第17回救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会(議事録)

医政局地域医療計画課 救急・周産期医療等対策室

日時

令和元年11月6日(水)
14:00~16:00

場所

TKP市ヶ谷カンファレンスセンター ホール3D

議事

下記のとおり
2019-11-6 第17回救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会
 
○野口救急医療対策専門官 定刻になりましたので、第17回「救急・災害医療提供体制等のあり方に関する検討会」を開催させていただきます。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中を御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
本日、坂本構成員、田中構成員から御欠席の連絡をいただいております。
なお、本日は、参考人として、仙台市消防本部より阿部和彦様。
○阿部参考人 阿部でございます。よろしくお願いいたします。
○野口救急医療対策専門官 DMAT事務局から近藤久禎様。
○近藤参考人 近藤です。よろしくお願いいたします。
○野口救急医療対策専門官 お二方にお越しいただいております。
それでは、お手元の資料を御確認ください。
まず、議事次第、構成員名簿、座席表のほか、資料1から4、参考資料1から5をお配りしております。不足等がございましたら、事務局までお知らせください。
報道の方で、冒頭、カメラ撮り等をしておられる方がおられましたら、ここまででお願いいたします。
(冒頭カメラ撮り終了)
○野口救急医療対策専門官 それでは、遠藤座長に以後の議事進行をお願いいたします。
○遠藤座長 それでは、早速議事に入りたいと思います。
まず、議題1「救急救命士の資質向上・活用に向けた環境の整備について」、事務局から資料1と資料2が出されておりますので、まず、それを説明していただきたいと思います。よろしくお願いします。
○新井病院前医療対策専門官 事務局です。
資料1からごらんになってください。「救急救命士の資質向上・活用に向けた環境整備について」について御説明をさしあげます。
まず、1ページ目「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会における救急救命士に関するこれまでの議論の整理」となっております。
1枚おめくりください。2ページ目、3ページ目で、今まで、第10回と第14回の検討会における、2回にわたる救急救命士に関する議論でいただいた御意見を列挙させていただいております。これまで、救急外来における救命士を資質向上・活用すべきという御意見があることから、後半で論点を整理しておりますので、また後ほど御説明をさしあげます。
それでは、4ページ目をおめくりください。こちらは、以前にもお示ししております救急医療体制の全体像となっております。右下赤枠内、救急医療機関における人材育成・人材確保に着目して、これから説明してまいります。
それでは、「救急医療を取り巻く現状」に関して、次のページから説明をさしあげます。6ページ目です。平成3年、救命士法制定時と比べると、現在の救急搬送件数は2倍以上となっており、増加の一途をたどっていることがわかります。
次のページをお開きください。年齢区分別の搬送人員は、高齢者の割合が増加傾向にあることがわかります。
次のページ、お開きください。同じく、右の赤枠内についてですけれども、高齢者についての詳細なデータを示しております。
9ページ目をお開きください。左の図は、救急隊が行った応急処置等の状況、右の図は救急救命士が行った特定行為等の実施状況を示しております。こちらは、平成30年版の救急・救助の現況からいただいている資料でございますけれども、左の図にありますとおり、黒いポチがついているものが拡大された応急処置、二重丸、やや小さいですけれども、特定行為となっております。処置の実施状況に関しましては、右にありますとおり、年々増加傾向にあることがわかると思います。こちらは、また後ほど、詳細は見ていただけたらと思っております。
次の10ページ目をお開きください。救急救命士の活用等に向けた環境整備の必要性に関する主な提言をまとめさせていただきました。
2010年3月に日本医師会様のほうから、救急救命士の業務の場所の拡大に関する「提議」をいただいております。
その後、2018年、日本救急医学会様から、救命士の活用に関する提言をいただいておりまして、以後、以下のようになっておりますので、こちらも御参照いただけたらと思っております。
次の11ページ目ですが、こちらは医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフティングに関するヒアリングに関する資料でございます。本年6月、7月に、弊省では、こちらのヒアリングを行っており、赤字の3団体から、救命士に関する意見を述べていただきました。
次の12ページに、ヒアリングにおいて各団体から示された救命士に関する意見をまとめましたので、こちらも後ほどごらんになっていただけたらと思います。
先に進みます。13ページ目です。一方、医師の働き方改革に関する検討会の資料からの抜粋でございますが、救急科が年上限ラインを超える医師の割合が高いことが、上の赤枠のところからわかると思います。
次のページ、お開きください。こちらは、今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会という検討会からの資料でございますけれども、日本救急医学会様から出されている資料です。救急科専門医の実数と推定必要性には2倍以上の開きがあることが、こちらの資料からわかると思います。
次の15ページに進みます。こちらは、また医師のタスク・シフティングに関するヒアリングに戻りますけれども、日本看護協会様からは、一方で、救急外来における看護師の必要数が十分に配置されておらず、一般病棟と救急外来を兼務している看護師が多くいるとの意見を出していただいたような形になっております。
次の16ページ目、救命救急センターにおける看護職の業務内容について、こちらも日本看護協会様が2014年にとっていただいたアンケートを載せさせていただいております。救命センターにおける看護業務、看護師の行う業務が、このように多岐にわたっていることがわかると思います。
次のページにお進みください。同じ、これらの業務でございますけれども、中でも他職種が担ったらよいと思う業務が、このように多く存在することがわかります。他職種には、こちらの2014年のアンケートには救命士が入っておりませんけれども、赤枠内に関しましては、救命処置に関連するものを例として、こちらで挙げさせていただいているところでございます。こちらも、また詳しく見ていただけたらと思います。
次のページに進みます。18ページ目は、第14回で北九州市立八幡病院の伊藤参考人から提示いただいた資料の抜粋です。左下の図マル1-1のように、院内で救命処置をせずとも助かっているとの声がある一方、真ん中下の図マル1-2のように、MC体制のもと、院内で救命処置を行うことは賛成しているという意見も多くいただいているということで、出させていただいております。
次のページも、引き続き厚労科研の伊藤参考人から出していただいた資料でございますけれども、救命士を雇用していない医療機関にとったアンケートでございますけれども、左の図Aのような業務を期待されていることがわかると思います。救命処置ももちろんですけれども、救命処置に限らず、幅広い、多岐にわたる業務が期待されているということが、この資料からわかると思います。
ここまでが現状を示すデータでございますけれども、次のページからは「救急救命士の資質活用に関する論点」について御説明いたします。
21ページ目をお開きください。救命士の資質活用に関する論点として、以下の5つを挙げさせていただいております。
1番、負担の大きい救急医療の現場において、救急医療体制の今後のあり方はどのように考えるか。
2番、医療機関内における救命士の資質を活用する場について、どのように考えるか。
3番、救命士の資質を活用する場が医療機関内に拡大した場合の、医師の指示について、どのように考えるか。
4番、医療機関内において、医療機関に所属する救命士が診療の補助を行う場合に、就業前に追加で習得すべき知識等はあるのか。
5番、救急救命士法の趣旨について、どのように考えるか。
この5つについて、次のスライドから御説明をさしあげます。
それでは、1枚お開きください。まずは、救急医療を担う医療職種の今後のあり方についての考え方の整理です。
考え方としては、救急医療に従事する医師、看護師等の医療職種にかかる負担というのは、救急搬送件数の増加、もしくは疾病の変化等に伴って年々増加傾向にあると出ております。
救急医療現場では、救急医療に従事するスタッフの確保が課題の一つであると、こちらの検討会でも認識が共有されていると思います。
一方、救急医療に従事する看護師からは、救急医療の現場において多岐にわたる業務を担っており、救急救命処置を含む一部の業務は、他職種と役割分担をすべきであるといった意見がアンケートからわかってくると思います。
そこで、下の水色の枠の中ですけれども、今後、救急医療に従事するスタッフの確保の方策を検討するために、救急医療に従事する職員の配置状況や業務の状況等について、現状を把握するためのデータを収集することとしてはどうか。
2つ目として、救急医療現場におけるさまざまな処置や行為等について、それぞれの医療職種での役割分担を今後検討してはどうか。
この2つを事務局案として出させていただきます。
そして、まずは、以前より検討を進めてきた医療機関内における救命士の資質活用について、具体的な検討を行うこととして、次のページから御参照ください。
それでは、23ページに参ります。救命士の活用の場でございますけれども、現状、考え方、真ん中の欄を御参照ください。
救急搬送件数の増加に伴って、救急医療のニーズが年々増加し続けています。
救急医療の提供側として、医師の労務軽減、医療従事者間のタスク・シフト/シェアリング等が求められており、救急医療の現場や消防機関からは、救急救命士の資質活用について期待感が示されているところです。
救急救命処置に含まれる処置については、医療機関内において、医師、看護師から他職種並びに救急救命士に対して移管できる可能性があります。
重症以上の高齢者搬送が増加する中で、消防機関に所属する救命士が、医師や看護師等に傷病者を引き継ぐまで救命処置を継続することは、合理的ではないかと考えております。
そして、以下のように事務局案を出させていただいております。
このような現状や考え方を踏まえて、医療機関内の救命処置に含まれる処置を行う場においては、救命士の資質を活用することは可能ではないか。
2ポツ目として、医療機関内の救急救命処置に含まれる処置を行う場としては、主に救急診療を行う外来(いわゆる救急外来)でございまして、当該場所については、救命処置を可能としてはどうか。
なお、救急診療を行う外来以外(病棟内等)につきましては、救命士のニーズが不明なため、今後実態等を把握するための調査等をすることとしてはどうか。
この3つを挙げさせていただきました。
次のページには、今、私が説明させていただいた概念図を示したものですので、また後ほどごらんになっていただけたらと思います。
説明は先に進みます。25ページ目、医師の指示についての整理です。
事実関係といたしまして、真ん中の欄ですけれども、救急救命士は、医師の指示のもとに救命処置を行うことを救命士法で規定しております。
基本的に医師が不在である病院前では、MC体制のもと、医師の包括的な指示によって処置を実施することとなっております。
なお、特定行為に関しましては、医師の具体的な指示が必要であると、別途、救命士法の中で規定されているところです。
救急救命士の業務の場が救急診療を行う外来まで拡大した場合においては、当該外来には医師が必ず存在するため、医師は患者を診察した上で、救急救命士に対して具体的に指示を出すことになると思います。
以上を踏まえまして、下の青枠内でございますけれども、医療機関内においては、救命士は当然、医師の具体的な指示のもと業務を行うものと整理してはどうか。また、この点については、現行法の解釈を変更するものではないと考えております。
また、医療機関内におけるMC体制のあり方について、どのように考えるか。これも以前、御意見をいただいているので、こちらに挙げさせていただいた次第でございます。
それでは、次のページにお進みください。救急救命士が追加習得すべき知識等について、まとめております。
真ん中の考え方です。
消防機関に所属する救急救命士は、今までどおり病院前を中心として救急業務を行うが、医療機関に所属する救命士は、主に医療機関内において診療の補助等を行うこととなります。
救命士は、救命救急に関わる部分に関して、教育内容については国家資格によって担保されていることから、その業務の質は確保されていると考えます。
一方、医療機関に所属する救命士が医療機関内で業務を行うにあたり、習得すべき医療機関内特有の知識、例えば医療機関内における医療安全に関する知識、院内感染に関する知識等があると考えられます。
以上をもちまして、下のように、医療機関に所属する救急救命士が医療機関内で診療の補助等を行うに当たっては、追加で習得が必要な知識等について、現在のカリキュラムを精査することとしてはどうかとさせていただきました。
それでは、最後の27ページをお開きください。救急救命士法の趣旨に関してです。
真ん中に挙げましたとおり、救命士法第1条、第2条第1項、第2項に定義として出されているものと、救急救命士法の施行についてという通知に記載されておりますとおり、救急救命士法というものは、病院前医療の充実を趣旨として創設された資格でございます。
救急搬送件数が増加傾向にある中、医療機関内の救急診療を行う場における医師や看護師等にかかる負担は、増大傾向にあることはお示しさせていただきました。
医療機関内の救急診療を行う場においては、救急救命処置に含まれる処置のニーズがあると考えております。
以上をもちまして、下の青枠にありますとおり、医師のタスク・シフティング/シェアリングの観点から、今後の医療需要のさらなる増大を鑑みて、医療機関内においても救命処置が可能となるように、時代に即した法整備を行ってはどうかと、事務局案を出させていただきます。
以上、資料1に関して御説明をさしあげました。
続きまして、資料2に関して御説明をさしあげます。資料2をお開きください。こちらは「全国の消防本部を対象とした救急救命士に関するアンケート結果報告」となっております。
1ページ目です。本調査の目的としては、救命士の資質向上、活用に向けた環境整備に関する議論に資するデータを収集するため、救急隊と医療機関との連携の実態等を把握するアンケートを実施したものでございます。
調査対象は、全国の消防機関、消防本部、全728本部。
アンケートの回収数及び回収率は、660消防本部、回収率90.7%となっております。
1枚お開きください。こちらの調査票1では、消防本部における年齢別の救命士の有資格者の数を調査したものです。2ページと3ページ目に関しましては、実数を調査したものなので、こちらは御参考にしていただければと思います。
4ページ目をお開きください。調査票2となります。
2の1でございますけれども、貴消防本部の管内において、貴消防本部と搬送先医療機関の連携は円滑にとれていると思いますかという質問のもと、アからエの選択肢を挙げさせてもらいました。
下の枠にまいりますけれども、全国の約91%の消防本部では、管内の医療機関とおおむね連携がとれており、現時点においては救急搬送業務に支障を来していないという意見がありました。
消防本部と医療機関の連携はとれているけれども、診療科目、疾患、医師不足、受入医療機関の不足等によって、救急業務に支障を来している地域が存在するということも明らかになっております。
次のページ、お開きください。2つ目の質問では、貴消防本部において、搬送先医療機関(病院)との連携を円滑にするためにどのような取り組みをしていますかという問いをさせていただきました。
真ん中の結果のエにございますとおり、消防本部の保有する救急車に乗務する救命士と、医療機関のスタッフがともに参加する症例検討会を実施しているというものが圧倒的多数を占めておりまして、顔の見える関係づくりをしているというところがわかると思います。
次のページ、お開きください。3つ目の質問でございますけれども、貴消防本部の管内において、貴消防本部と搬送先医療機関の連携が円滑でないと感じる事項について、以下の選択肢からお選びくださいという質問で、多かった御意見としては、ア、イ、エ、医療機関がベッド満床等の理由によって、傷病者の受け入れを拒否する場合、もしくは現場滞在時間が長くなる場合という意見が挙がっているところでございます。
こちらも、また後ほど詳しく見ていただけたらと思います。
それでは、7ページ目でございますけれども、2の4で、最後の質問になりますけれども、上から2行目からですけれども、仮に医療機関内の救急外来において、医療機関に勤務する救命士の資格を有する者が救急外来に勤務して救命処置が可能になるとしたら、円滑な引き継ぎに寄与すると思いますかという御質問をさせていただきまして、多かったものはア、ウ、オとなっております。
何らかの理由によって、医療機関に所属する救命士が円滑な連携に寄与すると思う割合は88%を占めておりました。
また、一方で医療機関に所属する救命士が円滑な連携に寄与するためには、救急隊の勤務経験や定期的な救急車への同乗研修等が重要であるとの意見を多くいただいたところでございます。
以上がアンケートの結果となっておりまして、8ページ目、9ページ目にまとめを記載させていただきました。8ページ目には、今まで私が述べてきたものを挙げさせていただいておりまして、9ページ目をお開きください。結語として2個挙げさせていただいております。
医療機関内において救命処置が可能となると、救急隊から医療機関に所属する救命士への円滑な患者引き継ぎに寄与する可能性が示唆されました。
ただし、円滑な引き継ぎを実現するために、医療機関に所属する救命士が求められる事項として、救急隊の経験もしくは知識等が重要であると考えられるという御意見をいただいたところで、資料2の説明を終了させていただきます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの資料について、御質問、御意見等いただければと思います。特に、資料1では、22ページ以降、事務局の原案が出されておりますので、これに沿った御発言をいただければ幸いでございます。いかがでございましょう。
石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 先ほどの資料の御説明の中にありましたように、日本医師会のほうは、2010年から、この救急救命士の業務のあり方について検討してくれということをちょっと言っておりまして、救急救命士の業務場所を医療機関内に拡大するということについては、賛成であると思っております。ただ、そのために、議論にもありましたように、メディカル・コントロール体制をもう少し十分にする、教育を十分にするということが必要である。あくまでも場所の拡大ということ。
また、今までも議論の中にありましたように、救急車を有する病院というのは、東京などは特にございますので、そういったところでの救急救命士の活用ということも含めて考えていただいたらいいのではないかと考えております。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでございましょう。
加納構成員、どうぞ。
○加納構成員 ありがとうございます。
これから救急に関しては、高齢者救急がふえてくるという中で、大都会において、我々民間病院がかなり救急搬送の受け入れをシェアしております。その中で、今回の働き方等々、タスク・シェアリング等々の中で、医師も看護師も、救命士の資質を活用する職務は、ここに羅列されているとおり、多々あるかなと思います。また、今までの救急車の中だけ、病院に来たらだめということ自体も、次元的におかしな話で、心マッサージしながら来て、病院へ着いたら止めてしまうのかという話もありますし、非常に矛盾があったことを今回整理していただくことは非常に大事だなと思います。
また、最後のところに、これからの救命士の資質の活用についてということで、いろいろなことが考えられるのですけれども、一つの提起として、今回の救命士の行為に関して、特定行為を広げるということがなければ、僕はそのまま院内で同じ業務をしていただいても何ら問題ないのではないか。ここに書いてある感染症とか、そういうことに関する教育に関しては、これは場合によっては時間を割いて講習等を受けるということで、僕は大丈夫じゃないか。特定行為を広げない限りは、しっかりと彼らも勉強してきていますので、今までの内容等で十分活用できるのではないかと思います。
もう一点。メディカル・コントロールに関しては、院内はドクターがいますので、ドクターから直後の指示ができる。ある面で院内MCという形をつくるなら、つくるという形もありかなと思いますし、ドクター指示の直下で動けます。これも、そういう面での利便性もあるのではないかなと思っています。それらを考慮していただいて、ぜひとも今回の院内での活動をお認めいただけたらと思っております。
○遠藤座長 ありがとうございました。
井本構成員、猪口構成員の順番でお願いします。
○井本構成員 日本看護協会の井本でございます。
この資料にもあるように、これから救急医療の需要が増えるので、看護師もしっかり協力していかなければならないと考えるところです。資料1について御意見を申し上げたいと思います。
まず、本検討会では何度も意見申し上げてきましたように、論点1の「救急医療体制の今後の在り方」の中で最も重要なこととして、看護師の適切な配置についても議論していただきたいと考えています。今回の資料1のp.22に「救急医療に従事する看護師からは、救急医療の現場において多岐にわたる業務を担っており、救急救命処置を含む一部の業務を他職種と役割分担すべきであるといった意見がある」という記載がありますが、この前提として、今の救急外来に必要な看護師が配置されていないという実態を強調しておきたいと思います。ただ、本日は「救急救命士の資質向上・活用に向けた環境の整備について」という論点ですので、資料の論点に沿って御意見を申し上げます。
論点2、4、5に関係するところとして、資料1のp.27に救急救命士法の趣旨について、どのように考えるかという論点5があり、通知が示されております。本会でも救急救命士法案が提出された際に国会で説明された立法趣旨を確認したところ、「搬送途上において、医師の指示のもとに必要性の高い救急救命処置を行うことができる新たな資格制度を設けることが必要であり、新たに救急救命士の資格を創設し、搬送途上の医療の充実を図る」とありました。
つまり、今回論点に挙がっている医療機関内での活動は、この趣旨とは全く異なるものになるのではないかと思います。立法の趣旨を変え、新たな資格に該当するような業を行うのであれば、基礎教育の拡充が必要です。病院で働くほかの国家資格の医療職と同様、最低3年程度の教育は必要なのではないかと考えます。そこまで時間とコストをかけて、救急救命士に院内で救急救命処置を担わせることが、今の救急外来の医療の資質向上にベストな策なのかということについては、御議論いただきたいと思います。
国家資格である救急救命士の資質向上・活用に向けた環境の整備という中では、資料1のp.18にあるように、現在、医行為以外の業務を病院で担っている救急救命士について「非常に役立っている」という回答がとても多いことから、看護師を必要数配置した上で、救急救命士に、現在の教育・資格のまま、これらの業務を院内で担ってもらうことも、効率的かつ効果的な策ではないかということを意見として申し上げたいと思います。その上で、救急救命士の方の配置について評価が必要だと考えております。
最後に、事務局に御質問ですが、今回論点が非常にたくさんあります。今後どのように議論するのかということについて、御回答いただきたいと思います。また、現在、並行して「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアに関する検討会」が開かれておりますが、そこと本検討会の関係性はどうなっているのか、そして、冒頭でこれから実態調査をすると説明がありましたが、本会が申し上げている看護師の配置等の実態についての調査等はいつ議論するのかということも同時に御回答いただければと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
事務局、どういたしましょう。今、お答えになりますか。一通り議論が終わってからにしますか。
それでは、事務局、どうぞ。
○永田救急・周産期医療等対策室長 御意見ありがとうございます。地域医療計画課救急室長でございます。
御質問いただきました今後の議論の進め方でございますけれども、まずは、救急・災害医療検討会、本会において、これまで救急救命士の活用については議論いただいているところでございますので、引き続き、本会において検討していきたいと考えております。
また、その上で、タスク・シフト/タスク・シェアリングの検討会との関係でございますが、本会での検討結果につきまして、タスク・シフト検討会のほうに御報告させていただきたいと考えているところでございます。
続きまして、実態調査でございますけれども、特に看護師さんの配置といったことにつきましては、資料のほうでも示させていただいておりますが、例えば22ページでございます。下の青枠のところの1ポツ目で記載させていただいておりますように、救急医療に従事する職員の配置状況や業務の状況等について、今後調査してまいりたいと思いますが、その時期につきましては、間違いなく病院側であったり、看護師協会さんの御協力もいただかなければならないと思っておりますので、関係者の皆様と相談しながら、なるべく早く進めてまいりたいと考えております。
○遠藤座長 ありがとうございます。
井本構成員、よろしいですか。
○井本構成員 はい。
○遠藤座長 それでは、局長、どうぞ。
○吉田医政局長 事務局の医政局長でございます。
今、井本構成員から御質問いただきました中に、別途並行して私ども、同じく事務局を務めておりますタスク・シフト/タスク・シェアの検討会との関係の御発言がございました。前回のタスク・シフト/タスク・シェアの検討会のほうにおいても、表裏と言いましょうか、同じような形での御質問をいただきました。
その際の私が申し上げたことについても、共有という意味で御披露させていただければと思うのですが、向こうの検討会でも同種の御質問をいただきましたときに、これはもちろん検討会ですので、事務局というよりも、座長とよく御相談させていただきながらということを申し上げた上で、救急・災害医療の検討会における議論の進捗について、タスク・シフト/シェアの検討会のほうにも適宜御報告させていただくことになると思い、まずは先行している災害・救急医療のほうの御議論を積み重ねていただく。
その上で、全体像を見ていただくのはタスク・シフト/タスク・シェア検討会。これは、救急救命士以外にもいろいろな御議論がありますので、そちらにおいて御報告させていただき、タスク・シフト/タスク・シェア検討会での御議論にも供したいと申し上げておりますので、御報告申し上げます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、お待たせしました、猪口構成員、どうぞ。
○猪口構成員 なかなかしゃべりづらい状況になりましたけれども、最初の石川構成員、加納構成員が言ったとおり、今、救急救命士の方たちが救急でいろいろ処置行為をやっているものが、ここで示されている救急外来ぐらいの場所に来て、突然できなくなるという現実を踏まえると、このままの法律であっていいわけがないわけですね。そこのところは法的に整備して、彼らの行為、現実に起きているものが正当化されていかないことには、助ける命も助けられないという部分があると思います。
それから、我々のところで救急救命士を救急救命士として使っているわけではないのですが、優秀な看護助手という形で外来で一緒に働いてもらっておりますけれども、そこにかなり質的に、例えば感染症の話であったり、安全の話であったりというところが物すごく違和感があるわけではないです。院内のオン・ジョブでトレーニングというか、注意を与えると、基礎的知識は大体きちんとできておりますので、そんなにボリュームのある教育がそこに必要という印象は持ちません。今、即応性が非常に必要な状況ですから、教育というものもある程度の範囲でいいのではないかなと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでございましょう。
島崎構成員、どうぞ。
○島崎構成員 ちょっと戻るようですけれども、事務局のこの資料の考え方を確認したいのです。資料1の23ページを見ると、現状、考え方の4つ目の四角、消防機関に所属する救急救命士が、医師や看護師等に傷病者を引き継ぐまで救急救命処置を継続することは、合理的ではないか。つまり、消防車のところで途切れるのではなくてという処置のことが書いてあるわけですね。
その下の2つ目を見ると、医療機関内の救急外来については、救急救命処置を可能としてはどうかということが書いてあるわけです。
それから、なお、それ以外の病棟内まで救急救命士が入ってくるかどうかということについては、実態調査を見て、その上でどうするかということを判断するというニュアンスですね。
27ページの一番最後のところを見ると、非常に幅広く書いてあって、時代的な背景が違うのだから、医療機関内においても救急救命処置が可能となるように、時代に即した法整備を行ってはどうかということが書いてあるわけです。
しかし、一番最初の23ページの、消防機関に所属する救急救命士が医師や看護師に傷病者を引き継ぐという話と、例えば救急外来に救急救命士の方がいて一定の救急救命行為を行うということとは、ちょっと意味合いが違うのではないですか。つまり、事務局として提案したい中身をクリアにしてほしいのです。申し上げている趣旨は御理解いただけると思うのですけれども、その上で、どの部分を議論すればいいのかということを特定しないと議論が噛み合いません。
つまり、今の延長線上の、場合によっては解釈で多分できないのかという気もしますが、そこを実態上手当てする話と、政策的に救急救命士の活動を救急外来まで広げる話は意味合いが違いますし、さらに、時間軸が実態調査をして判断するという話になりますと、12月には間に合いませんよね。間に合わせようと思っているのかどうか知りませんけれども、時間軸との関係で、議論の対象について少し御説明を丁寧にしていただいたほうがよろしいのではないかと思います。
○遠藤座長 では、事務局原案の補足説明をお願いします。
○永田救急・周産期医療等対策室長 御質問いただき、ありがとうございます。御説明させていただきます。
まず、我々事務局としては、消防機関に所属する救命士と、例えば医療機関に所属されていて、先ほど優秀な看護補助者という御説明もありましたけれども、そこを資格法の観点から区別して考えていないところでございます。例えば、医療機関に所属される救急救命士さんが、病院で持っている救急車の活用という話も先ほどございましたけれども、それで現場に行かれて、患者さん、重度傷病者を収容されて医療機関に戻ってくる場合もございます。
なので、そういったときに、医療機関から出た瞬間から救命処置行為が可能になり、現場でそういう方を収容して、例えば心臓マッサージをしながら医療機関に戻ってきて、医療機関の敷地をまたいだ瞬間に、今度は優秀な看護補助者みたいな考え方として手をとめてしまうということについては、先ほど委員からの御発言もありましたけれども、そこの部分を救急外来までという形で拡大することによって可能とすることについて、これまでも御議論がありましたので、そこについては事務局としては検討してはどうかと考えているというところでございます。
また、これまでの課題に対する対応というところでございますけれども、一方で医療機関内と言いましても、救急外来であったり、病棟であったり、手術室といったことはございますが、これまでの議論の中で、我々事務局としての考え方としては、まずは、それは救急車が到着するようなところで検討してはどうかと考えているところでございます。
○遠藤座長 課長、どうぞ。
○鈴木地域医療計画課長 計画課長でございます。
最初の議論の発端は、まさに今、室長が話したとおりですが、その後、タスク・シフト/タスク・シェアという考えが出てきて、そもそもの救急外来における救急処置業務についてタスク・シェアができるのではないかという、いわば来るといいますか、中に入ってくる議論から入ったのですが、そもそも論として、そこにいる人たちの業務をどうしましょうかという二面性が出てきているというのが現状でございます。
先ほどちょっと申しましたけれども、法体系上は来る者拒まずじゃないですけれども、来る者をどこまで処置できるのかという方法ではなく、あと、場所の規定もそうではなく、その場所で、もしくはそういう人がということになっていますので、そこを区別できないというのは現実的にありますが、両面あるということで、今、改めてこういった場で御提案させていただいているというのが現状でございます。
○遠藤座長 島崎構成員、どうぞ。
○島崎構成員 経緯等から2つの流れがあるということは理解しましたが、そうすると、ここに書いてある23ページの現状、考え方の4つ目のところ、一つの流れを説明されただけの話であって、結論的に言えば、救急外来は、消防機関に所属する救急救命士の人が引き継ぐ場合も、あらかじめその中に救急のスタッフとして組み込まれている人が引き継ぐ場合も、両方あり得るという理解ですね。
もう一つ、先ほどお尋ねしたのは、それ以上広げるかどうかということに関して言うと、今回の案としては、そこまではとりあえず考えていないという理解でいいのですか。
○遠藤座長 吉田局長、どうぞ。
○吉田医政局長 きょう、こういう形で論点をお示しさせていただいたので、これから、この検討会における構成員の皆様方の御議論で、そのあたりも整理していくものかと思っている、これは基本であります。ただ、その上で、この資料の原案をつくった者として、どのような考え方かということをあえて申し上げさせていただければ、先ほど島崎構成員が整理されたような2つの流れの中での提案ではございます。
ただ、私どもとしては、先ほどの23ページの資料におきましても、十分な書き方かどうかは別にして、4つ目の流れの中でというのとあわせて、2つ目のところにタスク・シフト/タスク・シェアと、先ほど課長のほうから申し上げたような認識も少し書かせていただいているということが1つ。
一方で、27ページで、これはまさにこれから御議論で深めていただくところかと思いますが、先ほど井本構成員のほうからの御発言にもありましたように、そもそも救急救命士法という資格法をつくったときの考え方からすれば、まさに救急救命処置を適切に素早く患者さんに提供することより、全体としての医療の質を上げるための必要な資格という形で出てきた。
そのときに、当時、一番念頭に置かれたのが、いわゆる病院前医療という形でのイン・カーでの医療ということになっているということだと思いますが、人としてつながっているというよりも、機能として、私どもとしては、車の中、イン・カーだけではなくて、救急外来のように一連のものとして行われているような場における救急救命処置というものの担い手を、この救急救命士として位置づけることにより、全体としての医療の質が上げられるのではないかという考え方も持っております。
繰り返し申し上げるように、このあたりは構成員の皆様方の御議論を深めていただくところだということは前提にした上で、この資料にありますように、病棟というところになりますと、救急救命処置として、生きる、死ぬというところで非常に時間が切迫された中で、どのように医療の質を担保するかという観点からすると、ちょっと距離があるのではないか。
ただし、それがもし仮に一連のニーズとしてある、あるいは一連の機能として把握できるということがエビデンスとして出てくれば、そこまでの議論を否定するものではありませんが、私ども、それまでのものを持っておりませんので、今回の提案においては、イン・ホスピタルと言いながらも、救急外来のところと病棟のところに一定の線を引けるというのは、考え方としてはどうかという提案をさせていただいております。
○遠藤座長 ありがとうございます。
森村構成員、どうぞ。
○森村構成員 ありがとうございます。森村です。
今の局長のお話と、島崎構成員のお話で、論点は整理できて、要するに2つのことが言われているのだと思います。消防の救命士が院内にその業務の一環として入ってきた、その引き継ぎのときの業務をどうするかという話と、もう一つは、タスク・スイッチあるいはタスク・シフト/タスク・シェアといった労務改善の一環の中での救命士の方々の話という、2つあると思うのですが、私、後者のほうの御意見を言わせていただきます。
現行法の解釈を工夫するという方略を用いるのではなくて、つまり、救急救命士という資格を有した人をどうやって院内で雇用するかという考え方ではなくて、救急救命士という資格が担保する技能と知識。つまり、この中にもまさに資質と書かれていましたけれども、救急救命士資質をどういうふうに活用するかというのがキーワードじゃないかなと思いました。つまり、その資格ではなくて、資格を有していることによって持っているスキルと知識をどういうふうに病院の中で還元していくか、支援する力にするのかという観点だと思います。
そうしますと、資料1の12ページに、各学会やいろいろな組織が、どんな業務の負担が医師、看護師、その他の職種にかかっているのかということが出ているわけで、それは当然ながら大別すると、診療や検査、処方のほか、診療の補助、看護、患者や検体の搬送、記録。それから、ここにはないですけれども、該当部署との連絡・調整といった業務が、全体の職種の中で連携しながらやっているわけですが、それが非常に膨大になってきているというところで、その部分のどこをという話になると思います。
それで、翻って考えますと、院内の診療の医師のパートナーは看護師であります。その看護師に期待するところは、診療の業務と診療の補助と看護ということは間違いないわけですけれども、そこに負担を強いている部分が非常に大きいのではないかと思うので、その点においては、こういったタスク・シフト/タスク・シェアの対象として、救急救命士の資質を持っている方が院内に参画することは、私は賛成します。
ただ、その上で、その資格、先ほどから研修の短さや内容ということに関しては議論が必要でしょうけれども、院内の中で仕事をするのにどうしても必要なモジュールといいますか、パートというものは絶対に必要になるだろうと思いますので、例えば追加研修と言いますけれども、追加研修というものが必要になるでしょうし、救急救命士が院内で活躍するには、担保している技能に加えて、病院の負担改善につながると判断されるような業務内容。例えば、それは重症患者のCTへの搬送や集中治療室からCTへの搬送かもしれません。そういったことができるようになるようなプログラムは要るだろうと思います。
最後になりますが、その上で僕は2つの方法があって、これは議論すべきだと思いますが、救命士さんが追加研修を受けると、現行にない、例えば診療補助士と言うかわかりませんが、そういった資格をつくってあげることによって、病院の中のチーム体制、多職種チームの構成がしやすくなるだろうと思います。我々は、いろいろな人に、一緒に診療を補助する人に、この人はここまでしかできない、この人はここまでできるということは言いませんので、私たちはオーダーを看護師にしますので、看護師さんをサポートするような位置づけというものでもいいのかなと思っています。
それは診療補助士と言わないならば、現行の准看護師さんという職種もあると思いますけれども、救命士さんにプログラムを加えると、例えば准看になれるとか、そういった今ある制度の院内の資格につなげていくことがいいのではないか。その意味で、院内の話をするときと、消防の救命士さんが院内に入ってからどう拡大していくかという話は、資格の意味においては少し整理しながら、一緒にはいきなりできないのではないかというのが私の意見です。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、村上オブザーバー、どうぞ。
○村上オブザーバー ありがとうございます。オブザーバーの救急企画室長でございます。
先ほど島崎先生のお話や森村先生のお話を伺って、消防機関に属する救命士の立場に立った懸念というか、不安を申し上げさせていただきます。消防機関に属する救急隊員、救急救命士としては、早くお医者さんに引き継いで、病院内に搬送した後は帰着して、次に備えるというのが大きな仕事だと考えております。縦割りという批判があるかもしれませんけれども、あくまで病院前救護という形で病院に引き継ぐまでを仕事として、そして戻っていくのが救急隊員の使命でもございますので、病院救急車の救命士と消防機関に属する消防救急車の救命士の考え方については、一緒くたにはならないのかなということが1つございます。
また、もう一つは、森村先生がおっしゃった、病院内で勤務する、従事するためには特別な研修が要るというお話がございます。消防機関に属する通常の救命士は、そのような業務に携わらないと整理するならば、すべからく救命士資格にこのようなプラスアルファのアドオン研修というものが付加されてきてしまいますと、過分な負担がかかるおそれがございますので、こういった観点にも留意しながら議論を進めていただければと存じます。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、大友構成員、お願いいたします。
○大友構成員 今の議論ですけれども、病院前で勤務する救命士と、病院の中の救命士、別物だとなってくると、これは違う資格が必要になってきてしまう。それから、研修も別になってくるということですね。もし共通化させれば、病院前の救命士も全部教えなければいけないという話になってくるのですが、そこを整理するためには、この検討会でずっと何度か議論してきたように、逼迫する救急業務の診療の現場を何とか改善するために、救急救命士の資質を活用しようという話の中で、実際に厚労科研で18ページに、こんなに役に立っている、助かっている、非常に負担軽減になっているという結果が出ているのですが、具体的に何をやってもらっているのかというのは提示できますか。
実は、その答えとして19ページにあるのですが、これは救急救命士を雇用していない病院の、むしろ空想上でこれをやってほしいという話なので、実際に助かっている病院の何をやってもらって助かっているかということが明確になってくると、今の違う資格をつくるのか、また別の研修を追加するのかに関して明確になってくるのではないかと思います。
私が想像するに、気管挿管をやらせるとか、薬剤を投与するということは全然負担軽減にならなくて、もっと細々した、ふだんの救急外来での診療業務だと思うので、それは何が役に立っているのかを改めて明確に。これから調査するということですけれども、そこをお願いしたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
森村構成員。
○森村構成員 先ほどの村上室長と大友先生の話を受けてですけれども、ちょっと私の言葉が足りなかったかもしれません。
まず、大友先生のことに関しては、僕も間違いなく救急の緊急処置の診療補助を助けてくれるのではなくて、院内の搬送や検体の搬送といった業務。あとは、診療にかかわる資料の整理・入力といったところには、莫大な、これはドクターもナースもすごく負担を強いられて、患者から離れる時間が非常に長くなってしまう。ここが一番大きいところだということを一言申し上げた上で、私が申し上げたのは、先ほど猪口構成員も言われていたような、病院の救命士の方が病院の車両に乗っていって、病院の院内で働く。これは、基本的には院内の職員だと考えれば、病院の中での仕事をするというルールでは同じ話だと思っています。
消防の救命士さんにプラスのアドオンを強いるものではなくて、病院の中で働くということを決めた場合には、そのアドオンを受ければ病院の中でできる。その一部の仕事の中で、病院の救急車に乗って外に出ることもあるかもしれないということで、そういう整理をしたらいいという考え方ですので、そこは誤解されないようにしていただきたいと思います。御理解いただけたでしょうか。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、久志本構成員、山崎構成員の順番で。
○久志本構成員 今、議論されている内容ですけれども、恐らく、院内において、いわゆる特定行為等をやる機会というのは極めて限定的だと思います。ですので、タスク・シフト等の立場を考えると、施設によって仕事内容が変わってくると思うのですけれども、救急外来を中心として、今、救急救命士として持っている資質を有効に活用できる、新たな救命士とは違う名前の資格というか、共通部分を明確にして、そのための整備をしていってはどうか。救命士、特定行為といったところの延長ではなくて、病院の中でどういう活躍ができるのか。そこに救命士として身につけたものがどうやって生かせるのか。救急救命士という名前が、院内だと多分そぐわないのではないかなと思います。
なので、名前を変えて、救命士という資質を生かす、新たな院内の役割ということを考えていただいてはどうかなと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、山崎構成員、お願いします。
○山崎構成員 私は、基本的に救急救命士が救急外来で働くということについては、賛成です。ただ、気になりますのは、現在の状態で救急救命士が潤沢にいるのですか。というのは、養成校がどれぐらいあって、毎年どれぐらいの生徒が出てきて、救急救命士になって、どういうところで働いていてという資料は前にありましたか。今回、病院の救急外来という新しいフィールドができると、そこでかなりのニーズがあると思います。そういうニーズがあったときに、消防庁と病院で救急救命士の取り合いが起こるのではないかとか、そういうことは全然危惧しなくても、十分ぐらいの養成というのは行われているのですかというのが1点。
それと、もう一つは、先ほど身分をどうするかという問題があったと思います。少なくても救急救命士という資格を持っていて、病院で看護助手でカウントしているのはおかしいのであって、それはきちんと救急救命士という資格で、病院の救急外来で働くのだったら、それ相応の診療報酬上の位置づけをきちんとしてあげないと、看護助手の給料で働けというわけにはいかないと思います。その辺をこれからきちんと整理していかなければいけないのかなと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、事務局、コメントをお願いします。
○永田救急・周産期医療等対策室長 御質問ありがとうございます。
救急救命士の養成につきましては、これまでの検討会でも示させていただいているところでございますけれども、年間3000人ぐらいの方が国家試験を受けられていて、近年だと合格率が80%から90%という状況でございます。また、国内で既に合格されている方としては、6万人程度いらっしゃると我々としては考えておりまして、そのうち3分の2くらいの方が消防機関に行かれたりしているという認識を持っているところでございます。
○遠藤座長 それでは、畝本構成員、どうぞ。
○畝本構成員 先ほど久志本構成員がおっしゃったこともそうですけれども、新たな職種をつくるというか、病院救命士でもいいですし、そういったものをつくるというのは一つのアイデアで、その中で一つのキャリアパスがつくれていけば、長く働いてくださる方ができてくるのではないかと思います。
山崎構成員がおっしゃったように、ほかの職種の中の1人というわけにはいかないと思います。資格がある方ですし、教育がどのぐらいあればいいかというお話がありましたけれども、かなりの内容の勉強をされて救命士になられているという現実があります。事務の方とか助手さんとは全く違うわけで、そういったことを整えてさしあげるのが、病院で働く救命士をこれから長くタスク・シフティングの一つの形にしていく方法なのではないかと思います。
あと、もし職種というか、職務の内容として、救急救命士がなさるような特定行為を入れるのだとすれば、また別の話になりますけれども、MCに関しては整えるべきと思います。院内MCで形だけでもというと変ですけれども、ある程度の医師の集まり、看護師の集まりの評価を一定期間にする。今、病院外の消防の救命士の方々は、そういう振り返りとかのシステムの中でやっていらっしゃるので、そういったことももしつくるのであれば、整えていただくといいのかなと思います。
ありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
加納構成員、どうぞ。
○加納構成員 ありがとうございます。
冒頭に話をさせていただいたように、救急の現場は今、大変になってきているのです。この環境下で、これから20年間、いかに高齢者の救急をしっかりと、地域医療を守っていくために頑張っていくかというのが二次救の役目だと思っていますし、そこに働く方の数、看護師さん、ドクターを含めて、今、非常に困っている状況であるというのは、誰もが認識しているところだと思います。
救急認定看護師というのは、たしか約1000人程度。今、どれぐらいいるのですか。これも数としては本当に少ない数でありますし、先ほど話が出たように外来の看護師さんが分担してやっているというのが現状であります。この現場をいかに早く、タスク・シフティング/シェアリング等も含めて、楽にしていくかというときに、これから新たな資格をつくっていくということより、私どもが病院で雇ってみまして、彼らがすごいのは、救急に対する意欲があって、その職種になっているというところでありまして、こと救急に関しましては、任せておけというぐらい意欲がある。それが、先ほど大友先生のご意見で、全ての救急に対して前向きにやっている。その姿勢がある集団であるということが非常に大きな利点だと思っております。
ですから、先ほどから病院で資格が必要であれば、それは僕は講習とか、例えば感染とかも一般職員も含めて、病院内における職員はそういう勉強をしておりますので、そういった形である程度のことをやれば、僕は大丈夫だと思いますし。19ページに書かれているいろいろなことが、例えばバイタルチェックとかも含めてできるようになれば、非常に画期的に救急の現場が楽になるというのが事実じゃないかと思います。そういう意味で、新たに資格、どうのこうのという話は、これからやっていって、何人、出てくるのかという話よりも、今、現場が大変だということで、この問題が起こっていることを認識していただいて、ぜひともこういった方向性での結論を出していただきたいかなと思っております。
○遠藤座長 畝本構成員、どうぞ。
○畝本構成員 誤解があったのなら申しわけございません。新たな職種ということで、資格のことを申し上げたのではないので、それは誤解なきようお願いします。病院の中でお仕事されるからには、その方のいるべき場所がある。意欲を私どもが受けとめて活躍していただくのは、とても大事なことですけれども、どの医師も看護師もずっとキャリアパスを積んで、ある程度、同じ職種の指導をしたり、そういう一つの縦の仕組みもできているわけなので、もちろんみんなで頑張りましょうということで、職種を特に決めなくて、働ける人がここで働いてというのも、形としてはすばらしいのですけれどもね。
というのは、救命士の資格を取りながら、居場所がないのがあって、看護師さんの資格を新たに受けられてという方が少なからずいらっしゃるのを知っているので、そういったことも含めて申し上げました。
○遠藤座長 ありがとうございます。
時間が大分押しておりますので、どうしてもという方。よろしゅうございますか。この議論は、今後も当然議論します。
では、猪口構成員、手短で。
○猪口構成員 資格の問題、救急救命士でいくのかどうかという話が先ほどから出ているのですが、救急救命士の方たちも、消防救急に乗って特定行為ができるかというと、その上にアドオンの教育を受けてなさっているのです。救急救命士の方が誰でもできるわけではない。それは、病院の中においての外来も全く同じ考え方にのっとれば、この辺は解決できるのではないかと思っております。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、非常に多くの御意見が出ましたので、事務局におかれましては、それらの御意見を反映した形で所要の対応をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、2つ目の議題に移らせていただきます。議題2は「救急医療の現状と今後の方向性について」でございます。関連する資料3を事務局から説明をお願いしたいと思います。
○野口救急医療対策専門官 事務局でございます。
資料3について説明させていただきます。
「救急医療の現状と課題について」ですが、1ページ目、本検討会において議論の整理を平成30年7月に行っております。方向性としては、高齢化等社会構造の変化に対応できるように、質が高く効率的な救急医療体制の構築のために必要な救急医療機関の機能分化・連携について議論を深めていくということで、下にあるような主な意見をいただいているところでございます。
また、2ページですが、平成31年4月に、いわゆる三位一体、医師需給の話や地域医療構想や医師の働き方改革、そのような取り巻く環境が異なっている状況において、救急医療に関してどのように議論を進めていくべきかということで意見をいただいているところでした。
3ページ、「救急医療機関の現状」、4ページでは、救急医療体制に関しては、従前より、初期、二次、三次の救急医療ということで、右に書いてありますような役割を明確にして、施策を担う医療機関等を支援しております。
5ページですが、その中で二次救急医療機関がどのような役割を果たしているのか。これは、救急搬送患者数ということで、医療機関ごとに受けている年間の受入患者数をグラフにして並べたものでございます。多くは1万件ぐらい受けている医療機関もございますが、ゼロ件という医療機関もあるというところでございます。
6ページは、さらにそれを時間外の救急搬送患者数ということで並び変えておりますけれども、こちらも同じような傾向があるところです。
続きまして、三次救急、いわゆる救命救急センターの現状でございますけれども、7ページにありますように、そもそも救命救急センターは、重症及び複数の診療科領域にわたる全ての重篤な救急患者を24時間受け入れる体制を整えるという役割があり、主にピンクで記載しているような年間重篤患者、このような方々を受け入れることが期待されているところでございます。ただ、それ以外の救急患者、重篤でない患者様も受け入れる医療機関がこれぐらいあるということを、グラフで示させていただいております。
8ページでございます。救急医療における評価に関してでございますけれども、現状は先ほど説明したような状況でございまして、救急医療機関に関してどのように評価を進めていくべきか、検討すべきではないかというのが、我々が課題として認識しているところでございます。
9ページ以降でございますけれども、三次の救急医療機関、救命救急センターに関しましては、下に記載のある目的のように、個々の救命救急センターの機能強化、質の向上を促し、もって全国の救急医療体制の強化を図るという目的において、平成11年からこの充実段階評価というものを行っております。
最近では、平成30年に改正しておりまして、10ページにありますように、赤字部分が新規追加、または細分化した項目でございますけれども、詳しい評価方法については、参考資料のほうにつけさせていただいております。赤字にありますようなプロセス評価という部分をしっかり見ていく。
次の11ページでございますけれども、参考資料3の評価表をもとに点数をつけて、是正を要する項目等で最終的な評価を行っています。S、A、B、Cという評価を平成30年より行っており、この評価において、11ページにありますような診療報酬や補助金の対象としております。
12ページでございますけれども、そのような評価に当たっては、重篤な患者をどれぐらい受けているのかを評価しないといけませんので、記載のような評価項目を取り決め、各医療機関に年間の重篤患者数を出していただいています。
13ページでございます。どのような方々を多く受けているかということに関しましては、院外心肺停止や外傷や脳血管疾患や心疾患を受けているところが多いです。
14ページでございます。救急医療において、地域において過不足なく、質の高い救急医療体制を検討する際には、以下の点において分析を検討してはどうか。
1に救急車の受入台数、傷病者受入要請に対し断らず受け入れる体制、地域内の医療機関で受け入れた割合等、が1つあり、もう一つの軸としまして、2に救急医療提供の質に関する項目。緊急度や重症度、生命予後や機能予後への寄与等を見なければならないのではないか、という2点でございます。
現状に関しましては、三次救急医療機関は先ほど説明したような状況でございますけれども、同様に、二次救急医療機関に関して、まずは、救急受入数や救急医療提供内容等の可視化が可能かどうか検討してはどうか、と考えております。
次のページでございます。
○松本課長補佐 15ページ以降でございますけれども、「救急搬送について」ということで、重症度とかその中身、救急の搬送件数等について、それぞれの役割等と関係がどうなっているかを整理してまいりたいと考えております。
16ページをごらんください。こちらは、急病が搬送の6割5分を占めていますという状況でございます。
それで、17ページをごらんいただきたいのですけれども、その急病の中身でございますけれども、循環器系がおよそ16%ということで、そこそこのシェアを占めている状況でございます。脳疾患、心疾患ともに8%程度ということでございます。
18ページをごらんいただきまして、循環器とともに、重症の中の割合を見ていくというものでございますけれども、それぞれの中で重症の割合がどれぐらい高いかを見たものですけれども、脳疾患・心疾患と悪性新生物のほうで重症の割合が高いということでございます。
19ページですけれども、死亡とか重症の中を見ましても、脳疾患や心疾患の占める割合が非常に高いです。死亡と重症の中の、それぞれ4割から4割5分程度を占めてございます。悪性新生物は、左側の表をごらんいただきますと、絶対数が少ないということもありまして、重症・死亡の割合は大きいのですけれども、全体に占めるウエートはやや小さいということと、それらの患者さんは、救命処置を多分に必要とするわけでもございませんので、主に脳疾患・心疾患に着目して中を見ていくのがよろしいかと思います。
20ページにそのような論点をまとめておりまして、まず、搬送のうち6割5分が急病であるということと、急病の中で、脳疾患・心疾患に関して、数が多いということと、3ポツ目、重症の割合が高い。全体の死亡・重症の中を見ても、脳疾患・心疾患の占める割合が特に高いということで、まずは搬送件数、その中でも脳疾患・心疾患に着目して、中を見ていこうと考えています。
それでは、21ページ以降ですが、救急の受入状況等と、脳疾患・心疾患との関係についても整理していきたいと考えています。
22ページでございますけれども、これは救急車台数の状況ですけれども、年間台数が何台ぐらいか、それらの病院でどれぐらいの全体の救急のシェアをとっているかということを見たものでございますけれども、年間2000台以上受け入れている救急医療機関で、およそ7割の救急車を受け入れておりますし、1000台以上というところで見ますと、およそ8割5分の救急車を受けているという状況でございます。
次の23ページをごらんいただきまして、これは台数ごとにグループ化して、その中のシェアが二次医療機関、三次医療機関、どのようになっているかということでございますけれども、一番左の2000台以上のところをごらんいただきますと、約4割が三次医療機関で診られているのですが、それより下のところを見ていただきますと、およそ9割が二次医療機関で診られているということでございまして、500台未満になって初めて、二次ではない告示病院とか、その他の医療機関が出てくるという状況でございます。
24ページをごらんいただきまして、それでは、脳卒中・心筋梗塞等の状況に移らせていただきますけれども、左側、急性心筋梗塞等に対する心カテ、右側は脳卒中治療を複合的に診たものでございますけれども、二次医療機関で約6割、三次医療機関で約4割という症例を診ているということで、これらでほとんど脳卒中・心筋梗塞と心疾患を診ているという状況がわかります。
それで、25ページでございますけれども、こちらの脳卒中の症例数でどういう分布になっているか、二次・三次分けて、重ねて見ているものでございますけれども、症例数はそんなに多くないということで、少ないところに固まっていますけれども、右側になっていくと症例数が多い施設になりますが、そうなると三次の割合がふえていくという状況でございます。25ページが脳卒中で、26ページが心筋梗塞等の治療になっていますけれども、ほぼ同じ傾向になってございます。
それでは、27ページ以降は、年間救急車の受入台数と、それら脳疾患・心疾患との関係を見ていくものでございます。
28ページでございますけれども、左側が急性心筋梗塞等に対する心カテ、右側は脳卒中でございますけれども、およそ7割が救急車を年間2000台以上受けているような施設で診られている。全体の9割の症例が、1000台以上受けている救急施設で診られているという状況でございます。脳疾患・心疾患で若干の違いはありますが、ほとんど同じような傾向でございます。
29ページは、年間の夜間・休日・時間外の入院件数ごとに、また違った軸で切ってみてございますけれども、急性心筋梗塞も脳卒中も同じような状況でございまして、およそ7割が年間の緊急入院1000件以上の病院で、およそ9割が年間500件以上の夜間・休日の緊急入院を受けている病院で診られているという状況でございます。
30ページでございますけれども、これは密度を見たものでございます。救急患者数全体の中で、これらの脳卒中とか急性心筋梗塞等に対する緊急治療をした割合を見ているものでございますけれども、2000台以上とっているような施設で一番密度が高くて、500台から1000台より下になってくると、やや大きな差がついているという状況でございます。
31ページでございますけれども、これは二次医療機関の中で、急性心筋梗塞や脳卒中に対する治療を行っていない施設が約1800、行っている施設が900、内訳が下の表という状況でございます。
32ページでございますけれども、これは急性心筋梗塞や脳卒中等の治療の実績がある病院とない病院を比較していますが、救急の台数で見ても大きな差がございます。やっていない施設で、救急車の受入台数が少ないということでございます。
今までがオールジャパンの解析でございますけれども、33ページ以降は、地域の実情に応じた分析を追加しています。
34ページは、これらの分析を、二次医療圏によりまして5グループに分けて御説明していますけれども、35ページをごらんいただきまして、人口区分が100万とか50~100、20~50、10~20、10ということで分けて、同じような分析をしていますけれども、人口が大きいところは、救急車受入2000台以上のところが、急性心筋梗塞等の治療のシェアが大きいのですけれども、人口が小さくなっていくに従いまして、1000台から2000台の施設の占める割合が大きくなってくる。全体で見ると、9割以上が1000台以上の施設で実施されているのですけれども、人口が小さくなっていくと1000台から2000台の間の施設の重要性が高まるということがわかります。
36ページは、脳卒中で同じ解析をしていますけれども、同じような状況でございます。
以上を踏まえまして、37ページに議論していただきたいポイントについて述べておりますけれども、上の方向性のところ、最初に野口から述べたような論点がございまして、受入台数だけではなくて、緊急度・重症度等を使って評価していく、役割分担について考えていくということについて、どう考えるかということで、論点を4つ提示しています。
今後、救急医療提供体制を考えるに当たりまして、受入数や重症度を勘案していくということについて、どう考えるかというのが1点目。
2点目ですけれども、さらにその割合に関して勘案して、役割分担を考えていくことについて、いかがでしょうかということ。
プラス、それだけだと大都市と地方の差がございますので、人口区分などの地域の実情に配慮していくことについて、どう考えるかということでございます。
4点目に関連ですけれども、何度かきょうも触れられている医師の働き方の状況について、参考資料をつけさせていただいておりますけれども、これは一度、先生方には御案内と思いますので、例えば49ページは、三次医療機関または救急車年間受入1000台以上ということで労働時間を見たものでございますけれども、週60時間以上のところに点線が引いてありまして、これが年960時間超えのところに相当するわけですが、救急を受け入れている赤のほうが、かなり大きな割合で大きくなっているという状況がわかるということでございます。
50ページ、以前、この検討会で石川先生に御説明いただいた資料でございますが、救急を1000台以上受けているところ、三次救急等で960時間への対応について困難だということがわかっておりますので、これらの兼ね合いでどのような議論をしていくかということでございます。このような形で議論をしていくということについて、御議論いただければと考えております。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、事務局から説明いただいた内容に関連して、特に37ページに論点が示されておりますので、これらに沿った御意見をいただければありがたいと思います。いかがでございましょう。
大友構成員、どうぞ。
○大友構成員 ちょっと確認をお願いします。
28ページと29ページですが、心筋梗塞と脳卒中を診ている患者の割合、全体と夜間・時間外ですが、28ページは2000台以上の病院が70%、全体では診ているのですが、29ページの時間外になると40%、31%と、時間外のほうが少ないというのはどういうことを意味しているのか。夜間・時間外の心筋梗塞・脳卒中は受入台数が少ない病院に行っているということを意味しているのか、そこが確認です。
○松本課長補佐 事務局でございますけれども、28ページと29ページは、指標が若干異なっております。28ページは、救急車の受入台数が2000台以上のところで診ている割合になりますけれども、29ページは、ウオーク・インを含めまして、夜間の救急入院が2000件以上というところで、切っている評価軸が違うということでございます。
○大友構成員 では、2000台と2000件の違いということですね。
○松本課長補佐 そうです。
○大友構成員 そうすると、夜間はたくさん診ていない病院にも心筋梗塞・脳卒中が行っているということですか。
○松本課長補佐 先生も御存じのとおり、救急車で来た患者さんが全て入院するとは限りませんので、2000台というのは入院しない患者も含まれているデータでございますので、その辺は兼ね合いかと思います。
○遠藤座長 ほかにいかがでございましょう。
本多構成員、どうぞ。
○本多構成員 ありがとうございます。
資料の37ページの論点のところで、受入数や重症度を勘案して検討を行うことについて、どのように考えるかということでございます。もちろん、救急受入数や重症度を勘案して検討を行うことも重要ですし、こういう分析や数値化というのは意義のあることだと考えております。
一方で、幾つか気になる点がございますので、申し上げさせていただきたいと思います。
まず、三位一体改革で言われているとおり、人口が減り、高齢化が進み、必要な従事者を確保するのに困難が予想されている中で、圏域ごとに中核となる病院の集約化ということが議論されているという状況の中で、今、言ったような論点の部分の評価だけで足りるのかというところが一番気になるところでございます。
重症者をどれくらいたくさん受け入れて、どれだけいい成果が出たかということも重要ですけれども、一番大事なのは、その地域において中核的な病院として、どれだけ最後のとりでとしての病院の機能を果たせたかどうか、これが重要ではないかと考えています。そのため、論点が2つほどありますけれども、今回、資料でお示しいただいた以外に、こういう視点が必要ではないかというのがまず1つです。
1つは、確かに人口の数という意味では高齢者のほうが多いわけですけれども、小児救急の受け入れに関しては非常に苦慮している地域の実情がございます。ですので、こういった二次の小児救急、あるいは三次の救急について、どれだけその救急医療機関が貢献したのかということについては、大きな評価が必要ではないかということがあります。
それから、現実問題、集約化が進む中で、同じ病院が周産期・母子医療センター機能を担っている場合も地域においてございます。そういった場合、大人の救急以外に、そうした周産期の、特に出生数は減っても、合併症ないしはリスクを伴うお産の割合というのは決して減ってはいませんので、医療機能としては二次、三次については、むしろ負担がふえる可能性すらあるという状況の中で、その辺の評価をどうするかということがございます。
それから、重症かどうかということは重要ですけれども、実際搬送に時間がかかっている事例というのは、重症かどうかよりも、搬送困難事例という言葉に代表されるように、重症例以外の要因で搬送先が決まらない場合が地域においては多くて、その部分で貢献している二次救急、三次救急の病院というのは多いですし、その辺をきちんと評価してあげることは非常に重要ではないかと考えます。
特に、具体的な例としては、数の上でもそうですけれども、高齢の場合は複数の疾患を合併していて、たまたまそのときは一つの疾患が要因で救急車を呼んでいるという場合に、どこに運んだらいいのかとか。あるいは、難病をもともと合併していた。受診歴が複数の病院に及んでいた。支払請求が困難であることが過去にあったことが事前にわかっているケース。それから、身内がいるかどうかはっきりしないケース等々、実際には重症かどうか以外に搬送困難の原因となる要因はいろいろございますので、そういった事例が地域で苦慮している割合が多い中で、どういうふうに地域の拠点的な救急病院が貢献しているかというあたりの評価の視点は必要ではないかと考えています。
また、もう一つ、今の数は、搬送数とか患者の治療実績の数で評価されていますけれども、今後、三位一体改革を進めるに当たって、集約化を念頭に置くのであれば、集約化された病院の機能を担う上で、どの診療科の医師が常勤で何人必要なのかというのはネックになると思いますし、最低限、これくらいの人数は、例えば周産期であれば、産科は何人いるとか、小児科の救急であれば、同じ小児科でも外科系がいるのかとか、新生児科がいるのかといった視点も、1日24時間、年間365日は、人口が多くても少なくても同じでございますので、そういった視点で必要な拠点病院としての機能を最低限果たせる目安となる参考値、医師の確保数とか必要数とか、そういった視点も評価としては必要ではないかと思います。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
加納構成員、どうぞ。
○加納構成員 今の集約化の話は、実は大きい病院をつくらなければいけないという変な流れになっているというお話の一つとして、今の話を聞いていると何となくそういう感じがしたのですが、それはこれからの日本で必要とされる救急医療と違うのではないかと思います。というのは、小児・周産期は集約化していかなければいけない。これは、誰もが皆、思うところでありますし、がん治療ももしかするとそうかもしれませんけれども、これから一番ふえるのは高齢者の救急ということからすると、その背景の中で、大きい病院がそれを担うのか。それは違うと思います。
大きい病院じゃなくて、地域密着型の病院が、在宅と、急変したらちゃんと治療し、また帰すことを繰り返すことを今後ずっとやっていくというのが大事であって、それと集約化の話とはちょっと違うのではないか。小児・周産期に関しては、集約化しなければいけないということはよくわかる話ですけれども、二次救急というのが、地域包括ケアシステムの中で位置している場合が、特に都会では多い形です。
現実的に、たらい回しとか、以前あったような話が全然なくて、うまく回っている現状を見ましても、埼玉の場合は違うのかもしれませんけれども、大阪の場合でしたら二次救が非常に頑張ってやっています。それを民間が担ってやっているわけなので、そこをいかに維持して、これからの高齢者救急を乗り切るかというのがポイントじゃないかと思うわけです。あくまで小児とか周産期に関しては、ドクターも減れば、これから少子化していくわけですから数も減っていくわけです。それをいかに効率よくやるかという意味では、集約化しなければいけない業務でありますけれどもね。
これから高齢者がどんとふえていく都会においては、分散化して、いかに面で受けるかということも考えていかないといけないし、そんな中で、今回、脳卒中とかがポイント的にあって、ちゃんと活躍して元気にして帰す。それを繰り返しやっていくというのがポイントじゃないかなと思います。そのためにどういうふうにして考えていくかというほうが、僕は大事であるかなと思っています。二次救の役割はそうじゃないかなと思っています。三次救は、あくまでも最後のとりでであるわけですから、頑張ってもらわなければいけないのは事実だと思います。
○遠藤座長 本多構成員、どうぞ。
○本多構成員 今の加納構成員のお話を別に否定するものではございませんけれども、そういう地域もあるかと思います。ただ、それが日本中、全部そうかという問題もございますのと。それから、小児救急も基本的には救急ですので。
それから、私の発言に語弊があれば、その辺がちょっと説明不足だったかと思いますけれども、全てが全て集約化すべきと言うつもりはございません。ただ、集約化できても、できなくても、どこかがその圏域の中で必ずある程度拾わないといけない。拾えているのかという評価、あるいは拾えているとしたら、どこの病院で拾えているのか、その辺を把握した上で評価した上で整理していく必要があるという趣旨で申し上げたものでございますので、御理解いただければ幸いです。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、山崎構成員、お願いします。
○山崎構成員 この救急の話で、精神科救急の話が全然入っていませんが、精神科救急は、また別建ての話なのかといいますのは、前に消防庁の検討会の委員をやっていたときに救急車の出動件数で、3分の2ぐらいが精神科関連でした。具体的にどういう疾患かというと、急性の薬物中毒とかアルコール依存症とか自殺、鬱病の錯乱状態だとか、認知症の患者さんのBPSDとか、精神科関連の救急車の出動件数が非常に多かったわけですがきょうのこれで見ると精神科の数が非常に少ないように記載されていますが、実態が違っている気がします。
○遠藤座長 事務局、何かコメントありますか。お願いします。
○堀岡保健医療技術調整官 山崎構成員の質問は、後ほど。済みません、先ほどからなかなか指していただけなくて。
本多構成員が触れていただいていた、今回、事務局が提示している二次救急の論点と、今、申し上げた地域医療のセーフティーネットという論点は、当然ある論点でございます。例えば、資料の44ページをごらんいただきたいのですけれども、これは救急の制度とは少し外れますけれども、働き方で、地域医療の観点から必須とされる機能を果たすための医療機関をどうするかという議論のことでございます。
ここは、参考資料として御紹介しているだけでございますけれども、例えばiiiとかiv、公共性と不確実性が強く働くものとして、都道府県知事が地域医療の確保のために必要と認める医療機関で、精神科救急とか小児救急のみを有する医療機関。または、僻地で中核的な医療機関というのは、例えば人口が非常に少なくて、救急車が1000台ないところであっても、100%応需しているという医療機関というのは、地域になくてはならない医療機関であるということは、それは誰もが認めることでございます。それはそれで、別の制度的、または補助金とかといったものできちんと支援していかなければいけないということは、厚労省としても考えております。
それは、集約化とは全然別の話でございます。今回のこの二次救急の論点とは、それはまた別の論点で、ちゃんと守っていかなければいけない地域医療機関だということは我々認識しておりますので、それはそれで、また別に御議論いただければと思います。
○遠藤座長 では、本多構成員。
○本多構成員 今回の救急の会議というのは、大人の救急の会議であって、小児の救急のことを議論するというのは、救急から外れるという趣旨の前提なのでしょうか。そこを確認させていただきたい。
○遠藤座長 事務局、どうぞ。
○永田救急・周産期医療等対策室長 救急室長でございますけれども、救急医療提供体制、災害医療提供体制も本検討会で検討しておりますので、お話にございました小児救急とか精神科救急といったことも、この検討会で議論することを事務局として排除しているわけでは、決してございません。
○松本課長補佐 補足させていただきますと、きょうは、まずは今までの議論の流れの中で、重症度とか受入件数に関する議論をして、役割分担等の話を深めていくということで、このような議論をさせていただきましたけれども、先生方御指摘の小児・周産期、精神、僻地等に関する救急ということに関しても、当然、軸としてありますということですけれども、それは重要な論点として議論していくということでございますけれども、今回、二次で見た全体像の中で、こういう濃淡というか、役割の違いがあるということをどう考えるかという議論から、まず入っていきましょうということでございまして、そのような重要な論点も当然拾っていくということであります。
○遠藤座長 では、大友構成員、畝本構成員の順番でどうぞ。
○大友構成員 26ページ、27ページ、今の集約化の話と関連するのですが、心筋梗塞・脳卒中を1カ月間に1例しか診ていない救急病院が一番多い。これで本当に十分な質を保たれた医療が提供できているのか、疑問に思います。担当地域でそれしか発生しない病院であればやむを得ないと思いますが、一方で、乱立していることによって、月に1例しか診ていないというのは、これも検討する余地があるのではないかと思います。一番数が多いのは、どちらですか。
○遠藤座長 お願いします。
○松本課長補佐 大友先生が御指摘のとおり、本来、正規分布で一番高い山がもうちょっと真ん中に寄るべきところ、一番左に件数が多いところがあることに関して、改善の余地があることを示唆しているのではないかという御示唆と受けとめますので、それだけをもって体制を今すぐということにはもちろんならないと思いますけれども、重要な御指摘だと思いますので、さらに中身を見る際などに大いに気をつけていくべき論点だと考えております。
○遠藤座長 畝本構成員、どうぞ。
○畝本構成員 今、お話ありましたけれども、評価をされて、その上で医療機関の体制・役割分担を決めていくということに関して、受入件数は評価の対象としてよくわかりますが、だからといって、今のお話のように、1件しか受けないところがあったり、逆に受入数が多いほど高い評価になるので何でも受けてしまおうというと、本当に緊急を要するというか、特殊な疾患、ここの例に挙げていただきましたような、血栓回収が必要となるような脳卒中とか、そういったところで時間がおくれてしまう可能性があるかと思います。
重症度に関して、二次救急でたくさん受けていらっしゃるところもあるのですけれども、逆にその上で、生命予後とか機能予後ということになると、重症を受け入れるほど、生命予後・機能予後が落ちてしまうということで、この評価の選択というのはなかなか慎重を要するのかなと思います。
先ほど、夜間の受け入れ方と日中の受け入れ方というのがありましたけれども、夜間は受け入れられる科目が多分限定されている状況なのではないかと思いますので、評価というか、検討項目としては、標榜している科がどれだけ応需率があるかということをきちんと評価していくのが、その病院の役割として、二次救急の役割として機能していらっしゃるのかどうかという評価につながらないかなと思いました。もちろん、ボーダーの患者さん、特に高齢者の方とかがたくさんいらして、何か疾患が決まらない、症候名で受け入れるというのも、症候名の標榜として評価していただいていいのではないかと思います。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
ほかにいかがでしょう。
山崎構成員。
○山崎構成員 25ページと26ページの表が左に分布するのは当たり前であって、脳疾患にしても、心疾患にしても、三次救急のセンター的な病院に患者さんが集まるのは当たり前で、二次救急のほうには行かないと思います。専門にしてくれるところに行くわけですから、三次救急の分布で言うと、当然そういう形になって、二次救急で脳疾患とか心疾患が少ないのは、特に問題はないような気がしますが。
○遠藤座長 関連で加納構成員、どうぞ。
○加納構成員 先生、それはちょっと違いまして、都会においては、二次救急で脳卒中を受けている場合が多いのです。実際に大阪市内でありましたら、多くの二次救急が脳卒中を担っていまして、三次救急に集まっているかというと、都会ではそういうことがなくて、面で受けている。それも、脳卒中に関しては時間とのたたかいがありますので、そういったセンターがちゃんと二次救急の中で網羅されてきているというのが都会での状況です。
先ほど議論があったように、これがいわゆる僻地とか人口密度の少ないところでは、そういうものを集約化しないといけないという議論は出てくるかと思いますけれども、これから都会が高齢者の一番ふえるところでありますので、そこの問題と、救急医療の問題は2つに分けて議論していかずに、ごっちゃになると、先ほどみたいに話がややこしくなるかなと思っております。
そういう意味で、二次救の評価として、脳卒中というのも1つありかなと私自身は思っていますし、追加させていただきますと、二次救で一番大変なのは、時間外にどれだけ体制を組むかでして、そこにドクターと、先ほどから出ていますように、看護師さんとか、皆、配置するというのは非常にコストがかかりますので、夜間・休日とかは以前に夜間休日救急搬送医学管理料などで評価とかをいただいていますけれども、そこが二次救で一番しんどいところでもあり、そこをこなしている病院への評価というのは、僕は一番大事じゃないかなと前から思っております。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、山崎構成員。
○山崎構成員 この救急医療の評価というのは、重症度で、患者さんを数多く受け入れただけの指標で評価するのはおかしいと思いますし、先ほども意見があったように、一方で、数だけ受ければいいのかというと、何でも救急を受け入れて数で評価しろという話になる。評価の仕方というのは、もうちょっと多面的な評価の仕方をつくりませんと、この議論を聞いていると、重症の患者さんをどれだけ受け入れたかみたいなものが評価の中心になっているというのが気になるところです。
○遠藤座長 では、関連で、加納構成員。
○加納構成員 関連ばかりで済みませんが、以前は確かに軽度の救急とかが多かったのですけれども、先生、そういう形からちょっと様変わりしてきまして、結構内容のあることが多いというのが事実ですので、数を受けるというのも非常に大きな評価で必要だと思っております。先ほど申しましたように、特に夜間・時間外にどれだけ受けているかというのは、二次救が頑張っている一つの指標になるのではないかなと思っております。
○遠藤座長 関連で、大友構成員。
○大友構成員 各医療機関の充実段階評価もしくは機能評価というのに関して、ほとんどがプロセス、ストラクチャーということになっていて、受入件数とか重症の数ですけれども、37ページにありますように、質の評価、生命予後とか機能予後への寄与度を評価していきたいということだとすると、脳卒中・心筋梗塞を選んだのは、実は取り組みやすい。つまり、重症度もかなり明確に把握できるわけです。
その発症からバルーン・タイム、ドア・ツー・バルーンということも含めて、もしくは、この重症度だったらどれだけの生命予後、もしくは機能予後が図れているかということに関しては、この2つの疾患だと結構可能じゃないかと思うので、手間はかかりますけれども、実施可能なので、そういう質の評価に踏み込んで、成績のいい二次病院には何らかの形で補助を出すようなことを考えていくべきじゃないかと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
では、お待たせしました。島崎構成員。
○島崎構成員 先ほど来の議論を聞いていて、感想も含めてですけれども、1つは、周産期とか小児とか、それから、山崎構成員がおっしゃった精神は、別途考慮が必要だろうという気がします。脳卒中とか心疾患に関して言いますと、質とアクセスのトレード・オフをどう考えるかという問題はあって、加納構成員がおっしゃるように、大阪の場合には、ご指摘のようなことがあるのかもしれませんけれども、一方で、三次、二次、一次がかなりきちんとした形で体系的に整備されている地域もあれば、逆に二次がきちんと機能しなくて、三次が軽症の者までカバーしているようなケースまでいろいろあるように思います。
したがって、そういう実情を浮き彫りにする意味でも、こうした傷病者の緊急度とか重症度とか生命予後ということに関して、データできちんと議論していくということは、それぞれの地域の特性なり、そのことを強調するのが適切かどうかわかりませんけれども、今後の働き方改革を目前に控えている中で議論として必要なのではないかと私は思います。
○遠藤座長 ほかにありますか。
畝本構成員、どうぞ。
○畝本構成員 生命予後・機能予後の今のお話を評価していただくのであれば、その前段階の重症度であるとかADLといったことを勘案したデータを出していただければと思います。でないと、悪い方がとりにくくなります。
○遠藤座長 どうぞ。
○松本課長補佐 大友先生が御指摘のところでございますけれども、仮にアウトカム評価をすればリスク補正が絶対に必要であるという御指摘と承っておりますので、今後ともそのような点には配慮していきたいと思っております。
○遠藤座長 ほかによろしゅうございますか。
野口構成員、どうぞ。
○野口構成員 大友先生にお聞きしたいのですけれども、外傷学会が大変いい手法を持っていて、全国統計をとれているはずなのですけれども、それがこういうところでは一言も出てこない。僕は、外傷こそ、重症度と病院の実力が一番反映できるところではないかと思いますので、その辺のところ、先生、まことに恐縮でございますけれども、現状としてはいかがなのかということをお聞きしたい。
○遠藤座長 大友構成員、どうぞ。
○大友構成員 確かに日本外傷データバンクも20万件を超えるデータ数があるのですが、残念ながら、やる気のある病院だけが自主的に登録しているデータベースなので、ポピュレーション・ベースドになっていないのです。地域全体のデータを集められるのであればいいのですけれども、一部のやる気のある病院だけのデータなので、そういった機能の評価にはなかなか使いにくい。それを全医療機関がデータを出してくれれば評価できると思いますけれども、今はそうなっていないという状況です。よろしいですか。
○遠藤座長 ありがとうございます。
○野口構成員 今の関連でございますけれども、では、なぜそれをとろうとしないのか。これは20年も30年も前から、我々、そういうことを発言してきたのですけれども、疑問ですね。これは義務化すべきだと思いますけれども、データを出すこと、あるいは記入して提出すること。
○大友構成員 アメリカでは外傷診療データ登録が義務化されていて、トラウマセンターと名乗るためにはデータを出さないといけないのですが、日本では行政としての義務化とはなっておりません。
○野口構成員 だから、ほかの疾患にも、4疾病5事業の議論のうちの重要なものに関しては、そういうものが出るはずですね。ぜひその辺のことも検討いただければと思います。
○遠藤座長 猪口構成員、どうぞ。
○猪口構成員 今の外傷の話ですけれども、日本の二次救急は、恐らく今、三次救急の先生たちがなさっているような、救命救急センターの卒業生、専門医によってなされている二次救急は非常に少なくて、系統的疾患の脳神経外科だったり、心臓の内科医であったり、そういう専門医たちがつくっている二次救急がほとんどです。だから、この二次救急の可視化という話をしているときに、外傷を持ち出されると、二次救急の非常に苦手なところの話になってしまうので、できればそうではなくて、今、話が出ている脳卒中・心疾患のほうが、二次救急の評価としてはありがたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
まだ御意見あるかと思いますけれども、大分時間が押しておりますので、この議論につきましては、これまでにさせていただきたいと思います。事務局としては、適切な対応をお願いいたします。
それでは、3番目の議題でございますけれども、台風15号、台風19号に関する医療対応について、資料4につきまして近藤参考人より御説明をお願いいたします。
○近藤参考人 DMAT事務局の近藤です。よろしくお願いいたします。
今年度の災害ということで、台風15号、19号とございますが、実はその前にも佐賀のほうで大量の雨が降りまして、8月28日から対応していたところでございます。その後、千葉のほうの話になりますが、その前に、千葉においては、我々政府を挙げた首都直下地震のリアル体系の訓練をやっておりまして、9月7日に終わった直後に来たというのがこの台風でございました。
資料のほうをごらんください。
1ページ目をごらんのように、千葉県全県において停電災害が台風の通過後に起こったということが、この災害の本質でございました。
そういう災害に対して、2ページにございますが、DMATといたしましては、関東ブロックから登録ベースで100隊を超える隊を導入しております。8日間の活動を行っております。
また、DMATロジチームとしては、東北、関東ブロックから59名を集めまして、10日間の活動を行っております。
次のページをおめくりください。3ページ目でございます。DMATの活動としては、各地の本部の活動、そしてEMISによる被害状況を把握して、病院への物資支援を行うということ。さらに、それに加えて、病院避難、2つの病院で、1つは途中で避難をとどめることができましたが、大規模な避難搬送があったというのが2病院、209名。これは、AMATさんの御協力もいただいております。
また、診療支援に関しましては、断水の影響とか、その地域全体のキャパシティーの低下ということから、通常の3倍から5倍受けているような災害拠点病院がございまして、そこに対してのER支援というものを行ってございます。
また、亜急性期に関しましては、知事会、県医師会であるとか日赤等の御協力をいただきながら、体制に移行することができました。
4ページ目でございます。EMISの入力率でありますが、千葉は非常に早く、これは前述の訓練が役に立った成果だと思っておりますが、8時間でほぼ全ての医療機関の被害状況というものが把握できております。これは、同様の停電災害においては、北海道胆振東部地震においては、入力率100%にするのに3日間かかりましたので、それに比べるとかなり早い数字だったのではないかと思っております。
おめくりいただきまして、5ページ目ですが、したがって、胆振北海道地震の際は、このような物資補給に必要なリストをつくるという作業が、やっていたのですが、なかなか追いつかない、なかなかリスト化できないというのが大きな課題でございましたが、この千葉においては、このようなイメージのリストをつくることができました。
ここから、実は2つのお話がありまして、6ページ目でございますが、電力の確保。つまり、電源車や電力の確保の要請スキームというのも、千葉ではほぼ固まりました。電力の確保については、自家発がある、なしで頼むものが大きく異なりまして、自家発がある場合に関しては、油をいかに入れるかという必要項目で優先順位を出すということ。また、自家発がない病院に油を送ってもしようがありませんので、そこについては、電源車や優先復旧。自家発があっても電源車を送るという病院も当然出てくるわけでありますが、原則は、このような、ある、なしによって、それぞれ打つ手が変わってくるということでございます。
それに基づいて、ページ7には、油を入れるリスト。
ページ8には、電源車のリスト。
ページ9には、優先復旧のリストという形で優先順位をつけたりさせていただいて、県の対策本部を通してエネルギー庁等に要請できたということでございます。
ページ10に行きますが、一方、断水もありました。一部地域の断水と、病院で水が使えない理由は大きく2つあったのですが、1つは、電気がないから水が使えないということ。そういう場合には電気を入れるしかないのですが、停電により上水道が機能しなくなっているというエリアもありましたので、そこに対しての給水ということがメーンのスキームになってございます。
給水に関しては、少し混乱があるのですが、施設用水がないところには給水車を送る。また、給水車でも、その医療機関に水のタンクがないところに送っても機能しませんので、そこにはいかにタンクを設置するかということ。さらに、病院のスタッフや患者さんの飲料水という観点からペットボトル。それぞれニーズが異なりますので、これをまとめて災害対策本部を通じて関連の機関や市町村に要請していたということでございます。
次のページに、そのときに用いたリストのイメージを出してございます。
そういうことで、12ページにまとめておりますが、EMISの情報に基づいて物資支援が行われました。優先通電や電源車が必要な病院のリスト、そして自家発電の燃料が必要な病院のリスト、給水が必要な病院のリスト、それぞれ優先順位つきのリストを出して、エネ庁や自衛隊等に提供して物資補給を行うことができましたし、我々の活動拠点本部を通じて進捗確認も行うことができました。一連の流れのある程度のモデル化というのは、この千葉県の災害においてなされたのではないかなと思っております。
ただ、EMIS自体も改訂中でありますが、そもそも事前に知っておけばいい情報、もしくはそれがちゃんと表にできないという、EMISの機能上の不十分というのがございまして、これは現在改訂中と聞いております。
また、北海道胆振東部地震において、このリストが全然できなかったのは、復電の速度が非常に早かったからで、今回はあれだけ遅かったら、かえってリストができた。リストをつくるという観点で言うと、かえってよかったということも味方していただいたのかなと思いますので、もっとこれについては詰めていく必要があるのかなと思っております。
ただ、いずれにしても、このようなリストをつくるに当たっては、9月7日の訓練を行うために、病院の必要な項目を事前調査していた。そういうことが実災害で非常に役に立ちました。また、9月7日の準備と対応で非常に疲れ切っていた千葉県の職員の方々と、千葉のDMATの方々が一生懸命頑張ってくれたおかげなのではないかなと思っております。
続きまして、それから覚めやらずという時期にまた台風がやってきましたので、19号についてのお話をしていきたいと思います。
14ページをごらんください。台風19号、史上最大という前触れでやってきましたけれども、全くそのとおりでして、我々として対応が必要な都道府県は16県に上りまして、大雨特別警報が出た都道府県も13県。そして、EMISの災害モードの運用が10県。さらに、DMATが行く、もしくは県としての本部を立てたところが11か12。さらに、都道府県内のDMAT要請は6。そして、県外のDMATを要請したのは4都県という形で、非常に広範囲の災害でございました。そういう中、ほぼ全ての16県中15県においては、統括DMATや災害医療コーディネーターと連携して対応を協議していただいたということもございます。
とにかく、これだけになりますと、我々事務局としても、勤続してやっているということと、これだけのことを一遍にやらなければいけないということで、非常に負担がかかった災害でもございました。
16ページ目をごらんください。DMATといたしましては、東日本、中部ブロックよりも東のDMATはほぼ出動していただいて、260隊という隊を数えております。10日間の活動であります。各県、それぞれこのような隊を行かせておりますが、全体としては260隊、登録ベースで派遣しております。
ロジチームも、全国から81名派遣して、15日間の活動を行っております。15日間と、熊本に比べると活動期間は短かったのですが、動員の規模としては熊本と変わらない、ほぼ同じぐらいの規模のロジチームの派遣も行いました。
17ページに参りたいと思いますが、主な対応を行った県の医療活動のまとめでございます。おおむね搬送支援や病院や施設に対しての同乗支援、ロジ支援であるとか、それぞれの病院が避難する際、もしくは重症患者だけ避難されたい場合の搬送支援というものが中心になっております。
栃木県は、精神科の病院でございましたが、DPATの連携の中で搬送避難が行われております。
では、一つ一つ見ていきたいと思いますが、長野県におきましては、当初は県立リハビリテーションセンターが病院の避難が必要な状態になるのではないかというところで、そこの避難が中心になってございます。結局、28名の患者さんを搬送いたしまして、29名は帰宅できて、比較的早期に対応が可能になっております。
ところが、介護保険施設が浸水による孤立や停電、断水によって、とにかく避難しなければいけないという状況になりまして、259名の患者さんの避難を行っております。避難自体は、当初、老健施設に入っていく入り方等、少し課題もありましたし、また避難した病院は、救命の観点ということでは緊急避難的には仕方ないのですが、施設の患者さんを一時的に地域の急性期病院に受け取っていただくというままで活動を終了しておりますので、その後の受け入れの調整や搬送調整という課題が残存したまま、我々としては活動を終了しております。そういう意味では、石川先生も言っておられますけれども、この後の二次搬送、三次搬送についても、まだまだ課題が残っているのかなと考えております。
福島県におきましては、本宮というところにあります谷病院という病院が、1階が浸水して、まさに水没しているところ、DMATが地元消防とともにボートで病院に行って、その病院の人たちを励ましながら、必要な患者さんの搬送を行う。あとは、DMATがキーになって、その病院に水や電気等の支援を行うことが無事できて、この病院は最終的には全病院、避難を免れるという形に落とすことができております。
また、ほかに20ページに参りますが、福島においては、浜通りのいわきや相馬の地方で、かなり広域の断水がございました。そういうところで、このEMISから断水の医療機関を抽出して、必要量やタンクの位置等の情報を確認して、優先順位をつけて自衛隊に依頼するということを繰り返し行うことができました。
また、病院にとどまらず、病院の次は重心の施設、介護保険施設等も、同じように断水で苦しんでおりましたので、そういうところへの水の調整というのもやっております。
調整のフローと、そのときの一覧表というものを、21ページ、22ページにつけてございます。
23ページに参りまして、宮城県でございますが、最初は仙南病院という病院の1階が水没して、透析機器が浸水したということもありまして、透析患者を中心とした12名の緊急搬送というのをDMAT車両、もしくは仙台消防等も御協力いただいたと思いますけれども、患者さんを運びました。
また、御承知の方も多いと思いますが、国保丸森病院、これは町役場の隣にある病院でありますけれども、そこが水没、断水ということでありましたので、入院患者さん全員を避難搬送ということを行ってございます。
ただ、いずれにしても、容態変化する可能性が非常に強い人たちを運ぶためには、家族の同意が要るのではないか。その同意を取りつけるために、搬送が少しおくれるという事態も想定されたのですが、我々の想定よりは早く搬送を終えることができてございます。
24ページに参りますが、非常に広範囲な災害にもかかわらず、迅速な本部設置、そしてDMATやDMATロジチームの派遣や医療機関のスクリーニングを行うことができまして、必要な病院支援を早期に実施することもできたのではないかなと思っております。
また、近年の災害で定型化が進んだ病院や施設へのライフラインの支援が実施できました。
また、搬送支援、病院避難等を行いましたけれども、東日本大震災のときの大きな課題でございました、搬送途上の死亡というのは、今回も防ぐことができたのではないかと思っております。
ただ、病院のスクリーニングというところまでは、EMIS等で簡単にできるのですけれども、介護保険施設へのEMISをいかに振ろうか、また対応をどのようにやっていくかというところのあり方自体が、まだ課題として残っているのではないかということを感じた次第でございます。
以上でございます。ありがとうございました。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
報告事項ではありますけれども、せっかくの機会でございます。何か御質問等あれば、承りたいと思いますが、何かございますか。よろしゅうございますか。
貴重な御報告、どうもありがとうございました。
それでは、本日用意いたしましたアジェンダは全て終了いたしましたので、これにて本日の検討会を終了したいと思います。
次回以降の予定につきましては、追って事務局から連絡が行くかと思いますので、よろしくお願いいたします。
事務局、何かありますか。お願いします。
○野口救急医療対策専門官 座長からも御案内がありましたけれども、第18回につきましては、日程が決まり次第、お知らせいたします。よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 それでは、これにて本日は終了したいと思います。長時間、積極的な御議論、どうもありがとうございました。

照会先

【照会先】

医政局地域医療計画課
救急・周産期医療等対策室
救急医療対策専門官 野口(2556)
災害時医師等派遣調整専門官 西田(4130)