第15労働政策審議会人材開発分科会 議事録

人材開発総務担当参事官室

日時

令和元年9月25日(水)10:00~12:00

場所

厚生労働省専用第22会議室(18階)

議題

1  令和2年度予算概算要求の概要について
2  テクノインストラクターの養成等に関する検討の状況について
3  労働政策基本部会報告書について
4  その他

議事

 

○小杉分科会長 定刻となりました。定足数に達していますので、ただいまから第15回労働政策審議会人材開発分科会を開催いたします。分科会に所属する委員の交代がありましたので報告いたします。使用者代表委員のイオン株式会社執行役人事・管理担当兼リスクマネジメント管掌の渡邉委員です。
 
○渡邉委員 ただいま御紹介を頂きました渡邉と申します。今回初めて参加させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 
○小杉分科会長 本日の出欠状況については、川﨑委員、上野委員、脇坂委員、臼田委員、美野川委員が御欠席です。なお、脇坂委員の代理として、熊野全日本自動車産業労働組合総連合会中央執行委員に御出席いただいております。
また、7月以降に人事異動があった事務局メンバーで、8月に開催された前回人材開発分科会に出席していなかったメンバーを紹介いたします。井内審議官です。釜石能力評価担当参事官です。佐々木海外人材育成担当参事官です。佐藤訓練企画室長です。
議事に入る前に、人材開発分科会はペーパーレス会議となっておりますので、皆様の目の前に置かれているタブレット端末により資料を御確認いただくことになります。端末の使用方法について事務局より説明をお願いします。

○河野人材開発総務担当参事官 厚生労働省では、審議会等のペーパーレス化の取組を推進しております。当分科会においても原則ペーパーレスで実施させていただきます。お手元にタブレットを置かせていただいております。使用方法については、操作説明書を机の上に配布しておりますが、委員の皆様におかれましては御不明な点、又は説明者がどこの資料を使っているか分からないという御照会がありましたら、近くに職員がおりますのでお声掛けいただければと思います。
基本的な動作について簡単に御説明いたします。お手元のタブレットに、既に第15回労働政策審議会人材開発分科会の資料が表示されるように設定してあります。各資料のアイコンを指で押していただくとこの資料が閲覧できます。別の資料を閲覧する際には、各資料の一覧が映し出されているフォルダに戻っていただいて、別の資料を押していただくということです。複数の資料を同時に閲覧することはできない仕組みになっておりますので御留意ください。説明は以上です。
 
○小杉分科会長 議事に移ります。最初の議題は、「令和2年度予算概算要求の概要について」です。内容の説明を事務局からお願いします。
 
○河野人材開発総務担当参事官 資料1の「令和2年度概算要求の概要について」を御覧ください。1ページは、人材開発統括官の概算要求の総額になります。令和2年度概算要求額は、総額2,939億円となっており、対前年度367億円の増額となっております。令和2年度においては、職業能力開発校の運営等に係る予算に加え、重点事項として、就職氷河期世代活躍支援、高齢期も見据えたキャリア形成支援に係る予算を要求したところです。
3ページ以降が個別の施策の具体的な内容となります。ポイントを絞って説明させていただきます。1の柱は、就職氷河期世代活躍支援プランの実施です。いわゆる就職氷河期世代は現在、30代半ばから40代に至っていて、雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った世代です。その中には、希望する就職ができず、現在も不本意ながら不安定な就労に就いている、無業の状態にあるなど、様々な課題に直面している方もおられます。このため、厚生労働省では本年5月に就職氷河期世代活躍支援プランを取りまとめ、令和2年度概算要求に盛り込んだところです。
(1)就職氷河期世代の方向けに、短期間で取得でき安定就労に有効な資格等の取得支援を実施することとしております。これは、人材ニーズの高い業界団体に委託をし、訓練と職場体験等を組み合わせ、正社員就職を支援する出口一体型の訓練を行うこととするものです。さらにこの資格取得コースにおいて、非正規雇用労働者が働きながら受講しやすい夜間、土日やeラーニングといった訓練を提供することにしております。また、雇用保険が受給できない方を対象に行っている求職者支援訓練コースについて、コース設定の要件緩和等を行うこととしております。
(2)就職氷河期世代向け雇い入れ助成金の拡充をいたします。正社員就職が長続きしない方や非正規雇用を繰り返す方を雇い入れた企業への助成金について、要件等を見直し拡充することとしております。
(3)地域サポートステーションの拡充、強化です。全てのサポステにおいて支援対象を40歳代まで拡大するとともに、潜在的要支援者把握のための、福祉機関等へのアウトリーチ展開を行う人材の配置などを新たに盛り込んだところです。
(4)積極的な広報です。就職氷河期世代の御本人やその家族、関係者に対して国の各種支援策についての周知を行うため、インターネット広告、SNS広告等のメディアなど、様々なルートを通じた広報を実施することとしております。
4ページで2番目の柱です。高齢期も見据えたキャリア形成支援の推進です。高齢化の一層の進展等に対応するためにも、より多くの人が意欲や能力に応じて社会の担い手として長く活躍できる環境整備が必要であることから、必要な支援を予算要求に盛り込みました。
(1)労働者のキャリアプラン再設計や企業内のキャリアコンサルティング導入等を支援する拠点の整備です。この取組を支援するために、キャリアサポートセンターを整備し、労働者及び企業に対しキャリアコンサルティングを中心とした総合的な支援の実施や、労働者等に対しては、特に中高年齢層に対して、キャリアの棚卸しや高齢期を見据えたキャリアプラン再設計について、ジョブ・カードを活用しながら支援することとしております。
(2)65歳超の高齢者の継続雇用支援のため、生産性向上人材育成支援センターによる、各企業の実情に応じたオーダーメイド型、レディメイド型の退職者向け訓練を実施いたします。
(3)からは、リカレント教育を推進していくための要求となります。ハロートレーニング(公共職業訓練)において、国家資格の取得等により、正社員就職を実現する長期の訓練を推進いたします。また、長期の教育訓練休暇制度を導入し、一定期間以上の休暇取得実績が生じた事業主等に対して助成金による支援を実施いたします。また、中小企業や製造現場等で働く人向けのIT理解・活用力習得のための職業訓練コースについて、全国の生産性向上人材育成支援センターなどで実施するために必要な予算を要求しております。
5ページで3番目の柱です。技能五輪国際大会等に向けた選手強化のための必要な経費を要求しております。
4番目の柱は、障害者の能力開発関係です。障害者職業能力開発校において、「職業訓練上特別な支援を要する障害者」に重点を置いた職業訓練を実施いたします。また、精神障害者等の受入体制を整備するため、一般校である職業能力開発校において、精神保健福祉士等を配置するなどの要求をしております。
6番目の柱は、ハロートレーニングです。地域のニーズに対応した効果的な訓練を推進するため、来年度も引き続き必要な予算を要求しております。
最後は、第2で書いてある外国人技能実習です。制度の適正な運用を図るために、監理団体・実習実施者に対する実地検査及び外国人技能実習生に対する相談援助等を実施する外国人技能実習機構の体制強化等のための予算を要求しております。説明は以上です。

○小杉分科会長 ただいまの説明について、皆様から御質問、御意見をお伺いします。いかがでしょうか。小倉委員どうぞ。

○小倉委員 2点について質問させていただきます。3ページの上段、就職氷河期世代活躍支援プランの実施の部分に関連し、建設分野についてお話をします。建設分野は、他の業種よりかなり高齢化が進んでいるということもあります。その一方で離職率の高い産業です。また、有効求人倍率もかなり高止まりしているということです。就職氷河期世代に対する支援は非常に重要ではあるわけですけれども、その一方で、建設分野の特性を踏まえて、若年者を含めた他の世代の正社員化に対する支援が必要ではないかと思っています。厚生労働省としてのお考えを聞かせてください。
2点目は、5ページの上段です。技能を尊重する気運の醸成ということで、技能五輪国際大会の予算が概算要求に盛り込まれたということです。既に御案内のとおり、8月にロシアのカザンで開催されたWSI総会において、2023年の技能五輪国際大会招致の投票が行われました。残念ながら日本の招致は実現に至らなかったということです。今回の経験を踏まえて、ものづくり立国として改めて将来的な招致、あるいは必要な予算措置が必要ではないかと考えておりますけれども、その点についてお考えを聞かせてください。

○小杉分科会長 事務局からお願いします。

○福岡企業内人材開発支援室長 1つ目の、建設労働者の人材育成については、平成27年度から本年度までの5年間の時限措置ということで、建設労働者緊急育成支援事業というものがあります。これは先ほど説明のありました、就職氷河期世代向けの短期資格等取得コースと同様に、職業訓練から就職支援まで一体としてやっている委託事業です。これが今回終期になります。令和2年度についても、この短期資格等習得コースはあくまでも就職氷河期世代ということになりますので、これ以外の年齢層、委員御指摘のとおり建設業については、有効求人倍率も高止まりしております。実際これまでの4年間やってきた事業の実績については、業界団体・企業から評価を頂いております。これを踏まえて、令和2年度については資料にある短期資格等習得コースの他に、就職氷河期世代以外の若年労働者、若しくは高齢者を対象とした、現行事業を時限延長するような形で3年間しっかりと実施していきたいという要求をしております。この要求が認められるよう、しっかり努めてまいりたいと考えております。

○釜石能力評価担当参事官 2023年技能五輪国際大会の招致については、昨年10月にオランダのアムステルダムで開催されたワールドスキルズ・インターナショナルの総会で正式に募集がなされ、日本はその前から招致活動に取り組んできました。小倉委員御指摘のとおり、カザンでの開催地決定投票で、日本はフランスに破れて招致はならなかったということです。この招致が実現できなかったことについては大変残念に思っております。また御協力を頂いておりました関係団体の皆様には深くお詫び申し上げます。
技能五輪国際大会の招致に関しては、愛知県が再度招致に取り組みたいという意向を示しているということを承知しております。まずは今回の結果についてしっかり分析し、10月に開催予定の第5回2023年技能五輪国際大会招致委員会において、委員の皆様方からの御意見も頂きながら、今後の予算措置も含め、方針を検討してまいりたいと考えております。

○小杉分科会長 他にありますか。松井委員お願いいたします。

○松井委員 2点あります。1点目は、4ページの2の(1)にキャリアサポートセンターを整備するということが提起されています。これがどういうものかイメージが湧きません。例えば、47都道府県にハコモノ的なものと言うか、それぞれセンターを設置するというようなことなのか、あるいは民間に委託するのか、具体的なイメージがあればお聞かせください。
2点目は、同じページの(3)長期の教育訓練休暇制度の助成金についてです。昨年こうした助成金ができて、3年たって実績が出たら助成をするということで説明いただいたと記憶しています。来年度にそのような助成をするような案件が発生するのかということについてお聞かせください。

○小杉分科会長 事務局から、キャリアサポートセンターについてお願いします。

○山本キャリア形成支援室長 1点目は、キャリアサポートセンターについてのイメージをというお尋ねでした。これは、民間の事業者に委託をするスタイルで実施するつもりのものです。サービスは全国カバーするということです。今後提案を頂くということで、拠点の数自体は今後ではあるのですけれども、数十といった数が念頭にありますが、サービスのカバーは全国ということです。
内容は、企業が行う企業内のキャリア形成の支援の相談に応じる、あるいは、労働者向けのサービスに少し力を入れようかとも思っております。特に、中高年齢層、あるいはシニア層を対象にキャリアの棚卸しをする。いろいろ能力開発を促すといった相談に応じるということで、高齢期を見据えたキャリアプランの再設計に軸足を置いてやっていくサービスの拠点になります。

○小杉分科会長 ということは、ハコモノではないということですね。

○山本キャリア形成支援室長 委託の事業ですので、そういう意味ではサービスの拠点はありますが、ハコモノを建てるというものではありません。

○小杉分科会長 では、もう一点。

○福岡企業内人材開発支援室長 2点目の休暇制度の関係です。委員から御説明のありました3年間の休暇実績を踏まえて支給を行うというのは、ここに書いてある長期の教育訓練休暇制度とは別に、短期の休暇制度です。これは平成30年度に創設をして、3年間に5日以上の休暇を取得した場合の制度導入助成です。これは、令和3年度から支給が出てくる状況になります。
ここに記載している長期の教育訓練休暇制度については、本年度から新設したものです。これについては、休暇の実績を踏まえて、今年度の後半のほうになってくると思いますけれども、支給の実績が出るのではないかということで予算計上しています。ここに書いてある金額については、長期の教育訓練休暇制度以外の人材開発支援助成金も含む額ですので、その点は御理解のほどお願いいたします。

○小杉分科会長 村上委員お願いいたします。

○村上委員 私からは意見と質問です。1点目は、3ページの就職氷河期世代活躍支援プランの「(1)短期間で取得でき安定就労に有効な資格等の取得支援」の下のほうに、求職者支援訓練において、「訓練コース及びマルチジョブホルダー・非正規雇用労働者など在職中の方等を対象とした訓練コースについて、コース設定の要件緩和等を行う。」と書いてあります。また、説明資料の7ページに図が出ていまが、マルチジョブホルダーのことは特段書かれていないので、「コース」や「要件緩和等」についてもう少し具体的に教えていただければと思います。
もう1点は、同じ就職氷河期世代への支援についてです。毎回サポステの話が出てくるときに申し上げていることです。サポートステーションに、若者対策であるとか就職氷河期世代への支援など様々な役割を担っていただくという割には、これで予算は十分なのかという疑問を持っています。これは以前にも申し上げたことなのですけれども、サポートステーションへの予算というのは単年度ごとになっているため、長期の事業の見通しも立たないとか、あるいはサポートステーションの担い手であるNPO法人の運営も厳しいというお話を以前から伺っています。いろいろな場で申し上げてきていることですが、なかなかその改善がされないということがあります。これだけ多くの施策をやっていただくということであれば、もう少し予算面での工夫をしていただけないものかという意見です。その点を御検討いただければと思います。

○小杉分科会長 最初に、マルチジョブホルダーについてお願いします。

○佐藤訓練企画室長 1点目の御質問についてです。ポンチ絵が付いているのは、3ページの(1)の前段部分についてのみ説明をしているポンチ絵です。後段の求職者支援の関係はまた別の中身になっています。どんな中身かと申しますと、基本的にマルチジョブホルダーの方は、仕事をしながら訓練の機会を持ちたいというニーズもあるわけです。今の求職者訓練の時間は1日5時間以上でないと駄目という基準があります。そうすると、働きながらだとなかなか受けられないということもありますので、1日5時間以上という基準を3時間以上でもいいということにしたり、月100時間以上ないといけないというのを80時間あればいいという形で要件を緩和する。求職者訓練として認められる訓練の要件を緩和することによって、マルチジョブホルダーのような方でも受けやすいようなものにしていきたいと考えております。

○村上委員 その要件の緩和というのは、恐らく制度の改正になるのかと思いますが、また別途議論をするということなのでしょうか。どれだけ求職者支援でのニーズがあるのかというところがよく分からないこともありますので、短いコースを作ればそれでいいのかというところは、慎重に議論したほうがよいのではないかと考えています。

○佐藤訓練企画室長 いずれにしても、最終的には省令の改正になりますので、その時点で、またしっかりと実績を踏まえて御議論を頂きたいと考えております。

○小杉分科会長 地域サポートステーションについてお願いします。

○篠崎若年者・キャリア形成支援担当参事官 地域サポートステーションの関係です。御指摘として、様々な若者、それから就職氷河期世代ということで、サポステの役割が重要になっているというのは御指摘のとおりだと我々も考えています。その上で、単年度ごとであるとか、担い手の育成が単年度だとしづらいという御指摘も頂いているのは承知しています。大きな仕組みとしては、単年度ですが価格のみではなくて技術的な部分、総合評価方式ということで、価格だけではない形で評価をするということの工夫をしているところです。
また、一方で単年度ごとという制約も委託事業ですので出てくるわけです。担い手の育成が難しいというのは常に言われていますので、研修の機会にそういうものをやるというのは少しずつ工夫はしておりますが、正に課題だと承知しております。就職氷河期世代のモデル事業としては、今年度は12か所ということですが、複数年契約、これはモデルを検証するという形でやっておりますが、そういう工夫はさせていただいております。

○小杉分科会長 他にありますか。小松委員どうぞ。

○小松委員 令和2年度概算要求では、就職氷河期世代活躍支援が重点項目の一番目におかれており、資格取得などの支援策を充実・強化していくものと理解しております。中小企業としても、就職氷河期世代の方が資格を取得していると採用しやすいという声もあるので、資格取得の推進は有効な施策と考えます。
資格取得はもちろん重要ですが、引きこもっていた方とか、社会と接点を持ってこなかった方の中には、スキルだけでなく社会人としての基礎的な教育なども必要のように企業としては日頃感じています。地域若者サポートステーションの対象年齢を40歳代拡大に加え、サポートステーションのプログラムの1つとして取り入れることも検討いただきたいとと思います。
また、就職氷河期世代活躍支援は、誰が対象か、どういう状況にあるのかが割と曖昧というか、はっきりしていない部分も感じております。今回の支援策には雇用保険二事業の保険料が活用されるということなので、実際にどういった方が対象なのかとか、実際にどういう方が就職されたのかという適切なKPIの目標設定と実績把握を行い、PDCAを回して効果検証していくことが重要だと考えています。

○小杉分科会長 事務局から、対象者層について何かありますか。

○河野人材開発総務担当参事官 就職氷河期世代の対象者ですけれども、おおむね1993年(平成5年)から2004年(平成16年)に学校卒業期を迎えた世代を指すという形で整理をしております。30代半ばから今では50代近い40代というところで捉えております。御指摘にありましたように、雇用保険二事業の財源を効率的に使って事業を実施していくという観点から、今後目標設定等もきちんと適切に実施しながら進めてまいりたいと思っております。

○小杉分科会長 サポステでの社会性トレーニングみたいなことについてお願いします。

○篠崎若年者・キャリア形成支援担当参事官 サポステには様々なメニューがあります。就職氷河期世代あるいは就労経験が余り長くない方が入ってきますので、同じプログラムでいいのかというのは、サポステの中でも議論していると聞いております。できるだけその人に応じたプログラムが設定できるようにということは考えております。

○小杉分科会長 玄田委員お待たせしました。

○玄田委員 質問と意見があります。村上委員がおっしゃったポンチ絵との関係で、私も気になっているところがあります。まず資格取得を促進するという趣旨は賛成です。このポンチ絵の例を見ると、私のやや偏った見方なのかもしれませんが、比較的男性が取得する傾向の強い資格が例示されているように感じます。就職氷河期世代の問題というのは、決して男性だけの問題ではなく、女性でも非常に不安定・無業における状態にある方も少なくないように思います。具体的な資格の、こちらをと申し上げられなくて恐縮ですが、こういう資格取得の事例だけ挙げると、なんとなく男性の就職氷河期世代に対象が集中しているのではないかという誤解のないように是非説明等を工夫していただくことをお願いします。
在職者の氷河期世代についての書きぶりないし内容というのは、若干違和感があります。マルチジョブホルダー・非正規雇用者の在職中の方に訓練コース、要件緩和というのが書いてありました。それはそれでいいと思うのですが、ポンチ絵を見るとそういうのが全くなくて、在職者についての一番下に、「必要に応じて雇用事業所において、OJTを実施等」と書いてあります。ポンチ絵の説明と、2ページの説明が食い違っているように見えます。
加えて、在職者が正社員転換するということは、就職氷河期世代にとっては非常に重要で、35歳から44歳のパート・アルバイトが今の段階で200万人を超えているわけですから、この部分がどれだけ正社員転換できるかというのは、政府の掲げている3年間で30万人正社員計画のコアの部分だと思います。
OJTを実施するということの効果も大事なのですが、恐らく正社員転換の鍵になっているのは資格がないということもそうですし、まずきっかけがない。正社員にしてもいいかなと思っているのだけれども、もう一押し二押し欲しいと思ったときに大事なのは、資格取得と同時に、例えばキャリアアップ助成金のようなものを就職氷河期世代に向けて、この際大幅に就職氷河期世代に集中して正社員転換を進めていくのだと。30代、40代前半でパート・アルバイトの人が、今の人手不足の中もあって、外食産業などを含めて正社員転換を、キャリア形成助成金をある意味で大幅緩和してやっていくことも必要なのではないかという感じを、この図を見て改めて持ちました。
今回は人材開発分科会なので、キャリアアップ助成金は直接関係ないのかもしれませんけれども、その辺りは是非キャリア形成支援室もいらっしゃるわけですから、資格取得と同じに、キャリア形成助成金のような、正社員転換ということとうまく組み合わせてやっていくのだと。場合によっては3年間、就職氷河期世代向けに大幅に要件緩和をして、30代、40代でも正社員になれるのだという希望を就職氷河期世代に与えていくということは、就職氷河期世代だけではなくて、ポスト就職氷河期世代にとっても非常に大きなメッセージになると思います。その辺りは是非、開発分科会と安定分科会で連携しながら詰めていっていただきたいという意見です。

○小杉分科会長 意見ということで、特に回答は求めないということですが、事務局から何かコメントはありますか。

○河野人材開発総務担当参事官 1点目の短期資格等取得コースで例示しております業界団体については、先生がおっしゃったような印象を持たれるところもあるかもしれません。できるだけ幅広い業界団体にこの事業を受託していただけるように考えてまいりたいと思っています。男性、女性ということもあるでしょうけれども、男性だからこれでいいということでも必ずしもないと思いますので、そこは考えていきたいと思います。
2点目の在職者である就職氷河期世代への支援に関してです。キャリアアップ助成金も非常に重要な施策だと思っております。関係局とも十分連携しながら進めてまいりたいと思っております。

○福岡企業内人材開発支援室長 先ほど委員からありました、キャリア形成助成金ということで、これは人材開発向けのコースです。現在は人材開発支援助成金ということで改組されていて、正に私の所で所管しているものです。これについては、非正規雇用労働者の正社員転換、若しくは処遇改善を目的としたoff-JT、若しくはOJT訓練に対する企業に対する助成ということで、現在は特別育成訓練コースというものがあります。実績も大分出ておりますので、これについても今後企業の方にいろいろニーズなどをお聞きしながら、先ほどお話のあった要件緩和も含めて検討してまいりたいと考えております。
もう一点は、就職氷河期世代の短期資格等習得コースの関係で、冒頭に申し上げたとおり、建設業については大体同様のスキームで、この事業も現在5年目の実施をしております。建設業の場合は、ここのポンチ絵に書いてあるとおり、小型クレーンであるとかフォークリフト、あるいは重機の運転の資格を取得して、それを就職に結び付けていくというのがあるのですが、これは女性も多数出てきております。女性限定の訓練の機会なども設けております。今度の新しいコースなども、そうした形での運用ができるのではないかということで1つ付け加えさせていただきます。

○玄田委員 御説明ありがとうございました。もう一点はやや超越的になるかもしれませんが、先ほど小松委員がおっしゃったことと関係します。就職氷河期世代の引きこもり等長期無業者の支援のときに、統計がないのであくまで類推でしかないのですけれども、長期の無業者、引きこもりの場合には自動車運転免許を持っていないケースも少なくないような印象があります。恐らく多くの職業に関しては、自動車運転免許という、普通乗用車の運転免許を持っているというのは必須なので、この部分が特に地方の人たちにとっては大きな壁になっている可能性があります。その辺りは本当はちゃんと研究しなければいけないのです。
本当に必要なのは、もっと基本的な資格がないということで就職の壁になっているとするならば、検討すべきかどうかすらもよく分かりませんけれども、もう少し根本的な、普通自動車の運転免許の資格を取得するぐらいのことを考えないと、もしかしたら引きこもり支援には届かないかもしれないというようなことを意見として申し上げます。

○小杉分科会長 よろしいでしょうか。私も最後にちょっとだけ。就職氷河期世代の方の正社員化は重要だと思うのです。この世代の非正規の方、あるいは無業の方が正社員になりたいと思っているかというと、決して全ての方がそうではなくて、割合からすればたしか3割ぐらいでしたでしょうか、その程度になります。そうでない方は一体どういうことが課題なのか。私は、それ以外の様々な要因から、今の短時間・短期間の働き方のほうを選択している可能性もあると。本当はもっと収入がなければどうしようもないのだけれども、今はこの働き方でしようがないというような事情もあるのではないかと思います。
そういうことで、この30万人正社員計画をうまくやるためには、希望しているというように表明はしていないけれども、何らかの障害と言いますか、フルタイムで働くためには何らかの差し障りを持っている方に対し、その差し障りについてきちんと人材開発という支援だけではなく、他の支援と組み合わせてうまくやっていけるような可能性もあるのではないかと思います。そういう意味でキャリアサポートセンターはとても大事だと思っています。そこで幅広く、職業キャリアだけではなくて、生活全体についてまでもある程度幅を持った支援をして、正社員に向けて一歩踏み出してもらえるようなこともできるのではないかと思いますので、これらの支援の連携を期待したいと思います。以上、私からのコメントです。他にはよろしいですか。それでは、この議題はここまでとさせていただきます。
議題2は、「テクノインストラクターの養成等に関する検討の状況について」です。事務局から説明をお願いします。

○佐藤訓練企画室長 資料番号02をお開けください。2ページ目を御覧ください。まず、テクノインストラクターというのは耳慣れない言葉ですが、職業訓練指導員という資格がありまして、各地の職業能力開発校、職業訓練をする施設において、職業訓練を指導するには職業訓練指導員という資格が必要です。基本的には、都道府県の県立の訓練校とか、高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)で設置しているポリテクセンター、ポリテクカレッジなどで教えている方は、漏れなく職業訓練指導員、テクノインストラクターという資格をもって教えているというものです。
こちらの職業訓練指導員の方々ですが、特に都道府県の指導員の方々は相当高齢化が進んでいまして、今後10年で、約2,000人ぐらいの方々が退職されるということが見込まれる中で、これだけの指導員の数を確保していくということが課題になっているというところです。
課題の所に書いていますが、今後10年で約2,000人を確保・養成しないといけないという中で、質も担保しなければいけない。そういう中で、2ページの一番下の所ですが、訓練に関係する都道府県の方々、機構の方、厚生労働省と集まりまして、どのようにすればより多く養成できるか、質を担保した上で養成できるかということについて検討をしてきました。その中身について、ある程度まとまりましたので、御報告させていただくというのが今回の御報告です。
3ページを御覧ください。今、職業訓練指導員の養成がどういう仕組みで行われているのかというのが、左側の「平成30年度まで」という図になっています。現在、この職業訓練指導員の養成というのは、小平にある職業能力開発総合大学校という所で行っています。大きく分けて2つの課程がありまして、長期養成課程という原則2年のコースと、短期養成課程という原則1年のコースです。
この長期養成課程の2年間というのは、基本的に4年制の大学を出た後に大学院のような形で入っていただいて、2年間、場合によっては1年間で資格を取っていただくというようになっています。
ここに「区分」という所がありますが、幾つかパターンがありまして、まず1つは、この職業大の総合課程というのが、正に普通の大学の4年間の課程になるのですが、4年間の課程を終わって、大学院のような形でこの長期養成課程に1年入っていただくと、この専門課程の担当資格というのが取れるというのが今の仕組みです。
次に「能開大応用課程」と書いてありますが、ここは各地に10校ほどポリテクカレッジというJEEDが設置している大学校なのですが、こちらは指導員ではなくて、ものづくり人材を養成している大学校です。ここの4年間を修了して、今度は小平の長期養成課程に1年間通っていただくと、こちらも専門課程担当資格という指導員免許が取れるというのが今の仕組みです。
最後、普通の大学の工学部の4年制課程を修了した方については、終わった後に2年間通っていただいて、指導員の資格、専門課程担当資格というものが取れるというのが現在の仕組みです。
一般の大学の修了後、何で2年間かかるかと言うと、職業大とか能開大については、基本的に普通の大学の課程よりも実習を相当多くやっておりますので、そこについて差を埋めていただくという意味で、一般の大学の4年生の方については1年間長くなっているというのが現状です。
ここで取れる「専門課程担当資格」と書いてありますが、職業訓練については、普通課程と専門課程という種類がありまして、通常の県の職業訓練などで一般的によく行われているのは普通課程というもので、専門学校のような形で2年間ほど職業訓練をしていただくというものです。それよりも高度なものとして、専門課程の職業訓練というものがございまして、こちらは都道府県でも設置していますし、機構でも設置していますが、職業訓練短大というものがありまして、そういう所で教える資格というのが、この専門課程の資格というもので、この長期養成課程を終えると普通課程と専門課程の両方の資格が同時に取れるというのが今の仕組みです。
その下の「短期養成課程」という所です。こちらは実務経験のある方に、教え方、指導力を身に付けていただいて、指導員免許を取っていただく。こちらで教えられるのは、あくまで普通課程のみということになっています。これが現状というところです。
長期養成課程の所を御覧いただければ分かるとおり、4年制の課程を終わってから更に1年間とか2年間学んでいただかないと取れないという中で、基本的に工学系の方々、特に職業大とか能開大の卒業生というのは、企業から引く手数多になっておりまして、なかなかこちらの長期養成課程まで進んでいただけずに、そのまま就職してしまうということがありまして、内定が少ないというのが今の状況でして、これを少し見直したいということで見直し案が右側にございます。
「平成31年度以降」という所で全体の見直しを行う中で、まず職業大の総合課程につきましては、4年間通う中で、プラスアルファ指導力の習得コースというものを取っていただくことによって、指導員免許を4年間の中で取ってもらえるという形に今年の4月からしております。大学の教職課程のようなものをイメージしていただくと分かりやすいかと思いますが、いずれにしても、職業大の総合課程については、同じ職業大でやっていますので、4年間通う中で追加で短期養成課程を取ってもらえれば、4年のうちに指導員免許を取って卒業できるという仕組みに今年の4月からしております。ただ、もともと1年間フルに詰め込んで、やっと取れた資格を4年間の中で、更にプラスアルファで詰め込みますので、専門課程のところまでの養成は難しいということで、4年間が終わった時点で取れるのは、あくまで普通課程だけを教えられる指導員免許になるというのが、今年の4月から施行済みというところです。
次が、残りの能開大の4年制の卒業生や一般の大学の工学部の4年制の卒業生についても同じように、今まではそれぞれ1年、2年通ってもらわないと取れなかったものを、短縮をしようと考えております。もともと職業大の学生の場合は、同じ職業大でやっていますので4年間の中で取れるわけですが、こちらの場合は組織が違いますので、やはり1度卒業してから来ていただかないといけないという中で、その後の期間をなるべく短くしようというのが、今回の案の1つ目ということになります。こちらも先ほどと同じように、早く取れる分、取れる免許はあくまで普通課程を教えられるものだけになるということです。
では、専門課程を教えられる人材をどうするのかというのが、その右側の所です。正に、普通課程の指導員免許を取っていただいて、普通課程の所で教えていただきながら、3年か5年ぐらいたったところで専門課程の担当資格を、長期養成課程の研修を受けていただいて取っていただくということにしたいと思っています。こちらも、県の方々からは、なるべく現場を離れずに済むようにしていただきたいという御要望もありましたので、OJTのようなものを含められるのであれば含んで、なるべく現場を離れる期間を少なくして、専門課程の免許を1回就職した後に取れるような形にしたいと考えています。今回、県の方々、機構の方々を含めて御議論いただいて、見直すとしたらこのような形がいいのではないかというのが、今回の詳細検討内容②というところです。
5ページを御覧ください。この議論の中で、今までは職業大で1年間の課程が終わる瞬間に普通課程と専門課程と両方の資格が取れて、その後は特に更新期限などもありませんので、基本的には、卒業して取ってそのままというのがキャリア・パスだったわけですが、今回こういう仕組みにすることによって職業訓練指導員のキャリア・パスが変わるということで、こういうのもまとめることが必要なのではないかということを検討会の中でも御議論いただきましたので、こちらもまとめています。
先ほども申し上げましたが、まず指導員免許を取るときには普通職業訓練の指導員免許だけを取ってもらい、そこである程度各職業訓練施設、職業能力開発施設で訓練を指導してもらって、その経験を踏まえて専門課程を取っていただくという形のキャリア・パスを考えています。その上で更に高度なものをやりたいという方に関しては、高度養成課程のようなものもありますし、ほかの職種の免許も取りたいというような方に関しては、職種転換というのは今でも用意していますが、こういうような形で職業訓練指導員のキャリア・パスというのを考えていきたいと。
次の6ページを御覧ください。今回は御報告ですが、こちらを踏まえて、この後、省令改正をさせていただきたいと考えています。また、この場で御議論いただきたいと思っています。その際に、どのようなイメージになるかというのが、この6ページの所です。
「現在」という所に赤枠で囲っていますが、職業訓練指導員の指導員養成訓練を長期養成課程と短期養成課程とに2分しておりますが、これを下のほうに書いてあるとおり、普通職業訓練の指導員養成課程と高度職業訓練の養成課程というように分けた上で、それぞれのコースを書いていくというような形で分類していくことになろうかと考えています。今後詳細を検討しまして、また、この場で御議論いただければと考えています。
7ページを御覧ください。今まで職業大での養成をどうやって増やすかというお話をしてきましたが、この左上にあるとおり、職業訓練指導員の資格を取るのには幾つかルートがありまして、①②③とあります。まず、職業訓練指導員試験というものがありまして、この試験に合格していただくというものがあります。あと、技能検定に合格して、その後に厚生労働大臣が定める48時間の講習(通称「48(よんぱち)講習」)を受講していただきます。もう1つが、先ほど申し上げた職業大での指導員養成訓練を受講していただくことです。
この技能検定の後の48講習ルートについて、指導員免許の職種が全部で123あるのですが、対応している検定職種が82職種しかないという中で、残りの免許職種について、もし技能検定と同視できるような社内検定などがあるのであれば、そういうルートも技能検定と同様に認めていいのではないかというのも、この会議の中で御議論いただいております。ここについては、いろいろと検討しなければいけない部分があるとは思っておりますが、我々としても中長期的に前向きに検討させていただきたいと考えております。今回の内容に入っておりますので、併せて御紹介させていただきたいと思います。私からの紹介は以上です。

○小杉分科会長 それでは、この件につきまして皆様から御意見、御質問をお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○正木委員 テクノインストラクターの方の、5ページのキャリア・パスについてです。ウェブサイトで公開されているテクノインストラクターのインタビューなどを見てみました。改めて、この方々のモチベーションとか、働き手としてのエンゲージメントがどうやったら高まるかという観点で考えてみて、それが上がると、当然この職業の魅力が高まるので、テクノインストラクターになってみようと思ってもらえるのだと思うのです。エンゲージメントを高める、インストラクターとして働いて得られる喜びは、教え子たる離職者の方々が学んだ技能をいかして、社会で活躍することを見ることだと思うのです。
技術がいかされるとか、教えるということをどうやって高めていくかということを考えてみると、例えば今後の課題に位置づけられているようですが、テクノインストラクターに留学の仕組みはないのでしょうか。例えば海外の職業訓練機関と交換留学協定のようなものを結んでいただいて、インストラクターの方が中堅・ベテランとか、若年・中堅層と書いてある、ステップ2、ステップ3の段階で、ドイツに行ってデュアルシステムの中で勉強してみるとか、アメリカのコミュニティ・カレッジでもいいと思うのですが、そうした海外の職業訓練・教育機関に行ってみて、自分の使っている技術が世界でも通用することを再確認したり、こういう技術を逆に教えれば、世界で活躍できる人材を生み出せるのだと発見したりすることは有意義だと思います。たまには教えられる人の気持ちになってみるとか、ほかの国ではどのような教え方をしているのかを見て刺激を受けて帰ってくるとかいう効果もあります。留学といってもお金のかかることなので年に1人とか2人しか出せないかもしれないのですが、そういったことを考えるというのは非常に重要ではないかと思います。
世界から日本を見るのは、先ほどの技能五輪の話でもありましたが、技能を持っている方にとっても重要だと思います。キャリア・パスと言うと、ここに書いてあるのは資格を取るまでをすごく短くすることで、一番入り口に近いところの対策ばかりですが、職業の魅力を高める、エンゲージメントを高める意味では、将来このようなこともできるという、魅力を高めたらいいかなと思いました。

○佐藤訓練企画室長 ありがとうございます。御指摘いただきましたとおり、正に職業としての魅力を高めることが人材を確保するための一番の手段だと思っております。
ただ、留学については、正直申し上げますと、テクノインストラクターの方々はどういう方々かと言いますと、県に採用された県の職員であったり、機構に採用された機構の職員という形です。それぞれの仕組みの中で、そういう仕組みがあるというのは聞いたことがないのですが、そういうところまで行き届いていないというのが現状かと思っています。
すぐに留学というところまでできるかというのはあるのですが、いずれにしましても、御指摘いただきましたように、いろいろな形でこの職業の魅力は増やしていかなければいけないというのは常に考えていきたいと思います。

○小杉分科会長 ありがとうございます。そういう建設的な御意見です。

○玄田委員 私も正木委員の意見に触発されまして、まず、この改正自体は、是非進めていただくのが望ましいと思っています。
もともと、この問題の発端というのが、定年を迎える人たちが10年以内にこれだけ多いということなので、そもそも定年制の在り方自体を考えなければいけないのではないかと。人間国宝の方々というのは、生涯現役の方がたくさんいらっしゃるわけで、テクノインストラクターの中には人間国宝と言わないまでも、年齢に関係なく技術と指導力を持っている方がたくさんいらっしゃるのだろうと。
定年以降の再雇用などの状況を存じ上げないのでよく分かりませんが、生涯にわたってずっと教え続けることができるのだということがモチベーションになる方というのは少なくないかもしれない。もちろん、これを言っていて簡単ではないということはよく分かるのですが、もし本当に指導者が大事だということになるとすると、法改正なども中長期的に視野に入れて、インストラクターの定年の在り方というのも、将来的には御議論されてはどうかということを私も感じました。以上です。

○佐藤訓練企画室長 先生からお話がありましたとおり、県の職員、機構の職員の制約があるというのは御理解を頂ければと思いますが、私が青森県庁に出向していたときには職業訓練関係のものをやっていましたが、県の職員はもちろん65歳まで再任用という形でやっているのですが、事務職の再任用は短時間になるのですが、指導員に関しては人が足りないのもあるし、しっかりやっていただけるということもあって、フルタイムで再任用をお願いしていると。再任用期間が終わった後も、アドホックな形で謝金を払って教えに来てもらったりとか、いろいろな形で活用はさせていただいているところですし、実際に年齢は余り関係なく、比較的長く教え続けられるような方々が多いのかなと思っております。
そういう意味で、そういう方を社会全体としてもしっかりといかしていかなければいけないというのは大事なことだと思いますので、どういう形でできるかというのはあるのですが、今申し上げたとおり、制約はいろいろありますが、なるべく長くそういう方々に活躍していただけることを考えていきたいと思っております。

○武石委員 今の関連で言うと、例えば都道府県単位で採用されている方でも、都道府県を超えて移動できるような仕組みがあってもいいのかなというのは、今の議論を聞きながら感じました。
この制度を余りよく知らないのですが、議論の前提としてデータが余りにも少なくて、例えば学卒の形で来た人と、実務経験で中途採用のような形で入った方がどのぐらいいるのかとか、都道府県のほうがかなり高齢化が進んでいるということなのですが、地域によってもそこの事情が違うのではないかという気がして、もしこれをきちんと議論するのであれば、そういうデータをきちんと出していただかないと議論が難しいということを1点申し上げたいと思います。
2点目ですが、私の印象として、かなり実務経験のある、いわゆる中途採用的な人が、この人材のマーケットとして有力なのではないかというような印象を持っています。そうだとすると、きちんと能力のある方を見極めなければいけないと思いますが、実務経験のある人たちがテクノインストラクターを目指すためのハードルを下げていくというか、そういうことをきちんと考える必要があると思います。
ですので、7ページの所で、実務経験のある人というのは②しかなくて、①と③は現状はないという話があるのですが、先ほどの技能検定のところの要件緩和は進めていく必要があるということを感じました。
3つ目として、基本的なことを言ってしまうようで申し訳ないのですが、職種が12ページに123職種あるのですが、こういう職種がどのように見直されていくのか。私はこの分科会は今日で2回目の参加なので議論のプロセスがよく分からないのですが、この123職種を見ると、現代の状況から見てどうなのかなというのが幾つかあります。この辺りの見直しがどのように行われているのか。実際に教えている方がいらっしゃるので、見直すのが難しいのは分かるのですが、こうやって高齢化が進んで世代が代わっていく中で、これも機動的に見直していく必要があると思いますので、その辺りのプロセスがあれば教えていただきたいと思います。以上です。

○佐藤訓練企画室長 まず、基本的なデータが余りなくて申し訳ございません。実際に指導員として働いている方がどうかというデータがないのですが、指導員免許の取得者がどういうルートで、どのぐらいいるかというのは、一応資料がございます。平成29年度の件数なのですが、職業大の指導員養成訓練のルートで指導員免許を取得された方。まず、29年度指導員免許を取得された方は全体で3,310件ございます。その中で、職業大の指導員養成訓練の課程を経た方は104件の3%です。技能検定に合格して48時間講習を受けて取得された方が1,296件で39%です。あと、職業訓練指導員試験ですが、これは実務経験がないと受けられない試験なので実務経験のある方になるのですが、この経由の方が1,361件で4割程度です。同じく、技能検定に合格しているわけではないのですが、実務経験があって48時間講習を受けるというルートの方が428件で13%です。あとは高等学校で教えられるような方々、大学で教えられる方々についても指導員免許を取得できるということになっていまして、これは121件となっています。免許取得に関しては、技能検定からの48時間講習とか指導員試験が多くなっているというのが現状です。
先生から御指摘のあったことで、正に実務経験がある人が教えるというのが大事というのはおっしゃるとおりでして、そういう方々も採用しているわけなのですが、実際の都道府県の採用の現場としては、企業でバリバリ働いている方が仮に指導員免許を取られても、企業からなかなか離れてくれなくて、県の職員としてなかなか就職してくれないという状況がございます。そういった意味で、各都道府県の方々からは、この職業大の養成課程に一定のニーズがありまして、ここの人をほしいという意見をよく頂いているという状況だと思っています。もちろん、そういう方だけではなくて、いろいろな方が混じって、実務経験のある方とか、職業大を出て教えている方とか、いろいろな方が混じって指導していただくということだと思うのですが、そういうような形で今回の見直しの話をさせていただいていることかなと思っています。
3点目の訓練科目についてです。確かに、これを御覧いただくと、今時こういうものをやっているのかとお感じになるかもしれませんが、地域によって、こういう訓練のニーズがあるような分野もございます。いずれにしても、訓練科目については都道府県は都道府県が地域のニーズに応じて設定しておりますし、機構についても地域のニーズですとか、全国のニーズを踏まえて設定しているところです。ただ、ずっとこれでいいかというと、そういうつもりはありませんので、この後の議題にもなりますが、5か年ごとに職業能力開発基本計画というものを作ったり、今後の人材開発政策というのはどのようにあるべきかということをこれから御紹介させていただきますが、そういうところを踏まえて、人材開発政策としてどのように変わっていくべきかとか、そうすると、こういう訓練をやるべきではないかということがある程度明らかになってきたところで、新たな訓練科目とか、既存の訓練科目でも内容の見直しというものは絶えずやっていきたいと思っておりますし、各都道府県でもそこは行われていると認識しています。

○武石委員 1点、職業大とか能開大の卒業生のニーズが高いというお話があったと思いますが、そうは言ってもそこの卒業生というのは数が限られていて、きっと取り合いになっていて、しかも民間に就職してしまうということなので、そのニーズが高いからといって、そこでいろいろな制度を精緻化しても、この根本の課題には対応していないような気がします。例えば実務経験の人が県のそういう職員に転職というのが難しいのであれば、5年間の契約で来てもらうとか、いろいろなやり方はあるのかなという気がします。すみません、それだけを申し上げたいと思います。

○佐藤訓練企画室長 そういう意味では、これだけではないのですが、いろいろなことをやらないと本当に人が集まらないという状況なので、いろいろなことをやる中で、今回これもやらせていただくというように御理解いただければと思っております。

○小杉分科会長 ほかによろしいですか。荘司委員どうぞ。

○荘司委員 意見と要望という形です。この課題に関しては、これまでの間も議論と検討が行われてきたと思っています。そういったことで、該当する組織の職員や組合とも意見交換をしてきました。そのような中で、こういった形に今後変わっていくということについては、指導員として早期に現場で活躍できるということで、特に異論はないというように聞いています。ただ、技術習得のためのいろいろな課程の研修がこれまでより短くなる分、研修内容の充実が必要になってくるのだろうと思いますので、その辺は十分なフォローを是非ともお願いしたいということです。以上です。

○佐藤訓練企画室長 正に、短くしたからといって質が落ちることのないように、我々としても気を付けていきたいと考えております。

○小杉分科会長 河本委員どうぞ。

○河本委員 先ほどから議論になっているように、このテクノインストラクターが魅力ある職業になっていくということが必要なのだろうというのは非常に思うところです。この中で、今はテクノロジーでスキルみたいなものの捉え方もどんどん変わっていっている中で、このテクノインストラクターになる方のマインドセットみたいなものも必要になってきているのではないかと思います。だから、新しく養成していく方と、今いらっしゃる方と、どちらの側面でも支えていく仕組みは必要なのかなというのを、議論を聞いていて感じました。
それと、もう1つは、これからテクノロジーがどんどん進化していく中に、逆にコミュニケーション力だとか、指導員としての人間力、ここの中にも、これから求められる能力の中にキャリアコンサルティング力、マネジメント力、イノベーション力とか問題発見解決力だとか、すごく高尚なことが7つぐらい書いてありますが、これだけの能力を持っているといったら神様のような感じになってしまうと思うのです。
先ほどおっしゃったように、そういうことを教育していくには、閉じられた世界の中でのテクノインストラクターではなくて、外と交流していくような仕組みも教育の中に含めていく必要があるのではないかということを思いますので、短くしていくところは必要ですが、逆に今までにない観点で開いていくようなことも一緒に検討していただければいいのかなというのを感じました。意見です。

○佐藤訓練企画室長 おっしゃるとおりで、今回は免許取得のところがメインの話ですが、取った後、それをどうやって維持、向上していくかということもすごく大事だと思っていますので、御指摘いただきましたとおり、中で閉じることなく、いろいろな所と交じわってと。機構も県の訓練校も、最近は在職者訓練のようなこともいろいろやっていて、企業の方々とのやり取りも増えているとは思いますが、そういう機会を捉えてとか、あとは別途いろいろな研修のコースのようなものを準備するとか、いろいろな形で、資格を取った後にちゃんとそれを伸ばしていけるような仕組みというのも作っていきたいと考えています。

○小杉分科会長 ほかによろしいですか。私も若干触発されて一言だけ。多分、この仕事の魅力を高めるということは、皆さんがおっしゃっているように非常に大事で、かつ都道府県という、こことは別の雇用の主があるというか、所属先が違うと。そこをどうするかというところが悩みどころではないかと思います。
例えば高齢者の活用についての好事例とか、都道府県全体の活用、雇用管理の仕方を上げていくようなベースになるような情報提供をするとか、そのようなことも考えられるのかなと思いました。今後、この職業を魅力あるものにしていくことが重要だということは、皆さん同意されるところだと思いますので、是非工夫していただきたいと思います。以上です。ということで、この議題はここまでとさせていただきます。
次に議題3、「労働政策基本部会報告書について」です。事務局から説明をお願いいたします。

○田中政策統括官付参事官 私から、労働政策基本部会の報告書について御説明します。資料3-1をお開きください。労働政策審議会の下にあります有識者からなる労働政策基本部会で、去る6月に報告をまとめまして、先般9月11日に本審に報告して了承を得たものです。タイトルとして、「働く人がAI等の新技術を主体的に活かし、豊かな将来を実現するために」ということで、AI等の新技術と雇用との関連、今後の課題といったことをまとめたものです。9月11日の労働政策審議会の場でも会長より、各分科会に関連する部分もあるので、今後の議論の参考に各分科会でも御承知置きいただきたいという御指示がありましたので、私から簡単ではありますが説明をいたします。
まず、「はじめに」です。AI等の新技術の進展、仕事の在り方が変化をしていくということ、一方で、働く人の数の面から見れば、人口減少、そして長寿化ということで、「人生100年時代」、職業生涯が長期化していく背景の中で、AI等を積極的に活用することで生産性の向上や経済成長を支える基盤ということが期待されておりますし、労働者が自らの力を主体的に発揮することの糧にAI等がなれば、仕事ができる環境を作る、それから、自らの力を発揮して仕事ができる環境に資するというもので、最終的には、労働者の幸福度の向上、日本の豊かな将来につながることが期待されております。その下、「一方で」とありますが、AI等に代替されるタスクがありますから、これから構成される仕事の減少をもたらすという懸念はあります。また、労働者も、タスクの変化に伴って求められるスキル、キャリアが変わってきますから、こういったことにどう対応していくのかが新たな課題として生じてくるというのが全体の基本的な考え方です。
1の「質の高い労働の実現のためのAI等の活用」に移り、AI等の活用はどのような状況でどのような影響が出てくるかということです。まず(1)「人口減少の中でのAI等の積極的な導入の必要性」です。これは、「はじめに」で申し上げたことと重複しますが、人口が減る中で、社会経済の活力を維持していく、そしてその中での働きについて、労働条件を改善して実りある職業生活、ディーセント・ワークの実現をするためには、うまくAI等を活用していくことが不可欠になってくるであろうということです。
(2)「就業構造の変化に対応したAI等の導入」です。足元を見ますと、現在、どのような就業構造になっているかですが、参考資料にデータも付けていますので、後で御覧になってください。「医療、福祉」の就業者数が伸びている。職種で見ると事務従事者の割合が高くて、専門的・技術的職業の従事者は増加傾向にある。雇用形態別では、サービス・販売・事務従事者に非正規雇用労働者が多い。非正規雇用労働者の多くは女性が占める、そのように現在の就業構造になっています。
では、今後、AI等によってどういうことが起こっていくかです。事務効率化ということで、今後AI、今まで機械化されていなかった事務分野、管理分野、対人的な職業、対人的なタスクというところに導入されていくことが見込まれております。そうしますと、事務職、定型的なタスクの部分が過剰となる一方で、専門職が不足することが推計されております。一方、対人的な職種、介護とか自動車運転については、現下でも人手不足、それから負担が多いことが課題とされておりますので、むしろ、このようなところでAIが導入されることによって、人手不足の解消、負担の軽減につながるメリットも見られるところです。特に事務職、RPAは最近よく報道されたりしますが、どういう取組例があるのかについては、資料3-2に付けております。報告書の参考資料の中で、5~7ページ辺りにかけて具体的にこのようなものというのを付けております。そういう新たな導入によって職場環境が変わってくる状況です。
2ページです。業界、業種、企業規模によってAI等の導入状況は異なっている。(3)は「イノベーションによる産業構造の変化と雇用への影響」です。AI等によって産業構造が変わっていく。そうすると、既存産業の在り方が大きく変化をする。同時に新産業が創出される可能性もあるということが見込まれております。例で出しておりますが、自動車の運転が自動運転ということになってきますと、どういう自動車でそういう運転が実現されるのかによって、既存の自動車産業についても在り方が変わってくる。一方で、「移動」をサービスとして提供するような産業が創出される可能性も指摘されております。このような変化、雇用、労働に及ぼす影響については関係者による議論が必要であると考えられております。全体で人手不足傾向が緩和される見通しの中で、やはりミスマッチの未然防止、解消が課題となってくることが見込まれております。
3ページ、「AI等の普及により求められる働き方の変化」です。(1)「労働環境の変化への対応方針の協議」です。業務の内容、求められるスキルは変化します。一方で今後、では、どのようなスキルが重要かについての労使間での認識が一致しているかというと、やはり違いのある部分も見られております。図2は企業と正社員のギャップですので、ここのポイントが高いほど企業の方は重視をしているけれども、労働者は余り重視をしていないというスキルになります。人間的資質とか、業務遂行能力ですとか、AI等でイメージをされるものよりはもう少し、何て言うのでしょうか、AI等が今後活用されるに当たっても、やはり人間であるということ、それからどのように物事を作り出していくのかということ、コミュニケーション能力を含め、そういう対人的な能力については引き続き重要だという認識なわけですが、ここに労使間で認識の違いがあると、自らの能力開発も含めてどのようなスキルアップをしていくのかについてうまくいかない部分もあるということです。やはり、どのような取組をするのかについて労使のコミュニケーションを図りながら進めていくことが必要になってくるかと考えられます。
4ページ、「AI等の協働に必要なスキル」です。どのようなスキルが必要かですが、基本的なITリテラシーについては、より多くの労働者に習得が求められてきます。次に、ものづくり分野、医療分野等々、イノベーションの創出という分野では、AIの開発を担う人材、産業にいかに応用していくかということの人材が求められることが、もう少し上のレベルとしてはあります。一方で、AI等が進展すると、全てがAIに置き換えられるということではなく、やはり、人間にしかできないサービス、人間らしい業務、人間が提供することによってより付加価値が高まる業務、そういった業務が残ることが見込まれますので、今後は、こうした業務に求められるスキルを高めることが求められてきます。これらの前提として、先ほど申しましたような、人間としてどうかということについての資質を高めていくことが求められてきます。このように、AIを人間が使いこなすことを前提にして、人間にしかできない質の高いサービスを提供するスキルを持っていただいて、それが適切に評価されることが求められてきます。
5ページ、「スキルアップ・キャリアチェンジに向けた支援」として、政府が基盤となる情報システムの整備に取り組むことや、教育訓練の内容も変わってきますので、必要なコンテンツを充実させること。それから、人生の就労期間が長くなりますので、全ての労働者がスキルアップ・キャリアチェンジに向けた支援を受けられるようにすること等々、どのような支援が必要かについて課題の提示をしております。次、労働者への支援です。やはり、AI等の活用の中でも、様々な要因からついていけない労働者が少なからず生じる可能性も懸念されますので、そういう中で、労働者が労働市場から排除されずに、また社会から排除されないようにすることについても留意が必要ということを(4)の最後に書いております。
6ページ、3.「働く現場でAI等が適切に活用されるための課題」です。プライバシーの保護やセキュリティの確保。個人情報の積み重ねによって分析をされるものがAIですので、そういう個人情報についてのプライバシーの保護や、また、AI等によるバイアスの問題について、企業が倫理面でしっかり適切に対応していくことが求められております。また、新技術の導入によって、新しい業務、新しい働き方が出てきますので、そういったものについての雇用面からの対応が必要であることと、最後に、政労使のコミュニケーションの重要性を指摘して、この報告書については終わります。
この報告書を受けまして、労使間のコミュニケーションについて、今後、検討会を設けて議論を継続していくこととしております。簡単ではありますが、私からの説明は以上です。

○小杉分科会長 ありがとうございます。それでは、ただいまの説明について、皆様から御質問、御意見をお受けしたいと思います。

○渡邉委員 ただいまの報告についてお聞きしたいのです。1ページに書いてあるように、やはりAIの活用というのは、一番、生産性向上のために必要な投資と企業サイドは考えております。多分、労使間では、その点で意見の不一致はないと思うのです。生産性向上のためにこのAIを入れていくと。実は私も、昨年まで銀行業務をやっておりまして、金融業はやはり逸早く、例えばコールセンターにチャットボットの導入とか、あとはここに書いてあるような、AIを使って、Aさんというお客様が来たら、その人の今のCRAはどういう内容だったか、こういうのがピシャッと出てきて答えられる。このように導入していって一番変わったのは、皆さんもほとんど銀行の窓口には行かなくなったと思うのです。ほとんどがモバイルで、スマホでそのまま手続してしまう。そうすると、私どもの行員も、今、ですから、就職環境では非常に銀行業務は学生から人気がない職種になって、将来性がないのではないかと。では、私ども行員はどうしているかというと、仕事の内容としては、お客様の老後の資産をどうしていくかに対する資産形成、ここについてのお客さんへのアドバイス業務、こちらにシフトしているということですので、コミュニケーション能力、ここを高めていくことが非常に重要で、AIにおいて活用される部分は、やはり単一的な業務を効率化していくことが非常に有効ですが、ここに書かれているように、3ページ、ここは私は質問だったのです。企業側と正社員、要は労働側の意識のギャップとして、こういう点がありますということで5点挙がっているのですが、これは、企業側としては、今、言ったように、コミュニケーション能力とかチャレンジ精神、このようなものを益々磨いていってほしいと思っていますが、この調査はどのような調査だったかをお伺いしたいのです。調査によると、正社員は、AI導入に関してはそういうものとは捉えていないという意味でここは書かれているのでしょうか。その点が質問だったのです。

○田中政策統括官付参事官 この調査では、要は、企業がこれが重要だと考えている割合と、労働者が重要だと考えている割合の差ですので、労働者がこれが重要だと考えていないというよりは、企業が重視をしている割合のほうが高いということだと思われます。こういう能力が重要だと考える労働者と企業とどちらが多いかというと、企業のほうがかなり多いということです。

○渡邉委員 そうすると、労働者にとっては、AI導入はどういう点がメリット、デメリットとして捉えているかとか、そういうのはあるのでしょうか。

○田中政策統括官付参事官 今、これをまとめるためにそういうものはありませんが、ここで申し上げているのは、こういう能力について、やはり高めていかなければいけないと。そういうところで労使のギャップがあるのであれば、そのギャップを埋めて、やはり共通の認識の下で進めていくことが必要ではないかということの課題の整理です。

○渡邉委員 分かりました。この辺を更に説明を尽くしていかないといけないということですね、企業側は。

○田中政策統括官付参事官 企業側が説明を尽くすというよりは、コミュニケーションを取って、共通の認識を醸成するためにはどうしていけばいいかということかと思います。

○渡邉委員 ありがとうございます。

○玄田委員 ちょっと今、私、御説明が理解できなかったのです。今、渡邉委員がおっしゃったのは、コミュニケーション能力に対して、企業と労働者でAI対応で差があるかということで、参考資料集を今、拝見しているのですが、11ページに先ほどの元資料が載っていて、参考資料集の11ページ若しくは12ページの所に、企業が重要だと考えるスキル、正社員が重要だと考えるスキル、AIに対してのところで、企業はコミュニケーション能力で61.9%台、ちゃんと考えていて、労働者も61.4%重要だと考えているので、この差は非常に小さい。つまり、AIに対してはコミュニケーションが大事だということは労使間で意見が完全に一致している。ですから、コミュニケーションスキルを高めることがAI対応では大事だということは労使で共有する部分であるから、そこはもう一致してやっていこうという部分の理解なので、ちょっと御説明が御質問の意味とは違うように思いましたが。

○田中政策統括官付参事官 失礼しました。資料3の表の全体の所を申し上げましたので、御指摘のように、差が大きかったのは①の人間的資質とか業務遂行能力で、そういう意味でいけば、コミュニケーション能力やコーチングなどの対人関係能力の所については差が少ないというのは事実です。

○渡邉委員 分かりました。ありがとうございます。

○小杉分科会長 ほかに御意見、御質問ございますか。

○松井委員 まず課題として、全国や産業、地域において、労使の話合いをしていくことが課題だと挙げられていて、さらに最後の御説明で、今後また、労働政策審議会かどこかの場で話合いをしていくということだったと思うのですが、何か具体的に決まっているものがあれば教えていただきたいのですが。

○田中政策統括官付参事官 労働政策審議会の場ではなくて、そこからは離れた形での検討会を開催することを予定しておりますが、詳細のメンバー等々については現在検討中で、まだ決まっておりません。

○小杉分科会長 ほかにございますか。

○早川委員 報告書の御説明を頂きましてありがとうございます。私からは、この報告書の感想です。AIによって生産性向上が図られる一方、産業構造の変化に伴い、既存の産業のなかには衰退するものも出てきて、その影響を受けて労働者のキャリアチェンジ、あるいはAI等との共存のために労働者のスキルアップが必要であって、そのスキルアップが必要なのはどの分野かというと、人間によって付加価値が与えられるものだということかと考えました。
そして、今回、この分科会でその報告書を反映させた形での将来の政策を考えるに当たっては、人間しかできない付加価値が与えられる職業能力は何だろうという考察なのだと思うのです。今日の全体の話合いの中では、概算要求も含めてですが、在職者、求職者を問わぬ職業訓練の範囲の拡大とか、あるいは年齢層を若年から高年齢層まで広げた幅広い年齢層の職業能力の開発の在り方、あるいは非正規、正規の枠組みを超えた能力開発という課題に対応していくことになるのでしょうけれども、この報告書から与えられた課題も非常に大きなものと考えます。
では、具体的な施策にこれをどう反映させるかというところが意外に難しいのかと思います。つまり、例えば、本日、職業能力に関わるテクノインストラクターの話も出ましたが、そういった養成者をどういった分野で増やしていくかという施策に具体化させるにしても、いろいろな考察が必要で、労使間コミュニケーションのプロセスを踏まえるなどして、こういったニーズの見極めが非常に大切なことになるのかと思いました。しかし、現在の政策は、目先の人手不足にどうやら捉われているようなところがあるように考えます。例えば、外国人労働者の受入れに関しても、高度な人材の受入れと同時に、本年、低技能分野での外国人労働者の受入れ制度が特定技能という形で始まりましたが、そういった外国人労働者の受入れも、AIの進展という産業構造の変化を迎えるにあたり、労働者を必要とする分野なのか、どのような技能を要するかを見極めていく必要があろうかと思います。また、この報告書で言われているスキルアップについては、果たしてそれは私たちが今まで考えてきた人間の能力向上という意味でのスキルアップであるのかどうか、あるいは労働者が持っているこうした思い込みみたいなものを変えて、キャリアチェンジして、新たに身に付けるスキルなのかということの考察が必要です。そういったことも含めて、今回の報告書から提案された人間にしかできない付加価値が与えられる職業とは何なのだろう、そして、どういった労働者が今後、育成されるべきなのかということについて、この分科会に対する示唆も随分与えられていると思いました。

○小杉分科会長 ありがとうございます。正にそういう示唆を与えられているこの分科会なので、これはかなりきちんと受け止めなければならない問題があると私も思います。ほかに、御感想で結構です、いかがでしょうか。

○橋本委員 今の早川先生の御意見と全く同じ意見なのですが、まだこれからどうなるか分からないというところで具体的な施策を取るのは難しいかと思うのですが、この報告書でも、事務職が過剰となる一方で、専門職が不足するという推計も紹介されているように、これからどうやって新しいAI化の時代で生涯働き続けられるのかが各人の大きな課題だと思います。そういう中で今、渡邉委員もおっしゃったように、銀行で、もう窓口業務が大幅に減っているという情報提供もありましたように、やはり厚労省が積極的に新しい情報を収集して私たちに提供していただければ有り難いと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○小杉分科会長 ほかにいかがですか。ほかの場でも労使の方はおっしゃっているかと思いますが、何かございましたら。よろしいですか。私も、労政審の場でも申し上げたのですが、1つ、やはり今回のリクルートさんの事件、名前を挙げてしまいましたが、この技術は個人の情報を収集してしまう技術なのです。個人が提供する提供しないという意思決定をするかどうかにかかわらず収集されてしまう。収集されたものを見えない所で処理して、結果として、それを人事にまでいかすという発想もありなのです。そういう大きなインパクトのある技術であるということを真剣に受け止めなければならないと思います。この部会に直接関わるとすれば、そうした新しい技術をどうやって社会全体の底上げ的に使うか、皆が不幸にならないようキャッチアップできるようにしていくかということ。多分、社会的な能力開発の仕組みというのはこれからもっと整備しなければならなくて、企業の内外を問わず、能力開発をバックアップできるような行政になってほしいと思っております。ほかに特にないようでしたら、この議題もここまでとさせていただきます。
それでは最後に「その他」として、事務局から1つ報告があります。今後の人材開発政策の在り方に関する研究会及び今後の若年者雇用に関する研究会設置についてです。事務局より説明をお願いします。

○前田政策企画室長 政策企画室長の前田です。机上に配布した資料について説明します。机上配布資料1を御覧ください。まず、今後の人材開発政策の在り方に関する研究会について御説明します。今ほどの基本問題部会の報告書の関係もありますが、それも踏まえつつ、平成27年に職業能力開発促進法をほかの法律の改正に伴って一部改正を行ったところです。その改正法の付則で、5年後を目途に施行状況を勘案して検討を行うこととされております。また、現行の第10次職業能力開発基本計画が令和2年度末で期間満了となりますので、次期基本計画の策定に向けた検討を行う必要があることから、有識者の皆様の参集を求めまして、今後の人材開発政策の在り方に関する研究会を開催するというものです。第1回は、10月3日木曜日の予定で、来年の5月頃までを目途に検討を行う予定です。研究会で報告書を取りまとめていただいた後には、人材開発分科会にも御報告をさせていただいて、引き続き御議論をお願いしたいと思っております。

○篠崎若年者・キャリア形成支援担当参事官 今後の若年者雇用に関する研究会について御説明します。こちらについては、平成27年に改正して施行されました、いわゆる若者雇用促進法に基づくものです。この若者雇用促進法の改正のときに、施行後5年を目途に施行状況を勘案し検討を加えるという規定もありますので、施行状況のフォローアップを研究会を開催して学識経験者で、まず御議論いただきたいと思っております。これについても施行状況を勘案して検討するということですので、最終的には、人材開発分科会に御報告をしたいと思っております。スケジュールとしては、既に9月20日に第1回を開催したところです。来年5月頃を目途に検討を行って取りまとめた状況を、また御報告し、必要に応じた御議論をしていただければと思っております。以上です。

○小杉分科会長 ありがとうございます。それでは、ただいまの説明について、御質問、御意見がありましたらお願いします。

○全日本自動車産業労働組合総連合会中央執行委員熊野氏 ありがとうございます。先ほど御説明いただいた今後の人材開発政策の在り方に関する研究会の開催要綱について、1点御要望を申し上げたいと思っております。1ポツの趣旨については、新技術の対応の重要性についてたくさん記載いただいておりますが、2つ目の検討事項の所では、そういった新技術の対応に関する項目が読み取れませんでした。今後の人材開発政策について御議論いただくということであれば、AIですとかIoTの新技術への対応について、離職者や在職者へのリカレント教育だけではなくて、必要な人材をどう育成していくかという人材育成全体について議論する必要があるのではないかと考えております。是非とも、今回の研究会の新設に当たり、そういった点についても御検討いただきたいと思います。以上です。
○小杉分科会長 事務局ありますか、どうぞ。

○前田政策企画室長 御意見ありがとうございました。開催要綱の書き方がちょっと紛らわしかったかもしれませんが、もちろんそういった点も踏まえまして、その上で個別の検討事項ということで書いておりますが、十分踏まえた形で検討をお願いしたいと思っております。

○小杉分科会長 ほかにございますか。

○村上委員 すみません、今の人材開発の研究会と若年者雇用に関する研究会それぞれへの要望です。人材開発政策のほうですが、先ほどの労働政策基本部会の報告書にもありましたように、AIなどの技術が進んでいく中では、それに対応した能力を身に付けていかなければいけないというところももちろんそうなのですが、今ある仕事が置き換わっていくことで、先ほども御紹介がありましたが、事務職などは少しニーズが減っていくことは避けがたいところがあるのではないかと思っております。また現在、そういう職に就いていらっしゃる方々をどのように支援していくのかが、国の施策としては大変重要ではないかと思っておりますので、そこをどうやってキャッチアップしてもらうのかというところも、是非、視野に入れて検討いただければと思っております。RPAなどが進んでいくと、女性の事務職の仕事がやはり減っていくのではないかということが危惧されておりまして、当面のところ、どのようにしていくのかは重要な課題ではないかと思っております。
それから、若年者雇用に関する研究会はもう既にスタートし、人材開発統括官の下で検討されるということではありますが、もともとは学校と職場への移行や定着という課題を解消するためにできた法律だと認識しておりますので、そこのマッチングであるとか、定着支援といった視点も是非、入れていただきたいと思っております。職場への移行というところで、仲介される皆さん方の課題も大きくあるかと思っておりますので、その点についても十分、射程を広げて御検討いただければと思っております。以上です。

○前田政策企画室長 ではまず、人材開発政策の在り方に関する研究会についてです。御意見ありがとうございました。もちろん、現在事務職等のお仕事に就いておられる方について、今後、過剰という予測が出ているわけですので、そういった方をどういった形で御支援申し上げることができるかも視野に入れつつ、御議論をお願いしていきたいと思います。

○篠崎若年者・キャリア形成支援担当参事官 若年者雇用に関する研究会についてコメントさせていただきます。法改正事項としては、入口の職場情報の提供とか、求人の不受理というところが平成27年の改正事項ではありましたが、御指摘のとおり、学卒から入職することに特殊なところがありますが、そこを円滑に移行するだけではなくて、やはり定着が重要だというのは第1回でも御議論が既にありました。平成27年の法律改正事項にとどまらず幅広く御議論いただきたいということです。ある意味研究会ですので、所掌にかかわらず、はみ出た部分についても自由に御議論いただくことになっておりますので、そういう形で御議論が進むものと考えております。

○小杉分科会長 よろしいでしょうか。では、ほかにないようでしたら、この議論もここまでとさせていただきます。本日の議題は以上ですが、ほかに委員の皆様方、何かございますか。よろしいですか。特にないようでしたら、本日の議論は以上といたします。また次回、第16回の日程については、追って事務局より御連絡させていただきます。議事録の本日の署名委員ですが、労働者側は小倉委員、使用者側は正木委員にお願いします。それでは、本日はこれで終了いたします。どうも、皆さん御参加ありがとうございました。