2019年7月9日 令和元年度第1回医薬品の成分本質に関するワーキンググループ議事概要

医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課

日時

令和元年7月9日(火)15時30分~17時30分

場所

厚生労働省 仮設第3会議室(仮設会議室棟2階)

出席者

○構成員(敬称略・五十音順)
 伊藤 美千穂 (京都大学大学院薬学研究科准教授)
 梅垣 敬三 (国立健康・栄養研究所情報センター長)
 大塚 英昭 (安田女子大学薬学部教授)
 小川 久美子 (国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター病理部長)
 小関 良宏 (東京農工大学大学院工学研究院教授)
 合田 幸広 (国立医薬品食品衛生研究所副所長)
 関野 祐子 (東京大学薬学部薬品作用学教室特任教授)
 西川 秋佳 (国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター病理部客員研究員)
 袴塚 高志 (国立医薬品食品衛生研究所生薬部長)
 
○監視指導・麻薬対策課
 江野 英夫 (監視指導室長)
 小池 紘一郎 (課長補佐)
 小川 雄大 (危害情報管理専門官)
 中村 圭助 (薬事監視第一係長)
 宮下 正也 (薬事監視第一係係員)
 
○食品基準審査課
 矢野 好輝 (課長補佐)
 松原 芳幸 (新開発保健食品対策室専門官)
 
○食品監視安全課
 近藤 卓也 (課長補佐)

議題

(1)新規成分本質(原材料)の審議について
(2)非医成分の専ら医成分への移行について

配布資料

議事

 
 昭和46年6月1日付け薬発第476号厚生省薬務局長通知「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」の別紙「医薬品の範囲に関する基準」の別添1の「食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いについて」(以下、「判断基準」という。(注))に基づき審議した。
 
(1)新規成分本質(原材料)の審議について
○  ゴミシ
 中枢作用成分(ゴミシンAとシザンドリン)の含量が部位により異なることから、「果実」としての評価ではなく、「種子」と「果肉」に分けて評価が必要であるとの議論があった。また、中枢作用に関する資料について、中枢作用成分の含量やヒトへの安全性に関する評価が適切でないため、再評価が必要と判断された。また、種子を除く行為について技術的に確認する必要があると判断された。これを踏まえ、次回以降改めて審議することとなった。
 
○ ゼラニウム ディエルシアナム(別名パスチャカ)
 男性ホルモン様作用について、詳細な資料はないが、現時点では薬理作用に関する問題はないであろうと判断された。また、種について、パスチャカという別名だけでは多くの種を含むため、種を限定する必要があること、種の同定方法や受入規格(規格の妥当性含む)について確認する必要があること、資料についても特定された種のデータであることを確認する必要があると判断された。これを踏まえ、次回以降改めて審議することとなった。
 
(2)非医成分の専ら医成分への移行について
下表のものについて、そのものの毒性や含有成分、含有成分の類似物の毒性を検討し非医成分から専ら医成分へ移行することが妥当とされた。
成分名 部位 理由・変更点
カイコウズ 全草 エリスリナアルカロイドがクラーレ、ツボクラリン様の作用を持ち、骨格筋の麻痺、呼吸困難の症状を起こす。経口摂取により効果を示す。
部位:花から全草に変更(花以外の部位にもエリスリナアルカロイドを含むため。)
カンレンボク 全草 カンプトテシンを含み、抗がん作用がある。
部位:果実から全草に変更(果実以外の部位にもカンプトテシンを含むため。)
クジチョウ 全草 プロトピンを含み、中枢のGABA受容体を抑制して脈拍低下、呼吸麻痺、心臓麻痺等の症状を起こす。
ハナビシソウ 全草 プロトピンを含み、中枢のGABA受容体を抑制して脈拍低下、呼吸麻痺、心臓麻痺等の症状を起こす。
ヒヨドリジョウゴ※1 全草 ジャガイモの芽に含まれるソラニンの類似化合物ステロイドアルカロイドを含む。コリンエステラーゼ阻害作用があり、中毒を起こす。中国ではヒヨドリジョウゴの抗がん作用を期待して服用している。
ヒルガオ※2 アトロピンの類似化合物ノル型トロパンアルカロイドを含む。アトロピンと異なりメチル基がなく、血液脳関門を容易に通過しないため、毒性は弱いと推測されるが、食べ合わせ等でメチル基が結合する可能性もある。
ビンロウジ 種子 アレコリンを含み、発がん性があるため。
ルリヒエンソウ 全草 ブシに含まれるアコニチン(嘔吐、痙攣、呼吸困難、心臓発作等を起こす)の類似化合物ジテルペンアルカロイドを複数含む。

























※1:ヒヨドリジョウゴと同様のステロイドアルカロイドを含むイヌホウズキは今後検討
※2:茎、葉、根は食経験があり、花も一部地域で食用としている。根は毒性から専ら医成分に移行するが、地上部は非医とする。
また、「全木」という標記はないことから、全草に変更することが妥当とされた。
 
(注)「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」の考え方
(1)専ら医薬品としての使用実態のある物
解熱鎮痛消炎剤、ホルモン、抗生物質、消化酵素等専ら医薬品として使用される物
 
(2)(1)以外の動植物由来物(抽出物を含む。)、化学的合成品等であって、次のいずれかに該当する物。ただし、一般に食品として飲食に供されている物を除く。
  1. 毒性の強いアルカロイド、毒性タンパク等、その他毒劇薬指定成分に相当する成分を含む物(ただし、食品衛生法で規制される食品等に起因して中毒を起こす植物性自然毒、動物性自然毒等を除く)
  2. 麻薬、向精神薬及び覚せい剤様作用がある物(当該成分及びその構造類似物(当該成分と同様の作用が合理的に予測される物に限る)並びにこれらの原料植物)
  3. 処方せん医薬品に相当する成分を含む物であって、保健衛生上の観点から医薬品として規制する必要性がある物

照会先

厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課

03-5253-1111(内線2767)