令和元年度9月20日 第43回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和元年度第8回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)議事録

日時

令和元年9月20日(金) 14:00~16:00

場所

労働委員会会館 講堂(7階)
(東京都港区芝公園1-5-32)

議事

○事務局 ただいまより「第43回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会及び令和元年度第8回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会」の合同会議を開催させていただきます。委員の皆様におかれましては、お忙しい中をお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
初めに、本日の委員の出欠状況について御報告申し上げます。副反応検討部会の倉根委員及び永井委員より御欠席の連絡を頂いております。この結果、現在副反応検討部会委員8名のうち6名、安全対策調査会委員6名のうち6名の委員に御出席を頂いておりますので、厚生科学審議会及び薬事・食品衛生審議会の規定により、本日の会議が成立していることを御報告申し上げます。なお、全ての委員におかれまして、関係企業の役員・職員等でない旨を御申告いただいております。
冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきます。
また、本日の審議の前に傍聴に関しまして留意事項を申し上げます。開催案内に記載のあります「傍聴への留意事項」を遵守いただきますようお願いいたします。留意事項に反した場合には御退場をお願いする場合があります。また、座長及び事務局職員の指示に従わなかった方、会議中に退場となった方におかれましては、次回以降の当会議への傍聴が認められませんので、どうぞ御協力のほどよろしくお願いいたします。
本日の座長につきましては、五十嵐安全対策調査会長にお願いをしたいと思います。ここからの進行をどうぞよろしくお願いいたします。
○五十嵐委員 ありがとうございました。それでは、事務局から審議参加に関する遵守事項につきまして報告をお願いいたします。
○事務局 事務局から審議参加に関する遵守状況について御報告を申し上げます。本日、御出席を頂いている委員の方々の過去3年度における関連企業からの寄附金、契約金等の受取状況について、これまでと同様に御申告を頂いております。
本日の議題において、調査審議される品目はDPT、DT、ジフテリア、破傷風、不活化ポリオ、混合不活化ポリオ、13価肺炎球菌、Hib、BCG、日本脳炎、B型肝炎、ロタウイルス、5価ロタウイルスの各ワクチンであり、その製造販売業者は一般財団法人阪大微生物病研究会、第一三共株式会社、武田薬品工業株式会社、KMバイオロジクス株式会社、デンカ生研株式会社、サノフィ株式会社、ファイザー株式会社、日本ビーシージー製造株式会社、グラクソ・スミスクライン株式会社、MSD株式会社であります。
各委員から事前に御申告いただいた内容につきましては、机上に配布をしておりますので御確認いただければと思います。
本日の出席委員の寄附金等の受取状況から、柿崎委員がMSD株式会社から50万円を超えて500万円以下の受取りがあるため、B型肝炎、5価ロタウイルスワクチンについて意見を述べることはできますが、議決に参加いただくことはできませんので、その旨御報告をいたします。引き続き、各委員の皆様におかれましては、講演料等の受取りについて正しい内容の御申告をよろしくお願いいたします。以上です。
○五十嵐委員 ありがとうございました。続きまして、事務局から本日の配布資料の確認をお願いいたします。
○事務局 事務局より本日の資料について説明いたします。厚生労働省では、業務全体においてペーパーレス化の取組を推進しております。本合同会議におきましても、資料はタブレットの閲覧をする方式で実施いたします。各委員の先生方におかれましては、お手元のタブレット端末で資料を御確認ください。
なお、タブレット端末の操作方法につきましては、従前と同様ですので説明は省略させていただきますが、御不明な点や不具合等ございましたら事務局員にお申し出ください。
続きまして配布資料の説明をいたします。資料は議事次第、資料一覧、委員名簿、座席図、利益相反資料・遵守事項等資料、資料1から資料18、参考資料1から参考資料9、また委員限りの資料ですが、資料番号なしで各社のワクチンの出荷量と副作用の発現頻度をまとめた資料がございます。また、黄色の紙ファイルにて各ワクチンの添付文書をお配りしております。資料を御確認いただき、不足の資料等ございましたら事務局までお申し出ください。
○五十嵐委員 ありがとうございました。よろしいでしょうか。それでは議題1、各ワクチンの安全性について審議に入りたいと思います。資料1から6までの説明をお願いいたします。
○事務局 初めに全体的な事項を説明いたします。本合同会議で副反応が疑われる症例の報告については、平成25年9月の合同会議において定期的に検討を行うワクチンを選定し、比較的同時接種が行われるワクチンと、そうではない、比較的単独接種が行われるワクチンにグループを分けて報告することとしております。本日は比較的同時接種が行われるワクチンについて、その副反応が疑われる症例の報告状況について御説明します。比較的同時接種が行われるワクチンについては、前回、6月28日の合同会議において、平成30年11月1日から本年2月末までの症例について報告しておりますので、本日は、本年3月1日から6月末までの4か月間に報告された症例について御説明させていただきます。
それでは資料1~6について御説明いたします。こちらは百日せき、ジフテリア、破傷風、ポリオ関連のワクチンとなります。 資料1をご覧ください。資料1はDPTワクチンです。具体的な製品名は1ページの上段にあります商品名に記載しております。1ページの中段に表がありますが、こちらには医療機関への納入数量を基に推定した接種可能のべ人数、製造販売業者及び医療機関からの副反応が疑われる症例の報告件数を記載しております。DPTワクチンの接種可能のべ人数は12,738人、製造販売業者からの報告は0件、医療機関からの報告は非重篤のもの1件でした。医療機関からの報告頻度は0.0079%となっております。1ページの下段には重篤例の転帰等について情報をまとめておりますが、後遺症症例、死亡症例の報告はございませんでした。
2ページ目に移る前に、本資料も含めて、各資料の1ページ目の見方について改めて御説明いたします。重篤症例の報告数については、製造販売業者と医療機関の双方から報告された場合には、重複を排除するため医療機関の報告として計上しております。また中段の表、報告数のところですが、集計対象期間内に報告された症例を集計しているため、この件数の中には接種日や発生日が対象期間以前の症例も含まれております。接種日が今回の対象期間内であったものについて括弧書きでその件数を記載しております。また、製造販売業者ごとの出荷量や発現頻度につきましては、別途、委員限りの机上配布資料をご覧ください。
2ページをご覧ください。報告された症例を症状別に集計したものになります。縦に見ていただいて、表の左側が前回の合同会議までに報告された件数、右側が今回報告された件数となっております。3ページは予防接種法の報告基準に定められた症状について集計した結果を記載しております。こちらの左側が前回までの報告数、右側が今回の集計対象期間に報告されたものとなっております。4ページは報告された個別症例の一覧になっております。5ページはアナフィラキシーとして報告された重篤症例の件数をまとめております。今回はそのような症例はありませんでした。資料1は以上となります。
資料2はDTワクチンです。接種可能のべ人数は約73万人、製造販売業者からの報告は0件、医療機関からの報告は6件、うち重篤なものが2件でした。医療機関からの報告頻度は0.00083%となっております。1ページ下段、重篤症例の転帰について後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2ページは症状別に集計した結果になります。3ページは予防接種法の報告基準に定められた症状について集計した結果です。4ページ以降が個別症例の一覧です。6ページにアナフィラキシーのまとめを記載しておりますが、今回そのような症例はございませんでした。資料2は以上となります。
資料3はジフテリアトキソイドです。こちらは、対象期間内に製造販売業者及び医療機関のいずれからの報告もございませんでしたので、説明は省略いたします。
資料4は破傷風トキソイドです。接種可能のべ人数は約26万人、製造販売業者からの報告は1件、医療機関からの報告は0件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.00038%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰についてですが、今回の集計対象期間内で製造販売業者から死亡症例が1件報告されています。2ページは症状別に集計した結果です。3ページは予防接種法の報告基準に定められた症状について集計した結果です。4ページは個別症例の一覧です。死亡症例の詳細については後ほど御説明いたします。5ページはアナフィラキシーのまとめです。今回はそのような症例はありませんでした。6ページからが死亡症例になります。前回、6月の合同会議において詳細調査中として報告した84歳女性の症例です。調査の結果、「敗血症による死亡とされたが情報不足のためワクチン接種との因果関係は評価できない」とされています。7ページに委員限りの資料として、経過や専門家の意見の詳細等を添付しております。こちらについて御発言いただく際には、患者個人の特定につながらないよう御配慮いただきますようよろしくお願いいたします。資料4については以上です。
資料5は不活化ポリオワクチンです。こちらは、対象期間内に製造販売業者及び医療機関、いずれからも報告はございませんでしたので、説明は省略いたします。
資料6は4種混合ワクチンです。接種可能のべ人数は約126万人、製造販売業者からの報告は2件、医療機関からの報告は33件うち重篤なもの15件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.00016%、医療機関からの報告頻度は0.0026%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰について、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2ページから4ページ、こちらは症状別に集計した結果になります。5ページは予防接種法の報告基準に定められた症状の集計結果です。6ページから8ページが個別症例の一覧となっております。9ページがアナフィラキシーのまとめです。今回の対象期間内では5件がアナフィラキシーとして報告されましたが、専門家の評価によりブライトン分類が3以上とされた症例はありませんでした。詳細については10ページを御確認ください。11ページからは死亡症例についてです。この症例は前回、6月の合同会議にて詳細調査中として報告された対象期間前の症例になります。報告医評価は評価不能、調査結果は、「死因は急性循環不全とされたが、特異な所見が認められなかったことから、乳幼児突然死症候群の可能性も考えられ、ワクチン接種と死亡との因果関係は不明である」とされています。12ページ以降に委員限りの資料として、経過や専門家の意見の詳細を添付しております。こちらについても御発言いただく際には御配慮をお願いいたします。資料1~6の説明は以上となります、御審議のほどよろしくお願いいたします。
○五十嵐委員 どうもありがとうございました。ただいまの御説明に関しまして御質問等ございますでしょうか。特にございませんか。よろしいですか。どうぞ。
○濱田委員 破傷風のところで死亡症例が1例、委員限りにもございますけれども、掲載されていらっしゃいます。製造販売業者がこれを報告した例ですよね。主治医というか、医療機関から出たものではないということなのですよね。
というのは、ある意味非常に変わった表現をされていらっしゃるのです。敗血症の治療で、破傷風トキソイドを使うことはないのですが、それで使ったということを医療機関側が言っているということなのですね。すみません、基本的なことで。
○事務局 お答えさせていただきます。こちらの症例は製造販売業者から報告を受けている症例でございます。経緯としては、まず医療機関から製造販売業者の方に情報が入りまして、その情報を製造販売業者が報告してきたものになります。
御指摘いただいた表現に関しては製造販売業者も情報を入手しようと再調査を試みましたが、医療機関からの調査の協力が得られなかったというところもあり、現状、この委員限りで御提示させていただいている情報のみとなっております。
○濱田委員 分かりました。とにかく、医療機関から来たものをそのまま載せていらっしゃるということですね。
○事務局 はい、そうだと思います。
○濱田委員 はい、分かりました。どうもありがとうございます。
○五十嵐委員 ありがとうございます、そのほかいかがでしょうか。
そうしますと、ただいまの御説明をまとめさせてもらってよろしいでしょうか。まず、副反応疑いの報告頻度は、これまで検討したワクチンに比べて特段高いということはありません。死亡症例、今御指摘いただきましたけれども、今回の集計対象期間内に破傷風トキソイドの単独接種で1例が報告されています。しかしながら、ワクチン接種との因果関係は情報不足のために評価ができませんでした。それから、対象期間前の沈降精製百日せき、ジフテリア、破傷風、不活化ポリオを含む同時接種の症例1例につきましては追加情報の報告が出ましたが、ワクチン接種との因果関係は不明であるという結論になっております。このようなまとめ方でよろしいでしょうか。
そういたしますと、この内容を踏まえまして、これらのワクチンの現状での取扱いを変更する必要があるかどうか御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。特段、変更すべきという御意見はありませんか。それでは、御審議を頂きましたワクチンにつきましては、これまでの副反応報告によってその安全性において重大な懸念は認められないという評価でよろしいでしょうか。ありがとうございます。そのようにしたいと思います。以上、資料1から資料6の審議はこれで終了したいと思います。
続きまして資料7、8の説明をお願いいたします。
○事務局 それでは資料7をご覧ください。13価肺炎球菌ワクチンです。接種可能のべ人数は約121万人、製造販売業者からの報告は13件、医療機関からの報告は36件、うち重篤なものは26件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.0011%、医療機関からの報告頻度は0.0030%となっております。肺炎球菌ワクチンに関しては、薬効欠如などのワクチンの副反応ではないと考えられるような症状が報告されていることについて、これまでの合同会議で御指摘いただいており、内数として、肺炎球菌感染、肺炎などを除いた値もお示ししております。今回の対象期間では、製造販売業者から肺炎、予防接種の効果不良などの症例の報告があり、これらを除きますと、製造販売業者の報告数が7件、医療機関からの報告数は35件となります。1ページ下段の重篤例の転帰について、医療機関から死亡症例が1件報告されています。また、6か月間の死亡症例の報告頻度は0.05~0.21となっており、この数値は急ぎの検討が必要とされる0.5を下回っていることを報告いたします。2ページから5ページは症状別に集計した結果です。こちらの表で左側に★印を付けている症状が、1ページで内数として集計する際に除外したものとなります。6ページは予防接種法の報告基準に定められた症状の集計結果です。7ページからが個別症例の一覧です。7ページ、製造販売業者からの報告のNo.4~8、いずれも接種日が不明の報告が5例ほどありますが、No.4、5、7、8については、医療機関からの報告で、6番は接種された方の御両親からの自発報告です。いずれの症例もこれ以上の追加情報が入手できなかったということから、発生日や転帰なども不明になっております。11ページはアナフィラキシーのまとめです。対象期間内にアナフィラキシーとして3件報告されましたが、専門家の評価によってブライトン分類が3以上とされた症例はありませんでした。詳細は12ページにお示ししております。13ページからが死亡症例になります。6月の合同会議にて詳細調査中として報告した今回の対象期間内の症例となりますが、現在も調査を継続しているため、調査結果が得られ次第改めて御報告いたします。資料7については以上です。
資料8はHibワクチンです。接種可能のべ人数は約121万人、製造販売業者からの報告は7件、医療機関からの報告は32件、うち重篤なものが23件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.00058%、医療機関からの報告頻度は0.0027%となっています。1ページ下段の重篤例の転帰について、今回の集計対象期間内で医療機関から死亡症例が1件報告されています。また、6か月間の死亡症例の報告頻度は0.05~0.21となっており、急ぎの検討が必要とされる0.5を下回っております。2ページから5ページは症状別に集計した結果です。6ページが予防接種法の報告基準に定められた症状の集計結果です。7ページからが個別症例の一覧となっております。11ページはアナフィラキシーのまとめです。対象期間内にアナフィラキシーとして3件報告がありましたが、専門家の評価によってブライトン分類が3以上とされた症例はありませんでした。詳細は12ページを御確認ください。13ページは死亡症例になります。先ほど資料7で御説明した症例と同一で、調査結果が得られ次第改めて御報告いたします。資料7、8の御説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。
○五十嵐委員 それでは、御説明いただいた資料7、8について御質問等はありますか。よろしいですか。
○佐藤委員 重篤症例が3例あって、転帰が不明というのがよく分からないのですが、重篤にもかかわらず、その後の追跡はしないものなのですか。これは製造販売業者さんからの報告ということですが。
○五十嵐委員 Hibのほうですね。
○佐藤委員 資料8の一番最初のページに重篤症例が3例あって、7ページに転帰内容不明というのが重篤症例の中にあるのですが、これは重篤にもかかわらずフォローしなくてもいいか、ちょっと気になったのです。
○事務局 事務局よりお答えいたします。製造販売業者からの報告の1例目、2例目に関して、転帰が不明になっていることを製造販売業者にも照会しました。いずれの症例も医療機関の調査協力が得られなかったため、これ以上の詳細調査が分からないという御報告を頂いておりますので、不明以上の情報がないということになっております。
○佐藤委員 けいれんなどは、かなりドラスティックな症状なので、医療機関に記録がないわけはないと思ってしまったのですが。その場で治ってしまったとか、そういうことでしょうか。重篤であるがゆえに、その後どうなったかまで、知っておくべきかなと個人的には思います。
○事務局 けいれんの症例については症例表を確認しますので、しばらくお時間をください。
○佐藤委員 はい。
○事務局 2018年12月6日にけいれんを起こして、その後の症例の記載に関しては2019年に「年が明けてもボーっとしていることがある」とか、「てんかんや熱性ではなく、脳波には異常がない」という主治医の報告があります。
○佐藤委員 一旦寛解というか、治まっているということなのですね。
○事務局 治まっているという判断ができると思います。
○佐藤委員 分かりました。そういう情報はこういう所にはなくていいのでしょうか。重篤症状があり、その後どうなったのか、ところは必要ないでしょうか。その場で治ったのであれば、その情報はあったほうがいいと思ったのです。
○事務局 今現在も、前回の合同会議でもお話させていただいている報告様式の体裁の整備について検討しておりますので、それと併せて記載については考えさせていただきたいと思います。
○佐藤委員 お願いします。
○五十嵐委員 そのほかはいかがですか。よろしいですか。それでは、御説明を頂いた内容をまとめたいと思います。まず、副反応疑いの報告頻度はこれまでに検討したワクチンに比べて特段高頻度であるということはありません。死亡症例は、今回の集計対象期間内にプレベナー13、アクトヒブを含む同時接種では1例が報告されています。先ほど御説明がありましたように、症例は現在詳細情報を調査中ですので、次回以降に改めて報告がなされる予定です。
プレベナー13、アクトヒブの6か月間における死亡症例の報告頻度は、いずれのワクチンも急ぎ検討が必要とされる10万接種あたり0.5を下回っております。このようなまとめ方でよろしいですか。それでは以上の内容を踏まえて、現状での取扱いを変更する必要があるかどうか、御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。特にありませんね。それでは、御審議いただいたワクチンについては、これまでの副反応報告によって、その安全性において重大な懸念は認められないという評価でよろしいですか。ありがとうございます。それではそのようにしたいと思います。続きまして、資料9~資料14の御説明をお願いします。
○事務局 それでは資料9をご覧ください。BCGワクチンです。接種可能のべ人数は約31万人、製造販売業者からの報告は3件、医療機関からの報告は36件、うち重篤なものは3件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.00096%、医療機関からの報告頻度は0.012%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰について、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2ページは症状別に集計した結果、3ページは予防接種法の報告基準に定められた症状の集計結果です。4ページから7ページは個別症例の一覧です。4ページ、製造販売業者からの報告の3症例は、いずれも文献報告に基づく製造販売業者からの報告です。医療機関からの重篤症例の一覧の3症例は、接種が大分古いですが、いずれも受診はごく最近で、診断の結果、過去のBCG接種が原因であるとして報告されているものです。8ページはアナフィラキシーのまとめです。対象期間内にアナフィラキシーとして1件報告されましたが、専門家の評価によってブライトン分類が3以上とされた症例はありませんでした。詳細は次ページを御参照ください。資料9は以上となります。
資料10は日本脳炎ワクチンです。接種可能のべ人数は約178万人、報告数は製造販売業者から3件、医療機関から20件、うち重篤なものが7件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.00017%、医療機関からの報告頻度は0.0011%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰について、今回の集計対象期間内で医療機関から後遺症症例が1件報告されています。2ページから3ページは症状別に集計した結果、4ページは予防接種法の報告基準に定められた症状について集計した結果です。5ページからが個別症例の一覧です。製造販売業者からの報告のNo3、3歳の症例ですが、報告医は日本脳炎ワクチンと14週後の川崎病については関連性があるとは考えておらず、川崎病の好発年齢であることから偶発的な発症の可能性は高いが、知り得た情報に基づいて製造販売業者から詳細不明として報告されているものです。7ページの医療機関非重篤報告のNo7とNo8については、この対象期間以降の追加報で同一症例であるということが判明しております。8ページに後遺症症例をお示ししております。3歳男児、日本脳炎ワクチンを接種し、接種16日後に有熱時のけいれん重積を起こして病院に搬送された症例です。ステロイドパルス療法など施行されましたが、大脳全体の萎縮及び著明な脳室拡大などを認めており、重度精神運動障害が後遺症となったものです。表の一番右のカラムに専門家の意見を記載しておりますが、「情報不足で評価は困難である」「ワクチン接種との因果関係も情報不足で判断できない」といった意見を頂いております。9ページからは急性散在性脳脊髄炎(ADEM)についての評価をお示ししております。今回、医療機関からADEMの可能性のある症例が2件報告され、うち1件が専門家の評価によりADEMとして否定できないとされています。10ページ以降が症例の一覧となっておりますが、該当する症例はNo1の6歳女性の症例です。縦に見ていただいて一番右側に事務局評価を記載しております。専門家の意見に基づき、「ADEMの可能性は否定できない」「ワクチン接種との因果関係は不明である」という評価をしております。続きまして、11ページはアナフィラキシーのまとめになっております。今回の対象期間内で1件がアナフィラキシーとして報告され、専門家の評価によってその1件がブライトン分類3以上として評価されています。該当の症例は12ページにお示ししております。食物アレルギーと喘息を基礎疾患に有する18歳女性の症例で、日本脳炎ワクチンの単独接種後、呼吸困難感、蕁麻疹を発現し、アドレナリン筋注にて回復した症例です。専門家による評価の結果、「ブライトン分類3以上のアナフィラキシー症例。ワクチン接種との因果関係は否定できない」と評価されています。資料10は以上です。
資料11はB型肝炎ワクチンです。接種可能のべ人数は約210万人、製造販売業者からの報告は7件、医療機関からの報告は25件、うち重篤なものが19件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.00033%、医療機関からの報告頻度は0.0012%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰について、今回の集計対象期間内で、医療機関から死亡症例が1件報告されています。2ページから4ページは症状別に集計した結果です。5ページは予防接種法の報告基準に定められた症状の集計結果です。6ページから9ページが個別症例の一覧です。医療機関からの報告の重篤症例のNo2が、先ほど申し上げた死亡症例になります。後ほど御説明いたします。10ページはアナフィラキシーのまとめです。今回の対象期間内では3件がアナフィラキシーとして報告されましたが、専門家の評価によってブライトン分類が3以上とされた症例はありませんでした。12ページから死亡症例についてお示ししています。No1の対象期間前の1症例は、先ほど資料6で御説明した症例と同一ですので詳細は省略します。No2の症例は、6月の合同会議にて詳細調査中として報告した対象期間内の症例となります。現在も調査を継続しておりますので、調査結果が得られ次第改めて御報告いたします。資料11については以上です。
資料12、ロタウイルスワクチンです。接種可能のべ人数は約33万人、製造販売業者からの報告は22件、医療機関からの報告は9件、うち重篤なものが9件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.0067%、医療機関からの報告頻度は0.0028%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰について、後遺症症例、死亡症例はありませんでした。2ページから4ページは症状別に集計した結果になります。5ページからが個別症例の一覧です。5ページ、製造販売業者からの報告No1からNo3については、同胞の家族であるNo2の4歳男児の報告及び報告に含まれていない兄弟に感染者がおり、過去にワクチン接種をしている中で感染の伝播が疑われて報告されたものです。また、No16及びNo19は文献に基づく報告です。No18からNo20に関しては、現在も調査を継続しておりまして、現時点での詳細は不明です。No17については、その他の医療専門家から報告された症例ですが、調査の協力が得られず詳細不明となっております。7ページはアナフィラキシーのまとめです。今回の対象期間内にアナフィラキシーの重篤症例として1件報告されましたが、専門家の評価によってブライトン分類が3以上とされた症例はありませんでした。資料12については以上です。
資料13は5価のロタウイルスワクチンです。接種可能のべ人数は約24万人、製造販売業者からの報告は19件、医療機関からの報告は4件、うち重篤なものが3件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.0080%、医療機関からの報告は0.0017%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰について、集計対象期間内で後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2ページから3ページは症状別に集計した結果です。4ページからが個別症例の一覧となっております。7ページにアナフィラキシーのまとめをお示ししておりますが、対象期間内に該当する症例はありませんでした。資料13については以上です。
最後に資料14になります。ロタウイルスワクチンによる腸重積の発生状況について、これまでの会議と同様に、製造販売業者であるグラクソ・スミスクライン社、MSD社より資料の提供を受けております。まずスライドの2枚目ですが、こちらはグラクソ・スミスクライン社のロタリックスについて、腸重積報告症例数、ブライトン分類評価が1に該当する症例数などを、左側の列に米国、右側の列に日本のデータを記載しております。スライド3枚目ではブライトン分類1相当の症例のうち、入院、外科手術、腸切除といった実施された処置ごとに件数をまとめたものになります。スライド4枚目のグラフですが、こちらは接種から腸重積発現までの日数をまとめたもので、左側が米国、右側が日本、上の段が接種1回目、下の段が接種2回目としてまとめております。5枚目のスライドのグラフについては、腸重積発現時週齢をまとめたグラフになっております。前回、6月28日の合同会議において、委員の先生より腸重積発現時の週齢グラフについてワクチン接種回数で分けたらどうかという御意見がありましたので、それを受けて、製造販売業者に協力を頂いて、今回修正をしております。6枚目以降のスライドについては、MSD社のロタテックについて、ロタリックスと同様にまとめた資料となっております。資料の構成はただいま御説明したロタリックスと同様ですので、説明は省略させていただきます。資料10から14の説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。
○五十嵐委員 それでは、御説明いただいた内容について御質問等いかがですか。
○桃井委員 資料10の10ページです。ワクチン接種後のADEM及び脳症の可能性のある症例一覧で、この症例のここにある記載を見ますと、抗MOG抗体陽性が1回目に記載されていて、2回目も陽性だったかどうかはこの情報だけでは分からないのですが、恐らく違う部位に再発というところを見ますと、この情報だけでも、2回目の病態はADEMで、しかも自己抗体が陽性の例であるということからは、多相性散在性脳脊髄炎と考えられます。これを単にADEMとして数の中に入れてしまうと、多相性の場合にはMOG抗体が持続陽性のパーセンテージが非常に高いので、何かの免疫のトリガーがあると再発するというリスクが非常に高いわけです。
こういうデータを分かるように集積しないと、こういうデータを集積された後、MOG抗体が持続的に陽性例の再発例は予防接種を極めて慎重に行わなければならないというデータが集積されるかもしれません。昨今、話題になっている多相性の病態については、もちろん1回それぞれの病態はADEMの診断でいいのですが、多相性は別に後から分かるように情報を保存していただくと、その後の情報から出てくる接種のリスクに関する情報が明確になるメリットがあるのではないかと思います。以上です。
○事務局 御意見ありがとうございます。今現在、先ほども申し上げましたとおり、資料構成等も含めて検討しておりますので、その中で、併せて今頂きました御意見について検討させていただきたいと思います。
○五十嵐委員 ありがとうございます。今まで私も数年この会に出させていただいておりますが、ADEMが再発したという症例は極めて少なかったような印象ですが、そういう疾患そのものが非常に珍しいわけです。しかし、ちゃんとマークしていこうという御指摘だと思います。よろしいですか。そのほかはいかがですか。
○多屋委員 前回、ロタウイルスワクチンの接種後、腸重積症の報告を接種回数別に分けて表示していただくと状況が分かるのではないですかという意見を申し上げたところ、今回からこのような資料を作っていただきまして、どうもありがとうございました。1回目の接種はなるべく14週プラス6日目までにお勧めされているのですが、これは発現週ですからはっきり分かりませんが、20週近くの遅くに接種されたということも分かってきましたので、今後の接種の推奨の在り方についても非常に参考になる資料になると思いました。ありがとうございました。
○五十嵐委員 ありがとうございます。そのほかはいかがですか。
○桃井委員 先ほどのADEMの箇所で追加です。ワクチン接種との因果関係評価というところですが、「ADEMの可能性は否定できない」と書いてあります。これはここに書いてある経過情報だけでも、これをADEMと言わなくて何をADEMと言うかというぐらいの情報がここに書いてあります。前にも申し上げましたが、否定できないというグレーの薄いものも、グレーの濃いものも、ブラックのものも全部含めて否定できないとなると、後で何が何だか分からなくなるので、きちんと分かるような情報の集積、表記をお願いしたいと思います。
○五十嵐委員 よろしいですか。多屋先生、よろしいですか。
○多屋委員 これはとても細かい所で、今気が付いたところです。BCGの資料9の4ページですが、川崎病を基礎疾患としてお持ちの方の接種部位反応が報告されているのですが、川崎病のときにBCGの接種痕が少し腫れるのはよくあることでして、そこは副反応の疑い報告とは別の考え方があっていいのかなと思いますので、副反応としての報告は要らないのではないかと思います。細かいことで恐縮ですが、そういうふうに思いました。
○五十嵐委員 御指摘ありがとうございました。ほかによろしいですか。それでは御報告を頂いた内容をまとめたいと思います。まず、副反応疑いの報告頻度は、これまでに検討したワクチンに比べて特段高いことはありません。後遺症の報告は日本脳炎ワクチンの単独接種で1例ありました。日本脳炎ワクチンでADEMの可能性がある症例は、対象期間内に2例報告がありました。1例はADEMの可能性は否定できないが、ワクチン接種との因果関係は不明であるとされています。もう1例は情報不足で評価できないとされています。
死亡症例については、今回の集計対象期間内にB型肝炎ワクチンの単独接種で1例報告があります。現在、詳細情報を調査中で、次回以降に改めて報告がされる予定になっています。対象期間前のB型肝炎ワクチンの同時接種1例については、追加情報の報告がありましたが、ワクチン接種と死亡との因果関係は不明であるという結論になっています。このようなまとめ方でよろしいですか。ではこの内容を踏まえて、現状での取扱いを変更する必要があるかどうか御意見を頂きたいと思います。特にありませんか。それでは、御審議いただいたワクチンについては、これまでの副反応報告によって、その安全性において重大な懸念は認められないという評価でよろしいですか。ありがとうございます。それでは、そのようにしたいと思います。
○濱田委員 すみません、過ぎてしまったのですが、資料15がそのまま触れられなかったと思いますが、死亡症例をまとめて今回4例出ております。これはまだ調査中というのもあるのですが、このB型肝炎の事例は、医療機関側からではなくて製造販売業者からの届出ですか。
○事務局 資料15に関しては、比較的同時接種が行われるワクチンの審議の際にお示ししている資料でして、各ワクチンの死亡症例の一覧に資料として示しているのですが、全体としての把握がしにくいという御意見を以前に頂いていることから示している資料ですので、内容は再掲のものになります。御質問いただいたB型肝炎ワクチンの症例に関しては、医療機関から集められた情報を記載していて、まだ詳細は調査中ということです。
○濱田委員 いや、製造販売業者から出た例ですか、それとも医療機関から出た例ですか。
○事務局 報告の症例としては、B型肝炎ワクチンの資料を御確認いただくとお分かりになるのですが、医療機関が重篤として報告されている症例になります。
○濱田委員 この資料15を見ますと、大人の成人の2例というのは、どこまで明らかかどうか分かりませんが、ある意味では不必要なワクチンのように思います。先ほども言いましたが、破傷風を敗血症で使うということは普通ありませんし、80歳の方が脳梗塞で入院中にB型肝炎をなぜ打つのかなと。そういったケースについてはもう少し詳しく調べていかないといけないかと思います。この委員会がそこまでやる必要はないのかもしれませんが、小児科の先生はワクチンの使い方をよく知っているから、こういった間違えはないのに、内科の先生方が使われていると、ある意味違った使い方をされて、副反応かどうかの因果関係はまた別ものとして、非常によろしくない結果を招く可能性があると思います。もう少しなぜ使ったのかなど調べられたほうが本当はいいのかなと思います。これは質問というわけではなく意見として、不必要なワクチンというのを減らしていくのも大切ではないかと、私は思っております。すみません、少し意見として言わせていただきました。
○事務局 補足をよろしいですか。B型肝炎ワクチンの単独接種で死亡した81歳症例に関して、詳細調査はまだ現在調査中ではあるのですが、報告された症例票を確認させていただきますと、別の疾患で入院されていた本症例の患者が、同じ入院施設にいらっしゃるHBV陽性の患者が使われていた歯ハブラシ等を共用してしまったという事実が分かって、医療機関として粘膜ばく露を考えてワクチン接種と免疫グロブリン接種を行ったという症例です。ですので、ほかのワクチン接種の状況とは少し違う症例で、接種した翌日には問題なく退院されたのですが、退院された後に急変され死亡されたという状況です。
○濱田委員 分かりました。
○五十嵐委員 何か特殊な事情があったということが少し分かりました。ありがとうございます。そのほかよろしいですか。それでは議題(2)に移りたいと思います。副反応疑い報告基準(BCG)について、資料16を使って御説明をお願いします。
○事務局 まず、副反応疑い報告基準の設定についてですが、添付文書の「重大な副反応」が追加された場合、当該疾病の副反応疑い報告基準の変更の是非に関する検討を行ってきております。今回、令和元年8月22日に乾燥BCGワクチンの重大な副反応の項に、従前記載されていました全身播種性BCG感染症及び骨炎、骨髄炎、骨膜炎が、新たにBCG感染症としてまとめられました。そして、その内容に髄膜炎が追記されました。乾燥BCGワクチンの添付文書上の重大な副反応が改訂されましたことを踏まえ、髄膜炎を副反応疑い報告基準として設定することを提案いたします。
まず、副反応疑い報告の症状の設定についてです。乾燥BCGワクチン接種後のBCGによる髄膜炎はまれですが、重篤であり、かつワクチンとの関連性があるものと考えられます。一方で、小児の髄膜炎は比較的多い疾患であるため、「髄膜炎」のみとした場合、多くの紛れ込みが発生することが予想されます。また、現在の報告基準に入っている「全身播種性BCG感染症」、「BCG骨炎(骨髄炎、骨膜炎)」は、BCGによるもののみを対象としています。これらを踏まえ、新たに「髄膜炎(BCGによるものに限る)」を乾燥BCGに係る定期接種後の副反応疑い報告の対象とします。
対象期間の設定についてです。髄膜炎を副反応疑い報告基準として定める際の報告対象の期間については、発症の時期は原因である医薬品の接種後長期間を経てからの場合があります。背景となる免疫状況によって、どのような機序で、いつ、どの程度の免疫減弱状況に至るかによって、BCGワクチンの接種から発症に至るまでの期間が異なると考えられます。参考資料として、国内症例について示していますが、この症例は接種から約10か月後に発生しています。また、海外文献においては接種12年後の発症も報告されています。さらに、極めてまれな疾病であるため、副反応疑い事例を幅広く収集する副反応疑い報告の趣旨を踏まえ、接種から一定程度の余裕を持って幅広く収集する必要があります。以上から、予防接種との関連性が高いと医師が認める期間に確認されたものを報告対象とする、ということで提案させていただきます。お願いいたします。
○五十嵐委員 ありがとうございました。それでは、何か先生方から御意見、御質問がありますでしょうか。今回、医師が関連性が高いと認める期間ということで期間の具体的な数値は出さない上で、かつ、BCGによるものに限った髄膜炎を1つの合併症として提示したいと、そういう御提案ですけれども、よろしいでしょうか。それでは、反対の御意見等がありませんので、このBCGの副反応疑い報告基準につきましては、ただいま事務局が御提案された形で対応する方針にしたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
続きまして、議題(3)の副反応疑い報告基準(ロタウイルス)について審議したいと思います。資料17と18の説明をお願いいたします。
○事務局 まず、資料17に基づいて御説明させていただきたいと思います。資料17、20番のファイルをお開きください。
簡単に経緯を御説明いたします。2011年7月にロタリックスについて製造販売承認が行われ、2012年1月にロタテックの製造販売承認が行われたところでございます。その後、2012年1月より感染症分科会予防接種部会で、ロタウイルスワクチンに関する作業チームが設置され、その後、定期接種化に向けた議論を行ってきたところでございます。今般、2019年9月13日(金)の基本方針部会におきまして、ロタウイルスワクチンを定期接種化の対象とすべきではないかという方向性が決まったことから、今回、ロタウイルスワクチンの副反応疑い報告基準につきまして提案をさせていただくものです。
資料17の1ページですが、制度の趣旨や報告の義務については予防接種法に基づくものとして記載しているところです。下の部分ですが、今回、ロタウイルスワクチンを定期接種に位置付けるに当たりまして、副反応疑い報告基準を定める必要があることから、具体的には副反応疑い報告の収集に当たり、どのような症状を類型化するかということ、また、その期間について御審議いただければと思います。
2枚目をお開きください。こちらは先ほどのBCGの所でも御説明させていただいていますが、副反応疑い報告基準の設定の考え方について記したものです。こちらにつきましては、平成25年の副反応報告基準作業班からの提言を受けて定められているものでして、基本的な考え方、重篤な症状について等々は割愛させていただきたいと思います。
3ページをお開きください。ロタウイルスワクチンの副反応疑い報告基準の設定についてです。(1)添付文書上の「重大な副反応」として、ロタウイルスワクチンの添付文書上、ロタリックスについては特段記載はありませんが、ロタテックにつきましてはアナフィラキシーが記載されています。また、他のワクチンの報告基準で既に設定されているか否かについてですが、アナフィラキシーにつきましては、定期接種に位置付けられている全てのワクチンの報告基準で既に設定されていますが、発生までの時間はいずれも「4時間」とされています。参考としまして、副反応疑い報告等におけるアナフィラキシーの報告数を記載させていただきました。ロタリックスにつきましては10万接種当たり約0.47件、ロタテックにつきましては10万接種当たり約0.35件というのが、最新の報告に基づいた計算上の数となっています。
こういったことを含めまして、ロタリックスについてはアナフィラキシーが添付文書上の重大な副反応に含まれていないのですが、ロタリックスとロタテックという2剤の製剤において報告基準が異なる場合に混乱が生じうることや、副反応疑い報告におけるこれまでのアナフィラキシーの報告数等を踏まえ、ロタリックス及びロタテックの両方につきまして、アナフィラキシー発生までの時間を4時間として、ロタウイルス感染症の定期接種後の副反応疑い報告の対象とすることについて提案させていただきます。
続きまして、4ページをお開きください。添付文書に「重大な副反応」として記載されていないが、重篤になる可能性のある症状について検討しています。その際、委員の方で御存じの方もいらっしゃると思いますが、海外においてロタウイルスワクチンの接種後に腸重積の発症リスクが増加するという報告がございます。日本においても、ワクチン接種後に腸重積症の発症率が増加するリスクは否定できないという議論など、これまで基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会で、技術的な検討を行ってきたところです。
(1)ですが、他のワクチンの報告基準で、腸重積症についてはこれまで特段設定されていないところです。(2)は、腸重積症の報告期間の設定に関する考え方ですが、複数の国々からの報告によりますと、ロタウイルスワクチン接種後、特に初回接種後1週間以内の腸重積発症率が自然発症率よりも増加すること。相対リスクの増加が報告されています。また、一部の報告では2回目接種後の8~21日においても、腸重積発症の相対リスクが統計学的に優位に増加するとの報告がございます。なお、3回目接種後は増加のエビデンスは示されていません。続きまして、日本においての状況ですが、海外の報告と同様、1回目のワクチン接種後1週間以内に腸重積を発症するリスクが増加することが示されています。
5ページです。また、表に示していますが、日本におけるワクチン発売後の企業への報告データによりますと、ロタリックスにつきましては、1回目接種及び2回目接種後7日以内に発症する腸重積症の報告数及び報告の割合が最も多くなっています。ロタテックにつきましては、1回目接種後7日以内に発症する腸重積症の報告数及び割合が最も多い状況になっています。なお、参考として表の下に記載していますが、米国のVAERSにおいては、接種後21日までに発症した腸重積症について報告を義務付けています。なお、VAERSの最新のデータによりますと、接種から7日までに発症した腸重積症につきまして、7日までに発症したものが49.6%、8~14日に発症したものが11.3%、15~30日に発症したものが14.7%となっています。一方、腸重積症につきましては、月齢3か月以降に徐々に腸重積の発症率が増加することが知られているため、好発時期から一定程度の余裕を持って報告した場合、その他の原因による紛れ込みが増加する可能性が高くなると考えているところです。
こういったことを総合的に踏まえまして、6ページを御覧ください。腸重積症の多くは入院が必要であるなど、重篤になる可能性のある疾患であり、かつワクチンと一定程度の科学的関連性が疑われるものと考えられることから、腸重積症をロタウイルス感染症に係る定期接種後の副反応疑い報告の対象としてはどうかと考えています。
また、腸重積症の報告期間については、海外の複数の国から、初回接種後1週間以内の腸重積症発症率が自然発症率よりも増加すること(相対リスクの増加)が報告されていること。それから、一部の報告では、2回目接種後8~21日においても腸重積症発症の相対リスクが統計学的に優位に増加するとの報告があること。国内においても、1回目のワクチン接種後1週間以内に腸重積症を発症するリスクの増加が報告されており、企業への報告データでは、ロタリックスの1回目、2回目接種及びロタテックの1回目接種において、接種後1週間以内の腸重積症の発症が最も多いこと。副反応報告疑いの報告期間につきましては、「好発時期に合わせて設定するという考え方を基本として、若干の余裕を持たせて定める」と、これまでもされているところですが、一方で腸重積症は月齢3か月以降に徐々に増加することが知られているため、長い期間設定により、ワクチンによらない紛れ込みが増加する可能性が高くなること。米国では、接種後21日までの報告を義務付けていること。これらを総合的に勘案し、接種後21日以内に確認されたものを腸重積症の報告対象としてはどうかと考えています。
7ページがまとめです。ロタウイルス感染症の副反応疑い報告基準につきまして、アナフィラキシーを期間4時間、腸重積症を期間21日として、その他予防接種との関連性が高いと医師が認める期間において、その他の症状を御報告いただいてはどうかと考えています。
続きまして、資料18をお開きください。腸重積症の発症数のモニタリング方法についてです。先ほども御説明させていただきましたとおり、基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会で、これまで腸重積症のモニタリング等につきまして議論を進めてきたところです。スライドの2枚目に、ワクチン評価に関する小委員会のとりまとめにおける記載から抜粋してポイントを書いていますが、2.につきましては先ほど御説明したとおりです。4.ですが、「腸重積症のベースラインデータの整理」につきましては、ロタウイルスワクチン接種後に、腸重積症の発症率が増加するリスクを否定することはできないが、このリスクは大きいものではないと小委員会で結論を頂いているところです。また、5.ですが、「リスクベネフィット分析」につきましては、ロタウイルスワクチンの接種を推奨している諸外国の報告と同様に、我が国においても、ベネフィットがリスクを大きく上回ると考えられています。2枚目の右下、「令和元年●月●日」となっていますが、こちらは7月31日にこの小委員会の報告書がとりまとめられております。
スライドの3枚目です。この「腸重積症のベースラインデータの整理」につきましては、記載させていただいたような形でいろいろ議論しているところですが、具体的には6枚目のスライドを御覧ください。こちらは腸重積症の発症数と報告数との関係をイメージ図として示しているものです。表を見ていただき、アとして乳児における腸重積症の全発症数を波線で書いていますが、ワクチン発売する前から腸重積症は特に特発性という形で8割程度のものが報告されていると言われていて、こういうものがあったということです。その後、ワクチンが発売された後にも、当然この腸重積症は起きているわけですが、ワクチン発売後に明らかに上昇したという報告は上がってきていないという理解です。右のほうに行っていただき、今後、ワクチンの定期接種化となりましても、同じように、現状においては任意接種で約7割の方に打たれているワクチンですので、ワクチン定期接種化後にこれがすごく上がることは考えにくいと事務局としては考えているところでございます。
一方、下のオレンジ色のイの波線ですが、現在は副作用等報告によって腸重積が報告されておりまして、先ほども報告があったところです。これが定期接種化した後につきましては、マル1と記載している所ですが、現在行われている薬機法に基づく副作用等報告に加え、予防接種法に基づく副反応疑い報告が実施されるようになることと、また、医療機関や保護者の方の腸重積に関する認知度が向上することが想定されますので、この定期接種化により報告数が増えるのではないかと予想しています。一方、こういった増加はある程度予測されるところでして、こういった数がどこまで増えるかということで、マル3ですが、こちらにつきましては腸重積に関する認知度の向上や、発症数の変化以外の要因によっても報告数は変動しうると思っています。マル2に記載していますように、副反応疑いで報告されるものと、ワクチンを接種して一定期間経過後に発症した接種と因果関係のない腸重積につきましては、その差があると考えているところですので、定期接種により副反応報告としての数は一定数上がると事務局としては考えておりますが、これがアに記載しているように、必ずしも腸重積全体の報告数が増えることに、すぐにつながるわけではないと考えているところです。
こういったことを踏まえ、これが果たして本当に増えているのか増えていないのかを確認する、モニタリングしていくことが事務局としては重要だと考えていて、7ページと12ページにおいて御説明していきたいと思います。7ページですが、これまで厚生労働科学研究班として、2007年から2013年までの間に、全国の1歳未満の約13%の人口をカバーするような形で、腸重積症後ろ向き調査(ベースライン調査)、あるいは、2012年以降は前向き調査(モニタリング)を、これまでも行ってきました。定期接種化をした後につきましては、同じような形で厚生労働科学研究などにおける研究班によって、このモニタリングを続けてまいりたいと事務局としては考えているところです。8枚目、9枚目、10枚目、11枚目といった所は、これまでの厚生労働科学研究班での報告ですので、お目通しいただければと思います。
続きまして、12枚目のモニタリング方法マル2のNDBを活用したモニタリングについてです。今回、改めて事務局のほうで分析させていただいた情報ですが、NDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)により、腸重積症整復術を実施した患者数について計算ができるのか試しにやってみました。右下の集計Bの対象範囲と集計Aの対象範囲で、それぞれどういうものをカウントしたかを示しています。こちらのデータは、ロタウイルスワクチンが製造販売承認された2011年以前のデータがないので、あくまでもこういった計算が可能だということを示す趣旨です。左下の表にありますように、2013年からの各年度において、この間にロタウイルスワクチンが任意接種として打たれているわけですが、集計Aにおいても集計Bにおいても、これまで明らかな増加は認められていないと、事務局としては考えています。
こういったことも踏まえ、最後のまとめというスライドを御覧ください。定期接種化後の腸重積の発症数の評価方法につきまして、あらかじめ検討するという趣旨ですが、定期接種化前の副作用等報告の報告件数に加え、定期接種化後につきましては予防接種法に基づく副反応疑い報告制度等の報告が加わることにより、報告件数は増えると予測されていますので、単純に比較できるものではないというところです。また、それが増加したとしても、そのことをもってワクチン接種により腸重積症の発症が増加したと、すぐに結論がつながるわけではないと考えています。
その上で、腸重積症全体の発症数が増加していないことを確認するため、研究班による我が国の複数地域での腸重積症の発症件数の調査、また、NDBを用いた腸重積症に特異的な処置・手術件数の集計等を行うことにより、0歳児の腸重積症の発症者数を、こういった調査・集計結果が判明した時点で、検証することとしてはどうかと考えているところです。長くなりましたが、事務局からの報告は以上です。
○五十嵐委員 御説明ありがとうございました。2つ御報告いただいています。副反応疑いの報告基準案と、それから、今後の腸重積等のモニタリングについてのお話がありました。まず、資料17の副反応疑い報告基準案について、御意見、御質問を頂きたいと思います。いかがでしょうか。
○柿崎委員 アナフィラキシーに関して、ロタリックスとロタテックで基準を統一するということに異論は全然ないのですが、ここで議論することではないかもしれませんけれども、副反応としてアナフィラキシーの報告が同程度ある薬剤で、添付文書が違うというのは混乱するかと思うので、添付文書を統一したほうがいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○五十嵐委員 お願いします。
○事務局 今、現にどれぐらいの報告が上がってきているかも含めて確認させていただき、また適宜、相談させていただきながら対応したいと思います。ありがとうございます。
○柿崎委員 参考の所にあるのが、大体の頻度なのではないですか。
○事務局 多分、これが1つベースになると思いますが、更に遡って見て、また承認時の経緯とかも含めて確認する必要があるかと思っています。
○五十嵐委員 ありがとうございます。そのほかはいかがでしょうか。
○桃井委員 この内容そのものではないのですが、この文章にも「副反応疑い」という語と、「重大な副反応」という語が混じっています。特に、添付文書は「重大な副反応」として記載されています。多くの医療関係者あるいは一般の方は、「重大な副反応」とすると、因果関係がある医療事象と理解します。これは非常に大きな誤解を生む言葉ですので、それで報告基準には「副反応疑い」と入れてくださいと、随分前に皆さんの御意見があって、このようになりました。
しかしながら、添付文書は「副反応」と書いてあります。括弧して「因果関係が明らかでないものを含む」とか、そういう誤解を少なくするような文章に、是非していただきたいと思います。
○五十嵐委員 事務局は検討していただけますか。
○事務局 今回、定期接種化するに当たって、副反応以外にも、例えば腸重積症が起こりうるといったことの周知については、定期接種を担当する立場としてしっかりやっていきたいと思っています。添付文書の記載を改めることができるかどうかについて私自身分からないですけれども、御意見として承りたいと思います。よろしいですか。
○事務局 添付文書、基本的に標準化ということもあって、いろいろな薬剤に関して、項目は原則そろえるという格好でやっている中で、今このような表現になっています。そうは言いながらも、個別の薬剤の特性によりまして、当然、添付文書は適切な情報を伝える1つの媒体でございますし、より医療現場に対して適切な表現のほうがいいということにもなりますので、その辺りは、今回のご意見を個別に考えていく場合に、情報の受け手である方々、できるだけ多くの方に意見を聞いてみて、どちらのほうがいいかといったことで、少し考える時間を頂けたらと思っています。
○佐藤委員 定期接種化というところで、ちょっと情報を教えていただきたいのですけれども、どのぐらいの厳しさで接種を勧めるのか、ピンとこなかったのです。先ほどの添付文書の記載にも関係があると思うのですが、例えば接種年齢をどこまでにするとか、そういうことまで決めるということですか。
先ほどのモニタリングのデータにおいて、1回目の反応と2回目の反応と3回目の反応が出るという、きちんとしたデータをお示しいただき、すごく分かりやすくて私は感動しました。実際、1回目と2回目と3回目で出る年齢は違うこともとてもよくわかりました。推奨するのであれば、接種期間のウインドウ的なものを設けるという意味なのですか、というところが気になります。この年齢までに受けてくださいということで、例えば重積が起こる年齢の予測などができるようになるかもしれません。また、1回目に出やすいのか、2回目に出やすいのか、3回目に出やすいのか、ということの予測が変わってくるだろうなと感じたので、定期化という点について情報を少し教えていただけますか。
○五十嵐委員 佐藤先生、ロタリックス内用液の添付文書があります。そこの1ページ目の右側に、このワクチンは乳児を対象にしていますので、生後6週から、少なくとも4週間の間隔を置いて2回目の接種を完了すると記載されています。
○佐藤委員 定期化というと、この添付文書に基本的にのっとるということで決まるのでしょうか。かなり年齢があがってから受けている方もいるのだなというのが実際に分かったのですが、その辺をどのようにコントロールするのでしょうか。例えば、産科で、この年齢までにこれをやってくださいねと教えて差し上げるような仕組みにするとか、でしょうか。副反応側の話はとてもよく分かったのですけれども、定期化のところはちょっと分からなかったということです。
○五十嵐委員 お願いします。
○事務局 御質問ありがとうございます。説明が一部足りずすみません。まず、定期接種化ということですが、予防接種法というものがございまして、こちらの中に、いわゆる定期接種の対象でないものを任意接種と言ったりしているわけですが、これを予防接種の中に位置付けることを定期接種化と我々はよく呼んでいます。その中にはA類とB類というものがあったりしますし、その中で例えばA類に位置付けられたとすると、今度は接種する対象者を誰にしましょうとか、接種する間隔をどうしましょうということを定めていく手続を一連の流れとしていきます。
現状としましては、先週の金曜日、9月13日に開かれました基本方針部会におきまして、このロタウイルスワクチンを定期接種の対象としていきましょうという方針が決まったという状況で、これがA類になるのかB類になるのか、接種対象者をどうするのかといったことは、現状まだ決まっていないという状況でございます。こちらにつきましては、基本方針部会のほうでまた御議論していただきたいと思っています。
先生の直接のお尋ねとしまして、では、それをどういう対象者にするのかといった考え方につきましては、まさに御指摘いただいているとおり、こういう年齢で打つと、こういう副反応が多くなりますねという議論をする中で、1回目はここからここまでの間で打っていただきましょうとか、2回目はここからここまでの間に打っていただきましょうということを議論していく、エビデンスに基づいて議論していくという流れになりますので、まさしく先生がおっしゃるような流れを、今後やっていくというところでございます。
また、定期接種化が決まりましたら、今回はロタリックスとロタテックという2剤ですので、打つ回数も、打つ時期も違うワクチンが導入されるということも、事務局としては非常に懸念というかポイントの1つだと考えています。そちらにつきましても、打つ側の医師会や医療機関への周知であったり、あるいは打たれる側の保護者に対する情報提供みたいなことは、かなりしっかりやっていきたいなと思っているところです。よろしいでしょうか。
○佐藤委員 ありがとうございます。よく分かりました。
○五十嵐委員 そのほか、いかがでしょうか。資料17の7ページにロタウイルス感染症の副反応疑い報告基準をまとめて示していただいていますが、よろしいですか。消化管の先天性の異常症がない場合に起きる腸重積症を特発性と言います。好発時期は乳幼児期が多いのですが、何かの感染症の後に起きることが知られています。消化管の感染が起きて、消化管のリンパ組織であるパイエル板が肥厚してそこが先進部になって、腸が二重になって閉塞を起こす病態です。程度によっては、外科的な処置も必要になります。腸重積症に関連する感染症の原因ウイルスを調べた論文があります。一番頻度の多いウイルス感染症の原因ウイルスはアデノウイルスで、その次が乳幼児の場合はパレコウイルスと言われています。ロタウイルスは、1歳未満の原因ウイルスが分かった症例中のわずかしか見られていないとのことです。つまり、特発性腸重積症を起こしうるウイルス感染症というのは、その他、ロタウイルス以外のものが多いとされています。
期間を21日としたのは、この病気そのものは潜伏期間が2日間ですから、感染後非常に早い時期に症状が起きます。多くの方は感染後1週間ぐらいでウイルスが排泄されるが、中には3週間、4週間排泄され続けることがあると言われています。ですから、対象期間を延ばしていくと、他のウイルス感染症に感染して腸重積が起きる紛れ込み症例を拾うことになるので、外国でも21日間という期間を設定しているものと推測します。多屋先生、そういうまとめ方でよろしいのでしょうか。
○多屋委員 そのとおりだと思います。ファクトシートや評価分析編を作ったときも、その辺を詳しく調査しまして、ある意味、この日数は妥当ではないかと私も思っています。
○五十嵐委員 ありがとうございます。よろしいでしょうか。では、続きまして資料18のモニタリングに関する事務局の提案につきまして、御意見、御質問を頂きたいと思います。特にありませんか。それでは、御意見、御質問を踏まえましてまとめさせていただきたいと思います。
まず、資料17のロタウイルスワクチンの副反応疑い報告基準につきましては、7ページにあります事務局案の形で、今後、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会において議論を進めていただきたいと思います。それから、モニタリングにつきましては、特に委員の先生方から今日は御意見を頂いておりませんので、厚生労働省の方針どおり進めていただくと、つまり研究班とナショナルデータベースを使ったデータのモニタリングを行い、そのデータを踏まえて、適時この部会でまた議論をさせていただくという方針にしたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。ありがとうございます。事務局のほうから、何か特に追加はございますか。よろしいですか。
○事務局 資料18のほうですけれども、定期接種化後に副反応疑い報告の件数が増えたということが、ここの副反応部会に上がってくることになると予想しています。もちろん、検証結果は後から御報告するということは事務局のほうでやりたいと思っていますけれども、先生方の評価の方法として、このような考え方に基づいて評価をするということにするのかどうかということで、増えてから考えようということではなく、事前にお目通しいただき確認をしていただきたいという意図もあって、今日議題として出させていただきましたので、その点について、もし可能であれば御確認いただければと思います。
○五十嵐委員 いかがですか。それでよろしいですか。
○多屋委員 今までも腸重積症については、ロタウイルスワクチンとの関連で研究班で検討を行ってきましたので、今までと同じやり方で継続して調査することで定期接種化された後、増えていないかどうかを見るというのが1つと、もう1つ、今日御提示いただきましたが、レセプト情報でも、腸重積症という症状だけだと多く見積りすぎてしまうかなと思ったのですが、今回のようなことができるということが分かりましたから、これだと腸重積症の整復術ということでモニタリングができるかなと2つ思いました。
もう1つ、海外の論文などでも、例えば多くの人が接種するようになったときに、一時的に副反応疑い報告が増えるというのは出ていますから、どうしても注目されると報告が多くなってくることはありますが、それは慎重に検討していくことが必要だろうと思いましたので、こういう調査をやっていくことはとても重要ではないかと思います。
○五十嵐委員 ありがとうございます。どうぞ。
○柿崎委員 研究班のデータで、ここの資料では2007年から2013年までのデータが出されていますけれども、2014年以降も研究班は続いているのでしょうか。
○事務局 こちらにつきましては、多屋先生などに御協力いただいたロタウイルスワクチンに関するファクトシートを作成するために研究していたところがあります。現状、今は一旦止まっているという流れですけれども。
○柿崎委員 再開されるということですか。
○事務局 はい。当時、研究をされていた先生方にも御相談しまして、例えば当時使っていたシステムはいつでも稼動できるという話も伺っていますし、先週の金曜日、定期接種化の方針が決まりましたので、今後定期接種化しますということが徐々に固まっていく流れにおいて、また調整をさせていただき、我々としても研究班としてモニタリングしたいと考えているところです。
○柿崎委員 分かりました。
○五十嵐委員 ありがとうございます。そのほか、いかがですか。よろしいでしょうか。それでは、ありがとうございました。では事務局、お願いいたします。
○事務局 本日は、長時間にわたりまして活発な御審議を頂き、ありがとうございました。机上に配布しております添付文書集の黄色いファイルにつきましては今後も再利用させていただきますので、机上にそのまま置いてお帰りいただければと思います。もし、書き込み等をされた委員がいらっしゃいましたら、お名前をファイルに書いていただければ、次回以降、同じ資料を机上に配布させていただきます。次回の開催日時についてですが、日程調整をさせていただいた上で御連絡を差し上げたいと思います。
最後になりますけれども、傍聴者の皆様へのお願いです。この後、審議会の委員が御退室されますので、御退室が終わるまで、そのままお席でお待ちいただければと思います。御協力のほどお願いいたします。本日の会議はこれで終了いたします。
○五十嵐委員 ちょっと待ってください。1つ、御意見を頂きたいことがありますので、桃井先生、お願いします。
○桃井委員 ロタの話題と直接関係ないことを申し上げたかったので、いつ申し上げるか逡巡しているうちに終わりそうになってしまいました。クロージングリマークの後で申し訳ありません。本日の審議の内容と直接は関わりないのですが、前回の副反応検討部会で、皆さんから大変活発な御意見があった情報伝達についてです。ある先生は、リスクコミュニケーションという言葉をお使いになりましたけれども、予防接種においては、リスクコミュニケーションあるいは科学コミュニケーションは極めて重要で、その伝達ミスが非常に大きな認知バイアスを生み、予防接種行政がうまくいかなくなることは今まで何度も見られています。もちろん、伝達ミスの要因はたくさんあると私は思いますけれども、その大きな要因の1つは行政用語にあると思います。例えば、先ほど申し上げた副反応と副反応疑い、この差を説明できるドクターが関係者以外にどれだけいるか。あるいは、理解されている国民の方は恐らくゼロであろうと思います。もう1つの行政用語で、これは例えばですけれども、「積極的勧奨」です。これを説明できるドクターが関係者以外にどれだけいるか疑問に思います。勧奨に積極的も消極的もないので、積極的勧奨があるからには積極的ではない勧奨があるのではないかと普通は考えてしまいます。そういう意味で、行政は分かっていても国民には全く分からないという、この行政用語が特に副反応に関して大きな認知バイアス、誤解を生んで、予防接種行政の障壁になっていると思います。1回大きな認知バイアス、誤解を生みますと、その解消は極めて困難なことは私どもが何回も経験しているところです。
副反応に関しては、先ほど、例えば添付文書は統一的な記載なのでとおっしゃいましたけれども、普通の薬剤であれば患者さんは治療というメリットが目前にありますので、それと副作用のバランスというのは比較的判断が可能です。しかし、ワクチンにおいては全く性格が違いますので、ワクチンにおいてだけでも、この重大な副反応の用語に関して先ほどの意見を十分にお考えいただきたいと思います。
それから、積極的勧奨は、先ほど積極的も消極的もないと申し上げましたが、法律に載っているのは勧奨予防接種だけであると私は理解しています。したがって、行政だけが理解している積極的勧奨という言葉をやめて、勧奨予防接種一本にするということはいかがかと、これは全く個人的な意見ですけれども、思います。はがきを送ろうが送るまいが、これは市町村の行政で判断なさってやっていただければよろしいと思います。積極的勧奨という言葉をやめて、勧奨接種だけにして分かりやすくすることが可能です。つまり、勧奨接種が中断したのか中断していないのかという非常に分かりやすい状態になるわけで、是非、これを御検討いただきたいと思います。以上です。
○五十嵐委員 ありがとうございました。何かそれについて追加の御意見等はございますか。よろしいですか。厚労省のほうは是非御検討をお願いしたいと思います。その他、よろしいでしょうか。それでは、これで今日の会議を終了したいと思います。ありがとうございました。
(了)