第80回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録

 

 
第80回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会(議事録)
 
1.日時 令和元年11月15日(金) 17:43~19:02
 
2.場所 厚生労働省労働基準局第1会議室
           (東京都千代田区霞が関1-2-2  中央合同庁舎5号館16階)
 
3.出席委員
(公益代表委員)
○東京大学大学院法学政治学研究科教授 荒木 尚志
○大阪大学大学院高等司法研究科教授 水島 郁子
○読売新聞東京本社編集委員  宮智 泉

(労働者代表委員)
○全日本海員組合奨学金制度運営管理部長代理 楠 博志
○ 日本化学エネルギー産業労働組合連合会長 安原 三紀子
○全国建設労働組合総連合労働対策部長  田久 悟
○日本基幹産業労働組合連合会中央執行委員 黒島 巖
○UAゼンセン政策・労働条件局部長 髙橋 義和
○日本労働組合総連合会総合政策推進局長 仁平 章
  
(使用者代表委員)
○日本通運株式会社 総務・労働部専任部長 北 隆司
○東京海上ホールディングス株式会社人事部ウエルネス推進チーム専門部長 砂原 和仁
○鹿島建設株式会社安全環境部部長 本多 敦郎
○日本製鉄株式会社 人事労政部部長 山内 幸治
○一般社団法人 日本経済団体連合会労働法制本部長 輪島 忍  

4.議題
(1)追加給付等について(報告)
(2)脳・心臓疾患、精神障害の認定基準について(報告)
(3)労災診療費の改定について(報告)
(4)複数就業者への労災給付の在り方について
 
 
5.議 事

○荒木部会長 それでは、定刻前ですが、皆様おそろいということですので、ただいまから第80回「労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会」を開催いたします。
初めに、前回の部会以降、新しく就任された委員がおられますので、事務局より紹介をお願いします。
○労災管理課長 労災管理課長でございます。座ったままで恐縮でございます。
それでは、御紹介をいたします。委員名簿を席上に配布しておりますので、御参照いただければと思います。
労働者代表として、日本労働組合総連合会総合政策推進局長の仁平章様に御就任をいただいております。
○仁平委員 連合の仁平です。初めて参加させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○荒木部会長 よろしくお願いいたします。
本日の委員の出欠状況についてですが、公益代表の大前委員、中野委員、宮智委員、使用者代表の久保田委員、本多委員が御欠席でございます。出席者は13名になりますが、公益代表、労働者代表、使用者代表、それぞれ3分の1以上の出席がございますので、定足数を満たしていることを御報告いたします。
カメラ撮りはここまでということでお願いいたします。
それでは、本日の議事に入ります。
第1の議題は「追加給付等について」です。
事務局より説明をお願いします。
○政策統括官付統計・情報総務室参事官 統計担当の政策統括官付参事官の武藤と申します。恐縮ですが、座って説明させていただきます。
私からは、本日はお配りしております資料の1-1に沿って御説明させていただきます。
資料のタイトルは、「大阪府において判明した『毎月勤労統計調査』を担当する統計調査員による不適切な事務処理事案を踏まえた全国点検の結果について」となっておりますけれども、この資料は今年の10月21日にプレスリリースさせていただいた資料でございます。
まず1番の「事案の概要」について御説明させていただきます。
既に報道されている内容ではございますけれども、令和元年8月22日に、大阪府において「毎勤統計」を担当する2名の調査員の方が不適切な事務処理を行っている旨の報告がございました。私どもとしましては、集計の結果の訂正を8月26日に公表させていただくとともに、この事案を踏まえて、同日付で、大阪府を除く全ての都道府県に対して同様の事案がないかを点検いたしました。
その際の全国点検の結果でございますが、45都道府県からは適切に事務処理が行われているとの報告があったところですが、残念ながら、奈良県において1名の統計調査員の方が不適切な事務処理を行っていた旨の連絡があったところでございます。結果として、労災関係者の皆様には御迷惑をおかけすることになりまして、大変申しわけなく思っているところでございます。
奈良県からの報告の概要ですけれども、「毎勤統計」に従事する統計調査員の方1名が、調査対象事業所への聞き取りを行うことなく調査票を作成して、提出されていたという状況でございます。
具体的には、調査当初は、事業所へ調査して調査票を作成していたとのことですが、途中から、事業所に聞き取りを行うことなく前月の調査結果を用いるなどの不適切な方法により調査票を作成されておりました。
不適切な処理が確認された期間は、平成30年8月から今年の8月分までということで、確認された事業所数は当該調査員が担当された7事業所のうち3事業所ということでございます。奈良県のホームページにも詳しい状況が載っているというところです。
続きまして、2ページ目、裏面の「集計結果の訂正」でございますが、こちらにつきましては、(別紙)ということで4ページ目に「主な集計結果」を掲載させていただいております。
例えば一番左上の「現金給与総額」の欄で見ますと、誤った数字と正しい数字、あと、差が並んでおりますけれども、差のところを見ていただきますと、最大では、令和元年7月の数値で12円、これ以内の訂正が出ているという状況でございます。
次、「きまって支給する給与」について見てみますと、同じく、31年4月に最大9円の差が出ているというところでございます。
この数値の結果は、奈良県の事案のみの影響でございまして、下に参考まで、大阪府と奈良の事案を合わせた影響について書かせていただいているものがあります。今回の労災保険給付への影響はどちらかというとこちらの数字が影響してくるということでございますけれども、数円程度の影響が出ているということでございます。
結果につきましては、10月23日公表の数値として、e-Statに掲載されているというところでございます。
今後、こういう事態が生じることがないように再発防止に努めてまいりたいと思っております。「コンプライアンスチェック」と申しまして、統計委員会の再発防止策でも推奨されている方法ですけれども、調査員の業務の履行状況を国等が事業所に対して確認する取り組みなどがございますので、これらの実施に取り組んでまいりたいと思っております。
私からは以上です。
○労災管理課長 続きまして、同じ資料でございますけれども、3番目、保険給付への影響及び対応」でございますけれども、御説明したいと思います。
今回の大阪・奈良の不正事案を踏まえまして、「毎月勤労統計」の数字が変わるということでございます。「毎月勤労統計」の数字につきましては、労災保険制度でいきますと、年金スライドとか、あるいは、休業補償給付のスライド率、これを計算する際に用いているということでございます。
労災保険についてどのような影響があるかということですけれども、2ページの下のほうになりますけれども、平成26年8月以降の一部の労災年金スライド率に影響が出るということでございます。その結果といたしまして、昭和37年度、昭和38年度等に被災した年金受給者の一部の方について追加給付が必要となると、こういうことになっております。
影響を概算いたしますと、600~700人の方について影響が出る。1人当たり平均で150円程度、総額で10万円程度ということになっております。これらの追加給付分につきましては、所要の準備を整えて、再検査をいたしまして、対象者給付額を具体的に特定いたします。そして、今年度中には対象者の方にお知らせができるようにということで、準備を進めてまいりたいと思っております。
また、現行のスライド率にも影響が出るということでございます。下方修正が一部必要になるということでございますけれども、12月・1月分の年金支給分から適用できるように、スライド率の改定をやっていきたいと思っているところでございます。
資料1-1につきましては、以上でございます。
続きまして、追加給付の関係で資料1-2をごらんいただければと思います。
これは「毎月勤労統計調査」おける全数調査をしていたところを、一部抽出調査で行っていたと。これによりまして、雇用保険等の追加給付が必要となったと。これにつきましては、2月4日に工程表を発表しております。その工程表に沿って、現在、追加給付の事務を進めているということでございますけれども、おおむね、工程表どおりに進捗をしているという状況でございます。
本件につきましては、11月1日に公表したものでございます。
この2というところに労災保険のことを書かせていただいておりますが、現に受給中の方で追加給付が発生する方について、過去分の追加給付についてはおおむね事務処理を終えているという状況でございます。現在、厚生年金等との支給調整が必要な方について対応を進めていると、このような状況になっております。
また、過去に受給していた方で既に受給が終わってしまっているという方の追加給付につきましては、休業補償については8月28日から順次お知らせを開始していると。それから、年金給付については9月20日から順次お知らせを開始するということで、対応をしておるところでございます。
進捗状況でございますけれども、ページをおめくりいただきまして、6ページ目でございます。「毎月勤労統計調査に係る雇用保険・労災保険・船員保険の追加給付実績」というペーパーでございますけれども、その真ん中のところが労災保険でございます。棒グラフになっておりますが、実績をごらんいただきますと、休業給付については約9,000人の方に約2億2000万円のお支払いを終わっているということでございます。また、年金については、12万5,000人の方に約130億4,000万円の支給が終わっているというような状況でございます。
今後とも、しっかり工程表に沿って追加給付の事務を進めてまいりたいと思っております。
資料1-1、1-2につきましては以上でございます。よろしくお願いいたします。
○荒木部会長 ありがとうございました。
ただいまの事務局からの説明につきまして、何か御質問・御意見があればお願いいたします。
輪島委員。
○輪島委員 ありがとうございます。
資料1-1ですけれども、1ページ目の統計調査員という立場の方は、そもそもどういう資質といいますか、キャリアといいますか、どういう方が選ばれていて、全体でどれぐらいの方がいらっしゃるのかお伺いします。
それから、統計調査員の雇用主、どうはのよになっているのかということもお伺いできますか。
○荒木部会長 事務局からお願いします。
○政策統括官付統計・情報総務室参事官 まず、統計調査員の方の位置づけ等についてでございますけれども、大阪府の非常勤の公務員ということで、大阪府において雇われている方ということでございます。
今回、全国点検させていただいたところですけれども、全国点検で対象となった調査員の方は1,422名で、事業所数については5,731事業所ということで聞いてございます。
奈良県の事案の例で申し上げますと、奈良県の調査員20名がいらっしゃって、事業所は59事業所が対象になったと認識してございます。
済みません。後半のほうの御質問をちょっと失念しました。
○輪島委員 ありがとうございました。
そうすると、委託をしているのは大阪府や奈良県なので、1ページ目の下から2行目は奈良県のホームページにそういう意味でてんまつが記載をされているということですか。
○政策統括官付統計・情報総務室参事官 さような状況でございます。
○輪島委員 2つ目の質問ですが、そうなると、再発防止という御説明があったのですけれども、厚生労働省としての取組みが、各県問題についての有効な再発防止策ということになり得るのかどうかということだけ確認をさせていただければと思います。
○政策統括官付統計・情報総務室参事官 今回、こういう事案が起こりまして、調査員の方本人に対する調査と、あと、事業所に対する調査を行ったところですけれども、今後の再発防止策につきましては、直接事業所に確認する方法として、統計委員会とかでも推奨されている「コンプライアンスチェック」というのがございまして、調査員の業務の履行状況を直接事業所に対して確認するという方法がございますので、ある意味、そういうことをやっているということですと、牽制の効果もあると思いますので、それに努めてまいりたいと思います。
厚労省としましても、今般の統計の不適切な事案を踏まえて、「厚生労働省統計改革ビジョン2019」を策定したところですけれども、その中にも盛り込んでいる方法ということでございます。
○荒木部会長 ほかにはいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、次の議題に移ることといたします。
第2の議題は「脳・心臓疾患、精神障害の認定基準について(報告)」というものです。これも事務局からお願いします。
○補償課長 補償課長の西村でございます。御説明させていただきます。資料2をご覧いただきたいと思っております。
脳・心臓疾患、精神障害の認定基準につきまして、今後、医学的知見を踏まえ、検討をしていくこととしました。この旨、御報告をさせていただきます。
具体的には、脳・心臓疾患の認定基準につきましては、平成13年度以降改定をしていないことなどがございます。こういったことから、本年度までに収集した医学的知見等を踏まえ、令和2年度(来年度)に有識者検討会において、認定基準全般にわたって検討を行う予定としております。
一方、精神障害の認定基準でございますけれども、これにつきましては、その心理的負荷表に現在「パワハラ」という語句を用いておりません。今般、パワーハラスメント防止対策の法制化が図られ、パワーハラスメントの定義が明確化されることなどを踏まえまして、本年度中に有識者検討会を設置し、検討を行うこととしております。
また、精神障害の認定基準の内容全般につきましても、これは令和2年度(来年度)に最新の医学的知見を収集いたしまして、その後、令和3年度に有識者検討会において検討を行う予定としております。
なお、この検討方針につきましては、先月10月30日に「過労死等防止について考える議員連盟総会」において説明をしているところでございます。
御説明は以上でございます。
○荒木部会長 ありがとうございました。
ただいまの説明について、何か御質問等はありましょうか。
仁平委員。
○仁平委員
労災の請求件数は、脳・心臓疾患、精神障害ともに増加傾向にございます。そのうち請求に対して、業務上ということで認められた件数は、現状も差があるわけでございます。そういう意味で、この新たな知見をもとに基準を見直すことで、この請求された方がより納得できるようなものになるよう期待をしたいと思っております。
その上で1点要望ですが、この認定基準について、今後、高齢で働く人たちも増加していくのですから、そういったものも踏まえて、年齢に応じて適切な労災認定基準となるような検討もぜひお願いしたいと思います。
以上です。
○荒木部会長 ありがとうございました。
ほかに何か御質問・御意見はございますか。
田久委員お願いします。
○田久委員 簡単でいいです。精神障害の認定基準は、パワハラがそういったところでは法制化を踏まえてということでありますが、全てのハラスメントに関して、きちんともう一回整備をしながら、そういった認定基準を考えていただきたい。あらゆる場でいろいろなものが、そういったハラスメントも含めて影響が精神的なところにはあるかなと思いますので、そういった点も含めて、ぜひ検討をしていただければなと思っております。
○荒木部会長 ありがとうございました。
楠委員どうぞ。
○楠委員 私も関連してお尋ねでもいいですか。
年々疾病者が増加しているということははっきりしているのだと思います。そこで、請求件数と決定件数の差ですが、毎年の請求件数があって、決定件数を見ますと、毎年二百数十名少ないですよね。少ないということは、決定されずに来ているわけですよね。毎年毎年少ないということは、これまで決定されずに積み残しという言葉がいいのか悪いのかはわかりませんけれども、請求はしたけれども、決定されず残っている数字は結構な数で、増加傾向にあると思うのですが、それがどれぐらいになるのか、それを今後どうするかということが、今後大きな問題になってくると思うのですけれども、今回の見直しによってそのへんも作業の迅速化といいますか、早い決定が出されるような方向でお願いをしたいなと思います。
以上です。
○荒木部会長 事務局から何かございますか。
○補償課長 精神障害あるいは脳・心臓疾患の労災認定の状況につきましては、毎年6月に年度の状況を広報させていただいているところでございます。その際に、毎年の請求件数、その年の決定件数、それぞれ請求件数・決定件数という形で公表をしているところでございます。
先ほど、委員が年々増えているとおっしゃいましたけれども、1つは、精神の請求件数は若干年々増えているというのはそのとおりだろうと思っています。決定件数につきましては、最近で言えばほぼ横ばいというような状況でございます。
この差は滞留しているのではないかと、こういうような御指摘もございました。今、数字をちょっと持ち合わせておりませんけれども、いずれにしましても、私どもは、脳・心、精神のこういう事案につきまして、標準処理期間を設けております。脳・心の標準処理期間は6カ月にしております。また、精神は8カ月にしております。平成30年度の処理状況を見てみましたところ、脳・心は6.1カ月でございます。精神は7.3カ月と、こういうような状況でございまして、おおむね標準処理期間の範疇かなと考えているところでございます。
ただ、いずれにしましても、個々の請求については、請求人一人のことでございますので、迅速な処理に努めていきたいと、こういうふうに思っているところでございます。
○荒木部会長 輪島委員。
○輪島委員 ありがとうございます。
認定基準の見直しということでございまして、新しい医学的知見を踏まえて適切に見直しをしていくということは大事なことだと思っているところでございます。
また、今、労働政策総合推進法が改正されて、職場のパワーハラスメント指針の議論をしておりますけれども、なかなか一筋縄ではいかない状況でございますので、そこも踏まえて、脳・心、精神障害の労災認定基準も適切な見直しをしていただければと思っています。
事務局にお伺いですけれども、大体スケジュールは書いてありますけれども、標準的なスケジュール感で言うと、新しい認定基準が大体いつぐらいからになるのかということと、現行の基準との経過措置はどういうようにお考えなのかということをお伺いしたいと思います。
○荒木部会長 事務局からお願いします。
○補償課長 検討の期間につきましては、現在、どのくらいかというものを持ち合わせているところではございません。
ただ、先日、私どもの大臣からも記者会見の中で若干触れましたけれども、前回の精神の労災認定基準の検討がおおむね1年間であったと、こういうことも踏まえながらやっていかなければならないというふうに大臣からも御説明をさせていただいたところでございます。
それから、もう一点、経過措置的なことでございますけれども、これにつきましては、どのような内容を見直すのか見直さないのかによってくると思いますので、そこは今後の議論の中でしっかり議論していきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
○荒木部会長 ほかにはいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、次の議題に移ります。
第3の議題は「労災診療費の改定について(報告)」であります。
事務局から説明をお願いします。
○補償課長 引き続き、御説明させていただきます。資料3をごらんください。労災診療費の改定について御報告をさせていただきたいと思っております。
先般10月1日から消費税が引き上げられました。これに伴いまして、労災診療費の一部、具体的には、労災の初診料と再診料を10月1日から改定いたしましたので、この旨、御説明をさせていただきたいと思っております。
先に資料の2枚目を見ていただきたいのですけれども、「労災診療費の仕組み」ということで、診療費の概要を記載させていただいております。
労災診療費につきましては、原則、健康保険に準拠しております。健康保険の診療報酬点数表に基づいて診療額を算出していると、こういうことでございます。
一方、労災保険独自の取扱いも一部にございます。労災診療におきましては、左下のほう3つの欄がございますけれども、労災診療の特殊性、あるいは、労働災害ならではの傷病の複雑さ、それから、被災労働者の早期職場復帰に資する、という労災保険の目的、これらを踏まえまして、労災特掲項目として設定しているものがございます。今回、改定した初診料・再診料も労災独自の金額を定めているということで、今回改定をさせていただいたものでございます。
1枚目に戻っていただきたいと思いますけれども、改定の概要でございます。10月から消費税が上がりました。これに伴いまして、健康保険におきまして初診料・再診料・入院基本料等、※2の①~⑦の項目、健康保険においてこれら7つの項目が引き上げられました。これらの診療報酬は非課税でございます。そういうことでございますので、医療機関が設備や医薬品等の仕入時に負担する消費税を何とかしてあげなければならないということでございます。これが補てんできるよう一部の診療報酬を引き上げたものでございます。
これを踏まえ、労災診療費におきましては、改定後の健康保険の診療報酬点数表を用いて算出することになりますが、労災で独自に金額を定めている初診料と再診料について改定を行ったところでございます。
下のほうの2のとおり、改定額につきましては、健康保険に倣いまして、初診料については60円引き上げて3,760円から3,820円に、また、再診料については10円引き上げて1,390円から1,400円に改定したものでございます。
以上でございます。
○荒木部会長 ただいまの説明につきまして、御質問・御意見があればお願いいたします。
よろしいでしょうか。
それでは、議題の3は以上といたしまして、次の議題に移ります。
第4の議題は「複数就業者への労災保険給付の在り方について」であります。
事務局から説明をお願いします。
○労災管理課長 それでは、お手元の資料の資料4をごらんいただきたいと思います。「複数就業者への労災保険給付について~複数就業者への労災保険給付についての検討状況」で提示された論点等の検討について~」という表題がついているものでございます。
ページをおめくりいただきまして、1ページ目ですが、目次を書かせていただいております。大きく分けると3つの項目でございますが、1つ目が「非災害発生事業場の賃金額も加味することについて」と、これはいわゆる額の合算についての論点でございます。それから、2つ目の柱が「複数就業者の全就業先での業務上の負荷を総合的に評価することについて」と、いわゆる負荷の合算についての論点でございます。それから、3番目が「特別加入制度のあり方」でございます。
まず、1-1から御説明したいと思いますが、今回の論点でございますけれども、1-1から1-3までが、今まで御議論いただいていなかった論点かと思います。1-4、1-5は引き続き検討をするようにということで、6月におまとめいただきました「複数就業者への労災保険給付の検討状況」の中に書いてあった論点でございます。
それから、2番目の負荷の合算につきましても、2-1については、前回御議論いただいた論点の続きと。それから、2-2が新しい論点、3-1についても新しい論点ということになっております。
それでは、2ページ目以降をごらんいただければと思います。2ページですけれども、「非災害発生事業場の賃金額も加味することについて」いわゆる額の合算について論点を提示をさせていただいているのですが、※に書いてありますように、非災害発生事業場の賃金も加味して給付額を算定することを前提とした論点ということでございます。仮に、そのようにな措置をとった場合に、どのようなことに留意しなければいけないかと、こういうことについて論点を掲げさせていただいております。
3ページをごらんいただきたいと思います。
まず1つ目ですが、「最高・最低限度額等の取扱いについて」でございます。労災保険給付の算定の基礎になっていますのは、各労働者の方の平均賃金を基本といたしました給付基礎日額でございます。ただし、これが平均賃金によることが適当でないという場合につきましては、さまざまな算定の仕方があるということですけれども、そのうち、最低保障額として自動変更対象額を定めております。これは、被災時の事情により、給付基礎日額が極端に低い場合を是正する、保障の実効性を確保する、このための最低保障額でございます。
それから、年金や療養を開始してから1年半後の休業(補償)給付については、最高・最低限度額を定めております。これについては、ほかの方々との不均衡の改善と制度の公平性を保つと、こういった観点から定めているものでございます。
5ページになりますけれども、具体的にどのように定めているかというものを掲載させていただいております。上が最高限度額・最低限度額でございます。年齢区分によってばらつきはございますけれども、このように定めているところでございます。それから、給付基礎日額の最低保障額につきましては、そこに書いてありますように、自動変更対象額3,970円というものでございます。
このような最高・最低限度額、最低保障額についてどう考えるかということですが、4ページ目をごらんいただければと思います。いわゆる額の合算をした場合に、自動変更対象額、年齢階層別の最高・最低限度額について、その趣旨を考えますと、取扱いを変える必要はないのではないかと。額を合算した場合にも取扱いを変えなくてもいいのではないかということを掲げさせていただいているということでございます。
1-1の論点については以上でございます。
続きまして、6ページでございますが、「特別支給金の取扱いについて」でございます。特別支給金でございますが、9つの種類がございます。いわゆる特別支給一時金とか、ボーナス特別支給金といったような種類があるということでございます。
これらの特別支給金でございますけれども、保険給付と非常に密接不可分な関係にあると。あるいは、労働者の稼得能力をより適切に給付に反映していくと、こういった趣旨のもとで設けられているものでございまして、いわゆる本体給付とセットということでございます。
算定の基礎としては、一時金で定額給付するというもののほか、ボーナスを算定基礎とするもの、あるいは、給付基礎日額を算定基礎とするもの、こういうものがございます。
それでは、論点でございますけれども、7ページ目をごらんいただければと思います。特別支給金でございますが、本体給付とセットの給付というようなものでございますけれども、このうち、賃金額やボーナス等特別給与の金額により算定しているものにつきましては、先ほど申し上げましたような制度の趣旨に鑑みまして、非災害発生事業場の賃金額や特別給与の金額も加味して給付額を算定すべきではないか。つまり、本体給付を合算するのであれば、特別支給金についても、このようなものについては合算してはどうかというのが論点の1つ目です。
それから、2つ目といたしましては、先ほども論点にありましたけれども、上限額等が既に定まっているということでございますので、算定基礎年額とか算定基礎日額の上限額については、額の合算をした場合も変える必要はないのではないか。同じように取り扱ってはどうかということを論点として掲げさせていただいております。
1-2については以上でございます。参考資料が8~11ページまでついております。
それから、12ページの1-3でございます。3点目の論点は「通勤災害の場合の給付額について」ということでございます。
労働者の通勤による負傷や疾病、障害または死亡については、給付が出るという仕組みになっております。これは2つ目の○に書いてありますけれども、通勤は労務の提供と密接な関連を持った行為である。あるいは、社会的に保護すべき性格のものである。3点目として、被災労働者は経済発展の担い手として現に業務についており、単なる私傷病以上に保護が必要である。こういったような観点で、業務災害に準じて保護すべく、昭和48年から保険給付の対象となっているということでございます。
現行制度で、複数就業をしているとどのような事態が起こるかということですが、下の絵のところをごらんいただければと思います。
例えば就業先A、就業先Bと2カ所で働いていらっしゃる方ですが、この方が自宅から就業先Bに通勤する、あるいは、就業先Aから就業先Bに移動する、これも通勤としておりますが、こういった場合に通勤中に交通事故等の災害に遭ってしまった。こういう場合に給付の基礎になるのはどの部分かということですが、これは、向かって行った先であります就業先のBが給付の基礎になるということでございます。したがいまして、就業先Aについては特に加味しないというのが今の制度になっているということでございまして、業務災害の場合と同じような取扱いになっているということでございます。
13ページの論点でございますけれども、通勤災害につきましても、労災保険法に基づく保険給付の対象としている、この趣旨を踏まえますと、業務災害の場合と同様ですけれども、仮に、複数就業先の賃金を総合して給付額を決めるということであれば、業務災害の給付と同じように、通勤災害についても給付額を合算してはどうかというのが論点でございます。
それから、14ページでございます。次は1-4でございますが、これは引き続き議論すべきというものでございますけれども、保険料負担のあり方でございます。額の合算の場合の保険料負担、マクロの保険料負担のあり方ということですが、今までも御意見を賜っておりますので、それをまとめたものですが、論点2つあります。
1つ目は、災害発生事業場の属する業種の保険料率の算定でございます。この算定に当たっては、現行と同じように、災害発生事業場の賃金に基づく保険給付額のみについて算定の基礎とすべきではないかということを掲げさせていただいております。
そして、非災害発生事業場の属する業種の保険料率の算定については、これは現行と同様ということですが、非災害発生事業場の賃金に基づく保険給付額については、その当該業種の保険料率の算定の基礎とするのは不適切ではないかということを掲げさせていただいております。そういう意味では、マクロの保険料率の算定の基礎の考え方は同じなのかなと思っておるところでございます。
以上が1-4の論点2つでございます。参考資料が幾つかございますが、これまで御説明したものでございます。
続きまして、20ページをお願いできればと思います。「労災保険率が極力引き上がらないようにするための対策について」でございます。
現行制度を書かせていただいておりますが、労災保険については、これは特に年金給付についてということですが、責任準備金として積立金を保有してしいるということでございます。また、保険率については、原則3年ごとに改定をして、財政均衡を保つと、こういった観点で3年ごとに改定をしております。
さらに、財政規律を保つという観点からですが、社会復帰促進等事業、労災保険事業の事務の執行に要する費用に充てるべき額につきましては、保険料収入等の一定率を超えてはならないということで上限が決まっているということでございます。
一定率というところですけれども、24ページでございますが、上のほうに、限度額の式を書かせていただいております。やや複雑ですが、簡単に申し上げますと、保険料収入や積立金が生ずる収入などに120分の20を掛ける。それから、附属雑収入を足し上げる。おおむね、収入の6分の1と考えていただいていいかと思いますけれども、それを超えてはならないということで、省令に書いているということでございます。
ちなみに、予算額がきちんとこの範囲におさまっているかどうかということについては、下の段に掲げさせていただいているということでございまして。令和元年度の予算額は、限度額に対して92.2%でございます。それから、2年度は要求額ですので、参考ですけれども、これも92%ということになっております。こういうような上限があるということでございます。
戻っていただきまして、論点としては、保険率が引き上がらないようにするためには、どのような措置をとる必要があるのかということについて御議論いただければと思っているところでございます。
大きな柱の論点1については、以上でございます。
続きまして、負荷の合算についてでございます。26ページからでございます。
27ページをごらんいただければと思います。「仮に全就業先での業務上の負荷を総合的に評価して労災認定することとした場合(負荷の合算)の認定方法のあり方について」でございます。前回も御議論いただいたものでございますけれども、その続きでございます。
<現行制度>でそもそもの認定基準とはどういうものかということについて、もう一度書かせていただいておりますが、認定基準は、業務による負傷、疾病、障害または死亡の原因となる過重負荷について定めたものでございます。いわゆる過重負荷はどういうものかというのを定めておりまして、事業場が1つか、あるいは、複数事業場なのかということについては、直接記載していないということでございます。
脳や心臓疾患、精神障害の認定基準は、前回も御説明したとおりでございます。
複数の事業場で働いていらっしゃる方について、どのように認定をしているかということについて2例掲げております。
例えば、同一事業主に雇用されて、複数の場所で働いていらっしゃる。例えば、月曜から水曜までは本社で働いて、木・金は出先機関で働いている。こういった方がいらっしゃった場合、事業場は1週間のうちで移動していらっしゃるわけですけれども、これは同一事業主に雇用されているということで、この際の労働時間とか心理的負荷については、認定する際には総合的に判断をしているということでございます。
また、同一の派遣元から複数の派遣先に派遣されているという場合であっても、各事業場での労働時間、心理的負荷については、いわゆる総合的に判断をしているということでございます。
この点につきましては、特に労働時間のように数字で合算ができないというような、心理的負荷の強度についてどのように考えたらいいのかということにつきまして、医学専門家の御意見をお聴きしました。29ページになりますが、日本産業精神保健学会の理事長であり、東京労働局の地方労災医員も務めていらっしゃいます黒木先生にお聴きしたところ、「聴取内容」というところですけれども、単一・複数の就業先にかかわらず、それぞれの出来事の心理的負荷については、客観的な心理負荷評価表の基準に照らし合わせて慎重に判断する必要があると。その上で、当人がどのような状況に追い込まれたかを検討する必要があるということが前提であると。
そして、主たる事業場と複数の副業の事業場があった場合、いずれにしても個別の事例ごとに判断しなければいけないというようなことが重要なのですが、心理的負荷の強度が単一事業場で受けた場合と、それらの負荷を複数の就業先で受けた場合と、分けて受けた場合ということなのでしょうけれども、そういった場合とで心理的な強度が変わるということはないというようなことをお聴きしております。
このようなことを踏まえまして、28ページの<論点>ですけれども、1番目の論点は前回もお示しをしたものでございまして、調査方法自体は特段変更しなくていいのではないか。現在でも複数就業されている方で、複数の就業先で負荷を受けているということであれば、監督署がそれぞれの事業場での労働時間、具体的な出来事を調査している、こういうことでございますので、仮に複数就業先の負荷を総合して判断するという場合であっても、特に調査方法は変えなくてもいいのではないかということでございます。これは前回もお示しした論点と同じでございます。
それから、2点目でございますけれども、単一事業場で受けた場合と、複数就業先で受けた場合とでは、特に心理的負荷が異なるということではないというような御意見もございます。それから、場所が違っていても、あるいは、指揮命令する事業場が違う、会社が違っているというような場合であっても、今、総合的に負荷を判断していると、こういうような実態がございますので、基本的には、労働者への過重負荷について定めた現行の認定基準の枠組みは維持してもいいのではないか。この枠組みにより対応していくことになるのではないかと思っておりますので、論点として掲げさせていただいております。
ただ、その際には、脳・心臓疾患や精神障害の認定基準そのものにつきまして、医学等の専門家の御意見を聴く必要があるのではないか。その上で、運用を開始していくべきではないかということを、論点として掲げさせていただいているところでございます。
2-1については以上でございます。
続きまして、2-2でございますが、34ページでございます。仮に複数就業先の負荷を総合的に判断する、いわゆる負荷の合算を行って労災認定すると、このような場合に給付額をどうするかということでございます。
非災害発生事業場の賃金を合算する。どちらかで事故が起こったときに、災害発生事業場の賃金額を合算するというようなことであれば、同じように、複数就業先の賃金を総合して算定すべきではないかと、このようなことを書かせていただいております。もちろん、その場合もということですが、もし、額の合算の場合に、自動変更額や年齢階層別の最高・最低限度額について取扱いを変えないということであるのであれば、この場合も取扱いを変える必要がないのではないかということを書かせていただいております。
34ページについては以上でございます。
それから、もう一つ大きな柱ということで、「特別加入のあり方について」でございます。ページをおめくりいただきまして、36ページでございます。特別加入制度につきましては、制度創設時に答申が出ております。昭和40年ですので、今とは大分状況が違うわけでございますけれども、ここのところに幾つか趣旨が書いてありますけれども、一言で言うと、慎重に検討すべしと。制度全体の運営に支障が生ずることがないように、あくまでも慎重を期する必要があると、このように書かれているところでございます。
こういうある意味基本方針が答申としてあるわけですが、非常に年月もたっているということもございます。37ページでございますけれども、<論点>として掲げさせていただいていますのは、現在の状況を申し上げますと、働き方が多様化している。複数就業者数もふえつつある。労働者以外の働き方で副業をしている方も一定数は存在しているということでございます。制度創設当時の昭和40年にはなかったような仕事もあるということでございますし、我々の生活も随分変わってきていると、このような状況にある。社会経済情勢が非常に変化していると、こういうことがありますので、対象範囲とか運用方法等については、現代に合った制度となるように見直しを行う必要ではないかということを論点として掲げさせていただいているということでございます。
以下、今まで御説明した資料をおつけしております。
それから、資料参考として、前回の労災保険部会における委員の皆様の主な御意見ということで、掲載をさせていただいているということでございます。
資料4については以上でございます。よろしくお願いいたします。
○荒木部会長 ただいまの説明につきまして、御質問・御意見があればお願いいたします。
輪島委員。
○輪島委員 ありがとうございます。
資料12ページ、通災のところで、下の図のところをもう一度教えていただきたいのですけれども、A事業所とB事業所があり、上の緑の自宅のほうですけれども、自宅からA事業所へ行って、A事業所から自宅に帰っていて、その先、また、自宅からB事業所へ行って、そのときの通勤という理解でよろしいのでしょうか。
○労災管理課長 必ずしも一回Aに行ってから、また、帰ってということではなくて、自宅から直接Bに行く場合も含んでいます。Aに行って、自宅に帰って、それから、自宅から就業先Bということもあり得るでしょうけれども、就業先Bに直接ということもあり得ると思います。
○輪島委員 2つ目、下の青いところですけれども、自宅があって、就業先Aに通勤しますね。就業先Aから就業先Bに通勤があって、就業先Bから自宅への通勤があるので、XとYとZというか、局面は3つになると思うのですけれども、そのときに、AからBに行くときに通勤災害があるので、それはBのところで15万円だけですというのが現行制度の具体例という理解でよろしいのでしょうか。
○労災管理課長 そうです。局面は3つあるのですけれども、今回は、わかりやすくといいますか、例として、AからBに移動するときも、これも通勤としてみなしているのですと、こういうことを御説明しようと思ってこの例を書き加えたということです。通勤ですから、家に帰るというのももちろんあるわけですけれども、今回は、通常思い浮かべる家から就業先と、それから、就業先から就業先に移動するものというので、この例を示させていただいたということでございます。
○輪島委員 ありがとうございます。
13ページの論点からいくと、そこを総合して給付すべきではないかとは思うのですが、下の青いところで言えば、自宅からXの通勤があって就業先Aに行く、就業先AからYという通勤があって就業先Bに行く、就業先BからZという通勤があって自宅に帰る。Zでの災害があると何か足し算かなというのは何となくわかるのですけれども、XとY、特に、今、Yについてはもう措置をされている状況なので、そうなのかなというのを素朴に思うということだけ申し上げておきたいと思います。

○労災管理課長 就業先Aから就業先Bのところですけれども、要するに、もともとここは通勤ではないという整理だったものを、法改正しまして、通勤というふうに整理をいたしました。そのときに、どこを給付基礎日額にするのかということになった場合には、向かっている先であるところの就業先Bをベースにするということになっていまして。今、措置されているのはそこだけなのですけれども、そういう意味では、要するに、この労働者にとってみると、就業先Aのほうを休まざるを得なくなったと、こういった場合には特に就業先Aの賃金が合算されてないと。そういう意味では業務災害の場合と似ているのではないかということで、論点をお示しさせていただいたということでございます。
○荒木部会長 よろしいでしょうか。
ほかにはいかがでしょうか。
砂原委員。
○砂原委員 御説明ありがとうございました。
20ページの話ですけれども、「労災保険料率が極力上がらないようにするための対策について」の部分でございます。労災事故が減って保険料が下がるというのが一番いいことであるのは間違いないのですけれども、そもそも、その事務費であったり、社会復帰促進等事業の費用であったりというもの自体は、労災の本給付ではなく、労働災害に対する給付の付加的なものであることは間違いありません。公的に運営されている社会保障給付であるわけですから、付加的なものを減らしてスリム化していくということがそもそも大切なのだと認識しております。今回の制度改定においても、そういう努力をし続ける必要があると思っているということがまず1つ。
それから、今回、兼業・副業で本給付の部分をふやすということであれば、その割合が増えるように、この事務費や社会復帰促進等事業費の割合を引き下げる努力をしていくことはすごく大切なことだと思いますので、ぜひ、そういうふうにしていただきたいと思っています。今後、東京オリンピックも終わって、景気がちょっと落ち込むことも考えられます。そうすると、給与水準が下がったり、デフレ等がもっと進むような事態になったりする可能性もあります。労災保険制度としても、制度の安定的な運用を目指すために、事務費や社会復帰等促進事業費の給付実額をできるだけ減らしていく中で、付加的な給付の割合が減るというような形を視野に入れながら検討を進めていただけるとありがたいなと思いますので、よろしくお願いいたします。
○荒木部会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
北委員。
○北委員 御説明ありがとうございます。
少し飛びまして、負荷の合算のところ、2-1ですけれども、論点で言うと28ページでございます。前回もお示しいただいたとおり、負荷の総合評価をするに当たっての現行認定基準の枠組みでということについて、特に異論があるわけではないのですが、御説明を聞く限り、これは少し曲がっているのかもしれませんけれども、今も副業をしている方がいるので、現行で行けるのではないかというふうな、少し短絡的にどうしても聞こえてしまうところがあります。
黒木先生の今回資料もついてはおりますけれども、副業・兼業をやることに当たっては、今般、いろいろな働き方ができている中で、当然、新たな副業パターンをする方、我々が想定していないような副業パターンをする方もいらっしゃるでしょうし、今後、今までやってなかったような方が副業をするということが大いに増加することを踏まえれば、総合評価をするに当たって、必要であれば、運用面になるのでしょうけれども、その基準なり、留意すべき事項は、もう一度改めて作成するということもひとつ検討に加えておくべき必要があるのではないかなと、企業実務から言っても、最終的にその評価のばらつきというところは、非常に人数がふえてくる中で、その際の認定評価がばらつくということは、実務的にも非常に困難を極めるというところもありますので、そのあたり、改めて、お考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
○荒木部会長 事務局からは、いかがでしょうか。
○労災管理課長 御意見ありがとうございます。
おっしゃるように、現行の認定基準をそっくりそのままということにつきましては、我々としてもやや自信がないというところでございます。そういうことで、論点に書かせていただいていますけれども、運用をしていく前に、しっかり医学的な知見を踏まえたいということで、専門家の御意見もしっかり聴いて、仮にもし、特別に留意すべき事項があるということであれば、そういった点も踏まえて、しっかり認定してまいりたいと思っているところでございます。もちろん負荷の合算でやって認定するという制度になればということではございますけれども、そういう準備は必要なのかなと思っております。
○荒木部会長 どうぞ、水島委員。
○水島委員 関連して質問をさせていただきたいのですが、現在は、申立があった場合に、申立があった事業場に限って調査しているという理解でよろしいでしょうか。
もう一つお尋ねですが、そのときに、労働時間や具体的な出来事を調査する期間はおおむね6か月と理解してよろしいでしょうか。
○補償課長 まず1点目ですけれども、例えば精神の場合で考えてみたいと思いますけれども、精神障害の労災請求をするときにどういうふうにされるかということですけれども、普通は、どこどこの事業場に勤めていてぐあいが悪くなりましたと。それで、我々はどういう出来事があったということをお聞きするわけですね。そういう申立を聞いて判断をする。その際に、ほかの事業場があれば、ほかの事業場のことも聞くと、こういうような形になろうかと思います。
それから、2つ目ですけれども、済みません、もう一度お願いします。
○水島委員 おおむね6か月の期間を見るという理解でよろしいでしょうか。
○補償課長
発症前おおむね6か月でございます。6か月の期間における労働時間や、この間に起こった出来事などを評価すると、こういうことでございます。
○水島委員 ありがとうございます。
その上で意見ですが、現行と同じようなやり方でということは考え得るところですが、今後、総合的に評価することになりますと、申立が非常に増えるのではないかと思います。つまり、6か月間に、例えば3日ぐらいしかアルバイトをしていないところでパワハラ的なことをされた、その事業場も調査してほしいといったことがあるのではないでしょうか。主たる事業場と副業の2か所であれば、現在と余り変わらずできると思うのですが、6か月間に従事したありとあらゆる副業・兼業を申し立てられ、調査をするとなると、監督署の調査はかなり大変になるのではないかと思います。
仮にそのような事態になった場合に懸念されるのは、1つは、認定までに時間がかかるのではないかということです。あるいは、認定まで時間をかけずに処理期間を守ろうということになりますと、監督署の方々に非常に労働負荷がかかると思いますので、そうしたことにもならないように御配慮いただければと思います。
今回、負荷の合算を総合的に評価という表現に変更していただき、ありがとうございます。これは、前回私から申し上げたことでもありますが、負荷の合算というと、単純にあらゆるものを合算するように聞こえますが、そうではなくて、総合的に評価する中に含めることができる、そうした趣旨と理解しています。ですので、今回、このような表現にしていただいたことは適切であり、ありがたく思います。
次に、黒木先生の聴取内容に関する質問です。聴取内容の2点目に、「心理的負荷の強度としては、単一事業場で受けた場合と複数就業先で受けた場合とで異なるということはない」ということですが、これは労災認定を前提として聴取されたのか、あるいは、一般的な見地から医師としてのお立場でこのように発言されたのかを確認させていただいてよろしいでしょうか。
○補償課長 今回、黒木先生にお伺いをしたわけですけれども、まず、どういう聞き方をしたかということですけれども、先生は精神医学の専門家でございますので、精神医学の観点から教えてくださいと、こういうことでございます。
具体的には、業務において受ける心理的負荷が1社でAとBという2つの心理的負荷を受けた場合と、その同じAとBという心理的負荷を2社でそれぞれ受けた場合、労働者が受ける心理的負荷の強度について何か違いがあるでしょうかという聞き方をしております。ですから、労災認定を前提に聞いております。こういう聞き方をして、特に違いはないと、こういうような御回答をいただいたということでございます。
○水島委員 労災認定を前提にしてということでしょうか。
○補償課長 そうです。
○水島委員 現在は、AとBは総合的に評価しないので、そのような労災認定の事案はそもそも存在しないと思います。そうした趣旨で質問をしたのですが、黒木先生の御発言は、労災「認定」の場を離れて、先生がさまざまなケースをご覧になっている中で、労災は認定されないものの、特段違いがないということでしょうか。使用者が同じで複数事業場というケースは、これまでも労災認定に係るケースがありますが、複数就業先は労災認定に係るケースはないと思いますので、何をエビデンスとしてこのように判断されたのか、との質問です。
○補償課長 すみません、答えになるのかちょっとわかりませんけれども、まず、資料の31ページをごらんいただきたいと思います。少し説明が戻ってしまうかと思うのですけれども、一番右側に、現在の労災の認定の仕方について、論点の1つに書いてある「変える必要はないのではないか」というところの説明の1つですけれども、労災請求があった場合、現在は、A、Bそれぞれ総合的に評価をしないわけでございます。真ん中に書いてありますように、上から2つ目ですね。A社、B社それぞれ別に検討すると、こういうことでございます。それで、A社、B社それぞれ検討して、下のほうにありますけれども、A社、B社それぞれ別に総合判断をして、A社で業務上上になるのか、B社で業務上上になるのか、こういうような判断をしております。
どちらかが強であれば、そこで労災認定になるのですけれども、どちらも例えば中であった場合ですね。これは現在であれば不認定ということで、そこで処理が終了するわけなのですけれども、今度、仮に負荷の合算といいますか、総合評価をするというのは一体どういうことなのかと、こういうことなのですけれども、当然のことながら、A・Bで例えば今具体的に「中」と「中」でした。これを単純に足すという、こういうことではないわけでございます。これは共通の認識だと思いますけれども、こういうことであれば、完全に今の認定基準の枠組みから外れてしまうわけなのですけれども、こういうことではないと。
では、どういうことかといいますと、先生もおっしゃっているように、総合的に負荷を評価すると、こういうことでございます。総合的に負荷を評価するということはどういうことかというと、A社とB社を一体として見る。垣根をとってしまうと、こういうことであります。要するに、労働者にとってみれば、負荷というものは、A社から受けようが、B社から受けようが、それは関係なくて、ともに心理的負荷であることに間違いない。ですから、その人にとって負荷がどうあるのか、AとBの垣根をとって、全体の負荷をどう受けているのかと、こういうことを総合的に評価しましょうということです。
この上で問題になるのが、本当にAとBでそれぞれの負荷はあるのだけれども、現在と同じように、1社でAとBの負荷を受けたときと、2社でAとBそれぞれ受けたときに、本当に一緒にしていいのですかという、こういうことが我々も懸念していましたし、いろいろな委員の皆さんからもそういうことを御疑問にいただいておりましたので、そういう聞き方をして、そういうことの払拭をしたいと、こういうことでこういう聞き方をして、先生のほうからお答えをいただいたということでございます。
ただ、先ほど管理課長から申し上げましたように、さらに慎重を期して、論点の2つ目にも書かせていただいておりますように、専門の検討会で議論をしていってはどうかと、こういうようなことで書かせてもらっているところでございます。
先生の御質問に直接お答えになったかどうかはわからないのですが、こういうことでございます。
○水島委員 ありがとうございます。
○荒木部会長 仁平委員。
○仁平委員 働く者の立場から、ちょっと素朴な意見で恐縮ですけれども、一人の人間として見ると、負荷というのは仕事が1つだろうが2つだろうが3つだろうが、やはり合わせて捉えていただかないとちょっと納得できないなと。それに合わせて今の法的な枠組みで見直すべき点があるのだったら進めていくということに賛成でございます。
以上です。
○荒木部会長 ありがとうございました。
私の素朴な意見ですけれども、きょうの29ページに黒木先生の聴取内容があって、心理的負荷の強度としては、単一事業場で受けた場合と複数就業先とでは異ならないということですけれども、その前に、個別の事例ごとに判断する必要があると書いています。同一使用者のもとでの複数事業場の場合と、使用者が異なる複数事業場の場合とでは、例えば同じような発言であったり、ハラスメントであっても、行った人が違う、使用者が違うことによって本当に同じ負荷と評価してよいのかというのがあり得るのかもしれない。それが黒木先生の言葉では、個別の事例ごとに判断する必要があって、そもそもがA社における負荷がa、B社における負荷がbと、同一使用者のもとでのA・B事業場のものがa、bと、本当に同じaとbとなるかというのは、使用者が違うことによって実は違う評価をすべき場合もあるのではないかというところは、さらに、専門家の意見を深く聴取していただきたいという気がいたしました。
ほかにはいかがでしょうか。
田久委員。
○田久委員 特別加入のあり方ということで、37ページの論点にありますように、社会情勢が変わって、働き方の多様化ということでは、現在、そういったところでは保障されない人たちに対する保障を広げていくということは必要かなとは感じますが、改めて、この40年のときにも書いてある慎重という部分でいきますと、雇用をすべき人たちがそうでなくなることだけは避けるようなことはきちんとすべきかなと。
建設で言いますと、特別加入者は全体的にも多いほうでございますから、そういった点では、現在、国交省のところでも、「一人親方化」という言葉も含めて、雇用されるべき人たちがそうでない請負契約にされているような形も含めて生まれているという表現を国交省でもし始めていますので、こういった部分では、こういう特別加入者の範囲を広げることはもちろん、社会情勢に伴って働き方が変わってきている部分があるのですが、そういった本来雇用すべき人たちまでそういうふうにならない、そういったところまで広げるとかということではなく、議論をきちんとしていっていただければなと思っておりますので、ぜひ、そういった観点でそういった対象範囲や運用方法等の議論をしていただきたいなと思っております。
○荒木部会長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。
輪島委員。
○輪島委員 ありがとうございます。
1-1、最高・最低限度額等の取扱い、特別支給金の取扱い等ですけれども、基本的には、ここに書いてあるとおり、大きな制度の変更というようなことではないと認識をしておりますので、現行どおりのものでよろしいのではないかなと思っています。
○荒木部会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
本日のところは、さらに御発言は特にないということでよろしいでしょうか。
それでは、本日については、ここまでとしたいと思います。
本日の議事録の署名委員ですが、労働者代表の楠委員、使用者代表の輪島委員に署名をお願いすることといたします。
以上といたします。本日はありがとうございました。