技能実習評価試験の整備等に関する専門家会議(第36回) 議事要旨

                               人材開発統括官海外人材育成担当参事官室

○日時 令和元年8月9日(金) 15:00~17:00

○場所 厚生労働省 共用第6会議室

○出席者
  岡野委員、岡本委員、椎根委員、冨高委員、羽柴委員
  厚生労働省人材開発統括官海外人材育成担当参事官室、出入国在留管理庁在留管理支援部在留管理課
  外国人技能実習機構、公益財団法人国際研修協力機構
  (食鳥処理加工関係)一般社団法人日本食鳥協会、農林水産省
  (建設機械施工関係)一般社団法人日本建設機械施工協会、国土交通省
 
○議題
 (1)食鳥処理加工業職種の試験の実施・運営状況の報告について
 (2)建設機械施工職種の試験の実施・運営状況の報告について
 (3)試行試験結果の報告様式について
 
○議事
 1 食鳥処理加工業職種の試験の実施・運営状況の報告について
 ○ 日本食鳥協会より概ね以下のとおり説明があった。
 ・ 試験の等級は、2年前の制度改正時に上級が追加され、初級、専門級、上級の3等級で実施している。
 ・ 試験実施機関の概要は、事務局、技能実習評価委員会及び技能実習評価試験委員会がある。技能実習評価
  委員会の委員5名、技能実習評価試験委員の委員3名は、学識経験者、実務経験者等から当協会会長が選任
  している。また、全国で53名の試験監督者は、選任基準に合った者を当協会会長が選任している。
 ・ 試験の実施結果は、初級の受検者が、平成28年で1,173名、平成29年で1,202名、平成30年度で1,255名
  と増加している。また、専門級の受検者は、平成28年度で63名だったが、平成29年度で573名、平成30年度は
  933名と、この2年間で大幅に増加している。
 ・ 技能実習評価試験運営状況の自主点検表について、概ねすべての項目の基準を満たしている。
 ・ 具体的には、1番で、同一の作業の反復のみによって修得できるものではない。2番で、食鳥処理加工業職種
  は認定に適さない職種ではない。3番で、既存の技能検定及び技能実習評価試験の職種の内容と競合して
  いない。4番で、海外の実習ニーズは、当協会の会員や監理団体等を通じてあると聞いている。5番の【1】で、
  業界内の合意形成はなされている。【2】で、食鳥産業の振興の観点から問題がない。【3】で、その他特段の
  問題は生じていない。6番で、当協会は、一般社団法人で営利を目的としない団体であり、制度や試験の趣旨等
  を十分理解の上、関係法令を遵守している。7番で、専門的な知見を有する学識経験者、実務経験者で構成して
  いる技能実習評価委員会で制度の構築、運用等に当たっている。また、定期的に年1回、試験監督者会議を開催
  し、制度改正や試験問題の変更等があった場合、専門的知見を継続的に維持できるように努めている。8番で、
  技能実習制度に係る監理団体又は実習実施者ではない。9番で、平成30年度末の流動資産が約1億7,800万
  あり、継続的に試験業務を実施できる財政基盤が確立している。10番で、試験業務を適正かつ確実に行うための
  試験実施規程、それに付随する内規等を整備している。また、業務に携わる者及び携わった者に対する守秘義務
  の条項を盛り込んでいる。さらに、定期的に年1回、試験監督者会議等を開催し、公正、適正な実施を周知する
  など、必要な措置を講じている。11番で、実習実施者の所に試験監督者を派遣して試験を実施している。12番
  で、定款上の「畜産の発展と国民生活の改善」に寄与する目的を達成するために必要な事業であり、定款第4条
  (9)の条項で、「その他この法人の目的を達成するために必要な事業」を定めており、技能実習評価試験は
  定款上、実施可能である。13番で、営利を目的に試験業務を行っていない。平成30年度の収支差額は約930万
  円のプラスとなっているが、今後、本格化する上級試験を円滑に実施するための試験監督者や事務局等の体制
  整備に充当する予定である。14番で、試験業務に係る経理は、他の経理と区別しているが、従来は年度末に収支
  差額を一般会計に振替えていた。令和2年度の会計から、このような振替えを行わないようにしたい。15番で、
  当協会は試験業務以外に、食鳥に関する生産調整、消費の普及増進及び関連企業の経営改善に関する業務等
  を行っているが、試験業務に不公正が生じるおそれはない。また、密接な関係を有する者も含めて、試験に
  関する事前教育や講習会等は実施していない。16番で、不正防止や公平性の観点から、技能実習評価試験に
  関係する企業以外の者からなる技能実習評価委員会や技能実習評価試験委員会を設置している。試験の実施
  に当たっては、実施規程及び実施要領を補完する内規に基づき、公平かつ客観的な評価を実施している。17番
  で、監理団体等の要請に沿うよう、監理団体等と密な連絡を取っており、再試験等ができる体制も整っている。
  18番で、現在53名の試験監督者を委嘱しており、監理団体、実習実施者の要請に応じて全国で試験を実施
  できる体制が整っている。19番で、試験業務の運営管理は、監理団体、実習実施者、受検者等と連絡を密にし、
  役職員が自ら実施している。苦情等は、試験監督者会議等で周知、共有している。20番で、認定されてから3年
  経過後、試験の実施結果、試験の運営状況の自主点検を行い、その結果を報告している。21番で、上級、専門
  職、初級の等級に区分して実施している。22番で、試験の内容及び実施方法は技能等の修得の程度を図るもの
  として適正かつ公平である。23番で、技能検定等と同等のものとしている。24番で、試験は実技試験、学科
  試験で構成している。25番で、出題は日本語によるものとし、内容は技能実習生の日本語能力からみて妥当で
  ある。26番で、過去の学科、実技試験は、ホームページ等に掲載された申込書の送付があれば公表している。
  27番で、試験科目及びその範囲並びに細目と試験実施要領を作成し、それらの基準に基づいて試験を実施
  している。28番で、実技試験又は学科試験に合格した者に書面でその旨を通知している。29番で、受検者の
  氏名、生年月日、住所、成績等を記載した受検者一覧表を外国人技能実習機構に毎月数回報告し、それらの
  内容を記載した帳簿を整備、保管している。
 ・ 次に、点検結果等を踏まえた課題と対応について説明する。技能実習評価委員と技能実習評価試験委員が
  3名重複しているので、今年度中に委員長も含めて同一の者にならないように対応したい。技能実習評価委員と
  技能実習評価試験委員の選任基準のうち実務経験者の要件に具体的な経験年数が規定されていないため、
  今年度中に実務経験年数を盛り込んだ規定となるよう改正を行いたい。技能実習評価委員と技能実習評価試験
  委員の交代時の引継書等を作成し、委員の交代があっても継続性が維持できる状態を保つようにしたい。試験
  の実施や評価の公平性を確保するため、もう少し分かりやすい試験監督者マニュアルを今年度中に作成したい。
  合格率は実習実施者の技能実習や試験準備等が適切に行われている結果ではないかと考えているが、試験の
  難易度等が本当に妥当であるかは、試験問題の更新の際に検討して確認していきたい。今年度中に、学科試験
  の問題のストックを更新するともに、変更した問題の出題頻度も検討したい。今年度中に、協会ホームページで
  試験問題を公表するとともに、試験問題の更新に伴い、学科試験は公表する問題以外の問題を試験に出題した
  い。試験監督者の裁量による問題の出題・評価が起こらないよう試験監督者のマニュアルを今年度中に作成
  したい。
 ○ 同団体からの説明に対し、概ね以下のような質疑があった。
  委員)過去問を勉強することは、知識、技術の向上にプラスになるので過去問の公開を一概に否定するものでは
   ない。しかし、試験の内容を理解せずに答えだけを丸暗記するリスクもある。例えば、学科試験の問題を各分
   野から10問出題するのであれば、各分野でストックを20問又は30問作って、その中から10問選び、選ぶ問も
   毎回の試験で変えることを検討してはどうか。
  委員)新しい技能もあると思うので、なるべくタイムリーに評価ができるように試験問題を入れ替えていくべき
   である。
  説明者)ご指摘を踏まえて対応したい。
  委員)決算の直前までは区分経理しているが、剰余金等が出た場合に協会全体の収支に合算してしまうのでは、
   区分経理とは言えない。剰余金等が出た場合には、試験目的以外に使えない基金に移す、あるいは、試験会
   計の中で繰越金として次期に繰り越す等の対応をすべきである。
  説明者)今年度の決算から繰越金として次期に繰り越すなどの見直しを行いたい。
  委員)試験監督者によって試験方法等にばらつきが出ないように、試験監督者のマニュアルを早急に整備いた
   だきたい。
  説明者)ご指摘を踏まえて対応したい。
  委員)定款上、協会が試験を実施する根拠規定が、「その他この法人の目的を達成するために必要な事業」と
   なっているが、長年、実施されているものなので、定款を改正して試験の実施を明記すべきである。
  委員)試験を運営している者の意思で読み取れるということではなく、誰が見ても読み取れるように定款を改正
   すべきである。
  説明者)ご指摘について対応したい。
 ○ 報告の結果、食鳥処理加工業職種の技能実習評価試験について、試験実施機関は会議で受けた指摘に対応
  し、より一層適切な実施に努めることとされた。

 2 建設機械施工職種の試験の実施・運営状況の報告について
 ○ 日本建設機械施工協会より概ね以下のとおり説明があった。
 ・ 建設機械施工職種は、押土・整地がブルドーザー、積込みがトラクターショベル、掘削が油圧ショベル、
  締固めがローラーを用いる、4つの作業がある。技能実習評価試験は、初級、専門級、上級の3段階がある。
  学科試験は、初級が真偽法で、専門級、上級が多肢選択法と真偽法で行っている。実技試験は、事前に受検者
  に運転要領を配り、それに従って実際の建設機械を運転操作する試験で、通常は10分程度である。
 ・ 試験実施機関の実施体制は、技能実習評価委員会が、6名の専門的な知識を有する委員により構成され、試験
  の実施状況や実施要領、試験の範囲及び基準を審査するとともに、試験問題及び採点基準を承認する。その下
  に試験委員会と合否判定委員会を設けている。試験問題の作成は試験委員会で行われ、試験結果に基づく合否
  判定は合否判定委員会で行っている。
 ・ 試験監督者は現在27名いるが、受検者数が最近増加しているため、今後、もう少し増やしていく。
 ・ 受検者数の推移だが、平成5年から試験を実施しており、平成5年から25年頃まで100~200名でずっと推移
  していたが、平成29年以降、急増した。平成30年度は、初級、専門級、上級合わせて3,314名という状況と
  なった。
 ・ 作業種別では、掘削が約6割、締固めが約25%、押土・整地と積込みがそれぞれ5~7%という状況である。
 ・ 国別では3分の2がベトナム国籍で、続いてフィリピン、インドネシア、中国の順となっている。
 ・ 次に、技能実習評価試験の運営状況の自主点検結果を報告する。「試験実施機関の要件」の「法律や定款
  上、試験実施が可能であること」は、当協会の定款に、行う事業として「建設機械・施工に係る技術者・技能者
  の育成及び資格付与」が記載されており、技能実習評価試験の実施が可能である。
 ・ 「営利を目的として試験業務を行うものではないこと」は、当協会が一般社団法人に移行する際、技能実習
  評価試験の業務は内閣府から公益事業としての認可を受けており、営利を目的としていない。また、毎年度、
  収支を確認しており、昨年度、一昨年度の収支差引金額は黒字が出ていたが、今後、必要となる受検者管理
  システムの構築や試験実施・監督体制の充実等のために使用する予定である。
 ・ 「試験業務に係る経理について、当該試験実施機関の行う他の業務に係る経理と区分して行われていること」
  は、技能実習評価試験に係る経理は他の業務に係る経理と明確に区分するとともに、外部の監査法人の監査も
  受けている。
 ・ 「評価に当たる者の選任の方法が適切かつ公正であること」は、試験監督者の選任基準を設けて当協会会長
  が委嘱し、選任に係る文書は一定期間保存している。また、実施要領に秘密保持義務や欠格事項の規定を設け、
  不正行為が行われないようにしている。さらに、試験監督者の名簿を整備するとともに、不正行為が行われない
  ように名簿を厳重に管理している。そして、試験監督者によって評価に差が生じないよう、試験監督マニュアル
  を作成するとともに、定期的に監督者会議を開催し、評価のすり合わせを行っている。
 ・ 試験の不合格者に対して、要請があれば本人の実習期間修了前に、1回に限り再受検の機会を与えている。
 ・ 試験場所は、定期試験会場を全国13か所に設けているほか、遠隔地の場合には試験監督者を実習実施者が
  指定する所に派遣する方法で実施している。試験業務の運営は、外部に委託しておらず、職員自らが行って
  いる。
 ・ 試験時期は、定期試験が今年度は延べ106日、全国の各会場ごとに最低3か月に1回以上は実施できるように
  計画し、ホームページに掲載している。
 ・ 学科試験は、初級が真偽法が20問、専門級が真偽法25問と多肢選択法5問の計30問、上級が真偽法40問
  と多肢選択法10問の計50問となっている。
 ・ 実技試験は、初級が安全確認ができて初歩的な作業ができること、専門級が安全確認と基本的動作ができる
  ことは当然として、作業を熟練していること、上級が作業の熟練に加え自分で考えて作業ができること、を目標
  レベルとしている。
 ○ 同団体からの説明に対し、概ね以下のような質疑があった。
  委員)受検者数が非常に多いが、27名の試験監督者で対応できているのか。
  説明者)非常に大変であるが、何とか対応が出来ている。
  委員)試験監督者の間で評価のすり合わせを行っているとのことだが、試験会場が各所にある中で、どこで
    行っているのか。
  説明者)静岡に所在する研究所に試験監督者を集めて、評価のすりあわせを行っている。
  委員)試験監督者全員を研究所に集めて行っているのか。
  説明者)試験監督者27名は今年の状況であるが、評価のすり合わせの会合は今後、開催する。去年までも
    開催していたが、試験監督者はその半分程度だった。
  委員)試験監督者の評価に違いがあると試験が不公平になるので、試験監督者の評価は、是非、慎重にやって
    いただきたい。
  説明者)ご指摘を踏まえて評価は慎重に行いたい。
 ○ 報告の結果、建設機械施工職種の技能実習評価試験について、試験実施機関は会議で受けた指摘に対応
  し、より一層適切な実施に努めることとされた。
 
 3 試行試験結果の報告様式について
 ○ 事務局より概ね以下のとおり説明があった。
 ・ 現状、試行試験の実施に当たり、外国人技能実習機構が立ち会い、試験の会場の整備、運営等の試験実施
  の体制等を「試行試験実施状況確認表」で確認している。そして、この専門家会議において、試験実施機関は、
  試行試験の実施結果、結果を踏まえた評価に加えて、機構から確認表で改善が必要と指摘された事項に関す
  る取組内容を報告いただいている。
 ・ 一方、試験実施機関からどのような準備等をしたらよいかと問合せがあるなど、試行試験の実施の要件が
  明らかではなかったことから、試行試験をより効果的に実施するため、報告様式を作成してはどうかと考えて
  いる。また、今後は、試験実施機関に、専門家会議において、試行試験結果の現状の取組に加え、報告様式
  により報告を求めてはどうかと考えている。
 ・ 報告様式案では、「試行試験に求められる要件」、「確認事項」、「確認」、「試行試験の結果を踏まえた
  是正予定内容」の欄を設けている。例えば、「試行試験に求められる要件」の4番の「実技試験の採点基準等に
  ついて」は、採点基準の判定基準がきちんと用意されているを確認したり、5番の「試験監督者による評価に
  ついて」は、この専門家会議でもよく指摘を受けているが、少なくとも試行試験では3名以上の試験監督者に
  よって同一の受検者の評価が行われているかなどを確認してはどうかと考えている。
 ○ 事務局からの説明に対し、概ね以下のような質疑があった。
  委員)「試行試験に求められる要件」の1番の「受検者の要件について」の「確認事項」で、専門級、上級の
    受検者が「実務経験年数等から適当な者」となっている。非常にベテランの方が受検されると、試験の内容
    が適切か分からないので、実務経験年数に更に要件を加える検討をしてはどうか。
  事務局)試行試験で非常にベテランの方が受検された例があったので、そうした方が受検者となることは適当
    でないことが伝わる書き方を検討したい。
  委員)試行試験の報告要件を厳しくし過ぎると、専門家会議に対して試行試験結果の報告ができなくなるので、
    是正の方向さえ示せばよい部分などを申請者に示せれば、より効率的なものなる。
  委員)3名以上の試験監督者によって同一の受検者を評価することは実技試験の場合であり、学科試験は1名
    でも適切な者を選任していれば十分である。
  委員)試行試験の場合は、試験監督者の中での評価のばらつきを見るということで3名以上必要であるが、この
    3名がほぼ同評価であれば本番の試験では評価者が1名でよい。
  事務局)試行試験で3名以上の試験監督者によって同一受検者を評価することは実技試験で求められることが
    分かるよう修正する。また、試行試験の結果、基準を修正することとした場合、修正内容まですぐに決め
    られないと考えられるので、どのような体制で修正を検討するかを専門家会議に報告いただければよいと
    している。
 ○ 検討の結果、事務局で試行試験結果の報告様式を一部修正することとし、修正内容は座長一任とされた。
 
(以上)