2019年10月17日 令和元年度第1回労働安全衛生法における特殊健康診断に関する検討会 議事録

日時

2019年10月17日(木) 13:30~15:30

場所

労働委員会館2階205会議室

議題

(1)特殊健康診断項目等の見直しについて
(2)その他

議事

  
○大塚中央労働衛生専門官 それでは、定刻より少し時間が早いですけれども、皆様お集まりいただきましたので、始めたいと思います。
本日は、委員の皆様方には大変お忙しい中御参集いただきまして、まことにありがとうございます。ただいまより令和元年度第1回労働安全衛生法における特殊健康診断等に関する検討会を開催いたします。
座長選出までの間、事務局にて議事進行を担当いたします。私、労働衛生課の大塚と申します。よろしくお願いいたします。
それでは、初めに安全衛生部長より御挨拶申し上げます。
○村山安全衛生部長 安全衛生部長の村山でございます。平素より先生方には安全衛生行政の推進に関しまして大変に御指導いただきまして、この場をかりて厚く御礼申し上げます。どうもありがとうございます。
本検討会におきましては、最新の医学的な知見や化学物質を取り巻く状況等について調査し御議論いただいており、例えば、これまでもオルト-トルイジン及びMOCAにつきまして、膀胱がんに関する検査の実施の方向の道筋をつけていただくなど、大変重要な役割を担っていただいてまいりました。
本検討会では、新規の物質に先ほどのような健診項目を設定するということだけではなくて、既に特殊健康診断の対象となっている既存の物質の健診項目の見直しということもかねてから調査・審議の対象としていただいているところでございます。昭和47年に個別具体的な定めを置いております特化則を初めとする特別規制が制定されてから40年以上が経過いたしまして、この間における医学的知見・技術の進歩、あるいは化学物質の需給関係の変化、労働災害の発生状況など、関係する環境が大きく変化している中で、特殊健康診断に関しましても項目の見直しが重要な課題になっているというのは論をまたないところでございます。
他方で、既存の物質が100種類を超えて相互に複雑な関係がある中にあって、全体の検討を整合的に行おうとするとどうしても時間を要するということもございます。また、この間、新規の物質や、あるいは労働災害の発生事案の検討を優先せざるを得ないというような実情もございました。したがって、本検討会におきましても、平成20年度から先ほど申し上げた検討をスタートしておりますけれども、なかなか検討結果が具体化していないという経緯があるということでございます。
このため、先生方とも御相談の上、今般、既存の23物質に優先順位をつけまして、健康診断項目の改定に焦点を絞って、本検討会の前提となる委託事業の専門委員会における検討を踏まえた上で見直しの御検討をお願いできればということで、本日お願いをしているということでございます。
この改正を皮切りといたしまして、今後とも残された諸課題に関して優先順位をつけて検討を行い、可能なところから順次改正を行っていくことができればと私どもとしては考えているところでございます。委員の先生方には、この趣旨を御理解の上、活発な御議論をお願いできればと考えております。
以上、本日、本年度第1回目の検討会の開会に当たりまして、まことに簡単ではございますが、挨拶にかえさせていただきます。
本日は何とぞよろしくお願い申し上げます。
○大塚中央労働衛生専門官 それでは、報道関係者の皆さんにお願いします。カメラ撮りはここまでとしていただきたいと思います。
それでは、本日の出席者の方々を御紹介いたします。
まず委員の先生方を御紹介します。
参考資料2をごらんください。五十音順に紹介させていただきます。
まず最初に中央労働災害防止協会の圓藤先生でございます。
○圓藤委員 圓藤です。よろしくお願いいたします。
○大塚中央労働衛生専門官 続きまして、慶應義塾大学の大前先生でございます。
○大前委員 大前です。よろしくお願いします。
○大塚中央労働衛生専門官 同じく慶應義塾大学の櫻井先生でございます。
○櫻井委員 櫻井です。よろしくお願いします。
○大塚中央労働衛生専門官 東京慈恵会医科大学の清水先生でございます。
○清水委員 清水でございます。よろしくお願いします。
○大塚中央労働衛生専門官 大阪大学大学院の祖父江先生でございます。
○祖父江委員 祖父江です。よろしくお願いします。
○大塚中央労働衛生専門官 産業医科大学の堀江先生でございます。
○堀江委員 堀江です。よろしくお願いいたします。
○大塚中央労働衛生専門官 東京女子医科大学の松岡先生でございます。
○松岡委員 松岡です。よろしくお願いいたします。
○大塚中央労働衛生専門官 東京慈恵会医科大学の柳澤先生でございます。
○柳澤委員 柳澤です。よろしくお願いいたします。
○大塚中央労働衛生専門官 なお、本日は、三井化学の土肥先生は欠席でございます。また、臨時参集者としてお呼びしておりました東京大学の山本先生も都合により欠席となっております。
次に事務局を御紹介します。
まず、ただいま御挨拶申し上げました村山安全衛生部長でございます。
○村山安全衛生部長 村山です。よろしくお願いします。
○大塚中央労働衛生専門官 続きまして、井内労働衛生課長でございます。
○井内労働衛生課長 井内です。よろしくお願いします。
○大塚中央労働衛生専門官 続きまして、小沼産業保健支援室長でございます。
○小沼産業保健支援室長 小沼でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○大塚中央労働衛生専門官 続きまして、中村化学物質対策課長補佐でございます。
○中村化学物質対策課長補佐 中村です。よろしくお願いします。
○大塚中央労働衛生専門官 続きまして、稲毛産業保健支援室長補佐でございます。
○稲毛産業保健支援室長補佐 よろしくお願いします。
○大塚中央労働衛生専門官 続きまして、福島産業保健係長でございます。
○福島産業保健係長 福島です。よろしくお願いいたします。
○大塚中央労働衛生専門官 続きまして、野口両立支援係長でございます。
○野口両立支援係長 野口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○大塚中央労働衛生専門官 最後に、私、労働衛生専門官をしております大塚と申します。よろしくお願いいたします。
それでは、お手元の資料について確認させていただきたいと思います。配付資料につきましては、議事次第に資料の一覧がございます。資料が2種類、参考資料が6種類ございます。各々御確認をお願いします。資料1は「特殊健康診断項目等の見直し案について」でございます。資料2が「特殊健康診断の実施状況等について」でございます。次に参考資料ですが、参考資料1が「労働安全衛生法における特殊健康診断等に関する検討会開催要綱」でございます。参考資料2が「労働安全衛生法における特殊健康診断等に関する検討会参集者名簿」でございます。参考資料3が「化学物質に関する特殊健康診断の基本的な考え方」でございます。参考資料4が「平成30年度化学物質の健康診断に関する専門委員会報告書」の抜粋版でございます。参考資料5が平成29年度の同じく専門委員会報告書の抜粋版でございます。参考資料6が「関係条文」でございます。資料の不足等はございますでしょうか。―よろしいですか。
それでは、次に移らせていただきます。
次に開催要綱について御説明させていただきたいと思います。参考資料1をごらんください。
先ほどの部長の御挨拶にもありましたように、昭和47年に4つの有害化学物質に係る省令、有機則、鉛則、4アルキル鉛則、特化則、これが制定されまして、それ以来40年余りが経過しておりまして、おかげさまで特殊健康診断制度も定着してきております。
この間、科学技術の進歩等によりスクリーニング検査としての意義が低下した検査項目もある一方、医療・医学の進歩により追加する必要のある検査項目も出てきました。
有害化学物質については、健康障害発生のリスクが高く特殊健康診断が必要とされるものについては特殊健診の対象として追加するとともに、離職者の健康管理の必要性についても検討を行う必要がございます。
本検討会では、こうしたことから、労働安全衛生法に基づく特殊健康診断の項目等について、最新の医学的知見をもとに適切な項目の選定及び見直しを行うとともに、先ほど申しました離職後の人もカバーできるように健康管理手帳などの健康管理の必要性についても検討を行っております。
具体的な検討内容は2のマル1~マル3でございまして、特殊健康診断の項目と健康管理手帳の交付に関することとその他の特殊健康診断に関する健診構造や運用上の問題などの検討も行っております。以上3つを検討していただいております。
本検討会は、原則として公開とし、必要に応じて委員以外の有識者の方の出席を求めることもできます。
以上でございます。
それでは、次に、年度も改まりましたので、座長の選出を行いたいと思います。
事務局といたしましては引き続き櫻井先生に座長をお願いしたいと存じますが、いかがでございましょうか。
(「異議なし」の声あり)
○大塚中央労働衛生専門官 それでは、今後の議事進行につきましては座長の櫻井先生にお願いしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○櫻井座長 かしこまりました。座長を務めさせていただきます。よろしく御協力をお願いいたします。
それでは、これより議事に入ります。
最初に議題1「特殊健康診断項目等の見直し案について」でございます。
事務局から説明をお願いいたします。
○大塚中央労働衛生専門官 資料1の1ページをごらんいただきたいと思います。
背景と見直しの内容ということでございまして、背景は、先ほど申し上げましたように、特別規則が制定されてから40数年が経過し、その間に医学的知見等、いろいろ状況が変化しているということで、より的確なスクリーニングを行うために適切な健診項目への差しかえが必要であるということでございます。
具体的には、平成14年度から3カ年、見直しのための専門家による検討を委託事業として依頼しておりまして、それを受けて、本格的には平成19年度に中央労働災害防止協会で委託事業として19年度の報告書をまとめてもらいました。これが出発点になるわけでございまして、これを基礎に、この検討会におきましても、平成20年度以降、既存の特殊健診項目の見直しの検討をしていただいているという状況でございます。また、本検討会とともに、その前提となる調査・審議を行っている委託事業の専門委員会でも断続的にこの見直しの検討を行ってきたということでございます。
検討の過程では、国内外の研究文献、国際がん研究機関、以後略して「IARC」と呼ばせていただきますが、IARCとか産業衛生学会等による最新の医学的知見、こういったものに基づき審議をしていただきまして、逐次評価していただいてきたということでございます。
その中で特に優先して見直すべき物質として本日御審議いただく23物質が挙げられまして、直近では29年度、30年度の専門委員会報告書、これは参考資料4及び5としてつけてございます。これは抜粋版でございますが、後で御参照いただきたいと思います。これにより最終的に提案がなされておりまして、この提案をもとに、今年度の6月、9月に専門委員会を開かせていただき、詰めの検討を行いました。そしてとりまとめられたのが本日の提案内容でございます。
見直しの内容としましては、まず23物質ということで、その内訳が3つのグループに分けられておりまして、1つ目が膀胱がんなどの尿路系腫瘍に関する11の物質、次に特別有機溶剤のうちの9物質、3つ目が鉛などの重金属の3物質です。そのほか、医学的知見の進歩を踏まえ、共通的な事項として、現在では使われなくなった検査とか、具体的な症状との関連性が薄いと判断された検査の整理とか、作業条件の確認など、どの物質にも共通して必要な項目の追加などをこの機会に同時に行おうとしております。それから、健康管理手帳、実は今回の23物質の中の3物質が、特殊健康診断項目が変わると連動して手帳の項目も変わるということでございまして、これの変更もございます。
以上が本日の提案内容の概要でございます。
それでは、まず1つ目のグループの尿路系に腫瘍のできる特化物についてでございまして、資料1の2ページをごらんいただきたいと思います。
既に皆様方御存じのとおり、平成27年から28年にかけ、オルト-トルイジン、MOCAによる膀胱がんの集団発生事案がございまして、本検討会におきましても平成28年度に両物質の膀胱がんに対する健診項目の検討をしていただきました。
オルト-トルイジンにつきましては、新たに特化物に位置づけた上で特殊健康診断の対象としました。MOCAにつきましては、既に特化物に指定されていましたが、膀胱がんは想定していなかったために、膀胱がんに対する健診項目を新たに追加いたしました。
その際、最新の医学的知見に基づき健診項目が設定されたわけですけれども、既存の特化物の中にも膀胱がん等の尿路系腫瘍に関連する物質が11種類ございまして、これらの物質の健診項目につきましても、旧態依然としたものではなく、オルト-トルイジン等に合わせて改正が必要ということでございまして、本検討会の前提となる専門委員会で検討していただきまして、今般この御提案となった次第でございます。
対象物質は、(2)にございますように、ベンジジン等の11種類の物質でございます。
改正内容としましては、(3)にございますように、一次健診で尿潜血検査を必須項目として設定し、医師判断により必要があれば尿沈渣検鏡の検査やパパニコラ法の細胞診の検査を行っていただく。さらに二次健診で超音波検査、尿路造影検査等を選択できるように設定いたしました。そのほか皮膚検査を追加し、また、血液障害があるものについては、11物質中4物質が考えられますけれども、血液関係の検査も加えております。
それでは、各物質ごとに新旧対照見直し案を御説明いたします。
まず3ページをごらんいただきたいと思います。ベンジジン及びその塩でございます。
このベンジジンと塩につきましては手帳の対象にもなっておりますし、業務に携わっている方だけではなく、業務から離れて配置転換された方の配置転換後健診の対象にもなっております。常温では無色あるいは赤みを帯びた結晶性の粉末でございまして、顔料の合成中間体あるいは酸化還元指示薬として用いられております。この物質につきましては、もう有害物質として製造等が禁止されています。特別の許可がなければ使われないという物質でございます。
資料2の2ページを御参照いただければと思います。この特殊健診の受診者の状況でございますけれども、平成30年のデータで129人ということでございまして、かなり少なくはなっています。有所見率がやや高めで、11.6%となっております。
発がん性は、現在IARCの評価で1から3までありまして、1が一番高いランクですが、最高ランクの1になっております。ヒトに対しても動物に対しても発がん性の十分な証拠があるということでございます。
健診項目といたしましては、まず一次健診につきまして、作業条件の簡易な調査、これを共通項目として全ての物質に追加する。これはなぜ追加するかというと、作業の時間とか頻度とか作業の状況といったものを主に問診を中心として労働者から聞き出しまして、実際にどれだけばく露しているのかを確認するという作業でございまして、この作業をした後、健診項目の判断をしていただくということで、非常に重要な調査ということで、これはあらゆる物質について追加したいということで追加されたものです。あと、自覚症状とか他覚症状の確認におきましては、ベンジジンにおきましては新たな症状は見当たりませんので、追加はございません。あとは皮膚炎がございますので、皮膚炎の検査も追加されておりますが、これについては、配転後健診もありますけれども、配転後の労働者はもう業務から離れておりますので関係なく、実際に業務に従事している業務従事労働者のみに限定されます。尿関係の検査ですけれども、オルト-トルイジンとの整合性から一次健診において尿潜血の検査を必須項目としまして、それをもとに、必要があれば尿沈渣検鏡あるいはパパニコラ法の検査をやるということになります。
さらに、二次健診におきまして、膀胱がんに対応しまして、必要があれば医師判断により、従来は腎盂の撮影検査を行っていたのですが、このかわりに腹部の超音波検査あるいは尿路造影検査など、より精度の高い、幅広く検出が可能な画像検査が追加されております。
次に4ページをごらんいただきたいと思います。ベータ-ナフチルアミン及びその塩の関係でございます。
これは常温では臭気のある白色の薄片でございまして、空気に触れると赤色になる物質でございまして、手帳の対象にもなっております。これも製造等は禁止されている有害物質でございまして、染料の合成中間体、ゴム工業における抗酸化剤として用いられています。
特殊健診の受診者の状況ですが、24人と非常に少なくなっておりまして、有所見率は0%という状況です。
発がん性はIARCの評価で最高ランクの1でございます。ヒトに対しても動物に対しても発がん性の十分な証拠があるとされております。
健診項目については、一次健診で先ほどと同じように作業条件の簡易な調査を加えました。あと、この物質につきましては、自覚症状、他覚症状の確認におきまして、新たに確認すべき症状を加えております。頭痛、悪心、これは吐き気のことですけれども、あとはめまい、呼吸器の刺激症状、チアノーゼ等の症状が新たに加えられました。また、皮膚炎の検査は同様でございます。尿検査においてもベンジジン等と同様の整理がなされております。また、二次健診における画像検査についてもベンジジン等と同様の整理がなされました。また、この物質につきましては、オルト-トルイジンと構造活性が類似しているということで、血液異常の可能性もあるということでございまして、メトヘモグロビン量等の赤血球系の血液検査も追加されております。
次に5ページをごらんいただきたいと思います。4-アミノジフェニル及びその塩でございます。
これも臭気のある無色の固体でございまして、染料の合成中間体、硫酸塩の検出試薬として用いられております。これも製造等の禁止物質になっております。
特殊健診の受診者は約50名と非常に少なくなっておりまして、有所見率は0%でございます。
発がん性はIARCの評価で最高ランクの1でございます。ヒトに対する発がん性があると認められております。また、膀胱がんの発生機序も強い証拠があるとされております。もちろん動物についても動物実験で発がん性が確認されております。
健診項目としましては、先ほどと同じように作業条件の簡易な調査をまず加えた。そして、自覚症状、他覚症状の確認で新たに症状として頭痛、悪心、めまい、呼吸器の刺激症状、チアノーゼ等が加えられました。尿検査、二次健診における画像検査についてはベンジジン等と同じ整理がなされております。血液異常につきましても、オルト-トルイジンとの類似性を考慮しまして、メトヘモグロビン量等の赤血球系の血液検査も追加されております。
次に6ページをごらんいただきたいと思います。4-ニトロジフェニル及びその塩でございます。
これも臭気のある白色あるいは黄色の結晶でございまして、これと似た物質で先ほどの4-アミノジフェニルというのがあるのですが、その合成における中間体として用いられております。これも有害な製造等の禁止物質になっております。
特殊健診の受診者は約40名と少なくなっておりまして、有所見率は0%でございます。
発がん性はIARCの評価では3となっておりまして、3というのは分類ができないということでございまして、動物実験でもヒトでもまだ不十分な発がん性の証拠しか見当たらないということでございます。発がん性が1である4-アミノジフェニルの製造に用いられているということが注目されております。
健診項目としましては、同様に作業条件の簡易な調査を加えました。また、自覚症状、他覚症状の確認として、新たな症状として頭痛、悪心、めまい、呼吸器の刺激症状、目の刺激症状、チアノーゼ等が加えられております。尿検査につきましてはベンジジン等と同じ整理がされております。また、二次健診の画像検査につきましてもベンジジン等と同様の整理がなされております。血液検査についてもオルト-トルイジンと同様の整理がなされております。
次に7ページでございます。ジクロルベンジジン及びその塩でございます。
灰色あるいは紫色の結晶でございまして、黄色の顔料の合成中間体として用いられております。有害物質として、これは製造許可制がとられております。製造のためには国の許可が必要な製造許可物質となっております。
特殊健診の受診状況ですが、約380名でございまして、有所見率は2.7%で、23物質の中では平均的な有所見率でございます。
発がん性はIARCの評価で2Bとなっております。ヒトに対する発がん性が疑われるという評価でございます。動物実験では十分なエビデンスがあり、ヒトに対してはやや不十分ということでございます。
健診項目としましては、先ほどと同様に作業条件の簡易な調査が加えられまして、新たに確認すべき症状として頭痛、めまい、呼吸器の刺激症状などを加えております。また、皮膚炎の検査も追加されております。尿検査の関係ではベンジジン等と同じ整理がなされております。また、二次健診における膀胱がんに対する画像検査もベンジジン等と同様ということでございます。
次に8ページでございます。アルファ-ナフチルアミン及びその塩でございます。
これは臭気のある白色の結晶で、空気や水、光に触れると赤色に変色するということでございまして、用途はアゾ染料の合成中間体などとして用いられております。これも有害物質として製造には国の許可が必要でございます。
特殊健診の受診者の数でございますが、約780名ということでございまして、有所見率は0.9%と低めになっております。
発がん性につきましてはIARCの評価では3ということで、ヒトに対しては分類できないということでございます。膀胱がん発生の事例でも、アルファ-ナフチルアミン単独の場合のばく露による事例がないということで、ベータ-ナフチルアミンとの混合ばく露で証拠があるということでございます。そのほかに血液毒性があることが知られております。
健診項目といたしましては、共通事項は同じでございまして、作業条件の簡易な調査を加えたということでございます。症状の確認におきましては、頭痛、悪心、めまい、呼吸器の刺激症状、目の刺激症状、チアノーゼ等の症状が加えられたということでございまして、皮膚炎等の検査も追加され、尿検査と二次健診における画像検査はベンジジン等と同様でございます。血液異常についてもオルト-トルイジンと同様の血液検査の追加、これは医師判断によって必要であれば選択できるとされました。
次に9ページをごらんいただきたいと思います。オルト-トリジン及びその塩でございます。
これも常温では無色の結晶または赤茶色の薄片でございまして、遊離塩素や金の検出、潜血反応などの試薬に用いられております。有害物質として製造には国の許可が必要でございます。
特殊健診の受診者数ですが、約600人ということでございまして、有所見率は4.2%と、全部の物質の平均的な値かなと思います。
発がん性はIARCの評価で2Bとなっていまして、ヒトに対する発がん性が疑われると評価されています。動物実験では発がんの症例があるけれども、ヒトでの有力な疫学研究はまだないということでございます。そのほかに肝臓毒性があるとされております。
健診項目としましては、一次健診で作業条件の簡易な調査も加え、確認すべき症状としては新たに目の刺激症状を加えております。尿検査におきましてはベンジジン等と同じ整理がなされておりまして、二次健診における画像検査についてもベンジジン等と同じ整理がなされております。
次に10ページでございます。ジアニシジン及びその塩でございます。
無色の結晶でございまして、主な用途はアゾ染料でございます。これも有害物質として製造には許可が必要となっております。
特殊健診の受診状況でございますが、約200名が受診されておりまして、有所見率は0.5%と低めになっています。
発がん性はIARCの評価では2Bとなっていまして、ヒトに対する発がん性が疑われるという評価でございます。ただし、ベンジジンと同じ工場でつくられてきた経緯がありまして、ベンジジンの影響があるのではないかという指摘もございます。なお、ベンジジンによる膀胱がんの発症は業務上疾病として認められておりますけれども、このジアニシジンにつきましても業務上疾病として労働基準法施行規則別表で認められておりまして、健康管理手帳の対象ともなっております。
健診項目としましては、同様に作業条件の簡易な調査を加え、確認症状としては皮膚粘膜刺激症状を加えていまして、尿検査はベンジジン等と同様の整理。二次健診における画像検査もベンジジン等と同様の整理がなされております。
次に11ページ、オーラミンでございます。
純粋なものは黄色の針状の結晶でございまして、非常に水に溶けやすく、エタノールにも溶けまして、蛍光染料、生体染色などに用いられております。
特殊健診の受診者数でございますが、約600名でございまして、有所見率が3.6%となっております。
発がん性は、IARCの評価で、これは製造する業務と取扱業務では分かれておりまして、製造業務では最高ランクの1、取扱業務では2Bとなっております。また、他の物質との混合ばく露の症例がほとんどでございますので、その点に留意が必要とされております。従来より肝臓毒性があるとされてきましたけれども、高濃度ばく露における影響ということで検討会で検討していただいたところ、通常の場合は肝機能の健診は必要ないのではないかという結論に至っております。
このため、健診項目としまして、肝機能検査につきましては今回は省略するということにしております。また、尿検査につきましてはベンジジン等と同様の整理がなされております。また、二次健診における画像検査につきましてもベンジジン等と同じ整理がなされております。肝機能検査は先ほど申し上げましたように廃止したということでございます。
次に12ページでございます。パラ-ジメチルアミノアゾベンゼンでございます。
黄色の結晶で、胃酸の酸度をはかるpHの指示薬とか脂肪試験などの試薬に用いられております。
特殊健診の受診者数は約130名でございまして、有所見率は0.8%と低めでございます。
発がん性はIARCの評価では2Bとなっていまして、ヒトに対する症例報告はないけれども、動物実験では膀胱がん、肝臓がんの報告がありまして、ヒトに対しても発がん性の疑いがあるのではないかと評価されています。
健診項目としましては、咳とか咽頭痛、息がゼーゼーする喘鳴という症状、呼吸器や目の刺激症状が新たに追加されております。それと皮膚炎の検査の追加。また、尿検査はベンジジン等と同じ整理がされております。また、二次健診における画像検査もベンジジン等と同様でございます。
次に13ページでございます。マゼンタでございます。
金属光沢のある緑色の結晶性粉末でございまして、生物学的な染色用の試薬として顕微鏡用生体染色、苗の鑑別などに用いられております。
特殊健診の受診者は約350名でございまして、有所見率が2.6%でございます。
発がん性は、IARCの評価では、これは製造業務と取扱業務で分かれておりまして、製造業務で最高ランクの1でございまして、ヒトに対しての発がん性があると評価されています。取扱業務では2Bとされていまして、ヒトに対する発がん性の疑いがあるとされております。いずれも膀胱がんに関連した発症の報告がなされております。ただ、他の物質との混合物によるばく露という点が指摘されております。
健診項目としましては、特に新たな確認の症状はございません。尿検査はベンジジン等と同様の整理。二次健診における画像検査もベンジジン等と同様の整理がなされております。
以上でございます。
○櫻井座長 それでは、ここで一区切りしたいと思います。
ただいま尿路系腫瘍に関連する11物質の見直し案について説明がございました。ただいまの説明について何か御意見、御質問がありましたら、どうぞ。
○堀江委員 どうもありがとうございました。
二次健康診断のところで腹部の超音波による検査を行う場合があると思いますけれども、一般に腹部の超音波検査といいますと、肝臓を見る、腎臓を見る、膵臓の頭部を見る、こんなところがスクリーニングになっています。しかし、ここで言っている腹部の検査は、恐らく膀胱を見ないと意味がないのではないかと思います。そのためには、膀胱に尿をためた上で検査をするといった前処置が必要になります。そのことをどこかに注意書きすべきと思います。施行通達になるのかもしれませんけれども、これは単に肝臓等のスクリーニングではなくて膀胱をきちんと見るような腹部の超音波検査であることをお書きいただくほうがいいかなと思います。
○大塚中央労働衛生専門官 どうもありがとうございます。間違いのないように通達等でそのように書いておきたいと思います。
○櫻井座長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
○大前委員 今回ではなくて将来的な話で結構ですけれども、今の膀胱鏡、尿路系の超音波、尿路系の造影、これらはみんな尿路系のがんをターゲットにしている検査なので、3つをまとめて、将来的には「尿路系のがんに関する検査」のようなことでまとめていただくと臨床の先生方はよくわかると思います。恐らく泌尿器科の先生は何でこれは3つに分かれているのと思われると思うので、将来的には1つにしていただきたいと思います。
○櫻井座長 多分、ほかにも似たような書き方の問題がございますね。今回はこのままにしておきますが、課題として残しておきたいと。
○大塚中央労働衛生専門官 今後の課題として、また専門委員会なり本検討会なりで御検討をお願いしたいと思います。
○櫻井座長 ほかに何かございますでしょうか。
○松岡委員 メトヘモグロビン血症を来す場合に昏迷と眠気という表現を使い分けていますけれども、これは症状の違い、重篤度の違いということで使い分けているのでしょうか。
○大塚中央労働衛生専門官 めまいと昏迷と症状的に違いがあるということで。
○松岡委員 眠気という表現です。恐らくこれは昏迷よりもマイルドという表現かと理解したのですけれども、それで間違いないでしょうか。
○櫻井座長 いろいろな文献で表現が少しずつ違っていたりするけれども、物質によって記載が違うものはあえて統一しないで、文献上の表現を重んじるというスタンスでおります。
○松岡委員 わかりました。
○櫻井座長 物質ごとに自覚症状等のあらわれ方が違ってもおかしくないし、あるいは同じものを違って表現しているだけかもしれませんが。
○大塚中央労働衛生専門官 そこの整理は、現時点では特に整合性をとらなくてもよろしいですか。
○櫻井座長 そういうことで御理解いただけますでしょうか。―では、そのようにさせていただきます。
そのほかに特にございませんでしょうか。
それでは、次に進めさせていただきます。
特別有機溶剤9物質について説明をお願いいたします。
○大塚中央労働衛生専門官 それでは、資料1の14ページをごらんいただきたいと思います。特別有機溶剤9物質の特殊健診項目の見直し関係でございます。
平成24年以降、御存じのとおり、印刷会社での胆管がんの集団発生事案を契機としまして、原因物質として1,2-ジクロロプロパンが挙げられまして、調査の結果、ジクロロメタンにも胆管がんの発がん性があるということがわかりました。
これを受けて本検討会におかれましても1,2-ジクロロプロパンを特化物に位置づけ、胆管がんの健診項目を設定しました。さらに、ジクロロメタンについても同様に胆管がんに対応した健診項目を設定いたしました。さらに、ジクロロメタンにつきましては有機溶剤ということで、有機溶剤の中にも発がん性のある有害な物質があるということで、9種類の有機溶剤、ジクロロメタンと合わせて10種類ですが、これを有機溶剤の有機則から特化則に移そうという改正がなされまして、そのときにばく露防止対策とかはいろいろ講じたのですけれども、健診項目につきましては、ジクロロメタンを胆管がん対策として直した以外は、複数のがんに関係している可能性があるということで、慎重に検討した上で設定するということで、健診項目の見直しは別途検討するということにされておりました。
それで、残りの9物質について今回専門委員会及び本検討会でも検討いただきまして、特に27年度以降、専門委員会でずっと検討を行いまして、今般、(2)にございます9物質について健診項目の見直しの案がまとまった次第でございます。
以上が経緯でございます。
それでは、一つ一つの物質について御説明申し上げます。
15ページをごらんいただきたいと思います。まずトリクロロエチレンでございます。
これは甘い香りを持つ無色透明の液体でございまして、不燃性で揮発性がございます。脱脂力が大きいために金属機械部品とか電子部品などのクリーニング剤として用いられています。ところが、発がん性が指摘されまして、今では代替物質への移行がかなり進んでいるということでございます。
特殊健診の受診者数は約7,300人で、有所見率が7.1%と高めになっています。
発がん性はIARCで最高ランクの1でございまして、ヒトにも動物にも十分なエビデンスがあるとされています。これは非常に多くのがんと関係していまして、まず腎臓がん、肝・胆道系がん、さらに白血病などの造血器がんとの関連も指摘されておりまして、これらに関連する健診項目の設定が必要となっています。
3つのがんの優先順位は、まず腎臓がんが最も高くなるということで、最も低いばく露から発症しやすいということで、この点につきましては既に国内外で周知・規制も進んでいることから、まず一次健診には腎臓関係の健診項目を設定して、次に肝臓がんとか胆管がんにつきましては、最近の知見により1,2-ジクロロプロパン等に健診項目がつけ加えられましたが、それとの整合性を図ることとしました。最後に造血器がんについては、3つのがんのうちではまだ知見として限定的であるということもありまして、これは一次健診ではなくて二次健診に設定されております。
まず一次健診では、尿中の蛋白検査は腎臓がんのスクリーニングには適さないということで、これを省略しまして、皮膚炎等の検査が追加されております。肝機能検査は従前どおり、GOT、GPT等の検査は残しまして、腎臓の検査としては尿潜血の検査、腎または肝炎の検査としては超音波検査等の画像検査、これが一次健診の段階で設定されたということでございます。
二次健診において、先ほど申しましたように、造血器系のがんに対応して医師判断で血液検査が設定されまして、さらにはCTとかMRI等の検査も選択できるようにしております。肝機能検査では、医師判断により、一次健診でGOT等の検査をやるわけですけれども、それ以外の必要があれば他の肝機能検査を行うほか、血液中の腫瘍マーカー検査も追加されまして、肝臓・胆道系がんに対応しております。貧血検査は現在の知見では余り影響はないということで省略しました。腎機能検査としましては、二次健診で医師判断により必要がある場合は検査を行うということにしております。また、神経学的検査も従前どおり残しております。
次に16ページ、四塩化炭素です。
これは甘い臭気を持つ無色透明の液体でございまして、溶剤のほか、消火剤、冷却剤として広く利用されていましたが、現在では非常に劇薬として制限されている状況でございます。
特殊健診の受診者数は約3,300人でございまして、有所見率が4.4%と大体平均的な値ということでございます。
発がん性がIARCで2Bでございまして、ヒトに対しての発がん性の疑いがあるという評価でございます。肝毒性、腎毒性ともにあり、発がんとの関係では肝・胆道系がんとの関連性が強いとされています。既に平成25・26年度に1,2-ジクロロプロパンやジクロロメタンについて肝・胆道系がんに対応した項目が設定されておりますので、これとの整合性を図って今回健診項目が修正されております。
一次健診では、尿中の蛋白検査は省略しまして、新たに皮膚炎等の検査が加えられまして、肝機能検査は従前どおりGOT、GPT等の検査は残しました。さらに二次健診において、医師判断によって、GOT等以外の肝機能検査のほか、腹部の超音波検査、血液中の腫瘍マーカー検査が選択できるようになっております。また、貧血検査は先ほどの物質と同じように不要ということで省略しまして、腎機能検査としては従前どおり二次健診で医師判断により必要な検査を行うこととしております。また、神経学的検査も従前どおり残しております。
次に17ページ、1,2-ジクロロエタンでございます。
これは臭気のある無色の粘り気のある液体でございまして、合成樹脂原料、フィルム洗浄剤、各種溶剤などに用いられております。
特殊健診の受診者数ですが、約5,600人でございまして、有所見率が4.5%ということで、全体の物質の中では平均に近い、23物質の中では高いほうという状況でございます。
発がん性はIARCで2Bでございまして、ヒトに対しての発がん性の疑いがあるといった評価でございます。肝毒性、腎毒性があることも認められておりまして、さらに構造の類似性により同様の発がん性が予測されることから、先ほども申しましたように、1,2-ジクロロプロパン、ジクロロメタンとの整合性を図って、肝・胆道系がんに対応した健診項目を設定するということで今回見直しが行われました。
まず一次健診では、尿中の蛋白検査は省略いたしまして、皮膚炎等の検査を追加し、二次健診において、医師判断により、肝機能検査としてGOT、GPT等以外の検査を行うほか、腹部の超音波検査、血液中の腫瘍マーカー検査が追加されまして、これで肝・胆道系がんに対応しています。腎機能検査としては従前どおり、二次健診で医師判断により必要な検査を行うことができるようにしております。医師判断による神経学的検査も従前どおり残しております。
次に18ページでございます。テトラクロロエチレンでございます。
臭気のある無色の液体で、ドライクリーニングの溶剤、フロンガス製造、各種溶剤に用いられております。
特殊健診の受診者数でございますが、約4,100人ということでございまして、少し有所見率が高くて、7.7%でございます。
発がん性はIARCの評価では2Aでございまして、ヒトに対して恐らく発がん性がある、2Bよりやや強い評価をされております。膀胱がんとの関連が認められ、その他、肝毒性、腎毒性があるとされております。
健診項目は、一次健診で尿中の蛋白検査は省略しまして、腎機能検査としては二次健診のほうで医師の判断の必要性によって検査を行うこととしております。膀胱がんに対応しまして、尿潜血検査を必須項目として一次健診に入れております。二次健診では、肝障害との関連で、一次健診でやらなかった肝機能検査をできるようにしております。膀胱がんに対応して尿沈渣、パパニコラ検査、膀胱鏡検査、腹部の超音波検査、尿路造影検査などを手厚く選択できるようにしてございます。
次に19ページのスチレンでございます。
やや黄色の油状の液体でございまして、ポリスチレン樹脂、合成ゴム、合成樹脂塗料などに用いられています。
特殊健診の受診者は約4万1,600人でございまして、有所見率が2.3%と低めになっております。
発がん性につきましては、IARCで今までは2Bだったのですが、昨年2Aに引き上げられました。これは、スチレンの長期ばく露によって白血病などの造血器がんとの関連が大規模な疫学調査によって認められたため、急遽ランクを上げられたということになっています。その他、肝毒性、色覚異常、聴覚異常が認められております。
一次健診では造血器がんに対応しまして白血球に係る検査が加えられまして、肝障害に対しましては肝機能検査を設定しております。尿中の蛋白検査につきましては省略しまして、そのかわりに生物学的モニタリングとして尿中のマンデル酸及びフェニルグリオキシル酸の量をそれぞれ測ってプラスして総量を求める。そのような測定が設定されております。二次健診におきましては、関連性が薄いとして今回腎機能検査は要らないということで省略となりまして、医師の判断によって一次健診以外の肝機能検査、造血器がんに対応して血液に関する精密検査が追加されました。さらに、医師の判断項目でございますけれども、聴覚、色覚の異常に対応しましては耳鼻科学的な検査、眼科学的な検査、造血器がんに対応しましては特殊なエックス線撮影、これはCT、それとMRI検査も選択肢として加えられております。
次に20ページでございます。クロロホルムでございます。
臭気のある揮発性の無色の液体でございまして、フッ素系の冷媒、フッ素樹脂の製造、各種溶剤に用いられています。
特殊健診の受診者数は約3万3,000人でございまして、有所見率が5.5%とやや高い状況です。
発がん性はIARCの評価では2Bで、ヒトに対するデータが十分とは言えないまでも発がんの可能性が疑われるとされております。
肝臓毒性、腎臓毒性、中枢神経毒性がありまして、健診項目につきましては、一次健診では尿中の蛋白の検査は省略した上で、必要あらば二次健診で腎機能検査を行うということにしております。二次健診では、貧血検査は関連性が少ないとして省略しまして、肝機能検査につきましては、医師の判断により一次健診で行わなかった肝機能検査を行うとしております。また、従前どおり神経学的検査は残しております。
次に21ページでございます。1,4-ジオキサンでございます。
洗浄剤、溶剤として用いられておりまして、合成皮革用の洗浄剤、反応用や塩素系の溶剤などとして用いられています。
特殊健診の受診者数でございますが、約8,700人でございまして、有所見率が5.2%でございます。
発がん性はIARCの評価で2Bでございまして、ヒトへのばく露では報告は特にないですが、動物実験でかなり発がん性が報告されておりまして、ヒトでも発がん性の可能性があるとされています。肝臓毒性、腎臓毒性、中枢神経症状への影響があるとされています。
健診項目は、一次健診で先ほどと同様尿中の蛋白検査は省略しまして、腎機能の確認が必要であれば二次健診で医師の判断により腎機能検査を行うとしております。二次健診では、貧血検査は関連性が少ないので省略ということでございます。肝機能検査は、必要に応じて医師の判断により一次健診以外の肝機能検査を行うとしております。神経学的検査は従前どおり残しています。
次に22ページでございます。1,1,2,2-テトラクロロエタンでございます。
用途は、各種の溶剤として用いられておりまして、洗浄用、金属の脱脂用、ペンキの剥離用、油脂の抽出溶媒として用いられております。
特殊健診の受診者数は1,147人、有所見率は5.92%とやや高めとなっています。
発がん性はIARCでは2Bと評価されています。ヒトへの発がん性が疑われるというレベルです。肝毒性、腎毒性のほか、血液学的な異常の知見もございます。
健診項目としましては、一次健診では27年度の専門委員会での腎障害との関連が低いという評価を受けまして、尿中の蛋白検査は削除、また皮膚炎等の所見を新たに追加していますけれども、腎障害との関連性は、以前には腎機能検査をやったのですけれども、これは27年度以降外しております。二次健診では、肝臓がんとの関連から、通常の一次健診での肝機能検査以外の肝機能検査ができるとしております。血液異常の関係から赤血球、白血球に係る血液検査を設定しております。中枢神経症状に対しましては神経学的検査を設定しております。
次に23ページ、メチルイソブチルケトンでございます。
用途は、硝酸セルロース及び合成樹脂、磁気テープ、ラッカー溶剤、石油精製製品の脱ロウ溶剤といったものに用いられています。
特殊健診の受診者数はかなり多くて、9万4,000人ございまして、今回の改正物質の中では一番多くなっています。有所見率は1,7%と低めです。
発がん性につきましてはIARCで2Bでございまして、ヒトに対する発がん性が疑われております。また、中枢神経症状、皮膚・粘膜刺激症状、肝毒性、腎毒性がございます。
健診項目は、まず尿中の蛋白の有無の検査は必要性が低いとして削除しまして、腎機能の障害が疑われる場合には二次健診で腎機能検査を医師判断によりできるということにしております。また、一次健診では、生物学的モニタリングが可能であるとされているため、これを医師判断項目として設定しています。ただし、かなりばく露量が多くないとなかなか尿中のメチルイソブチルケトンの量をはかることは難しいために、通達によって、かなりばく露が多いと判断された場合に生物学的モニタリングが可能であるというような文言は加えようと考えています。次に二次健診におきましては、貧血検査は関連性が薄いので削除、肝機能検査も当初の案では設定されていましたが、令和元年度の再評価で関連性が薄いと判断されたため、肝機能検査についても削除しております。
以上でございます。
○櫻井座長 それでは、ただいま特別有機溶剤9物質についての説明がございました。
何か御意見、御質問がありましたら、よろしく御発言をお願いいたします。
○柳澤委員 トリクロロエチレンにしてもスチレンにしても造血器のがんがターゲットになっていまして、二次健診のところで、「血液像その他の血液に関する精密検査」、この項目の中に骨髄穿刺が入っていると考えてよろしいわけですか。最終的には骨髄穿刺をして骨髄の状態を見ていかないと造血系のがんはほとんど診断できないので。
○大塚中央労働衛生専門官 最終的には医師選択になります。
○柳澤委員 この特殊健康診断の項目の中に骨髄穿刺が入っていると考えてよろしいわけですか。
○大塚中央労働衛生専門官 はい。血液検査としてはそれだけなので。
○柳澤委員 これを見たときに、骨髄穿刺が対象になっているのかどうか、この文章だとわからないと思うのです。だから何か書いておいておいたほうがよいと思うのです。
○大塚中央労働衛生専門官 いかがでしょうか。そこは明記したほうがよろしいでしょうか。
○櫻井座長 「血液像その他の血液に関する精密検査」の中に含まれるとは思うのですけれども。
○柳澤委員 含まれると考えてよろしいですか。
○櫻井座長 多分それでいいのではないかと。
○柳澤委員 二次健診で骨髄穿刺をやらなければならないという判断になったときに、骨髄穿刺が二次健診のこの項目の中に含まれているのかどうか迷うのではないかと思うのです。
○大塚中央労働衛生専門官 明記ができなければ、通達でこういったことを判断基準にしてくださいということで書きたいと思います。
○柳澤委員 これはあくまでも意見なので。仮に私が二次健診を施行するように言われた時に、骨髄穿刺をやって良いのかどうか判断に迷う文章なのでお聞きしたのです。
○大塚中央労働衛生専門官 それもできるような書きぶりで。
○柳澤委員 もう一点、肝機能のところで、今、臨床の現場はASTとかALTを主に使っています。しかし、特殊健康診断項目ではGOT、GPTを項目として使用しています。今後、AST、ALTに変更する予定はありますか。
○小沼産業保健支援室長 実は専門委員会でも専門家の先生方から同じような御意見が出ておりまして、これは私どもの都合にもなるのですが、例えば住民健診、特定健康診査とか安衛法上の一般健診の中で現状の法令上この言葉を使っておりまして、そういったものを一括して直すタイミングがあると思いますので、そのときに直させていただければということで御容赦いただいているという状況でございます。
○柳澤委員 ただ、今でも括弧の中にGOT、GPTと必ず表記されているので、問題ないかと思います。
○大前委員 今の柳澤先生の御意見ですけれども、これも「造血器系のがん」と書いておけば全部含まれてしまうので、将来的にはそのような形でまとめていただきたい。
同じように肝臓もそうですけれども、「肝・胆管系のがんに関する検査」とか、そういう形でまとめられれば臨床の先生がどういうことをやるかということを決められると思いますので、将来的にはぜひそのようにしていただきたいと思います。
それから、これも前からあれですけれども、「特殊なエックス線撮影検査」というのも何とかしてほしい。これはCTのことで、昔は断層撮影だったと思うのですけれども、今は断層撮影はほとんどないと思うので、これも将来的にはどこかで統一していただきたいと思います。
もう一点は、スチレンのところだったのですけれども、スチレンの二次健診のところで、医師が必要と認める場合のところに「眼科的検査」というのがあるのですけれども、その上は「耳鼻科学的検査」、それから「神経学的検査」というように「学」が入っているので、これは「眼科学」と統一したほうがいいのではないかと思います。「学」を入れたほうがいいのではないかと思います。
○小沼産業保健支援室長 「学」ということを入れる方向で法令担当とも相談してみたいと思います。
○堀江委員 先ほどの柳澤先生の骨髄穿刺で、確かに白血病を早期に診断するには不可欠な検査の1つだと思うのですけれども、これを法令に基づく健診に入れるとすると、私の理解では、法令に基づいて強制的に実施する検査の中で最も身体侵襲の高い検査になるような気がします。会社によっては、法令違反をさせないということで、法定の事項は労働者に強制しています。もちろんその結果についても会社が保有するというような仕組みですので、ここはある程度本人のインフォームドコンセントをとらないと、何か副次的な問題が起こってもいけないなと思います。
○柳澤委員 わかります。ただ、最終的に骨髄穿刺を施行しない限りは治療に結びつく診断はできないと思うので、そういうことも踏まえて整備していただいたほうが良いかと思います。
○堀江委員 メリットとデメリットのバランスが難しい領域が入ってくるかなという気がします。
○大塚中央労働衛生専門官 必ずしなければならないという必須項目ではございませんで、あくまで選択項目ですので。
○堀江委員 医師が必要と言ったら実施することになりますね。
○大塚中央労働衛生専門官 医師が必要と判断されれば、当然そういうことに。
○堀江委員 この手続の中に受診者側の意思は入りますか。
○柳澤委員 多分、医師が説明して同意を得ないといけないのではないですか。
○堀江委員 それでよろしいですか。ほかの法定健診項目にはそのような規定はないと思います。
○大塚中央労働衛生専門官 通常は医師が判断すればそのままということで、このような場合は患者のインフォームドコンセントもとる必要があると。
○堀江委員 そのような規定は法令上はないと思いますけれども。
○小沼産業保健支援室長 基本的に骨髄穿刺のところまで行くというと、ほかの検査結果がかなり悪いとか、非常に危機的な状況だと思いますので、そうそうあるものではないと思うのです。ただ、堀江先生がおっしゃるとおり、身体の侵襲があるということであれば、その辺について、仮にやっていただくにしても労働者御本人の同意をとるというようなことについては留意が必要だと思いますので、その辺は別途何か通達で書きようがあるかどうかということかなと思っております。
○堀江委員 私は、これは非常に重要な課題だと考えています。労働安全衛生法の健診というのは、基本的に労働者は受診義務がかかっているというのが極めて大きな特徴の1つであり、もう一つは事業者側が結果を保存するということも極めて大きな特徴であって、これらは他の市中にある健診とは大きく違います。もし、一定以上の侵襲があるものに関しては本人のインフォームドコンセントがなければ実施しなくても法令違反にならないという手続を入れるのであれば、これは新たな仕組みになってくるかと思いますので、慎重に議論しないといけないかなと思いました。
○櫻井座長 診断のための検査と治療のための検査という部分でも分かれますね。
○柳澤委員 私の理解ですと、骨髄穿刺の場合には診断プラス治療のための検査になると思います。やはり2つを……
○櫻井座長 分ける。
○柳澤委員 そういうことになると思います。
○櫻井座長 診断にも絶対に必要になる。
○柳澤委員 絶対必要ですよね。悪性リンパ腫みたいに表在的なものであれば、リンパ
節を採取してすぐ診断できるのでしょうけれども、それ以外の造血器のがんというのは、骨髄穿刺をしない限りは診断は困難ではないかと思います。
○大前委員 膀胱鏡というのは結構侵襲がありますけれども、今までICをとっていたのですかね。
○堀江委員 法令上はICの規定はなく、その必要はないことになっていますが、恐らく現場ではやっていると思います。今、私も膀胱鏡はICが必要であろうと思います。
○大前委員 実際、二次健診のほうに行ってしまうとほとんど臨床現場でしかできないものなので、今の膀胱鏡なり骨髄穿刺なり必要だということになったら、恐らくその場でICはとると思うのです。だから、そこは余り心配しなくてもいいと思うのです。その後、法令的にどのように整合性をとるかはまた別問題ですけれども。通常は血液像なり何なりを見て白血病なりが疑われたら初めて骨髄穿刺という順番があると思うので。最初から骨髄穿刺をやる先生はいないと思うので。

○圓藤委員 今の堀江先生の御意見は私も気になっていた。この特殊健康診断の位置づけとして、基本的に侵襲性の強くないものまでにしようと。侵襲性の強いものは、特殊健康診断の結果に基づいて、インフォームドコンセントの必要もあれば、本人が望むかどうかという意向も踏まえて次のステップに渡そうという線引きをしていたように思います。骨髄穿刺に関しては侵襲性の中では軽い方ですので、特殊健康診断項目に入っていてもおかしくはない。ただ、特殊健康診断の枠を超えた次のステップだという考え方もあると思います。例えば胆管がんのときも、特健項目に入れるのは侵襲性の強くないところまでとして、負荷のかかる造影検査的なものは次のステップということで特健項目にはしなかったという経緯がありますので、今までの経緯と臨床上の取り扱いを見て検討していただきたいと思います。
○小沼産業保健支援室長 胆管がんのときの検討の経緯ももう一回確認して整理させていただきたいと思います。
○櫻井座長 当面はこのままでよろしいですか。
○圓藤委員 結構です。
○櫻井座長 そのほかに何かございますでしょうか。
それでは、先へ進みたいと思います。
次に重金属の3物質について説明をお願いいたします。
○大塚中央労働衛生専門官 資料1の24ページをごらんいただきたいと思います。重金属3物質の見直しでございます。
本検討会及び専門委員会での検討におきまして、四アルキル鉛につきましては現在取扱量が激減しております。これは資料2の3ページをごらんいただきたいと思いますが、最近では受診者数も非常に少なくなっていまして、ゼロ等々という状況になっています。ですから、今までのように大量ばく露による急性中毒の予防ではなく、無機鉛と同様の中長期的なばく露による健康障害の予防を主なターゲットとするのが適切である、そのような判断がなされまして、これに沿って今般見直し案が提案されております。
また、カドミウムにつきましては、以前より蓄積による慢性腎障害とか腎臓がんの発生が指摘されておりまして、さらに最新の医学的な知見から肺がんのリスクも指摘されるようになったことから、これに対応した健診項目の見直しが必要とされて今般の提案に至ったものでございます。
主な改正内容は(3)のとおりでございまして、四アルキル鉛は無機鉛との整合性を図る。カドミウムは腎臓がんや肺がんに関してより精度の高い検査の設定がなされております。鉛については一部追加の検査を入れたということでございます。
次に25ページでございます。鉛とその無機化合物、無機鉛の関係でございます。
鉛管、鉛板、蓄電池、電線被覆などに用いられております。
特殊健診の受診者数は年間約5万数千人程度でございまして、有所見率が1.9%程度で、特段高いとまでは言えません。
発がん性はIARCで鉛そのものが2Bでございまして、無機化合物にしますとやや高く、2Aとなっております。
鉛の蓄積による中毒症状がメインの症状でございまして、これにつきましては特段知見に新しいものがあるわけではございませんで、今般の改正では各物質共通の作業条件の簡易な調査を全部の物質に追加するということでしたので、鉛にも追加するということでございます。
次に26ページをご覧いただきたいと思います。四アルキル鉛でございます。
用途は、航空機等のエンジンのノッキング、エンジンの振動音を防ぐために燃料のガソリンに注入して用いるということをしていますが、今ではもちろん製造現場はなく、全て輸入になっており、取扱量自身も有害な物質ということで減少しておりまして、先ほど申しましたように平成30年は特殊健診の受診者数はゼロということでございます。しかしながら、単独で四アルキル鉛障害予防規則という規則がいまだに存在しておりますし、取扱量はゼロではない、存在はしているということでございますので、規則制定当時の状況と現在の状況との違いを考慮した上で必要な健診項目に見直す必要があると考えております。
発がん性につきましてはIARCで3の分類で、特に分類はできないという判断でございます。当初の急性の中毒症状ではなく、むしろ中長期的な鉛の蓄積による症状の発現を追跡する必要があるということで、今の鉛と同じ健診項目にそろえたらどうかという意見がございまして、それに沿って鉛との整合性を図るということでございます。
具体的には、現在では必要性の少ない血圧とか全血比重検査、好塩基性斑点赤血球数、尿中コプロポルフィリン検査は削除しました。そして、生物学的モニタリングである血中鉛の濃度、尿中のデルタアミノレブリン酸の検査、さらに医師判断によりまして作業条件のより詳しい調査でございまして、詳しく受診者以外の衛生管理者等にも聞いたり、実地の確認なども行う作業条件の調査、あと貧血検査、赤血球中のプロトポルフィリン検査、神経学的検査、こういったものを選択肢として加えております。健診の周期も鉛に合わせて6月以内ごとに一回としました。なお、血中鉛の濃度など生物学的モニタリングにつきましては、前回の健診で実施しており特に状況に変化がないと医師が判断すれば省略も可能でございます。
次に27ページでございます。カドミウムまたはその化合物でございます。
用途はカドミ系の顔料とかニッケルカドミ電池、合金、メッキ等に使われております。
特殊健診の受診者数は約4,000人でございまして、有所見率は1.6%で、特段高いというわけではございません。
かつて慢性中毒症であるイタイイタイ病が公害病として深刻な問題になりましたが、発がん性も非常に高くて、IARCで最高ランクの1となっていまして、ヒトに対する発がん性があるとされています。対象の部位も、腎臓がんや前立腺がんとの関連があると指摘されており、さらに、肺がんとの関連もあると認められております。
現行の検査項目である尿中の蛋白検査や歯の黄色環の検査では精度が悪いということもございまして、腎臓障害の発見が手おくれになるおそれがあるために、生物学的なモニタリングの血中のカドミウムの測定と尿中のβ2-ミクログロブリンの測定が必要とされています。さらに、医師の判断により、二次健診では、中長期的なカドミウム量の変化を見るために、尿中のカドミウム測定、尿中のα1-ミクログロブリン、NAGの測定なども追加されております。なお、検査は比較的低ばく露で発症する腎障害を優先しまして、その後に特殊エックス線撮影や喀痰の細胞診などの肺がんに対する検査を置いております。
以上でございます。
○櫻井座長 いかがでしょうか。3つの物質についての改定案でございます。
○大前委員 健診項目自体に異存はないのですけれども、1つ教えていただきたいのは、鉛のところの欄外の※1、「前回の健康診断時に受診していて、かつ、医師が必要でないと認める場合は省略できる」ということで、鉛だけこういう形になっているのですけれども、これは何か歴史的な経緯があるのですか。ほかの物質もみんなこれでいいような気がするのですけれども。
○大塚中央労働衛生専門官 それについてはほかの物質も、これは生物学的モニタリングでございますので、前回やっていて特に症状の変化がないということであれば省略可能と考えています。
○堀江委員 たしかこれは、有機溶剤の生物学的モニタリングを入れた際に、その後半年ごとに毎回やるのかという議論があって、作業環境の管理区分がずっと1で健診も何もなければ省略できるという一般的なルールをつくったときにこれも含まれたのだろうと思います。
○大前委員 わかりました。ありがとうございます。
○大塚中央労働衛生専門官 取り扱いとしてはそのようにさせていただきたいと思います。
○柳澤委員 私、聞き逃してしまったかもしれないのですけれども、カドミウムの二次健診のところで「特殊なエックス線撮影検査」と書いてあるのですけれども、これは具体的にはどういうものを指しているのですか。というのは、例えば肺がんを疑うのであれば、CTとかMRIとか、そういうものをすぐやりますよね。
○福島産業保健係長 この特殊なエックス線の検査というのは、例えばヘリカルCTのようなCTによる検査を想定しております。
○柳澤委員 じん肺みたいに「ヘリカルCT」と直接書いてしまうとまずいのですか。
○福島産業保健係長 じん肺も通達の解釈のほうで、この特殊なエックス線の検査はヘリカルCT等を指しますというのを書いていますので、こちらについても同様にさせていただきたいと思います。
○櫻井座長 ほかには特によろしいでしょうか。
それでは、先へ進ませていただきます。
その他の見直しと健康管理手帳の見直しの2つがございますが、まとめて説明をお願いいたします。
○大塚中央労働衛生専門官 まず資料1の28ページをごらんいただきたいと思います。特殊健診の検査項目のうち、最近の医学的知見に基づいて検討した結果、臨床の現場ではもう使われなくなったもの、あるいは健康障害との関連性が薄いと判断されたものなどを整理しまして、より効率的・効果的な健診が行われるように見直しを行ったものでございます。
まず最初の(2)のマル1でございますが、肝機能検査の簡素化でございまして、下記に列挙しております特化物でございますオーラミン、シアン化カリウム等の11の物質につきましては、肝機能検査として尿中ウロビリノーゲン検査が今まで一律に行われていました。ところが、最近の臨床現場ではこの検査自体が使われなくなってきている、また当該化学物質と肝機能障害との関連性も通常の職場でのばく露レベルでは薄いと評価されたということがございまして、このため、尿中ウロビリノーゲン検査、これは肝臓に関係するものですが、これは11物質全てについて廃止しましょうということでございます。ただ、大事をとって、下線を引いてある塩素化ビフェニル等の5物質に限っては高濃度ばく露の場合もあるのではないかと、それに備えてまして、医師の判断によって必要ならば肝機能検査ができるように整理いたしました。
次にマル2でございますが、これは、既に臨床現場において使われなくなっている全血比重検査を赤血球系の検査の例示から外す整理をいたしました。ニトログリコール、ベンゼン等の特化物の特殊健診項目として現在ありますので、これを省略しようというものです。
マル3は腎機能検査の関係でございますが、現在、有機溶剤につきましては一律に尿中の蛋白の有無の検査が行われております。しかし、当該物質と疾病との関連性も強いとは言えない、また検査の精度も余りすぐれているとは言えないということがございまして、尿中の蛋白の検査は一律に廃止するということにしています。万が一腎機能に懸念のある場合は、現行でも医師判断で腎機能検査ができる規定になっておりますので、それで対応することとしております。
マル4は全物質に共通する事項で、既に申し上げました作業条件の簡易な調査を一次健診等に追加しまして、労働者の作業の状況を主として問診で把握するなどして、ばく露の程度を早期に把握して、その後の必要な検査項目の選択を迅速・的確にとれるようにしております。
以上でございます。
では、29ページをごらんいただきたいと思います。健康管理手帳でございます。
これは3物質、ベンジジン、ベータ-ナフチルアミン、ジアニシジンが対象となっております。
健康管理手帳制度の概要でございますが、資料2の4ページをごらんいただきたいと思います。がんその他の重度の健康障害を生ずるおそれのある業務に従事していた者のうち、従事期間の長さなど一定の要件を満たす者について、離職の際または離職の後に国が健康管理手帳を交付して、無償で健康診断―特殊健康診断に相当するものでございますが―を実施する制度でございます。
現在、手帳の対象業務は14業務でございまして、29年度末における累積交付数は約7万件となっております。これは5ページに書いてございます交付状況でございます。7万ちょっとでございます。
今般、この3つの物質に係る健康診断項目が改正されることになりますので、この3つの物質に係る手帳による健康診断の項目もこれと連動して変わるというものでございます。
資料1の29ページを見ていただくとわかりますように、今般、ベンジジン、ベータ-ナフチルアミン、ジアニシジンは、膀胱がん関係の物質としてオルト-トルイジンに合わせて改正されましたので、結果的に手帳の見直し案と現在のオルト-トルイジンの手帳の項目とが一致することになったということになります。現行のベンジジン等の一番左の項目につきましては今回項目の変更が行われましたので、それに沿って見直されました。ここで注意していただきたいのは、配置転換後健診がある場合は配置転換後健診の対象の項目のみを残しているということでございます。現在業務に携わっている業務従事労働者のみに関する健診項目は、これは既に離職して業務から離れておりますのでそういった影響はないということで、省略しました。がんみたいに離職の後、作業をやめた後も遅発性で発症するおそれのある病気を見るものですから、配置転換後の健診項目と合わせており、業務従事労働者だけの健診項目は外しているということで整理いたしました。
以上でございます。
○櫻井座長 ただいまの説明について何か御意見、御質問がありましたら、どうぞ。―よろしいでしょうか。
○大前委員 先ほどの鉛の※1のところを蒸し返すのですが、こういう形で、バイオロジカルモニタリングの場合は、有機溶剤も含めて、「前回の健康診断時に受診していて、かつ、医師が必要でないと認める場合は省略できる」ということですが、今回、カドミウムに新たにバイオロジカルモニタリングが入りましたので、この場合も同様に扱うのかどうか、要するに血液中のカドミウムの定量とβ2-ミクログロブリンに※1をつけるかつけないかという意味ですが。
○小沼産業保健支援室長 基本的には鉛と有機則と合わせていくということだと思いますので、そのように検討してみたいと思います。
○圓藤委員 記憶が正しいかどうかわからないのですが、鉛はこのように、春の健診で異常がなかったので秋の健診では省略する、ただし、翌年の春に関しては、秋のときに受診していない形で、もう1年たっているので、また受けるというように、年に1回は必ずやりましょうという形でやっていると思います。有機溶剤はそれをしていたかというと、なかったのではないかという気がします。というのは、有機溶剤の場合は変動が激しいので、春に異常がなかったからといって秋にないとは思えないので、なかったように思ったのですが、私の記憶が正しいかどうか。鉛のときは確かにある。カドミの場合はどちらのほうがいいかというと、鉛と合わせて、前回の検診結果で異常がなければ省略してもいいとするのは賛成です。
○櫻井座長 直接きょうここで決めることについてはその部分だけでいいですね。カドミは鉛と同じように取り扱うという方向でよろしいかと思います。有機は……。
○福島産業保健係長 補足させていただきます。有機溶剤は、物質にかかわらず一律でやる項目と、物質ごとに別表でこの項目をやらなければならないというものを定めておりまして、別表のものについては、先ほどおっしゃられたように、前回の結果で所見がなくて医師が必要ないと判断すれば省略できる。ただ、一律でやるほうはそういった省略ができることになっていない。それから、カドミウムは鉛や四アルキル鉛と規則が別で特化則に規定されていて、健診の省略の仕方等の書きぶりが少し異なるので、同じ扱いにするには、特化則の他の物質の健診項目も含めてちょっと検討が必要かと思います。
○祖父江委員 ずっと聞いていて、特殊健康診断の目的は本人の利益というより作業環境のモニタリングのような意味合いが強くて、本人の意思で受けるというよりはマストな状態で受けるということですよね。ですから、圓藤先生がおっしゃるように、余り侵襲性のあるものを強要するとよろしくないと思うのですけれども、一方で離職後の健康管理手帳の交付で検証する場合はどちらかというと本人の利益が大きいような気がするのです。そうすると、同じような健診項目を続けるのかどうかというところは考えるべきところもあって、本人の利益のためというのであれば、本人の立場からの利益・不利益バランスで決めるべきであって、検査をすればそれでいいというわけではないと思うのです。検査による不利益というのが必ずありますので、その点も加味して、特殊健診で行っている健診項目をそのまま健康管理のほうで続けるかどうかということだけでなく、少し吟味して健康管理手帳は項目を絞ったほうがいいような気がするのです。本人の利益として証拠があるものに限ってやるというような考えもあっていいような気がしました。だから、単に続けるということよりも、目的に応じて判断基準を変えたほうがいいのかなという気が若干しました。特に今回のというわけではありません。
○櫻井座長 御意見は、一般論として今後頭に入れておかなければならないポイントを言っていただいたかと思います。
○堀江委員 事実確認だけです。先ほどの生物学的モニタリングに関してですけれども、行政指導で平成10年3月24日の基発122号というもののようです。有機溶剤も鉛も……
○圓藤委員 同じ。
○堀江委員 はい。生物学的モニタリングに関しては省略が可能です。ただし、特化則によるとなると今回初めてになると思います。そこですね。
○圓藤委員 失礼しました。先ほど私が言ったのは、胆管がんのときに腹部超音波で診断がつくのか、わかるのかというような議論がありまして、臨床系の先生方からは内視鏡的胆管造影検査をしないことにはわからないというような意見があったのですが、侵襲性が強いので、その検査は特化則の健康診断の結果を踏まえて次のステップとしてされるのがいいのではないかということで線引きしたように思います。侵襲性といっても、採血する程度の侵襲性は軽いとみなして実際にやっているわけでして、どこまでを軽いとみなし、どこ以上を強いとみなすのか、線引きは難しいですが、骨髄穿刺に関しても、どちらに該当するのかという侵襲性の程度も一度判断していただいて、するのかしないのかを御判断いただければと思っています。基本的に臨床の場で書面による同意を必要とするようなものは侵襲性が強いとしてもいいのかなと。書面によらなくてもいい、口頭でいいというようなものはやって取り入れていこうと判断しますが、それが妥当かどうかはよくわかりません。
○祖父江委員 ちなみに、侵襲性の判断は、倫理審査委員会では採血量ですね。20ml以上だと侵襲性ありです。骨髄穿刺は恐らく侵襲性ありです。
○柳澤委員 臨床の現場でも同意書をとりますので。
○櫻井座長 それから、特殊健診は労働者本人の利益のためという部分のほうがむしろあると私は思います。本人のリスクを評価するという方向に来て、そのために生物学的モニタリングをやる。同時に環境も改善するけれども、一人一人の労働者のリスクを判断するためと。
ただ、非常におもしろい論点で、配転後健診あるいは離職後の健診、いずれも慎重に考える必要があるということです。たしか配転後健診については今後細かく検討を続けると認識しておりますが。
○小沼産業保健支援室長 専門委員会でも配転後健診を行う特化物については結構まだらになっているというか、統一的に横串を刺して検討したことがなくて、個々の物質ごとにやる・やらないを決めてきているので、本当に整合性があるのかなという部分はございまして、そういう御指摘をいただいておりますので、次年度以降、その辺について一括して、特化則の物質について配転後健診が要るのか要らないのか、専門家の先生方に御意見を頂戴していきたいと思っております。
○櫻井座長 そのほかに何かございますでしょうか。
それでは、以上で本日の主な議題である「特殊健康診断項目等の見直しについて」は終了いたします。1カ所だけ、「学」という字を入れるという修正以外には、はっきりこれを修正すべきという御意見はなかったように思いますが、最終的にはまとまったものを確認させていただいて、今後事務局でお進めいただくということで、皆様御了解いただけますでしょうか。―ありがとうございます。
それでは、議題の2に移ります「その他」の事項について、事務局から報告をお願いいたします。
○大塚中央労働衛生専門官 では、今後のスケジュールについて報告させていただきます。
本日の提案につきましては、本日の検討会で御了解を得られた後、必要な省令の改正作業を行いまして、12月か1月に労働政策審議会の安全衛生分科会に改正省令案要綱をお示しして、これで了解を得られれば、1月中旬~2月ごろに改正省令を公布する予定でございます。
実際の施行は、いろいろと準備期間が必要でございますので、一応7月を目途にしているのですが、これについても関係者の皆様方の御意見を伺った上で決めさせていただきたいと思います。
また、先ほどもいろいろと御意見が出ました残された課題等につきましては、来年度以降、課題を整理した上で、引き続き専門委員会、本検討会で御議論いただきたいと考えております。
以上でございます。
○櫻井座長 その他、何か御意見、御質問はございますでしょうか。―よろしいでしょうか。
では、本日の議題は以上でございます。
最後に、事務局から連絡事項があれば、お願いいたします。
○大塚中央労働衛生専門官 1点お願いでございます。本日の議事録についてでございますけれども、先生方にまたメール等で内容の御確認をお願いすると思いますが、よろしくお願いいたします。
○櫻井座長 先ほど最後に御確認いただくと申しましたのはこの部分でございまして、皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、本日の検討会は以上で終了いたします。
どうもありがとうございました。