第119回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和元年9月27日(金)10:00~12:00

 

場所

グランドアーク半蔵門

議題

  1. 1.診療報酬改定の基本方針について(基本認識)
  2. 2.医療保険制度をめぐる状況
  3. 3.短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大について
      (「働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会」議論の取りまとめ)(報告)
  4. 4.令和2年度予算概算要求(保険局関係)(報告)
  5. 5.平成30年度の医療費・調剤医療費の動向(報告)

議事

 
○遠藤部会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第119回「医療保険部会」を開催したいと思います。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
まず、委員の異動がありましたので、御紹介させていただきます。
遠藤秀樹委員が退任され、新たに日本歯科医師会常務理事、林正純委員が就任されております。
○林委員 よろしくお願いします。
○遠藤部会長 また、岡崎誠也委員が退任され、新たに全国市長会相談役・社会文教委員、津市長、前葉泰幸委員が就任されております。ただ、本日は御欠席でございます。
次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
本日は、池端委員、尾崎委員、菊池委員、藤原委員、前葉委員、村上委員より御欠席の御連絡をいただいております。
続きまして、欠席委員のかわりに出席された方についてお諮りいたします。池端委員の代理として武久参考人、尾崎委員の代理として家保参考人の出席につき、御承認をいただければと思いますが、よろしゅうございますか。
(委員 異議なし)
○遠藤部会長 ありがとうございます。
また、前回の医療保険部会開催以降、事務局において人事異動がありましたので、事務局から紹介をお願いしたいと思います。
○宮崎課長 座ったまま御説明させていただきます。保険局総務課長を拝命いたしました宮崎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。私より異動につきまして紹介させていただきます。
保険局長の濱谷でございます。
大臣官房審議官(医療保険担当)の横幕でございます。
同じく大臣官房審議官(医療介護連携、データヘルス改革担当)の八神でございます。
保険局保険課長の姫野でございます。
国民健康保険課長の熊木でございます。
医療介護連携政策課長の山下でございます。
医療介護連携政策課保険データ企画室長の山田でございます。
医療介護連携政策課医療費適正化対策推進室長の新畑でございます。
医療課医療技術評価推進室長の岡田でございます。
医療課医療保険制度改革推進官の荻原でございます。
調査課長の仲津留でございます。
調査課数理企画官の木村でございます。
どうぞよろしくお願いいたします。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りにつきましてはここまでとさせていただきます。よろしくお願いいたします。
(報道関係者退室)
○遠藤部会長 それでは、議事に入ります。
本日の議題は、審議事項といたしまして「診療報酬改定の基本方針について(基本認識)」「医療保険制度をめぐる状況」、2つございます。また、報告事項としまして「短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大について(「働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会」議論の取りまとめ)」、2つ目が「令和2年度予算概算要求(保険局関係)」、3つ目が「平成30年度の医療費・調剤医療費の動向」ということになっております。
では、事務局から順次、資料の確認をお願いします。
○宮崎課長 本日もペーパーレスの会議ということで、お手元のタブレットの御利用をよろしくお願いいたします。
資料につきましては、タブレットの中に1番から14番まで、議事次第から委員提出資料に至るまで14種類のPDFファイルを収納しておりますので、御確認いただければと思います。
また、その中で14番の委員提出資料につきましては、本日の議題に関する資料といたしまして、御欠席の藤原委員から御意見として提出されているものでございます。議題としては、診療報酬改定の基本方針について、医療保険制度をめぐる状況、2つの審議事項に関しての御意見をいただいておりますので、御参考いただければと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 それでは、初めに「診療報酬改定の基本方針について(基本認識)」を議題といたします。事務局から資料の説明をお願いします。
○山下課長 医療介護連携政策課長でございます。
お手元の資料1-1、資料1-2の説明をさせていただきたいと思います。
最初に、資料1-1「令和2年度診療報酬改定のスケジュール(案)」でございます。
診療報酬は、中央社会保険医療協議会で議論をしているところでございますが、この資料をごらんいただきたいのですけれども、社会保障審議会医療保険部会、同じく社会保障審議会医療部会のほうで診療報酬改定の基本方針の議論をしていただくこととなります。
社会保障審議会としまして、医療政策について、どういうふうな基本的な考え方に基づいていくのかということを議論していただいて、年末12月ごろまでに策定していただきます。同時に、内閣のほうでは、財政全体の状況について予算編成過程において診療報酬全体の改定率を決定します。社会保障審議会で議論して策定していただきました基本方針と、予算編成過程で決まる診療報酬の改定率を前提としまして、1月に厚生労働大臣から中央社会保険医療協議会に対して、これらの改定率、基本方針に沿って調査・審議を行うよう諮問をなされます。
その諮問を受けて、2月上旬ごろ厚生労働大臣に対して改定案が答申され、その答申案に沿って厚生労働大臣として告示・通知を出していき、来年4月1日に令和2年度の新しい診療報酬改定で臨むというスケジュールになっております。この関係で、今回、医療保険部会の皆様方と一緒になって診療報酬改定の基本方針をこれから策定していくということでございます。
次に、資料1-2をごらんいただきたいと思います。令和2年度診療報酬改定の基本方針の検討でございます。
この基本方針におきましては、これまでも改定に係る基本的考え方、基本認識に続きまして、重点課題、改定の視点などを定めた上で、具体的な検討の方向を示しております。
基本方針における改定の視点ですが、社会保障・税一体改革を経て、これまでの改定でも基本的に継承されてきているところもある一方で、各改定時における医療を取り巻く状況を踏まえた重点課題を追加してきたところでございます。
今回につきましては、医師等の働き方改革の推進、患者・国民に身近でわかりやすい医療の実現、医療におけるICTの利活用なども重要なテーマになってきているということでございます。
そういったことを踏まえまして、次のスライドでございますが、令和2年度診療報酬改定の基本方針、私たちのほうで皆さんと一緒に議論していく中でのたたき台として用意したものとしまして「(1)改定に当たっての基本認識」として3つ書いております。1つ目は、健康寿命の延伸、人生100年時代に向けた「全世代型社会保障」の実現をどういうふうにしていくかという認識、2つ目は、医師等の働き方改革の推進をどうしていくかという基本認識、3つ目としまして、患者・国民に身近な医療の実現をどういうふうにしていくかという基本認識があるのではないか。
次に、3枚目のスライドです。先ほどの基本認識に基づきまして、改定の基本的視点と具体的方向性でございます。その視点を4つ、また、その視点ごとにそれぞれ方向を書いております。
まず、最初の視点としまして、医療従事者の負担を軽減し、医師等の働き方改革を推進する視点についてどういうことを考えていくか。
2番目としまして、患者・国民に身近であるとともに、安心・安全で質の高い医療を実現する視点についてどう考えるのか。
3番目としまして、医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進に関する視点についてどう考えるのか。
4番目としまして、効率化・適正化を通じて、医療保険制度全体の安定性・持続可能性を高める視点についてどう考えるのか。
この4つの視点に沿って、それぞれ方向として、読み上げませんけれども、こういうものがあるのではないかということで並べております。これは私たちのほうで、きょう、皆様方と一緒になって議論していただいてつくっていく前提として、キックオフの前提として用意したものでございますので、こういった柱でいいのか、別の柱があるのではないか、そういうことをこれから議論していただければと思っております。
参考までに、4枚目のスライドは、過去、平成20年度改定以降2年ごとに行っている改定についてどういう基本方針を定めてきたのか、社会保障審議会医療保険部会でどういうふうにつくってきたのかというものを用意しております。
事務局からの説明は以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、ただいまの説明に基づきまして議論を進めたいと思いますが、御意見ございますか。藤井委員、どうぞ。
○藤井委員 ただいまご説明いただいた資料1-2の3ページに記載されている、「効率化・適正化を通じて、制度の安定性・持続可能性を高める視点」は、ぜひ盛り込んでいただくよう、お願いしたいと思います。
また、その際、後発医薬品の使用促進や、残薬・重複投与をなくすといったことはもちろんでございますが、限られた医療資源を有効に活用するという観点から、OTC医薬品の活用を促す方策もぜひ考えていただきたいと思います。特に、スイッチOTCは大変重要でございますが、単に医療用医薬品から置きかえるというだけでは患者の負担は増すばかりでありまして、ポリファーマシー対策になりにくいため、ぜひ、OTC医薬品の中でも配合剤、生薬製剤を活用していただいて、患者さんの服薬の負担を減らすということも検討していただきたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。佐野委員、どうぞ。
○佐野委員 次期改定は、団塊の世代が後期高齢者に入り始める2022年、ここを見据えた改定になると思いますので、極めて重要な改定だと認識しております。そういった視点で見た場合に、資料1-2の2ページの基本認識の部分ですが、この中に、いわば制度の持続性確保のための効率化・適正化という視点は喫緊の課題だと思いますので、大きな項目として取り上げていただくようにお願いしたい。ちょうど藤原委員からの意見にも出ていますし、そういった点はもっと大きな大項目として取り上げていただきたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、安藤委員、南部委員の順番でお願いいたします。
○安藤委員 一点、御意見と、あと一点、確認をさせていただきます。
まず最初に、意見を申し上げます。基本認識として掲げられている「全世代型社会保障」を実現するためには、疾病を抱えながら働き続けられるようにするための環境整備が非常に重要であると考えております。そのための有効な手段の一つが、オンライン診療、オンライン服薬指導であり、企業の人材確保や医師の働き方改革の観点からも重要なテーマだと考えております。この点、資料1-2の3ページに「医療の質に係るエビデンスを踏まえた遠隔診療の評価」と記載いただいたことはよいことだと思いますが、最近では厚労省のホームページやガイドライン等々におきまして「オンライン診療」と表記していることが多いと思いますので、「遠隔診療」ではなく「オンライン診療」と記載していただいたほうがよいのではないかと思います。この表現ですと遠く離れたところにいる患者のみにだけの診療行為というふうにどうしても感じられるので、「オンライン診療」のほうがよろしいのではないかと思っております。
また、3月20日の未来投資会議に厚生労働大臣が提出された資料には、オンラインでの医療全体の充実に向けて取り組みを進めるとされておりまして、オンライン服薬指導についても診療報酬改定における対応を検討することとされておりますので、オンライン服薬指導についても明記していただくほうがよいのではないかと考えております。
次に、確認でございますが、3ページの「方向」の例の下から2つ目に「費用対効果評価」という記載がございます。費用対効果評価につきましては、今年度から新たに導入された制度でありまして、次期改定に向けた議論の中で直ちに議論すべき内容は想定されていないように思うのですが、事務局としては次期改定に向けてどのような議論を行っていくことをお考えなのか、教えていただければありがたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、事務局、費用対効果について御質問がありましたが、医療課長、どうぞ。
○森光課長 費用対効果評価につきましては、医薬品及び医療機器の制度の中の一つとして入れ込むということで4月からスタートしておりますし、対象の品目も既に出ております。そのほかに、私ども、費用対効果という意味ではもちろんそうでございますけれども、基本的には今後いろんな高額な技術、そういうものもございますので、それについても検討を進める必要があると考えておりまして、それについても議論の対象になるかと思っております。
○遠藤部会長 安藤委員、よろしいですか。
それでは、お待たせしました。南部委員、どうぞ。
○南部委員 基本的考え方につきまして、まず何よりも大事なことは医師等の働き方改革の推進であり、基本認識に書いていただいております。その際には、看護師を初めとする医療従事者全体の働き方改革という視点で十分な検討をよろしくお願いしたいと思います。
そのためには、地域の医療体制を確保しつつ、働き方改革を十分にスムーズに実現するためにも、医師の偏在是正と地域医療構想の実現が最も重要になってくると考えておりますが、昨日、公立病院における再編統合の議論が必要という位置づけで公表されたと聞いております。今後、偏った公表ではなくて、地域の実情を踏まえた、住民の意見も十分尊重した中での慎重な議論があってこそ地域全体の地域医療構想になると思っておりますので、そういったところにもしっかりと留意していただき、働き方改革、そして住民本位の、患者さんにわかりやすい、納得のいく診療報酬改定をしていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
当部会と直接関係ないようなものではありましても、診療報酬に関連づけて議論するときにはそういう部分を注意してほしい、そういう御要望だと思います。
ほかにいかがでしょうか。原委員、林委員の順番でお願いします。
○原委員 今、私どもは、国保連合会、支払基金、厚生労働省、三者一体となって診療報酬の審査支払い業務改革に取り組んでいるところでございます。診療報酬点数に係る審査基準の明確化ということが一つのテーマとなっていまして、これは審査基準の地域差等の解決に向けた課題の一つであるということで位置づけられています。
また、資料にスケジュールがございましたが、診療報酬改定というのは毎回、タイトなスケジュールの中で作業が行われております。私ども審査支払機関は改定があるたびにシステム改修をしなければいけないということで、システム改修の作業が複雑になるごとに作業も大変になっているという状況がございます。また、事務コストもそれに伴って増大していくということでございます。
こうした課題への対応の一つとして、診療報酬体系の簡素化、こういうことがあると思いますし、従前もこの方針の中で取り上げていただいてきたかと思います。厚生労働省で示されました基本認識の中の患者・国民に身近な医療の実現、あるいは患者・国民にとってわかりやすい医療、そういうことにも診療報酬体系の簡素化というのはつながっていくのだろうと思いますので、ぜひこのことを基本方針の中でも問題意識として取り上げていただければと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
では、林委員、どうぞ。
○林委員 日本歯科医師会といたしましても、口腔と全身の健康に関しまして関連性があるということで、さまざまなエビデンスを示してきております。
資料の2ページ目の改定に当たっての基本認識のところでございますが、口腔の健康が健康寿命の延伸に寄与することも発信してきており、骨太の方針等さまざまな部分で歯科への理解が深まっていると考えております。人生100年時代の「全世代型社会保障」の実現における基盤は「健康」ということが重要なキーワードになっておりまして、歯科医療が果たす役割が大きいと考えております。
その上で、口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応等、そういった推進を患者・国民に身近な医療の実現においてもかかりつけ歯科医が担う役割は大きいと思っております。先ほど出ました医師等の働き方に関しましても、タスク・シフティングにおけるヒアリングでも日本歯科医師会が示しておりますように、医科歯科連携の推進によりまして、その役割を果たすものも重要だと考えておりますので、その辺も含めまして、引き続き御検討のほどよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
森委員、どうぞ。
○森委員 今回の改定の基本方針ですが、その方向性でよろしいのではないかと思います。異論はありません。
今回の方針のキーの一つが、改定に当たっての基本認識にもありますが、医師等の働き方改革の推進ではないかと思います。そうした中、薬局薬剤師として各地域において医師を初めとする他の職種や医療機関等の関係機関と情報を共有しながら連携し、かかりつけ機能を強化して、患者に対して一元的・継続的な服薬管理のもとで薬物治療を提供していきたいと思っています。そうしたことで、安心・安全で質の高い薬物治療の提供はもちろん、チーム医療の推進、医師等の負担軽減にもつながるのではないかと思います。そのようなことに積極的に取り組んでいきたいと思っています。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
では、横尾委員、どうぞ。
○横尾委員 基本認識と具体的な方向性の例示とあわせて、いろいろと細かい項目まで網羅いただいて大変ありがたいと思っています。一方で、首長として、また医療保険において後期高齢者医療広域連合で関わっている立場から感じていることを幾つか述べさせていただきたいと思います。
まず1点目は、今日の会議の全ての参加者の皆さんの大前提になっていると思いますが、医療にアクセスしたく思えばいつでもアクセスできるとつい思いがちですけれども、全国を見ますと地域医療が必ずしも充実していないところも当然あるわけでありまして、医療の確保ということが大命題になっている地域も多々ございます。9月26日に報告されて地域医療に関する厚生労働省からの発表のことで、「統合すべきだ、連携すべきだ」というのもその一つのアドバイスかと思いますが、そういった医療機関のあり方や確保に関することは、一概に診療報酬の点数制でいきなり改善することにはならないと思いますけれども、大前提として医療の確保ということを勘案していかなければいけないと1点目に感じているところです。
2点目には、国民の2人に1人がかかる病気に「がん」がございますが、いずれ誰でもかかるような状況になっていく可能性が高いですし、団塊の世代の皆さんが75歳以上になるとますますその確率も数値としては上がってくると心配しているところです。そのときに適切にアクセスできるような環境を整える、そのことを促すような制度ということも大切と思っています。簡単に言うならば、「がんになっても、がんを告知されても怖くない」社会をつくる。恐れることなく診察、治療を受けることができる、そういう体制を促すことも必ず考えなければいけないと思っています。
3点目は、後期高齢者医療広域連合だからということではないのですが、高齢者に関することです。さきにプロジェクトチームを発足していただいて、高齢者の保健事業と介護予防に関する一体的な実施についてのレポートをワーキングサポートチームでまとめられたところです。大変よく整理されていると思うところでございます。これにあわせて口腔ケアのことも触れていただいていると思っています。私ども自治体、多久市でも「百歳体操」をやっていますが、85歳以上の方がそれをやることによって筋肉が少し戻ってきて、フレイルが改善されて健やかに元気に過ごすことができるとか、あるいは口腔ケアですと、日々簡単にやれることで全身の健康に関わることもやれる。高齢者がふえていく時代ですので、こういったことを啓発したり取り組んでいったり、それを促すような制度も一方でぜひ考えていただきたいと願っているところでございます。
これら3点を主に申し上げたいのですが、全体として実は思っていることは、我が国の医療を長期的にどうするかという方向性について厚生労働省を中心に、総理官邸などと協議してまとめていただく必要もあるのではないかと感じています。2年ごとの報酬改定による議論や項目のチェック等、十分な審議がされているわけですが、大きな流れとしてこういう方向を目指すのだということを考えながら、戦略的目標に向けて2年ごとの改定で漸次改善していく、そういった取り組みもぜひ考えていただきたいと思っているところです。
最後になりますが、働き方改革のことが課題になっています。私どもは市立病院を経営しているので、そのことはよく認識しているところです。なかなか難しいかもしれませんが、英語で言うと、いわゆる仕事について「Labor、Calling、Mission」という単語があって、Laborは働く、労働という意味で、Callingは天に与えられたミッション、天職とも言われますし、Missionも天命とか同じような意味があります。医療を志す若者たちが医療の学びのとき、インターンや研修をするとき、本格的に医療現場に行くときに、ぜひCallingやMissionということを自覚していただけるような、そういう医療スタッフ、医療にかかわる人々の育成を一方では考えていく必要があると思っているところです。かといって、働き過ぎがいいと言っているわけではございません。そういうミッションを持って働く方のところには次の世代を担う医療人が育っていくと思いますし、また、その姿勢が地域の医療にいろんな意味でプラス効果を生み出すと思います。ぜひそういったことも念頭に置いて今後の協議をお願いできればと思っています。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでございましょうか。秋山委員、どうぞ。
○秋山委員 資料1-2の改定の基本方針の方向性については、おおむね賛成です。スライドの3枚目の基本的視点に沿って幾つか意見を述べさせていただこうと思います。
まず、1つ目の視点の「医療従事者の負担を軽減し、医師等の働き方改革を推進する視点」で、方向の例の1つ目に「人員配置の合理化」という言葉があり
ますが、負担軽減という趣旨であれば、むしろ人員配置の強化ではないかと考えております。この点について確認させていただきたいと思います。人員配置におきましては、患者の安全が担保されることが何より大前提だと思いますので、合理性、効率性といったことばかりに軸足を置いた議論にならないよう注意する必要があると考えております。
2つ目の「患者・国民にとって身近であるとともに、安心・安全で質の高い医療を実現する視点」に関して、方向の例に挙げられている点はいずれも当然重要なものばかりが並んでいますが、認知症の方に特化した記載がないように思われます。高齢化の進展に伴いまして、認知症の方の入院等も依然として増えていますので、視点の方向として非常に重要だと考えております。
方向の例の5つ目に「救急医療の充実」を挙げていただいています。救急医療の充実に関しては、救急外来でスムーズな初期対応が行えるように、看護師は救命に係る医療的な対応だけではなく、緊急度・重症度の判断、患者や御家族への全人的な支援等の役割を担っています。そのため、救急外来での体制整備は非常に重要ですが、現行は数の上での配置基準がまだありませんので、こうした数に係る看護師の配置基準も含めて議論していただくことが、安心・安全かつ効率的な医療の提供に資すると考えますので、よろしくお願いいたします。
3つ目の「医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進に関する視点」では、方向の例の2つ目「外来医療の機能分化・強化」に関して、前回の改定の方針では重症化予防という文言がありましたが、今回、記載がないようです。外来医療での生活習慣病等の重症化予防は非常に重要な視点でして、実際、外来の看護師は、外来患者、家族への指導、相談支援等の面で非常に重要な役割を担っています。健康寿命の延伸、さらには医療費適正化の観点からも重症化予防の視点を記載すべきと考えております。
それから方向の例の3つ目、訪問看護のところですけれども、訪問看護の確保に当たっては、医療と生活、医療と介護をつなぐ連携の役割もありますので、さらなる拡充を図るべきと考えております。在宅療養や看取りなど、24時間365日、利用者の生活を支えるためには、訪問看護師数の確保や、機能強化型の訪問看護事業所を増やす等の必要がありまして、ステーションだけでなく病院からの訪問看護を増やすことも重要だと考えております。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかに御意見ございますか。それでは、菅原委員、武久参考人の順番でお願いします。
○菅原委員 全体として出されている方向に大きな異論はないのですけれども、3枚目の4つ目の「効率化・適正化を通じて、制度の安定性・持続可能性を高める視点」において、特に現況の厳しい財政状況を考えますと、効率化・適正化は極めて重要な課題だと認識しております。
ただ一方で、患者の厚生の向上、あるいは中長期的な医療費の適正化に資するような新たな医療技術というものが非常に出てきておりますので、そういった新たな医療技術についてはイノベーションをしっかり評価できるようなめり張りのある制度が必要だと考えております。ただ、財源が非常に厳しいということもわかっておりますので、そういった新しいめり張りのある評価を実現するための既存技術の再評価、あるいは保険適用の状況の再検討といったこともあわせて進めていくことが必要ではないかと考えております。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
では、武久参考人、お願いします。
○武久参考人 数日前に総医療費の発表がございまして、3000億ぐらいふえたということですけれども、ここ数年、42兆円前後で伸びが緩やかになっておりますし、一時、前年度より少し減ったときもあります。厚労省の現場の方の御努力の結果かと思っておりますが、資料2の81枚目のスライドのように、2025年ではかなり多額の総医療費になるような予想をしております。私も昔から生きておりますけれども、大分前には、そのうち100兆円を超えるのではないかと言われていたときがございます。こういうふうに高齢者が非常にふえながら、統計上では外来診療は減っているし、入院患者も減っている、平均在院日数も下がっているということで、高齢者がどんどんふえていることが医療費の拡大にそれほど影響していないということは、しかも現場では平均年齢が6年ぐらいふえていますし、保険診療としてはうまくいっているほうではないかと思います。新しい薬や新しい技術を全部入れていただいておりますし、それでもこのような状況にあるということは非常にありがたいことだと思っております。
なお、慢性期の立場として言いますと、急性と慢性といいますと、やはり病気の性格上、慢性期のほうが長くかかるということもありますが、今、急性期一般の診療報酬が1から7と、地域一般のほうもありますけれども、いわゆる高度急性期と地域急性期の分け方ということで、一般病床が約90万床、療養病床が約30万床、この比率を少しずつ変えていっていただいているということは保険診療の上でも感じているところでございます。高齢者が余り長く急性期病院にいますと、むしろリハビリテーションがおくれて寝たきりがふえるということも言われておりますので、今の状態で、高齢者がふえるにもかかわらず、余り医療費がふえないで効率化されて、しかも高度医療には適正な報酬をつけていただいているということで、我々としてはこの方向でやっていただけるとありがたいと思っています。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
松原委員、それから堀委員の順番でお願いいたします。
○松原委員 基本認識の点におきまして、私どもも高齢社会の時代がやってくることを認識しております。それに対して社会保障制度をどうしなければならないかということは大事な問題だと考えております。人生の大先輩である方々が高齢者になり、その方々が安心納得して医療を受けられるように、つまり、必要な医療が十分に担保されるような制度を持続可能にしなければならないと思っています。例えばACPを十分に進めて高齢者の方々も納得できるような仕組みをまずつくることから始めるべきではないかと思っております。
また、医師の働き方改革でございますが、確かに医師は大変長い時間働いております。その中に、みずからの学問的な研さんをするための時間もあるやに思います。そこをうまく整理し、また、当直などをどのような形で働いているのかも十分に整理しないと、一歩間違えると医療崩壊が起きます。そのあたりを含めながらよろしくお願いしたいと思います。具体的に若い医師の先生も含めて皆さんからお聞きしますと「余りに事務処理量が多い。これを専門的に処理してくださればすごく楽になる。医師としてみずからがやらねばならない医療について十分に力が発揮できる。」とおっしゃいます。したがって、医療事務を十分にできるような方を配置していただいて、医師は医師でなければできないことに特化させていただければ、若い先生たちも大分楽になるのではないかと思います。
最後に、かかりつけ医機能を発揮して、十分に社会保障制度の持続を可能にするために私たちも努力してまいりますが、最近、話題になっている遠隔医療はどうも単語が間違って使われているように思います。私たちは、遠隔医療というのは僻地や在宅、つまり医療機関に来られない方々が十分に医療を受けられるようにするためのICTを使った仕組みだと思っております。遠隔医療というのは、あくまでも僻地や在宅で来られない方に対して行うべきで、対面診療が大原則であると思います。何とぞよろしくお願いします。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
堀委員、どうぞ。
○堀委員 改定についての基本認識については、ほかの委員の方と同じように賛同いたします。
ただ、診療報酬の改定にあたり、「健康寿命の延伸、人生100年時代に向けた『全世代型社会保障』の実現」と視点には記載がありますが、直接関係するようなものが具体例にはあまりないように感じます。出来高払いを中心とした診療報酬では、実際の診療実績に応じて点数がつくのは当然ではありますし、難しいかもしれませんが、健康行動の促進、賢い受診行動を進めるような視点というものも必要なのではないかと思います。診療実績というより、健康行動を促進した結果、アウトカムを反映させるようなものがあっても良いのではないかと。
それから、改定の視点のところで、過去にも効率化というのはございますし、今回のところの効率化・適正化というのも賛成なのですが、以前もお話ししましたけれども、効率化・適正化だけを推すのではなくて、効率化・適正化が結果として患者・国民にとっても質の高い医療になるということがあるかと思います。
例えば、先ほどポリファーマシーや残薬の話が出てきました。患者にとってのわかりやすさということで考えますと、以前、樋口委員が調査報告書を提出されたと思いますが、高齢者にとってたくさんの薬があることは在宅の中で管理がしにくい、あるいはがんの緩和治療においてもたくさんあり過ぎて副作用等が生じるなどの問題も指摘されているかと思いますし、わかりやすさあるいは質の高さと効率化・適正化がセットになっているという視点もあるのではないかと思います。
以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございます。
ほかに何かございますか。大体よろしゅうございますか。
この議論は引き続きされることになりますので、本日はこれぐらいにさせていただきたいと思います。
それでは、続きまして、2つ目の議題「医療保険制度をめぐる状況」でございます。事務局から資料が出されておりますので、説明をお願いします。
○宮崎課長 それでは、私から資料2について御説明させていただきます。
「医療保険制度をめぐる状況」という形で資料をまとめさせていただいております。こちらにつきましては、本日を含めまして、今後の医療保険部会での種々の議論の素材ということで提出させていただいております。今後、医療保険部会におきましては、給付と負担のあり方を含めまして、医療保険制度のあり方、今後取り組むべき政策についての議論をいただくことになろうかと思いますが、こうした点も含めましての議論の素材ということで、現在の保険制度を取り巻く状況に関しての基本的な資料を取りまとめたところでございます。大変大部な資料をお配りして恐縮ですが、各委員の皆様には事前に送付させていただき、必要に応じて御説明させていただいております。また、資料そのものも全く新しい資料というよりは、これまでにいろいろ形で見ていただいている資料だと思いますので、私からは簡単にポイントだけ絞って御説明させていただければと思います。
まず、2ページから「人口と医療費の動向等」ということで書いております。
3ページは、日本の人口の推移ですが、御案内のとおり、高齢化が進み、人口減少局面を迎えているということでございます。2025年あるいは2040年を念頭に置きながらの社会保障の議論を今、進めているところでございます。
4ページは、医療費の動向ということで、先ほどの御意見の中にもございましたが、現在、医療費につきましては、40兆円を超えて43兆円程度のところにあるということでございます。国民所得比については11%弱、GDP比は8%弱で近年推移しているところでございますが、額としては年々増加しており、後期高齢者の医療費についても現在16兆円を超える規模となっております。
5ページは、医療費の伸び率を要因分解したものでございます。
6ページは、医療費の財源別の内訳。公費、保険料、窓口での患者負担等についての比率を平成18年度から29年度までの推移で比較したものでございます。公費負担あるいは保険料につきましては、年を追って若干ふえてきているところがございます。
7ページは、実効給付率の推移。医療保険からの給付の比率の推移を平成12年度から示しております。緑で示しておりますのが医療保険制度全体の実効給付率平成29年度84.98%でございます。近年は、後ほど御説明いたしますが、給付率の高い高齢者層の増加等、あるいは制度として定率プラス高額療養費という形で負担額に上限を設けて配慮していることもございまして、実効給付率は若干ずつ上がってきている状況でございます。
8ページ、9ページは、国際比較として、医療費の動向あるいは国民所得比での国民負担率の比較を掲載しております。
10ページ以降、保険制度の状況についての資料をまとめております。
11ページは、基礎的な資料で御案内のとおりでございます。日本の医療保険制度につきましては、75歳以上の方につきまして独立した後期高齢者医療制度を設け、75歳未満につきまして、働き方等に応じて保険者がそれぞれ分離している形になっております。その中で、前期高齢者につきましては、財政調整制度を設けているところでございます。
12ページに、各保険者の比較がございます。主立ったところを挙げておりますが、市町村国保、協会けんぽ、組合健保、共済組合という形で保険者が分かれています。それぞれの加入者のプロフィール、平均年齢や平均所得等はそれぞれの保険者の性格を反映して差異があるところです。
13ページには、各保険者の被保険者数の推移を記載しております。協会けんぽ、健康保険組合、船員保険、共済組合等につきましては、横ばいないし増加している一方で、国民健康保険につきましては、近年は少し減少傾向にある。また、75歳以上を対象とする後期高齢者医療制度につきましては、増加しているということでございまして、合計は一番下の欄にあるとおりでございます。
14ページ以降は、医療保険制度の中で各保険制度の状況を示しております。
15ページは、国民健康保険の財政状況を示したものでございます。公費負担、都道府県のそれぞれの御負担、保険料としていただいて支えている部分、各種保険者の支援制度などの仕組みを図示したものでございます。令和2年度の概算要求ベースでは、記載にありますような予算を想定し要求しているところでございます。
16ページに、平成30年度国保制度改革の概要を記載しております。30年度は、国保制度につきましては、都道府県が財政運営の責任主体としてかかわるという形で大きな変更を行っております。そのほか、都道府県と市町村との役割分担などにつきましては、記載にあるとおりで、このような変更を行いまして、現在、都道府県と市町村、それぞれ御苦労をおかけしておりますが、現場で新しい制度のもとで取り組んでいただいているところでございます。
また、この改革にあわせまして、17ページにつきましては、毎年3400億円の国保改革による財政支援をしているということでございます。
18ページは、保険料水準の統一という課題についての状況を整理したもの、19ページは法定外繰り入れの都道府県別の状況について関係の資料を載せております。
20ページは、国保保険料の賦課限度額についての資料を載せております。これも毎年度必要に応じて医療保険部会で御議論いただいた上で変更を行っておりますが、31年度の状況につきまして掲げておりますので、御参考いただければと思います。
21ページ以降は、被用者保険の関係となります。
22ページからは、協会けんぽの財政構造について記載しております。協会けんぽ全体につきましての収支は約10兆円でございますが、それに対して国庫補助は30年度決算ベースでは1.2兆円、11.5%でございます。支出のうち医療給付として出しているものは55.8%、高齢者医療への拠出金が35.9%、約3.5兆円となっている状況でございます。
23ページは、協会けんぽの財政状況につきまして、平成4年度以降の状況を記載したものでございます。保険料率につきましては、平成4年度以降年々上げてきていただいておりまして、現在では10%という保険料率を設定している状況でございます。
24ページは、協会の財政構造と財政力格差ですが、協会けんぽの財政につきましては、医療費が賃金の伸び率を上回って伸びているという状況にあり、また、その報酬水準につきましては、大企業等を中心とする健康保険組合と比べまして約1.4倍の格差がございます。
25ページは、先ほど申し上げました高齢者医療の拠出金の状況でございますが、これを平成元年度から令和元年度の予算ベースまで比較したものでございます。
26ページからは、被用者保険のうち健康保険組合に関しての資料をまとめております。健康保険組合の財政構造につきましては、経常収入約8.4兆円、経常支出約8.1兆円でございます。支出を見ていただきますと、そのうちの4.1兆円、約5割が保険給付に充てられておりまして、高齢者医療への拠出金につきましては3.5兆円、42.7%となっております。
27ページは、健康保険組合の財政状況を示しております。健康保険組合につきましては、30年度の決算見込みとしては単年度の黒字を達成しているということでございますが、保険料率に関してはやや引き上がっているところがございます。これは健康保険組合によりまして差がかなりあるということもございます。保険料収入に占める拠出金等の割合は41.75%で、先ほど申し上げたとおりでございます
28ページは、健康保険組合の保険料負担でございます。保険者間において差がございまして、最高では12%の保険料率を設定している健康保険組合があるということでございます。協会けんぽの平均保険料率を10%と申し上げましたが、10%を超える健康保険組合も302組合あるという状況でございます。
29ページは、保険料率の推移を示したところでございます。近年では徐々に平均での保険料率も上がってきているところでございます。
30ページは、高齢者医療への拠出負担の推移について記載しております。健康保険組合の高齢者医療への拠出金負担割合でございますが、義務的経費に限って見ますと、拠出金負担割合は元年度予算ベースで46.9%に達している状況でございます。
健康保険組合の保険料率に見られますように、保険者ごとに財政状況についてもかなり相違がございます。そのような保険者への支援ということで、31ページの表にございますような支援を行っております。拠出金負担が過大な保険者を対象とした交付金や、あるいは高齢者医療の運営の円滑化に向けた補助金という形での支援等も行っているところでございます。
32ページは、健康保険組合に係る保険者機能強化支援事業ということで、特に保険料率が既に9.5%以上、財源率も9%超、保有資産が200%未満、経常赤字が過去3カ年度連続している組合を対象にいたしまして、保険者機能の強化の観点から、必要な財政検証事業や、医療費適正化対策事業等の実施に係る経費を助成するような予算事業も行っているということでございます。
33ページ以降は、制度別の3点目が後期高齢者医療制度でございます。高齢者医療制度につきましては、高齢者医療を社会全体で支えるという観点に立って、75歳以上についての独立の仕組みを設けまして、現役世代からの支援金と公費、高齢者御自身の保険料で賄う保険制度をつくっております。
34ページが、その仕組みの概要、35ページは被保険者数の推移を示しております。
36ページ、37ページは、後期高齢者数の推移や、今後、後期高齢者となる前期高齢者数の推移などを掲げております。
38ページは、後期高齢者医療制度の財政の仕組みについて、やや詳細になりますが、令和元年度予算ベースで記載しております。
39ページは、後期高齢者医療広域連合への公費支出の推移を示しております。被保険者数の拡大に伴いまして、公費支出につきましても年々増加している状況がございます。
また、現役世代からの支援であります後期高齢者支援金につきましても、40ページにございますように、年々増加している状況でございます。
関連して、後期高齢者医療制度の保険料につきましては、41ページに、平均保険料率あるいは現役世代1人当たりの支援金、現役世代1人当たり支援金の保険料相当額についての比較を用意しております。
42ページは、国庫と同様に、保険料賦課限度額の見直しにつきましての資料をお示ししております。
43ページ以降につきましては、前期高齢者に係る財政調整に対しての資料を設けております。
45ページ以降は、4番目の予防・健康づくりの関係につきまして、資料をまとめております。これもこれまでにいろいろな機会を捉えまして御説明させていただいております。
46ページは、健康寿命延伸プランという形で、今、健康づくりを進めておりまして、次世代を含めた全ての方の健やかな生活習慣の形成や、疾病予防・重症化予防、介護予防・フレイル対策、認知症予防といった3つの柱を立てまして、2040年までに健康寿命を3年以上延伸して75歳以上とすることを目指しまして、ここに掲げられておりますような施策に取り組んでいるところでございます。
47ページは、関連して、医療費適正化計画の概要を入れております。医療費適正化計画の中でも特定健診・特定保健指導の実施率向上などに取り組んでいただいております。
48ページは、特定健診・特定保健指導の概要でございます。
49ページから54ページまでにつきましては、こうした健康づくりに取り組む保険者にインセンティブの仕組みを設けて応援しているところでございます。こうした中で各保険者の取り組みを支援して、健康づくりの取り組みの推進を図っているところでございます。詳細は省略させていただきます。
55ページ以降につきましては、これまでの医療保険制度の見直しの状況についての資料をまとめております。
56ページは、詳細な資料になって恐縮ですが、これまでの診療報酬改定、保険料・患者負担の制度的な見直しにつきまして、平成26年度以降の取り組みを記載しております。
57ページからは、そのような見直しの一つの背景となっております社会保障と税の一体改革の経緯あるいは内容について記載しております。
59ページにございますように、社会保障制度改革国民会議の報告書を踏まえまして、社会保障の機能の充実と財源確保、給付の重点化・効率化による安定化を図り、持続可能な社会保障の構築をしていく等の方向性を定めまして、各種の改革に取り組んできたところでございます。
60ページには、社会保障と税の一体改革の中で示されていた医療・介護の方向性について記載がございまして、このような方向に沿って各種の取り組みをしてきたということでございます。
61ページは、その関連のプログラム法の内容を書いております。医療制度につきましては、講ずべき社会保障制度改革の措置ということで、国保の保険者・運営等のあり方の改革、後期高齢者支援金の全面総報酬割、70~74歳の患者負担・高額療養費の見直し等々の措置をこのプログラム法の中に盛り込みまして、順次取り組んできたところでございます。
62ページ以降に、そのうちの幾つかの事例を書いております。例えば62ページでは、70~74歳の自己負担につきまして、法定では2割負担となっておりましたところを特例として1割負担と抑えておりましたが、この見直しをしまして本則に戻すということで、平成26年度以降70歳に到達する方から段階的に2割負担という形でお願いして、30年度までに2割負担とする見直しを行ってまいりました。
63ページには、関連する国保法の改正項目がございまして、64ページ以降にその関連の資料がございますが、説明は省略させていただきます。
こうした取り組みが68ページまでございます。
関連して、69ページ以降は、政府全体としてのさまざまな取り組みの中で改革工程表に基づきまして、あるいは社会保障と税の一体改革で指摘された事項の中の取り組みを含めまして、29年度以降実施した事項をまとめております。
70ページには、高額療養費制度の見直しということで、高額療養費制度につきましての限度額の引き上げ等についての記載がございます。段階的に引き上げてきた一方で、多数回該当を設定するような形で、家計の負担を考慮しながら見直しを行ってまいりました。
71ページには、入院時の居住費の見直し等の記載がございます。
あと、幾つか事例がございますが、説明については省略させていただければと思います。
79ページでございます。これまで取り組みを行ってきた中で、厚生労働省におきましては、現在、2040年を見据えた社会保障制度改革ということで議論を行っているところでございます。
先ほど御意見の中で取り上げていただきました81ページの資料でございますが、2040年ごろを展望いたしますと、高齢者の急増から現役世代の急減という形で局面が変化してまいります。こうした中で、社会保障制度につきましても新しい局面における課題への対応を考えていかなければならないということで、現役世代の人口が急減する中での社会の活力維持向上を図っていく、労働力の制約が強まる中での医療・介護サービスの確保にも取り組んでいくということを掲げて、現在、検討を行い、必要な取り組みを進めているところでございます。
82ページは、昨年5月にその関連で議論の素材として提出いたしました社会保障給付費の見通しの資料でございます。
83ページ、84ページと関係の資料がございます。
86ページをお開きいただければと思います。厚生労働省におきましては、厚生労働大臣を本部長とする「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」を設けまして、横断的課題に関する8つのプロジェクトチームを設けて検討を進め、87ページにあるようなプランをまとめております。
これにおきましては、2040年を念頭に置きまして、多様な就労・社会参加の環境整備、健康寿命の延伸、医療・福祉サービスの改革による生産性の向上、あわせて給付と負担の見直し等による社会保障の持続可能性の確保という取り組みを現在、進めているところでございます。
それぞれ内容につきましては、90ページまでに記載がございますので、御参考いただければと思います。
こうした医療保険制度を含む社会保障制度に関しましては、改革の工程表あるいは骨太の方針、あわせて閣議決定されました成長戦略実行計画などでも今後の検討課題について示されているところでございまして、91ページ以降についてはそうした内容を記載しております。
92ページからは、昨年12月8日の経済財政諮問会議決定でございますが、「改革工程表2018」という形で給付と負担の見直しに関して幾つか項目が並べられております。これについては、当医療保険部会におきましても既に御報告させていただいているところでございますので、内容については省略させていただきます。
94ページからは、骨太の方針に関係する抜粋がございます。
95ページですが、「骨太の方針2019」の「主要分野ごとの改革の取組」の社会保障、基本的な考え方の中では「医療等のその他の分野についても、基盤強化期間内から改革を順次実行に移せるよう、2020年度の骨太の方針において給付と負担の在り方を含め社会保障の総合的かつ重点的に取り組むべき政策を取りまとめる」という方針を固めているところでございまして、2020年の骨太の方針に向けて議論を進めていく必要があるということでございます。
以降は、成長戦略等のフォローアップに関する記述でございます。説明は省略させていただきます。
また、先ほどこれも委員の御意見の中であったかもしれませんが、官邸におきましては、9月20日に「全世代型社会保障検討会議」が立ち上がっております。こちらにつきましては、人生100年時代の到来を見据えながら、お年寄りだけではなく、子供たち、子育て世代、さらには現役世代まで広く安心を支えていくために、年金、医療、労働、介護など社会保障全般にわたる持続可能な改革をさらに検討するということで、当医療保険部会の遠藤部会長を初めといたしまして、関係する審議会等の有識者の方、総理大臣初め、担当の関係大臣の参画を得た検討会議の議論がスタートしたところでございます。こうした場とも連携しながら、今後、必要な検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
説明が長くなって恐縮ですけれども、以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、非常に幅広の議論でありますが、御意見、御質問等をいただきたいと思います。藤井委員、横尾委員の順番でお願いいたします。
○藤井委員 2点、申し上げたいと思います。
まず、1点目であります。現状でも社会保険料の増加によって、中小企業や現役世代の負担は限界に達しておりますが、2022年にも団塊の世代が後期高齢者になり始め、医療費がさらに増大すれば、この負担は極めて大きなものになることが予想されます。こうした状況を踏まえ、少なくとも昨年末に決定された新経済・財政再生計画に盛り込まれた、給付と負担の見直しに関する改革項目は確実に実施し、実現していただきたいと思っております。特に、後期高齢者の自己負担割合を2割に引き上げることや、外来受診した際に、患者から一定程度の金額を負担してもらう受診時定額負担の導入について、早急かつ確実に実施していただきたいと思います。
2点目は、国民の医療に対する意識改革についてです。国民の医療ニーズが高度化、多様化する中、限られた医療資源を有効活用する考えは極めて重要でございます。そのため、医療を受ける側、提供する側ともに、小さなリスクには「自助」で対応していくといった意識改革を促す啓発活動に、積極的に取り組んでいただきたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
横尾委員、どうぞ。
○横尾委員 今、説明いただいた資料は、我が国の特に健康・医療に関する非常に重要なことを俯瞰してわかりやすくまとめていただいたものと思っています。今後、いろんな分野でこのことが活用されるのではないかと思うのですが、そういった意味で、もう少し保健事業に触れていただくといいかなと思ったことがあります。この1年ほど議論がずっと重ねられてきた健康を保つ保健事業と介護予防に関する一体的な実施というのがあるのですが、広域連合に計画をつくることを義務づけ、それに基づいて各自治体にも連携してやりなさいという計画づくりまで義務づけ、また、実務者の検討班のレポートによりますと、総合計画にもそれを記述すべきだと書き込んであります。できれば俯瞰する全体の中にこの一体的な実施に関することもスライドを加えていただくなりして、今後の啓発、特に広域連合の関係は非常に注目しておりますので、ぜひ加えていただきたいと思うところです。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。佐野委員、お願いいたします。
○佐野委員 まず、全体的な部分でコメントさせていただきます。今も出ました高齢者医療に対する拠出金の負担については、これまでも何度も申し上げていますが、多くの健保組合が非常に過重な負担に苦しんでおります。今の制度のままでは、団塊の世代が後期高齢者に入り始める2022年、ここが大きなポイントになって、まさに2022年危機が来ると危惧しております。
健保連の試算では、2022年度には拠出金の割合が5割以上になる健保組合が全体の50%を超える。また、医療、介護、年金を合わせた、いわゆる保険料率は30%を超えるということで、いずれにしても限界を迎えているのではないか。これがさらに2025年になれば、さらに負担増が見込まれますので、そういった点も踏まえて、2022年に向けて健保連は最近、提案を発表いたしました。その中の最重点項目3つを述べさせていただきます。
1点目は、後期高齢者の窓口負担の原則2割化という点、2点目は、後期高齢者の中の現役並み所得者については、現状、公費が入っていないため、その分、現役世代が負担しています。この現役並み所得者の給付にも公費を投入していただきたい。3点目は、昨今の状況の中で、保険の適用範囲について給付範囲の見直しに踏み込まざるを得ないと思っていますので、ぜひこの議論をお願いしたいと思っています。この3点が全体的な部分でございます。
きょうの資料については2点ほどコメントさせていただきます。
スライドの41ページに後期高齢者医療制度の保険料の推移のグラフが出ています。これを拝見すると、平成20年度を100とした数値ですが、平均保険料額については、直近で言えば令和元年度見込みで110、約10年間で110です。現役世代1人当たりの支援金保険料相当額を見ますと191という数字になっております。この伸びの10と91の差が余りにバランスを欠いているのではないかという感じです。まさにここに世代間の負担のアンバランスが顕著に出ているのではないかと思っております。なぜこんな差が生じているのか、もちろんきょうでなくて結構なのですが、そういう面での要因分析を行っていただいた上で、こうなっている理由等も教えていただきたいと思います。
もう一点は、43ページですが、上の枠囲みの②の前期高齢者に係る後期高齢者支援金、その財政調整については、我々としては従来から廃止を主張してきた部分でございます。まさにこの水増し的な部分があって、結果、前期高齢者の人数が減っても負担が余り減らないという構造が想定されますので、ここは現役世代の負担につながらないように財政調整のあり方についても見直しをお願いしたいと思います。
最後に、今般、健康保険法の法改正において、衆議院、参議院ともに厚生労働委員会の附帯決議において、医療・介護等の総報酬割等に伴う負担増を踏まえて、財政状況が厳しい健保組合に対する財政支援をやるということが決議されておりますので、ぜひともこの部分、拠出金負担の重い健保組合に対する支援を来年度においてもお願いしたいと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
では、南部委員、どうぞ。
○南部委員 先ほど説明の中で最後に口頭でおっしゃいました官邸における全世代型社会保障検討会議についてお聞きします。その会議と連携して、今後、議論を進めていくということでしたが、具体的に「骨太2020」に向けた議論を進めていく上で、どのような連携、そして今後の進め方をお考えになっているか、お聞きいたしたいと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 事務局、お願いいたします。
○宮崎課長 全世代型社会保障検討会議につきましては、先週、会議が発足したばかりでございまして、その中では、今後のスケジュールを含めまして、どういう形で議論していくのか、20日の議論も踏まえて今後よく整理していきたいという話を聞いております。現時点でお答えできませんが、そのようなものが整理されていく中でどういう形で連携していくかということを具体的に決めていきたいと思います。
全世代型検討会議のスケジュールとしては、年内に中間報告をして、来夏に取りまとめというタイムスケジュールまでは示されておりますが、それ以上は今後の整理ということで聞いているということでございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
では、お待たせしました。家保参考人、どうぞ。
○家保参考人 昨年度から都道府県は国保の保険者となりましたので、それにつきまして若干要望というか、意見を述べさせていただきたいと思います。
15ページにございますように、令和2年度の国保の概算要求ベース、いろいろ協議いただきまして、ありがとうございます。引き続き、令和3年度以降も、特に普通調整交付金というのが自治体間の所得調整を行う非常に重要なものですので、ぜひとも枠組みは維持していただくことをお願いするとともに、もう一方で、保険者努力支援制度、インセンティブを強化する際には既存の財源の振りかえではなく、新規をぜひ確保していただくようにお願いしたいと思います。
2点目ですが、子育て支援は都道府県、地方で重要視しておりますが、その際、国保の子供に係る均等割の保険料の軽減というのが制度改正しないとできないような話になっております。国の責任と負担において見直しの結論を早急にいただくように、これも従来から地方からお願いしていますので、ぜひ考えていただければと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 団塊の世代全てが75歳以上となるのは2025年ですが、75歳に到達し始める2022年から高齢者医療費が急増するなど、問題が顕在化し始めるということを考えますと、医療保険制度改革のために残された時間はほとんどないと私どもは認識しております。
本日の資料の23ページに協会けんぽの単年度収支差と準備金残高等の推移の資料を載せていただいていますが、おかげさまで平成24年度からずっと保険料率10%を維持させていただいております。そして、財政状況も準備金の残高が積み上がっております。
ただし、私どもとしましては、これで安全だとは思っておりません。今後の状況、将来の収支差を考えましたら、2023年度から単年度収支が赤字に陥るというふうになっております。私どものほうもその間までに打てる手をできるだけ打って、我々の加入者の健康を守るという形をやっていくのですが、私どもの働きだけではなくて、関係者全員で国民の健康を守るために力を合わせるというふうにやっていくべきであると考えております。
そうした状況の中、先ほどお話がありました20日に全世代型社会保障検討会議が開催されまして、医療保険については年明け以降に本格的な議論が行われる見込みであるとの報道がありました。政府に本腰を入れて取り組んでいただけることは期待いたしますが、保険者としましては、医療保険関係者や医療保険の有識者が集まるこの医療保険部会での議論が検討会議の議論に反映されるべきであると考えます。そのような段取りで進められることを強く希望いたします。
この点につきまして、加藤厚生労働大臣も記者会見において、医療保険部会を含む社会保障審議会とも整合性を持って進めるべきとのお考えを示されております。したがいまして、検討会議において本格的な議論が開始されるまでの間も含め、医療保険部会としてしっかりと議論した上で、全世代型社会保障検討会議の構成員でもあります遠藤部会長から医療保険部会における議論の状況を説明していただくなど、しかるべき方法で検討会議の議論に反映していただくことが医療保険部会としての役割であるのかと感じております。
その上で、具体的な検討項目として、特に先ほど来お話が出ておりますが、後期高齢者の自己負担2割への引き上げを確実に実現していただくことを要望いたしますし、これと同時に、薬剤の自己負担の見直しを初めとしました医療費の適正化を図っていくことも一方で必要であると考えております。改革工程表に掲げられた項目だけでなく、現金給付全般の見直しなども検討する事項であると考えています。来年6月ごろの骨太の方針に向けて、給付と負担のあり方の見直しについて結論を出すことになると思いますが、2025年や、高齢者人口がピークとなります2040年ごろを見据え、医療保険制度が持続可能となるような将来を見据えた医療保険制度のあるべき姿について、あらゆる角度から議論していただくようお願いいたします。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかにいかがでございますか。それでは、樋口委員、どうぞ。
○樋口委員 今、ちょうど資料が健康寿命の延伸というところにきておりますので、一言申し上げさせていただきます。これは恐らくこれからの高齢者の医療保険のキーワードとなる言葉だと思いますし、厚労省のさまざまな白書を拝見しておりますと、10年ぐらい前から平均寿命と並んで健康寿命というものをお出しになっているようですが、この健康寿命というものの定義が読む人にとってなかなかわからないのです。
例えば、女性の平均寿命に対して女性の健康寿命はたしか12年ぐらい格差がございますから、女性は74歳ぐらいだと思います。男性は9年の格差ですから70歳ちょっとで、男性と女性とでは、平均寿命は女のほうが長いのですが、健康寿命は相対的に男性のほうが長いわけですね。高齢女性というのは、100歳の方の88%が女性というぐらいに女性の数が多いのですから、女性の健康こそ社会の資源の一つだと思いますが、どうして女のほうが健康寿命が相対的に短いのか、こういうことなど御研究くださって、特に女性に提供してくださると健康度も上がるのではないかと思います。
それにしても「健康寿命というのはどこを言うのですか」といろんな方に、お医者さんたちにも伺っておりますが、余り確たるお答えがなくて「要介護認定を受けて自立にならない人ではないですか」とおっしゃる方もいます。それで見るとちょっと年齢のずれがあるようでございますし、健康寿命の延伸を目標とすることは大賛成ですが、だとすると健康寿命の一定の定義や概念がないと努力のしようもないという気がしております。
私は後期高齢者もいいところでございまして、80代後半になっております。私は今、健康寿命の中にいるのでございましょうか。あるいはもう健康寿命は尽きているのでございましょうか。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
国が出している健康寿命は推計の方法については公開されているわけですが、簡潔に言えますか。
○宮崎課長 資料を後ほど。
○遠藤部会長 では、堀委員、どうぞ。
○堀委員 医療保険制度全般の状況についての御報告、ありがとうございました。
昨年度来このような資料がたびたび出てきて、そのたびに指摘していることもありますが、指摘していないことから先にお話しできればと思っております。
まず、保険給付と負担の見直しのところで、従来ですと保険は一度収載が決まったものはほとんど自動的に半永続的に収載されるということになっているかと思います。必要なもの、かつ適切な医療が保険に収載されるのは当然なことであると思いますし、重大な疾病リスクであるもので個人や世帯の家計に破滅的な影響を与えるようなものに関しては今後も保険収載は当然あると思っております。
ただ、医療技術の進歩は非常に速いですし、有効性、安全性があったとしても技術的な側面やエビデンスのところ、費用対効果のところで、ある程度濃淡があるのではないかと思います。新しい技術を収載したら何かを適用外に、全てを適用外にしろとは言いませんが、これまでは余り議論されていなかったと思いますけれども、給付範囲の見直しで、ただ、混合診療の原則禁止は原則維持して、保険外併用療養制度を整理することである程度の柔軟な対応ができるかと思います。これまでは議論できなかったことかと思いますが、全世代型社会保障を考えたときには保険給付範囲のあり方の国民的な議論が一度必要なのではないかと思います。
もう一点は、これまでも本日もほかの委員の方も多く指摘していることですが、2022年から団塊の世代が75歳になるということもあり、後期高齢者医療の窓口負担を引き上げるという表現をマスコミ等でされることがあると思います。引き上げるのではなく、今と同じ2割のまま維持していただいて、現役世代とともに社会保障制度を支えていただくという表現をすることによって多少なりとも納得性が高まるのではないかと思っております。
1点目は大きな議論ですが、2点目は既存の議論の中のものかと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょう。武久参考人、お願いいたします。
○武久参考人 議論が「医療保険制度をめぐる状況」でございますが、皆さん御存じのように、2006年に7対1という急性期の看護師さんの多い病棟ができました。その前後から見ておりますと、急性期病院の入院患者の高齢者の割合が倍増しておりまして、今、既に4分の3が高齢者になっています。それとともに、急性期病院から慢性期病院に入院してくる患者が重症化して、また要介護度が重くなって動けなくなっていることが多いということで、介護保険の需要も非常に高まっているわけでございます。
こういう時代に、2006年から7対1でそのまま、今、15年たちましたが、看護基準は変わっていない。しかるに、介護の必要な認知症、高齢者、歩行不安定な方、いっぱい急性期病院に入ってきます。そこにおける基準が変わっていないということもありまして、動き回られたら困るということもあって、やはり抑制が起こったり、膀胱に管を入れたり、いろいろケアで非常に苦労されているのはわかるのですが、トータルとしてその結果、医療保険も介護保険も非常に必要性が高まっているということもあります。
今回、リハビリテーションが医療保険から介護保険のほうにかなりシフトしてきました。医療制度と介護保険制度が一体となっておりまして、患者さんがそこの制度の中を行ったり来たりしているというのが現状であります。ここは医療保険部会ですので、介護保険のことを言っても仕方がありませんが、現場で見ている者にとっては、通過点の中で動いているという現状をお話ししております。こういうことになりますと、急性期病院での介護の必要性が非常に高まっているということを再認識させていただきたいと思います。したがって、急性期病院にも基準看護だけでなしに基準介護というものも入れて、介護力を強化した急性期病棟をつくらないと、介護保険のお世話になるような人が急増していて、現場にいる者の立場として切実な思いを訴えたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございます。
ほかによろしゅうございますか。林委員、どうぞ。
○林委員 先ほど後期高齢者の窓口負担の割合の検討ということがございましたが、歯科医療等軽度の医療に関しましては、ニーズのデマンド化が示されておりまして、窓口負担のぐあいによりましては、受診率が低下するというところもございます。この議論に関しましては、過度な窓口負担による受診抑制につながらないよう、ひいては国民の健康に配慮した不利益にならないよう慎重に検討していただきたいと思っております。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
大体よろしゅうございますか。
それでは、時間も押しておりますので、この議論につきましてはこのぐらいにさせていただきたいと思います。
次の議題「短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大について」に入りたいと思います。事務局から資料の説明をお願いします。
○姫野課長 保険課長でございます。
資料3-1と3-2を使いまして御説明したいと思います。
まず、資料3-2の12ページ目です。短時間労働者に対する被用者保険の適用についての議論ですが、現状はどうなっているか、御説明したいと思います。
従来の適用範囲ということで、適用事業所で所定労働時間の4分の3以上、週30時間以上勤務している方につきましては、被用者保険、健康保険、厚生年金の適用対象となっております。この点につきまして、2012年の法改正によりまして、2016年10月以降この対象を拡大しまして、週20~30時間の勤務時間の方についても一部適用拡大をしたということでございます。その後、2016年10月からは、要件1から5までありますが、501人以上の企業における勤務の方について拡大しております。2017年4月からは、それ以外の企業におきましても、労使合意によって任意に拡大できるという形になっております。現状では450万人ぐらいいる20~30時間の勤務状態の方のうち40万人ぐらいが適用されているという状況でございます。
資料3-1に戻っていただきたいと思います。この短時間労働者に対する被用者保険適用につきまして、有識者による懇談会を開催いたしまして、議論を取りまとめていただいております。
1ページ目でございます。前回の法律改正した際、短時間労働者に対する社会保険、健康保険、厚生年金保険の適用範囲につきましては、本年9月末までに検討を行うということにされておりました。こういったことを踏まえまして、社会保険制度としての課題や対応につきまして、医療保険部会や年金部会における検討に資するよう、有識者や労働者、使用者団体から成る懇談会を開催しております。構成員は、ごらんのとおり、遠藤部会長に座長を務めていただいて、先週の金曜日、20日に取りまとめていただいた内容でございます。中身でございますが、大きく2つ、前回の適用拡大の結果、影響の検証の部分と今後の方向性についてまとめていただいております。
2ページ目は、2016年10月からの適用拡大の施行状況を検証しております。2つ目の丸にありますように、適用拡大によって新たに適用対象に含まれたのは、週労働時間20~30時間の雇用者約450万人中約40万人程度でございます。属性を見ますと、40~50歳代の女性、60歳以上の高齢者が多いということ、また、第1号被保険者、国民年金の加入者が約4割、一方で第3号被保険者が約2割、厚生年金被保険者が2割、20歳未満、60歳以上ということで、被保険者でなかった方が約2割という構成になっておりまして、短時間被保険者というのは必ずしも主婦だけではなく多様な属性の方で構成されていると整理されております。
②でJILPTによる調査結果についても整理されております。事業所の動向につきましては、適用拡大に伴いまして、労働時間の延長あるいは短縮などがとられるケースもございますが、労働者の希望を踏まえたケースが多数を占めていて、コスト回避目的の見直しというのは限定的であったという結果でございます。
また、さらなる適用拡大への対応ということで意向を聞いたところ、従業員の保険加入に前向きな回答が最多で4割を超え、人手不足の中、処遇改善の必要性の認識がうかがわれる結果となっております。
また、短時間労働者、雇用者御本人の働き方の影響も検証しておりますが、働き方を変えなかった方が8割以上、変えた方のうち半数超が手取り収入が減少しないよう労働時間を延長していたということでございまして、短時間労働者が能力発揮の機会を広げる方向に比較的多く作用したという検証結果になっております。
3ページ目をごらんいただければと思います。この懇談会の中で関係団体13団体に対してヒアリングもしております。適用拡大によって労働時間を短縮する動きが目立ち、労働力不足に拍車がかかったとの意見がある一方で、労働時間を短縮する動きは限定的であったという意見もございました。
また、労働集約的な産業からは、利益率が低い中で社会保険料負担の増加が企業経営に対して無視できない影響を与えたという御意見もあり、産業によってその程度に違いが生じていることがうかがわれております。
適用拡大を実施した企業に対するアンケートでございますが、人手不足にさらなる影響を与えているということで、経営に与える影響が大きいなど負の影響も指摘されておりますが、反面、丁寧な説明により適用回避行動をある程度解消できる、むしろ人員確保や従業員の福利厚生向上に資する、そういった正の影響があるという認識も確認されております。
4ページ目は、今後の検討の方向性をおまとめいただいております。基本的な考え方といたしまして、適用拡大を図ることの意義について3点整理していただいております。まず、被用者にふさわしい保障の実現、2番目は、働き方や雇用の選択をゆがめない制度の構築、3番目といたしまして、社会保障の機能強化、そういう意義があるのではないかということでおまとめいただいております。
こういった基本的な考え方を示されましたが、一方で、具体的な適用拡大の進め方につきましては、人手不足や企業経営への影響なども留意しつつ、丁寧な検討を行う必要性が示されております。
5ページ目に論点ごとの整理がございます。短時間労働者に対する被用者保険適用範囲のあり方でございますが、各要件ごとに検証いただいております。
まず、501人以上という企業規模の要件でございますが、被用者にふさわしい保障の確保、経済活動への中立性の維持、法律上、この基準につきましては経過措置という位置づけになっているということも踏まえまして、制度のあり方としては撤廃すべきものであるという位置づけで対象を拡大していく必要性が示されております。また、現実的な問題としましては、事業者側の負担が過重なものとならないよう、施行の時期、あり方などの支援措置の必要性について指摘されております。
週20時間以上という労働時間要件につきましては、他の論点との優先順位や就業に与える影響等も慎重に考慮した検討の必要性が示されたと整理されております。
また、月8.8万円という賃金要件もございますが、この点につきましては、国民年金第1号被保険者とのバランス、就業に与える影響、最低賃金との関係も踏まえて、制度見直しの緊要性の程度も念頭に置いた検討の必要性が示されたというまとめになっております。
勤務期間要件につきましては、現在、1年以上の勤務が見込まれる方を対象としておりますけれども、事業主負担が過重にならないようにするという趣旨でこういった要件があることが確認された上で、一方で、実務上は1年未満の契約であっても更新の可能性があれば適用されている実態もあるということでございまして、こういった実務上の取り扱いも踏まえて要件の見直しの必要性が共有されております。
学生除外要件につきましては、事業主の事務負担への配慮といった制度趣旨も念頭に置きつつ、近年の学生の就労状況の変化などを踏まえて見直しの可否について検討することにされております。
次に、6ページ目でございます。
健康保険における対応も議論されております。論点としては2点ございます。1点目につきましては、健康保険と厚生年金との制度上の差異があるのではないかという御指摘もいただいておりますが、一方で働き方に中立な制度とするという観点、また実務上の課題も踏まえますと、一体的な適用を維持することの必要性も指摘されております。2点目は、医療保険財政についても、考えられる影響について適切な試算を行った上で所要の対応策を講じる必要性も指摘されております。
次に、第3号被保険者制度につきましては、まずはさらなる適用拡大を通じて進めていくということで、制度のあり方についての将来像を議論していく必要性が指摘されております。
次に、被用者保険の適用事業所の範囲でございます。法人事業所は全て強制適用の範囲になっておりますが、個人事業所につきましては、法定された16事業以外につきましては強制適用の対象になっていないという状況でございます。この点について、本来、業種、従業員数などにかかわらず被用者にふさわしい保障を確保するのが基本であるという考え方が示されております。その上で、非適用とされた制度創設時の考え方と現状、各業種の経営・雇用環境などを個別に踏まえつつ検討すべきとの認識が示されております。
次の論点は、複数事業所就業者に対する被用者保険の適用のあり方です。現在、2つ以上の事業所で勤務されている方につきましては、所定労働時間20時間以上かどうかということについては各事業所ごとに判断されておりまして、合算されておりません。こういった取り扱いについてどうするのかということも御検討いただいておりますが、実務上の実行可能性も踏まえて引き続き議論していくことにされております。また一方で、各事業所で適用されている場合には、報酬を合算して保険料を計算することになっておりますが、こういった現行の適用の仕組みについての効率化の必要性も指摘されております。
最後に、雇用類似の働き方への対応ということです。企業と雇用関係はないものの、委託を受けて個人として役務を提供しているような、いわゆるフリーランスで働いている方への対応についても検討いただいております。こういった方につきましては、被用者性の高い個人事業主の保護を図るという観点から、制度上、実務上の課題も踏まえつつ、引き続き検討していく必要性が指摘されております。
最後のまとめでございます。こういった方向性を踏まえつつ、現実に適用拡大により影響を受ける方への配慮もしながら、働き方の多様化を踏まえ、社会保険の対応について、医療保険部会、年金部会など適切な検討の場において検討を深め、積極的に推進していただくことを強く期待するという形でおまとめいただいております。
この報告書の中にもありますように、健康保険との関係で申し上げますと、財政影響といったものについても検証するべきという御指摘をいただいておりますので、そういった点について事務局でもまた整理いたしまして、改めて御議論いただければと思っております。
本日は報告ということで以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
本日はあくまでも報告ということで、本格的な議論は今後ということですが、ただいまの報告について御質問、御意見等があれば、佐野委員、どうぞ。
○佐野委員 この適用拡大については懇談会のほうでも申し上げてきたので、一応、私ども健保連としてコメントいたします。
それぞれの要件見直しが医療保険財政にどういう影響を与えるのか、まずは試算を示していただきたいと思います。財政影響を心配している健保組合は少なくないと思っております。そういう面で拡大に当たっては財政支援等も含めてぜひお願いしたいと思います。
もう一点、これも前々から申し上げておりますけれども、任継制度についてはぜひ見直しをしていただきたいということで、かねてから被用者保険適用拡大のときに議論を行うことになっていたと認識しております。ぜひ任継制度の廃止も含めたあり方の議論をあわせてお願いしたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、藤井委員、どうぞ。
○藤井委員 多様な働き方や女性の社会進出を踏まえ、将来の安心を確保する社会保障制度の構築は重要であると思いますが、他方で、社会保険料の半分は中小企業を含めた企業側が負担しているという実態がございます。前回申し上げたとおり、中小企業は大企業と比較して利益率が総じて低く、労働分配率も既に高水準となっており、さらに最低賃金の引き上げや消費税率の引き上げ、軽減税率制度の導入、働き方改革など、対応しなければならない課題が山積しております。そのような中での適用拡大は、中小企業の経営に大きな影響を及ぼす懸念があり、前回の適用拡大時に、第3号被保険者を中心に就労時間を抑制する動きが見られたことから、人手不足を助長することになりかねません。したがって、被用者保険の適用範囲の拡大については、中小企業経営に与える影響や就業実態等を十分に踏まえ、慎重に検討すべきだと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。南部委員、どうぞ。
○南部委員 多様な働き方が今後ふえていくことを想定すれば、労働時間、雇用形態による不合理な格差の解消が行われるべきだと考えております。また、老後の所得保障を含めた生活の安定を図る点でもこの適用拡大は速やかに進めていくべきだと考えておりますが、今回の懇談会の方向性をしっかりと踏まえていただき、対象者である労働者、対象となる企業に対しての十分な説明と理解を図りながら進めていただきたいと思っております。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
大体よろしゅうございますか。
ありがとうございます。それでは、この議題につきましてはこれまでということにさせていただいて、次に、報告事項になりますが、「令和2年度予算概算要求」について事務局から資料の説明をお願いします。
○宮崎課長 総務課でございます。
資料4におきまして、令和2年度予算概算要求の概要、参考資料2としてその概算要求の詳細な項目を提出しております。
資料4に主立った項目を書いておりますので、御参照いただければと思います。1点、留意点を申し上げます。1ページの下のほうに注書きとしてございます。今回、8月末に概算要求いたしましたが、例えば診療報酬改定の対応については予算編成過程で検討するということで、今後、具体的な額が決まってくることになりますし、また、2番目の米印にございますように、保険者インセンティブ強化、医療情報化支援等についても、「骨太の方針2019」を踏まえまして、財源とあわせて予算編成過程で検討するということでございます。こうした項目に該当するものにつきましては、一部、予算編成過程で検討するということで、便宜、前年度と同額の予算要求を概算要求時点では置いているものも入っております。御留意いただければと思います。
内容につきましては、1ページ目に、医療保険制度の運営確保に関する経費として国庫負担あるいは保険者への財政支援、2ページ目に、科学技術・イノベーションの推進等ということで、ICT利活用に係るこれまで進めておりましたシステム開発等の関係の経費、データヘルス関係の経費、3ページ目に、健康で安全な生活の確保ということで、予防・健康づくりに向けた引き続きの取り組みに関する経費、あるいは新しい実証事業に関する経費等々を盛り込んでいるところでございます。内容については、この資料あるいは参考資料を参考としていただければと思います。
私からの報告は以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
報告事項ですけれども、何か質問、御意見はございますか。よろしゅうございますか。
次は「平成30年度の医療費・調剤医療費の動向」についてでございます。事務局から資料の説明をお願いします。
○仲津留課長 調査課長でございます。
資料5-1及び5-2について御説明いたします。
まず、資料5-1をごらんください。プレスリリースと書いている1枚目の資料を用いて御説明させていただきます。平成30年度医療費の動向でございます。
厚生労働省では、医療費の動向を迅速に把握するために、医療機関からの診療報酬の請求データに基づいて医療保険と公費負担医療分の医療費を集計し、毎月「最近の医療費の動向」として公表しております。概算医療費と呼んでおりますが、国民医療費の約98%に相当します。
調査結果のポイントの1つ目の丸でございますが、平成30年度の医療費は42.6兆円になっておりまして、前年度に比べて約0.3兆円の増加となっております。
囲みの下に医療費の動向の表がございますが、一番上の行が医療費となっております。その下に、医療費の伸び率、対前年度比を表示しております。
平成30年度の医療費の伸びはプラス0.8%となっております。医療費の伸びは26年度1.8%、27年度3.8%、28年度マイナス0.4%、29年度2.3%と推移しております。ごらんいただければわかりますように、27年度の伸びが高く、28年度の伸びが低くなっておりますが、27年度はC型肝炎治療薬等の高額な薬剤の登場により医療費の伸びが高くなった年でございます。一方、28年度は、C型肝炎治療薬の薬価を引き下げたことや、その使用量が減少したことなどにより、反動で医療費の伸びが低かったという年でございました。
この4年間、26年度から29年度の医療費の伸びを平均しますとプラス1.9%となります。平成30年度の医療費の伸びはプラス0.8%ということで、1.9%に比べて一見低く見えますが、平成30年度は御案内のとおり診療報酬改定がありまして、本体でプラス0.55%、薬価等でマイナス1.74%、合わせてマイナス1.19%という改定がありましたので、この診療報酬の改定の影響を考慮すれば、平成30年度の医療費の伸びは最近の医療費の伸びと同程度と見ることができます。現在のところ、人口構成の高齢化と医療の高度化等によって医療費が伸びるという基調には大きな変化はないと考えております。
医療費の動向の表の下の2行ですけれども、医療費は受診延べ日数と1日当たり医療費の掛け算となっておりますので、医療費の伸びもこの2つの要素に分解できるということになっています。平成30年度は、診療延べ日数の伸び率がマイナス0.5%、1日当たり医療費の伸びがプラス1.3%になっておりまして、最近の傾向としましては、基本的に受診延べ日数はマイナス傾向、1日当たり医療費は増加傾向になっておりますが、平成30年度も同様の傾向となっていると考えております。
もう一度、囲みの中に戻っていただきまして、3つ目の丸でございます。医療費全体としてはプラス0.8%の伸びですが、診療種別で見た医療費の伸び率は、入院でプラス2.0%、入院外でプラス1.0%、歯科でプラス1.9%、調剤でマイナス3.1%になっております。
繰り返しになりますが、平成30年度は診療報酬改定、薬価改定がありましたので、薬剤の割合の高い調剤の伸び率がマイナスになっていることが特徴だと思っております。
続きまして、資料5-2をごらんいただければと思います。これも同様にプレスリリースと書かれている1枚目の資料で御説明したいと思います。医療費のうち調剤医療費につきましては、比較的電算化の普及が早かったこともありまして、平成17年ごろから電子レセプトのデータを収集しまして、調剤医療費の動向を作成してきたということでございます。
調査結果のポイントとして囲っている1つ目の丸をごらんください。平成30年度調剤医療費(電算処理分)は7兆4279億円になっておりまして、伸び率はマイナス3.1%になっております。先ほどの概算医療費の調剤医療費の伸びもマイナス3.1%と御紹介しましたが、同じ伸び率になっております。
年間の処方せんの枚数は8億4000万枚ぐらいありますが、処方せん1枚当たりの調剤医療費を見ますと8850円ということで、伸び率はマイナス3.7%となっております。この内訳を見ますと、技術料が1兆9311億円で伸び率がプラス1.0%、薬剤料が5兆4834億円で伸び率がマイナス4.5%となっております。後発医薬品の薬剤料は1兆245億円になっておりまして、伸び率はプラス1.5%になっております。
後発医薬品の割合では、平成30年度末、平成31年3月ですが、現在使っている数量ベースの指標、いわゆる新指標で77.7%となっております。あくまでこれは調剤医療費に係るものですが、調剤医療費について見ると新指標で77.7%になっているということです。前年度末が73.0%でしたので、延び幅としましてはプラス4.7%で、上昇していることになっております。
以上、保険薬局における調剤医療費の動向を御説明しましたが、薬剤につきましては、入院や外来にも含まれる分もありますので、引き続き医療費全体の動向を見ていきたいと考えているところでございます。
説明は以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、何か御意見、御質問があれば承りたいと思いますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
それでは、この議題についてもこれまでにしたいと思います。
以上で本日準備した案件は全て終了いたしました。
本日の部会はこれにて終了したいと思いますが、事務局、何かありますか。
○宮崎課長 ありがとうございました。
次回の開催日につきましては、追って事務局から御連絡させていただきたいと考えておりますが、来月下旬ぐらいの開催を予定しているところでございます。詳細は、決まりましたら御連絡させていただきたいと思います。
○遠藤部会長 よろしくお願いいたします。
それでは、これにて終了したいと思います。本日は積極的な御発言をどうもありがとうございました。