2019年8月29日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・再生医療等製品安全対策部会 議事録

日時

令和元年8月29日(木)15:00~

場所

厚生労働省専用第22会議室(18階)

出席者

出席委員(16名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理


欠席委員(5名)

行政機関出席者

 樽見英樹(医薬・生活衛生局長)
 関野秀人(医薬安全対策課長)
 田中大祐(安全使用推進室長)
 森口裕(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
 櫻井信豪(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役) 他
 
 

議事

○医薬安全対策課長 定刻になりましたので、これより令和元年度第1回薬事・食品衛生審議会医療機器・再生医療等製品安全対策部会を始めたいと思います。まず、本日御出席いただいています先生方におかれましては、日頃よりお忙しい中、本日も御出席いただきまして、誠にありがとうございます。本日の部会は御案内のとおり公開で行っております。そしてカメラ撮りに関しましては議事が始まる前までとさせていただいております。傍聴の方におかれましては、御理解、御協力のほどをお願いいたします。そして併せて傍聴の方々におかれまして、あらかじめお伝えしております留意事項がございますので、そちらの方の遵守もお願いします。
続きまして、本日の出欠状況について報告いたします。本日はあらかじめ岩﨑委員、真田委員、水上委員、三井委員、脇田委員の5名の先生から欠席との連絡をいただいております。そして、小野先生と木下先生におかれましてはまだ御到着でございませんので、この部会は21名の先生にお願いしているところですが、現時点で14名の先生に出席いただいていることになります。したがいまして定足数を満たしておりますので、本日の会議が成立していますことを報告申し上げます。
次に、7月に厚生労動省の方で人事異動がございまして、樽見医薬・生活衛生局長が就任しておりますので紹介いたします。
○医薬・生活衛生局長 7月9日付けで、医薬生活衛生局長を拝命いたしました樽見でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○医薬安全対策課長 併せまして、安全使用推進室長に田中が着任しております。
○安全使用推進室長 田中でございます。よろしくお願いいたします。
○医薬安全対策課長 それでは、これより議事に入りますので、この先の進行を荒井先生にお願いしたいと思います。カメラ撮りに関しましては、ここまでとさせていただきます。よろしくお願いします。
○荒井部会長 それでは早速ですが、議事を始めさせていただきます。まず事務局の方から、薬事分科会規程に関します遵守事項についての説明をお願いいたします。
○安全使用推進室長 それでは事務局から、薬事分科会規程に関する遵守事項について御説明させていただきます。所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告をさせていただきます。薬事分科会規程第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当概企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。
今回、全ての委員の皆様から、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告させていただきます。
委員の皆様におかれましては、会議開催の都度、毎回書面を御提出いただいておりまして、御負担をお掛けしておりますけれども、引き続き御理解、御協力いただきますよう何とぞよろしく申し上げます。議事に関する遵守事項についての説明、薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果の報告については以上のとおりです。
○荒井部会長 よろしいでしょうか。それでは、次に事務局より配布資料の確認をお願いいたします。
○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。まず本日、机上にお配りしております資料として、順に、議事次第・資料一覧、そして座席表、委員名簿を配布しております。資料については前回部会に続いてペーパーレス化を実施しており、各委員の先生方のお手元のタブレット端末において資料を御確認いただければと思います。こちらのタブレットに入っている資料には、それぞれ資料番号が振られております。資料1については、資料1-1~1-4までがあります。次に資料2については、資料2-1~2-4までがあります。続いて資料3については、資料3-1-1~3-2-2までがあります。続いて資料4については、資料4-1と4-2があります。続いて資料5については、資料5-1と5-2があります。資料は以上になります。過不足などがありましたら、事務局にお声掛けいただければと思います。なお、本日の議題は、全て報告事項となっておりますので、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 今回もペーパーレスの部会で、資料もタブレットに入っておりますので、説明に際しては、どの資料のどこということは明確に言っていただくようにお願い致しますが、もし聞き取れない、聞きそびれることがございましたら遠慮なく御発言ください。
それでは、議題1を始めさせていただきます。まず、事務局の方から説明をお願いします。
○事務局 それでは、議題1、「医療機器・再生医療等製品の市販後安全対策について」、資料1-1~1-4に沿って御説明いたします。まず資料1-1を御覧ください。今回は、本年度の初回の部会になりますので、昨年度平成30年度の安全対策について、その概要を説明いたします。
まず1ページの1.過去5年間の不具合等の報告数の推移です。(1)医療機器において、製造販売業者からの報告の一番左の列の不具合報告の件数ですが、こちらは年々増加しており、平成30年度は外国症例も含めて52,544件でした。特定の製品の不具合の報告件数が大きく増加したということではなくて全般的な増加が見られており、企業の安全性情報の収集体制の見直しなどにより不具合の報告件数が増加していると考えられる部分もありますので、不具合の発生頻度が増加しているということではないものと理解しております。詳細につきましては、平成30年度後期分の報告状況について、後ほど議題2で改めて御説明いたします。次の研究報告では、平成26年度から平成29年度まで明らかな増加傾向を示しておりました。こちらについては、日本医療機器産業連合会(医機連)と行政において、「不具合報告書等の手引」の第6版を取りまとめており、その中で研究論文をより安全対策に活用するという観点からも運用の見直しを行ったことによるものとなります。
具体的には、これまで研究論文に不具合情報がある場合、個別の不具合報告として報告を受け取っていたのですが、不具合の発生頻度や発生条件などの疫学調査や集計・分析は、個別報告より研究報告として評価することが妥当と考えており、そして研究報告として受け取ることとしました。医機連の手引や講習会などで周知を図ってきており、増加傾向については平成29年度以降、落ち着いた傾向へと移行しており、研究報告の運用の周知が一通りなされたものと考えております。
続いて(2)では、コンビネーション医薬品の医療機器部分における不具合の報告の件数の推移について示しております。コンビネーション医薬品については、平成26年度11月25日に施行された医薬品医療機器法により、新たに不具合報告の対象となっております。代表的なコンビネーション医薬品としては、インスリンペン型注入器が挙げられますが、医療機器区分であるペン型注入器などに何らかの不具合が生じた場合に、不具合報告の対象となります。
資料には、国内と外国に分けて報告数を示しておりますが、外国の報告にあるのは、国内承認されたコンビネーション医薬品と同一のものが外国で使用され、不具合などが発生したことを国内の製造販売業者が知った時に報告するものであり、その件数を示しております。平成30年度の報告件数は、国内の症例で1,677件、外国において2,557件でした。施行時に既に承認を受けていたコンビネーション医薬品については、経過措置期間が設けられており、平成28年11月25日から報告が義務化されたもので、平成28年度以降の報告件数が大幅に増加しております。報告が義務化された後の平成29年度と平成30年度については、年間2,500件から3,000件ほどの水準となっており、報告件数のペースとしては落ち着いたものと考えております。今後大きな増減が生じた場合には、その原因について適宜調査を行う予定です。
続いて(3)再生医療等製品については、平成30年度の不具合報告の件数は163件でした。こちらは平成26年の制度開始以降、承認品目が増え、更に再生医療等製品を使用する症例が増加していることから、報告件数も増加しているものと考えております。
続いて2ページの2.平成30年度の安全対策についてです。(1)は、平成30年度に発出した医療機器関連の安全対策通知を示しております。今回こちらに示している通知については、平成31年1月末までに発出したものであり、前回のこちらの部会において内容を御紹介したものですので、今回、内容の御紹介については割愛させていただきたいと思います。
次に(2)『PMDA医療安全情報』への情報掲載についてですが、昨年度に掲載したものは4つあり、そのうち54号の「膀胱留置カテーテルの取扱い時の注意について」と、55号の「誤接続防止コネクタの導入について」は前回の部会で御紹介しており、56号と57号については今回の部会の議題5において御紹介したいと思います。資料1-1については以上です。
続いて資料1-2、ゲル充填人工乳房の「使用上の注意」の改定についてのファイルをお開きください。ゲル充填人工乳房、いわゆるブレスト・インプラントについては、僅かな発生確率であるものの、埋め込み後にブレスト・インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫が発生することが知られており、承認時より、このリンパ腫、つまりBIA-ALCLの発生リスクについて、添付文書や患者さんへの説明資料などにおいて注意喚起がなされてきたところです。
このBIA-ALCLについては、他のリンパ腫(ALCL)と異なり、緩徐に進行し、手術後の適切な定期検診において確認された場合においては、化学的な治療により十分治癒が見込めます。しかし、治療開始が遅延したことで化学療法や放射線治療が必要となる場合や、非常に稀な場合ではありますが、死亡に至った症例も海外では報告されています。本邦においては、薬事承認されたブレスト・インプラントを埋め込んだ患者において、これまでBIA-ALCLの発生は確認されておりません。
一方で、本年5月に、一般社団法人日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会より、未承認のブレスト・インプラントを埋め込んだ患者において、BIA-ALCLの診断を受けた本邦初の症例が確認された旨の報告がありました。これを受け、本邦承認品であるアラガンジャパン株式会社の「ナトレルブレスト・インプラント」及び「ナトレル410ブレスト・インプラント」の2製品について注意喚起を行ってきたところですが、改めて患者のフォローアップなどの注意喚起を行う必要があると考え、添付文書の「使用上の注意」の改訂を行うことを指示することも、本通知の発出をしました。
本通知による具体的な改定内容としては、1ページの下にあるとおり、「警告」欄の下と、2ページにあるように、【重要な基本的注意】において、本品の使用前に、関連学会が作成した「ブレスト・インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫について」を参考に、BIA-ALCL発症のリスク等として、このBIA-ALCLの発症までの期間を記載したり、埋め込み後の継続的なフォローアップを行うことの必要性、患者への注意事項としてBIA-ALCLの疑いのある症状などを追記することとしています。
通知として発出した内容は以上となりますが、本通知の発出後の7月下旬に、米国FDAがアラガン社のテクスチャードタイプという表面が粗い加工をされた製品について、BIA-ALCLの発生率が他の米国国内のテクスチャードタイプ製品と比較して高いという結果を示した上で、この製品に対する自主回収を求めました。この求めに対し、米国のアラガン社は、このリクエストを受け入れ、米国及び日本を含む世界各国における製品の自主回収を決定し、本邦の承認品の中のテクスチャードタイプ製品においても、7月25日より自主回収は開始されております。資料1-2については以上となります。
続いて資料1-3-1について御説明します。例年の議題では、前回部会以降に発出した安全対策に関する通知を紹介するところですが、今回、相互接続防止コネクタに係る国際規格の導入に関する事務連絡及びPMDA医療安全情報として、資料1-3-1と資料1-3-2があります。これらについては、これまでに関連通知などが多く発出されており、やや複雑ですので、まずは、これまでの通知の発出状況などの対応状況をまとめて御紹介します。
資料1-3-3を御覧ください。国際的に医療安全を確保するという観点から、複数の製品分野の間での相互接続を防止するため、ISO(IEC)80369シリーズの制定が進められています。このISO80369シリーズでは、呼吸器分野、経腸栄養分野、四肢のカフ分野、神経麻酔分野、皮下注射・血管分野の5つの分野で使用される製品の間において、相互にコネクタの接続が生じないように、新たなコネクタ規格の制定が進められており、本邦でも新規格に準拠した製品へ順次切替えが行われる見込みです。
続いて、2ページを御覧ください。誤接続防止コネクタの国内導入に関する通知や事務連絡の発出の状況になります。平成29年10月に、全体的な方針を示す「相互接続防止コネクタに係る国際規格(ISO(IEC)80369シリーズ)の導入について」を発出し、その後、分野別の対応として、平成29年12月に神経麻酔分野における切替え時期など個別の留意事項を示す「神経麻酔分野の小口径コネクタ製品の切替えについて」を発出しました。そして平成30年3月に、「経腸栄養分野の小口径コネクタ製品の切替えについて」を発出し、神経麻酔分野と経腸栄養分野の製品群に関するコネクタ規格の切替えに関する留意点等を周知しました。
これらの通知は、医療機器の製造販売業者の他、医療施設や介護施設に対しても広く情報提供されているものではありますが、医療現場向けに、より分かりやすく情報提供を行うとともに、医療施設などにおける製品の切替えに関する注意点をまとめたPMDA医療安全情報を発行しております。
平成30年3月には、No.53「誤接続防止コネクタの導入について」を発行し、続いて平成30年8月にはNo.55「誤接続防止コネクタの導入について(神経麻酔)」と、このPMDA医療安全情報に加えて医療現場における製品切替え時のチェックリストなどを取りまとめた事務連絡である「神経麻酔分野の小口径コネクタ製品の切替えに関するPMDA医療安全情報の発行について(情報提供)」を発出しております。
これまでに行った通知などの発出の状況については以上となります。3ページ以降に掲載した通知などについては、前々回の部会までに全て既に報告しておりますため、詳しい説明については割愛させていただきたいと思います。
今回、本年7月に「PMDA医療安全情報No.58「誤接続防止コネクタの導入について(経腸栄養分野)」」と、これに関連する事務連絡を発出しており、これらについては次に説明します。今回発出された事務連絡では、先ほどお話したとおり、経腸栄養分野の製品におけるコネクタの切替えにフォーカスしたものとなります。1ページはコネクタ製品の供給切替えについて改めて情報提供し、3ページにありますが、PMDA医療安全情報を発行した旨を情報提供しております。このPMDA医療安全情報は、資料1-3-2と同じものになります。このPMDA医療安全情報では、旧規格製品の出荷が2021年11月末で終了する旨を強調するとともに、新規格製品と旧規格製品の間で接続ができなくなる旨を示しております。
次の4ページでは、新旧規格製品の形状の違いを医療従事者がイメージできるようにイラストで示しており、また、新規格製品に切替えを行う際の注意点として、医療施設や介護施設の間において移動する患者さんに対しても適切な医療などが行える体制を整える必要があるため、新規格製品と旧規格製品を接続するための変換コネクタを準備するなどの、医療機関における新規格製品への切替えの際の一般的注意事項などを示しております。
5ページでは、切替えが予定されている製品の代表的な名称リストを示した上で、より詳しい販売名のリストを掲載している関連工業会のホームページURAを案内しております。また、新規格製品を見分けるための包装の表示の例を示しております。
続いて6ページでは、製品の切替えに関する一般的な注意点を示しております。さらに7ページ以降は、別添2及び別添3として、具体的に医療施設及び介護施設における切替え時の注意点と切替え時の手順の例を、医療施設と介護施設のそれぞれに分けてチェックリスト形式及びフローチャート形式の資料として作成し、こちらと同じものを機構のホームページ上に掲載したものを御案内しております。ここまでが、相互接続防止コネクタに関する対応の御紹介になります。今後も、業界・機構・厚労省で連携し、医療現場などでの円滑な製品の切替えができるように情報提供などの対応を行っていきたいと考えております。
続いて、資料1-4、「植込み型医療機器等のMR安全性にかかる対応について」です。植込み型医療機器などを使用した患者さんに対するMRI検査時における安全性については、医療現場に対する注意喚起などの情報提供について統一的な考え方などがないという状況でしたが、平成26年度厚生労働科学研究医薬品等規制調和・評価研究事業である「医療機器のMRI装置からの影響の評価と情報提供のあり方に関する研究」において、医療機器のMR安全性にかかる評価方法及び添付文書におけるMRI検査への安全性に関する情報提供のあり方についての提言が取りまとめられたところです。
研究班の取りまとめを踏まえ、医療現場への情報提供をしっかりと行うことが必要であるという観点から、植込み型医療機器などのMR安全性について、添付文書における情報提供について示すために本通知を発出しました。本通知では、金属が含まれる植込み型医療機器やMRI検査時にMR装置のガントリ内に入る蓋然性の高い製品を対象としており、原則としてASTM規格又はISO規格を用いてMRI検査時の条件などの安全性の評価を行うこととなっています。
この評価の結果として、次の2ページを御覧ください。2.添付文書における安全性評価に関する情報提供の方法において、添付文書での注意喚起の記載方法を示しております。評価の結果としてASTM規格やISO規格に基づく試験などにより、MR検査に関する安全性評価を実施していない場合や、対象医療機器をMR Safeとする場合、対象医療機器をMR UNsafeとする場合、そして対象医療機器をMR Conditionalとするために、ASTMの試験規格に基づくMR安全性評価を実施した場合、そしてISOなどのASTM以外の試験規格などによってMR検査に関する安全性評価を実施した場合、これら5つの場合に分けて記載しております。
そして最後に3ページを御覧ください。3.において既承認の製品などの取扱いとして、今後対象となる製品は非常に多いものですので、通知に記載されている内容に対応するための移行措置期間を設定しており、必要な対応を求めております。以上で資料1-1から1-4までの説明となります。
○荒井部会長 かなり膨大な量ですので、多少区切って御意見を伺いたいと思います。まず最初に、資料1-1の全体としての不具合の報告数の動向ですが、説明では、どちらかというと情報収集の体制が整ってきたために数が増えているということで、特段何か問題が起きたために情報が多く上がってきている様子ではないということでしたが、何かこの点の、資料1-1の部分について、御質問、御意見いかがでしょうか。
○正宗委員 今の話に関係すると思うのですけれども、資料1-1の感染症報告というのはどういう調べ方をして出てきているのでしょうか。ゼロが全部続いているのは大変良いことだと思うのですけれども、この右の感染症定期報告との違いや取り方は、製造販売業者から報告があるのがないという意味なのかということだけ確認させてください。
○事務局 事務局の方から説明させていただきます。資料1-1の表の左から2番目の感染症報告に関しましては、製品の素材によって発生した感染症、若しくはその疑いがある症例についての報告になっておりまして、これまでそういった素材を原因としたような報告はないということを示しているものになります。
一方で、感染症定期報告に関しましては、素材に関連する国内外における感染に関する研究報告をまとめたものですが、直接的な感染症が起きたかどうかというのは、左側画面2番目の所でお示ししている形になります。
○正宗委員 ありがとうございます。
○荒井部会長 その他御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、次の資料1-2の人工乳房による、極めて稀なようですが、リンパ腫発生の件につきまして御意見いかがでしょうか。
○西澤委員 先ほどの事務局からの説明で3点伺いたいのです。日本で未承認のもので、BIA-ALCLというものが発生したということですけれども、こちらについて日本では未承認だけれども発生した場合は、どのように国としては対応するのかが1点目です。
2点目は、自主回収をアメリカのFDAがこの7月に求めたということで、日本もその地域に該当すると。その自主回収の件数は何件であるのか。もう1つは、自主回収といっても、もう使われてしまったものに対して、つまり埋め込まれてしまったものと使っていないものとの回収の方法が違ってくると思います。その辺は厚労省としてはどのように医療機関と患者さんに通知をなさるのかというのは、結構身近な話だと思いますし、患者さんは不安になると思うので、その辺を伺いたいと思います。
3点目は、結局どうすればいいのか。今後、何か新しい代替のものが出るのか。もう私の歳だと、やはり乳房がん年齢がとても多いので、女性はすごく気になりますので、一般の人は一体、どのようにしたらいいのかをお聞かせいただきたく思います。
○安全使用推進室長 御質問いただきありがとうございます。3点、御質問いただいたと思います。まず、日本で未承認のもので、BIA-ALCLが発症した時に、どのように対応するかですが、基本的に未承認であっても既に埋め込められている方がいらっしゃるので、その方についてはきちんとフォローできる形で関連の学会等とも協力してしっかり情報提供する、あるいは治療が必要であれば、そのようなことを一緒になって考えていく対応をしていくと考えております。
2点目、自主回収の件数ですが、今まさに回収をしているところですので、具体的な件数までは持ち合わせておりませんけれども、当該インプラントを既に埋め込まれている方については、米国のFDAでも自主回収にあたって、既に植え込まれているものを取り出すことは推奨しないと記載されておりますので、日本においても同様の対応つまり、既に植え込まれているものについては、取り出すことは推奨しないと考えております。
○西澤委員 取り出すことのリスクと。
○安全使用推進室長 御指摘のとおりです。埋め込んだものを取り出すために手術をしなければいけないので、そのためのリスクと、既に埋め込まれているものを注意深くフォローアップしていく、このことのリスクを比べて、諸外国においても同じような判断がされていると認識しておりますので、日本においてもそれは同様であると考えております。
3点目の質問です。代替のものがあるかどうかという御質問ですが、現在、日本において承認されているものの中で、流通がされていないものではありますけれども、これから流通を再開するということで企業が動いているものが、1製品ございます。それとまた別に、中に充填されているゲルの性状などが、もう少し使い勝手のよいものというのがあると聞いておりますが、それについても関係者と協力してなるべく早く患者さんの元に、必要な方の元に届けられるような形で対応を急いでいきたいと考えております。
○品質管理・安全対策部長 補足ですが、この通知には、ナトレルブレスト・インプラントというものと、ナトレル410ブレスト・インプラントと2種類書いていると思いますが、今回、回収の対象となったのは、下にあるナトレル410ブレスト・インプラントです。2つ種類がございますので、まず1つは、先ほど室長が言われたように、承認はあるけれども、流通が余りできていないというのは、上の製品になりますので、補足をさせていただきます。
○荒井部会長 お話を伺っていると、数あるいは頻度に関しての数字が全くないようです。極めて珍しいことが起きたというのは理解できますが、一体どのくらい使われているのでしょうか。また、未承認のものということですが、未承認のものの数を把握するのは、行政側でも大変かとは思いますが、例えば、承認しているのが極々一部なのか、逆に、大部分は承認されていて、たまたま未承認のものが少し紛れ込んでいるという状況なのか、全体の相場感が分からないのですが、その辺はどうですか。
○品質管理・安全対策部長 機構です。この製品が平成24年に承認されまして、これは企業から聞いた話ですが、大体3万人ぐらいの患者さんに埋め込まれているということです。我が国の仕様ですが、ほぼほぼ乳がん患者の乳房再建に使われているというような状況です。
一方、未承認になりますと、例えば、いわゆる豊胸手術に使われるものについては、残念ながら我々の方では把握をしておりませんけれども、これよりも多いのではないかという予想はしております。
○荒井部会長 そうすると、未承認の機器が使用された中で発生したこういう稀なものが全て報告されているかどうかについては、本当のところは分からないことですが、今のお話ですと、3万人よりもむしろ豊胸手術に使われる場合に方が多くて、そのような中に今回たまたま1例の発症が報告されたという理解でよろしいのでしょうか。
○品質管理・安全対策部長 平成24年にこれが承認されてから大体3万人ぐらいに使われているというもので、今回、学会の調査の中で分かったのは、大体10数年前に、まだこの製品が未承認だった時に、使われた患者さんの中から1例出てきたというものでございます。それまでどのぐらいの数が使われてきたかについては、我々の方でも残念ながら承知はしていないということです。
○荒井部会長 ありがとうございます。これは社会的にも影響が大きいといいますか、話題性がありますね。あまり表現が適切ではありませんが。その他には御意見はいかがでしょうか。
○城守委員 今のお話の確認ですが、基本的に今回のブレスト・インプラントの未承認の部分に関して、アラガン社のものが1例、がんの発症を導いたということですが、それ以外にも未承認のブレスト・インプラントは多くあるのだけれども、基本的にはその把握はできていないと。しかし現在はアラガン社、この1社のものから発がんされたということですね。
○品質管理・安全対策部長 正確に同じかどうかということは分かりませんが、同じタイプの、もともとこのアラガン社がこの製品を導入する前の製品で、同じようなタイプの製品で今回のBIA-ALCLが発症したということです。
○城守委員 ですので、このブレスト・インプラントで未承認のものというのは、何種類もあるという理解でいいのですか。それとも基本的には。
○品質管理・安全対策部長 ブレスト・インプラントですと、大体、世界的には他の会社もブレスト・インプラントを製造販売している。ただ、我が国で承認されているものというのは、このアラガン社の製品しかないということです。
○城守委員 分かりました。
○荒井部会長 先ほど御意見がありましたように、確かに、簡単に回収だから取り出せばいいという話ではありませんね。ですから、いわゆる不安を煽ることがないような情報発信をしていかなくてはいけないわけで、大変重要なポイントかと思います。その他に御意見はいかがですか。よろしいですか。よろしければ先に進ませていただきます。資料1-3、コネクタの接続です。ドレナージや輸液などということで、ここ何年かにわたって、こういった活動が行われていて、その一環の途中経過の形としてご説明いただきました。この部分について御質問、御意見いかがでしょうか。
○中川委員 経腸栄養ポンプの仕様変更に関わる通知、安全情報について2点ほどお伺いさせていただきます。私ども医療機関では、本通知を受け取りまして、現在、経腸栄養チューブの変更の日程の調整、そして製品の選定を行っております。この経腸栄養ポンプを医療機関で使う場合は、経腸栄養ポンプを使用する患者の疾患や内臓の状態、また栄養状態により設定用流量、設定注入量に基づいて送るということがしばしば行われております。この経腸栄養ポンプの使用については、経腸栄養チューブが変わることにより経腸栄養ポンプの使用方法や変更も必要になってくることが最近になって判明しました。こちらの安全情報、また通知では、チューブに関しては注意喚起や情報が出ていますが、こういった付属する経腸栄養ポンプ等、医療機器についての注意書きや、メーカーに対する通知等は見受けられなかったので、その辺はどのように対応されているかを1点お伺いしたいと思います。
それから経腸栄養ポンプは、私ども医療機関だけではなく、在宅で使用する方も同じように機器等を使って栄養を送っている患者さんが多くいます。こういった在宅患者に対する周知はどうなっているのかをお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○事務局 機構よりお答えさせていただきます。まず、ポンプ等に関しましては、先生に資料等で確認いただいたとおり、まだ注意喚起等をされておりません。物とポンプの組み合わせにより、色々な状況が発生してしまうこともあり、注意喚起あるいは積極的な情報提供はまだできていないことは事実でございます。まずは先生方に切り換えが始まることを御認識いただいた上で、その上で分かりにくくて申し訳ないのですが、先生がおっしゃられているような状況も想定されるということは、色々な先生方から御意見をいただいておりまして、患者さんにおける使用状況については、切り換えに伴いながら状況を確認するようにという手順だけはチェックリストの中には入れさせていただいてはおりますが、具体的に前もってそれをどんどんやらなければいけないことは、今後の課題として残っておりますので、まずは先ほど申し上げたように組み合わせの問題もありますので、メーカーと協力させていただきながら、その状況をきちんと確認した上で周知であったり、対策を取らせていただく形で行っていくと考えております。
もう1点、在宅の患者様に対してどのように周知するかに関しては、在宅であれば、介護ステーションなどの在宅の管理をしていただくような介護の方や看護師の方にも周知をしていかなければならないということが、まず1つあります。そういったところに関しては、同じようにこういったものを出させていただいているということは御説明をしており、周知に御協力をいただいているところです。そういったステーション系であったり、さらに病院から直接、患者さんに御説明いただく時に、まず資料を用意させていただいております。切り換えについて説明をさせていただき、さらに使用状況について、そこから深く調整をさせていただくことになろうかと思っております。現実問題、患者さんに直接お届けすることは、製造販売業者や、今の体制ではなかなか難しいところではありますけれども関係各所で協力をしながら届けさせていただくことになります。
○荒井部会長 よろしいですか。
○中川委員 製品だけが入れ替わると、今まで定量で入れていた経腸栄養が定量で入れられなくなることがありますので、なるべく早く周知いただきたいと考えておりますので、よろしくお願いします。
○事務局 御意見ありがとうございます。
○荒井部会長 経腸栄養だからまだ若干の誤差は許容されますが、実は点滴もA社の点滴セットでA社のポンプを使って入れるとそのとおり入るけれども、B社のポンプを使うと速度が変わるという現象が実際に起こります。この辺の正確な情報を周知するのは大変かもしれませんが、特に今、御指摘頂いた「在宅で素人の方が扱う」場合を考えれば、この情報はきちんと伝えないとまずいですね。いつの間にか空になって、あとは空気を流し込んでいるということは起こり得る話ですから、是非、御検討ください。
よろしいでしょうか。よろしければ、次の資料1-4、植込み型機器のMRの問題です。これも長く、いつも付いて回る話題ですが、この報告について御指摘、御意見ございますでしょうか。
○中川委員 引き続き質問いたします。植込みデバイスのMRに対する安全情報ということで、我々医療機関で、色々な条件付きの植込み不整脈デバイス、または冠動脈ステント、脳動脈瘤クリップ等の対応を行っておりますが、特に植込み不整脈デバイス等のMRに対する検査は最近では頻回に行われておりまして、私どもの施設でも週に1回程度の検査があります。この際に添付文書に関しては、機器に関する情報は非常に多くなっておりますが、患者に対する影響の情報が少ないということで、実際に起こり得る、我々が想定している合併症や副作用に関しては、心臓に刺激を与えることによって、自己心拍と競合するようなことにより、重篤な不整脈が発生する可能性があるということ。それから体内に入っている体内金属になりますので、体内金属から発生される熱によって患者に不快感や最悪の場合には熱傷等を及ぼす可能性があるという懸念の下に注意して患者の容体を確認しながら行っている最中です。これは万が一、MRの装置の中に患者がいた場合、その中で患者の容態が急変した場合、まず、しっかり監視する体制を取っておかないと危険であるということ。そしてまた、それが起きた時に、どのように救出するかということになります。MRIの室は特殊な環境で強い磁場が発せられている所であり、その中に救命するための容器等を中に入れ込むことができません。そのために患者を外へ一度出さなければいけないということがありますので、私どもはそういった訓練をしておりますが、行政からはそういったことの御認識、またこういった患者の生体に与える影響について、何か検討や情報をお持ちかどうかをお伺いします。よろしくお願いします。
○事務局 事務局からお答えさせていただきますと、先生のおっしゃるとおり、患者に対する影響について添付文書での情報が少ないのではないかということですけれども、こちらについては先生方の臨床現場のお立場において、より明確な情報提供ができるように、今後は製造販売業者に対して指導していきたいと考えております。一方でMRIの撮像して検査をしていく時に、万が一、患者の容態が悪くなってしまったなど、おっしゃるとおり発熱のリスクもあるとは思うのですけれども、そういった場面において、どういった救命、フォローアップをしていくかという点については、先生がおっしゃるように大変重要な課題だと思っております。それについては、まず一義的に言えることとしては、製造販売業者の正に、つまり許認可をする段階において、若しくは製造販売業者のバックデータという形でMRIを撮像する時に、どういったリスクがあるのかを基礎的な検証を行って、それを正しく医療現場に情報提供することが大事だと考えておりますので、先生がおっしゃるように、一義的には製造販売業者からの情報提供という部分が、答えにはなるのですが、行政側としても、そういった情報提供をしっかりやられているかどうかについては、今後ともしっかり見ていきたいと思っております。
○荒井部会長 よろしいですか。製造販売業者の方から情報提供と言っても、実際には、医療現場の方に任せざるを得ない場合も結構あると思われます。そちらの指導も是非、お願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○中川委員 ありがとうございます。これは結構、根が深くて、MR-compatibleが出始めた頃、今もまだ医療現場は神経質なのです。本当に行ってもいいのかと。段々と増えてきているものですから、これは増えてくると逆に、はるか昔に製品が変わる前、MR対応ができない時代の方が、当然それを埋め込まれた方が来られているのです。そうすると、その方に関してチェックを怠ってしてしまうということは起こり得るので、これは息の長いテーマだとは思いますが、是非、重要な御指摘だと思いますので、その辺の情報収集、情報を伝達する方法についても今後、引き続いて御検討いただければと思います。お願いいたします。
○医薬安全対策課長 ほぼ言い尽されているかと思うのですが、あえて付け加えさせていただくと、やはりこの辺りは、実際に現場に近いところにおられる先生方とも連携を取って、互いに何が一番ふさわしい情報提供、あるいは対応になるかということを互いに、また相談させていただきたいと思います。
○荒井部会長 ありがとうございます。私から、いちゃもんのようで申し訳ないのですが、対象医療機器をMR safe、そうでないものをMR Unsafeと表示するとのことですが、現場の人から見ると、Unsafeと書いてあっても何のことか判らないかもしれません。わざわざこういうところを英語表記にする必要があるのか疑問に感じます。今後こういうことがあったら御検討いただけるとありがたいと思います。横文字は注意した方がよいと思いましたので発言させていただきました。
その他よろしいでしょうか。大変重要な会議ですので、もし後でお気付きの点がありましたら、その時に発言いただいても結構です。それでは、議題2に進めさせていただきます。事務局から説明をお願いします。
○事務局 それでは議題2、「医療機器・再生医療等製品の不具合等報告について」について、資料2-1から資料2-4に沿って説明いたします。まず資料2-1の1ページです。1.として、本部会への報告に関する医薬品医療機器法第68条の12第1項の規定を記載しております。本日は、平成30年度の下半期である平成30年10月1日から平成31年3月31日までの6か月間の報告状況について報告いたします。
次に2ページを御覧ください。不具合などの報告の全体の概要になります。医療機器及び再生医療等製品の不具合報告制度は、製造販売業者などからの報告である企業報告制度と医療機関などの医薬関係者からの報告制度の2つから成り立ちます。1.は、医薬品医療機器法第68条の10第1項に基づく製造販売業者などからの不具合等報告についてです。3ページの2.は、医薬品医療機器法第68条の10第2項に基づく医薬関係者からの不具合等の報告になり、それぞれについて報告いたします。
まず2ページの1.「製造販売業者等からの不具合等報告」ですが、医薬品医療機器法第68条の2第1項において、医療機器及び再生医療等製品の製造販売業者又は外国製造医療機器特例承認取得者などは、医療機器及び再生医療等製品の有効性及び安全性に係る事項、その他製品の適正な使用のために必要な情報について、能動的に情報収集するよう規定されております。
国内において、医療機器又は再生医療等製品の不具合が原因、又はその不具合が原因と疑われる死亡や重篤な健康被害が発生した場合、又は不具合によりそれらが発生するおそれのある症例が発生した場合、製造販売業者などがそのことを知った時には、医薬品医療機器法第68条の10第1項に基づき、厚生労働大臣に報告する義務があります。報告の対象や情報を入手してから報告するまでの期限については、医薬品医療機器法施行規則第228条の20により定められております。
また、海外で使用される医療機器又は再生医療等製品において、死亡又は重篤な健康被害が発生した症例又はそれらのおそれがあると判断された症例に関する不具合に関する情報については、医療機器等が使用されている国の規制に従って各国の規制当局に報告等されることとなりますが、日本で承認を受けた医療機器と形状、構造、原材料、使用方法、効能、効果、性能等が同一性を有すると認められる医療機器については、それらの海外における医療機器の不具合などに関する情報を日本の製造販売業者が入手した時には、日本においても外国症例の不具合報告として、不具合報告の対象となります。この場合の報告者は、日本の製造販売業者となります。
今回の資料では、平成30年度の後期である10月1日から平成31年の3月31日までの医療機器の不具合等報告について、各項目の報告件数を示しております。1.(1)1)の不具合報告の件数については、国内と外国の合計が26,500件で、前回の平成31年2月に開催した部会にて報告しました平成30年度の前期の平成30年4月1日から9月30日までの件数の26,071件と比較して、およそ500件の増加となっています。
今回の26,500件の内訳ですが、9つの製品の分類で言いますと、多いものは分類3「処置用・施設医療機器等」の8,691件と、分類4「生体機能補助・代行機器」の15,039件で、この2つで全体の約9割を占めております。国内報告と外国報告の件数ですが、国内報告が8,767件、外国報告が17,733件です。
また、コンビネーション医薬品の医療機器部分における不具合の報告は、国内報告が698件、外国報告が1,144件の計1,842件となっております。また、再生医療等製品については、不具合報告は国内のみで91件となっております。
続いて、2)の感染症報告につきましては、先ほど委員の方から御説明があったとおり、医療機器、コンビネーション医薬品、再生医療等製品いずれも0件で、(2)の外国措置報告、つまり海外の規制当局や海外製造元等が行った措置を報告するものについては、医療機器が1,126件、再生医療等製品は0件となっております。
続いて、(3)の研究報告に関しましては、医療機器について1,126件、再生医療等製品は0件で、(4)の感染症定期報告に関しては、医療機器について36件、再生医療等製品は17件となっております。感染症定期報告の詳細に関しては、次の議題で説明させていただきたいと思います。
また、2.「医薬関係者からの不具合等報告」は、医療機器では236件、再生医療等製品では0件となっており、こちらは次の3.「副作用救済給付又は感染症救済給付に係る疾病、障害及び死亡の報告」は、医療機器、再生医療等製品ともに0件となっております。
次に、全体の報告件数の推移などについて説明させていただきます。4ページから5ページまでは、過去3年分の不具合報告件数の推移をグラフと表で示しております。これらは国内と外国の報告を合わせた件数となっております。医療機器不具合報告の全体の報告件数の推移としては、この数年間は半年で25,000件程度、つまり23,000件から26,000件ほどの間となっており、緩やかに増加する傾向を示しております。なお、総報告件数のうち、国内での不具合報告の件数については、各期間において、おおむね8,000件から8,800件ほどの間であり、こちらも緩やかに増加する傾向となっています。
この傾向は、4ページのグラフの上から2番目のバツ印の折れ線グラフの分類4(生体機能補助・代行機器)の外国報告の件数が増加していることが主な要因です。ただ、これにつきましては、特定の製品の不具合の報告件数が大きく増加しているわけではなく、全般的な増加が見受けられており、先ほど申し上げたとおり、企業の安全性情報の収集体制の見直し等によって報告の件数が増加しているものと考えております。
続いて、5ページのコンビネーション医薬品に関しては、平成28年度前期以降、大幅に報告件数が増加しておりますが、これは先ほどの議題1にて簡単に説明をさせていただきましたとおり、平成28年11月25日からコンビネーション医薬品の医療機器たる部位の不具合に関する報告が義務化されたことが要因です。報告が義務化された後の平成29年度と平成30年度においては、半年間での報告件数では2,000件前後の水準となっており、報告が義務化された後については、報告件数のペースとしては落ち着いたものと考えております。
国内と外国のそれぞれの報告件数についても、およそ国内が500~600件ほど、外国が1,000~1,500件ほどであり、企業に対して安全対策措置の指導が必要になったという事例はありません。
再生医療等製品については、平成28年度前期以降に件数が増加しておりますが、これは、新たに承認された製品が平成28年度前期頃に上市されまして、その製品の不具合報告件数が上乗せされたことが要因と考えられ、その後は再生医療等製品を使った症例が増加しているために報告件数も増加しているものと考えております。今後、大きな増減が生じた場合には、その原因について適宜調査する予定です。
続いて6ページを御覧ください。2.「平成30年度後期の不具合報告の概況」の2-1の各分類における国内不具合報告について説明します。こちらでは各分類における国内の不具合報告件数と、その中でも特に報告件数の多かった品目の一般的名称、その主な不具合又は健康被害の状況をピックアップして記載しております。
表の左側は、一般的名称ごとに不具合等の報告の件数が多かったもののうち、多いものから順に、第1位から第3位までの一般的名称を掲載しております。そして、右側の「主な不具合又は健康被害状況」の欄には、それぞれの一般的名称の製品群で報告された不具合や健康被害のうち、多いものから順に第1位から第3位までの事例を記載しております。なお、同数で同順位となる一般的名称や不具合のものについても全て掲載しております。
順に紹介させていただきますと、分類(1)「画像診断用機器」の報告件数は、国内では合計9件の報告となっております。そして分類(2)として、内視鏡、血液分析装置、生体情報モニタなどの「生体監視・臨床検査機器等」については、国内では212件報告されております。分類(3)として、インスリン注入器やカテーテル等の「処置用・施設用機器等」で、国内では合計3,303件報告されております。分類(3)については、輸液セットなどの病棟で使用される頻度の高い製品や、アブレーションカテーテルのようなリスクの高い製品が分類されているため、他の分類と比べて件数が多いという状況です。
続いて7ページを御覧ください。分類(4)として、心臓ペースメーカーや冠動脈ステント、人工関節などの「生体機能補助・代行機器」を記載しております。こちらは国内で合計4,298件となっています。分類(4)については分類(3)と同じように、なぜか多いわけですが、こちらは植込み型両心室ペーシングパルスジェネレータや植込み型の心臓ペースメーカー、大動脈用ステントグラフトのようなリスクの高い医療機器が多く分類されているということで、やはり報告件数が多くなっております。
分類(5)としまして、手術用の電気メスやドリルなどの「治療・鋼製機器等」として、国内では合計823件報告されております。続いて分類(6)「歯科用機器・材料」として国内報告は合計16件となっております。続いて分類(7)、後房レンズやソフトコンタクトレンズなどの「眼科用機器」については、合計で97件となっております。
続いて8ページを御覧ください。分類(8)「衛生材料・避妊用具・家庭用機器等」は、家庭用電気マッサージ器や生理用タンポンなどに関する国内の報告が合計で8件となっております。続いて最後の分類(9)「プログラム医療機器」は、国内報告は1件のみとなっており、循環動態解析プログラムで解析エラーが1件という形になっています。
次に、コンビネーション医薬品の医療機器部分の不具合報告としては、国内報告は698件となっております。これらの不具合の報告の詳細に関しては、資料2-2-2に、別途まとめております。また、再生医療等製品に関しては全て国内報告で、91件です。これらの報告は、資料2-2-3「再生医療等製品不具合報告」にまとめております。
なお、分類(9)までの医療機器の不具合報告の取りまとめは、資料2-2-1において取りまとめておりますので、後ほど簡単に説明をさせていただきます。
続いて9ページは、平成28年4月1日から平成31年3月31日までに新医療機器として承認された品目の国内での主な不具合状況についてです。今回、平成30年10月1日から平成31年3月31日までの期間において、国内での不具合の報告があったのは平成28年度に承認されたものから5品目、平成29年度に承認されたものから6品目、平成30年度に承認されたものから2品目となっております。大半が添付文書に記載されている既知の事象ですが、未知となる事象が新たに報告された場合には、速やかに添付文書を改訂するとともに、医療現場への情報提供を行っていきます。引き続き、不具合や健康被害の情報を注意深く収集している状況です。資料2-1の説明は以上です。
続きまして資料2-2-1を用いて説明いたします。1ページに「注意事項」として、不具合報告リストの見方が記載されております。この報告につきましては、医療機器との因果関係が不明なものを含め、製造販売業者等から報告されたものであること。報告に関する分類は、先ほど紹介いたしました(1)から(9)までの9分類に分類されており、次に「目次」が記載されております。それ以降に、掲載順としましては分類ごとに、医療機器の一般的名称、企業名、販売名の順に五十音順で掲載しております。
それぞれの件数に関しては、提出された報告書の件数を示したものになっており、同一の症例で複数の医療機器が関与している場合には、複数の企業からそれぞれ報告されることがありますので、このような場合には同一の症例を重複してカウントすることになります。ですので、報告件数がそのまま症例数にはならない場合があります。
また、報告症例の中には不具合状況が、なし又は不明であり、かつ健康被害の状況も不明のケースがあります。これは健康被害の状況が不明で、機器との因果関係を否定できないと判断するだけの情報が得られなかったため、不具合報告がなされたものとなっております。
表の右端の「対応状況」の欄に、対応措置の項目として、原則として平成31年3月31日時点での措置の内容を簡潔に示しております。こちらの表の中で、「回収(改修)」と記載されているものは、製品を医療現場などから引き上げる「回収」をした場合、又は修理や検査の実施などを行った「改修」の措置を取ったことを示しております。「情報提供」と記載してあるものは、添付文書の改訂、あるいは書面による注意喚起文書を医療機関などに配布したなどの措置を取ったものです。この中には、既に添付文書等で、関連する注意喚起の記載がなされているものも含んでおります。
資料2-2-1の医療機器の不具合報告のまとめと同様に、資料2-2-2については、コンビネーション医薬品の機器に関する不具合報告、資料2-2-3については、再生医療等製品に関する報告を、それぞれ一覧表で取りまとめております。
続いて資料2-3について説明させていただきます。医療機器に関する外国措置報告となります。こちらは企業が外国でも同一性を有する製品、つまり日本で承認を受けた医療機器と形状、構造、原材料、使用方法、効能、効果、性能などが同一性を有すると認められる外国で使用されている医療機器を製造販売している場合に、外国の規制当局などで取られた措置について、日本の行政当局にも報告するというものです。
平成30年度の下半期では1,126件の報告がありまして、一番右と右から2列目には、国内と海外での対応状況についてそれぞれ示しております。海外で措置を行った結果について、日本での対象製品がないという場合を除き、おおむね日本においても同様の対応をとっています。
続きまして、資料2-4は医療機器の研究報告です。こちらは議題1にて簡単に説明しましたとおり、不具合の発生頻度や発生条件などの疫学調査や集計・分析等に関する内容の文献報告などがあった場合に報告されるもので、今回は文献数にしまして1,261本ありました。なお、今回の報告に基づいて、安全対策上の特段の措置が必要になったというものはありませんでした。説明は以上となります。
○荒井部会長 ありがとうございます。ここが従来の紙仕様ですと、電話帳のようなボリュームのある所なのですが、かい摘んでうまく説明していただきました。何か全体でも結構ですし、特にここの所というポイントでも結構ですので、御質問、御意見がありましたらいかがでしょうか。
○木下委員 些末なことでもいいですか。
○荒井部会長 どうぞ。
○木下委員 国内報告と外国報告というのは、数字が比較的近いようなものと思うのです。一般的には、使用数から言えば、多くの消耗品ですと日本は大体10%ぐらいなので、10倍ぐらいの報告があっても然るべきと思うのです。この報告というのは自主的報告であって、全容を把握していないといいますか、外国報告についての信頼度はどれほどなのかと思った次第です。国内はしっかりしていると思うのですが。
○品質管理・安全対策部長 信頼度というところについては分かりませんが、昨年度の実績ですと、国内の報告が17,000件ぐらい、外国の報告が35,000件ぐらいで、大体1対2ぐらいなのです。
確かに先生がおっしゃるとおり、外国がどれぐらいなのかというところについては、先ほどの冒頭の説明にもありましたように、企業の方が把握できたものを報告すると。要するに外国の企業の方から情報提供があって、それを知ったものについては報告をしなければいけないとなっておりますので、例えばグローバル化などが企業で進んできますと、3局同時に報告が上がってくるようなこともありますが、例えば導入品などですと、本来は外国で製造販売されていて、その不具合報告が日本の企業の方に情報提供がないと不具合報告が上がってこないというようなことが考えられるかなと思っています。その辺の頻度については、そこまでは分かりませんので、すみません。失礼します。
○荒井部会長 なかなかクリアには答えにくいとは思いますが、実は海外の医療者と話をしていると、日本では、かなりこの辺を厳しく、きちんと報告がされている印象を持っています。
公的な発言は控えていただいて結構なのですが、全体的にはどうなのでしょうか。実際、国の名前を見ていると、やはりアメリカ、あとはヨーロッパの主要国からの報告で、アジアの国からは、名前は出しませんが、多く出てきている印象はないのですが、この辺の情報の提供はどうでしょう。いわゆる相場観ですが。
○品質管理・安全対策部長 先生が御指摘のとおり、やはりアメリカが一番多いです。その次が、やはり欧州となっています。その辺が多いという印象はあります。
○荒井部会長 言いにくいことを無理矢理すみません。その他、何か御質問はいかがでしょうか。
○渡邉委員 報告数について、いつも思うのですが、医薬品関係者からの不具合報告が236件ということで、通常、製造販売業者からの分の100分の1ぐらいですよね。そのメーカーからの報告内容を見ていると、例えば体内遺残やそもそもの機器等のカウント、あとは術者の手技上の問題から健康被害が起こっているのも全て報告されている現状があって、我々医療機関としては、本当に色々調べた結果、医療機器の不具合に割と言及したものを報告すべきなのかなという意識があって、なかなかそこにギャップが発生しているのかなという気がしているのですが、その辺、医療機関からの報告をさらに我々は高めていかないといけないと思っています。要は、そういう健康被害が起こったら、なるべく報告を上げた方がいいというスタンスでよろしいのですよね。
○荒井部会長 これは、医療機関に対する基本的なスタンス、在り方という点ですね。
○事務局 事務局から説明させていただきますと、正に先生がおっしゃるとおりの部分もあるかと思うのですが、私どもとしましては、医薬関係者向けについては、これまでもこういった不具合報告制度の普及や啓発活動を行っているところですが、なかなか件数が増えないというのも正直なところです。
その一方で、現状行っている具体的な啓発の活動としましては、毎年、啓発するポスターを発行して配るというものでしたり、周知をするための通知を発行していたり、若しくは医薬品医療機器安全性情報などを発行する等をして、毎年、毎回、報告の様式などを付けて発行しているといった情報提供がありますが、今後ともそういった形で医療従事者の皆様に御認識を考えていただけるように努力してまいりたいと思っております。
○荒井部会長 よろしいですか。基本的なスタンスとして、要するに因果関係があろうがなかろうが、そこのジャッジを勝手に医療機関でするのではなくて、変なことがあったら報告してください、というスタンスと理解してよろしいですか。
○事務局 そのとおりで、因果関係が否定できなければ報告をしていただくということでお願いしたいと思います。
○医薬安全対策課長 医薬関係者の名誉のために申し上げておきますと、企業報告と医療機関報告、確かにこういうデータにはなるのですが、もともと企業報告も現場の先生方がきちんと企業に情報が提供されることによって、我々の方に入ってくるルートが企業経由だという捉え方ができるのだろうと思います。
もちろん、それ以外のルートとして直接報告していただくことも制度上可能ということで、医薬関係者から見れば2本のルートがあるという捉え方もしておかないといけないのかなと思います。
○荒井部会長 ありがとうございます。
○山口委員 今の件にも関係するのですが、因果関係があろうがなかろうが、こちらの方には報告されているということなのですが、メーカー側からの報告と病院側からの報告で、この一覧表に一致する症例があるのかないのかが分かると良いと思っています。これだけでは結局、機械に由来しているのか、操作者の不適切使用なのかが毎回議論に出ると思うのですが、そうすることで、1つのヒントになるのではないかというのが1つと、どちらかが10対0のように悪い、良いなどということではないのですが、ある程度どちら側に、今回の原因に関わることがありそうかの比重的なものが、この表の中のどこかに少しでも反映されると、何か教育や通達というところに反映できるのではないかというのが1つあります。
今回の報告の中にも、人工呼吸器用の吸気マスクの外れというのが不具合となっています。確かに、患者さんに対しては不具合なのですが、装着という意味では機械の不具合と手技という部分で完全に大きく違いますので、そういったところが少し明確に表示できるようになるのを今後望みたいなと思っています。
○安全使用推進室長 事務局からお答えします。御指摘のとおり医療関係者からの報告とメーカーからの報告、それぞれ2本のラインがあるということになっていますが、恐らく個々の報告を細かい内容まで見ると同一の件がそれぞれから報告をされているということは分かるのだと思います。
それで申し上げたいこととしては、どちらが手技に原因があったのか、機器に原因があったのかということなのですが、それは恐らく完全に切り分けることは難しいのだと思っております。大事なことは、患者さんが不具合やそういった何かしらの適正ではないことによって被害を受けることをなるべく防ぐということですので、不具合なのか手技上の問題なのかというところはあるかと思うのですが、何か起こった時には御報告いただいて、その原因を調査した上で、それが次に起こらないような形にしていくということが大切なのかなと考えています。
操作上の問題で起こる可能性は当然あるのですが、その操作上の問題についても、場合によっては、もともとの機器の構造が若干使いにくいなど、そういったことが原因のこともあるように思うので、その場合には機器の方の改善をしていくという形で対応して、医療現場の方、患者さんに不具合の影響が及ばないようにしていくという対応をすることができると思いますので、是非、何かそういう事態が起こった時には報告を頂けると有り難いと考えています。
○宮地委員 国内報告だからメーカーも出すし、医療機関からのも両方一緒に入っているという理解でよろしいですか。だから重なっているのもあるということですね。海外報告はメーカーからですよね。しかも、幾つかの国からのものが1つとして入っているというのも報告の中にあるのですが、これはかなり重要なものではないかと思うのですが、その中に日本からのも入っているのですよね。要するに海外メーカーが卸している、日本でもやっている。それで、日本でも幾つかの不具合があれば、それは当然メーカーに行きますよね。それを合わせて、この海外報告としては、メーカーとしては回収したという扱いになっているということでよろしいですか。
○品質管理・安全対策部長 日本のメーカーが海外で不具合が起こった場合に日本に報告するというのは、これは当然あります。一方で、海外のメーカーさんが、海外で起こった症例を日本に報告してくる、これも海外報告ということで上がってきます。
国内報告というのは国内で起こった症例ですから、海外のメーカーであろうと、日本のメーカーであろうと、国内で起こったものを国内報告という形で上げてくると。当然のことながら医療機関は国内ですので、国内の医療機関の先生方の方から直接、国内報告ということで上がってくる、そのようになっています。
○荒井部会長 集計の方法について、1つ御指摘がありました。宮地委員からの御指摘で、それは今の御説明でいいかと。もう1つ、実際にかなり細かなチェックができるかというと数も膨大なので、そう簡単ではない筈ですが、機構では医療機器の死亡例に関しては、1例ごとのチェックをしていますよね。私も実は、それに長年絡んでいます。実際は御指摘のように、簡単に言えば「使い方が悪い」の類であっても、それが幾つも出てくると、「もともと使い勝手が悪い機器」、あるいは「そういった間違いを起こしやすい機器」ではないかということで、逆にメーカーに問い合わせるようなことを行っています。あくまで死亡例についてのみですので、そこまで至ってないものに関してはなかなか拾いきれないところもあるとは思いますが、そういった機器だけではない、技術だけでもない、中途半端だけど、もう少し機器を直せば、問題となるような事象が減るのではないか、というところに関しても注意を払って対応していただいていると理解していますが、よろしいでしょうか。
○品質管理・安全対策部長 先生のおっしゃるとおりで、この機器を直せばとか、注意喚起の仕方が悪くて、うまく使われていないようなことについては、メーカーに対して修正を加えるなど、そのようなことも安全対策の1つだと思っていますので、そのような対応を今、現実に行っているところです。
○事務局 機構から補足させていただきます。先ほど部会長からおっしゃっていただいたとおり、死亡症例について細かく見させていただいているのは事実ですけれども、それ以外にも機構に報告されてくることについては全て目を通させていただいて確認しております。その中で、使い方が悪いのも当然ありますけれども、使い勝手が悪いようなところがあればメーカーに問い合わせをさせていただいています。また、施行規則上、機構に報告されてくるものについては、広く、先ほどから先生方から御意見を頂いているとおり、使い勝手の問題等々も含め、広く具合のよくないことが発生すれば、全て報告していただくことになっていますので、そういう意味では、ドクターの手技の問題のところも含めて頂いているところはあります。また、先ほどコネクタ接続の外れのところがありましたけれども、もちろんつなぎ方が悪いところもありますし、あとメーカーの物としての扱いの悪いところもありますので、実際には体動によって外れている場合等もあるかと思います。そういった場合も、基本的には提出していただく場合がありますので、必ずしも全て頂いているかは全て確認ができているところではないですが、広く、とにかく機構に情報を集めさせていただいているところです。
○荒井部会長 どうぞ。
○品質管理・安全対策部長 この5万何千件台が毎回、毎年、不具合報告が上がってきます。国内報告が大体17,000件、海外が35,000件、足すと52,000件ぐらいになります。これは平成30年度ですけれども、死亡例については全て先生方に御確認いただいて評価をしていくような方法をしています。この5万件の死亡例以外についても、1例1例を職員が全てチェックしておりますので、その中で必要な安全対策を取っていくことを機構で行っております。
○荒井部会長 よろしいでしょうか。
○山口委員 それに少し関連してですが、対応状況のところに、3番目の「その他」とあるのですが、具体的にどのようなことが「その他」として行われているのか。1例でもいいので、ありましたら教えていただければと思います。
○事務局 回答させていただきます。1つは、調査中につきまだ情報提供しているものは回収するべきなのか、あるいはこのまましばらく続ける必要があるのかが、まだ確定していない場合には「その他」を選んでおります。ただ、例えば未知の事象があったにしても、まだその事象が初めての事象であって、これが因果関係があるのか、なかなか分からない場合に関してしばらく発生状況を確認する意味で報告する場合には「その他」が選ばれていることがあるかと思います。
○荒井部会長 その他御意見はありますか。
○澤田委員 資料2-2-3の再生医療等製品の不具合報告一覧の、4分の2ページの21番ですが、テムセルの不具合報告の中で、不具合状況が「なし」で健康被害状況が「不明」で、ただ、総件数14になっているので、ここだけを見た時に、どのような状況をもって不具合と判断されたかが非常に分かりづらいのですが、例えばどういうことになるのでしょうか。
○事務局 全てそういう事例だとはならないかと思いますけれども、例えばテムセルを使用された患者において、何らかの支障が発生したような情報をMRや販売に行っている者が聞いた時に、詳細が確認できていない状況だが何か起きたという情報が入手された場合には、因果関係が否定できないということでメーカーとしては提出している状況があります。あとは、例えば患者が不幸にも亡くなられた時、製品を投与されている事実が確認された時に、何が起きているか分からないけれども事実亡くなってしまったことに対して製品が何かをしているのではないかといった場合は完全に否定できない場合があります。そういう場合には、不明という形でしか報告の選択がなかなか難しいため、「不明」になり、製品としては特に不具合があったわけではないので「なし」という形の報告が上がってくることになります。
○澤田委員 分かりました。
○荒井部会長 よろしいですか。
○事務局 もちろんメーカーとしては、この状況で終わりではなくて情報収集を続けておりますので、実際に最終的に全ての調査が完了した場合には、何かしらの不具合報告か、健康被害に入る、あるいは本当に関係がなかったという報告が上がってくる場合もあります。
○荒井部会長 その他はよろしいですか。少々時間が遅れてしまいまして、すみません。それでは次に、議題3、「医療機器・再生医療等製品の感染症定期報告」です。よろしくお願いいたします。
○事務局 報告3の感染症定期報告についてです。まず、感染症定期報告について制度の概要を御説明いたします。ヒトや動物等に由来し、保健衛生上、特別な注意を要するものとして、厚生労働大臣が指定する生物由来製品については、その原材料が細胞組織等であることから、未知の感染因子である細菌、ウイルス等を含有している可能性が否定できません。また、感染症につきましては、一般的な医薬品医療機器の副作用、不具合等と比べて、製品との因果関係が明確になる以前から潜在的に感染が進行するおそれがあり、さらに感染した後は時間の経過に伴い、軽減することなく一定期間経過後に顕在化するおそれもあります。このような背景を踏まえ、生物由来製品については医薬品・医療機器等法において、製造販売業者等に対し、製品への直接的な影響が、未だ不明の原料動物等の感染症に関する最新の知見を常に把握し、それを集積した上で感染症のリスクを多角的に評価検討し、その結果を報告するよう義務付けております。これが感染症定期報告です。感染症定期報告で寄せられた情報につきましては、本部会を含めた薬事・食品衛生審議会に報告し、措置の必要がないかを御検討いただいております。以上が感染症定期報告の概要になります。
資料は3-1と3-2に分かれており、資料3-2は重複を含む期間中の全ての報告です。そのうち重複や過去に報告されたものを整理し、今回の期間に新規に報告されたものをまとめたものが資料3-1になります。また、資料番号の末尾が1の資料3-1-1及び資料3-2-1が医療機器、末尾が2の資料3-1-2及び資料3-2-2が再生医療等製品の報告をまとめたものとなっております。
資料3-1-1、医療機器の報告を御覧ください。今回は昨年10月1日から本年3月31日までに報告されたものをまとめております。こちらについては、今回新たに報告された文献は50件でした。詳細な説明は省略させていただきますが、全体の傾向としては、インフルエンザ関係が15件報告されています。次に資料3-1-2再生医療等製品の報告を御覧ください。今回新たに報告された文献は10件ありました。こちらも詳細な説明は省略させていただきますが、ウイルス感染、ブルセラ症関係が各3件報告されています。これらの報告について、国立感染症研究所の脇田委員、宮﨑委員、国立医薬品食品衛生研究所の澤田委員に御確認いただいております。今回につきましては、資料3-1-1の2ページ、ID20及び21について脇田委員、宮﨑委員よりコメントを頂いております。簡単に御紹介させていただきます。まず、資料3-1-1のIDの20になります。「豚ロタウイルスがヒトに感染して下痢症を起こしている証拠、ベトナム6症例が本論文で報告されている。豚ロタウイルスがヒトに感染して症状を出すことを示した論文は他にもある。豚ロタウイルスが大流行を起こしたり、ヒトロタウイルスよりも重症の下痢症状を起こすかについての報告はその後もなく、現時点では豚ロタウイルス感染症はヒトへの重大なリスクとして警鐘を鳴らさなければいけないエビデンスはない。このまま豚ロタウイルスの報告が増えなければ大きな脅威とはならないと考える。しかし、ヒトロタウイルスとリアソートすれば、ヒトで、より広く伝播する力を獲得する可能性はある。今後も流行動態を監視すべきである」。
IDの21に関しまして頂いたコメントを御紹介します。「本論文の注目すべきことは、豚糞便のサンプルから1株だけだが、ブターロタ間のリアソータントが検出されたことである。しかし、このリアソータントの頻度や豚やヒトに対しての感染性や病原性の情報はない。しかしながら、豚において新規のリアソータントが出現し得るということであり、今後このような株がヒトの下痢症サンプルで検出されるかをしっかり監視されるべきである。ロタワクチンが普及している現在において、日本の下痢症で観察されるロタの一部は、ウマーロタ間のリアソータントであることからも、ワクチンの兼ね合いを考える上でもリアソータントのサーベイは重要である」。以上がコメントになります。報告3の感染症定期報告に関する御説明は以上になります。
○荒井部会長 御専門の先生方に御意見を全て頂いているようですが、特にこの場で御発言の追加、御質問等はいかがでしょうか。よろしいですか。
○宮﨑委員 感染研の宮﨑です。事務局から御説明いただきましたように、インフルエンザの場合と同じように、動物とヒトとのウイルスは多少違いますけれども、組み換え体は常に出ておりますので、今はサーベイランスをきちんと行うことが必要ですが、世界的にインフルエンザ以外はそのシステムがありませんので、そうしたことを作っていくことが必要です。論文、あるいは国の研究組織間では情報交換しておりますので、そういうところで何か分かったことがあれば、すぐに厚労省から情報発信するようにしております。
○荒井部会長 ありがとうございます。その他の委員からは特に御意見はよろしいですか。
○西澤委員 宮﨑委員にですが、ID1、2、3のE型肝炎の症例が3つあって、見ていると増えている気がするのです。統計的なその処理の仕方が違うのか、一度禁止されてからブタのレバーでの死亡例も1件かありましたが、それから少なくなりましたけれども、今回は増えている気がするのですが、それは私の勘違いでしょうか。
○宮﨑委員 今回の報告が出ておりますけれども、ずっと定期的に見ている限りでは漸増傾向にあるとは今のところは言われておりませんので、もう少し様子を見ていきたいと思います。御指摘ありがとうございます。
○荒井部会長 その他よろしいですか。次に、議題4、回収の報告です。説明をお願いいたします。
○事務局 議題4、「医薬品・医療機器等の回収報告の状況について」、資料4-1及び資料4-2に基づいて御説明いたします。医薬品・医療機器法第68条の11に基づき、医薬品・医療機器等の製造販売業者、製造業者等は、その製造販売をし、製造をし、又は承認を受けた医薬品・医療機器等を回収する際には、回収に着手した旨及びその回収の状況を厚生労働大臣に報告しなければならないとされています。また、製造販売業者等から回収着手の報告がなされた場合には、全ての事例をインターネット上で公開しています。本件は、医薬品・医療機器法第68条の12の規定に基づき、薬事・食品衛生審議会の報告を行うものです。資料4-1の1ページの下半分に、回収件数の年次推移をお示しています。平成30年度に関しましては、医療機器が411件、再生医療等製品が0件、医薬品等との合計は660件となっています。平成29年度や過去の件数と比較して、報告数に大きな変動はないと考えられます。続きまして2ページに、平成30年度の医薬品・医療機器等の回収件数及びクラス分類を示しています。医療機器については、クラスⅠが3件、クラスⅡが387件、クラスⅢが21件の計411件。再生医療等製品はいずれも0件でした。
資料4-2には、医療機器の平成30年度における医療機器の回収について、それぞれの製品名及び回収理由を記載しております。クラスⅠについては1~2ページ、クラスⅡは3~92ページ、クラス3は93~95ページに記載しております。議題4に関する報告は以上です。
○荒井部会長 ここも実は資料としては結構ボリュームがあります。何か御質問、御意見はありますか。
○宮地委員 先ほどの質問にも少し関係するのですが、リコールするということは不具合があったからリコールすると思うのですが、先ほどもそうなのですが、国内で幾つかそのような同じような、ほとんど海外製品だと思うので、海外のメーカーが作ったもので、国内に色々出ているのが既に把握されていると思います。それで、出ているけれどと見ていたら、海外から全てリコールすることになりましたと言って、やはりそうなのかではなくて、国民の安全のためには最初からそれを少しピックアップなり予測するなりして、本当にお宅のメーカーは大丈夫なのかと、発信することも大事ではないかと。その辺のリンクが、国内の報告と回収との間で、その前に色々と打つ手や、そういうことの考えがあるかどうかをお聞きしたいのですが。
○事務局 簡単に説明させていただきますと、おっしゃられることは、外国の製品、特に輸入製品においては、リコール回収にならないようにして積極的に例えば日本初のもので、検知されたようなものであれば、すぐさま管理コードや製品の安全対策をするべきではないかという意見が多くあります。こちらについては、今回お示している資料の中では確かに輸入されている製品が多いので、海外のリコールが先行している部分がありますけれども、日本の国内企業から出ている製品では、国内発での最終的に回収などに取りかかられているような事例もあります。直近の話では、確かに国内から回収を開始しましたという事例も最近は増えているところですので、我々も基本として海外の世界規模での回収に対して遅れを取らないような形で迅速な報告をしようと思っているところです。今後とも努力したいと思います。
○荒井部会長 よろしいでしょうか。その他御意見はいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、議題4を終了として、最後の議題5に入ります。議題5、「その他」についてです。よろしくお願いします。
○事務局 議題5、「その他」について、資料5-1から説明いたします。資料5-1のPMDA医療安全情報No.56「弾性ストッキング取り扱い時の注意について」を御覧ください。弾性ストッキングは、手術中に下肢の血流が低下することを予防し、術後の血栓症などを予防するために使用する医療機器ですが、閉塞性動脈硬化症、いわゆるASOの患者においては、重度の血行障害がある場合においては弾性ストッキングの着用を禁止されております。こういった中で、弾性ストッキングの着用による健康被害の発生を防ぐ観点から、弾性ストッキングを使用する際の患者への着用の可否などについての注意点について、PMDA医療安全情報として取りまとめられたものです。
1ページでは、弾性ストッキングの着用の可否について、着用前には、患者が動脈血行障害を有する場合は、弾性ストッキングの可否について慎重に検討することを情報提供しております。また、2ページには、基礎的な情報として、弾性ストッキングの作用メカニズムについて、ASO患者が着用した場合の血流の流れが悪くなる機序についての説明をそれぞれ記載し、注意喚起しております。
続いて、資料5-2を御覧ください。PMDA医療安全情報No.57「皮下用ポート及びカテーテルの取扱い時の注意について」です。皮下用ポートとは、中心静脈カテーテルの一種で、皮膚の下に埋め込んで薬剤を投与するために使用する医療機器です。今回、皮下用ポートや中心静脈カテーテルを留置した後にカテーテルが断裂し、断裂片が心臓内に迷入する事例が繰り返し報告されることを受け、留置時の注意点について、PMDA医療安全情報として取りまとめられました。
1ページでは、カテーテル断裂の原因として、カテーテルのピンチオフという事象とカテーテル留置時の屈曲が原因になることを情報提供しております。2ページでは、ピンチオフの機序として、カテーテルが鎖骨と第一肋骨の間に留置されてしまうと、カテーテルが骨とじん帯により圧迫されて機械的負荷を受けて断裂しやすくなることを紹介し注意点として、穿刺部位を鎖骨と第一肋骨の接点より外側にすることが示されております。また、カテーテルの屈曲に関する注意点としては、上肢の挙上等の体動によってカテーテルに極端な屈曲が生じないように確認することなどを注意喚起しております。以上です。
○荒井部会長 議題5は、機構として医療安全情報を発出されているもので、あくまで個人的な感想ですが、こちらは短く分かりやすいので、医療現場では、この絵等は意外と流布していて、皆さんもよく御存じではないかと感じております。御意見等はありますでしょうか。よろしいですか。
○中川委員 1点だけ最後に弾性ストッキングですが、血行障害の方は分かるのですが、血行障害の方も含めて動脈硬化がある方は、抗血小板剤等を服用しているケースが結構ありまして、うちでも1例あったのですが、抗血小板剤を飲んでいる方に、こういう弾性ストッキングを着用させて皮下出血を起こして広がってしまったという実際の事例がありまして、抗血小板剤を使っている方、抗凝固剤を使っている患者の手術に関しては弾性ストッキングを着用させないというルールを設けて行っているのですが、血行障害とは別に、逆に血液が固まらないような薬剤を服用若しくは投与されている患者に対しての弾性ストッキングの使い方について、どのようにお考えかをお尋ねいたします。
○事務局 機構よりお答えいたします。この医療安全情報を作成する時には、こういう事例が繰り返し起きていることを確認させていただいた上で、機構に設置させていただいている安全対策検討会において、内容について確認していただいた上で発行させていただいているところです。先生がおっしゃられたような事例に関しては、明確に、これという事例はなかなか機構では把握できているものでもなかったところがありまして、明確に今、どうと回答を申し上げるのは難しいところではあるのですが、頂いたような御意見あるいはそうした事例については、注意深く観察させていただき、その内容をもとに必要に応じて、こうしたものの把握を検討させていただければと思います。
○荒井部会長 たまたま中川委員はこの部会の委員でいらっしゃるのですが、例えば中川委員の病院でそういうことがあって、「今まで指摘されていないけれど気を付けた方がいい」というような意見や情報があった場合、これを受けることは可能ですか。
○品質管理・安全対策部長 正に、そのような意見を是非お寄せいただいて、今後こういう医療安全情報で、そういう事例が沢山溜まりましたら、我々としても医療関係者の方にも、併せて発信していきたいと考えております。どうぞよろしくお願いします。
○中川委員 我々もなるべく報告を上げたいと思いますのでよろしくお願いします。
○荒井部会長 行政側はそういう専門の委員の先生方の意見を聞いて、何とか情報を出すようにしている訳ですが、専門家が集まったからといって、そこで全ての情報が集めきれるわけでもありません。医療現場からと双方向からの情報は非常に大事だと思います。よろしくお願いいたします。
以上で議題5まで終わりました。その他、特にまとめて、あるいはこの点を聞き忘れたなどの御意見はありますか。よろしいですか。それでは、本日予定した報告事項は全て終了となりました。その他、事務局から何か連絡事項はありますか。
○事務局 事務局より次回の部会の日程について御連絡いたします。こちらの部会に関しては例年どおり年度の冬頃、今回は令和2年1月頃を予定していますが、別途部会での審議などが必要となる議題が生じた場合には、開催の早まることがありますので御承知置きください。なお、日程調整につきましては事務局より改めて先生方に御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。以上です。
○荒井部会長 これをもちまして、令和元年度第1回医療機器・再生医療等製品安全対策部会を閉会いたします。本日は大変有意義なディスカッションができたと思います。どうもありがとうございました。
( 了 )
 
備考
本部会は、公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局 

安全対策課安全使用推進室 副作用情報専門官 田中(内線2751)