第29回がん検診のあり方に関する検討会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

日時

令和元年11月13日(水)17:00~19:00

場所

厚生労働省 共用第8会議室(11階)

議題

  1. (1)報告事項
  2. (2)「がん検診のあり方に関する検討会」における議論の中間整理(骨子案)について
  3. (3)対象者のリスクに応じたがん検診のあり方について
  4. (4)引き続き議論を要する課題(案)について

議事

議事内容
○事務局 定刻となりましたので、ただいまより第29回「がん検診のあり方に関する検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
 初めに、本日の構成員の出欠状況でございますが、井上構成員、中山構成員よりおくれて御到着との御連絡を受けております。
 また、本日は、福井県済生会病院乳腺外科・女性診療センターの笠原善郎参考人に御出席していただいております。
 続いて、資料の確認をさせていただきます。
 上から座席表、議事次第、資料1、資料2、資料3、資料4-1から4-3、参考資料1から4をお配りしております。
 資料に不足や落丁等がございましたら、事務局までお申しつけください。
 以上をもちましてカメラをおさめていただきますよう、御協力のほどよろしくお願いいたします。
 この後の進行は大内座長にお願いいたします。
○大内座長 それでは、本日の議題に入りたいと思います。
 初めに、議題(1)「報告事項」について、資料1から3までそれぞれ順に説明と質問を受けたいと思います。
 最初に、笠原参考人のほうから説明をお願いいたします。
○笠原参考人 笠原と申します。よろしくお願いいたします。乳がん検診の適切な情報提供に関する研究班から御報告いたします。
 まず、2ページ、乳房の構成の説明をいたします。マンモグラフィでは乳房の構成のタイプを白っぽく写るほうから、「極めて高濃度」「不均一高濃度」「乳腺散在」「脂肪性」の4つに分類いたしますが、乳腺が多く白っぽく写るタイプほど乳がんの検出感度が低いことが知られております。この白っぽく写る、いわゆる高濃度乳房に関して、2016年ごろより我が国でもその情報提供に関する議論がなされるようになりました。
 スライド3です。市町村の対策型検診では、「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」に示されるとおり、検診の結果については精密検査の必要性の有無について通知することが定められておりますし、その後の指導内容も明確に示されております。ただし、乳房の構成に関する記載はございません。もし、対策型検診において精密検査の必要性の有無以外の情報を伝えるのであれば、受診者がその後どう対応すればよいのかの指導も責任を持って行う必要があります。
 スライド4です。しかし、平成29年度時点での市町村の乳がん検診結果の情報提供の現状を見ますと、市町村の13.5%ががん検診指針の報告項目にない乳房の濃度に関する項目の通知を既に開始しておりました。さらに、通知している市町村のうち半数は、その後の対応を受診者に伝えておりませんでした。
 また、指導内容に関しても、通知している市町村の87%がまだ科学的根拠(死亡率減少効果)が明らかになっていない乳房超音波検査を追加の検診として推奨したり、また、16%が異常や疾病ではない高濃度乳房に対して要精密検査扱いとして、適切な情報提供がなされていないという状況でございました。
 また、乳房の構成自体を把握している市町村も31%のみで、この乳房の構成や高濃度乳房に関する理解が進んでおらずに、受診者への適切な情報提供が行われていないという混乱した状況にございました。
 5ページ。このような状況も鑑み、29年3月21日、日本乳癌学会、乳癌検診学会、日本乳がん検診精度管理中央機構が合同で、対策型乳がん検診における受診者に乳房の構成を一律に通知することは現時点では時期尚早であり、今後受診者のニーズを踏まえた、よりよい通知の方法について対応を検討していく必要があるとの提言をさせていただきました。
 6ページ。さらに、この提言を受けて22回のがん検診検討会で、受診者が高濃度乳房を正しく理解できるよう通知すべき標準的な内容を明確にするという方向性が示され、平成29年度の厚労科研特別事業におきまして、「乳がん検診における乳房の構成(高濃度乳房を含む)の適切な情報提供に資する研究」班で検討が行われ、受診者に正しい理解を促すために、乳がん検診における高濃度乳房の問題の対応について、及び高濃度乳房について、以下QA集と略しますが、質問回答集が作成されました。平成30年5月24日、健発0524第1号として通知がなされ、QA集を活用した受診者や検診担当者への理解の促進が期待されているところでございます。
 次です。今回は、平成30年度厚生労働科学研究補助金、がん対策推進総合研究事業、がん検診の適切な情報提供に関する研究、笠原班で行ったQA集を周知した後の市町村の乳房の構成に対する情報提供の変化について、及び、乳房の構成の通知を福井県で試行してみましたので、その試行に伴う受診者アンケートの調査を報告させていただきたいと思います。
 8ページ。まず、調査の項目です。1、マンモグラフィを施行しているかどうか。2、乳房の構成について、検診実施機関から報告を受けているかどうか。3、乳房の構成を対象者に通知しているか、もしくは通知する予定があるか。4、乳房の構成を受診者に通知している場合、その後受診者のとるべき対応について推奨していることはあるか。5、通知の際に、その後の受診者がとるべき対応について何を推奨しているか。6、高濃度乳房について、いわゆるQA集、を実際に使っているかどうか。
 1から5までは、平成28年度に厚労省が行ったアンケートと同様の内容でございますので、これと比較いたしました。
 9ページを見ていただきます。検討1、まず結果6です。QA集の使用状況を見てみますと、市町村で使用しているかについては、「使用している」は43%、やや半分に届かないというのが現状でございました。半数以上の市町村は「使用していない」ということでございました。使用内容は、受診者に使用しているのみならず、検診担当者の理解のためにも広く活用されているという状況が明らかになりました。
 スライド10です。結果2、乳房の構成についての実施機関から市町村への報告は、平成28年度では31%しか報告されていませんでしたが、平成30年度の報告では40%に増加し、乳房の構成について現場で把握し、報告する体制が徐々に整備されていく傾向にあると考えられます。
 次に結果3、受診者に乳房の構成を伝えているかどうかですけれども、乳房の構成を通知している市町村は230市町村・13.5%から、262市町村・15.7%に増加しておりました。
 結果4です。通知後、受診者のとるべき対応について推奨しているかどうかという点に関しましては、115市町村から120市町村に推奨している市町村がふえましたが、約半数の市町村では通知後の指導がなされていないという現状がございました。
 結果5、市町村は通知後に推奨している内容について問うております。青字で示す、定期的な検診受診やセルフチェックの実施、症状があったときの医療機関の受診、専門医に相談する等々の、QA集に盛り込んだ受診者への指導内容が増加しておりました。
 結果1のまとめです。市町村によるQA集の使用率は43%にとどまり、まだ十分には活用されておりません。市町村の判断で行っている乳房の構成の通知は15.7%の市町村で実施されていて、やや増加していました。通知後の対応として、QA集に盛り込んだ内容に準じた適切な情報提供が増加し、QAを使用する有効性が示唆されましたが、まだ、通知後の適切な情報がなされているとは言えない状況でした。今後は、市町村がその判断で通知する際は、QA集を活用し、通知後の対応まで含めた提供体制の構築に努める必要があると考えます。
 次に検討2です。これは福井県で試行しました乳房の構成の通知の結果を示します。通知の実際は、まず受診者一人一人に乳房の構成について、あらかじめ講習を受けた看護師が個別に面談をして説明をいたします。その後、通知の希望の有無を聞いております。その後、通知希望者には後日検診結果とともに乳房の構成をお知らせし、この際にQA集も同封しております。それから、疑問点があった場合は、しっかり問い合わせの質問窓口も明記しております。このような形で福井県の5市町村で試行を実施しました。
 検診を受診した732人中591人、81%が乳房の構成の通知を希望され、若年者ほど高い傾向を示しました。
 乳房の構成の理解に関しては、スライドの右上、「あまり理解できなかった」というのは8%のみで、理解はほぼ良好と考えられました。右下、次回受診する意欲も5割弱で高まったと回答をいただいております。今度は、左下の円グラフですけれども、通知を受けた28%の人が「やや不安に感じた」、3%の人が「非常に不安になった」との回答を得ております。
 その下、16ページをごらんください。通知を受けた後の不安に関して、乳房の構成別に見てみますと、極めて高濃度で67%、不均一高濃度で49%の人が不安に感じており、一方、乳腺散在では15%、脂肪性では22%と不安に感じる人は明らかに少なくなっております。
 17ページ、検討2:結果のまとめであります。乳房の構成の通知は、希望されない方もいるので、事前の詳細な意思確認などの配慮が必要です。個別の十分な説明、質問窓口の設定、QA集の配布など、通知後の対応まで含めた情報提供体制を整えることが重要と考えます。一方、極めて高濃度、不均一高濃度とされた人が不安に感じ、乳腺散在、脂肪性とされた方が安心を感じる傾向が示され、この点は認識の是正が必要と考えます。
 18ページ、以下、考察いたしますと、乳房の構成に関する適切な情報提供には、乳房に関する意識が高まり、定期的な検診受診や異常出現時の医療機関の受診行動につながるなどのメリットがある一方、デメリットとして、不適切に情報が伝われば、心配による精神的苦痛や、結果的には不要であるかもしれない検査の追加による肉体的及び経済的負担が生じるので、情報提供のあり方については慎重な対応が必要であります。
 そのため、受診者への通知を考える際に、高濃度乳房や乳がん検診に関しての受診者の十分な理解を得ることと、乳房の構成に関する通知を実際に行う場合は、受診者が有益となる行動がとれる情報提供体制を整備する、これが大事だと考えております。
 19ページ、情報提供のあり方としましては、あくまで乳房の構成と病変の隠れやすさは、高濃度、非高濃度ですっぱり線引きされるものではなく、これはあくまで連続的なものでして、乳房の濃度が白っぽいほうが病変が隠れやすい、つまり偽陰性が多いという理解が大切と考えます。
 医療関係者は上段のイメージで理解されておりますが、高濃度乳房という言葉がひとり歩きしてしまい、受診者はこれは特別な病態または疾患としての誤った認識を抱いている可能性を危惧しております。すなわち、高濃度乳房という語句を取り上げ、二分して扱うのではなく、マンモグラフィに写らない乳がんがあり、白っぽいほど隠れやすくなりますと、すなわちこれは偽陰性問題として検診施行者は情報を提供し、受診者も理解、対応することが今後肝要と考えております。
 まとめです。乳房構成に関する情報提供は、現在、市町村の判断で行われておりますが、高濃度乳房についてのQA集を参考とし、検診提供者の理解を深めるとともに、受診者の理解も得る働きかけが必要であります。通知を行う場合は、通知の希望の有無を確認の上、高濃度乳房かどうかではなく、乳房の構成を情報提供することが望ましいと考えます。通知を受けた受診者がいたずらに不安に陥ることなく適切な行動がとれる通知後の対応まで含めた体制整備(説明体制、質問窓口、社会資源の整備など)が今後の課題と考えます。乳房構成の判定の精度管理や実態調査、超音波検査の意義などについて、引き続き検討を続ける予定であります。
 以上です。
○大内座長 ただいま笠原参考人から資料1に基づいて、これは厚労科研がん対策推進総合研究事業で、本年度の研究経過のまとめでございます。乳がん検診の適切な情報提供に関する研究ということで、この研究はその先行研究が平成29年度に特別研究として行われておりまして、それを受けて、平成30年から令和2年までの3カ年の予定で進められている研究班でございます。
 資料1、乳房構成も含めて通知が行われております。4ページにありますように、第21回の本検討会での議論等を踏まえまして提言をつくっていただいて、それを健康局長通達で出ているかと思いますが、その後の結果は、検討1がそのデータになっております。検討1のまとめ、考察は14ページに示されているところです。
 検討2としましては、通知の後の行動、理解や反応についてのまとめですが、最後のイメージですね、笠原参考人が最後に申し述べられましたように、高濃度乳房と言われただけで不利益と感じているようですが、実はこれはマンモグラフィそのものの偽陰性、フォールスネガティブ、つまり、マンモグラフィでは拾えない病変があるということ、それが本筋ではないかということで、まとめの第2項、通知を行う場合は、高濃度乳房かどうかではなく、乳房の構成を情報提供すること、さらにはその後の対応についての体制整備が必要ではないかということが結論となっております。
 さて、皆様から御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
 松田構成員。
○松田構成員 笠原先生、ありがとうございました。2つお聞きしたいと思います。
 乳房構成に関しては連続性があってどこかで区切れるものではないというお話があったのですが、高濃度と言うときには不均一高濃度と極めて高濃度の2つを言いますよね。乳腺散在と不均一高濃度の診断ですが、私もマンモグラフィを読んでいるのですけれども、読影医によって不均一高濃度とするか、乳腺散在とするか、どの程度違っているのかというのは興味があるところです。いかがでしょうか。以前と比べて判定の仕方が変わったということはないでしょうか。
○笠原参考人 判定の方法に関しましては、マンモグラフィガイドラインに従来示されてあったのですが、現在、当研究班で角田研究員を初めとして、さらにもうちょっとわかりやすく、具体的に使いやすい判定の仕方について検討して、なるべく多くの方が一致するような判定基準を検討している最中であります。
 ただ、先ほど申しましたとおり、高濃度か非高濃度かきっちりと線引きができるものではございません。先ほど言ったように、乳房の濃度は連続的なものでここで線を引くことが重要ではなくて、マンモグラフィに写らない乳がんがあるという偽陰性問題であるという理解をぜひ進めていただきたい。高濃度だから危ない、脂肪性だから安心というわけではなくて、どういう方でも偽陰性はある程度は生じ得るので、自分の乳房に対するアウェアネスを今後十分行っていっていただきたいというのが私の思いであります。
○松田構成員 2つ目よろしいでしょうか。
 先生はブレスト・アウェアネスをこれから指導したいというお話だったのですが、乳房構成のいかんにかかわらずある一定の割合で偽陰性が伴う。確かに極めて高濃度のほうが偽陰性が多いということはあろうかと思いますけれども。そうすると、乳房の構成にかかわらずマンモグラフィには偽陰性があるから、日頃のブレスト・アウェアネスが非常に重要なのだ、そのことを伝えるだけでいいのかなと私は思うのです。その点はいかがでしょうか。
○笠原参考人 そのことを伝えるだけと申しますと。
○松田構成員 あなたの乳房構成はこれだということを伝えないで、マンモグラフィは全般として偽陰性があるので、普段からのブレスト・アウェアネスが必要だということを全員に伝えるだけでも事足りるのかなと私は思うのですが、いかがでしょうか。
○笠原参考人 まず、偽陰性があるということを全員に伝える必要があります。そのうえで乳房構成の4つのどこにあたるかというところは、イメージとして捉えていただければ健康教育の面でいいのではと私は思っています。もう厳密にここで区別しなさいということまでは要らないと思いますけれども、この件に関してはやはり今後検討しながら進めたいと思います。
○大内座長 恐らく、松田構成員の最後の御質問は、これを通知された後の受け皿ということでの追加検査等について触れなくていいのかということでしょうか。
○松田構成員 この問題が起こったときに、極めて高濃度あるいは不均一高濃度の場合は超音波を追加しようという提案、それは非常にわかりやすい話でした。それが、病気ではないので保険診療では超音波の追加は認められないとなると、乳房構成によってその後の対応が変わらず、ブレスト・アウェアネスしかないのかなと思うのです。全員にそれをやっていただきましょうという通知でいいのかなと思っているということです。
○大内座長 「まとめ」の第4項に、「乳房構成の判定の精度管理や実態調査、超音波検査の意義などについて、引き続き検討を続ける。」とありますが、超音波検査を併用した場合にどうなるかというデータは、既にプライマリ・エンドポイント(感度・特異度)をランセットに出しています。
 実は乳房構成ごとにもデータを見ておりまして、公表はしておりませんのでなかなか話しにくいのですけれども、実はマンモグラフィ上の高濃度乳房の群と非高濃度群の間で感度に差はございません。やはりマンモグラフィの偽陰性の問題、マンモグラフィは完全ではないということが導き出されるような結果が出てきております。
 ただ、これは今後きちっとした形になった上で、しかも死亡率減少効果といった実際のメリットがあるかどうかの判定まで持っていかないと、なかなか対策型検診に導入できないということがあって、そういう意味でのこういう記載かと私は理解しておりますが、笠原参考人、いかがでしょうか。
○笠原参考人 私も高濃度かどうかでその後の扱いを変えるのではなくて、これは偽陰性問題ですので、それに対応した検査法があれば乳房の構成に関わらず採用すべきで、2分してこちらには追加検査をする、こちらにはしないという分け方は非合理的だと考えています。ですから、偽陰性に対して有効な方法であれば、これは積極的に取り組む価値があると考えます。
○大内座長 ほかに御意見、御質問はありますか。
 本研究班は平成30年度から3カ年です。令和2年度終了まであと1年半ほどございますので、その研究の経緯を見守りたいと思います。その結果がまとまり次第、また改めて報告していただければと思いますが、よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○大内座長 ありがとうございます。
 では、次に資料2「女性のがん検診対策に関するヒアリング結果」に関しまして、椎名構成員から説明をお願いします。
○椎名構成員 椎名でございます。
 私のほうから、7月に開催されました女性のがん検診対策に関するヒアリング結果について御報告いたします。資料をごらんください。
 こちらの目的にございますように、前回の検討会で、女性のがん検診対策を考えるに当たっては、女性のライフステージに応じたアピールポイントやアプローチなど、丁寧な聞き取りを行った上で本検討会の取りまとめに反映してほしいという意見を申し上げたところ、早速、患者団体とか学識経験者を交えてのヒアリングの場を設置していただきました。ありがとうございます。
 こちらにございますように、議題は「女性に多いがんに関する検診の受診率向上について」というものでございます。当日、私が進行役を務めましたけれども、出席者の皆様にプレゼンテーションをお願いし、その後、ディスカッションを行ったものでございます。女性のみでお話し合いができるようにということを御配慮いただきまして、非公開での開催となりました。
 非常に活発な意見交換がございました。また、非常に多くの御意見をいただきましたけれども、主に次にお示しする3つの項目につきまして、裏面をごらんいただきたいと思いますが、できるだけ参加者の生の言葉を生かしつつ、それぞれの現状と課題、そして取り組みの方向性について取りまとめさせていただいたものです。
 結果ですけれども、初めに【がん教育、知識の普及について】ということで、現状・課題としては、がん検診に対する知識不足がバリアだ。その一方で、現代の女性の中には、みずからがんや検診を学ぼうとする人もふえている。また、未受診者へのアプローチというのはやはり課題であるとか、児童生徒に対するがん教育には家族のがん検診の受診にもよい波及効果がある。そもそも対策型がん検診が精度管理されている検査だということが知られていないといったような御指摘。
 それに対する取り組みの方向性ですけれども、がん検診に関し、世代に応じた普及啓発が必要。男性にも知ってもらって、一緒に考えることが必要。がん教育では、健康づくりと教育の部門がもっとしっかり連携する必要がある。こういった男性や子供からの後押しがあってもいいのではないかという御意見。また、子宮頸がん検診は命を守るということだけでなく、妊よう性を守るという視点からのアピールもあっていいのではないかという御指摘もありました。
 次に、【女性のライフステージ毎の課題について】ですけれども、がんは高齢者がなる病気という誤解、また、若い女性の羞恥心、検診に伴う痛みなどに必ずしも現在の検査が対応できていない。また、就労している女性がふえている中で、平日の集団検診は受けにくくなっている。その一方で、夜間・休日開催とか保育サービス、個別検診などに既に取り組まれているところもあるということです。
 取り組みの方向性ですけれども、特に若年者に対する子宮頸がんの検診の受診勧奨には、もっと丁寧な勧奨方法が必要ではないか。バリアとなっている検診に対する不安や不快感を減らす取り組み、工夫が必要だ。さらに、検診に伴うさまざまなバリアを取り去るには、検診対象者と一緒に考える必要があるという御指摘ですけれども、これはまさに今回のヒアリングの趣旨そのものでもございます。
 最後に、【検診全般について】の現状と課題ですけれども、医師や技師が女性であると受けやすいけれども、人材の確保が難しい状況もある。特に地方では医療機関を選びたいけれども選べないという状況があるし、例えば検査の実施者が同級生であるというような行きづらい場合もある。それから、検診結果の伝え方一つでその後の受診行動にも影響が出る。
 取り組みの方向性ですけれども、複数の地域で連携してがん検診を実施するなどの取り組みが必要ではないかということで、実際に既にこういった取り組みが区市町村の間で協力して行われているという地域もございます。がん検診の結果がさらに生かされるような結果の伝え方が必要であるし、結果の通知において自分の体の理解を深めるような工夫、例えば乳がん検診における、特に高濃度乳房の方に対してブレスト・アウェアネスの理解を高めること。こういったことが結果的にがんの予防に結びつくのではないかといった御意見がございました。
 結果のまとめは以上でございますけれども、今回のヒアリングを通じて、現在のがん検診には女性が受けにくいと感じるさまざまなバリアがあるということがわかりました。さらに、それらのバリアを払拭するための取り組みの方向性について、多くの御提案、御示唆をいただくことができました。この結果をこの検討会の取りまとめにぜひ反映して生かせればと思います。
 今回のヒアリングに御協力いただきました皆様に、改めてここで感謝を申し上げたいと思います。まことにありがとうございます。
 私からの報告は以上でございます。
○大内座長 椎名構成員から、女性のがん検診対策に関するヒアリング結果について報告がございました。御苦労さまでした。
 丁寧な意見交換がされたようで、現状と課題、それに対する取り組みの方向性ということで記載がございます。
 皆様から御意見等はありますか。
 本ヒアリングの結果を今後、議論の整理の参考とすることになろうかと思いますが、事務局は、よろしいでしょうか。
 どうぞ。
○松田構成員 椎名構成員にお伺いしたいのですが、【女性のライフステージ毎の課題について】というところですけれども、女性の就労率が上がる中、平日の集団検診は受診しづらいという意見がありましたよね。女性のがん検診は、職域での受診率が低い、提供されないケースが男女共通のがん検診よりも多いということがわかっています。
 そこで、特に働いている女性が乳がんや子宮頸がん検診を受けやすくするためにはどうしたらいいのか、ふだん私も関心を持っているのですけれども、これは職域におけるがん検診に関するマニュアルにも書き込んだように、本来ならば勤務時間中に受けられるべきだと私は前から思っているのです。この書きぶりだと恐らく職場では受けられないので、受けようとすると年休なりを取らないといけないということかなと思うのですけれども、そういう意見だったのでしょうか。
 もう一つは、休日のがん検診が本当に受けやすいのかというのが最近疑問なのです。子供さんが小さいお母さんであれば、日曜日に受けようとすると、一時保育等がなければその子供さんを誰かに預けるなりしないといけない。そうすると、日曜検診を受けるのは意外とハードルが高いという意見も聞いたことがあるのですが、先生、そのあたりはどういう意見が出たのでしょうか。
○椎名構成員 2つお尋ねがございましたけれども、前半のほうは、冒頭申し上げましたように、これはほとんど生の言葉をそのまま記載して整理しているので、なかなかその背景がつながっていないところはあると思うのですが、もっと男性にも一緒に考えてほしいというのは、まさに職域での検診の中にメニューとして余りないといった現状ですよね。そういうところがあって、地域のがん検診を受けるという方も多いと思いますけれども、きちんと職場の方たちに理解してもらいながら受診するという意味も含まれているところだと思います。
 さらに、休日はむしろ受けにくいのではないかというところですが、例えば家族の協力を得るという意味では休日というのは非常に受けやすい。一緒に行ってもらうことで、お母さんの体の大切さを一緒に知るということにもなりますし、必ずしも休日にすることが働いている女性に対して不利益だと思いませんし、むしろ選択肢としてあるということは非常に助かるということではないのかと思います。
 この内容については、特に議論の中に今回そこまで詳細のものはなかったですけれども、今の先生の御質問にはそのように考えております。
○大内座長 方向性の2段目の3項目、「気軽に受診できる体制」の中には一応書き込んではあるのですね。松田構成員が言われるように、職域とか働く方の休日に受診可能とするということについては、ここまで明記されていませんが、左側の現状と課題にはそれが明記されておりますので、これを整理されて論点の整理に反映されればと思いますが、よろしいでしょうか。
(委員首肯)
○大内座長 では、そのようにさせてください。
 次に資料3、前回、5月31日開催の第28回の本検討会を受けての議論の整理について、事務局から説明願います。
○事務局 事務局でございます。以下、スライドの右下のページ番号を用いて御説明したいと思います。
 早速2ページにありますけれども、前回、受診率向上について御議論をいただいた際には、総論的な内容として、受診の対象者についてアプローチの面、把握の方法の面、双方から漏れがないように取り組みを行っていくこと。
 先ほど椎名構成員に御説明いただきましたけれども、女性のがん検診対策はライフステージ等を踏まえた対応を検討してはどうかということ。
 かかりつけ医の関与が受診勧奨、あるいは精検受診、そのいずれにおいても重要なポイントとなるのではないかということ。
 精密検査の未受診については、個別検診に対する対応をしっかり行っていくことや、未受診者本人への受診勧奨の工夫等を行っていくことが必要ではないかとの御意見をいただいたところでございます。
 3ページでございます。また、職域におけるがん検診につきましては、2名の研究班の先生から中間的な報告についても御発表いただきましたけれども、今後につきましては、職域の受診状況の実態を踏まえて、精密検査へのつなぎ方の検討、あるいは職域についても精度管理等を向上していくために、引き続き職域のがん検診におけるマニュアルの普及を行っていくことが重要であるとの御意見をいただきましたので、ここに整理させていただいております。
 事務局からは以上です。
○大内座長 ただいま、資料3に基づいて前回28回の検討会の議論の整理を行いましたが、よろしいでしょうか。特段の御意見はないですね。
 では、以上で資料1、2、3は終わりました。
 それでは、議題(2)「『がん検診のあり方に関する検討会』における議論の中間整理(骨子案)について」でございます。
 今回、骨子案としまして資料4-1が提出されております。関連する資料としましては、4-2と4-3がございます。
 順に行きます。最初に骨子案について、資料4-1を事務局のほうから説明願います。
○事務局 それでは、お手元に資料4-1を御準備ください。
 まず1ページ目ですが、こちらが骨子案の目次となっております。各項目につきましては、現状と課題、今後の方向性に分けて整理しておりますが、現状と課題につきましてはこれまでの資料等を整理した内容になってございますので、今回は今後の方向性の部分を中心に御説明申し上げたいと思います。
 2ページ目、「2 がん検診の指針の見直しの方向性について」、4つの観点から整理を行っております。まず、「(1)がん検診の利益(メリット)・不利益(デメリット)について」ということで、がん検診には利益だけでなく、少なからず不利益も存在する。特に不利益については一般的になかなか理解しづらい面もあるという御指摘をいただいております。そのため、市町村や実施機関等ががん検診を実施するに当たっては、利益・不利益の説明を行うことの重要性を周知していくこと。また、そのために必要な支援を行っていくことが必要であると考えております。
 次に、2ページから3ページにかけまして、「(2)指針に定めるがん検診の種類について」として、指針に定めるがん検診の検査方法については、対策型検診として、死亡率減少効果に関する証拠が十分または相応あるものとすることを考えております。一方、指針に定められていない検査方法につきましては、科学的根拠の違いに応じた対応を検討させていただきたいと考えております。
 次に3ページ、「(3)がん検診の対象者について」でございます。がん検診の対象者につきましては、これまで同様、最新の科学的知見や罹患率等の変化を踏まえ、必要に応じて見直しを検討していくこととし、他方、対策型検診として多くの方を対象に検診を推奨するに当たっては、検診としての効果を高めていくとの観点から、受診を特に推奨する者という形で整理を行っていくことを考えております。ただし、その際、受診を特に推奨する者以外の方について、これまで同様、がん検診の受診は可能であることについては留意が必要ではないかと整理をしております。
 4ページの「(4)対象者のリスクに応じたがん検診のあり方について」については、後ほど資料4-2として御説明申し上げたいと思います。
 続いて「3 2021年度以降の対策型がん検診について」です。今後、がん検診の指針の改訂を行った場合、市町村で実施していただくのは再来年度以降と考えてございますので、このような記載としております。
 まず、「(1)対象者等について」でございますが、こちらは1から6の情報をもとに、がん検診の対象者について必要に応じた見直しを検討すること。また、先ほど御説明申し上げた、受診を特に推奨する者の検討をすることとして整理を行っております。
 続いて、「(2)精度管理について」でございます。精度管理については、指針あるいはチェックリストに記載のある事項について、取り組みが十分ではないものがあるとの課題があることを踏まえ、この改善につながるように市町村の取り組みや国、都道府県の役割について整理したいと考えております。
 続いて、4ページから5ページにかけまして、「(3)受診率向上のための取組について」でございますけれども、先ほど資料3でも御説明申し上げたところになりますが、受診率向上については、エビデンスの明らかなコール・リコールを初めとした対策に取り組んでいくこと。また、女性のがん検診対策に必要な内容についても、整理をしたいと考えてございます。
 続いて5ページ、「4 新たな検査項目の対策型がん検診への導入検討に当たっての基本的な考え方について」です。こちらは、以前、検討会で御議論いただいたものを踏まえたものを、別添として本資料の末尾につけさせていただいております。その議論の際、議論の背景や今後の方向についてということで、5ページに整理をいたしました。
 なお、こちらの別添の資料につきましても、必要に応じて御意見をいただけたらと考えております。
 それでは、【疫学的な背景について】でございます。罹患率、死亡率につきましては、今後も変化をしていくことなどが考えられておりますので、こちらについてはがんになる人が多く、死亡の重大な原因であることについて、また、その両方またはいずれかを満たすことを考えております。
 続いて、5ページから6ページにかけての【検査方法等について】でございます。検査方法につきましては、死亡率減少効果が有効性評価の基本であることについて、諸外国を含め、前提になっているということにつきまして御意見をいただきました。その一方で、死亡率減少効果の検証には長期間を要し、実用化が遅くなるという課題も指摘されており、死亡率減少効果の代替指標についてどのように考えるかという点について御意見をいただいた部分でもございます。
 これらについて、6ページになりますけれども、今後の方向性としては、死亡率減少効果が明らかな検査方法が存在するがん種については、新たな検査方法と既存の検査方法の比較可能性や、がん種ごとの死亡率減少効果の代替指標の有無、妥当性など、そのあり方について検討を進めていく。一方、死亡率減少効果が明らかな検査方法がないがん種につきましては、死亡率減少効果に関する国内外の知見を踏まえて検討していくこととして整理してはどうかと考えております。
 続いて6ページ中段、【運用方法等について】です。こちらは、自治体の運用可能性について、対象者や受診間隔等が明らかになっていることや、精密検査以降の流れについても手法が確立されている必要があると考えております。また、精度管理につきましても、その手法が明らかにされていることや、必要な実施体制が確保可能であること等について整理を行っております。
 最後に【その他】の事項としまして、がん検診の費用対効果に関する研究を進めていくこと。また、実際に検査が導入された後、有効性などについて事後的な検証を行っていくことが必要であると考えております。
 7ページ、「5 職域におけるがん検診について」は、職域においても科学的根拠に基づいた検診が精度管理を高める体制のもと実施されるよう、マニュアルの普及に努めていくことや、厚生労働科学研究の結果を踏まえ、受診状況等の把握を行っていくことにより、将来的なデータの集約等について検討していくことと整理を行っております。
 最後に、「6 引き続き議論を要する課題について」は、後ほど資料4-3として御説明させていただきます。
 事務局からは以上です。
○大内座長 ただいま、「がん検診のあり方に関する検討会」における議論の中間整理(骨子案)をお示しいただきました。
 見直しの方向性について4点、利益・不利益、それから指針に定める種類、対象者、リスクに応じたあり方等についての取りまとめが入っております。かなり踏み込んだ内容になっているかと思いますが、皆様から御意見をいただきたいと思います。
 では、祖父江構成員、どうぞ。
○祖父江構成員 これは順番にやっていくという感じですか。全部カバーするという。
○大内座長 順番にやっていきましょうか。
 それでは、「1 はじめに」の記載、次の「2 がん検診の指針の見直しの方向性について」までを含めて、まず議論をいただきたいと思います。
○祖父江構成員 2の見直しの方向性の中の(1)のメリット・デメリットの話ですけれども、がん検診のメリットが死亡減少効果であるということは、割と一般に周知されていることだと思うのですけれども、不利益があって、その中身が何なのかということに関しては、まだまだ一般の人たちだけでなく、保健医療関係者の中でも理解が深まっていないと思います。そのことは書いてあるわけですけれども、今後の方向性の1ポツのところに、「説明を行うことの重要性を周知すること」だけで理解が深まるかというと、そうではなく、どのような不利益があって、どのような内容なのかということをきちんと具体的に示す必要があって、そのことを行うために教材とか、多くの都道府県で精度管理等の講習会などをやるわけですから、そういうところで不利益に関してのきちんとした講習をすると。そのためのビデオとか教材を開発して、具体的にそういう知識を普及していく手だてを考えるということが重要なのではないかと思います。
○大内座長 ただいま、「2 がん検診の指針の見直しの方向性について」の中の(1)利益(メリット)・不利益(デメリット)について特に御意見をいただきました。
 祖父江構成員が言われるように、デメリットに対する理解は深まりつつありますけれども、具体的な内容についてまではしっかりと伝えていないように思われます。(1)の中には、デメリットについて現状というのが書いてありますし、今後、市町村等が円滑に取り組んでいけるよう、これまでの資材の活用や見直しを行っていくこととあります。
 次の「(2)指針に定めるがん検診の種類について」の最後のほう、3ページの中ほどに、いずれのがん検診においてもメリットとデメリットに関する知見を収集し、市町村等に情報提供を行っていくこと、とありますね。多分その具体的なことをどうするのかということの御質問でよろしいですね。
○祖父江構成員 デメリットに関する量的なデータを把握するというのは、なかなか難しい話です。不利益というものの概念をきちんと理解するということがまず大前提で、そのことですら余りできていない。特に過剰診断に関しては、きちんと説明できる人もなかなか限られていると思いますので、そういう理解を深めるためのまず教材が必要で、さらにデータを集めるということはその次の段階だと思います。
○大内座長 推進官のほうからお願いします。
○がん対策推進官 ちょっと確認させていただきたいのですが、そういう意味では、祖父江構成員がおっしゃったのは、我々は市町村等ということで現に検診を実施する機関を想定していたのですが、まさに医療従事者、プロバイダーのほうにも必要だという御指摘でよろしいですか。
○祖父江構成員 そうですね。検診にかかわる方々のみならず、医療関係者としての関与がかなりあると思いますので、そのあたりでの知識の普及というのも相当に必要だと思います。
○大内座長 がん検診の不利益(デメリット)の概念については、あえて国立がん研究センターの中山構成員にお聞きしたいのですけれども、どなたでも使えるような教材といったものは準備可能ですよね。
○中山構成員 もちろん、今、がん対策情報センターの検診のページを見ていただいたらわかるようにはつくっているのですけれども、かといって、あれで全部わかるわけではないわけで、もう少しわかりやすいものを伝えていかなければならないと思います。
 それから、メディアの方からも去年も大分取材を受けたのですけれども、そういう不利益というものを容認できないとか、偽陰性が1例もあることはメディアの立場では容認できないと言われる方も多々おられるわけなので、かなりその辺をわかりやすく伝えていかないと、すごく難しいと私も個人的には思っていますから、つくるということならそういうのも開発していく必要があるというのは重々感じております。
○大内座長 かなり難しい作業になると思うのですが、この中でここに書き込むということは、教材も必要ですし、それを市町村等にも使っていただくためのものをつくり上げなければいけないと思うのです。ここは踏み込んで事務局のほうに考えていただきたいのですけれども、国立がん研究センターの中山構成員とも協議された上で、そういったものができることを目指してほしいのですが、いかがでしょうか。
○がん対策推進官 事務局でございます。
 本日、まさに骨子の取りまとめの議論のスタートですので、先生方の意見を最終的な報告書に向けて取りまとめていきたいと思っておりますので、そちらも含めて御意見をいただきたいと思っています。
○大内座長 では、中山構成員、改めてお聞きしますけれども、教材としてがん検診の不利益に関する資料を準備はできるということでしょうか。
○中山構成員 現状の資料としては必ずしも十分ではないので、要求があるのであれば準備することは可能だと思います。
○大内座長 そういう観点から進めていってよろしいですか。
 棟重構成員、何か。
○棟重構成員 今の市町村等というところは対策型を想定されて、市町村の検診関係者に提供されるということをお話しされていると思うのですが、職域に関してマニュアルが昨年3月に出されて、特にメリット・デメリットの周知の必要性について、職域、健保組合の関係者は、これを参考にしなければいけないという理解が少しずつ進みつつあります。
 そういう意味では、何をどのように説明すればいいのか、職域の関係者にもメリット・デメリットがわかるような資材も提供していただきたい。あるいは、そういったことを想定して、少しわかりやすくつくっていただきたいと思います。
○大内座長 大変貴重な御意見です。
 では、羽鳥構成員、お願いします。
○羽鳥構成員 デメリットを正確に伝えるというのは医師会会員にとっても大事だと思うのです。表現は少し気をつけていかないと、また受診率が下がってしまうようなこともあると思いますので、もし教材をつくる、資材をつくるというときは、現場の先生、医師会の先生方にも相談していただきたいと思います。
○大内座長 よろしいでしょうか。ただいまの羽鳥構成員の御意見については対応をお願いいたします。
 では、笠原参考人からどうぞ。
○笠原参考人 利益のほう、よろしいですか。この前の乳癌検診学会で議論したところでありますが、利益が死亡率減少効果というのは私たちの立場ではそうなのですけれども、受診者の人は「私のがんを見つけて欲しい」が目的になっているところが多々あります。ここの意識がずれていることでいろいろなそごが出ているということも非常に感じましたので、その利益の説明も十分していかないといけないかなと。
 「結果が陰性と判定された場合に安心を得られる等があり」と、この辺をどのような重みとして扱うかということもぜひ考えていかなければならない問題かなと感じております。受診者の方々の思いはちょっと違うかもしれません。
○大内座長 受診者の視点からすれば、がんの早期発見が救命につながる、そういった期待感はあるわけですね。死亡率減少効果というと難しい言葉になってしまって、すぐには飛びつけないということもありますし、かといって、早期発見・早期治療が本当に死亡率を減らしているかとなると、最近のデータによれば3分の1ぐらいが過剰診断、治療につながっている可能性があるということも指摘されておりますので、ここは大きなターニングポイントだと思います。ただ、言葉の使い方等も含めて、もしメリット・デメリットについての教材等を準備する場合には、かなり踏み込んだ議論をしないといけないのではないかと私も思っております。
 いかがでしょうか。どうぞ。
○福田構成員 私もメリット・デメリットをちゃんと伝えるのはとても重要だと思うのですけれども、やはり表現のあれかもしれませんが、今の書き方だと、メリットは「定量的な評価の提示が可能である」と書いてあって、何となく不利益のほうはそれができないふうにも読めるのですが、これでいいのかなと思っていて、死亡率減少効果は定量化できますけれども、例えば安心を定量化するというのは非常に大変なことですし、デメリットの中でも、例えば偶発症とかはある程度定量化できるような気がしますし、物によってできるものとできないものが両方あるのではないかと思います。
 最終的には、利益と不利益のどっちが上回るのかということを考えながら受診をしてくださいという方向に行きますので、今後の研究課題かもしれませんが、ある程度定量化できるところはしていくような方向も必要なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○大内座長 ただいま福田構成員から大変貴重な御意見がございましたので、今日いただいた意見も論点整理の中に反映された上で、次回以降に改訂案が出てくるかと思います。
 ほかに御意見はございますか。井上構成員。
○井上構成員 今までの議論とちょっと違う話なのですけれども、後の話にもつながっていくと思われます。先ほど職域の話が出てきまして、職域は前回の報告のときにようやく職域もちゃんと対策型検診を踏襲するものとして含めていくというような議論があって、恐らくここにも「職域におけるがん検診について」と追加されていると思うのですけれども、今後、職域を別出しして同じようにというふうに書き込んでいくべきなのか、あるいは、そもそも対象は市町村であり、先ほどありましたように「市町村等に」に本当は職域も入ってくるのに、「市町村等に」というふうにここだけ市町村が今までどおりのように出てきて、後で「職域もですよ」というような書き方になっているので、どこかの時点で職域も市町村も分けずに、概論としては同じなのだというような書き方に変えたほうがいいのではないかなと思ったのです。しかし職域におけるがん検診は少しずつノウハウが違いますので、その後に特出しして書き出していくような形にしてもいいのかなと思ったのですが、ぜひ御意見をいただければと思います。
○大内座長 大変貴重な御意見です。職域におけるがん検診のあり方に関するワーキンググループが設置されて議論され、それでマニュアル、手引書が出されております。ガイドラインではなくて手引書になった経緯については、何度も議論しましたように、根拠法がない。私は事務局を代弁するわけではないですが、ここに対策型あるいは市町村事業と書いてあるのは、あくまでも健康増進法という法律の中で動いていて、職域になると安衛法等がありますので、私としても、せっかく職域に踏み込んでいくのに、書きぶりで別扱いされていることに何となく違和感を持っているのですけれども、これはやむを得ないのかなという気持ちがあります。
 井上構成員がおっしゃることは、まさしく皆さんもそう感じていると思うのです。ただし、職域というのは、一方では保険者、事業主ががん検診を実施するに当たっての注意事項のようなものでございますので、どこまで踏み込めるかということですね。申しわけないのですが、担当の事務局のほうから御意見をいただければ。
○がん対策推進官 事務局でございます。
 今、井上構成員も含め御指摘いただいている点で、今回、骨子案の章立てをこのようにさせていただいたのは、まさに座長がおっしゃっていただいたとおり、我々が事務局としてまず一丁目一番地、市町村に対して技術的助言として健康局長通知を出させていただいておりますので、2.、3.という章立ての形で、指針の中でどのような見直しをしていくかという形をまずつくらせていただいております。
 職域も検査方法としてやるものは一緒ではないかという御指摘だと理解をしたのですけれども、そういう意味で5.として職域の章を設けさせていただいたのは、一緒と言ったら言い過ぎかもしれませんけれども、職域における精度管理の指標や人口構成が違いますので配慮すべき事情があったり、職域では市町村検診の中からいいところをとっていただくという視点で、5.の章はアドオンのものを書かせていただいたものです。制度上異なるたてつけなので、このように用意をさせていただいている次第です。
○大内座長 棟重構成員、お願いします。
○棟重構成員 一緒と言われると全然意見が違いますが、あくまでも対策型は座長がおっしゃったとおり法律に定められたもので、職域のほうは任意型とマニュアルにも書いてございます。あくまでも福利厚生的にそういう機会を提供することで、目指しているのは死亡率減少というよりは、ある意味早期発見、早期対策をして、職場復帰をするということが大事だと認識をしておりますので、目的自体が違うのです。確かに外見上は似たようなところもありますが、範囲も違うので、決して同じことではなく、我々が目指しているものは違うということを御理解いただきたい。ただし、その知見は活用しながら実施していくことが必要だと思います。
○大内座長 井上構成員、いかがですか。
○井上構成員 何とも頭の中の整理がつかないのですけれども、要するに、職域は任意型でサービスは提供しているけれども、その内容はできるだけ対策型検診に近づけろというイメージなのですよね。だから、別立てになるのですかね。でも、検診受診率は両方を合わせてカウントしたいという話になっていくので、現状はいろいろな法律の中での問題があると思うので、最終的にいい形に向かって、あまり以前の残骸は残さないように、前のほうに向かっていけばいいと思うのですけれども、祖父江先生、お願いします。
○大内座長 祖父江構成員、どうぞ。
○祖父江構成員 突然、職域に飛んでしまいましたけれども、私が指摘したいのは、職域のがん検診が抱えている最大の問題は法的な根拠がないということであって、そのことをきちんと記述してほしいです。それに対しての対応をするというのを本当は今後の方向性にも書くべきだと思いますけれども、そこがイの一番であって、ただ、短期のうちにそれが対応できないという状況のもとにどうするかということでマニュアルができた。マニュアルの中身は、住民検診とほぼ同じ内容の検診の種類と精度管理方法を職域にも適用すると。
 私は思いとしては、住民検診が行っている目的と全く同じことを職域で行うべきであると思います。そのために法的な整備をするべきだと思います。
○大内座長 笠原参考人、お願いします。
○笠原参考人 参考資料2「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」の3ページの対象者のところを見ますと、それぞれの対象者が書いてありますけれども、当該市町村の区域内に居住する何歳以上の者を対象とすると。職域の人を除いていいということは一切書いていないと思うのです。ですから、基本的にはやはり市町村が責任を持ってやる。
 祖父江先生の御意見に全く賛成で、職域において同様の検診をやるときは、対策型検診と同様の精度管理をした検診を受けることとすると、そのような一言が書かれれば、かなり突っ込めるのではないかと。これは乳癌検診学会のときに申し上げましたけれども、そのように考えております。ぜひ一言加えてください。
○大内座長 ただいま御意見をいただきましたので、事務局とも今後協議をしたいと思います。
○棟重構成員 職域で実施している検診は、対策型ではないので、それを前提にやられても困ります。
○大内座長 井上構成員が言われたように、がん検診受診率、あるいはがん死亡率低減目標、これは全国民にかかっているわけです。ですので、それをどのようにしてやっていくかということで、一方では法律もございますので、それをどのように連携していくかということが求められているのだと思います。書きぶりについては、事務局と相談の上で皆様に提示させていただきます。
 今、2の議論をしているのですが、3ページの今後の方向性の中で、「指針に定められていないがん検診の検査方法については、科学的根拠(推奨グレード)の違いに応じたあり方を検討すること」とあります。この具体的な内容については、次回以降に事務局から出てくるわけでよろしいですね。
○がん対策推進官 はい。この点について、もう少し本日御議論をいただけると大変ありがたく存じます。
○大内座長 指針に定められていないがん検診の検査方法を記載する。実は、職域におけるがん検診のあり方に関するワーキンググループの中でマニュアルを策定しました。その中には、A、B、C、それからIという評価でくくってありまして、それを参考にしてもいいのかなと思いついたのですけれども、何か御意見はありますか。ワーキンググループの構成員であった松田先生、いかがですか。
○松田構成員 今、座長がおっしゃったとおり、それが基本的に参考になると思います。
 一言、さっきの話に戻っていいですか。職域検診というのは、棟重構成員から叱れますが、基本的には対策型検診だと私は以前から思っていまして、受ける人のことを考えると、本当に効果があるものを平等に提供すべきだと思います。同じように有効性の明らかでないものについても、それはきちっと判断をすべきという立場です。
○大内座長 よろしいでしょうか。
 いずれにしても事務局から提示されると思いますので、よろしくお願いいたします。
 次のがん検診の対象者についての議論を深めたいのですが。
○祖父江構成員 いや、検診の種類についてというところでコメントがあります。
○大内座長 どうぞ。
○祖父江構成員 「指針に定めるがん検診の種類について」、この中身は、このあり方検討会で議論する以前に、ガイドラインというものを作成し、そこで推奨のレベルを決め、その内容に従って指針に含めるがん検診の種類を決めていくということが書いてあると思います。
 今、国立がん研究センター作成の「有効性評価に基づくがん検診ガイドライン」のことが書かれていますけれども、現状と課題という意味でいくと、このガイドラインの更新スピードが非常に遅い。ここが、今、一番社会的には混乱を生じていることだと思います。10年前のものがまだ出ているような状態で、後で研究に時間がかかるということが議論の対象になると思いますけれども、それ以上に既に研究の成果が出ているものを世の中に対策として提案していく前段階となるガイドラインがタイムリーに更新されていないというのは非常に問題だと思います。ここをきちんと対応しないと、物事が進まない。
 前回も私、国立がん研究センターの体制をもっと整備してほしいと言いましたけれども、なかなか進んでいないですね。国立がん研究センター以外にも対応してくれるところを探すということもありかと思いますけれども、一方で学会が出しているガイドラインというのもあります。そういうものもきちんと俎上にのせたほうが、このあり方検討会の立場としては公平性が保たれるという意味と、それから同じ課題に関して複数のガイドラインが違う組織から出ていて、その推奨が違うということがあると社会的には非常に混乱すると思います。
 ですから、世の中に出ているガイドラインをここで網羅的に把握をした上で、全てを俎上にのせて、それを選択していくといいますか、そういう目でこの指針に定めるがん検診の種類を決めていくという姿勢のほうがむしろ望ましいのではないかと思います。
○大内座長 「(2)指針に定めるがん検診の種類について」の議論でございます。祖父江構成員が指摘されている点は、ガイドラインの見直しのタイミングがおくれてはいないかということです。米国、USPSタスクフォース(United States Preventive Services Task Force )の指針のスピードを考えても確かにそのとおりでして、この検討会でも何度か問題点として指摘されております。
 一方では、本検討会の担っている役割というのは、それぞれの構成員の方々、学識経験者、あるいはいろいろな団体の代表者に入っていただいていますけれども、ガイドラインを定めるに当たってのデータ整理や評価まで行うミッションにはなっておりません。例えばUSPSTFでは、そのタスクフォースが最終的に投票で決めていくようなプロセスの中で、途中での評価はエビデンス・プラクティスセンターが行うということで、それが全米に何カ所かあってそれぞれのがん検診の評価を網羅的に行っている。つまり、ガイドラインを常に更新しているわけです。その作業が日本でもできないかという御指摘だと思いますが、それを国立がん研究センターのミッションとできないか、あるいはその機能を十分に果たせないとすれば、別のことを考えるべきという御提言かと思いますが、いかがでしょうか。
 まずは、国立がん研究センターを今、所掌されています中山構成員のほうから現状について御説明願います。
○中山構成員 要は人の問題で、USPSタスクフォースでは、ほぼ総合診療医が中心にエビデンスをまとめていくという作業をやっているのですけれども、現在、私たちのところもそういうことをやれるチーム、もちろん外の人材を集めてですけれども、かつかつ集めて6人ぐらいで、早くしていこうと思ったら、それを2チーム、3チームつくらないといけないのですが、なかなかそういう人材が集まってこないというところであります。
 予算をつければ人がふえる、そういう簡単なものではなくて、そもそもそういった総合診療医であるとか、システマティックレビューを行う能力がある人を確保できていないというところもあるので、正直言うと人材育成が必要で、大学のほうでそういう方々を育成していただかないと、おいそれと今すぐ出てくることは残念ながらないというところです。もちろんもう既に幾つかの大学には声をかけているのですけれども、大した[A1] 人材が上がってきていないというのが現状でございます。
○大内座長 祖父江構成員の意見はもちろん妥当な御意見なのですが、ここにもし書き込むとすれば、ガイドラインの見直し等について適正に対応するということをどういう形で行うかということですね。それは書き込むことによって多分前進するのだろうと思います。いかがでしょうか。事務局のほうからもし対応策があれば。
○がん対策推進官 基本的には本日御議論いただいた内容を、座長がさっきおっしゃっていただいたとおり、次に報告書案として提示させていただくときに表現は御相談させていただきたいと思っております。
○大内座長 祖父江構成員、よろしいですか。
○祖父江構成員 ぜひ書き込んでほしいと思います。
○大内座長 では、がん検診の種類について、ガイドラインの対応を少し書き込むということでお願いいたします。
 次は、「(3)がん検診の対象者について」です。ここは、今後の方向性の中に、「最新の科学的根拠や、がんの罹患率・死亡率の変化等を踏まえ、必要な見直しを行うこと」とありますので、先ほどの議論と重なるところもありますが、対象者については大変重要な課題です。がん検診の種類によってもスタート年齢が違いますけれども、上限は設定されておりません。そういったことをどうするかということで、現状と課題の中に書いてあります。2番目です。「諸外国では、がん検診を推奨する年齢を明確化し、高い受診状況等につなげている」ということで、これについて今後の方向性の中の2番目に、「受診を特に推奨する者について検討すること」とあります。いかがでしょうか。
○祖父江構成員 現状と課題の2ポツのところに、諸外国では年齢を明確化し、我が国においてはそのための科学的根拠の集積が必要であると。科学的根拠を集積する努力をしているのですけれども、なかなかそれが難しいのですね。特に不利益に関しては、実際に検診を受診する人はかなり選択された人なので、不利益が生じるかというと余り生じない人を集めているということになって、本当に一般の方が選択されずに受けた場合に生じる不利益とはかなり過小評価になっている可能性が高いのです。それを幾ら頑張って集めても、正しい意味での利益・不利益バランスを検討することにならないのではないかというところです。
 ですから、「集積が必要である」で終わってしまうと、ずっとその努力を続けるのかということになりますけれども、恐らくそのことで対象者の範囲を決めるということは無理だと思います。だから、そういうことをきちんと記述し、科学的根拠を集積するだけで終わらずに、難しいということを踏まえた上で対象者を決めていく必要があるということを書かないと、これは議論が進まないと思います。
○大内座長 最近、日本人の男性、女性ともに平均寿命が延びておりますし、未曽有の高齢化社会においてがん検診の対象者をどうするかというのはかなり大きな問題です。
 祖父江構成員が指摘されたように、高齢者になれば合併症率が増えるのではないかと思うかもしれませんけれども、実は健康な高齢者がたくさんおられまして、実際に調べてみると合併症率が増えるというデータはあまり見当たりません。なので、恐らくここに「受診を特に推奨する者について検討すること」というふうに私は読み取っています。これからの健康施策を行う上でがん検診対象者を位置づけるということは大変重要ですが、一方では高齢者に対するさまざまな健康増進プログラム等も動いておりますことから、関係法律とも整理しなければいけないのだと思います。そうすると、健康局だけではなくて、ほかとの調整も必要になろうかと思います。大変ハードルの高い話になってきます。祖父江構成員としてはもっとつけ加えるべきことを書くべきと。具体的にどんな文言でしょうか。
○祖父江構成員 ですから、科学的根拠の集積はかなり難しいということを述べた上で、次に高齢者に関してはがん検診だけでなく、いろいろな保健サービスの中で優先順位を考えて対応していく。かなり優先順位が高い、ほかの施策があるはずなので、その中で位置づけをすると、がん検診というのはそれほど高い位置づけにならないから、そのような扱いをしましょうというようなロジックのほうが受け入れられやすいのではないかと思っています。
○大内座長 対象者等については、具体的な内容について次回以降に事務局から提示していただきたいと思います。
 次に、「3 2021年度以降の対策型がん検診について」ということで、事務局のほうからいただいた内容としては、対象者等について、精度管理について、受診率向上についてということです。それから、「4 新たな検査項目の対策型がん検診への導入検討に当たっての基本的な考え方」です。
 4については多々意見があるかと思いますが、最後の5ページの一番下、「死亡率減少効果を明らかにするには長期間を要し、実用化が遅くなるという課題も指摘されている」、いわゆる代替指標、サロゲート指標についてどうするかといった議論も必要かと思いますが、書き込むことについては皆さんこれでよろしいですか。基本的にはこれを膨らませた上で、皆さんから修正案をいただければと思います。
 どうぞ。
○祖父江構成員 4ページの「(2)の精度管理について」のところでコメントをよろしいですか。
 現状と課題のところには、チェックリストのことが書かれています。それとともに、今、精度管理としてはプロセス指標を実測して、具体的には要精検率あるいはがん発見率、こういったものを実測して精度管理を行う。適切な値の範囲というものを定めて、それから外れるようなところは注意をしてくださいということでやっておりますが、実際にそのプロセス指標で機能しているのは、精検受診率を上げましょう、ここのところは恐らく機能していると思います。市町村の保健師さんも一生懸命頑張って精検受診率を上げる。上がった、よかったという感じになっていると思いますけれども、要精検率、がん発見率に関しては、余り次のアクションにつながっていないと思います。それは要精検率とがん発見率が高い、低い場合に、次に何をしたらいいのかということが余り具体的ではないからだと思います。
 さらに、それを国として集めるのが地域保健事業報告ですけれども、その様式がどんどん複雑化していって、例えば検診受診者の初回、非初回を分けろとか、かなり難題を市町村の方に吹っかけて、それを対応してもらっているのでしょうけれども、なぜ複雑化するかというと、それは対象者におけるがんの存在頻度が初回、非初回で違うから、それを分けて考えろ、あるいは年齢別に考えろということで、がん発見率が低い場合に、それをチェックすることで次の対応がとれるだろうということで恐らく詳細化しているのだと思いますけれども、そのことがかえって集計を複雑化し、プロセス指標による精度管理を阻害しているような気がします。もっと簡単な集計票というのが必要な気がします。だから、そこのところが現状と課題ですね。
 では、何ができるのかというと、今、研究班で行っている、レセプトを用いて、あるいはがん登録を用いての感度測定をもう少しタイムリーにやることで、それを精度管理に用いる。これを現場に持ち込むことで相当プロセス指標による精度管理は進むと思います。感度、特異度というのは、低ければ一次スクリーニングの性能が悪いことに直結します。そうすると、検診機関としては、検診の管理体制、実施体制に関してチェックをするということになるでしょうから、精度の改善につながればいいですし、余りにひどいところはやめていただくということもあるかもしれません。そういうわかりやすいプロセス指標による精度管理を考えたらどうかというのを、今後の方向性として書き加えていただきたいところです。
○大内座長 精検受診者数を把握して精検受診率が判るということです。精検受診率の把握はプロセス指標の最大のポイントなのですが、実は要精検率が高くてがん発見率が低ければ、陽性反応的中度が悪くなります。つまり、不利益がふえているわけですね。不利益についてしっかりと議論するためにも、やはり陽性反応的中度を上げなければいけないと思います。
 今、大変重要なことを言われましたので、私は今後の方向性の中で、「精度管理上の取組」の中にプロセス指標も含めということを挿入可能かどうか検討していただきたい。それはまた相談していただきますが、今、祖父江構成員が後半で言われました感度、特異度は大変難しいです。すぐには出せません。いろいろなアプローチの方法があるのですが、日本ではがん登録制度がまだ完全にそろっているわけではなく、今、レセプトで照合しようという動きもありますが、すぐに今使えるものはありません。プロセス指標は平成20年につくってあって、今、見直し作業もしておりますが、少なくともそれは書けると思うのです。精度管理は非常に重要な項目でありますし、それから今後、職域においてのがん検診の実態調査の中でもこの点は重要になってくると思うのですが、いかがでしょうか。
 中山構成員。
○中山構成員 チェックリストのことに重きが置かれ過ぎているというのは確かで、私はプロセス指標を評価すべきであると昔から言ってきた人間なので、それはやはりここに載せるべきだと思います。
 ただ、祖父江先生がおっしゃったように、レセプトを見てということになると、住民検診で受ける方は国保の方もいれば社保の方も混在しているので、それの技法をそのまま住民検診、対策型検診に持ってくるのは実は難しいのですが、総論として大枠ではやはりプロセス指標について今後、過去に定められた住民検診の基準値とか、あの辺もかなりもう古くはなっていますから、その辺のことも更新をしなければならない時期に来ていますから、プロセス指標のことについてはこの中にもちゃんと書き込んで、今後、検討する課題であるということは位置づけていただきたいと思います。
○大内座長 ただいまの意見、よろしいでしょうか。
 松田先生、よろしいですか。
○松田構成員 はい。結構です。
○大内座長 そのような形で事務局にお願いしてよろしいですか。
 では、女性のがん対策についての記載もございますが、もし修正等がございましたら、椎名構成員のほうから事務局のほうに意見を言っていただけますか。後ほどで結構です。
 4の新たな検査項目についてです。
○羽鳥構成員 受診率向上のところで、コール・リコールもとても大事だと思うのですけれども、コール・リコールをやっても、受ける人は受けるし、受けない人は受けない。検診に興味がある人はやるし、全く興味がない人はやらないということがあると思うので、国のマイナンバー、医療等IDを活用して、悉皆性のあるデータから呼び出すべき人をきちんと市町村で把握する、その仕組みを国として提供していくということも大事ではないか。
 もしそれが法的に問題があるのだったら、例えば特区を利用してモデル事業としてやってみるとか、そういう取り組みをしたらどうでしょうか。それでないと、いつまでたってもイギリスなどの諸外国の検診率は100%に近いけれども、日本は50%と。それはいつまでたっても抜けられないと思いますので、コール・リコールだけでは限界があるのではないかと思います。
○大内座長 今後の方向性の中に、「着実な取組を進めていくこと」とありますが、その中身ですね。コール・リコールだけではなくてという意味でしょうか。具体的な提言をされますか。
○羽鳥構成員 コール・リコールの手法は大事なことは承知していますが、マイナンバーを検診のデータに書き込むとか、あるいは医療等IDでもいいと思いますけれども、それをすることによって、どの人が受けたか受けないのかというのは市町村レベルだったら全て把握できるはずですから、受診されない人に対してはいろいろな方法でやるべきではないでしょうかということです。
○大内座長 事務局のほうから何かございますか。
○がん対策推進官 済みません。特に何か申し上げる予定はなかったのですが、どのようなやり方が実現可能か、やはりマイナンバーも使える場面が限定されておりますので、まずちょっと事務局で検討させていただきます。
○羽鳥構成員 特区でモデル的に積極的に呼び出すということがあってもいいと思います。
○大内座長 4の項目について、御質問はありますか。
 祖父江構成員、どうぞ。
○祖父江構成員 4の新たな検査項目の導入検討に当たってのところの【総論】ですけれども、現状と課題としては、死亡、罹患等のがんの頻度の変化ということと、がん検診に関する研究・開発を踏まえた検討、これはいいと思います。
 今後の方向性に「導入するに当たっての基本的な考え方について検討すること」となっていますけれども、導入に当たってはまずはガイドラインで利益・不利益バランスを考え、利益が不利益を上回るものについて推奨レベルを付すということで、それに基づいて導入するわけですけれども、それだけでなく、導入に当たっては基本的な必要な医療資源が充足されているかどうか、あるいは後で出てきますけれども、経済評価がほかの医療政策と比べてどうなのか、あるいは受診者での受け入れというか、プリファレンスといいますか、そういったものが許容されるものなのかどうか、こういうことの検討も導入に当たっては必要だと。
 それをガイドラインの中でどの程度含めていくか、誰がこの検討をするかということの切り分けですね。ここのところもちょっと考えておく必要があると思うのです。今、ガイドラインがなかなか更新されないという状況において、余り複雑な判断基準をガイドラインに持ち込むのはよくないと思っています。利益・不利益バランスについての判断をガイドラインできっちりしていただく。
 その後の医療資源の確保とか、あるいは医療経済的な評価とか、そういったものはほかのところ、特にあり方検討会の守備範囲としてそういうものを検討していくという切り分けのほうが私は円滑にいくのではないかと思います。
 ですから、「基本的な考え方について検討すること」の中に、どういう要素を検討するのか、それの検討する場はどこなのかということも踏まえて記述してもらえるとありがたいと思います。
○大内座長 では、先生の意見を検討させていただきます。
 羽鳥構成員。
○羽鳥構成員 罹患率と死亡数は異なるものがある。例えば、胃がんは罹患率は高いけれども、死亡数は膵臓がんのほうが上になってしまうかもしれない。死亡率の減少、死亡数の減少も大きな目標であるとすると、検診項目そのものを見直すということも大事なのではないかと思います。例えば対策型というと、5大がんありきで、それ以外はもう認めないような雰囲気ですけれども、そうではなくて、もう少し範囲を広げて、もうちょっとチャレンジャブルなことを日本から提案していくとか、そういう発想があってもいいのではないのかなと思います。
 例えば、膵臓がんについては画像とか腫瘍マーカーとか非常に難しいのだということは十分承知ですけれども、その一方でゲノムとかマイクロRNAとかリキッドバイオプシーとかいろいろな手法もふえていると思うので、それも頭出しというか、検討の課題にしておくというのも、ここの場では大事ではないのかなと思います。
 以上です。
○大内座長 がん検診のあり方の検討会の基本姿勢としましては、まず死亡率減少効果が認められる検査方法、あるいはがん種ということになっております。今、膵臓がんについてのご意見がありましたが、後ほど、資料4-2のほうで説明があると思いますが、国の研究事業の中にもそういった研究も入っていますので、その流れを見ながら詰めていきたいと思っております。
 ほかに御意見はありますか。時間が差し迫っておりますので、ちょっと急がせていただきます。
 5ページ、6ページに記載されておりますが、議論は尽くせないことが多々ございますので、御意見がある方におかれましては後ほど私なり事務局に申し出てください。
 7ページの「5 職域におけるがん検診について」も、先ほど井上構成員のほうから分けていいのかどうかということも含めて御意見がありました。先ほど来議論しておりますように、本検討会の置かれている立場からしますと、健康局長の諮問機関であって、その中で行われておりますことから、なかなか難しい点がありますが、ただし対象は国民全体であるということを考えた上で、この書き方についても修正を重ねたいと思っております。
 どうぞ。
○棟重構成員 職域の件で1点、皆さんと共有したいことがあるので、お話しさせていただきます。
 今回の「がん検診の指針の見直し」に、職域も対策型と同様の扱いの記載をしたいと皆さん思っているように感じるのですが、職域におけるがん検診マニュアルが1年半前にできて、我々も周知に努めていますけれども、まず保健師等の専門職に理解が広まり、ようやく一部の先駆的な健保組合がその内容を理解して、どう取り組むかを検討している状況です。
 そういう意味で、特にメリット・デメリットを周知することや、精度管理が大事であることが理解をされつつあります。実施の対象年齢や頻度についても、ようやくマニュアルとの違いが理解され始めているところです。これは今後の方向性にも書いてございますが、普及をきちんと進めていく中で、このマニュアルを参考にどういうふうに職域に展開していくか少しじっくりと見ていただくことが必要だと思います。
○大内座長 職域におけるがん検診は現在進行形という、1年半ほど前に報告書を出しておりますし、マニュアルは現場でも今使われております。ようやく光が見えてきたと思っております。
 最後のページに、「別添 新たな検査項目の対策型がん検診への導入検討に当たっての基本的な考え方について(案)」、B)の2、「そのがんによる死亡が確実に減少することが明らかである」ということがあります。これは基本だと思いますが、かといって、これからがんゲノム医療あるいは難治がんの件もございますので、ここをどうするのだということの議論は絶えないかと思います。
 最後の11に新たな検診として入ったとしても、効果が明らかでない場合は対策型検診としての中止を検討する必要性があることまで書いてありますので、もう少し議論を深めてもいいのかなと思っております。ただ、これはまだ案ですので、皆様から御意見をいただいた上で、次の修正に向けたいと思います。よろしいでしょうか。時間が残れば、また改めて議論させてください。
 続きまして、議題(3)です。「対象者のリスクに応じたがん検診のあり方について」で、資料4-2を事務局から説明願います。
○がん対策推進官 座長、済みません。事務局でございます。時間も限られてございますので、もしお許しいただけるのであれば、4-2と4-3を合わせて御説明させていただいて、ご議論の時間が足りない場合は、事務局に御意見をお寄せいただく形でお願いできればと思っております。
○大内座長 はい。どうぞよろしくお願いします。
○事務局 それでは、お手元に資料4-2を御準備ください。
 2ページをごらんください。前回の検討会の開催後の話になりますけれども、政府の関連する会議において、受診率や有効性の向上のためのリスクに応じたがん検診について検討することが検討事項となっており、今回議題として提案を申し上げました。
 真ん中ですけれども、これにつきましてこれまでの検討会で関連すると考えられる御意見としましては、検診の利益・不利益を考えるとき、不利益に関する要素としては年齢が大きく、一方、利益を考えたときには年齢以外の要素として喫煙やヘリコバクター・ピロリ感染などのリスク因子の保有の有無、これが検診の利益の大きさに影響を与えるものである。
 今後、新たな検査項目を指針に導入することを検討するに当たっては、自治体の運用可能性が確立されている必要性はあるものの、リスク因子の保有状況が変化していることも踏まえる必要がある。ただし、検査の運用方法が複雑化する可能性があることについては、現在、検査間隔を隔年として推奨しているような検査についても逐年で実施されている現状もある、などの内容をいただいていたところでございます。
 そこで、論点としまして、がん検診における「対象者のリスク」というものをどのように捉えていくことが考えられるか、また、対象者のリスクに応じたがん検診のあり方について、今後どのように検討していくとよいか、御意見をいただきたいと思います。
 3ページにガイドライン等の記載、4ページに研究事業に関する資料を参考としておつけしております。
 続いて、資料4-3を御準備いただけたらと思います。
 2ページ目をごらんください。こちらは引き続き検討が必要と考えられる課題について、事務局案として御提示するものでございます。
 精度管理に関する、いわゆる平成20年の事業評価のあり方についての報告書ですが、全体的な見直しの必要性があるのではないか。都道府県の検診等管理指導協議会、がん部会などの評価・指導に関する取り組みについて検討が必要ではないか。議論の御参考として、参考資料4に、国立がん研究センターに委託実施していただいている市区町村におけるがん検診の実施状況調査における都道府県の取り組みに関する補足調査を添付してございます。
 続いて、がん検診の費用対効果については、統一した検証方法が確立されていないことについて取り組んでいく必要があるのではないか。年代別の検診のあり方については、これまでの研究結果等を踏まえ、引き続き取り組みの検討が必要ではなないか。科学的知見の収集を今後どのように加速化させるか等を提案させていただいているところです。
 事務局案に関する内容や、そのほか検討が必要と考えられるテーマにつきまして御意見をいただけたらと思います。
 事務局からは以上です。
○大内座長 ただいま議題の(3)と(4)をまとめて、資料については説明をいただきました。
 まず、リスクに応じたがん検診のあり方についてです。いかがでしょうか。
○祖父江構成員 リスク層別化をすべき因子としてどのようなものを考えるかの際の判断基準としては、リスクを層別化する、リスクの違いの大きさが大きいものということだと思うのですけれども、どの程度大きければそれを対象とするかという判断に、やはり年齢によってどの程度違うかということを基準に考える。5歳刻み、10歳刻みでがんのリスクが何倍違うのか。それと同程度に層別化ができる因子を対象とするというのが判断基準として適切かと思います。実際にそのような、がんごとに年齢ごとのリスクの違い、それから層別化をする対象となる因子のリスク比、こういうものをリストアップしていって、リスク層別化に適した因子、そうでない因子を区別していくということが考えられます。
 具体的には、次のページに書いてある、胃がんの場合だったらピロリ菌の感染、子宮頸がんだったらHPV、肺がんですと喫煙、大腸の場合ですと内視鏡をやった後のポリープの状況とか、あるいはマンモグラフィの検査所見というのも層別化に使えるのかもしれません。
 そうしたことで考えていく層別化で、もう一つ観点がありまして、層別化をしたリスクの大きな集団というのは恐らく利益が大きいのだろうと。もとのバックグラウンドのリスクが高いわけですから、死亡減少効果が同じであれば、もとのリスク分だけ大きな効果が得られるということなのですけれども、それが正しいかどうかというと、そうでもないことがあります。
 例えば喫煙なんかですと、喫煙者は高リスクではありますけれども、喫煙者に生じてくる肺がんはより悪性度の高いものが多く、検診による効果がむしろ小さい場合があります。ですから、リスク層別化した場合に効果の大きさが本当に同じなのかということは別途検証すべきであって、高リスクのほうで効果が小さいことが見込まれるようなときには、必ずしもリスクの高い人だけを選んでやれということにはならないということももう一つ考えておくべき点だと思います。
○大内座長 貴重な御意見ですね。「対象者のリスクに応じた」とありますが、まずは層別化できるリスクの大きさですね。それと、最後にありましたように、肺がん、喫煙者の問題ですが、リスク別に見た効果の大きさは示されているのかどうかといったことも含めて検討が必要だろうということです。よろしいでしょうか。
 リスク層別化に関しまして新しいデータも出つつあるかと思いますし、この中に「現状と論点」とありますので、次回以降で必要な資料等を提出していただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○大内座長 ありがとうございます。
 では、議題(4)の「引き続き議論を要する課題(案)について」、これは今後の課題ですけれども、先ほど来議論となっていました、例えば科学的知見の収集(ガイドライン更新を含む)をどのように加速させるかということも明記されておりますし、まだ書き足りない部分も多々あるかと思いますが、まずここで御意見をいただいた上で、さらに必要な場合には事務局ないし私まで御意見をください。いかがでしょうか。どうぞ。
○祖父江構成員 ここでは事業評価の報告書のことが取り上げられていますけれども、そこにプロセス指標のことも書いていますけれども、それを実測するための仕組みとしては地域保健事業報告がある。地域保健事業報告はその後いろいろ改訂があって、より複雑化しています。そのことが適切な改訂なのかどうかということも、この中で検討していただきたいと思います。
○大内座長 この件については、具体的な事例を含めてチェックしたいと思います。よろしいでしょうか。
 お手元の参考資料4は「平成30年度市区町村におけるがん検診の実施状況調査に係る補足調査」で、各都道府県、市町村ごとのデータがまとめられております。いわゆるガイドラインに沿った検診を実施しているかいないか等々、5大がんについて詳しく調査されております。お目通しいただいて、御意見をいただければと思います。これは今後の検討の参考にしていただければと思います。
 そのほかに何か御意見のある方がおられましたらお願いいたします。
 笠原参考人。
○笠原参考人 今後の課題に関しまして、もちろん職域というところはここに入ってくると考えてよろしいでしょうか。
○大内座長 項目としてここに「職域」という言葉そのものは入っていないのですが、この事務局案では、4番目の「年代別のがん検診に関する受診のあり方」に含まれているのですか。
○事務局 私ども第3期のがん対策推進基本計画に職域は取り組むべき施策として定められておりますので、決して認識がなくてここに記載していないわけではございませんので、ここにもきちんと書いておくべきというご指摘であれば、対応させていただきたいと思います。
○大内座長 私も、職域におけるがん検診というのは、せっかく緒についたところですので、可能であれば書き加えたいと思っておりました。いかがでしょうか。
○棟重構成員 その書き方が職域として別にしていくのか、あるいは年代別や、受診率向上の一環として職域にどのように協力を求めていくのかなど、職域ありきではないと思うのです。そもそもがん検診をどう捉え、どう向上させていくのかという中での位置づけになるのではないかと思いますので、そこも含めて御検討いただきたいです。
○大内座長 どうぞ。
○羽鳥構成員 私も全く同感で、職域のがん検診の議論をしていたときも、職域のがん検診でやっていることはやはりすばらしいこともたくさんあるので、例えば精度管理とか、二重読影がちゃんとできているとか、二次検診をきちんと勧めている、その後の管理をしているとか、そういうものについては同一のものとして評価すべきだと思うので、それをここできちんとうたってあげるということがとても大事だと思いますし、逆にそういうことができていない職域検診はだめだということを言い切るぐらいのことを言ってあげたほうがいいのではないか。
 というのは、職域の場合は事業主がお金を出してやる、あるいは保険者がやるということであるので、法的なサポートがないからできないというところもあるので、ある意味で、そこは法的なサポートが将来はできるようなことも呼びかけていくべきではないかなと思います。
○大内座長 どうぞ。
○棟重構成員 むしろ職域のほうが先駆的にやっているところも多いと思います。例えば胃カメラは職域が先行してデータをためたので、対策型でも実施したという認識もしております。もちろん濃淡はありますので、そこはきちんと評価していただければと思います。
○大内座長 どうぞ。
○松田構成員 今、棟重構成員がおっしゃったように、職域検診が必ずしも全て劣っているわけではないと思います。ただ、一部精度管理に問題があったということが指摘をされているというのは事実です。
 もう一つ、職域検診と一くくりにするのはどうかと思いますが、問題点というのは受けられる人と受けられない人たちがいて、職域で受けられない人たちを、きょう椎名構成員もお話があったのですが、それを必ずしも市や町の検診でカバーできていないというところだと思います。ですから、そのあたりをしっかり受診状況を把握するという観点からすると、職域で受けているのか、何が行われているのか、市や町での検診と同じようなことが行われる体制をつくるということは極めて重要だと思います。
○大内座長 時間になりましたので、ここで議論は打ち切りたいと思います。
 今回、骨子案の議論を行ったわけですが、追加で議論が必要な点についても提案されました。次回は、これらへの対応も含めて準備を進めていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 では、本日の議論はこれまでといたします。事務局からの連絡事項をお願いいたします。
○がん対策推進官 事務局でございます。
 本日、まことにありがとうございました。時間に対して非常に多くの議題としてしまいまして申しわけございません。
 今、座長から御指摘いただいたとおり、引き続き御議論いただきたい事項もございますので、次回以降、また検討会の日程については調整をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○大内座長 では、本日の検討会をこれで終了したいと思います。構成員及び参考人の方におかれましては、まことにありがとうございました。

照会先

健康局がん・疾病対策課

代表 03-5253-1111(内線3826)