第34回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会 議事録

健康局 健康課予防接種室

日時

令和元年9月26日(木)14:00~

場所

中央合同庁舎5号館 講堂(低層棟2階)

議題

(1)ロタウイルスワクチンについて
(2)予防接種施策について
(3)報告事項
(4)その他
 

議事

 

○元村予防接種室長補佐 定刻になりましたので、第34回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会を開催いたします。

 本日の議事は公開ですが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、関係者の方々におかれましては御理解と御協力をお願いいたします。また、傍聴の方は「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので御留意ください。

 続きまして、出欠状況について御報告いたします。中山委員、中野委員、宮崎委員から御欠席の連絡を受けています。また、磯部委員からは15分ほど遅れる旨の御連絡を頂いています。現在、委員12名のうち8名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条の規定により、本日の会議は成立したことを御報告いたします。それでは、申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので御協力をお願いいたします。これ以降の写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので御留意ください。

 続きまして、本日の資料の確認をさせていただきます。お手元のタブレットには番号01の議事次第及び委員名簿、番号09までの第34回予防接種基本方針部会利益相反関係書類を格納しております。不足の資料等がございましたら事務局にお申し出ください。

 それでは、ここからの進行は脇田部会長にお願いいたします。

○脇田部会長 委員の皆様、本日もよろしくお願いいたします。まず、事務局のほうから審議参加に関する遵守事項等について報告をお願いします。

○元村予防接種室長補佐 審議参加の取扱いについて御報告いたします。本日、御出席いただきました委員から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取り状況、薬事承認等の申請資料への関与について申告を頂きました。各委員からの申告内容については、資料09の「第34回予防接種基本方針部会利益相反関係書類」を御確認いただければと思います。本日は、議題1において、グラクソ・スミスクライン株式会社、MSD株式会社が製造するロタウイルスワクチンに関する審議を予定しておりますが、議事内容に関し、「退室」や「審議又は議決に参加しない」に該当する方はいらっしゃいません。以上です。

○脇田部会長 ありがとうございます。それでは、今日の部会では、前回の部会に続きましてロタウイルスワクチンについて、また活発な御意見を委員の皆様からよろしくお願いいたします。まず、議題1です。正にロタウイルスワクチンについてというところから審議に入っていきたいと思います。前回、913日から2週間と短い間ですけれども、前回の部会におきまして、ロタウイルスワクチンの定期接種化を進める方向で検討するということで皆様の了承を頂きました。定期接種化に向けましては、疾病分類、対象者など具体的な接種のあり方について議論をしていくことが必要となります。事務局に原案の作成をお願いしていましたが、資料1についてまとめていただきましたので事務局から説明をお願いします。

○永田予防接種室長補佐 事務局でございます。タブレット03、資料1のロタウイルスワクチンについてをお開きください。ただいま、座長より御紹介もございましたが、本日は、ロタウイルスワクチンの定期接種化に向けて検討すべき事項が幾つかございますので、そのそれぞれについて御審議いただければと考えております。

 スライドの3枚目をお願いいたします。ロタウイルス感染症の疾病分類について、皆さん御存じのとおり、予防接種法につきましては、A類疾病とB類疾病と2つの種類がございます。A類疾病につきましては、人から人に伝染することによるその発生及びまん延を防止するため、又はかかった場合の程度が重篤になり、若しくは重篤になるおそれがあることから、その発生及びまん延を予防するため特に予防接種を行う必要があると認められる疾病とされています。B類疾病につきましては、個人の発病又は重症化を防止し、併せてこれによりそのまん延の予防に資するため特に予防接種を行う必要があると認められる疾病とされているところです。

 これまで、基本方針部会の下に設置されました小委員会において技術的な議論を行ってきたところですが、この小委員会の取りまとめにおいては、1ポツ目ですが、ロタウイルスについては感染力が極めて高いこと。2ポツ目ですが、ロタウイルスワクチンはロタウイルス下痢症を発症する相対リスクが明確に低下する。つまり、発病防止効果があること。3ポツ目ですが、ロタウイルスワクチンの導入後、ロタウイルス胃腸炎による入院患者数の減少割合が、ワクチンの接種率や有効性から期待される減少効果を上回っていたこと。ワクチン未接種の年齢層にも減少が見られたこと、成人の便検体におけるロタウイルス陽性割合の減少がみられたことなどが分かっており、これらをまとめると、ロタウイルスワクチンの間接効果(集団免疫効果)があるとされているところです。

 こういった背景を踏まえまして事務局としては、ロタウイルス感染症の性質、ワクチンの有効性(発病防止効果・集団免疫効果)等を踏まえ、ロタウイルス感染症をA類疾病として位置付けることとしてはどうかと考えていますので、御議論いただければ幸いです。

 4枚目のスライドは、参考として、現在、定期予防接種の対象となっているA類疾病とB類疾病につきまして、対象疾病、対象者(接種時期)、標準的接種期間をまとめたものですので御確認いただければと思います。

 5枚目のスライドは、これらA類疾病やB類疾病、あるいは臨時接種や新臨時接種の法的な違いなどについてまとめた資料です。

 6枚目のスライドについては、先ほど御説明させていただいたロタウイルスワクチンの集団免疫効果について、過去の参考文献等を記しているところです。

 8枚目のスライドを御覧ください。ロタウイルスワクチンに係る定期接種の対象者及び接種方法についてです。定期接種の対象者及び接種方法については予防接種法第5条第1項において定めるとしているところです。また、定期接種実施要領において、標準的な接種期間、更に、予防接種実施規則において、ワクチンの接種方法等について定めることとしています。下の部分ですが、ロタリックスとロタテックの添付文書における記載をそれぞれ抜粋して記載しました。ロタリックスについては、2回経口接種するタイプで、生後6週から遅くとも生後24週までには接種を完了させるというタイプのワクチンであり、ロタテックについては、3回経口接種するタイプのワクチンで、生後6週から32週の間にある乳児に経口接種するタイプのワクチンです。

 9枚目のスライドを御覧ください。一方で、ロタウイルスワクチンについては、月齢3か月頃以降、徐々に腸重積症の発症率が増加することを踏まえると、ロタウイルスワクチンの初回接種は、早い時期に実施することが必要であると考えられているところです。例えば米国小児科学会においては、生後15週を過ぎた場合は接種を開始しないとしていますし、ACIPも初回接種を146日までに行うよう推奨しているところです。

 10枚目のスライドですが、ロタウイルスワクチンと同時期に接種されると想定される他のワクチンについて、対象者や標準的接種期間について整理した資料です。例えばHib感染症でしたら、初回接種については生後2月以降、小児の肺炎球菌感染症についても初回接種は生後2月以降、B型肝炎についても生後2月に至ったときから生後9月に至るまでの間と定めているところです。

 こういった状況を踏まえますと、他の定期接種の標準的接種期間は最も早いもので生後2月からとなっていることを踏まえ、ロタウイルスワクチンがこうしたワクチンと同時接種されることが一般的であることや、自治体の実務上もこの時期までに勧奨を行うことが実際的であると事務局としては考えているところです。

 こういった点を踏まえ、下の論点に記載しましたとおり、定期接種の対象者として、ロタリックスについては生後6週から生後24週まで、ロタテックについては生後6週から生後32週までとしてはどうか。標準的な接種期間としては、初回接種は生後2月から生後146日までに行うこととしてはどうか。ワクチンの接種方法について、ロタリックスについては4週間以上の間隔をおいて2回経口投与、ロタテックについては4週間以上の間隔をおいて3回経口投与としてはどうかと考えています。

 11枚目のスライドは、月齢と週齢との関係について示しているものです。16週が2回出てくるということがあって恐縮ですが、月齢3か月0日と、今回示している月齢3か月13日との関係を示しているものですので御覧いただければと考えています。

 12枚目のスライドを御覧ください。長期療養特例についてです。長期療養特例については予防接種法施行令において、免疫機能の異常など、長期にわたり療養を必要とする疾病等により接種対象年齢の間に定期接種を受けられなかった者に対し、特例として定期接種を受けられる期間、いわゆる「長期療養特例」を定めているところです。長期療養特例の要件については割愛しますが、特別な事情があるかどうかといったことが1つの判断の根拠となるところです。一方、ロタウイルスワクチンについては添付文書における接種対象年齢が極めて限定的であること。また、早期の接種が求められることから、長期にわたる療養後に接種を行うことは考えにくいため、長期療養特例の対象としないこととしてはどうかと事務局では考えているところです。

 14枚目のスライドに、参考として長期療養特例に関する他のワクチンの対応について記載しています。例えばインフルエンザなどについては、上限年齢等を適用除外とするなどの前例があるところです。

 16枚目のスライドを御覧ください。定期接種対象者から除かれる者等について御説明します。ロタリックス、ロタテック、それぞれの添付文書における記載についてまとめたものが16枚目のスライドです。被接種者が次のいずれかに該当すると認められる場合には、接種を行ってはならないとして、(1)明らかな発熱を呈している者、(2)重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者等が添付文書上に記載されています。本来、ロタウイルスワクチンについては、(4)腸重積症の発症を高める可能性のある未治療の先天性消化管障害(メッケル憩室等)を有する者、(5)腸重積症の既往のある者、(6)重症複合型免疫不全を有する者等についても記載されているところです。

 17枚目のスライドを御覧ください。こういったことを踏まえて、現在は予防接種法上、定期接種対象者から除かれる者等については記載しているような形で、有効性又は安全性に支障がある者等については健康状態の調査の結果を踏まえ、➀~➈という形で除かれる者を規定しているところです。このうち、➁➂については先ほどと同じように明らかな発熱を呈している者、重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者等について既に記載していますし、➄➅➆➇のように各個別のワクチンについて、それぞれのワクチンの特性を踏まえて除かれる者について規定しているところです。

 こういった点と添付文書の記載も踏まえ、定期接種対象者から除かれる者及び予防接種を受けることが適当でない者として、ロタウイルスワクチンの対象者については、腸重積症の既往歴のあることが明らかである者、先天性消化管障害を有する者(治療が完了したものを除く)に、重症複合型免疫不全症の所見が認められる者を追加してはどうかと考えています。

 (5)接種方法に関するその他の事項です。19枚目のスライドを御覧ください。まず互換性等について御説明いたします。ロタウイルスワクチンは1価の製品と2価の製品と2種類の製品があります。こういった中、例えばロタウイルスワクチンに関するファクトシートの中では、できる限り同じ製品でのシリーズ完了が望ましいとされているところです。また、1回でもロタテックを投与したことがある、あるいはどちらのワクチンを投与したか不明な場合は、いずれかのワクチンでロタウイルスワクチンを合計3回投与すべきという形で、ACIPでは推奨されているところです。また、ロタウイルスワクチンの互換性に関するエビデンスですが、米国における5つの接種スケジュールをランダムに割り当てた研究において抗体陽性割合を比較した調査があります。有効性の所ですが、抗体陽性割合は7796%になっており、この5つの接種スケジュールにおいて群間で有意な差は認められなかった。また、2種類のワクチンを接種した群の抗体陽性割合は、単一のワクチンを接種した群と比較して劣っていなかったことが明らかとなっています。安全性については、いずれの群でもワクチンの耐容性は良好であったことが過去の調査で明らかとなっています。

 20枚目のスライドですが、事務局でロタウイルスワクチンの互換性に関する組み合わせの整理をしています。➀はロタリックスを2回接種、ロタテックを3回接種するといういわゆる添付文書どおりの方法ですので、安全性・有効性のエビデンスはあるものと考えています。➁ですが、ロタリックスを1回接種した後にロタテックを2回接種するパターン、あるいはロタテックを1回ないし2回接種した後にロタリックスを接種するパターンについては、記載のとおり過去における文献のエビデンスがあると考えているところです。一方で➂ですが、例えば6)7)に記載しているように、3つの異なる医療機関を受診した場合など、極めて限られた場合と考えていますが、ロタリックス、ロタテックをそれぞれ合わせて3回打つ場合が可能性としてあります。また、8)9)に記載しているとおり、ロタリックスを2回接種した後、その接種の状況が不明である場合などについて、改めて3回目としてロタリックスあるいはロタテックが投与される場合など、極めて特殊なケースが存在すると考えているところです。

 21枚目のスライドを御覧ください。一旦、互換性の話題から少し離れるような感じですが、予防接種済証の所です。予防接種法施行規則第4条において、予防接種を行った者は、予防接種を受けた者に対して、予防接種済証を交付するものとしているところです。また、母子健康手帳に係る乳児又は幼児については、母子健康手帳に証明すべき事項を記載するものとしているところです。

 22枚目のスライドを御覧ください。現在の予防接種済証様式です。冒頭の上の部分ですけれども予防接種済証には、予防接種の種類、接種年月日等の記載欄はありますが、ワクチン(製剤)の種類、メーカーやロット名等の記載欄がない形となっています。

 23枚目のスライドですが、母子手帳の「予防接種の記録」のページには、ワクチンの種類、接種年月日、メーカー/ロット名、接種者署名等の記載欄があります。

 24枚目のスライドを御覧ください。こちらは里帰り出産の状況について調べた過去の例ですが、初産婦の6割、経産婦の4割が里帰り出産をしていること。あるいは、下の部分のグラフですが、そのうち半数以上の方が生後1か月頃まで、8割の方が2か月頃までには自宅に戻っているという過去の調査があります。

 こういったことの諸々を踏まえ、里帰り出産の状況や、あるいはロタリックスとロタテックについては、初回接種後、一連の接種を終了するまでの間に、里帰り先から移動するケースが一定程度存在しうること。また、医療機関によっては、一方だけのロタウイルスワクチンのみを備蓄している例も存在すると考えられるため、同一の製剤で接種を継続することに支障が生じるおそれがあると考えています。また、ロタウイルスワクチンについて、一定の順番、先ほど示した➀➁の順番で接種した場合に限っては、異なる製剤を組み合わせて接種した場合の安全性や有効性が確認されているところです。予防接種を行った際の予防接種済証あるいは母子健康手帳には、ワクチン(製剤)の種類の記載は求められていない。また、そもそも予防接種済証には、製剤の種類を記載する欄がないということもあります。

 こういった点を踏まえ、互換性のまとめですけれども、ロタリックス又はロタテックのいずれか同一の製剤で接種を完了することが原則である旨を明確化することとしてはどうか。また、ロタウイルスワクチンの接種を行った際に、予防接種済証や母子健康手帳にワクチン(製剤)の種類の記載を求めることとしてはどうか。このように考えています。ただし、一方の製剤の接種体制がない等の事情を有する市町村においては、市町村長が他の市町村からの転居等のやむを得ない事情があると認める場合に限り、安全性や有効性が確認された一定の手順で、異なる製剤を組み合わせた接種を認めることができることとしてはどうかと考えています。

 なお、27枚目のスライドにお示ししますとおり、B型肝炎については2つの製剤がありましたので、それぞれ過去にどういう御説明をしているかですが、基本的には3回の接種を同一の製剤で行うことが望ましいと説明した上で、一部の製剤においては、切り替えた形で定期の予防接種としての実施は可能という説明を過去にしているところです。

 28枚目のスライドを御覧ください。ロタウイルスワクチンを接種後に吐き出した場合の対応についてです。それぞれロタリックス及びロタテックの添付文書の記載を抜粋して記載しています。ロタリックスについては、大半を吐き出した場合については接種させることができる。一方、ロタテックについては追加接種を行わないこととしているところです。また、臨床試験において、ワクチンを吐き戻した際の再接種についての検討はされていないという状況です。

 こういったことを踏まえ、米国のACIPでは、乳児が吐き戻したり、吐き出したり、嘔吐した場合はワクチンの再投与は行わないことを推奨しているところです。こういった点を踏まえて事務局としては、論点の所ですが、ロタウイルスワクチン投与の際に、乳児がワクチン接種後に吐き出してしまった場合、再投与の有効性等について検討されていないことを踏まえ、再接種は行わないこととしてはどうかと考えています。

 続いて、(6)定期接種化の開始時期についてです。29枚目のスライドを御覧ください。ワクチンの安定供給のためには、一定の準備期間が必要であると考えられるところですが、先日、913日に開催された第33回基本方針部会において、ロタウイルスワクチンを製造している2社に伺ったところ、2社ともに令和210月までには供給体制を整えることが可能という御回答があったところです。また、定期接種化にあたりましては自治体において、例えば予算案への反映及び議会での審議・議決、あるいは予算が決まった後、予防接種台帳等のシステムの改修、医療機関との契約条件の調整及び契約、住民の方に対する広報や接種対象者への周知といった準備が必要と考えていて、こういったものを諸々行うには早くても令和2年の秋以降と考えているところです。また、定期接種化が始まる時点については、いわゆる「キャッチアップ」について検討することもありますが、ロタウイルスについては任意接種が広く行われている中、生後146日までに初回接種を行うことが望ましいとされているロタウイルスワクチンについて、初回接種の時期を生後146日よりもかえって遅らせる人が増えることについては、有効性の観点からも安全性の観点からも好ましくないと考えています。

 こういった点を踏まえ、論点の所ですけれども、定期接種を開始する時期については令和210月に開始するよう準備を進めてはどうかと考えています。2つ目の○ですが、定期接種化開始時については、標準的接種期間を生後2月からとすることや、生後146日を超えた初回接種を促進することは好ましくないことを踏まえ、定期接種の対象者は、令和28月生まれ以降の者とすることとしてはどうかと考えています。3つ目の○は、対象者が既に一部の接種を任意接種として行った場合、残りの接種を定期接種として扱ってはどうかと考えているところです。

 最後に、(7)その他の部分です。32枚目のスライドを御覧ください。先週の金曜日、令和元年920日に第43回副反応検部会を開催しました。こちらについては、いわゆるロタウイルスワクチンを定期接種化するという方針を踏まえ、ロタウイルスワクチンが定期接種化した場合の副反応疑い報告基準について議論させていただきました。その結果として2点、アナフィラキシーは発生までの時間を4時間として、この疑い報告基準のうちの対象とすること。もう1点、腸重積症が接種後21日以内に確認されたものを報告対象とすることを、先日の副反応部会でお認めいただいたところです。

 33枚目のスライドを御覧ください。現在、定期接種実施要領においては、同時接種は医師が特に必要と認めた場合に行うことができるとしていて、定期接種化されている生ワクチンについては接種後27日以上、不活化ワクチンについては接種後6日以上の間隔をおくこと、とされているところです。一方、ロタウイルスワクチンが定期接種化された場合、Hibワクチン、肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチン、4種混合ワクチン、BCG等が接種されることになりますので、確実に接種機会を確保する観点からも、接種間隔に関して対応を検討することが必要と考えられています。

  経口生ワクチンであるロタウイルスワクチンについては、非経口生ワクチン等の反応に影響を及ぼさないと考えられているところもあります。このため、アメリカ・カナダ・イギリスにおいては、他の不活化・生ワクチンと、前後のいかなる接種間隔でも接種可能であるとされているところです。こういった点を踏まえて事務局としましては、1点目、ロタウイルスワクチンについて、その他のワクチンとの接種間隔に、従前の生ワクチンと同様の制限を設ける必要があるかについて、どのように考えるか。2つ目として、ロタウイルスワクチン以外の生ワクチンについても、接種間隔の在り方について議論してはどうかと考えているところです。この点について御議論いただければと思います。

 33枚目のスライドですが、これまで説明させていただいた事務局からの提案について、論点のまとめという形でまとめているものですので、御審議いただければと思います。事務局からの説明は以上です。

○脇田部会長 ありがとうございました。それでは、前回の部会でロタウイルスワクチンを定期接種化するという方向性を決めていただきましたので、今回の部会では、この定期接種化に向けて必要な項目について、御議論を頂くということになります。今、事務局でまとめていただいた最後の33ページですね、こちらに論点をまとめていただきましたので、上から疾病類型、定期接種の対象者、それから接種期間等とありますので、上から順番にまたスライド戻っていただきまして議論をしていきたいと思います。 まず疾病分類に関しては、集団免疫効果ということを考えてA類の疾病とするということですが、こちらはよろしいでしょうか。ありがとうございます。それから、定期接種の対象者ですが、ロタリックスについては生後6週間から生後24週まで、ロタテックは、生後6週から生後32週までということで、こちら添付文書に書かれているところが採用されているということになりますので、こちらも問題はないかなと考えます。

 ただ、次の標準的な接種期間ですね。こちらが事務局の御提案では、初回接種が生後2月から生後146日までというところで、最初の生後2月というところは、ほかのワクチンとの並びを考えて2月というところです。そして、後ろの生後146日というところが、合併症の腸重積の好発年齢を避けるという観点の米国承認科学会の推奨を勘案して、ACIPの決めているところの146日までに行うと、御提案いただきました。こちらは御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。

○多屋委員 今、多くの子供たちが生後2か月にワクチンデビューをするということで、広く接種が行われていますので、添付文書上は生後6週間から可能なのですが、生後2か月からと合わせたほうが現場での混乱が少ないのではないかと、私は思いました。是非、現場で接種をされている釜萢委員の御意見を聞いていただければと思いますが、私の意見はそのとおりです。

○脇田部会長 ありがとうございました。

○釜萢委員 この時期は多くのワクチンを接種しなくてはならないので、同時接種ということも現場では広く行われていますから、多屋委員が言われたように、推奨される時期としては生後2か月からということで整理されて、ほかのワクチンとの関係にもなるべく混乱を来たさないようにするというのが、よろしいと思います。

○脇田部会長 ありがとうございます。そのほかに御意見はいかがでしょうか。

○伊藤委員 ワクチンを接種されている現場では、例えば2か月後の予定の2日前に来院されるなど、時期がずれていることで実際の現場の取扱い困ることが往々にしてあると思っています。そういう意味で、医学的に余り問題がなければ、実運用としてアローワンスを作るという考え方があっても、いいのではないかなという気がしています。例えば1日ずれているからといって、差し戻しや支払いを止めるといった自治体もないわけではないと聞いています。そういう硬直的な運用が少しでもなくなれば、お母さんにしてみれば仕事を休んで連れていかなくてはいけないのに、その時間が取れないという不自由さに、ゆとりを持たせてあげることはできないのか。とりわけ今回は、添付文書上は6週からとなっていて、今回の標準的な接種期間を2か月としてしまうと、医学的な問題よりは行政的な問題で2か月にしているというところもあるので、アローワンスを入れて事務や現場のことを考えてあげる措置を、この機会に取れないのかと、提案させていただきたいと思っています。

○脇田部会長 先生、これはロタウイルスワクチンに限ってのお話ですか。それとも他の。

○伊藤委員 ロタウイルスワクチンだけの話には、多分ならないのかとは思ってはいるのですが、現場で実際に、「違反です」って言って帰されるケースが随分あります。それが医学的な問題ではないのに、随分、理不尽ではないかという気もしているので、考えるいい機会かと思いました。

○脇田部会長 ありがとうございます。では、この点、御意見は。

○坂元委員 予防接種の接種主体の市町村としては、多分、お隣の那須烏山市の市長さんも同じ考えだと思うのですが、接種期間が決まっていると、それをずらすと補償との問題の兼ね合いもあって、なかなか難しい部分もあるのです。この2か月という推奨は、今、伊藤委員が御指摘のように、1歩間違えて2か月ですよと言い切ってしまうと、保護者の方には2か月でなくては駄目かなと考えてしまい、当然そこは自治体としても柔軟に対応していきたいと思います。まれに、御指摘のように推奨期間と法的な接種可能期間を勘違いする自治体があるということは私も承知しているので、そこはそういうことがないように、接種主体の市町村としては、しっかりその辺は周知していきたいということと、ただ法定の6週間前になってしまうと、やはり法律上の取扱いがあって、かなり厳しい部分もあります。市町村によっては、市町村独自の救済の方法というのはあるのだろうし、そこは市町村の裁量の中に委ねられていくということも1つの方法かなと考えています。以上です。

○脇田部会長 ありがとうございます。多屋委員、お願いします。

○多屋委員 今のお話ですが、生後6週から24あるいは32週までは、定期接種としては一応認められている範囲なので、接種をしても間違いにはならないのですが、ただHibや肺炎球菌のワクチンが生後2か月からでないと添付文書上認められていません。そこで万が一、同時接種をされるとHibと肺炎球菌は法律上の決められた範囲に入っていないということで、よく予防接種の間違い報告が届いているという現状もあります。生後2か月と標準的な月齢は定めて、生後6週からでももちろん定期としては受けられるというほうが、いいのかなというのが私の意見でした。

 もう1つは、生後6週にロタウイルスワクチンを飲みますと、現在の制度だと生ワクチンは4週間開けなければいけなくなってしまうので、Hibや肺炎球菌を生後2か月より、さらに2週間、3週間、遅らせないといけないことになって、少し現場の先生の実施されているやり方とずれてこないかなということもあって、標準的な月齢は生後2か月にしておくと間違いが少ないかなと思って申し上げた意見でした。

○脇田部会長 はい、そのほかはいかがでしょうか。現場の川俣委員、お願いします。

○川俣委員 そうですね、2か月にするならしたほうがいいのかなとは思います。ただ、多少の期間、1週間、2週間のずれというのは、実際に大きなずれなのか、お母さん方の本当に予防接種を受けさせるために可能だと思っている時間を取るのに、1週間のずれというのは難しいお母さんもいらっしゃると思うのです、業務的なもので。でも、それを考えていったら予防接種の期間というのは決めにくいのではないかなと思うので、その子育ての期間はやはり上手にお母様に時間を取っていただいて、行政のほうでも、断るというよりは1日前か2日前ならば、なるべく余裕を持って受け入れてもいいのかなという、その辺の優しさがあってもいいのかなと思いますが、これではっきりこの日というので、1日ずれたぐらいは余裕を行政でも持ちたいなとは思っています。ただ、全部を統一したほうが、ある程度は有り難いのかなというのは私の中でも思います。余りずれていると、それはそれでやりにくいというかも出てくるのかなと思いますので、その辺は皆さん、先生方の検討というか、実際にワクチンを使う方々と受けるお母さんによっては全く、うちのほうの行政では一切やりたくないというお母さんも出てきているので、その辺を説得するのが実は大変です。受けてくださいということを、今やっているので、期間よりももっと大変かなと思っているので、その辺も考慮していただけたらいいなと思っています。

○脇田部会長 ありがとうございます。さらに御意見はありますか。

○釜萢委員 今のロタのワクチンをいつ始めるかというのは、添付文書で6週というのがあって、あくまでも標準的な推奨期間というのが2か月からということですから、少し早くやっても法律に基づく接種にはなるわけだろうと思うのです。間違え報告でよく上がってくるのは接種間隔のほうです。これは伊藤委員が言われるように、もう少し弾力的な運用というものが可能なのかどうかということもありますが、現場ではかなりこれを厳密に実施してきたという経緯もあるので、そこは今後の議論が必要ではないかなと思います。

○脇田部会長 ありがとうございます。多屋委員、お願いします。

○多屋委員 もし標準的な接種月齢を2か月よりも前にするということになるのであれば、是非、経口生ワクチンの接種の後、4週間あけるという制度のほうをやめないと、余計に混乱が大きくなってしまいますので、生後2か月で多くの人が同時接種をするというほうでいって、もし6週でも定期接種の範囲なのでそれは認めていただけるとなるほうが、混乱が少ないかなと思ったのですが、伊藤先生の気持ちはすごく、私も保護者の立場に立つと分かりますので。

○脇田部会長 結局、このロタの場合は6週から打ってもいいですよということになっていますが、そうした場合に、ほかのワクチンのHibなどの同時接種を今のところはできないということですので、現状ではやはりこの御提案のように、標準的な接種期間を生後2月とさせていただくということが、今の時点では妥当と考えています。

 生ワクについての接種間隔の在り方等に関して、ここのまとめに入っていないですが、先ほど事務局からの御提案でも、今後、議論を進めていく必要があるということですので、そちらを含めて、また議論を進めたいと思います。その点を含めまして、今回、この標準的な接種期間については、初回は生後2月から生後146日までに始めるというところで定めておくというのが、よろしいと考えています。

 その次のところです。さらにワクチンの接種方法等のところですが、ロタリックスについては4週間以上の間隔をおいて2回経口接種。ロタテックについては4週間以上の間隔をおいて3回経口投与。これは添付文書どおりというところになろうかと思います。こちらはよろしいでしょうか。

 それでは、その次の長期療養特例です。こちらは免疫異常等で長期にわたり療養が必要とする場合には、それが解消されて2年を経過するまでの間は定期接種として接種を受けることができる特例ということですが、ロタワクチンについては接種対象年齢が限定的で早期の接種が求められるということですから、これは対象にしないということで、これもよろしいかと考えます。

 対象から外れる方です。こちらも添付文書のあることを踏まえまして、腸重積の既往歴のある方、先天性消化管障害を有する方、重症複合性免疫不全症(SCID)の所見が認められる者を追加するということです。こちらもよろしいかと思っています。

 「接種方法に関するその他の事項」というところです。2種類の製剤がありますので、これは議論があるところだと思いますが、ロタテックとロタリックスの打ち方が、2回と3回で違うというところがあります。互換性に関しても、今、御報告がありました。それを勘案して、やはり同一の製剤で終了していただくということが一番推奨されるというところです。既に文献でここにありますが、20ページ、互換性の組合せのあるところです。➀は同一製剤の接種、➁は文献で報告のある安全性、有効性のエビデンスがあるものというところになり、➂、➃のところは非常に特殊なパターンであろうという御説明でした。ですので、こちらは原則としては同一の製剤で完了していただくということですが、地方自治体を移動したようなときに、自治体によっては片方の製剤しか備蓄がないというときに、こういった打ち方になるということも、ここは認めるというようなことかと思いますが、こちらについて御意見は。

○坂元委員 混乱を防ぐ意味では、同一製剤でやったほうがいいのかなというのは、市町村の現場としては、そう思います。名前もロタリックス、ロタテックと非常に似ているので、ただでさえ間違いやすいということがあります。ただし原則としてということが、仮に2番のパターンが出てきたときに、原則はこうだけれども、これも予防接種法の定期接種として、いわゆる費用支払いの対象として、副作用が起こったときに、その副作用の補償等も予防接種法でやっても構わないということなのか、ただし原則としてはこうしてくれという意味で、このパターンを認めないという意味なのかはっきりしません。多分、そこが市町村としては、非常に気に掛かるところだと思います。その辺をしっかりお決めいただきたいと思います。以上です。

○脇田部会長 こちらは、同じ製剤で接種を完了するということが原則であるけれども、1種類しか接種体制がないという場合には、市町村を移動したときに異なる製剤で接種されるということがあり得る。ただし、それは定期接種として認めるということです。先ほど、坂元委員から御指摘があったような副反応の救済制度も適用されるというところで考えたいと思いますが、いかがでしょうか。

○坂元委員 追加でございますが、➂の場合は認めないということになると思うのです。20ページの➁までのパターンなら認めるけれども、➂のパターンは認めないということをどこかに明記しないと、多分、混乱が起きると思います。もし、その場合、原則としては同一製剤2回、若しくは3回ということですが、このパターンが生じたときに➁までは予防接種法の定期接種の対象として可だが、➂は不可であると明確にしないと、現場でかなり混乱が起こってしまうと思います。この辺の記載の仕方をしっかり明記していく必要があるかなと思います。以上です。

○脇田部会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。

○多屋委員 すみません、➂と➃を認めないとなった場合に、不明ということが出てきたときに、どう判断するかに困ってしまうと思うので、➂、➃はめったにないとして、もしそうであっても何らかの形で認めてもらえないと、不明をどうするかということを考えておかなければいけないような気がします。

○坂元委員 市町村の判断で認めないということではなく、このパターンであっても国が予防接種法の定期接種として認めるという御墨付きがあればと思います。仮に多屋先生が言われたようなどれを打ったかわからないという不明者が出てきてしまったときに、市町村としては、不明だから一切認めませんと言っていいのか、その辺がもし市町村によってばらばらになると非常にまずいので、やはりこういうパターンのときに、これとこれは可、この場合は不可ということをちゃんと明示していただきたいというのは、現場の市町村としての考えだと思います。

○脇田部会長 例えば、1回目の接種がある自治体で行われて、その製剤名がはっきりと記載されていないという場合に、次の自治体で3回の接種をやるのか、2回の接種をやるのかといった場合に、3回やったほうがいいということになるのだろうと思うのです。そのときに、最初の製剤が不明だからといって、残りの2回を定期接種として認めないかというと、それは非常に難しい判断だと思いますので、やはり坂元先生の御意見ありましたが、➂、➃のパターンも、これは一応、定期接種として認めるという方向がよろしいのではないかと思うのですが、委員の皆様の御意見もいただいて。事務局から何かありますか。

○林予防接種室長 いろいろありがとうございます。ここで書かせていただいているのは、まずは医療機関で分からないから何でも打っていいよということではなく、あくまでも市町村長が認める場合ということですので、市町村に片方の接種体制しかないというような特殊な事情があって、市町村が個別に認めるか、あるいは医療機関との契約の中でうちとしてはこうしてもいいよと認めるか、打ち方を変えると費用も余計に掛かりますから、そこは市町村で御判断いただくということが前提かと思います。

 不明のところをどうするかということですが、例えば母子手帳をなくしてしまったとしても、1回なくしただけであれば➁の範ちゅうに入るはずです。➂というのは、1回なくして再びなくした、1回転居してまた転居したという場合が想定されるということだと思いますので、それが、6)7)です。8)の場合は、2回打ったけれども何か分からないのでもう1回打つということですかね。そういったことで、ちょっと特殊なケースかと感じて、このような提案にさせていただいています。ちょっと整理が必要だと思いますので、不明の場合はどうするかということは、預からせていただいて、施行までに何らかルールを明確化できるようにしたいと思います。

○川俣委員 できたら市町村としては的確にしていただいたほうが、何か副反応が出た場合に、どういう例で出ても同じお薬ではなくて3回受けて、出た場合に大丈夫ですよと、こちらで見ますよという話ができるのか、いえ市町村で認めていませんからということは、実際に言えなくなってしまうと思うので、ある程度の基準を決めていただいて、逆に言ったら全部可にしていただいて、対応は市町村で判断もしますが、市町村だけで全部判断は無理だと思うので、全部可にしていただいたほうが、私としてはいいなと思っています。

○脇田部会長 ありがとうございます。全部可にするというところはいいと思うのですが、ただ一方でやはり同一の製剤で接種を行うというところが原則というところもありますので、その点を強調させていただくということ。それから、事務局でまとめていただいたように、母子手帳、あるいは予防接種済証に、ワクチンの製剤の種類をきちんと記載していただくということも間違いを減らすために非常に重要な点だというところですので、それらも明確化をしていただくようにお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。一応、こちらは事務局でまた少しまとめていただくということで、お願いしたいと思います。

 接種方法のところで、もう1つ、乳児がワクチンを接種後に吐き出してしまった場合の再接種ということですが、ロタリックスとロタテックにおいては添付文書で記載が多少違うわけですが、吐き出した後には再接種は行わないということにしてはどうかということですが、こちらも御意見を頂ければと思いますが。

○坂元委員 そのように決めていただけるならば問題はないのですが、ただ現場で保護者の方から「吐き出しても大丈夫か、これで効果はあるのですか」と聞かれたときに、「いいえ、ただ認めないだけです」というのは、対応としていかがなものかということで、そこはやはり吐き出しても、こういうわけですから大丈夫ですと言わないと保護者は納得しないと思います。恐らくこれは釜萢先生の範ちゅうになるかと思うのですが、その辺ちょっと説明が苦しいのではないかなと思います。

○脇田部会長 釜萢委員、お願いします。

○釜萢委員 確かに坂元委員のおっしゃるとおりですが、従来、経口のワクチンはポリオの経験があって、そしてその後、ロタリックスとロタテックが今飲ませているワクチンとしてあるわけですが、現状においては、もどしてしまった場合には、メーカーがまた提供してくれるというメーカーの好意で対応しているところもあります。坂元委員が言われたように、吐いてしまったという場合には医療機関が公的な予防接種費用は出なくても、医療機関において、また再度飲ませるというような対応もかなり行われてきたという経緯があります。今回、この方向を打ち出すことは今までとかなりやり方が変わりますので、もしこれを皆様の同意でこういう方向に持っていくのであれば、よほどしっかりその辺りのところを周知させなければいけないなと思います。その場合に、吐いてしまったけれども、十分免疫が付きますよというエビデンスは、なかなかここは難しいところなので、嘔吐が見られた場合には、もう一回飲ませることができるような仕組みも必要なのかなという気も現場ではしますから、それはもう少し議論をさせていただきたいと思います。

○脇田部会長 ありがとうございます。この点いかがでしょうか。こちらは御提案では、再接種は行わないということになっていますが、現状を考えると再投与も考えることができるというところで、もう一度、検討してはどうかというところですが。一応、議論を再度行うということで、事務局でまた検討してもらうということになりますが。

 その次に定期接種の開始の時期です。こちらは御提案で令和210月に定期接種を開始するように進めてはどうかと、こちらは来年度からということになりますが、ワクチンの準備、それから自治体の接種体制の準備を勘案して10月に開始という御提案ですが、こちらはどうでしょうか。自治体のほうは、それでいかがですか。

○川俣委員 はい、医療機関との。もう現実に市町村によってはやっているところがあるので、前例もありますので、それらを含めて進めるならば、ちょうど猶予期間としては1年間ありますので、何とか体制が整うのかなとは思っています。あとは毎回言いますが、価格が安くなれば安くなるほど安心してできるかなとは思いますので、国からのバックアップをお願いしたいなと思っています。

○脇田部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。それから定期接種の開始が、令和210月ということになりますと、先ほど生後146日を超えて初回接種をしないということになりますので、その対象者ですが、来年の8月生まれ以降の者ということにしたいという形ですね。こう定めておかないと、今まで任意で接種されているところが結構ありますけれども、そちらが接種控えになるというおそれがあるという御説明でした。こちらもよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 最後のところですが、既に一部の接種を任意接種して行った場合は、残りの接種を定期接種として扱うということですが、こちらもよろしいですかね。ありがとうございます。

 それでは、今、論点のまとめですが、そこで委員の先生方から幾つか御指摘いただいた点がありますので、その部分は再度、検討させていただくということにしたいと思います。ここの「まとめ」には入っていないわけですが、途中でお話がありましたように、ロタウイルスワクチンについて従前の生ワクチンと同様の制限を設ける必要があるかどうか、またロタワクチン以外の生ワクチンについても接種間隔の在り方について議論をしてはどうかということになります。

 まず、最初のロタウイルスワクチンについて、従前の生ワクチンと同様の制限を設ける必要があるかどうかというところですが、ここは少し議論をしておいたほうがいいかなと思いますが、多屋先生、こちらはどうですか。

○多屋委員 海外では、経口の生ワクチンの場合は特にほかのワクチンとの接種間隔を定めている国がなく、ロタの場合は接種して4週間あけなければいけないというのは、多分、日本ぐらいかと思います。もし、そこを変えていただけるのであれば非常に現場としては助かるように思います。一方、添付文書に明記されているので、添付文書の改訂というのは少しハードルが高いように聞いていますので、そこの議論が必要かなと思います。ほかのワクチンについては、また別のところでということですね。

○脇田部会長 事務局、お願いします。

○林予防接種室長 添付文書の記載ですが、記載の性質に2種類あります。生ワクチン同士の間隔については、ワクチンの干渉作用といったことを恐れて28日間あけるということが、添付文書自体を作ったときに決められています。一方で、生ワクチンと不活化ワクチンの間でも28日間あけなくてはいけないということは、定期接種の実施要領にそう書いてあることを引いて、添付文書にそう書かれているので、その発信源はここであるということになります。そちらに書いてあるので、ここが決められないということはないということを補足させていただきたいと思います。

○脇田部会長 そうすると、そちら側の接種要領の変更をやればいいということですか。

○林予防接種室長 はい、法的にはそういうことです。

○脇田部会長 多屋先生、そういうことです。

○多屋委員 はい、ありがとうございます。

○脇田部会長 今日、これを決められるということは難しいかもしれませんが、ちょっと議論を、意見を伺っておきたいとは思いますが、この点はいかがでしょうか。

○伊藤委員 干渉作用が特になければ、経口のワクチンですし、先ほどもお話をさせていただいたように、できるだけ制限は少ないほうがいいのではないか、医学的に問題がないのであれば、できるだけ制限をかけずに済めばいいのではないかと思っていますので、ロタに関しては、接種間隔について余りこだわることなくできるという除外を書いておけば、ロタに関しては通常の今までの生ワクチンという枠組みから外すという形で、ここで決めれば、それでいいのではないかなという気はします。

○脇田部会長 ありがとうございます。今、お二人の先生から伺いしましたが、よろしいですか。これは事務局は、エビデンス的にはここは大丈夫ですか、このロタワクチンに関しては。

○林予防接種室長 はい、ここについては、今日、必ずしも結論を頂く必要があるという部分ではないということと、やはりルールをある程度単純にしないといけないので、ロタだけが例外とするのがよいのか、生ワクチンと不活化ワクチンと大くくりにして、統一的なルールを定めることができるのかということを、ちょっと改めて御議論いただきたいと思っています。やめるにしても27をやめて、6にするのかゼロにするのかといったこともあると思いますので、今日の時点ではまとめのところに書かせていただいていますが、別途、さらに検討するということが妥当だということが、ここで御了承いただければ改めて資料を用意したいと思います。

○脇田部会長 分かりました。この点については、さらに検討するということで、今日のところはそういうまとめとさせていただきたいと思います。

 論点のまとめです。33枚目のスライドの所の論点のまとめについては、先ほどのお話があったとおり、今回、御指摘があった点を除いてお認めいただくということにしたいと思いますが、多屋委員、ありますか。

○多屋委員 ちょっと戻ってしまうのですが、接種不適当者に該当する3つの項目なのですが、先天性消化管障害を有する者の前に、添付文書ではメッケル憩室を先進部としたような先天性消化管障害という説明の部分があって、それが削除されてしまっているので、現場の先生方に先天性消化管障害というものを接種不適当者にする意味が伝わりにくくならないかなと思ったのが1つ。

 それから腸重積症の既往がある人や重症複合免疫不全症の所見がある人というのが接種不適当者になるのは、今回のロタウイルスワクチンが初めてのワクチンになりますので、予診票をかなり丁寧に書いて、保護者の方が自分のお子さんがこれに該当するかどうか分かるような予診票の作り方を工夫していただきたいなと思いました。

○脇田部会長 はい、ただいまの御指摘は、添付文書の記載では、腸重積症の発症を高める可能性のある未治療の先天性消化管障害(メッケル憩室等)と書いてあるので、そこのところをもう少し丁寧に書いておいたほうが誤解が少ないということですね。

○多屋委員 はい、分かりやすいのかなと思うのですが。

○脇田部会長 分かりました。事務局、お願いします。

○林予防接種室長 このようにさせていただいている意図をお話させていただきたいと思います。腸重積症の発症を高める可能性のあるというのは、多屋委員のおっしゃるとおり、未治療の先天性消化管障害を有する者を接種対象から除外する理由を書いてあるのであって、何も先天性消化管障害の一部だけに限定する趣旨ではないと理解をしています。腸重積症の発症を高める可能性のない障害は構わないなど、そういうことを言いたいものではなくて、その理由を書いてあるのだと、まず理解をしています。ですので、これを外しても付けても、意味内容としては接種対象から外す範囲については変わらないと認識をしています。

 その上で、それをこのように規定をした理由をどこかで表現してはどうかという御指摘だと思いますので、それは施行規則なり実施規則にどう規定するかということとは別に、きちんと周知するということで対応すべきことかと思っています。

 添付文書については、御指摘のとおりだと思っていますので、是非、委員の御知見もいただきながら、今後、作っていきたいといます。

○多屋委員 予診票です。

○脇田部会長 予診票のところは丁寧に作っていただいて、誤解がないようにお願いをしたいと思います。そのほか御指摘は。

○釜萢委員 先ほど申し上げるのを忘れたのですが、22ページの予防接種済証の記載事項です。これはワクチンの種類とメーカー/ロット名を記載するということで、それはそれでよいですし、実際は、別に求められてはいないけれどもシールの余ったのは接種済証に貼ってあげたりはしていますので、それはそれで問題はないと思います。母子手帳の様式についても、メーカー/ロットという所と、もちろん接種者署名は当然必要ですが、これは製剤に添付されているシールには、確かロタに関してはメーカー名が入っていない。他のワクチンはメーカーまで入っているものもありますので、それは今後、メーカーにそういうことを協力を求めていけば、貼るシールで対応できるのかなと感じていましたので、ちょっと指摘しておきます。

○脇田部会長 ありがとうございます。今の御指摘の点は、同一の製剤を原則的に接種するというところにつながってきますので、事務局もその点をよろしくお願いします。

○林予防接種室長 様式については工夫したいと思いますが、今もメーカーの欄がありますので、例えばそこをメーカー名又は製剤名とすれば、今のシールも使えるのかなと思います。ちょっと工夫をしたいと思います。

○脇田部会長 よろしくお願いします。そのほかはいかがでしょうか。それでは活発な御意見、どうもありがとうございました。以上で、ロタウイルスワクチンの定期接種化に当たって決めておくべき事項というところは事務局の提案をもとにまとめまして、それから御指摘いただいたところは、また議論を進めるということにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

 前回と今回の2回にわたって審議していただいた結果を、予防接種ワクチン分科会に報告させていただくということにしたいと思います。そちらも併せて、よろしくお願いします。

 それでは、議題の2に入りたいと思います。予防接種施策についてです。資料2がありますので、事務局から説明をお願いいたします。

○林予防接種室長 資料2-1です。5年後を目途とした検討と今後の進め方として、以前にお示ししたものを改めて示しております。下のほうですが、今後、御審議していただきたい事項がいろいろありますので、順次お示しして、ヒアリングも行いながら並行して御議論いただきたいと思っております。

 資料2-2を基に説明いたします。時間が限られており、後で議論の時間をたくさん取っていただきたいので、資料の説明は簡単にさせていただこうと思います。大きなテーマとして接種類型と定期接種化プロセスの2つを用意しております。

 1ページです。社会状況の変化と予防接種制度です。これまでの多年の経緯がこのようにあります。2ページですが、平成25年に予防接種法の一部を改正しました。一類疾病はA類、及び二類疾病をB類に変えるなど大きな改正が行われたところです。

 3ページです。予防接種法の体系ということで、今日の論点に関連する類型はどういうことかというと、大きく定期接種と臨時接種に分かれており、更に、定期接種がA類、B類、臨時接種が従来の臨時接種と新たな臨時接種に分かれています。それぞれ、接種の国民の努力義務や自治体からの勧奨があるかないか、あるいは、実費徴収が可能かどうかというところで扱いが分かれております。4ページには、更に、接種費用の負担について、市町村や国の負担割合や地方交付税措置の割合、また健康被害救済に係る給付金額が異なっていることをお示ししております。

 5ページに、今日、御議論いただきたい視点をまとめております。視点➀として、A類、B類という疾病区分の在り方について、視点➁として、定期と臨時という類型そのものについて、視点➂として、予防接種法の中にある接種と、それ以外の任意接種と呼ばれる分類の在り方について、全体として接種の類型に関する課題についてという視点で資料を整理しておりますので議論の参考にしていただければと思います。

 6ページです。A類、B類の分類についてです。A類にはどういうものが入っているかというと、➀は人から人に伝染することによる発生及び蔓延を予防するためということで、後で申し上げますが、直接的な集団予防を図ること、➁は重篤性に着目して、致命率が高いことによる重大な社会的損失の防止を図る、あるいは、感染し長期間経過後に死に至る可能性の高い疾病となることがあり、重大な社会的損失を生じさせるというものが、A類の要件の1つとなっております。

 B類は個人の発病又はその重症化を防止し、併せて、その蔓延の予防に資するためということです。個人の発病の防止を図っていくと最終的には集団にとっても予防ができるということを間接的な集団予防と呼んでおります。直接的な集団予防と間接的な集団予防については難しいので、7ページに模式図を用意しております。

 意味が逆で少し分かりにくいのですが、予防接種をした人が守られることを間接的な集団予防効果と呼んでおります。予防接種をした人を通じて予防接種をしていない人、免疫がない人にもうつらなくなるということを直接的な集団予防効果と呼んでいます。上の絵で言うと、右側にありますが、患者と免疫がない人との間に免疫がある人がいると、免疫のない人にも病気が伝染しにくくなるということを「直接的な集団予防効果」と呼んでおり、これを集団に当てはめると、右下の四角いほうの絵になるということです。

 次に、定義と臨時という接種類型についてです。8ページに定期接種の対象疾病と対象者をまとめており、9ページに定期接種の実施率、多くのものについてはかなり高い実施率で接種していただいていることをまとめております。また10ページは、臨時接種についてです。蔓延予防上、緊急の必要性があると認めるときに、都道府県又は市町村が行う臨時の接種ということで、病原性の強さに応じて臨時接種と新臨時接種という2つの類型に分かれております。新臨時接種は2011年の改正で追加されたもので、当時は法的に基づいて行ったわけではありませんが、当時の「新型インフルエンザ(A/H1N1)」と同等な新型インフルエンザが流行ってきたときに、こういうもので対応できるのではないかと考えられています。

 次に、予防接種法に基づく接種と任意接種に関連する資料です。11ページは、任意接種にはどういうワクチンがあるかということをお示ししております。おたふくかぜ、現時点のロタウイルス、A型肝炎、狂犬病、黄熱等がここに含まれます。12ページは、今後どういうものが開発されてくるかということを予想する1つの資料として、開発優先度の高いワクチンとして6種類のワクチンの開発をお願いしています。混合ワクチンが幾つかあり、改良されたインフルエンザワクチン、ノロウイルスワクチン、RSウイルスワクチン、帯状疱疹ワクチンが開発優先度の高いワクチンとされております。

 13ページは、予防接種法以外でも、国やいろいろな主体が、接種を推奨しているワクチンがあります。国が予防接種法に基づかない接種を推奨している例として、麻しん、風しんに関する特定感染症予防指針の中で定期接種の対象者以外に推奨している例や、学会が推奨している例があります。海外でも、例えば、妊娠中の女性というように、特定の対象者に対して推奨している例があるということです。

 次に、接種の類型に関連して幾つか参考となる資料をお示ししております。14ページですが、WHOの「Immunization Agenda 2030」ということで、今後に向けて議論されている「戦略的優先事項」があります。前回もお示ししましたが、7つの優先事項の中の2つが接種類型に関連するところで、緊急時のワクチン接種体制、生涯を通じたワクチン接種ということで、大人の予防接種が今後の課題として掲げられております。

 15ページは、免疫獲得状況に影響する様々な因子ということです。ワクチンはしているのだけれども免疫が付かない人にどういう人がいるかということを模式的に示しております。定期接種を受けなかった方、定期接種を受けたが免疫を獲得できなかった方、定期接種を受けたが免疫を失われた方、更には、現在は定期接種の対象であるが過去に定期接種の対象となっていなかった方でその病気に掛かっていない方々がいらっしゃいますので、A類疾病とされているものでも全ての国民が免疫を確実に有している状況ではないということです。16ページにお示ししておりますが、対象疾病の患者数は全数把握になってからの数字ですので、古くからの比較はできないものが多いのですが、対象疾病となっているものでも一定の患者の発生が見られるところです。

 次に、大人でも免疫の保有を考えていかなくてはいけない疾患として3つの例を挙げております。17ページは、麻しんです。高い抗体保有率を維持しないと排除を維持できないということで、現在のところは非常に高い免疫保有率を確保できておりますが、今後、これを維持していくためにどういう努力が必要であるかという観点です。18ページは、風しんです。第5期の定期接種ということで、男性の中高年世代に対する定期接種を行っております。こういう形で大人への予防接種が課題になっているという例です。19ページは、百日せきです。今、ワクチン評価に関する小委員会でも御議論いただいておりますが、ワクチン接種を小児期に行っているだけでは、その後、長期にわたって免疫を保持することが難しい疾患の例です。

 20ページは、ここまでのまとめです。左側は、今までお示ししたことを簡潔にまとめたものです。右側は、検討として幾つかの論点を挙げております。予防接種法の対象とする疾病・ワクチンの範囲及びその類型のあり方について、次のような観点を含め、どう考えるか。A類疾病、B類疾病の疾病区分のあり方についてどう考えるか。予防接種法上の定期接種と臨時接種という類型、予防接種法に基づく接種と予防接種法に基づかない接種(任意接種)という類型のあり方についてどう考えるか。成人期に免疫保有率の低下がみられる場合の対応と、予防接種法上の接種類型のあり方について、どう考えるか。ここでは個別のワクチンというよりも、今後の接種類型の在り方について、今日の資料を参考に御議論いただければ幸いです。

 次に、定期接種化のプロセスについて説明いたします。21ページに、平成25年の法改正後に定期接種化されたワクチンについて記載しております。22ページは、諸外国との比較です。近年、幾つかのワクチンが定期接種に追加され、諸外国とのワクチンギャップはかなり解消されてきていると認識しております。ロタは×になっておりますが、定期接種化することができれば○が増えるということになります。

 23ページは、ワクチンの定期接種化までのプロセス(全体像)です。この部会等で御議論いただいているのは紫の部分ですが、全体像としては、開発から薬事申請、承認、健康局やこの審議会での検討、更にはメーカーによる供給、自治体等での実施ということで、それぞれにいろいろな時間が掛かるということです。こういうプロセスをどのように効率化していくか、並行して行っていくかということが御議論の対象になるのではないかと考えております。

 24ページは、予防接種行政に関する審議会・審査会についてです。前回の法改正以後、このような体制で御議論いただいているところです。特に新しいワクチンの導入の議論の進め方を2526ページにまとめており、この基本方針部会で平成275月におまとめいただいたものです。

 25ページです。1.疾病・ワクチンの「予防接種法上の位置付け」に関する検討については、1つ目のポツですが、新たに製造販売承認を得た際には、ワクチン評価に関する小委員会において、予防接種法上の位置付けに関して審議を行うことになっております。2.ファクトシートの作成についての3つ目のポツですが、作成のために必要な標準作業期間を、原則として6ヶ月を目処としてやっていただいているということで、感染研や関係の皆様に御努力いただいて作成を行っていただいているところです。

 3.ワクチン評価に関する小委員会における評価・検討については、報告されたファクトシートをもとに、専門的知見を有する参考人の協力を得つつ、基本方針部会に提出する報告書の作成に必要な論点及び追加作業等を整理しながら作業を進めるということで、小委員会で行っていただいて、この基本方針部会に御報告を頂いているところです。図にまとめたものが、26ページです。

 27ページは、現在、定期接種化を検討中のワクチンです。それぞれのワクチンについては御承知のことと思いますが、大きく分けると、新たな対象疾病に関する検討と、それだけではなくて既に対象疾病となっている疾患についての接種回数、年齢、接種するワクチンの種類に関する検討を丁寧にやっていくという議題が増えてきているように感じているところです。

 28ページは、「開発優先度の高いワクチン」についてです。今後、入ってくる可能性のあるワクチンということで、改めて、ここのページに提示させていただいております。29ページは、最近、定期接種に使用するワクチンや接種時期が変更された例です。ポリオ、肺炎球菌、インフルエンザ、風しんです。それぞれ、いろいろな検討の経過をたどって変更されております。実施時期やワクチンの変更に関する審議については、まだ余り標準化されたプロセスが存在していないということがお分かりいただけるかと思います。

 3031ページは、小委員会における検討中のワクチンに関する論点の例です。これまで論点が五月雨に出てきて、何を議論しているのか方向性が分からないというような御指摘を頂いております。検討の見通しを示すべく、最近では、あらかじめ論点全体を提示してはどうかということで、そういう取組を始めております。ここでは百日せきワクチンに関する当面の論点として、最近、提示したものを出しております。一番左の列を御覧ください。接種の目的、疾病負荷の大きさ、国民の免疫の保有状況、ワクチンの有効性、安全性、費用対効果、その他と幾つかの領域に整理して論点をあらかじめ提示するという努力をしております。

 32ページは、ACIPの概要です。米国のACIP(Advisory Committee on Immunization Practices)の仕組みについて簡単にまとめております。作業部会を置いて、例えば、承認よりも前から作業部会で議論ができる等、幾つかの特徴があると聞いております。33ページに、予防接種のA類、B類の費用負担について、それぞれ記載しております。市町村で実施していただくもののうち、幾ばくかを地方交付税で手当するという形になっております。

 34ページに、地方交付税の額はどれぐらいの規模なのかということを参考までにお示ししております。これは地方交付税の算定に用いる算定基礎というもので、接種にどれぐらいの費用が掛かるかという参考になるものと考えております。人口10万人当たりで、令和元年度は23,000万円余りが地方交付税の算定基礎になっているということです。単純計算で全国では、人口に掛けると約2,800億円が予防接種に掛かると想定されるという規模です。このうち地方税収では、不足する部分が地方交付税として措置されているという関係になっております。

 35ページは、全体のまとめです。右側だけ読みます。定期接種化の検討に当たって、的確な判断を、できる限り迅速に行い、予防接種施策に反映させるための仕組みについて、どう考えるか。定規接種化に関する検討の体制や、検討の視点等について、平成25年の法改正後の取組をどう考えるか。検討の迅速化を図るため、どのような取組が可能か。現在の検討のプロセスのうち、迅速化や、並行した検討が可能な部分はあるか。既存の対象疾病に関する、接種回数の変更や新たなワクチンの追加に当たっての検討のあり方について、どう考えるか。こういう観点から幅広い御意見を頂ければ幸いです。説明は以上です。

○脇田部会長 説明、ありがとうございました。かなり幅広い内容を含んでいまして、最初に、今後の進め方の案という所で紹介していただきましたとおり、第1ラウンドというところで、かなり幅広く予防接種に関する施策の現状というところで意見交換をして、さらに来年以降、第2ラウンドとして論点ごとに詳細に検討していくということですから、ここは皆さんの御意見、全体のところでいろいろなポイントで御意見があろうかと思いますので、ざっくばらんに今日ここで述べていただきまして、また更に議論を進めていくことになろうかと思いますが、いかがでしょうか。伊藤委員、御意見をお願いします。

○伊藤委員 定期接種の話に関して、大変大きな問題だと思っております。ある一定程度の安全性が示されていない段階で、定期接種の議論をするのは時期尚早ではないかと。例えば、具体的には任意接種で、今回のロタもそうですが、半分を超えた段階で定期接種の議論をするとか、ある一定程度の基準を初めから決めておいたほうがいいのではないかという気が、とてもしております。

○脇田部会長 ありがとうございます。定期接種を検討するための基準を一定程度、設けておくということかと思います。そのほか、お願いします。

○磯部委員 全く同意見です。私も任意接種というのは、実際どの程度の自治体で、どのぐらいやられているのか、全く事実を知らないのですが、本来、定期接種として扱われてもいいものが、なお任意接種のままになっているのか、いないのかという、それをいつ誰がどういうタイミングで検討の俎上に上げるのかという、その引き金の引き方がよく分からないというのを感じておりましたので、それは十分検討に値する論点だと思いました。以上です。

○脇田部会長 ありがとうございます。磯部委員からも、やはり任意接種のワクチンを定期接種に移す場合の、検討に至る条件のようなものを、一定程度、設けるべきではないかということだと思います。この点、あるいはそれ以外の点でも結構ですが、御意見を頂ければと思います。多屋委員、何かありますか。

○多屋委員 今、定期と任意という言葉の持つ意味によって、ずいぶん保護者の方々が受ける印象が変わっていまして、任意というと受けても受けなくてもいい、余り大切ではないという誤解もあるので、言葉の付け方はすごく大事だなと感じています。今回、このような議論をしようというきっかけを作っていただいて大変嬉しく思いますので、是非、表現方法についても誤解がないような表現を決めていけたらいいなと思います。

 もう1つは、年数がたってくると、そのワクチンに対しての課題がいろいろ新たに出てくると思うので、できれば定期的に、現在このワクチンについて問題がないのかというようなリマインドの機会が、こういう部会であるといいなと感じています。

○脇田部会長 ありがとうございます。坂元委員、お願いします。

○坂元委員 お金の話で、医学的な話ではないのですが、確かに予防接種の費用は、市町村が負担する9割程度を地方交付税でみていくという話なのですが、そもそも地方交付税の中身が見えないということが1点と、川崎のように不交付団体の場合はそもそももらえないというところで、それは例えば不交付団体だから、お金があるからいいだろうというのはちょっと変な話で、やはり自治体に対しては公平であってほしいと思います。つまり、この予防接種をやる点においては、やはり公平であるべきではないかという観点から考えると、これは多分、以前からずっと出ている話だと思うのですが、地方交付税の中身が見えないとか、分からないではなくて、ちゃんと予防接種という目的で出すべきではないかとお考えになっている市町村は実際に多いのではないかということかと思います。やはり地方交付税の算定の中で、これは厚生労働省の責任ではないのですが、単価が明らかでない上の計算式で成り立っているということから、この額は本当に市町村が負担している9割が出されているかどうかという、我々は検証もできないという中において、これを出している総務省のほうに、以前から我々市町村がこの点を要求しているのです。市町村としては予防接種の単価をどういう計算でやっているのかということを明示してほしいというのはあります。そうすると、ある程度市町村も、これぐらいの額が出ているんだと分かると思います。そこは費用の観点です。多分これは国からのバックアップを含めて、市町村の共通の課題ではないかということで、改めてお願いしたいと思っております。

○脇田部会長 ありがとうございます。川俣委員、お願いします。

○川俣委員 坂元委員と同じなのですが、逆にうちは小さな市町村なので、完全に交付税を頂かないと駄目なほうなので、頂いて運営しております。その中で先ほどおっしゃられたように、不認可か定期になるかというのは、かなり実は大きくて、県内とか地域によって差が出るのです。盛り上がりというか、この件は一遍にばっとこれを認定しましょうみたいになると、うちの市町村だけが遅いと、子育てにやさしくないとか、そういう話が必ず出てくるので、では、早くやろうと取り組む場合もあるし、逆に言ったら、定期にもなっていないのに、この小さな町で本当に飛びついていいのかと。もしも副反応が出た場合に対応できるのかなという不安もあるので、その辺は認可する場合に、慎重にこのように審議していただいていることが分かっただけでも、私の中では大きなことなんだなと思いました。今までいろいろな報道で、なかなか認めてもらえないとか、どうしてこちらが早いんだとか、いろいろ議論はあると思いますが、ここまで考えて皆さんで選んでいるというのが分かることが大きなことであって、あとは、やはり議論はある程度必要なことだと思います。

 そして先ほど言ったように、基準というのはあるといいなと私の中でも思います。何パーセントというパーセントなのか、こういう症状が大いから早くやったほうがいいのか、症状が出ているとか、疾病が多いとかいう何か基準があると、市町村も定期になる前に認定して、お金を先に付けてでも早くやっていかなければいけないというのも分かってくると思うので、その辺をお願いしたいと思います。

 あとは、やはり国から見えた金額で頂けるほうが、市町村としてはすごく使い勝手がいいので、これに出せますとはっきりと言えるというのも、実は病気に関しては一番有り難いのかなと。何に使ってしまっているのか、市民にも分からないときがあるので、そういう使えるお金の名前が付いているのも、本当はいいのかなと思う場合もありますので、その辺も御検討いただけると有り難いなと思います。

○脇田部会長 ありがとうございます。今、任意接種から定期接種へのプロセスに関して、いろいろな御意見を頂いたと思っています。坂元委員、お願いします。

○坂元委員 あと、このA類、B類の考え方なのですが、確かにまとめると、無理からぬことで、こういう考え方になるのかなと思うのですが、現実に市町村で予防接種を市民の方にするときに、多分この理屈は余り通らないなと思います。例えば、肺炎球菌でも重症になれば死ぬでしょう、インフルエンザでも重症になれば死ぬでしょう、と言われ、これは人から人にうつる病気でしょうと言われると思います。我々専門家の間では無理矢理、この理屈が成り立つのかもしれないけども、果たして市民にこの理屈が成り立つかというと、私は大きな疑問だと思っています。

 もちろんABとでは、市町村の業務としては勧奨接種であるかないかという、業務上の違いもあると思うのです。例えば肺炎球菌の場合は、多分、多くの市町村が個別に全部、恐らくすべての対象高齢者の方、つまりこれは5歳刻みという、ちょっと間違いやすいこともあるので、個別に通知しているということから考えると、勧奨接種ではないけれど、ほぼ形態としてはそういうものかなということもあります。このA類とB類は、考え方が一般的に受け入れられるかどうかというのは、私的には疑問に思っております。以上です。

○脇田部会長 ありがとうございます。疾病分類に関しても見直す、検討するということをやってはどうかという御提案かと思います。山中委員、お願いします。

○山中委員 ただいまの坂元委員の御意見に、全く私も賛同しておりまして、現場に行きますと実際、高齢者は施設等の集団での生活が大分増えてきている現状を踏まえますと、やはり多くの高齢者の方々はインフルエンザのワクチンをされていますし、現実、私どももインフルエンザのワクチン接種について勧奨しているという、そういった現実もありますので、こういう予防接種イコール子供たちということだけではなくて、やはりいろいろな年齢層に、どういう予防接種をすべきかという議論も必要だと思います。WHOでも戦略的な考え方というのを示されているようですが、例えば麻疹や風疹についても、かなり医療従事者に関しては、定期ではないですけれども御自分を守ることと、感染を広げさせないという点で、特定感染予防指針にも国として記載しているという意味では、本当にこれを任意にというか、そういう年齢層に関しては定期にしていないわけですが、それでいいのかというところも少し、医療の現場での不安を考えると、そういうことも検討する必要があるのではないかなと思います。

○脇田部会長 ありがとうございます。釜萢委員、お願いします。

○釜萢委員 今日は事務局から、このように予防接種行政に関するいろいろな問題点をよく整理して、そして幅広く議論ができるように資料を提示していただきましたことを非常によかったなと私は感じているのですが、論点が多岐にわたるので、今後の進め方としては、場合によっては少し論点を絞って、深く議論ができるような形も考えていただければ有り難いなと思います。

 その中で、まず接種類型について既にお話が出ておりますが、A類とB類の疾患についての分類については御指摘のように分かりにくく、特に接種をお受けになる方にとって分かりにくいという面がありますが、一方で接種費用がどのように支出されるのかとか、その後の健康被害が生じた場合の対応がどうなるのかというところで大分違ってくるわけです。

 ですから、その辺りのところも限られた財源の中でどのような枠組みを作るかということはとても大事だと思うのですが、その費用の問題と別に、今日の資料2-29ページに定期接種の実施率が出ていますが、B類疾病について見ますと、高齢者の肺炎球菌の感染症については、大体30数パーセントの接種率です。これは先ほど坂元委員が言われたように、5歳刻みの接種という形になっていて、ちょっと通常の接種とは、チャンスが回ってくるのが違うというところもありますが、この接種率をどのように考えるのか。毎年行われているインフルエンザの場合には、約50%の接種率があります。今後、このB類疾病の接種率についても、どのようなところを目指していくのかということについて、ある程度国としての目標なり方針なりが出されたらよいのではないかと感じます。

 接種類型に関しては、定期と任意というのがまたあるわけです。任意という名称についての御指摘も先ほどありましたが、予防接種の効用、ワクチンが既に市販されていて、そして定期になっていなくても手に入るワクチンについて、どのような効果が期待できて、積極的に接種を推奨すべき対象というのがあるわけなので、その辺りをもっと任意接種についても情報を提供して、積極的に接種をお勧めするということも必要ではないかなと思います。その場合にはワクチンの提供体制がどうなっているのかということも、しっかり裏付けを取った上でやらなければいけないと思いますが、せっかく手に入るワクチンが、さらに国民に対して役立つものになるようにする工夫が、今回の検討の中でしっかりと議論ができるといいなと感じております。以上です。

○脇田部会長 ありがとうございました。池田委員、いかがでしょうか。

○池田委員 1つ質問ですが、32ページに、ACIPの概要ということで、アメリカのことを御紹介していただいているのですが、これは日本に比べてこういう点が違うとか、あるいはアメリカ以外にも英独仏にも、いろいろこういう組織があります。私はたまたま先週、ドイツのワクチン評価組織の見学に行ってきたのですが、それぞれに確立した、こういった評価システムがあると思うのですが、特にアメリカのACIPを御紹介いただいたのは、何か我々に示唆があるのかなと思って、その意図を伺えればと思いました。

○脇田部会長 定期接種のプロセスで条件等のお話もありましたが、これは定期接種、あるいは予防接種全般を検討する仕組みのほうですね。こちらについて現状、この部会もその1つとして機能しているわけですが、これを新たな仕組みを作っていく必要があるかどうかというところを示されたのではないかと思いますが、池田委員の御指摘の点について、何か事務局のほうからありますか。

○林予防接種室長 ありがとうございます。私ども、海外の情報をいろいろな文献等を通じて、つぶさに存じ上げないという実務的な制限はありますが、ここで示させていただいたのは、前回の改正の中で日本版ACIPということが非常に言われて、その検討の成果として、この基本方針部会も含めて、今の審議の体制が作られたものだと承知をしております。

 まず、その前回の改正の理想といいますか、目指したところが発揮できているかどうかということを、私ども、あるいは先生方と一緒に考えていく必要があるのではないかということが1つです。

 なお、ACIPとの違いについて、いろいろな御指摘を、いろいろな関係者の方から頂くことがあります。この中で申し上げると、新規ワクチン承認も1218か月と書いてありますが、それよりも前から作業部会が設置されて検討されるということであるとか、ACIPの会議でリコメンデーションされたものについては、ほぼその形で定期接種プログラムに導入されていくとか、そういったことについて、日本と幾らかの違いがあるのではないかという御指摘を頂くこともありますので、そういったことを併せて議論いただくための刺激と言いますか、お考えいただくための材料として提示させていただいたものです。

○脇田部会長 ありがとうございます。坂元委員、お願いします。

○坂元委員 前回の基本方針部会で、予防接種の定期化を進めるかどうかというのは、1つは医学的な問題と、もう1つは費用対効果の問題が議論されて、やはりそこはしっかりやっていくべきだという考えが示されたと思います。費用体効果の部分が、もう少ししっかりと、議論してほしいと思います。

 費用対効果がないからやらないと決めつけるのではなく、やはり市民の立場からして、これは費用対効果がないけれども、こういう医学的理由でやるとか、その辺の説明

責任はあると思います。今後定期化に当たっては、費用対効果の議論というのはしっかりとしていただきたいと思います。以上です。

○脇田部会長 ありがとうございます。費用対効果の議論はありましたが、さらにワクチンの価格の低減化についても議論があったところですので、併せて議論を進めていきたいというところかと思います。池田委員、お願いします。

○池田委員 今、御指摘いただいた経済性とか費用対効果の点については、実はそのことを調べるためにドイツのほうにも行ってきたのですが、やはり予防接種の政策を決める上で、経済性といったものの役割などがきちんと組織の中で規定されていて、分析の立場であるとか、そういったものも一定のルールでやっているということでした。

 ただ、ドイツの場合には価格の調整を審議会でやるわけではなくて最終的にはマーケットのほうに任せるということなのですが、接種方法であるとか接種対象などは費用対効果の結果を重視しているということでした。日本でも、どう取り扱っていくかということについては少し明確化していく必要があるのかなと感じております。

○脇田部会長 ありがとうございます。先ほどACIPの話が出ましたが、日本は、今はこういう仕組みでやっているところですが、多屋委員、何かアメリカとの違い、あるいは取り入れたほうがよいと思われる点で、何か御意見はありますか。

○多屋委員 既にここに書いてくださっているように、ACIP会議が行われる前の作業部会が充実していることが1つと、この先何年かにわたって年間で何日と何日に開催されるという明確なスケジュールが決まっているところが、すごく大きな違いかなと思っています。いつ開かれるというのが分かっていれば、それまでにこういう議論の準備をするということのスケジュール立てがしやすいのではないかと思いますので、その点について、もし検討していただければ有り難いと思います。

○脇田部会長 ありがとうございます。皆様、さらに御意見があれば伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。それでは、今日いろいろな御意見を頂きましたので、この議論を踏まえまして、さらに予防接種全般の見直しについて、この部会で議論を進めていきたいと思いますので、また事務局にも取りまとめをよろしくお願いしたいと思っております。

 続きまして、議題3の報告事項に移りたいと思います。健康実態調査について報告をお願いします。

○佐野予防接種室長補佐 報告です。資料は3です。予防接種健康被害者実態調査の概要について説明させていただきます。資料としては、前回913日に公表させていただきましたが説明させていただいてなかったので今回説明させていただきます。1ページ、概要です。本調査ですが、昨年度、予防接種による健康被害としての認定を受けて障害児養育年金又は障害年金を受給している方について、御本人や御家族が置かれている状況、現在利用している福祉サービスの利用状況、特に希望するサービス、要望事項などを調査して、今後の予防接種行政の基礎資料を得るために実施されたものです。

 実態把握としての調査は10年ぶりに行ったものです。実際の実施方法は公募により選定された実施法人が厚生労働省の補助事業として実施したものです。障害児養育年金、障害年金の受給者、平成30101日時点で446名の方全員に市区町村を経由してアンケート調査票を送付し、結果としては273名の回答をまとめたものです。

 調査結果のポイントは2枚目と3枚目です。ポイントは、左側の上ですが、回答いただいた方の事情は様々であると承知しておりますが、多くの方の状況などの主なものとしては、まず1点目として健康被害者及び家族の方の高齢化が進んでいること。将来に対する様々な不安があり、福祉等サービスの充実を望む声が今後も多くなるのではないかということ。それから2点目として、救済制度の認知度が必ずしも高くないということと、申請のしやすさを求める声が多かったと捉えています。具体的に幾つか主だったものをお示ししています。同じく左側ですが、受給者の年代としては50代が最も多く、40代及び50代で約7割、平均年齢としては46.7歳でした。

 右側が、介護状況です。介護者は、「親」と回答された方が52%で最も多く、「兄弟」という回答が13.6%、「配偶者」という回答は7.3%でした。介護が必要な方の介護者の健康状態は、「介護上支障はない」が48.3%、「介護にやや問題あり」が21%、「介護が困難になってきている」が23.4%で、半数近くの介護者の方が何らかの健康上の問題を抱えているということでした。また、今後に不安を感じているかどうかについては、「不安を感じている」が65.2%、「不安を感じていない」が12.8%となっております。不安を感じている方が6割以上となっており、その理由としては、「介護できる親族等がいない」が44.9%で最も高く、「必要なときに施設で受け入れてもらえるか不安である」が39.9%、「適当な施設がない」が24.7%でした。今後、現在介護している方が介護できなくなった場合の対策は、「施設入所を考えている」が33.0%、「市区町村の福祉サービスを利用する」が17.9%、「親戚・知人に頼むつもり」が8.8%でした。

 3ページの右側ですが、国の制度についての項目の結果としては、予防接種健康被害救済制度の認知時期は、「健康被害が生じて時間がたってから」が59.3%、「健康被害が生じたとき」が28.6%です。この救済制度をどのように認知したかは、「市町村からの御案内の紙」が19%、「知人から教えてもらった」が13.9%、「接種時の医師からの説明」が12.8%、「市町村、厚労省のホームページにて」が5.1%でした。救済制度については予防接種前の認知度が高いとは言えない状況で、認知度の向上に努める必要があるのかと思っております。また、認知の方法としては様々であったと思っております。

 それから、この救済制度の申請を行うに当たっての困りごとは、「申請するための書類をそろえるのが大変だった」が49.5%で最も高く、「制度があることを知るのに苦労した」が23.8%、「救済制度の概要が難しく、理解するのに苦労した」が21.2%でした。救済制度の申請のしやすさなどについても、改善が望まれている状況かと思います。

 主なものは以上ですが、今後も本調査を基礎資料として制度の適切な運営等に取り組んでまいりたいと思います。以上です。ありがとうございました。

○脇田部会長 ありがとうございました。これは毎年行っている調査ですか。

○佐野予防接種室長補佐 これは10年ぶりに実施したものです。

○脇田部会長 ありがとうございます。それでは、委員の皆様から、ただいまの報告について御質問等があればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

○伊藤委員 確認なのですが、これは予防接種で障害が残った人が、日本全体で446人ということなのでしょうか。

○佐野予防接種室長補佐 今現在、予防接種による健康被害を受けられて障害児養育年金又は障害年金を平成30101日時点で受給されている方が、その人数です。

○伊藤委員 これは、そういう意味では予防接種で年金を受けなければいけないぐらいの人の想定がこれだけということなのですね。

○佐野予防接種室長補佐 はい。現在も障害が残って受給されている方がこれだけいらっしゃるということです。

○伊藤委員 分かりました。

○脇田部会長 ありがとうございます。その他はいかがですか。よろしいでしょうか。

○伊藤委員 確認ですが、これは年代層が40代、50代が突出して多いというのは何らかの理由があるのですか。予防接種は毎年受けていて、発生の人数というのはコンスタントではないかなと思うのですが、この世代だけに特定している理由というのはあるのでしょうか。

○林予防接種室長 はっきりとは分からないですが、私ども、統計を持っているわけではないのですが、40代、50代、すなわち40年前に接種されていたワクチンと、今接種されているワクチンとは少し違いがあります。例えば種痘について昔はありましたが、今はありません。それによって種痘脳症の発生というのは、今はないということがあります。

 DPTにつきましても、全細胞(全菌体)百日咳ワクチンと、aP(acellular)の百日咳ワクチンという違いがありますし、ポリオについても生ワクチンと不活化ワクチンとの違いがあります。年金を高い年齢層でもらっていらっしゃる方々の原因は、今申し上げたような古いワクチンが相当数含まれているということです。

○脇田部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。それでは、どうもありがとうございました。本日の議事は以上となります。そのほか、事務局から何かありますか。

○元村予防接種室長補佐 本日は長時間にわたり御議論いただきまして、ありがとうございました。次回の開催につきましては、追って連絡させていただきます。事務局からは以上です。

○脇田部会長 ありがとうございました。それでは、本日の会議をこれで終了させていただきます。今日も活発な御議論を頂きまして、誠にありがとうございました。