令和元年度8月30日 第42回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和元年度第7回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)議事録

日時

令和元年8月30日(金) 14:00~16:00

場所

厚生労働省 専用第22会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

議事

○事務局 それでは定刻になりましたので、ただいまより第42回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会及び令和元年度第7回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)を開催いたします。委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中御出席賜りまして、ありがとうございます。
初めに、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。安全対策調査会の伊藤委員、佐藤委員、副反応検討部会の多屋委員、長谷川委員から御欠席の連絡を受けております。現在、副反応検討部会委員8名のうち6名、安全対策調査会委員6名のうち4名の委員に御出席を頂いておりますので、厚生科学審議会及び薬事・食品衛生審議会の規程により、本日の会議が成立していることを御報告いたします。なお、全ての委員におかれまして、関係企業の役員、職員等でない旨を申告いただいております。
次に、事務局側で人事異動がございましたので紹介させていただきます。まず、7月9日付けで健康局長が宇都宮から宮嵜に交代となっております。また、健康課長が武井から神ノ田に交代となっております。また、医薬・生活衛生局安全使用推進室長が江野から田中に交代になっております。また申し遅れましたが、私、医薬安全対策課に着任いたしました松倉と申します。本日の事務局の進行を務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、取材の方におかれましては、御協力をお願いいたします。
続きまして、本日の審議の前に、傍聴に関しまして留意事項を申し上げます。開催案内の傍聴への留意事項を必ず遵守いただきますようお願いいたします。留意事項に違反された場合は、退場をお願いすることとなります。また今回、座長及び事務局の指示に従わなかった方や会議中に退場となった方におかれましては、次回以降の当会議の傍聴は認められませんので、御留意をお願いいたします。
本日の座長につきましては、桃井委員にお願いしたいと思います。それでは座長、ここからの進行をお願いいたします。
○桃井委員 始めさせていただきます。それでは審議に入る前に、事務局から審議参加に関する遵守事項の報告をお願いいたします。
○事務局 審議参加について報告いたします。本日御出席をされた委員の方々の過去3年度における関連企業からの寄附金・契約金などの受取状況について、これまでと同様に申告いただきました。本日の議題において調査審議される品目は、MR、麻しん、風しん、おたふくかぜ、水痘、A型肝炎、23価肺炎球菌、インフルエンザワクチン、HPVワクチンの各ワクチンであり、その製造販売業者は、一般財団法人阪大微生物病研究会、第一三共株式会社、武田薬品工業株式会社、KMバイオロジクス株式会社、MSD株式会社、デンカ生研株式会社、グラクソ・スミスクライン株式会社です。各委員からの申告内容につきましては、机上に配布させていただいておりますので御確認いただければと思います。
本日の出席委員の寄附金等の受取状況から、柿崎委員におかれましては、MSDから50万円を超えて500万円以下の受取があるため、23価肺炎球菌、HPVワクチンについては、意見を述べることはできますが、議決に参加いただくことができませんことを御報告します。
引き続き、各委員におかれましては、講演料等の受取について、通帳や源泉徴収票などの書類も御確認いただくことにより、正しい内容を御申告いただきますよう、よろしくお願いいたします。以上です。
○桃井委員 ありがとうございます。以上で間違いはないでしょうか。それでは、次に資料の確認をお願いいたします。
○事務局 事務局より、本日の資料について説明します。厚生労働省では、業務全体においてペーパーレス化の取組を推進しており、本合同会議も、資料はタブレットで閲覧する方式で実施します。各委員におかれましては、お手元のタブレット端末で資料を御確認ください。なお、タブレット端末の操作方法につきましては従前と同様ですので、説明は省略させていただきますが、御不明な点や不具合等ございましたら、事務局員にお申し出ください。
続きまして、配布資料の説明をします。資料は議事次第、委員名簿、資料一覧、座席図、利益相反資料、遵守事項等資料、資料1~13及び参考資料1~6、また、委員限りの資料ですが、資料番号なしで各社のワクチン出荷量と副作用の発現頻度をまとめた資料及び資料13に係る報告案があります。また、黄色の紙ファイルにて、各ワクチンの添付文書をお配りしております。資料を御確認いただき、不足の資料等ございましたら事務局にお申し出ください。
○桃井委員 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
それでは、議案に入ります。議題1「各ワクチンの安全性について」です。まず、資料1~4まで説明をお願いいたします。
○事務局 初めに、全体的な事項を説明します。本合同会議での副反応が疑われる症例の報告については、平成25年9月の合同会議において、定期的に検討を行うワクチンを選定し、比較的同時接種が行われるワクチンと、そうでない、比較的単独接種が行われるワクチンにグループを分けて報告することとしております。本日は、比較的単独接種が行われるワクチンについて、その副反応が疑われる症例の報告の状況について説明します。比較的単独接種が行われるワクチンのうち、インフルエンザ以外のワクチンは、前回4月24日の合同会議において、昨年9月1日から12月末までの症例について報告しております。本日は、本年1月1日から4月末までの4か月間に報告された症例について説明します。インフルエンザワクチンについては、昨年10月1日から4月末までの7か月間に報告された症例について説明します。
それでは、資料1~4について説明します。資料1、MRワクチンです。具体的な製品名は、1ページの上段にある「商品名」に記載しております。1ページの中段に表がありますが、こちらには医療機関への納入数量を基に推定した接種可能のべ人数、製造販売業者及び医療機関からの副反応報告が疑われる症例の報告件数を記載しております。MRワクチンの接種可能のべ人数は約96万人、製造販売業者からの報告は4件、医療機関からの報告は16件、うち重篤なものが7件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.00042%、医療機関からの報告頻度は0.0017%となっています。1ページ下段の「重篤例の転帰」等の情報をまとめておりますが、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。
2ページに移る前に、本資料を含め各資料の1ページ目の見方について説明します。重篤症例の報告数については、製造販売業者と医療機関の双方から報告された場合には、重複を排除するため医療機関の報告として計上しております。また、中段の表、報告数の所ですが、集計対象期間内に報告された症例を集計しているため、この件数には接種日や発生日が対象期間以前の症例も含まれており、接種日が今回の対象期間内であったものについて、括弧書きでその件数を記載しております。また、企業ごとの出荷量や発現頻度については、別途、委員限りの資料をご覧ください。
2ページ、報告された症例を症状別に集計したものです。縦に見て、表の左側が前回の合同会議までに報告された件数、右側が今回報告された件数となっております。5ページは予防接種法の報告基準に定められた症状について集計した結果を記載しております。こちらも左側が前回までの報告、右側が今回の集計対象期間に報告されたものとなっております。6~8ページは、報告された個別症例の一覧です。9ページは、アナフィラキシーとして報告された重篤症例の件数をまとめております。今回は、そのような症例はありませんでした。10ページからは死亡症例についてです。こちらは、対象期間後に報告されたMRワクチン、ヒブワクチンを同時接種した1歳男児が接種4日後に死亡した症例です。詳細な情報は現在調査中ですので、調査結果が得られ次第改めて報告します。資料1は以上です。
資料2、麻しんワクチンです。接種可能のべ人数は約3万人です。こちらは、対象期間内に製造販売業者及び医療機関のいずれからも報告はありませんでしたので、説明は省略します。
資料3、風しんワクチンです。接種可能のべ人数は約4万人、製造販売業者から1件報告されており、報告頻度は0.0023%でした。1ページ下段の「重篤例の転帰」について、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2ページは症状別に集計した結果、3ページは予防接種法の報告基準に定められた症状について集計した結果です。4ページは個別症例の一覧です。製造販売業者から報告された新生児の症例で、副反応名・先天性風しん感染として報告されています。ウイルス同定検査は実施されておりません。5ページはアナフィラキシーのまとめです。今回は、そのような症例はありませんでした。資料3は以上です。
資料4、おたふくかぜワクチンです。接種可能のべ人数は約62万人、製造販売業者からの報告は9件、医療機関からの報告は9件、うち重篤なものが5件でした。報告頻度は、製造販売業者、医療機関ともに0.0014%となっています。1ページ下段の「重篤例の転帰」について、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2~3ページは、症状別に集計した結果です。4~6ページは、個別症例の一覧です。製造販売業者からの報告の№4、1歳女児の症例では、臨床的にワクチンの有害事象を疑われ報告されたものですが、後日RT-PCR結果にて野生株が検出されています。7ページはアナフィラキシーのまとめです。今回は、そのような症例はありませんでした。資料4は以上です。
以上、資料1~4の説明になります。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○桃井委員 ありがとうございます。それでは、資料1~4まで御意見、御質問をお願いいたします。特にないでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、今のデータ及び御報告をまとめさせていただきます。これらのワクチンに関して副反応疑いの報告頻度は、これまでに検討したデータと比べて特段変わりはない、高くはない。それから、死亡症例が集計期間内にはございませんでしたが、対象期間後にMRとアクトヒブの同時接種例で死亡症例が1例報告がございます。詳細情報は調査中ですので、以降改めて審議をお願いすることになります。以上のまとめでよろしいでしょうか。
それでは、以上のまとめに基づきまして、これらのワクチンに関して、現状の取扱いの変更の必要性等について御意見を頂戴したいと思います。何かおありでしょうか。現状の取扱いの変更は、必要なしということでよろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。それでは、MR、麻しん、風しん、おたふくかぜについて審議を終わらせていただきます。
次は、資料5~7までについて御説明ください。
○事務局 資料5~7について説明します。資料5は水痘ワクチンです。接種可能のべ人数は約69万人、製造販売業者からの報告は8件、医療機関からの報告は14件、うち重篤なものが3件でした。
製造販売業者からの報告頻度は0.0012%、医療機関からの報告は0.0020%となっています。1ページ下段の「重篤例の転帰」について、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2~3ページは症状別に集計した結果です。4ページは予防接種法の報告基準に定められた症状について集計した結果です。5~7ページは個別症例の一覧です。製造販売業者からの報告の№3、4歳女児の症例では副反応名が帯状疱疹として報告されました。後日、水疱液のPCRによって野外株のウイルスが検出されています。報告対象期間以降に関連なしとして報告されています。8ページはアナフィラキシーのまとめです。今回は、そのような症例はありませんでした。資料5は以上です。
資料6はA型肝炎ワクチンです。接種可能のべ人数は約5万人です。こちらは、対象期間内に製造販売業者及び医療機関のいずれからも報告はありませんでしたので、説明は省略します。
資料7は23価肺炎球菌ワクチンです。接種可能のべ人数は約77万人、製造販売業者からの報告は34件、医療機関からの報告は67件、うち重篤なものが19件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.0044%、医療機関からの報告頻度は0.0087%となっています。また、肺炎球菌ワクチンに関しては、薬効欠如などのワクチンの副反応ではないと考えられる症状が報告されていることについて、これまでの合同会議で御指摘いただいており、うち数として肺炎球菌感染、肺炎等を除いた件数も示しています。今回の対象期間では企業から肺炎関連の症例が報告されており、これらを除くと製造販売業者からの報告数は24件となります。医療機関からの報告については、肺炎関連の症例はありませんでした。1ページ下段の「重篤例の転帰」について、今回の集計対象期間内で医療機関から死亡症例が1件報告されています。2~8ページは症状別に集計した結果です。左端に★印を付けている症状が、1ページでうち数として集計する際に除外したものになります。9ページは、予防接種法の報告基準に定められた症状の集計結果です。10~15ページは個別症例の一覧です。医療機関からの報告の重篤症例一覧の№6、65歳女性の症例が死亡症例です。後ほど御説明します。16ページはアナフィラキシーのまとめです。今回は、そのような症例はありませんでした。続いて、17ページからは死亡症例についてです。№1の症例は対象期間前の報告で、前回4月の合同会議にて詳細調査中として報告した症例です。現在も調査を継続しているため、調査結果が得られ次第、改めて報告します。№2の症例は対象期間内に報告された65歳女性の症例です。本剤接種84日後に死亡した症例です。「皮膚筋炎性間質性肺炎による死亡とされ、ワクチン接種により免疫過剰応答が起こった可能性は否定できないが、ワクチン接種から2日で症状があらわれるとは考えにくい。死亡との因果関係は不明である」とされています。18ページ以降に、委員限りの資料として、詳細な経過や専門家の意見を添付しています。その内容を御発言いただく際は、患者さん個人の特定につながらないよう御配慮いただきますようお願いいたします。資料7は以上です。
以上が、資料5~7の説明になります。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○桃井委員 ありがとうございます。ただいまの事務局からの説明について、御意見あればお願いします。よろしいでしょうか。それではまとめさせていただきます。これらのワクチンについて、副反応疑いの報告頻度は、これまでに検討したものに比べて特段高くはないということで、よろしいでしょうか。また、死亡症例は、期間内に1例、期間前に1例、報告があります。期間内の1例は、接種後2日の皮膚筋炎発症ということで、2日で自己免疫病態の発症は考えにくいという評価がありました。しかし、因果関係は正確には不明という記述があります。対象期間前については情報を調査中ですので、これも以降、御審議いただくことになるかと思います。以上でよろしいでしょうか。それでは、この評価に基づいて現在の取扱いについて、変更の必要があるかどうか御意見を頂戴したいと思います。いかがでしょうか。このような評価であれば、取扱い変更の必要なし、新たな懸念は認められないということで、よろしいでしょうか。ありがとうございます。これらのワクチンに関する審議を終了します。
次に、資料8をお願いいたします。
○事務局 資料8について説明します。資料8はインフルエンザワクチンです。こちらについては、昨年10月から本年4月末までの結果をまとめています。
1ページ目をご覧ください。資料の構成がほかのワクチンとやや異なっています。接種可能のべ人数は、表下の注意点の2つ目に記載しており、約5,251万人となっています。報告数は表に記載しているとおり、1か月ごとに集計しています。合計は表の一番下で、製造販売業者からの報告は53件、医療機関からの報告は208件、うち重篤なものが78件報告がありました。製造販売業者からの報告頻度は0.00010%、医療機関からの報告頻度は0.00040%となっています。死亡症例は、医療機関から3件報告されています。
2ページ目は、医療機関からの報告のうち、関連性についての内訳を示しています。なお、前回4月24日の合同会議において、委員から御指摘いただいた内容を踏まえ検討し、マル2の内訳について、「関連なし」「評価不能」「記載なし」に分けて示しています。3ページ目の上段と中段は、患者の性別、年齢の内訳を集計しています。下段には参考として、2016/2017年シーズン、2017/2018年シーズンの報告を記載しています。1ページで御説明した今回の報告頻度と比べて、特段高いという状況ではありませんでした。
4~6ページは症状別に集計した結果です。7ページは予防接種法の報告基準に定められた症状の集計結果です。8~18ページは個別症例の一覧です。製造販売業者からの報告の9ページ目の№39が後遺症症例、医療機関からの報告の重篤症例一覧で11ページの№14及び12ページの№48、№67が死亡症例になります。
19ページは後遺症症例です。心筋梗塞、食道がんの既往がある74歳男性で、接種2日後に脳梗塞を発症し、言葉が出てこない、発語しにくいという後遺症のある症例です。表の一番右のカラムに専門家の意見を記載しており、「因果関係は情報不足により評価できない」「ワクチンとの関連性は認められない」といった意見を頂いています。20、21ページの後遺症症例は、前の2017/2018シーズンの後遺症症例で、4月の中間報告の際に御報告したものを再掲したものです。経過欄の日時及び接種後日数の欄について、様式を変更した以外に情報の更新はありません。
22ページは、ギラン・バレー症候群、急性散在性脳脊髄炎についてです。医療機関から6件、製造販売業者から9件の報告がありました。専門家による評価の結果、医療機関からの報告のGBS2件、ADEM3件が、GBS、ADEMとして否定できないと評価されました。23ページからは症例の詳細を示しています。症例の№2、3、4、9が該当する症例となっています。一番右のカラムに、事務局の評価を記載しています。いずれの症例も、GBSないしはADEMの可能性は否定できない、ワクチン接種との因果関係は否定できないという評価になっています。なお、24ページの№5、70歳男性の症例ですが、こちらについてはADEMの報告に基づいて専門家による評価をお願いしたところ、一部の委員から「ADEMよりGBSの可能性が高い」との意見を頂きましたので、改めてGBSの可能性についても再度御意見いただき評価を記載しています。事務局評価としては、情報不足で評価できないとされています。27、28ページの症例は、前の2017/2018シーズンの症例の再掲で、情報の更新はありません。先ほどの後遺症症例とも同じものですので、説明は省略します。29ページの症例についても、中間報告の際に提示した症例の再掲となっています。
30ページからは、アナフィラキシーについて、今シーズンをまとめた資料になります。アナフィラキシーとして報告された症例数、ブライトン分類3以上とされたものの数、その報告頻度を製造販売業者ごと、ロットごとに集計しています。全体の合計については、表の一番下に記載しています。全体で17件の報告があり、うちブライトン分類3以上とされたものが9件、報告頻度は10万接種当たり0.2となっています。31ページが昨シーズンの結果です。今シーズンと比較して、全体の報告頻度としては特段大きな違いはありませんでした。32~35ページに、アナフィラキシーの個別症例について記載しています。詳細については省略させていただきます。36ページは、前の2017/2018シーズンの症例として、4月に提示したものの再掲となります。こちらも説明については省略させていただきます。
37ページからが死亡症例の一覧になります。№1及び№2については、前回4月24日の合同会議で報告済みですので、№3について御説明します。№3は7ヶ月男児の症例です。接種翌日に心肺停止状態で発見され、その後、胸骨圧迫、アドレナリン投与等が行われましたが、死亡した症例です。死亡時の画像診断の結果、気管内に液体貯留を認めており、専門家の評価の結果、「死因は窒息と考えられたが、乳幼児突然死症候群の可能性も考えられ、ワクチン接種との因果関係は不明である」とされています。39ページからは、前の2017/2018シーズンの死亡症例一覧を掲載しています。№1~№11までは、4月の合同会議までに報告されている症例です。45ページの№12、65歳男性、白内障、緑内障、胆嚢炎を基礎疾患に有する症例で、平成29年12月11日に接種、接種55日後に死亡した症例ですが、こちらは現在も調査を継続していますので、調査結果が得られ次第、改めて御報告します。46ページ以降に、委員限りの資料として、2018/2019シーズンの死亡症例について、経過や専門家の意見の詳細等を添付しています。
資料8の御説明としては以上となりますが、4月24日の合同会議で、議題1としてインフルエンザワクチンなどの各ワクチンの安全性について御審議いただきました際に、資料の一部に誤記がありましたので、報告させていただきます。
参考資料6をご覧ください。1~8ページは4月の資料の再掲です。9ページからは修正箇所を示したもの、15ページ以降は修正を反映した資料となっています。9ページをご覧ください。緑で塗りつぶした部分が修正箇所です。4月24日の合同会議の資料8では、インフルエンザワクチンの副反応疑い報告状況として、2018/2019シーズンの中間報告、これは平成30年10月1日から平成30年12月31日報告分までについて行っていますが、その報告数について、本来インフルエンザワクチンの場合、シーズンごとに症例の評価を行っていることから、対象期間に報告された症例であっても過去のシーズンに接種された症例については含めないとしていたところ、誤って過去シーズンに接種された3症例が含まれたまま集計されていました。また、参考資料6の13ページ、元の資料としては7ページに相当する部分となりますが、予防接種後副反応疑い報告の報告基準にある症状の報告状況を集計し、示している表になります。こちらの左から3列目にある2017/2018シーズンの「医療機関からの報告」の件数と、左から5列目にある2018/2019シーズンの「製造販売業者からの報告」の件数を入れ違えて記載していたため、合計の件数も連動して間違った値となっていました。
これらは、インフルエンザワクチン特有の集計ルールが徹底されていなかったこと及び重層的な確認を行っていましたが、その確認方法に不備があったことが原因です。今後は、このような誤りが生じないよう、ルールの徹底と重層的な確認の方法の改善を行っていきます。資料の誤りについておわび申し上げますとともに、今回報告する本資料をもって訂正させていただきます。また、今回の資料8では2018/2019シーズンのインフルエンザワクチンの副反応疑い報告状況について、4月24日の合同会議で中間報告された平成30年10月1日から平成30年12月31日報告分までを含む、平成30年10月1日から平成31年4月30日報告分までの件数を全て報告していますので、こちらで御審議いただきたいと考えています。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○桃井委員 今回の副反応の報告の御説明と、データの2種類の問題について御説明を頂きました。これについて、御意見、御質問等をお願いいたします。もし、御説明でお分かりになりにくいところがありましたら、御質問ください。
○長島委員 昨シーズンの評価をする場合には、今回、修正して出していただいたものでやれば、特に影響はないということでよろしいでしょうか。
○事務局 御質問ありがとうございます。そのように考えています。
○桃井委員 ほかにいかがでしょうか。
○倉根委員 今の説明の中で、カラムがずれていたというか逆になっていたと思うのですが、これはどうして起こったことなのでしょうか。
○事務局 お答えさせていただきます。今回の全体の副反応の報告状況や予防接種後副反応疑い報告の報告基準に記載された症状の報告状況については、データベースから抽出した同じ元データを用いて、表計算ソフトを使用して作成しているのですが、集計の際にカラムの選択を誤ってしまったため、本来入るべきカラムのところとは別のカラムに値が入力されてしまい、合計の件数も連動して間違った値が入力されたということです。
○桃井委員 よろしいでしょうか。手作業ですと、ヒューマンエラーがどうしても起こってしまうということで、これを避けるためにどのような対応をしていただくということを、以前の会議で、御提案いただきました。まだ、その過程であると思いますので、是非マニュアルも含めて進めてください。作業プロセスを少なくすることもヒューマンエラーの減少の基本です。ただし膨大な資料からこれら表にまとめますので、プロセスを少なくするといっても、なかなか困難なことは十分承知をしていますが、その可能性があれば、できるだけプロセスの減少をご検討ください。また御担当者もお代わりになりますので、インフルエンザのように特別な扱いをしているものは、マニュアルがないとエラー要因となると思います。今、御準備中のヒューマンエラーを防ぐための作業を、是非、迅速にお進めいただければと思います。ほかにはよろしいでしょうか。これらについては、特に評価に影響を与えないということでよろしいですか。
それでは、インフルエンザワクチンについても御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。特におありにならないでしょうか。
それでは、まとめさせていただきます。インフルエンザワクチンについては、副反応疑い報告数、死亡者数、アナフィラキシーの発生頻度については、昨シーズンのデータもお示しいただきましたが、それらと同等であるという評価でよろしいでしょうか。ありがとうございます。これを踏まえまして、現状の取扱いについて何か御意見があれば頂戴したいと思います。このような評価であるので、安全性において新たな重大な懸念はないという結論でよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、インフルエンザワクチンについては終了させていただきます。
引き続き、資料9~11までをお願いいたします。
○事務局 HPVワクチンの副反応が疑われる症状の報告状況について、御報告させていただきます。HPVワクチンについては、本年4月24日の合同会議において、昨年9月1日から12月末までの症例について報告しています。本日は、本年の1月1日から4月末までの4か月間に報告された症例について、御説明します。
資料9、サーバリックスの資料をお開きください。接種可能のべ人数は1,877人です。製造販売業者からの報告は3件、医療機関からの報告は1件、うち重篤なものは0件でした。また、これらのうち今回の集計対象期間内に接種が行われた症例の数を、それぞれ括弧書きで記載していますが、今回の対象期間内に接種された報告はありませんでした。これまでと同様に、報告対象期間中の接種人数を分母に、報告された症例数を分子に取って頻度を計算しています。製造販売業者からの報告頻度は0.16%、医療機関からの報告頻度は0.053%となっています。数値を示していますが、接種数が極めて少ない中で過去の症例が報告されていることから、当該頻度の数値自体はあまり意味のないものとなっています。また、販売開始からの累計は、参考としてその下に記載しています。1ページの下段には、重篤例の転帰について情報をまとめています。今回の報告対象期間に後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2~9ページは症状別に集計した結果です。10ページは、予防接種法の報告基準に定められた症状について集計した結果を記載しています。今回の対象期間には、該当する症状の報告はありませんでした。11~12ページは報告された個別症例の一覧です。13ページはアナフィラキシーのまとめです。今回は、そのような症例はありませんでした。14ページは、接種後の迷走神経反射が疑われる症状でのアナフィラキシーの可能性について評価した資料です。今回は、対象となる報告はありませんでした。資料9は以上です。
資料10はガーダシルになります。接種可能のべ人数は8,794人です。製造販売業者からの報告は3件、医療機関からの報告は1件、うち重篤なものは0件でした。また、これらのうち今回の集計対象期間に接種が行われた症例の数を、それぞれ括弧書きで記載していますが、今回の対象期間内に接種された報告はありませんでした。製造販売業者からの報告頻度は0.0034%、医療機関からの報告頻度は0.011%となっています。数値を示していますが、サーバリックス同様に接種数が極めて少ない中での過去の症例が報告されていることから、当該頻度の数値自体はあまり意味のないものとなっています。なお、販売開始からの累計は、参考としてその下に記載しています。1ページの下段には、重篤例の転帰について情報をまとめています。今回の報告対象期間に後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2~7ページは症状別に集計した結果です。8ページは、予防接種法の報告基準に定められた症状について集計した結果を記載しています。今回、医療機関より血管迷走神経反射の報告が1件ありました。9~10ページは、報告された個別症例の一覧になります。11ページはアナフィラキシーのまとめです。今回は、そのような症例はありませんでした。12ページ、接種後の迷走神経反射が疑われる症例でのアナフィラキシーの可能性について評価した資料です。下の表のとおり迷走神経反射が疑われる症例が2例ありましたが、ブライトン分類3以上としてアナフィラキシーが疑われる症例はありませんでした。
また、HPVワクチンの資料の御説明は以上となりますが、先ほどと同様、4月24日の合同会議の議題1として、HPVワクチンなどの各ワクチンの安全性について御審議いただきました際に、資料の一部に誤記がありましたので、こちらも報告させていただきます。
同じく参考資料6をご覧ください。23ページからとなります。23~28ページは4月の資料の再掲、29ページは修正箇所を示したもの、30ページ以降が修正を反映した資料となっています。29ページの修正箇所を示したページをご覧ください。緑で塗りつぶしている部分が、修正箇所です。4月24日の合同会議の資料10の6ページに相当する部分で、予防接種後副反応疑い報告の報告基準にある症状の報告状況を集計し示しているものですが、アナフィラキシーの右から3列目の医療機関からの報告欄及び右から1列目の総計数の欄に1と記載すべきところ、空欄となっていました。これは、重層的な確認を行っていましたが、やはりその確認方法に不備があったことが原因であり、今後このような誤りが生じないよう、重層的な確認方法の改善を行っていく所存です。
副反応全体を詳しく示した2~5ページに相当する「副反応報告状況の一覧」には、アナフィラキシーの件数をはじめとして、それぞれの件数を記載しています。また当該1例については、今回の資料10で申し上げますと、11ページで示しているアナフィラキシー症例としても掲載していますので、御審議への影響はないと考えていますが、資料の誤りについておわび申し上げますとともに、今回報告する本資料をもって訂正させていただきます。
資料の作成ルールや重層的な確認方法を改善し、このような誤りが発生しないよう対策を講じますが、今後、万が一ミスが見つかった場合には、合同会議の審議への影響を考慮の上、直近の合同会議にて御報告した後に、最新版の資料へ差し替えさせていただければと思います。
最後に、資料11、失神関連副反応疑いについて御報告します。HPVワクチン接種後の失神関連の副反応が疑われる症例をまとめた資料のアップデートになります。2~8ページがサーバリックス、9~12ページがガーダシルのまとめです。
2ページの1.サーバリックスの国内の発現状況ですが、販売開始から今年4月末までの報告は990例、発生率が10万接種当たり14.13例、このうち意識消失のあった症例は660例で、10万接種当たり9.42例でした。3ページは、意識消失までの時間を表したものです。上の棒グラフは、接種後30分までに発現した症例を、下の表は接種後30分以降に発現した症例をまとめたもので、多くは30分以内に発現しています。4~8ページは、意識消失があった症例の時期ごとの発現の傾向を示しています。8ページが最近のものになりますが、ここ最近の事例として報告された症例はありません。
9ページ以降はガーダシルの症例です。9ページの1.ガーダシルの国内状況ですが、今年の4月末までの報告は399例、発現率が10万接種当たり20.2例、このうち意識消失のあった症例は271例で、10万接種当たり13.7例でした。10ページは、サーバリックス同様に、それぞれ意識消失などを時間で示したグラフと表になっています。傾向はサーバリックスと同様です。11ページ以降は、意識消失があった症例の期間ごとの発現傾向を示したものです。サーバリックス同様、ここ最近の事例として報告された症例はありません。
資料9~11の説明は以上となります。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○桃井委員 ありがとうございます。これにつきまして、御意見、御質問等をお願いいたします。
○倉根委員 確認ですが、サーバリックスの11ページです。この方は、平成25年に3度目の接種を受けて、症状が発生したのが平成25年ですが、報告まで6年かかっていることになります。重篤症例として分類されているということは、その間に医療機関は受診しているのかなと推察されるのですが、いわゆる医療機関からもそれは上がってきていない。6年後に上がってきたという症例と考えていいのでしょうか。
○事務局 事務局よりお答えさせていただきます。この症例ですが、副反応被害救済の申請がなされている症例です。恐らくその情報を基に、企業がこの症例の存在を把握して調査に行ったため、少し時間が開いているということかと思います。
○倉根委員 そうすると、通常ここに上がってくるデータとは、少し違う形で認識された方であるということなのですか。
○事務局 はい、そのとおりです。
○桃井委員 ほかにいかがでしょうか。
○濱田委員 失神のHPVワクチンを集計されていますが、私はこの資料を見るのが今回初めてなのですが、要するに接種後の時間で見ているというのは、この意味は、迷走神経反射であるということが多いということを言いたいのでしょうか。特に、棒グラフになっていますが、これは何を目的にして、時間を比較しているのですか。
○桃井委員 恐らく、報告されたものを時間で棒グラフにすることによって、一定程度、時間内であれば御承知のように迷走神経反射が疑われるけれども、大分後になってからの御報告もあって、この時間パターンから、医学的に迷走神経反射はこのぐらいで、それよりもっと後になって起きたと思われるものはこのぐらいだということが推定できるのかなと医学的には思いますが、いかがでしょうか。
○事務局 補足させていただきます。この失神という事象が意外とたくさん出たというのが、接種を開始して、そう日をたたずして話題になりました。実際、起きていることを見ると、割と短時間でパッタリ倒れているというようなことだったものですから、どれくらいの間、静かにさせておけばいいのかなということを考える上で、何分まで静かに座らせておけばいいのかということを考える上でも、このような時間プロファイルを評価することが一定の意味があると思います。接種をしてから30分静かに座っていてください、というインストラクションを後でしています。それは、根拠はこういう時間経過で起きているということを背景にすると、このぐらい見ておけば大丈夫という話にもなるということです。それをこのような形で見ているということも、もう1つの起きる事象に対する対策のための根拠という意味でも、一定の意味があったということで、それがずっと続いて累積しているという格好になっています。
○桃井委員 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
○舟越委員 資料11の2ページ目、サーバリックスのほうは意識消失と詳細な検索の結果が出ているのですが、9ページ目のガーダシルのほうは、海外などの発現情報が、一応意識消失諸々の部分で発現症例数が書かれていて、その後の「外国症例については意識消失発現に関する情報は得られていないため」という所が、検索したのであれば、このうちの意識消失は0件だったのか、実際に情報が得られていないという表現は、ちょっと私には分からなくて、検索したらこのうちの意識消失は0件だったのか。この最後の「意識消失の有無による集計はできませんでした」というのが、その大本のMedDRAで調べた意識消失、失神、失神寸前の状態、ショック、神経原性ショック関係のもので調べたうちのというのが、ガーダシルとサーバリックスで、サーバリックスは書かれていて、ガーダシルはこういった表現になっているのは、少し分からなかったので教えていただきたいのですが。
○事務局 事務局よりお答えします。資料を読む限りは、そのような報告はないとも読み取れるのですが、企業から御提供いただいている資料ですので、その背景を確認した上で、また後日の合同会議等で御報告させていただければと思います。
○桃井委員 ほかにいかがでしょうか。御質問等はおありになりますか。よろしいでしょうか。
まとめさせていただきます。この2つのワクチンに関して、今回の御報告では全例、過去に発生した症例が時間を置いて、一部はかなりの時間を置いて、直近に報告された例です。全体の傾向としては、その症状の内容及び累計の頻度も、これまでの報告と大きな変化はないということでよろしいでしょうか。このようなまとめを経て、この2つのワクチンの取扱いに関して何か御意見はありますか。特におありにならないでしょうか。それでは、このようなまとめですので、新たなシグナルの検出はないということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。以上で、これら2つのワクチンに関する審議を終わらせていただきます。
ここで、議題1の各ワクチンの副反応に関わる審議を終わらせていただきますが、全体として、副反応のまとめ及びそのデータも含めて全てに関して、何か御意見はありますか。特によろしいですか。
では、私から。何回も申し上げて恐縮ですが、「否定できない」という言葉は専門家の御意見なのですが、非常に広い範囲を含みます。かなり否定的であるけれども完全には否定できないという医学的な絶対とは言えないという意味から、因果関係はあるかもしれないというような気持ちも含めたものまで、非常に幅広いものがあります。しかし一般の方が否定できないと聞くと、関連性、因果関係があるのではないかと取られる傾向があります。否定できないのだから、やはりあるかもしれないのではないか、あるのではないかと受け取られますので、大分前に長島先生からも御意見頂戴しましたが、因果関係に関してグレーディングを付けていただいて、グレーディングとその根拠を出していただくと、グレーゾーンの濃さが一定程度分かり、その後の統計にも役立つのではないかと思います。専門家の先生の御意見がディスクリクティブな記述ですので、これではデータをまとめることも困難です。難しいかもしれませんが、御検討ください。よろしくお願いいたします。以上で、議題1を終わらせていただきます。
議題2に入ります。「HPVワクチンの情報提供に関する評価について」です。資料12について、御説明ください。
○事務局 資料12に基づいて、HPVワクチンの情報提供に関する評価について説明いたします。スライド番号1です。HPVワクチンに関する情報提供について過去の経緯をかい摘んで説明いたします。これまでも、本副反応検討部会において、HPVワクチンに関する情報提供についてはいろいろ御議論いただいているところです。近いところでは平成29年12月に、情報提供について、情報提供しただけではなく理解されたかどうかを評価することが必要という御意見を頂いているところです。
また、こういう御意見を受けて、現在用いている3種類のリーフレットについて、青いものは接種を検討している方と保護者様向け、オレンジ色のものは接種を受ける方と保護者向け、緑色のものは医療従事者向けの少しテクニカルな用語も含まれているものを作り、平成30年1月にこうした新しいリーフレットによる情報提供を開始したところです。また、平成30年7月には、本部会において情報提供の評価の視点や評価方法について御議論いただき、当方から調査を行う旨をお伝えしたところであり、今般、その調査結果がまとまりましたので、本日報告いたします。
スライド番号2です。HPVワクチンの情報提供に関する評価3調査の概要です。今回の調査では、3つの調査をしております。まず、調査マル1は市区町村向けの調査です。全1,741市区町村から回収率100%という形で、リーフレットの活用状況等についてお伺いしたものです。
2つ目、3つ目の調査は、外部の委託業者を通じて実施したものです。調査マル2は「HPVワクチンの情報に関する調査」ということで、調査会社に登録している一般国民の年齢やエリアの調整を行った上で、インターネットを用いてHPVワクチンの意義や効果、あるいは予防接種に対する認識をお伺いしたものです。対象者数は2,749名です。もう1つの調査は、調査マル2に応じていただいた方のうち、HPVワクチンの定期接種の対象年齢(12~16歳)の女子とその母親で調査へ参加を希望する者を1組として、5組×2グループで調査を対面で行ったものです。具体的には、このリーフレットをお見せして、ここが分かりやすい、ここが分かりにくいということをお伺いしたものです。
以後、その調査結果をそれぞれ報告しております。3ページです。市区町村向けに実施した調査です。なお、具体的なものについては、参考資料2-1、参考資料2-2、参考資料2-3にも調査票等を示しておりますので、後ほどご覧いただければと思います。それぞれの市区町村にお伺いしたリーフレットの活用状況ですが、結果としては、市町村のホームページや保健所等のホームページのWebページ掲載、かつ、窓口設置・窓口配布をしている自治体は合計で91自治体がありました。また、Webページ掲載のみの自治体は190自治体でした。また、窓口設置・配布のみの自治体は218自治体でした。一方で、Webページでの掲載や窓口での設置・配布等を行っていないとお答えいただいた自治体は1,235自治体で、70.9%の自治体がこういう取組を両方とも行っていないという回答結果でした。
なお、どういうタイミングでWeb掲載や窓口配布をしているのかということを併せてお尋ねしております。先ほど説明したように、リーフレットを作成したのが平成30年1月なので、我々からお示ししたタイミングでは自治体でいろいろ動きが出ているところですが、それ以外についてはなかなか広がっていないという結果でした。
4ページです。自由記載欄として、具体的に記載してくださいとお願いし記入いただいた回答から読み取れる範囲で事務局側で集計をしたものです。何らかの情報提供を個別に行っている自治体数が97ありました。そのうち、厚生労働省のリーフレット(青、オレンジ、緑)のいずれかを対象者へ個別に送付・配付している自治体数が、全国で68ありました。そのほか、学校説明会等において情報提供をされている、あるいは、医療機関に対してリーフレットの配布や独自作成の予防接種に関する案内を送付している、その他、自治体の広報誌や予防接種の手引き等への掲載やモバイルサービスでの配信というお答えも頂いております。
自由記載欄については、5ページに内容をまとめております。自治体数はそれぞれお示ししているとおりですが、対象者へ送付・配付されている自治体、希望者へ送付・配付されている自治体、あるいは医療機関へ送付・配付されている自治体等があります。なお、項目ですが、例えば対象者へ送付・配付、医療機関へ送付・配付について、両方行っていただいている自治体もありますので、それぞれ背反ではないことを申し上げます。
なお、一番右側のその他の詳細に記載しておりますが、先ほども説明したように、現在、平成30年1月版という形でリーフレットを作っているところですが、いまだに平成25年6月版のリーフレットを配布されている自治体もあるということも確認できましたので、我々としては、新しいリーフレットを使っていただきたいと思っているところです。
続いて、6ページ以降については、インターネット調査による国民向けの調査結果をお示ししております。6ページです。調査の目的や方法等についてお示ししております。調査対象は、先ほども簡単に説明したように、調査会社に登録されている一般国民に対する国勢調査の構成比に合わせた性・年代別、また、回答者のエリア別の構成比についても国勢調査の構成比に近似するような形で行いました。なお、「HPVワクチンの対象者(12歳~16歳の女子)の母親」の評価については、人数を確保するため別途371人を追加しており、合計2,749名からの回答を得ているものです。
7ページです。まず、一般に、予防接種を受けることは大事だと思いますかというお尋ねをさせていただいております。全体、女性・男性、12~16歳の女性、12~16歳女性の母というところで特段の傾向に差はなく、全体として、「とても大事」「大事」の計の回答率は82%と非常に高かったところです。
8ページです。こちらも一般論ですが、予防接種をする際、誰の意見を参考にしますかということもお尋ねさせていただいております。全体としては、「かかりつけ医」が34%で最多、そのほか、「母親」「その他の家族」が続いておりますが、12~16歳の女性については、母親からの情報が75%という回答を得ているところです。
9ページです。HPVワクチンの意義・効果についてお尋ねしております。全体としては、「知っている」「少し知っている」の計が39%でした。また、表の中でオレンジ色で示している接種対象となる12~16歳の女性については、「知っている」「少し知っている」「聞いたことはある」に比べて、「知らない、聞いたこともない」というものが一番多かった回答です。一方、母親世代については、「知っている」「少し知っている」「聞いたことはある」を足すと84%であったという結果です。
10ページです。HPVワクチン接種後に起こりえる症状についてお尋ねしたものです。全体として、「知っている」「少し知っている」の計は32%です。また、接種対象世代となる12~16歳の女性については、「知らない、聞いたこともない」が42.5%で最多です。また、対象世代の女子の母については、「聞いたことがある」以上については78%であったという結果です。
11ページです。HPVワクチンの意義・効果について、どこから情報がほしいと思いますかとお尋ねしております。全体としては、「TV新聞雑誌の情報」が39%で最多、続いて「かかりつけ医」、その後は「自治体窓口」と回答が続いております。この点、先ほどの調査マル1でも説明しているとおり、現状70%以上の自治体でリーフレットを活用した情報提供が行われていないということでしたので、国民の皆さんとしては、TV新聞雑誌の情報、かかりつけ医、また、自治体の窓口からの情報も欲しいという回答であったということに、我々としては注目しているところです。
12ページです。こちらは、HPVワクチン接種後に起こりえる症状についてお伺いしたものです。先ほどの11ページと同様に、「TV新聞雑誌の情報」が43%で最多、次いで、「自治体窓口」「かかりつけ医」から情報が欲しいという回答内容です。
13ページです。HPVワクチンのリーフレットを見たことがありますかというお尋ねです。全体、女性・男性、対象世代の女性とその母についても傾向に特段の違いはなく、全体としては、「見たことある」「たぶん見たことがある」の合計が14%、一方で、「見たことはない」が86.3%という回答です。
14ページです。HPVワクチンの接種に対してどんな考えをお持ちですかとお尋ねしております。全体、女性・男性、対象世代の女性とその母については特段の傾向に差はなく、全体として、「わからないことが多いため、決めかねている」が41%で最多です。そのほか、「接種をしたいと思っているが、まだ接種していない」が17%、「今は接種したいと思っていないが、今後検討したい」が12%で、一方で、「接種したいと思っておらず、今後も接種の予定はない」が9%という状態です。以上が、国民向けのアンケート調査です。
続いて、15ページです。定期接種対象年齢の女子とその保護者の10組分に対するグループインタビューの御意見です。なお、参考資料4に具体的なインタビューの結果を示しております。15ページ、HPVワクチンの認知状況について、今回のグループインタビューにお答えいただく方のうち保護者においては、「わからない/聞いたことはあるが説明できない」が10人中2人、「知っている」が10人中8人、接種対象者においては、「知らない」が10人中8人、「若干聞いた」が10人中2人です。下から2番目ですが、今回このインタビューにお答えいただく方の中で、調査対象者の保護者、接種対象者いずれもリーフレットを認知している方はおりませんでした。
15ページの下ですが、その上で具体的にお聞きしているのは、例えば、調査対象者のワクチン接種の意向については、「テレビで副作用の出た方のインタビューを見て、怖いと思った」「予防できるなら予防したいが、副作用のでる何%かの部類に入ったらどうしようと揺れ動いている」「周りがやり始めて安心できたらやる」というお答えも頂いております。
16ページです。我々は青リーフレットと呼んだりしておりますが、接種を検討している方と保護者向けのリーフレットを見ていただき、それに対する評価です。例えば、子宮頸癌の進行と2つの予防法の説明がわかりづらい、子宮頸癌の罹患率、死亡率、ワクチン接種による回避等、数値や専門用語がわかりにくいというお答えがありました。また、「HPVワクチンは積極的におすすめすることを一時的にやめています」という文言が親心を不安にさせる。症状の記載について、あったほうがよいという御意見、ないほうがよいという御意見がありました。また、救済制度について、より具体的に記載があったほうが良いという御意見も頂いております。それぞれの個別の保護者からの印象・受け取り、接種対象者からの印象・受け取りについては記載しているとおりですが、それぞれ肯定的な御意見や、なかなか分かりづらいという御意見の双方がありました。
17ページです。我々はオレンジリーフレットと呼んだりしておりますが、接種を受ける方と、その保護者様向けに注意事項等を記載しているものです。こちらのリーフレットについては、全体の評価として特に分かりづらい箇所はないという御意見を頂いております。その上で、例えば、「副作用が多すぎてどれかしらになる気がして、ちょっと怖い」という御意見もあったところです。
また、オレンジリーフレットについて、それぞれの役割をお伺いしております。全体を通して、判断材料になっているという御意見、判断材料にならないという御意見もありました。判断材料になっているという方の御意見としては、例えば、「30~50%は違うウイルスからかかるということだと思い、判断材料になる」「リーフレットで、リスクもあるが、事実を隠さずに載せてあり、安心感も受け取れた」、判断材料にならないとする人の御意見としては、「打たないで子宮頸がんになった時にどうなるのかも知りたい」「判断するには情報が足りない」という御意見もあったところです。
19ページです。ただいま報告したものをまとめております。1つ目のポツとして、厚生労働省がHPで示しているリーフレットを活用した情報提供(Webページ掲載や窓口設置・配布)を行っている自治体数は限られており、リーフレットに関する国民の認知は十分ではない。2つ目のポツとして、Webページ掲載や窓口設置・配布以外にも独自に情報提供を行っている自治体が一定数あり、一部は対象者に対して個別に送付・配付している。3つ目のポツとして、予防接種に際しては、かかりつけ医や保護者の意見が参考にされている。4つ目のポツとして、HPVワクチンの意義・効果・起こりえる症状について、TV新聞雑誌等のメディア、かかりつけ医、自治体窓口からの情報提供が求められている。5つ目のポツとして、リーフレット内容については、HPVワクチンのベネフィットとリスクを伝えるものとして理解されているが、表現についてはより分かりやすい表現が求められている。こういうことから、事務局としては、マル1HPVワクチンの接種対象者やその保護者に対し、より確実に情報を届ける方法を検討する必要があるのではないか、マル2より分かりやすいリーフレットとするために、調査結果等を踏まえて記載内容を改訂してはどうかと考えております。以上です。説明を終わります。
○桃井委員 これらの調査及び結果について、御意見、御質問をお願いいたします。
○長島委員 せっかく作られたリーフレットを全く活用していない自治体が70%以上、それから、恐らく窓口に置いただけではきちんと情報が伝わらないということで、ほとんどの所であまり活用されていないというのは極めて残念なことだと思います。これからのことを考えると、全ての自治体で確実に届けるためには、対象者に対して個別送付ということを検討すべきかと思います。
正しい情報が得られて初めて希望するかどうかを考えられますから、希望者だけに送るというのは意味がないので、全ての自治体で対象者全てに個別送付を行うことを目指すべきかと思います。その際に、リーフレットだけではなくて、例えば、利便性を考えると、自治体の判断で予診票なども同封できるとかといった、どういう内容を送付できるかということも検討すべきではないかと思います。
次に、かかりつけ医が非常に重要だという結果が出ました。日本医師会としても、かかりつけ医の機能として、公衆衛生の向上あるいは地域の相談役というのは極めて重要かと思いますので、是非協力させていただきたいと思いますが、その場合には、かかりつけの医療機関に、こういうリーフレットを含めた資料をきちんと提供していただくということが重要かと思います。
それから、メディアも極めて重要だと思います。最近、メディアの皆さんはかなり理解が進んでいるかと思いますので、厚労省等からも情報や資料をきちんと提供していただき、メディアの皆様も国民の健康や幸福を目指すということでは全く同じ方向かと思いますので、是非協力を得ていただきたいと思います。それから、理想的には、予防接種の意義を学校教育の中でしっかり伝えていくのが長期的には重要かと思います。以上です。
○桃井委員 貴重な御意見を頂き、ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。多くの委員の先生方から御意見を頂戴したいと思います。
○濱田委員 非常に興味深い調査をされていらっしゃると思います。そちらの結論にもあるように、このリーフレットの内容を変えていくことが是非とも必要だと思うのですが、はっきり申し上げて、これは私が読んでも分かりにくいというか、これを一般の方に理解してもらうのは、文章だけではなくて構成上も非常に難しいと思います。これはリスクコミュニケーションの専門家、あるいは広告代理店みたいな所が作成に関わっているのですか。そちらが自分たちで作られたものなのでしょうか。
○桃井委員 いかがでしょうか。
○事務局 当然、印刷する際には、いろいろ美しく整えていただく専門家に入っていただいているところですが、例えば、記載内容や記載ぶりについては、我々事務局で案を作成して、また、この審議会にもお諮りをして御意見を頂きながら作成したという過去の経緯があります。
○濱田委員 一般の方々にとって一番関心が高いのは副作用の面で、先ほどもテレビでいろいろな障害が出ている方の画像がすごく印象に残っているというのもあるし、このリーフレットでは機能性身体障害の説明が非常に重要だと思うのです。ところが、この文章が非常に難解です。例えば文章の中に主語がなかったりするのです。私は、これでは一般の方は分からないし、言葉も難しすぎると思います。いいものを作るのであれば、もう少し文章の専門家、あるいは広告代理店などに入っていただいて、一般の方に分かりやすいものを作っていただく。やはり、このパンフレットは専門家目線で作っているのではないかと思いました。
○桃井委員 ありがとうございました。大事な御意見を頂きました。特に、リスクコミュニケーションの専門家の意見は、これだけ予防接種という行政側と国民側の認知バイアスが極めて強い物事においては、情報提供に関してリスクコミュニケーションの専門家が入ることは極めて重要だと思います。分科会でもそのように申し上げたことがありますが、なかなか進んでいないのが現状かと理解しております。
○長島委員 リーフレットの最大の問題点、分かりにくいのは、積極的にお勧めすることを一時的にやめていますという表現が、一般の方にも自治体の担当者にも医療機関にも、具体的に全然分からないということで、このことがどういう行動を示しているかということをはっきり具体的に書くということが、最大の重要な点かと思います。
○桃井委員 おっしゃるとおりです。事務局、何か意見はありますか。
○事務局 本日頂いておりますので、我々としては、どういうことが、できるのかできないのかということを、また改めて整理をさせていただきたいと思っております。
○桃井委員 ここが、先ほどの濱田委員のリスクコミュニケーションで失敗している点の1つであると私も理解します。積極的勧奨の直訳をここに書いただけで、この直訳は誤解を生む直訳になっていますので、これではなかなか理解できないだろうという感じがいたします。行政用語ではなくて、リスクコミュニケーションで認知バイアスをなくすための、国民により正確に御理解いただくための表現は随所に必要なのだろうと思います。御指摘ありがとうございました。ほかに御意見いかがでしょうか。
○倉根委員 まず、データの解釈です。インターネットの調査に登録している人というのは、恐らく、いろいろなことにかなり興味を持ち、情報を得る機会がそれなりに多い人なのかと思います。そういう方でも、かなりの方はあまりよく知らないということは、実際は知らない人のパーセントはもっと高いのかと考えられるのではないかと思います。
もう1つは、これを作ったのは平成29年だったと思うのですが、それから2年たっていますので、いわゆるHPVワクチンによる子宮がん自体の予防のデータも、この2年の間に論文として出てきております。このときの段階では、いわゆる前がん状態がどうのこうのという判断の基準と言いますか、子宮がんを予防するかしないかというのはなかなかクリアに述べられなかった部分もあるのだろうと思いますが、そのときから全体のデータの数も変わってきていると思いますから、より多いデータに基づいて述べることも可能になったのではないかと考えます。
○桃井委員 ありがとうございました。ほかに御意見ございますか。
○望月委員 幾つかあります。まず最初に、質問したかったのは、7割の自治体がほとんど使っていないという状況について、なぜ使わないのかという理由は調査されたのでしょうか。
○事務局 今回の調査票については、参考資料2-3、ファイル番号で24をご覧ください。今回、参考資料2-3でお示ししているとおり、こういう形で自治体向けに調査としてお尋ねさせていただいたところです。ご覧いただくと、なぜ使っていないかという質問項目はありませんので、そちらについては分からないという回答となります。
○望月委員 それが分かると、どういうところが不足していて使ってもらえないのかということが分かるのかもしれないと思いました。
ちょうど接種年齢に当たっている女性のアンケートで、情報のチャネルとしてどれがよいのかということで、先ほど、かかりつけ医、インターネット、メディア等いろいろなチャネルのお話があった中の一番最後に学校が出てきており、この調査でも12~16歳の女性の生徒は学校をかなり高い割合で上げていたと思います。文科省との関係もあると思うのですが、厚労省が学校という場をチャネルの1つとしてどう考えているのかということについて、何かお話いただけたらと思います。
○事務局 予防接種行政に限りませんが、健康づくり全般にわたって学校と行政の連携は非常に重要だと思っており、様々な連携をさせていただいております。文科省側にはいろいろな事情、例えば学校の授業時間数は限られているといったようないろいろな事情があったり、また、学習指導要領の改訂は非常に周期が長いということもありますので、文科省側の事情もお伺いしているところですが、できる限りの連携を取っていきたいと思っております。
○望月委員 ここのチャネルはもう少し踏み込んでいろいろ御検討いただいてもいいかと思いました。今回、青リーフレットとオレンジリーフレットを見ると、オレンジリーフレット、つまり、もう接種するという心構えが、readinessができている人たちに対するリーフレットについては、比較的御理解いただけていると、これを拝見いたしました。
接種したらいいのかどうか分からないし、大体ワクチン接種の意義自体がよく分からないという皆様向けの青リーフレットは、網羅的すぎて何が言いたいのか分からないという結果だったと解釈させていただきました。readinessがまだ高まらない段階としては、先ほど、リスコミなのか、分かりやすく一般の方に情報を伝えられるような書き込み方が必要と思いました。また、恐らく、接種をするメリットデメリットについてきちんとご理解いただくには、御本人たち以外のかかりつけ医も含めたサポーターが必要な部分もあるかなと。何れにしても、青リーフレットは、今まで以上にもう少し踏み込んだ検討が必要だと思いました。
○桃井委員 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
○五十嵐委員 1つお願いがあります。今、学校教育の御意見が出ました。現行の保健体育の教科書にはがんについての説明の中に子宮頸がんの記載はなく、ワクチンの説明の中にHPVワクチンの記載はありません。一部ですが、都道府県の医師会の先生を中心に、中学校の女子生徒を対象に出張授業が行われております。そこでは、子宮頸がんワクチン、あるいは子宮頸がんそのものに関する説明も行われますが、全国的には限られています。
参考資料1-1の記載内容が難しいのは事実だと思うのですが、子宮頸がんについては参考資料1-1の下のほうにさらりとしか書かれていません。資料には子宮頸がんの摘出標本の写真を載せることを検討戴きたく思います。保健体育の教科書には肺がんの摘出標本の写真が掲載されています。子どもや親御さんへの子宮頸がんに関する啓発が弱いために、病気のことを深く理解できず、ワクチンを打ちなさいと言われても、認識の度合が弱いのですぐには納得できないのではないかと思います。
啓発という意味では、参考資料1-1の記載では不十分です。子宮頸がんはどのような病気か、その結果どんなことが起きるか、そして1万人感染して2,700人が亡くなると記載されていますが、最近は30歳代の子育てをしているお母さんが亡くなって、お母さんがいなくなる赤ちゃんが増えているなどの疫学的事実について啓発をしないと、ワクチンを受ける意義が伝わらないと思うのです。
○桃井委員 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
○永井委員 リーフレットの内容についてです。このワクチンの一番の特徴は痛みが強いということがあると思います。そのことが、いろいろな症状にどう結び付いているかというちゃんとした関連性は証明されていないと思うのですが、ただ、痛いということは事実ですし、例えば、アメリカやカナダでは、痛み対策をがっちりしてやっているわけです。
やはり、勧奨だけをやっていくと、大事だからということで無理してどんどんやっていくことになるので、そこは抑えるべきだと思います。痛みに関しては、無理はよくないということは説明していただいたほうが、受けるほうも安心してやっていけるのではないかと思っています。
○桃井委員 ありがとうございました。
○山縣委員 今回の調査も、本当に最後のまとめのようにいろいろなことが分かったと思います。2点あります。1つ目は、誰に向けた何を目的としたものかによって、書きぶりが変わってくると思うのです。要するに、子宮頸がんワクチンに関して何を伝えたいのか、予防接種の重要性を伝えたいのか、こういうものがあり、ただ客観的にこういう事実があるのだということを伝えたいのかということによって、やはり書きぶりが相当変わってくるわけです。
本来、予防接種は、保護者が子供のためにやる予防接種が一番多くて、そのときには、これは本当に必要でやりましょうという形でいろいろなことが啓発されているものと、どういう視点からこういうものを作るかによって相当変わってくるために、今、恐らく混乱しているのだと思います。
そういう意味では、先ほど五十嵐先生が言われたように、まずは、これの対象となっている疾患がどういうものか理解するということ。誰が理解するのかというと、対象となる子供たちが理解することが本当に大切で、そのために、例えば、行動科学の中で言われるトランスセオレティカルモデルのような行動の段階的な介入の方法のようなものを使って、全く無関心な人から、こういうものに関心のある人に向けて、どういう形でその情報を提供したほうがいいのかということも含めてやっていく必要がある。
ただ、そのときに、地域保健は学校保健にはほとんどcontributeできていなくて、今でこそ、先ほど五十嵐委員が言われたように、地域の先生や専門家が学校に行って講義をするという機会が10年前ぐらいから大分できてきたとはいえ、これがその対象になっているとは言い難くて、そういうことも問題なときに、では、学校の先生が教えるのかとなったときに、今度は教え方を含めて標準化したものがないと、恐らく、いろいろな思いの指導者がいらっしゃると思うので、そういうことも含めたことも考えて学校との連携をしていかないといけないような気がいたします。以上です。
○桃井委員 ありがとうございました。ほかに御意見いかがでしょうか。よろしいでしょうか。疾患の情報提供、周知、教育はもちろんですし、行政用語の分かりにくさももちろんですが、その中の1つの副反応という言葉を取り上げても、それが接種後に起こり得る症状とすると、我々は副反応は副反応疑いとしてここで審議しているということは十分分かっていますし、副反応で証明されたこのワクチンに関して、証明されたものは局所反応のみであるという大規模なレポートがたくさん出ていることも承知しておりますが、一般の方がこの文章を読むと、副反応あるいは接種後に起こり得る症状は因果関係が100%だと受け取られるという非常に大きな認知バイアスがあります。この辺りについて全部を1つの情報提供コンテンツに載せることは不可能ですけれども、認知バイアスの生じない情報が検索できるような工夫を是非していただきたいと思います。
予防接種を検索すると、厚生労働省のホームページの予防接種のサイトにすぐつながって非常に分かりやすいのですが、副反応に関しては、6.2行ぐらいしか書いていません。これでは安心なのか安心ではないのかわからず、しかも同じ文章の中に副反応と副反応疑いという言葉が2つ入ってきます。多分、読んでいる方は何のことやらさっぱり分からないということなのだろうと思います。
もちろん、ここにいらっしゃる方は全員御承知のとおり、副反応は疑いとして集めている情報だと理解されていますが、医療者でもそういう中身をあまり御理解いただいていない方もいらっしゃいます。その辺りの的確な情報提供も是非お願いしたいと思います。ほかに御意見等よろしいでしょうか。たくさん御意見を頂きました。情報提供は予防接種行政に最も重要なところですので、会議の後でも何かございましたら、事務局に是非お寄せくださいますようによろしくお願いいたします。
事務局には、どの国も情報提供をどうするかというのが論文に出るぐらい非常に難しい作業ではありますが、あらゆるコンテンツを考えて、可能な限り十分な人員を投入して情報提供の形を模索していただければと思います。それでは、これに関しての審議を終わります。
次に、議題3「予防接種法施行規則の一部を改正する省令案要綱について」です。事務局より、説明をお願いします。
○事務局 資料13「予防接種法施行規則の一部を改正する省令案要綱について」をご覧ください。2枚目です。本年の4月において水痘の副反応報告基準について御議論いただき、本副反応検討部会の結論として、水痘の副反応報告基準の1つとして無菌性髄膜炎(帯状疱疹を伴うものに限る)を加えるべき、その際、報告すべき期間を予防接種との関連性が高いと医師が認める期間とすることということで、御審議を行いお認めいただいたところです。また、本年の6月に行われた本副反応検討部会において、インフルエンザの定期の予防接種等を受けたことによるものと疑われる症状に急性汎発性発疹性膿疱症を追加して、その報告基準を28日とすることで御審議いただいたところです。
今般、こういう御審議を踏まえ、その内容において予防接種法施行規則の一部を改正する省令案を作成したものが資料13ですので、内容について御確認して議決を頂ければ幸いです。事務局からの説明は以上です。
○桃井委員 これについて、御質問、御意見等ございますか。既に御意見を多々頂いて、この会議で御審議いただいた内容です。特に御質問、御意見等ございませんか。これは省令案ですので議決事項です。これに関しては、副反応部会の委員の先生方だけに議決権がありますので、挙手で議決を取りたいと思います。それでは、「予防接種法施行規則の一部を改正する省令案要綱」について、異議なく賛成であるという方は挙手をお願いいたします。
ありがとうございました。全員の御賛成を得ましたので、事務局は事務的な措置を進めてください。よろしくお願いします。
本日の議事は以上です。その他、事務局から何かありますか。
○事務局 本日は長時間にわたり、活発な御議論を頂き誠にありがとうございました。
事務局からの連絡事項です。まず、机上に配布している添付文書集の黄色いファイルについては今後も再利用させていただきたいと思いますので、机上に置いたままにしていただければと思います。もし、書き込み等をされた委員がいらっしゃいましたら、資料にお名前を書いていただければ、次回以降も同じ資料を配布いたします。また、次の開催については、日程調整をした上で日時の御連絡を差し上げたいと思います。
また、傍聴の皆様へのお願いですが、審議会の委員が退室をいたしますので、退室が終わるまでしばらくお待ちいただければと思います。事務局からは以上です。
○桃井委員 それでは、本日も大変貴重な御意見を多々いただき、ありがとうございました。第42回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会 令和元年度第7回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)を終了いたします。
(了)