2019年度第2回化学物質のリスク評価検討会議事録

厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

日時

令和元年10月30日(水)14:30~16:22

場所

労働委員会会館7階 講堂

議題

  1. リスク評価対象物質のリスク評価について
    1. トリクロロ酢酸
    2. テトラメチルチウラムジスルフィド(別名チウラム)
  2. リスク評価において許容濃度やTLV-TWAの設定がない場合の対応について

議事

 
○阿部中央労働衛生専門官 そうしましたら、定刻になりましたので、2019年度第2回化学物質のリスク評価検討会を開催させていただきたいと思います。
本日の委員の方々の出席状況ですが、内山委員、高田委員、津田委員、原委員、平林委員、宮川委員の各委員から所用により御欠席ということで御連絡をいただいているところでございます。
そうしましたら、座長の名古屋先生に以下の議事進行をお願いしたいと思います。マイクがちょっと遠いかもしれないので、寄せていただければ。よろしくお願いします。
○名古屋座長 そうしましたら、事務局から資料の確認をよろしくお願いいたします。
○阿部中央労働衛生専門官 本日はペーパーレスということで、当初委員各位にはタブレットをお配りする予定だったのですけれども、数が足らないということで借り出しができなかったので、委員の方々には紙で資料をお配りしてございます。Web上にはいずれも既に掲載してございますので、傍聴者の方々はWeb掲載済みの資料をご覧いただければと。
 本日の議題としては、まず個別物質のリスク評価を2物質分御用意してございます。資料1-1としてトリクロロ酢酸、資料1-2としてテトラメチルチウラムジスルフィド(別名チウラム)の初期リスク評価書(案)ですね。
 それから、資料2-1、2-2として「リスク評価において許容濃度やTLV-TWAの設定がない場合の対応について」、対処方針の事務局案と、事務局案に即して一旦作成してみました「リスク評価実施要領」の改定案をご用意しています。
最後に、参考資料として、毎度のリスク評価検討会の開催要綱、名簿とリスク評価の実施状況のほかに、今回もろもろの根拠のドキュメントということで、先ほど申し上げましたけれども、「リスク評価実施要領」、正式名称が「国が行う化学物質等による労働者の健康障害防止に係るリスク評価実施要領」として平成18年3月にセットしている文書になりますけれども、こちらを参考3-1として。それから参考3-2として「労働者の有害物によるばく露評価ガイドライン」、こちらは平成21年12月版です。最後に参考3-3として「リスク評価の手法」、こちらは有害性評価小検討会でもろもろ御検討いただいている2019年9月の最新版をおつけしているところでございます。「リスク評価実施要領」と「ばく露評価ガイドライン」、それから「リスク評価の手法」につきましては、現行版をWeb上にも載せているのですけれども、特に実施要領とガイドラインは、現行のバージョンのセット版の文書には行番号なども付いていなかったので、今回いろいろ御議論いただく上では、行番号をつけておくなど、幾つか見やすいように整形をさせていただいた版を新たにご用意しました。したがって、中身は変わっていないのですが、本日の議論につきましては、こちらの参考3-1、3-2、3-3をご覧いただければ幸いです。
以上です。
○名古屋座長 ありがとうございました。
よろしいでしょうか。
それでは、本日の議題に入りたいと思います。
本日は2物質について初期リスク評価書が出ておりますので、その検討を行いたいと思います。
まずトリクロロ酢酸について事務局から説明をお願いいたします。
○阿部中央労働衛生専門官 そうしましたら、1つ目、資料1-1としてトリクロロ酢酸についてやらせていただければと思います。
資料の追加の御説明なのですけれども、Web上には特にコメントとか何も入れていな版を載せているのですが、その後、きょう御欠席の津田委員からコメントと修正意見を一部いただいているものがございまして、紙配付のほうには間に合いましたので、お手元の紙の資料には津田先生からのコメントを反映したものをお配りしているところでございます。行番号等には極端なずれがあるものではないと思いますが、念のため、委員の方々におかれては、お手元の紙の資料で、コメントが入っているものをご覧いただければと思うところでございます。
そうしましたら、中身の御説明に入らせていただきたいと思います。
トリクロロ酢酸です。
基本的な情報につきましては有害性評価小検討会及びばく露評価小検討会それぞれで御議論いただいているところですので割愛させていただきますけれども、津田先生からコメントとして幾つかいただいている点をなぞりながら上から御説明させていただきます。
まず発がん性のところ、22行目です。発がん性ありということになっている物質でございますけれども、IARCの1995とか2004とか出典を書いてございますが、巻数まで書いたほうがよいと御指摘いただきました。既存の文書をどこまでさかのぼって記入するかとか、今後も全て漏れなく書くのかというところについてはなかなか難しいかもしれないとの補足もいただいているところでございますけれども、一旦本日はVol.をそれぞれ追加させていただいているところでございます。
その後ろのほうの61行目以降、同じく津田先生からのコメントなのですけれども、書きぶりにちょこちょこと手を入れたほうがよいのではないかという御意見をいただいているところがございます。本日のリスク評価の内容にはそこまで大きく影響しないポイントかと思いますので詳細は割愛させていただきますが、他の箇所も含め、同様に修文の御意見がもしございましたら、とりまとめまでに適宜事務局まで御指摘いただければと思うところでございます。
同じように、128行目、129行目、「ACGIHは、60週以降のばく露で見られた」云々という記述がございますけれども、こちらについても一部書きぶりについての修文のご意見をいただいています。
163行目、「マウスリンフォーマ試験」と書いているところが「マウスリンフォーマTK試験」ではないかというコメントもいただきました。これらの点については、最終的にリスク評価書をセットする段階で先生方と確認させていただければと思っています。
つらつらとご説明をさせていただきましたが、一旦こういったコメントをいただいているということを念頭に置きつつ、肝心の一次評価値、二次評価値につきまして御説明させていただきますと、評価値のところが209行目、216行目に一次評価値、二次評価値をそれぞれ記載してございます。結論としては、ACGIHのTLV-TWAを二次評価値として、0.5 ppmという値を採用してはどうかということで、有害性評価小検討会の方では御確認いただいてきたものになります。一次評価値は今のところなしということにしています。
ということを前提に、ばく露作業報告の提出状況とかも含めたばく露実態評価についての御説明をさせていただきたいと思います。
223行目以降です。ばく露作業報告につきましては下表のとおりということで、228行目に記載してございますけれども、3事業場から報告をいただいたと。主な用途としましては、物そのものの製造とか他製剤の原料であったということです。作業の種類については、計量、配合、注入、投入または小分け、ないし充塡または袋詰めというようなものでした。
これに対してばく露実態調査なのですが、229行目以降、ばく露作業報告は3事業場からあったのですけれども、一次調査の段階でもうその物質は使っていませんとのことだった1事業場がございましたので、こちらを除きまして、2事業場についてばく露実態調査を実施したと。個人ばく露測定が4人分、A測定1単位作業場分、スポット測定4地点分やってございます。測定分析法については省略させていただきますが、詳細は別添4に記載してございますので、何かありましたら、そちらをご覧いただければと思います調査の対象事業場における用途は、他製剤の原料でした。ばく露の可能性のある主な作業は、対象物質の小分けとか計量。作業環境につきましては、今回の調査対象の作業場は全て屋内で、局所排気装置とか保護具などももろもろ使われていたということでございます。
以上を踏まえまして、測定結果ですけれども、毎度の測定結果のグラフがないのですが、結論としては、4人の労働者に対して行った個人ばく露測定はいずれも定量下限値を下回っていたということで、8時間TWAの値も当然算出できないということになってございます。ですので、実はばく露評価小検討会のときにも、あれっ、グラフがないなという話をいただいたのですけれども、今回、この物質については結果的にグラフもおつけしておりませんし、具体的なばく露最大値の算出はできないということになってございます。ですけれども、考え方としては当然、定量下限値を下回っていたということですので、二次評価値に比べても十分低いと考えられるというのが結論です。
以上を踏まえまして、261行目以降、今回の取りまとめです。リスクの判定及び今後の対応というところですけれども、トリクロロ酢酸の製造・取扱事業場において全て測定データが定量下限値の最大値を下回っていたと。二次評価値に比べても十分低いので経気道からのばく露のリスクは低いと思われる。それから経皮吸収の勧告も特になしということですので、下の266行目以降の記述についてはいつもの記述ですけれども、初期リスク評価までのパターンで記載しているところでございます。
以上です。
○名古屋座長 ありがとうございます。
二次評価値に比べて、定量下限よりも著しく低いということで、従来のルールにのっとれば初期リスクで終了となるということですけれども、何か文章の訂正等お気づきの点はありますでしょうか。
○大前委員 文章の訂正なのですけれども、86行目の「3,2540」のカンマの位置がずれています。「総合評価表」のところも同様です。それから、「有害性評価書」の、行数でいきますと397行目の表の中も同じですので、よろしくお願いします。411行目は正しいのですけれども、そのほかはずれておりますので。
○阿部中央労働衛生専門官 失礼しました。訂正させていただきます。
○名古屋座長 ほかに。
○西川委員 語句の修正ですけれども、31行目、これはラットに発がん性がないことを記載していると思うのですが、「発がん能力欠乏」というのは変なので、「ラットに対する発がん性欠如」のような修正が必要かと思います。
それからもう一カ所、124行目、「肝臓PCO活性」、PCOとは何だろうと思って調べてみたら「パルミトイルCoA酸化酵素」であるので、これはそのように記載したほうがいいと思いますし、その次の125行目、「活性の増生」とあるのですが、これは「増加」の誤りだと思いますので、修正をお願いいたします。
あと、確認なのですが、一次評価値がないということについて、二次評価値の10分の1以上であるからということなのですが、そうした一次評価値というのは、発がん性に関する閾値ありの場合、評価レベル= 0.054 ppmを指しているのでしょうか。これは確認です。
○阿部中央労働衛生専門官 確認させていただきます。追って御回答させていただきます。
○西川委員 閾値ありとした場合は遺伝毒性がないという前提の話だと思うのですが、これは遺伝毒性はありですよね。中和塩を除いた場合。なので、このあたりは確認が必要かと思います。
○阿部中央労働衛生専門官 承知しました。確認させていただきます。
○名古屋座長 いつもこういう書き方をしていましたっけ。書きぶりがちょっと違いますよね。
○阿部中央労働衛生専門官 すみません、他の例がどういった形かを含めて、文言調整の中で御確認いただくような形にしたいと思います。
○名古屋座長 多分、「十分の一以下」という表現は使いませんよね。いつもだと、一次評価値のところで「評価レベルが二次評価値の十分の一以上であるため」に一次評価値を設定しないという書き方はしていませんよね。
○大前委員 しています。
○名古屋座長 していますか。では、いいですね。
○阿部中央労働衛生専門官 「十分の一以上であるため」云々のところは、本年度はこれで書いているのです。おそらく最終版をセットするときにそこも含めて横並びでもろもろ全体を調整させていただく必要があるかと思います。というのは、実は前回の有害性評価小検討会などでも御議論いただいているのですけれども、「生殖細胞変異原性」をどこにどう書くとか、そういったところも含めて並びをそろえないといけないとかいう話をしておりますので、そこも含めて形式をそろえたものを本年度最終的にお出しできるようにしたいと思います。
○名古屋座長 あとはよろしいでしょうか。
そうしましたら、トリクロロ酢酸につきましては、経気道ばく露が低かったことと経皮吸収の勧告がないということですので、初期リスク評価で終了ということで。ただ、一部修正等はありますが、それは事務局、よろしくお願いいたします。
そうしましたら、これは終わりまして、次に行きたいと思います。
次はチウラムですか。第2物質、よろしくお願いいたします。
○阿部中央労働衛生専門官 そうしましたら、資料1-2をごらんいただければと思います。テトラメチルチウラムジスルフィド(別名チウラム)でございます。
こちらもちょっとだけ津田先生からいただいているコメントがありますので、紙でお配りした版では、例えばIARCの設定年のところにボリュームを書いたり、ちょこちょこ手を入れているのですけれども、こちらはあまり大きな修正ではないということで、コメントつきのような形にはしてございません。
内容についてなのですけれども、主なところとしましては、基礎的な物性とかそういったところは毎度のことながら飛ばさせていただいて、論点になっていたところを1点だけ補足させていただきたいと思います。
許容濃度等のところで、176行目になります。Web上に載せている資料だとマーカーをつけていたりするのですが、ACGIHのTLV-TWAが0.05 mg/m3であるということで、ここの「可吸入画分」及び蒸気というものに対して、インハラブルなのかどうなのかというところで御指摘をいただいておりました。このACGIHのTLV-TWAに対して、産衛学会がちょうど倍の値、0.1 mg/m3というのを勧告していまして、さてどちらを採るかというのが論点になっていました。結論としては、これはインハラブルであると御確認いただいておりまして、今回は、この値はインハラブルについてのものですということを念頭にまとめをつくらせていただいております。
具体的な評価値ですけれども、これはACGIHのTLV-TWAがインハラブルについてのものなのかどうなのかによって、もしくは実際にばく露実態調査をどういった形でやっていたのかによって、評価の仕方といいますか、どちらの値をもって評価するかというのを精査するべきであろうという話を有害性評価小検討会で御指摘いただいておりました。その点、わかりにくいかなというのは正直あるのですけれども、ちょこちょこと御説明しますと、順番は逆になるのですが、先に285行目をご覧いただければと思います。これはばく露実態調査の内容についてなのですけれども、捕集対象は総粉じんとなっています。いわゆるトータルでとっているということですね。これが、有害性評価小検討会で、そもそも本物質についてのばく露実態調査の値は何基準でとっているのだっけ、といった御指摘をいただいた点への御回答になります。結果的に捕集対象が総粉じんでしたので、総粉じんとインハラブルは厳密に言えばイコールではないのだけれども、傾向は明らかですので、目安として比較すること自体は可能だろうというところも踏まえつつ、最終的に、逆算になるのですけれども、有害性評価小検討会の際の御議論を踏まえると、261行目の先ほどの二次評価値、こちらはACGIHが勧告しているTLV-TWA、インハラブルのものについてでよいのではないか、という案にさせていただいた次第です。
話が行ったり来たりで大変恐縮なのですけれども、次にばく露作業報告の状況等について御説明させていただきます。269行目以降にその辺を書いているのですが、報告としては62事業場、作業の数としては計99件ございました。そこそこ数があったのかなという感じですかね。
この62事業場のうち調査の実施に同意が得られた事業場の中から7事業場にばく露実態調査をやってございます。個人ばく露測定が16人分、スポット測定が24地点、A測定が3単位作業場ということです。括弧で※、282行目に書いてございますけれども、調査の実施については最大で10事業場から同意が得られていたのですけれども、どうも年度内に対象物質をつくることが無かったようで、つくっていなかったら測れないですねということで、しようがないので7事業場を対象としたということでございます。
測定分析法につきましては、先ほど申し上げましたように総粉じんでとってございます。対象事業場における作業の概要ですが、チウラムそのものの製造、他製剤の原料、触媒または添加剤としての使用がメインでした。ばく露の可能性のある主な作業としては、対象物質の小分け、製剤の投入、取り出し、秤量、梱包、もろもろでございます。調査した作業については全て屋内のものでした。ばく露防止対策としては、45作業中33作業ということなので、3分の2ぐらいですか、局所排気装置が設置されておりまして、全ての作業で呼吸用保護具―防じんマスクですけれども―が使用されていたという状況です。
この測定の結果についてです。ここもばく露評価小検討会での御議論とかも踏まえながらちょこちょこと、書き方は微妙かなと思いつつも書いているところがございますので、修文、御意見がございましたら、ぜひ御指摘いただければと思うのですが。結論としては、16人の労働者に対して個人ばく露測定をやった結果、定量下限値を下回ったのが1データなので、それを除いて15データを評価データとして採用してございます。その8時間TWA―「総粉じん」とあえて書いてございますけれども―は、対象物質の小分け等の中で測定された0.58 mg/m3で、区間推定をとりますと2.4 mg/m3となってございます。
これを踏まえますと、ばく露最大値は一応後者の2.4 mg/m3ということになりますけれども、これは二次評価値に比べると十分高い値になろうかなというところをごにょごにょと書いてございます。「二次評価値0.05 mg/m3はインハラブル粒子についてのものであり、ばく露実態調査における測定対象の総粉じんと完全に同一のものではないが、概ねかけ離れた値にはならないものと考えられるところ、ばく露最大値は二次評価値に比べて概ね高いTWA値を示したと考えてよい」のではないかと、微妙な書き方かなとは思いつつも、一旦書かせていただいてございます。
グラフについては、313行目に書いてございますとおり、二次評価値はだいぶ超えているというのが結論です。実際には、これは二次評価値がACGIHの0.05 mg/m3ではなく産衛の0.10 mg/m3だったとしても超えていますので、どうあっても高かったということになるかと思いますけれども。これをまとめますと、317行目以降にリスクの判定及び今後の対応を書いてございますが、「(別名チウラム)の製造・取扱事業場におけるばく露の実態は、ばく露実態調査における捕集方法が総粉じんに係るものであったのに対し」というところが先ほどご説明したところですね。ここにどこまで書くかは別として、厳密に言えば捕集方法に若干の差異が生じている、事実関係としてはそういうことなのかなといったところ漠然と書きつつも、その前提で最大ばく露量を評価すると、二次評価値は大きく上回っていると言える、つまり「捕集方法の差違を考慮してもなお、最大ばく露量が二次評価値を上回っているのは明らかであると考えられる」ということで、詳細リスク評価ですかね、ということを御提案のラインにしてございます。
その詳細リスク評価の際には、これはばく露評価小検討会で御指摘いただいていた点ですけれども、捕集方法の差異に留意しつつ、二次評価値を上回ると考えられる作業について──二次評価値を上回ると考えられる作業として具体的に挙げるものがここに記載した範囲で限定してよいか、というのは御相談かと思いますが──「当該作業工程に共通した問題かをより詳細に分析するとともに」云々と、こちらについては毎度の詳細リスク評価の記載ぶりにさせていただいているところでございます。
すみません、文言についてはどうまとめたものかなと思いつつ、おおむね、有害性評価小検討会、ばく露評価小検討会の両小検討会の委員の方々の御指摘を踏まえておこうかなということで一旦書かせていただいておりますが、おかしなところがございましたらぜひ御指摘いただければと思っているところでございます。
以上です。
○名古屋座長 ありがとうございました。
測定方法のところで、総粉じんで測定しましたが、二次評価値がインハラブルという形ですけれども、面速で考えると総粉じんのほうが高いですから大きく出るのかなと思います。ここに書かれているように高めですけれども、今度は詳細リスクに行ったときにきちんとインハラブルで測定してもらえれば実態は出てきますので、ここは詳細リスクに行ったほうがいいと思いますけれども、ほかに意見等がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
○鷹屋委員 今の点で、もとの粒径分布がわからないので何とも言えないのですけれども、普通は総粉じんのほうが測定値が低めに出ますよね。だから、ここまで歯切れの悪い書き方、インハラブルと総粉じんと違うから本当のところのリスクはわからないという書き方をしなくても、総粉じんでこれぐらい出ていれば、インハラブルでこの二次評価値であれば、もう少し詳しく決めなくてはいけないのは明らかだと思いますので、場合によってはもう少し強い表現でもいいのではないかと私は思います。
○名古屋座長 そう思います。いずれにしても、半分とかになるような差があるわけではないので、桁数が違うので、表現だけもう少しやわらかくても大丈夫でしょう。
○阿部中央労働衛生専門官 正直どこまで自分自身がちゃんと理解できているかというのもありましたので、かなりヘッジをかけた書き方にしていたのですが、今の御指摘を踏まえて、書きぶりは、明らかだよねという要素をもう少し強めに書けるようにしたいと思います。修文については御相談させていただければと思います。
○名古屋座長 そうですね。だから、中災防さんが詳細リスクで現場測定を行うときに、1点でもいいからインハラブルと総粉じんの並行測定してみて、どのぐらい差があったというデータが1個あればこの文章はもっと書きやすくなるので、その辺をお願いしておけば大丈夫かなと思いますけれども、どうでしょうか。
ほかに文言等よろしいでしょうか。
○西川委員 津田先生からIARCの発刊年だけでなくてボリュームをということがあったのですが、これは別添2の引用文献を見るとたどれるのですね。行数がないのであれですけれども、IARC 1991、vol 53と書いてあるのです。だから、この資料をたどっていけばたどり着くことはできるので書かなくてもいいのかなと思いましたけれども、これまでの評価書も修正しないといけなくなりますので。感想ですけれども。
○阿部中央労働衛生専門官 承知しました。時間が限られておりましたので、とりあえず反映だけしてお持ちしたのですけれども、取りまとめのところでは御指摘を踏まえて加減させていただければと思います。
○名古屋座長 統一しておけば大丈夫ということだと思います。
ほかはよろしいでしょうか。
そうしましたら、ここに書かれていますように詳細リスク評価に行くという形で終了したいと思います。
あと、測定について今のところで若干お願いしたことがありますので、その辺を委託元に伝えていただければありがたいと思います。
では、次に行きたいと思います。
○阿部中央労働衛生専門官 すみません、先ほどのトリクロロ酢酸の関係で事務局から補足させていただけると幸いです。
1点だけ、これはばく露評価小検討会からだったと思いますけれども、捕集効率について御指摘いただいていたところがございました。資料1-1の一番最後のページに標準測定分析法のところがございます。シリカゲルチューブで捕集をしていると。これはどのぐらいちゃんととれるのか、要は捕集効率はどのぐらいなのだという御指摘をいただいていたかと思います。
この点につきまして追加で確認をさせていただいたのですけれども、今回話題になったシリカゲルチューブで最も捕集効率が低い粒子径、MPPSが0.6~0.7µm程度であると。当該粒子径について、200mL/minの吸引流量で最低捕集効率が70%くらいだったと伺っています。フィルターでの捕集効率は0.2~0.3µm径で判断しているので、少し大きな粒径のほうが捕集効率が悪い結果になる傾向はある。ただし、一番悪いところで数字がとれている範囲でも70%はいけているので、安全側で捉えても60%以上の捕集効率はあると考えられるのではないかと見ている、というお話を本年度委託事業者から御説明いただいているところでございます。
すみません、宿題返しと言うとあれですけれども、そもそもこのシリカゲルチューブでどのぐらい粉じんをとれるのかというお話がありましたので、補足の御説明だけさせていただきました。評価については恐らくそこまで影響はないかと思いますけれども、何かございましたら御指摘いただければと思うところでございます。
以上です。
○名古屋座長 どうでしょうか。
○阿部中央労働衛生専門官 こちらの経緯としては、シリカゲルチューブでトリクロロ酢酸の粉じん状のものはどのぐらい捕集できるのだっけというのが話題になったのです。御回答としては、低く見ても60%ぐらいはとれているだろうという話だと見ていただければと思います。そして今回の評価の方向性について大きく影響はしないのかなという御説明です。
○名古屋座長 とれている濃度が余りにも低いのでということだと思います。ただ、そういうデータがあると、この次にシリカゲルで捕集するときに、ほかの粒子はどうなのかなと、粒径を考えられるのでそういう情報があったほうがありがたかったなと思います。
そうしましたら、2物質で、1物質は初期リスクで終了、もう一つは詳細リスクに行くという形になるかと思います。
それでは、次の資料2のところです。本日、「その他」の中で、前回、9月30日の第1回検討会でも議論しました、リスク評価における許容濃度やTLV-TWAの設定がない場合の対応について、続けて議論したいと思います。
まず事務局から資料2-1の説明をよろしくお願いいたします。
○阿部中央労働衛生専門官 お時間はたっぷりありますので、ぜひ忌憚のない御意見をいただければと思っておりますけれども、まず資料2-1として1枚紙をお配りしてございます。「リスク評価において許容濃度やTLV-TWAの設定がない場合の対応について(案)(TLV-STEL又はTLV-Ceilingの値のみの場合の取り扱い)」ということです。
タイトルどおりの中身なのですけれども、今、名古屋先生からもお話しいただきましたように、前回、9月30日の第1回検討会で実際に話題になった物質がございまして、Ceilingの値しかないものはどうするのだ、二次評価値とかばく露レベルをどうやって取り扱うのだというところで御議論をいただきました。その後、10月7日に本年度第4回の有害性評価小検討会を開催させていただいているのですけれども、その中でも、9月30日の合同の検討会の御議論を踏まえて、さて二次評価値をどうしましょうかという話をさせていただきました。
2回の検討会の御議論を踏まえると、方向性としてはこんな感じですかねというところを一旦まとめさせていただいたのが今回の案ですけれども、1「対応方針(案)」ということで、1つめに書いてございますのが、二次評価値の決定に当たり、許容濃度やTLV-TWAの設定がない場合はSTELないしCeilingも考慮することを明確にしましょうと。これは総論としてはそうですねとご了解いただけるお話かなと思っております。
では具体的にこれらに基づいて二次評価値を決定する場合に比較対象となるばく露レベルをどうするのだということなのですけれども、急性ばく露に係る評価値に対応する短時間でのばく露レベルの値に近似し得るものとして、何かややこしいことを書いていますけれども、御承知のとおり、TWAは通常は慢性ばく露の評価だと思うのですね。それに対してSTELとCeilingについては、前回の有害性評価小検討会で西川先生からも御紹介いただいたのですけれども、Ceilingはいかなる場合も超えてはならないという値で、STELは15分での値だと。してみると、TWAに比べて、これらの値は短時間でのばく露なのですよねと。この短時間ばく露の値に対応するもの、ぴったりくるものが正直あまり無いような気もするのですけれども、あえて比較対象として取り上げるとすれば、スポット測定により得られる作業ごとのばく露最大値なのかなということを一旦案として書かせていただきました。
他方、この対応方針(案)の1,2についての御議論がどのような方向性になるにせよ、平成18年以来手つかずにいた「リスク評価実施要領」、つまりリスク評価の取組の一番根本の文書なのですけれども、どうやってもこちらに手を入れないわけにはいかないだろうと考えておりまして、一旦、資料2-2として改定案をご用意しています。具体的な改定箇所等の御説明はこの後させていただきますが、少なくとも、対応方針がある程度明確になった段階で修文等々もしていかなければいけないだろうというところをご承知おきいただければと。
それに伴いまして、今回、参考資料という位置づけでお配りしておりますけれども、有害性評価小検討会でセットしております「リスク評価の手法」の文書ですとか、ばく露評価小検討会でセットしていただいている「ばく露評価ガイドライン」についても、「リスク評価実施要領」に手を入れるのであれば──ハネ改正というと役人っぽいですけれども──当然影響が出てくる部分がございますので、これの改定を考えなければいけないことになります。
試しにということで、資料2-1の方針案の中では、「リスク評価の手法」に関してはこんな感じかなということで一筆、案文を入れてみております。「リスク評価の手法」自体は、参考資料3-3としてお付けしていますので、そちらと照らして見ていただければと思いますが。その参考資料3-3の159行目、「二次評価値の決定」というところには、許容濃度やTLV-TWAの設定がない場合、以下に記載の優先順位により最新の知見を考慮して値を採用する、といった文言がございます。160行目の(ア)「許容濃度又はTLVが設定されている場合」では、「原則として、設定されている次のいずれかの濃度を選定する」ということで、産衛の許容濃度とACGIHのTLVが書いてあるわけですが、今回の対処方針案の中では、ここで言っている「TLV」というのはTWAの話なのだということを明確に整理した上で、168行目以降、「許容濃度、TLV-TWAが設定されていない場合」というところ、「以下に記載の優先順位により、最新の知見を考慮して値を採用する」として他に参照する機関の値を諸々記載している中に、米国のREL、ドイツのMAK、英国のWEL、こういったものと並べてACGIHのSTELなりCeilingなりを入れておくというのが、1つの考え方と言いますか、他のドキュメントへの影響としては、例えばこういうところに影響が出るでしょうねというところを一旦案としてお示しさせていただいているところでございます。
では具体的に「実施要領」にどういう改定が発生するのかという観点から、一旦事務局で改定案をこんな感じかなというところだけ起こさせていただきましたのが資料2-2になります。こちらは平成18年5月版への見え消しにしているので、もとの平成18年5月版については参考資料3-1をご覧ください。先ほど申しましたように、行番号などをつけているのでWebに載せているものと見栄えは違いますけれども、中身は変わっていません。
具体的に資料2-2の改定案の考え方を御説明させていただきます。
委員各位のお手元には、各箇所の修正の趣旨についてコメントを付した版をお配りしましたので、そちらをご覧いただければと思うのですが。
まず10行目、「本実施要領における用語の定義は以下のとおりである」という記述がありまして、現行では「量-反応関係」、「ばく露限界」、「ばく露レベル」と、もろもろ定義の記載がございました。これは有害性評価小検討会で御議論いただいていたものですけれども、各毒性の情報については、GHSで書かれているような毒性の定義みたいなものをちゃんと書いておくべしという話がございましたので、どうせやるなら「リスク評価実施要領」にもしっかり反映しておくべきだろうと考えられるわけですが、その定義を現行の版の用語の定義のところに並べて記載していこうとしますと非常に読みにくいかなというところがございましたので、用語の定義については諸々別表に切り出す形で如何かと考えているものになります。具体的な用語の定義の文言の中身については、別表の修正案の中でご覧いただければと思いますので、後ほど御説明させていただきます。
ただ、その中身をさてどうするかというところなのですけれども、49行目に「なお、有害性の種類に係る用語については、文脈により対象に含む毒性の範囲に差違があるケースがあるが、主要文献に記載された有害性情報の分類や毒性の定義等に疑義が生じた場合には、GHSの定義に遡って取扱いを確認し、必要に応じて対象範囲を明記することにより第三者が誤認しないように努める」という記述を追加してみています。こちらは、例えば先ほどの「生殖細胞変異原性」というのは何だっけとか、「生殖毒性」とか「遺伝毒性」とか、もろもろ種類が存在する毒性はどこに何を含めるべきかという話でいろいろ御議論いただいていた点がございますので、とにかく遡るのはGHSであるということを一旦ここで確認してはどうかなという発想によるものです。
続いて、今回の修正案……というか改定案の骨子に近いところに段々入ってくるのですけれども、62行目以降です。これまでは「作業環境の測定」と「個人ばく露濃度の測定等」という2つが併記されていたのですが、現行のばく露評価ガイドラインでは総合的に「ばく露濃度測定」という言い方をしていますので、文言上、そちらの表現に合わさせていただきました。そうした上で、具体的なばく露濃度測定の中身として「個人ばく露測定」と「A測定」と「スポット測定」の3つがございますよと、そういった立て付けにしてみています。個人ばく露測定、A測定、スポット測定のそれぞれの説明については、既存のドキュメントの中でいい感じに定義されているものが見当たらなかったので、一旦いろいろなところからの切り張りで書いてみました。この点につきましては、本日御欠席の原委員から、本文中で定義されているので問題ないとは思うが、との前提で、現在、作業環境測定の見直しの中で「個人サンプラーによる測定」の導入が予定されているため、「個人サンプラーによる測定」と「個人ばく露測定」の違いの説明があった方が混乱なく進められるように思われる、といった御指摘を頂いているところでございます。
91行目以降については、「有害性の種類及びその程度の把握」というところで「遺伝毒性」を加えたり、「量-反応関係等の把握」のところ、95行目になお書きを加えたりしておりますけれども、こちらは、有害性評価小検討会でセットしている「リスク評価の手法」の文書に同じような文言を書いているところがございまして、そちらについて今年度修正をいろいろ加えているところを逆に反映させていただいたものになります。これはあくまで「リスク評価の手法」と揃える観点から手を入れているものですので、今回のCeiling等の取扱いとは直接関係しません。
具体的にCeilingとかの取り扱いについてどうするかということを書いておりますのが、145行目以降です。下線が二重線になっている緑字のところは、もともと別の場所にあった記述をカット&ペーストしてきたものですので、記載の位置が変わっただけのものになります。それに対して、なお書きで追加しているのが今回新しく加えている要素になります。
147行目、「なお、当該ばく露限界が、ほとんど全ての労働者が連日繰り返しばく露されても健康に影響を受けないと考えられている濃度又は量」―例えば産衛学会の許容濃度とかTLV-TWA等の慢性ばく露の評価値―「であるのか、あるいは急性毒性等に着目して設定されたもの」―これは例えばとしてSTELないしCeilingを入れているのですけれども、こういった急性ばく露の評価値―「であるのかに留意し、把握できるものが後者の値のみである場合には、下記3のばく露状況の把握において比較する対象を精査する」という文言を加えてございます。趣旨としましては、もともとばく露限界を把握した上で―ばく露限界というのはここで言うと許容濃度とかに当たるところなので、評価値に該当することになると思いますが──それをまず把握した上で、その評価値がどういうものをソースにしていたのかによって後のばく露状況の把握のところにハネてくる部分があるということを一筆入れているものでございます。
その下の二重線がずっと続いているところは、先ほど申し上げたとおり、記載位置が変わっているだけですので、内容の変更はございません。
コメントの趣旨として次に書いておりますのが205行目なのですけれども、「ばく露濃度測定」という文言に合わせているのは、これは全般に形式的な手直しですのであまり気にしないでいただいていいかと思うのですが、205行目から208行目、「なお、作業環境の測定は」というところを消してございます。こちらについては、委員各位に配布させていただいた紙の資料にはコメントとして補足をつけておりますけれども、ばく露濃度測定の具体的な中身を最初のところで定義したので、結果的に重複した記述になった都合上、要らないかなということでしれっと消したというだけのものでございます。
その後、215行目になりますが、「ばく露レベルの把握」というところで、こちらは実態調査の中で実際にどのぐらいばく露しているのかを把握しましょうという部分です。こちらについてなお書きで手を入れておりますけれども、「なお、上記2のアにおいて慢性ばく露に係る評価値がばく露限界として把握された場合には、個人ばく露測定の結果から算定される個人ばく露最大値をばく露レベルとする」。ここが従前の取り扱いを改めて明示した箇所になります。
だんだん「ばく露レベル」とか「ばく露限界」とかがごっちゃになってくるような気もするのですけれども、改めて補足させていただきますと、趣旨としましては、「ばく露限界」がいわゆる二次評価値とかの値に相当するもので、これに対して「ばく露レベル」というのは実際に現場でどの程度ばく露が発生しているかの程度を意味するものになります。したがって、「ばく露限界」──評価値がもともと慢性ばく露に係るもの、つまりTWAとか許容濃度に由来するものであった場合には、それと比べる対象──「ばく露レベル」としては個人ばく露測定の結果を見ましょう、ということを言っているものになります。
「上記2のアにおいて急性ばく露に係る評価値がばく露限界として把握された場合には」については、これはもともと評価値がSTELとかCeilingから採ってきたものだった場合という趣旨になりますけれども、こういった場合には、「急性ばく露に係る評価値に対応する短時間でのばく露レベルの値に近似し得るものとして、スポット測定」の値をとるというところを一旦入れさせていただいているものでございます。こういう書き方をすると、自動的にスポット測定と比較することになりかねないかなというのも気にはなっているのですが、他にあまり思い当たるものがないといいますか、比べられるものはそれなのかなというところもございまして、一旦改定案としてはこういったものを文言として入れているところでございます。
その後ろのほうにもろもろございますのは形式的な手直しでして、この機会に修正しておこうと考えているものになります。今回の改定の趣旨……といいますか骨格のところは、いま御説明したもののうち、ばく露レベルの把握について、急性と慢性の別によりそれぞれ評価の際に用いる対象を変えるというところになろうかと思います。もちろん、ついでにこの機会に何かあったら一緒にもろもろ改定しておくように致しますので、適宜御指摘いただければと思いますが、差し当たって今回の検討会では、STEL、Ceilingの取り扱いについてどうやって取り扱いに反映していけばよいのかというところについて御議論いただければと考えているところでございます。
事務局からは以上です。
○名古屋座長 ありがとうございます。
そうしましたら、分けて、資料2-1の設定がない場合の対応の案のところだけ議論していただいて、また資料2-2に戻ろうと思いますけれども、2-1のところで何かありますでしょうか。
○鷹屋委員 2-1なのか、もしかして2-2にかかわることなのかもしれませんけれども、今は結局TWAがないときにはceilingやSTELを代替的に使おうという感じにも読めるのです。STELが急性毒性に対して設定してある場合にはそういった扱いもあり得ると思いますが、当然両方あって、例えば感作性の物質のような場合は両方重要な物質もあるわけですので、そういったものに関してもし今回大きく考え方を直しているなら、そういったものに関する考え方を入れることも必要ではないかという気がするのですけれども、いかがですか。
○名古屋座長 それはありますよね。
○櫻井委員 今のものに近いテーマですけれども、例えばACGIHが入っているceiling、日本産業衛生学会が言っている最大許容濃度、これはいずれも必ずしも急性影響を予防するという意味ではないのです。やはり慢性の影響を予防する。だから、平均値はそれより低いけれども、ばらつきの大きい値がこの濃度を超えると慢性の影響も起こり得る。例えば刺激による鼻の粘膜の異常とかいうことなので、STELとは全然意味が違います。だから、ceilingとか日本産業衛生学会で言う最大許容濃度として勧告されているものが許容濃度の設定がないと言っては違う。設定があるわけです。
○名古屋座長 先生の意見でいきますと、あえて慢性ばく露と急性ばく露によって分けることはしなくて、例えばceilingのある物質を評価するときにはスポット測定を行うという書き方のほうがいいですということですよね。要するに慢性とか急性とかにするのではなくて、慢性の影響を予防すると言うことから、通常のばく露でいいということですけれども。急性の影響を評価するために、通常より多めにスポット測定を行うということです。
○櫻井委員 何回か測定して、いずれもその値を超えないということを求めているので。
○名古屋座長 急性ばく露と慢性ばく露は、スポット測定で分けるということですよね。要するに、設定された二次評価物質の濃度に対して急性ばく露があるものについては、通常のばく露測定とあわせてもう一つスポット測定も評価の対象に今まで入れていなかったのを入れましょうという形の考え方と考えてよろしいでしょうか。どうでしょうか。
○櫻井委員 実際には現場へ行って高そうなところをずっとはかって、どの値もceilingを超えていないということを確認すればいいわけです。
○名古屋座長 今まではどちらかというと、スポットで測定して二次評価値より高いばく露があったとしても、一応参考にはするのですけれども、それを取り入れて詳細リスクに持ってくるということはしていなかったのですけれども。
○櫻井委員 今までceilingとかはやっていないのですね。
○名古屋座長 そうです。やっていないのです。今回それが入ったので。
○櫻井委員 当然入れるべきだし、取り扱いは全く同じですよね。測定のときに気をつけるだけの話。
○名古屋座長 わかりました。急性ばく露の場合、やはりスポット測定をどうするかということが少し重要になってきますよね。濃度は別にして。だから、書き方として今桜井先生が言われたのはどうでしょう。皆さんの意見。急性ばく露と慢性ばく露と分けるのではなくて、今までと同じなのだけれども、スポット測定の重要性を少し評価の中に入れていくという書き方はどうでしょうか。
○阿部中央労働衛生専門官 一応御参考としては、参考資料3-2、「ばく露評価ガイドライン」にどう書いてあるかという話だと思うのですけれども、356行目にスポット測定についての説明が書いてあります。その上にA測定もあるのですけれども、スポット測定はどうやるのだっけというところはこちらに書いてございまして、若干長いのでかいつまんで御説明……というか、口頭でお話しさせていただくと、もともとスポット測定は何のためにやるのかについては、「個人ばく露測定におけるばく露の多寡に係る要因分析が可能となるよう」というのが目的とされているのです。こういった書き方を見ても、正直、その測定結果を何かと比較して評価する目的ではとっていないというのが今のスポット測定の位置付けなのかなと思います。その後に「作業による対象化学物質の発生レベルを把握する」との記述もありますが、ここで把握する対象とされているのは、「ばく露レベル」ではなく、あくまで「発生レベル」なんですね。それをどこまでリスク評価の中で考慮するべきなのかというのは、明確ではないわけですが。「このため、測定対象作業については、事前調査における聞き取り等をもとに、作業者のばく露が予測される作業を対象に実施することとする」。こういった手順についても下に記載してございますけれども、サンプラーの選定や対象作業の特定のところの説明は改めてしないでもいいですね。肝心なのはc以降です。「発生源近傍にサンプラーを設置(屋外作業を含む)。サンプラーの設置は、風がある場合には風上風下の2点、風向が一定しない場合には発生源を取り囲む4点とする」、そして「最大20分」云々と。こういった話が、下の方には精度要件とかも含めて、つらつらと書かれているわけです。
そういった意味で、今のスポット測定というのはあくまでこういった位置付けのものだということを念頭に、さてどうするかというところだと思うのですけれども。今の話としましては、やはりスポット測定そのものを見直すべき、ということになるのでしょうか? 具体的なところは、ばく露評価小検討会にこのガイドラインの改定とかをお諮りすることになりますが、改定案をご用意する都合上、方向性だけでも見えるとありがたいと思っているのですが、いかがでしょうか。
○櫻井委員 作業環境測定基準絡みの関係からいくと、作業者のばく露を隅に置いておいて、作業環境それ自体を評価しようとするわけですよね。だから、作業者がいるかいないかを最初に考えるのではなくて、作業環境そのものの一番高そうなところを選んでスポット測定する。作業者のばく露は、今度は作業者の行動とかを考えて、あえてスポット測定の場所を両方考えて選ぶべきだと思うのです。作業環境だけを考えるのではなくて、作業者の動く位置も考える。作業環境測定基準というのは、作業者の行動を考えないで、まず作業環境を評価しようとしていますでしょう。それで高そうなところはB測定ではかりますよね。そこに作業者が行かなければ別に構わないのだけれども、実際にそういうところがあれば行くこともありますよね。ceilingのついている場合にはそれはアウトです。やはりリスクがあるということになると思います。そこへ行くかもしれないですから。だから、両方考えて。今までもスポットを選ぶときに実際は両方考えていると思いますけれどね。そうでしょう。
○名古屋座長 多分B測定と違って、スポットの場合は必ず作業者についています。中災防さんがいらっしゃるので聞かないといけない。
○阿部中央労働衛生専門官 中災防さんも傍聴にはいらっしゃっていますが、ご発言の予定は無かったので、よろしければ事務局の方から追加でご説明を。
これは実は前回も見ていただいたのですけれども、ばく露評価小検討会で実際どういうものを見て評価していただいているのかという観点から、ばく露評価のプロフィールを御参考にお配りしたいと思います。非公開でやっている検討会の資料ですので、今回当日配付させていただいたものは後ほど回収させていただきたいと思いますので御承知おきください。ただ、ばく露評価はこういった調査結果を見ながらやっていただいていますというのを、実際に見ていただくとイメージがつかめるかと思いますので、一つご覧いただければと思います。
だいぶ字が細かいので非常に見にくいところがあろうかと思うのですけれども。まずは、ばく露実態調査の集計表というのを1枚目につけています。こちらでは、対象事業場の数と個人ばく露測定をやった数、スポット測定もろもろ、数と平均、最大値などを記載してございます。今回参考に配布しましたサンプルではたまたまA測定は行われていないのですけれども、実施されている物質については、それぞれこういった数字が記載されているわけです。
これに対して、次のページ、A3になっていまして、これも字が小さくて見づらくて大変恐縮ですけれども、ばく露評価の細かいプロフィールを付けています。こちらは、ばく露実態調査の委託事業で御報告いただいているデータ、ほぼ生のままのものだと思っていただいてよいかと思います。だいぶ構成が細かい上に詳細を読み上げることもできませんので、おおよそのところだけかいつまんでお話しさせていただきます。
これは、まさにこの間、Ceilingをとるかどうかの話で話題になった2-ブテナールのものです。各事業場……便宜上、A事業場、B事業場、C事業場と名前が付けられていますが、それぞれの事業場で対象物質がどういった用途で使われているかが記載されています。測定日は各事業場における実態調査の実施日で、被測定者というのが個人ばく露測定をやった対象者です。こちらも便宜上、aさん、bさん、cさんと名前が付けられていて、例えばaさんであれば、就業時間に5つの作業を順次行っていました、といった流れを見ていただくことができます。このaさんの場合はばく露作業なしが続いていますけれども、bさんの場合は最初にサンプリング作業をやって、次に廃棄作業をやって……ということでつらつらと記載しておりますように、こういった作業でどうも個人ばく露はありそうだなと思われるわけですね。少なくとも個人ばく露濃度測定については、御本人にサンプラーをつけて動き回ってもらっていますので、御本人のばく露に近い値がとれているはずだという前提になります。当然、一人の人がいつも同じ場所で作業をしているとは限りませんので、個々の作業者に注目しますと、作業場間の移動なども発生しています。例えば「ばく露作業の情報等」の中に「作業内容」と「作業場」がございますけれども、bさんの場合、作業によって作業場を移動されているということが分かります。また、それぞれの作業についてどの程度の作業時間がかかっているのか、作業場所は屋外なのかどうか、局排があるのかないのか、呼吸用保護具とかを使っているのか、こういったものがもろもろ並べて記載されているわけです。その個人ばく露の記載の次に、スポット測定はどこでやっているのかというのがスポット測定結果の欄に記載がございます。データの数、算術平均値などが測定対象の作業ごとに記載されていますが、要は、この方の移動されている先の作業の単位でスポットを設定してやっているということになるわけです。なので、先ほど名古屋先生からもおっしゃっていただいたかと思うのですが、割と作業者のばく露にひもづいてスポットを設定しているというのが今の状況でございます。
○櫻井委員 なので、このデータはceilingとかを評価するのに使えるわけですよね。
○阿部中央労働衛生専門官 もともとはそういった発想でご示唆いただいたものと理解しています。他に何か適当に使えそうなものがあるのかな……というところで、あまり他の選択肢が思い浮かばなかったというのが正直なところですが。
○櫻井委員 たった2つでいいかという問題があるので。今までは特にceilingを重要視していない、平均値で評価すればいい物質だったから、これは参考として使っているけれども、ceiling絡みの物質だったらむしろこちらを重要視してサンプルの数をふやす必要があるということだと思います。
○阿部中央労働衛生専門官 例えばそういう方向性が見えればよいかなと思います。多分、今の状態ですと、もちろんスポット測定もちゃんと測定はされているのですけれども、Ceilingと比べてどうか……みたいなところの評価を前提にしたものではないですし、移動ルート上でばく露するおそれがありそうなスポットも全部追いかけてとっているわけではないはずなので。まあ、移動ルートに即したスポットの設定となると、それはかなり大変な気もしますけれども……ともあれ、その辺を含めて、実際にCeilingをとるのかとらないのか、もしくは、とるとしたらどうやって評価するべきなのかというところが見えればよいのかなとは思っています。
○名古屋座長 今まであるような物質については今までどおりで、スポットは参考値であればいいのですけれども、ceilingがあるものを評価するときには、今までとれなかったからとらないで良いというのではなくて、とるのは大変なのですけれども、きちんと何カ所で作業していれば必ずとって、例えば2個だったものが4個になったり6個になったりする。その中で一番高いのにするのか、リスクと同じように、要するに統計処理して区間推定値を出すのか、その辺はこれから決めることだと思うのですが、ceilingがあるものについてはスポットをきちんと数多くやりましょうという形になるのではないかと思うのですけれども、皆さんの意見を聞いていただければ。どうでしょうか。
○櫻井委員 多分ほかの場所で御相談して決めてくださればいいと思うのですが、数もそんなにたくさんとらなくても、統計的な処理にして95パーセンタイルを超えなければいいとか、そのような処理はできるのではないでしょうか。
○名古屋座長 そうすると、スポットを5点とるというのはなかなか難しいと思います。これは委託のところで現実のお話を聞かないとわからないのですけれども、いずれにしても、今までよりはスポットを大切にしてという形ではあるかと思います。
○圓藤(陽)委員 このデータを見せていただくと、スポットは確かに高いところもあるのですけれども、作業者のある一定の時間の測定値のほうが高いというのもあるのです。ですから、スポットの測定結果だけではなくて、全てのデータの最高値としたほうがいいのではないでしょうか。
○名古屋座長 評価のところですよね。
○圓藤(陽)委員 はい。
○名古屋座長 スポットも確かに高いところを狙っているのだけれども、作業の仕方によって必ず高くなるとは限らないというのはB測定なんかでよくありますから、そこは多分あるのだと思います。
○櫻井委員 通常、平均値の3倍ぐらいとか、そういう感じですよね。ですから、ceilingのデータの3分の1ぐらいの平均値がとれればいいのではないのとか、そういう感じですよね。
○名古屋座長 あと、ほかもひっくるめて、先ほどありましたように、今桜井先生が言われたように、急性ばく露と慢性ばく露を分けるのではないという形は、皆さん、それでよろしいでしょうか。あとは、その次に、今までどおりにするのだけれども、特にスポット測定の必要なものについてはより詳細にスポット測定をやるという形で評価の中に反映していくのかなと。詳細はこれから検討するのだと思いますが、大きな流れとしてはそんな流れでよろしいでしょうか。
ほかにお気づきの点が何かありましたら、どうぞ。きょうは時間があってたまたま議論ができますので。多分、それを含めて有害性評価小検討会の中でまた検討していくのではないかと思いますけれども。
○阿部中央労働衛生専門官 そうしますと、考え方としては、今まで二次評価値は1つだったのですが、1つではなくなるという考え方になるのでしょうか。
○圓藤(陽)委員 もう一つ考え方があるのは、TWAがあっても、もう一つそれにSTELがついているというのがありますよね。だから、今STELは余り考えていないのですけれども、TWAにSTELがついているものについてはやはりSTELも守っていかないといけないというので、全てのデータでSTELを超えるものはひっかかるということになると思うのです。違いますか。
○櫻井委員 TLVとceilingが両方ついている物質はほとんどないです。だから、それは同等なのです。TLVかceilingか。両方ついている物質はほとんどないのですから。STELは、TLVとSTELが両方ついている物質と、TLVだけというのと、STELだけというのと、3種類ある。
○圓藤(陽)委員 STELだけはあります?
○櫻井委員 STELだけというのはほとんどないと思いますけれども、1つくらいあったかなという感じです。
○圓藤(陽)委員 ありますか。
○櫻井委員 わかりません。ほとんどないと思います。
○名古屋座長 では、ちょっと安心ですね。二次評価値は今までどおりで大丈夫ということになれば、特別な物質でない限りはないということです。
○櫻井委員 2次評価値はceilingの数字を使えばいいと思います。
○名古屋座長 ほかにお気づきの点。この後個別の委員会でやるときにまたいろいろ議論しようと思いますが、ほかに書かれていることの中で何かありますでしょうか。表2-2のところ、これは新しくリスク評価の実施を変えると思いますので、その中でも何かお気づきの点がありましたら。
○圓藤(陽)委員 「リスクの評価の実施方法」の(1)の「有害性の種類及びその程度の把握」の最後のところで「臓器毒性」と「全身毒性」と書いてあるのですけれども、これは反復の全身毒性なのか臓器毒性なのか、あと、有害性評価では神経毒性という項目も入れているので、反復毒性と神経毒性のほうが意見が合うのではないでしょうか。
○阿部中央労働衛生専門官 実は、今御指摘いただきました神経毒性のお話とかについては、化学物質評価室内でも神経毒性って本来GHS区分の中ではどこに入れるべきものなのだっけ……というような話をしていまして、この会議が始まる前に有害性評価書作成の委託事業を受託していただいているテクノヒル社とも軽く話をしていたのですけれども。ご承知のとおり、「神経毒性」はリスク評価書のフォーマットの中では特出ししているんですが、一方で、GHSの中で「神経毒性」という項目があるかというと大概ないわけですね。分類としては、臓器毒性の一部、あるいは症状の捉え方によっては急性毒性に入る部分も一部あるでしょうか。厳密なところはあまり自信ないのですけれども、そういった整理になっているのではないかと思うのです。そういった意味で、リスク評価書のフォーマットに手を入れていくことを考え始めますと、そもそも今の項目の整理はどうなっているのだっけ……みたいな話は結構出てもおかしくないのかなという気はしています。
ただ、最初はおそらくGHSの区分とかをベースに検討してきた結果、あれはやはり特出しするべきだろうとか、そういったことをいろいろ積み重ねてきた結果が今のフォーマットなのかなと思っておりまして、ゼロベースで見直すということをどこまでやるのかというのはなかなか……。今日も2物質分ご検討いただきましたけれども、リスク評価書をまとめる中で多少項目の整理はしてもいいのかなとは思っていますが、有害性評価書をつくり直すとなると厳しいので、可能であれば、有害性評価書自体は既存のものをベースにしつつ、リスク評価書をまとめる際にどこまで反映できるか……のレベルで対応させていただければと思うのですけれども。それも踏まえつつ、先ほどから御指摘いただいておりましたCeilingもSTELもそうなのですが、それをどうやってリスク評価書上に位置づけていくのかというのは、正直なかなか悩ましいのかなという気はしております。結局、Ceiling等もばく露限界としての評価対象の一つとして採用する場合、二次評価値というのは1つの値に定まらないということになるのか、又、その場合は一次評価値はどれを採用すればいいのか……とかいう話もいろいろ出てくるような気がしていまして。そこはそれぞれ最終的に「リスク評価の手法」とか「ばく露評価ガイドライン」をまとめていく中で各小検討会でも御議論いただくポイントではあると思うのですけれども、最終的に統合したときにかみ合わなくなるのは怖いなというところがあるので、大まかな方向性だけでも、ばく露と有害性と両方おそろいのこの場で何となく結論が見えるとありがたいなというのはあるのです。
○名古屋座長 ほかに。
○西川委員 圓藤先生の御質問にもありましたように、GHSにおける健康に対する有害性の項目と実際の動物試験とは、はっきり言って、かみ合わないところがあります。例えば神経毒性ですと恐らく特定標的臓器毒性に入ると思うのですけれども、どこまでGHSの項目に従って評価していくかを考えないと、なかなかぴったり当てはまらないこともあるのです。特に有害性評価小検討会で問題にしているのは遺伝毒性のところで、GHSですと生殖細胞変異原性の中に体細胞の遺伝毒性も入っているのです。だから、全くGHSの項目どおりに評価していないのであれば、遺伝毒性として生殖細胞変異原性を含めるような形にしたほうが評価がしやすくなるような気がしています。生殖細胞変異原性に対する特別な試験ももちろんあるのですが、生殖毒性がある場合、さらに生殖細胞変異原性があったとしても閾値には反映されないということですので、遺伝毒性の中に生殖細胞変異原性のデータがあれば、それを含めて記載していくというほうが恐らく評価しやすいのではないかと思っております。
以上です。
○名古屋座長 ありがとうございました。
ほかに。
○大前委員 GHSの用語にはない用語、例えば今の「神経毒性」なんかですと入れても構わないと思うのです。完全に一致してやる必要はないので。それが1点。
もう一つは、今の18年の実施要綱を見ていて、一次評価値、二次評価値というのがこの中にないのですよね。ありましたっけ。
○阿部中央労働衛生専門官 御指摘のとおりで、改定案のほうはいろいろ手を入れてしまっているので見づらいかもしれないのですけれども、参考資料3-1をごらんいただくと、現行のリスク評価実施要領では「一次評価値」、「二次評価値」という表現は多分出てこないと思うのです。「ばく露限界」という表現で統一されています。
○大前委員 それで、一次評価値、二次評価値、今は産衛もしくはACGIHがなければほかの機関ということでやっているわけですけれども、それと今おっしゃったデータから出てくるばく露限界は違う値になっているので、MOEを使うこと自体、今はもうやっていないのです。そこら辺も、今回直すとしたら直さないといけないと思います。MOEのことは、253行目あたり、「MOE=人に対する無毒性量等/ばく露レベル」、ここのところがMOEの計算ですけれども、判定の方法でMOEを使うと書いてあるのですが、実は使っていないところもあるので、結構大きく変えなくてはいけない。今は現実的には二次評価値を超えていれば詳細に行く、超えていなければ行かない、そのような判定の方法を使っていますので、ここら辺は見直さなくてはいけないと思います。
○阿部中央労働衛生専門官 今、大前先生が253行目とおっしゃったのは改定案のほうのお話だと思います。
○大前委員 ごめんなさい。今見ているのは資料2-2です。
○阿部中央労働衛生専門官 参考資料3-1でいきますと、同じ箇所、MOEのお話は190行目です。
○大前委員 そうですね。
それから、もう一ついいですか。先ほどの生殖細胞変異原性の話ですけれども、たしかGHSの生殖細胞変異原性の中には2つ区分があって、1つはダイレクトにそのもの、もう一つは体細胞の変異原性から生殖細胞変異原性が疑われるといいますか、それも一応生殖細胞変異原性に入れようという定義になっていたと思うので、それよりも先ほど西川先生がおっしゃったほうが現実的なので、そのほうがベターだと私は思います。
○櫻井委員 そもそも「全身毒性」という言葉はどこにも出てこない。GHSの中でも。要するに繰り返しばく露と単回ばく露の標的臓器毒性、ターゲットオーガンだったと思いますけれども、全身毒性というのはない。我々も全身毒性なんて考えられない。全て必ずどこかの臓器か組織への毒性なので。GHSは簡易なリスクアセスメントをやる目的に特化しているために多くの毒性を全部そこへ含めてしまったわけですよね。あえて細かく分類しない。だけれども、私どもが実際にリスクを評価しようと思ったらさまざまな臓器の毒性も当然考えるわけですから、両方。
○阿部中央労働衛生専門官 今お話しいただきましたとおり、「全身毒性」という言葉は、「特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)」と「特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)」というのがGHSの用語です。そのほかに生殖毒性、発がん性、生殖細胞変異原性、皮膚感作性、呼吸器感作性、目、皮膚云々といった並びです。
○櫻井委員 だから、「全身毒性」だけ孤立していることはなくて、「特定標的臓器」という言葉と一緒にして表現しているのです。
○阿部中央労働衛生専門官 その他、先ほどのTWAとCeilingは通常はどちらかしかないはずだというお話については、10月7日の有害性評価小検討会でも出まして、まず無いのでは……というような議論をしていただいていました。ただ、その後、本日御欠席の宮川先生から、フッ化水素と三フッ化ホウ素は両方の値があるようですという御連絡をいただいております。
○櫻井委員 産衛でもそういうのが幾つかありますよね。片方だけじゃなくて両方決めたほうがいいだろうというので。
○阿部中央労働衛生専門官 そうしますと、事務局としてどう取りまとめたものかというのがなかなか悩ましいのですけれども、考え方としては、今まではそもそもCeiling等がベースになるものがそこまで無かったので、TWAかCeilingかというのはそこまで気にせず、とにかく何か値がないかというのをまず精査してきていたのが実態だと理解しています。有害性評価書をつくるときにも、各機関から勧告等されている値の有無を確認して、それをベースに有害性総合評価表をまとめることはしていただいていますし、それをさらにリスク評価書にまとめる際、各機関の値の中からどれをとるか……という視点で見てきているという理解なのですけれども。今後、Ceiling等を別の軸として捉えようとした場合、種類が最終的にいろいろ出てくる可能性はないのでしょうか。CeilingとSTELとTWAというACGIHの3つに限ればわかりやすいのですが、先ほどのお話ですと、例えば産衛にも他にもあるよね、MAKはどうなんだとか、各機関でニュアンスの違う値が設定されていたりしたら、それぞれの値の観点によって見方も変えて着目していかないと、結論としてはよう言わんという話になってきかねないような気もするのですが……。
○大前委員 2つある物質というのは、どの影響を見るかで2つ存在するということなので、先ほどの短時間の刺激とか、そういう場合はceilingの値がわかるだろうし、比較的低濃度の長期ばく露で、それを吸うことによって呼吸器が悪くなるという場合はTWAでいけるということなので、両方あってもおかしくはないのですけれども、この検討会として二次評価値を選ぶときにどちらを選ぶかというところは、両方選ぶというのが一番簡単な意見ですけれども、場合によってはより重篤な可能性があるものだけを選ぶとか、例えば刺激なんかですと、可逆性ですね、ちょっと刺激があるのだけれども翌日は治る、持ち越さないという意味です。持ち越す刺激もあるのでしょうけれども、持ち越さないものだったら、ceilingがあってもそれをとらなくていいというような判断を物質ごとによって変えなくてはいけないのではないか、両方要る場合と片方だけでいい場合と。それはあり得ると思います。そうすると、二次評価値はどうするのだという話にまたなりますけれども、二次評価値をTWAとceilingと2つつくるみたいな形になるのかもしれません。
○櫻井委員 追加でよろしいでしょうか。そもそも一番最初に一次評価値、二次評価値と2つ分けた理由は、発がん物質なのです。最初は優先順位で発がん物質から始めましたでしょう。発がん物質の場合、10-4とか10-5というような数値が出るじゃないですか。これは非常に低いですよね。動物実験や何かではそういう低い数字が出ます。だけれども、ACGIHとか産業衛生学会はそれよりも高い数字をばく露限界値として勧告しているわけです。なので、10-4とか10-5に相当する数値は参考のために使う。全然考えてはいない、参考に使うために一次評価値として数値を出しているけれども、二次評価値としてはそれよりも高いばく露限界、通常労働衛生絡みで使われている数値を使いましょうということなので、一次評価値は発がん物質以外には使う必要がないと思います。ばく露限界値そのものを使えばいいのです。
あるいは、もう一つ、作業環境改善のグループの方々が決めてくださればいい話なのですけれども、動物実験から10というデフォルトの安全係数を使ってばく露限界値を設定すると低い数字が出てきます。それを参考のために一次評価値として決めている場合もあるかもしれません。二次評価値は既にそれより高い数字が出ているのだけれども、参考のためにデフォルトの10で3回も、1,000で割ったりすると数値が出るじゃないですか。今まではそれも参考のために一次評価値にしているかもしれませんね。
○阿部中央労働衛生専門官 補足といいますか、今御指摘いただきました一次評価値の取り扱いについての補足説明です。
参考資料3-3としておつけしました「リスク評価の手法」のほうが細かく書いてございますので、こちらをごらんいただければと思うのですけれども、一次評価値の決定の方法は99行目以降にもろもろ書いてございます。「1次評価(スクリーニング)」というのが項目の名前です。
まず109行目に「発がん性を考慮して評価を行うことが必要な物質の場合」と書いてございます。これは先ほどおっしゃっていただいた10-4とか、この辺の取り扱いです。閾値がないとみなされる場合というのは(ア)のパターンです。
もろもろ書いているのですが、「発がん性の閾値の有無が不明な場合」という131行目の次に、「発がん性以外の有害性を中心として評価を行う物質の場合」ということで、134行目以降に今一次評価値で採っているものの値をちらちらと書いています。実際に発がん性以外の有害性を中心として評価を行う物質はどれだけあるのかというと、中には、例えば神経毒性とかに着目してリスク評価の対象物質に入れてきているものは実際にございまして、それが必ず一次評価値があるかといいますと、実は今年度の評価書案ではあまり一次評価値は出てこないものが多かったのですけれども。ここで書いておりますように、NOAEL等が妥当であることを有害性評価小検討会で御確認いただいた上で、各毒性の種類に対応する毒性試験等のデータから一次評価値を算定する。一次評価値が二次評価値の10分の1以上かどうなのかとかいうところの記述がごにょごにょと書いてあるのですけれども、ざっくり言うと、発がん性以外についても一次評価値をとるという考え方が文書上はセットされてきている状況でございます。
○大前委員 発がん以外の一次評価値をやはり考えるべきではないかというところの議論であったのは、発がん以外の反復投与とか生殖とか神経毒性で、NOAELあるいはLOAELから不確実係数で割って評価値を出すと低い値が出てくる、その低い値が許容濃度もしくはACGIHの数字の10分の1以下になる場合に放っておいていいのかという発想で、発がん以外も、そういう評価値が低く出る場合、ACGIH、産衛の値の10分の1よりも低く出る場合は、リスクを注意喚起するという意味で載せるべきだろうということで載せようということになったのが、発がん以外の一次評価値をつくろうということになった経緯になります。
○名古屋座長 現状で初期リスク評価の報告書を書くときに、一次評価値があって、二次評価値が低かったときには、一次評価値に対応したことを具体的に事業主に対してこういう影響がありますから気をつけてくださいと書くために使っているます。初期リスク評価の報告書の最後の今後の対応のところに書くことに使っている部分が多くて、参考値という形での取り扱いです。今まではそういう形で来ています。
○櫻井委員 それは妥当だと思うのです。なぜかというと、ばく露限界値もどんどん下がるじゃないですか。二次評価値として使われているものもどんどん下がっていることがあるので、動物実験のデータのほうがむしろ正しい場合もあるわけですよね。
○名古屋座長 よろしいでしょうか。
○阿部中央労働衛生専門官 何となく方向性としまして、事務局……といいますか、私の理解ということで、振り返りなのですけれども、まず、今回、資料2-1として1枚紙をお示しいたしました。STELなりCeilingも考慮することを明確化しようと。これ自体は御了解いただいたということだと思います。
ただ、御指摘いただいたのが、産衛の許容濃度にも種類があるなどの部分ですね。敷衍すると、ひょっとしたら他にも何かあるかもしれない。私はあまり存じ上げないのですけれども、ここで「ばく露限界」として考慮するべき値が他にもありましたら、この際全部挙げておきたいので、御指摘いただければと。この場でなくても、もちろん後で御連絡いただければ結構ですが。
そうしますと、1のSTELまたはCeilingだけではないというところをどう修正するかという趣旨で今御意見をいただければと思っていますというのが1つ目です。
もう一つ、2のスポット測定を対応させるという考え方は、とりあえずSTELないしCeilingに関するものということで書かせていただいておりましたが、先ほどの御議論ですと、基本的にCeilingはスポット測定かな、ただ、どのスポットをとるかはもう少しちゃんととらないといけないかもしれないな……といったようなニュアンスなのかなと解釈したのですけれども。そうしますと、STELに対応するような測定方法は何か別にあるのかなというところが気になります。先ほど言及のあった産衛の最大許容濃度はCeilingと概ね同じ位置付けで構わないという話かと思うので、それはそれで良いのですが……。
○大前委員 最近STELはどんどん削っていますよね。
○櫻井委員 STELは重要性は低いですよね。というのは、高い濃度にこれぐらいの時間はばく露してもいいよという根拠をつくるのは大変ですよね。実際はなかなか勧告できないから、ACGIHなんかはだんだん減ってきていると思います。産業衛生学会はそういう数値は出していません。ほかでも余り出していないです。だから、並列して挙げるほど重要ではないと思います。
○阿部中央労働衛生専門官 そうしますと、とりあえず「リスク評価実施要領」の改定として、事務局からお示ししました資料2-2に立ち戻り……というか、あまり立ち戻るという感じでもないですが、用語の定義や別表、この辺は当座どうでもいいですね。個人ばく露測定、A測定、スポット測定、この定義の話も必要に応じてばく露評価小検討会で御相談させていただければよろしいかなと思っているので割愛します。論点の1つとして、49行目、50行目に書かせていただきました「GHSの定義に遡って」というところは、あまりこだわらなくてもよいというお話だったかと思います。ここは、次回までに……といって、次回の有害性評価小検討会のスケジュールは未定なので、ともすればだいぶ先になってしまうかもしれないのですけれども、ともあれ、ここの書きぶりについては別途御相談させていただく必要があるのかなと理解しました。
その後の部分も、中身に影響するところだけかいつまんで確認させていただきますと、先ほどからお話のあった毒性の区分の考え方、こちらも今後御相談だと思います。
それから、147行目以降のばく露限界の定義のところです。こちらはまさに評価値の考え方になるのですけれども、「ほとんど全ての労働者が連日繰り返しばく露されても」云々、ここの書きぶりは、もともと許容濃度とかTWAとかの書き方について用語の定義で書いてある表現だったので、それ自体はあまり本質的な論点ではないと思うのですが、一方で、差し当たりはTWA等が慢性、STELとCeilingが急性、という安直な理解で記載してしまっていたわけですが、そもそもSTELとCeilingは急性毒性等だけに着目して設定されたものではないとのご指摘をいただいたということですよね。
○大前委員 両方です。例えば刺激とかそういうのは急性ですし、刺激が続くことによって組織学的に変化が起こるみたいな話ですと必ずしも急性だけではないということですから、これは両方だと思います。
○阿部中央労働衛生専門官 承知しました。そうしましたら、ここの書きぶりも御相談せざるを得ないと思います。TWAとSTEL、Ceilingの性質の違いをどう日本語でうまくまとめるのかという話で、有害性評価小検討会の方に御相談させていただきたいと思います。
それから215行目。こちらは、すみません、今お話のあった「慢性ばく露」、「急性ばく露」という表現をしてしまっているので、書きぶりは見直す必要があると思うのですが、ここでは便宜上、前段がTWA、後段がCeilingの話だと思って読んでいただければと。まずは、TWAが「ばく露限界として把握された場合には、個人ばく露測定の結果から算定される個人ばく露最大値をばく露レベルとする」、これ自体は多分変更なしだと理解しております。これは、TWAがあれば評価値として採りましょう、ということですね。
問題は後段のところです。218行目以降、「他方」として記載しておりますけれども、Ceilingの取扱いに関しては、TWAとどちらか一方を採るというような話ではなく、並列されるべきという考え方になるものと理解しました。ですので、「急性ばく露」などの書きぶりは後日修正しますので、一旦気にしないでいただければと思うのですが、Ceilingないしばく露の上限に係る評価値がばく露限界として把握された場合には、当該評価値に対応するばく露レベル──といっても、「短時間でのばく露レベル」という表現は微妙かもしれませんけれども──ceilingないし諸々に対応するものとして、一旦スポット測定をベースに検討しましょうと。ここまではよろしいのかなということかと思います。
よろしければ、今御指摘の点につきましては適宜修文を検討させていただいた上で、再度文言について御相談させていただくのかなと思いますけれども。その他、途中で大前先生からお話のありましたMOEのところ、253行目前後のところですが、「ばく露限界を把握できないが、無毒性量等を把握できる場合」、「次の式によりMOEを算定する」。確かに私もこれは何だっけと思いながら読んでいたのですけれども、この辺の取り扱いで今やっていないところなどは、するっと消してしまってよろしい感じですかね。
○大前委員 私は消していいと思います。というのは、実際に使っていないので。これがあることによってむしろ混乱するわけですから。これは判定の方法のところですから一番重要なところで、現実にやっているところで書き直すべきだと思うので、MOEは確かに手法としては一種だと思うのですけれども、今はもう使っていない。少なくともこのリスク評価では使っていない。
○圓藤(陽)委員 食品安全委員会は使っています。
○大前委員 食品安全委員会とかそういうところは使っていますけれどね。
というのは、ここは二次評価値を使っているので、結局は使っていないのです。
○櫻井委員 許容濃度とかばく露限界値が本当にない物質を今後やるようになった場合には、状況によっては新しくばく露限界値を決めて、それと比較するか、あるいはこの方法で。
○大前委員 実際に最近ばく露限界値がないやつをやったことがあって、そのときはいろいろな影響の評価値で一番低いのを二次評価値にしようという形でやりました。
○阿部中央労働衛生専門官 今おっしゃっていただいたとおりで、実際出てきてしまっているのでどうしようかなというのが正直あったのですが、その場合は何と比較するかもオーダーメイドで検討していくしかないのかなと理解しました。
そういった意味で、最後に、改定するイメージはもともとあまり無かったのですけれども、274行目の「判定基準」のところ、「リスクの判定の基準は次のとおりとする」、ないし「発がん性以外の有害性についての基準」として「ばく露限界を把握できる場合」には云々といった記述がございますが、これは、MOEのところが消えれば(イ)などの項目は諸々消えることになろうかと思います。
また、「ばく露限界を把握できる場合」には、「ばく露レベルがばく露限界より大きいか又は等しい場合には、詳細な検討を行う対象とする」、「ばく露レベルがばく露限界より小さい場合には、判定の時点では原則として検討は必要ないと判定する」と、先ほどの二次評価値に相当するものが1つしかない前提の書きぶりになっている部分がありますが、これに対して、今の御議論を反映させますと、TWA側のものとCeiling側のものとをそれぞれ分けて考える必要があることになります。
実際に2つ値の設定がなされていた場合──要は、TWAとCeilingが両方あった場合ですけれども──そういった場合には、実態調査の中でも2つの軸にそれぞれ対応するばく露レベルを把握した上で、それがどちらか一方、例えばCeilingの値に対応するばく露レベルがCeilingの超えていた場合には、詳細なリスク評価をすると。あるいは、先ほどちょっと御紹介させていただきましたように、どうも中にはTWAとCeilingが両方あるものもあるようですが、そうでなくとも、ACGIHが示しているのはTWAだけなのだけれども、産衛は上限値だけ決めているとか。現時点でそういったものが実在しているどうかは承知しておりませんけれども、仮の話として、そういった軸の異なる値を複数持っている物質が出てきた場合には、例えばTWAは超えていないのだけれども上限は超えているとか、そういうものがあった場合、基本的にそこは詳細評価に持っていくような流れになるのかなと。先ほどのお話ですと、多分そういうことになると思うのですけれども。
○大前委員 そういうことだと思うのですけれども、問題は、ceilingにしても、TWAにしても、どちらをとるかという判断はどこかでやらなくてはいけないので、産衛のをとるか、ACGIHをとるか、これは、提案理由の中身でより防ぐべき重要な影響があるのだったら、そちらをとるべきなので、そこら辺は個々の物質で違うのはやむを得ないと思うのです。
○阿部中央労働衛生専門官 承知しました。逆に言うと、何らか値が設定されていれば自動的に採用する、とは限らないというところを「リスク評価の手法」の書きぶりとかに反映する方向で考えたいと思います。なにぶん、現行の「リスク評価の手法」の書き方だと、基本的には何らか値があればそれを採用することになっているように見えますので、そうするのが必ずしも妥当とは言えないケースが存在する可能性も考慮しなければいけないというところを明示しておく必要があろうかと。いずれにせよ、個々の物質についての具体的な判断は、有害性評価小検討会で御相談するという前提にはなりますけれども。
 ともあれ、最終的にばく露限界をどう設定するかについての方向性はおおよそ認識が共有されたのかなと思います。また、その方向性に即して設定されたばく露限界については、それぞれに対応するばく露レベルと比べることでリスク評価を行うこととし、ばく露レベルが対応するばく露限界を超えていたらアウト。仮に2つ軸があったら、両方下回っていないとダメ、と。そのようなイメージは共通認識かと理解しました。
○名古屋座長 だから、二次評価値をどう設定したかということを明確にしてくれれば、それに応じて測定しますということです。そこのところで二次評価値をどう設定したかによって測定もそれに対応するというか、今までどおりではない。今までは設定しているのはわかっているから普通の測定でよかったのだけれども、ceilingとかいろいろ出てきたときに、それによって測定のところで少し手加減を加えていくものがふえてくる。それで総合的にという形になるかなと。今まで二次評価値がなかったものについても測定はしてきましたが、今後は、二次評価値が無くて二次評価値の設定理由が分からないと、設定理由にあった測定ができなくなるので、リスク評価をしようということはできなくなってくるかもしれませんということになります。
○阿部中央労働衛生専門官 実は、参考資料3-2として付けている「ばく露評価ガイドライン」も、スケジュールとかまで中に書かれている部分があるのですが、実際にはこのとおりにはできていないというような部分が少なからずございます。なぜかといいますと、ばく露作業報告が出てきたところに直ちに調査に行けるとは限らないとか、いろいろございまして、スケジュールの記載は目標にとどまっているという理解です。あるいは有害性評価の方も、実際に有害性評価書をつくっていただくまでには、委託事業の方で丸一年かけてようやく何とか……みたいな状況だったっりします。ですので、御承知のとおり、実際にはこれらのプロセスは両方並行して進めているというのが現状です。そうしますと、実態としては、ばく露実態調査自体はとりあえず、各機関から出されている値の中から暫定の二次評価値を設定しつつ、それを当面の参考として進めていく、ということを動きとしてはとらざるを得ない部分があるのが現状です。
○名古屋座長 多分、特別でない限り、今までどおりやっていてもエラーはそんなにないと思います。要するに、今迷うような物質がそんなにいっぱいあるわけではなくて、今までどおりやっておいても大丈夫。ただ、もしかしてもう少し加えたらいいねというのがあるかもしれないけれども、そんなにイレギュラーはないのではないかと思っています。
○阿部中央労働衛生専門官 承知しました。そうしましたら、今お話しいただいたようなスポット測定としっかり比べられるステータスの調査結果を、初期リスク評価の段階で必ずお持ちできるかというとやや自信が無いのですが、そういったものは、たまにイレギュラーが出てくる場合はあるという前提で見ていただくしかないのかなと思います。その上で、差し当たり通常の物質については、今までどおり順次TWAなどを想定しながら実態調査をやらせていただいた上で、今日はインハラブルだの総粉じんだのといった測定手法の話も出ましたけれども、課題としてそういったイレギュラーな論点が出てきた場合には、これはとりあえず詳細評価の方に回すことを念頭に置くという整理で行ければと。
○名古屋座長 詳細リスクに行ってもいいのだけれども、今まで1、2例行っているのは、中間報告でとめている事例です。要するに評価に必要な作業者のばく露測定が無い場合、測定結果が出るまで中間報告として評価を行わないという事例もあるから、そのときに、そのまま詳細リスクに行くか、中間でとめるかはばく露小検討会のところで検討すればいいことであって、データが足りなかったら中間に置いておいて、初期リスクの評価に必要なばく露測定がそろった時点でリスク評価をきちんとやれば。詳細リスクに行くと測定事業所の候補探しとばく露作業者の追加など大変なことになってしまうので、そこのところは今までと同様ということでいいのではないかと思います。皆さんの意見を聞いて、中間報告でとめるよりは詳細リスクに行ってちゃんとやったほうがいいというのなら詳細リスクに行くし、中間報告でとめておいて、不足分の測定だけ行えばいいとなったら、それはそれで済むわけですから、その辺は今までやったことを応用すればできるのではないかと思います。
○阿部中央労働衛生専門官 承知しました。その方向で文書の改定を検討させていただきたいと思います。少しお時間をいただくと思うのですけれども、ばく露評価の関係部分につきましては、なるべく11月18日開催予定のばく露評価小検討会に何某かお諮りできるように準備を進めたいと思います。
あと、今回の話ですと、Ceilingの値はその値のまま利用するということだと思いますので、これまでの検討会の中でちょこちょこお話のありました2分の1換算するような考え方は、差し当たりの文書改定では採用しないということでよいのかなと思いました。
○名古屋座長 前のときは管理濃度の話で、今はばく露の話で、ちょっと違うので、たまたま管理濃度を決めるときに、ばく露調査をしているわけじゃないので、要するに濃度をどう決めようかという形で2分の1と決めただけの話で、今回はリスク評価をしているので、2分の1という話はちょっと違うかなと思います。参考にそのようにしただけということだと思います。
○阿部中央労働衛生専門官 承知しました。その方向でもろもろの作業を検討させていただきたいと思います。
○名古屋座長 あとはよろしいでしょうか。
これは各委員会でドキュメントをお願いしますという形でまとめてよろしいのですか。部会に持って帰っていろいろ。
○阿部中央労働衛生専門官 大まかに今の方針でよろしければ、恐らく「実施要領」も、ここは有害性の部分だというのと、ここはばく露の部分だというのはある程度──先ほどの最後の判定で微妙なところが残る部分も無いではないですが──大まかには分けて見ていただくこともできるかと思いますので。それぞれでまず御検討いただいて、必要に応じて取りまとめ版を別途合同のほうにお諮りするという形で大丈夫かなとは思います。
○名古屋座長 ありがとうございました。安心しました。事務局は大変だと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
そうすると、きょうのところはこの議論で終わってよろしいでしょうか。大丈夫でしょうか。
その他、何か事務局でありますでしょうか。
○阿部中央労働衛生専門官 スケジュール感のお話だけさせていただきます。
先ほど申し上げましたように、11月18日にばく露評価小検討会をやらせていただく予定ですので、その際に「ばく露評価ガイドライン」も含めて改定等を検討させていただくことになるかと思います。なるべく間に合わせたいと思います。
そのほかにつきまして、今回参考資料としてもろもろお配りしました「実施要領」、「ばく露評価ガイドライン」、「リスク評価の手法」、こういったものについて追加で何か御指摘等ございましたら、適宜事務局まで御連絡いただければと思います。
以上です。
○名古屋座長 ありがとうございました。
活発な意見をしていただいて、ありがとうございます。この意見をまた次のときに反映したいと思います。どうもいろいろありがとうございました。
以上で本日のリスク評価検討会を閉会したいと思います。どうもありがとうございました。