令和元年度第1回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医療機器・再生医療等製品安全対策部会安全対策調査会議事録

日時

令和元年9月17日(火) 17:00~

場所

厚生労働省共用第8会議室

議事

○医薬安全対策課長 定刻になりましたので、これより、令和元年度第1回医療機器・再生医療等製品安全対策部会の下にございます調査会を開かせていただきます。本日出席いただいております先生方におかれましては、いつもながらお忙しい中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日の調査会もよろしくお願いいたします。
 本日の調査会は、いつものことですが公開で行っておりまして、カメラ撮りに関しましては、議事に入る前までとさせていただいておりますので、傍聴の方におかれましては御理解、御協力のほどお願いいたします。また、あらかじめお伝えしております留意事項につきましても、遵守のほうをお願いしたいと思っております。
 この調査会につきましては、本年の1月25日に薬事・食品衛生審議会全体の委員の改選が行われていることに伴いまして、改めて委員を選任させていただいておりますので、まず、委員の先生方を紹介させていただきたいと思います。五十音順で紹介いたします。まず、国立研究開発法人国立がん研究センターの荒井保明先生でございます。続きまして、京都府立医科大学の木下茂先生でございます。次に、神奈川リハビリテーション病院の杉山肇先生です。次に、国家公務員共済組合連合会横浜栄共済病院の中川孝太郎先生でございます。最後になりますが、国立医薬品食品衛生研究所医療機器部の蓜島由二先生でございます。よろしくお願いいたします。いま紹介いたしました5名の先生でこの調査会は構成しておりまして、まず、本日は定足数を満たしているということで、この調査会は成立しておりますことを報告申し上げます。
 続きまして、委員改選後最初の調査会ということでございますので、調査会長を決めさせていただきたいと思います。事務局といたしましては、医療機器・再生医療等製品安全対策部会の部会長もしていただいております荒井先生にお願いしたいと考えていますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。どうもありがとうございます。それでは、荒井先生、調査会長席にお移りいただければと思います。
 それでは、ここで荒井先生、一言頂けますでしょうか。
○荒井調査会長 改めまして調査会長に御指名いただきました荒井でございます。この安全対策調査会ですが、余り頻回に開かれるものではありませんので、改めて御紹介させていただきますと、医療上、極めて重要である「安全」の確保に関する事項につきまして、特に専門家の先生方のご意見を伺いながら調査、審議する組織として位置付けられております。また、この組織は薬事分科会規程に基づいて、薬事分科会長の同意を得て設置されておりますことを、はじめにご報告させていただきます。
 これまで、この医療機器安全対策調査会では、眼内レンズ、冠動脈ステントの禁忌禁止欄の見直し等を調査、審議してきたという経緯がございます。本日は、後で出てきますが、いわゆるMetal-on-Metal、金属どうしがすり合わす面を持った人工股関節を埋め込んだ患者さんに、MRI検査を行う際の取り得る、取るべき対策について調査、審議をさせていただくことになっております。是非活発な御議論を頂ければと思います。よろしくお願い致します。
○医薬安全対策課長 ありがとうございました。もうしばらく事務局で議事を進めさせていただきます。続きまして、調査会長の代理を選出したいと思っております。調査会長代理に関しましては、調査会長から御指名いただくことになっておりますので、荒井先生、御指名のほど、よろしくお願いいたします。
○荒井調査会長 はい。調査会長の代理は、蓜島先生にお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。是非お願いいたします。
○医薬安全対策課長 よろしければ代理席がありますので、そちらにお移りいただければと思います。
 それでは、ここで改めまして委員の出欠状況についてですが、調査会の先生5名、全員出席いただいており本日の調査会は成立しておりますので、この先の議事を進めたいと思います。議事の関係で、本日、参考人の先生に来ていただいております。紹介させていただきたいと思います。順天堂大学医学部放射線医学講座の青木茂樹先生でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、これより議事に入りますので、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。以後の進行に関しまして、荒井先生お願いいたします。
○荒井調査会長 それでは、議事を始めさせていただきます。まず、事務局のほうから審議参加に関する遵守事項について、説明をお願いいたします。
○安全使用推進室長 事務局から、議事参加について御報告いたします。本日御出席の委員及び参考人の方々につきまして、議題1の対象品目の製造販売業者からの過去3年度における寄附金・契約金などの受取状況を御報告いたします。本調査会の前に、リストを各委員にお送りして御確認いただいておりますが、杉山委員よりジンマー・バイオメット合同会社及びスミス・アンド・ネフュー株式会社から、それぞれ50万円以下の受取と申告いただいたほかは、受取の申告がございませんでした。したがいまして、本日の審議については、全ての委員においては意見を述べ、議決に加わることができます。御報告いただいたこれらの申告については、ホームページで公表させていただく予定となっています。
 続いて、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告します。薬事分科会規程第11条においては『委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。』と規定されています。今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいていますので、御報告させていただきます。委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいており御負担をおかけしていますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 審議参加に関する遵守事項についての説明、薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果の御報告は以上です。
○荒井調査会長 ただいまの事務局からの報告についてはよろしいでしょうか。それでは、特に御意見がないようですので、御了解いただいたこととし、進ませていただきます。次は資料の確認です。事務局からお願いします。
○医薬安全対策課 それでは、資料の確認をさせていただきます。まず、本日机の上にお配りしている資料として、順に議事次第と資料一覧が両面1枚になったもの、そして座席表と委員名簿が両面1枚になったもの、こちらを配布しています。その他の資料に関しては、厚生労働省全体でペーパーレス化を推進していることから、紙媒体での配布はしていません。各委員の先生方におかれましては、お手元のタブレット端末での資料で御確認をお願いします。お手元のタブレットに入っている資料としては、それぞれ資料番号が振られており、順に資料1に関しては資料1-1、資料1-2、参考資料として参考資料1~参考資料4までがあります。以上です。
○荒井調査会長 大部分の資料はこの中に入っているということですので、特によろしいですか。よろしければ、早速ですが議題1を始めさせていただきます。議題1「Metal-on-Metal人工股関節を植込んだ患者に対するMRIの使用に関する安全性について」の審議を始めさせていただきます。それでは、事務局から説明をお願いします。
○医薬安全対策課 それでは、資料1-1を御覧ください。初めに、今回の調査会において審議が必要と考えられる背景に至る内容について説明します。
 人工股関節の全置換術に用いる人工股関節については、1990年代においてはポリエチレン性の製品が使用されていましたが、ポリエチレンの摩耗による骨溶解などが、長期成績に影響を及ぼすということが問題となっていました。それらの問題点に対しての対策として考えられた製品として、金属同士の摺動部分を持つ人工股関節、いわゆる「Metal-on-Metal人工股関節」が登場し、Metal-on-Metal人工股関節を用いた置換術により、安定した術後の成績が得られる状況となり、2000年代に至ってきました。
 しかし、Metal-on-Metal人工股関節における置換術を受けた患者の中では、比較的術後の短期間のうちに疼痛やインプラント周辺の偽腫瘍と呼ばれる症状が出ることが報告されるようになり、再手術を要する症例の報告が増加するようになりました。このような症状は、人工関節の植込み後に摺動部分において金属摩耗粉が発生して、その摩耗粉に対する生体反応が生じることが原因とされており、疼痛や偽腫瘍と呼ばれる腫瘤性の病変の発生のほか、金属摩耗粉によるコバルトやクロムの金属イオンによる腎毒性やアレルギー反応などを引き起こす可能性もあり、これらの金属摩耗粉による有害事象などを含めて「ARMD」と呼ばれています。このような状況を踏まえ、平成28年3月に一般社団法人日本人工関節学会により、ARMDの発生頻度や、ARMDとして知られる臨床症状、X線やMRI検査による画像所見、臨床検査値上の所見、病理組織学的所見などについて取りまとめられたほかに、Metal-on-Metalの人工関節を用いた置換術後の診療アルゴリズムが提案され、それが「Metal-on-Metal人工股関節全置換術合併症の診療指針」(以下「診療指針」)として作成されました。
 こちらの診療指針の内容について、簡単に説明します。参考資料1の6ページお開きください。アルゴリズムの表が非常に分かりやすいものになりますが、診療のアルゴリズムとしては、X線像でインプラントの緩みや骨溶解がないかどうかを確認します。続いてMRIの検査を行い、MRIの画像上の異常所見があれば再置換を検討し、特段の異常所見がなければ経過観察を考慮することになります。なお、ARMDの発生に伴う再置換術が行われる場合には、Metal-on-poly、つまり金属とポリマーの結合部分を持つもの、ceramic-on-poly、セラミックとポリマーの結合部分を持つもの、そのような人工股関節への再置換術が検討されることになります。
 資料1-1の1ページに戻り、続きを説明させていただきます。こちらの診療指針の取りまとめを受け、厚生労働省では「Metal-on-Metal人工股関節を構成する医療機器に係る「使用上の注意」の改訂について」という添付文書の改訂指示通知を発出し、添付文書の「使用上の注意」欄における「重要な基本的注意」の項に、Metal-on-Metal人工股関節全置換術後の合併症の診療において、当該診療指針などの最新の情報を参考に行うことを明記するように指示しています。こちらの添付文書の改訂指示通知は、参考資料2として添付しているので、適宜御覧ください。
 以上、Metal-on-Metal人工股関節関連製品に関して発生する有害事象に対するMRI検査との関係性を説明しましたが、Metal-on-Metal人工股関節関連製品のような金属が含まれる植込み型医療機器などについて、MRI検査を実施するときの安全性の確保については、これまでに別途検討が進められてきました。これらに関しては、参考資料3、植込み型医療機器などのMR安全性に係る対応についてを御覧ください。
 こちらの通知は、先日8月29日に開催された医療機器・再生医療等製品安全対策部会においても説明したものなので、概略を簡単に説明します。植込み型医療機器などのMRI検査に関する安全性については、平成26年度より「医療機器のMRI装置からの影響の評価と情報提供のあり方に関する研究」において、国内における医療機器のMRIの安全性に係る評価方法や、添付文書におけるMR検査への安全性に関する情報提供の在り方についての提言がなされたところです。この提言を受け、この通知においては、ASTM規格やISO規格などによるMRI検査に関する安全性評価を実施した上で、添付文書において安全性評価に関する情報提供を行うこととされています。しかし、今回の議題となっているMetal-on-Metal人工股関節については、古い製品ということもあり、必要な評価やそれを基にした情報提供が十分になされていない状況と言えます。
 資料1-1に戻り、1ページ目の最後の項です。これまで説明したとおり、Metal-on-Metal人工股関節については、関連する有害事象などの診療のために、必要に応じてMRI検査を行うこととされていますが、診療指針において、必要とされているMRI検査に関する撮像条件などの情報提供がなされていない状況が見られます。一方で、金属を含む植込み型医療機器におけるMRI検査に対する安全性について、MR適合性を評価した上で医療現場に対して情報提供を実施することとされていることから、Metal-on-Metal人工股関節を植込んだ患者に対してMRI検査を実施した際の安全性について、MRI適合性試験成績などの調査を、独立行政法人医薬品医療機器総合機構において実施しました。
 2ページ、総合機構による調査内容について説明します。総合機構では、Metal-on-Metal人工股関節の製造販売業者が保有するMR適合性に関する試験成績などを用いて調査を実施しました。調査は、6社17製品に関するMR適合性に関する試験成績について、試験方法、試験検体の妥当性及び試験結果に関する評価を実施しました。なお、評価の観点としては、非能動医療機器のMR適合性を評価するために用いられている、主な国際規格であるASTM規格で定められている変位力、トルク、発熱及びアーチファクトの4項目を考慮しています。
 総合機構が実施した調査結果については、資料1-2、Metal-on-Metal人工股関節のMRI安全性についてを御覧ください。こちらの2~3ページ目を簡単に説明します。調査の結果として、変位力、トルク、アーチファクトについては、多くの製品では試験が実施されていない、又は試験検体がワーストケースであると判断できないとの結論が出されています。発熱については、3ページ目の下側を御覧いただき、②発熱についての部分ですが、ASTM規格に基づいて試験が実施され、特段の問題が認められない製品もあったが、多くの試験成績では組合せがワーストケースと判断できないなどの理由から、発熱に関する評価が適切に実施されていないと判断されています。
 なお、特定の製品の組み合わせを用いた試験ではありますが、最大で26℃の温度上昇が確認された結果も提出されていました。この点については、5ページ目の中段を御覧ください。総合機構における専門協議では、非臨床試験において気を付けなければならない点として、血液による冷却効果が考慮されていない非臨床試験では、発熱が過大評価される可能性もあり、非臨床試験成績から臨床使用下における製品の発熱の人体への影響を評価する場合は、慎重な評価が必要であるとの結論が出されています。
 一方で4ページ、実際の医療現場における現状について調査された結果が2)と3)となります。不具合などの報告に関する調査としては、Metal-on-Metal人工股関節の関連製品を植え込んだ患者において、MRI検査の実施により熱損傷などの健康被害が発生した事例の報告はなく、研究論文などの文献報告では、ARMDについて国内外によらず、多数の症例報告、文献報告がなされており、多くの文献においてMRI検査が実施されていることが確認できる結果となっています。また、ARMDに関する症例報告など、多くの文献報告から、健康被害の発生は確認されていません。ただ、文献に提示されているMRI画像からMRI検査の実施が可能であったことは明らかですが、どのような撮像条件でMRI検査が実施されたのか、総合機構による調査においては、撮像による発熱やアーチファクトの影響などの記載は確認できていません。
 以上の調査結果から、総合機構は、Metal-on-Metal人工股関節を植え込んだ患者に対するMRIの使用に関する安全性について、考察としてまとめています。考察の内容は5ページにあります。試験検体の選択の妥当性を確認することができない、あるいは未実施の試験があるなどの理由により、MR適合性を評価することは困難であったことから、安全なMRIの撮像が可能であると判断できるだけの根拠はなく、Metal-on-Metal人工股関節を植え込んだ患者に対するMRI検査については未評価であること。また、製品によっては、文献などにおいて悪影響を及ぼさないとされる温度よりも高温となる可能性があるため、Metal-on-Metal人工股関節を植え込んだ患者に対しては、MRI検査以外のCT検査などによる診断を考慮する必要があることをまとめています。
 一方で、総合機構の専門委員からは、先ほど説明した発熱が過大評価されている可能性があることに対する指摘に加え、ARMDの診断に際し、MRI検査が有用であることは既に多くの文献で報告されており、またARMD以外の術後合併症、例えば炎症などですが、そちらの診断においてもMRI検査の有用性は高く、かつMRI検査のリスクはそれほど高くないため、診療指針に記載するほど広く使われてきた経緯があるので、その状態は臨床的にはできるだけ許容したいこと。一方で、MRI検査の必要性については理解するものの、非臨床試験においてリスクが提示されている以上、CT検査において診断が可能な状況であれば、MRI検査をしないという判断をすることも必要と考えられること。非臨床試験において、高温となる製品が確認されていることを踏まえると、日本人工関節学会において作成された診療指針において、MRI検査を実施する際の局所の熱損傷に関する注意喚起が全くなされていないという状況は改善が望まれるということで、一般社団法人日本磁気共鳴医学会など、MRI検査の専門家を加えた多角的な視点からの診療指針の見直しの必要性を検討する必要があること、これらの意見が出されました。
 総合機構の専門委員より得られた意見を踏まえ、日本磁気共鳴医学会、日本医学放射線学会及び日本人工関節学会により、Metal-on-Metalの人工関節を用いたARMDの診断を行う際のMRI検査の撮像条件や留意事項などに関する調査が行われ、これら3学会における協議の結果、現在、診療指針の見直しが行われています。
 資料1-1の3ページ、3ポツの対応方針について説明します。事務局としては、これまで説明した総合機構の調査結果及び考察などを踏まえ、診療指針の見直しの結果が取りまとめられた際に、製造販売業者から、Metal-on-Metal人工股関節が植え込まれた患者のフォローアップなどを実施する医療機関に対し、Metal-on-Metal人工股関節植込み患者に対するARMDの診断を行う際のMRI検査の撮像条件や留意事項など、診療指針の見直しに関する情報提供が徹底されるよう、適切な対応を取るという方針が妥当と考えています。説明は以上です。
○荒井調査会長 ありがとうございました。お聞きのとおり、「地に足がついていない」ような状況で、「ああでもない、こうでもない」という話になりやすいのですが、実際のアクションをどうすべきかという大変難しい課題、これを審議していただくのが、この会の目的です。
 青木先生にお話いただく前に、今の説明の中で何か確認したいことはありますか。よろしいですか。結構資料の説明も、あっち行ったりこっち行ったりといった内容ですから。もし御不明な点があれば、後でまたお聞きいただくことも自由として、それでは、参考人としたてお越しいただいている青木先生に、この件についてお話を頂きたいと思います。
○医薬安全対策課長 すみません。既にお気付きかもしれませんが、今、説明した資料1-1に2か所誤記があるので、簡単な部分ですが審議に入る前に正させていただきます。資料1-1の1ページに○が6つほどありますが、その中ほどに※1、下から2つ目の○の所に※2とありますが、それぞれ通知の引用部分で参考資料1、参考資料2と振っていますが、番号が1個ずれ、最初の※1の引用部分は参考資料2が正しく、下の※2は参考資料3ということで、少し番号がずれています。お気付きかもしれませんが訂正し、事後のホームページの掲載資料に関しては、ここを正したものを公表資料としたいと思います。途中で申し訳ありませんでした。
○荒井調査会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。それでは、青木先生、御意見を頂けますか。
○青木参考人 今、御説明にあったように、専門家として意見をさせていただいて、まとめにあったように、Metal-on-Metalの人工股関節全置換合併症の診療指針の補遺というのを作りました。今までは人工関節学会だけで、MRIの検査に関しては、ただガイドラインの中でMRIをやるということだけが書いてあるようなものに加え、人工股関節学会、それから日本磁気共鳴医学会、それから日本医学放射線学会と、MRIを実際に使う学会が2団体加わって補遺を作りました。骨子としては、先ほどまとめで読んでいただいたように、Metal-on-MetalのMRI検査に関しては、添付文書だけでは撮像条件等の情報が限定的で、情報提供が必要となります。Metal-on-Metalをはじめとする人工股関節一般において、発熱が最大となるのは、大腿骨コンポーネントのステム端部分であることが分かっていますので、それらの発熱の問題に関しては、過去の文献を参考にして、ある程度の想定が可能となります。MR検査に関しても、3.0Tを含め比較的多くの報告があるのですけれども、事故の報告はないということです。つまり、安全性を完全に添付文書などで確認できないものも、やってみたら大丈夫であったということです、世界的に。それを裏付ける研究も、1.5T以下ではあると。
 したがってMetal-on-Metalは、基本的にはMR Conditional、Safeではないですが、Conditionalとみなすことはできると。ただし、あるメーカーでは、発熱が26℃とか非常に高いものもあるため、慎重なMR検査が必要であるということになっています。また、もちろん患部のアーチファクトで見えなければ、やっても意味がないので、撮像のシークエンス、撮像条件などが重要ということをコメントした補遺を出させていただきます。
 MR検査実施例に関して、簡単ですので読み上げますと、例として患者の人工股関節の装用の有無に関してはチェック、人工股関節をしているかどうか、予約時のチェック及び問診で確認する。それから、人工股関節を有する場合は、患者に違和感や発熱などの可能性があることを説明した上で検査を行う。それから、吸引力に関して、可能であれば事前に同種製品をMRIガントリーに近付けて、吸引力が働くことを確認する。実物がない場合には、離れた所から徐々に検査台上の患者の股関節部をガントリーに近付けて、違和感がないことを確認する。患者にはエマージェンシーコールを持たせ、違和感があった場合には、即座に検査対応をする。発熱の危険を減じるために、特に必要がない限り、通常操作モード、全身のSAR、どのぐらい熱が生じるかですが、それが2W/kg以下での撮像を推奨する。これは普通の、よく行われている基準です。それから、体内における電流誘導を抑制するために、左右の足の指、あるいは手と体幹の接触を避けるため、絶縁体挿入などの対策を講じる。検査後に人工股関節等に違和感がないかを確認すると。こういった、細かいけれども一般的な注意事項を書いた補遺を出します。
 さらにそれに加えて、検査現場からの意見として、添付文書にはMR適合性に関する記載がないことが多く、ほとんど参考にならないというような記載も書いた補遺を、今、用意しているところです。添付文書にて撮像条件が提供されたとしても、バラバラな撮像条件が付帯していると臨床現場に混乱を来すので、情報提供をされる撮像条件は、できるだけ簡便なもので最低限のものにしてほしいということを述べた意見を記すつもりですけれども、これに関しては、まとめたのが少し前ですので、現状と添付文書に関する記載が多少異なっているかもしれません。
 以上、現場の意見を踏まえた補遺を、人工股関節学会だけではなく、MR学会と放射線学会を含めて出す予定です。なお、Metal-on-Metalの人工股関節自体は、数が非常に限定されているということですので、これからどんどん増えるほかの埋め込みデバイスの中の割合としては、注意の度合としては、それほど多くはないものだと認識して、それほど厳しいものにはなっていないかもしれません。
○荒井調査会長 青木先生、ありがとうございます。それでは、青木先生の御意見を踏まえて、そして先ほどの説明を踏まえ、委員の方々から御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。
○中川委員 ただいまの青木先生の御説明で、ある程度、学会の指針等が出てきているということで、数も少ないということで、そこまで添付文書もありませんし、各施設にある程度は任されているというような理解でおります。参考資料の中に植込み型医療機器等のMR安全性に関わる対応についてと、参考資料3がございますが、そちらのほうには「MR Safe」「MR Unsafe」というような書き方がされています。これだとMRIを撮って良いもの悪いものが、簡単に言えば2つに分けられてしまっていますけれども、今、我々現場のほうでは、その間に条件付きのMRI撮像可というものがございます。ちょうど今回、青木先生のお話を聞いた中では、ある程度の条件、こういった撮像条件とか、決められた患者への症状の確認や同意等をもって、撮像するという方向性と理解させていただいています。今後また、このMetal-on-Metalの人工股関節に限らず、このような医療機器、体内植込み型の植込み機器が、いろいろとMRI撮像に、現場に入ってくるケースというのが増えてくると考えておりますので、その辺の切り分けというか、MRI Safeなのか、Unsafeなのか、それとも条件付きなのかというところについて、是非御検討いただきたく、発言させていただきました。以上です。
○荒井調査会長 ありがとうございます。これは事務局でしょうか。
○医療機器安全課長 総合機構より補足させていただきます。先生に引用いただいた通知に関しては参考資料3になろうかと思います。参考資料3の2/3ページを御覧いただければと存じます。中川先生が先ほど引用された御説明は、恐らく2番の情報提供の方法についての(2)と(3)に該当するものかと思います。MR SafeとUnsafeのものです。中川先生あるいは青木先生がおっしゃられていた条件付きというのは、ちょっと分かりにくくて申し訳ないのですけれども、(4)対象機器をMR Conditionalとする場合という形で、今、定義をさせていただいております。ですので、Safe、Unsafeに切り分けるというよりは、今、Safe、Unsafe、Conditional、要は条件付きという3区分で情報提供をしていただくように、この通知はなっております。どういった試験でどういった結果によるかによって、SafeなのかUnsafeなのか、あるいはConditionalなのかというのは、また変わってきますけれども、決して2つに分けるということではないということを御説明させていただきます。
 また、Conditionalという、あるいはSafe、Unsafeというところに関しましては、日本の現場の先生方からすると、ちょっと違和感のある表現だという声もお伺いするので、その辺をこれから厚生労働省あるいは業界と調整させていただいて、QA等で補足をさせていただく予定です。
○荒井調査会長 ありがとうございます。中川先生、よろしいですか。
○中川委員 はい、ありがとうございます。
○荒井調査会長 実は、先日の安全部会のほうでも、私が「SafeとかUnsafeとかと分かりにくい表現をしないでほしい」と注文を付けました。青木先生も言われたように、現場が混乱するのが一番困ることです。こういう患者さんが毎日のように来られるようであれば、ある程度は一定の「落とし所」に定まってくるかもしれませんが、頻度も比較的低く、こういういろいろのな文書が出ているとなると、たまに遭遇た時に「一体どれに従ったらいいのか分からない」というのは容易に起こりうる話と思われます。今回の問題に関しては、その辺の現場感覚がとても重要ではないかと思いますので、是非このような点を、まだ最終確定ではなくて詰めの段階ですので、十分に御検討いただければと思います。お願いいたします。そのほか御意見いかがですか。杉山先生も御専門ですが。
○杉山委員 なかなか難しい話ですが、青木先生のお話で、症例が少ないという話があったのが、ちょっと気になりました。この診療指針を見ていただくと分かるとおり、実はMetal-on-Metalというのは、Metal-on-Metalの部分だけではないのです。要するにトラニオン部分の問題ということで、すべての人工関節が関わってくる問題です。指針変更の方向性は否定するつもりはないのですが、少ないからいいというのは、ちょっと問題があるという気がいたします。全人工関節にトラニオンはありますので。Metal-on-Metalほどの問題はないのですが、頻度は少ないですけれども、ARMDに関しては全人工関節が関係してくると思います。ですから、その辺はどのように考えられるのか、恐らく現場がかなり混乱しますので、Metal-on-Metal以外にも広げていただけるほうが有り難いなと思うのですが。
○医療機器安全課長 総合機構より御回答させていただきます。杉山先生がおっしゃるとおり、トラニオンに関して、ARMDに関しては全人工関節、股関節に限らず、どこの関節でも関係するということについては、事務局としても、あるいは厚生労働省としても理解しているところです。先ほどの8月に出させていただいた通知で、まずは情報提供する、まずは撮れるという状況を確保するということが、まずは第一だと認識しております。ですので、できるだけ情報提供を速やかにしていただいて、撮像できるというところについては、今後も企業あるいは業界も含めて、できるだけ早く情報提供するようにということは御相談させていただこうと思っております。
 その上で、今回あくまで問題と先生がおっしゃられたとおり、確かにARMDに関してはMetal-on-Metalに限ったことではないのですけれども、ただ、Metal-on-Metalの指針の中にあるMR検査については、まずは一定の決着を見なければならないというところを考えまして、今回こういった形の評価をさせていただいたところです。ですので、先ほど申し上げたとおり、ほかの人工関節でも同じ有害事象が起こり得るということは理解しておりますけれども、まずは、そこを解決できるような情報提供をさせていただくことが第一であって、それに向けて行政あるいは企業も一体となって情報提供を進めていきたいというのが、まず1つの考え方です。
○青木参考人 私への御質問だったような気がしますので。今回、磁気共鳴医学会と医学放射線学会が同意して作りましたのは、Metal-on-Metalに限定したものです。埋込みデバイスの安全性というのは非常に難しくて、この件は2010年ぐらいから、埋込みペースメーカーの安全性の評価などもさせていただいたときから勉強しているのですけれども、先が尖っていたり形が違っただけで発熱が全然違ってしまうとか、非常に難しいところがあります。今回に関して言うと、どちらかと言うとMetal-on-Metalに限ってでも、こういうものを作っていただけたことを、PMDA、厚労省の方々が非常に評価しています。
 ただ、広げたいのはやまやまなのですが、広げるのはなかなか難しいところがありますので、まずは、このMetal-on-Metalに限ったもので、こういうものを作っていくということが現場を混乱させない方向に寄る一歩なのではないかと考えているところです。形が違っただけで温度の発生などが全然違いますので、なかなか難しいですし、どんどんMRIが新しくなっておりますので、一般的にすることになかなか難しいところがあるのは間違いありません。ですので、まず、このMetal-on-Metalで第一歩を、ペースメーカーやMetal-on-Metalできちんと指針を作っていただけるということが重要なのではないかと考えております。
○杉山委員 現場の感覚で質問いたしますと、Metal-on-Metal人工関節に関しては、MRIをやらないほうがいいということになるのでしょうか。
○青木参考人 不必要なものは危険を冒してやる必要はないと思います。つまりCTで済むのだったらCTでもいいかなと思いました。特にCTはメタルのアーチファクト除去の技術が急に進んでおりますので、人工関節学会の先生方に、それまで含めた研究をしていただいて、今はMRIのほうがいいということになっていますが、CTでも分かるということを研究していただければ、MRIの混乱を避けて、CTでもいいということにもなるのではないかとは思います。
 ただ、オーダーされたものを、なかなか現場で、その場でやらないということは難しいですので、患者さんがやるつもりでいらしているものは、できるだけ対応するということになっています。ですので、添付文書を見て、ある程度目安が付くと、非常に役に立つ対応が可能になってきていると思います。
○杉山委員 Metal-on-MetalのARMDの診断のためにMRIを使うな、という方向性ではないですよね。
○青木参考人 MRIを使うなという。ただ人工股関節学会から最初に出ている指針は、人工股関節学会が単独で出したもので、その指針のとおりにやると、全てMRIを盲目的に行うようなガイドラインになっておりましたので、その中にやはり種類によっては発熱が非常に高いものがあるので、注意して行うべきだというのは間違いないと思います。
○杉山委員 実際に人工股関節のARMDの診断には、もうほとんどMRIは使っていないと思います。ほとんど造影CTに移行しているのですが、問題はMetal-on-Metalが入っている人が、頭など他の部位を撮ったりするので、現場がものすごく困っているわけです。特に急患の対応などで、どうしようかという話がありますので、今回の指針の方向性は、どちらに行くのかなというのがちょっと分かりにくいと思います。注意してやれということなのでしょうか。
○青木参考人 ARMDの評価に関しては注意してと。ほかの場所を、ARMDの評価ではないところで、Metal-on-Metalを入れた方の場合ですね。
○杉山委員 そういう問合せがすごく多いのです。
○青木参考人 それはペースメーカーを入れている方とかと同じことです。ただ、ガイドラインに入ってしまっているとマストになってしまうので、それを改定というのが今回の限定的なことです。先生のおっしゃっていることは、一般的なデバイスをやるときにどうするかというお話になってしまって、先ほどお話したようなことが繰り返されてしまいます。結局MRIを専門とする者として非常に言いにくいのですが、MRIは、どういう状況で危険かどうかというのがなかなか断定できない。場所によっても、コイルがどこにあって、頭を撮る場合は一番発熱が多いのは胸の辺りとか、多分、足は大丈夫だと思うのですが、あとどのぐらい奥に入れて撮るかとか、それによって発熱が全然変わってしまうので、なかなか一般的なものを作るのは難しいということです。
○杉山委員 分かりました。
○荒井調査会長 ありがとうございます。先ほど青木先生がお話されましたように、形状によっても条件が変わってくるということですし、CTもそうですが、MRIも進歩が激しいので、どの段階の機種を想定して話をまとめれば良いのかが大変難しいですね。しかし、今日の会議では、責任の範疇を狭めるというわけではありませんが、青木先生のお話ありましたように、Metal-on-Metalに限定して、要するに今まではなかったところに関して、ARMDとか、流すべき注意事項を統一しておこうというスタンスで審議を進めたいと思います。よろしいですか。今、御発言いただいた委員のほかにも、何か御意見ありましたらどうぞ。
○蓜島委員 今の杉山先生の御質問とも関連するところなのですけれども、青木先生に診療指針の改定方向の対応策を幾つか御紹介いただきましたが、恐らくその前段に何か枕言葉で、このMRI検査をやる方針みたいなことが書かれているとは思うのです。その中で、例えば現状だとX線から入って、PMDAさんの方針としては、CT検査も選択肢の1つとすべきというお話があるところなので、いきなりMRではなくて、まずはX線あるいはCTなどで検査をして、それでも必要な画像が得られない場合に限ってMRIをやるときに、以下のことに注意して撮影するようにと、そういう流れにするのがいいのかなと思います。
 あと、患者さんの視点で対応策について幾つか質問したいのですけれども、患者さんに御説明するというところですが、患者視点で見ると、「何となく熱くなるかもね」と言われると、プラセボ効果が出るかなと思っています。多分、検査中に「先生、ちょっと足が熱いんですけど」と言われると、検査を中断することになるのかなという予測はするのですが、そういった不確かな情報ではなくて、できればサーモグラフィーみたいな客観的なデータをもって、本当に発熱しているのかどうかというのを調べられるといいのかなと思いながら聞いていました。
 もう1つが、実製品をガントリーに近付けてどうのこうのというお話がありましたが、今、実際に実製品で手に入るのでしょうか。それと関連して、NMRの場合、金属を近付ける、あるいはくっ付けるというのは、これは禁忌なのですよね。例えばNMRに金属がくっ付くと、マグネットがクエンチして使えなくなってしまうところがありますし、実製品がなければ、患者さんをゆっくりガントリーに近付けるようなお話があったと思いますけれども、それは果たしていいのと、ちょっと個人的には思ったりしています。装置にも患者さんにとっても余り良くないようなことをやるよりも、何かほかに良い対策があれば、そちらを考えたほうがいいのかなと思いながらお伺いしていました。
○青木参考人 まず、私も自分で読んでいて、実際のものはなかなか手に入らないだろうとは思いましたけれども、理想的にはあったほうがいいと。磁場はセルフシールドなので、急に立ち上がるとはいえ、強さは少しはグラディエントがありますので、遠くの所で力があるかどうかを見ることは不可能ではないとは思います。なかなか今は立ち上がりが急なので、相当気を付けてやらないと、吸引されてしまうと思いますが、実際にはメタルを注意して近付けることは不可能ではないし、それ自体は多少の引っ張られることを注意して行えば、それほど機械に悪いことはないと思います。
○蓜島委員 分析機器のNMRの場合ですが、NMRに関しては金属は絶対近付けてくださるなというお達しをメーカーさんから頂いていて、もちろん自己シールドもされていて、5ガウスラインも結構近い所にあるのですが、それでも例えば「アナログ時計なども外して、マグネットのほうに近付いてください」という注意喚起はされています。このMRIのガントリーに関しては、メーカーさんのほうは、そういった注意喚起はしていないのですか。MRを受けるとき、患者さんは金属製品を全部外しますよね。
○青木参考人 はい、外します。ただ、金属製品が体に埋め込まれている人全員にMRIを行わないというのは、不可能ですので。
○蓜島委員 もちろん。
○青木参考人 実際にはやりますし、それが安全であることが分かっていればいいですけれども、医療現場では金属を近付けないということは、それほどマストにはなっていないと思います。
○蓜島委員 そうなのですか。
○青木参考人 私は現場にいますので。鉄は駄目ですが、まず金属と鉄とは違いますので。
○木下委員 特にどうということはないのですけれども。通知はいいのですが、通知徹底というか、徹底するところまでがどれほどの形でできるのか。今のMRIの使用の仕方だと、金属の話もそうだと思うのですが。このことも取りあえず通知しておけば、ちゃんと通知しているではないですかということになるのでしょうが。それがどれほど大切なことなのか、大切な内容のことであれば通知徹底が極めて大切です。先ほど荒井先生が言われた、Safe、Unsafe、Conditionalということでもですが。非常にしっかりとした病院はいいと思うのですが、やはり周辺病院に行くと、幾ら通知をしていても、実際には伝わっていないというような所はたくさんあるかと思います。ですので、厚生労働省にも、そこのところの周知徹底を、是非お願いしたいと思います。
○荒井調査会長 今の御指摘は、本当に今日の議題のポイントのところです。どこかで仮に何か起こったときに、「いやいや、通知を出しているじゃない」という、言葉は悪いですが、責任逃れのために何か出しましょうという話ではなくて、現場での、先ほどの青木先生のお話にもありましたように、患者さんが金属を何か付けている、でもMRを撮らなければいけないという状況は実際に起こりうる訳で、その時に、「せめて、こういう注意はしておきましょう」とうい情報を提供しておきましょうということです。安全性に関しても、きちんとしたエビデンスがないものが多分9割ぐらいで、でも「日常やっているし、今までは大丈夫だったよね」というのが、正直な現場の感覚ではないかと思います。現場を更に混乱におとしめることだけは避けたいと思いますので、そういう観点で、ある程度の指針というか、「まとめられるところをまとめる」というのが、今日の議題の一番のポイントかと思います。きちんとしたデータだけに基づいて、ガチガチなものを作れば、それでいいという話ではありませんから、先ほど私が、「地に足が付いていない」というような表現をしましたが、正にそういう状況の中で、「どこを落としどころにするか」というのが大切なポイントだと思います。そういった現場を混乱させない、そしてMetal-on-Metalに関しては、少しでも一定の配慮を徹底してもらうための指針、どういうアクションをこちらが起こせばいいかという点で、御議論いただければと思います。
○杉山委員 非常に難しいというのは分かりましたし、なかなかはっきりと言いづらいのも理解しました。今後の取り組みは、人工関節学会の指針を変えるだけなのでしょうか。それとも何か通達を出すのでしょうか。
○医薬安全対策課 では、厚労省側から発言させていただきます。イメージといたしましては、今回の御議論の上で、関連3学会様のほうで指針の追補を取りまとめいただいた上で、その追補が出たということを、製造販売業者、人工関節を製造販売する企業のほうから医療現場のほうにお知らせしてくださいという、そういった通知を発出する予定で考えております。そういう点では、先ほど木下先生がおっしゃられていたように、医療現場のほうにしっかりとお知らせをするというところについては、カバーできるものと考えております。かつ荒井先生もおっしゃられていましたように、医療現場において、やはり知っていただくということが、非常に大事な一歩かと考えておりますので、このようにイメージしております。
○杉山委員 そうしますと、先ほど青木先生がおっしゃったように、形がちょっと違うだけで、体への影響ははっきりとは分からないというお話ですね。しかし、我々現場としては、Metal-on-Metalの人工関節は最も金属量が多いので、そこがワーストだというイメージを持ってしまっているのです。ですから、もし通達を作るときには、その辺のところを明確とまでは言わないけれども、うまく説明されないと、ワーストのことを言ってきているのだと勘違いする可能性があります。その点を是非、御留意いただきたいと思います。
○医薬安全対策課 分かりました。その辺は配慮したいと思います。
○荒井調査会長 そのほかの委員の方々、よろしいでしょうか。青木先生、今日は専門家でもあるし現場のこともよく御存じですので、いろいろ御発言いただきましたが、何かご追加がありますでしょうか。学会同士でこういうものを決めるときというのは、実際に結構大変ですよね、その辺の御苦労もあるかと思うのですが、いかがでしょうか。
○青木参考人 先ほど、荒井先生におっしゃっていただけたとおり、現場でできるだけ混乱が起きないようにやっていただければと思います。ただ、ペースメーカーのときからデバイスに関わってくると、まず、作るメーカーがMRIのことなど全く関係なく作っていたりする時代もあったと思いますので、そこをきちんと意識して添付文書に書いていただくためには、意識して作らないといけませんので。MRIが普及してきましたので、年間1,500万件ぐらい行われている非常にポピュラーな検査になってきましたので、作るときから意識していただいて、オーダーするときも、患者さんにある程度、このデバイスを入れたらMRIを撮りにくくなるということは、説明しておいていただければいいかなというのが、MRIをやる者としての希望でございます。デバイスを作る会社から、デバイスが入っている患者さんまで、MRIをやるときには、ちょっと気にしていただければ、スムーズに検査ができるのではないかと考えています。
○荒井調査会長 無理に御発言をお願いしてましたが、ありがとうございます。そのほかの委員の方々、御意見はよろしいですか。あとは逆に行政側で、この点を確認しておきたいということはありませんか。そうしましたら、今日の審議の中で、まとめる段階での議決という形を取らせていただきます。ただし、実は、こういうことを決めてしまいましょうというのではなく、さまざまな御意見を頂きましたが、これらを参考にして、今後次の段階に進む場合にも、例えば「関連学会で見直しをやっていただきましょう」といった具合に、これに続く、あるいは付随する問題を協議していく上での、全体としての方向性を明確にする意味での対応案ということで、御理解いただければと思います。少しゆっくり読ませていただきます。
 Metal-on-Metal人工股関節の植込み患者に対するMRIの検査につきまして、MRI検査時の留意点として、まず医療現場への情報提供を行う方針とする。その方針の中には、関連学会による診療指針の見直しが行われた場合には、製造販売業者を通じて、Metal-on-Metal人工股関節が植え込まれた患者さんのフォローアップを実際に行なっている医療機関に対し、MRI検査の撮像条件や留意事項等の診療指針が見直されたことを、あるいは新たに追加された条件等についての情報を徹底させるように、適切な対応を取る。対応というのは、恐らく通知になると思いますが、そういう対応を行うというところまでを、特に反対の御意見がなければ、この会議としては、「そういう方向で動いてください」ということで、まとめたいと思います。いかがでしょうか。
 ただ、全体の動きに関しては、先ほど杉山先生から御指摘いただいたように、現場がそれを受け取ったときに、間違った解釈をしてしまうといけないですから、そこのところは相当この後詰めていただかないといけないと思います。先ほどの診療指針につきましては、青木先生から概要を御説明いただきましたが、多分、文言につきましては更に詰めなければならない思われますので、作業はいっぱい残っておりますが、特に反対のご意見がなければ、この調査会としては、今、お話させていただいたような方向で、進めていただくということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、委員の方々から御異議がなかったとさせていただきたいと思います。あと、今後の予定につきましては、事務局のほうから何かありますか。
○医薬安全対策課 御議論いただきまして、誠にありがとうございました。荒井先生からお取りまとめいただいた内容と少し重複になってしまいますけれども、ただいまの議論を踏まえまして、関連する学会様のほうで診療指針の見直し、つまり追補の部分の取りまとめを今後行っていただきまして、取りまとめが行われたタイミングに合わせまして、製造販売業者に対して、行政側から通達を出していくイメージで、追補が出たという情報提供が徹底されるように指示していきたいところです。先ほど御意見を頂きましたように、やはり医療現場のほうで混乱が生じないようにという点と、医療現場にとっての配慮がなされるような形ということで、そこは今後とも関連3学会様等を含めて、検討させていただければと思います。そのような形で今後の対応とさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
○荒井調査会長 よろしいでしょうか。青木先生には今日お越しいただきましたが、この後も御援助いただかないといけないと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは以上で、本日予定していた議題はこの1つだけです。難しい内容でしたが、委員の先生方、あるいは青木先生にはいろいろと御意見を頂き、本当にありがとうございました。本日予定していました議事はこれで終了となりますが、そのほか何かございますか。よろしいですか。
○医薬安全対策課 それでは、次回の調査会の日程という話になるのですが、別途、個別の審議などの必要性が生じた場合には、次回という形で調査会を実施させていただく形になりますので、また開催されるということが決まりましたら、日程の調整などをさせていただければと思います。事務局より改めて先生方の御予定などを伺って、調整させていただきたいと思いますので、その際にはどうぞよろしくお願いいたします。以上です。
○荒井調査会長 それでは、これをもちまして、令和元年度第1回医療機器・再生医療等製品安全対策部会安全対策調査会を閉会させていただきます。どうもありがとうございました。