2019年12月16日 第24回社会保障審議会福祉部会

1.日時

令和元年12月16日(月)16:00~19:00

2.場所

TKP新橋カンファレンスセンター ホール12E

3.出席者(五十音順)

4.議題

(1)地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進について
(2)社会福祉法人の事業展開等の在り方について
(3)介護福祉士養成施設卒業生に対する国家試験の義務付けについて
(4)その他
 

5.議事

(以下、各委員等発言内容)

○田中部会長 皆さん、こんにちは。定刻になりましたので、ただ今より「第24回社会保障審議会福祉部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりいただき、誠にありがとうございます。
事務局より、本日の委員の出欠状況について、説明をお願いします。
○岡河地域福祉課長 地域福祉課長の岡河でございます。
本日の委員の出欠状況について、御報告を申し上げます。
本日は、井手之上委員より御欠席の連絡をいただいております。
なお、黒岩委員の代理といたしまして神奈川県福祉子どもみらい局福祉部長の柏﨑参考人に、和気委員の代理といたしまして、一般社団法人日本ソーシャルワーク教育学校連盟常務理事の松本参考人に御出席いただいております。
また、堀田委員、保井委員は遅れて御出席されると御連絡をいただいております。藤井委員についても、若干遅れられているようでございます。
以上でございます。
○田中部会長 ありがとうございました。
カメラの方は、ここまでとして下さい。
(カメラ退室)
○田中部会長 続いて、議事に入る前に資料の確認を行います。
事務局から説明をお願いします。
○岡河地域福祉課長 お手元のタブレットに、事務局からの提出資料といたしまして、
資料1「『地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会』(地域共生社会推進検討会)最終取りまとめ案(概要)」、
資料2「『地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会』(地域共生社会推進検討会)報告書案(本文)」、
資料3「『社会福祉法人の事業展開等に関する検討会』最終取りまとめ(概要)」、
資料4「『社会福祉法人の事業展開等に関する検討会』報告書(本文)」、
資料5「介護福祉士養成施設卒業生に対する国家試験の義務付けについて」、
以上の5種類及び奥山委員提出資料を保存させていただいております。
なお、別フォルダに、前回の福祉部会の資料も格納されておりますので、必要に応じて御参照賜れればと思っております。
このほか、本日は当日配付資料といたしまして「介護福祉士養成施設卒業生への国家試験義務付けの経過措置の在り方に関する議論の整理(案)」という紙の資料を机上に配付させていただいております。
不備等ございますれば、事務局にお申しつけいただければと思います。
○田中部会長 ありがとうございました。
ここから議事に入ります。
まず、資料1と資料2について、事務局より説明して下さい。
○吉田生活困窮者自立支援室長 生活困窮者自立支援室長でございます。
資料1で地域共生社会推進検討会の最終取りまとめ案(概要)、資料2で報告書本体を提出させていただいておりますが、資料1に基づきまして、御説明をさせていただきます。
前回の福祉部会でも御説明、御報告させていただきましたが、1ページ目、地域共生社会推進検討会については、宮本部会長代理を座長に戴き、議論を進めているところです。
具体的に「2 主な検討項目」でございますが、次期社会福祉法改正に向けた市町村における包括的な支援体制の整備のあり方等を検討していただくため、構成員の皆さんにお集まりいただき、御議論いただいてきたところでございます。
「4 審議スケジュール・開催状況」にもございますが、12月10日に最終取りまとめ案を出しまして、様々な御意見をいただき、現在、修正を行っているところです。
その概略を資料に基づいて御説明させていただきます。
5ページ目をご覧下さい。「新たな包括的な支援の機能等について」という資料でございます。8050問題や社会的孤立の問題、家族全体で複数の問題を抱えられているケースが増えてきているという状況がございます。それらに対応していくために、市町村が包括的な支援体制を整備していく必要性があるという御指摘をいただいているところです。
さらに、検討会の御議論の中では、この図にも書かれていますように、1つ目「断らない相談支援」、2つ目「参加支援」、3つ目「地域づくりに向けた支援」という支援を一体的に実施する事業を創設してはどうかという御提言をいただいているところです。
具体的に「断らない相談支援」については、左下の図にも書いてございますが、属性にかかわらず、地域の様々な相談を受けとめ、自ら対応し、対応できないものについては必要な機関につないでいくという機能がございます。
その下の部分で、つなぐ機能と関連しますが、多機関協働の中核の機能ということで、支援関係者間を調整するような機能を充実していこうということです。
右にございます「参加支援」については、断らない相談支援の中で浮かび上がってきた課題などにつきまして、御本人を社会につなぎ戻していき、社会とのつながりや参加を支援する機能も充実していかなければいけないということです。
3つ目、上の部分ですが、「地域づくりに向けた支援」は、居場所づくりも含めて、場の機能を充実させて孤立を防いでいく、人と人とのつながりを作っていくということです。それを応援する地域づくりをコーディネートする機能も併せ持たせて、地域づくりを応援していこうということになってございます。
上の四角にございますけれども、本事業全体の理念について、2つ目の◆に書いてございますが、支援窓口になかなか来ていただけない方もいらっしゃいます。そういう方に支援を届けるため、アウトリーチを含む早期の支援でありますとか、世帯を包括的に受けとめる支援、本人を中心とし、本人の力を引き出す支援、また信頼関係を基盤とした継続的な支援、地域とのつながりや関係性づくりを行う支援がこの事業の中で発揮されるようにしていこうという御提言をいただいています。
6ページ目をご覧下さい。「市町村の包括的支援体制の構築」ということで、新たな事業の枠組について整理をさせていただいています。2つ目の矢印のところで、新たな事業は、実施を希望する市町村の手挙げに基づく任意事業として、市町村において体制が整った段階で手を挙げていただく事業ということで想定してございます。
3つ目の矢印ですが、法的な整理については、社会福祉法の改正を念頭に御議論を進めていただいているところでございますが、この新たな事業の実施に要する費用につきましては、市町村の支弁規定及び国等による補助の規定を社会福祉法の中に新設していくことを考えてございます。
それを通じまして、4つ目の矢印ですが、国の補助につきましては1本の補助要綱に基づく申請等により、制度別に設けられた支援、介護、障害、子ども、生活困窮というふうに制度別に補助金が支給されています。それらについて、一体的な交付、一体的な実施を推進していき、狭間のない支援を実現していこうと考えてございます。
「新たな事業の内容(①~③を一体的に実施)」と書いてございますが、①の「断らない相談支援」については、介護、障害、子ども、生活困窮の相談支援に係る事業を一体的に実施していくということです。その中では、本人・世帯の属性にかかわらず受けとめるということをしていただきたいと思っておりまして、支援対象者については、御議論いただく中で、本人・世帯の属性を問わず、福祉・介護、保健・医療、住まい・就労及び教育に関する課題や地域社会からの孤立など、様々な課題を抱えておられる全ての住民の方が対象になってくるのではないかという御指摘もいただいているところです。
②の「参加支援」については、断らない相談支援と一体的に行うということで、具体的には就労や居住、居場所の提供など、多様な社会参加、社会とのつながりを作っていくような支援を実施していこうというところです。
③の「地域づくりに向けた支援」については、コーディネートの機能と場づくりの機能を併せ持たせるようなことをしていくべきではないかという御指摘をいただいています。
7ページ目でございます。「新たな事業について」ということで、事業全体のイメージを整理させていただいています。上の四角に書いてございますが、この事業の中で充実・強化していく機能がございます。具体的には2つ目の○に書いてございますが、断らない相談支援の機能につながった本人・世帯に対し、複雑・複合的な課題が存在している場合には、新たに整備する多機関協働の中核の機能が複数の支援者間を調整するとともに、地域とのつながりを構築する参加支援へのつなぎを行うということで、図で言うと真ん中に水色の人のマークがあると思います。その横に赤色で「新」ということで「多機関協働の中核の機能」と書かせていただいています。色々な調整をする方ということで、消費者相談、多文化共生、問題に応じて必要な支援者につないだり、社会とのつながりを作っていく必要がある場合は、居住や居場所、就労につないだりといった調整をする機能を持たせていこうということです。
上の四角に戻りまして、3つ目の○ですが、支援ニーズが明らかでない本人・世帯の方がいらっしゃいます。こうした課題を解きほぐしていかないといけない方については、なかなか窓口に来ていただきにくいこともありますので、アウトリーチによる支援などを通じて、継続的につながり続ける伴走の機能を持たせる、そういうことで関係性を作っていく、保っていくということを考えてございます。
具体的には、図の中で言いますと、断らない相談窓口の横側に2つ、黄色の人のマークで「新」と書いてございますが、こういう新しい機能、アウトリーチによる支援など、継続的な伴走支援の機能を充実させていくということでございます。
もう一段、御説明いたしますと、参加支援につきましては、つながりや参加の支援ということで「新」と書いてございまして、狭間のニーズにも対応する参加支援を強化というについては、今は介護給付や障害者の支援など、色々既存の支援の充実が図られてきております。そこにつなぐことで問題が解決する、少しステージが進む方もいらっしゃいますし、一方で、なかなか既存の支援では対応しにくい狭間のニーズをお持ちである方がいらっしゃるケースもございます。報告書の中では、例えば、生活困窮者の就労体験に、経済的困窮の状態にない、ひきこもりの支援の方に加わっていただくという措置なども記載されてございます。そのように、今までなかなか既存の仕組みの中では対応できなかった狭間のニーズにも対応できるように、そうした参加支援の機能を強化していこうという御議論をいただいているところです。
右側、地域づくりに向けた支援については、先ほどから場づくりをコーディネートする機能というのは申し上げているところですが、加えて、多分野協働のプラットフォームを構築していくことの重要性も御指摘いただいています。我々はもちろん社会福祉を射程に議論している訳ですけれども、地域共生社会の議論の間口自体は広いものです。他省庁の分野で、例えば地方創生や環境、まちづくり、観光、農業など様々な取り組みが行われており、現場においても色々な活動をされている方がいらっしゃいます。そういう方々にうまく多分野協働のプラットフォームの中で出会っていただいて、地域を盛り上げていこうということも考えてございます。
また、場や居場所の機能については、人と人とがつながっていくということもございますし、また、断らない相談支援との関係で申し上げれば、そういう場の中で人と人との関係性、つながりができることによって、ちょっと気になる方がいらっしゃれば、早期の断らない相談支援につなげること、例えばアウトリーチにつなげることによって、支援を届けることができるということも期待できるのではないかという御議論をいただいているところでございます。
8ページ目をご覧下さい。新たな事業の枠組みということで、これは少しお金の流れに着目をして、整理させていただいているところでございます。断らない相談支援、参加支援、地域づくりに向けた支援の3つの支援がある訳ですけれども、特に断らない相談支援については、現行の仕組みのところはそれぞれ分野ごとに、高齢分野、障害分野、子ども分野、生活困窮分野の相談支援事業の補助金が流れてございます。これを一体的に執行していくこを実現させていきたいと思ってございまして、そういうことを通じて、右側の断らない相談支援のところに書いていますが、属性や世代を問わない相談を実現していくことも考えてございます。
併せて、多機関協働の中核やアウトリーチをする専門職による伴走支援も強化をしていき、市町村全体として断らない相談支援も実現していっていただこうということを考えてございます。
左下の地域づくりに向けた支援も同様でございまして、各制度の補助等について一体的に執行することによって、市町村における多様な居場所や参加の輪の創出等を狙っていこうということでございます。
一方、右側の参加支援につきましては、既存の高齢分野、障害分野、子ども分野、生活困窮分野の事業が展開されてございます。そういう既存事業をうまく生かしながら、どうしても対応できない狭間のニーズにも対応していく。先ほど生活困窮者ではない、ひきこもりの方を支援につなげていくという例も御紹介させていただきましたが、ニーズに応じて地域資源をうまく使いながら、参加の場や参加につながるような支援を充実させていこうということで、そういう部分に新規の機能として新たな財政支援をしていきたいということを考えておるところでございます。
9ページ目、10ページ目を併せてご覧いただければと思いますが、今、申し上げたとおり、断らない相談支援と地域づくりに向けた支援につきましては、補助金を一体的に執行していこうということを考えてございます。9ページにつきましては、今、既存で行われている相談支援事業の一覧という形で記載させていただいています。ここに掲げている事業などを一体的に執行していって、属性を問わないような相談支援を実現していきたいという考えです。
10ページ目は地域づくりの方でございます。介護、障害、子ども、生活困窮それぞれの分野でコーディネート機能に当たる者や、出会い、参加する場、居場所の確保に関する補助事業が行われています。これにつきましても、手を挙げていただいた自治体において補助金を一体的に執行していって、多様な参加の場、居場所づくりを進めていこうということを考えてございます。
引き続いて、11ページ目をご覧いただければと思います。「介護、障害、子ども、生活困窮の各制度から拠出する際の基本的な考え方」と書いてございます。一体的に交付していく断らない相談支援、地域づくりに向けた支援については、どのようなルールでやっていくかということが今後議論していかなければならない論点です。その中で、検討会において最終取りまとめの中でも一定の方向性を示していただいておりますので、その内容を転記してございます。
1つ目の○でございますが、新たな事業において実施される支援のうち、市町村が行う断らない相談支援、地域づくりに向けた支援については、属性を超えた支援の柔軟かつ円滑な提供が求められる。このため、国による財政支援は、介護、障害、子ども、生活困窮の各制度における関連事業に係る補助について一体的な執行を行うことができる仕組みとすべきであるとしていただいています。
2つ目の○で具体的な方向性を示していただいていますが、既存の各制度における基準額や補助率などが異なることを踏まえ事業費を積み上げていく訳ですけれども、積み上げ方や配分方法について検討を行う必要があるということです。その際、4つの制度を一体的に執行していく訳ですので、その拠出については、拠出が特定の制度に偏らないように、合理的なルールに基づく機械的な方法による按分とすることが必要であるといった御意見、公平性をしっかりと担保すべきといった御意見だと思います。
それから、現在の取り組みを継続できるような交付水準を保つべきであるといった御意見。これは公平性の観点も含めてですけれども、効率化ということに余りつながらないように、現在の取り組みがしっかりと維持できるような交付水準を保つべきといった御意見もいただいているところです。
こうしたことを踏まえて、より詳細を検討すべきであるということを御指摘いただいているところです。
3つ目の○で、これは経費の性質の部分でございますが、財政保障を十分にしていくという観点から、現在、義務的経費とされているものについては、これは生活困窮の補助金などが当たりますが、引き続き義務的経費として整理できるような仕組みとすべきであるということも御指摘いただいているところです。
このように、国レベルでしっかりと財政を確保して、一体的な交付をしていくべきという御議論をいただくとともに、市町村に裁量性をもって一体的な交付をしていくということですので、市町村としてもしっかりと取り組んでもらいたいという御議論が検討会の中でございました。
少し戻っていただいて、6ページ目でございますが、下の方に少し小さい字で、市町村が取り組みを進める上に当たって留意すべき点を書いてございます。国レベルで財源を確保し、それを使いやすい一体的な交付で市町村に裁量性を持って使っていただけるように促していく中で、市町村がどういうプロセスを踏むべきかということが御議論の中で中心に行われてございます。
プロセスが非常に重要だという御意見がたくさん出てございまして、具体的に報告書の中にも書いてございますが、1つ目のところで、地域住民や関係機関とともに、地域のニーズや人材、地域資源の状況等を把握し、見える化した上で分析を行うことが必要であること、それを前提としつつ、地域住民と関係機関の皆さんを議論としながら、包括的支援体制の整備について考え方をまとめ、共通認識を持ちながら取り組みを進めるべきであるということを御指摘いただいています。
また、地域づくりに向けた支援については、特に住民の方々が取り組むものですので、既存の地域のつながりや支え合う関係性を十分理解した上で、地域住民の主体性を中心に置き、活動を応援することを基本とするということ。
3つ目は、事業の開始前だけではなく、事業実施後もということで、地域住民と関係機関の皆さんとの振り返りや議論を繰り返し行いつつ、定期的に分析・評価をして、改善をしていく必要があるということです。
評価に際しては、包括的な支援が円滑に提供されているかといったことや、既存の相談機関を生かしながら、チームで対応し、断らない相談支援を実践していただくということを想定していますが、その中で1つの相談機関等に過剰な負担が生じていないかといった観点や、色々な分野で既存の取り組みを推進していこうという流れもある訳でございます。そういう既存の事業の推進を妨げていないかといった点や、一体的になされた財政支援が適切に配分されているかなどといった、幅広い観点について議論を行うべきとの御指摘もいただいているところです。
※印のところで、市町村はこういうプロセスを踏む訳ですけれども、こうしたプロセスがしっかりと踏めるように、また地域住民や関係機関の皆さんと考え方が共有できるように、幅広い関係者をメンバーとする議論を行う場を市町村が設置する仕組みとすべきであるという御指摘もいただいているところです。
以上のような御議論をいただいているところでございまして、一定の取りまとめをしていただいていて、今、宮本座長に御確認をいただいている段階です。
厚生労働省といたしましては、今後いただく報告書に基づきまして、さらに詳細を検討していきまして、社会福祉法の改正を念頭に、さらに検討の作業を進めていきたいと考えてございます。
以上でございます。
○田中部会長 ありがとうございました。
ただ今説明のあった資料1及び資料2について、委員の皆様で御意見、御質問がありましたらお願いいたします。
高橋委員、お願いします。
○高橋委員 日本保育協会の高橋でございます。
総論的に異論はない訳でございますけれども、6ページにありますように、新たな事業の枠組みとしては市町村の手挙げ方式であること、国の補助については1本の補助要綱による一括交付であること、そのこと自体は理解できるわけでございますが、各事業を見たときに例えば子ども分野で申しますと、10ページにありますように、現在の地域づくり関係事業で、地域子育て支援拠点事業という事業がございます。市町村が実施主体で、直接自治体の担当部署が予算措置をして補助をいただいている訳ですけれども、今後の各論の議論の際に、補助金の包括化によって、従来までの補助のあり方の見直しや縮減というものが極力起こらないように配慮をしていただければと思っております。
また、子ども・子育て会議においては、既に施行後5年の見直しの議論が一応終了して、各自治体においても来年度からの地域版の子ども・子育て支援計画の骨格が既にできておると思います。今後、ここに絡む上位に位置付けられるであろう地域福祉計画と現在進んでいる計画との整合性が図られるようにしていただければと思っています。
以上でございます。
○田中部会長 御要望ですね。ありがとうございます。
井上委員、どうぞ。
○井上委員 御説明ありがとうございました。
基本的には、ひきこもりの方などの対応も入っていて、今の社会のニーズ、相談ニーズに合った考え方なのだろうなと思います。その点では非常に評価するところでございます。
若干お願いも含めてですが、私は障害分野ですけれども、先ほど子ども分野の方もおっしゃったように、私はある種、二階建ての相談支援体制でないとなかなか機能しないのではないかと思っています。なぜ懸念するかというと、介護の地域包括支援センターなどと比べると、障害分野はまだまだ相談支援体制が行き渡っていないし、その実態も曖昧なところがありますので、この事業を進めるにあたっては、障害も児童も、もちろん介護もですけれども、しっかりとした下支えがないとうまく機能しないのではないかという懸念がありますので、今後の施行に当たって、ぜひ御考慮いただきたいというのが一つです。
もう一点は、私は田舎に住んでおりますが、地域の実態というのは大変多様で、相談支援体制も多様だと思います。その辺、先ほど地域の見える化という話がありましたが、地域の診断というか、その辺をきちんとやっていただいて、財政支援も含めての対応がないと、うまく機能していかないのではないかという懸念があります。
目指すべき方向性としてはおっしゃるとおり、そのとおりだと思いますので、ぜひこのような視点で御配慮いただければありがたいと思っております。
以上でございます。
○田中部会長 ありがとうございました。
事務局、どうぞ。
○吉田生活困窮者自立支援室長 ありがとうございます。
御指摘いただいた点、高橋委員から縮減とならないようにというところでございましたが、2つ観点があると思っておりまして、国レベルで財源を確保していくこと、それは最大限頑張っていきたいと思いますし、新たな機能を強化していく部分もございますので、そういう部分については新たに予算を確保できるように、財政当局と調整をしていきたいと思っております。
また、市町村レベルで公平な実態に合った配分ができるようにということも必要になるのではないかと思います。それは先ほど申し上げたとおり、色々と会議体などを設けながら、関係者の方々に入っていただいて、御議論いただくというスキーム、枠組みを作るべきであると検討会の中でも御提言いただいていますので、そういうことも踏まえながらしっかりと対応していきたいと思います。
その他、子育て支援の計画との関係性でございますけれども、計画の整合性を確保していかないといけないと思ってございます。既存の取り組みをしっかりと生かしていくことが前提でございますので、計画分野においても、既存の取り組みが進むような、整合性をとれるような計画にしていきたいと思ってございます。
井上委員におっしゃっていただいた二階建ての相談支援という点ですが、私どもも国として一律に大きなワンストップ窓口を作ってほしいということを意図している訳ではございません。既存の窓口をうまく生かしながら、連携をしながら、ネットワークで支援をしていくことが極めて重要と思ってございます。
障害の窓口で言えば、障害の御相談を受ける中で、御高齢の家族の介護の必要性に気づいたということであれば、今回、多機関協働の中核というつなぎをする機能を強化しますので、そういうところにつないでいただいて、地域包括支援センターを御紹介いただくなどといった形でうまく連携をして、ネットワークで対応していただくことが必要と考えております。
そういうところを市町村が組み立てていくということですが、その中では先ほど申し上げたプロセスが重要だということで、関係機関の方には入っていただくことも想定してございますので、そういうスキームが回るように、我々としても今後、検討を進めていきたいと思っております。
以上でございます。
○田中部会長 新保委員、お願いします。
○新保委員 明治学院大学の新保です。
この度、具体的な課題解決とともに、つながり続けることを目指す福祉政策の新しいアプローチが明らかにされたことには、とても大きな意義があると思っています。
最終取りまとめには、注がとても丁寧に書かれていますけれども、そこに大切なことがたくさん書き込まれているように受けとめました。大事なのは、新しい事業をよりよく展開していくことなのですが、そればかりでなく、新たな事業を実施する自治体だけが、包括的な相談や断らない相談支援、参加支援、地域づくりを行うのではないということではないかと感じております。
実際にこれらは生活困窮者自立支援制度で取り組みが進められていたり、また参加支援のところで言いますと、社会福祉法人の地域における公益的な取組みの中で随分広がってきているのではないかと受けとめております。一人一人の尊厳を大切にして地域や社会に働きかけることは、職種に関係なく社会福祉関係者、専門職の使命であると理解していますし、自治体も同じではないかと思っております。
新しいアプローチと言いますけれども、そもそも私たちがなすべきことなのかもしれません。誰もがかけがえのない存在として地域生活が送れる地域共生社会の実現に向けて、ぜひ取り組みを推進していくことができればと思うところです。
以上です。
○田中部会長 応援をいただきました。ありがとうございました。
西島委員、お願いします。
○西島委員 日本社会福祉士会の西島です。
今回取りまとめていただいて、今まで縦割りであったものを制度横断的に、そして今、本当に地域にある課題にしっかり対応していく仕組みを考えていただいたこと、検討いただいたこと、本当にありがたいことですし、これが全国市町村で広がっていくことが非常に大事ではないかと思うのです。
そんな中で、基本的には市町村の手挙げに基づく任意事業というところで、恐らく段階的に時間をかけてということだろうとは思うのですけれども、どうしても危惧されますのは、積極的に前向きに取り組んでおられるところでは体制が充実していくことと、そうでないところではやはり地域の格差が出てきてしまうのではないかと思うのです。この辺のところについてのお考えをもう一度、確認だけさせていただきたいと思います。
あと、報告書の5ページの「福祉政策の新たなアプローチ」で、専門職による対人支援という形で複数出てくるのですけれども、専門職と言うと非常にたくさんあると思うのです。記憶では、前回は福祉専門職という表現であったような気もするのですが、私どもも当然、専門職の一員としてしっかり役割を果たさないといけないと思っているのですけれども、その辺のところも少し何か補足というか説明があれば聞かせていただけたらと思います。
よろしくお願いいたします。
○田中部会長 地域間の格差に対する御懸念と、専門職についての御質問です。
お答え下さい。
○吉田生活困窮者自立支援室長 ありがとうございます。
地域の格差の御懸念というのは、検討会の中でも御議論いただいてきたところでございます。
新保先生の御指摘とも重なる部分があると思いますが、この事業は手挙げ方式ということで、準備が整った自治体からやっていただくということにしています。この考え方、地域共生社会に向けてこうした取り組みを進めていくという発想は全ての自治体において、我々としても広めていかないといけないと思ってございます。
考え方を専門職の方々に知っていただく、市町村の職員の方に知っていただくということは極めて重要だと思いますし、そういう努力をしていかないといけないということを考えてございます。そういう御議論が検討会の中でも実際にあったところでございます。
そういうことを通じまして、できる限り多くの自治体の方に取り組んでいただけるような環境整備を国としても進めていきたいと考えてございます。
加えて、報告書の中の専門職による対人支援も、検討会の中でも御議論いただいたところでございます。基本的には、保健・医療・福祉の関係者、そういう専門職の方々がこういう具体的な課題解決を目指すアプローチと、つながり続けることを目指すアプローチ、そういうもので支援をしていただく、今後はそういう形のものが重視されていくという御議論があったところでございます。
以上でございます。
○田中部会長 松山委員、お願いします。
○松山委員 御説明ありがとうございました。
今のお話の続きなのですけれども、非常に重要な仕事をすることになる訳ですが、印象としては非常に高度な知識、能力が求められるのではないかと思うのです。その中で、一番鍵になるのは、保健とか医療とか福祉とか色々な専門職の方をコーディネートする機能を持った専門家が必要になると思うのです
というのは、私は2004年にアメリカのセントルイスでこのような仕事をしている人をヒアリングしたことがありまして、その人は低所得層の住宅街で、何人か対象者を担当して色々なことをする訳でありますけれども、役職は上級公務員です。なぜかというと、非常に難しい仕事なので、大学院で社会福祉士の学位を取った人でないと、まずそのポストに座れない。
私がヒアリングしたのは日本人の女性だったのですけれども、その方はワシントン大学を出てそれに就いていたのですが、まず社会的ステータスも高くて、給与も一般の公務員よりも高い。そのかわり大変な仕事だということなのです。
私の質問は、非常に高度な仕事をする訳ですけれども、今の自治体の体制の中で、どういう機能を持った人がそれに当たるのかということと、そういう人材が今、どのくらいいると考えておられていて、もしこれを全国に展開していくとなると、人材育成というものが必定になってくると思うのですけれども、それをどのように考えておられるかをちょっと教えていただければと思ったのです。
よろしくお願いします。
○田中部会長 今、お答えになれますか。
○吉田生活困窮者自立支援室長 ありがとうございます。
非常に難しい御指摘かと思っております。
2つ観点があると思っておりまして、専門職の方々に専門性を発揮していただいて、それを少しコーディネートするような役割が出てくるという側面もあると思いますし、今、言っていただいたとおり、公務員というか、この事業で言いますと、市町村の職員の方に福祉全般を見渡していただく、また、まちづくりや教育などといった隣接分野の制度的な知識、また現場の知識も含めて持っていただいて進めていく、そういう2つの要素があると思ってございます。
検討会でもそういう御議論はいただいてございまして、検討会の報告書の中には市町村の人材の育成確保といったところで、包括的な支援体制をやっていくときには、福祉部門の職員だけではなくて全職員に研修をしていくべきだといった御提案もいただいているところです。
やはり市町村の中でもチームで対応していくことが求められるのではないかという御提案もございましたので、なかなか1人の方が担うというのは現時点では難しい部分もあるかと思いますが、市町村の体制として、そういうものをしっかりと組んでいただくことが必要と思っています。
また、専門職につきましては、今、4分野で色々と事例検討するという仕組みが弱いとも考えておりまして、これも検討会の御議論の中で少し個別事例を検討するような仕組みみたいなものも入れていってはどうかという御提言もいただいています。そうした仕組みを通じて、専門職の間のすり合わせというか、相手方がどういう仕事をしているのか、どういう業務範囲なのかみたいなことがわかるのではないかというところもありますので、色々な措置を講じることで、チームでの支援が進みやすいような体制を作っていくということかなと考えております。
○田中部会長 柏﨑参考人、お願いします。
○柏﨑参考人 ありがとうございます。
全国知事会から神奈川県として参加させていただいております。
行政の立場といたしましては、各自治体、今、地域共生社会あるいは誰も取り残さない社会というものを施行する中で、このような取り組みについては非常に賛同できるところでございます。
そして、この事業が市町村の手挙げ方式に基づく任意の事業ということになっております。せっかくこうした事業ですので、その取り組みの成果と課題の検証も重要になってくると思います。その場合、ある程度、物差しというものが必要なのか、あるいは必要だとすればどのようなものなのかというのはやはり検討していくべきなのかなと思います。
こうした事業については、今後発展させていくためにも、横展開も重要だと考えております。県内という意味では都道府県の役割、全国という意味では国の役割も重要になると思います。そうした意味で、都道府県としてこれにどのように関与できるかということについても御検討いただければと思います。
例えば11ページで、これらの包括的支援に係る一体的な執行ということが掲げられております。市町村は様々で、小規模な市町村ですと、例えば業務の負担という点もあろうかと思いますので、わかりやすい、現場で使い勝手のいいスキームも必要になると思います。こうした点については地方自治体の御意見を伺っていただく機会も必要かなと考えています。
以上でございます。
○田中部会長 ありがとうございます。
荒井委員、どうぞ。
○荒井委員 日本商工会議所の荒井でございます。
地域の経済界や事業者サイドからすると、今回の取りまとめの中で、経済界なり企業が地域とどのようにして係わっていくことかなと思っており、まちづくりや地方創生などについて書いてありますので、そういう分野において参画をする余地が大きいと考えています。
例えば人口減少のため、地方の商店街はシャッター通り化しているところが多い訳です。その空き店舗を活用しようということで、学びの場として整備して、そこには、ひきこもりの方も来るし、リカレント教育の場として子育てなどを理由に一度労働市場から離れた方もいらっしゃったり、あるいは子どもの見守りの拠点にしたり、色々なケースがあります。こういった取り組みを行っているケースは幾つかありますが、まちづくりの関係になるので、一般的には商工予算をつかっているため、福祉予算を活用する発想がなかなか結びつかない部分があります。
これは以前も申し上げたのですが、来年度から各自治体で第2期の地方版の地方創生の総合戦略を作ることになっていますので、自治体の皆様は、恐らく今回の報告書が固まって、法律改正もされて予算の仕組みも変われば、福祉部門の方々を中心によく理解されると思いますが、先ほど行政もチームでというお話がありましたとおり、福祉部門の職員だけではなく、全職員が連携して、地域の方々や、そこに参画されている方々にまで行き届くようなPRなり周知なり御説明をするなり、そういう機会を増やしていくことが必要だと思っています。
以上です。
○田中部会長 沼尾委員、お願いします。
○沼尾委員 今の荒井委員の御発言ともかかわる部分があるのですが、こういう形で市町村の包括的支援体制を構築するということを掲げられたことは本当にすばらしいことだと思うのですけれども、市町村の側からすると、これまでの縦割りの壁をどのように越えればいいのか、分野ごとの障壁を解消していくような仕組みをもう一方で考えていく、あるいは情報提供の仕方を考えていく必要があるのかなと思っています。
先ほど、福祉分野は横断的に補助金が使えるようになったと。それ以外の分野も予算というところがあると思うのですけれども、もう一つ縦割りを越えるのが難しいのが、個人情報の問題と思っています。報告書を見ると、情報共有とか連携ということがうたわれているのですが、それぞれのセクションでとった情報を他の部署に出す、例えば税務の情報や生活保護の世帯の情報を他のセクションとどこまで共有できるのかというところについては、それぞれの自治体の担当者でもなかなか判断がしづらい。
そこをどういうふうに乗り越えるような取り組みをされているケースがあるのかとか、どういうふうに情報を管理しながら、必要なときにシェアできる仕組みを作っているのかとか、そういうところについて、例えば何か先駆的な取り組みをやっている自治体の情報がシェアできるといった工夫が考えられるとよいと思います。
もう一つは、今、国の方でICTの推進やマイナポータルの活用という話も出ている訳ですけれども、個人情報の取り扱いについて、どこまでオープンにしてはいけなくて、何をシェアすればいいかというところがなかなか見えない中で、現場としてどういうふうにしていけばいいのかということに対して、道筋が見えるような方向を示していただく必要があると思いました。それが一つです。
次に、7ページ目の図は、新しい事業のイメージが大変わかりやすく書かれているのですけれども、もし可能であれば、右側の多分野協働のプラットフォームというところに、災害対応ないしは防災というキーワードを入れるといいのではないかという印象を持ちました。
自治体の現場で縦割りの中で、こうした地域づくりの中で多分野が協働するというのは難しい訳ですけれども、特に福祉の分野では、災害対応というところで課題が出たときに連携は必要だよねということで、割とまとまりやすいというところもあるのです。こういう新しい事業の必要性を訴える意味では、防災というキーワードを入れてアピールすることが大変大事ではないかという印象を持ちました。
報告書の中には災害対応という言葉は出てきて、相当検討されているようでしたので、お考えいただければと思った次第です。
以上でございます。
○田中部会長 三好委員、どうぞ。
○三好委員 市町村が包括的支援体制を構築することは、市町村にとりまして大変大きな課題でございましたので、この度の検討会の取り組みは大きな前進だと思っております。
今ほど話が出ておりましたけれども、それを取りまとめる人材が市町村の規模によって全く違いますので、手を挙げたくても挙げられない、挙げづらいといったところがあると思います。今、神奈川県さんの方からも話がありましたけれども、全体を取りまとめて支援をする人材ということをカバーしていただけるような支援体制も必要だろうと思っております。
もう一つ、今ほど災害の話が出ましたけれども、取り組む課題として私も災害というキーワードは前向きに話ができるのではないかと思っております。よく隣の市町村同士の相互支援の対応も含めて、隣町との連携は課題でありました。一つのキーワードは今こそ災害で全ての職種の方が結束できる最大のチャンスでございます。そういう意味での対応のときに、地域での、市町村での包括的な体制支援の関連を災害から進めていくというのは、最善と思っています。
もう一つ、これは評価させていただきたいのですけれども、横断的な支援で、補助事業が横断的に使える。これまでは縦割りで非常に難しい問題がたくさんありましたけれども、そういう意味でいきますと、先ほどの情報も含めて、横断的にできればよろしいなと思っています。その辺はよろしくお願い申し上げたいと思います。
以上でございます。
○田中部会長 ありがとうございます。
保井委員、お願いします。
○保井委員 ありがとうございます。
もう大分出尽くしたところなのですけれども、荒井委員や沼尾委員から地域づくりとの関係が出て、おっしゃるとおりだと思ったのですが、もう少し簡単にできるかなと思う御提案というかお願いとして、これから社会資源のプラットフォームが色々できていって、場合によっては福祉のみならず近隣分野のまちづくりや地方創生などとつながって行く中で、恐らく課題になっていくのは、多様な社会資源が出てきたときに、それを受け手がどう評価するかというか、本当にそれはいいものなのかどうかという判断がつかなくなるような気がするのです。
あと、色々調査をして見ていくと、ひきこもりの人、貧困の当事者の人が、まず情報をどこから得ているかというとインターネットからなのです。そのときに、もう御承知のとおり今、出てくるものは玉石混淆で、場合によっては非常に悪質なものが隠れています。ここで、適切なところに確実に誘導はできないとしても、ある程度広い社会資源の情報が得られて、場合によってはそれが信頼できるのか、できないのか、あるいは利用者がどのように感じたのか、何が得意なのかという一時的な情報が得られるようにするというのは、ひょっとしたら相談支援に行きつくまでの非常に重要なステップではないかと思いますので、その辺はぜひ、これからプラットフォームを作っていかれる中で、市町村全体の協力体制の中でぜひ作っていただきたいというのが一つです。
そういうことも考えますと、先ほど来、人材のことが出ているのですけれども、この推進体制づくりというのは、私もどちらかというと、まちづくりの分野で福祉の分野とつなぐべきだということを言う訳ですが、やはりなかなか難しくて、現場を行う人材もそうなのですけれども、その推進体制を持つのは首長に一番近いところにあって、場合によっては建設、まちづくり、経済、福祉それぞれの資源をつなぎながら、全体の方向性を決めていくような体制ができないと、なかなか難しいのかなと思いますので、それを全体とは申しませんけれども、何かモデル的にうまくやっているところを生み出していただいて、共有いただきたいと思います。
以上です。
○田中部会長 ありがとうございました。
鴻江委員、お願いします。
○鴻江委員 全国老施協の鴻江でございます。
地域包括支援センターについてお尋ねしたいのですけれども、地域共生社会の実現という大変な課題に向けて、きっちりとおまとめいただいたのは大変感謝するのですが、相談支援事業を担う地域包括支援センターと、先ほど財源の部分で横断的なという話は出たのですけれども、仕事の内容としても、非常に大切な相談支援事業をやりたくても、今、地域包括支援センターでは予防プラン等に明け暮れ、それが大半を占めているという実情がある中で、この相談事業についてももう少しできるような、それこそ横断的に仕事の内容についての優先順位もあっていいのかなと私は常日ごろ思うところでございます。
今、災害の件が出たのですけれども、それこそ災害の部分でも地域包括支援センターが大変大きな役割を担っています。ただ、これにしても地域包括支援センターは行政直営も大変多く、我々は熊本の方で経験したのですけれども、行政の手伝いにかり出されてしまう状況がございます。そうすると現場の中では、地域包括支援センターであるにもかかわらず、センターとしての仕事ができないという実情もある訳です。そういった中で、市町村が余りにも多くのことを担い過ぎる部分があって大変負担になっているのではないかと思いますし、また、そういった中で今回、手挙げ方式でやっていくということで、自立支援に向けての保険適用評価とか、色々な評価がかかわってきたときに、市町村としてはどうしていくのだろうなという危惧もするところであります。
今、地域包括支援センターでは地域ケア会議もありますし、自立も虐待等も色々な分野の会議等もありますので、そういったところも考慮しながら、内容を少し精査していただくと、地域包括支援センターにとってもよろしいのかなと思います。
それから、在宅介護支援センターというブランチもある訳ですから、そういったものも上手に使っていくということ、それこそ横断的にもっと話し合っていただければ大変助かるなという思いを持っています。
要望だと思いますけれども、よろしくお願いいたしたいと思います。
○田中部会長 平田委員、どうぞ。
○平田委員 確認なのですけれども、まず8ページの「新たな事業の枠組み」と9ページの「現行の各種相談支援事業の財政支援の状況」をご覧いただきたいと思います。断らない相談支援では、高齢、障害、子ども、生活困窮分野で現行の仕組みに対して、新しく属性や世代を問わない相談体制の中で、専門職による伴走支援等が新たに加わることになります。全ての分野を資金的に一括するとすれば、9ページの財源が裁量的経費の相談体制の分野は、実施市町村が少ない状況があります。全分野の財政支援をまず合算して、新たな財政支援がプラスになるように市町村の選択のインセンティブが必要に思います。
もう一点は、手挙げ方式なのですけれども、全ての市町村で全ての分野を最初から選択しなければならないのか、例えば障害、介護、子どもでスタートして、生活困窮の分野を後で選択することが各地域でできるのかどうかの確認をお願いいたしたいと思います。
○田中部会長 たくさんの御発言をいただきました。いただいた御意見、御要望について全て回答していると相当な時間がかかってしまうので、御意見、御要望は承った上で、質問のところをお答え下さい。
○吉田生活困窮者自立支援室長 今いただいた御質問をまずお答えいたします。
詳細はこれから検討していくところですけれども、基本的には全ての事業をやっていただくということを想定してございます。介護、障害、子ども、生活困窮の分野、相談支援の分野を全ての事業でやっていただく中での一体化をしていくということを考えております。
一方で、新しい枠組みとは別に、モデル事業も併行して進めてございます。これも手挙げ方式でやっていただいていまして、200自治体ぐらいでやっていただいているところですが、これについて、法定化する新たな事業への円滑な移行に向けた橋渡しをするような事業にしていきたいと思ってございます。
その中では、補助金の一体化にはすぐにはつながらない訳ですけれども、新たな事業の実施に向けて試行錯誤していただけるような仕組みにしていきたいと思っていますので、この新たな事業プラスアルファとして、モデル事業というような全体像の中で、色々と選択の余地が出るような形にしていきたいと思います。
モデル事業については、財政当局ともしっかりと詰めないといけない部分があって、流動的な部分もございますが、我々はそういうことを念頭に置いて取り組みを進めているところでございます。
あと、県や国の役割について少し触れていただきました。報告書の中でも、都道府県の役割、国の役割が重要だということで、市町村の後方支援をしていくということで言っていただいてございます。
特に、これは手挙げの事業ですので、直接国が都道府県と連携をしながら市町村をサポートしていくというスキームもある程度、成り立つ部分があるのかなと思ってございます。市町村は直面する課題がそれぞれ違いますので、足を運んで、しっかりと課題を見つめて御助言すべきだという報告の内容にもなってございますので、そういうことも踏まえながら、我々として制度や支援の在り方等をしっかりと考えていきたいと思います。
また、個人情報又はその会議体の話をいただきました。個別ケースを検討するという観点からは、基本的には個人情報、御本人の同意が必要となりますが、今は生活困窮の枠組みの中でで、会議体を設けて、会議のメンバーの間で本人の同意がなくても個人情報をシェアできるようにする一方で、会議体の参加メンバーには守秘義務を課して、もし漏らしたら罰則がかかるというスキームがございます。そういうことを通じて、関係者の間で個人情報を必要な局面で共有していただいて、支援の内容を検討していただくという枠組みもございますので、今回の新しい事業においてもそういうことを検討しながら、もちろん基本的には本人同意が重要なのですけれども、なかなか難しいケースもございますので、支援がうまく行き届くようにする観点からそのようなスキームを少し考えていきたいと考えてございます。
○田中部会長 あと2つ議題があるので、また後で個別に答える場合もあるでしょうし、御意見として承ったものはきちんと分析して下さい。
最後に宮本部会長代理からどうぞ。
○宮本部会長代理 福祉部会で皆様に何度も御議論いただいたおかげで、今、大変中身の濃い報告書がまとまりつつあります。改めてお礼を申し上げます。
今日も大変たくさん、非常に大事な御指摘をいただきまして、これも一つ一つリプライしたい衝動にかられるのですけれども、時間もだんだん迫っておりますので、これは取りまとめに当たって念頭に置かせていただくということで、一言だけ申し上げたいと思います。
御指摘にもあったところですけれども、子ども、障害、生活困窮、高齢の4分野が連携することで、いずれの分野にもプラスになる、例えば、子どもとか知的障害とか、まだ地域にしっかり足場ができていない傾向のあるところが少なくともマイナスにならない仕組みをしっかり作っていかなければいかないと思ってございます。
それから、福祉の4分野のみならず、御議論があったところですけれども、商工予算や自治体の独自予算とも連携できる形を、私からも検討をお願いしているところでございまして、色々難しい技術的な問題はあるかもしれませんけれども、この点についても、例えば子ども食堂や商店街を舞台にコミュニティーが花開いていくという条件づくりのためにも、皆様から色々お知恵を拝借できればなと思ってございます。
人材育成、災害対応の視点は、報告書の中でも特に重視しているところでございまして、この点もまた引き続き、色々御指導いただければと思っております。
いずれにせよ、大変、チャレンジングな制度でありまして、これからこの制度の詳細がどのように決まっていくのか、また自治体がどのようにこれを実施していくかというところが大変大きい訳でございまして、自治体間の格差も、自治体の中での格差も生じないで、各分野がプラスになっていくような展開のために、引き続きこれをしっかり見守っていく必要があるのかなと思います。
推進会議といいますか、協議体のようなものも設置する必要があるのではないかと思っていますので、引き続き御協力をお願いしたいと思います。
ありがとうございました。
○田中部会長 ありがとうございました。
単なる足し算を越えて、連携によってさらに力が出ると、大変力強いという大切なことを言っていただきました。
まだ御意見があるかもしれませんが、ちょうど1時間たちましたので、差し当たり2番目の議題に移らせていただきます。
資料3及び資料4について、事務局から説明をお願いします。
○宇野福祉基盤課長 福祉基盤課長でございます。
私から資料3と資料4について説明させていただきます。資料3の方は「社会福祉法人の事業展開等に関する検討会」の取りまとめの概要でございます。資料4が報告書の本体になっております。
時間の都合上、私からは資料3を説明させていただきますので、御了承いただければと思います。
資料3をご覧いただければと思います。表紙をおめくりいただきまして、その次が検討会の概要になっております。当部会の部会長である田中先生にここの検討会の座長をお願いしております。また、福祉部会のメンバーでいらっしゃいます藤井先生、松原先生、松山先生にも構成員として入っていただいています。その他、団体の方々や所轄庁の方々にも入っていただきまして、本年4月から計6回開催させていただきました。
最終回が12月10日の報告書案に関する議論でございまして、その後、座長一任という形で御相談させていただきまして、報告書自体は先週金曜日、13日に取りまとまっているところでございます。
その報告書の概要につきましては、2ページをご覧いただければと思います。まず、上の方をご覧いただきますと、問題意識といたしまして、現在の状況を整理しております。人口動態を見ますと、2025年に向けては高齢者人口が急速に増加しますが、その後、増加が緩やかになります。また、地域によって差がございまして、大都市では高齢者が増加する傾向にある一方で、地方では増加せず、減少に転じている地域も見られるということで、かなり地域間の差が生じるということでございます。
また、そういった需要面の課題に加えまして、供給面を見ますと、担い手となる生産年齢人口の減少が2025年以降加速するという状況でございます。こういった人口動態がありますけれども、先ほどの地域共生社会とも同じ問題意識ですが、血縁・地縁・社縁といった共同体機能の脆弱化といった社会構造の変化が起きていまして、福祉ニーズがますます複雑化、多様化してきています。
こういった状況を踏まえまして、社会福祉法人が今後の事業展開に当たって、法人の自主的な判断のもとではございますけれども、多様な福祉ニーズに対応した福祉サービスの提供を可能とするとともに、経営基盤の強化を図ることが重要です。加えて、非営利セクターの中核として、福祉分野での専門性を生かし、地域住民の抱える様々な地域生活課題への対応を進められるようにするという観点から、円滑に連携・協働化がしやすい環境整備を図っていくべきというのが報告書の趣旨となっております。
それでは、具体的にどういった連携・協働化の方法があるかということにつきましては、下にございますとおり1つ目の○で、3つの連携・協働化の方法を示していただいています。
まず、①が社会福祉協議会による連携や社会福祉法人の法人間連携、これ自体は今までの蓄積がございますので、積極的な活用を図っていくことが重要ですし、厚生労働省は引き続き推進すべきと御提言いただいています。
また、飛びますけれども、③で希望する法人が合併・事業譲渡に円滑に取り組めるような環境整備ということでございまして、これも合併等の手続への知見が乏しいとか、実際に法人が合併に苦労したといった御意見もありましたので、希望する法人向けのガイドラインの策定や会計専門家による検討会で整理をするといった御提言もいただいております。
ただ、今までの連携・協働化で言うと①ないし③しかなかったものですから、②の新たな制度としまして、既存の方策の中間的な選択肢の創設として、社会福祉法人を中核とする非営利連携法人制度を創設すべきだと御提言いただいております。具体的な制度内容は次ページ以降で御説明させていただきます。
最後に今後の課題でございますけれども、大きく分けて2点ございます。
1点目は、本報告書で提言された手法が実際に機能するように、厚生労働省は関係団体と協力して取り組む必要があるという御指摘をいただきました。この中には、例えば関係団体が取り組むようなソフトロー的なガバナンスのものについて、きちんとやっていくべきではないかという御意見もございました。
もう一点は、ここにありますとおり、後ほど御説明しますけれども、今回、連携法人自体が一部、社会福祉法人の資金の貸付けという形で取り扱いを提言していますけれども、その社会福祉法人内の資金等の取り扱いについても、法人本部の運営に要する経費に充当できる範囲を拡大すべきとか、法人内の1年以上の貸付けを認めるべきという御意見もございました。この点につきましては、厚生労働省において必要性や実現可能性も含めて検討を行うべきであると御提言いただいたところでございます。
続きまして、3ページ目でございます。中間的な選択肢として、新たに創設すべきと御提言いただいた社会福祉連携推進法人制度の概要でございます。これは、真ん中の図の中段にありますとおり、一般社団法人のうち、一定の基準に適合すると認められるものを所轄庁が認定したものを「社会福祉連携推進法人(仮称)」として設けてはどうかとなっております。
これは社団法人ですので、構成は社員ですけれども、社員の範囲は社会福祉事業を行っている法人、その他連携業務に係る業務を行う者といたしまして、社会福祉事業を行っている法人が2以上かつ社員の過半数が社会福祉法人であることを必須とすると書いてあります。
上にありますとおり、社員総会及び理事会も必置にしている形になっております。
この連携法人が想定している業務、活動区域でございます。
ここに業務を5つ挙げていますけれども、1つ目は、地域共生社会の実現に資する業務の実施に向けた種別を超えた連携支援、2つ目は、災害対応に係る連携体制の整備、3つ目は、福祉人材不足への対応、4つ目は、本部事務の集約や設備の共同購入等の社会福祉事業の経営に関する支援、5つ目は、社員である社会福祉法人への資金の貸付けと書いてあります。
また、2つ目の※にございますけれども、連携推進業務以外の業務につきましても、連携推進業務への支障を及ぼすおそれがない範囲で実施可能ですが、社会福祉事業は行わないという形で整理しております。
また、経費につきましては社員からの会費、業務委託費ですけれども、貸付けにつきましては後ほど御説明させていただきます。
議決権につきましては、原則1社員1議決権としますけれども、社会福祉法人の議決権の総数が総社員の議決権の過半数を占めていることが必須となっています。
代表理事は都道府県知事等の認可が必要ですとか、連携法人同士の合併は認めないとなっております。
最後に、検討会の中でも地域の意見、例えば色々な地域の中の法人が連携していく中で、社会福祉施設が果たして存続できるかどうかとか、そのサービス自体がきちんと存続できるかどうかといったことを、きちんと連携法人に対して地域の意見が反映できるような仕組みが必要ではないかという意見が強くございました。
こういった御意見を踏まえまして、地域関係者の意見を法人運営に反映するため、連携法人は法人内で地域の関係者等からなる評議会を必置として整理しております。これは上の図になっておりまして、評議会自体が意見具申、これは社員総会のみならず、理事会に対しても意見具申にするという仕組みとして整理させていただいております。
この評議会自体は、一番下にございますとおり、法人の業務の実施状況の評価を行い、必要な場合には社員総会・理事会に対して意見具申を行うことができることにしています。また、意見具申を受けた理事会・評議員会は、当該意見を尊重しなければならないと整理しております。
続きまして、4ページ目の業務のイメージの中で、先ほど5つ業務があると申し上げましたが、その中でも代表的なものとして2つほど挙げております。一つは、左側にありますとおり最近の福祉人材不足の課題に対応するという観点から、連携法人の社員、例えばこの図ですとA特別養護老人ホーム、B障害者支援施設、C保育所とありますけれども、こういった方々の職員の人材育成とか、採用活動の共同実施のようなものを連携法人が担うという形で整理しております。
特に採用に関して、今、非常に課題になっております。A老人ホーム、B障害者支援施設、C保育所の一つ一つは福祉の専門家でございますが、採用の専門家ではございませんので、採用活動に苦労するケースもあるかと思います。そのときに、採用自体を連携法人がかわりに担うという形ができないかという論点がございました。
これにつきまして、労働法の方で、今、一定の制約がございます、採用募集を直接ではなくて、他の人にお願いする場合は厚生労働大臣の許可が必要だという規制があるのですが、※印にございますとおり、今回、連携法人につきましては、一定の要件のもと、特例的に連携法人による届出で、この委託の募集を実施可能にしたいということで整理しております。
また、右側の方は、地域の多様な福祉ニーズに対応するため、これは種別を超えた形の連携を連携法人が担うことができるようにするということです。その場合は、自治体や相談支援機関と連携しながら、地域生活課題に応じた法人間、施設間の連絡調整を連携法人に行っていただくことを想定しています。
これも一つ一つの社会福祉法人、今、地域における公益的な取り組みの責務がございますけれども、一つ一つの法人ではなかなか難しい場合、連携してこうした責務に対応できるような仕組みや、社会福祉法人以外の法人、例えばNPOのひきこもり支援等の方々と連携する仕組みとして、こういう法的な仕組みとして連携法人を活用してはどうかということで御提示させていただいているところでございます。
最後、5ページでございます。これは社会福祉法人の御要望もあったのですが、今、社会福祉法人自体は、法人外に対しては資金の流出はできないという形になっております。
一方で、先ほどの人口動態もありまして、今、厳しい経営を行っている社会福祉法人がある中で、もちろん経営の支援につきましては福祉医療機構や民間の金融機関もございますけれども、スピーディーかつ非常に有効な支援を行うために、他の社会福祉法人に対しての貸付けを認めてほしいという御要望もございますので、今回一定の要件のもと、連携法人内で貸付けを認めるスキームにしています。
ただ、社会福祉法人側の拠点でのサービスの運営に影響を与えないようにするために、貸付けの資金は他の資金と区分経理はするのですが、法人本部へ繰り入れ可能な資金の範囲内、つまり拠点の経営には影響を与えない範囲で、連携法人が連携法人内の社会福祉法人に対して貸付けが可能ということでして、社会福祉連携推進法人から貸付対象の社会福祉法人に対して連携が可能な仕組みという形を今回、導入しようということになっております。
簡単ですが、私からは以上です。
○田中部会長 御説明ありがとうございました。
資料3、資料4について御質問、御意見のある方はお願いいたします。
三好委員、どうぞ。
○三好委員 地方の社会福祉法人は、非常に年々厳しくなっています人材の確保、社会福祉分野におきましても専門性が問われておりますので、そういう意味では経営の問題、さらには先ほども話が出ましたけれども災害の問題など、今、たくさん課題がございます。
その課題に対しまして、専門的知識をもって対応できる人材が非常に少ないということもございまして、この連携法人をすることによって人材が有効に活用できて、また、先ほど申し上げた専門性や、さらには人材の教育の問題も含めまして、できるということにつきましては高い評価をしておりまして、期待をしておるところでございます。
反面、市町村は各事業計画を立てて毎年事業進行しております。介護保健福祉計画、地域福祉計画を立てまして、この地域では、例えば老健施設はどの規模でどの程度必要だといったことは、全て計画を立てて進行しております。
連携法人そのものは福祉事業をやる訳ではございませんけれども、全体の連携した法人の事業の進め方、または経営のあり方、資金の提供もありますので、そういうところも議論されると思います。そうされて、ある方向が出た場合、せっかく積み上げてきた市町村がその所管庁としての事情を知ることになりますと、それはどの程度の時期かという心配をしています。
あらかじめ協議段階からそういう積み上げがされて、そこで連携法人の中で議論されるということであれば問題はないかもしれませんが、連携法人のところで全体的な計画、または資金計画も含めて決められたことが後で決定されるようなことで、連携法人の個別事業のところに影響が出ては非常に心配でございます。先ほどの報告書の中では、連携法人の区域、8番のところでは地域の意見、さらには所管庁など決められておりますから、そういう意味では、あらかじめわかるような形なのかもしれませんが、そういう事前の動きも、所管をしている法人を持っているところの市町村にはわかるような仕組み、相談できるような仕組みをぜひ検討していただきたいと思っております。
ある程度形になってから市町村に相談されても、積み上げてきた実績からいきますと、市町村の計画が大きく変わる可能性があるものですから、その辺にぜひ何らかの御配慮をいただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○田中部会長 自治体の長として当然の御懸念ですが、安心ですとお答えになれますか。
○宇野福祉基盤課長 三好委員の御意見、御質問に対する回答ですけれども、社員として、社会福祉法人が参加する際には、当然定款変更等ございますので、参加する中で所轄庁自体の認可が必要になってきます。そういう意味では、所轄庁は当然、社会福祉法人が連携法人に参加するかしないか把握できる形には現行法上もなっていますし、全体の連携法人の導入の際にも、そういう形での調和はとっていきたいと思います。
御懸念の点は、そういう形で制度上、幾ら担保しても、実際にどうやって情報がうまく伝わるのかどうかというところだと思いますので、そこは実際の制度が始まる前の運用の部分で、何かしら工夫ができないか検討していきたいと思います。
今でも、法人の所轄庁と、施設の許認可庁は違います。ただ、大きい法人であっても拠点の部分については連携するように、今でも通知等でお願いしていますし、実際にそうとられていると我々も把握していますので、そういう運用面のところで工夫ができないかということで、検討していきたいと思っております。
○田中部会長 井上委員、どうぞ。
○井上委員 先ほどの議論もそうですけれども、災害の部分とか人材のところに対して、有効に活用させていただくという点では大変いいかなという思いでいます。
一方で、私は障害分野ですけれども、非常に小さな法人が本当に地域に密着したいい仕事をしています。ですから、小規模法人を大きくするという発想も必要だと思いますけれども、基本的には、大事に守り育てていくという視点もぜひお願いしたいというところでございます。
それから、先ほどのいわゆる資金移動の関係ですが、本部繰り入れの範囲拡大については継続した議論が必要ではないかと思います。私も障害分野で法人経営をやっていますが、事業の中でも、採算に乗らない事業もありますが、比較的資金に余裕のある事業もあるので、本部への繰り入れが大きな事業もあります。一方で、個別の事業ごとに資金をいただいているという認識ではいるので、その辺はすごく大事にしなければいけないのではないかと思っています。一定の制限を考えていらっしゃるようですけれども、多くの方が容認できるような仕掛けが必要なのではないかと思っています。
以上でございます。
○田中部会長 御意見ありがとうございます。
対馬委員、お願いします。
○対馬委員 対馬でございます。
私どもの法人には全道各地から、町立あるいは社福の特養の経営について、承継の要請が数多くあります。その理由は2つです。一つは、介護職員の確保ができないこと、もう一つは、職員確保ができないことで、定員の入所者を迎え入れることができず、経営が赤字になっていることです。
そこでお願いが2つあります。まず、人材の確保についてです。3ページの業務活動区域の中で、人材確保の業務の一環で、連携法人の社員が行う労働者募集の委託について、一定要件のもとでその特例を認めるという仕組みとしていただいた訳ですが、例えば外国人を受け入れた場合に、特定技能であればこの連携法人の中の人事異動はできますが、技能実習生の場合は異動ができない。
特に道内では小規模の特養が多いので、技能実習生の異動をできるように緩和をしてもらえないかということが一つ目です。
2つ目は、資金の調達についてです。貸付けもできるというのはよいのですが、例えば寄附を受ける場合、個人の寄附はスムーズに行くのですが、共同募金会を通じて寄附を受ける際、共同募金会というよりは、財務省と言った方がいいのかもしれませんが、指定寄附の承認がなかなかもらえないという実態があります。
特に寄附を受ける側の法人に資金がありますと、寄附金なんかは必要ないと言われて、全く指定寄附が認められない状況があります。したがって、一社会福祉法人ではなく、もしこの連携法人が発足された場合、共同募金会からの指定寄附については優先的に取り扱えるといった緩和をお願いしたいと思います。
連携法人の創設は、苦労しながら頑張っている特養を救済するための一助になると思いますので、ぜひ前向きにご検討いただきたいと思います。
以上です。
○田中部会長 ありがとうございます。
後で課長にまとめてお答えいただきます。
他にいかがでしょうか。
藤井委員、どうぞ。
○藤井委員 2016年に法改正に先立って、2014年度に田中座長のもと、「社会福祉法人のあり方等に関する委員会」で検討を行いました.私も委員の一人として参加させていただきました。
その際、規模の拡大・協働化というのが一つの論点としてありましたが、当時、色々なところで社会福祉法人の経営層のご意見をお聞きしても、意味がわからないであるとか、必要性を感じないであるとか、上から押しつけるものではないといった意見が多数でした。ところが、対馬委員がおっしゃったとおり、今回に関して言いますと、非常に危機意識を持っておられます。20年後、30年後を考えたときに、どう見ても地域の高齢者がいなくなってしまう、そうなるとどういう形でシュリンクしていくかを考える必要があります。もう一法人としてはもたなくなるから、どことくっつかなければいけないのか、こことくっつかなければいけないのかという具体的な話を、かなりの頻度で理事長あるいは施設長がやるようになっておられます。
そういったところの意見をお聞きしますと、実際の救済合併であれば、本当に困ったときに、もう自分のところに強引に入れる形の合併の方が手っ取り早いのではないかといった乱暴な意見をおっしゃる方がいらっしゃいまして、そういう場合は、今回の連携法人はまどろっこしい、今回の仕組みは、ある程度時間をかけて、納得した上で1つの法人に合併していくというプロセスをとり、連携法人のもとで緩やかな支援を受けていくのかといった救済になるのではないかと思います。
言いたいことが意見として1点ございまして、先ほどの共生社会に向けた話でも同様なのですが、これはあくまで社会福祉法人独自に取り組んで行くものなのですけれども、なかなか新しい制度ですから、どう手挙げして、どう使えばいいのか。単に合併に向けた云々ではなくして、地域における公益的な取組を行う際にも、どういうやり方が有効なのかというのが見えてこないのではないかと思います。
これは自由にお使い下さいと言うだけではなく、使う側にうまく使うインセンティブを与えてほしいと思います。もちろん今回の制度は、採用の際に紹介できるであるとか、貸付けであるとか、そういったメリットを制度化している訳でございますが、先ほどの市町村の話も同様なのですけれども、自分たちでやれるのだという気持ちになっていただく、自己効力感をしっかり持っていただくということなのだろうと思います。
自己効力感を持っていただくためには、やはり代理経験といいますか、自分たちでもできるんだ、自分たちと似たようなところでもこんなふうにやっているのかというレベルで好事例集を示していただけないだろうかと思います。地域医療の場合は、そういったところまでは示していないのではないかと思いますので、今後、事例集といったものを出されるのではないかと思うのですけれども、地域医療では地域医療構想という向かう先が明確になった上での連携法人ではないかと思うのですが、社会福祉連携推進法人の場合は多様に使えるだけに、自分たちサイズ、あるいは自分たちの障害をやっている、高齢をやっている、これぐらいの規模の法人が集まってどんなことができるのだろうかといったことを、きちんと丁寧に見せていただいて、代理経験ができるような事例を示すようなことまでお考えいただきたいというのが一点です。これは意見です。
もう一点、これは質問なのですけれども、先ほど課長の方から定款変更を伴うというお話がございまして、この定款変更というのは社会福祉法人の「目的」にある実施事業の部分の定款を変更する必要があると受け取ればいいのか、あるいは、別のところの定款変更ということなのか、その点を確認できればと思います。
○田中部会長 それでは課長、ここまでの御質問にお答えいただくとともに、もし何か全体の意見についての説明、補足があればお願いします。
○宇野福祉基盤課長 ありがとうございます。
まず、順番に井上委員からの御指摘については、これはあくまでも自主的な判断のもとにということが強く言われていますので、そういった中で小規模法人の御判断で参加する形でもいいですし、そのまま残っていただく形でもいいと思っております。
また、貸付けにつきましては、実際には運用を含めてどうやって行っていくかということがあると思うのですが、報告書の中でも、貸付けについては慎重かつ十分に検討しなさいと御指摘いただいていますので、そういった観点から検討していきたいと思っています。
対馬委員からの御指摘については、今回、人材募集につきましては、地域医療連携推進法人にはない形で特例措置を設ける方向で調整がつきましたので、これは福祉人材不足という観点からの問題意識としてつけさせていただいたのですが、おっしゃるように外国人の問題は、もう御案内だと思いますけれども、特定技能と技能実習とでは制度が大きく違います。どこまでこれが可能かどうかという部分もありますので、また御意見は御意見として検討させていただきたいと思いますし、もう一つの方の寄附の関係も、始めて伺った御意見ですので、どういった仕組みができるかどうかを含めて検討していきたいと思っております。
藤井委員からは、好事例集のようなものが必要だとの御指摘がございました。これは団体ともよく連携してと、報告書にもありますので、そういった中で、より自主的な支援として、どういうことができるか検討していきたいと思いますし、また、御質問があった定款変更ですが、これは、特に事業の内容の変更につながるとは思っておりますけれども、また詳細は詰めていただきたいと思っております。
○田中部会長 ありがとうございます。
平田委員、お願いします。
○平田委員 全国経営協の平田でございます。
前回、経営協からのペーパーを出させて頂きました。意見として出させて頂いた、社員の範囲を過半数にする、また議決権も過半数とすることを、案に盛り込んで頂いたご配慮に感謝いたします。ただ、社団法人で貸付けをする場合のガバナンスが心配です。債務あるいは返済不能の場合はどうするのか。事業展開検討会でも意見は出されたようなのですけれども、社会福祉法人の原資は、全て社会福祉に還元するのが原則です。他法人への貸付けについて、銀行等のように正確な与信判断も出来ませんし、金額を含め、理事会、評議員会で決めるためには、専門家の関与なり、法人の会計監査人を含めて相談することになるのだろうと思うのです。
現在、45都道府県で経営協がやっています社協を事務局とした連携は、人材確保等で広がりを見せ、また一つの方法論として、地方の市町村では連携法人を作るなど、今後、2040年に向けて出てくると思うのですけれども、貸付けに関して、専門的な与信判断を含めて、そこをどうするかというのは、今後、省令あるいは通知レベルで整理されると思うのですけれども、ぜひ詳細な検討をお願いいたしたいと思います。
以上です。
○田中部会長 大事な御意見ですね。
よろしゅうございますか。
今までの2つは、前者の方は座長預かりになっていますが、後者は一応まとまったことになっています。
一言感想を申し上げます。
御存じのように、日本は今後、単なる高齢化ではなくて、85歳以上が増加する超高齢化と、生産年齢人口の減少が進みます。一方で、少子化の方は、進みますと言ってはだめですね。歯止めをかけなければいけません。高齢化と生産年齢人口はもう生まれた人たちの話なので客観的予想ですが、少子化は進みますと客観的に言ってはいけなくて、歯止めをかけなくてはなりません。
そういう中で、地域共生社会の実現に向けた包括的支援体制とか、何らかのヘルプを必要としている人に対する社会福祉法人の役割はとても重要です。どちらの制度も重要なツールです。必ず使えという訳ではないけれども、使いたい人にとってみると、道具箱に一つの新しいツールが増えた。後者はそうです。前者はむしろ全体の話です。とても大切だと考えます。
これらは、今後、日本に住む全ての人が、それぞれの立場で社会に参加し、お互いを支え合うような新たな福祉サービスの基盤となる重要な取り組みであると考えます。
事務局においては、これらの具体的な制度設計を行っていくこととなるはずです。今、様々な御意見、御要望がありました。それを生かして具体的な制度設計を行うに当たり、皆様方からの意見を可能な限り反映し、具体的な制度設計に結びつけをお願いいたします。
以上、部会長としての感想というかお願いです。
よろしいですか。
続いて、資料5及び当日配付資料について、事務局から説明をお願いします。
○川端福祉人材確保対策室長 福祉人材確保対策室長でございます。
介護福祉士養成施設卒業生に対する国家試験の義務付けにつきましては、前回の本部会におきまして、お手元に配付しております資料5に基づいて、介護福祉士資格の質を高める観点から、現行制度のとおり施行すべきとのお立場、介護現場における人材確保の観点から、経過措置を延長すべきとの立場の両面から御意見を頂戴いたしました。
本件につきましては、委員の皆様の間で御意見の隔たりが大きいものでございまして、現時点で、事務局として結論を得ている訳ではございません。
事務局といたしましては、本部会での御議論を十分に勘案しつつ、並行して行われております与党における議論も踏まえながら、対応方針を決定していきたいと考えてございます。そのためには、本部会での御議論をしっかりと整理しておくことが必要でございます。
したがいまして、本日、この議論の整理につきまして、事務局で案を作成いたしました。右肩に当日配付資料と書いてございます2枚紙でございます。お手元の本案について、委員の皆様からの御意見をいただきつつ、福祉部会としてお取りまとめをいただければありがたいと考えてございます。
早速でございますけれども、当日配付資料をご覧いただければと思います。
読み上げいたします。
「介護福祉士養成施設卒業者への国家試験義務付けの経過措置の在り方に関する議論の整理(案)」、1枚目はこれまでの経緯になってございます。
「当部会においては、社会福祉法等の一部を改正する法律(平成28年法律第21号)によって施行された、介護福祉士養成施設卒業者への国家試験義務付けの経過措置の在り方について、議論を行った。
以下、その議論について整理する。
・ 介護福祉士養成施設卒業者への国家試験義務付けについては、当部会の下に設けられた福祉人材確保専門委員会において取りまとめられた報告書「2025年に向けた介護人材の確保~量と質の好循環の確立に向けて~」(平成27年2月25日)を踏まえ、平成27年の通常国会に提出された社会福祉法等の一部を改正する法律案において、法制上の措置が講じられた。
・ 具体的には、介護福祉士の資質及び社会的評価の向上の観点から、平成29年度より5年間をかけて漸進的に導入することとし、それまでの間、次のような円滑な制度施行に向けた経過措置(以下「経過措置」という。)を講じることとされた。」
経過措置の内容が①、②、③でございます。
「①平成29年度から養成施設卒業者に対し、国家試験の受験資格を付与する。
②平成29年度から平成33年度までの養成施設卒業者については、
(ア)卒業から5年間、暫定的に介護福祉士資格を付与する。
(イ)その間に以下のいずれかを満たせば、その後も引き続き介護福祉士資格を保持することができることとする。
A 卒後5年以内に国家試験に合格すること
B 原則卒後5年間連続して実務に従事すること
なお、卒後5年以内にAとBのいずれも満たせなかった場合も、介護福祉士国家試験の受験資格は有しており、国家試験に合格することにより、介護福祉士資格を取得することができる。
③平成34年度以降の養成施設卒業者については、国家試験に合格することを介護福祉士資格取得の要件とする。」
2ページ目をご覧下さい。
「・ 同法案は平成28年の通常国会で成立し、介護福祉士養成施設卒業者への国家試験義務付けが経過措置つきで施行されることとなったが、介護福祉士養成施設の状況を見ると、その後も養成施設数、定員数及び日本人の入学生の減少傾向が続いている。
・ また、出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律(平成28年法律第88号)によって設けられた在留資格「介護」により、介護福祉士の資格を有し、介護又は介護の指導を行う業務に従事する活動を行う外国人の在留資格が認められたことから、介護福祉士養成施設に入学する外国人留学生が増加しているが、その合格率は日本人学生に比して、相当に低い水準にある。」
次の2つが、それぞれの御意見でございます。
「・ こうした状況を踏まえ、経過措置の在り方について議論を行った結果、国家試験義務化によって資格の価値は高めて欲しいが、喫緊の課題である介護人材の確保に対応する観点から、経過措置を延長すべきとの意見があった。また、経過措置が終了すると、外国人留学生の入学などに影響が生じ、人材不足が累積するおそれがあり、経過措置を延長すべきとの意見があった。
・ 一方で、質の高い人材養成による介護サービスの質や、介護福祉士の地位向上を担保していくため、国家試験義務化は予定通り行われるべきとの意見や、外国人留学生の合格率が低いことを理由に経過措置を延長することは適切ではなく、介護福祉士を目指す者の減少にもつながりかねないとの意見があった。また、資格に与える価値の在り方や果たすべき役割に関する制度上の担保など、本質的な議論を進めていくべきとの意見があった。
当部会の議論の状況は、以上の通りである。厚生労働省においては、当部会における種々の意見を十分に踏まえ、経過措置の在り方について必要な対応を講じられたい。」
こういった形で、事務局の方で議論の整理(案)ということでお示しさせていただいてございます。
この整理(案)について、御意見いただければと思ってございます。
事務局からは以上でございます。
○田中部会長 ありがとうございました。
それでは、ただ今の当日配付資料及び資料5について、御意見、御質問があればお願いいたします。
川井委員、どうぞ。
○川井委員 前回、仕事の都合で出席できませんでしたので、本来、前回申し上げればよかったことかもわかりませんけれども、本日言わせていただければと思います。
私は、この場には学識経験者として参加することになっておりますけれども、実は平成28年以降、私の大学でも、それまでは社会福祉士養成だけをしておりましたけれども、介護福祉士養成も始めました。と申しますのは、「まんじゅう型」から「富士山型」にしたときに、富士山の頂上の方を担う人材を養成することが養成校の使命だと思ったからです。
そのために、本日は介護福祉士養成を行っている立場から、延期に反対を表明させていただきたいと思います。
私どもも介護福祉士養成施設協会の協会員でございます。協会員でございますけれども、前回御発言がありましたものに対して賛同することはできなく、本日反対を表明させていただく所存でございます。
それでは、反対の理由を申し上げていきたいと思います。
1点目として、今回の論点は介護人材参入促進という量の議論であって、そもそも国家試験一元化は介護福祉士の質を担保するものであって、切り離して検討すべき事項であると思います。
2点目には、国家試験を受験せずに資格を得られることを、質の議論をせずに継続するならば、資格そのものの価値をおとしめることになるのではないかと思います。
前回の藤井委員の発言にありましたように、外国人の方の中でも、国家試験に受かりたいという志のある方々もたくさんおられます。それはなぜかと申しますと、国家試験に合格することが専門能力を有する人材の証明として認められるからだろうと思います。
3点目には、外国人人材の活用ということでは、国家試験不合格者の証明でしかない准介護福祉士という位置付けではなく、養成校修了外国人を介護福祉士相当として在留資格介護の対象とするなどの検討をする方が、長期的には国家試験一元化延期という小手先の対応よりも実りが大きいのではないかと思います。
4点目には、奥山委員の発言では、福祉高校は数を減らしながらも、教材の開発、教員の研修、授業力の向上などの教育の充実を図って、50%台だった国家試験合格率を80%台後半まで引き上げておられます。外国人材の国家試験合格率向上のためには、一元化延期を検討する前に、取り組むべきことがあるという大きな示唆であろうと思います。
5点目には、既に数度にわたって一元化は延期されており、これ以上の延期は、介護福祉士国家試験の信用を著しくおとしめるものと考えます。しかも、受からない人がいるから国家試験を課さないというロジックに、国家試験を持つ方々が賛同してくださるでしょうか。到底思えません。ですから、まず厚生労働省の方々も、そのロジックを受け入れられるのかどうかを御検討いただければと思います。
最後に6点目として、延期されたら、既に国家試験を実施している実務経験ルートや養成施設ルートのうちの一部と大学、福祉系高校ルートとの間に隔たりがあって、不均衡を生じることとなって、専門職の地位をおとしめることになるのではないかと思います。
そのために、これは提案と申しますか、もし延期するということであれば、延期の期間であっても、平成34年度以降の養成施設卒業者については予定どおり全員国家試験を受験する。しかし、そこで試験に落ちた方々、不合格者については暫定的に経過措置を設けるという形にしていただき、そして、透明性を図るという観点、努力をしていただくという観点から、社会福祉士と同じように養成校ごとに国家試験の合格率を、出していただければ、学校ごとに努力もさらに進むのではないかと思います。
以上が介護福祉士国家試験一元化延期についての反対意見です。
次に、養成校教育についての意見を述べさせていただきます。
養成校は質の向上に寄与していると自負しておりますが、単に国家試験合格だけを見据えた教育をしている訳ではございません。私ども桃山学院大学を含め、360を超える養成校は、介護福祉を学問として、体系的に教育することに意義がございます。
基本的な教育、専門的な教育、少しずつステップアップしていく介護実習など、2年間から4年間、集中的に学際的に介護福祉を学び、そして現場で経験値を高めていく。体系的な介護福祉士養成教育という共通の基盤の上に、さらに実力を積み上げていくということになり、一定の水準を満たした質の高い介護福祉士養成ができていると考えております。
この養成教育を受けた学生が、必ずしも国家試験合格者という位置付けにはない現状が生じるということは、残念でなりません。国家試験一元化は、養成校でしっかりと学んで、国家試験に合格する実力も身につけているというごく当然な構図を明確にすることでもありますが、それを延期することに教育の意味を見出すことが難しくなってきております。
最後に、介護福祉専門職について、延べさせていただきます。
厚生労働省には、国家試験に受からないから課さなくてもよいとされる者が、現場の中核を担うことをイメージできるでしょうか。今回の議論で国家試験一元化を延期したら、介護福祉士は一定の水準にある専門職とは言えない存在になってしまいます。社会的ステータスも影響するのではないかと思っております。
それにもかかわらず、一元化を延期するならば、延期すると同時に、介護福祉専門職についても議論をすべきではないでしょうか。 今回の延期の議論は、量的な人材確保、外国人材の活用が契機になっていることと理解しております。介護福祉士が量の議論に翻弄され続けるのであれば、専門職としての質が担保できなくなります。介護福祉士は、その時々の思惑でいいように扱われ過ぎたように思います。社会情勢に翻弄され続ける現状では、介護福祉従事者はいつまでたっても専門職として認知されないものと考えます。
もし延期の判断をするというのであれば、質を担保する介護福祉専門職として、社会福祉士等と同じように、4年生大学卒業などの学歴要件を課すなどとした資格創設の議論があってもよいのではないかと思います。
以上でございます。
○田中部会長 ありがとうございました。
藤井委員、どうぞ。
○藤井委員 今回の結果が両論併記という形になっているのは、今、川井先生が色々とおっしゃっていたところ申し訳ないのですが、やむを得ない点があるかなとは理解しております。
川井委員の方で、量か質かという話がございました。私は、この整理には書いてありませんが、前回、申し上げましたけれども、量ということだけではなくて、養成校がなくなっていくということは重要なインフラを失うことになるので、単に養成校の経営問題だとは言い過ぎなのではないかと考えています。むしろ、養成校の経営というのは業界全体、社会全体で守れるものは守っていくべきと思っております。
ただ、在留資格、介護の外国人のことを調べておりまして気がついたのですが、先ほど川井先生がおっしゃった国家試験を受けさせているか、受けさせていないか。これは養成校によってかなり違いまして、しっかり受けさせている、そしてそれに受かるような養成をされている養成校と、どうも余りそれを気にされていない養成校に分かれているようでございます。
川井先生と全く同じことを言おうとしておりまして、養成校の卒業生には国家試験を全員受けていただいて、その結果を社会福祉士と同様に公表してはどうかと思います。そう申しますのは、この議論は現時点では平行線だと思いますので、両論をやむを得ないと申し上げたのですが、いつまでもこの議論をしていていいのかということですし、量の問題を問うていけば、これから介護人材がよりスムーズに採用できるという見込みは余りない訳ですから、ずっと延長、延長を繰り返すことになりかねない話になります。
ポイントは,今回この議論をやるためのエビデンスといいますか、具体的なデータに欠けるという部分が私は大きいのではないかと思います。例えば外国人の方々が増えている。これは余り理解のない方でありますと、日本人が集まらないから外国人が増えているのであって、そこの養成校の質が低いのではないかと言ったりされる方がいらっしゃいますが、必ずしもそうではない。全老健などと一体的にやりまして、かなりいい方が入っておられて、国家試験も受けられて、合格率が高い養成校もございます。
要は、現段階で質が高い養成校はできる限りしっかり残っていただいて、これは川井先生のおっしゃるような大学とかそういうところは一番頑張るところなのかもしれないのですけれども、そうでないところがどれぐらい広がっていっているのか。そういったものをデータとして見て、果たして養成校全ての経営問題をインフラとして考えるべきか、やはり質の高いところが残っていくべきではないかといった議論をするためにも、この問題は養成校というインフラをどうするかという問題だと私は思っておりますので、今後またこの課題が挙がらないように、具体的なデータをとっていくという観点をしっかりやっていただいた上で、今回、両論併記はやむを得ないかなと思います。
以上です。
○田中部会長 ありがとうございます。
奥山委員、お願いします。
○奥山委員 全国福祉高等学校長会の奥山でございます。
前回、意見書の方を提出できませんでしたので、今回提出させていただきました。ご覧いただければと思います。
私には前回、この部会の後に、全国福祉高等学校長会の校長や先生方から、介護福祉士資格取得の一元化への強い要望が寄せられています。全国福祉高等学校長会は、介護福祉士資格取得の一元化に向けて取り組まれてきた経緯を踏まえ、養成施設ルートの受験義務付け延長に反対をします。
内容としましては、平成19年の改正において、福祉系高等学校は養成施設ルートと同等の条件を満たすことを求められ、教員要件の高度化、指導時間数の大幅増、施設設備の充実など、各福祉系高等学校では新カリキュラムを実施するために、大変な努力を重ねてまいりました。しかし、整備ができない高等学校は福祉科を閉じることを余儀なくされて、232校あった福祉系の高等学校は107校に激減し、国家試験受験者数も9,000人台から3,000人台になりました。
そのような厳しい状況の中ではありましたが、地域からの介護人材育成の要請もあり、教材開発、教員研修、授業力の向上など教育の充実に努めて、先ほどありましたように50%台であった合格率も現在では新卒で80%台後半、卒業生の進路は8割以上が福祉・介護分野へ。また、出身の都道府県内での就職が約9割、離職率1割という状況となり、地域、地元の福祉・介護を担う貴重な存在となっています。
それは、高等学校が、介護福祉士資格取得の一元化が、介護福祉士資格を国家資格として確立し、福祉・介護分野の社会的評価を高めて、介護分野の魅力発信につながることを信じて、厳しい要件を課した制度見直しに真摯に対応した結果であります。
ところが前回、この社会保障審議会福祉部会において、これまでの取り組みを無にする養成施設ルートの受験義務付け延長が唐突に議題として取り上げられて、まるで既成事実のごとく報道されています。
外国人材は大切であり、養成施設ルート留学生を介護福祉士等修学資金制度の対象にするなど、国を挙げて手厚く支援をしていただいているものと承知しています。また、養成施設は国家試験受験義務化を進める現行制度のもとで、留学生を受け入れているはずです。
養成施設ルートへの入学が減少している中で、留学生の増加が顕著であること、外国人の試験合格率が低いことを理由として、受験義務付けを延長するというのは、やはり本末転倒だと思います。
介護サービスを受ける国民の視点に立っておらず、養成施設の経営が厳しいから延長を求めるというのは、やはり国民に対して大変失礼だと考えています。
さらには、高齢化を見据え、介護に関する世界初の国家資格として創設されたこの介護福祉士は、誕生から30年以上たつにもかかわらず、資格取得ルートが国家試験合格と卒業時付与のダブルスタンダードのままです。さらなる延長は、介護福祉士資格への不信感を助長し、将来、介護を目指す者の減少に拍車をかけることにつながりかねません。
介護福祉士のあり方、養成、取得について検討してきたこれまでの報告や経緯を尊重するとともに、前回の法律改正に当たっては、衆参議員の厚生労働委員会において、介護職員の社会的地位向上のため、介護福祉士の養成施設ルートの国家試験受験義務付けを確実に進めるとの附帯決議が行われており、国は、養成施設ルートの国家試験受験義務付けを遵守することが求められます。
以下、全国福祉高等学校長会の総意としての意見を出させていただきますが、意見としては変わらず、介護福祉士資格取得の一元化を令和4年度から予定どおり実施すること。また、受け入れた留学生に対する教育の充実をしていただきたい。そして、社会的責務を負う養成施設校として、各養成校のデータの公表をお願いしたいと思います。
介護福祉士等修学資金貸付制度を初め、国より支援を受ける養成施設として、養成校ごとの入学者数や卒業者数、国家試験の受験者数及び合格者数などについて、社会福祉士や精神保健福祉士と同様に公表していただきたいと思います。
介護人材の不足ということでこれまで延長されてまいりましたが、延長されたことで人材不足が解消されてきたのでしょうか。延長によって介護の魅力が低下し、信頼を損ない、そして介護分野を目指す者を減少させてきたのではないでしょうか。
国に対し、国会の附帯決議、介護福祉士の養成施設ルートの国家試験受験義務付けを確実に進めることを強く求めます。また、人材確保と人材養成は全く別の課題です。明確に分けて議論していただくようお願いします。
今回を含め、たった2回の議論だけで結論を出すのではなく、前回同様、専門委員会などを設けて、長期的視野で慎重な議論を進めていただくようお願い申し上げます。
全国福祉高等学校長会からは、以上です。
○田中部会長 ありがとうございました。
鴻江委員、どうぞ。
○鴻江委員 全国老施協の鴻江でございます。
老施協といたしましては、前回同様、経過措置の延長をお願いしたいと思います。
東京で先だって施設の方々と意見交換をする中で、先ほど量と質は分けて考えるべきだということでございましたけれども、現場では、飯田橋では有効求人倍率が30倍、新宿ではもう27倍と、これからもっと高齢者が増えていく中で、現場はもう死活問題になってきている状態であります。ですから当然、理想としては一本化というのはよくわかるのですけれども、理想ではなかなか現実やっていけない状況があるということであります。
この中で、現場の中でも質というものは向上させていけるということもある訳ですし、実際、そういう事業所が閉鎖していきますと、それは高齢者の方々にも非常に迷惑をかけていくということにもなる訳です。
先ほど、国民の期待を裏切るということでございましたけれども、それよりもむしろ高齢者の方々が入る場所がなくなってくるような、事業所が本当に困っている状況がございまして、切実なる要望でございました。
今回、養成施設をとにかく存続させていただきたい、外国人の方々を養成し、そして実際、使わなければならない状況が現実ある訳です。そういったところをぜひ御理解いただきたいということでございまして、これは他の介護関係の施設、老健協にしてもグループホーム協会にしても同様の意見だと思っております。
ですから、理想としてはよくわかるのですけれども、現実こういう事業所が存続できない状況であるということも、ぜひとも御理解をいただきたいと思います。
以上でございます。
○田中部会長 ありがとうございます。
石本委員、どうぞ。
○石本委員 ありがとうございます。
私どもは先だっての部会の中で意見書を出させていただきまして、この福祉部会のみならず、福祉人材確保専門委員会の中でも、介護福祉士の本質的なライセンスの価値をしっかりと位置付けていかなければ、抜本的な人材不足や定着は図れないと申し上げてきたところでございます。
人材不足が現場で喫緊の課題であることは重々承知している中で、一元化は、今後も介護福祉士が国家資格としてあり続ける以上はしなければならないということが私たちの1つ目の思いでございます。
さらには、資格取得方法が一元化され、試験を合格した人材がさらに質を高めながら、様々な制度の中で機能また役割、ライセンスに伴う責任をしっかりと位置付けていただき、また、そのような方々に見合うだけの研さんを積めるような道筋をしっかりと作っていくことこそが、介護を必要とする国民の皆様に対しての、介護福祉士という国家資格としての務めではなかろうかと思っております。先ほど一元化を進めること、そしてそういった位置付けをしていただくことを、介護保険部会にて同様に発言してまいりましたのでこれらを進めていただきたいと思います。
これは私の私見ですが、私も介護福祉士の資格を取って四半世紀、介護福祉士としてやってきました。先ほどの御意見の中でもありましたが、資格制度ができて31年程経ちますけれども、そろそろ他の国家資格と同じような道を歩みたいというのが本音でございます。試験に通らなくても、通っても、同じ資格がもらえるのでは、いつまで経っても社会的評価、そして介護福祉士を目指そうという人たちは後を継いでくれないのではないかと思いますので、ぜひとも意見を酌んだ今後の議論にしていただければと思います。
以上です。
○田中部会長 ありがとうございます。
佐保委員、どうぞ。
○佐保委員 私も前回、発言させていただきましたが、介護福祉士の資格というのは、きちんと試験を受けて、ちゃんと合格した方が介護福祉士の登録ができるということに一本化すべきだと考えております。
私も介護福祉士以外の資格、国家資格を持つ者として、本当に死に物狂いで勉強して、それから養成校の方を通信で受けたりとかして、寝る間を惜しんで勉強して、ちゃんとそこをパスしてきました。
そういったところから考えると、この際、介護福祉士をきちんと国家資格として確立すべきだと考えていますので、そういった点で発言させていただきます。
以上です。
○田中部会長 ありがとうございます。
小林委員、お願いします。
○小林委員 介養協の小林です。
前回も意見としては出させていただきましたけれども、介養協としては、先ほど職場の方が非常に人材不足で、どうしても事業をやめていかざるを得ないという状況もあります。そのような情報をすごく介養協は受けていまして、私どもも留学生が増えたということは実際なのですが、これを検討していただくのはいいとして、他の委員さんの意見ももっともなことだと私も思いますけれども、介養協としては、どちらにしても、出る方だけではなくて、受け皿のところも留学生を養成校で引き受けるというところ、例えば日本語学校から来る人たちとか、そこをあっせんする人たちとか、そういうところも含めて議論をしていただきたいと思っております。
ただ、介養協の立場としては、前回申し上げましたように、経過措置を延長していただきたいというのが基本でございます。
以上です。
○田中部会長 ありがとうございます。
西島委員、お願いします。
○西島委員 私も前回も申し上げましたが、まず、延長することには反対ですし、一本化すべきかと思っております。
同じ社会福祉の職能の立場で申し上げましても、私たちはしっかり学んで、その習熟度、理解度をしっかり国家試験ではかっていただいて、なおかつ実践、現場を通してキャリアを積み上げていくことが大切だと思います。
石本会長もおっしゃいましたが、本当に富士山型が示されて、トップマネジメントという位置付けもしっかりされている訳です。ですから、そこにこれからの若い人たちが目指していく介護のプロ、専門職として目指していくような道筋をしっかりと築いていただきたいという思いと、あと一つ、私どもも大阪で事業を経営させていただいています。東京ほどではないですけれども、人材確保は非常に難しいですし、求人倍率も高いです。やはり人材確保の話が出て、事業者として延長してほしいという意見も多いです。
でも、事業者の中にも、やはり専門職だから、介護福祉士を国家試験にして、確かに一つハードルが高くなるかもしれないけれども、それを乗り越えて自分たちの福祉・介護の専門職を育てていこうという事業者もおられることを少しだけお伝えさえていただきたいと思います。
以上です。
○田中部会長 ありがとうございました。
川井委員、どうぞ。
○川井委員 1点申し上げておきたいことは、先ほど介養協からということで御発言がありましたが、私どもの大学は介護福祉養成施設校協会の会員でございます。しかし、私は延期に反対として意見を述べさせていただきました。つまり、必ずしも一本ではないということは御理解いただければと思います。
○田中部会長 皆さんから改めて延期について反対、賛成の声をいただきましたが、議論の取りまとめ自体がけしからんとの意見はなかったと思います。これには両方の意見があったと客観的に書いてあります。
もっと厳密に書くと、何割がとか書くのかもしれませんが、そこまではこういう文書には似合いませんので、一応、両方の意見があって、今後、本質的な議論を進めていくべきであるという書き方で、このまとめはこれでよろしゅうございますか。
皆様方の御意見は世の中には議事録を通じて伝わりますが、報告書は両論併記があったという事実を伝えることになります。
奥山委員、どうぞ。
○奥山委員 奥山でございます。
お話の途中で申し訳ありません。
この件がございまして、福祉を学ぶ高校生を教える先生方から、一元化は実現するべきであり、待ったなしであるという声もたくさんいただいています。
その中で、授業の中でとある福祉系高校で学ぶ高校生の声をお寄せいただいていますので、当事者である高校生の声を幾つか御紹介させていただいて、皆さんに少し御理解いただければと思います。よろしくお願いいたします。
1点目、「私たち福祉系高校に通っている人や実務経験の人たちは、国家試験を受けて、資格者、プロの道に進んでいっているのに、養成施設ルートの人たちはパスしていることがあり得ないことだと思った。」
2点目、「恒久的な延期について、私も反対します。資格を取るとは何かと考えたときに、誰のためなのか、それは利用者のためになると思います。」
3点目、「私はこの話を聞いて、福祉業界やばいと思った。質の高い介護を提供するためには、みんな同じ方向で国家試験を受けるべきではないかと思う。養成施設だけ受けなくていいという考えになったのがまずわからない。やっぱり一元化するべき。これからは介護福祉士がリーダーにならないといけないのに、そのようなことが起きているというのはだめだと思った。評判も下がったり、不人気になり、仕事をする人が減り、悪循環だと思う。延期はもうしないで実施してほしい。自分たちが3年間学んで辛い思いとか逃げたいと思っても、逃げずにここまでやってきて、やっと国家試験を受けるだけになったのに、専門学校との違いって本当に何って思った。一緒に働く人が国家試験を受けないで資格を持っている人とは働きたくないと思った。」
以上のようなものは抜粋ではございますけれども、真摯に福祉を学んで、国家試験に合格して、介護福祉士を目指している高校生の生の声です。14~15歳の中学生で福祉のプロの道を選んで、高校3年間で1,855時間の福祉の学習と、そのほかに高等学校の授業を一生懸命に取り組んでいる生徒たちの声です。今の高校生は、高校に入学すると同時に主権者教育を受けて、18歳になれば主権者になります。そういう生徒たちが国を信じて、真正面から向かっている国家資格、介護福祉士です。
将来は、介護福祉士のリーダーとなる高校生が国に対して不信感を持つことのないように、また、高校生を裏切ることのないように、やはり介護福祉士国家試験の一元化というのは実施していただきたいと思います。
私からは以上です。ありがとうございました。
○田中部会長 熱い思いを伝えていただきまして、ありがとうございます。
松本参考人、お願いします。
○松本参考人 今日は和気にかわりまして、日本ソーシャルワーク教育学校連盟から参考人として参加させていただいております松本です。よろしくお願いいたします。
今の議論を受けまして、私どもは社会福祉士、精神保健福祉士の国家資格を出している養成校の全国組織ということになっております。私自身も精神保健福祉士、社会福祉士の養成教育に携わっている者として、若干の意見を述べさせていただきたいと思っております。
国家試験の持つ意味という点を、3点ほどお話しさせていただきたいと思っております。
1つは、実践をしていく上での必要な知識を、一定水準以上で担保することができます。これは実践の質を上げていくというところに大きく寄与することであります。
2点目としましては、国家資格、国家試験を受けるということは、学ぶ意欲の向上に非常に貢献します。消極的には落ちたくないも含めるのですが、合格したいという強い思いの中で、学びの意欲が喚起されていきます。
3点目としましては、専門職としての意識、そして責任感がこの間に養われていきます。国家資格を有することの意味、意義をきちんと自分の中で積み上げていくことになります。このように国家試験を受ける、国家試験の意味というのは、能力のある、ないの選別機能だけではなくて、実践をしていく上で非常に大きな意味も併せ持っていると感覚と経験と、学生たちから学ばせていただいている所感でございます。
今回の議論を受けまして、疑問といいますか意見ですけれども、介護人材の確保が困難ということの理由は一つではないと思います。そうなったときに、この国家試験を延期する、しないというところが、国家資格を持つ人材の確保、あるいは増やすというところにどのような影響があるのかというのが議論の中で見えにくいなと思っております。
延期の間、何をするのか、どういう対策をとるのか、ここのところも明確にされてこないと、私としましては賛成とも反対とも意見が言いにくいなと思っております。
国家試験合格によって、専門職の量だけではなくて資質の部分が担保できるということは、国家資格として非常に重要であると認識しております。
意見です。ありがとうございます。
○田中部会長 ありがとうございます。
今後、関係者も国会議員の方々も、本日の議事録を通じてまたさらに認識を深めていただくことになると思います。先ほど言いましたように、この議論の報告については、一人一人の意見を全部書くとすごく長くなりますので、この背景には本日の議事録に残る皆様方の貴重な御意見があることを世の中の人には理解していただけるでしょう。
事務局は、経過措置の延長絶対反対の立場、経過措置を延長すべきとの立場、両論があったことを踏まえて、本日取りまとめた議論の整理を十分に尊重し、議会を含めた関係各方面と調整の上、できるだけ早く最終的な結論を得ていただくようにお願いいたします。
皆様方の御議論に深く感謝いたします。
私もたくさん伺って、学ぶことがありました。
よろしゅうございますか。
では、本日の予定されていた審議は以上となります。
本日は、令和元年度における本部会の一区切りとなりますので、谷内局長から御挨拶をお願いいたします。
○谷内社会・援護局長 社会・援護局長の谷内でございます。
本年5月に福祉部会を再開して、4回にわたり御議論いただきました。この間、各委員の専門的な御知見から貴重な御意見を賜りましたこと、改めて感謝申し上げます。
今後、私ども事務局といたしましては、少子高齢化、人口減少など、地域社会のありようが大きく変化する中で、こうした社会環境の変化に対応した新たな福祉サービスの提供体制を構築していくために、本部会で御議論いただきました断らない相談支援、参加支援の体制整備あるいは社会福祉連携推進法人制度の創設などにつきまして、法制上の措置を含めまして、地域共生社会の実現に向けた制度改革を進めていきたいと考えております。
また、最後に御議論いただきました経過措置のあり方につきましても、厚生労働省といたしまして方向性を決めていきたいと思います。
年明け以降、これらの制度改革の詳細が整理できましたら、改めてこの福祉部会に御報告をいたしたいと思います。
事務局一同、国民の福祉向上のために、よりよい制度改革が行われるよう、これから努力していきますので、引き続き、委員各位の御協力を賜れれば幸いでございます。
本部会における御議論、誠にありがとうございました。
○田中部会長 局長、ありがとうございました。
最後に、事務局から次回の日程について報告をお願いします。
○高橋総務局長 ありがとうございました。
次回の開催は年明け以降で、追って調整をさせていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。
○田中部会長 本日は御多忙のところ、それこそ一つ一つ心に残る印象的な議論をいただきました。誠にありがとうございました。