2019年10月31日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

令和元年10月31日(木)17:00~

場所

新橋8E会議室(8階)

出席者

出席委員(13名)五十音順


欠席委員(8名)  (注)◎部会長 ○部会長代理

 
行政機関出席者
 
 森和彦(大臣官房審議官)
 山本史(医薬品審査管理課長)
 関野秀人(医薬安全対策課長)
 新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
 宇津忍(独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)
 鈴木章記(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役) 他

 

議事

○医薬品審査管理課長 それでは定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開催させていただきます。本日は遅い時間、また、先生方にお忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。本日の委員の御出席状況ですが、浦野委員、島田委員、登美委員、中野委員、南委員、山口委員、山本委員、渡辺委員より欠席との御連絡を頂いております。また、少し御到着が遅れておられる委員もおられますが、現在のところ、当部会委員数21名のうち12名の委員に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告を申し上げます。
続いて、部会を開始する前に事務局より、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告させていただきます。今回、全ての委員の皆様より薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいております。委員の皆様におかれましては、その都度書面を御提出いただいており、御負担をお掛けしております。恐縮ではありますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
それでは、清田部会長に以降の進行をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○清田部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から配布資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告をお願いします。
○事務局 それでは、配布資料の確認を順番にさせていただきます。本日はお手元に議事次第、座席表と、その裏面に部会の委員名簿を配布しております。議事次第に記載されている資料1から資料12をあらかじめお送りさせていただいております。また、会議のペーパーレス化に向けた取組として、本日の医薬品部会ではあらかじめお送りした紙資料と同様の内容の電子ファイルをタブレットに格納し、閲覧していただけるようにするとともに、机上に配布する紙の資料を審議品目に係る諮問書、審査報告書及び添付文書とさせていただいております。また、事前に配布させていただいた資料から誤記等のあった品目については、お手元にカイプロリスの添付文書とゾレアの最適使用推進ガイドラインになりますが、当日配布資料として御用意させていただいております。このほか、資料13、審議品目の薬事分科会における取扱い等の案を配布させていただいておりまして、また、タブレット内には、資料14として各審議品目に係る専門協議の専門委員リスト、資料15として競合品目・競合企業リストを格納しております。タブレットの動作不良などがありましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し付けください。
続いて、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告いたします。資料15の1ページを御覧ください。「ゾレア皮下注用75mg他3規格」ですが、本品目は季節性アレルギー性鼻炎(既存治療で効果不十分な重症又は最重症患者に限る)を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから競合品目はなしとさせていただいております。
2ページ、「トルツ皮下注80mgシリンジ他1規格」です。本品目は、強直性脊椎炎を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の品目を競合品目として選定しております。
3ページ、「チラブルチニブ塩酸塩」です。本品目は、原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の品目を競合品目として選定しております。
4ページ、「ポラツズマブベドチン(遺伝子組換え)」です。本品目は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の品目を競合品目として選定しております。
最後、5ページ、「テポチニブ塩酸塩水和物」です。本品は、MET遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんを予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の品目を競合品目として選定しております。以上でございます。
○清田部会長 今の事務局からの説明に、特段の御意見はありますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆様の御了解を頂いたものといたします。それでは、委員からの申出状況について御報告をお願いします。
○事務局 薬事分科会審議参加規程第8条及び第11条に基づく各委員からの申出状況については、次のとおりでございます。議題1、ゾレア、退室委員なし、議決に参加しない委員は亀田委員。議題2、トルツ、退室委員なし、議決に参加しない委員は亀田委員。議題3、チラブルチニブ、退室委員なし、議決に参加しない委員は亀田委員。議題4、ポラツズマブベドチン、退室委員なし、議決に参加しない委員は、亀田委員、濱委員。議題5、テポチニブ、退室委員なし、議決に参加しない委員は、亀田委員、濱委員となっております。以上でございます。
○清田部会長 今の事務局からの説明に、特段の御意見はありますでしょうか。よろしいですか。よろしければ、皆様に御確認いただいたものといたします。
本日は審議事項5議題、報告事項5議題、その他事項2議題となっております。それでは、審議事項の議題1及びその他の事項の議題1に移ります。機構から概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料1、ゾレア皮下注用75mg他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について機構より御説明いたします。タブレットの資料の一番上にある1のフォルダをお開きいただきまして、その内の一番上にある「審査報告書」のファイルをお開きください。なお、以後の審査報告書のページ数については、審査報告書のファイルの各ページの一番下にある青色のページ数にて御説明させていただきます。
本剤の有効成分であるオマリズマブ(遺伝子組換え)は、ヒトIgEに対するモノクローナル抗体であり、気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)及び特発性の慢性蕁麻疹(既存治療で効果不十分な患者に限る)に対して承認されております。今般、花粉症(既存治療で効果不十分な重症又は最重症患者に限る)に係る効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。本申請の専門委員として資料14に記載されております6名の委員を指名いたしました。
主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に御説明いたします。なお、審査報告書の25ページの10項「その他」には、有効性の評価方法の詳細を示しておりますので、適宜、御参照いただければ幸いです。
有効性について、審査報告書の10ページ表3を御覧ください。前年のスギ花粉シーズンで、既存治療で鼻症状が効果不十分であったスギ花粉症患者を対象とした国内第III相試験である、F1301試験成績より御説明いたします。主要評価項目として設定された、くしゃみ・鼻汁・鼻閉の各症状スコアから構成される鼻症状スコアであるNSSについて、表3の「プラセボ群との差」の行に示しますように、プラセボ群と比較して本剤群で統計学的な有意差が認められ、プラセボ群に対する本剤群の優越性が検証されております。
また審査報告書の21ページの図2を御覧ください。こちらの図2では、F1301試験の被験者の約半数で合併しておりましたヒノキ花粉症の合併の有無別のNSSの推移を示しております。上段のヒノキ花粉症合併例では、ピンク色の矢印で示したヒノキ花粉本格飛散期においても、プラセボ群と比較してNSSが低下する傾向が認められました。
以上の臨床試験成績及び本剤がIgEの定常領域に結合するという作用機序を踏まえ、機構は、原因花粉抗原の種類によらず、花粉症における鼻症状に対する本剤の有効性は期待できると判断し、効能・効果は季節性アレルギー性鼻炎(既存治療で効果不十分な重症又は最重症患者に限る)とすることが適切と判断いたしました。
安全性について、審査報告書の16ページ表7を御覧ください。こちらの表ではF1301試験に組み入れられたスギ花粉症患者、並びに既承認の気管支喘息及び特発性慢性蕁麻疹患者を対象とした本剤の臨床試験で認められた有害事象の発現状況を示しております。患者背景、曝露期間、併用薬等が試験間で異なるため、直接の比較には限界がありますが、現時点では既承認疾患の患者における安全性プロファイルと比較して、季節性アレルギー性鼻炎患者に特有の新たな安全性上の懸念は示唆されていないと判断し、既承認効能・効果で実施されている安全対策を引き続き実施することで、安全性は許容可能であると判断しております。
以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は、新効能及び新用量医薬品としての申請であることから、本申請に係る効能・効果及びその用法・用量の再審査期間は4年と設定することが適切と判断いたしました。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、委員の先生方から御質問、御意見をお伺いしたいと思います。
○長島委員 添付文書の効能又は効果に関する注意の5.2の所に、季節性アレルギー性鼻炎に使用する場合の、例えばIgE抗体検査で陽性とか、過去の治療とかが書いてありますが、この条件で縛った場合に、対象患者はおよそどれぐらいの人数、あるいは花粉症患者のどれぐらいの割合になると想定されているでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 申請企業に本剤は市販後にどれぐらい使われるかということを照会事項で確認しておりまして、企業からは約2万人が想定されると回答されております。
○長島委員 この添付文書の注意にした場合には、どの程度ということを想定されていますか。あるいは2万人よりも、もっと少なくなるとお考えですか。
○医薬品医療機器総合機構 対象患者についてはこの後、本剤は御懸念いただいているように対象患者の人数の部分もありますので、最適使用推進ガイドラインにて、投与対象患者についてはお話させていただきたいと思っておりますが、御指摘いただいている条件からは、2万人から更に上振れする可能性はあるかと思っております。
○長島委員 この辺もしっかり使い分けとか、臨床的位置付けをしっかりしていただいたほうがいいかと思います。
審査報告書の15ページの有効性の所で、スギ花粉以外のヒノキにおいても有効性は期待できると判断したと、その判断については専門協議で議論したいとあるのですが、具体的にはどのような議論がされたでしょうか。この報告書の中にその議論の内容が記載していないのですが。
○医薬品医療機器総合機構 専門協議の結果については、専門委員の先生方から機構の判断を支持いただいたことから、審査報告書の26ページの1.1項の1行目にありますとおり、具体的な記載ではございませんが、本剤の有効性及び効能・効果に関する機構の判断は専門委員から支持された、というような記載とさせていただいております。
○長島委員 要するに、試験でやっていない所に対しても適応を広げるという、結構重要な話だと思うので、その辺の議論を、やはりきちんと記載するべきではないかと思います。
○医薬品医療機器総合機構 かしこまりました。ありがとうございます。
○長島委員 それと、ちょっと細かい話ですが、報告書の10ページの所の表3に、NSSで50%の集団に対する数値として-1.03、-1.44、-0.62というのが記載してあって、次ページの有効性の真ん中辺の所で、補足的な解析としてやったというところの数値が、3つとも小数点2桁まで全く同じで、-1.03、-1.44、-0.62となっていますが、これは本来違う解析ですよね。それが全く同じ数値になっているのは偶然でしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 補足的な解析について全く同じ数値が企業より回答されましたので、再度確認したところ、この解析をした場合でも、記載している数字よりも更に下の部分で違いはありますが、この桁数で切った場合には全く同じ数字が得られるという回答でした。
○長島委員 分かりました。
○清田部会長 ほかにいかがでしょうか。
○宗林委員 この薬は12歳未満や、12歳以下の子供に使えることになっているのでしょうか。添付文書を見ると、それを禁止している感じはないのですが、有効性等のデータはなく、それから一番気になるのが、体重とIgEの濃度の表に、体重が例えば20~25kgの子供の場合が書かれているので、少なくとも12歳になるともう少し体重はあるのかと思うので、その年齢以下の子供を想定していらっしゃるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 F1301試験の組入れ基準では、12歳以上の患者さんが対象とされておりまして、審査報告書の2ページに用法・用量の記載がありますけれども、2.季節性アレルギー性鼻炎で、「通常、成人及び12歳以上の小児にはオマリズマブ(遺伝子組換え)」と記載させていただいておりまして、季節性アレルギー性鼻炎の効能・効果については、12歳以上で使用可能となっております。
○宗林委員 もし、そうであれば、この投与量の換算表の体重の低い所は載せる必要があるでしょうか。かえって、何か誤解を招くような感じがしますけれども。
○医薬品医療機器総合機構 こちらの表は、もともとは気管支喘息の場合に用いたものです。気管支喘息では用法・用量上は年齢の記載はない、つまり、どの年齢の患者さんにも使える状況です。ただし、添付文書の注意喚起の所で「6歳未満の使用経験はない」と記載させていただいておりますが、年齢については記載がない状況でして、12歳未満の患者さんも使用できるような状況です。したがって、臨床試験と、その後のモデリングにより設定された体重20kg以上の部分の表が投与量の換算表となっております。
○清田部会長 よろしいですか。ほかに御質問、御意見はありますでしょうか。
○菊池委員 先ほどこの薬の投与対象は2万人ぐらいとおっしゃっていましたけれども、実際には何kgの人が多くなりそうですか。というのは、剤形が75mgと150mgの2剤型だけだと、多分もっと使う人がいるはずで、150mgを使用したとしても4回打たなければいけないという実際の話になってくると思うので、粘調度もあるので、なかなか難しいのかもしれませんが、300mgの製剤があればすごく楽なのではないかなと思ったのが1点です。
喘息とかではもっと使っているはずだと思うので、喘息のところも過去の治験のデータを並べるのではなくて、実臨床で動いている実際のデータをお持ちだと思うので、そういうのは機構として要求はしないのですか。適応拡大みたいになったときに、次の議題の薬もそうですけれども、治験というのはどうしてもデータがいいわけですから、そうではなくて、実臨床のものをもってきて、それで、かつ喘息のほうのも見直すとか、そこのレギュレーションを本当は国民は求めているのではないかと思いますが、それはいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 まず、1点目の御質問を頂いた部分は、体重や投与前の血清中の総IgE濃度は個人差がありますので、なかなか一概に申し上げるのは難しい部分はあるかと思いますが、およそ成人ということで考えた場合には、体重が50、60kg前後で、総IgEは例えば200、300、400IU/mLといった辺りが恐らく、それなりに患者さんとしては多いのではないかと推測しているところです。臨床試験で一番多かった体重は60kgということでしたので、先ほど申し上げた総IgEの範囲を踏まえると、300mgの4週間隔といった部分がある程度あり得る用法・用量ではないかと思っておりますが、詳しいデータがあればまた調べて、この後、御報告させていただければと思っております。
もう一点は、市販後の部分について審査報告書の17ページの表8に示しておりますが、こちらは既承認の効能・効果で特定使用成績調査を実施したときの安全性の概要を示しております。こちらにて既承認の効能・効果で、実臨床下でどのような安全性情報であったかというのは検討しまして、先ほど冒頭で申し上げた表7及び、今回、御説明させていただいた表8のような安全性を全体的に評価しまして、季節性アレルギー性鼻炎患者では、新たな安全性上のシグナルは認められていないと判断させていただいております。
○菊池委員 分かりました。今回、奇しくも、次の議題の薬剤のどちらも皮下注射の薬ですけれども、これは自宅で打つことを考えているのですか。
○医薬品医療機器総合機構 現時点で本剤は自己投与の評価はされておりませんので、現時点でゾレアについて自己投与はないという状況です。
○菊池委員 当然、2週毎に投与する人を対象としていると思いますが、その人たちも毎回来院するということなのですね。
○医薬品医療機器総合機構 そうです、おっしゃるとおりです。
○菊池委員 次の議題の製剤の準備もしておいてほしいのです。同じことを多分聞きますので。皮下注射のことについては全般的にできる薬のことの、この中には自宅で皮下注射をしていいということは添付文書上にも書いていないと思いますが、そういうことは安定した患者さんの場合に、機構とか厚労省とか、どちらでもそうなのでしょうけれども、どのように考えていらっしゃるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 自己投与の可否そのものは機構が判断する事項ではございませんが、機構として自己投与時の成績についてはきちんと示していかなければならないと思っております。基本的には日本人の適応患者において自己投与を実施した場合にどのような有効性、安全性であったかという機構の評価も踏まえた上で、自己投与の可否が判断されると理解しております。
○菊池委員 分かりました。
○清田部会長 よろしいでしょうか。ほかに御意見はありますか。それでは、議決に入らせていただきます。亀田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。事務局から引き続き御説明をお願いします。
○事務局 ただいま御審議いただいたゾレアの皮下注用75mg及び150mgについては、最適使用推進ガイドラインを作成させていただいておりますので御説明いたします。タブレットの資料にお戻りいただきまして、その他事項の資料11-1を御覧ください。こちらの最適使用推進ガイドラインは、平成29年に制度として始まっておりまして、新規作用機序であるなど革新性が高く、有効性や安全性のプロファイルが既存の医薬品と大きく異なる医薬品について、当該医薬品を真に必要とする患者や使用する医療機関の要件を示しまして、適切な使用を進めていくためのガイドラインを個別品目ごとに、承認に合わせて作成することとさせていただいております。
今回、御議論いただきましたゾレアの最適使用推進ガイドラインの案を作成しましたので、御説明させていただきます。
次ページに目次がありますが、全体の構成としては既に発出されておりますデュピクセントのアトピー性皮膚炎に対する効能とか、その他の抗悪性腫瘍剤と同様の構成とさせていただいております。
続いて、「はじめに」の所で、今回の対象疾患は季節性アレルギー性鼻炎なので、資料に記載の日本耳鼻咽喉科学会様、日本アレルギー学会様、日本小児アレルギー学会様、日本小児科学会様、日本臨床内科医会様の御協力を頂きまして、このガイドラインを作成させていただいております。その後の事項は、先ほど御説明させていただきました臨床試験の概要等を記載させていただきますので、ガイドラインを飛ばさせていただきまして、通し番号の10ページ、ガイドライン自体では9ページを御覧ください。
こちらに、4.施設要件として示させていただいておりまして、要件の1つ目として、施設についてということで医師要件がありますが、こちらに関する診療科の本剤に関する治療の責任者を配置することということで、こちらのほうを学会の専門医相当の基準を記載させていただいています。
次ページ、マル2の院内の医薬品情報管理の体制について、マル3の合併症及び副作用への対応についてということで、きちんとした体制を整えた上で投与を行うよう要件とさせていただいております。
通し番号12ページで、投与対象となる患者を記載させていただいておりまして、最初の四角枠の囲みの中で、そもそものところとして原因、花粉抗原の除去とか、回避が重要であることを患者に指導することとか、本剤が対症療法ですので、アレルギー免疫療法が長期寛解も期待できる治療であるので、選択肢として患者にきちんと説明してくださいというように記載させていただいております。
その下の患者選択の部分ですが、アレルギー診療ガイドラインを参考に、今回、検証的臨床試験がスギ花粉症で行われておりますので、スギ花粉による季節性アレルギー性鼻炎の確定診断がなされていることとか、こちらのIgE抗体が陽性であることなどを、こちらに記載させていただいております。
次ページ、投与期間として、スギ花粉抗原の飛散時期を考慮して投与するとか、季節性アレルギー性鼻炎の症状の初期に投与を開始することが望ましいこと。臨床試験において12週以上の使用経験がないので、12週以降も継続して投与する場合には、患者の状態を考慮し、その必要性を慎重に判断することとさせていただいております。
最後のページです。投与に記載して留意すべき事項となっておりまして、こちらは添付文書とか、使用上の注意の重要な基本的注意などに記載された主な注意事項について、入念的に本ガイドラインにおいても記載をさせていただいております。
本ガイドラインですが、本日頂いた御意見も踏まえて、引き続き検討を行いまして、本剤の効能追加承認日に通知として発出する予定とさせていただいております。また、別途、中医協のほうにも御報告させていただくとともに、発出の際には保険請求上の取扱いについて保険局医療課より留意事項通知が発出される予定となっております。以上、簡単ですが、本剤のガイドラインの現在の案について、御説明させていただきました。御意見等がありましたら、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 いかがでしょうか。
○宗林委員 このガイドラインの所では、対象となる効能・効果が季節性アレルギー性鼻炎で12歳以上となっていますが、この少ない体重の所は、必要なのでしょうか。
○事務局 御指摘ありがとうございます。確かに添付文書では既存の効能もありますので、全体で記載させていただいておりますが、今回はこの効能に関するガイドラインですので、御指摘のとおり小児に対して使う必要のない換算表は必要ない形になります。実際に12、13歳ぐらいの低年齢の方が、どのぐらいの実際の体重なのかどうか等については、こちらで後ほど、確認させていただきまして、必要であれば適切な形に修正させていただきたいと思います。
○清田部会長 長島委員、どうぞ。
○長島委員 投与に関して留意すべき事項の5番の所で、1回につき150mgを超えて投与する場合は、1か所当たり150mgを超えないように部位を分けると書いてありますが、これは150mgを超えると何か問題が起こるのか、それとも、150mgを超える試験をしていないからなのか、どちらでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えさせていただきます。1本ではなくて複数打つような薬剤については、同じような注意喚起を行っており、臨床試験でも別々の場所に打つように実施していることから、このような記載としております。
○長島委員 例えば4か所打つとかとなると非常に負担になるのですが、これは今後、試験等を行えばその辺が改善される可能性もあるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 今回、この150mg製剤がボリュームとしては1.2mLですので、同じ場所に2.4mLというのは難しい部分もあると思います。そのため、剤形として高濃度の製剤が開発可能かということも含めて企業が検討していく課題かと考えております。
○清田部会長 ほかに御質問はありますか。よろしいでしょうか。それでは、その他議題1のゾレア皮下注用75mg、同皮下注用150mg、同皮下注75mgシリンジ及び同皮下注150mgシリンジの最適使用推進ガイドライン(案)について御確認いただいたものと思います。
続いて、議題2に移ります。議題2について機構から、概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療器機総合機構 議題2、資料2、トルツ皮下注80mgシリンジ、同皮下注80mgオートインジェクターの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、資料に添付されている審査報告書に沿って機構より御説明いたします。タブレットの資料2のフォルダの下から2番目の「審査報告書」のファイルをお開きください。こちらも先ほどの品目と同様に、青字のページ番号でこれから説明をさせていただきます。
本剤の有効成分であるイキセキズマブ(遺伝子組換え)は、ヒトインターロイキン-17Aに対するモノクローナル抗体で、本邦では既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症に対して承認をされております。今般、既存治療で効果不十分な強直性脊椎炎に係る効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。なお、海外では強直性脊椎炎(以下「AS」)に対する効能・効果は2019年8月に米国で承認済みであり、○○では○月現在、○○○です。また、ASは、平成27年5月13日付けの厚生労働省告示第266号にて指定難病とされております。本申請の専門委員としては、資料14に記載されております5名の委員を指名いたしました。
主な審査内容について、臨床成績を中心に簡潔に御説明いたします。なお、審査報告書の30~31ページにかけて、10項「その他」に有効性の評価方法の詳細を示しておりますので、適宜御参照ください。有効性につきまして、審査報告書11ページの表10を御覧ください。NSAIDsで効果不十分なAS患者を対象とした国際共同第III相試験の成績を示しております。主要評価項目である投与16週後のASAS40反応率について、左から2番目、3番目の列に示しておりますとおり、本剤80mgの4週間隔投与Q4W群、2週間隔投与Q2W群は、いずれもプラセボに対する優越性が示されております。また、表10の少し上に記載いたしましたとおり、日本人部分集団についても、全体とおおむね類似した傾向が認められております。
次に、審査報告書15ページの表13を御覧ください。こちらはNSAIDs及びTNF阻害薬で効果不十分なAS患者を対象とした海外第III相試験の成績を示しております。主要評価項目である投与16週後のASAS40反応率について、左から2番目、3番目に示したとおり、80mgのQ4W群、Q2W群は、いずれもプラセボに対する優越性が示されております。
また、審査報告書の19ページの表16、17を御覧ください。国際共同第III相試験及び海外第III相試験の副次評価項目であるASAS20反応率や、BASDAI50反応率、ASAS反応基準の各評価項目の変化量など、ASの疾患活動性や臨床症状、炎症等を評価するいずれの評価指標においても両試験で同様に改善する傾向が示唆されております。以上より、本剤のASに対する有効性は示されており、日本人AS患者に対する一定の有効性は期待できると判断いたしました。
また、安全性につきましては、審査報告書23ページを御覧ください。表21に、国際共同第III相試験及び海外第III相試験において認められた主な有害事象と、既承認の乾癬患者を対象とした国内外臨床試験成績の安全性の概要を示しております。AS患者において既承認の乾癬患者での安全性プロファイルを上回る新たな懸念は認められていないことから、ASに対しても現在実施している既承認効能・効果と同様の安全対策を講じる必要があると考えております。
以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は新効能・新用量医薬品としての申請であり、再審査期間は、既承認効能・効果に係る再審査の期限である令和6年7月3日までとすることが適当と判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方からの御質問、御意見をお伺いしたいと思います。
○長島委員 強直性脊椎炎の場合は、疼痛はそうなのですが、それ以上に問題なのは、脊椎の構築学的な損傷によって、脊椎が正に強直して、可動性が損なわれることによるADL障害というのが最大の問題なのです。それに関しては、構築学的なものに対する効果も期待できるというようなものなのですけれども、何かその辺で、例えば長期間、あるいは発症初期に使うことで、脊椎の構築学的な変化を防止できるとか、そのような知見というのはあるでしょうか。
○医薬品医療器機総合機構 ASと診断されてから速やかに本剤での治療を開始するべきかどうかについては、まだ確固としたエビデンスは得られておりません。また、本剤を長期間投与したときに、脊椎の構造的損傷への影響がどの程度見られていくのかについても、現時点で得られている臨床試験の結果から一定の期待はできるものの明確なエビデンスは得られておりませんので、申請者からも今後、現在実施中の臨床試験において、本剤の長期的な脊椎の構造的損傷の進行抑制効果を検討していく予定である旨を聴取しております。また、本剤だけでなく類薬についても、長期投与時の骨損傷への影響に関しては製造販売後に実施する長期間の試験において検討されている状況です。
○長島委員 関節リウマチなどの治療でも、関節破壊が起こる前に抑えるということで、その後ずっとADLが改善するという意味でも、本剤もそういう意味で、脊椎変形が予防できると極めて患者さんにとって福音となると思いますので、その観点でも是非、御検討を続けていただければと思います。
○清田部会長 よろしいでしょうか。ほかに御質問ございますでしょうか。
○菊池委員 16週で判断するのがプロトコルになっていると思うのですが、本来、今の先生がおっしゃられたとおり長期に使っている部分もあると思うので、1年間、52週とかのデータは、それでうまくいっているということなのでしょうか。
○医薬品医療器機総合機構 審査報告書19ページの表16、17を御覧ください。おっしゃるとおり、有効性の主要評価項目は16週時点のASAS40反応率で評価いたしましたが、52週間まで投与は続けておりまして、その成績を表16、表17に示しております。16週以降52週まで長期投与したときも有効性は期待できると考えております。
○菊池委員 そういうことも報告の中で言ったほうがいいような気がしたので、何も言っていなかったので、ちょっと確認をしました。あと、もっと面倒くさいことを聞くのですが、日本人が7例しかいないのに、最初のファーストドーズの160mg皮下注射するというのを、あえてキャンセルしていますけれども、それについて説明が全くなかったと思うのですが、それはどういう判断根拠で。どこかに書いてありましたが、それをしないほどの科学的なサイエンティフィックなデータは全然ないと思うのですが、いかがでしょう。
○医薬品医療器機総合機構 日本人データが脆弱というのは御指摘のとおりなのですが、ASの国内患者数が限られておりまして、ASの病態や治療体系、本剤の薬物動態等に明らかな国内外差は認められないことから、全体集団での成績で評価して、日本人の有効性も判断することが適当と考えました。
○菊池委員 そうすると、アメリカと喧嘩しろと言っているわけではないのですが、アメリカの添付文書上は、ローディングドーズを付けていますよね。それをあえて、しないでやるというのが7例だけで判断しているのか、それとも先々、倍の量を最初に負荷しないでやるのが企業から話があって、それでいいということがあるのか。そうでないと、ここの限りについてはすごく疑問を感じますが。
○医薬品医療器機総合機構 御指摘の、米国における初回負荷投与の設定についてですが、米国ではAS患者に対して初回負荷投与を行うことで○○○○○○○○○○○○と判断されて当該用法・用量となったのではなく、○○○○○○○○○○○○○○○初回負荷投与が設定されていることから、ASでも○○○○○○○○○○○○○○○○○○だろうと判断されたためであると申請者より聴取しております。日本においては、初回負荷投与を○○○○○○○○○○○よりも、今後のことなのですが、○○○○○○○○、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○であり、○○○○○○○○○○○○○○ことが適当と判断されております。
○菊池委員 種明かしがあるならそうなのですが、そこまでお考えになっているのだとすると、○○○○○○○○○○○○○にもファーストローディング(初回負荷投与)が要るのか要らないのかとか、効能追加の審査の場合に既存の効能に対しての評価も本当は同時にすべきだと前から申し上げているのと同じであって、そこまで考えているのだったら、その答えは要求しませんが、それをレギュレーションするとか、考えるのが先生方のお仕事なのではないかと思いましたので。
○医薬品医療器機総合機構 御指摘ありがとうございます。
○清田部会長 では、今後の検討課題にしてください。ほかにいかがですか。大丈夫ですか。ありがとうございました。それでは、そろそろ議決に入りたいと思います。亀田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題3に移りたいと思います。議題3につきまして、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 議題3、資料3、チラブルチニブ塩酸塩を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。タブレットの資料3のフォルダに格納しているマル2「希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書」のファイルをお開きください。報告書の1ページの中段を御覧ください。申請者は小野薬品工業株式会社、予定される効能・効果は原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫です。まず、対象患者数について説明します。リンパ形質細胞リンパ腫(以下「LPL」)は、成熟B細胞を起源とする悪性リンパ腫の病型の1つであり、原発性マクログロブリン血症(以下「WM」)はLPLのうち、骨髄浸潤及びIgMタンパク血症を呈するものと定義されております。厚生労働省における患者調査及び文献報告に基づき、WMを含むLPLの総患者数は約480人と推定されております。以上より、患者数は5万人未満という基準を満たしているものと考えております。
続いて、2ページの医療上の必要性について御説明いたします。未治療及び再発又は難治性のWM及びLPLに対してはリツキシマブ、アルキル化剤、プリンアナログ若しくはボルテゾミブの単独投与、若しくはこれらの薬剤の併用投与による治療が実施されておりますが、いずれの治療においても延命効果等を示す十分な治験成績は得られておらず、新たな治療薬の開発が望まれております。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
最後に、開発の可能性について御説明いたします。WM及びLPL患者を対象に、本剤の有効性・安全性等を検討することを目的といたしました国内第II相試験が実施され、中央判定による奏功率は未治療患者を対象としたコホートで77.8%、再発又は難治性の患者を対象としたコホートで88.9%でした。以上より、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがって、希少疾病用医薬品の3要件を満たしているものと考えております。よろしく御審議のほど、お願いいたします。
○清田部会長 それでは御質問、御意見はありますか。よろしいですか。それでは議決に入りたいと思います。亀田委員におかれましては利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告させていただきます。それでは議題4に移ります。議題4について、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 議題4、資料4、ポラツズマブベトチン(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。タブレットの資料4のフォルダに格納しているマル2「希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書」のファイルをお開きください。報告書の1ページ中段を御覧ください。申請者は中外製薬株式会社、予定される効能・効果はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫です。まず、対象患者数について説明いたします。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(以下「DLBCL」)は、成熟B細胞を起源とする悪性リンパ腫の病型の1つであり、厚生労働省における患者調査及び文献報告に基づき、DLBCLの総患者数は2万3,000~3万2,000人程度と推定されております。以上より、患者数は5万人未満という基準を満たしているものと考えております。
続いて、2ページの医療上の必要性について御説明いたします。未治療のDLBCLに対する標準治療として、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン及びプレドニゾロンの併用投与(以下「R-CHOP」)が推奨されております。未治療のDLBCL患者を対象とした本剤リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びプレドニゾロン併用投与の有効性及び安全性を検討した海外第II相試験拡大パートの結果から、本剤は既存の治療法として高い有効性が期待されます。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
最後に、開発の可能性について御説明いたします。現在、未治療のDLBCL患者を対象に、本剤、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びプレドニゾロン併用投与の有効性及び安全性を、R-CHOPと比較することを目的とした国際共同第III相試験を実施中です。また、本剤、ベンダムスチン及びリツキシマブの併用投与について、再発又は難治性のDLBCL患者を対象とした海外臨床試験において、良好な成績が得られており、国内臨床試験を実施中です。以上より、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがって、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしているものと考えております。よろしく御審議のほど、お願いいたします。
○清田部会長 この件について委員の先生方から御質問、御意見はありますか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは議決に入りたいと思います。亀田委員、濱委員におかれましては利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは議題5に移りたいと思います。議題5について、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 議題5、資料5、テポチニブ塩酸塩水和物を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。タブレットの資料5のフォルダに格納している「希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書」のファイルをお開きください。報告書1ページの中段を御覧ください。申請者はメルクバイオファーマ株式会社、予定される効能・効果はMET遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんです。まず1ページの対象患者数について御説明いたします。厚生労働省における患者調査及び文献報告に基づき、本邦におけるMETエクソン14スキッピング変異陽性の非小細胞肺がん患者は、約5,000人と推定されております。以上より、患者数が5万人未満という基準を満たしているものと考えております。
次に、2ページの医療上の必要性について説明します。METエクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行又は再発の非小細胞肺がん患者に対しては、METエクソン14スキッピング変異陰性の患者と同一の化学療法等が行われておりますが、治療効果は限られており、この患者集団は依然として予後不良な疾患です。また、METエクソン14スキッピング変異は、METを介したシグナル伝達経路を亢進させることに加え、当該変異とがん抑制遺伝子であるp53遺伝子の欠損によって肺腺がんが生じること等から、METエクソン14スキッピング変異を有する腫瘍細胞の生存・増殖に、大きく寄与することが報告されており、METのチロシンキナーゼを阻害する本剤は、METエクソン14スキッピング変異陽性の患者に対する有効性が期待されます。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
最後に、開発の可能性について御説明いたします。METエクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん患者等を対象とした国際共同第II相試験において、METエクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん患者を対象としたコホートにおけるデータカットオフ時点での中央判定による奏功率は42.4%でした。以上より、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがって、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。よろしく御審議のほど、お願いいたします。
○清田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問、御意見を頂戴したいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは議決に入りたいと思います。亀田委員、濱委員におかれましては利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは報告事項に移ります。報告事項の議題1について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 報告事項の議題1、医薬品テセントリク点滴静注1,200mgの製造販売承認事項一部変更承認申請について、御報告をさせていただきます。資料は、報告事項のフォルダの中の資料6です。本剤は、programmed cell death-ligand 1(以下「PD-L1」)に対する免疫グロブリンG1サブクラスのヒト化モノクローナル抗体であるアテゾリズマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤で、現在は切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん、進展型小細胞肺がん及びPD-L1陽性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がんを効能・効果として承認がされております。
また、本剤は非小細胞肺がんに関して単独投与に加え、カルボプラチン、パクリタキセル及びベバシズマブ(遺伝子組換え)との併用投与の用法・用量で承認がされております。今般、中外製薬株式会社から切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対し、白金系の抗悪性腫瘍剤及びペメトレキセドナトリウム水和物との併用投与、並びにカルボプラチン及びアルブミン懸濁型パクリタキセルとの併用投与に係る用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断されております。以上です。
○清田部会長 この件について委員の先生方からの御意見、御質問はありますか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、報告事項の議題1については御確認いただいたものといたします。事務局から引き続き御説明をお願いいたします。
○事務局 その他事項のフォルダに格納している、資料11-2のファイルをお開きください。報告事項議題1のテセントリク点滴静注1200mgについては、非小細胞肺がんに関して最適使用推進ガイドラインを作成しており、今回の製造販売承認事項一部変更承認に伴い、その改訂を予定しておりますので、改訂箇所について御説明いたします。ページ番号については、資料の最下部に付している番号に基づき説明させていただきます。3ページを御覧ください。枠内の用法・用量ですが、今回新たに本剤と白金系抗悪性腫瘍剤及びペメトレキセドとの併用投与、並びにカルボプラチンとアルブミン懸濁型パクリタキセルとの併用投与の有効性及び安全性を示す成績が得られたことに伴い、併用する薬剤の記載を他の抗悪性腫瘍剤に変更しております。
続いて8ページ以降です。臨床成績の項において今回の承認審査に当たり評価された試験成績を記載しております。
最後に、20ページを御覧ください。「5.投与対象となる患者の有効性に関する事項」のマル2で追加された試験において、有効性が確認された患者について記載を加えております。説明は以上です。
○清田部会長 委員の先生方からの御質問、御意見はありますか。
○菊池委員 全然関係ないというか、最適使用推進ガイドラインと添付文書のこととか、学会のガイドラインとか、いつもどういう位置付けなのか伺っているのですけれども、今回、また改めて伺うと、これはどういう関係性なのでしょうか。
○事務局 事務局より御説明いたします。承認事項である効能・効果、用法・用量については、添付文書の中に記載しておりますが、その中で薬剤について有効性・安全性で確認がされ、投与が適切だと思われる患者集団について最適使用推進ガイドラインで示しております。
○清田部会長 分かりますか。
○菊池委員 いや、それが分からないから伺っているわけです。例えば、施設要件などをいろいろ出すじゃないですか。結局、最適使用推進ガイドラインに違反して使ったら、保険適用外という判断をされてしまうのでしょうか。そういうことも含めて。
○医薬品審査管理課長 端的には承認と添付文書があった上で、最適使用推進ガイドラインを作っている品目については、患者の要件を規定して絞り込んだり、あるいは医療機関や医師の要件を設定させていただいたりしております。そこに適合しない処方、使用、患者に処方された場合などについては保険適用されない、保険適用の範囲外ということで診療報酬の側でそのような取扱いになります。そこが最適使用推進ガイドラインの1つの効果になっております。
○菊池委員 そのことは多分、実臨床の人は全然知らないと思うのです。そういうことであれば、やはり添付文書上に最適使用推進ガイドラインがあるのだということを書いて、それも参考にしなさいとか、準拠しなさいと言わないと、結局、薬が出たら添付文書で、機構の所からの添付文書を検索して、使えるなと思ったら使ってしまって、その後に何がいけないんだというように思うかもしれません。また、施設要件を満たしていなくても、例えば先ほどのゾレアのほうだったら、去年はうまくいったから今年は開業医でやりたいと思う人が出てきても、全然OKです。そのときに要件を満たしていなくても、そういうものは大丈夫なのかと思ったのです。今回は答えが出ないと思います。
私は毎回、これを聞くと施設要件も医師要件もいろいろな学会によってそれぞれの経験が2年が4年とか、そこら辺はもう本当にまちまちで、その要件の読み間違えで保険を切られたりされたら、実臨床ではたまったものではないと思うので、その辺をちゃんと明確化してくださらないと。抗がん剤なら、まだある程度はそうですけれども、今回もほかのアレルギーの薬などにも入ってくると、そういったものがどこまでなのか。機構の方が先ほども話していましたけれども、結局は厚労省ですよね。仕事の役割としてそこら辺が、いつも私の中で疑問になるのです。どちらが責任を取るかといったら、それはやはり厚労省ですよね。そういうところでやるのであれば、もうちょっと。私も国民の一人ですけれども、医療者です。そこのところは毎回来ていて分からないところなので、また教えていただきたいと思います。
○医薬品審査管理課長 御意見、ありがとうございます。宿題を頂いているというように認識しました。最適使用推進ガイドラインについては2年ほど前から、かなりの本数を出させていただいております。最初は抗がん剤であったり、抗コレステロール血症であったりということでしたが、疾患領域も広がってきております。新しいものも古いものも含め、かなり周知しているつもりではあるのですが、先ほど先生から御指摘いただいたように、添付文書に書いておくほうがよければ、それも考えます。医療現場にきちんと伝わるように、更なるいい策があれば考えたいと思います。ありがとうございます。
○清田部会長 是非、検討していただければと思います。ほかに御意見はありますか。よろしいですか。それでは、報告事項の議題2~5についての御説明をお願いいたします。
○事務局 報告事項の議題2~5について、まとめて御説明をさせていただきます。まず、報告事項の議題2です。イブランス錠25mg及び同錠125mgの製造販売承認について、御報告をさせていただきます。資料は、報告事項の資料7です。こちらは乳がんに関する適応について、サイクリン依存性キナーゼ4及び6に対する阻害作用を有するパルボシクリブを有効成分とする抗悪性腫瘍剤として、現在、食後投与が必要なカプセル剤が承認されております。今般、ファイザー株式会社から、食事の摂取状況にかかわらず投与可能な製剤で、カプセルではなく、錠剤の製造販売承認申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断がされております。
続いて議題3、医薬品エムプリシティ点滴静注用300mg及び400mgの製造販売承認事項一部変更承認について、御報告をさせていただきます。こちらも同じフォルダの資料8です。本剤は、主に多発性骨髄腫細胞の細胞膜上に発現するCD319に対する免疫グロブリンG1サブクラスのヒト化モノクローナル抗体である、エロツズマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤で、現在は再発又は難治性の多発性骨髄腫の効能・効果で、レナリドミド水和物及びデキサメタゾンとの併用に係る用法・用量が承認されております。今般、ブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社から、ポマリドミド及びデキサメタゾンとの併用に係る用法・用量を追加する、製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされております。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断がされております。
続いて議題4、医薬品カイプロリス点滴静注用10mg及び40mgの製造販売承認事項一部変更承認について、御報告をさせていただきます。資料は、同じフォルダの資料9です。本剤は、プロテアソーム活性に対する阻害作用を有するカルフィルゾミブを有効成分とする抗悪性腫瘍剤で、現在は再発又は難治性の多発性骨髄腫の効能・効果で、レナリドミド水和物及びデキサメタゾンとの併用、並びにデキサメタゾンとの併用における本剤の週2回投与の用法・用量が承認されております。今般、小野薬品工業株式会社から、デキサメタゾンとの併用における本剤の週1回の投与の用法・用量を追加する、製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断をされております。なお、冒頭にも御紹介いたしましたが、本剤の添付文書(案)について、事前に送付した資料及びタブレットに格納されている資料が、変更箇所に取消し線が示されていましたので、当日配布資料として、お手元にそちらを反映したものをお配りしております。
報告事項の最後が議題5、医療用医薬品の再審査結果についてです。こちらは資料10-1~10-3の3品目です。まず最初の品目が資料10-1、有効成分名イマチニブメシル酸塩、販売名グリベック錠100mgです。2つ目が資料10-2、有効成分名パリビズマブ(遺伝子組換え)、販売名シナジス筋注液50mg及び同筋注液100mgです。3つ目が有効成分名ダルナビルエタノール付加物、販売名プリジスタ錠600mg及びプリジスタナイーブ錠800mgです。
これらの3品目については、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査及び製造販売後臨床試験に基づき再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられている、承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要がないカテゴリー1と判定させていただいております。報告事項については以上です。
○清田部会長 先生方から御意見、御質問はありますか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは報告事項の議題2~5については、御確認いただいたものといたします。続いて、その他の事項に移りたいと思います。その他の事項の議題1については既に報告されておりますので、議題2について、事務局から御説明をお願いしたいと思います。
○事務局 その他の事項の議題2、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、公知申請を行うことが適当と判断された適応外薬の事前評価について御説明いたします。プライベートファイルの資料11-1~12、その他事項のフォルダの資料12、公知申請事前評価、ブスルファンのファイルをお開きください。こちらのファイルの通し番号で3ページを御覧ください。今般、未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請を行うことが妥当と判断された要望は、ブスルファンの悪性リンパ腫における自家造血幹細胞移植の前処置に対する適応追加の要望です。本要望は、日本造血細胞移植学会から提出されております。
公知申請の該当性については、通し番号26ページを御覧ください。有効性の評価は、26ページから記載している海外の臨床試験の成績、及び27ページに記載している日本における臨床使用の実態を踏まえ、悪性リンパ腫における自家造血幹細胞の前処置に対するブスルファンの有効性は、医学薬学上公知と判断可能と評価されております。
安全性については28ページからです。こちらも海外臨床試験及び国内の臨床使用の実態を踏まえ、悪性リンパ腫における自家造血幹細胞の前処置としての本薬と、その他の抗悪性腫瘍剤との併用投与による主な有害事象は、いずれも国内添付文書で既に注意喚起されている有害事象の範囲内であることから、当該併用投与での有害事象は管理可能であると評価されております。また、要望内容と同一の用法・用量が既に承認されており、日本人患者に対する一定の安全性は蓄積されていることを考慮しますと、造血幹細胞移植の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師により有害事象の観察や管理等が適切に対応されるのであれば、忍容性はあると評価されております。以上より、本要望内容の臨床的有用性及び安全性は、医学薬学上公知と判断可能と評価されております。
効能・効果及び用法・用量については31ページです。効能・効果の評価については、こちらも海外の臨床試験と日本の臨床使用実態を踏まえ、悪性リンパ腫における自家造血幹細胞移植の前処置と設定することは適当と判断し、下線部を追記させていただいております。また用法・用量については、記載のとおりとさせていただいております。以上です。
○清田部会長 委員の先生方から御質問、御意見はありますか。よろしいでしょうか。それでは、本議題については御確認いただいたものといたします。本日の議題は以上ですが、事務局から何か御報告はありますか。
○事務局 御審議、ありがとうございました。次回の部会は11月25日月曜日、午後3時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。
( 了 )
 
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 荒木(内線2746)