というところでそろっていましたので、それぞれの調査で若干項目が異なる部分はあっても、1回集計を回すという作業をすると、それぞれに共通の回答ができるのですが、調査の期間が年度と年のものが並行してあると、そういった作業を4月~3月に合わせて、1月~12月に合わせてやらなければいけないというところで、正直、かなり業務の負荷になる部分はあります。
もう一点は、今回、輸血のシステムが入っている所は、それで簡単に答えられるものについてという形ではあったのですが、従来の調査よりも、かなり調査項目が変わっている所があって、従来の調査でもシステムから自動的に集計できる項目もあるのですが、少し人がその目をもってデータを集めておかないと回答ができないような項目もあって、急に項目が変わるとそういった所は全く答えられないことになってしまいますので、1つは、輸血の管理システム自体が各ベンダーさんでそういった集計、特に集計の機能に関しては異なっているところがあって、それだけで統計を自動で出せないところがありますので、輸血の管理システムの機能として共通で、最低限こういった集計は自動で出せるように期間をフリーに決めれば、その期間に関して自動で集計できるということも必要かと思いますし、例えば、当院の使用しているシステムにも工夫すれば恐らく出るのですけれども、科ごとの例えば製剤の使用の単位数は簡単に集計ができるのですが、それが1単位製剤、2単位製剤というところになってくると、別の統計を回さないと答えが出ないというところもありますので、こういうところにあまり人の業務量の負担が掛からないような御配慮をいただけると、回答率も上がってくるかと思います。
もう一点は、免疫グロブリンに関してです。マイナーポピュレーションなのかもしれませんが、最近、無ガンマグロブリン血症の患者さんに対しての補充療法という点では皮下注製剤も出ておりまして、当院ではそういった目的の補充の患者さんは可能な限り皮下注に移行している状況があります。恐らく、今、使用量が多くなってきて、あるいは一部の製剤で欠品が出たりというところは静注免疫グロブリン製剤だと思いますけれども、できれば皮下注の製剤も含めてグロブリン総体の量を出していった方が正確な状況把握になるかと思っています。
○半田座長 梶原委員、ありがとうございます。非常に具体的で分かりやすく御指摘になられましたけれども、特に牧野先生、アンケートの分厚いものを見ただけで嫌になってしまうということがあると思います。部門システムとの適合性とか、そういうところはどうでしょうか。
○牧野参考人 今回、大きく変わりました。今回部門システムからデータを出すという一番の目的は、血液の使用量とか廃棄率とかが非常に曖昧、信頼性に欠けるようなデータというのがどうしても多くて、例えば使用量が100単位、廃棄量が100単位という同じ数字を入れてくるような施設も結構多かったりして、廃棄率50%、本当かなと思ったり、そういう所が非常に多かったのですが、今回の部門システムから出すようにすると、データがそういうものがほとんど出てこないということで、データの信頼性というのは非常に高くなってくるということで、今回が第1回目の変更ですので、こういう正確性というものを今後進めていくと、このデータの信頼性というのは非常に高くなりますので、最初は大変かもしれませんけれども、方向性としては良いのかと思います。
先程の皮下注製剤のことに関しては、これは非常に大きな問題でありまして、皮下注製剤でCIDPとかの病態を安定させると、悪化させないということでの皮下注製剤の使用というものが、恐らく今後増えてくる可能性は十分高いと思います。10%製剤や皮下注製剤が外来もしくは在宅とかで使われることが多くなってくる可能性は否定できませんので、そういうところは漏れがないように静注製剤だけではなく、皮下注製剤も含めてアンケートでその状況を把握していくということは大切なことであろうと思います。
それから、今回、部門システムを導入するに当たって、7つの主な施設の方に参加していただきまして、どういう項目が回答しやすいか、回答しにくいか、ちょっと無理なのかということで細かくデータをいただきました。その中である程度回答しやすいという項目を中心に今回は入れたのですが、なかなか難しいところも今回少し入れたら、やはりそこの回答は悪いのです。ということで、今後、システムから回収するデータの取りやすさ、その施設の方々に負担がかからないような方法というものは、やはり今後は色々考えていく必要があるだろうと思います。今回は第1回目ということで、多くの施設の検査技師の方には非常に御迷惑をおかけしたかと思います。その中で49%の回答率というのは、非常に私もびっくりしましたけれども、今後、より答えやすく有意義なものにしていきたいと思います。
○半田座長 ありがとうございました。他にいかがでしょうか。
○喜多村委員 私はオーダリングシステムについてあまり理解できていないかもしれませんが、図1を見ますと、オーダリングシステムや部門システム導入状況が病床数で大きく違っています。オーダリングシステムではより正確が得られやすいというようなお話もありましたけれど、実際にオーダリングシステムのみの回答結果と全体の回答結果の比較とかは行われたのでしょうか。
○牧野参考人 今回の令和元年の調査に関しては、このシステムを入れている施設だけが回答しているのです、その使用量は。ですので、比較はできないのですが、例えば、昨年のデータは、導入している、していないは関係なく回答していますので、それとの比較というのはできるかとは思います。今回はやっていませんけれども。ただ、今まで10年間のデータを見ますと、ちょっと怪しいデータというのが結構あったものですから、今回はそれが本当に少ないなと感じました。300床以上施設が回答している所が多いものですから、そうなのだろうと思いますが、イメージとしてはそのような感じです。解析はしてみたいと思います。
○喜多村委員 ありがとうございます。是非、その分析もお願いします。
○半田座長 ありがとうございました。他にいかがでしょうか。
○野村委員 免疫グロブリンをたくさん使っている神経内科です。資料1-1-1のページを開いていただきまして、図6になるのでしょうか、疾患別免疫グロブリンの使用状況ですが、見ていただいているように,川崎病、無ガンマグロブリン血症、ギラン・バレーでのIVIg使用量はあまり変わっていません。CIDPは全国に5,000人,重症筋無力症は3万人,多発性筋炎は2万人。CIDPの5,000人でこれだけ多くの免疫グロブリンを使用しているのは、頻回の投与が行われるからです.通常,神経症状が進行しますとIVIg治療が行われますが,神経症状が悪化していなくてもIVIgを定期的に行われます.神経症状の悪化した状態になる前に治療を求めて来院されます.一旦神経症状が悪化しますと入院治療を余儀なくされるため,悪化する前に治療を求められます.IVIG治療効果は非常に良く効ききます.
最近、CIDPでは2019年からは点滴治療,皮下注療法を含めIVIgの維持療法が認められ,さらにIVIgの使用が増えるものと推測されます.CIDPの発生率は年間人口10万人に当たり0.5人ですから、それほど症例数は急激に増えていません.ところが、頻回投与することが増えていますので、CIDPではIVIgの治療はさらに増える可能性があります。一方,図にもありますが,重症筋無力症(MG)ではあまり変化はありません.多発性筋炎(PM)も同様に変わりません.多少,MG,PMでもIVIg治療はやや増える可能性はあります.なぜ,3万人もいる重症筋無力症ではIVIg治療が増えないのは,やはり他の治療、免疫療法があるからです.現在,CIDPではステロイド治療以外に保険適応を受けた治療法がないからです。ステロイド治療は、長期療法により患者さんに副作用の問題が生じ,どうしても患者さんからは嫌がわれてしまします.我々,神経内科医は新たな免疫補充療法の保険適応を厚生労働省にお願いしなければいけないと自覚しております.さらに,新たな治療法の開発をしないといけないと感じております.重症筋無力症では新しく生物学的製剤が市販されていますから,今後さらに,IVIg治療がさらに増加するとは思われません.多発性筋炎も免疫抑制治療によりIVIg治療が増加するとは思われません.やはり注目は、CIDPであり,今後さらにIVIgの需要が増える可能性があります.IVIg治療ですが,最近,皮下注射製剤が開発され,通院の入院・外来治療ではなく,患者の時間に合わせた在宅療法が多くなる可能性があります.以上が,神経内科でのIVIg治療の状況です。
○半田座長 ありがとうございました。現場からの非常に理解できる調査結果であるということです。
○牧野参考人 今回の調査が2018年のデータ、もしくは2018年度のデータですので、まだ2019年の保険の拡大、適用拡大というものが2019年に1つありますので、恐らくこれから増えるだろうと思います。つまり、来年度の結果では結構変化があるのかなと思いますので、タイミング的にはその変化が捉えられるいいタイミングだったのかなと思います。
○半田座長 ありがとうございました。他にいかがでしょうか。
○薄井委員 神経内科の野村先生にお聞きしたいのですが、今後、免疫グロブリンの使い方というのは何かガイドラインとか、そういうものが出てくるのでしょうか。もちろん患者さんのためには何でも使いたいと思いますが、適正な使用とか、その辺のところは学会等で何かご検討されているのでしょうか。
○野村委員 御指摘ありがとうございます。そのとおりだと思っています。例えばCIDPですと、疾患慢性期ではおよそ40%の患者さんではプラセボ治療でも寛解が得られているとしたデータがあります.もちろん60%の症例はIVIg治療が必要な症例です.オバートリートメントの問題が発生しております.実際,CIDP症例でIVIg治療を中止しますと確実に悪化し,動けない,歩けなくなります.患者様は悪化する前にIVIg治療を求めて来院されます.実臨床では,IVIg治療の間隔を少し延ばしていっても良いのではないかと思われる症例はあります.IVIgの適正使用と、有効性の評価を定期的にすることを学会を通じて施行すべきと考えております.CIDPの維持療法として3週間ごとの治療が必要かなど検討すべきかと考えております.
○薄井委員 ありがとうございます。
○半田座長 宜しいですか。
○田中委員 10年の調査のまとめと今回の調査結果は素晴らしいデータだと思います。施設の規模別の回答率の話題もありましたけれども、しかしながら先生の方で推計されたものでは、供給された全血液製剤の8割を占めているということですので、大体、日本で使われている血液製剤のほとんどの実態が、これまでの10年で分かってきたという理解で宜しいでしょうか。
○牧野参考人 そういうことだと思います。
○田中委員 今回から、輸血部門システムとか供給のシステムからのデータ提供で、直接人の手を煩わさない調査になったということでデータの信頼性が上がったというお話だったのですが、それはそうだと思います。これまでの10年間の手作業での入力で、真面目かつ多大な労力で入力されていても手作業による誤入力はある程度避けられない、学会の会員の協力は素晴らしいと思いますけれども、そこら辺のところが改善されたのはよかったと思います。しかしコストの面ではどうなのですか。これまで調査票による郵送調査、回収後に解析するのと、今回、部門のシステムからデータを落としてもらうコスト、それから、先生の方の解析コストというのはこれまでと何か違いがあるのでしょうか。
○牧野参考人 コストは全く変わりないと思います。こちらに回答してくださるのはWEB上で回答されるのが3分の2で、あと3分の1が手書きで来ます。このシステムからのデータの抽出ということに関してのコストはほとんど変わらないと思います。ただ、学会が今、JAHIS(保健医療福祉情報システム工業会「医療情報システムの患者安全ガイド(輸血編)」)という統一のプログラムで、輸血をしているほとんどの施設で同じようなデータが抽出できるようなシステムというものを、一応今導入しつつありますので、そうなるとデータの回答というのも、かなり正確性が高くなってくるだろうと思います。今回のシステムからのデータの抽出に関してのコストの変化はほとんどありませんでした。
○田中委員 手間がだいぶ軽減されたという理解でしょうか、現場の方の。
○牧野参考人 はい。ただ、先程、お話がありましたように、それまでが1月~12月で、今回は4月~3月になったことで、そのデータの解析に手がいる可能性があった施設があったと聞いています。
○半田座長 ありがとうございました。他にいかがでしょうか。
○西脇委員 私は麻酔科なものですから、手術室での輸血のことの状況でお尋ねしたいことがあります。1-2の図4を見ますと、赤血球製剤は大体5分の1ぐらいが手術室で使われているということ。ただ、血小板になると10%弱、そして、FFPは集中治療室とか手術室で半分以上使われている。現場の感覚としては、確かに最近は腹腔鏡とか、出血が非常に少なくなってきている。だから、恐らく出血する症例数とか輸血量も赤血球に関してはひょっとしたら減っているのではないかと思いまして、比率みたいなものが10年前と比べて手術室での赤血球の使用は減ってきているのかどうかということ。
一方、全体としては減っているのですが、日本は諸外国と比べますと、かなり侵襲的な手術をたくさんやっていて、実際、外科医も上手ということもあるのかもしれませんけれども、とにかく拡大手術もたくさんやっております。そういう状況においては逆に、今までFFPとか血小板の投与が少なくて、希釈性の凝固障害で失っていた症例もあるのではないかということで、最近、大量出血時の輸血のガイドラインも改定されまして、大量にいるときは赤血球と血小板等の比率は1対1対1ぐらいで、かなり多めにドカンといかないと助からないということで、輸血しなければいけない症例も減っているのですが、しなければいけない症例は、かなり以前よりも血小板やFFPを余計にたくさん使っているような状況もあるのではないかということが現場の感覚としてはあるのですが、何かそういったことはこういったデータではいかがでしょうか。
○牧野参考人 この輸血の場所ごとの血液製剤の使用状況というものは、詳しく行ったのは今回が初めてなのです。今まではこういうのが分かっていなかったものですから、この製剤が、血小板に関しては病棟と外来というのは一度聞いたことがあるのですが、FFPも含めて聞いたのは今回が初めてですので、恐らく今後、この動きというのは見ていけるというように思います。
それから、先生が今おっしゃられたように、マッシブトランスフュージョンプロトコール(MTP)というものが今注目されておりますので、そういうのが非常に浸透してきますと、早期からのFFPや血小板の使用ということによって、逆に全体の使用量が減ってくる可能性とか、そういうことも考えられますし、手術室及び急患室でのFFPとかの使用量が今後増加していく可能性があるかと思います。そうしてくると、それは、実は適正使用なのだということで、今までの適正使用の考えと、ちょっと変えてくる必要があると思います。とすると、輸血管理料の適正使用加算とか、そういうところにも少し影響してくると思っております。そのためのデータにもなってくる可能性はありますので、非常に貴重な御意見だと思います。ありがとうございます。
○西脇委員 是非、そういう形でのデータも出せるようなことを引き続きやっていただくことをお願いしたいと思います。
○半田座長 ありがとうございました。
○安達委員 私は産婦人科ですけれども、少し産婦人科の特異性というものをお話して、これから統計解析なさるときの参考にしていただければと思います。産婦人科と言いましても、婦人科と産科で全然違う輸血形態だと思います。婦人科は腫瘍などの手術ですので、他の外科と同じだと思いますが、産科というのは大出血の原因に、凝固因子の消費性のものと失血による希釈性のものとがありまして、急激にDICに進行するものもあります。母体死亡の一番の原因は出血によるものと、羊水塞栓なども含めまして産科DICという特殊なものがありますので、輸血の形態も御存じのように赤血球とFFPで見ますと、FFPの方が1.2倍ぐらい使わなくてはいけません。
それから、先程の統計の中で、使用量よりも廃棄量の方が多い病院があったというご報告もありましたが、むしろ産婦人科の大きな病院の中には、総合周産期センター、地域周産期センターというような所があるのですが、多くの診療科があるわけではなくて、比較的産婦人科がメインであるようなセンターがあります。そうしますと、血液は前置胎盤・癒着胎盤とか、ほかにも産科DICなどをきたす病態、そういう大出血しそうなものに対して常に輸血製剤の確保をしておかなければいけないけれども、使用しなかった場合に、よその診療科が使うということがあまりありません。そのために、うちの病院などもその典型なのですが、使用した血液の量よりも廃棄する方がどうしても多くなってしまうということがあります。それは決して、いい加減な回答をしているわけではなくて、どうしてもそういうような状況になってしまうということを、一応御考慮いただきたいと思います。参考資料の方にも「産婦人科」と「婦人科」と「産科」と分けられてコードが振ってありますので、またもう少し詳しく、こういう産科と書いてある、あるいは産婦人科は産科と両方入っているので不確実になるのですが、そこだけ統計を取ってみると、廃棄が多いのはこういう理由からなのかというようにお分かりいただけるのではないかと思います。少し特異性についてコメントさせていただきました。
○半田座長 ありがとうございました。
○薄井委員 血小板を使う血液内科から質問とコメントです。先生が出された1-2の資料の3ページの血小板製剤の所ですが、1単位、2単位、5単位製剤、小さいのは小児科が多いと思いますけれども、内科と同じと書いてあるのですが、これはほとんど血液内科ですと10単位以上ということになるのではないかと思いまして、ここをどういうものなのかというのを教えていただきたいこと。
もう1つは、血液内科としては、今、産科の先生の御指摘もありましたけれども、使い方としては少し違うことが多くて、移植とか白血病の治療とかで使うわけですけれども、血小板は止血以外何ものもないので、血小板を入れることで血小板の値を上げるというものではないのですが、どうもそこのところを十分に把握していない血液内科医もいるようで、本来10単位で十分のところ、20単位あるいは15単位、たまたま来てしまうのは別として、そういうオーダーをしているという実態もあるようです。血液学会でも指摘はされていると思いますが、その辺のところを、もう少し適正使用ガイドラインをきちんと浸透させて、余計に使わないようにしていくことが必要なのかなと思っております。質問とコメントです。
○半田座長 ありがとうございました。何かありますか。
○牧野参考人 1単位から5単位製剤を血液内科も結構使っているというのがありますが、これに関しては、これという理由は良く分かりません。
○半田座長 これからの課題ということ。
○梶原委員 もしかすると15単位という要求に対して、10+5で供給されているということなのかなという気もするのですが。
○牧野参考人 そうですね。
○半田座長 時間もだいぶ過ぎましたので、まとめさせていただきます。本調査事業に関しては、やはり300床未満の中小施設での回答率が悪くて、廃棄量も多いということで、この辺をいかに調査のn数を上げるかということが、まず第一の課題かなと。もう1つは、製剤別ではガンマグロブリンの使用量が増えているということで、これに対しては適正使用のガイドラインというお話がありましたが、実態調査をしつつガイドラインを作っていくということが必要かなということです。それから、3番目は、疾患別、場所別での調査を継続していただくということ。そのためには部門システムとの連動というのが非常に重要かなということです。
特に、私の個人的な意見ですが、300床未満の施設に関しては、確かに学会からお願いしても、全く関係ないということで、国の、一応名前も付いていますけれども、回答していただいていないということがあるので、例えば日本赤十字社も全ての施設へ配っていらっしゃるので、何かその辺からアプローチをしていただくということはあるかなと思いますが、私の個人的な意見なのですけれども。最後に日本赤十字社として何かその辺のところはいかがでしょうか。
○日本赤十字社遠藤技術部次長 日本赤十字社の方では、学会の方からこの調査に関して協力依頼という形を受けて、本部長名でアンケート調査を行う医療機関の方に協力をお願いするとともに、回答していただいたものがなかなか集まってこない場合には現場のMRの方がお願いに上がるということで、基本的に2段階の形で回答率を上げることへの協力ということを、この調査が始まってからずっと続けさせていただいているところがあります。今後、こういったような調査が継続されていくのであれば、また何か新しい方法があれば、日赤としても検討していきたいと考えております。
○半田座長 ありがとうございました。最後に何か、今、言っておきたいということがあれば。委員の方。
○矢口委員 時間が押している中、すみません。資料1-1-1の図3で廃棄率のことですが、図3の確認ですけれども、平成30年度のデータということで宜しいでしょうか。
○牧野参考人 はい、そうです。
○矢口委員 やはり300床未満の施設は、これを見ると輸血の一元管理や輸血の責任医師、例えば担当検査技師や担当の看護師が、委員会の設置とか、あろうがなかろうがあまり廃棄率が変わっていないというところが見えてくるので、院内のそういう整備、環境整備の問題ではなくて、違うところに廃棄率のところがあるのかなと思ったのですが。
○牧野参考人 そういうことです。小規模医療施設に関しては、血液を取り寄せても結局それを使わなかった場合に転用というものができませんので、どうしても廃棄が多くなってしまう。病床数が多くなればなるほど廃棄率というのは下がってくるということが言われておりますので、多分そういう体制と別に、やはり病床の規模というものは非常に大きな因子かなと思っています。
○矢口委員 そこをどうにか考えていかなければというところですね。
○半田座長 そうですね、先程も安達委員からお話があったように、産科は非常に特異的、例えば茨城県の試みでは、医療機関でローテートするというようなことを研究事業としてやられていることもありまして、そういう方策もこれから立てなくてはいけないのかなと思っています。宜しいでしょうか。それでは、事務局。
○松永血液対策課長補佐 事務局でございます。先程、牧野参考人から御紹介がありました資料1-1-2の在宅赤血球輸血ガイドについてですが、先程、座長からも少しありましたように、日赤様の方で、各地域において各現場に対する血液製剤を運んでいただいていますので、その際において病床規模の小さな所とか在宅をやられているような先生方に、こういったガイドがあるというようなことを各地において周知いただくということなども工夫いただければと思っております。以上です。
○半田座長 これは2番目の議題でも、また藤盛先生のところで関連したお話があると思います。では、今の議論に関して、事務局におかれましては是非今後のことに関して腹案を練っていただければと思います。
それでは、議題2にいきたいと思います。まずは資料の説明を事務局から、宜しくお願いします。
○松永血液対策課長補佐 事務局です。「血液製剤使用適正化方策調査研究事業」については、血液製剤の適正使用を推進する観点から、各都道府県における課題と、それに対する取組について調査研究していただくことを目的としております。各都道府県に設置されている合同輸血療法委員会に主体となってこれを行っていただき、全国で共有することで、効果的な血液製剤の適正使用の方策を推進するものです。今回は採択された10件のうち、兵庫、秋田の合同輸血療法委員会の関係者の方をお呼びして、その取組を御紹介していただき、課題や解決に向けた取組、その全国展開に向けての必要な取組についてディスカッションをいただくことです。以上です。
○半田座長 ありがとうございました。それでは、引き続き兵庫県合同輸血療法委員会の藤盛参考人から資料2-1の説明をお願いいたします。
○藤盛参考人 資料2-1をお開きください。兵庫県の合同輸血療法委員会の委員長を仰せ付かっております兵庫医科大学の輸血・細胞治療センターの藤盛です。宜しくお願いいたします。私どもは兵庫県の合同輸血療法委員会で活動しているのですが、今回、平成30年度の血液製剤の使用適正化方策調査研究事業の方に応募させていただきまして、幸いにも採択されて、その資料の1枚目にありますように、我々の所では小規模の医療機関での血液製剤の適正使用推進と、それに資する在宅輸血時遠隔モニタリグシステムの開発ということで、研究事業を平成30年度にさせていただきました。それについて御報告させていただきます。
兵庫県合同輸血療法委員会の活動ということですが、兵庫県合同輸血療法委員会では、大規模、中規模、小規模、それからクリニック、医院の代表の医師の先生、それから兵庫県の健康福祉部、兵庫県赤十字血液センターの代表の方、看護師・臨床検査技師ワーキンググループの方も含めまして活動させていただいております。
主な活動について書かせていただいたのですが、年3回の合同輸血療法委員会を5月、9月、2月にさせていただいております。以前からの活動なのですが、兵庫県の輸血従事者研修会というのを毎年10月か11月ぐらいにさせていただいています。去年は平成30年10月6日に実施したのですが、一応内容をピックアップさせていただくと、「救急救命における輸血~MTPとチーム医療」という講演、それから今回にも関係するのですが、「在宅輸血療法の実際と安全管理」ということについて、この研修会では発表させていただいております。
看護師ワーキンググループでは「輸血チームで考える安全輸血」、臨床検査技師のワーキンググループでは、検査技師も輸血に慣れていない方もおられますので、基本的な「血液型検査、不規則抗体検査等」を実習形式で研修を行っております。こういうものを含めまして活動をさせていただいております。
次のページを開けていただくと、今回の調査研究事業に応募させていただいた内容になるのですが、在宅輸血を取り上げています。先程のこれまでの統計を取った実態調査にもありましたように、大規模医療機関では比較的輸血については注意深く適正にやられている。ところが小規模、あるいはクリニック、あるいは在宅の場合はどうかというと、やはり輸血のときの安全性の担保というのが非常に問題になってくるということになります。先程の在宅赤血球輸血のガイドラインにも示してあるのですが、そこにありますように、在宅輸血において、輸血前から輸血開始後1時間は、少なくとも医師とか看護師などの医療従事者が同席すること。ただ、その後、医師の方も次の家庭を訪問して輸血ということもありますので、その後、在宅の場所から離れることになりますが、その間はどういうように安全性を担保しているかというと、このガイドラインでは患者のみならず、患者家族などの患者付添人の同席が必要ということで、患者付添人が同席できる場合のみ在宅輸血を行っているわけです。
次のページを見ていただきますと、在宅輸血時遠隔モニタリングというのを考えたのは、患者付添人の方がおられて、患者に付き添っていただいているという状況なのですが、医療者が輸血状態をモニタリングすることができないかということですが、今は非常にインターネットも発達してきていますので、そういうデバイスを活用することによってできるのではないかということで開始しています。
もともとは、岡山大学での心臓の遠隔見守りシステムが開発されて、それを用いられています。それを「おだやかタイム」というのですが、それと多機能の携帯心電計「CarPod」というのですか、これを使って遠隔で心拍、呼吸数、体動、SpO2、酸素飽和度ですね、心電図、そういうものをリアルタイムに医療者、医師が次の場面に移動しても、リアルタイムにモニターするということを可能にしようということで、この取組を始めて、在宅患者の観察に応用しようと開始しております。
目的はそういうことですが、これについては実際にやっていただいているのは、下の対象にもありますように、神戸に赤坂クリニックといって、赤坂先生もこの合同輸血療法委員会で活動していただいているのですが、そこで在宅輸血を一生懸命にやっておられます。でも、在宅輸血自体はどこでもできているのではなくて、やはり熱心な先生が一生懸命、安全に気を付けながらやっているのが現状、実情です。
西川先生といって、和歌山県立医科大学から来られているのですが、その先生も非常に熱心にやられて、このシステムの開発に携わっていただいております。実際研究においては、前向き観察研究として、こういうバイタルチエック、バイタルモニタリングをして、そのバイタルモニタリングと患者の変化というものがどのくらいモニターできるのかというのを観察しております。これについては兵庫医大の倫理委員会、和歌山県立医大の倫理委員会に承認済みです。
次のページを見ていただくと、その使用機器が出ております。もともと循環器用に開発されていたモニタリングデバイスですが、「おだやかタイム」の方は、右の図の方ですがセンサーマットがありまして、この上に患者に寝ていただいて、コントロールボックスで心電図、酸素飽和度、そういうものをモニターして、それをWI-FIでiPhoneまで送るようにしております。患者自体は電極とかを胸に付け、それからSpO2を指に付けるわけですが、それ以外は自由に動かすことは可能ですから、トイレに行くことも可能です。そういうことですので、色々な状況が起こり得るということですので、それについて今回解析をしてみたということです。
実際、輸血後の副作用はどのようなものがありますかというと、副作用は非常に軽いアレルギー反応から非常に重篤なアレルギー反応、輸血後の呼吸障害とか循環負荷とか色々なものがあるわけですが、軽いものは捉えられない可能性もあるのですが、我々が目指すところとしては、重篤なものを早めに察知できないかということが、今回の目的の1つであります。項目としても、これはホームページから取らせていただいたのですが、副作用には色々な項目、発熱があったり、ほてり、悪寒があったりするのですが、ここで7番目の呼吸困難とか血圧の変化、13番目の動悸とか、そういうものを目指して、このモニタリングもやっているわけですが、色々な状況によって、早期に起こるもの、後で起こるもの、色々ありますので、それを全体に捉まえるのはちょっと難しいですが、特に早期に起こって重篤なものについては、それを検知できないかというような方向で考えています。
次のページに一番重篤な合併症の急性肺障害、TRALIというのですが、輸血後の肺障害には、例えばSpO2が診断基準は90%以下ということになっています。右下の方で輸血関連循環過負荷、TACOの場合は頻脈が診断基準の中に入っています。ということで、やはり基本的にはバイタルサインをチェックするところが非常に重要になってきますので、それを遠隔モニターしようということです。
方法が出ていますが、これは先程、述べさせていただいたことですが、今回のこの調査研究事業のときには、前向きの観察研究を行うということです。というのは、新しい臨床研究法がありまして、介入研究は非常に難しくなってきて、そこまでは対応できないということで、今回はバイタルデータを記録しておいて、そして輸血中の変化を患者付添人に記入していただくというところを主にして、その記入した状況とバイタルデータとの比較を行って、色々な副作用を早期に検出できるかどうかということを検討いくことで始めております。バイタル異常についてはどういうところが。先程、TRALIでSpO2が90%以下というのがあったのですが、今回は92%未満でバイタル異常とさせていただいて、時間的にも5分間以上持続と。というのは、後でありますようにノイズとかエラーとか色々あります。そういうものがありますので、5分以上持続するのを捉まえております。それから脈拍も、もちろん重篤になれば脈は下がるのですが、先程、TACOの所に頻脈がありましたように、脈拍が今度は増えたのを、100以上で5分間以上、呼吸も増えたところで5分間以上を、一応今回のバイタル異常の基準とさせていただきました。これが適切かどうか、また色々今後検討もするのですが、今回はこれでさせていただいております。
2つ以上のバイタル異常が同時に発生した場合を複合バイタルデータ異常とさせていただいています。というので結果を見させていただくと、今年度は3名の同意が得られた患者、3名とも血液疾患です。骨髄異形成症候群とか骨髄腫、悪性リンパ腫の方で、計10回のモニタリングを行っております。
モニタリングの内容については、次のページを見ていただくと、バイタルデータの推移というのが実際の図で、輸血実施番号6に出ております。ということで、実際に見ていただくと、例えば真ん中の2本は、実は心拍数を、おだやかタイムとCarPodの2種類で取っているのですが、ギザギザとしている真ん中の2本は、心拍数が非常に変動が激しいのですが、平均すると大体の変化が見られるということで、5分以上というのを付けると、これは異常にはならないということになります。それから一番上のラインは飽和度、SpO2なのですが、この場合は最後のところでちょっと低下してきているのですが、この方はもともと循環不全、末梢の冷えとかがあって、今回はSpO2の低下は異常というように捉えていません。一番下の所は呼吸数も変動はあるのですが、5分以上の異常としては大きな問題はないということです。
ということで、少し戻って、先程の結果の1から10の輸血実施の所で結果を見させていただきますと、やはり機器トラブルとか測定エラーとか色々な状況があって、それを解釈のときに取り込んでということになります。あとは呼吸異常、22回以上の2番目の方で、5分以上のものが4回あったのですが、そういうものと、SpO2、実施番号6番の方で2回ありました。実際の患者の記録との比較で、これは異常ではなかったということになりました。今回、この10名の方では輸血合併症はありませんでした。
まとめの所でもう一度見させていただくと、10回の輸血についてリアルタイムにバイタルデータをモニターすることは可能ではありました。今回は、重大な輸血関連合併症の出現はありませんでした。呼吸数増加、SpO2低下イベントが検出されましたが、これが2つ以上重なる複合の異常は認められませんでした。ノイズとか、色々なものが起こって記録が変動するということがありました。したがって、モニターデータの総合的解釈が必要で、特に2つ以上の複合型異常は今回はなく、今回それがなかったことは重篤な輸血合併症がなかったということにつながっているのではないかということで、これについては今後検討がいるのですが、複合バイタル異常の検出が重大な輸血合併症の検知に重要なのではないかというように考えられました。
ということで、一番最後の所は、昨年の5月、熊本での輸血・細胞治療学会で発表させていただいております。この内容については、まだ返事は返ってきておりませんが、年末に投稿しております。
実際の在宅輸血時遠隔モニタリングについて、昨年検討させていただいたことについて発表させていただきましたが、ちょっと続きがありまして、やはりマットというのが、やってみたら、なかなか色々問題点がありまして、これは昨年度で、今年度はマットがない新しいシステム、年々デバイスも良くなってきますので、新しいシステムで開始させていただいています。幸い、今年度、令和元年度の調査研究事業にも採択していただいて、新しいもの、改善をしていって、適正なモニター、そういうことが可能になるように今後も努力してまいりたいと思っております。ありがとうございました。
○半田座長 ありがとうございました。具体的なことについてもう1つ発表していただくのですが、何か誰かお一人、御質問とかありますか。では、このシステムは今年はもうちょっとソフィスティケートして研究を続けられているということでしょうか。
○藤盛参考人 そうですね。
○半田座長 それでは引き続き、面川参考人から資料2-2を説明していただけますでしょうか。
○面川参考人 資料2-2をお開きください。平成30年度に採択された秋田県合同輸血療法委員会の研究課題です。「Prospective Screening Review-輸血前患者評価プロトコールの均一化と輸血オーダーに対する疑義照会を活用したBloodless Medicineの更なる展開-」ということです。私は秋田県合同輸血療法委員会の代表世話人を務めている面川と言います。どうぞ宜しくお願いいたします。
次のページを御覧ください。これは、右側が秋田県合同輸血療法委員会の組織を示しています。秋田県合同輸血療法委員会は1998年の設立ですので、もう20年以上は経過しています。毎年のように、アルブミンを含む血液製剤、近年は免疫グログリンも含む使用状況の調査をするということを一つの目的としています。それから、輸血療法委員会の設置状況も悪かったということで、その設置を推進をすることも行ってきました。そして、実際に院内輸血療法委員会を活性化するということを行っています。さらに、各年毎に色々なテーマを決めて、事例を各医療機関から発表してもらって、それに対して全体討論をしています。医療機関の相互訪問、輸血監査、委員会、これも今回発表がありますが、そういうことも検討しています。
組織的には世話人会があって、その下に医師部会、看護師部会、検査技師部会があります。医師部会の中では輸血療法委員会の委員長に集まっていただく輸血療法委員会委員長会議も開催しています。
左側が直近3年の検討主題で、今回御報告させていただくのが、第21回の2018年(平成30年度)の研究課題です。実は、その3年前、2016年から制限輸血、Bloodless Medicineということに焦点を当てまして、3年計画で輸血量削減の試みと言うか、それに対する医療機関への啓発活動というところに力を置いてやってきました。3年目の総括というところに偶然これが当たりまして、その内容を2016年、2017年も多少含めて御報告させていただきたいと思います。
次の2ページを御覧ください。こちらは平成30年度の研究課題です。先程、お話ししたProspective Screening Reviewについてです。どういう内容かと言うと、課題は3つの項目からなっていまして、Prospective SCreening Reviewというのは、輸血のオーダー時に輸血前の患者状態を評価する均一的なプロトコールを作成して、輸血オーダーへの疑義照会を推進する。つまり、ある程度のひな形を設けて、こういうチェックシートでチェックしてくださいということを合同輸血療法委員会が作成しようということです。それを各医療機関に配布して、輸血のオーダー、輸血の管理部門等でオーダーを受けたときにチェックして、オーダーした診療科へバックしていただくということを意図しております。
それから、輸血に実際に関わる看護師の教育ということで、ベッドサイドスキルアップOJTのトレーニングを実施したということです。輸血オーダーをするときに、患者状態によっては、輸血が本当に必要な状態があるのかどうか、そういうことを実際に患者さんを見ていらっしゃる看護師が評価することもあると思うのです。そういうところでの、患者状態確認に関するスキルアップを目指して、自分の施設だけではなかなかできませんので、モデル施設に出向いていただいて、総合的に輸血療法委員会・輸血監査に、他の病院のそういう行事に参加していただくことで、OJTを試みたということです。3番目が、輸血療法委員会委員の相互訪問ということと、赤血球、血小板のTRIGGER TABLEを作成して、これを啓発ツールとして周知活動を行ったということです。
次をお願いします。これは、秋田県合同輸血療法委員会で行ったProspective Screening Reviewのアルゴリズムで、これはカナダのOntario Regional Blood Coordinating Network、ORBCoNと言いますが、ORBCoNの所で実際的に行っているものを、ある程度モディファイさせていただいて作ったものです。カナダのORBCoNでは、Quality improvement Planと言って、輸血実施の質の評価と適正使用を含む計画を行っていて、この中で輸血前患者評価プロトコールを作成し、医療機関に提示して均一的な輸血オーダーをレビューするアルゴリズムの作成をしています。我々はこれを参考にして作成しました。
これによると、赤血球のオーダーがあった際で、出血のない入院患者、出血のない救急患者を対象とします。手術患者、また外傷、救急の患者は除外するということです。ヘモグロビン値が6g未満、7g未満、8g未満、8~9g、9gより高い。このどれに該当するかをチェックしていただきます。6g未満であれば当然適正となります。7g未満であれば輸血をしてもいいということです。8g未満でも心疾患がある場合は適用になる場合がある。それ以上の場合は、不適切な使用となります。これは、我が国にある使用ガイドライン等にも合致するような内容です。
次のページを御覧ください。こういうアルゴリズムを作成しまして、ある病院でプロスペクティヴに連続する患者においてチェックしていただいたというのが、4ページです。その期間は15日間で64名の患者がいて、179件の輸血がありました。赤血球を使ったのが351単位でしたが、救急とか手術を除くと、対象になったのは34名でした。輸血が63件行われて、124単位の赤血球輸血が行われたというデータを解析していただきました。これは秋田県合同輸血療法委員会に参加している一施設で行ったものです。
5ページを御覧ください。その結果、63件の輸血をレビューしたところ、ヘモグロビン6gで輸血したものが6例ありまして適正であると判断しました。7g未満が18例ありましたが、これは適正ではあるのですが、2本目の輸血が必要かどうかということも検討しますと、1本で十分だったというレビューをされたというものが11件あったということです。8g未満が23例ありましたが、そのうち12例が不適切と判断されまして、心疾患の既往等がないケースもあったということです。ヘモグロビン8~9g以上、ヘモグロビンが9gより高いというケースが、それぞれ14例と2件あったということですが、不適切と判断されたのがそれぞれ7件、2件という結果が得られました。このようなアルゴリズムで、是非各県内医療機関でレビューをやっていただきたいということで、合同輸血療法委員会を通して提示して、その後、検討していただければということで、啓発活動に使った次第です。
6ページはそのまとめです。今、お話した1番目の課題であるProspective Screening Reviewの結果として、124単位が対象となリましたが、32単位は輸血回避の可能性があったという結果です。ヘモグロビン8g以下となった中でも、1本で十分なケースもありますから、これは輸血部門と処方した診療科とで検討していただく必要があるというケースだったと思います。
7ページを御覧ください。輸血に関わる看護師のベッドサイドスルアップのOJTについてです。前項にあったProspective Screening Reviewを実施するに当たっては、患者の出血状態や貧血状態などを把握することが重要だと思いますし、ベッドサイドにおいてはover transfusionに起因するTACOなどの有害事象も防ぐということに看護師の役割は大きいと思います。ベッドサイドで輸血を担当する看護師の役割のレベルアップとして、適正輸血が先進的に取り組まれているモデル的な病院、日本輸血・細胞治療学会で行っている輸血機能評価、I&Aを取得している病院へ、秋田県合同輸血療法委員会が介在しまして、他施設の看護師を派遣するという事業を行いました。モデル的な病院で行われている院内の輸血療法委員会への参加、それから輸血療法委員会が主体となった院内の輸血監査に同行するということを行っています。これは、モデル病院に他の病院の看護師を含めた輸血関係者が参加して、研修している様子です。
次の8ページを御覧ください。輸血実施症例の輸血妥当性の評価、それはカルテを見てやります。病棟でのカルテの監査と輸血の手順の確認、照合の確認です。いわゆる輸血・細胞治療学会が行うI&A事業に相当するような内容を各病院で輸血監査を実施していると思いますが、それに対して同行して行うということです。参加した施設の方、他の施設の方は、自施設でそれを参考にしてやっていただきたいというプログラムです。
9ページを御覧ください。これはTRIGGER TABLEと言いまして、秋田県合同輸血療法委員会が作成したもので、赤のカラーが付いているのが赤血球のTRIGGER TABLE、黄色が血小板のTRIGGER TABLEです。画面でもありますが、私の手元にあるのが見本です。血漿はないのですが、このようなポケットサイズのものを作成して、医師の胸ポケット等に入るぐらいのサイズで作りました。これは血液製剤の使用状況に一致したトリガー値で、それぞれの疾患、病態のときの赤血球の値、黄色の方は血小板の値と、その左側にはどういう病態のときかということがあります。
こういうツールを秋田県合同輸血療法委員会で作成しまして、16施設に1,000以上を配布しました。また、秋田県合同輸血療法委員会が主催する講演会での配布、それから各病院の輸血療法委員会に血液センター等でオブザーバー参加していますので、その際にも配布するということや、各病院の輸血療法委員会の委員長の許可を得て、その医療機関で配布していただくような依頼も行っています。
10ページを御覧いただきたいと思います。2016年からBloodless Medicine、制限輸血ということで事業を行っています。その中で術前貧血というものを最初の年は重要視して、その術前評価がなされているかどうかということを検討して、医師の意識調査を行っています。それを2018年にも併せて行いましたので、その比較という意味で、2016年と2018の術前貧血の評価の調査の結果を示したものです。
次をお願いします。術前貧血があったときにどう対応するかということです。多くは、上の方で赤で囲んでいますが、18医師と15医師ですが、赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、これぐらいしか術前貧血の評価としては採血しない方が非常に多いのです。しかしながら、術前貧血を補正すれば術中輸血の可能性がぐっと下がる、輸血を制限できるという可能性が高まるわけです。2016年と比較しまして2018年に調査した際には、やはり圧倒的に赤で囲んだ3種類しか貧血評価をしない方が多いのですが、血清フェリチンとかUIBCなどの鉄欠乏性の貧血の評価をする割合が増えてきたということがあります。制限輸血、術前貧血の評価と治療ということを2016年の研究課題として行っていますので、その啓発効果が現れたかなというような結果です。
次をお願いします。これは2016年の当初のときに作った『制限輸血ポケットマニュアル』というもので、術前貧血をどのように評価するかということです。画面でもありますが、私の手元にも、このようなサンプルを持ってきています。三つ折りにしまして、これも医師の胸ポケットに入れていただいて、貧血のあった患者、術前の患者があったときにどういう貧血検査をするかを示しています。赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット以外、フェリチンなどを調べ鉄欠乏性の可能性がある貧血がどうかを検討し、その治療をすれば術中の輸血のリスクも下がると考えます。術前期間の問題は当然大きいのですが、術前貧血の評価と治療を進めることを意図した啓発ツールです。
ちなみに、先程、示したTRIGGER TABLEや『制限輸血ポケットマニュアル』等は、秋田県合同輸血療法委員会と、インターネットで検索していただくとヒットしますので、そこでツールはダウンロードできるようになっていますので、是非御覧いただきたいと思います。
次の13ページを御覧ください。3年間このような制限輸血、輸血量の削減、我々は「Bloodless Medicine」という言い方でアプローチしてきました。その結果として、3年間、県内の上位の10病院、輸血量の捕捉率としては85.8%となっていますが、そこで見ますと、赤血球の総使用量、それから一人当たりの使用単位数、さらに血小板使用量も減る傾向にあります。もちろん、医療状況の変化等がありますので、使用を控えるような医療技術の開発とかロボット手術ということもありますから一概には言えませんが、総量として検討した結果、秋田県合同輸血療法委員会で啓発活動してきましたBloodless Medicineの一定の効果があったのではないかと考えています。
最後ですが、活動の概要です。2016年から『Bloodless Medicineの推進活動』を展開しています。少し飛ばしますが、2016年には合同輸血療法委員会及び基幹病院において“Bloodless Medicine”の概要に関する研修会を行っています。この年は『術前貧血の評価と治療』を中心とし、制限輸血ポケットマニュアルを作成して、貧血の治療後に手術に臨むことを推奨してきたわけです。2017年にはエビデンスに基づくBloodless Medicineの実践を目指しまして、『簡易型監査ツール』等を用いた医療機関における病態別の輸血トリガー値を集計して検討しました。この結果を『血液製剤の使用指針』等と比較して現場にフィードバックして適正使用を促しました。それから、若手医師を対象として“Bloodless Medicine”の実践を促す研修会の開催を行っています。2018年、昨年は『輸血前患者評価“Prospective Screening Review”プロトコールの作成と均一化』を図ったということです。『血液製剤の使用指針』及び秋田県合同輸血療法委員会で独自に作成した『RBC、PC TRIGGER TABLE』の配布と周知活動を行ってきています。それと、各県内の輸血療法委員会への相互訪問ということで、看護師を中心とした教育活動も実践してきております。3年間の総括は以上のようになります。
以上です。ありがとうございました。
○半田座長 ありがとうございました。昨年度の研究成果を、兵庫県と秋田県から発表していただきました。委員の皆様、今の2つの発表で具体的に質問等はおありでしょうか。当該研究事業は適正化方策研究事業ですが、10年以上前、その当時はまだ輸血の適正使用化というのはできていない状況下で、それぞれの都道府県ベースで、合同輸血療法委員会というものを作って、その中で地域別で適正使用を推進していただくということで、その方策等を研究していただくということで立ち上げた事業ということです。
その中で、今回10年以上たった節目ということで、今回は代表的な2つの地域から発表していただきました。何か具体的なことで、御質問等はございますでしょうか。まず最初の藤盛先生の御発表に対して、委員の方から御質問、御意見はございますでしょうか。宜しいでしょうか。それでは、秋田県の面川先生の御発表に関して、Bloodless Medicineの推進ということで、非常に継続性のある研究を御発表いただきました。2つの県とも、テーマとしてはまだ継続性を今年度も持たしているということです。特に何かございませんでしょうか。
○喜多村委員 秋田の面川先生にお尋ねします。5ページのアルゴリズムですが、これは2018年に行われた15日間の観察ということで理解していまして、2018年というと、こういう啓発活動を既に始められて3年目ということで宜しいですか。
○面川参考人 はい。そのとおりです。
○喜多村委員 34名の監査対象患者のうち、不適輸血が21件あったということで、この結果は多いと見て宜しいのでしょうか。
○面川参考人 トライアルにこのアルゴリズムを作って、どう県内で周知していこうかと考えたときに、代表的な病院でまずやってくださるということだったので、これを提示して、2週間でやっていただきました。残念ながら、その後、他の病院で、これで輸血前評価をしたかというのは把握していないのですが、この病院でやった結果としては、これは先進的なI&Aも受審している病院ではあるのですが、それでもこれだけの不適正輸血等に分類せざるを得ない症例があったというのが事実です。
○喜多村委員 ありがとうございます。それと、アルゴリズムの妥当性という点で、これを本当に不適正輸血等と解釈していいかどうか、その辺に疑問を持ったのですが、その辺りはいかがでしょうか。
○面川参考人 目的としては、これで適否を決めるだけでなくて、その結果として輸血部門、輸血のオーダーを受ける部門と、輸血を処方した診療科との話合いが発生するということが重要ではないかと考えます。そこで議論して、私も輸血担当部門に長くおりましたので、このオーダーが正しいのかどうかということを疑問に思って、診療科の先生と話すことが重要です。最終的に処方医師の気持ちを尊重する場合も多々ありますし、患者背景もありますので、ある程度の線ではありますが、これを基本に輸血の適応について議論いただくというのが、この目的になると思います。
○喜多村委員 ありがとうございます。ちょっとそこが気になっただけです。
○長島委員 今の秋田県の輸血前患者評価の妥当性という点でお聞きしたいのですが、実際に導入している所があれば、実際の輸血前評価では輸血が必要ないという判定になったけれども、その後、実際には輸血が必要になったという例がどれぐらいあって、その理由は何かというような検討をされていれば教えていただければ幸いです。
○面川参考人 このアルゴリズムに関しては、5ページにある結果が全てで、これ以外の検討は実際はされておりません。これをモデルとして、一病院でやっていただいて、実は県内の主要病院にも展開して、是非継続していただきたいというお話はしたのですが、なかなか合意が得られなかったところがありまして、これで終了しました。
ただ、このアルゴリズムは提示しましたので、それで各輸血部門が、そのオーダーがあったときに照らし合せて、先程の回答とも同じですが、是非診療科との話合いに臨んでいただいて、患者の輸血が正しいかどうかという議論を進めるツールとしていただきたいなと思っています。
5ページの結果で、実際は連続して患者を評価して、その結果、そこでこの場合は介入はせずに、そのまま輸血がされているわけです。私も結果を見たときに気になったのは、2本目の輸血が必要かどうかということも検討しているのか、それが実際にヘモグロビンの上がりなどを見た場合、又はチェックしていないという症例もあります。そこら辺のヘモグロビン7g/dL以下が18例、そのうち1本で十分だったという例が11例ありますので、この辺は大きく議論する余地があるかなとは感じております。
○半田座長 他にいかがでしょうか。当該事業に関しては、先程、冒頭に事務局から説明があったのですが、もう10年以上継続している研究事業であるということです。その当初の目的から、現時点では、議題1の所で牧野参考人が発表されたように、非常にそういう意味では体制も整ってきたという現状を鑑みて、今後この研究事業の在り方とか方向性というものをどうするかということを、是非委員の先生方にお聞きしたいと思うのです。それで、当該研究事業に関しては、一応委託内容はもう一度委員の先生方に確認の意味で申し上げますと、当該都道府県における医療機関の輸血療法委員会設置状況や血液製剤の使用状況、効果的な血液製剤使用適正化への取組等の把握、上記1の把握を踏まえた組織的かつ効果的な血液製剤使用適正化の取組、3番目としては、適正な輸血療法に関する普及・啓発活動ということで、今御発表になった研究内容に関してはそれに適合するということで、研究事業として採択されたということです。
何度も申しますように、委員の皆様におかれましては、この研究事業は今後どうしていったらいいかというところで、お考えがあればお聞かせ願いたいと思うのです。
まず最初に、研究事業をずっと受けられてきたお二人の参考人の方から、この研究事業をやって何か成果、実際のところ、こういう研究事業というのはやりっ放しになっていて、その結論というのは全然評価がされていないというのは、前からそういう御意見がたくさんあったのです。やりっ放しになっているというところがあったのですが、応募された施設としていかがですか。この研究事業を取得したことによって何か変わったこととか。
○藤盛参考人 兵庫県の方では、割とこの5年間研究事業で御援助いただいて事業を進めております。実は、今回もこの研究事業がないと実施できない。というのは、デバイスを借りるのもお金がいるわけで、それがないとできなかったようなこともやっております。ですから、非常にこの研究事業は我々の合同輸血療法委員会にとっては有り難いし、それなりの成果が少しずつでも得られてきているのではないかと思っていて、是非、今の状況でも宜しいですから、私はずっと続けていただければと思っています。ただ、やはりある程度の成果が出るようなところというか、ばらっとしてしまうとそれだけの成果は出ないかもしれないのですが、秋田もそうですが、色々と考えて、成果が出るような方法でやっている所を見ていただければ有り難いなとは思っております。
○半田座長 先程の研究結果、実態調査で、300床未満の中小施設への介入というものが非常に全国的には不十分だけれども、地域でやるとそれが推進されるというようには、頭の中では考えられるのですが、実際にこの事業は役に立っていますでしょうか。中小施設への介入というところにおいてですね。
○藤盛参考人 私どもの所はクリニックのレベルでもやっておりますので、実際に役に立っていると思っております。
○半田座長 ありがとうございました。それでは、秋田県はいかがでしょうか。
○面川参考人 私どもの所は1998年から行っていて、多分日本でも2番目に古くから行っていて、21回目を数えます。当初は県の予算で行っていました。県の予算で長く行っていたのが、ある年から体制が変わって県の予算がなくなって、これは全国的なことであって、その後に予算措置がなく一時期継続が危うい時期もありました。その後、血液製剤使用適正化方策調査研究事業という厚生労働省の予算が付いて、それに応募する形になったのは皆さん御承知のことだと思います。それで、この調査研究事業の中で、合同輸血療法委員会を実施するということを先程、厚労省の方がお話されたと思います。
合同輸血療法委員会の役割ということを考えた場合、これは非常に大きな事業だと思います。地域における合同輸血療法委員会が適正輸血に果たす役割というのは非常に大きいと思います。我々は20年以上もやってきて、それによって各病院の輸血体制、輸血療法委員会の活性化とか、そういうところの充実が著しいこともありますし、その結果としての適正輸血の推進ということに貢献してきたことは大きいと思います。我々の県だけではなくて、各県に合同輸血療法委員会があって、多少の差はありますが、それが組織されることによって、地域の各病院の輸血療法委員会への影響、それから医療者への啓発活動、それの役割が非常に大きいと思いますから、合同輸血療法委員会へのサポートという意味であれば、この調査研究事業は意義があることだと思います。是非継続してやっていただきたいことだと思います。
○半田座長 ありがとうございました。多分、応募が毎年20件近くあって、採択が10件ということです。各都道府県全てに合同輸血療法委員会は立ち上がったということですが、委員の先生方、何か今後の方向性について、なかなか内容までは理解されていないと思うのですが、何かそれで参考になるような御質問、御意見があれば、是非いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○田中委員 広島の合同輸血療法委員会の設置は最後から2番目ぐらいに、遅かったのですが、この方策調査研究事業があることで、輸血療法委員会の中で何を活動するかと、何かをやるという使命感や目的意識がありました。研究事業がもらえる、もらえないに関わらず、秋田県もそうだと言われましたが、毎年何か適正使用に関することを考えていこうという原動力にはなっていると思うのです。
だから、そういう研究事業の意義はとても大きいと思うのですが、今おっしゃったように、やりっ放しという面もあると思うので、成果を発表する機会とか評価する機会とかを設けることが良いと思います。成果報告は次の年の研究事業採択のときに評価されるということにはなっているようですが、発表とかという目に見える形での評価みたいなものがあれば、次年度採択されなかった所も納得がいくし、採択された所はより責任を持って何か出していこうというモチベーションになると考えています。
○半田座長 評価体制というものをきちんと確立して、公正公平に採択、不採択というものを皆さんが分かりやすくするということで、より推進していければいいという御意見でした。他に何か御質問等はございますでしょうか。
○矢口委員 勉強不足で分からないのですが、全国の各県の合同輸血療法委員会が一堂に会するような会というのはあるのでしょうか。
○半田座長 それは日本輸血・細胞治療学会にあるのですよね。
○牧野参考人 そうです。学会の総会が春と秋にあるのですが、そのときに合同輸血療法委員会の代表者が集まりまして、そこで報告会はされています。
○長島委員 今のことにも関係するのですが、せっかく行われた研究が他の所に知られて、他でそれを採用したり、まねできるというものにしないと、あまり意味がないと思うので、是非そういう機会をしっかり作っていただきたいと思います。
それと、他の所でも展開できるという意味で、あまりにも特殊性が高くて、そこの地域でしかできない、極めて特殊な設備、機械が必要であるというのは、全国的に展開するという意味では、ちょっとハードルがあっていけないのではないかと。他の地域でも展開できるようなものというような、一定の基準を設けた方がいいのではないかと思います。
○半田座長 他にいかがでしょうか。宜しいでしょうか。そうすると、皆さん、まだなかなか深くは御理解できていない面はあると思うのですが、1つは、議題1の血液の実態調査から見えてきた課題というものを、実際に地域ベースでその課題に関して、どういう方策でその課題に対して研究したり解決したりするかという、そういうような方向性で、一緒にタッグを組んでやっていけばいいかなというのは、私の個人的な意見なのですが、そのことに関してはいかがでしょうか。一番大きな点は、中小施設への介入ということでしょうか。廃棄率の問題。あとは疾患別、それから先程の産科医療に関することとか、そういう特殊なところも含めて、地域ベースで活動を実態調査とタッグを組んでやっていくということがいいのかなと思うのです。私ばかりしゃべって申し訳ないのですが、牧野先生の学会の方からは何か御意見はおありですか。
○牧野参考人 この適正使用調査会で一緒にアンケートの結果、それから、それを含めた課題というものを提案し、その内容をこの合同輸血療法委員会で取り組んでいくというジョイントと言うか、こういうものが非常にいいのではないかと思います。学会でも総会のときに集まりまして、各地域でのそういう取組も話し合っていますし、全体でやるべき活動というものも話し合っていますので、そういうことで歯車が合ってくると、より具体的な活動ができていくのかなというようには思います。
ちょうど、今回が調査そのものが4月~3月、年度になったというのは、1つは、年度内で全て完了し、その内容を次の年の、こういう合同輸血療法委員会のテーマにするとか、次の年のアンケートの内容に影響するとか、そういうことで、非常に回りやすくなるのではないかなというように感じました。
○半田座長 ありがとうございました。では、事務局の方からお願いします。
○石川血液対策課長 お時間も迫っているので、もし宜しければ事務局から。
○半田座長 どうぞ。
○石川血液対策課長 本日は貴重な御意見をたくさんありがとうございます。これまで座長からずっとお話がありましたとおり、本来、この1と2の事業というのは連動して実施されているもので、当初はまだ輸血の適正使用という観点で10数年前にスタートしたものですが、現在は輸血合同療法委員会も全都道府県に設置もされましたし、基本的な適正使用という意味では、ある程度目的が達成されたということもございます。ただ、一方ではグロブリンの需要が大きく伸びるといったような、輸血だけではない血液製剤の適正使用の問題という新しい課題も出ております。
一方で、牧野先生はじめ、学会の先生方に大変御苦労いただいて、この実態調査をやっておりますが、この10年間で診療情報を入手する仕組みというのもかなり進化しまして、田中委員からも御発言があったように、手作業ではなくて抽出できるデータというのも増えております。また、各県の輸血合同療法委員会でも、実は実態調査のようなこともされておりまして、それとの重複というのも指摘をされていたり、実態調査のやり方についても効率化できるところは効率化していく必要があると考えています。
その中で、この10年で見付かった課題、そうしたものについて、実は適正化方策調査研究事業に、1度も手を挙げてこられていない県もあったり、この10年やった実績を我々の方でも総括しまして、座長から御提案があったように、課題を絞ってやるなり、今までは自由に各県の課題、手を挙げていただいていたという部分がございますが、今後はある程度の課題設定をこちらでするとか、また、本当に10か所がいいのかといったこともあると思いますので、今日いただいた意見を踏まえまして、少し今後のやり方というものを検討させていただきたいと思います。
1つだけ事務的なことですが、期間について、4月~3月なのか1月~12月なのかということにつきましては、今までこの事業の公募時期が遅かったり、報告も1年半遅れといったこともありましたので、今年から少し早めまして、きちんと4月からスタートして3月で終わると。正に牧野先生が言われたような形で、きちんと事業として前年度やった結果が次年度にいかせるような形でという運用に、今年から改善しておりますので、その点はこれからも、そうした運用にしていきたいと思います。
○半田座長 今、課長からまとめをいただいたということで、是非今いただいた御意見等をもう一度精査していただいて、より素晴らしい腹案を作っていただければと思います。
まだ若干時間がありますが、「その他」ですが、何か委員の方々から御意見などはおありでしょうか。ないようですので、それでは今回の適正使用調査会はこれで終了いたします。本日はありがとうございました。
(了)