第78回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録

 

 
第78回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会(議事録)
 
1.日時 令和元年8月8日(木) 10:00~11:57
 
2.場所 AP虎ノ門貸会議室C+D
           (東京都港区西新橋1ー6-15 NS虎ノ門ビル11階))
 
3.出席委員
(公益代表委員)
○東京大学大学院法学政治学研究科教授 荒木 尚志
○名古屋大学大学院法学研究科教授 中野 妙子
○大阪大学大学院高等司法研究科教授 水島 郁子
○読売新聞東京本社編集委員  宮智 泉
○慶應義塾大学大学院法務研究科教授 森戸 英幸

(労働者代表委員)
○全日本海員組合奨学金制度運営管理部長代理 楠 博志
○ 日本化学エネルギー産業労働組合連合会長 酒向 清
○全国建設労働組合総連合労働対策部長  田久 悟
○日本基幹産業労働組合連合会中央執行委員 坪田 英明
○UAゼンセン政策・労働条件局部長 浜田 紀子
○日本労働組合総連合会総合労働局長 村上 陽子
  
(使用者代表委員)
○日本通運株式会社 総務・労働部専任部長 北 隆司
○東京海上ホールディングス株式会社人事部ウエルネス推進チーム専門部長 砂原 和仁
○セコム株式会社 人事部主務 久保田 祥子
○鹿島建設株式会社安全環境部部長 本多 敦郎
○日本製鉄株式会社 人事労政部部長 山内 幸治
○一般社団法人 日本経済団体連合会労働法制本部長 輪島 忍  

4.議題
(1)複数就業者への労災保険給付の在り方について
 (2)建設業一人親方の働く実態等に関するアンケート調査結果(報告)
 (3)令和元年度第1回社会復帰促進等事業に関する検討会について(報告)
 

 
5.議 事
○荒木部会長 定刻ですので、第78回労災保険部会を開催いたします。大変お暑い中、御参集いただきありがとうございます。
 はじめに、前回の部会以降、新しく就任された委員がいらっしゃいますので、事務局から紹介をお願いします。
○労災管理課長 おはようございます。事務局です。先日、使用者代表の二宮委員が御退任をされました。今般、新たに使用者代表として、セコム株式会社人事部主務の久保田祥子様に、委員として御就任いただいておりますので、御紹介いたします。
○久保田委員 どうぞよろしくお願いいたします。
○荒木部会長 本日の委員の出欠状況についてですが、公益代表の大前委員が御欠席です。また公益代表の宮智委員から、遅れて御出席との連絡を受けています。出席者は17名となりますが、公益代表、労働者代表、使用者代表、それぞれ3分の1以上の出席がありますので、定足数は満たされていることを御報告します。カメラ撮りはここまでということで、お願いします。
 本日の議事に入らせていただきます。第1の議題は「令和元年度第1回社会復帰促進等事業に関する検討会について」です。では、事務局から説明をお願いします。
○労災管理課長 労災管理課長です。資料1、参考資料として参考1という分厚い資料が付いていますが、これに基づき、簡単ではありますが御報告をさせていただきます。
 先日、6月26日に社会復帰促進等事業に関する検討会を開催しましたので、この結果について御説明申し上げます。資料1として、主な御意見が2ページありますが、その次の参考1という資料が6月26日の検討会の全体版です。簡潔に御説明します。今般は議題として、社会復帰促進等事業に係る目標管理に関する基本方針の改定について、30年度の成果目標の実績評価、令和元年度の成果目標(案)、この3点について御議論を頂いたということです。
 この参考1をおめくりいただいて、右肩に資料1と書いてあるものがありますが、「社会復帰促進等事業に係る目標管理に関する基本方針」です。この基本方針ですが、平成20年7月に策定されまして、その後何度か改正をしているものですが、今般の改定について、御報告をしたということです。今般の改定ですが、見え消し版になっています。1ページの下の所は、結構消えているのですが、これは場所を移したということですので、内容にそれほどの変更はありません。内容に変更があるのは、資料1の2ページの下の部分です。目標管理をする際、重点的目標管理事業、あるいは複数年度目標管理事業、このように目標設定にバリエーションを付けていたのですが、近年、形骸化していると言いますか、このようにしっかりと分けてやっていないということもありますので、今回、この分け方を廃止したということです。これが1点目です。
 2点目として、3ページ目の真ん中辺りですが、評価(Check)というところです。PDCAサイクルの中のCの部分ですが、チェックの所で評価区分があります。これまではA、B、Cの3つの段階で評価をしていたのですが、今後のものについては、A、B、C、D評価の4段階で評価をするというところで、評価区分を変えているのが変更点です。それに合わせてですが、4ページ目の(4)の①で、評価の予算への反映があります。A、B評価の事業については、これはアウトカム指標をしっかり満たしている事業ですが、これらの事業については、「政策としての効果が更に高まるよう、適切な水準の予算額とする等、事業の改善について検討する」ということを書いています。また、C、D評価の事業については、「評価の結果を踏まえて、事業の廃止や見直し等の適切な対応を行う」ということを書いています。ここの評価の区分の変更という所が、大きな所かなと思っています。基本方針の改定については、以上です。
 通し番号が書いていないのですが、次が5ページ目、その次にPDCAサイクルの図が書いてあります。次のページが評価の考え方、先ほど申し上げたようにA、B、C、D評価に直したということを図示させていただいています。
 次に右肩に資料3と書いてある所があるのですが、「社会復帰促進等事業に関する平成30年度成果目標の実績評価(概要)」と書いています。今回の社会復帰促進等事業検討会の議題の2つ目ですが、成果目標の達成状況です。30年度の事業ですが、82の事業について目標を設定していますが、そのうち今後評価等を行う事業はありますが、それらを除きまして評価類型を書いています。今回までは、A、B、Cの3つの類型で評価をするということです。30年度の評価ですが、A評価が60事業で73.2%ということです。B評価が8事業、C評価が1事業という状況になっているところです。C評価の事業が昨年よりは減っていると思っています。
 これらの事業について、資料4で、各事業について、達成しなかった理由や、あるいは今後どのように執行を見直していくか、来年度の概算要求にどうつなげていくかということについて書いています。時間の関係もありますので、ここは省略をさせていただきます。
 3つ目の議題である目標設定については、御議論いただいているところですが、これも後ろに個票を付けています。今まで82の事業でしたが、目標設定についてはかなり細かく事業区分をしていたということもありますので、今回、今年から少し事業を再編しまして、82の事業を55の事業ということでまとめて目標設定をしているということです。少しそれぞれの事業のまとまりを大きくしたということです。
 その社会復帰促進等事業検討会で出た主な御意見ということですが、資料1の最初の所です。最初に、「目標設定・評価の在り方」を書いています。これは全体に関わる御意見ということですが、PDCAサイクルをしっかり運用してほしいといった目標管理を適切に行うようにという御意見や、あるいはA、B、C、D評価に変わったことによって、これまでCであればすぐに見直しをされたのに、CとDに分かれたので、2年かからないと事業を見直さないとか、そういうことにならないようにと、こういった御意見がありました。我々としては、しっかり受け止めていきたいと思います。
 また「個別事業について」は、先ほどのB評価の事業について、幾つか御指摘を頂いています。これらの御指摘についても、しっかり受け止め、今後の事業運営や、あるいは令和2年度の概算要求に反映させていきたいと考えているところです。簡単ですが、説明は以上です。
○荒木部会長 ただいまの説明について、何か御質問、御意見等があればお願いいたします。
○酒向委員 事業の中で、事業番号で言うと46の「産業医学振興経費」について、少しお伺いします。この御説明の中で、もともとアウトプット指標のところでは国家試験の合格率を95%以上と設定する中で、30年度の実績が89.6%という形になっています。その理由についてはいろいろ書いてありまして、そこに対しての方向性も示していただいているのですが、その中で国家資格に合格できなかった方への支援といったものは、実際行っているのかどうかをお伺いしたいのですが、よろしくお願いします。
○荒木部会長 事務局からお願いします。
○事務局 安全衛生部計画課団体管理担当の本間と申します。どうぞよろしくお願いいたします。ただいまの御質問ですが、合格できなかった方についても、すべて合格できるまでというわけにはいきませんが、大学では、各種模擬試験等の御案内などを通じまして、次回の国家試験合格に向けてのフォローアップを行っているところです。簡単ですが以上です。
○荒木部会長 よろしゅうございますか。
○酒向委員 いわゆる働き方改革等で、この産業医さんの役割というのは非常に重要な役割にもなってきていますので、是非、合格者を増やしていくような形で引き続き取組をお願いしたいと思います。
○荒木部会長 ほかにはいかがでしょうか。
○輪島委員 参考1の2ページですが、先ほど御説明にあった重点的目標管理事業、複数年度目標管理事業等、実質的に余りそういうふうに見ていないからということでしたが、82も事業があると、もう一度、何が重点なのか、また複数年度で見て評価してスクラップアンドビルドをするなど、そういう視点というのは評価の手法としては適切なのではないかと思います。これまでそれをやってきたのをなくした理由をもう少し御説明いただきたいと思います。
 それから3ページですが、(3)評価の所でDを設けたということは、そういう意味ではスクラップアンドビルドは必要だと思いますので、重要なことではないかなと思います。
 3点目ですが、3ページ目の一番下の③新規事業の評価の所の記述ですが、新規予算要求を行う事業については、概算要求の前の段階で、事業を行うことの必要性等の観点からのヒアリングを行い、仮にうんぬんかんぬんと書いてありますが、これは評価のコメントなのでしょうか。つまり、プランの前の段階で何をどのようにするのかという種をどう事業にするのかというような表現に見えるのですが、それなのにPDCAのCの位置付けにあるというのは、何かおかしいのではないかと思います。
○荒木部会長 ただいまの点について、事務局からお願いします。
○労災管理課長 御質問ありがとうございます。1点目の御質問ですが、確かに何が重点であるかという視点は重要だとは思います。我々も視点まで捨てるということではないのですが、これまで重点的目標管理事業とそうでない事業と分けるということはしていたのですが、では分けてどうしていたかというと、それで何か評価の手法が異なるというような運営をやっていなかったので、そういう意味ではもともとこういう分け方をしていなかったと思うので、今回、原点に戻って、全部、重点的目標管理事業とか複数年度目標管理事業というのは一回なくしてしまおうと考えています。もちろん、視点としては重要かなと思いますので、今後、目標管理をしていく上で差を付ける必要があるということになれば、また復活させることもあるのかなと考えているところです。それから、D評価については、ありがとうございます。
 3ページから4ページに掛けての所だと思いますが、新規事業の評価のところで、確かにチェックの所に書いているのですが、CheckとActionにまたがるような内容かなと思いますので、そこの分類、書き方については、また内部で検討をしたいと思います。チェックとアクションの両方に関わる事項かなと思いますので、書きぶりは変わらないですが、位置付けについては少し変えることも含めて、検討させていただければと思います。以上です。
○輪島委員 先ほどの事務局の説明で、82事業から55に再編したと、それはどこを見たら55になるのかというのを、後で教えていただきたいと思います。
 もう1点、今の関係で言うと、例えば参考1の77ページ、事業番号47の「就労条件総合調査費」、これは毎年やっている基本的な統計調査で必要なものです。そういう意味では先ほど申し上げた重点的目標管理なのか複数なのか、毎年やるものです。そういうものについて、よく見ると2,000万円で委託して、委託した先でちゃんと調査をして、それを回収したら最終的には厚生労働省において、集計、公表を行うという委託事業ですから、そうなるとそれは評価はAだよねと思うのですが、そういうような所をこういう中で毎年毎年評価していくということ、見ていくことは重要なのですが、それで加えて全部が82で評価していますということでいいのかどうか。
 次の78ページも、「未払賃金立替払事務実施費」ですが、これは中身はこういうことだと理解はしていますが、例えば目標は予算執行率で見ているわけですが、景気が悪くなれば執行率が上がるわけで、それで一概に評価Aというのは、どうなのか。使用者側からすれば、例えば立替払ですから、立替払の回収率などが目標になるのではないのかなと思いつつ、それが単年度のものではないので、中長期的な評価をするなど、少し、めりはりも含めて必要なのではないかと思っています。以上です。
○荒木部会長 御意見にわたる点もありますが、事務局からいかがですか。
○労災管理課長 御指摘のように、目標の設定の仕方については、これもよく御意見を頂いているのですが、なかなか適切なものになっているかどうかというのは、全てがこれ以上のものはありませんという形にはなっていないと思っています。目標の設定の仕方も含めて、それもPDCAサイクルの中でしっかりしたものに高めていきたいと思っているところです。また、いろいろ御意見を賜れれば幸いです。ありがとうございます。
○荒木部会長 ほかにはいかがでしょうか。
○村上委員 A事業で1点、質問と意見なのですが、85ページの「医療従事者の確保・定着に向けた職場環境改善のための取組」ということで、勤改センターの事業についてです。今年度については、下にあるアウトカム指標として、勤務環境に関する満足度調査において、満足の割合を30%以上にすることを目標にするということで、このこと自体は重要なことだと承知をしています。
 質問は、86ページにそのアウトカム指標について、この調査は毎年実施している医療機関アンケート調査のものを引っ張ってくるというようなことを記載されていますが、これは答えるのは誰なのかということですが、もしお分かりになれば伺いたいと思います。多分、医療機関においても、ナースとドクターとはかなり回答の度合いは違うのではないかと思うので、その辺りはどうなのかということと、分析できるのかということについて、教えていただければと思っています。
 また、要望として、勤改センターの認知度というのは、多分、医療機関の事務の方々は皆さん御存じでしょうけれども、現場のドクターからはなかなか知らないと、この間、耳にしていますので、その点、周知をしっかりやっていただきたいと思います。以上です。
○荒木部会長 質問がありましたので、事務局からお願いします。
○事務局 労働条件政策課です。アンケート調査ですが、医師と看護師、あとコ・メディカルの方々からする予定となっています。また周知については、おっしゃっていただいたとおり、医師の関係の皆様にも行きわたるように周知徹底を引き続きやっていきたいと考えています。
○荒木部会長 よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。よろしければ、第1の議題は以上といたします。
 次は、第2の議題「建設業一人親方の働く実態等に関するアンケート調査結果」についてです。では事務局から説明をお願いいたします。
○補償課長 補償課長の西村でございます。資料2を御覧いただきたいと思います。昨年度実施させていただきました「建設業一人親方の働く実態等に関するアンケート」の調査結果について御報告させていただきます。
 まず、資料の1ページを御覧いただきたいと思います。目的です。このアンケートにつきましては、平成29年3月に施行されました「建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律」に基づいて作成されました基本計画、資料は21ページに付けておりますが、これを踏まえたものです。一人親方に対する特別加入制度の積極的な促進を図ること、また、安全衛生に関する知識の習得の支援のための基礎資料を作る、こういうことで一人親方の皆さんの実態把握を目的に実施したものです。アンケートにつきましては、リーフレットとアンケートが一体になったものを作って配布しております。
 2ページを御覧いただきたいと思います。アンケートの質問項目です。一覧になっておりますけれども、職種、年齢、主な働き方に加えまして、特別加入の加入状況、希望する給付基礎日額、さらには、質問5以降は安全衛生関係ですけれども、仕事の受注方法とか災害防止の取組、元請との契約、安全経費に関する契約の状況、こういうものが項目となっております。
 3ページを御覧ください。調査方法などをまとめた資料です。調査に関しましては、中ほどにありますけれども、4つの関係団体にアンケートを配布し、そこから配布していただいております。特に全国建設労働組合総連合におかれましては、20万部という多くのアンケートを配布していただきました。その結果、下のほうにありますけれども、回収は、約4万2,000の回答があったということです。
 4ページ以降にこのアンケートの結果を取りまとめております。4ページを御覧ください。まず職種です。一番多かったのは、「大工」と回答された方が最も多くて33.6%、以下、内装工が9.8%、電気工事作業員が8.9%、このような状況です。年齢構成につきましては、60~69歳と回答された方が最も多くて31.7%、以下、40~49歳、50~59歳と続いている、そのような状況でした。
 5ページを御覧ください。5ページは特別加入の加入状況です。「加入している又は加入予定」であると回答いただいた方の割合が81,9%、非常に高い水準になっております。「加入していない」と回答された方は14.1%でした。14.1%の未加入と回答した方の属性を右のグラフで示しております。年齢別で見ますと、80歳以上が最も多く30.7%、次いで、20歳未満が20.8%となっております。また、働き先別で見ますと、不動産会社と回答した方が最も多く24%、次いで、その他、地元工務店、16.4%となっております。この割合ですが各年齢階層別、例えば80歳以上が一番多くなっておりますけれども、これは全体に占める80歳以上の割合でなくて、80歳以上で見た場合に入っていない方の割合と、このように見ておりますので、御留意いただきたいと思います。働き先別でも同様でして、一番多くなっている不動産会社、働き先が不動産会社と答えた方のうち未加入の方がこれだけと、こういうことです。そういう数字です。
 次に、6ページを御覧いただきたいと思います。給付基礎日額です。「加入している又は加入予定」と回答していただいた方の給付基礎日額につきましては、5,000円と回答された方が最も多く31.9%、次いで6,000円、それから4,000円、このような状況になっております。
 7ページを御覧ください。今度は特別加入していないと回答された方への質問で、その理由を尋ねたものです。まず一番多かったのは、保険料を負担したくないと回答された方の割合が多く26.5%、次いで、民間保険に既に入っているが24.9%、それから、そもそも制度を知らなかったという方が24.7%、さらには、手続が煩雑、面倒と回答された方も11.2%ということでした。また、下のほうに年代別比率というグラフを用意しておりますけれども上から3つ目を御覧いただきますと、「制度を知らなかった」と回答した者は若年層の割合が非常に高いという状況になっております。制度を知らなかったという理由につきましては、我々の反省し、今後の改善につなげていかなければならない点だと思っております。
 次に、8ページを御覧ください。8ページにつきましては自由記載欄で、特別加入制度に関する意見などについて主なものを挙げさせていただいております。特にリーフレットにつきましては、手続の流れや制度について分かりやすく記載してほしいと、このような意見もございました。これらの意見を踏まえて、特別加入への積極的な加入促進を図るための今後の広報とか周知媒体の検討など、効果的な周知方法の検討を行っていきたいと、このように考えているところです。
 9ページを御覧ください。仕事の受注方法についての設問です。どのような仕事を請け負っているかということですが、①主に特定の元請け業者から出来高払いの仕事のみ請け負うというのが最も多く44.7%、次いで、①以外に、発注者から直接仕事を請け負うことがあると答えられた方が24.4%、主に特定の元請け業者から材工込みの仕事のみ請け負うという方が22.4%、このような状況になっております。
 続いて、10ページを御覧ください。災害防止の取組状況です。業界団体ですとか特別加入団体が実施する安全講習などを受講している方が約半数で、42.5%と7.6%を足した約半数の方が何らか災害防止の取組を行っているということです。
 また、11ページを御覧いただきたいと思います。11ページは、「その他」と回答された方のうちの主な回答を掲載しておりますので、御確認いただければと思います。
 次いで、12ページです。12ページは、安全衛生に関してどのようなことを学んでみたいのかということをお伺いしたものです。最も多かったのは、KY(危険予知活動)やリスクアセスメントなどの実務に役立つ取組についてと回答された方が最も多く34.9%、次いで、3つ目にありますように、高所作業時における安全衛生法令の適用などの法令に関することと回答された方が30.2%となってございます。13ページは「その他」と回答された方の主な回答を掲載しておりますので、御確認いただければと思います。
 14ページです。不安全な現場や作業方法を見掛けたときにどうするのかという設問に対する回答です。不安全な現場や作業方法を見掛けたときに自分から改善を提案したり注意したりすることが多いと回答した割合が半数以上、56.7%を占めておりました。ただ、一方で、そういうことを見掛けても特に何もしないことが多いというような回答が36.6%、このような状況でした。
 次いで、15ページを御覧ください。不安全な現場や作業方法を見掛けたときにどうするのかという質問に関連して、改善の提案等を行っても状況が改善しない要因をお伺いしたものが15ページです。一番多かったのが、2番目に書いてありますが、②他の作業者が安全な現場や作業方法に関し意識が希薄だからと答えられた方が最も多く、44.2%でした。次に、④金銭的な負担や工期が延びることに元請が消極的だからと答えられた方が24%、①安全な現場や作業方法に関して詳しく知らず、相手にうまく説明できないからが21.1%となっております。16ページですが、提案等をしても改善しない要因について⑤その他と回答があった方の主な内容について記載しておりますので、御確認いただければと思います。
 17ページです。不安全な現場や作業方法を見掛けたときにどうするのかという14ページの質問にに関連して、不安全な現場、作業方法を見掛けたとき、「特に何もしないことが多い」と回答した方の理由を17ページに記載しております。一番多かったのは、①自分自身が進んですべきことではないということが43.4%、次いで、自身が安全な現場や作業方法に関し余りよく知らないと答えられた方が19.5%、元請や他の作業者の反応が気になるからと答えられた方が19.4%、このような状況になってございます。18ページには自由記載ということで書かせていただいておりますので、御確認いただきたいと思います。
 19ページは元請との契約、特に安全経費はどのようになっているのかということをお伺いした結果です。安全経費の契約での取扱いについて、①書面で契約しないことが多いと回答された方が41.9%を占めております。それから下のほうの安全経費の見積状況について、元請に対し安全経費を含めた見積りを提示したことはないという回答が22.5%、言っても断られたことがある、こういう方が2.9%でした。20ページに、安全経費を見積りに入れたが元請に断られたことがあると回答された方のうち具体的な安全経費の内容について回答があったものを記載しております。
 最後の21ページには、冒頭で説明しました今回のアンケートの基となっております基本計画の概要を載せております。アンケートの説明につきましては以上です。よろしくお願いします。
○荒木部会長 ありがとうございました。ただいまの説明につきまして何か御質問、御意見があればお願いいたします。
○楠委員 ありがとうございます。7ページになりますけれども、特別加入をしていない理由として民間保険加入済みというのが24.9%、2番目に多いわけですけれども、これは、民間保険でも一般的に労災保険と同様の補償がされているということになるのでしょうか。以上です。
○荒木部会長 事務局からお願いします。
○補償課長 民間保険でよくあるのが、中小企業の事業主さんが入れる災害補償制度というものがありまして、災害に関して、休業補償ですとか、そういうものが補償されている保険があるということを承知しております。
○楠委員 ありがとうございました。
○荒木部会長 よろしいですか。
○労災管理課長 すみません、補足させていただきます。民間でいろいろな保険があるのですけれども、必ずしも労災保険の特別加入と同じような補償の保険ということではないのではないかとは思っております。すみません、付け加えさせていただきます。
○荒木部会長 よろしいですか。
○楠委員 ありがとうございます。
○荒木部会長 ほかにはございますか。
○田久委員 質問というか、私自身が今回のアンケートに関してはかなり全建総連としても積極的に協力をさせていただきまして、実態を調べるということが、一人親方の関係では今まで行われたことがないというのが実態でした。
 私自身も全建総連で取った中でも、調査も含めて少しさせてもらいまして、その中で少し気になるのは、受注方法の関係でいきますと、厚労省の報告でも4割を超えるところで出来高というような形での受注方法と。純粋の一人親方と言われている人たちは、多分、材工持ちとかというような人たちかなとは思うのですが、そういった働き方をしている人たちが増えてきている関係があって、今回の建設工事従事者の安全と健康を守る法律ができて、新しく法律用語で「建設工事従事者」ということで、労働者とか一人親方とかいうことではなくて安全や健康を守るのだと、こういった法律ができてきたという考え方は私自身は非常に前進しているとは思っています。ただ、今後の検討にもなりますけれども、兼業、副業の合算の関係も含めて、こういう労働者性、働き方によってはどう取れるのかという人たちが4割はいるということを見ていただきながら、やはりここは、その給付も含めたきちっとした制度設計をしていただければということが1つあります。
 また、今言われたように、民間保険に入っているからというのが多かったというのは、実際、私が組合の現場にいた、窓口で組合員さんとかとお話するきっかけがあったときからほぼ変わっていません。「労災保険に入りなよ」という話をしても、「いや、俺、民間保険に入っているからいいよ」という、要するに制度を知らない、こういうことであって。やはり、民間の関係でいきますと、給付の限度は日数ですぐ切られているというのが並びでありますけれども、治るとか、その人の生活を保護するとか、そういう観点ではないというところでは、やはり労災保険にきちっと加入するようなことを進めていく、公的な保険として進めて、やはり働く人たちの安全と健康を守っていくことが、そういった経済の発展も含めてですけれども全ての面でつながっていく、このように考えます。
 今回、実は、いろいろな面で、建設業というのはいち早くそういった部分ではフリーランス的な働き方をしている人たちが昔からいるという観点で見てもらうと、現状として、今こういうことで、なかなかそういう部分では、何と言ったらいいですか、こういうふうに一人親方が増えてきたことによって、そこで働く人たちがかなり減ったということもあって、今、国交省や厚労省の皆さんと一緒に業界を挙げて人がいなくなってきているところを改善していくために、社会保険の未加入とか、そういったこともやりはじめているという点からも、やはり、制度自体をしっかりしながらやらないと、そういったことに流れていく可能性、いわゆる社会保険を払えない、払いたくない、若しくは、そういうことにつながっていくことが懸念されるので、やはりそういったところもきちっと議論しながら制度のことを少し検討はしていただきたいと思っています。以上です。
○荒木部会長 ありがとうございました。全建総連には大変御協力いただいて、ありがとうございます。今の点について事務局からはよろしいですか。御意見ということです。ほかにはいかがでしょうか。
○村上委員 この分野は不勉強なので教えていただきたいのですが、5ページの特別加入制度への加入状況についてです。未加入者について年齢別と働き先別がありますが、働き先別で不動産会社が地元工務店に比べても8ポイントぐらい違うというのは何か理由があるのかということで、職種が違うのかとか、あるいは民間保険に加入している人が多いのかとか、そういった分析はできるものなのでしょうかというのが質問の1点です。
 それから、民間保険加入済みの回答についてです。設問では「民間保険加入済み」としか書いていないのですけれども、これは、本人が入っている、入っていないという話だけなのですか。ディベロッパーの方々とか施主などが何か保険を掛けていて、そういうものも含めて民間保険加入済みとかということになるのでしょうか。そういうことは余り考えられないということなのかどうか、その辺りを少し教えていただければと思います。
○荒木部会長 事務局からお願いします。
○補償課長 まず、働き先別での分析がどうなのか、不動産業が多いけれどもと、こういうお話がありました。正直、具体的な原因というところまではまだ突っ込んで調べている状況ではございません。ただ、これは母数が非常に、不動産のところは実際には少ないので、そういう意味ではそういう上限が見えるのかなという。実数で言えば、当然、地元工務店から仕事をもらう方が多いので実数ではそういうことになるのですけれども、不動産会社は特に母数が少ないのでそういう傾向になったのかなということも考えられます。また、今回、先ほど田久委員からもありましたようにこういう実態調査は初めてやっておりますので、これから、また引き続き加入促進のためにやっていかなければならないのかなと思っているところです。
 それから答えをされた方、これは一人親方ですので、一人一人にお聞きして、自分が入っているか入っていないかという、そういう状況の数字と理解しております。以上です。
○荒木部会長 よろしいですか。
○田久委員 今のことの追加ということで。主な働き先で地元工務店が多かったというのは、私自身は意外だったのです。そういった労働者性、労働者に近いような人たちが増えてきている。国交省も、この間、一人親方化を阻止というようなことで対策を組まれているのはあるのですが、その割には、一人親方第2種の加入をしている方は地元工務店が多いということは意外は意外でした。ただ、地域的に見てみますと、今回、厚労省のほうは地方に分かれていないですけれども、私自身は、全建総連では10個のブロックに分けて調べられる状況でもあったので調べると、やはり関東近辺、北関東とか南関東という形ですが、そういった所と、北陸とか、中国、四国とかと比べますと、さっき言った不動産のところも倍ぐらい割合が違うのです。ゼネコン現場で働いている人はやはり、そういった首都圏の人たちは加入者が多くて、こういうことがはっきり。地元工務店ということであると北陸とかが本当に多いので、これは、やはり地域的なこういったもので加入している人たちがもう違うんだなというのは明らかに数字として出てきているので、これを一括りで対策していくというのもなかなか難しいというのは感じています。
 組合の中でも同じような方針を立てても、これはなかなかうまくいかないというのが改めて数字的に分かったことはすごく大きい。今後、こういったことをきちっと対策に生かしていくということで、特に大工さんが多いのは、もちろん全建総連がアンケートに答えた結果が多いので、そういった部分では組合の性質ではそういった方々がすごく多く入っているということもありますが、首都圏だとその部分は減ってきていたりするし、年齢でいくと、さっき言った働き方でいくと、一人親方に近いような働き方をするのはやはり、年を取るほうがそういったところは減ってきているというのは数字で出ていて、若い人ほど高いのです。6割近くがそういう出来高、要するに、出来高とか日給、月払いだと思うのですけれども、こういったもので働いているのだろうというのが取れる結果にもなっているので、是非、そういったことも考慮しながら考えていかなければいけない問題かなと思いました。以上です。
○荒木部会長 ありがとうございます。
○輪島委員 ありがとうございます。事務局に伺うのか田久委員に伺うのかよく分かりませんが、若者の対策で、5ページの所でもやはり未加入の比率が高いと。全般的に言えば社会保障全体への若者の不信感みたいな、年金とか医療、全体も含めてですけれども。なのでそういう社会保険というか、公的保険への不信感みたいなものがあって、その加入が進まないのか。先ほどの御説明は、どちらかというと制度を知らなかったと、だから制度を知ればむしろ入ってくるということであれば、やはり積極的に若者を、政策的には若年層に対する制度の普及とか広報とかに重点を置いてやったほうがいいのか、どんな感じなのかなという。以上です。
○田久委員 すみません、やり取りが違うような気がします。先ほど言われたような、加入しない理由のところには保険料負担が嫌だと、一番多いのはそれがあったと思うのですが、日額給付で5,000円と見ていただきますと、やはり、これぐらいしか負担をしたくないという数字の表れで、これが皆さんが求めている金額ではないのですよね。5,000円でいきますと、8割にしかならない。8割ですから4,000円しか給付されないので、本当に一人親方と言われている人たちが、働けなくなれば収入がなくなるはずなのにこういう金額というのは、いろいろ、現場で求められるとかというようなことも含めて言われているのですが、金額がどうしても高いというのも含めて、やはり、賃金を上げていくとかということを建設業の中ではちゃんとしていかないと、払っていくことがなかなかできないというのが数字的にあるのかなというのが1つあります。
 若い人たちは、もちろん公的年金の関係に不信感があるのは、多分そうで、建設の中でもアンケートを取ったことがないので分からないのですが。ただ、やはり、「何で払わなきゃいけないんだ」と言われたことは何回か、窓口では多くありまして、俺はけがしないからいいよと言う人も、やはり若い人の中では多いかなとは思います。
○荒木部会長 事務局からお願いします。
○労災管理課長 先ほどの特別加入制度の年齢別の加入状況ですが、グラフを御覧いただきますと、20歳未満という所が突出して未加入の人が多いのですけれども、これも、先ほどちょっと申し上げましたけれども、その年齢別で未加入の人の割合ということなのですが、実は、20歳未満の方は、要するに、18歳、19歳の方がほとんどで、非常に若い人なので、そういう意味ではほとんど母数がいらっしゃらないということもあって、それでちょっと高く出てしまっているのかなと思っております。20歳から30歳、40歳、50歳の所を見ると未加入者の方の比率が大体同じなので、やはり、そういう意味では年齢にかかわらず周知をしっかりやっていかないといけないのだなと、我々としては思っております。以上です。
○田久委員 一人親方と言われている人たちが20歳以下というのはちょっと考えられないので、そこは是非改善する方法を、加入がどうしてできてしまうのかなというのがちょっと、事務組合のある全建総連が言うのもちょっとあれですが、一緒になって考えられればなと。一人親方というのは、やはりそういったマネジメントも含めたところというように認識はあるはずなので、高校を卒業した人たちがマネジメント能力があるのかなと、そんな優秀な人がいるのかなというのは不思議なので、ましてや鳶さんなどが結構多くて。実は、16歳という特別加入者が私の知っている組合の所にもいました、鳶さんでした。高い所に登れないはずなのに何で一人親方に入れるのかなと。そういうこともあるので、何かそういったところの制限、制度としては入れてしまうというのが現状ですので、そこはなくしていかなければいけないのではないかと思っています。
○荒木部会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、次の議題に移りたいと思います。第3の議題は、「複数就業者への労災保険給付の在り方について(労災認定等現行制度の説明)」となります。これも事務局からお願いします。
○補償課長 それでは、引き続き私のほうから説明をさせていただきたいと思います。資料3を御覧いただきたいと思います。資料3は幾つかのパートに分かれていますけれども、私のほうからは、資料3の労災認定についての部分を御説明申し上げたいと思っています。特に今回は疾病に係る労災認定ということでございます。1ページから12ページまでがその労災認定の資料になっています。
 構成ですが、大きく4つに分けています。1つ目は、2ページを御覧ください。2ページは労災認定に係る概要、流れについて全体を概要でまとめています。2つ目は、御案内のとおり労災について認定基準を定めているものがありますけれども、その認定基準の幾つかのフローチャートを3ページから8ページに添付しています。3つ目は、複数就業者に係る労働時間あるいは従事期間の現行の取扱い、運用状況についてまとめた資料を付けています。最後は、遅発性疾病に係るメリット収支率の算定についてです。労災認定の資料は大きく4つに分けた構成になっています。
 2ページを御覧ください。上の3つの○の御説明ですが、労災認定については、御案内のとおり労働基準監督署において個別に判断しています。2つ目の○として、疾病の労災認定においては被災労働者の有害因子、例えば電離放射線などの有害因子へのばく露の程度、発症の経過、病態及び医学的意見、これらを総合的に検討し判断しているということです。ただし、特定の疾病、例えば電離放射線に係る白血病とか、あるいは判断が難しい事例、脳・心で対象疾病以外の疾病、このような場合については監督署から労働局を通じて本省に協議をしていただき、その上で監督署で判断しているということです。3つ目の○ですが、脳・心臓疾患や精神障害などの疾病については、先ほども説明しましたが、労災認定の判断基準を示した認定基準を作っています。認定基準については通達という形で示していて、この基準に該当する場合は業務上疾病ということで労災認定しているところです。これが上の四角の所です。
 中段の図ですが、疾病に係る労災認定の大まかな流れを示したものです。業務上疾病については、労働基準法施行規則の別表に列挙されているものと、列挙されていない、いわゆる包括救済規定という部分ですけれども、この大きく2つに分けられています。列挙されていない疾病、下のほうですけれども、これについては、言い換えますと現時点で業務との関連性が明らかでない疾病ということなのでしょうけれども、ばく露状況や医学的意見等を収集の上、本省に協議の上、監督署長が判断をしています。書いていない疾病については本省に須く協議をしていただいているということです。
 一方、別表に記載している疾病については、脳・心臓疾患、精神障害、石綿に係る疾病など、左下の注1の所に掲げていますけれども、こういうような疾病に関しては認定基準があります。その認定基準に照らして監督署長が判断することになります。図の上のほうで認定基準ありの場合の所です。ただ、繰り返しになりますが、白血病など判断が難しい場合は本省に協議の上、監督署長が判断することになります。また、認定基準のないもの、紫の中段の所ですが、例えば熱中症であれば発症状況が明らかですから、本省に協議することなく監督署長が判断しています。ただ、一方、括弧の中にありますように、オルト-トルイジンにさらされる業務による膀胱がんについては本省に協議の上、監督署長が判断することになっています。このように、疾病の労災認定については監督署長が行うのが大原則ですけれども、疾病によっては、その判断に際し、認定基準に当てはめて判断するもの、あるいは本省に協議の上、判断するものがあるということです。
 次の3ページを御覧ください。3ページ以降に6つの認定基準のフローチャートを付けています。1つ目は脳・心臓疾患、2つ目は精神障害、3つ目は石綿関連、4つ目は腰痛等、5つ目は化学物質、6つ目は電離放射線、こういうような認定基準の判断の流れを3ページから図示しています。3ページについては脳・心の判断のフローチャートですけれども、これは前回の部会にも同じものを付けていますので説明は省略させていただきます。
 4ページは、精神障害の認定基準のフローチャートです。これにつきましても前回の部会で提供しています。しかしながら、幾つか御質問もございましたので、このフローチャートの中に幾つか、前回から一部解説などを追記しています。具体的には、2の業務による心理的負荷の評価で、(1)特別な出来事に該当する出来事がある場合の例として、発症直前1か月におおむね160時間以上の時間外労働を行った場合等を追記しています。この場合は、すぐに「強」にいくことになろうかと思います。2の(2)の③ですが、出来事が複数ある場合の心理的負荷の強度の全体評価の例として、3つのポツを付けて追記しています。さらには右上の枠で囲ってある所の※、「強」となる場合の具体例ということで、労働時間の場合、いじめの出来事の場合を「強」となる例として追記しています。前回、御提供した資料から一部追記したものです。流れは同じです。
 5ページを御覧ください。5ページは石綿関連疾患の認定フローチャートです。石綿関連疾患につきましては、左端の緑の部分ですが、石綿肺から良性石綿胸水まで5つの疾患があるということです。判断までの流れにつきましては、全ての疾病について石綿ばく露作業に従事していたことが要件となっています。2つ目として、発症までの期間という所ですが、肺がん、中皮腫は潜伏期間があることから、作業開始から発症までに10年以上経過していることを要件としています。3つ目として、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚につきましては、石綿ばく露作業従事期間を要件としています。それぞれの疾病について期間を定めています。4つ目として、医学的所見ですけれども、それぞれの疾病について、ここに記載されているような医学的所見が認められるかどうかを要件としています。このように石綿ばく露、発症までの期間、従事期間、医学的所見の4つの要件を鑑みて総合的に判断し、業務上疾病であるか業務外かの判断をしているということです。
 6ページを御覧ください。非災害性腰痛、振動障害、騒音性難聴、上肢障害の認定基準のフローチャートです。例えば2つ目の振動障害であれば、さく岩機等の振動工具を取り扱う業務に従事していたか、相当期間従事した後に発症した疾病であるか。医学所見であればレイノー現象等の所見が認められるか。こういったことを要件として確認し判断しているということです。
 7ページは、化学物質等による疾病の認定基準のフローチャートです。一部の化学物質ですけれども、化学物質等による疾病につきましては、上のほうに書いてありますように業務内容、発症までの期間、ばく露作業への従事期間、医学的所見、これらを総合判断し業務上外の判断を行うということです。具体的には、芳香族化合物のニトロ化合物又はアミノ誘導体にばく露する業務に従事したこと、紫の左の所です。それから相当期間従事した後、おおむね6か月以内に発症したこと。医学的所見として頭痛、めまいなどの自覚症状があって、さらに、例えば肝機能検査における明らかな異常があった場合、こういうような場合に業務上と判断するということです。
 8ページは、電離放射線障害の認定基準のフローチャートです。電離放射線障害の場合は、左端の緑の項の疾病で、急性放射線症から白血病までの6つの疾病があるわけですけれども、例えば一番下の白血病の場合、電離放射線への被ばくが相当量あったか、被ばく後、少なくとも1年を超えた後に発症したか、潜伏期間ですね。それから医学的所見で骨髄性白血病又はリンパ性白血病であったか。こういった要件を総合的に判断して業務上外の認定を行っているということです。以上、6つの認定基準の流れについて御説明させていただきました。
 9ページです。ここからは複数就業者に係る現状の取扱いということです。労働時間、従事期間など、複数事業場で就労している場合の現行の運用を説明する資料を御用意しています。9ページは、労働時間を認定要件としている脳・心臓疾患、精神障害の認定における複数事業場での労働時間の取扱いの現状です。複数事業場の労働時間の取扱いは、これまでにも御説明しており、また、上の考え方という箱の中にもありますように、それぞれの事業場ごとに負荷要因である労働時間を調査し、どの事業場における負荷要因と疾病の発症に相当因果関係が認められるかを評価して判断しています。言い換えれば、複数事業場の労働時間を合算していないということです。左側に例1、例2とあり、発症前1か月の複数事業場A、Bの合計労働時間が共に280時間で同じです。しかしながら、例1、例2で時間外労働を見ますと、例1では共にゼロ、時間外労働が例1はなしということです。例2ではAが100時間となっています。この場合、例2のA事業場において労災認定されるということになります。右側の流れ図は労災請求から認定の判断に至るまでの事務の流れを示しています。真ん中の※ですが、例2のように兼業先での過重負荷に関しては、A、B両方について労働時間の調査をしているということです。
 10ページは、複数就業者に係る従事期間についての運用状況です。考え方にありますとおり、石綿関連疾患のように認定基準に作業への従事期間を要件とする事案においては、有害物質へのばく露作業をした全ての事業場について調査を行って、各事業場でのばく露作業をした従事期間を評価し、労災認定を判断するところです。左下の図ですが、この場合はA社で8年間勤務、B社で8年間勤務、ただし、同時期に作業した時間が5年間ある場合、また、A社(週4日勤務)、B社(週1日勤務)というように、A社とB社で勤務日数が違うといった例です。この場合の評価は実期間で評価していますので、重なっている部分の5年間を除いた11年間という評価です。なお、右側に労災請求から認定までの事務処理の流れを示していますけれども、一番下に、この場合、最終事業場であるB社で労災認定をすることになっています。
 11ページは、電離放射線業務に従事した方のばく露量の取扱いです。考え方にありますように、これも全ての事業場における被ばく線量を調査し、それぞれの線量を合算の上、評価し、労災認定しているということです。左下の図のとおり、A社、B社に勤務して離職後に発症した場合、A社の被ばく線量、B社の被ばく線量を合算して評価しているところです。なお、労災認定につきましては右側の下の流れ図にありますように、最終事業場であるB社で行うということです。
 最後、12ページですが、遅発性疾病に係るメリット収支率の算定についてという資料を用意しています。メリット制は、事業主の災害防止努力の促進を図るため、個別事業場の災害の多寡に応じて労災保険率を増減しているものです。しかしながら、特定の業務に長期間従事することにより発症する遅発性疾病のうち、事業場を転々とする日雇の労働者の方、あるいは短期間の労働者を多数使用する事業場において多発する疾病の場合には、そのメリットの算定から除くことにしています。表につきましてはその一覧を整理したものです。例えば表の一番上ですが、港湾貨物取扱事業の事業場に日々、あるいは2か月以内の期間を定めて使用された方に発症した腰痛につきましては、その保険給付はメリットの算定から除外するということです。このほか、例えば建設であれば建設におけるじん肺、肺がん、難聴等も除外されているということです。労災認定に係る説明は以上です。
○労災管理課長 資料の残りにつきまして私のほうから御説明させていただきます。14ページからですが、特別加入制度についてということです。先般の部会でも概要については御説明したところですが、補足ということで御説明させていただければと思っています。
 14ページですが、この特別加入制度の趣旨という所です。この趣旨ですが、下線を引いていますけれども、「業務の実態、災害の発生状況等からみて労働者に準じて労災保険により保護するにふさわしい者について、特に労災保険の加入を認める制度」ということです。「認める」と書いていますので、これは任意の制度です。強制保険ではなくて任意で入っていただける制度です。
 特別加入の対象範囲ですが、このような条件ということで条件を示しています。下線部を主に御覧いただければと思いますが、労働者に準じて保護するにふさわしい者であること、業務の範囲が明確に特定でき、業務災害の認定等が保険技術的に可能であること、民業圧迫につながらないように留意する必要がある、逆選択が生じないように危険防止措置の徹底等を図ることが不可欠である、こういったことを書いています。これらの考え方に基づいて特別加入の対象範囲を定めているということです。
 特別加入の種類ですが、4つ掲げています。①が中小事業主及びその事業に従事する労働者以外の方で、これは役員等ということですが、これらの方が類型の1つです。②として、労働者を使用しないで一人親方であるとか自営業者といった方々が2つ目のカテゴリーです。③が特定作業従事者、④が海外派遣者ということで、これは海外に派遣されている方ということです。詳細につきましては次ページ以降に書いています。
 保険料率ですが、中小事業主及びその事業に従事する方、この①の類型については、当該事業に適用される労災保険率と同一の率ということですが、その他の方については、それぞれ災害率等を勘案して保険料率を決めているということです。
 給付基礎日額ですが、先ほど実態調査でもありましたけれども、給付基礎日額については16段階のうち、希望額をお聞きして、私は1万円のところだ、私は5,000円のところだということでエントリーをしていただき、そこで決めているということです。そういう意味では、これも申請に基づいて決めさせていただいているということです。
 次の15ページからは具体的な内容ですが、15ページは中小事業主及びその事業に従事する労働者以外の方(役員等)です。対象範囲としては中小事業主ということですけれども、業種ごとに労働者数を書いています。この労働者数以下の企業規模の方ということです。
 加入の一般的要件ですが、これは雇用する労働者について保険関係が成立していることが前提になっています。また、事務処理を事務組合に委託していることが要件になっているということです。3つ目の○ですが、加入の要件を満たす場合には、2以上の事業について加入することもできます。同一の事業主が2つ以上の事業の事業主となっている場合には、1つの事業の中小事業主として特別加入の承認を受けていても、他の事業の業務により被災した場合には、保険給付は受けることができない。これは他のほうで入っていなければということですけれども、保険給付を受けることはできないということを書いています。
 次の16ページですが、一人親方その他のタイプの方と、それから特定作業従事者ということです。いずれのタイプでも特別加入者の範囲については労災則で限定列挙ということで、どういう職務か、どういう仕事かということを定めているところです。特別加入者の範囲としてはここに掲げているとおりですが、特定作業従事者についても作業内容で範囲を決めているということです。この両方に共通するところですが、特別加入団体というものを作っていただき、その特別加入団体を事業主、加入されている方を労働者とみなすという取扱いをして、後で説明しますけれども、特別加入団体に災害防止措置あるいは保険の事務を担っていただいているということです。
 次の17ページですが、海外派遣者です。これは、もともと労働者の方で海外の法人で働くという方です。労働者の方あるいは海外に行って海外の中小規模の事業主であるとか、現地法人の役員になることがあると思いますが、現地で中小規模の事業の事業主等ということであっても加入者になることができることを書いています。
 18ページ以降ですが、18~23ページまでは、それぞれの類型の方々についてどういう場合に業務災害として認定されるか、どういう場合に保険給付が行われるかについて書いています。これは、ほぼ通達等で取扱いとして決めているということですが、どういう業務を行っている場合になるか。あるいは通勤災害についても、原則としては通常の労働者と同じですが、例外もありますといったことを通達等で決めているということです。また御覧いただければと思います。
 24ページ、先ほど出てきました事務組合の要件です。中小事業主の方が特別加入される要件として、事務組合に事務を委託することが条件になっていますが、事務組合の要件ということで書いています。事務組合制度ですが、事業主の委託を受けて労働保険料の申告・納付とか、雇用保険の被保険者に関する手続など、要するに労働保険事務を行っていただいている団体だということです。認可要件等を書いていますが、いわゆる団体の性格が明確になっている、財政基盤がしっかりしている、適切に事務処理ができる体制になっている。これが要件になっていることを書いています。
 25ページですが、特別加入団体です。先ほど申し上げましたように一人親方タイプの方とか、あるいは特定作業従事者の方については特別加入団体を作っていただくというか、特別加入団体が存在していることが1つの要件になっていますが、この特別加入団体につきましては2つほど大きな要件があるということです。1つ目は、いわゆる災害防止の関係ですけれども、団体が講ずべき措置であるとか、入っている方が守るべき事項を定めなければならないことを書いています。いわゆる逆選択を防ぐという観点から、災害防止のための措置を取っていただきたい。これが1つ目です。2つ目の大きな要件としては、保険事務をしっかり処理していただく観点から要件を設けています。少し細かく申し上げると、26ページになります。団体の要件として5つほどございます。①は一人親方等又は特別作業従事者の相当数を構成員とする単一団体であること。②は構成員の範囲等が明確になっている、運営方法なども整備されていること。③④は要するに保険事務をしっかり処理する能力があること。⑤はいわゆる区域要件ということで、別表にも掲げていますけれども、団体の主たる事務所の所在地を中心として、ある一定のゾーンで活動している団体であること。こういう要件を設けているということです。以上のような要件を満たすと労働局長が認めた場合に、特別加入団体として認定するということです。
 27ページ、参考で書いていますが、特別加入者の方の過労死等の認定方法ということです。特別加入者の方々は労働基準法が適用されていない、つまり労働時間管理が原則になっていますが、そういう法律的な規制がないわけです。労働時間で、例えば過労死等の認定については認定要件の中に含まれていますけれども、それはどういうふうにしているかということです。これは業務遂行性が認められる時間、要するに働いている時間を労働時間とみなして、通常の労働者の方と同じように認定基準に当てはめているといったことを書いています。これが27ページです。
 28ページから30ページまでは、これまでの特別加入制度の見直しの経緯、主に対象範囲に関係するものを中心にということですが、最近見直したものはあまりなくて、最新のもので最近見直したものは31ページにありますけれども、2年前の12月、労災保険部会にかけさせていただいた家事支援従事者の方について特別加入制度の加入対象に、要するに追加するといったことを議論させていただきました。ある意味、これが最新の検討内容となっています。
 36ページ以降に参考データということで、これから御議論いただく上で、あらかじめ御承知おきいただければということから主な疾病での件数を書いています。どれぐらいの受給者と件数があるかを書いています。36ページですが、労災補償の新規受給者数の推移を書いています。平成30年度で見ますと68万人という状況です。その下に参考ということで、これは脳・心臓疾患の新規受給者数、精神障害の新規受給者数、石綿による疾病による新規受給者数を書いています。平成30年度で見ますと、脳・心臓疾患が238人、精神障害の新規受給者数が465人、石綿による疾病による新規受給者数が1,057人、こういう形になっています。
 もう少し詳しいデータということで、37ページですが、休業(補償)給付と年金給付に分けていますけれども、療養のみという方については細かく分類できなかったものですから、休業(補償)給付と年金給付について、どのような疾病等により給付を受けたかを書いています。休業給付で見ますと負傷や負傷に起因する疾病、いわゆる突発的な事故等に起因するものということですが、これが94.7%、2.9%ということですから、合わせると約98%と大半を占めているということです。あと、様々な疾病について件数を書いていますけれども、いずれも1%未満という状況です。
 年金給付という所で、年金給付は合計で4,000件ということですが、その中でも負傷や負傷に起因する疾病が合わせると6割以上という状況になっています。以下、パーセンテージを書いています。例えば職業がんの関係は石綿関連疾患の方が多いのだ思いますが、職業がんの方が15.1%、脳・心臓疾患の方が4.5%という状況になっているところです。いずれにしても年金給付の件数で下を見ていただくと、休業給付の件数が15万件ぐらいということですが、年金給付は4,000件ぐらいという状況になっています。
 38ページ、39ページが特別加入の方の労災補償の状況です。同じように類型別に書いていますけれども、傾向としては先ほど申し上げた37ページの傾向と似ているかなと思います。資料3については以上です。
 参考資料で参考3というのがあります。この参考資料ですが、最初は、前回の部会でお認めいただいた複数就業者への労災保険給付についての検討状況で、これをそのまま載せています。その次に、関係する検討会の検討状況ということで2つ掲げています。「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」と「雇用類似の働き方に係る論点整理等に関する検討会」の2つを御紹介していますが、労働時間管理の在り方に関する検討会の報告書を別紙で配らせていただいています。これは今日の2時に公表予定ということもあり、机上配布の骨子(案)ということで配らせていただいています。兼業・副業の労働時間管理の在り方に関する検討会ですが、これは、今後の方向性について考えられる選択肢が例示されている状況になっています。
 雇用類似の働き方に係る論点整理等に関する検討会ですが、中間整理が6月28日にまとまっているということです。この参考資料の20ページから21ページで2ページになっていますが、21ページを御覧いただくと、本検討会での議論を踏まえ、この「本検討会」というのは雇用類似の検討会ですが、この検討会の議論を踏まえ、各検討課題について3つに整理したことが書かれています。①特に優先的に取り組むべき課題、②専門的・技術的な検討の場において優先的に取り組むべき課題、③として、①・②の検討状況や雇用類似の働き方の広がり等も踏まえつつ必要に応じ検討すべき課題ということで、この雇用類似の検討会で引き続き優先的に議論していくのが①、中長期的な課題を議論していくのが③です。真ん中の②の所は、この雇用類似の検討会ではない所で検討を進めるというニュアンスで提言されているということですが、1つがセクシャルハラスメント等への対策、もう1つが、負傷し又は疾病にかかった場合等の支援です。この部分については労災保険部会でも御議論いただければと思っています。関係検討会については以上です。
 22ページ以降は、前回の部会で御依頼のあったデータも含めて副業・兼業に係る現状についてデータをお示しています。資料の説明につきましては以上です。
○荒木部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの資料3、参考3の説明について、何か御質問、御意見があればお願いします。
○坪田委員 労災認定についての確認なのですが、資料3の9ページです。複数就業者に係る労災認定の運用状況ということで、考え方の所です。2行目の、それぞれの事業場における業務に係る過重負荷の調査を行うという所で、「過重負荷と疾病の発症との間に因果関係が認められるかを評価の上、労災認定の可否の判断を行う」と表現されているのですが、この複数就業者の労災認定に関しては現在でも運用がされているのかというところなのですが、それぞれの事業場で過重負荷の調査がされているという認識でよろしいのかを確認させていただきたい。
○荒木部会長 事務局からお願いします。
○補償課長 ありがとうございます。御質問は、A、B、それぞれの時間をきちっと確認しているかということですが、ここにも書いてありますように、A、B、それぞれ現場で調査をしておりますので、現在そのような運用です。
○坪田委員 確認されているという認識なのですが、この負荷を合算する場合、作業的には、新たに何か特別な作業をすることが必要なのでしょうか。
○補償課長 今ほども説明しましたように、今現状においても複数事業場、具体的にA、B、それぞれの労働時間の調査をして、監督署で把握をしておりますので、仮に負荷を合算する場合において、新たな調査をすることにはならないと思います。ただ、現状であれば、それぞれで時間が達しなければそこで終わるわけですが、今度は負荷を合算することになりますと、合算した評価を監督署で行うことはあろうかと思います。
○荒木部会長 よろしいですか。
○坪田委員 ありがとうございます。
○荒木部会長 ほかにはいかがでしょうか。
○村上委員 特別加入について2点質問です。1点目は14ページで、特別加入の対象範囲が2で書いてありますが、下の○では、「特別加入を認めるにあたっては、民業圧迫につながらないよう留意する必要がある」という記載があります。この点、先ほども似た御質問があったわけで、多分、お答えづらいかとは思いますが、肌感覚で言うと、民間の傷害保険というのは割と一時金的なものであったり、給付も何日間と決められているような部分が多いのかと思うのですが、年金も給付するような労災保険と同様のレベルの民間保険が多く存在しているのかについて、何か分かる範囲で教えていただければというのが1点目の質問です。
 もう1点は、26ページの参考という所です。特別加入団体の要件として昭和40年の労働基準局長通達が紹介されております。この中の⑤で、別表も付いておりますが、その団体の地区が、団体の主たる事務所の所在地を中心として別表に定める区域に相当する区域を超えないものであることとなっております。そもそもこの区域の要件はどういった趣旨で設けられているのかという質問です。例えば、自分の区域内に特別加入団体がない場合は、どこかほかの区域に団体が存在したとしていても、現状ではその人は特別加入はできないことになるのかについて教えていただければと思います。以上です。
○荒木部会長 事務局からお願いします。
○労災管理課長 御質問ありがとうございます。1点目の御質問で、14ページの特別加入の対象範囲という所ですが、民業圧迫につながらないよう留意すると。これは、2年前に新たな対象範囲を追加したときも御議論を頂いた要件になっているのですが、先ほど申し上げたように、労災と同じような補償内容になっていて、それが広く普及しているかどうかを見ることかと思っています。すみません、世の中全般でそういうものがどれぐらいあるかについては包括的に把握はしていないのですが、肌感覚としては少ないのではないかと思っております。いずれにしても、何らか対象職種を広げることになった場合には、それぞれこの民業圧迫の所も、そういう観点についても少し見ていかなければいけないのではないかと思っております。以上が1点目です。
 2点目の、26ページの地域要件の所です。特別加入団体の要件で5つ目に地域要件があります。特別加入団体については、先ほど申し上げたように、災害防止のための措置を取っていただくということがあるのと、それから、実際に特別加入の方についても保険事務を行うということで、本人確認を行うとか事務をやっていただく必要があるわけです。それらの事務をしっかりやっていただくという観点から、やはり対象範囲が広いと、余りに広域にわたると、なかなかその事務を適切にやっていただけないのではないかという発想でこういう要件になっているのではないかと思われます。恐らく、そういう基準を決めたのが随分前ということもありますので、趣旨としてはそのような趣旨かと思います。あとは、加入団体がない所の方については原則入れないことになるかと思います。以上です。
○輪島委員 今の資料3の14ページですが、村上さんと同じで、民業圧迫につながらないよう留意するというのは、法令上どこかに書いてあるものなのでしょうか。先ほどの事務局の御説明ですと、基本的には労災保険と民間保険は違うものという御説明だったのかと理解したのですが、そうすると、それと民業圧迫との関係はどういうものなのかがよく分からないので御説明を頂きたいと思います。
 それから2つ目は、16ページです。一人親方の特別加入者の範囲ということで、これは限定列挙ということなのです。そうなると、労災則、ポジティブリストにする、又はポジティブリストのものを増やしていくことになると、これは労災則に加えていくという手続になるのかどうかの確認です。
 3点目は、先ほどの村上さんの御質問と同じですが、加入団体を要件にしておかなくてはならない背景というか理由は何か。先ほどの資料2の8ページの自由記載欄という所で言うと、労働保険事務組合に加入するまでもない、又は労働保険事務組合の組合員でなくても労災保険に加入できるとよいということで、事務組合に加入しなければならない積極的な理由は何なのかを教えていただければと思います。以上です。
○労災管理課長 まず1点目です。特別加入の対象範囲で、民業圧迫につながらないように留意するというものですが、これは法令上どこにも書いていません。これは実際、我々として留意をするという議論が出てきたのは、最近、加入範囲を広げるというときにそういう議論があったということで、前回の労災保険部会の議論のときにも、この民業圧迫につながらないよう留意をするということで御議論をしたということです。前回、最近このような観点も見ながら加入範囲について検討しているということで書いておりますので、労災保険法とか労災則に何か書いてあるということではありません。
 それから、あと16ページの所です。要するに、特別加入者の範囲ですが、仮にこの範囲を変えることになれば、労災則を改正する。これは増やすとき、あるいは同じ職種でも範囲を広げるとか、そういうときには労災則を改正する作業が必要になるかと思います。
 3点目です。特別加入団体等を要件にしている所です。これは、先ほど申しましたように、災害防止努力をやっていただく主体です。通常、労働者の方であれば、要するに使用者がやりますということになっているわけですが、その部分が特別加入の場合にはないのです。海外派遣の場合は違うかもしれませんが、特別加入の場合はないというのが前提ですので、そういう災害防止努力なり、あるいは保険、特に一人親方であるとか特定作業従事者の方であればなかなか事務が大変だということもあるので、そういう保険事務であるとか、災害防止のための措置をやっていただく、このための主体が必要だということでこの団体を要件にしている、これが団体要件を設けていると。ダイレクトに入っていただくということではなくて、団体を通じて入っていただくという考え方になっております。以上です。
○荒木部会長 ほかにはいかがでしょうか。
○浜田委員 同じ資料3の28ページ以降に、今、少しお話がありましたが、労災保険特別加入制度の拡大経緯について資料が出されていると思います。一人親方などの業種であるとか、特定作業従事者として新たに拡大される際の、例えばということで、家事支援従事者が拡大されたときの理由とか背景が書かれております。現在、様々な業種があったり働き方があるかと思いますが、これを拡大する際の背景なり理由としているものが何かあるのであれば、どのような場合に追加をするという検討に入るのかを教えていただければと思います。
○労災管理課長 これは実態として申し上げますと、対象範囲を拡大するかどうかは、2年前も追加しましたが、これは、要するに、特別加入団体にはまだ認められていない段階ですが、そういう団体からいろいろな要望があるときに、ではそれが特別加入制度の対象範囲としてふさわしいかどうかを検討させていただくというようなプロセスで、今までは対象範囲について増やしているという状況です。我々のほうが、こういう職種でというのを決めて、ではどうでしょうかというのは、今までもそういうケースは余りないのではないかと思います。
○田久委員 すみません、25ページです。先ほど言われたように、業務災害防止のために特別加入団体や事務組合という説明があったのですが、その観点からいきますと、やはり今私たちの建設の中で問題として各県連から上がっているのは、ネットで行っている団体が果たしてそれができているのかどうかというのがあります。ホームページ等を見ますと、安くて早くてみたいな、牛丼ではないのだぞというような、そういった売りで加入促進をしている所も含めてあって、それが、災害防止につながるかどうかという観点からいくと、疑問に思う所が認可をされているのは1つ問題かなというのがあります。
 そういった意味では、先ほど言ったように本人確認の関係では、様々今は免許証等でできるとありますが、実際それでいいのかどうか。不正受給も含めて、この間、報道もされた、それで捕まっていることも含めてありますので、そういうところを防ぐためにも、そういった団体を作ったり、事務組合がそういうことを積極的にやっていく、本人確認も含めてやっていくことは重要な課題になるので、やはりそういうところは一つ、改めてこのような話をする際は検討していただければということ。
 それと、前回もお話したように、働き方改革を進める際に、労働者に休んでほしいということを言っているのに、第1種の中小事業主の特別加入について、日曜日、社長が見に行ったときには労働者を連れていないと出ない、ちょっと矛盾していると思うので、その際は、そういったところも含めて今後検討をしていっていただけるかどうかの確認です。
○労災管理課長 まず1点目の、認定団体の活動に対する指導と言いますか、それは適切にやっていこうと思っております。それから2つ目ですが、先ほどちょっとやや飛ばした所があるのです。やはりかなりいろいろなことが決まっているのですが、一つ一つ見ていくと見直すべき所もあろうかと思いますので、そういった点も含めて見直すべき所はしっかり見直していくのだろうとは思っております。
○荒木部会長 ほかにはいかがでしょうか。
○楠委員 16ページの上のほうで、特別加入者の範囲ということで7つの事業が挙げられております。それぞれの事業で具体的な内容が記載されているわけですが、一番最後の「船員法第一条に規定する船員が行う事業」はちょっと大まかと言いますか、この中身と言いますか、具体的な事業がもし分かれば教えていただきたいと思います。
○労災管理課長 船員法第一条に規定する方ということなのですが、いわゆる小規模な船舶に乗り込んでいらっしゃる方であるとか、あるいは、湖とか川とか港のみを航行する船舶ですから、何か遊覧船みたいなものとか、そういう船員法の適用がない方で船に乗っていらっしゃるという方で、特別加入ですから、要するに労働者でない方ということになります。そういう方は、人数的には、前回お示しした資料にもありますが、全体で今100人ぐらいなのです。極めて少数だと思いますがそういった方です。
○楠委員 対象は100人ぐらいですか。
○労災管理課長 対象というか、特別加入をされている方が100名ぐらいです。対象はもうちょっといます。
○楠委員 加入している人が100名ということですか。
○労災管理課長 はい。
○楠委員 対象はもっとかなり広いと思うのですよね。
○労災管理課長 多分、もう少しいらっしゃると思いますが。
○楠委員 はい。いわゆる家族船という船ですよね。
○労災管理課長 そうですね。
○楠委員 もし対象になるとすれば。
○労災管理課長 はい。
○楠委員 その家族船の扱いなのですが、もちろん家族ですから、例えば両親とか子供、多いのが両親の兄弟とかですね。両親が夫婦で乗っているケースもかなりあるのです。お父さんが船長、お母さんが機関長、その逆もあるのですが、それの子供、あるいは伯父さん、叔母さん、そういった者が乗り組んでいる船が多分、家族船ということになって、それが対象にはなるのだと思うのですが、その船に乗り込んで行う事業、要するに船を動かす、運航する事業に限るのか、附帯する事業がもしあるとすればどういった事業があるのかということでの質問なのですが。
○労災管理課長 先ほど、家族従事者の方についてはどこまでかというのはありますが、対象にはなります。家族従事者という範囲になれば対象になるのです。20ページの⑦ですが、漁船とは別のカテゴリーになりますが、基本的には船に乗り込んでやっていらっしゃるということなのですが、それに附帯する業務についても、業務の遂行性を直接附帯する作業であれば認めているということです。限界事例とかいろいろあろうかと思いますので、それは個別的に判断することになるのかと思いますが、附帯する事業が全然認められていないということではないと思います。
○楠委員 今、附帯する事業ということですので、一般的には船を動かす、いわゆる航海です。航海運航という事業。それと、入港中に行う荷役作業もあると思いますし、あるいは、ドッグに行って船体整備をするという事業も含まれるということでよろしいわけですね。
○労災管理課長 直接附帯しているかどうかは恐らく個別事案になるとは思いますが、ここに書いてありますように、旅客の乗降のための作業とか荷下ろしなどの作業などは直接附帯する事業として例示しておりますので、該当する場合が多いのではないかと思います。
○荒木部会長 よろしいですか。
○楠委員 ありがとうございました。
○荒木部会長 それでは、大分、時間もなくなってきましたので。
○輪島委員 確認です。資料3というのは、「複数就業者への労災保険給付について」という資料の中で特別加入の説明を今伺ったのですが、参考資料3の21ページの雇用類似の関係の、先ほど御説明があった真ん中の②の2つ目のポツの特別加入の資料とは、資料は同じなのかもしれませんが、位置付けとしては違うものだと、そういう整理で説明を聞けばよろしいのかという確認です。
○労災管理課長 そうですね、はい。
○荒木部会長 参考3のほうは、特段、複数就業ということではなくて、雇用類似という文脈での議論ということです。よろしいでしょうか。それではもう1つ議題がありますので、資料4について事務局から説明をお願いします。
○労災管理課長 最後の資料4の御説明です。これは「当面の進め方(案)」ということで書いております。今回の部会が第78回ということで、現行制度の御説明ということです。次回以降ですが、4回ほどこういう形で進めさせていただければということで書いております。負荷の合算、それから特別加入制度の在り方というのを二本立てで御議論を頂いて、第81回については額の合算についても御議論いただこうと。それから第82回については、「その他の論点」ということで、いろいろ御議論の過程で論点も出てくるかと思いますので、それらの論点について議論していただければと考えております。もちろん、議論の過程と言いますか、流れで、いろいろこれは変わることもあり得るのかと思っておりますが、事務局としては一応、このような形で現在考えているということです。以上です。
○荒木部会長 資料4について説明がありましたが、この点について何か御質問、御意見ございますか。よろしいでしょうか。それでは、ほぼ定刻になりましたので、以上で本日の議論は終了したいと思います。本日の議事録の署名委員は、労働者代表の酒向委員、使用者代表の本多委員にお願いします。それでは本日は以上といたします。どうもお忙しい中ありがとうございました。