2019年11月6日 第13回医療介護総合確保促進会議 議事録

保険局医療介護連携政策課

日時

2019年11月6日(水)15時00分~17時00分

場所

TKP赤坂駅カンファレンスセンターホール13A

議題

1.執行状況、平成30年度交付状況等及び令和元年度内示状況について(報告)他
2.都道府県等による事例の紹介
3.今後の医療・介護の総合確保に向けて(議論)

議事

 
○田中座長 御着席ください。定刻となりましたので、ただいまから、第13回医療介護総合確保促進会議を開催いたします。本日は、お忙しい中御参集いただき、誠にありがとうございます。会議に先立ちまして、構成員の交代及び本日の出欠状況について事務局から報告をお願いいたします。また、前回の会議以降、事務局に人事異動がありましたので、併せて紹介をお願いいたします。
○山下課長(保険局医療介護連携政策課) 保険局医療介護連携政策課長の山下です。どうぞよろしくお願いいたします。まず、構成員の皆様方の間で交代がありましたので、紹介させていただきます。座小田孝安構成員が御退任され、新たに民間介護事業推進委員会代表委員の佐藤優治構成員が御就任されております。続いて、平川則夫構成員が御退任され、新たに日本労働組合総連合会総合政策推進局長の佐保昌一構成員が御就任されております。末永裕之構成員が御退任され、新たに日本病院会副会長の仙賀裕構成員が御就任されております。石川憲構成員が御退任され、新たに全国老人福祉施設協議会会長の平石朗構成員が御就任されております。
 続いて、構成員の皆様の出欠状況を御報告いたします。本日は遠藤構成員、井上隆構成員、大西構成員、永井構成員、樋口構成員、森田構成員、山口構成員、山崎構成員から御欠席の連絡を頂いております。また、尾﨑構成員の代理として、家保参考人に御参画いただいております。なお、東構成員より遅れて参加との御連絡を頂いております。
 次に、事務局の人事異動について紹介いたします。まだ到着が遅れておりますが、紹介だけいたします。保険局長に濵谷が就任しています。また、大臣官房審議官(医療介護連携、データヘルス改革担当)に八神が就任しています。続いて、老健局高齢者支援課長の齋藤です。保険局総務課長に宮崎が就任しています。また、今見えていない医政局長の吉田、大臣官房審議官(医療保険担当)の横幕、医政局総務課長の佐々木、老健局総務課長の黒田、老健局介護保険計画課長の山口は、残念ながら他の公務により欠席とさせていただきます。残りの者は遅れてまいると思いますが、御迷惑を掛けます。よろしくお願いいたします。以上です。
 議事に入る前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。今回はペーパーレスの会議で、基本的にはタブレットで皆様方のお手元で見られるようにしてあります。タブレットのデータには議事次第、構成員名簿、座席表、資料1-1、資料1-2、飛んで資料2-1-2、資料2-2、資料3が入っていると思います。なお、資料2-1-1については、お手元に一枚紙で配布させていただいております。もし不足等がございましたら、お知らせいただければと思います。事務局からは以上です。
○田中座長 では、早速議事に入ります。カメラはここで退室ください。最初に私から、本日の会議の進め方について皆様にお伝えしておきます。本日は3つありまして、1つ目は地域医療介護総合確保基金の執行状況の報告。2つ目は兵庫県、高知県よりこの基金を活用して、地域の医療・介護にどのように有効活用したかを紹介いただきます。そして3つ目、最後にこれらの報告と併せて、皆様と一緒に将来の方向を議論いたします。いずれも大切なので、時間配分をうまく分けたいと考えておりますので、御協力ください。3つ目の議題に当たっては、次回の2024年診療報酬、介護報酬の同時改定、さらに医療計画、介護保険事業計画の同時実施を踏まえ、2030年、更にその後まで視野に入れた医療・介護の道標となる議論をしていきたいと考えております。長期の視点から大きな話をするのがこの会議の役割ですので、皆様には是非、そこにもエネルギーを残しておいてください。
 はじめに、議題1の執行状況、平成30年度交付状況等及び令和元年度内示状況についての報告をお願いいたします。資料1-1及び資料1-2を使って説明をお願いいたします。
○山下課長(保険局医療介護連携政策課) それでは資料1-1、資料1-2を続けて説明させていただきます。まず資料1-1、執行状況、平成30年度交付状況等及び令和元年度の内示状況について報告いたします。まず医療からですが、4ページです。地域医療介護総合確保基金の医療分の執行状況です。交付総額、これは平成26年度から平成29年度にかけて3,615億円、また執行予定総額は同じ時期で3,169億円となっています。なお、未執行分の主な要因というのは、複数年度にわたって実施中及び今後実施予定の施設設備整備事業について、後年度の負担分を確保しているためですが、今後、病床の機能分化・連携を進めることによって、未執行分が解消していくと考えております。
 続いて5ページですが、地域医療介護総合確保基金の医療分・全体での都道府県別の累積執行状況ということで、平成26年度から平成29年度の交付分の累積の数字を示しております。続いて7ページを見ていただきたいのですが、平成30年度の地域医療介護総合確保基金の医療分の交付状況です。12ページまで飛んでいただいて、事業区分別に交付額がどうなっているのかというものです。医療分については3つの区分けがあり、1番目の区分けとしては、地域医療構想の達成に向けた医療機関の施設又は設備の整備に関する事業。2番目として、居宅における医療の提供に関する事業。3番目として、医療従事者の確保・養成に関する事業の3つに分かれています。それぞれ12ページの真ん中より下のほうで、各都道府県別に色分けで、どういった所に基金のお金が充てられているのかということが分かるようにしてあります。
 続いて13ページですが、先ほどの医療分の交付状況をそれぞれ公的・公立の機関への交付額と、民間の医療機関等への交付額で分けたところ、それぞれ27.4%、63%、また交付先が未定というのが9.6%となっております。14ページは、病床の機能分化・連携に関する事業と在宅の事業、それと医療従事者の確保・養成に関する事業ごとに、それぞれ官と民でどれぐらいの交付割合になっているのかということを整理しております。
 続いて、平成30年度の交付状況の主な取組について、資料の17ページをお開きください。本日も御説明いただくことになっておりますが、まず病床機能転換推進事業ということで兵庫県の事例と、病床の機能分化・連携を推進するための基盤整備として長崎県の事例です。この長崎県の事業については、例えば事業内容、病床の削減に伴って不要となる施設を他の用途に変更する、そのための改修費用とか処分に掛かる損失費に充てているということで、例が挙がっております。
 19ページですが、居宅等における医療の提供に関する事業として、岩手県の事例の在宅医療推進事業、また静岡県の事例として在宅歯科医療設備整備事業費助成、千葉県の事例として訪問看護の推進事業、大阪府の事例として薬局の在宅医療推進事業というのを挙げさせていただいております。
 続いて、21ページです。医療従事者の確保に関する事業として、例えば栃木県は周産期医療対策事業として、小児医療施設に従事する医師数を増やしているという事例、富山県は看護師の養成所の運営費補助に使っていると、山口県は病院の職員子育てサポート事業というのが挙げられています。
 23ページ以降からは、介護の基金の使用状況、交付状況についてお伝えいたします。25ページは全体の交付総額なのですが、平成27年度から平成29年度にかけて、交付総額は2,108億円、執行総額は1,442億円、未執行分については先ほどの説明と同様です。累積の執行状況は26ページで、平成27年度から平成29年度、都道府県別でこのようになっております。
 続いて、平成30年度の地域医療介護総合確保基金の介護分の交付状況です。29ページですが、平成30年度の交付額全体を都道府県別で示しております。32ページですが、介護施設の整備に関する事業と、介護従事者の確保に関する事業とそれぞれ分けて割合を示しております。介護施設の整備に関する事業は67.9%でピンク色、32.1%が介護従事者の確保に関する事業で青色ということで、下のほうに都道府県別で示しております。33ページ以降ですが、先ほどの医療と同様、公的機関と民間機関へのそれぞれの交付額の割合について示しております。
 続いて、平成30年度の基金の主な取組の介護の事業分です。37ページは、介護施設の整備に関する事業です。これも私の説明の後、御説明を頂くことになっておりますが、高知県の介護施設等整備事業を例として挙げています。また、介護従事者の確保に関する事業として、東京都の介護に関する入門研修、それと三重県の介護助手の導入支援があります。なお、お手元のスライドは間違いがありまして、スライドではなくて紙で修正後のものをお配りしております。介護助手の導入支援、特に事業の内容の所について修正があります。介護現場における補助的な業務を担う介護助手の導入支援を実施しているということで、これにより介護人材の役割分担、機能分化を促進し、補助的な業務は介護助手が担い、介護職員は身体介護や利用者の個々のニーズに応じたきめ細やかな介護に注力することが可能となるということで、介護助手が担う具体的な周辺業務の切出し、整理、折込チラシ等で介護助手の募集や説明会の実施、説明会参加者との就労マッチング等を実施しているということです。お手元の修正後の資料を御覧いただければと思います。
 40ページですが、千葉県で外国人介護職就職促進事業ということで、在留資格として介護の在留資格を取得した人が県内の介護施設で就労することを目指す、そういったことを支援しています。
 最後に41ページから、令和元年度の内示状況として、介護分の都道府県分と全体の内示状況を示しております。42ページが介護分全体の内示額で、43ページはそのうちの施設整備の部分の内示額、また、人材確保の分の内示額が44ページです。ここまでの説明なのですが、介護分については、令和元年度の内示状況を示させていただいているのですけれども、医療分の令和元年度の内示については事務的に若干遅れていまして、もう少し時間が掛かる予定です。大変申し訳ございません。
 内示状況の説明は以上ですが、次に資料1-2の説明です。医療介護連携の取組状況です。2ページは地域包括ケアシステムということで、まず私たちの医療介護総合確保促進会議については地域包括ケアシステム、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、医療・介護にとどまらず予防や住まい、また生活支援、これらが包括的に確保される体制を作っていこうということで集まっていただいていますが、そういうような大きな目的をこの2ページで示しております。
 3ページは、今申しました医療と介護の連携だけではなくて、生活支援、更にまちづくり、これらを進めるということで、地域で生活する一人一人の自立と尊厳を支える。これは個々の利用者にとってみると、生活者の目線で一体的なサービスを受けられる。また、サービスを提供する方々にとっては、同職種であっても他の職種であってもお互いに顔の見える関係、ネットワークを作っていく、これをどうやっていくか。さらに、地域によっては、例えば大都市圏や地方の中核都市だけではなくて、町村などの様々な人口とか資源に応じてどのように展開していくかということを考えていくということです。
 4ページは、生活支援・介護予防サービスの充実と高齢者の社会参加ということです。地域住民の参加ということで生活支援・介護予防サービス、高齢者の社会参加をどうやっていくかということが課題になっています。5ページは、医療と介護の一体的な改革に係るスケジュールということで、医療の計画、介護の計画、更にこの会議でのビジョンの指針をどのように示していくのかということを図示しています。
 6ページを御覧ください。先ほど座長からもあったとおり、次の医療の診療報酬と介護報酬の同時改定は、2024年です。この2024年というのは医療計画の見直し、介護保険事業計画の見直しと同じタイミングになります。総合確保会議ではこれらの同時改定を見越して、各都道府県が作る医療計画、各都道府県又は市町村が作る介護保険事業計画に対して、2024年からはじまる計画のゴールとしての2030年を見越してどういった形で作っていただくかの大方針を議論するために置かれているということです。
 7ページなのですが、この会議は、医療介護総合確保促進法に基づいて作られています。同時に、後で説明いたしますが、消費税増収分を活用した新たな医療と介護の基金を都道府県に設置する、これの配分についてもこの会議で方針を決めるというものです。
 8ページですが、地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針ということで、先ほど申したとおり総合確保方針と医療や介護の方針との関係を示しています。総合確保方針を受け、国のほうで医療法で定める基本方針に基づいて都道府県が医療計画を作っていく。さらに、介護保険法で定める基本方針を国が作る、それを受けて各都道府県又は市町村が介護保険事業支援計画を定めていくということです。
 9ページは、地域医療介護総合確保基金ということで、右上ですが、令和元年度政府予算は全体公費で1,858億円、医療分は1,034億円、介護分は824億円ということです。これは、国と都道府県の負担割合が3分の2と3分の1、都道府県が3分の1を事業負担することで、これを通して各事業者や市町村に交付することによって、地域と医療の効率的な医療提供体制、介護提供体制を作っていただくというものです。10ページは、令和元年度の予算に至るまでの間、平成26年度予算からこのような形で全体の金額が推移してきているということを示しています。
 これまでは、この会議の全体の役割も含めた地域包括ケアシステムの考え方を説明いたしました。これからは、まず医療分野における今現在の取組について御紹介させていただきます。
 12ページですが、地域医療構想調整会議で2年程度集中的な検討を進めるということで、特に公立・公的医療機関に対しては民間医療機関との役割分担を踏まえて、公立・公的医療機関等でなければ担えない分野へ重点化された具体的対応方針であるか確認することを、地域医療構想で求めています。
 その上で厚生労働省から都道府県に対して、これまで地域医療構想で提出していただいたものなのですが、真に地域医療構想の実現に沿ったものであるのかどうなのか、改めて検証していただきたいということで改めて要請しております。具体的には18ページなのですが、9月26日にこれまでのデータを踏まえて、厚生労働省において高度急性期の機能に関して、例えば実績から見て、また診療領域が地理的に近接する他の病院と比べてどうなのか、改めて真に地域医療構想の状況に合っているかどうか再検証してくださいということを要請いたしました。その結果、対象となる公立・公的医療機関名を公表したということです。
 これを受けて、24ページなのですが、このように厚生労働省から公立・公的医療機関を公表した結果、様々な地域からもう少し具体的に話を聞きたいということもあり、地域医療構想に関する地方との意見交換会をやっているところです。また、23ページに戻っていただきますが、地域医療構想の実現に向けての目的について、改めて発表しております。読み上げますと、地域医療構想の目的というのは、2025年に向けて地域ごとに効率的で不足のない医療提供体制を構築することであって、限られた医療資源をどのように活用していくか。その結果、次の時代、人口が減少している中でも対応できる医療の提供体制を作っていくということを目的としています。したがって、必ずしも厚生労働省で医療機関そのものについて統廃合を決めるというようなことではなくて、改めて各地域において、それぞれの病院がどういう役割を担うべきかということを考えていただきたいということを、改めて伝えているというものです。
 続いて、介護分野における取組についてお伝えいたします。介護分野は、現在第7期の介護保険事業計画を進めているところです。基本指針としては26ページなのですが、5つのポイントです。高齢者の自立支援・重度化防止に向けた保険者機能の強化の推進、「我が事・丸ごと」ということで、地域共生社会も視野に入れて、これらと一緒に地域包括ケアシステムを進めていくということ。また、平成30年度からは医療計画と同時スタートになっていますので、それらの整合性をどう確保していくのか。さらに、介護を行う家族への支援や虐待防止対策の推進、「介護離職ゼロ」に向けてどのようにサービス基盤を整備していくのかということをポイントにして進めているところです。
 29ページですが、新たな動きとして介護医療院というものを平成30年4月から創設させていただいています。これは、医療の必要な要介護高齢者の長期療養の生活施設として創設して進めているところです。30ページなのですが、令和元年6月末時点での介護医療院の開設数は、全国で223施設、療養床で言うと1万4,444床の整備をさせていただいています。
 続いて32ページは、在宅医療・介護連携推進事業ということで、切れ目のない在宅医療と在宅介護の提供体制を構築するために、それぞれの関係者がどのように共有して進めていくかということを支援しています。35ページですが、介護事業所におけるICTを通じた情報連携推進事業です。医療や介護はそれぞれ職種が違いますし、それぞれ働く場所も違いますが、それでも1人の患者さん、利用者さんに対して同じ情報で連携ができるようにし、そのために情報面で支援する。それによって地域包括ケアを支えていくということで、支援している事業です。
 続いて38ページからは、平成30年の診療報酬と介護報酬の同時改定で、どういうことを行ったのかを振り返るということで資料を用意させていただいております。まず38ページですが、平成30年度の診療報酬改定の基本方針です。改定に当たっての基本認識として、人生100年時代を見据えた社会の実現、また、地域包括ケアシステムの構築ということで、どこに住んでいても適切な医療・介護を安心して受けられる社会をどう実現していくのか。さらに、制度の安定性・持続可能性の確保と医療・介護現場の新たな働き方の推進をどうやっていくかということを基本認識とした上で、改定の基本的視点として1から4までのことを掲げて、やらせていただいたということです。
 40ページは、平成30年度の介護報酬改定の概要です。次の4つのポイントでやっております。地域包括ケアシステムを推進する、自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスをどう実現していくか、多様な人材の確保と生産性の向上をどう進めていくのか、4番目として介護サービスの適正化・重点化を通した制度の安定性・持続可能性の確保を進めていくということで、介護報酬改定をやらせていただいたということです。
 41ページは、この前の同時改定を念頭に置いて、入退院時の医療と介護がどのように連携しているのかということを、報酬面でそれぞれ介護報酬はオレンジ色、診療報酬は青色でイメージさせていただいている資料です。42ページですが、医療・介護連携の推進ということで、特にかかりつけ医との連携が大切だということで書かせていただいております。
 46ページ以降は、現在の状況ということで、令和2年度に向けた診療報酬改定の基本方針について、今現在の検討状況をお伝えさせていただきます。47ページです。令和2年度の診療報酬改定の基本方針、まずは改定に当たっての基本認識として4つの認識で整理させていただいております。まず第1として健康寿命の延伸、人生100年時代に向けた「全世代型社会保障」の実現。次に患者・国民に身近な医療の実現。どこに住んでいても適切な医療を安心して受けられる社会の実現、医師などの働き方改革の推進と、社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和ということで基本的認識を高めさせていただいた上で、48ページですが、改定の基本的視点として4つ出させていただいて、今、正に議論をしていただいているところです。
 最後に53ページから、今年5月に成立した健康保険法での医療介護連携について御説明いたします。54ページですが2つあって、改正の概要の中に3、4とあります。NDB、介護データベースの連結解析ということで、診療報酬のレセプトのデータと介護報酬のデータをそれぞれ連結することによって、どのような研究ができるのか。それによって医療や介護にどういう良い影響を及ぼすのかということで、これをできるようにしていこうという改正がなされました。また4ですが、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施ということで、法律改正をさせていただきました。この4については57ページにおいて、高齢者の保健事業と介護予防を一体的にやっていくということです。後期高齢者は広域連合なのですが、保健事業を市町村に委託することによって、同じようにやっている介護予防とデータも含め、連携して一緒になってやっていくことを事業として提示させていただいております。長くなりましたが、事務局からの説明は以上です。
○田中座長 ありがとうございました。この会議が医療、介護全体を広く討議することがよく分かる説明でした。特に8ページにあります総合確保方針、これをあとできちんと議論いたします。
 なお、事務局と打ち合わせましたが、質疑は3つの報告を受けてからまとめて行うことといたします。
 続いて、議題2の都道府県等による事例の紹介に移ります。都道府県の方に御紹介いただく前にどのようにするか、医政局から説明があります。お願いします。
○島田室長(医政局地域医療計画課医師確保等地域医療対策室) 医政局地域医療計画課医師確保等地域医療対策室の島田でございます。机上配布いたしております資料2-1-1について御説明させていただきます。先ほど、課長の山下から御説明いたしました資料1-2の22枚目も併せて御覧いただければと思います。
 今般、地域医療構想におきまして再編・統合というものを求めているわけですけれども、その再編・統合の定義につきまして改めて御紹介させていただきます。医療の効率化の観点から、ダウンサイジングや機能の分化、連携、集約化、不足ない医療提供の観点から機能転換・連携、これらの選択肢が全て再編・統合に含まれると解するというようにしております。
 資料2-1-1で御紹介いたしますのは、平成27年度以降に地域医療介護総合確保基金を活用した主な再編・統合事例ということで、ダウンサイジングの事例について御紹介したいと思います。まず東京都の事例ですが、急性期144床を回復期50床にダウンサイジングする際の設備整備費に充当する事業、また大阪府の病院におきまして高度急性期8床、急性期351床の医療機関において、急性期を299床にダウンサイジングして回復期を16床整備するための施設改修等工事に充当した事例、また徳島県の事例におきましては回復期30床、慢性期170床を回復期30床、慢性期88床にダウンサイジングした施設新築工事費に充当した事例がございます。
 このほか、地域医療構想の議論が始まる前から議論されていた案件ですので、今後再編・統合を検討する地域とは状況がもしかすると異なる可能性もあるかもしれませんが、複数医療機関が統合した大規模な事例ということで、基金を御活用いただいた事例として兵庫県から御紹介いただきます。よろしくお願いします。
○田中座長 ありがとうございました。続いて資料2-1-2、医療分の事例について、兵庫県健康福祉部健康局長の味木和喜子様及び兵庫県病院事業副管理者の八木聰様より発表をお願いいたします。
○味木健康局長(兵庫県健康福祉部) 兵庫県健康福祉部の味木でございます、本日はこのような機会を頂きましたこと御礼申し上げます。まず、私の方からは、本県の統合再編の事例であります丹波医療センターの取組につきまして、丹波圏域の現状と課題を御説明させていただきます。
 資料の2ページ目をお願いいたします。兵庫県丹波圏域の特徴でございますが、県の南東部に位置し、丹波篠山市と丹波市の2市からなります。山林が総面積の75%を占める農山村の地域ですが、隣接します阪神・神戸から非常に近いということで、大体1時間圏内にございます。文化的にまとまりのある区域であり、県の行政区として、1つの単位として独立した圏域としております。
 3ページ目をお願いします。地域医療構想を作りますとき、県は10圏域ございまして、それぞれの圏域の人口と高齢化率と医師数(人口10万人当たり)をお示ししております。兵庫県は全県で見ますと大体、全国平均並みとなりますが、圏域によりまして大きな差がございます。一番下の医師数で見ると、一番多い神戸圏域320に対し、一番少ない西播磨では163、大体、県の中で2倍の開きがあるという状況になっております。
 その中で丹波圏域ですが、この時点で人口10万人、高齢化率が34%、医師数でございますが、全県の中では2番目に低い圏域となっております。
 4ページ目には丹波圏域の人口推移をお示ししております。今後人口減少が進み、2040年には人口が8万人を切り、高齢化率が40%の見込みとなっており、この圏域をどのような形で考えていくかということが今大きな課題となっているところです。
 5ページ目、人口10万人当たりの医療従事者数をお示ししております。全県に比べ、どの職種も大体2割から3割低い。看護師につきましては1割ぐらい低いところですが、医療従事者の確保がこの圏域におきまして一番の課題となっております。また、医師数につきましては、厚生労働省が試算されました2036年における必要医師数、本県の圏域の中で「不足する」と推定されておりますのが、この丹波圏域のみという状況になっております。
 6ページ目には一般病床の入院受療動向をお示しいたしました。病床利用率は県全域75%に比べて64%と低い状況です。特に一般病床での圏域内充足率が70%と低く、ただこれが特定の圏域に流出しているのではなくて、複数の圏域に流出しているという状況があり、これら近隣の医療機関との連携・役割分担が更に必要となっております。また、特に救急の圏域内充足率が低いということ、回復期につきましても圏域内充足率が53%で、今後、高度急性期並びに回復期の確保が課題となっているところです。
 7ページ目には地域医療構想の実現に向けた病床機能ということで、平成29年(2017年)の病床機能報告と2025年に必要とされる病床数を、それぞれお示ししているところでございます。高度急性期につきましては圏域内での機能の充実及び近隣の圏域との連携強化を進めるとともに、不足している回復期の充実、更に下の方に居宅等の医療需要をお示ししておりますが、今後、更に40%需要が増えるという見込みですので、これらの提供体制の確保を課題と認識しているところでございます。私からは以上です。
○八木病院事業副管理者(兵庫県病院局) 続きまして、兵庫県病院局病院事業副管理者をしております八木と申します。私の方から、2点目の県立柏原病院と柏原赤十字病院の統合再編につきまして、具体事例として発表させていただきます。
 資料9ページをお願いいたします。改めて丹波医療圏域の概要ですが、丹波市と丹波篠山市の2市で構成され、丹波市の人口が6万4,000人、丹波篠山市が4万人という状況です。
 今回、対象になりました2病院が位置します丹波市の他の医療機関の状況ですけれども、2施設ございまして、大塚病院というところが一般60床、療養325床、香良病院というところが精神の単科病院で266床、隣接いたします丹波篠山市には兵庫医科大学のささやま医療センターがございます。急性期で136床、療養44床の180床、そのほかに岡本病院が一般94床、療養92床の186床、にしき記念病院が一般48床、更には療養で31床の山鳥病院、圏域内には以上の医療機関がございます。
 先ほど、圏域外への流出という話もありましたけれども、青の矢印で左下、これが北播磨圏域というところに流出をしており、主にこの西脇市民病院というところ、ここまでがおよそ車で40分程度です。右側が三田市民病院の方に流れており、これが阪神圏域に流出をしております。これは高速道路を使って40分程度です。更に北に向かって福知山市民病院、これは兵庫県から出て京都府の方に流れているというものもございます。ここも車を使いましても30分以上掛かります。
 7ページですけれども、両病院の概要でございます。県立柏原病院というのは昭和28年、結核の療養所としてスタートし、昭和59年に総合病院化をしております。許可病床数303床に対しまして、稼働病床数が平成30年度の欄を見ていただきますと184床、病床利用率が87.2%、外来患者数が約9万人、1日当たりで言いますと約370人となります。経常損益が一般会計の繰入金を含めまして約2億円の赤字、医師数が35人、これが平成20年度を見ていただきますと医師数が20人ということで、平成20年度の時期が過去最悪の時期だったということです。
 柏原赤十字病院につきましては昭和10年に開設され、許可病床数が99床、稼働病床数が平成30年度では59床、病床利用率が74.8%、外来患者数が2万2,000人、1日当たり90人程度であります。経常損益が約2億円の赤字となっております。
 医師数が平成30年度も、20年度も5名ずつですが、実は平成20年度以降、一時期回復をいたしましたが、平成30年度にはまた5人に落ちたという状況です。
 11ページですが、申し上げましたとおり、平成20年度が両病院とも医師数最低の時期ですので、入院患者数というのは平成20年度は非常に厳しかったが、徐々に増えてきているという状況ではございます。
 次のページが外来患者数です。これも同じような傾向をたどっているということになります。
 13ページは圏域・両病院の課題ということです。平成27年2月に基本計画をまとめましたが、その中で整理をしたものです。4点ございますが、1点は将来回復期の患者が増加をしていくという中、急性期から回復期までの幅広い医療の提供が必要だという点。2点目が地域包括ケアシステムを構築していく必要がある。更には3点目として、圏域外の搬送が非常に多いということから救急拠点としての機能を充実させる必要がある。4点目は医療人材が不足しているという説明が先ほどありましたが、地域医療にかかる医師だけではなく、医療に関わる人材育成の環境を整備する必要がある。こういったことが課題として指摘がされました。
 そのような中で統合再編整備事業ということで、事業の目的としましては今回のテーマでもございます地域医療介護総合確保基金を活用させていただいた上でネットワーク化を図り、急性期から回復期まで幅広い医療が提供できる新病院を整備する。
 もう少し詳しく言いますと、新たに整備します新病院に隣接し、一次診療・健診・在宅医療を担います市のほうの健康センターを併設して整備をし、医療と保健と福祉が連携した地域包括ケアシステムを構築をする。また救急拠点病院としての医療を提供する、あるいは人材の育成をする、こういったことを実現するために新病院を整備をするということであります。病床規模につきましては320床、総事業費は約181億円ということで、このうち基金の方から約29億円を活用させていただいております。年次的な予算の推移をその右側に書いております。4期に渡りまして基金を活用させていただいたということになっております。
 15ページを御覧ください。取組の特徴といたしましては、先ほども申し上げましたが新病院はもともと持っていた双方の急性期に加え、日赤側の回復期の機能を継承する。更には、日赤側の一次診療・健診事業等の機能を健康センターが引き継ぎ、その上でその運営を県が受託をして、一体的に運営することで連携を図っていくということであります。
 下にポンチ絵を描いております。もともとありました県立柏原病院の急性期医療と緩和医療、それと柏原赤十字病院の急性期医療と回復期医療、この黒点線の枠囲みの中を丹波医療センターで継承する。更に、赤十字病院の方の右側の黒い点線囲みの中のこういった事業については、市の健康センターでありますミルネというところに引き継ぐ。赤い点線囲みのこれらを県で一体的に運営をするということで医療・福祉・保健、そういった連携を円滑にやっていこうというものであります。
 16ページは改めて統合決定から開院までを整理しております。ここに記載しております平成24年2月からですが、水面下ではもう少し早い段階からやっております。平成24年から起算しても足掛け9年余りの事業で、今年の7月に開業いたしました。
 17ページが整備されました施設の写真です。左上が丹波医療センター、右側、真ん中の大きなところがミルネという健康センター、市の看護専門学校も併設をいたしております。
 丹波医療センターの基本理念・基本方針ですけれども、基本理念は地域医療の中核病院として地域住民の健康に貢献をする。基本方針につきましては6点記載しておりますが、こういった郡部といいますか、そういった地域であっても世界標準の医療を提供する。これは今の院長の強い信念であります。
 2点目、いわゆる地域完結型医療というのは各病院がいろいろな役割を担いながら、しっかりと役割分担ができるというのは医療資源が一定、十分にそろった都市部であればそういう分担ができるのですが、先ほど御覧いただきましたように役割分担をする対象の医療機関がないということからしますと、1つの施設で急性期から回復期、終末期まで幅広い医療を提供する必要があるということを基本方針としております。更には救急、災害、多職種が協働して患者中心の医療、そして地域の医療機関あるいは健康センターと連携をして、いわゆる地域医療情報システムの構築をしていく。更には人材育成ということで、教え学びを病院の文化としていく。こういったことを基本方針として運営をしていくことにしております。
 診療機能につきましては、先ほど来申し上げたとおりでございます。
 20ページですけれども丹波医療センターの病床数です。その内訳としましては急性期、地域包括ケア、回復期、緩和ケアとございます。それに加え感染症病床を4床加えまして320床で整備いたしております。ただ、括弧内で記載をしておりますように、開院時につきましては急性期病床をワンユニット、回復期リハ病床をワンユニット、ツーユニットを閉鎖した形で238床、段階的なオープンということでスタートしております。現在の予定では来年度急性期病床、再来年度には回復期リハ病棟のオープンを順次していきたいと考えております。
 その次が立面図としての写真です。このような形でつながっているということです。丹波医療センターの配置図ですが、矢印があります。健康センターミルネには渡り廊下でつながっている。スタッフ動線、患者さんの動線ということで一応分離しております。その健康センターミルネですが、基本方針としましては、地域包括ケアシステムの中核的な役割、あるいは地域医療を担う人材の育成を医療センターと連携をして担っていく施設ということであります。
 24ページですけれども、これが立面図です。1階に診療所、健診センター、一次救急機能、2階に訪問看護、この赤枠で囲っているところを市から県の方で指定管理者として委託を受け、医療センターと一体的な運営を行っているということです。その他、この施設には発達支援相談センターでありますとか地域包括支援センター、こういった保健機能も有しております。
 改めまして、統合再編によります診療機能等の充実を整理いたしますと、県立と日赤の診療機能の充実をすることで急性期から回復期までの幅広い医療を提供する。それとミルネと新病院をハイブリッド施設として形成することで、地域包括ケアシステムの中核施設としての位置付けが非常に明確になった。それから、循環器、消化器等に対応できる二次、三次の救急拠点として整備がなされた。4点目といたしまして、人材育成拠点で言いますと、研修医の教育あるいは県の養成医のハブ機能として機能するように院内に地域医療教育センターというものを設け、自治医大卒業の県の養成医のOB、神戸大学の教員の立場ですが、院内にセンター長として常駐をしていただいておりまして、若手医師をはじめとした人材育成に当たっていただいているということです。
 統合再編によります医師確保ですが、先ほど申し上げました平成20年がどん底の時期でございました。下の表にありますように日赤5名、県立20名と25名という状況でしたが、開院時には48名ということで、ほぼ倍近くまで確保が図られているということです。統合再編による効果ということですが、1つにはこの新病院、健康センターを核とした地域包括ケアシステムの構築ということで、単なる医療連携だけではなく、こういった医療介護情報連携システムのサービスを開始しております。これは現時点では薬剤情報だけですが、今後、様々な情報の共有化を図っていきたいと思っております。
 2点目、医師会との連携というのは非常に大事ですので、我々連携を密にしていこうと思っておりますが、幸い、医師会の方からも新病院との連携も大事だということで、いろいろなセミナーを新病院で開催してほしい、あるいは意見交換会を新病院で開催してほしいというような声も随分出てきているところです。
 統合再編を契機に、地域の医療への更なる関心の高まりということで、全国的にも有名になりましたが「県立柏原病院の小児科を守る会」という運動、こういった気運がもともとあった地域でありますけれども、統合再編を機に地産地消をもじりました「地病地療」という意識が今定着をしつつあるということであります。
 もう一点、冒頭の説明でもございましたが、こういった地域包括ケアシステムの構築をきっかけに地域全体のまちづくりにも貢献するということから、地域創生のシンボルとして新病院周辺を医療福祉ゾーンとして、様々な機能が集積するまちづくりを目指すということで、今回の施設群のオープンを起爆剤として市としてのまちづくりを推進をしていく。そういったことで考えております。
 いずれにしましても、全国に発信ができます地域医療のオンリーワンのモデルを目指していきたいと考えております。私の説明は以上です。どうもありがとうございました。
○田中座長 ありがとうございました。続いて、資料2の介護分の事例について、高知県地域福祉部地域包括ケア推進監の筒井淳三様より発表をお願いします。
○筒井地域包括ケア推進監(高知県地域福祉部) 高知県地域福祉部の筒井です。本日は発表の機会を頂きまして、誠にありがとうございます。資料2-2の説明をさせていただきます。高知県における総合確保基金を活用した取組について、報告をさせていただきます。内容は、療養病床からの介護医療院等への転換と、介護職員の負担軽減とさせていただきました。よろしくお願いします。
 2ページ目を御覧ください。前段で少し高知県の状況を説明させていただきます。人口についてですが、全国的には平成17年度から自然減となっていますが、高知県では平成2年に全国に先駆け、15年早く人口の自然減が始まっております。また、高齢化率については、平成27年時点で全国平均26.6%のところ、高知県では32.8%と、こちらも全国に10年先行して高齢化が進んでいるという状況です。県人口は約70万人となっておりまして、そのうち74%、ほとんどが中核市である高知市を中心とする中央医療圏に集中しているという状況があります。高知県では、中央部を除くほとんどの地域が中山間地域ということになっていまして、面積割合では93.2%が中山間という状況にあります。
 医療需要についてですが、中央以外の区域については、高齢者数・医療需要とも、今後は横ばいか減少局面ということになっておりまして、現在、全体の医療需要のピークは2025年から2030年頃と予測をしているところです。
 医療資源につきまして、人口当たりの医療資源としましては、病床数は全国1位、医師数は全国3位、看護師数は全国1位と、いわゆる最高水準になっていますが、これらの医療資源は高知市と、その周辺に一極集中という形で、地域間での偏在が大きくなっている状況です。
 また、先ほど説明しましたとおり、人口10万人当たりの病床数は全国1位ですが、特に療養病床については全国平均の3.6倍と非常に多くなっています。一番下のグラフで見ていただきますと、右下、赤枠囲みした部分ですが、人口10万人当たり療養病床数として、全国平均256.7に対して高知県では914.7と非常に高くなっています。
 3ページを御覧ください。療養病床入院患者のQOLの向上としまして、平成27年に療養病床を持つ医療機関の退院支援担当者に実施した調査結果ですが、療養病床の入院患者のうち、左上のグラフですが、36.4%は療養病床以外の施設がふさわしいという意見がありました。このことから高知県では、その人の状態にふさわしい施設への移行として、今般創設されました介護医療院への転換を進めるという取組を行っているところです。
 QOLの向上に向けての基本的な方向性として、最後まで自分らしく生活を続けていただけるよう、本人の意向に沿った形で、医療から福祉、そして福祉でも施設から在宅へという流れの中で、そういう在宅でのサービス提供というものを非常に重要視しておりまして、結果として医療費の適正化にもつながるものと考えております。
 そのために、壮年期の健康改善としての健康づくりや、望まない入院の抑制、よりQOLの高いサービスへの誘導につながるような、地域における受皿を作るということをやっておりまして、その1つとして、この医療介護総合確保基金を活用させていただきまして、介護医療院への転換を進めているということです。
 4ページを御覧ください。高知県における地域医療構想の実現に向けた療養病床転換の流れについて、説明をさせていただきます。一番左の棒グラフですが、2018年病床機能報告では、全病床1万5,486床となっています。赤枠で囲んだ慢性期6,902床のうち、療養病床が6,402床となっておりまして、このうち医療療養が3,981床、介護療養が1,813床となっています。真ん中の棒グラフ、2019年度、今年度末の見込みとなっていますが、全病床で1万3,661床、昨年度、前年度から1,825床の減少となる見込みを立てております。下半分、療養病床については全体で4,862床、昨年度から1,540床の減少となる見込みでして、今年度末には医療療養が3,750床、介護療養が363床と、転換補助金などの活用もあり、特に介護療養については大きな減少を見込んでいるところです。
 今後は療養病床に加えまして、一般病床についても回復期機能への転換支援、病床のダウンサイジング支援、定量的な基準による急性期・回復期の精査などの支援策によりまして、地域医療構想の実現に向けた支援を行ってまいりたいと考えております。
 5ページを御覧ください。高知県では療養病床の転換支援に合わせて、南海トラフの地震対策等の防災上の観点も加えた独自施策として、病院が耐震化を行う場合にその補助も行っているところです。
 現状課題の3、耐震化の所ですが、療養病床のある病院の耐震化率は69.1%となっています。これは療養病床がない病院の耐震化率77.8%と比べまして低くなっているところです。また、未耐震の35病院のうち25病院が、療養病床のある病院という状況です。この現状を踏まえまして、平成30年度から医療介護総合確保基金での介護療養病床転換支援事業補助金に上乗せをする形で、療養病床転換促進事業補助金として、県独自の耐震化等に係る補助を実施しているところです。こちらは早期の転換を促す意味を含めまして、令和3年度末までに着手するものに限るということで、周知をさせていただいているところです。
 6ページを御覧ください。こちらは、今年度の10月末までに転換をした医療機関の開設状況を整理したものです。現在6施設、436床が介護医療院へ転換済みとなっておりまして、内訳としてはⅠ型が249床、Ⅱ型が187床となっています。転換元としては、介護療養病床から269床、医療療養病床から27床、転換老健から140床となっているところです。
 7ページから9ページまでは、県のホームページ上で公開している開設・転換を進めるに当たっての相談受付手順をお示しさせていただきました。簡単に説明させていただきます。8ページでは、相談に当たって事前に確認していただきたい事項について、9ページでは、市町村への相談や関係機関への法的手続等について、お知らせをしているものです。介護医療院への転換に当たっては、様々な関係機関への手続が必要となることから、手順ごとにそれぞれの窓口を分かりやすく整理して、医療機関向けの説明会等でも周知を行っているところです。
 続いて10ページを御覧ください。こちらでは先ほど説明をさせていただきました、転換に合わせた耐震化等の工事を実施する場合の、県の独自加算額等について整理をしたものです。介護療養病床を持つ未耐震の医療機関が、転換に際して耐震化等の工事も合わせて実施する場合について、真ん中の1、介護療養病床転換支援事業補助金の1.5倍の補助単価となるように、右の「県単」という所の加算額を設定しています。例えば基本額の部分の1、介護療養病床転換支援事業補助金の改修に合わせて耐震化工事を行う場合には、令和元年10月以降に補助事業が完了する場合の単価、括弧書きですが、111万5,000円に加えまして、加算額の4、耐震化を実施する場合の改修の括弧書きで記載した55万8,000円の上乗せ補助を行い、1床当たり上限167万3,000円としているところです。なお、2の医療療養病床が転換する場合には、基本額の1.5倍にこだわらず、介護療養と同額を県単独で加算することとしております。
 続いて11ページを御覧ください。こちらでは、平成30年度及び令和元年度の交付決定状況を整理させていただいております。特に、今年度は10月末時点で介護療養病床401床、医療療養病床54床の合計455床の交付決定を行っておりまして、この中には未耐震施設の耐震化や、サービス付き高齢者向け住宅への転換事例も出てきているところです。
 12ページと13ページは、平成30年度に介護医療院への転換工事を行った病院の、改修前と改修後の写真を比較して掲載をさせていただいております。まず12ページですが、高知市内にある病院の例です。この病院は介護療養病床197床のうち151床を転換した事例ですが、転換前と転換後を比較しますと、床やナースステーションのカウンターを木目調としたことで、全体として病院の雰囲気から、施設、住まいとしての雰囲気に変わっておりまして、生活空間としての色合いが出た改修となっています。こちらの病院では、残りの介護療養病床の46床については、医療療養病床への転換を予定しているところです。
 次の13ページは高知県の西南部、四万十町にある病院ですが、介護療養病床20床、医療療養病床27床を転換した事例です。介護医療院への転換に当たりまして、療養室の壁を白く塗り直したほかに、床には木目調のシートを敷き、組立式の家具でベッドの間を仕切った形を作っています。家具には棚などの収容スペースがありまして、入所者が私物を持ち込むこともできるようになっています。床や間仕切り家具が木目調となったことで、部屋が明るくなったとか、きれいな所に入れてよかったとか、入所者御本人あるいは御家族からも喜んでいただいたという声をお聞きしています。
 14ページをお開きください。こちらでは療養病床からの転換による効果として、実際に転換した病院からの声を少し記載させていただきました。多床室から個室へ変更したことによりまして、個人のプライバシーが確保され、QOLの向上につながった。個室化したことにより、家族としても落ち着いた面会ができるようになった。独居で医学的管理が必要な方について、看取りまで安心して住み続けられる場所ができた。壁や床を張り替えたり、LED電球に替えたことにより、家庭的で明るい雰囲気となった。転換をきっかけとして、病床の削減など今後の病院運営の方向性を検討する機会となった。介護医療院に転換して、診療報酬上も在宅扱いとなったことにより、回復期からの受入れが増えた。今後、介護医療院としてどのような患者像の方を受け入れていくか考えるきっかけとなった。以上のように様々な目線でのお声を頂いたところでして、今年度も転換を通じて、入所者、高齢者のQOLの向上につながっていくように、支援を継続していきたいと考えております。
 続いて16ページを御覧ください。医療介護総合確保基金を活用した介護職員の負担軽減についてです。高知県ではノーリフティングケアというものを推進しています。左上の取組の背景にありますように、高齢者施設における労働災害発生要因の第1位が腰痛となっています。また、介護職員の労働条件などの悩み、不安、不満として「身体的負担が大きい」が上位となっているところです。左下の事業概要(取組の特長)のうち1の事業の目的として、持ち上げない、抱え上げない、引きずらない、いわゆるノーリフティングケアを推進することで、職員の皆さんが安心して長く働ける職場環境を整備し、腰痛をはじめとする職員の身体的負担の軽減と定着を推進し、また、力任せの介護が引き起こす利用者の二次障害を防止することで、職員・利用者の双方にやさしいケアを実現しようというものです。
 2の取組の特長です。1の福祉機器等の導入支援につきまして、今年度から総合確保基金を活用しまして、介護ソフト及びタブレット端末を補助対象に追加しました。また、入所系に加え、在宅サービス事業所も対象に追加させていただきました。なお、福祉機器の導入について、高知県では資料にあります基金の対象となっていないような、高さ調節機能付き電動ベッドや跳ね上げ式車椅子なども県独自で支援をしているところです。
 2、効果的な取組を推進するための研修等の開催や普及啓発活動についても、基金を活用し実施しておりますが、平成28年度には高知県として、高知県ノーリフティングケア宣言というものを行っておりますし、平成30年には約400名が参加したフォーラムを開催したところです。こうした取組を進めることで、介護現場での腰痛対策、ひいては人材確保にもつながっていくものと考えております。
 右側、事業の成果です。1の補助金を活用した福祉機器等の導入状況について、平成26年からの5年間で延べ168事業所が、計2,293の福祉機器や用具を導入いただいたところです。また、2の腰痛改善率については、これはアンケート結果を基にしておりますが、補助金を活用した事業所において腰痛を訴える職員が、4か年平均で約27.3%減少しております。
 右下のノーリフティングケアの実践状況ですが、昨年10月に県内事業所へ実施したアンケート結果では、回答数に対する実践数の割合として、特養、老健、短期入所、通所リハ、訪問看護で6割を超えています。今後も全事業所に対して、こうした実践が広がっていくよう取組を進めてまいりたいと考えております。以上、高知県からの事例発表とさせていただきます。ありがとうございます。
○田中座長 ありがとうございました。兵庫県、高知県から基金の活用事例を御報告いただきました。皆さんの発言まで、もう5分待ってください。もう1つ、議題3、今後の医療介護の総合確保について、担当課長から説明をお願いします。
○山下課長(保険局医療介護連携政策課) この医療介護総合確保促進会議ですが、皆様方の議論を踏まえてつくられたものとしまして、資料3に総合確保方針と略しておりますが、地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針を紹介します。資料の構成だけ、この方針の構成だけ紹介しますが、4部構成になっております。まず1ページ、第1として地域における医療及び介護の総合的な確保の意義及び基本的な方向に関する事項ということで、医療や介護について基本的な方針を示しております。
 3ページに行きまして、第2として医療計画基本方針及び介護保険事業計画基本方針の基本となるべき事項並びに地域における医療及び介護の総合的な確保に関し、都道府県計画、医療計画及び都道府県介護保険事業支援計画の整合性に関する事項ということで、これが正に国の方針、また都道府県の策定する計画の方針になるということを書いております。
 続きまして、第3の柱として4ページになりますが、都道府県計画及び市町村計画の作成並びにこれらの整合性の確保に関する基本的な事項ということで、これを定めることになっています。
 最後は4番目の柱として6ページになりますが、公正性及び透明性の確保その他基金を充てて実施する都道府県事業に関する基本的な事項ということで、先ほど説明したとおり、医療介護の基金の配分に関してどのようにあるべきかということを、ここで書いているということです。そういう構成を、正に構成員皆様方の意見を踏まえて、取りまとめたということです。これらについて将来どうあるべきかということを、先ほど冒頭に座長がおっしゃったとおり、議論していただきたいということで用意させていただきました。以上です。
○田中座長 ありがとうございます。基本方針ができて何年かたちましたので、また議論する必要があります。では、お待たせしました。皆様からの御意見、御質問を伺います。3つ議題がありましたので、議題1に関する質問であるとか、議題2に関する意見であると言っていただくと、話が分かりやすいと思います。なお、医政局の鈴木地域医療計画課長が先ほどお見えになりましたが、次の公務がおありで、16時40分頃退席されるそうです。したがって、医政局に関する御意見は16時40分までにお願いします。
○今村構成員 まず、事務局への要望なのですが、座長がおっしゃったように、この会議は、本当に医療と介護を今後どうしていくかという、大変大事な会議だと思うのです。ただ、この会議は開催回数も1年に1回ぐらいしかなくて、その中で網羅的な説明の時間が非常に長くて、これだけの人数の方が、それぞれいろいろな御意見をお持ちだと思うので、もう少し事務局のほうで、この開催については回数等も改めて考えていただければという、これはお願いです。
 それから、基金については配分とその活用を弾力的に行えるようにということをお願いします。是非、今後も御検討いただければということを申し上げます。
 もう1つ、総論的なお願いとして、基金の配分の説明について、マクロ的な金額は複数年度でトータルがこうなりましたというのがあるのですが、それぞれの医療、介護の事業ごとの、どの事業にどれだけ使われたか、あるいは公と民の配分がどうなったのかというのは、単年度で出ていて、極端に47都道府県の間に大きな凸凹があるのです。あれは経年的にずっとならしていくと、あれほど大きな凸凹にならないのかもしれない。それは見ている我々には分からないので、是非そこを工夫をしていただければと思います。これはお願いです。
 ちょっと長くなって恐縮ですが、兵庫県の例ということで、恐らくこれは、地域医療構想調整会議の活性化をする前の取組の話だと思うのですが、残念ながら全国各地で本当に人口減少が起こっている中で、この地域も2036年に20%減少という数字を先ほどお示しいただいたと思います。その中で、この病床数を400ぐらいを320にされたということでして、地域から今まで患者さんが外にどんどん出ていっているのを、こういう新しい公立病院を作ることによって、地域に患者さんが残るという発想で大変立派な理念でやっておられると思うのです。今後どういう推移になるかは分かりませんが、ちょっと病床の数が320というのがどうなのかということが印象として受けました。後で御説明いただければと思います。今は238床でやっておられるのですが、今後どんどん急性期病床、あるいは必要とされる回復期病棟を開いていくということですが、それには当然、それに必要な人材、医師だけではなくいろいろな職員の方が必要になってくるわけです。その確保について、その圏域の中にある民間の医療機関の人材が移ってしまうというようなことがないのかどうか、ちょっと危惧をしているところです。あるいは地域の民間病院の患者さんが、結局この新しいきれいな病院にどんどん移るだけで、要するに外に出ていった患者さんはそのままと。人口減少の中で、結局すごく立派な大きな病院だけが残りましたというような形にならないのかどうかということが、非常に危惧しているところなので、今後この推移については、しっかりとその地域の中で調整会議等で見ていっていただければ有り難いなと思っています。私からは、今の要望と兵庫のお考えを教えていただければと思います。
○加納構成員 兵庫の話ですので、続けてさせていただきます。今、最後の話にありましたように、10ページの県立柏原病院の稼働病床数を見てみますと、184床、赤十字が59床、足して243床。それで今の稼働が243床なのかどうかは分かりませんが、新病院の病床数が320床というとまた数を大きくして、どちらかの1つよりも大きい病院を作ってしまっているのです。そうすると、この影響は新しい立派な病院が建つと、9ページにある多くの民間病院が多分大きな影響を必ず受けるはずなのです。基金のお金を使って、地域の民間病院は、ある面うまくいっている病院もあったかと思うのですが、新病院ができることによってすごい影響が大きく出る可能性もあるので、この検証をしていただきたいということ、これは先ほどの今村先生と同じ意見なのですが。
 加えて、例えば今年度の繰入金、地域医療構想で公的病院で問題になっている繰入金が、今後どのように変わる展開、あるいは見通しでやっているのかを教えていただけたらと思います。もともと、ここには年間十数億円か何か入っているかなと思うのですが、ここの数字的な今後の見通しを教えていただきたいと思います。
○田中座長 繰入金の趨勢について分かりますか。
○八木病院事業副管理者(兵庫県病院局) 御質問ありがとうございます。初めの質問。
○田中座長 それは長くなるので、それはまた。実務的なところをお願いします。
○八木病院事業副管理者(兵庫県病院局) 繰入金というのは、いわゆる総務省の繰出し基準がありまして、それに基づいて繰入れをしています。今回の整備で集中治療系の病床がやや増えた、あるいは感染症病床を我々が受けることになったということも含めまして、5,900万ほど前年度に比べて増加をしています。
○加納構成員 それに関連して、現在約9億の繰入金で経常損益2億、実質11億円の赤字だったのが、また更に繰入金を足すということは、赤字が増えるという見込みで出されているということでしょうか。
○八木病院事業副管理者(兵庫県病院局) 我々、決算を打って赤字見込みだから繰入れということではなくて、全て繰入基準に基づいて、一般会計から頂きます。総務省から出されている繰出基準に基づいた繰入れしか我々は頂いていませんので、いわゆる赤字補填として、赤字が増えるので繰入れが増えるという仕組みにはなっていないということです。
○河本構成員 今の話にも若干通じるところがあるのですが、やはり効果検証の重要性ですね。この医療介護総合確保基金で、お金を配るのはいいのだけれども、その結果、どういう効果を上げたのかということを、きちんと把握することがポイントだと思います。先日、会計検査院からこの基金を利用して作ったシステムが全然使われていないケースがあるとの新聞報道がありました。このようなケースは分かりやすいですが、やはりきちんと効果を検証するための仕組みなどについて、考えていく必要があると思っています。それに関して若干質問させていただきますと、昨年の会議で個別事業の評価指標について、厚労科研あるいはこの会議の議論も踏まえて、事後評価の評価指標を国において策定する予定と御説明を受けたと思うのですが、その「国において評価指標を策定する」ということについて、今どういった状況になっているのかということをお伺いしたい。それがまず1点目の質問です。
○田中座長  先ほど、今村構成員が言われたように、会議の頻度の問題もあって忘れてしまうので。
○河本構成員 付け加えてもう1点、今のお話の流れにもなるのですが、今回、総合確保方針をどういう形でブラッシュアップして、見直すというお話がありましたが、評価の積み重ねがないと、ブラッシュアップと言っても、どのように検討するのかという話になると思うのです。そういうことも含めて、是非よろしくお願いしたいと思います。
○田中座長 おっしゃるとおりですね。
○武久構成員 兵庫県と高知県、両方お話を聞きたいと思いますが、まず資料1-2の15ページです。公立病院、公的病院は2025年も減らないというのか、減らせないというのか知りませんが、こういうデータは医政局地域医療計画課、鈴木君の所から出したのですね。
○鈴木課長(医政局地域医療計画課) はい。
○武久構成員 こんなデータをよく出しましたね。周辺の地方の人口はどんどん減っていっているのに、公的・公立病院の数が要するに減らないというか、むしろ増やしていると、そうすると当然、その地域の民間病院はとんでもないことになる。やはり公立病院が担う医療と地域の民間病院が担う医療は、多少違うと思いますが、その辺のところがこの15ページは何を根拠に作られたのかということです。
 もう1つは、兵庫県でこの建物の総額180億と書いてあるので、さっき暇だったので300で割ってみたのです。そうすると、1ベッド6,000万。これは我々民間のレベルで言いますと、せいぜい頑張って100ベッドの場合は20億かなと。これは1ベッド6,000万も掛かったら、100ベッドで60億と、ここは公立ですから、立派なものができるほうがいいのですが、当然、今村構成員がおっしゃったように近所の中小規模の民間病院も影響を非常に大きく受けるし、ここで見ていると、人口がものの見事に減っていく、高齢者が増えるといいながら、高齢者自身が減っていくというときに、このような計画を立てていくのがいいのかどうか、それをまた厚生労働省としては、この資料1-2の15ページのようなお考えで、今後医療行政を進めていくのかというようなことをお聞きしたいということです。
 もう1つは高知県ですが、高知県の資料の3ページを見ますと、これは前から分かっていたのですが、3ページの上の右です。老健も特養もよその平均よりは少ないですよね。多いのは医療療養病床と介護療養病床が多いということで、トータルとしては慢性期というか介護期の施設の数としてはそれほど大きな差はないのではないかと思います。この辺のところは、何かちょっとうまくモディファイすればいけるような気もするのですが、担当の方の御意見も聞きたいと思います。以上です。
○田中座長 課長、お願いします。
○鈴木課長(医政局地域医療計画課) 御質問ありがとうございます。2点頂いています。まず1点は、効果の関係、指標の関係です。これまでも、基金の関係については、必ず都道府県から事後評価を出していただいているところです。ただし、評価指標についてこれを更にもう一度見直しをしまして、なおかつ指標についての書き方の統一化、それからその指標についてどのような形で数値を作るのか、どういう指標を作らなくてはいけないのか、そういったものについて例示として明確化をさせていただき、これを今後、各都道府県に提出していただいて評価を行うということを考えているところです。
 それから武久先生から頂きました15ページの関係です。15ページについては、ここで出ている表は厚生労働省といいますか、病床機能報告という形で、各医療機関から都道府県を経由して国に対して、今現在の病床についてここにあります高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4機能ごとに、それぞれの病棟がどういう機能を表しているのかということについて、報告を頂くとともに、併せて2025年、これらの病棟について医療機関側がどう考えているのかということについて、今回頂いているのでそれを集計したものです。御指摘のとおり、一番上の所に書いていますが、やはり今後のこと、人口減少等も含めて考えますと、高度急性期、それから急性期機能の削減がとどまっており、急性期からの転換が進んでおらず、なおかつ、トータル病床は横ばいだというようなことが言われています。各都道府県から、以前作っていただいた地域医療構想については、病床が全体的に減少しており、また4機能についても回復機能のところが増えるという状況でしたので、それに合っていないのではないのかということがありまして、今回、この16ページ以下のような見直しを更に分析として行ってやってみてはどうかということで、現在、対応しているところです。
○武久構成員 ということは、地域医療計画課はこうなるとは思っていないということでいいのでしょうか。
○鈴木課長 最終的には、地域の御議論によるところですが、少なくとも以前に県から出していただいた各地域医療構想の2025年の将来像、それには合致していないという判断です。
○田中座長 高知県、お答えいただけますか。
○筒井地域包括ケア推進監(高知県地域福祉部) 委員さんからお話がありましたように、特養については全国で整備数16位、老健では40位、療養型病床については先ほど申しましたように1位ということです。トータルで見ますと、介護保険施設では全国で10位の整備数ということですので、いずれにしても高いということには変わりはないので、説明の中でも申しましたその人にふさわしいサービスの在り方について、在宅も含めて進めていきたいと考えています。
○家保参考人 都道府県の立場から発言させていただきます。介護については本年度の内示が出ていますが、医療についてはまだです。正直、年度の後半を過ぎても内示が出ていないということは、執行する側としては非常に辛いものがあります。特に、事業区分2、3、例えば看護師等養成施設運営補助金や院内保育所の運営費補助金など、年度当初からの執行が決まっている部分について、内示が明確になっていないというのは、事業者に対しても申し訳ないです。かつ、介護のように満額の内示額が来るのならまだしも、事業区分2と3については要望額よりも内示額が少なくなっています。そういう状況では、できれば7月ぐらいまでに内示いただいて、それで必要なものは補正対応するなり、若しくは財源更正にするなり、地方として手続上やるべきことがあります。11月、12月に内示いただくと、補正予算を計上するとしても2月補正になりますので、議会など、いろいろな関係者に御迷惑をお掛けすることになります。是非とも早い内示をお願いしたいと思います。それにより基金の趣旨に沿った執行ができると思います。ここは要望としてお願いします。
○森構成員 2点ありまして、1点が意見で、1点が質問になります。意見は、総合確保方針の見直しですが、田中座長から将来を見据えてという話があったかと思います。この確保方針を作ったときの意義は、2025年に向けて利用者の視点に立って切れ目のない医療介護の提供体制を構築、自立と尊厳を支えるケアを実現するということで策定したと思いますが、国が、今2040年を視野に入れて様々な施策を検討していますが、2040年には生産年齢人口が急激に減少します。この確保方針の中にも、質の高い医療介護人材の確保というのがあるのですが、医療・介護従事者の確保というのが大きな課題になってくると思います。今日の資料の東京の事例の中で、介護従事者の確保に基金を使った事例がありましたが、総合確保方針の見直しにあたっては、2040年を視野に入れることと、今、医師の働き方改革が進んでいますが、医療介護従事者の業務負担をどう軽減していくのか、そのためには医療介護従事者がそれぞれの専門性を発揮してチーム医療・介護を推進することが、負担軽減につながりますので、そのような視点で将来的にどうしていくのかということが必要なのではないかと思います。
 質問が1点あります。資料1-1の19ページ目を御覧いただければと思います。居宅等における医療の提供に関する事業ということで、静岡県の事業で在宅歯科医療設備整備事業費助成というものがあります。この事業は在宅医療を整備するために非常にいいことだと思いますが、総合確保方針の中の事業に基金を充てて実施する事業の範囲というところで、居宅等における医療の提供の事業に関しては、連携体制の構築や基盤整備、研修の実施等が対象だと理解していましたが、あえて今日ここに載せたのは、設備投資等に関しても在宅医療を進めるためであれば対象となるということで事務局として載せたのか、質問させていただきたいと思います。薬局も在宅医療で、注射薬の無菌調剤をする機会が増えてきて、クリーンベンチ等の設備投資が必要となりますので、そのようなものが対象となるのか確認をさせていただきたいと思います。以上です。
○田中座長 これはどなたがお答えになりますか。
○鈴木課長(医政局地域医療計画課) 御質問ありがとうございます。先ほどの家保参考人からの内示の件については、大変申し訳ないと思っています。これは早急に対応させていただきたいと思います。
 今、御質問いただきました19ページの関係ですが、あくまでもこれは在宅等における医療提供体制ということで、在宅の医療を推進するために使われるということで考えているところです。ですので、在宅医療だけと言いますか、専門で持つようなものであればいいのですが、それ以外の用途になるようなものについては、やはり慎重な考えが必要ではないかと考えているところです。
○田中座長 東構成員どうぞ。
○東構成員 ありがとうございます。意見を2点と質問が1点ございます。まず、資料1-1の交付状況、執行状況についての意見です。資料1-1の28ページ「平成30年度地域医療介護総合確保基金の交付状況について」を見ますと、介護施設の整備に関する事業が237億円、従事者の確保が112億円とあります。3年ぐらい前のこの会議で私が申し上げたのですが、当時は施設整備に関する事業が約9割で、介護従事者の確保に使えるお金が1割という配分でした。こんなに人がいないのに、どんどん施設を作ってどうするのですかと申し上げた記憶がございます。それから考えますと、施設整備に関するお金が237億円で、従事者の確保が112億円というのは大分割合が変わったなと、ここは評価をしたいと思います。一方、資料1-1の25ページに平成27年~平成29年度の介護分の執行状況が出ているのですが、これは総額でしか書いていないのです。そうすると、施設整備でどれぐらい執行されて、せっかく増やしていただいた介護従事者の確保のお金がどのように執行されているのか、これでは全く分かりません。事務局はもう少しそういうところをしっかりと分かるように表示をしていただきたいと思います。現場では介護人材の不足が非常に緊急を要している状況なので、こういう執行状況の出し方をされると怒りさえ覚えます。
 それから、もう1つ意見を言います。この基金の使い道というのは非常に大事だと思うのですが、現在制度上、基金が全て都道府県に交付されるようになっております。しかし、申し上げました介護人材の確保に関しましては、都道府県ごとに別々にやっているような状況ではないと私は思っています。国として、一貫して全国一律にどんどんやらなければいけないような状況なのに、この基金の使い方が、そういうことではできないというポジション、立て付けになっています。是非ここを何とかしていただいて、人材問題にこの基金のお金が有効に使われるように、しかも国がリーダーシップを取ってやっていただきたいなと思います。
 次に質問が1点あります。丹波医療センターの資料2-1-2です。402床から320床にダウンサイジングされたとあります。この320床が適切かどうかというのは私は意見はございませんが、ひとつお聞きしたいのは、このダウンサイジングをされて、いわゆる人、スタッフの数というのはどうなったのでしょうか。
○田中座長 はい、兵庫県はお答えください。
○八木病院事業副管理者(兵庫県病院局) ありがとうございます。スタッフの数は職員数全体で見ますと、統合前の2病院の合計に比べまして、40名増加をしております。一番多いのは看護師でして、40名のうち31名が看護師、あとその他の職種で分散しておりますが、そういった状況です。
○東構成員 ということは、ダウンサイジングをしているけれども、職員は増えているということですね。今までかなりの赤字を両病院で計上しているにもかかわらず、投資しているお金も大変大きいのですが、今後の運営をしていくときに、病床数が減っているのに、職員が増えていれば、これはどう考えても、また赤字が増えるのではないかと私は考えます。その点等についてはダウンサイジングをするときに、きちんと人件費も減らしていくというようなところも考えていかなくていいのでしょうか。私ども老健施設では、看護師の数も大変不足して非常に厳しい状況です。変な意見かもしれませんが、病床再編がちゃんと進んで、急性期や回復期の医療の看護師さんが少しでも老健施設に来ていただけないかなというのを期待しているのです。しかし、病床再編と言いながら、スタッフが増えている、看護師が増えていると聞くと、これはなかなか回ってこないなと考える次第です。以上です。
○田中座長 石本構成員、安藤構成員にお願いいたします。
○石本構成員 今の東委員のお話にも通じるところですが、意見を2つほど申し述べさせていただきます。まず、従事者の確保に関するお金の額の割合が、介護分と医療分での規模というのを見ましても、医療分が261億円に対して、介護分が74.5億円という額が果たして適切かどうかというところの効果をきちんと検証すべきだろうと思います。資料1の32ページに都道府県ごとの施設整備分と介護従事者の確保分に色分けしたグラフがございますが、例えば一切施設整備に投入してない都道府県もあれば、非常に施設整備のほうに割合を掛けている都道府県もあります。実際、介護保険部会等でも出されますが、各都道府県のこれからの人材不足の推計のデータなどとこれを関連付けて見たときに、これが果たして適切かどうかというのを検証する必要があるのではないかというのが1つ思ったところです。
 また、お金の使い方の中で、22ページに富山の取組の御紹介があります。私の認識が間違っていなければ、例えば、医療は看護学校の運営などにこのお金を使うことができるのですが、介護はおそらくできなかったと思います。先ほど来の話ではないのですが、良質な人材を確保していくということを考えていく中で、こういったお金が、もっと介護分野で弾力的に、例えば学校で学ぶ子たちへの支援などに使えるようになる運用ができるよう、今後御検討いただければということを意見として申し上げます。以上です。
○田中座長 はい、安藤構成員。
○安藤構成員 私からは2030年の医療介護体制について、保険者の立場として意見を述べさせていただければと思います。まず、協会けんぽの現状ですが、高齢者の増加によりまして、高齢者医療費が増え、そして、それを支える現役世代の負担というのは、現在、協会全体の支出の約4割となっております。皆さんも御存じのように、今後高齢者の増加は更に加速し、医療保険者としては、保険財政を維持するための大きな局面を迎えていると思っております。そういった中で、国の会議等においても給付と負担の見直しについては、強く意見を述べさせていただいているのですが、将来を見据えますと、医療費よりも更に介護の費用というものが、今後更に加速していくということを考えますと、それを負担している40歳以上の2号被保険者の保険料負担が非常に増加するという危機的な状態であるなと考えております。
 一方で、我々の重要な使命ということで、加入者に対して良質で効率的な医療を享受できるようにすることということも大切であるというように考えております。これから団塊の世代が全て後期高齢者となる2025年や、高齢者人口がピークとなる2040年も控え、財政面だけではなくて、先ほどのお話にもありましたが、医療介護サービスを担う人材の確保、そしてその養成についても喫緊の課題であると認識しております。そのため、ICTであるとか、AI、ロボット等の先端技術を活用した効率的な医療介護サービスの提供体制を整備していく必要があると考えております。また、限られた人材で、十分な医療介護サービスを提供するためには、特に地方等においては分散しているサービス等を集約し、利用者のニーズを十分に踏まえた上で、重点的に整備していくということも必要ではないかと考えます。また、整備が行き届かない場所であるとか、病院へのアクセスが困難な方については、オンライン診療といったICT技術を今まで以上に活用できるような道も探っていくことも必要なのではないかと考えております。
 加えまして、先に申し上げましたICTの更なる利活用と合わせて、医療介護の需要を将来的にできるだけ減らすという観点から、健康寿命の延伸もまたこれから取り組むべき課題であると考えています。そのためには、年を取ってからフレイル対策をやるということだけではなく、根本的に国民に対して、幼少期から健康に関する様々な教育をしっかりと行い、個々人が健康リテラシーを向上させ、100歳になっても健康な体でいられるために、運動、睡眠、食事等も含め、どのような生活習慣を送ればよいのかという知識を身に付けていただくことが大切であると考えております。
 これまで、我々は加入者や事業主に対して、健康診断、特定保健指導、健康経営といった健康づくりの取組を進めておりますが、まだまだ十分であるとは思っておりません。今後、加入者の更なる健康増進、疾病予防、疾病重症化予防につながる取組を現在も日々検討しているところです。また、加入者の約4,000万人のレセプトデータを分析して、その結果を加入者に提供することや、必要な医療提供体制への意見発信を進めていくということも重要な役割であると認識しております。
 2030年には、高齢者人口がピークになる2040年に向け、行政や民間企業、保険者や医療提供側といった関係者が立場を超えて連携し、全ての国民の健康を守るという目的のために、最善の準備を進める必要があると考えます。日本における医療介護サービスを持続可能なものとして次の世代へつなげていくためにも、将来を見据えた検討をしていく必要があると思いますので、よろしくお願いします。以上です。
○田中座長 総合確保について御意見を頂きました。では、佐藤優治構成員、佐保構成員お願いします。
○佐藤(優)構成員 ありがとうございます。議題1について、私どももやはり評価について、具体的な検証の推進を是非お願いしたいと思っております。特に、資料1-1に出てきているような、介護の研修に着手されている東京都の事例、3万5,000人の介護職員の不足解消の一助とするというように記載されて、100か所以上での研修実績が出ているわけですが、それがどういう形で現場に共有できたのかなどということをきちんと検証して書いていただきたいというのが1つです。
 議題3については、今も各委員からおっしゃっていただいたとおり、人材の確保に関しては非常に喫緊な課題になっております。サービスを提供するこの事業は労働集約型で、人がいなければどうしてもサービスが提供できません。そういう中にあって、この項目の中に、多様な人材層を活用するという項目が入っております。しかし、そこの中には若者と女性と高齢者しかないのです。新たなルートが平成29年、技能実習生で門戸が開かれ、今年は特定技能で介護が指定業種になっております。先ほどの1-1の中にありました千葉県で出たような事例は、あくまでも留学生の話でして、やはり人材確保の1つのルートとしては、この外国人のルートというのも、決して私は外してはいけないと思っております。不足する労働力を、どういう形にしても需給バランスを取っていくためには、ルートとして1つ必要だろうと思います。そのためには非常に経費が掛かりまして、介護事業者の立場から言いますと、初期の導入費用、イニシャルコストも掛かる。導入してから、これは特定技能も一緒なのですが、そこに介在する企業あるいは組合に毎月管理料を出さなければいけない。これは、かなり膨大なコストが掛かってます。日本の介護労働者を採用する以上のコストが掛かっています。しかしその一方で、安定した採用を計画できるという面でのメリットがあるということで、徐々ではありますが、拡大していると認識しています。しかし、当初の予定よりもかなり遅れているというように言わざるを得ないと思うのです。そのためには、いろいろなコストが掛かるのですが、1つは例えば技能評価をする要員や事業評価をする手間といったものに対しての基金の活用とか、そういったものにも広く項目を広げていくようなことが1つ必要ではないかと思っています。
 もう1つは、生産性を上げて労働力の軽減を図っていくというような方法があるわけでして、よく言われているICTの活用ということがあるわけですが、その部分についての今回の予算を見ていても、極めて低い金額しか計上されていないし、実質そういう見込みです。それはやはり、1事業所当たりでの金額も低いという状況もありますので、是非その辺の増額も含めた検討を是非していただきたいと考えている所存です。以上です。
○佐保構成員 これからの人口減少・超高齢社会の中で、地域における必要な医療提供体制を見直すためにも、地域医療構想の実現は大変重要だと考えています。その上で、意見と質問をさせていただきたいと思います。先ほど今村構成員がお話をされましたように、資料1-1の12ページの事業の使われ方、割合については単年度で示されており、経年的に見ていないとよく分からないというのはもちろんだと思いますが、地域医療の達成に向けた事業に対して、都道府県による差が結構見られているというところで、これをどうするかということが必要ではないかと考えており、取組が遅れているところに対しての対応が必要ではないかと考えています。
 2点目は資料1-1の13ページです。公的機関と民間機関への交付額の割合も単年度なので分からないのですが、単年度で見れば公的機関の割合が低くなっています。その背景はどういうことなのか知りたいと考えています。というのが、地域医療構想では公的病院の重点化が打ち出されてはいますが、その割には、公的機関への交付額の割合が少ないことに対して、時間がないので難しいかもしれませんが、今、分かれば教えていただきたいと思っています。以上です。
○田中座長 医政局が退席してしまったので、後日答えてもらうように伝えておきます。ありがとうございました。では順番に。医政局、答えますか。
○島田室長(医政局地域医療計画課医師確保等地域医療対策室) すみません、課長が退席いたしましたが、基金については、公立・公的医療機関の大規模な再編統合ではなくて、回復期病床への転換などの比較的小規模な民間医療機関の整備にも活用されておりますので、詳細に分析したものではありませんが、現時点において大規模な再編統合の件数はそれほど多くないということで、母数が大きい民間医療機関への配分割合が高くなっているのではないかと推察しております。
○田中座長 事務局、山下課長、これの終わりの時間ですが、まだ、もう少し手を挙げてお話したい方がいるのですが、10分、15分延びても大丈夫ですか。次の都合のある方は5時で退席いただいてもかまいませんが、せっかくですので、これだけの会議、とても大切な会議なので、発言したいのに終わってしまうのはとても心残りでしょうから。では、佐藤構成員からどうぞ。
○佐藤(保)構成員 ありがとうございます。先ほど来、交付金に関する経年的な若しくは連続的な提示が必要だという話がありました。その中に、いわゆる未執行額についての経年的な分析や提示も必要ではないかと思っています。ちなみに、今日の1-1の資料の4ページ目に、未執行額が生じている主な要因等についての留意点が記載されておりまして、各都道府県が地域医療構想を踏まえて、病床の機能分化・連携等に関する事業を今後一層本格化するため、未執行額が次第に解消される見込みであるという記載があります。これは、前回のこの会議でも同じ記載だったというように私は記憶しておりまして、前回と何が違うのかということを示すには、やはり未執行額の経年的な分析であり提示であるのかなと思っておりますので、御検討をよろしくお願いいたします。
 議題2についてです。高知県の御提示ありがとうございました。高知県の特に災害に関する分析等を見ておりますと、5年前の例えば南海トラフで被害に遭う方の想定人数からすると、この5年間、本当に災害想定人数が減ってきている、正に激減している状況の中で、何が有効だったのかということ、当然耐震であり津波対策でありということは広く知られているところでもありますし、災害医療が正に医療計画の「事業」の中にも含まれていることであります。今回提示された災害、特に耐震の話が、こういう施設におけるこういう取組が、安全な地域作りに資するものかどうかという視点も、私は重要ではないかと思っております。もし可能であれば、今回の耐震によって、被災する割合の想定人数に、こういう取組が影響を与えたかどうかという御見解があればお伺いしたいですし、もしそれがなければ、是非ともそういうものも取り入れた取組をお願いしたいと思います。以上です。
○田中座長 すぐ分からなければ、後日お答えいただくことにしましょうか。では、齋藤構成員どうぞ。
○齋藤構成員 私は議題3について、将来的なというところで意見を申し上げたいと思います。2035年と2040年ということを見越していきますと、本当にこの医療と介護だけで支え切れるのかなというのが疑問点としては残ります。特に、障害のところです。今、地域の中で、障害を持って生まれた子供たちが医療を受けて、その後、学校保健が関わっていくことを考えますと、医療と介護だけではなくて、もう少し障害・福祉までを含めた大枠で捉える必要が出てくるのではないかと思います。平成30年度の改定では、障害と介護を合わせた共生型サービスもできておりますので、障害を持ち、介護も必要とする方々が、地域の中で暮らすことを考えると、障害・福祉と医療・介護の連動というのは、将来的にはどうしても必要になるのではないかなと思っております。
 今回、地域包括ケアシステムの構成は、生活支援とまちづくりなのだということを考えると、このような医療と介護だけの計画で、果たして理念が達成できるのかというのは少し懸念があるところなので、将来に向かってなかなか調整は難しいかもしれませんが、障害との兼ね合いということも含めた形で考えていく方向性は必要かなと思っています。
 もう1点は、いわゆる労働者人口の減少です。今後、2040年等々に向けて、元気な高齢者もなるべく働くのだという方向性はもう出ているわけですが、ただ、そういった労働者を受け入れる側には、様々な多様な働き方の受皿になっていかなければいけないということも当然あるわけです。ですので、この人材の育成の部分の活用の仕方のところには、いわゆる働き方の改革の受皿となる事業所の柔軟な運用も踏まえた基金の使い方というのが必要になるのではないかと思っています。
 特に、なかなか医療から介護に医療従事者の労働移動が進まない、看護師がなかなか介護領域に移ってこないということは御指摘のとおりでして、そこをどうやって埋めていくのかということの対策を、是非基金の中で様々な事業を活用して、なるべく看護人材が介護のほうで活躍できるような基金の使い方をしていただければと思っています。
 今、私どもでも詳細な実態調査を行っておりまして、看護師免許を持った者がどのように医療と介護あるいは障害にまたがってキャリアを積んでいくのかということのモデルを作ろうとしているのですが、そういったデータも使っていただきながら、有効な人材の活用方法について、もっと基金の中で詳細な役立つ事業を組んでいただければと考えています。
○田中座長 美原構成員どうぞ。
○美原構成員 兵庫県立丹波医療センターの例が出され、いろいろ委員の先生方からもお話があったと思いますが、様々な御意見があったわけです。これが、実際にこの会に出てきたのは好事例なのでしょうか。しばしばこういう例が出てくると、あたかもこういうふうにあるべきだ論になってしまう。私はやはり、ここは非常に人口の少ない特殊な地域なのではないかと思うのです。そういう人口の少ない所で公的病院、公立病院が一緒になったという事例を提示されたわけですが、今一番我々が必要なのは、人口が20万人から30万人ぐらいの中都市において、正に民間病院と公的・公立病院がうまくやっているような、その公立・公的病院は民間の担えない仕事をやっているのだというような事例を示していただいたほうがということを私はお願いしたいと思います。やはり、兵庫県立丹波の医療センターは非常にいい活動だろうとは認識しておりますが、このような形ででてくると、これが理想的、あるべき姿だと誤解されてしまうように思うので、1つ意見を言わせさせていただきました。以上です。
○田中座長 ありがとうございます。濵田構成員、どうぞ。
○濵田構成員 2点意見を申し上げさせていただければと思っております。先ほど来、介護人材の不足という話題が出ています。昨年は、訪問介護人材の不足ということで育成が必要だと申し上げたのですが、この1年の間に、もちろん中核は介護、看護人材が不足していることがあるわけですが、それ以外のコメディカルな人材もかなり不足傾向が出てきたということがあります。例えば、管理栄養士、調理師、その他の人材ということで、実は介護支援専門員の受験者が3分の1に減少したこともあり、不足感が強まっています。労働力人口が減少していく中で、恐らくは介護、看護、介護支援専門員、同じ方々がそれぞれのライセンスを持って、どの職種をするかと選択する中で、そういう傾向が出てきた可能性があります。このため、介護人材対策についてはですが、介護等人材ということで、減少している職域の対策も地域でできるようにすべきではないかというのが1点です。
 2点目が、資料1-2の35ページにありますが、ICT化を通じた情報連携推進事業の中で、実はこの中の課題でも記載いただいていますが、介護記録のソフトウエアが提供されていて、異なるベンダー間での互換性がないために情報連携ができないということです。実は、これがICT化による情報連携がなかなか進まない原因の1つということがありますので、モデル事業等で行われた地域は恐らく進むのだろうと思うのですが、例えば介護保険がスタートしたときに確か、請求システムは国保連のほうで同じソフトが供給されて、それを基に民間事業者で開発されています。可能かどうか分かりませんが、こういう介護システム記録類の基本的なシステムやソフトを何か全国統一のものが提供されて、それを基に事業者が開発するということになれば、今後のデータヘルスの改革の件もありますので、連携がより一層進んで効率化も図れるのかと思っています。以上です。
○仙賀構成員 せっかく出席させていただきましたので、意見と質問を2つほど。資料1-1の12ページですが、県によって随分基金の使われ方が違うのは以前から分かっていたのですが、これは県が3分の1を出さないと当然使えないわけですから、県によって出ししぶりとか、その3分の1の出ししぶりがあるのか、ないのか、その辺りのことがちょっと。特に、私は神奈川県ですので、基金の使われ方が全然違います。この辺りで、例えば県の所でストップが掛かっているのかどうか、そういうことが言えるかどうか分かりませんが、教えていただきたいということです。
2点目は、今この基金を使っていろいろな介護施設とか医療院とか、新しい建物が建つとします。2025年はすぐですが、それを過ぎて2040年は、1回建ててしまえば、建物は20年や30年はもつと思いますから、例えば20年後、30年後、人口がすごく減ったときに、今の小学校みたいに、小学校を廃校するようなことをやっている所もあるとは思いますが、建物がそういう形に残ってしまうのではないかという心配をするのですが、それについてはいかがですか。2つです。よろしくお願いします。
○田中座長 どなたかお答えになれますか。
○島田室長(医政局地域医療計画課医師確保等地域医療対策室) 1点目の御質問の医療分についてですが、地域医療介護総合確保基金は、法律により各都道府県行政経費の3分の2を国が負担するという仕組みになっておりますから、県のほうで予算を組んでいただく中で、様々な財政上の検討はなされた上での事業費となっていると認識しています。以上です。
○家保参考人 自治体、都道府県の立場からです。計画を出す前には、都道府県の審議会や関係者の意見を聞いた上で合意を取りますので、県が単独で財源がないからという理由のみで採択しないというのは考えづらい。やはり、皆さん方地域全体で計画の前にきちっと当該県にとってプラスになるような議論をし、また成果についても同じようにフィードバックするようなことをしていますので、それほど恣意的なところはないと思います。財政状況や医療、介護の状況は都道府県によって違いますので、先ほどの神奈川県がどうなっているのか詳細は分かりませんが、基本はそういうことで進んでいると理解しています。
○齋藤課長(老健局高齢者支援課) 介護施設で小学校の廃校みたいなことが将来起こるのではないかというような、そういった点も懸念されますので、施設を整備するに際しては、将来的なところまできちんと見据えた上で整備をする。また、今もう人口が減っている所では、施設を新たな、同じ介護でも在宅のための施設に変えるとか、そういった取組もしていますので、そういった点で柔軟性のある使い方をしていくということが必要だと思っています。
○井上構成員 議題3に関してお話します。資料1-2の3ページに、地域包括ケアシステムを構成する5つの要素というお話があったかと思います。
 ここ数箇月で自分が現地を訪れて視察してきたことと絡めてお話します。
 一つ目ですが、島根県雲南市と徳島県三好市に、医療とか福祉ということではなく、地方創生とか自律分散都市という視点で訪問してきました。地方創生とか自律分散都市の文脈で、生活支援コーディネーターの話が出てきたり、社会福祉法人が地域再生推進法人の指定を受けて取り組んでいたりしました。そこで感じたことが、介護予防、住まい、生活支援というものは、医療とか介護だけで担う時代ではないことが非常によく分かりました。行政の視点で考えると、まちづくりとか商業・産業とか、そういった分野と連動して市のグランドデザインを描かないと難しいということが、よく分かりました。そういったことをこの促進会議の中に位置付けられないかと感じました。
 もう1つが、私は今、国と都の住宅政策の審議会の委員も務めているのですが、都市部だと単身高齢者が増えるので、住宅の確保が大きなテーマになっています。都営住宅では、巡回管理人という制度を住宅サイドとして用意しているのですが、それが見守り機能をはたしており、これが医療や介護とどうつながっていくのか、大きなテーマだと思います。そうなってくると、医療や介護以外が関わりながら、いろいろなことを解決していく方向になるのだろうと感じました。そう思う一方で、保健、医療、福祉に関わる人たちが、生活支援とまちづくりの基幹になってこないと、地域共生社会とか地域包括ケアシステムは、本当の意味では推進されないだろうとも思っているのです。
 事務局にお願いしたいのは、生活支援とかまちづくりと言ったときに、果たして地域共生とどう関連してくるのか、医療とか介護以外の分野とどう議論を進めていけばいいのかについて、こういう見方ができますというものを、提示していただければと思っています。よろしくお願いします。
○田中座長 今村構成員どうぞ。
○今村構成員 正しく、井上委員と全く同じことを言おうと思っていました。
○井上構成員 すみません。
○今村構成員 いえいえ、全く問題ないです。基本的な方針の1から2ページに掛けて正しくそのことが書いてあります。「今後、医療及び介護の提供体制の整備を、住宅や居住に係る施策との連携を踏まえつつ、地域の将来の姿を踏まえた「まちづくり」の一環として位置付けていくという視点を明確にしていくことも重要である」と、こう書いてあるのですが、具体的にどうしていくのかということだと思うのです。
 これは厚労省だけではかなり難しい話で、住宅政策となれば、他の省庁との関係も当然あります。地域包括ケアの中で、住まいと住まい方はものすごく重要で、特に高齢者の住環境は、疾病に対しても相当大きな影響を与えることは明確で、熱中症がものすごく多くなるとか、あるいは入浴中の死亡例が多いとかいうこともありますので、こういった視点も重要だと書いていただいているので、これを具体的に進めるような施策を、他の省庁も含めていろいろ考えていただくことを申し上げたいと思いました。
○田中座長 お二人の視点、大変大切な部分を言っていただいていると思います。ありがとうございます。
○武久構成員 1945年という年は太平洋戦争の終戦なのです。みんな焼けてしまったので、それから病院が建ちましたが、1985年、40年たって、みんな建て替え時期なのです。今、全国の病院が全て建て替え時期なのです。ところが、建築費がめちゃくちゃ高い。先ほど兵庫県の丹波の話がありましたが、あれは普通です。今では別に、特に高いわけではない。民間病院は案外汚いから、建て直そうとして建て直したところが、今、実は残念ながら次々倒産しているような事実があるのです。建築費が5、6年前の倍ぐらいになっていることも原因ですが、お金を出している公的病院が、是非きれいになって高度な医療をやっていただきたいけれども、地域急性期まで取って、民間医療にプレッシャーを与えるようなことではなく、高度急性期に専念していただけたら、私は別に税金を使うのは一向に構わないと思うのです。
 兵庫県の場合は、既に尼崎、加古川、姫路とか、全国に先立って公的病院を2つ一緒にして、ベッドを減らしてリニューアルしているという意味では、先へ進んでいると思うのです。加古川市などは、2つの病院を1つにして、その病院が年間20億円の利益を出していると、素晴らしいことだと思います。
 私は四国におりますが、兵庫県にもありますので、よく見ておりますと、非常にいい運営をしていると感じます。ただし、周辺の民間病院が診ている地域急性期まで、今度、公的な高度急性期が全て吸い上げてしまうという運営の仕方は、できればやめていただけたらと思うわけです。医療と介護と総合確保促進ということですから、これから地方は人口がどんどん減っていきますので、公的な病院が、424病院もそうですが、ベッドが多過ぎるのです。そこは2つを一緒にして、ベッド数を3分の2以下、半分ぐらいにして、より高度な、あと20年もつような病院をつくってくれることは地域住民にはいいと思います。そういう意味では、今村先生がおっしゃっていましたが、この会議は非常に重要だと思いますので、もう少し開催していただけると有り難いと思います。ありがとうございました。
○田中座長 ありがとうございました。
○森構成員 2040年に視野を向けている中で、健康寿命を3年延ばすということがあります。総合確保方針の中の2ページの(4)限りある資源の効率的かつ効果的な活用の中の一番最後に、疾病予防及び介護予防とあるのですが、そういう意味では、疾病予防、介護予防、健康づくりへの取り組みはより重要になってきますので、このような項目の中に入れるのではなく、疾病予防、介護予防の推進ということを単独で設けるべきだと思います。
○田中座長 まだ意見はあるかもしれませんが、時間が過ぎていますので、ここまでとします。本日は様々な御意見をありがとうございます。また、兵庫県、高知県よりお越しいただきまして、ありがとうございました。
 皆様方の中で、この会議に関しては効果検証が必要である、また、交付状況データを分析できるように、もっと経年的に中身が分かるようにしてほしいという意見が、何人かから述べていただきました。何より、会議の在り方が足りないのではないかという意見が何人かから頂きました。それを踏まえて今後考えてください。医政局の今年度の内示は、できるだけ急いでください。
 事務局におかれては、今日の議論が次の医療計画及び介護保険事業計画が完了する年だけではなく、さらにそれ以降に向かって方針が立てられるように、地域包括ケア、共生社会について、これから事務局から資料の提出を、次の会議ではお願いします。次回以降の会議では、こうした議論の元になる資料づくりを期待しています。以上をもちまして本日の会議を閉じることにしますが、事務局から最後に何かありますか。
○山下課長(保険局医療介護連携政策課) ありがとうございます。今後の日程については、早急に考えまして、また皆様方にお伝えをしたいと思います。
○田中座長 第13回医療介護総合確保促進会議を終了します。御議論ありがとうございました。