第125回労働政策審議会安全衛生分科会 議事録

労働基準局安全衛生部計画課

日時

令和元年11月19日(火) 10:00~12:00

場所

専用第22会議室(合同庁舎第5号館18階)

出席者

【公益代表委員】
    城内博(分科会長)、高田礼子、水島郁子
【労働者代表委員】
    漆原肇、佐々木弘臣、佐藤和幸、中村恭士、門崎正樹
【使用者代表委員】
    砂原和仁、中澤善美、中村節雄、増田将史、最川隆由、矢内美雪、輪島忍
(※五十音順、敬称略)
【事務局】
    村山誠(安全衛生部長)、小宅栄作(計画課長)、毛利正(安全課長)、井内努(労働衛生課長)、塚本勝利(化学物質対策課長)、
    中所照仁(主任中央産業安全専門官)、高山啓(電離放射線労働者健康対策室長)
    黒澤朗(労働条件政策課長)、田中佐智子(参事官(総合政策統括担当))

議題

(1)労働安全コンサルタント及び労働衛生コンサルタント規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(2)電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(3)労働政策審議会労働政策基本部会報告書について
(4)副業・兼業の場合の健康確保措置について
 

議事

 

○城内分科会長 それでは定刻になりましたので、ただいまから第125回労働政策審議会安全衛生分科会を開催します。本日の出欠状況ですが、公益代表委員は砂金委員、熊崎委員、三柴委員、山口委員、労働者代表委員は、勝野委員、袈裟丸委員が欠席されています。また、労働者代表に新たに就任いただいた委員の方を紹介します。前回、御紹介できませんでしたが、10月4日付けで佐保委員が退任され、全日本自治団体労働組合総合政治政策局社会福祉局長の門崎正樹委員に就任いただいています。11月19日付けで縄野委員が退任され、全国交通運輸労働組合総連合書記長の佐々木弘臣委員が就任されました。
次に傍聴の方へのお願いですが、カメラ撮影等はここまでとさせていただきますので、御協力をお願いします。
議事に入ります。議題1、「労働安全コンサルタント及び労働衛生コンサルタント規則の一部を改正する省令案要綱について」に関し、事務局から資料の説明をお願いします。
○中所主任中央産業安全専門官 おはようございます。資料の1-1を御覧ください。労働安全コンサルタント及び労働衛生コンサルタント規則の一部を改正する省令案要綱について、諮問させていただければと思います。要綱の本文は縦書きのものですが、学科試験の一部免除を認める部門名について、引用法令の改正に伴い、名称を変更しようというものです。
次に資料1-2を御覧ください。労働安全又は労働衛生コンサルタントとは、労働安全衛生法第81条の規定により、業として事業場の安全又は衛生についての診断を行う者です。この資格を得るためには、学科試験及び口述試験に合格する必要があり、労働安全コンサルタント及び労働衛生コンサルタント規則、略してコンサルタント則はこの試験の実施方法について規定しています。この規則において、他の同等の資格試験の合格者に対し、受験資格や学科試験の一部免除を認めており、技術士試験の合格者も対象となっています。
先般、技術士法施行規則が改正になり、部門・選択科目について見直しが行われた結果、その幾つかについて選択科目名が変更となったものがあります。見直された選択科目の中に、コンサルタント則において学科試験の一部免除が認められているものがありますので、対象となる選択科目の内容について検討したところ、いずれの新科目も旧科目の内容を含んでいることが確認できました。そのため、引き続き免除を認めてよいと判断するとともに、選択科目名が変更になったものについて、その名称を改正するものです。
具体的には、この資料の「2 今回の改正について」の見出しのところですが、農業部門の農芸化学について、農業及び蚕糸と統合して、農業・食品となりました。また同じく農業部門の農業土木については、農村環境の一部と統合して、農業農村工学となりました。さらに、経営工学部門の生産マネジメントについては、ロジスティクス、数理・情報の一部と統合して、生産・物流マネジメントとなりました。
これらについて、コンサルタント則第4条第1項の該当箇所を改正させていただきます。なお、技術士法施行規則改正前の従来の学科免除が認められる選択科目名で、合格した者については従来どおり該当する学科免除が受けられるよう、経過措置を設けることとしています。私からの説明は以上です。 
○城内分科会長 それでは、ただいま御説明いただいた内容について、質問等、発言のある方は挙手をお願いします。よろしいでしょうか。
労働安全コンサルタント及び労働衛生コンサルタント規則の一部を改正する省令案要綱については、妥当と認めることとしてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○城内分科会長 ありがとうございます。事務局で答申の手続をお願いいたします。
次に議題2、「電離放射線障害予防規則の一部を改正する省令案要綱について」に関し、事務局から資料の説明をお願いします。
○高山電離放射線労働者健康対策室長 電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令案要綱について、説明させていただきます。
資料2-1を御覧ください。省令案要綱になっています。中身の説明は、資料2-2を用いて行わせていただきます。資料2-2を御覧ください。電離放射線障害防止規則は、放射線にさらされるおそれのある業務に従事する労働者の放射線障害を防止することを目的として、従来から国際放射線防護委員会の勧告を尊重してきました。同勧告及び、これを受けて国内関係法令への取り入れに関する具体的な指針については、放射線審議会が取りまとめた意見具申を踏まえたものになっています。平成30年3月2日に、第140回放射線審議会総会において、眼の水晶体の放射線防護検討部会が取りまとめた報告書である「眼の水晶体に係る放射線防護の在り方について」が採択をされ、同日付けをもって厚生労働大臣を含む関係行政機関の長に対して、意見具申が行われました。
平成30年3月2日の放射線審議会意見具申のうち、電離放射線障害防止規則に関係する概要はおおむね次のとおりでした。
1、新たな水晶体の等価線量限度の取り入れ。水晶体の等価線量限度を5年間の平均で20mSv/年、かついずれの1年においても50mSvを超えないとすることが適当であるとされました。
2、水晶体の等価線量を算定するための実用量。3ミリメートル線量当量による場所に係る測定については、現時点において場所に係る測定ではICRU球における3ミリメートルの深さでの方向性線量当量を法令に取り入れる必要性は薄いと考えられるとされました。また、3ミリメートル線量当量による個人の外部被ばくに係る測定及び水晶体の等価線量の算定については、今後、正確に水晶体の等価線量を算定することが、事業者等にとって必要となる場合があると見込まれることを考えれば、現行規定を見直し、個人の外部被ばく線量の測定方法として3ミリメートル線量当量を位置付けるとともに、3ミリメートル線量当量で水晶体の等価線量を算定することを可能とするべきであるとされました。
3、緊急作業者に係る水晶体の等価線量の限度については、現時点で緊急作業者に係る水晶体の等価線量限度を変更する必要性は薄く、必要に応じて検討を行うことが適当であるとされました。
4、除染等業務に係る水晶体の等価線量の限度については、除染等業務従事者について、水晶体の等価線量限度を規制に取り入れなければならない状況にはないと考えられるとされました。
意見具申を踏まえて厚生労働省では、昨年12月より眼の水晶体の被ばく限度の見直し等に関する検討会を開催しまして、労働法制にこれらの意見具申をどのように取り入れていくか御検討を頂いたところです。
電離放射線障害防止規則改正の概要にお示ししていますが、検討会の報告結果を踏まえまして、電離放射線障害防止規則を以下のとおりに見直したいと考えています。
マル1放射線業務従事者の被ばく限度について、電離則第5条関係ですが、現行では眼の水晶体の等価線量限度を1年につき150mSvを超えないとされているところを、眼の水晶体の等価線量限度について5年につき100mSv及び1年につき50mSvを超えないとします。
マル2線量の測定、電離則第8条関係ですが、現行では1cm線量当量及び70μm線量当量(中性子線については、1cm線量当量)について行うものとする。ただし、一定の部位に放射線測定器を装着させて行う測定は、70μm線量当量について行うとされているものを、1cm線量当量、3mm線量当量及び70μm線量当量のうち実効線量及び等価線量の別に応じて、放射線の種類及びその有するエネルギーの値に基づき、適切と認められるものについて行うとします。
マル3線量の測定結果の確認、記録等、電離則第9条関係ですが、こちらは現行、眼の水晶体に受けた等価線量について3月ごと及び1年ごとの合計について実施とされているところを、今後、3月ごと、1年ごと及び5年ごとの合計について実施とします。
マル4電離放射線健康診断結果報告書様式、これは様式第2号関係ですが、現行、眼の水晶体の等価線量による区分欄について、45mSv以下の者、45mSvを超え150mSv以下の者及び150mSvを超える者とされているところを、20mSv以下の者、20mSvを超え50mSv以下の者及び50mSvを超える者へ変更し、また各線量による区分欄に検出限界未満の者の項を追加するとします。
マル5附則関係ですが、令和3年4月1日から令和5年3月31日までの間、一定の医師について眼の水晶体に受ける等価線量の限度を1年につき50mSvとするという経過措置を置くことにします。なお、この一定の医師については下の※にあるとおり、放射線業務従事者のうち、遮蔽その他の適切な放射線防護措置を講じてもなお眼の水晶体に受ける等価線量が5年間につき100mSvを超えるおそれのある医師であって、その行う診療に高度の専門的な知識経験を必要とし、かつそのために後任者を容易に得ることができないものとします。
施行期日ですが、公布日は令和2年4月上旬を予定しており、施行日は令和3年4月1日と予定しているものです。私からの説明は以上です。 
○城内分科会長 それでは、ただいま御説明いただいた内容について、質問等、発言のある方は挙手をお願いいたします。
○増田委員 今回の見直しによって、例えば医療従事者の確保に支障が出てくるようなことがないか、眼の水晶体の被ばく限度の見直し等に関する検討会で、どんな議論がなされたか御紹介いただければと思います。
もう一点、公衆からの被ばくや医療被ばく等は、ここの線量限度にはカウントしないということでよろしいのでしょうか。その2点、確認させてください。
○高山電離放射線労働者健康対策室長 お答えいたします。お手元の参考資料1に検討会の報告書を付けていますので、そちらを御覧いただければと思います。報告書の6ページに、検討の経緯とありますが、一般医療における放射線業務に関しては、検討会の中で詳細に検討が行われました。委員が御指摘のとおり、一般医療においては救急医療等の現場で緊急に放射線業務を実施する必要が生じ得ること、放射線業務が患者の救命に直結する可能性があること等の理由から、眼の水晶体の等価線量限度の見直しに当たっては、労働者、患者双方の健康確保が図られることに留意することが重要であるという指摘があり、医療現場においては放射線業務従事者の増員が、なかなか難しいという実態について御紹介がありました。その上で研究班からは、それぞれの医療現場から推薦をされた高い被ばくを受けるであろう医師について介入研究を行い、十分な放射線防護を行うことによって、新たな限度を守ることが可能であろうという根拠を示していただきました。検討会では、これらの根拠をもって、この改正法令を遵守することが可能であるという合意に至ったということです。
また、2点目の御質問ですが、電離放射線障害防止規則は、職業被ばくについての限度ですので、公衆被ばく、一般被ばくについては、この対象ではないということです。以上です。
○城内分科会長 ほかに御発言はありますか。
○最川委員 今の増田委員の意見と同じなのですが、報告書の6ページの中段ぐらいの所で「一般医療では、1年間20mSvを超える割合が高い」ということと、「脳外科医等は1年間で50mSvを超える医師がおり」と書いてあるのですが、その年間50mSvを超える医師が約400名いるという報告を聞いたのです。実際に何名ぐらいいるかというのは分かりますか。
○高山電離放射線労働者健康対策室長 お答えいたします。個線協という個人用バッジについて管理をしている団体からの御報告では、眼の水晶体の等価線量が現在50mSvを超える方々が、一般医療において369名、平成29年度についてはいらっしゃることが報告されています。 
○最川委員 20mSv以上という数字は、分かれば教えていただきたい。
○高山電離放射線労働者健康対策室長 20mSvを超える方々については、2,221名という報告を受けています。
○最川委員 その中で、それだけの人数がいて5年間で100mSvを超える可能性がある方が、50mSv以上も合わせて2,500名ぐらいいると認識しているのですが、その方達が今現在、この防護眼鏡などを使用していなくて、今後それを使用すれば超えないことが可能になればいいのですが、今も既に着けていて50mSvを超えるような特殊な医師が360名もいる中で、本当にその基準が守れるのかというところが、ちょっと疑問です。医療を受ける側としても医師が医療行為を行えないみたいなことが発生しないかという不安があるのですが、それは大丈夫なのでしょうか。
○高山電離放射線労働者健康対策室長 お答えいたします。現状は、眼の水晶体に受ける等価線量限度については、眼鏡による防護をする、しないにかかわらず、頭頸部に付けている放射線測定器の測定量を報告するということになっていますので、記録上は眼鏡の防護が反映されていない数字であるのが前提です。
眼鏡をすることによって、6割程度の遮蔽効果があることが研究班から報告されました。そういうことを考えますと、今後平均して年間で20mSvと考えたときには、眼鏡の中で測定をした場合、報告されている線量の6割は低減される可能性が高いので、現行でいうと50mSvを超える方々が今のままでは法令を遵守できなくなる可能性がある方々ということになります。それらの方々に対して放射線防護をしっかりと適切に行った場合、今後の医療についても影響はないであろうということを、実際に介入の試験をしていただきまして、その結果を基に検討会では合意を頂いたという経緯です。
○最川委員 私も医療関係ではないので、本当に守れればいいのでしょうが、使用者側として発言すると、そういう医療で50mSvを超えている方が防護めがねの使用等で6割低減したとしても、20mSvぐらい。年間50mSvを超えている方が369名いて、その方達は少なくとも20mSv以上は被ばくする可能性があると感じているのですが、それを超えてしまったときに事業主側として医療行為をやめさせなければいけないというようなことが発生して、本当に困らないのかなと思っているのですが、その辺は大丈夫なのですか。
○高山電離放射線労働者健康対策室長 先ほど説明させていただいた資料2の(2)を御覧いただきたいのですが、検討会のメンバーの中に医療関係の方々にもしっかりと入っていただいて、御議論を頂いたということです。
今回の改正案のマル5の経過措置は、御指摘いただいたような懸念というか不安というものが、医療の中にはあるということを踏まえて、かなり限定した医師については、一定期間、1年につき50mSvを超えないことにするということです。この間に人員も含めて、医療現場は真にこの法令を守る体制を作っていくということで、合意を頂いたという経緯です。以上です。
○漆原委員 実は自分もこの検討会に参加をしていまして、労働組合の立場からも発言もしてきたところです。検討会の議論と途中で、特別に調査を実施することとなり、いわゆるトップランナー、先進的な技術をお持ちの医師のばく露状況を調査したところです。特に手技の優れている先生の所に難しい症例の対応が求められ、結果として件数を積み重ねていくことになるので、そういった先生方がどれだけばく露をするのかを調査するとともに、実際に放射線防護眼鏡をちゃんとしていただく、または、防護板の角度を若干調整するなどの介入により、被ばくを一定程度防げるということが分かりました。
先ほど、介入と言われたのは正にそういった手法で、それをやることによってばく露を防いでいく。この資料の裏の所の右の一番下に、経過措置が更にあります。そうはいっても超えてしまうこともあり得るので、仮にそういうことがあった場合についても、猶予措置を設け、その間にばく露低減の努力をする。具体的には、0.07mm鉛当量の軽い防護眼鏡では余り防げないので、より鉛当量が高く、かけ心地のよい防護眼鏡を業者に開発をしていただいて、眼を守ることができないか。それにどれくらいの年数が要するのかといったときに、3年ぐらいかかると。であれば、ここの経過措置の間に、そういった新たなものを開発して、眼を守るような形で何とかできないかということを含めて、期間が設けられているところです。さらに、その間に必要な準備を病院側として、例えば、労働安全衛生マネジメントシステムの導入というようなことも考えられるのではないかなというところです。以上です。
○村山安全衛生部長 労使双方から、ありがとうございました。御懸念の点は、大変重要な点だと私どもも認識しています。漆原委員から御説明いただきましたように、循環器学会、眼科学会、整形外科学会、消化器病学会、更に医学放射線学会等の方々にも入っていただいた上で、実証的な介入時のデータも踏まえての結論ということは一方であるわけですが、同時に労働安全衛生マネジメントシステムの導入の促進など、私ども安全衛生行政でもしっかりと対応していくものが残っています。最川委員の御懸念をしっかりと払拭できるように、今後、施行に向けて対応していきたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。
○城内分科会長 ほかに何か御発言はありますか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、「電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令案要綱について」は、妥当と認めることでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○城内分科会長 ありがとうございます。それでは事務局で、答申の手続をお願いいたします。
次に議題3、「労働政策基本部会報告書について」に関し、事務局から説明をお願いいたします。
○田中参事官 政策統括官付参事官の田中でございます。私から労働政策審議会労働政策基本部会の報告書について、御報告をさせていただきます。資料は3-2の概要と、参考資料の2-2を付けております。参考資料集を適宜参照させていただきながらお話をさせていただきます。まず、この労働政策基本部会の報告書ですが、昨年議論をいたしまして、令和元年9月11日に労働政策審議会に御報告をし、了承を頂いたものです。この労働政策審議会の場で、各分科会で参考とされるというようなこともあるだろうから、それぞれの分科会においても紹介をしてほしいということが、会長からありまして、この場をお借りして御報告をさせていただくものです。
まず「はじめに」の所にありますが、今、AI等の新技術に代表される産業革命は、非常に進展をしております。それによって仕事の在り方が変化をしてくる。こういったような技術面の影響の背景とともに、御承知のことながら、人口減少が加速化しておりますので、そういったような中での職業生活を考えていかなければならない、このような現状にあります。そういう現状の中ではやはりAI等を積極的に活用するということで、労働生産性の向上を通じた経済成長の基盤となるということが期待されるとともに、同時に個々の労働者について見ても、自らの力を発揮して仕事ができる環境を作るということが可能になってくる。そうすれば、労働者のそれぞれの満足度、幸福度が向上する。ひいては日本の豊かな将来につながっていくということが期待をされています。
マルの2つ目、一方で、AI等で代替されるタスクは存在をしますので、そういうようなタスクから構成される仕事の減少をもたらす懸念があります。そうしたときに、労働者がタスクの変化にともなって、スキルアップをしたりキャリアチェンジをしたりというようなことが必要になってまいりますが、これにどのように対応していくのかといったことが新たな課題となってまいります。
こういう中で、本論に移らせていただきますと、質の高い労働の実現のためのAI等の活用ということで、どういったような分野でどういうようなAIが活用されてくるかということですが、少し参考資料集などを見ていただきますと、ここでAI等と広く言っておりますが、参考資料集の5ページから、具体的に最近、どういったような導入が進んでいるAIといったものがあるかということを御紹介させていただいております。RPAということで、事務処理の面でのAI等がありますし、ここは結構事務処理のものが書いてあるのですが、チャットボット、AI-OCR、AIによる分析といったようなことが、現在も実装されてきております。
そこで、どういうことが今後起きてくるかということですが、1の(2)にありますように、就業構造の変化です。就業構造については、参考資料の2ページ辺りからありますが、今、足下を見ますと、産業別では医療・福祉の就業者数が増加をしていると。職種別では事務従事者の割合が2割になっています。雇用形態で見ますと、サービスや事務には非正規雇用の労働者の方が多くて、その多くは女性であるというようなことが現状です。
今こういう例があると御紹介しましたAIですが、これまでのIT化ですとか、そういうようなものの中では、どちらかというとその生産現場に機械が導入をされるというような形での技術が導入をされてくることが多かったわけですが、今後はこういうような事務の分野、(2)のポツの3つ目に書いておりますが、介護や自動車運転など、今までは人でなければできなかったような業務にAI等が導入をされてくるということが見込まれております。そうしますと、やはり事務の従事者が非常に多いというようなことを考えますと、今後は労働力不足基調の中でも、それぞれのミスマッチという観点から考えれば、事務の従事者といったようなところに過剰感が強まり、むしろ専門的な技術的職業に不足感が高まるということが想定をされております。
一方で介護とか自動車運転の業種、職種で見ますと、現在、人手不足であったり、またそれに起因する労働者の心身の負担等が課題となっておりますので、むしろこうしたような分野では、AI等を活用した省力化によって人手不足への対応ができる。それから、労働時間の短縮とか、様々な危険を伴う業務の安全性の向上というようなことを通じて、快適な職場環境の実現が可能になってくるということが見込まれております。
次の1の(2)の続きです。では、どのように今AI等が実際に企業によって導入をされているかですが、やはり企業の大きさによって導入状況が異なります。導入をしない理由としては資金的な制約、導入したらどうなるということが明らかでないとか、導入のためのノウハウを有していないといったようなことが考えられておりますので、今後は人手不足等の課題解決が必要な分野で、AI等の積極的な開発や実装が進むというような政策的な対応も必要になってくると考えられます。
次の(3)ですが、産業構造の変化と雇用の影響がどうなるかですが、AI等によってイノベーションが生まれます。そうすることによって産業構造が変わっていく。そうするとこれは新しい産業、新しいビジネスチャンスにつながるというようなプラスの面もありますが、既存産業についての在り方が大きく変化をするということが考えられておりますので、そういうような変化が雇用・労働に及ぼす影響については、しっかり関係者で議論をしていくことが必要であると考えられます。
次にいっていただいて2、実際にAI等の普及により求められる働き方の変化ということで、個々の現場でAI等を導入するに当たって、どのようなことが必要になってくるのか、どういう課題があるのかということですが、まず、労働環境の変化への対応方針の協議という所を御覧ください。AI等が今後入ってくるということで、業務の内容というのが変わってくる。求められるスキルは変化をするということが見込まれます。
それを見越してどういうようなスキルが重要なのかという点につきましては、この図の2にもありますように、労使間で認識の違いがある部分も見られます。人間的資質ですとか、論理的思考といったような業務遂行能力について、より企業の方のほうが重視をしているというような状況が見て取れます。こういった認識のギャップを埋めながら、共通の認識の下で、AI等の導入を進めていくということが非常に重要であると考えております。
2ポツ目にありますように、かつても様々な新技術の導入に際しましては、職場の労使間で認識をすり合わせて配置や職種の転換、処遇の見直し等々について、納得を得ながら対応をしてきたのが我々の過去の経験です。そうしますと、やはり今後、AI等を導入するということに当たりましても、過去の対応を参考にしながら、導入に応じて、労働条件や労働環境がどうなっていくのか、そのためにどのような教育訓練が必要なのかといったことを、労使のコミュニケーションを図りながら進めていくというようなことが重要になってきます。
そういうような中で一番下のポツですが、先ほど申し上げましたようなAIの今後の導入については、管理職も含めて幅広い職種の業務が代替される可能性がありますし、また、かつてと比べて労働組合の組織率は低下をしている、また様々な雇用形態、バックグラウンドの労働者が同一の事業所にいるというようなことが現在の状況ですので、そうしますと労働組合が存在しない職場での労働者の交渉力をより高めるための方策についても、今後も技術革新が進展する中において、様々議論を深める必要があると考えられます。
時間もあるので少し飛ばしていただきまして、次の所辺りは、AI等が進展をする中で協働に必要なスキルアップ、キャリア研修に向けた支援ということを書いております。
(4)ですが、AI等の活用が進む中での労働者の支援ですが、AI等の活用が進むということによって、ポジティブな面が多くあり、またそのポジティブな面をいかに活かしていくのかということが重要ですが、やはり様々な要因から、AI等に対応できない労働者が生じる懸念も示されております。そのような人が労働市場から排除されないで、社会に包摂されるようにすることにも留意が必要で、教育訓練機会の提供といったようなことから始め、社会全体で支えていくということを、福祉面も含めて議論が深められることが今後期待をされております。
最後の3の所が、働く現場でAI等が適切に活用されるための課題ですが、まずAI、様々な大きなデータを扱いますので、プライバシーの保護とか、セキュリティの確保が必要になってまいりますし、AIによるバイアスの可能性もありますので、その判断に関して、企業の責任・倫理感というのが、これまでにも増して求められることになってこようかと思います。
最後ですが、AI等がもたらす時代の変化を見据えた政労使のコミュニケーションの重要性ということで、やはり労使が共通の認識の中で進めるということが、よりポジティブな面をよりポジティブに活かしていけるということが期待をされておりますので、今後政労使間の対話について、継続的に進めていくことが必要であるということを、最後に書かせていただいております。
今後ですが、この報告については、この報告で一旦は終了ということですが、この報告の中でもAI等の導入に際しての労使コミュニケーションについて議論を深めるべきということが提言をされており、先般の労働政策審議会でも、その方向で進めるというようなことになりましたので、今後、別途の検討会を設けまして、議論を進めていくということにしております。私からの報告は以上です 。
○毛利安全課長 安全課長の毛利です。私から厚生労働省での取組状況について説明をいたします。資料は3-2で、今の報告書の1の(2)が一番上の四角です。危険を伴う業務の安全性の向上により、快適な職場環境を実現することなどが求められる。このため、関係者の連携を促進することや、実証実験等を進めることを含め、政策的な対応について検討することが必要である。このようになっております。
真ん中の四角ですが、厚生労働省においては、製造業安全対策官民協議会を開催しております。これは裏の参考資料にありますが、石油連盟、セメント協会などの製造業の業界団体、経済産業省と当省において、大学教授に知恵をお借りしながら、安全対策の情報と認識を共有し、今後実施すべき効果的な対策について検討する場として、定期的に開催しているものです。平成29年3月に設立されまして、これまでに年間に協議会が2回程度、加えましてワーキンググループ、サブワーキンググループを数回開催しているというものです。近年、IoTあるいはAIの最新技術の進歩により、これらを活用した製造現場での安全向上に資する新たな取組事例が見られることから、この協議会では今年度から新たな取組として、デジタル技術を活用した安全対策事例の収集と現地視察を実施しているところでございます。
一番下の四角になりますが、先進的な事例を学ぶ機会として、ダイセル播磨工場の視察を行いました。これはエアバックのインフレータを作るラインにおいて、そうした技術を導入しているということでしたが、ダイセルと日立製作所が共同でシステム開発をいたしまして、カメラを設置しまして、作業員の手、肘、肩の関節の位置をデータとして取得する。基準となる動作と実際の動きを比較しながら、人の逸脱行動を検知するということで、作業員の危険作業の未然防止を図っていくというものでした。メンバーがそういった状況を視察いたしま、して、意見交換を行ったもので、こうした成果を全国産業安全衛生大会等で情報発信を行いました。以上、私からの説明でございました。
○城内分科会長 ありがとうございました。本件について、質問等発言のある方は挙手をお願いいたします。
○輪島委員 ありがとうございます。まず3-1のほうですが、最後に御報告を頂きましたが、後継の組織で継続的にこれから労使コミュニケーションの重要性を御議論いただくということですので、また引き続き大変重要な議論だというように思いますので、しっかり議論することについてお願いをしておきたいと思っております。
それから、資料3-2ですが、今御紹介を頂いた点はとても重要だと思っております。安全衛生の分野、労働災害の分野も含めて、このAI等の新技術を活用して、できるだけ予防に資するような観点が非常に大事なのではないかと思っています。
もう1つ、製造業の取組ということで、これはこれで大変重要だと思いますが、やはり労災等々が増えている、非製造業での工夫、先進的な事例を見つけて、なるべく横展開をし、労災の防止にもつなげるというようなことも大事なのではないかなと思っておりますので、その点またいろいろ議論を重ねていくということが必要ではないかなということで、お願いということです。以上です。
○城内分科会長 そのほか御発言ありますか。
○高田委員 御質問させていただきます。資料3-1の3、働く現場でAI等が適切に活用されるための課題の(2)の所に、AIによる判断に関する企業の責任・倫理という記述がございます。その中で、企業が倫理面で適切に対応できる環境整備が求められるということがありますが、こちらについては何かガイドライン等を示される、そうしたような御予定はあるのでしょうか。何か具体的な方策、お考えがあったら教えていただきたいなと思います。
○田中参事官 御質問にお答えをいたします。この報告等の中でこういうような形で書かせていただいておりますが、現時点においてここの部分について、ガイドラインを設定するといったようなことを、この中で考えているものではございません。企業の責任・倫理の所につきましても、今後労使コミュニケーションをどう図るかということで、企業がどのような説明をするかというような議論にもなってこようかと思いますが、AI等はなかなか広い分野ですし、これからの分野ということも考えますと、すぐ何かこういうガイドラインを作って、どういう倫理だったらいいというようなことを労働の分野でできるかは、まだ少し時間が必要なのではないかと思っております。 
○高田委員 ありがとうございます。
○城内分科会長 その他何か御発言ありますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、本議題についてはここまでとしたいと思います。続きまして、議題4、「副業・兼業を行う場合の健康確保措置について」に関し、事務局から説明をお願いいたします。
○小宅計画課長 資料4によりまして御説明させていただきます。まず1ページですが、前回、検討会がまとまったということで御報告したときに出た御意見を整理させていただきました。1マル目、2マル目については、今後のこの分科会での議論の進め方についての指摘ということで、労働基準法、つまり、労働時間と安全衛生と労災の議論を並行的にやっていく必要があるのではないか、というような御指摘がありました。3つ目ですが、事業者の下で労働している以外の時間は自由と、そこを管理となると、つまり、他社での労働は管理がなかなか難しいというような御意見です。4つ目ですけれども、健康確保措置を考える上で産業医は重要な役割を果たすわけですが、その中でも勧告権というのがあって、それは選任されている事業者に対してのみ有効で、副業・兼業先の企業に対してはなかなか機能しないのではないか、そういったことも考慮すべきなのではないかという御意見です。5つ目につきましては、労使双方からということかと思いますが、政府が積極的に推進するべきものかというような御指摘で、企業実務として運用が難しいとか、あるいは、副業・兼業しないでも生活できるというのが重要ではないかと、そういう観点での御指摘かと思います。ただ、一番下にありますように、そういった中でも、現に副業・兼業している方がいらっしゃるわけですので、そういった方についての保護は、それはそれで検討の必要があるのではないか、というような御意見だったかと思います。
次の3、4ページです。検討会の報告について、前回も御報告したわけですが、もう一度簡単に御説明させていただきます。4ページのほうに、一応考えられる対応策の案、選択肢の案ということで、3つほど載せられております。マル1-1ですと、副業・兼業している労働者について、自己申告によって副業していることを把握して、通算した労働時間の状況を勘案して、面談とか、その他の健康確保措置を講じるように配慮しなければならないという、そういう責務を事業者に課すものです。その下の2つのポツが内容の説明ですが、一番下の所で、論点として、この措置のみでは不十分ではないかという指摘があり得るということで、労働者自身の健康管理がより重要になってくるのではないかという論点が示されております。
次にマル1-2です。事業者が労働者の自己申告によって副業・兼業していることを把握して、通算した労働時間の状況が、残業が一定時間数を超えている場合には、労働時間の短縮を講ずる等の措置を講ずる。労働者に対して、副業・兼業先との相談その他適切な措置を求めることを義務付ける。労働者の申出を前提に、医師の面接指導、その他の措置を講ずることが考えられるのではないか。2ポツ目、3ポツ目として、論点として、こういった場合でも申告と書いてありますが、労働者のプライバシーへの配慮が必要ではないか。ほかの事業者の労働時間を直接コントロールすることができないという理由から、こちらにおいても労働者の自主性を尊重した措置にならざるを得ないのではないか。3ポツ目ですが、事後措置まで視野に入れた場合、所定労働時間の長さ等により、事業所間で差をつけることも検討課題ではないか、というようなこと。
マル2ですが、通算した労働時間の状況を把握せずに労働者が申告を行った場合、医師の面接指導とか、ストレスチェックとか、現行の健康確保措置の枠組みの中に何らかでも組み込むというような案です。論点として、2ポツ目に、ストレスチェック制度については、常用の労働者が50人未満の場合には、実施が努力義務となっていることに留意が必要である。こういった選択肢が示されているわけですが、共通の課題というのが3ページのほうに書いてあります。
まず、1の(1)「健康管理について」で、1つ目は現行制度の説明ですが、現行の労働安全衛生法で、事業者に対して、定期健診、ストレスチェック、長時間労働者への医師の面接指導等が義務付けられている。労働者の健康状態に応じて、必要な就業上の措置を行わなければならない。ただし、対象の労働者の選定時、複数の事業者間の労働時間を通算することとはなっていない。そのような現行制度になっていると。このため、以下の課題が考えられるということで、検討する上での課題、共通の課題というのがまとめられています。
2つ目の「ただし」の所ですが、ただし、副業・兼業している者について、何らかの健康確保対策を取るとしても、限定的なものとならざるを得ないとされています。その理由が真ん中の所にあります。その理由の1つとしては、「ただし」の段の1行目の後ろのほうですが、事業者は副業・兼業先の労働まで把握しきれないことから、仮に労働時間管理と同様に、事業者に通算する義務を課すとしても、その義務に基づく措置は本業の労働に限定され、副業・兼業先の労働には及ばないことから、自社のみで働いている労働者に対して講じることのできる措置と比較すると、限定的になり得る可能性があると。
産業医については委嘱されている事業者との関係で、専門的な立場から健康管理の一端を担っているので、委嘱関係にない副業・兼業先の労働について直接的に対応することは困難である。どちらの事業主の下での労働がどれだけ健康に影響を与えているかの判断が困難である。3つ目として、衛生委員会についても、どちらの事業主の下での労働がどれだけ健康に影響を与えているかの判断が困難であるため、調査審議することができない、というようなことが述べられております。その下の(2)は重複しますので割愛させていただきますが、考える上で、このような論点があることがまとめられております。
5ページを御覧ください。現行制度の御紹介です。先ほどの検討会報告で、産業医の役割機能は重要だとされていたところですが、産業医の選任義務は、常時50人以上の労働者を使用する事業所であること。職務内容としては、健康診断、二の面接指導、三のストレスチェック関係等です。一番下に産業医の定期巡視と書いてありますが、安衛則上、事業所の実態を把握していただくことが必要ですので、原則、毎月1回以上巡視することが定められています。次のページにも出ていますが、衛生委員会にも参加するということで、職場の実態を踏まえた上での、産業医としての仕事ができるような仕組みになっているということです。
6ページを御覧ください。先ほどの報告書の中で衛生委員会のことに触れられておりましたが、一定以上の労働者数の所に設置義務がかかっていて、構成として、マル3で産業医が入っている、※で労働組合の推薦による方も半数が入るようになっているということです。調査審議事項として、七の健診の関係、その他の健康確保措置について調査審議するということになっております。
7ページですが、健康確保措置の代表的なものとして健診制度があります。これは事業者に義務がかけられており、労働者にも受診義務があるというもの、健診項目は記載のとおりです。8ページですが、長時間労働者に対しての面接指導で、時間外・休日労働が月80時間以上の方について、申出を基に面接指導する。必要があれば、そのための対策を事業主の方に取っていただく流れになっております。次のページがストレスチェックの関係です。報告書にもあったように、現時点では50人未満は努力義務とされておりますが、ストレスチェックをして、必要に応じて、面接指導を通して改善のための措置を講じていただく。右側のほうに、個々の労働者の状況だけではなくて、職場ごとの分析をして、職場ごとの改善も同時に進められていければ、というような仕組みにもなっております。以上が現行の制度です。
10ページ、どのぐらい履行されているかです。定期健診については91%、面接指導については68%。統計の取り方でして、※2の下のほうですが、一部実施したという所が7.9%となっています。ストレスチェックをしたのが78%です。
最後、11ページです。ここは資料が手薄で申し訳ない部分なのですが、労働実態はどうなのかというところです。検討会報告でも、長時間労働になりがちだという御指摘がありました。3種類のグラフを使って比較しております。直接的にピタッと比較できるものがなかなかないものですから、参考までということで付けております。検討会資料と書いてあるものについてはJILPTのほうで調査いただいたもので、本業の労働時間と、副業としてやっているもののうち雇用の分の時間を足しております。週60時間以上という方がこの割合です。その下の労働力調査ですが、副業を行っている場合には、その時間も含めた調査ということです。下のほうの参考で、これは就業構造基本調査で、副業の実施の有無にかかわらず、主な労働時間のみということで、取り方が必ずしも一致していないのですが、比較してみると、副業・兼業しているほうが長いのではないかと若干示唆されるような結果になっているのではないかということです。以上、御説明でございます。
○城内分科会長 本件について、質問等、発言のある方は挙手をお願いいたします。
○漆原委員 今回から、この分科会としてもこの議論をスタートするのだと認識しています。改めて、前回も発言させていただいたのですが、検討のスケジュールについて、例えばどこぐらいの時期をめどに、毎月どのぐらいの頻度で検討するかというところをお聞かせいただいた後に、意見を述べたいと思います。
○小宅計画課長 検討の進め方ですので、皆様の御意見も伺いながらと考えております。何か確定的な期日があるわけではありません。ただ、ほかの分科会の動きとも並行的に議論すべきだというような話もありまして、ほかの分科会、例えば労災部会などでは一定の方向性が出されるかもしれないということであれば、出された結論が実際に機能していくという段階で、何かこちらとしても対応すべきものがあるのかということなども念頭に置きながら、皆さんに御意見を伺いながら進めていければというように考えています。 
○漆原委員 副業・兼業の検討については、労災保険などでも進んでいることは承知していますが、安全衛生についてはそれ以上に格段に重要な議論だと認識しています。慎重かつじっくりとした議論が必要ではないかなと思います。
その上で意見を述べさせていただきます。この4ページの所に、例えばマル1-1、マル1-2、マル2とありますが、どこも「労働者からの自己申告」というような記載があります。自己申告により副業・兼業の把握をするというところなのですが、まず、もし仮に労働者自身に自己申告を求めるのであれば、まず申告すべき副業と兼業の定義というものが定まっている必要があるます。何をもって副業・兼業とするのか。ニュースで以前見たのですが、株の取引をやって副業と認められたという例もありますので、労働者側からすれば何が副業なのか、何が兼業なのかというのを、まず明確に定義した上で周知することが必要であるのかなと思います。もし、仮にここで、副業と兼業先については、「雇用されて労働時間を管理されていること」と定義した場合、労働者が法定時間外の労働の制約を避けるために届出をためらうことも考えられますし、また、対象とならないことを理由に、業務委託などの非雇用の副業・兼業が増えてしまうことも懸念しているところで、こうなってしまうと、時間管理など本来あるべき労働者保護というところからすれば問題があるのではないかと思っているところです。
また、そういったことが生じる可能性を勘案すれば、仮に労働時間の通算のために、労働者に自己申告を前提とした場合であっても、健康管理のための実際の労働時間の通算の困難さが解消されるとは思えない、つまり非雇用のところの副業をやられてしまうと通算できないことから、実効性ある健康管理自体ができなくなってしまう懸念があります。
本業に加えて副業・兼業をすることで、労働時間が長くなるというのは明白だと思っていますので、取り分け安全衛生に基づく健康確保ということについては、非雇用の副業・兼業であったとしても然るべき対応が必要なのではないかなと考えているところです。
○城内分科会長 そのほかにございますか。
○佐藤委員 今の漆原委員の発言に関連して、発言の中にもありましたように、仮に副業の定義を時間管理されている雇用就労と定義するということであれば、政府としては副業・兼業を推進されているわけですが、保護する副業・兼業の従事者は雇用労働のみであり、非雇用従事者は保護の必要はないという理解になるのかどうか、その辺りの考え方を改めて確認しておきたいと考えています。もちろん、副業・兼業の普及促進のために労働者の健康確保が置き去りになってはならないということは前提に置いた上での質問です。どうぞよろしくお願いいたします。
○城内分科会長 現時点で、事務局からお願いします。
○小宅計画課長 まず、対象労働者の範囲ということですが、現在、労働安全衛生法についての御議論を頂いているということだと思います。その観点からすると、また現行制度において、どこにいつも規制の網が掛かっているかということからすると、雇用労働者ということになっていると思います。その上で、どこまで議論していくかというのは、正に御議論をどう考えていくかということだと考えております。
ただ、現行、雇用労働者についての法規制がなされているというところを考えますと、かなり根本的な議論、兼業・副業の議論と言うよりは、そもそもの安全対策がいかんというような大きな議論なのかなと受け止めております。
それから、非雇用について、保護なり規制なりをしないということは、政府として対策が不要と考えているのかということですが、これもこの場で御議論いただいているのは、安全衛生法という体系のことかと思っています。一方で、自営業者というものについてのいろいろな対策あるいは保護というのは、経産省なり下請法とか、いろいろな体系の中でなされているものかと思います。それぞれの法体系の中で役割分担をしながら、総合的にどう考えていくのかという面もあろうかと思います。
○城内分科会長 そのほかにございますか。
○佐々木委員 先ほどの漆原委員と佐藤委員の発言と似たような意見にはなるかと思うのですが、個人事業主であったり、また委託、請負契約などによって、労働基準法上の労働者ではない者としての副業を行う場合、労働基準法上の管理監督者として副業を行う場合、これは確かに労基上であったり、安全衛生法上の労働時間規定は適用されないということに現行はなるのかもしれませんが、その場合においても、労働者が過重労働にならないように、何らかの方法によって自己申告という方法しかないのかもしれませんが、労働時間を申告してもらって、しっかり把握していく。あるいは長時間労働への制限を掛けていくことは必要になると思います。
少し違った観点から申し上げます。私は交通運輸産業の出身ですので、その立場から発言させていただきます。これは1例ですが、自動車運転手については、改善基準告示の中で休息時間、勤務と勤務の間のインターバルが8時間という定めがありますし、それ以外にも拘束時間でしたり、運転時間、休日労働の制限というのが掛かっております。そういった定めがある中で、これは事業者が厳格に管理をする中で、現在の安全運行を確保しているという実態があります。
そういう観点から見ても、労働時間が管理、把握できないということになると、当然労働者の保護でしたり健康管理の面というのはありますが、併せて利用者の安全確保といった観点からも問題があるというように思っております。これは1例ではありますが、それらのことも踏まえると、何らかの形で労働時間の管理、把握は必要であると私も思うところです。その点はいかがでしょうか。
○城内分科会長 計画課長、お願いします。 
○小宅計画課長 直接的には労働者の安全を確保することが法目的ではあろうかと思いますが、その結果としてそういうものに波及効果があるということはそのとおりだと思いますので、そういうことも踏まえた上で、この安全衛生法の中で、どこまで役割分担をしていくのかという御議論を頂ければと思います。 
○漆原委員 今、佐々木委員から御発言があったところですが、例えば8時間のインターバルの間に非雇用の副業をした場合、そうすると安全衛生法ではどうすることもできないと、では、その部分についてほかの法律で担保できものなのでしょうか。つまり、そこで適切に休むという担保ができなければ、労働時間管理が野放図になってしまいますので、それは健康管理という点からどこかで引き取らなければいけないと思っていますが、それについてはいかがでしょうか。
○小宅計画課長 今の具体的な御質問でして、改善基準の詳らかでない部分もありますので、直接的なケースについてのお答えは後日調べてからと思いますが、それぞれの法体系の中でどこをどう規制するかというところについては、そういった細かい議論も踏まえてやっていく必要があろうかと思います。その上で、安全衛生という観点で、どこまでやらないと実効性が出ないのかというところは、皆様からの御意見を踏まえながらやっていきたいと思います。それぞれいろいろな規制レベル、運用上の通達ですとか、省令で決めるべきだとか、あるいは余り法令でガチッと決めるよりは運用実態に応じてのガイドラインのようなものがいいとか、いろいろあろうかと思いますので、そういったところは御意見を伺いながらやっていければと思います。
○城内分科会長 そのほかにございますか。
○輪島委員 なかなか厳しい議論だと思います。まず、資料4の2ページ目の2つ目のマルですが、若干私の発言かなという気がするので、適切に意を汲んでいただいているのではないのではないかと思うので、補足だけさせていただきたいと思います。
健康管理についてですから、「安全衛生分科会の中でやらなければならなくなってしまう」というネガティブなことを言ったつもりではなく、むしろ健康管理については安全衛生分科会のほうが先に出て議論をするべきだというように発言したつもりなので、私の発言であれば資料を訂正していただければ有り難いと思います。
それから、漆原委員から御指摘の労災ですが、私もパッケージでやるべきだということで、前回発言しました。労災保険について言えば、ある意味で兼業・副業というような実態が今もあって、その中での労働者保護ということで、労災事故が起こったことについてどう考えるかという観点でいけば、労災保険についての議論を先行させるということについては、使用者側としてはやむを得ないのではないか。また、今後の中ですが、労災保険法の中で、どのように負荷の合算や給付の合算をするのかということについては、議論を尽くして結論を得たいと考えているので、その点については、整理としては使用者側としてはそのように思っています。
今、労働側から幾つか御意見があった点で、もっともだなというように思うのですが、やはり基本的に労働時間を通算するという原則があって、それから1日8時間、週40時間という原則もあって、A社で8時間働いた後にB社で働けば、B社のほうが1時間目から時間外労働だし、月から金で40時間を超えれば、土曜日に仮に休日出勤になったときに、40時間を超えてしまうので、A社でも時間外労働が発生するという、根本的な超えられない範囲の中で、兼業・副業について議論をするという本当に難しい議論です。その中で、そこは労働条件分科会の議論なのですが、先ほど第1点目で申し上げたように、そういう中でも労働者の健康管理をどのようにするかということが重要なのだと思います。それをどうやって確保するのか、担保するのかというのをこれから議論するというように思っています。
その点で言うと、やはり勤務間インターバル制度も努力義務になっている中で、政府が旗振りをする兼業・副業についてどのような解があるのか。それから、佐々木委員が御指摘になった自動車運転手のほうも、かなりそこはリジットにやらなければならない中で、そういうことが許されるのかどうかということになると、前提として兼業・副業をするということを促進するゾーンと言うかターゲットと言うか、誰を対象に促進して、誰に注意を払うのかというような、少し前段の議論が必要なのではないかと思っているところです。
○城内分科会長 そのほか、御意見はございますか。
○最川委員 今の意見で、資料4の2ページの2つ目のマルの所の意見で、私の意見も反映されたのだと思うのですが、今言われたとおりで、私も「やらなければならなくなってしまう」と発言したかもしれませんが、そもそも超えないような議論が先にあるべきだということで言ったので、労働条件分科会等と一緒に議論を進めていかなければいけないという意味で発言させていただきました。もし文章を変えるようでしたら、そういう意味で変えていただきたいと思います。
それと、今おっしゃった意見と全く一緒なのですが、そもそもターゲットと言うか、兼業・副業を推奨していくターゲットが全く見えていないのです。それが、兼業・副業をされる方に時間を超える前提というところで、管理だけが事業者に責任がいくというような議論にならないでもらいたいというところを、再度お願いいたします。
○城内分科会長 前回の御指摘等のところは、修正が必要かなと思いますけれども、よろしくお願いいたします。そのほか、御意見等はございますか。
○中村(節)委員 中小企業の立場として、要望を2点述べさせていただきます。資料4の3ページにある兼業・副業の普及推進に当たっては、健康確保の充実と実効性のある労働時間管理の在り方が重要とされています。時間管理が健康確保のベースとなることを踏まえまして、実効性のある労働時間管理の在り方については、十分に時間を取って御検討いただきたいと思います。
それから、中小企業においてですが、今年の4月に施行されている年5日の有給休暇の取得、それから来年4月施行の時間外労働の上限規制など、働き方改革関連法の対応のために、労働時間の適切な把握に努めているところです。副業・兼業の普及推進により、事業主が時間管理に関して更に大きな負担が発生しないよう、十分な配慮をお願いしたいと思います。
○中村(恭)委員 基本的なところになるかもしれないのですが、先ほどの議論の中でもお話のあった部分で、繰り返しの部分もあると思うのですが、副業・兼業に関する安全配慮義務は、もちろん労働者の保護、安全ということを大優先にして議論していかなければならないと思います。我々、労働者の立場から発言させていただきますと、やはり通算などの考え方がなければ、個々の事業場において、これまでどおり安全配慮義務を事業主にはきちんとやっていただくというところは基本だと思っています。
その上で、報告書では健康管理について、事業者が副業・兼業をしている労働者の総労働時間を勘案した上で労働時間の短縮などを配慮しなければならないというようになっていますが、我々労働者から言えば、労働者の自己申告というところも先ほどから出ていますが、複数の事業者間で、どのように事業者が配慮すべきかといった観点で議論をすることが必要なのではないかというのが1つです。
加えて、先ほど漆原委員も発言されていましたが、副業・兼業に対する根本的な定義と言いますか、どういったことを焦点にして議論するかということを政府、事務局側から御提案いただかないと、なかなか進まないのではないかと思っておりますので、そこら辺に対するお考えを聞かせていただければと思います。
○城内分科会長 では、計画課長のほうからお願いします。
○小宅計画課長 幾つかあったと思いますので、まとめてですが、分科会長から御指示もございましたので、資料については修正を図りたいと思っています。
それから、最後に中村委員から、事業者のほうで安全配慮義務を果たすことができるようにしなければいけないというような御指摘があったかと思います。その上で、果たすということは、つまり一番分かりやすいのが健診なり長時間労働者に対する面接指導なり、ストレスチェックをしてということだと思うのですが、この報告書の中でも、それをするに当たって、やはりほかの事業所のところについてはなかなか実態も分からないし、状況が分からないのでどうすればいいのかというのもなかなか難しいというようなことが書かれています。それから、そもそも検討会では自己申告と書かれているわけですが、なかなかそういった方法によらないでどう把握するのか、プライバシーというような論点も出された上での、この検討会報告かと思います。どう把握するのかというような点でも難しいということで、実務上のいろいろな問題点が出された上でのことかと思います。
そういったところの上で、では果たすに当たって、このようにしたらいかがでしょうかということを考える上で、実態として、どういう企業の取組がなされているのか、それを参考にしていただければというようなことも実は蓄積がないような状況になっているのではないかと。そういったことで企業の側もなかなか対応が困っているなというようなところかと思いますので、そういったところはいろいろと議論を深めるなり、いろいろと調べていかなければならないのかなと考えております。これが1つです。
それから、定義をどうするか、事務局としてどう考えるかということですが、議論の話ですので、決め打ちでということではないのですが、どう考えるかという問いがありましたので申し上げますと、安全衛生法というものの枠での御議論ということであれば、いわゆる雇用という分野でのものをどう考えていくかという御議論を頂くのが、この資料の1ページ目にもありますように、推進するかどうかという観点は置くとしても、現にそういう働き方をしていらっしゃる方がいて、その方についてどう考えるのかという御議論がなされていたかと思います。つまりは、そういった方に早く何がしかの対策をということかと思われますので、そういった観点からは、現行制度の枠を前提に議論していただくというのが、1つの議論の仕方かなと考えています。
○門崎委員 ただいま労働安全衛生法の枠というお話もあったのですが、それぞれ個々の事業場においては、常時使用する労働者であれば、副業の有無とか、副業をしているか、していないかにかかわらず、7ページにあるように、労働安全衛生法に基づく健康診断などを実施しなければならないとは理解しています。
また、常時使用する短時間労働者であったとしても、今後、仮に通算すれば健康診断対象となるということもあると考えています。
こうした制度について、兼業・副業を行う労働者の保護という観点から対応するということであれば、先ほどこの資料で説明のあった有識者検討会の報告を受けて、安全衛生法のそのものの法改正であるとか、若しくは政省令の改正なども必要なのではないかと思います。
資料にあるようなストレスチェックを含めたメンタルヘルス施策の、この辺についても、今後政府が旗を振って推進することによって、兼業・副業、該当する労働者が増加するということを前提として、事務局の考えをお伺いしたいと思います。
○城内分科会長 では、事務局からお答えをお願いします。
○小宅計画課長 若干聞き間違えがあるかもしれないのですが、現行制度は複数事業所で働いているときに、通算して一定時間の場合には、ということではなくて。
そもそも制度が常時使用する労働者について健診をするということになっておりまして、その常時使用するというものの意味としましては、一定時間数以上、その事業場のほかの労働者と比較して一定時間数以上の労働をしている方を対象とするというような運用になっています。通算してということではなくて、その事業場単独で一定時間数以上となったものです。
現行でも通算しているという意味でおっしゃったのでしょうか、今後足してという意味であれば、なかなか先ほども足下の実態を分かりかねているところがあるということを申し上げたわけですが、実際に義務化されていない労働時間の短い方については、企業で努力としてどのぐらいやられているかといった、足下の実態もなかなか分かりません。それから、そういった意味で企業が速やかにどのぐらい対応できるのかというような実態も、実は分かりかねているところがありまして、その辺もいろいろと調べていかなければいけないかなというようなことで、今すぐにイエスとかノーということは言い難い状態かなというように考えています。
○中澤委員 先ほどのターゲットを明確にする必要があるとの意見についてはは同感ですが、このターゲットの問題は、この分科会で議論するべきものなのでしょうか。例えば労災に関しても時間に関しても、全て共通で、土台になるものであろうかと思いますので、その辺のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
それから、ターゲットがはっきりした場合には、今日の資料の中の11ページに長時間労働に関するデータがありますが、非常に分かりづらいのでターゲットを明確化した上で、更に兼業・副業の方々の実態をもう一度お調べになるというお気持ちがあるのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
それから、もう1つは、先ほど来から時間外労働の「自己申告」という言葉が出てきておりますが、実態上は自己申告の形をとっていても管理者はその事実を把握・検証する必要があると考えますが、そもそも刑罰を伴うような労働基準法のもとで事実の把握・検証もできない自己申告が許容されるものなのか、その辺のところをお教えいただきたいと思います。
○小宅計画課長 まず、労災なり労働時間なり安全衛生を含めて、共通の対象者の枠組みでということでした。結論的に言うと、それぞれの制度趣旨に応じて変わる部分があるというのはあり得る話かと思います。いろいろな法令で実際にそうなっているところで、安全衛生でも、例えば労働時間については、労働基準法上は一人親方は労働者ではないということですが、安全衛生の体系なり労災の体系の中では、一定程度の関与がされています。それは、それぞれの保護の必要性ということでありますので、必ずしも完全に一致するということでもなかろうかと思います。
2点目のデータについての御指摘もございまして、何がしかの工夫を考えていきたいと思います。
それから、3番目の刑罰法規の中で自己申告というのがあるのかということですが、今の労働時間の話で言えば、賃金を払うために労働時間は当然把握しなければならないわけであって、まず把握義務は事業主にあります。その上で、把握の方法としてはいろいろあるだろうと。例えば最近ですと、パソコンの起動時間、昔で言うとタイムカードがあります。そのほかに、自己申告という手法も可能ではないかという位置付けでの自己申告かと思います。
○輪島委員 先ほど来から議論があるように、個々の健康確保の問題というのは、かなり難しい問題だなと思っております。その点で言うと、使用者側としては法律改正ありきと言うよりは、議論を尽くして、必要であれば法律改正をすればいいし、そうでなければ、適切な省令、ガイドライン、周知と、いろいろな方法もあると思いますが、結論次第だと思います。
○城内分科会長 そのほかに御意見等はございませんでしょうか。
○砂原委員 今、いろいろ議論がされていて、そのとおりだなと思いながら聞いております。いずれにしても、議論を今後尽くしていくという中で、できないことを求めてもできないわけですから、きちんと労働者も実践できて、事業者も実施できるような内容で、議論がされることが大切だと思います。例えば先ほどの時間をどうやって把握するかというところですが、それに基づく罰則はどうかといったことも含めて議論していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○佐藤委員 副業・兼業には様々な組合せがあると思われておりまして、例えば本日の計画課長の冒頭の御説明をお聞きしておりましても、50人未満の事業場について、産業医の選任、衛生委員会、またストレスチェック制度の義務といったところに、立て付けの違いがあると承知をしています。
この場合、副業・兼業により長時間労働が疑われるとか、あるいはメンタルヘルスの第一次予防、第二次予防などによる気付きは、どのように行われるのかということについても、もしかしたら議論が必要になってくるのではないかと感じた次第です。
今後の議論によっては、健康管理の面で50人未満の事業場についても、然るべき措置を考えていく必要があるのではないかということを意見として申し上げておきたいと思います。
○城内分科会長 そのほかはよろしいでしょうか。 
○村山安全衛生部長 本日は労使双方から大変有益な、また、前回の御議論を踏まえた上で御準備いただいた御意見の表明を頂きまして、私どもとしても重く受け止めさせていただきたいと思います。
その上で、先ほど来、計画課長からも繰り返しお答え申し上げておりますように、副業・兼業の「定義」ないし「射程」の問題に関しましては、それぞれの法律の体系、労働安全衛生法であれば労働安全衛生法の枠組みというのがある中で、どのように考えるかということがありますし、また労働基準法であれば労働基準法でどのように考えるかということもあり、それぞれ司、司で分科会、部会を設けて、これまで様々な御議論も積み重ねていただいているということかと思います。
同時に、労使双方からございましたように、横断的な問題であるということはおっしゃるとおりです。事務局の中でも、よく他の分科会、部会の事務局と連携してまいりたいと思います。今日は労働条件分科会の本件の責任課長も出席しておりますが、よくほかの分科会、部会の運営にも反映していきたい、また相互に別な所で出た御意見につきましても、私どものほうでも受け止めて、しっかりと深めていけるようにしたいと考えております。
その上で、特に議論のターゲットをというお話がございました。これに関しましては、今後の御議論で更に深めていただければと思いますが、先ほども御指摘いただいていますように、なかなか実態のところが把握できていないのでよく調べるようにという御意見も頂きましたので、そういった点については、調べ方についても公労使各側の皆様によく御相談差し上げながら、しっかりと把握していきたいと思います。それと、現時点では1つの到達点として、本日も検討会の報告書について重ねて御報告申し上げましたが、その中にそもそもの法律の体系に基づく定義の議論とか、あるいはターゲットの置き方も含めて、一定の整理がなされた上での本日の御議論であったと思います。また報告書のところに立ち戻る必要があれば、そちらのほうもしっかりと参照しながら進めていきたいと思っています。
労使双方からたくさんの御意見を頂きましたし、恐らく次回の御議論は、今日はどういう御意見を頂いたのかということをきちんと整理した上でということになると思います。整理の仕方について本日は御指摘を頂きまして、至らない部分については大変申し訳ありませんでしたが、次回は、本日頂いた御意見をどのように整理するかという点につきましても、各側の皆さんとよく御相談しながら、資料の作成に努めていきたいと思います。引き続き、大変重要な議論でございますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
○城内分科会長 そのほかに御意見はよろしいでしょうか。本日は活発な御意見を頂きありがとうございました。私のメモによると、副業・兼業の定義、今もお話がありましたがターゲット、運用、安全の確保、健康の確保、労災保険との関わり、自己申告、安全配慮義務等について、貴重な御意見をたくさん頂きました。事務局においては、本日の御意見を整理して、更に必要な実態調査、更に一歩進んだ対策等の提案が出てくるのではないかと思っています。最後に、事務局から連絡事項をお願いいたします。
○小宅計画課長 次回の日程については、別途御連絡させていただきます。
○城内分科会長 それでは、本日の分科会はこれで終了いたします。なお、議事録の署名については、労働者代表委員は佐藤委員、使用者代表委員は最川委員にお願いしたいと思います。本日はお忙しい中、誠にありがとうございました。