第120回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和元年10月31日(木)17:30~19:00

 

場所

TKP東京駅日本橋カンファレンスセンター

議題

  1. 1.診療報酬改定の基本方針について
  2. 2.国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について

議事

 
○遠藤部会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第120回「医療保険部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、遅い時間からの開催にも関わらず、また、御多忙の折、お集まりをいただきまして、ありがとうございます。本日もよろしくお願いいたします。
まず、委員の異動がありましたので、御紹介させていただきます。
南部美智代委員が退任されまして、新たに日本労働組合総連合会副事務局長、石上千博委員が就任されております。
次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
本日は、池端委員、尾崎委員、藤原委員、前葉委員、村上委員より御欠席の御連絡をいただいております。
続きまして、欠席委員のかわりに出席される方についてお諮りいたします。池端委員の代理として武久参考人、尾崎委員の代理として家保参考人、両名の出席につき、御承認をいただければと思いますが、いかがでございましょうか。
(委員 異議なし)
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。よろしくお願いします。
(報道関係者退室)
○遠藤部会長 それでは、議事に入ります。
本日の議題は2つございます。1つ目が「診療報酬改定の基本方針について」、2つ目が「国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について」の2つでございます。
それでは、事務局から資料の確認をお願いします。
○宮崎課長 事務局でございます。
まず、お手元の資料でございますけれども、本日もペーパーレスということで、タブレットに資料を入れて御用意をさせていただいております。
マイプライベートファイルの中で、資料番号1から13までございますので、御確認いただければと思います。
本日は、この議題に関する資料に加えまして、御欠席の藤原委員、前葉委員から、本日の議題に関しての御意見が提出されております。藤原委員からの提出資料につきましては、資料番号の12、前葉委員からの提出資料につきましては、資料番号の13という形で、マイプライベートファイルの中に格納しておりますので、御参照いただければと思います。
また、議題に関し、後期高齢者医療の保険料賦課限度額につきまして、当初、本日の医療保険部会で議題として提出する予定としておりましたけれども、資料の精査をなお行っていることがございまして、本日の議題からは外させていただき、次回の医療保険部会の議題として提出させていただきたいと考えております。議題の変更がございました点、お詫び申し上げます。
事務局からの説明は以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
では、議題に入りたいと思います。初めに「診療報酬改定の基本方針について」を議題といたします。事務局から資料の説明をお願いします。
○山下課長 医療介護連携政策課長でございます。
資料1-1「次期診療報酬改定に向けた基本認識、視点、方向性等について」のファイルをお開きいただきたいと思います。
1ページめくっていただきまして、「改定に当たっての基本認識」これは、前回第1ラウンドで皆様方にお示しさせていただいたとき、基本認識は3つの柱と申し上げました。その上で、皆様方からの御意見を踏まえまして、本日は4つの柱という形で、改めて、再整理させていただいて、御提示をさせていただきたいと思います。
その内容ですが、黒の三角ですけれども、健康寿命の延伸、人生100年時代に向けた「全世代型社会保障」の実現ということで、最初の○のところですが、2025年には、いわゆる団塊の世代が全て後期高齢者となる。また、2040年ごろには、いわゆる団塊ジュニア世代が65歳以上の高齢者となって、高齢者人口がピークを迎えるとともに、現役世代の人口が急激に減少していきます。
このような中、社会の活力を維持・向上していくためには、健康寿命の延伸により、高齢者を初めとする意欲のある方々が役割を持ち、活躍のできる社会の実現と全世代型社会保障を構築していくことが急務の課題だということを整理しています。
続きまして、2本目の柱ですけれども、患者・国民に身近な医療の実現ということを掲げております。2つ目の○のところですが、我が国の医療制度に関わる全ての関係者(市民、医療提供者、行政、民間企業等)が、医療のかかり方の観点も含め、それぞれ担う役割を実現することが必要ではないかと書かせていただいております。
3本目の柱としては、どこに住んでいても適切な医療を安心して受けられる社会の実現、医師等の働き方改革の推進ということで、2番目の○のところですが、医師等の働き方改革については、将来の医療ニーズの変化や現役世代の減少、医療技術の進歩等も踏まえつつ、医療の安全や地域医療の確保、患者や保険者の視点にも留意しながら、医師等の負担軽減を図ることが重要ではないかと整理をしております。
その上で、最後の4番目の柱ですけれども、これが前回御意見をいただいたところでありまして、社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和ということで、制度の安定性・持続可能性を確保しつつ国民皆保険を堅持するためには、国民各層の制度に対する納得感を高めることが不可欠であるとともに、医療政策においても、経済・財政との調和を図っていくことが重要ではないかと、こういうふうに整理をさせていただいております。
その4つの基本認識を念頭に置いた上で、改定の基本的視点ということで、それでは、この基本認識に基づいて、令和2年度の診療報酬改定に具体的にどう臨むのかということで、4つの視点を掲げております。
まず、
視点1 医療従事者の負担を軽減し、医師等の働き方改革を推進すること【重点課題】
視点2 患者・国民にとって身近であるとともに、安心・安全で質の高い医療を実現
視点3 医療機能の分化・強化・連携と地域包括ケアシステムの推進
視点4 効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上
このように4つで整理をしております。
それぞれの視点については、ページをめくっていただきたいのですけれども、具体的な方向性について、視点ごとに具体的な方向性を書いてあります。
まず、3枚目のスライドですが、視点1「医療従事者の負担を軽減し、医師等の働き方改革を推進する」ことについてです。上のほうで3つ○がありますが、3つ目の○の真ん中辺から、「時間外労働の上限規制の適用が開始される2024年4月を見据え、今後、医療の安全や地域医療の確保、患者や保険者の視点にも留意しながら、総合的な医療提供体制改革の状況等も踏まえたより適切な評価を行う必要がある」と書かせていただいております。
その上で、具体的に考えられる方向性の例としまして、それぞれ医師の負担軽減につながる取組の評価、地域医療の確保を図る観点から早急に対応が必要な救急医療体制等の評価、業務の効率化に資するICTの利活用の推進ということを掲げております。
続いて、次のページで4枚目のスライドですが、視点2「患者・国民にとって身近であるとともに、安心・安全で質の高い医療を実現」することについては、上2つの○のうちの2番目のほうですが、「患者自身が納得して医療を受けられるよう、患者にとって身近でわかりやすい医療を実現していくことが重要」と整理しました。
続いて、考えられる具体的方向性の例については、この四角の中で囲ってあるようなことを書かせていただいております。
続いて、視点3「医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進」ということで、○が上に二つありますけれども、2番目の○「医療機能の分化・強化、連携を進めるとともに、在宅復帰等につながるよう、質の高い在宅医療・訪問看護の確保や、他の医療機関等との連携、介護サービスとの連携・協働等が必要である」と書かせていただいております。
最後の資料ですけれども、視点4「効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上」ということで、高齢化や技術進歩、高額な医薬品の開発等により医療費が増大していくことが見込まれる中、国民皆保険を維持するため、制度の安定性・持続可能性を高める不断の取組が必要である」と書かせていただいております。
以上が、前回の御意見を踏まえまして、再度、事務局において整理しました次期基本方針の考え方でございます。
事務局からの説明は以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの報告を踏まえまして、皆様方の御意見をいただきたいと思います。
それでは、藤井委員、どうぞ。
○藤井委員 ありがとうございます。
4ページの最後に記載されている、ICTを活用した医療連携についてはぜひ進めていただきたいと思いますが、後追いにならないように、できるだけ早い段階でのチェックをお願いしたいと思います。
例えば、現状、レセプトデータをもとに不適切だと思われる処方の可能性のある患者さんに対して保険者が任意にアプローチしているという状況ではありますが、場合によっては、なかなか保険者の言うことを聞いていただけないというケースもあると聞いております。そのため、かねて申し上げておりますとおり、薬を処方する前段階で、多重投与等をチェックできるよう、マイナンバーと診療情報、投薬情報等を紐づけし、医療機関等において患者の受診歴や投薬歴が確認できるような仕組みをぜひ検討していただきたいと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
それでは、佐野委員、お願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
当然ながら、本件、環境認識としては、国全体として、地域医療構想であったり、また、医師等の働き方改革、また、実効性のある医師偏在対策、これを一体的に推進して、効率的な医療提供体制の構築と、これはまさにこれから本格化する段階にあると認識をしております。
そういった中で言いますと、今回挙がっています視点は、4点全て重要であると思います。そういった中で、視点4つのうち、医師の働き方改革、ここの部分の推進だけを改定の重点課題とされていることについて、大変強い違和感を感じます。
先般、医療部会のほうで、早稲田大学の松原委員からも、一般企業においても働き方改革を求められているけれども、そこに経済的な補助が行われてない中で、なぜ、国が医療機関だけに補てんを行うのか、その必要性を明確にしないと、国民からの理解を得られないという御意見があったと聞いておりますけれども、まさにそのとおりだと思います。
そういう面で、この4つの視点のうち1つだけを重点課題にするということは、他の項目よりも優先すると、こういうことになると思うのですけれども、なぜほかの項目よりも優先するのか、その理由とか考え方を説明していただきたいと思いますし、もし、他の項目よりも優先するわけではないのであれば、この重点課題という言葉は要らないのではないかと思いますので、これについての厚労省のお考えをお聞きしたいと思います。
○遠藤部会長 では、事務局、お願いいたします。
○山下課長 医療介護連携政策課長でございます。
重点に整理しておりますところのこの資料の3ページをごらんいただきたいのですけれども、私ども、全て医師等の働き方改革についての対応として、診療報酬改定の政策ツールだけで対応するということは考えておりません。そのため、私が先ほど説明したところの文章をもう一度ごらんいただきたいのですが、3つ目の○のところで、「2024年4月を見据え、今後、医療の安全や地域医療の確保、患者や保険者の視点にも留意しながら、総合的な医療提供体制改革の状況等も踏まえた」と書いております。ここは診療報酬以外にも、先ほど佐野委員からもありましたように、地域医療構想の話とか、医師の偏在の話とか、さまざまな医療提供体制の改革、こういった改革も踏まえながら見ていくことが必要だということを念頭に書かせていただいております。
一方で、どうして重点課題に掲げているのかといったときに、2024年4月、これは確実に訪れる話でありますので、医療の診療の仕方、また、患者の医療の関わり方も含めて、それぞれの人たちが考えていただくということもあると思います。そのためにどうするかということで、診療報酬のためだけではなくて、働き方改革は、実際に働いている方だけでなくマネジメントする方、また、そのサービスを受ける方も関心を持っていただいて、どうやってみんなで医療を守っていくかということを考えるためのきっかけとして、こういった発信を通じて、これを重点ということにすることで、皆さんに考えていただきたいという思いから、こういうふうな位置づけで書かせていただいたということでございます。
○遠藤部会長 佐野委員、どうぞ。
○佐野委員 当然ながら、重要であることについては何ら異をはさむのではないのですけれども、重点課題という言葉は一般論で言いますと、例えば当該項目はほかの項目に比べて取組が遅れていて、全体に悪影響を及ぼす恐れがあるので、より力を入れるとか、もしくは、当該項目を重点的に取り組むことで、他の項目も含めて全体に大きな波及効果があるというときに使う言葉ではないかと思います。
したがって、そういう意味で全体4つの視点の中で、特にこの部分がより重要なのだとみたいなことを明確にしないと、でなければ重点課題という表現は当たらないのではないかと思っております。
○遠藤部会長 それでは、松原委員、どうぞ。
○松原委員 そのようにおっしゃられるわけですが、医師の話だけまずしますと、受験勉強を終わって、大学に入って教養のときに少しだけ余裕はあるけれども、それから、試験を繰り返し繰り返して受けます。とにかく勉強に追われて、学校が終わっても、家に帰ってから勉強せざるを得ない。卒業の間近には、1週間に1冊ずつ厚い本を丸暗記してやらないと通してもらえない。これを教授たちは試験ではなくて、医者になるための試練だと言っているわけであります。もともと医師になるという決心をしたときから、そのようなことは当たり前で、患者さんの健康を守り命を救うということのために医者になっている人がほとんどであります。
したがって、そういった過酷な状態を経て、研修医となりますと、今度は朝から晩まで仕事をさせられると。世の中と何が違っていたかといいますと、結局、簡単に言うと、世の中の働く人たちと違って、サービス残業をするのが当たり前だと、学校から帰ってきてからも勉強をし、仕事をしてからも、家に帰って、また、仕事をすると。そういった下調べなどの仕事も含めて、サービス残業をするのが当たり前だと思って私たちは仕事をしていたわけです。看護師さんもそうだと思います。朝から晩まで病院で働いて、休む間もなく、また、夜勤に入ったりされています。
その世の中と全く乖離した状況が労基局から、それはおかしいのではないかと言われて、今、病院が大変苦しんでいます。そのような状態を改善すると救急が回らなくなります。国民の皆さんが急病を起こしたときに、その方の命を救うためには適切な医療体制が必要です。そのためにサービス残業をして何とかやっていたところが、できなくなったということが、まず、先ほどおっしゃった、世の中において大変変わっておかしかったところが露呈して、大きな問題となっているということであります。
また、もしも、救急体制がとれなかったり、入院体制がとれなくなってきましたら、これは世間に対して申しわけのないようなことになります。だからこそ、今おっしゃっていた、世の中と外れていたし、また、その結果としては大変なことが起こるということを満たしているので、私はこれは重点項目で一番やっていただかねばならない喫緊の課題だと思います。したがって、重点項目としていただいたことに感謝します。
以上です。
○遠藤部会長 では、ただいまのお二人の御意見について、何か関係のある方はいらっしゃいますか。
安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 ありがとうございます。
ただいまのことに関連したことと、あと、若干違うことにつきましても少し意見を述べさせていただきたいと思います。
医師等の働き方改革を重点課題としているのは、先ほど事務局からも、2024年の4月から、医師についての時間外労働の上限規制が適用される予定であることが大きな理由であると理解しております。
一方で、その前に、2022年には団塊の世代が後期高齢者となり始めるなど、今後も医療費が急増していくことを踏まえれば、視点4の「効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上」こそ、重点的に取り組むべき課題であると考えております。
加えて、事務局案では、薬に関連した項目ばかりとなっておりますが、薬だけではなく、診療報酬全般にわたる効率化・適正化が必要だと考えますので、視点3における入院医療の評価とか外来医療の機能分化なども、視点4の中に明記していただきますようお願いいたします。
また、団塊の世代が全て後期高齢者となる2025年に向けて、視点3の「医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進」に着実に取り組むことにより、増加する医療、介護需要に適切に対応できるような、効率的・効果的な医療・介護提供体制を構築することも重要な課題であると考えます。
こうした課題こそ、待ったなしで取り組む必要があり、2020年度診療報酬改定で重点的に対応すべき課題と考えますので、いま一度取り組むべき課題の優先度について御検討をいただけますようお願いいたします。
なお、中医協の場でも申し上げておりますが、医師等の働き方改革につきましては、本来、地域医療構想の推進により効率的な医療提供体制を構築していく中で、医療機関みずから勤務環境の改善や医師の労働時間の短縮に取り組むことにより実現することが基本であると考えております。
そうした中で、診療報酬で手当てすべき課題があれば、検討するというのが自然な流れであると考えており、診療報酬上の手当だけが先行していくことにつきましては、強く違和感を感じます。
また、中医協では、医療機関内の労務管理、労働環境改善のためのマネジメントの実践について、基本診療料等における評価のあり方を議論されておりますが、例えば、基本診療等に何らかの加算をすることで医療機関のマネジメントがどのように変化し、それが医師の勤務環境の改善や労働時間の短縮につながるのか。そして、そのことが患者にとって加算に見合うだけのメリットとなって還元されるのか、国民にしっかりと説明ができなければならないと考えます。
こうしたことを総合して考えますと、3ページの視点1の上から3つ目の○について、文末の「適切な評価を行う必要がある」という表現は踏み込み過ぎであると考えますので、例えば「評価のあり方について検討する」といった記載にとどめていただくようお願いいたします。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、幅広の議論でも結構でございます。
樋口委員、先ほどお手を挙げておられましたけれども、どうぞ。
○樋口委員 ありがとうございます。
視点1の医師等の働き方改革を重点課題の1に取り上げてくださったことは大変ありがたいと思いますが、ここに全く出ておりませんけれども、昨年世間を騒がせた、医学部の不正入試事件でございますけれども、あそこで私は、なぜ医師国家試験の女子の合格率が3割を超えないかということがやっと理解できたような気がいたしました。あれは大問題でございまして、女性を排除する側の気持ちもわからないではございませんけれども、これからは公正に入試が行われるとすると、女性医師が3割を超えていくのはもう目に見えていると存じます。OECD諸国などと比べても、女性が3割、4割以上というのは決して珍しいわけではございません。ですから、医師を志した女性全員が結婚するとは限らないとしても、そのうちのかなりの女性が妊娠・出産する。そのことを計算に入れた働き方改革にしていただきたいなと思っております。
それと、現実に見ましても、女医の途中での引退率は、男性とは比較にならないほど、今にしてまだ高うございます。私学も含めて、国の多大な助成金で医者という仕事を選んだ者が、妊娠・出産、その他の家庭的な事情で引退していくということは、まことに国家の損失でございます。私は同じ女性として、女医を志す若い方たちには大いに奮起していただきたいと思っておりますが、それもやはり子どもは女性でなければ産めないわけですから、その産む側の女性に対して働き方改革の上で何らかの御配慮をぜひお願いしたいと思っております。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
松原委員、どうぞ。
○松原委員 おっしゃるとおりで、女性の医師が働きにくいのは、出産して子どもさんを預けるところがなかなか難しいという点にあります。子供さんが発熱して呼び出されてもすぐ行けるように、院内で設備するのであれば、それなりの費用がかかります。女性医師が安心して出産して働けるような仕組みをつくっていただきたい。
また、勤務医の先生方とお話ししますと、医師でなければならない仕事よりも、医師でなくてもできるような、文章を書いたり、いろいろな事務作業をすることが多過ぎる。これをぜひ改善強化していただいて、そうした医療に関する事務的な仕事に対する職種をもっと厚くしていただきたい。そうでなければ、今やっている仕事を投げ出して早く帰れというような仕組みにされますと、先ほど言いましたように、完全に医療は崩壊します。法律的には、24年、少し待ったということではありますけれども、今年から対応していかなければ間に合いません。数年で問題が起きないように、法律を守れるように対応していかねばならないので、そこのところをぜひ委員の方々に御理解を賜りたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかに。
石上委員、どうぞ。
○石上委員 石上です。よろしくお願いいたします。
視点2にありますとおり、安心・安全で質の高い医療を実現するという意味でも、医師や看護師を初めとする医療従事者全体の働き方改革という視点が大事だと思います。そういった意味では、病院における働き方改革に確実につながる診療報酬のあり方について検討していくことは重要だと思います。
1つ質問ですが、視点1の枠囲みの【考えられる具体的方向性の例】で、「医師等の負担軽減につながる取組の評価」、そして、その下の1つ目のポツの末尾で、「実践に資する取組の推進」という記載があるのですけれども、これらについて、もし今検討していることで話すことができることがあれば、具体的な例をもう少し出していただければと思います。
○遠藤部会長 それでは、医療課長、どうぞ。
○森光課長 その点につきましては、中医協でも同様な議論がなされておりますけれども、この働き方改革の勤務環境改善の取組の例という形で、中医協のときに出させていただいたものは、例えばですが、これは新しい仕組みではありませんが、これまで、例えば医師事務作業補助体制加算というような形で求めたものがございます。これはそもそも負担軽減をするために雇うということでございますので、病院全体が、医師の負担軽減策の計画を立てていただく。例えば、その中には医師と他の職種との役割分担を具体的に定めるとか、そのようなことを病院側に求めた上で、そういう医師の作業補助者等の加算をとっていただくというようなものがございました。それは加算をとっているところだけがやるということですので、例えば病院全体、そのほかの病院にも広げるというようなことはどうなのかとか、そういうことについて中医協の中では検討をしている例がございます。そういうことを少し御紹介をさせていただきました。
○遠藤部会長 石上委員、どうでしょう。
○石上委員 ありがとうございます。
取組について、さらに議論を深めていっていただきたいと思いますし、まずはその全体像を具体的に明確化していく中で、医師に限らず医療従事者全体の働き方改革に確実に資する診療報酬のあり方について、ぜひ検討を引き続きお願いをしたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
先ほど手をお挙げになった秋山委員、どうぞ。
○秋山委員 ありがとうございます。
視点1の「医療従事者の負担を軽減し」というところについて、前回も発言させていただいたのですが、【考えられる具体的方向性の例】の1つ目の○の3つ目のところ、「人員配置の合理化の推進」の合理化という言葉についてです。前回も申し上げましたが、負担軽減という意味では、先ほどからお話が出ていますように、タスクをシェアする、タスクをシフトされる側の職種も配置を増やしたり、強化していく必要がある。医師そのものの人員配置については強化して、手厚く配置するといったことも含まれるかと思いますが、この合理化という言葉の中には、そういった人員配置の強化、手厚い配置といったようなことも含まれると理解してよろしいのでしょうか。
○遠藤部会長 医療課長、どうぞ。
○森光課長 そのように考えております。
○秋山委員 ありがとうございます。
○遠藤部会長 ほかにいかがでしょうか。
原委員、どうぞ。
○原委員 ありがとうございます。
最初に事務局に質問があるのですが、前回、私、診療報酬体系の簡素化ということについて触れていただきたいという意見を申し上げたのですけれども、ざっと見る限り、入ってないように思うのですけれども、そこのところについてちょっと御説明をいただきたいと思います。
○遠藤部会長 簡素化について、どなたがコメントされますか。
では、連携課長、どうぞ。
○山下課長 医療介護連携課長ですけれども、もちろんさまざまな医療について多様なサービスという形で診療報酬として評価していますので、それを簡素にするということの趣旨ではないと理解はしているのですけれども、一方で、診療報酬の点数を算定するとき、もしくは請求するときに、いろいろな書類をつくるようにとか、そういったところが働き方改革の中においても、ちょっとこの書類は、というようなことも不満があって、そのお話ではないかと思っていますので、そこをもう少し具体化して、次のときまでにちゃんと御回答できるようにしたいと思っています。ありがとうございます。
○遠藤部会長 原委員、どうぞ。
○原委員 届出の簡素化は確かに書いてあって、そのことが診療報酬体系の簡素化にもつながっていくということなので、それはそれで結構なのですけれども、なぜ診療報酬体系の簡素化が必要であるかというのは、前回申し上げましたとおり、審査基準の統一、審査支払業務改革に今取り組んでいる中で、審査基準の明確化という意味では簡素化はやはり大事な視点ではないかということと、事務コストが非常にかかっているということです。それに加えて、この視点2にありますように、患者・国民にとって身近である医療の実現というときに、わかりやすい医療費と言うのでしょうか、患者から見たときに、そういう観点でも大事なことではないかと。
実際に、改定の基本方針26年度あるいは30年度にはそういうことを明記していただいているので、具体的に、どの点数にどうかということではなくて、考え方としては常にその視点を明記しておいていただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょう。
それでは、森委員、横尾委員、松原委員の順番でお願いします。
○森委員 ありがとうございます。
視点4をごらんいただければと思います。【考えられる具体的方向性の例】の○の2つ目の「医薬品の適正使用の推進」ですけれども、ここ何年か薬剤師として積極的に残薬に取り組んできました。残薬を管理して、医師と連携して対応することにより、もちろん医療費の節減になるのですけれども、心配しているのは、残薬があるということは、指示どおり飲んでいないということになります。そのため治療効果が上がらないこと、また、残薬が相当程度あり指示通り飲んでいなかったときに、急に医師の指示どおり服用開始しますと、重大な副作用につながることがあります。高齢化の中、今後も、残薬対策に関しては必要だと思いますので、残薬ということを入れていただければと思います。
それから、後発品とバイオ後続品ですけれども、後発品に関しては、ある意味では順調に80%に今到達するようなところに来ています。ただ、これからの1%、また、80%を超えた中で維持するのは今までと違う状況になります。後発品の使用促進は平成19年に策定された「後発医薬品の安心使用促進アクションプログラム」、25年の「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」に従って、関係者が全員で協力して行われてきました。ただ、その当時と今は状況が大分違ってきていると思います。19年当時は、使用率が約35%で、これから後発品を進めようと。25年当時は約47%ということで後発品の使用が進んできたところでした。80%を迎えた中で、例えば80%時代の中での安定供給であったり、さまざまな新たな問題が出てくると思います。後発品80%時代の新たなロードマップを策定して、関係者で協力をしていく体制を整備していただきたいと思います。
それから、重複投薬やポリファーマシーのところですけれども、残薬もそうですけれども、ここの対策に関しては、かかりつけ機能を強化する。かかりつけを推進することが必要で、きょうの資料の中の1枚目の「改定に当たっての基本認識」の中の患者・国民にとって身近な医療の実現のところで、我が国の医療制度に関わる全ての市民を含めた関係者が医療の関わり方の観点も含めてそれぞれの担う役割を実現することが必要と記載してあり、国民がかかりつけ薬剤師・薬局をきちんと持ってほしいと思います。後発品の使用促進では、差額通知等保険者の協力をいただいて、進めてきました。保険者の事業として、かかりつけ薬剤師・薬局を持つようにということを勧めていただければ、こういう対策も進むのではないかと思います。
あと一点、バイオ後続品ですけれども、今後、バイオ後続品に関しても進めていかなければいけないと思います。ただ、バイオ後続品は、化学合成薬品と違って、いわゆるシミラーという扱いになります。まだまだバイオ後続品はどういうものなのか等患者の理解が進んでいないと思います。まずは関係者がきちんと患者さんが理解できるような取組をしていかなければいけないと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
お待たせいたしました。横尾委員、どうぞ。
○横尾委員 ありがとうございます。4点御意見を言わせていただきたいと思っています。
まず最初に、現在の基本認識というところに記述がありますように、どこに住んでいても適切な医療を安心して受けることができる社会の実現を目指すことは大変重要なことだと思っています。2040年問題のこともありますけれども、現状段階としても地域によっては医療に少し不足感があったり、課題を抱えていらっしゃる方もありますので、ぜひこのことが実現できることはとても重要なことだと思っています。
そういった意味では、次の視点の幾つかの項目に重複しながら記述されていますが、例えば、へき地や過疎地等の医療機関が少ない地域、こういったところへの対応についても配慮が必要だと感じるところが1点目であります。これは首長としても強く感じているところです。
2点目はICTのことでございます。先ほどほかの委員からも御発言がありましたけれども、例えば、現状でも、オンラインの診療とか、遠隔のモニタリング、遠隔の治療に関する資料がこの添付資料の中にも入っていますし、現在、先進的に取り組んでいらっしゃる医療機関におかれては、そのことをトライアル的にされているところもあると聞いています。また実例についてもビデオ等の資料として見たことがございます。そういった利便性のあるものを活用していくことはとても大切なので、こういった配慮は重要だと思っています。
その関連として3点目でございますが、実はAIのことです。AIという言葉は今回出てきていないのですが、IT、ICT系の技術系、あるいは、CEATECの技術系の進展を見ると、これから5年、10年のスパンで考えていくと非常に加速度的に進むという話がよくあります。AIを使ったものとして、例えば、私も実際に目の当たりにしましたけれども、緑内障の診断検査や治療等があります。まず検査を受けるわけですけれども、もちろん医師法に基づいて、診療についてはドクターの方がする必要があると思いますが、その病の兆候があるかないかにつきましては、何万という検査診断データに基づいたデータベースからの判断でAIが患者の眼底写真を撮って、それで判断して、「あなたは疑いがあるから、細かい検査をドクターから受けてください」というような参考資料を出すと。この参考資料に基づいて、その方はドクターのほうに行って診療を受けるということで、改善が図られると聞いています。
例えば、これは一つの例ですけれども、ほかの診療科目の分野でもAIを活用していくことは今後進んでいくと思いますので、ぜひ、そういった最先端技術活用の先取りといいますか、未来志向としては必要になっていくのではないかなという認識を持っているところです。
先端的な手術台も視察したことがありますが、手術台そのものがアームによってロボティクスも関係していますけれども、患者さんに負担が全然ないままに手術台に、次にはCTとか何かが必要だったらば、そのまま患者は水平の状況でそのマシンのところに行って、リアルタイムで画像を撮って、すぐドクターにそのことがわかって、細かい脳外科とか内臓に関するオペができるということも目の当たりにしたことがあるのです。例えばそういったこともどんどん進んでいますので、そういった配慮もどこかでしていく必要が今後はあるのではないかなと思っています。
最後4点目ですが、医療の提供に関して、大病院、中小病院・診療所の機能分化という記述が例で出ておりました。この中で、診療所は特に分けて書かれてないのですけれども、有床診療所と無床の診療所があると思っています。特に有床診療所で地域医療にも頑張っておられる開業医の皆さんは、近所の方やかかりつけ医として頑張っていらっしゃるケースが多くて、その方々が看取りまできちんとやるという志を持った方もおられますので、そういった方々の地域密着型の医療の提供に関する努力もどこか評価が必要ではないかと思っています。
あわせて、このことについては、国として、日本の国民の医療、誕生から天寿全うまで、特に終末期はどのようにケアができるのか。一方では、大病院については病床を減らせという話になっているのですが、人口は減っていきますものの高齢者は増えていきますし、長寿化になっていきますと、そういったニーズは必ずあるわけですね。それらについても、有床診療所についての扱いもぜひ検討すべきではないかと思っています。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
では、松原委員、どうぞ。
○松原委員 診療報酬の本が非常に厚くて、さらにどんどん厚くなっていくということに対して、私どもは、何でこんなになるのだとよく言われますけれども、これは中医協によって極めて細かく検討した結果です。これについてはある意味では患者さん一人一人に寄り添うためには仕方のないことでもあると思います。ただ、いろいろな申請書類が非常に多くなっているというのは、これは簡素化すべきであって、その簡素化の対象を十分に検討しながら対応をしていかねばならないと思います。
また、今、森委員がおっしゃいましたように、薬について、余ったりするのは大変遺憾なことであります。同じ薬が別のところから出ているなどということはあってはならないことです。ただ、これはかかりつけ医機能を強化して、一人の医者が整形外科から出ていようと精神科から出ていようと、全ての薬を把握して、重複にならないようにすべきです。そういったことをぜひさらに評価していただきたいと思います。
簡素化の話もそうですけれども、明確にならなければならないことが多々ございます。薬の費用の決め方において、今、中医協で十分議論していますけれども、明確にしなければ、ひずみが来ると思いますので、ぜひ、中医協でも引き続き薬の価額の決め方を議論していただきたいと思います。
後発医薬品も先発医薬品の中にも、先日来、外国でつくって、発がん物質がまじっていたということが多々報告されています。こういったことは決してあってはならないことです。私は、以前から、どこの国でつくった薬か表示してくださいということを、申し上げています。各国によって審査基準が大変違います。また、審査基準を十分公開してない国もあります。どこの国がつくったのかということは消費者にとっても大事なことだと思いますし、そういったことがわかるようにしていただきたいと思います。これは患者さんの安全に資することであります。
もう一つは、医療というのは誰かが他から見てないといけません。第三者の評価がなければ、その院内だけで判断して、院内だけでそれでよいとするのは大変危険であります。これまで大きな問題が幾つか起きておりますから、ぜひ、第三者の評価ということを今年もきちんと推進していただくような文章にしていただきたいと思います。
あと、AIももちろん患者さんのよい診断のためには使ってまいるべきだと思います。ICTもそうであります。ただ、前回問題となりました、スマートフォンで顔だけ見て処方するというのは、私ども医師としては責任の持てないことでありますので、そういった簡便化あるいは楽になるのではなくて、患者さんの健康にとってより有益になるようなことを推進していただきたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、菅原委員、どうぞ。
○菅原委員 ありがとうございます。
大きく3点あるのですが、まず、全体的な現状の改定に当たっての基本認識について、意見が1つあります。
参考資料の1-3ですかね。まず9ページにこれから先の2015年から2040年までの人口段階別市区町村の変動がありまして、これから先、自治体の人口がどういうふうに変化していくかという資料がついております。これを見ると一目瞭然なのですが、基本的に、2040年に向けて全国的に人口の急減が見込まれているということ、これがまず議論の多分最大の出発点にすべきだと私自身は考えています。これはある意味では、国民一人一人がなかなか受けとめがたい現状ですし、時と場所によってはその実感をいまだつかみにくい地域があることは事実でありますけれども、社会にとって非常に大きな制約要因になることはもう間違いないという、ここをまず自覚する必要があると思います。
それを前提にするならば、例えば5ページにある、今後の高齢化の対応とか、あるいは、その上の4ページにある死亡、看取りに対する対応は、当面のところ、10年から20年のスパンで取り組むべき重点課題ではもちろんありますけれども、保険財政上の、それから、地域の医療提供体制の姿も、これまでの議論の延長線上ではこれから先はなかなか難しい。拡大ではなくて、ある意味では集約や縮小ということも考えていかなければいけないという局面にあることを、まず国民の方々にきちんと理解をしていただくということを示さなければいけないのではないかなというのが私の意見であります。
こういった厳然たる事実から目を背け続けることはあってはならないというのが私の意見でありまして、今回の改定の基本的な認識を見て気になる点は、基本的にこれまでの数次にわたる改定の基本的認識と余り大きな変化がない点。個々の項目を見ますと、健康寿命の延伸、人生100年、身近な医療、医師の負担軽減、これらの全てについて、基本認識について、私、全く異論はないのですけれども、正直言いますと、負担と給付の関係あるいは保険適用の範囲の議論とか、あるいは、地域における医療提供体制の今後の整理・集約のあり方など、不人気で議論の難しい問題についてはここには明確な記述がございません。そういう印象を受けます。これらに対する国民的議論をこれから喚起するためにも、まず、診療報酬の改定の基本認識において、こういう点についても丁寧に説明をする必要があるのではないかというのが、第1点の意見でございます。
2点目でありますけれども、具体的方向性、視点2でありますけれども、ここに、やや細かい話ですが、アウトカムの評価を進めていくというのがございます。アウトカム評価を進めていくということは、基本的に患者さんのベネフィット、最終的なアウトカムを評価するという点において非常に有益ですし、私自身も大賛成であります。一方、私も、今、委員になっています入院医療調査・評価分科会の中では、既に、アウトカム評価の入っているリハなどの評価の点において、医療従事者御自身で成果を評価していただくということがございますので、その成果の評価の仕方に若干バイアスがかかっているのではないかと、そういった懸念があるのではないかという意見も出ております。そういった意味では、厳格な評価やその体制の確立も、アウトカム評価を広げていくと同時に、第三者的にもきちんとそれが確認できるかどうかということも同時に考えていく必要があると考えております。
最後、視点4でありますが、効率化・適正化の話であります。これはほかのところにも書かれているのですけれども、我が国の国の基本方針である骨太の方針2019の中には、基本的に、今年の方針の中に、急性期医療の入院基本料見直しの検証と必要な対応の検討がもう明記をされております。これは効率化の項目として明記をされております。今、視点4を見ると、全てモノに関する部分の効率化の事項しか挙がっておりません。視点3の中に医療機能分化とか連携の強化があるのかもしれませんけれども、骨太の方針という最も大事な国の方針に沿う形で、それは効率化・適正化の中にもきちんと入れて、実際に急性期の病床の転換が十分に進んでいないという現状認識もございますし、急性期だけではなくて、それ以外の病床の機能分化や転換も十分に進んでいない状況かと思いますので、それに対する対応を視点4の中に入れるべきではないかなと考えております。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
武久参考人、家保参考人、菊池部会長代理ということでお願いします。
○武久参考人 視点3についてでございますけれども、大病院・中小病院、診療所の機能分化を推進、在宅医療、質の高いと、このあたりで、私は医療の真っからただ中でおります現場からの発言としてお話をしたいと思います。
40ページにありますように、かかりつけ医が日本医師会を中心に在宅医療の患者さんにはついてくれているのですけれども、現実問題として、開業医の平均年齢が60歳以上を超えているわけでして。毎日毎日365日24時間在宅患者の要求・要望に応えることが現実には非常に厳しくなっているというのが現状です。
これに対して、地域の多機能な病院、中小病院に当たりますけれども、ここが夜はかわりに担当するとか、行けないときにはかわりに行くとか、そういうような連携はどうしても地域医療の中では必要で、それがないとお医者さん一人だけで対応するのは現実に難しくなっていっています。
ところが開業医の先生は、地域の中小病院に送ると、患者さんが長く入院したりして、なかなか帰って来ないのではないかというようなこともあって、大きな公立病院に紹介する例が結構多い。これはデータで出ておりますけれども、ここを地域の多機能な病院としては、かかりつけ医側のサイドに立って、かかりつけ医のほうが対応できないことは自分らが対応すると。普通のところは全部かかりつけ医で対応してくださいというような前向きな連携ができると非常にいいと思います。
現実問題として、大きな公立病院に紹介して1週間ぐらいしてから、また、地域の多機能病院に舞い戻ってくるというような現状が非常に多くございますので、医師会の先生方ともいろいろ話して、地域の中のことは地域の中である程度の軽度・中度の救急も含めて対応できるようにできたらいいのではないかと思っておりますので、現状としては、なかなか絵に描いたようにはいっていないということもお知らせするとともに、その現状を打破するためには、連携をうまくやるように、医師会とも病院協会ともよく話し合って対応することが必要だと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
家保参考人、どうぞ。
○家保参考人 先ほど横尾委員さんのほうから言われました、どこに住んでいても適切な医療を安心して受けられる社会というのは、地方公共団体としては非常に大事な観点だと思っております。人口の高齢化に伴いまして、地方の高齢化が進んだところでは、医師の高齢化も進んでおり、民間の診療所で頑張っておられた先生方がリタイアし、跡継ぎがなく、閉院になってしまうというような事例も多々ございます。
地域に人が住んでいくためには、外来機能をそのような地域でも維持できるように、今後、過疎法の見直し期限もそろそろ来ますので、そういう観点もあわせながら、過疎地域の外来機能の維持については、ぜひとも評価をしていただければありがたいと思います。
加えて、医師の働き方改革については、2024年が上限と設定されますが、実際、一般職に比べますと、明らかに高いレベルの時間外労働をしていることに対しては、やりは是正をしていかないと、脳血管疾患、精神障害等々の健康リスクが高いことを是認することにもなりますので、診療報酬としては早い段階で手が打てるような形での取組をやっていただきたいと思います。当然、働き方改革、それから、地域医療構想等、地方としてもやれることはやっていきますが、大きな部分、国の全体のところで診療報酬の面でもぜひサポートいただきたいというのが意見でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
では、菊池部会長代理、お願いいたします。
○菊池部会長代理 1点だけお話しさせていただきます。
今、何人かの委員の皆様から「地域」という言葉が出てきたように思うのですが、今、社会保障制度改革に向けた取組の中で、地域共生あるいは地域の支え合いという点が注目されています。地域包括ケアも地域共生社会と関連づけて取り上げられることが多くなっています。今、この地域における包括的支援体制の整備に向けた議論が行われています。先週金曜日に障害者部会がありまして、そこで医療関係者の委員の方からは、地域共生社会の議論の中で、医療の視点が希薄ではないかという御指摘がなされました。
他方、きょうの午前中に社会援護局の地域共生社会推進検討会がございまして、そこでは、地域で診療に当たっておられるドクターの先生方をお招きして、地域づくりと医療の関係についてヒアリングを行わせていただきました。
これに対しては、きょうの資料を拝見する限り、地域包括ケアの枠組みを超えた、地域でさまざまな住民の生活を支えるという視点が必ずしも十分伝わってこないようにも感じられました。医療部会の所掌事項であるかもしれませんが、高齢者や精神障害者の方の地域包括ケアシステムのあり方をどう考えるか。あるいは、地域医療の確保をどう図るかといった視点にとどまらず、地域に住まうさまざまな困難を抱えた住民の方の生活をどう支えるかという視点を、生活インフラの要とも言える医療保険並びに医療提供体制の構想の中で、今後、もう少し意識的に取り入れたほうがよいのではないかという印象を持ちます。
今回は、診療報酬改定の話なので、これをすぐに入れ込むのはなかなか難しいとは思うのですけれども、せめて、基本認識のあたりで少しそういうのを入れ込んでおかれたほうが、社会保障施策全体の整合性という観点からもよいように思いました。
以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございます。
まだ御意見はあるかとは思いますけれども、大分時間になりましたので、もう一つ課題がありますので、本日はこのぐらいにさせていただきたいと思います。この議論は、まだ、引き続き行いますので、事務局におかれましては、本日は多様な御意見が出ましたので、それらを踏まえて所要の対応をお願いしたいと思います。
それでは、次の議題に移りたいと思います。
次は、「国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について」でございます。事務局から資料の説明をお願いいたします。
○熊木課長 国民健康保険課長でございます。
資料の2を御確認いただければと思います。国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額でございますが、最終的には、政府として決定しなければならないと考えておりますけれども、通常、この時期に、案ということで私どもで公表をさせていただきまして、この部会において御意見を賜った上で進めていくというプロセスを経てございます。
まず、賦課限度額ということについて、資料のページ1を御確認いただければと思いますが、この賦課限度額なるものは、社会保険方式をとっておる場合には、保険料負担は負担能力に応じるという部分がございます。他方で、余りに高い保険料ということになりますと、受益との関係で被保険者の納付意欲をそぐという可能性があり、ひいては、制度及び事業の円滑な運営に支障を来す可能性があるということでございまして、一定の限度を設けているということであります。
1ページの下のほうの図を御確認いただければと思いますが、医療費が上がっていく過程におきましては、料率を上げていくことが必要になります。そのときに、真ん中のグラフにありますように、賦課限度額を変えずに料率が上がれば、中所得層にとっては負担が大きくふえるということになります。
他方、右のイメージ図にありますように、賦課限度額を上げるということにいたしますと、高所得層にはその分負担をいただくということになりますが、中間所得層の保険料には配慮することが可能になると、こういう構図でございます。
次のページがこれまでの推移でございまして、平成12年に介護保険ができたときには、介護保険分の設定もあり、平成20年度から後期高齢者医療制度ができましたときには、医療分につきましても、後期高齢者の分が明示的に外出しされているという形になっておりまして、それぞれの区分において限度額があり、合計では、現在96万円になっております。ここ10年で見ますと、2回ほど据え置いてございますけれども、それ以外につきましては、3万円ないし4万円、4万円引上げのケースが多いという形でございます。
次のページ、3ページになりますが、それを踏まえまして、令和2年度の賦課限度額について、事務局としては合計3万円、基礎賦課分として2万円、介護分として1万円、後期高齢の分については据え置きということで、96万円から99万円という御提案をさせていただいております。
この理由でありますが、表が3つありますが、真ん中の表をごらんいただきますと、これは限度額に当たる世帯の割合でございます。医療費が上がって料率が上がる場合、あるいは、所得が上がって賦課限度額に当たる世帯が多くなる場合、いずれにしても、次第に賦課限度額に該当する世帯はふえていくという傾向がございます。それに対して、黄色のところ、上のほうにありますように、被用者保険におきましては、賦課限度額に当たる標準報酬月額の最高等級に当たる方の割合が0.5%から1.5%の間になるように法定されているということでありまして、賦課限度額に当たる世帯の割合を適正にしていくという考え方でございます。
真ん中の表にありますように、現在、全体で言えば、それぞれの割合がございますので、引き上げないといたしますと、該当世帯の割合がそれぞれ真ん中の欄でふえるということになりますが、引き上げるということにしますと、比べまして、現状をほぼ維持する、あるいは、少し減るということを行うことができるということであります。
それから、もう一つの考え方がございます。先ほど来申し上げましたように、中間所得層と高所得層のバランスということであります。それは、3ページの下の表になりまして、下の表の真ん中は、年収400万円、平均的な所得(年収)ということで設定させていただきました。これと賦課限度額世帯の状況を並べて見たものであります。右側の一番赤い部分で確認いただければと思いますが、現在令和元年度、年収400万円の世帯が30.2万円の保険料であると。これが料率が上がるという中で、仮に、賦課限度額を据え置いた場合には31.2万円、すなわち、3.3%増加するということであります。当然ながら、賦課限度額に当たる世帯は96万円で変わりませんので、0%ということであります。
これを、賦課限度額を上げるということをいたしますと、それによって料率を少し下げることが可能になりまして、保険料負担はふえるものの、ふえ方が、年収400万円の世帯だと2.8%増加になると。一方、賦課限度額に当たる世帯は、96万円が99万円でございますので、3.1%増加とはなりますけれども、年収400万円の層がこの高所得層の伸びより若干抑えられる水準にまで抑えることができるということでございます。
最後に4ページでありますが、これは参考でございまして、賦課限度額云々というよりも、限度額の仕組みについてでございます。実は、この医療保険部会におきまして、昨年及び一昨年の委員の方から、一部の自治体によっては所得が500万円あるいは600万円といったところで賦課限度額に当たるケースがあるということでありまして、したがって、制度の見直しも考えるべきではないかという御意見がありました。
これは結論的に申し上げますと、現在、別の場所で議論をしてございます。国民健康保険の基盤強化協議会がございまして、その事務レベルワーキンググループで、国と都道府県、市町村と協議をする中で、制度のあり方については、検討・議論をしていきます。そのときの資料を、今回は参考までに紹介するものでありますが、賦課限度額に当たる所得を見たものであります。グラフの下のほうに書いてある金額で賦課限度額に当たる自治体がどのくらいあるのかというのが棒グラフでございます。世帯の人数によって保険料は異なりますが、2人世帯までで約9割となりますので、この赤いグラフをごらんいただければと思いますが、例えば、所得の600万円というところで賦課限度額に達する自治体は132、これは全体のおよそ8%にとどまるということでございました。
したがいまして、多くの自治体において、所得600万円、あるいは、年収ベースで言うと837万円といったところで賦課限度額に達してしまうという状況ではないということでありますので、全国レベルの制度としては、現状の仕組みを維持し、賦課限度額を都度、都度、上げていくという形がよろしいのではないかという、事務局としての提案をさせていただきました。
他方、この議論につきましては、引き続き、議論をしてほしいということでしたので、ワーキンググループでは議論を継続しているということでございます。
以上、賦課限度額の引上げ及びその制度のあり方を、後者につきましては参考までということで紹介をさせていただきました。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ただいまの御報告に対して、何かコメントはございますか。
松原委員、どうぞ。
○松原委員 十分なお金のある人たちに対して、適正な形で努力をお願いされるのは大変よいことだと思います。
ただ、先ほどの話の一部に戻るのですけれども、国の財政状態が悪いのは事実でありますが、もう一つは、よい医療がどんどん出ていますので、医療費がかかるのも事実であります。しかし、制度さえ持続すればいいという話ではなくて、よい医療を国民の皆様に給付するということを十分に検討していくというのがこの審議会の非常に大事な視点だと思います。その点において、安かろう悪かろうのような形ではなくて、お年を召しても元気で長生きしたいと、その気持ちはどんな年齢でも一緒でありますので、国民の皆さんがそれを安心してできるような方策をとっていただければと思っているところです。その中で、こういった修正をかけるのは賛成です。
この会で議論すべきことではありませんが、これからの高齢化社会を乗り切るためには、確かに私ども努力して適正な形にしなければならないのは事実です。しかし、何かもう少し発想を変えて、新たな考え方でやらねばいけないのではないかと最近思っています。
その中で、御高齢の方を見ていると、年金で暮らされている方がほとんどであります。大変年金の金額も少ない方もいらっしゃいます。そういった方に対して十分配慮しないと、少しの金額でも大変な心の御負担、また、経済の負担になりますので、その方たちに対して、例えば、今1割の負担を2割にするとか、あるいは、定額に1コイン分とるとか、私は、そういう方法ではなくて、もっと別の次元の選び方があると思います。ほかの国の中には、高負担、そして、高医療を実現している国もございます。
4年前、何かほかの方法を考えましょうと申し上げました。お年の方は、将来のために、たとえ90歳の方でも、これからの自分の老後のためにお金をためるのだと言っておられる方がかなりいらっしゃいます。そのような人々の安心のためにも、例えば御夫婦が亡くなられたら一定の金額を相続税の前にいただくとか、そういった新しい発想。また、消費税も今回2%上げるのであたふたしております。前から私どもも申し上げているのですが、一遍に上げるから、買いだめとか景気に問題が起きるので、毎年、例えば0.25とか0.5ぐらいずつ、高齢化社会に備えるためにそれを実現していく。そういった時期に来ているのではないでしょうか。少しずつ上げれば、そんなに景気にも作用しませんし、0.25や0.5ぐらいでしたら負担感もあまりありません。事務的な対応はしなければなりませんが、それも工夫すればできると思いますので、新たな発想でいろいろなことを対応して考えていっていただければと思います。特に厚生労働省さんは、国民の命と健康を守るための省であります。私ども現場で一生懸命努力しています。その中で、安かろう悪かろうではなく、発想を変えて、ぜひ別の発想をもって対応をしていただきたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 お待たせしました。藤井委員、どうぞ。
○藤井委員 ありがとうございます。
本件、制度の持続性確保や中間所得層の保険料負担の抑制の観点からはやむを得ない措置だとは思いますが、本来は、安易に上限を引き上げることで負担を求めるのではなく、給付と負担のあり方を徹底して見直すことが先決だと思います。今後、本部会等で、給付と負担の見直しについて議論されることと思いますが、ぜひ、早急かつ確実に実施されることを期待したいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかに何かございますか。
林委員どうぞ。
○林委員 ありがとうございます。
この応能負担の議論は当然あってしかるべき議論だと思っておりまして、賛成いたすところでございますが、負担能力があるかないかという、そういった判断に関しましては、年齢がかさむごと、特に高齢者に関しましては、より慎重にしていかなければならないと考えております。
負担がふえていった中において、患者・国民がそれ以上に感じられる万が一のときの担保というか、そういった価値観を国民にしっかりと植えつけていき、理解していただけるような制度設計にしていっていただければありがたいと思っております。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
大体よろしゅうございますか。
ありがとうございます。
それでは、本件についてはこれぐらいにさせていただきたいと思います。
そのほか、本日の資料について事務局から何か説明があるとのことですが。
それでは、高齢者医療課長、どうぞ。
○込山課長 恐れ入ります。高齢者医療課長でございます。
私のほうからは、参考資料2について御説明を申し上げたいと思います。
ただ、その前に恐縮でございますが、会の冒頭で総務課長から申し上げましたとおり、高齢者医療の賦課限度額の見直しにつきまして、当初、議題にしておりましたが、資料、数値の精査をさせていただいております。恐縮ですが、次回、改めて、御提案をさせていただきたいと思います。恐れ入ります。よろしくお願いいたします。
では、参考資料2について御説明申し上げます。こちらの資料につきましては、前回、佐野委員から御指摘・御依頼のあった件でございます。
というのは、まず、資料の1ページ目をお開きいただきたいと思います。この1ページの資料につきましては、前回の資料の中に掲げていた資料でございますが、後期高齢者医療制度の高齢者の方の一人当たりの保険料と、また、現役世代の方が支援金として負担していただいている部分、これの一人当たりの金額の推移を示したグラフでございます。こちらのグラフには、平均の実額とともに、平成20年度を100とした指数を掲げているところでございます。青いグラフが高齢者の方の保険料の推移でございます。その指数のところを見ていただきますと、平成20年度を100といたしまして、令和元年度の見込が110となっております。これに対して緑のグラフでございますが、現役世代の方が支援金のために御負担していただいている保険料相当額の部分が、平成20年度ですと、指数が100のところ、令和元年度は191になっていると。このお年寄りと現役世代の指数としての伸びの部分について違いがあるのだが、これがどういった理由なのかというお尋ねでございました。それについての御説明資料でございます。
ただいま申し上げましたように、この指数につきましては、いわゆる一人当たりの保険料の推移がどうなっているかということを示したものでございますので、要素が2つございます。まず、その分子に載ってくる、例えば高齢者グループ全体で御負担いただく医療給付費のいわゆる1割部分、それを高齢者の方々の人数で割って御負担いただくというのがこの一人当たりに相当するものです。同様に、現役世代の方につきましても、現役世代グループに御負担いただく医療給付費の4割強の部分を現役世代の人数で割って、一人一人で御負担いただくと、こういう構造になってございます。
御説明の前の前提の情報でございますが、1ページの一番下のほうに掲げてございます表の中に「高齢者負担率」という欄がございます。こちらは、高齢者の方に、医療給付費のうちのこの部分を保険料として負担いただく率をあらわしております。平成20年度の当初は、これが10%ということで、まさに医療給付費の1割部分を高齢者の方に負担していただくということになっていました。その後、この負担率が上がってきているわけでございますが、この理由は、現役世代の方が減少していくことによって、その現役世代一人当たりの負担が高まってくるという構造になってございますので、その現役世代一人当たりの負担の高まりを高齢者の方にも持っていただく、現役世代と高齢者の方で折半していただくと、そういう構造になっています。なので、その部分を高齢者の御負担にお願いするという形で、この1割部分を徐々にふやしてきているということでございます。
具体的な説明資料は3ページについてございます。そういった前提のもとで、お尋ねの点を2ページでまとめてみました。2ページの上の表につきましては、先ほど申し上げた数字をそのとおり掲げたものでございます。
真ん中の分数がそれぞれ幾つか並んでいますが、その点をごらんいただきたいと思います。平成20年度の状況は、まず高齢者の方々につきまして、高齢者グループ全体で持っていただく金額は0.8兆円でございました。これを当時の高齢者の方1,320万人で御負担いただいたという構造でございますので、一人当たりの平均保険料額が5,332円となっております。それが令和元年度でございますけれども、グループで持っていただく金額が1.2兆円。これを1,776万人で御負担いただいているということになります。要するに、分子の部分は高齢者の一人当たりの医療費がもちろん増加していきますし、かつ、高齢者の方の人数がふえますので、固まりとしての額が増加していくということになります。それを受けとめる分母の高齢者の数でございますが、こちらも1,320万人から1,776万人、増加しておりますので、一人当たりで見るとこういった伸びにとどまっていると、こういうことでございます。
一方で、緑字の現役世代のほうでございますが、同様に、4割強の部分でグループとして持っていただく部分が、平成20年度が3.3兆円、それを1億1,437万人で御負担いただいていると、こういう構造でした。これが令和元年度になりますと、お持ちいただくグループとしての固まりが6.0兆円でございます。現役世代は1億948万人になっています。これだけ減少しております。ただ、先ほど申し上げたとおり、現役世代の減少分による一人当たりの負担増はそれぞれの世代で持ち合うという形になっていますので、そのへんは高齢者世代にもお願いしている部分です。
ただ、分子の部分ですが、分子の部分が高齢者の方と同様に、もちろん高齢者一人当たりの医療費の伸びと、また、高齢者の方の人数の伸びの部分の要素を合わせ持って、これだけ金額が増加していますが、それを、高齢者の方と違って、受けとめる世代は高齢者と折半するという構造はあるにせよ、当然、増加してない、むしろ、減少しているという傾向になってございますので、一人当たりということで見ると、こういった指数の伸びになっているという、いわゆる一人当たりとして見ることによる構造的な問題という状況になっています。
今申し上げたようなことを下のほうにも掲げています。
ちなみに、(参考)に掲げている点でございますけれども、御案内のとおり、それぞれ負担軽減のために公費が投入されております。高齢者の方に対しては、その保険料を軽減するということで公費が投入されていたり、また、現役世代の御負担のためには支援金に対する国庫負担という形で投入されています。そういったことを捨象した部分としての推移を見たものでございますけれども、そういった点を捨象してもこういった傾向になっているということはこの表のとおりでございます。ですので、一人当たりに直すことによる数字的なお話で恐縮ですけれども、要素としては、一番下の枠囲みに書いてあるとおり、現役世代の一人当たりの部分につきましては、高齢者の人口増の部分を受けとめていただいていることでこういったあらわれになっています。
ただ、1割部分、4割部分のその全体額につきましては、当然、それぞれの世代が等しく御負担いただいているという構造になっていることは御理解いただきたいと思います。
以上でございます。
○宮崎課長 続きまして、参考資料3についても説明させていただきます。これは御報告でございます。
前回の部会におきまして、横尾委員から、高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施につきましての資料をきちんと入れるべきだという御指摘がございましたので、参考資料3の55ページ以下に関係の資料を入れております。
簡単ですが以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明において、何か御質問はございますか。
佐野委員、どうぞ。
○佐野委員 先ほどの参考資料2のほうでございますけれども、前回依頼した件について、資料作成をありがとうございました。
これを見ますと、要は、今、現役世代の人口が減少した分について、高齢者と現役世代で折半する仕組みになっているという記載がされていますが、それでも、現役世代の支援金の伸びが大きく上回っているというのは、結局、後期高齢者の人口増加を踏まえた形になっていないのではないかと感じます。
そういう意味で、後期高齢者の負担率についても見直しをする必要があるのではないかと。仮に、今の仕組みのままであれば、今後、さらに、2022年、2025年と、この差が大きく広がっていくのではないかという感じがしますので、可能であれば、そういうところもどういうふうになるのか、また、試算をいただければありがたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
事務局、しかるべき対応をお願いいたします。
何かあれば、お願いします。
○仲津留課長 調査課長でございます。
今、佐野委員から、後期高齢者と現役世代の保険料の見通しについてのお尋ねがございました。
昨年の5月に、2040年を見据えた社会保障の将来見通しを公表させていただいておりますけれども、この資料の中でお示ししているように、例えば、経済のベースラインの場合で、計画ベースの場合は、後期高齢者の保険料は、2018年度で5,800円から2025年度では6,400円という数字が示されております。これは年率に換算しますと、約+1.4%の伸びということになります。現役世代の保険料の代表として、健康保険組合の保険料率で見ますと、2018年度が9.2%から2025年度では9.8%ということを示されておりまして、これも同様に年率換算をいたしますと、約+0.9%の伸びになるということが示されております。
以上でございます。
○遠藤部会長 佐野委員、よろしいでしょうか。
○佐野委員 今回の参考資料2については、今後、どういう形の見通しになるかというところを示していただきたいということでございますので、そこをお願いできればと思います。
○仲津留課長 それにつきましては、2040年の推計では、この数字についてはお示ししてないところで、現在、手元には数字はございませんけれども、どのようなことができるかも含めて、考えさせていただきたいと思います。
○遠藤部会長 ほかに何か御質問はございますか。
松原委員、どうぞ。
○松原委員 この資料の意味もよくわかりますし、これから高齢社会を迎えるにおいて、さらに、現役世代に負担がかかるというのも事実であります。
ただ、現役の人たちに負担をかけて、それで悪い、お年寄りにお金がかかって、これは悪いという話だけで考えては私はならないと思います。今回、未曾有の大洪水があって大変心配しました。確かに大変大きな被害が出ましたけれども、もしも、高齢者の方々が税金を払ってつくってくださったダムがなかったら、恐らくもっと大変なことになったのではないかと思いながら心配していたところであります。
つまり、高齢者の皆さんは働いて、今、年金しかありません。ですけれども、働いて税金を納めて、その結果、日本の国が高度成長して、道路を整備し、そして、ダムをつくり、いろいろなことに対応してきたわけであります。今、若者たちがその恩恵に浴している以上、お年の人たちが病気になって苦しんでいるのを互いに助けるというのは、ある意味では当たり前のことではないかと思います。そういった点に立っても、よく御検討をいただければと思いますし、何らかの新たな財源、あるいは、対応が必要であるということについては、私どもも十分に理解しておるところであります。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかに何かございますか。
よろしゅうございますか。
それでは、特に御意見等なければ、本日の審議会はこれにて終了したいと思います。
次回の開催日につきましては、追って、事務局より連絡をお願いいたしたいと思います。
それでは、本日はこれまでとさせていただきます。どうも、御多忙の中、ありがとうございました。