第88回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会 議事録

日時

令和元年9月27日(金)12:30~

場所

厚生労働省共用第9会議室(20階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

議事

 
○阿部部会長 皆さんこんにちは。定刻になりましたので、ただいまから「第88回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会」を開催いたします。
 議事に先立ちまして、雇用対策基本問題部会の委員に交代がありましたので、御報告をいたします。労働者代表の松浦委員が退任されました。松浦委員におかれましては、大変お世話になりました。部会を代表して感謝申し上げたいと思います。新たに就任された方を御紹介いたしますので、一言御挨拶をお願いしたいと思います。損害保険労働組合連合会中央執行委員長の境田委員です。 
 
○境田委員 境田でございます。よろしくお願いいたします。

○阿部部会長 ありがとうございます。本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の勇上委員、労働者代表の小倉委員、春川委員、使用者代表の志賀委員、渡辺委員、それぞれ御欠席ということです。志賀委員の代理で日本・東京商工会議所産業政策第二部主席調査役大内様にお越しいただいております。
 はじめに事務局から御挨拶があります。よろしくお願いいたします。

○小林職業安定局長 職業安定局長の小林です。本日はおお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。少子高齢化が進み、人生100年時代と言われるわけですが、そうした中で、年齢に関わりなく働き続けられるような環境整備をどのように図っていくか。これは高齢期においてはもちろんですが、その途中においても然りということでございまして、これに関して、今年の6月に成長戦略の関係の閣議決定がなされております。1つは70歳までの就業環境の整備、もう1つは中途採用・経験者採用の円滑化ということです。閣議決定では、併せて法整備を図ると。次期通常国会を念頭に法整備を図るということも言及されております。
 本部会におきましては、こういった閣議決定も踏まえまして、年末までのスケジュールで、これら2つの課題について是非御検討いただきたいと思っております。1つは法整備ということになるわけですが、当事者は労働者であり事業主であり国等であるということですので、必要な支援策等につきましても、併せて御審議いただきたいと思っています。部会の議論を踏まえまして、私ども適切に対応してまいりたいと考えておりますので、是非活発な御議論をよろしくお願いします。

○阿部部会長 はい、ありがとうございます。それでは、カメラ撮影はここまでとさせていただきたいと思います。
 では、議事に入りたいと思います。まず、議題1ですが、「高齢者の雇用・就業機会の確保について 及び 中途採用に関する情報公表について」です。はじめに資料がありますので、事務局から説明をお願いします。まず、高齢者雇用・就業機会の確保について、説明をお願いいたします。

○野村高齢者雇用対策課長 まず、次第のところに資料の一覧を書いております。高齢者関係で申しますと、資料1として、「高齢者雇用の現状等について」、資料2として「成長戦略実行計画(抜粋)」、資料3として「高齢者の雇用・就業機会の確保に関する主な検討課題」、参考資料1として「高齢者の雇用・就業に関する政府方針等」ということで付けさせていただいております。
 冒頭、順序が逆になりますが、資料2の成長戦略実行計画(抜粋)を御覧ください。先ほど局長の挨拶にもございましたが、成長戦略実行計画が、今年の6月21日に閣議決定されております。その中で、70歳までの就業機会確保ということで、高齢者雇用についての記述がなされております。若干御説明させていただきます。まず多様な選択肢として第2段落に、高齢者の雇用・就業機会を確保していくには、70歳までの就業機会の確保を図りつつ、65歳までと異なり、それぞれの高齢者の特性に応じた活躍のため、とりうる選択肢を広げる必要があるということが書かれています。このため、多様な選択肢を法制度上整え、企業としては労使で話し合う仕組み、また、当該個人にどの選択肢を適用するか、企業が当該個人と相談し、選択できる仕組みを検討するとしており、法制度上整える選択肢のイメージを7つ示しています。(a)から(g)までありますが、(a)(b)(c)は65歳までの措置と同様のものを70歳までということ、(d)以降は、他の企業への再就職の実現、個人とのフリーランス契約への資金提供、個人の起業支援、個人の社会貢献活動参加への資金提供などが想定し得ると書いています。企業は(a)から(g)の中から当該企業で採用するものを労使で話し合う。検討に当たっては、各選択肢における企業が負う責務の程度など、企業の関与の具体的な在り方について検討するということになっております。
 右側です。今回御議論いただくことですが、まず、第一段階の法制の整備を図ることが適切であるとした上で、4行目になりますが、70歳までの就業機会確保の努力規定とするということで、努力義務として検討いただくということです。また、必要があると認める場合には、厚生労働大臣が事業主に対して、個社労使で計画を策定するよう求め、履行確保を求めるということも書かれています。
提出時期及び留意点ですが、手続的には労働政策審議会における審議を経て、2020年の通常国会において、第一段階の法案提出を図ると。こういったスケジュール感が書かれています。
 諸環境の整備です。こちらについては、今回御議論いただく部分の支援措置に加えて、幅広い環境整備ということで、安全衛生の観点も含めて書かせていただいています。この閣議決定が検討の土台になっているということです。
 お戻りいただき、資料1、「高齢者雇用の現状等について」、御説明させていただきます。目次を見ていただきますと、4つに分かれています。高年齢者雇用安定法の概要、高齢者雇用対策の取組、高齢者の就業状況等に関するデータ、4番として高年齢者の雇用に関する調査(企業調査)と書いてあります。順次、ページをめくりながら御説明いたします。
 4ページ目に、「高年齢者雇用安定法の概要」を付けています。現行法の概要です。3つの柱で構成されています。1つ目が定年の引上げ等による安定した雇用確保の促進ということで、企業における雇用確保措置について書いています。2点目が、高年齢者等の再就職の促進等ということで、再就職援助措置です。これは現行法の15条に書いています。また、多数離職届ということで16条ですが、こういったことの支援内容が書いてあります。最後に多様な就業機会の確保ということで、これは地方公共団体の協議会、あるいはシルバー人材センターに関する規定が置かれております。
 5ページ目、これまでの主な改正内容です。マル2の所に書いてありますが、昭和61年に60歳定年の努力義務化が始まっております。下のほうにいきまして平成24年、継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止ということで、いわゆる希望者全員の義務化が、このときから始まっています。
 次のページです。高年齢者雇用制度の概要です。60歳未満の定年禁止に加えて、今回御議論いただく部分の65歳までの雇用確保措置ということで、現行は3つの柱、65歳まで定年年齢を引き上げ、65歳までの継続雇用制度、定年制を廃止のいずれかの措置を会社の制度として導入する義務ということです。
 次のページです。現在、希望者全員、義務化の経過措置期間中にあります。平成31年、令和元年4月1日から63歳ということになっています。2025年、令和7年に向けて、65歳まで引き上げていく途上にあるということです。
 8ページは、継続雇用制度の対象者を雇用する企業の範囲ということで、自社雇用に加えて、継続雇用制度の対象先として、いわゆる子法人や関連法人を加えている。その範囲を図示しています。
 9ページが親子法人等関係、10ページが関連法人等関係で、議決権所有割合等で、その範囲を画しているということです。
 12ページ以降が「高齢者雇用対策の取組」ということで、現行の政府の取組を紹介しています。12ページは高齢者雇用対策の概要ということで、3つの柱でまとめています。1点目が企業における雇用確保措置ということで、65歳までの雇用確保措置の徹底ということです。
 2点目は中高年齢者の再就職支援ということで、現在政府では65歳以上の高齢者に対する再就職支援を重点的に行うということで、現在240か所ある「生涯現役支援窓口」を300か所まで増やしていくということで進めておりますし、「高年齢退職予定者キャリア人材バンク」などの事業も行っています。一番下が、地域における多様な雇用・就業機会の確保ということで、先ほども御説明した「生涯現役促進地域連携事業」、あるいはシルバー人材センターというあたりで、地域における就業機会の確保も進めているところです。
 13ページ、平成30年の「高年齢者の雇用状況」の集計結果の概要です。毎年6月1日時点の数字を取りまとめております。これは昨年の状況ですが、左上、「高年齢者雇用確保措置」の実施状況です。現在99.8%で、31人以上の企業で、こういった措置をほぼ実施していただいているということです。右上、66歳以上働ける制度のある企業の状況です。ここが今回御議論いただく部分ですが、一番上の全企業の所を見ていただきますと、定年制の廃止、66歳以上定年、あるいは希望者全員66歳以上まで継続雇用制度、一定の基準に該当した者を対象とした66歳以上までの継続雇用制度、雇用確保措置によらないその他の制度を加えまして27.6%が平成30年現在の数字になっています。
 14ページが高年齢者雇用確保措置の実施状況をまとめたものです。
 15ページが継続雇用先の内訳です。一番左、自社のみの所の31人以上総計というところが、94.2%となっています。現行の制度では、自社雇用ということで進めていただいている部分が見て取れると思います。
 16ページ、65歳以上雇用推進助成金です。現在4本のコースを設けて、65歳超の雇用促進を図る企業に対して助成制度を設けています。
 17ページです。独立行政法人の高齢・障害・求職者雇用支援機構において、下に書いてありますが、相談・援助体制の強化ということで、65歳超雇用推進プランナーを派遣して提案型支援を実施しております。アプローチ対象としては全体の12万社を対象に進めていこうということです。
 18ページは生涯現役支援窓口事業の概要です。支援体制として、3者で1人の高齢者を支援していくということで、現在、全国のハローワークの240か所に設置をしています。
 次のページ、これは産業雇用安定センターにおいて行っている高年齢退職予定者キャリア人材バンクということで、65歳を超えて継続雇用が可能な企業と、高年齢退職予定者等とのマッチング支援を行っています。
 20ページ。生涯現役促進地域連携事業と申しまして、左下にありますが協議会、地方自治体を中心に作っていただくということですが、この協議会を設けて、地域における雇用のニーズの把握とか、仕事の掘り起こしなどをしてマッチング支援をしています。現在、62地域で実施していただいています。
 次のページはシルバー人材センター事業です。これは臨時的・短期的または軽易な就業を希望する高年齢者を対象に行っているものですが、左上にありますように、団体数としては1,299団体、会員数としては71万人ということです。
 次のページはその「臨・短・軽」の要件の緩和、地域ニーズに対応するために要件緩和を進めております。改正の内容は下に書いてありますが、週20時間までという要件を40時間までと拡大しています。
 24ページ以降は、「高年齢者の就業状況等に関するデータ」ということで、人口の推移等を付けておりますので、後ほどの議論の参考にしていただければと思います。
 飛んでいただきまして、33ページです。60歳以降の就労希望年齢と就労希望形態についてです。60歳以降の収入を伴う就労の意向と就労希望年齢というところです。これは「注1」に書いていますが、60歳以上の男女を対象とした調査です。「働けるうちはいつまでも」というところも加えますと、65歳を超えて働きたいと回答した人が約7割を占めているという結果です。60歳以降の希望する就業形態ですが、フルタイムに加えて、パートタイムが最も多いということです。
 34ページです。60歳以降の就労希望ということです。これも内閣府の調査に基づいたものですが、65~69の所で、7割弱、65.4%の方が、収入を伴う仕事を続けたいという意向があるということです。
 35ページは、高齢者の就業理由です。男女別の複数回答ですが、60~64ですと、男性、女性ともに「生活の糧を得るため」という部分が高くなっています。65~69になりますと、「生活の糧を得るため」というところに加えて、「健康にいいから」などの理由も増えてくるという傾向が見て取れます。
 次のページは「JILPT 高年齢者の雇用に関する調査について」、速報値です。調査概要は37ページのとおりで、今年の5月20日から6月30日にかけて調査を行いました。簡単に御説明しますと、38ページ。60代前半の継続雇用者の雇用形態ということで、「正社員」として雇用している企業が約4割程度、「嘱託・契約社員」として雇用している企業が約6割という数字が出ています。
 39ページです。定年前と比べた仕事の内容や責任の変化ということで、「定年前と全く同じ仕事」と答えている方が約4割、また「定年前と同じ仕事であるが、責任の重さが軽くなる」と答えられた企業が約4割です。
 40ページ。60代前半の継続雇用者を配置する際に配慮している点、というところです。左のほうですが、「慣れている仕事に継続して配慮すること」と答えた企業が約7割、また「本人の希望への配慮」と答えた企業が約6割となっています。
 次のページ。60歳直前の賃金を100とした場合の61歳時点の賃金水準の分布です。平均値で78.7となっています。これは以前も同様の調査を行っていますが、5ポイント程度上がってきています。
 42ページです。賃金水準決定の際に最も重視している点マル1ということで、定年到達前の60代前半の従業員、定年制度がない企業の従業員も含めて答えていただいていますが、「個人の知識、技能、技術」を最も重視している企業が約3割程度、「60歳到達時の賃金水準」を最も重視している企業が約2割程度、18.1という形になっています。
 次のページは賃金水準決定の際に最も重視している点マル2ですが、定年到達後、継続雇用制度によって雇用されている60代前半の従業員ということで、ここでは「60歳到達時の賃金水準」が28.6ということで2、3割程度、「個人の知識、技能、技術」が28.9ということで、約3割程度となつています。
 44ページです。60歳代前半層に対する評価制度の導入状況ということで、「評価制度を導入済み」と答えた企業が約3割となっています。「検討中」の所は約2割程度となっています。
 45ページ。企業における65歳以降の雇用状況ということで、ここ以降は65歳以降の調査です。左のほうが、希望すれば60歳以降も働き続けることができる企業の割合で、右2つの欄を足しまして約8割と出ております。右側のほう、現在、60歳以降の高年齢者を雇用している割合ということで、これは定年後の継続雇用者又は定年を迎えていない者に限って、「雇用している」という企業が84.0%となっております。
 次のページ。企業における65歳以降の雇用確保措置の実施または予定についてマル1ということです。「実施または予定あり」という企業が46.0%と出ております。
 次のページは実施している雇用確保措置の内容ということですが、「1から4以外で企業の実情に応じて働くことが出来る何らかの仕組み」というのが38.1となっています。
 48ページです。今後、予定している雇用確保措置の内容です。「何らかの仕組み」を予定している企業が約2割、16.4となっています。
 49ページが65歳以降の雇用に関する企業の意向・ニーズということで、左側が、今後の高齢者の雇用・就業についてどのように考えているかということですが、「高年齢者は、会社の基準を設けて適合者を雇用したい」というところ、また、「希望者全員をできるだけ雇用したい」というのが高くなっています。右の方、その理由ですが、「意欲と能力があれば特に労働者の年齢は関係ない」、あるいは「高年齢者の身につけた能力・知識などを活用したいため」という企業が多くなっています。
 次のページ、勤務日数および勤務時間ですが、「フルタイムで働く者がほとんどである」という企業が6割、「フルタイム以外で働く者がほとんどである」という企業が約4割となっています。
 51ページですが、企業における65歳以上の中途採用者の状況ということで、55歳以上の中途採用者がいた企業において、採用時年齢が65歳以上の者がいた割合というところで、「いる」という企業が約4割、「いない」とする企業が3割程度となっています。その際に、65歳以上の者について、何歳まで雇用する予定かと聞いたところ、70歳以上まで雇用する予定がある割合が約8割となっています。資料1の説明は以上です。
 次に資料3を御覧ください。「高齢者の雇用・就業機会の確保に関する主な検討課題」ということですが、冒頭に書いてありますが、人生100年時代を迎え、働く意欲のある高齢者がその能力を十分に発揮し、年齢に関わりなく活躍できる社会の実現に向けた環境整備が求められている。このため、1点目が事業主による雇用・就業機会の確保、2点目が再就職の促進、3点目として多様な就業機会の確保、この3つの観点から、高齢者の雇用・就業機会の確保に関する検討を行っていただきたいということで、論点として、大きく2つ掲げています。1つは、65歳までの雇用機会の確保ということで、現行の制度について、更に推進するべき取組について、どのようなものがあるのか。また、2として、70歳までの就業機会の確保ということで、ここでは4つ○を書いていますが、先ほど示しました7つの措置それぞれについて、各措置として事業主が講じる内容やこれまでの措置との均衡について、どのように制度設計していくべきか。例えばということで、事業主の関与の在り方、措置の仕組みや方法、労使の関わり方などを例示して書いております。2番目は、履行確保を図るための仕組みということで、行政措置としてどのようなものを盛り込むことが適当かということです。3点目は、必要な準備期間ということで、施行時期をどのように考えるかについて御議論をお願いしたいと。最後ですが、新たな制度の創設に加えて、高齢者の活躍を促進するために必要な支援について。いわゆる環境整備ということで、高齢者の就労促進のためにどのようなことをすべきかを書いています。少し長くなりましたが、高齢者雇用に関しての説明は以上です。

○阿部部会長続いて、「中途採用に関する情報公表について」に関して、事務局から資料の説明をお願いいたします。

○弓雇用政策課長 私から、中途採用に関する情報公表について御説明申し上げます。それでは説明いたします。まず、資料4を開いてください。「中途採用に係る現状等について」という資料です。スクロールしていただきますと、まず、「中途採用に係る現状について」ということで、図表1を御覧ください。入職者の状況です。2018年の入職者数は約767万人となっています。左側に記載しています。右側のほうを御覧いただくと、そのうち、新規学卒者は122万人です。新規学卒者以外の方、こちらは入職前1年間に就業経験のない方で、例えば、専業主婦をしていた方などが考えられますが、そういった方が149万人で、転職入職者の方が496万人となっております。
 図表2を御覧ください。入職者及び転職入職者数、また、入職率の推移になっております。左側が転職入職者数でして、赤い線を御覧いただくと、転職入職者数については増加傾向となっていることが見て取れるかと思います。青い線が一般労働者に限ったものですが、一般労働者に限るとかなり緩やかな状況となっていることが見て取れます。次に、入職率・転職入職率、右側の赤いグラフですが、転職入職率については緩やかな伸び、一般労働者に限ると更に緩やかな状況となっています。
 図表3、入職者の内訳について、棒グラフとして積み上げた形を取っています。緑色の部分がパートタイムでして、こちらについては大きく増加していることが見て取れるかと思います。一番下の赤い塗りつぶしの部分が一般労働者の転職入職者ですが、こちらについても緩やかに増加している状況になっております。
 図表4、企業規模別の転職入職者数・転職入職率をグラフにしたものです。左側、転職入職者数については黒い線、従業員数1,000人以上の大企業ですが、こちらは近年大きく増加している傾向が見て取れます。右側が転職入職率でして、常用労働者を分母として割ったものになりますが、こちらで見ると、企業規模が大きくなると、転職入職率については低い傾向が見られるといった状況となっています。
 図表5、企業規模別の中途採用割合を入職者に占める割合で規模別に取ったものです。こちらは企業規模が小さいほど中途採用割合が高く、企業規模が大きくなるほど低くなってまいりまして、300~999人、1,000人以上については平均を下回る状況が見て取れます。
 図表6、規模別の新卒・中途採用比率です。こちらは先ほどの図表5と同様の資料ですが、再生事務局から未来投資会議に提出されている資料でして、こちらについても記載させていただきました。真ん中辺りに「中途採用比率」という数字があります。全体が65.3%、5~299人が76.7%となっておりまして、下に行くほど比率が低くなっていくことが見て取れて、5,000人以上となると37.4%となっております。
 図表7、企業規模別・産業別の中途採用割合をグラフにしたものです。産業ごとにその水準に違いがありますが、この中で、黒い三角が5~299人、横バーが300人以上という形になっています。概ね企業規模が大きいほうが中途採用割合が低く、企業規模が小さい三角のほうが上にいっている傾向が見て取れるかと思います。
 図表8、職業別に転職入職率を見たものです。転職入職率を見ますと、左側、サービス業では高くなっていて、右側、管理職では低くなっていることが見て取れます。
 図表9、転職就業者の役職割合です。青い棒グラフが転職就業者、赤い棒グラフが継続就業者です。転職就業者のほうは、継続就業者と比較すると役職に就いていない割合が高い傾向が出ております。
 図表10、正社員の採用方針について規模別に見たものです。左側を御覧いただくと、「新規学卒に重点」という回答を行っている企業は、1,000人以上の黄色い棒グラフが一番高くなっておりまして、99人以下の赤い棒グラフが一番低くなっていることが見て取れます。企業規模が大きくなるほど新規学卒に重点を置いている傾向が見て取れます。
 図表11、職業別の転職求人倍率(民間職業紹介)の数値を集計したものです。一番上が青い折れ線グラフになっています。これが技術系(IT/通信)となっています。次の折れ線グラフの高いものが専門職で、こちらでいう専門職はコンサルタントなどとなっておりますが、こういった方々への求人倍率が高い状況です。
 図表12、人材採用を円滑化するために実施している取組についてのものです。左側が正社員の新卒採用、右側が中途採用になっています。それぞれ項目が異なりますが、共通する項目については塗りつぶして濃い色にしています。真ん中の辺り、「職場見学会・職場体験会を実施」などについては、新卒採用では28.0%が実施しておりますが、中途採用については9.6%という状況となっています。
 続きまして、「転職者・転職希望者をめぐる状況」です。図表13、平均寿命と高齢者の就業率の推移をグラフにしたもので、左側、平均寿命についてはこれまでも伸びてまいりましたし、今後とも伸びていくことが予想されます。また、右側は就業率ですが、こちらについても、これまでも上昇傾向が続いてまいりましたし、今後とも上昇が見込まれています。
 図表14、転職経験のある方の割合についての調査でして、左側の青いほうが男性、右側の赤いほうが女性となっています。男性のほうで説明しますと、上の棒グラフの濃い青の斜線の部分が、退職回数は0となっておりますが、そちらの回数、その棒グラフはどんどん短くなっていくのが見て取れます。35~39でも50%を切るといった状況でして、年齢層が上がるにつれて転職回数が増えてきている状況が見て取れます。
 図表15、転職(就業)希望者の現状についての円グラフです。左側の円グラフ、正規雇用労働者の所で説明しますと、転職希望をして求職活動を行っている方、こちらはオレンジの塗りつぶし、転職希望をしているが求職活動を行っていない方が黄色い塗りつぶしとなっています。合わせると約343万人の方がいるわけですが、一定数、転職希望をしているが求職活動を行っていない方の割合があることは見て取れまして、真ん中の青は非正規雇用労働者、右側の緑が無業者になっておりまして、こういった割合で、転職希望がありながら求職活動を行っていない方がいる状況が見て取れます。
 図表16、転職を希望している方のうち、求職活動を行っている方の割合を年齢階層別に棒グラフにしたものです。こちらについては、年齢が上がるにつれて求職活動をしている方の割合が下がっている傾向が見て取れます。
 図表17、転職を希望する方に対して実際に転職をされた方の割合を示しています。中高年層において低い傾向が見て取れます。
 図表18、転職入職率について、年代別に棒グラフにしています。こちらについても中高年層が低くなっていることが見て取れます。
 図表19、中途採用の年齢別の採用方針についてのグラフになっています。黒っぽい塗りつぶしが積極的に採用を強化したいというもので、黒い斜線が、良い人材であれば採用したいという企業の割合です。35歳未満に対してであれば、2つの割合は非常に大きい割合ですが、下に行くほど、年齢階層が上がるにつれてその割合は低くなっていき、積極的な採用の割合が減っていくことが見て取れます。
 図表20、正社員転換の現状について整理したものです。非正規雇用から転職した場合に、正規雇用へ転職された方の割合が濃い緑、非正規雇用から非正規雇用へ転職された方の割合を黄緑という形で分けております。年齢階層が上がるにつれて、正規雇用へ転職された方の割合が少なくなっていくことが見て取れます。
 図表21、不本意非正規雇用労働者の現状についてのものです。まず左側、2013年から2018年にかけて、数自体は非常に減っていますが、255万人がいる状況です。このうち右側、男女別に割合を取っているものですが、最も高いのは45~54歳で、37.5%で、男性における不本意非正規雇用労働者の割合が非常に高い状況になっています。
 次の図表22と図表23、就職氷河期の関係の資料を添付しています。1993~2004年に学校卒業期を迎えた世代が就職氷河期世代と位置づけられていますが、下のほうにフリーター等の推移と無業者の推移のグラフがあります。フリーター等については30年にかけて減少しておりますが52万人の方、無業者については40万人の方がいるといった推計がなされています。
 図表23は、就職氷河期世代の就業の現状についてを円グラフに表しているもので、もちろん正規雇用で働いている方などもいますが、特に支援を必要とする層は100万人程度いることが見込まれています。
 27ページの以降については参考資料ということでして、28ページについては、先ほど局長の説明でもあった成長戦略につきまして添付しておりまして、個々の大企業に対し、中途採用・経験者採用比率の情報公開を求めるといった対応を図るといったこと、また、工程表のほうでは、当審議会における御議論について記載されています。29ページにつきましては、中途採用・経験者採用に関する環境整備の推進として、現在行っている取組を整理しております。それぞれの施策について、細かな資料を更にその後ろに添付しておりますが、時間の関係もありますので、こちらの説明については省略させていただきます。
 続きまして、資料5を御覧ください。「中途採用に関する情報公表に係る主な検討課題」です。視点・留意点を整理しました。最初の○ですが、人生100年時代においては、働く意欲がある労働者が、その能力を十分に発揮するため、中途採用を通じて「その能力をよりよくいかせる職場を求める」ニーズが増していくのではないか。また、就職氷河期世代や中高年齢者にとって、中途採用を通じて良質な雇用機会を求めるニーズは高いのではないか。2つ目の○ですが、技術革新や市場環境の変化が進む中、新卒労働市場の縮小も相まって、企業にとっては中途採用を通じて「社内にない高度な技術、一定の専門性や経験を有する人材を社外から確保する」ニーズが増していくのではないか。3つ目の○ですが、中途採用に係る情報の公表は、職場情報を見える化し、中途採用を希望する労働者と企業のマッチを促進するものとして有効ではないか。
 その下に検討課題として、今後、企業に中途採用に関する情報公表を求めていくこととする場合、例えば、以下のような検討課題があるのではないか。最初の○ですが、情報公表を求める対象企業について、2つ目の○、公表する情報の内容について、最後の○、「情報の公表方法、必要な準備期間、支援等について。例えばという形ですが、検討課題を整理しております。私からの説明は以上でございます。

○阿部部会長 ありがとうございました。それでは、本件について、御質問、御意見等がありましたら御発言いただきたいと思います。高齢者の雇用・就業機会の確保と中途採用に関する情報公開のどちらからでも結構ですので、御質問、御意見等いただければと思います。

○小林委員 資料3の高齢者雇用・就業機会の確保に関する検討課題のうちの、1ポツの65歳までの雇用・就業機会の確保についての所で意見をしたいと思います。65歳以上の高齢者も含めて、意欲のある高齢者の方が、ほかの世代とともに生き甲斐や遣り甲斐を持って働くことができる社会の実現に向けた環境整備が非常に重要だと考えております。65歳までの雇用・就業機会の確保の観点からすると、まずは2020年4月より施行される同一労働同一賃金に関する法律への対応を確実に実行するのが1つ大事ではないかと思います。また、通常の労働者と定年後の継続雇用労働者をはじめとする60歳以降のパート・有期雇用で働く労働者との間での不合理な待遇差については、確実に是正されるべきだと思っております。また、その上で定年延長を含めた60歳から65歳までの働き方については、産業とか業種、職種ごとによっても環境が大きく異なることもありますので、個別の労使協議について最大限尊重すべきではないかと考えております。また、令和6年度末に終了となっておりますが、継続雇用制度の経過措置については、その時期を待たずに、全てそれは廃止をして、希望される全ての方を対象に継続雇用制度という形で進めていっていただければと思っております。以上です。

○阿部部会長 ありがとうございました。では、事務局から何かあればお願いします。

○野村高齢者雇用対策課長 御意見ということで、しっかりと受け止めさせていただきます。経過措置の部分については、2025年に向けてということで取組を進めておりまして、そういったことを踏まえて御検討を進めていただければと考えております。よろしくお願いします。

○阿部部会長 ほかにいかがですか。

○境田委員 同じく高齢者の雇用についてです。活躍できる環境を整えるという点では、活躍フィールドの拡大というのも非常に大事だと思います。ただ、安全とか安心とかそういった健康対策も十分確保していく必要があるのではないかと思っております。例えば、現在、非常に元気な高齢者の方は多いですが、一般的には、視力とか聴力とかそういったところも含めて年齢、加齢に伴って低下していくと言われていますので、職場自体が医学的、統計学的な観点からしっかりと分析をして、そういったものに耐えうるような状況になっているのか、安心・安全の観点、衛生・健康確保の観点、こういったところも含めて十分に同じく対策を講じていく必要があるのではないかと考えています。

○阿部部会長 ありがとうございました。これは御意見として承りたいと思います。ほかにいかがでしょうか。

○清家委員 高齢者雇用・就業機会の確保に関する資料3に関して、まず御意見を申し上げたいと思います。70歳までの就業機会の確保について、成長戦略実行計画の中に7つの選択肢のイメージが出されているのですが、企業の方ともお話する中で、このイメージだけだとなかなか企業としてどういった対応をすればいいのかが見えないというお話をかなり頂いております。例えば、(e)(f)(g)という雇用でない形での就業機会の確保、選択肢として提示されていますが、これは、例えば高齢者の方はそれぞれいろいろな御希望がある中で、全て企業として受け止め切れるのかというと、なかなかそれは難しいところもあるかと思います。企業としてどこまでできるのかも踏まえて、企業との関係性も考えて、雇用によらない就業機会の確保に関する選択肢については検討していく必要があるというのが1点目です。
 それから、選択肢について7つ提示されていますが、高齢者の方々の多様性も考えますと、労使の話合いで決めることが実行計画の中にも書かれておりますので、8番目の選択肢として、労使で決めた枠組みも考えられないものかと思っております。JILPTさんの調査の速報値のデータの中に、従前の雇用確保措置以外の形で66歳以降について対応されていることが回答の中にそれなりの数があったかと思いますので、選択肢の在り方についても検討されて然るべきかと考えております。
 それから、全体の枠組みについて、企業による雇用・就業機会の確保、それから再就職の促進、多様な就業機会の確保ということで、やはり企業による雇用継続だけでない多様な形で対応していくのだというメッセージを、しっかり今回の法制整備の中で進めていただきたいと思っております。その意味で、2ポツの最後の○にある、高齢者の活躍を促進するために必要な支援について、先ほど野村課長からも現行の取組を具体的に御説明いただきましたが、必要なものであれば積極的に制度なり人材の確保、拡充といった対応をしていく必要があるという認識を持っております。まずは全体の話ということで、高齢者に限って指摘しました。

○阿部部会長 ありがとうございました。事務局、何かありますか。

○野村高齢者雇用対策課長 今後、具体の企業の関与の在り方等は示したいと思いますが、その前提において、1点目、(e)から(g)については雇用でないものが含まれている。正に御指摘があったように、企業としてどこまでどういった形で関与いただくのかというのは論点の1つかと思っておりますので、事務局の考え方も示しながら御議論いただきたいと考えております。
 2点目、7つの選択肢論、労使で話合いの枠組みという所がありましたが、今、閣議決定で7つ、これをベースに法制化を図るというところがあります。これ以外で、具体の選択肢があればまた御意見として賜ればと考えております。基本的にはこの7つを中心に検討を進めたいと思いますが、今後、御意見等があれば賜りたいと思います。
 あと3点目、企業における雇用確保以外の高齢者雇用の促進です。企業における雇用確保措置のみならず、先ほど3本柱ということで説明しましたが、地域、あるいはハローワーク等でも高齢者の就労促進を進めておりまして、これら全体で進めていくべきものと考えておりますので、そういった取組についても御議論いただければと考えております。以上です。

○小野委員 今、お話があったことに関連付く意見です。65歳から70歳までの就業機会の確保ということですが、かなり多様なニーズが見込まれると思っています。資料1の35ページの高齢者の就業理由という所でも、やはり60歳の前半と後半ではかなりニーズが異なってくる。前半は、生活の糧を得るためということで、子供が学生であるという御家庭もまだ60歳代だとあると思います。けれども、65歳以降になってくるとかなりニーズが細分化されてくると思うのです。そういう意味において、こちらの成長戦略の実行計画の所で7本の柱が挙げられていますが、最後の(e)(f)(g)が重要になってくるのだろうと思っております。
 私は生涯キャリアの研究を最近やっておりまして、人生100年の中でどのようにキャリアを築いていくかという中で、企業さんといろいろ話す機会がありました。その中で、やはり現役世代からパラレルでキャリアを築いていくのが非常に重要であると。定年で60歳になって、いきなり何かしろと言われても無理だということで、50歳代からパラレルで何か自分のキャリアを見つけていく、あるいは、社会貢献活動に片足を突っ込んで活動していく方法などを探っていかなくてはいけないのだろうと思います。その中で、1つ企業さんとお話していて感じたのが、兼業・副業規定です。そちらがかかっている企業さんにおいては、再雇用制度の期間中も兼業・副業規定がかかっていて、週に3日しか働いていないのに、あとの4日は兼業・副業規定がかかっていて働けないところもある。ではどうしたらいいのだと。ある意味、50歳ぐらいから兼業・副業規定を緩和してもらえれば、あるいはフリーランスで、パラレルでキャリアを築く、定年後にフリーランスになったりとかということも選択肢として有り得るのではないかという話も出ておりました。ですので、定年後のキャリアをつないでいくという意味においては、今、いろいろ議論されています兼業・副業規定についても、併せてどうしていくかという問題は考えていただきたいと思っております。
 もう1つ、社会貢献活動についてです。関連企業に就業機会を求めるというのがどこかに書いてあったと思いますが、この関連企業の中には、例えば大きなグループ企業であったりすると、公益法人があったりします。公益法人に関しては独立性を求められますので、例えば議決権であったりとか、そういうものは親会社から全く切り離された状態にあると思います。法律上そうしないといけないはずなので。そうした場合に、これは継続雇用に該当するのかどうかということです。あるいは、全く関係ないNPO法人であったりとか、地域に人材を派遣する、そして、給料は親会社が払うのだけれども、そういった場合も含めてOKとするのかどうか。こういうのも、1つの考え方としてはあるのかと思ったりはしております。

○阿部部会長 ありがとうございました。では、御意見として賜りたいと思います。ほかにいかがでしょうか。

○村上委員 私も高齢者雇用について、まず意見と質問です。1つ意見は、資料3などの論点にありますが、70歳までの就業機会の確保の部分においては、今回、成長戦略実行計画の中では(a)から(g)まで7つの選択肢が設けられておりますが、これは前回の基本問題部会でも申し上げましたが、雇用でない働き方を選択肢として設けることだけでなく、そちらの面ではなくて、働き方のメニューについても広げるべきではないかと考えております。そちらはちょっと軸が違うのですが、体力であるとか健康状態に応じた働き方というものを、雇用の部分で、週3日の働き方とか週2日とか、あるいは短時間とかというようなメニューを用意すべきではないかと考えておりますのが1点です。
 2点目は、やはり選択肢の問題です。高齢期になっても働く意欲のある方々が活躍できる場を作っていこう、環境整備をしていこうということは重要だと考えております。ただ、この7つを見たときに、やはり(e)(f)(g)については、多様な選択肢ではあってプラスの面もあるものの、本当に大丈夫だろうかという懸念も持たないわけではありません。フリーランスなどでは様々な保護が薄くなってしまうという問題もありますし、あと、先ほど清家委員もおっしゃっていましたが、どこまで何をやれば義務を果たしたことになるのかという話もありますので、もう少し中身をきっちり詰めていかないと、どのような制度になるのかが分からないのではないかと考えております。
 3点目は質問です。資料3の2ポツの1つ目の○の、各措置として事業主が講じる内容やこれまでの措置との均衡についてという所で、事業主の関与の在り方とか、労使の関わり方という部分についての質問です。成長戦略実行計画が資料2でありますが、ここでは、労使で話し合うということが何回か出てきます。例えば、「当該企業としては、そのうちどのような選択肢を用意するか、労使で話し合う仕組みを検討する」と書いてありますし、また、「(a)から(g)の中から当該企業で採用するものを労使で話し合う」となっております。この労使で話し合うという部分について、私ども労働組合がある所であれば割とイメージしやすくて、労働組合と企業で話し合って労働協定を締結していくということで、その手続的なものも全部定めていくことなのだろうと思うのですが、労働組合がない所では、これはどのようなことで担保されるのだろうかという疑問があります。話し合う仕組みについて、ほかの法規定で定めているものはあるのかというのが今一つ分からない部分です。36協定は労使合意が必要ですが、就業規則は意見聴取であります。意見聴取は話合いではないのかというところもありまして、それはどのようになっていくのかというところを1点お伺いしたいと思います。以上です。

○阿部部会長 では、御質問もありましたので、事務局、お願いします。

○野村高齢者雇用対策課長 3点ほど御意見と御質問を頂きましたが、1点目、2点目は御意見として賜りたいと思います。働き方のメニューというか、働き方の組合せというものも検討すべきではないかという点も御意見を賜りたいと存じます。3番目、労使の話し合いの仕組みは法律上、他に規定されているものがあるかというのは、ちょっと今、手元にないので調べてお答え申し上げたいと思います。ここでは、話し合いということで2件ほど閣議決定の中で書いております。現行の継続雇用制度ですと、高年者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針の中で労使間で十分な協議を行ってそういった措置の内容を決めていこうということが書いてありますが、今後、これをどういった形で規定していくのか、法律上書き込むのかどうかということも含めて、また考え方を示していきたいと考えております。

○村上委員 65歳までの部分については、法律の条文上は規定がなくて指針で書かれています。協議しましょうと書いてあるということですが、では、ここで労使で話し合う仕組みを作るというのも同じ意味合いなのでしょうか。それとも、法律上規定すべきなのかということです。法律で規定するとなると、65歳までは指針で定め、65歳から70歳の努力義務になると、途端に労使で話合う仕組みが条文上できていくという話になってくるのかと思っていまして、そこを適切な形で整理しておくことが今後必要ではないかと思っております。
 私どもがちょっと懸念するのは、労働組合であれば、労働組合の組合員から労働条件などについては委任されておりますので、メニューについても、こういう形で話し合って決めたのだということで納得いただくことになると思うのですが、労働組合のない職場で何かメニューを用意する場合、例えば、(a)から(g)まであるけれども(f)しか選びませんでしたというときに、いや、本当は(f)ではなくて自分は(g)がよかったのだとか、自分の会社では(g)を用意してほしかったのに、なぜやってくれなかったのだという声が、誰が労使の労側になるのかよく分かりませんが、例えば、過半数代表者だとしたら、その人が責任を全部一手に引き受けなくてはいけなくなるのかとか、そういった課題も出てきます。加えて、労働過半数代表者にどこまでの責任を負わせるのかといった課題もありますので、そこは慎重に検討を頂くことが必要ではないかと思っております。

○阿部部会長 事務局、何かありますか。いいですよね。では、今日は御意見をお聞きしたということで、また後で整理していただいてと思います。ほかにいかがでしょうか。

○志賀委員代理大内氏 70歳までの就労機会の確保に関して1点お話をしたいと思います。私ども商工会議所は多くの中小企業の会員を抱えておりますが、中小企業に関しては、業務に幅がなく、限られた同様な業務を行っております。大企業であれば、いろいろな業務があって、高齢者の方に合わせた業務を御用意することも可能かと思うのですが、中小企業の場合はなかなかそういう余裕がないこともあります。働く人に合わせた業務設定をする余裕がないという実情を踏まえて、本人の体力的、意欲的な面も含めて、継続雇用が難しい場合に、適用除外というような選択肢は用意できないか。そこは双方話合いの上というのはもちろん前提としてあるのですが、企業として御用意できない場合に、何かそういった適用の除外を設けるなど、ある程度制度に柔軟性を持たせた形で対応していただければと思っております。
 また、併せて、先ほど7つの選択肢で対応できない場合にというお話がありましたが、中小企業は対応できないことも十分考えられます。一企業で対応できない場合には、国であるとか、あるいは関係機関によるセーフティネットの整備といった形で、希望される方に対して、何らかの選択肢を提供できるようにする。ハローワークさんとかJEEDさんとかを通じて提供する。そういう選択肢も1つ、今後是非、御検討いただければと思っております。以上です。

○阿部部会長 では、事務局から何かあればお願いします。

○野村高齢者雇用対策課長 いわゆる、企業として雇用確保あるいは就業機会の確保として取っていただく選択肢を7つ提示しております。それ以外で、先ほど申したように、高齢者の就労促進は企業のみで行うものではないということで、公的な所でのハローワークとかでの更なる再就職の支援もやっていく形で考えております。その全体像を御議論いただきたいと考えておりますが、企業に講じていただく措置というものは、企業の関与がある範囲での措置ということで御理解いただければと考えております。

○玄田委員 関連して、70歳までの就業の所で、私は現状についての質問を1つだけ、まずは伺います。書いてある7つの選択肢はそれぞれ重要だと思うのですが、本丸と言いますか、やはり重要なのは、定年の扱いと雇用延長の部分だろうと思っております。前回も、65歳というのもそこが非常に大きかったわけで、中でも、雇用延長に関して希望者全員というところが非常に大きな社会的なインパクトになったのだろうと。そうなった場合に、今回は70歳全員についていろいろな制度を整えるとしても、やはり希望者全員についてどう考えるのかは当然大きな論点になるのだと思っております。
 そこで質問です。希望者全員を様々な形で雇用延長することになっているのが現状ですが、一方で先ほど資料にあったように、企業としては会社の基準に基づいた評価をしたいということだと思います。そこで、これを摺り合わせるために多くの場合やっているのは、話し合いながら賃金の水準と業務内容でそこを調整がなされているのだろうと思っております。知りたいのは、業務の見直し、配置転換、摺り合わせをしながらも、それでもやはり採用を続けることが困難であるというケース、いろいろなことをやってもなかなか今、雇うのが難しいというケースに対してどのように対応されているのか、そういうケースについてどのような声を聞いているのでしょうか。
 例えば1点として、企業の評価基準だけではなく、最近、3%ずつ最低賃金が上がる中で、いろいろ工夫をしていても最低賃金ですら雇うことが困難な状況にある方がいらっしゃった場合に、雇用延長という考え方とどのようにして摺り合わせをされているのかについて、もし何か今の段階で情報とか対策とか、対応がなされているならば、是非そこは共有して確認しておきたいということです。もし、特に今の段階で問題がなかったとしても、恐らく60代後半については、そういうことがより顕著に問題になり得るのではないか。つまり、今年は自分もガンガン働けると思っていたにもかかわらず、いろいろな健康面のこととか、働く意欲の面、また家庭の事情など、いろいろな意味で別にやらなければならないことが生まれたりして、働くことが難しくなるという状況が急速かつ大幅に起こるというのが60歳代後半の、60歳代前半に比べて相対的に大きな変化であると思います。そのときに、やはり希望者全員に対して様々な状況で対応することが困難になる、賃金などでも評価が困難なときにどのように対応していくのかを考えていかなければならないと思いますので、今、現状についてどういう状況なのかを確認させていただければと思います。以上です。
○阿部部会長 それでは、事務局からお願いします。

○野村高齢者雇用対策課長 今後、65歳のところについてどのような方々が対象ということです。その範囲については、この閣議決定の範囲で検討ということですが、まずは努力規定ということです。これまでの継続雇用制度の導入でも、基準対象者に限定したところから導入している、というところは踏まえる必要があるだろうと考えております。
 後段の現状のところです。例えば継続雇用制度は、個別企業の話ではありませんが、心身の故障のために業務に耐えられないと認められるというようなことがあった場合には、就業規則に定める解雇事由に当たる場合もそうですが、そういう場合には継続雇用しないことができるというような運用がなされていると考えております。

○阿部部会長 玄田委員どうぞ。

○玄田委員 実際そういうケースはどのぐらいあったのか、そういう情報というのは労働局で把握されているものなのでしょうか。65歳の継続雇用の段階の年において、解雇に相当するケースが幾つかあったとか、そういうのは調べようと思えば把握することは可能なのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○野村高齢者雇用対策課長 これは61報告で、60歳定年企業における定年到達者の状況をデータとして取っています。定年到達者総数が33万8,591人、これは6.1.報告の対象者のところでです。その中で離職者数というのは6万8,000人ぐらいいます。ただ、そこの事由までは把握しておりませんので、データがあるかどうか確認したいと思います。

○玄田委員 できれば、今後の議論のためにそういうデータの把握もお願いできればと思います。雇用動向調査などでできるかどうか分かりませんけれども、もし必要であれば別のデータも含めて収集をお願いできればと思います。
もう一点、これは弓さんに伺うべきかどうか分かりませんが、中途採用に関して整理していくということは、資料5に書いてあるような視点も当然重要だと思うのです。一方で私の理解する労働行政と言いますか、雇用行政の根幹の部分というのは、転職を促すというよりは、やはり長期における安定した働き方、できれば1つの企業で安定して働いていくことを望む人たち、恐らくそれが大多数だと思うのです。こちらを最優先に考えると、転職ありきではなくて、基本的には1つの会社で安心して働き、そこでキャリアアップしていくことが大前提だろうと思います。それは今後、閣議決定とか成長戦略の中でも恐らく揺らがない部分だと思うのです。
 今後議論する中で、これまでもいろいろあったと思うのですが、長期的に安定雇用という考え方の政策の根幹と、中途採用をある意味で促進していく、できる環境を整備するということに齟齬がないのか。そこを矛盾なく進めていくためには、どういうことが論点になると考えているのかを、今の段階での御意見を伺っておきたいと思います。

○阿部部会長 事務局からお願いします。

○弓雇用政策課長 玄田先生御指摘のとおり、長期的な安定雇用については私どもは今後とも重要と考えています。視点・留意点のところでも書いている部分ですけれども、ただ、一方でより良く、労働者側のニーズとして、そもそもその転職を希望している方、また長期安定雇用に就けていない方が一定数います。そういう方々が転職、また中途採用という形で安定的な雇用を実現できる機会があるのではないかと考えています。
 また企業側においても、中途採用のニーズがあるのではないかということ。中途採用、また中途での転職を希望される方々をいかにスムーズにマッチングしていくのか、ということは今後更に安定行政としても重要性が増していくのではないかと考えています。そういうことへの対応という観点から、今回の中途採用に関する情報の公表の施策の必要性が考えられるのではないかと感じているところです。

○阿部部会長 他にはいかがですか。吉村委員、穂岐山委員、清家委員、紺谷委員の順番でお願いいたします。

○吉村委員 中途採用についてです。資料5に書いてある視点や留意点については、確かにその一面はあるかと思います。ただ、これから検討するに当たって大事な入口だと思いますので、意見とかお考えがあればお聞かせください。マッチングを促進する手段が、企業の情報公表に至っているのは、本当にそれは実効性があるものなのかというのは、まだ形が出ていないのでイメージしにくいです。
 現在でも、中途採用を望む人は仲介業者やリファラルなどを通じてその市場というのはありますし、活性化している所もあると思います。それを更に上回って、企業が能動的に公表することによって、マッチングが促進されるものなのか。また、そこに伴う課題もたくさんあると思います。それが他の手段も含めて、この情報公開が適当なのかどうかというのは是非御検討いただきたいと思います。他にも何か手段があれば教えてください。
○阿部部会長 事務局からお願いします。

○弓雇用政策課長 吉村委員から御指摘のありました、情報公開というのがマッチングを促進する上で適切なのか、その他の手段もあるのではないかということです。企業と労働者の方々をマッチングしていく上では、情報公表以外にも様々あると思います。例えば、企業自身の魅力を高めていただくための取組を行っていただく、行政としてそれに対して何らかの支援ができないか。人材の関係では、労働者にとっては能力を身に付けていただくとか、様々な取組が考えられます。それは多岐にわたると考えているところです。
 そういう中で、今般はいかに職場における情報を労働者に届けていくのかという観点からの取組の1つとして情報公表ということが考えられるのではないかと認識しています。こういう情報を労働者に届けていくことは適切なマッチングにも結び付くものです。そういう情報を得た上で転職、再就職していただくということは、その再就職先での労働者の活躍とか、入ってみたのだけれども状況が違ったということで、早期に離職してしまうという不幸な状況を防ぐことにもつながっていくのではないかということで考えていて、意味のある取組ではないかと考えています。

○阿部部会長 穂岐山委員どうぞ。

○穂岐山委員 65歳以上の継続雇用の話にまた戻ってしまいます。先ほど使用者委員からお話がありましたように、私どものほうは50人未満の企業が非常に多く、大多数を占める使用者団体です。確かに中途採用とか、あるいは継続雇用で65歳以上を雇っている所が多いわけです。そういう所が全てというわけではなくて、65歳以上の高齢者の属性を一般的に見ると、先ほどお話があったように、体力の差とか能力の差が、65歳以上になるとより広がってくると思います。
 もう一点、中小企業の業務の特性として、大企業のように専門化・細分化されていません。有り体に言うと、10人とか15人ぐらいの企業になると、何でも屋というような従業員が多いわけです。加えて中小企業、特に零細企業においては、景気変動に影響されやすく、非常に経営基盤も脆弱である。こういう点からも65歳以上を全員、努力義務とは言え、65歳以上について全員をというようなことになると、現実の問題としてなかなか厳しい面があります。企業がソーターをかけられる余地がある程度必要だと思います。是非そういう措置について御検討いただきたいと思います。

○阿部部会長 御意見として承ります。清家委員どうぞ。

○清家委員 中途採用の話が出ましたので、私からも御意見を申し上げます。成長戦略実行計画が検討の土台になるかと思います。その中に個々の大企業に対してということで情報公開を求めるとあります。今一つどうしてこういうことが出てくるのかという、趣旨・目的についてしっくりこない部分があります。法律上の対応を大企業に対して求めるのであれば、もう少し分かりやすく、理解できるような説明を改めてお願いしたいというのが1点目です。
 先ほど玄田先生からもありましたように、長期安定雇用が重要という点につき、弓課長からも回答がありました。仮に中途採用・経験者採用比率を出した場合に、高いほうがいいのか低いほうがいいのか、その意味合いはどういうことなのか。数字の読み取り方も非常に誤解を招くリスクもあるかと思います。その点も十分踏まえた御議論をお願いしたいと思います。
 政府のほうで、中途採用・経験者採用の協議会が立ち上げられて、昨年出された報告の中にも、個々の企業の特徴だとか事業環境を踏まえて、各社に適した形で中途採用・経験者採用を促進することを期待すると整理していただいています。そういう方向と平仄を合わせる形で、仮に情報公開という議論をするのであれば、企業の実情を踏まえた対応可能な方向で御議論をお願いしたいという意見です。
 それから、高齢者のところで御意見を申し上げたい点が2つあります。1点目は、履行確保の問題について論点ペーパーに出されています。これは、実行計画の中にかなり具体的に「厚生労働大臣が」という所の記述にあります。努力義務の段階であったとしても、履行確保を求めるということで行政措置が入るという内容になっています。やはり、その点については非常に企業実務上懸念されるところでありますので、ここは慎重な御議論を是非お願いしたいというのが1点目です。
 2点目は、論点の中にある準備期間です。全く新しい仕組みを入れることになると、労使双方相当の準備期間が必要なのではないかということもあります。先ほど中小企業の皆さんからも御指摘がありましたように、事前の周知というものも期間をおいて丁寧に行う必要があろうかと思います。その点も考慮していただいた形での議論をお願いいたします。

○阿部部会長 御意見として承ります。紺谷委員からお願いいたします。

○紺谷委員 私は、中途採用に対する情報公表について意見を述べさせていただきます。そもそも論になってしまうのですけれども、中途採用に関する情報公開を行う必要性というものを私は理解しづらいと感じています。中途採用比率と離職率は表裏の関係と言いますか、一体にあるのではないかと思っています。例えばなのですけれども、中途採用比率が高いというように公表したA社について、多様な人材を抱える魅力的な企業と捉えるのか、若しくは離職率が高くて、長く働きづらい企業と見るかということについては、求職者と言うのか労働者の受け止め方次第になってしまうのではないかということが1つです。
 それから、本日説明していただいた資料5の視点・留意点の上の2つの○の部分にあるとおり、一律に中途採用と言っても、就職氷河期世代や中高年齢者と、高度な技術や専門性を有する労働者の中途採用では、求められる政策も異なることから、同じ枠組みの中での対応というのは難しいのではないかと感じています。情報公開によってその透明性を高めたいという意図は分かるのですけれども、中途採用を促進するという流れでいくのであれば、これは65歳以降70歳までの働き方の部分とも共通する部分があるのかもしれません。
 本日の資料の19ページにあるキャリア人材バンク事業とか、資料4の34ページに記載されている産業雇用安定センターといった事業を通じたマッチング機能の充実や強化という施策が重要なのではないかと思います。
 そういうことから、中途採用に関する情報の公表については特に賛同するわけではないのですけれども、もし仮に公表するのであれば、就職氷河期世代や中高年齢者の採用実績、それからそういう方々が企業に入社した後のキャリアパスといった、労働者にとって企業の実態とか、入社後そこの企業で働く自分をイメージしやすい情報も合わせて公表できる仕組みにしていただきたいと思います。

○阿部部会長 事務局から何かありますか。

○弓雇用政策課長 中途採用比率については、その企業の状況によって異なるものだと考えております。離職率などによってももちろん異なると思っています。例えば成長が著しくて、社員をどんどん雇い入れているという企業においても中途採用比率が高まっていくという状況です。様々その企業の状況によって異なるということは、我々としても認識しているところです。その公表する情報の内容についても引き続き御議論いただければと考えています。
 一方で、中途採用比率の公表については、労働者が職場の情報を定量的な情報として把握する。その定量的な情報を把握し、また検討していただくことを可能とするという意味で、そういう情報を見える化していくということは労働者にとっても有用ではないかと考えています。
 先ほど清家委員から数字の誤解のお話がありました。数字の誤解への対応についても、またこちらで御議論いただければと考えております。例えば、公表を義務付けるような項目とは別に、補完的な情報の公表を促していくといったことも考えられるかと思いますが、いずれにしても今後の御議論をお願いできればと考えているところです。
 また、それぞれのお立場により、中途採用の情報と言っても様々な情報が考えられるのではないかという御指摘を紺谷委員から頂きました。そういう情報についても、もちろん有益な情報だと考えております。例えば全般的な情報でしたら、いわゆる生え抜きの労働者の中途採用といった大きな括りにはなりますけれども、そういう意味での職場の情報、こちらについても定量的に把握できるといったことも可能ではないかと考えています。

○阿部部会長 他にはいかがでしょうか。酒井委員どうぞ。

○酒井委員 私から申し上げようと思っていた意見は、多くの委員から出てしまいましたので、大きいところを1つだけ申し上げます。今回、高年齢者の雇用確保と中途採用の促進という2つのテーマをたまたまこの部会で扱っています。先ほども玄田先生からありましたけれども、政策の整合性ということが重要になってくるかと感じます。若干この2つのテーマに関して政策の整合性が見えにくい部分もあるのではないかと感じています。
 高齢者の雇用確保が今後進められるのであれば、労働者の立場としては、むしろ転職する必要はないのではないか。特に中高年の方は、より同じ企業で長く働けるようになるということが約束されれば、転職する必要はないと考える人も出てくるのではないかと思います。今までだと、大企業に勤めていて中高年になったので、これから活躍の場を見付けて中小企業に移る、というようなケースもあったかと思います。こういう動機で転職する人たちが減る可能性もある。そうすると中途採用の促進というのがどういう意味を持ってくるのかということがあります。若干整合性が見えにくい部分があって、もちろん説明は可能だと思うのですけれども、見えにくいという意味で、やはり分かりやすくする必要があるかと思います。
 整合性が必要だと考えるのは、企業と労働者の双方にとって、整合性が見えないと混乱を招くと考えるからです。行政の1つのビジョンとして整合性ということに関して分かりやすさをもう少し追求してはどうかと考えます。

○阿部部会長 御意見として承ります。他にはいかがでしょうか。村上委員どうぞ。

○村上委員 中途採用のほうで重なる意見になります。玄田委員と弓課長とのやり取りにありましたように、何年か前にこの基本問題部会で、若者雇用促進法を議論していたときは、離職率をどう引き下げるのかという議論をしていたので、そのときの状況とは様変わりしているのかという印象を持ちました。そういう意味で、中途採用比率をデジタルに公表することにどんな意味があるのかということは、もう少し整理していただく必要があるのではないかと思います。
 その上で、求職者にとっては数字を出されても、その数字がどんな意味を持つのか分からないということがあります。その企業で中途採用された人たちがどのように活躍できるのかということや、キャリアパスだとか、どのように訓練してもらえるのだろうかとか、処遇はどうなるのか。あるいは、しばらく仕事から離れていた子育て経験のある女性が、久しぶりに職場に復帰して、どのように仕事に慣れていけるのかといった情報のほうが求職者にとっては気になる情報ということになります。数字だけでなくて、そういうものの公表について考えていただいたほうがよいのではないかと思います。
 また、何の数字を公表するのかよく分からない。本日もたくさんの資料を出していただいているのですが、それぞれ数字が持つ意味が違っています。中途採用の割合なのか、中途採用比率なのか多分違うので、その辺りの整理も必要なのかと思いました。
 加えて、細かな点なのですが、資料4の図表の14が少し気になっています。これは公表の話とは全然違うのですけれども、終身雇用の状況ということで、ある一時点で様々な年代層の人が退職経験がどれだけあるかということを棒グラフにしています。グラフ自体はいいのですが、その上の評価の部分です。年齢が上がるに連れて転職経験がある者の割合が増えているというのは事実なのですけれども、「終身雇用」パスを選んでいる者の割合が低下しているということではなくて、結果として転職している人が増えているというだけなので、ここはミスリードしないようにしていただいたほうがよいのではないかと思いました。

○阿部部会長 事務局からお願いします。

○弓雇用政策課長 村上委員御指摘のとおり、中途採用の比率だけではなくて、その他の例えばキャリアパスであるとか訓練といった情報についても必要ということを考えているところです。その法的な措置以外の支援的な部分においても、そういった取組が促進できないのかということについても御議論いただければと考えているところです。
 図表14の最後の部分はおっしゃるように誤解を招く表現かと思いますので、修正について検討させていただければと思います。
○野村高齢者雇用対策課長 酒井委員から高齢者雇用と中途採用を通じた全体の整合性をということでした。高齢者雇用については、その会社にいた方を70歳まで単線的に縦に延ばしていこうという発想です。一方で、そこに全ての方が乗ってくるかどうかというところもありまして、そこは横にも広がっていく。また、縦に延ばしていく高齢者の選択肢も横に広げている部分があります。そういう全体の政策の広がりの中で御議論いただければと考えております。長く会社にいたい方もいれば、途中で幾つも転職・中途採用を繰り返して自分のキャリアを作っていく。様々な考え方があろうかと思います。あらためてご説明したいと思います。そういうことを踏まえて御議論いただければと考えております。

○阿部部会長 玄田委員どうぞ。

○玄田委員 再び中途採用のほうに戻ります。私は、この検討課題の論点が若干ずれているのではないかと思うのです。情報公表に関して検討すべきは、その採用を目論んでいる企業の問題ではなくて、むしろそういう採用にまつわる情報を提供する就職仲介とか、転職仲介とか、就職情報の提供に関するもののほうをむしろ今は議論すべきではないか。今のAIの時代の中で、ある意味では企業もそうですし、中途採用を目論んでいても、言葉はちょっと語弊があるかもしれませんが、裸同然の状況の中で、政策を離れた段階で様々な情報のやり取りが急速に進んでいて、そこに政策として情報のあり方にどういう規制がなされるべきかということが、今もしかして中途採用に関する情報公表については、より本質的かつ緊急の論点ではないか。
 先ほど清家委員がおっしゃったように、企業に情報を求めるやり方というのはもちろん大事であるかと思います。今、就職や転職を希望する人たちも、どこの情報を求めているかというと、採用を目指す企業だけではなくて、就職情報サービスからの情報が、良きにしろ悪しきにしろ、非常に大きなウエイトを置いていることを考えて議論しないと、何か大事な論点を通りすぎたままルールを課すことを懸念しますし、そういう観点も是非含めて検討する必要があるのではないかと考えます。

○阿部部会長 事務局からお願いします。

○弓雇用政策課長 玄田委員御指摘のとおり、就職情報サービスにおける情報提供についても重要な論点だと考えています。ただ、今般こちらで情報提供ということで企業に課すという形で申し上げたのは、必ずしも採用段階にない状況、また求職活動という直接的な状況にない状況も含め、幅広い情報提供を行っていただくことにより、先ほど転職を希望していながらも、実際には活動していない方もいるということもありました。そういう幅広い方々を対象に、幅広く企業の皆様に情報提供をお願いできればと考えているところです。採用という局面に限らず、求職者又は今後求職活動を行うであろう方々に対する情報提供ということで、今般の情報公表についての検討として整理させていただいたところです。

○阿部部会長 皆さんも御存じかと思いますが2、3年前に職業安定法の改正を行って、情報提供事業者、あるいはあっせん事業所等についての規制や、これから取り組んでほしいということは議論してきたかと思います。もちろん更に踏み込んでということであれば、またそういう所で議論すべきかと思います。ここでは、今事務局から回答のあったようなことで、中途採用に関する情報公開に関して議論していきたいということです。他にいかがでしょうか。大内さんどうぞ。

○志賀委員代理大内氏 中途採用に関する情報公開に関して1点だけお話させていただきます。直接この情報公開に関わる部分ではないのですが、現状、中途採用の市場に関して全体で見ると、人手不足の状況もあるので、中小企業から大企業にマクロで見ると人が流れている。中小企業の現場で言うと、やはり人手が足りないのだけれども、そこで働いている人はより条件の良い所にということで、機会があれば大企業に転職していくというような状況が続いている。
 この情報公開で最終的に目指すところは、就職氷河期世代、中高年齢者がより良質な雇用機会を求めるニーズに応えて、就職しやすい環境を作る。それがこの情報公開の目的だと思うのですが、その目的が達成されたときに、そういう中小企業から大企業への流れというものが変わらない状況だと、中小企業の人材確保がより厳しくシビアになってくることが懸念されます。
 この情報公開自体は、まずいということではないのですけれども、こういう施策を進めていく際には、併せて中小企業についても円滑な中途採用・経験者採用ができる環境作り、これはハローワーク等を中心により一層支援をしていただければというところではあるのですけれども、そのような視点も是非含めて御検討いただけたらという要望です。

○阿部部会長 御意見として承ります。他にはいかがですか。この辺りで1番目の議題は終了させていただきます。本日、各委員から様々な御意見を頂戴しましたので、この御意見を事務局で整理していただいて、次回以降それぞれの検討課題について議論を進めることができるよう、資料等を準備していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。議題2の「その他」に移ります。事務局より資料の説明をお願いします。

○松永雇用開発企画課長 資料6を御覧ください。この部会で以前にも御説明いたしましたけれども、毎月勤労統計のデータに誤まりがあったことに伴い、雇用調整助成金をはじめとする7つの助成金・手当について現在追加給付を実施しています。本日はその進捗状況について御報告させていただきます。
 1ページは3月の部会でも御説明いたしましたけれども、追加給付の進め方です。平成23年度以降に支給したものについては、行政に書類が保管されておりますので、行政で追加給付額を算定し、事業主に「お知らせ」を送付し、回答のあった方から順次給付をしております。平成22年度以前に支給したものについては、該当する可能性のある事業者から「お申し出」を頂き、行政で確認できた方から順次給付するという取り扱いをしています。
 2ページはこれまでの進捗状況です。平成23年度以降の分について、一番ボリュームが大きいのは雇用調整助成金です。保管されている書類から、手作業で追加給付額の算定をして、「お知らせ」を送付しています。追加給付対象件数は推計ベースですけれども、約21万件と見込んでいて、そのうち「お知らせ」を送付できたものが3万9,000件です。さらに事業主から回答を頂いて、給付できたものが2万4,000件となっています。このほかに平成23年度以降、支給実績がある育児休業取得促進等助成金、就職促進手当については「お知らせ」の送付はおおむね完了しているという状況です。一方で平成22年度以前の分、事業主などからお申し出を受ける分については、雇用調整助成金について「お申し出」がありました。約3,600件分の「お申し出」を頂き、そのうち2,600件分について追加給付が完了しました。この助成金・手当の追加給付については、引き続き「お知らせ」の送付作業、「お申し出」の周知にしっかり取り組んでいきたいと考えております。
 3ページは、追加給付関係文書の誤廃棄についての報告です。今年の2月に追加給付に係る作業の過程で、雇用調整助成金の追加給付に関する行政文書が誤って廃棄されていたことが判明し、3月の当部会においてもその旨の御報告はさせていただきました。その後平成23年度以降平成30年度までの助成金の全てのファイルについて保管状況を確認いたしました。
 その結果は、雇用調整助成金で16労働局、育児休業取得促進等助成金で6労働局、就職促進手当で2つの安定所において誤廃棄があったことが確認されております。なお、この誤廃棄した文書に関しては、相当数のものについてはコピーが保管されていたなど、追加給付に必要な情報を把握することはできています。一部把握ができない部分については、想定される追加給付額の単価を下回らないように算定するということで、追加給付の対象者に不利益を及ぼすことがないようにしているところです。
 誤廃棄の原因ですが、行政文書の廃棄の際には、事前に内閣府に協議をし、その同意を得てから廃棄するという基本的なルールが認識されていなかったということが挙げられます。一部リーマンショックとか、東日本大震災の折に雇用調整助成金の給付件数が著しく増加し、その折に編綴誤りが生じたという事情もあるわけですけれども、公文書管理法違反であることには変わりはないものです。再発防止を図るべく、研修や監査の強化を図り、このようなことが二度と起こらないようにしてまいりたいと考えております。以上、御報告させていただきます。

○阿部部会長 本件について、御質問や御意見等はありますか。よろしいですか。それでは、最後に事務局から次回の日程についてお願いします。

○野村高齢者雇用対策課長 次回の日程については部会長とも御相談し、個別に委員の皆様に御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。

○阿部部会長 予定されている議題は以上で終了しましたが、全体を通して御意見等はありますか。ないようでしたら、これで本日の会議は終了いたします。本日の会議に関する議事録については、労働政策審議会運営規程第6条により、部会長の他、2人の委員に署名を頂くことになっております。つきましては、労働者代表の紺谷委員、使用者代表の穂岐山委員にお願いいたします。よろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。