第1回基準人口の改訂に向けた検討会 議事録

日時

令和元年10月18日(金)10:00~11:20

場所

厚生労働省専用第13会議室
(中央合同庁舎第5号館21階)

出席者

構成員(五十音順、敬称略、◎:座長、○:座長代理)
    石井 太
    岩澤 美帆
   ○岡村 智教
   ◎福島 靖正
    村上 義孝
    若尾 文彦

事務局
    山田政策立案総括審議官
    五十里人口動態・保健社会統計室長 
    大村人口動態・保健社会統計室長補佐
    井戸本人口動態・保健社会統計室統計情報調整官
    橡谷健康局健康課長補佐

議題

1 座長の選出について
2 基準人口の改訂に係る要否について
3 新たな基準人口の設定に係る論点について

議事

○井戸本統計情報調整官
 定刻になりましたので、ただいまから、第1回基準人口の改訂に向けた検討会を開催いたします。構成員の先生方におかれましては、お忙しいところ御出席賜り、誠にありがとうございます。座長が選出されるまでの間、進行を務めさせていただきます政策統括官付人口動態・保健社会統計室の井戸本です。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の資料を確認させていただきます。本日はペーパーレスの会議ということで、お手元のタブレット端末にPDFファイルを御用意しています。基本的な操作方法は、お手元に操作説明書を紙で御用意しています。それでは、本日の資料について確認いたします。まず議事次第、座席表、なお、お手元に差し替えの座席表を紙で御用意しておりますので、よろしくお願いいたします。資料1-1は検討会開催要綱、資料1-2は構成員名簿、資料2は基準人口の改訂に係る要否について、資料3は新たな基準人口の設定に係る論点について、参考資料1は、昭和60年モデル人口で算出した年齢調整死亡率と平成27年平滑化人口1で算出した年齢調整死亡率、参考資料2は、鳥取県(男)の年齢階級別死亡率の推移、参考資料3は、諸外国における年齢調整死亡率の算出に用いる基準人口の例です。以上、資料に過不足等がございましたら事務局までお申し付けください。よろしくお願いいたします。
本日は、第1回の検討会の開催となりますので、構成員の御紹介をさせていただきます。資料1-2、構成員名簿を御覧ください。事務局から見て左手から、慶應義塾大学経済学部教授の石井構成員でございます。国立社会保障・人口問題研究所人口動向研究部長の岩澤構成員でございます。慶應義塾大学医学部教授の岡村構成員、国立保健医療科学院長の福島構成員でございます。東邦大学社会医学講座医療統計学分野教授の村上構成員でございます。国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター長の若尾構成員でございます。
続いて、事務局を紹介いたします。政策立案総括審議官の山田です。人口動態・保健社会統計室長の五十里です。人口動態・保健社会統計室長補佐の大村です。健康局健康課長補佐の橡谷です。
検討会の開催に当たり、政策立案総括審議官の山田より御挨拶を申し上げます。

○山田政策立案総括審議官
 政策立案総括審議官をしております山田です。本日は、統計の担当をしております政策統括官の鈴木がほかの公務のため、審議官の私から御挨拶させていただきます。構成員の皆様方には、厚生労働統計の実施に当たり、日頃より格別の御配慮を頂いており、この場を借りて感謝申し上げます。また、今回の検討会開催に当たっては、構成員の皆様にその委員として御就任いただいたことを改めて御礼申し上げます。
今回、年齢調整死亡率の算出に当たって、現在、昭和60年モデル人口を用いているところでありますが、その後、高齢化も進み、当時の人口構成とは異なっている状況にあるといったことから、新たな基準人口の改訂に係る検討をお願いしたいと考えております。構成員の皆様には専門的な立場から、忌憚のない御意見を頂けることをお願い申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○井戸本統計情報調整官
 それでは、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。よろしくお願いいたします。
議事に入らせていただきます。まず、座長の選出についてですが、資料1-1の第1回基準人口の改訂に向けた検討会設置要綱の中に、座長は構成員の中から互選により定めるとなっております。構成員の中から御推薦を頂きたいと思いますが、どなたか推薦いただければと思います。いかがでしょうか。よろしくお願いいたします。

○石井構成員
 座長の推薦ですが、この分野に大変造詣が深い国立保健医療科学院長の福島靖正構成員にお願いできたらと思います。いかがでしょうか。よろしくお願いいたします。

○井戸本統計情報調整官
 ただいま、福島構成員推薦の御発言がありましたが、構成員の皆様方、いかがでしょうか。
 
                          (異議なし)

○井戸本統計情報調整官
 ありがとうございます。それでは、座長の選出について御賛同いただきましたので、本検討会の座長は福島構成員にお願いしたく存じます。すみませんが、座長席に御移動をお願いいたします。
それでは、以後の進行については座長からよろしくお願いいたします。

○福島座長
 国立保健医療科学院の院長の福島です。御指名いただきましたので、座長を務めさせていただきたいと思います。どうぞ皆様、よろしくお願いいたします。
それでは、議事を進めてまいります。まず、開催要綱を御覧いただきたいと思いますが、座長代理については、座長が構成員の中から指名するものとなっているわけでして、岡村構成員に座長代理をお願いしたいと思います。岡村構成員、いかがですか。

○岡村構成員
 ありがとうございます。謹んでお受けします。

○福島座長
 それでは、座長代理は岡村構成員にお願いしたいと思います。すみませんが、座長代理席にお願いいたします。
次の議事に進みます。議題2の「基準人口の改訂に係る要否について」ということで、事務局から説明をお願いいたします。

○大村室長補佐
 資料2を御覧ください。基準人口の改訂に係る要否についてということで、基準人口をそもそも変更するかどうかというものです。1ページの最初の○で、年齢構成の異なる集団について死亡状況の地域比較とか年次比較ができるように、年齢構成をそろえた死亡率として年齢調整死亡率がありますが、都道府県が保健医療施策を立案してそれを評価するために用いているほか、健康日本21(第二次)の中間評価において、75歳未満のがんや脳血管疾患の年齢調整死亡率の直近の値が目標値より改善したとされていて、年齢調整死亡率は公衆衛生分野における評価や目標設定をする上での重要な指標となっているところです。最初のページの下段にあるように、年齢調整死亡率の算出に当たっての基準となる人口は、現在、昭和60年モデルを平成3年に改訂してからずっと使用しているところです。
2ページですが、昭和60年と平成27年、この30年間で死亡率の改善状況を年齢階級ごとに見たものです。上が男、下が女ですが、全ての階級で改善しています。続いて3ページですが、現在使用している基準人口について、前回の改訂から25年以上が経過して、下のグラフにありますように、点線の昭和60年の人口から、実線の平成27年において高齢化が進んで、現実の人口構成とは異なってきております。○の2行目ですが、専門家の方からも、昭和60年モデル人口における高齢部の年齢構成割合が、現在の構成割合と比べて低いために、年齢調整死亡率に死亡の改善状況が十分に反映されていなくて問題ではないかといった御意見が寄せられています。
4ページは、年齢調整死亡率に対する粗死亡率の年次推移を示したものでして、現在のモデルとなった昭和60年では1前後の値となっていますが、平成27年では、更にその下の表に平成27年の年齢調整死亡率と粗死亡率がありますけれども、年齢調整死亡率は昭和60年の人口モデルによって算出しているために、比率は赤枠にあるように、2以上とか3以上の数値となっています。したがって一番下の2.ですが、今回、基準人口を改訂する方向でよいかという論点を掲げています。
5ページは参考として、前回の30年前に改訂を行った際の経緯です。簡単に触れますと、昔は年齢調整死亡率のことを訂正死亡率と言っておりましたが、粗死亡率の誤りの訂正ではないか等の誤解を招きやすいということで、現在の名称になっています。最初の審議は昭和63年の第一部会、※2にありますが、「厚生統計協議会人口動態統計に関する部会」という所で、そこに4つの人口として昭和10年人口、昭和60年人口、国際がん研究機関が用いている世界人口やヨーロッパ人口に基づく今でいうところの年齢調整死亡率をお示ししましたけれども、結論は保留であったようです。その後、平成元年の部会において、基準人口を変更することと、後で出てくる平滑化した昭和60年人口を基準人口とすることが適当かを審議して、変更することについては肯定的でしたが、医学とか公衆衛生学会への影響が大きいと考えられて、幅広く意見を聞いてコンセンサスを得る必要があるという意見があったようです。
そういった御意見を踏まえて検討することを目的に、基準人口に関する検討委員会の設立が平成2年の部会で了承され、委員会の中で有識者へのアンケート調査を実施するための議論が行われました。同じ年の7月から8月にアンケート調査が実施されて、それまでの基準人口に問題ありとした人が回答者の約9割、年次比較とか都道府県比較用の基準人口としては、ともに平滑化した昭和60年人口が望ましいといった意見が4割以上という結果になったようです。さらに、その数箇月後の検討委員会において、アンケート結果に基づいて検討の集約がされ、基準人口の見直しは必要で、新しい基準人口は昭和60年平滑化人口が適当であるとする意見書をまとめて、その意見書の内容をもって翌年の第一部会で審議し、妥当であるといった結論に至ったようです。資料2の説明は以上です。

○福島座長
 ただいまの説明についての御意見、御質問をお願いいたします。まず、中身についての御質問はよろしいですか。そうしますと、基準人口改訂が今必要か否かということについての御意見を頂戴したいのですが、それでは取りあえず石井構成員、お願いいたします。

○石井構成員
 今、御説明いただいたとおりで、やはり前回の基準人口の設定から30年ぐらいたっているということですし、現在の人口構成とも大分異なっていて、人口構成自体が高齢化していますので、今の時点で基準人口を改めることに私は賛成いたします。

○福島座長
 岩澤構成員、いかがですか。

○岩澤構成員
 30年ぐらいたつということは、今後も30年ぐらいずつで変わっていくという流れになるという理解になると思います。今使っているものも、仮に現在の人口もいずれにせよ人口の変化の中では過渡期のもので、どちらにしろ生涯にわたって未来永劫スタンダードな形ではないという前提なので、そういうものは作れないと思います。だから、やはり適宜いいタイミングで変えていくしかないという議論に今までなっていたのかなという意味では、変わるということについて理解いたしました。

○岡村座長代理
 今回、初めて集計してもらったことで、粗死亡率との比がどのぐらいかというのが非常によく分かって、ここまでやると実際の感覚とのずれがものすごい大きくなっているというのを改めて認識できたのが1点です。それから、疾患特性によってというのもあって、例えば、がんのように割と若いときからも出てくる病気の場合はあれなのですが、循環器系の病気だと75歳以上のほうがそれ以下の何倍か死亡者が多いので、年齢調整の利き方が疾患単位によってかなり違ってきてしまうだろうというのがあります。そこも含めて高齢化の影響というのはどこかで直していかないと、政策の評価という面で年齢調整死亡率を使っている場面というのは結構あるので、そこはやはり変えていかなければいけない点かなと思いました。

○福島座長
 村上構成員、いかがですか。

○村上構成員
 統計的にいうと、年齢階級別の死亡率の重み付き平均なのですよね。それで重みを変えるという議論なのですが、高齢化の部分の重みが大きくなってきているのが現状なので、それは多分変えるべきだという意見があるのと、経緯としては20、30年おきに変えているので、これはそのタイミングだと私は認識しています。

○福島座長
 若尾構成員、いかがですか。

○若尾構成員
 ほかの構成員の皆様がおっしゃるとおり、今、年齢構成が大きく変わっていますので、今回、変更するという方向性はいいと思います。ただ、最初にも御紹介があったとおり、健康日本21だったり、あるいはがんの場合はがん対策推進基本計画、あるいはそれを基にした都道府県のがん対策計画等にはこの年齢調整死亡率が用いられていて、やはり影響が非常に大きい中でしっかりと検証した上で最終的に判断することが必要ではないかと考えます。

○福島座長
 検証するというのは、具体的にはどういう作業をということですか。

○若尾構成員
 今の計画の対象となっているもので、昭和60年のものと新しい基準のものでどのような値の相違や変化が出てくるかと。また、地域間格差であったり、あるいは時代による変化などの推移を一応確認した上で、大きなずれが起きないということを確認しておく必要があると思います。

○福島座長
 皆さん方、おおむね、やはり高齢化で高齢者における死亡の影響が大きくなってきているということを反映するべきで、前回の見直しから25年たっていて、時期的にもそういう時期になってきているという御認識であるということで理解したいと思います。取りあえず今日はまだ結論は出さなくてもいいのだろうと思います。ただ、要否としては、基本的には必要性はあるのだけれども、若尾構成員がおっしゃったように、少し数字を見ながら最終的な結論を出したいので、そういう分析を少しお願いするということにしたいと思います。
それでは、次の議題です。次の議題は、新たな基準人口の設定に係る論点についてということで、事務局から説明をお願いいたします。

○大村室長補佐
 資料3を御覧ください。「新たな基準人口の設定に係る論点」ということで、まず初めに、現在の基準人口を設定した際に、設定に当たっての考え方が示されています。1つ目が現実に存在する人口構成を用いるなど、一般に分かりやすいものであること。2つ目は、仮に直近の日本の人口構成を基準人口とした場合は、過去の年齢調整死亡率を毎回再計算する必要があって手間がかかるということで、長期間にわたって変更する必要がないこと。3つ目が、年齢構成にボコボコとした歪みがないこと。4つ目、5つ目は比較対象の平均的なものを用いるべきで、一般的に用いられるものであることとされています。
次の2ページですが、現在の基準人口の設定内容です。真ん中の図にありますように、黒い線が昭和60年人口でして、30代後半に団塊の世代、10代前半に団塊ジュニア世代の山がありますが、40歳以上はほぼ直線的に減少しているということで、40歳未満の年齢構成をなめらかにしまして、40歳未満と以上とで、2本の直線による赤線のような平滑化を行ったものを基準人口としたところです。なお、男女計の人口を基にしておりまして、平滑化は85歳未満において当てはめまして、85歳以上は実際の人口としています。
次の3ページからが、新たな基準人口の設定に当たっての論点に入っていくのですが、初めに3ページの上段では、ここ30年で人口構成が高齢部にシフトしているという状況を、図でお示ししています。下段のほう、1つ目の論点についてですが、基準人口を男女計とするのか、男女別にするのかというものです。昭和60年における、全死因での男女別の年齢調整死亡率と粗死亡率が下の表にありますが、男は年齢調整死亡率が粗死亡率より高いのですが、女はその逆になっていまして、年齢調整死亡率が粗死亡率と近くはないものとなっていますし、年齢調整死亡率については、男は女の倍近くになっています。
この理由について、次の4ページを御覧ください。真ん中に男女別に左右2つの図がありまして、青い実線と赤い実線は、昭和60年の男女それぞれの実際の年齢構成割合でして、黒い実線が男女計における平滑化した人口の年齢構成割合を指すのですが、左の男のほうを見ていただきますと、高齢部の所は黒い線が青い線より上に来ています。黒い線には女の分の人口割合が加味されて、このように青い線より上に来ていまして、逆に右の女のほうの高齢の所は、男の分の人口割合が少ないために、黒い線が赤い線より下に来ていると。こういったことで、年齢調整死亡率は粗死亡率に比べて、男では高く、女では低くなっているということです。
4ページの下段の所は、平成27年の全死因の男女別の年齢調整死亡率を、平成27年の国勢調査の男女計の人口を基に計算しても、同じような結果となっておりまして、緑の枠で囲まれたボックスの所ですが、基準人口を男女計とする場合は、男女での比較は可能ですが、同じ年の死亡率なのに、年齢調整死亡率が粗死亡率と比べて乖離することをどう考えるのか。従来どおり男女計にするのか、それとも男女別とするのか、これが1つ目の論点です。
次の5ページ、基準人口をどういったものにするのか。平滑化するのか、現実のものとするのか、これが2つ目の論点です。最初の○ですが、基準人口を直近の現実の人口にする場合は、何回ごとに改訂を行うのか。この場合は、過去の年齢調整死亡率もその都度、何年分か遡って再計算する必要がありまして、先ほどお示しした考え方ともずれてしまうというものです。
次に平滑化する場合については、折れ線のイメージが左側の図に上下並んでありますが、現在と同じように1か所で折れる方法ですとか、団塊と団塊ジュニア世代を念頭に置いた2か所で折れる方法などが考えられるところです。
次の6ページは、1か所、2か所、それぞれで折れる方法による、男女計を基にした基準人口がどうなるかということで、平滑化を94歳以下で当てはめて、95歳以上は不詳按分後の人口としますと、オレンジ色のようなものとなります。
また、7ページについては不詳按分後の日本人人口も含めまして、3種類それぞれを基準人口とした場合の帯グラフですとか、年齢構成割合をお示ししています。不詳按分後の日本人人口と平滑化した人口では、大部分の階級において、構成比にほとんど差はありませんが、30代後半から40代前半、50代前半の構成比に、0.7ポイントから1.5ポイントといったような、やや差がある結果となっています。
8ページは字が小さくて恐縮ですが、こういった基準人口を基に、平成27年の全死因での年齢調整死亡率を算出したものです。このうち左から2つ目の、平成27年平滑化人口1の1か所で折れた場合と、右から2つ目の昭和60年モデル人口、それぞれにおきます平成27年の年齢調整死亡率の散布図をお示ししたものが、参考資料1にあるので御覧ください。
男女ともに昭和60年モデルで高い都道府県は、平成27年平滑化人口でも高い傾向にあることが見ていただけると思います。ただ、沖縄については昭和60年モデルでは割と平均的な所にあったものが、平成27年の平滑化人口ベースでは男女ともに下の所にあります。これは年齢調整死亡率が平成27年の沖縄の年齢階級別粗死亡率に、基準人口の同じ階級の構成割合を乗じているのですが、平成27年の沖縄の年齢階級別の粗死亡率が、30代後半から60代前半におきまして、全国平均を大きく上回っていまして、昭和60年モデル人口が30代から40代にピークがある関係で、昭和60年モデルに基づく年齢調整死亡率が高くなるといった状況です。一方、平成27年モデルですと高齢部のほうにピークがあるため、年齢調整死亡率としては下のほうに下がったと考えられるところです。
資料3にお戻りいただきまして、9~12ページまでが基準人口を男女別とした場合の、同様の折れ線ですとか帯グラフでして、説明のほうは割愛しますが、13ページが基準人口を男女別とした場合の年齢調整死亡率、あるいはその順位でして、数値のほうを見ていただきますと、年齢調整死亡率は基準人口を男女別としておりますので、数値のほうが粗死亡率に近くなるという結果です。
続いて14ページ、年齢調整死亡率の算出に当たっての年齢上限をどうするのか。基準人口の改訂に当たっての、過去の年齢調整死亡率の再計算を、いつまで遡るのかという論点です。最初の○にありますように、年齢調整死亡率の年次比較や地域比較を行う上では、同一の算出式で算出することが必要でして、現在の昭和60年モデル人口に基づく年齢調整死亡率の年次比較は昭和22年以降とされていまして、その年齢上限は85歳以上一括とされております。前回の改訂から30年近くたっていまして、高齢化が進んで死亡率の改善も見られることから、新たな基準人口の年齢上限については、90歳以上ですとか95歳以上一括への引き上げが考えられるところです。
3つ目の○ですが、年齢調整死亡率が性・地域ごとの年齢階級別粗死亡率を基に算出していまして、都道府県別は昭和35年以降で算出していますが、算出に当たっての年齢上限について、5年に1度の国勢調査年は95歳以上一括の算出が可能ですと。一方、中間年については人口推計の表章の関係によりまして、平成18年以降は95歳以上一括、昭和56年以降平成16年以前は90歳以上一括、それ以前は85歳以上一括という状況です。
このように、年齢上限がまちまちな状況である中で、最後の○にありますように、過去の年齢調整死亡率の再計算におきまして、年次によって年齢上限を変更するということは不連続が生じまして、死亡率の変化を正確に捉えられなくなってしまいます。したがいまして、緑の枠囲いにありますように、遡及期間や年齢上限を検討する上で、年次比較の連続性を考慮しまして、95歳以上一括とする場合は、平成17年までは毎年、それ以前は5年ごとに昭和35年まで遡及して算出することは可能ですし、90歳以上一括とする場合は、昭和55年までは毎年、それ以前は5年ごとに昭和35年まで遡及して算出すること自体は可能です。しかしながら、矢印の所にありますが、昭和の年代においては高齢部の人口が少ないことによりまして、死亡率が安定的なものとなっているか注意が必要なところです。
参考資料2を御覧いただきたいのですが、人口規模の少ない鳥取県につきまして、男の高齢部の年齢階級別死亡率の変化を、昭和40年から10年刻みで、平成27年まで見たものです。左が90歳以上一括の場合で、右が95歳以上一括の場合でして、95歳以上一括では昭和50年以前で95歳以上の傾きが急に大きくなったり、横這いだったりというのが見られると思いますが、90歳以上一括の場合ですと、グラフの傾きとして見る限りでは、そこまで不安定とはなっていないかなという状況です。
再度、資料3に戻っていただいて15ページですが、男女計の平成27年の平滑化人口、ここでは1か所で折れる方法によるものにおきまして、年齢上限を95歳以上、90歳以上、85歳以上、それぞれ一括とした場合の平成27年の年齢調整死亡率を見たものです。年齢上限の引き上げに伴いまして、男では高くなって、女では低くなるという結果です。といいますのも、先ほどの4ページの図で説明しましたように、高齢部における平滑化人口の構成割合が、男女それぞれの人口の実際の年齢構成割合に比べて、男では高く、女では低くなるために、このようになっています。
16ページです。遡及に当たって、前回改訂時は全国計については昭和22年まで、都道府県別については昭和35年まで遡及したというものです。また、今回の遡及に当たりまして、死亡数についてはICDの改訂が何回かありますので、作業に当たっては注意が必要である旨を記述しています。
最後に17ページですが、過去の再計算に当たって、死因の範囲をどうするかという論点です。年齢調整死亡率の年次比較を行う上で、現在の死因の範囲は以下、枠囲いにあるようなものを基本に表章しています。数で言いますと、太枠内が18個あって、がんの部位別が左側16個で、右側のブロックの心疾患と脳血管疾患の病理別が合わせて8個で、全て足すと計42個になるわけですが、過去分の再計算を行うに当たって、同様としてよいでしょうかと。5年に1度の都道府県別については、死因基本分類ごと、年齢階級ごとの死亡数がないために、42個の死因のうちの死因簡単分類のみを対象にしてよいでしょうかといった論点です。資料3の説明は以上です。

○福島座長
 ありがとうございました。まず、ただいまの説明についての御意見、御質問をお伺いしたいのですが、一番最初に資料3の「現在の基準人口を設定した際の考え方」については多分、今回も基本的にはこれを踏襲するというのが基本的な考え方ですね。これはいいと思うのですが、論点の1と2、論点の3と4は少し性格が異なっていると思います。まず論点の1と2は、要するに基準人口をどのようにしていくのかという問題で、論点の3と4は、これを決めた後で、厚生労働省がどのように表章、集計し直すかどうかという議論です。別に研究者は、基準人口が出来て、それを使うという合意ができればあとは自由に使えばいいわけですが、そういう面で論点の1と2、論点の3と4は分けたほうがいいのかもしれません。まず順番に論点の1ということで、男女計とするか、男女別とするかということです。
4ページ目の所にありますように、基準人口を男女計とする場合には、男女間の比較は可能であるけれども、粗死亡率と乖離することをどう考えるかということで、男女間の比較をするかどうかという観点で、多分議論をしてほしいのだろうと思いますが、これについてはいかがでしょうか。

○若尾構成員
 これは決め事だと思いまして、実際により現実に近いほうを目指すものがよろしいのではないかと思います。そういった場合、これを男女計でやると、男女間の比較をする際の差異がより大きく見えてしまうということがありますので、それは避ける方向を考えて、男女別の基準を考えるのが望ましいと考えます。

○岡村座長代理
 これがなかなか、先ほどの粗死亡率と調整死亡率との乖離の点から言うと、学者的な立場で言うと男女別のほうがと思うのですが、過去が今まで男女一括で全部やっているという点が1つと、それと基準人口というのは、疫学的には何を置いても基本的にはよくて、シンプルなほうがいいというもともとの考え方があるので、余り混乱をさせないという意味だったら1つにしておくというのも、1つの考え方かなという気はします。
だから目的をどうするかということで、とは言いながら全体と男女別と3つも置くというのも、なかなか厳しいところがありますので、これは遡ってある程度見直さなければいけないということも考えたときに、今は何倍も粗死亡率と乖離していますが、そこまでのものはこれをやるとなくなるので、そういうことを言うと、1つのほうがいいのかなというのが、私としてはそのように思いました。

○福島座長
 ありがとうございます。では、石井構成員。

○石井構成員
 人口学でも年齢調整死亡率というのは非常によく使われる指標でして、理論的に言うと、基準人口というのは任意のものを持ってきて、その土俵の上で比較をするというのが基本的な考え方だと思います。例えば、男女別に調整したものが粗死亡率に近いという意味では、男女別のほうがいいという意見もあるとは思うのですが、逆に言うと、本来これが違うのは、男女の死亡率が違うということがもともとあって、それをどのように見るかというのは、やはり同じウェイトの中で比較をしないと見えてこない。男女別の死因別死亡率の違いを見たいときに、別々のスタンダードを持ってくると、その違いが分からないということにもなります。
そういった意味もありますし、1つのほうがシンプルだということもあるので、私は男女計という形で、1つのものとするのがいいと思いますし、例えばEurostatなどでも、1本のものが使われていると思います。

○福島座長
 ありがとうございます。そのほか、御意見はいかがですか。

○岩澤構成員
 私も都道府県で比較することを考えたときに、例えば都道府県で、ある地域はとても高齢者の女性が多いとか、そういうものがすごくはっきりしている場合は、1本だと少し心配かなと思うのですが、もし都道府県の男女構成というのを、余り気にしなくて、むしろ年齢構成というものが重要だという状況では、国際比較だとか、時系列の比較が行われているのでしたら、やはりシンプルなほうがよろしいのではないかなと感じました。

○村上構成員
 先生方と同じ意見で、保健統計的には男女比較というのは、平均寿命でも健康寿命でもやられているわけで、当然ここでも行われるわけですね。そのときに共通の物指しで調整して比較しなければいけないという点から、男女計だと私も考えます。

○福島座長
 ありがとうございます。若尾構成員、いかがですか。

○若尾構成員
 先生方の御意見を伺いまして、男女計のほうが望ましいということで、私の最初の意見を訂正させていただきます。

○福島座長
 ありがとうございます。それでは、論点1については、基準人口は男女1本、男女計のものを使うということで、おおむねの合意ができたと思います。
それでは論点2ですが、平滑化人口を使うか、それとも現実の人口を使うかということです。前回のときは平滑化人口を使ったわけですが、これについてはいかがですか。

○岡村座長代理
 何か前例踏襲主義になっているみたいで、自分で言っているのも嫌なのですが、前回、平滑化していると。これは特にベビーブームと、そのジュニア世代のところだと、実は丙午の所の落ち込みというのも幾つかあって、非常に社会学的な要因による変動というか、これは戦争の影響だったり、いろいろなものがあって、でこぼこしていると。だから、そういうことになると、やはりその影響を乗せたままの基準人口というのが、やはりスタンダードにするには余りよろしくないのではないかというのと、今まで平滑化しているというところもありますから、基本的に出入りがあるところは何とかしないといけないのかなというのが、これは私の感想です。意見としてはそうです。

○福島座長
 ありがとうございます。平滑化することについては、今、岡村構成員の御意見があったように、いろいろな要因があって、でこぼこがあるというのを、それによる重み付けをした場合、仮に現実人口を使った場合の重み付けをする、そこに引っ張られてしまうという可能性を排除するためには平滑化のほうがよろしいのではないかという御意見ですが、皆さん方も大体そういう御意見でよろしいでしょうか。ありがとうございます。
ただ、論点に入っていないのですが、平滑化のどれを使うかという問題が、実はあると思うのです。ここで平滑化の人口1と2、つまり2本の直線で近似する場合と、3本の直線で近似する場合、2つの計算、平滑化人口1、平滑化人口2というのが出してありますが、これは別に何本で平滑化してももちろんいいのですが、気になるのは、モデル人口ですから、多分これから20年か25年ぐらい使うということを考えたときに、これからの人口構造の変化というものを、できるだけ影響が少なくなるような形はどちらのほうか。案としてはこれ以外にもあるかもしれませんが、どちらの案で考えるべきかということかもしれませんが、これについてはいかがでしょうか。

○岩澤構成員
 やはり第2次ベビーブームのところが大きいというのは一時的なところもあって、今後、社人研で行っている将来推計人口の将来の結果などを見ますと、やはり山がどんどん後ろに行って、むしろそこからはずっと下がっていくという形になって、1点で折れるというものに近い形になっていくのではないかなと思います。

○福島座長
 そういう面では平滑化人口の1を使うか、2を使うかという基本的な考え方としては、どちらが良いとお考えでしょうか。

○石井構成員
 1がいいか、2がいいかという観点で考えますと、やはりこれは1のほうがいいのかなと思います。それは先ほど岩澤構成員のお話にもありましたが、この基準人口を20年、30年使っていくということになりますと、いわゆる第2次ベビーブーム世代が今40歳くらいになっていますが、60歳、70歳になっていくということになります。そうしますと、この2か所で折れる方法を使うと、現実にはないような瘤が残ってしまうということになります。
もう1つは人口学の理論的に申し上げると、社人研の将来推計人口では、今後の出生率が今と大体同じ程度で推移していくことになっていますので、だんだんと人口構成が安定人口年齢構成に近づいていくことになります。1と2を比べたときに、安定人口年齢構成に近いのは多分1のほうであると思いますので、そういった観点でも1と2というのを比べた場合には、1のほうが好ましいのかなと思います。

○福島座長
 ありがとうございます。1のほうがより良いのではないかという御意見が多いようですが、ほかの構成員の皆さん方はいかがでしょうか。

○村上構成員
 私も今、自分の頭の中で意見を変えまして、1に賛成です。3ページのグラフを見ますと、実線のほうと点線のほうで、点線のほうを1点でやるのは、三角形みたいにするのは、私もそうだなと思って、それに比べて実線のほうは2か所あるので、2点で合わせるとなるほどと思ったのですが、これからのことを考えると、確かに先生がおっしゃるとおり安定人口のことがあるので、1点になると今理解しました。

○福島座長
 ありがとうございます。これから使っていくということを考えたときには基本的には2本の線で近似させて平滑化するという考え方が、おおむね皆さん方の御意見のようですので、一応、論点2については、基本的には平滑化したものであって、なおかつそれについては1か所で折れる方法を採用するという考え方で、おおむねの合意ができたということでよろしいですか。ありがとうございます。
それでは、次の論点にいきたいと思います。次の論点3は、年齢調整死亡率の算出に係る年齢階級の上限をどうするかということ。それと過去の年齢調整死亡率の再計算を、いつまで遡って計算するかということで、いろいろ再計算する上で、制約するものが書いてありますが、これについては14ページ目に、具体的には95歳以上一括の場合、平成17年から後について、あるいは将来については毎年計算できますよと。それ以前は昭和35年から昭和40年、昭和45年、昭和50年、このように5年おきに計算ができますということですね。
90歳以上一括の場合はということですが、やはり年次比較の連続性を考慮する必要があるので、ある所からは85歳以上で、ある所は90歳以上だとか、そういうのは良くないというのは、多分これはいいと思うのですが、その上でどの年齢を一括にするかというところですが、例えば90歳以上とか95歳以上の人口ができれば、後で研究する側は自分で自由に計算はできるわけですが、厚生労働省が再算出する場合にどこからやるかという問題が出てくると思います。
もともとの目的、この年齢構成、年齢調整死亡率の基準人口を見直すときの目的として、できるだけこれからの動きを反映するように、あるいは施策の動きとかを反映することがもともとの狙い。そういうことを意図すると、変えるべきだということだった。そういうことを踏まえて見たときに、高齢者の死亡率の改善のところを見るのにどちらがよろしいかというのと、ある程度安定性、特に小さい人口集団の場合にはより不安定になりますし、後の論点とも絡みますが、死因別のことをやればますます不安定になるわけで、そこら辺の兼ね合いでどのように考えるべきかということだと思いますが、いかがですか。

○若尾構成員
 私、この人口のところは完全に専門でないので、間違ったことかもしれないのですが、WHOの新しい基準人口だと、2001年に出たものだと、95歳ではなくて100歳以上で括っていますよね。それは余り採用されていないという事実もあるようですが、そちらに合わせて100歳で括るという選択肢はあり得ないのでしょうか。

○福島座長
 これは事務局にお答えいただきたいのですが。

○大村室長補佐
 都道府県別で見た場合に、小さい県の100歳以上の人口ですと、そもそも100人すらいっていないという県もありますので、やはり誤差が大きく出てしまうのかなという気はするので、100歳以上は難しいかなという気はしております。

○岡村座長代理
 多分、ここで皆さんが思っているのは、85歳一括だとまずかろうというのは、認識としては共通で恐らくあって、私も資料を事前に頂いたときに、例えば90歳なのか、95歳なのか、かなり悩ましいところがあるのですが、95歳以上のこれからの人口の予測の推移を考えたときに、どこで95歳以上がMAXになって、あとピークアウトして人口が減っていくのか、そういう推移も考えたほうがいいのかなという気はしていて、先々それを見たときに、90歳にするか、95歳にするか。要するに95歳以上の人口が大分増え続ける局面であれば95歳で切ってもいいのでしょうけれど、割と近いうちにピークアウトするということに、もしなるのであれば、90歳のほうが安定的かなとは、ちょっと思ったところです。

○大村室長補佐
 今の件については、平成27年の状況ですと、95歳以上の割合が0.3%で、90歳以上の割合ですと1.4%になります。それが25年後の2040年ですと、95歳以上が1.45%で、90歳以上は4.8%ですね。それが、さらに10年後の2050年になると、95歳以上が2.0%という感じで、やはり増えてくる形になります。

○岡村座長代理
 そうなってくると、国全体だったら95歳がいいような気がするのですが、問題は都道府県を比較したときに95歳で、要するに目的によるのだと思うのですが、それが耐えられるかどうかという判断に恐らくなってきて、何の目的で使うかということと、何かセットになるのかなという気がします。
ただ、増えていくことは間違いないのでということになると、95歳で説明したほうがいいのかなというのが、今のお話を聞くと思ったところですが、人口の少ない県で直近耐えるかどうかみたいなところは、問題点が逆に出てくるかと思います。

○福島座長
 ありがとうございます。 

○岩澤構成員
 ちなみにと言いますか、私も将来推計人口を見ていましたら、すみませんちょっと正確な年次が分からないのですが、21世紀のうちに100歳人口と0歳人口が逆転の時期を迎えますので、そうすると95歳が少ないという問題は例えば0歳人口とか若いところも同じように問題で、どちらにしても少ない状況になるということですね。

○福島座長
 年齢調整死亡率に与える影響からすれば、その人口構成の割合と、年齢階級死亡率の掛け算した割合が全体にどれくらい寄与するかの問題なので、死亡率は基本的に年齢とともに上昇するわけですから、高齢者の割合が大きくなるとそれが大きく利いてくる。あるいは高齢者の死亡率がもし改善するならば、そこがある程度もっと大きく数字の変化に表れてくるということだと思うのです。そのように考えた場合に、あともう1つは、次の論点の4と同じように、死因別表章をどうするかという問題があって、小地域であれば死因別でやればもっと不安定性がどうしても出てくるので、そこのところをどのように見ながら決めるかということです。全国1本と都道府県ごとのものでは違うというのはさすがに作業的にはどうなのでしょうか。それは将来作業をする立場からどうなのでしょうか。

○大村室長補佐
 何とも言えないところではあるのですけれども、確かにどこまで安定的になるかというところに絞られるとは思います。

○福島座長
 これから先、95歳以上人口、さらに100歳以上人口が増えてくる状況、あるいはそこにおける死亡率の改善というか、人口推計の中でどれくらい改善するかのところから見れば、あの推計を使えば、それこそそれを使って年齢調整死亡率がどう変化するかは見れると思います。そのときにどちらがいいかはなかなか難しいけれども、問題は95歳になると遡りが今度は余りできなくなるということがあって、過去からの状況を見ようとするなら90歳になりますけれども、これからのことを考えると95歳かという、多分そこの議論だと思うのです。これはなかなか悩ましい問題で、さすがに85歳という御意見はないようなので、85歳からだともっと昔まで遡れますけれども、85歳からのことはここでは考えずに、90歳以上1本にするか、95歳以上1本にするかのいずれかで考えると、いかがですか。

○石井構成員
 今おっしゃったとおりこれも非常に難しい問題で、年齢調整死亡率は時系列観察ができるので、できればなるべく昔からつなげて見たいということがあります。日本の死因構造は戦後からの古典的疫学転換の後、今度はポスト人口転換と人口学で言っていますけれども、高齢者の死亡率改善で、脳血管疾患が減少し悪性新生物が減りという、そういう変遷は年齢調整死亡率を通じてしか見れないところがありますので、なるべく長く見たいというのがあります。
その一方で、今後使うことを考えると、95歳以上とか100歳以上人口はどんどん増えてきますが、悪性新生物の死因もかなり高齢のほうに寄ってきているとか、あるいは最近は老衰の死亡率が多くなってきていることで、高齢の死亡率がどう変わっていくのかが今後焦点になってくることを考えると、やはり95歳以上にするのが望ましいかと思います。ですので、若干過去のところは犠牲にはなるのですが、5年ごとには一応見れると思うので、そういう意味では95歳以上のほうが、今後のことを考えるといいのかなと思います。

○福島座長
 若尾構成員が、一番最初に見直しの要否のところで、つまりこれはいろいろな政策的な評価を使っているという御意見を述べられましたけれども、それとも関連することだと思いますが、若尾構成員、いかがですか。

○若尾構成員
 そうですね、正に今、石井構成員がおっしゃったとおりで、過去の連続性も大事ですけれども、やはりこれからのことを考えると95歳で、ますます高齢者人口が増えていく中で、未来に対応、適合していくことを考えて、過去については5年単位がありますので、95歳のほうが望ましいのではないかと個人的には思います。

○福島座長
 おおむね皆様方の御意見は95歳以上ということで、全国的に見れば多分そうだと思います。先ほどのもう1つの論点で、都道府県別と全国をどうするか。これから人口減少局面に入ってくるときに、小さい県で既に高齢化が進んでいて、更に人口が減少していくようなところでも高齢者の数が増えていく、特に95歳以上人口が増えていくのかどうかです。そこがそんなに減らないということであれば、死亡者数がある程度あれば、それは安定的に見れるのだろうと思うのですが。

○村上構成員
 ちょっと先走りなのですが、これは論点4に疾患別で、さらに都道府県政令市別の死亡率の話があるのです。そのときにこの95歳以上の基準人口を使ったときに耐えられるかという問題が出てくるのです。私は基本的に95歳以上、未来を見ると賛成ですけれども、論点4のときにどういう手立てというか、注意書きを書いたりするかがポイントのような気がしてきます。要は、一番厳しい、死亡率が不安定な所をどう手立てするかという問題のような気がします。全国とか全死亡は問題ないです。

○福島座長
 論点3と4は絡む話だと思いますけれども、論点3はちょっとまだ結論というか、皆様方の合意はできてないと思います。少し論点4について議論して、それからまた論点3と4を合わせて議論したいと思います。
論点4は、死因の範囲をどうするか。死因について一応この枠の中に囲ってあるように、全国の場合については全体の42疾患群というか、疾患分類で、5年ごとの都道府県指定都市については死因簡単分類のみを範囲としてよいかというのが、事務局からの考え方として出されています。これは行政側が出すものとしてはこれでよいかということだと思います。もっと細かい死因を見たければそれは研究者は自分で計算すればいいのですが、世の中全体に対して行政が示すものとしてはどの範囲ぐらいまでがよいのかと。

○岡村座長代理
 これは基本的に示す統計としてはほぼ問題ない範囲かと、個人的には見てて思っています。もう1つは、ICD-11が今度また発行されて、今これでごちゃごちゃ細かく変えたら、ICD-11のときにまた変える相談をという話になってしまうので、現状では大きく変えないほうが混乱が少ないであろうと思います。ICD-11になると今度は脳卒中が神経疾患にいくので、そこは外してとか、何かまた別途作業が幾つか必要になってくる案件が恐らく予測されますので、現時点で変えるとすぐ4、5年後ぐらいにまたということになってしまうので、問題なければこの範囲でよろしいのではないかというのが個人的な意見です。

○福島座長
 岡村構成員からはこういう御意見ですが、基本的には過去との連続性を見るときに、あるいは将来的な推移を見るときに、特に今使っているのはがん対策基本計画とか、あるいは健康日本21で使っていますが、その対象となる疾患についてはおおむねこれで出ているわけで、そういう面ではこの死因の範囲では、多分、これからICD-11になったとしても、それほど連続性が損なわれることはないでしょう。仮に脳血管疾患が中枢神経系の疾患に移ったとしても、脳血管疾患という区分で捉えていますから、それは大丈夫だろうと思います。
ただ死因をこの範囲にしたときに、さて年齢の上限をどうするかという、先ほどの問題に戻るわけですけれども、これは正直言って数字を見てみないと分からないところがあります。どちらがよいかの判断はなかなか難しいけれども、先ほどの意見にあったように、これから全国のことを考えると、それは95歳以上、あるいは全国と言わず、都道府県でも本当は安定性のことを考えなければ95歳以上が望ましいということがおおむねの我々の合意であると思います。問題はそのときに、地域、都道府県別の全死因についてはある程度いいと思いますけれども、ほかの死因別になったときに、更に不安定になることをどう考えるかのところです。

○岩澤構成員
 今、お話を聞いて、考えてみると全国の推移についてはほかにも生命表とかいろいろな研究もあって補完できるのですが、確かにこの都道府県別の死因の話になってくると、これが本当に貴重なものになってきて、ここが不安定だというのは、確かにユーザーはちょっと不便かもしれないなと感じました。

○福島座長
 参考資料の鳥取県のものは全死亡ですよね。

○大村室長補佐
 そうです。

○福島座長
 全死亡でもこれぐらい起こると。参考資料2ですが、ということは、死因別に見るともう少しこの不安定性は更に増すということです。

○若尾構成員
 すみません、私は素人でそのような扱いが適切かどうか分からないのですが、例えばある数を満たさないような場合は、これはもう参考値というような注釈を付ける形で、まずは出して、出す際に、本当に信頼性の不安定なものはそれをしっかりと明示するような形で出すのはいかがでしょうか。

○福島座長
 これは出し方の問題なので、事務局である厚労省として、実際にそれをもし仮に出すとした場合の話ですが、そういうことが可能かどうかです。

○五十里人口動態・保健社会統計室長
 計算はできる話なので、計算はできますと。ただ、その数字の信頼性はどうかということで、そういう統計があったときに、よく*とか付けたりすることがあるのですが、そういうことは別にできないことはないですし、可能なことは可能ですけれども、余りみんな付いてしまうとどうかという話は多分今の議論であると思うので、その辺は、今いろいろと小地域×死因、都道府県×死因、ここの部分についてはやはりよく見てみなければいけないという話だと思いますので、その辺は資料を用意して、次回御覧いただいて、また議論をしていただければと思います。

○福島座長
 事務局から少し資料を用意するということでしたので、この論点3と4については、今言った資料を次回見させていただいて、もう一度議論をしたいと思います。ただ、おおむねの方向性としては、95歳以上のほうが本当は望ましいことは踏まえつつ、でも都道府県別の比較を、あるいは都道府県別の死因別の比較をどうしていくのかという問題のときに、どう使うかの問題の議論になるということで、一応この論点3と4についての今日の時点での考え方の整理にしたいと思います。
それ以外、論点1から論点4まで通して、あるいはそれ以外のことで何か御意見、御発言がありますでしょうか。

○石井構成員
 基準人口について、参考資料に海外のものが出ているのですけれども、大体海外のものですと、0歳は、5歳階級にしたときに、1~4歳とは分けるのが標準的でして、前から日本の基準人口だけ0歳が分かれていないと思っておりました。例えばHuman Mortality Databaseにおいて生命表を作るときなどでも、5歳階級では0歳の所だけ分けるのが人口学ではスタンダードなので、日本についてもそこを検討する必要はないかという点を、意見として言わせていただきます。

○福島座長
 これは乳児死亡率の影響をどう加味するかというところからすると、確かにほかが0歳を分けているというのは、そこの影響が大きいから必ず分けているということだと思います。そういう面では、ただこれは実務的にもう1つは遡れるかどうかの話と、基準人口としては分けておいて、その後実際に表章するときは合わせて計算するやり方もあるわけですけれども、まず基準人口としてどうするかの問題ですね。0歳を分けるべきか否かという新しい論点ですが、これについてはいかがでしょうか。石井構成員は分けたほうがよいという御意見だと思いますが、ほかの方はどうでしょうか。

○村上構成員
 私も石井構成員と同じ意見で、ほかのところでもいろいろ使われるのですよね。保健所とかでも基準人口を使ったりとか、そのときに汎用性が高いほうがいいと思いますし、世界水準で0歳を分けて提供したほうがいいと思います。これだけの話ではないので。

○福島座長
 ほかの構成員の方々は。

○岩澤構成員
 そうするとやはり先ほどの都道府県レベルの出生というか、0歳で、今後少なくなってきたときの不安定性の問題もあり、そこも実際どのくらい県によって不安定な所がないかどうかを確認したほうがいいのではないかと思います。

○福島座長
 この議論は多分、基準人口としてどこを設定するかの話と、もう1つは、表章するときの計算のときに、全部合計したとき、何歳以上を年齢階級別の人口として採用するかの議論と分けないといけないと思います。つまり基準人口を使って、研究者もみんながこの1つの基準人口を使うという面での基準人口はこれというのと、計算するときにはここを合わせて計算したということを明記して使うという話と、議論を分けるべきではないかと私は思います。そういう意味で、まず基準人口としては何を採用すべきかと、0歳を分けるべきか、先ほどの95歳以上のことと、それから表章する際にどういう形でそれを使うかの問題、基準人口の使い方の問題と、議論が2つあると思います。
まず、基準人口そのものをどうするかという論点に戻ってみたいと思います。そういう面では、やはり国際的な観点、乳児死亡率の影響が大きいことからすれば、0歳は1~4歳と分けるべきではないかという、皆様方の大体おおむねの考え方だろうと思いますが、それはそういうことでよろしいでしょうか。それは先ほどの95歳以上というのと同じですけれども、基本的にはそういうことだという理解でよろしいですか。
ありがとうございます。その上で、実際にそれがどのように数字に影響するかとか、小さい地域ではどうかと、先ほどの死因別と同じことになると思うので。それと実務的に遡れるかどうかの問題もありますけれども、そこも含めて、作業を次回お願いできますか。

○五十里人口動態・保健社会統計室長
 はい、今頂いた方向で、少し工夫してみたいと思います。

○福島座長
 ほかに何か御発言、御意見はありますか。

○若尾構成員
 最初のところの説明で、前回の60年の基準を作ったときには、関係者へのヒアリングかアンケートか分からないのですが、調査をしたということですが、今回はそのような調査は想定されているのでしょうか。

○福島座長
 これは事務局からお願いします。

○五十里人口動態・保健社会統計室長
 ちょっとまだどうやるかまでは決めていませんけれども、御意見は伺ったほうがいいかとは思っています。

○福島座長
 前回は確かにそういう手順を踏んでやってきているので、ここはまたほかの構成員の皆様方も若尾構成員のお考えと同様に、いろいろなユーザー側というか、その意見を少し聞くべきではないかということでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。次回の議論を踏まえつつかもしれませんが、その上でどのタイミングでユーザー側に聞くかはまた事務局とも相談をしたいと思います。今日議論すべき論点についてはおおむね議論できたと思います。ここであった論点というか、論点もこうすべきだということについて、先ほどそれぞれまとめてまいりましたが、そういうことでよろしいでしょうか。それでは次回、宿題と言いますか、少し資料を作っていただくことを踏まえて、次回また更に議論を深めていきたいと思います。今日の会議についてはこれで終了させていただきます。
次回の予定等について、事務局からお願いします。

○井戸本統計情報調整官
 次回の検討会の日程につきましては、後日また調整させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○福島座長
 本日の検討会はこれで閉会いたします。どうもありがとうございました。
                                                                                    (了)

照会先

政策統括官付参事官付人口動態・保健社会統計室

電話:03-5253-1111(内線7470)