第90回労働政策審議会障害者雇用分科会(議事録)

日時

令和元年10月4日(金)10:00~12:00

場所

厚生労働省職業安定局第1・2会議室

議事

○阿部分科会長 おはようございます。それでは、ただいまから第90回障害者雇用分科会を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところ御参集いただきまして、ありがとうございます。なお、本日は小原委員、中川委員、長谷川委員、三輪委員が御欠席です。三輪委員の代理として日立製作所人財統括本部人事勤労本部トータルリワード部長松永さんにお越しいただいております。どうぞ、よろしくお願いいたします。それから、達谷窟高齢・障害者雇用開発審議官は、用務のため11時に退席とお聞きしております。倉知委員は、後ほどお見えになるかと思います。
それでは、議事に入りたいと思います。本日の議題ですが、障害者活躍推進計画作成指針についてとその他となっております。では議題1、障害者活躍推進計画作成指針について、事務局から説明をお願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 では、資料1に基づきまして説明申し上げます。障害者活躍推進計画作成指針(骨子案)として示しております。この指針につきましては、4月施行となります公務部門の任命権者ごとに作成、公表いただきます障害者活躍推進計画を作成する上での指針となるものです。指針は年内の告示を目指し、年明けからより具体的に作成についての手引を作りまして、これに基づいて全国の労働局によって各地域、自治体を含めての説明会を開催し、作成に向けた支援等を行っていきたいと考えています。現在、国及び地方公共団体等について意見照会をしているところで、本日の御議論も踏まえまして、それらの照会等の結果も踏まえ、最終的に再度指針案として示したいと考えております。
それでは資料です。第一ですが、障害者活躍推進計画の意義・背景について記載しております。昨年明らかとなった不適切計上の再発防止の徹底と、法定雇用率の速やかな達成が必要ということで、公務におきまして当然民間に率先垂範するという観点からも、雇用率を達成すれば終わりということではなく、継続的に障害者雇用を進めていくことが重要であるということ、障害者雇用を進めるに当たりましては、障害者の活躍の推進が必要でありまして、正に能力を有効に発揮することができることを目指していくということです。こうした公務部門での障害者の皆様方の活躍というのは、我が国の政策決定過程のみならず、行政サービスの向上の観点からも重要と考えています。今般、障害者雇用促進法の改正によりまして、国及び地方公共団体において、障害者活躍推進計画を策定することとしたということが、第一に書いてあります。
第二ですが、先般御議論いただきました障害者雇用対策基本方針との関係です。基本方針は、我が国全体の障害者の雇用の推進及び職業の安定に関します施策、基本となるべき方針ということで、その方針に基づき公務部門において障害者の活躍推進計画を作成するために定めたのが、本指針の位置付けになります。
第三ですが、計画の作成及び実施等に関する手続です。まず、1点目が計画の作成に当たりまして、障害者である職員に対して、参画を求めることを必須としております。地域の関係機関等の連携あるいはJEEDのノウハウの活用も重要。併せて、厚生労働省から示しております「障害者差別禁止指針」及び「合理的配慮指針」並びに人事院が示しております「合理的配慮指針」、これらを踏まえまして、まず各機関において実態を把握し、課題を適切に設定するということが必要と考えております。
2ページで、そういった公務だけではなく、民間の事業主における先進的な事例の把握なども重要と考えております。それから、二、三としまして、計画の公表及び周知について規定をしております。続きまして四、点検及び公表です。計画の実施状況につきましては、一元的に把握・点検できる体制の仕組みの整備が必須であると考えております。それから、計画作成時点で想定していなかったような変化、また、盛り込んでいなかったような取組を柔軟に実施した場合においては、それらも含めて分析をすることが必要ということ。併せまして、PDCAサイクルの確立、取組状況の公表などについても必須と考えております。併せて、個々の具体的なロールモデルとなるような障害者の事例につきましても、個人情報の保護に十分に配慮した上で公表することが重要であると考えております。
第四が、障害者活躍推進計画の内容に関する基本的な事項です。1つ目は、計画期間はおおむね2年から5年とすることが望ましく、点検あるいは対策の実施については毎年度必要と考えております。2つ目は、障害者である職員の職業生活における活躍の推進に関する取組の実施により達成しようとする目標です。目標につきましては、課題を適切に設定した上で、実効性の高い目標、可能な限り定量的であって、達成状況を客観的に判断できるものが望ましいと考えております。また、計画期間は何年度間かにわたったとしても、各年度ごとの目標を段階的、継続的に設定することができれば、それも望ましいと考えております。
3ページ目です。採用に関する目標については、必須事項として設定していただきたいと考えております。併せて定着に関する目標も極めて重要ではあるものの、まだ、その根拠となるデータが蓄積されていない期間もあろうということで、少なくとも、こうした目標設定に向けての定着率等のデータを収集し、整理・分析することを必須としております。加えて満足度等の情報についても、データを集積し、可能であれば目標設定するということも考えられると思っております。3つ目が実施しようとする障害者である職員の職業生活における活躍の推進に関する取組の内容及び実施時期です。まず実施時期を明らかにし、各年度ごとに実施するものについては実施頻度・回数を段階的、継続的な設定にし、また目標の達成度の評価についても、あらかじめ明確化するということ。各種指針を踏まえた取組を行うことが必要であるということ。それから、取組の実施においても、必要に応じて関係機関との連携や、JEEDのノウハウの活用も重要と考えております。
第五、障害者活躍推進計画における取組の内容に関する具体的な事項として、1つ目が体制の整備です。(1)の組織面としましては、障害者である職員の参画を求めることが必須であり、また、アンケート等により職員の意見等の聴取・反映も重要と考えております。併せて責任体制の明確化、横断的な取組を推進するようなチームの設置、それから、障害者職業生活相談員については、選任の義務付けがありますので、適切に選任をしていただくことが必要だということ。そのほかにも支援担当者の配置等、人的サポート体制の充実、外部機関との連携の構築も重要だということ。こうした様々なプレーヤーの役割分担等を、あらかじめ明確化することも重要と考えております。併せて、職業生活相談員だけに負荷がかかることなく、あるいは障害者にとってもいろいろな相談体制を取るということで、多様な相談先の確保が必要と考えております。(2)の人材面で、こうしたサポートに携わる人たちの本質的な向上ということで、研修の重要性、ジョブコーチの養成、支援をする側のマニュアルガイドブックの周知、各種外部で行われておりますセミナー、講習会等への参加も重要と考えております。
2つ目が障害者の活躍の基本となる職務の選定と創出で、組織内での職務を適切に選定する、あるいは、それがなかなか見当らない場合には創出するという観点から、アンケート等の実施も考えられるということです。
4ページです。そうした上で職務等を選定、創出して、御本人の特性・能力等を把握し、希望等も踏まえて適切にマッチングをしていただき、配置後においても継続的に職務選定、創出を取り組んでいくことが重要と考えております。
3つ目が障害者の活躍を推進するための環境整備・人事管理です。(1)の職務環境について、ハード面での整備、就労支援機器の導入、御本人が作業をしやすいような作業マニュアル、手順等の簡素化、併せて定期的にこうした必要な配慮等を把握するための面談等を実施し、必要な措置を講じることが必要と考えております。(2)の募集・採用ということで、職場実習については積極的に実施いただくことが重要と考えております。障害特性を配慮した募集・採用、あるいは多様な任用形態、公務につきましては、特に知的障害者、精神障害者及び重度障害者の積極的な採用ということを掲げておりますので、こうした障害特性に配慮した選考方法、あるいは職務の選定にも工夫することが重要だということ。併せて不適切な取扱いを行わないことが必須と考えております。(3)の働き方としましては、テレワーク、フレックスタイム、各種休暇の利用促進も重要と考えております。(4)のキャリア形成ということで、非常勤から常勤への転換、非常勤の場合、その後任用が終了した以降の中長期的なキャリア形成を踏まえた上で、任期中のサポート、あるいは教育訓練の実施ということも重要と考えております。
5ページ目で、(5)のその他の人事管理としましては、定期的な面談の設定、声掛けを通じた状況把握・体調の配慮も重要であるということ。あるいは職場介助、通勤への配慮等も重要でありますし、中途障害者につきましても同様の配慮等を行うことが重要と考えております。
最後に、四つ目がその他としまして、優先調達推進法に基づく障害者就労施設等への発注等の推進について記載しております。説明としては以上です。よろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは質疑応答に移ります。御質問や御意見がありましたら、視覚、聴覚障害者の方々の皆様への情報保障の観点から、必ず挙手をしていただき、私が指名した後にお名前を名乗ってから御発言いただくようお願いいたします。それではどなたからでも結構です。それでは竹下委員。
○竹下委員 竹下です。3点ほど質問と意見を述べさせていただきます。1点目は、第3の4の計画の実施状況の点検の所です。ここで「障害者雇用推進チームを設置し」とあるのですが、これは非常に良い提案であり大賛成ですが、この推進チームのメンバーはどういう人たちが想定、イメージされているのかということが質問です。私としては、是非、障害当事者が何らかの形で推進チームに加わることが必要ではないかと思っております。これが1点目です。
2点目の質問は、第5の3の中の(2)募集・採用の所ですが、これはこれで仕方がないのかなと思いますが、この募集・採用の所で、去年と今年実施された障害者を対象とした選考試験のことがどこにもうたわれていないので、これが将来的にどうなっていくのか非常に気になるところなので、それはどういう対応になるのかについて御説明いただければと思います。
最後に同じ第5の3の(5)その他の人事管理の所で、3番目の中途障害者に対する対応の問題ですが、ここに出てくるのは、キャリア形成等は出てくるのですが、1つ重要なものが落ちているのではないかと思われるのはリハビリの問題です。例えば視覚障害で申しますと、失明後あるいは視力低下後に一定のトレーニングが必要です。例えば点字の習得とか、通勤のための歩行の訓練とか、あるいは弱視の方は音声パソコンの使用、拡大読書器の使用、そうしたトレーニングをすることが職場復帰には極めて重要だと思いますので、それらを職業的リハビリテーションとして一言加えていただくことを是非お願いしたいと思います。以上です。
○内田委員 労働側の内田です。私も先ほど竹下委員が御指摘されたところで、同じように中途障害者のところで1点意見を述べさせていただきます。先ほどもお話がありましたが、職場復帰に必要な職業訓練、支援の必要性や通院等の頻度の変化などもあり、中途障害者の方には丁寧な対応が必要となると考えられます。治療と仕事の両立支援のガイドラインなども踏まえて対応が必要であると思いますので、そういったことについても記載してはどうかということで意見をさせていただきました。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。
○森口委員 森口です。改めて自動車総連の森口です。どうぞよろしくお願いします。私からも竹下委員のグループのメンバーのことについて御質問がありましたので、それに関連して意見させていただきます。
職員団体の参画についての観点ですが、骨子案の中に、障害者である職員の指針作成や推進への参画について記載がありましたが、各職場において職員団体がおりますので、こちらの参画についても記載があってもよいのではないかと考えております。職員団体も一緒になって障害者活躍推進に参画していくことで、職員への障害者雇用への意識の啓発の促進につながっていくと思っております。また、障害者雇用に取り組むことの気運の上昇につながっていくのではないかと思っておりますので、是非とも検討をお願いいたします。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございます。関連して、もしあれば今伺います。よろしいですか。それでは門﨑委員。
○門﨑委員 自治労の門﨑です。第5の3の(4)キャリア形成のことについて先に触れられたので、これについてです。ここでは非常勤から常勤の転換の促進について記述されておりますが、ここだけを見ますと、雇用は非常勤からというイメージが強調されている感じがするので、ここは今後法定雇用率の達成維持するためには、中長期的な展望に立った契約には正規職員の採用が重要と考えているということで発言させていただきます。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございます。眞壁委員、どうぞ。
○眞壁委員 眞壁です。3ページの第5の1番の組織面の8番と9番です。障害者雇用推進チームだとか、職業生活相談員とかいろいろな所の役割分担を明らかにするのはすごく大事なことですし、それから、障害者が相談しやすい体制となるようにいろいろな相談窓口があるというか、そういうこともすごく大事だと思います。ただ、自分が抱えている問題が1つだけではなくて、幾つかある場合にどうやってそれを解決するのか、本人は多分混乱すると思います。そこでいろいろな所との関係調整というか、それを職業生活相談員が中心になってやるのか、その辺をはっきりしておかないと、多分当事者は混乱するのではないかと思います。以上です。
○阿部分科会長 それでは、ここで一旦切らせていただきます。竹下委員からも御質問もありましたし、ほかの委員からも御意見もありましたので、まず竹下委員の御質問からお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。竹下委員と関連する御質問と併せて先に御説明します。まず1点目のチームメンバーについての御質問については、私どもとしては基本的に構成員に障害者である職員も含めて、当事者も含めた議論、計画の作成等を行うことを考えております。わが厚労省におきましては大臣を本部長とする障害者雇用推進本部に加えて、障害当事者の職員の皆様方も参画をしていただき、障害者雇用推進のための職場改善チームを設けたりしておりますので、竹下委員がおっしゃったような当事者参画ということを念頭に置いているということです。
関連して職員団体のお話については、正に今、関係府省にも協議をしている中で、関連する府省等とも御相談をし、どういった記載が可能なのかということも検討していきたいと思います。
2点目の選考試験についてはどうなるのかというのは御質問かと受け止めておりますが、まず選考試験には2つありまして、人事院が行う統一選考と各府省がそれぞれの判断の中で個別選考という形で行っております。統一選考については、人事院のほうでどういうふうに判断をしていくかということについては、もし何か情報があればまたお伝えをすることもできるかと思います。個別選考については、当然、雇用率が達成すればそれで終わりということではなく、障害者の活躍推進を念頭に置いた上で各府省が適切に判断して実施をしていくものと考えております。
3点目のその他の人事管理の所で、中途障害者に対しての記載の部分で、正に点字歩行訓練、あるいは拡大読書鏡の使用の仕方、通院への配慮等について様々配慮が必要ということについては大変重要な御指摘かと思います。今の記載では確かに円滑な職場復帰のための職場環境整備等の「等」で読んでいる形になっておりますので、今の御指摘を踏まえて、具体的にどこまで書けるか。またそれと併せて、手引にもかなり具体的に、例えば、「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」のことも引き合いに出しながら記載をして、しっかりとそこは実効性を高めていきたいと思います。
戻りまして、眞壁委員からの御指摘です。第5の体制の部分で幾つかの問題があったり、あるいは御本人が何が問題かということもなかなか難しい部分もあって、誰がどういった支援をしてくれるのかということをきちんと整理をしておかないと、御本人にとって大変混乱するという御指摘かと思います。そういう意味では、生活相談員というのは非常に重要なキーパーソンになるかと思いますが、実際には恐らく配属先で、ここにあるような人的サポート体制が別途組まれるものと考えております。例えば、直属の上司、同じラインに座っている管理者、そういった形での支援対象者が日々その方の状況を把握しながら、どういったことにお困りかということも配慮していくのかと思います。それらの情報を職業生活相談員と共有しながら、適宜相談しながらということになってくるかと思いますので、その辺りも含めて役割分担について、しっかりと御本人にとって混乱のないような環境整備ができるような計画にするように指針を含め、あるいは手引を含めて工夫していきたいと思います。
キャリア形成の部分については、門﨑委員からの御指摘かと思いますが、この記載では非常勤が前提にあると読めるのではないかという御指摘です。正規職員からもちろん活躍を頂くということも大変重要な視点かと思いますので、その辺りは御指摘を踏まえて、どういった工夫ができるか今日のところは検討させていただくということで留めさせていただきます。以上です。
○阿部分科会長 森口委員から、職員団体の参画というのは。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。それについては関係府省とどういった形で記載ができるか、あるいは対応ができるかということについては引き取らせていただいて検討を進めたいと思います。
○阿部分科会長 竹下委員、よろしいですか。
○竹下委員 はい。
○阿部分科会長 ほかの委員もよろしいですか。眞壁委員もよろしいですか。それでは、その他いかがですか。
○武石委員 公益の武石です。今の御説明の中で気になっているのが、組織の中で支援する人たちがいるのですが、大変重要なのは職場の上司であったり、同僚の理解がすごく重要だと思います。そうなったときにここで書かれているのが、多分、第5の1の(2)人材面という所の最初の○に相談員だけではなく、その他支援者・同僚等に対する研修が重要と書いてありますが、これだけでは弱いので、職場にいる上司や同僚である人たちは、研修だけではなく、その人たちに対する具体的な支援などがなされないと、やはりきちんと対応できないと思いますので、ここはしっかり書き込んでいただきたいと思いました。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございます。事務局、お願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。上司、同僚の理解を含め、具体的な支援についてもう少し具体的な記載ができるかどうか工夫したいと思います。
○阿部分科会長 ほかにいかがですか。
○阿部委員 日身連の阿部です。先ほどの委員と事務局のやり取りの中にありました第3の4、例えばということで、更に厚生労働省としての取組ということもお話いただきましたが、これは「例えば」とありますが、これは例えばではなくて、大事なことなのだというように、いろいろな取組の中で行っていただくのが大事かなと思いました。意見です。
第5の(1)の一番下に、「多様な相談先の確保が必要」という言葉と、第4の一番下に、「取組の実施においても必要に応じてハローワーク、就労支援機関等との連携、JEEDとのノウハウの活用」ということもありますし、どういう所が多様な相談先になるのかなということで、これまでの議論の中で納付金制度で使ったものが使えないように思えてしまうような議論もありましたが、これはそれぞれの方々がしっかり就労して生活していくためには多様な相談先が大事だと思いますので、この辺のところについて話していただければと思いました。以上です。
○阿部分科会長 それでは2点ありましたが、よろしいですか。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。まず1点目の障害者雇用推進チームの設置については大変重要な取組と認識しておりまして、具体的にここで例示にしております。と申しますのは、各機関の実情がそれぞれで、国であればチーム設置というのは義務付けてもいいかなと思いますが、自治体によっては大変小さな自治体もありますし、積極的にこれを設置していただきたいということで明示はしましたが、これを必ずということでやってしまうと、それぞれの機関の実態に応じますと若干困難性を伴う場合もあると。ただ、今の御指摘で、このチーム自体非常に重要であるということについては、手引などあるいは説明会の場でも強調してお伝えをしていきたいと考えております。それで対応させていただきたいと思います。
2つ目の関係機関としては、ハローワーク等の就労支援機関のみならず、福祉施設や医療機関等も含め、障害者を取り巻く関係者はいろいろな所があると思います。JEEDのノウハウについては直接的なJEEDからの支援ということは、公務の場合は難しいということですが、いろいろなノウハウを蓄積しておりますので、それについては積極的に活用いただけるように、ハローワーク等からも情報提供を積極的にしておりますし、引き続きそういった利用活用を図っていきたいと思います。
○阿部委員 阿部です。直接的なJEEDの関わりではなくて、今までの蓄積したものを活用していくということですね。分かりました。というのは、私の地元でも様々な相談が出先機関からありまして、就労支援センターは私の法人で担っているのですが、なかぽつセンターにはなかなか行けないので、みんな就労支援センターに来ている実情があるのです。それはそれでやっていこうと思いますが、活用できることは活用できるといいですよね。ありがとうございます。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。そういった意味で、就労支援センターのほうにも大変いろいろな御期待が寄せられてしまっているということで、我々もハローワークにおいて、追加的に定着支援が行えるような体制を今作っておりまして、来年度要求でも強化を図っていきたいと考えておりますので、一緒に連携させていただきながら取り組ませていただければと思います。
○阿部分科会長 それでは小出委員お願いします。
○小出委員 育成会の小出です。これは労働政策ということで、この法律の中でということは承知しておりますが、竹下委員が言われた中途の障害あるいはリハビリの中で、発達障害あるいは精神の方々というのは、勤めていながら調子が悪くなってということで、労働のほうは医療機関ということはありますが、その中に例えば一定期間カームダウンが必要とか、それがなかなか医療を利用するというところまではいかないということで、福祉のほうでそういうことの支援をしている所もあるものですから、これは私は承知しておりますが、福祉と労働の連携というか、そういうところのお考えというのは、今後あるのかなということを、今回の指針の中には書かれておりませんが、そういうこともまだあるのだということを御承知願いたいなと思っております。希望です。要望です。
○阿部分科会長 ありがとうございます。
○高橋委員 ダンウェイの高橋です。先に質問を2点させていただいて御回答いただいてから意見を2点ほど述べさせていただきます。
質問の1点目です。そもそも論はこの計画の意義、背景を整理されてからの指針、骨子案となっているかと思います。そもそも昨年度の不適切計上などから積極的な障害者の方の活躍推進を行うという考え方に立っている中で、今回出す指針は非常に信頼性というか、非常に力を入れるべきものであるという前提で御質問します。
まず1ページ、第一の所に自立的なPDCAサイクルを確立する、第三の所に、採用後など環境整備の実態を把握する。2ページ、第三の四などに、こちらでもPDCAサイクルを確立するということがまず書かれています。一番最初に御説明で、手引などでこの後、具体的に詳細を決めていくとの説明はあったのですが、こういったPDCAとか実態把握でどの程度具体的に国が後押しをして、指標などは例えば手引などで作られるのでしょうかというのが1点目の質問です。
2点目は、第四の二「達成状況を客観的に判断をする」という記載もありますが、こちらも同様で、客観的に判断するというのはどの程度までを捉えていくのか、やはり昨年度があって今年の指針ですから、非常にここは大事なところかと思いますが、どの程度まで国が説明というか、手引などで指標を出すかとか、その辺は検討されているかどうかをお聞きしたいです。
○阿部分科会長 それでは御質問ですので、事務局からお願いしたいと思います。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。まずPDCAを回す上で指標について手引等で示していくのかという御質問で、まずPDCAの指標については、今回もいわゆる国の機関でいろいろな特別調査等も行っている中でアンケートを実施しております。そこにおいて各職場環境なり、仕事の内容、あるいは支援のサポート体制について様々実態を把握した上で課題の抽出をしておりますので、まずはこういった形での機関の中においての課題の抽出というやり方もありますし、例えば休暇の取得などいろいろな制度が設けられているかという労務管理上の指標もあろうかと思いますが、この辺についてまだ具体的に精査は出来きれておりませんが、御指摘のように手引の中で示していくと。今考えている指標としてはそういったようなものを用いながらと考えております。
それに対しての達成状況についてどこまで求めていくのかということについては、各機関の障害者雇用についての状況がどの程度進んでいるのかということにおいてもまちまちかなと思いますが、目標についてあるいは実施状況、達成状況についても、各機関それぞれ公表していくということになりますので、そこはその地域、あるいは我々も含めて全体としてそれが妥当なのかどうかというところについては、明らかにされた中での継続的な議論が求められるのではないかと思っております。ただ、あまりにも低過ぎてはいけませんので、ここはその他の事例なども見ながら少し検証して、最終的に何か示せるのであれば示していきたいと思います。以上です。
○阿部分科会長 それでは高橋委員、お願いします。
○高橋委員 ありがとうございます。ダンウェイの高橋です。今の回答も踏まえて意見を2点ほど述べさせていただきます。まず意見の前提としては繰り返しになりますが、意義、背景というのは非常に重要であるということで、今回、様々な法改正の中でやっていることは、歴史的な背景というのはしっかり受け止めて次に進むのが大前提であります。今の回答も非常に重要だと思っております。
それを踏まえて2点意見です。意義の中に、障害の人たちの一人一人の能力をしっかり活躍できることから考えますと、多様な人材、誰もが皆、力があるのだという前提に立って活躍を頂くところから考えますと、例えば第三の四には、先ほどから皆さんがお伝えされている障害者雇用推進チームを設置するとあり、第五の一には、体制整備としての「多様な相談先」、第五の二には、一人一人の能力や特性能力を把握すること、第五の三(1)には、定期的な面談等を通じて必要な配慮等を把握すること、第五の三(4)には、各機関における勤務経験も活かし、任期の終了後においても引き続き公務内外で就労できるようキャリア形成をしっかりしていくということ、そして第五の三(5)には、その他の人事管理など、やはりそれぞれの雇用環境の対策チームだけではなくて、教育福祉企業等のシームレスな具体的な連携が必須であると私も思っております。その上でそれができますと、事前に合理的配慮を把握することができます。そうしますと、スムーズな雇用の活用につながると思っております。特に体制整備に関しては、合理的配慮が事前に把握できれば有効なツールの活用とか、情報提供の仕方の工夫などを事前に準備をすることができます。その上で障害のある人たち個々人が安心して自立してできることが増えて、雇用の促進につながると捉えても、これまでにあった機能とか機関とか雇用のところだけではなくて、以前の会議でもお伝えしておりますが、横断的な連携にしっかり力を入れて具体的にやっていただきたいと思います。
また障害のある人たちの意思、決定を大前提というところですが、例えば福祉の機関においては障害者総合支援法上から言いますと、一方で客観的なアセスメントも大事だということを捉えられておりますので、そういったバランスも重要にしていくとより多くの障害の方たちの活躍の場が広がって推進できると捉えています。
特に今、時期的には中小企業の認定制度が並行して議論がされておりますが、昨今、決定した特例給付金の考え方などでは、週に10時間から応援しますということになっております。多様な働き方を推進する点で決めてきているところで言えば、福祉と雇用とののりしろが出てきているという点について、具体的に体制を作っていただきたいです。例えばもう少し突っ込むと、参考資料2の任期満了となった経験ということを、仮にマイナスと捉えるのか、プラスと捉えるのかというときに、仮に前向きに捉えたときは、全く働いたことがなかった方が1回働く経験ができたということはプラスに捉えることもあるかと思います。次へのキャリアアップとして活躍推進できるという見方もあるので、やはりこの辺は本人の意思決定と、客観的なアセスメント、それをするためには教育福祉、雇用関係の具体的な連携体制整備を是非推し進めていただきたい。これが1点目になります。
2点目の意見です。第五の四、その他に書かれている優先調達法などからなる障害者の方の活躍の拡大については大賛成で、これも中小企業認定制度と並行して議論がされているところかと思います。自治体によっては既にやっている所は結構あると私は認識しております。そうしますと、そういった自治体においても積極的にやっていきたいという国の具体的な後押しが非常に必要であると思っておりますので、是非ここも具体的に後押しできるような体制をやっていただきたい。この2点が意見です。以上です。
○阿部分科会長 それでは事務局お願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。今頂いた意見は大変重要な御指摘かと思います。まず1点目については、かねてから高橋委員から教育福祉、そして雇用と労働とのシームレスの連携ということは繰り返し御指摘を頂いているところです。これも私たちも重々に念頭に置きながらいろいろな施策を考えていきたいと思います。今回の指針の中あるいは手引の中において、今後各機関が取り組んでいく上でも、そういった認識に立てるようにできる限りそういう形で誘導していきたい。
そういう意味では、例えば受入れ前に御本人が能力を発揮するために必要とされる合理的配慮とか、その方がどこまでできて、何を助ければもっと更に発揮できるのかということも含めて分かっていることによって、相当活躍の範囲が広がっていくというのもそのとおりだと思います。一方で、客観的な数値的なアセスメントができればより一層素晴らしいと思いますので、この辺は是非御本人を取り巻く就労支援機関を含めて、特に御支援を頂き連携を図っていくべきことかと思います。
その際に任期満了でプラスに捉えるという考え方の御指摘がありましたが、これは正に今回の調査で私たちも実感している部分で、任期満了でお辞めになった方が、必ずしもマイナスの要素だけで辞めていないということは見えてきております。常勤に移られた方もあるし、民間に転職された方もあると聞いている中で、あるいは今の特別支援学校に対して知的障害の方、特支校からの実習受入れから採用という道についても、モデル事業として仕組んでいこうとしている中で、実は常勤前提ではないところがネックになるのではないかと我々は考えていたのですが、学校関係者あるいは保護者の皆さんとお話をした上で、実は公務で何年間か働いたということが、その方にとって大変プラスに働いて、民間でも評価されていく、正にステップアップに使えるという要素もあるのではないかという御意見もあったところです。そういう意味で頂いた御意見はそのとおりだと思った次第です。
2つ目の優先調達法については、御指摘のとおり自治体でやっている所も散見されておりますし、より積極的にやっていただくために我々としてどんなことができるか、あるいは指針上も、もう一歩踏み込んだ何か書けることがないのかについても、引き続き検討してまいりたいと思います。以上です。
○阿部分科会長 では、門﨑委員、どうぞ。
○門﨑委員 自治労の門﨑です。今、自治体の話が、ちょっと出ました。小規模自治体の支援ということで、活躍推進計画の中で、市町村など小規模自治体においても作成するということになります。この改正法の中では、自治体から要請があったら、厚生労働大臣に助言を受けることになっているのですけれども、それに当たって自治体への支援について、何となく骨子案に記載が見られないのではないかという思いがあります。今回、計画を作成することが目的と言うよりは、当然、実際の障害者雇用への取組が、公務の職場で進められることが重要なので、今後も地方自治体を含めた職場の実態を適宜踏まえて、進めていただきたいという形でお願いしたいと思います。
○阿部分科会長 では、事務局からお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。指針上、国がどのように支援をするのかという観点では書いておりませんので、各機関側から見たときに、例えばハローワークと連携してやっていただくような書きぶりになってしまっています。ただ、作成に当たっては当然、先ほど申し上げたような都道府県内でそれぞれ説明会なりを設けて、実際にどのような形で作成していただくか、あるいはその後の動きや取組も含めて、どのように取り組んでいただくか、必要な支援については御要望を拝聴しながら対応していくのではないかと思います。ですから運用と併せて、しっかりと担保していきたいと思います。
○阿部分科会長 それでは正木委員、岡本委員の順番でお願いします。
○正木委員 使用者側の正木です。先ほどの高橋委員のお話にも関連してですが、この指針自体、計画を作る主体が国であったり自治体であったり、いろいろな主語が出てきます。先ほどは2ページの4番の、PDCAのところをお話になっていました。各機関がいろいろと有効に参照することができるように、いろいろな情報をホームページ等に掲載して公表するとか、ロールモデルも公表するということになっておりますが、特にこの計画が始まった初期の頃はPDCAサイクル自体、どう回したらいいのかとか、公表はどういうようにしたらいいのかとか、いろいろなことを各機関の方が、計画を作られているときに思われたと思うのです。
そういう意味では自治体などが作っている計画と、その計画の推進に当たって、各自治体の中で雇用推進チームがフォローアップをしていくというのもあるのですけれども、国のほうでもそこら辺をよく把握していただいて、ある自治体でいい事例があったら、ほかの自治体も参照できるように、そのフォローアップに入っていただくのがいいのではないかと思いました。
それから、同じく高橋委員のおっしゃった、優先調達推進法の最後の部分です。前回の会合で、中小企業については認定を受けるという話がありました。その中で公共事業については、プラスの糧にするといったような話がありました。そのときにA型などはどうなるのだろうと言っていましたけれども、こちらのほうでそういった施設を拾うとか、その話の関係と障害者をうまく活用している所に対して調達をするという話と、重なっているところがあります。指針ができるほうが先かもしれないのですが、今後はそういったところも、手引などの段階で考えられたらいいのではないかというように思いました。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。1点目は御指摘のとおりです。良い取組については、私どもとしてもできる限り吸い上げて、横展開できるようなフォローアップをしていきたいというように考えますので、御指摘を念頭に置いて進めていきたいと思います。
2つ目の御指摘ですが、私たちも中小企業認定制度あるいは認定基準を作る上で今、官と民と両輪で横にらみをしながらやっています。その辺りも整合性を取りながら、御指摘を踏まえて対応していきたいというように思います。
○岡本委員 サービス連合の岡本です。記載の仕方についての意見が1点あります。皆さんからお話があったように、公務が民間に率先して範するという立場で、このことが書かれているというように意義・背景にもあります。第4の3のいわゆる取組の内容の4つ目の○に、厚労省が示している障害者差別禁止指針並びに人事院が示している合理的配慮指針について書かれています。しかし「踏まえる」というのは当たり前の話です。公務ですから、ここでより積極的に踏まえた上で、「積極的な」というように、合理的配慮等について促すような記載があってもいいのではないかという意見です。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。御指摘はそのとおりかと思いますので、記載は工夫したいと思います。
○阿部分科会長 では村上委員、お願いします。
○村上委員 2点あります。1点目は、全然実質的な話ではないのですが、資料の1ページの第1で、「障害者活躍推進計画の意義・背景」の下から2つ目に、こういった計画を作ってやっていくことが、行政サービスの向上の観点からも重要という下りです。ユニバーサルデザイン、バリアフリー、ダイバーシティ、インクルージョン、ノーマライゼーション等の理念というのが並んでいるのですが、これはこういう並びで良いのかというのが少し疑問があります。こういった関係に詳しいわけではないので、よく分からない部分ですけれども、ノーマライゼーションなどから始まるのが良いのではないかという気もしたので、それが1点質問です。
これは骨子案なので、本文にしていくときには、もっと書き下していかれるのでしょうけれども、その際、この片仮名の言葉をずっと並べていくのか、それとも、もう少し違う言葉で表現されるのかということもあります。例えば、ノーマライゼーションとかダイバーシティのような話で言うと、労働政策推進法に基づく労働政策基本方針では、「障害のある方等が、障害の特性等に応じて活躍することが普通の社会、障害のある方等と共に働くことが当たり前の社会を目指していくことが必要」というように書かれておりますので、そういったように書いていくかどうかというところが、もう1点の質問です。
もう1点は意見です。3ページの第5の(2)の人材面です。先ほど武石委員がおっしゃったことと同じような話です。今回の骨子案をずっと拝見していると、こういう計画ができていくことで、本当に前向きに進んでいくといいなとは思っているのですが、さはさりながら、人間が働く職場ですので、障害があるとかないとかにかかわらず、人間同士のトラブルや日々の問題や思い違いなど、いろいろな衝突が出てくることがあります。そういったことに対して障害のある方は、生活相談員のような方に御相談されたりするのでしょうけれども、上司や同僚などがどういうようにしていけばいいかというところも、示してあげたほうがよいのではないかと思います。この指針の中に書けるかどうかは分かりませんが、どのようにトラブルを処理していけばいいかということも、手引きなどでは少し書けるようであれば書いていただきたいと思っております。
○阿部分科会長 では、事務局からお願いします。
○池田障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課長補佐の池田です。まず1点目の御質問、どういう考え方で言葉を並べているかということについては、一人一人の目線に立って身近なデザイン、バリアフリーで、次により抽象度の高い概念になっているということと、先の国会で、ユニバーサルデザインに関する法律が通ったということも踏まえて並べております。ただ、絶対的な基準があるわけではないですし、御指摘も踏まえながら順番ですとか、片仮名にするかどうかも含めて検討していきたいと思います。
2点目の御質問についても、トラブル処理の方法などは、とても重要な点だと思いますので、手引において丁寧に記載していくことを検討していきたいと思います。
○阿部分科会長 ほかにいかがですか。では阿部委員、どうぞ。
○阿部委員 今回、障害者活躍推進計画作成指針ということで承っていますけれども、従来取り組んでいたチャレンジ雇用との関係はどうなのでしょうか。ジョブコーチと就労ということで言えば、チャレンジ雇用でも取り組んでいました。また、これまでの経緯を踏まえ、改善すべきことも多分この中にあるのだと思いますけれども、基本的なことはチャレンジ雇用とこれの関係ですよね。チャレンジ雇用となると、ある一定期間で別な仕事に行くけれども、今度は公務部門で働くことも当然大丈夫なのだろうと思いながら、そもそもチャレンジ雇用はどう考えていったらいいのかということについて、確認をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。チャレンジ雇用自体が先行してあって、もともとチャレンジ雇用は公務でも受け入れて、何年かしたら民間で活躍の場を求めていくという前提の中で、これまで取り組んできております。今回、こういった採用が進む中で、非常勤で同じように雇用されている職員の皆様方が出てきているわけです。今、その辺はどちらにとっても官民、非常勤の場合だったら当然その先、常勤の公務を目指す場合もあれば、民間のほうに転職される方もありますので、そこは余り分け隔てがなくなってきているという感じはしております。
ただチャレンジ雇用は、今はどちらかと言うと、やがては民間のほうに転職という想定の中でやっています。そこでチャレンジ雇用で培ってきたノウハウが、かなりいかされるのではないかと思っています。要は、少し中長期的に見たときに、ここでの任期を終えたときに、次の段階で、どのようにそれをいかしていくかという視点を、しっかりと踏まえた上で取り組んでいくべきものというところでは、両方に違いはないのではないかと思っています。そこは、あえてここの中で書き分けてはおりません。基本的には非常勤の中で読み込めることかと思います。
○武石委員 公益の武石です。書きぶりでちょっと気になるのが、第1の最初の○です。「不適切計上の再発防止」とか「法定雇用率の速やかな達成が必要」と書いてあるのですが、そもそも法違反の状況があったわけで、法違反が放置されてきた問題をしっかり受けとめ、速やかな達成が必要と言うよりも達成しなければいけないということは、やはりきちんと書いていただく必要があるかと思います。その上での不適切計上の再発防止だと思いますので、背景として法違反の状況があり、それが放置されてきたということについては、きちんと書くべきではないかということを申し上げたいと思います。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。今の御指摘を踏まえ、書きぶりについて検討したいと思います。
○阿部分科会長 ほかにいかがでしょうか。
○高橋委員 ダンウェイの高橋です。今の御意見に近い部分も含めて、2点あります。1ページのほうで障害者雇用対策基本方針と、障害者活躍推進計画作成指針の関係を整理いただいています。もしかしたらその関係があって、指針の前半の所に余り書かれていないのかなとも推察するのですが、これから自治体がこの指針を受けて実行する大事な指針という意味では、以前から申しているとおりです。これをやる理念などをしっかりうたってから、指針を具体的に記載されていくというのが、実行する側としてもそこを柱に実行すれば、いろいろなことが起こっても立ち止まれるので、そこを大事に記載を検討いただきたいと思います。
2点目は、先ほどのチャレンジ雇用との関係性に近いところがあります。私が先ほど意見をお伝えした教育福祉との具体的な連携という中に、一般的には職業準備性ピラミッドなどで整理されている障害者総合支援法からなる働く力というのは、こういう力が必要だという整理があるかと思うのです。その中で就労移行支援とか、就労継続支援B型とか、A型とか、定着支援とかが、総合支援法上からなる制度としてあるかと思うのです。多様な働き方という点においては、例えば雇用が決まるとその3つの機能は使えませんということがあって、併用できないということがある一方で、定着支援とか、既にある機能の自立訓練、又は自治体がやっている地域活動支援センターなどは併用可能というのも、一方であると思います。
そうすると、これだけ多様な人たちが多様な働き方ができるとなると、先ほどのチャレンジ雇用と、そもそも福祉側にある制度をしっかり連動して運用することも可能だよということを、具体的に自治体に示していただくことも大事ではないかと思います。特に福祉のほうは、実際に実行するのは区役所とか市役所という話になったときに、そもそもそれを知らないとなってしまうと、連動はなかなか難しいのです。特に作成指針という点においては、手引に書くのかもしれませんが、そういったところも踏まえて、具体的な体制整備をお伝えしたので、追加で御意見させていただきました。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。1点目の、各機関がしっかりと取り組めるという理念をうたっているというところについては、御指摘を踏まえて、どういった記載ができるか検討したいと思います。
2点目も大変重要な御指摘ということは十分に認識した上で、まず、いろいろな福祉サイドのメニューがあって、多様な障害者がいて、それに対してどういうものを組み合わせて雇用と就労と福祉とをシームレスに、御本人を支援していけるかというのは、非常に重要な課題ですが、我々としても、まだ福祉と雇用がしっかりと十分に連携し切れていない部分があります。どちらかと言うと、現場のほうで先行して、様々な事例を積み重ねているのではないかと認識しております。そういう意味では今、省内に設置しているPTの中でも、そういった検討は引き続きしていかなければいけないし、今正に現場で起こっている個々の事例で、うまく回っている好事例みたいなものも積極的に吸い上げ、それをまた障害保健福祉部とも共有しながら、検討にいかすといったことも必要かと思います。そのようなことも、いろいろ教えていただきながら考えたいと思います。
○阿部分科会長 高橋委員の1番目の御意見は、各計画を作成する団体が計画策定時に、各団体の障害者雇用に当たっての理念を書いてほしいというようにも、私には聞こえたのですけれども、高橋委員はそういう理解でよろしいですか。そうではなくて、この指針全体の理念として書いてほしいということでよろしいですか。
○高橋委員 ダンウェイの高橋です。8月に基本方針の議論をしているときに、団体というよりか、そもそも障害のある人が働くということをどうやって考えていくかというのが、雇用で考えるとか福祉で考えるとか、もう分け切れない状況になっているのではないかというところを前提に、横断的に機関を越えて、国としてどうしていくのかという理念をもう一度考えるべきではないかということを、そのときにお伝えしました。
○阿部分科会長 そういうことですね。分かりました。ほかにいかがですか。
○小出委員 育成会の小出です。この指針が作られるというのは、今般の不祥事を受けてということだと思います。改正された法律の中にも、今まで記載されていなかったような規範や意識等も明記するということで、書かれた法律になったと思います。そこで関連するのは、4ページの第5の大きな3の(2)の募集・採用の所に、「知的障害、精神障害及び重度障害者の積極的な採用に努め」という項目があります。「以下のような不適切な取扱いを行わないことが必要」ということで、ここに「特定の障害を排除」とか、「自力で通勤できること」といった条件を設定することをしないように、という具体的なことが書かれております。
平成25年でしたか。差別解消と合理的配慮を盛り込んだ法律改正がありました。その法律に基づいて指針を作られたときに、差別とは何ぞやと。まずは直接差別を全面でいきましょうということで、間接差別に関しては差別に当たらないということで線を引いたと思います。例えば自力で通勤をするという条件というのは、もう直接的な差別ではなくて、間接差別のほうに含まれるという議論がされたと思います。それがそのままたって現在に至っておりますけれども、このようなことが指針の中に書かれるというのは、私は非常にいいことだと思います。
というのは、平成25年にそういう指針ができたにもかかわらず、地方公共団体のある市などは多くの障害者雇用をしておりますけれども、99人中3人が知的障害、6人が精神障害、あとの90人は身体障害ということでした。その中の採用の条件に、自力通勤ができることというのも含まれておりました。今回、このような間接差別的なことも具体的な指針の中に書かれるということは、一歩踏み込んだ指針になっていると思っております。私は、このことは知的障害者、精神障害者、重度の障害の方々の雇用を生み出すということで、地方自治体にも非常に影響すると思いますので、いい指針だと思っております。
○阿部分科会長 ほかにいかがですか。よろしいですか。本日、各委員の皆様から様々な貴重な御意見を頂戴しました。事務局は本日の委員の御意見も踏まえ、資料の精査をしていただいて、今後また議論が深まるような資料を作成していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。それでは「その他」ですが、何かありますか。
○竹下委員 竹下です。実は9月まで、私の団体は「日本盲人会連合」と称してきたのですが、10月1日をもって「日本視覚障害者団体連合」に名称変更し、その新しい名称で意見書を出させていただきました。障害者雇用対策基本方針の改正の議論が、前回から始まったわけですが、次回の審議会でこの改正案が確定されると思いますので、それに向けて私どもの意見を出させていただいております。是非、事前にお目通しいただければ有り難いと思っております。よろしくお願いします。
○阿部分科会長 ほかにどなたか御発言はありますか。よろしいですか。それでは、事務局から何かありますか。
○池田障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課長補佐の池田です。次回の日程については、10月下旬を予定しております。時間等の詳細は、追って御連絡いたします。
○阿部分科会長 それでは、本日の会議はこれで終了させていただきたいと思います。本日の会議に関する議事録ですが、労働者代表の村上委員、使用者代表の塩野委員、障害者代表の竹下委員に御署名をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。本日はお忙しい中、ありがとうございました。