第2回救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会(議事録)

医政局地域医療計画課 救急・周産期医療等対策室

日時

平成30年4月20日(金)
14:00~16:00

場所

全国町村会館

議事

下記のとおり
○野口救急医療対策専門官 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、第2回「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会」を開会させていただきます。構成員の皆様におかれましては、お忙しい中御出席くださいまして、まことにありがとうございます。
阿真構成員、中板構成員は本日欠席の連絡をいただいております。
参考人として、厚生労働省DMAT事務局長の小井土雄一様、兵庫県災害医療センター長の中山伸一様、日本赤十字社医療事業推進本部長の富田博樹様、株式会社NTTデータ救急医療ソリューション担当課長の三嶋大二郎様にお越しいただいております。
また、オブザーバーとして、総務省消防庁救急企画室消防・救急課救急専門官の小谷聡司様にお越しいただいております。
なお、事務局の武田医政局長、佐々木地域医療計画課長におきましては、別途公務のため欠席させていただいております。
まず、お手元の資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表、開催要綱、構成員名簿のほか、資料1から5まで、それから参考資料1をお配りしております。乱丁、落丁等がございましたら、お知らせください。
もし報道の方で、冒頭のカメラ撮り等をしていらっしゃる方がおられましたら、ここまでにてお願いいたします。
○野口救急医療対策専門官 それでは、遠藤座長に以後の議事運営をお願いいたします。
○遠藤座長 それでは、議事次第に沿って議事を進めていきたいと思います。
まず「(1)前回の議論内容のまとめ」について、事務局から資料1の説明をお願いしたいと思います。
○野口救急医療対策専門官 事務局から説明させていただきます。
資料1は「前回検討会(第1回 平成30年4月6日)における主な意見」に関してまとめております。
全体としまして、「プライオリティをつけて検討するべきではないか。」
議論の内容においては、「該当領域のステークホルダーに追加で参加していただいたほうがいいのではないか。」
「テロ等対策について検討するのであれば、項目を設けるべきではないか。」という御意見をいただいております。
救急医療に関しましては、「救急分野の人材育成・研修を考えてほしい。」という意見や、「救急科専門医をふやす取り組みをしつつ、不足している部分は、他科の協力を得る必要がある。」
「救急医療の特徴や効率化を合わせた議論が必要ではないか。」
「救急医療・災害医療ともにニーズがふえてきているため、人材育成・効率的な人材活用が必要ではないか。」という御指摘をいただいております。
「救急救命士が病院内でも働けるように検討すべきである。」
「都市部での高齢者の増加を考慮した救急医療提供体制を検討すべきではないか。」
「救急医療機関はふえているが、役割の整理やあり方の検討が必要ではないか。」
「かかりつけ医は診療時間外には患者を受けない診療所が多く、救急病院が担っている。この現状が問題ではないか。」といった御指摘がありました。
そのほか、「救急医療情報センターが地域によっては形骸化しており、改善が必要である。」
「ICTの活用を進めることが救急の搬送時及び退院時の支援になるのではないか。」
「病院前のデータと院内のデータを結びつけた全国網羅的なデータが必要であり、質の向上や改善を行うべきではないか。」といった視点がありました。
ほかにも、「初期と二次との違いを独歩・救急車の来院方法で区別をする視点や、診断の結果帰宅する外来患者と入院患者で区別する視点など」の御指摘。
「プレホスピタル及びインホスピタルの質の評価に資する尺度を設定し、取り組みを進めるべきではないか。」
「消防・行政・医療者を巻き込んで、一般の人や患者が救急受診の必要性にかかる判断が可能となるように啓発が必要ではないか。」といった御意見をいただいております。
続きまして、災害医療に関しましては、「DMAT事務局が一医療機関の下部組織という整理は不十分ではないか。」
「地域により災害拠点病院を支援する病院を指定するといった方法」に関して、御意見をいただいております。
そのほか、「災害時の対応は、支援者の視点と受援者の視点で議論する必要がある」という御指摘や、 「災害規模ごとによる体制を整理すべきではないか。」
「現有の支援チーム等を有効に活用し、DMATだけに依存しない、組織づくりを目指すべきではないか」という意見をいただいております。
「DMAT及び日本赤十字社を比較し、どれぐらい連携しているのかを示してほしい。」といった御意見や、
「ハード面のリソースや人的リソースの分析を、DMATではどうなっているかを示した上で議論すべきではないか。」
「日赤と比べますと、人数、雇用形態、支援体制や身分保障等が脆弱ではないか。」といった御指摘があります。
DMAT事務局に関しては、「新たな役割を考えると、超急性期のDMAT活動以外に長期間対応が求められる際の医療調整機能もあるのではないか。」という御指摘。
体制強化の議論では、「事務局及び事務局員をふやす、雇用形態、事務局を含めた人材育成といった議論が必要ではないか。」
「組織の位置づけについても議論すべきではないか。」
「さまざまな立場の人員を流動的に配置してはどうか。」
「災害医療を勉強し、災害時中心的な役割が果たせる教育体制もあるのではないか。」といった御指摘がありました。
「DMAT事務局が担う「教育」及び「発災時の調整」は分割し、負担軽減を図るべきではないか。」
「少数精鋭チームの育成や隊員の層別化をするという考え方もあるのではないか。」
「日本赤十字社の救護班の育成の中心となっている指導者の多くはDMAT隊員の資格を持っているので、DMAT養成プログラムは非常に参考になる。」といった御意見がございました。
「発災時の超急性期に、多くの支援チームが入るので、どのような役割があるのか、どうコーディネートするのか、よく議論してほしい。」 「AMATも含めた、災害時の医療提供体制のあり方を議論いただきたい。」といった御意見がありました。
最後に、「情報ネットワークはふだんから使っていないと使えないという点で、救急医療情報システムとEMISを統合するほうがよい」といった御意見がございました。
資料1の説明は以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
事務局によりまとめていただいたものですけれども、何か内容について御質問、御意見等はございますか。
よろしゅうございますか。
それでは、次の議題に移りたいと思います。
2番目の議題は「(2)DMAT事務局の在り方について」であります。
事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。
○北久保災害医療対策専門官 事務局のほうから「DMAT事務局の体制強化(案)について」ということで、資料2を説明させていただきます。
前回の検討会の中で、DMAT事務局の体制の現状、課題について御議論、御意見等をいただきました。
その中で明らかになったのは、いわゆる災害発生時のDMAT事務局の体制が脆弱であることと、迅速かつ効率的な対応が求められている大規模災害に備えて、バックアップできる人員というのがちゃんと制度的に得られる体制が望ましいのではないかという御意見、それから、今の資料1にありましたような御意見等々をいただいたところでございます。
今回の検討会におきましては、資料の1ページ目にありますとおり、まず、大まかな方向性を提案させていただければと考えております。
「DMAT事務局の体制強化の方向性(案)」といたしまして、対策の方向性を上の青い四角の中に書かせていただいております。
対策の方向性として、先ほどのいろいろな問題点、課題等を踏まえまして、これから考えられる大規模災害に備えて、以下の対策を講じてはどうかということを考えております。
一つは、DMAT事務局の人員増強を行うということ。併任等を減らし、常勤のロジスティクス専門員等の配置を考えてはどうかと考えております。
もう一つが、DMAT事務局を、大規模災害時に他の病院等からロジスティクスを含めた災害医療の専門知識を持つ者の応援が得られる体制を整備してはどうかということを考えております。
こういった大まかな方向性の中で、今後検討を進める対策の具体策としまして、中段の枠の中に記載させていただいております。
今後検討を進める対策の具体策として、第一ですが、DMAT事務局に専任の事務局長・次長を置くとともに、ロジスティクスについて一定程度知識があり、指導できるロジスティクス専門の常勤職員を配置することを考えております。
これらの方々については、平時は研修や企画等も実施していただくことを考えてございます。詳細はまた後で申し述べさせていただきます。
第2ですが、DMAT事務局が病院内の組織となっている現状を改め、大規模災害時に、他の病院等からDMATの派遣調整等ができる職員がDMAT事務局に参集できる仕組みを構築することを考えてございます。
第3ですが、あらかじめDMAT事務局を支援する団体(専門家)を決めておき、これは仮の名前ですけれども、災害時にDMAT事務局におけるリーダー人材であるDMAT事務局参与を任命して、外部から応援が得られる仕組みを構築することを考えています。
こういった支援団体や参与につきましては、厚生労働省の防災業務計画等に明記し、制度として明確に位置づけることを考えております。
最後に、支援団体(参与)になる者などを対象としたDMAT事務局業務のための研修事業を創設し、DMAT事務局の業務ができる人材の養成を行うことを考えています。
これらの制度を具体的にイメージとして書いたものを、2ページ目に示してございます。
通常の業務に従事している人員はいるのですけれども、いわゆる南海トラフ大地震のような巨大地震が起きた場合、真ん中の下のほうに被害想定等を書かせていただいてございますが、静岡から宮崎までの10県でこのような被害が想定され得るということで、内閣府のほうからこのような報告が出てございます。
こういったことを考えますと、DMAT事務局の人員だけでは足りない。前回の審議の中でも、熊本地震の被害があったときの業務というもので、外からかなりの応援が入ったということを報告させていただきました。
こういった状況を踏まえまして、DMAT事務局の支援団体を設け、こういったところからの外部の応援が得られるような仕組みを考えています。
右上のほうをごらんいただければと思いますが、まず、そういった大規模な災害が想定され得る場合は、厚生労働省のほうからDMAT事務局支援を、DMAT事務局の支援団体に要請することを考えております。
DMAT事務局の支援団体という方々は、あらかじめ指定しておく。もちろん強制的にということではなくて、あくまでそういった意志を持つ団体に対して指定をしておき、そういったところから専門家の方々やロジスティクス要員を派遣してもらうということを考えてございます。
こういった方々の応援を受けて、DMAT事務局のメンバーとあわせて、重点受援県のようなところに医師やロジスティクス専門の方々を、被災都道府県の災害対策本部、保健医療調整本部のほうに派遣し、DMAT事務局とともに災害医療の支援を行ってもらうということを考えております。
事務局のほうから体制強化の案について説明しました。以上でございます。
最後の3ページ目につきましては、前回の第1回の検討会の資料でつけさせていただきました、DMAT事務局の体制と課題についてを、3ページ目におさらいということでつけてございます。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
事務局から検討するべき案が出ておりますけれども、これについて御意見、御質問等があれば承りたいと思います。
いかがでございましょうか。
山本構成員、お願いします。
○山本構成員
まず、体制の強化というのは大いに賛成で、常勤職員を置くということはより強化されるということで期待する中で質問です。
1点目は、事務局長と次長というのは、先ほどの資料のところに東のDMAT事務局としての事務局長、事務局次長ということで、東だけにするのか、東と西の両方に常勤を置くという構想でいらっしゃるのかどうかということの確認と、もう一つの点は、先ほど南海トラフの話が出たときに、例えば南海トラフだと恐らく東のDMATが動くのかという気もしつつ、一旦支援団体がDMAT事務局に集まってから派遣となると、すごくタイムラグがある中で、恐らく南海トラフだと私のいる兵庫県の知事は関西広域連合の連合長なのですが、南海トラフが起きたら、多分関西広域連合としてもすぐに派遣するということをするのではないかというときに、私自身はDMATならDMATというルートがあってもいいし、関西広域連合なら関西広域連合のルートで、幾つかのルートで送り出し側というのは余り調整する必要がないのではないかというのが私の感覚で、現地にそろったとき、現地の受援県のほうでの災害医療コーディネーターがどううまく機能していくかのほうが課題かという気がしているのです。事務局の案としては、送り出し側に関して全国統一するということなのか、DMATがあっても、関西広域連合があっても、それぞれがそれぞれに送り出しをやってもいいのではないかという設計思想なのか、2点についてお聞きしたいのです。
○遠藤座長 事務局、お願いします。
○北久保災害医療対策専門官 ありがとうございます。
最初の質問で、東西のほうに置くのかどうかという話ですけれども、具体的に組織のあり方としてどうするかということは、また別途詳細に検討させていただきたいと思っておりますが、物理的に東と西に事務局があるというのはリスク分散的には必要だと考えておりますので、ここはそのまま今の状況とあわせて堅持したいと考えております。
もう一つの御質問でございました、送り出し側の関係で一回事務局のほうに集めてというふうに見える形になっていますけれども、物理的に一回、まずDMAT事務局に人が行くということはもちろんあるのですけれども、山本構成員のおっしゃったように、直接その支援団体のほうからDMAT事務局と連携していただいて、直接被災の都道府県の災害対策本部等に入っていただくということはそのとおりだと思いますので、そういった形になるかと思います。
以上でございます。
○山本構成員 ありがとうございます。
○遠藤座長 よろしいですか。
ほかにいかがでございましょうか。
横田構成員、お願いいたします。
○横田構成員 この案に関しては全く賛成で、特に異論はないのですけれども、今後検討を進める対策の具体策という部分に、前回も議論のあった今後の人材育成という部分も、一言でもいいので何か組み込んでいただけると、さらに中長期的な視野に立った方向性が出るのかと思って聞いていました。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに御意見はございますか。
森村構成員、お願いします。
○森村構成員 森村です。御検討いただき、ありがとうございます。
私からは質問が1点で、その上での御提案なのですが、DMAT事務局の設置の要綱、目的といったものはございますでしょうか。冒頭提示されているならば失念していて申しわけないです。
類推するに、発災時の今までの議論ですと、調整、教育といったところを念頭に置きながら、私自身は議論を進めてきたつもりなのですけれども、そこのあたりが明記されているものはあるのでしょうか。
○遠藤座長 事務局、いかがでしょうか。
○北久保災害医療対策専門官 DMAT事務局の活動要領がありまして、おっしゃるとおり、大規模災害時の活動、平時の教育、研修の関係のことも使命になっております。あとは隊員の管理とかいったことや、日ごろのDMATのあり方の検討とかについても、平時の使命として位置づけられてございます。
○森村構成員 では、その上でなのですけれども、発災時の調整機能を外部の組織が人員を派遣して事務局を支援するという考え方と同様、平時の教育の機能についても、「閉鎖的な教育提供体制」を脱して、モジュール化した教育のコンテンツを外部、特に大学を中心とした教育機関がその開発に強く関与して、分担して教育に当たる仕組みを作ることも、事務局負担軽減につながると思います。またそのような仕組みができれば、広く有識者の眼を通すことによって教育の内容の偏重が避けられるのみならず、改善に向けた改訂が容易になると思います。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
ほかに。
大友構成員、お願いいたします。
○大友構成員 私は前回、このDMAT事務局は一国立病院機構の病院の下にあるべきではない、分けるべきだと申し上げました。
一方で、病院にぶら下がっていることによって、熊本地震のときの人員の派遣は、前回説明がございましたけれども、発災直後に30人の人員を熊本に派遣しているのですが、そのうち外部からの者は2名で、28名は災害医療センターから出ている。ですから、外部支援のところを相当強化しないと、早期の対応に関して、つまり、病院にぶら下がっているからこそ病院からぱっと人が出せるというメリットも裏側ではあるので、切り離すのはぜひそうするべきですけれども、外部支援のシステムをよほど強化しないと、今までのような機能が残らないと思います。ぜひそこをよろしくお願いしたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
事務局、何かコメントはありますか。特段必要はありませんか。
○北久保災害医療対策専門官 いただいた御意見を踏まえて、検討させていただきたいと思います。
○遠藤座長 わかりました。
島崎構成員、どうぞ。
○島崎構成員 私は防災の専門家ではありませんが、組織論としてお伺いしたいと思います。今の大友先生のお話にもありましたとおり、DMATの事務局が災害医療センターにぶら下がっていることのメリットもあればデメリットもあると思うのですけれども、先ほど、「それに代わる、それを改める場合の組織のあり方については別途」と言われてしまうと、この検討会として何をどう議論すればいいのかということになると思います。いろいろ調整を要することがあり、勝手にこういうことはできないというのは十分わかりますけれども、もう少し、例えば何が問題で、したがってこういう権限を持たせる組織を考えるとか、ある程度ぎりぎりのところまで御説明いただかないとイメージがわからないと思います。
ついでに言えば、一医療機関の一病院内の組織になっているという問題が、病院の下部の組織だからほかに対して命令を発動することはできないという問題なのか、実際そういうことが起こるという話なのか、がはっきりしないように思います。もし権限の話だったら、権限をどのようにするかという問題になるでしょうし、先ほどおっしゃったように、厚生労働省の中だけでおさまらない可能性だってありますね。いずれにせよ、いろいろな御事情があるのは私も理解できますけれども、その辺のイメージをもう少し御説明いただきたいと思います。
もう一つ、研修の機能を平時の機能として位置づけることについては別に異論はありませんけれども、本当にそれだけの平時の業務量があるのか。例えばロジスティクスの専門員であるとか、事務局長とか次長を専任としたときに、必ずしもこの研修だけで平時の人件費を賄うのではないのかもしれませんけれども、研修に見合った業務量があるのでしょうか。
その辺はどうお考えなのかお聞かせいただきたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
事務局、お願いいたします。あるいは御専門の構成員の方でも結構でございますけれども、いかがでございましょうか。参考人でも結構でございます。
○北久保災害医療対策専門官 私の説明の後に、詳細については小井土先生からも御意見があればいただければと思いますが、最初の3ページに書いてございますけれども、下段の組織にあるとおり、DMAT事務局というのは現在、厚生労働省の指示のもとに業務を行っているのですが、病院の院長のさらに下の一部門の組織になっておりまして、外部からの応援をするときに、なかなか応援しづらいというか、そういった状況があったと聞いてございます。
そういったことを踏まえると、まず、病院の中の一つの組織として、一部門としてあるというのは、外部からの応援がしづらいのではないかということを伺っております。
あと、平時の業務量につきましても、もちろんロジスティクスの研修というのは確かにあるのですけれども、当然研修だけではなくて、DMATそのものの業務のあり方というのは、日ごろの準備、平時からの備えというものがありますので、こういったこともやってもらっていますけれども、こういったことの強化にもつながるかと思います。
詳細に関しては、次回以降の検討会の中でも改めて、もう少し詳細に明らかにして御議論していただくという形を考えてございます。
私からは以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
山本構成員、どうぞ。
○山本構成員 研修というか訓練にしても、恐らく非常勤職員だからキャパシティーが小さいのですけれども、常勤になればキャパシティーが大きくなる中で、全国の本当にいろいろなところと常勤職員のかたが顔の見える関係ができることが最大の成果かと思っているのです。
教育とか学ぶというよりは、そこで人と人の顔が見えて、ましていろいろなグループワークとかディスカッションすれば、相手のキャラクターもわかってきますし、その後に飲み会をやっていればますます人柄までわかるので、そうすると、あいつは何でも大げさに言うやつだとか、あいつが困っているときは本当に困っているときだという、顔が見える関係ができることこそ、常勤の人間がいて、全国のそういうキーパーソンとつながるということが大きな効果ではないかという期待はしているのです。
○遠藤座長 ありがとうございます。
関連で。
森村構成員、小井土参考人の順番でお願いします。
○森村構成員 ありがとうございます。
教育に関して、顔が見えることはある意味、非常にいいと私も思いますが、顔が見えなくてもできなければいけないのがプロフェッショナルであるので、顔が見えることを目標にするわけにはいかないと思っています。例えば全国の緊急消防援助隊や警察は全員顔が見えているわけではないですけれども、一律同じ行動規範のもとで連携しておられると思います。
そういった意味では、教育は顔が見えない中で標準化して、練度の高い隊員を育成することが大事であります。質を高めるためには、教育や研修、そして訓練を受けた際のフィードバックがきわめて重要であることは周知の事です。そのフィードバック法は客観的な指標に基づき、明確になされる必要がありますが、現状の研修や訓練では残念ながら個々の参加者あるいはチームには全くフィードバックされておりません。本部構成員あるいは企画者(コントローラーと呼ばれていますが)にとっての訓練にはなっているのかもしれませんが、参加者はまさにゲームの「プレイヤー」にすぎないのが現状です。その「プレイヤー」と呼ばれているひとりひとりは、各病院にとって、平時の救急医療にフロントラインで従事している者たちであり、繁忙の業務の合間を縫って参加している者たちです。彼らが持ち帰ってくることは決して多くありません。学会や研究会などでもずっと課題であると、発言してまいりましたが、このような研修体制の課題を克服しなければなりません。この点においても、教育体制を外部から協働で連携していくことの重要性が伺えると思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
小井土参考人、お願いします。
○小井土参考人 DMAT事務局は、隊員養成研修から始まって、技能維持研修とかブロック研修を合わせると、120日間ぐらい研修を行っています。それで、その前後の準備だけで年間全て埋まってしまうという状況です。この教育と実行部分が合体しているのは、私たちはずっと教育してきて、阪神・淡路以降災害医療をつくってきたわけですけれども、大きな災害があるたびに、実際に経験されたことを、東日本でもそうですし、今回の熊本でもそうですし、PDCAサイクルを回すようにフィードバックしていくということで、そういうことから考えると、教育と実行部分が合体しているということは非常に重要かと思っています。
また、先ほど山本先生に言っていただいたように、顔が見えなくてもできるのがもっといいと思いますけれども、今回の熊本では、向こうの熊本県の行政の人たち等も都道府県研修等を通して顔の見える関係がありましたので、多くのところで通信が途絶えたり、いろいろな障害が起こるわけですけれども、そういう中で、あうんの呼吸でできたということは非常に大きなことだったと思います。
もう一つ、最初の課題ですけれども、一病院にぶら下がっているとという話ですけれども、指揮命令系統から考えると、厚労省からの指揮命令系統の中に病院が入っているということで、病院はやはり今、出資のこととか、経営のこととか、院長先生の方針とか、さまざまなことがありますので、そういうことに非常に私たちが左右されてしまうということで、指揮命令系統の中からも独立してやらせていただいたほうが迅速に、効率的に活動できるのではないかと考えているところであります。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
島崎構成員、よろしいですか。
○島崎構成員 先ほどの専門官のお話で、次回もうちょっと具体的な議論ができるようにという話なので、今日のところはそれで結構です。
○遠藤座長 わかりました。
ほかにございますか。
加納構成員、どうぞ。
○加納構成員 2ページの確認なのですが、この例でいくとDMAT事務局の支援団体から、医師5人、ロジ40人程度の派遣という形で事務局に行くわけなのですけれども、この下に想定されている東海、南海トラフ等でありましたら、広域で一気に被災を受けて、右上にあります被災都道府県災害対策本部のほうに、今想定されている10あれば10の拠点ができてしまうわけです。そうなったときに、例えば支援団体がこのように派遣する場合、いちいちセンターへ派遣者を名簿として派遣するという意味でいいわけなのでしょうか。当然ですがわざわざ東京、大阪に集まってからまた行くわけではない、ということで理解していいわけですね。
○遠藤座長 事務局、お願いします。
○北久保災害医療対策専門官 おっしゃるとおりで、わざわざそういうところに行くということではないと思います。もちろん情報の共有は必要だと思いますけれども、物理的にわざわざ事務局のほうに行ってということはないと考えてもらって結構でございます。
○遠藤座長 ほかにいかがでしょうか。
それでは、一通り御意見いただきましたので、事務局におかれましてはいろいろと御意見が出ましたので、また検討を進めていただきまして、次回以降の検討会で再度資料を提出していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次の事案に移りたいと思います。「(3)広域災害・緊急医療情報システム(EMIS)について」は、まず、EMISの概要について資料3に基づいて三嶋参考人より、次に資料4について中山参考人より、最後に事務局から資料5について、続けて御説明をいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○三嶋参考人 お手元の資料3に基づきまして、最初にEMISの概要を御説明させていただきます。
資料の1ページになります。まず、EMISの概要としまして端的に申し上げますが、このシステムの目的は災害医療にかかわる情報の収集・提供、そして迅速かつ適切な医療・救護活動を支援することを目的に置いてございます。
主な利用者は、記載しておりますとおり、厚生労働省様、都道府県様、そして全国の医療機関、DMATなどの医療支援チームに御利用いただいてございます。
システム機能ですが、大きく3点ございます。
1つ目はEMIS基本機能でございます。こちらは緊急時入力、詳細入力といった機能をよく皆様でも御理解いただいているかもしれませんが、これらの機能を使いまして、医療機関の被災状況や受け入れ患者数などを登録いただき、共有する機能でございます。
2つ目はDMAT管理機能です。こちらはDMATの派遣要請、活動状況を管理し、共有いただくものになっております。
3つ目はMATTSという略称で呼ばれることが多くございますが、医療搬送患者管理機能でございまして、医療搬送対象の患者様、航空機などを管理し、共有いただくといったものの機能でございます。
2ページに移ります。EMISを運用開始いただくことになった経緯を簡単に御説明いたします。
まず、このEMISを開発するに至った経緯でございますが、こちらは「阪神・淡路大震災を契機として災害医療体制のあり方に関する研究会」の中に「災害時における医療対策に関する緊急提言」がございました。これに基づきましてシステムを構築してございます。
その中には、まず阪神・淡路大震災時の課題としまして、県庁様、市役所様などが被害に遭われたこと、通信の混乱などが起きたことから、医療機関の被災状況、活動状況といった情報収集が困難になったという課題を受けまして、下に参りますが、被災地の医療機関の状況、全国の医療機関の支援申出状況を行政機関などが把握できることが必要という提言をいただきまして、これに基づいてシステムを開発してございます。
3ページに、運用を開始した後の経緯を簡単まとめさせていただきました。
今、申し上げたような経緯で、赤字にしておりますとおり、平成8年にEMISの運用が開始されてございます。
その後、平成15年にはシステムを稼動するデータセンタを東西の2カ所にするといった形の変更を加えてございます。
平成17年に日本DMAT発足に伴いまして、平成19年にDMAT管理機能を追加してございます。
同年、平成19年でございますが「東南海・南海地震応急対策活動要領」につきまして、被災各県に広域搬送拠点を設置するということが決まっておりますので、それに対応するように機能の追加を図りまして、平成22年にMATTSを追加してございます。
平成23年は東日本大震災がございましたが、そこにおける震災時の課題などを検討した結果、現在お使いいただいているEMISをリニューアルしたタイミングで救護班、避難所、救護所管理機能を追加しているといったのが、EMISが稼動した後の経緯でございます。
4ページと5ページには、EMISの全体像を図示させていただきました。
4ページから御説明いたしますと、こちらはどちらかといいますと、システム構成という観点で図示した資料でございます。
上にございますとおり、データセンタは西日本データセンタ、東日本データセンタという2つの体制をとってございます。
被災地域内、被災地域外から情報登録をいただきますが、左下のピンクの四角の中でございますけれども、こちらが被災地域内を想定してございます。ここに位置する医療機関の皆様には被災状況、具体的には患者様の受け入れの可否を含めて登録をいただくようになってございます。
被災地域外に関しましては、被災地域からの患者受け入れの可否の登録などをいただきまして、情報を全て集約した上で御関係者に情報の閲覧、活用をいただいているといったところでございます。
5ページは、機能という観点で、かりやすく図示をしたものでございます。
3つの機能のうち、多く皆様にお使いいただきますのはEMISの基本機能といったところでございます。被災地域内や被災地域外から登録をいただいた情報は基本的にここに集約され、活用されてまいります。それらの情報をもとにマル2、マル3とつけておりますが、緑の丸のDMAT管理機能、紫色の丸の医療搬送患者管理機能といったところを、部分的には必要な方、御関係者になりますけれども、御活用いただいているといったシステム機能の大枠になってございます。
6ページでは災害時の運用という観点で、どのように御利用いただいているかというのを示してございます。
縦軸は御関係者、横軸は時間軸を示します。
まず、災害が発生いたしますと、厚生労働省様によりまして、災害対応体制の移行指示をいただくことになります。少し下になりますが「医療機関(被災地)」といったところをごらんいただきたいのですが、その後、被災地域の医療機関に被害状況や支援の要否などの情報の報告をいただきます。
これを受けまして、厚生労働省様、都道府県様が、システムを通して被害状況の把握をしていただき、あわせて、ピンク色の帯のところになりますが、都道府県様やDMAT事務局の皆様には、DMAT医療チームの派遣の要請・調整をいただきつつ、迅速な被災地への参集・医療活動の支援をいただくといったところでございます。
そのほか、時間が経過しますと、緑の枠になりますけれども、被災地外の医療機関様が中心になりますが、被災地の患者受入・治療に役立てていただいたり、DMATの皆様には被災地外への広域搬送といった観点で、情報機能を御活用いただくという流れになっております。
7ページ以降は少しグラフなどを用いまして、EMISの利用者様の状況を御説明させていただきます。
まずは、都道府県様の加入状況でございます。グラフが示しますとおり、平成25年度に全国47都道府県様の御加入が完了いたしまして、それ以降は全ての都道府県様で御利用いただいているといった状況になってございます。
8ページは医療機関という観点で資料を作成してございます。
ピンク色の棒が病院を示しておりまして、緑色は診療所を示してございます。
グラフをごらんいただきますとわかるとおり、平成26年度以降、全病院を登録いただくという促進の取り組みをいただきまして、平成29年には病院という観点では90%を超える機関にシステムの登録をいだたいて、御活用いただいているという状況でございます。
9ページに移ります。こちらは医療機関以外のその他の御関係者の利用者数を示したものでございます。
グラフでおわかりいただけますとおり、医師会、市区町村、保健所様については、年々御利用者の加入率がふえているというのがおわかりいただけるかと思ってございます。
10ページには各機能の権限を示してございます。縦軸に各機能、横軸に御関係者様を配置してございます。
右端になりますが、厚生労働省様やDMAT事務局様、都道府県様に関しましては、入力系、参照系ともに、基本的に全ての機能を御利用いただけるように設定してございます。
それ以外の御関係者につきましては、必要な箇所を中心に御利用いただける機能を設定させていただいているといったところでございます。
11ページ以降は、御参考までに緊急時入力、詳細入力を初め、EMISの重立った機能の画面をつけさせていただきました。詳細な御説明は割愛させていただきますが、ぜひこちらについても御確認いただきたいと思ってございます。
御説明としては以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
引き続きまして、中山参考人よりお願いいたします。
○中山参考人 それでは、お願いいたします。資料4です。今のを踏まえまして、私自身は厚労省の研究班の分担研究員として、阪神・淡路からの成り立ちを存じ上げているという点でDMATをやっている観点から、このような開発のところに研究を通して意見を申し上げてまいりましたけれども、いわゆるITおたくでも何でもなくて、ユーザー側の立場でいろいろ申し上げてきました。
資料4でございますけれども、1ページ目については既に紹介がありました。
2ページ目のところで、簡単に申し上げますと、阪神・淡路の後はいわゆる基本機能、医療機関の被災状況をどう集めるか、共有するかというところがもちろん基本的で、これは今もそのとおりであります。
その後のDMATや広域医療搬送等々の発展に合わせて、かなり多機能化してきた。システムとしてはかなり肥大化してきたという傾向になります。
DMATについて若干簡単な御紹介をいたします。3ページ目ですけれども、本当に1画面でありますが、熊本地震のときに、例えばDMATというのは、ほかの救護班でもある程度共通するのですが、全国から1チームが5人ずつのような小さなチームが被災地に集まって活動するというところで、いわゆる通称ネットワークセントリックオペレーションと言われますが、情報を皆で共有するところで一方向を向いてといいますか、必要なところに支援を届けるというところで、インターネットを使ったこのシステムであれば、電話の1対1対応とか連絡とかではなくてできるということで、DMATの誕生とともに、こういったシステムがいわゆるDAMT管理という格好で発達していったという経緯がございます。
実は今週、DMAT研修の1回目を神戸でもやっているのですけれども、DMATのり4日間のトレーニングのうち、そこでは必ずこのEMISの研修というのが入っておりまして、こういうDMATの活動のところの入力の仕方、参照の仕方。
一方では、先ほどの病院の被災状況の代行入力。病院が発信できない場合が多々ある。原因はいろいろあるのですけれども、それは今は置いておきまして、代行入力をするという権限を与えられておりまして、その代行入力の仕方とかをまず隊員養成研修のときにしっかりと押さえるというふうになっております。
そういったところから、次に4ページ以降に入りますけれども、DMAT創設時はいわゆる重症の外傷を中心にお世話するというスタンスでしたけれども、やはり東日本を通じて、必ずしもそうではないと。被災地で必要な医療は急性期からさまざまあるという中で、一つは救護所の医療、避難所の医療がクローズアップされまして、4番目にあっては、その救護所の活動をどう日報的に上げるかというところが必ずしも標準化されていなかったわけですが、現行のシステムではこのJ-SPEEDというものを搭載しまして、それを全てのDMATはこれを、できればEMIS上で上げて分析をするということになっています。
これは御存じの方もいるかもしれませんが、フィリピンの台風ハイエンのときに、WHOの提案等々もありまして、そこに日本の方々が開発に携わり、それがいわゆるSPEEDという格好で活用されました。それを今、日本に逆輸入というか、日本が開発したもので、世界にミニマムデータセットという格好で普及しつつあるとはお聞きしますが、それに準じたものをEMIS上も搭載し、もしネット環境が悪い場合とか、DMATが救護所で巡回診療をするような場合は、紙ベースでもこれに準じてやるということにしております。
5ページになります。熊本地震ではそれを初めて運用したのですが、実は紙での報告とかがいろいろ多かったわけですが、それを電子化、集計ということは、実は中央にありますそれぞれの調整本部にデータを集めて集計し、産業医科大学のほうでそれを分析をして、例えば変化とか、データ推移、トレンド等々を分析していったということをやっております。
これはまだEMIS上では単独でできませんけれども、今後こういったデータの分析、つまり、インフォメーションからインテリジェンス化といったあたりで、さまざま考えていかないといけないことはあると思っております。
これを通じて、例えば6ページですけれども、ノロウイルスの感染症の発生頻度がこのように4月21日から26日にかけてアウトブレーク的にあったわけですが、それを早く探知して対策が打てて収拾したということが報告されております。
7ページと8ページに移ってまいりますが、7ページにおいては、熊本地震のときの私の分担研究での分析ですけれども、EMISの活用について分析しております。
その一部ですが簡単に、8ページをお示しします。これはいわゆる基本機能である病院の被災情報がどの程度発信されたかということがグラフになっております。
まず、前震と本震がありましたので、左と右でそれぞれグラフが別にありますが、どちらを見ていただいても構わないと思います。要は、地震が起こりますと、それぞれの医療機関が基本機能を使って発信していただければいいのですが、この緑が入力率であります。これがすぐにばっと100%になることはあり得ないのはわかるのですけれども、少し時間をかけて、12時間以内に80%程度には達しておりますが、100%にはなかなかならないというところと、この80%になって割といいかなということですが、下が何を示しているかといいますと、これが自機関、つまり病院自身で発信されたところと、代行の入力、これは実は県庁であるとか、DMAT事務局であるとか、統括DMATであるとか、実はDMATが結構代行入力をしているわけですが、その率を示しております。濃いほうが代行入力なので、代行入力が8割、自機関で発信できたものは2割程度にとどまっております。
最初の8割というのは自機関で発信できたように思いますが、これは上の入力率は23%とか、本震以降も46%ということを掛け合わせますと、実はほとんどある一定の期間は、恐らく意識のあるところは発信できるのだけれども、こういうEMISのことに対する意識が低い、よく知らないといった病院は、実は発信がずっとできていないということを裏返しているのだと思います。これの入力率をどう上げていくかということは、ゆゆしき問題だと考えております。
余談になりますけれども、私自身は阪神・淡路以来このシステムができた経緯等々を事あるごとにお示しして話してきましたけれども、熊本でもまさかこういうことになるとは思わなかったということを聞きましたし、25年から全病院化をする方向には行っているのですが、たとえ全病院化しても、自分の病院がこれを発信することの意義をわかっていないと意味がないということになるかと思います。
次に進みますが、9ページと10ページに入ります。これは昨年度の29年度の報告でまとめたもので、字が多いのですけれども、これは熊本地震のDMATにアンケートを行ったものの概略になります。
総じて、このときに活動した連中が現行のEMISに対してどう思っているかということをこの2つのページで示しておりますが、まとめると10ページになります。まず、9ページにも書いておりますが、システムの操作性に関する改良を求むというか、円滑な動作、何しろわかりにくいので視認性、デザイン性の問題、経時的な変化を確認できる。これは例えば先ほどのJ-SPEEDのようなことでもそうなのですけれども、トレンドがわからないというところがあります。
それから、常時接続でやっておりますので、それぞれずっとデータを発信して、例えば入力を途中までやっても、電波というか、いわゆる通信が、インターネットが遮断されるとそれでだめということも起こりますので、オフライン作業でのデータ蓄積。つまり、被災地の中では通じないところでも、データをある程度入力して、それが通じるところで発信できるようになっていない。かつ、それによってずっと常時接続だと、システムとして非常に重たくなるという欠点が以前より指摘されて、それを裏づける結果のアンケートになりました。
10ページに書いておりますけれども、いわゆるアプリケーションをいろいろ開発する中で、システム本体は軽くできるのではないか。それから、DMAT以外のチームもこれを活用していくならば、それぞれの医療チームの一番関心のあるというか、関係のある業務に関するアプリを作成することによって、システム本体は軽くなっていくのではないかということを意見としては述べております。
11ページに入りますけれども、その中でEMISに習熟していかないといけないので、ここには研修体制が非常に大事だということを書いておりますのと、普及のためにトレーニングとしてeラーニングを初めとするさまざまな工夫、それから、いわゆる練習モードといいますか、そういったものもつくらないと、なかなか難しいのではないかと考えます。
もちろん研修体制といいますか、今だったらDMATしか満足に使えない状況と言っても過言ではないかもしれませんので、それだけの研修を全ての機関の医療チームに課すということは現実的ではありません。したがって、他の形のトレーニングは容易になるようなところ。それから、最初に戻りますが、よりユーザーフレンドリーにすることで、それが可能になるのではないかと考えております。
以上をまとめますと、12ページになりますが、かなり肥大化してきた中、利用団体も増加する中、操作性の悪さ、システムの重さといったところで使い方がわからないとか、そういう弊害が出てきていると言わざるを得ないので、下に書いてあるような解決への方向性を探る段階に来たかと考えております。
ただ、今やEMISなしに日本の災害医療が展開できるかというと、ネットワークセントリックオペレーションを目指す中ではやはり非常に大事だと考えておりまして、それだからこそこういった検討が必要だと考えております。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
引き続きまして、事務局から説明をお願いします。
○北久保災害医療対策専門官 資料5を事務局から説明させていただきます。
先ほど資料3、資料4につきまして、三嶋参考人、中山参考人から現状、問題点、課題等について説明いただきました。それに基づきまして説明させていただきたいと思います。
まず、1ページ目をお開きください。EMISの主な機能と、想定される主たる入力場所、入力者について簡単に概略の表をつけさせていただいております。EMISにつきましては、今やもう病院の9割が入っている、ものすごくポテンシャルの高いシステムになっていると思います。
医療機関情報としまして、先ほどの資料3で言いますと、11ページ以降のあたりから説明がありましたが、こういった発災直後の医療機関のライフラインや建物の倒壊情報について、すぐに9割の病院が入力して発信ができるということで、情報の収集に関しては大変強力なツールになっている、ポテンシャルがあるのではないかと考えております。入力場所は医療機関、入力者は事務職員が打つという形になっております。
その下に主な機能として、本部情報、広域医療搬送情報と、先ほどの資料3でありましたが、いわゆるDMATの管理機能、医療搬送患者の管理機能がこういったものでございますけれども、こういったものを入力されている方は、都道府県の災害対策本部や厚生労働省、航空搬送拠点といったところでありまして、実際に入力されるのは都道府県の災害対策本部の方々や、そこにいらっしゃるDMATのような方々が入力されるという形でございます。
避難所や救護所、各チームの活動状況などにつきましては、それぞれ入力場所は現場でございまして、入力される方は医療チームの方々でございまして、いろいろな方々がいろいろな目的で使うシステムが一緒になっているといった形になっております。
今度は画面の例を挙げさせていただければと思います。
2ページ目は発災初期に使う緊急時の入力でして、これは医療機関の方々が入力される画面を例示してございますが、今や9割の病院がEMISのアカウントを持っていて、発災初期の医療機関の倒壊状況やライフライン、患者の受診状況等々を即時に発信できるという形になっておりますが、実際、先ほどの中山参考人らの研究結果のとおり、最初に自病院で発信できたのは2割にとどまっている。12時間後には8割の方々が情報を発信できたとありましたが、発信された方々の分析を見ると、代行機関、DMATの方々が医療機関のかわりに入力しているといったことでありまして、今や9割の病院がEMISに登録されているのですけれども、本来即時性ということを考えているのであれば、災害の専門家でなくても使用できるようなものが望ましいのではないかと考えてございます。こういったことをやるためにはどうしたらいいかということを、今回論点としてお示しさせていただければと思います。
医療機関の発災直後の情報の発信として、緊急時入力のインターフェースの画面がありますけれども、必要な情報を全て網羅しているかといったことも御議論いただければと思います。
3ページをめくっていただきたいと思います。こちらは例として、先ほど本部情報や広域医療搬送情報等々、いろいろ入力者が異なりますということで1ページ目に資料を整理させていただきましたが、こちらはDMATの方々と医療チームの方々の活動状況がモニターできる情報になっております。こういったDMATなど、各医療チームの活動情報を使うというのが、普通の医療機関ではなくて、災害医療コーディネーターの方々や、もちろん都道府県の職員の方々がこの情報をモニターするというものですけれども、これもそもそもここで必要な情報は全て網羅しているのかどうか。
それから、これを実際に入力されている方々というのは、現場で活動しているDMATやほかの医療チームの方々なのですけれども、こういった方々の活動情報を入力するのは、情報通信環境がよくないことも当然ありますので、こういったことを考慮してオフラインでの作業といったことも必要だという御議論もいただければと思います。
以上、4ページ目の最後になりますけれども、こういった入力項目によって想定される主たる入力者が異なるので、機能ごとの「利用者」に応じた使いやすさが必要ではないかと考えてございます。
御議論いただきたい内容としては、主に3つ掲げてございます。まずはEMISの持つべき機能、扱うべき情報について整理すべきではないか。EMISの一番強いところは、発災初期の超急性期の情報がすぐに上がってくるといったところです。
それから、先ほど中山参考人からもお話がありましたが、避難所等々の経時の情報などについての必要性ということもありましたが、その持つべき機能、扱うべき情報というのをどこにプライオリティを置いて考えるべきか。それから、どのような情報をどのように整理してそれぞれで使うかということを整理すべきではないかということがまず一つです。
EMISの利用者の多様化に対応するため、各利用者にとって扱いやすいEMISとはどのようなものか。先ほどシステムの使い方が、非常に動作が遅いということが、中山研究班の研究報告の中でDMAT側のユーザー側の意見としてございましたが、こういった情報を整理して、それぞれが使いやすいEMISになるためにはどのようなシステム構成にすべきかといったことも御議論いただければと思います。
今後、EMISに追加、付加すべき機能等があるかといったことも、あわせてこちらの検討の中で御議論いただきたいと思っております。
事務局からは以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ただいまお三方から御報告いただきました。特に最後は事務局から議論していただきたい内容という具体的なものが出ておりますけれども、これらについて御質問、御意見をいただければと思います。
山本構成員、お願いいたします。
○山本構成員 資料3の2ページのところで、そもそもこの経緯というところで、私が当時の研究会の担当の課長補佐でしたので、当時の設計思想がどうであったかということで、温故知新ということでお伝えしますと、もともとの強い問題意識がどこにあったかというと、被災地の中でも患者が殺到している医療機関と、逆に患者がまばらな医療機関があったということの中に、もしも医療機関同士で、例えば患者のそういった状況が情報共有できていれば、お互いに助け合い、あるいは患者をそちらにということができるのではないかという問題意識の中で、できれば情報共有のシステムをつくりたいというのがあったのです。
一方、当時の背景として、救急医療情報システムが都道府県単位ごとに既に整備されていて、通常の救急の要請に対して、どこの病院の病床があいているかの情報を入れるというシステムがつくられていたのですが、それがほとんど機能していないという批判をすごく強く受けていた時代なのです。
それは当たり前で、病院がふだんからデータの入力をするということが日々の診療の中で困難ということで、結局システムはあるけれども動いていないという状態の中で、広域の情報システムを別個につくるという設計思想があり得たのですが、そのときに私は両方担当している課長補佐でしたので、従来の救急医療情報システムをふだんから使わせるようにしていく。
一方、災害時だけ使えるシステムは、ふだん使っていないと絶対使えないということで、これをコンバインした形で、ふだんから使う救急医療情報システムの上にオンする、上乗せすることによって機能していくものにしたいという設計思想だったのです。
あとはいろいろな予算とかの関係からも、救急医療情報システムは7年ぐらいで更新するので、更新時に合わせて上乗せ部分を付加していくもので、いずれ47都道府県全部が、広域災害部分だけでも共通仕様をつくろうというのが、先ほどから示されている基本機能というところです。特に被災状況、患者の状況といったものだけの、本当にシンプルなものだけを上乗せして、それは47都道府県共通仕様にして、お互いが情報共有しようとしてつくりました。
ですから、もし今後議論の中に、救急医療情報システムにあえてオンした理由が、救急医療情報システムをふだんから稼動するものにしたいという解決に向けたかったということと、実際、いざというときにもそういったものは機能できて、全国で情報共有できるようにしようということでつくったのですが、やはり二十数年の間に、DMATだとかさまざまな機能がオンされていって、特に災害時環境もオンされていますので、従来どおりこのシステムをコンバインしたイメージで考えていくのか、ここまで災害に関するものがある意味普及してきたのであれば、災害に特化したシステムにしていくのはどうかとか、もっといろいろな意味での、このシステムが二十数年たった中で、もっと抜本的な設計思想を議論する必要があるのではないかという気がしています。
そういった意味で、当時やったときの発想はこうであったということで、あと、今後議論するときに、今までどおりの流れの中の延長線で行くのか、それとも、どこかで全く設計思想を変えるのかという議論が重要ではないかという気がしています。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。重要な御指摘をいただきました。
ほかにいかがでしょうか。
坂本構成員、加納構成員、お願いいたします。
○坂本構成員 坂本です。先ほどの中山参考人から出されました資料で、20%の施設しか自力入力できていない。これの原因をきちんと調べていくところが一番、今の山本先生のお話からも大事かなと思います。
これはよくありそうな類型化で考えると、自分のところが被害をこうむっていないと、特に報告の必要がないから入れないということなのか、いざというときにパスワードがわからなくなってしまって、使いたいけれども使えないのか。あるいは、EMISというものの存在自体を、昔もらったけれどももう忘れてしまっているのかみたいなところが類型化されていくと、どのように攻めていったらこれが使えるようになるか。あるいは、どこを改善したら使いやすくなるかということがわかると思うのですけども、その辺に踏み込んだ検討というのは、今後いかがなのでしょうか。
○中山参考人 ありがとうございます。
実はこの調査自身ではそこまでできていないのですけれども、おっしゃるとおり類型化されるのはそのとおりになります。
その中で、全病院化をしていっているわけですが、これは東日本以降に全国で導入しようという方向で、やっとそれが25年に実現化した。
それから、やはりどこまで広げるかというのですけれども、きょうび地域包括ケア等も含めて、いろいろな病院が出てくる中で、救急病院だけではいけないということで全病院化の取り組みをしているのですけれども、神戸がそうだったように、痛い目に遭わないと、なぜこのシステムが導入されたかということがよくわからない。それから、行政の方や病院職も結構異動したり、救急病院ではこれを24時間モニターできるような体制をとっているところが多いのですが、特にDMATの指定医療機関がそうですが、普通の病院だと事務担当者を決めていて、8時間ぐらいしかその人がいないみたいな、要はそこのところが幾ら言っても徹底されていないという気がするので、これを私自身は、一番問題が大きいのは、英語で言うとイグノランスになるかもしれないのですけれども、そういう人間のさが的なものが多くて、これはどうしたらいいかというのはよくわかりません。訓練しかないのか。もう一つは、何とか日常とどうひっつけるかといったことにならざるを得ないかと思います。
熊本地震のこれに関しては、東日本はかなりインターネットが遮断されましたけれども、ほぼ大丈夫なところでのデータなので、通信したくてできなかったというのはほぼないはずなのです。
主観が入っておりますが、ありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
続きまして、加納構成員、お願いします。
○加納構成員 ありがとうございます。山本構成員、坂本構成員の御質問と、またお答え等で大分はっきりしてきたと思うのですが、各都道府県にある救急医療情報システムとEMISとのかかわり合いをどうしていくか、というのが大きなところではないかと思っております。
一つは、EMISは、きょうも来ていただいているNTTデータさんですけれども、各都道府県のシステムはNTTデータさんが結構つくられているのでしょうか。そういったところでの互換性の問題はないのかということと、やはり2割の人しか今回やっていなかったということや、熊本のときもEMISに載っていなかった病院で、幾つかの救急患者を受け入れたりとか、いろいろなさった病院があったというのも聞いておりますので、まだまだそういった意味で両方ともシステムをうまく使うことが必要ではないかと思っております。
もう一つは、大きな意味で、大阪ですとORIONという救急システムが動いているわけなのですけれども、これも非常に多額の費用を使ってやっているのを聞いておりますので、やはり全ての面で効率よく使っていく必要があるのではないかとおいうこ思います。そこでNTTデータさんにお聞きしたいのですが、どの程度、各都道府県の救急医療システムにかかわっていらっしゃるのか、既に全てかかわっていらっしゃるのか、そういった点も少し教えていただければと思います。
よろしくお願いします。
○遠藤座長 三嶋参考人、お願いいたします。
○三嶋参考人 2点お答えさせていだたきます。
まず、1点目の各都道府県への救急情報システムと当社との関係でございますが、救急医療情報システム自体は基本的には都道府県単位で整備されているシステムだと我々は理解してございます。
そのうち、我々は約半数程度、23ぐらいのシステムを弊社で担当させていただいてございます。パーセンテージでいくと50%程度と御理解いただければよろしいかと思います。
それ以外の都道府県様につきましては、弊社以外の企業様のシステムを御採用でいらっしゃったり、中には救急医療情報システム自体を今お持ちでないといったところも、多くはありませんが幾つかあるというのが実態でございます。
2点目のEMISとの互換性といったところを御説明させていただきます。御存じの方が多いかもしれませんけれども、救急医療情報システムというもの自体は、一般の救急医療搬送のときに使っていただく形で、システムとしてはつくってございます。
EMISにつきましては、当然ですが、都道府県をまたがるような大規模災害の際に使っていただくような形で御提供してございます。
ちょうど今のEMISをリニューアルしたタイミングが契機にはなりますけれども、全国の医療機関様からのEMISへの情報入力をEMISに直接登録いただいても構わないという形にさせていただいたこともあり、今はどちらかというと、救急医療情報システムは平時のもの、EMISは完全に災害時のものという形で、別々に動いているという運用をいただいているといったところでございます。
これは技術的に連携できないといった問題ではございませんので、あくまで運用上の点ではございますが、現在はそのような形で御理解いただいて結構かと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
加納構成員、どうぞ。
○加納構成員 そうしますと、ふだんから救急医療情報システム等でなれて、EMISにつながるような考え方でいいのか、それとも今の発言でしたら半分ぐらいは互換性がないかもしれないし、場合によってはないところもあるということであれば、EMIS独自のいろいろな形での普及を考えなければいけないのか、という議論の答えが出てしまっているのかなという感じもするのですけれども、どうでしょうか。
○遠藤座長 これはどなたに。
○加納構成員 関連するお話です。
○遠藤座長 それでは、大友構成員、お願いいたします。
○大友構成員 このお話は先ほど山本構成員がおっしゃったように、前は専用の端末を使って情報を入れることになっていました。今みたいにインターネットにアクセスしているものではないので、端末を2種類用意するのはもったいないし、ふだんから使える端末を使って、災害時には災害時の入力をしましょうということだったのですが、今は専用端末ではなくて、パソコンから全部アクセスできるので、これはもう切り離していいのではないか。つまり、ふだんの救急医療情報システムと、災害医療情報システムは分けるべきなのだろうと。
そのEMISのEも救急災害となっているのは、救急情報システムとしても使いたいからEが入っていたのですが、むしろもうDMISにしてしまったほうがすっきりするのかと私は思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
加納構成員、よろしいですか。
野口構成員、お願いいたします。
○野口構成員 野口でございますけれども、前回もお話ししましたように、情報センターを長いことといいますか、興味を持ってやってまいりましたので、前回も申し上げましたし、先ほど山本先生から詳細にわたって、私はむしろ怒りが増しているのですけれども、情報センターははっきり申し上げて機能していません。これは皆様認識すべきだと思います。
ましてや今の状勢としましては、これは誰が悪いかとは申しませんけれども、一次、二次、三次の区分はほとんどぐちゃぐちゃになっていますので、むしろ情報センターなど要らない。消防は順番を決めておいて、A病院、B病院、C病院ぐらいで全部片がついてしまいます。それがほとんどの地域なのです。つかないのは東京とか大阪とか名古屋の一部とか、そういうところでございます。そうなりますと、必然的に情報センターはもう機能しない。するとしたらまた別の方策を、データをきちんとここでそろえればいいわけです。いわゆる医師会の会員の方々の診療所まで含めて、あるいは地域包括のシステムに乗っているような介護施設とか、そういうところも全部入れるべきだと私は思っています。それが災害に使えるものだと思っています。
ただ、今、大友先生がおっしゃったことの一つの解決策としては、やはりDに限るとか、そういう限定したものにすれば、そのうち情報センターのほうも皆さんその必要性がわかってくると思います。
私は今の救急医療の混乱では、情報センターが整備していないということで、私は5年ほど前にも申し上げていますから、ぜひその辺のところを、災害のほうに重点を置くということをやりながら、もう一度ブレーンストーミングしていただければと思っています。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかに。
大友構成員、どうぞ。
○大友構成員 あと、EMISの入力状況の数字が低いというのは、昔からの大きな課題で、中越、中越沖、その後のさまざまな災害でも、災害拠点病院ではあっても50~60%しか入力していないということで、この理由は、いろいろな訓練をやるときにはかなり高い入力率になるのですが、訓練の担当者しかわからないということで、その担当者がいないと入力できないということがあったり、緊急時入力であっても、これは結構病院の幹部の判断が必要な内容が入っているので、その幹部との連絡がつかないと入力しようがないということがあって、前は端末がどこにあるかわからないという大きな問題があったけれども、今はパソコンさえあれば入れられるのでいいのですが、過去の経験からすると、入力を徹底するというのはそう容易ではないのではと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに何か御意見はございますか。
猪口構成員、お願いします。
○猪口構成員 入力の話が出ましたけれども、我々病院からすると、訓練の中に通常の防災訓練だとか火災に対する訓練をやっていますけれども、EMISを入力する訓練は災害拠点病院だとか一部でしかなされていない。このように、ほとんどの医療機関がEMISに入力することが求められるというならば、全ての医療機関にこの入力の訓練をすべきだということを促していく。EMISの改革をするのだったら、そこまで一緒にやらないといけない。そうだとすると、EMISの使い方を教える人間というものの派遣、例えば消防署なり、もしくは災害の医療関係のどこかの団体だとか、そういうところの要請まで一緒にやっていかないと、とても病院団体、病院の文化としてはなかなか発達していかないような気がします。そこまで考慮いただきたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
中山参考人、お願いします。
○中山参考人 そこは確かにポイントだと思います。
一つは今、実は昨年度別の、通称「本間班」といいますけれども、そちらの研究班で私もこれに関係して仕事をしておりますが、いわゆるBCPの関連とか病院避難に関連する研究班ですが、そこでこの情報のことを担当しております。
とりあえず拠点病院からですが、厚生労働省からの指導でBCPを最終的には全病院でつくっていく話になると思うのですが、このときに考えないといけない記載項目、つまり、インフラとかマンパワーのことを分析して、医療をどうコンティニューしていくかというプランをつくるのがBCPで、我々のビジネスなので皆さんに言うことではないのですけれども、そうすると、その項目の基本的なことは全部EMISに羅列されている、整理されていると考えるべきだと思うのです。
ただ、被災していないからその発想に立たないのですが、今やBCPをつくるときこそ、このEMISというものを改めて全病院に意識させて、これに準じてやる。好循環をつくった後は実際に発信してくださいというふうに、これはまた啓蒙が要るわけですが、このBCPをつくる際にこれを重点化して啓蒙するということが非常に大事かと考えているところで、参考までに申し上げました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかに。
森村構成員、お願いします。
○森村構成員 今、猪口構成員がお話されたことを異なる表現で申し上げることになろうかと思いますが、災害対応の主導者、リーダーシップを持つという、意識を持っている人材は絶対必要かつ、残念ながらそれほど多くないと思います。災害に対応しなくてはいけない人は、災害時の医療を展開する上で「全ての医療従事者並びに関連組織の人間」であります。したがって、全ての情報を共有するかどうかは別として、この枠組みの中に全ての医療機関が入るのは当然ではないかと思います。
実施者は全てだというところから考えるならば、この仕組みを効率よく作るためのキーワードは2つしかなくて、普段使いという視点と、ユーザーフレンドリーなインターフェースであることです。
DMATをはじめ専門家はいろいろな情報を必要とする一方で、全ての情報を必要としない対象もいます。そこで、このシステムをつくっていく際には、利用対象者に応じて層別化するべきだと思います。先程NTTデータさんも提案されておりますけれども、全ての人が共通して必要とする情報を核としながら、専門家が使う情報や画面、受援側が使う情報や画面、支援側であっても組織や立場毎に必要とする情報は異なりますので、そのアクセスの権限を変えながら、みんなでそれぞれが必要な情報の共有が可能なプラットフォームが必要であることを改めて強調したいところだと思っております。
もう一点だけ手短に。今までずっと、EMISのストラクチャーに係ること、すなわちハード面あるいはインターフェースの話に終始しておりますけれども、システム改変のプロセスについても課題を挙げる必要があります。これは重要な視点であります。定期的にシステム改善を実施するために改変にあたる組織の体制について考えル必要があります。
これは1点目の先に議論した、DMAT事務局の機能も同様だと思いますが、DMATとEMISは紛れもなく行政のシステムの1つです。したがって、DMAT事務局もEMISのシステム担当の医療従事者も行政組織の通例に倣い定期的な人員の再配置、が必要であり、常にPDCAサイクルを回せるような体制を組んでおく必要があると思います。限られた人による運用ではなく、多くの識者による風通しのよい運用が問題を大きくせず改善をもたらすと思います。事務局人員は、任期を設けて交代していくことが一般的と考えます。
繰り返しになりますが、ハード面のみならず、それを運用する組織の人員構成の在り方についてもあわせて考えていかないと、抜本的な改革にはつながらないと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
横田構成員、お願いいたします。
○横田構成員 実は4月9日に島根の地震があったと、皆さん記憶があると思います。震度5強だったと思うのですが、実は島根県以外でどの程度EMISを入力しているかというのを事務局に調べていただいたら、実は1万2,892分の142。これは1%台ですね。ということは、これは先ほど坂本構成員が言った、EMISへのアクセスを知らないとか、端末がどこにあるか知らないという問題以外に、むしろ自分たちで判断してしまっているというのが、入力の割合が低いという大きなところがあるのだと思います。
先ほど猪口構成員がおっしゃったように、一定以上の地震あるいは大きな災害があったときには、もう一度EMISを使うのだというところを共有化しないと、今回のような低い数字が出てきてしまうと思うのです。ですから、その辺はもう一度徹底するということと、あとは森村構成員が言われたユーザーフレンドリーといいますか、使い方をもう一度考えるという部分が大切なのかと思います。
そういう中で、誰もが持っているアプリというところは、スマホといった形を考えざるを得ないのかと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
猪口構成員、お願いします。
○猪口構成員 ソフトの改変とかそういうものを含めた、現状のEMISを見ながら発言すると、先ほどのような形になるのですけれども、ソフトの改変をということであるならば、非常時にEMISを入れなくてはいけないという事態になったことを、EMISなり何らかが知らせる。災害の安否確認ソフトなどというのは我々は普通に使って持っているのですけれども、あれはそのときには入力を求めてきますね。そういうフレンドリーなものでもあるのと同時に、警告音なり警告をするような、ソフトの部分を含めると注文をつけることが山のようにありますから、ぜひ目標としての方向性を定めていただいて、技術的にも社会的にもいろいろな改変をぜひ加えていただきたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
石川構成員、岡留構成員の順番でお願いいたします。
○石川構成員 私は今は日本医師会にいるのですけれども、県にいるときに、10年ぐらい前なのですけれども、県全体の救急システムだとか、業者から決めてやったのですけれども、これは全く入力がうまくされないのです。
私が担当ではなくなってからどうなのかといったら、やはりうまくいかない。それは今、猪口先生も言いましたけれども、例えば千葉県で私の病院なども2つ3つあって、そこで救急情報、応需情報を入れてくださいと言っても、これは誰が一番入れるのかといったら、医者では無理なのです。ですから、事務系の担当をつけて毎日毎日入れていればいいのですけれども、それも1年、2年たつと忘れてしまうといいますか、役割がうまくいかなくなったりするのです。
結局は今、猪口先生が言ったプッシュ型のアラートと、プッシュ型の催促するようなことですね。要するに、情報を入れてくださいというのがまず第1段にないと、先ほど横田先生がおっしゃったように、鳥取のところでも百二十何件しか入れないということがあるわけです。
私などが今、考えているのは、CBRNEテロなどでは必ずプッシュ型で、東京中心の、オリパラですからオリパラを目指していろいろ考えているのですけれども、プッシュ型のアラートが出て、その次に何か行動する。それがEMISになるかもしれないのですけれども、そういう形でないとだめだろうということで、ちょっと今、検討を加えています。
そうでないと、ふだん使いでEMISというのはなかなか大変だということだと実際には思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
お待たせしました。岡留構成員、どうぞ。
○岡留構成員 こういった災害とか救急医療の制度を考えるときには、やはり定着しやすい方向から考えていかないといけないだろうと思うのです。例えば、先ほど中山参考人がおっしゃいましたが、今は厚生労働省を含め、内閣府がBCPを非常に強力に推し進めていますので、BCPの制度に関連したような、非常に有効に展開できるような、定着した方向性を考えることのほうが、私は一番有効な方法になるのではないかと考えております。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに。
大友構成員、どうぞ。
○大友構成員 細かいのですけれども、追加するべき機能ということで、MATTSが今、政府の広域医療搬送の適用の患者にしか使えない状況なのですが、もっと後方搬送の適用の患者全体に使えるように、それはNTTさんにお願いすることになるのでしょうけれども、そういう機能をぜひ付加していただきたい。前からお願いしている話です。
あと、細かくお願いしていることというのは、また別の機会にお願いさせていただくように、ぜひお願いしたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかに何か御意見はございますか。
中山参考人、どうぞ。
○中山参考人 関連で、間違っていたら訂正してほしいのですけれども、アラート系に関しては、恐らく先ほどの都道府県別の救急のシステムに連動している関係で、例えば都道府県が災害モードに変えた場合に、鳴るところと鳴らないところがあるのかと想像していますが、兵庫の場合は鳴ったり、一つの病院がやられるとどこも鳴るということでやっております。これはまた確認が要ると思います。
これは逆に質問になるのですが、森村構成員の御指摘と関係あることですが、このEMISというのは一体誰のものか。それから、ふだんの都道府県別の救急医療情報システムは誰のものかということを確認したいのですが、いかがでしょうか。
一応オープンクエスチョンで聞きます。誰の持ち物で、国のEMISなら厚生労働省のものなのか、それともNTTデータさんのもので、それを借り受けというか、使用しているだけなのかといったあたりで、都道府県のほうもあわせて確認させていただいていいですか。
○遠藤座長 とりあえず、どなたがお答えになりますか。事務局ですか。NTTデータさんですか。
事務局、どうぞ。
○北久保災害医療対策専門官 EMISの件につきましては研究班でできて、システム開発をしてもらった。今のEMISに関してはNTTデータのほうでシステムを管理しているといった形になっております。もちろん我々が必要な機能を追加してもらったりということをしていますので、我々の要望に基づいて開発しているので、我々はそのシステムに関してあれこれオーダーをして、それに基づいてやってもらうということはできますけれども、我々的にはその中で毎年費用を払ってやってもらっている。
一方で、オペレーションみたいなものについては、国では例えばセキュリティーとかこういったものは難しいところがありますので、こういった運用はNTTデータのほうに任せているといった形になっております。
あと、救急災害医療情報システムは、基本的には県のほうでやっているものだと思います。
EMISの所有権は、基本的には我々のほうでも管理しているといった形でございます。
○遠藤座長 中山参考人、どうぞ。
○中山参考人 まだわからないのですけれども、国が持っているのですか。利用しているだけではないのですか。持ち物はNTTデータではないのですか。
○北久保災害医療対策専門官 我々は回線の使用料契約をしてお支払いしているといった形になっています。
○遠藤座長 中山参考人、どうぞ。
○中山参考人 私の理解では、国の持ち物ではなくてNTTデータさんのもので、それを使用している。例えが鉄道の利用のような感じかと思っておりました。
この話をするのは、先ほどの森村委員の御指摘のあたりも関係するかと思って確認したことと、運用については当然、厚生労働省がいろいろやるのはいいのですけれども、どちらがいいとか言っているのではなくて、関連で先ほど出た、例えばオリンピックとかサミットとかいろいろなところで、このシステムがセキュリティーの上から使えないといった事態が実はこれまでも生じているのです。オリンピックはまだ未来の話ですが、伊勢志摩でもですし、そういったときに使えないような国のシステムというのもいかがなものかと思ってしまうので、これは契約の仕方が悪いのかわからないのですけれども、もちろんセキュリティーは今、サイバーテロ等もあるので、それを保全することは物すごく大事ですけれども、契約のところも含めて、セキュリティーの確保というのが非常に大事なことかと思っていまして、この場をおかりしまして、皆さんに御意見を頂戴する機会となればいいかと思って申し上げました。
それから、システムをそぎ落とすというユーザーフレンドリーの話が出ましたが、今、省庁連携でSIPといったところがかなり動いているようで、そことの連携。つまり、何でもかんでもEMISに入るのではなくて、省庁関係のSIPにデータを流したりということで、加工したものをまたいただくということをすれば、災害の対応というのは医療の対応ですけれども、厚労省だけのものでもないですし、省庁の連携が非常に要る中、SIPとの連携というものをしながら可視化するとか、見やすくデータを加工していただいて、それをまたEMISに取り入れて、みんなで見られるというところが今後のポイントかなと考えております。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、内閣府の小林さん、お願いいたします。
○小林オブザーバー(内閣府) 今、中山参考人からお話しいただきましたSIPについて、簡単に補足をさせていただきたいと思います。
SIPでございますが、現在内閣府の「総合科学技術・イノベーション会議」のほうで、SIP、戦略的イノベーションプログラムというものになりますが、こちらのほうでさまざまな分野の課題を解決するために、科学技術、技術開発で支援していこうというプログラムを行っておりまして、この中で現在、防災分野で開発しているものとしまして、SIP4Dという、Shared Information Platform for Disaster managementの略でございますが、こちらを防災科学技術研究所さんのほうが現在開発しておりまして、今後運用していくことになっております。
こちらが今、中山参考人のほうからお話しいただきましたが、今後は民間、都道府県にも広げていく予定でございますが、政府間、各機関のシステムで持っている情報を共有できるシステムというものを現在作成しております。
これにつきましては、例えばEMISのほうで必要な情報というのが、DMATが活動するために道路の実態状況が知りたい。道路の通行規制状況が知りたい。これは警察庁さん。最初のは国交省さん。あとは避難所の開設情報が知りたい。これは例えば市長さんとか、あちこちに取りにいくのではなくて、全て情報が見られるようになっているSIP4Dにさえつながれば、全部その情報をEMIS上で見られるようになるというシステムでございます。
逆に、EMIS上の情報をほかの機関が欲しいといったものについて、このSIP4Dを通じて見られるようになるというものでございます。
例えば、先ほど来、BCPのお話も出ておりますが、今回EMISの中で、例えばライフライン情報というのを入力いただけるような形になっているかと思います。現在、電力が使えるのか、非常用発電であと何日もつのかとか、そういった情報を、今すぐできるわけではないのですが、例えばライフライン事業者が直接それを見ることができれば、速やかに電力供給や燃料を補給するとったこともできるようになるかもしれません。
今、各機関が持っているシステムの情報を流通し合う。基本的には一個のデータベースというわけではなくて、システムに必要な情報をかわりにまとめてとってきてくれるような、簡単に言うとそういう仕組みなのですが、そういったものを開発しておりまして、今はもうプロトタイプができて、実際に熊本地震でも九州豪雨でも使っております。今年度で完成させて、来年度からしっかりと運用していきたいという形になっておりますので、ぜひこういったものをEMISとの連携ということで考えていただけるとありがたいのかと考えております。
以上でございます。
○遠藤座長 小林オブザーバー、ありがとうございました。
島崎構成員、どうぞ。
○島崎構成員 私だけ理解していないのかもしれませんが、先ほど中山参考人がおっしゃったEMISの所有権の話と、システムが例えばいろいろなサイバーテロみたいなことでとまる、あるいは、これまで機能しなかったこととはどういう関係になるのでしょうか。
つまり、その所有権がどこにあるかということと、どういうかかわりを持つのかというのは理解しかねたので、その御説明をいただけるとありがたいのです。
○遠藤座長 中山参考人、お願いします。
○中山参考人 全て私の解釈ですけれども、セキュリティー自身のこともあるのですが、EMISが民間のものだから、伊勢志摩でも提案をしましたが、セキュリティーの意味から、民間の一システムを使って対応策をやることはまかりならないと私の耳には入りましたけれども、それはそもそも何なのか。私の中ではまだ疑問が解けていないので、そういう話をさせていただきました。
それがSIPと結ぶのでも同じような話にもしなれば、何のことかわからないみたいな話になりますので、整理は必要かなと。
ただ、民間でもちゃんとセキュリティーを確保すればできる。いろいろなやり方があると思うのですが、そのあたりは御意見をいただければと思って、この場をおかりして申し上げました。実は本当の答えを知らないと思って、申し上げます。
○遠藤座長 事務局、どうぞ。
○北久保災害医療対策専門官 所有権とセキュリティー云々とかという話は、恐らく関係はないと思います。もちろん、最高機密のシステムを共有するとか、もし仮にあったらですけれども、例えば有事とかいった、自然災害とか別の世界の中で、そういったものとのやりとりになってくると、場合によっては支障がある可能性はあるかもしれませんが、基本的にそのようなものを融通するようなものというよりは、普通の一般的な医療機関の発災状況とかの情報を共有する。テロなどがあったときの被害の状況をどこの医療機関で受け入れるかというものは、別に最高機密の情報といったものではないと思いますので、そういったことが支障になってEMISをどうこうという話ではないと思います。ですから、テロとかそういったものの中で、情報共有をできるものの中で、どこかの所有がどうこうということで支障があるということは基本的には考えられないと思っていますし、もちろん先ほど話があった内閣防災のSIPみたいなものなども、当然内閣府さんのほうで管理しているシステムですけれども、そこでの連携の中で今みたいな話が障害になるといったことはないと考えております。
○遠藤座長 ありがとうございます。
島崎構成員、どうぞ。
○島崎構成員 このEMISの経緯について、先ほど山本構成員がお話しされましたが、今、入っている項目を見ると、現実問題としては、先ほどどなたかが御発言されたように、平時の仕組みを延長して構成するというのが本当に現実的なのだろうかという感じはします。結局、二兎を追って一兎をも得ることができないという結果になりかねないのではないか。私は必ずしもこの分野の専門家ではありませんけれども、そのような印象を持ちます。
もう一つ質問なのですけれども、ここでEMISが想定している広域災害の範囲というのは何か。すぐに頭に浮かぶのは地震ですが火山噴火みたいなものも入るのですよね。ほかにはどのようなことが入るのですか。例えば強毒性の感染症が発生しましたみたいなことも、対象になるのですか。
○遠藤座長 よろしくお願いします。
○北久保災害医療対策専門官 発災初期について、何が原因かというのは恐らくすぐには断定できないと思うのですけれども、何かしらの多数の傷病者が出ているといった事例に関しては、基本的にその情報が都道府県の医療部局なり、我々に入ったときには、そういった情報を共有すべきというふうに、災害モードみたいな形に切りかわりますので、それは基本的には使われると考えてもらっていいと思います。
○遠藤座長 よろしいですか。
中山参考人、お願いします。
○中山参考人 参考で、一応EMISのところには災害種別というのがあって、地震、津波、火山、テロもありましたし、全部言えませんけれども、その他というところで、何で使ったらだめというのはないのと、訓練モードがあると考えていただいたらいいかと思います。
追加です。
○遠藤座長 ありがとうございます。ほかに。
坂本構成員、どうぞ。
○坂本構成員 今の災害特化という話と情報共有というお話がございましたけれども、EMISの機能の中で救護者情報や避難所情報について、発災初期に関しては医療チームあるいはDMAT等がそこで入力していくというのが現実的だとは思うのですけれども、これについてはその後、災害の情報としては中核的な部分で、例えばDHEATであるとか、行政が持つデータベースということもあると思うのです。この部分をEMISでずっと押していくのか、あるいは、交替するような、それに対するデータベースがあって、そこに提供していくのか。その辺の方向性はどのように考えていらっしゃるか、事務局にお聞きしたいと思います。
○遠藤座長 事務局、お願いします。
○北久保災害医療対策専門官 そういったことも含めて、EMISのメーンは災害急性期、初期だと思いますけれども、そこをどこにフォーカスを当てるかというのもこの検討会の場で御議論いただければと考えております。
○遠藤座長 大友構成員、お願いします。
○大友構成員 熊本地震のときに、全国保健師長会がつくった避難所の情報のフォーマットと、東日本大震災を経て新しくできたACT研がつくった避難所の情報収集のフォーマットと、EMISのフォーマットが微妙にずれていて、混乱を来しました。今回、厚労省の連盟局長通知で出された避難所の情報収集のフォーマットに統一しましょうということで、それも統一することになっております。
○遠藤座長 ありがとうございます。
中山参考人、どうぞ。
○中山参考人 関連で、避難所のデータをどう共有するかというのは非常にポイントで、これが全ての医療チームに関係してくると考えます。
今、大友委員からもありましたけれども、要は標準フォーマットがどれかということを、この避難所に関しては全国保健師長会とか、そういうのでしっかりしていただくということで、厚労科研、研究班の木脇班というところが、今も標準化のところで、新しくなった場合もそれが決定されれば、実運用を現場でする人にも通知をしていただき、それをEMIS上に乗せる。そうすれば、紙運用でもEMIS上でのデータベース化もできるだろうということで、そういう基本ルールは今後あらゆる組織で出てくるのかと考えております。そのオーソライズをどこでするかということが、それぞれ厚労省のほうで判断していただくしかないかと思っています。
もう一つは避難所の入力も、最初は医療機関の情報だけでしたけれども、避難所の基本的な情報もアセスメントを入れられるように、そのフォーマットでできるようにしているのですが、そこの最低のところを、全てのDMAT以外の医療チームにもどう浸透させていくかというところが、保健師も含めて大事なところかと考えております。
ありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。ほかに。
山崎構成員、どうぞ。
○山崎構成員 1回目と2回目の検討会に出ていて感じるのは、先生方が地震災害を中心に救急災害を考えておられますが、いま、東京の中心でサリンをまかれたらどうなるか考えたことがないでしょうか。私は群馬県の高崎なので、東京発の新幹線の車中でサリンをまかれて、高崎に停車したときに、どこが対応できるかということを調べてみました。そうしたら、群馬大学、日赤、済生会、ほとんどが診療体制もないし、薬も置いていないのが現状です。うちの病院は、職員の家族がなったら大変だと思い、みんなが笑うのですけれども、PAMとアトロピンを常備しています。例えば銀座の真ん中でサリンをまかれたときに、サリン中毒の患者さんの対応をどこの病院でどれだけできるのか、対応能力というのはちゃんと厚生労働省が把握しているのですか。
この検討会に消防庁が入ったり、内閣府が入るのはわかるのですけれども、やはり警察庁が入って、そういうことがあったときに、対応できるような検討を同時にやっておくべきだったと思っています。それについてはどうでしょうか。
○遠藤座長 関連ですか。
○山崎構成員 関連です。
○遠藤座長 それでは、関連で。
○島崎構成員 それはたしか最初の1回目のときに、石川先生がテロの問題はまた別に議論しないといけないということをおっしゃって、同感します。
本検討会の問題意識として、例えば南海トラフであるとか直下型地震みたいなことを想定するのか、あるいは、1回目に石川先生がおっしゃったようなこと、あるいは今、山崎先生がおっしゃったようなことを想定するかによって、議論の中身はかなり違ってくると思います。
○山崎構成員 ただ、そういうことは相互に関連しているわけですから、この検討会はそういうことに限定して検討をして、そういう問題は別にやって検討して、報告書を2つつくったときに、相互の関連性がなければ回らないではないですか。
○島崎構成員 その点は山崎構成員のご意見に反論しているわけではありません。
○遠藤座長 この審議のやり方ですので、事務局に意見を聞きたいと思います。
○椎葉審議官 NBCテロにつきましては、大臣官房厚生科学課で別途やっていまして、厚生科学審議会の中に健康危機管理を議論する部会がございまして、そちらで検討しています。
NBCテロがあった場合に使うお薬ですが、これは特殊な薬なので、どこに備蓄しているかは差し控えさせていただきますが、そういった議論は厚生科学課でやっております。
私は以前、厚生科学課長だったので、そういったことはそちらで議論しているところでございます。
○山崎構成員 それは東京で備蓄しているのはいいですけれども、群馬県でテロが起きた場合、群馬県は全然備蓄も何もしていないのです。ですから、備蓄して、そこの現地まで運ぶ間のタイムロスを考えれば、もっと都道府県単位まできちんとそういう話はおろさなければ、内閣府に薬があっても意味がないわけです。
○椎葉審議官 全国の幾つかのブロックに分けて備蓄しておりまして、いざというときはそれを搬送するようにしております。
○遠藤座長 そちらはそういうことで議論していただくということで、ほかに何かございますか。
森村構成員、お願いします。
○森村構成員 EMISのほうに話を戻してよろしいでしょうか。
EMISの中身のほうですけれども、入力する項目を増やせば、そのデータを元に多くのことを判断しやすくなるでしょうし、その後の運営や検証にも役立つでしょうが、他方、現場には多くの負担がかかるというところが一番難しいところだとは思います。今回の御検討の際に、今までの入力項目が本当に必須であったのかどうかという見直しが絶対に必要になろうかと思うのです。
よく我々は病院の中でもデータベースをつくりますけれども、やはり多くを求めてしまうのです。ですけれども、実際それが本当に使われる項目は実はそんなに多くなくて、層別化したり、入力必須項目としたり、いろいろな工夫も必要になろうかと思いますし、入力項目の優先順位であるとか、今、もうつくられているかと思いますけれども、そういったこともあわせて検討すると、サーバーの負荷も含めて、非常にいいのではないかと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかにございますか。
嶋津構成員、お願いします。
○嶋津構成員 先ほどからEMISのシステムのことが出ていましたけれども、最終的には入力をいかに担保するかという部分を押さえる必要がありますので、余り洗練されたあれではないかもしれませんけれども、やはり現場のいわゆる二次救急レベルの病院に入力してもらうというのが大事だと思います。
そういった意味で、私たちの地域では二次医療圏は人口100万ぐらいですけれども、2つの災害拠点病院が、地域の二次救急病院のスタッフを集めて年に2回、EMIS入力を含めた講習会を過去3年間ぐらいやっております。
医師だけではなくて、薬剤師さんとか看護師さん、事務の人は熱心にそういったことに取り組みますので、例えば災害拠点病院にそういったことをやるようなシステムをつくるといった形での普及方法もぜひあわせて検討いただいたらいいのではないかと思って発言させてもらいました。
○遠藤座長 ありがとうございます。
大友構成員、どうぞ。
○大友構成員 今、森村先生からの御質問の項目が多過ぎるということは、実は前に入力率が悪い理由が項目が多過ぎるということで、かなり絞った経緯があります。
2段階になっていて、1段階が緊急入力。これが5項目だけ。その後の詳細入力ですら8項目となっていて、そんなに無駄な項目があるとは思えないです。絞り込まれていると思います。
○遠藤座長 森村構成員、どうぞ。
○森村構成員 私が申し上げたのは、現行のところの部分に加えてBCPの視点であるとか、今後救急医療システムとくっつけるのか、などの議論の過程において増やしていくとなると、また負担になる可能性がある。そういった意味も含めてでございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
中山参考人、お願いいたします。
○中山参考人 参考人で申しわけないのですけれども、言おうかどうか考えていたのですが、きょうの御議論をいただいた中とか提案の中で、一つDMIS化という話があったので、その中で幾つか出たふだん使いとか、そういったあたりで御検討いただきたい項目として、これは今回構成員の方と、オブザーバーで消防庁から小谷さんが来られているので、いわゆる局地災害のときは、需要と供給の関係が今度は消防側が非常に忙しくなるということで、それが忙しくなったときに医療機関に収容を図りたい、ないし、今だったらドクターカーやDMATも含めての現場に派遣ということも考えてほしいという中で、それを使うあたりをDMIS化の中で全国で登用し、局地災害ですから発報できる区域をある程度制限することにより、それは圏内とか何々市ととじられるようにしておけば、局地災害は割と人数とかの定義をどうするかというのはあるのですけれども、結構大きな災害はありますので、そうすると頻用されるようになって、それに病院が対応する。収容できる人数を入れる。病院は被災していませんけれども、そういうところで消防も含めてお互いに入力や参照ができる。それがひいては大災害のときにも生きてくるのかと考えておりまして、これは御存じかもしれせんけれども、兵庫ではいろいろな事案を含めて、兵庫県のシステムの中では、通称エリア災害用のモードとして搭載していて、一番大きい事故はJRの事故でしたが、昨年のデータでは、参考までに申し上げると41回の訓練、43回の実事案使用。言いかえますと、3日か4日に1回は使われているということで、いずれにしろアクセスとか入力は非常によくなっているということで、そのためだけに登用してくださいということではないのですが、DMIS化をするのであれば、その機会にこういったモードも考えていいのかと考えまして、また御検討いただければと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
大体予定していた時間になりましたけれども、よろしゅうございますでしょうか。
嶋津構成員、お願いします。
○嶋津構成員 全体の発言等でよろしいですか。
○遠藤座長 はい。
○嶋津構成員 最初にDMAT事務局のあり方という話がありましたけれども、もう一度考えていただきたいのは、例えば災害医療にかかわるのは警察か消防、救急に対して医療というカテゴリーになるかと思いますけれども、警察、消防はもともと組織上、一つの指揮命令系統の中で動きますけれども、医療というのはDMATも当然ありますが、日赤であるとかJMAT、それぞれ別の指揮命令系統の中で動きますから、もしDMAT事務局の新しい機能を付加するのであれば、そういった医療関係全部の指揮命令系統を、少なくとも急性期だけでも持たせるようなことを考えるというのは、あり方とか人数、スタッフィングを考える上でも検討に値するのではないかと思いますので、御検討いただければと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
小井土参考人、お願いします。
○小井土参考人 参考人として。
嶋津先生、御意見ありがとうございました。
資料1の中にも同じような意見があったと思いますけれども、今、このDMAT事務局は新しいものができているとすれば、急性期のDMAT化だけではなくて、急性期から慢性期までかけて保健医療を調整できるような組織が望ましいのかと私も思っています。
7月5日に、今後の医療と保健を合体させるということで、保健医療調整本部という名前になりましたし、チームの名前も保健医療活動チームと変わっていますので、この新しい事務局というのは災害死を防ぐというところまで、長期にわたって調整できるような組織が望ましいのかと私も思っています。
ありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
加納構成員、お願いします。
○加納構成員 今の議論はいまだ少し疑問が残るのですが、DMAT事務局である限り、DMATの指示をするというのが原則のあり方ではないかと思います。
それなのに今の議論が進んでいくと、どこで指示するというのは別の次元の話になってくるのではないかと思うのです。今、議論しているDMATの事務局のあり方というのは、あくまでも今の災害の中でDMATを中心に、どのようにDMAT活動するかというのが議論すべきところではないかと思います。
DMAT事務局をもしそのように変えるなら、DMAT事務局ではなくなると思うのです。災害対策拠点か何か別のセンターをつくるという話であれば、そういうこともありだと思いますけれども、今の議論は少し拡大し過ぎではないかなと思います。さらに、急性期から慢性期まで見るDMATをつくるなどという議論を事務局の方がおっしゃるのは、ちょっとどうかなという感じで発言させていただきました。
○小井土参考人 急性期だけではなくて今回の熊本でも、どうしても引き継ぎというところがありますので、そういうところにうまく引き継げるような組織という意味合いで発言させていただきました。
○遠藤座長 この議論につきましてはまた改めて必要であれば御議論いただくという形で、本日のところは問題提起というところでとめさせていただきたいと思います。
それでは、時間になりましたので、本日はこのぐらいにしたいと思います。大変活発な御意見をありがとうございました。
事務局におかれましては、ただいまのさまざまな御意見を整理いたしまして、今後の議論に資するような新たな資料をつくっていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
本日の議論はこれまでといたしますけれども、最後に事務局から何かありますか。
○野口救急医療対策専門官 次の第3回におかれましては、詳細が決まり次第御連絡しますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○遠藤座長 それでは、本日はこれまでといたします。
長時間、どうもありがとうございました。

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救急・周産期医療等対策室
救急医療対策専門官 野口(2556)
災害医療対策専門官 北久保(2558)