第123回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和元年12月25日(水)16:00~18:12

 

場所

全国都市会館

議題

1.オンライン資格確認等の普及に向けた取組状況について
2.被用者保険の適用拡大について
3.全世代型社会保障検討会議の議論について(報告)
4.新経済・財政再生計画 改革工程表2019について(報告)
5.令和2年度予算案(保険局関係)の主な事項について(報告)

 

議事

 

○遠藤部会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第123回「医療保険部会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、年末の大変お忙しい中、お集まりいただきましてどうもありがとうございます。
 まず、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
 本日は、一瀬委員、尾崎委員、樋口委員、藤原委員より御欠席の御連絡をいただいております。
 続きまして、欠席委員のかわりに出席される方についてお諮りをいたします。
 藤原委員の代理としまして、井上参考人の出席につき、御承認をいただければと思いますが、よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
(冒頭カメラ撮り終了)
○遠藤部会長 それでは、議事に入ります。
 本日は「オンライン資格確認等の普及に向けた取組状況について」「被用者保険の適用拡大について」「全世代型社会保障検討会議の議論について(報告)」「新経済・財政再生計画 改革工程表2019について(報告)」「令和2年度予算案(保険局関係)の主な事項について(報告)」を議題といたします。
 それでは、初めに「オンライン資格確認等の普及に向けた取組状況について」を議題といたします。
 事務局から関連の資料の説明をお願いいたします。
○山下課長 医療介護連携政策課長でございます。
 資料1をお開きいただきたいと思います。「オンライン資格確認等の普及に向けた取組状況について」でございます。
 この資料でございますけれども、これまで保険者、医療機関の皆様、支払基金、国保中央会などの審査支払機関など、責任者、実務者の皆様方の議論を積み重ねて、そうした積み重ねの結果をまとめたものをきょう御報告させていただくとともに、今後こういう形で検討を進めていきたいという方向性につきましてもお伝えをさせていただきたいと思っております。
 それでは、スライドをめくっていただきまして、2枚目のスライドをお開きいただきたいと思います。
 議論をいただきたいのは、1つ目は、オンライン資格確認等の普及に向けた支払基金の業務規定の追加ということでございます。
 前回の法改正で医療情報化支援基金というものが設置されています。マイナンバーカードを健康保険証として利用するための、医療機関のほうで、カードリーダーの調達とシステム改修も含めた対応に要する費用を補助するということででき上がった医療情報化支援基金がございます。
 令和2年度の予算案では、768億円ということになりますけれども、今後、この2枚目のスライドの下のほうにあります「今後の方針」、スケジュールなのですけれども、来年の8月までに詳細な仕様を確定しまして、どのような形でマイナンバーカードを読み取って、医療機関のほうのレセプトのコンピューターシステムとつなげ、さらに支払基金、審査支払機関のほうとつなげていくのかという仕様を確定して、その上で医療機関のほうでシステム整備をしていただく。そのシステム整備にかかる費用を補助するということになります。
 その上で、2021年3月末には、健康保険証利用の本格運用ということで、マイナンバーカードを使って、これが健康保険証として現場で使うことができるようになる。
 2021年10月には、今度は薬剤情報についての閲覧ができるということで、自分が受けた診療に伴って交付された薬剤について、それを自分のマイナポータルというところで見ることができるようになる。
 続いて、2022年3月末までに、医療機関の9割程度でマイナンバーカードの保険証としての利用が進むということを計画しております。
 そして、2023年3月末までには、おおむね全ての医療機関で導入されるように、そういった形で支援をしていこうというのがこの医療情報化支援基金でございます。
 次のページをめくっていただきまして、では、一体どういうものが導入されるのかということで、イメージ図を用意させていただきました。資格確認端末と顔認証付きカードリーダーです。
 まず、医療機関の窓口では、マイナンバーカードを預からないという運用にしています。
 顔写真の確認については、目視ではなくて、端末で読み取るという場合もありますので、その場合には、マイナンバーカードの読み取りを行うカードリーダーとさらに持ってきた方の顔を認証するための撮影するカードリーダー付きの顔認証の機械を置きまして、マイナンバーカードにある情報と持ってきた方の顔を確認する。その上で、それを本人と確認した上でオンライン資格確認等システムのほうにその情報が飛びまして、この方が誰なのかということ、またそれだけではなく、どの保険者に加入しているのかということが返ってきまして、それによって本人であるということと、どの保険者に入っているということが、診療の都度、確認をしていくということになります。
 そういうようなシステムということでこの顔認証付きのカードリーダーというものがどういう仕様にしていくかということを今も詳細について、詰めているところなのですけれども、これを各医療機関で導入してもらうということでございます。
 次に5ページ目に行っていただいて、では、そういうことをする前提としまして、どのようにしていこうかというと、我々としては顔認証付きカードリーダーというのは、PINなし認証ということで、マイナンバーカードを持っている本人が、そのマイナンバーカードと持っている本人と同じ人なのですよということを証明する。このために、マイナンバーカードにあらかじめ自分で入れた4桁のPINコードを自分で入れるということによって、自分がその人であるということを証明する代わりになるということにしたい。そのためのディスプレーに必要だということと、また、このディスプレーが医療機関のほうからの案内文を表示するということのメリットがあります。
 加えて、マイナンバーカードの健康保険証利用に向けた環境整備については、ことしの6月4日の閣僚会議決定において、本人確認は顔認証方式によって登録処理を進めるということにされております。
 そこで、令和3年3月からの顔認証方式による本人認証を進めるためには、顔認証付きカードリーダーの導入というのを各医療機関でやっていただくことが不可欠でありまして、一方で、これを各医療機関が購入するとなると、一体どういうものを買えばいいのか、幾らなのかということもありますので、可能な限りその端末の単価を抑えて、医療機関の負担感を軽減して、幅広く普及するための施策を講ずる必要があるということが背景としてございます。
 その一方で、現在、社会保険診療報酬支払基金のほうに置かれる医療情報化支援基金、そしてその医療情報化支援基金を使って、社会保険診療報酬支払基金が行う事務、これは医療機関等情報化補助業務と言っていますが、その業務は「読み取り端末やシステム整備に要する費用を補助する」ということが書かれておりまして、そういった中でどうするかということを考えていかなければいけないということでございます。
 そこで「論点」としまして、下のほうの論点なのですけれども、顔認証付きカードリーダーの端末単価をいかに抑えていくか、それとあわせて医療機関に広く普及させるためにどうするかということで、我々が考えていますのは、社会保険診療報酬支払基金が医療機関にカードリーダーの購入に要した費用を補助するのではなく、一括して支払基金が顔認証付きカードリーダーを購入して、そして各医療機関に提供するということを考えてはどうかと思っております。
 これによって、費用の補助と比べて、一医療機関が一つ一つ購入するのと比べて、一括で購入するということによって医療機関側の負担感が抑えられ、幅広く速やかに普及ができる、また、医療機関が各ベンダーと直接やりとりすることがなくなり、一括購入で端末価格も抑えやすくなるということが期待されると考えております。
 次に、6枚目のスライドに行きまして、そうしたことを踏まえて対応案としまして、支払基金が顔認証付きカードリーダーを調達し、医療機関等に提供する業務を当分の間行えるように医療機関等情報化補助業務ということで、医療情報化支援基金の業務の中にこの支払基金が費用を補助するというだけではなく、支払基金が顔認証付きカードリーダーを調達して、そして医療機関に配布することができると、そういう業務を追加してはどうかということでございます。その業務規定を設けるために、次期通常国会に提出予定の法案にその業務規定を設けるということを考えております。
 続きまして、8枚目のスライドをごらんいただきたいのですけれども、先ほどの資料を少しわかりやすくした資料なのですが、オンライン資格確認の本人確認なのですけれども、患者がマイナンバーカードを持ってきた場合、または健康保険証を持ってきた場合とあります。
 まず、マイナンバーカードを持ってきた場合は、3つやり方がありまして、1つは顔認証による本人確認ということで、顔認証付きカードリーダーを通じてやる場合と職員の目視を通じてやる場合があります。
 一方で、目視になると、今度は職員をずっと配置しなければいけないので、大きい病院なんかではちょっと難しいという場合には、例えば顔認証付きカードリーダーを通じて顔認証による本人確認というものがあるだろう。
 もう一つは、マイナンバーカードを持ってきた場合であっても、真ん中なのですけれども、自分で入れた4桁の暗証番号を入れることで本人確認という形でするということがあります。
 また下に行きますけれども、健康保険証を持ってきた場合がありまして、健康保険証を持ってきた場合は、通常どおり健康保険証を病院の事務、診療所の事務の方々が自分で記号番号を入れて、その上で支払基金、国保中央会にある被保険者番号のデータと突き合わせるということ、このやり方として3つの方策で患者の資格情報を確認するということがあるということでございます。これが最初の論点でございます。
 次に、9枚目のスライドに行きますが、薬剤情報の閲覧方法についてという話でございます。
 この話をする前提として、ひとつ法律をちょっと見ていただきたいと思いますので、資料の18枚目のスライドをお開きいただきたいと思います。
 18枚目のスライドには「個人情報の保護に関する法律」というものがありまして、見ていただきたいのは、第二十三条、第三者提供の制限というものでございます。
 個人情報保護というのは、個人情報を扱う事業者に対する規制の法律になっているのですけれども、その個人情報を扱う場合「個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない」という規定になっております。
 では、一体、その例外としてあらかじめ本人の同意を得ないで良い場合というのはどういうことかといいますと、一号として「法令に基づく場合」、つまり、法律で個人情報を扱って第三者に提供することが法律上の義務となっている場合、これは本人の同意は不要だということ。また、二号で人の生命、身体や財産の保護のために必要がある場合とか、三番で公衆衛生の向上や児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合とか、また、国の機関、もしくは地方公共団体などの事務を遂行することに対して協力する場合とかということがありますが、まず、押さえておいていただきたいのは、第三者提供はあらかじめ本人の同意が必要だということ、一方で法令に基づく場合はその限りではないことというものがあります。
 その前提で、次に大変申しわけないのですけれども、10枚目のスライドに移っていただきまして、薬剤情報・特定健診情報を照会・提供するということについてどのように考えているのかということでございます。
 このオンライン資格確認のシステムを整備していくと同時に、私どもとしましては、特定健診の情報、またレセプトにある薬剤情報について、本人に提供するということをサービスとしていくことを考えています。
 これにより、患者自身が特定健診の情報であれば自身で予防・健康づくりをしていただくとともに、診療する主治医と共有することによって、引き続き自身でどのように健康づくりをしていけばいいのか、また過去の薬剤情報を主治医に提供することによって、さらなる質の高い診療を受けることができるということにつながるということを考えています。このことについて、先ほどの第三者提供とどのように整理しているのかということでございます。
 11枚目のスライドでございます。
 まず、患者の薬剤情報とか特定健診の情報を、診療中に患者の主治医に見せる場合には、当然その患者さんの本人の情報を第三者である医療機関に見せるということになりますので、本人の同意が必要ということでございます。
 このため、患者さんが来院したときに、カードリーダーにマイナンバーカードをかざして保険資格を確認するときを利用しまして、そのモニターに患者さんに対してあなたの情報、薬剤情報とか特定健診の情報を主治医の方に見せていいですかということを来院のたびに、その都度同意をとるということが必要になってきます。その同意の取得ということが、この顔認証付きカードリーダーを使ってやるということになります。
 その結果、同意をとった暁にはどうなるかというと、今度は右側の「支払基金・国保中央会」にある個人単位の被保険者番号にある特定検診情報、また薬剤情報が、この資格確認端末を通じて主治医の電子カルテや調剤システムのところにデータが入ってきて、同意がとられれば、それを使って診療のほうに使って役立てていただくというふうにします。
 一方でそれは、誰でも見られるのかというおそれもありますので、そのときに見る方というのは、この電子カルテのところに赤の括弧で入っていますが、有資格者のみこの情報を取得して、患者の情報を取得するというふうにシステムをつくっていこうとしております。
 また、一方で、今度は支払基金側の右側のほうにありますけれども、誰が、どの医療機関が、どの薬局がそういった情報を入手したのかということのログ管理をする仕組みもつくっていくということをしております。
 これが一般的なオンライン資格確認を通じた特定健診、薬剤の提供になるのですけれども、次に「論点」としまして12枚目のスライドでございます。
 今は通常時の話なのですけれども、論点としまして、オレンジのところなのですけれども、災害時にどうするかということについて、皆さんに御議論いただきたいと思います。
 地震が起きた場合などの災害時には、これまで患者さんがふだん飲んでいる薬剤がなくなりましたと、慌てて逃げてきましたのでなくなりましたとか、その薬剤がどういうものかということを覚えていないというようなことがあるだろうと思います。
 一方で、災害時にマイナンバーカード、これを紛失している方もいらっしゃいますし、マイナンバーカード未取得の方もいらっしゃると思いますので、閲覧の必要性及び緊急性が高い場合には、特別措置としまして、災害の規模に応じて、例えば、その災害の場所の範囲に応じて医療機関、薬局の範囲及び期間を限定としまして、マイナンバーカードを紛失した場合であっても、別途患者の同意を得た上で閲覧をすることができる。つまり、見ていいですかということを診療時に患者さんの同意を得た上で、見ていいですと言われたら、この情報を診療の現場からとってくることができるということにしたいと思っております。
 そのとき、どのようにしていくのかということで、次の13枚目のスライドを見ていただきたいのですけれども、例えば「災害時の運用イメージ案」とありますけれども、真ん中に「照会方法の例」としまして、患者さんが来た場合、お名前、生年月日、性別、それと保険者、どの保険者に加入しているのか、もしくは患者さんの御住所を確認することによって、それを資格確認端末に入力することで、それらの情報から患者さんの被保険者番号を特定して、それをもとに薬剤情報、特定健診情報をとってくるというようなことをすることで、災害時、どの薬剤なのか忘れたとか、その薬剤がありませんとか、だけれども持病で必要なのですというときに対応することができるようにしてはどうかということを考えております。
 続きまして、今度は、「2-2.薬剤情報の開示の範囲について」ということで、16枚目のスライドについて論点を提示させていただいて、御議論いただければと思っています。
 まず、現行なのですけれども、保険者に対して、例えば患者さんがレセプトの開示請求を行った場合、現在どういう運用をしているかといいますと、保険者はそのレセプトのもとで診療を担当した保険医療機関に確認した上で開示をするということになっています。
 けれども、一方でこの論点としますと、先ほど私が申しましたオンライン資格確認のシステムを通じて、薬剤情報を診療している先生に、本人の同意をとって見せる場合に、それを保険者が毎回、毎回その薬剤を処方した、その診療した保険医療機関に確認をとっていると、大混乱というか、毎回、毎回確認するということになると、非常に事務フローとしてこれは難しくなっていきますので、これをどうするかという論点があります。
 そこで、17枚目のスライドなのですけれども、この薬剤情報につきましては、医療機関が患者に情報を提供することとされている範囲を、現在、診療報酬の明細書を医療機関は求められれば発行しなければいけないということになっておりますので、求められれば明細書として発行しなければいけない薬剤の範囲と同じものの範囲を、薬剤情報として提供するのですということを省令に位置づけることによって、その都度その都度、診療した医療機関に確認をするということを省略しまして、診療報酬上の明細に記載される薬剤情報と同じ内容を薬剤情報としてオンライン資格確認システムから患者さんの同意を経た上で提供するということにしてはどうかと考えております。これが論点でございます。
 続きまして、ずっと飛びまして、23枚目のスライドでございます。特定健診データ等の保険者間引き継ぎの同意のあり方についてということでございます。
 この説明をするに当たって、1つまた法律を確認していただきたいので、ちょっと飛びますが、27枚目のスライドをお開きいただきたいと思います。
 まず「個人情報の保護に関する法律」、これは同じように第三者提供の制限で、二十三条を見ていただきたいのですけれども、先ほどと同じ説明です。
 個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。一方で、一号で「法令に基づく場合」には、これは例外として、本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供するとなっています。
 その上で、次に「高齢者の医療の確保に関する法律」同じ27枚目のスライドの上のほうにありますけれども、これは高齢者医療確保の法律において、保険者は当該加入者が加入していた他の保険者に対して、その他の保険者が保有している特定健診、特定保健指導に関する記録の写しを提供する意を求めることができるということが法律に書かれております。
 その上で、3項として、特定健康診査もしくは特定保健指導に関する記録、または健康診断に関する記録の写しの提供を求められた他の保険者は、当該記録の写しを提供しなければならないというふうに書かれております。
 つまり、どういうことかといいますと、例えば、私が転職をした場合、私は今厚生労働省の共済組合の加入者なのですけれども、転職しまして、どこかの中小企業に行った場合は、協会けんぽの加入者になりますけれども、そのときに協会けんぽのほうで特定健診の情報を使用したいと考えた場合、私がこれまで加入していた共済組合で特定健診の情報、または私が特定保健指導を受けているのであれば、その情報が本来必要になってきますので、それを求めるということになります。
 これは、第三者提供に当たりますけれども、法律にこのように書いてありますので、あらかじめ本人の同意を得ないで、法令に基づく場合として提供するというふうになっております。
 その上で見ていただきたいのですけれども、24枚目のスライドに戻っていただきたいのですが、特定健診のデータを転職する人、もしくは退職をして次の保険者に行く人という場合での保険者間の引き継ぎ、この引き継ぎを円滑にすることで、例えば保険者で新しく加入した方の過去の特定健診のデータを活用しまして、本人に応じた個別の保健事業ということができるというメリットがあります。
 一方で、現在やろうとしているのは、オンライン資格確認のシステム、これはマイナンバー制度のインフラを活用したオンライン資格確認のシステムの整備を進めている中で、特定健診のデータが各保険者からこのオンライン資格確認等システム、この絵を見ていただきたいのですけれども、格納されて集められるということになっていきます。
 その上で、どの保険者でもこのオンライン資格確認等システムを通じて、加入者のデータを見ることができるというようになっていく中で、どういったことをしていくべきかというのがあります。
 その上で、25枚目のスライドを見ていただきたいのですけれども、まず、現状は継続的に被保険者に対して的確な保健指導を行うことが、やはり本人の健康保持にとっては必要不可欠でありますので、過去の受けた特定健診の情報ということをしっかりと活用した上で、次の自分の健康づくりとか、次の保健指導に役立てるということになります。
 一方で、オンライン資格確認等システムにこういった特定健診の情報が格納されることになりますので、当然そのオンライン資格確認等システムということでは、最適なセキュリティーを確保しなければいけませんし、一方で、効率的にデータの引き継ぎが行われるようにしていかないといけないということでございます。
 次の○なのですけれども、先ほど私が言ったところで「高齢者の医療の確保に関する法律」二十七条では、本人の個別の同意なくこの法令に書かれておりますので、個人情報保護法上、法令に基づく場合で、保険者間の引き継ぎができるとなっているのですけれども、ここでもう一つ見ていただきたいのが28枚目のスライドで「特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準」という厚生労働省令がありまして、特定健康診査に関する記録の写しの提供を求められた他の保険者が、その記録の写しを新しい保険者に提供するに当たっては、あらかじめ前の自分の保険に加入していた加入者に対して、記録の写しを提供する趣旨及び提供される記録の写しの内容について説明を行い、この同意を得なければいけないということが省令で書かれているということでございます。
 その上で、こうした状況の中、オンライン資格確認等システムの稼働について、この25枚目のスライドに戻っていただきまして、こういった法律と省令がある中で、オンライン資格確認等システムの稼働後、どのようにしていくかということでございます。
 まず、オンライン資格確認のシステムの稼働後は、特定健診のデータというのがどの保険者にあるデータであっても、このオンライン資格確認等システムに集約されることになります。これは、本人にそのデータを返すということになりますので、本人に返すときに当たって、このオンライン資格確認等システムに格納されているところで、自分のものを探し出してとり出すということになりますので、ここに集約されております。
 当然、そのシステムというのは、セキュリティーはしっかりと万全なものにしていくことはあるのですけれども、一方でその集約されたシステムを通じて効率的に記録の提供・取得が行われることになります。これは、自分のデータは自分のデータとして、そこから入手するだけではなく、各保険者間で自分の加入者が移ったたびに、その集約されたデータを通じて入手するということになります。これを通じて、被保険者に対して継続的かつ的確な保健指導が提供できるようになります。
 けれども、一方で、この現行の基準省令、先ほど申しました省令の規定で本人の個別の同意を要するというふうにしてしまいますと、システムのほうで過重になるということがあるのではないかということでございます。
 その上で、個人情報保護法の状況というのは、実は3年ごとの見直しとしまして、現在個人のデータをどのように使うのか、また、その個人のデータは個人で管理するということで、個人の利用停止請求権ということをきちんとやっていこうという議論も進められているということでございます。
 これらを踏まえて、この同意をどのように扱っていくのかということを検討しなければいけないということでございます。
 26枚目のスライドでございます。我々としての対応案です。
 本人の意図しないところで、新しく移った職場の事業主や従業員に自分の過去の特定健診のデータが閲覧されるという懸念が当然ありますので、新しい省令には、保険者において被保険者の特定健診のデータが他の関係のない者に漏れないよう、きちんとした措置を講ずるということを規定したいと思っています。
 あわせて、オンライン資格確認のシステムを通じて、特定健診データを保険者間で引き継ぐ場合、これはもう既に格納されているデータのところを保険者でそれぞれ見に行くということになりますので、この場合については、本人の個別の同意は不要としてはどうかということを考えております。
 一方で、現在、個人情報保護法上の見直しというものがありますので、それらも注視しながら、当然我々としては、健康保険の法律だけではなく、個人情報保護法の法律もきちんと守っていかなければいけませんので、それに合わせてシステム上も法令上も対応していくということを考えております。
 ちょっと長々となりましたが、そのようなことについて議論をしていただきたいということでございます。
 次の論点は、29枚目のスライドで、特定健診のデータについて、マイナポータルを通じた閲覧の仕組みについて現在構築中なのですが、それの検討状況の報告になります。
 30枚目のスライドでございます。
 現在、特定健診のデータ、これは自分のデータをマイナポータルというマイナンバーカードを持っている方で、自分で自分の情報を見ることができる。例えば、年金の情報とか税の情報を自分のマイナンバーカードを通じて見ることができる。
 一人一人ポータルサイトがあるのですけれども、その一人一人のポータルサイトに特定健診のデータも見るようにすることをしようとしているのです。その検討なのですけれども、どういう検討をしているかといいますと、例えば、特定健診のデータ、どれだけの期間のデータを提供すればいいのかとか、また、保険者が実施して集めている特定健診のデータをどのように効率的に登録すればいいのかということとか、マイナポータルで自分の健診データを自分で見る場合には、どのように表示するとより理解できるのかという、そういったことを今検討しているということでございます。
 次の論点としまして、32枚目のスライド、具体的には33枚目のスライドでございます。
 こういったオンライン資格確認のシステムを実際に稼働させてやっていく場合には、当然のことながら運用コストがかかります。その運用コストについての説明でございます。
 まず、オンライン資格確認、あとはそれによってできるレセプトの振りかえ、レセプトの振りかえというのはどういうことかというと、月の途中で保険者が変わった場合、今非常に大変なのですけれども、このオンライン資格確認を通じてやれば、どこまでが前の保険者で、どこからが次の保険者かということがわかりますので、それができるようになるということがあります。
 さらに、特定健診や医療費や薬剤情報を提供するというような、そういったシステムになりますが、これらにつきまして、令和4年度全体で、全体が移行できる前提となると、計算すると約年間21億円がかかりますということでございます。
 次に下に行きまして、一方でそのオンライン資格確認等システムの運用・保守だけではなく、実は中間サーバーというものを持たなければいけません。
 中間サーバーというのは、どういうものかといいますと、マイナンバーカードのデータと被保険者番号を管理するデータをそれぞれ行き来しないといけないことになりますので、その行き来するために中間的なサーバーというものを置かないといけない。中間サーバーを通じて、被保険者番号とその人のマイナンバーをとってくる。この中間サーバーの運用・保守費用がクラウドに移行後になりますけれども、19億円ということでありますので、合わせますとトータル39億円が運用コストとしてかかるのではないかということで試算をしております。
 次の資料の34枚目のスライドは、昨年の5月にこの医療保険部会でどれぐらいの運用コストなのかということをお示ししたことのバージョンアップということで、33枚目のスライドでございます。
 一方で、なお、これだけでは費用がおしまいではなくて、マイナンバーカードの、この33枚目のスライドの上の○の星の2のところなのですが、マイナンバーカードによるオンライン資格確認には、電子証明書の有効性確認のための手数料が発生します。その手数料についてはこの費用には含まれておりません。
 一方で、ではこの手数料は幾らなのかということにつきましては、この前の6月の閣僚会議決定において、このマイナンバーカードの健康保険証利用に伴う運営費については、可能な限り縮減に取り組むこととし、この手数料のあり方についても検討するとされておりまして、現在、我々と関係省庁、あとはJ-LISというマイナンバーカードを運用する機関と協議しているところでございます。
 非常に長々と説明を差し上げましたけれども、現在、こういう議論をしながら、今検討しているところはこういうところということを紹介させていただきました。
 事務局からの資料の説明は以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明について御質問、御意見等いただければと思います。
 それでは、佐野委員、どうぞ。
○佐野委員 ありがとうございます。
 何点かコメントをさせていただきます。
 まず、この資料でいいますと、8ページ、オンライン資格確認の本人確認の仕方についての全体像があるのですけれども、当面のところでいうと、まずこの運用開始に向けては、やはり既存保険証の活用も含めて、一番下にある、医療機関における利用環境の整備というのは大変重要なポイントだと思いますので、全ての医療機関でちゃんと使えるように体制整備を徹底していただきたいと思います。
 そういう中で、今回このマイナンバーカードの顔認証システムの話が出てきておりまして、もちろんこのシステム自体を否定するつもりはないのですけれども、ここにかかる初期費用、また運営費用、さらにはこういったものの場合、当然機器更新にかかる費用なども、どのようになるのかということで問題が出てくると思います。
 当然ですけれども、これは保険者負担とならないようにしてほしいと思いますし、このシステム活用の場合にはその費用対効果みたいなものを十分に検討する必要があるのだろうと思っております。
 いずれにしても、マイナンバーカードの保険証への活用については、やはり使用できる医療機関の範囲の問題ですとか、またこれを紛失した場合の対応等々、問題点も残っていると思いますので、導入に当たっては利用者に対してメリットだけではなく、留意点等についても詳しく説明をして、周知徹底を図るということは絶対に必要だと思います。これに対して、もし説明資料等をつくる場合には、そういう点も踏まえた内容をぜひお願いしたいと思います。
 それから、資料の中の、その後の特定健診データ等のオンライン資格確認システムを利用した引き継ぎについては、やはり加入者に対する質の高い保健指導を行うために必要なものでありますし、セキュリティの高い閉ざされた通信環境で、限られたアクセス権のある人だけが利用可能ということでございますので、同意を要しないことを定めた法律にのっとった対応をお願いしたいと思います。
 最後に説明がありました33ページの運用コストの試算の中で、今御説明があった星印2番のところですけれども、マイナンバーカードによる資格確認のときに手数料が発生する可能性があるというようなことの表現があるのですけれども、これは、全てこの手数料を保険者が負担するということは絶対にないようにしていただきたい。
 今までも何度か申し上げておりますけれども、当面は既存の保険証とマイナンバーカードの両方が併存するという中で、マイナンバーカードだけに手数料がかかることになれば、保険者としてもマイナンバーカードの導入促進というのは極めて困難になると申し上げて終わりたいと思います。
 以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 ありがとうございます。
 ただいまの佐野委員とほぼ同じ意見なのですが、まず2点意見を申し上げさせていただきます。
 まず、23ページからの特定健診データ等の保険者間引き継ぎの同意のあり方についてですが、私ども医療保険者は、加入者の健康を守ることが最大の責務であると考えております。特定健診、特定保健指導は、それを実現させるための最も重要なツールです。より効果的な特定保健指導を実施するためには、経年の特定健診結果を活用し、加入者の健康状態を十分に把握した上で実施することが非常に重要であり、加入者もそのような質の高い特定保健指導を望んでおります。
 また、こうした取組を実施するために「高齢者の医療の確保に関する法律」におきまして、特定健診記録の保険者間引き継ぎに関する規定がありますが、これまでは紙や電子媒体による引き継ぎが前提であったために、紛失等による個人情報の漏えいリスクや、事務負担の観点から、非常に限定的な範囲でしか可能ではございませんでした。
 それを、今後は、オンライン資格確認等システムを活用することによりまして、セキュアな環境の下、電子データによるデータの引き継ぎが可能となりますので、加入者にとって最適な保健指導を実施するための環境が整ったと認識しております。保険者としても、この仕組みを最大限に活用していきたいと考えております。
 そのような中で、現在の省令にありますものが残っておりますと、やはり今後の実際の活用という面では限定されることになりますので、今回、事務局の提案のとおり、本人同意を不要とするという方向で検討していただければと思います。
 続きまして、33ページの米印2において、J-LISによる電子証明書の有効性確認のための手数料に関する記載がございますが、現在、手数料は1件2円であると承知しておりまして、仮に政府のマイナンバーカード取得促進計画のとおり、ほぼ全ての国民がマイナンバーカードを取得し、保険証として医療機関等に使用した場合、かなり大きな金額になることが予想されます。
 これを保険者の負担とした場合に、保険料を負担する保険者が手数料負担のかからない現行の健康保険証を利用した方が、余分なコストもかからずに合理的であり、加入者に対してマイナンバーカードを取得するという促進を行うインセンティブも失われると考えられます。
 つきましては、マイナンバーカードの取得やオンライン資格確認の導入を円滑に進める観点から、十分に検討した上で適切に御対応いただくよう、お願いいたします。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょう。
 原委員、どうぞ。
○原委員 ありがとうございます。
 国保の保険者関係団体の立場、あるいは今議論になっています現行の医療保険者等と中間サーバー等の保守・運用を行っている立場から、要望と御意見を2点述べさせていただきます。
 1点目は、オンライン資格確認のシステムの関係でございます。
 現在、市町村国保では、地方公共団体の中間サーバーを活用して各種情報連携を行っておりますが、医療保険等向け中間サーバー等には、オンライン資格確認を行うために新たに参画するということになります。
 参加に当たりましては、新たな負担などについて市町村国保関係者の理解が得られるよう、システム改修経費などの財政的な措置をはじめ、十分な支援を行っていただくようお願いを申し上げます。また、J-LISの手数料の問題につきましては、佐野委員、安藤委員と同様の考えを持っておりまして、国において追加の負担が生じないように対応をしっかりとっていただきたいと考えております。
 それから、現在、医療保険者等中間サーバー等は、来年6月からのクラウド化を目指して、システム更改の作業を行っているところでございます。市町村等の中には、個人情報保護の観点から、昨今、クラウドの不具合でいろいろ、この12月にも全国の自治体でシステムが止まるといった、これはまだ解消していないという事態になっていまして、市町村の中でもそういった御心配をしておられますし、また、クラウドの利用に極めて慎重になる自治体もあろうかと思います。
 被保険者の資格情報等をクラウド化した中間サーバー等に確実に御提供いただけるよう、国の責任のもとでできる限り丁寧に、かつ確実に必要な通知なども発出いただくなど、市町村及び都道府県等の関係者の理解と協力を得ていただきますよう、御支援のほどお願い申し上げます。
 それから、現行の医療保険者向け中間サーバー等の保守、運用を行っている取りまとめ機関と申しておりますけれども、ここからの要望でございますけれども、きょうの説明にもございますように、オンライン資格確認をはじめ、また新たに特定健診や医療費、薬剤データの提供など、いろいろ役割が多くなってくるということでございます。我々としても、引き続き運用等の効率化を図り、費用の縮減には努めていく所存でございますけれども、体制の構築など、必要な経費については確実に確保されるよう、お願い申し上げたいと思います。
 それから、2点目が、特定健診データ等の保険者間引き継ぎの同意のあり方についてでございます。
 私どもは、保険者協議会の中央連絡会というものを持っておりまして、中央会が事務局を担っておりまして、かねてから保険者間でこういったデータの連携をしていこうということをやってきたのでございますけれども、なかなか本人から同意をとるというのが難しいところもございまして、十分に進んでいないという現実がございます。
 日本健康会議でもこの特定健診等データの保険者間のデータ引き継ぎというものが一つの大きな目標となっておりますので、これをしっかり進めていかなければいけないと思っています。
 紙ベースで行われている現在の仕組みが、電子データでさらに個別の同意を不要として進められることで、国が推し進める生活習慣病の重症化予防事業に実効的に資することになると考えますので、情報の漏えい対策を万全に措置していただくとともに市町村等の理解、保険者の理解を得た上で進めていただきたいということでございます。
 以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 では、前葉委員、お待たせいたしました。
○前葉委員 ありがとうございます。
 今、佐野委員、安藤委員、そして原委員から出た論点と同じ論点を国保の保険者としてでございますが、まず、今、引き継ぎの話は私どもも本人同意をとるのは極めて困難だということでございますので、省令ですぱっと同意不要と書いていただく案に賛成をいたします。もちろん、個人情報を預かる市町村の立場もございますので、そういうことについて必要な措置を講じた上でということでございます。
 いっとき、包括同意、つまり逆手上げ方式、つまり不同意の場合だけ申し出てくれというような案もどうだというふうに、保険者による健診、保健指導等の検討会で提案したこともございますが、もう一歩進めて、すぱっと同意不要と省令に書いていただく案に賛成いたします。
 それから、オンライン資格確認については、J-LISさんの話ですが、電子証明書の有効確認というのは、保険証として使う場合以外にもたくさんあると思いますので、それ全体として国において、ちょっとデリケートな議論になるかとは思いますが、十分に論議した上で保険者に対する負担が少なくなる、なくなるよう、お願いをしたいと思っています。
 以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、松原委員、堀委員の順番でお願いします。
○松原委員 コンピューター、ITの進歩によってこういった仕組みができるというのは大変望ましいことで、ぜひ進めていかねばならないのですが、実際にいろいろなことができるようにバラ色に見えていても、具体的に費用がかかるのも事実であります。
 カードリーダーを一括してお配りいただけるような方向で検討していただいているということはありがたいことだと思うのですが、資格確認の端末自体のパソコンをふやさねばならないとか、それから、オンラインシステムに伴って、閉鎖した回線を適切に引き、その費用がかなりかかるという問題点もございます。
 そういった費用のことをもう少し十分に検討していただかないと、絵に描いた餅に終わるのではないかと大変心配しているところであります。
 また、健康保険証につきましては、これで資格確認もできるということでございます。ぜひ、健康保険証に二次元バーコードをつけて簡単に読み取れるような、さらに手入力はしなくて済むような方法もぜひお願いします。ほとんどコストがかからずにできますので、よろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 堀委員、どうぞ。
○堀委員 オンライン資格確認につきましては、カードリーダーの提供など非常にいいとは思うのですが、今、費用・コストの話がありましたが、費用対効果を高める国民にこのマイナンバーカードを取得することがどれだけ意義があるかというのをわかりやすく伝えていただく必要性があると思います。それから、特定健診データの保険者間のデータの引き継ぎにつきましては、確かに個人の同意という観点もあるかとは思うのですが、今回のケースは、もともと法令に基づいているものであり、業務上必要なものと判断してよいと思います。例えば、私のような研究者であるとか、第三者がいきなり見たいと言って見られるものではないですよね。
 つまり、業務上利用されるのはクローズドな環境に限定されます。他方、本人にとっては、保険者移動前後でデータが引き継がれることで、より有効な特定健診の指導を受けられるならば、メリットもあると思います。データヘルスの推進、健康診断の費用対効果高めるためにも、示されている提案どおりに進めていくといいのではないか。もちろん、安全性の確保は前提として必要条件になると思っております。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 森委員、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。
 先ほど、佐野委員のほうからも全ての医療機関、薬局で導入をという話がありましたが、5ページの論点のところで、医療機関や薬局の負担が抑えられて幅広く普及でき、そして、端末価格が安くなるということであれば、ここに記載されている対応で進めていただければと思います。
 一方で、私もきょう改めて説明を聞いて、カードリーダーが必要で、調剤システムも改修する必要があり、アクセス制限への対応もしなければいけない、そうなったときに今の調剤システムを見ても、電子薬歴を導入しているところはアクセス制限へ対応できるかもしれませんが電子薬歴を導入していないところは、システム改修で済むのか、新たなシステムの購入が必要なのかなど、どれだけ薬局でやらなければいけないのか、費用負担が発生するのか不安になりました。
 2021年3月からスタートするということを考えると、まだまだ決まっていないこともあると思うのですけれども、なるべく早く、どういうものが必要で、どういう準備をしなければいけないのか示していただきたいと思います。
 それから、今後は健康保険証で患者さんの保険番号の確認と、マイナンバーカードでの確認となると思っていましたが、8ページには4つの方法が示されています。こういうことも薬局側が理解しなければいけませんし、逆に考えると、国民も確認のために目視されたり、PINコードの入力や顔認証などを求められます。十分に周知していただかないと非常に混乱するのではないかと思います。
 それからもう一点、オンライン資格確認ができるようになって、薬剤情報を閲覧できるというのは、重複投与等の防止という意味で非常にいいことだと思います。
 ただ、あくまでもレセプトデータということを考えると、1、2カ月前のデータだということになります。そのことを十分に留意して運用する必要があると思います。また、患者さんもデータが見られるのだから、お薬手帳を使わなくていいだろうということにもなりかねないと思っています。
 お薬手帳は、ここで見られる情報以外にも、さまざまな情報が書き込んであるものになりますので、そのことも留意した上で進めていく必要があると思います。また、このことも、国民へ十分周知いただければと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、石上委員、お願いします。
○石上委員 オンライン資格確認、本人同意の関係については、個人情報等、本人の権利の問題は、この同意の問題だけではなく、国全体としてこれをどう考えるかという中で考えるべきものではないかと思っております。その意味でいうと、今進められている個人情報保護法の見直し議論が一体どうなってくるのか。時代によっても個人の権利をどう認めていくかという考え方は変わっていくのではないかと思っております。
 そういう意味では、個人情報保護法が制定されたときよりも、現在のほうが時代的な要請は高まっているのではないかという感じがしておりますので、この段階で本当に提案のような結論を出していいのか、時期尚早ではないかという感じもしております。
 それと、25ページの下枠の2つ目の○の「システム改修や保険者の事務が過重となるため、現実的ではない」という記載については、現実的ではなくても、法律上、結局国民の意思でそれをやらなければいけないとなれば、やらなければいけないことなので、ここで「現実的ではない」と記載してしまうのは一体どうなのかという気もしております。その意味では、いろいろな保険者の事務負担は非常に理解しておりますけれども、慎重な議論が必要なのではないかと感じます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 では、池端委員、どうぞ。
○池端委員 ありがとうございます。
 池端です。
 先ほどの松原委員、堀委員と少し重なる点もあるかと思いますが、8ページをもう一度見ますと、多分、この図柄から見ると、当分の間はマイナンバーカードによる確認と保険証による確認を併用ということになりますが、今ほどずっと出てきた費用に関して、マイナンバーカードをカードリーダーで確認するために年間40億かかるということになってくると、2022年から本格的利用の中に、では、国民が本当にそれをどんどんマイナンバーカードにかえていく動機づけになっていくかというと、非常に疑問を感じます。
 というのは、マイナンバーカードがそもそもできたときに、あれは金庫にしまっておきなさいというイメージで、最初は非常に大事なマイナンバーだからというイメージがあって、ふだん携帯するというイメージはお年寄りには全くないです。マイナンバーカードがどこにあるのか知りませんという方がほとんどです。
 こういう実態から、それを保険証ですらなかなか持って来ない高齢者はこれからさらに医療機関にかかる人がふえてくる中で、それを普及するというのは相当な覚悟がないと、つまり、同時進行で国民的啓発をやっていかないと、せっかくの投資をしても絵に描いた餅になってしまう。
 今、このマイナンバーカードを使うことによる利点を強調されていますので、そこに対してどの程度のお考えがあるのか、あるいは少なくとも2022年スタートぐらいにどれぐらいの割合でマイナンバーカードを利用する方を想定しているのか、その後タイムスケジュール的にどれぐらいまでに持って行こうと思っているのか、それをぜひお聞かせいただきたいのです。現在わかっていたらお願いしたいのです。
○遠藤部会長 では、連携課長、いかがでしょうか。
○山下課長 医療介護連携政策課長です。
 今、池端委員からありましたことにつきましては、確かにおっしゃるとおりで、単にこちらがお金を配って、それで医療機関にやってもらっても、そもそも国民のほうでメリットを感じてもらわずに、そしてそのマイナンバーカードを入手してもらわなければ、おっしゃるとおり絵に描いた餅となるおそれがございます。
 私どもとしましては、しっかりとマイナンバーカードを各国民に持ってくださいというようなことも平行してやっていかなければいけないと思っています。
 一応、デジタル・ガバメント閣僚会議というものが、閣僚会議と私が説明した中でありまして、マイナンバーカードを健康保険証として医療機関で利用環境をつくっていくことと並行しまして、一人一人の方々にマイナンバーカードを取得していただきたいということも並行して行っていきます。
 そのために、それぞれ、例えば2020年7月末までには、何千万枚が配られるとかいう形できちんとスケジュール立ててやっていこうということを考えています。
 また、別途来年度の予算でマイナンバーカードと消費をした際に付加するポイントをつけて消費を拡大させる、マイナンバーカードを使って、例えば、現金ではない形で購入すると、それを使ってやっていただけるのであれば、ある一定金額に対して上乗せしてポイントをつけますという形を通じて、消費を喚起するとともに、取得すると直接一人一人にメリットがありますということも、政府として別の役所ですけれどもやろうとしています。
 こういった形を通じて、マイナンバーカードの普及も並行してやっていかないといけないというのは、まさにおっしゃるとおりでございますので、それを進めてまいりたいと思っています。
○池端委員 ちょっと追加で。
○遠藤部会長 池端委員、簡潔にお願いします。
○池端委員 覚悟のほどはお聞きしましたので、ぜひよろしくお願いしたい。
 ただ、現時点での利便性というのは、やはり特定健診時と恐らく保健指導等に、いわゆる保険者側のメリットが非常に高いと思いますし、薬剤情報に関しては、各医療機関のメリットが非常に高いと思うのですが、ここで薬剤情報について一つ気になるところは、今保険者様方が、いわゆるジェネリックとかポリファーマシー対策に対して、患者さんの薬剤師に対して指導していく、情報を同意してとって、医療機関とは別にそこを指導していくという事業をやっていらっしゃると思うのですけれども、これが薬剤情報を医療機関以外の保険者が全てそれを自由にとれるようになってしまうと、それをもとにいろいろな医療機関から出したものとは別の角度から、指導してということが起こり得るかと思うので、その辺のセーフティーネットとか、制限とかその辺は何か考えていらっしゃることはあるのでしょうか。
○遠藤部会長 では、連携政策課長、お願いします。
○山下課長 医療介護連携政策課長です。
 ありがとうございます。
 池端委員のお話は、別に全ての保険者があたかも全ての加入者の情報を見られるようになるということではございません。自分のところの加入者のデータに対してということになります。
 その上で、現在も、協会けんぽの差額通知、例えば、先発薬を選んでいるけれども、後発薬があって、これを選ぶと自己負担がこれだけ減りますよというような差額通知サービスをやっております。その範囲については、引き続きやっていくけれども、最終的に選ぶのは患者であり、また患者の主治医がその患者の状態を見て選ぶものであって、お知らせという形では、これは引き続き保険者としては、効率的な医療保険制度を守るためにもするのですけれども、だからといって患者さんに対して、主治医ではないところからこうしろ、ああしろということではないということを御理解いただきたいと思います。
○遠藤部会長 よろしいですか。
 それでは、お待たせしました。井上参考人、どうぞ。
○井上参考人 デジタル・ガバメントは、行政の効率化や生産性向上の観点から、絶対に進めていかなくてはならない話です。医療の分野におきましても、データヘルスや予防の推進にあたり、データの利活用は喫緊の課題です。そのため、マイナンバーカードを活用したオンライン資格確認等を進めていかなくてはならないと思います。
 デジタル・ガバメント閣僚会議で決まったとおり、マイナンバーカードの普及の切り札として、マイナンバーカードの健康保険証利用が注目されていると思います。ぜひ進めていくべきだと思います。他方、マイナンバーカードの普及にかかる費用は、医療保険の話ではなく、デジタル・ガバメントの話ではないかと考えております。そのため、普及にかかる費用につきましては、保険者ではなく、別途の手当てが必要だと思います。
また、本人確認に関するシステムは、医療機関だけではなく、例えば自治体の窓口などでも活用できる可能性があります。国全体で連携をしながら進めていただきたいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、横尾委員、林委員の順番でお願いします。
○横尾委員 ありがとうございます。
 横尾でございます。
 今御発言があったのですが、一つは、やはりこれは国家プロジェクトの一端だと思っています。デジタル・ガバメントあるいはSociety5.0に向かう上で、欠かすことのできないソフトインフラであるマイナンバー制度があり、そしてそれに伴うこういった資格確認端末を普及させる政策がありますので、厚生労働省には、ぜひそのトップランナーというか、一番大事な存在になっていただいているということであり、オンライン資格確認の導入に向け、しっかりやっていただきたいと強く思っています。
 ちなみに、エストニアの方でデジタル技術関係に携わっている方に会って話を聞きましたところ、数年前は国民識別番号カードを持ってやっていたそうですが、今は個人消費活動で使うデジタル端末の中に認証コードが入っていて、国民識別番号カードを出さないでほとんど決済をやっているような状況になっていると聞いていますので、ひょっとしたら日本も、まずはマイナンバーカードをやって、その後は皆さんが今スマホアプリ等でやっているような社会になっていくかもしれませんので、そういった時代の流れも見ながら的確にやっていただきたいというのが1点目です。
 それと、後期高齢者医療広域連合の立場からしますと、特殊詐欺等もありますので、年配の皆さんは、このような新たな利活用についてはやはり慎重なところもあるかと思うのです。ですから、これが仮に危険だということが広報されてしまうと、非常に参加も悪くなるし、利用も悪くなると思いますので、安全性をしっかり高めていただくことが何よりも重要でございます。また有用性とか利便性についても非常にすぐれているということを政府広報で行うなど、実績としても、実際のトラブルがないというふうなことをぜひ実証・広報しながらやっていただくことが何よりかと思っています。
 そのことによって、政府も懸念されているマイナンバーカードの普及も当然広がっていくだろうし、高齢者の皆さんも安心して医療を受けるときに、一回一回その本人確認に関しても抵抗感がなくなっていくし、的確な全体の御理解ということにもなっていくと改めて感じました。
 また、カードリーダーの配布については、非常にいい方法だと思っています。
 また、先ほど前葉委員からもありましたけれども、政令で決定いただくということがすっきりしていると思います。
 ただ、一方でありますのは、今の法制度の中には個人情報保護条例が残っていまして、その数は全国に2,000ぐらいあります。
 私自身は前から申し上げているのですけれども、ぜひ政府で新たな時代の、デジタル・ガバメント時代の個人情報保護に関する法令をつくるぐらいのことを内閣府等とぜひ議論して、よりよいものをつくっていただくといいかと強く感じているところです。
 また、非常に注目を浴びている特定健診データについて、本当に大切なことだと思うのですが、ひょっとしたら一般のユーザー、一般の市民からすると、医療機関に行くということではなく、日々それを見て自分の健診を確認したい、自身の健康を確認したいというニーズがあるのだと思うのです。そうすると、スマホアプリのような形で使いたいというニーズも出てくるかもしれませんので、そのときにもセキュリティーが非常に重要かと思っています。
 また、一方ではこういった医療に関する、健康に関する情報が漏えいされてしまうと、大変なことになると思います。ただ、創薬とかをされている企業とか、そういう研究機関にとっては非常に大きなデータになるので、そこら辺のバランスを政府としてどうされるかをぜひ慎重かつ先を見た対応もしていただきたいと思いました。
 また、情報漏えいの防止策として、セキュリティーの使い方、一方では厳罰を処することを、個人情報保護法に基づく罰以上に考えるぐらいのことをして、これはもうやったら大変なことになるということで抑止をするということもしないと、一部の狡猾な方は裏の裏まで行ってしまって随分事件になったりすることがないように、くれぐれも抑止策も含めて対処していただくことがとても大切かと思っています。
 最後に感じましたのは、こういった情報について安心して国民がアクセスし、また利用していかなければいけませんので、リテラシーの向上とか、利用する能力ということもどこかで高めていかないといけないと思いました。
 最後の最後ですけれども、実は自治体の保健師と議論をしているといつも思うのですけれども、御家庭を訪問してお父さんは企業の保険組合、おじいさんは共済組合と、保険者がばらばらだったりすることがあるのです。でも、健康指導をする自治体の立場からすると、家族全体として見たいのです。可能ならば、自治体に関しては、たとえば国民健康保険の保険者としてデータが蓄積されていると思いますけれども、同じ家族が被保険者であるほかの健康保険に関しても、何か健康に関するデータなどを統一して見て、家族としての食生活やライフスタイルをちゃんと指導できるような、そういうデータが横つなぎであると、本当に有効な保健指導がもっとできるのではないかと強く感じているところです。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 では、林委員、どうぞ。
○林委員 ありがとうございます。
 ちょっと事務局に御質問なのですけれども、このオンライン資格確認の中で、コスト面等でカードリーダーはいろいろと御配慮をいただいていると聞いておるのですけれども、それ以外に我々、個人事業主が多い歯科医院にとって、本人確認というのが非常に大きな足かせというか、ハードルの高さになってきております。
 万が一、本人でない場合、オンライン資格確認でそごが出てくるようなケースのときに、応需義務の問題と資格確認の問題が現場でちょっと混乱する可能性もあると考えておりますけれども、対処方法とか、そういうものが国民の中できっちりと周知された中においての本人資格確認の現場での対応となっておるのかどうか、そのあたりをお聞かせしていただきたいと思っております。それがまず1点目でございます。
○遠藤部会長 では、連携政策課長、お願いします。
○山下課長 ありがとうございます。
 8枚目のスライドをごらんいただきたいのですけれども、まず、マイナンバーカードを使った場合、顔認証付きカードリーダーの場合は、これは御自身の話で自分が自分であるということを証明するということ。また、PIN番号を自分で入れる場合も、これは自分が自分で本人確認をするということ。
 問題となってくることというのは、目視で医療機関の職員が、あなたはこの人ねということで確認する場合。これは当然、提示されたカードにある写真と目の前にいらっしゃる本人を職員が確認する場合とありますので、そこについての目視のことではないかと思いますけれども、これはしっかりと確認をしていただきたいということでございます。
 あわせて健康保険証の場合は、今度は写真がありませんので、そうすると唯一あるのは健康保険証で提示されて、そこにある番号を入力して、そしてその都度その都度オンライン資格確認等システムに問い合わせて、それが返ってくる。これはそんなに時間がかからずに問い合わせたことが返ってくる。だけれども、入力をしないといけませんので、そこの入力はしっかりと窓口の職員の方の御負担になるかもしれませんけれども、健康保険証の場合にはそれはしていただきたいということでございます。
○遠藤部会長 林委員、どうぞ。
○林委員 その手間のことは理解しているのですけれども、万が一、そこで本人と違う方が来られたときに、応需義務の問題がありますので、そのあたりにそごがあったとした場合に現場でどのように対応していくのかというところも含めてお答えいただきたい。
○山下課長 医療介護連携政策課長です。
 ありがとうございます。
 まさにその場合、例えば、本人ではない、加入している保険者がいないとかいう場合については、これは10割負担ということに、当然、加入していませんので、それはそういう形で負担をしていただくということになります。
 まさにこれを防ぐために、言い方は悪いのですけれども、成り済ましを防ぐために、まさにその後から医療機関と保険者でもめることを防ぐために、こういった大がかりな仕掛けかもしれませんけれども、こういった形を通じてしっかりと健康保険の給付をしていくということでございますので、窓口の職員の方には申しわけございませんけれども、その前線としてしっかりと確認をしていただいた上で、一方で確認の結果、違うという方に対しては、これは健康保険の給付はできないということで運用になるということでございます。
○遠藤部会長 林委員、どうぞ。
○林委員 済みません。
 100%そうであればいいのですけれども、先ほど申しました目視確認とか、現場で混乱がある可能性もございますので、そういったところも含めて御対応いただきたい。
 よろしくお願いいたします。
○山下課長 医療介護連携政策課長です。
 まさに今回の件は、医療機関の職員の動線とか、医療機関にかかる患者さんの動線も含めて、かかり方も含めて変わる大きな転換になると思います。
 だからこそ、患者さんに対してはこういうことになりますよ、医療機関の職員、薬局の職員に対してはこうなりますよということを丁寧にやっていかないと、今までどおりのことではない動き方になりますので、おっしゃることを踏まえて、しっかりと伝えてまいりたいと思います。
 ありがとうございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
○宮崎課長 少しだけ補足をさせていただきますと、本人確認の問題につきましては、むしろこのオンライン資格確認を法改正する際も、そもそもが資格過誤の請求があることによって、年間80億円ほど医療機関、保険者の間でコストがかかっている。それを防ぐためにオンライン資格確認をするということで導入したという経緯がございます。
 その意味で、前提にありますのは、正しい保険証を持ってきている人を確認する責務は今も各医療現場にあって、もし間違った場合にはそれをやり直すという仕組みですので、その現場の御負担をできるだけ減らすという意味でこのオンライン資格確認を入れ、またその機能を十分に活用するためにマイナンバーカードのこの仕組みが入っていくということでございます。
 委員御指摘のとおり、これを入れるに当たって何か現場で混乱が起きないように、いろいろな形で周知するのが今、連携課長から申し上げたように、当然でございますけれども、制度の仕組みとしてはそういうことでスタートして動いておりますので、いろいろなコストを含めまして、できる限り現場の負担が少ないような仕組みになるように、導入部分もそうですし、これからの施行も配慮していきたいと考えているところです。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 本部会で初めて提示されましたアジェンダですので、いろいろな御意見が積極的に行われたと思います。
 まだありますか。当初の予定をはるかに超えているのですけれども、では、いきましょうか。
 それでは、藤井委員、どうぞ。
○藤井委員 ありがとうございます。
 簡潔に申し上げます。本件、これまで商工会議所からも要望してきたものですので、早急に、確実に実施していただければと思います。
 ただし、一方で、今回示された仕組みが導入されたとしても、患者本人の同意がない限りは医療機関で薬剤情報等を全て把握することはできず、知らず知らずのうちに患者にとって過剰な投薬が行われてしまうということは否定できないわけでございます。
 したがって、以前から申し上げておりますとおり、明らかな重複投与の場合は、最初の段階から処方しないように促す、あるいは処方できないようにするというような仕組みを検討していただければと思います。
 また、原則、本人同意が必要なことには変わりありませんので、基本的には本人同意をしてもらうよう、国を挙げて国民に対するキャンペーンを行っていただければと思います。
 以上です。ありがとうございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 まだ御意見はあるかと思いますけれども、時間になりましたので、本日の議論はこれぐらいにさせていただきたいと思います。
 さまざまな御意見、御要望が出ましたので、それらを踏まえて事務局としましては、本日御提案のあった流れに沿って進めていただきたいと思いますけれども、そういう対応でよろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤部会長 では、事務局、そういう対応をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、次の議題に移りたいと思います。
 次は「被用者保険の適用拡大について」でございます。
 事務局から関連の資料の説明をお願いいたします。
○姫野課長 ありがとうございます。
 保険課長でございます。
 資料2について御説明をさせていただきます。
 被用者保険の適用拡大につきましては、9月20日に取りまとめられました懇談会の報告を本医療保険部会にも御報告してございます。また、11月21日にも財政影響ですとか、士業の適用のあり方について御議論いただいたところでございます。
 これまでの議論、それから年金部会における議論も踏まえまして、具体的な案というものを提示してございます。
 2ページでございますけれども、今回の適用拡大に係る見直しの案ということで、幾つかの要件ごとに具体案を整理してございます。
 1点目ですけれども、企業規模要件でございます。
 今回の改正におきましては、50人超規模の企業まで適用するスケジュールを明記してはどうかということでございます。
 具体的には、2024年10月に50人超規模の企業まで適用するということといたしまして、ただ、それまでの間につきましても、2022年10月に100人超規模の企業まで適用する。そういった方向性でいかがかと考えてございます。
 「参考」には機械的な試算を、これは年金も含めた事業主負担の増などを記載してございますけれども、後のページに医療保険についての詳細な試算がございますので、ここは飛ばさせていただきます。
 「補足」のところでございますけれども、今ほど50人超あるいは100人超と企業規模要件を申し上げましたけれども、いわゆる中小企業基本法などにおける従業員数の定義などと社会保険における定義は若干違っておりますので、その点を補足した部分でございます。
 具体的に申し上げますと、社会保険の適用におきましては、パートタイマーなどの労働者を含まず、通常の労働者の3/4以上の勤務時間のある方のみの人数をカウントしているということでございます。
 また補足の2にありますように、従業員数につきましては、直近12か月のうちの6か月で基準を上回った場合に適用対象にするということになってございます。
 また、補足の3ですけれども、法人の名寄せについては、同じ法人番号を有する全事業所単位で行ってございますけれども、この法人番号が違っている場合には、なかなか名寄せが難しいという現実がございます。
 次のページでございますけれども、2つ目の要件ですが、労働時間要件は現在週20時間以上で短時間労働者も適用をしてございますけれども、この点については、まずは週20時間以上の労働者に適用を優先するために現状を維持してはどうかと考えてございます。
 3点目、賃金要件につきましても、最低賃金の水準との関係も踏まえまして、現状維持ではどうかと考えてございます。
 4番目、勤務期間要件でございますけれども、実務上の取り扱い、現に1年以上ということが短時間労働者の適用の要件になっておりますけれども、フルタイムの被保険者と同様に2か月超で適用している実態もあるということもございますので、こういった実務を踏まえまして、2か月超の要件としてはどうかと考えてございます。
 5番目の学生除外要件ですけれども、こちらについては本格的就労の準備期間としての学生の位置づけなども考慮いたしまして、現状維持としてはどうかということでございます。
 最後、2つ目のところで、非適用業種の取り扱いでございます。
 これも前回に御説明したとおりでございますが、弁護士等の士業につきましては、他の業種と比べても法人割合が著しく低いこと、社会保険の事務能力等の面からの支障はないと考えられることなどから適用業種に追加してはどうかと考えてございます。
 5ページ目になりますけれども、財政影響をお示ししてございます。
 前回お示しした際は、50人超の場合、20人超の場合、それから完全撤廃した場合ということを簡易な形でお示ししてございましたけれども、前回、もう少し詳細な形での財政影響を示してもらいたいという御意見もございましたので、50人超にした場合、そして適用要件のところを見ていただきますと、最後のところにございますが、士業の個人事業所も適用業種に追加した場合ということで、いわゆる最終形の財政影響の試算をしてございます。
 これによりますと、対象者数につきましては約70万人、内訳で申しますと、国保の元被保険者だった方が約40万人、そして健保の被扶養者だった方が約30万人ということで見込んでございます。
 その結果、右側に財政影響ですけれども、元国保のほうから加入者が増える影響と、それから元被扶養だった方の減少、それぞれの影響を書き分けてございますけれども、協会けんぽですと、ネットで約50億円の財政悪化、健保組合ですと、40億円の財政悪化となります。
 共済組合については既に適用拡大されておりますので、被扶養者の減の影響のみが生じますので、50億円の財政の改善ということになります。
 国保については、ほぼ影響はないという見込みになってございます。
 それから、公費につきましては約700億円の支出減、一方で事業主負担については680億円の増ということになってございます。
 6ページについては、士業の適用を除外しまして、50人超の場合、100人超の場合を参考としてお示ししてございます。
 それから、その他の論点といたしまして、8ページでございますが、2か月以上の雇用が見込まれる方の被用者保険の適用についての論点でございます。
 「1.見直しの趣旨」にございますように、現在、健康保険におきまして、2か月以内の期間を定めて使用される方につきましては、引き続き使用される場合を除きまして、適用除外となってございます。2か月以内の雇用契約であっても、これが継続反復するような場合につきましては、引き続き使用されるに至った場合に被用者保険の適用となります。
 右下の図にありますように「改正前」とありますが、当初、2か月間の雇用契約を結んだ場合には、最初の2か月は健康保険に入らず、継続して2か月を超えて契約が継続された場合に、その時点から改めて健康保険に加入するという取り扱いになってございます。
 これにつきましては、当初の最初の2か月間の雇用契約の期間が適用の対象になっておりませんので、この点について、雇用の実態に即した被用者保険の適切な適用を図るという観点から見直しをしてはと考えてございます。
 具体的な見直し案でございますけれども、この※印にありますように、雇用保険法では現在「同一の事業主の適用事業に継続して31日以上雇用されることが見込まれない者」を適用除外してございまして、こういった規定も参考にいたしまして、2か月以内の期間を定めて使用される者に加えまして、当該期間を超えて使用されることが見込まれない者というものを適用除外の対象としてはどうかと考えてございます。
 こうすることによりまして、雇用契約の期間が2か月以内であっても、実態として雇用契約の期間を超えて使用される見込みがあると判断される場合には、当初から被用者保険の適用対象とすることができると考えてございます。
 以上、簡潔でございますけれども、説明は以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 前回に引き続いての議論でございますが、藤井委員、どうぞ。
○藤井委員 ありがとうございます。
 本件は大変重要な問題であると認識しておるのですが、一方で、社会保険料の半分は中小企業を含めた企業側が負担しているという実態がございまして、また、中小企業は、最低賃金の引き上げや働き方改革など、対応すべき問題が山積しております。また本件は、特にパートの比率が高い卸売業や小売業、サービス業などでは影響も深刻だと思っております。
 加えて、適用を望まない方々による就労調整がさらに進むことが予想され、人手不足を加速させるおそれもあると考えております。
 したがって、本件はやはり慎重に検討していただければと思っております。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、佐野委員、どうぞ。
○佐野委員 ありがとうございます。
 前回お願いした財政影響の試算の資料をつくっていただきまして、ありがとうございました。
 全体感としては理解できたのですけれども、やはり本件については、健保組合の中でも業種、業態ごとに相当影響が異なってくると思いますので、なお詳細に分析もお願いした上で、財政影響を受ける健保組合に対しては、ぜひ財政支援をお願いしたいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 ありがとうございます。
 前々回の医療保険部会でお願いいたしましたが、保険者間における加入者の移動につきまして、今回数字をお示しいただきまして、ありがとうございます。
 今回ご提示いただきました財政影響を見ますと、協会けんぽの財政負担が前回よりも更に大きくなっているということでございます。
 加入者のほとんどが中小、零細企業で働き、所得水準が低い中で、他の被用者保険より高い保険料を負担している協会けんぽの加入者に更なる負担を強いることは、非常に心苦しい限りであり、加入者や加入事業所の理解、納得はやはり得られないのではないかと考えます。
 適用拡大によりまして、協会けんぽの財政にマイナス影響を及ぼす場合には、必ず財政措置を講じていただけますよう、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 井上参考人、どうぞ。
○井上参考人 今回の適用拡大は、働き方の形態にかかわらず社会保障を充実する観点で進められていると理解しております。しかし、どうしても中小企業に財政影響が出てしまいます。そのため、政府の全世代型社会保障検討会議の中間報告にも記載されておりますとおり、中小企業の経営に影響が出ないよう、生産性の向上への支援策を同時に政府としても図っていただきたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょう。
 よろしゅうございますか。
 それでは、事務局におかれましては、ただいま御意見がございましたので、それらを踏まえて適切な対応をしていただくようにお願いいたしたいと思います。
 それでは、次に、報告事項ということになりますけれども、
 全世代型社会保障検討会議の議論について
 新経済・財政再生計画 改革工程表2019について
 令和2年度予算案(保険局関係)の主な事項について
以上について、事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。
○宮崎課長 保険局総務課でございます。
 3つ、大部にわたります。事前に御説明あるいは資料を送付させていただいておりますので、ポイントのみを簡単に触れさせていただくことで、後で質問のお時間等を残す形にさせていただければと思います。
 まず、資料3「全世代型社会保障検討会議 中間報告」についてでございます。
 こちらにつきましては、12月19日に全世代型社会保障検討会議において取りまとめられ、公表されました。
 めくっていただきまして1ページ目にこの中間報告の位置づけが「はじめに」というところにございます。
 「(1)はじめに」の下のほうですけれども、与党からの提言を踏まえ、現時点での検討成果について中間的な整理を行ったものである。来年夏の最終報告に向けて、与党の意見をさらにしっかり聞きつつ、検討を深めていくと今回の中間報告の位置づけがございます。
 2、3ページへ進みますと、考え方あるいは今後の改革の視点等についての記載があった上で、5ページから各分野の具体的な方向性につきましての記載がございます。
 5ページの「1.年金」の(2)の部分につきましては、今し方議論の対象になりました被用者保険の適用範囲の拡大につきましての記載がございます。
 さらに進んでいただきまして、9ページでございます。
 9ページには「3.医療」といたしまして、「(1)医療提供体制の改革」ということで記載がございました上で、「(2)大きなリスクをしっかり支えられる公的保険制度の在り方」として2点「後期高齢者の自己負担割合の在り方」と、10ページになりますけれども「大病院への患者集中を防ぎかかりつけ医機能の強化を図るための定額負担の拡大」についての記載がございます。
 まず「後期高齢者の自己負担割合の在り方」につきまして、10ページの上段に記載がありますのは、70歳までの就業機会の確保等の取り組みに合わせて、医療においても現役並み所得の方を除く75歳以上の後期高齢者医療の負担の仕組みについて、負担能力に応じたものへと改革していく必要があるとした上で、「具体的には、以下の方向性に基づき、全世代型社会保障検討会議において最終報告に向けて検討を進める。同時に、社会保障審議会においても検討を開始する。遅くとも団塊の世代が75歳以上の高齢者入りする2022年度初までに改革を実施できるよう、最終報告を取りまとめた上で、同審議会の審議を経て、来年夏までに成案を得て、速やかに必要な法制上の措置を講ずる」と記載されております。
 また、その方向性ということで、2点、その下に記載があります。
 1つ目として、後期高齢者であっても、一定所得以上の方については、その医療費の窓口負担割合を2割とし、それ以外の方については1割とする。その際、高齢者の疾病、生活状況等の実態を踏まえて、具体的な施行時期、2割負担の具体的な所得基準とともに、長期にわたり頻繁に受診が必要な患者の高齢者の生活等に与える影響を見きわめ、適切な配慮について検討を行うとされているところでございます。
 2点目の「大病院への患者集中を防ぎかかりつけ医機能の強化を図るための定額負担の拡大」に関しましては、1段落目に医療提供体制について現在進めております地域医療構想の推進などの「三位一体」の改革を進めるとともに、外来機能の明確化とかかりつけ医機能の強化を図ることが不可欠であるとした上で、一番下の段落ですけれども、こうした記載にあるような考え方のもとで、外来受診時定額負担については、医療のあるべき姿として、病院、診療所における外来機能の明確化と地域におけるかかりつけ医機能の強化等について検討を進め、平成14年の健保法改正法附則第2条を堅持しつつ、大病院と中小病院、診療所の外来における機能分化、かかりつけ医の普及を推進する観点から、まずは、選定療養である現行の他の医療機関からの文書による紹介がない患者の大病院外来初診・再診時の定額負担の仕組みを大幅に拡充する。
 具体的には、以下の方向性に基づき、全世代型社会保障検討会議において最終報告に向けて検討を進める。同時に、社会保障審議会及び中央社会保険医療協議会においても検討を開始する。遅くとも2022年度初までに改革を実施できるよう、最終報告を取りまとめた上で、同審議会の審議を経て、来年の夏までに成案を得て、速やかに必要な法制上の措置を講ずるとされているところでございます。
 以下の方向性の点は、先ほどと同様に2点記載があるところでございます。
 こうした医療保険にかかわる指摘に加えまして、11ページの「4.予防・介護」のところでは、保険者努力支援制度の抜本的な強化ですとか、あるいは12ページには予防・健康づくりの健康増進効果等を確認するための大規模実証事業を行うといったような記載も関連するものとしてあるところでございます。
 いずれにしましても、今回の中間報告では、医療保険にかかわる部分に関しましては、方向性を示されたということでございますが、この方向性に基づきまして、当社会保障審議会医療保険部会、あるいは関連する中医協等におきまして、必要な検討を、これまで御説明してきましたとおり、具体的なデータ等に基づきまして、これから進めていくということでございます。
 医療保険部会における審議につきましては、年明け以降、各委員の皆様の御予定なども確認しながら、具体的な議論を開始したいと考えているところでございます。
 続きまして、改革工程表につきまして簡単に触れさせていただきます。資料4-1であります。
 資料4-1に概要として掲げてございます「新経済・財政再生計画 改革工程表2019(概要)」ということで記載がございまして、次のページに改革工程表の全体像の記載がございます。
 医療保険関係では、主要分野の中で「社会保障」分野、「予防・健康づくりの推進」という中で「保険者努力支援制度のインセンティブの一層の活用」ですとか、あるいは「医療・福祉サービス改革」の中で「国保財政の健全化に向けて受益と負担の見える化を推進」、また「給付と負担の見直し」に関しましては、先ほど御紹介いたしました全世代型社会保障検討会議の中間報告において示された方向性に基づき、検討を進めるというような記載がございます。
 また、右側の「次世代型行政サービスの早期実現」の中では、本日の冒頭の議論の中にもございましたけれども、マイナンバーにかかわる議論なども記載があるところでございます。
 具体的な記載につきましては、資料4-2の中に改革工程表という形で具体的に記載がございます。
 資料4-2の最初のところは、KPI等の記載が続きまして、20ページからはそれぞれの工程表、2020年度にどのような取り組みをするかということを記載いたしております。説明は省略させていただきますけれども、お手元を参考にしていただければと思います。
 最後に、資料5「令和2年度予算案(保険局関係)の主な事項」についての御報告でございます。
 資料5をお開きいただければと思います。
 1ページ目でございます。医療保険制度の運用確保という形で整理しておりますけれども「各医療保険制度などに関する医療費国庫負担」として、令和2年度予算案では11兆8620億円を計上しております。
 その中で四角囲みがございますけれども、診療報酬・薬価等の改定につきましては、この記載にあるような内容としたところでございます。診療報酬につきましては、プラス0.55%、このうちには、※2にありますように、消費税財源を活用した救急病院における勤務医の働き方改革への特例的な対応としてプラス0.08%、この部分を除く改定分といたしましてはプラス0.47%となります。
 また、薬価の改定として、マイナス0.99%、この中には、うち実勢価等改定としてマイナス0.43%、市場拡大再算定の見直し等としてマイナス0.01%を含んでございます。
 材料価格の改定といたしましては、マイナス0.02%、うち実勢価等改定としてはマイナス0.01%となっております。
 医療保険制度の運営確保関係としては、国民健康保険への財政支援として3104億円を計上しております。
 2ページ目におきましては「被用者保険への財政支援」ということを一番上に掲げてございます。
 拠出金負担の重い保険者への負担を軽減するための財政支援に必要な経費を、来年度予算におきましても、今年度と同額820億円を確保することができました。これによりまして、財政支援を行ってまいりたいと思っております。
 さらに進みまして、科学技術、イノベーションの推進等として「医療情報化支援基金による支援」の項目がございます。
 こちらにつきましては、先ほどの議論の対象になりましたオンライン資格確認の導入に向けた医療機関、薬局のシステム整備の支援ということで、今回768億円をさらに措置をいたしまして、医療情報化支援基金に積み増しを行い、この基金によりまして、医療機関等におけます環境整備に対する支援を行ってまいります。
 補足になりますけれども、先ほどの議題の中で、保険者の負担あるいは予算等におきまして、厚生労働省の役割についての御質問がございました。当然のことながらこのオンライン資格確認、あるいはマイナンバーカードの保険証利用にかかわる予算等につきましては、医療保険にかかわる部分についての措置を行っているということでございます。
 先ほど担当課長から説明がありましたとおり、マイナンバーカードの普及に関しては、政府全体としての取り組みとして官房長官を筆頭とする会議が設けられて、内閣官房あるいは総務省等において一般的な施策を行っており、私どもとしては保険証利用にかかわる部分や、医療保険にかかわる部分についての予算を計上し、連携して政府全体として取り組んでいるものです。
 3ページです。「健康増進対策や予防・健康管理の推進」ということで「保険者のインセンティブ強化」につきましては、1412億円、2つ目の四角の中にありますが、消費税引き上げに伴う社会保障の充実の一つといたしまして、国保の保険者努力支援制度に、今年度912億円のところを、さらに500億円を追加いたしまして、1412億円の予算を確保して、こうした健康寿命の延伸に向けた予防・健康づくりに対する支援を行ってまいります。
 ②として、データヘルス関連の事業、レセプト健診情報等の分析に基づく保険事業等の推進等がございます。
 また、③として、高齢者の保健事業と介護予防・フレイル対策の一体的な実施の全国的な横展開ということで、1.1億円を計上しているところでございます。
 また、4ページにまいりますと、糖尿病性腎症患者の重症化予防あるいは歯科口腔保健の推進等の取り組みも引き続き進めてまいるということにしております。
 また、先ほど全世代型社会保障検討会議あるいは改革工程表の中で少し触れましたけれども、実証事業という新たな取り組みとして、省全体としては7.3億円の予算を新たに確保しております。「健康増進効果等に関する実証事業の実施」という項目でございます。このうち、保険局分としては2.9億円を確保しておりまして、データ等を活用した予防・健康づくりの健康増進効果等に関するエビデンスを、確認・蓄積するための大規模実証事業を実施する予定としております。
 予算の関係の主だったところは以上でございます。
 私からの報告は以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 以上、3本の報告がありました。御意見をいただきたいと思います。
 それでは、松原委員、前葉委員、それから藤井委員の順番でお願いいたします。
○松原委員 全世代型検討会議の資料をお読みしまして、大変危惧していたOTCなどもいろいろな問題がこれに書かれていないということで、その点は大変安堵しております。
 ただ、大病院と中小病院の機能分化において、この初診5,000円と再診2,500円以上を取るという仕組みは、この会議で随分議論して決めたことであります。その機能が大変うまくいっていて、これを200床以上の一般病院に拡大するというのは、大変よいことだと思います。ただ、資料に書いてあるように、増額して、増額分については公的医療保険の負担を軽減するように改めるというのは、違和感がございます。これは選定療養費ですので、対応をきちんとしなければならないのではないかと思います。
 また、何度も申し上げましたけれども、初診のときに5,000円を払って、そのまま大病院に残ってしまいますと、結局は勤務医の先生方の御負担が大変ふえたままになりますので、再診料のところをうまく対応していただきたいと思っています。
 最後に、後期高齢者の方の御負担を十分な現役並みの所得の方は、このまま3割でございますが、所得の程度において2割にする、あるいは1割にするということが書いてあります。1割と2割は10%と20%のように見えますけれども、現在1割の方は2割になったら2倍になります。つまり、御負担が、医療費が突然2倍になるということの重みをよく受けとめていただかないと政治的な問題になるといけませんので、ここは慎重に御議論いただいて、政治の御判断をいただきたいところであります。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 では、前葉委員、どうぞ。
○前葉委員 ありがとうございます。
 国保関係で3点申し上げます。
 1点目は保険者努力支援制度でございますが、3400億に加えて500億公費を拡充してくださいましてありがとうございました。その上で、資料4-2の35ページになるのですが、改革工程表の中で、評価指標をいろいろと議論が出ております。国保基盤強化協議会の事務レベルのワーキングでもかなり議論が出ておりますので、自治体間に格差をつけ過ぎるということよりも、むしろ全体としての底上げが図られるような、そういう支援制度の運用をお願いできればと思っています。
 2点目は、そのまま45ページでございますが、法定外繰入の解消はもう私は方向性としてはそのとおりだと思っております。ただ、各市町村でそれぞれ現場のいろいろな事情がございますので、そういうことを十分に、また市町村の声も聞きながら制度としてお進めいただければと思っております。
 それから、最後、56ページですが、普通調整交付金は地方3団体それぞれ影響が大きいので、自治体間の所得調整機能のための交付金ということで、ぜひ配分方法の見直しは「検討」と書いてございますが、できれば現状の形でお願いしたいという立場でございますので、そのことを申し上げておきます。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 では、藤井委員、お待たせいたしました。
○藤井委員 ありがとうございます。
 商工会議所としましては、後期高齢者の窓口負担につきまして、将来にわたる制度の持続性確保の観点から、原則2割とすべきと主張してまいりましたので、今回の中間報告に「一定所得以上は2割」と記載をされたことについては一歩前進だと考えております。しかし、その対象をどの程度まで絞るかによって、制度の持続性を高める効果が限定的になるのではないかということも懸念しておりますので、今後、こうした点を十分考慮して制度設計をしていただきたいと思います。
 もう一点、紹介状なしでの大病院受診の定額負担の制度を拡充することについては、病院と診療所間の機能分化の観点からその方向性は否定いたしません。しかし一方で、将来にわたる制度の持続性確保の観点からいえば、やはり、すべての病院で外来受診した患者から一律で少額の定額負担を求める、いわゆる“ワンコイン型”の受診時定額負担も必要であると考えておりまして、こちらについても引き続き御検討いただきたいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、井上参考人、お願いいたします。
○井上参考人 ありがとうございます。
 全世代型社会保障検討会議の中間報告の最終ページに書かれておりますとおり、負担は現役世代中心というこれまでの構造を見直して、全世代が公平に支え合うという視点が非常に重要だと思います。
また、最後ページにありますように、中間報告に掲げられた項目だけではなく、改革工程表2019に掲げられた事項と一体的な取り組みや検討を進めていただきたいと思います。
 改革工程表2019の中でとりわけ気になっておりますのは、資産を含めた負担能力の評価や市販類似薬の保険給付の見直しであり、ぜひ検討を進めていただきたいと思います。
 また、令和2年度予算案につきましては、インセンティブ強化に関する予算が大幅に増額されておりますが、ぜひアウトカム評価を重視しながら執行していただきたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 今度はこちら側に行きましょう。
 お待たせしました、それでは佐野委員、兼子委員、石上委員の順番でとりあえずお願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。
 この中間報告につきましては、私ども健保連として大塚会長のコメントを出していまして、きょうの最後の資料の一番下のところに資料ナンバー14で出させていただいております。
 きょうは具体的な内容について申し上げませんけれども、いずれにしてもやはり現役世代の負担軽減につながるように、この部会でもよりスピードアップをして具体的な議論を進めていただきたいと思います。
 以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、兼子委員、お願いいたします。
○兼子委員 ありがとうございます。
 後期高齢者の窓口負担のことが取り上げられていますけれども、私は、負担できる方たちの中での議論のような気がしてならないのですが、現実にその窓口負担だけではなく、保険料の支払いもできない人たちもいるわけです。そうした場合、その社会保障としてのこの医療保険のあり方としてどうなのだろうか。
 前回、私が各保険の負担等の件で、資料の件を申し上げましたけれども、後で調べましたら、厚生労働省のホームページに「我が国の医療保険について」ということで出ておりましたが、各保険の被保険者一人当たりの保険料負担率でいきますと、国保の方が9.9%、それから後期高齢者の医療制度が8.3%、組合健保が5.7%です。
 後期高齢者の医療制度と並んで、高齢者の割合の高い市町村国保でも負担率が非常に高い。こういった問題が放置されて、窓口負担のところだけが応能負担のような形で手がつけられていくというのは、非常に問題が大きいのではないのかと私は思っております。
 全部一緒にとか、あるいは全て税金ということではありませんけれども、こういった負担率の違いをどう解消していくのかということを大きな観点で考えていかないと、窓口負担のところを高めていけば、むしろこの国民の健康を守るということでつくられた医療保険を利用できない人たちがふえていくのではないかということで懸念されますので、改めてこの報告書の点をもう少し深く突っ込んだ検討がされるよう、希望したいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 では、お待たせしました。石上委員、どうぞ。
○石上委員 全世代型社会保障検討会議の中間報告に盛り込まれた、75歳以上の一定所得以上の高齢者に限り自己負担を引き上げることは、私たちが求めてきました負担能力に応じた負担をするという考え方に沿うものであると受けとめております。
 ただ、引き上げ対象とする所得水準のあり方については、生活への影響などについて、シミュレーションなどを行いながら丁寧な検討が必要だと思います。
 改革工程表についても、いろいろ言いたいことはありますが、時間も限られていますので簡潔に言いますと、中身的には、受診時定額負担の導入や薬剤自己負担の引き上げ、薬剤給付の重点化など、さまざまな意見がある課題も多く含まれておりますので、ぜひ十分に、慎重に検討すべきだと思います。
 予算案について、来年度の診療報酬改定は、医療提供体制と医療保険制度の持続可能性確保との調和を図ったものだと受けとめておりまして、特に病院勤務医の過重労働の解消は非常に重要な課題ですので、ぜひ働き方改革につながる仕組みとしていただきたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、菅原委員、安藤委員、池端委員の順番でお願いします。
 では、菅原委員、どうぞ。
○菅原委員 ありがとうございます。
 では、私も全世代型社会保障検討会議の中間報告について2点ほどございます。
 1つは、今ちょっと議論になっていました紹介状なしの大病院受診の定額負担についてなのですけれども、この制度を導入する際に学術的な研究会の座長をしていたときに、いろいろな議論がありました。一つはやはり、これは基本的には病院勤務医の負担軽減を第一に考えよう、それから機能分化を進めようという趣旨がございましたので、そういった意味では、この適用拡大範囲が広がったということはそもそもの趣旨にかなっているかと評価をしております。
 一方で、適用拡大の範囲がかなり病床数の少ないところまで広がりましたので、いろいろな問題がその当時も議論されていまして、一つやはりすごく問題になるのは、救急外来みたいなところが逆にふえてしまうのではないか。当然、その救急外来もかなり医師の負担が重くなっているところですので、適用の拡大に伴ってそういったほかのところに負担がかかっていかないかということに関しては、制度導入後、非常にきちんとした検証が必要だと考えております。
 もう一つ、先ほど松原委員からもお話があったのですけれども、この中間報告の中で、患者の自己負担のページというと11ページなのですが、「患者の負担額を増額し、増額分について公的医療保険の負担を軽減するように改めるともに」という一文があります。事務局に確認という意味もあるのですけれども、これは今までいただいている5,000円以上あるいは再診の2,500円以上を上げた場合に、医療機関ではなく、別途上がった分、増額した分は医療機関に入らずに国庫に入るというか、それを求めていくということなのでしょうか。
○遠藤部会長 では、事務局、どなたか。
○宮崎課長 この中間報告自体の取りまとめは、内閣官房でやっているので、私どもが有権的な解釈権を持っているわけではないですけれども、我々としては、これを字義どおり受けとめて、その上で具体的な検討につきましては、今後の社会保障審議会及び中医協における検討に委ねられていると理解をしております。この書かれている内容が具体的にどのような形で実現されるのかについて、まさにこれから議論していくということかと思っております。
 ただ、公的医療保険の負担を軽減するという議論そのものは、この医療保険部会でもこれまで改革工程表をめぐる議論ですとか、その際の議論の整理を行う中で、委員の方々の中から、選定療養をさらに活用するという御意見とともに、公的医療保険の負担を軽減するような仕組みを考えてはどうかという御議論も出ておりましたので、そういったことの延長線としてこのようなものができているのだろうと理解をしております。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
○菅原委員 わかりました。
 なかなかまだ具体的な話は進んでいないということで、今はそういうことだと思うのですけれども、ただ、この5,000円以上とか2,500円以上としてあるのは、地域の実情に応じて、医療機関に考えていただくという趣旨もございますし、やはりその部分で徴収でかなり手間取っていらっしゃるとか、保険医療機関も大変だということもありますので、そのあたり、きちんと現場のインセンティブを与えていくということは、制度のそもそもの趣旨からすると、大変重要なことと考えております。
 もう一つ、後期高齢者の自己負担のあり方の話なのですけれども、先ほどお話にありますように、一定所得というものをどのように考えていくかということが一つ大事な問題になってくると思います。
 この中間報告の附帯資料にも、遠藤先生のほうから75歳以上の高齢者の収入だとか、支出の状況のような資料もついておりましたけれども、基本的にはやはり平均収入は低下はしますし、医療に関する自己負担の年額は増えていくという状況があるようですので、これはきちんと所得の状況のばらつき等を踏まえながら、丁寧な議論が必要だと思います。
 その一方で、やはりほかの支出項目も高齢者は段々減ってくるものですから、全体の収入が減っていっても、支出余力という意味では、可処分所得が多少残っていらっしゃる方も相当いるという印象を持っていますので、生活実態の調査等を、きちんと丁寧にこういった部会等で議論していくことが必要かと思っております。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、安藤委員、お願いいたします。
○安藤委員 まず、中間取りまとめなのですけれども、我々が期待したほどではないというのが正直な感想であり、もう少し突っ込んでいただければと思っておりました。
 その中で、やはり後期高齢者の窓口負担の2割ということに関して入れていただいたということにつきましては、関係者の皆様の御尽力に感謝したいと思います。また、今後は、どのように具体的に議論するのかということが大事になってくると思っております。
 その中で、9ページ目の「3.医療」のところに「(1)医療提供体制の改革」というところがございます。
 この2行目に「健康を望む国民一人一人の自主的な取組を可能とする環境を整備する」と書かれており、非常にすばらしいと思っております。その下の3番目のポツにある健康づくりの強化、セルフケア・セルフメディケーションの推進、ヘルスリテラシーの向上という記載につきまして、改革工程表の中にも、健康づくりに関する具体的な項目も入っていることから、我々保険者としても、この辺に関して、今後取り組んでいく必要があると考えております。
 一方、ご説明がありました厚生労働省の来年の予算案の中の「健康寿命の延伸に向けた予防・健康づくり」に保険者のインセンティブ強化ということで、1,412億円が積まれています。この予算は、「国保・保険者努力支援制度」と記載されているのですが、被用者保険については、このインセンティブ強化に関係ないのでしょうか。それとも、この中に含まれているという理解でよろしいのでしょうか。
○遠藤部会長 それでは、事務局、お願いいたします。
○姫野課長 保険課長でございます。
 この予算の1412億円は、国保のインセンティブ強化の支援ですけれども、被用者保険につきましては、別途後期高齢者の支援金の加算、減算という仕組みがございますので、それによってインセンティブを設けているということでございます。
 また、協会けんぽについては、全国47支部のそれぞれ保険料を活用しながら、インセンティブをきかせていただいていると承知してございます。
○遠藤部会長 安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 済みません。
 協会けんぽで取り組んでいるインセンティブ制度は、あくまでも加入者から保険料としてお預かりしているお金を財源としておりますので、この予算とは趣が違うと思うのですが、その辺につきまして、御意見いただければと思います。
○遠藤部会長 事務局、コメントはありますか。
○熊木課長 国民健康保険課長でございます。
 このたび国民健康保険の保険者努力支援制度につきまして、予防・健康づくりということで、500億円という措置が新たに決まったということでございます。
 少し補足させていただきますと、この措置は、保険者努力支援制度ではございますが、まさに予防・健康づくりの取り組み強化のためでございますので、500億円のうち200億円程度を予防・健康づくりの事業に充てて、300億円程度をいわゆる保険者努力支援制度、指標に基づき保険財政に投入する形の金額として充てるという考えでございます。
 これは、そもそも保険者努力支援制度そのものがそうでございますが、国民健康保険が置かれております非常に厳しい高齢化の進展ですとか、所得が低い等の課題の中で、その財政強化を図るということで、都道府県単位にするとともに、先ほど委員の御意見がありました、3400億円の公費拡充ということを果たした中で取り入れられたものでございまして、いわばその延長ということで、このたび、さらに予防・健康づくりを特にやってほしいということで、500億円を頂戴するということになったと理解しております。
 国民健康保険につきましては、この事業をきちんと活用させていただきまして、住民の皆様、国民健康保険制度に還元していきたいと考えてございます。
 被用者保険につきましては、また別の考え方でそれぞれインセンティブの仕組みを設けておりますので、今申し上げましたように、国民健康保険制度につきましては、その置かれた厳しい状況に鑑み、公費の拡充を果たしていると理解をしてございます。
○遠藤部会長 よろしいですか。
 それでは、時間もありませんので、先に行きましょう。
 池端委員、どうぞ。
○池端委員 ありがとうございます。
 池端です。
 菅原委員と同じく、大規模病院の患者集中における定額制に関してですけれども、これそのものについては、これが入ったことはよかったかと思います。
 ただ、一方で、大病院、中小病院、これはあえてこういう抽象的な書き方になっているかと思いますけれども、一方で200床という数が決められた一般病院という言い方になっています。この一般病院がもし、医療法上の病床でいえば、一般病床、療養病床、結核病床と精神病床しかありませんから、これが一般病院イコール一般病床とすると、この中には障害者病棟や、あるいは地域包括ケア病床等、いわゆる地域包括ケアを担うような地域密着型の病床も含まれてしまいますので、その辺に関しては、特に地方においては、かなりある程度の規模の病院でもそういう機能を担った、そこしかないような中小規模の病院もありますので、そういうことも踏まえて、中医協等で運用に関しては、丁寧に議論をしていただければと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょう。
 では、横尾委員、どうぞ。
○横尾委員 ありがとうございます。
 3点あります。
 1つは、後期高齢者の自己負担のあり方の件についてです。現在では、おおよその方向が出てきたわけですけれども、実はずっと前の政治状況なら、後期高齢者の立場からも、私はかなり反対する立場で意見を言わなければいけないということもあったかもしれません。ですが、やはりここは負担能力のある人が負担をしながら全体の社会保障制度を支えるというのが基本だと思っておりますので、そういった理念的なものというか、ビジョンというか、それを優先させていただいて特に強い反対等は言えなかったわけであります。
 このことについては、これからの理解が必要なことだろうと思いますし、そうしなければ日本の医療制度は本当に財政的にもたなくなるということを強く感じています。実際、そのことを感じながら、2割負担になることを受け入れようという方々もおられることは事実です。
 2点目です。介護保険事業等、介護予防・フレイル対策に関する予算を措置されていますが、ちょっと現場のお話をしたいと思います。このことを推進するために、スーパー保健師的な方を採用して置いてくれという話になっているのですが、現場の現実はなかなか厳しいものがあります。
 佐賀県の例で恐縮ですけれども、先般、県と協議をしました。けれども、なかなかうまくいきません。県の立場は、そんなことをやったことがないというのが一つ、そういう全体を主導するような経験もないのだという見解もあるようです。
 もちろん、それはそれなのですけれども、「全く未経験の分野をお互いに開発しなければいけないからやろうではないですか」と言っても、腰は重いのです。
ほかの都道府県は全部を確認はしていませんけれども、そういう現場の現実がありますので、国としては、予算措置をしたから終わりではなくて、やはり実態として、よりよい保険事業、また介護予防・フレイル対策をやっていくことが何より重要だと思っていますので、そのことの現場を見ながらの指導、改善ということをお願いしたいと思います。
 ちなみに、多久市は特定健診受診率と特定保健指導で全国4位と全国7位でございましたので、厚生労働大臣から賞状を2枚いただき、新たなモチベーションにもなりました。そのときわかったのは、小さい地方の都市でも努力すればそうやって改善できる、ということです。
このことを担ってくれたのは、実は現場の保健師なのです。そこで、保健師を褒めると、「いやいや、協力した市民の皆さんのおかげです」と、何とも立派な回答が返ってくるのです。そういう現場で頑張っている方々が、全国の1,740自治体におられますので、ぜひよい事例を共有できればと思っています。
 最後に、3点目は、大病院の患者集中の問題です。このことについてやはり啓発をしないといけないと思います。一般的にも、多くのみなさんは、ついつい大きな病院のほうが安心だろうと思って、そちらに行きがちになりますので、「そこは5,000円は高いではないか、でも払ってもいいから行きたい」となる可能性があります。そうすると結局何もならないのです。やはり全体のためにも、家庭医、かかりつけ医の立場の意味でもそういった身近な開業医の先生方が大切である、何かあったときに見てくださるからということとか、顔を見合わせての信頼関係とかもあると思いますので、こういった医療の大切さもぜひ政府で広報していただきたいと思っています。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 大体よろしゅうございますか。
 では、堀委員、どうぞ。
○堀委員 後期高齢者の自己負担の2割についてですが、私はこれまでの審議会の場では、新たに75歳になる人から2割の負担をする、74歳までと同じ負担を維持すると解釈をずっとしてきましたが、今回の中間報告では、全ての75歳以上に対象を広げているようなので、国民により丁寧に説明する必要があるのではないかと思います。
 団塊世代から負担を見直すというのであれば、新しい高齢者像を打ち出すという意味で、ムーブメントになるのではないかと思っていました。一律に75歳とすることはよいですが、その場合は、負担増とする所得設定の範囲をどこまでにするかによって中身がいかようにも変わります。増加の対象者を狭めすぎると、何のための改革なのかと思います。そもそも75歳以上の2割負担導入の議論はどこから出てきたかというと、人口構成上最も大きい団塊世代が2022年以降、後期高齢者になるということが背景にあるはずですので、財政検証はそこの部分を忘れずに、データに基づき丁寧な議論をすべきではないかと思います。
 それから、世代を問わず同じように負担をするという考えそのものは良いと思います。一方、能力に応じた負担というのは、先ほど別の委員からもありましたけれども、負担というのは、窓口負担だけでするものではありません。社会保険は基本的には保険料の部分が応能負担で、利用者の窓口負担の1割負担、2割負担、3割負担というのは、そもそも応益負担です。そこに応能負担の要素をまぜるようなことにはしないほうが制度設計上よいと思います。
 すでに、負担軽減の制度として高額療養費制度がありますし、本当に困窮している低所得者の方には、医療扶助もあります。その辺をきちんと整理してやらないと、そもそも社会保険としての公的医療保険は何かということになっていくと思います。繰り返しになりますが、能力に応じた負担というのは、社会保障全体としてはそのとおりなのですけれども、窓口のところでやるのは、不合理なインセンティブが生まれるリスクがあってもよくわからなくなる、複雑になり過ぎるような気がします。いずれにせよ、財政シミュレーションを行った上で丁寧な議論をする必要があると
思います。
 それから、受診時定額負担についてですが、病床規模だけで判断するのはどうなのかと。一口に大病院、中小病院といっても、病床数だけでみた病院の規模が機能と一致していないこともあります。何をもって大病院か中小病院か。病院の規模の影響もあるかと思いますが、医師総数に対して、日本の外来受診回数が非常に多いというのは、紛れもない事実です。細かい議論はこれからなのだと思いますけれども、初診、再診それぞれで、病床規模ごとにどれぐらいが紹介状なし患者なのか、総受診回数に対する割合はどのようになっているのか、実態を把握できる詳細なデータを示していただいた上で議論をしていくほうが今後のためにつながるのではないかと思います。
 また、本当の意味で世代を問わずということならば、そもそも年齢区分で区切っている後期高齢者医療制度のあり方こそ、今すぐに難しいことは理解していますが、中長期的には議論をしていく、現役世代の納得を得るためにもそうですが必要です。負担と給付を含めてですけれども、より深いところまで議論を進めていく必要が将来的な持続可能性を維持するためにはあるのではないかと思います。
 最後に、予算についてなのですが、保険者努力支援制度であるとか、健康づくりについてとかの予算もついているのはいいと思うのですけれども、エビデンス、費用対効果の検証は重要だと思います。これは厚生労働省の予算だけに言えることではないですが、本当にその予算に応じたアウトカムがあるのかというところは、検証が重要なのではないでしょうか。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 大体よろしゅうございますか。
 ありがとうございました。この全世代型の検討会議の報告内容に関しましては、当部会と関連のあることにつきましては、当部会ではまた当然のことながら議論をいたしますので、まさにエビデンスに基づいた丁寧な議論をしていきたいと思いますので、またそのときはよろしくお願いいたします。
 それでは、本日は用意したアジェンダは以上でございますので、これぐらいにさせていただきたいと思います。
 それでは、次回の開催につきましては、追って事務局より御連絡をさせていただきます。
 それでは、本日、長時間どうもありがとうございました。これにて終了いたします。