2019年10月21日 第7回一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会 議事録

老健局老人保健課

日時

令和元年10月21日(月)14:00~16:13

場所

全国都市会館 大ホール
(東京都千代田区平河町2-4-2)

出席者

安藤、石田、鵜飼、江澤、遠藤、大西、岡島、河本(代理:松本参考人)、黒岩(代理:山本参考人)、小玉、近藤(克)、近藤(国)、近藤(尚)、齋藤(秀)、斉藤(正)、田中、津下、辻、濵田、藤原(佳)、堀田、山際、山田

議題

  1. PDCAサイクルに沿った推進方策について
  2. 専門職の効果的・効率的な関与の具体的方策について

議事

議事内容
○北原介護保険データ分析室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第7回「一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会」を開催いたします。
構成員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところ、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
本日は、荒井構成員、藤原忠彦構成員から、御欠席の連絡をいただいております。
また、河本構成員の代理として松本参考人、黒岩構成員の代理として山本参考人が御出席でございますので、お認めいただけましたらと存じますが、よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○北原介護保険データ分析室長 ありがとうございます。
また、本日は、御発表いただきます専門職の団体の方々も御出席いただいておりますので、紹介させていただきます。
公益社団法人日本理学療法士協会、副会長、森本榮様でございます。
一般社団法人日本作業療法士協会、常務理事、村井千賀様でございます。
一般社団法人日本言語聴覚士協会、常任理事、黒羽真美様でございます。
公益社団法人日本栄養士会、理事、西村一弘様でございます。
ありがとうございます。
報道関係の方々には、冒頭のカメラ撮影等はここまでとさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。
(カメラ撮り終了)
○北原介護保険データ分析室長 では、議題に入る前に、本日の資料の確認をさせていただきます。厚生労働省では、審議会等のペーパーレス化を推進しており、今回の会議もタブレットの御用意という形で開催させていただきます。タブレットの資料の確認方法等につきましては、お手元の資料をごらんください。また、操作等で御不明な点等がございましたら、適宜事務局がサポートいたしますので、お知らせくださいますようお願いいたします。
それでは、資料の確認をさせていただきます。
まず、座席表、議事次第、構成員の名簿がございます。
そして、資料1が「PDCAサイクルに沿った推進方策について」
資料2-1が「専門職の効果的・効率的な関与の具体的方策について」
資料2-2が「公益社団法人日本理学療法士協会提出資料」
資料2-3が「一般社団法人日本作業療法士協会提出資料」
資料2-4が「一般社団法人日本聴覚士協会提出資料」
資料2-5が「公益社団法人日本栄養士会提出資料」となっております。
また、参考資料1が「小玉構成員提出資料」
参考資料2が「鵜飼構成員提出資料」
参考資料3が「岡島構成員提出資料」となってございます。
また、皆様のお手元に机上配付資料としてお配りしておりますが、江澤構成員からの「専門職の効果的・効率的な関与の具体的方策に関する提案」といった紙をいただいております。
不備等がございましたら、事務局までお申しつけください。
それでは、特に問題がないようでしたら、これより先は遠藤座長に議事進行をお願いできればと思いますが、よろしいでしょうか。
○遠藤座長 皆さん、こんにちは。本日もよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入らせていただきます。議題1は「PDCAサイクルに沿った介護予防の推進方策について」です。前回の検討会でいただきました御意見を踏まえて、10月9日に開催されました介護保険部会にて報告をいたしましたが、その際の御意見などを資料1にまとめられておりますので、事務局から資料1の説明をお願いしたいと思います。さらに、事務局は続けて、議題2の専門職の効果的・効率的な関与の具体的方策につきまして、資料2-1の説明もお願いいたします。事務局からの説明をいただいた後、本日、専門職の関係団体の方々にお越しいただいておりますので、各団体から5分程度と限られた時間で大変恐縮でございますけれども、御発言をいただきたいと思います。その後、まとめて質疑の時間をとりたいと考えております。
それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○日名子介護予防栄養調整官 では、資料1をごらんください。PDCAサイクルに沿った推進方策につきましては、先ほど座長からも御説明いただきましたとおり、前回の検討会におきまして、介護保険部会に御報告するということで御議論いただき、御了承いただいたところかと思います。その資料が2ページ目から御用意しておりますが、前回、第6回のこちらの検討会でお示しした資料を10月9日の介護保険部会に御報告させていただきました。
資料の3ページにつきましても、前回の検討会の御意見を踏まえまして一部加筆したもの、4ページも同様でございます。
5ページ目、6ページ目までは検討会の資料ということで御報告し、7ページ目は、10月3日の検討会でいただきました主な御意見をまとめた上で、介護保険部会に御報告をさせていただきました。
8ページ目が介護保険部会でいただいた主な御意見となっております。大きく4点ございまして、評価指標について、住民の幸福感の変化率や行政内の連携体制の整備、多様な主体と連携して取り組みを進める体制の整備状況などが定性的でどのように評価されるのか現時点ではわかりにくい。また、評価された結果が出てくるという納得感が重要だと思うので、市町村からの報告の仕方によって変わることがないような方法の検討が必要ではないか。
2点目といたしまして、成果の評価イメージというところで、本日の資料の2ページ目にお示しした図でございますけれども、こちらにつきまして、このフレームが「健康・自立」「プレフレイル」「フレイル」といった重度化に応じた分け方をしたほうがいいのではないかといった御意見。また、通いの場の参加率については、現在、4.9%にとどまっていることから、通う必要があるけれども、通わないまたは通えない人に対する新たな介入が重要。「介護予防イコール通いの場」以外の選択肢も必要ではないか。
最後に4点目ですけれども、指標案に幸福感の向上とあるが、幸福感という評価方法は標準化されたものが乏しい中で、どのように捉えたらいいか曖昧ではないか。また、健康寿命の延伸に係る指標についても、健康寿命の測定方法が複数あるため、ほかの健康寿命との整合性がとれるのかといった御意見をいただきました。
こちらにつきましては御報告ということで、続きまして、資料2-1、本日の議題2つ目について御説明をさせていただきます。
資料2-1をごらんください。2ページ目でございますけれども、上段に中間取りまとめにおける専門職の効果的・効率的な具体的な方策に関する今後の方向性というところをお示ししております。○の1つ目ですけれども、通いの場における取り組みをより効果的・継続的に実施するために、幅広い医療専門職の連携や医療分野以外の多様な専門職種や学生等の関与も期待。
2点目といたしまして、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施について、通いの場における専門職のかかわり方の一つとして現場において連携した取り組みがさらに推進されるよう検討すべき。
3つ目といたしまして、医師会等の医療関係団体や医療機関等との連携も重要。こうした事例の把握を進めるとともに、自治体への具体的な実施方策を提示できるようにすることが適当。
続きまして、通いの場への定期的な医療専門職等の関与を初め、地域リハビリテーション活動支援事業のさらなる活用促進が適当。
最後ですけれども、こうした取り組みを進めるに当たっては、通いの場が住民主体であるということを留意しつつ進めることが必要といったところを中間取りまとめに整理いただいたところでございます。
こちらを踏まえまして、第5回の検討会で提示されました今後の進め方が、その下にお示ししているものです。検討の視点として主に4点挙げさせていただきまして、本日はこういったところを中心として御意見をいただければと思います。
3ページをごらんください。こちらには、これまでいただきました専門職の関与に関する主な御意見を整理させていただいております。最初ですけれども、さまざまな専門職がいる中で、ある程度、各専門職の役割を明確にしたほうがかかわりやすいのではないか。次に、専門職の派遣について役所が全て負担して住民が無料という形だけではなく、健康や楽しみのために謝金を払ってでも専門職に来てもらうような意識の醸成も大切ではないか。短期集中予防サービス(サービスC)などの介護予防の取り組みは、企画段階から専門職がかかわれば、市町村の負担が軽減できるのではないか。
介護予防や自立支援のための地域ケア会議について、うまく機能している地域が少ないということは、要因を分析すべき。また、地域リハビリテーションの取り組みは提供の継続性とリハビリテーションの質の向上が非常に重要ということで、医師会と連携して組織としてしっかり提供体制が構築されるよう検討いただきたい。また、専門職の団体は都道府県にはあるが、市町村にはない場合がありますので、都道府県が専門職の派遣を調整できる連携体制のあり方を検討してはどうか。
また、イギリスで広まっている社会的処方という概念も検討してはどうか。アウトリーチによって対象者を把握し、対象者に応じた適切な事業につなげていくことが必要。特に、「通いの場」に参加していない人の中には真にサービスを必要としている者もいるため、保健師の地区活動に期待。
最後ですが、専門職がかかわるサービスから通いの場へつなげていくということも重要ですけれども、今後は通いの場に専門職が関与することで、リスクがある方を見つけて必要なサービスにつなげるということも必要ではないかといったところで御意見を整理させていただいております。
次のページからは幾つか資料を御用意しております。4ページ目につきましては、これまでもお示ししております地域支援事業の全体像ということで、赤い四角で囲っております「一般介護予防事業」を中心としまして、点線で囲っているような他の事業も含めて、本検討会では御議論いただいているところでございます。
5ページ目は各事業の詳細を示したものでございまして、左がサービス事業、右側が一般介護予防事業でございます。
次のページは訪問型サービスについてでございます。これまでもお示ししておりますけれども、従前の訪問介護に相当するものと多様なサービスといたしまして、サービスAとして緩和した基準によるサービス、サービスBとしまして住民主体による支援、サービスCとして専門職による短期集中予防サービス、訪問につきましてはサービスDとして移動支援というものがございます。
次のページ、通所型サービスでございますけれども、同様に多様なサービスについてはA、B、Cとございます。
8ページ目でございますが、特に短期集中予防サービスにつきましては、専門職が関与するサービスとなっておりますので、その実施要綱の抜粋を御紹介させていただいております。
続きまして、9ページ目でございます。短期集中予防サービスのサービスCですが、前回の検討会でもお示ししましたが、実施内容としましては、訪問、通所とも運動機能の向上、栄養改善、口腔機能の向上というところが上位3つを占めているところでございます。
その次の10ページでございますが、そこにかかわるサービスを提供する専門職としましては、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といったリハビリ専門職が多いということで、そのほかの専門職についても、図でお示ししているとおりでございます。
続きまして、11ページ目です。訪問型サービスCにおける課題というところでは、おしめししているのが、濃い緑色のほうが実施している市町村の課題、薄い緑のほうが実施していない市町村が課題として挙げているところでございます。その中でも対象者の抽出・選定が難しいですとか、専門職や団体との調整が難しい、実施後のサービス提供体制が整備できていないといった課題が多く挙げられております。
12ページ目につきましては、通所型サービスCにおける課題でございます。こちらもグラフの示し方としては同様ですけれども、対象者の抽出であるとか専門職や団体との調整、実施後のサービス提供体制の整備というところで課題が挙げられております。
続きまして、13ページ目、地域ケア会議の概要についてお示しをしております。こちらについても、14ページ目に開催状況ということでグラフをお示ししているところですけれども、左下のグラフ、0回のところから13回以上というところで、それぞれ回数が異なっている状況がわかるかと思います。
15ページ目は、「地域ケア会議」は専門職が知恵を持ち寄る場ということで、こういった専門職の方々がかかわっていくものということでお示しをしております。
16ページ目でございます。こちらから何枚か高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に関するスライドを御用意しております。これも、これまでお示ししたところでございますので、細かい説明は省略させていただきますが、16ページ目、17ページ目、18ページ目に保健事業と介護予防の一体的な実施について御説明をさせていただいております。
19ページ目が一般介護予防事業の中の特に専門職が関与する事業といたしまして、地域リハビリテーション活動支援事業がございますので、そちらを御紹介させていただきます。
20ページ目のスライドをごらんください。地域リハビリテーション活動支援事業の概要ですけれども、地域における介護予防の取り組みを機能強化するために、通所、訪問、地域ケア会議、サービス担当者会議、通いの場等へリハビリ専門職の関与を促進するといった事業になっております。
21ページ目に全体的な体制をお示ししておりますが、国といたしましては、保険者機能強化推進交付金や地域支援事業交付金といったような財源を確保しておりますとともに、都道府県においては、こういったものを活用しながら協議会、支援センター、広域支援センターといったものを組織し、市町村を支援ということが全体的な体制となっております。
22ページ目でございます。こちらが実績でございますが、左上のところを見ていただきますと、地域リハビリテーション活動支援事業を実績がある市町村が55.8%、972市町村という状況でございます。
23ページです。こちらは老人保健健康増進等事業という調査事業において把握したものです。市町村においてリハビリ専門職の活用状況というところでは、十分に確保できているところは6.8%にとどまっておりまして、右の白いところと一番右のところですけれども、「やや不足」「著しく不足」しているというところが合わせますと半数ぐらいを占めている状況でございます。
24ページ目ですけれども、地域リハビリテーション支援体制を整備する上での課題というところでは、マンパワーが不足しているというところが一番多く、地域リハ活動の経験不足、関係機関間での理解が十分ではないといったことが上位に上がっております。
続きまして、25ページ目でございます。こちらは市町村がリハビリテーション専門職を派遣する上での抱える問題というところですが、一番上、これまでの検討会の中でも御意見がありましたけれども「平日の勤務時間中に参加できるリハビリ専門職が少ない」といったところが一番多く、68.6%ということがデータとしてもわかっております。
続きまして、26ページ目でございます。ここから事例を少し紹介させていただきますけれども、こちらは広島県広島市の地域リハビリテーション活動支援事業でございます。イメージとしまして、窓口、市役所本庁と区の窓口が連携調整を行いながら、各療法士と調整を行って、それぞれ下の地域ケアマネジメント会議、予防拠点整備、ケアマネジメント支援を行っているということでございます。
次の27ページ目から30年度の活動実績を御紹介いただいておりますけれども、1つ目としましては、地域介護予防拠点、通いの場への支援ということでございます。実績が書かれておりますけれども、上の■の後半ですが、拠点が668カ所ということで、その下、2個目の■ですけれども、リハビリ専門職の派遣延べ人数としては、年間で1,350名ということです。
左側の写真をお示ししていますように、リハビリ専門職から参加者へ体力測定結果をフィードバックして適切な助言を行ったり、右側の図ですけれども、通いの場チェックリストを作成して、支援が必要な高齢者をスクリーニングして適切な支援につなぐような取り組みが行われているということです。
次の28ページでございますが、介護予防ケアマネジメントということで、地域ケア会議への参加や専門職の連携体制構築・人材育成というところでも実績を幾つか紹介していただいております。
続きまして、29ページ目が県の事例といたしまして、熊本県の体制でございます。市町村が実施する介護予防事業等に対する支援体制を構築ということで、通いの場等への派遣であるとか、12年度から体制を整備し、28年度には3層構造化されたということで、その下にマル1、マル2、マル3とあるところでございます。熊本地震の際にはこの体制が生かされ、復興リハビリテーションセンターを設置し、避難所や仮設住宅で指導を行う専門職の派遣も行われたということです。
30ページには、その詳細、それぞれの機能について御紹介をいただいておりまして、31ページ目に各実績を御紹介いただいております。
32ページ目をごらんください。こちらは介護予防把握事業についてです。これまでも通いの場に通っていない方々へのアプローチということで御意見をいただいてきたところでございますけれども、一般介護予防事業の中にも地域の実情に応じて収集した情報等の活用によって、閉じこもり等の何らかの支援を要する者を把握し、住民主体の介護予防活動へつなげるといった事業を行っております。
33ページ目でございます。その実績ですが、介護予防把握事業につきましては、全ての市町村で行われているところでございまして、その右の細かいメニューのところがそれぞれどのような把握の仕方を行っているかというところです。一番多いところでは、右から4つ目ですけれども、地域包括支援センターの総合相談支援業務との連携による把握ということで、そのほかにも担当部局との連携であったり訪問活動を行っている保健部局との連携、医療機関からの情報提供、民生委員等からの情報提供、また、右に移りまして、本人、家族等からの相談による把握などもございます。
34ページ目が事例でございまして、奈良県生駒市の介護予防把握事業です。奈良県生駒市におきましては、75歳以上の要介護・要支援を受けていない方々に対して、基本チェックリストを全数配付しているということです。それぞれAリスト、Bリストに該当するか。また、送ったけれども返送されていない方々につきましては、実態把握事業として訪問なども行って、支援が必要な方を掘り起こすような活動も行っているということです。
35ページ目は把握後のアプローチということでございます。真ん中あたりに矢印を書いているところですけれども、送付した後も回収、Aリスト、Bリストとスクリーニングした後、それぞれに対して必要な方々には、包括支援センターには電話や訪問によるアプローチであったりですとか、介護予防教室の紹介ということで郵送等によるアプローチであったりですとか、あとは未回収で条件に合致した方々については個別訪問を行うといったことで実態把握、そしてサービスにつなげているということです。
続きまして、36ページ目でございます。こちらは前回、津下構成員から御提出いただきましたけれども、KDBを用いて健診結果、医療レセプト、要介護情報があるかどうかというところで対象者の方を絞り込んでいくような方法も御紹介いただきましたので、再度、資料として掲載させていただいております。
最後に38ページ目をごらんください。こちらに論点を整理させていただいておりますけれども、現状と課題のところ、まず1点目につきましては、中間取りまとめにおいて効果的な介護予防の取り組みを進めるために、医療専門職の関与が重要ということが指摘されていまして、保健事業と連携した取り組みの推進、あとは通いの場への幅広い医療専門職等の関与、医療機関との連携、地域リハビリテーション活動支援事業の活用を図ることが適当とされています。
こうした専門職の関与については、各専門職がどのような役割を担えるかを明確にし、関係者間で共有したほうが専門職としてもかかわりやすく、連携も進むのではないかという指摘をいただいております。
一方で、サービスC、地域リハビリテーション活動支援事業などの専門職が関与する取り組みについては専門職の確保、関係団体との連携というところに課題があって、安定的な提供体制や人材育成が求められております。
最後の4つ目ですけれども、通いの場への参加率が4.9%であることから、通いの場に参加していない人のアプローチが重要ということをこれまでも御指摘いただいておりまして、そのためにはいろいろな方法を御紹介いただいておりますので、専門職によるアウトリーチの取り組みについてはさらなる推進が必要ということでございます。
その下、論点を3つ挙げております。1点目が、通いの場を初めとする介護予防の取り組みを効果的・継続的に実施していくために、医療専門職を含めた幅広い専門職の連携が重要であるということで、先進事例を踏まえて、各専門職に期待される役割について示すこととしてはどうか。
2点目といたしまして、地域リハビリテーション活動支援事業を中心としてですが、専門職の安定的な提供体制や人材育成のための仕組みについてどう考えるか。
3点目としまして、通いの場に参加していない人、アウトリーチの取り組みについて、専門職はどのように関与の方策が考えられるかというところで3点、論点を挙げさせていただいております。
事務局からの説明は以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、続きまして、各団体の皆様からの御発言をいただきたいと思います。
では、最初に、日本理学療法士協会の森本榮様からお願いしたいと思います。
○森本副会長 日本理学療法士協会の森本でございます。日本理学療法士協会の取り組みに関して御報告させていただきます。
まず、下の1ページ目です。本日の内容でございますが、1番目として「一般介護予防事業等で活動してる全国の理学療法士の実績」、2番目に「一般介護予防事業に理学療法士が参画する際の課題」、3番目に「一般介護予防事業をさらに推進するための本会からの提案」について御報告させていただきます。
次のページをごらんください。一般介護予防事業で活動している全国の理学療法士の実績について申し上げます。本会は2014年から一般介護予防事業の普及啓発に関する推進リーダーを約2万人育成し、介護予防事業や地域ケア会議に派遣する取り組みを推進してまいりました。
次のページの地図でございます。この日本地図は理学療法士が介護予防事業に参画している市区町村の推移を示したもので、青色は理学療法士が介護予防事業にかかわっている場所でございます。2019年度は1,318市区町村の事業に理学療法士が参画し、前年度と比較して120の市区町村が新たに参画しております。
続きまして、地域ケア会議でございます。地域ケア会議は1,187市区町村の事業に理学療法士が参画しております。前年度比較では268市区町村が新たに参画しております。
4ページ目でございます。これは定点で毎年調査をしているのですが、今年度から調査を開始したサービス事業について、通所型サービスCに関しましては374市区町村、訪問型サービスCでは220市区町村の事業に理学療法士が参加しております。まだこれは始まったばかりということで、余りふえていないという状況でございます。
続きまして、個別事例について御紹介をいたします。これは島根県の飯南町というところでございますが、地域包括支援センター所属の理学療法士が事業を連動させて、住民に適したサービスを企画・提案しており、平成30年度の通いの場への参加率は26.9%とかなり高いものになっております。
この理学療法士は地域包括支援センターで把握をしている高齢者の評価・予後予測を実施し、事業を横断的に連動させて、住民個々に適したサービスを企画提案しております。
次に7ページ目でございます。これは福井県越前市の取り組みでございまして、市から委託を受けた事業所の理学療法士が対象者の評価・予後予測を実施して、一般介護予防事業と2次予防、3次予防の事業を連動させて、住民に適したサービスを企画・提案した結果、平成27、28年度事業の介護保険給付費は5億4000万円削減され、さらに介護保険料は据え置かれております。また、2019年度からは商業施設等で介護予防事業を開始し、支援が必要な者を把握するとともに、必要な支援につなげる取り組みを開始しております。
スライドの右下にあるとおり、通いの場の運営助成が開始されてから通いの場の参加人数は急激に増加して、連動するように越前市の要介護認定率が低下していることは特記すべき点ではないかと我々は考えております。
次のページでございます。続きまして、一般介護予防事業に理学療法士が参画する際の課題を申し上げます。本会は、全国で約2万人の推進リーダーを育成し、派遣体制を整備してきましたが、所属する医療機関から派遣許可がおりない場合には事業に参加することが難しい状況にあります。また、サービス事業や一般介護予防事業が単独で実施されているために、リハビリ専門職の効果的・効率的な関与が実施しづらいといった課題もございます。
次のページをごらんください。最後に、一般介護予防事業をさらに推進するために本会からの提案をさせていただきます。さきに述べました島根県飯南町や福井県越前市の事例を参考に、1番目には地域包括支援センターにリハビリ専門職を配置していただいてはいかがかということと、2番目には、地域リハビリテーション活動支援事業等、リハビリ専門職を配置している事業所等に委託することを推進することによって、リハビリ専門職の評価、予後予測能力を生かして、支援が必要なものを把握して、通いの場への参加を含めた必要な支援につなげる取り組み等をさらに強化することを提案いたします。
これが日本理学療法士協会からの一般介護予防事業に関する提案でございます。御清聴どうもありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、引き続きまして、日本作業療法士協会の村井千賀様からお願いいたします。
○村井常務理事 ありがとうございます。日本作業療法士協会、常務理事をいたしております作業療法士の村井といいます。よろしくお願いいたします。
作業療法士は全国で8万人いて、ほとんどが医療機関で働いているという現状がございます。理学療法士さんは12万人いまして、私どもは大体3分の2ほどになっているかと思います。リハビリテーション専門職と一くくりでいろいろ議論されることが多いのですけれども、作業療法士というとなかなかイメージをされる方が少なくて、箸で豆をつまんでいるのではないかとか、手工芸しているのではないかというようなイメージを結構持たれているところがございまして、私どもも、まだまだきちんと私たちの業務、役割を果たさなければならないなと思っているところでございます。
その中で、今回、一般介護予防事業の住民主体の通いの場における作業療法士の活用をぜひしていただきたいということで、今回は私どものできることを少し資料として持ってこさせていただいたところでございます。1つ目はできること。2つ目としては、技術はどんなものなのか。OT協会の取り組み、その中から見えてきた住民主体の通いの場をどうしていったらいいのかというような御提案をさせていただければと思っております。
最初のスライドでございますが、私どもは作業療法士法、理学療法士法で規定されておりますが、その中で作業療法というのは体、要するに身体、それから心、精神に障害のある方々に対して、その方の応用的動作能力と言われているのですが、これがよくわからないということでずっと迷走していたのですけれども、基本的には移動、食事、排せつ、入浴、家事、外出、実は就労支援もエリアに入っておりまして、そういう動作能力を回復させること。もう一つは社会適応能力ということで、社会、人とのかかわりとか環境への適応、そういうところの能力を高めることを訓練する職種として生まれております。
次のスライドを見てください。私どもの提案なのですが、実際、生活というのは体の機能だけではなくて、生活の中にコツみたいなものがあって、力がなくても上手に生活をしている方たちもいらっしゃるということで、そういう生活の技能、コツをきちんと学ぶことも大事ですし、そのほかに環境との関係で道具を使うと意外にいろいろなことができたりするということもございますので、どうやってその人たちが生活できるようになるのか。そこについて私どもは技術的な支援を行ってきているところです。
次のスライドを見ていただきたいのですが、そのことを通して、私どもの考えているところとしましては、高齢者の皆様がいろいろなコツや道具を使うことで、そういう地域を持つことで少ししづらくなってきた生活行為がうまくできるようになる。そういうところを支援できればいいなと思っています。そういう支援を通して、効果のところを見ていただきたいのですが、生活行為に支障がある高齢者が減少する、もしくは、よく介護予防で言われてきたと思うのですが、参加が阻害されて、次に活動が低下して、その結果、廃用を起こし、要介護になるというシナリオがあると思うのですが、参加の段階、活動の段階で早くからそこら辺に介入することで、生活行為がいつでもできるような支援が必要なのではないかということができると考えています。
そのことを通して、そういうことを続けることで、私はまだまだ元気なのだということをぜひ住民が知っていただき、活動的な生活習慣を取り戻す、そういう住民がふえるといいなということを考えているところです。
次のスライドを見てください。実際にですが、これは2014年のデータでちょっと古いのですけれども、鳥栖市鳥栖地区の基山町と和光市の日常生活圏域調査にあわせまして、別添で参考資料につけておりますが、生活行為確認表というものを用いまして、住民の方々がどんな生活行為に支障を感じているのかというのを調査させていただいたものでございます。
鳥栖は基山町の100例、和光市は2,000名弱の事例を調査させていただいたデータが、このグラフのとおりでございます。一番多いのは重いものの運搬とか、次いで、広口瓶のふたをあけるとか、地区特性もあると思うのですが、草むしりがしづらいというところが上がってきているところです。特に和光と鳥栖で違うのは、自動車運転のところでやはり鳥栖のほうが困っている。鳥栖のほうの困っているという住民が和光より多いかな。これは交通網の関係かなと思っていますが、このように、地域によって困っている生活行為も不自由さも少しずつ違うのだろうなということがわかってきているということです。
これらを放置していきますと、生活行為がしづらくなり、できなくなって、しなくなる、結果要介護になっていくということですので、早い時期に、要するに、別に病気はないのですけれども、こういう不自由を感じている、しづらさを感じている住民が高齢者の中でざくっと30%ほどいるわけなので、こういうことにきちんと丁寧に対応していくことが予防につながっていくのではないかと考えています。
次のスライドを見ていただきたいのですが、もう一つのスライドは、興味・関心チェックシートを用いて調べたものでございます。している興味・関心とか、してみたいものは市町村によって異なっているということを示しております。例えば、和光でしたら観劇とかをしていますということで、してみたいところでは、書道・習字とかがふえてくる。それから、鳥栖のほうは生涯学習をしていて、してみたいものは書道とかにニーズがある。それから、茅野市のほうでしたらかなり畑仕事をやっている。一方で、してみたいことでは、映画とか観劇に行きたいと思っている。こういう高齢者のしたい活動を把握しながら、そこの地域の社会資源とうまく結びつけていく、そういうことの働きかけが重要ではないかと思っています。昨今ではゲームセンターに行く高齢者もふえているという話も聞いておりますので、高齢者がいろいろな地域の社会資源とうまくアクセスできる。私のしたいことをうまくつなげる。そのような取り組みをお願いしたいと思っています。
次ですが、通いの場における作業療法の活用ということで、そういうことを高齢者自身が知っていく、それらを情報交換する、場合によっては一緒にやる。そのようなことの取り組みをしていくことで、高齢者自身ができることがどんどんふえていくのではないかと思います。
最後ですが、自助具の紹介をさせていただいています。こういうシリコンのシートだけでも、ペットボトルのふたがあけやすいということの情報交換、そういうことだけでも高齢者の方々が広口瓶のふたがあけやすいとかいうようなことにうまく貢献できるのではないかと考えております。
最後、ちょっと長くなって申しわけございません。イギリスやデンマーク、ニュージーランドの作業療法士さんは、実際は地域で働いておりまして、高齢者が生活行為がうまくできなくなってきたということで相談しますと、OTが出向いていって、すぐできるように調整をするというような働きかけを実際にやっています。ここが日本と違うところなのですが、そういう意味でも、私たちも、日本でもそういう生活のコツや道具の工夫で自立できるのだ、住民が自分の持っている能力を発揮し続けられるのだというような文化をぜひつくっていけたらいいなと考えております。
どうもありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
では、引き続きまして、日本言語聴覚士協会の黒羽真美様、お願いいたします。
○黒羽常任理事 よろしくお願いします。
非常に簡潔にまとめてまいりましたので、まず、2ページ目のスライドをごらんください。言語聴覚士は、高齢者の方々の、聞く、話す、食べる、そういった生活活動にかかわる専門職でございます。加齢に伴いまして、聞く力におきましては難聴の問題が最近非常に取り上げられておりますけれども、耳の聞こえにくさ、それから、話す側面においても声が出づらいというような状態にある方が多くございます。また、食べる機能も加齢性の嚥下機能低下といったものからコミュニケーションの困難感、食べにくさ、そういったものを御自分の中で感じていらして、なかなか外からは見えない問題ですので、御本人が抱えたまま生活をしている中で、不活発な生活になっていく。そういった悪循環を介護予防で言語聴覚士は貢献していきたいということで、コンセプトとしては「よく食べ よく交流し 心身ともに健康な生活」、これを全ての地域で取り組んでいきたいというところを載せさせていただきました。
3ページ目になりますけれども、まだ言語聴覚士は非常に若い専門職でございまして、国家資格保有者も3万人を超えたところでございます。当協会の会員数は1万8000人ということで、まだまだ足りないところではございますけれども、全国にもこのような形で会員が所属しておりますが、非常に地域の差も大きいというところでございます。
地域リハビリテーションに関する人材育成事業は2016年から開始してございますけれども、日本理学療法士協会・作業療法士協会の方々と協力してこの事業を立ち上げまして、現在、介護予防に関しましては修了者が882名ということで、数は少ないのですけれども、全国で育ってきているという状況がございます。
4ページ目をごらんいただきますと、厚労省のほうで調査されたものが、少し古いデータしか拾えなくて申しわけありません。グラフのほうを見ていただきますと、言語聴覚士も、数は少ないのですけれども、年々活動している数がふえてございます。都道府県別で見てみますと、47都道府県の中で45都道府県で、1つの市町村というところもございますけれども、言語聴覚士が全国で活動しているところを見ていただけたらと思います。
協会のほうで5ページ目に書きましたけれども、会員の活動を見ていきますと、やはり単回で依頼される講話の講師が多いところでございまして、右側に難聴への対応ということで、難聴のメカニズムというものだけではなくて、フレイルの多様性であるとか、あとは中年期と高齢期の健康づくり戦略、これは国が示しているものですけれども、そういったものを広く組み合わせながら講話を行いまして、高齢者の方の介護予防の意識というものをしっかり高めるように努めております。それ以外にも、訪問指導、相談対応、それから技術指導ということで、こちらは事業所対応になるかと思いますけれども、またはガイドライン作成等でそういった専門職がかかわれない部分でもしっかりと言語聴覚士の知識、技術が生かせるような活動をしてございます。
6ページ以降は事例ということで、少し私の活動になるのですけれども、栃木県のほうではこのような職能団体ですね。理学療法士会、作業療法士会、言語聴覚士会がそろって専門職協会というものを立ち上げまして、活動しているというところを最後に御紹介させていただきます。その中で、言語聴覚士は47名と、こちらもまた少ない数ではございますけれども、先ほど全体の議論でもございましたように、県の職能団体ではなかなか市町村に専門職を派遣するのにまだ難しさがあるというところでしたけれども、栃木県は非常に小さい県でございますので、25市町に専門職をそれぞれ配置しているということになります。そちらを窓口にしまして、協会のほうで課題共有をして、安定的なリハ職の派遣、それから、質の担保というものを取り組んでいるところでございます。介護予防事業への参画状況としましては、STはまだ8市町というふうに限られてはございますけれども、取り組みを進めております。
7ページ目、私の所属している支部になりますけれども、那須塩原支部のほうでは栃木県内でも比較的多く専門職が所属している部門でございます。65名のうち言語聴覚士は10名という配置になっております。
5年間活動をしておりましたけれども、上に書いてあるものがその5年間で市町村の高齢福祉担当者と立ち上げてきた事業になりますが、やはり通いの場、それから、通いの場を支える介護予防サポーターの養成講座を中核としまして、総合事業の立ち上げ、地域ケア会議の助言者、そういったものを連動させながらしているというところがございます。そうしますと、一つの事業をやっているというのではなくて、複数の事業を並行的に行っていく中で、その地域の課題というものが見えてきます。例えば、通所サービスCをことし立ち上げましたけれども、それにおいても対象者の選定をどのようにしていけばいいのかというところが、まだケアマネジメント、自立支援型のケア会議で今、一生懸命みんなで努力しているところですけれども、なかなかそういった対象者の選定やアセスメントが十分にできていないということも当支部での課題というふうに出てきましたので、やはり活動をしていく中で見てくるものもたくさんございます。
下のほうを見ていただきますと、通いの場の支援といいましても、4年間続けておりますと、やはり導入期、安定期、展開期ということで活動が変化してくるのですね。その活動の変化、それから住民さんのニーズ、そういったものに対応しながら私どもは活動をしてございます。
最後のスライドは今までのまとめになりますけれども、言語聴覚士は口腔、嚥下機能といったものを中核にしておりますけれども、やはり難聴高齢者も非常に多くございますので、そういったコミュニケーション支援もあわせて介護予防の中で行っていきたいと考えてございます。
超過して申しわけございません。以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、最後に、日本栄養士会の西村一弘様、お願いいたします。
○西村理事 西村です。よろしくお願いいたします。
まず、日本栄養士会のほうで栄養ケア・ステーションという地域の中での栄養の拠点をつくっておりますので、そちらの御紹介をさせていただきたいと思います。
栄養ケア・ステーションというのは、地域に密着した栄養の拠点でございまして、全国の管理栄養士がこれに対応しております。今は、この1枚目のスライドでお示しして、赤でお示ししたところが、特に介護予防に関する部分でございます。介護報酬にかかわる栄養食事指導とか訪問栄養食事指導、こちらも栄養士が対応できます。また、地域包括ケアシステムにおけるいろいろな総合事業であったり地域ケア会議等にも、この栄養ケア・ステーションのほうから行ける形になっております。
次のスライドになりますけれども、日本栄養士会では、栄養ケア・ステーションの運営をするとともに、栄養ケア・リサーチ・センターという体系をとっておりまして、認定ケア・ステーションが全国に今、244カ所ございますけれども、こういう認定をしていたり、それから、ケア・ステーションの人材を、リーダー研修を行ったり、全国からいろいろな情報収集をして事業企画・運営支援、こういったものを行っております。それを今度は都道府県の栄養士会の栄養ケア・ステーションがございますので、こちらのほうでまた運営をしていくのですけれども、都道府県におきましては、栄養ケア・センター機能ということで、各地にあります認定された栄養ケア・ステーションを管轄して、そちらの人材育成であったり、そちらの支援を行っております。
ことしの10月現在で244カ所ですけれども、半期ごとにこの認定を行っているので、続々と今、応募がされておりまして、認定がふえている状況でございます。
栄養ケア・ステーション自体は、その次に書いてございますけれども、栄養士が地域密着型で行える顔の見える栄養士の場所というふうに御理解いただけるといいと思います。栄養ケア・ステーション自体が、ここにもありますけれども、住民の方々にアクセスしていただいて、実際に活動できる場として、食のプライマリ・ヘルス・ケアの協働とネットワークとしての事業を組織化しているところでございます。
次にお示しするスライドですが、これは実際に東村山市の事例でございます。高齢化した集合住宅が今、各地にふえていると思うのですけれども、まずこちらの地域の診断を行いました。アンケート等をとりまして地域診断をしたところ、栄養問題がたくさん浮かび上がってきましたので、その中からケア会議とともに取り組みを考え、それが通いの場という一つの場において配食サービスを活用して、この配食サービスによって地域住民の方々に対して食事を提供するとともに、専門職がそこに栄養士だけではないのですけれども、保健師さん、歯科衛生士さん、理学療法士さん等が介入することによって、その方々への教育も一緒に行っています。歯科の先生にも御協力いただきまして、こちらでは歯科の口腔ケアに関する講座なども開いております。ここではフレイル予防という、フレイルサポーターの方々にワンランク上というか、食支援というものを念頭に置いた食支援サポーターという形で、今、食事のことをケアできるような住民の人材育成というのも行っております。
次のスライドにその流れをお示ししたのですけれども、まず、地域ケア会議で浮かび上がってきたものを一緒に地域診断していって、配食サービスにつなげ、配食サービスガイドラインというものが今、出ておりますので、それに沿って配食業者さんの教育も同時に行っています。
それから、参加した方々の栄養状態のアセスメント、これは病院の栄養士が地域栄養ケア・ステーションの人材としてかかわっておりまして、ミールラウンドなども実際に食べているところで行っています。要配慮者がいれば、それをまた専門職につなげて相談するというようなことも実際に行っております。
最後になりますけれども、介護予防におけます管理栄養士の役割といたしましては、こちらにお示ししたように、まず、低栄養の方、そして、嚥下困難になった方々への食支援が栄養士の仕事の主になりますし、地域ケア会議においても適切な助言。実際に先日行われました我々の地域のケア会議でも、提案の段階では栄養問題なしという提案だったのですが、よくよく調べて見るとかなり栄養に問題があり、それは栄養士が参加していたので気づけたということも実際にございます。
それから、介護予防の取り組みにおいては、他職種と連携をしながら、先ほど申し上げた専門職種の方々と一緒に取り組みを行うことができます。
そして、共食の場というのは、実は孤食に比べると摂取量自体も1.4倍以上にふえるというようなデータもございます。ですから、こういった共食の場において栄養士がかかわるというのは、低栄養を早期に介入して支援することができると思われます。
また、自治体とも今回、全部連携をしているのですけれども、そこで通所の支援につなげたり、訪問の支援につなげるということも当然できるようになっております。
ただ、現在、課題として、栄養士は自治体に配置されていないところがまだあったり、あと、配置されていても健康部局に配置されていることが非常に多くて、母子であったり学校給食のみに自治体で配置されていて、高齢部局にかかわっているケースが非常に少ない。これが今、大きな課題になっておりますので、ぜひこのあたりも栄養士会からの要望としてお願いしたいところでございます。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
以上で、本日お越しいただきました専門職団体の皆様から御発言いただきましたが、実は、当検討会にも専門職団体から御参加いただいている構成員の方がいらっしゃいますので、引き続き、そのような方から御発言いただければと思います。
それでは、私のほうから順番にお願いしたいと思いますが、まずは日本医師会、江澤構成員、よろしくお願いいたします。
○江澤構成員 ありがとうございます。本日はお手元に資料を配付させていただいておりますので、そちらを御参照いただければと思います。
まず、「専門職の効果的・効率的な関与の具体的方策に関する提案」について述べさせていただきます。
まず、「医師会等の関係団体との緊密な連携による「協働体制」の構築」でございます。市町村と医師会等の関係団体が地域の通いの場の所在やそれぞれの活動の内容等の情報共有を図り、それぞれの通いの場への具体的な支援について、市町村と関係団体がともに検討し、ともに活動し、規範的統合のもと、協働することにより、通いの場の継続性、質の向上に資することと思っております。
その際、医師会等が市町村の地域支援事業の相談窓口となることで、市町村の支援にもなり得ると考えております。介護予防日常生活支援総合事業はもちろんのこと、包括的支援事業にも市町村が初めて医療行政に着手する在宅医療介護連携推進事業も含まれており、市町村と関係団体がパートナーシップのもとで連携することは、住民にも貢献できるものとしております。
また、医療専門職等の連携と役割について、現状をよく把握している関係団体が市町村と話し合うことにより、実際に誰が参加して、どういうことを行うか等の具体的な議論を定期的に行うことにより、継続的な質の向上が図れるものと思っております。
そして、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施等に関する医師会等との協働でございますけれども、企画立案段階から、そして、事業開始後も医師会等との定期的連携によって質の向上を図れるものと思っております。特にフレイル対策等におきましても、医学的エビデンス等の有意義な取り組みが広く行われることが有用と考えております。
続きまして、次のページですけれども、「医師会の支援体制による新たな地域リハビリテーションの体制の構築」を提案させていただきます。
きょう、地域リハビリテーションの体制の資料も含まれておりますが、都道府県リハビリテーション協議会・都道府県リハビリテーション支援センター、地域リハビリテーション広域支援センター等の配置がありますが、これは必ずしも全国で展開されているわけではございませんので、今後の地域リハビリテーションの充実を考えますと、こういった組織の設置あるいは充実というものが不可欠となると考えております。
そういった中で、都道府県医師会と地区医師会との都道府県リハビリテーション協議会あるいは都道府県リハビリテーション支援センターとは密接不可分な関係がございますので、より深い連携の構築が必要と思っております。
医師会のほうにおきましても、都道府県医師会と地区医師会によるリハビリテーションの支援体制の構築は、今後取り組んでまいりたいと思っております。特に地区医師会は規模によりかなり差異が大きく、小さな規模の地区医師会もございますので、そういったあたりは都道府県医師会がサポートしていくのがよろしいかと思っております。
続きまして、地域リハビリテーション広域支援センターの設置・充実につきましては、当然、ここは地区医師会が関与する面も多々ふえてきますので、都道府県と地区医師会の連携に基づく、具体的にどういった医療機関が参加支援できるのか、あるいはどういった頻度で、どういったボリュームで対応できるかということもこちらで検討すべきことと思っております。
3つ目の○ですけれども、地域リハビリテーション活動支援事業の充実と質の向上でございます。今、地域リハビリテーション活動支援事業においては、リハビリ専門職の派遣が中心に行われておりますけれども、その多くのリハビリ専門職員は医療機関に所属しておりますので、例えば地区医師会が市町村の窓口となって、このリハビリ専門職の派遣依頼を受けて、そして、地区医師会から各医療機関にリハビリ専門職の派遣の要請をお願いして、各医療機関から誰が派遣されて出ているのか、そして、現場の業務もありますし、地域リハビリテーション活動支援事業での要請もございますので、バランスよく提供していくことで、長く継続的に取り組めるものと考えております。
もう一つ、この事業におきましてはなかなか進捗が見えない部分がございますので、地区医師会等と連携することによって、定期的に協議を開催することを踏まえて、見える化と質の向上を図ろうと考えています。
そして、もう一つは人材育成でございまして、本日のテーマは全て地域包括ケアに資する地域づくりを見据えたものでございますので、これは医療や介護の現場での業務と若干異なる部分もございます。そういった意味での人材育成というのが不可欠でございますので、こういったものを含みまして、地域包括ケアの深化・推進に資する地域リハビリテーションを充実することで、ぜひ医師会としても協力させていただければありがたいと思っております。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、続きまして、日本歯科医師会、小玉構成員からお願いいたします。
○小玉構成員 ありがとうございます。
参考資料1をお開きいただきたいと思います。歯科医師会から「専門職の効果的・効率的な関与の具体的方策に関する提案」といたしましては、ここにお示ししてございます通いの場における歯科を含む専門職のかかわりという事例を示してかえさせていただきたいと存じます。
2枚目のスライドは、広島県竹原市の通いの場における専門職間のかかわりと支援内容となってございます。保健師、理学療法士、歯科衛生士、管理栄養士、作業療法士という形のかかわりが2010年、2014年という形で始まってございまして、理学療法士、歯科衛生士、そういったところは年に2回ぐらいのかかわりです。歯科衛生士は年に1回、管理栄養士も年に1回、作業療法士も年に1回という形で、専門的にはこういった職種がそのような割合でかかわっているところでございます。
ちなみに、竹原市は人口2万5000人余りで高齢化率が40.5%、それから、通いの場の開設が32カ所で、650名の高齢者が参加しているということで、参加率が7.1%ということになってございます。
3枚目のスライドが歯科衛生士の介入と多職種の連携ということでございますけれども、右側の部分、行政、地域包括支援センターが地域リハサポートセンター、地域歯科衛生士会、在宅・行政の栄養士とそれぞれ連携、協力しまして、通いの場の下支えをしているという形になってございます。
通いの場を行政が設定して、高齢者の皆さん、地域から週1回参加するという形で介護予防の事業に参加してございまして、その上の部分の赤いところに口腔体操指導、質問紙調査、口腔機能測定、歯科保健指導というのが年に1回行われているわけでございます。必要があればかかりつけ歯科医にも治療を推奨する。また、いろいろな情報、さまざまな職種がかかわっているわけなのですけれども、それをはつらつ手帳という形で情報共有しているところでございます。
なお、左の通いの場の週1回参加されているところには、介護予防体操、口腔体操というところ、DVDで流して、参加者には必ず週1回見てもらうという形で行っています。
4枚目が歯科衛生師の支援方法、これは年1回行うものでございますけれども、かかわったところの集団での口腔体操の指導、それから、口腔機能測定、ここにフレイル、オーラルフレイルの早期発見と書いてございますけれども、口腔の機能低下でありますとか、先ほどの摂食嚥下障害、管理栄養士さん、STさんもお話しされていましたけれども、こういったところの関係の部分も早目に見ていくという形で、多職種で協働するという形になってございます。
歯科のことに関しては早期介入が必要で、こういったものを医療機関にもつなげるし、多職種でも情報共有する形になっているわけでございます。ですから、いろいろなかかわりの場面もございますけれども、専門職同士の情報の共有、また、同じ場での協働というのは極めて重要になってございます。
5ページ目は参考資料になりますけれども、通所型サービスCの介護予防事業の実施例でございますけれども、これは口腔機能低下リスクに特化した形で、金沢市の歯科医師会へのそういった業務の委託という形で診療所主体に行っているものでございまして、6枚目のスライドの中に一般介護予防事業にするか、地域包括支援センターから歯科診療所へ連絡して治療も行うかというところを、チェックリストを求めて行っているということを説明させていただいているところでございます。
介護予防事業Cと通いの場における歯科のかかわりを説明させていただきました。
以上です。ありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
では、続きまして、日本薬剤師会より鵜飼構成員、お願いいたします。
○鵜飼構成員 よろしくお願いいたします。
薬剤師会からは、薬剤師や薬局の介護予防等の取り組み事例について、時間にも限りがありますので3例ほど御紹介させていただきます。
まず、2ページ目ですが、個々の薬局を利用した取り組みということで、地域住民から薬局の研修室の利用について相談があり、個々の薬局が勉強会等を開いたということです。内容といたしましては、毎回20~30名の方が参加して、そこの管理薬剤師が講師としてやっております。成果といたしましては、最後に書いてありますように、薬局で調剤を利用するだけではなく、みずからの健康のために活用する施設として受け入れが進んだという成果が出ております。
3ページ目ですけれども、こちらは行政等と連携した取り組みということで、練馬区での事例ですが、実際に通いの場におきまして、練馬区薬剤師会と行政が連携して行われた事業でございます。内容といたしましては、練馬区薬剤師会で対応したケアカフェということで、そこに複数の経験のある薬剤師が対応しました。成果といたしましては、先ほどと同じですが、日ごろ処方箋による調剤を受けている薬局の薬剤師から得る情報との整合性がとれたことでさらに安心感を得たようであったという成果が上がっております。
最後のページですけれども、こちらが青森県での事例です。青森市では地域包括支援センターと連携した取り組みということで、地域包括支援センターからの依頼によりまして、内容といたしましては、高齢者介護相談協力員や町会長、民生委員・児童委員等のほか、地域内の薬局も登録している中で、各地域で定期的に開催される研修会に参加したということです。
成果といたしましては、地域包括支援センターのケアマネジャー等が訪問先で服薬に課題のある高齢者がいた場合に薬局に情報提供するなどの連携が進んでいる。また、薬局からの情報提供も進んでいるという成果が上がっております。
いずれにいたしましても、市町村レベルで、特に市ですけれども、三師会が必ず協力して行っておりますし、看護協会等も連携ができておりますので、市町村ということで考えますと、最低でも市では団体がありますので、そちらのほうを窓口にやっていただければなと思っております。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、最後になりましたが、日本看護協会より岡島構成員、お願いいたします。
○岡島構成員 本会からは、自治体保健師と訪問看護ステーションの看護師による事例、合計3例を御紹介させていただきます。
まず、1ページ目の1点目ですけれども、介護予防を効果的・効率的または継続的に実施するために期待される自治体保健師の役割、2事例でございます。
役割1に関しましては、1事例目、2事例目に共通するのですが、まず、通いの場への参加が適当な対象者の把握、それから、参加に向けた支援とその施策の立案。また、事業推進のための関係機関との協議の場の設置であるとか、各職種が関与できるような団体間の調整、こういったものを行っております。事例1は人口12万人のA市でございますが、この取り組み内容で特徴的なのは、KDBのデータを活用している点でございます。自治体における対象者の把握は複数の方法を組み合わせて実施しておりますが、このA市におきましては、後期高齢者医療部門がKDBを活用して介護認定を受けていない、医療機関を受診していない、または年齢が75歳以上などの条件に合致する対象者を抽出しまして、介護部門が持っている基本チェックリストでハイリスクと思われる方とデータを結合させて、介護予防に参加すべき対象として保健師がかかわっております。
今、縦割りで業務が遂行されている中で、医療部門と介護部門の保健師が協働して対象者を把握しまして、効果的にアウトリーチで個別訪問などを通じまして通いの場への参加につなげている例でございます。
この取り組みの効果・結果でございますが、データに基づいて支援が必要な方を効率的に把握できているということと、必要な支援につなげていくことができる。また、健診データも活用しておりますので、介護認定や医療機関への受診が必要な方の把握にもつながっているという事例でございます。
続きまして、2事例目でございますけれども、ここで役割をもう一つ追加しまして、地域リハビリテーション活動支援事業等における専門職の安定的な提供体制の構築または人材育成、各専門職をつなげ事業の構造化という意味で、自治体の保健師がかかわっている例でございます。
ここは人口が約200万人程度の政令指定都市の例でございますが、取り組み内容と保健師のかかわり方が一部重複しますので、取り組み内容の2ポツ目をごらんいただきたいのですが、住民主体の活動を支援するためのリハビリ専門職の派遣について、医師会の御了解のもと、手挙げをしていただいた医療機関からリハ職を派遣していただくべく、リハ団体とも調整を行い、派遣のスキームを確立した上で、予算を確保して事業化、システム化を図ったという事例でございます。
保健師のかかわり方としましては、まず、関係団体、あるいは医療機関等の協議の場、これはプロジェクトチーム方式でございましたけれども、設置をしまして、事業をどのような体制で実施していくかということを企画段階から関係職種にかかわっていただきまして、事業の構造化を図っております。
2ポツ目ですけれども、リハビリ専門職に活動していただく場合には、住民の活動そのものに対する直接支援だけではなく、この自治体が介護予防センターという組織を持っておりまして、地区別に活動している介護予防センターの職員に対する技術支援も行っているということで、ほかの事業への波及効果も狙っている。この派遣に係る報酬につきましては、派遣元である医療機関のほうへお支払いするというような事業構造をつくっております。
同様のスキームを医療とリハビリ職だけではなくて、歯科医師会と歯科衛生士会に同じようなスキームを活用し、事業を拡大しましたのと、また、栄養士団体と連携をいたしまして、訪問活動を専ら実施している栄養士会を地域に派遣するなど、事業の拡大を図っております。
こういった取り組みの成果・効果を住民へきちんと普及啓発するのも自治体が行い、また、各団体が参加する地域ケア会議などで専門職の情報交換の場を継続的に持っているということでございます。
事業の効果といたしましては、リハ職等にかかわっていただいた事業の参加者の住民グループの約7割が自主組織活動化いたしまして、さらにはモチベーションがアップして自分たちで活動を継続していこうという住民の意欲も高まっております。さらに、介護予防センターの専門職の能力や自信の向上にもつながっているという効果がございます。
最後に3事例目でございますが、これは訪問看護ステーションによる事業の御紹介でございます。役割3のところをごらんください。地域貢献活動ということで訪問看護事業所が展開する全世代を対象とした集いの場、あるいは健康相談、健康教室の実施でございます。これは人口5,000人余りの市町の訪問看護ステーションでございますけれども、広大なエリアに住民が点在していて、社会資源も限られているような地域の例でございます。取り組み内容といたしましては、こういった地域特性を踏まえて、拠点を構えて訪問看護ステーションで相談を待っているだけではなくて、地域の公民館などに看護職みずからが出向いていって相談や勉強会、講演会などを開催している例でございます。その際に住民のボランティアとともに企画を立てているというところが特徴的でございます。
看護師のかかわり方のところをごらんいただきたいのですが、住民の支え合いを引き出しながら、介護と医療それぞれの立場、状況を理解している看護師であるからこそ、住民の生活に密着した悩みの相談や健康に関する直接支援あるいは相談支援を実施しておりますのと、2点目にありますが、訪問看護のサービス提供者の御家族、主に介護者に当たる方々で介護予防活動に参加したくても行けない方や、近隣住民に対しても参加支援を実施しています。また、必要に応じて医療機関とも連携しているような対応でございます。こういった活動を通じて、住民一人一人が、看護師が来てくれないときも自分たちで頑張ろうというような活動につながり、災害時に専門職がいなくても自分たちでできることをやっておこうというような住民の声もあったと聞いております。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、事務局からの報告及び関係団体からの御発言をいただきましたので、それらについて御意見、御質問等があれば承りたいと思います。いかがでございましょうか。
山田構成員、その次に津下構成員、お願いいたします。
○山田構成員 私のほうからは2点コメントさせていただければと思っております。
1点目についてですけれども、資料2-1の中にも現状の課題として、リハ専門職のマンパワーが不足しているとか、平日の勤務時間中に活動できるリハ専門職が少ないといったような、いわゆるマンパワーに関する課題が主に挙げられております。その中で、日本理学療法士協会からの御提案にもありました、各地域包括支援センターに今後、リハ専門職を配置していくような提案がございました。私としても、将来的に長期的な目標として各地域包括支援センターにリハ専門職が配置されていくということは非常に理想的でありますし、これはぜひ今後、例えば2035、2040という時代を見据えていけば、リハ専門職も職業をリタイヤされる方も多くなってきますので、そういう方の活用も含めて、長期的なビジョンとしてはぜひ検討していただきたいなと思っております。
ただ、一方で、現状、今今の目標としてこれを達成することは非常に難しいと思いますので、例えばなのですけれども、我々も現在検討中の案がありまして、この冬から始めようと言っているのですが、各地域にはまだまだリハ専門職、またはそのほか各職種の方々が少ない地域というのが非常にたくさんございまして、このように専門職が出向くことによって非常に効果的だというのはよくわかっているのですけれども、なかなか実現できないということも課題として挙がっております。
そういった中で、介護予防用のSNSではないですけれども、例えば各地には保健師さんは必ずおられますので、保健師さんが通いの場に出向いていって、その場で挙がった課題などをすぐにインターネットを使って各専門職に相談できるようなネットワークの構築ができないかということを考えております。例えば、一自治体に対して数百といったような専門職が登録しておくことによって、その疑問とか相談事項をリアルタイムに近い形で、すぐに何らかの専門職が回答していただけるといったようなネットワークを構築しようということを進めております。ぜひ、今後そういった形も積極的に導入できるような体制を整えていただけるとありがたいなと思っております。
以上になります。
○遠藤座長 ありがとうございます。御意見として承っていてよろしいですか。それとも何がしか専門職の方からコメントいただきますか。
○山田構成員 もし、こういったものに対して肯定的または否定的な意見がございましたら、アドバイスいただけるとありがたいなと思います。
○遠藤座長 全員は難しいかもしれませんが、何かお考えがあれば、お手をお挙げください。
それでは、森本参考人、お願いいたします。
○森本副会長 理学療法士協会として、やはり先生がおっしゃるように、いろいろな過疎地ですね。なかなかそういったものが提供できない。先ほどあったように、派遣ですと1時間、2時間かけて行く場所も結構あるのです。だから、そういう場合はSNSを使うことに対して私は非常に肯定的ですので、もっと広まるようになればいいなと思っています。
先生に言っていただいたように、地域包括支援センターにもぜひ、私なんかもそろそろ高齢ですので、安く雇っていただけるのだったら幾らでも行く人はいると思いますので、よろしくお願いします。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかによろしゅうございますか。
それでは、西村参考人、お願いします。
○西村理事 栄養士会の西村でございます。
リハ職の先生方を地域包括支援センターに配置というお話ですけれども、実は栄養士会のほうでも、ぜひ、栄養士を地域包括ケア・センターに配置していただきたいという考えがございます。
また、リハと栄養というのは、今、医療のほうでは当たり前のように、リハ栄養という学会もできているぐらいで、リハをするときには必ず栄養とセットでとなっておりますので、配置の際はぜひ栄養士も一緒にお願いできればと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、また御質問にいきましょう。津下構成員。
○津下構成員 よろしくお願いいたします。
まず、厚生労働省への質問なのですけれども、資料2-1の10ページに、サービスCを提供する専門職で「9.その他」が9.4%から55.3%とかなり伸びております。この「その他」については、どんな専門職が該当するのかという質問です。
それから、11、12ページの課題なのですが、実施していないところでは調整が難しいとか、体制ができていないということなのですけれども、注目したいのは後なのです。実施後のサービス提供体制の整備ができていない、これは両者の悩みになっている。もし、介護予防事業の全体像を保険者が描けていて、自分たちの役割がどこで、これはこの前にどういうことがあり、そして、これをどうつないでいくかという全体像が描けていると、専門職の役割というのは見えてくると思うのですけれども、なかなか行政だけで全体像を描くのは難しいと思われます。いい事例をみてみると、その全体像の中でこういうふうにやってつないでいますとか、住民主体の通いの場につないでいますということなので、それが反映されているのかなと思いましたけれども、その解釈でいいかどうかというのが2点目です。
それと関連して、専門職の取り組みは地域格差が非常に大きいことを市町村でマップを示していただいているのですけれども、ここの都道府県がすっぽり抜けているとか、ここは広がっているとか、が見えてきます。そこは行政側というか保険者側の問題なのか、または協会の熱意とか人材が足りないとか、さまざまな要因があると思うのですけれども、そういう分析といいますか、どう解釈し広げていくか。両者の課題認識の共有化が必要なのかなと思いました。
最後に、今まで病院で働いていた専門職が行政とか保険者の保健事業という全くルールが違う世界に入ってくるわけです。保険診療の中で医師の指示のもとの多職種連携と、地域の中で横のつながりでやっていく、または住民の生活を考えて自主的にいろいろなことを工夫していくのでは全く考え方が違っています。病院のやり方をそのまま地域でやってもなかなか住民には受け入れられないということもあろうかと思いますので、そのような専門職の教育が必要と思います。さらにはその経験が病院の医療にもいい影響が及ぶのではないかという期待感もあるわけですけれども、専門職の教育、資質向上などについて、お考えがあればというふうに思います。
以上です。
○遠藤座長 御質問の、それはお答えを必要としているお話ですね。それはどなたに、事務局ですか、専門職ですか。いろいろお話があったように思います。
○津下構成員 最後のは専門職ですけれども、最初の質問は事務局です。
○遠藤座長 では、事務局、お答えをお願いします。
○日名子介護予防栄養調整官 事務局から、まず、専門職の配置のところでスライド10枚目の「その他」ですけれども、この調査研究事業自体では、この「その他」というところに自由記述を求めていないのでわからないのですけれども、ほかの同様の調査の中では、今ある職種以外のところでは、柔道整復師であるとか、あとは健康運動指導士というところが多く、その他の中に挙がってきております。
○遠藤座長 では、専門職団体のほうで何かコメントは。
○津下構成員 地域格差と行政の保健事業へ、介護予防事業などへかかわっていくときの難しさをどう克服されているかという点です。
○森本副会長 地域格差に関しては、地図で示したことに関して、各都道府県士会が、そこに理学療法士が行っているかどうかという連携をちゃんととれているところに関して示していまして、抜けているところでは行っている可能性はあると思うのですけれども、それが把握できていない。これは何でかというと、例えば全体的に広域支援センターとかがしっかりしている都道府県では、どこで誰が行っているのかわかります。先ほどちょっと出ましたけれども、PT、OT、STで専門職協議会というものを各都道府県でつくって、そこが窓口で受けているのも大体わかります。
ところが、個人的に、あるいは病院がその地域で受けていて行っている。そういうものがまだ全国の中にあって、そういったところの把握がなかなかできなくて連携がとれていないとかというのはございます。そういう地域格差は、さまざまその地域地域で取り組みが違うということでの地域格差というふうに考えています。
それと、あとの専門職の教育に関しては先生のおっしゃるとおりで、はっきり言って、病院でやっていたからといって地域では通用しないというのは我々も把握していますし、それをどう教育していくかということも含めて、今、取り組んでいるところです。
一番重要なのはマネジメント能力、いわゆる調整能力ですね。これが一番だろうということで、この調整能力をどう磨いていくのか、どうしていくのかということで、今、会員の中で地域包括支援センターで現実的にどういう形で働いているのかわかりませんが、所属になっているのは700名ほどおりまして、そういった会員からどのような活動が適していて、どのようなことに注意しなしみたいなものの調査を行って、それをまとめていく予定にしております。
○遠藤座長 よろしいですか。
それでは、石田構成員、近藤尚己構成員、藤原構成員の順番でお願いします。
○石田構成員 ありがとうございます。
3つございます。最初は、理学療法のお話の中で、そのデータの8ページ、9ページのところです。やはり人材が非常に不足しているという現状があるということ、それから、実際にはそういう方がいらっしゃっても所属している施設等の許可がなかなかおりなくて、それができないという現実的な制約があるということでしたので、この点を解決していくことが第一になるのではと思います。それで、先ほどぜひ地域包括支援センターに理学療法士の配置をという話ですけれども、実際的にはすぐにこれも難しいと思われます。そこでもう一つの提案として、行政が事業の委託をして、行政の仕事の中で事業所もしくは施設が事業を行うというような依頼が、一番スムーズな形なのかなとも思っております。ただ、やはり物理的には人材はまだ絶対的に不足しているということがあると思いますので、この点について一番課題になっていらっしゃるところをもう少し掘り下げて、御要望として聞きたいなというのが1点です。
二点目は参考資料の最後にあります役割3のところの訪問看護ステーションについてです。ここは、この事業を行っているときに、例えば予算、事業費というのはどうなっているのか、行政と何らかのかかわりをもっておこなわれているのかどうかを詳しくお聞きしたいと思います。
最後に、栄養士会のところなのですけれども、東村山の事例が紹介されておりますが、この栄養ケア・ステーションの事業についての費用がどこから、やはりこれは行政のほうから出ているのかどうかというのが1点。もう一つ、最後に、食支援サポーターが養成されているとのことですが、これは住民たちから管理栄養士など専門職の指導によって養成されていると思われます。私はやはり専門職のかかわりの中で、その重要なところは、住民が専門職のサブというような補助的な専門性を持つように指導することではないかと思います。そして、そうした知識やときに技術を習得した人たちが、これからも多く育成され厚い層になっていくことが非常に大事なことだと思います。そこで、この取り組みについては、東村山の事例なのか、そのほか栄養士会のところで、同様の取り組みを全国的に展開していらっしゃるのかどうか、以上3点お聞きしたいと思いますので、よろしくお願いします。
○遠藤座長 それでは、幾つかありましたので、まず、森本参考人、岡島構成員、西村参考人の順番でお願いしたいと思います。森本参考人、お願いします。
○森本副会長 御指摘いただいた運営会社というか、いろいろなところの法人さんで受けていればいいと思います。医療法人でも構わないし、民間でも構わないと私は思うのですけれども、ただ、越前市の話題を出していただくと、この事業所はもともと市との連携がものすごく深く、行政との連携が深く、地域活動をしていたということ。あと、医師会とも非常に連携をちゃんとしていたという中で、やはり多職種連携がきちんとできないと、なかなかうまくいかないだろうということもございます。そういったことを地域で深くおやりになっているところであれば、まずうまく成功するのではないかなと思っています。それに耐え得る人材がどれぐらいいるかなということは、これは私どももわからないところですけれども、そういう人材を育てていくべきであろうと思っています。
○遠藤座長 ありがとうございました。
では、岡島構成員、お願いします。
○岡島構成員 御質問ありがとうございます。
事例3につきましては、この事業所自体は事業所の持ち出しで、地域貢献の一環としてやっています。それは住民ニーズを見るに堪えず、地域の方々のため訪問看護にステーションが期待に応えているという形なのですが、地域に出向いたり相談の場から通いの場に発展させている訪問看護ステーションの取り組みはほかにもいろいろございまして、中には自治体から補助金が交付されている事例もございます。できれば本会といたしましては、地域包括支援センターとの連携も含めて、事業の一環に位置づけていただけると、さらに広がりができるのではないかと考えております。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、西村参考人、お願いします。
○西村理事 我々のところは、基本的にはお弁当の費用に関しては受益者負担ということで、御本人にお支払いしていただいております。専門職がかかわる費用等につきましては、市のほうの健康増進のフレイル予防の予算で行っております。このような事例は私どものところだけではございません。全国の中でも少しずつですけれども、広まりつつあるという状況でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、近藤尚己構成員、お待たせしました。
○近藤(尚)構成員 まず、専門職の方が地域でどのように活躍していただけるのかを知ることができ、非常に勇気づけられるお話をいただいたなと思いました。特に興味深かったのが、作業療法士会の方のお話で興味・関心チェックリストです。これは非常に大事だなと思っていまして、やはり病院のスタッフが外に出たときに患者さんに接するような形で、つまり病気のケアを完全に動機づけされている人に対する方法でやってしまうとうまくいかないと思うのです。そういうときに、住民の方々が何に興味・関心があるのか。健康や介護予防の先にあるものを見つけるという視点が非常に大切だなと思いました。
これは、先ほど人材育成というお話もありましたが、やはりある程度、国として標準化できるかどうかはわからないのですけれども、健康に動機づけされていない人とされている人とではアプローチをかえるなどの仕組みが必要なのではないかと思いました。
これは今後考えるべきこととして、コメントとして述べたいと思います。
質問があります。言語聴覚士協会の方の話でエイド器具のお話、これもまたすごく貴重な話だなと思いました。やはり内在的な潜在する能力を、エイドを渡すことで引き出すというのがリハビリテーション上はすごく大事な考え方だと思っています。例えば、老人性難聴があった場合、日本の場合、補聴器がとても高くて、それでいて保険でカバーされないというところで、なかなか買えなかったりという状況があります。これは結構構造的なものとして私は問題だなと思っています。
反対に、難聴の方が地域や家庭の中で差別されてしまう、あるいは自分で、自分は耳がどうせ聞こえにくいからということで活動を制限してしまうとことが事例報告されて、私も個人的に経験しております。ここに関して、そういうスティグマが起きないような対応を広めていただくこともすごく大事だなと思っているのですけれども、そこについて、もし御経験や工夫がありましたら、追加で御意見いただきたいなと思いました。
もう一つ、お金に関しては、やはり専門職がたくさん地域に出ていくとお金がかかりそうだなというのを素朴に感じまして、そこはちょっと整理していかなければいけないところなのだろうなというのは私も感じました。
○遠藤座長 ありがとうございます。
作業療法士に関しては、質問ではありませんでしたけれども、御意見がありましたら、何かコメントがあればいただければと思います。それから、言語療法士に関しましては質問という形がありましたので、村井参考人、何かあれば。また、その後、黒羽参考人から御発言いただきたいと思います。
○村井常務理事 近藤先生、ありがとうございます。
まさしく高齢者の意欲をどう高めていくかというのを、私がしたいことはやはりやるのですね。痛くてもしたいことは頑張ってやっていらっしゃるところがあるので、こういう興味・関心をとって、地域の社会資源をサービスではなくて、実際にカルチャー教室とか健康増進施設もありますし、スーパーなどもいろいろな集いの場をつくっていらっしゃるところもありますので、そういうところとうまく結びつけていく。私たちはアクティビティーサポーターみたいな人たちを養成したいなと。まだ手がけられていないのですけれども、そういうことをしながら活動性を高めていく、そのきっかけにぜひこのシートを使っていただけるとうれしいかなと思っております。よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、黒羽参考人、お願いします。
○黒羽常任理事 御質問ありがとうございました。まだきちんとした取り組みとしては行えていないのですけれども、やはり難聴になったときにどういった補助手段があるのか。恐らく補聴器を含めた補装具のお話だったと思うのですけれども、でも、実際には個人で購入されている方もいらっしゃるのですが、使いこなせないで、騒音だけがうるさくてやめてしまっているという方もたくさんいらっしゃいますので、まずそういった方たちにきちんと使う、目的に応じた使い方ですとか、そういったときの注意点ですね。そういったことを通いの場等々でお話ししていくと、そういうことを教えてくれる人がいるのだというところで、まずそういった使えていない資源をしっかりと使えるように住民さんに知っていただくことが一つかなと思いますし、あと、通いの場に出向きますと、体操指導をせっかくPT、OTさんからしていただいていても、聞こえていないという方が結構いらっしゃるのです。ちょっと聞こえにくいなみたいなお顔をされているのは、すぐにSTも同席しているとわかりますので、そういったときには、例えば左右差がある場合は、ここの席に座っていただくとよく聞こえますよとか、人の言葉を聞き漏らさなくて済みますよということを一声かけてさしあげるだけで、孤立感みたいなものを感じずに、そういうふうに工夫すればいいのですねというふうに言ってくださる方もいらっしゃるので、すごく個別的ではあるのですけれども、ドロップアウトしないように丁寧な対応で、そういったところもPT、OTさんと共有しながら、初期の難聴の方に関しても通いの場に来続けられるような支援をさせていただいています。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、藤原構成員、お願いいたします。
○藤原(佳)構成員 ありがとうございます。
私も先月、母親に補聴器を買いまして、一月分の給料が飛んでしまいました。これは冗談でございますが、専門職の方々の住民主体の通いの場の支援というところで、いろいろアイデアをいただいたのと同時に、私も同様の活動を3つほど支援しまして、それぞれ専門職の方がバックアップしていただいているありがたみというのを再度認識いたしました。
私は、攻めの介護予防と呼んでいるのですけれども、結局、高齢者の方に役割をつくってもらうと、ぎりぎりの水際作戦を介護予防の目標とするのではなくて、どんどん役割を持ってもらう。その役割づくりのところに専門職の支援が非常に有効かなというような事例を3つ持っております。このうち、作業療法士さんに非常にお世話になっているものとしましたら、例えば京都のデイサービスで認知症高齢者の方に、まないたをやすりがけしたり、あるいは京都ですので神社のお札のやすりがけをして、それを何枚かお納めすると商店街のクーポン券をもらったりみたいな、そういう活動をされているところもあるのです。やはりそういうところはアイデア自体も作業療法士の方がいらっしゃらないと出てこない話ですし、どこまでならできる、あるいはどのレベルの人ならできるということをちゃんと見きわめながら専門職の方が指導されているというところの一つのあらわれで、非常に人気が出てきているということを聞いております。
例えば、言語聴覚士さんや歯科衛生士さんなどにお世話になっているところですと、私どもは自治体の認知症予防あるいは介護予防教室の一環として、絵本の朗読をして、そのスキルを身につけてから終了後にボランティアになる絵本読み聞かせプログラムを10年以上やっているのです。そういう中で、必ず滑舌のトレーニングも入ります。そもそもひとり暮らしの高齢者の方ですと大きな声を出す習慣自体が少ないですから、発声のところなどは専門職の方に応援していただいているところです。通常、パタカラ体操というのはなかなかそれだけでは定着しないのですけれども、その後の目標といいますか、上手に人前で朗読したい、歌いたい、声を出したい、相手に伝わるようにはっきりしゃべりたいからトレーニングが必要になってくるという一例だと思います。
あと、やはり栄養士さんに関しましても、最近ですと子供食堂の多世代化というか、まちかど食堂的なところで高齢者の方の孤食の解消をダブルでやっているところも多いかと思うのです。そういうところでは、高齢者のボランティアさんも多く活躍され、独自のレシピで、毎回カレーライスを出したりハンバーグを出したりするのではなくて、自分たち高齢者にも子供にも栄養のいいものはないかということが、これは組織というよりも、栄養士さんの場合は比較的地域に多く住んでらっしゃり、たまたま在宅でフリーにされている栄養士さんがボランタリーに応援していただいたりというところがあるかと思うのですけれども、そういったかかわりは、やはり目標を達成させるために専門職が応援していると思います。
では、そういう専門職の方と地域のニーズをどこでマッチングするかというところなのですが、先ほどから幾つかの資料で地域ケア会議が出てきました。でも、私は実際、地域ケア会議は通常、年に2回とか多くて3回で回数が少ないということと、どうしても専門職ばかりの会議になりますから、住民からのアイデアとか住民からのニーズがなかなか出てこないのです。そこで一番現実的なのは、私も再三申し上げているのですけれども、今、生活支援体制整備事業で、生活支援の協議体が一応、でこぼこはありますけれども、ミッションとしてほとんどの自治体で開催されています。
その議論では、実際のところ、なかなか電球交換、掃除というところまでは直ぐには、行きつかないのですけれども、その入り口として健康づくりや介護予防とか地域のいろいろな趣味・ボランティア活動の話題というのが必ず出てくるわけでして、そこの脱線とか寄り道の中に、では、子供食堂と連携したらとかいうようなアイデアは住民のほうから出てきます。そういうものをちょっと丹念に拾い上げていくことが重要です。そこで、食事レシピなら栄養士、手作業系なら作業療法士というように、こういうテーマならどういう専門職がどこにいるわよと生活支援のコーディネーターさんがマッチングしてくれると、結構実現化することも多いのです。
ですので、やはり住民主体に進めていくという意味では、生活支援の協議体というのがせっかくあるものなので、それをもうちょっと多機能・多目的化していくことが一つ大事だと思いますし、その後に専門職の方がバックに控えていただいているというのは、その二重構造でいくというのが実践的かなということをお見受けいたしました。
以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、大西構成員、お願いいたします。
○大西構成員 どうもありがとうございます。
議題1に関してPDCAサイクルに沿った推進方策ということで、介護予防に関する評価指標案につきまして示されておりまして、これまで検討会なり部会なりで御意見が出たところでございますが、我々都市自治体も保険者といたしまして、この指標案に対して各都市からいろいろな意見が出てきておりますので、そのうちの幾つかの重要な意見をかいつまんでお話しさせていただきたいと思っております。
まず、「成果を評価する指標」の中で最初の健康寿命延伸の実現状況というところでございます。具体的な指標案に書かれております、要介護2以上の年齢調整後の認定率と、その変化率を評価指標として用いることは適当であると考えられますが、認定率は年齢以外の要素にも影響を受けるということで、年齢のみの調整で可とするのかどうかについて、慎重に検討してほしいという意見が出ております。
それから、2つ目の住民の幸福感の向上のところですが、これは資料1の8ページの部会の意見でも出ておりますけれども、幸福感というのは、そもそも生活環境などさまざまな要因によって変化するものであって、介護予防のみによって向上するものではないことから、主観的な感じ方にも左右されるものであり、成果指標として果たして適するのかどうか、より慎重な検討が必要であるという意見が出ております。
それから、3つ目の評価項目の通いの場をはじめとする社会参加の拡大のところでございますけれども、具体的な指標案として、通いの場の参加率と社会参加の状況が挙げられておりますが、介護予防に資する取組は通いの場だけではございません。通いの場の参加率は、現在、約5%ということで、低い状況ですし、未利用者も多いという市町村がほとんどでございます。また、働き方が変わって年金の受給年齢引き上げが議論されているということでございまして、通いの場の参加頻度で成果が決まるものではないといったことも十分考慮する必要があるのではないかという意見も出ております。
それから、4つ目の評価項目の通いの場に参加する高齢者の状態の変化でございます。高齢者の状態の維持・改善状況を指標とするためには、住民主体の活動が阻害されないような手法とすることが大事であり、それに加えて、地域間の比較や適切な評価を行うために、国による全国統一の評価ツールの提供が必要であるという意見が出ております。
それから、2番の「取組過程を評価する指標」のところでございます。まず、行政内部での連携についての指標案でございますけれども、連携状況といいましても、自治体の規模や特性によって大きく違ってくるということで、また、行政内部での連携に対する優先度も異なりますので、全国統一的な評価手法として適切かどうか、さらなる検討が必要ではないかという意見が出ております。また、連携状況をどのように評価するのか、評価指標の設定に工夫が必要であるといったような意見も出ているところでございます。
それから、少し飛びまして、5つ目の評価項目の、通いの場への参加促進でございます。ポイント制度等について評価したいということでございますけれども、これにつきましては、予算を伴って一度始めるとなかなかやめることができない性質の事業であって、状況把握等をまず行っていただいた上で、これを指標とするかどうか慎重に検討してほしいというような意見も出ております。
以上、評価項目等々についての主な意見だけ、お話をさせていただきました。
それから、議題2の専門職の効果的・効率的な関与の具体的方策についてということでございますけれども、先ほどからそれぞれ御意見や各団体からの積極的な関与についての御提言等もいただいているところでございます。一般介護予防事業の専門職の関与につきましては、とにかく我々都市自治体としても積極的に進めていただきたいと思っております。
ただ、もともとの問題点等にございましたように、リハビリの専門職などは医療機関等に所属していることが多く、なかなか所属を離れての活動となる地域への支援といったことには所属機関の理解が必要であることや、事故等の際の処遇の扱いなどの課題があるということで、なかなか進んでいないのが現状かと思っております。
先ほどから各団体からもいろいろな御提案がございましたけれども、その中で医師会からは市町村とともにやっていきたいというお話もあったわけでございます。そういう連携が積極的に進められるように専門職団体や医療機関等に国からまず積極的に働きかけていただいて、県単位ぐらいで派遣調整をするなど、この専門職の安定的な提供体制をぜひ整えていただきたいと思っているところでございます。
また、一般介護予防事業は健康づくりの側面もあるということでございますので、先ほどもご意見がございましたが、医療の専門職のみではなく、健康運動指導士でありますとか民間のスポーツインストラクター等の活用、あるいは都道府県・市町村単位で育成をしております介護予防サポーターなどの住民ボランティアを活用するといったことも有効ではないかなと思っているところでございます。
また、3つ目の論点でございますけれども、KDBを活用したデータ分析や保健師などの専門職による通いの場へのアウトリーチということでございます。これも大切な論点であろうかと思っております。
ただ、先ほどもありましたように、専門職のマンパワーにもどうしても限りがあるわけでございますので、支援が必要な者を把握し、通いの場への参加を含めた必要な支援につなげていくためには、地域住民の見守りなど、地域にある互助の機能を生かした住民の支え合いのネットワーク、いわゆる第2層協議体、本市では地域福祉ネットワーク会議と言っておりますけれども、そういう地域づくり、地域共生社会づくりの中の機能をアウトリーチの取組として位置づけていくことも大事なのではないかと思っております。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
では、山本参考人、お願いいたします。
○山本参考人 ありがとうございます。黒岩構成員の代理ということで出席させていただいております、神奈川県高齢福祉課長の山本と申します。よろしくお願いいたします。
私のほうからは、PDCAサイクルに沿った推進方策と、それから通いの場の専門職の関与の方策について、意見を述べさせていただきます。
まず、通いの場のほうなのですけれども、専門職の関与はとても重要だと考えております。ただ、専門職の方を毎回通いの場に派遣するということは、非常に人材確保も難しいということがございますし、やはり通いの場はあくまで住民主体ということがございますので、そういったところをしっかりと意識して取り組んでいかなければいけないと考えております。ですから、運動機能が向上したとかそういったことも重要なのですけれども、活動継続に向けたモチベーションアップ、先ほど来、そういった御意見も出ていらっしゃいましたが、やはり住民の方のモチベーションアップ、そうしたことで活動のヒントをいかに与えていくか。そうした視点を持って専門職の方と住民の方が一緒により魅力ある取り組みをともにつくり上げていく、そういったような姿勢で取り組んでいくことが重要ではないかと思っております。
本県でも、幾つかの市町村でモデル事業を実施しておりまして、理学療法士さんや歯科衛生士さんや栄養士さんを派遣させていただいておりますけれども、やはりそうした視点が重要だということを実感している次第でございます。
また、専門職の医師や歯科医師の方々、そういった医療・保健の専門職の方々の今後の展開ということで申し上げさせていただきますと、例えばなのですが、一定の専門職の方がいらっしゃる介護現場といいますか、介護施設。そういったところを拠点的な通いの場として位置づけて、我々神奈川県は未病ということを言っておりますけれども、未病ステーションというような形で日ごろから心身の状態の改善等の専門的なアドバイスを受けられるような場にしていくということも、今後の広がりとして考えていけるのではないかなと考えております。
あと、PDCAサイクル、議題1のほうになりますけれども、前回、黒岩構成員から未病指標の概略について発言をさせていただきました。資料1の3ページ、4ページで、通いの場に参加する高齢者の状態の変化については中長期的な課題ということで、維持・改善状況の評価ですとか、高齢者の状態を把握、分析する手法については今後検討ということになっておりますけれども、未病指標は、自分が今どのような状態にあるのかということを本人自身が見える化して見ることができるということで、自分自身でもモチベーションにつながっていくのではないかということも考えられます。11月13日、14日に未病サミットが開催されまして、その未病指標のモデルをお話しする予定でございますので、今後、本検討会でもまた紹介をさせていただければと考えております。
ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
それでは、田中構成員、お願いします。その次に近藤構成員。
○田中構成員 ありがとうございます。私のほうからは2点お話しさせていただきたいと思います。
資料2-1の34ページ、論点のところです。○の3つ目ですが、通いの場に参加していない人をどのように支援していくか、把握していくかという内容があるのですが、前回、津下先生からも資料が出たと思うのですが、4.何%、これは全国的にもそうなのかもしれないのですが、そのような人たちに最初にこれはデータがない人なので、通いの場に来ていない人で、さらに問題があるのは、健診もしていなければ何もしていない、レセプトのデータもないような方たちがかなり優先的に把握されるべきあろうかと思っております。
それにはKDBがかなり強い味方になってくれますので、健康増進部門の保健師とか管理栄養士のところが積極的に関与していく、あたりをつけていくということが重要ではないかと思います。
私がかかわっている市でも、不明者は4%なのですが、実際に中身を見てみますと、ある町内に偏っていたり、ある団地に偏っていたり、いわゆる健康格差があるようなところに偏っていたりすることがあるのです。そういうところからあたりをつけていくということはすごく重要なことだろうと思います。それで訪問か通所支援につなげていくということもあると思います。もう一点なのですけれども、専門職の効果的な関わり方や、PDCAにもかかわることなのですけれども、これにはやはり後期高齢者の質問票が有効に使えるものだと思いますので、積極的に使用していくとデータも収集されますし、そこから先ほど申し上げた内容と後期高齢者の質問票から拾い上げてくる内容を合わせていきますと、地域で必要になってくるような資源がある程度見えてくるところもあると思いますし、地域ケア会議に提案していくという内容もあり充実していくかなと思います。
管理栄養士はなかなか自治体にも数が少ないので、そこで拾い上げたような内容で栄養に問題あるところがあれば、先ほど御紹介された栄養ケア・ステーションのほうにも投げていくとか、連携していくとか、そういう形がとれると思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
では、近藤国嗣構成員、どうぞ。
○近藤(国)構成員 今回、専門職をどう活用するかということなのですけれども、まず都道府県内での専門職の人材資源の情報をきちんと収集して、そして、それを適切に配置および教育する仕組みがないといけないと思っています。地域リハビリテーション支援体制事業がある場合には、県全体の専門職の状況を把握して、それを配置するシステムがあります。この事業が機能しているところは専門職の活用がうまくいっているけれども、そうでない都道府県では、うまくいっていないという話を聞いています。
また、地域包括ケアシステムが、一番試されるのは災害時だと思われます。今回例示された、熊本地震の際、熊本県は地域リハビリテーション支援体制事業が機能しており、事業を基盤として復興リハビリテーションセンターを創ることによって、災害時においても介護予防ができたわけです。都道府県における療法士の活用、専門職の活用が、この地域リハビリテーション事業の有無によって違いがあるかという点を事務局にお聞きしたいです。
それから、療法士を出してくれない施設が多いということをお聞きしましたけれども、最も療法士を抱えている事業体は何かというと、病院を中心とする医療機関です。療法士を数多く抱えている医療機関が市町村を越えても療法士を出すという仕組みをつくらないと、専門職の活用は難しいと思われます。ここはやはり医師会に相当期待したいところがあると感じております。例えば千葉県ですと、千葉県地域リハビリテーション支援体制事業の中で、全県的に「ちば地域リハ・パートナー」施設を募集しております。広域支援センターが、募集に応じたパートナー施設より、市町村を越えて専門職を活用していくという形をとらせていただいております。
もう一点気になるのは、個別の事業所に市町村における介護予防事業の運用を任せることによって、いわゆる抱え込みが起きてしまうのではないかという点です。さらには独善的な事業を行ってしまう危険性があるのではないかという点もあります。一事業所にすべてを任せるのではなくて、市町村内で適正な事業のすみわけ、そして事業に関わる専門職の教育体制を整えないと、間違った方向に進む危険性を感じております。
最後に質問となります。栄養のスタートは口だと思うのですが、小玉構成員に聞きたいのですけれども、歯科医で栄養をスクリーニングする体制が現時点で整えられているのかどうか。歯科医でのスクリーニング体制があればかなり多くの方々への栄養スクリーニングが実施できるのではないかと思います。また、現在管理栄養士は介護保険事業では事業所内に管理栄養士を配置していなくても、病院・医院等から事業所に派遣して栄養指導を実施して良いという制度ができています。もちろんSTも歯科衛生士もそういった対応ができると思いますが、栄養スクリーニングで歯科医師会が活躍できないかという意味での質問です。
○遠藤座長 では、小玉構成員、お願いします。
○小玉構成員 近藤構成員、御質問ありがとうございます。
栄養につきましては、口が最初の消化器官ということで、我々もその対応を今、深めているところでございまして、従来、歯の残存数だけの評価を、今度、口腔機能も含めてオーラルフレイル対策というところで、その栄養の摂取状態を多少の衰えの段階からしっかりとした対応をしようというところでやらせていただいてございます。
先ほど、管理栄養士さんから話があります栄養ケア・ステーションでございますけれども、これは一般の歯科診療所の中でも、管理栄養士さんを雇用させていただいて、栄養に関する対応を進めているところも幾つか出てきてございます。ただ、医師会さんのほうでは栄養ケア・ステーションをつくられたり、管理栄養士さんを含めて薬剤師会の中でも栄養ケア・ステーションをつくられているところはあるのですけれども、歯科医師会が栄養ケア・ステーションをこれからつくろうというのは、動きとしてはございますけれども、まだ実際にはありません。
ですから、個別の診療所の中でまた個々の歯科の診療所が管理栄養士さんと関係して、栄養に対しての対応をしているというところは少しずつ出てきてございます。これから、例えば栄養士法がありまして、なかなか居宅栄養管理指導、また、疾病障害者に対する栄養の医療的なケアに関しては、歯科医師の指導のもとで栄養スクリーニングもやらないといけないのですけれども、通いの場でありますとか、ほかにいろいろ、今、近藤構成員がおっしゃったような栄養に対するマネジメントを、本当に低栄養の状態にならないように、それから、そういった低栄養の状態が重症化しないようにというところを最初から考えるのであれば、その関係もいろいろと考えて、歯科医師も地域の中で対応を含めるような形にしていただければありがたいなと思います。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかに。
近藤構成員、手短にお願いします。
○近藤(国)構成員 包括支援センターへの雇用が厳しかった場合に、高齢者を多く雇用する企業に、介護予防として療法士を活用していただくというような仕組みづくりもあっていいのではないかと考えます。高齢者の雇用が増えておりますので。
○遠藤座長 御意見として承りました。
ほかに、どうぞ。
それでは、斉藤正行構成員、その次に濵田構成員、お願いします。
○斉藤(正)構成員 私ども、デイサービスの事業者の立場から、先ほど来お話が出ている専門職の人材の確保の部分について、一言コメントと、あわせてPT協会の森本副会長からいただいた御提案に追加的なコメントをさせていただきたいと思うのですが、専門職の不足という部分につきましては、雇用主の立場として、デイサービスの事業所は全国に4万3000事業所ございますが、デイサービスには機能訓練指導員ということで、PT、OT、ST、また看護師等の配置が義務づけられておりますので、デイサービスにも全国に4万3000人以上の専門職種が配置されているわけですが、デイサービスで専門職を採用するということもかなり今、苦労をしている状況でありますので、雇用主自体がなかなか人材確保が厳しい中で派遣をしていくことが事実上非常に厳しいというのが現場の状況ではないかなと感じております。
そのような中で、PT協会さんから御提案をいただいた、既に専門職を配置している事業所への委託という部分につきましては、近藤構成員がおっしゃっているような本来の趣旨を逸脱しないような、抱え込み等々にならないような懸念はしっかりと考えていかないといけないでしょうし、また、山本参考人がおっしゃったような、本来住民主体の通いの場だということの趣旨も踏まえた上ではありますが、一体的なデイサービス事業者ですとか総合事業を提供している事業者の委託ということを推進できるような仕組みを検討していくことが、この一般介護予防事業を広げていく上の一つのポイントになるのではないかと感じております。
その中で、最後に1点だけ。ただ、単純に一般介護予防事業だけを委託していくということは、なかなか取り組みとしては難しい側面もあろうかと思いますので、今も議論されている総合事業のC型ですとか、その他のサービス等のを複合的な取り組みをしていくことによって、委託先の事業者は運営継続していくことが可能になるのではないかなということであり、そのあたりの仕組みをぜひ御検討いただきたいと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
では、お待たせしました。濵田構成員、どうぞ。
○濵田構成員 ありがとうございます。本当に貴重な御発表をありがとうございました。
効果的なかかわり方に並行しまして、効果的な専門職の確保方策に焦点化した事例を深掘りしたものを情報として集約して、好事例として参考にするということが必要と感じました。仮説としては、リハビリテーション専門職の方ですと地域偏在があり、先ほど医療機関、病院のほうで多くの専門職を抱えられているというような事例も含めて同じ地域内でもさらに偏在があろうかと思っております。このため、例えばもう少し具体的、技術的に、いわゆる報酬や旅費とか負担の範囲も含めまして、深掘りした確保策の事例収集が提供されれば専門職の確保につながり、そして、それがひいては効果的なかかわり方につながっていくという可能性もあるのではないかと感じたところでございます。
あわせまして、地域ケア会議の例も出ましたが、一方で非常に回数を多く開催しているところもございまして、これも効果的なかかわり方と関連して、各団体様のほうからもこの位置づけをいただいております、そのあたりも矢印からもう一歩進んで、どういうかかわり方をされているのかということも確認して、好事例を発信していくことでさらに普及していくのではないかと思っております。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに。
堀田構成員、どうぞ。
○堀田構成員 ありがとうございます。
1つ目は、38ページの論点で役割をそれぞれの専門職に期待されるものとして整理してはどうかみたいなことが書かれているのですけれども、きょうの皆さんのお話を伺っていてとても勉強になったのですが、改めてこの議論をするに当たって、例えば自治体レベルでの地域診断に基づいて事業を企画する。ほかの関連する事業との調整も図りつつ、企画をして、それを全体としてモニタリングするというレベルでの期待される役割と、それから、一人一人の必要とする方々を発見する。スクリーニングする。具体的により詳細にアセスメントをして、適切な介入をしてモニタリングをする。必要に応じて事業企画にも反映させていくといったようなこと。さらにその中で、特に集団の場の中で同じ弱さとか同じ関心を持っている住民同士が出会ったり、そのナレッジを共有したり、住民同士が活動し始めるみたいなこと。その後押しをしたり、場づくりをするといったような、3レベルぐらいあるのかなと思ったのですけれども、どこの部分が今、一番詰まっているのかというところを、ある程度、きょうの各専門職団体からの御意見などに基づきながら、もう一度、一旦整理をしていただけると、今も既に結構それぞれ苦しい中でも御活躍くださっている中で、何を押せば、あるいは何を外せばいいのかということが議論しやすいのではないかと思いました。
とりわけ3つ目のところについては、何度かお話が出ていましたけれども、地域共生社会、あるいはコミュニティーソーシャルワークで言われているところとも近いと思いますので、きょうは医療専門職が中心だったと思いますけれども、それだけではない幅広い活用ということが議論される必要があるのではないかと思いました。
2つ目ですけれども、人員配置、先ほども専門職の確保という話がありましたが、今、医療、介護、福祉を通じてだと思いますが、特定の事業所、特定の機関に特定の人とか職種を張りつけたほうがいいということは、今後長期的に考えると余り現実的ではないのではないかと思います。逆に言うと、どこに所属をしていても柔軟に機能が発揮できるということを考えることが現実的なのかもしれないということもあると思いますので、きょうも配置の御提案がありましたけれども、より、どこに存在していても事業を委託するという形で柔軟な活躍を促すような考え方も両方あり得ると思いますので、そこはちょっと慎重に検討する。どこかの機関に特定の人、職種を張りつけるほうがいいということは、今後、とりわけ慎重に考えたほうがいいのではないかと思いました。
それから、3つ目ですけれども、人材育成というときに教育の話も出ていましたが、現任者の研修だけではなくて、今後、これから育っていく基礎教育の中でも、例えばイギリスの社会的手法の概念のことも紹介いただいていましたけれども、人間中心性とかエンパワメント、コ・プロダクションみたいなことがしっかりと基礎教育の段階から入っているのか。さらに、これが現任者の研修の中でも、よりケースを通じて学べるといったような機会がどれだけ広げられるかということも議論をつなげていく必要があるかなと思いました。
最後ですけれども、今、最初に申し上げた自治体レベルの事業のこと、一人一人の臨床で場を広げるといったところ。それぞれいろいろなツールが開発されているのだと思いますけれども、そのツールやアセスメントのあり方みたいなことも、まだ棚卸しができる余地があるのでしょうし、通いの場と言われていますが、これまでの議論の中でも十分には公的な機関なり事業の中で魅力的な通いの場と考えられるものが拾われていないということも言われていたと思います。この通いの場の4.9%という数字もなのですけれども、より地域の方々が行きたいと思えるような場所、それが更新されていくような、それは部局を越えてまちづくりの方々とか市民協働の方々からのデータも含めた形で、きっちりとデータベースを更新されるといったような形でのツールの議論も必要ではないかと思いました。
ツールの中でも、最初にきょう御指摘がありましたけれども、SNSの話もありましたが、リアルにその場にいるだけではないオンラインで指導するとか対話をする、あるいはモニタリングをするといったようなことの柔軟化もあわせて検討する必要があるかなと思いました。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、松本参考人、お願いいたします。その次、近藤構成員で、松本参考人、どうぞ。
○松本参考人 ありがとうございます。
専門職の関与につきましては大変重要だと思いますが、一般介護予防事業の原資となりますのは、何度も申し上げておりますけれども、1号、2号の保険料、それから税財源ということになりますので、専門職の関与の仕方、あるいは専門職の方に対する報酬のあり方、これらについてもある程度明確にしておく必要があるのではないかと考えます。現状は自治体の裁量によるところが多いと伺っておりますので、一定のルールが必要ではないかと考えます。
また、費用の増加が、大変懸念されますので、一定の条件が必要だと思いますし、やはり費用の上限についても当初の規定の方向性で守っていただきたいと思っております。その上で、給付費の適正化といった効果につなげていただくことも大事かと思います。いずれにしても、不明確な状態で無条件に拡大するといったことのないように御検討いただければと思います。
以上です。ありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、近藤克則構成員、どうぞ。
○近藤(克)構成員 本日の議題は2つありまして、PDCAサイクルの話と専門職の活用のところで、そこで重なるところをずっと考えていました。今、御発言がありましたように、介護予防は効果があったのか、専門職がかかわったことでこんなに効果があって給付費が下がったのだ。だったらそれを進めればいい。しかし、効果が期待したほどではなければ、立ちどまってやり方を見直すべきだ。それが1番目のPDCAサイクルのチェックをしっかりやるということだと思うのですが、これは一体誰がやるのかというのがいま一つ見えないなというのが私の思いです。
保険者と接することが多いので聞くと、自分たちだけではできないという声をよく聞くものですから、そこに専門職が絡むという形があるのかなというのを期待しながらお話を聞いていたのですけれども、専門職不足地域が結構あるという話が見えてきまして、専門職に期待するということでも解決しないらしい。では、誰がやるのかというのは、また戻ってしまって、結局いろいろ考えていくと、評価といってもこういう枠組みで、こういうデータを集めて、こういうふうにやるというのが標準的なものだという考え方については国で出すことができます。それが一旦出てしまえば、自治体は一生懸命集め始めて、そのデータを国の総合データベースのほうに出して、それでやるということはできそうな気がします。ですから、ぜひ、国のほうでそういう枠組みをつくってPDCAサイクルを回すのだ、それをつくるときに専門職のいろいろな知恵をもらうのだと、その辺のことはぜひ最初の取りまとめに反映していただきたいと思いました。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかにありますか。
それでは、江澤構成員、お願いします。
○江澤構成員 ありがとうございます。
議論を踏まえますと、通いの場等において、いわば専門職の安定的な供給体制が非常に課題だと感じております。そういった中で、きょうの私のほうからの医師会の提案は、リハビリ専門職を医師会が窓口になって安定的に供給しようということを考えているものですけれども、いずれにせよ地域の専門職は限られた人材でございますので、先ほど堀田構成員もおっしゃいましたが、限られた人材をどう有効に活用していくのか。例えば地域包括支援センターも今、かなり機能強化のもと、機能不全に陥っている側面もあって、とりあえずいろいろな公的な業務も、民間も含めて、地域の社会資源で総力を挙げて、地域という面で支えていくことがこれから重要だと思っておりますので、そういったことを踏まえていろいろ各地で検討していただけるよう、御配慮いただきたいと思います。
そのための前提条件としては、きょう、先ほど前段で申しましたが、規範的統合、すなわち市町村の地域包括ケアシステムの推進に関する方針について、関係者が共有していく状態、これをどう醸成するかということが重要なことでございまして、きょうも大変、各専門職の方々がいろいろな取り組みを御発表されて、プレゼンテーションされて、大変ありがたく思っておりますけれども、この専門職あるいは専門職団体が各地域でどうその方向性、ベクトルを一つにして取り組んでいけるかということが重要なことでございます。
ただ、私の印象でございますが、各地域においてその規範的統合に関する共有する場とか議論をする場というのがまだまだ少ないのではないかと。ですから、きょう申しました市町村と専門職関係団体があえて協働と申し上げたのは、そういった規範的統合というものをちゃんとそうしたところで議論して、共有できる場にもなりますし、一方で、先ほどから出ております質の評価、あるいは今後のPDCAを回すということも、そういったところで議論可能かと思いますので、ぜひ地域で総力を挙げて取り組めるように、取りまとめていただきたいと思います。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに何かございますか。よろしゅうございますか。
ありがとうございました。予定の時間を若干過ぎておりますので、本日の議論はこれぐらいにさせていただきたいと思います。
本日は、専門職の団体から御参加をいただきまして、貴重な御意見をいただきまして、どうもありがとうございました。改めて御礼申し上げたいと思います。
また、次回以降、取りまとめに向けた議論になるという予定だそうですので、事務局は本日の意見も踏まえて整理をお願いしたいと思います。
それでは、次回の日程等について、事務局から何かありますか。
○北原介護保険データ分析室長 次回は、11月8日金曜日の9時半からを予定しております。詳細は追って御連絡させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○遠藤座長 それでは、これをもちまして本日の検討会を終了させていただきます。どうも長時間ありがとうございました。

(了)