第4回社会福祉法人会計基準検討会 議事録

日時

令和元年12月5日(木) 15:00~17:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンター ホール14G(14階)

出席者

構成員(敬称略・五十音順)

 ・秋山(あきやま) (しゅう)一郎(いちろう)  日本公認会計士協会常務理事
 ・亀岡かめおか) 保夫(やすお)    大光監査法人理事長
 ・(しば)  (たけし)    日本公認会計士協会前常務理事
 ・中村(なかむら) (あつし)     日本公認会計士協会福祉専門委員会委員
 ・馬場(ばば) (みつる)    日本公認会計士協会福祉専門委員会委員長
 ・松前(まつまえ) ()里子(りこ)   日本公認会計士協会研究員
 ・宮内(みやうち) (しのぶ)    宮内公認会計士事務所

議題

(1)社会福祉法人が行う組織再編に関する会計処理について
(2)今後の進め方について
(3)その他

議事


○高坂福祉基盤課長補佐 それでは、定刻前でございますけれども、皆様、おそろいのようでございますので、ただいまから、第4回「社会福祉法人会計基準検討会」を開催させていただきます。
皆様におかれましては、大変お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。
本日は、林構成員から御欠席の連絡をいただいております。
続きまして、資料の確認です。
本日は、ペーパーレスで実施することとしており、お手元のタブレットにて、資料の御説明をさせていただきます。
それでは、ここからの議事運営について、柴座長にお願いしたいと存じます。
カメラの方々は、これで御退室ください。
(カメラ退室)
○柴座長 それでは、議題に入ります。
初めに、事務局のほうから御説明をお願いします。
○宇野福祉基盤課長 福祉基盤課長の宇野でございます。
私の方から、まず、この検討会は、きょうは第4回でございますけども、その前に第3回検討会から大分時間がたってしまったこと、大変申しわけないと思っていますけれども、その事情について御説明をさせていただきまして、その後、当課の担当の補佐、専門官のほうから資料のほうの説明をさせていただきたいと思っております。
まず、資料としましては、参考資料の4をあけていただければと思うのですが、第3回の会計基準検討会におきまして、事業譲渡について、社会福祉法の中には規定がないことについて御意見がございました。
そのため、第4回会計基準検討会を開催する前提といたしまして、事務局において、社会福祉法人が行う事業譲渡が、社会福祉法に根拠がなくても実施できるかどうか、また、現状でも、他の非営利法人制度と比較して規制が緩いものになっていないかということについて、関係府省にも確認をするなど、そのための作業がございましたので、一定の時間を要したということでございます。
その結果が、参考資料4で整理しておりますけれども、事業譲渡につきましては、御案内のとおり、平成28年の社会福祉法の改正では、原則的には、公益社団法人、公益財団法人、一般社団法人、一般財団法人、こういったものと遜色がないような形での規定を整理したというところでございます。
そのため、公益社団、財団法人との比較をしたものが、ここの規定ですけれども、事業譲渡等につきましては、公益法人のほうでも、この評議委員会等のところの真ん中の欄のところで、事業の全部の譲渡をするときには、社員総会または評議委員会の決議によらなければならないという規定はございます。
また、ここにありますように、事業の全部の譲渡に係る社員総会または評議委員会の決議は、評議員の3分の2以上に当たる多数をもって行わなければならないという規定がございます。
また、行政の関与ということで、事業の全部または一部の譲渡をしようとするときは、行政庁に届け出なければならないという規定が、これは、公益社団法人、財団法人のみだけが、そこが入っているという形でございます。
一般につきましては、先ほど言った評議委員会の全部譲渡に係る決議のところはありますけれども、一部譲渡につきましては、規定がございません。
ということでございまして、基本的には、一部譲渡の規定は、公益社団法人、公益財団法人の一部譲渡の届出以外は規定がない形です。
規定がなくても、下にありますとおり、会社法ですとか、民法ですとか、そういった関係法に基づきまして、 一部譲渡が行われております。
これに対しまして、社会福祉法人でございますけれども、一部譲渡ということは規定がございませんで、左側にありますけれども、理事会につきましては、処分について重要な業務執行の決定を理事に委任することはできないですとか、あとは、定款をもって目的、資産に関する事項を定め、当該定款についての所轄庁の認可を受けなければならないとか、定款の変更に係る評議委員会の決議についても書いてあります。
定款の変更につきましては、所轄庁の認可を受けなければ、この効力を生じないというような行政の関与もございますので、そういう意味では、社会福祉法人、一部譲渡につきましては、こういった形で、むしろ現行規定でも、より行政の関与も含めて強い形の規定になっているのではないかと、同等以上という形で理解しているところでございます。
なお、全部譲渡につきましては、公益財団法人法、社団法人法に規定がございますけれども、社会福祉法人に全部譲渡について規定がないことなのですが、御案内のとおり、社会福祉法人自体は、社会福祉事業を行うことを目的として設立されると、これは、社会福祉法第22条でございます。
このため、いわゆる全部事業譲渡というのは、社会福祉法人が、事業がない形になってしまいますので、そういう意味では、法第22条との関係では、目的に反する可能性があるということで、社会福祉法では想定されていないということでございまして、全部譲渡規定は設けていないというところでございます。
私から、この法律の部分については以上でして、この後、担当のほうから、きょうの議題の資料1について説明させていただきます。
○横溝社会福祉法人経営指導専門官 専門官の横溝と申します。
資料1について説明いたします。
資料1の1ページ目をごらんください。
こちらは、第3回までで御提示した資料とほぼ同様になりますが、一点、事業譲渡等のところをごらんください。
こちらは、以前、三角としておりましたけれども、課長の宇野から申し上げたとおり、できるということで整理しまして、丸になっております。
事業譲渡等ということで会社法で等という形で表現しておりましたので、事業の譲り受け、譲り渡し、それぞれ合わせたことを指す場合には、この事業譲渡等という形で表現しております。
2ページ目をごらんください。
こちらは、組織再編における結合の表現ということで、組織再編が行われると複数の組織が1つとなる場合があり、本検討会では、このような場合を結合と表現しています。
事業の譲渡等につきましては、基本的に事業の譲り受けが結合しているということになります。
3ページ目、論点1になりますが、社会福祉法人における結合の定義の案ということです。
社会福祉法人において結合の実態として、以下のように定義してはどうかと書いてあります。
実態として統合と取得、2つ、このような経済的な実態があるのではないか。
統合については、結合の当事者がいずれの組織も事業の支配を獲得したと認められないこと。
取得については、ある法人が他の法人を構成する事業の支配を獲得すること、このように事務局案では提示させていただいております。
支配というのは、企業会計やIPSAS、国際公会計基準でも使用されている表現でございまして、その他、よい表現の有無も含めて御議論いただければと思います。
次の4ページ目から6ページ目まで、会計処理の議論をする前の前提事項ということで列挙させていただいております。
4ページ目が合併、5ページ目が事業譲渡、6ページ目がその他というスライドになっております。
まず、4ページ目からごらんください。
4ページ目、合併の前提事項になります。
1つ目、法律上、社会福祉法人同士のみ可能であると規定されていますから、社会福祉法人とその他の法人、株式会社等は当然できません。
2つ目、社会福祉法人には持ち分がないため、結合の当事者間において合併に伴って対価の支払いが行われることはない。
合併交付金等、株式会社で支払える可能性はあるのだと思うのですが、社会福祉法人においては持ち分がないので、当然そういった支払いが行われることはないという前提でございます。
3つ目、包括承継となることから、存続する法人は結合当事者の全ての会計情報を知り得ると、帳簿情報を入手することができるでしょうということです。
5ページ目、前提事項の事業譲渡の部分ですけれども、まず、1つ目、結合の当事者は社会福祉法人に限られません。民法上の規定でございますので、当然、株式会社から譲り受ける、行政から譲り受ける、そのような事例も当然あるだろうと考えております。
2つ目、支払対価については、対象事業の不動産の時価と移転する他の資産及び負債をもとに、事業計画、将来の損益予測や設備投資を加味して合理的な価格に決定されるものとする。
したがって、支払対価と対象事業の時価ベースの純額には差額が生じることがあります。
3つ目、法人外流出に該当しないと判断されるためには、合理的な説明があることが必要である。
こちらは、事業譲渡等を行う場合に、当然、理事会、評議員会で意思決定をすることになると思うのですけれども、その中で当然合理的な説明ができないといけないですし、また、事後的に所轄署が指導監査に入ってきたときに、なぜこの価格にしたのか、そういうことは当然説明できないといけないということになります。
4つ目、包括承継ではないため、存続する法人は結合当事者数の全ての会計情報を知り得るとは限らないと。
社会福祉法人ですと、拠点の計算書類が公表もされているという状況でございますが、株式会社、NPO、一般社団法人などなど、基本的には公表されておりませんので、会計情報を要求しても、もらえるとは限らないということでございます。
次の6ページごらんください。その他の前提事項になります。
1つ目、会計以外の論点として、組織再編に関する会計以外の実務上の手続、留意点等は、本検討以外で別途議論させていただきます。なるべく会計の議論に注力していただければと考えております。
それから、次の2番目の時価ですが、これは一般的な話ですけれども、時価とは公正な評価額を言い、所与として扱う。算定は、一般的な評価方法によるものとする。
3つ目、補助金等でございます。
施設整備の補助金については、一定の条件に該当する場合を除いて精算が必要であると。
この後、担当の補佐から詳細について説明させていただきますので、ここは、これまでとさせていただきます。
最後、所轄庁の関与をというところでございます。
2つ、マル1、マル2とありますけれども、合併認可事業譲渡等に伴う定款変更において、法人外流出を確認できる。
マル2、法人指導監査で監査項目を明瞭にして確認できること、この2つがあると非常に、不適切な取引を防止するために役に立つのかなと考えておりますので、このような観点で会計処理と表示を選択する場面において、この辺を考慮していただきたいと考えております。
7ページ目、論点2になります。
取得と統合の原則的な判定の案というところでございますが、合併については統合と判断する。
理由としては、持ち分のない社会福祉法人同士のみ発生し、通常の状態では一方が支配を獲得することは想定されないためです。
また、事業の譲り受け、こちらは原則として取得と判断する。
被結合組織の理事者が変更されるため、結合組織において被結合組織の事業の位置づけが継続していると想定されないためです。
このような理由で、2つ合併事業の譲り受け、それぞれどちらとするかという案を示させていただいております。
「原則として」をつけるか、つけないかという判断でございますが、事例によっては例外もあり得ると想定のもと記述させていただいております。
いずれにしろ、合併も事業の譲り受けのいずれについても必要性も含めて御議論いただければと考えております。
8ページ目、論点3-1、統合の会計処理になります。
こちらは図になりますので、こちらは割愛させていただいて、9ページ目、論点3-1、統合における原則的な会計処理の案。
2つ案がありまして、修正持分プーリング法と持分プーリング法、この2つの違いにつきましては、第3回までで御説明しましたけれども、直前の帳簿価格で算定するのか、直前の決算日の帳簿価格で算定するのかということになりますが、事務局としては修正持分プーリング法、1回直前の帳簿価格を算定する、仮決算を行うという方法で採用することを提案させていただきます。
こちらはメリットなのですけれども、決算日から結合日までの間に発生した取引を外部から発見しやすくすると、外部からわかりやすくすると、そのことによって不適切な取引を防止できるのではないかと考えられるからでございまして、デメリットとしては仮決算、1回決算をしなければいけないので、手間がかかってしまう、そこがデメリットになると考えております。
続きまして、10ページ目、論点3-2、統合における会計上の個別論点で、10ページと11ページで2ページにわたっておりますが、まず1つずつ申し上げます。
1つ目が、過去の誤謬の修正、こちらについて、具体例が書いてありますけれども、耐用年数を誤って、減価償却を計算していたと。
この場合については、基本的には仮決算までに会計処理を修正するということになると思うのですけれども、例えば、合併後とかに発見された場合には、そのときに修正するしかないということになるかと思います。
2つ目、会計方針の統一による勘定科目残高の修正、こちら具体例ですけれども、引当金の残高が修正される場合と、退職給付の引当金などが該当するのかと考えておるのですけれども、仮決算までに修正するのか、仮決算後、引き継いだ法人にて修正するのかというところです。
マル1番、引き継いだ後の法人が、当然、修正するという形で提案させていただいておりまして、被結合組織で結合組織の会計方針に従った会計処理というのはなかなかできないだろうと考えられますので、引き継いだ後の法人が処理するということになるかと考えております。
11ページ目、基本金の引き継ぎになります。
こちらは帳簿価格で引き継ぐと、合併したときにそのまま丸ごとを包括承継するということで、特段事業の状況についても変化がないのではないかと考えられますので、基本金の性格に変化が起きないと考えて、帳簿価格で引き継ぐという案を提示させていただいております。
最後、国庫補助金等特別積立金の引き継ぎのところなのですけれども、現在、確認中でございまして、こちらについては、今回は省略とさせていただきます。
12ページ目、論点4-1、取得の会計処理のイメージ図になります。
イメージ図は割愛させていただきまして、13ページ目、原則的な会計処理の案を提示させていただいております。
2つありまして、1つ目がパーチェス法、もう一つが修正持分プーリング法、先ほど出てきました。今回取得においては、パーチェス法を採用することを提案させていただきます。
こちらは、結合日における時価で算定する、もしくは、直前の帳簿価額で算定する方法という違いがあるのですけれども、こちらパーチェス法によりますと、取得原価、買ってきたものは買った金額で記録する、もしくは寄附を受けた場合には、受け入れた資産の時価で記録する、このような方法等が整合的なのではないかと考えております。
この場合、受け入れた資産の評価と支払った金額について差が出てしまうので、差額を何かしらで処理する必要があるというのが、論点が出てしまうのですけれども、その論点につきまして、15ページ目になりますけれども、取得における会計上の個別論点に移らせていただきます。
譲り受けた事業の時価ベースの純額と支払った金額に差がある場合、15ページ目がマイナスの場合、支払対価が超過する場合、16ページ目が受け入れた資産が超過する場合、それぞれについてスライドを用意しております。
15ページのマイナス、支払対価が超過する場合ですけれども、会計処理の案として3つ考えられるということで、1つ目、原則として「のれん」とする。
2つ目、資産の取得原価に含める。
3、発生時の費用とする。
この中で1番を我々は提案させていただきます。
こちらの処理は企業会計でありますとか、IPSASでも採用されております処理でございます。
マル2の資産の取得原価に含めるというところなのですけれども、資産を購入した場合と同じ結果になってわかりやすいのですけれども、資産がない事業の譲り受けの場合に、計上する資産がないということで、別途、何にするか検討する必要がございます。
3番の発生時の費用処理は、会計処理は簡便と書いてあるのですけれども、法人外流出なのではないかというふうにも見えますので、ちょっと採用しにくいかなと考えております。そのような形で1番を提示させていただいております。
16ページ目、今度は、差額がプラス、受け入れた資産のほうが超過する場合なのですけれども、一番わかりやすい事例が、事業を無償で譲り受けたと、その場合に資産負債を計上することになるのですけれども、プラスの差額が出てしまうということです。
こちらはマイナスの場合と同様に、1、2、3とパラレルに案を出させていただいておりますが、こちらも原則として「負ののれん」とするということで提案させていただきます。
最後のページになります、17ページ目、取得における会計上の論点、国庫補助金等特別積立金の引き継ぎなのですけれども、こちらは無償で譲り受けた場合には引き継ぐ可能性があって、国庫納付がない場合がありますと、この場合は、譲り受けた法人が生産義務を引き継ぐという形になると考えられますので、国庫補助金等特別積立金、そのまま帳簿価格で引き継ぐ、このような会計処理で問題ないかご確認ください。
私のほうの資料1に関する説明は以上でございまして、続きまして、国庫補助金等について、補足させていただきます。
○成瀬福祉基盤課長補佐 課長補佐の成瀬でございます。よろしくお願いいたします。
国庫補助金につきまして、参考資料の7で御説明いたします。
国庫補助金を受け取得した財産につきましては、これを処分する際には、厚生労働大臣等の承認が必要ということで、財産処分の種類といたしましては、※で書いていますが、転用から廃棄まで6種類あります。
事業の譲り渡しという部分では、2つ目の譲渡、所有者の変更というものが該当すると考えています。
こうした承認につきましては、交付した補助金を返していただく、または返さない場合であっても、処分の制限を引き続き付けるというのがルールとなっていまして、このルールにつきましては、平成20年度に大幅な見直しが行われています。
こちらについては、地方分権改革推進委員会から、処分制限については必要最小限、また手続については簡素化しなさいというお話をいただきまして、1点目は、補助事業で10年経過しているものを厚生労働行政に関係する事業に転用する場合には、国庫の返納を不要としたり、また、2点目では災害等で壊れてしまった財産を処分する場合には、報告をもって承認と変えるという緩和が図られました。
次のページですが、所有者を変更する財産処分の譲渡の例示ですが、財産の処分につきましては、様々なケースがありますので、あくまでも例示ということで御理解をいただきたいと思います。この表は、どういった場合に、補助金を返還するか、またその返還する額はどのように求めるかというものをまとめたものです。
一番左が形態ということで、国庫補助事業の形態、その次が有償、無償の別で財産を有償で渡すか無償で渡すか、その次の補助金の取り扱いの欄は、実際に返還があるかないか、またある場合には、その金額はどのように出すかというものです。一番右は、再処分に係る条件というもので表示しています。
まず、補助事業が10年経過しているか、いないかが大きなポイントとなりまして、上段が10年経過している場合です。こちらは、当初の補助事業が地域において充足しているというのが条件になっています。欄外の下に※で書いていますが、補助事業に係る社会資源が当該地域において充足していることが前提というもので、こうした財産を無償で渡す場合、一番上の行に書いているとおり補助金納付の有無については無。ただし、別表に定める事業に活用する場合にという条件が付いています。
この別表は、6ページ、7ページに一覧で載せていますが、6ページの一番上に、医療法に規定する事業として病院等が載っています。また、次のページですと、下から5番目ぐらいに更生保護事業に使う場合、また学校教育法に規定する幼稚園、あとは、企業主導型保育事業、このように厚生労働行政が所管していないような、共管であったり関連する事業、これらは公益に沿った事業に使用するという考えで整理されています。
先ほどの病院のようなケースですと、例えば、保育園を国庫補助で建てたあと、その地域の保育ニーズが充足されたため、医療法人が病院に転用するといった場合には、引き続きこれに使うということで、国庫納付は無く所有者が変更できるというものです。
2ページの一覧に戻っていただきまして、今のようなケースでも、一番右側に十年間の処分制限期間というものが付されます。病院に転用した後に、すぐに転売したり、またさらに違うものに転用したりしないように、10年間は、その処分の制限がかかるというものです。
その下が無償で渡した場合でも国庫納付が必要となる場合があり、別表に定める事業以外に使う場合には、国庫補助金に相当する額を返還していただくことになります。その額の求め方については、残存年数をベースにした額となります。
また、その下の10年以上経過していて有償で渡す場合は、補助金を返還いただきますが、返還する場合でも、2通りの計算方法があり、別表の事業に使う場合には、譲渡額をベースに補助した当時の補助金の割合の分を返していただくものです。それ以外、別表以外のものに使う場合には、残存年数をベースにした金額となります。
その下の補助事業が10年に満たない場合は、無償でも有償でも、残存年数をベースにした返還額となります。
一番下が、補助事業と同一事業を10年以上継続する場合です。事業の譲り渡しの場合には、こちらが一番多いケースになろうかと思いますが、無償の場合には、10年間の処分制限期間は付きますが、返還は必要ない。有償で渡す場合には、譲渡額をベースにした返還が必要になります。
事務局からの説明は、以上でございます。
○柴座長 ありがとうございました。
これから事務局の御説明に対して議論を進めていきたいと思うのですけれども、最初にちょっと私のほうから確認なのですが、資料1において、合併と事業の譲り受けサイドの論点は出ているのですけれども、譲り渡し側の議論については、今後どのような形で進めていくのかについて、ちょっと教えていただきたいのですが。
○横溝社会福祉法人経営指導専門官 事業の譲り渡しに関する論点につきましては、次回の検討会でお示しする予定としております。
資料の作成に当たって、本検討会で御議論いただく会計処理に関する論点以外に、社会福祉法人制度特有の法人外流出の禁止などがございまして、これをどのように整理するかによって、議論していただく資料の内容が変わってくると考えております。
これらの制度に関する検討につきましては、別途、調査研究事業において議論をいただいておりますので、その方向性を踏まえて資料を作成した上で、次回御議論いただきたいと考えております。
○柴座長 わかりました。
ということで、本日は合併と事業譲渡等の譲り受けサイドの論点に議題を絞って議論をしていただきたいということで、お願いしたいと思います。
本日、資料1、論点が多くございますので、まず論点1について、それから2つ目の論点としては合併に関する論点、最後に3つ目としては事業譲渡等に関する論点と、3つに分けて議論を進めていきたいと思います。
最初に、資料1の論点1について御意見、御質問等ございましたら、お願いいたします。
宮内構成員、どうぞ。
○宮内構成員 ちょっと確認をさせてください。
資料1の1ページ目に書かれている事業譲渡等、事業の譲り受け及び事業の譲り渡しとして、組織法上の行為ではないため、法に手続規定はないけれども、取引法上の行為としてできるというふうに言っておられるのですが、ここでいう組織法上の行為ではないという意味は、単なる財産の譲渡、事業譲渡といったときに企業においては、財産の譲渡だけを指す場合もありますし、負債もセットで渡される場合もあり、さらに従業員等の引き継ぎをセットとして行うような場合があろうかと思います。
それで、ここでいう組織法上の行為ではないというふうに言っているのは、純粋に財産の譲渡に限定するおつもりなのか、それともそれ以外のものも、組織法上の行為ではないというカテゴリーの中で整理をされるおつもりなのか、それはいずれの立場で御議論されるのでしょうか。
○横溝社会福祉法人経営指導専門官 事業譲渡につきましては、組織法上の行為ではなく、包括承継が起きるのか個別承継なのかという違いがあると考えておりまして、当然、参考資料4で御説明させていただきましたけれども、資産の譲渡と、そのほか、利用者の移転、債権者の債務の移転、また、雇用関係の移転、それらを組み合わせたものが事業譲渡というふうに考えております。
ですから、事業譲渡につきましては単なる資産の移転ではなくて、それらが何かしら組み合わさったものと理解しております。
○柴座長 宮内構成員、どうぞ。
○宮内構成員 という状況なので、私は組織法上の問題ではなかろうかという懸念を、当初から申し上げている次第です。
ですから、この解釈は、本当に有権解釈として成立するのかどうかというのは、再度また御確認をいただきたいというふうには思っておりますので、それはそれで終わらせたいと思います。
もう一つ、事業譲渡等に関して合併もそうなのですけれども、定款の変更ということによってチェックされるというふうに御説明をいただいたのですが、定款変更が起きるということは、基本財産の変更、それから、事業種目の変更があった場合に、定款変更が起きるというふうに私は理解しておりますし、多分そういうことになるのだろうと思うのですが、事業譲渡と言ったときに、特に一部の事業譲渡ということを想定すると、基本財産も動かない、それから、事業種別も新たに加わることがないといったような場合も想定されるわけで、それらについてのチェックというのはどういう形で、考えておられるのか、それもあわせて御説明いただければと思います。
○横溝社会福祉法人経営指導専門官 基本財産の事業の譲り受けと譲り渡しで少し違うのかなと考えておりますけれども、事業の譲り渡しにつきましては基本財産の減少が起きますので、必ず定款変更になるのかなとは考えております。
それから、事業の変更等が起きなければ当然起きないのですけれども、例えば、公益法人のほう、一般法人のほうを見ますと、事業の全部の譲り渡しということになっておりまして、譲り渡す側は結構影響が大きいと、譲り受けのほうは法人にとって影響が大きいか、大きくないかというところは判断になると考えておりまして、会社法でも同様な形で譲り渡しのほうは、かなり承認規定というか、そういったものが厚くなっているという認識でございます。
○宮内構成員 譲り渡しも、譲り受けも基本財産に相当するものを、必ず変更が生じるものなのでしょうかね。私は、いわゆる公益事業、介護保険法上の事業の一部を譲り渡すというような場合に、基本財産を形成しない事業として存在しているものも当然あるわけで、そうすると、それらのものについては、基本財産は減ったりすることもないし、受け取る側も、ふえたりすることもないのではないかと思うのですけれども、逆に言うと、こういうふうに規定されてしまうと、事業譲渡という名前を使っただけで、定款変更しないといけないという解釈を行政ではよく行いますので、そういうものの対象になってしまうと、実際には少し困るのかなという気もするので、それは少し御検討いただければと思います。
○柴座長 課長、どうぞ。
○宇野福祉基盤課長 ありがとうございます。
今の御指摘の点のところは、先ほど来、申し上げています、別の調査研究事業のほうでの論点だと思いますので、今、宮内先生から御指摘いただいた点は、また、そこのところで十分議論をしたいと思っております。
○柴座長 ほかに、論点1につきまして、質問、御意見はございますか。
では、宮内構成員。
○宮内構成員 ごめんなさい、論点1のところから外れてしまったところがあったと思います。
論点1で挙がっている結合の定義のところで、支配の概念を使っているのですけれども、これは一体誰が支配するということを想定している概念なのでしょうか。IPSASも、企業型の事業体を想定して検討が行われております。だから、IPSAS自体、本文のほうを見ていくと、事業型の場合の結合をどういうふうに考えるのかという議論をやっていますから、企業と同じように、支配力を前提に考えるということはやっているのですが、持分概念が存在しないような法人同士の合併については、もう、そういう議論を外して、統合であると、こういう結論になっていて、支配力をここの中で議論するという考え方が、もともと存在してないのではないかと私は思っています。
そういう意味では、支配力を行使するとか、しないとかという話は、あくまでも持分権を持っている頂上にいるものが支配力を行使できるか、できないかという観点から議論されているのであって、その頂上に立つものの、そういう議論というのがない世界においては、支配がどうのこうのということ自体が、この両者を区分するメルクマールにはなり得ないと私は感じております。
逆に言うと、取得のところも、支配を獲得すると言っているけれども、誰がどういう支配を獲得するのか、一番現実的なものとしては、法人が所有権を持つという一番確固たる法律を根拠とする事態であろうかと思いますので、あえてそれを支援支配というふうに言う必要性は全くないものだというふうにも思っておりますので、そこは整理されたほうがよろしいのではないかと感じているのですけれども。
○柴座長 今の宮内構成員の意見に対して、どなたか、秋山構成員、お願いします。
はい。
○秋山構成員 私は逆でして、企業結合に関する会計基準から、この定義を引っ張られてきていると理解していまして、それと同じような言い回しになっているという意味でしっくりしてきているというところでございます。
企業結合に関する会計基準では、支配とはという定義がありまして、全部読み上げますと、ある企業または企業を構成する事業活動から便益を享受するために、その企業又は事業の財務及び経営方針を左右する能力を有していることをいうということになっておりまして、この定義を3ページの脚注に書かれており、能力を有していることをもって支配すると定義していると理解しております。
取得に関しては、その支配を獲得するという意味で、取得というのを定義されていると理解しておりまして、企業結合にならった形での定義ではありますけれども、この社会福祉法人の合併とか事業譲渡等を議論する際に、やはり、用語をある意味定義していかないと進まない部分があると思いますので、ここは、私は違和感がないと感じているところでございます。
○柴座長 宮内構成員、どうぞ。
○宮内構成員 秋山さんがそう言われるときに、支配力という、支配をするというのは、誰を想定した表現なのでしょうか。
○秋山構成員 私は会計学者ではないので正確かどうかはわかりませんけれども、事業の財務及び経営方針を左右する能力ということがありますので、要は、法人が自分の意思で経営をすることができるという状況を指すと思っております。
○宮内構成員 そこのところが、合併をしたら合併後の法人は、事業に対して全ての支配をしているのではないのですか。どんな場合であっても、支配はしてしまうのです。だから支配する、しないというこの用語自体は、その先にある持分権を持っている人が、そういうか株主の持ち株割合とか、それだけでは済まないので、拡張した概念として、支配力という用語を使って、こういうふうに広く考えようということをやってきた。
それで、企業における結合会計のロジックがそうなっていることは、私は十分承知をしておりますけれども、これに適用する用語として、不適切だというふうに私は思っておりますし、これをずっと続けてしまうことについては、もういいかげんにやめてもらいたいというのは、個人的な意見です。
地方独法のときも、公認会計士協会は、このロジックをやめなかったのです。
ところが、IPSASの議論というのは、その後、正式に確定して今の状態、つまり、持分を持たない者同士の合併については統合であると、アマルガメーションでやるのだということが明確になった。
ということは、そこのところのロジックを明らかにすべきであって、同じロジックにもう一回持ち込んでくる必要性は、僕は全くないと思っているのですが、はっきり、支配力というのは、支配を行使するという人が誰なのかということを明確にしない限り、何だかわけのわからない支配力、支配力と、どこに帰属するのかもわからないような支配力などという概念が、いつまでも残り続けること自体、私は全く反対です。
○柴座長 今の統合のほうで言えば、例えば、持分権による支配を獲得したと認められない、あるいは、そもそも持分がないので、持分権による支配はないと。
要は何が言いたいかというと、一応企業会計をベースにスタートして、非営利も結合の基準をつくる上で、そのプロセスをやはり踏まないとまずいのかなと思っていまして、その場合に企業会計とはこういう点が違いますよということを明確にして、社福の場合には、持分権による支配がないので統合ですというロジックであれば、宮内構成員は特に問題ないという理解でよろしいですかね。
○宮内構成員 いや、そうではなくて、持分がないから、支配という概念そのものが存在しないのだし、もともとここで言っているのが、統合前の持分権を通じた支配力の移転ということを言いたいがために言っているのであって、ここ自体は、一緒になるという行為を行っているだけですから、支配力が移転するとか、移転しないとかという考え方は、もともとないわけです。
それで、事業譲渡の世界も、単に取得したのであって、私は取得を否定するつもりは全くございませんし、塊としての財産の譲り受けという行為があっていいのか、いけないのかという、社会福祉法人制度上において、あっていいのか、いけないのかという議論はあるものの、そういう塊を取得するという行為自体はあるということを、もともと理解しておりますので、あえてそれを支配力という観点から定義し直す必要性は全くないと言っているだけです。
○柴座長 他の構成員の方で、何か御意見はございますか。
松前構成員、どうぞ。
○松前構成員 宮内先生の御意見も伺ったところで、大変勉強になったところでございますが、この支配という言葉については、この※に書いてあるような内容で、全く違和感がないというか、特に、これを定義することによって、一般的に使われている用語としては、受け入れられるのではないかと思っておりまして、これをまたどういうふうに定義するかということを新たに考えると、また、新たな言葉が出てきまして、それもまた混乱になるのかなと思っております。
IPSASでも議論の相違はあるかもしれないのですけれども、こういった支配という言葉を使われ続けているところを見ると、やはりそれを準用していくというのは、1つのやり方だと思いますので、定義については、これについて、特に反対の意見はないところでございます。
また取得についても、この支払いの定義期によって、定義されるところは、特に違和感はないところでございます。
以上です。
○柴座長 では、馬場構成員、お願いします。
○馬場構成員 当事者のいずれもが事業の支配を獲得したと認められないという定義が、なじむというか、しっくりくるので、このままでもいいのではないかと、私も思っています。
○柴座長 では、意見を言っていない亀岡構成員、お願いします。
○亀岡構成員 ありがとうございます。
私は、支配ということについての※2の説明はわかりやすいと思いますが、ただ、その定義のところの文章を読んだときの、支配を獲得したと認められの部分は、確かに宮内構成員の言われたように、違和感はあります。
そこで、松前構成員の言われたように、違う用語は何がいいかというとすぐには思い浮かびませんが一読しても違和感のないような用語が、もし創れるのであれば、それが望ましいと思います。
説明としての事業の財務及び経営方針を左右する能力という、この表現というのは、いいのかなと思います。ただ、それがすぐ、支配していると結びつくのは、ちょっと気にはなります。
○柴座長 では、中村構成員、お願いします。
○中村構成員 特別付け加えることはなくて、皆さんと同じ意見ではあるのですが、確かに宮内構成員のお話をお聞きすると、突き詰めて考えると、そういう面はあるのかなと思いますが、ただ、まさしく皆さんおっしゃるように、これ自体は、特別違和感はないということと、それから、やはり社会福祉法人会計だけが、何か独自路線を行くというような形は、私はあまり望ましくないと思っていまして、やはり一般の企業会計とか、ほかの会計は、後のほうで出てきますが、それほどまだ進化していないのですけれども、そういう形で一般にも、いわゆる社会福祉法人会計と必ずしも深くかかわっていない方にも受け入れられるような言葉遣いとか、そういうものが望ましいのではないかと思っております。
○柴座長 ということで、ちょっと御提案なのですけれども、統合と取得については、特に違和感がないということで、やはり支配という言葉遣いが、やや違和感があるということですので、私としては一般の企業会計の統合等々は、社会福祉法人の場合は、こういうところが違うのだというところを明確にして、一般の企業会計基準と社会福祉法人会計基準が、こういうふうに違ってきているのですというところを、上手に何か説明していただけると、この表題自体は、もしかしたら、このまま支配という言葉になってしまうのかもしれないのですけれども、そこを明確にしていただけると、違和感なく進められるのかなというふうに思っております。
ということで、論点1についてよろしいですかね。
続きまして、2つ目の論点としまして、合併について論点2と論点3について、論点2の合併と論点3以降の統合の資料の内容についての御意見、御質問をお願いします。
どうぞ。
○宮内構成員 論点1の5ページにある事業譲渡等の中で、2番目に書かれている法人外流出に該当しないと判断されるためには、合理的な説明があることが必要であると、仮に無償の譲り受けでも、これは譲り受けの話をしているわけですけれども、事業計画によっては法人外流出に該当する可能性があると言っている。
これは、もしそういうようなものがあったら、認めないということなのですか、それとも、ここの持つ意味というのがよくわからないのですけれども。
○宇野福祉基盤課長 済みません、宮内構成員の今の説明資料は、こちらのほうの資料を見ていただきますと、多分、そういった記述はない形には、資料1の5ページのところですね。ここを見て、もし違和感がありましたら、御指摘をいただければと思います。
○宮内構成員 わかりました。
合理的な説明があることが必要であるというのは、必要であって、合理的な説明がないと認められないということなのですか。
○横溝社会福祉法人経営指導専門官 最初に御説明したとおり、各段階で、理事会、評議員会、指導監査等で、そのときの判断として適切だったということは、法人の責任として当然やらなければいけない話でございまして、この金額、多額にお金を払ったとか、そういうような事実がある場合には、何でその金額なのだということは説明しなければいけないと考えております。
○宮内構成員 今の説明に関して言うと、法人外流出という概念自体が、どういう概念なのか、財産を取得して、それに対する対価を支払った場合に、それを法人外流出と言わないのか、言うのか、形の上ではお金が出ていきますから、法人外流出と言ってしまえば、それに該当するようにも見えますし、だから、対価性がある範囲において行われている取引であればいいけれども、そうでなければだめですよと、こういう雑駁な概念で構わないということなのか、どうなのでしょう。
○横溝社会福祉法人経営指導専門官 そのような御理解で結構でございます。
また、支払対価につきましては、もう一つの調査研究のほうで少し検討していきたいと考えております。
○柴座長 それでは、2つ目の論点の合併と論点3以降について、御意見、御質問がございましたら、よろしくお願いします。
松前構成員、どうぞ。
○松前構成員 論点2の合併については、統合と判断するということについて賛成でございます。
会計士協会でも論点整理といたしまして、合併について、少しだけ論点整理を出しているところでございますが、合併については統合ということで、結論を示しておりますので、特に違和感はないところでございます。
○柴座長 ほかに。
宮内構成員、どうぞ。
○宮内構成員 9ページにある修正持分プーリングと持分プーリングの区分けというのは、こういうふうな整理は、本当に正しいのですか。僕は持分プーリングでも、合併比率等のところに影響が出てくる可能性があるから、本来は、合併直前の貸借対照表によって決めることになっていて、ただし、一定期間の短い間のものであれば、簡便法として、その直前の決算を活用することができるという程度の話でしかないと。
そうすると、この2つを分けて、あえてここで示す必要性があるのかどうか、ということになるのかなという感じがしているのです。
逆に言うと、合併の実務の中において、そういう重要性を伴う簡便的な取り扱いというのをどこまで認められるのかどうかということが重要なテーマになってきて、このどちらを取るかという二者択一の世界として、これを議論してしまうと、かえっておかしくなってしまうのではないかという気がしているのですけれども、いかがなものなのでしょうか。
○柴座長 それでは、秋山構成員、どうぞ。
○秋山構成員 私が厚生労働省さんから説明をいただいたときには、社福である以上は、ぎりぎりまでというか結合日前日において、ちゃんと決算を組むべきで、適正な決算数値でがっちゃんこすべきだというふうな御説明を受けたと理解しておりますので、それはそうだなというふうに理解した記憶があります。
今、宮内構成員がおっしゃった合併比率というのは社福ではどこに出てくるのか、ちょっとよく理解できないのですが、基本的には適正な直近の帳簿価格を出すことに、私は意義があるのかなと思っておりますし、社会福祉法人である以上、それぐらいの規制といいますか、それが規制になるかどうかわかりませんけど、厳密な形で処理をしてもらうというのは、ある意味、意義があるのかなというふうには考えております。
○宇野福祉基盤課長 今、御指摘をいただいた中の、修正持分プーリングと、持分プーリングの定義について、宮内構成員から、厳密かどうかという部分がございましたが、それは、今、担当から説明させたいと思います。
○横溝社会福祉法人経営指導専門官 事務局案では、どちらかという形で提示させていただいておりますけれども、何か特段の判定をしてどっちを使うとか、どういう場合分け、この場合はこうするとか、そのようなやり方もあろうかとは考えておりまして、使い分けたり、判定して処理するというのを排除しているわけではございません。
ただ、一応シンプルにどちらかと決めて事務局案としては、修正持分プーリングで固定という形で提示させていただいておりますので、使い分ける場合のメリット、デメリットも含めて御検討いただいて結構でございます。
○柴座長 中村構成員、どうぞ。
○中村構成員 確かに9ページのを見たら一目瞭然ですけれども、やはり修正持分プーリングの方が理論的といいますか、厳密な処理ができるわけですから、当然こちらを採用するというのは、むしろ当然だろうと思います。
宮内構成員がおっしゃったような、実際に経過期間が非常に短いであるとか、その間にほとんど大きな処理がないという場合は、結果として持分プーリング的なものが認められるかもしれませんが、逆に今、その重要性云々まで、それは全体的なほかの会計でも重要性とかがある話ですから、基本的には修正持分プーリングと言い切っていいのではないかなというふうに思っております。
○柴座長 馬場構成員、どうぞ。
○馬場構成員 修正持分プーリングは、直前の帳簿価額で統合するということで、理論的ではありますが、社会福祉法人の実務を考えた場合に、決算日が3月31日で統一されていますから、持分プーリングによって、財産を単純に統合することでもいいのではないかと思います。
また、法人は統合しますが、拠点区分の計算書類は、統合前後で変わりませんから、拠点区分計算書類の期間比較可能性を考慮すると、持分プーリングで、直前決算日の財産状態を統合するということでもいいのではないかと考えます。
さらに言うと、補助金とか、委託費とか、年度単位で給付額が決まる収益もあり、修正持分プーリングで、期中に一旦仮決算を組むと、収益の期間帰属をどのようにすればいいのか悩ましい問題が出てきて、実務レベルでは作業負担も上がり、煩雑となります。
そういったことを考慮すると、持分プーリング法でもいいのではないか、そちらのほうが簡便ではないかと思います。
○宮内構成員 前に、企業における合併と、社会福祉法人における合併で、非常に社会福祉法人の合併が、登記完了日において確定されていくということが、窮屈でやりにくいというメッセージが、実際にやられた方たちからのメッセージとして出されていたと思います。
そのことを考えると、結局、合併契約において合併期日をどうやって決定するのかということと、それに合わせて、この計算を行うっていうことと、最後に、合併の効力の発生日を登記との関係において決定していくっていうのが、実務上大変な困難を伴うのではないかという気がしてならないのです。
そういう意味では、合併契約の中で合併期日を決め、なおかつ効力の発生日も事後的に登記によって確定するかもわからないけれども、それは合併契約に基づいて行われた方法でよいというような、そういうような手続を認めていく方法でないと、多分、合併をやるのに、細かな手続の中で、みんな嫌になってしまって、進めないのではないかという気がしているものですから、私はこの修正持分プーリングがいいか悪いかとか、そういう議論ではなくて、あくまでも合併をどういうふうにやるのかということを考えていったときに、多分便宜性は、馬場構成員が言ったように、決算日を基準日としてやっていくというやり方をとるのがやりやすい。企業においてもそういうやり方をしておりますから、それを援用できるようなインフラの整理をすることのほうが必要なのかなと、会計で、こうだからこうだという話よりも、そちら側の整理をしていただくと、その辺のところもうまく回っていくのではないかという気がしているのです。
その辺のところ、可能性も含めて御検討いただければありがたいと思います。
○柴座長 亀岡構成員、どうぞ。
○亀岡構成員 どうもありがとうございます。
私は修正持分プーリング法と持分プーリング法、それぞれ今のお話を伺った内容のとおりだと思いますけれども、基本はやはり、合併直前の適正な帳簿価額はというのが、大前提だと思います。
その上で、例えば補助金とか、具体的に解決すべきことがあるならば、そこで解決をしていく方法になるのかなと。最初から修正持分プーリング法でいくのか持分プーリング法でいくのかという話ではなくて、本来ならば、合併時の適正な帳簿価額は何なのかを判断することが大事だと思います。
それについて、手続き上難しい問題点があるなら、簡便的な方法等についても検討して、どんな法人も適用できるものにしていくことが大事だと思っております。例えば、決算時やその近くの時点で、実施するということであれば、それは持分プーリング法であろうが、修正持分プーリング法であろうがそんなに差はないと思います。
○柴座長 松前構成員、どうぞ。
○松前構成員 私も合併の処理としては修正持分プーリング法を原則として採用しておくべきかと思っております。
やはり、これが持分プーリングに比べたところで、その事業の継続性を反映する方法として認められているというふうに考えておりますので、そういった社会福祉法人の中での合併をあらわす方法の一つとしては修正持分プーリングを使っていますというアナウンスをするほうが、より受け入れやすいのではないかなと思っております。
また、実務の煩雑さというのは、やはりそこも検討をしていかないといけないと思いますので、そういったところは経過措置とかいろいろな措置を検討して、つけ加えていけばいいのかなと思います。
以上でございます。
○柴座長 中村構成員、どうぞ。
○中村構成員 先ほどお話したとおり、私も修正持分プーリングを基本とすべきだと思っております。
持分プーリングに関しては、確かにその簡便性という面では、非常に有利にあるのですが、これを前面に押し出してしまうと、例えば11カ月目で合併するとか、その間に非常に大きな取引があるというのも、そのまま持分プーリングというふうになってしまうので、やはり原則は修正持分プーリング。
あとは、その重要性を、例えば、2カ月以内ならオーケーとか、そこまで決めてしまうのかは、それも私は個人的には、決めるべきではないと。そこまではっきりとした、一般的な会計で重要性というのはありますから、その範囲でやるべきではないかなというふうには思っております。
○柴座長 宮内構成員、どうぞ。
○宮内構成員 最初に私が申し上げた、持分プーリングは、必ず前の決算期の数字を使ってやるという、その定義そのものが私は正しいのかと聞いたのです。
私が知る限りにおいては、企業会計において、昔から持分プーリングというのをずっとやってきて、今パーチェスに変わりましたけれども、その中でどうやっているかと言ったら、合併期日において貸借対照表をつくり直すということは実務上当たり前にやってきている。
その中で合併比率を計算する。合併比率に大きな影響を与えるような数字をベースにしながら、前年度の末の数字を基にして合併するのが持分プーリングだなどということを、ここではっきり書いてしまって大丈夫ですかという質問なのです。
そのことを前提に皆さんが、持分プーリングだの、修正持分プーリングのほうがいいとか悪いとかって言っている話自体が、私は、かえってミスリードすることになりかねないから、こういう規定の仕方はしないほうがよろしいのではないですかと。
それで、横溝さんのほうでも、やり方の問題だから、どっちの方法とするものではないとおっしゃっていたので、そこは整理をされたほうがよろしいのではないかと思います。
○柴座長 よろしいですか。
今、宮内構成員がおっしゃった定義については、きちんと確認していただいて、ただ、本日の議論としては、原則としては直前の帳簿価格でやるのですよということを、ここで合意は得られたと。
ただ、実務的に相当煩雑なケースも想定し得るので、その場合には、何らかの方法あるいは宮内構成員がおっしゃったように制度的にも、いろいろと煩雑な部分がある部分については、調査事業のほうで議論をしてまとめていただければと思います。
ということで2つ目の論点については、よろしいですかね。
では、続きまして事業譲渡等について、論点2のところと、あと論点4以降について御意見、御質問ございましたら、よろしくお願いいたします。
馬場構成員、どうぞ。
○馬場構成員 先ほどの事業譲り受けの説明の中で「原則として取得と判断する」と、この「原則として」をつけるかという問いかけがありましたが、私は「原則として」があっていいのではないかと思います。
通常、存続法人同士の施設の譲受であれば、取得になるのだろうと思いますが、例えば行政が法人に解散命令を出し、その上で解散命令を受けた法人の施設を存続させるために、他の社会福祉法人が、その施設を引き継ぐといった事業譲受けがないとも言えません。その場合は、事業譲渡の対価を受け取る法人が存在しないことになりますので、結果として統合という扱いになると思います。
ですので、ほぼほぼ取得だとは思いますが、全て取得と判断するのではなく、「原則として取得と判断する」という、この表現のままでよろしいのではないかと思います。
○柴座長 今の「原則として」をつけるか、つけないかの点について、秋山構成員、どうぞ。
○秋山構成員 私も、先ほど法的には全部事業譲渡がないような御説明もあったかと思うのですが、馬場構成員のおっしゃるようなことも起こり得ると思いますので、そういった場合は、やはり統合とすべきだろうと思います。それで、原則は取得だという、この記載は、私はこれでいいのかなと思っております。
○柴座長 宮内構成員、どうぞ。
○宮内構成員 「原則として」というのを、あえて入れなければいけない理由が、僕には余りよくわからない。つまり取得の形態として、一般的には社会福祉法人だけではなく、無償譲渡、低廉譲渡、全て取得として会計上は整理されていて、それぞれに応じて形態に応じた測定概念というものを適用して処理するというふうに言われているわけです。
だから先ほど馬場構成員が言った事例というのも、無償譲渡の事例でしかないので、取得であって、全く何も問題ない。ただ、それをどういうふうに評価するのかという問題でしかないと私は思いますので、「原則として」というのを入れても入れなくてもどうでもいいといえば、どうでもいいのですけれども、あえて入れなければならない意味合いがどういうところにあるのかなと、少なくとも先ほど言われたのは、単なる無償譲渡による取得ということでしかないのではないかと思いますけれども。
○柴座長 馬場構成員、どうぞ。
○馬場構成員 先ほどの事例のように、取得以外で統合と判断されるケースがあり得るので、「原則として」という言葉は必要と思います。
○柴座長 秋山構成員、どうぞ。
○秋山構成員 私も「原則として」は要らないかなと思うこともあったのですけど、解散の場合は、社福においては、基本的に自治体か社会福祉法人に、事業というか、資産を寄付というか、譲り渡すというような規定があったかと思うのですが、その前の段階で部分的に譲渡していくような可能性もなきにしもあらずかなと。
結局、器だけ残って、法人としての清算手続を行うことも想定できるのであれば、それは実質、切り売りした場合の話はちょっとまたややこしくなるのですけれども、合併に近い効果になるのかなと考えたものですから「原則として」というのは要るのかなと。
だから、そういうものが絶対ないという反証が出ない限り、なかなか外しづらいかなと、個人的には思っております。
○宮内構成員 今、秋山構成員が言ったのは、全部事業譲渡になってしまうのではないのですか。
○秋山構成員 結果的にはですね。
○宮内構成員 それは、できないと言っているわけですね。だから、合併であれば、合併なのだと思うのです。引き取ってもらうというのは、いろいろな方法で考えられるわけですから、合併という方法をとって引き取ってもらうということ自体、それ以外のものとして事業譲渡をあえて規定して、事業譲渡の場合に、どういうふうに処理するのかという議論をしているわけですから、そうすると、今言われるようなものというのは、多分事業譲渡ではないのだろうと、私は思うのですけれども。
○柴座長 亀岡構成員、どうぞ。
○亀岡構成員 最初の御説明のときにあった、資料1の2ページ目で図がありましたね。
まさにこれの概念のどこに入るのかということだと思うのです。
ですので、今、新設合併は非常にわかりやすいのですけれども、事業譲渡になるのか吸収合併になるのか、あくまで事業譲渡の場合は、基本的には、法人がどちらも存続するのだと、それで一部事業を渡すのだというのが概念とされていて、そうではない場合、片方の法人が最終的になくなる場合は、吸収合併と同様になるのだという概念の整理をしておけば、いいのではないかと思います。そうすれば、原則か原則ではないかというところの整理もできるのかなと。初めに概念をきちんと整理をし、少なくともこの場合は、いわゆる、統合と見るのだと、合併と見るのだというのと、譲渡として見るのだと、譲渡と合併で結果的に全く同じようなこととなった場合にそこで評価が変えるというのも少しおかしいので、評価といっても、いわゆる取得なのか、統合なのかという考え方だけで評価を変えるというのは、違うのかなと思います。
ただ、宮内構成員も言われたように、評価については、ちょっと別話がまたあると思うのです。同じ所属だとしても、全て同じ評価になるのかどうか、これはまた別のところでお話ししたいと思うのですが、少なくとも今、事業譲渡と合併というのは、明確な線を引いてやっておく必要があるのかなと。
そういう意味では、先ほどの図の中で、どれに該当するのかで、もう少し言及すると、事業譲渡は、これ以外にもあるのだというのなら、また話は別ですけれども、この枠の内で一度整理されたらいかがかと思っていますが。
○柴座長 わかりました。
今の話ですけれども、取得とするか、統合とするかという話と、13ページの取得の場合にパーチェスでするのか、修正持分でするのかという議論になっていまして、宮内構成員の御意見としては、もう取得は取得でいいではないかと、ただ、13ページでパーチェスをとる場合と、修正持分をとる場合、両方あり得ると、そういう議論の収まりでよろしいのですかね。
○宮内構成員 パーチェスというのを、私はパーチェス法とはっきり言うべきで、合併における会計処理として、処理方法としてのパーチェス法なのか、プーリング法なのかと、それで、企業会計はパーチェス法でやった。つまり、取得以外に考えられないという整理をする。だから、フローチャートも全部そちら側に行くようにつくられているのであって、本当に論理的に、リベラルにいっているのかといったら、何ともいえない、だからバスケットクローズで、みんな残ったものは、全部パーチェスですとやるようなフローチャートをつくっているので、私は、あれを適用するようなコンセプトそのものに反対なのです。だから、支配というのは、ここで使うべきではないと思っているのだけれども、皆さんは、それが正しいと言っているから、それはそれで譲るとして、だから、原則とするか、しないかというのは、私は入っていても、入っていなくてもどうでもいいと思うのです。具体的に、これによって、何か事態が変わるのかといったら、多分、変わらない。
だけれども、取得で考えていったときにおいても、社会福祉会計基準の取得、物事を購入したときに、取得価格を付す方法の測定概念の中には、いろいろなバリエーションがあるので、だから、そのバリエーションの中の1つとして、いろいろなものを採用していくというのがあっていいだろうと。
ただ、ここの中で、逆に言うと、差額を認識するところにたどりついていくと、パーチェス法というロジックをもってこないと、差額を当然入れるのだというコンセプトがとれるものなのかどうかという世界になるのだと思うのです。
だから、それは、もう一つの議論として考えていかなければならないのだろうと思います。
○柴座長 ほかに、中村構成員、お願いします。
○中村構成員 資料1の3ページ目のほうに、まず統合と取得という定義があって、7ページ目のほうに、合併は統合、事業譲り受けは原則としてですが、取得とする。
その流れで、今度は9ページ目で、統合は、いろいろ御意見ありましたが修正持分プーリングだと。
さらに13ページで取得はパーチェスだと、こういう大きな流れがあると思うのです。
基本的に私はこの流れを支持したいと思っているのです。
多分、宮内先生は、そこがもともとの意義というか、必ずしもそうではないというお考えだから、その時点で、もうずれてきているというか、そうなのですが、私がこれを支持するというのは、何よりわかりやすいというか、クリアーであると。
もちろん突き詰めると、宮内先生おっしゃるような問題が、絶対ないとは私も言い切れないのですが、何よりストーリーが明確であるということで、この考え方を支持したいなと思っております。
○柴座長 秋山構成員、どうぞ。
○秋山構成員 取得のほうの会計処理をとりたいがために、事業譲り受け、さっきの結果的に全部譲渡というのはそういうことだと思うのですけれども、それが実際は合併と同じなのに全部時価評価してしまうと、その時価評価したいがために、事業譲り受けという形態をとると、そういう脱法行為的なことが起こり得るのではないかということで、原則としてと、例外の規定を残しておいたほうがいいのかなと思います。
これについては、あくまで制度上そういったものが許される、許されないという話になってくるのかなと。ですので、これは制度のほうなので、もう一つの委員会ですかね、そちらで御議論いただいて、そちらでもないのだと、それか決め打ちしたほうがいいのだとか、そこでの検討を受けて、残す、残さないというのは、こちらで判断するという流れでいいのかなというふうに思います。
○柴座長 松前構成員、どうぞ。
○松前構成員 最初に、先ほど亀岡先生もおっしゃっていたのですけれども、合併か、事業譲り受けかということを明確に判断すれば、それにそれぞれの会計処理がついてくると考えておりますので、合併であれば、持分プーリングでありますし、事業譲渡であれば、パーチェスというような形で、原則としてというのを入れてしまうと、またそこに判断が入ってきて、わかりにくくもなりますので、そこは「原則としては」をとって、まず判断を、どちらに当てはまるかというのをやった上で会計処理を決めておくということで、いいのではないかと考えております。
以上です。
○柴座長 亀岡構成員、どうぞ。
○亀岡構成員 ありがとうございます。
先ほど宮内構成員が言われた話の中にも重なるのですけども、取得といっても、私はいろんな取得形態があるのかなと考えております。
というのは、例えば、事業体の異なる、つまりNPO法人だとか、場合によっては営利法人とか、医療法人だとか、そういうところからの事業譲渡と、例えば、同じ社会福祉法人で、ある一部の事業が余りうまく成り立たないので、そこだけを引き継いでくださいと頼まれた場合のように、また、そこに補助金などもついているというようなことを引き継ぐときの評価とは、違ってもいいのかなと。合併ではないので、部分合併みたいに、そういうような概念、それは取得としても評価のところの考え方が、簿価で引き継ぎ、そこから損益が出るようなものなのかどうか、社会福祉事業をそのまま引き継ぐような場合に、そういうようなところの評価の話になりますけれども、基本はパーチェス法というような考え方をとりながらも、修正プーリング法を適用するという社会福祉法人特有のものがあっていいのではないのかなと思います。
○柴座長 馬場構成員、どうぞ。
○馬場構成員 全部事業譲渡があるかないかという点ですが、全部事業譲渡をした後も社会福祉法人として存続することはありませんが、法人が解散する過程では、その法人が実施する事業を、他の法人に引き継ぐことが行われます。
そのときに、引き継ぐ法人が取得として扱い、その施設の公正価値を評価するとか、通常の取得手続を進めるかというと、恐らくそういうことはないと考えられます。
その場合は、通常、行政から施設の存続のために引き受けてほしいと依頼を受けて、それに応じる形で引き継がれます。かつ、相手が解散法人であることから、対価の支払いも行われないため、それは取得とは違って、経済的実質は統合になると思われます。
そう考えると、全てが取得と言い切れないので、「原則として」を残しておいていいのではないかと思います。
○柴座長 わかりました。
取得ではない事業譲渡が起こり得るのかどうかについて、もう一つ調査事業のほうとあわせて御検討いただいて、そこであり得るということであれば、また、状況を教えていただければということでお願いしたいと思います。
○宇野福祉基盤課長 今の点でございますけれども、確かに、先ほど、私が申し上げましたように、全部譲渡自体は、社会福祉法では想定されておりません。
ただ、当然、実際には、解散といっても、ある日突然解散できるはずがございませんで、先ほど馬場先生がおっしゃったように、当然それは、それなりに時間的なプロセスがございます。
そういうところをプロセスすることで、一体、こういう形で、もし、それを会計上で表現するときに、原則としてというのが必要なのかどうか。
全部譲渡を認めるという話はありませんけれども、当然、実際に、解散までの過程の中で、当然、一斉に拠点が移るものもあれば、順次に移るのもある。その中で、当然、馬場先生がおっしゃった行政も関与する、多分、最後はケース・バイ・ケースになってくると思うのです。
そういったものの中で、そこを会計上明確に分ける必要があるのかどうか、つまり、原則としてという言葉を入れておいて、そこは、一応、ほかのことがあり得るということを一応、お示ししたほうがいいのか、それとも、最後は現場判断なので、もちろん、どんなルールだって例外があるのですと。
そういう意味では、先ほど松前先生がおっしゃったように、ここは、方針として「原則として」を入れずに、何かしら方針を決めるというところは、こちらで御議論をいただければなと思っています。
当然、現場としては、段階の話があると思いますので、そこはお願いできればと思っております。
○柴座長 ということで、松前構成員がおっしゃられたように、合併は統合、事業譲渡は取得だと割り切ってしまうと。ただ、取得の中において、原則的にはパーチェス法をとるのでしょうけれども、馬場構成員がおっしゃるような状況においては、そういった配慮すべきことも起こり得るというような進め方でよろしいでしょうかね。
宮内構成員、お願いします。
○宮内構成員 これは学校法人委員を務めていた方から伺ったのですけれども、学校法人の事業譲渡というのも、法律上は認められているわけでは決してないのですが、事実として行われていると。
その場合にどうなのだと言ったら、大学設置審などに上がってくるものについては、帳簿価額で譲り受けるということをやっているというのです。
だから、私は社会福祉法人と社会福祉法人の事業譲渡だとか合併が、合併はともかくとして、合併はそうするということですから、いいのですけれども、事業譲渡においても帳簿価額で引き継ぐという方式があっておかしいとは決して思っていないのですね。だからパーチェスだから、全部公正価値で評価するのだという一義的な進め方をする必要性は余りないのではないかと思っております。
ここの議論としては、事業譲渡は相手の懐勘定はわからないのだから、わからないことを前提にやりましょうよと、こういうふうに言っているだけで、わかるケースも、多分、出てくるといえば出てくる。
だから、全部事業譲渡には限定されないで、部分の事業譲渡であったとしても、帳簿価額を明らかにしながら、何らかの形で行政が介在しながらやる事業譲渡というのがあっておかしくないと、企業を相手にした場合には、どうなのだという問題は当然、企業もできると言ってしまっていますからね。
譲り受け自体は、企業から譲り受けてもおかしいことはないわけですね、行政から受けてもおかしくないし、だからそういう意味では、わからないケースもあると、情報開示しながらやれるようなものについて、あえてそこで公正価値評価を進めなければいけないのかどうかっていうのは、この後の議論になるのだろうと思いますけれども、再検討したほうがいいと。
そういう意味で、原則というのがあったほうが、幾らかの余地を残すのだというのであれば、私は原則を入れておいて全く問題ないと思っております。
○柴座長 亀岡構成員、どうぞ。
○亀岡構成員 今、宮内構成員がおっしゃいましたけれども、私は、原則は、あってもなくてもいいという考えは持っています。なくても、今言われたような考え方はとれると思うのです。
実際、なかなかうまく運営ができていない学校があって、業務の統合を行政が指導してやっているのを見たことがありますが、簿価で引き継いでいたと思います。
このように、必ずしも時価で評価し直すことがいいとは限らない場合もあると思います。兄弟法人のような関係の社会福祉法人などは、お互いに相手の財政状態や経営状況も大体わかっているわけですね。それで、それを引き継ぐと。なおかつ、拠点が異なるので資産も負債も分かれているというような状況のときに、あえて、それを時価評価に置き直して、評価益を計上にしてしまうと、それを目的とする譲渡などが出てくるようなことも危惧します。
大事なのは、継続的に事業を維持していく、これが本来の社会福祉法人の目的ですから、その目的との関係で、社会福祉法人同士の事業譲渡だとしても、それは、ここでいうところの修正持分プーリング法の方が、むしろあっているのかなと考えております。
それと、先ほど言われた原則というのが要るかどうか、これもまた別で、私はあってもなくてもいいと思っています。
○柴座長 ほかに議論は、よろしいですか。
事業譲渡のケース、一番想定されるのは、多分、一番想定されるのは調子の悪い施設を、元気のいい社会福祉法人に引き取ってもらうというケースが、多分、一番想定しやすい話なのかなと思っていまして、調子のいい施設を売ってしまう社福というのはあり得ないわけですね。社福自体が、いずれの事業も調子がいいということはまずなくて、調子のいいところでどうにかもっているようなところは、調子のいい事業施設を譲渡するということは、社福を経営されている方々であれば、普通はあり得ないということだと思っています。
そういった場合には、パーチェス法といえども、なかなか時価がとりづらいとか、いろいろ状況がある場合に、よるべきところは帳簿しかないのだというようなケースが、多分、多々あるのかなと想定している次第でございます。
ただ、その場合も、まず、帳簿でいいのだという決め方は、厳しいのかなと思っていまして、原則としては、公正価値なのだけれども、事情に応じて、そういったこともあり得るのかなというようなニュアンスがせいぜいなのかなと、私のほうは理解しているところでございます。
ということについて、何か御意見等ございますでしょうか。
最後となるのですが「のれん」の話は、どなたか御意見等、いわゆる一般の企業でいうところの「のれん」というのとは、ちょっと意味合いが違うのかなと認識しているところですが、会計上の用語としては「のれん」以外の言葉遣いがちょっと思いつかないのですけれども、考え方等について、何か御意見、御質問等あれば、お願いしたいと思います。
馬場構成員、お願いします。
○馬場構成員 会計処理案ではなく、15ページの「⓵原則として「のれん」とする」の「検討のポイント」に関してですが、「時価ベースの純額と支払対価の差額が、将来の事業の採算として説明できるのではないか。」という、問いかけた書きぶりをしていますが、差額イコール事業の採算性ということではないので、ここを「時価ベースの純額と支払対価の差額が、将来の事業の採算性として説明できる場合に限る。」とし、事業の採算性として説明できる場合に限って「のれん」とすることができることを明確にしたほうがいいのではないかと思います。
その上で、説明できない支払については、社外流出に当たると考えます。その社外流出については、社会福祉法人の場合、禁止規定がございますから、そちらで認められる、認められないの議論をする必要があるのではないかと思います。
○柴座長 ありがとうございます。
宮内構成員、どうぞ。
○宮内構成員 「のれん」に関して、社会福祉法人において「のれん」が存在するのかしないのかという問題があるわけですね。
それで、何で合併だとか、その事業譲渡のときに企業会計において「のれん」が出てくるかというと、自己創設「のれん」というものがそもそも存在していて、それをみずから自己創設「のれん」を会計上、ノーマルな状態で認識しないが、そういうようなものが、その外部に触れる取引として合併や事業譲渡が出てきたときに、購入する評価と、現実の公正価値との間における差額分というのを「のれん」だというふうに整理するわけですけれども、そこで挙げられている「のれん」の要素というのは、例えば、名簿の確保であるとか、そこでやっている商権として認められているとか、そういうようなものが存在しているというふうに言われているわけで、そういうものが、社会福祉法人において本当に存在すると考えていいのかどうか。
少なくとも利用者名簿等については公開されておりますから、法人にとって固有の情報であるというふうにはなかなか言えない。
そこにおける商権であるという話については、例えば指定をとるということが、どうなのかという問題になるわけですけれども、指定をとってあったがゆえに、それを商権として認識するのかといったら、それらはみんな形式的要件が具備されているかどうかで判断されるだけですから、これを超過収益力に換算するような、そういう「のれん」の根源的な要素として認識することは、私は困難だと思っている。
そういう意味で、わからないから「のれん」だというのは、いささか乱暴な話かなと感じております。
ですので、そういうものを認識するということについて、もっと慎重な、これは会計上、差額が出たときに、差額はしようがないねという話になるわけですが、その差額はしようがないの世界は多分、先ほど馬場構成員が言ったように、損に出すのか、益に出すのか、
果たして益に出すような取引をしてしまっていいのかどうかという問題も含めて、その取引上の公正性というものを、どう判断するのかという世界にも影響を与えてくる。
独立した当事者の間で取引したのだから、それは正しいのだから文句はないのだというのは、企業会計の世界では、当然、独立した当事者間において成立した対価というのは、誰もが認める、測定原則になっていますから、それでいいのですけれども、それをそのままこちら側に持ってこられるものなのかどうかというのは、サービスというか、事業の特殊性からいって、慎重な判断をお願いしたいと思っております。
○柴座長 今の御意見は、事業譲渡の対価についての適正性について、何らかの基礎チェック機能が働くような形が必要だろうということを前提とした上での差額の議論であれば、その後は乗っていけるという趣旨でよろしいですかね。
ほかに御意見はありますでしょうか。
馬場構成員、どうぞ。
○馬場構成員 先ほど会計処理の案について意見を述べていなかったので言いますと、公正価値と支払対価の差額が、将来の事業の採算性として説明できるのであれば、それは資産性を認め、会計処理の案⓵のとおり、「原則として「のれん」とする」会計処理でいいのではないかと私は思います。
○柴座長 ほかに、よろしいですかね。
事務局の案は「負ののれん」も負債に上げるということなのですか。
○横溝社会福祉法人経営指導専門官 15ページ16ページで、まず、そもそも「のれん」ということなのか資産計上なのかとか、そのようなことが決まらないと償却というところまでは進まないかなと思いまして、もし「のれん」ということであれば、どのように償却するかというのは、次のテーマになるのだろうと考えております。
○柴座長 亀岡構成員、どうぞ。
○亀岡構成員 今の件でございますけれども、私は、資産の時価を超える部分は資産の所得原価には含まれないと思います。そもそも本来の時価ベースで取得しているのなら別だけれども、それよりも高い価額で取得しているのです。これは、事業の譲り受けにおいて、当然、本来の資産の時価よりも高く評価をして払っている場合にはその事業に資産の時価以上の価値があるという認識をしているということですから、その差額分、つまり、適正な時価を超える部分は、今後の事業計画があって、そこから得られる将来価値が現在の適正な時価を超えており、それを獲得しているのですということですから、その超過部分が「のれん」だと、実に、私はスムーズに入っていますけれども。
○柴座長 中村構成員、どうぞ。
○中村構成員 確かに「のれん」というのは、私は間違いなく社会福祉法人同士でもあるし、もちろん株式会社から購入するような場合は、当然あるというふうに思います。
ただ、ちょっと悩ましいのは、差額がイコール「のれん」かという議論があって、それは馬場構成員がおっしゃったとおりなのですが、それも想定して会計処理を想定すべきなのか、その前に、それは何らかの規制で、そういうことはないということで議論すればいいのか、その辺りはちょっと悩ましいかなと思います。
○柴座長 課長、お願いします。
○宇野福祉基盤課長 ありがとうございます。
きょう最初のほうで、座長からも事務局に対して確認があったと思うのですが、確かに今回の会計基準をお願いするに当たっては、今、御指摘があったとおり、一体、事業譲渡における制度面のルールというのは、当然あるわけなので、それを前提とした会計基準となってくると思います。
そのあたりのところは、次回以降、また、今、並行して検討しています部分の検討の調査研究事業の資料もお示ししながら、先ほど、譲り渡すほうが、非常に制度上の問題としては大きいのではないかと思っておりましたので、譲り渡しの次回の議論の際に紹介させていただきたいと思うのですが、そういう中で、譲り受けの部分についても、当然、そこで影響が出てくるということであれば、また、次回のところで、このあたりも御議論をいただきたいと思っております。
ただ、時間も限られていますので、ある一定の仮定をもとに、資料としての材料としては、事務局として、座長ないし構成員の皆様方のお許しをいただけるのであれば、あくまでも、それは前提としてという形では資料を出しつつ、また、一方で制度面の検討状況も御紹介しながら、次回に向けて、また準備をさせていただけないかなと思っております。
○柴座長 ありがとうございます。
宮内構成員、お願いします。
○宮内構成員 先ほどの馬場構成員の話は、私は難しいなという感じをしているのは、例えば典型的に介護保険給付の水準がどうやって決定されるのかというのを考えていったときに、そこで、超過収益力をずっと維持していくのだということを前提とした「のれん」の認識というのが本当にできるものなのかできないものなのか、実態として、そのようなことを期待していて、結局、減損ですと、僕は減損が適切だとは思っていないのだけれども、減損ですという話に行ってしまうと、そこの間で行ったり来たりというのをやらせることが本当に適切な会計処理になるのかどうかというのは、私はちょっと懸念を持っております。
もう一つ、7ページに、これはちょっと検討して変えていただきたいのですけれども、事業譲り受けのところで、被結合組織の理事者という言葉が使われていて、私はこの言葉が学校法人会計の経営者確認書の作成のときに、我が日本公認会計士協会で造語した用語であるというのを十分に承知しておりますが、理事者という用語は、実は法律上どこを探してもありません。
だから、ここはやはり法律上の用語に基づいて理事長及び、または理事長または執行理事という表現を使われるほうがよくて、理事者というわけのわからないものをここにもってくるというのは、私は適切ではないというふうに思っております。
御検討ください。
○柴座長 課長、お願いします。
○宇野福祉基盤課長 今の点だけ済みません。
実は、私も、こんなことを言ってはあれですけれども、この資料を見たときには、宮内構成員と同じ思いをした覚えがあるのですが、これは、会計上の資料ということで、こういう理事者という言葉を使うのだということだったので、もちろん、これは議論をいただくことも大事だと思っていますので、ここではお出ししていますけれども、当然、もしこれが省令等で、法制的にとなったときには、当然、現行の社会福祉法の法制にのっとった用語には統一させていただきますので、一応、念のためお伝えいたします。
○柴座長 よろしいですかね。
ということで、大変活発な御議論をいただきまして、ありがとうございました。ある程度の方向性が見えてきたのかなと感じております。
事務局のほうには、本日の議論を踏まえた上で、所要の修正等をお願いしたいということです。
また、事業の譲り渡しのほうについては、今後の議論ということですので、そちらも含めて御対応をいただければと思います。
資料2のほうの説明も要るのですかね、横溝専門官、よろしくお願いします。
○横溝社会福祉法人経営指導専門官 資料2について御説明いたします。
本検討会における議論進め方でございますが、本日、第4回目まで終了しております。
第5回、第6回、それぞれ第5回が1月中旬、第6回が2月上旬に開催させていただければと思っております。
第5回につきましては、今回の資料の修正ということで、また事業の譲り渡し等々、追加の資料を提出させていただければと考えております。
○柴座長 ありがとうございました。
ただいまの御説明について、何か御意見、御質問ございますでしょうか。
よろしいですかね。年度内には終わるということですね。
ということで、若干時間より早い話ですけれども、十分に御議論をいただいたと思います。
本日はどうもありがとうございました。
次回以降につきまして、事務局の方から御説明をお願いしたいと思います。
○高坂福祉基盤課長補佐 次回の開催につきましては、改めて御連絡させていただきます。
○柴座長 ありがとうございました。
本日の検討会は、これにて終了いたします。
どうもありがとうございました。

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社会・援護局福祉基盤課

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