第89回労働政策審議会障害者雇用分科会(議事録)

日時

令和元年9月27日(金)15:00~17:00

場所

厚生労働省職業安定局第1・2会議室

議事

○阿部分科会長 定刻となりましたので、ただいまから「第89回労働政策審議会障害者雇用分科会」を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところ御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
初めに、本年9月26日付けで委員の改選があり、障害者雇用分科会の委員に新たに就任された方を御紹介いたします。労働者代表委員について、中川義明委員が退任されたことに伴い、全日本自動車産業労働組合総連合会副事務局長の森口勲委員に、佐保昌一委員が退任されたことに伴い、全日本自治団体労働組合社会福祉局長の門﨑正樹委員に新たに御就任いただきました。なお、本日は武石委員、中川委員、長谷川委員、森口委員、門﨑委員、塩野委員、三輪委員、阿部委員が御欠席です。
早速ですが、議事に入りたいと思います。本日の議題ですが、まず第1に、中小事業主の認定基準について。第2、障害雇用対策基本方針の改正について。第3、その他となっています。では、議題1、中小事業主の認定基準について、事務局から説明をお願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺でございます。資料の1です。1、2ページには中小企業の状況に係るデータを載せております。実雇用率はやはり小さい規模の所に比べて大企業のほうが高くなっており、中小企業がなかなか進んでいないことがお分かりいただけるかと思います。2ページ目は規模別、業種別でのそれぞれのばらつきで、業種によっては中小企業の取組が進んでいるケースもありますけれども、全体として業種間でのばらつきがあることがお分かりいただけるかと思います。
3ページは、今申し上げたような中小事業主における障害者雇用の取組が比較的停滞している現状について、課題としては事業主側にリソース・ノウハウ不足やインセンティブ不足があるのではないか。障害者側には、中小企業、大企業優先ということで、中小企業に係る認知度が不足しているのではないか。これに対して現状、ハローワーク支援において、中小企業を応援したり、あるいはジョブコーチの支援を活用していただいたり、JEEDの好事例などによってノウハウを活用していただく、あるいは調整金・報奨金、助成金を通じての様々な支援を行っております。障害者に対しては、ハローワークにおける職業紹介、あるいは情報提供において、地域の中小事業主を含め、広く情報提供をしているところです。ただ、そうした制度がありますが、認定制度の狙いとして一番下にあります、身近なロールモデルを数多く作っていき、これを可視化することによりその横展開を図っていく、併せて、特に認定マークのようなものを作って、中小事業主が障害者雇用に取り組んでいることを、社会的認知度を高めることによって社会的メリット等の付与をしたいということ。それらを通じて、障害者側にもそうした取組の進んでいる事業者に対しての認知度を高めていきたいということです。
次のページに、グランドデザインとして示していますが、300人未満、45.5人以上の企業は現在85,000強ありますけれども、三角の所に書いていますが、今回の認定対象外としますのが、障害者雇用促進法の法的義務を果たしていない、いわゆる不足数が発生している企業や、労働関係法令違反等のある企業について認定の対象外とした上で、それ以上の取組を行っている所を裾野広く拾っていく。今回はトップオブトップを認めるのではなくて、中の上レベルぐらいを認定していって、なるべく身近なロールモデルを作っていくような考え方に立っています。こうしたロールモデルを御覧いただいて、当然認定対象外となっている事業主の皆さんの取組を推進していくこと、あるいは認定した事業主間においても様々な事例を御覧いただいて、より一層障害者の活躍を推進していただくことを考えております。
5、6ページに厚生労働大臣表彰、JEEDによる好事例集について御参考までに載せております。大臣表彰については、際立って特徴的な取組を行っているような所について、大体年間10社とか20社の規模で表彰をしており、JEEDの好事例集については、一定のテーマに基づく取組、好事例として取りまとめておりますので、今回の認定制度とは少し質が異なるということです。したがって、大臣表彰を受けているからといって認定できるということではないと考えております。
7ページは、認定制度の創設に当たってのポイント案を示しております。まず、認定制度の狙いから考えるに、今回の認定基準を過度に高くしないことを考えております。併せて各項目の評価点を加点方式で合算していきます。ですから、これをやっている、あるいはこういう率を達成しているなどについて加点をしていくことで、実施していない、達成していないことで減点するということはしない。加点合算方式とした上で、一定の得点で認定をするという考え方に立ちたいと考えています。併せまして、こういうことを実施しているという取組(アウトプット)だけではなくて、その結果としてのアウトカムの評価も重視をしたいと思っております。それから、業種別で可視化を図り、広くお伝えすることで、業種間でのばらつきを縮める上での参考としていただきたいと考えております。
社会的メリットについては、先ほど申し上げた認定マークを付与していきたいということと、これを活用した形でハローワーク等を通じても積極的にアピールをしていきたいということ。併せて、調整中ですが、公共調達に係る評価の加点や政策金融公庫による低利融資について何らか措置できるように努めてまいりたいと思っております。それから、取組成果の観点だけではなく、これ自体を公表している、開示していることについても評価の項目として盛り込むことにしたいと考えております。
下半分が中小事業主の特徴を踏まえた上でのポイントです。1点目、今回この制度の創設に当たり、全体で中小企業と就労支援機関69社等にヒアリング、アンケートを行っております。その結果、見えてきたのは、それぞれの事業主において、非常に多様な取組が進められており、なかなか画一的な評価ではできないのではないかということを踏まえ、評価項目について小項目のように細かめに設定をした上で、「特に優良」「優良」というような、評価自体を2類型のシンプルな形で設定してはいかがかと考えております。併せて重要性、難易度、こうしたことを踏まえ、成果(アウトカム)については重み付けをするような配点にしてはどうかということ。それから、総合的に評価をするということで、例えば取組関係だけで高得点を上げて認定とならないように、取組や成果といったような大項目でそれぞれ下限点を設けてはどうかと考えております。それと、今申し上げたような多様性を踏まえ、評価方法について、施行後順次更新を図っていきたいと考えております。
併せて中小事業主は、障害者雇用数が多い、少ないということではなく、少なくともそうしたロールモデルとなるような雇用障害者等がある場合には、これも評価としていきたいと思っております。「ただし」として、特例子会社、A型事業所、こういった中小事業主については、その役割等を踏まえた上で基準を適正化する。例えば特例子会社の場合、通常の中小事業主の認定の水準よりも高く設定するということを考えてはどうかと思っております。
最後が、中小事業主自らがこうした取組がすごいとなかなか自ら申し出にくいような状況も把握できましたので、中小事業主を支援をしているような就労支援機関等が、一定の項目については認定基準に該当することを証していただくことを可能としてはどうかと考えております。
8ページ目に具体的な構造内容をお示ししています。今申しましたように大項目として、取組、成果、それから情報開示の3つの柱立てで考えております。それぞれ体制作り、仕事作りで中項目、それから小項目となります。イメージとしては、比較的その評価項目例として挙げているのは多様な取組です。これに該当するかどうか、それに対してのエビデンスも示していただきつつ、該当する場合に例えばチェックを入れていただいて、その項目数の多さの程度に応じて、組織面において「特に優良」とする、あるいはそれよりも少し少ない場合に「優良」とするなど、小項目での評価を積み上げていき、加点をしていき最終的に判断をする。その際に大項目ごとに下限点を設け、バランスのよい評価にしていくようなイメージかと考えております。
それから、一定の水準をもって認定となりますので、項目例としては多様に挙げておりますけれども、それぞれの会社において認定に達するまで、特に自分の会社ではここが売りであるというところを限定して、その申請をしていただくことも考え得るのではないかと思っております。以上が制度設計の中身で、以降は御参考です。今回ヒアリング等を行っています概要、関係する分科会での意見書の抜粋等を載せております。説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 ありがとうございました。質疑応答に移ります。御質問や御意見がありましたら、視覚、聴覚障害者の方々の皆様への情報保障の観点から、必ず挙手をしていただき、私が指名した後にお名前を名乗ってから御発言いただくようお願いいたします。どなたからでも結構です。竹下委員からお願いします。
○竹下委員 竹下です。この事務局提案に積極的に反対するものではありませんが、非常に疑問を大きく持たざるを得ない点が1、2あります。特例子会社を中小企業の優良企業認定の対象にするのは本当にそれでいいのかと思います。中小企業の、何と言いますか、言葉が不適切かもしれませんが、障害者雇用に弱いところをできるだけ促進するためにこの認定制度があるのに、もともと障害者を雇用することを目的として作った特例子会社をそれの対象にするのでは、何か矛盾していませんかということです。しかもその特例子会社は、当たり前ですけれど、親会社に雇用数がカウントされるわけですから、言うならば障害者雇用の関係では親会社と一体と見るべきものであって、それを切り離して特例子会社だけを中小企業として見るのは、何か不自然だと思います。
2番目に、特例子会社と就労のAの両方とも、ある意味で似て非なるものかもしれませんが、共通しているのは、障害者を多数雇用することを目的として設立されているわけですよね。そういう所に対して優良企業認定をする目的でやるのに、100点満点を取らなくても認定しますと。この表現の仕方は、一般の就職企業よりも上位の点数というけれども、それは表現の仕方の問題で、100点を取らなくても認定しますと言っているのと一緒ですから、何かこれも矛盾しているわけですよね。少なくても障害者の採用を目的としている就労A、これは正に障害派の典型的な就労の場ですから、それに対して認定する場面で100点を取らなくても何十点なり、80点か90点か分かりませんが、取れば優良企業ですというのは、どう見てもそれはバランスを欠いているというのか、目的からして見れば矛盾しているのではないかと思うので、この点はどのように考えておられるのか教えていただきたいと思います。
○阿部分科会長 事務局、お願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。今の御指摘につきまして、特例子会社、それからA型事業所についての特殊性を踏まえた上で、制度の趣旨にかなった形での制度設計をしていくことは極めて重要だと思っております。ただ、その上で今回の改正法にこれが盛り込まれた段階において、中小事業主を認定していくことになっていますので、何か排除していくことは、まず法制的に適当ではないと考えております。ただ、御指摘を踏まえて、どこまで、今、竹下委員からは100点という言葉がありましたけれども、満点とすればそれがバランスがいいのかどうか、どの水準であればそのバランスが取れるのか、今日の御意見も踏まえながら考えていかなければいけないと思っております。
まず、この認定制度自体は目的の大きな1つに、ロールモデルを作っていくことを考えておりますので、そうした意味では特例子会社を含め、様々な障害者雇用に対してのすばらしい取組について、世の中の皆さんに知っていただくことも1つの目的だと考えております。そうした観点からは、特例子会社あるいはA型においてもその他の事業所において参考とすべき点があろうかと思いますので、納得感があるものになるように、今日の御意見も踏まえて、検討していきたいと思います。
○阿部分科会長 それでは、眞壁委員どうぞ。
○眞壁委員 全国精神保健福祉会連合会理事の眞壁です。私は今回の会議で3回目の出席ですが、いろいろと分からないことばかりいっぱいあります。中小事業主の取組が弱いので、こういうことをやり始める、認定制度をやるということは分かるのですけれども、ただ、どれだけ国民の中に、こういう事業主、ここの事業主はこんなことをやっているのだということが浸透するのかがすごく心配なのです。やること自体はすごくいいと思うのです。それで、先ほど特例子会社の話も出ましたけれども、素人考えで言うと、いわゆる大企業のいろいろな商品にもそういうマークが付いたり、そしてこの中小の事業主もマークが付くことで、全体として国民全体の認識の仕方が、障害者雇用に関心が向いていくことがすごく大事なことだと思うのです。300人以下の中でやるとか、そういうことではなくて、もっと全体として考えたほうがいいのではないかという気がしています。
○阿部分科会長 事務局から何かありますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。今大変重要な御指摘を頂きまして、大企業の影響力もうまく活用しながら、世の中の認知度を浸透させていくという御指摘だと思います。今後、制度をスタートした以降も留意していきたいと思っております。
○阿部分科会長 ほかにいかがでしょうか。小出委員どうぞ。
○小出委員 育成会の小出です。私ども、認定制度については賛成です。ただ、竹下委員が言われるように、まだまだ見直しとか議論が必要なところはあると思います。
それからもう1つ、障害者雇用を進めるに当たって、障害者を雇用するとということで、このインテンシブの点においては非常に効果があるのではないかと。要は企業を経営していく上で、そういうものを認定されていることで優遇措置というか、例えば入札に参入できる条件にもなっているようなところなどは、企業側が相当気を使っているところもありますので、今現段階において、障害者雇用を進めていく上でのこういうことはいいと思います。
もう1つ、国民全体にということは重要なことだと思いますけれども、同様なことで、作業場等で作っている授産製品のブランド化等も進めておりまして、障害者の事業所側も努力していることもありますので、企業もこういう形で一定の努力をしていただくことは私どもも非常にいいことだと思っております。賛成いたしております。
○阿部分科会長 ほかに。高橋委員どうぞ。
○高橋委員 ダンウェイの高橋です。この中小企業の認定制度の方向性は基本的には賛成です。ただ、細かくはもう少し詰めていく必要があるという点において意見を述べさせていただきます。まず、中小企業の認定制度、そもそも中小企業が障害者雇用を促進することは、資料上の課題の整理から導かれる価値にとどまらない、付加価値というものがあるかと思っております。日本の企業の99%は中小企業ですが、地域にたくさんある中小企業の障害者雇用を促進することで、身近に目指しやすいロールモデルの旗がしっかりと揚がっていくと、波及効果として自社もやってみようかという方向性になっていくと思われます。中小企業における障害者雇用の促進とともに、地域の障害者に対する理解が広がり、障害のある方が地域で活躍していくことにつながる点で、認定制度に賛成いたします。
ただ一方で、先ほど課題ということで竹下委員からもお話がありましたように、その中で中小企業認定制度は、いろいろな選択肢を持ってという小野寺課長のお話もありましたが、特例子会社の立ち位置というか、性質的なものや、A型事業所においては歴史の中で、私の理解だと福祉工場からなる更なる雇用の選択肢を広げる視点もしっかり考慮した上で、そのロールモデルをどこに立ち位置を置くのかと。これは非常に慎重な議論が必要かと思っています。また、私自身の身近な仲間というか、中小企業で頑張っている皆さんの中には、10人前後の従業員でも障害のある方を積極的に採用している企業もあります。それにおいては、少なからず各自治体の既に作られている入札の総合評価などにも、既に加点評価などで自治体の独自の取組によって後押ししている点もあると思っておりますので、今回認定制度の狙いの一つとして、公共調達にとおける評価の加点の促進というのがありますけれども、促進するためには、自治体が既にやっている取組みをより促進する側面と、国が具体的なインセンティブを後押しする取組みをやっていただくことで、中小企業が障害のある方をより多く一緒になってできる流れになるという点で、国の後押しは非常に重要かと思っております。
またちょっと別の角度で言えば、背景と狙いの所の課題整理の中に認知度不足を挙げられていますが、これは障害のある方という整理をされていますけれども、御家族とか、若い方だと学校とかそういう方たち、その周りの支援者の認知不足の点も非常に大きいので、ここは是非プラスで追加をしていただきたいと思っています。
先ほど良い事例として出させていただいて、好事例でやっていただいた中にも私どもの知っている会社がありますけれども、そういった点において、雇用とともに事業の継続発展につながるような採用の仕方、成長の仕方はすごく必死になって考えていただいている企業がありますので、そのソフトの面で、一緒になって働く、成長するという側面も評価の中で慎重に検討をいただきたいと思っています。
○阿部分科会長 事務局で何かありますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。幾つか御指摘を頂きました。、特例子会社、A型については、本日の意見等も踏まえさせていただきながら、慎重な検討をし、引き続き次回、精査をしたいと思っております。インセンティブも同様に、各自治体のほうでおやりになっていることも認識しておりますので、更に相乗的に効果が上がるような形で取り組んでいきたいと考えております。
あわせまして、認知度不足の所に、確かに学校サイドあるいは保護者の皆さんに対しての認知度不足、理解不足があるようなお話がありました。我々もハローワークを通じて雇用に不安を感じていたりとか、中小事業主、地域の事業主についての情報が不足しているというときに、学校とか保護者の皆さんに対して、セミナーをやったりということがありますので、そうした場面でも是非こうした認定制度での取組なども御紹介しながら情報提供してまいりたいと思います。
○阿部分科会長 ほかにいかがでしょうか。佐渡委員、どうぞ。
○佐渡委員 愛媛県ビル管理協同組合の佐渡でございます。評価基準のことなのですけれども、業種別の評価基準が必要な所もあるのではないかなと思っております。と申しますのは、テレワーク、フレックスとかに対応できない業種ももちろんあると思いますし、お客様や契約先の協力体制が必要な業種、また通勤配慮に関しましては、地域性の配慮が必要ではないかなと思っておりますので、是非とも御検討いただきたいと思います。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございます。では事務局、お願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺でございます。業種別あるいは地域性などを踏まえた評価基準ということで、これについても視点としては大変重要かなと思います。ただ、どのぐらい申請の負荷をかけるかとか、評価をする上での負荷といったことも、バランスも少し踏まえながら、どこまでできるかということを検討してまいりたいと思います。
○阿部分科会長 ほかにいかがでしょうか。それでは、倉知委員どうぞ。
○倉知委員 倉知です。認定制度自体は反対する理由は全くないので、是非進めていただきたいと思っています。何度も出ているポイントのところで、A型事業所の件と、特例子会社の件なのですが、特例子会社を有する中小事業主はそんなにいないと思うので、レアケースかなと思っています。あと、特例子会社は企業活動をされているので、私は外さなくてもいいのかなと思っているのですが、A型事業所については、やはり厚生労働省のほうでも、そこは利用者だという言い方をしているのと、訓練をしているということ、それからA型事業所に対しては報酬を別途支払っていて、人的体制まで取れるようになっているということを考えると、同じように扱うべきではないのではないか。A型事業所を有する中小事業主を外すというのはちょっとおかしいので、その有する事業主からA型事業所を外して検討されたらいかがかなと思います。そうしないと、先ほどのデータでも医療福祉の中小企業が非常に雇用率が高くて、これは圧倒的にA型事業所だと思うのですけれども、A型事業所がロールモデルになってしまうというのが、何かこの趣旨と違ってしまうのではないかなという気がしているので、御検討いただきたいと思います。
○阿部分科会長 ありがとうございます。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺でございます。今の御指摘も踏まえて、A型事業所の利用者の取扱いをどうするかということは、極めて重要な課題かと思いますので、今日の御意見も踏まえて、また次回、整理してお示ししたいと思います。
○阿部分科会長 では村上委員、どうぞ。
○村上委員 連合の村上です。何点か申し上げます。まず1点目は、竹下委員をはじめ、皆様方から出されている特例子会社とA型事業所を入れるかどうかという点については、同じように入れていくということには、私どもとしても違和感がございます。仮にA型や特例子会社の中で、特に優秀な取組を行っている所を、差別化のために認定制度の中に入れていくというのであれば、点数を満点を要件にするであるとか、特定の項目の点数を半分にして満たしていただくとか、かなり厳しく見ていく必要があるのではないかと考えています。皆様の御意見を聞きながら、是非、慎重に御検討いただきたいと思います。
2点目は、本日の資料でお示しいただいた認定制度のグランドデザインのイメージとして、資料の4ページの図ですけれども、黒い下の所は対象外とするとして、中の上とおっしゃっていたのですが、中の上でロールモデルを広げていくということになるのかという、若干イメージとしての疑問もございます。定性的な言い方で申し訳ないのですが、中の上と言えば上なのではないかということで、実雇用率は、やはり2.2%を最低ラインとして押さえておくことが必要ではないかと思います。
3点目は、認定制度の評価項目についてなのですけれども、評価項目の中では、ポイントとして7ページに記載されておりますが、アウトプットよりもアウトカム、つまりどれだけ雇用をされているかとか、あるいは定着されて働きやすいのかとか満足度とか、そういうところにウェイトを置いて、評価するべきではないかと思います。頑張っていますという所だけではなくて、頑張って皆さん生き生き働いていらっしゃるという所こそ、点数を高くして評価するべきではないかと思います。また、除外率適用前の実雇用率の達成などについても、是非配点を高くしていただいて、除外率の引下げに向けた動きを作っていただきたいと考えております。以上です。
○阿部分科会長 それでは事務局、お願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺でございます。まず1点目、特例子会社、それからA型については、同様の御意見だということで承らせていただきたいと思います。次回までに精査して、またお示ししたいと思います。
それから2つ目の、中の上という意味で申し上げれば満点に対して何らかの得点をクリアしていただく、その水準をどう捉えていくかということかと思いますので、これもちょっと制度設計に当たって、再度、精査をしたいと思います。
また、実雇用率を最低押さえるべきというご指摘ですが、実は不足数がゼロであれば、2.2%でなくても申請の対象にしていく方向で考えております。そこはやはりクリアさせるべきではないかという御指摘については、手を挙げていただくチャンスは与えさせていただいた上で、加点については、例えば2.3以上でようやく1点という形で評価のところでクリアできないかなということを考えたいと思います。ちょっと今の御意見も頂きながら、更に再度、少し検討したいと思います。除外率を想定しなかった場合の雇用率ということでの御指摘については、当然そのとおりと思っておりまして、ウェイトを高めに置いていくというような評価の制度設計をしていきたいと思っております。以上でございます。
○阿部分科会長 では、岡本委員どうぞ。
○岡本委員 サービス連合の岡本でございます。認定制度そのものについては、推薦していくという立場ではありますけれども、何点か、まず認定を受けて以降、一体その状態がずっと維持されているのかどうかということについて、どのような検証をするのか。認定についても、例えば何年たったら必ずもう一度チェックを受けるとか、申請をし直すというようなことが、ある程度は必要なのではないかと思います。中小企業ということですから、1人がお辞めになっても雇用率が下がるというような状況がありますから、そこは余り短い期間ではいけないだろうなとも思いつつ、一定のそのような見直し、更新みたいなことが、評価内容についても更新を順次するというようなお話もありましたので、その辺との関係も、どのように考えておられるのかをお聞きしたいというのが1点です。
それと、いわゆる質的側面の評価項目の中で、満足度というものは大変重要なポイントだと思うのですが、一体どのように満足度を測るのかというのが、例えば都道府県の労働局によって評価項目が違うとか、使用する調査用紙が違うということになると、そこでもばらつきは出るということも予想されますので、重要な満足度については、ある程度、形を整えた上で進めていく必要があるのではないかと思いますので、どのような評価でお考えなのかということについてもお伺いしたいと思います。
○阿部分科会長 それでは、事務局お願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺でございます。まず1点目の認定後の取消等についての取扱いということで、今回の案では、まだその辺を詳細にお示しできておりませんので、次回また御用意申し上げたいと思うのですが、基本的な考え方としては、何か有効期間のようなものはなくて、その都度その都度、例えば今の設計であるような、認定対象外となるような事由が発生したときに、それを取り消していくというようなことになろうかと思います。ただ、法定雇用率については、瞬間的に満たさなくなった、不足数がゼロが1になってしまったといったことをもって、即座に認定取消しとするのか、ある程度改善に向けて取り組んでいるというところまでは猶予を付けるのか、その辺りは議論があるかなと思いますが、それは次回の検討までに、少し精査してお示ししたいと思います。
それから2つ目の満足度について、評価方法をどうするのかということで、基本的にはアンケート等を取っていただいたエビデンスを出していただくのだと思います。極めてモデル的な、どういった問いにするのかといったことを例示的にお示しすることはあるかと思いますが、その上で、多少その企業ごとの自由度というのは、やはり許容されるのかと思っております。認定基準としてお示ししたものは、最終的に省令上に規定していきますが、その際に運用に当たっての、先ほど申し上げた手引の中で、具体的にどういった項目で、こんなことを聞くというような例示をし、それに基づいてのデータを出していただくというような形になるかと思っております。以上でございます。
○阿部分科会長 では、正木委員どうぞ。
○正木委員 経団連の正木でございます。今回の新しい仕組みの中でも特に、先ほど村上委員、岡本委員もおっしゃっておられた、アウトカムのところを評価する、その質的なところを加点して評価していくというところは、非常に意義があるなと、ずっと雇用の量だけではなくて質が大事だと主張してきた私どもとしても、そういう流れを作っていく等は、非常に重要だなと思っております。満足度とかいろいろ困難はあると思いますけれども、何とかそこのところを形にしていただけたらと思っております。
それから、先ほどの特例子会社問題なのですけれども、確かに特例子会社が障害者の雇用を頑張っていますというのは、当たり前というところはあると思うのですが、一方で今回、この認定を受けると、例えば公共調達における評価の加点とか政策金融公庫における低利融資といったことがあるのですけれども、これが受けられないというのも、また少しおかしな話になりますので、やはり除外となると、ちょっとどうかなと思います。どうやってその差を付けていくというのも変ですけれども、やはり特例子会社は特例子会社の中で競い合うような形にするのか分かりませんが、優良な所は、やはり公共調達で評価されるのであれば、それはそれで評価してほしいなと思います。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺でございます。今の御意見も踏まえまして、また様々、同じような御指摘もいろいろ頂いておりますので、次回までに整理して、お示ししたいと思います。
○阿部分科会長 ありがとうございます。その他、いかがですか。小原委員どうぞ。
○小原委員 大阪大学の小原です。評価の全体のお話について、1つちょっと聞き逃していた点があるかもしれないので、質問させていただきます。評価項目は、今回、多様になって、それから重み付けを少し変えるという話があったと思うのですが、この情報は事前開示とするのですか。あるいは事前にはしないとして、ここが評価されましたというのは、事後的に開示するのか、どちらがいいとかということではない、どちらもメリットとデメリットがあると思うのですけれども、こういうのを進めてほしいということをアピールするのであったら、やはり事前にやって、そこを促すというのが1つだと思うし、隠すことでは全然ないと思うので、何かその重み付けをしましょうというのは、形はきれいなのですが、それがクリアになるようなことというのは、1つ先に決めておいたほうがいいだろうなと思うのですが。
○阿部分科会長 では、お願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺でございます。「評価の方法としての事業主向けマニュアルを公表」とありますように、このマニュアルの中で、やはりその配点の重み付けというのは開示していくということかと思っております。
○阿部分科会長 よろしいですか。では高橋委員、どうぞ。
○高橋委員 ダンウェイの高橋です。先ほど来、A型事業所の話がありましたので、もう一点付け加えさせてください。前回までに、例えば精神障害者等の方たちのより短時間の働き方を促進するために、特例給付金などでの後押しというものが整理されていて、そういったことも前提とすると、A型事業所は障害者総合支援法からなった背景からすると、そもそもA型事業所という整理が、通常の事業所に雇用することが困難な方を対象にするという整理をしています。これは明らかに活字で定義付けされている中で、先ほど倉知委員もおっしゃっていましたが、人員配置の面の補助が制度的にあるという中で、通常の事業所に雇用することが困難な方をA型事業所は対象にしています。
一方で、最近促進してきた雇用促進法からなる、10時間からも働けるというチャンスというか、その辺のことの前向きなほうに雇用が変わっていく中で、10年ぐらい前からできている障害者総合支援法からなるA型事業所の制度と、むしろ雇用が追い付いてきたという考え方に立ってもいいのかなと思っています。このA型事業所の定義が、どうしてもマイナスに、この議論の中で考えると、同じ土台にはなかなか乗りにくいだろうなと。その点においての慎重な整理というのは、この定義付けも含めてやっていただきたいと思います。以上です。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺でございます。若干、今回の認定制度の中で解決できる問題ではなく、これは正にこれまでも申し上げているように、福祉的就労あるいは、いわゆる企業での雇用・就労ということの、若干シームレス化というか、いろいろな意味での本来の在り方は何かということを議論した上で、その整理をしていくべきものかなと思っています。ですので、この辺は正に省内PTも含め、今後も整理をしていくし、また、その結果についても、この分科会でお示しして、また御議論いただくべきテーマになろうかと思っております。
○阿部分科会長 ほかにいかがですか。よろしいですか。それでは各委員から、それぞれ重要な御指摘もあったかと思いますので、本日の議論を踏まえて、事務局におかれましては、次回以降の議論に向けての資料を作成していただきますよう、よろしくお願いいたします。
では続いて、議題2「障害者雇用対策基本方針の改正について」です。事務局から説明をお願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 それでは、資料2に基づき御説明を申し上げます。そもそも障害者雇用対策基本方針は、法に基づき制定をしており、今回の計画自体は平成30年からスタートしておりまして、令和4年度までの5年間といった方針になっております。今回の改正につきましては、先般、一部施行しております改正障害者雇用促進法の改正内容を反映した中身になっております。改正したものにつきましては、資料上赤字で表記しておりますので、そこを中心に御説明申し上げたいと思います。
まず、2ページ目になります。この計画においては、後に赤字のまとまりがありますけれども、これは正に昨年、不適切な計上から発した公務部門での事案につきまして、経緯を述べさせていただいております。その上で、現在、政府一丸となって取り組んでいるということ。あるいは中小事業主を中心に課題が残されているということ。さらに、短時間であれば就労可能な障害者等の雇用機関の確保といったことも課題となっていると。これらの課題を踏まえて、「このため」とありますように、今回、障害者雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案を提出し、過日、成立・公布されているというところを書いてございます。
それから次のページ以降、ポツポツと赤字があります。これはデータを全て最新のものにしております。5ページに「なお」として、「公務部門について」という記載がありますが、これは先日、各委員にもお送りしておりますが、国の機関につきましては、今年の6月の雇用状況についての速報値を取りまとめておりますので、そこを追加記載しております。
少し飛びまして、7ページになります。実施体制とありますが、これまでメインとして民間事業主に対しての取組を記載しておりましたので、昨年の事案を踏まえ、又は法改正等を踏まえまして今回、公務におきます実施体制の整備について書き加えております。なお書きの部分になります。公務部分におきましては、障害者の雇用に対する理解や採用ということを一層促進ということで、各種セミナー、見学会等を開催しているということ。あるいはハローワークの中にジョブコーチ的なスタッフを置きまして、職場訪問等を行い、あるいは、その各機関におけるジョブコーチの養成の支援等を通じまして、定着支援に対する体制強化を図ったということ。あわせまして、JEEDにつきましては、直接活用はできませんが、ノウハウを活用するということを記載しております。
それから、次のページの第3の所で追記がございます。こちらも、これまでは民間事業主を中心に、基本的な留意事項として採用配置から始め、テーマごとに記載しておりましたものでございます。公務につきましても、それぞれに記載していくという方法もありますが、今回は総括的に公務の部分を書き加えることによって対応したいと思っております。なお書きのところですが、まず、以下に書かれているような適正な雇用管理に必要な取組というのを、公務としては率先して行うということを前提にしているということ。
それから、法の規定に基づきまして別途定めております障害者活躍推進計画作成指針、これに基づいて、それぞれの機関が障害者活躍推進計画を策定いただきますので、公務の特性も踏まえながら、この計画に基づいて障害者の雇用を推進していくということを書いてございます。
それからページが少し飛びまして、12ページを御覧いただきたいと思います。12ページの第4とあります。第4におきましては、この計画期間中に施策を推進していく上で、特に重点を置いて、こんな施策を展開していくということを書いている部分でございます。1の所では雇用率達成指導の強化ということで、2の所で精神障害者の雇用対策の推進という記載がございます。特に当然のことながら、障害種別にかかわらず、障害者の雇用を進めていくということはもちろんでございますけれども、精神障害者につきましては、平成30年4月に法定雇用率の算定基礎に加えられて、今、正にハローワークにおいての新規求職者の伸びも、精神障害者が非常に伸びているというような現状を踏まえた上で、更に精神障害者について対策の推進を強化ということで書き加えてございます。平成30年6月の状況で、約7万人弱ぐらいまで精神障害者の雇用というのは伸びてきておりますので、本計画期間において10万人の大台を目指していきたいということを書いております。
併せまして、その下、「その際」という赤字がございますが、ここにつきましては、現在、就労パスポートがようやく形になっておりますので、まだ名称等含めまして公表し確定しておりませんが、就労パスポートについての記載を書き加えております。希望する方につきましては、企業や支援機関等において、その対象者の障害者特性等についての情報を共有することによって、雇用の促進、職場定着の促進を図るといったような趣旨を書いてございます。
それから、次のページの4の所は、今回の中小事業主の認定制度について、新たに措置をしておりますので、その点について書き加えてございます。
それから、最後15ページですけれども、7の所にまた書きでありますのは、特例給付金制度を創設いたしますので、これについての記載を追加したということでございます。説明といたしましては以上でございます。
○阿部分科会長 それでは、質疑応答に移ります。御質問や御意見がありましたら挙手をしていただき、私が指名した後にお名前を名乗ってから御発言いただくようお願いいたします。どなたからでも結構です。それでは、内田委員どうぞ。
○内田委員 労働側の内田です。私からは確認が1点ございます。御説明いただいた資料の13ページ目の2項目にあります、精神障害者の雇用対策の推進で、この本計画期間中に、精神障害者の数を10万人に拡大することを目指すということが追記されておりますが、現在、雇用されている精神障害者の数が、大体7万人という御説明だったかと思いますが、ここを確認した上で令和4年度、2022年度までに10万人を目標とする根拠と、目標を達成するために、どのように支援を強化していくのかという部分について、確認をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○阿部分科会長 それでは事務局、お願いいたします。
○池田障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課の課長補佐の池田です。部分的な回答ですけれども、まず、根拠についてご説明いたします。計画期間は昨年の4月から始まっていて、その時点では精神障害者の雇用が約5万人でした。直近6.7万人となっていますが、コンセプトとしては、ややざっくりしていて恐縮ですが、計画期間は5万人に対して、その2倍の10万人を目指すということは必要ではないかと考えたということです。以上です。
○阿部分科会長 あともう1つ、支援策について、それではお願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺でございます。それに向けての支援策でございますが、この2の所にも記載がありますように、基本的には各医療機関と関係機関と連携をしっかりと図った上で、まずはハローワークにおいては障害者雇用トータルサポーターという専門スタッフがおりますので、そこでの人的支援というのが中心になろうかと思います。併せまして、今回、正に就労パスポートを策定いたしまして、これについて、まず活用を図っていただいて、その関係者の中において、その方の障害者特性等を踏まえながら、適切な支援を講じていくような取組を新しく措置していきますので、このパスポートの普及・活用というのを図っていくことによって、更なる強化ということにしたいと考えてございます。以上でございます。
○阿部分科会長 よろしいですか。では、竹下委員の手が挙がっていたと思いますので、お願いします。
○竹下委員 竹下です。若干数が多いのですけれども、固めて質問させていただきます。1点目は大きなところで、正に今回の改定は、昨年の公共機関における雇用数の水増し問題が大きな要因となって法律改正があって、それを踏まえたものとなっていると思うのです。それにしては全体として国ないし公共機関というか、国の各役割が十分に表現されていないように思うのです。取り分け国等がいわば民間事業に対して範を示し、率先して雇用促進をするという面があると思うのですけれども、それがどういう形でここに反映されているのか。あるいは、国自らもそうでしょうし、民間事業者に対してもどういう支援をしていくことが、国の役割として重要かというところがどこに表現されているのか、若干不満を持っておりますので、それがどこに表現されているのかについて、御指摘を頂きたいのです。
1つの例ですけれども、私は読み方が分からないのです。「はじめに」の1の方針で、「事業主が行うべき雇用管理に関する指針を示すことにより」という文章があるわけです。この事業主は、公共機関も含むというように読むのでしょうか。事業主と言うと、何となく民間をイメージしてしまうのですけれども、そこはもっと明確に国等も含むということが表現されるべきではないかと思いました。これが大きな1点目です。
あとは少し細かくなりますが、2点目は、2ページの7行目に数値目標が出てきます。その数値目標は、先ほど精神障害者の目標数の話がありましたけれども、身体・精神・知的という大枠での障害者の目標だけでなく、雇用管理において合理的配慮がどこまで進んだのか、あるいは障害別に対する適正な配慮がどこまで実践されているのかということを見るためにも、障害別がより細かく、すなわち障害の部位別等の雇用数目標ないし、その実態が見える形にしていただくことが必要ではないかと思っております。
3点目は、2ページの下のほうで8行目に、「この雇用率の達成企業への指導」というのがあります。何となく国が民間に対して指導するというのはイメージできるのですけれども、国の各機関、省庁における指導というのは誰が行うのかという質問です。
4点目は3ページになると思うのですが、除外率の問題です。これはずっと前から言っていることで、除外率は本来、もう10年以上前から縮減していくことになっているはずです。しかし、それが進んでいない。それについては、どこに問題があるかを検討するということになっているかと思うのです。ここで除外率を方針の中で入れる以上は、それが進んでいないことの原因を、この期間内に十分検討・分析して、どういう支援や配慮をすることによって、除外率の制度の廃止に向けた動きができるかについて示すべきではないかというのが4点目です。
5点目が第2の5ページの辺りかな。職業訓練あるいは職業リハビリです。この点を私は、極めて大事だと思っているのです。地域格差あるいは都市と地方の格差というのを、どうして埋めていくのか。職業訓練校もそうですし、リハビリ機関の設置もそうですけれども、非常に地域格差が大きくなってきていると思うのです。そうであれば、地方における障害者の雇用を促進するためにも、職業訓練や職業リハビリが受けやすい環境をどう作っていくかということをうたうべきではないかと思っております。
6番目は、第3の8ページの辺りです。雇用管理の中で「適正な職場づくり」とあるのですけれども、この場合に是非とも雇用されている当事者の声がどういう形で反映されるのかという仕組み、システム作り、あるいは当事者団体等からの合理的配慮が十分に進むための意見を反映できるような、大枠の仕組み作りが必要ではないかと思っているので、この辺をどうしたらいいかというのが6点目です。
最後に、これは視覚障害者に特化した問題です。視覚障害者の職業の中心は、確かにはり・きゅう・マッサージ(あはき)になっていることは事実だけれども、ここで大きく2つ欠けていることがあると思うのです。1つは、視覚障害者の職業の大きな枠組みとして広がっているあはきの世界では、今、ヘルスキーパーという分野が広がっているわけです。これについて、民間では非常に大きな前進を見せているのです。ところが公務部門では、ほとんど進んでいないわけです。今回、公務部門での前進をうたうのであれば、あはき師が公務部門でどれだけ働ける場を拡大していけるのかということについて、少しうたうべきではないかと。
それと同時に、視覚障害者については御存じのとおり、弱視が8割です。しかも全盲の人も含めて、最近伸びてきているのは事務分野です。そうであれば事務分野に対する促進というのも、今後は十分に意識した文面にしていただきたい。これだけを見ていると、視覚障害者は、はり・きゅう・マッサージの分野だけ公にすれば足りるように誤解されかねないので、この点も少し配慮いただきたい。以上です。
○阿部分科会長 では、事務局からお願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。まず国の役割等も含めて、国自体が民間に範を示してやっていくという記載が、十分ではないのではないかという御指摘がありました。先ほど申し上げたように、確かに事業主という部分においては、もちろん公務も含めて、事業主ということを表現しているというのはそのとおりです。その上で今回の基本方針と併せてある活躍推進計画を、各機関において作っていって、民間にも率先するような取組に進めていくということで位置付けております。その指針に基づく計画を作っていく中で、正に民間に範を示してやっていくというところを、十分に打ち出していきたいと考えております。そういった意味では、こちらの基本方針のほうにすべからくそれを記載していくというのは、ちょっと煩雑になってしまって分かりにくさも出ますので、そこは併せて別途整理をするということで、御理解を頂きたいと思います。
それから、障害種別について、いろいろなデータとして目標値なりを含めて記載をというお話がありました。これは前から御指摘を受けているところではあるのですが、今の民間の雇用状況において、障害の部位別のデータというのを把握できていないということがあります。ここは1つの大きな課題ですし、今後検討すべき論点の1つになろうかと思います。まずはこういったデータをしっかりと把握して実態を踏まえた上で、どういった形で障害種別の目標値の設定等ができるのかについても、検討していきたいと思います。
それと、雇用率達成指導については民間のみならず、公務についてもやっております。これについては当然、厚労省のほうでしっかり取り組んでいくということで考えております。
除外率については御指摘のとおり、平成14年以降の廃止に向けての取組が、なかなか加速していないというのは御指摘のとおりです。これは前回も前々回も申し上げているように、まず法施行に向けての議論をした後で本質議論に移った際に、当然除外率についても段階的廃止を含め、検討を進めていくということがテーマになっておりますので、そちらのほうで検討していきたいと思います。
それから、地域格差等についてですが、これは確かに地域性、いろいろな地域内にある行政資源等にもばらつきがある中で、それをどのように担保していくかということは、非常に難しい課題かなと思っております。まず、地域においてどういった格差が生じているのか、この辺りが私たちもまだ十分に網羅的に把握できておりませんので、御指摘を踏まえて研究させていただきたいというところで、現時点ではとどめておきたいと思います。
それと、合理的配慮等を含めての当事者の声とか、当事者団体の声が届く仕組み作りという御指摘もあったかと思います。合理的配慮については、いろいろな所で御相談に乗っているということ自体がまだ届いていなかったり、制度自体の周知も十分でない部分があったりする中で、ようやく今年から合配に対しての相談実績等を公表するようにしております。この公表を通じて、更にそういった枠組み作りがなされているということについても周知を進めながら、お声が届くような体制作りを更に推進していきたいと思っております。
最後に、あはきではなくてヘルスキーパーも含めて、特に公務部門で雇用が進められないかという御指摘がありました。基本方針の中には、確かに民間についてはあはきのみならず、事務分野あるいはヘルスキーパーも含めて、職域の拡大についてうたっている記載がありますが、公務については特に触れておりません。これは先ほど申し上げた活躍推進計画作成指針、あるいは具体的な手引きの中で、どこまで具体的にそれを象徴的にお示しできるかということについて、そちらのほうで少し検討を進めさせていただきたいと考えます。
○阿部分科会長 ほかにいかがでしょうか。
○小出委員 育成会の小出です。14ページ辺りの御説明で就労パスポートという、この文の中に出てきていないことを言われたと思うのです。この就労パスポートについて、もう少し説明いただけますか。
○澤口地域就労支援室長 地域就労支援室長の澤口と申します。ただいまの御説明の中でも申し上げた就労パスポートの考え方については、特に精神障害や発達障害の方は、障害特性も含め、事業主の理解がまだまだ不足しています。そういう中で雇用を促進していくためには、こういう障害の方にはこういう配慮ができれば、仕事ができるということを分かりやすく伝えていくのがいいだろうということで、この分科会の何人かの委員の方にも検討会に御参画いただいて検討いたしました。その中で就労パスポートという、御本人と支援機関と企業の事業主の三者で、情報共有ができるような様式を定め、その中でこういう配慮ができれば仕事ができるかということが、分かりやすく表示できるようなものを作成しているということです。検討会ではほぼまとまっており、最終的な修正作業を進めており、来月中旬ぐらいをめどに確定できればということで、今、順次作業を進めているところです。
○阿部分科会長 よろしいですか。ほかに。
○高橋委員 ダンウェイの高橋です。まず大前提である「方針のねらい」として、そこに記載されていますが、障害者基本法は「障害者の自立及び社会参加の支援等のため」という整理が、基本的な考え方は「全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現すること」という整理が、障害者雇用対策基本方針は「職業を通じて社会参加を進める」という整理が、それぞれ列挙されていることを前提に、意見を2点、確認事項を2点お伝えしたいと思います。
まず意見の1点目です。第2の2に、特に特別支援学校の在学中から、卒業後を通じたきめ細やかな支援を行うということ、学生のときから丁寧に支援を行いながら、雇用促進をするということから、教育機関などと連携して教育支援計画の作成等々というように記載がされております。その前のテーマでもお伝えしたのですけれども、この方針の中では第4の10辺りにも触れられており、また、大事な赤字での追加に全て関わるかなということでお伝えしたいと思います。これを実行するためには、やはり御家族又は支援者の理解とか、同じ方向を向いて促進していくということが大前提かと思っております。ここが第4の10辺りで書かれてはいるものの、より大事な視点かと思っておりますので、是非御家族や支援者ということでの正しい情報の整理から、前向きな同じ方向を向いた促進というところをより重視していただきたいと思います。
意見の2点目は、先ほど竹下委員が触れられておりましたが、視覚障害の方のお話がありました。この5年の方針の中での体制という点と、数年後の未来の促進で考えると、比較的障害のある方の雇用というところが保守的とまでは言わないですけれども、皆さんの活躍の場ということで考えると、更なる活躍ということを、もうちょっと強調してもいいのではないかと思います。例えば、私の知っている視覚障害の方がいます。全て見えないわけではなくて、まだ少し視力がありますという方でも、例えば時差出勤をして週に4日という働き方でも、今までの経験からリーダー格、マネージャー職ということを率先してやられている方もいます。ですから、そういった前向きな例も励みになっていくと思いますので、是非記載を頂きたいと思います。これが意見です。
それから、2点確認したい点があります。第4の1に先ほど来、除外率制度というのが出ております。雇用促進の一方で除外率制度廃止に向けてということから、縮小を進めるということで、もう既に10年以上たっていますという御意見もありましたが、ここの欄には、「今後も着実に実施する」という文言で書かれております。例えば、ここには記載がないのですが、毎年の最低賃金のアップなどは、ここへの影響がないものだろうかと。どんどん1年ごとのアップと、実態としての除外率制度というのは、事業の根幹にも関わるようなところもありますので、そこの連動性というか、最低賃金のアップと除外率制度というのは、前向きな検討がなされているかどうかということを、1点伺いたいと思います。
2点目は第4の4、中小企業の認定制度に触れている所です。特に中小企業の障害者雇用促進をうたっている一方で、下段には事業主間の経済的な負担を調整していったりということで、障害者雇用納付金制度を適正に運営していくということが書かれております。しかし納付金制度というのは、そもそも論として雇用が達成しない事業主から徴収するものであって、中小企業の雇用促進に関しては相反するものとも読み取れます。更に民間企業の雇用率達成は、昨今の数字だと50%を切って45.9%という状況です。かつ、国の状況も踏まえますと、特に納付金制度と中小企業の雇用促進というのは、非常に矛盾している中で、納付金に頼るようにも見えてしまいます。ですから、ここはどのように考えての記載なのか。この2点を伺いたいと思います。
○阿部分科会長 では、事務局からお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。除外率制度の段階的廃止については、先ほど申し述べたとおりです。その一方で、最賃が年々上がっていくというお話がありました。確かに経済の好循環を実現していくために、最低賃金を含めて賃金の引上げが重要ということで、政府においては、そういった方向性で環境整備等に取り組んでいるものと認識しております。そのこと自体は障害者雇用分科会の所掌ではないので置いておくとして、障害者の受入れもしながら、最賃が上がっていく中で環境作りをしていくということが、非常に厳しい状況を作っているということについては、そういった認識に立つのではないかと思います。また、雇用率自体をどういうように設定していくかという本質的な議論の中において、中小企業あるいは障害者雇用を進めていく企業を取り巻く環境や状況自体の変化も、併せて踏まえながら、どういった整理をしていくかということをセットで、年明け以降の議論の中に落とし込んでいくのではないかと考えております。それが1点目です。
2つ目として納付金制度のお話と、未達成事業所に対しての指導を促進という御指摘を頂いております。納付金制度には御指摘のとおり、企業間における負担の調整という意味合いがあります。一方で負担の調整という意味合いであれば、当然、より一層雇っている事業所の方に調整金なり報奨金なりを差し上げて、いわゆる経済負担のバランスを取っているということと併せて、助成金制度によってその取組を進めていただく事業所に対して助成金を払っていく。この納付金制度と雇用率指導は実はパラレルでなく、まずは雇用率を達成していただくために、ハローワークを通じていろいろな御支援、御指導をしながら雇用率を達成していただく。ただ、結果として達成しなかった場合に、納付金制度の中において経済的な負担の調整を図っているということで、まずは未達成の事業所に対してはいろいろなノウハウの提供をしながら、サポートもしながら、雇用率を達成していただくというところで促進を図っていくというのが、大前提にあるというように考えております。
○高橋委員 ダンウェイの高橋です。最初にあえて私は、狙いや障害者基本法という整理をしてから、意見を述べさせていただきました。未来に続く方針の改定ですので、基本的な考え方などでも前向きな、「障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現する」「職業を通じての社会参加を進めていける」という様々な大前提に立っての方針ですので、そこがベースとして崩れることなく、頑張っている企業や公的機関の後押しができるような方針、更なる運用を是非進めていただきたいと思います。
○阿部分科会長 先ほどの納付金制度の話で高橋委員は、中小企業を捕らまえてお話されていたと思うのですが、4番をよく見ると「中小事業主の認定、その他事業主に対する援助・指導の充実等」というタイトルなのです。ですので「その他事業主」というのは、中小企業にかかわらず、大企業も含めて全体の話というように考えられますので、より正確に区別しろというのだったら、もしかしたら節を変えるような工夫が必要かもしれません。確かにずっと上の部分が中小企業で書かれてきて、その下が全体の話になっているので、読み取りにくいという面もあるかと思いますので、その辺りは御検討いただければと思います。
その他、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、様々な御意見を頂きましたので、本日の議論を踏まえて、もう一度資料の精査をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。では最後に議題3「その他」として事務局から説明をお願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 私のほうから参考としてお配りしている、参考資料2と参考資料3について御報告申し上げたいと思います。この資料は先日、既にお配りしているものですので、ポイントのみ御紹介したいと思います。
まず、資料2のほうです。「国の行政機関の障害者の採用・定着状況等特別調査の集計結果」ということで、8月28日に取りまとめプレスリリースをさせていただいております。本件については昨年の事案を踏まえた上で、公務部門における障害者雇用に関する基本方針の策定に基づいて採用計画を作成し、これまで取組を進めております。採用計画は、雇用率を達成していた6府省を除く28府省で立てられております。全体の採用計画の合計が4,075.5人に対して、主なポイントに書いてありますように、進捗率は80.6%まできております。6月1日の状況ですので、計画期間の真ん中という状況です。そういった意味で言うと、進捗自体は比較的順調であろうと考えております。
一方で採用した3,444.0人のうち、離職した方が161人ということで、定着率は94.9%でした。併せて今回は、離職した方の離職理由についても把握をしております。発表資料の2ページの下のほうの参考に整理しております。161人のうち、2人が常勤の方でしたが、非常勤が159人ということで、定着率が94.9%でした。辞めた方の理由としては、全体として「体調悪化」が最も多く、31.7%ということでした。次いで「本人都合」となっております。
併せて資料の3ページは、「職場等の満足度に関するアンケート」です。6月1日時点で在籍されている障害者の方に対してアンケートを実施した結果、全体としての評価は「満足」や「やや満足」が88.2%ということで、比較的高い結果になっております。一方で「やや不満」「不満」と感じている点としては、例えば「休憩スペースについて」あるいは「遠慮なく相談できる環境」といったことが挙げられております。これらの結果については、まずもって各府省において事由記載も含めてよく読み砕いていただいて、定着に向けての支援として、何が必要かという検討に対して御活用いただくものと認識しております。
もう1つの参考資料3のほうは、「令和元年 国の機関における障害者任免状況」ということです。令和元年6月1日に各府省のみならず、国全体の国の機関としての結果を速報値としてまとめたものです。通常だと民間を含め、年末に発表しておりますが、国の機関だけは今回、前倒しで試験的にやっております。法定雇用率2.5%に対し、実雇用率が2.31%ということで、まだ法定雇用率には届いておりませんが、昨年の1.22%に比べますと、先ほど申し上げたような採用も進んでいることもあり、雇用率の改善は図られています。引き続き雇用率達成に向けて、取組を進めていきたいということです。
○阿部分科会長 それでは本件について、御質問や御意見がありましたら挙手をしていただき、私が指名した後にお名前を名乗ってから御発言いただきたいと思います。どなたからでも結構です。いかがでしょうか。
○竹下委員 竹下です。言い方がよくないかもしれませんが、公務部門で新たに採用された方々が、にわかにたくさんの方が採用されているだけに、是非お願いしたいのは、そうしたたくさんの障害者の働く環境がどうなったかを、1年後で結構ですので分析していただきたい。取り分け職場環境がどう変わったのか、その人たちの自分の能力が十分に発揮できる配慮が実現して、職場作りが成功しているのかどうかということが、私は非常に気になるので、その辺が1年後に行って分析できる形での調査をお願いしたいと思います。
○阿部分科会長 では事務局、お願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長です。採用の状況についてのフォローアップをいつまで行っていくかということは、今はまだ明確に決めておりません。今の御指摘も踏まえて、実施状況がどうであったか、環境も含め、あるいは働く方の満足ややりがいも含め、どういった把握ができるか検討していきたいと思います。
○竹下委員 ありがとうございます。
○阿部分科会長 ほかにいかがでしょうか。特段なければ、以上で本日の会議を終了としたいと思います。最後に、事務局から連絡事項がありましたらお願いいたします。
○池田障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課長補佐の池田です。次回の日程は、10月4日を予定しております。時間は10~12時、場所は厚生労働省職業安定局第1・2会議室です。
○阿部分科会長 それでは、本日の会議に関する議事録の署名については、労働者代表が岡本委員、使用者代表が正木委員、障害者代表が眞壁委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。本日はお忙しい中、活発に御議論いただきましてありがとうございました。