2019年10月18日 第155回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

日時

令和元年10月18日(金) 15:00~17:00

場所

厚生労働省共用第6会議室(合同庁舎5号館3階)

出席者

【公益代表委員】
    荒木委員、安藤委員、黒田委員、藤村委員、両角委員
【労働者代表委員】
    北野委員、津村委員、八野委員、仁平委員、森口委員、世永委員
【使用者代表委員】
    齋藤委員、早乙女委員、佐久間委員、鳥澤委員、松永委員、輪島委員
【事務局】
    坂口労働基準局長、吉永審議官、久知良総務課長、黒澤労働条件政策課長、石垣監督課長、長良労働関係法課長、井内労働衛生課長、田中政策統括官付参事官、手倉森労働条件確保改善対策室長

議題

(1)賃金等請求権の消滅時効の在り方について
(2)副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方について
(3)労働政策基本部会報告書について
(4)その他
 

議事

 
○荒木会長 それでは、定刻前ですけれども、既に御出席予定の方はおそろいということですので、ただいまより第155回「労働政策審議会労働条件分科会」を開催いたします。
本日の委員の出欠状況ですが、御欠席の委員として、公益代表の川田琢之委員、平野光俊委員、水島郁子委員、労働者代表の川野英樹委員、櫻田あすか委員、使用者代表の池田祐一委員、佐藤晴子委員と承っております。
議事に入ります前に、分科会委員の交代について事務局より報告をお願いいたします。
○労働条件政策課長 分科会委員の交代につきまして、御報告させていただきます。
お手元に参考資料No.1といたしまして、労働条件分科会委員名簿を配付しております。本日付で新たに委員に御就任された方につきまして御紹介させていただきます。
労働者代表委員として新たに日本労働組合総連合会総合政策推進局長、仁平章委員に御就任いただきました。
以上が新たに委員に就任された方の御紹介でございます。
なお、公益代表の平野光俊委員におかれましては、10月より、御所属が神戸大学大学院から大阪商業大学総合経営学部に変わられましたことを申し添えさせていただきます。
以上でございます。
○荒木会長 ありがとうございました。
次に、事務局から定足数についてお願いいたします。
○労働条件政策課長 定足数について御報告いたします。
労働政策審議会令第9条第1項により、委員全体の3分の2以上の出席または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。
○荒木会長 それでは、本日の議題に入りたいと思います。お手元の議事次第に沿って進めてまいります。
本日の議題の「(1)賃金等請求権の消滅時効の在り方について」につきまして、事務局より説明をお願いいたします。
○労働関係法課長 労働関係法課長でございます。
議題の1につきまして、私から御説明をいたします。
資料1-1「賃金等請求権の消滅時効の在り方に関する論点」一枚紙ございます。それから、資料1-2「賃金等請求権の消滅時効の在り方に関する論点についての資料」、この2つを用いて御説明をさせていただきます。
前回のこの分科会におきまして、資料1-1の論点、大きく7つ提示をさせていただきました。前回は、そのうち、1~4まで主に御議論をいただいたという形をとってございます。
本日は、裏面になりますけれども、「5記録の保存について」「6付加金の支払について」「7見直しの時期、施行期日等について」、この3つを主に御議論をいただければと考えております。
加えまして、前回の分科会の中で、村上委員から、2の賃金等請求権の消滅時効の起算点に関連いたしまして、裁判例などの資料を御提示いただければというような御意見を頂戴いたしました。本日は、そこも含めて御説明をさせていただければと思います。
それでは、まず2の消滅時効の起算点の部分でございますが、資料を追加しております。資料1-2、こちらは前回分科会に提出した資料も引き続き載せておりますが、それに加えまして、追加して資料を用意した形で整えておるところでございます。
まず8ページをごらんください。「消滅時効の起算点について」でございますが、一番上の民法の一部改正法で傍線部を引いているところでございますが、「債権者が権利を行使することができることを知ったときから五年間行使しないとき」。これが、今般の改正民法で新たに設けられた、いわゆる主観的起算点というものでございます。
二の「権利を行使することができる時から十年間行使しないとき」。これは従来から存在した客観的起算点でございまして、改正民法では、この知ったときから5年、できるときから10年という形で法律が整備をされているところでございます。
こちらの部分の解説でございますが、政府参考人(法務省)の答弁では、この新しく設けられた主観的起算点、権利を行使することができるのを知ったときといいますのは、下から3行目ぐらいですけれども、「債権者が権利を行使することができることを知ったというためには、権利行使を期待されてもやむを得ない程度に権利の発生原因などを認識していることが必要。具体的には、権利の発生原因についての認識のほか、権利行使の相手方である債務者を認識することが必要」というような答弁がされているところでございます。
その下の『一問一答 民法(債権関係)改正』の書籍の引用をしているところでございますが、この主観的起算点は、現行民法において不法行為に基づく損害賠償請求権に関連いたしまして、規定が存在するところでございます。この不法行為に基づく損害賠償請求権における3年の消滅時効の起算点である被害者が損害及び加害者を知ったとき、これが民法724条でございますが、この考え方につきましては、判例(最高裁平成23年)ですが、傍線部を引っ張っている部分です。「一般人であれば当該加害行為が違法であると判断するに足りる事実を被害者が認識すれば足り、被害者が不法行為であるとの法的評価まで認識する必要はないとの立場にある」というような形で整理をされているそうでございます。
続きまして、9ページをごらんください。参考となる判例を御用意いたしました。
1が今御説明をした平成23年の最高裁判例でございまして、こちらは信用協同組合がみずからの経営破綻の危険を説明すべき義務に違反いたしまして、出資の勧誘をしたということで、後に経営破綻をし、出資者が損害を受けたと。出資者が不法行為による損害賠償請求を行ったというような事案でございます。
こちらの判決文では、民法724条にいう「損害及び加害者を知った時」とは、被害者において、加害者に対する賠償請求をすることが事実上可能な状況の下に、それが可能な程度に損害及び加害者を知った時を意味する」これが一般論でございます。
具体的には、3行目の部分以降になりますが、「被上告人と同様の立場にある出資者らにより、本件各先行訴訟が逐次提起され、同年中には集団訴訟も提起された」というような状況下にございまして、その2行ほど下でございますが、「上記の勧誘をしたことが違法であると判断するに足りる事実についても、被上告人は、遅くとも同年末には認識したものとみるのが相当である」というような形で、具体的な整理がされているところでございます。
もう一つ判例を御用意いたしました。2でございます。こちらは若干古い事件でございまして、国家賠償の事件でございますが、町が管理していた防火用水に幼児が転落して亡くなられたというような事案だそうでございます。
こちらに関しましては、傍線部でございますが、この知ったときの時点を、「本件事故に基づく損害賠償請求を請求するについて新聞社に照会した結果、本件防火用水槽の管理責任を追及し裁判を起こすよう示唆を受けたことによって」ということで、この時点が、「一般人が判断するに足りる事実を上告人らにおいても認識するに至ったものと認め」というような形で判例がされているということでございます。
起算点に関しての追加資料は以上でございます。
続きまして、主な論点の5の「記録の保存について」の御説明に入りたいと思います。資料の16ページをごらんください。こちらは、7月1日に本分科会に報告いたしました検討会の報告とりまとめの記載を抜粋している部分でございます。
記録の保存に関しましては、
労基法109条に規定する労働者名簿や賃金台帳等の記録の保存については、現在その保
存期間が3年間とされている。この規定は紛争解決や監督上の必要性のために設けられ
ており、保存の目的からは保存期間が長いほど便利であるが、使用者の負担をあわせ考
えて、一律に3年間の保存義務とされており、義務に違反した場合の罰則も設けられて
いる。
ということでございます。
記録の保存について検討をするに当たっては、刑事訴訟法の公訴時効(3年)との関
係や、記録の保存年限の規定の趣旨、仮に見直すとした場合の企業における影響やコス
トなども踏まえつつ、賃金請求権の消滅時効期間の在り方と合わせて検討することが適
当である。
という形でとりまとめは行われているところでございます。
17ページが、今の保存の規定の参考資料となっているところでございます。
概要や趣旨は今申し上げたところでほぼ御説明はされておりますが、この3年という数字に関しましては、上の四角囲みの一番下の少し小さい字でございますが、工場法時代においては、職工名簿の用紙は死亡または解雇後5年間、職工の雇入れ、解雇に関する書類は、解雇・死亡の日から3年間、扶助(災害扶助)に関する書類は扶助を終わった日より3年間というような形で工場法で整理されておって、工場法の最短期間3年をとって保存期間としたというような経緯があるそうでございます。
参考までに、下の枠囲みで「保存の必要な書類」ということで、労働者名簿、賃金台帳、それから、雇入れ・解雇に関する書類等々、どういう書類があるかということを整理をしているところでございます。
続きまして、大きな論点の6番目「付加金の支払について」でございます。こちらに関しては、先に19ページをごらんいただければと思います。労働基準法の114条で(付加金の支払)という規定がございまして、下のほうに対象となる規定の対応が整理されております。
裁判所は、第二十条(解雇予告手当)、第二十六条(休業手当)もしくは第三十七条(割増賃金)の規定に違反した使用者または第三十九条九項の規定(年次有給休暇の賃金)による賃金を支払わなかった使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。ただし、この請求は、違反のあったときから二年以内にしなければならない。
こういう規定になっているところでございます。
趣旨に関しましては、後に、次のページで、参考資料でつけておりますが、※にあるように、アメリカの公正労働基準法の付加金制度の趣旨を導入したものということだそうでございます。
年数に関しましては、消滅時効の2年間に合わせて、2年間とされているところでございます。
20ページ。今の付加金の支払に関するさまざまな見解をまとめたものを用意してございます。
一番上の『法の実現における私人の役割』。これは先ほど申し上げたアメリカ法の2倍あるいは3倍賠償制度と、この趣旨をまとめており、これが労働基準法の付加金制度の一つの契機となったということでございます。この2倍・3倍賠償の制度は、私人に訴訟を提起するインセンティブを与える。あるいは、私人による訴訟の持つ抑止力を強化する。こういうような思想があったというような整理がされておるところでございます。
2つ目の『平成22年版 労働基準法 下』にはどういうことが書いてあるかといいますと、この未払金に関しまして、いつ現在の未払金を指すのかという整理でございます。これは最高裁におきまして、「付加金の支払義務は、使用者が予告手当を支払わない場合に、当然発生するものでなく、労働者の請求により裁判所がその支払を命ずることによって、初めて発生する」という形でこの規定が解釈されているところでございます。すなわち、「労働基準法二〇条(解雇予告手当)の違反があっても、既に予告手当に相当する金額の支払を完了し、使用者の義務違反の状況が消滅した後においては、労働者は付加金請求の申立てをすることができないものと解すべきである」こういうような見解が示されているところでございます。
続きまして、『注釈労働基準法 下巻』(東京大学労働法研究会 編著)でございます。付加金の支払義務に関しまして、ちょっと後ろのほうになりますが、傍線部でございます。傍線部の1行上のところで、「裁判所には付加金の額を裁量によって減額できることを前提にした上で、同額を大幅に減額したものである」というような事案の紹介をしておりまして。「裁判例においては、使用者側の違反の態様等を総合的に考慮しつつ、付加金支払が相当であるか否かによって判断する方法がとられている」というようなことでございます。
最後の最高裁の平成27年判決では、「労働基準法114条の趣旨は、労働者の保護の観点から(この場合は休業手当の点だったそうですが)、休業手当等の支払義務を履行しない使用者に対し一種の制裁として経済的な不利益を課すこととし、その支払義務の履行を促すことにより上記各規定の実効性を高めようとするものと解される」ということで整理をされているところでございます。
今の資料の中で、3つ目の『注釈労働基準法』のところで少し紹介した裁判例でございますが、直近の裁判例を21ページに整理をしております。
21ページは、平成30年の東京地裁ということで限った形でございますので、全国的な傾向などがお示しできるものではないのですけれども、付加金の支払に関しては、左から2番目の列のところでございますが、いわゆる未払いの割増賃金と「ほぼ同額」のケース、それから、「同額」のケース、あるいは、「一定額」(未払賃金の7割相当)、それから、「一定額」(5割相当)が認められなかったケースというような形で、付加金の支払については、先ほど紹介したような裁判所の裁量によりまして、いわゆる2倍賠償あるいは認められない以外の一定額というようなケースが一定程度見られるというような傾向が示されているところでございます。
なお、例えば、同額の付加金が認められたケースの1例といたしましては、例えば2でございますが、会社が雇用契約書・就業規則の作成、36協定の締結をいずれもしておらず労基法遵守の態度が乏しいこと、労働時間管理がなされておらず労働者の時間外労働の把握は困難となったことなどが考慮されたということでございます。
あるいは、「一定額」という形で認められたケースにはどういうものがあるかといいますと、3。残業時間が長時間で未払賃金も高額だが、会社は、裁判では有効と認められなかったものの、固定残業代であるとして、不十分ではあるものの労働者の長時間労働を考慮し、時間外労働に対する対価を支払おうとしていた経緯が認められた事案があるということでございまして。使用者側の行為といいますか、このあたりが付加金の支払の額の部分に一定程度の評価・影響を与えているのではないかと推測されるところでございます。
続きまして、大きな論点の7つ目でございます。「見直しの時期、施行期日について」でございまして、資料の22ページをごらんください。こちらは仮にということでございますが、
仮に、労基法第115条等の規定の見直しを行う場合、民法改正の施行期日も念頭に置きつつ、一方で、働き方改革の関連法の施行に伴い現在及び今後順次生じていく企業の労務管理の負担が一層増大するといった意見もあり、民法と労基法の関係や、こうした実態も踏まえ、見直しの時期や施行期日について、速やかに労働政策審議会で検討すべきである。
というような形で検討会報告はまとめられているところでございます。こちらの働き方関連法の施行に関しましては、次の23ページにどういう法律の改正が、どういう施行であるかという対応関係を整理しているところでございます。
22ページに戻っていただきまして、もう一つの論点といたしまして、仮に労基法第115条等の規定を改正する場合においては、当該改正法の施行期日以後のどのような債権から適用するのかについて、これは法律上はいわゆる経過措置と呼んでおりますけれども、この経過措置の設定の仕方として2つあるという形で、2つの選択肢を示しているところでございます。
1つは、民法改正の経過措置と同様に、労働契約の締結日を基準に考える方法。
2が、賃金等請求権の特殊性等も踏まえ、賃金等の債権の発生日を基準に考える方法。
という形で整理をしております。
1に関しましては、どういうことが起こるかといいますと、改正法の施行期日、これを仮に2020年4月と仮定いたしますと、2020年4月以降に労働契約を締結した、その労働契約に基づく債権、こちらが改正後の法律(新法)が適用されるという形になります。
一方で、この改正法の施行前に労働契約を締結する。こちらに関する債権については旧法が適用されるということになります。
その結果、1については、労働者個々人、これは労働契約を締結した日付ということになろうかと思いますが、その労働者個々人によって旧規定、新規定が適用されるものが明確に分かれるというような形の影響が出てくるということでございます。
一方で2。こちらは債権の発生日ということで、基本的には給料の支払日ということになってこようかと思います。したがいまして、労働契約の締結日に関わらず賃金の発生日で分けるということになりますので、何年何月分の給料からということで、対象者に関しましては特段区分されるようなことにはならないというようなことになってこようかと思います。
この経過措置についても、改正法の対象となる労働者の範囲や企業の労務管理に大きな影響を及ぼすものであり、そのあり方について速やかに労働政策審議会において検討すべきであるという形でまとめをされているところでございます。
資料の説明は以上です。
○荒木会長 ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問・御意見があればお願いいたします。
北野委員。
○北野委員 ありがとうございます。
前回の審議会で、賃金請求権以外の消滅時効について議論する時間がなかったため、年次有給休暇と災害補償請求権の消滅時効について少し意見を申し上げたいと思います。
資料1-2の13ページに記載のある年次有給休暇ですが、これはもともと心身の疲労回復、さらには、生活と仕事の調和を図るという目的が制度の趣旨だと思っておりますし、本来であれば、年内に取得されるべきということをあわせて考えると、賃金債権とは異なって、ただ消滅時効期間を長くすればよいというものではないと思っておりますので、そういう意味では、現行の2年とするのも検討に値するのではないかと思っております。
年次有給休暇が取得できないために消滅時効にかかってしまうということについては、年5日以上の年休取得義務を着実に実行していく、さらには、より取得しやすい職場環境をつくるということが必要だと思っており、むしろ、政策的に対応して解決していくという課題かなと思っています。
それから、災害補償請求権については、労基法では、災害補償請求権は使用者の無過失責任だということになっておりますし、労災保険が給付されている間は、民法による賠償請求責任が免れるということであります。そういう意味からすると、消滅時効期間に差異があれば、そのギャップがある期間については、使用者が損害賠償責任を負うということになろうかと思います。
加えて申し上げると、仮に使用者に支払能力がないということになれば、これは労働者の療養、さらには、給与手当の補償を十分に受けることができないというおそれもあり、ここはまさしく労働者保護に欠けるものだと思っています。そういう意味では、労災保険法の定める消滅時効期間についても、整合性ある統一的な改正を行うべきだという意見について申し上げておきたいと思います。
○荒木会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
輪島委員。
○輪島委員 ありがとうございます。
付加金についてですけれども、今は115条の議論をしているのですが、付加金は114条に規定されているものなので、仮に115条を改正するという結論になったときに、114条も自動的に改正をされるものなのか、それはそれとして別のものということで議論をするのかどちらなのかということを事務局にお尋ねをしたいと思います。
○労働関係法課長 今の点につきましては、法律上は別物になりますので、必ずしも自動的に何かが効果が及ぼすものではございません。
ただ、検討会での議論は、先ほど資料の中で御説明をさせていただいたとおりでございまして、支払の規定の趣旨を考えると、賃金請求権の消滅時効期間とあわせて検討することが適当であるというような位置づけの整理をされているところでございまして。そういったことも含めて御議論いただければと思います。
○荒木会長 輪島委員どうぞ。
○輪島委員 あわせて検討というのは、数字を同じにしろというわけではなくて、一緒に検討をすると、そういう意味ですね。
○労働関係法課長 そうです。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
仁平委員どうぞ。
○仁平委員 7番の見直しの時期と施行期日のところの施行期日についてです。民法改正から2年が経過し、4月施行が目前に迫っている中、賃金債権の消滅時効期間がどうなるのか不明確なまま4月を迎えるのはいかがなものかと思います。改正民法を踏まえて、できるだけ早急に結論を出すべきだというのが、まず施行期日についてでございます。
もう一点、いわゆる経過措置についてのところでございます。民法とは別に労基法で定める理由は、この資料にもございますが、賃金の持っている特性があると思っております。すなわち、賃金とは労働の給付をし、その反対給付として、初めて賃金債権が生じるというものでございます。民法の624条第1項においても、「労働者は、その約した労働が終わった後でなければ、報酬を請求することはできない」と定めております。そういう意味では、この表題にあるとおり、賃金請求権の消滅について議論をしているわけですから、賃金請求権がいつ発生したのかといったこと、発生日を基準にすべきではないかと思っております。すなわち、施行日以降に発生した賃金等から新たな時効期間が適用されると考えるべきだと思います。
以上です。
○荒木会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
それでは、八野委員。
○八野委員 ありがとうございます。
追加資料をどうもありがとうございました。
それと、追加資料の中に入っております22ページに書かれている、今、仁平委員からもありましたように、労働契約締結日を基準とするところの問題点ということで指摘をさせていただきたいと思います。労働契約締結日を基準に適用とするということで言えば、例えば、採用内定を労働契約の成立と例えば考えるのか。または、無期転換において、別段定めをしたときには、新たな労働契約の締結と言えるのかというような、さまざまな形態や懸念があります。ある弁護士によれば、今後、40~50年間さまざまな契約形態が併存して動いていってしまうのではないかと懸念しています。今、労働契約が非常に複雑化・多様化しているということで言うと、労務管理も含め、実際の労働現場において大きな混乱を生じるのではないか。締結の有無をめぐって新たな紛争を生じさせることにはならないかというところが課題としてあると思います。
2番目に、複数の消滅時効が併存することによる複雑化は回避すべきではないかということです。労働契約の締結時期によって複数の消滅時効が併存するということは、労働者から見れば、みずからの賃金債権の消滅時効が非常にわかりづらくなる。そして、結果として権利行使を妨げることにもなりかねないのではないかということです。
改正民法の趣旨は、債権によって異なっていた消滅時効を単純化・統一することによって、どの債権がどの消滅時効に該当するか判断する煩雑さを排除したものであると認識をしております。その趣旨を踏まえれば、種々の労働契約により判断する煩雑さを避けて、施行日以降の賃金支払日より統一的に適用するのが、労基法第1条2項に定められた精神、または、労働者保護という観点からもかなうと今考えているということが1点です。これが1つです。
次に、8ページに主観的な起算点で追加資料を出していただきました。この一問一答において、被害者が不法行為であるとの法的評価までは認識する必要はないと記載されているわけですが、例えば、「名ばかり管理職」と言われているような事例が散見されています。そのような事例で考えると、労働者自身が、人事権も有してないとか、例えば経営者と一体的な立場ではないというものを認識すれば、その認識した時点で時効が進行するという理解でいいのでしょうか。これは質問になります。
例えば、管理監督者にAさんが何の疑問もなく就任し働いていたが、途中から自分が、あれ、これちょっと違うのではないか、違法と感じるのか、管理監督者でないというふうに感じるのか、そういう認識したときからが起算点になるのか。それとも、本人が知らないで、ある人事権のもとで就任したときから違法な働き方になっていたというところから起算していくのか。違法でないということを認識したというのは、どういうことを指すのかを少しわかるように説明していただければ、大変ありがたいなと思います。2点目のほうは考え方と質問です。
○荒木会長 ありがとうございました。
輪島委員どうぞ。
○輪島委員 ありがとうございます。
八野委員の御指摘は重く受けとめて、労務管理上の煩雑さという点は確かにあると思っています。
しかしながら、前回、八野委員の御発言を私なりに理解をした限りでは、民法が改正されたので、改正された民法どおりに改正をする。5年という期間についてはそういう御指摘だったのではないかと思っておりますが、その点で言うと、民法の改正にパラレルということで、経過措置というのは基本的には、資料22ページにあるとおり、1の民法改正の経過措置と同様にするということが素直な理解なのではないかということだけ申し上げておきたいと思います。
以上です。
○荒木会長 それでは、質問について事務局からお願いします。
○労働関係法課長 起算点に関しましては、現在の労働基準法が客観的な起算点という形で運用がなされているということでございますので、ちょっと仮定のお話になってしまうことをお許しいただければと思います。
裁判例の考え方をもとに推測で申し上げますと、8ページの先ほど御紹介があった資料の中で、一般人であれば違法であると判断するに足りる事実を認識すれば足りるということで、その例として、9ページの裁判例であれば、先行訴訟などが提起されていたというような状況、これが1つ。
もう一つは、例えば、事故に基づく損害賠償を請求するについて新聞社に照会した結果、管理責任の問題などを示唆を受けたというような事実があったと。こういったものが例示として挙げられるということだろうと思います。
したがいまして、まず、この一般人というのがどういう形かというと、こういう例示が一つの参考になるのではないかと私どもとしては考えているところでございます。
後段の法的評価は、客観的に見てこれが違法であるというようなことで、言ってみれば、そういう証拠をもとに勝訴の見込みがあるというところまでの認識は要求していないという趣旨ではなかろうかと考えているところでございます。
○荒木会長 八野委員どうぞ。
○八野委員 どうもありがとうございます。
もう少し教えていただきたいのですが、9ページの参考となる判例で見ていったとき、企業との雇用契約に基づき、労働者からしてみれば、指揮命令の中で業務に携わっているときに、例えば、先ほどの例で言えば管理監督者ということで、使用者側が人事権を持ち、Aという方に管理監督者になりなさいというような指揮命令があると。
裁量労働というところで、例えば問題が発生した。これはもしかしたら労働組合にも不備があるところかもしれませんが、例えば、労使委員会がきちんと開かれて裁量労働を入れた。しかし、運用している段階で監督署が入ってきて、これは少し裁量労働ではないですよという判断をしたときには、それはどこが起算点になるのかというように、その企業内で起きたときの使用者と労働者という関係の中から見たときにどうなのかというところも少し教えていただきたい点になります。
それと、先ほど使用者側のほうからもそういう意見がありましたが、労働者保護という観点が労基法の中の精神であるわけで、そこに対して、労働者にとって今回の民法改正に伴うものが不利にならないようにしていかなくてはいけない。その中での賃金等の請求権の消滅時効は非常に重要なものであるという認識です。
例えば、残業代の請求権ということで見たときに、労働契約締結以降に指揮命令があり、その業務遂行によって、初めてそこに賃金として対価がもらえる、業務遂行が時間外になれば時間外手当がもらえるということになるわけです。業務の遂行により、その請求の内容や金額が具体的に決定され、明確になって、初めてそこで賃金請求権が発生します。労働契約締結そのものを適用基準とすると、賃金債権が発生する過程から考えて、不自然ではないでしょうか。賃金支払日を適用基準としていかないと、賃金は労働の対価と考えた時に、そこに無理が出てくるのではないかと思っておりますので、意見させていただきました。
○荒木会長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
松永委員どうぞ。
○松永委員 きょう御説明いただいた、論点5番の「記録の保存について」一言御意見をさせていただきたいと思います。
ここに記載されていますように、仮に賃金請求権の消滅時効期間と合わせて記録の保存期間が延びた場合ということになりますけれども、賃金台帳の記録に関しては、賃金台帳だけではだめで、恐らく、賃金計算に係るような資料ですね。例えばそういうものを含めると、関連する資料は、かなりなボリュームになると思っています。
ですので、多くの従業員を抱える大企業にとっては、それを電子データで管理する場合でも、紙の媒体で管理する場合でも、かなりのコスト増になるのは当然だと思いますし、比較的従業員の少ないような中小の企業においても、紙の媒体で保存する場合ですと、そのスペースの問題もありますし、紙の媒体を電子データに切りかえるということを考えられるような企業さんにおいても、それなりの負担は発生することはありますので、この点に関しては、記録の保存の期間は慎重に議論をすべきであると考えております。
以上でございます。
○荒木会長 齋藤委員どうぞ。
○齋藤委員 ありがとうございます。
経過措置につきまして、資料の中でも、企業の労務管理に大きな影響を及ぼすものでありということで記載がありますので、実際、企業の労務管理について一言御意見申し上げたいなと思っております。
直近、さまざま働き方関連法とか順次施行されている中で、人事労務管理の担当のやることはますますふえているというのが実態が実情ではないかなと思っております。時間外労働の上限規制をしっかり守っていくためにも、人事の担当者、それぞれのマネジャーが長時間働いている方をチェックしたり、現場でも仕事のやり方をすごく変えながらこういった動きに追随をしているということかなと思っております。
また、中途採用とか、身分が変わった方に新しく年休が付与されたりケースとかをいちいちその人その人で年休の消費状況を追っていったりとか、そういったことも労務管理の一環として取り組んでいるということです。
昨今では、これに加えまして、いわゆるコンプライアンスという観点でのパワハラとかメンタルヘルス不調の予防だとかそういったことについても、労務管理と言ってもなかなか幅広く対応しなければならないということを、実際、企業の中ではやっているというのが実情ではないかなと思っております。
この労務管理のあり方にも影響があるということですので、実際、こういうふうにやられているのではないかということを申し上げさせていただきました。
以上です。
○荒木会長 ありがとうございます。
鳥澤委員、先ほど手が挙がっていました。
○鳥澤委員 賃金等請求権の消滅時効についてですが、本年7月に策定された検討会の報告書では、請求権を現行の2年から延長することを示唆しておりますが、それについて、多くの中小企業からは訴訟の実務上の負担が大きくなることや、人事労務管理システムの改修コストを懸念する声が出ております。それを受けて、日商として昨日決議した「雇用・労働政策に関する要望」では、本件について、企業の実態を踏まえて現行の2年を維持していただきたい旨を盛込んでおります。
これについて細かく言いますと、「5記録の保存」について、先ほど松永委員のご発言にもありましたように、中小企業は、いまだに記録を紙媒体で保存しているところが多いわけです。私の企業でも、賃金データ等の「確定書類」は電子データで保存していても、その根拠となる労働管理についての指示書等の「経過書類」については紙データや、原本保存をしており、これらは相当な量となってございます。これらをデータ化しようとすると、中小企業はそれでなくても人員としての稼働率が高くなっている中で、誰が過去の資料をデータ化するのかという問題が発生いたします。人手不足が深刻化している中、中小企業はこれまで紙で保存をしてきた記録をデータ化するのは難しいということをお伝えさせていただきたいと思っております。
また、「7施行期日」につきましては、今後、働き方改革に伴う時間外労働の上限規制や、同一労働同一賃金、女性の活躍、パワハラ防止策など、労働政策に関する施行が多く続きます。多くの中小企業では、これらの対応を一人の方が行うことが多く、中小企業の現場負担は年々増加している現状がございます。この実態を考えますと、仮に消滅時効を延ばすのであれば、十分な準備期間を設けるなど、中小企業に対するご配慮を重ねてお願いしたいと思います。
以上です。
○荒木会長 ありがとうございます。
早乙女委員どうぞ。
○早乙女委員 今お話のあった7番の見直しの時期と施行期日の経過措置について1点ご質問させていただきます。こちらにつきましては、1が契約日基準、2が債権発生日基準となっておりますが、1については、民法改正の経過措置と同様、と記載されています。
そもそも、民法についてはなぜ1の考え方を採用されているのか、こちらについてお聞きしたいと思います。
○荒木会長 事務局お願いします。
○労働関係法課長 法務省が作成した資料を少し引用させていただければと思いますが、経過措置に関しましては、これはいわゆる債権の経過措置でございますので、債権・債務関係の当事者ということになりますが、当事者は時効の対象である債権が生じた時点における法律が適用されると予測し、期待するのが通常と。債権者としては、その債権が生じた時点で、その債権の消滅時効の期間が何年であるかを予測して、それを前提に対応していくというような考え方を整理しております。
これは債権についてでございますが、債権に関しましては、いわゆる契約などの法律行為によって債権が生じた場合についても、あわせて整理をしておりまして、それも同様の考え方をとってございます。つまり、契約などの法律行為が発生した時点で、その債権の消滅時効の期間が何年かを予測するというような考え方を援用しているものと思われますので、改正民法の書き方は、資料で言いますと参考資料のほうになりますが、参考資料2の38ページをごらんいただければと思います。
民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)附則の第10条でございまして、施行日前に債権が生じた場合と書いてございます。施行日前に債権が生じた場合における、その債権の消滅時効の援用については、なお従前の例によるというような形になってございまして。括弧書きで書かれている部分です。施行日以後に債権が生じた場合であって、その原因である法律行為(これは契約が典型でございます)が施行日前にされたときを含む、という形になってございます。
同様に、この規定の第4号で、施行日前に債権が生じた場合(これは先ほど申し上げた契約の場合はその原因である法律行為が施行日前にされたことを含む)におけるその債権の消滅時効の期間については、なお従前の例によるということで、この規定が、今申し上げたような趣旨を体現した規定になっているということでございます。
○荒木会長 よろしいでしょうか。
○早乙女委員 はい。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
八野委員。
○八野委員 もう一つ民法との関係で確認したいのは、賃金の後払いとの整合性ということです。労働者はその約した労働が終わった後でなければ報酬を請求することができないと規定されています。例えば、賞与などは、その期間の評価などが出て、実際の金額が決まってくる。先ほど申し上げた時間外労働でも、時間外労働が発生した後に金額が確定し、そこに対して適正な金額が払われなかった場合に請求権が発生します。ですので、賃金債権発生の過程を考えると、賃金等の債権発生日を基準とする考え方は、そのような特殊性を踏まえた考え方であるということを踏まえていただきたいと思っております。
それと、資料の保管については、現行は3年とされており、3年間のところは現状も行われていると思っています。
私は詳しくはないですが、帳簿上の書類については、税法上の原則として、事業年度の確定申告に関するものは7年間の保存期間があると聞いております。3年よりも長い保管期間が定められていることからすれば、何かの工夫の余地があるのではないかということが1点です。
それと、もう一点、全ての企業で普通に支払われていれば、こういう賃金債権の請求権について訴訟などは起きてこないわけです。何らかの問題点もしくは不正など、法律に違反した場合に問題になるので、そういう観点からも見ていく必要はあるのではないかと思います。
以上です。
○荒木会長 輪島委員。
○輪島委員 ありがとうございます。
八野委員の御指摘とあわせて、資料1-2の2ページ、2.の(2)の1のただし書きのところですが、私どもの理解は後者の観点ですけれども、直接問題となるのは賃金請求権のみというところでありますので、ここの記述と今の八野委員の御指摘との関係というところについて、解説を事務局にお願いできればと思います。
それから、もう一点、最後に2点目に御指摘があった、普通に行われていれば、私どもも普通に行っていくつもりなのですが、それでも紛争が起きてしまうということについて、どのようにリスク管理をするのかということを考えると、5年という長さも含めて非常にツーマッチではないかと考えているところです。私どもは普通に企業としては誠心誠意毎月賃金を払って、その賃金によって労働者の方が生活をしているわけですから、それを減額させようとか、そういう意図的に悪い事実があれば、これは114条の付加金がもろにかかってくるわけなので、行動について不適切な使用者については、当然、付加金がかかるという位置づけであって、そのことはリスク管理上の問題です。この点は大変心配をしているということだけ、ぜひ、労働側にも御理解をいただきたいと思っているところであります。
○荒木会長 では、質問について事務局から。
○労働関係法課長 輪島委員がおっしゃられたのは、2ページのただし書き以降のところでございますけれども、その前段としては、基本的な考え方として、民法と労働基準法との関係について整理をこの検討会でもしたところでございます。と言いながら、労働基準法は民法の特別法という位置づけでございますので、民法と労基法は別個のものという形で整理をするということが一つの考え方でございますが、一方で、民法よりも短い消滅時効期間を労基法に設定するのは問題であるというような考え方というのが両論あるだろうということでございます。
今までの委員の御発言の中でも、民法と労働基準法との関係をどう整理していくか。これは、全体の問題として一つの考え方で整理するか、あるいは、個別、個別で考えていくかというのもあろうかとは思いますが、このあたりの御議論になってこようかと思います。
その上で、輪島委員からおっしゃられた、仮に後段をとった場合、民法よりも短い消滅時効期間を労働者保護を旨とする労基法に設定するのは問題であるという考え方が、現行の整理として直接問題になるのは、賃金請求権、こちらに関しては短期消滅時効が従前存在をして、それが1年、労基法が2年という対応関係にあったというところでございまして、労基法の他の請求権に関しましては、実はそういう短期消滅時効に対応する民法規定がございませんので、仮に、民法と比較をすると、原則と比較をすることになる。これは前回の御説明の中でも私から申し上げていたところでございます。この検討会では、まず賃金請求権についてどうするかと。これは消滅時効期間がまず最大の論点になろうかと思いますが、これを民法と異ならせるか異ならせないかという、この合理性の検証ということの御議論になってくると。その上で、それ以外の請求権については、現在では労働基準法上、賃金請求権に合わせて一律2年にしているところをどうしていくかということを、順序立てて検討をしていくというような形で検討会は整理されているということでございます。
○荒木会長 よろしいですか。
ほかにはいかがでしょうか。
安藤委員。
○安藤委員 ありがとうございます。
資料22ページの経過措置について、考えられてない点があるかなと個人的に感じております。経過措置について、人事労務管理が煩雑になるというお話が出てきていますが、では、実際に、仮に1の民法改正と同じく、労働契約の締結日を基準とした場合に、実務上どのような扱いが行われるのかということについて、できれば使用者側から実態を教えていただきたいなと思っております。
と申しますのも、仮に1がとられたとして、2年の時効の方と5年の方が混在している状況になったときに、その施行日より前に採用された人間と後に採用された人間で、全く違う人事労務管理をするのか。データの保存であったり、管理であったり、システムを二重に組むのかといったら、恐らくそんなことはしないわけですね。恐らく行われることは、2年と5年が混在していたとしても、5年のほうで一律に扱いをしておいて、仮に紛争になったときに、時効の算定の段階で2年か5年かというのを使うのではないかと、私は勝手に考えていたのです。その場合には、実際に記録を残したり、指揮命令をどういう形で進めるのかという点では二つの間に余り差がないのではないかと考えます。
つまり、何を申し上げたいのかというと、22ページにあるこの経過措置について、1をとるか2をとるかについて、人事労務管理が煩雑になるかならないかという議論は、本当にその差が存在するのかということに私は関心があるので、1にした場合に、異なる扱いをして、実際にこの点で複雑になるというのがあるのであったら、ぜひ教えていただきたいと思っています。それはきょうでなくても結構なので、よろしくお願いします。
○荒木会長 輪島委員。
○輪島委員 次回以降、実際の事例も含めてどのような障害があるのかということをとりまとめて、御報告をしたいと思います。
○荒木会長 佐久間委員。
○佐久間委員 契約日によるものと、それから、債権の発生日により起算されるいずれかになりますが、実際、契約日となると、私たちが主張している2年ということになれば、中小企業の場合は基本的に紙ベースでやっていることが多く、また、ソフトウエアを利用して管理している場合もあると思いますけれども、労働者名簿に記載される労働日・契約日とかは明記していると思います。これは紙ベースでもやっていても当然明記しています。実際、そこの部分については、従業員が人がいつ入ったかということは、フェース・ツー・フェースでやっていますので、大体、その人数とか、いつ入ったかということは把握できるので、そんなに誤差というものはないと思います。大きい企業になれば、逆に、人がいつ入ったかというのがわかりにくくなりますから、もちろんシステムでの管理が基本的になると思います。
それによって保存書類の期限については、民法改正に合わせ、5年分、または、現状の記録の保存期限である3年分という考え方があるわけですけれども、多くなってしまう年数分、それだけファイリングをしておかなければいけない。それにより、この保存期限の義務の年数が延びるという面での煩雑さとして、これも過去の発言例でも出ていましたけれども、残業の超過勤務の証拠書類がちゃんと保存してあるかとか、労働者側のほうが、例えば手帳にちゃんと書いていたのにたいし、使用者側ではないとか、そのへんのさかのぼりのスパンというか、書類の多さという面での煩雑さという面があるのではないかと思います。
本当に繰り返しになりますけれども、現状、入った年度は中小企業では大体把握していますので、それが基本的に、私どもが主張している2年であれば、それは2年間を見ればいいことで、それだけの返還額といいますか、賃金債権になった場合は、それは返すべきだという形になるのですけれども、その期間が長くなれば、それだけ書類の保存などやさらに、システムの中に入れる入力項目の関係なども出てくるということで、煩雑になる可能性があるということで御承知いただければと思っております。
○荒木会長 それでは、さまざま御意見をいただきましたけれども、引き続き、この問題については議論を深めていきたいと考えております。
では、次の議題、(2)「副業・兼業の場合の労働時間管理のあり方について」に移ります。事務局より説明をお願いいたします。
○労働条件確保改善対策室長 事務局から説明申し上げます。
副業にはさまざまな実態がございますが、きょうはそのへんに関するデータを御紹介いたしまして、それを踏まえて御議論いただければと思います。資料2をごらんください。
1ページ目をごらんいただければと思います。副業の現状でございます。副業を希望する労働者は増加中ということでございまして、左のグラフをごらんいただきますと、棒グラフは人数になりますが、徐々にふえてきておりまして、直近、2017年ですと385万人でございます。また、雇用者全体に占める割合でも増加傾向でして、折れ線グラフのほうをごらんいただきますと6.5%となっております。
本業・副業も雇用者であるものの数も増加傾向ということで、これは右のグラフをごらんいただければと思います。人数は増加しておりまして、直近ですと128.8万人でございます。また、雇用者全体に占める割合も増加傾向で、直近ですと2.2%でございます。
次のページをごらんいただければと思います。次のページ以降、本業の所得階層別に見た人数でございますが、左下のグラフをごらんいただきますと、99万円以下、100~199万円、200~299万円のところが人数が多いというところでございまして。右の円グラフをごらんいただきますと、299万円以下で67.3%の方がいるということでございます。
また、それぞれの所得階層別の副業をしている人の割合につきましては、折れ線グラフですが、99万円以下が6.6%、100~199万円が5.1%、一方で、1000万円以上が6.4%という状況になっております。
3ページ目をごらんいただければと思います。3ページ目も本業の所得の階層に応じた人数・割合ですが、今度は本業のほうが正規職員あるいは正規の従業員に限るというものでございます。これにつきましては、200~299万円以降のところで大分ふえておりまして、300万円以降で見てみますと、右の円グラフをごらんいただきますと、300万円以上で64.9%の方がいるということになっております。
ただ、1つ目の○の2行目からの括弧の中で書いておりますが、副業の有無に関わらず本業の所得が300万以上の階層が全体の7割弱を占めているということには留意が必要ということでございます。
2つ目の○ですが、雇用者(うち正規の職員・従業員)に対する副業をしている人の割合でございます。左の折れ線グラフをごらんいただければと思いますが、99万円以下で4.6%と、1000万円以上で4.2%という部分が高くなっております。
次のページをごらんいただければと思います。同じく副業をしている人を本業の階層で見た場合で、今度は本業が非正規の従業員に限るということでございます。これにつきましては、本業の所得が299万円以下の階層で約9割を占めています。棒グラフのところもそこが非常に高くなっているという状況でございます。
一方、割合について見ますと、総じて、2ページのところが全体での副業をしている人の割合ということであったのですが、それに比べますと、全ての所得の階層において割合が高めに出ているということでございます。
続きまして、5ページをごらんいただければと思います。これは副業者(雇用×雇用)の変化と全体の就業者(雇用)の変化ということでございます。まず、真ん中の棒グラフをごらんいただければと思います。全体の就業者(雇用)の変化でございまして、例えば一番左、正社員ですと、2012~2017年にかけて4.2%の増加でございます。また、1つ飛びまして、パート・アルバイトですと、2012~2017年に5.5%の増加でございます。
一方、上の棒グラフをごらんいただければと思いますが、正社員について、副業(雇用×雇用)の形でしている方につきましては、2012~2017年で26.2%の増加、また、パート・アルバイトにつきましては22.9%の増加ということで、全体の就業者の増加に比べて副業者数の増加の割合が大きいということでございます。
次のページをごらんいただければと思います。副業・兼業を行う理由ということでございます。左上のグラフでございますが、「十分な収入」が理由という方が一番多いということでございます。次は「自分のやりたい仕事」でございます。
その隣の右のグラフですが、今後の働き方の希望ということで、今後も兼業・副業を続けたいという方が多いという状況でございます。
その下ですが、本業への影響に関する認識ということで、「スキルが高まった」、あるいは、「視野が広くなった」あるいは、「多様なアイデアが出る」「人脈が広がった」ということで、本業へのプラスの影響を捉えている方を足していくと6割ぐらいの方がいらっしゃるということでございます。
次のページをごらんいただければと思います。労働時間に関してでございます。副業・兼業者の週労働時間の全体としての平均は、就業者平均と差がなく、四角囲みの下に3つ横にグラフがございますが、そこの左のほうに平均ということでございます。就業者平均ですと38.7時間、それに対しまして、副業(雇用×非雇用)38.1時間、副業(雇用×雇用)38.3時間ということで、差はないということでございますが、副業・兼業者のほうが比較的長い週労働時間の割合が大きいということで、その中を見ていきますと、例えば、30~39時間のところを見ますと、就業者平均ですと39.8%ということですが、副業のところで10.9%、13.2%と。一方、40~49時間あるいは50~59時間を見ていきますと、副業の方のほうがその割合がふえているという状況でございます。
その下の棒グラフは、「副業・兼業先での1週間の平均労働時間」ですが、約半数が週平均1~9時間になっております。
次のページをごらんいただければと思います。「副業・兼業の現状」ということで、先ほどまではどちらかというと労働者側からのデータでございましたが、企業側からのデータということになります。
「副業・兼業を許可する予定はない」という企業が75.8%であります。「副業・兼業を許可しない理由」は、その下のグラフになりますが、「過重労働となり、本業に支障をきたすため」あるいは、「労働時間の管理・把握が困難になるため」というところが理由として大きいということになっております。
右側でございますが、「副業・兼業について政府に期待すること」ということで、「労働時間算定に関する取扱いの明確化」が一番大きいという状況になっております。
続きまして、参考資料3をごらんいただければと思います。こちらのほうは資料が大部でございまして、今回の参考資料ということでおつけしておりますが、かいつまんで御説明させていただければと思います。
表紙1枚めくっていただきますと、「資料目次」がございます。この調査ですが、JILPTがやっているインターネットでの調査ということになります。その中で「副業をしている」と回答をした方が2つ目の○ですが、9,299人であります。さらに、本業が雇用、副業も雇用であるという方が、2つ目の○の2つ目のポツですが、4,494人でございまして、そういった方々に対するデータということになります。
7ページをごらんいただければと思います。これは副業と本業の業種について、どういった組み合わせの割合が高いのかというのを整理したデータになっております。ごらんいただきますと、割合が高いところが着色されておりますが、同じ業種で副業をされている方の割合が大きいということになります。一方で、副業の業種のうち、卸売業・小売業、宿泊業、飲食・サービス業、生活関連サービス業、娯楽業、その他のサービス業につきましては、本業の業種に関わりなく、比較的副業をしている方が多く、そこを見ていただきますと、縦にずっと着色があるかと思いますが、そういった状況になっております。
続きまして、9ページをごらんいただければと思います。「副業の理由」でございます。副業の理由につきましては、「1つの仕事だけでは収入が少なくて、生活自体ができないから」あるいは「収入をふやしたいから」という方が多いという状況になっております。
13ページをごらんいただければと思います。副業の理由につきまして、最も当てはまる理由と本業の収入の関係ということで、本業の収入の階層ごとにどういった理由が多いのかということを見たものになります。これを見ていきますと、本業の収入に関わらず収入をふやしたいから、あるいは、1つの仕事だけでは収入が少なくて生活ができないと回答した方が多いということになっております。
続きまして、29ページをごらんいただければと思います。労働時間の関係のデータになります。1つ目の表ですが、これは、副業をしている方の副業の平均の実労働時間につきましては、副業の1つ目については13時間ぐらいになっているということでございます。
その下ですが、本業と副業を合計した平均の労働時間(週の労働時間)で、右のほうを見ていただきますと、平均の実労働時間/週ということであります。副業の数が多くなると労働時間のほうもふえているといった状況になっております。
続きまして、35ページをごらんいただければと思います。本業の収入ごとの本業と副業の合計した総労働時間の状況でございますが、本業の収入が高いほど総労働時間が高い人の割合が高くなっています。着色部分が割合の高い部分ですが、総労働時間は収入の高い方ほど長い人の割合が多くなっているという状況が見てとれます。
データの説明につきましては、以上でございます。
○荒木会長 ただいまの説明につきまして、何か御質問・御意見があれば、お願いいたします。
森口委員。
○森口委員 ありがとうございます。
それでは、私のほうからは、副業・兼業の労働時間管理について意見を申し上げたいと思います。
先ほど、資料の説明がありましたとおり、副業・兼業につきましては、本業の所得が比較的低い人が多いということ、また、十分な収入を得るためにやっている方が多いということ、また、長時間労働の割合も高くなっているということ、そうしたことがデータからも明らかになったのではないかと思っております。これは前回の審議会でもお話しさせてもらいましたけれども、労働者側からそういう懸念があると伝えさせていただいた点であると考えております。
副業・兼業を行っている労働者については、長時間労働によって健康を損なうことがないようにすること、これが最も重要であると思っておりますし、喫緊の課題であると我々としては捉えております。当分科会で今後議論していく話になりますが、時間外労働の上限規制を議論する上でも、健康確保の観点は不可欠であるのではないかと考えております。
そして、上限規制の目的から考えていきますと、副業・兼業を含めた労働時間を通算した上で時間外労働を単月100時間未満、複数月で平均80時間以下におさめるようにすることが、労働側としての具体的な考え方であると捉えております。労働時間を通算することを前提に、実務的に実現可能で実効性ある方策を今後議論していく必要があるのではないかということを意見として伝えさせていただきたいと思っております。
以上です。
○荒木会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
津村委員。
○津村委員 ありがとうございます。
森口委員が使われたデータと同じところで、割増賃金の関係について少し意見を申し上げたいと思います。
先ほどの説明資料の7ページでありますけれども、上段の横の棒グラフを見ていただいて、御説明をいただいたとおりだと思うのですけれども、確かに、副業・兼業者の週労働時間は、平均という面で見れば就業者平均と大きな差がないということでありますが、実際、副業・兼業者の方が、週労働時間が長い人の割合が大きいということが、顕著に結果として出ていると思っております。したがいまして、この結果からすれば、いわゆる労働時間を通算すると、割増賃金の支払の対象となる労働者が大勢おられるということだと思っております。
先般、とりまとめをされました検討会の報告書では、割増賃金について、別の事業主のもとで働く場合に、本業・副業間での割増賃金の通算が時間外労働の抑制機能を果たし得るかは疑問であるといったことも触れられた上で、各事業主のもとで法定労働時間を超えた場合にのみ支払いを義務づけるということが、あくまで選択肢の1つということで、例として提示をされたわけです。
しかしながら、割増賃金につきましては、時間外労働の単なる抑制機能ということだけではなくて、結果として長時間労働を行った労働者に対しての補償という側面もあるのではないかと思っております。したがって、時間外労働の抑制機能の側面に着目して機能を果たすことが期待できないということを理由に各事業主のもとで法定時間を超えた場合にのみ支払を義務づけるということは適切ではないのではないかと思っております。
労働時間の最低基準を定める労基法は、副業・兼業を行う場合でも等しく適用されるべきでありまして、長時間労働を行った者に対しては、仕事の数が1つか複数かといったことに関わらず、しっかりとした補償が受けられるようにしなければならない。こういう考え方が労働側のスタンスであります。
したがいまして、割増賃金につきましても、労働時間を通算するという考え方を維持しつつ、現実的な仕掛けも含めて、しっかりとした議論をすべきだと思っております。
以上でございます。
○荒木会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
輪島委員。
○輪島委員 ありがとうございます。
前回も申し上げましたけれども、副業・兼業を推進することで労働者の健康が阻害されることは本末転倒でありますし、今、森口委員がおっしゃった点もよく理解をするところです。資料の8ページにありますように、事務局からの説明に、企業側としての現状の対応という説明があり、そういう現状であるので、副業・兼業を許可する予定がないというところが、基本的な現状のスタンスではないかなと思っています。
そのことを前提にしながらも、今、労働側の委員から御指摘があった点でどうなのかなと思うのは、企業側が特に勧めていないという現状の中で、労働者の希望、働くという、収入を得たいから調査でもありますが、労働者の個々のニーズによって、もう一つの職を得るというところについて、その現状において、本業のほうで最低労働基準としての基準法でどれぐらいカバーしなければいけないのかというところについては、それは当然でしょうというところも、そうなのかなと思わざるを得ないというところだけ申し上げておきたいと思います。
それから、これは、分科会長にお尋ねをするのか、事務局にお尋ねをするのか、どうなのかなと思うのですが、前回示された、7月1日にとりまとめられた研究会の報告書のところでは、上限規制と割増賃金については労働基準法の整理、それから、労働者の健康確保については安全衛生法の整理、それから、もう一方で、給付と付加の合算について労災保険部会で議論をしているという現状でありますけれども、労働契約法5条に「安全配慮義務」という規定があります。労働契約法は少なくとも労働条件分科会の所掌だと思いますけれども、この安全配慮義務について、少なくとも資料の中とかこれまでの点については言及がされていないので、この研究会でとりまとめられるに当たって、経団連としてヒアリングにも呼ばれましたけれども、そのときにも指摘をいたしましたけれども、安全配慮義務についてどのような整理で議論をするのかということについて、企業側は非常に関心の高いところと考えておりますので、そこについてどういうふうな対応を労政審で議論をするのかということについて整理をしていただきたいというお願いがございます。
以上です。
○荒木会長 では、事務局からお願いします。
○労働条件政策課長
今の最後の輪島委員の安全配慮義務のところでございます。御指摘いただいておりますように、先般の8月8日の検討会報告書を御報告させていただいた中におきましても、労使のヒアリングの中で安全配慮義務というものに関して御指摘をいただいているところでございます。
安全や健康確保対策としてどういったことが副業・兼業において必要であるのか。これに関しましては、前回御報告申し上げましたが、安全衛生分科会のほうで議論を進めたいと考えてございまして、去る10月4日から安全衛生分科会での議論がスタートをしております。基本的には、安全配慮義務といったものが果たされているかどうかにおきましては、労働安全衛生法の体系にありますさまざまな措置が講じられているかといったことが斟酌され、さらには、その具体的な状況に応じてといったものが、また問題になってくると。したがって、逆に言いますと、一律にどういったことをやったらいいのかというのがなかなか示しがたいテーマであろうと思っております。一方で、御指摘いただいておりますように、労働契約法5条のほうにももちろん規定がございます。
したがいまして、今後の議論におきましては、前回、事務局からも申し上げましたとおり、安全衛生分科会での御議論、それから、この労働条件分科会での議論といったものが相互に関連をする部分がございますので、必要に応じそれぞれの状況も御紹介させていただきながら、十分な連携が図られるようにしてまいりたいと考えてございます。
○荒木会長 輪島委員。
○輪島委員 ありがとうございます。
整理はよくわかりました。前回もこれは申しましたけれども、実際に長時間労働になっているという実態は否めないということなので、労働側の御主張はよくわかりますけれども、割増賃金とか上限規制にどのように折り合いをつけるのかということですが、私どもとしては、過労死はあってはならないと思っておりますので、その点で言うと、健康確保措置についての議論が先にあるべきだろうと思います。
現時点では、実際に健康を阻害してしまうということについての問題を、労働者保護の観点からすれば喫緊の課題なのではないかと思います。その実効性を高めるという意味合いでは、安全衛生法の改正で産業医の先生の機能強化というふうにされていますけれども、実際に、さらに、副業・兼業のところでどのように見るのかというようなことからすると、さまざまに課題があるのではないかと考えます。もう一度申し上げますけれども、労働者の健康確保という議論を先に整理をして、その後、並行して労働条件分科会での議論ということがあるべきではないかと思っています。
以上です。
○荒木会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
鳥澤委員。
○鳥澤委員 ありがとうございます。
日商では本年7月に、兼業・副業に関する状況調査をいたしました。その結果、この資料2の8ページにあるデータと大きく変わることはないのですが、中小企業では、兼業・副業を認めていない企業は73%でございました。その理由としては、67%の企業が「社員の長時間労働・過重労働につながりかねない」、49%の企業が「社員の総労働時間の把握・管理が困難」ということを挙げています。
ただ、こうした状況を踏まえて、これからも兼業・副業を推進していくのであれば、皆さんがおっしゃるように、労働時間の管理のあり方や長時間労働を誘発すること等の懸念点をしっかり整理することが大事ではないかと思います。特に労働時間というものは、私は、単なる時間ではなくて、労働時間の中の量と質が非常に重要だと考えます。この質の管理は、異なる二つの企業では、正直言うとなかなかできないことだと思っております。そう考えると、兼業・副業については、労働者による自己申告と自己管理が現実的であると存じます。
その上で、この兼業・副業は、中小企業にとっては、大企業のノウハウを持った方が企業に来ることによって、人手不足の解消や、さまざまな経営課題の解決などを図れることもございますので、そういった好事例を見守りながら、もう少し総論的に考えていけたらと思っています。
以上です。
○荒木会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
それでは、第2の議題については以上といたしまして、次の議題に移ることといたします。
次は、(3)「労働政策基本部会報告書について」です。では、事務局からよろしくお願いいたします。
○政策統括官付参事官 政策統括官付参事官の田中と申します。私から、労働政策審議会の労働政策基本部会の報告につきまして、御説明をさせていただきます。お手元の資料、概要とその本体と参考資料集とございます。概要と参考資料集を参照させていただきながら、御説明をさせていただきます。
まず、この報告書ですが、この9月11日に労働政策審議会の本審に御報告をさせていただきまして、御了承をいただいているものでございます。その本審の議論の中で、各分科会の所掌される事項の議論を今後進めていくに当たって、参考となる部分もあるのではないかということで、各分科会においてもそれを御承知おきいただきますように御説明の機会を設けていただいているものでございます。
まず、概要の資料でございますが、「働く人がAI等の新技術を主体的に活かし、豊かな将来を実現するために」という副題を設けてございます。AI等を有効に活かして働く人のためになるようしていくことにはどうすればいいのかというようなことが主眼の報告書と思っていただければよろしいかと思います。
まず、「はじめに」というところで、背景でございますが、AIの新技術は、今、非常に進展をしておりますので、それによって仕事のあり方が変化をする。また、一方で、労働力人口ということで見れば、人口減少が加速化しておりますので、今後、日本が引き続き経済の活力を維持していくということのためには、AI等を積極的に活用する、AIが積極的に活用されれば、生産性の向上を通じた経済成長の基盤となるということと、労働者がみずからの力を発揮して仕事ができる環境をつくるということに資するのではないか。そうすることで労働者の豊かさにつながっていくということが期待されるものでございます。
一方で、AIで代替されるタスクから構成される仕事もございますので、そういったような仕事については今後減少していくという懸念がございます。その中では、労働者がタスクの変化についていけるようにスキルアップをすること、キャリアチェンジにどう対応していくのかということ、こういったような新たな課題を検討していかなければならないというものでございます。
ここで「AI等」と言っておりますもののイメージを持っていただくために、参考資料の5ページ目以降が、今、どういうふうなAIの導入とか活用事例があるかということを個別の具体例で盛り込ませていただいておりますけれども、特に、RPAを初めとして、これまで人間がやっていた、人間が機械に代替されていなかった管理業務とか事務部門とかそういったようなところでAIが導入されるということがふえてございます。
そうしますと、そこに影響を与えるということで、参考資料は2ページ目に戻っていただきまして、概要のほうでは1.の(2)になります。足もとの就業構造ですけれども、産業別では、「医療、福祉」の就業者数が増加傾向にありますが、「卸売業、小売業」「製造業」「医療、福祉」といったようなところが多くの方が働いておられる産業になります。
下の表を見ますと、事務従事者、専門技術的職業の従事者、生産工程の従事者、こういったような3職種で非常に多くの割合を占めていることが現下の状況でございます。
一方で、3ページに行っていただきますと、事務従事者とかサービス職業従事者とかそういったようなところには、非正規雇用の労働者の方も多く、また、非正規雇用の労働者の中では、多くの方が女性であるといったような状況が現状でございます。
今後、今、AI等の導入が進んでいる分野を考えますと、こういったような部分について大きく影響を受けてくるというようなことが想定をされております。
参考資料をめくっていただきまして、4ページですけれども、職のミスマッチということで、事務職についてはAI等の導入が進んでいくことになれば、過剰感が出てくるのではないかということが研究機関では予測をされているところでございます。
概要に戻っていただきまして、「就業構造の変化に対応したAI等の導入」でございます。そういうところが影響を受けてくるというのと、介護とか自動車運転とか、現状を見ますと、人手不足、労働者の心身の負担が課題となっている分野でございますが、こういうところも例えば介護ロボットとか自動運転の技術というようなことが導入されてくれば、人手不足への対応というようなこと、それから、労働者の心身の負担の軽減というようなことの実現につながってくることが期待されております。そういうことで、こういうところの人手不足感を解消し、働く人の条件を上げていくところも期待をされるところでございます。
概要をめくっていただきまして、続きでございますが、AI等の導入状況は異なります。大企業と中小企業を比べますと、小さい企業のほうが導入状況は低い状況になってございます。なぜ導入しないのかということは、使いこなす人材がいないとか、導入したらどうなるのかというのがよく見えていないというようなことがここからはわかるかと思います。今後、人手不足等の課題解決に役立つという視点から言えば、必要な分野について積極的な開発・実装が進むようなことが求められてくると考えられます。
次に、(3)ですけれども、AI等が導入されることによって産業構造が変わってくる。既存産業についてもあり方が大きく変化するということが見込まれますが、一方で、新産業が創出されるという可能性もあります。こういうことについては、その中で職業に及ぼす影響についてしっかり議論をしていくことが必要であろうかということでの課題として書かせていただいております。
概要の次のページに行っていただきまして、「AI等の普及によって求められる働き方の変化」。個々の状況でどうかということですが、(1)「労働環境の変化への対応方針の協議」とあります。AI等を活用するということになればどうなっていくのかということについて、ここはどのようなスキルが重要かというものを見たものですけれども、労使間で認識の違いのある部分が見られます。
ポツの2つ目ですけれども、過去のME化、IT化の際を考えましても、新しいものが導入をされる際には集団的労使関係のもとで、職場の労使間で認識をすり合わせていく。労使双方で納得を得つつ対応をするということが、よりよい職場になることへの鍵であろうかと考えられます。導入をする方針とか、導入によって賃金とか労働条件・労働環境がどういうふうに変わっていくのか。導入をするために必要な教育・訓練等がどういうふうに取り組まれるのかということをしっかり労使でコミュニケーションを図りながら進めていくことが重要であろうかと思います。
時間もありますので、最後のポツに行きますと、現在のAIですが、管理職も含めて幅広い職種・役職の業務が代替される可能性もありますし、また、労働組合の組織率も低下をしている中、就業形態とか価値観の多様化でさまざまな労働者が同じ職場にいるというふうな状況の中で、どのような形で労使コミュニケーションをとっていけばよりいいのかということについては議論を深める必要があるという課題を書かせていただいております。
あとは、次のページは、AI等との協働に必要なスキル、基礎的なITリテラシーからもう少し高度なものまで幅がありますが、一番最後のポツにありますように、このような中でも、人間にしかできない業務、人間がやることによって付加価値がより生まれる業務が残るということが想定をされていきますので、こういうようなスキルに適切な評価がなされて、報酬とか昇進等に反映されていくことが期待をされておりますし、また、AIの導入よって生産性が向上するということの成果については、労働者にも適切に分配をされるということが重要であろうかというような視点を書かせていただいております。
次のページ、5ページ目がスキルアップ・キャリアチェンジに向けて、国も含めて未来を見据えた教育面のプログラムの開発等が求められるということがございます。
それから、(4)ですが、AIの導入が進む中での労働者への支援ですけれども、さまざまな要因からAI等に対応できない方が存在してしまうというような懸念はございます。そういうような中でも、その人が社会から排除されないというようにすることを、福祉施策も含めての議論をしていくことが必要ではないかという視点でございます。
最後、もう一枚めくっていただきまして、3.ですけれども、AI等が適切に活用されるための課題としましては、大量のデータを集めて分析をすることによって結果を出していくというものですので、プライバシーの保護とか、情報セキュリティについてより必要になってくるかと思われます。
また、AIのバイアスが含まれる可能性があるということが指摘をされておりますので、今までにも増して企業に説明責任、倫理面で適切に対応するというようなことに心を配っていただく必要があるのではないかというふうには思います。
(3)で、そういうような中では転職のニーズとかクラウドソーシングといったようなことも出てまいりますので、そういうことについてのスピード感を持った検討も必要であるというようなことを記載させていただいております。
この報告書でございますが、労働政策基本部会の性格上、中長期的な視点に立って政策の提言をするというものでございます。ここの報告書の中では、労使のコミュニケーションについてもう少し議論を深めるべきではないかということを指摘をされておりますので、9月11日の労働政策審議会の場で、実態を把握するといったようなことを含めて、現場の方にも少し入っていただいて、新たな検討会というようなことで少し議論をすべきではないかということで御示唆をいただいておりますので、今後、新しい検討会を設けて、実態把握等々を進めていくというような予定にしているところでございます。
以上、私からの説明はこれで終わりにさせていただきます。
○荒木会長 ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、御質問・御意見があれば、お願いいたします。
北野委員。
○北野委員 ありがとうございます。
資料3の3ページの記載に関して、先ほども説明があったとおり、報告書の中にも労使間のコミュニケーションのあり方について、改めて議論を深める必要があるということでしたので、その点に関しての意見を少し申し上げたいと思います。
いずれにしろ、今後、新たな技術が進展する際には、現場の労使が十分論議をする必要があると思っております。それは後ろ向きでなしに、変化にいかに対応していくか。そういう観点で労使の十分なコミュニケーションが必要だという、この提言については十分受けとめる必要があると思っております。
ただ、この点、実は、働き方改革関連法の旧雇用対策法が労働施策総合推進法に改められた際に、労働施策に関する国の責任規定が置かれましたが、ただ、集団的労使関係、さらには、労使コミュニケーションについて、実は規定がないということでございます。新たな技術革新がどんどん進歩することによって、今後、労使のコミュニケーションの重要性はますます必要だし、高まってくると思っておりますので、それを踏まえれば、集団的労使関係、さらには、労使コミュニケーション促進に関する国の責務についての規定を設けるべきではないかと思っております。
なお、AI等の普及による働き方の変化でございますが、ここにもあるとおり、求められるスキルの変化は相当変わってくると思っておりますが、ただ、労働の時間、さらには、場所、これも変化をしてくると思っております。そういう意味では労働時間や仕事の方法が変われば、労働時間の把握や管理に課題が生じてくるのではないかということも想定されますし、さらには、労働と生活の部分が曖昧になるようなことも生じるのではないかと思っております。今後、AI等の普及に伴う変化を考える際、そのようなことについても視点を当てた論議が必要ではないかと思っておりますので、意見として申し上げておきたいと思います。
○荒木会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
輪島委員。
○輪島委員 ありがとうございます。
今後、後継の専門家の検討会が開催されますので、今、御指摘の点も踏まえて、じっくり議論をしていただきたいと思いますが、さまざまな意見を聴いていただきたいと思います。せっかくの専門家の検討でもありますので、ヒアリングなのかどうかわかりませんけれども、いろいろなシチュエーションを含めて、AIで、今後どのぐらい予想がつくのかわかりませんが、比較的幅広の議論をお願いしたいと思います。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
佐久間委員。
○佐久間委員 ありがとうございます。
参考資料の4ページですね。そちらのほうと、あとはグラフのほうがあると思います。グラフのほうの11ページでも、「質の高い労働が実現のためのAI等の活用」というグラフがあります。この表自体は、まさに今、働き方改革で進めていく必要のある項目が出ているのではないかと思っています。実は、こういう項目がAIを使った機械学習とか深層の学習の関係も生かされていくのではないかと思いますけれども、先ほど御説明の中にありました、これから必要とされる分野というか、例えばそういう技術とか専門とか法規の部分とかそういうのが必要になってくる。そこで余剰となったという言葉を使いましたけれども、営業とか事務関係とかそういうのがAIの技術を使った機械に置きかわっていく可能性がある。ちょっと言葉は悪いですが、そこでのちょっと余剰になってきたときに、その方がほかの部分に回ったときに、そこでの職務とのミスマッチが一番怖いなと思っています。労使で円満なと言っていても、各個人個人が肝心なるところは非常に職務としてもあるものですから、そのへんをちょっと重点を置きながら、この検討会でも議論を進めていただきたいと思っています。
新しいAIの技術ができれば、それに伴って、また、新しい業務とか職種とかいうのが出てくるかもしれませんけれども、それが新たなビジネスとして中小企業が生まれていく部分と、あとは、その企業内で業務として生まれてくる部分があると思いますが、そのへんがどういう形で発生をしていくというのがちょっとわかりにくいところもあるものですから、そのへんも、引き続き、この検討会等でも議論を進めていければいいのではないかなと思っています。
以上でございます。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、ただいまの件は、お話もありましたとおり、今後、新たな検討会が立ち上げられて議論することになっているということでございます。
それでは、最後ですけれども、(4)「その他」に移りたいと思います。資料4につきまして、事務局から報告をお願いいたします。
○労働条件政策課長 資料4、働き方改革関連法の施行の状況等につきまして、御報告をさせていただきます。
前回のこの分科会におきましては、働き方改革法を周知するための動画につきまして、労使皆様の御協力のもとに配信を始めたという御報告をさせていただきました。
本日御報告させていただきますのは、お手元の資料4の5ページをお開きいただきたいと思います。4番「令和元年度下半期における周知・支援の取組」でございます。
来年4月から、中小企業に対する時間外労働の上限規制が適用されます。このため、今年度下半期におきまして、中小企業の皆様に対します法令の周知、さらには、御支援、これを一層強化したいということで、この5ページに書いてある取組を労働行政として進めているところでございます。
大きく3つから成りまして、1つがオレンジ色の部分「施策1 まだ知られていないこと・まだ届いていない人に狙いを定めた周知」といたしまして、各種の周知・広報を強化することはもちろんのことといたしまして、社会保険労務士の方々、あるいは商工会などの経営指導員の方々の協力も得ながら、中小企業の皆様にさまざまな各種法令の説明会あるいは支援策の周知を行っていくということを考えてございます。
また、36協定が届けられていない事業場、あるいは、届けられていますけれども、特に長い時間が定められている事業場、こういったところに対しましては、こちらも同じく法令の説明会あるいは個別の訪問による支援、あるいは、助成金等の支援策、こういったものが確実に届くように取り組んでまいりたいというところでございます。
右側、紫色「施策2」でございます。「まだ間に合う・もっと使える助成金へ」ということでございまして、時間外労働等改善助成金につきましては、事務処理上、申請期限といったものを設けてございますが、上限設定コース、それから、団体推進コースにつきまして、この期限を延長いたしまして、引き続き、その御活用をいただきながら取組を御支援申し上げたいというところでございます。
最後、真ん中緑色「施策3」であります。「働き方改革に取り組みやすい商取引環境の整備」ということで、以前、「しわ寄せ」防止総合対策について御報告申し上げました。これを業所管省庁とともに進めますとともに、来月11月は初めて「しわ寄せ」防止キャンペーン月間と位置づけまして、中小企業庁、関係省庁とともに一層の取組を進めていくこととしてございます。
以上のような取組を引き続き進めているということを御報告申し上げます。
以上でございます。
○荒木会長 ただいまの説明につきまして、御質問・御意見があれば、お願いいたします。
世永委員。
○世永委員 ありがとうございます。
今、御説明いただきました「働き方改革関連法の施行の状況等について」御質問をさせていただきます。
働き方改革関連法の円滑な施行のために、関係者の皆様が全国各地で尽力されていることに対しては、本当に敬意を表したいと思います。
来年4月には、同一労働同一賃金や中小企業における上限規制の適用がスタートします。さらなる周知・徹底が必要と考えております。法施行を控えた本年3月の当分科会において、社労士等が法の趣旨を逸脱するような対応策を経営者に助言している事例があることを指摘し、働き方改革支援センターの相談・支援等で不適切な対応や助言が行われないようにしてほしいと発言してきております。
厚労省としても、資料4の1ページの記載のように、年次有給休暇の年5日の取得義務について、取得促進につながらない事案に対する指導を行っているということは承知しております。しかし、連合には、いまだ地方組織や構成組織から、県や労働局主催のセミナーで、講師の弁護士が、法定年次有給休暇以外の休暇も時季指定の対象の休暇とみなし得ると述べるなど、法の潜脱を示唆するような解説をしていたとの報告が複数寄せられています。上限規制の中小企業への適用開始を控える中、法の遵守や行政解釈から逸脱した解説がされるのは問題であるというふうに受けとめております。
厚労省はセミナーや相談・支援が適正に行われるよう、内容を把握し、問題があれば、是正されるよう、いま一度求めさせていただきます。
以上です。
○荒木会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
仁平委員。
○仁平委員 今の発言とも重なりますが、4月の中小企業での上限規制の適用開始に向けて、まさに法律はつくったのですが、中小企業にきちんとお知らせをしていくことが重要です。そういう意味では、労使だけで頑張れということではなくて、ぜひ、行政としても、中小企業については、さらにきめ細かい丁寧な支援をいただければと思いますので、改めて、これもお願いしておきたいと思います。
以上です。
○荒木会長 ほかにはいかがですか。
事務局からお願いいたします。
○監督課長 監督課長でございます。
先ほど、世永委員から御指摘をいただきました、相談などの際に、社会保険労務士などが適切に法の趣旨に従った支援・説明などをしていないという点についてでございますが、前回、法の施行状況を御説明させていただいたときにそういったお話もございましたので、私どもといたしましても、日ごろから、社会保険労務士会連合会のほうとも連絡、やりとりなどをしている中で、そういった懸念が出ていることについてもよく伝えておりまして、そういったことが起きないように、会のほうとしてもしっかりと取り組んでいただきたいというお話はさせていただいているところでございますが、今ほどのお話もございましたので、また、個別具体的な事例もあるというようなお話もいただいておりますので、私どもも、また、そのへんを詳しく聞かせていただいて、問題があるところについては、引き続き、しっかりと対処をしていきたいと考えておりますので、そのへんよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。
よろしゅうございますか。
それでは、ほぼ定刻となりましたので、本日のところは以上といたしたいと思います。
次回の日程等につきまして、事務局からお願いいたします。
○労働条件政策課長 事務局でございます。
次回の労働条件分科会の日程・場所につきましては、調整の上、追ってお知らせ申し上げます。
○荒木会長 それでは、本日は以上といたしますが、議事録の署名につきましては、労働者代表の津村委員、使用者代表の佐久間委員にお願いをいたします。
お忙しい中、御参集いただき、ありがとうございました。