2019年5月15日 第61回 厚生科学審議会 疾病対策部会 難病対策委員会・第37回 社会保障審議会 児童部会 小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会(合同開催) 議事録

日時

令和元年5月15日(水)10:00~13:00

場所

厚生労働省 専用第22会議室(18階)

出席者

議題

配布資料

議事

議事内容
○田中課長補佐 それでは、定刻となりましたので、第61回「厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会」と第37回「社会保障審議会児童部会小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会」の合同委員会を開会させていただきます。
委員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりをいただきまして、まことにありがとうございます。
まず、委員会開催に際しまして、難病対策委員会に新たに御就任いただきました委員の先生がいらっしゃいますので、御紹介申し上げます。
東京学芸大学教育学部准教授、佐藤雄一郎委員。
東北大学大学院法学研究科教授、嵩さやか委員。
読売新聞東京本社調査研究本部主任研究員、坂上博委員。
佐藤委員からは本日御欠席の御連絡をいただいておりますので、嵩委員、坂上委員から一言御挨拶をお願いいたします。
○嵩委員 今、御紹介いただきました東北大学の法学研究科に所属しております嵩さやかと申します。こちらの委員会、初めて参加させていただきますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
○坂上委員 読売新聞の坂上と言います。小児慢性特定疾患児の委員会には既に委員として入っていましたが、難病対策委員会の委員も兼務することになりました。子供の難病についての意見や提言なども伝えたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○田中課長補佐 ありがとうございました。
また、前回から御参加いただいております滝田委員、花島委員も今回初出席となりますので、一言御挨拶をお願いいたします。
○滝田委員 京都大学小児科の滝田と申します。どうぞよろしく御指導をお願いいたします。
○田中課長補佐 花島委員におかれましては、少しおくれて御参加されるということでございます。
本日の出席状況でございますが、佐藤委員、髙橋委員、竹内委員、本田委員、井田委員、小幡委員、矢内委員より御欠席の御連絡をいただいております。また、羽鳥委員、石川委員、花島委員は少しおくれて御参加とのことでございます。
また、嵩委員、及川委員、賀藤委員は、所用のため途中で退席されることを申し添えます。
また、本日は、参考人として難病患者の総合的支援休制に関する研究班、研究代表である国立病院機構箱根病院、小森哲夫院長に御出席いただいております。
○小森参考人 箱根病院の小森でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○田中課長補佐 続きまして、宇都宮健康局長より御挨拶を申し上げます。
○宇都宮健康局長 おはようございます。健康局長の宇都宮でございます。よろしくお願いいたします。
本日は、皆様、大変お忙しいところ御参集いただきまして、まことにありがとうございます。また、日ごろより難病対策、また、小児慢性特定疾病対策を初めといたしまして、厚生労働行政に御協力いただいておりますこと、この場をおかりしまして厚く御礼申し上げます。
さて、難病対策及び小児慢性特定疾病対策につきましては、難病対策は昭和47年から、小児慢性特定疾病対策は昭和49年から制度化されて、実施されてきたということで、50年近く続いてきている制度でございます。御存じのように、平成26年には税と社会保障の一体改革の議論がございまして、それに伴いまして、この難病対策、小児慢性特定疾病対策が大きく制度が変わりました。具体的には難病対策法の制定、児童福祉法の改正ということで、それによりまして安定的な財源の確保のもとに医療費助成制度が整備されまして、対象疾病の大幅な拡大、また、研究の推進等々、さまざまな施策が始まったわけでございます。この法改正及び法成立のときに5年後の見直しということが附則につけられてございまして、来年の1月が5年ということでございますので、そこに向けて見直しということを御議論いただくということでございます。
先日、親の会でございます厚生科学審議会の疾病対策部会及び社会保障審議会の児童部会のほうから、この見直しに向けて議論をするようにという指示をいただいたことでございます。これを受けまして、本日の合同開催となったわけでございますが、御存じのように、制度の改正によってさまざま充実された面がある一方で、まだ課題も種々残っているところでございます。本日はぜひ忌憚のない御意見を交わしていただきたいと思います。実りある御議論となることを祈念いたしまして、御挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○田中課長補佐 カメラの撮影はここまでとさせていただきます。
宇都宮健康局長におかれましては、公務のためここで退席とさせていただきます。
(宇都宮健康局長退室)
○田中課長補佐 以降の議事の進行につきましては、千葉委員長にお願いいたします。千葉委員長、よろしくお願いいたします。
○千葉委員長 まず、本日の委員会は、厚生労働省が取り組んでおりますペーパーレスということで、タブレットを使用して行いますので、御存じの方もいらっしゃると思いますが、使用方法等につきまして御説明いただきたいと思います。
○田中課長補佐 本日の委員会ではタブレットを使用し議事を進行させていただきます。簡単ではございますが、使用方法について御説明いたします。まず、タブレットの画面上に資料一覧が表示されております。資料のタイトルをタップしていただきますと、本体資料が表示されます。資料は、2本の指を広げたり縮めたりすることで資料の拡大、縮小が可能となっております。また、ページをめくる際には画面に指を置き、上下に動かしていただければ、1ページずつめくることが可能です。資料全体を閲覧したい場合には、机上配付の操作説明書の2の(2)に記してあるとおり、画面左下のマークをタップしていただき、「ファイル/印刷に注釈をつける」をタップしていただきますと、画面下部に全ページの画像が小さく表示されますので、こちらで指を左右に動かしていただき閲覧したいページを選択すると、ページを超えて表示をすることが可能です。お手元にタブレット操作説明書をお配りしておりますので、そちらもごらんいただきながら、使用方法に御不明な点や機器のふぐあいがございましたら、遠慮なく挙手をお願いいたします。会議の途中でも事務局が個別に御説明に伺わせていただきます。なお、タブレットに関しましては、会議終了後、回収いたしますので、持ち帰らず机の上に置いたままにしていただきますようお願いいたします。
専務局からの説明は以上となります。
○千葉委員長 ありがとうございます。
それでは、資料の確認をお願いします。
○田中課長補佐 タブレットのフォルダ内の資料一覧をごらんください。タブレット内の本体資料として、議事次第、委員・参考人名簿、資料1-1、資料1-2、資料2を用意しております。また、座席表に加えて、資料1-1につきましては、黄緑色のファイルに入れて机上配付をさせていただいておりますので、御確認をお願いいたします。タブレットのふぐあい、資料の過不足等ございましたら、挙手をお願いいたします。
○千葉委員長 よろしいでしょうか。
それでは、議事に入りたいと思います。先ほどの宇都宮健康局長からの御挨拶にもありましたように、本日から難病法、改正児童福祉法の施行5年後の見直しについての議論を行ってまいりたいと思います。
本日は議論のキックオフということで、議題1として「難病対策及び小児慢性特定疾病対策の現状について」、議題2として「今後の検討の進め方について」、御議論いただきたいと思います。
進め方として、議題1「難病対策及び小児慢性特定疾病対策の現状について」、事務局から資料に基づいて御説明いただいて、さらに本日参考人として来ていただいております難病患者の総合的支援体制に関する研究班、研究代表の小森哲夫先生から難病患者の生活実態調査の結果概要について御報告をいただきます。
御説明が一通り終わった後、少し休憩を挟みまして、各項目ごとに時間を区切って自由討議という形で御議論をいただきたいと思います。
ということで、まず事務局からお願いします。
○大比良課長補佐 それでは、資料1-1に沿って難病対策及び小児慢性特定疾病対策の現状について御説明させていただきますので、よろしくお願いいたします。
おめくりいただきまして、まず、目次で全体の構成を御説明させていただきます。Iでこれまでの経緯ということで、難病法の制定、児福法の改正の経緯を御説明させていただきます。IIは対策の全体像を御説明し、III以降は個別の論点ということで、まずIIIが医療費助成制度、IVが医療提供体制、Vが人材の養成、VIが調査及び研究、VIIが療養生活の環境整備、VIIIが福祉支援ということで、障害者総合支援法に基づく福祉サービスの御説明、IXが就労支援、XIが小児慢性特定疾病児童等自立支援事業になります。こちらの項目に沿って御説明させていただきます。資料が大部になりますので、ポイントを絞って御説明させていただきます。
それでは、4ページ、これまでの経緯になります。6ページは難病対策の経緯です。難病対策につきましては、昭和39年にスモンの発生が社会問題となったことを契機に研究事業が始まりまして、それ以降、難病対策要綱に基づいて、調査研究の推進、医療費助成を実施してきたところです。こちらの特定疾患治療研究事業につきましては、予算事業で実施してきたということがございまして、医療費の予算を国が十分に確保することができない現状がございました。その結果、都道府県に大幅な超過負担が生じていたという問題がございました。それに加えて、対象疾病の要件を満たす疾病であっても医療費助成の対象とならないといったような、疾病間の不公平が指摘されていたところでございました。
8ページの下に事業費・国庫補助額の推移がございまして、赤の事業費が年々増加する一方で、緑の国庫補助については伸び悩んでいたというところで、ここの差の部分が超過負担という形で生じており、不安定な財政運営が続いておりました。
10ページです。こうした背景もございまして、平成24年頃から開始された社会保障と税の一体改革の議論の中で難病対策、小児慢性特定疾病対策についても安定的な財政運営のもとに医療費助成制度を構築すべきだという議論がなされたところでございます。それを踏まえて、平成27年に難病の患者に対する医療等に関する法律案と児童福祉法の一部を改正する法律が施行されたという経緯になっております。
経緯をもう少し細かく見たものが11ページ以降になります。11ページは社会保障制度改革国民会議の報告書でございます。太字で書いておりますが、医療費助成制度については、消費税増収分を活用して、将来にわたって持続可能で、公平かつ安定的な社会保障給付の制度として位置づけ、対象疾病の拡大や都道府県の超過負担の解消を図るべきであるとされております。それに加えまして、社会保障の給付の制度として位置づける以上、公平性の観点を欠くことはできず、対象患者の認定基準の見直しや、他の類似の制度との均衡を考慮した自己負担の見直しについてもあわせて検討することが必要ということで、合意がなされたところでございます。
それを受けまして、12ページ、持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律、いわゆるプログラム法と言われているものですが、こちらにも太字にありますとおり、社会保障の給付として位置づけること、対象疾病の拡大、患者の認定基準の見直し、自己負担額の他制度との均衡を図るための見直しというのが盛り込まれているところです。
それを受けまして、13ページ、難病対策委員会の取りまとめについても、こうした流れを踏まえて、こちらに示しているような概要の取りまとめがなされているというところです。
14ページに進んでいただきまして、小児慢性特定疾病対策の経緯についてです。こちらについても先ほど健康局長から話がございましたとおり、昭和49年から研究事業という形で実施をしてきたところでして、平成17年に児童福祉法が改正され、医療費助成が法定化されました。小児慢性特定疾病についても、先ほどの社会保障と税の一体改革の議論を踏まえて、難病対策同様に、公平かつ安定的な医療費助成制度とするということで、児童福祉法についても改正がなされて、平成27年から施行しているというところです。
16ページ以降は、対策の全体像になります。法律の概要を17ページでお示ししております。難病法につきましては、国の責務等が書かれた基本方針の策定や、2点目に医療費助成の公平かつ安定的な医療費助成の確立ということで、医療費助成の規定がありまして、3に調査研究の推進、4に療養生活環境整備事業ということで、難病相談支援センターの設置や地域協議会の設置が規定されております。
18ページにつきましては、先ほど申し上げた基本方針の概要をお示ししております。
19ページについては、児童福祉法の一部を改正する法律の概要になりまして、小児慢性特定疾病対策の規定があり、こちらも基本的には難病法とパラレルの形で基本方針の策定、医療費助成制度の規定、オリジナルなものとして小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の実施というのがございまして、それから研究の推進となっております。
20ページ、小児慢性特定疾病についても難病同様に、法律の下に基本方針という形で、国の責務等がまとめられたものがございます。
21ページ以降は、医療費助成制度になります。23ページにつきましては、難病法制定時の難病対策委員会の取りまとめになります。太字にございますとおり、医療費助成につきましては2点目的があるというところでして、1点目が研究、治療方法の開発に資するため、患者さんのデータの収集を効率的に行い、治療研究を推進していくという研究の目的がございます。2点目に、治療法が確立されるまでの間、長期の療養による医療費の経済的な負担が大きい患者さんの支援をするという福祉的な目的がございます。この2点をあわせ持つものとし、広く国民の理解が得られる公平かつ安定的な仕組みとなるよう、必要な財源を確保するということで、難病対策委員会において取りまとめられております。
これに基づきまして、現行の医療費助成がなされており、24ページで医療費助成制度の概要をお示ししております。
25ページにつきましては、法施行前の予算事業と法施行後の法律に基づく医療費助成の対比表になっております。こちらにつきましては、公平な観点からということで、これまで対象疾病の要件が4つあったのですが、2つ加わりまして、5点目「本邦において一定の人数に達しない」という人数要件と、6番目の「客観的な診断基準が確立している」という要件が加わっているというところです。
対象者につきましては、重症度基準が予算事業時代には12疾病のみに導入されていたところでしたが、法施行後は全ての疾病に対して重症度基準を導入されております。
自己負担額につきましても、法施行後は、生活保護受給者以外の全ての世帯、患者さんに対して自己負担をお願いしております。
26ページは小慢の医療費助成制度です。小慢の医療費助成制度につきましても、小児慢性特定疾病患児への支援の在り方に関する専門委員会の取りまとめにおいて、公平性、客観性の観点から引き続き制度を維持すべきであるというまとめをいただいているところです。それに基づきまして現行の医療費助成がありまして、その概要を27ページでお示ししております。
28ページが法施行前と法施行後の医療費助成制度の比較になります。小児慢性特定疾病については、医療費助成の対象となる方については症状の程度に応じて基準を設けるということが、法施行前も法施行後も全ての疾病について導入されていたというところが難病とは異なる点です。自己負担につきましては、こちらも難病と同様に、生活保護受給者以外の方については自己負担をいただくという形になっております。
29ページです。難病と小慢の医療費助成制度の比較になります。難病と小慢は根拠法が異なり、それぞれの法律の趣旨、目的に即して対象疾病の要件、対象者の基準等も設定されているところです。大きく異なる点といたしましては、対象者のところで、小児慢性特定疾病につきましては、18歳未満を原則として対象としており、その一方で、難病につきましては年齢制限がないという点となっております。
30ページ以降は、対象疾病になります。対象疾病につきましては、31ページに審議会の取りまとめをお示ししておりまして、それを踏襲する形で、32ページに法律の規定が整備されております。それを整理したものが33ページになります。33ページで難病法における難病の定義を整理しております。難病につきましては、定義が2つございまして、まず広義の難病といたしまして、発病の機構が明らかでなく、治療方法が確立していない、希少な疾病であって、その結果、長期の療養を必要とする、という4要件を満たすものを広義の難病としており、研究の対象としているところです。
さらに、その内数として、指定難病がございまして、こちらについては医療費助成の対象となる疾病となります。指定難病につきましては、さらに2つの要件が加わりまして、患者数が本邦において一定の人数に達していない、客観的な診断基準が確立している、この2つを合わせた合計6つを満たすものを指定難病として指定しているところです。
34ページにおきましては、今、申し上げた難病の定義に即して、実際に指定難病の追加の検討を医学の有識者で構成する指定難病検討委員会において医学的な見地から検討していただいているというところです。
35ページです。指定難病検討委員会での検討を踏まえて、現在333疾病まで疾病を拡大してきております。
36ページは、現行の指定難病である331疾病について、疾患群別にみた状況をお示ししております。左上にございます神経・筋疾患が82疾病で、最も多くなっております。次いで代謝疾患が43疾病となっております。
37ページは、受給者証所持者数、患者さんの数別に疾病を見てみたという表になります。患者さんが100人未満の疾病が210疾病である一方で、1,000人以上の患者さんがいらっしゃる疾病が61疾病となっております。
38ページ、小慢についても同様に対象疾病の要件が法律で整備されていて、それに基づいてこちらの小児慢性特定疾病患児への支援の在り方に関する専門委員会において疾病追加の検討をいただいているところです。
39ページでこれまでの実績をお示ししております。平成27年の改正前の514疾病から、改正後、現在までの間に762疾病の疾病追加を行ってきたところです。
40ページにつきましては、難病と同様に、疾患群別にみた疾病の状況をお示ししております。先天代謝異常が126疾病で最も多くなっておりまして、次いで、その上の慢性心疾患が92疾病で多くなっております。
41ページについては、小児慢性特定疾病と指定難病の指定状況を整理させていただいております。真ん中については、小児慢性特定疾病の対象疾病数を疾患群別にお示ししていて、右側にはそのうち指定難病にも該当する疾病数をお示ししているところです。これを見ますと、一番下側にございますとおり、756疾病中、約半数になる364疾病が指定難病にも該当するということで、指定されているところです。
42ページにつきましては、患者からの申出等を起点とした指定難病の追加に係る検討についてです。疾病追加の議論については、これまで研究班又は関係学会からの情報提供に基づき、指定難病検討委員会で審議を行うという形をとっていますが、研究班がないような極めて症例数の少ない疾病に関しましては、そういった検討の俎上にものらないといった御指摘をいただいていたところです。それを踏まえまして、患者さんからの申出を起点として、そういった疾病についても指定難病の検討の対象にしてくという取組を以前難病対策委員会で取りまとめていただいております。こちらについては、図の真ん中にございます難病診療連携拠点病院が各都道府県で整備され次第、運用を進めていく予定でございます。
43ページは、平成31年3月に、疾病追加を検討している指定難病検討委員会において取りまとめられた提言をお示ししております。こちらについては、今後の指定難病の検討のあり方として、指定後の研究の進捗状況のフォローということで、一部の指定難病においては、昭和50年代頃から難病という形で指定されているような疾病もあるといった経緯もございまして、治療成績が大幅な改善が見られる、そういった状況の変化が生じているような疾病があるという御指摘をいただいていまして、そういったことを踏まえて、指定難病の指定後の研究の進捗、それによる治療成績の向上、そういった状況を指定難病検討委員会のほうでフォローしていくべきではないかといった御指摘をいただいております。
また、下の4のところになりますが、先ほど申し上げたフォローを通じて、将来的には、こういった研究や医療の進歩によって治療方法の進歩があり、それに伴い、指定難病とは言いがたいような状況の変化が生じていると判断される疾病が出てくることが想定されるので、そういった疾病の取扱いの方向性について検討を行う必要があるのではないかといった御指摘をいただいているところです。
44ページ以降は、対象者についてです。冒頭で申し上げました社会保障と税の一体改革の議論において、45ページにお示ししておりますが、公平性の観点から対象者の認定基準の見直しを検討することとされたところです。
それを踏まえまして、47ページで難病法制定時の難病対策委員会の取りまとめをお示ししております。太字にございますとおり、医療費助成の対象患者につきましては、対象疾病に罹患しているのみならず、「日常生活又は社会生活に支障がある者とすることが適当である者」とし、具体的には、重症度分類等で一定程度以上の症状がある方、すなわち重症である方を医療費助成の対象とすべきであるという提言となっております。
また、「ただし」というところにございますが、それに加えまして、高額な医療を継続することにより、重症度を満たさないような方であっても医療費助成の対象とすることが適当であるということがあわせて提言されているところです。
49ページをご覧ください。ただいま申し上げた提言に基づきまして、個々の疾病の具体的な対象患者の認定基準(重症度基準)については、先ほどの指定難病検討委員会において疾病の追加の検討とあわせて重症度基準の設定についても審議されているところです。
50ページについては、指定難病検討委員会において取りまとめられている重症度基準の設定のルールに当たる「指定難病の要件」になります。太字にございますとおり、対象患者の認定基準については、「確立された対象疾患の診断基準とそれぞれの疾患の特性に応じた重症度分類等を組み込んで作成し、個々の疾病ごとに設定する」となっております。
また、その下に留意事項といたしまして、認定基準の設定方法について、疾病ごとに作成される重症度分類等がある場合には、原則として当該分類を用いること、そういった分類がない場合には以下の対応をするということで、臓器領域等ごとに作成される重症度分類を疾病の特性に応じて用いるというルールが定まっているところです。
51ページでは、こうしたルールの運営状況について、疾患群別に特徴を整理しております。右側、「疾病ごとに作成されている重症度分類を用いている群」といたしましては、オレンジ色の7疾患群ございます。一方で、「臓器領域ごとに作成される重症度分類を用いている群」といたしましては、緑色の8疾患群がございます。
52ページは、オレンジ色の「疾病ごとに作成されている重症度分類を用いている疾患群」の御紹介になります。こちらについては各疾患群ごとの疾病数をお示ししており、右側の表にございますような、それぞれ個々の疾病ごとに重症度分類が設定されております。
53ページは、緑色の「臓器領域等ごとに作成されている重症度分類を用いている疾患群」の御紹介になります。こちらにつきましては8疾患群ございまして、例えば、一番上の神経・筋疾患については82疾病ございまして、疾病ごとに個々の基準を設定している疾病が11疾病、臓器領域ごとの共通の基準を用いている疾病が71疾病ということで、その例を右側でお示ししております。
以上が重症度基準に関する御説明になりますが、54ページにつきましては、軽症高額該当の説明になります。医療費助成については、先ほど申し上げたとおり、重症度基準を満たさない方であっても、医療費が一定程度高額であれば医療費助成の対象とするということになっております。具体的には、月ごとの医療費総額が3万3330円、自己負担割合が3割とすると、月1万円以上に該当する月が年間3月以上ある場合については、医療費助成の対象としているところです。
55ページ以降については経過措置の御説明になります。経過措置については既に難病対策委員会で一度御報告しておりますので、おさらいになりますが、平成27年の法施行から平成29年12月31日までの3年間において激変緩和措置として、法施行前の予算事業から医療費助成を受給されていた方については、この3年間に限っては重症度基準を考慮せず、軽症であっても医療費助成の対象とするという経過措置を設けていたところです。
56ページにつきましては、その経過措置が終了した後の認定状況をお示ししております。約71万人が経過措置適用者であったところ、経過措置の終了後も引き続き認定となった方が約57万人、約80%となっております。一方で、残りの2割の方は不認定が8.6万人、申請なしが6.1万人となっております。
57ページについては、これまでの御説明を総括いたしまして、法施行後の対象疾病数の推移と受給者証の所持者数の推移をお示ししております。疾病数については現在331となっておりまして、医療受給者証の所持者数については、経過措置が終了した影響もございまして、ほぼ横ばいで推移しております。
59ページ以降は、小児慢性特定疾病医療費助成の対象者の御説明になります。50ページにあるとおり法律の位置づけがなされておりまして、具体的な検討については、専門委員会のほうで各疾病の要件を検討いただいて、追加をしているというところです。難病の重症度基準に相当する病状の程度というものを疾病追加の際にあわせて専門委員会のほうで御検討いただいているというところです。
61ページについても、難病同様に、病状の程度の設定状況を整理しております。疾患群ごとに、1といたしまして悪性新生物、先天代謝異常については、疾病に罹患していることをもって病状の程度を満たすとしているものと、2いたしまして症状があること又は治療していることを要件としている疾患群が3疾患群、残りにつきましては、各疾患群の特性に応じて基準を設定し、その基準を満たす方が病状の程度を満たすということで、医療費助成の対象としている疾患群、この3つに大きく分けられるところでございます。
62ページにつきましては、難病同様に、対象疾病数と受給者証所持者数の推移をお示ししております。難病同様ほぼ横ばいの推移となっております。
 
○千葉委員長 済みません。ページ数とこのペースで行くと相当になると思いますが、大丈夫ですか。非常にわかりやすい説明なのですけれども。
○大比良課長補佐 11時には終了させていただくつもりで頑張らせていただきます。もう少しおつき合いいただければと思います。申しわけございません。
○千葉委員長 50年間の話ですからね。
○大比良課長補佐 はい。済みません。では、少しピッチを上げて御説明させていただきます。
65ページ以降は、自己負担額についてになります。こちらも法制定時の取りまとめにおいて他制度との均衡を考慮して自己負担額を見直すとなっておりまして、具体的な設定の方法と内容をお示ししております。71ページは自己負担額の比較ということで、左側に予算事業時代の負担額、真ん中が現行、右側が他の制度ということで、障害者の自立支援医療を実際に考慮した制度ということで掲げております。所得区分の階層と実際の自己負担額については、右に書いてある自立支援医療と同額、同じ階層区分となっております。
73ページについては、実際にどの階層区分にどのぐらいの患者さんがいらっしゃるかというのを整理させていただいております。一般所得Ⅰのところで、25.7%と9.3%を足しました約35%の方がこの階層区分に属しており、ここに一番患者さんが集中していらっしゃっております。
小慢については77ページの表に整理しております。こちらも基本的には自立支援医療を踏襲する形になっておりまして、階層区分は難病と一緒になっております。ただ、自己負担額につきましては、1,250円とありますとおり、難病の半額で設定されております。
78ページについては、難病と同様に、各区分における患者割合をお示ししているものでして、難病よりももう一つ上の階層である一般所得Ⅱのところが最も多く、患者さんが集中しているところとなっております。
79ページ、80ページがこれまでの医療費助成の支出総額と、それを受給者数で割った1人当たりの平均給付額をお示ししております。
これ以降は制度の説明になりますので、少し飛ばして御説明させていただきます。
81ページ以降が指定医になります。まず、84ページをごらんください。難病医療費助成を申請する際には、都道府県または指定都市が指定した医師、指定医から診断書を発行していただいて、そちらを添付して申請いただくということになっております。指定医については5年ごとの更新となっておりまして、現在14万人の方が指定医になっていらっしゃいます。
小慢については87ページでお示ししておりまして、こちらは指定医が約3万人となっております。
90ページ以降が指定医療機関になります。
94ページは、指定医療機関の仕組みについて御説明しております。難病の医療費助成については、原則として指定医療機関で医療をお受けいただくということになっておりまして、指定医療機関の指定については、対象が病院、診療所、薬局となっておりまして、都道府県もしくは指定都市が指定を行い、指定は6年ごとに更新となっております。現在13万超の施設が指定医療機関の指定を受けているところです。
98ページが審査会になります。
100ページをごらんください。法律上、難病医療費助成の支給を不支給と認定する際には、都道府県等は審査会に諮って意見を聞かなければならないという形になっておりますので、そちらの仕組みを御紹介しております。
小慢についても同様のスキームとなっております。
103ページ以降がオンライン化についてになります。
104ページは患者アンケートになりまして、現行上は、医療費助成の申請は紙で行っていただいているのですけれども、オンライン申請をしたいといった回答が約7割程度あったというところです。
105ページです。オンライン申請を利用したくないと回答した方の理由として挙がっているものとしては、紙のほうが申請しやすい、個人情報の漏えいが懸念されるといった御意見がございました。
106ページは、事務の実施主体になります。
109ページです。難病医療費助成については、これまで都道府県のみで実施していたのですが、平成30年4月から指定都市にも事務が委譲されて、実施しているところです。
111ページは難病と小慢の事務を整理させていただいております。
114ページは、指定都市に対するアンケート調査になります。平成30年から指定都市が事務を実施しておりますが、こういった各事務について、どの実施主体がやるべきかというところをお伺いしてみたところです。こちらにつきましては、オレンジのところの広域的な自治体で実施すべきという御意見が最も多くなっております。
115ページ、中核市への委任状況です。小慢に関しましては、難病とは異なりまして、中核市まで事務がおりているところです。難病について、指定都市から更に中核市に事務の権限を委譲するか否かということが一つ論点としてはあるのかなということで、参考としてお示ししているものです。こちらにつきましては、法律上はおりていないというところですが、実際に都道府県の条例で事務委任という形で、中核市、約86%の自治体が一定程度事務をやっていただいている状況です。
117ページ、難病患者、小慢児童が利用できる他の医療費助成制度を御紹介しております。
118ページにつきましては、自立支援医療の御紹介です。
120ページは、未熟児養育医療給付事業、121ページは、乳幼児等医療費助成制度で、自治体が地方単独事業としてやっている子供医療費の御紹介になります。
122ページ以降は、医療提供体制です。難病の医療提供体制につきましては、審議会で過去に難病の医療提供体制の取りまとめをいただいておるところでして、127ページでそれを整理させていただいております。平成28年10月に医療提供体制の在り方に関する報告書をまとめていただいてまして、方向性が整理されております。できる限り早期に正しい診断ができ、診断がついた後は、より身近な医療機関で適切な医療が受けられ、移行期医療に当たっては、小児科と成人診療科が連携する体制を、遺伝子診断等の特殊な検査についても倫理的な観点を配慮しつつ、幅広く実施できる体制を、また、医療提供体制の中でも仕事と治療の両立を目指す体制を整備するということで整理されております。具体的には平成30年4月から各都道府県において、今、申し上げたことに基づいて医療提供体制の整備をしていただいているところです。
128ページがその体制のイメージ図になります。緑のところにございますとおり、こういった形で拠点病院を各都道府県に整備していただいて、そちらにコーディネーター、カウンセラーを置いていただいて、早期に正しい診断をつけていただくという体制を整備していただき、その診断後には逆紹介という形で、かかりつけ医といった身近な医療機関に戻していっていただいて、日々の診療はその身近な医療機関で受けていただくといった体制を整備いただくというふうにお示ししているところです。
130ページについては、現在の各自治体の医療提供体制の整備状況になります。難病診療連携拠点病院については、32都府県65医療機関、分野別の拠点病院については14県33医療機関で整備されているところです。
続きまして、遺伝子診断体制になります。136ページをごらんください。現在、遺伝子診断体制につきましては、一部の単一遺伝子疾患については、拠点病院等でも通常の診療の中で遺伝子検査を受けられるようになっている一方で、症状が非典型的な難病に関しましては、そういった通常の診療では診療が困難な場合があるということで、研究ベースで特殊な遺伝的な検査を必要とするような病気に対して、どういった医療提供体制を整備していくかということを研究いただいているところです。
139ページ以降に表を整理しておりますが、IRUD拠点病院と申しまして、そういった特殊な遺伝子検査ができるような拠点病院を設置している自治体の整備状況を整理させていただいております。
続きまして、142ページの移行期医療提供体制になります。こちらも審議会のほうで既に報告書は取りまとめていただいておりまして、各自治体においてそれに則って整備していただくという状況になっております。
147ページは、移行期医療提供体制をイメージ図で整理しております。移行期医療支援センターを各都道府県で整備していただいて、そこにコーディネーターを置いていただいて、左下にございます成人期の診療科と小児期の診療科のコーディネートを図っていただくということをやっております。こちらにつきましては各自治体のほうで準備段階ということで、具体的に整備されたところがまだないところですので、国としても説明会や研修の開催など、必要な支援をしていきたいと考えているところでございます。
1つ飛ばさせていただきまして、156ページ、調査研究になります。161ページ、難病研究につきましては大きく2つ、難治性疾患施策研究事業と難治性疾患実用化研究事業がございまして、合わせて約100億円を研究費として確保しているところでございます。最初の政策研究事業につきましては、入り口段階である診療ガイドラインの作成をしておりまして、2つ目の実用化研究に関しましては出口段階である創薬につながるような研究をAMEDでやっているところです。
165ページ、データベースにつきましては、現状、法律上は明確な規定がないところでして、基本方針のほうでデータベースを構築すべきという規定があるところです。
168ページ、現行のデータベースの収集方法になります。今のデータベースにつきましては、医療費助成の申請時に提出された臨床調査個人票という臨床データに関するものがございまして、そちらを医療費助成の申請の際にデータベースに提供するという同意をいただきまして、そちらを自治体から国のほうへ紙ベースで送っていただきまして、登録センターで入力作業を行い、データベースの基盤を整備しているというところです。
171ページには小慢をお示ししておりますが、小慢も基本的に同様のスキームとなっております。
173ページをごらんください。今、申し上げたスキームでデータベースの収載が進んでいるところでして、まずはこういったデータベースの当面の利活用として、研究班にデータを提供すべきということで、合同委員会で取りまとめていただいております。こちらについては、基本的に同意に基づく範囲で厚労省とか都道府県といった自治体、それから厚労省もしくは文科省から研究の補助をいただいているような研究者を対象として匿名化した情報を提供するというのが原則となっており、ガイドラインでまとまっております。こちらについてはこの5月から申請の受付を開始する予定でおります。
174ページ、中長期的な課題ということで、当面の利活用をまとめていただいた際に、積み残しという形で中長期的な課題を提言いただいているところです。そちらについては、太字にございますとおり、医療等IDなどを用いて難病に関する各種データベースと連結する方法、具体的には、難病、小慢データベースのみならず、ナショナルデータベースとか、そういった他の行政データベースとの連結をする方法を検討すべきではないかという点。それから、先ほど申しました紙での登録方法といったものを見直して、オンラインシステムの導入等を検討すべきではないか。医療費助成の申請をスキームとして用いていますので、医療費助成の対象とならないような軽症者に関しましては、登録が進んでいないといった実態がございますので、軽症者の登録も進められるようなインセンティブを付与するための方策を検討すべきではないかという御指摘をいただいております。
176ページです。今、申し上げたデータベースに関する要望につきましては、難病に関連する11学会から連名で同様の要望をいただいているところですので、こちらについては、今回の見直しの場で議論をしていかなければならないと考えているところです。
182ページは、患者アンケートをお示ししております。患者アンケートにつきましては、同意状況といたしまして、「毎回同意している」とお答えいただいた方が約6割程度となっているところです。
同意しなかった方に理由を聞いてみたというところで、183ページ、どのように情報が使用されるかわからない、個人情報をむやみに提供したくないといった周知が十分行き届いていないようなことが推察される結果となっておりますので、この周知も重要になってくるかなと考えております。
185ページについては、創薬等の治療方法の開発・実用化に向けた取組ということで、希少疾病用の医薬品の早期承認審査に向けた取り組みを御紹介しております。
191ページ、療養生活の環境整備についてです。193ページの取りまとめにございますとおり、地域において療養生活の不安の解消を図るため、きめ細やかな相談を行うため、難病相談支援センターの取組の充実強化を図るとされております。
197ページ、難病相談支援センターについては各自治体に1つ設けることとされておりまして、現在の整備状況を示しております。委託の種別で大きく分かれまして、医療機関に委託しているパターンと患者会、支援団体に委託しているパターン、自治体が直営に行っているパターン、大きく3つに分かれております。
198ページ、199ページについては、国において各種相談支援に対する研修を行っているとか、センター間のネットワークを構築する支援をしております。
200ページ、患者アンケートになりますが、難病相談支援センターに相談したことがあると回答していただいた方は約2割にとどまっていて、残りの方は、知っているが相談したことがないが4割、そもそも知らないと回答された方が4割というところになっております。
202ページ、センターへの満足度ということで、約8割の方が「満足」と御回答いただいている一方で、「不満」と回答されている方が約2割いらして、不満の理由を203ページでお示ししております。こちらについては、半数の方から、専門的知識・スキルのある人に対応してもらえなかったといったような御回答をいただいているところです。
204ページ、職員の配置状況をお示ししております。こちらについては、医療系の職種が青字になっておりまして、保健師、看護師、医師を配置している状況ですが、自治体直営型が4.7人ということで、多くなっており、医療機関委託型に関しては、そのほかの専門職、社会福祉士等の設置が多くなっております。
205ページ、相談内容についてです。下の円グラフをごらんください。医療に係る相談が多くなっていて、次いで生活、就労という相談になっております。
206ページ、軽症者のみを抽出したデータになっております。こちらについては、円グラフをごらんいただければと思いますが、医療に係る相談の割合が低くなって、生活、就労に係る相談といったものが多くなっております。
210ページは、職員の配置状況です。就労支援担当職員の配置状況ですが、こちらについては、設置しているとの回答が約3割にとどまっていて、約5割のセンターが配置していないといった状況になっております。
211ページは、ピアサポートの状況を御紹介しております。
212ページが地域対策協議会になります。こちらについては、214ページのほうで法律を整理しておりますが、設置が努力義務として規定されているところです。
216ページで設置状況を整理しております。全体としては66%になっておりまして、都道府県では91%、保健所設置市、特別区ではまだまだといった状況になっております。
217ページで構成員をお示ししております。やはり医療、保健・福祉関係の方が多くなっていて、一方で、就労、教育関連の人の参加はまだまだといったところになっています。
220ページ、協議結果の活用状況について、地域協議会の結果を施策へ反映しているかというところで、実施できていないといった回答をしているところが3割程度となっていて、反映するだけの結論が得られていないという回答もございますので、ここはさらなる充実を図っていく必要があるのかなと考えております。
227ページ以降については、そのほかの事項といたしまして、レスパイト、在宅人工呼吸器使用者への支援、小慢の日常生活用具給付事業の御紹介をさせていただいております。
231ページからは福祉支援になります。232ページをごらんください。平成25年に障害者総合支援法ができまして、障害者の定義の中に難病も追加されたところでございます。
234ページが難病患者、小慢患者が利用できる福祉サービスを整理させていただいたものになっておりまして、各制度の要件を満たせば、難病患者、小慢患者もサービス等を利用できるような状況となっております。
237ページをごらんください。平成25年から難病も障害者総合支援法の障害者の定義の対象となっていて、先ほどの指定難病の追加の検討を踏まえる形で、障害のほうでも範囲の見直し、対象疾病の見直し・追加等を行っていただいているところです。237ページの右下にありますとおり、359疾病が今、指定されているところです。
238ページは患者アンケートになりますが、福祉サービスの利用状況ということで、利用したことがあるという方が2割程度にとどまっていて、知っていたが利用していない、そもそも知らなかったという方が多くを占めているところです。
239ページ、知ったきっかけについてですが、こちらも家族、病院の医師が多くなっていて、自治体の窓口等がまだまだ伸び悩んでいるというところかと思います。
241ページ、利用していない理由については、最も多かったのが、そもそも利用できるサービスが提供されているかわからないという回答になっており、さらなる周知が必要なのかなと考えております。
就労支援につきましては、244ページ以降になります。就労については、現行の法律上は明確な規定がないところですが、実施要綱という形で、各種就労支援機関との連携を図るようにということで書かせていただいております。難病相談支援センターが就労に関しても中心的な役割を担っていくといった記載になっております。
247ページがハローワークを中心とした難病患者に対する雇用支援策ということで、各種施策を一覧にさせていただいております。難病患者を対象とした支援策と、難病患者も利用できる障害者全般に対する支援策がそれぞれございます。
248ページについては、難病患者就職サポーターの御紹介です。平成25年からハローワークにサポーターを設置し、サポーターが難病相談支援センターに出張していただいて、生活支援の一環の中で就労支援も相談していただくという取組をやっており、そのことの御紹介になります。
また、障害者就業・生活支援センター事業においても難病患者さんの就労支援をやっていただいているところです。
254ページは就労支援の実績になります。ハローワークを介して難病患者さんが就職した実績をお示ししております。年々求職件数が増加していて、それに伴って就職件数も増加しております。
その下が就労支援実績になりまして、こちらも同様に改善してきているというところです。
256ページは特定求職者雇用開発助成金の活用状況ということで、ハローワークを介して難病患者さんを雇い入れいただいた場合には、助成金を雇い入れた事業者に助成金を支給しているところです。こちらの実績も伸びてきております。
257ページです。その一方で、現在働いていない難病患者さんで就労支援機関を利用したことがあるかどうかということを尋ねたところ、利用していない、存在を知らなかったという方々がいらっしゃいますので、ハローワークをはじめとする就労支援機関の認知が進むことで現在よりも就労につながる可能性があることが推察されるところです。
258ページに関しましては、医療機関での就労支援の対応状況をお示ししています。医師、MSW等で就労相談があった場合、対応ができていないといった回答が一定程度ございました。こちらについては、医療機関のほうからも就労支援を今よりもやっていただくということが一つの論点になるのかなと考えております。
260ページについては、難病相談支援センターと難病患者就職サポーターの連携状況ということで、青字は先ほど申しました難病患者就職サポーターの出張件数をお示ししています。こちらも年々増加しておりまして、それに伴いまして緑で示しております求職者数も増えており、それに伴って就職件数も伸びている状況となっており、連携による好循環が生じていることが推測されます。
263ページにつきましては、本日参考人としてお越しいただいている小森先生の研究班でご対応いただいているモデル研究になりますが、先ほど申しました連携といったものをどのようなスキームで構築していくかということで、医療機関から難病相談支援センターに送り出しをしていただき、難病相談支援センターから就労支援機関に送り出しをしていただくという、連携のスキームを検討していただくようなモデル研究を昨年度から実施していただいているところです。そちらの御紹介になります。
265ページに関しましては、難病患者さんのアンケートで、こちらについては企業側の配慮がもっとなされるべきといった回答を多くいただいております。
268ページは軽症者の話になります。働いていない方であって、現在受給者証を持っていない、すなわち軽症な方につきまして就労意欲を確認したところ、7割もしくは6割の方が仕事をしたいとの御回答をいただいております。20代、30代に限って申しますと、8割、9割の方が就労したいのだけれども就労できていないといった状況となっております。
270ページ以降がそのほかになります。こちらについては、これまで御紹介していなかった部分に関する事業の御紹介になりますので、御参照いただければと思います。
275ページ、小慢の自立支援事業になります。
276ページ、平成27年の児童福祉法改正によって自立支援事業が法律に位置づけられました。
277ページが具体的な事業概要となっております。幼少期から慢性的な疾病に罹患していることによって、自立に困難を伴う児童を対象として、地域の支援の充実により自立促進を図るということで、都道府県、指定都市、中核市、児童相談所設置市において自立支援事業を実施するとされておりまして、こちらについては、医療費助成と同様に、義務的経費で予算を確保し、国が事業費の半分を負担しているというところです。自立支援事業のうち、必須事業として相談支援事業がございまして、そのほか、任意事業として療養生活支援事業、相互交流支援事業、就職支援事業、介護者支援事業、そのほかとして学習支援等があるところで、各地域の実情に応じて自治体の裁量で事業を実施していただくという枠組みになっております。
278ページ以降が具体的な各事業の紹介になっております。
281ページは、各自治体の実施状況を整理しております。必須事業に関しましては、相談支援事業が必須事業になるのですが、こちらは自立支援員の配置ということでパーセンテージをお示ししておりますが、9割でおおむね実施がなされている一方で、任意事業については10%に満たないものもございまして、こちらの任意事業を実施していただく、活性化を図っていくということが一つの論点としてあるかと思います。
駆け足になってしまいまして恐縮ですが、以上が資料の御報告になります。ありがとうございました。
○千葉委員長 大変御苦労さまでした。
時間がありませんので、続きまして、難病患者の総合的支援休制に関する研究班の代表、小森先生から難病患者の生活実態調査の結果概要を御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。
○小森参考人 それでは、資料1-2をごらんいただきたいと思います。資料は2枚しかございませんので、それほど時間はかけないでお話をしたいと思います。
1枚目は、平成29・30年度に行いました生活実態調査でございますが、平成29年度は、委員であられる西澤正豊先生が研究代表者でありました難病患者の地域支援体制に関する研究という研究班の中で、私とほかの分担研究者で調査をさせていただいた。30年度につきましては研究代表者になりましたので、そのまま二度目の調査を行った。そういう立場でお話をいたします。
生活実態調査ですが、難病法が施行されました後の難病患者の支援ニーズなど、生活の実態を把握するための調査ということに位置づけておりまして、その結果を施策の方向性の検討に提供していくという目的でございます。その調査を活用いたしまして、難病法の施行に伴う経過措置、先ほど御説明のあった経過措置の対象者につきまして、経過措置終了後の生活状況の変化等も調査をするということで、経過措置の切れました29年12月31日を挟んで29年度と30年度に二度調査を行ったという形になっております。
調査方法と集計の結果というところを見ていただきます。下に矢印で人数が書いてあるものを御参照いただきたいと思います。平成29年度、最初の調査では、秋田、石川、千葉、山梨、滋賀、香川、鳥取、大分という8県で調査を行っております。最初は全数調査を計画いたしまして、難病対策課のほうから各都道府県の担当課に向けまして協力要請をいたしましたけれども、結局のところ手を挙げていただいたのがこの8県だったということでございまして、特に恣意的に選んだものではございません。この8県に関しまして、そこに在住する医療受給者証の所持の方、3万をちょっと超えるぐらいの方に、初年度は保健所での申請に関連しまして、保健所を介しまして調査票を配付するという形で行いました。
その結果、有効回答者数は1万513人でございました。二度目の平成30年度の調査に関しましては、29年度の調査の際に、30年度に追跡調査に同意をしていただくかどうかということをお聞きしておりましたので、有効回答者1万513人のうちで同意が得られておりました5,994人に対しまして、研究班から直接調査票を送付させていただいて、研究班のほうへ直接御回答いただくという形で、有効回答者数が2,986名でございました。このうちの経過措置対象者が2,274人でございましたので、この方々の経過措置終了後の生活状況を見るということが30年度の対象ということになりました。
経過措置を終了した後の認定状況ですが、引き続き認定された方が1,795人、経過措置終了後は認定されなかった方が130人、経過措置終了後は申請をしなかった方が74人、その欄に回答いただけなかった方が275人という結果でございました。
本調査におきましては、29年度と30年度と2カ年続けて回答いただきまして、その比較をいたしまして、経過措置終了後前後におけます患者の生活状況の変化等を分析したということでございます。
調査項目に関しましては、※2に書いてございますが、「日常生活の自立度」「症状の程度」「罹患疾病」「受療状況」「難病医療費の認定状況」「難病に罹患しているために困っていること」等、項目を挙げましてチェックしていただくという形ですけれども、そういう形で調査をいたしております。
その結果につきまして、2枚目のほうをごらんいただきたいと思います。分析結果は、アローヘッドが5つありますが、それに関する数字等はスライド下の表にまとめてございますので、それも一緒にごらんいただきながらお話を聞いていただきたいと思います。
まず、日常生活の自立度ですけれども、これは自立をしている、または一部介助、または全介助という形での分析をいたしておりまして、「認定患者」と「不認定患者等」と分かれておりますが、※印を見ていただきますと、認定患者は引き続き認定された患者さんでございますが、経過措置終了後には認定されなかった方と申請しなかった方がいらっしゃいますので、これらを合わせまして「不認定患者等」と表現いたしまして、この2つに分けているという状況でございます。
2つのいずれも自立度が改善したと回答した方の割合が増加しておりますけれども、認定患者は73.0%から75.4%。不認定患者等の改善幅が80.4から89.2ということで、改善幅は不認定患者等のほうが多かったという結果でございます。
症状の変化ですけれども、これは「軽快」「不変」「悪化」と分けて回答をお願いしておりますが、不認定患者等の方々のほうが認定患者の方々よりも2年間の間での軽快や不変の増加幅が大きいという結果になっております。
3つ目は通院頻度を見ております。通院頻度は2つの群の中でいずれも減少いたしておりますが、認定患者さんの減少幅が5.77回から5.25回であるのに比べまして、不認定患者等の減少幅が5.36回から3.57回というふうに大きいという結果が得られました。
ただ、減少に関しまして、その原因がわかりませんと評価も違うということがございますので、いろいろな情報を多重ロジスティック回帰分析をいたしましたところ、通院頻度の減少に関しましては、日常生活の自立度が改善しているということ、それから病状自身が改善しているということと有意な関連がございまして、それ以外の性別、年代、家族構成、疾患、経過措置後の認定状況、就労・就学状況の変化などとは有意な関係がなかったということでございました。その理由としては、日常生活の自立度の改善や病状の改善が大きく影響しているのではないかということになります。
最後に、困難に感じている事項についてチェックをしていただいた結果ですけれども、これを認定患者、不認定患者等の別に見ますと、一番下の横長の表に挙がっておりますことは全部大事な項目だとは思いますが、表の左側の一番上と2番目、制度利用手続に関することとか治療法に関することが、ほかとは比べて困難に感じているという割合が高いという結果ですので、ここに一つポイントがあるのかなというのがわかります。
それ以外に認定と不認定等の2群の間で有意差があった項目と申しますのは、不認定患者等の方々のほうが「制度利用の相談先がない」と多く回答しているということですので、このあたりのところについて手を打たなければいけないといいますか、制度を考えるべきなのかということが推定される結果ではなかろうかと思います。
細かな数字は以上ですが、この調査に関しまして全体的なことをお話しさせていただきますと、全数調査をしたかったわけですが、それはなかなか困難でございまして、全数調査ではございませんので、そういう意味では限界がございます。ですけれども、今回の調査に疾患群別の患者の割合を当てはめてみますと、これらの割合は厚生労働統計の衛生行政報告の患者割合とほぼ同等ということがわかっておりまして、この調査自体は特に対象が偏ってはいないと思っております。
平成7年と平成22年と平成26年に、今回のものとは違いますけれども、それぞれのやり方でこのような生活実態の調査がなされておりまして、今回の項目は、それを参考にして、共通性を少し持たせながら項目を選んでいるということもございます。そして、過去3回の調査よりも結果的に大規模になったということもございますので、一定の評価をいただいてよい調査ではないかと思いますし、経過措置の間でその影響を見ているということが一つのポイントではございますが、調査全体といたしましては、難病患者さんの現在の生活の特性をあらわしている調査だと思っているということでございます。
以上でございます。
○千葉委員長 ありがとうございました。非常に参考になるデータをお示しいただいたと思います。
これで御説明いただいたわけですが、この資料をごらんになってわかりますように、極めて膨大ですが、最初に五十嵐先生ともお話しさせていただいていたのですけれども、非常にまとまっていて、よくできていると思います。私も非常に参考になります。何せ50年の歴史ですので、それをまとめてお話しいただいた感じになっていまして、その間、厚労省の担当の方々も何度かかわられたわけですが、これを見てみますと、流れについてはしっかり把握しておられるということを感じまして、安心した次第でございます。
残りの時間でこのことについて御議論いただくことになります。3時間ですので、ここで5分間だけ休憩させていただいて、25分から開始させていただきます。よろしくお願いします。
 
(休 憩)
 
○千葉委員長 それでは、議論を開始したいと思います。テーマが非常に多岐にわたっておりますので、少し区切って順番にディスカッションしていきたいと思います。
Ⅰ、Ⅱは経過の説明、本来のこの法の趣旨の説明でしたので、ここは議論は不要と理解します。ただ、最初の趣旨とか法律というのは、皆さん、意外とファミリアでないと思いますので、この機会にもう一度読んでいただいて認識していただきたいと思っております。
したがいまして、Ⅲ、医療費助成制度、Ⅳ、医療提供体制、Ⅴ、医療に関する人材の養成までの項目、それから参考人の小森先生から御説明のありました生活実態調査について、御意見、御質問をお願いしたいと思います。
今回は見直しの1回目ですので、できるだけ多くの方に意見をいただきたいということで、ディスカッションの場ではなくて、今回はこういう意見、こういう意見、こういう意見があるよということでお出しいただきたいと思いますので、深い論議というのは今回は避けたいと考えております。
ということで、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴにつきまして御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。どなたからでも結構です。恐らく皆さん、いろいろ御意見をお持ちだと思いますが、いかがですか。どうぞ。
○福島委員 難病のこども支援全国ネットワークの福島でございます。
資料1-1の290ページから292ページのほうに御用意いただいていた附帯決議について、冒頭で確認させていただきたいと思います。5年前のきのうだったと思うのですけれども、五十嵐先生とも御一緒して参議院の厚生労働委員会で意見を述べる機会がございました。その後の国会の審議においても厚生労働省と文科省との連携など、とても大切な視点が真摯に議論されたことを思い出しております。御案内のとおり、衆議院では小慢と指定難病を一括して、参議院では小慢と指定難病をそれぞれ別個に附帯決議が議決されております。
私から申し上げるまでもないとは思いますが、附帯決議は、法案の議決時点で既に問題あるいは課題として認識されていたものでありますので、ぜひとも5年後の見直しに当たっては、この附帯決議の内容を反映したものとする必要を御確認していただきたいと思います。この審議会におけるこれからの見直しの作業におきましても、常にこの附帯決議の内容を踏まえつつ議論を進めていただきたいと思っております。
以上です。
○千葉委員長 ありがとうございます。
290、291、292のところです。これは法制定のときに既に附帯決議として挙がっていたと。ここをしっかり押さえていただきたいということです。よろしいですね。これはぜひよろしくお願いしたいと思います。
ほか。どうぞ。
○坂上委員 読売新聞の坂上と言います。
2点意見を述べさせていただきたいと思います。1点目は、自己負担上限額についてです。上限額などは、ほかの制度との均衡を考えながら決められたということですが、患者、家族の負担がどれほどのものかという実感がまだ私にはないもので、とりわけ当事者が病気の場合とか、家族に病気の人がいる場合とか、世帯年収などによって、患者・家族が感じる負担感は異なると思います。現在決められている上限額が果たして妥当なものなのかというのが私の中では心配なところです。そこでアンケート調査でもいいのですけれども、様々なご家族が、どのような負担感が感じているのかを調べていただきたいです。
2点目は、審査の公平性です。審査会があって、認定に不服があった場合、そこに申し立てられるというのですが、この辺の実態はどうなっているのか。都道府県によって審査が厳しい、などという地域差はないのかが心配です。審査にあたっては、専門の先生や関連する学会が支援しながら判断しているとも聞きましたが、実際不認定になった方の状況で、それが不公平になっていないかというところが何か調べられないか、と思います。しっかり公平性を保っていただければと思います。
以上です。
○千葉委員長 ありがとうございます。
いわゆる医療費助成の上限額というところで、どの程度の軽減になっているのかということについて、もう少し具体的なデータがあればいいという御意見と、審査の公平性、特に地域差、各地域で差が実際あると思います。どの程度実態として差があるのかというあたりを調べるべきであるという御意見だと思います。これは恐らく施策の研究班といったところで課題とすべき問題かなと思いますが、貴重な御意見だと思います。
ほか、いかがでしょうか。どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。患者団体、JPAの森です。
まず、たくさん意見や質問等がありますので、また発言の機会をいただきたいと思います。
ここでは医療費助成についてですが、全体を見ておりますと、先ほど坂上委員がおっしゃいました医療費に対する負担感は非常に増えていると思います。そして、申請する際の手続の臨床調査個人票への文書料の負担がかなり大きく、それがネックとなって申請されない方もあります。そういったところもぜひ検討いただきたいところです。
軽症者の問題が非常に大きくて、軽症者への支援が必要で、もっと考えないといけませんし、また、これが軽症と言えるのかといった症状を抱えた方々も軽症者に入っているかと思います。そういった検討をぜひお願いしたいです。この難病法というのは、重症化させないことが一番大事だと思いますので、その観点で今後も検討をお願いしたいところです。あと、申請手続等の簡素化というものも求められておりますので、それによって研究データへの協力も変わってくるかと思います。
 
以上です。
○千葉委員長 患者さんの立場からすると、いろんな御意見がおありだと思いますが、きょうは、助成、負担額の問題をきちっと検討すべきであるということと、手続の簡素化、充実というお話と、軽症者を入れるというだけでなくて、支援体制をちゃんとすべきであるということ。大きくはそこら辺のお話をいただいたかと思います。
駒村先生、どうぞ。
○駒村委員 ありがとうございます。
きょう御紹介いただいた制度改正のとき、まさに社会保障制度改革国民会議の委員としてこの議論にかかわったわけですので、非常に思いもある制度であります。きょう事務局から説明がありましたように、この制度ができる以前はいわゆる事業ということで、法的根拠も曖昧で、毎回毎回予算措置という形で、非常に不安定な部分もあった。しかし、一体改革で、難病・小慢の問題というのは、あのときの報告書にもあったわけですけれども、遺伝子上の問題というのは、人類が皆さん、共有している問題であるのだ。これを個人の責任にしてはいけない。社会の中でこの費用を賄っていくべきであるということで、治療データの収集、そして治療の確立と、本人の自己負担を軽減する社会保障制度にしていこうということにしたわけです。
社会保障目的になった消費税を安定財源とした上で、法律をつくり、その関係で、当然ながら社会保障制度となった以上、他の制度との整合性や公平性、連携といったものが担保されなければいけないということになったと思います。
その後の関連施策によって、疾病の守備範囲、あるいは重症度、自己負担のあり方をどう見直すことができるのかというのは、事務局におかれても客観的な情報をきちんと集めていただくと。
例えば就労においては、この間の施策によって就労がどのくらい改善していったのか、あるいは小慢の子供を抱えている家族において、就労上のどういう困難があるのか、ないのか。それが克服されてきたのか。それから長期間つき合っていかなければいけない病気ということを考えた上で、家計の支出、負担状況というのは客観的にどうなっているのかということをちゃんと評価した上で、この制度の充実、改革をやっていくべきではないかと思います。
きょうの資料、幾つか深めて議論したいところもありますけれども、最初の私の話とさせてください。ありがとうございます。
○千葉委員長 ありがとうございます。
駒村先生は、法の制定以前から、制定の過程においていろいろ御尽力されたので、最初の趣旨を踏まえて、現行の制度というものをきちっと見ていく必要がありますよという御意見だったと思います。
どうぞ。
○春名委員 JEEDの春名です。
森委員の意見ともかぶるのですけれども、まだ完治していなくて、引き続き治療とか定期的な経過観察が必要な「軽症者」について、医療費助成の観点だけではなくて、例えば就労支援、治療と仕事の両立支援の対象としての特定・確認が非常に重要だという面もあります。現状では不認定通知を、就労支援のための「軽症難病者」確認のために使うということもありますので、そういうことも踏まえて、重症度認定の検討の際には、そういう意味での軽症者というものの位置づけを検討していただくことが必要かなと思います。
○千葉委員長 ありがとうございます。
森さんの御意見とかぶるところがありますが、軽症者、支援体制というところをしっかりと位置づけてほしいというお話だったと思います。
どうぞ。
○岡委員 東京大学小児科の岡です。
私はどちらかというと小慢のほうのことしか十分理解していないかもしれませんけれども、この制度が変わって、対象疾患を今の診断のレベルまで上げていただいて、現代風に医学の進歩に合わせていただいたという意味では、とてもいい改革をしていただいたと思います。
28ページの資料で実際に予算がどのくらい変わったかというところで見てみますと、小児慢性特定疾病、難病のほうは随分予算が変わっているのですけれども、130億円から152億円ということで、金額的にはそんなに変わっていないかなと。恐らくその背景には、小児や医療に関してはカバーしてくれている自治体もあると思います。自治体が公費を負担しているところから、それが徐々になくなっていって、地域ごとの差があって、小児慢性特定疾病、そして難病へと移行していくという形で、患者さんが移行していくのかなと考えております。その中で患者さんたちとしては負担が徐々に変わっていくということで、非常に不安が強いと思います。そのあたりのことを今後少し調べていただくと。私は医師の立場なので、それはわからないというところがあります。
対象となっている病気の中には御兄弟、あるいは親御さんがという御病気もあるので、そういった事情も含めて、どういうところが困っているかという調査をしていただけるとありがたいかなと思います。
もう一点だけ。小児慢性特定疾病のほうでは、厚生労働省のほうで命にかかわるものということだけではなくて、命にかかわるようなことがないようにということで解釈をしていただけていると理解しているのですが、ただ、現在就労ということを考えてくると、先ほどの軽症というお話にもつながるのですけれども、機能的にその方たちが成人になって社会生活を送れることが目的になってきますので、そのあたりをもう少し最初の基準というところで明確に打ち出しておいたほうが誤解が少ないかなと感じております。
以上です。
○千葉委員長 ありがとうございました。
移行期、小慢から難病への移行というところで助成の制度というものが違っているということと、特に小児の場合には都道府県の助成制度がありますので、そこら辺との整合性をしっかり考えるべきであるという御意見だったと思います。それから、御兄弟などがおられて、いろんな意味で困っておられることについて、きちっと対応が必要であろうという御意見だったと思います。
よろしいでしょうか。先生、どうぞ。
○西澤委員 きょうは全体像にかかわるところの意見を言わせていただきたいと思います。161ページ、難病研究について、厚労省に残った政策研究班とAMEDに移管した実用化研究班というたてつけになったわけですけれども、AMEDも5年の見直しに入っていますし、このままの分担でいいのかどうかという議論が必要だと思います。
実用化研究は出口に近いシーズが優先される傾向にあります。病態研究をやっておられるのは実用化研究班のほうですが、政策班ではそれができなくなった結果、どこの研究班も扱っていない病気ができてしまっています。難病でありながら国の研究班がどこも扱っていないということがあって、出口に近いものはAMEDで採用される可能性が高くなるわけですが、病態研究の中でシーズを探すというところが今、決定的に足りないのではないかと思います。出口に近いものだけ扱っていくと、いずれシーズはなくなってしまうわけなので、難病研究にとって一番大事な病態研究のコアになるところが、今の仕組みですと、誰も取り上げないままになってしまうのではないか。それでいいのかどうかという議論をどこかでしなければいけないと思うのです。この場かどうかわかりませんが、今のような全体の枠でいいのかどうかということは、ぜひどこかできちんと議論していただきたいと思いますし、見直しが必要だと思います。
○千葉委員長 それも重要なポイントだと思います。難病研究については、政策研究ということで厚労省、それから治療とか原因の解明、遺伝子、そういったところはAMEDにと移行していったわけでありますが、そこに落とし穴ができてしまっているという御指摘だったと思います。やはりAMEDとの研究の協力関係というか、整合性は非常に大事なので、重要なポイントだと思います。
ほか。どうぞ。
○羽鳥委員 日本医師会の羽鳥です。
174ページ、データベースにおける中長期的課題のあたりに関してです。
○千葉委員長 済みません。これ。
○羽鳥委員 もうちょっと後で。
○千葉委員長 そうですね。
○羽鳥委員 わかりました。
○千葉委員長 最初に御意見をいただきたいと思います。Ⅲ、Ⅳ、Ⅴのところまでで区切りたいと思うのですけれども、ほかに。どうぞ。
○西村委員 明治学院の西村です。
先ほど御説明のところで附帯決議にも立ち返って見直しをするということ、あるいは成立時の報告書や理念をしっかりと確認しながら進むということは、私も同感でございまして、11ページにある社会保障制度国民会議報告書は、大変的確な理念を持ってまとめられていると思いまして、その理念に沿った形で今の実態があるかということは、しっかり調べていく必要があると思います。
長期にわたる疾患で、将来に希望を持って生きられる、それから難病対策を一体的に総合的に構築していく必要があるというのは、すごく重要な方向性を示していると思うのですけれども、今の制度が医療費助成をかなり拡大して充実したものにしたという点で高く評価できるわけですが、一方で、いろいろ御指摘がありましたように、医療費のニーズが高い場合だけでもないという御説明がありまして、就労・生活支援のニーズが高い場合もかなりあるということですが、そういうものに対してそのニーズも変化するでしょうし、それにどのぐらい支援ができているのか。相談先がないとか、制度を知らないという御説明の部分もあった。これはちょっと先に行ったかもしれないです。ありましたので、どれだけニーズの実態があるかという調査と、それをするときにはどれくらいの対応がこれまでの制度の中でなされてきたかという対応の状況。相談先がどういうところであったか、なかったか、どういうところと相談したかということもあわせて調べていただけたらと思っております。
○千葉委員長 ありがとうございます。
11ページのところの記載のことを強調していただきましたけれども、これは難病ですが、15ページ以降の小児慢性のところにつきましても同様にということになろうかと思います。
助成、支援というところで、いわゆる医療費助成のみならず、これは支援ということが全体にあるので、そこの調査、実態をしっかり把握して今後に生かしていただきたいという御意見だったと思います。
ほか、いかがでしょうか。どうぞ。
○尾花委員 埼玉医大の尾花です。
疾患群ごとの重症認定について、前回も新しくお認めいただいたりしたのですが、これで見ますと、疾患群によって重症認定の基準が違ってきていると思うのです。今、どんどん疾患をお認めいただく方向で数がふえてきていますので、数がふえているのを一つ一つ重症認定するとなると、かなり難しいとは思うのですけれども、その基準みたいなもの。この疾患に関してはこれで重症になるけれども、これだと違うというふうにちょっと差が出てきているところがあると思いますので、そのあたりがもう少し具体的にわかるほうが公平感があっていいのかなと感じております。
○千葉委員長 重症度分類の公平性ですね。同じ程度の病状、あるいは生活の困難さ等々をいかに違う病気で公平にしていくかというところの議論だと思います。重要なポイントで、既にディスカッションがなされているわけですが、見直しにおいてきちっとしてほしいという御意見だったと思います。
あとお一方。どうぞ。
○鶴田委員 都道府県の立場から発言したいと思います。対象疾病が拡大したり、医療体制の整備等があって、各都道府県もしくは自治体の事務負担がふえているので、1点は担当者会議等を含めて各都道府県の実態を聞いていただきたい。例えば新しい疾病がふえたときの支給認定の審査マニュアルの作成とか、支給認定業務を簡略化する方法とかを示して欲しいし、高額療養費の所得区分の取り扱いを各機関に求める場合に、保険者からの回答が遅いとか、いろいろ手間がかかる部分がふえているように思います。
また、指定医が指定難病患者データベースに直接登録できるようにするとかということについても、それができればかなり簡略化されますので、そういう点について、システムの問題として現場の意見を聞いていただきたいというのが要望です。
質問してもよろしいですか。
○千葉委員長 何でしょうか。
○鶴田委員 小森先生にお聞きしたいと思います。今回のデータ、難病患者の生活実態調査を見ると、約3万人の人に対して調査票を配布して、2,274人の経過措置対象者がいました。パーセンテージは低いのですが、対象者のうち経過終了後も引き続き認定された人が1,795人。これは2,274人の77%です。56ページの資料には経過観察者が約71万7000人いて、そのうち引き続き認定された人が約57万人、これは79%ぐらいになりますが、この数字から見て、実態調査の対象者は少ないけれども、大体、難病患者の全体を示していると考えて良いか、もしくはこのデータを見るときのバイアスとしてこういう点に注意する必要があるか、ないかについて、わかる範囲内で教えていただきたい。
○小森参考人 ありがとうございます。
おっしゃっていただいたとおりで、今回調べましたのは少数でございますけれども、全体像をあらわしている構成にはなっていると思っておりますので、そこから出てきた結果ですので、ある程度信憑性はあるのではないかと私どもは思っています。
ただ、解釈につきましてはいろんな解釈があると思いますので、報告書をもう作成しておりますので、全体をお読みいただいた上で、解釈についてはお加えいただければと思いますし、研究班の考察が書いてはございますけれども、これは統計的なことに関する評価をしているだけでございますので、そこから先は皆様方にお願いしたいと思っております。
○千葉委員長 よろしいですか。
御意見としては、実際に運用が重要なので、それは都道府県でなされているわけで、都道府県での問題点とか御意見といったものをきちっと把握する、調査して臨んでもらいたいという御意見だったと思います。
最後、どうぞ。
○本間委員 あせび会の本間と申します。
今の質問に関連して小森先生に伺いたいのですが、途中に平成30年から29年度にかけて6,000人から3,000人ぐらい、回答が半分になってしまっていますね。これは何かあったのかどうか。
もう一つは、失礼な伺い方かもしれないですが、3万人から最終的に2,274人になったというのは、統計的に有意なのかどうか。専門的な立場から考えたらどうなのかという素朴な疑問があります。
3つ目は、経過措置が切れた後で不認定になったというのは、旧56疾患でしたか、あの方々の中にかなり多いのではないかと推測はされるのですが、そういった点は報告書の中にも分析なり見方なりで何か解説してございますでしょうか。その3つを教えていただきたいのですが。
○小森参考人 わかる範囲でお答えします。6,000人が3,000人になった理由というのは、私どもでははっきり把握はできないというか、御回答いただいた方の御事情ということになろうかなと思いますし、それから3万人に配って、2,986人に減ったということにつきましても、特にこちらで何かをしたわけではございませんので、最初のときは保健所から、二度目は研究班からお送りして、それぞれ患者さん方の自由意思でお答えいただいているものですので、それについて何か加えたということはございませんので、御了承いただきたいと思います。
少数ではないかとおっしゃられれば、100万人ぐらいの全体の難病の患者さんからすれば、もちろん少数でございますので、全数ではないので限界がございますけれども、ミニチュアながら全体像をあらわしている対象になっているのではないかと研究班としては考えておりますので、あとの解釈はお願いしたいと思っております。
済みません。3つ目が何でしたか。本間先生、3つ目、ごめんなさい。
○本間委員 軽快になった、あるいは改善したというものです。
○小森参考人 56疾患の方が大変多いと思いますが、報告書の中には疾患群を書いてございますので、それを見ていただければと思います。
○千葉委員長 書いていただいているということですね。
恐らく御意見、まだまだおありと思うのですけれども、時間がありませんので、次に移らせていただきたいと思います。では、Ⅵ、調査及び研究ということで、先ほどお手を挙げておられた。先生、どうぞ。
○羽鳥委員 日本医師会の羽鳥です。
スライド174のあたりでデータベースにおける中長期的課題ということで、先週臨床研究法の委員会がありまして、そのときに成育医療センターと小児の場合とAMEDの方が来られて、いろいろ説明を聞いたのですが、研究を持続する難点として、例えば長、チーフとなられている先生も、10年とか、長くて20年の定年があります。患者さんから見れば、長く病気と闘う方もおられます。長の先生がいなくなってしまうと、データベースに保存してあるパソコンのデータそのものが散逸してしまうという恐ろしい話を聞いたので、そういうことのないように何か工夫していただきたい。
例えば今回のがんのDNAとか、その辺の調査項目については、国立がんセンターのほうできちんとしたセンターをつくるということになっているのと同じように、難病も悉皆性のある、継続性のある研究がちゃんとできるようにという意味では、データベースのセンターをぜひつくっていただきたいなと思うので、どこに書き込むのがいいのかわかりませんけれども、中長期的課題の中でも御検討していただきたいなと思います。
○千葉委員長 これは本当に長い懸案でありまして、ナショセンのデータベースがありますが、そういったほかのデータベースともあわせての話になると思います。それから、先ほどお話があった小児慢性から難病への移行というあたり、全てカバーする話だと思いますので、非常に重要なポイントだと私自身も認識しております。この点は大きな課題だと思います。
嵩先生、どうぞ。
○嵩委員 嵩でございます。
御説明いただいていて、難病のほうの制度の特徴は、まず、対象となる疾病が、障害者総合支援制度と比べると要件が厳しくなっているということかなと思っています。他方で、対象となった方については、自己負担額の上限が、実際の所得に基づいた負担応力との関係では適切かどうかわかりませんけれども、健康保険の高額療養費制度や障害者の医療費助成制度などのほかの制度よりは低く設定されている部分もあるようなので、そういった特徴を見ますと、この制度の特色は何かと考えたときには、最初の難病対策委員会でのおまとめにもありますが、単に医療費負担を軽減するというだけにとどまらず、治療の研究を進めるという部分が大きな特徴になっている制度と思います。そのため、これを制度的に担保するようにデータベースを整備するというのはかなり重要だと思います。また、医療データ提供について同意していただけない方もいらっしゃるという問題があるようなので、ここについて、問題意識としては、既に把握されていることだと思いますけれども、情報提供を十分に行うということと、あとは、制度的にもし何か仕組めれば、給付との関連を持たせるというのは難しいのかもしれないですが、データについて提供していただけるような仕組みを工夫するというのが一つかなと思っています。
前の話に戻るのですが、現在、対象疾病を指定していく手続が実施される一方で、指定から外すという手続が今のところないようです。これについては、先ほど申しましたように、制度としては自己負担額の上限がほかの制度と比べると少し低く抑えられている部分もあるようなので、そういった他の制度との公平性という観点からしますと、当然多様な観点からの考察が必要になるのだと思いますが、他の制度との公平性にもより目を配った仕組みづくりが必要かなと思っております。
以上です。
○千葉委員長 ありがとうございます。
要するに、患者さんの医療費助成という問題と、骨子にあります研究の推進という問題、そこをいかにあわせて考えるかということと、その中で研究の推進ということを考えれば、データベースが充実したものでないといけないので、そこのところをしっかり押さえてほしいというお話でした。
そのほか、フィードバックですね。データベースを構築するためには、患者さんに同意していただいて、データをできるだけたくさん集めないといけないというところで、それを推進するためのフィードバックというあたりのお話もいただきました。
それから、いわゆる卒業問題ですね。ここのところは一番最初の規定のところ、読んでいただけたかと思いますが、治療法が開発されるために医療費助成を行って、患者さんがそのおかげでメリットを得るという循環といいますか、そこは非常に重要だというのがこの骨子だと思いますので、そこら辺の御意見をいただいたと理解します。
先生、どうぞ。
○滝田委員 京都大学小児科の滝田でございます。
私もデータベースの充実化について御意見を申し上げたいと思います。指定難病と小児慢性特定疾患の対象疾患がある程度オーバーラップしているということでございますので、恐らく患者さんは移行して制度を利用される方も多いのではないかと思います。そういうことを考えますと、この2つのデータベースはある程度統一性を持ったものがいいのではないかと考えるのですが、スライドの180と181を拝見いたしますと、指定難病のデータベースに登録される項目と小児慢性のデータベースに登録される項目が少し違うカテゴリーでくくられておりますので、このあたりを統一したものにしていただくと、より使いやすいものになるのではないかと考えます。
○千葉委員長 ありがとうございます。
より具体的なお話ですけれども、180ページ、181ページですね。これはできるだけ整合性のあるものにしていくというのは当然の話だと思います。
よろしいでしょうか。先生、どうぞ。
○五十嵐委員長 成育医療センターの五十嵐です。
スライド168をごらんいただきたいのですが、現行では臨床調査個人票というのは、ドクターが紙ベースで書いて、それを都道府県で集めて、入力センターで入力していただく。それをまとめて読み込み、登録センターのほうに持って行きます。要するに、ヒューマンエラーがふえる仕組みになっています。医師が直接電子入力するシステムを構築することをぜひ考えていただきたいと思います。これをすることでヒューマンエラーが減ります。それから都道府県レベルでの入力に温度差があり、1年たってもデータが提出されないことがこれまでにありました。紙に記載するよりも電子入力するほうが楽ではないかと思います。ぜひ御検討いただきたいと思います。
○千葉委員長 これは電子入力ができましたら多くのことが一気に解決するわけでありまして、ナショセンデータは、まさにカルテから出していってという状況になっているわけですが、難病はまだそこまで行っていないということなので、極めて重要なポイントだと思います。
ほか、いかがでしょうか。どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。森です。
今のデータベースのところですが、利活用のほうについては随分議論をされてきたと思います。ただ、データ入力のほう、データの提供ということがとても重要だと思いますので、ここがまだまだ議論できていないところだと思います。小児のほうもそうですし、難病法のほうもそうですが、難病法や小慢のほうでこちらの制度を使っておられない方の実態というものがこのデータの中には入っていませんので、そういったものが入って各疾病の全体把握が出来るような仕組みにする、そういった議論もお願いしたいと思います。
あと、いろいろな調査をしていただきまして、ありがとうございました。例えば182のスライドの同意書ですが、同意したかどうか記憶にないという回答も結構多いですし、同意しない中でも、理解されていなくて、怖くて同意できていないという方も私たちは聞いておりますので、ここをどんなふうに研究にして生かしていけるデータ集めができるかというところは大事だと思います。
支援センターのほうにつきましても、まだ利用されていない方が結構多いですし、知らないという方が多いので、周知の問題であるとか、地域協議会もそうですけれども、支援センターもいろいろな調査を見ていますと、専門性が重要だという読み方ができるのですが、むしろ専門性というのは、私たちにとっては保健所のほうに求めておりまして、難病相談支援センターについては、もちろん専門性は必要なのですが、ピアサポートであるとか、患者さんが身近なところで敷居がとても低くて、自由に行き来できるような、もっともっと利用しやすいような形で支援センターの利用ができるように進めてほしいという望みがあります。そして、地域協議会のほうでも患者家族の声というものももっと活用いただけて、そして制度に結びつくような、そんな仕組みになっていけるように。障害のほうなどでも私たち抜きで私たちのことを決めないでということ、大事にされていますので、当事者の声が難病も大事だと思います。ぜひよろしくお願いします。
○千葉委員長 ありがとうございます。
データベースのスムーズな活用、研究者並びに患者さん、患者さん団体等へのスムーズな活用、できる方法というふうに理解しました。それと、同意について、皆さん十分認識されていない。これをどうすべきかというお話。あとは支援センターのあり方、そこの御意見だったと思いますが、よろしいでしょうか。
ほか。どうぞ。
○安達委員 明星大学の安達です。
森委員と大分オーバーラップするところがあるわけですが、私も病弱の特別支援学校の保護者の方とか、あるいは先生方とお話しする機会がありますが、この制度自体を知らない方が非常に多いです。いろいろな講演会とかそういうところで御紹介をさせていただいておりますが、アンケートからもわかりますように、小慢に対しまして国民が理解、啓発を図るような手だてをしていただければと思います。制度設計自体は非常にすばらしいものがあり、例えば小慢のほうの自立支援事業等についても、義務的なところはいいのですが、任意のところについては非常に低い率だと思います。せっかくいいこと、すばらしいことをやっておりますので、そういうところをぜひ国民の皆さんに知らせていただけるような、理解・改善を図っていただければと思います。
あと、トランジションということで、小慢から難病に移行する時、移行支援計画というのは実際につくってあるのでしょうか。アメリカでは移行支援計画ということで、法律的にも義務づけられている部分があるのですが、そういうところでもスムーズに移行できるような手だてが今後必要になってくるかと思いますので、ぜひそういうところも御検討いただければと思います。
以上です。
○千葉委員長 ありがとうございます。
あとのほうは移行支援、そういう計画があるのかどうかということですけれども、きょうのところはそこが極めて重要だということで御意見をいただいたというふうにしてください。それから、さきのお話は森さんのお話を強調されたということだと思います。
最後、先生、どうぞ。
○西澤委員 データベースのことですけれども、先ほど羽鳥委員がおっしゃったことですが、悉皆性のある難病全体のデータベースをどこへ置くかということだと思います。今、厚労省では臨個票に基づいたデータベースをつくっておられるわけですけれども、それで十分かどうか。がんは対策基本法があって、がんセンターがあるからできるわけですが、難病はそういう体制にはなっていないので、いろんなデータベースが今、できています。先ほどお話が出ましたけれども、研究代表者が集めてきたようなものが散逸しないようにというために、AMEDでは難病プラットフォームという仕組みをつくってデータを集めていますが、それがどれだけ機能できるかわかりません。全体像を見るのをどこでするのかということです。それぞれのところでそれぞれのデータベースをつくるということ、国のやることに重複があっても意味がないと思うし、どこが悉皆性のあるデータベースを持つべきかという議論が必要と思います。
○千葉委員長 データベースの統一化、それをどこで集約するか、それが極めて重要であるという御意見だったと思います。
よろしいですか。そしたら、本当に最後に。
○坂上委員 済みません。読売新聞の坂上です。
2点だけ指摘させてください。安達委員からありましたように、小児慢性特定疾病における制度改革で一番大きな柱が自立支援事業なのに、相談事業ぐらいしかやっていない。この事業を受け持っているのは患者支援団体だったり、保健所だったりするのですが、相談をしっかりしていれば任意事業につながるはずなのに、患者・家族のニーズがつかみ切れていない、関係団体との連携が不足している、などの問題があるのではないかな、と思います。自立支援事業の普及啓発も重要なのですけれども、支援事業を行う体制が整っているかというのは点検してほしいと思います。
もう一点。難病患者さんは障害者ということの扱いになったのですが、春名先生のほうがお詳しいと思うのですけれども、手帳を持っていない難病患者さんは企業の法定雇用率に入らない。難病患者さんで手帳を持っていない人の支援というのがもっともっと必要なのではないか。その辺はもう少し探って、重要なことはやらなければいけないなと思います。
以上です。
○千葉委員長 ありがとうございます。小児慢性、難病患者さんの支援というところの御意見をいただきました。
よろしいですか。
そしたら、これもいろいろ御意見があると思いますが、次に移らせていただきます。次はⅦの療養生活の環境整備、Ⅷの福祉支援等、Ⅸの就労支援、この3つをまとめて御議論いただきたいと思います。いかがでしょうか。どうぞ。
○春名委員 先ほど坂上委員からも御指摘がありましたけれども、難病で就労困難性のある人は「障害者」として障害者雇用支援制度の対象である一方で、雇用率制度の対象は障害者手帳の対象範囲に限られているというずれがあります。これについて、そもそも難病というのは、定義からして障害が大きいのではないかとか、あとは調査によって、軽症者であっても少しのことで体調が崩れやすいとか、そのこと自体が就労困難性の原因になっているということは以前から指摘されていることでもあります。フランスやドイツについて調べますと、こういった疾病によって就労困難性のある人も結構広く雇用率の対象になっているとか、あるいは就労困難性というのは、職種とか働き方とか、個別性も大きいので、そういう個別性も踏まえた認定の制度などによって雇用率の制度の対象にするという制度もありまして、障害者雇用の分野でも検討が進められて研究課題にもなっております。そういうことも踏まえて、以前から当事者から要望の高いことでありますので、検討していくことも課題なのかなと思います。
○千葉委員長 難病患者さんの雇用、具体的な推進というところでの御意見だと思います。
ほか、いかがでしょうか。どうぞ。
○尾花委員 埼玉医大の尾花です。
今、御意見がありました自立支援のことに関しまして、例えば任意事業をされている率が非常に低いというお話があるのですが、実際に現場で見ますと、自立支援の任意事業をどこに話を持っていったらいいのか、どこから話が来るのかというのが全く見えてこない。こういうことを知っていても、保健所からそういう情報が来るのか、あるいは各市役所とか役場とか、そういったところとの関連、特に学校ということになりますと、教育委員会とかのかかわり方もわからないというのが現状かと思います。地方におきましては都道府県あるいは指定都市、中核市という形で、かかわってくる行政も変わってきますので、その辺の窓口のわかりやすさということをぜひ進めていただければ、ありがたいかなと思っております。
○千葉委員長 自立支援の任意事業、なかなか患者さんが直接利用しづらいという状況があって、そこはきちっと広報、整理を含めてやる必要があるという御意見だったと思います。
ほか、いかがでしょうか。何かございますでしょうか。どうぞ。
○春名委員 もう一点、先ほど御説明の中で医療機関での就労支援の取り組みというお話もありましたけれども、この「難病対策の中で就労支援を実施する」ということについて、難病の特徴というのは、軽症者も含めて、治療とか自己管理などもしながら、無理な仕事は避けて、職場でも配慮を受けていく。そういった並行した形で医療とか生活とか就労の一体的な相談支援が必要になってくるというのが非常に重要な特徴だと認識しています。
5年前の難病対策委員会の報告書の段階でも就労支援というのは社会参加の支援だけでなくて、効果的な治療のためにも重要なのだというふうに位置づけられていましたが、ただ、基本的な方針の中では、保健医療機関でどういう取り組みをするのかということは具体的に示されていなくて、それが現在の難病対策地域協議会とか、保健医療機関の中での両立支援の取り組みの不十分さみたいなところにもつながってきているかなと思います。
これについては、先ほどの就労支援の地域の関係機関の図でもありましたように、いろんな発展も多くて、ハローワークと難病相談支援センターが連携するとか、あと、がんの治療と仕事の両立支援と同様に、難病の治療と仕事の両立支援の検討も非常に具体的に進んできておりますし、就労系の福祉サービスの分野でも検討が進んでいるということがあります。厚労省の中でもいろんな部局に分かれていろんな取り組みが具体的に進んでおりますので、今回の検討の中ではいろんな取り組みを、横串をちゃんと通して総合的で効果的な取り組みにできるように検討していくことが非常に重要ではないかなと考えております。
○千葉委員長 ありがとうございます。
就労支援と治療の一体化という御意見と、他の疾病の就労支援とのコミュニケーション、整合性、そういう御意見だったと思います。
ほか、いかがでしょうか。どうぞ。
○森委員 森です。ありがとうございます。
福祉サービスについても、就労についても、そのほかについてもそうだと思うのですけれども、難病法や小慢改正法、それから難病対策全体がなかなか進まないネックになっているところが、例えば障害者の施策のほうに難病が入ったかといっても、その他の心身の機能障害というところに含まれるということになっていたり、難病も対象であるということがはっきりと明記されていない。障害者基本法などもそうですが、そういったところで周知がまたできないというところがあるかと思います。実際に市町村などの窓口に行っても難病は対象でないと言われたり、指定難病でないと、支援センターやハローワークなどでもきちんと支援が受けられなかったりということがありますので、今回の5年以内の見直しを機会として、この議論が障害や福祉など、他の法律や制度などにもいい影響を与えて改善できるような、そんな議論になっていただくことを願っています。
○千葉委員長 ありがとうございます。
福祉、就労、障害者基本法というところをうまく合わせていってという御意見。それから、先ほどと関連しますが、軽症者についても含んでという御意見だったと思います。
ほか。どうぞ。
○小国委員 鎌倉女子大学、小国です。
今の御意見にもかかわりますけれども、自立支援事業でありますとか、難病相談支援センターの事業でありますとか、枠組みが構築されているのにもかかわらず制度が進んでいないという事に関して意見を申し上げます。今は患者様の利用のしにくさに関して御議論されておりましたが、前半のほうで鶴田委員からも出ましたけれども、現場の取り組みはそれぞれ違いますし、組織の状況や職員の人数なども異なりますから、現場の意見、状況について、アンケートなどの方法によって調べるということも必要なのではないかと思います。
モデル事業が行われておりうまくいっていますけれども、うまくいっている事業とうまくいっていないところは何が違うのかという観点で調査し、何を補充したらいいのかというところを進めていくと、より進むのではないかと思います。
○千葉委員長 ありがとうございます。
支援ということに対して、制度としてあるのだけれども、実際に必ずしもうまくいっていないというところについて、現場の声をしっかり聞く体制が必要であるという御意見と、それをもとに、そこのところをきちっと実行できるような状況をつくるべきであるという御意見だったと思います。
先生、どうぞ。
○駒村委員 先ほどの森委員のお話を聞いていて、私も障害部会のほうに入っていますので、難病のところの連携の部分が落ちていれば、5年間の成果はいかがなものかと思われるわけですので、当然障害者部会でもこの議論をやらなければいけないだろうなと感じました。
いろいろな施策が行われているけれども当事者に届かないというのは、難病・小慢だけでなくて、障害の部分にさまざまあるので、なぜ届かないのかというのをちゃんと解明していかなければいけない。先ほど相談支援のところもありましたけれども、望んでいるものは何なのかということもより細かい分析で明らかにしていかなければいけないと思います。
あと、先ほど鶴田委員から自治体の状況というお話もありましたが、例えば281ページの自立支援事業の必須事業部分が都道府県47のうち45がやっているというものの、これは本来皆さんやるべきものだと思いますし、逆に言うと、中核市54のうち45しかやっていないということになっているのですけれども、それぞれ人口規模としては数十万の規模になるのだろうという町が対応できていないというのは、一体どういう事情があるのかなと思いました。事務局のほうは、別の事業で代替するとか、あるいはできていない事情を把握されているのでしょうか。
○千葉委員長 ここは厚労省の方に何か。
○大比良課長補佐 こちらの資料につきましては、自立支援員の配置の状況をパーセンテージでお示しさせていただいておりますが、例えば都道府県であれば、45カ所の残りの2カ所は自立支援員が配置されていないといった状況になっております。配置されていない自治体に状況を聞いてみますと、自立支援員は配置していないけれども、相談の窓口を設けていたり、保健所の保健師さんのほうで日々の対応はなされていたりといったようなことですので、相談支援事業の内容的には担保されている部分がある一方で、相談支援事業で支援員を置いてやっていってくださいというふうに我々のほうでお示ししているので、そこは支援員を置いていただいて、やっていただくというのが望ましい姿なのかなと考えておりますので、国としてもそういった自治体に関しては設置していただくように御理解と、必要な支援をしていきたいと考えております。
○千葉委員長 よろしいですか。281ページですね。できていないところがあると。これは一部のデータだと思いますけれども、そこをいかにクリアするかというのが重要なポイントであるということだと思います。
ほか、いかがでしょうか。どうぞ。
○岡委員 東京大学小児科の岡です。
ただいまのことに関係して、今、281ページが話題になりましたが、282ページの小慢の支援サービス、利用したことがあるということで、これは自立支援事業のサービスということだと思うのですけれども、46%という数字を拝見して、これを高いと考えるか、低いと考えるかですが、私は非常に伸びている、46%にもなったのかというふうにむしろ感じております。つまり、この事業が始まって、東京都のほうで調査したときに、小児慢性特定疾病の自立支援事業を知っていますかというのを給付を受けている人に調査したら、知っていると答えた人は6%でした。だから、利用した方が46%ということは、この間に少しずつ浸透してきているということは間違いないと思います。この数字は私としては力づけられたと思います。
一方で、自立支援員の方の研修会の講師などを務めさせていただいておりますと、どういうことをやっていったらいいのかというアイデアが、この法律をつくったときに非常に高い理想を提示していただいたわけですが、小児の現場にいる我々がまだ十分な経験がなかったということで、これからつくり上げるということだと思いますので、今後の課題としてどういうふうにつくり上げていくのかということが次の期間の課題ということで、御議論いただければと思っています。
○千葉委員長 ありがとうございます。
これは自立支援ということで、実際にⅪの小児慢性特定疾病自立支援事業のところに入り込んでいっているわけです。自立支援というと、難病、小児慢性、両方あるわけですけれども、それ以外に何かございますか。先生、どうぞ。
○石川委員 これはⅦのところのお話ですが、支援センターとか就労支援、それから子供たちの就学支援といったものは、難病とか、治療しながら病気と闘いながら社会参加できるかということの支援になるわけですけれども、相談支援センターというのは数が少ないとか、そういうのがあらわになっていると思うのですが、根本的には社会参加というのは、難病を持っている方あるいは子供たち、地域での生活というのが一番肝になります。
私などは医師会の仕事をしていまして、地区医師会、県医師会、日本医師会とあって、難病とか小慢の子供たちをどうやって支援するかというのが地区医師会では余り議論になっていないのです。200何ページかのところで地域の話が出ていますが、地域での生活というところの支援という観点からいきますと、介護保険とかそういったものも同じでございまして、介護を受けている方がどうやって社会参加できるかということが問題になってくるわけですから、地域の難病、小慢の扱いというのは、もう少し費用があったほうがいいのではないかと思います。そのほうがよほど社会参加の道に近くなるのではないかなと。ちょっと論点が外れますけれども、そういうふうに感じました。
以上です。
○千葉委員長 先生はある意味医師会のお立場からもあわせて御意見をいただいたのだと思いますが、実際に支援というと、地域に根差した支援が極めて重要であって、そこのところをしっかり押さえるべきであるという御意見だったと思います。非常に重要な御指摘だと思います。
よろしいですか。どうぞ。
○滝田委員 京都大学の小児科の滝田でございます。
私も今の御意見に大変賛同いたします。特に小児の自立支援のところの就学支援、学習支援においては、どうしても地域の自治体との連携が重要になってくると思うのですが、地域の自治体の状況を見ていますと、地域とか都道府県によってその辺の差があるのかなと思っていて、実際に患者さんのほうからも、あそこの県に行けばこういう支援が受けられるけれども、この都道府県だと同じ支援が受けられないといった苦情も受けますので、地域の支援に関して均一化するというところも重要ではないかなと思います。
○千葉委員長 ありがとうございます。
私は難病のほうでかかわっておりますが、今の均一化、公平化というあたりについては、難病のほうでは研究班が走っておるということと、それから議論を通じて言われております広報、意外と知られていないといったあたりについては、難病のほうでもいかに皆さんに広報していくかということについてのあり方の研究班が走っていますので、小児のほうはよく存じ上げていないのですけれども、場合によっては同様に立ち上げるなり、あるいは同じ場で議論していくということも必要かなと私自身はちょっと感じました。
これも小児のほうに入っていっているわけです。自立支援のみならず、この会は小児と難病とをあわせていって、両方一緒に討論するという会ではありますが、一方で、小児には小児の特殊性がありまして、最後のところは小児ということに限定してお話をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。五十嵐先生。
○五十嵐委員長 成育医療センターの五十嵐です。
スライドの281、先ほどから議論になっている調査結果ですが、これは厚生労働省と福島委員が所属されている難病のこども支援全国ネットワークと成育医療研究センターで5年前から自立支援員の養成講座を開いています。そこでわかったことなのですけれども、確かに県とか指定都市にかなりの自立支援員の方が配属されるようになってまいりました。しかしながら、県全体で1人しかいない、あるいはほかの仕事と兼務されているというのが今の実態です。これからのことだと思いますが、例えば都道府県単位で何人ぐらい自立支援員の方がおられて、そしてどのような自立支援事業を担っているか、その成果はどうであるかなどの少し踏み込んだ調査を今後していただくことが、各自治体に対するスティミュレーションにもなると思います。
それから、5年間このような事業をされてきた福島委員から、どのような支援内容が患者さんのためになっているか御報告していただけるとありがたいと思います。御検討いただきたいと思います。
○千葉委員長 ありがとうございます。
小児のほうの支援の実態はきちっと詳細に検討すべきであるという御意見。
福島先生、何か御追加ございますか。
○福島委員 多くの委員の先生方に自立支援事業に関して御指摘をいただきまして、本当に頼もしく感じました。皆さんおっしゃられるように、自立支援事業の特に任意事業については、普及啓発がとても大きな課題だと認識をしておりまして、せっかく自由度の高いいい制度をつくっていただいたにもかかわらず、言葉は言い過ぎかもしれませんけれども、宝の持ち腐れみたいな形になってしまっているというのが現状ではないかなと思っています。
都道府県等でニードの調査等をされているところもかなりあるようですが、それが具体的なサービスに結びついていないというのが現状なのかなと感じます。私も実際、自立支援員として役所の訪問に同行したり、学校との打ち合わせに同行したりすることもあるのですけれども、医療的ケアのある子供であるとか、地域の学校に在籍している病気のある子供たち、親支援とか兄弟支援を含めた家族支援といったあたりが大きな課題、キーワードなのかなと日々感じています。
従来の障害福祉サービスなどでは行き届いていないような部分、地域で孤立しがちな本当に困っている人たちに光が当たるような仕組みにぜひこの自立支援事業が特化していくということを願っております。
○千葉委員長 ありがとうございました。
小児、自立支援を中心ですが、ほかに。どうぞ。
○春名委員 小児慢性疾患の自立支援についての5年前の基本的な方針では、就労支援について、いい保護者とか支援者に出会った方は、自分に合った仕事とかを選んで自立ができていることが多いので、そういう不均等をなくすために、具体的に、子供のときから医療機関の中で同じ病気を持ったOBの方との交流とか、いろんな仕事の内容の紹介とか、そういうのがあったらいいとか、そういうことが基本的な方針の中にちゃんと入っていました。実施もしやすいだろうし、うまく進むのだと思っていたら、実際は非常に実施率が悪いということです。基本的な方針はいいとしても、それを実行させるためには何が課題だったのかというところを踏まえて検討することが必要なのだなと学ばせていただきました。
○千葉委員長 ありがとうございます。最初の理念といいますか、そこの重要性を御指摘いただきました。
ほか、いかがでしょうか。どうぞ。
○石川委員 先ほど地域の話をしたのですけれども、例えば介護とかそういうのを見ていますと、ちゃんとケアマネがいて、そして時々は医師と介護をする方、あるいは訪問とか在宅医療をやる方が集まっていろんなカンファレンスをやったりして、その人のADLをどういうふうに伸ばすかとか、そういうことをやると思うのですが、私は地域でマザーズホームとか、障害児の子供を診ているところの担当医を十何年もやっているのですけれども、そこで個別にその子供の生活を今後どうやって支援していくのかということで、いろんな職種が連携するということが極めて希薄なのです。それは介護の分野よりももっと希薄なのではないかなと思っています。そういうことは、地域が責任を持ってその子たちをどうやって育てて、社会参加させていくのかという視点がないと難しいと思うのです。小慢ですと、県とかそういうところで小慢の認定をやって、縦割りの中で病名だけがついて消えていってしまうような感じというのが印象としてありましたので、述べさせてもらったわけでございます。
以上です。
○千葉委員長 先ほどの話と関連して、地域でいかにチームワークを構築するかというお話だったと思います。
小児につきまして、ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
○森委員 今の自立支援等だけではないのですが、制度であるとか、それから国民の理解というものが第一に進まないと、医療にしてもそうですし、暮らしのほうも、今ある制度でも実施出来ていないというところもそうなのですけれども、患者への周知や国民の理解というところでいかに知っていただき、理解をいただくかというところが非常に大事だと思います。
間もなく5月23日という日がやってきまして、これは難病や小慢改正法が国会で成立した日になります。私どもでは5月23日は「難病の日」ということで、記念日登録をいたしました。記念日のポスターを公募いたしまして、その公募自体も啓発になると思いますし、今、私どもも記念イベントをやりましたけれども、全国のほうでも記念イベントをやっていただいています。静岡県庁のほうから難病についてどうやって啓発したらいいかという相談をいただきまして、こちらのポスターなども提供させていただきました。これも厚労省のほうで後援いただいた私たちの事業でありますので、ぜひこういった難病そのもの、小慢のほうもそのものが理解できるような、そんな周知・啓発を促進できる仕組みみたいなものも検討いただければと思いますので、よろしくお願いします。
○千葉委員長 国民の難病・小慢への理解を高めるという方策をぜひ考えるべきであるという御意見だったと思います。
ほか、いかがでしょうか。どうぞ。
○尾花委員 難病なり小慢の指定医というのがございまして、あと、指定の医療機関というのがあると思うのですけれども、そこの中の医療スタッフがこのシステムとか考え方の推移についていっていないというのが現状で、毎年毎年医療券が来て、申請しなければいけないのに追われる。毎年書けばいいといったらおかしいのですが、そういったことで小慢のシステムがあることは認識しているけれども、どういうふうに生かされているかとか、あるいはこういうふうに自立支援を目指しているというところまで普及できていないのが現状ではないかと思っております。
各学会の専門医とかそういった方々が指定医になられていると思いますので、各学会等に働きかけて、こういう形で進めていっている、あるいは改革をしようとしているということも一つ広めていただきたいと思いますし、あと、実際に現場で患者さんと接するのは看護師あるいはソーシャルワーカーが多いかと思いますが、やはり詳しくない方が多いと思います。一つ一つの疾患に特化することはないと思うのですけれども、システムを理解する機会がないということがありますので、医療スタッフあるいは医療者にこの仕組みを理解していただいて広げていただくのも一つの方策かなと思っております。
○千葉委員長 現場への制度の浸透の重要性という御指摘だったと思います。
ほか、いかがでしょうか。どうぞ。
○西村委員 明治学院の西村です。
今の制度をどのように普及していくか、利用できるようにするかという視点はとても大事だと思います。患者などに広報などで情報提供するというのも一つあるかと思いますけれども、それではなかなか利用に結びつかないという今の実態があるということですので、支援側から実際の自立支援に結びつけていくルート、仕組みをつくっていく必要があるのかなと思って伺っておりました。疾病ですから医療機関とは接点が継続してあるということですから、そこから担当者、担当センターへしっかりつないでいって、医師の方たちにいろいろな制度の周知を十分していくことは重要なのですが、それでもなかなか結びつかないということもあると思うので、連携する仕組みを明確に新たにつくるということも必要なのかなと思って伺っております。
○千葉委員長 連携の仕組みづくりの重要性という御指摘だったと思います。
ほか、どうでしょう。これは小児の自立支援ということでしたけれども、小児も含めて、五十嵐先生、何か。
○五十嵐委員長 結構です。
○千葉委員長 よろしいですか。
ほか、よろしいでしょうか。
大変たくさんの御意見をいただきました。多分ほかに御意見がまだいっぱいおありだと思いますが、時間の関係で今回はこれで打ち切らせていただきたいと思います。非常に貴重な御意見をいただきましたので、本日の議論を踏まえて、事務局のほうではいろんな課題、論点をしっかり整理していただいて、今後作業をしていただければと思います。
次は議題2の「今後の検討の進め方」。きょうの議論を受けた上で、今後どのように検討していくかということにつきまして、事務局から御説明いただきたいと思います。
○大比良課長補佐 ありがとうございます。
そうしましたら、資料2「今後の検討の進め方について(案)」をごらんください。一番上に5月15日。本日でございます。ただいま難病対策、小慢対策の現状を御報告させていただいた上で、そちらを踏まえて自由討議を行っていただきました。活発な議論をありがとうございます。
次回以降ですが、ただいま挙がった論点等も踏まえた上で、関係者の方からヒアリングという形で、患者団体とか自治体、研究者の方々、支援を日ごろ行っていただいている方々等々からのヒアリングをさせていただきたいと考えております。6月中を目途ということで、本日挙げていただきましたさまざまな御意見を課題・論点の整理という形で整理をさせていただければと考えております。一定の整理を6月中を目途にさせていただきまして、そちらで挙がった各課題・論点につきましては、7月以降のワーキンググループによる検討という形で、さらなる対応の方向性を具体的に深掘りして議論していきたいと考えております。そちらのワーキンググループを開催させていただきまして、秋ごろにワーキンググループのほうで報告案を取りまとめていただいて、こちらの合同委員会のほうに報告という形でお戻しいただく。
秋ごろから冬ごろにかけて、そういったワーキングからの報告を踏まえまして、こちらの合同委員会のほうで取りまとめに向けた議論という形でお願いできればと思います。年末ごろを目途にこちらの合同委員会で取りまとめをさせていただきまして、親委員会に当たります疾病対策部会・児童部会のほうへ報告を上げさせていただくといったような1年間のスケジュールを考えさせていただいております。
説明は以上になります。
○千葉委員長 ありがとうございました。
きょうは本当にたくさんの御意見をいただきました。4年前ですと、難病で言いますと法律が制定されて、小慢のほうも一部改定があって、その間このように難病と小児慢性が一緒に話し合いを進めていくという流れが構築されてきて、その中で一緒に議論をしてきたわけでありますが、きょうは今までの流れを非常によく説明してくださって、皆さん、それなりに理解できたと思うのです。いろいろ問題点はあると思いますが、着実に進んでいっていると思いますので、これをしっかりとさらに。きょうのお話では、制度はできたけれどもなかなか実体が伴っていないのではないかという御意見が結構あったと思いますが、そこをしっかり固めていくということもこれから大きな話になると思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
きょうはどうもありがとうございました。
○田中課長補佐 事務局のほうから次回の開催についてです。次回は6月13日10時から開催させていただきます。場所については、追って委員の皆様に御連絡をさせていただきます。なお、黄緑色のファイルは、次回も机上配付させていただきますので、お持ち帰りにならないよう、机上に置いておいていただければと思います。
本日はありがとうございました。
○千葉委員長 どうもありがとうございました。