第21回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会 議事録

健康局 健康課予防接種室

日時

令和元年8月7日(水)14:00~

場所

田中田村町ビル新橋会議室8E

議題

(1)2019/20シーズンのインフルエンザワクチンの供給について
(2)B型肝炎ワクチンの供給について
(3)その他
 

議事

 

○元村予防接種室長補佐 定刻になりましたので、第21回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会を開催いたします。本日の議事は公開ですが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、関係者の方々におかれましては御協力をお願いいたします。また傍聴の方は、傍聴の際の留意事項の遵守をお願いいたします。なお、会議冒頭の頭撮りを除き写真撮影、ビデオ撮影、録音することはできませんので御留意ください。

 開会に先立ち、事務局側に人事異動がありましたので紹介させていただきます。79日付けで健康局長が前任の宇都宮から、宮嵜に交替となっております。また本日は所用により欠席ですが、健康課長に神ノ田が着任しております。

 それでは健康局長より、御挨拶を申し上げます。

○宮嵜健康局長 それでは会議の開催に当たり、一言御挨拶申し上げます。委員の皆様におかれましては本日は大変お暑い中、御出席いただき誠にありがとうございます。また平素より、予防接種施策の推進に御支援・御指導いただいていることを重ねて御礼申し上げる次第です。本部会は本日で21回目ですが、ワクチンの研究開発促進や流通に関する多くの課題について活発な御議論を頂いております。

 本日は2019/20シーズンのインフルエンザワクチンの供給等を議題として御議論を頂く予定としており、委員の皆様におかれましてはそれぞれの御専門の立場から、忌憚のない御意見を頂戴できればと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。他の公務で退席いたしますが、本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。

○元村予防接種室長補佐 健康局長ですが所用のため、ここで退席させていただきます。

 続きまして、本日の委員の出欠状況を報告いたします。委員10名のうち現在9名の方に御出席いただいております。福島委員からは、少々遅れていらっしゃる旨の御連絡を頂いております。また山口委員からは所用により、途中退席される旨の御連絡を頂いております。厚生科学審議会の規定により定足数を満たしておりますので、本日の会議が成立したことを御報告いたします。冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので御協力をお願いいたします。これ以降は写真撮影、ビデオ撮影、録音することはできませんので御留意ください。

 ここからの進行は、伊藤部会長にお願いいたします。

○伊藤部会長 ありがとうございます。路面温度が45度とかという話の中も出ておりますが、暑い中お集まりいただきまして、ありがとうございます。それではまず、事務局から配布資料の説明及び審議資料に関する遵守事項について説明をお願いいたします。

○元村予防接種室長補佐 本日の資料の確認をいたします。お手元のタブレットには番号01の議事次第から番号07の寄付金等資料作成関与者報告のファイルを格納しております。不足の資料等がありましたら、事務局にお申出ください。

 次に、審議参加の取扱いについて報告いたします。本日御出席いただいた委員から予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄付金等の受取り状況、申請資料への関与について御報告いただきました。各委員からの申告内容については、タブレットの資料番号07の資料を御確認ください。本日の議事内容において、個別に調査審議される品目はありませんので、本日の議事への不参加委員はおりません。

 またお手元のマイクの使用についてですが、おそれいりますが発言される際はスイッチを入れてから御発言をお願いいたします。発言後はハウリング防止のために、スイッチを切っていただくようお願いいたします。事務局からは以上です。

○伊藤部会長 それでは早速、審議に入ります。委員の皆様方には議事次第を御覧いただければと思います。議題は主に2つということで、事務局からは比較的、本日は短時間で済むのではないかと伺っておりますが、2019/20シーズンのインフルエンザワクチンの供給について、B型肝炎ワクチンの供給について、その他です。まずは議題1について、事務局から説明をお願いいたします。

○賀登予防接種室長補佐 事務局です。資料1を御覧ください。2019/20シーズンのインフルエンザワクチンの供給に関してです。1ページ、今の現状の報告です。48日に流通部会をしたときにはWHOで推奨しているもの、4種類推奨されるもののうち1種類が1か月ほど例年よりも遅れたというスケジュールを報告いたしました。その後に、小委員会の御協力を得て、418日に審議を終えて製造株を決定しております。その後国内メーカーでインフルワクチンの原液を作って、9月下旬からワクチンを販売していくというような流れになります。まず1点、御報告として事後報告になりますが、小委員会で決めさせていただいたワクチンの製造株はこちらの1ページの表に書いてあるとおりです。

 2ページは、ワクチン原液の製造のイメージということです。4種類のワクチン原液をメーカーのほうで作るのですが、それを2巡、3巡というふうに繰り返していき、一定量たまったら製剤化をしていき、9月下旬ぐらいから販売していくという流れになっております。3ページ目は、今年のワクチンの供給量について御報告申し上げます。今年は2,951万本というような供給量の予定でして、昨年の使用量が2,630万本、最近の過去6年間の平均の使用量が約2,600万本ということを考えますと、その量を上回っている供給がされる予定です。

 4ページ目は、供給の時期と量を組み合わせた表です。左上にいくほど早い時期に多くの量のワクチンが出るというような表です。過去3年と比べましても、今年は早い時期に多くの量が出るようなスケジュールになっております。5ページ目ですが、接種状況の調査です。青色の部分が2回接種をしているものです。昨年来から13歳以上の方につきましては、1回接種の協力をというような情報を出しておりますので、そちらの参考資料になります。

 6ページ目が全体の総括になりますが、今シーズンのインフルエンザワクチンの供給量につきましては、平成28年度以降最も多い供給量でして、近年の使用量などからワクチンを適切に使用すれば、不足は生じない状況だというふうに考えられるのではないか、このように考えております。今後の対応としましては、そういう状況ではありますが、ワクチンの効率的な使用と安定供給を推進するために、昨シーズンと同様に13歳以上の方は原則1回の注射としていただくこと、また必要量に見合うワクチンを購入いただくことを医療機関に対して協力を要請したいと、このように考えております。以上です。

○伊藤部会長 説明が大変コンパクトで、問題が少なかったということだと思いますが、昨年に比べて供給量が十分で、昨年のように11月に足りないという話はなさそうという御説明でしたが、御質問はありますでしょうか。

○信澤委員 今年度はおそらく供給量に問題ないということではありますが、皆さん御存じのようにワクチン製剤というのはもちろんワクチンメーカーのたゆみない努力と、製剤ができたらすぐ使えるというわけではなくて、感染研で国家検定を行って初めて使用が可能になるという製剤です。もちろん両者での努力の結果、ワクチンが実際に使用できるわけですが、近年検定の時期を期限を少し早めてほしいということを厚労省から要望が来ているというふうに聞いています。

 ここから厚労省へのお願いなのですが、やはり国家検定というのは必ずやらなくてはならない試験ではありますが、省略が可能な試験法というのもその中にはあります。例えば異常毒性否定試験などというのは、生物製剤基準で一定の条件を満たしていれば、同じメーカーで同じ製剤法で作っていれば省略が可能だということが記載されております。実際にB型ワクチンの場合には、そうやって省略していることが認められているという事実もありますので、インフルエンザワクチンの場合にも、そのような一定の基準を満たした場合には試験を省略するということをしては、製剤基準はある程度用いて改定してはどうかという提案を多分感染研からしていると思うのですが、それに対する回答が厚労省から数年前に提案をしたにもかかわらず、いただいていないというようなことを聞いております。ですので、検定を効率化して供給量を維持して安定供給を保つためには、やはりその辺も厚労省側でも協力をしていただければと思います。以上です。

○伊藤部会長 では、事務局から何か御回答がありますでしょうか。

○賀登予防接種室長補佐 事務局です。信澤先生が御指摘のとおり、この供給のスケジュールをここまでのものにするために、感染研の先生方にはずっと検定を続けてやってくださいというような形で調整させていただいておりますので、大変御負担を掛けている状況だというふうに認識をしております。試験の部分で一部省略可能なものもあるので、効率的にできるところはするべしというような御指摘だったかと思いますが、その点については医薬局に御意見を伝えさせていただき、検討してまいりたいと思います。

○伊藤部会長 山口先生、何かありますか。

○山口委員 今の御意見は、本当にそのとおりだと思っております。異毒は正直に申しまして各ロット全てでやらないといけないかといわれると、多分そうではないだろうなと。ただ、ここの所掌ではなくて、局方あるいは生物基そのものを見直してもいいのかもしれないなと思いました。

○伊藤部会長 午前中に基本方針部会がありまして、釜萢先生と出席していました。坂元先生は御欠席だったのですが、そのときに、もうちょっとドラスティックなことを言いました。もともと二重審査だとか三重審査をしているので、生物基を変えたらどうかとか、それからもう1つは感染研の脇田先生がいらっしゃる中で発言しましたので、信澤先生たちを敵に回すようなのですが、国家検定をやめて若しくは全数をやめて、少なくともサンプル調査みたいな形にして出荷の前倒しができるようにしたらどうかということまで発言してしまいました。ただ、生産流通部会として、毎年毎年このインフルエンザのワクチンが足りるか足りないかとドキドキするよりは、抜本的なことを考えたほうがいいのではないかと思ったので独断でそういう発言をしています。どこかで皆さんユーザーが声をあげていかないと変わらないのではないか。一部の途上国ではワクチンの品質の問題は、つい最近も発生していますが、よもや日本国内で製造されるワクチンでそんなこともないだろうというふうには期待もするので、多少は省力化していく方向を考えていかないと効率が悪いのではないかと思っておりました。信澤先生が発言をされなければ、こんなことを言うのをやめようと思っていたのですが、せっかく出たので繰り返しさせていただきました。ほかに何かございますでしょうか。

○坂元委員 川崎市の坂元です。この予防接種の2回接種の件で、これは単なる興味で聞いているのですが、これを見ると高齢者になると2回接種が増えてきて、ここの17歳の所で増えるのは、多分これは受験生が心配なために2回接種するのかなと思っているのですが、この高齢者というのは2回接種をしたほうがいいとか、そういうお勧めとか、何かそういう知見があるのですか。特に後期70歳以上がちょっと増えてくるという傾向があり、どなたかお分かりでしょうか。実は高齢者の方から2回接種したほうがいいのかという質問が出るのですが、何の根拠もなかったのでお答えできないのですが、どなたかお分かりになれば教えていただきたいと思います。

○伊藤部会長 どなたかいらっしゃいますか。この中でインフルエンザワクチンをやっているのは多分私が一番数多くやっているのですが、確かに70歳以上の人をターゲットにしての試験というのは、自分でやったことがありません。ただ成人の2009年のときのデータからいうと、成人では1回打っても2回打っても抗体価は上がりませんでした。ですから、少なくとも60歳前後ぐらいまでの人に関しては差がない。2回打つだけのメリットは出なかったというのは、証拠としてあると思います。高齢者はもともと免疫原性の上がりが大変悪いので、そういう意味では2回打っても上がるのか上がらないのかが微妙なところですが、でも多分成人と同じということであれば、それほど劇的な効果はない。

 それから小児をやったときの経験から言うと、13歳になっていますが、10歳を超えると2回打ちと1回打ちの差が小さいので、そういう意味では10歳以上は1回でも、もしかするといいかもという気はいたしております。

○坂元委員 ありがとうございます。

○伊藤部会長 ほかに何か御質問ありますか。

○細矢委員 3ページの供給量についてなのですが、これを見ると6年間の平均使用量を上回っていると書いているのですが、これは最大使用量を見ても2,649万ですかね。平成26年が一番高くて、それよりも随分多い供給量があるので、むしろ6年の平均使用量を上回っているという表現よりも、過去何年間の最大使用量を幾らぐらい上回っている生産が見込まれますよと書いたほうが、安定供給という意味では分かりやすいのではないかと思います。

○伊藤部会長 事務局、どうですか。

○賀登予防接種室長補佐 御指摘のとおりかと思います。結局、今年は上回っていてよかったということだと思いますが、来年度も出すときにはそのような点もよく考えて資料にしたいと思います。

○伊藤部会長 もう1点、去年の反省ではありますが、10月の時点での供給が十分ではなかったので、その時の接種者が減る。逆に言うと、12月に入って供給されても打つ人がいなくなるので、最終的な使用量としては伸びがないので、そういう意味で十分な供給があるときのデータに基づかないと使用量が少ない可能性がある。全体量を考える際に、シーズンが終わったときの量というよりは、供給の過程も影響しているという認識を持たないといけないのかなという気はします。そこは事務局も理解をされていると思いますが。あと釜萢先生の所で、日本医師会で供給の問題が発生したら、ほぼオンタイムでデータが上がってくるような形をお作りになられているということだったと思いますが、それは機能はされているのですか。

○釜萢委員 このインフルエンザの時期になるまでに、もう既にパイロットで始めていまして、入力できるようになっていますが、10月の開始時期にはしっかり本格的運用できるように今、準備をしております。

○伊藤部会長 ありがとうございます。そういう意味で、あちこちでモニターをしながら今、厚生労働省でやられている施策がうまくいっているか、いっていないかということが分かるような形になっているのだろうと思いますので、シーズンが終わった後の段階で、また少しそういった形で、全体の検証ができるといいと思います。ほかにございますか。

○福島委員 先ほど坂元先生が言われた、高齢者は1回接種でいいかということなのですが、ダイレクトなお答えではないかもしれませんが、海外では高齢者向けの高用量ワクチンというのが使えます。ただし、その抗原量は、標準用量の4倍です。高齢者で2回打っている方がいるという事実が先ほどのグラフで分かるのですが、それは高用量ワクチンに若干近づけるための現場での個々の努力ということかもしれません。

○伊藤部会長 では、細矢先生。

○細矢委員 すみません。前回のときもちょっと申し上げたのですが、やはりインフルエンザワクチンの効果というのを、もうちょっと考えるところが必要なのではないかなと思います。米国を見ると、やはりその都度、都度いろいろなスタディをしてどれぐらいの有効性があるかというのを血清型別に、年齢層別に出してきていますよね。ああいうデータがないと、やはり本当に効果があるのかどうか。この5ページのグラフを見ると、例えば小児の接種率は5割から6割ぐらいになっていますよね。多分皆さん、効果があると思ってやっているのだと思うのですが、本当にそれは効果があるかどうかというのは国としてデータを出すべきではないかと思うのですね。これは流通とは関係ないかもしれませんけども、ワクチンの開発を考えるとそういうデータがないと、もっとよいワクチンが出てきたときに本当にそれがいいのかどうかというデータは作れないと思うんですね。例えば生のインフルエンザワクチンが出たときに、それが本当に効果があるかどうかというと、やはりなかなか難しいところがありますので、是非ベースのデータとして今の不活化ワクチンでどの程度効くのかというのを検討してもらいたいと思います。

○賀登予防接種室長補佐 事務局です。本日の資料に入れておりませんで申し訳ありませんが、厚労省の研究班でも廣瀬先生や福島先生に御協力いただいて、インフルワクチンの有効性についてというような研究をしていただいていまして、一定程度の有意差が付いているというデータが近年出ている状況です。ただ、それではまだ不十分だという御指摘かと思いますので、それも含めて検討させていただきたいと思います。

○伊藤部会長 また、その研究班の成果が出ましたら、別の形で御報告いただければと思います。よろしいですか。それでは、続きまして議題の2つ目について、事務局から御説明をお願いいたします。

○賀登予防接種室長補佐 事務局です。資料2です。B型肝炎ワクチンの供給についてということで、続報その1としております。3ページのスライドで、48日、前回の流通部会で報告した資料です。B肝ワクチンについては、KMバイオロジクスとMSD2社で国内供給しているものですけれども、秋以降、MSDの供給が継続できなくなるというような情報を御報告しました。その後KMBには、増産依頼ということで厚労省から依頼を出しております。そういった状況の最新情報を続報という形で報告させていただきます。

 1ページに、今年度いっぱいの供給見込みの具体的な数値を表にしております。見比べていただきたい所は、濃い灰色で塗った2019年度の合計と昨年度の合計です。0.25ml製剤と0.5ml製剤、2種類ありますけれども、0.25ml製剤につきましては、去年95万本のところを今年は約160万本、0.5ml製剤は去年262万本のところを今年は227万本ほど作るという予定ですので、合計すると、まず大きく見劣りはしないと評価いただける数字ではないかなと考えております。この後は細かい点になっていきますけれども、20194月から6月までの四半期につきましては、実績が報告されております。括弧書きの部分は当初の見込みで、0.25ml製剤、0.5ml製剤、両方とも見込みよりも実績のほうが大分上回っているということがありました。特にMSDの供給が絶たれているという情報がありましたので、その反動だと思いますが、逆のKMB社のほうが0.25ml製剤でいうと約8.4万本の見込みのところが30万本ほど売れた。また、0.5ml製剤につきましても、6.6万本の見込みのところ28万本ほど出ているという状況でした。この点につきましては、経緯の(3)に記載しておりますけれども、前年度の同期に比べて需要が増大したという要因は、特段見受けられないと考えておりますけれども、供給不安に対する、48日の情報に対してワクチンの確保を前倒しするといった市場の動きが生じているのではないかと考えております。そのほか、201910月から12月のカラムの中にMSDの所に2つ、※1という形で注釈をいれております。それぞれ0.25ml製剤、0.5ml製剤、各1ロットずつ大体10万本ずつですけれども、国家検定の合格が当初予定よりも遅れているという事態がありましたので、仮に不合格となった場合の悪いほうのケースを想定した数値を入れております。何かそういった情報が正確に書いていないと、ネガティブな噂として情報が拡散されてしまう可能性がありましたので、ワーストケースということで注釈を書いております。また、※2として、20201月から3月について、KMB社のカラムの所に注釈を入れておりますけれども、その最後の四半期の部分については0.25ml製剤は0万本、一方で0.5ml製剤は75万本というような偏りが大きくあります。この点については、KMB社では、一定期間内で製造できる量というのが、0.5ml製剤を作ったほうが効率的だという話がありましたので、そちらを優先的に製造しているというものです。

 2ページ目です。このような状況ですけれども、ポイントを2点まとめました。1点目は、MSDが国内供給を継続できなくなる秋頃に、2社合計の総ワクチン供給量がどうなっているのかという点です。まず、0.25ml製剤ですけれども、10月ぐらいまでは前年度よりも上回る量で供給されておりますけれども、11月以降は供給を継続できなくなるという見込みです。ただし、0.5mlバイアル製剤で代替可能という点があります。0.5ml製剤につきましては、201910月以降も前年度よりも多い量のワクチンを供給できる見込みでございます。

 続いて、秋以降に供給できる量が継続できるのかという点についてもまとめています。まず、KMBでは増産に取り組んで、継続的に増産分のワクチンを供給できますけれども、20209月、来年の夏の終わりぐらいには製造ラインのメンテナンスなどの事情があります。それは、法定のメンテナンスですので、やらないわけにはいかないのですけれども、一時的に供給量が減少する可能性がございますので、MSD社が20207月までに供給を再開できるかという点が、次のポイントになってくるかと考えております。対応案としまして、先に(3)に行って恐縮ですけれども、まずMSD社に対しましては、B肝ワクチンの安定供給を確保するためには、20207月までの供給再開が必要だと考える旨をお伝えしたいと考えております。また、対応案の(1)ですけれども、当分の間KMB社の増産分のワクチンが、継続的に供給されるということですので、需要に大きな変動がなければ、B肝ワクチンが不足するという懸念はないものと考えられますけれども、次の春までにMSD社の再開時期など最新状況を踏まえて、こういった場で御議論いただきたいと考えております。対応案の(2)ですけれども、それまでの間にB肝ワクチンの安定供給を推進するために、卸売販売業者や医療機関の皆様に対して、協力依頼を出したいと考えております。具体的には、卸のほうに対しては、B肝ワクチンが当分の間2社供給から1社供給に変わるという事情がありますので、前年に他社と取引をしていて自社と取引実績がない医療機関、新しい新規の医療機関から発注があった場合にも、取引実績が過去になかったということを理由に不利な扱いにならないように配慮してくださいというお願いをしたいと思っております。また、医療機関に対しましては、必要量に見合う量のワクチンを購入いただくことと、0.25ml製剤を注射する場合には、まず0.25ml製剤を使用することを検討いただき、ワクチンの供給の実情などによって0.5mlのバイアルで0.25mlを注射するときには、一度針を刺したものは24時間以内に使用をするという制約はありますけれども、可能な限り2回使用することに努めていただきたいと考えております。また、このB肝ワクチンは一人に3回接種するわけですけれども、3回を同一の製剤で行うことは、それは望ましいのですけれども、複数社、2社のワクチンを組み合わせて接種した場合の互換性も認められているので、1社のワクチンに限定する必要まではないという情報も発信したいと考えております。対応につきましては以上です。

○伊藤部会長 ありがとうございました。まずは、今の資料について御質問はございますでしょうか。B型肝炎ワクチンの2社あるうちの1社が供給を止めてしまうかもしれないので、国内のワクチンメーカーに増産をしてもらうという形で、予防接種室が必死になった結果がこのような形になっているという御報告だと思いますが、いかがでしょうか。

○奥田委員 MSD社さんが20207月までに供給を再開というのが目標になるわけですけれども、そのときに恐らくPMDAの審査とかがかかると思うのですけれども、普通にいったら、大体それにはどれぐらいの期間を要するものなのでしょうか。それと、前倒しでいろいろなことが進んでいく様に計画しておく必要があるかと思うのですけれども。

○賀登予防接種室長補佐 次の7月から9月ぐらいの間の受給バランスの要因としましては、そのときに余っている流通在庫がどれぐらいになるかというところで、それがたっぷりあるという状況であれば、多少再開が間に合わなくても大丈夫という可能性もあり得るかと思います。一応は、ある程度悪いときを考えながら、手を打っていったほうがいいかなと思っております。先生がおっしゃるとおり、供給再開をするときには、薬事の一変承認という形でPMDAや厚労省の承認が必要ですので、そのための手続は時間を要します。また、併せて国家検定をしてから出すというものもありますので、感染研のほうでも時間を取っていただくという必要時間もございまして、トータルで再開が7月ということになるかと思います。それまでにMSDのほうからデータをそろえてPMDAに申請するという手続が必要になってきますので、我々としては7月までに再開が必要だよというケツを決めて、そこから逆算して間に合うように作業を進めるということをお願いしたいと考えております。

○伊藤部会長 ほかには、ございませんか。

○坂元委員 この2つのメーカーの互換性で、同一のワクチンで3回打つことが望ましいけども、入れ替えても互換性上問題ないという、通常我々、接種主体の自治体では、長い間の習慣で、違ったワクチンを接種するということが、あまり習慣上経験がないので、この辺は強調するのか、もし、そういうケースが出てきても、予防接種法として認めますよということぐらいの意味なのでしょうか。あまりそれを強調してはいけないのか、そこが難しいところかなという感じがするのですね。その辺の度合いというのは、どのような感じなのですかね。

○賀登予防接種室長補佐 過去にもB型肝炎ワクチンの供給でトラブルが生じていたというところはございまして、そのときにも互換性はあるので御安心くださいというような情報を発信していますので、どちらのニュアンスかといえば、やっていただいても大丈夫ですよというニュアンスでよろしいかと考えます。

○伊藤部会長 ほかには、ございませんか。

○山口委員 先ほども奥田先生が質問されたことの続きですけれど、恐らく一変だと1年間ぐらい掛かりそうだと、普通には一般には思うのですけれども。そうすると、多分出たデータである程度、要するにその時点の一変申請した時点で、大体見込みが分かるものであろうと僕は思うのですけれども、その辺も情報収集していただくということでよろしいですね。

○賀登予防接種室長補佐 その辺りの情報、状況については、よく調べた上で、どこまで言えるかという課題が非常に高いような気がしますけれども、次の春のときに言える範囲で説明したいと考えております。

○伊藤部会長 山口先生、今のお話で1年ぐらい掛かるという話ですと、もう既に申請がされていないとアウトという話になるかと思うのですけれども、これ、申請は公開しないのでしたか。申請したのは、よくマスコミのニュースに出てくるような気がするのですけれど、どうなのでしょうか。

○山口委員 訂正だけ。一応、一変は1年間という、1年以上掛かってはいけないというレギュレーションがありますので、できるだけそうしようということで。ただ、今、急ということもありますので、早くやれるのだったらやってほしいと。

○賀登予防接種室長補佐 事務局です。山口先生もおっしゃったとおりで、標準事務処理期間が、PMDAほうに確か設定された目標としてやっていたはずですけれども、それが、ドラックラグの解消とかというようなお題目の中で大分短縮されてきて、目標より大分早くなっているというような一般則としてはあったかと思いますので、そこに期待したいという気持ちと、伊藤先生がおっしゃいました一変申請をしたということを公表するかについては、新薬の申請をしたというときには、その開発が進んでいる段階をPRするという意味でやっていますけれども、こういった一変の部分についてやっているかというのは、余り印象にはございません。ただ、この件については非常に重要な案件だと思いますので、そこのところはメーカーとよく協議させていただきながら、出せる情報は出すという形で対応したいと思います。

○伊藤部会長 できるだけ皆さんの不安が少なくなるような話にしていただかなければいけませんし、来年の9月の段階ではどこも作っていないという状況になったりすると、困るので、そのような状況にならないように努力をしていただければと思います。ほかに何か、どなたかございますでしょうか。釜萢先生、今のところはB型肝炎は。

○釜萢委員 現時点ではは特に不足という話は私のところに届いていません。1ページで、MSDについては、0.25ml製剤も0.5ml製剤も、括弧とその上の数字とが変わらないのですが、KMBに関してはすごく増えてきたという御指摘があって、こんなに増えるとは思わなかったということかもしれないですけれども、全然KMBの取引がない所が今度KMBに変わるので、早めに実績を作っておこうというような意図が働いたのかなと感じております。全然取引がないと、いざというときになかなか回してもらえないというところがあるので、少しそのようなところも働いたのかなと感じております。現場で今不足している情報はありません。

○伊藤部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。それでは、3つ目の議題の御説明をお願いいたします。

○賀登予防接種室長補佐 資料3です。DPT-IPV、阪大微生物病研究会が製造販売している、テトラビック皮下注シリンジ、これはDPT-IPVですけれども、その一部ロットの自主回収があったことの御報告です。原因としては、有効成分4種類の混合ワクチンですが、有効成分の1つである、不活化ポリオウィルスのD抗原量が有効期間中に承認規格を下回ったことがありましたので、自主回収させていただくことになりました。過去にワクチンを打った方に対しても、抗体は獲得できているものと阪大微研から文書が出ていますけれども、もし気になる方に対しては、抗体検査や必要になったときには、再接種の費用については、微研会のほうで負担するという情報発信もされております。今回は、これに伴ってDPT-IPVの安定供給に対して何か支障が出ている事実はございませんので、御報告申し上げます。

○伊藤部会長 この点に関して御質問等ございますでしょうか。

○坂元委員 阪大微研のほうで費用を持ってやっていただく場合、その取り扱いには、予防接種法の予防接種とみなしてもいいということですか。

○賀登予防接種室長補佐 事務局です。今の坂元先生の御質問に対しては、資料37ページ目を見ていただいてよろしいでしょうか。過去に第一三共のMRワクチンが有効期間中に力価割れをする実態があったときと同じ対応になりますが、2ポツ目の所に書いてあるとおり、再接種をした場合には定期接種として実施することは差し支えないというお知らせをしておりますので、最終的には自治体判断ということになります。

○伊藤部会長 ほかに御質問等ございますでしょうか。

○細矢委員 大方の人は余りワクチンの抗体価が付いたかどうかの検査をすることはないと思うのですが、本当に必要なのは、今ワクチンポリオを含めてポリオのあるような国に赴任される家族とか、そういった場合ではないかと思います。そうすると、それがいつ来るか分からないので、こういったことが、いつまで実施可能なのか、今だけの特例なのか、あるいは数年先にそういう事態が起こった場合でも対応してもらえるのか、それは分かりますでしょうか。

○賀登予防接種室長補佐 事務局です。11ページからが今回に関する微研会の出している資料ですけれども、いつまでにお知らせくださいというような期限は切っていなかったかと思います。ただ、一生大丈夫なのかというところまでも分かりませんので、すみませんが、今はお答えしかねる状況です。

○伊藤部会長 ほかにはどなたかございますか。ちょっと教えていただきたいのですが、実際このような通知を出されて、どれくらいの方が抗体検査を希望するものなのでしょうか。過去の事例とかはありますか。

○賀登予防接種室長補佐 事務局です。過去の事例までは分からないのですが、これは6月にこういった自主回収のお知らせが出たわけで、それ以降、問合わせ先の所には複数の問合わせ、医療機関なり、患者さんからの問い合わせが来ているということですので、全くゼロではなく、どれぐらいかはなかなか具体的なことは難しいです。

○伊藤部会長 分かりました。ありがとうございます。どれぐらい関心度が高いものなのかというのがもし分かれば、教えていただければと思っただけです。

○釜萢委員 正確に数は把握していないのですが、今の御説明の12ページで、当該ロットの有効期限がほとんど切れていたりするものですので、一番長いのが811日というのがまだ少しありますけれども、実際の回収の数自体は、少ないでしょう。さらに実際に抗体検査まで至った例は本当に数えるほどだろうと思っておりますが、その報告はいずれメーカーから出るのではないでしょうか。

○伊藤部会長 ほかには大丈夫でしょうか。

○石井委員 この抗体検査は3型だけで行うのでしょうか。というのは、もともと本来このメーカーもここまで下がるとは想定していなかったと思いますけれども、ほかの1型とか2型についても下がってしまっているとか、そのことについては検討しないという、3型のみということでよろしいのでしょうか。

○賀登予防接種室長補佐 事務局です。3型に対する抗体検査をしていただくということです。ただ、事前の臨床試験の中でも、今回の規格を割れたというところの程度も含めて、抗体陽性率の所は100%という別のデータもありますので、基本的には大丈夫ではないかというのが阪大微研側の考察です。

○伊藤部会長 よろしいでしょうか。これで終わりで大丈夫ですか。本日の議事は以上で終了ということでよろしいでしょうか。ほかに事務局からお願いいたします。

○元村予防接種室長補佐 事務局からは特にございません。

○伊藤部会長 1時間掛からずに終わりました。それでは、本日の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会を終了いたします。本日はどうもありがとうございました。