地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会(第6回) 議事録

日時

令和元年10月15日(火) 16:00~19:00

場所

TKP赤坂駅カンファレンスセンター ホール14A

出席者

構成員(敬称略・五十音順)

・朝比奈 ミカ   中核地域生活支援センターがじゅまる センター長
                          市川市生活サポートセンターそら 主任相談支援員
・池田 昌弘    NPO法人全国コミュニティライフサポートセンター 理事長
・大原 裕介    社会福祉法人ゆうゆう 理事長
・加藤 恵     社会福祉法人半田市社会福祉協議会半田市障がい者相談支援センター センター長
・助川 未枝保     船橋市三山・田喜野井地域包括支援センター センター長
・立岡 学     一般社団法人パーソナルサポートセンター 業務執行常務理事
・田中 滋     埼玉県立大学 理事長、慶應義塾大学 名誉教授
・堀田 聰子    慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科 教授
・本郷谷 健次     千葉県松戸市長
・宮本 太郎        中央大学法学部 教授


 参考人(敬称略・五十音順)

岡本 ちさと   芦屋市福祉部地域福祉課
・佐保 昌一    日本労働組合総連合会 総合政策推進局長
・細井 洋海    芦屋市 こども・健康部健康課長
・松本 道也    社会福祉法人高島市社会福祉協議会 相談支援課長
・山村 栄治郎         滋賀県高島市 社会福祉課くらし連携支援室 主任

議題

(1)論点に関する議論
(2)関係者からのヒアリング

議事


○市川地域福祉課課長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第6回「地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会」を開催いたします。
皆様におかれましては、大変お忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございます。
まず、本日の欠席についてでございます。本日、池田洋光構成員、大原構成員、奥山構成員、菊池構成員、立岡構成員、知久構成員、野澤構成員、原田構成員、宮島構成員、室田構成員からは欠席の御連絡をいただいております。それから、池田昌弘構成員につきましては、少しおくれて御到着との御連絡をいただいているところでございます。
次に、平川則男様の後任といたしまして、日本労働組合総連合会総合政策推進局長に御就任されました佐保昌一様に本日から議論に加わっていただきますので、御紹介いたします。
○佐保参考人 連合の佐保です。どうぞよろしくお願いいたします。
○市川地域福祉課課長補佐 なお、佐保様につきましては、事務手続の関係上、本日は参考人という形で御参加をいただきまして、次回以降は正式に構成員として参加をいただく予定でございます。
続きまして、本日のヒアリングを御快諾いただきました参考人の皆様を御紹介させていただきます。
まず、芦屋市こども・健康部健康課長の細井洋海参考人です。
○細井参考人 よろしくお願いいたします。
○市川地域福祉課課長補佐 芦屋市福祉部地域福祉課の岡本ちさと参考人です。
○岡本参考人 よろしくお願いいたします。
○市川地域福祉課課長補佐 高島市健康福祉部社会福祉課くらし連携支援室主任、山村栄治郎参考人です。
○山村参考人 よろしくお願いします。
○市川地域福祉課課長補佐 社会福祉法人高島市社会福祉協議会、相談支援課長の松本道也参考人です。
○松本参考人 よろしくお願いします。
○市川地域福祉課課長補佐 続きまして、資料の確認でございます。
本日の資料は、机上に配付させていただいております。全部で6点ございます。それから、資料組みには入れておりませんけれども、追加で資料がございますので、順に紹介をさせていただきます。
上から順に、議事次第。
座席表を挟みまして、資料1「新たな事業の枠組みについて」。
資料2-1「兵庫県芦屋市提出資料」。
資料2-2「滋賀県高島市提出資料」。
参考資料1「構成員配付資料」。
参考資料2「本検討会構成員名簿」をつけさせていただいております。
また、別に置かせていただいておりますけれども、急遽御欠席の立岡構成員からも提出資料がございましたので、配付をさせていただいております。
それでは、ここからの議事運営については、宮本座長にお願いしたいと存じます。
カメラの方々は、これで御退室いただきますようお願いいたします。
○宮本座長 それでは、議事に入らせていただきます。
皆さん、お忙しい中、また、このたびの台風のもたらした甚大な被害、被災者への対応に追われる方々も多い中、お集まりいただき、まことにありがとうございます。おかげさまでまとまりました中間とりまとめでございますけれども、各方面からいろいろなコメントをいただいて、この検討会での議論が大変注目されているということを改めて強く感じた次第でございます。検討会の後半、いよいよ最終とりまとめに向けて議論を積み上げていくことになりますが、何とぞ引き続き、よろしくお願いしたいと思います。
まず、本日は、前半の1時間をかけて「新たな事業の枠組みについて」として、これまでの議論を踏まえつつ、これからどういう制度になっていくのかという枠組みを論点ごとに御議論いただくということになると思います。それから、後半に関しましては、先ほど御紹介があったとおり参考人の方々に御出席いただいておりますので、それぞれの方々から最大15分程度のプレゼンテーションをいただいて、その後、皆様と30分程度をかけてそれぞれのプレゼンテーションについての質疑応答を行っていきたいと思います。
それでは、議事(1)の「新たな事業の枠組みについて」ですけれども、事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。
○吉田生活困窮者自立支援室長 室長の吉田でございます。よろしくお願いいたします。
資料1「新たな事業の枠組みについて」をごらんください。先生からもおっしゃっていただきましたとおり、7月19日に中間とりまとめをさせていただきました。それを踏まえまして、新たな事業の枠組みということで、事業の全体像を整理する資料を事務局提出資料として出させていただいておりますので、御説明をさせていただきます。
1ページ目でございます。「新たな包括的な支援の機能等について」ということで、おまとめいただいた中間とりまとめ、図で言いますと左下の①断らない相談支援、右下の②参加支援、③地域やコミュニティにおけるケア・支え合う関係性の育成支援、この3つの事業を一体的に実施するということで、そういう事業を創設していくことを考えております。
2つ目の◆ですけれども、本事業全体の理念につきましては、アウトリーチを含む早期の支援、包括的に受けとめる支援、本人を中心とし、本人の力を引き出す支援、継続的な支援、地域とのつながりや関係性づくりを行う支援ということで、中間とりまとめでいただいた内容を理念として反映させていきたいと思っております。
1枚おめくりいただいて2ページ目をごらんください。枠組みについて、より詳細に論じております。1つ目の矢印は今申し上げたところで、3つの事業を一体的に実施する新たな事業を創設していくというところです。2つ目の矢印ですけれども、新たな事業は実施を希望する市町村の手挙げに基づく任意事業ということを考えております。3つ目、費用の関係ですが、新たな事業の実施に要する費用に係る市町村の支弁の規定及び国等による補助の規定を新設していきたいと考えております。4つ目ですけれども、そのような規定を設けることを通じまして、新たな事業に係る一本の補助要綱で申請いただき、制度別に設けられた各種支援の一体的な実施を促進していきたいと考えております。
2ページ目の下の四角ですけれども、市町村が取り組みを進めるに当たって留意すべき点ということで、市町村の包括的支援体制に取り組む上での留意点を整理させていただいています。1つ目ですけれども、地域住民のニーズや資源の状況に合わせて、域内における包括的支援体制の整備方針を検討するということ。2つ目ですけれども、特に、地域やコミュニティにおけるケア・支え合う関係性の育成支援につきましては、既存の地域のつながりであるとか関係性を十分理解した上で、地域住民の主体性を中心に置いて活動を応援することを基本としていただきたいということ。3つ目でございますが、一度整備した体制につきましても、関係者間で振り返りや議論を行うことで、柔軟に見直し、試行錯誤しながら改善していくというようなことを整理させていただいております。
3ページ目以降、3つの機能と申し上げていますが、それぞれについて整理をさせていただいています。3ページ目、4ページ目につきましては、第1の機能「断らない相談支援」でございます。
「1.機能」ですけれども、断らない相談支援を行う体制を構築するために、属性ごとに制度化されている相談支援事業を一体的に行う事業として再編するということで、括弧内に想定しておる事業を書かせていただいております。それぞれの事業の詳細については14ページにもその事業の内容を少し書かせていただいていますので、後ほどごらんいただければと思います。
3ページ目、続けますが、2つ目の◆です。断らない相談支援の事業の要素は大きく3つということで、下線を引かせていただいていますが、1つ目として、属性にかかわらず、地域のさまざまな相談を受けとめ、みずから対応または関係機関につなぐ機能。2つ目は、支援関係者間を調整する多機関協働の中核の機能。3つ目につきましては、個別制度につなぎにくい課題等に関しまして、継続的につながり続ける伴走支援を中心的に行う機能。こういうものを断らない相談支援の大きく3つの要素としたいと考えております。特に、2つ目と3つ目の機能につきましては強化をしていくことが必要だということを考えておりまして、新たな事業における財政支援の対象としていきたいと考えております。
4ページ目でございます。具体的な事業スキームでございますが、基本的には、この相談支援体制、地方自治体の実情に応じて柔軟に設計可能ということを考えておりますが、要件として挙げておりますア、イ、ウの3つを満たしていただきたいと考えております。アにつきましては、介護、障害、子供、困窮の相談支援に係る事業を一体的に実施すること。イにつきましては、先ほど申し上げた前ページの①から③までの機能を有すること。ウにつきましては、住民の視点、住民の相談しやすさというような観点から、市町村内に最低1カ所、断らない相談支援を行う場を明示することを整理しております。
「3.財政支援」でございますが、今、申し上げてきたような要件が備えられていることを前提に、必要な経費を一括で交付していくことを検討しております。
5ページ目でございます。ここからは「参加支援」でございます。
「1.事業の必要性と内容」ですが、これは中間とりまとめ、ここでも何度も御議論いただいていますが、相談支援という「入り口」が機能するためには、本人や世帯と社会とのつながりの確保や参加を支援し、継続的なかかわりの接点を確保する、その参加支援の機能が必要であります。参加支援の具体的な内容につきましては、社会参加・就労支援、居住支援など多岐にわたるというところで、3つ目の◆です。断らない相談と一体で実施される多様な参加支援の機能が必要だということで整理をさせていただいております。
6ページ目でございます。事業スキームでございますが、参加シーンについては、個別性が高くて、かつ対象者の属性ごとにさまざまなメニューが準備されている状況にございます。相談支援において、本人や世帯の課題が明らかとなる場合も多いと考えておりまして、属性ごとに準備されている支援メニューへつなぐことで足りるため、属性ごとの既存補助金等の一体的交付は行わないというところで、断らない相談のところは一体的交付ということを念頭に置いていますが、こちらは既存補助金等の一体的交付は行わないということでどうかという整理をさせていただいています。
2つ目の◆ですが、一方で、参加支援のニーズに関して、既存制度では利用できる資源が存在しないはざまのニーズ、具体的には8050世帯の50代のお子さんであるとか、長期のひきこもり状態にある方などが想定されますが、これらに対応する参加支援の機能を新たに整備することが必要ではないかと考えております。
3つ目で具体的にはと書いておりますが、生活困窮者自立支援制度における任意事業のメニューを念頭に、はざまのニーズにも対応できるものとして新たな事業の一部として規定する方向で検討していきたいと考えております。具体的に任意事業は、掲げております4つの事業でございます。この4つの事業については、15ページにも詳細を記載させていただいてますので、後ほどごらんいただければと思います。
7ページ目、3つ目の機能「地域やコミュニティにおけるケア・支え合う関係性の育成支援」の部分でございます。
「1.事業の必要性と内容」でございますが、包括的支援を行うためには、地域において多様な経路でつながり、参加することのできる環境整備が必要であるということ。
2つ目におきましては、地域でのつながりというのは、住民同士の継続的なかかわり合いを生み、地域のセーフティネットとして機能する。また、そういう関係性の中で何らかの役割を果たして、自身の自己肯定感、自尊心を育むことにつながっていくと考えております。
3つ目の◆ですが、その結果、社会的孤立の発生・深刻化を防ぐというようなこともございますし、多様な参加の機会を生み出すことを通じて、地域コミュニティそのものを支えることにもつながるということで、個人と地域の間での好循環を生み出すことができるのではないかと考えております。
5つ目、最後の◆ですけれども、そういう観点から新たな事業として、ケア・支え合う関係性を広げ、交流や参加の機会を生み出すコーディネート機能と、住民同士が出会い参加することのできる場や居場所の確保、この2つを内容とする事業を実施していくことが必要ではないかと考えております。
8ページ目でございます。今、申し上げたコーディネートの機能と居場所の確保の機能それぞれについて、より詳細に整理しております。コーディネート機能のほうですが、大きく2つに分かれます。「ア 個別の活動や人のコーディネート」ということで、ここにつきましては、既存の活動や日常の支え合いの把握、それを活性化させていくような機能とか、住民の方々のやりたいという思いを軸とした新たな地域活動の創出。地域の人と人、人と居場所や参加の機会を取り持つ役割。こういうものがコーディネート機能としてあるでしょうということ。「イ 地域のプラットフォーム」として、今申し上げたコーディネート機能と一体となって、いろいろな方が集い、相談、協議し、学び合う場ということを考えております。具体的には、地域を知っている住民の方でありますとか、多様な参加の機会、居場所を生み出す資源を有する地域関係者、幅広い関係者を想定しております。あと、行政というところで、そういう方々が相談、協議、学び合う場というのがあるのではないかと思っています。こういうアとイが密接に関係しながら、地域をエンパワメントしていくということが考えられるのではないかと思っております。
9ページ目でございます。住民同士が出会い、参加することのできる場や居場所の確保についてでございますが、多様な居場所や参加の場につきましては、3つの観点で整理させていただいています。制度や属性、国籍を超えたかかわりを通じ、幼少期からの地域への意識と暮らしや文化、価値観の多様性を認め合う意識を育むということ。また、「支える」「支えられる」という関係性を超えて、役割、参加の機会、地域での助け合いを生み出すということ。3つ目につきましては、住民と医療職など専門職が協働することを通じて、福祉の実践を展開し、包摂的な地域文化を醸成するというようなこと。こういう機能が中間とりまとめなどを御議論いただいたことから導き出されるかなと思っております。
そういうことを踏まえまして、10ページでございますが、財政支援につきましては、必要な経費について、①、②の機能について、一括して交付することを検討してはどうかということで整理させていただいています。
2つ目の◆で、既存制度として一括交付の対象とする事業について、それぞれ各分野の事業を書かせていただいています。これについては、16ページにその資料をつけさせていただきますので、後ほどごらんください。
こういう3つの機能につきまして、整理を進めていくということで考えておりますが、全体図を整理したイメージ図として11ページ「新たな事業について(イメージ)」ということで、3つの機能が連関をして事業が展開されるというような絵姿を少し整理させていただいています。
12ページですけれども、「新たな事業と既存事業の関係」というところで、特に、断らない相談と③の地域やコミュニティにおけるケア・支え合う関係性の育成支援については、一括的な交付をしていくということを想定していますので、そのような前提での整理をさせていただいています。断らない相談については、特に多機関連携強化や専門職による伴走支援というのが新しい機能だというような整理をさせていただいています。
一方、参加支援につきましては、申し上げましたとおり、生活困窮者自立支援制度の任意事業を念頭に、すき間のないような形、はざまを埋めるような形での参加支援の充実を図っていくというような整理ができるのではないかと考えております。
13ページ目ですけれども、今、申し上げているような一括交付に対して各制度から財源を拠出していただくわけですけれども、その際の基本的な考え方を、粗くですが、整理をさせていただいています。1つ目の○ですけれども、市町村が地域住民のニーズや資源の状況に合わせ、柔軟かつ円滑に支援を提供できる仕組みとするということ。2つ目の○については、市町村の包括的な支援体制の中で、属性を超えた支援というものを可能にしていきたいというようなところでございます。それに関して国の財政支援は、高齢、障害、子供、困窮等、各制度における関連事業に係る補助について一体的な執行ができる仕組みを検討していきたいというところです。
3つ目の○でございます。一方で、それぞれ各制度で基準額や補助率、現状では異なっているということがございます。そのために、事業費の積み上げでありますとか配分方法については、より詳細に検討する必要があるであろうということ。その際、既存制度からの拠出については、一定のルールに基づく機械的な方法により按分をしていくということが必要ではないかと思っております。
4つ目の○は、中間とりまとめのときでもお示しさせていただいていましたが、義務的経費というような形で整理をされている困窮の補助金などがございます。シーリングの観点なども踏まえまして、引き続き、義務的経費として整理できるように検討していくというようなところを書かせていただいております。
14、15、16ページについては、今、申し上げてきました対象事業について、詳細を整理させていただいていますので、後ほどごらんいただければと思います。
17ページ、18ページに、本日議論いただきたい点を改めて整理させていただいています。四角の中は基本的考え方で、今申し上げてきたことの繰り返しになりますが、整理をさせていただいています。事業としては3つの機能を持ったものを創設していくということ。2つ目の◆は、理念について書かせていただいています。3つ目は、整備方針を市町村がしっかりと検討していただくというようなことを書いてございます。
こういう前提を踏まえまして、論点を3つほど挙げさせていただいています。論点①でございますが、本資料において提示している「断らない相談支援」「参加支援」「地域やコミュニティにおけるケア・支え合う関係性の育成支援」それぞれの機能案について、どのように考えるか。欠けている観点はないか。特に、包括的支援体制を構築するために、以下の機能等についてどのように考えるかということで、「断らない相談支援」「参加支援」「地域やコミュニティにおけるケア・支え合う関係性の育成支援」について、それぞれ機能等について挙げさせていただいているところです。
18ページでございます。論点②でございますが、本資料において提示している新たな事業に対する財政支援案、具体的には13ページなどでも大まかに整理をさせていただいていますが、それについてどのように考えるかというところです。
論点③でございます。新たな事業を実施する市町村において、包括的支援体制の構築を進める中で、法定事業と密接な関係を有する支援体制の確保を求めることについて、どのように考えるかということで、隣接する領域の観点で例として、権利擁護の充実のためということで、成年後見制度利用促進基本計画に基づく中核機関の整備を行うといったこととか、住まいの困難を抱える住民の方に対して、住宅の確保・マッチングなどの支援を行うことができるよう、居住支援協議会の設立・参画を行うということで、居住の観点のようなところで、このような隣接、密接する関係のものについてどう考えるかというところについて御議論をいただければと思っております。
事務局からは以上でございます。
○宮本座長 御説明ありがとうございました。
それでは、今、事務局から御提示のあった論点の①、②、③について、意見交換をしていきたいと思いますけれども、事務局のほうから、意見交換に入るに当たって何か補足等はございますでしょうか。
○吉田生活困窮者自立支援室長 1点補足をさせてください。参考資料1でございます。本日御欠席の立岡構成員と知久構成員から、今、説明をさせていただいた論点につきまして、御意見をいただいておるところです。構成員提出資料として参考1で添付しておりますので、意見交換の際にあわせて御参照いただければと思います。
以上でございます。
○宮本座長 それでは、意見交換に入りたいと思います。きょうは御意見がある方は、特に端から順番にということではなくて、挙手で御意見ある旨をお示しいただければと思いますが、いかがでしょうか。
朝比奈構成員、お願いをします。
○朝比奈構成員 朝比奈です。
1点質問と、2点は意見で申し上げたいと思います。質問の1点目は、2ページ目の「新たな事業の枠組み」というところですが、新たな事業は実施を希望する市町村の手挙げに基づく任意事業であると書かれています。後半のところでは、市町村はきちんと包括的な支援体制の推進の方針を持ってくださいというふうに書かれているのですけれども、この書きぶりというか、基本的には位置づけ、考え方ですね。任意にしているという、ここのあたり、段階を追って全体化していくことを目指しているのか。今回、任意とした意図を教えていただきたいというのが質問です。
2点は具体的な意見なのですけれども、今回、まず1点、18ページ目に論点③で居住支援協議会や権利擁護の体制づくりの点について例示がされていますが、中間とりまとめに至る検討会でも申し上げましたが、身寄りのない人たちの問題ということについて、きちんと正面切って取り上げていただきたいと思っております。市町村を中心とした体制づくりが進んでいったときに、立岡構成員の御意見の中にもありましたが、例えば刑余者の方々の問題、それから、居所を転々とする若年の人たちの問題、このあたりは子供の虐待等の問題でも取り上げられてきているところですが、こうした人たちに地域での暮らし、どこの地域に住みたいかということについてはその方の自由意志になるわけですけれども、一定程度とどまった地域の中で、どうやってそこで暮らしていくという意識やアイデンティティーを持っていただくかということは、1点、つながりにかかっているのかなと思っています。
もちろん居場所などの情緒的なつながりも当然必要になってくるのですが、そこで住まいを得るですとか、安定的な仕事をしていく、リスクに陥るときに確実にセーフティネットにつながっていくという意味で、何らか身寄りにかわる手だてが必要だと思っておりまして、それが公的な保障制度なりになっていくのではないかと思っているところです。ここをきちんと位置づけておく。特に若年者の方につきましては、職業からも排除されているというような実態などもありますし、社会的養護のその後の若者たちについても、公的な保障制度についてのつながりは限定的にしか用意されていないという実態がありますので、そのあたりをぜひ取り上げていただきたいということが1点です。
それから、先ほども居所を転々とする人ということについて申し上げましたが、相談支援体制でもそうなのですけれども、支え合うコミュニティづくりの観点からも、都道府県に一定の役割が必要なのではないかと思っています。コミュニティというのは1つの市町村の域を超えて広域に広がるという、そうした発想も必要で、市町村だけのコミュニティへの関与ということではなくて、もう少し広域のコミュニティづくりや関与という発想も必要なのではないかと思っておりますので、これまで述べてきたような相談支援体制づくりについての都道府県の関与、それから、コミュニティの形成についての都道府県の関与ということについても一定検討が必要だと思います。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。
まず最初に、事務局への質問が出されました。その後、2点御意見がありましたけれども、もちろんこの御意見の中身についても、もし何かコメントがあれば、それを含めて事務局のほうからよろしくお願いします。
○吉田生活困窮者自立支援室長 ありがとうございます。
1点目、2ページ目の記載の市町村の手挙げに基づく任意事業の部分でございますが、心としては、今、モデル事業なども取り組んでいただいているところです。今の実施状況を見ますと、200自治体を超える自治体が取り組んでいただいていて、地域の実情に応じて非常に熱心に取り組んでいただいているところです。そういうものを踏まえますと、そういう自治体さんが手を挙げていただくということも念頭に置きながら事業を進めていくのが一番いいのかなと思っております。具体的には、市町村の体制をちゃんとつくっていただく事業だというふうに位置づけておりますので、一定の時間がかかるというようなところもあるかと思っております。
具体的には、市町村が取り組みを進めるに当たっての留意すべき点というところも書かせていただいていますが、地域住民のニーズや資源の状況をしっかりと把握していくというような事業を実施する前提もありますし、また、モデル事業などでも実践例が出てきていますが、一度整備した後でも事業を展開する上で課題が出てくれば体制を見直していく、そういう試行錯誤が要る事業だと考えておりますので、そういうことも考えると、今、モデル事業の素地がありつつ、かつ熱心に取り組んでいただいている自治体を主に念頭に手を挙げていただくというような事業の整理が一番スムーズかなと思って、こういう整理をさせていただいているところです。
○宮本座長 朝比奈構成員、よろしいでしょうか。
それにかかわってですけれども、任意事業としてしばらく経験を重ねた後に、さらに全国的に制度化していく見通し等についてもお持ちだということでよろしいでしょうか。
○吉田生活困窮者自立支援室長 この検討自体が、人口減少が進んでいく中、少子高齢化が進んでいく中、特に労働力人口とかも減る中で、2040年を射程に地域の支え合い、地域共生社会を実現していかないといけないというところで御議論いただいているという前提かなと思います。事業を展開する中でどれくらいの数が上がってくるかというところにもよりますが、体制が整った自治体にはしっかりと事業に取り組んでいただけるようなことは、我々としてもお願いをしていきたいなと思っております。
○宮本座長 ありがとうございました。
2点目、3点目、特に御意見の件について、何かもしおありでしたら。
○吉田生活困窮者自立支援室長 ありがとうございます。
都道府県の役割というような固まりで、次回、7回目で御議論させていただきたいと思っております。その中でも、今言っていただいたような相談支援の局面での都道府県の役割でありますとか、地域づくりの部分での都道府県の役割というところ、どこまで整理できるかわかりませんが、その中で御指摘も踏まえて整理をさせていただいて、また御議論いただくという形でお願いしたいと思っております。
○宮本座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
では、佐保参考人、お願いをいたします。
○佐保参考人 私のほうから何点か述べさせていただきたいと思います。
まず、スライド1に書いております本事業全体の理念というところ、アウトリーチを含む早期の支援、本人・世帯を包括的に受けとめる支援、本人を中心とし、本人の力を引き出す支援、信頼関係を基盤とした継続的な支援、地域とのつながりや関係性づくりを行う支援であるという事業全体の理念については賛成をさせていただきたいと思います。その上で、財政支援について3点ほど、それから、断らない相談支援について1点ほど意見を述べさせていただきたいと思います。
最初に、国による財政支援というのは、地域の多様なニーズに合わせて分野、属性横断的に一体的、柔軟的に活用できること。また、煩雑な事務処理を行うことなく支援を提供できることというのが非常に重要なことだと考えておりますが、経費の性格の維持など、国による財政保障のあり方についても十分配慮することが必要ではないかと考えております。
それから、スライド13「各制度から財源を拠出する際の基本的な考え方(案)」についてでございますが、3つ目の○に書いてあります「その際」というところから、既存の制度からの拠出については、一定のルールに基づく機械的な方法による案分としてはどうかという部分についてでございます。客観的かつ機械的手法による案分が行われるよう、過去の事業実績等の一定のルールに基づき算出することが重要だと考えております。
それから、スライド16、財政支援等の状況について一覧表になっておりますが、この中の介護の部分で一般介護予防事業が挙げられております。これについて、社会保険という制度の枠の外に何らかの財源を出していくということにもつながっていくので、どのように制度的な整合性をもって進めていくのか、慎重な検討が必要ではないかと考えております。日本に暮らす全ての人々がこれらの新たな枠組みを理解する上で、大変重要なポイントとなるのではないかと考えております。
最後に、断らない相談支援について意見を述べさせていただきますが、介護の関係で地域包括支援センターについては、高齢者いきいき安心センターや高齢者あんしんセンターといった、地域によってさまざまな名称で呼ばれていることがあります。地域によって名称が異なることで認知度が高まらない一因となるほか、地元のところに若い方が家族の介護のこととかで相談したときに、うちには地域包括支援センターはありませんという回答が返ってきたりといったことも生じていると聞いております。断らない相談支援ということで、この名称については統一をするということで、こだわるべきだと考えております。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。
財政支援について3点、それから、断らない相談支援の浸透という観点からの名称についての問題。これは事務局のほうから、財政支援の問題、特に3点目の介護予防等との関連について、もし何かコメントがあればお願いします。
○吉田生活困窮者自立支援室長 ありがとうございます。
財政支援のところ、経費の性格というところで財政保障のあり方は、我々としても十分留意していかないといけないと思っておりますので、関係者としっかりと調整をして、財政支援が後退することがないように、しっかりとしていきたいと思っております。
13ページで、機械的な方法による案分のことにつきまして、過去の事業費というようなことで挙げていただいております。過去の事業費で按分をする方法、人口比で案分する方法、いろいろな形があるかなと思っております。今まさしく検討しておりますので、御意見いただいた部分も参考にしながら考えていきたいと思っております。
16ページ、一般介護予防事業のお話をいただきました。この部分につきましては、おっしゃっていただいたとおり、保険料も入る部分になりますので、どの部分にどういう経費が当たっているのかということもしっかりと明確になるような制度設計が必要かと思っております。財政支援の部分ともここは絡みますので、案分の方法なども含めて、しっかりと整理をしていきたいと考えております。
○宮本座長 ありがとうございました。
名称の問題については、恐らく今後もいろいろ議論になるかと思います。市町村の創意工夫、独自性を生かしつつ、この制度についての理解が浸透するような名称のあり方についても議論を重ねていきたいと思っております。
ほかにいかがでしょうか。
では、目が合いました、池田構成員にお願いいたします。
○池田(昌)構成員 まず1つは6ページ、最後のところなのですが、参加支援ということです。以前の委員会でもお話ししましたが、緊急で一時生活支援をするという中で、福祉の救急機能というのでしょうか。そのようなことを今、取り組んでいる中で言うと、一番下の生活困窮者自立支援制度の任意事業というところにも当てはまるのだと思うのですが、一時生活支援事業は、一時的な住まいの保障というのもあるのですが、緊急的に断らない相談支援をするためには受け入れなければならないというようなことが必要になってくるのではないかということで言うと、一時生活支援事業の中で捉えるのか、あるいは新たに緊急に受け入れるような取り組みをどこかに表記していく必要があるのではないかと思っています。
これは繰り返しになりますが、前回もお話ししましたが、断らない相談支援に併設して緊急一時の生活支援の場所をつくるのか。児童相談所の一時保護所のように置くのか、それとも相談機関とは別途に緊急一時の受け入れのような機能を持つところを置くのかということの議論もあると思いますが、相談員の近くに居場所をつくると、やはりどうしても相談員の枠の中で生活するということになるのだけれども、ちょっと離れたところに緊急一時生活支援の居場所づくりのようなものも必要になってくるのではないかと思って、この辺のことをどのように第2の機能の中に位置づけられるのだろうかと思っています。
7ページ、8ページ、9ページのどこに位置づけたらいいのかを迷いますが、第3の機能の地域づくりのところなのですけれども、細かいことですが、言葉として、気にかけ合うような関係づくりをしていくということをもう少し書き込んだほうがいいのかなと思っています。これは地域で排除しないとか孤立させないということや、役割を持つということも大切なのですけれども、一方で、支え合う関係は、嫌いな人とは支え合っていないという現実を考えていくと、やはり自分を気にかけてくれる人、自分が気にかける人の気にかけ合うような関係づくりを表記しておくことの必要性があるのではないかと思っています。
3つ目ですが、8ページの地域のプラットフォームというところなのですけれども、これは介護保険の生活支援体制整備事業で言うと協議体に当たるものではないかと思います。このプラットフォームというのは、ここの中では幾つつくることかが見えないのですけれども、プラットフォームの意味は、多分、共有をしていく。ここにも書いてありますが、相談して、協議して、学び合う、共有のような場であると考えていくと、多様なものが1つではなくて地域にたくさんあるということ、あるいは既存の協議の場も生かしていくというようなこともここでイメージできるようなことが必要になるのではないかと思っています。
次に4つ目、9ページの②の「以下のような」というところに、幼少期からということが書かれているのですが、少し時間軸を意識するような支援のあり方も考えておく必要があるのだろうなと思います。先ほどの御説明で2040年ということが出てきましたが、きょう生まれた子が2040年は21歳ということになるわけですし、その後、2060年になれば41歳になっていくということで、きょう生まれた子は40年後に支援する側にあり、その後、また支援をされる側になっていくということで言うと、子供たちが支え合うような意識を子供のころから高めていくことの醸成を少し意識していくようなことをイメージできる表記も必要なのかなと思いました。
最後に、これはイメージ図ということではあるのですけれども、11ページの下の図の参加支援のところですが、居住支援と居場所、就労支援とありますが、就労だけではなくて活躍できるような、役割を持って暮らせるような支援も、この図の中にもう少し幅広く読めるような形のものが、ほかの上の丸で書いてある多機関協働とか地域づくりのコーディネートをする機能などでもイメージできるものが必要になってくるのではないかと思いました。
ちょっと細かいことですが、以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。
一時生活支援等の緊急の受け皿の問題、気にかけ合う関係性の問題、プラットフォームの問題、時間軸の問題、さらには11ページの図の就労支援のところの描き方、幅の広げ方の問題、5点について御意見がありました。もし、いずれかについて室長のほうからコメントがおありでしたら、お願いします。
○吉田生活困窮者自立支援室長 ありがとうございます。
1点目、緊急的な受け入れについては検討会でも何度も御意見いただいています。我々も重要だと思っております。この一時生活の中で整理をしていくのか、断らない相談と密接にかかわるものだとして整理していくのかというのは、さらに検討が必要ですけれども、そういう機能というか緊急的な受け入れを、自治体の負担感ということも勘案しながらということだと思いますが、なるべく設けていかないといけないのではないかと考えています。
あと、8ページの地域のプラットフォームについて少し触れていただきました。おっしゃっていただいたとおりで、我々としても多様な形がプラットフォームにはあるかなと思っています。かちっとした会議体ということでは必ずしもなくて、ここにも書かせていただいていますが、その都度相談、協議し、学び合う場ということで柔軟に取り組みを進めていただいて、また、コーディネート機能を応援する場というような整理ができるのではないかと考えているところです。
一方で、既存の協議の場も制度的にたくさん用意されているところですので、そういうものの有効活用をうまく自治体の中で整理していただくということは、これもまた重要かなと思っておりまして、これについては、これも次回、7回目のところでまとめて整理をさせていただいて、御議論いただければなと思っております。
11ページの図で、就労支援のところで役割を持って活躍するというようなことも入れてはどうかということでいただきました。これは思いは全く同じで、必ずしも一般就労だけを指しているわけではなくて、いろいろな形での社会参加、また、役割を持って活躍するということも極めて重要だと思っております。図のあらわし方としてなかなか難しい部分があるので、どこまでできるかわかりませんが、少し検討したいと思っております。
以上でございます。
○宮本座長 ありがとうございました。
地域のプラットフォームに関しては、田中構成員もいらっしゃるところですけれども、やはり介護保険制度の協議体等との重なり合いというのも非常に重要になってくるのかなと思います。
では、堀田構成員、田中構成員からお願いいたします。
○田中構成員 同じ慶應仲間の年寄りを立ててくれました。
論点①で、欠けている観点はないかについて、一言だけ申し上げます。
断らない相談支援は大変結構ですが、相談に来ない人がいるのですね。先ほどの8050の例えば親の世帯が比較的豊かだと、50の困っている子供を抱えて相談しないで、自分たちだけで困っているような場合もあります。ひきこもりもそうですね。それから、児童を抱えていて、家庭内で問題があっても相談に行かないという場合もあります。つまり、断らない相談支援は大変結構ですが、自治体は地域課題を見つける能力も持っていないと、相談に来なかったから対象にならないおそれがあります。現にそういう事件が結構発生したりしています。
進んだ自治体では、地区担当の職員を置いて、その職員が地元の町内会長とか自治会長のところを回って、何かないだろうかと調べたりする例も聞いています。そういう意味では、断らない相談支援プラス地域の課題の発見という機能も持っていないと抜け落ちが生じるのではないかと考えます。
○宮本座長 ありがとうございます。
特にこの地域共生社会が対象とするのは、地域の人たちが持っている非常に複合的な困難で、みんなそれに対応する制度も窓口もないと思っているから、黙り込んでしまうという傾向が確かにあるわけでございまして、田中構成員がおっしゃるとおり、まさにこの制度が対応しようとしている困難の性格からして、そのあたりはどのようにそうした問題に制度を届かせていくのかということ、大事な論点であると思います。
事務局、何かこの点はございますか。
○吉田生活困窮者自立支援室長 ありがとうございます。
おっしゃっていただいている問題は大変重要な視点で、我々も重視をしていかないといけないところだと思っております。
1つ糸口になるのが、7ページとかに書かせていただきました第3の機能「地域やコミュニティにおけるケア・支え合う関係性の育成支援」ということで、ふだんの住民の方の気づきをいかに自治体がしっかりと受けとめて、御支援をしていくかというようなところだと思います。その中では地域づくり、地域でのつながりをちゃんとつくっていくということが大前提かなと思っておりまして、そういうことがここでも書かせていただいています、地域のセーフティネットとして機能していくというようなことも言えるかなと思っておりまして、そういう地域づくりを進めていくことが、少し時間がかかるかもしれませんが、地域住民の気づき、たくさんいろいろな気づきが起こるような仕掛けを自治体の中で、住民の方々とよく相談していただいて、考えていく。それを応援していくような仕組みを国としてちゃんと整備していくべきではないかと考えております。
○宮本座長 続きまして、堀田構成員、お願いいたします。
○堀田構成員 ありがとうございます。3点申し上げたいと思います。
1点目は断らない相談についてなのですけれども、先ほどの朝比奈構成員の御意見と立岡構成員の6番にも関連するかと思うのですが、この断らない相談が、まずは住民票の有無にかかわらず受けとめるということを明記いただけないかなと思います。
また、断らない平時の相談ということに加えて、直接関係することになるかどうかわからないのですけれども、今回のような災害があったときの対応などについても同じ精神でそれを進めていくことができないかということも検討いただけないかなと思います。
2点目ですけれども、8ページの第3の機能に関連してなのですが、ここに書かれているコーディネート機能というのが、アとイをあわせますと、ケースワークとコミュニティワークをいかに組み合わせて展開していくかということになり、かつ、狭い意味での福祉の領域を超えてということになるのだと思います。
先ほど座長もおっしゃったように、既存の介護保険で定められたような協議体のみならず、いろいろな場があるはずですが、しかし、それでも新たにこのプラットフォームということを描いていくときに、何たらコーディネーターというのはいっぱいいらっしゃるわけですけれども、改めてここで強化すべき、あるいは発揮が期待されるコーディネート機能とか、それが果たし得るコンピテンシーは何なのかということを明確にしていく必要が改めて高いなと、中間報告に至るまでも大分議論があったと思うのですけれども、感じさせられました。
とりわけここで書かれている第3の機能というのは、第1、第2の機能とも一体的に展開されるからこそ意味があると期待されているところでもあって、もう少しこれは深掘りをして、かつ、そのコーディネートの機能なりプラットフォームのあり方が、ここでも柔軟に見直されるということがどこかに書かれたと思うのですけれども、各地の取り組みが学び合われるといったようなこと、一旦研修をしたらそれで終わりということではないような、生きた学び合いというのが地域を越えても行われるような仕組みも必要ではないかと思いました。
最後ですが、3点目、9ページの第3の機能の②住民同士が出会い参加することのできる場や居場所の確保の1つ目のポチです。ここに書かれていることが地域への意識、コミットメントということと、世代とか属性、国籍、性的嗜好とかさまざまな多様性を認め合うという意識は、必ずしも地域へのコミットメントが高まったから多様性を認め合うということにはならないと思いますし、逆にこういった広い意味での多様性を認め合うということであれば、地域の中でそれが育まれるというだけではない、市町村範囲を超えたようなつながりの中からこういった多様性を認め合う意識が育まれるということもあり得ると思いますので、地域への意識という1つ目のポチは、少し分けていただいたほうがいいのではないかということと、先ほども都道府県のということがありましたけれども、必ずしも多様性を認め合う意識ということについては、市町村という範囲にとどまらない、あるいは学校教育とか広く社会教育、企業の中でのダイバーシティマネジメントみたいな考え方とも連動した推進ということが期待されるなと思いました。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。
3点をいただきました。恐らく①の論点と③の論点は深くかかわっているのかなと思いながらお聞きしていた次第でございます。地域共生社会というのは閉じたものではない。閉じたものであってはいけないということだと思います。
それから、2点目の問題です。これもそのとおりでございまして、もう地域にはたくさん協議会があり、たくさんのコーディネーターがいる。また1つ協議会ができ、コーディネーターが生まれて終わったと、地域の仕事、自治体の仕事はふえたということで進んではいけないのであって、まさにそこから新しい次元を開いていく施策でなければいけないということなのだろうと思います。
事務局のほうで、もし今の3点にわたって何かございましたらお伺いいたします。
○吉田生活困窮者自立支援室長 ありがとうございます。
断らない相談支援の部分で、住民票の有無とか災害対応のところについてはしっかりと我々としても検討をしていきます。災害対応の部分については、やはり日ごろからの結びつきというようなところが災害時にも生きてくるということですので、断らない相談、この全体の事業が災害対応にもつながっていくというようなことでフィットするものなのかなと思っておりますので、頭の整理をしっかりと進めていきたいと思います。
2点目です。コーディネート機能のところ、アとイに分けさせていただいて、8ページで書かせていただいているところについては、もちろんおっしゃっていただいているとおり、既存の協議体とかコーディネーターはたくさんいらっしゃって、活躍していらっしゃる方も多いところです。そういう方々の実践をちゃんと学んでいかないといけないということに加えて、今回、少しあるかなと思っているのは、資料にも書いていますが、アとイが相互に密接に関係しながら地域の活動を高めるということで、コーディネーターとプラットフォームがうまくリンクをしていくというところはより重要かなと思っております。実践例を見てみますと、コーディネーターが頑張っているけれども、応援する人があまりいないとか、協議する場はできているけれども、コーディネーターがうまくそこにかんでいないとか、そのようなケースも聞いたりしますので、そういうところをより連携、連関を強めていくというところが一つあるのかなと我々としては考えています。
3点目の9ページの幼少期からの地域への意識というところについては、ちょっと書き方が十分ではないところがあるかもしれませんので、少し振り返って考えてみたいと思います。
○宮本座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
加藤構成員、お願いします。
○加藤構成員 私も断らない相談支援のところで意見を述べたいなと思っています。
先ほどの田中構成員からもあったように、断らない相談窓口に来ない人ほど困難だということがすごく多いと思っています。そういった意味合いでは、断らない相談につながる前にある、学びを受けた住民の人々をどれだけふやしていって、そこからの気づきをどうやって断らない相談支援につなげていけるのかといった仕組みが必要なのと、もう一つは、今回、生活困窮の社会的孤立というところも含めた困窮なのだけれども、社会的孤立みたいなところまで含んだといったところの市町村が少なかったり、生活支援コーディネーターのゼロヒャクと言いつつも、高齢者の周辺のゼロヒャクにとどまってしまったりということも含めて、だからこそ今回の包括的支援が、はざまのとか、複合型課題のとか、世帯支援のというところにより重きを置いてやる、断らない相談支援の必要性があるのかなと思っています。
決してそれぞれの範囲がやれていないということではなくて、それぞれの範囲の人たちはやれているのだけれども、そこで見つかったはざまの、もしくは複合型のといったところになったときに、一緒に支援してくれる相手として断らない相談支援みたいなパートナーシップの組み方をしていかないと、断らない相談支援のところに何でもかんでも来てしまうということの怖さも一つあるなと思いながら、そういう意味で言うと、住民を入り口とした手の組み方と、それぞれの専門職が持っているところとの手の組み方みたいなところを考えていく必要性があるのかなとすごく思いました。
もう一つは、立岡さんが書いてくださっているものにおいてもそうなのですけれども、断らない相談支援の伴走的支援はすごく大事だと思うし、絶対にやっていかなければいけないことだと思うのですけれども、伴走支援をずっとやり続けると膨らみ続けるというところが1つ課題としてあると思うのです。立岡さんも言ってみえますけれども、どこの辺をゴールとするのかというところなのですが、一つは属性が定まって支援につながった場合には、そこにバトンを渡していくということだったり、もう一つは社会の中で居場所が見つかったという時点でバトンを渡していくということだったり、そのバトンを渡すというところの継続的支援の必要性を定めていかないと、伴走支援なり断らない相談支援がバーンアウトするなと思うので、入り口の整理とバトンを渡すときの整理はすごく必要なのかなと感じました。
○宮本座長 ありがとうございました。
1点目のつなぎ方、断らない相談支援とのパートナーシップの問題、それから、2点目の伴走型支援のゴールの設定の仕方の問題ですね。これについても、もし室長のほうでコメントがありましたら、お願いをします。
○吉田生活困窮者自立支援室長 ありがとうございます。
断らない相談支援については、市でいろいろな窓口もありまして、それぞれ手を挙げていただく自治体においては、もちろん看板も掲げていただくことは重要だと思っていますが、既存の窓口がそれぞれ断らない相談支援というような気持ちを持って、今もやっていただいていると思いますが、そういうことで受けとめていただくことが第一に重要かなと思っています。
その上で、やはり看板を掲げたところに相談が集まるのではないかという御懸念もあると思います。その中では、これもモデル事業の実践例とかでも出てきていますが、市町村全体で体制を組み立てていくことが極めて重要かなと思っていて、一つの窓口、一つの個人にその仕事が行くような形ではなくて、チームで、市全体で窓口を支えていくというような体制がより重要になってくるのかなと思っております。そういうことを、きょう十分に書き込めていないかもしれませんが、しっかりとメッセージとして出していくことが必要なのかなと思っております。それが1点目。
2点目の伴走的支援に関してですけれども、伴走的支援は極めて重要で、専門職の方々がやっていただく部分と、少しバトンを渡すということとつながってくると思いますが、地域の中で伴走していただくという、ここの検討会でもそういう議論が出ていたと思いますが、大きく分けると2つの機能があるのかなと思っています。その概念整理もちゃんとしないといけないと思いますし、その受け渡し方ですね。支援につながったケースとか、居場所ができたケースとか、いろいろあると思います。そういうものは、どこまで整理できるかわかりませんが、ここも7回目の資料の中で少し触れる必要があるかなと現時点では思っておりまして、伴走支援というものがどういうものかということですね。そういうところも含めて整理をさせていただいて、さらに御議論いただくというのが我々としてはありがたいかなと思っております。
○宮本座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
本郷谷構成員、お願いします。
○本郷谷構成員 1点だけ、意見だけ述べさせていただきます。
福祉の問題ということで、体制をいろいろ整備して検討、つくっていくわけですけれども、福祉の問題というのは福祉関係者だけ、あるいは福祉の体制整備だけではうまくいかないと思っています。福祉の体制整備とともに、先ほどあった地域づくりというものがセーフティネットとして大変重要な役割を果たすと思います。したがって、我々としては、この2つをどのようにつくっていくのか。そしてまた、地域づくりの中に福祉をどう組み込んで一体的にしていくのかというのが大変重要な課題だと思っています。
○宮本座長 そのあたり、いろいろと先駆的な取り組みを重ねられている市長さんとしての御経験を踏まえて、どういうふうにボールを投げると福祉の領域に閉じこもらない制度として生かされていくのか、もしアイデア等がございましたら、お聞かせ願えますでしょうか。
○本郷谷構成員 今、我々としては、福祉体制をつくっていくことを一生懸命やっているわけですけれども、それと並行してやっているのは、市民全員を巻き込むような体制をどうやってつくり上げていくか。日常的に助け合う仕組みをどうつくっていくか。これを並行してやっていく必要があるなと。
地域で今、自治会・町内会だとか、組織率7割といった大変大きな組織がありますし、そういう組織をベースに、、どうやって一体として組み込んでいくか、それぞれを育てながら一体にするというのが大変重要かなと思っています。
自治会・町内会もいろいろな課題があって、そう簡単にいかないのですけれども、別の組織をつくり上げていくことはもっと難しい問題なので、自治会・町内会を中心にして組み込むというのが、今、我々としての大きな課題だと考えて推進しています。
○宮本座長 ありがとうございました。
では、最後になりますが、助川構成員、お願いいたします。
○助川構成員 2点あります。
介護の分野で今回、台風15号で千葉県はかなり大きな被害が出たのですけれども、きょう研修をしてから来たときにケアマネジャーがやって来まして、今回の15号のときの停電の期間は短かったけれども、やはり安否確認に回ったということで報告に来ました。私がそのとき考えたのは、介護の分野でケアマネジャーが個別対応しているというのは安否確認の一番基本的なところで、ケアマネジャーはいろいろ言われますけれども、非常に大事な部分かなと思っています。
そういうことで、新しい社会資源もすごく重要なのですけれども、既存の社会資源をいかに地域の中で生かしていくのかというところの観点も必要だなと思っているところです。
2つ目は、地域包括支援センターで仕事をしていますと、やはり早目に対応を必要とする形で相談に来ることがふえてきました。ちょっと気になるのだけれどもという地域住民の声が入ってくるようになりました。これは先ほど佐保参考人がおっしゃったように、名称が包括支援センターとか、あんしんケアセンターとか、いろいろな名称になると、何をしてくれるところかがわかりにくいというのは、まさしくそういうことで、実は私たちが3年前に始めたときに、もっと周知しなさいと、自治会の役員からすごく怒られたのですね。もっと何をしてくれるところなのか周知しなさいと。そうするとちゃんと相談に来られるよと言われまして、できるだけアウトリーチを含めて出前相談をやってきたのですけれども、やっとその成果が実ってきて、ちょっと気になる人がいるのだけれども、というようなところから情報が入ってくるようになりましたので、今後は地域づくりというのが、今、皆様方がおっしゃっているように早目の地域のまちづくりと一体化した相談活動になってくればいいのかなと考えているところです。
ケアマネジャーの個別対応の役割と地域包括支援センターのまちづくりの役割というところが今回すごくクローズアップされましたので、報告させていただきます。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。
それでは、一通り御議論いただいたところで、40分ほど時間も経過いたしましたので、2回目の御発言がある方がもしいらっしゃらないようであれば、前半の討議はひとまずここまでとさせていただきます。
終盤にももう一回、皆さんのプレゼンテーションを受けた後にまた議論をする時間を設けたいと思いますので、ここで一旦休憩を挟ませていただきたいと思います。5時15分をめどに再開させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 
(休 憩)
 
○宮本座長 それでは、議事を再開させていただきたいと思います。
冒頭申し上げたとおり、きょうの後半部分は参考人の方からプレゼンテーションを受けて、質疑応答を進めていきたいと思います。
それでは、事務局のほうから、きょう御参加いただいた参考人の方の御紹介をお願いできますでしょうか。
○市川地域福祉課課長補佐 それでは、本日ヒアリングさせていただきます参考人の方々、御氏名は冒頭で御紹介させていただきましたので、本日ヒアリングをお願いさせていただいた趣旨を簡単に御説明させていただきたいと思っております。
まず、芦屋市様の取り組みでございますけれども、芦屋市におかれましては、平成29年度からモデル事業を実施いただいております。それ以前から、市として相談支援の包括化に取り組まれていると伺っております。その取り組みについて、担当課長として保健師の専門性を生かした仕組みづくりに取り組まれてきた細井様、それから、現在、連携を担当する地域福祉課で保健師として相談支援の実務に当たられている岡本様から、本日、お取り組みを御報告いただきたいと思っております。
続いて、高島市様でございますけれども、地域生活つむぎあいプロジェクトと称しました地域共生社会の実現に向けた取り組みを地域における多様な関係者とともに進められていると伺っております。あわせまして、市の社会福祉協議会がプラットフォームとしての機能を発揮しているということでございまして、社会福祉法人の場を活用した学習支援事業の展開ですとか緊急物資支援の実施など、こういったところの取り組みにつきまして、それぞれの強みを生かした地域共生社会の推進ということで、きょうはお話をいただきたいと考えてございます。
以上でございます。
○宮本座長 ありがとうございました。
以上のような趣旨に沿って参考人の方からの話を伺っていきたいと思います。
それでは、初めに、芦屋市の細井洋海参考人、岡本ちさと参考人、よろしくお願いをいたします。
○細井参考人 よろしくお願いいたします。芦屋市の細井と申します。このたびはこのような貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。
できる限り、今後展開されるであろう断らない相談支援、参加支援、地域やコミュニティにおけるケア・支え合う関係性の育成支援というところに照らしてお話をさせていただきたいと思っております。
それでは、1ページ目を開いてください。芦屋市は,人口10万人に満たない小さな市でございます。高齢化率は兵庫県の平均より高く、要介護認定率は兵庫県とほぼ同じでございます。注目すべきは面積かと思います。大変狭い市域でございます。東西で言いますと3キロございません。 次に3ページ目になりますが、包括的支援体制の基盤整備の経過ということで御紹介をさせていただきます。
後に御説明をさせていただきますが、芦屋市は平成12年度の介護保険制度ができた時の在宅介護支援センターの職員を中心に、地域の課題は地域で解決するという仕組みをつくってまいりました。当時から高齢者虐待ということについては地域も、また、在宅介護支援センターの職員も認識をしておりましたが、平成17年、18年と年度を経過するにつれて、顕著になってきておりました。それは在宅介護支援センターの職員がアンケート等を関係者等にとる中でわかってきたことであり,特に、平成18年度には高齢者虐待防止法が施行されましたことから3つの問題が地域からも、また、行政内からも上がってきたことが包括的支援体制整備の端緒となったということでございます。特に、③の多問題複合支援ニーズを抱えた世帯の支援体制強化といいますのは、先ほど来、問題になっております8050問題のことを指しています。。高齢者の支援につきましては、当時の地域包括支援センターの職員が主となって支援ができるのですが、50代、40代の娘さんや息子さん、また、その方の背景に疾病、特に精神疾患等が疑われる状況の方たちについて、コミュニケーションが非常にとりづらいというような特徴が見られました。
私はその当時、高齢者福祉部門におりまして、そのときに養護者支援ということが地域包括支援センターの職員や行政内でも大変問題になっておりました。つまり、養護者支援といいますと、障害者でもない、子どもでもない、高齢者でもないということで、行政の窓口がどこも責任を持って面談しない、相談対応しない、ひいてはたらい回しになってしまうというような現象が起きておりまして、地域包括支援センターの職員が高齢者の支援も行い、また、養護者の支援も行うということで、利益相反関係になるような、つまり、地域包括支援センターの職員が支援の板挟みになって、結果的に疲弊が起きて退職するというような事象が少なくありませんでした。
次に、4ページ目をごらんください。そこで、見えてまいりましたのが、先ほど言った複合的な問題を抱える世帯における養護者支援の問題でした。養護者の方に見える背景として、多重債務を抱えてその方による経済的虐待、また、先ほど申し上げましたように障害なのか病気なのか判断がつきにくい、いわゆる養護者の方によるネグレクトというような状態が起きておりまして、地域包括支援センターの職員が、高齢者の支援もしながらこの方の支援もするということについては、かなり負担がかかっておりました。 このような世帯に対応していくために何が問題になっていたかというと、先ほどバトンタッチの話がありましたが、地域包括支援センターの職員が引き継ぐ先がないまま支援を継続していたということがございます。また、多重債務等を抱えますと法的な措置が必要になってくると思いますが、司法の職員の方に何を相談していいかわからないというような課題もありました。また、繰り返しになりますが、いわゆる制度のはざまにある事案。行政がどこも責任を持って対応しないということもございましたので、そのときに行政に制度横断的な支援体制の確立が求められておりまして、「法的な支援」と「制度の狭間支援」の2つの問題が喫緊の課題となっておりました。
本市におきましては、平成22年度にそういった状況を解決していくために、1つは保健福祉センター内に総合相談窓口を設置し、また、その同じ年度に権利擁護支援センターを設置しました。説明がおくれましたが、本日、参考資料としまして保健福祉センターのパンフレットご用意しておりますが,この中に総合相談窓口を設置しております。また、同じフロアに権利擁護支援センターも設置しました。
そのことから、できる限り養護者支援も含めて権利擁護の視点からも相談ができるような体制を整え、1年おくれでありましたが、市役所内では福祉部地域福祉課にトータルサポート担当と申しまして、保健師だけで構成した組織を設置いたしました。 トータルサポート担当は,、養護者支援を主に行政内でかかわることができるという意味合いで設置をいたしました。当初、トータルサポート担当ができたときに最初に入ってきた相談は,ごみ屋敷の問題でございました。ごみ屋敷の問題については、それぞれの担当の職員がごみを廃棄する支援ができたとしても、その世帯の根本的な問題に着手することができず、支援が長引き、また、その世帯との関係性が悪くなるということが長らく続いておりました。
私たち保健師に求められたことは、その世帯の家族員のアセスメントでありました。その世帯の家族員それぞれ、家族員の数だけ課題を抱えているということが明らかになりましたので、私たちは、その家族員の方の窓口になり,ごみの片づけについては、環境課や道路課の職員が対応するとルールを作りました。
先ほど議論になっていた「断らない相談」という視点ですがトータルサポートに全ての相談が入ってきましたが,当時,心がけておりましたのは、徹底的な役割分担でございました。それは,保健師は近隣からのごみの苦情は受けず,あくまでその世帯の窓口となって、世帯の理解者であり続けるということを環境課や道路課の職員に説明しました。。近隣の苦情については環境課、道路課の職員が受けていただくようにしまして、当該世帯との対立構図を生まないように心がけました。そのことで,保健師が問題を抱え込むということはなかったと思います。
また、その後、こういった仕組みをマニュアル化していくために、生活困窮者自立支援制度の法施行の前に市役所内の様々な窓口に来られた方で,ご相談を受けても制度に乗らない,、つまり、制度のはざまにある事案について、どのように対応したらいいかということについて、保健師が中心となりまして、「窓口対応・相談支援ガイドライン」を作成しました。現在も窓口職場についてはそれを活用して、窓口で対応した職員が「おやっ」と思ったり,「この世帯大丈夫かな。」と思ったりした方がいらしたときに、税の窓口や保険の窓口、市民課の窓口等から福祉部の保健師に相談が来るようなシステムをつくりました。
それまでは、芦屋市独自のトータルサポート担当の法的な根拠がない組織化だったのですが、生活困窮者自立支援制度ができたということで、社会的に孤立しそうな、孤立しがちな世帯に対する支援が根拠を持ってできるようになったということが私たちのモチベーションにもなりました。
また、本市の地域福祉課は他市違っていまして、地域福祉課に保健師の課長がいますが、その課長が介護保険の地域支援事業も所管しております。これは,、入り口部分は生活困窮者自立支援制度で相談を受けましたら、出口部分で居場所を整えていく仕組みをつくるということにも取り組んでいました。
平成30年度に、私は現在の部署に異動しましたが、保健師である地域共生推進担当課長現在,高齢者福祉部分も一部、また、地域福祉の部分で生活困窮者自立支援制度や権利擁護支援として成年後見制度等も所管しています。
次をめくっていただきましたら、先ほど紹介しました芦屋市保健福祉センターを平成22年度に設置しまして、次のページ、権利擁護支援センターも同年に設置をいたしました。 本市としては、養護者支援を契機にして、制度横断的にはざま支援もできるようになりましたし、権利擁護支援センターがあることで養護者支援についても,司法の関係者や福祉の関係者も入って、また、地域でもそういった方を支えていただくような仕組みをつくってまいりました。
7ページ目をごらんください。繰り返しになりますが、トータルサポート機能は,現在はその係をトータルサポートということではなく、地域福祉係ということで所掌は「トータルサポートに関すること」としております。設置当初は保健師が5名でありましたが、現在は保健師7名ということで、隣におります岡本が専任のうちの1人で、もう1人が地域共生推進担当課長となりまして、ほかの5名は兼務となっております。この兼務は、障害福祉課に1名、高齢介護課に3名、特定保健指導や特定健診を担う国民健康保険の部署に1人配置しております。保健師はその専門性を生かして、現在も活動中でございます。
ここで専門性と言いますのは、住民を生活者として捉えるということでございます。行政内においては,住民といいますと、納税者でありましたり、サービスの利用者ということで、枠にはめるということをしがちですが、私たち保健師はあくまでその方を生活者として捉えますので、生活といいますと、生活の営みの中で教育や子育て、ごみの問題もありますし、税や環境、いろいろな要素について課題を抱える方たちの窓口となって、現在も活動を展開しております。
8ページ目が現在のトータルサポートを担う保健師の配置状況でございます。兼務といたしましたのは、兼務とすることで、その兼務先の事務の所掌や、また、予算、事業に対して、発言できることができますので,兼務配置にいたしました。兼務配置にしたことで、横断的な取組がしやすくなりました。
次に、9ページ目をごらんください。人の配置だけでは組織は醸成されていかないということで、私たちがその当時、幾つかのツールをつくりまして、それを窓口の対応ができる部署に配布いたしました。1つは、Maybe-Sheet、これは虐待の相談シートでございます。また、Feedback-Sheet、これは虐待の相談シートを上げていただきましたら、上げていただいた部署に、結果どうなったか、個人情報に抵触しない範囲でお返しするという仕組みでございます。3番目のJoint-Sheetは、生活困窮者自立支援制度ができるときにつくりまして、各窓口に来られた際に、「この人は滞納だけの問題じゃないな。」、「この方が就労できない原因が何かあるのではないかな。」と気づいた職員が、このシートを活用して保健師につないでいただくような仕組みをつくりました。
Joint-Sheetをつくるために、本市においては,横断的なプロジェクトチームを組織化できる既存の仕組みがございましたので、その仕組みを活用してガイドラインを作成いたしました。
10ページ目がMaybe-SheetとJoint-Sheetでございます。このツールを使った具体的な支援については岡本が報告いたします。
○岡本参考人 では、かわって報告させていただきます。
トータルサポートの活動実績について、11ページ目に記載をしております。ごらんいただきますと、高齢者の数が最も多くなっており、これは虐待の対応マニュアルにおいて、虐待事例かどうかを判定するコアメンバー会議への保健師の参加が位置づけられているためです。それを除きますと、制度外が最も多い対応となっています。こちらは生活困窮者自立支援法の施行以降は、主に生活困窮の担当者とともに対応しており、障害の疑いのある方や、成人されていますが困窮されていて適切な医療につながっていない方への訪問、また、高齢、障害、その他制度外の方の複合課題を抱える世帯に対して、一緒に支援をしているというような状況です。
次のページをごらんいただきまして、具体的な事例を紹介いたします。
1つ目は、保険課から高齢介護課につながった事例です。保険課の窓口において、御高齢の方と息子さんの2人が保険証の再発行等の手続で窓口に来られました。その際に、保険課の職員が、御高齢の方はどうやら入浴をされていなさそうだということを感じまして、また、息子さんが、書類等の記載がスムーズにできない高齢者にどなっている様子を見て、これは何だか様子がおかしいということで高齢介護課につないでいただいています。高齢介護課におります保健師が事務職の職員とともにこの事例のアセスメントを行いまして、最終的には虐待における支援につながり、後見人の活用や、養護者についても介護・金銭管理の負担軽減につながって、生活の質の向上につながったというケースでした。
次のページをごらんください。2つ目の事例は、市民課から地域福祉課につながった事例です。こちらは夫婦と子供の世帯で、窓口に来られていたのは奥さんでした。離婚の手続に来られていたのですけれども、配偶者の精神状況について、少し鬱病が疑われることや、ひきこもり傾向があるということで、離婚後にその旦那さんが心配だという御相談を市民課でされました。市民課の職員は、市民課では対応ができないけれども、このまま帰しては心配だということで、地域福祉課の保健師に相談をつないでくれました。すぐに保健師が市民課の窓口に伺いまして、本人のお話を聞き、アセスメントをし、結果、配偶者にセルフネグレクトとなる危機があるということで介入をし、ごらんのような対応につながっています。
次のページをごらんください。今までは庁内の取り組みについて御紹介をしておりましたが、ここからは専門機関の連携による包括的支援体制の整備について御紹介いたします。
パンフレットをお配りしております保健福祉センター内に総合相談窓口というものをセンター設置時から設置していましたが、平成27年度の生活困窮者自立支援法の施行を受けまして、その総合相談窓口のワンストップ機能を拡充・強化し、その窓口で自立相談支援事業を担うこととしています。
その総合相談窓口を中心とし、各専門相談窓口や市役所各窓口、社会福祉協議会等と専門職の連携を実施しています。具体的には、総合相談窓口連絡会といいまして、毎月1回、左側に記載しております専門相談窓口を中心に集まりまして、総合相談で受けとめるはざまの課題等について共有や、浮き彫りとなった課題の対応について検討をしております。
次のページをごらんください。こちらは生活困窮者支援の実績となっております。自立相談支援事業の相談者数はごらんのとおりとなっておりますが、ここで特に注目していただきたいのが相談経路です。市役所からの紹介が42%となっておりまして、最も多くなっております。こちらは、法施行前に作成したガイドライン等の普及の取り組みにより、市からのつなぎが最も多くなっています。
○細井参考人 続きまして、参加支援という視点で報告させていただきたいと思います。
17ページ目に「地域における包括的支援体制の整備~地域発信型ネットワーク,地域力強化推進事業における取組~」ということで書かせていただいておりますが、地域発信型ネットワークについては、平成12年度から、地域の課題を地域で解決するということで、当時、在宅介護支援センターの職員が原形となるものをつくって、現在もこれを進めております。小学校区を単位としたブロック会議に始まりまして、中学校区、市全体で検討する地域ケアシステム検討委員会、また、その上に地域福祉推進協議会を置きまして、地域課題を吸い上げ、市全体で共有して、取組が進めば、政策展開までということを考えております。
次のページをおめくりください。地域においてもさまざまな団体が横断的に連携をとりまして、これは一例ですが、認知症サポーター養成講座を冬の寒い時期でしたが、小学校の講堂を借りまして、自治会や老人会、福祉委員会、社会福祉協議会、地域包括支援センター、芦屋市においては地域包括支援センターのことを「高齢者生活支援センター」と呼んでおります。地域の中でそれぞれが役割分担をしながら、たくさんの市民の方の参加を得て、認知症サポーター養成講座を開き、皆さんに認知症サポーターになっていただきました。現在も様々な地域で実施しています。
次に,平成29年度から、「地域力強化推進事業」のモデル事業を実施し,、併せて本市はこれまでの行政改革ではなく新たな未来志向型の行政改革を実施し,これまでの職員の給与をカットするとか人も減らすとかだけでなくさまざまな機会を捉えて多様な主体がつながりまして、創発型の行政改革が始まりました。
この機会を活かして地域福祉をさらに推進するという取り組みを実施しました。
先ほど、生活困窮者自立支援制度ができるときに横断的なプロジェクトチームを組織化したと申し上げましたが、ここでもその仕組みを生かしまして、「全世代交流プロジェクト・チーム」を組織化いたしました。
○岡本参考人 そのプロジェクトチームの具体的な取り組みについて、次のページから御紹介いたします。
まず初めに、社会福祉法の改正の中にあります「地域住民等」という中に、地域住民のみならず、市内や近くの地域で活動する企業・団体にも着目をいたしまして、その企業・団体がどのような活動や、地域活動についてどのような思いを持っておられるかをインタビューするというところから取り組みを開始しました。
お手元に配付しております薄い黄色の報告書をお開きいただきますと、内容やインタビュー先を記載しております。インタビューを行うことで、企業・団体の方々が本来の業務以外に積極的に地域づくりにつながる取り組みを進めていることがわかり、そこで企業・団体に一堂に集まっていただく「こえる場!」という場の設定を行いました。その「こえる場!」を設定したことで、企業・団体がその場で出会い、つながることにつながりまして、報告書に記載しておりますような具体的な取り組みに広がっていっております。
配付資料の次のページをごらんください。そのような「こえる場!」の取り組みを通じまして、参加者、職員アンケートに基づきました成果をまとめております。1つ目は、多様な主体との関係性の構築につながったこと。2つ目は、地域づくりにつながる取り組みの推進につながったこと。3つ目は、芦屋市が目指すべき未来の共有。なかなか企業・団体さんに芦屋市の考えていることをお伝えする機会はこれまでなかったのですけれども、そうやって集まっていただいた中で共有することで、企業・団体の方もも何か芦屋市と一緒に取り組みをしていきたいというふうに思ってくださいました。そして最後に、芦屋市職員の人材育成ということで、企業・団体から行政は「受け身」というのが率直なイメージだったけれども、それが完全に変わってきているというお声をいただいています。
さらに、次のページで、こちらは30年度の「こえる場!」の取り組みを記載しております。30年度は企業・団体さんから取り組みたい関心のあるテーマを御提案いただき、5つのグループを構成し、取り組みを進めました。詳細につきましては、もう一枚お配りしておりますピンク色の報告書に記載がございますので、後ほどごらんいただければと思います。
その次のページですが、30年度の取り組みを通じまして、5つのグループでそれぞれ具体的な活動を進める中で、1,000人を超えるネットワークを構築しながら、多様なアイデアや資源を生かした取り組みを行うことにつながっています。
最後になりますけれども、芦屋市の地域福祉の取り組みということで、これまで紹介をしてきましたが、1つは行政力。こちらは地域福祉の推進を担う行政の力。Bが地域の福祉力。地域が多様性を受け入れ、活動をつくり出し、地域のありようを構想していく力。Cが福祉の地域力といたしまして、専門職や行政の中に求められる地域に入り込み、地域の流儀に沿った、地域を生かす力ということで、芦屋市ではこの3つの力に整理をして、地域福祉を土台に取り組みを進めていっております。そういった取り組みが結果的に地域共生社会の実現へとつながっていくものと考え、取り組みを進めています。
○細井参考人 最後になりましたが、25ページ目の、これは国からお示しいただきました地域共生社会の実現に向けた包括的支援体制の図でございます。今まで御説明申し上げました中には、高齢者や障害のある方、生活困窮者支援、課題の複合化、制度のはざま、ごみ屋敷のことについては触れさせていただきましたが、現在課題と思っておりますのは、やはり子ども・子育て家庭との連携が十分ではないということを感じております。特に、芦屋市につきましては、地域子育て支援拠点が未設置でありますので今後、設置が実現いたしましたら、この図に示されているような地域共生社会の実現に向けて取り組んでいきたいと思います。私たちもまだ試行錯誤をしながら、また、つくったシステムは常に見直しを行い、ブラッシュアップしていきたいと思っております。
長くなりましたが、芦屋市からの報告は以上となります。ありがとうございました。
○宮本座長 大変触発的なお話をどうもありがとうございました。現行制度の中でここまで総合相談を実現され、また、参加支援も行われていることに深く印象づけられた次第です。同時に、兼任兼務など現行の縦割り制度との整合性を図る上でも大変御苦労されているのだなということがわかりましたし、また、生活困窮者自立支援制度を大きなステップとして活用いただいているということもよくわかりました。
恐らく構成員の方々、いろいろ質問されたいところがたくさん出てきていると思いますけれども、後でまとめて時間をとりたいと思います。
と言いつつ、座長特権で1つだけ。細井参考人、岡本参考人、どちらでも構いませんが、地域共生社会の議論に特に期待されていること、あるいは懸念されていることなどがありましたら、簡単にお話しいただけるでしょうか。
○細井参考人 地域共生社会という言葉で、先ほど岡本も説明しましたが、「こえる場!」というフィールドを持っています。この経験により、やはり行政の求心力はすごいなと思っております。企業の方が行政とかかわることのメリットは、行政と連携することで市民の信用、信頼が高くなるとおっしゃいました。しかしながら、行政であるから超えられない枠がどうしてもございまして、ですから「こえる場!」というネーミングで、みんなで超えていこう。何を超えるかはそれぞれの企業努力であったり、我々行政の努力でもあったりしますが、「地域共生社会の概念」を踏まえて超えるきっかけになればと期待しております。
○宮本座長 ありがとうございました。
次に、高島市の山村参考人、松本参考人のほうからお話をお願いいたします。
○山村参考人 失礼します。滋賀県高島市の社会福祉課くらし連携支援室の山村と申します。私のほうからは「高島市における地域共生の推進」というところで、サブタイトルにございます「官民協働による関係機関ネットワークの構築と参加と共同による開発的取り組みの実践」ということで御報告させていただきます。
本日は、高島市社協の松本課長とともに御報告をさせていただきます。本当にこのような場にお時間をいただきまして、ありがとうございます。ちょっと早口になりますが、御説明させてもらいたいと思います。
資料の右下にスライド番号を振ってありますので、そちらを御参考ください。
まず2ページに進んでいただきまして、高島市の概要でございます。先ほどの芦屋市さんとはまるで違いまして、人口が4万8669人、面積が693.0平方キロメートルで、実際のところ、東京23区の広さに、東京ドーム定員いっぱいにならないぐらいの人口が住んでいるというところで、非常に人口密度が低い地域でございます。また、交通の便の関係で、滋賀県内でも特に人口減少が進んでいるところでございまして、高齢化率も34.15%で、さらに減少が見込まれているところでございます。
3ページに進んでいただきまして、地域共生に向けた高島市地域福祉計画と関係計画でございます。これはどちらも同じように、総合計画の下位計画ということで、地域福祉計画を定めて、今、3期目を迎えております。その下に各分野計画がついているのですけれども、これとは別に民間の計画としまして、後ほどまた申しますが、住民福祉活動計画というものを6地域で作成いただいております。地域の住民によってつくられた計画でございます。これを推進していくということで、高島市社協さんが地域福祉推進計画というものを立てて、この3計画を連動しながら、それぞれに参画しながら計画を立ててビジョンを進めていっているところでございます。
4ページに進んでいただきまして、「地域」の捉え方でございます。高島市は3層、市域を1層としまして、中学校区が2層でございます。先ほど概要にもありましたが、平成17年に6町村が合併してつくられてきているという経過がございますので、2層につきましては、中学校区というところが根強く残っているところです。3層は区・自治会というところに置いておりますが、これから人口減少が進むに当たって、小学校区などの必要性も考えていく必要があろうかと考えているところでございます。
5ページにお進みください。高島市における地域共生社会づくりの基盤でございます。圏域ごとのお話になります。まず市域につきましては、生活困窮者自立支援関連事業につきまして、高島市社会福祉協議会さんに業務委託という形にしているのですけれども、ここを単に委託とするのではなく、共同事務局ということで、官民協働で自立相談支援機関を運営しているというところがございます。こちらについてはまた詳しく説明いたします。
もう一つ、生活支援体制整備事業につきましても第2層です。もともと中学校区の地域ごとに関しまして、高島市社協さんが、これも業務委託を受けておりますが、こちらも定例会を持つなどして官民協働で進めているところで、今、3人のコーディネーターを置いていただいていますが、これも増員して6地域に置くという計画が進んでおります。また、1層のほうは、地域づくりの団体さんとして市民協働交流センターというところがあります。こちらと連動しながら進めているという現状でございます。
この2事業を始める以前から、先ほどの2層、中学校区につきまして、それぞれにコミュニティワーカーを置きまして、高島市社協さんのほうに地域福祉活動支援の補助金という形で社会福祉課のほうから経済的な援助をさせていただいております。このコミュニティワーカーさんがそれぞれの地域で保健師さんだとか地域学校協働活動推進員、各分野の支援機関、民生委員・児童委員などと連携をしながら、地域福祉を推進してきたという経過がございます。
次にお進みいただきまして、次は2層、3層のところの取り組みです。6地区の中学校区、2層に住民福祉協議会という団体がございます。これは地域の団体の役職を集めたものではなくて、自主的にお集まりいただいた意欲ある住民さんによっての団体でございます。こちらの機能として、社会福祉協議会さんが事務局機能を担いまして、住民主体による住民福祉活動を推進してきているという経過がございます。
また、204あります区・自治会ごとにも、福祉推進委員会というものがありまして、こちらは社協さんのほうから委員長を委嘱していただいております。また、これと一体であったり別だったりするのですが、見守りネットワーク活動というのを各区、およそ半数の区・自治会で取り組みをされて、住民みずから訪問なり居場所なりという形で見守りをされているという経過がございます。こちらに対して社協さんが活動費助成だとか人的な補助をされているところでございます。
もう一つ、社会福祉法人さんが市内にございますが、こちらの参画によって運営している福祉施設協議会というものがございます。こちらも後ほどまた説明があると思いますが、事務局機能を社協さんが務めていただきまして、公益的取り組みを市内全域として促進していただいているという経緯がございます。
次にお進みいただきたいと思います。7ページです。各分野がいろいろな圏域ごともそうですが、それぞれにコーディネートがあり、プラットフォームがつくられつつあるところです。今回の地域共生の中で多様な機関が官民協働であり、さらに多様な主体がつむぎ合うという形で包括的な支援体制をつくる核として、私ども社会福祉課くらし連携支援室と地域包括支援課、また、市民協働交流センターと社会福祉協議会さんが核となって、プラットフォームのコーディネートをしているというように考えていただくといいかなと思っております。
この事業としまして、スライドの8ページ、地域生活つむぎあいプロジェクトという事業を立ち上げております。さらに、この1つの取り組みというか大きな軸となってくるのが生活困窮者自立支援事業でございます。
こちらは以前から社協さんとともに取り組んでいる官民協働事務局の形なのですけれども、スライドの9ページになります。全て委託をするだけにとどまらず、自立相談支援機関の個別相談もしかり、地域づくりしかり、全て市の職員、私が社協さんのほうに参加させていただいている、週1回社協さんの事務所に寄せていただいて、一緒にお仕事をさせていただいております。また、社協さんのほうからも庁内に御参画いただきまして、特に庁内連携会議などに御参画いただくことで、一緒に事務を進めているということと、しっかりと目線あわせをしながら、同じ目線で進んできているという経過がございます。
それぞれの長所、短所を生かしながらしているという高島市の取り組みについてなのですが、実際の取り組みの内容につきましては、この後、高島市社協の松本課長より御報告をいただきます。
○松本参考人 失礼します。高島市社協の松本です。
生活困窮の事業ベースに高島では実践が進んできました。その中で特に関係機関のネットワークの構築と、また、参加と協働による取り組みという部分を切り出して、この後、御報告したいと思っています。
10ページに高島市の取り組みの3つのポイントを書かせていただいております。特に生活困窮の事業をベースにした報告になりますが、相談支援の部分はさておき、仕組みづくりの部分の報告としてお聞きいただけたらと思います。
1つ目が官と民の共同事務局体制でビジョンを構築しています。困窮事業を当初から社会的孤立まで対象としていくことや、これまで進めてきた地域福祉をベースにして、地域づくりまでを目標に取り組んでいくビジョンを構築しています。2つ目は、多様なネットワークを形成して問題共有を図る中で、包括的に受けとめていくということと、市内全域、面で取り組みを進めていくということを意識して進めています。3つ目は、開発したプログラムで参加と協働を広げながら資源開発を進めて課題解決を図っていくスタンスをとっているというところです。
その中で、これまで高島市社協がネットワークの構築ということに非常に強みを発揮して、存在感を持って市内で取り組みをしてきました。そういった市社協の強みを生かしながら、市とのコラボレーションの中で取り組んできたという報告になります。
次のページ、11ページがその1つ目です。官と民の共同事務局体制でビジョンを構築する。入り口から出口資源開発までプロセスを意識した働きかけということで、困窮事業をつくり込んでいくに当たっては、相談の入り口から相談支援、そして、その相談から見えた地域課題を取り組み・出口までつなげていくという、このプロセスを当初から意識してビジョンを形成しています。そこに基づいて事業、推進ビジョンを描いたものが次のページになります。
下の軸のほうに入り口から取り組み・出口までということがありますが、相談支援のところに、つながり応援センターよろずという自立相談支援機関を置きながら、地域課題化のところでは多様なネットワークを構築して、一緒に課題解決を図っていく。そういったビジョンを落とし込んだ図になっております。
2つ目が、多様なネットワークを形成し問題共有を図るというところ。よろず運営委員会と庁内連携会議という2つの大きなネットワークを構築しています。よろず運営委員会のほうでは、主に民間の参加者、活動者を巻き込んだネットワークになっておりますし、庁内連携会議のほうは庁内、生活関連部局も含めた各関係機関が参画する大きなネットワーク。この2つのネットワークを大きな推進のエンジンとして、さらにテーマごとに話し合うつながりづくりの場として、部会であったりネットワークというものを、主に就労、ひきこもり、子育て関係というところをテーマに構築して取り組みを進めています。
次のページがそのネットワークをビジョンに落とし込んだところです。つながり応援センターよろずから課題を出して、各関係機関のネットワークで共有しながら取り組みを考えていくというような核となる部分となっております。
テーマ、大小、さまざまな協議体を構成して問題共有や課題整理を図るということを大切にネットワークを構築しています。
そして、そのネットワークでさまざまな問題を共有して課題整理をする中で、必要なプログラムを検討しています。そのプログラムを私はプラットフォームというふうに最近呼んでいますけれども、多様なネットワークや関係機関の参加と協働を進めるプログラムをプラットフォームとして、いろいろな団体とか個人、商店、またはネットワークというものを引っつけていくという、プログラムの中で協働を進めていくというような形で実践を行っています。
その実践の幾つかを次から紹介したいと思います。
入り口部分では漏れのない相談であったり、総合相談のための連携づくりとして、なんでも相談会と相談窓口職員連絡会を形成して、これも1つのプログラムとしてみんなの参画を呼びかけています。なんでも相談会はそもそも権利擁護支援の枠組みの中で、形成されたものですが、そういったワンストップの総合相談の実践であったり、相談窓口を幅広く、漏れなく広げていくということで、相談に係る専門職だけではなくて、相談を受ける可能性のある関連部局の窓口職員も参加する中での大きなネットワークの連絡会も構築しています.こういった漏れのない体制をつくっているところです。
先ほど言いました子供の貧困対策と就労支援とひきこもり支援を3つの大きな取り組みに位置づけて取り組みを進めていますが、こちらでの実践として、子供の貧困対策における子供の居場所づくり(フリースペース)というものがあります。相談の各関係機関から対象となる困窮する世帯の夜の受けとめが必要な子供たちをつないでいただく中で、社会福祉法人の地域貢献で施設の空きスペースを貸していただいて居場所をつくる。そして、地域の住民の方や教員のOBの方などがボランティアとして参加して一緒に支えてもらう。そこでは多様な生活支援のメニューとして、学習支援にとどまらず、入浴であったり食事ということも提供しておりますので、ときには民間の企業、定食屋さんとか総菜屋さんがあるのですが、そういったところにも安価に食事を提供していただいて、社会貢献として参加いただいている。こういった子供を真ん中にしたプログラムを構築する中で、多様な機関の参加と協働を進めているというのがこのフリースペースづくりです。
今、市内6カ所で取り組みが進んでおりますが、それぞれの地域性であったり受けとめの場所の特徴も生かしながら、六所6様で進めていただいております。
次のページに、市内で6カ所に広がっているということと、4月時点ですが、小・中・高校生の22名を受けとめて、ボランティアスタッフが35名かかわるような形で実践をさせていただいております。
23ページでは、取り組み・出口の2つ目として社会参加と就労支援をつなぐ居場所づくりということで、歩みに応じた支援というのをつくらせていただいております。先ほどの部会プロジェクトの一つである就労支援機関連絡会で、就労支援の課題を共有する中で、居場所、就労準備、認定就労訓練といったところを、先ほどのネットワークの構成機関の参加と協働を得てつくらせていただいております。
その一つ、就労準備支援事業、これは障害をベースに展開しています市内の社会福祉法人が就労準備のための事業として取り組んでいただいておりますが、ここにつながってくるに当たっては、ひきこもりの状態にある方はまず相談窓口が要るということであったりとか、親の受けとめが要る。そして、利用が終わった後のOB、OGの居場所が要るということで、この就労準備支援事業を展開する中で、虹カフェという居場所を別につくっていただいて、ひきこもりの方であったり、こういった事業を卒業した方の居場所として展開をしていただいております。そのほかにも居場所としては、NPO法人であったりとかいろいろなところが協力いただいて、つくっていっております。
次の写真はその一つ、福祉施設のスペースで居場所づくりをしていただいているところと、あと、今、学校協働活動が地域で進んでいますが、そういった協力も得ながら、中学校のあいている畑を利用させていただいて、ひきこもりの方が居場所として畑づくりを行いながら活動参加していくという取り組みもしています。今度、ここでとれたサツマイモで収穫祭をやろうかという話もしていますが、そういったところにも地域のいろいろな方に参加いただいて、また盛り上げていこうということでしています。
最後に、こういった取り組みの中でもう一つ、福祉施設協議会のネットワークとの連携を生かした取り組みを2つほど御紹介させていただきます。
26ページを開いていただきますと、高島市では、市社協がネットワークに強みを発揮してきたというところを御紹介しましたが、この福祉施設協議会も平成20年4月に創設されておりまして、市内の社会福祉法人の施設が加盟して、いろいろな取り組みを一緒に考えていこうという、当初から社協が事務局を担ってきました。先般の社会福祉法の改正を受けて、社会福祉法人が地域貢献、公益的な取り組みのあり方を検討する中で、この協議会の中に地域貢献検討委員会というものを立ち上げさせていただいて、2年間の議論の中で各法人による取り組みや法人間の連携ということを話し合ってきました。ここの事務局を生活困窮の担当課である本課が受け持つ中で、現に困窮事業から見えてきている課題をこの協議会の地域貢献検討委員会に諮らせていただいて、下の四角にあるようなさまざまな取り組みが地域連携のもと、生まれてきたというところです。
その取り組みを2つ御紹介させていただいているのが次のページになります。1つは、市内の社会福祉法人の施設によろず相談窓口担当職員を置いていただいて、利用者や家族や近隣住民からの相談が気軽に寄せられるような見える相談窓口をつくっていこうということ。そして、その窓口から各関係機関につないでいただくという、そういった窓口を一つつくっていくということと、先ほど御紹介しました相談窓口職員連絡会にその担当職員が参画いただく中で、さらに課題共有であったり学び合いを進めていくという、そういった仕組みを一つつくっております。
もう一つは、緊急支援物資支援ネットワークづくりといいまして、生活困窮の事業の中で食料に限らず、物資も含めて支援者が必要を感じたときにはつないでいただいて、社会福祉法人であったり各種団体のネットワークの中で、こういったものはありませんかという情報を流させていただいて、リアクションがあったところを、またその支援者を通じて対象の方につなげていくというネットワークを構築しています。倉庫をつくらずに、こういったネットワークをつくることによって即応性高く、要らないものを要る人に届けていくというネットワークをつくっていこうということでやっております。
この中でネットワークを広げていくに当たっては、多様なところに参加いただくということが成功の鍵なのですが、社会福祉法人の地域貢献ということで、こういった取り組みのほうにも積極的に御参加いただけることになりまして、今年度も上半期で3つ、4つぐらいの事例ですね。火事で焼け出されてしまった御家庭への支援とか、そういったところにこういったネットワークにより支援をさせていただいております。
最後に、こういったことを事務局として進めていくに当たって、真ん中に課題解決のネットワークをつくりながら、相談支援の中で漏らさない連携をつくっていって、相談から見えてきた課題をネットワークで問題共有していって、協議のもと、課題検討から開発につなげていって、またそこにネットワークの皆さんに参加いただくというところ。そして、実践を進める中でまた新たな課題が掘り起こされて、相談につながっていくというような循環を意識しながら取り組みを進めさせていただいております。
以上、高島市からの報告でした。ありがとうございました。
○宮本座長 ありがとうございました。これまた大変興味深いお話を伺いました。官民のネットワークが圏域ごとに重層的にできていて、かつ、問題領域的に非常に柔軟に運用されている。市社協が本来の役割も存分に発揮されているという印象を受けました。
先ほど芦屋市に伺ったことと同じことをお伺いすると、いかがでしょうか。この地域共生社会の議論にこれまでの達成を踏まえてどんなことを期待されるか、あるいは心配されていることがあればその点も含めてお話しいただければと思うのですけれども、ごく簡単にお願いをいたします。
○山村参考人 私のほうからは、やはりもともと地域福祉というベースがあったので、私どもはそれの強化だというふうに捉えております。その中でも特にインフォーマルな支援が求められているというところ、そこを住民さんに考えていただきたいというところが問題かなと思っております。
インフォーマルな発見、見守り、寄り添いというものをどうしていくかというところの必要性があるのかなと思いまして、そういった専門職でない住民さんに参加していただけるためにはどうしていけばいいか、どういう仕掛けがいいのか、どういうふうにすると地域の皆さんに御理解とか意欲を向上していただけるのかというところが一番のネックかなと考えているところです。
○宮本座長 ありがとうございました。
それでは、お待たせをいたしましたけれども、構成員の皆さんから御質問あるいは確認されたい事項等がありましたら、自由に挙手をいただいた上でお話しいただければと思いますが、いかがでしょうか。
堀田構成員、お願いいたします。
○堀田構成員 ありがとうございます。
それぞれにお伺いしたいのですけれども、まず、芦屋市さんについては、保健師さんたちが庁内全体としてはどれぐらいの数いらっしゃるのか。それで、保健師さんたちがこの地区担当をベースに、地区丸ごとということを本当に展開していらっしゃると思うのですけれども、全国各地だと地区から外されるというか、事業担当になってしまっているところも多いと思うのです。芦屋市役所の中で保健師さんが地区丸ごと支えるということを庁内横断してうまくできるような体制になっているのかということを教えていただければなと思います。
それから、それにも関連するかもしれないのですけれども、15ページの連携体制、こういった図は多くの自治体で出されるのですけれども、実際はなかなか機能が難しい。絵はきれいなのだけれども、結構難しいと言われることが多くて、これがうまく機能しているのだと想像したのですけれども、その機能している決め手になっているのはどこだろうというのを教えていただければなと思います。
保健師さんの位置づけと、もしかすると関連するかもしれないのですけれども、15ページの連携体制のかなめはどこにあるかということを教えていただければと思います。
高島市さんについては、芦屋市さんと対称的にというか、とても広いエリアで、人口もかなり減少しているところだと思うのです。この地域共生に係る議論をしていてもいつもいろいろな地域の圏域でとか、地域の自治会とか町内会ということを言いながらも、その担い手がなかなかいないのではないかというところ。それから、参加の先を、就労の先をと言われても、そもそも地域に仕事がなくなっていっているのではないかという議論も各所でされているところだと思うのですけれども、とりわけすごく広くて、人口密度も余り高くなくて、かつ人口の数としても減少しているという中で、地域の中での本当に基盤になる支えをどう強化、あるいはその後方支援をしていらっしゃるか。
参加就労支援といったって仕事をというあたりの、多分それも庁内横断した取り組みをされているのではないかと思いますので、そこら辺を2点教えていただければと思います。
○宮本座長 それでは、芦屋市のほうからお答えいただけるでしょうか。
○細井参考人 。1点目の保健師全体にかかわることは私から、現状のネットワークについては、岡本保健師から回答させていただきます。
保健師全体で申しますと、芦屋市は正規職員だけで言いますと19名おります。総務部門である人事課に1名。私が現在所属しております保健部門に11名。岡本がおります福祉部の地域福祉課に保健師が7名ということになっております。兼務体制で言いますと、福祉部の7名のうち5名がそれぞれ障害福祉課、高齢介護課、市民生活部保険課におります。また、今年度から新たに保健部門の保健師1名が市民生活部保険課に兼務配置となりました。今後想定されます「高齢者の保健事業と介護予防事業の一体的実施」に向けて準備を進めようとしているところです。
次に保健師が横断的な体制をどのように整えてきたかですが保健師はもともと、主訴だけではなく、その背景を推察し,想像力を働かせ、また、家族関係についても着目をして、世帯全体のアセスメントをやってきています。こういうことを繰り返すことによって、事務職の職員の信頼を得てきたと思っております。また、相談が入ったときに役割分担をすると申しましたが、役割分担と申しましても、何かをしていただくということではなく、窓口に来たときにつないでほしいとか、情報共有をしてほしいというお願いをしました。依頼する際に他部署の業務がふえるとことになりますと、いい関係性は構築できません。これらを続けることで,結果的に問題を解決につなげてきました。成功体験互いに積みますと、今度、また次の相談事例をつないでくれます。保健師がコーディネート機能を発揮できてきたたということが大きいと思います。そういった実績により,プロジェクトチームを組織化するときに、私自身は断られたことがありません。お互いに断らないということで実績を積んできたということかと思います。
以上です。
○岡本参考人 続きまして、15ページの関連図について、地域福祉課が担う役割は大きいと考えております。総合相談窓口の実務自体は社協の職員さんが担っておられますが、こういった関連図を具体的に進めていく際に、全体を俯瞰できる視点がやはり重要だと考えておりまして、世帯を俯瞰する視点と近いのかもしれないのですが、保健師は関係機関と総合相談窓口の関係性ですとか、その機関が置かれている状況等もアセスメントするという視点でネットワーク全体を見て、今、どこにどう働きかけるべきであるか考えています。その中で中核的に社協さんに働きかけたりですとか、根回しということでほかの機関にも働きかけたりというような役割を担うことで、具体的にこの図が有機的に動いていっているのではないかと考えております。
以上です。
○宮本座長 続きまして、高島市さんのほうからお願いいたします。
○山村参考人 御質問ありがとうございます。
まず、担い手不足に関してはどちらの地域もある問題で、高島市もほかと変わらず、非常に人口減少が進んでいるところでございます。そこを担っていく一つの手段として、7ページのスライドに挙がっていますが、地域学校協働活動の連携がこれから進もうとしております。ここには親御さん、PTAの方々とか、子供さんを支援するような若い世代の方々も入って取り組んでおられます。例えばこういったところから地域福祉に興味を持っていただいて、御参画いただくという形で少しでも補っていければいいのではないかなと考えているところで、可能性を感じているところです。
今、高島市では、子ども・若者支援協議会なども全国で注目を浴びているような形ですので、そういったところで絡んでいく方々ですね。その辺もいろいろ、それぞれにやっている人のつなぎ直しというところも活用できたらいいかなと考えているところです。
また、仕事がないことに関しまして、これは逆にありがたいことというか、そんなに若者がいないので、若い方の支援の数というのはそんなにない。でも、人が減っているので働いてくれる人もいないというところで、枠はたくさんあるのかなと。あとはマッチングをうまくすればいいのかなというところで考えています。
地域でNPOさんがされている、たすけあい高島というものは、住民の支え手と受け手が登録をして、それぞれマッチングさせてお仕事をもらうみたいな形にひきこもりの方が御登録をされたりとかという形で、そういった新たな形でマッチングというのもこれから考えているところです。
あと、地域の基盤としまして、やはりこれから先ほど申しましたインフォーマルな支援が必要な中で、住民、福祉専門職だけではなくて地域の事業者さんに御参画いただくというところ。先ほど社会福祉法人さんの広域での取り組みもそうなのですが、あと、民生委員さんなども活動していただいて、確かになり手はなかなか厳しくなってきているのですが、こういった方々にしっかり行政なり社協さんのほうで御支援をさせていただいて、活動しやすい方向性を生み出していくというのもあるところかなと。あるものをしっかり支援していって、つないでいくことが必要かなと感じているところです。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。
堀田構成員、よろしいでしょうか。
それでは、ほかの構成員の方、いかがでしょうか。
朝比奈構成員、お願いします。
○朝比奈構成員 大変学ばせていただきました。ありがとうございました。
それぞれに御質問させていただきたいのですが、芦屋市さんについて、先ほど最後のほうで子育て世帯とどういうふうにつながっていくかというところが課題だというお話が出ていたのですけれども、今の保健師さんの兼務体制というのは福祉部の中でされていて、こども・健康部というのが部局としては別になっておられて、今後、子供の世帯を含めた包括的な体制づくりに向けては、このこども・健康部にいらっしゃる保健師さんの兼務ということを含めた形を考えていかれるのかどうか。そのあたり、組織的な横断性というのでしょうか。そのあたりはどのように取り組みを進めていらっしゃる方向性を持っているのか。私が働いているところもかなり人口が多いところですので、逆に、部局が広がっていったときにそこをどうやって超えていくかというところがすごく庁内的には課題になっていくのかなと思っておりますので、そのあたりを教えていただきたいというのが御質問です。
それから、高島市さんについては、そもそも子供の貧困と就労支援とひきこもりというこの3つをテーマとして出していった、目のつけどころというのでしょうか。そのあたりを教えていただきたいのが1点。
それから、こうしたテーマを持ってアプローチしていくときに、社協職員さんの専門性といいますか、人材確保ですとか、例えば転職も含めたキャリアをお持ちの方で構成されているのかとか、そのあたりを教えていただければと思います。
○宮本座長 ありがとうございました。
それでは、また芦屋市さんのほうからお願いいたします。
○細井参考人 子ども・子育て家庭についての支援体制ということでありますと、今のところ、子育て世代包括支援センターの係長が子育て推進課と健康課の兼務配置となっていることが現状です。芦屋市の子ども・子育て家庭を、地域共生社会という概念を踏まえどうデザインするかということがまだ詳細に描けておりません。保健師全体の配置についても今後,検討していく課題になると認識しております。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。
続きまして、高島市さんのほうからお願いいたします。
○山村参考人 まず、困窮者支援事業を始めるに当たりまして、平成25年に先に社協さんのほうが、この困窮者支援のための検討委員会を持っていただきました。その中で、高島市の困窮者像とはどのようなものかということを検討した。その中で、こういった支援が必要だねということで出てきたのがこの3要素でございます。翌年からは行政が主導で委員会を持ちまして、それが27年度からの機関の運営委員会ということで引き継がれている経過がある中で、テーマとして拾わせていただいている経過がございます。
そういった中で、既に運営委員会の中でどういった体制であるべきか、どういった支援をするべきか、あり方をしっかりと官民両方が認識をして、進んできているというところのPDCAをしっかりと続けてきているというところが、今のよいところかなと感じております。
社協さんの人材確保については松本さんから。
○松本参考人 その前に1つ前段の質問で言うと、実はひきこもり支援というのが柱になったのは最近なのです。実際、相談支援を進めていく中で、こんなにもひきこもりの相談は上がってくるのかという、実際の相談から課題が蓄積されてきたというところがあって、これは1つ取り組みの柱に加えていかなければならないというところから広がっていったので、実は先ほどお示ししたビジョンも、あれは最初から完成していたわけではなくて、最初はもっとコアになる部分の取り組みだけだったのですけれども、それが必要に応じて広がっていったというのが正確なところです。
そういった幅広い事業に耐え得る人材の確保というところですが、実は人材確保の問題は、先ほどの仕事の場がないというところ以上に郡部では課題になっていまして、我々のところでも本当に適切な人材を確保するというのは苦労しています。ただ、基本的には対応する相談支援員については声かけで引っ張ってくるということで何とか対応しているところがあります。先ほどの子供の貧困の取り組みなどは、幸いにもスクールソーシャルワーカーの経験のある方が市内にいらっしゃって、お願いすることができたので、今、コーディネーターとして動いていただいておりますし、ひきこもり支援のほうは、就労支援経験のある方がいましたので、その方に相談員として声かけして来ていただけることになりましたし、そういったところでさせていただいていますが、必ずしも専門性というところはもともと望めない地域なので、課題解決のネットワークをつくって、みんなで協力してもらいながら、我々が必ずしも専門性を持っていなくても、そのネットワークの方にフォローしていただきながらつくり込んでいけるというところが高島の強みなのかなと思っています。
○宮本座長 ありがとうございました。
朝比奈構成員、よろしいでしょうか。
ほかにいかがでしょうか。
では、加藤構成員、お願いします。
○加藤構成員 お願いします。
私は芦屋市と2つ、それぞれ質問させていただきたいのですが、Maybe-SheetとJoint-Sheetというのはすばらしい仕組みだなと思いまして、この四十何%、庁内から上がってくるというのは、ヒヤリ・ハットというか、もしかしたらの部分もたくさん拾えている庁内職員がこれだけいるということの研修の仕組みがどうなっているのか知りたいというか、それぞれの庁内で気づいてくださって、この課に情報を集めてくださっているほかの職員さんたちがどういった研修を受けたりとか、仕組みでやられているのかなということを伺いたい。
もう一つは、そういった中に、例えば学校とか保育園といったところの気づきは物すごく大きいかと思うのですが、そういったところもMaybe-SheetやJoint-Sheetみたいなところに加わっているのかどうかということを知りたいと思ったのが芦屋市さんに対しての質問です。
高島市さんのほうに質問させていただきたいのは、今、専門性のネットワークでといったところなのですけれども、小さい市町村になればなるほど専門性といったところの難しさはあるかと思うのです。そういった場合に、圏域とかも含めた広域のネットワークみたいなところもあるのかどうなのかといったところをお伺いしたいのと、もう一つは、ひきこもり訪問支援員というのはまさに今回やろうと思っているアウトリーチの仕組みなのではないかと思っていまして、その辺のアウトリーチの仕組みがどういった形で実践されているのかというところをお伺いしたいと思います。
○宮本座長 ありがとうございました。
確かにMaybe-Sheetって名前が卓越していますね。だから書き込めるというところがあるなと思って聞いていたのですけれども、今回も芦屋市さんのほうからお願いいたします。
○岡本参考人 まず、研修の仕組みで、福祉部に入ってきた新人職員と福祉部に初めて異動してきた職員を対象に、毎年4月に福祉部の業務を各課が順々に説明するという機会を持っています。その中で、これらのシートの活用方法について周知をしているという取り組みがあります。
また、Joint-Sheetにつきましては、毎年ではないですが、債権管理課という債権を担当する課がございまして、その課の職員と協力をして、庁内の債権を取り扱う課、水道や給食費、家賃等を所管する課に声をかけまして、ガイドラインをもとに、こういった対象の方がいたらつないでくださいねということを伝える研修を行っています。
さらに、庁外の取組では、福祉センターの中でも、毎年5月頃に新たに福祉センターにやってきた職員向けに同じように研修も行っていまして、初めて福祉に携わる方々については特に丁寧に説明をして、その制度が廃れないようにというような工夫をしております。
また、保育部門や子育て部門との連携については、ガイドラインを作成した際のプロジェクトチームのメンバーに学校教育課や子育て推進課というような学校や保育を所管する課も入っており、ガイドラインの改訂等を行うに当たって意見交換も行っておりますので、そういった課とは定期的にコミュニケーションをとって連携しています。しかし、学校につきましては、スクールソーシャルワーカーとの連携が課題になっており、連携について検討しています。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。
続きまして、高島市さん、お願いいたします。
○山村参考人 まず、広域の連携ネットワークのことですけれども、どちらをイメージされているかがわからないですが、市域に関しましては、先ほどお示ししたシート7で出しています各分野ですね。ここに挙げているほとんどの要素の構成員さんに御参加いただいて、地域生活つむぎあい会議というものをつくっております。その中で、これから市域についてそういった各分野、各圏域の取り組みをどうまぜ込んでいくかということを考えている途中でございます。
それから、中学校区、2層のところにつきましては、住民福祉協議会の事務局、社協さんが取りまとめをされていますので、ここで代表者の会議などをされていたり、情報交換がされる機会があるかなと思います。具体に圏域を越えてというのは、たまにされているようなことも聞いておるのですが、まだこれからそういったところで各圏域の取り組みを情報交換する機会をふやしていくという必要性は感じているところかなと思います。
あと、204あります区・自治体ですが、市内の各中学校圏域、もともとまちづくり協議会があったのですが、今はそれがなくなりました。ただ、今回また地域自治組織の再編という話が上がっておりまして、現在、広域化の話が市民協働部局のほうで進んでおります。そこで出てきているのはまだ中学校圏域でそういった協議会をつくろうというような話が出てきています。それがまた出てきたときに、これと今ある住民福祉協議会なりがどうつながっていくのかというところに私どもは今、すごく注目をしているところです。全く違う形で、全く違う団体ができてしまうとそれも余りよろしくないかと思いますし、いずれは中学校圏域ではなくても、そういった困っている地域の広域化というのは必ず問題になってくると思いますので、本当に福祉の地域共生の取り組みと自治組織の再編の取り組みというのはすごく関連する部分だなと思って、こちらも参画して、御意見をいただいているところです。
○松本参考人 アウトリーチの話の前に、恐らくさっきのご質問の専門性というのは支援の専門性というところで、例えば発達支援であったり高次脳機能障害、ひきこもりであったりとかという、そこの広域支援のネットワークとつながっているかということだと思うのですけれども、実際は日々のケース支援のところではつながっています。ただ、こういった開発的取り組みを進めるに当たってネットワークでつながっているかというと、まだそこまではいけていません。
滋賀は、滋賀の縁(えにし)創造実践センターがそういう広域でのネットワークづくりを進めていっているので、こういった市町の取り組みとどう連携していくかということは次の課題かなと思っています。
アウトリーチの仕組みについては、実は我々、困窮支援事業ができた当初から、アウトリーチすることを普通にしているので、取り立ててひきこもり支援だけがひきこもりの家庭にアウトリーチしているということではなくて、自立相談支援員も含めて、家計改善支援員も含めて、どんどん家庭に入っていっているので、実はアウトリーチというのは普通にやらせていただいている、その対象が今回たまたまひきこもり状態のある方やその家族ということで、そこにアウトリーチをしていくものも置いていこうかというところなので、仕組みとして特別意識して置いたというよりは、必要に応じて置いた中で当然やっているアウトリーチをそこでもしているという認識で事業をしています。
○宮本座長 加藤構成員、よろしいですか。ありがとうございました。
大分時間も経過しておりまして、引き続き、きょうの両市からのお話に対する質問、確認事項等を受け付けていきますけれども、前半部分の諸論点に立ち戻って議論していただいても構いませんし、さらには参考人として出席されている両市の4人の方も、もし御意見等があれば遠慮なさらず御発言ください。そうした少し幅広の枠で議論をしていきたいと思いますが、さらにいかがでしょうか。
では、田中構成員、お願いいたします。
○田中構成員 再び両市に発言していただくことになりますが、両方の市とも、企業を参加させているのは大変結構な方向ですね。住民だけではなく、こういう社会づくりのことは地元の営利・非営利の組織体も広い意味の市民であって、加わってもらうというのはすばらしいのですが、特にその中の企業の場合ですね。NPOとか社会福祉法人ではなくて企業の場合、ずっと参加させるにはどういうインセンティブを持っていただくかが重要になってくると考えています。もちろん短期的には、ボランティアとか社会貢献というと参加するけれども、ずっと参加し続けるにはもう少し強いインセンティブがないといけません。それは企業の存在目的が社会貢献ではないからです。
企業人が個人として地域のために働く、これは別に企業人でなくても皆さんしてくれます。だけれども、企業の存在として貢献だけだとちょっと弱いので、例えば何か企業が困っているから自分たちも手伝いたいとか、企業に勤めている人たちが抱えている問題に関係しているから自分たちも加わりたい。そして、最後に、地域活動に加わっていると地域の住民として消費者に信頼されるからとか、ほかのインセンティブがなくてはいけないのですが、両市とも図を見ると企業はややボランティア的なところが強く出ているので、もう少し長期的に加わってもらうための仕組みは考えていらっしゃるでしょうか。
○宮本座長 ありがとうございます。
両市に同じ質問ということだと思います。
それでは、まず、芦屋市さんのほうからお答えいただけるでしょうか。
○細井参考人 まさに今、試行錯誤の真っただ中であります。おっしゃるようにボランティア的にかかわっていただいているということが正直なところですが,。、1つの企業さんが人材育成の場として非常に有効だという評価をしてくださっていて、そういった活用の仕方もあるのだなと、学ばせていただいております。様々な機会を捉えて,腹を割って話すといいますか、それぞれに抱えている課題について共通理解をしておくということも大事かなと思っています。
現在,企業の側から芦屋市は何に困っているのか、何が課題なのかということについて明確にしてほしいと言われています。。課題があれば企業側のみなさんも解決に向けて支援したいということも言ってくださっています。ちょうど今年度が折り返し地点でして,新たな取り組みとして工夫しましたところが、これまで事務局機能は地域福祉課だけだったのですが、民間の企業の方に入っていただいておりまして、行政だけでは気がつかない民間企業の方の新たな視点でいろいろな示唆をいただいているところです。今後は,示唆を生かして、いかに民間の方から,芦屋市が魅力的だと思って継続的におつき合いいただけるかということと,それをいかに実現できるかという途上にいます。
まさに試行錯誤しながら取り組んでいるところです。
以上です。
○田中構成員 ありがとうございます。
○宮本座長 それでは、高島市さん、お願いをいたします。
○山村参考人 高島市で考えているのは、まず企業さんの困り事に寄り添うという形をとっていきたいなと思っています。一番これから困っておられるのは、やはり労働者が足りないという問題があろうかと思います。そんな中で、少し支援があれば働ける方をつないでみる。それで1つ成功して、じゃ、どんどんという形で受け入れてもらうみたいなサイクルを一つずつ積み上げていくというところが効果的なのかなと考えております。
あと、この時代ですので、メンタルダウンをしたりだとか、例えば寮で預かっている方が退職になってどうしようみたいな話だとか、意外とこういった問題はぽろぽろとあって、なかなか企業の中だけでは何ともならない問題があったり、例えば企業の中に福利担当というか、社員さんを思う人事担当の方がおられたりとか、そういった方は意外とおられるのだなというのも支援の中で見えています。そういった方の思いをうまく行政の福祉側が支援できるような形で信頼関係を築いていくということが一つ積み上げになってくるかなと思います。
SDGsと言われていますが、うちの商工会さんに話しても、なかなか余りまだ意識がいっていないようなところもありますので、個別の一つ一つの積み上げと、あと、地域としても福祉がうまくいっていないと経済的な活動もうまくいかないというところもあろうかと思いますので、その辺を御理解いただくというところかなと思います。
滋賀のほうで、「福祉人を育てよう」という話が挙がっているのですが、これは専門職とかだけではなくて、やはり住民さんにも福祉教育、教育と言うとちょっとおこがましいですが、福祉というものを理解していただいて、事業者さんにもしっかりと御参画いただくというようなところも進めていけたらなと思っております。そういったところで、社協さんは福祉教育でも参画されているので、一緒にやっていけたらなと考えているところです。
○田中構成員 ありがとうございます。
○宮本座長 よろしいですか。
ほかにいかがでしょうか。
では、池田構成員、お願いいたします。
○池田(昌)構成員 また両市から考えをお聞きできればいいなと思っているのですけれども、それぞれ今、取り組まれている中で、1つは断らない相談といいますか、相談を受けて対応する中で、はざまにあって答えられないようなものとか緊急なものということで、先ほどの高島市さんの取り組みの中で言うと、市の福祉施設協議会の中で緊急支援体制づくりというのもあったのですが、はざまになって制度等で答えられないものをどのように対応されているのかとか、どんな支援策があったらそういう方々を支えていけるのかということが1点。
もう一点は、住民の方々のつながりとか日常的な支え合いのようなものが、それぞれの土地柄の違いもあると思いますけれども、そういうものの把握とか、そういうものを生かすとか、あるいはそういう中にまさに伴走のようなものもあるのではないかと思うのですが、その辺はどのように生かされたり、取り組まれているのかということを教えていただきたいと思っています。
○宮本座長 ありがとうございました。
池田構成員の第1点目の御質問、はざまになって答えられない、答えにくい問題をどう扱っているか。これは庁内連携等についてはもう両市から御説明がありましたけれども、さらに具体的なプロセスのようなところというふうに受けとめればよろしいですか。
○池田(昌)構成員 そうですね。
○宮本座長 ありがとうございます。
それでは、芦屋市さんのほうからお願いいたします。
○細井参考人 そもそもはざま支援なのだから出口はない状況の中で始まった窓口の対応だったのですが、実際に今でもつながるところがあるかというと、なかなか難しいところはあります。また、資源開発も十分ではないという認識もしています。しかし,先ほどの全体の御協議の中で、対象となる方が「高齢」や「障害」といった肩書があれば支援につながるのですが、そうではない方たちに何をしているかといいますと、まず大事なのは、相談に来るところがあるということを認識していただくこと。それと、抱えている課題が何なのかということについて、家族員それぞれの課題についてきちんとひもといていくプロセスを共有すること。そういうことを丁寧にやってきたのではないかと思っています。
大体、複合的な問題を抱える方というのは、先ほど申し上げたように、家族員それぞれに課題があって、それが複雑に絡み合ってしまっているので、それこそ世帯の中のAさん、Bさんがどんな課題を抱えているかをきれいに整理したら、課題がシンプルに見えてくる場合もあります。そういったことを行政の中でこれまで取り組んでこなかったので,それらの繰り返しにより,一歩進んだのではないかと思っているところです。
もちろん、命の危険があるとか、明日,どうなるかわからないというような対象の方については,きちんとアセスメントを行い,医療機関につなぐこともありますが、緩やかにつながりながら問題の整理をしていくというプロセスを共有していることが現状です。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。
それでは、高島市さん、お願いいたします。
○山村参考人 具体的に今、どういった問題と言われるとちょっと、いろいろ思い浮かぶのですが、例えば就労支援までいって、一般就労か福祉的就労までいったのだけれども、結局そこで日常生活がなかなか改善し切っていないような方だとか、あと、家計相談をして、ある程度プラマイゼロぐらいまでいったのだけれども、ちょっとした出費があるとすぐ落ち込んでしまうような方だとか、いろいろ浮かびます。
1つ、その中で、この何年かやっている中で問題に上がったのが、住居確保の問題でした。平成28年度にそういった関係の方。それこそ官民協働でプロジェクトを単年で立ち上げて、関係者で話をして、どうしようか考えるという場をつくりました。それで何かすぐ解決したわけではないのですが、そういった取り組みを続けていくことで何か生み出してきたり、参加していただいている方も意識が上がってきたりということで、何か地域にそういった支援できるものが生み出されるきっかけになるのではないかと思っています。
こういった断らない相談という、今、相談機関をつくっているので、仮に一旦、支援としては切れていても、何かあったらここに相談すればいいのだというところの意識を持っておいていただければ、緊急時は電話一本で来て相談するということができるのではないかと思うので、かかわり続けられればベストですが、そうではなくても緊急窓口はここだというのを認識していただく。それをどこに置くか。相談機関が持つのか、民生委員が持つのか、近所の人が持つのか、それはさまざまだと思うのですが、そういった意識づけをしていただくというのは大事かなと考えております。
○宮本座長 ありがとうございました。
助川構成員、お願いいたします。
○助川構成員 今、お話を聞いていて、非常に個別の具体的な例が頭の中に浮かぶわけですね。そのときにネットワークが構築されているときに、Aさんの事例だったらこちら側のネットワークのメンバーが中心になっていったほうがいい、Bさんだったらこちら側で子供と一緒にいってというふうになってくると思うのですけれども、その辺の方向性、支援計画を立てるのはどこが中心になるのですか。それぞれアセスメントして、問題がちゃんと浮き彫りになってきたときに、どういう支援対英をとるのかという支援計画ですね。どこが中心になっているのかというのはすごく興味があるのですけれども、芦屋市さんとそれぞれ教えてください。
○宮本座長 これも両市への御質問ということだと思います。
では、芦屋市さんからお願いします。
○岡本参考人 御質問ありがとうございます。
複合課題を抱える家庭につきましては、今は主に総合相談窓口という生活困窮者の自立相談支援事業を持つ社協さんが担っている窓口に入ってきているのですけれども、その方の支援を検討する支援調整会議に必ず地域福祉課の事務担当と保健師が入るようにしておりまして、その中で支援の方向性というものを検討しております。社協の職員さんは社会福祉士さんというところで、そちらの視点と保健師側の医療の視点を掛け合わせるということと、保健師が持つ庁内連携のネットワークを活用しまして、この方についてはこういった体制、この関係機関と連携したほうがいいのではないかということや、医療機関との連携も含めて検討して、支援の方向性を決めているというような状況です。
○宮本座長 高島市さん、お願いいたします。
○山村参考人 高島市でも基本的には自立相談支援機関のほうで取り組ませていただいております。生活困窮者は自立相談支援機関で、あとはこの4月からくらし連携支援室で、庁内の総合相談窓口は設けさせていただいております。いずれかで基本的には調整をさせていただきまして、支援調整会議も持っておりますが、必要に応じて多機関に御参画いただいているところでございます。常々から、こういった方にはこういったネットワークが必要ではないかというところは意識しながらですので、特にどこにつなごうとかいうので困ったような事例はなかったかなと思っております。
場合によっては、その隣の社協の地域福祉課ですね。コミュニティワークをしているところなどに御相談させていただいて、そういったところのネットワークにつなぐという機会もございます。
○助川構成員 ありがとうございました。
○宮本座長 助川構成員、よろしいですか。
両市とも自立相談支援の窓口が、例えば芦屋市の場合は地域福祉課のような形で、きちんとどこかとリンクをしているというところが強みを発揮できている理由かなと思いました。
では、佐保参考人、お願いいたします。
○佐保参考人 また質問ばかりで申しわけないのですけれども、地域共生社会を推進していくためには市町村の役目というのは大きいものがあると思っております。これは多くの市町村が抱える悩みだと思うのですけれども、いろいろな相談機能を強化したり、支援を強化していく上で、どうしても定期的な人事異動、ジョブローテーションがあると。そこで一旦つくっていったものが少し弱くなったりとか、逆に強くなることもあると思うのですが、そこら辺の継続性。市町村の実施体制の継続性という上での取り組み等があればそうですし、今後どのように考えているのかというのを教えてください。
○宮本座長 大変大事で重い問題だと思いますけれども、いかがでしょうか。芦屋市さんからお願いいたします。
○細井参考人 おっしゃるとおり、人事異動は本当に悩ましいことではあると思っています。私たち専門職は、事務職の方と比して長い期間,1カ所にいられるということのメリットが、時としてデメリットになってしまうこともあるという認識もしていましたので,、私自身がこだわったのは仕組みづくりでした。仕組みを構築することとともに先ほどのMaybe-SheetやJoint-Sheetというツールを使って周知するということ。また、先ほど岡本保健師も申し上げましたが、研修を行い事務職の方に意識を持っていただくよう取り組みました。
また,福祉部で言いますと、割と大所帯な部署で,福祉部から異動していく職員がある意味PRといいますか、培った福祉文化を持ったまま新たな部署に異動していくということが大変ありがたく、その職員からいろいろな相談や気づきのフィードバックがあったりして同心円的に広がっていったことが、仕組みを強化させたと認識しています。しかしながら、構築した仕組みや文化にこだわることなく見直しを行い,新たな仕組みも構築していかなくてはいけないと思っております。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。
高島市さん、いかがでしょうか。
○山村参考人 確かに市役所については大体2~3年でサイクルをしているというのが通常でございます。私は4年目なのですが、なかなかそれだけの年数を続けさせてもらえることはないかなと思っております。そういった意味で、社協さんに委託をさせていただいているという形、こちらはある程度は安定した組織体制で継続されているので、そこの強みというかありがたさはすごく感じているところです。
ただ、1点問題は、社協さんに委託という形をとっていることで、これは松本さんにしゃべってもらうとあれなのですが、本来の地域福祉事業ではないかというところとか、例えば委託の事業についても、自立は必須ですが、それ以外のところは任意のところもありまして、果たして予算が続くのだろうかという不安を抱えながら進めているところがあります。本当は正職員さんをがっちり固めて確実な形で運営をしていただきたいのですが、なかなかそれの保障がない中で、かといって、これからより社協さんに求めていくものが多くなってくるということを考えると、本来は国のほうから直接活動費を下ろしていただいて、取り組んでいただくほうが私どももありがたいなと感じております。
ただ、そうだとしても、市役所のほうがしっかりとそういった気持ちを持って協働する意識を持たないといけないと思いますし、先ほどのまちづくり部局とか高齢部局とつないでいくのは行政の役割だと思いますので、そこは責任を持って取り組んでいけるようにしていきたいなと考えています。
○宮本座長 ありがとうございました。
なるほど。芦屋市では、人事異動を包括的なネットワークを循環させていく機会としてむしろポジティブに捉えて、ポジティブとまではいかないかもしれませんけれども、あるいは高島市では、民間団体との連携を取り組みの継続性のてこに生かしていくというお話だったのかなと思います。どうもありがとうございました。
さて、大分時間もたってまいりましたけれども、もしこれだけはという御意見や御質問があれば受けていきたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
きょうは、2市4人の参考人の方々には、お忙しい中御参画いただき、かつ、我々の議論に大変豊かな素材を提供していただいたことに心から感謝申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。
それでは、本日予定された議論はこれで終了とさせていただきたいと思います。
事務局のほうから、次回の検討会について御案内をお願いいたします。
○市川地域福祉課課長補佐 次回の検討会でございますけれども、10月31日木曜日9時半から12時半で開催を予定しております。会場等の詳細については、追って御連絡をさせていただきます。
以上でございます。
○宮本座長 次回は9時半と大変朝早く会議が始まります。皆さん、どうかよろしくお願いをいたします。
きょうの検討会はここまでとさせていただきます。どうもありがとうございました。
 

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