第88回労働政策審議会障害者雇用分科会(議事録)

日時

令和元年8月22日(木)13:00~15:00

場所

中央労働委員会 労働委員会会館 講堂

議事

○阿部分科会長 それでは定刻となりましたので、ただいまから第88回障害者雇用分科会を開催いたします。まずは本日の出席状況ですが、長谷川委員、岡本委員、中川義明委員が御欠席です。中川委員の代理として、自動車総連中央執行委員の熊野氏にお越しいただいております。よろしくお願いします。
それでは議事に入りたいと思います。本日の議題ですが、まず、障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について。2番目に、障害者雇用対策の政策目標について。3番目に、その他となっております。それでは早速ですが、議題1の障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について、事務局から説明をお願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 それでは御説明申し上げます。資料1です。中身につきましては前回、御説明したものを要綱としてお示しをしております。まず第一、対象障害者の確認についてということで、対象障害者の関係につきましては、現行、局長通達等に定められている規定を省令上、同様の形として明記をしていくということで、それに関する書類又はその写しをもって行うとさせていただく。1、2、3、それぞれ記載がありますが、その中で根拠が通達、規定によるものにつきまして、具体的に申し上げますと、国の行政機関以外の健康管理医、あるいは療育手帳については、その他これに準ずる者、又はこれに準ずる書類ということで、これまでどおり、通達等で定めていくということです。
それから第二です。国及び地方公共団体の任命権者による任命状況の公表ということです。基本的には通報いただいた全ての事項に係る内容を公表していただくと。ただし、個人が特定される場合とその他やむを得ない場合には、その内容に代えて、内容を公表しない旨及びその理由を公表することとさせていただくと。二にありますように、公表の方法ですが、広く一般に知らしめる観点から、公表した日は明らかにして、インターネットの利用その他適切な方法により公表ということを規定しております。
第三です。国及び地方公共団体の任命権者による障害者雇用推進者の選任についてです。業務を遂行するために必要な知識及び経験を有していると認められる者のうちから、当該業務を担当する者を障害者雇用推進員として選任すると規定しております。
第四です。同じく障害者職業生活相談員の選任についてです。民間と同様に5人と規定しまして、その上で資格認定講習を修了した者以外の者として、三にありますように、民間同様に厚生労働省令で定める資格として、1から規定をしております。このうち、次のページ、5について新たに追加をしておりまして、これにつきましては、本年から実施している公務部門における職場適応支援者研修を受講した者、つまり公務版のジョブコーチの研修を受講した者、こうした方を追加をいたしまして、あわせて四にありますように、民間にも同様の規定を置いていくということです。それから五にありますように、民間同様、選任すべき事由が発生した日から3月以内に選任を行い、選任をした場合には遅滞なく、国・都道府県の場合には大臣に、市町村の場合には都道府県労働局長に、障害者職業生活相談員の氏名等を記載した届出書を提出していただくという規定になっております。
第五です。任命権者による免職の届出についてです。届出義務につきましては、法律上の規定で職員の責めに帰すべき理由のみ届出の対象外としておりまして、今回は届出の対象外とする者については省令の規定は設けないということで、免職する場合には氏名等、以下必要な事項について公共職業安定所長に提出するという規定になっております。
第六が書類の保存です。書類の保存につきましては事業所ごとに、それから対象障害者である労働者の死亡、退職、又は解雇の日から3年間、確認の書類の写しを保存するということとしております。
第八以下、施行日につきましては政令で別途、令和元年9月6日とさせていただく、また、三にありますような経過措置といたしまして、職業生活相談員についての暫定的な取扱いを規定しております。説明としては以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは本件につきまして、本日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会に障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱についての諮問がなされたところです。それでは、質疑応答に移りたいと思います。御質問や御意見がございましたら、視覚・聴覚障害者の方々への情報保障の観点から、必ず挙手をしていただいて、私が指名した後にお名前を名乗ってから御発言いただくようにお願いいたします。それでは質問、あるいは御意見がございましたらお願いいたします。
○竹下委員 竹下です。幾つかあるのですけれども、まず、第二の所です。この公表制度は政策を推進する上で非常に大きな部分だと思うのですけれども、この公表のときに、障害別の発表もされるのだと思うのですが、そのときに部位別、程度別も公表していただけるということで理解していいのでしょうか、というのが1点目です。それから、やむを得ない場合という場合が、よく分からないわけですけれども、具体的にはどのような場合に公表しないということになるのか、このやむを得ない場合というものの内容を少し敷衍して説明いただきたいと思います。
それから第三と第四の所なのですが、障害者職業生活相談員と障害者雇用推進者の選任の問題なのですけれども、生活相談員のほうにつきましては常勤者による選任ということになっているかと思うのですが、その裏返しとして、では、雇用推進者の場合には非常勤職員でも構わないということなのでしょうか。この点についての位置付けがどうなっているのかについて教えていただければと思います。
それからあわせて、これは私が理解不足なのかもしれませんが、事業所単位という場合に、どういう単位が事業所ということになるのか、すなわち、出張所とか、私は余りよく分からないのですけれども、建物の中が1つの事業所なのか、事業単位で考えるのか、よく分かっていないので、この点についての補足説明をお願いしたいと思います。以上です。
○阿部分科会長 それでは御質問もありましたので、事務局からお願いいたします。
○池田障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課の池田と申します。御質問について順番にお答えしたいと思います。公表制度につきまして、何を公表するのか、先日7日の分科会でも説明させていただいたところですが、公務の関係では視力障害、視野障害、聴覚障害、あるいは上肢不自由、下肢不自由といった障害の部位別に関しても厚生労働省に通報されるとともに、各機関において公表されることとしております。その上で、やむを得ない場合は何かということについても、計上される人数が各機関で少ない項目については、その障害種別などで公表することによって個人の特定につながるおそれがあるという可能性があり、それを懸念して公表しないことが想定されるところです。
次に障害者職業生活生活相談員や障害者雇用推進者、特に障害者雇用推進者について非常勤でもよいのかということですが、職員の中から障害者職業生活相談員や障害者雇用推進者を選任することとしていますが、常勤か非常勤かの別については特段、条件は付していないところです。事業所の単位についてですが、基本的には雇用管理が一体的に行われている単位で、イメージとしては雇用保険の適用事業所の単位と同様であって、公務においても非常勤職員について雇用保険を適用されている方がいらっしゃり、粛々と業務が遂行されるものと理解しております。回答としては以上です。
○阿部分科会長 では、竹下委員、どうぞ。
○竹下委員 どうもありがとうございます。今の説明の中で2つだけ少し意見を言わざるを得ないのですけれども、やむを得ない場合の問題ですが、少なくとも個人のプライバシーの問題を考慮するということはある意味ではごもっとも、当然だと思うのですけれども、だからといって、その場合に発表しないというのはいかがなものかと思うのです。少なくとも発表の仕方を工夫することによって公表することは可能であるし、そうしないと一部だけがシークレットになることは、逆に違和感が出てくるのではないかと思うわけです。この点を少し御検討いただきたいというのを意見として述べておきたいと思います。
それからもう1つ、この非常勤で足りるということになるということについての意見ですけれども、やはり十分な推進を図るためには正職員というのでしょうか、常勤職員であることが適正であることは言わずもがなかとは思うのです。その点で非常勤職員を当てることによって、その部分の十分な推進がされないことになりかねないという、役割が十分に果たせない位置付けにならないようにしていただきたいということを意見として付け加えさせていただきたいと思っています。
あわせて、特に職業生活相談員の方なのですけれども、前回、質問したので今日は繰り返しませんが、少なくとも外部の専門家、例えばジョブコーチなどの問題を含めてですけれども、そういう専門的、あるいは部位別の、特別のニーズに対応できる支援が行えるような機関との連携ということは前回あったかと思うのですけれども、そういうことについてはこの施行規則改定後に運用のためのガイドライン、指針等が作られるのだと思うのですが、その中にはそうした連携についても具体的に記入していただくことをお願いしておきたいと思います。以上です。
○阿部分科会長 では、御意見いただきましたけれども、事務局からお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 ありがとうございました。障害者雇用対策課長の小野寺でございます。まず、1点目の個人のプライバシーに配慮するというところについては御理解を頂いたのかなと思いますが、その上で安易に公表しない部分が何か増えていくということについては、適切にその理由を述べ、もちろん、理由について公表をしていただいた上で、それが妥当かどうかということがあろうかと思いますので、そういった状況も見ながら適切に運用されていくように留意をしていきたいと思っているのが1点です。
それからもう1つ、障害者雇用推進者については、特に常勤、非常勤の定めを明確にしていないということになっておりまして、ただ、御指摘がごもっともだと思いますのは、そのきちんとした形で推進者としての業務を推進していただくという立場に立てる方ということが、当然その運用上、担保されるべきだと思っておりますので、そこは運用通知を含めまして、適切に対応していきたいと思います。
障害者職業生活相談員についての外部機関との連携についても、大変重要な視点かなと思っております。これにつきましても当然、運用の規定の中でしっかりとした連携を図るような形、それと、この障害者職業生活相談員になるに当たって受けていただく講習などの中においても、そういった機関との連携についての重要性というのは当然、習得していただくべきものかなと思っておりますので、そういったこともあわせて運用していきたいと思っております。以上です。
○阿部分科会長 それではほかにいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、特段ないようでしたら、当分科会は厚生労働省案を妥当と認め、その旨を私から労働政策審議会会長に御報告申し上げたいと思いますがよろしいでしょうか。
  (異議なし)
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは報告文案の配布をお願いいたします。

(報告文案配布)

○阿部分科会長 それでは、報告文案を読み上げさせていただきます。令和元年8月22日、労働政策審議会会長鎌田耕一殿。障害者雇用分科会分科会長阿部正浩。障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について。令和元年8月22日付、厚生労働省発職0822第2号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本分科会は下記のとおり報告する。記、厚生労働省案は妥当と認める。以上でございます。これでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは、そのように報告をさせていただきます。今後は、労働政策審議会会長宛に報告した後、労働政策審議会会長から厚生労働大臣に答申することとなっております。以上でございます。よろしくお願いいたします。

 それでは、2番目の議題ですが、障害者雇用対策の政策目標についてです。それでは事務局から説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 議題2の資料ですが、まず、この資料の説明に入る前に、本来、2012年度以降その政策目標の評価については、第1、第2四半期に当該年度の年度目標を設定するとともに、その前年度の目標達成評価を行い、第3、第4四半期に当該年度の目標に対する中間評価を行っていたところです。しかしながら昨年については、民間の雇用率達成企業割合に係る実績の集計について、作業ツールの不具合によって年度末までに取りまとめができなかったということもありまして、分科会長にも御相談申し上げまして、2018年度中間評価については実施せずということで今日に至っております。まず、こうした取扱いになりましたことを、改めてお詫び申し上げたいと思います。そのため、中間報告を経ずに、本日、2018年度の目標達成評価について御報告をしたいということです。よろしくお願いいたします。
まず、2018年度の評価に入る前に、参考資料として幾つかお付けしておりますものについて、簡単に御紹介申し上げます。まず、参考資料2です。これは、今申し上げました昨年12月に公表する予定だったものが、今年4月に公表ということになりました。平成30年障害者雇用状況の集計結果になります。表紙の所に書いてありますように、平成30年6月1日時点の身体障害者、知的障害者、精神障害者の雇用障害者数は53万4,769.5人、実雇用率が2.05%と、いずれも過去最高を更新したという状況です。詳細はまた後ほど御覧いただければと思います。
参考資料3に移らせていただきます。参考資料3については、平成30年度の職業紹介状況です。ハローワークを通じた障害者の就職件数、平成30年度は10万2,318件ということでした。対前年度比は4.6%の増加ということで、また、就職率も48.4%ということになっております。職業紹介状況については、10万台という大台を突破したという状況でした。
最後が資料4です。これについては、今年6月に公表した資料です。平成30年度の障害者雇用実態調査になります。本調査は5年ごとに実施しておりまして、今回初めて発達障害者についても、他の障害者と同様の調査を行ったところです。従業員規模が5人以上の事業所に雇用されている障害者数は82万1,000人、その内訳が、身体障害者は42万3,000人、知的障害者は18万9,000人、精神障害者は20万人、発達障害者は3万9,000人ということでした。雇用されている精神障害者のうち週所定労働時間が20時間以上30時間未満の方が約4割と、20時間未満の割合が13%で、また、正社員の割合が25.5%でした。雇用している障害者の事業主への配慮事項として、知的障害者、精神障害者及び発達障害者において、短時間勤務と勤務時間の配慮が最も多い結果となりました。参考資料については以上でございます。
障害者雇用対策の政策目標についての説明に移らせていただきます。まず、資料2-1を御覧ください。これは、昨年度に設定した目標に対する昨年度の実績を示しております。これまでもそうですが、政策目標は3つ設定しております。資料2-2についてもそれぞれの分析を記載しておりますので、あわせて御覧いただければと思います。
まず、1つ目の目標は、ハローワークにおける障害者の就職件数としております。昨年度の目標は9万7,814件ということで、前年度の就職件数を目標に置いておりますので、これ以上ということに対して、先ほど御紹介しましたように2018年度の実績は10万2,318件ということで、目標をクリアしている数字が出ております。この目標の達成につきまして、2018年4月1日から法定雇用率の引上げが行われた中で、企業においての雇用が非常に進んだということ。それから、就職を希望している障害者がやはり増えているということ。また、関係機関との連携をはじめとした障害者支援策が一定の効果を上げている要因と考えております。
2つ目は、障害者の雇用率達成企業割合について、目標については前年度実績と比較して1.5ポイント以上の企業割合上昇ということで目標を立てております。昨年度の実績については現在取りまとめ中ということで、例年12月頃を取りまとめ見込みとなっておりますので、その取りまとめ結果が出た際には、分科会のほうでまた御報告をさせていただきたいと思います。
最後、3つ目の目標が、精神障害者雇用トータルサポーターの相談支援を終了した者のうち、就職に向けた次の段階へ移行した者の割合ということです。精神障害者雇用トータルサポーターは、通常の就職支援のみでは就職が困難であろうという精神障害者の方に対して、カウンセリングとか就職準備プログラムの実施、職場定着支援等を行うとともに、事業主に対しても、様々な課題解決に向けての相談助言を行っております。
精神障害者雇用トータルサポーターによる支援が終了して次の段階、具体的には、例えば、職業紹介、あるいは訓練へのあっせんといったような段階ですが、移行した者の割合を目標としておりまして、昨年度の目標は73.4%ということでしたが、73.4%に対して、実績が74.5%ということで目標を上回ったということになっております。
精神障害者雇用トータルサポーターに対しては、目標及び進捗を意識した業務指示というのをハローワークのほうでも行っております。あわせてその具体的な事例検討などを行う、このトータルサポーターの経験交流会といったものも開催しまして、支援の質の向上にも努めているところです。こういったことが達成の要因かと考えております。
資料2-3に移ります。2019年度の目標(案)について御説明させていただきます。まず、1点目は、障害者の就職件数については前年と同じ考え方でして、昨年度以上ということで目標を設定させていただいております。つまり10万2,318件以上ということになります。これについては、当然ハローワークがまず中心となってということですが、先ほども御指摘があったように、地域職業センター、あるいは障害者就業・生活支援センターなど、地域の就労支援機関と関係機関との連携も非常に重要ですし、就職に向けた準備から、また定着といったところまでの一貫した支援をチーム支援として行っていくこと。それと、もう1つの目標にもありますような精神障害者トータルサポーター、それ以外にも発達障害者、難病患者といったようなトータルサポーター専門スタッフを置いておりますので、そういった様々な障害特性に応じたケースワーク方式のカウンセリングなどをきめ細かく行うことを通じて就労の支援を実現するといったことで、引き続き目標の達成に向けて努力していきたいと考えております。
2つ目の雇用率達成企業割合についてです。これについては、2018年度の実績と比較して1.4ポイント以上の上昇とさせていただきたいと思っております。雇用率については、例えば短時間労働者を算定に入れたりするといったような特殊な事情がない、あった場合の年度を除きまして、通常ベースの過去10年分の平均の伸び率を出して目標を立てるという考え方に立っております。
今回のこの目標に対しては、特に障害者雇用ゼロ企業という、全くこの雇用のノウハウがないといったような企業についてチーム支援を実施していくこととしておりまして、特にノウハウの提供のみならず、就職支援コーディネーターという企業支援を行う専門スタッフによりまして、関係機関等とも連携しながら、その事業主のニーズに合った、ニーズを踏まえた求職者の選定、開拓といったような支援も追加してやっていく、あるいは、職業定着に向けた雇用管理改善に係る助言・指導、助成金の活用促進といったことも含めまして、支援を積極的に行うことを通じて、目標達成に向けて進んでまいりたいと思っております。
3つ目の精神障害者雇用トータルサポーターの関係の目標ですが、直近3年間の実績の平均値をもって目標としておりますので、これは74.3%以上ということにさせていただきたいと思います。
求職者に対してカウンセリングのみならず、先ほど申し上げたような様々な細かな支援、例えば就職活動に係る課題の解決や、コミュニケーションスキルの向上といったような個別の目的を設定した就職準備プログラムなどの実施とか、自らの障害者特性の理解、あるいは職業生活上の課題の整理のための支援、それから、職場実習等を実施するといったこと、あるいは事業主に対しての助言・相談といったことも通じまして、トータルサポーター同士の経験交流会も引き続き実施して、支援の質も高めながら目標の達成に向けて取り組んでいきたいと考えております。事務局からは以上でございます。
○阿部分科会長 それでは本件について、御質問、御意見がありましたら挙手をしていただきまして、私が指名した後にお名前を名乗ってから御発言いただくようにお願いいたします。
○倉知委員 倉知です。3点ほどお願いいたします。1つが、ハローワークを通じた障害者の就職件数の評価の件ですが、今年度の目標はちょっと置いておいて、これ、件数になっているのですけれども、有効求職者だけは人数ですが、新規求職申込者と就職については件数になっていると思うのです。これだと、なかなか実態が正しく把握できなくて、例えば年度内に長続きしなくて、もう一回就職を紹介してもらって就職したら、件数が2件になってしまうと思うのです。そうなると、短期で離職、離転職したほうが件数は上がっていくということになってしまって、本当に就職の数が上がったかどうかは非常に把握しづらいというのがあります。ですから、別途、人数でも分からないのかなというのが1つです。
もう一点はA型事業所の件です。3年前からA型事業所の就職件数が上がってきているのですが、これもずっとA型事業所を含めるのかどうかということも検討いただけないかなと思います。というのは、例えば地方、私の地域だとハローワークの就職件数の半分が実はA型事業所だったということがありまして、A型事業所というのは本当に就職紹介としての実績として上げていいのかどうかということはちょっと私は疑問に感じていて、その辺りを少し精査しないと本当の就職、頑張ってやった件数が反映されないのではないかというのがあります。それが2点目です。
3点目は精神障害者雇用トータルサポーターの件です。職業紹介に至ったというのが実績として上がっているのですが、これは、果たしてハローワークが担当すべきことなのかどうなのかというのはちょっと思っています。というのは、職業紹介につながらない人がハローワークに来るとしたら、まずはそこの辺りの方々はハローワークというよりは障害者職業センターであったり、就業・生活支援センター、就労移行支援事業所辺りが多分担当していると思うのです。ですから、雇用トータルサポーターを配置する意義というのは、やはり就職件数であったり、定着が長引いたとか、そういうところで評価できるのではないかなと思っているのですが、この辺りはいかがなものでしょうか。この3点、よろしくお願いいたします。
○竹下委員 2点だけ重なるので。
○阿部分科会長 そうですか。では、竹下委員、どうぞ。
○竹下委員 竹下です。今の委員の質問と全く2点について重なるので、お答えいただく前に質問させていただきます。まず、参考資料3-2の所になるかと思いますが、有効求職者数は27万2,481人となっていて、新規だけを対象として就職率を出してしまっている。すなわち、新規登録者と、それから、言葉は不適切かもしれませんが、ずっとたまってきている求職者の支援というものも合わせて物を考えるときに、単純に新規登録者のみを基準としてパーセンテージを出していると、具体的な障害者の求職者が置かれている状況というのが見えてこなくなってしまうのではないかという懸念がありますけれども、この点をどのように考えておられるのか。
もう一点は、事務局の報告にもあったように、正に福祉就労が20%を占めており、要するに、これは非常に大きな特徴を持っていると思うのですね、しかもそちらが増え続けているわけですから、仮に福祉的就労についても統計的に出すのであれば、常にその求職者がどういう企業に、どういう職種に、そして、どういう障害別の人が一般企業と就労A等に就職できたかを分けて発表すべきではないかと思います。そうではないと実態が見えてこないということになりかねないと思うのです。
もう1つは、やはりこの資料の中で気になるのは、正社員が4分の1ほどですか、要するに20%台、それ以外は非常勤の職員ということになってしまうわけですよね、ないしは有期労働者というか、期限付きか、契約社員になっているかと思いますが、それでは定着率が悪く、更に不安定になることは予測されるわけですから、その点でも、もう少し分析しやすい形での統計の出し方をしていただかないと、障害者が現実に置かれている就労状況に結び付かない、見えてこないということがあるかと思うので、この点について、もし、現時点での整理の仕方があるのであればお答えいただきたい。あとの点は質問にします。
○阿部分科会長 質問がお二人からありましたので、事務局からお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。まず1点目のハローワークの就職件数についての問題提起、また、竹下委員からの様々、有効なのか、新規なのかでいろいろなそのデータの取り方がある中で、正しく実態を表現しているのかという御指摘だったと思いますが、これについては、基本的にはこれまで就職件数ということでやってきていて、おっしゃった、例えば1人の人に着眼したときに、その方で、頭数でカウントしていくことが果たして可能かというところは、恐らく現行のシステムですと、それは難しいかと思っていまして、今、正にハローワークシステム自体は改修を進めていて、その後は、若干、そのお一人の方をずっとトレースできるようなシステムになってきますので、また、どういったデータの取り方が可能なのか、またその上でどういった評価をしていくべきなのかということについては、継続的に検討させていただきたいと思います。問題意識については共有したいと思います。
2つ目のA型の話ですが、よくお聞きする実態ではあるかなという中で、ただ、今の時点では、やはりA型についても雇用というような形になっておりますので、就職件数としてそれを排除するというのはなかなか難しく、前回お話したように、また年明け以降進めていくこととしている、福祉と労働と一体の議論に係る大きな課題の1つではありますので、その中で御議論していただきたいと思っております。
最後の精神障害者トータルサポーターの件ですが、もちろんハローワークはマッチング機関ですので、当然就職させる、また紹介するということが最終目標というか、目的であろうかと思っておりますけれども、精神障害者はいろいろな個別の状況を見たときに、窓口にいらっしゃったときに求職者としてのレディネスが完全に整っている方ばかりではなくて、前提となっている職業準備についても、求職者に対しての支援として私どももやっていかなければいけないと考えていて、そういう意味で精神障害者のいろいろな困難性を踏まえた専門的な知見を有している方を設置しまして、就職の支援を行っているというのが現状です。
当然、関係機関ともいろいろな連携をしながらということにはなるのですが、まず、窓口においでになったときに、では、関係機関にすぐにリファーすればいいのかということではないかなと思っていまして、もう一歩進んだ、きめ細かな対応の中で精神障害者の方が就職できるのであればハローワークとしてしっかり受け止めたいということですので、ここは最終的にどういった評価にしていくかというのは、紹介に至ったらいいのか、訓練ならいいのかということではなく、最終目標としての就職で見るべきだというところは、1つ、私ども検討課題とさせていただきたいと思いますし、少なくとも、その辺りの目標設定の考え方についても、改めてどういった設定ができるかということを考えてみたいと思っております。以上でございます。
○阿部分科会長 お二人はよろしいでしょうか。それでは、内田委員の手が挙がりましたのでお願いいたします。
○内田委員 労働側の内田です。2019年の目標項目について意見を申し上げます。2018年の目標項目については一定程度達成が見込まれておりまして、政策において数値目標を定めて取り組むことは意義があるものと考えております。一方で、政策目標の項目については、2011年度に、○3の精神障害者雇用トータルサポートに関する目標が設定されて以降、項目そのものの見直しというのが行われていない状況だと思っております。この間、障害者雇用を取り巻く状況というのは大きく変化してきておりますので、先ほども御説明で障害者雇用ゼロ企業に対する支援等を実施していくというお話もありましたが、そちらの雇用ゼロ企業に対する対策であったり、職場定着率の向上など、今後、強化が必要な内容についても、数値目標を定めて取り組んでいってはどうかと考えております。以上、よろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 それでは、事務局にお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 項目については、障害者雇用対策課の中においてのメインの項目を乗せているということで、実はその目標設定についてはこの目標だけではなく、ハローワーク自体の業務目標だったり、あるいは二事業で行われている事業については、二事業における目標などもありまして、その中で、特に障害者雇用対策課としてもメインの柱として就職と、それから雇用率、それと、多様な方に対しての支援の1つとして精神障害者トータルサポーターという、この3つを掲げさせていただいております。ただ、御指摘にあったように、項目自体が全く変わっていないと、行政課題なり、いろいろ施策の動きがあった中で、変わっていないというのも1つ御指摘としては重く受け止めまして、当分科会でお諮りする目標として、今後どういった目標の追加が必要なのかどうかについても、引き続き検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○阿部分科会長 ほかにいかがでしょうか。
○竹下委員 竹下です。目標の問題ですが、基本的にはこの提案で賛成ですけれども、それを前提としながらも、2つほど質問ないしは意見を述べたいのですが、1つは、障害種別のところが、これからどれだけ意識した政策に結び付くかということなのです。先ほど質問した、例のハローワークからの求職、あるいは就職の関係では、実は障害別、部位別の統計を発表していただいているのです、実数も。ところが、61報告になると、その部分がハローワークと重なっていないために実態が見えていないわけです。例えば視覚障害者が実数としてどれだけ定着しているかはそこから見えてこないわけです。そういう関係では、せっかく先ほど、公務員に関しては省庁ごとに部位別も含めた内容が報告されることになったわけですから、民間についても61報告において、きちんと部位別の障害者の雇用実態状況というものが把握できるように、政策にいかせるような形でのデータの集約、あるいは報告書の作成をお願いしたいのが1点です。
もう一点は、やはり定着が私は非常に大事だと思っていまして、言葉は不適切かもしれませんが、その数字だけ何パー伸びた、何パー伸びたと言いながら、退職者がどんどん出ている、それはいい傾向ではないと思います。そうした就職率がどんどん高くなっていく、実数も伸びていくという中で、定着率も高くなっていくということが必要かと思います。そのためにも先ほど申し上げた障害の種類別、部位別、程度別を意識しながらどのような支援、合理的配慮、あるいは雇用管理が必要かということを、この政策の中でいかすための目標というものについても、どこかで御検討いただきたいというのがお願いです。以上です。
○阿部分科会長 それでは、事務局にお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。障害部位別のデータについて、例えば民間の61雇用状況報告でも把握できないかということについては、何度か御指摘を頂いているかと思っております。民間企業の皆様方への負担等も加味しながら、どこまでできるのかということをこれまでも検討してきたのかなと思っておりますが、現時点においては御指摘のとおり、障害部位別までは把握していないという状況にあります。今後その可能性については引き続き検討はしていきたいと思います。
もう1つの定着を含め、障害部位別に細かく実態把握した上で政策にいかしていくという意味で申し上げますと、まず、今、特に定着という観点については、先ほど少し申し上げたようなハローワークシステムの設計として、なかなか追えなかったという状況があって、今後のそのシステムの中ではある程度トレースできる状況ができてきますので、そういったシステムのデータも活用しながら、1人の方がどのように定着しているのかということも見ながら、その上で課題を把握し、施策にいかしていくということが可能かと思っております。
それと併せまして、視覚障害については、特にJEED、高齢・障害・求職者雇用支援機構のほうで、2年間にわたっての実態調査を改めてさせていただいて、今年の春、それをまとめたところです。その成果を活用したパンフレット、リーフレットなどを窓口でも活用しているところでして、今後ともJEEDの様々な研究成果なども活用しながら政策にはいかしていきたいと考えております。以上でございます。
○阿部分科会長 では正木委員お願いします。
○正木委員 年度目標の様々な数値が改善したということ、障害者雇用者数、実雇用数が過去最高ということは、公的機関の取組、障害者団体の皆様、企業の関係者の皆様の御尽力ということで、このこと自体は本当によかったと思います。ただ、先ほども御指摘ありましたが、雇用率達成企業割合を見ますと、厳しい数字になっておりまして、2019年6月1日の結果を踏まえたものは集計中ということですが、先ほど来の御発言の中にもありましたが、達成企業を確実に増やしていき、そしてまた、竹下委員からもありましたが、雇用の質を上げていくため、積み残しとされている課題を早急に検討し、対応を進めていくことが大事だと思っておりますので、この公的部分の話が終わった後でのことだと思いますが、改めて強調しておきたいと思います。よろしくお願いします。
○阿部分科会長 ありがとうございます。ほかにいかがですか。高橋委員、どうぞ。
○高橋委員 意見を述べさせていただく前に質問なのですが、参考資料3-1、一番裏面に総合評価での解雇者数の合計値が出ております。これも件数なのだと思うのですが、合計値は下がってはいるものの、よく見ると、30年度のほうが解雇の件数が上がっているという実態が半分ぐらいあるのですが、これは何か理由があるとか、もし今分かっていたら教えてください。
○阿部分科会長 よろしいですか。では、事務局お願いします。
○戸ヶ崎主任障害者雇用専門官 障害者雇用対策課の主任専門官をしております戸ヶ崎と申します。よろしくお願いいたします。個々の都道府県ごとの詳しい状況を把握しているわけではありませんが、ただ、個別の情報として聞いている中では、A型の事業所の倒産あるいは閉鎖が起こっている所については、比較的多くの雇用者数がそこに計上されたということがあったと認識しております。ですから、全般的には障害者雇用は進んでいるけれども、一部でそういう動きがあったということではないかなと推測されると思います。
○高橋委員 ありがとうございます。ダンウェイの高橋です。今のことも踏まえて、皆様の御意見と重なる部分もあるのですけれども、意見を述べさせていただきたいと思います。まず、2018年度の評価に関しては、正木委員もおっしゃっていましたけれども、一定の評価ができるのかなと思いますが、一方で、促進というテーマにおいては、今後の施策方針に関しては、促進ということを中心に考えると、課題が幾つかあるのかなと。大きく4つほどあるのではないかと私自身も思っております。
例えば1つ目は、達成企業の割合がやはり50%を切っているということ。そして障害者雇用ゼロ企業が3割というような所や、達成していても、その質という点、これは今、解雇という所との連動をしているのかなと。先ほど倉知委員もおっしゃっていましたが、A型事業所ということが、ここでまた出てきてしまったなということがありますが、中身の精査というのは、達成していても、質は課題に残っているかなと、今の回答も踏まえて思いました。4つ目は目標設定の分析の時期というのも、幾つか課題を残しているかなと思っています。
その上で、こういった改善ができないかなというのが、大きく3つあるのではないかと思っております。1つ目は、例えば民間企業、中小企業の評価というのが前回少し、特例寄付金の関連でありましたけれども、そこは具体的に好事例ということをもっと評価していこう、促進していこうという点においては、質というところの参考に非常になってくるのではないか。特に前回、地方自治体での取組なども非常に評価をされていたかと思うのですが、やはり国が具体的に好事例を押し進めていく枠組みを作るなどの具体的策というのは、結果的に質の向上につながるのではないかと思っています。
2点目は、目標設定の在り方などですが、やはり現在、2019年の目標を今決めているというのは、今回は致し方ないかなと思いますが、やはり促進する上では、年度に入る前に、単年度ではなく3年、5年などの中長期な目標というのも考え方としては1つ大事な視点ではないかと思っています。それに対して積極的な促進をどのようにするかという数値目標などがあるといいのではないか。ここに関しましては、1番目、2番目に連動するのですが、先日、最低賃金などのアップというのが発表されておりましたけれども、そういったアップという、働く上ではいい側面と、一方で企業が頑張っても事業継続しないと雇用継続は難しくなってしまうので、非常にこれはお互いにハッピーにならないので、そういったほかの制度との連動というのは、非常に重要と考えていらっしゃるのかというのを伺っていきたいと思います。
3点目ですが、こちらの「今後の方策」の所にも書いてありますが、福祉、教育、医療等の各分野の関係機関との連携というのが書かれているかと思いますが、これも前回、小野寺課長のほうから、先行的に7月に福祉と雇用の特別プロジェクトが立ち上がったというようなことも伺っておりますが、すごく素晴らしい流れだなと思っております。加えて教育はというと、これからなのかもしれませんが、教育においても2020年の特別支援を含めた新学習指導要領改定などからは、卒業後の進路をイメージした自立と社会参加とか、連続して学ぶということをかなり重要視されていますので、教育、医療も含めた具体的な積極的な連携を、具体的に考えていただきたいと思っております。
特に3点目は非常に難しい部分もあるかと思うのですが、例えば課題としては、ここに関わる課題としては、本人の意思決定支援の難しさ、どうやってやっていくのかとか、そのために御本人の経験の機会をどのように捉えていくのかとか、また、本人の成長に合わせたということを、先ほど課長も取っていくよというお話がありましたが、その部門を越えた連携で取っていくことを具体的にどうしていくのかなどが課題に挙げられていますが、それを改善として大きく2つ、ここもあるのかなと思います。実際に合わせた運用面にフォーカスを当てた連携、制度は一定程度あった場合にでも、実際に運用に乗ってこないという部分の課題をしっかり運用に乗せるような連携を是非取っていただきたいと思います。
2点目は、部門を越えたときに、成長に応じた把握をする上では、これも前回課長がおっしゃっていたかと思いますが、客観的な視点というか、アセスメントの重要性などにも触れられていたかと思うので、そういった視点も含めて、雇用の選択肢が非常に増えているからこそ、連携と、客観的な投資というようなことを、是非取り組んでいただきたいと思います。以上です。
○阿部分科会長 事務局から何かございますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。多くの御指摘を頂きまして、ありがとうございます。お答えできる範囲でお答えしたいと思います。まず、質の向上という意味で好事例の把握と、それの横展開という意味では、私どもの果たす役割というのも大きいと思っております。現場については、これまでにも様々、例えばJEEDが好事例集とか、いろいろなものを蓄積してきたり、あえていうと、公務も今年度、各所の好事例を年度末にまでに取りまとめていきたいと思っております。その上で、取りまとめたものはいいのだけれども、いかに皆さんにお知らせするかというのが重要かなと思っております。特に民間は、ある意味で好事例集はたくさんあるのですが、それが個々の事業所に本当に活用されているような状況になっているのかということで、この辺りは少し何か工夫して、おっしゃったような質の向上にもっと資するような提供、共有の仕方ができないかと考えていきたいなと思ったところです。
それと合わせまして、他制度との連動につきましても大変重要な視点で、正に厚生労働省だけではなく、その他文科省も含め、次の話にもつながりますが、様々な局面でお一人の方に視点を当てたときに、切れ目なくいろいろな支援が動いていくように、運用の中でしっかり落とし込んでいけるような形というのを作る観点が必要というのは、全くそのとおりだなと思います。
先ほど御紹介いただいた福祉との連携のPTについては、もう既に動き始めているというような御報告を前回しておりますし、実はこの連携チームの中に、必要に応じて文科省にもお入りいただくことを検討しており、早速来週、特別支援教育課に打ち合せに伺う予定です。学校から労働、また、福祉から労働といった、いろいろな選択肢をきちんと選んでいけるような形を仕組むことが重要かなと思っております。そういった視点も大事にしながら検討を進めていきたいと思っております。そういう意味では、府省、部門を超えたいろいろな運用で、きちんと受け止められるような仕組み作りということを念頭におきながら、進めていきたいと思っております。
○阿部分科会長 よろしいでしょうか。小原委員お願いします。
○小原委員 大阪大学の小原です。先ほどから件数と人の頭カウントという話があったのですが、事務局からシステムの話がありましたけれども、そうではない側面でも、件数で測るということには一定の理由があってやってきたと思うのです。障害者だけではなくて、通常、失業者を測るときは失業の件数で測るのですけれども、なぜかと言えば、1人の人が例えば、1年の間に1回は就職して3回は就職しなかったという場合に、人のカウントでいくと、1回就職していたら1回のカウントとしますと、こちらのほうが実は過大になってしまっていて、件数のほうが必ずしも過大になるわけではなくて、何件出てきたのに対して何件就職したかというのが一番、何と言うのですか、同じ人だとして、その人が何らかの理由で辞めた場合でも、すぐ次の就職につながったということを加えてのカウントになるので、どちらが適切かという話。故意に使わなければ、やはりシステムだけではなくて、そういうカウントの仕方のほうが適切な可能性もあるので、使うときにはどちらがいいという話ではなくて、システムだけの話でもなくて、こういう理由で使っているということなのかなと私は理解しています。
もう1つは、件数がいいのは、経営者のほうで出すときは何件出すかなので、その点が統計とも一致するというメリットもあるのだろうと思います。ただ、御指摘された点はすごく重要なのだと思うのです。というのは、1人の人が1回就職したのだけれども辞めてしまったと。その次の就職が見つからないという問題のことを御指摘されたのだと思うのです。それを見たいのであれば、件数のところではなくて、ハローワークが持っている、失業の状態に入ってからどれくらい期間があったかというデータがあるはずですので、件数ではなくて、頭カウントで就職率を出すということではなくて、失業期間の長さのほうで持ってくるほうがいいかなと思います。
もう1つは、達成企業数が4.1%減ったという話なのですが、私が心配しているのは、むしろそちらより、実雇用率の上がり度がそんな小さくて大丈夫なのかというか、ゼロ企業がなかなか1にいけない問題というのはずっと長く議論していて、経営者側からすれば、本当にあるところの問題だと思うのですが、もちろんここは上げないといけないので、4.1%減というのは問題なのですが、実雇用率が上がっているわけですよね。
私にとっての驚きは、こういう制度を行ったときには、0から1のところはなかなか移動は難しいのですが、1人雇い始めたらもっとパパッと増えていくのかなと思ったら、そちらの数字のほうが余り上がっていないのかなという印象を受けるのです。細かい数字は見ていないので分からないですが、だとすると、もしかすると0、1の所の難しさと同じか、1から2、2から3という所の難しさも抱えているかもしれなくて、なので、どうでしょうか、国全体で見たら、どこの企業にも大事なのですけれども、全体として雇用が上がるのが最終的にはいいと思うのですね。たくさん雇えるところはたくさん雇ってほしいという。どこの企業にもそれは思うので、1から2、2から3になっている所の弊害というのも、合わせて大事に考えたらいいのではないかなと思います。感想です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。ほかにはよろしいですか。この政策目標は、最終的には委員の皆様の意見を取りまとめるということもあるわけでしたよね。それで、本日頂いた御意見と、本日御欠席の委員からは後ほど意見を聴取しまして、事務局と私のほうで、皆様の意見は集約をさせていただいて、その後のプロセスに移っていきたいと思いますが、もし後でお気づきの点があれば、事務局のほうに御意見をお寄せいただければと思いますので、できればすぐ、ここ1週間ぐらいで頂けると助かりますが、そういうことでよろしくお願いしたいと思います。
それでは、目標、本年度の政策評価につきましては、この辺りにさせていただきたいと思いますが、よろしいですか。
(異議なし)
○阿部分科会長 ありがとうございました。
それでは、最後の「その他」に移ります。事務局のほうで何か準備がございますか。特段ありませんか。ほかの委員の皆様から何かございますでしょうか。
○佐渡委員 使用者側代の愛媛県ビル管理協同組合の佐渡です。新たな認定制度に関しましては、今回の議題ではないですし、次回以降の話になろうかと思いますけれども、発言させていただきます。以前も申し上げたのですが、認定制度については、中小企業、一私企業を対象に考えられていると思いますが、事業協同組合の代表として、各業種において中小企業団体がありまして、その団体ごとに就労につながる独自の取組をしている団体も多くございます。今回、ヒアリング等もしていただいた所があるのですけれども、そうした団体の取組も是非評価されるようにお願いしたいと思います。取りわけ当社も加入しておりますけれども、中小企業が組織化することで、官公需の共同受注を目指す組合の工夫、努力については、その官公需発注に何らかのインセンティブが生じるようにお願いしたい。また、優先調達法の絡みでも出てくるとは思いますけれども、そこでの取り入れなり、地方自治体ごとの独自の取組を推進、水平展開できるように、厚生労働省として引っ張っていただきたいと思います。地方自治体が「国等」という表現には至らないということは重々承知しておりますけれども、やはり国が方向性を示すこと、国がフォローすることで、自治体の組織、施策も進み、やりやすくなることが現場で多くあると感じています。そうしたことも理解していただき、一歩前に進める施策を御検討いただきたいと考えております。以上です。
○阿部分科会長 では、御意見として承って、今後また議論をさせていただきたいと思います。ほかに御発言はありますでしょうか。
○佐保委員 労働側の佐保です。国の機関の障害者雇用の状況と、庁費減額の影響についてお伺いをしたいと思います。前回の分科会において、公務部門における障害者の採用・定着状況について御報告があったということは承知をしております。3月19日に閣議決定をされた、公務部門における障害者雇用に関する基本方針に基づく対策の更なる充実強化についてということにおいて、現在の採用計画期間が終了する2019年度末以降は、法定雇用率が未達成な省庁については庁費の減額を行うということにされていると考えております。毎年8月末は概算要求を実施する時期ですが、どの時点での数値で達成、未達成を判断をされ、どのタイミングでその結果を予算に反映されていくのかということを改めて確認をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 では、事務局からお願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長、小野寺です。今の御質問についてお答えいたします。基本的には、今立てております計画自体を評価するという意味ですので、その達成具合については、来年、令和2年の6月1日の雇用率で確認をし、通常考えますと、その時期には既に概算要求の動きがスタートしておりますから、補正とかいったようなことがあればまた別ですが、令和3年の概算要求に反映されるということになるかと思います。
○阿部分科会長 村上委員どうぞ。
○村上委員 意見です。先ほど議題2で申し上げればよかったのかもしれませんが、年度ごとに国が障害者雇用の促進に関して果たすべき役割を目標設定して、達成すべく努力されていくということは、大変重要なことです。その経過やいろいろなデータを見ながら皆さんで課題などについて指摘し合うという、本日のような機会も大変重要です。ただ、データそのものは、単年度でありますし、集約の限界もあるようなデータかと思っておりますので、そのデータだけでは多分、全体状況は把握できないだろうと思っております。その意味で、本日の参考資料4では、30年度の実態調査結果の概要を公表されておりまして、拝見していると大変興味深い中身がたくさんあります。処遇の問題もありますし、どのような産業でどのような障害種別の方が活躍されているのかということもよく分かります。更にクロス集計して見させていただくと、もっと実態が分かってくるのではないかと思っていますので、今後、民間部門に関する積み残しの課題を議論する際には、そういった資料も是非充実させていただければと思います。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。特になければ、本日はこれで終了したいと思います。最後に、事務局から連絡事項がありましたらお願いいたします。
○池田障害者雇用対策課課長補佐 次回の日程については、分科会長と相談の上、皆様に御連絡させていただきたいと思います。以上です。
○阿部分科会長 それでは、本日の会議に関する議事録の署名ですが、労働者代表は佐保委員に、使用者代表は佐渡委員に、障害者代表は小出委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。本日はお忙しい中、活発に御議論いただきまして、ありがとうございました。