2019年11月13日 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会 議事録

日時

令和元年11月13日(水)16:00~
 

場所

新橋5A会議室(5階)

出席者

出席委員(9名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理


欠席委員(2名)

行政機関出席者

 橋本隆志(監視指導・麻薬対策課薬物取締調整官) 他

 

議事

○薬物取締調整官 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会令和元年度第3回指定薬物部会を開催いたします。本日、医薬・生活衛生局長、監視指導・麻薬対策課長は所用のため、欠席とさせていただきます。当局の審議官、麻薬対策企画官も所用のため欠席とさせていただきます。
 委員の先生方には、お忙しい中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。本日は桐井先生から御欠席の御連絡を頂いております。松本先生はまだお見えになっておりませんが、現在のところ、当部会の委員数11名のうち9名の御出席を頂いており、定足数に達しておりますので、御報告いたします。
 部会を開始する前に、改めて本部会の公開・非公開の取扱いについて御説明いたします。審議会総会における議論の結果、会議を公開することにより委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると判断されたことから、非公開とされております。また、会議の議事録の公開につきましては、発言者氏名を公にすることで発言者等に対して外部から圧力、干渉、危害が及ぶおそれが生じることから、発言者氏名を除いた議事録を公開することとされておりますので、あらかじめ御了承いただきたいと存じます。
 さらに、厚生労働省全体の取組としまして、審議会等のペーパーレス化を進めております。本日はペーパーレスでの部会開催とさせていただきますので、部会資料はお手元のタブレットを操作して御覧いただくことになります。操作等で御不明点等がございましたら適宜事務局でサポートいたしますので、よろしくお願いいたします。それでは、以後の議事進行は鈴木部会長にお願いいたします。
○鈴木部会長 それでは、最初に事務局より資料の確認をお願いいたします。
○事務局 本日の資料の確認をいたします。タブレットを操作しながら資料の確認をお願いします。まず、マル1部会資料のフォルダから説明いたします。マル1部会資料については、資料1、資料2-1、資料2-2、資料3を格納しております。後ほど資料につきましては御説明いたします。続いて、マル2文献のフォルダを御説明いたします。マル2文献については、文献1から文献24を格納しております。必要に応じて御確認ください。続いて、マル3参考資料のフォルダです。これについては、参考資料1、参考資料2、参考資料3を格納しています。必要に応じて御覧いただければと思います。☆委員名簿・座席表については、机上に配布していますので、適宜御覧いただければと思います。資料についての説明は以上です。資料や操作等について御不明な点がありましたら、事務局までお申し付けください。
○鈴木部会長 本日の議題は指定薬物の指定についてです。それでは、審議に入ります。審議物質について、事務局より説明をお願いします。
○事務局 資料について説明します。資料1については、各物質の名称、通称名、構造式を記載しております。資料2については、御審議いただく物質のほか、構造が類似する指定薬物や麻薬等について一覧表にまとめたものです。資料3は、国内外の基礎研究や動物実験の結果等について、中枢神経系への影響を中心にまとめたものです。
 それでは、カンナビノイド系物質である審議物質1について御説明します。初めに、資料2について御説明しますので、資料2-1を御覧ください。資料2-1はカンナビノイド系の審議物質1のNE-CHMIMO及びこれに構造が類似する麻薬や指定薬物について、カンナビノイド受容体に対する影響、中枢神経系への作用等をまとめています。審議物質1はカンナビノイド受容体に対するアゴニスト活性を有しており、過去に指定した指定薬物と同種の作用を有することを確認しております。資料2の説明は以上です。
 続いて、資料3について御説明いたします。資料3の1ページを御覧ください。審議物質1の通称名については、NE-CHMIMOとJWH-018-cyclohexylmethyl derivativeがありますが、今回は通称名NE-CHMIMOで説明いたします。NE-CHMIMOは指定薬物であるFUB-JWH-018や麻薬であるJWH-018に構造が類似する化合物です。
 続いて、1ページの(1)行動及び中枢・自律神経症状の観察についてです。1ページから2ページを御覧ください。マウスにNE-CHMIMOを15mg添加したマーシュマローリーフ0.25gを燃焼させ、マウスを薬物にばく露させて、燃焼後15、30、60分後の行動及び中枢・自律神経症状を観察しています。NE-CHMIMOをばく露したマウスは、コントロール群のマーシュマローリーフばく露群と比較して、攻撃性、洗顔運動の抑制、自発運動の抑制、挙尾反応、指間離開などが確認されたとの報告を受けています。2ページの下の表1に、NE-CHMIMOに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値の抜粋を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値となっています。また、観察された特徴的な症状を示した写真を3ページに載せています。ここで3ページの写真と併せて、実際の動画も御確認いただきたいと思いますので、3ページの写真の上から順に前のスクリーンの動画とともに御確認ください。こちらは燃焼終了後約8分経過のマウスですが、ケージ壁へのもたれ掛かり、仕切り網へのよじ登り、伏臥位姿勢で静止状態、激しい飛び跳ねが確認されました。続いて、こちらの動画は燃焼終了後約26分経過の別のマウスですが、ケージ角壁に寄り掛かり立ちした静止状態、口部を床敷きに付けた伏臥位姿勢で静止状態、眼球突出が確認されました。続いて、こちらの動画は燃焼終了後約42分経過の別のマウスですが、口部を床敷きに付けた伏臥位姿勢で静止状態、両後肢指の乖離が確認されました。こちらの動画は燃焼終了後約1時間11分経過の別のマウスですが、口部を床敷きに付けた伏臥位姿勢で静止状態、両側前肢が後方へ反転し、上体の下に隠れた異常姿勢が確認されました。
 続いて4ページの(2)カタレプシー試験の結果を御覧ください。ここで4ページの写真と併せて、4ページの写真の上から順に前のスクリーンの動画とともに御確認いただきたいと思います。これは燃焼終了後約15分経過の結果ですが、5匹全てで陽性が確認されました。続きまして、こちらは燃焼終了後30分経過の結果ですが、5匹全てで陽性が確認されました。こちらは燃焼終了後60分経過の結果ですが、5匹中4匹の陽性が確認されました。動画については以上です。
 続いて、5ページの(3)を御覧ください。ヒトカンナビノイド受容体(CB及びCB受容体)に対するアゴニスト活性EC50を測定した結果を載せております。CB受容体については2.06×10-mol/L、CB受容体については3.61×10-mol/Lとの結果から、カンナビノイド受容体に対するアゴニスト活性があることが報告されています。
 以上のことから、NE-CHMIMOについては、行動・症状観察において攻撃性、洗顔運動の抑制、自発運動の抑制、挙尾反応、指間離開といった異常な行動や症状が確認されていること、ヒトカンナビノイド受容体に対するアゴニスト活性を有していることが確認されたことより、過去に指定した指定薬物と同等の作用を有すると考えております。
 以上のことから、NE-CHMIMOについては、中枢神経に作用する物質であり、法律第2条第15項に規定する「中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高い」と考えております。
 続きまして、資料3の5ページの(4)海外での流通状況についてですが、2015年にドイツにおいて、2016年にオーストリアにおいて流通が確認されております。
 最後に(5)海外での規制状況についてですが、アメリカ、カナダ、ドイツで規制されていることが確認されております。以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○鈴木部会長 それでは、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。まず最初に流通実態について、○○委員から御報告をお願いします。
○○○委員 本化合物につきまして○○○○での検出例はございませんでした。以上です。
○鈴木部会長 それでは、委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。
○○○委員 細かいところで恐縮なのですが、この資料の22ページの参考文献の文献2と文献7の通称名のNE-CHMIMOのスペルが「CHI」になっていますが、「I」が要らないかと思います。
○事務局 御指摘ありがとうございます。訂正いたします。
○鈴木部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、御意見がないようですので、審議をまとめます。ただいま御審議いただきました物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、引き続き事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 続いてフェネチルアミン系物質である審議物質2について御説明します。資料2-2を御覧ください。資料2-2は、フェネチルアミン系の審議物質2の4-EAPB並びにこれらに構造が類似する覚醒剤や指定薬物について、自発運動への影響、マイクロダイアリシスのデータ、セロトニン受容体に対する親和性などをまとめております。審議物質2は、マイクロダイアリシス試験ではモノアミンを有意に増加させており、過去に指定した指定薬物と同種の作用を有することを確認しております。資料2の説明は以上です。
 続いて、資料3について御説明します。資料3の6ページを御覧ください。審議物質2の通称名4-EAPBですが、指定薬物である2-EAPBや5-EAPBに構造が類似する化合物です。まず、(1)行動及び中枢・自律神経症状の観察についてです。6ページから7ページを御覧ください。マウスに4-EAPBを2、20、100mg/kg経口投与し、投与後30、60、120分の行動及び神経症状を観察しております。2mg/kgの投与群では、自発運動の増加が確認され、行動観察及び自律神経症状については、いずれの項目も影響が認められなかったと報告を受けております。20mg/kgの投与群では、反復動作の亢進、洗顔運動の抑制、立ち上がり動作の亢進、攻撃性、痛反応の亢進、自発運動の亢進、挙尾反応、瞳孔の散大などが確認されたと報告を受けております。100mg/kgの投与群では、洗顔運動の抑制、痛反応の亢進、攻撃性、異常歩行、異常姿勢、耳介反射の亢進、瞳孔の散大などが確認されたと報告を受けております。
 続いて、7ページの表2を御覧ください。4-EAPBに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値の抜粋を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値となっております。また、観察された特徴的な症状を示した写真を8ページに載せております。8ページを御覧ください。併せまして、実際の動画も御確認いただきたいと思います。こちらは20mg/kg投与群の投与後約45分経過後のマウスですが、立ち上がりが多く、忙しい行動が確認されました。続きまして、こちらは投与後約2時間経過後の別のマウスですが、立ち上がり、鼻部の小刻みな震えが確認されました。こちらは100mg/kg投与後約15分経過後の別のマウスですが、伏臥位姿勢、僅かな首振り、陰嚢の突出、静止状態、立ち上がり、自発運動の少なさが確認されました。続いて、こちらは投与後約1時間経過後の別のマウスですが、腰高の歩行、首振り、飛び跳ねての異常な移動、忙しい反復動作が確認されました。こちらは投与後約2時間経過後の別のマウスですが、挙尾反応、高速なターン、反復動作、陰嚢の突出が確認されました。動画については以上です。
 続いて9ページの(2)について御説明します。Fig1の測定結果のグラフと併せて御覧ください。自発運動における運動量の測定について、マウスに4-EAPBを20mg/kg経口投与し、投与後3時間までの10分ごとの自発運動量を測定しております。4-EAPB投与群、対照群として蒸留水群、各群マウス4匹を使用し、総運動量、大きい運動量、立ち上がり回数、総移動距離について、Wilcoxon検定を用いて有意差検定を行ったところ、総運動量、総移動距離は、投与40分後から110分まで、対照群と比べて増加傾向にあり、70分を除いて、50分から100分で有意な増加が見られたとの報告を受けております。大きい運動量は、投与40分後から110分まで対照群と比べて増加する傾向にあり、40分から100分で有意な増加が見られたとの報告を受けております。立ち上がり回数は、投与40分後から100分まで対照群と比べて増加する傾向にあり、70分を除いて60分から100分で有意な増加が見られたとの報告を受けております。
 続きまして、10ページの(3)を御覧ください。マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化の報告を載せています。コントロールの水投与群に対する4-EAPB19mg/kg経口投与群のモノアミンの増加率の有意差をウェルチのt検定で求めたところ、10ページのFig2のグラフのとおり、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンのいずれにおいても有意な増加が確認されたとの報告を受けております。
 続いて、11ページの(4)には、4-EAPBとコカイン塩酸塩のモノアミントランスポーターに対する機能影響評価についての報告を載せています。12ページの図も併せて御覧ください。ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニントランスポーターに対するIC50を算出したところ、ノルアドレナリントランスポーターについては、4-EAPBが2.3×10-Mでコカイン塩酸塩のIC50の約0.88倍であり、ドパミントランスポーターについては、4-EAPBが9.4×10-Mでコカイン塩酸塩のIC50の約3.8倍であり、セロトニントランスポーターについては、4-EAPBが5.9×10-Mでコカイン塩酸塩のIC50の約19倍であったとの報告を受けております。
 続いて、13ページの(5)には、セロトニン受容体(5-HT2A及び5-HT2C)に対するアゴニスト活性EC50を測定した結果を載せています。4-EAPB塩酸塩のヒトセロトニン5-HT2A受容体及びセロトニン5-HT2C受容体に対するアゴニスト活性は、いずれもEC50が1×10-mol/Lを上回ると報告されております。
 以上のことから、4-EAPBについては行動・症状観察において、洗顔運動の抑制、立ち上がり動作の亢進、自発運動の亢進、瞳孔の散大といった異常な行動や症状が確認されていること、マイクロダイアリシス試験において、ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニンの有意な上昇が見られたことから、過去に指定した指定薬物と同等の作用を有すると考えております。
 以上のことから、4-EAPBについては、中枢神経に作用する物質であり、法律第2条第15項に規定する「中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高い」と考えております。
 続いて、13ページの(6)海外での流通状況についてですが、2017年にアメリカ(オレゴン州)、オーストラリア、スウェーデンにおいて、流通が確認されております。
 最後に(7)海外での規制状況については、イギリス、フィンランドで規制されていることが確認されております。以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○鈴木部会長 それでは、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。まず、最初に流通実態について、○○委員からお願いしたいと思います。
○○○委員 本化合物につきまして、○○○○での検出例はございませんでした。
○鈴木部会長 それでは、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。
○○○委員 資料2-2の表の一番下に覚醒剤でAmphetamineとあるのですが、そこの数値の表記の仕方が、ほかと違っていて、大きな数値になっているのですが、これはどうのように見たらいいのでしょうか。
○事務局 これを作ったときの資料で、このような表記にされていたのでこのまま記載しているのですが、合わせたほうがよろしいでしょうか。
○○○委員 そうですね。この上の単位と違う形になっていると思います。
○事務局 御意見を踏まえて、次回から合わせて記載させていただきます。ありがとうございました。
○鈴木部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、ご意見を頂いた部分は、訂正させていただきます。審議をまとめたいと思います。ただいま御審議いただいた物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが妥当であると決議してよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。続きまして、フェネチルアミン系である審議物質3について御説明をお願いします。
○事務局 続いて、フェネチルアミン系物質である審議物質3について御説明します。まず、資料2-2を御覧ください。資料2-2については、フェネチルアミン系の審議物質3の6-EAPB並びにこれらに構造が類似する覚醒剤や指定薬物について、自発運動への影響、マイクロダイアリシスのデータ、セロトニン受容体に対する親和性などをまとめております。審議物質3はマイクロダイアリシス試験では、モノアミンを有意に増加させており、過去に指定した指定薬物と同種の作用を有することを確認しております。資料2の説明は以上です。
 続いて、資料3について御説明します。資料3の14ページを御覧ください。審議物質3の通称名6-EAPBですが、指定薬物である2-EAPBと5-EAPBと構造が類似する化合物です。まず、(1)行動及び中枢・自律神経症状の観察についてです。14ページから15ページを御覧ください。マウスに6-EAPBを2、20、100mg/kgを経口投与し、投与後30、60、120分の行動及び神経症状を観察しております。2mg/kgの投与群では、洗顔運動の抑制、立ち上がり動作の亢進、掻動作、自発運動の亢進、異常歩行、震えなどが確認されたと報告を受けております。20mg/kgの投与群では、反復動作の亢進、洗顔運動の抑制、自発運動の亢進、異常歩行、指間離開、眼裂の拡大、皮膚の赤化などが確認されたと報告を受けております。100mg/kgの投与群では、攻撃性、反復動作の亢進、自発運動の亢進、異常姿勢、耳介反射の亢進、震え、筋緊張度の亢進、懸垂力の低下、けいれん、首を上下に激しく振る動作、眼裂の拡大、皮膚の白化などが確認されたと報告を受けています。
 続いて、15ページの表3を御覧ください。6-EAPBに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値の抜粋を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値となっております。また、観察された特徴的な症状を示した写真を16ページに載せておりますので、前のスクリーンの動画とともに御覧ください。これは2mg/kg投与群の投与後約1時間47分経過後のマウスですが、上方を意識した寄り掛かり立ちが見られ、自発運動の多さ、右側後肢を咬む掻動作が確認されました。こちらは20mg/kg投与群の投与後約54分経過後の別のマウスですが、忙しい行動が確認されました。こちらは投与後約1時間47分経過後の別のマウスですが、口周囲に流涎、忙しい上体の動き、常同行動が見られ、自発運動の多さが確認されました。こちらは100mg/kg投与群の投与後約24分経過後の別のマウスですが、後肢や腰部の鈍い動き、頭部を後方に反り、餌カゴにもたれ掛かりながらの忙しい行動が確認されました。こちらは投与後約1時間56分経過後の別のマウスですが、ケージ壁に寄り掛かり立ち、忙しい行動が確認されました。動画については以上です。
 続いて、17ページの(2)について御説明します。Fig3の測定結果のグラフと併せて御覧いただければと思います。自発運動における運動量の測定について、マウスに6-EAPBを20mg/kg経口投与し、投与後3時間までの10分ごとの自発運動量を測定しております。6-EAPB投与群、対照群として蒸留水群、各群マウス4匹を使用し、総運動量、大きい運動量、立ち上がり回数、総移動距離について、Wilcoxon検定を用いて有意差検定を行ったところ、総運動量、総移動距離については、投与直後から測定時間を通して対照群と比べて多い傾向にあり、10分から180分全てで有意な差が見られたとの報告を受けております。大きい運動量については、投与直後から測定時間を通して、対照群と比べて多い傾向にあり、140分を除いて10分から180分で有意な差が見られたとの報告を受けております。立ち上がり回数については、投与直後から測定時間を通して対照群と比べて多い傾向にあり、20分から30分を除いて、10分から180分で有意な差が見られたとの報告を受けております。
 続いて、18ページの(3)を御覧ください。マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化の報告を載せています。コントロールの水投与群に対する6-EAPB16mg/kg経口投与群のモノアミンの増加率の有意差をウェルチのt検定で求めたところ、18ページのFig4のグラフのとおり、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンのいずれにおいても有意な増加が確認されたとの報告を受けております。
 続いて、19ページの(4)には、6-EAPBとコカイン塩酸塩のモノアミントランスポーターに対する機能影響評価についての報告を載せています。20ページの図も併せて御覧ください。ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニントランスポーターに対するIC50を算出したところ、ノルアドレナリントランスポーターについては、6-EAPBが1.4×10-Mでコカイン塩酸塩のIC50の約0.45倍であり、ドパミントランスポーターについては、6-EAPBが5.4×10-Mでコカイン塩酸塩のIC50の約0.34倍であり、セロトニントランスポーターについては求めることはできなかったとの報告を受けております。
 続いて、21ページの(5)には、セロトニン受容体(5-HT2A及び5-HT2C)に対するアゴニスト活性EC50を測定した結果を載せております。6-EAPB塩酸塩のヒトセロトニン5-HT2A受容体及びセロトニン5-HT2C受容体に対するアゴニスト活性は、いずれもEC50が1×10-mol/Lを上回ると報告されております。
 したがって、6-EAPBは行動・症状観察において、洗顔運動の抑制、立ち上がり動作の亢進、自発運動の亢進、異常歩行、指間離開、瞳孔の散大といった異常な行動や症状が確認されていること、マイクロダイアリシス試験において、ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニンの有意な上昇が見られたことから、過去に指定した指定薬物と同等の作用を有すると考えております。
 以上のことから、6-EAPBについては、中枢神経に作用する物質であり、法律第2条第15項に規定する「中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高い」と考えております。
 続きまして、21ページの(6)海外での流通状況についてですが、2013年にオランダ、ポルトガル、ニュージーランドにおける流通が確認されたのをはじめとして、2014年から2017年まで、毎年多くの国々での流通が確認されております。
 最後に(7)海外での規制状況についてですが、イギリス、スウェーデン、チリ、フィンランドで規制されていることが確認されております。以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○鈴木部会長 それでは、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。まず最初に、流通実態について○○委員からお願いします。
○○○委員 本化合物につきまして、○○○○での検出例は1件ございます。2016年に白色粉末として検出されております。以上です。
○鈴木部会長 それでは、委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。
○○○○○○○○ 結論に全く影響のないことなのですが、行動解析の所に「忙しい行動」という表現がありますが、これは総運動量も相当増えていますし、立ち上がり回数もものすごく増えているので、もう少し具体的な表現でもいいのではないかと思った次第です。
 もう1つは、文章として、ほとんどの所で有意差が付いている数字に対して、「傾向がある」という表現がよろしくないのではないかということです。「傾向」というのは有意差が付かないということになるので、その後ろの「有意差がありました」という文章と矛盾を感じるので、そこは訂正したほうがいいのではないかと思いました。
○事務局 ありがとうございました。御指摘を踏まえて、資料での記載を検討いたします。
○鈴木部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、意見がないようですので、審議をまとめます。ただいま御審議いただきました物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、事務局から今後の手続について説明をお願いいたします。
○事務局 今後のスケジュール等について御説明いたします。本件の結果につきましては、次回開催の薬事分科会で報告させていただく予定です。本日の結果を受けまして、指定薬物を指定するための省令改正の手続を進める予定です。また、本日御審議いただいた物質に関する、いわゆる正規用途については、今のところ確認されておりません。いずれにしましても、可能な限り適正使用に支障を来さないように対応いたします。以上です。
○鈴木部会長 以上で本日の議題は全て終了いたしました。事務局から次回の予定について連絡をお願いいたします。
○事務局 次回の部会日程につきましては、正式に決まり次第、御連絡いたします。以上です。
○鈴木部会長 それでは、以上をもちまして令和元年度第3回指定薬物部会を閉会いたします。ありがとうございました。
(了)
 
備考
本部会は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な審議に著しい支障をおよぼすおそれがあるため、非公開で開催された。
 

照会先

医薬・生活衛生局 

監視指導・麻薬対策課 課長補佐 坂西(2779)