第90回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会 議事録

日時

令和元年11月15日(金)15:30~

場所

厚生労働省専用第21会議室(17階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

議事

 
○阿部部会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第90回「労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会」を開催いたします。
 本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の桑村委員、勇上委員、労働者代表の小倉委員、使用者代表の志賀委員、川上委員、穗岐山委員が御欠席です。
 志賀委員の代理として、日本・東京商工会議所産業政策第二部副部長の杉崎様にお越しいただいております。
 また、穗岐山委員の代理として、全国中央会労働政策部副部長の菱沼様にお越しいただいております。
 なお、小野委員、渡辺委員につきましては、所用により後ほどお見えになるとお聞きしております。
 また、松永雇用開発企画課長は所用のため途中退席と伺っております。
 さらに、岸本審議官は後でお見えになると聞いております。
 それでは、議事に入りたいと思います。
 まず議題(1)「高齢者の雇用・就業機会の確保について及び中途採用に関する情報公表について」となっておりますが、初めに「高齢者の雇用・就業機会の確保について」に関して、事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○野村高齢者雇用対策課長 高齢者雇用対策課長の野村と申します。
 それでは、順次資料に沿いまして、説明させていただきます。
 まず、お手元の資料1をお開きください。「高齢者の雇用・就業機会の確保について」ということで、第1回、第2回でいただいた御意見について取りまとめた資料でございます。第2回でいただきました意見につきましては、下線つきで示しておりますので、その点を中心に御説明させていただきます。
 1ページ、「1.65歳までの雇用機会の確保について」でございます。
 1つ目は、65歳までの雇用の機会が確保されていること、労働条件もきちんと整備されていることが前提ということで、同一労働・同一賃金の施行により労働条件の改善が期待されるがということを前提にして、柔軟な労働条件を初めとする65歳までの職場環境の整備が必要という御意見をいただきました。
 一番下のポツでございますが、70歳に延ばすのであれば、65歳までをもっとしっかりやらなければいけないという御趣旨の御意見をいただきました。
 次のページ以後が「2.70歳までの就業機会の確保について」でございます。
 一番下から2つ目のポツで、中小企業は業務に幅がなく、個人差に合わせた配置が難しいという課題があるとした上で、70歳までの就業機会の確保について、柔軟かつ自由度の高い制度、あるいは適用除外規定の設定をお願いしたいという御意見がございました。
 一番下から次のページにかけては、制度は、職場の実態を踏まえた現実的なものでなければうまくいかないという御意見をいただきました。
 3ページ、一番上のポツでございますが、それぞれの職場に合った措置とするためには、決定プロセスが重要ということで、(a)から(d)と(e)から(g)は位置づけが違うと。均衡が図られない制度になると、企業が負担のかからない措置のみを用意し、本来の目的が果たせなくなるということで、適切な労使の枠組みと労働組合がない場合の枠組みについて検討することが重要であるという御意見をいただきました。
 4ページ、一番上のところ、継続雇用をグループ企業に広げる場合には、現行でも当該企業との間で契約が必要とされていることを踏まえ、(d)の選択肢についても、基準を明確に定めるべきという御意見をいただきました。
 また、次の点、フリーランスに関して多くの課題がある、検討会も行われており、課題解決を前提とすべきという御意見もいただきました。
 次の点、フリーランス契約や起業については、事業主からの業務委託と提示されているが、70歳まで行う枠組みとするのか、また、企業の支援とは関係のないものも含まれるのかという御意見をいただきました。
 次は、社会貢献活動の範囲について、個別の労使に委ねていくのかという点も検討課題であるという御指摘がございました。
 次の点、個人の生き方、働き方の尊重は重要だが、現状のフリーランスを見たときに、契約もしっかり文面で結ばれていないといったさまざまな問題が生じているのが実態ではないかということで、フリーランスの中身の検討をしっかりやらなければいけないという御意見をいただきました。
 もう一点が、個人の希望という部分と、努力義務の中でどこまで措置していくのか整理してほしいという御意見がございました。
 次の点は、今の会社での勤務を希望しない理由に賃金がある、措置の選択肢として(e)から(g)の場合、賃金との兼ね合いをどのように担保するのかといった御指摘をいただきました。
 5ページ、「(4)高齢者の活躍を促進するために必要な支援について」というところでございます。下から2つ目の点でございますが、セカンドキャリアを始めるにはパラレルキャリアが必要であるということで、60歳から65歳までをその助走期間として、パラレルキャリアが展開できるような施策が望まれるという御意見をいただきました。
 一番下のところは、資料からは65歳から70歳の方をプレーヤーとして捉えているという面が強くあらわれているとした上で、マネジャーあるいはスキルなどを次世代に生かしたりしていくことなどを支援することはできないかという御意見をいただきました。
 6ページ、一番上のところは、高齢者の技能継承も重要だとされた上で、別のことをやりたいという高齢者も多くいる、その場合、学習棄却・アンラーニングが重要であるという御指摘をいただきました。
 次の点が、50代での資格取得、学習に取り組む方もおり、リカレント教育も重要ではないかということを御意見としていただきました。
 次は、定年後の仕事について、企業によるあっせんについて、産業雇用安定センターの重要性を御指摘いただきました。
 一番下、「(5)その他」のところで書いてございますが、社会貢献活動について、何をもって社会貢献活動なのかは幅があるということで、個人が考えるものと最初から事業主が認めるもの、その点、論理が整合的ではないのではないかという御指摘をいただきました。
 最後のページ、ここは地域コミュニティーにおける担い手などのローカルな社会貢献活動についての御指摘、また、自助・共助・公助という観点での考え方の整理が必要、また、社会貢献活動やボランティアは個人が主体で行われるものであるが、企業は個人のやりたい思いを実現するフィールドをつくる役割があるのではないかという御指摘、また、60歳から65歳までのキャリア形成や65歳以降について考えていく期間としていく上で、70歳までの雇用を考えてほしいといった御意見をいただきました。
 資料1については以上でございます。
 続きまして、資料2「高齢者の雇用に関する調査結果【速報値】」と書いた資料でございます。
 これは2回目に個人調査として示させていただいたもののうち、60代が一つの数字でまとめてお示ししていたものについて、60代の前半と後半で集計が間に合いましたので、それを4つの表で再集計して出しております。
 3ページ、60歳代の高齢者の仕事の内容ということで書いてございます。ここは「会社、団体などに雇われて仕事をしていた」という方の割合、60代全体で見ますと65%ということでございましたが、60代前半と後半を分けますと、前半は72%で、後半は58%ということで、14%程度差が出てきております。そういう結果が出てまいりました。
 4ページ、60歳代の高齢者の勤務形態ということで、ここも前半と後半で比べますと「普通勤務(フルタイム勤務)」と答えた方は60代前半では59%、60代後半では39%と。また、この水色の数字のところでございますが「普通勤務より1日当たりの労働時間が短く、1週間当たりの勤務日数も少ない」という方が60代前半では10%、60代後半では20%となってございます。
 5ページ、60歳代の労働者の体力等の衰えに対する勤務先の配慮ということでございます。これについては、60代前半と60代後半で差が余り見られないという結果になってございます。
 6ページ、定年等の後の仕事をどのように見つけたかということについても、60代前半と60代後半では差は余り見られないという結果になってございます。
 資料2については以上でございます。
 次に、資料3「高齢者の雇用・就業機会の確保に関する主な検討課題と対応イメージ」ということで、前回検討課題として示させていただいた部分について、対応イメージを付記させていただいた資料でございます。
 1ページ、一番下につけているのは、閣議決定での(a)から(g)についての記述でございますが、2ページ以降、(a)(b)など記号を引用しておりますので、ここに載せさせていただいております。
 2ページ、70歳代の就業機会の確保について「(1)事業主の努力義務とする措置の在り方について」、でございますが、基本的な考え方として、各措置の間での均衡あるいは労働者保護の観点というものを掲げさせていただいておりましたが、この点について、各措置の均衡等については、非雇用の選択肢(e)から(g)については、労働関係法令によるさまざまな労働者保護が基本的には適用されないことから、労使双方が納得した制度が導入されることが特に重要、これを担保するための仕組みが必要ではないかということで書かせていただいております。
 また、次の点、法律上の努力義務を負う事業主ということで、最初のところでございますが、現行の65歳までの雇用確保措置は、60歳まで雇用される高年齢者について、事業主が定年を65歳以上に定めるなど、同一の企業で高年齢者を雇用し続けることを念頭に置いた制度でございます。このうち、継続雇用制度につきましては、65歳まで特殊関係事業主で雇用を継続することも可能とされていますが、法律上の位置づけといたしましては、雇用確保措置の責務は、60歳まで雇用していた事業主にある、こういう位置づけであると考えてございます。
 これを踏まえまして、70歳までの就業確保措置の責務については、65歳までの雇用確保措置の責務が、特殊関係事業主で継続雇用されている場合であっても60歳まで雇用していた事業主にあるということから、70歳までの就業確保についても、60歳まで雇用していた事業主が、法律上、措置を講じる努力義務を負うことと解することが適当ではないか、このように整理できないかということで書かせていただいております。
 3ページ、個々の労働者に多様な特性やニーズがあること、それらに対する事業主としての対応可能性に鑑み、どのような仕組みが適切かという点を書いてございます。
 1つ目のポツですが、65歳までの雇用確保措置は、希望する高年齢者全員を対象とした制度を導入することが事業主の義務となってございます。
 一方で、70歳までの就業確保措置につきましては、成長戦略実行計画においては、第2段階の法的整備、いわゆる義務化のことにも言及しておりますが、健康状態がよくない、出勤率が低いなどで労使が合意した場合について、適用除外規定を設けることについて検討することとされています。
 これらを踏まえまして、今回の努力義務の段階で、どのような仕組みが適切か検討すべきではないかということを書かせていただいております。
 次に、事業主がどのような措置を講じるか、労使での話し合いの仕組みでございます。
 四角の中に書いてございますが、労使での話し合いの趣旨といたしましては、マル1として、どの選択肢を用意するかについての話し合いがございます。まず、この点については、65歳までとは異なり高齢者の特性に応じた活躍のための多様な選択肢を用意することが重要であるとした上で、このため、どのような選択肢を用意するか労使で十分に話し合い、双方納得した選択肢を用意することが重要である、こういった位置づけで話し合いを規定していくことが重要ではないかと書いてございます。
 マル2は、複数制度を導入した場合に個人にどの制度を適用するかということで、これについても複数制度がございますので、労働者個人のニーズに適した制度が利用できるよう、どのような制度を利用するかについても話し合いを行う必要があると書かせていただいてございます。
 4ページ、「マル2 措置として事業主が実施する内容について」、いわゆる7つの選択肢の位置づけということでございます。
 1点目、「定年廃止」「定年延長」「継続雇用制度の導入」につきましては、65歳までの雇用確保措置と同様のものとすることとしてはどうかと書かせていただいております。ただ、この場合も、継続雇用制度に係る制度対象者の検討については前述のとおりということで、その範囲をどうするかというところを踏まえた設計にしていくということでございます。
 2点目、「他の企業への再就職の実現」につきましては、特殊関係事業主による継続雇用制度の導入と同様のものとすることとしてはどうかということでございます。これは今、特殊関係事業主との間では、事業主間で契約を結んでいただくといった措置をとっておりますが、そういったこととしてはどうかと考えてございます。ここも制度対象者の検討については前述のとおりということでございます。
 下のところ、「個人とのフリーランス契約への資金提供」あるいは「個人の起業支援」のところでございますが、ここは四角の中の1つ目の点に書いてございますが、業務委託契約を締結する制度を創設することとしてはどうか、また、対象とする事業については、どのような事業を制度の対象とするのか、事業主が導入する制度の中で定めることができることとしてはどうかと考えてございます。
 5ページ、「個人の社会貢献活動参加への資金提供」のところです。これについては、継続雇用終了後に以下のいずれかの事業による活動に従事できる制度を創設することとしてはどうかと。マル1として、事業主がみずから実施する事業、マル2として、事業主が委託、出資する団体が行う事業ということでございます。
 次のポツでございますが、対象となる事業については、どのような事業を制度の対象とするのか、事業主が導入する制度の中で定めることとしてはどうかと書いてございます。
 6ページ、「(2)事業主の履行確保を図るための仕組みについて」ということで、努力義務に対してどのような行政措置を設けるのかということでございます。
 ここについてはマル1からマル4で書いてございますが、マル1として、厚生労働大臣は、必要があると認める場合には、就業確保措置の導入に関する計画の作成を指示することができる。マル2として、この計画を作成したときには、厚生労働大臣にも提出するものとする。その上で、その内容が著しく不適当であると認めるときは、事業主に対して変更の勧告、マル4として、計画の適正な実施に関しての必要な勧告ということで、こういった形の行政措置を設けることとしてはどうかということで書かせていただいております。
 次に「(3)事業主による措置の導入に伴って生じる対応について」ということでございます。ここは今回65歳までのところは努力義務ということで規定しますので、措置の対象とならない方が出てくるということでございます。この場合に、どのような支援策を整備するのかということで、これは高年法にございます再就職援助措置・多数離職届出での対象者につきまして、前者は努力義務、後者は5人以上の離職者が出た場合に届出の義務がございますが、この対象者を広げてはどうかと考えてございます。
 下に書いてございますが、現行の規定では45歳以上65歳未満の者が解雇された場合、あるいはその事業主が雇用確保措置の制度対象者を限定している場合に、その制度の対象とならなかった方については、再就職援助措置・多数離職届出を行うこととしております。
 今般の制度改正にあわせて、これらのマル1、マル2に加えまして、一つは努力義務ですので、事業者が措置を講じない場合も考えられます。その場合に、70歳未満で退職する方、あるいは制度を設けても67歳までの制度という場合には、そういった67歳で退職された場合の高齢者、これに対して再就職援助措置を講じる規定を設けてはどうかと。
 マル4として、これも議論の結果を踏まえて、仮に対象者を限定する制度を導入することになった場合、65歳以降の就業を希望しつつも、制度の対象とならなかった高年齢者、こういったことを支援の対象としてはどうかと書いてございます。
7ページ、(参考)と書いてございますが、これと同様の規定が65歳までの雇用確保措置が努力義務の段階のときに置かれていたということで、参考に置かせていただいております。
 下のほう、事業主による措置の実施状況等の報告でございます。これは現在、この四角の1つ目に書いてございますが「定年及び継続雇用制度の状況その他高年齢者の雇用に関する状況」を報告するということで、これは法律に位置づけて、毎年1回6月1日時点の状況を報告いただいております。70歳までの新たな措置についても、この報告事項に追加してはどうかということで書かせていただいております。
 8ページ、「(4)新たな制度の円滑な施行を図るために必要な準備期間について」ということで、1点目に書いてございますが、努力義務段階、過去の高年齢者雇用安定法改正で努力義務を新設した際には、改正法の公布後4カ月あるいは5カ月ということが書かれている。こういった前例がございますが、今回の場合、新たな措置が選択肢として盛り込まれる、あるいは措置の導入に向けた個別の労使の話し合いがあるということで、こういったことを踏まえて、どのような期間で定めていくかを検討していく必要があるということを示させていただいております。
 「(5)高年齢者の活躍を促進するために必要な支援について」でございます。これは1回目の検討課題に掲げさせていただいたそのままでございますが、この点については、次回以降、もう少し詳しい資料を出して御議論いただければと考えてございます。
長くなりましたが、私からの説明は以上でございます。

○阿部部会長 ありがとうございました。
 それでは、本件につきまして、御質問あるいは御意見がございましたら、御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 志賀委員代理の杉崎様、どうぞ。

○志賀委員代理杉崎氏 ありがとうございます。
 元気で意欲のある高齢者が就業を通じてさらに活躍していくということは、非常に重要なテーマであると認識しております。日商が実施したアンケート調査で、65歳を超えて雇用できない理由を尋ねたところ、6割の企業が「本人の体力的な理由で難しい」を挙げるなど、高齢者については、本人の健康、意欲の面から継続雇用が難しいといったこともございます。
 加えまして、先ほども御紹介がございましたが、中小企業は業務に幅がなく、個人差に合わせた業務配置が難しいといった課題もございます。そうした点で、70歳までの就業機会の確保に関しましては、中小企業の実態を十分に考慮していただきまして、柔軟かつ自由度が高い措置にしていく必要があると考えております。
 その上で、個別の論点に関する意見を申し上げたいと思います。資料3の2ページに記載の非雇用の選択肢(e)から(g)について、労使双方が納得して制度が導入されることを担保する仕組みとしては、各社で協議の上、労使合意を得ることが適当ではないかと考えてございます。
 また、3ページに記載の「適用除外規定」について、今般の努力義務新設の段階でも導入することができるようにしていただければと存じます。
 次に、4ページに記載の「個人とのフリーランス契約への資金提供及び個人の起業支援」に関しまして、対象となる事業は事業主が導入する制度の中で定めることができるようにする旨が記載されておりますが、これにつきましても、現実的かつ合理的な案であると考えてございます。
 次に、8ページに記載の施行時期についてでございますが、非雇用の選択肢(e)から(g)を含む措置の導入に向けた労使の話し合いには、相応の時間がかかるものと認識しております。また、非常に人手不足が深刻化している中で、中小企業は時間外労働の上限規制、同一労働・同一賃金、また、改正女活法、パワハラ防止法など、労働法制の施行が続き、現場負担がこれまでになく高まっておりますので、施行時期につきましては、こうした事情への御配慮をぜひお願いしたいと思ってございます。
 さらに、「(5)高齢者の活躍を促進するために必要な支援について」につきましては、産業雇用安定センター、ハローワークの生涯現役支援窓口など、企業と高齢者とのマッチングの強化に資する施策についても強化・拡充を御検討いただければと思います。
 まだ、努力義務の内容を幅広く丁寧に周知していくことや、とりわけ非雇用の選択肢(e)から(g)の措置を導入した企業の好事例を横展開、幅広く周知していくといったことも重要な観点だと思います。
 以上でございます。

○阿部部会長 ありがとうございました。
 御意見だと思いますが、事務局で何かございますか。

○野村高齢者雇用対策課長 いただいた意見を踏まえまして、次回以降、また詳細を示させていただきたいと思います。今回の措置を仕組むに当たっては、労使への話し合いというところが重要なのかと考えてございます。詳細については今後お示ししたいと考えてございます。
 また、支援措置についてはあらためて御議論いただきますが、それについても次回以降しっかりとしたものを示していきたいと考えてございます。
 また、周知あるいは好事例の展開等も施行後も含めてしっかりとやりたいと考えてございます。
 以上でございます。

○阿部部会長 それでは、ほかにいかがでしょうか。
 春川委員、どうぞ。

○春川委員 まず、今般イメージを御提起いただきまして、ありがとうございました。
 私からは4ページのフリーランス契約と個人の起業支援について、2点ほど意見をさせていただきます。
 1つ目、業務委託契約を締結する制度について記されておりますけれども、この業務委託契約の中身についてはいろいろあるとは思いますが、全体として、これは継続的な委託があることを念頭に置いた制度だと捉えています。一方で、例えば年間の中で委託をどういう形でするのかが不明確で、仮に単発で委託するというようなことなのだとすると、それが果たして継続的な業務委託と言えるのかということも危惧されますので、今回お示しいただいたイメージの中を、今後、より具現化することが大切で圧と考えます。
 その中で、当然フリーランスでの起業であるとか、独立をしながらということは、あくまでも当事者が自律性を持って努めていくことになるということだとも認識しております。ただ、成長戦略実行計画の中では、就業機会の確保の選択肢という意味で挙げられている以上は、ほかの選択肢と均衡がとれたものを目指していく必要があるのではないかということもつけ加えさせていただきます。
 2点目、この4ページの下の箱の中にありますが、先ほど杉崎委員からも御提起があった「事業主が導入する制度の中で定めることができる」という箇所ですけれども、私どもとしましては、事業主のほうで全てを委ねて決めることに関しては、一定、制度趣旨が損なわれるのではないかとも捉えております。例えば意図的に制度の対象となる事業を限定する可能性、委託されている業務の幅の中で同業他社との取引があるようなものがあったとした場合、業務委託は行わないということだとか、そのあたりもしっかり議論していく必要があろうと思っておりますので、あわせて意見としてつけ加えさせていただきます。
 もう一つ、ここのフリーランス等々に関して言いますと、前段のほうで非雇用の選択肢(e)から(g)の記載もございますけれども、当然ここは労働者性がなくなるということがあったとしても、起業した者が特定の事業者からのみの業務委託で就業する場合に、実質的にそこには主従関係があるようにも見られるということも想定されます。そういう意味では、安全衛生の観点あるいは労災保険などの社会保障の範疇といったところも、労働者の保護のあり方という観点から労使で合意しながら制度をつくっていく必要があるのではないかということも意見としてつけ加えさせていただきます。
 以上です。

○阿部部会長 ありがとうございました。
 事務局で何かあればお願いします。

○野村高齢者雇用対策課長 1点だけ、今、御意見をいただきましたし、杉崎様からも御意見をいただきましたが、次回以降、資料の2ページに書いてございますが、各措置の均衡というところで、非雇用の選択肢を担保する仕組みのあり方を今後示していきたいと考えてございます。
 以上です。

○阿部部会長 ほかにいかがでしょうか。
 境田委員、どうぞ。

○境田委員 先ほど、杉崎委員も触れられていた、資料の3ページの上段にございます適用除外規定の件になります。成長戦略にも記載されておりますので、恐らくこれは現行の経過措置規定を65歳以降の労働者にも適用することを念頭に置いて記載をされているのではないかと拝察しておりますけれども、60歳前半と後半では個人の健康状態も大きく異なってくると思いますし、例えば介護など、本人が置かれている状況もかなり変わってくるのではないかと思います。適用除外規定自体を設けることを全く否定するものではないのですが、60代以降を一くくりに行うことが本当にいいのか。個人の健康状態なども十分配慮しながら、柔軟な工夫ができるような制度設計が望ましいのではないかと考えております。
 以上です。

○阿部部会長 ありがとうございました。御意見として承ります。
 ほかにはいかがですか。
 仁平委員、どうぞ。

○仁平委員 私は2ページ目のところ、法律上の努力義務を負う事業主にかかわる話です。特殊関係事業主で継続雇用される場合について記載されていますが、選択肢(d)とのかかわりについて御意見を申し上げたいと思っております。
 前々回の資料にもございましたが、高年齢者の雇用確保措置の実施状況について見ますと、自社以外の継続雇用先がある企業は301人以上の企業で見ると16.3%と、少なくない実態にあると思います。記載されているとおりでございますが、65歳以上の雇用確保措置について、60歳まで雇用した事業主がその義務を負うことについて異論はないわけでございますが、特殊関係事業主で雇用された労働者が65歳になった時点で、60歳まで働いていた企業に再び戻るということについては、心理的な面、環境の変化ということについても、十分配慮する必要があるのではないかと考えております。
 ここに記載のとおりでございますが、60歳時点において事業主間の契約締結の際には、65歳以降の取り扱いについてもあらかじめ確認をしておくと読めるのですが、それで良いでしょうか。論点として示されているので、そのように私は読んだわけでございます。ただ、その際にどのような内容を想定すべきか、そして、先ほど心理的、環境的と申し上げましたが、それが本当に現実的なものとなるように、60歳時点で設定するとすればここについてはよくよく考えていかなくてはいけないのではないかということについて、意見を申し上げたいと思います。
 以上です。

○阿部部会長 ありがとうございます。
 事務局から何かありますか。

○野村高齢者雇用対策課長 その点については、改めてまた次回以降に考え方を示したいと思いますが、私どもとしても当然ワークするものにしなくてはいけないと考えてございますので、さらに詰めていきたいと考えてございます。

○阿部部会長 ほかにいかがでしょうか。
 紺谷委員、どうぞ。

○紺谷委員 ほかの委員と重なる点があるかもしれませんけれども、確認の意味で発言をさせていただきたいと思います。
 資料3の3ページ、下の四角囲みの部分なのですけれども、労使での話し合いの趣旨ですね。「マル1 どの選択肢を用意するかについての話し合い」の2つ目の中ポツの部分です。「どの選択肢を用意するか労使で十分に話し合い」と記述されております。他方、2ページ目、四角囲みの各措置の均衡の1点目の中ポツの部分で、中段以降に「労使双方が納得した制度が導入されることが特に重要であり」と記載されています。要するに(e)から(g)の非雇用の選択肢の部分ですね。これを担保するための仕組みが必要ではないかと記述をされている点について、その関係性についての確認なのですが、(a)から(g)のどの選択肢を用意するかについては労使で十分に話し合いをすれば労使合意までは必要ないけれども、非雇用の(e)から(g)を選択していく場合には、労使合意が必要だという理解でよろしいのでしょうか。

○阿部部会長 では、事務局、お願いいたします。

○野村高齢者雇用対策課長 まず、(e)から(g)のところの仕組みについては、次回以降に示させていただくということで考えてございまして、ここについても話し合いを重視した仕組みが重要ではないかと考えてございます。
 3ページ目の労使で十分に話し合い選択肢を用意することが重要であるというところについては、今も例えば65歳までのところでも、労使で十分に協議してということを指針等で示させていただいております。そういったものを踏まえて制度を考えていくのかなと考えてございます。

○阿部部会長 特によろしいですか。
 紺谷委員、どうぞ。

○紺谷委員 ここは重要なことだと思っていまして、今回の施策自体が企業の人事制度全般にも影響しかねない内容であると承知しておりまして、ここは十分な労使協議を行うような枠組みづくり、これが大変重要であると思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。これは意見です。

○阿部部会長 では、御意見として承ります。
 ほかにいかがですか。
 清家委員、どうぞ。

○清家委員 私から3ページ目以降、まとめて幾つか御意見を申し上げたいと思います。
 3ページの前半部分は、先ほど杉崎委員代理や境田委員からも御指摘がありましたが、私どもとしてもより60代後半になりますと、いろいろな御事情があって多様性も増しますので、労使で協議しながら適用除外ということでしかるべきかと思っております。
 下のマルの労使での話し合いの趣旨の2つ目のポツで複数制度を導入した場合にという話がありまして、4ページ目以降にそれぞれ具体的なイメージが出されておりますが、複数制度の捉え方について御質問をさせていただきたいと思います。
 複数制度といった場合に、例えば幾つかの選択肢が70歳までということで並列して並ぶ、そういう意味での複数という捉え方もあるでしょうし、先ほど杉崎委員代理からもより多様で柔軟な制度設計が大事だという御指摘もありましたが、例えば(d)の選択肢でほかの会社への再就職ということを考えた場合に、その会社が例えば2年とか、3年とか、70歳までにはいかないのだけれども、そのぐらいの期間は雇うことが可能ですといった場合に、残った2年とか、3年とか、その期間は別の選択肢でつなぐといった形、そういう意味での複数の制度の組み合わせというやり方で努力規定を履行していくこともあるのではないかと思われます。それについてはどう理解すればいいのか御教示いただければと思います。
 4ページ目の後半から5ページ目について、(e)から(g)について具体的なイメージを御提示されておりまして、こういった内容であればより企業側として具体的に選択肢として考え得るような方向になるかと思いますので、詳細はまた次回以降に御提示いただければと思います。
 6ページ、履行確保について、私は1回目に努力義務段階とはいえ行政措置を入れるということについて、非常に慎重な検討をお願いしたいということを申し上げました。この中でいきますと、例えばマル1の必要があると認める場合、マル3の計画が著しく不適当であると認めるとき、これは捉え方によっては企業側として努力義務としてやろうとしている中でなかなか厳しいと受けとめられかねませんので、その発動要件についてはしっかりここでも御議論させていただいて、努力義務の意味合いを十分に踏まえたような内容にしていただきたいと思います。
 (3)につきましては、御提案の趣旨は、現行の努力義務としての再就職援助措置と義務規定の多数離職届出の対象者を広げるということで理解しておりますが、それぞれの努力規定なり義務、その部分は変わらないということでよろしいのかという確認をさせていただきたいと思います。
8ページ、(4)です。こちらにつきまして、括弧書きの中には、過去の努力義務規定の中でということで、4~5カ月ということが明示されております。杉崎委員代理からもありましたし、労働側の皆さんからも御指摘がありましたが、今回、努力義務とはいっても企業の労使の中でかなり話し合いをしていかなければいけない部分が出てくると思いますので、事前の周知は相当丁寧にやらないとよろしくないのではないかと思います。ここは十分な準備期間をぜひ設けていただきたいという意見を申し上げます。
 以上です。

○阿部部会長 それでは、御質問もありましたので、事務局からお願いいたします。

○野村高齢者雇用対策課長 御質問、2点あったかと思います。その点についてお答えさせていただいて、その他は意見として受けとめさせていただければと思います。
 1点目の御質問は、選択肢がいろいろある中で複数の制度を活用する人が出てくるケースは想定しているのかといった御趣旨の質問だったかと思います。詳細は今後さらに検討していく必要があると思いますが、それは可能であると考えてございます。
 2点目、これも再就職援助措置のところで御質問がございました。現行、再就職援助措置については努力義務、多数離職届出については義務となってございます。これにつきましては、今回、努力義務の新たな措置を導入する段階でも同様に、再就職援助措置は努力義務、多数離職届出は義務とさせていただければという方向で検討を進めてまいりたいと考えてございます。

○阿部部会長 清家委員、よろしいですか。
 では、ほかにいかがですか。
 吉村委員、どうぞ。

○吉村委員 ありがとうございます。
 まずもって、全体的には冒頭に「人生100年時代」と書いてありますような趣旨は、十分に理解できるものと認識しています。それを前提にどう健全に進めていくかという意味で、意見を幾つかさせていただきたいと思います。
 (a)から(g)までございますけれども、後段になればなるほど、労使ともにある意味対応したことがほとんどない世界でありますので、1つ目は、まず先ほどから皆さんもお話しされているように、現実的にどうできるのかを具体的にイメージされながら、もしよろしければ、それを示していただきながら進めていくことが肝要かと思っております。
 企業側としては、これは努力義務とはいえ、総論から言うと賛成なものだとすると、しっかりとやっていかなければいけないということを鑑みると、(a)や(b)は今でもやっていますし、その年齢を延長するという意味では自社の努力の範囲で十分にできるものかもしれませんが、他社に移管するとか、フリーランスという観点でいきますと、今まで経験したことのない、もしくは相手に委ねなければいけないということになると、相手先の状況や未知の状況もあると思います。努力の範囲、義務の範囲も少し段階に応じて、段階というのは、(a)から(g)の段階ということでもありますし、もしくはその期間ですね。努力の範囲を義務づける時期も段階的にやることだって、一つは考えてもいいのではないでしょうかという意見です。
 これだけは繰り返しお願いしますが、労使で話し合うことは非常に大事だと思いますけれども、どのような内容をどうやって話していくのか、ぜひ具体的なイメージをされながら、労働側、組合側も多分初めての話なので、どう受けとめていいか、どう回答していいかわからないということも立場としては十分理解できると思いますので、リアルにどう進めていいか、具体案みたいな、例みたいなものも示していただきながら話を進めていければいいのではないかと。これも意見です。
 長くなりましたが、以上です。

○阿部部会長 ありがとうございました。
事務局、お願いします。

○野村高齢者雇用対策課長 3点御意見をいただきまして、具体のイメージや現実的なイメージをということで、今後事務局としてもその辺は工夫して資料をつくりたいと思います。
 今回、閣議決定において7つの選択肢の法制化が書かれているというところで、そこを踏まえてどういった制度化をしていくかという観点で、2点目の段階的にという御意見は重々踏まえつつ、閣議決定の趣旨を踏まえて検討を進めていきたいと考えてございます。

○阿部部会長 では、穗岐山委員代理の菱沼様、どうぞ。

○穗岐山委員代理菱沼氏 ありがとうございます。
 きょうは委員が出席できないので、代理ということで発言させていただきます。
 先ほどから各委員の方々から話がありましたけれども、最後のページの(5)の必要な支援ということで、次回、野村課長から具体的なことを出しますということでした。、杉崎代理からもありましたが、事例、セミナーの必要がやはりあると思います。(e)から(g)などは新たに設けられる制度でございますので、こういった事例がありますよということは知らせてあげるのがいいのかなと、そういった部分での助成制度などもあっていいかなということを意見として申し上げます。
 また、私もJEEDのセミナーなどに参加させていただいて、高齢部門でこういった70歳雇用のセミナーなど、既にやっているかとも思いますけれども、そういった部分もありかなと思っておりますので、この後、必要な支援などが出てくるかと思いますけれども、お願いします。
 あわせて、1つ上の必要な準備期間についても、各委員からありましたけれども、新しい制度を導入するということであるので、5カ月と言わず、制度の普及といいますか、周知という部分がありますので、その辺、御検討いただけないかということを意見として申し上げます。
 あとは質問したいのですけれども、よろしいでしょうか。資料3の「2.70歳までの就業機会の確保について」という点線の四角に入っているのですけれども、(c)に継続雇用制度の導入とあると思うのです。ここの中で子会社・関連会社での継続雇用の場合について、65歳以上の継続雇用責任はどこにあるかお伺いできたらと思うのですが。

○阿部部会長 では、事務局、お願いいたします。

○野村高齢者雇用対策課長 お答えいたします。
 次の2ページ目の下の「法律上の努力義務を負う事業主」と書いているところに、どこに法律的責任があるのか整理させていただいております。基本的には65以降をどうするかというのは、60歳まで雇用していた事業主にあるとした上で、個別の雇用関係は65歳のところで勤められている特殊関係事業主であれば特殊関係事業主と労働者の方、あるいは他社に行かれた場合には他社と労働者の方、そういう整理になるのかと考えてございます。

○穗岐山委員代理菱沼氏 この担保の方法といいますか、親会社、子会社で協定などを締結することを想定されているかと思うのですけれども、一般的に親会社と子会社の関連会社の力関係などを考えますと、親会社が優位な状況にあるということはあると思います。特に親会社と下請中小企業等においてはこの点がより顕著であることですから、雇用主は子会社等にあるにしても、この際、親会社の責任と担保措置をより明確にすることが必要かということを意見として申し上げます。

○阿部部会長 ありがとうございました。
 それでは、ほかにいかがでしょうか。
 小林委員、どうぞ。

○小林委員 資料3の基本的な考え方についてです。適用事業所の考え方について1点御意見を申し上げたいと思います。
 使側の委員の方からも意見が出ていましたが、資料1の2枚目のところにありますように、中小企業については業務の幅も限られているので、適用除外も認めるべきではないかという意見が前回も出されていたと思います。この点については、私どもの組織であるJAMには約2,000の組合が加盟していて、その8割以上が中小企業の労働組合ですので、状況についてもよく把握しているところですが、私どもに加盟している組織でも、72歳の工場長がいたり、60歳以上の労働者の雇用継続にかなり努力をされている中小企業さんも多い状況です。
 今日の資料にはありませんが、「高年齢者の雇用状況」集計結果という資料が以前の部会であったと思います。その中でも、希望者全員が66歳以上働ける企業の状況というところで、300人以下の企業のほうが301人以上の企業より多いという結果も出ておりまして、中小企業の方もかなり努力されているという状況もあります。
 この背景には人手不足、製造業におきましては技能・技術の伝承というような別の側面もあって高齢者の方を雇っている現状もあるのですが、60歳以上の方も雇っているという現状を考えれば、この点について企業規模によって就業機会の不均衡を認めることはあってはならないと思っておりますし、全ての企業に対して同じような措置を講じることが必要ではないかと考えておりますので、ぜひともこの辺を御意見として述べさせていただきたいと思います。
 以上です。

○阿部部会長 ありがとうございます。
 それでは、事務局、お願いします。

○野村高齢者雇用対策課長 説明が足りなかった部分があるかと思いますが、これまで高年法では、企業規模によって適用を変えたりということはしておりません。今回もそういった考え方で努力義務を広くかけていこうと思っております。
 その上で申し上げれば、先ほどの制度対象者をどうするかというところについては、個々の企業において明確な基準を設けて制度の対象となる高齢者の方を適用する、適用しない、そういった文脈で御発言があったと理解しておりまして、その点については、次回以降により詳しく考え方を示させていただきたいと考えてございます。

○阿部部会長 では、ほかにいかがですか。
 酒井委員、どうぞ。

○酒井委員 私からはやや漠然とした意見で恐縮なのですけれども、前々回くらいから議論をしておりまして、(e)から(g)、特に(e)ですね。フリーランスといったことについては多くの懸念が出ているかと思います。その懸念については、雇用契約関係を外れることで生じる問題が多いかと思いますので、そのとおりと思いますし、丁寧な対応が必要だと考えております。
 ただ、フリーランスということに関しては、全くポジティブな側面がないわけではないとも感じております。現実には関連会社であれ、60歳まで働いていた会社にそれ以降もとどまることが多いということを考えると、それまでついていた役職などをおりて60代の10年間を働き続けるというのは、期間としては長いという印象を持っています。そういう間には、場合によってはかつての部下のもとで働くということもあると思いますけれども、そういったことは雇用管理される側としても雇用管理する側としても大変なのではないかと思います。
 かといって、なれない職場の仕事につくのも大変ということで、そういうときに業務委託という形、フリーランスという形で働ける、かつての職場から仕事を受けて働けるということは、今まで持っているスキルを使ってかつての職場にも貢献できるという意味で、労使双方にとって非常にいい関係になり得る側面もあるかと思っています。あるいは、業務委託であるがゆえに、フリーランスであるがゆえに、他の仕事をとりやすい、さらにキャリアを展開しやすいということも考えられるかと思いまして、もちろんネガティブな側面も認めるところなのですけれども、ポジティブな側面もあるのではないかと考えました。
 ここから最後だけ私からの要望なのですけれども、先ほどからもいろいろと出ていますけれども、フリーランスに関してもいろいろとイメージが湧かないというか、それぞれの方でイメージが異なっているという印象を持っておりますので、可能ならばこのような高齢者のフリーランスとして働くような事例についても何かお示しいただくというか、個人的には今でもそのような業務委託で働いている方はいるかと思いますので、そういった事例を知りたいと思いました。
 以上です。

○阿部部会長 では、事務局、何かあればお願いします。

○野村高齢者雇用対策課長 最後の点については、事務局としてどのようなものがお示しできるのか検討して、また次回以降出していきたいと思います。
 以上です。

○阿部部会長 その他、いかがでしょうか。
 杉崎さん、どうぞ。

○志賀委員代理杉崎氏 ありがとうございます。
 先ほど、ご発言のあった適用除外規定に関連しまして、中小企業は確かに高齢者雇用が進んでいる面もあると思います。ただし、今回の措置については、第1段階の法制では努力義務、そして、その先、第2段階の法制で義務化を見据えているという話でございます。一方で、冒頭に申し上げましたような高齢者の方々については、健康面、働く意欲の面で個人差があるといった課題もございますので、こうした事情に照らして考えていくことが必要なのではないかと考えております。
 以上です。

○阿部部会長 ありがとうございます。御意見として承ります。
 ほかにいかがですか。
 小野委員、どうぞ。

○小野委員 漠然とした意見で申しわけないのですけれども、この高齢者の雇用の就業機会についての議論が始まってから、確保措置についての(e)(f)(g)というものが、私は非常に前向きに新しい取り組みとして評価されるものだとは思っております。ただ、これは本当に労働者のほうも企業のほうも、もともとあまりなじみがないといいますか、自分のキャリアの中でもそれが今後入ってくるかどうかは労働者の方も想定されていない方が非常に多いだろうし、企業側もそれを入れるといったときに、どのように入れたらいいのか非常に戸惑われると思うのです。そういった中で、ずっとお話がありましたように、十分な準備期間を持つことが必要だということが、まず1点目です。
 そして、どういうイメージを持ってもらうかということがとても重要だと思っております。これは(a)(b)(c)(d)にあるようないわゆる雇用というものと違う選択肢ですので、決して雇用から逃げる選択肢といいますか、雇用ではないものでもいいよというものではなくて、ネガティブな選択肢として(e)(f)(g)を出しているわけではなくて、あくまでもその人のキャリアを広げるため、労働者の新しい選択肢を広げるためとしてこういう選択肢を出しているのだということを、国としては強くアピールしていくことが必要になっていくのではないかと思います。
 この(e)(f)(g)に関しては最初の一歩なのでとても重要だと私は思っていて、ここで何か間違った方向で示してしまうと、そのイメージがついてしまうということがあると思うのです。ですので、メッセージがきちんと伝わること、そして、イメージを狭めないことですね。社会貢献はこういうイメージなのだというすごく小さなイメージにとどまってしまうようなものではなくて、もっと広げられるようなイメージの枠組みを提示していけたらいいのではないかと思っております。
 以上です。

○阿部部会長 では、御意見として承りたいと思います。
 ほかにいかがですか。よろしいですか。
 それでは、本日も各委員にさまざまな観点から貴重な御意見をいただきましたので、事務局は本日の御意見を整理していただきまして、次回以降、それぞれの検討課題についてさらに議論を深められますように資料等を準備していただければと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 それでは、もう一つの「中途採用に関する情報公表について」、事務局より資料の説明をお願いいたします。

○弓雇用政策課長 雇用政策課長の弓でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私から「中途採用に関する情報公表について」の御説明を申し上げます。資料4をお開きください。
 前回の89回につきましては、高齢者雇用に関する御審議をいただきました。中途採用に関しましては、第88回の9月27日にいただいた御意見を整理させていただいております。
 まず、視点・留意点でございますが、個々の大企業に対し、情報公表を求めることについて、その目的・趣旨がしっくりこない部分がある、もう少しわかりやすく理解できるような説明をお願いしたいといった御意見。
 同様の御意見が続きますが、中途採用比率を公表することにどのような意味があるのか、もう少し整理していただく必要があるといった御意見。
 3点目、能動的に情報公表することによって、マッチングが促進されるのか、イメージしづらいといった御意見。
 次からは長期雇用、高齢者雇用との関係についての御意見ですが、長期的な安定雇用という考え方と中途採用を促進するということにそごはないのかといった御意見、また、高齢者雇用の確保と中途採用の促進について、政策の整合性が重要であるといった御意見をいただいております。
 また、検討課題につきましては、企業の実情を踏まえた対応可能な方向で議論を進めてほしいといった御意見、また、中途採用比率の数字の読み方によりまして、誤解を招くリスクがあるといったことにも十分に留意した上で、議論をお願いしたいといった御意見。
 1ページ、一番下になりますけれども、中途採用者の活躍・処遇・キャリアパス・人材育成等の情報、こうした項目についても公表を検討したほうがよいといった御意見。
 次のページ、就職氷河期世代や中高年齢者の採用実績、入社した後のキャリアパスなどといった情報もあわせて公表できる仕組みにしていただきたいといった御意見。
 最後の御意見は、中小企業から大企業に人が流れているといった状況におきまして、中小企業において円滑な中途採用ができるように、ハローワーク等を中心に一層支援をいただきたいといった御意見をいただいたところでございます。
 次に、資料5について御紹介させていただきます。「中途採用の情報公表に関する意識調査結果」という資料になっております。中途採用に関する簡単なアンケート調査を実施させていただいておりますので、そちらの結果について御紹介をさせていただきます。
 図表1、求職活動を行うに当たり、企業が公表している中途採用に関する情報が不足していて、困ったことがありますかという質問に対しまして、選択肢としましては4つ「とても当てはまる」「当てはまる」「少しは当てはまる」「全く当てはまらない」というものを準備させていただき、「とても当てはまる」と「当てはまる」の部分については赤枠で強調させていただいています。
 まず、上の転職希望者で求職活動中の方につきましては「とても当てはまる」「当てはまる」を合わせますと60%を超える方がそのような回答をしていらっしゃいます。
 下の転職経験者の方につきましては、約5割の方がそういった回答をしているといった状況でございます。
 図表2、転職活動を円滑に進めるに当たって、中途採用の実績について、どのような情報を企業に開示してほしいですかといった御質問をいたしました。選択肢につきましては、中途採用の実績に関する選択肢を設けておりまして、例えば一番左は「正規雇用の中途採用実績」、また、その次は「役職者に占める中途採用者の割合」などでございます。一番右側に「特になし」という項目を設けています。オレンジが転職経験者、水色が転職希望者で求職活動中の方、紫は転職希望者で転職活動はしていらっしゃらない方になっています。これを見ますと、一番左側「正規雇用の中途採用実績」に対する希望が一番高い割合となっております。
 図表3、同様の選択肢を設けまして、実際に求職活動中に得られた情報を選択していただくといった形としています。一番右側の「特になし」が一番高い割合となっております。
 図表4、今度は選択肢としまして、中途採用の処遇などについて、どのような情報を企業に開示してほしいですかという御質問をしています。一番左が「中途採用者のキャリアコースに関する情報」、左から2番目が「中途採用者の処遇に関する情報」、その次が「中途採用後の人材育成に関する情報」などといった選択肢でございます。一番右側が「特になし」となっています。左から2番目の「中途採用者の処遇に関する情報」の開示を希望する方が最も多くなっておりますが、他の項目についても一定の割合の希望が見られるところかと思います。
 図表5、こちらも同じ処遇などに関する同様の選択肢を設けまして、得られた情報について選択していただく形にしています。一番右側の「特になし」が一番多いといった状況でございます。
 非常に簡単な調査でございますが、資料5についての御説明は以上でございます。
 続きまして、資料6をお開きください。「中途採用に関する情報公表に係る主な検討課題」というペーパーを準備しております。
 前回の御議論の際にも、視点・留意点などについてもお示しさせていただいたところでございますが、御意見を踏まえまして、加筆または修正をさせていただいています。
 最初に、人生100年時代において、職業人生の長期化が見込まれる中、働く意欲がある労働者が、その能力や培った技能を十分に発揮できるようにすることで、労働者の職業生活の全期間を通じた職業の安定を実現していくことが重要であると。そのため、中途採用に関する環境整備によりまして、労働者が希望する職業、良質な雇用に円滑に就職できるように支援することによりまして、労働者の主体的なキャリア形成を通じた職業生活のさらなる充実、また、再チャレンジが可能となる社会の実現が求められているのではないかといったこと。
 2つ目に、我が国が持続的な経済成長を実現していくためには、AIなどの第4次産業革命によるイノベーションを企業活動に取り込んでいく必要があるといったこと。こうした技術革新に対応するためには、内部労働市場のみによって必要な人材を確保することは難しく、また、中途採用を通じまして、外部労働市場から高度な技術や専門性、豊かな経験を有する人材を確保するニーズも高まっているのではないかといったこと。
 3つ目に、中途採用に関する環境整備としましては、職場情報の見える化ですとか、中途採用を希望する労働者の方と企業とのマッチング支援などを推進しているところではございます。2段落目ですが、今般の正規雇用の中途採用に係る情報の公表は、職場情報をさらに見える化し、中途採用を希望する労働者と企業のマッチングの促進、さらには、早期離職の防止にも有効ではないかと整理させていただいています。
 最後に、前回の御審議の際に長期雇用、また、高齢者雇用との関係についての御意見をいただきました。非常に簡単な形ではございますけれども、整理をさせていただいています。
 「なお」としまして、我が国の大企業を中心とした長期雇用慣行につきましては、労使合意のもとで形成されておりますし、必要な見直しが行われてきたものでございます。こうした優れた点を大切にしながら、労働施策を進めていく必要があると。
 他方、長期にわたりまして希望する就職を実現できなかった方、また、能力・技能をより生かすことができる職業に円滑に就職し、職業生活のさらなる充実を図ることを望む方、こういった方のキャリア形成ができるように支援していくことは重要であると。そうしたことを考えますと、中途採用の促進と高齢者の雇用・就業機会の確保などにつきましては、労働施策として整合性があるものと考えられるのではないかとしております。
 次のページ、検討課題でございます。議論を行っていただく材料として記載させていただいております。今後、企業に中途採用に関する情報公表を求めていくに当たっては、例えば、以下のような点についてどう考えるかということで「1.情報公表を求める対象企業について」は、情報公表を求める対象企業は、中小企業の中途採用が既に活発であることを踏まえ、常時雇用する労働者の数が300人を超える大企業にのみ義務を課すことが適当ではないか。
 「2.公表する情報の内容について」ですが、この内容につきましては、4点ほど記載しています点を踏まえて御議論いただく必要があるのではないかという形で、整理しています。
 最初に、全ての求職者にとって利用が可能であり、正規雇用につくために有用なものであることが求められるのではないか。また、企業負担が過大にならないよう配慮する必要があるのではないか。
 2つ目に、求職者等が、そのニーズに応じて複数の企業を比較し、就職を希望する企業について検討を行うことを可能とするよう、統一的かつ定量的なものであることが適当ではないか。
 3つ目に、企業における中途採用実績について、中途採用に関する企業の積極性の変化があらわれやすく、経年的にその変化を把握できるようなものにする必要があるのではないか。
 最後に、求職者が中途採用に関する企業の積極性を把握可能とするためには、企業における労働者の採用規模による影響を除いたもので公表されることが有用ではないか。
 「3.情報の公表方法、必要な準備期間、支援等について」でございます。
 最初に、情報の公表方法については、インターネットの利用その他の方法により、求職者等が容易に閲覧できるように公表することが適当ではないか。
 一番下に、法的義務の施行に当たっては、情報公表を求める規定が盛り込まれている他の制度の施行時期、企業の実務を踏まえ、適切な準備期間を設けることが適当ではないか。
 3ページですが、まず、求職者等にとって、正規雇用による中途採用実績の高い企業につきましては、自身が正規雇用として採用される可能性が高いと期待できる企業でありますが、中途採用実績は、その多寡をもって職場のよしあしが判断されるべきものではなく、さらには、いわゆるブラック企業の可能性への留意も必要ではないか。
 次に、今般の改正において法的義務を求める項目以外にも自主的な公表が進むよう、中高年齢者、就職氷河期の中途採用比率等といった定量的な情報、中途採用に関する企業の考え方、中途採用後のキャリアパス・人材育成・処遇等といった定性的な情報の公表を支援することが適当ではないか。
 最後に、中小企業についても、大企業に法的義務を求める項目とあわせて他の情報の公表が自主的に進むよう、支援を行うことが適当ではないかといった形でまとめさせていただいております。
 私からの説明は以上です。

○阿部部会長 ありがとうございました。
 それでは、本件につきまして、御質問、御意見があれば御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 清家委員、どうぞ。

○清家委員 なかなか厳しい御提案というのが率直な感想でありまして、前回も申し上げましたけれども、視点・留意点、いろいろ書いていただいております。これでもって検討課題の一つ目にあります大企業に法律上の義務がかかってくるということに、はい、そうですかと、御理解いただけるのかというのは非常に疑問を感じるところではあります。
 さはさりながら、では、どうするのかという点について、今般2つ目なり3つ目なり、具体的な内容を御提示いただいており、まず2つ目でいきますと、内容について4点ほど項目が提示されております。最初の項目の後半に、企業負担が過大にならない配慮、これは当然そうしていただきたいということであります。その後3つほど統一的かつ定量的など、いろいろな視点を提示いただいています。こういうものを考えるとどのようなものが出せるのですかということになってきて、調査結果等もいろいろ出ていますけれども、企業としてどこまで対応し切れるのかと考えますと、例えば、ある一定期間、1年間で採用している方の中の中途採用している方がどれぐらいなのかとか、そういうものであれば何とかお示しすることもできなくはないかとも思います。そのあたりは、ここにまさに書いていただいている視点を踏まえて、引き続き慎重に御議論をいただきたいというのが正直なところです。
 3つ目に公表方法や準備期間などいろいろ書いてあります。2ページ目の後半の公表方法、準備期間で適当ではないかという形で置いていただいている事項について、進めるのであればこういう方向かと思います。
 3ページ目については、義務がかからない項目以外の取り扱いについても整理をいただいていますが、それにつきましては各企業でいろいろなお考えもあるかと思います。まさにここに書かれていますように自主的な公表を支援していく方向感で進めていただくことかとは思います。が、冒頭に申し上げましたように、正直に言って法的義務がかかるということに関しては非常に厳しいという認識を持っているという点、まず意見として申し上げたいと思います。
 以上です。

○阿部部会長 ありがとうございました。御意見として承りたいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。
 吉村委員、どうぞ。

○吉村委員 ありがとうございます。
 質問なのですけれども、先ほどの資料5の図表2にありました、私としては意外というか、新たな気づきをいただきましたが、いろいろな定量的な情報で何が欲しいかというときに、今回のターゲットとなっている中途採用実績を知りたいということはよくわかりました。何でこういう要望があるのか、もしくはこのアンケートの中で定量的な数字だけではなくて何か定性的なコメントもあるのだったら、これから私たちもそういうことを考えるに当たっては有益な情報だと思ったので、あるのだったら教えていただきたいというのが質問です。
 全体的な意見は資料6に基づきますけれども、対象の企業について、大企業(301人以上)と御提案いただいていますが、もともと中小企業は活発にやっているということと公表するということは、必ずしも一致しないのではないかと。働きたい人たちが大企業、中小企業、どこで働きたいということで照会するときに、中小企業は活発でも、その中小企業に行きたいときにその情報が公開されていないと整合がつかないということなので、企業の大小に余りかかわらないのではないか。もともとの考え方からすると、そういうものではないかというのが意見です。
 もう一つは、公表の内容について、また、インターネット等でのというくだりなのですけれども、先ほどの1番目の議論でお話ししたことと同じことなのですが、具体的にどのページを使って、どのように活用したら、どのような人にどのような効果があるのか。例えば厚労省さんのホームページを見に行くのか。あとは、民でもジョブマッチングの企業がたくさんあって、それらとの比較の中でこういう公表がどこでどのように使われるのか。これをもしやるのであれば、その効果を最大限にするためには、具体的なイメージを持って現状と照らし合わせ、最適な公表方法を考える必要があるのではないかと思います。
 最後に、これはもともと公表することが目的ではないということは釈迦に説法ではありますけれども、そうすると、それが今は足りないという課題認識だとすると、公表以外にジョブマッチングなりを促進するような手だては、ほかに改善する余地はないのか。これはセットで進めていくことが肝要かと思います。全て意見です。

○阿部部会長 ありがとうございました。
 それでは、御質問もありましたので、事務局、お願いいたします。

○弓雇用政策課長 まず、資料5の関係でございます。こちらにつきましては非常に簡単なアンケート調査という形で実施しておりまして、定性的な情報については収集しておりませんで、この背景についてまで探ることができないというのは、申しわけない状況ではございます。
 また、企業規模について御意見という形でいただいたところではございますけれども、こういった御検討の材料として大企業についてと書かせていただいているのは、そもそも中小企業については委員に既に御理解いただいているとおり、中途採用については活発な状況ということでございます。そういった中、大企業においても、例えば一部においては積極的な中途採用を実施していただいている大企業も多い部分もあるのですけれども、平均として見れば相対的には中小企業よりもその水準については低いような状況になっております。
 中途採用を行っているといった状況について、求職者の方々、ここで申し上げている求職者の方というのは、まさに積極的に求職活動を行っている方ももちろんのことではございますけれども、その一歩手前の方も含めてそういった情報が届きやすいような環境をつくり出すことが必要ではないかということで考えているところでございます。そういった情報を提供する場合について、中途採用について特に積極的に行っているところについては、求職者の方は中小企業については中途採用を行っているという前提での求職活動が一定程度可能ではないか、そういった中で法的な義務づけをかけることについては慎重な検討が必要だと考えておりまして、大企業についてという形での整理をさせていただいているといったところが第1点目です。
 また、先ほど申し上げたときに、途中でインターネットでの公表の話をまぜて申し上げてしまいましたけれども、インターネットでの公表のところについては、求職活動を行っている方に限らず、例えば企業のホームページなどで公表していただくことによりまして、その企業のホームページを訪問された方についてもそういった情報を得ることができるという形で、必ずしも職業紹介機関に対して求職の申し込みなどをしなくてもそういった情報を得ることができる環境を想定して、このペーパーについては作成させていただいているところでございます。

○阿部部会長 吉村委員、どうぞ。

○吉村委員 ありがとうございます。
 まず、積極・非積極というところについては、わかったようでわからないのですけれども、もちろん中小企業だとかけるコストや労力もありますので、そういう観点では一定の理解はできますけれども、求職者が求めるものというのは、どこで働きたいというのは別に大企業だけが働きたい対象ではないと思うので、積極的に開示していない中小企業だってあって、それが求職者にとってわからないというのであれば、もともとの大きな考え方からすると合わないのではないかというのが重ねての意見です。
 ホームページ等についても、先ほど申し上げましたが、どういう効果をもたらすのか、ぜひ具体的なイメージなども御検討いただきながら進めていただきたいと思います。
 重ねて失礼しました。

○阿部部会長 では、手が挙がりました志賀委員代理の杉崎様、どうぞ。

○志賀委員代理杉崎氏 ありがとうございます。
 情報公表の件について、中小企業の観点から意見を申し上げますと、説明にもございましたとおり、そもそも中小企業の中途採用比率は、政府が出した資料でもたしか76%というデータがあったかと思います。そもそも中小企業は中途採用比率が高いということが事実としてございます。
 また、先ほど70歳までの就業機会の確保の議論の際にも申し上げましたとおり、人手不足が深刻化している中で、多くの中小企業が時間外労働の上限規制、同一労働・同一賃金、また、情報公表という意味では改正女活法、パワハラ防止法、大幅な引き上げが続いている最低賃金への対応、また、議論されております70歳までの就業機会の確保など、現場負担が非常に高まっているという声が商工会議所に多く寄せられております。今回の中途採用に係る情報公表についても、そうした中小企業の実態を十分に考慮していくことが不可欠であると認識しております。
 以上です。

○阿部部会長 ありがとうございました。では、御意見として承っておきます。
 ほかにいかがでしょうか。
 玄田委員、どうぞ。

○玄田委員 いろいろ御意見はあろうかと思いますが、私は前回の議論を踏まえて、おおむね検討の方向性としてはこういう方向なのではないかという印象を感じました。
 その上で、前回に御質問ないし意見を申し上げたのは、雇用行政は根幹的には長期的な安定雇用の実現ということが恐らく非常に重要なのだろうと。それと今回の中途採用の促進とどのように整合性を確保するかという点について、ぜひ整理いただきたいという御意見を申し上げたところでございます。
 私のきょうのお話で理解した限りでは、恐らく今回情報公表の意味としては、つまり、長期的な安定雇用の機会が中途採用者にもどのぐらい確保されているのかをもう少し見える形にしていこうという方向性の御提案なのではないかと理解しております。
 先ほど、企業規模のお話もありましたけれども、長期的な安定雇用の機会というのが、日本の大企業では比較的新卒者に非常にチャンスが多く与えられているというのは周知の事実なのだろうと思っております。それがだんだん平成という時代の中で変化があったり、これから資料6の前段に書いてあるようないろいろな環境変化の中で、果たして新卒採用に重点的に長期雇用の機会が確保されることを目指している企業なのか、もっと別の形で、場合によっては中途採用者にも長期的な安定雇用の機会を提供することによってより一層の発展を目指している企業なのかをもっとはっきりと見える形にすることが、いろいろな形で状況が改善するのではないかということでこういう情報公表をしていこうという整理であれば、比較的これまでの長期的な安定雇用の議論とも整合性が成り立つのではないかと思うわけであります。
 特に諸外国などでもしばしば批判される、日本は中途採用市場の整備がおくれているのではないかということがございます。私自身はその批判が当たっているかどうかは大きく考えるところはあると思いますが、その批判に対しては、特に情報整備が必要だという対応もあろうかと思います。そのときに、中途採用者が実際に中途採用された後にどのような処遇になっていて、特に長期的な安定雇用が確保されているかという指標は、既存の統計を見るとわかるようで意外とわからないという面もあろうかと思っています。
 そして、先ほど企業にとってのメリットというお話がありましたけれども、我が社は中途採用者でも長期安定雇用の一つの重要な方として処遇しているのだというメッセージを出すことによって、それにかなっている人たちがその企業に対して関心を持っていただくとするならば、そのミスマッチを抑制していくための重要な一つの情報提供の柱になり得る。そういう観点から今回の情報提供をやっていくのだという整理を追記していただくことが、比較的これからの状況改善にもつながるし、今回の改善を目指した検討の趣旨にも合致すると思います。そう考えるとおのずと考えられる指標はある程度固まってくるのかなという気もいたしますし、ぜひ具体的な御提案をよろしくお願いしたいと思います。
 以上、意見でございます。

○阿部部会長 ありがとうございました。では、御意見として承りたいと思います。
 その他、いかがでしょう。特段、よろしいですか。
 特にないようでしたら、この議題については以上とさせていただきたいと思います。
 本日も委員から御意見を賜りましたので、事務局は整理していただいて、また次回以降、それぞれの検討課題についてさらに意見が深められるように、資料を準備していただければと思います。
 それでは、議題(2)「その他」となっておりますが、何か事務局からございますでしょうか。

○弓雇用政策課長 その他の議題は特にございません。

○阿部部会長 委員の皆様で何か御発言はございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、最後に事務局から次回の日程についてお願いいたします。

○弓雇用政策課長 次回の日程につきましては、部会長とも相談しまして、また個別に委員の皆様に御連絡をさせていただければと思います。

○阿部部会長 それでは、予定されている議題は以上で終了いたしましたので、本日の部会はこれで終了とさせていただきます。
 本日の会議に関する議事録については、労働政策審議会運営規程第6条により、部会長のほか、お二人の委員に署名をいただくことになっております。
 つきましては、労働者代表の小林委員、使用者代表の吉村委員にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日も活発な御議論をいただきまして、まことにありがとうございました。