第8回働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会議事録

日時:令和元年9月20日(金)10:00~12:00
場所:全国都市会館
議題
(1)議論のとりまとめ
(2)その他
議事
○遠藤座長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第8回「働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会」を開催したいと思います。
皆様におかれましては、お忙しい中、御参集をいただきまして、まことにありがとうございます。
本日の懇談会ですが、出欠状況は以下のとおりでございます。海老原構成員、大澤構成員、岡崎構成員、平田構成員、村上構成員より御欠席との御連絡をいただいております。また、土井構成員は所用のため、おくれて御出席されるとのことです。
では、本日の資料について事務局から説明をお願いします。
○古川年金局年金課企画官 おはようございます。
早速ですけれども、本日の資料について確認させていただきたいと思います。
議事次第、座席表、構成員の名簿のほか、資料1としまして「「働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会」における議論のとりまとめ(案)」、参考資料としまして、これまでの懇談会でお配りさせていただいた資料をまとめたものを配付させていただいております。不備等ございましたら、事務局まで御連絡いただければと思います。
事務局からの御案内は以上でございます。
○遠藤座長 よろしいですか。
それでは、これから議事に入らせていただきたいと思います。カメラの頭撮りはここまでとさせていただきたいと思います。
まず、本日の議事は、議事(1)「議論のとりまとめ」ということでございます。事務局から資料が出されておりますので、事務局から説明をお願いいたします。
○古川年金局年金課企画官 資料1をご覧ください。前回の懇談会で、これまでの議論の整理と題した資料に対して、皆様から活発な御意見をいただきました。こうした御議論を踏まえて、座長より、本懇談会の取りまとめ案を事務局において作成せよといった御指示をいただきましたので、作成させていただきました。こちらの資料について御説明させていただきたいと思います。
資料1についてですが、まず、2ページ目の「はじめに」から御説明いたします。短時間労働者に対する健康保険及び厚生年金保険の適用範囲については、法律の規定によって、2019年、今年の9月末までに検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずることとされております。このため、「人生100年時代」を迎え、マルチステージの人生を送るようになる中で、働き方が多様化する動きも踏まえて、。社会保険審議会医療保険部会や年金部会における検討に資するよう、保険局長及び年金局長の招集によって、関連分野の有識者や労働者・使用者団体からなる懇談会を開催することとなりました。
懇談会では大きく2つのテーマについて御議論をいただきました。1つ目が短時間労働者に対する社会保険の適用範囲のあり方、2つ目が働き方の多様化等を踏まえた社会保険の適用におけるその他の課題についてであり、昨年の12月から本日まで8回にわたって御議論いただいてきているところでございます。
このうち2回から4回の懇談会では、適用範囲の見直しの影響が大きいと考えられます業種の使用者団体のほか、被用者保険が非適用となっております業種の団体、働き方の多様化に関する団体、労働者団体など、計13団体に対してヒアリングを実施させていただきました。5回目以降の懇談会では、既に適用拡大を実施した企業に対するアンケート調査の結果や、被用者保険の適用拡大に関する労働政策研究・研修機構による調査の結果なども踏まえて、議論・検討を行ってきました。こうしたものを本稿は取りまとめたものでございます。
次に、4ページ目でございます。「基本的な考え方」についてでございますが、健康保険及び厚生年金保険は、被用者を対象とした社会保険制度として、労働者とその家族の生活の安定と福祉の向上を図る上で大きな役割を果たしてきましたが、我が国の経済社会において多様な働き方が進展してきている中で、それらを十分に対象とできているとは言いがたい状況です。
従来、被用者保険は男性がフルタイムで働き、女性は専業主婦という夫婦世帯を対象の典型としてきましたけれども、近年、労働参加が比較的進んでいなかった女性や高齢者が働き手として定着しているほか、短時間就労の担い手には、いわゆる就職氷河期世代などのやむを得ずに非正規雇用の枠組みで就労する方や、ひとり親で育児をしながら就労する方、あるいは健康上の理由でフルタイム就労が困難な方など、多様な方が含まれているといったことを踏まえると、短時間労働者を被保険者として被用者保険の適用対象としていくことが、意欲ある働き手がさらに働きやすい環境を整えつつ、現在及び将来の生活の安定を図る上で重要な課題です。この点、本年、取りまとめられた骨太の方針においても、被用者保険の適用拡大を進めていくことや、勤労者が広く被用者保険でカバーされる勤労者皆社会保険制度の実現を目指して検討を行うことなどが記載されているところでございます。
また、被用者保険が適用される事業所の範囲からは一部の個人の事業所が除かれておりますため、フルタイムで就労する場合においても被用者保険に加入できないといった状況がございます。さらに、働き方が多様化し、副業・兼業または雇用類似といった働き方などのより柔軟な働き方が普及しつつあります。こうした柔軟な働き方にどう対応していくのかといったことが、被用者保険制度における新たな課題です。
年金制度はこれまでも幾多の改革を実施してきておりますけれども、新たな令和の時代においては、多様な働き方をする個人に着目した一層の制度の改善が課題になってくるということでございます。
こうした基本的な考え方に基づきまして、今後の検討の方向性に関する基本的な考え方といたしまして、多様な働き方に対応した社会保険制度の見直しの方向性としては、フルタイム労働者としての終身雇用といった特定の働き方を過度に前提としない制度へ転換していくべきです。加えて、個人の働く意欲を阻害せず、むしろさらなる活躍を後押しするような社会保険制度としていくべきであり、特に社会保険制度の適用基準を理由として就業調整が行われるような構造は早急に解消していかなければなりません。
また、さらに、働き手の多様性を踏まえた制度の見直しを検討していく上では、社会的に厳しい状況に置かれている人々への対応という視点も重要です。こうした考え方に基づきまして、就職活動の時期に求人難に置かれたいわゆる就職氷河期世代を含めて、現在の被用者保険の適用対象とされていない方々が、将来、高齢期において生活困窮に陥ることをできるだけ防止するという観点も重要であるということです。
それに加えて、被用者保険制度のあり方を考える上では、労働者と並ぶ制度の支え手である企業の視点も非常に重要になってきます。従業員を新たに被用者保険に適用する際に生じる企業の保険料負担は決して軽いものではありません。被用者保険の適用範囲を広げていく上では、企業の経営に与える影響についても非常に配慮していかなければいけないということでございます。
続きまして、7ページ目でございますが、「短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大」ということで、まずはこれまでの適用拡大の結果及び影響についての分析でございます。2016年10月から、従業員501人以上の企業で、週労働時間20時間以上、月収8.8万円以上、雇用期間1年以上要見込み、学生でないことといった4要件を満たす短時間労働者に適用が拡大されております。
さらに、2017年4月からは、従業員500人以下の民間企業において、労使合意があれば企業単位で適用拡大が実施可能になりました。さらに加えまして、国・地方公共団体については企業規模要件が撤廃され、規模にかかわらず適用されることになっております。
続きまして、9ページ目でございますが、まず、2016年10月からの従業員501人以上の民間企業等を対象とした義務的な適用拡大におきましては、これまでに約3万事業所において勤務する約43万人が短時間被保険者として新たに被用者保険に加入するといった状況になっております。
また、義務的な適用拡大の対象者は制度施行後一貫して増加傾向で推移しており、人手不足等を背景にしまして、短時間労働者の労働時間の延長や時給単価の上昇等によって、新たに短時間被保険者としての要件を満たす方々が出てきているといった状況でございます。
また、従業員500人以下の民間企業を対象としました任意の適用拡大に関しましては、2017年4月の制度施行以降、対象事業所数・短時間被保険者数とも増加で推移しておりまして、現在、約5,000の事業所に勤務する約6,000人の方々が被用者保険に加入しているといった状況でございます。
続きまして、11ページ目でございますけれども、こうした進展が、雇用者全体の規模で見ると、雇用者全体で現在、約5700万人いらっしゃるという中で、改正前の基準ですでに約4400万人が適用対象となっており、また、先ほど御説明したとおりでございますけれども、先般の適用拡大によって新たに約40万人が対象になりました。今後、さらなる適用拡大を進めていく上で、こうした労働市場全体の適用状況を念頭に置いて検討することが有用です。
次に、これまでの適用拡大を通じて被保険者となった短時間被保険者の特徴の分析でございますが、まず、性・年齢階級別に見ますと、40~50代の女性に加えまして、60歳以上の高齢者が非常に多いといった状況でございます。また、短時間被保険者の適用拡大前の公的年金加入状況を見ますと、国民年金第1号被保険者であった方が約4割と最も多く、そのほか国民年金第3号被保険者、適用拡大以前から厚生年金の被保険者であった方、被保険者となっていなかった方が、いずれも2割程度となっており、多様な属性を持った方で構成されていることが確認できます。
このうち、国民年金第1号被保険者であった方の国民年金保険料の納付状況について見ますと、約半数は全額納付となっていた一方で、残りの半数は免除または未納の状態でありました。
第1号被保険者の保険料納付状況を就業状況別に見ますと、自営業主や家族従業者に比べて、雇用者は完納者の割合が比較的少なくなっているといった状況がわかります。こうしたことから、適用拡大はこれまでも国民年金第1号被保険者で低年金リスクを抱えていた方の将来の年金権の確保につながったといったことも指摘できます。
続きまして、18ページ目でございますけれども、これまでに適用拡大の対象となった短時間被保険者の業種別の分類を見ますと、「卸売業・小売業」「医療・福祉」「運輸業、郵便業」といった一部の業種に偏在していることがわかります。被用者保険の適用拡大に伴いまして社会保険料の事業主負担総額は約850億円と見込まれておりますけれども、こうした負担も同様に一部の業種に偏在している可能性を念頭に置かなければなりません。また、事業主におきましては、こうした負担は賃金引き上げの現在の趨勢に照らしますと、さらなる適用拡大が行われた場合には、一層増加することが懸念されるということでございます。
続きまして、20ページ目でございます。JILPTにおける調査結果について紹介させていただきます。JILPTの調査結果に基づきまして、これまでの適用拡大に伴って、事業所における短時間労働者の雇用管理のあり方、ないしは短時間労働者自身の働き方にどのような変化が見られたのかについて検証させていただいておりますが、まず、義務的な適用拡大の対象事業所を見ますと、適用拡大対応のために雇用管理上の見直しを行った事業所が調査対象の約33%であり、そのうち所定労働時間の延長等の適用拡大策と、所定労働時間の短縮等の適用回避策を実施した事業所がそれぞれ半数近くとなっております。見直しの理由としましては、短時間労働者の希望を踏まえたとの回答が、適用拡大策、適用回避策双方ともに多くを占めております。
続きまして、22ページ目でございますが、義務的な適用拡大対象以外の事業所について見ますと、労使合意に基づく任意な適用拡大制度の存在は多くの事業所に認知されている状況であるものの、これを利用する意向を有している事業所はごく一部にとどまっています。こうした制度を「既に申請した」または「申請する見通し」の事業所にその理由を尋ねたところ、「短時間労働者の処遇を改善し、人材の確保・定着を図りたいから」といった理由が最多で7割を超えておりましたが、一方で、当該制度を「申請するつもりはない」あるいは「未定・分からない」と回答した事業所に対してその理由を尋ねますと、「短時間労働者自身が希望していないから」が最も多くなっております。総じて、制度の利用・不利用のいずれにしましても、人材確保の必要性に加えて、短時間労働者の意向というものが事業所の判断に相応の影響を与えているといったことがわかっております。
続きまして、24ページ目でございますが、今後、さらなる適用拡大が行われた場合の対応についても調査しておりますが、「適用拡大の内容や時期等にもよるが、基本的には短時間労働者自身の希望に基づき、出来るだけ加入してもらう」との回答が最多で4割を超えております。この前向きな回答の理由としましては、「人材の定着を図りたいから」、「人手不足だから」といった回答が多くなっており、人手不足が深刻化する中で、短時間労働者を含めて雇用者全体の処遇改善が必要という認識が窺えます。
続きまして、26ページ目でございますが、適用拡大の短時間労働者の働き方の影響についてでございます。全体的には、適用拡大に際して働き方を変えなかった労働者が8割を超えているといった結果になっております。その上で、適用拡大に際して働き方を変えた方のうちでは、被用者保険適用回避のために労働時間を短縮する動きもあるものの、半数強は、適用拡大を受け入れた上で、手取り収入が減少しないように労働時間を延長したという結果となっております。こうした結果からは、全体的には適用拡大に際して働き方を変えなかった労働者が8割超でありましたが、適用拡大に際して働き方を変えた短時間労働者についても、施行前に懸念されていた適用回避のための労働時間短縮という方向よりは、労働時間を延ばしつつ能力発揮の機会を広げる方向への作用が比較的多く見られたのではないかということが言えます。
また、適用拡大前の被保険者区分で見ますと、被用者保険適用回避のために労働時間を短縮する動きというものは、元国民年金第1号被保険者より元国民年金第3号被保険者のほうが多かったという結果でございまして、その中で、元国民年金第3号被保険者の中で見ると、適用を受け入れて、労働時間を延長した割合が相対的に多かったといった点も指摘できます。
続きまして、28ページ目でございますが、被用者保険の適用を受ける方向で働き方を変更した理由につきまして、適用拡大前の被保険者区分別に見ますと、元国民年金第1号被保険者では「保険料の負担が軽くなるから」といった理由が最多でございまして、また、元国民年金第3号被保険者では「もっと働いて収入を増やしたい(維持したい)から」といった理由が最多でありました。また、「将来の年金額を増やしたいから」、「会社側から言われたから」といった理由は共通して多かったという結果となっております。
一方、被用者保険の適用を回避する方向で働き方を変更した元国民年金第3号被保険者の方にその理由を尋ねたところ、「配偶者控除を受けられなくから」、「健康保険の扶養から外れるから」など、税・社会保険制度上の理由を挙げる方がそれぞれ6割を超えているといった状況であり、被用者保険適用のメリットをしっかり認識して適用対象になるような働き方を選ぶ短時間労働者が、元第1号被保険者、元第3号被保険者を問わず4割以上の割合で見られることが確認できました。一方で、税・社会保険制度が依然として就業調整の要因として挙げられるということも確認されております。
続きまして、30ページ目でございますが、国民年金第3号被保険者の対応を見ますと、40代では被用者保険に加入した方が多いのに対して、50代では被用者保険に加入することを回避した方が多かったという結果になっております。また、被用者保険に加入できる条件が整備された求人について、魅力的だと思う方ほど被用者保険に加入する傾向にありました。こうしたことから、第3号被保険者の適用拡大への対応は、年齢や社会保険加入の捉え方、属する世帯の年収水準等々にもよって差があるといったことが窺えます。
続きまして、32ページ目でございますが、家計への影響について調べておりますが、家計への影響につきましては、家計への影響が大きいと考える短時間労働者ほど、今般の適用拡大に際しても被用者保険が適用されるように働き方を変更し、家計に余裕がある方ほど適用を回避したといった傾向も見られております。
続きまして、先ほども御説明いたしましが、本懇談会では、第2回から第4回まで、計13団体に対してヒアリングを実施しておりますが、その結果について、御説明させていただきます。これまでの適用拡大の影響に関連して、多くの使用者団体から近年のパート労働市場における需給逼迫により、事業運営に必要な労働力の確保が極めて重要な経営課題となっているとの指摘をいただいております。
また、短時間労働者のうち、主婦層やシニア層について手取り収入の維持を重視し、保険料負担が発生しない範囲で就労する傾向が根強いといった指摘をいただいております。さらに、こうした主婦層等の就業行動について、企業の事業運営の制約要因となるとともに、正社員その他の従業員の負担になっているといった指摘もいただいております。また、こうした行動を誘発している制度的要因が主婦層等と同種の職につく傾向にあるひとり親など、他の短時間労働者の就労条件にマイナスに作用しているといった指摘もいただきました。
2016年10月の適用拡大の影響を受けまして、多くの企業は労働力の確保を優先して、従業員の意向を重視し、できる限り労働時間を延長・維持してもらう方向で対応したという説明もいただいております。その具体的な影響として、短時間労働者の働き方に、被用者保険の適用を受容した上で手取り収入の減少を補うために労働時間を延長する場合と、保険料負担を回避するために労働時間を短縮する場合という両方向の動きが発生したといった認識もいただいております。
また、使用者団体からは、労働時間を短縮する動きが目立ち、労働力不足に拍車がかかったといった御意見をいただいておりますし、また、労働時間を短縮する動きが限定的であったといったような御意見、こういった双方の御意見をいただきました。さらに、短時間労働者を多く雇用する労働集約的な業界からは、収益率が低い中、適用拡大に伴う社会保険料負担の増加は企業経営に対して無視できない影響を与えたといった御意見もいただいていております。
続きまして、35ページ目でございますが、当方において実施させていただいたアンケート結果について紹介させていただきます。当局におきまして、2016年10月からの適用拡大の対象となった従業員501人の企業における適用拡大の影響、また、労使合意に基づく適用拡大を導入した従業員500人以下の企業の導入目的・経緯につきまして、今年の2月から3月にかけてアンケート調査を行いました。
2016年の適用拡大の対象となった企業におきましては、年金額の簡易シミュレーターの活用、制度変更の周知徹底、個々の短時間労働者との面談等を通じまして、労働者数・労働時間ともに確保に成功し、影響は軽微であったといった御意見をいただいております。
他方、労働時間を短縮する短時間労働者がおり、ほかの社員に負担がかかったといった御意見もいただいており、人手不足に苦しんだ企業もいらっしゃったということがわかっております。さらに、適用拡大によりまして、社会保険料負担の増加が企業経営に与える影響が大きかったといった御意見もいただいております。
なお、現行の短時間労働者の適用要件についての問題に関する指摘もいただいており、例えば、従業員数501人以上という基準については、同じ働き方をしても他社では被用者保険への加入が不要であるという理由で転職した労働者の方がいたという御意見や、グループ企業内で適用状況の違いによって人事異動が柔軟にできないといった御意見などもいただいております。さらに、月額賃金要件の8.8万円の要件につきましては、短時間労働者の就業調整を招く、該当しているかどうかを確認するための事務負担が大きい、同じ労働時間であっても時給単価の違いによって適用・不適用が分かれて、賃金要件の設定に当たって地域差を勘案すべきではないか、など様々な御意見をいただいております。
続きまして、36ページ目でございますけれども、労使合意に基づき適用拡大を実施した企業について、その目的や経緯等について確認したところ、人員確保及び従業員の保障を厚くする観点から導入したという意見を多くいただいております。その結果、就労調整も起きなくなり、被用者保険に加入できるという理由で入社を決意した従業員もいるなど、適用拡大の正の影響を実感できたとの御意見もいただいております。
他方で、短時間労働者側の受けとめ方は様々であり、適用拡大を理由に退職する方がいらっしゃったという御意見もありました。さらに、これに対して、事業者が従業員にメリットを説明することで納得して被用者保険に加入していただいたという御意見もありました。
続きまして、37ページ目でございますが、ここまで適用拡大の影響につきまして、企業側、労働者側の双方の視点から分析、整理をしてきましたが、ここからは、こうした経緯も踏まえた「今後の検討の方向性」について御説明いたします。
まず、基本的な哲学を整理したいと思いますが、被用者保険の適用拡大につきましては、2015年1月の社会保障審議会年金部会の「議論の整理」の中でも、「全体的な方向性としては、日本の公的年金の現状や働き方の多様性を踏まえたときに、労働参加の促進に向けた社会全体の取組を進めていく中で、更に適用拡大を進めていく必要があることについての異論はなかった」とありますように、これまでもその意義や必要性について議論が行われてきたところでございます。
被用者保険の適用拡大の意義は、第一に、被用者にふさわしい保障の実現に資するということでありますが、適用拡大により、被用者でありながら国民年金・国民健康保険加入となっている方に対して、被用者による支え合いの仕組みである厚生年金による保障や健康保険による保障が確保されることによりまして、こうした保障を受ける前提となる保険料についても、被用者保険では労使折半の負担となるといった意義があります。
さらに、第二としまして、働き方や雇用の選択を歪めない制度の構築に資することでありますが、適用拡大に伴いまして、労働者の働き方や企業による雇い方の選択において、社会保険制度における取り扱いによって選択を歪められたり、不公平を生じさせたりといったことがないようにすることが必要です。これまで、必ずしも労働者自身や企業の自由な選択によらず、各種制度的要因によって就業調整が生じている可能性が指摘されてきておりますけれども、適用拡大などを通じて働き方に中立的な制度を実現することによって働きたい方の能力発揮の機会や企業運営に必要な労働力が確保されやすくなるといったことが期待できるということでございます。
第三の意義や必要性でございますけれども、社会保障の機能強化に資するということでございます。適用拡大によりまして厚生年金の適用対象となった方は、定額の基礎年金に加えまして、報酬比例の厚い給付が受けられるようになります。加えまして、適用拡大はどのような働き方であったとしても、共通に保障される給付である基礎年金の水準の確保につながりますので、これがまさに年金制度における所得再分配機能の維持にも資するという意義があるということでございます。
加えまして、前回の会議でも紹介させていただきましたが、これまでの財政検証のオプション試算におきましても、適用拡大の具体的内容について、複数の仮定を置いた上でシミュレーションしたところでございますが、基礎年金水準の確保の効果が具体的に示されております。本年8月27日に公表させていただきました令和元年の財政検証でも、拡大内容に係る仮定をより充実させた上で、基礎年金の調整期間が1~8年短縮され、調整終了後の所得代替率は0.5~4.8%改善するといったことが示されております。
こうしたものを前提としまして、本懇談会におきましても、適用拡大に係る今後の方向性について様々な御議論いただきました。
まず、被用者保険の適用範囲につきましては、本来、雇用形態や企業規模等々の違いにより、適用の有無が異なることは働く方にとって不合理であり、被用者保険適用によって働く者にふさわしい保障を実現していくことが肝要であるという視点が示されております。
加えまして、短時間労働者に対する適用拡大については、働き方により中立的な制度体系を実現する意義があるといった御指摘をいただいております。また、国民年金保険料の未納を減少させ、被保険者本人の年金水準を引き上げる効果があることから、単身女性世帯やいわゆる就職氷河期世代を含む将来の無年金・低年金リスクを有する方々のための貧困対策・老後の安心確保としても重要であり、さらに、健康保険につきましては傷病手当金や出産手当金を受け取れるようになるなど労働者にとっての利点が大きく、速やかに取り組むべきであるといった御意見をいただいております。企業にとっても、長期的には従業員の処遇を改善していくことがプラスになるといった御指摘もいただいており、総じて適用拡大の社会的意義の大きさが示されました。
一方、適用拡大の具体的な進め方につきましては、被用者保険適用に伴う事業者負担や業種による負担差のほか、最低賃金の引き上げ等の制度改正や、社会保険料負担増、人手不足、働き方改革への対応、消費税増税分の価格転嫁等の経済社会情勢の動向による影響を含む中小事業者の厳しい実情についても総合的に勘案して検討する必要があるといった御意見をいただいております。また、これまでの適用拡大の際の取り組みも踏まえ、今回はどのような対応が考えられるか幅広く検討する必要があるといった御意見や、そもそも保険料負担を含む人件費の趨勢的増加に事業者が対応できるよう、中小企業の生産性向上に向けた総合的な方策や支援策について関係省庁等々が連携して中長期的に議論していくべきではないかといった御指摘もいただいております。
こうした議論を通じまして、本懇談会におきましては、被用者として働く方につきましては被用者保険に加入するといった基本的な考え方が示されております。また、具体的な適用拡大の進め方につきましては、人手不足や社会保険料負担を通じた企業経営への影響等に留意しながら、丁寧に検討を行う必要性といったものが示されております。
ここからは個別の要件について御説明いたします。まず、適用拡大の対象企業の範囲でございますが、現在、従業員501人以上の企業に限られており、従業員500人以下の企業においては、労使合意がない限りは適用拡大の対象とはなっておりません。この企業規模要件は、中小企業の負担等々を考慮して激変緩和の観点から段階的な適用拡大を進めていくために設定されたものであり、法律上の位置づけも、法律本則に規定されたほかの要件とは異なり、改正法の附則に当分の間の経過措置として規定されているものでございます。
企業規模要件につきましては、企業規模の違いによって社会保険の取り扱いが異なるのは不合理であり、経済的中立性、経過措置としての位置づけ等を鑑みれば、最終的には撤廃すべきとの御意見があったほか、企業規模要件が労働者の就業先選択に歪みをもたらしている、グループ企業内での人事異動の妨げになっているといった御指摘もいただいております。また、従業員数が501人以上かどうかは公表情報ではわからないことが多く、また、地域によって大規模企業が少ない場合もあることから、労働者が仕事を選ぶ際に社会保険加入の有無を自由に選べないことを問題視する御意見もございました。さらに、企業規模要件の撤廃が必ずしも中小企業にとって不利益に働くわけではなく、労働者の福利厚生に係る選好等を考慮すれば、人材確保の面で大企業に劣らない環境を確保できる利点もあるのではないかといった御指摘もいただいております。
一方で、本要件の見直しを検討するに当たっては、雇用の提供者としての企業の存続を脅かすことのないよう、企業への影響を十分に検証した上で適切に対応すべきであるといった御意見をいただいております。具体的には、中小企業の負担面を考慮した段階的な実施など、何らかの支援策が必要なのではないかといった御意見もいただいております。
こうした御議論を通じまして、懇談会におきましては、企業規模の要件につきましては、被用者にふさわしい保障の確保や経済活動への中立性の維持、法律上経過措置としての規定となっていることなどの観点から、本来的な制度のあり方としては撤廃すべきものであるとの位置づけで対象を拡大していく必要性が示されております。また、現実的な問題としては、事業者負担の大きさを考慮した上で、負担が過重なものとならないよう、施行の時期・あり方における配慮や支援措置の必要性についての御指摘がございました。
続きまして、労働時間の関係でございますけれども、週の所定労働時間が20時間以上という労働時間要件につきましては、雇用保険の適用基準の例を参考に設定しておりますが、これにつきましては、実務上の困難も考慮に入れつつ一定の給与収入のある方につきましては、被用者保険を適用するという原則に基づきまして、20時間の数字の妥当性を含めて要件のあり方を検討すべきといった御意見をいただいた一方で、基準を引き下げれば労働時間を減らす誘因になってしまうおそれといった御意見、20時間という数字は雇用保険も同様で、被用者性の基準としてわかりやすいといった御意見もいただいております。全体としては、まずは週労働時間20時間以上の方への適用拡大の検討を優先課題とすべきではないかといった御意見もいただいております。
こうした御議論を通じまして、労働時間要件につきましては、被用者にふさわしい保障を確保する趣旨を踏まえつつ、他の論点との優先順位や短時間労働者の就業に与える影響等も慎重に考慮した上での検討の必要性が示されております。
続きまして、賃金要件につきましては、都市と地方の賃金水準の差によって、同じ労働時間でも被用者保険の適用に差異が生じるため不公平といった御意見や、労働時間要件に加えて賃金要件があると二重の要件になり複雑であるといった御意見、賃金要件が就業調整の基準として強く意識されるといるため見直しを検討すべきといった御意見をいただいております。また、労働時間要件または賃金要件のいずれかに該当すれば適用となるように見直すべきではないかといった御意見もいただいております。一方で、月額8.8万円の短時間労働者は、国民年金第3号被保険者を高い割合で含んでおり、8.8万円以上の短時間労働者と性質が異なるといったことも示されているほか、国民年金第1号被保険者の負担及び給付とのバランスの観点を踏まえると、現行の基準を維持すべきではないかといった御意見もいただいております。さらに、最近の最低賃金の推移を見ますと、週20時間労働で月額8.8万円を超えることも想定されますので、今次改正における賃金要件の見直しについて疑問視する御意見をいただいております。
こうした御議論を通じまして、賃金要件につきましては、就業調整の要因になるなどの課題も示された一方で、国民年金1号被保険者とのバランス、短時間労働者の就業に与える影響、賃金要件と最低賃金水準との関係を踏まえて、制度の見直しの緊要性の程度も念頭に置いた上での検討の必要性が示されております。
続きまして、勤務期間要件でございますが、現在、勤務期間が継続して1年以上見込まれる場合に適用対象とすることにしておりますが、懇談会の議論におきましては、事業主の事務負担の合理化を求める御意見があった一方で、現行の31日という雇用保険の水準に合わせて、期間を短縮する方向で見直してはどうかといった御意見、勤務期間要件への該当の有無は雇用契約当初の時点では判断困難であり、要件の必要性自体を疑問視する御意見をいただいております。こうした御意見を通じまして、勤務期間要件につきましては、事業主負担が過剰にならないようにするといった趣旨や、実務上の取り扱いの現状を踏まえて、要件の見直しの必要性が共有されました。
続きまして、学生除外要件でございますけれども、将来社会人になって被用者保険の適用対象とされていくべき学生を、他のパート労働者と同じ枠組みで議論すべきではないといった御意見をいただいております。また、取り扱いを変更した際の事業者の事務負担も考慮すべきといった御意見もいただいております。また、学生でありながら本格的な就労に近い働き方をする「苦学生」への保障のあり方についても御議論をいただきましたが、必ずしも被用者保険の枠内で対応すべきかどうかについては、見解が分かれております。
一方で、学生除外要件の制度趣旨に関連して、昨今の若者は学生に限らず転職を頻繁にするといった実態、学生像や学生の就労も多様化しており、本格的就労につながるインターンシップや、氷河期世代などの比較的高齢な非正規労働者の学び直し、リカレントのケースもあるといった御指摘もありましたし、さらには、多様化する学生の就労実態を適切に把握した上で検討すべきといった御意見もいただいております。また、学生が安価な労働力として乱用されることも防ぐためにも、基本的には学生を適用対象に含めていくべきだといった御意見もございました。
こうした御議論を通じまして、学生除外要件につきましては、事業主負担の事務負担への配慮という制度趣旨を念頭に置きながら、近時の学生の就労状況の多様化、労働市場の情勢等も踏まえて、見直しの可否について検討する必要性が示されております。
続きまして、健康保険における対応でございますけれども、健康保険と厚生年金保険は、御案内のとおり被用者を対象とした被用者保険として一体適用が原則となっており、これまでの短時間労働者に対する適用拡大においても、両制度の適用範囲が一体として拡大されてきている状況です。
この点、厚生年金については将来の年金給付というメリットがわかりやすいが、健康保険については、被扶養者の方々は傷病手当金、出産手当金を受けられるようになるという利点はあるものの、病気等により治療を受ける際の窓口負担に変化がなく、自ら保険料を負担して加入するメリットが乏しいケースがあるといった御指摘をいただいており、両制度を一括して適用することの妥当性について議論する必要があるのではないかといった御意見をいただいております。
一方で、健康保険と厚生年金の適用を分離した場合、制度が複雑になり、保険者の事務負担や適用事務を行う企業の事務負担が増加し、新たな就業調整が生じるといった懸念もあることから、一体となって進めていくことが必要なのではないかといった御意見もいただいております。また、仮に両者を分離すれば、企業規模に応じて被用者保険の適用のあり方が異なる状況が残ることになり、働き方に中立な制度にならないといった懸念もいただいております。
また、短時間労働者の適用拡大によって医療保険者の財政の悪化が懸念されるとして、適用拡大が医療保険財政に与える影響について試算した上で議論するべきであるといった御意見や、これまでの適用拡大の際と同様に財政支援を行う必要性といった御意見もございました。
こうした御議論を通じまして、健康保険との関係につきましては、厚生年金との制度上の差異に係る指摘があった一方で、働き方に中立で公平な制度とする観点や実務上の課題を踏まえると一体的適用を維持することの必要性が示されました。併せて、医療保険財政についても、考えられる影響について適切な試算を行った上で、所要の対応策を講じる必要性が指摘されております。
続きまして、国民年金第3号被保険者制度でございますが、国民年金第3号被保険者制度は、御案内のとおり女性の年金権を確立する上で大きな役割を果たしてきているものでございますが、一方で、短時間就労をする女性の働き方に大きく影響を与えてきたといった御指摘もいただいております。懇談会の議論におきましても、被扶養配偶者・第3号被保険者自ら被用者保険に加入することにより、一層充実した保障を受けられるようになったほか、被用者による支え合いの仕組みに自ら参加することで、労働者としての意識の向上につながったのではないか、また、こうした影響について普及啓発していく必要があるのではないかといった御意見をいただいております。
一方で、被扶養配偶者・第3号被保険者は、子育てや介護といった事情がある方や、配偶者の扶養の範囲内で就労を希望する方など、多様な属性の方が存在するため、本人の事情と希望に応じて柔軟に対応できる仕組みを考えていく必要があるといった御意見もいただいております。
こうした御議論を通じまして、健康保険の被扶養配偶者・国民年金第3号被保険者制度につきましては、働き方やライフスタイルの選択を阻害しない制度とするため、まず、更なる適用拡大を通じて、ある程度働く短時間労働者については被用者保険に加入するという形を目指しつつ、制度のあり方についての将来像を議論する必要性が指摘されたということでございます。
ここからは、働き方の多様化を踏まえた社会保険の適用におけるその他の課題について御説明いたします。まずは被用者保険の適用事業所の範囲でございますが、適用事業所の範囲につきましては、現行要件は制度制定後、相当程度の時間が経過しており、非適用事業所に勤務するフルタイム従業員のことも斟酌すれば、労働者の保護や老後保障の観点から、現代に合った合理的な形に見直す必要があるのではないか、具体的には、従業員数5人以上の個人事業所は、業種ごとの状況を踏まえつつ原則強制適用とすべきではないかといった御意見をいただいております。特に過去に徐々に拡大されてきた経緯を踏まえると、いわゆる士業等が非適用のままになっているということの合理性についての問題提起をいただいております。
見直しに際しての留意点としましては、強制適用とした場合の経営への影響について、精緻な議論をすべきという御意見、また、国民健康保険の財政に対する影響を勘案して、全体が納得できる制度としての方向性を図ることが必要といった御指摘もいただいております。
他方、非適用業種には小規模事業者も多く、事務負担や保険料負担が過重となるおそれがあるため、被用者の保障確保の観点とのバランスを考えても、現行の任意包括適用制度の活用を促進すれば足るのではないかといった御意見もいただいております。
さらに、制度上適用要件を満たしているにもかかわらず実際には未適用となっている、いわゆる未適用事業所の問題に関して、日本年金機構における適用促進の取り組みを徹底していくべきといった御意見や、個人事業所が適用事業所となる場合に、個人事業主本人は被保険者資格を得ることができない点についての対応を検討すべきといった御意見もいただいております。
こうした議論を通じまして、適用事業所の範囲につきましては、本来、事業形態、業種、従業員数などにかかわらず被用者にふさわしい保障を確保するのが基本であるとの考え方が示されました。その上で、非適用とされてきた制度創設時の考え方と現状、各業種それぞれの経営・雇用環境などを個別に踏まえつつ見直しを検討すべきという認識が共有されております。関連しまして、個人事業主本人に対する保障のあり方、未適用事業所に対する年金機構の対応の継続、被保険者の移動による国民健康保険の財政への影響についても指摘がございました。
続きまして、複数事業所に就業する被保険者の適用のあり方でございますが、近年、複数の事業所において就業している方が増加傾向であり、また、複数就業者の多くは、本業における所得が低い傾向にありまして、生計維持のために短時間就労を掛け持ちしている方が少なくない状況でございます。こうした複数就業者に関しましては、就労の実態に合わせた適切な適用の方策を検討していくべきといった御意見、特に生計維持のために短時間就労を掛け持ちしている方に対する保障の充実のため、複数事業所における労働時間を合算して適用判断する仕組みを検討すべきといった御意見がございました。これにつきまして、複数事業所における労働時間や賃金の把握は困難な課題であり、実務上の実行可能性を考慮して慎重に検討すべきといった御指摘、、まずは労働法制の中で検討すべき課題ではないかといった御指摘もいただいております。
また、現行制度上の複数就業者に係る手続が事業者にとって非常に事務負担が大きく、負担軽減のため制度全体としての効率化を図るべきといった御意見もいただいております。
こうした御議論を通じまして、複数事業所で就労する方については、該当する労働者にふさわしい保障を確保する方策について、実務上の実行可能性も踏まえて引き続き検討していく必要性や、現行の適用の仕組みの効率化を図る必要性について御指摘いただいております。
続きまして、48ページ目の雇用類似の働き方への対応でございますが、こちらも近年、企業との間で雇用関係はないものの、企業からの仕事の委託を受けて、主に個人としての役務を提供する形の就労が社会的にも注目されているといった状況でございます。その一方で、現状の被用者保険制度におきましては、基本的に雇用類似の働き方をする方に関しましては、被用者としての保障を受けられない状況でございます。この点、例えば出産時や病気、けがにおける休業時のセーフティネットの一環として、健康保険における出産手当金や傷病手当金に対するニーズの高さといった指摘がございます。本懇談会におきましても、個人事業主のうち被用者性が高い方につきましては、被用者保険の適用による保障を検討すべきといった御意見や、今、柔軟な働き方を選べる時代であり、誰もがフリーランスな働き方になる可能性があることから、働き方に中立な社会保険制度を目指すべきといった御意見をいただいております。また、その一方で、自営業者との公平性の問題も考慮し、均衡を失しない制度とすべきといった御意見もいただいております。
こうした御議論を通じまして、雇用類似の働き方への対応につきましては、被用者性の高い個人事業主の保護を図る観点から、制度上・実務上の課題も踏まえつつ、働き方の多様化の進展に応じてどのような対応ができるか、引き続き議論していく必要性が指摘されております。
最後でございますが、50ページ目の「結びに」でございますが、懇談会におきましては、できるだけ中立的にこれまでの適用拡大の結果及び影響について分析・検証を行った上で、今後の更なる適用拡大の検討の方向性について議論を進めてきました。この意見集約を行ったものが、本議論の取りまとめでございます。
ここで提示された方向性を踏まえつつ、現実に適用拡大により影響を受ける方へも配慮しながら、社会経済の大きな変化に対応する形で社会保険の適用拡大を初め、働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応について、社会保障審議会、医療保険部会、年金部会など適切な検討の場において検討を深め、積極的に推進していくことを強く期待するということで結ばせていただいております。
長くなって恐縮でございますが、私のほうからの説明は以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。御苦労さまでした。
それでは、今、事務局から報告のありましたまとめ案でございますけれども、御意見、御質問等をいただければと思います。どの場所でも結構でございます。
海上構成員、どうぞ。
○海上構成員 大変なボリュームの取りまとめ案をありがとうございました。
皆さんが御議論の準備を整える間、ちょっと露払い的にお話しさせていただきます。やはり一番注目のポイント、適用拡大対象企業の範囲のところで、企業規模要件の部分です。この案の中にも私の意見として取り入れていただいたことを改めて申し上げます。この論点では、どうしても「働き手側VS企業経営者側」という対立構造になりがちな議論とか世間の見方がございますが、私の主張としましては、必ずしもそうではない。企業さんにとっても働き手の福利厚生の拡大を求める声がある、経営者の方たちの個々の意見を聞くと、やはり社員と一緒にファミリーとして、仲間として働いていきたい。そういう「人を大切にする経営」で福利厚生を充実して、人手不足解消のためにも多くの人を採りたい、ともにやっていきたいという意見を多く聞きました。
そういう意味で、ここに一文書いていただきましたとおり、必ずしも経営者にとっての不利益な取り組みではないということを、この取りまとめに際して一言強調させていただきたいと思っています。
それから、もう一点、そうはいっても、やはり経営によって短期的な利益圧迫要因となるのは確かであります。ただ、業種によって影響の中味は多少違っていて、ドメスティックな産業、言ってみれば小売業、サービス業といった国内経済、国内市場を対象とする業種は、基本的には海外市場で外国企業との低価格競争にさらされるとかではなく、国内同士の同業者との競争なので、適用拡大があっても皆さん同じ競争条件なのです。そういう意味では、「我が社だけが負担増だ。競争上不利だ」というわけではない。本来、皆で手をつないでゴールできる。したがって、価格転嫁というか、市場の皆さん、事業者の皆さん、消費者の皆さんが、必要な負担増を最終価格に上乗せすることに対して、もっと柔軟であるべきではないかと。例えば、デフレ脱却という言葉がありますが、市場全体が今、何でもかんでも安くすることで、安売り競争することでお互いに首を絞め合っている状況を解消するには、必要であるべき価格の上乗せ部分について、適正に、みんなで負担し合う。今回の企業経営者側の負担増についても、自らが働き手でもある消費者全員で負担できるような、そういったアナウンスメント。行政の方におかれましてもそういった啓蒙、ステートメントをぜひお進めいただければ、最も影響の大きいサービス業、小売業、卸売業の方たちの負担が少しでも軽減できるのではないかと思っております。
以上であります。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
ほかにいかがでございましょうか。
田中構成員、それから佐久間構成員の順番でお願いいたします。
○田中構成員 今回の懇談会で一番大切だなと思ったのは、特に今後の検討をされるべき基本的な考え方、37ページ以降のことだと思うのですけれども、制度が変わることできょうの経営に痛手が出てくるというのは阻止していかなければいけないと思うのですが、そもそもこの制度というのは国民一人一人がこれからの変わっていく、既に変わっている働き方、人口動態のあり方において未来に向けてちゃんと安心して自分の力を発揮できる、そういう土台をつくるということが多分握れたということは大切かなと思っています。
そこに向けて、例えば経営のあり方のために、経営を傷つけないために段階を追ってというのであれば、段階を追っていく時間に何をするのかというのが次のステップとして、これは省庁連携でぜひお願いしたいことであるのですけれども、例えば中小企業庁さんは既に人手不足の中での効率のいい働き方の研究啓発もされていますし、そういう冊子もまとめられていますし、全国を啓発給付活動もされていますね。経済産業省さんのほうでもダイバーシティ経営企業100選で、100選といいながら多分500件以上あると思うのですけれども、700件ぐらいあるのですかね。中小企業も含めた多様な働き方の好事例。多様な人材を短時間労働者も含めた人材の活用の好事例で、しかも、それは成果を出している企業の事例を出していて、それがまたさらに全国9局の普及啓発活動を何年間もなさっている。そういうものをあわせた上で、この制度をどのようにしていくかということを、ぜひ次の段階で考えていただけたらなというお願いみたいな話ですけれども、基本的にはどんな働き方であっても、きちんと自分の成果を出していけるという気持ちになっていけるというのと、安心できるというのは教育と同じですけれども、安心できる環境がないと人は成果を出させないと思うので、そのための制度だと考えていけたらと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
では、佐久間構成員、お願いします。
○佐久間構成員 ありがとうございます。
事務局のほうでまとめていただいた今回の資料、大変全体のバランスをとりながら、よくまとめていただいたのではないかと思います。ありがとうございました。
まず、経営者側の立場としましては、6ページの9行目から最後の行にかけてなのですけれども、この辺の部分、企業の保険料負担は決して軽いものではなく、被用者保険の適用範囲を広げていく上では、それが企業の経営に与える影響については考慮する必要があるとか、2点目では、9ページ、11行目ですけれども、中小企業の中にも社会保険料の負担増よりも人材確保・育成を優先し、任意の拡大制度を活用する企業が徐々にふえていくと見られる。これは現状、本当にそのとおりだと思っております。
それから、現状の24ページになりますけれども、このページ全体にかかわるわけですが、この意見の集約として人材の定着を図りたいから、やはり人手不足であるから、こういう社会保険の関係も充実したものにしなければいけないということでは、中小企業の経営のほうでも本当にそのように経営者が思っていることは事実だと思います。そこの中で、これからの方向性として、やはり私ども、中小企業の方々は本当に経営の厳しい状況もありますので、前回の会議、9月2日でも、菅原先生がおっしゃっていましたけれども、任意包括適用の16業種以外のものへの適用については、毎回の会議体で、かなり反対をしてきました。現状どおりとして今後もやっていただきたいと考えます。
その中で、やはり士業の方々、この後もヒアリングを通して、これは厚生年金への加入者が多くいらっしゃいますので、そちらとは分けて考えていただくのがよろしいのかなと考えております。
ちょっと長くなって申しわけありませんけれども、37ページです。「第三に」というパラグラフのところなのですけれども、「第三に、社会保障の機能強化に資することである。適用拡大によって厚生年金の」云々がと、次の行に「厚い保障を受けられるようになる」というのがあって、本当にこの辺は一般論として、これが厚いと言えるかどうかという議論もあると思うのですけれども、この辺の表現が掛金に見合ったとか、付加価値の相当額とか、そういう表現にしていただくのも一つなのかなと思いました。
それから、39ページでございます。ここでは、また重ねて中小企業の負担面を考慮した段階的な実施など、何らかの支援が必要であれば検討すべきであるという意見があって、それから最後のパラグラフ「こうした議論を通じて」以下の文面につながっていただいているのだと思います。
もしこういう適用拡大ということとなった場合には、ぜひとも、中小企業の支援措置、また、段階的な実施というのも考えていただきながら、行っていただきたいなと考えます。本当に人材確保、福利厚生の向上を目指しながら中小企業もやっていることは事実でございます。負担軽減措置というのをお願いしたいなと思っております。
最後になりますけれども、46ページで、私の方で重ねて発言させていただきました、個人事業主の負担の関係、この辺の加入ができるかどうかというのは、これからまた検討していただく必要があるのではないかと思います。一人法人の場合も加入ができるよう、通ちょうが昭和24年に発せられております。労働者性とかそういうものがあると思いますけれども、雇用事業主であっても任意に加入できるような検討をこれからもしていただきたいなと思っています。
最後と言いながらもう一つなのですけれども、前回の資料のほうで、これまでの議論の整理の中で検討の必要性が指摘されたとか、こういうのが非常にわかりにくいという表現がありました。見比べると実際に余り変わっていないなというのもあるのですけれども、これから社会保障審議会、年金部会、労政審の分科会のほうに続いていきますので、この辺も本当はもう一段わかりやすい表現でいければ、より委員の先生方にも理解をしていただけるのではないかなと考えます。
長くなって済みません。以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
平川構成員、どうぞ。
○平川構成員 ありがとうございます。
今回の議論の取りまとめは、位置づけが検討の方向性について意見集約を行ったということでありますので、このような書き方になっているのかもしれませんけれども、やはりこの間の議論の中で、しっかりと適用拡大を積極的にやっていくのだという方向からすると、前回も言いましたけれども、やはり踏み込み不足の内容だというふうに言わざるを得ないと思います。2015年の年金部会の議論の整理が37ページに記載してありますけれども、さらに適用拡大を進めていくことについての異論はなかったというふうにされております。また、今回の骨太方針の適用拡大については検討を進めるということと、特に就職氷河期世代の労働者に対する年金などの報告書を厚くする観点から、被用者保険の適用拡大を進めていくのだという方向が明確になっていることから考えれば、具体的な適用拡大に一歩踏み込んでいくことになっていないというか、そういう方向性は示されていますけれども、明瞭になっていないということについては残念だと考えているところであります。
やはり雇用形態の違いであるとか、企業規模の大小によって社会保険の適用の有無が異なるというのは不合理でありまして、これをしっかりと解消するという大原則のもとで、全ての労働者に社会保険を原則適用させるということが重要だと思います。
そういった中で、個別のところを見てみましても、例えば38ページの適用拡大の対象企業の範囲、企業規模要件の関係でありますが、前回も言いましたが、これはあくまでも激変緩和措置でありまして、それを残すような方向になるというのはあり得ないと思っています。そもそも企業規模要件の根拠は何かというと、多分誰も答えられないのではないかなと思います。これは当然撤廃すべきだと思います。
また、賃金要件や労働時間の要件についても、これもそれぞれのある程度の線引きがされてはいるわけでありますけれども、なぜ20時間なのか、なぜ賃金要件がこのぐらいの金額なのかということに関しても明確なものにはなっていないと思いますし、この辺を見直して要件を緩和すべきだと考えているところであります。
また、45ページから46ページの非適用事業所のところでありますけれども、これも私は何回も訊いていますが、なぜ非適用事業所が存在しているのかという根拠は歴史的なものだということしか聞いておりません。これも全く理解不能でありまして、これは当然、例外なく撤廃をしていくことが必要だと思っているところであります。
そういった中で少し記載が気になっているところがありまして、46ページのまとめのところの4つ目の段落です。「こうした議論を通じて、適用事業所の範囲について」というところですけれども、「本来、事業形態、業種、従業員数などにかかわらず被用者にふさわしい保障を確保すべきであるが、非適用とされた制度創設時の考え方と現状」云々というのが書いてありまして、これが共有されたとなっていますけれども、私としては、先ほど言いましたように、非適用とされた制度としての考え方と現状、それぞれの雇用環境などを個別に踏まえつつ、見直しを検討すべきという認識について、私は共有をしていないつもりでありますので、ぜひともこの辺は修正をしていただきたいと思っているところであります。
また、実務的な問題でいくと、適用の促進というのは大変重要だと思います。現行制度でも、平成29年度の国民年金被保険者実態調査でも粗い推計として、本来は適用すべき方が156万人適用されていないのではないかという実態も報告されております。多分この制度改革によって適用拡大すれば、対象者はまたさらにふえていくのだろうと思いますけれども、その辺の適用促進について体制をしっかり整備していくことも極めて重要ではないかと思っているところであります。
以上、私のほうから意見として言わせていただきます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
ほかにいかがでございましょう。
それでは、永井構成員、それから荒井構成員の順番でお願いいたします。
○永井構成員 ありがとうございます。2点申し上げたいと思っております。
1つ目は、46ページからになります「複数事業所就業者に対する被用者保険の適用のあり方」についてでございますが、先ほど説明の中で触れておられましたが、複数の事業所で就労される方については、やはり生計維持のために短時間就労をかけ持ちしている方も多いということで、こうした方々に対する社会保障の確立、充実というものが必要だということは当然のことだと思っておりますが、一方で実務的な課題があるということも承知しております。
被用者は被用者保険に加入するという基本的な考えのもと、就業実態に合わせて適正に社会保険を適用していくことが重要と考えおります。そういう観点から、今回議論の中で出された課題につきましては、引き続き研究をしていきながら議論していくことが大切と考えております。
また、現行制度上における複数事業所で被用者保険の適用要件を満たす方に対する事務手続に関しては、取りまとめの中でも事業者に負担がかかっているという取りまとめとなっておりますので、負担軽減の観点からの見直しも検討していただきたいということでございます。
2つ目はその続きになります。雇用類似の働き方への対応のところでございますが、最近、雇用類似については曖昧な雇用ということも言われますが、非常にいろいろな課題も出てきておりまして、特には業務委託で適用逃れをするといったような事例もあると聞いております。現在、労政審側のほうとなると思いますが、別の検討会などでも議論がされていることは承知しておりますけれども、さらに取りまとめでも引き続き議論をしていくということが書かれて指摘をされておりますので、この雇用関係にはない働き方につきましても、給付が受けられる仕組みを、徴収方法等も含めて引き続き検討すべきと考えております。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
では、荒井構成員、どうぞ。
○荒井構成員 荒井でございます。ありがとうございます。
今回が8回目で、取りまとめということで、先ほど報告書について御説明がありましたけれども、これまでのヒアリングやアンケート調査の御説明があったりして、企業サイドも多様な意見があり、従業員、労働者の方においても非常に多様な意見があるということが改めて報告書にも書かれているということ、それから、この懇談会自体でもいろいろ多様な御意見が出て、それぞれ考え方も異なるという中で、それだけ多様な実態とか多様な意見があるので、無理に一つの結論を導き出すということではなくて、さまざまな意見があるということが、報告書に反映されているのかなと認識しております。
私は従前から、経営へのインパクトということを申し上げてきましたけれども、前回、最賃を1,000円へ引き上げる影響と、今回の適用拡大の影響を両方足し上げると、3割に近い実質的な人件費増があるということを申し上げました。今回、もう繰り返すことはしませんけれども、やはり経営に大きな影響を与えるということについて、これからまた部会等で御議論が進んでいくのだと思いますけれども、ぜひそういうことを念頭に置いて慎重に御議論いただきたいと思っております。
また、社会保険の手続の関係で、今、政府全体で行政手続を2割削減していくということが閣議決定されていますけれども、やはり生産性を上げて、企業も本業に注力して付加価値を高めていくという中で、なるべく事務手続というか行政手続は減らしていくということが大事だと思っていますので、今回、勤務期間要件の話がありますけれども、それを仮に短縮していくということであると、他方で事務負担の問題がありますので、全体として事務の合理化を図っていくということとの進捗とか整合性をとりながら考えていくことが必要かなと思っています。
あと1点だけ、細かいところなのですけれども、前段の調査だとか分析のところは前回申し上げて、かなり修正をいただいたと思っておりまして、わかりやすくなったなと思っているのですけれども、1カ所だけ、最後の回で申しわけないのですが、18ページの3~4行目に「事業主負担総額は、年間850億円と見込まれるが」と書いてあります。これはそうだと思うのですが、年金全体から見れば桁は小さいのかもしれませんけれども、一般の方が見たときに850億というのは額が大き過ぎて、インパクトがよくわからないと思うのです。したがって、これは35万人ぐらいが増えていますから、1人当たりだと多分24~25万になると思うので、もう少しそういうことを補足していただくと、身近な数字になるのかなと思いますので、そこだけ申し上げたいと思います。
以上であります。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、土井構成員、それから河本構成員の順番でお願いいたします。
○土井構成員 ありがとうございます。私のほうからは全体的なものと個別に2点、申し上げさせていただきたいと思います。
企業側の全体的な意見につきましては、佐久間構成員、荒井構成員から御意見をいただいておりますが、私も同意見でございます。やはり適用拡大というのは中小企業、小規模事業者への経営において非常に負担になる部分もございますので、引き続き慎重な議論をお願いしたいと思っております。
私からはもう2点、1つは、この懇談会、社会保険とは言いながらも、ほぼ年金の部分の議論が多くされまして、余り健康保険の部分の議論はなかったと思いますが、短期的には健康保険のほうが影響を受けやすいといった部分もございますし、健康保険、協会けんぽも、健保連さんのほうもなかなか財政が厳しい、今後の見通しとしても医療費の増加などで非常に厳しいという見通しも出ておりますので、今後の検討について詳細な財政シミュレーションとかを行っていただいて、どの程度の影響があるかといったところを詳細に分析いただきたいというのが1点でございます。
もう一つは、大企業で来年度から、中小企業は再来年度から実施される、働き方改革の同一労働・同一賃金でございます。まさしくその対象となる非正規労働者の部分というのが、今回適用拡大で議論されている短時間労働者とかなりの層で重なる部分もございます。実際、今、私も企業の方と一緒に制度を勉強しているのですが、同一労働同一賃金に対する企業の実務上の対応は非常に大変であり、重い負担となっておりますので、この同一労働同一賃金についての各企業の実施状況等も、検証の中で見ていただいた上で、適用拡大の議論を進めていただきますようにお願いをいたします。
私からは以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、健康保険の話も出ましたので。
○河本構成員 ありがとうございます。
今、土井構成員からも御指摘がございましたけれども、今後の医療保険部会での議論において、今回の要件の見直しが医療保険財政にどういった影響を与えるのかということをきちんとシミュレーションしていただきたい。43ページに考えられる影響について適切な試算を行った上でと書いていただいておりますけれども、これをまずきちんとやっていただきたいということ。
それから、仮に健康保険における適用拡大を行う場合には、今回の資料の中にもございますけれども、影響を受ける業種が限られるということもございますので、財政影響を受ける健保組合に対して、所要の対応策としての財政支援をお願いしたいという、これは要望でございます。
あわせて、これは私ども、従来からお願いしておりますけれども、医療保険部会で今回の適用拡大にもあわせて、任継制度の見直しについてもぜひ検討、御議論をお願いしたいと考えております。
以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
ほかにいかがでございましょうか。
それでは、藤井構成員、原構成員の順番でお願いいたします。
○藤井構成員 私も医療保険の保険者の立場から、先ほどの土井構成員、河本構成員の意見とほとんど同じですけれども、この場でこれ以上の具体的な議論ができないというのは残念ではありますが、今後、医療保険部会にせよ、年金部会にせよ、特に医療保険部会でまた議論をしていくということであれば、できるだけ早い段階で医療保険財政にどのような影響があるのかという試算。多分いろいろな案が出てくるのだと思うので、それぞれパターンごとにきめ細かく試算していただくことを私からも改めてお願いをしたいと思います。
これも重複しますけれども、その結果にもよるのですが、やはり必要に応じて保険者に対する財政支援の措置を講じることも、ぜひ議論をしていただければありがたいなと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、原構成員、お願いします。
○原構成員 まとめていただいてありがとうございました。きょうは取りまとめの案ということで、意見集約だと思いますので、いろいろな併記ですとかが見られます。ただ、ところどころ強弱などもついているなという印象を全体的に受けましたので、私からは全体的なということよりも、ちょっと細かい点で恐縮なのですが、言い回し等で気になったところを幾つか述べさせていただきますので、参考になさっていただければと思います。
全体的には皆さんがおっしゃったところ、そのとおりなのでいいのですが、まず、関係団体に対するヒアリング結果のところです。34ページにあるのですが、これはこのままこういう御発言があったならばそれでと思うのですけれども、「また」から始まるところの主婦層の話がいろいろ出てきているところで、その最後のところです。こうしたことを誘発している制度的要因が、主婦層等と同種の職につく傾向にあるひとり親など、他の短時間労働者の就業条件に対してマイナスに作用しているという指摘があると。割と強いなと思ったのですけれども、マイナスに作用という言葉が本当にヒアリングにそのまま出たのであれば、そのままかと思うのですが、あと、ひとり親などというところを限定的に入れているのが気になったので、そういうふうにおっしゃったのかどうか。今すぐに記憶が出てこないのですけれども、マイナスに作用というのが、そうはいっても主婦の方もいろいろ調整しながらやっている部分はあると思いますので、この辺はやんわりとした表現にしたほうがいいかなと、言葉使いというのは慎重にということで指摘させていただきます。
それから、済みません、ページがずれているかもしれないのですけれども、もう一つのところで、「2.今後の検討の方向性に関する基本的な考え方」というところがありまして、きょうのページで言うと38ページ、パラグラフで言うと3つ目です。短時間労働者に対する適用拡大についてはという、これは基本的なところですけれども、まず、働き方により中立的な制度体系を実現する意義があることが指摘された。また、国民年金保険料の未納を減少させということで、その効果というか、それは15ページの調査結果から来ているものだと思います。免除だとか未納だった方が適用拡大によって第2号になったという調査があったと思うのですけれども、確かに結果論としてはそうなのですが、国民年金の未納を減少させと言ってしまうと、もともと未納というのはあってはよくないので、結果的に免除とか未納の方が適用拡大によって第2号というか、社会保険の適用を受けることができたというような結果論であるのかなと思いました。読み方によっていろいろとられてしまうのでご指摘させていただきます。
それから、幾つもあって申しわけないのですが、最賃のところ、賃金要件のところなのですが、そこの書き方とかは別にそのままでもいいのかなと思うのですけれども、40ページです。最低賃金というのは推移から見ると、一番最後のところにも書いてありますが、賃金要件というのはそれほど、最低賃金がもし上がっていく場合であれば、見直しを行う必要性を疑問視する意見が呈されたということであって、以上の議論を踏まえてという41ページに係るところで、これは賃金要件が要る、要らないというものとはちょっと別の話かなと思います。何か文章が全部ざっとつながっている印象を受けます。さらには最低賃金の推移の関係を踏まえてというところは別なパラグラフにしたほうがいいのではないかと思います。要る、要らないというよりも、傾向として大きな話なのかなと思いました。細かくて済みません。
それから、その次の勤務期間要件のところですけれども、もともと雇用保険のところの絡みで期間を短縮する方向で見直してはどうかという意見は確かにあったと思います。雇用保険は31日だと思うのですが、ちょっと私、記憶があれなのですけれども、厚生年金保険法にも本則2カ月というのがあったので、その辺は入れなくてもいいのかなと思いました。本則に合わせるというのも一つの方法ではないかという意見が出ていたような気も、あるいは自分だけかもしれないですけれども、そういうことで、ちょっとそこを御検討いただきたいと思います。雇用保険に合わせるというよりも、厚生年金保険法の本則というのを検討してもいいのかなと思いました。
あと少しなのですが、健康保険における対応のところなのですけれども、要は一体とするか分離するかという話で、42ページの一番下で、仮に両者を分離すればというところからなのですが、そのまとめのところに、43ページの最後のまとめのところに懇談会の議論を通じてというところです。このところなのですけれども、健康保険との関係については、厚生年金との制度上の差異にかかわる指摘があった一方、実務上の課題を踏まえ、一体的適用を維持することの必要性も示された。実務上の課題だけではなくて、私が申し上げたのですけれども、働き方の中立性、公平性で501人以上は一体で、もしこれが分離するとなると、500人以下になると分離というのは公平性を欠くのではないかと思います。働き方の中立性ということもあったり、事業所を選択するときのこともあるので、実務上確かに大変になることは大変ですが、もう一つ、それだけの理由ということではないのかなと思いますので、その辺りも入れていただければありがたいなと思っております。
最後です。非適用事業所のところなのですけれども、「検討の背景」のところから入って、45ページの一番下なのですが、これは個人事業所の5人以上のところの部分で、非適用業種というところですが、一番下に「特に、いわゆる士業等が非適用となっていることの合理性に関しては問題提起があった」と、かなり強く書かれているのですが、特に士業だけではなくて、ほかのところにもサービス業等も今後いろいろ大変かもしれませんが、検討していくべきところなので、何か士業だけみたいな部分がすごく強く言われてしまっているので、問題提起というよりも、たしか意見として、そこはそうではないかと疑問視する意見があったと記憶していますので、問題提起というのがちょっと言葉として強いのではないかなと思います。もちろんその辺は適用に動いていくという方向性では特に異論はないのですけれども、そこだけではなくて、ほかの部分のサービス業等も入っていかないと、今後としてはいけないと思いますので、そこの辺りの言い方、語気の強さ、強弱があるところと両者併記で並べているところがあったので、その辺の言葉がそこだけ抜き出されてしまうといけませんので、ちょっと細かいですけれども、指摘させていただきました。御参考にしてください。ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
酒向構成員、どうぞ。
○酒向構成員 ありがとうございます。
全体的に大変バランスよくまとめていただいたと理解していますが、2点ほど申し上げたいと思います。1点目は、今回のように適用拡大を今後進めていくに当たって、政府全体の取組みとして、生産性を上げていくようなパッケージの支援策が必要あると考えております。そうすることによって適用拡大をしていくベースもできますし、結果として、経済成長も達成される。同時に、社会保障制度が安定するといった良い循環をつくっていくことが重要ではないかと考えます。
2点目は、18ページのところで、今後、賃金引上げの趨勢に照らせば、また、更なる拡大が行われた場合、社会保険料の事業主負担が一層増加することが懸念されるということを書いていただいておりますが、あわせて、健保組合の被保険者が変わることに伴って、事業主の負担も増減するわけでございます。そのため、既に御指摘あったところでございますが、今回の適用拡大に伴いまして、医療保険にどういった影響があるのか、その構成員がどうなるのか、それによって保険料がどう変わっていくのかにつきましては、きちんと試算をしていただいて、早目にお示しいただきたいと思います。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかにどなたかございますか。
それでは、山田構成員、菅原構成員の順番で。
○山田構成員 ありがとうございます。
一部の指摘もありましたように、全体的にはちょっと両論併記的なところという感じがないわけでもないのですけれども、私としては、2つの大きな柱が重要かなと思います。1つは、やはり就業形態とか家族形態の多様化の中で、基本的には社会保険の適用拡大は可能な限り進めていくことが望ましいということだと思います。ただ、一方で、当然事業者の負担があるので、そう簡単には進めていけない。ただ、ここで重要なのは、むしろ全体として望ましい方向性を事業者が受け入れていくための支援をいろいろな形でやっていくという考え方が重要ではないかと思います。
それが総論的なところなのですけれども、もう一つ大きいのは、今回の懇談会のテーマというかタイトルが「働き方の多様化」ということになっているのですけれども、事実上かなり議論されたのは、短時間労働者に対する適用拡大というのが中心になっているわけですが、永井構成員も先ほど御指摘されたと思うのですけれども、今の変化とか今後の方向性を考えますと、やはり雇用類似の働き方に対してどう考えていくのか。それから、複数事業所ですね。このあたりは重要な問題にこれからなっていくのではないか。そういう意味では、今回余り議論ができなかったわけですけれども、引き続きまた別の機会を設けるなりしてやっていく必要があるのではないかと思います。特に雇用類似のところに関しましては、世界的な潮流の中で、例えば日本と諸外国を比較したときに、いわゆる自営業者の適用の仕方なども、例えばドイツなどは一部ジャーナリストとか芸術家のようなところに関しましては、発注をした側が一定程度負担するというスキームをつくっている実態もあるようですので、そういうのもしっかり見ながら進めていくことが大事ではないかと思います。
それと、最後にもう一点だけなのですけれども、学生の議論というのもちょっと出て、余り深まらなかったのではないかと思うのですけれども、私は個人的には、この報告書にも書かれていますように、学生像の多様化とか、あるいは安価な労働力としての濫用の防止という意味では、基本的には適用していく方向が望ましいのではないかと思うのですけれども、1つ大きなハードルになっているのは、外国人留学生の問題が実態的にはあるのではないかと思います。この部分もなかなか、恐らく単純に適用拡大云々だけの議論では解決できない部分があるのではないか。事実上、外国人留学生の方が日本の労働力不足の―本来付随的なものということでしょうけれども―その緩和に貢献しているケースもある。外国人労働者の方も、当然それによって所得が得られるというところはあるので、いきなり保険適用していくと大きな問題が起こってくるというのも事実だと思います。外国人留学生の方も、負担はするけれども、給付が受けられないという問題もある。
ですから、これは少なくとも3つのことをセットで考えていかないとだめなのではないかと思います。一つは、今回の学生適用条件を見直していくという話と、もう一つは、外国人留学生の方の労働時間の上限の見直しという話もあると思います。
それと、もう一つは、中小企業を始め、実態として外国人労働者の方を必要としているところが出来たわけですが、在留資格のほうの見直しという、例えば特定技能という新しいものが出ていますけれども、これを一定のしっかりした要件の中で拡大していくという、そういったトータルな議論が重要なのではないか。全体的に今回の議論の中で、社会保険だけのところでは十分対応ができないというのがいろいろ見えてきたと思いますので、そういうのは政府の中で省庁横断的に、ぜひこれを機会に進めていっていただきたいなということを申し上げたいと思います。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
では、菅原構成員、お願いいたします。
○菅原構成員 ありがとうございます。
事務局には、非常に難しい労使の当然さまざまな意見がある中で、およそバランスよくさまざまな意見を反映したたたき台を出していただいたと思っております。各構成員の先生方の御意見も今日いろいろ伺っていて、それぞれごもっともだと思っております。その点ではなくて、ちょっと私自身考えたことなのですけれども、まず、この制度、基本的には適用拡大の方策が望ましいと私も思っているのですが、1つ非常にボトルネックになるというか、難しくなるのかなと思っているのは、加入する年齢とか加入年数によって実質的に被保険者本人にメリットが生まれない、むしろデメリットになってしまう人たちが現実的には存在するという部分が出てくるのは事実だと思います。
資料で見てみると、例えば30ページの国民年金第3号被保険者の対応というところなのですけれども、やはり40歳代は被用者保険に加入した者が多くて、50歳代ではそれが回避されるということ。それは一つの証左だと思うのですけれども、要は、この中の議論でもありましたけれども、保険加入によって実質的に手取り収入が減ってしまうよというような意見もあって、本人自身が希望しない場合がある。これは例えば22ページですね。短時間労働者自身が希望していないという事業所からの回答が出てきております。そういった意味では、実務上、本人にメリットを感じない制度への加入を強制することができるのかということ、これがやはりなかなか難しいのかなということを一方で感じました。
また、働き方あるいは多様な考え方、働き方に対する多様化も認めていくという全体の趣旨からしても、それはもしかしたら一方ではそぐわないとか、沿わない側面も生まれてしまうのかなということも思いました。
私自身はもちろん、全体としての適用拡大を進めていくべきですし、そこは本旨にすべきだということはもっともだと思っているのですけれども、やはり本人の意思確認という部分はこれから非常に大事になってくるのかなと思いますし、任意適用のところでも、実際に本当に本人の意識確認がしっかり担保された上での運用になっているのかどうかという部分は非常に大事なポイントだと思います。そういった意味では、全体の方向性を踏まえた上で、そういった一部除外といいますか、やはり本人のメリットがないという意思確認がきちんと確認された場合に関しては、当面、そこの部分はある程度柔軟に対応していく。原則は適用なのだけれども、そうでないメリットが生まれない人たちに対しては、やはりある程度柔軟な対応も考えていかなければいけないのかなということも思いました。
さらに最後、31枚目の、これもまた3号被保険者のスライドなのですけれども、わかりやすいのは、要は社会保険加入の魅力度みたいなところで、何とも言えない、わからないとか、やはりこういうところがかなり割合としてはあり、山が2つに分かれてしまっていたりするわけですね。この制度の適用拡大を進めていくという全体的な議論の中で、そもそも社会保険の制度自体がすごく、特に短時間労働者の方々にとってわかりづらくて、メリット・デメリットがそもそもわからない。わからない上に、本人たちの希望がないから逆に言うと雇う側の人たちもその制度を入れていないのだという議論にどうもつながっている。よそういうパスが見えますので、やはりそういうところに関しての周知徹底といいますか、より一層の理解促進というのがどうしても土台として必要なのかなということを感じました。
以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
大体御意見はよろしゅうございますか。
それでは、平川構成員、どうぞ。
○平川構成員 大変申しわけないのですけれども、社会保険の原則について改めて確認したほうがいいと思ったものですから発言させていただきます。個人のメリット、デメリット感で言うと、例えば単期間であっても厚生年金に入っていればそれなりのメリットがあるというのは、原構成員のほうがお詳しいと思いますけれども、それは明らかであります。それはそれとしてあるのですけれども、やはり社会保険は強制適用が大原則だと思っています。それはなぜかというと、例えば高所得者が、私は入らなくてもいい、老後の生活は安心できるから大丈夫だという人も含めて、社会全体で支えていくという位置づけが強制性につながっているという位置づけになっていると思います。そうしないと、例えば医療保険制度なら、健康な人は私は健康保険に入りませんとか、逆に病気がちな人だけが健康保険に入ってしまうと、それは保険として成り立たない。社会保険として成り立たないということがあるかと思いますので、やはり私は社会保険に関しては、原則は強制適用だということを再確認する必要があるのではないかと思いました。
済みません。意見として言わせていただきました。
○遠藤座長 ありがとうございます。
基本的には、まさに社会保険と言われるものは、加入の任意性、強制性で分けているわけですので、そういうふうに分類できるということですね。大前提の議論です。
菅原さん、何かありますか。
○菅原構成員 平川構成員の御指摘は私も十分理解をしているつもりでございます。その一方で、実際に今、制度が動いているわけで、その制度に入れたときにメリットが感じられない方々に対してそれを強制できるのかという実務面のことを考えようと。あくまでも私も原則は強制適用で、適用拡大というところは絶対に譲るつもりはございませんが、デメリットが多く、メリットを感じない方々というのが実際に御本人の短期的な収入の減少というのは実際にデータとして出てきていたと思います。そういった方々に対する対応は必要だと御理解いただければと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
原構成員、どうぞ。
○原構成員 今のご意見に関連してなのですけれども、やはり説明していくということがすごく大事だと思います。個人のメリットとかデメリットなど、そういったものもあると思うのですけれども、制度が入った上で、個々人がどういうことを思い、どう動くかということだと思うのです。そこで自分にメリットがあるかないかと思う方もいるだろうし、それは説明をしていきながら、やはり情報発信ですとか、いろいろな広報などで、こういうことが制度全体からも必要ですし、それは財政検証等の部分からも出てきていますということを伝えていく、あとは個々人から見てもこういうメリットもありますみたいな形で周知していくというか、説明を細かくしていくことが必要なのではないかなと思います。その辺はそういったことで、どちらが先かということがご意見としてはあるとは思うのですが、制度が入ったときは、それに向けて説明して理解していただくというのが必要かと思います。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかに何かございますか。大体よろしゅうございますか。
ありがとうございました。
それでは、このような事務局原案の報告書の取りまとめ案が出されておりますけれども、非常に活発な御意見をいただきました。今後の議論にも非常に重要な御指摘もいただきました。と同時に、また、この取りまとめ案の修文が必要であろうと思われる部分も多々ありました。ただ、いろいろお考えがあることは十分承知しておりますけれども、このまとめ案の内容につきましては、基本においてはおおむねお認めいただけたと思います。ただ、いろいろと御意見もありますので、この文章の修文が必要かと思いますので、そのあたりは事務局に少し整理をしていただいて、必要な修文をしていただき、最終的な取りまとめは私に御一任していただければと思いますけれども、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
では、そのような対応をさせていただきたいと思いますので、事務局、よろしくお願いいたします。
それでは、この取りまとめのその後の扱いも含めて、事務局から説明をお願いしたいと思います。
○古川年金局年金課企画官 どうもありがとうございました。
今後の予定につきましてですけれども、今、座長のほうからお話しいただきましたが、事務局におきまして、本日いただいた御指摘について修正をさせていただき、座長と御相談の上で対応させていただきたいと思っております。後日、構成員の皆様には御報告させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
本懇談会の取りまとめの結果につきましては、社会保障審議会医療保険部会、そして、社会保障審議会年金部会にそれぞれ御報告し、検討を深めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
なお、この後、事務局から、本懇談会の模様につきまして、記者の皆様方に対するブリーフィングをさせていただきたいと思っておりますので、この点、あらかじめ御了承いただければと思います。
最後になりますが、懇談会の終了に際しまして、年金局長の高橋、保険局長の濵谷より御挨拶を申し上げさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○高橋年金局長 年金局長の高橋でございます。
座長を初め、構成員の皆様におかれまして、昨年12月からの長い期間でございましたけれども、8回にもわたりまして、非常に熱心な御議論をいただきまして、大変ありがとうございます。最後に分厚い立派な文書の取りまとめを御協力いただきました。ありがとうございました。
このたびの懇談会におきまして、皆様方からお示しいただきました方向性を踏まえながら、現実に適用拡大によりまして影響を受ける方へも十分配慮しながら、社会経済の大きな変化に対応する形での社会保険の適用拡大、こういうことを初めとしまして、働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応につきまして、社会保障審議会の医療保険部会、年金部会等におきまして、今後、検討を深めてまいりたいと思っております。
構成員の皆様には、今後とも個別に引き続き御相談をさせていただく機会があろうかと存じます。今後とも御指導をいただきますよう、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
○濵谷保険局長 保険局長の濵谷でございます。私からも、これまでの皆様の真剣な御議論に対しまして、改めて御礼を申し上げたいと思います。
きょうの御議論も含め、本懇談会の取りまとめを踏まえつつ、医療保険制度につきましても被用者にとってふさわしい制度保証の実現、あるいは働き方に中立的、選択をゆがめない制度、こういった観点を十分踏まえながら、引き続きしっかりと検討を行ってまいりたいと思います。
本懇談会につきましては、今回で終了でございますけれども、構成員の皆様方におかれましては、引き続き御支援、御協力をお願いできれば幸いでございます。ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、これをもちまして、「働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会」を終了させていただきたいと思います。本当に構成員の皆様におかれましては、御協力のほど、どうもありがとうございました。
それでは、これをもって終了したいと思います。