2019年度第2回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会議事録

厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室/環境改善室

日時

令和元年12月16日(月)13:30~15:32

場所

中央合同庁舎第5号館3階 共用第6会議室

議題

  1. マンガン及びその化合物並びに溶接ヒュームに係る健康障害防止措置の検討について
  2. その他

議事

 
○米倉環境改善室長補佐 本日は大変お忙しい中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、2019年度第2回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会を開催いたします。
まず、委員の出席状況でございますけれども、本日は上野委員、小西委員から欠席との御連絡をいただいております。また、本日は特別参集者として圓藤委員、櫻井委員、清水委員、小嶋委員に出席いただいております。保利委員と櫻井委員がちょっと遅れているようです。また議題1のマンガン及びその化合物並びに容積ヒュームに係る健康障害防止措置の検討についてに関連しまして、溶接ヒュームに含まれるマンガンのばく露実態調査を担当した中央労働災害防止協会から労働衛生調査分析センター副所長、山室様、課長補佐の島田様に御出席いただいております。
それでは、座長の小野先生に以下の議事進行をお願いいたします。
○小野座長 小野でございます。本日もよろしくお願いいたします。
では、まず資料の確認に入ります。事務局から資料確認をお願いいたします。
○米倉環境改善室長補佐 配付資料の確認をさせていただきます。厚生労働省では、審議会等のペーパーレス化の取組を推進しており、本日の検討会もペーパーレスで実施させていただきます。お手元にはタブレットを配付しております。使用方法につきましては操作説明書を机上に配付しております。御不明な点がございましたら近くにいる職員にお声がけください。
それでは、資料のほうでございますけれども、議事次第。資料1 「マンガン及びその化合物」の管理濃度について。資料2 骨子案マル1 マンガン及びその化合物への対策の基本的考え方。資料2-1 マンガン及びその化合物(塩基性マンガンを含む)による健康影響等に関する文献等について。資料3 骨子案マル2 溶接ヒュームばく露防止措置等について。資料3-1 金属アーク溶接における溶接ヒュームに係るばく露低減対策に関する文献等について。資料3-2 呼吸用保護具の指定防護係数に関する文献等について。資料3-3 個人サンプリングによる測定の方法に関する文献等について。資料4 骨子案マル3 マンガン及びその化合物の管理濃度等について。資料4-1 マンガン及びその化合物のばく露限界値に関する測定対象の粒径に関する文献等について。資料4-2 マンガンのばく露限界値に関するACGIHとECの提案理由の比較について。資料4-3 フェロマンガン合金製造等における空気中マンガンの粒径分布に関する文献等について。資料5 がん原性指針対象物質等の検討について。参考1 化学物質による労働者の健康障害防止措置に関する検討会開催要綱・名簿でございます。
資料に不足がございましたらタブレットを交換させていただきますので、お申しつけください。よろしいでしょうか。
○小野座長 皆様、資料おそろいのようですので、本日の議題に入ります。
本日の議題は、1番目としまして、議事次第にございますように、マンガン及びその化合物並びに溶接ヒュームに係る健康障害防止措置の検討について。2番、その他となっておりますが、事務局より、2、その他について先に検討いただきたいと話を聞いております。順番が前後いたしますが、2、その他より検討させていただきたいと思います。
事務局、説明をお願いいたします。
○阿部中央労働衛生専門官 すみません。化学物質対策課の阿部です。
マンガン関係の議論とは直接関係しないのですが、手短かに1点だけお願いしたいものがございます。資料5として、「がん原性指針対象物質等の検討について」というものを御用意しておりますので、そちらを開いていただければと思います。
こちら、「がん原性指針対象物質等の検討について」につきましては、本年度第1回の検討会で、アクリル酸メチル、アクロレイン、メタクリル酸2、3-エポキシプロピル、この三つについて作業環境測定の方法と保護具について御検討をいただいておりました。その後、告示の改定等の手続も進めておりまして、12月9日までパブリックコメントを実施していたのですけれども、その中で、メタクリル酸2、3-エポキシプロピルについてご指摘をいただいております。実はもともと第1回の検討会の資料でお示ししていた中では、ACGIHと産衛学会、それぞれ濃度設定なしとさせていただいていたんですけれども、産衛学会さんが、直近2019年に0.01 ppmという値を勧告しているという点について御指摘いただいたものです。がん原性指針においては、いわゆる管理濃度という法定の濃度とは違いますけれども、ACGIH、産衛学会の濃度設定があるものについては、そちらを参考に測定結果の評価をしていただくという取り扱いをさせていただいておりますので、メタクリル酸2、3-エポキシプロピルについては、産衛学会の0.01 ppmという値を参考値として示すことについて訂正させていただければと考えております。
また、この0.01 ppmを基準として測定結果の評価を行う際には、その10分の1ということで0.001 ppmの精度での測定が必要になりますけれども、前回お示ししていた作業環境測定方法では、定量下限値は10分間の捕集を前提に0.0069 ppmという値を示しておりました。このまま捕集時間を変えずに定量下限値を引き下げるというのは、すぐに対応するのは困難なのですけれども、140分間まで捕集時間を延ばすことで十分な精度が達成できるということですので、一旦、通知で示す作業環境測定の方法の見直しまではせず、当該140分間捕集というところを一筆加えた形にすることで、がん原性指針に基づく作業環境測定の実施及びその評価の考え方というものをお示ししたいと考えているところでございます。
資料5の1ページ目にお示ししました赤字の部分、こちらが修正として追加をさせていただきたいと考えている箇所になります。
その他、こちらは御報告ベースなのですけれども、第1回の検討の際に、保護具の検討をしていた中で、蒸気対策として保護眼鏡はどうなんだという話が幾つか話題になったところがございました。前回の検討会で御指摘いただきましたのが、JIS規格上の保護眼鏡を念頭に、蒸気対策として不適切であるというような書き方をしておったのですけれども、この点、不適切と言うのが妥当なのかということで確認のため持ち帰らせていただいたところでございます。確認しましたところ、やはりJIS規格上、ガス、蒸気というのが保護眼鏡による保護の対象に明示的には含まれていませんでした。複数の保護具メーカーさんにも確認したのですけれども、JIS規格準拠として市販されている保護眼鏡で、もちろんガス、蒸気対策を考えられている製品もないわけではないんだと思うんですが、JIS規格に準拠しているからといって蒸気対策まで大丈夫だとは言えないということで確認をとっております。ただ、この使用すべき保護具について、通知に記載するに当たっては、今回の資料の中で案をお示ししておりますけれども、結論として『全面形面体の呼吸用保護具を選定する』というところを中心に記載する形で対応させていただければと考えているところでございます。
以上です。
○小野座長 はい。ありがとうございます。
ただいま事務局より説明がありました、がん原性指針対象物質等の検討について、御質問、御意見がございましたらお願いいたします。いかがでしょう。よろしいでしょうか。
中明委員、お願いいたします。
○中明委員 多分これ以外、メタクリル酸以外のものにも言えるのだろうと思うのだけれども、要する捕集法で140分間とるというのはいいんですかという、濃度を出すにはそれぐらい必要なのだろうけど、現場で140分間連続してとれるという、こういう状況があるのかというのはちょっと疑問なのですね。そうかといって、時間を短くしていいのかというのもあるのだけど、こういうふうに何となく140分間やれよというようなことを言われると、測る方も躊躇するのじゃないかなという気がしないでもないのだけど、そこら辺何かいかがですか。
○阿部中央労働衛生専門官 一旦、今回はこういう形でお示しつつ、引き続きその精度を上げることの検討をさせていただくという形で対応させていただいた上で、追って更新させていただくような形はあり得るかなと思っております。
○小野座長 そうですね。測定についてですけれども、私、この検討のところの委員会に参加しておりますけれども、もし低い濃度まで測れるのでしたら、その数字をこの表に既に出しているはずなのですけれども、ここにないということは、違った方法を採用する形になると思いますので、近々に対応ということは難しいかと思います。あとは、個人サンプラーを使う方法ですね。そちらをこういう今、直近ではいわゆる作業環境測定では難しいものに、個人サンプラーの方法を使うことを含めて、ちょっと測定法の方は検討はしてもらう方向になると思います。個人サンプラーを急遽こういうところでできるのかどうかというところだけ、これが出るときまでに何らかのコメントをつけていただけるとありがたいと思います。
○阿部中央労働衛生専門官 御指摘の点につきましては、そもそもがん原性指針の作業環境測定のところの書き方として個人サンプラーというものを選択肢として入れるかどうかという話に多分なってきますので、指針そのものの再検討が必要になるのかなと思っております。一方で、もともと、がん原性指針の中では、許容濃度とかの設定が何もない物質について状態を想定して書いている部分もありまして、要は指標が無いからと言って測定も何もやらないままにしておくのかという観点から、一旦測定可能な方法ができた段階で、あくまで参考例としてですけれども、その範囲で作業環境測定の実施を講ずるべき措置の一つとしてお示ししています。今おっしゃっていただいた個人サンプラーにつきましては、すみません、繰り返しになりますけれども、指針そのものの中に個人サンプラーによる測定というものを想定して書いていないところがございますので、改めてがん原性指針の対象物質について測定をどうするのかという御議論をしていただいた上で、措置の中に個人サンプラーによる測定を含めるということを別途御検討いただく必要があるのかなとは思います。
○小野座長 では、今回についてはこの書きぶりでということになりますでしょうかね。若干のコメントはつくかもしれませんけれども。
○阿部中央労働衛生専門官 メタクリル酸2,3-エポキシプロピルの作業環境測定方法に係る当座の通知での書きぶりについては、先ほど申し上げたとおり、すみませんが、一旦こういった形でお示しさせていただきつつ、追々捕集時間の短縮化を技術的に検討させていただくという形で対応させていただきたいと思います。
 また、今、御指摘の点を踏まえて、個別の物質についての注書きというよりは、我々の中の対処方針という観点に近いと思うんですけれども、個人サンプラーの測定というところをがん原性指針の措置の中に含めていく可能性について検討していく。当然、その際にはこのメタクリル酸2、3-エポキシプロピルも含め、全ての対象物質についてどのような形で測定方法をお示ししていくかについても検討対象に含まれていくということなのかなと思います。
○小野座長 わかりました。ちょっと今々すぐというわけには当然いかないと思いますので、このまま出すと多分いろいろな御意見はあるかと思いますけれども、御検討の上、対応していただくようによろしくお願いいたします。 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
では、がん原性指針対象物質等の検討につきましては、基本事務局案のとおりですが、今回、議論の結果を踏まえまして、必要な修正ができる範囲はしていただく。あるいは今後の検討を進めていただくということでよろしくお願いいたします。
では、続きまして次の議題に移ります。次の議題の(1)マンガン及びその化合物並びに溶接ヒュームに係る健康障害防止措置の検討についてですが、資料を見ていただきますとわかりますように、大きく分けて骨子案マル1からマル3となっておりますが、なかなかの大作になっておりますので、骨子案ごとに検討していくことになると思います。
事務局から御説明よろしくお願いいたします。
○安井環境改善室長 それでは、まず資料1から御説明をさせていただきます。
資料1につきましては前回お配りした資料でございまして、もう一回復習という形になりますけども、現状といたしましては、「マンガン及びその化合物」は特定化学物質に指定されておりますが、塩基性酸化マンガンは除かれているということでございます。現在の管理濃度につきましては、総粉じんで0.2mg/㎥、マンガンとしてということでございます。
見直しの背景といたしましてはACGIHとECの欧州委員会化学委員会におきまして、粒径別のばく露限界値が勧告されたということでございます。ACGIHにつきましては、レスピラブルで0.02mg/㎥、それからECの科学委員会につきましてはレスピラブルで0.05mg/㎥と、そういった案が出てきておりますので、今回の検討を行っているというところでございます。
続きまして、資料2の骨子案マル1を御覧いただきたいと思います。
まず骨子案のマル1からマル3までございますけれども、まず全体像を御説明させていただきますと、まずマル1にございますのが、マンガンとその化合物の健康影響に関する議論でございまして、塩基性酸化マンガン、あるいは溶接ヒューム、これにつきましてどのように特化物として位置づけるかという議論、それから健康診断の項目ということでございます。
骨子案のマル2が、溶接ヒュームのばく露防止対策ということでございます。こちらにつきましては、従来のマンガン化合物とは異なる独自の対策を提案させていただきたいと考えてございます。
続きまして、骨子案のマル3というところでございますが、こちらが今回のそもそもの議論の対象になっておりましたマンガン及びその化合物の管理濃度をどのような形で引き下げるのかということについて御議論をいただくというのが全体像でございます。
それでは、資料2のほうに戻っていただきまして、そちらのほうから御説明をさせていただきます。
まず前回までの御意見ということでございますけれども、まず塩基性酸化マンガンの有害性というところでございますが、これを特化物として規定するのであればその有害性を検討する必要があるということでございますので、今回、文献のレビューを行ったところでございます。
それから、溶接ヒュームに対する規制の適用ということでございますが、現在の別表第3につきましては、「塩基性酸化マンガンを除く」と規定されているというわけでございますが、溶接ヒュームを特定化学物質として位置づける場合に「塩基性酸化マンガンを除く」というのは削除するのか、あるいはそれに加えて溶接ヒュームというのを新たに規定するのかどうかということも含めて法令上明確化するという御議論があったところでございます。
今回の骨子案のマル1でございますが、まず1の塩基性酸化マンガンの有害性ということでございます。後ほど詳しく文献を御説明申し上げますけれども、文献によりますと、溶接ヒューム及び溶解フェロマンガン・ヒュームのいずれにも塩基性酸化マンガンは含まれているとされております。塩基性酸化マンガンを含む溶接ヒューム、溶解フェロマンガン・ヒュームヘのばく露による神経機能障害が多数報告をされているということでございまして、その多くにはばく露量-作用関係が認められているということでございます。また現在、指導勧奨として塩基性酸化マンガンに関する特殊健康診断を行っておりますけれども、こちらでも一定の有所見者、2.4%の有所見者が認められるということでございます。
こういったことを踏まえまして、従来の第2類特化物であります「マンガン及びその化合物(塩基性酸化マンガンを除く)」から「(塩基性酸化マンガンを除く)」を削除し、「マンガン及びその化合物」とすることが妥当であると考えてございます。
2点目でございますが、溶接ヒュームの特定化学物質としての位置づけということでございますが、溶接ヒュームのばく露による有害性につきましては、マンガンが当然含まれておりますので、それによる神経機能障害があるわけでございますが、それに加えて肺がんのリスクが上昇しているということが報告されているということでございます。
このため、「溶接ヒューム」は「マンガン及びその化合物」の毒性や健康影響とは異なる可能性が高いということで、「溶接ヒューム」を独立した特定化学物質(管理第2類物質)として位置付けることが妥当であるというふうに考えてございます。
ただし、発がん性に伴って、これを特別管理物質にするかどうかということでございますが、溶接ヒュームは疫学研究によって肺がんの発がん性リスクが上がるということが示されているわけでございますが、個別具体的な原因物質というのは特定されておりませんし、また一般的にじん肺を機序とする原発性肺がんもございますけども、そちらとの区別もついていないということがございますので、当面、特別管理物質としては位置付けず、発がんの原因物質等の知見が明らかになった段階で再度検討を行うことが妥当と考えてございます。
三つ目でございますが、溶接ヒュームの特殊健康診断の項目ということでございます。こちらにつきましては、溶接ヒュームに含まれるマンガンばく露による神経機能障害に対する特殊健康診断項目といたしましては、現行の「マンガン及びその化合物」の項目と同様とすることが妥当であると考えてございます。また、肺がんにつきましては、じん肺を機序とする原発性肺がんとの区別がついていないことを踏まえまして、現時点では金属アーク溶接作業従事者に対するじん肺健康診断、これは1年に1回行っており、その中で結核以外の合併症にかかっているおそれがある者に対する肺がんの検査というのがございますので、そちらで対応するのが妥当であると考えてございます。今後、溶接ヒュームに含まれる物質の毒性や発がん性が明らかになった場合には特殊健康診断の項目を再検討することを考えております。
続きまして、資料2-1を御覧になっていただきたいと思います。先ほど御説明しましたもののバックデータといいましょうか、文献でございます。
まず1で、マンガン及びその化合物の化学的特性と溶接ヒュームの化学組成等ということでございますが、こちらは要するにヒュームの中に塩基性酸化マンガンが入っているということでございます。
(1)でACGIHの文献の中にはマンガンのⅡ、Ⅲ、Ⅳが主に存在しているとしています。(2)でございますが、その中に大量の酸化マンガンⅡ、Ⅲ、これは塩基性酸化マンガンが含まれていて、基本的には二酸化マンガンを空気中で強く加熱するとヒュームが生成されて一般的に酸化マンガンⅡ、Ⅲ、これは塩基性酸化物、Ⅳは両性酸化物、Ⅶは酸性酸化物と分類をされているということが書いてございます。
(3)番の文献によりますと、溶接ヒューム中には高濃度の二酸化マンガンが含まれているとされています。それから(4)の文献によりますと、これはいろいろ溶接ヒュームの棒の種類によって分析をいろいろ方法を変えておりますけれども、最終的には低水素系溶接棒からのヒュームの中に塩基性酸化マンガン、Ⅲですね、Mn2O3のピークが明確に立ったということでございまして、溶接ヒュームの中に入っていることは明確にわかっているということでございます。
続きまして、次のページになりますが、(6)です。こちら日本溶接協会が昨年調べたところでは、Ⅱ、Ⅲで明確なピークが立っているとまでは言っておらず、明確なピークを出すためにはかなり前処理をした上で分析をしないといけないということでございます。
2番目、溶接ヒュームに含まれるマンガンの健康影響ということでございます。ACGIHはたくさんの文献をレビューしておりますけれども、そのうちの主な四つの報告につきましてレビューしております。一番よく使われておりましたのがこのBowlerらの2007年の研究でございまして、43人の溶接工の時間平均のマンガン濃度が0.11から0.46mg/㎥ということでございますが、こちらを指数化した累積ばく露指標と神経機能作用との間に統計的に有意なばく露反応関係があったということでございます。具体的にどういった神経機能作用があったかと申しますと、震えが42%、感覚障害が61%、激しい疲労感が65%、不眠が79%、性不能が58%等々が挙げられているということでございまして、そのうち一部性不能、疲労、うつにつきましては統計上に関連があったということでございまして、これを踏まえましてACGIHとしては0.2mgMn/㎥の全粉じんのばく露上限というのは高過ぎるということを述べております。
それから(3)のEllingsenにつきましては、96人の溶接作業者につきましてフィンガータッピング試験を行ったところ、有意なばく露反応があった。それから(4)の文献につきましては、46人の溶接作業者を対象にしたところ、連続パフォーマンステストにおける反応時間の低下、感情状態の悪化等々がばく露反応関係が認められたということでございます。
(5)のSenら(2011)につきましては、7人の溶接作業者に対してMRIスキャンによる脳内のマンガンの沈着部位の調査等を行っておりまして、それと利き手のスコア(FWM)、前頭葉白質あるいは被殻のマンガン蓄積との有意な関連があるなど、そういった文献もございます。
3は、溶接ヒュームではないマンガン合金等におけるマンガンの健康障害ということでございます。そちらの主な文献だけレビューしてございますけれども、(1)のIregrenですね、1990年につきましては、スウェーデンで二つの鋳造所の労働者30人を評価しておりまして、こちらも神経行動機能の同じ三つの尺度が対象労働者との間で異なっている。(2)につきましては、マンガンの製造従事者74人、こちらにつきましても臨床所見や感情状態、特定の運動機能等々で異なっている点が出ている。三つ目のBouchardにつきましては、マンガン合金プラントの元労働者を調べたところ、うつと不安の平均スコアが一貫して高い。あるいはばく露量反応として、うつ、不安、増悪、身体化の症状についてばく露応答関係が認められたと。しかも職業性ばく露は終了しても長期間こういった症状が継続するということがわかったということでございます。
(4)につきましては、南アフリカのマンガン精錬作業従事者509人を対象にしておりまして、こちらもレスピラブル粉じんの累積ばく露指標(CEI)を計算した値と、それから同じく全就労期間平均ばく露強度(INT)を計算して、そういったものと神経行動学テストには統計上有意な量反応関係が認められて、また参照群との二項比較関係におきましても量反応関係があったということでございます。
それから4の溶接ヒュームの発がん性です。国際がん研究機構(IARC)が2017年に溶接ヒュームのグループ1(ヒトに対する発がん性)に分類しておりまして、その根拠といたしましては、20程度の症例対照、ケーススタディ、それから30程度のコホート研究において溶接作業者と溶接ヒュームにばく露する者の肺がんのリスクが上昇していることを報告しておりまして、累積ばく露に関する暴露反応関係もいくつかの大規模研究で確認されたとしております。ただし、ヒュームのばく露が定量的な評価を行っていないケースが多くて、例えば単に溶接工程に従事しているとか、あるいは溶接工とか、お名前だけでやっているとかいうことでございまして、当然のことながら、原因物質とか発生機序に対しての報告は十分にあるわけではございません。
それから5でございますが、特殊健康診断の結果でございます。マンガン及びその化合物につきましては、特化則により特殊健康診断の実施が義務付けられておりまして、また塩基性酸化マンガンにつきましては特殊健康診断の実施が指導勧奨されております。義務のほうの有所見率は0.8%でございましたが、指導勧奨の塩基性酸化マンガンにつきましては2.4%の所見があったということでございます。
それから金属アーク溶接作業等につきましては、じん肺法で規定する粉じん作業に該当いたしますので、じん肺健診の実施が義務付けられてございます。そのうち結核以外の合併症にかかっている疑いがある者につきましては肺がん検査を行うということでございます。
6以降は考察でございます。まず塩基性酸化マンガンの有害性ということでございます。こちらにつきましては、まず溶解フェロマンガン・ヒュームの中には大量の酸化マンガンが含まれていると。以上から溶接ヒューム及び溶解フェロマンガン・ヒュームのいずれにつきましても、塩基性酸化マンガンが含まれていると判断されるということでございます。
(2)につきましては、ばく露につきまして、1mg/㎥程度に達する可能性が高いということでございます。
(3)でございますが、このような濃度のマンガンにばく露した労働者には溶接ヒューム、溶解フェロマンガン、いずれにつきましても神経機能作用が多数報告されておりまして、その多くにばく露反応関係が認められていると。さらに塩基性酸化マンガンに関する特殊健診において一定の所見者がある。こういったエビデンスがございますので、塩基性酸化マンガンはほかのマンガン、無機化合物と同様にばく露による神経機能作用を引き起こすおそれがあると認められるということでございますので、現在の法令の「(塩基性酸化マンガンを除く)」とする規定を削除して「マンガン及びその化合物」として位置づけるのが妥当であるということでございます。
それから7、溶接ヒュームの特化物としての位置づけでございますが、溶接ヒュームばく露に関する研究につきましては、マンガンによる神経機能作用が多数報告されております。その上で、また肺がんのリスクが上昇するということも報告されておりますので、累積ばく露に対するばく露反応関係にも幾つかの大規模研究で確認されたということでございます。ただし、こちらにつきましては、まだ原因物質は特定されておらず、また機序も不明ということでございます。
一方で、じん肺の有所見者からは原発性肺がんが発生するおそれがあるということにつきましては広く知られておりまして、じん肺健康診断におきましても肺がん検査の実施が義務づけられているというところでございます。
以上から、「溶接ヒューム」と「マンガン及びその化合物」の毒性や健康影響につきましては異なるという可能性が高いということで、溶接ヒュームを独立した特化物として位置づけるということが妥当と考えてございます。発がん性に伴う特別管理物質への位置づけにつきましては、まだ原因物質が特定されていない、あるいは一般的なじん肺を機序とする原発性肺がんとの区別もついていないということから、当面特別管理物質としては規定しないということを考えてございます。
8でございますが、特殊健康診断の項目でございます。溶接ヒュームによる健康障害といたしましては、マンガンばく露による神経機能作用が報告されているということでございますので、神経機能作用につきましては現行のマンガン及びその化合物に対する特殊健康診断が該当すると。
さらに肺がんにつきましては、結核以外の合併症にかかっているおそれがある者に対する肺がん検査を行っているものでございますので、引き続きじん肺健診の対象として実施するということにいたしまして、特化物の特殊健診としては、従来のマンガン及びその化合物と同様の科目を実施するということが妥当ではないかというふうに考えているところでございます。
資料の説明は以上でございます。
○小野座長 ありがとうございました。骨子案のマル1につきまして、御質問、御意見ございましたらよろしくお願いいたします。
松村委員お願いします。
○松村委員 溶接ヒュームを対象に指定する、全体として対象にするということは賛成です。それに対する健診項目として、以前から溶接ヒュームの中にはオゾンとかNOxというガス成分が必ず同時に発生することが知られておりまして、従来からの呼吸保護というのが微粒子状のものに対する呼吸保護だけしか考えられていませんけれども、同時にそういうガス状のものに対する有害性というのも入ってくるはずですので、健診項目としてはそういうものに対する影響も考慮していただきたいと思います。
○安井環境改善室長 溶接ヒュームに関する健康影響につきましては、いろいろ例えばもっと細かいコバルトやニッケルが入っているとか、御指摘のようなオゾン、NOx等々もあるとは思いますけれども、現時点におきまして、諸外国も基本的にはマンガンと発がん性ということでやっておりますので、他の物質については、現時点ではエビデンスが特殊健診を設定するほどは十分ございませんので、当面はマンガンでやらせていただきたいというふうに考えてございます。引き続き文献の調査などは続けてまいりたいと思います。
○小野座長 ほかに。清水委員お願いします。
○清水委員 質問になりますけれども、「塩基性マンガンを除外する」は提案どおり賛成です。一つ伺いたいのは、溶接ヒュームによる神経系脳作用が出ていますけれども、具体的にヒトでの血中あるいは尿中のマンガンとの関係を調べたというデータはあるのでしょうか。
○小野座長 事務局、お願いします。
○安井環境改善室長 ほとんどの文献で血中マンガンというのも測っておりまして、それと有意性があるものもないものもございますけれども、多くの研究で、例えばINTというインデックスと血中のマンガン濃度には相関があるという研究結果は、たくさん出ております。
○小野座長 ほかにはいかがでしょうか。
藤間委員、お願いします。
○藤間委員 もともと塩基性酸化マンガンが除外されたその経緯ですね。どういう根拠に基づいてこの当時除外されたのかという、何かその辺り、私も探してみたのですけど、見つからなかったんですが、何かわかりますでしょうか。
○安井環境改善室長 こちら調べたのですけど、いわゆる文書で残っているものは残念ながらちょっと発見できませんでした。特化則ができたときがすごく古いということでございまして、その当時の古い行政官にOBでつてをたどっていくと、やはり溶接を除くために外したのじゃないかということを聞いたことがある。要するに伝聞ですね、そういうことを先輩が言っているのを聞いたことがあるという程度でございました。あと現実問題として溶接業界としては、この溶接ヒューム中のマンガンというのは塩基性酸化マンガンという認識でずっと来ているということは聞いておりますので、そういったことだけがとりあえず把握できたということでございます。
○小野座長 ほかにはいかがでしょうか。
唐沢委員、お願いいたします。
○唐沢委員 ちょっと先走るかもしれないのですが、マンガン化合物から(塩基性酸化マンガンを除く)はこれは賛成しますけども、それと同時に、今日の御提案では溶接ヒュームを特化物として規定するということだったのですが、将来、特定化学物質としての規定をする場合に、両方パラレルに並べて規定するのでしょうか。それとも「マンガン化合物(溶接ヒュームを除く)」というふうな書きぶりになるのでしょうか。まだちょっと早いかもしれませんけど、もし可能な範囲でお答えいただければ。
○安井環境改善室長 書きぶりにつきましては、これから法令審査を受けていきますので、現時点で決まっているものではございませんが、過去の例を見ますと、例えばコールタールというのは従来から入っていまして、その中に実はベンゼンとか、ほかの特化物も入っているのですけれども、例えばコールタールに含まれているものを除くとか、そういった記載にはなってはいないので、基本的にはコールタールにのっとったような規定ぶりになるのではないかと考えてございます。
○小野座長 ほかにはいかがでしょうか。
○名古屋委員 1点いいですか。
○小野座長 名古屋委員、お願いします。
○名古屋委員 ここにあるように溶接ヒュームは特化則管理物質になるのはわかります。でも、そのときって現在溶接ヒュームが粉じん則で規定されているので、それとの整合性をとらないといけないので、その辺のところはきちんとしてほしいなと思っています。要するに特化則で局所排気装置などの設置義務が掛かったとしても、粉じん則の場合、局所排気装置とうには適応できないので、別表3の作業として防じんマスクで対応していいですよということがあるので、その辺のところの整合性をきちっととらないとまずいのかなと思っています。これは溶接ヒュームが特定管理物質に決まってからまた議論になるのだと思いますけれども。
○小野座長 この骨子案マル1の主に健康に関する部分につきまして、ほかに御意見いかがでしょうか。
では、進めさせていただきます。続きまして、骨子案マル2について説明をお願いいたします。
○安井環境改善室長 続きまして、資料3ですね。骨子案のマル2溶接ヒュームばく露措置等につきまして御説明をさせていただきます。
前回までの御意見といたしましては、工学的対策と呼吸用保護具ということで、現状でも空気中濃度が管理濃度の数倍もあるということで、管理濃度をさらに下げるということになってくると、工学的対策のみで対応するのは難しいんじゃないかと。管理濃度の決定に当たってはどのように現場を管理するかに主眼を置いて、工学的対策のみならず適切な呼吸用保護具の使用も含めて考えるべきであるという御意見ございました。
それから、2の溶接ヒュームのばく露低減措置ということでございますが、現状の粉じん則においても、金属アーク溶接というのは局所排気装置等の粉じん発散防止措置及び作業環境測定が必要な特定粉じん作業には該当していないということ。それから、溶接作業につきましては、特にガス溶接でございますが、0.5m毎秒以上の風速があると溶接不良が起きるということがあるので、換気による粉じん対策というのはなかなか難しい。それから、実態を十分調べてから検討してほしいということでございます。
それから、3の呼吸用保護具につきましては、呼吸用保護具による対策を実施する場合に、マンガン濃度の測定結果を踏まえて必要な防護係数を有する保護具の選定が必要だという御意見。それから検討に当たっては、指定防護係数ですね、これは訓練された者が正常に機能する呼吸用保護具を正しく着用した場合に少なくとも得られるであろうと期待される防護係数ということでございますが、それの明確化を含めて日本工業規格の原案作成委員会と随時連携を図る必要があると。それからフェロアロイ製造など、溶解金属などを扱う場合につきましては、マスクの面体の溶解や吸気によるやけどの懸念があると。それから電動ファン付き呼吸用保護具は非常に高額だという指摘がございました。
実態調査につきましては、いろいろ御議論ございましたが、最終的には質量濃度測定法で測定するということで、相対濃度測定法が将来活用できるかという観点から、K値も併せて測定をするという考え方でやるべきだというような御意見があったというところでございます。
これにつきまして、骨子案マル2溶接ヒュームのばく露防止対策ということでございます。こちらのただいまから御説明いたしますのはあくまで溶接ヒュームに限ったことでございまして、従来のいわゆるマンガン、いわゆるフェロアロイとかそういったところに適用されない溶接ヒュームに特化した運用ということでございます。
まず1でございますが、溶接作業に対する工学的対策等ということでございます。まず粉じん則におきましては、金属をアーク溶接する作業及び屋内において金属を溶断し、又はアークを用いてガウジングする作業、以降、金属アーク溶接等作業と呼ばせていただきますが、こちらにつきましては、呼吸用保護具の使用は義務づけられておりますけれども、局所排気装置の設置等及び作業環境測定は求められていないということでございます。こちらの理由につきましては、(原則として固定した設備を使用して行う粉じん作業)が列挙されているということになっておりまして、この金属アーク等溶接作業につきましては、発散源の場所が一定していないということから特定粉じん作業から除外されていると考えております。
続きまして、ガス溶接につきましては、溶接不良を避けるために溶接点での風速が0.5m毎秒以下となるように管理する必要がございます。今回の実態調査の結果によりますと、まずB測定の値が0.2mg/㎥以上という高い濃度、これは例えば管理濃度が0.02であると10倍ですね。管理濃度が0.05mg/㎥であると4倍というところになりますが、そういった高い濃度の単位作業場所が4割を占めていると。それから0.02あるいは0.05mg/㎥を管理濃度としたときの第3管理区分に相当する作業場所は7割程度になるということもございまして、仮に局所排気装置が設置できる場合であっても、全ての事業場においてこの工学的な対策のみによってマンガン濃度を0.02あるいは0.05まで一律に低減させることは極めて困難と考えてございます。
一方で、実態調査の結果、25%程度の事業場は現状で第一管理区分となっているということでございますので、全体換気等の措置によって第一管理区分を実現することが可能な事業場も一定程度存在するということでございます。
以上から、従来の作業環境測定の実施及びその結果に基づく管理区分の決定ということは溶接ヒュームについては義務付けず、次に掲げるように、現状を悪化させることなく、事業場の状況に応じた対策を促すための段階的な規制ということを提案してございます。
具体的にはマル1からマル5までございますが、まずマル1でございますが、まず全体換気装置はやっていただくと。マル2で、その上で金属アーク溶接作業を新たに採用し、又は変更するときに個人サンプリングによる空気中の溶接ヒューム濃度を測定していただくと。マル3で、その結果を踏まえて、換気装置の風量の増加などの工学的対策はできる限りやっていただくと。マル4で、その結果を把握するためにもう一回個人サンプリングをしていただくと。マル5で、その結果、残念ながら溶接ヒュームの空気中濃度が基準値を超える場合であって、そういった状況において金属アーク溶接を行う場合につきましては、その測定いたしましたヒュームの濃度の測定結果に応じて労働者に有効な呼吸用保護具を使用させるということを義務づけるということでございます。
(5)にございますのが、それに付随する措置でございますけれども、先ほどのマル2とマル4、あるいはマル3、マル5における測定とその評価につきましては、その都度必要な事項を記録して3年間保存すると。その上で、どうしても溶接ヒュームというのは地面に落ちてきますので、粉じんを飛散しない方法によって毎日一回以上清掃するということを義務づけます。それから個人サンプリングによる測定方法につきましては別途定めるということでございます。それから溶接ヒューム中のマンガン濃度につきまして、基準値を設けるわけでございますが、そちらにつきまして、マンガン及びその化合物の管理濃度と同じ値とすることが妥当であると考えてございます。
2でございますが、呼吸用保護具の選定及び使用ということでございます。こちらにつきましては、呼吸用保護具は最後のとりでということでございますので、この管理取り扱いにつきましては細かく規定をしたいと考えてございます。
まず、要求防護係数の算定ということでございますが、先ほどのマンガン濃度の測定結果を基準値で割るということでございまして、濃度が基準値の何倍であるかということをまず計算していただいて、それを要求防護係数として評価します。その上で、その要求防護係数を上回る指定防護係数を有する呼吸用保護具を選定して使用させます。それから、呼吸用保護具というのは当然使用方法によって要求防護係数が発揮できるかということが異なりますので、選定された呼吸用保護具が適切に使用できるように、当該労働者に対して、初めて呼吸用保護具を使用させるとき、あるいはその後1年以内ごとに1回、定期的に当該労働者における呼吸用保護具の防護係数等を適切な方法により確認するということでございます。いわゆる定量的フィットテストというのを1年間に1回はやっていただくということでございます。
今まで説明してまいりましたものは作業環境測定を前提にしておりますので、当然屋内作業場に限定した話でございますが、屋内作業に類似する場所というのがございます。例えば通風が不十分な船舶の内部あるいはタンクの内部等でございます。こちらにつきまして、アーク溶接等作業を行う場合につきましては、これらの場所のうち代表的な場所における空気中マンガン濃度を個人サンプリングのように測定していただいて、この屋内作業場の要求防護係数で対応可能かどうかということについてはきちんと確認をしていただきたいというふうに考えてございます。
それから3でございますが、特定化学物質としての作業管理ということでございますが、こちらは溶接ヒューム及び塩基性酸化マンガンを特化物に位置づけるということになりますと、自動的にこの(1)から(10)までの措置が義務づけられます。この中の内容につきましては、ほとんど既に対応済みと思いますが、特に(4)ですね、特定化学物質作業主任者の選任というのがございます。こちらは特化物に共通の資格でございますので、既に特化物を扱っている事業場につきましては既に選任されていると思いますが、仮に今回初めてという場合においては新たな選任が必要になります。その他、労働衛生教育、ぼろ等の処理、不浸透性の床、関係者の立ち入り禁止、容器の使用、休憩室の設置、洗浄設備、飲食の禁止、有効な呼吸用保護具、こういったことにつきましては既にほとんど実施されていることではないかと考えてございます。
4が留意事項ということでございまして、先ほどの御説明した内容を適切に溶接ヒュームについて実施できるよう、特化物作業主任者の職務のうち、「作業方法の決定」につきましては換気装置の調整、そういったものを含む、「保護具の使用状況の監視」については有効な呼吸用保護具の選定などを含むとします。それから雇入れ時教育の「保護具の性能及びこれらの取り扱い方法」につきまして、要求防護係数を満たすような保護具の選択と使用方法についてきちんと教育をするとします。
それから(3)でございますけれども、個人サンプリングによる測定につきましては、その内容につきまして十分な知識及び経験を有する者、具体的には第一種、第二種の作業環境測定士、あるいは十分な能力を有する機関、作業環境測定機関などに委託をすることで実施をしていただきたいと考えてございます。
続きまして、資料3-1を御説明いたします。
こちらにつきましては、溶接ヒュームに係るばく露低減対策についてまとめたものでございまして、1につきましては、粉じん則の規定の話でございます。こちらは省略いたします。
2で溶接時の空気中のマンガン濃度につきましては、国内の文献で90秒の時間濃度平均ですと70から90mg/㎥など非常に高いものがありましたということを紹介してございます。
3が、今回、中央労働災害防止協会において実施していただきました溶接ヒュームのばく露実態調査の結果でございます。28事業場(のべ61単位作業場所)に対して実施をしてございます。そちらで作業環境測定基準に準じて作業ヒューム中のマンガン濃度を測定して、そこで得られたA測定の第2評価値、B測定などを御説明いたします。
まず、図1、図2を見ていただきたいと思いますけれども、B測定値が0.03 mg/㎥未満、これは管理濃度0.02 mgとした場合の1.5倍、これが34.5%、それから0.075 mg/㎥未満、こちら0.05 mg/㎥の1.5倍でございますが、が49.1%、半分ぐらいしかないと。それから0.05 mg/㎥の4倍以上となる0.2mg/㎥以上の事業所が40%を占めているという状況でございます。かなりの厳しい状況であったということでございます。また第2評価値が0.02 mg/㎥未満の事業場は50%、0.05mg/㎥未満は82%でございました。
(2)図の3-1、3-2ですね、仮に管理濃度を0.02 mg/㎥とした場合に第1管理区分に該当する単位作業所は24%、第2管理区分が6%、第3管理区分が70%ということでございます。仮に管理濃度0.05 mg/㎥とした場合でも、第3管理区分は63%ということはほとんど変わらないということでございます。作業内容別に見ますと、かなりのばらつきがございますけれども、いずれも第3管理区分が過半数を占めているという非常に厳しい状況でございます。
それから(3)でございますが、こちらは溶接の種類別ということでございますが、図4-2を見ていただきますと、こちら被覆アース、MAGの小電流とMAGの大電流でございますが、こちらはB測定の値がもう8 mg/㎥とか9 mg/㎥が出ているとか、第2評価値につきましても0.2 mg/㎥という非常に高い値が出ております。一方、図4-1が、これはTIG溶接、プラズマ溶接、MAG溶接のパルスとかアークスタッドでございますけども、こちらにつきましてはB測定も0.12 mg/㎥が上限でございますし、第2評価値も0.05 mg/㎥ということで、先ほどと比べて大分小さいということなので、濃度は溶接の種類には大きく影響を受けているということがわかるということでございます。
図5でございますが、こちらが業種別というか作業別でございますけれども、それぞればらついておりますが、特に建設部品製造はちょっと高目に出ている。それから造船はちょっと低目に出ているということがおわかりいただけると思います。
それから(5)が換気手法でございますけれども、全体換気の割合がまず65.6%で、局排をつけているのは11.4%、その他が13%、無しが9.8%という状況でございますが、図の6に示しますように、この局所排気その他、あるいは全くないものをB測定値と第二評価値の関係を見ますと、換気装置が一切ないものと換気装置をつけているもの、局排でつけているものの間でほとんど差がないということで、局排などで十分な効果が出ているようにはちょっと見えないということでございます。
(6)は個人ばく露測定の値ということでございまして、図の7に示してございます。こちらにつきましては0.02 mg/㎥未満の作業場の割合は26.8、0.5 mg/㎥未満が48.2%ということでございまして、0.05 mg/㎥以上は51.8%を占めると。あるいは1 mg/㎥という非常に高いものを超えたところも8.9%ございますということで、個人ばく露にしても非常に高い結果になっているということでございます。
(7)が、これはこの個人ばく露測定値をマンガンのばく露濃度、これは0.02 mg/㎥また0.05 mg/㎥を考えておりますけれども、それで割った要求防護係数の分布を図8-1、8-2に示してございます。こちらを見ていただくとわかりますように、基準値を0.02 mg/㎥とした場合、要求防護係数が1以上となった割合は73.2%ということでございまして、これはほぼ管理3の割合と合致するわけでございます。それから要求防護係数が1から10以上、こちらは半面マスクが使用可能な割合が42.9%、それから10以上50未満、こちらは全面マスク又は半面型電動ファン付きマスクが必要可能なのが21.4%、50以上、これは全面型の電動ファン付きマスクでなければならないものが8.9%あるということで、非常に厳しい状況になっているということでございます。
それから4でございますが、これは溶接の品質確保のための風速の制限ということで書いてございます。まず一般的に被覆アーク溶接につきましては4 m/sec以上で、マグ溶接では2 m/sec以上で靭性が低下する。あるいは溶接作業性が低下するということが報告されておりまして、ガスシールドアークにつきましては0.5 m/sec以上とならないように管理すべきということでございます。
一方、局所排気装置の制御風速は、粒子状のものにつきましては最低1.0 m/secとなっておりますので、局所排気装置を機能させるにはかなり厳しい数字となっているのがおわかりいただけるかと思います。
5の考察でございます。(1)につきましては、粉じん則におきましては、作業箇所が一定しないところは有効な局所排気装置を設置することは困難ということで整理されております。
(2)でございますが、実態調査の結果からも第3管理区分に分類される単位作業場所の割合が70%、しかもB測定は0.22 mg/㎥以上という高い濃度を示す作業場所は40%、要求防護係数につきましても1以上の作業場所の割合が73%、これにつきましては第3管理区分の割合とほぼ一致すると。要求防護係数が10以上の場合も30%を占めると。大変厳しい状態だったということでございます。
このような高い作業場所に関して局所排気装置等の設置によって第2管理区分を実現するという従来の管理区分の考え方というのはかなり実現が困難と考えてございます。
また、制御風速の最低値が粒子状物質について1.0 m/secとなっておりますけれども、先ほど御説明しましたとおり、B測定の値などが数倍から10倍ぐらいございますので、それを局排でやろうと思うと、多分これの数倍から10倍ぐらいの風速が当然要るわけで、およそ溶接不良を起こさないで管理濃度を実現するということはなかなか実現性は低いと考えているということでございます。
以上を鑑みまして、金属アーク溶接等を行う作業場につきまして、局所排気装置あるいは作業環境測定の実施を一律に義務づけても、その実効性を担保することは困難であることが見込まれます。ただし、現に第1管理区分である作業場所もあることから、現状を悪化させることなく、作業場の状態に応じた対策を促すために段階的な規制を設ける。その際には、要求防護係数を満たす有効な呼吸用防護具を着用させることを義務付けることが必要であるということでまとめてございます。
続きまして、資料3-2でございます。こちらは呼吸用保護具の指定防護係数というところでございます。指定防護係数というのはちょっと耳なれない言葉でございますので、その辺りにつきましての文献の整理をしてございます。
まず1に書いてございますのが、我が国の構造規格による規定ということでございますが、指定防護係数というのは構造規格には出てこず、規定しているのはマスクから漏れ率ということでございますが、実質的にフィルターが漏れ率しか規定していないという状況でございます。
それから、日本工業規格におきましては、指定防護係数という言葉は出てくるのですけれども、計算式によって求めるということで、明確には決まっていないという状況でございます。
3、こちらは米国の法令ということでございますけれども、米国の安全衛生庁(USOSHA)におきましては、指定防護係数というのをマスクの種類ごとに明確に記載してございます。
ちょっと英語の方に「Table1」というのが出てございますけれども、ろ過式の呼吸用保護具については、半面形で10、全面計で50と、それから電動ファンつきのPAPRにつきましては、半面形で50、全面形で1,000、そういったことが決められてございます。
これはどういう趣旨で決まっているのかということが(2)に書いてございますけれども、例えばPAPRの例でちょっと御説明いたしますと、まず、フィルターにつきまして、HEPAフィルターをつけておりますので、そこから漏れないという前提になっておりますので、では、漏れているのはどこかというと、面体と顔面の間ということになります。
これにつきましては、定量的フィットテストをやるわけでございますけれども、それをやった後に、実際に現場に出ていって、実際に測定して、それの5%パーセンタイルを測っております。一番低い値をとると、例えば半面のPAPRについては58という数字が出たということで、半面PAPRというのは、能力的にはすごく高いはずなのですけれども、50で防護係数を決めている、そういったことでございます。ろ過式も同じような実態的な調査をした結果の5%パーセンタイルで決まっているということでございます。
(3)に書いてございますのは、その上で、日本と同じように、最低のフィルター捕集効率というのが定められてございます。(4)でございますが、こちらがフィットテストの実施ということでございまして、まずフィットファクター、こちらがマスクの外の濃度をマスク内の濃度で除したもの、何倍防護しているかということにつきまして、半面型については100、全面型については500を、フィットテスターという機械を使って目の前でやらせて、それを合格しないと現場に出さないというようなことをやっているということでございます。こういったことをやった上で、先ほどの防護係数しか出ないという現実があるわけでございますが、そういったことをやっております。
このフィットテストにつきましてはISOに詳しい規定がございますけれども、こちらにつきましては、少なくとも年1回実施することが推奨されるということが規定されているということでございます。
以上を踏まえまして、考察ということでございますけれども、この表1と表2に書いてございます、縦軸がいわゆる指定防護係数ということで、面体と顔面からの漏れ率がございます。
横軸にフィルターからの漏れと、これは、当然、合計して考えると、例えば半面型のろ過式になりますと、指定防護係数、防護係数として出るのは最大で9.9になるということになります。
全面型であれば捕集効率99.9%のフィルターを使えば47.6、ほぼ50までいけます。
電動ファン付き呼吸用保護具につきましても、半面形につきましては50が限界でございまして、全面形につきましては1,000までは出るという、そういった形でございます。
こちらにつきましては、ちょっと説明を飛ばしましたが、半面の電動ファンにつきましては、企業、事業者側が、メーカーですね、メーカーが実際に体を動かすテストをした結果、もっといい数字が出るという証明書をつければ50を超えてもいいというような例外規定もございます。
続きまして、資料3-3でございます。こちらが個人サンプリングによる測定の方法ということでございます。
1につきましては、まずJISZ3950、これは、現在、改定作業中でございますけれども、こちらでサンプラーをどこにつければいいのかということはかなり詳しく決まっておりまして、粉じん計の吸引口は溶接面の内側に設置するとか、あるいは作業者の鼻及び口の付近で最大50mmの距離の範囲内でつけなさいとか、かなり詳しいことが決まってございます。
2が、個人サンプリングを活用した作業環境測定に関するパブリックコメントということでございます。現在、作業環境測定の一部に個人サンプリングが活用できることをする改定を現在やっておりまして、そのパブリックコメントの内容でございます。
(1)に書いてありますのは、その試料空気の採取等は、単位作業場所において作業に従事する者の身体の装着する試料採取機器等を用いる方法をいうと。その装着は、単位作業場所において、労働者にばく露される測定対象物の量がほぼ均一であると見込まれる作業、いわゆる均等ばく露作業ごとにそれぞれ人を選んで、ただし5人を下回ってはいけない。それから、採取の時間は、基本的に単位作業場所において作業に従事する全時間でありますけれども、繰り返し作業の場合は、若干の短縮を、2時間を下回らない範囲で短縮を認めると。
(4)にありますのは、労働者の数が5人を下回る場合につきましては、作業に従事する時間を、サンプリング時間を分割して、サンプルの数を増やして5以上にすることを認めるということが書いてあるわけでございます。
一方、考察でございますが、溶接ヒュームの試料採取機器の装着箇所につきましては、JIS Z3950の改定案を踏まえた形でやる必要があると。
一方、個人サンプリングを用いた溶接ヒュームの測定の内容につきましては、現在、改正予定の作業環境測定基準には準ずる必要がございますが、作業環境測定ではございませんので、若干、違うところがございます。
まず、マル1に書いてございますのは、作業環境測定は、当然、単位作業場所ごとに行うわけでございますが、今回は単位作業場所については必要なくて、均等ばく露作業を測定単位とするのでいいのではないかと。
それから、マル2でございますけども、作業環境測定の場合は6カ月に1回測定するということでございますので、一定の省略は認めてございますが、今回の測定については、時間の短縮は、認めないほうが妥当ではないかと。
マル3につきましては、作業環境測定は当然統計処理をして、第1、第2評価値を計算いたしますので、測定点というのは五つを下回ってはいけないということになりますが、今回の場合は要求防護係数を算定するという観点でございますので、最大値を標準値とすれば、評価値とすればよいのではないかということでございます。
それから、マル4がサンプルの数でございます。こちらにつきましては、作業環境測定につきましては、統計処理を行うことを前提に5人を下限値にしておりますけれども、今回は最大のものを評価値とするということでございますので、必ずしも5人にこだわる必要はないのじゃないか。ただし、やはり1人というのはやはり、トラブルもございますし、最低限、複数人に対して実施すべきではないかということでございます。
(3)は、試料採取及び分析方法につきましては、従来の作業環境測定基準に定める方法、ろ過捕集方法、分析方法も同様のものとすべきではないかということでございます。
こういった違いを踏まえまして、測定方法の詳細について検討を行っていきたいというふうに考えてございます。
説明は以上でございます。
○小野座長 ありがとうございました。
なかなか内容がいろいろ多岐にわたっておりますので、個人サンプリングの方法の話とかはちょっと飛ばすなどして、頭の中を整理していただきながら、委員の皆様から御質問、御意見がございましたら、よろしくお願いいたします。
いかがでしょうか。
名古屋委員、お願いいたします。
○名古屋委員 今、質問ではなくて、ちょっと修正してほしいところがあって、3-3の資料の中で、JIS Z3950のところに書かれている事項で、ここの部分は現在検討中のJISでは、検討を始めた頃のJISの記載で、現在検討中のJISとでは、記述に若干の違いがあります。
最新の改定JIS案を後でお渡ししますので、それにそった修正をお願いしますよという話です。
○安井環境改善室長 わかりました。最新のものをいただければと思います。
○小野座長 ほかに。
松村委員、お願いいたします。
○松村委員 今までの溶接作業上のサンプリング、作業環境測定の結果というのは、多分、粒度粒度別ではなくて、全体としての濃度が測られていたと思うのですね。
ですから、インハラブルもレスピラブルも全部含めて質量濃度ではかると、当然、レスピラブルは質量としては少ないので、ほとんど意味がない程度の量であったかと思います。
でも、今後は、それが区別してはかられなければいけなくなるわけですけれども、それのための質量濃度をはかるためには、捕集フィルターを使うわけですけれども、そういうものの性能について十分検討されているのでしょうか。
○小野座長 事務局、お願いします。
○安井環境改善室長 今回の実態調査はレスピラブルをはかっておりまして、いわゆる分粒装置を使ってやっております。従来のインパクターの形式の分粒装置もございますし、あるいはアメリカとかでよく使われているサイクロン型のものもございます。方法論としてはもう確立されたものがございます。
○松村委員 実は安協産安協で、最近、先ほど室長が言われました半面型PAPRの防護係数が最高どこまで実現できるかという試験を呼吸用保護具工業界の依頼試験を行っておりまして、その中で、やはり試験粒子濃度を正確に評価する必要があって、ろ紙を使った質量濃度測定もやっておりますけれども、そこで使うフィルターが0.1μm以下のレスピラブルの領域に対して、必ずしも捕集効率が良いとは限らないものがあるということがわかってきました。
防じんマスクのフィルターの方がむしろ非常に捕集効率は良いですね。防じんマスクのフィルターは粒子が小さくなると、むしろ捕集効率が高くなりますので、それは心配ないのですけれども。
ですから、今後、そういうことを考えると、個人ばく露を、レスピラブルを含めてはかるための機材の性能評価というか、保証も改めて考慮される必要があるんじゃないかなと思います。
○小野座長 レスピラブルのサンプリングといいますか、今、質量濃度というお話がございましたけれども、あくまでも化学物質としてのマンガンとしての質量濃度になりますので、捕集効率はもちろんですけれども、分析に影響しないフィルターを選ぶというのは当然だと思います。
その辺につきましては、1年以上前ですか、当研究所の方からもデータを幾つかお出ししておりますし、その辺を踏まえて、中災防さんも今回の測定をなさって、フィルターの選定とかなさっていたのではないかと思います。あと、フィルターの捕集効率についても、今、随分データが出てきていると思うのですが、何か、中災防さんの方から、その辺について御意見やデータがあるようでしたらお願いいたします。
○山室副所長 今回使ったフィルターについては、粉じん用のフィルターを使用しました。粉じんの重量法を同時にやらないといけないということでしたので、粉じん用のテフロンバインダーフィルターを使用して、採じん量を確定してから、マンガンの化学分析を行ったという状況です。
○小野座長 新しいタイプのテフロン、要するに今まで主流だったものが今使えなくなってきていますけれども、その中から選んでお使いになった。
○山室副所長 そうですね。
○小野座長 今、中災防さんの報告書がないので、具体的にどういうことをおやりになったかということを確認しています。
○山室副所長 最近のテフロンバインダーフィルターは2種類ございまして、片方はマンガンの含有率が高いということで使用することができなかったので、もう一つのほうを使っています。
○小野座長 わかりました。テフロンバインダーのフィルターの捕集効率については、当研究所の方からも情報、まだ論文にはなっていないかもしれませんけれども、0.1ミクロン付近のところで少し下がってというようなデータは一応あると思いますので、今後、文書になったものを引用していただきながら、より細かいところまで詰める必要があるとすれば、そういうところも含めていただくということでいかがでしょうか。
○松村委員 結局、ルーティンワークで使うためには、もうその辺が保証されたものというか、ある程度、証明されたものでないと、どれでもこのサイズのフィルターならいいですというわけにいかないと思うので、その辺も含めて御検討いただければと思います。
○小野座長 わかりました。
では、すみませんが、事務局の方で、測定の方についてもう少し細かく書くかどうか、今の御意見は、保証できるものを書いていただきたいということですけれども、その辺を踏まえて御検討いただければと思います。
いかがでしょうか。
○安井環境改善室長 わかりました。現状では、例えば作業環境測定でも、実はそこまで詳しくフィルターどうこうとはちょっと書いていないので、まさに座長がおっしゃったように、有効なものを使って、という規定になると思いますけど、どういった技術バックグラウンドがあるかというのはちょっと調べさせていただきます。
○小野座長 保利委員、お願いいたします。
○保利委員 資料3-3ですけれども、これは作業環境測定と違うので、基本的にはヒュームの場合は短縮を認めないというふうに書いてあるんですけども、一方で、一人の場合は当該者に対する測定を数回分けるということも書いてあるんですよね。
一人の場合はもう1点しかないわけですから、特に分ける必要があるのかなと思うんですけども、その辺はいかがですか。
○小野座長 事務局、いかがでしょうか。
○安井環境改善室長 ちょっと表現が悪かったですけども、これは一人の場合は二日間やるということです。ですから、分割ではありません。
○保利委員 この測定はちゃんと時間いっぱいやったと。
○安井環境改善室長 一つというのであると、やはり属人的な面が出てきますので、やはり1点というのはちょっと測定としていかがなものかということでございます。
○保利委員 では、分割はしないということでよろしいですね。
○安井環境改善室長 分割はしないです。
○保利委員 それでよかったですね。
○安井環境改善室長 はい。
○小野座長 すみません、その点ですけど、分割はしないけれども、同じ作業であれば、ほかの作業者でも構わないということですか。今のお話の内容ですと、そうなりますけれども。
○安井環境改善室長 もともと資料3-3の2の(2)に、労働者にばく露される測定対象物質の量がほぼ均一であると見込まれる作業ごとに行うということになっておりますので、当然、同じ溶接の種類で、同じ場所でやっている人の中から選んでいただくということで、当然、溶接の種類が違えば、それぞれ違う測定をしないといけないですし、同じ種類でも場所が違えば、またそこから人を選んでいただくと、そういった形で選ぶことを想定しております。
○小野座長 その中で、最大値、最大の濃度になったもので要求防護係数を決めていくということになる。
○安井環境改善室長 そうですね。論理的には、その均等ばく露グループ別に要求防護係数を分けても、論理的にはいいと。ただ、実際はそんなことはしないと思いますけども、一応、そういう仕組みにはしたいと。
○小野座長 はい。
名古屋委員、お願いいたします。
○名古屋委員 多分、溶接作業というのは、要するに、1年間、同じ作業場所で同じ作業をしているわけじゃないのですよね。そうすると、当然、製造製品によって同じ作業場所でも作業内容も変わりますよね。そうしたら、その都度ごとに測定しなくてはいけないかということになると、溶接の測定の頻度が増えてきて、かつ、その測定結果の使える時期も短くなりますよね。その辺をどう考えてでいらっしゃるのですか。
○安井環境改善室長 こちらは作業環境測定でも同じでございまして、一応、ほぼ均一という形でありますので、50 cm、1 m変わったからだめだとか、そういうことではありません。
○名古屋委員 そうじゃなくて、その作業場所で製造する製品の溶接作業が、ある程度終わったら、その製品は次の工程の組み立て作業場所に持っていってしまいます。その作業場所には次に溶接をする違う製品が来ますよね。そのように、作業場所は同じでも溶接をする製品が違うので、前とは違う溶接作業になってしまう可能性がありますよね。
要するに、製造する構造物も違うし、それによる溶接作業そのものも違うし、作業自体が変わるので、要するにその前の作業の時の作業測定データがそのまま使えるかといったら、使えないと思うので、そうしたときには、もう一度、測定し直していますかという話です。
○安井環境改善室長 使えないデータであれば、はかり直すしかないと思うんですけども、ただ、一応、我々の考え方としては、母材が変わらずに、溶接のいわゆる種類も変わらなければ、それほど劇的に濃度が変わらないんじゃないかとは考えております。
○名古屋委員 それは、多分、違うと思いますよ。濃度ってかなり姿勢によっても違うし。
○安井環境改善室長 もちろんそうです。ですから、複数回はかるとか、そういうのは必要だと思いますけども、あまり細かく、御指摘があったように高い頻度ではかるということはあまり想定しておりません。
○名古屋委員 そうした中で、もう1点、ちょっとここにはでないのですけども、一つお願いとして、例えば電動ファンを使うと、全面型の電動ファンを使う必要のある作業は、p21の資料ですと8.9%ぐらいですか、それ以外の作業でしたら半面型電動ファンだったら、かなりカバーできますよね。だから、多分、三酸化アンチモンの時もそうなんですけども、電動ファンを使ったときには、測定しなくていいですよという規定が特化側にはわるわけですよ。それと同じことを溶接作業にも適用することはできないですか。
測定をしてその結果で呼吸用保護具を決めるか、半面型電動ファンで対応できる作業なら測定をせずに電動ファンで対応するかどうかを事業主が選べばいいのだから、何も書いてないと必ず測定を行わなければならなくなってしまいますけど、事業主が電動ファンつき呼吸器を使ったら、そういう作業については、測定しなくていいよという規定があれば、事業主はどちらかを選べると思うのです。
要するにそこのところの選択ができるのだけど、このままだとみんな測定しなくてはならなくなり、かなり溶接業界、特に中小零細企業にとっては厳しい規定になるので。
前例がないわけじゃないですよ。電動ファンを使ったら、測定しなくていいよと、三酸化アンチモンなんか規定していますからね。前例があるのだから、ある程度濃度が低かったら、測定なしで電動ファンを使っていいよとしてあげないと。
測定に係るお金と、それから電動ファンを買うお金にもかかわることだから、測定しなくていい分だけ電動ファンを買える可能性だって出てくるわけで、やっぱり少し中小零細企業に対して、少し優しい規定があってもいいのではないかなと私は思うのですよ。
○安井環境改善室長 ちょっと三酸化アンチモンは、御指摘のような法令上の規定は多分なくて、実行上の措置だと思いますけども、現実問題としては、例えば全面型の電動ファンを使うと1,000まで出ますので、それで対応できない溶接というのは確かに存在しないので、そういった前提に基づいて測定を省略するという議論はあり得るかもしれませんけれども。
○名古屋委員 いいえ、全面型は考えていないです。半面型電動ファンでお願いしています。溶接ですので半面の電動ファンがいいかなと思う。全面型電動ファンは溶接作業ではなかなかきついところだと思うので、それはそれなりの、かなり狭隘なところで使用しているから、それは要るのだと思います。そうではなくて、半面型電動ファンで対応できる作業も先の資料ですと約9割程度とかなりクリアできるところがありますよね。
そうしたら、あえて測定しなくても、半面型電動ファンをしていることによって、測定を免除できる形の選択をユーザーさんに与えてやるというのは、一つ、親切じゃないかなと私はで思うのです。
必ず経済的に負担がかかるので、やっぱり測定して選択するのではなくて、測定することなしにPAPRを使えば防護できるのだったら、そういう一つの道をつくってあげるのも一つの方法じゃないかなと思う。
○安井環境改善室長 まさに名古屋先生がおっしゃったことをどうやって立証するかということだと思いますね。要求防護係数が50を超えている現場はありますので、測らずに指定防護係数50のマスクで大丈夫だということは多分ならないので。
○名古屋委員 それはわかります。
○安井環境改善室長 今回申し上げておりますのは、定期的にはからなきゃいけないとかということではなくて、新しい作業を導入したとき、あるいは変更があったときにはかるということでございますので、最初にはかって、十分に例えば要求防護系数が50を下回っていれば、今後ははかる必要はないわけなので、そこは作業環境測定のような概念とはちょっと違うのじゃないかとは思います。
○小野座長 要するに名古屋先生がおっしゃっているのは、ヒュームがある程度出るだろうというのが想定できる作業ということですか。
○名古屋委員 そうです。
○小野座長 溶接の種類が複数あったとします。それに、今度、変更するときに発生しにくいタイプの溶接をするようなときには測定をしないで、同じ防護係数のマスクを使うことで、測定をせずに、本当は10でいいのだけれども100のを使いますということができるようにしてもらえたらいいのではないかという御意見だと思うのですけれども。
○名古屋委員 それもありますけれども。
○安井環境改善室長 御提案は合理的な考えだと思いますけど、今、それをどのように実証していくのかというところだと思いますので、こういう溶接で、こういう種類だから低くなるはずだと言われても、実際はかったらわからないので、結局、測定をしないでいいということには多分ならなくて、測定点数をどうやって合理的に低減していくのか、そういうところにはなってくるとは思いますけれども。
○小野座長 重さをはかるのとマンガンをはかるので、また、そこの負担も違ってきますので、簡易にすることも重要ですけれども、そこで正確さを担保するということも行政的には重要だということは十分理解できますので、名古屋委員の御意見があったということは踏まえていただけるとありがたいと思います。
ほかに、この件で。
小嶋委員、お願いいたします。
○小嶋委員 この赤いところですけど、ちょっと教えてください。
溶接作業では、研磨作業と交互に行うことが多く、溶接後のリードビードをグラインダーで削る訳ですから、溶接作業者は、ヒュームと研磨粉じんという、全く異質な粉じんに、交互にばく露される、異なる作業を交互に行うという状況が結構あると思うんですけど、そういう場合、測定時間は溶接が止まったときで、一応、中断という形にするのでしょうか。
○安井環境改善室長 個人サンプリングの場合、基本的に溶接に従事している時間をずっとはかっていただきますので、途中でポンプを止めるというのはあまり現実的でないと考えております。
グラインダー作業につきましては、恐らく粒子径が全然違いますので、レスピラブルなグラインダーの粒子はちょっと考えられないので、ちょっと測ってみないとわからないのですけど、それほど大きな影響はないんじゃないかなとは思います。
○小嶋委員 金属研磨ですと、レスピラブルも結構出ています。あと、K値は全然違うので、光散乱式粉じん計で連続測定はできないんですね、ということがどうなっているのかなとちょっと気になりました。
○安井環境改善室長 いずれにいたしましても、結局、最終的にはマンガン濃度で出しますので、マンガン濃度のTLVの中に仮にグラインダーによってレスピラブルがあれば、それも含めて、TLV、健康影響という観点からも同じですので、それで評価するということになります。
○小嶋委員 そのことと関係ないんですけれども、骨子案のマル2の1の(4)で段階的な規制云々というところなのですけども、溶接現場で局所排気があまり使われていない、機能していない、その理由の一番大きいのは、やはり移動作業であるという。
つまり、ヒュームの発生源、アーク点が作業に伴いどんどん移動していきますので、フードの開口面と発生源の距離がどんどん経時的に変わってしまう、離れていってしまう、そういうことで局所排気装置ってなかなか使いにくいということなのですけれども、その点、プッシュプルですと非常に広い換気区域を確保できますし、また、プッシュプルの性能要件が捕捉面における平均風速0.2mですから、溶接欠陥を生じさせる風速よりもかなり小さいので、溶接作業に対して有効な対策の一つと思われるんですけれども、この骨子案では全体換気の風量を増やすとは書いてあるんですが、「プッシュプル」という文言が一つも入ってないので、こういうのを入れてもいいんじゃないかと思うんですけど、いかがでしょうか。
○安井環境改善室長 プッシュプルが使える状況はあると思うんですけれど、例えば大きな造船とか、要するに溶接作業エリアが10 m、20 mあると、なかなか全体をカバーするプッシュプルはなかなか難しいのと、そのほかのものについても相当程度、作業場所が動くものが多いので、プッシュプルというのを例示として入れるのは不可能じゃないと思いますけれど、それを何か義務づけるような方向はちょっと難しいかなというふうに考えます。
○小野座長 基本的には、いわゆる作業環境測定をして、それに対して対策をとるという形ではないわけですから、各事業者の方で、工学的対策がとれるならばとっていただくし、それで、その上で濃度をはかっていただいて適切なマスクを選択していただくという流れになっていると思いますので、特にプッシュプルということを例示して、どれだけ例示するかということについては事務局の方にお任せしたいと思います。
○安井環境改善室長 一応、全体換気装置及びそれと同等以上の装置になっていますので、当然、プッシュプルが使えればプッシュプルは含まれると思いますので、そういった表現を使わせていただきたいと思います。
○小野座長 あと、先ほどほかの作業があるときはどうするのかという御質問がありましたけれども、この後、ほかのマンガンに関わる作業についての話も出てくると思いますので、そことトータルで、もし後半の部分の作業と同時になったときはどうするかということで、また後でトータルで考えていけばよろしいと思いますけれども、いかがでしょうか。
では、ほかにございませんでしょうか。
藤間委員。
○藤間委員 やはり、この(4)のマル2のところの「新たに採用し、又は変更するとき」という表現のところなんですけれども、溶接作業といっても、当然のことながら一品もののようなもののところも多いでしょうし、この辺りが、先ほど名古屋先生がおっしゃったように、もう二度と同じ状況がないようなものの中で測定して、次、どうするのかというところですよね。
そこを、簡単なところかもしれませんけど、いろんな例示と、あと細かい表現をしていただかないと、多分、事業者の方は迷うところだと思いますので、よろしくお願いいたします。
○小野座長 ほかには、いかがでしょうか。
一番難しいところですので時間がかかりましたけれども、よろしいようでしたら、先に進めさせていただきたいと思います。
では、最後に、骨子案マル3について説明をお願いいたします。
○安井環境改善室長 続きまして、では、資料4を御説明させていただきます。
こちらにつきましては、そもそも議論の発端でございましたマンガン及びその化合物の管理濃度をどうするかということでございます。
こちらにつきましては、当然、溶接ヒューム以外、従来から管理濃度が適用されていた業種についての議論ということでございます。
前回、検討会での御意見につきましては、まず、測定対象の粒子につきまして、(1)に書いてございますが、もともと管理濃度検討会では基本的にレスピラブルでいいのではないかという議論がございましたが、水溶性の高いマンガン等に対するセーフガードとしてインハラブルの上限値が勧告されていることも踏まえて、インハラブル粒子についても管理濃度が必要じゃないかという御意見がございました。
また、インハラブルにつきましては、特に法令で定められた分離装置がなくて、測定の方法論というのが確立しているとは必ずしも言えないのではないかという御意見もございました。
それから、2でございますが、管理濃度の値につきましては、ACGIHの0.02 mg/m3を使うか、ECの0.05 mg/m3を使うかについての議論が必要となっております。
(3)につきましては、従来のマンガン合金等におけるマンガンばく露低減措置ということでございますが、文献によりますと、インハラブル粒子とレスピラブル粒子の比が、これは作業によって違うのですけれども、マンガン合金製造等については10対1程度とされているということがございますので、これにつきまして、日本の状況を調べたいということがございました。
こういったことを踏まえまして、骨子案のマル3でございますが、まず、1といたしましては、測定粒子につきましては、ACGIHの提案理由書及びそれに引用されている文献等を踏まえまして、作業環境測定の対象粒子としましては、レスピラブル粒子としたいと考えてございます。
それから、マンガン及びその化合物の管理濃度につきましては、ここはまだ●にしてございますが、後ほど行政の提案としては0.05 mg/㎥がいいのではないかと考えてございますので、御議論いただきたいと思います。
それから、先ほどの骨子案マル2に出てきました溶接ヒュームの基準値というのをつくる必要がございますので、こちらも基本的にマンガンの管理濃度と同じ値ということで提案をしたいと考えてございます。
続きまして、資料4-1でございます。こちらにつきましては、まず1でACGIHの提案書になりますけれども、マンガンTLVの考え方ということでございまして、(1)にございますのは、基本的にレスピラブルがインハラブルよりもばく露量-反応関係について優位差が出やすかったということがございますので、ばく露限度値は、全部、レスピラブルのLOAELで検討してございまして、LOAELの値が0.03 mg/㎥か0.04ぐらいであったということ、それから、一番低かったのはYoungの2005で示したのが0.01 mg/㎥だったわけですけれども、それの下限値にできるだけ近づけたいということで、0.02 mg/m3というのを提案したということがACGIHに記載してございます。
それから、粒子につきましては、ほぼ全てのマンガンが肺の微細なガス交換領域に沈着した粒子から吸収されると、そういった意味から最も懸念される粒子は微細のレスピラブル粒子であるとしている一方で、消化器官への吸収や鼻咽頭に付着した溶解性の高い粒子からの吸収のセーフガードの観点から、インハラブル粒子のTLV 0.1 mg/m3も推奨されるとしているとしています。
この値につきましては、レスピラブルの値の5倍にしてございまして、それは、インハラブルとレスピラブルの比が、溶接で1対1、フェロアロイで10対1あるので、その中間値として5倍にしたとしています。こういった経緯がございますので、インハラブルのTLVは単独では使用してはいけないと、必ずレスピラブル粒子のTLVとあわせて使用してくださいということが規定されてございます。
それから、ACGIHのバックデータでございますけれども、ばく露粒子にレスピラブル粒子の全就労期間平均ばく露強度(INT)を使うと、より明確にばく露-応答関係が出たということで、同じくインハラブル粒子の結果で示されるよりもレスピラブルのデータの方がより高く一貫したばく露-応答関係が示されているということが示されてございます。
管理濃度につきましては、作業環境測定結果を評価いたしまして、その管理区分を決定するための基準値でございますので、管理区分の決定の方法というのは事業者にとってわかりやすいものでなければならないということでございまして、従来、同一の物質について複数の粒径別の管理濃度を示した例はございません。
これは、複数の管理濃度を示すと、複数の測定値を評価した管理区分が一致しないということが発生しまして、その場合にどうするのかということがあり、最低基準である法令として規定するのは難しかったということがございます。
それからインハラブル粒子につきましては分粒装置が法令上定められておりませんので、方法論的にかなり法令上の手当がないとインハラブルは測れないということもございます。
それから、5の考察、測定対象の粒径につきましてということでございますが、ACGIHやTLVの設定におきましてレスピラブル粒子のLOAELを主な根拠にしていますけども、インハラブルのTLVはこれを5倍として計算されてございます。このため、インハラブルのTLVは、溶接については過度に緩く、フェロアロイ合金等においては過度に厳しい限度値ということになるということでございますので、ACGIHとしては、インハラブル粒子のTLVを単独で使用することを認めていないということでございます。
また、実際の現場で複数の粒径において管理濃度を設定する場合、得られた複数の結果が一致しない場合にどうするのかという考え方がございますし、インハラブル粒子の分離装置は基準もないと、そういった実務上の問題もございます。
こういったことを踏まえますと、管理濃度は管理区分の設定の基準となりまして、管理区分によってさまざまな措置義務が課されるという義務規定の最低基準であるということを考えておりますと、より確実な根拠を持つレスピラブル粒子のみを測定対象とすることが妥当ではないかと考えているところでございます。
続きまして、資料4-2でございます。こちらがマンガンのばく露限度値に関するACGIHとECの提案理由の比較でございます。
1のACGIHの提案書におけるマンガンTLVの考え方につきましては、先ほど御説明したとおりでございまして、レスピラブルのLOAELを使っていて、Youngの下限値に近づけた。ECにつきましては、使っている文献はほぼ全く同じでございまして、明確に違うのが、2の(1)の下から2行目にありますが、Gibbsが1999年に示したNOAELですね、これだけのばく露があったにもかかわらず神経障害が出なかった値である0.040mg/m3を重視しているとなっております。
ECが指摘しておりますのは、研究によって示されたLOAELを評価する調査のほとんどが断面調査であるということでございまして、断面調査と申しますのは、ある時点においての濃度とそのときの健康障害を調べるわけでございますが、健康障害がいつの時点で発生したかわからないという調査の手法的な限界がございまして、一般論として古ければ古いほどばく露は高いという問題がございますので、そういった意味においてはNOAELを非常に重視すべきだというのがECのスタンスでございます。
さらに神経機能作用に可逆性がない。つまり一遍なってしまうとなかなか治らないということもございますので、5年、10年継続するようなものであるので、そういったことは特に考える必要があるということを書いてございます。
考察でございますが、ACGIHもECもほぼ同じ報告を評価した上で異なる限度値を勧告しておりますけれども、その理由としては、ACGIHは、Youngらの最小値とほぼ同じ値として0.02mg/m3、ECとしてはLOAELが示した報告のほとんどが断面調査であることを踏まえて、NOAELである0.04 mg/㎥を重視して0.05 mg/㎥を推奨していると。その前提として、Gibbsの調査をかなり詳しく詳細に調査して、調査手法としては良好であったという評価をしてございます。
以上から、ECの推奨値というのは妥当なものでございまして、ACGIHの推奨値は良好な方法論を持つと評価されたNOAELの値を踏まえていない値であるということがございますので、管理濃度というのは、それを上回った場合に必要な措置を義務づけるための法令上の最低基準ということでございますので、より確実な根拠を持つものであるという観点から、ECの推奨値0.05mg/m3を採用することが妥当であるということを提案したいということでございます。
資料4-3は、フェロマンガン合金製造等における空気中マンガンの粒径分布に関する文献等ということでございます。
1にございますように、Fig.1というのがございますけども、レスピラブルとインハラブルには一定の直線関係があるように見えます。その比は、算術平均では11.6対1、幾何平均では8.4対1ということでございます。これはあくまでマンガン合金製造の関係だけでございます。溶接はまた違う数字がございます。
これにつきまして、フェロアロイ合金製造者及び製鉄業の事業者団体に対しまして、過去のレスピラブルを測っているデータ、それから作業環境測定値、B測定だけですけれども、御提供いただきました。大体、30測定値がございました。B測定ということで、比率についてはかなりばらつきがございましたが、ピークとしては0.1以上0.2未満のところに立ちましたということでございます。
考察といたしましては、一般的にはその粉じん濃度というのはインハラブル濃度より高いということでございますので、現在、測定されているその粉じん濃度に含まれているマンガン濃度の10分の1程度にレスピラブルがなるのではないかということが文献上は想定されるわけでございます。
これにつきまして、今回、改めてそれを実態調査で検証したところ、その粉じん濃度に対するレスピラブルの粉じんの比率の最頻値が0.1以上0.2未満、つまり10分の1から5分の1となっておりますので、過去の文献とは矛盾しない結果ということでございます。このため、管理濃度が数字上大きく下がったとしても、実態的に大きは変動はないのではないかというのが言えるというレビューの結果だったということでございます。
説明は以上でございます。
○小野座長 ありがとうございました。
この数値をどうするかと、あと、根拠について御意見、御質問がございましたら、お願いいたします。
すみません、その前に、一つだけ資料の確認をさせていただきたいのですが、資料4-3の(3)、ここのグラフの横の、「レスピラブル粉じんの濃度は、総粉じんの濃度の」というところがございますけれども、これは全てマンガン濃度ということでよろしいですよね。
○安井環境改善室長 全てマンガン濃度です。
○小野座長 ありがとうございます。
大前委員、お願いします。
○大前委員 資料4-2にACGIHとECの提案理由の比較がございますけども、2のところ、EC提案文書における考え方のところで、NOAELを重要視しまして、Gibbsが示した0.040を重視しているということはいいんですが、じゃあ、なぜ0.04ではないのか。なぜ0.05なのか。
例えば、この中身を見ますと、例えば許容濃度委員会ですと0.04になりますね。なぜ0.05という、0.01分だけ上乗せしたのかという、そこら辺は、何か、情報はありますか。
○安井環境改善室長 資料4-2に、ECの文献で、(1)のところで、彼らが使った数字がざっと羅列されているのですけれども、0.05 mg/㎥下回ったLOAELは、Bast-Pettersenが0.036 mg/㎥と、Ellingsenが0.0338 mg/㎥がありますが、要は0.04 mg/㎥というのが正しいとなると、Bast-PettersenとEllingsenは間違っていることになるのですね。そうすると、0.05 mg/㎥が一番低くなるのですよ、エビデンスとしてはですね。私が委員会にいたわけではないので、これ以上説明できないんですけど、そういったことかもしれません。
○大前委員 NOAEL調査の場合は長期のばく露の話なので、Gibbsのは恐らく長期の観察の結果の話だと思うので、LOAELを使うんじゃなくてNOAELを使うということに関して僕は全然異論はないんですね。
身体影響はなかなかならないというところはありますし、その結果として、Gibbsが示した0.04、彼らは長期観察ではNOAELの0.04と言っているにもかかわらず、ECはなぜ0.05あるのだろうというふうに、そのLOAELとの話じゃなくて、そこのところの判断は何か、単純に0.05だと区切りがいいのかなみたいな話だけだったの、何か根拠があったのかと思いましたけれども、すぐに情報がなければ構いません。
この場合は、今回の場合は、管理濃度の話ですので、管理濃度はどこの機関のをもってきても構わないというふうに思います。
今までは、scsとか、産衛が多かったと思いますけども、今回は長期ばく露のNOAELでEC,そこのところはいいと思うのですが、そうすると0.04でいいんじゃないの。そういう意見を僕は持っています。何で0.05なのだろうという。
○小野座長 ありがとうございます。
事務局いかがでしょうか。
○安井環境改善室長 過去の例を、今までの管理濃度の決定の仕方になりますと、どこかの権威のある機関が定めた数字を使っておりまして、この委員会でオリジナルの数字を作ったことはなく、そういう意味では、今回は0.02 mg/㎥か0.05 mg/㎥のどちらかの選択ということになるのかなと考えてございます。
○大前委員 わかりました。ありがとうございます。
今回は、管理濃度なのでこれでいいと思うんですけども、リスク評価の方の第2評価値と考えた場合は、これは恐らく0.02ということになるんじゃないかと思います。参考までに。
○小野座長 事務局、よろしいですか。
○安井環境改善室長 リスク評価につきましては、ちょっとまたリスクアセスメントとの関係ということでございますので、こちらでどうするかというのはまだ決めてございませんが、その御意見は留意させていただいて、管理濃度としては0.05 mg/㎥でやらせていただきたいと思います。
○小野座長 ほかにいかがでしょうか。
清水委員、お願いいたします。
○清水委員 違うことでよろしいですか。今のと違う。
○小野座長 管理濃度ではなく。
○清水委員 はい。今までの全体を通じて。後でやります。
○小野座長 じゃあ、すみません、少々お待ちください。すみません。
管理濃度等については、いかがでしょうか。
すみません、私が先ほど小嶋委員からのほかの作業が入ったときにどうするかという議論を、ペンディングにしてしまったんですけれども、溶接とそれ以外の作業があって、グラインディングの作業とかからマンガンが発生する場合、二つの違う作業について、管理濃度と、基準値でしたっけ、それを両方同時に測定するという形になると思うのですが、そういったときにどうするかについては、多分、今ここで結論は難しいかと思うのですけれども、お願いいたします、事務局。
○安井環境改善室長 まず、グラインダーの作業につきましては、もともとマンガン及びその化合物の取り扱いということには、従来からマンガンの取り扱い作業としてはしていないです。
○小野座長 してないのですか。
○安井環境改善室長 それは、削ればどんな物質が出るのかというのはいろいろ議論があると思いますけども、従来、マンガンの製造及び取り扱いというのは、いわゆる精錬であるとか、製鉄であるとか、主にマンガン原石を扱うもの、そこから出てくるヒュームを扱う作業に、事実上、適用を限定しておりまして、グラインディング作業について従来から適用してきたような事実はございませんので、それがまず大前提になります。
その上で、今回は溶接を主なものとして捉えますので、溶接の中にそういうグラインディング作業があるということであれば、一連の作業、附帯作業も含めて測定するということで対応するのかなと考えています。
○小野座長 溶接の基準値として決める。
○安井環境改善室長 そうです。溶接の作業の一環として考えるということです。
○小野座長 はい、わかりました。
名古屋委員。
○名古屋委員 粉じん則のときも、溶接は入っていますけれども、グラインダーは粉じん則に入ってないのですよ。溶接作業のときにグラインダーがあっても、要するに溶接と一緒に一連の作業として評価するという形の粉じん則のつくり方をしているので、グラインダーは入っていないと思います。
○小野座長 ありがとうございます。
○松村委員 マスクの選択使用についてですが、一日の最初にどのマスクを使うかを選ぶときに、その作業の発生する粉じんの濃度と、それから管理濃度の比率ですね、これはJISの言葉で言うと「濃度倍率」と言っていますけれども、濃度倍率が10倍以下だったら、防護係数が10のものを使えばいい、10倍を超えていたら50のものを使う、そういうふうに決めていくわけですけれども、一日の中で使うマスクを変えるのか変えないのかというのは作業場所の管理の仕方だと思うのですね。ですから、普通は、多分、一つのマスクを使えればそれでよいという選択ができると思います。
○小野座長 ありがとうございます。
ほかに管理濃度の件でございませんでしょうか。
よろしいですか。
では、先ほど失礼いたしました。清水委員、お願いいたします。
○清水委員 今まで検討してきた防じんマスクですけれども、要するにヒュームにばく露する人たちに肺がんが発生するということが、マンガンなのか、じん肺によるものなのか、あるいは溶接ヒュームの作業から起こる化学物質なのか。その化学物質に関しては、全く、今、考慮されていないわけですね。ですから、保護具が防じんマスクとしての検討だけが今されていますけども、化学物質に対しては全く無防備な状態であると。
その化学物質の組成、どんな有害なものかどうかというのは全く検討されてきていないので、どこかからの報告を待つしかないということになってしまうのではないかと思うんですよね。
それよりは、日本としてもやはり検討すべきではないかというふうに、感想ですけれども。
○小野座長 ありがとうございます。
事務局、お願いいたします。
○安井環境改善室長 まさにおっしゃるとおりと考えておりまして、厚生労働省科研費で、溶接ばく露の断面調査というのは、一応、来年度、公募する予定でございますので、そういった中で、どこまで物質が測れるのかというのはわからないのですけど、そういったことも踏まえて研究していただければ、日本独自の研究も貢献ができるのではないかと思います。
○清水委員 ありがとうございます。
○小野座長 松村委員、お願いいたします。
○松村委員 すみません、その溶接ヒュームのヒュームであります微粒子の部分じゃなくて、ガスの部分については、かつてから問題はわかってはいたのですけれども、なかなか具体的に実用可能な対策がなくて、対応ができてきていないのですが、最近は防じんマスクでもPAPRが非常に使いやすい状態になってきていますし、それからJISの範囲では、規格にはなっていませんけれども、ガスフィルターをつけたPAPRというものも技術的には可能です。
ですから、そういうようなものの中で、例えばオゾンとNOxに対する除毒能力のある吸収缶も併用できるようなマスクというのは技術的には可能なのです。それはまだ規格になってはおりませんけれども、ぜひ、そういうことも含めて規格化を進めていただきたいと思っております。
○小野座長 ありがとうございます。
なかなか呼吸が苦しくなりそうな感じはするんですけど。
○松村委員 電動ファン付きだからフィルターの通気抵抗が高くなってもユーザーの呼吸は可能になるということですね。
○小野座長 そうですね。電動ファンですと、話がちょっとずれますけども、やけどとか、高温のという話がよく出るのですけれども、空気の取り入れ口を少し後ろ側からとるという形にすると、呼吸域の温度を少し下げるとか、そういう役には立たないでしょうか。
○松村委員 そのやけどというのが、多分、私の聞いた範囲では、面体そのものがエラスチックのシリコンとか、そういうものが非常にやわらなくなって、顔に貼りつく、それは、多分、輻射熱だと思うのですけれども、溶接作業ではないと思います。今、電動ファンについては、隔離式といって、腰の後ろにブロワを置くような形式のものがほとんど少なくなりました。
○小野座長 多分、そうですね。
○松村委員 ほとんどが電動ファンの取り付け位置が顔の前なのです。それは発生する粉じんとか有害ガスをもろにそこを通しますので、本当はフィルターの使い方としては厳しいんですけれども、どうもその方が使い勝手がよいということで、現在はほとんどそっちの種類になってしまいました。
○小野座長 わかりました。ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。
ほかに御意見ないようでしたら、すみません、仕切りが悪くて時間がなくなってまいりました。今、たくさん御質問、御意見が出ましたけれども、事務局の方で、この骨子案マル3について御対応いただきたいと思います。
一応、ここまでで、本日、用意されていた議題は終わりになります。
ほかに御意見、通して御意見等ございましたら。
中明委員。
○中明委員 最近現場を離れているので、現場がどういう状況になっているか、特に溶接の関係はわからないのですけど、でも、いろんな形のものが出てきて、材質にしても、方法にしろ、そうすると、ここで「一、二の三」で管理濃度決めちゃっていいのかなというのは元に戻っちゃう議論なのだけど、それが、確かに生体影響からすると、神経系への影響はマンガンの場合にあるというのはかなりよくわかってきたから、幾つかどこかで「えいや」とやらざるを得ないとは思うのだけど、これで、今回、0.05で決めちゃって、管理濃度だから、今まで出てきたのは、どっちか個人サンプラー的な、個人ばく露的なところがかなり大きい部分があったと思うのだよね。
だから、現場でうまく管理できているところで、なおかつ個人サンプラーを使った、個人ばく露をはかって云々というようなことと、どうもそこら辺の整合性というかな、そこら辺がちょっとぴんとこないのね。
ここで0.05で作業上の環境の安全って、それでいくならそれはそれでいいと思う、当面やってみるというのは必要だと思うのだけど、名古屋先生が御指摘のように、いろんな形のやり方があるし、いろんな材質を使ってあれしたときにどうか。
あるいは大前先生がおっしゃるような形の生態影響から考えたら0.04のほうがいいんじゃないのというようなことも含めて、僕は、今、ちょっと0.05にするのはどうかなと。
僕もどっちかというと、0.04にしたほうがいいのかなという気はあるのだけども、でも、行政としては0.05でいきたい、いくのがいいという御提案なので、これからどれぐらいそれを続けていくかだと思うのですよね、この数値を。
過去に決めたものはほとんどそのままできているからね。ここで0.05にしちゃって本当に、いいのだろうとは思うのですけど、大体、全体的な濃度は低いから現場サイドでは問題はないと思うのだけど。だから、いいです。皆さん、ほかの委員の先生方が0.05でいいというのだったら、私もそれに従います。
以上。
○小野座長 今回はかなりいろんなデータを考察した上で落とし込んでいるので、なかなか難しい部分もありますし、あと、マスクの方の基準値と、作業環境測定は今までどおりというのとの二本立てというか、別なものが並んでいる状態になっていますので、ちょっとその立てつけについて、もう少しわかりやすく書いていただいて、積み残している部分があるということについては、検討の余地はあるのかと思います。事務局から今の御意見について何かございましたら、お願いいたします。
○安井環境改善室長 管理濃度につきましては、先ほど御説明したとおり、基本的には県や機関が提案されているものを採用してきた経緯がございますので、過去に遡ってこの検討会で全くオリジナルな数字をつくったことはないということですので、0.02 mg/㎥か0.05しかないという中で0.05をとりたいということでございます。
それから、全体像がわかりにくいというのは御指摘のとおりでございまして、報告書ではもうちょっとわかりやすく全体像がわかるようにはしたいというふうに考えてございます。
○小野座長 ほかはよろしいでしょうか。ちょうど時間になってしまいました。
では、本日の検討会はこの辺りで閉会させていただきたいと思います。
事務局の方から連絡事項等ございましたら、お願いいたします。
○安井環境改善室長 各委員におかれましては、精力的な御議論をいただきまして、ありがとうございました。今後の予定でございますが、本日、御議論いただいた骨子案につきまして、本日いただいた御意見を踏まえて、次回は、報告書案という形で御審議をいただきたいというふうに考えてございます。
また、次回検討会でございますけれども、来年1月21日の13時30分から開催したいというふうに考えておりますので、ぜひ御出席いただきたいと思います。
以上で本日の措置検討会を閉会とさせていただきます。本日はありがとうございました。