健康・医療医療行為と刑事責任

医療行為と刑事責任の研究会

「医療行為と刑事責任について(中間報告)」の公表について

 医療安全の研究領域においては、診療現場におけるエラーをいかに減らすか、またエラーが生じたとしてもいかに被害を減らすかという視点からの研究と対策が講じられましたが、刑事医療裁判件数の推移やその内容に着目した研究はほとんどなされておらず、医療事故に対する医師等の刑事責任の実態が明らかにされていないことが、医療界の不安感の一因になっていると指摘されていました。
 
 そこで、平成29年4月から、有識者による「医療行為と刑事責任の研究会」を開催し、刑事捜査、診療実務等の観点から刑事医療過誤裁判例の分析等を行っています。
 
 今般、これまでの研究結果について、臨床や刑事実務、学術的見地から広く議論する素材として供するべく、本研究会の報告書として公表することとしました。
 
 本研究会の考察の結果については、以下の<参考>でお示ししている記載のとおり、本報告書で示す傾向のみをもって刑事訴追の要否を判断することはできないことや、本報告書で示す表現が傾向を正確に反映しているかについてさらに詳細な検証を行う必要があるとしていることなどから、報告書においても、暫定的な中間報告と位置づけられているとおり、本報告書の内容が、刑事医療裁判の傾向を正確に反映しているかについては、今後さらに詳細に個別の事例の検証を行う必要があるものであることを申し添えます。


「医療行為と刑事責任について(中間報告)」の公表について

医療行為と刑事責任について(中間報告)

 
<参考>(「医療行為と刑事責任について(中間報告)」(15ページ)より抜粋)
「最後に、本研究の限界(解釈上の注意点)を以下に示す。
 
 本研究のコントロール群は、不起訴事例ではなく、診療関連死モデル事業の事例である。このため、両群間の因子の特徴の差異は、有罪・無罪あるいは起訴・不起訴の違いを反映するものではなく、刑事医療裁判例と、医療界において一般に診療に起因して死亡したと考えられた事例との特徴の差異を反映しているにすぎない。このため、本研究で明らかとなった両群間の特徴の差異は、刑事捜査や公訴提起の指標となるものではない。また、将来的に、本研究において言及した事例と同様の事案が発生した場合においても、その事案を刑事訴追すべきかについては、個々の事案に即して、その証拠関係に照らし、担当検察官の具体的な判断によってなされるべきであり、本報告書で示す傾向のみをもって、刑事訴追の要否を判断することができないのは、もちろんのことである。
 
 刑事医療裁判群については、「周囲の指摘や警告、院内のルール、当時の一般的な治療法等を無視し、あえて医学的な知見の裏付けのない行為に及ぼうとする心理」「本来、行うべき行為をうっかりして行わないような心理」を背景としていると思われる因子が特徴的であった。本研究会では、便宜上、暫定的に前者を「独善的な心理」、後者を「軽率的な心理」と表現して考察したが、こうした表現が傾向を正確に反映しているかについては、さらに詳細に各事例の検証を行う必要がある。」