第35回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会 議事録

健康局 健康課予防接種室

日時

令和元年11月8日(金)16:00~
 

場所

中央労働委員会講堂(7階)
 

議題

(1)予防接種施策について
(2)その他

 

議事

 

○元村予防接種室長補佐 それでは定刻になりましたので、第35回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会を開催します。本日の議事は公開ですが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては御理解と御協力をお願いいたします。また、傍聴の方は「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので御留意ください。

 続きまして、出欠状況について御報告いたします。伊藤委員、川俣委員、坂元委員、中野委員、山中委員から御欠席の連絡を受けております。なお、磯部委員は若干遅れる旨の連絡を受けております。委員12名のうち7名に御出席いただきますので、厚生科学審議会令第7条の規定により、本日の会議は成立したことを御報告いたします。

 また本日は、議題1の関連で、予防接種・ワクチン分科会の一般参考人でもあります、一般社団法人「知ろう小児医療守ろう子ども達の会」の阿真京子氏、ワクチン製造関係者として、日本ワクチン産業協会の石川豊数氏、日本製薬工業協会の今川昌之氏、米国研究製薬工業協会の櫻井亮太氏、欧州製薬団体連合会の松本愼次氏を参考人として御出席をお願いしております。

 申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきます。なお、これ以降は写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので御留意ください。

 続きまして、本日の資料の確認をさせていただきます。お手元のタブレットには、番号01の議事次第から番号11番の第35回予防接種基本方針部会利益相反関係書類を格納しております。不足の資料等がございましたら事務局にお申出ください。

 それでは、ここからの進行は脇田部会長にお願いいたします。

○脇田部会長 それでは、本日よろしくお願いします。まず、事務局から審議参加に関する遵守事項について報告をお願いします。

○元村予防接種室長補佐 審議参加の取扱いについて御報告します。まず、本日御出席いただきました委員、参考人の方から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取状況、薬事承認等の申請資料への関与について申告を頂きました。各委員からの申告内容については資料11を御確認いただければと思います。

 本日は、議事内容に関し、「退室」や「審議又は議決に参加しない」に該当する方はいらっしゃいません。以上になります。

○脇田部会長 ありがとうございます。それでは、本日の議事に入らせていただきます。議題(1)、予防接種施策について、それから(2)、その他ということです。内容が結構大量にありますので、議事の進行に御協力をお願いしたいと思っております。よろしくお願いします。

 それではまず、予防接種施策についてです。本部会において、様々な立場の方をお招きして、意見を伺いながら議論を進めることにしておりました。この部会の前半では、お招きしている参考人からの意見を伺いまして、幅広い議論をしていきたいと思っております。予防接種を受ける側の立場と、それからワクチンを製造する立場の皆様から、それぞれ御意見を伺うために参考人をお招きしております。それではまず、阿真参考人から御説明をお願いしたいと思います。資料1をタブレットからお開きください。よろしくお願いします。

○阿真参考人 一般社団法人「知ろう小児医療守ろう子ども達の会」の代表をしております阿真と申します。本日はよろしくお願いします。今日は、予防接種について親御さんに伝える活動をしておりますが、どのように伝えているかということ、そして、これからどのように伝えたらいいかということを話させていただければと思います。まず私は、医療者ではなくて、1516年前に子供が救急外来にかかったことをきっかけに、救急外来の疲弊を目の当たりにして、小児医療の環境をもっとよくしたいという思いでこの活動をしている一般の3人の男の子を持つ母親です。普及啓発活動を始めて13年目になります。

 2ページです。この私たちの会の取組を最初お話させていただくのですが、これが、昨年度の「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」という懇談会につながりまして、それで、国として事業が始まる形になりましたので、そちらのお話も最後にさせていただきたいと思います。

 3ページです。皆さん御存じのとおり、病気を習う機会は非常に少なくて、母親学級ですとか乳児健診で、親が知っていて当然である医療のかかり方について知らないままに親になっているのが現状です。軽症や重症だからではなくて心配だから受診をしているということで、知ることが大切だという思いで私たちはこの活動をしております。

 4ページ、3つの柱を立てて活動をしています。まず乳幼児の保護者に向けて、子供の病気について、小児科の先生や小児科の看護師さんから学ぶ講座を開催しております。そして、自治体に対して、こういうことをやってほしいという、病気のことを学ぶ機会を作ってほしいという依頼をして、それから、より良い医療環境に向けて、検討会に出たりとか、学会に発表したりとかをしております。

 5ページ、小さい赤ちゃんを産んだばかりのお父さん、お母さんたちに向けて、子供の病気を学ぶ講座をやっております。

 6ページ、この際に、どんどん新しい赤ちゃん、そして新しいパパ、ママが生まれてくるわけですが、その方々にお伝えしていることは常に4つ、4ポイントあります。まず救急にかかるべきときはどういうときだろうかということ。そして、子供の病気とその対処。お熱とか咳とか下痢とか嘔吐のときに、どうやってお家で見て、どういうときには病院に行ったらいいかというお話です。そして3つ目に予防接種について。そして最後に地域の医療の現状、この4つを繰り返し、繰り返し、次のページにあるように150回、今日数えたところ160回になっていましたが、160回で6,000人ぐらいになっておりましたが、このくらいの数に伝えてまいりました。

 8ページ、どのように伝えているかをここからお話したいと思います。まず、伝えるポイントとしては、責めないということです。予防接種を打っていない方が来られることもあります。全く、1歳ぐらいとか2歳ぐらいの保護者の方でも、お子さんに、予防接種を何も打っていないのですという方が来られることもあります。でも、そういう方に対しても責めることはせずに、知らないことは悪ではなくて、関心は、小さい子供たちをとにかく守りたいということが親御さんの関心であって、何か責めてよくなるようなことではないと思っています。ですので、予防接種については、小児科の先生から効果と副反応の事実を伝えることをしていただいております。水疱瘡とかヒブや肺炎球菌が定期化されたことで細菌性髄膜炎も激減しているとか、そのような事実を伝えることをお願いしております。

 9ページ、啓発とは、お金のかかる大きいことを一度やってお終いではなくて、手間がかかりますが、継続的に定期的に繰り返し、繰り返し伝えていくことが大切だと思っております。

 10ページ、「作っておしまい」ということがとても多くて。以前に私、この会ではないですが、厚労省の予防接種に関する会議に呼んでいただいたときに、同じようなお話をさせていただいて、数年前にリーフレットを作ってくださったということがありました。「今日、このワクチン」というリーフレットを何種類か作ってくださいました。厚労省がいよいよそういった形で作ってくださったのだということで私はとても喜んだのですが、全国で、私たちの会の小児科医が46人協力してくださっているのですが、その先生方に「今日、このワクチン」知っていますかと聞いても誰も知らないということで、作ってくれたけれども、先生方に届いてなければ保護者に届くはずがないので、それは医療機関に置いていただくというもので作っていただいたものだと思うのですが、そのようなことがありました。また、分かりやすくはしてくださったのです。私が分かりやすくということをかなり強調したので、分かりやすくは作ってくださったのですが、しかし、そのリーフレットには必要な欲しい情報がありませんでした。効果とか副反応とか病気とか、あと、病気がどれだけ減ったか、どれだけ恐ろしい病気にかからずに済むかといったことがなかったので、やはり、そういうことは入れてほしいと思っております。

 11ページ、ありとあらゆる機会を使って伝えることがとても大切だという思いで、このように様々なところで展開をしています。

 12ページ、全国どこでも当たり前に学べるようになるためにということで、自治体に向けたマニュアルを作って、自治体の方々に、そうして学ぶということを親御さん向けにやってくださいということを強調してやっております。

 この活動が実って、昨年度、「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」ということで、厚労省で始まりました。これが13ページです。ここから、「いのちをまもり、医療をまもる国民プロジェクト宣言」というものが出されたのです。この事業の説明は後でじっくり読んでいただきたいのですが、ちょっと飛ばします。

 17ページに、医師、医療提供者のアクションの例というところがあります。ここに、あらゆる機会に医療のかかり方を啓発するというものがあります。

 それから、18ページ、行政のアクションの例の所に、保護者が子供の健康や医療について考えるタイミングでの直接講座などの実施を、全国の自治体に促すことが盛り込まれています。

 そして、これは昨年度の懇談会ですが、19ページは、今年度実施の事業ということで、上手な医療のかかり方について具体的な事例の周知が今年度いよいよ始まります。これは、全国の自治体の母親学級で始まること。それから、また教育委員会を通して全国の小中学校で授業をしてもらうことになっております。これがいよいよ始まってくるわけなのですが、私はこの内容の中に、是非、私たちの会でもやっているように、予防接種の内容を入れてほしいととても強く思っています。

 今現在、予防接種のことについてどのような状況にあるかというと、やはり危険を煽る情報がもしも流れてしまうと、その情報に簡単に私たちは流されてしまいます。それはなぜかと言うと、私たちには土台がなくて基盤がないのです。ですので、その基盤を作る、どういう病気をどのぐらい予防するかという基礎の部分を作る。それを小中学校でも母親学級でも、そして両親学級でも繰り返し学べるとしていきたいと思っています。リーフレットで伝えることがとても難しいものだと思っています。内容が難しいものなので、リーフレットにまとめても、やはり親御さんたちに伝えていくことがとても難しいです。ですが、直接伝えると親御さんたちもすごく理解してくださいます。今年度、この事業が実施されることになっておりますが、今年度は医療のかかり方についてということが中心になってきます。ですが、来年度も、これはずっと事業は続いていくものなので、来年度以降の事業に是非、予防接種についての内容を盛り込んでいただきたいと思います。

 予防接種については、というよりも、子供たち、ちょっと話がそれてしまうかもしれないのですが、細菌ですとか、細胞とか免疫のことは、子供たちが理解するのに非常に難しいものだと私は思っておりました。ですが、ある日、子供がすごく詳しく内容を理解して私にいろいろ、その子供は小学校6年生のときでしたが、とても詳しく話してくれたことがありました。どうした、学校で習ってきたのと聞くと、子供が、学校で習ってきた、授業でやってきたと言うので、本当に授業で今、細胞とか免疫とかそういうことを学ぶのだと思ってびっくりしたのです。そのときどういう授業だったということを詳しく聞いたら、働く細胞のアニメがずっと授業で流れていたと言っていました。やはり、学校の先生に細胞とか免疫について詳しく授業をしていただくのはすごく難しいと思うのですが、いろいろな分かりやすいツールを使って授業をしていくことで、子供たちにもこんなに伝わるのだと、諦めそうになる免疫のこととかそういうこともこんなに伝わるのだということで、とても驚いたことがありました。

 また、日本医師会さんのサイトで、ビワの、ごめんなさい、またこれも話が変わるのですが、ビワの種子についての啓発があります。後で皆さんスマホで見ていただけるといいと思うのですが、それがとても分かりやすく出来上がっています。同じように、関連の例としてほかの啓発資材もあるのですが、そこだと文章だけで難しいのですが、ビワのことについてだけは、すごく詳しく分かりやすく書いてあります。現代のツールをいろいろ使って、グラフィックとかいろいろなものを使って分かりやすくすることがこんなにできるのだということも思った次第です。ですので、予防接種についてはちょっと難しいから、簡潔、分かりやすくしてしまおうということではなくて、やはり、いろいろなアニメとかツールを使って大事なことを伝えていくことが大切なのではないかということを、私はこの活動を通じて思っております。以上です。

○脇田部会長 ありがとうございました。ただいま、子供たちを守るために必要な活動ということで御紹介いただきました。それでは、委員の皆様から御意見を頂くのですが、新しいワクチンが定期接種に導入されるときに、前回のこの部会でも、次回はロタワクチンの定期接種の導入があって、そういった際に、やはりどういった副反応があるかとかそういったことを分かりやすく伝えていかないと、なかなかきちんと打ってもらうために必要なことだと思うのですが、そういうことに関してはどのような御意見をお持ちでしょうか。新しいワクチンが導入されるときにどのような周知をしたらいいか。

○阿真参考人 新しいワクチンが導入されるときは、特に、どうして必要なのかということが、今までなかったものがどうして必要なのかということがすごく分かりにくいです。それは様々な事情があってなかった、そして、こうして始まったことで、効果、どれだけの効果があるか、そして、悲しいけれどもこういう副反応があることは、やはりすごくきちんと出していただくことが大事だと思います。ほかの医療のかかり方、例えばけがをしたときにどうするかというのは、誰も親御さんに話していて反発が一切、当たり前ですがないのですが、予防接種については、どうしても悲しいことが起きてしまう。そこに対して理解していただくのは難しいことなのですが、でもそれをきちんと出す。効果も副反応も、そして、それをしなかったことで自然になるとどうなるかということをきちんと出すことで、そこは本当に、出すことですごく理解していただけると思うので、是非、リーフレットだけではなくて、いろいろな形で作っていただけるとよいかと思います。

○脇田部会長 ありがとうございます。それでは、委員の皆様いかがでしょうか。御意見、御質問等あればお願いしたいと思います。多屋委員お願いします。

○多屋委員 ありがとうございました。1つ、よく聞かれることで、どのような活動をされているか教えていただければと思います。予防接種について、いろいろ心配されていてお子さんに受けることをためらわれている方、全ての予防接種を受けないというお考えの保護者の皆様にはどのようなお話をされていらっしゃるか、もし分かりましたらお教えください。

○阿真参考人 私たちの活動でいつも対象にしている方々は、0歳の、1歳前の保護者の方がほとんどなのですが、大体30人ぐらいの集まりで、1人か2人は、予防接種について怖いとか心配であるということをお話されていて、1歳ぐらいの方でも、30人ぐらいの会で1人いるかいないかぐらいで全く打っていなかったり、そういう方々もいらっしゃいます。

 そのときにも、先ほどお伝えしたことと全く同じなのですが、自然にかかるとどういう病気なのか、そして、予防接種を打つことでどう守られるのか、そして副反応はどうかということを、本当に淡々と事実をお伝えしています。後は、どうして不安に思っているか、やはりそこが、どうしてそう思ったのということを聞いて、実はそれが本当に、例えば保育園の送り迎えで、自転車で向こうから来たお母さんから、何か水疱瘡は自然にかかったほうがいいよと言われて自転車で走り去ったという方もいました。そういう情報を信じて打たない方がいらっしゃるのだなと思ったのですが、そういうきっかけのところをよくお話を聞いて、どうして不安に思ったかということを聞いて、それは大体、ほとんどすごく根強くはっきりとそう思っていらっしゃる方は、それはそれで信念がおありだと思うのですが、大体の方は、余り大した理由ではなくてちょっとしたきっかけで避けられてたりするので、そこはお話を聞いていくうちに、大体、講座が終了する頃には、やっぱり打とうと思いますという形で、本当に実際に、例えば年数がかかったとしても打ってこられた方とかもいらっしゃいました。

○多屋委員 ありがとうございます。

○脇田部会長 ありがとうございます。非常に丁寧な対応というか活動が必要だということを理解しました。そのほかいかがでしょうか。宮﨑委員お願いします。

○宮﨑委員 学校現場での教育は、小児科学会でも前から要望しているところなのですが、なかなか時間とかカリキュラムの問題で詳しく教えるというのが進んでいないように思うのですが、先ほどのお話の中で、今後、そういうことが活動として学校現場でも広がっていきそうかどうか、あるいは、どうやったら広がるかというような御意見があったらお願いします。

○阿真参考人 私は2つのポイントで可能性を感じているのです。まず1つ目は、保健室の先生、養護の先生が1年間に2回授業をしなければいけないことに一応、なっているかと思うのですが、その授業の中に1つ取り入れて、養護の先生もたくさんなされたい授業があると思うのですが、そこに取り入れていただくことが1つ。そしてもう1つは、今、小学校で、中学校でも公立で土曜授業という枠があります。その土曜授業という枠は、教科の時間ではなくて、ボランティアしたりですとか、いろいろな社会人を呼んだりとか、割と自由な、月に2回とか月に1回、大体、月に1回ですが、そういうちょっと自由な授業の時間が毎月1回は学校でそのように組み立てることになっていて、実は先生方がその授業をどうしたらいいかと困っていらっしゃる。もちろん、例えば、運動会とかそういったところに充てている月もあるのですが、そうではなくて、何をしたら一番、子供たちにとっていいのだろうかということを迷っていらっしゃる先生方が結構います。ですので、そのある月の一コマの土曜授業に関しては、医療について、予防接種についても含めた医療についてやることを、文科省とか教育委員会とかいろいろな所で働きかけをしていくことでそのようにつながっていくのではないかと、期待を持って、可能性は感じています。ありがとうございます。

○脇田部会長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。

  それでは、次に移りたいと思います。次に資料2を御覧いただきまして、ワクチン製造者の皆様から御意見をいただくことにしております。関係4団体の参考人の皆様から御説明をお願い致します。

○今川参考人 日本製薬工業協会でワクチン実務委員長を務めております今川と申します、本日はどうぞよろしくお願い致します。

 本日のプレゼンテーションは、最初のスライドにお示ししておりますように4つの団体が一緒に行っているというものです。非常に先進的な試みで、ワンボイスで動くといところ、我々はバラバラではなく、一つになって我が国の予防接種制度の更なる発展に向けて貢献できるのではないかと考えております。次のスライド、お願いします。

 以後、ワクチン4団体と言わせていただきますけれども、ワクチン4団体とは何ぞの者やということになるかもしれません。米国研究製薬工業協会、欧州製薬団体連合会、日本ワクチン産業協会、それから日本製薬工業協会、この4つの中でワクチンに関連するチームが集まって行っている協議であります。

 我々が持っている共通のコモン・アジェンダはスライド1枚目にお示していますように、代表されるものはここに5つ記載させていただいております。全体では7つありますけれども、本日、御説明させていただく内容がこの5つに関連するというところで、この5つを示させていただいております。我々としては、日本国民の感染症対策として公的予防接種の充実と普及を目指し、業界団体の壁を超えて協働して政策提言を行うことを目的としております。次のスライド、お願いします。

 本日は全体で20枚ほどのスライドを使って説明させていただくわけなのですが、本日、お話したいことはこの3つになっております。1つ目が定期接種化検討の予見性・迅速性の向上に向けた要望、2つ目、安定供給に対する産業界から見た課題認識、最後、3つ目になりますけれども、予防接種費用の効率化に対する産業界から見た課題の認識ということになっております。2番目、3番目が多少唐突なアジェンダであると思われるかもしれません。ちょっとアジェンダ的に前後しているところがあると思いますが、本日、こういった内容について議論させていただくということでありましたので、業界からもアジェンダに加えさせていただいております。

 この3つについて御説明させていただくに当たり、こういったような案件といいますのは前回の予防接種基本方針部会、それから本日取り上げられる課題ではありますけれども予防接種の価値を高められるよう、こういったものを議論する時には全体のバランスに配慮していただきたいと、その時には微力ながら産業界も含めていただきたいということについて重ねてお願い申し上げたいと考えております。

 次のスライドは予防接種のもたらす価値というのはどういうものかということでございます。本日、御臨席いただいている先生方や、傍聴に来ていらっしゃる方々にとっては当然のことかもしれませんけれども、予防接種が我々にもたらす価値については多様な角度から整理することができるのではないかと考えております。

 大きく言いますと公衆衛生上の価値、経済的・社会的価値に大別できるのではないかというように思います。予防接種というのは、直接的に個人の感染症を予防するという効果だけではなくて間接的に予防効果も出て、それが疾病制圧、疾病排除、疾病根絶というところで大きな影響を及ぼすというように我々は考えております。こういった公衆衛生上の価値が予防接種にある、ということをお伝えしたいなと。

 経済的・社会的価値につきましては、これも角度的には同じかもしれませんが、個人だけではなくてその御家族、社会、国家全体、更には国際社会全体に向けた貢献をするものであるということで、そのポイントについてこの3枚目のスライドに記載させていただいているところです。

 次のスライドになります、では予防接種のもたらす価値を支える要素は何かということでございます。ここには我々として大事だなと思うものを4つ挙げさせていただいております。4つでいいのかどうかという御意見もあるかもしれませんけれども、今回、そういったものではなくて、我々としては業界としてはこの4つの重要性についてお話させていただきたいと。冒頭に御説明しました3つのアジェンダですけれども、この4つの要素と絡めて御説明させていただきたいと考えております。我々としては、予防接種の価値を支える要素の健全性については共通のゴールを持って、国や地方自治体、医療界、アカデミア、市民団体の皆様、我々産業界も含めて皆が参加する形で推進していくべきものではないかと考えており、今回、いろいろお話させていただきますけれども、それが良い機会になればいいなというように思っております。

 この4つの価値の中で、まず最初にワクチンのイノベーション(R&D)についての説明になります。スライドの5枚目になります。

 本日の限られた時間で詳しく、全部御説明するということはなかなか難しいことではありますけれども、革新的な技術開発であったり既存品の改良・向上、こういったものに対して様々なレベルでイノベーションが過去、現在、そして将来に渡って行われるということであります。そういったものが持続的に、世界規模で進められているということをこのスライドで御説明させていただきたいと思っております。イノベーションの成果が日本においてタイムリーに、皆さんにお届けできる環境整備ということは非常に大事でありまして、産業界と致しましても、その環境の中で投資を判断して貢献させていただきたいというように考えております。

 次は定期接種の制度における御提案についてお話させていただきたいと思っています。少しスライドを使います。

 まず、現行の定期接種制度におきましては2つ課題があるというように我々は考えております。1つは検討の開始時期、定期接種化の検討の開始時期が薬事承認後でしか始まらないというところです。2つ目が定期化の検討の項目、疾病負荷等のデータ取り、データ収集、そういったものもまた薬事承認後しか行われないということが課題であると考えております。こういった2つの大きな課題があるということで、過去に、最近ですとロタウイルスワクチンのケースがありますが5年、6年、薬事承認からしますと10年ぐらいたっても、まだ定期接種化になっていないというような事例があるというところがありますので、この2つの課題について改善をしていただきたいなと思って考えておりまして、今日御提案させていただきたいと考えております。

 スライドの7を見ていただきます。メッセージは同じです。細かいことはここでは御説明しませんけれども、薬事承認後にワクチン評価の小委員会、その後ファクトシートが作成され、定期接種化の評価が進むということにはなっております。我々の提案としましては臨床試験の段階、薬事承認の前からその検討を始めていただきたいというシンプルなものでございます。定期接種化の検討を進めるに当たっては我々もプロダクトを供給させていただく立場から、その協議の中に参加させていただきたいということを考えております。

 次のスライドです、8枚目になります。薬事承認後に定期接種化の検討をするに当たり、非常に大きなデータ(ナショナル・データベース)を用いて疾病負荷等の評価が求められるケースがあるわけです。ただ、こういったものをメーカーの方に依頼されても、なかなかメーカーの方で十分な対応ができるというわけではございません。こういったものについてはやはり国の研究班等と一緒になって進めさせていただきたいと、しかも開始する時期は薬事承認の前からということを申したいと思っております。

 そういったような協議を薬事承認の前から始めていただくというようになりますと、次に恐らく質問は何がありますかと言いますと、その協議の中で何を協議するのですかと。協議の箱、枠組みはありますけれども、その中身はどうなっているのですかというような御質問があるのではないかと思っております。このスライド9で示しておりますのは、これが全てではないのですが、開発優先度の高いワクチンがあり、これについてはスライド9に示しておりますように開発が着々と進んでおります。こういった開発優先度の高いワクチンについては是非、今からでも定期化の検討を進めていただきたいと考えておりますし、そういったものができるプログラムではないかと考えております。

 次のスライド10は、今御説明したことを簡単に漫画にしたものです。お願いしたいことは薬事承認の前から、定期接種化に向けた各種課題の評価を進めていただきたいということになっております。今まではこの紫色の部分とピンク色で示した部分だけだったのですが、それに緑色の部分が加わることでより安定して、しっかりした定期接種化に向けた協議ができるのではないかということを期待しております。そこで議論していただきたいと思っておりますのは、必ずしもこれら全部ではないのですが、開発優先度の高いワクチンの定期接種化の議論を進めていただきたいと考えております。

 スライドの11枚目から安定供給に向けたお話をさせていただきたいと考えております。スライドに書いてありますように、通常は安定供給について業界が一生懸命頑張っておりますので、そういった問題はないように頑張っておる次第ではございますけれども、やはり不測の事態が起きますと、たちまち安定供給についての問題が生じてくるということがあるかと思っています。

 そこに書いてありますように、我々として安定供給に向け、業界として課題と思っているようなこと、リードタイムであったり、あるいはワクチンの廃棄ロスや規制、欧米政府とか規制当局の対応等がいろいろ変わるというところで、海外から輸入になってきますと、そういったところが障壁になって安定供給に支障が出るというケースもあるのではないかと考えております。いろいろ、様々な課題がございますので、安定供給確保のための方策については引き続き、もう既にいろいろたくさんやっていただいているのですが、産官学での議論を引き続き進めていただきたいというところを考えております。

 スライドの12枚目はワクチンの流通供給の流れについてです。先生方はよく御存じなので余り詳しくは説明はしませんが、多くの製品の場合、製造販売業者とは別に販売会社というものも存在しまして、そういう流通の形ができあがっております。また、卸売販売業者から市町村のほうにワクチンが供給される場合もありますし、医療機関に供給されるといったケースもあるというのがここに示しているスライドとなっております。

 安定供給に向けた取組として、安定供給でどういう課題があるのかというところについて漫画を用いて説明させていただきます。これはワクチンの市場在庫量、それから使用量、いわゆる需要ということになるのかと思いますが、それと増産をした場合にどうなるのか、そういったことの関係性を示した図になっております。製造、流通、そういったところのリードタイムがございますので、例えば一時的な需要増が出た時には当然我々短期的には流通在庫で対応することになります。もしかすると、それで対応できないという状況もあるかもしれませんのですぐに増産を始めます。ただ、御理解いただいていますように増産をしてもすぐに製品が供給できるわけではなくて、そこに示しておりますようにやはり半年程度、原液の製造からしますと10か月から2年程度の期間を要するということになっております。

 つまり、安定供給における課題をまとめますと、ワクチンは2つに集約できるかと思っています。製造に関わるリードタイムが長いということ、それから有効期間が短いといったところがワクチンの特性ということで、安定供給に対する課題であると考えております。

 15頁目になります、製造メーカーは安定供給のために何をしているのかということです。これを2つにまとめますと、使用量、いわゆる需要を上回る一定量のワクチンは常に在庫として確保しております。それから、不測の事態も含めて対応できるようにするためにに原液の貯留も進めております。何を以って一定量の在庫が適正なのかという議論もあるかもしれませんが、これが今後、一緒に継続させていただきたい議論というようになるのではないかと思っております。

 ここでもう1つ申し上げたいのは、ただ多大な製剤の在庫の貯留は有効期間の問題がありますので、やはりちょっと難しいと考えております。製剤の在庫での対応を解決の中心に据えるというのであれば、より正確な需要予測ができればそういったこともできるのではないかと思います。この問題もかなり多様な要素がございますので、これも一つ一つ丁寧に議論するべきではないかと考えております。

 次のスライドは4つの要素の中で予防接種に係る費用の検討というところになっております。ワクチンのイノベーションと安定供給を実現するためには、予防接種の真の価値を反映させることが必要であります。現在、ワクチンにおいては、非常に先進的な試みとして費用対効果分析を、定期接種化の検討に当たって導入していただいていることもあり、そういったところは非常に我々としても有り難いというように思っているところであります。

 ただ、予防接種の真の価値を反映させるというものは、それだけではないのではないかと考えております。現在考慮されている価値として、全てではないかもしれませんが寿命であったり生活の質、医療費の削減効果、生産性の向上、そういったようなところがあるかと思います。それ以外にも、今後考慮していただきたい検討すべき価値として社会的・経済的ベネフィットであったり、患者側のベネフィット、治療から予防へのシフト、病院経営の生産性向上への貢献というところについて価値を正確に、100%は難しいかもしれませんけれども、できるだけ正しく反映させるための方法・研究は必要ではないかなと考えております。

 次をめくっていただいて、もう少し詳しく費用について説明させていただきますと、いろいろな試みがあるのではないか。入札制度や原価積上げ方式、費用対効果分析とその評価、いろいろあると思うのですが、いずれもそこに我々業界の課題を書かせていただいており、慎重に検討すべき論点があるのではないかというように考えております。どれも一長一短があるとは思いますけれども、そういったところを関係するステークホルダーみんなが集まって議論させていただくというところで、健全な方向に向かうのではないかと考えております。

 次のスライド、18枚目、あと残り3枚程度です。予防接種費用の効率化についてのまとめのスライドになります、2つあります。ワクチンの総合的な検討が必要だろう。ワクチンのイノベーションと安定供給を実現するため、予防接種の真の価値を反映させる仕組みづくりとして、価値をどう評価に加えていくのかということについて継続的な検討が必要であろう。費用の効率化については定期接種化の評価プロセスの改善、ワクチンの開発促進、それから安定供給政策、こういったものと密接に関係するものでありますので、そういったものを加味する形で総合的に検討すべきではないかと思っております。

 2つ目の大きなまとめになりますけれども、産業界の参画ということを考えていただきたいと。効果的な仕組み作りのための産官学の協働ということで、我々もワクチンを共給する立場、それからイノベーションを起こしてより良いワクチンを提供する立場からすると、やはりこういう予防接種の政策については我々も参加させていただきたいと思っております。

 19枚目になります、これが本日のまとめです。3つのアジェンダについて御説明させていただきます、それを4つの予防接種の価値に絡めて御説明しますというように説明しましたが、まとめますとこの3つになります。

 定期接種化検討の予見性・迅速性の向上に向けた要望につきましては、開発段階から定期接種化の議論及び必要なデータの収集を進めていただきたい。開発優先度の高いワクチンの定期接種化の促進というものも考えていただきたい。

 2つ目、安定供給に対する産業界から見た課題認識ですが3つあります。技術革新とともに規制制度等の効率化、増産や備畜増強の公的要請に応じた際のリスク低減、3つ目、任意接種、緊急時対応分を含めより正確な需要予測。

 大きな3つ目、予防接種費用の効率化に対する産業界の基本的な考え方としましては、2つポイントがあります。ワクチンのイノベーションと安定供給を実現するため、予防接種の真の価値を反映させる仕組みづくりを考えていただきたい。効果的な仕組みづくりのための産官学の協働という仕組みを導入していただきたいと考えております。再度のお願いで恐縮ではありますけれども、予防接種の価値を高められるよう、我々も一生懸命頑張りたいと考えておりますので、是非、こういう議論を進める際には産業界も含めていただきたいと考えております。

 最後のスライドになります、予防接種の価値を支える4つの要素という観点から説明させていただきました。この4つと言いますのは相互に関係して、非常に大事な点であるというように我々は考えております。我々もこういったものを支える一翼として、産業界も頑張っているというところがありますので、是非、そういう制度面を考える時には我々も加えていただいて、双方向の議論を行わせていただきたいということが、最後の我々からのメッセージということになります。以上です。

○脇田部会長 御説明ありがとうございました。生産を担っていただいている産業界の皆さんの御意見を伺うというのは、このワクチンが単に商売だけで成り立っているというものではなく、日本の、あるいは世界の健康危機管理対策に貢献していただいているというところですので、御意見を伺うことは非常に重要だなと、私も再認識したところです。どうもありがとうございました。

 それでは今4団体の皆さんから見た視点で、いろいろなポイントを指摘していただいたところですが、委員の皆様から御質問、御意見等を頂ければと思いますがいかがでしょうか。最後のところの安定供給のところで技術革新とともに規制制度の効率化がありますが、具体的にはどういったところをお考えなのか、お聞かせ願いますか。

○石川参考人 日本ワクチン産業協会の石川からお答えいたします。規制ですが、今の国家検定も含めた試験項目等、それから海外とのレギュレーションの関係等を積極的に、産業界も参加させていただき協議していただきたいということです。

○脇田部会長 ありがとうございます。ということは、やはりそういった国家検定を含めて、そのところがかなり供給から見ると、少し抑制的に働いているということですか。

○石川参考人 はい。国家検定に関しましては、日頃厚労省、感染研にも協力いただき、通常は一応メーカーのほうから国家検定のスケジュール等も出していただいて、スムーズにやっていただいておりますし、あと非常に製品が乏しくなった場合には、厚労省、感染研ともまた相談させていただいて、具体的には併行検定のようなこともやっていただいております。ただ基本的にレギュレーションとなったときには、やはり国家検定の試験項目であるとか、内容を議論するべきではないかというふうなことも考えており、そういった議論に是非産業界も加えさせていただき、議論を進めていただきたいということです。

○脇田部会長 ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。

○多屋委員 スライド6枚目に定期接種制度の現行プロセスの課題のまとめを作っていただいています。ありがとうございます。その2つ目の緑の中の定期接種化の検討項目に書かれている内容について、ちょっと分かりにくいのですが、これはどのようなことが課題と認識されていらっしゃるのでしょうか。

○今川参考人 すみません、説明を少し端折ってしまい申し訳ありませんでした。何を言いたいかというと、薬事承認のときに評価される項目と、定期接種化のときに評価される項目が違うものがあると。つまり例えば、分かりやすくいうと疾病負荷のデータや情報を示しなさいと言われたときに、薬事承認のときにはそこは評価されるわけではないので、新たに薬事承認後にデータを取らないといけないような状況が生じております。当然疾病負荷等のデータになりますとナショナルデータベース等、大規模にやらないとしっかりした根拠のあるデータが取れないところもありますので、そういうふうになってきますと、そのデータを取ることになると、そこから2年、3年と時間を使ってしまうところもありますので、そういったところを御説明申し上げたいと思っていました。

○脇田部会長 端的にいうと、承認前から定期接種化に必要なポイントはこれですよということを示していただいて、そういう点に関してもデータを取っていきたいということですか。

○今川参考人 そうですね。おっしゃるとおりです。そうすることで、今のプロセスを加速できると考えております。

○脇田部会長 確かに、厚労省の研究班で様々な調査をやりますよね。それが定期接種化されると流行予測調査事業ということになるので、そういった必要な調査のポイントもあらかじめ議論する必要があると、そういった論点かと思いました。ありがとうございます。

○宮﨑委員 早めに議論をしていくというのは、私も賛成なんですね。どこからということを考えますと、結局臨床試験をメーカーが行って、それに基づいて用法・用量が決められて、その後に定期接種化の議論というと、実際に使用する場合に対象年齢などが施策のねらいと合わないことだってあり得るわけで、やはり臨床試験をどう組むかも施策の一部、関与する形で、これは国かもしれませんが、そういうところが今後できるのか。今はそこはかなり別れて動いているようにも思いますので、もう少し有機的にならないかとは思います。

 もう1つは、安定供給のところです。課題と製薬メーカーの立場はよく分かりますが、結局今以上に何かできるかどうかというところに関して、もう少しコメントを頂ければと思います。あるいは今、製薬サイドからも限界なのかということも含めて。

○脇田部会長 今、2点目のところだけでよろしいですか。

○宮﨑委員 両方ですね。

○今川参考人 定期接種化の検討の時期を、いつから始めたらいいのかという御質問だったかと思います。もちろん開発にはいろいろあり、例えばフェーズ1のときですと、まだそれが実際に承認に足り得るものかどうかも分からないと。海のものとも山のものとも分からない段階で限られた工数をそこに使うのですかというような御懸念もあろうかなというふうに思っています。我々としては、やはりフェーズ2が終わる段階、いわゆるプルーフ・オブ・コンセプト、大体の用法・用量が決まって安全性についても、それなりのデータは取れると確認できる段階からスタートするというのはいいかなと思っております。しかも全てのワクチンということになりますと余りにも数が多かったりして、全てカバーするのは非現実的という御懸念もあるかと思っております。少なくとも今回お話させていただいたように、開発優先度の高いワクチンが6つ決まっており、その臨床試験が進んでおります。フェーズ2を超えてフェーズ3のものもあります。そういう臨床試験の最終段階に至っているものにつきましては、もうほぼほぼどういう用法・用量で承認されるかということは決まっておりますので、フェーズ2以降のものであれば議論をしてもいいのかなと考えております。解答になっておりますでしょうか。

○脇田部会長 2点目についてもお願いします。

○石川参考人 2点目の安定供給に関して、企業としての努力ですが、基本的にはイノベーションのところでも申し上げましたように創薬だけでなしに既存品の改良研究もやっており、混合化も含めたり単味ワクチンでも安定剤の変更も含めて改良研究は進めております。具体的には、過去には安定剤の問題でより安全なということで、ゼラチンフリーであるとかチメロサールフリーもやってきましたが、安定供給の意味での有効期限の延長の意味でいくと、安定剤の変更ということも検討しております。そういった努力は企業としてもやっております。

○脇田部会長 ありがとうございました。例えば感染研が規制の一翼を担っているということで国家検定がありますが、自家試験、そして国家検定含めてワクチンの安全性、そして有効性の評価というところで、例えば動物試験をどんどん試験管内試験に切り替えていくということで、期間の短縮も考えられるわけですから、そういった研究を今も、厚生労働省の科学研究でやっておりますが、更に進行していただくことも重要かなと私は考えております。

○石川参考人 企業としても同感でございます。

○磯部委員 今の宮﨑委員の質問の1点目との関連で、単純に関心があって、今川参考人に伺いたいのですが、海外でもそういう規制をやっている国はあるのですか。

○今川参考人 規制というのはあれですか、薬事承認以後でないと、定期接種化の議論をしないと、そういうことですか。

○磯部委員 いいえ、御提案のような、もう少し早い段階で。

○櫻井参考人 御質問ありがとうございます。例えば米国の例ですと、ACIP、米国予防接種諮問委員会ですが、承認の前からワーキンググループをつくって検討を始めています。もちろん公の場ではなく、まだフェーズ2の試験が終わっていない段階ですので、ワーキンググループの中でメーカーのほうが提供させていただいた上で必要なデータをその中で収集して、承認がされると、アメリカの法律では6か月以内に定期接種に入れるかどうか決定をしなければいけないというタイムラインが法律で決まっておりますので、それに向けた準備作業をワーキンググループを通じてやっているという事例が、多分アメリカは最も先進的な取組をしていると考えております。

○磯部委員 ありがとうございます。

○脇田部会長 池田委員、どうぞ。

○池田委員 6枚目のスライドで、現行プロセスにおける課題ということで御説明いただいた中の定期化の検討項目ですね、つまり承認時には要求されないけど、その後で考慮しなければいけない項目があり、疾病の負荷の大きさ、国民の免疫保有の状況、費用対効果と3つを挙げられております。最初の2つについては、その後のスライドの中で国の研究班等でやってくださいと、企業はやりませんというようなことが読み取れるのですが、費用対効果について誰がやるかというのが、私は読み取れなかったのですが。例えば日本では今、中医協で医薬品の価格の調整のときに費用対効果のデータは企業が準備して提出し、それを公的な分析班が検証するという仕組みですが、そういうイメージでいいのか、それとも何か他国でよいやり方があれば、そういったものの御提案があればと思いますが、これは誰がどのようにやるかについての具体的な御提案はあるのでしょうか。

○脇田部会長 いかがでしょうか。

○櫻井参考人 御質問ありがとうございます。ここでは、あえて費用対効果をどの主体がリードしてやるかということは特に提言はしておりません。ただ、後ほどに出てくる費用の効率化の所でもありますとおり、ワクチンの開発にあたって若しくは安定供給にあたって、やはり我々メーカー側の御意見も是非取り入れていただきたいと考えております。今の薬価制度のように、メーカーが作ったものを評価していただくのがいいのか、若しくは例えばACIPでやっているようにメーカーも費用対効果の分析はやるが、またACIPのような機関でも独自でやられて、その両方を評価、比較若しくは評価の対象にするといったようなやり方もあろうかと思っています。この辺のやり方については、今後のやはりワクチンや予防接種の真の価値をどのような形で反映していただけるかに関して、産業界も入れていただく形で議論を進めていただければ有り難いと考えております。

○池田委員 分かりました。16枚目の所に、具体的にどういう研究が必要だという御提案がありますが、右側に書かれているものは多分いろんな国でも価値に反映はできていないし、そもそも定量的にどうやって計ったらいいのかというところの根拠はないと思いますが、研究が必要と書かれていますが、これは、では企業というか、業界側の一緒にこういう制度をつくっていくというか、一緒に協議していくということであるとすれば、この研究も加わっていただけるというか、適切にやっていただけると理解していいですか。

○今川参考人 はい。池田先生、ありがとうございます。その理解でよろしいと思います。我々としても、こういったものを反映させるための価値づくりについて貢献したいなと考えておりますので、是非一緒にやらせていただきたいと考えております。

○脇田部会長 ありがとうございます。そのほかは、いかがでしょうか。今、様々な御意見があったところで、何となく一緒にやっていくんだなという話になっていますが、どうしても1つは利益相反という課題がありますので、なるべくそこを切り離して独立したといいますか、第三者的にきちんとやれるような体制をつくることが重要だと考えますし、それから定期接種をするとなりますと、現状、国の予算で行われるものですから、それが本当に担保されるのかという問題点がどうしても出てくると思いますので、そういったことも留意して今後の体制を考えていくことが必要だと感じました。

 ただ、今の議論を通して、やはりメーカーの方々の御意見も十分に聞いて、今後も検討していく必要性があると認識をしたところです。よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。

 それでは、次の議題に移ります。続きまして後半の部分といたしまして、事務局からの説明をお願いします。まずはじめに、ワクチンの安定供給、研究開発について資料3-1から3-3までの説明お願いいたします。

○賀登予防接種室長補佐 最初に資料3-1です。この議論の進め方ということで、前回の部会でも御了承を頂きました。本日は、安定供給、研究開発、費用の効率化の3点について御議論いただきたいと思っております。

 資料3-2の安定供給についてに移ります。2ページ、3ページは、年間のワクチンの製造量と接種の人数の比較をしたものです。4ページは、供給や予防接種の実施における関係者ということで、いわゆるワクチンメーカー、卸、予防接種の実施をしている医療機関や市町村といった関係がいるという御紹介です。

 5ページは、ワクチンの製造の流れです。例えば有精卵を使ったり、ウイルスの精製工程などがあるということで、非常に複雑なものです。6ページ目は、ワクチンの需要と供給についてということで、近年ワクチンの安定供給に係る課題、ワクチン不足といった問題が散見されております。こちらのほうは、リスクとして需要側に変動があったケースもありましたし、供給のほうで変動があったケースの両方があったということの御紹介です。7ページ、8ページ目は、それの具体的な事案の紹介ですが、省略させていただきます。

 9ページ目、10ページ目の資料は、安定供給に係る海外の事例の御紹介です。簡単な資料ですが、ヨーロッパでも米国においても、ワクチンの安定供給に係る課題は存在するという資料がありました。

 11ページ目は、日本も含め諸外国でもそういったワクチンの安定供給に係る課題が生じる基本的な背景として、ワクチンの特徴が考えられます。まず1つ目は、ワクチンの有効期間が短いということと製造に長時間を要するということです。また、不足した場合に代替措置が困難というような3つの特徴が背景にあると考えます。

 12ページ目は、安定供給の発生に関するメカニズムを簡単に図示しております。まず、左のほうが基本的なイメージです。最初に当月の在庫量と、その当月の製造量、当月の使用量という3つのファクターがありまして、製造量よりも使用量のほうが大きければ、次の月の在庫量は少し減っていると。逆に、製造量より使用量のほうが少なければ在庫量は増えるというような関係にあります。ワクチンが不足する場合には、その月の製造量よりも使用量が多いということが連続して、いつかワクチン不足のショートが起こるという構造です。

 13ページ目は、ワクチン不足のリスクを回避・軽減するための対応策として、すごくシンプルに考えた場合には、製造量よりも使用量のほうが大きいということが起こっているときに、速やかに短期間の増産を実現させるという方法です。もう1つが、あらかじめたくさんの在庫を確保しておく方法で考えられます。それぞれにワクチンの製造には長時間を要するだとか、ワクチンは長期保存には不向きだという課題があります。また、複数社で供給しているワクチンもありますが、そういったものについては企業間での調製を充実させるという方法も現実的には考えられると思います。

 ここから先は、今の大きく3つの対応策に基づきながら説明させていただきます。最初は、速やかな増産を実現させるという観点です。14ページ目は、ワクチンの製造工程について、先ほど「なかなか複雑なものです」という説明をさせていただきましたが、製造工程を幾つかに分けました。まず最初は原液を製造する工程です。ウイルスの培養、精製といったものが考えられます。その原液を小分け製品への製剤化するという工程ですが、分注をしたり、凍結乾燥といった工程が入ります。その後に、品質確認を行うわけですが、その際にはワクチンの特徴として、自家試験、国家検定、ダブルチェクをしているということです。最後に国家検定に合格したものにラベルを貼ったり包装したものを、最終製品化したものとして出荷していくという流れです。

 15ページは、その中で、まず原液の製造工程の所に着目します。一般的に原液の製造工程は長時間を要するという特徴がありまして、ここを短期化する、短縮するというよりも、ここであらかじめ原液をある程度備蓄しておくという発想が考えられます。

 続いて、16ページ目は、ある程度原液が備蓄されていることが前提の考えですが、それを速やかに製剤化していくという観点でものを見ています。その際には、実際に物を詰めたり、異物が入っていないかの検品などを行っておりますが、速やかな増産が必要な場合に、例えば機械のスピードだとか、確認のための人の確保などが困難になるというような場合が考えられます。この辺りが課題かと思います。

 続いて、17ページです。品質の確認ということで、国家検定と自家試験とのダブルチェックが必要なものです。国家検定について、標準事務処理期間を除いて合格日の見込みがなかなか見えないというのもありまして、企業だけの努力では期間の短縮というのは行えないという事情もあります。具体的に言うと、例えば薬事監視員による開封のための日程調整、印字といったもので資材を確保すること、又は人員とか機械をあらかじめ用意しておくことなどの対応が必要になってきます。

 18ページ目は、ワクチンの備蓄を増やしておくという発想です。今は、いわゆる流通備蓄というものが概ね2か月分あるというのが、基本的な考え方です。左下に書いていますが、米国ではVaccine for Childrenという経済的に余裕のない子供に対する慈善プログラムですが、そこの市場に対する6か月分のワクチンを備蓄しているというような例もございます。一方で、ワクチン自体は長期保存に不向きだというようなことがありますし、使用期限か切迫したワクチンの取引を行うことは、医療機関などでデメリットを感じるというステイクホルダーもございます。そういう中で、基本的にはメーカーでは積極的に在庫量を増大させるということにインセンティブは生じないと考えています。

 続いて、19ページですが、企業間における調製の充実についてです。最近の事例としては生産流通部会などで報告させていただいているB型肝炎ワクチンで、ある1社が供給できなくなるというようなこともあります。そういった問題が生じたときには、厚生労働省に御報告いただいて、課題解決に向けて調整しております。それは厚生労働省が間に入ってやっておりますが、メーカー間の協力が不可欠な場合でも、供給量や供給時期などについて、メーカー間で調製するということの既存のルールはありませんので、この辺りを円滑に増産するために整えるというような発想もあろうかと思います。

 続いて20ページです。その他の視点としておりますが、例えばMRワクチンで風疹などは近年もありましたが、定期接種と任意接種で同じワクチンが使われているということで、ワクチンの需給が逼迫したときに優先的な使用とか供給というものの実現に対して、なかなか困難であったという例がありました。一方で、新型インフルエンザのために備蓄用のタミフルと、市場流通用のタミフルということで、赤いタミフル、青いタミフルという見かけ上からの区別もしているという事例があります。こういったものも参考にしながら、効率的な使用、優先的な使用を実現する方法も考えられようかと思います。

 また、(2)誤った情報で、例えば一部のロットが国家検定に不合格になったというような、事実誤認に基づく情報が発信されることが幾つかございまして、そういったものによる混乱を最小限にするという発想もあろうかと思います。また、(3)卸や医療機関が保有する在庫状況を見える化するという情報の整理ということも、流通を円滑にするという意味で一助になるかと考えられます。

 21ページが全体ですが、今申し上げましたような現状を踏まえながら、ワクチンの安定供給に係ることについては、総合的な対策を進めるということでいかがかということで考えています。具体的には、先ほど申し上げましたような、速やかな増産を実現させること、ワクチンの備蓄量を増大させること、複数のメーカーで企業間の調製ができるようにすること、そのほかについて、御検討いただきたいと思っております。まず、安定供給については以上です。

 続いて、資料3-3を御覧ください。こちらはワクチンの研究開発についてです。まず、2ページ目です。ワクチン行政の全体像としては、薬事行政の承認審査があった上に、予防接種の定期接種化という2つのことが関連してきます。

  3ページ目です。前回の制度改正のときの第二次提言の中でも、ワクチンの研究開発力を強化して、国際競争力を確保することが重要といったことや、4ページの予防接種の基本計画の中にも、研究開発を促進することについて言及されている所がございます。

 5ページ目について、今の予防接種のワクチン分科会の体系図ですが、研究開発及び生産流通部会で研究開発に関する重要事項の審議を行っているところです。6ページ目、7ページ目は、新たなワクチンの開発について、開発優先度の高いワクチンというものを位置付けて、ワクチン産業協会に開発要請を出しているということがございます。その状況については、先ほども御紹介がありましたが、8ページの所で、メーカーで今開発が進められているという状況です。

 9ページ目は、ワクチンの定期接種化までのプロセスということで、まずはメーカーのほうでの開発が入るわけですが、そのときに開発優先度の高いワクチンを開発要請を出していて、そのうちに薬事承認がされ、定期接種化の議論が進んでいるということです。先ほども御意見がありましたが、個々の並行した検定はできる部分がないかという部分の御議論をお願いしたいと思っています。10ページ目の所が、今の定期接種化のための検討の進め方と、11ページ目が検討中のワクチンの具体的な事例です。

 12ページ目はACIPの概要です。アメリカでは並行した議論が一部実現しているという御紹介です。13ページ目は全体像ですが、今言いましたような背景を踏まえながら、研究開発の今後の在り方について、どのように考えるかということ、また定期接種化のプロセスのうち迅速にすることや並行した検討が可能な部分がないかということについて、御議論いただきたいと思います。以上です。

○脇田部会長 主には安定供給について、それから研究開発についてということで、資料3-2と資料3-3についての御説明を頂きました。まとめとしては、資料3-221ページにありまして、資料3-3の研究開発のほうは13ページにあります。御意見、御質問を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。

○宮﨑委員 ここ数年、ワクチン不足の問題がいろいろなワクチンで起こっていて、そのときに国は通知のようなものを出されて、理論的には足りるはずだけれども、現場ではなかなか物が入ってこないということがよく起こります。とすると、対策1、対策2、つまり増産、在庫、このことも踏まえてですが、流通の問題というのは結構大きいのではないかと思います。その点について、国としてはどのように考えておられますか。

○賀登予防接種室長補佐 これまでの課題の中で、「ワクチンの偏在」というような表現をされていたと思いますが、地域だったり時期だったりというところの偏在という問題についてはあったと思います。

 その辺りについては、そもそもの土台として、ワクチンの必要な量が適切な時期にあるということが前提だと思いますが、偏在をなくすために、例えば「その他の視点」の所に入れていますが、誤った情報が流れないということで誤解を招かないことや、在庫状況を見える化するということで、過剰な在庫がどこかに偏っているということがないような対応が必要かと考えています。

○宮﨑委員 それは今でも可能だということですか。

○賀登予防接種室長補佐 例えばワクチンの在庫状況につきましてですが、参考資料の一番最後の部分なのですが、MRワクチンの対応の状況があります。今、卸の在庫状況について、各社ごとの在庫状況を都道府県に定期的に御報告いただくというお願いをしています。これは制度的にやっているものではなくて、通知に基づくお願い事項ですので、そういったものを一般化していくというような考え方はあろうかと思います。

○宮﨑委員 ある程度流通在庫を増やしていかないと、結局急な対応はなかなか難しいかと思うのですが、タミフルのような赤と青というのは、ワクチンに有効でしょうか。ワクチンは有効期限が短いので、備蓄用に取っておくというのが難しいような気が私はするのですが。

○賀登予防接種室長補佐 説明が不十分で申し訳ございません。タミフルのところは備蓄と備蓄でないものという形ですが、今言っているのは、例えば定期接種用とそれ以外のワクチンということで分けることによって、MRワクチンでは小児の定期接種用のワクチンと、大人の任意接種用のワクチンも同じものが使われるということで、需要の部分の混在が起こってしまって、トラブルが起こっているという事例もありますので、そういったところは見えない点線を入れることによって、混乱が軽減されるという考え方もあろうかと思います。

○脇田部会長 そのほかにいかがでしょうか。

○釜萢委員 ワクチンの安定供給というのは非常に大事な問題でありますが、先ほど事務局からも説明があったように、我が国だけでなくて海外でも不足の事例はあるということです。ですから、それぞれの国でいろいろと苦労しているのだろうと思いますが、この対策をとればそれだけで不足がなくなる、あるいは安定供給がずっと確保できるというわけにはいかないだろうと思いますので、よいと思われる、これは効果が期待できるという施策についてはすべて取り組む、それぞれの項目をみんな頑張って実現させるという方向性が是非必要でしょう。いろいろ考えられることを総合的に実現していけば、少なくとも今よりは安定的になるのではないかなと思います。御説明のあった内容についてはみんな同意ですが、原液で備蓄した場合に、備蓄をした原液の製剤化が必要です。製剤化する場合に人手が掛かるわけですが、今後人材の確保というのはさらに難しくなってくるでしょうから、機械化がどのぐらいできるのか分かりませんが、そういうところの工夫は人手を掛けないでもできるようなところを工夫するということは必要ではないかと思います。

 それから検定の件については、もうお話が出たとおりで、これは私どもの立場からすると、安全性の確保というのは非常に大事だと思いますので、もちろんそれを確保した上で、検定がもう少し円滑に、時間が短縮できれば、今は2か月の流通備蓄というわけですが、検定の期間の短縮によって、更に安定供給につながるだろうということは大いに予測できると思います。

 それから、先ほど御説明があった定期接種用とそれ以外のワクチンを分けて、定期接種の分は出生数から大体予測できるので、定期接種分を確実に確保する上で、これも是非考えてみたらいいと思います。定期接種以外のワクチン分とどのぐらい住み分けられるかなかなか難しいと思いますが、工夫する価値はあると思います。

 それから、誤った情報による混乱というのも実はいろいろあるわけですが、これは日頃からのメーカー側も行政も接種する側も、あるいは国民に対しても、情報を共有していくという信頼感の醸成が大事で、その辺りによって解決できるのではないかと思います。

 医療機関の立場から一言申しますと、これまで商慣習の中で、ロットバックと言うか、残存期間の短いものが後になって納品されると、これは医療機関としては困るというように言って、そのようにお願いを卸にしていたというところはありますが、実際には納入されたワクチンは、ほぼ2週間の間には使い切ります。そんなに先のものまで予約して取るということは、インフルエンザのワクチンはちょっと特殊ですが、それ以外のワクチンはほぼありませんので、ロットバックは絶対に駄目だということについては、医師会として医療機関に理解を求めて、余りとやかく言うべきではないということは、しっかりと情報を伝えていきたいと思います。

 いずれにしろ、何しろできることをきちんと全部やるというところが大事ではないかと感じます。

○脇田部会長 様々な施策を総合的にやっていくということが安定供給につながるということです。

○釜萢委員 言い忘れたことがあるのですが、できれば、今後この会議での検討の中で、この部分についてはいつ頃までにどのようにやれるというような、先々のスケジュール感が見えるようにできるといいと思うのです。事務局としては、その辺りについてはどのようにお考えでしょうか。

○脇田部会長 スケジュール感というところで、タイムラインと言いますか、そちらについての御質問です。

○賀登予防接種室長補佐 いろいろなことを御提案させていただきました。すぐに実現できることなり、ほかの関係者との協議が必要で時間がかかることはあるかもしれませんが、今御所望いただきましたので、なるべくスケジュール感を示しながら物事を進められるようにしたいと思います。

○江野監視指導室長 少し補足させていただきます。私ども、国家検定を所掌しています医薬局です。先ほど来、釜萢先生からも御指摘がありましたとおり、やれることは全て一生懸命やるということだと思っております。業界の方々からも、国家検定についての近代化であるとか、脇田部会長からもお話がありましたとおり、様々に研究班でいろいろと検討しているといった内容も含め、実際に事業者の方々と、どうやって無駄を省いていくか、国際的なルールに合わせて、どんどん近代化を進めるといったようなところについては、ちょうど2年前になるのですが、事業者の方々からも、官民対話であるとか、そういったところで議論をする場を作ったといったような経緯があります。その中でも、様々にこれまでも検討してきておりますが、本日の議論も含めて、更に検討を進めていきたいと思いますし、先ほどお話のあったとおり、スケジュール感も見せられるような形で、この部会の中でも報告をさせていただきたいと考えております。

○脇田部会長 ありがとうございます。そのほかにいかがでしょうか。私から、様々な観点から検討するということなのですが、例えばメーカーのほうにコストを負担させる、例えば人員の確保であったり、あるいは原液の備蓄を更に確保していただくということになると、これはメーカーのほうにコストをかなり負担していただくという対策になるかと思うのですが、そういう点はどのようにお考えでしょうか。

○林予防接種室長 こうした安定供給についての施策を充実させていこうと思うと、どこかにコストは掛かるということだと思います。したがって、これをやっていくに当たって、全体としての社会的なコストをできるだけ増やさないような方策を優先してやっていくということなのだろうと思います。いつも備蓄を2倍作っておいて、使わなかったら捨てていくというような、無駄が生じるようなことをすればするほど、社会的なコストが掛かっていきますので、どういったことを優先するかというときにコストの面も考えていく必要があると思います。

 やはり、どういった形で誰が負担するにしても、最終的には接種をする人であったり、価格に転嫁されて税金で負担していくということに、どんな形であれなっていってしまいますので、そういった観点も必要だと思っています。

○脇田部会長 よろしいでしょうか。本日は欠席の委員からも御意見を頂いています。伊藤委員、坂元委員から書面で意見を頂いております。これは資料に入っていますか。

○田村予防接種室長補佐 はい。「委員提出資料1」「委員提出資料2」ということで入っております。

○脇田部会長 それぞれの資料も御覧いただきたいと思います。

○阿真参考人 安定供給と研究開発のことではないのですが、資料3-39ページの全体像のことについて一言よろしいでしょうか。

○脇田部会長 どうぞ。

○阿真参考人 一番最後の実施の緑の所の「被接種者への周知」というのが最後に少し出てくるという感じなのですが、承認されてからと考えると、周知はもう少し青いラインのように、少しグラデーションがあってもいいのかもしれないのですが、自治体への周知とか、医療者への周知、そして被接種者への周知というような形で、ここに長い線が必要ではないかと思いますので、御検討いただければと思います。

○脇田部会長 御指摘ありがとうございます。事務局、こちらはそのような形でよろしいですか。

○林予防接種室長 この図自体は模式的に示していますので、その時期しかやらないというような意味ではなくて、そういう仕事があるというように御理解いただければと思いますし、周知が重要だという御意見だと思いますので、そこはしっかりと受け止めていきたいと思います。

○脇田部会長 ありがとうございます。それでは次に進ませていただきます。予防接種に係る費用の効率化に入りたいと思います。資料3-4を御覧ください。こちらを事務局から説明をお願いいたします。

○賀登予防接種室長補佐 事務局より費用の効率化について御説明させていただきます。資料3-42ページです。まず定期接種の市場の特徴について簡単に御説明させていただきます。定期接種の実施は国が決定して、その決定に従って市町村は実施していくという構造ですので、費用の高低にかかわらず市町村は実施されますので、費用に応じて定期接種は行わないという市場原理はなかなか生じにくい構造かと思います。また実際に接種する際には、対象者や保護者の方は、一部の自己負担か若しくは自己負担なしで予防接種を受けられるというのが現状ですので、費用に応じてその接種を控えようといったような市場原理はなかなか生じにくいものかと思います。

 費用については、より一層の効率性の観点での議論が重要ということが前回の制度改正のときにも提言されておりました。3ページを見ていただきますと、実際の費用の流れについて簡単に図示したものです。典型例その1として、交付税措置は市町村にされて、市区町村のほうでは医療機関と委託費用を交渉して決めていくという流れです。その際にはワクチン代等接種費用というものが基本的に委託費用となっており、医療機関のほうではワクチンを購入して接種しているという流れです。

 典型例2のほうは、少し応用編ですけれども、市町村がワクチンを購入して現物を医療機関に渡すと。委託費用については接種費用のみを交渉しているというケースもあります。いずれのケースにおいても、予防接種に係る費用としてはワクチンの費用と接種の費用と、それの回数というような3つの要素に分けられるかと思いまして、それぞれの視点に基づきながら資料を構成しております。

 まず最初にワクチンの費用に関する検討です。5ページのワクチンの費用です。そもそもワクチンの市場自体は参入障壁が比較的高い市場であるというのが特徴です。そのワクチンの売上げとしては、ワクチンの製造原価や安定供給や安全対策に掛かる経費、また新しいワクチンを開発する費用に当てられております。ワクチン価格と言っても、メーカー側の希望小売価格、卸の販売価格、市町村や医療機関への販売価格といった、幾つか種類はありますので、ここの言葉は混在しないように御議論いただければと思います。

 6ページ目、これまでの議論の中での話ですが、費用対効果の導入が前回の制度改正の中で動きました。7ページ、定期接種化の検討をする際には有効性、安全性だけでなく、費用対効果の観点から評価検討いただくことという流れで運用されております。8ページ、最近の事例ですけれども、ロタウイルスワクチンの定期接種化を議論する際に、費用対効果に係る課題が出てまいりました。9ページ、イギリスではその価格に関して一時プログラムの導入を見送ったり、入札を実施するなどの取組が行われております。

 10ページ、もう少し諸外国の例を広げてみたスライドですけれども、アメリカの例ではVaccines for Childrenという、経済的に余裕のない子どもに対するプログラムが存在しますけれども、そこに対してCDCが割引価格でワクチンを購入しているというような事例があります。イギリスでは公衆衛生庁がワクチンを購入しております。その現物を医療機関のほうに提供しているわけですが、購入する際には入札などの方法が取られております。ドイツでは健康保険で定期接種の費用をカバーしていますが、その保険者が排他的な割引契約を結ぶということがかつては可能だったのですが、安定供給に支障を生じたというような事例があって、2017年にその可能としていた条項を廃止するというようなことがありましたので、安定供給に対する影響というのにも御留意いただきたいと思います。

 11ページ目が国内の例で、他制度の例を御紹介させていただきます。まず医療保険での薬価制度についてです。健康保険法に基づいて、医療保険で使える医薬品については品目を指定するのと、その価格を厚生労働大臣が決定しております。新薬を算定する際には、国内の類似品等の価格の並びと、外国価格との並びというものを見ている。また薬価改定を定期的に行っておりますけれども、その際には実勢価格に基づいたものと費用対効果に基づく評価も一部の品目で実施されています。薬価改定自体については、非常にきめ細かいルールがあって、膨大な作業を伴うということ。また薬価調査が必要になって、卸売販売業者のほうに大きな負担を強いているというような点についても御留意いただく必要があるかと思います。

 また市場の特徴として、下に書いておりますけれども、一般的な医薬品では、特許期間中に開発費用を回収して、特許が切れたら後発品のほうに置き換えていくというのが今一般的な流れになっていますけれども、ワクチンではその後発医薬品というようなものがありませんので、ビジネスモデルがそこに違いがあるというところにも御留意いただきたいと思います。12ページは、薬価制度で参照している外国価格のリストプライスについて参考情報として入れております。

 13ページ、他制度の例のその2として、介護保険での福祉用具の貸与価格についてです。こちらは前回の平成30年度の改定で導入されたものですけれども、適切な貸与価格を確保するために、貸与価格に上限を設定すると。それは全国の実勢価を調べて、平均価格プラス1標準偏差を上限に設定しようというような見直しが行われました。こちらは実勢価に基づく価格に対する関与という例です。

 14ページは他制度の例として、公共料金について御説明させていただきます。診療報酬や介護報酬についても、公共料金の1つだと考えられますけれども、診療報酬、介護報酬は一定価格ですけれども、そのほかに上限価格を設定することや、価格を変更するときに届出を出すというような方法が用いられております。15ページは、その公共料金の中でも電気料金とガス料金について御紹介させていただきます。こちらは原価を積み上げて、価格を決定しているというような例です。最近の電力自由化の流れによって、その積み上げるところに一部裁量で算定できるような項目があって、価格の引下げというものの動きも起こっております。

 16ページ、ワクチンにかかる費用の効率化を検討する際の視点として、簡単に紹介させていただきますけれども、視点の1つ目としては、価格の妥当性を表価する基準として、予見可能性を確保しながら説明責任を果たすことができる基準と考え方というものや、視点の2として価格に関与する方法について誰が関与するか、国か自治体かということや、不当な競争環境を生まない方法として買上げであったり法的な根拠の規定。視点の3として、制度の見直しによる影響などについて、特に安定供給も御紹介させていただきましたが、そういうところについて御留意いただきながら御議論いただきたいと思っております。17ページは今言ったことの繰り返しに近いですけれども、ワクチンの価格の適正化について、どのように考えるかについて御議論いただきたいと思います。

○田村予防接種室長補佐 続きまして、予防接種の費用に関する部分、接種費用の部分です。19ページを御覧いただきますと、下のほうに視点の➀としてワクチン費用、視点➁として接種費用とありますけれども、この➁の部分についてになります。

 20ページのワクチンの接種費用を御覧いただきますと、現在厚生労働省から総務省に地方交付税要求時に用いている問診料等の費用は、診療報酬の単価を参考に算出しているものです。またそういった定期接種に関する委託料自体は、各自治体と医療機関との間の協議の上、それぞれ契約を結んでいるというのが現状です。

 21ページを御覧いただきますと、これまでの問診等の接種費用に関する議論ということで、第二次提言あるいは基本計画の概要をまとめています。また以前こちらの部会において、同時接種時の費用の負担の在り方について議論があったということで、過去の議事録から引用しています。

 22ページは同時接種ということで、参考のほうに書いてありますけれども学会から同時接種をすることの有効性、安全性については問題ないのではないかということが示されています。他方、そうは言っても同時接種をするに当たっては、特に注意すべき留意事項として幾つかの点が掲げられています。また普及の現状として、数値的なものではないですが、以前部会の中で、7割程度大分普及してきているのではないかという意見を頂いています。

 23ページを御覧いただきますと、予防接種の実施手順ということで左側は実施要領を基に簡単に項目だけ出ていますけれども、対象者の確認や予診の一部については同時に接種するということで、重複する部分のあるのではないかということで記載されています。それらを踏まえて24ページで同時接種が浸透していく中で、実施回数が増加していることも踏まえると、同時接種を実施する際の予防接種に係る費用の在り方についてどう考えるかということで、論点を整理しています。

 またその後の参考資料ですけれども、26ページで参考資料、こちらは一部の自治体で、同時接種をする際に、接種費用分を一部減額して実施して契約しているという部分があるという、事例の紹介。27ページは、一方そういったことをしていない自治体の住民の中で、そういった算定、2回接種費用を取られるということが不合理ではないかという住民訴訟が起こされ、裁判所においてはそういった訴えは棄却されているといった裁判の事例を紹介しています。以上になります。

 続きまして➂、接種回数に関する検討というところですけれども、同じように29ページ(ワクチン費用+接種費用)×接種回数とするものだとすると、効率化という観点では接種回数でどういった論点があるうるのかということで資料を出しています。

 30ページは現状の接種スケジュールですけれども、単純に数が多いのではないかということで、実際打たれる方は大変だということで示しています。31ページはこれまでこういった接種回数を議論する場合には、混合ワクチンの開発でなるべく接種回数を減らして負担を減らせないかという議論が中心にされてきたと思っています。そういったことを資料として提示しています。

 32ページは個々の個別のワクチンの接種回数で、これまで他国あるいは他のWHOの推奨と比べて少ないものについて追加でやったらいいのではないか、やるべきかどうかというような検討はされてきたけれども、それよりも多いものについて減らすべきか、減らすことが可能かどうかという議論はあまり行われてきていなかったのではないかということで、WHO、英国と比べると1回接種が多い小児の肺炎球菌を例示として出しているといったものです。33ページはその肺炎球菌の感染症に関して、そのワクチンの接種率あるいは侵襲性の感染症の推移を示したものです。

 34ページは用法・用量ですけれども、現在初回接種で3回、追加接種で1回の計4回接種することになっていて、治験でももともとそういった臨床試験を組まれて効果が示されているといったものです。35ページでは一方、左側を見ていただくとWHO3回接種を推奨していて、グローバルには3回接種で実施している国が多い。また右側を見ていただくと、3回接種の有効性をWHOはレビューをしていて、十分有効性がある報告しており、また一部の国で2回接種で有効性が示されてたという報告もあることから、更に3回から2回に減らすべきかといった検討をしている国もあるといった事例の報告です。

 36ページです。それらを踏まえてワクチンの接種回数が増えている中で、被接種者や保護者の負担軽減という観点から、混合ワクチンの開発を引き続き推進することについてどう考えるか、そしてその有効性などを踏まえて、個別のワクチンの接種回数を見直すことの可能性について、どのように考えるかということで論点を提示しています。以上になります。

○脇田部会長 ただ今予防接種の費用の効率化ということで御説明いただきまして、非常に論点が広くなりますので、ワクチンの費用と接種の費用、そして接種回数というこの3点で御説明いただいたということになります。それぞれまとめが17ページと24ページ、そして36ページという所に整理をしていただいたところです。いかがでしょうか。まず釜萢先生。

○釜萢委員 申し訳ありません。次の会があります。まずワクチンの費用に関して、費用対効果の考え方を取り入れるということは、是非必要で大事だと思います。診療報酬における薬価の中医協における議論を見ておりましても、実はなかなかこの費用対効果をしっかりと検証するのは大変なことで、また薬価調査等も含めてかなりの手間暇が掛かるということがあります。そして診療報酬における薬価は、費用対効果を検討した上で、例えば市場が非常に急激に拡大した場合にどうするかというような、また別の枠組みもあって、それなりに機能しているわけです。ワクチンについても検討は是非すべきだと思いますが、まだ課題が多いと認識しています。

 今日、御欠席の坂元委員が書かれた文章を読みましたけれども、川崎の場合はワクチンを行政が買い上げて、医療機関に提供するということで、これは大変医療機関側からすると有り難いのですが、これができている自治体はかなり限られているのですけれども。坂元委員の文書の中に、それだけ頑張って川崎市が大量に購入しても、他の市町村と比べて、さして購入価格が下がらないのだということもあって、なかなかここは難しいと思います。ワクチンの価格というのは大変大事な要素でありますので、しっかり検討が今後も必要だろうと思っています。

 接種手技料に関する件も指摘を頂いています。その算定についての厚生労働省から総務省に対する地方交付税の算定の根拠というか考え方が示されていますが、この要請を受けて総務省がどう判断するか、そしてそれが地方交付税にどう反映されるかというところは、なかなかよく分からないところがあります。

 それと医療機関の側からしますと、小規模の市町村はなかなか予防接種に費用をかけられないので、この地域ではどうしてもこの価格でということで、提示されてそれを了承せざるをえない。住民にしっかり接種をするという強い使命感から、それはやむを得ないだろうとしています。実は接種料についてはずいぶん地域による違いがあります。裕福な自治体のほうが一般に高額で設定しているというところが多いので、全国これを統一するというのは難しいし、それぞれの自治体の御苦労があるということを指摘しておきたいと思います。

 同時接種については、接種を受ける方、あるいは保護者に対することを考えると、同時接種を是非推奨しなければいけないと思っていまして、それに協力をしてなるべく来院する回数を少なくするように、接種側は努力しているのです。同時接種の場合に重複してカウントされている費用があるのではないかという御指摘もあって、それは今後必要があれば発言したいと思いますけれども、同時接種は同時接種で様々な注意が必要で、十分な注意を払って、説明も十分行った上でやらなければいけないという面がありますので、幾つか重なったからということだけで一概には言えないかなということと、同時接種を是非推奨するという立場からすると、あまり同時接種がマイナスになってしまうようなことだと、同時接種の推奨がうまくいかないのかなというところがあって、その辺のバランスを見ながら今後議論をしていただきたいと思います。

 接種回数については、エビデンスの上でもっと減らしてもそれほど効果が変らないということが明らかになるのであれば、そのエビデンスに基づいて判断することができれば、今後検討してよろしいと思います。以上です、よろしくお願い申し上げます。

○脇田部会長 釜萢委員、御意見ありがとうございました。それでは池田委員お願いします。

○池田委員 ワクチンの価格に関してですけれども、坂元委員の提出資料の中にも書いていますように、「定期接種の対象となったワクチンについては、市町村がどのような価格でも購入する必要があり、売り手側に有利な価格形成メカニズムとなっている」という御指摘がありまして、私もそういうことが事実であろうと、そういう状況があると認識しています。そうなりますと、市場がきちんと機能していない限りは、価格を何らかの形でコントロールする必要があり、1つの方法は国が介入するということかと思います。

 薬価のように、値段を決めるということでは必ずしもなくても、定期接種の対象にするためには財政的な影響あるいは費用対効果の観点から、一定の上限価格を定めてそれを超えるようであれば、経済的には定期接種は難しいというような判断などもあり得るのかなと思っています。

 もちろん先ほど御指摘がありましたように、費用対効果というのはあくまでの推計になりますので、一定の不確実性を伴うのは事実ですけれども、不確実性のある中でもそれを総合的に判断して、意思決定に用いていくということは、これは各国行っていることですので、日本もそのようなことを積極的に進めていく必要があると、私は認識しています。 あと、ドイツのことについて10枚目で御説明いただいていました。これはどちらかというと、価格のコントロールはあまりよろしくないという例として御紹介いただいたのだと思うのですが、一方でドイツは費用対効果の分析を非常に積極的にやっている国でもあって、いわゆる疾病金庫・健康保険の立場と社会の立場、両方の分析というのを、非常にマンパワーをかけてやっているということも事実ですので、そういう意味ではドイツでは費用対効果とかそういうことを使っていないというのではなくて、むしろ積極的に使っている国だと私は理解しています。以上です。

○脇田部会長 池田委員ありがとうございました。それではその他にいかがでしょうか。宮﨑委員お願いします。

○宮﨑委員 直接の議論とはちょっとずれるかもしれませんけれど、今は、国が定期予防接種の枠組みを決めて、それを市町村が実施主体としてやっているわけですけれども、一部の意見としては国が実施主体となって、それを市町村が委託を受けてやるという、そういう考えもあるかと思います。長年今のやり方でやってきて、国として今のやり方のメリットデメリットを、どんなふうに捉えているのか、お考えをお聞かせいただけませんでしょうか。

○脇田部会長 こちらは事務局いかがでしょうか。

○林予防接種室長 ありがとうございます。いろいろな観点からの説明があると思いますけれども、地方分権というか行政の在り方として、地方でできることは地方でやっていくという流れが1つあると思います。それから、行政をやっていく上で、きめ細かな対応を住民の方にやっていくためには、やはり一番身近な基礎自治体でやっていただくことが懇切丁寧な行政につながるという視点もあると思います。

 一方で例えばこういう価格のコントロールといったことを考える場合には、買い手、つまり費用の負担者が1,700に分かれていることによって、費用の負担者が1つである場合よりも買う側の価格形成に対する介入力というのが弱まっているというのが、今回の議論の1つの論点なのだと思います。いろいろな観点からの見方があると思いますけれども、そういったことも含めてまたいろいろな御意見を頂ければと思います。

○脇田部会長 ありがとうございます。多屋委員お願いします。

○多屋委員 10ページに海外の例が3つ挙げられているのですけれども、例えばイギリスの例のように国で買い上げられるという方法。アメリカではVaccines for Children以外は保険だと思うのですが、例えばイギリスの例を日本で取り入れるというのは可能性としては考えられるものとして挙げていただいているのでしょうか。

○林予防接種室長 これは全てそれぞれの国の例を書いているわけでありますので、そこの部分だけをつまみ食いして入れるということは考えにくいと思います。それぞれの国の制度の中で形成されている方法だと思います。実施主体が市町村でありながら、国がワクチンだけを買うとか、そういうようなつまみ食いはなかなか難しいだろうと思います。

○脇田部会長 よろしいですか、現状は難しいと。

○多屋委員 難しいと。

○脇田部会長 よろしいですか、そのほか中山委員お願いします。

○中山委員 ワクチンの製造が非常に難しいから、なかなか新規には参入できないというのはよく分かるのですけれども、一方、一度作ったものは、生産について効率を高めて、いろいろ作り方も努力をして、普通の企業であればとにかく価格をできるだけ安くするというようなインセンティブが働くと思うのですが、ワクチンのメーカーの場合というのは、特に寡占状況にあるとそのようなことはあまりないのでしょうか。ワクチンを製造する立場から、効率化とか費用を下げることについてはどのようにお考えなのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

○脇田部会長 これはメーカーの方にお伺いしたいということですね。製造承認ということがあるので、なかなか難しいことがあるかもしれませんが、いかがでしょうか。

○石川参考人 メーカーの立場でお答えしますと、やはり安定供給のため、あるいは価格を下げるためにも、やはりスケールメリット等も当然ありますので、そういった改良も当然やっていまして、そうなってきますとやはり設備投資とか、そういうものがかさばってきて、価格の面でいうと、それを見なくてはならないということもあります。ですから。

○脇田部会長 必ずしも価格の低減につながらないという意味ですか。

○石川参考人 そういう意味ではスケールメリットとして安定供給等にはつながりますけれども、やはり設備投資等がかなりコストの中に占めてくるということはあります。

○脇田部会長 中山委員、今のでよろしいでしょうか。

○中山委員 門外漢なのでずれているかもしれませんけれども、たくさんの種類を作っていると、そういうお立場もよくわかるのです。ただこれだけを作っているというときは、普通は作業工程の見直しとか作業工程の効率化をすると、価格は普通は下がるのだろうと思うのですが、そういうことはあまりないのでしょうか。

○脇田部会長 お願いします。

○松本参考人 海外メーカーの立場からお話させていただきます。ちょっと歴史をお話しますと、以前は海外のワクチンメーカーもかなり安いワクチンを販売していました。数千円程度だったのです。そのときにやはり問題になったのは、ワクチンの市場が小さいものですから、なかなか企業が開発に投資しなかった。それでその当時、小児の肺炎球菌ワクチンが1万円という価格で販売され、ようやくこれで先々の投資効果が見える金額になったのです。それで多少は先進国では1万円の金額で販売しながら、次のワクチンの開発にも投資できる体制ができたのです。一方で、グローバルヘルスの観点から、発展途上国等には安い値段で販売したり、寄付の形で提供したりしながら、今ワクチンは世界でバランスを見ながら販売しています。安くすると投資できませんので、その分は発展途上国に何か寄与できないかということで、WHOはじめ、その傘下で日本の会社も入ってグローバル企業はそういう対応をしているところです。ですからある意味そういう面で努力をしているところがあると思います。直接費用を下げるうんぬんよりもです。

○脇田部会長 ありがとうございます。

○石川参考人 それといいですか、付け加えて申し上げますと、ワクチンの価格が非常に高いような議論になっていますけれども、種類がたくさんありまして、歴史の古いワクチンは中山先生がおっしゃるように長年作っていくと、コストが下がるのではないかという議論も確かにありますけれども、特に薬事規制も厳しい中、設備投資もする中で、過去の古いワクチンは価格的にも非常に安いままできているのですね。ですから将来新しいワクチンはそういういろいろなことを考えるでしょうけれども、これまでの経緯からいうと、製品によりますけれども、決してそんなには高くないワクチンも古いワクチンはたくさんあることも御理解いただきたいと思います。

○脇田部会長 ありがとうございます。宮﨑委員お願いします。最後に。

○宮﨑委員 多屋先生もおっしゃっていましたけれども、私たちとしては同時接種を行うことで、なるべく早く免疫を付けていくことを目指しているので、新しい接種費用の議論の中で制度設計していく場合、同時接種に対してマイナスになるような制度設計は避けていただきたいと思います。

 回数を増やす減らすは、やはり先ほど議論があったように、エビデンスに基づいて増やすべきものも当然出てくるでしょうし、無駄とは言いませんが不必要であればもちろん減らしていく。それが子供の利益になるだろうと思います。以上です。

○脇田部会長 ありがとうございました。それでは時間もまいりましたので、本日の議論はこの程度とさせていただきます。ただこの予防接種施策に見直しについての議論は、引き続きこの部会で進めていきたいと考えておりますので、委員の皆様には引き続きよろしくお願いいたします。ただ安定供給及び研究開発に係る審議につきましては、研究開発及び生産流通部会でも御議論いただいて、その結果も予防接種基本方針部会の審議で用いることとしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。ではそのように事務局のほうで対応をお願いしたいと思います。本日の議事は以上となりますが、今日は参考人の皆様にも御議論いただきまして、まことにありがとうございました。今後も引き続きこの部会では参考人の方にも参加していただいて、それぞれの立場から御意見を頂きたいと考えております。事務局から何かありますでしょうか。

○元村予防接種室長補佐 本日は、長時間にわたり活発に御議論いただきありがとうございました。次回の開催につきましては追って御連絡をさせていただきます。事務局からは以上です。

○脇田部会長 ありがとうございました。それでは本日の会議をこれで終了いたします。活発な御議論、誠にありがとうございました。