第3回 生活保護基準の新たな検証手法の開発等に関する検討会 議事録

日時

令和元年9月30日(月) 10:00~11:30

場所

中央合同庁舎5号館(3階)共用第6会議室
    (東京都千代田区霞が関1-2-2)

出席者(五十音順)

 

議題

・最低限度の生活に関する検討
・現行の検証手法の課題
・その他

議事

(議事録)

○駒村委員 おはようございます。それでは、定刻になりましたので、ただいまから第3回「生活保護基準の新たな検証手法の開発等に関する検討会」を開催いたします。
 議事に入る前に、本日の委員の出席状況と本日の資料の確認を事務局よりお願いいたします。
○梶野社会・援護局保護課長 本日の委員の御出欠状況につきましては、全ての委員に御出席をいただいております。
 また、事務局に人事異動がございましたので、御紹介させていただきます。
 総務課長の高橋でございます。
○高橋社会・援護局総務課長 よろしくお願いいたします。
○梶野社会・援護局保護課長 私が保護課長の梶野です。よろしくお願いします。
 なお、谷内社会・援護局長は公務により、10時半ごろから30分程度中座させていただく予定です。
 続いて、本日の資料でございます。
 議事次第に続きまして、資料1が「生活保護世帯における生活の質の面からみた消費支出や生活実態等の分析について」。
 資料2が「諸外国における公的扶助制度の概要 マル2」。
 資料3が「現行の検証手法の課題について」。
 参考資料1が資料3の参考資料になります。
 参考資料2が年次計画であります。
 資料の不足等がございましたら、事務局までお申しつけください。
○駒村委員 それでは、本日の議事に入りたいと思います。
 まず、資料1について、事務局から説明をお願いします。
○猪狩社会・援護局保護課長補佐 それでは、御説明申し上げます。
 資料1につきましては、前回の検討会におきまして、生活の質の面から見た消費支出や生活実態の分析ということで資料をお示ししたところでございますが、委員の先生方より、こういった分析をしてみたらいいのではないかという御示唆をいただきましたので、それを踏まえまして、可能な範囲で今回お示しするといったものでございます。
 資料の1ページ目でございますが、こちらにつきましては、前回、生活保護世帯の支出割合ということで、10大品目の消費支出割合をお示ししたところでございますが、今回は可能な範囲で生活保護世帯と一般世帯との比較を行い、支出額もあわせてお示したしている資料でございます。
 1ページ目でございます。まず、10大品目の消費支出割合につきまして、生活保護世帯(全世帯)と一般世帯(全世帯・年収階級第1・十分位)の状況を比較したものでございます。こちらを比較しますと、まず、食料費、住居費については生活保護世帯の方が高い。一方、10大品目で見ますと「保健医療」「交通・通信」「教養娯楽」「その他の消費支出」につきましては、一般世帯のほうが支出割合が高いといった状況が見られるというところでございます。
 さらに、その内訳を見ますと、生活保護世帯につきましては、食料費の内訳としまして「調理食品」の割合がやや高い。一方「外食」はやや低いといった状況が見てとれる。
 住居につきましては「家賃・地代」の支出割合が高いといったところでございます。
 保健医療につきましては、医療扶助の現物給付がありますので、生活保護世帯の方が「保健医療サービス」の支出割合が低いということです。
 交通通信のうち、自動車につきましても、生活保護においては原則認められておりませんので支出割合が低いといったことが認められるというところでございます。
 教養娯楽につきましては、このうち「教養娯楽サービス」の支出割合が低いということです。
 その他の消費支出については「交際費」の支出割合が低いといった状況が見てとれるといったところでございます。
 2ページ目、3ページ目は、高齢者世帯、母子世帯ということで、それぞれ世帯類型別にお示ししたものでございます。
 高齢者世帯につきましては、高齢単身無職、高齢夫婦無職ということで、全国消費実態調査の公表データから比較可能なものとして並べているところでございますが、こちらにつきましては、全体の傾向としては、先ほど御説明しました全世帯の傾向とほぼ同様でございまして、食料費、住居費については生活保護のほうが高い。保健医療、交通通信、教養娯楽、その他消費支出は一般世帯のほうがやや高いといったことが認められるところでございます。
 3ページ目でございますが、母子世帯でございます。こちらにつきましては、生活保護の母子世帯、一般世帯の母子世帯ということで比較しますと、食料、住居については生活保護のほうがやや高い。一方、交通通信、その他の消費支出については、一般世帯の支出割合のほうがやや高いといった状況が見てとれるところでございます。
 4ページ目以降でございます。こちらは、社会的必需項目の不足状況でございまして、前回は必需項目の不足数ということで資料をお示ししたところでございますが、こちらにつきまして、具体的にどの項目が不足しているのかといったことを見たほうがいいのではないかという御示唆がありましたので、これに関する資料を御用意したところでございます。どの必需項目がどの程度不足しているのかというものでございます。
 まず、資料の4ページ目では全体の概要を載せております。
 資料の構成としましては、5ページ目と6ページ目が生活保護世帯と一般世帯の全世帯の比較、7ページ目と8ページ目が高齢者世帯、9ページ目と10ページ目が母子世帯、11ページ目と12ページ目が単身世帯ということで、それぞれ集計表をお示ししております。
 これらの主な概要としてまとめておりますのが4ページの資料でございますが、御紹介いたしますと、まず、全世帯につきましては、生活保護世帯につきましては、5ページをおめくりいただきまして、急な出費への対応、生命保険等の加入、親族の冠婚葬祭への出席、下着の購入の頻度といったものの不足割合が高くなっているという傾向が見てとれるところでございます。
 5ページの資料に集計表を載せておりますが、こちらの表ですけれども、真ん中の該当世帯数につきましては、714サンプルにつきまして、それぞれ金銭的理由のために不足している割合を示してございます。こちらは例えば、急な出費ですと、714サンプルのうち572サンプルでそういった回答があったところです。
 その右につきましては、先般お示ししました社会的必需項目の不足数をお示ししたところです。何項目不足しているかをお示ししたところですが、その不足している数に応じてそれぞれ集計をして、このような形になっているところでございます。
 一般世帯につきましては、6ページ目になります。こちらにつきましては急な出費への対応、生命保険等の加入、新しい下着の購入頻度、必要なときに歯医者にかかれるといったものの不足割合が高くなっているというところでございます。
 まず、真ん中の該当世帯数を見ますと、急な出費への対応ということで、1万9,000サンプルのうち5,042サンプルということでございまして、26%という数字が集計結果として得られております。以下、多い順に、新しい下着の購入、生命保険の加入、歯医者にかかれるといったところでございます。
 右が不足している項目数別に示した集計表でございます。
 こちらにつきましては、全世帯のサンプルとしましては該当世帯数1万9,000のうち、例えば急な出費でいきますと、全体としては26%という不足割合でございますが、1項目不足している世帯について見ると、そのうちの73%がここに該当するといったことを示すものでございます。
 以下、7ページ目と8ページ目が高齢者世帯の表です。こちらにつきましては、生保世帯は全世帯の生保世帯とほぼ同様の傾向というところでございます。
 一般世帯につきましてもほぼ同様でございますが、3項目以上不足しているといった世帯につきましては、歯医者という選択肢よりも肉・魚・豆腐等のたんぱく質の摂取の頻度が高くなっているといったところが見てとれます。
 9ページ目、10ページ目が母子世帯でございまして、こちらも生活保護世帯でほぼ同様なのですけれども、9番目の電話の保有で、これは固定電話でございますが、こちらの不足がやや高くなっているといった状況が見てとれるところです。
 同じく10ページ目が一般世帯でありますが、こちらも生活保護と同様に、固定電話の保有といったものがやや高くなってます。
 冠婚葬祭の出席も全体としては4.7%ですが、4項目以上不足というところにつきましてはシェアが高くなっているというところが見てとれます。
 11ページ目、12ページ目が単身世帯でございます。こちらにつきましては、それぞれ生活保護の全世帯、一般世帯の全世帯とほぼ同様の傾向が見てとれたというところでございます。
 以上が社会的必需項目の不足に関する資料でございます。
 13ページと14ページにつきましては、一般世帯の集計結果につきまして、前回は一般世帯の全体ということでお示ししたところでございますが、家賃負担等を考慮するという観点から、持ち家の有無といったところで区分けをしまして、それぞれ集計をしたものになります。
 13ページは世帯類型別に集計したものでございますが、左側が持ち家有り、右側が持ち家無しということですが、いずれも右の持ち家無しの剥奪指数のほうが高いといったところが見てとれます。
 世帯類型別に見ますと、母子世帯、障害者・傷病者世帯の指数が他の類型と比較してやや高くなっているといったことが見てとれるところでございます。
 左側に等価可処分所得別に表にしておりますが、これはいずれの階級におきましても、持ち家無しのほうがおおむね高いといった傾向が見てとれるというところでございます。
 3つ目の○は、前回も御紹介しましたけれども、これは障害者・傷病者世帯を除いて、可処分所得の増加に伴って剥奪指数がおおむね減少していくといった傾向が一般世帯では見られるというところでございます。
 14ページは、これを世帯人員別に同じところで見たものでございます。こちらにつきましても同様に、いずれの世帯人員につきましても、持ち家無しの剥奪指数のほうが高いといったことになっております。
 人員別に見ますと、単身世帯の剥奪指数がほかの人員と比べてやや高いといったところでございます。
 最後に15ページ、16ページですが、こちらは生保世帯との比較というところで、前回、一般世帯の全体と生活保護世帯をそれぞれ比較したものでございますが、今回は家賃の負担等の観点から、生活保護世帯もおおむね家賃負担がありますので、その観点から、一般世帯の持ち家無しと生活保護世帯を比較した表でございます。
 15ページが世帯類型別でございますが、生活保護世帯と一般世帯の持ち家無しを比較しますと、障害者・傷病者世帯を除いて、生活保護世帯の指数のほうが全体平均としては高くなっているというところでございます。
 等価収入階級別に見ますと、一番上の10万円未満で見ますと、こちらにつきましてはその他の世帯を除き、逆に一般世帯の指数のほうがやや高いといったことが見てとれます。逆に10万円以上~15万円未満、15万円以上につきましては、障害者・傷病者世帯を除きまして、生活保護のほうが剥奪指数が高いといったところでございます。
 前回も申し上げましたが、生活保護世帯の剥奪指数につきましては、実収入増加に伴う変化には一定の傾向が見られないといったところでございます。
 一方、一般世帯につきましては、先ほど御説明しましたが、可処分所得の増加に伴っておおむね減少するといった傾向が見られます。
 最後に16ページが世帯人員別です。こちらにつきましてもほぼ同様でございますが、生活保護世帯のほうが全体平均としては高いといったところです。これを等価可処分所得で見ますと、10万円未満につきましては、1人と3人につきましては一般世帯のほうがやや高いというところです。10万円以上では生活保護のほうが指数が高いといった状況が見られたところでございます。
 資料の説明については以上でございます。
○駒村委員 ありがとうございます。
 前回からの続きの議論になりますが、前半部分で全消との比較で、1ポツの資料と、青いラベルのものと、緑のほうが剥奪に関する資料ということで少し議論をしたいと思いますが、いかがでしょうか。1の消費動向の比較ということについて、何かお気づきの点はありますか。
 山田委員、お願いします。
○山田委員 一応確認なのですけれども、生保世帯では医療扶助があるので、保健医療サービスが本来だったら多分ゼロになると思うのですけれども、これはそれ以外で何か、いわゆる医療保険以外のものも含まれているかどうかが、まずは技術的な質問になります。
 あとは前回のコメントを受けて、さらに詳細に、非常に色々と出してくださってありがとうございます。
 議論というよりコメントになるのですけれども、資料1は世帯類型別に出しているということで、一般世帯との比較がかなり可能なようにできていると理解しています。
 その中で、この全消の資料と社会的剥奪指標からわかることは、衣食住と3つあるうちの食、住については、それほど生保世帯も遜色のあるような、かなり低いという数値は出てきていないのですけれども、衣食住のうちの衣がやや、これはほかの世帯でも見られることなのですけれども、新しい下着の購入の頻度とか何かで足りなくなっているということと、今後の生活保護基準を検討するに当たって、これは岩田先生や阿部先生ともやったMISのところでも非常に悩ましかったのですけれども、生保世帯の場合は交際費とか教養娯楽といった部分が非常に低くなっていますが、一般世帯でも個人の差が大きいところをどのように見ていくのかというところが非常に難しいということです。
 あと、急な出費への対応ということは、一般世帯でも生保世帯でもかなり難しい人は難しいというのがわかったのですけれども、その余裕の持たせ方を生保の中でどう行うのかというのが非常に難しいと思いました。
 最後に15ページ目と16ページ目の不足に関する指標です。等価実収入ベースでの違いです。前回も議論になったのは、生保世帯で見ると等価実収入が増えていっても剥奪指数は落ちない。前回議論になって、阿部委員は、これは比較的うまく生活保護基準が設定されているから、等価実収入が家計の規模を調整しても落ちないのだという解釈もあり得るという御示唆をいただきましたけれども、ここについてそのように見ていいかどうかというのは、今後の色々な検討課題の中で見ていかなくてはいけないところだと思います。
 私からは以上です。
○駒村委員 山田先生の最初の部分の確認ですけれども、事務局からお願いします。
○猪狩社会・援護局保護課長補佐 全国消費実態調査の費目の分類として、保健医療サービスがございます。この中身につきましては、先生がおっしゃいました医科診療、歯科診療といったものもありますけれども、この中にマッサージ料金も入ってございますので、いわゆる整体とかそういったものが入っているために、生活保護世帯にも、わずかではありますが費用が計上されていると考えております。
○駒村委員 ありがとうございます。
 ほかの委員からはいかがでしょうか
 先ほども指摘があった、交際費はどのような性格のものなのかというのは重要な議論かとは思います。社会との関わりと同じように、急な出費という部分の工面がつかないというのも、そこにつながるような感じの項目のイメージがあります。
 この辺はいかがですか。
 阿部委員、お願いします。
○阿部委員 これの活用方法の一つとして、剥奪指標のところですけれども、世帯類型別とか人数別とかで、全体の剥奪指数とか項目別で差があるところはどこなのかというのは大きな示唆を与えるところかと思うのです。それは恐らく、保護の基準の不備なところが出ていると思うのです。例えば、ある特定の世帯タイプが、交際費の割合がほかの世帯タイプに比べて、一般世帯との比較ということももちろんありますけれども、そのほかには全体の、私たちがゆがみと言っている世帯タイプ別とか、人数別の指数はこれまで何遍も見直してきたところですけれども、こういった剥奪指標を使って、それを見直すというのも一つあるのかと思いました。
 あと、これは生活保護基準の中での議論ではないのですけれども、非常に気になるのが、一般世帯の障害者・傷病者世帯の指数がすごく高いといったところで、これは生活保護世帯に比べても高いということで、これはそちらのほうの政策のどこかで、ぜひ御検討いただきたいところかと思います。
 以上です。
○駒村委員 今のところをもう一度。何ページですか。
○山田委員 15ページです。
○阿部委員 一般世帯の中で、傷病者・障害者世帯が、例えば母子世帯とか高齢者世帯に比べても、同じ所得階級でも全然高くなっていますし、全体で見ても物すごく高くなっているといった状況はあります。
○駒村委員 この集計での障害者・傷病者世帯というのはどういう定義ですか。
○阿部委員 下に小さな注で書いてあります。
 世帯主が身体障害・知的障害等の心身上の障害のため働けない世帯、または、世帯主が病気やけがのため働けない世帯というふうに、これは国民生活でそのように抽出しているということかと思います。
○猪狩社会・援護局保護課長補佐 少し補足させていただきます。
 こちらの世帯類型の定義ですが、本調査は、国民生活基礎調査の後続調査として実施しております。
 国民生活基礎調査によってわかる世帯類型としては、高齢者世帯と母子世帯まではわかるのですが、実は傷病者世帯、障害者世帯までは区分けがつきません。従いまして、こちらの区分けにつきましては、この家庭の生活実態調査の最初に世帯の状況を聞くのですけれども、その中でこういった選択肢を設けて、ここにマルがついた世帯をそれぞれ傷病、障害として計上しているといったことになります。
 なお、この定義につきましては、生活保護の被保護者調査とほぼ同様でございまして、異なりますのは、障害者世帯のところで、被保護者調査ですと障害者加算がついている人についてはこちらになるのですけれども、一般世帯ではそういうのはありませんので、こういう方法で分類をしたというところでございます。
○駒村委員 補足説明をありがとうございます。
 そういう説明をお聞きして、確かに高いですね。こういう政策の情報をどう使っていくかですね。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
 岩永さん、お願いします。
○岩永委員 先ほど山田先生がおっしゃったことと重なるのですけれども、15ページとか16ページの等価実収入が増加するのに応じて剥奪指標が下がるわけではないということは、前回、阿部先生がおっしゃったようなことに私は同意します。私もそうかと思う部分があるのですけれども、そうだとすると、全体的に前のページとかも含めて、そもそも生活が複雑な上に、生活保護制度という制度の制約をすごく受けて生活しているということがわかると思います。
 4ページあたりの資料を見ても、剥奪の度合いは生保世帯のほうが高いように思うのですけれども、一方で、例えば急な出費というのは、制度的な担保はあるはずで、それが機能していなくてこういう数字なのか、最低生活費が少ないからこういう数字なのかというのが、これだけではよくわからない。本当だったら一時扶助で出るとか、もうちょっと別の仕組みを使うとか、ケースワーカーの関わりがあればとか、別にお金ではなくても、何か物として寄附を受けるということも状況に応じてあると思うのですけれども、そういうことが生活保護世帯のほうができないのかとか、生活のありようと、制度に制約されているありようをどう解釈すればいいのか難しいと思いました。1ページ目から3ページ目のところの消費支出割合の状況などを見ると、制度に制約されて生活しているというのが色々なところで見てとれます。これが最生費の問題なのか、運用の問題なのかというのは解釈が難しいと読んでいて思いました。
 すみません。感想です。
○駒村委員 この1ポツの消費動向では、ある程度均衡がとれているようにも見える。しかし、剥奪のほうを見ると、色々剥奪状態に差がある。これをどう評価するか。複数の尺度、評価軸で見ていく必要があるということが一個あるわけです。
 今、岩永さんがおっしゃった急な支出、出費というところですけれども、これをどう解釈するかというのが先ほどの議論の続きなのですが、これは制度的なものなのか、運用上のものなのかということなのですけれども、この急な出費というのは、岩永さんはこれをどう解釈して、制度的に対応可能ではないかと見たのでしょうか。
○岩永委員 一時扶助で出るものは一時扶助で出るのではないかというのと、あとは何か貸付などを使ったりする場合もある。ただ、そうは言っても、一般世帯も急な出費に対応できないという回答率が高いので、急な出費というのがどういうことなのか。
 生保の場合は、親族の冠婚葬祭への出席もほとんど出席できない。お葬式とかも急な出費なので、そういう支出への手当が生活保護とは別に出るということはないので、足りないのかと思うのです。
○駒村委員 余裕がない生活、制約のある生活をしているということですので、ただ、この生保の方にとっての急な出費の回答の意味するものと、一般の方の急な出費の意味することが果たして同じかどうかも考えなければいけない。
 阿部委員、手を挙げましたか。
 お願いします。
○阿部委員 その点は岩永委員がおっしゃるように、急な出費が入っているがために、全体の剥奪項目の比較が一般世帯と生保世帯ではかなり難しくなってしまって、あとは、その後の生命保険もそうかと思います。
 この2つは制度の中で、たしか一時扶助とかあるのですけれども、一時扶助を想定して急な出費に対応できると生保世帯の方が答えているわけではないと思うのです。実際にそれがあると知っていたとしても、自分の家計の中でと思いますので、そうすると、この急な出費のところと、生命保険の加入というのが制度的に許されていない中で丸をつけているのであれば、その2つは厳密な意味では剥奪項目とは言えないと思うので、そうすると、この2つの項目を抜いて考えなければいけないと思うのです。
 しかし、今回、費目別に出していただいたことでわかったのは、一般世帯と比べても剥奪率が高い項目はどれかというのがはっきりわかってきた。急な出費と生命保険以外のところです。冠婚葬祭とか、下着の購入とか、そういったところが今の保護費の中で賄われていないと解釈するべきではないかと思います。
 ですので、先ほどの岩永先生のお話で言うと、私はこれは制度的な制約のところかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○駒村委員 冠婚葬祭の出費ですか。
○阿部委員 いえ、冠婚葬祭ではなくて、急な出費が高いというのは、制度的に貯蓄をすることが許されていない中で、例えば急にけがをしたりしたら一時扶助とかが出るわけですけれども、保護費の方々は、それを想定して急な出費に対応できていますと丸をつけているわけではないと思うのです。
○駒村委員 当然、受給している方はそういう制度に関して詳しいわけではないので、情報の非対称性がありますから、制度的に手当をされているかどうかというのを考慮して答えているわけではなくて、阿部さんがおっしゃるように、もともと余裕資金を持っていないから来られたのだろうということですね。ここが制度的という部分ですね。わかりました。
 この冠婚葬祭に出席できないというのは、特に高齢の方などは増えてくるでしょうから、人間関係が維持できないという意味では非常につらい状況なのかなというのを推測できるわけですけれども、この2つの調査項目で、これから議論を深めていかなければいけないと思います。
 ほかに意見がなければ次の資料に進みたいと思いますけれども、よろしいですか。
 山田委員、お願いします。
○山田委員 これはやるかどうかは別として、1つだけ。
 1ページ目、2ページ目、3ページ目で、後のほうでは持ち家有りなしでやっていますけれども、こちらは多分平均でやっているので、そこの部分は注意して見なくてはいけないと、一応ノートだけしたいと思います。
 以上です。
○駒村委員 それでは、次に資料2に移りたいと思います。
 事務局から資料2の説明をお願いします。
○猪狩社会・援護局保護課長補佐 それでは、資料2「諸外国における公的扶助制度の概要 マル2」という資料でございます。こちらにつきましては、前回、アメリカ、ドイツ、韓国の概要をお示ししました。今回はイギリス、フランス、スウェーデンの概要をまとめまして、資料としてお示しするものでございます。
 まず、表紙でございますが、前回の資料も同様ですが、この資料につきましては、あくまでも諸外国における公的扶助制度について、本検討会の議論に資するものとして、基準の設定の考え方を中心に簡潔にまとめたものでございます。
 各国における扶助の制度設計は様々でございますので、各制度の対象者、給付内容、公的扶助制度以外の社会保障制度の仕組みといったものも異なりますので、単純な比較にはなじまないことに留意するといったことをまず書かせていただいているところでございます。これを前提に御説明いたします。
 まず、2ページ目のスウェーデンでございます。
 スウェーデンにつきましては、公的扶助として、社会扶助があるというところでございます。
 こちらにつきましては、制度上年齢制限はないのですけれども、基本的には18歳~64歳の者が支給対象というものでございます。65歳以上につきましては、基本的にはその下に(参考)として最低保障年金と書いておりますが、こちらで対応しているところです。
 この社会扶助の基準の設定ですが、後に詳しく御説明しますが、大きく3つありまして、全国標準額というのが、その右の給付水準として書いてあるところになります。
 この全国標準額につきましては、※の1つ目として、住居費、電気代を含んでいないということで、これに対応するものとして、主な加算の枠に書いておりますが、マル1として、全国標準額に含まれない費用、住居費、電気代、交通費については、各コミューン(市)単位の裁量で給付額を決めるという仕組みになっているところでございます。
 マル2として、その他の費用として、引っ越し代、葬儀費用等々につきましては、受給者の個別の状況に応じて、同じく各コミューンが支給を決めるという体系になっているところでございます。
 その下の社会手当でございますが、スウェーデンについては住宅手当というものがありまして、この1~3に掲げている対象者に対して支給されるところでございます。児童手当、養育費手当といったものもあるところでございます。
 3ページ目でございます。社会扶助の給付水準の設定の考え方ということでまとめさせていただいております。
 最初に設定方法としては、法律におきまして、社会扶助では合理的な費用が給付されることとされ、保健福祉庁が最も一般的な世帯の基本的な消費に基づく合理的生活費に基づいて「全国標準額」を決定するということでございます。これを規則として発出するということになっております。
 この合理的生活費についてですが、注1と注2に書いております。
 注1でございます。この合理的生活費につきましては、消費者庁が価格調査結果に基づきまして、マーケット・バスケット方式により毎年度算出しているものでありまして、これは最低でも贅沢でもない水準を示しているということです。
 注2でございますが、このマーケット・バスケットに含まれる品目につきましては、以下の考え方で選択されているところでございます。
 留意していただきたいのは、先ほども御説明しましたが、住居費、電気代、通勤交通費、歯科診療費、介護サービス費、教育、バカンス、ホテル等での外食、アルコール、たばこ、贈答等の費用については含まれていないことになってございます。
 こちらにつきましては、4ページに図のマル4-2、マル4-3ということで入れております。
 図のマル4-2が消費者庁による合理的生活費ということで、それぞれ食費、その他の生活費ということで、個人単位のものと世帯単位のものに分けて、それぞれ生活費を算出しているところです。
 図のマル4-3が今、御説明しましたマーケット・バスケットに含まれる品目ということで、これは例示ですけれども、こういったものがあるところでございます。
 この給付基準の実際の運用でございますけれども、3ページの上から5行目ぐらいに記載しておりますが、実際の支給に当たっては、基礎自治体であるコミューンが、全国標準額に基づいて給付水準を決定する。ただし、個々のケースに特別な理由がある場合には、この標準額よりも高い、もしくは低い水準の額とすることができるものとされています。
 この標準額に含まれない費用につきましては、基本的には各コミューンの裁量でそれぞれ決定されることになってございます。
 基準の体系でございますが、4ページの図のマル4-1が全国標準額として示されているものでございます。
 左側ですが、個人単位の扶助ということで、成人、子どもとありますけれども、こちらは年齢別は20歳まで。単身者、カップル、20歳以上はひとくくりになってございます。
 個人単位の費用と世帯単位の扶助ということで人数別に示しておりますが、これを合算したものが全国標準額ということで示されているものでございます。
 なお、この合理的生活費の金額の内訳みたいなものは特に示されていない状況になってございます。
 簡単でございますが、スウェーデンについては以上でございます。
 続きまして、イギリスでございますが、資料の5ページでございます。
 イギリスにつきましては、稼働年齢層である18歳以上の者を対象とするユニバーサル・クレジットというものと、その下の年金受給者を対象とした年金クレジット。この2つに大きく分かれているところでございます。
 このユニバーサル・クレジットにつきましては、6ページの下のほうに、ユニバーサル・クレジットへの統合が進められている給付制度の概要として小さい字で示していますが、これらの支給対象者の属性に応じて設けられていた扶助を、稼働年齢層を対象としたものとして、2013年に統合したということになっております。
 ただ、こちらにつきましては、今、移行期間中ということでございまして、一応2023年までには移行を完了するということで取り組んでいるところでございます。
 年金クレジットは、下に書いてあるとおりでございますが、年金受給開始年齢以上の者を対象として、最低保証額を決めて、その収入との差額を支給するものになっているところでございます。
 それとは別に寒冷手当ということで、いわゆる冬季に一定額が支給されることになっているところございます。
 社会手当としては、住宅手当、児童手当ということでございますが、この住宅手当につきましてはユニバーサル・クレジットの加算の中にもありまして、基本的にはユニバーサル・クレジットの対象者はこの中の主な加算のマル5の住宅加算ですが、住宅手当と同額と書いてございますが、こちらで対応するということになっておりまして、基本的に年金クレジットの対象者が支給対象となっているところでございます。
 6ページに続きまして、給付額の改定でございます。このユニバーサル・クレジット等につきましては、上でございますが、2011年度以降、前年の消費者物価指数の上昇率に基づいて改定を行うことが原則とされております。
 ただしということで書いておりますが、イギリスにおいては2013年の予算の審議過程におきまして、2013年から2015年につきましては改定をプラス1%に抑制。それから、2016年の福祉改革労働法におきまして、2016年から2019年までの向こう4年間については改定を凍結といった動きになっているということです。
 年金クレジットにつきましては、前年7月までの1年間の賃金上昇率を下回らない程度で改定を行うということになっているところでございます。
 ユニバーサル・クレジットの給付体系でございますが、先ほどとかぶりますけれども、7ページの右側の図表マル5-4でございます。このような形の給付体系になっておりまして、基本手当と加算ということでございます。基本手当につきましては、単身者につきまして25歳以上か25歳未満か、カップルにつきまして25歳以上か25歳未満かということで決めているということです。
 その上に各種加算ということで、それぞれ子どもの有無とか、障害の有無に応じて加算が上乗せされるということになっているところでございます。
 なお、先ほど説明が漏れてしまいましたけれども、ユニバーサル・クレジットの移行に伴う給付水準につきましては、5ページ目の給付水準の※の2つ目ですが、原則として、既存制度と同等になるようにされている。基本額は所得補助、求職者手当、児童加算は児童税額控除、児童扶養加算は就労税額控除の保育費用部分、住宅加算は住宅手当の水準にそれぞれ該当するような形で額が設定されたところでございます。
 駆け足になって申し訳ないですが、次にフランスでございます。資料は8ページ以降になります。
 フランスですが、公的扶助としまして、年齢で対象が区切られておりますが、25歳以上の者ということで、積極的連帯所得(RSA)と書いております。25歳以上の者については、基本的にこのRSAで対応することになっているということでございます。
 ※の2つ目に、ただしということで、これとは別に高齢者連帯手当(ASPA)ということで、こちらが別途65歳以上の高齢者を対象とした手当ということになっております。
 また、障害者を対象としたものにつきましては成人障害者手当ということで、AAHと書いておりますが、障害が一定以上の者につきましてはこちらで対応するところです。
 給付額との関係で言いますと、高齢者手当、障害者手当のほうが高くなっており、基本的にはすみ分けがなされているといった状況になってございます。
 社会手当の主なものでございますが、家族住宅手当、家族手当、家族支援手当があるということでございます。
 9ページ目でございますが、給付額の改定ということで、改定につきましては、こちらも消費者物価の上昇率に基づいて毎年4月に行うというのが基本ルールです。2行目ですが、この消費者物価につきましては過去12カ月間における、たばこを除く消費者物価指数の上昇率というものを用いるということが基本ルールになっているということでございます。
 なお書きでございますが、これは政府の方針として、貧困対策の一環として、RSAの給付予算を今後5年間で10%伸ばすという方針が示されたということです。したがいまして、消費者物価指数で改定すると言いながらも、消費者物価が低くおさまっている場面でもプラス改定されている状況になっているということでございます。
 こちらにつきましては、10ページの左下の図表マル6-3でございますが、RSAの改定率だけ簡単にお示ししておりますが、2013年までは1%台だったものが、2014年度以降に3%台、2%台となっておりまして、そのような方針に基づくものと思われます。
 なお、この積極的連帯所得(RSA)につきましては、2008年に参入最低所得(RMI)とひとり親手当を統合したものであると※で書かせていただいております。
 この従前の参入最低所得(RMI)につきましては、給付基準額の目安として、税・社会保障の掛金拠出を控除した法定最低賃金の50%が一つの目安であったということです。
 最後に給付基準の体系でございますが、10ページの図表マル6-2でございまして、このような体系になっているというところでございます。
 基本的には図表マル6-2、マル6-4とあわせてご覧いただければと思いますが、基本的には単身者の基準を100としまして、それぞれ子どもがいる場合、カップルの場合ということで、ここを起点に展開するという方式で決めているところでございます。
 この掛け率、乗率につきましては、9ページの下から3行目ですが、単身者とカップルは、先ほど申し上げました参入最低所得の創設時に設定されたということであり、ひとり親世帯については、ひとり親手当と同水準になるように設定されたということです。
 簡単ではございますが、以上でございます。
○駒村委員 ありがとうございます。詳しい御説明をありがとうございます。
 最初に事務局から説明がありましたように、公的扶助の位置づけ、制度上の位置づけは国によって様々です。制度のつくり方が違いますので、単純に日本の生活保護をイメージして比較はできないというのと、色々な統計も、各国でつくり方が違いますので、その辺も注意をしておかなければいけないということはそのとおりと思います。
 3つの国それぞれに特徴がある制度になっておりますけれども、委員の皆さんからこの3つに関して、今日の資料について、何か御質問とかコメントとかはありますか。
 山田委員、お願いします。
○山田委員 前回に続いて、詳しい資料をありがとうございました。
 これを見ながら、もちろん、各国によっては一般扶助ではなくてカテゴリー別扶助だったりとか、どこの部分から市区町村に任せているかというのが違っていて、各国でやっている手法を直ちに直接参照することはなかなか難しいとは思うのですけれども、スウェーデンについては、今日お示しいただいたのは合理的生活費ということで、マーケット・バスケット方式で一応算出しているということですね。
 ただ、イギリスについては、そもそもどのように伸ばしているかということについては、消費者物価指数とか住宅関連費を除くとか、そういうことでやっているのはわかったのですけれども、もとの水準をどう決めたかというのは、今回お示しいただいた資料からはわからない。
 フランスについても同様かわからないのですけれども、ひょっとしたら9ページには、RMIの給付基準額は税・社会保障の掛金拠出を控除した法定最低賃金(純SMIC)の50%なので、この純SMICが何を足し合わせてとか、何を基準にしているのかということがわかると、フランスについてはどのように積み上げているのか、算出しているのかがもう少しわかれば。そこまで資料はないかもしれませんけれども、そもそも純SMICはどうやって積み上げているのかというのがわかればありがたい。
 私からは以上です。
○駒村委員 ほか、いかがでしょうか。
 なかなか諸外国の公的扶助の水準がどう決められているのかというのは、スウェーデンはある程度明らかになっていますけれども、今、話があったように、イギリスの場合、フランスの場合ももう一息、わからない部分が残っていると思います。
 国内向けの性格が強いので、なかなかいい資料が手に入らなかったり、非常に細かい部分になってくるので資料収集が厳しいかもしれませんけれども、引き続き、例えばフランスの展開方式については、先ほどの説明だと、一回設定されたけれども、その後は見直されていない。それでは、どのように設定したのか。日本と同じように展開方式の検討、検証を消費データで定期的にやっているわけではなさそうだけれども、もともと何だったのか。生活のお金のつけ方のパターンが変わっていけば、そこはずれているのか、ずれていないのかということが問題になっていないのかとか、色々諸外国の制度を見ながら日本と比較して、悩ましいというか、考えなければいけないところもあると思うのですけれども、ほか、委員の皆さんから御質問とか、さらなる追加は。
 岩永委員、お願いします。
○岩永委員 今、駒村先生がおっしゃったように、基準の設定をそもそもどうしたかというのは、今回の資料でもなかなか難しくて、わからないところだと思うのです。核となる基準をそもそも設定しているのか、それを毎年とか、その時々にどう改定していっているかというのも、続きだけれども別の問題としてあると思います。そういう意味で改定の仕方が似ていると思ったのは、イギリスです。消費者物価指数とかと、政策的に改定を凍結したと口頭で補足してくださったと思うのですけれども、あとは何となく下がっている感じがするというのも日本に似ている。余り追随したくないですが、そう思いました。
 もう一つは、諸外国のことを参照するときに、私たちは喫緊には今のようなことを本当は参照したいのですけれども、参照の注意書きにあるように、他制度がどうなっているかによってかなり条件設定が違ってくるというところもあります。そもそも、例えばイギリスを今、例に出したので、イギリスの5ページのところなどを見てもわかるように、ユニバーサル・クレジットというのは、稼働能力のある人たちを対象にしていて、高齢者は年金クレジットで、日本のように稼働年齢も高齢も同じ制度ではないというのはよく知られていることですが、確認しておく必要があると思います。先ほどの急な出費ということとあわせて考えると、資産の保有限度がユニバーサル・クレジットと年金クレジットでは違っていて、ユニバーサル・クレジットは1万6,000ポンド以下であること。年金クレジットは資産保有限度はない。ただ、6000ポンドを超えるごとに云々かんぬんというのがあるように、その制度も年齢で分けていたり、資産保有も分けていたり、それはほかの外国でもそのような例があるようですけれども、そういうところも違う。例えばスウェーデンの社会扶助も、基本的には稼働年齢層を対象にしていて、預貯金は原則として保有が認められていないと書いてあるので、それは他制度との絡みでこういうことをしているとか、年金がそもそも違うとかということだと思うので、なかなかこれを直に生活保護に参照するのは難しいのですけれども、このようにしているということを確認しておくのは重要かと思いました。
 以上です。
○駒村委員 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
 国際比較としては、これで一通りですか。
○猪狩社会・援護局保護課長補佐 はい。
○駒村委員 もし引き続き、今のような部分で追加の資料が見つかりましたら、また御提示いただければと思います。
 そうしましたら、次に資料3に移りたいと思います。事務局、お願いいたします。
○猪狩社会・援護局保護課長補佐 資料3でございます。現行の検証手法の課題ということでございます。
 1枚おめくりいただきまして、これまでも御説明しているところでございますが、基準につきまして定期的に検証を行っているところでございます。
 2つ目の○ですが、前回の平成29年検証の検証手法は、これまでの検証手法との継続性、整合性にも配慮した透明性の高い妥当な手法と評価されておりますが、一方、細部につきましては、課題が指摘されているところでございます。
 下のところに主な課題ということで、第1回検討会の資料3でお示しした項目をそのまま記載したものでございます。大きくこの4つをお示ししたところでございまして、今回はそれぞれの項目について細か目に、どのようなことなのかを確認するための資料を作成したところでございます。今回は左の1と2についての資料ということになります。
 個々に御説明してまいりたいと思います。
 2ページ目でございますが、水準検証における比較対象ということでございます。
 (1)としまして、比較対象とする所得階層ということでございます。
 御案内のとおり、生活保護におきまして保障すべき最低生活の水準というのは、一般国民生活における消費水準の比較における相対的に設定しているということでございます。
 このうち、生活扶助基準につきましては、昭和59年以降、一般国民の消費実態との均衡を図る「水準均衡方式」という考え方をとるとともに、平成16年以降は一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているかという検証をあわせて行っているところでございます。
 この水準均衡方式は昭和59年以降でございますが、その前の昭和58年の検証におきまして用いられた手法というのは、一般国民との水準と比較して妥当かということを検証するために「変曲点」という概念を用いて行ったところでございます。
 この昭和58年の検証結果では、年収階級第2.99・五十分位というところで変曲点が見られたところであり、これ以降、おおむね第1・十分位の平均消費水準と比較してきたところでございます。
 前回の平成29年度の検証におきましては、このような変曲点の分析に加えまして、新たに消費支出階級別の消費データを用いて、家計の消費構造が変化する点、固定的経費の支出割合が上昇する点についての分析を行ったところでございます。
 この変曲点の分析、それから、家計の消費構造が変化する点の分析をあわせて実施した結果としまして、2つ目の○ですが、平成29年度検証においても第1・十分位というものを比較対象としたということになっております。
 ただし、部会報告におきましては、この一般低所得との均衡のみで水準を捉えていると、比較する消費水準が低下すると絶対的な水準を割ってしまう懸念があるという指摘もされたというところでございます。
 以上の点を踏まえまして、検討課題としましては、前回平成29年検証の分析手法の評価も含めまして、比較対象とする所得階層の設定についてどう考えるかといったものがあるところでございます。
 4ページ目ですが、比較する対象のモデル世帯と一般世帯との消費格差というものでございます。
 先ほど御説明しましたとおり、2つ目の○ですが、基本的に変曲点という概念を用いて、当時の生活扶助基準がほぼ妥当だという評価を行ったところでございます。
 これに加えまして、近年の検証につきましては、この第1・十分位の消費水準を比較対象としているわけでございますが、この妥当性を確認する一つの手法としまして、世帯類型別にそれぞれの年収階級第1・十分位の消費支出、検証結果を反映しました実際の基準額と、一般世帯の年収階級第3・五分位、ほぼ中位ということでございますが、ここの消費支出額との格差の確認を行っているところです。
 その結果、平成29年検証では、夫婦子1人世帯のモデル世帯では約6割、高齢単身では約5割ということを確認したということでございます。
 これを踏まえまして、検討課題につきましては、まず、展開方式ということで行っているわけですが、まず、この基本的な枠組みについてどう考えるかというのが一つ、前提としてあると思います。
 その次に、この展開後の基準額と、一般国民の消費水準との格差の検証について、今、議論しております「最低限度の生活を送るために必要な水準」との関係について、どう考えるかというところです。
 3つ目の○は、前提として世帯類型別に見ていくわけなのですけれども、当然、世帯類型によって母集団の収入が異なりますので、そのようなことを踏まえて、これをどう評価するか、その割合をどう捉えるべきかということになるかと思います。
 6ページにつきましては、比較対象とするモデル世帯ということでございます。(現状)のうちの2つ目の○、平成29年検証につきましては、夫婦子1人世帯のモデル世帯に加えまして、高齢者世帯についてもモデルとして設定して、基準検証における比較対象とすることを試みたというところでございます。
 7ページ目でございます。その結果として書いておりますが、夫婦子1人世帯につきましては御案内のとおり、変曲点分析等の結果を参照し、妥当とされたわけでございますが、高齢者世帯につきましては、他の年齢階層に比べて、貯蓄の取り崩しによる生活費を賄うということが多いことを踏まえて、貯蓄額を年収換算した分析をしたところでございますが、平均余命で行う方法と、実際の取り崩し額で行う方法と2つ試みましたが、両者にばらつきが見られたということから、高齢世帯の変曲点分析については結果を得られなかったというところでございます。
 このためということで、3つ目の○でございますが、高齢者世帯につきましては高齢夫婦世帯の消費から見た分析結果を参照したということでございます。
 これらを踏まえた検討課題としましては、従前から言われておりますが、モデル世帯につきまして、これまでのモデル世帯の設定の考え方、平成29年検証における試みとして行った高齢世帯をモデルとした検証結果を踏まえて、今後どのように考えていくかということであると思っております。
 8ページ目でございますが「2 年齢・世帯人員・級地別の体系検証等について」ということでございます。
 (1)が指数展開による検証ということでございます。現状でございますが、1つ目の○でございます。平成24年検証、平成29年検証につきましては、年齢、世帯人員、級地別における一般低所得世帯の消費実態と生活扶助基準との間に、どの程度乖離が生じているのかということを一体的に検証を行ったということでございます。
 いわゆる年齢、世帯人員、級地別の3つの要素における一般低所得世帯の消費実態と基準との比較においては、こちらは水準の高さを比較するものではなく、あくまでも年齢間、世帯人員間、級地間のバランスの比較を目的としているものでございまして、このような観点から、指数換算による比較を行っているところでございます。この比較に当たりましては、指数算出につきまして、回帰分析等を用いることによって行っているところです。
 以上を踏まえました検討課題としましては、まず、体系的なところ、基本的な枠組みをどう考えるかというところ、それから、この3要素で構成される基準体系との関係に留意しつつ、これまでの検証手法についてどのように考えるかといったところを書かせていただいております。
 9ページ目でございますが、こちらは生活扶助基準の第1類費、第2類費の区分ということでございます。御案内のとおり、生活扶助基準につきましては、個人的経費である第1類費と世帯共通的経費である第2類費から構成されるということでございます。
 現行の基準の設定方法につきましては、第1類費の基準額は個人の年齢による差に着目している。第2類費は、世帯人員別によるスケールメリットを考慮して、世帯人員別に設定しております。
 第1類費につきましては、2つ目の○でございますが、基準額表は個人の年齢別で定めておりますが、実際には足したものに逓減率というものを掛けることによって、スケールメリットを一定程度反映させるということにしております。
 3つ目の○ですが、第2類費につきましては、かつての平成19年検証の報告において、年齢による支出の差が見られるという指摘もなされたというところでございます。
 そうなりますと、1類費と2類費が同様の考え方になるということなのですが、そのようなことを踏まえて、1類費と2類費の支出費目の精査を平成29年検証で試みましたが、なかなか具体的な結論を得るまでに至らなかったというのが、これまでの経緯ということでございます。
 以上の経緯を踏まえまして、この1類費と2類費の区分、その必要性といったものについてどのように考えるかということを課題として掲げさせていただいております。
 最後に10ページでございますが、検証に使用する統計データ(全国消費実態調査等)ということでございます。現状としまして、現在の基準の検証に当たりましては、我が国の中で一般国民の消費の実情に関する大規模統計調査であります「全国消費実態調査」を用いて行っております。
 平成29年検証では、全国消費実態調査そのものについても様々なことが指摘されたところでございます。
 なお、この全国消費実態調査につきましては総務省が実施する調査でございます。次回の調査は令和元年に実施されるわけでございますが、今回の調査から実施方法及び内容が見直されるということでございます。これに伴いまして、調査名称も「全国家計構造調査」と変更されております。
 具体的には、※印ですが、まず、二人以上世帯における調査月数を3カ月から2カ月に短縮するということにより、単身世帯、二人以上世帯ともに調査月は10月、11月の2カ月になるということでございます。
 調査客体数につきましては、記入者負担の軽減という観点から、5万6,000世帯から約4万世帯に縮小するということでございますが、その内訳については、二人以上が3万3,000、単身世帯が6,700ということでございます。
 この単身世帯につきましては、これまでの全国消費実態調査では4,700世帯が単身ということでございますので、単身世帯につきましては調査対象世帯数を増やすといった内容の見直しでございます。
 最後ですが、耐久財等調査については廃止するということです。
 こういった見直しを行っているところでございます。
 これを踏まえた検討課題としまして、このような全国家計構造調査、もしくは、これを補完するデータ、補完方法等も含めて、使用するデータについてどのように考えるかということでございます。
 簡単ではございますが、説明は以上でございます。
○駒村委員 ありがとうございます。
 資料3はこれからの検証に向けて、検証の現行制度の課題についてのお話をいただきました。
 委員の皆さんから、これについての御意見とかはありますか。
 先ほど岩永さんからも話がありましたように、他国との比較では、制度の組み立て方が給付水準や資産保有の持ち方に影響を与えているということで、日本の場合は現役、高齢者関係なく、一応生活が厳しい人に対する一般扶助という形で、他国の場合はカテゴリー別という形で分けてきていて、一般扶助でやると、あるモデル世帯を決めて、そこから展開して指数を決める。どうしても多様性へ向かってくるときついというか、展開が難しい部分が増えてくるのではないか。
 それに比べるとカテゴリーのほうが、そういう意味ではイメージしている世帯が明瞭なので、それに比べれば負荷が低い。
 ただ、恐らく一般世帯、一般扶助型とカテゴリー扶助型でそれぞれメリット、デメリットはあるのだろうとは思いますし、カテゴリー型がいいかどうかというのはわかりませんし、そちらに関心を置くという話として、基準部会の守備範囲を超えてしまいますけれども、他の所得保障制度との関連性も含めていくという大きな作業になってしまう。
 こういった部分の話になると、ほかの所得保障制度を含めての議論をやらなければいけなくて、これは1個の大きな切り口ですけれども、我々の守備範囲を超えてしまっているものだとすると、我々としては、現行の展開方式のどこを改善するのか。
 先ほど議論があったように、社会とのつながり、あるいは、親族とのつながりが今のところ、なかなか厳しい状態になっている。交際関係です。これは交際と言ってしまうので、何か贅沢なイメージもあるけれども、厚労省も社会的孤立をなるべく防止しようと。孤立が様々なストレス、あるいは精神的な課題につながれば、これは医療費や現場の負担がかかってくるわけですので、その新機軸としては、社会とのつながりとか、親族とのつながりをどう保障していくのかというのが、一つ考慮しなければいけない点だという議論もあり得ると思います。
 外からやってきた課題としては、10ページにある、これまで我々が当てにしていたというか使っていた全消が大きく変わって、調査手法も対象も変わってきてしまうとなると、統計的にはそういう方法も、統計のほうの都合であるわけですけれども、これを生活扶助の参照というかデータにしていたわけですので、大きく結果が変わってしまう可能性もある。この議論を始めるころには余り意識していなかったと思いますけれども、データというか統計が変わるということに関しても何らかの考えを整理しておかないと、そのままの方法でやってしまえば変化してしまう。
 従来とは違う、変化するというか、考え直さなければいけない部分も外生的には出てきているということも、今日の資料からわかったわけですけれども、今の点でもいいですし、ほかの点でもいいですので、委員の皆さんから御意見、御発言があればと思いますけれども、いかがでしょうか。
 阿部委員、お願いします。
○阿部委員 非常に大きな話で、駒村先生のほうから挙げていただいたことと非常につながるのですけれども、この資料の中にあるのは、現行のやり方を想定したときの課題ということが言えるかと思います。
 このやり方を何回かやってきて、そのたびに新しい手法を考えなければいけないという話が出て、それで今回の基準部会とは別に切り出して、新たな検証手法の開発のための特別な会議を設けていただいたということになると思うのです。
 ですので、ここに来る前の段階として、現行のやり方と、先ほど駒村先生がカテゴリー別ということも一つおっしゃったかと思いますし、例えばほかの諸外国のように、扶助タイプで全部切り分けるとか、そのようなやり方をやるとか、今、既に幾つかの、例えば同時進行でMISのものとか、マーケット・バスケットのものとか、色々委託研究でやっていただいていると思いますけれども、それがどこに入るのかという議論も含めて、この場はもうちょっと、このもう一段階前の議論をするべきではないかと私は思います。そのためにこの会が設けられたのではないかと思いますので、具体的にどこを比較対象とするかだとか、モデル世帯をどうするかとか言う前に、根本的にどこが問題なのかといったところを、話し合う場を設けていただきたいと思います。
○駒村委員 これはどうなのでしょうか。非常に大きな話でしょうけれども、検証手法に非常に負荷がかかるようになってきた。これは世帯類型の多様化の問題もあれば、生活保護制度が定着した、今のやり方が決まった1980年代だとせいぜい寿命が75歳ぐらいだったと思うのですけれども、非常に長い老後を迎えるようになると、生涯にわたって同じような、ある1個の方法から展開するようなやり方でひずみが出ないのかどうか。それで前回は高齢者部分を少し工夫したらどうかということもトライしてきたわけでありますけれども、そうなってくると、今度は貯蓄の扱いが非常に難しい問題として出てくるということで、従来の検証方法の課題がこの議論をやっていれば出てくるわけでありますが、阿部さんの言っているようなことを一つ、どういう形がいいかはわかりませんけれども、何か言及するということもありかと思いますが、そこから先の話になると、またかなりステージの大きな話になってしまうかもしれませんから、今日のところはまず検証手法で、従来方法のほうではかなり負荷がかかってきていますということを確認しているということだと思います。
 この話はまた少し議論できればと思いますけれども、基準の検証という部分では少し抜けてしまうかもしれませんけれども、ただ、基準の検証においての課題が非常に目立ってきた。それを解く方法は、この中だけで解くのか、外で解いてもらいたい部分もあるのかということは少し考えてもいいかもしれないと思います。
 山田委員、お願いします。
○山田委員 駒村先生もおっしゃっていたように、検証に使用する統計データが、二人以上世帯がかなり大きく減るというのはこれからの検証の制約になるのか、ならないのかというのは、外から来た話として私も非常に懸念しているというのが1点目です。
 あと、資料1からの流れの話で言うと、急な出費にどうするのかとか、交際費みたいな、社会関係の維持みたいなものをどうするかといったときに、先ほど阿部先生もおっしゃったように、資産をどのように考えていくかという話がどうしても出てくると思うのです。ですから、多分、水準検証の中で就労自立給付金のようなものが出てきたので、そういうのをどのように考えるのかというのは、1、2の話に入るのかということです。
 3点目としては、カテゴリー扶助と一般扶助といった場合に、日本の場合は一応一般扶助の形はとっているのですけれども、各種加算という形で、カテゴリー的な要素も組み込んでいるわけです。いつも生活扶助基準の本体が出てから加算の話ということなのですけれども、先ほどの阿部委員からのお話は、それでいいのかという疑問を投げかけているような感じもしました。ただ、カテゴリー別に考えるといった場合に、それに耐え得るようなデータをどのように考えるのかというのは、最初の1点目とも非常に関係することですけれども、課題だと思いました。
○駒村委員 阿部委員、お願いします。
○阿部委員 何度もすみません。
 議論の初めとして、例えば、MISというのは今のとは全く違うやり方で、消費実態ではなくて理論生計費のほうから入るというやり方なので、考え方として全く違う。そういったものを、恐らく全部を取り入れることはできないのですけれども、一部を取り入れることができるのかといった議論です。例えば、先ほどのカテゴリーの話で、それを加算の部分だけ行うとか、生計費のほうは今までどおり消費実態で、相対的比較で第1・十分位等のやり方でやるけれども、加算は理論的にやるとか、そういったことも可能かと思うのです。今のものとそれほど大きくやり方を変えるわけではない。
 実は子どものところはそちらに既に少し走り始めているのです。というのは、前回のときに健全育成とかいう観点で、子どものところの様々な加算の算定の仕方が書いてあるのですけれども、そこには第1・十分位との比較という考え方は入っていないのです。そこは平均値であったり、実費は全部出すとか、そういった考え方が入っていて、加算の部分で、それはそのほかの生活扶助の部分の考え方と違うやり方をやっているわけです。
 そういったところは、例えば先ほどの交際費であれば社会参加加算といった形で、そこは理論生計費のものとか、また違う考え方で導入するとか、そういったことを、今のものを全部理論的にやるというのは難しいかもしれませんけれども、部分的に変えつつ、より実際の最低生活費に近いもの。実際の最低生活費というのは、本当に人々が最低限健康で文化的な生活を送るために必要な費用ということですけれども、それに近づくものをつくっていくということはできるのではないかと思うのです。
 例えば、先ほどの第1類費、第2類費とか、生活扶助でどこまで見るのかとか、そういった議論で、かつ、どこの部分を加算に移してとか、それは子どもの部分では前回随分やったと思うのです。どこの部分は生活扶助費の中で見るのかといった決め方です。そういった議論をここでやっていくと、次の基準部会でのときに非常に大きな参考になるのではないかと思います。
○駒村委員 ありがとうございます。
 ほかの委員はいかがでしょうか。
 大きい解き方から、あるいは、検討会の中での一つの解き方として今、阿部委員がおっしゃったように、一般扶助方式の本体部分については、モデル世帯からの水準均衡の解き方をしつつも、加算部分については実質的にカテゴリー的な部分を考えるために、何らかの理論的な、あるいは政策的な意図を持った加算というものがあってものいいのではないかというお話だったと思いますので、従来からの、全てを均衡的な発想でやるのか、ある種のターゲット的な部分を考慮してもいいのではないか。色々な考え方があると思いますので、また継続的に議論したいと思います。
 岩永先生、手が挙がったのでお願いします。
○岩永委員 今、すごく大きな話が出ていて、そのとおりだと思いますし、そもそもここで議論できることが、生活保護ではなくて、社会保障制度全体の役割分担のなかで限界があるということはあると思います。それによる苦しさとできなさみたいなのがあるとは思うのですけれども、一方でというか、今日の話に関連して、7ページの検討課題で、高齢者世帯をモデル世帯としてまたやるかどうかという話があります。モデル世帯というのが、この6ページのところで書いているように、先ほどから駒村先生がおっしゃっているように、標準世帯という意味が一つだと思うのです。そうでないとそこから展開していくというのはおかしいので、標準世帯2つでしたらカテゴリカルになると思うのです。ただ、高齢者世帯については、前回のように、標準世帯という意味ではないモデル世帯として設定してやる必要があるかと思いました。
 というのも、現状の基準額は75歳からいきなり4,000円ぐらい下がります。今、1回目の資料とかを見ていて、多分、前回の検証結果で75歳から少し下がるので、75歳から下がるという基準が設定されたと思うのですけれども、普通に考えて、普通と簡単にいってよいかわからないのですけれども、74歳で生活していて、75歳の誕生日になった途端に、いきなり基準が4,000円下がるというのは受給者の人には大変不可解だと思うのです。あれ、何も変わっていないのに、75歳から何で基準額が下がるのかと、普通の生活の感覚から言うと、それは制度に制約されている生活なので仕方ないと説明するしかないと思うのですけれども、そこは受給している方にとってはすごく納得しがたいのではないかと思うのです。
 そうやってさかのぼって考えてくると、そもそも高齢者に老齢加算があって、それを10年以上前にとっているという経緯があって、その中で、例えば裁判の中とかでも、交際費を一番削ったとか、冠婚葬祭に行けなくなったという話はすごくよく聞くので、それと先ほどの剥奪指標みたいなのを見ても、そういうのは難しいというのが出ているのだとすると、高齢者の動向には注意しなければならない。高齢者世帯は生活保護世帯の中ですごく大きな割合を占めるので、高齢者世帯がどのように生活しているかということはきちんと把握しておくべきだし、もちろん、標準世帯、3人世帯が展開するということをやめるかどうかということも、先ほどの大きな議論とかかわるので、そこに今、確固たる意見はないのですけれども、高齢者世帯をきちんと見ておくことは大変重要かと思います。
 以上です。
○駒村委員 ありがとうございます。この辺も非常に重要な議論で、そこになってくると貯蓄の扱いとか、色々と派生してくる問題が出てくるので、そこは本当に。
 ただ、半分近くが高齢者世帯であるということや、今後の展望、高齢化を考えると非常に大きなことになってくるのかと思いますので、これは引き続き議論したいと思います。
 ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、おおむね予定の時刻になってきましたので、本日の議事はこれで終了したいと思います。
 最後に、次回の開催について、事務局から連絡をお願いいたします。
○梶野社会・援護局保護課長 次回の日程につきましては調整中でして、追って御連絡させていただきます。
 よろしくお願いいたします。
○駒村委員 それでは、本日の議論は以上にさせていただきます。
 御多忙の中、大変ありがとうございま