地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会(第5回) 議事録

日時

令和元年7月16日(火) 14:00~16:00

場所

厚生労働省専用15会議室(12階)

出席者

構成員(敬称略・五十音順)

・朝比奈 ミカ   中核地域生活支援センターがじゅまる センター長
                          市川市生活サポートセンターそら 主任相談支援員
・池田 洋光            高知県中土佐町長
・池田 昌弘    NPO法人全国コミュニティライフサポートセンター 理事長
・奥山 千鶴子     NPO法人子育てひろば全国連絡協議会 理事長、認定NPO法人びーのびーの 理事長
・加藤 恵     社会福祉法人半田市社会福祉協議会半田市障がい者相談支援センター センター長
・助川 未枝保     船橋市三山・田喜野井地域包括支援センター センター長
・立岡 学     一般社団法人パーソナルサポートセンター 業務執行常務理事
・田中 滋     埼玉県立大学 理事長、慶應義塾大学 名誉教授
・知久 清志    埼玉県福祉部長
・原田 正樹    日本福祉大学副学長
・堀田 聰子    慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科 教授
・平川 則男    日本労働組合総連合会 総合政策局長
・本郷谷 健次     千葉県松戸市長
・宮本 太郎        中央大学法学部 教授

議題

中間とりまとめ案について

議事


○鏑木包括的支援体制整備推進官 それでは、定刻となりました。
ただいまより、第5回「地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会」を開催します。
皆様におかれましては、大変お忙しい中、お集まりいただき、まことにありがとうございます。
まず初めに、今月、人事異動がございましたので、新たに着任いたしました職員を紹介いたします。
辺見聡審議官です。
高橋和久社会・援護局総務課長です。
吉田昌司社会・援護局地域福祉課生活困窮者自立支援室長・地域共生社会推進室長併任です。
また、野﨑前生活困窮者自立支援室長は、大臣官房総務課広報室長に異動となりましたが、地域共生社会推進室参与として引き続き議論に加わってまいります。
本日は欠席との御連絡を、大原構成員、菊池構成員、野澤構成員、宮島構成員、室田構成員からいただいております。
続きまして、資料の確認でございます。
本日の資料は、全部で5点ございます。
上から順に、議事次第。
資料1「中間とりまとめ(案)」。
資料2「地域共生社会推進検討会におけるこれまで(第4回まで)の主な意見」。
資料3「第4回検討会資料の修正」。
参考資料1「本検討会構成員名簿」。
参考資料2「構成員配布資料」となってございます。
御確認をお願いいたします。
それでは、ここからの議事運営につきまして、宮本座長にお願いしたいと存じます。
カメラの方々はこれで御退室いただきますようお願いいたします。
○宮本座長 それでは、第5回の検討会を始めさせていただきます。
お忙しい中、お集まりいただき、まことにありがとうございます。
本日は、中間とりまとめを何とか形にしていきたいということで、大事な検討会になりますが、その点、よろしくお願いいたします。
前回も、とりまとめ案をもとに、皆様に長い時間をかけて御議論いただきました。その後も、メール等で事務局に皆様の御意見をお送りいただきまして、先週から今週にかけて、事務局はフル回転で皆様の御意見をバランスよく集約する作業を続けてくださいました。座長として拝見しても、かなり議論の積み上げがきちんと反映されたまとめになっているかなと思いますが、もちろんこうした文章に完全ということはございません。本日、もし議論し残した点があれば率直にお話しいただければと思いますが、可能であれば、本日、この中間とりまとめについて合意できたらと思っております。
それでは、お手元の資料について、事務局から御説明いただきたいと思います。資料1が中間とりまとめ案になります。資料3は、これまで皆さんに御議論いただいた記録の修正についてであります。
それでは、野﨑参与からよろしくお願いします。
○野﨑地域共生社会推進室参与 私から御説明いたします。
まず、資料1について、御説明いたします。
資料2にはこれまでの先生方からの御意見をおつけしていますけれども、個別には御説明いたしませんが、プラス、前回いろいろ御指摘いただいたこと、また、メールでいろいろ御意見いただいたことを踏まえまして、この中間とりまとめの案としてまとめております。
冒頭から若干濃淡をつけながら御説明していきますが、まず、1ページ目の「Ⅰ 検討の経緯」につきましては、これは前回お示ししたとおりでございますので説明は省略いたしますけれども、この地域共生社会というものが理念として掲げられながら、掲げられてからこれまでの政策の展開をまとめたものでございます。
3ページ目になりますけれども、「Ⅱ 福祉政策の新たなアプローチ」は、「1 個人を取り巻く環境の変化と今後強化すべき機能」としておりまして、まず、「(1)これまでの福祉政策の枠組みと課題」で、福祉政策が達成してきたものと、今、明らかとなってきている課題という2つに分けて整理をしております。その上で、さらに「(2)個人や世帯を取り巻く環境の変化」というところで、前回お示しした資料の段階ではまだ十分に充実した内容になっておりませんでしたが、構成員の皆様方からの御意見をいただきまして、1つ目は、個人や世帯が抱える生きづらさやリスクの多様化・複雑化という最初の○と、2つ目の○が世帯構造の変化も個人の生活に影響を与えている要素として書かせていただいているものと、3つ目として、より大きなレベルでの変化ということで、共同体の機能の低下とあわせて、少子高齢化や人口減少などの人口動態の変化、さらに経済環境の変化も少し記載を充実させております。その上で、最後の○ですけれども、このような個人や世帯を取り巻くさまざまな環境の変化に呼応する形で、個人の価値観やライフスタイルの多様化も見られている。その中で、新しい豊かさの追求が1つ目のポツで、2つ目のポツが家族観や結婚観にも変化が生じているのではないか、3つ目が働き方の多様化という変化も見られるということで、まとめさせていただいております。
その次、このような社会の変化、個人の価値観の変化を踏まえた上、「(3)今後強化が求められる機能」として、元来、個人の人生は複雑・多様であるけれども、その度合いが一層進んでいる。ここで御意見があったところとして、相談支援の実践から、実際にそれがどういう形であらわれているのかというところの記載を充実したほうがよいのではないかという御意見がありましたので、第3回の検討会の資料から抽出という形で、相談支援の実践においても経済的困窮を初めとする課題の複合化という事例が多く見られていることに加え、教育問題など福祉領域以外の課題が関係する場合、また、生きづらさの背景に、家族の問題や本人の不安、ひきこもりなど、本人や家族の社会的孤立といった関係性の貧困が存在する場合など、既存制度の枠組みのみでは対応が難しい事例も多く見られているというあたりの記載を充実させていただいています。
また、「2 対人支援において今後求められるアプローチ」について、大きく修正をしたものが5ページになりますけれども、前回の検討会でも御意見をいただきましたが、この「伴走型支援」という支援手法が比較的生活困窮者自立支援の中で実践されてきた内容であるので、むしろ他領域の支援とどういうふうに接合するのかというところが、もう少しかみ砕いたほうがよいのではないかという御意見はありましたので、言葉を見直すということはしていませんけれども、5ページ、2番目の○の下から2行目ですけれども、「同時にこれは、直面する困難や生きづらさの内容にかかわらず、本人の生きていく過程に寄り添う支援として、広く用いることができる」ということで、必ずしも生活困窮者自立支援にかかわらない支援手法としてより普遍化できるのではないかということを提示させていただいております。
「3 伴走型支援を具体化する際の視点」ということで、6ページになりますが、この伴走型支援を実施することでどういう変化が生まれるかというところの一例として、5行目、4行目、「孤立した本人の他者や社会に対する信頼が高まり、周囲の多様な社会関係にも目を向けていくきっかけとなり得る」という記載を追加しています。
2つ目の○ですけれども、地域の実践を御紹介する中で、これまで書かせていただいていたのは、専門職がかかわる中で、住民が出会い、学び合う機会を設けるという記載でしたけれども、それに加えて、3行目の終わりのほうからですが、「従来からの民生委員・児童委員の活動に加え、最近ではボランティア団体などによる『子ども食堂』、『認知症カフェ』など、地域において多様な社会的課題への取り組みが広がっている」。つまり、住民の皆さんがあくまでも主体となって取り組んでいらっしゃるような事例も少し追記をさせていただいております。
7ページになりますが、「4 重層的なセーフティネットの構築に向けた公・共・私の役割分担の在り方」というところで、前回も御意見をいただきましたけれども、「自助・互助・共助・公助」というもの自体が固定的なのではなくて、その捉え方を固定的にしてはいけないのだという御指示でしたので、その「自助・互助・共助・公助」を固定的に捉えるのではなく、この3つの機能、3つの保障が連携しながらバランスある形で連携をとっていくという趣旨を明確にしています。
「Ⅲ 包括的な支援体制の整備促進のための方策」が、8ページからになります。
ここに、今回の報告書に少しめり張りをつけるという視点から、「1 対応の骨格」を追記させていただいております。主に後から出てくる内容を要約したものになりますけれども、ここを見ていただければどういうアプローチで何をしようとしているのかぱっとわかっていただけるように、ここのパラグラフというか、4つのパラグラフを追加させていただいているということです。
1つ目の○は、この検討会で検討を行ってきた経緯です。
2つ目の○が、「後述するように、これまでの検討から、Ⅱで述べたような福祉政策の新たなアプローチを実現するための包括的な支援体制は、大きく以下の3つの支援の機能を一体的に具えることが必要と考えられ、そのような体制の整備に積極的に取り組む市町村に対して、国としても政策的な支援を行うべきである」。具体的な内容としては、断らない相談支援、参加支援(社会とのつながりや参加の支援)、地域やコミュニティにおけるケア・支え合う関係性の育成支援という3つを機能として掲げています。なお、2つ目の○の最後のほうで、「そのような体制の整備に積極的に取り組む市町村に対して、国としても政策的な支援を行うべきである」と書かせていただいていることの趣旨は、全ての市町村にいきなり適用を求めるというよりも、今、問題になっているのは、会計検査の問題にしてもそうですけれども、やろうとする自治体がむしろ縦割りの制度にぶつかっているということですので、そういう前向きなというか、熱意のある自治体が取り組んでいきやすいように、そこを国として政策的な支援をしていくのだという趣旨を明確にしていると御理解いただければよろしいかと思います。
さらに、3つ目の○ですが、そのような中で、「現在、相談機関等の支援体制に対して個別制度がそれぞれ補助する形をとっていることで、このような断らない相談支援を中心とした包括的な支援体制を市町村において構築しづらくなっている。こうした課題を解消し、包括的な支援体制を、各自治体の状況に合わせて整備することを後押しする観点から、属性や課題に基づいた既存の制度の縦割りを再整理する新たな制度枠組みの創設を検討すべきである」ということでございます。
また、前回御意見をいただいたところを少し踏まえさせていただいているのですが、社会保険制度は権利性が強いということとの関係性も整理すべきではないかという御意見をいただきましたので、なお書きではありますけれども、「その際、社会保険制度と社会福祉制度の性質の違いなど、既存の社会保障制度の機能の在り方についても留意する必要がある」という付記をさせていただいているということでございます。
8ページの下から、ここからが各論、先ほど申し上げた3つの機能に関してそれぞれの詳細を書かせていただいているパーツになります。まず、「2 断らない相談支援について」の「(1)断らない相談支援の機能」ということで、これは、項目というか、ラベルの整理ぐらいは若干していますけれども、基本的に大きな内容は変えておりませんので、説明は省略をさせていただきたいと思います。
10ページからが「(2)断らない相談支援の具体化のための体制」で、最初の3つの○も大きくは変わっておりませんけれども、最後の○のところで、各検討会の構成員の皆さんからの御意見を少し整理をさせていただいています。1つは、これまでも書かせていただいていたとおり、「各市町村の地理的条件や人口規模などの違いにより多様性があるのではないか」という意見と、「小規模自治体においては日常生活を考えると①及び②の機能を担う関係者が、地域住民に身近な『かかりつけ』として存在していることが重要ではないか」ということ、また、このようなことを踏まえて「地理的・社会経済的条件等市町村がそれぞれ異なる実情にあることを踏まえつつ検討を行っていく必要がある」というまとめにさせていただいているということ。
11ページからは「(3)断らない相談支援の具体化に向けた検討事項」ですけれども、この中では、11ページの一番下ですけれども、前回の検討会でも複数御意見があったと思いますが、支援員個人の力量に依存するのではなく、チームとして機能できるような仕組みとする必要があるという意見を踏まえた修正をさせていただいております。
12ページからが参加支援に関する部分ですけれども、この中では、3つ目の○の下2つのポツが関係するところですが、このやりとりの中で御意見をいただいたところとして、「介護や子育て、障害者支援、就労支援、身元保証等の日常的な関わりが『かかりつけ』となれば、生活課題の深刻化を防ぐことにもなる」のではないかという御意見もありましたし、その次ですけれども、「孤立した状態から社会参加ができるようになるまでには多くの隔たりが存在しているため、まず社会とのつながりを築く第一歩として、本人の生きがい・やりがいになる活動ができる場の提供が必要である」という御意見をいただきましたので、そのあたりを付記させていただいております。
13ページ以降が、地域ケア・支え合う関係性の育成支援、いわゆる地域づくりに関係するところになります。ここは、前回、第4回で随分御意見をいただきましたので、前回お示しした論点よりは随分記述を充実する形で修正させていただいておりますので、少し丁寧に御説明したいと思います。
まず、「(1)今後の地域づくりの在り方について」の中では、3つ目の○までは大きくは変えておりませんが、4つ目の○のところですが、前回たくさん御意見をいただいたものを幾つかの○に集約しておりますけれども、「しかしながら」というところですが、「断らない相談支援や参加支援が、政策として具体化しやすいのに対して、多様なコミュニティにおけるつながりを育むための政策は立案と実施のそれぞれの段階における丁寧な対応を欠くと、十分な成果をあげることが難しく、お仕着せのものになってしまう可能性もある。あるいは、日常の営みとして特段意識されていない、地域の祭りや自治会行事などをきっかけにつながりが築かれる場合も含め、既存の地域のつながりや支え合う関係性が存在する場合において、それを十分に把握しないままに、政策的に新たなつながりを生み出そうとすると、既にある住民の自発的な取組を損なうことになってしまう場合がある」。「これを踏まえ、地域住民の主体性を中心に置き、地域のつながりの中で提供されているケア・支え合う関係性を尊重するという姿勢が不可欠である」。ここも御意見をいただいたわけですけれども、住民同士がそういった地域づくりを目指していくということの最大の理由というか、根本の理由は、共に生き、暮らし続けられる地域をつくっていくことが目標なのだという御意見をいただきましたので、そのようなことを14ページの冒頭に書かせていただいた上で、その地域でのつながりが弱くなっている場合には、行政からつなぎ直しを行うための支援を行うとか、あるいは、都市部などで地域のつながりがとりわけ弱い場合には、新たなつながりを生み出すための支援を行うといったように、地域ごとの状況に合わせて地域の支え合いの支援をするきめ細かな対応を行うべきであるという記載とさせていただいております。
その関連で(2)福祉分野の地域づくりのところですけれども、14ページ、下から2つ目の○のコーディネート機能につきまして、前回御意見いただいた中で、そもそも新たな社会資源の開発の前に、既存の社会資源の把握と、それを元気づけていくことが必要だということの御意見がありましたので、それをコーディネート機能の1番目に追記をさせていただいております。
15ページでありますけれども、「さらに」から始まる段落ですけれども、前回の議論まででは途中までしか書いていなかったはずなのです。前回の議論でお示しした、一つの属性に着目して始まった取り組みが属性を超えていくという変化と、また、その地域づくり取り組みの効果が一属性にとどまらないという話に加えて、「また」から書いていますが、「また、多世代の関わりの中で、幼少期の頃から地域の文化や多様な暮らしぶりに触れることにより、地域への意識を育むことができる」という効果、「これを踏まえ、コーディネーターの配置、居場所を始めとする多様な場づくりなど、福祉の各分野における地域づくりの支援について、全世代・全属性対応へと再構成する必要性について検討すべきである」ということで、前回もコーディネーターの全対象化みたいな御意見もいただきましたので、そのあたりも踏まえた記載とさせていただいております。
また、その次の○でございますけれども、地域が必ずしも包摂的でない場合もあるという御意見もいただきましたので、福祉教育の必要性を少し念頭に置いた記載を追記させていただいております。読み上げますと、「また、地域住民同士のケア・支え合う関係性を育むに当たっては、幼少期の頃から多様性を認め合う意識を持ち、学びと対話、福祉教育を通して多様な人たちとの関わりができるようになることにより、福祉課題に対する地域の無関心、偏見や差別といった問題を軽減することができることを認識することも重要である」という記載を追記させていただいております。
15ページの最後から「(3)多様な担い手の参画による地域共生に資する地域活動の促進」のところは、それほど大きな修正は加えておりませんので、割愛をさせていただきたいと思います。
16ページ真ん中からの「5 包括的な支援体制の整備促進の在り方」について、3つ目の○、一番最後の行ですけれども、「また」から始まるところですが、ここでは都道府県の役割あるいはその都道府県の圏域すら超える場合の対応について、一つの○でまとめさせていただいていますが、読み上げますと、「支援対象者が市町村域を超えて居住地を転々とするなど、市町村域を超えた調整等が必要な場合や、専門的な機能について小規模市町村では個々に確保することが難しい場合もある。このため、例えば、基礎自治体である市町村を中心とした包括的な支援体制の構築を進める一方、都道府県が市町村における体制づくりを支援すること 市町村の体制から漏れてしまう相談を受け止めて、もう一度市町村につなぎ戻していくこと 市町村域を超える広域での調整や必要に応じた助言・人材育成等に当たることなど、都道府県の役割の具体化を図っていくべきである」。
「加えて、支援につながる力の極端の弱い人たちや平日日中に相談窓口に来られない人たち等の存在も考慮し、都道府県域を超えるより広域での支援体制の検討や、様々なツールを活用した支援への多様なアクセス手段の確保についても、引き続き取り組む必要がある」ことを追記させていただいております。
最後、18ページからが「Ⅳ 今後の検討に向けて」になります。18ページ、19ページの2ページにわたっておりますが、18ページは、今、御説明申し上げたような、この検討会で確認された内容を要約しているページになりますので、説明は省略させていただきます。19ページが、今後の検討の論点などを含んでおりますので、ここを中心に御説明したいと思います。
まず、1つ目の○ですけれども、本検討会におけるこれからの検討課題として、1つは参加支援の具体的内容、2つ目が包括的な支援体制を構築する圏域の考え方、3つ目、4つ目は、包括的支援を進める際の協議体と各種計画について、既存の協議体計画との関係性の整理を含めて検討すべきであるということ、その次が、包括的支援に求められる人員配置要件や資格要件の在り方、先ほども申し上げましたが、広域自治体としての都道府県の役割、また、包括的支援もそうですが、地域づくりも同じなのですけれども、この議論はどうしても福祉関係者の議論が中心となっておりますが、前回もある構成員から御意見をいただきましたが、縦の連携というか、保健医療との連携もしっかり考えていくべきなのではないかという御意見もいただきましたので、幅広い書き方になっていますが、保健医療を含む担い手の参画をどのように促していくのか、どうつながっていくのかということも、一つ検討課題として挙げさせていただいております。
「このほか」以下は、この検討会で取り扱うかどうかも含めて非常に大きな御意見ですので、現時点では御紹介するにとどめておりますが、1つは、ICTなどのテクノロジーの活用により、事務量の軽減を図るべきである。また、包括的支援にかかわる人材の育成や確保に向けた環境整備を図るべきである。3つ目として、福祉事務所の今後の在り方についての検討を進めるべきであるということ。また、人づくりや人材確保に重きを置くべきであり、福祉のリアルな情報や体験の機会を与えるような福祉教育の在り方に関する御意見、また、社会福祉法人がより積極的に民間の公共的セクターとしての役割を担えるように後押しする必要があるという御意見、その最後が、地域づくりがさまざまな文脈の中で生まれてくるということなので、その支援の施策にも長期的な視点が必要であり、その評価についても長期的な指標を用いるべきであるという御意見がございましたので、あわせて御紹介させていただいております。
以上で、資料1の説明を終わりたいと思います。
続きまして、資料3について簡単に御説明したいと思います。
資料3は、これまで検討会にお示ししてきた資料の中で、何点か検討会の中で御意見をいただいた点がございましたので、それをリバイスする、アップデートをするという意味を含めて修正案として提示させていただきます。
まず、1ページですけれども、こちらも前回お示しした資料ですが、「新たな包括的な支援の機能等について」ということで、修正点は大きく言うと3つあります。前回御意見をいただきましたが、「権利擁護のための支援」が、【参加支援】ではなくて、相談支援、【断らない相談】にいくのではないかという御意見がありましたが、これはちょうど間に属するのではないかということで真ん中ぐらいに置いているのと、あわせて「社会との接点に確保・包摂の支援」も相談と参加支援の間であろうということで、そういう仕分けをさせていただいておりますというものが1点。2つ目が、「地域住民同士のケア・支え合う関係性」と、相談、参加支援の距離が遠かったので、少し重ね合わせるような作図をしていることが2点目。もう一つは、この「地域住民同士のケア・支え合う関係性」のところで、前回は「コーディネートする機能」しか書いていなかったのではないかと思いますが、「『場』の機能」を追加しています。
また、2ページの「地域共生に資する取組の促進」のスライドは、何回かこれまで検討会の中で御指摘いただいていて、地域住民の吹き出しのところが「有償ボランティア」としか書いていなかったということで、むしろ福祉の政策のために住民を用いるというニュアンスと受け取られないようにということで、「ボランティア、住民主体の地域づくり」を第一に置いた上で、その上で「コミュニティビジネス」とかというものを書くことと、もう一つは「福祉教育の推進」と大きく3つ書かせていただいたということでございます。この点についても、あわせて御意見がございましたらいただければと存じます。
以上でございます。ありがとうございます。
○宮本座長 御説明ありがとうございました。
事務局に一つ質問なのですけれども、この文章について、特にメディアに対するブリーフィングのようなものは予定していますか。
○野﨑地域共生社会推進室参与 今後ですか。
○宮本座長 はい。
○野﨑地域共生社会推進室参与 まだ具体的な予定があるわけではありませんが、求めがあればというか、必要に応じてやっていきたいと思います。
○宮本座長 その場合、要約とかポンチ絵みたいなものが結構大きな意味を持ってしまうので、そこもこの検討会の議論をくぐらせる機会があればと思います。
○野﨑地域共生社会推進室参与 報告書の公表とのタイミングで、恐らく検討会の平場でお示しするのは難しいかもしれませんが、公表に当たってあらかじめ先生方にはお送りしたいと思います。
○宮本座長 ありがとうございます。
それでは、この中間とりまとめをめぐる議論に入っていきたいと思います。言うまでもなく、この中間とりまとめは厚生労働省を中心にこの分野でのこれからの政策形成を方向づける大事な文章になっていきます。同時に、この検討会として、あくまで中間とりまとめでございまして、これから最終報告を目指してさらに議論を積み重ねていくことになります。
これから構成員の皆様にさらに御議論いただくところですけれども、議論の際に、おっしゃる中身が、あくまでこの中間とりまとめをステップとして、これから議論を深めていく課題として御議論されているのか、あるいはこの中間とりまとめにさらに手を加えていく必要をお感じになって御議論されているのか、そのあたりを少し分けて御議論いただけると大変助かろうかと思います。特に後者の場合、議論を反映させる具体的な箇所と、できましたら修文の中身についてもお示しいただけると大変ありがたいと思います。
座長として予防線を張ってしまっているようですけれども、決してこの修正そのものが困るということではございませんので、皆さんの議論が、よい中間とりまとめ、さらに高みを目指していくエネルギー源でありますので、そこは遠慮なさらず御議論いただければと思います。御意見のある方は、ぜひ挙手でお願いいたしたいと思います。
それでは、田中構成員、お願いいたします。
○田中構成員 まず、立派な中間報告案のとりまとめをありがとうございました。特に今までこういう福祉論だと落ちがちだった地元のビジネスの力についても書いてあって、大変結構だと感じました。
14ページの1つ目の○には「福祉を含む地域の社会経済活動」と書かれていますし、15ページの下から2つ目の○には「地域の企業や産業など経済分野、教育分野」という、どちらかというと福祉分野から遠かったものにも言及していることに敬意を表します。これは褒めたいです。
その意味からすると、文章ではないですけれども、後から説明いただいた資料3の図で、2ページ目のほうですが、ここには、今、せっかく本文のほうに出てきた地元の経済活動とか教育機関とかが載っていないのが残念ですね。コミュニティビジネスは載っていますが、コミュニティビジネスだけが地元の企業ではありません。地元の電鉄会社、バス会社、地元のスーパー等も立派な参画者です。コミュニティビジネスはどちらかというと小さ目で、住民が自分で行うような話ですけれども、大企業の事業所も地元の一員たりえるとの視点に立ってはいかがでしょう。どこに入れるかは「NPO、社会福祉法人等」のところに地元のビジネスとか教育機関を入れてもいいですが、こちらの図にも反映させていただくといいのではないかと感じました。
以上です。
○宮本座長 田中構成員の今の御指摘は、この図に反映するということでよろしいでしょうか。とりまとめの中身にかかわりますか。
○田中構成員 本文のほうはちゃんと載っているので、それを図にあらわさないともったいないのではないかという指摘になります。
○宮本座長 了解です。ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
目が合ってしまいました。立岡構成員、何かありそうな。
○立岡構成員 何かあるというより、議論をなされた部分がしっかりと中間とりまとめに入っているなというのが正直な思いです。こういう書き方をするのかと思うぐらいまとまっているのではないかと思っています。
その中で、1点、言うとすれば、非常にいいものになっていると思うので、これがきちんと実行していけるような形で、財政的な部分に関してきちんと確保いただくような形で、これがきちんと遂行できるようなというところをぜひともお願いしたいところですかね。
○宮本座長 ありがとうございました。
それは恐らく構成員の皆さん全員、あるいは事務局を含めての強い願いだと思いますので、それはこれからの御奮闘をぜひ期待したいと思います。
原田構成員、よろしくお願いします。
○原田構成員 今の財政的なというところも絡むのですけれども、大きく2点あります。
11ページのところで、「(3)断らない相談支援の具体化に向けた検討事項」という中に、多分こういう支援をしていくときの評価指標みたいなものをどうつくり直していくかという、財政とも絡みますけれども、それがしっかり示せないと、こういう断らない相談支援とは何なのかということがなかなか見えてこないので、そこが一つ具体的になるのかなというのが1点。
13ページの下のところから14ページのところにかけて、この間、この検討会でも議論させていただいたことをよく書いていただいているわけですけれども、そのつながりが弱くなってきたところをいろいろな支援で強くしていこうということと、もう一つは、従来のつながりの質を変えていかなければいけない。つながりがあるといっても、例えば、それがすごく封建的なつながりで新しい人や少数の人たちを排除してしまうようなつながりでは困るので、そういう多様性を認めていけるようなつながりを新しくつくっていこうと。全体的につながりが弱くなっているから高めようというベクトルはそのとおりなのですけれども、もう一つ、質の問題があるのではないか。質を変えていくためには、まさに意識を変えたり、我々がもっと学んでいくことが重要になるというロジックをしっかり打ち出していく必要があるのではないかと思いました。
○宮本座長 ありがとうございました。
今の2点、11ページのあたりでの評価指標の問題、ここはいかがでしょうか。どこか入れ込むポイントなどをお示しいただけると。
○原田構成員 ここに具体的なものをポツで示していただいているので、ここに羅列するような形でその評価指標の在り方を検討するみたいに入ってくれば。
○宮本座長 それをつけ加えるということでよろしいのではないかということですね。わかりました。
それから、つながりの質をめぐっては、確かに、全体を読み通しますと、決して古いつながりをよみがえらせるとかそこに頼るということではなくて、原田構成員のおっしゃる新しいつながりというところに重点を置いた叙述にはなっていると思うのですけれども、恐らくさらにそこを明確にするという御趣旨だと思いますが、13ページ、14ページあたり、具体的にこのあたりにという何かお考えはおありでしょうか。
○原田構成員 多分、具体的なところは、14ページの上のところで、いろいろなつながりが弱くなってきた場合にとあるのですけれども、そのあたりの文章の中に、つながりが弱くなるだけではなくて、そういう多様性を受け入れられるような新しいつながりづくりも必要みたいな一文を入れていただけると、据わりはいいかなと思いました。
○宮本座長 ここで地域のつながりが前提になって、それが弱い場合は新しいつながりと書いてあるけれども、必ずしも今のつながりを所与としてしまうのではなくて、それ自体が刷新されていくというニュアンスを入れ込むということでよろしいでしょうか。
○原田構成員 今のところで、つながりが弱いから新しいつながりを生み出すというのではなくて、逆に言えば、つながりがすごく強かったとしても、それが封建的なつながりであれば新しいつながりに変えていく必要があるみたいなことなので、この一文のところを少し丁寧に書いていただけるとわかりやすいかなという趣旨です。
○宮本座長 わかりました。恐らく、封建的なつながりを刷新するという文言になるかはかなり難しいところはあると思いますが、おっしゃる意味で、既存のつながりを必ずしも頼るものではないということは表現できるかと思います。
ほかにいかがでしょうか。
助川構成員、お願いします。
○助川構成員 本当にこれだけ多量なものを上手にまとめていただいて、ありがとうございます。
きょう、読ませていただいて、逆にこんがらがってきたところが1点ありますので、そこを明確にしたいと思います。
14ページのところで、コーディネート機能というところがありまして、これは地域住民のケア・支え合う関係性でコーディネート機能はすごく大事な部分だと思っています。このコーディネーターとしての役割と、11ページの一番下のところに「支援員個人の力量に過度に依存せずにチームとして機能できるような仕組みとする必要がある」とありまして、ここの部分も、個人がやるのではなくてチーム、他団体とも一緒にチームとして働くというので、たしか前の議論のところではそれぞれコーディネーターを配置するようなことも考えられていたのではなかったかなと記憶しておりまして、そうすると、コーディネートという機能が両方の側面であらわされたときに、ちょっとこんがらがるのではないかなと。私は、今、最初に流して読んだときに、チームとしてみんなで支えるよというコーディネートの部分と地域住民の中でのコーディネート機能というところがもう少しきちんとわかるように整理していただいたほうがいいかなと思ったのですけれども、よろしくお願いします。どうするかは、今はわからないのですけれども。
○宮本座長 ありがとうございました。
恐らく、コーディネートの機能が二重円になっているというか、まず、真ん中に支援のネットワークのコーディネートというものと、参加支援ということを含めて地域の資源の幅広いコーディネート、そこの二重の機能の関係みたいなものがどこかで示されればいいのかなと思いました。
野﨑参与。
○野﨑地域共生社会推進室参与 資料3でお示しした、今回リバイスをさせていただいたこの「新たな包括的な支援の機能等について」というところで、1ページですけれども、「コーディネート」という言葉が非常にいろいろな意味を持ち得るのであれなのですが、大きく言うと、この【断らない相談】を具体化していくときに、左下にありますが、「多機関協働の中核の機能」をまず一つは大きく位置づけていて、当然ここには関係機関のコーディネート機能は含まれるわけですね。一方で、生活支援コーディネーターも同じだと理解しておりますが、右上にある「地域住民同士のケア・支え合う関係性」を豊かに生み出していくというところにも、関係する住民の皆さんとのコーディネートをするという機能があって、これは概念的には一旦分かれるのではないかということが今の時点での整理です。意識してかせずかわかりませんが、左下のほうには「コーディネート」という言葉を使わないで、どちらかというと関係機関の協働の中核としての機能をとして位置づけをさせていただいているので、そういう理解をいただければよろしいかなと思います。
以上です。
○宮本座長 恐らくさっき田中構成員がおっしゃったケースとは逆に、図では示されているのだけれども、とりまとめの中で必ずしも図の概念図式が反映され切っていないという御指摘かもしれません。恐らく可能であればということでよろしいのではないかと思いますが、少し検討してみるということでいいですか。
ほかにいかがでしょうか。
池田昌弘構成員。
○池田(昌)構成員 前回の室田構成員の地域における住民活動の構造に影響を受けて、きょう、資料を出させていただきました。
参考資料2、2ページのところに、小さくて見えにくくて恐縮なのですが、「地域づくりの木」というものがあります。これは、宮城県の第7期の高齢者保健福祉計画にも位置づけた木の図なのですけれども、何が言いたいかというと、一つは住民の捉え方、もう一つは、専門職と住民の共同研修といいますか、共に学ぶ研修の重要性をお伝えしたいのですけれども、この地域づくりの木は、見えにくいのですが、枝葉があって、幹があって、根っこがあります。左側の縦の棒に、「フォーマル」、「インフォーマル」、「ナチュラル」と書いてあるのですけれども、枝葉のところが制度・サービスの部分になります。ここが「フォーマル」ということになります。幹のところが「インフォーマル」と書いてあります。土の中の根っこのところは、見えにくい部分ですが、ここは、インフォーマル資源の中の一つだと思いますが、「ナチュラル」ということで、「インフォーマル」の幹のところは「地域支え合い活動」と書いてありますが、土の中の根っこのところは「日常の支え合い」という形で、住民の皆さんの活動の中、あるいは住民主体の取り組みの中にも、ふだんの暮らしの中の支え合いと意識的に活動している支え合い活動の2種類があるのではないかと感じていまして、これは先ほどの「地域共生に資する取組の促進」という図の「住民」のところに、ボランティア、住民主体の地域づくりという形で書いてあるのですが、日常的な地域支え合いへの活動ということで、住民の方の無意識でやられていることと意識的にやられていることの両方が相まって支え合いはあるのではないかと、何らかの表記ができないものかと思いました。
もう一つ、この木の図の右側のところに、これも見えにくくて申しわけないのですが、縦の線があって、ピンクの上のほうの枝葉のところは「支援のプロ」と書いてありまして、根っこの下側のブルーのところには「地域のプロ」と書いてありまして、専門職の方は「支援のプロ」になるわけですが、地域のことは住民の方がよくわかっているということで「地域のプロ」になっていまして、この「地域のプロ」と「支援のプロ」を結びつけるところに、地域のリーダーあるいは生活支援コーディネーターがいるのだろうと思いますが、あるいは、今、想定されている新たなコーディネーターもそこになるのだろうと思うのですけれども、支援のプロと地域のプロが一緒になって考えていかないと地域づくりはうまく進んでいかないのではないかと思うと、特に地域づくりにおける研修においては、住民と専門職が一緒になって研修をすることにとても意味があると思っています。
生活支援コーディネーターの研修に幾つかかかわっていますけれども、専門職だけで研修をするよりも住民の方と一緒になって研修をすることでお互いに学びがあるというところでいうと、研修の中に、書いてありますけれども、専門職と住民が一緒になって研修をするということを19ページのところに書いたほうが、強調していただいたほうがいいのか。その前のところでも共に学ぶというところは書かれているのですけれども、今後検討する中の研修に少しその視点を取り入れていただけるといいのではないか、表記が加わるとありがたいなと思っています。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。
皆さんに伺っていることで、今の11ページ周辺の論点と、研修をめぐる19ページあたりですか。具体的な箇所として、何か池田構成員にお考えはありますか。
○池田(昌)構成員 19ページの「このほか」のところの4つ目のポツのところに「地域ごとの多様性に対応するためには、人づくりや人材確保」というところの「人づくりや人材確保」のあたりに加えていただいてもありがたいなと思いました。
○宮本座長 ここに池田構成員のおっしゃる3つのプロの関係について何か入れ込めればということですね。
○池田(昌)構成員 はい。
○宮本座長 11ページのほうはどうでしょうか。
○池田(昌)構成員 これにつきましては、3つ目の○のところに「早期対応という観点からは、インフォーマルな支援」と書いてあるのですけれども、可能であれば、ちょっと丁寧な書き方で、別の表記で新たに加えていただいた中に、日常の暮らしの中での支え合いの活動ということも地域づくりのほうに書いていただいたと思うのですが、ここの中に書いていただいたほうがいいか、地域づくりのほうに書いていただいたほうがいいのか、御意見いただければと思います。
○宮本座長 多分あそこの日常での支え合いを壊さないことという修文は、かなり池田構成員の御発言を受けとめて入れさせていただいたことだと思います。
○池田(昌)構成員 ありがとうございます。
○宮本座長 その同じニュアンスをこの11ページのところでもできればという御趣旨でよろしいでしょうか。
○池田(昌)構成員 そうですね。こちらの表記のほうが近いイメージで書かれているので、地域づくりにおいても重要なのだけれども、断らない相談支援においても日常の住民の暮らしと主体的な活動というインフォーマルな支援との対応が重要だということを書けるといいのではないかと思いました。
○宮本座長 わかりました。
ほかにいかがでしょうか。
朝比奈構成員。
○朝比奈構成員 朝比奈です。
とりまとめをありがとうございました。
改めて、困窮者支援法の改正のときに社会的孤立ということが挑んでいくべき課題として取り上げられて、それに対応する形で今回の参加支援という新たな概念が提起されたのかなと思っています。
1つは感想なのですけれども、今後、これからが大変だなと思っていまして、まず、自治体の中で誰がイニシアチブをとっていくのかということがとても大変な課題になっていくだろうと思うことが1点。
一方で、このように、相談支援の整理をされた中で、私たち何らかの相談支援に携わってきた人間が、これをどういうふうにそしゃくをして、自分たちのものとしていくのかということについては、いろいろなレベルでの議論が必要だろうと思っています。
1点だけ文言で御検討いただければと思うのですが、最後、19ページなのですけれども、2つ目の○ですね。「このほか」の4つ目のところ、今、池田さんも触れられたところなのですが、「人づくりや人材確保に重きを置くべきであり」というものの後の、福祉のリアルな情報が何となくわかるようでわからない感じもあるので、多分そこもある意味で参加支援にかかわるのかなと私は思っているのですが、当事者の人たちの声をきちんと聞くことを人材養成の一つのプロセスにきちんと組み込むべきではないかと考えますので、そういうふうな解釈でこの「リアルな情報」がいけるのであればいいのですけれども、そのあたりは御検討いただきたいと。最後の○の「存在そのものへの承認」というところにまさに触れてくるところだと思いますので、排除を経験した人たちの声を聞くということをこのあたりに入れていただけないかなと思います。
○宮本座長 ありがとうございます。
確かに、昔、「参加保障」という言葉を使ったことがありますが、ここでは「参加支援」ですね。そういう言葉は従来の地域福祉の知恵を大きく拡大するものであるだけに、この19ページ、「このほか」の項の4つ目のポツの「福祉」といったときに、少し狭く研修の中身を解釈されると、せっかくの地平が生かされないわけですね。その点について、恐らくこれまでの福祉研修を大きく超える中身であることを自治体ともコミュニケーションをきちんととっていかないと、せっかくの文言が生かされないということになるのかもしれません。
さらに、朝比奈構成員のおっしゃった第1の論点、これは、今の言い方で言えば、自治体のコミュニケーションをこの中間とりまとめをベースにどういうふうに行っていくのかということについても、これまでの縦割りに沿ったコミュニケーションでは到底実現しないわけですので、そこについて何か戦略が必要ではないかという御趣旨ではないかと思います。どうもありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
それでは、加藤構成員、お願いいたします。
○加藤構成員 8ページで御説明いただいたときに、「積極的に取り組む市町村に対して」というところでこういった「国としても政策的な支援を」というところで御説明いただいて、市町村においてできるところとできないところがあるという現状がより広がっていくのかなというところも含めて、特に広がっていく要因として、人材育成の在り方というか、成功したような事例があったときに、どうやって広域にそれを広めていくのかみたいなところでいうと、人材育成の在り方が一番それぞれの市町村だけでは難しいところなのかなというところを私は障害の支援の分野でも思っていまして、そういう意味では、19ページの一番最初の○のところに、今後の検討会の議論の在り方みたいなところで、どこに位置するかわからないのですけれども、人材育成の在り方みたいなところは議論の中に含めたほうがいいのかなと思うのと、それがもしかしたら広域自治体としての都道府県の役割なのかもなと思うのですが、その辺のところが障害の施策のところでも難しさがあるなと思っているので、どこかで人材育成の在り方みたいなところは入れていったほうが、格差が余りなくなるというか、促進につながっていいのかなと思いました。
○宮本座長 ありがとうございました。
恐らく今の朝比奈構成員の議論とも重なってくる御指摘かと思います。ただ、そこは広域というところで、これは都道府県の役割ということでよろしいでしょうか。それとももう少し広く考えていくということになりますか。その人材育成の機能は。
○加藤構成員 それこそ市町村の大きさによっても、地理的な環境によっても、もしかしたら都道府県をまたぐというところもあるのかなと思いまして、似通った地形だったり、社会的な環境だったりというところもあわせてなので、そこをもしかしたらまたぐかもしれないのですけれども、そういったところの共有や人材育成の在り方みたいなところをやらないと、広がりを持たせていけないのではないかというところを少し感じているところです。
○宮本座長 わかりました。
もしどこかで工夫できれば、反映することが望ましいのかなと思います。
知久構成員、お願いいたします。
○知久構成員 ありがとうございます。
今、都道府県の役割についてお話しが出ました。中間とりまとめ案に、都道府県の役割をしっかりと書き込んでいただいて、ありがたいと思います。
政令指定都市から小さな自治体まで同じ仕組みで取り組むことは人材育成や地域の資源などが違うために難しい状況にあると思います。
そこで、包括的な支援体制の構築について16ページにあるように、「自治体の裁量の幅を確保できるようにすべきである」ことを記載していただき、それぞれの自治体が地域の実情を踏まえて工夫をしながら取組ができるようにしていただいたのはありがたいと思います。
都道府県の役割として具体的に触れられた、市町村間の調整や人材育成などについては、県としても引き続き進めていく必要があると改めて考えております。
一つ質問です。17ページの中ごろの「都道府県域を超えるより広域での支援体制の検討や、様々なツールを活用した支援への多様なアクセス手段の確保についても、引き続き取り組む必要がある」についてどんなイメージなのか教えていただければと思います。
○宮本座長 それでは、野﨑参与、お願いします。
○野﨑地域共生社会推進室参与 こちらは、現状のいろいろな支援ツールというか、対策、政策を見ると、都道府県域でやっていらっしゃる、例えば、千葉県の中核のような取り組みもありますし、一方で、国のほうでもSNS相談みたいな形でやっているケースもありますので、そういう、できる限り重層的な体制を組んでいくことをあらわしたもので、そういう意味で言うと、市町村、市町村を超える部分は県を基本に、さらにそれは県を超えるというか、圏域というよりもより重層的にしていくという観点から、より広域的なものということも、今、やっているものに引き続き取り組んでいくという書き方ではありますけれども、そのような問題意識を書かせていただいたということでございます。
○宮本座長 知久構成員、よろしいでしょうか。
○知久構成員 ありがとうございます。
もう一点、立岡構成員から最初にお話があった国の財政保証の話です。新たな財源が必要であると記載いただきました。18ページ下から2つ目の○、「地域ごとの多様な体制整備を支援するための柔軟な財政支援が不可欠である」や、17ページの一番下の○、「その際、自治体における事業の実施の支障とならないよう留意しつつ、経費の性格の維持など国による財政保障の在り方にも十分配慮して今後検討を進めることが必要である」と問題提起、中間報告という形で踏み込んでいただき、まことにありがたいと思います。
今後、最終報告に向け、より一層具体的なイメージがつくように御議論いただければ幸いです。
○宮本座長 ありがとうございます。
知久構成員からも御指摘があったとおり、財政的基盤が確保されない場合、この報告書が構成員の皆様あるいは事務局が願った方向で機能するのではなくて、違った方向で機能してしまうという危惧さえ持たれるわけでございまして、その点、確かに重々慎重に、かつ、全力を挙げて、財政的な基盤あるいは条件の確保を実現する必要があろうかと思います。
それでは、池田洋光構成員。
○池田(洋)構成員 この地域共生社会の在り方についてはいろいろなところで議論されております。第32次地方制度調査会の中で、新たな地方自治体の在り方も議論されています
が、広域行政の問題、あるいは、新たな市町村合併の話や、都道府県の在り方などが今後、検討されていくわけでありますけれども、地域が必ずしも消滅していくわけではないので、きちんとした行政サービスを提供する必要がある。中間とりまとめの1ページ目に、昨年度時点で151の自治体がモデル事業を活用していると書いていますが、1,718の団体の8.8%にしかすぎません。大きな政令指定都市や人口何十万の都市は別として、私どものような町村は非常に条件不利地域が多く、非常に行政効率も悪い上に、職員数も少ない。例えば、保健師であっても、理学療法士であっても、社会福祉士であっても、専門職は様々なモデル事業の導入にかかわっていくので、本来の仕事がしづらい。2分の1の補助金をもらうためには、様々な事業計画を立てて、また、そのPDCAを回していく中で報告もしなければならないため、手が回らないというのが結構ある。スーパーマンみたいな職員がいたらいいのですが、専門職は、専門職の役割、本来の仕事があるわけですから、それに特化できるような形にして、国の制度や様々な報告・調査物については、一般の事務職員が専門職にブリーフィングできるようにすればいいと思う。圏域や県、自治体を超えてという話もありますけれども、同じ文化の地域でないと考え方も全く変わってくるので、隣にあるからというだけではなかなか難しい。特に人を相手にする事業は難しい。
一方で、隣の県であっても同じ文化圏がある場合もあるので、一概に言えないのですが、机上で議論しているようなことが地域に当てはまりにくいということがありますので、都道府県にもいろいろ役割を果たしていただかなければなりません。小規模自治体が本来のサービスを地域の住民にお届けできるような仕組みを、事務の簡素化などでぜひお願いしたいと思います。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。
今のお話は、最終報告に向けてさらに議論を深めていくべき論点という受けとめ方でよろしいでしょうか。
○池田(洋)構成員 はい。
○宮本座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
奥山構成員、お願いいたします。
○奥山構成員 たくさん論点をまとめていただきまして、ありがとうございます。
今、構成員の先生方のお話も聞きながら、一つは、原田先生がつながりの質という話をしてくださったり、朝比奈構成員から当事者の意見を聞いてほしいというお話があって、まさに子育て世代は、転入で入ってきたその地域にどういうふうに受け入れられるか、受け入れられてそこで地域に根差してなじんでいくという過程が、なかなか今はしんどい状況だというのを活動の中で感じております。
その中で、15ページの1つ目の○のあたりに、「多世代の関わりの中で、幼少期の頃から地域の文化や多様な暮らしぶりに触れることにより、地域への意識を育むことができる」と書いてあって、このあたりのことはまさに大事なことと思っているのですけれども、逆に言うと、新しい住民等をうまく受け入れる機会をつくっていただくことのほうがむしろ非常に重要かなと。最初からなかなか受け入れてもらえないという感覚を持つ人たちもいるものですから、そこがあって理解が進むというところがあるかなと思っております。
次の○の福祉教育のところも非常に大事です。「幼少期の頃から多様性を認め合う意識を持ち、学びと対話、福祉教育を通して多様な人たちと関わりができるようになることにより」、いろいろな「問題を軽減することができることを認識する」とあって、とても大事な視点ではあるのですけれども、課題を持っている方々の声をしっかりと聞いて、地域住民の側も多様性を認めるという機会もあわせて用意していただくことが非常に重要ではないかと感じましたので、あわせてどこかにそういった記述も入れていただけるといいなと、感想になりますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
○宮本座長 ありがとうございました。
15ページの上から一番上の○、2番目の○のあたりの修文にかかわる御指摘だと思います。前回の検討会で奥山構成員がおっしゃっていた新しい住民にとってのコミュニティの入り口のようなものですね。これについては、以前、拝読したときに、ここは奥山構成員の御議論の反映だなと思ったところがどこかに。
○野﨑地域共生社会推進室参与 確認します。
○宮本座長 議論を続けて、堀田構成員、お願いいたします。
○堀田構成員 今の奥山構成員と先ほどの朝比奈構成員の御指摘に関連するところから始めて、全部で3つあります。
1つ目は、今、御指摘のあった19ページの「福祉のリアルな情報」というところと、15ページの真ん中のところなのですけれども、この「福祉教育」に関連してだけではなくて、広く一般の教育に加えて専門職の教育においても、さまざまな生きづらさとともにある方々に参画いただくことは、その方々が抱えていらっしゃる生活課題を知るという意味合いではなくて、生きづらさとともにある方々が、それとともに生きる知恵あるいはそれを生き抜いていく工夫みたいなものを、支援の対象として出会う、かわいそうな人として出会う、大変な人として出会うのではない、知恵を持つ人として出会えるような教育の在り方ということで入れていただけるといいのではないかと。生きづらさを持つ人の課題を聞く場を設けるという形ではない入れ方を工夫していただければと思います。
2点目なのですけれども、4ページの(3)の部分なのか、5ページの2つ目の○にかかわるものなのか、あるいはもはや要らないのかもしれないのですけれども、今回、本当にこの議論を御苦労の上でおまとめいただいたことは本当にすばらしいことだと思うとともに、今までの問題解決を目的とするアプローチが、先ほどもお話があったような、社会的に孤立をして、自分自身にも諦めて、人に対する信用も失っているというときには、ここは余り意味をなさないというか、普通に生きていこうとするためには生きる力というものが必要とされていて、それすら喪失しているというときに、課題解決のアプローチは意味を十分に発揮できない。逆に、そこには長い時間がかかるということが、よく見ると「つながり続けること」と書いてあるということは、続けなければいけない、時間が必要だということが背景のあるのだ、だからこそ続けなければいけないということなのだと思うのですけれども、この5ページにあるような、本人もこの生きづらさの背景がわかっていなかったりとか、課題が複合化しているときに、この生きる力、つまり、それを喪失しているときに、その人が人として尊重されることが生きる意欲を生み出して、それが前提となって支援がしっかりと受けとめられていく、そのためには長い時間がかかるのだということが、4ページもしくは5ページあたりに、もう一度時間がかかるということをきっちりと書いていただく必要があるのではないかと思います。
それは、各地で支援をしていらっしゃる方々の話を伺っていても、本当に行政に上げていくのは新規の相談だったりとか、そこから卒業していかれた方の数だけよりも、実際は継続していかれるということこそが意味があるという、長い時間がかかるということ、改めてその時間ということで書いていただく必要があるのではないかと思います。時間がかかるという形で書いていただくのか、それとも、緊急の問題解決から、御本人が問題解決をしていかれるというそのプロセスに寄り添っていって、今回、「参加」という言葉が入っているわけですけれども、この参加に至る前には、失っている、自分に対する有用感とか、あるいは人に対する信用が、プロセスに対する伴走があって初めてよみがえってくるというところがあると思いますので、その上で、居場所があって、参加して、役立ちの手ごたえが得られて、そしてというところだと思うので、この問題解決、プロセスに寄り添って、居場所、参加、役立ちというプロセスで描いていただくのか、それとも時間がかかると書いていただくのか、いずれにしても、つながり続けることがなぜ必要なのかということを、1文、4ページなのか、5ページなのか、足していただけるとありがたいなと思います。
そのことは、先ほど原田構成員が評価のことをおっしゃったと思うのですけれども、12ページの参加支援というところについても、評価の在り方を再考していく必要性を書き込んでいただいたほうがいいのではないかと思います。こうした形で長い時間をかけてつながり続けていくことを、今のような形では全く後方支援も評価も十分にできていないのではないかと思いますので、断らない相談と、前のページとセットなのだと思いますが、先ほどの11ページで原田構成員がおっしゃってくださった評価の在り方というときには、まず、入り口で断らず、つながり続けていくというところまで含めた形での評価の再考が必要ではないかと思います。これが2点目です。
最後、3点目なのですけれども、今の12ページのところで、参加支援ということが明確に出されたのはとても意味があるなと思う一方で、先ほどの緊急の問題解決とかということを考えたときには、実際には、池田構成員がお示しくださった参考資料2でいきますと、「地域のプロ」に何でも渡せるわけではもちろんなくて、「支援のプロ」同士の連携も欠かせないわけですが、今回の報告は比較的そこは余り書き込まれていないなという印象がありまして、12ページの参加支援というところに対して、普通は、行政とか、医療とか、法律とか、さまざまな公的な制度上のサービスみたいなものがきっちり機能することもないとここまでいかないはずなのですけれども、それよりも、仕事づくり、就労支援はぜひ進めていただきたいと思っているのですが、そっちに一気には行けないので、いま一度、それぞれの機関が機能できているのかということが問い直される余地が、少し書かれてもいいのではないかと思ったりしますということが3点目です。
この3点目をここに書いていただくことが難しいというようであれば、今後の課題、19ページのところに、1つ目の○に「保健医療福祉の担い手の参画の促進方策」と書いていただいているのですけれども、実際には、今回の断らない相談とかということを考えてみると、比較的福祉寄りの議論になっていますが、保健だったりとか医療のところでそっちに吸い込まれてしまっていて、こちらに戻してくれていないという場合もあるので、そういった意味からも、担い手の参画の促進方策は、それはそれであってほしいと思っているのですが、きっちりとフォーマルな保健や医療の制度も、ここに描かれたような、19ページの最後に明記してくださったような考え方が共有されるような今後の議論の展開が大変重要なのではないかと思います。
以上です。
○宮本座長 確認なのですけれども、最後の参加支援のところで、それぞれの機関がきちんと機能しなければいけないということですが、ある意味で当然なのだと思うのですけれども、それをあえて書き込むというのは、御趣旨とすると、先ほどの保健医療の問題が福祉に吸収されて、またそこをきちんと確立しなければいけないという最後の御発言との関係も含めて、もう一回、どういう意味合いかということで、それによってどこに反映させるのかというのが違ってくると思うのですが、それぞれの機関というのはどういう機関ですか。
○堀田構成員 ありがとうございます。先ほども申し上げましたけれども、行政の、もしかしたら11ページのほうなのかもしれないのですけれども、医療もそうですし、あるいは法律もそうで、福祉もそうで、保健もそうなわけですけれども、本来、それぞれの窓口が、今回、ここで描かれているような本人の持つ力で人として生きることを尊重されるというような考え方に基づいた支援が行われていってほしいと思うわけですけれども、必ずしも機能できていないところがまだあって、逆に、例えば、医療でいくと、心あるいは発達に課題とか、特徴あるいは不安を持っているような、子供もですけれども、人にかかわる医療機関が、本来は長くその方が地域で暮らしていくということを考えると、医療機関で薬や治療あるいは公的なサービスの場にだけつないでいるというだけでは、本人の力が出てこないかもしれないわけですけれども、そこに吸い込まざるを得なくなっているという側面があったりということで、今回描かれたような考え方が、公的な支援のプロのもとでも共有されていくということで、この考え方に向かって、各支援のプロたちが機能していくということも、この参加に至るために、あるいは11ページのほうかもしれないのですけれども、必須なのではないかと。
それがないと、ここで描かれているような仕事づくり、就労支援というところに行けない段階で、先ほどの生きる力の発揮自体が促される環境が奪われているということがあるのではないかということです。
○宮本座長 そうなりますと、ひょっとしたら堀田構成員がおっしゃった第1の論点、つまり、福祉教育、これは専門職の教育を含めて、当事者との出合い方、これはかねてから構成員が御主張されていたことだと思いますけれども、そこに第3の論点も吸収することにはなりませんか。
○堀田構成員 ならないと思っているのですが、でも、今回の中間とりまとめの中に全部入れられることもないかなと思いますので、結構です。ありがとうございます。
○宮本座長 もし全てが入らない場合は、最終報告に向けてということで御了解いただけますでしょうか。
それから、第2の論点は、つながる持続性、長さという問題を、これは特に評価の問題にも結びつけつつということですね。つまり、このつながり続ける支援は、その評価に当たっても短いタイムスパンで何か変わるというものではないのだということを重々強調する必要があるという御趣旨ですね。
○堀田構成員 そうですね。そもそもつながり続けることがなぜ必要かということの背景が、可能であれば、1行、きっちり時間がかかるということを書いていただきたいということと、それを踏まえた評価の在り方の検討ということだと思います。
○宮本座長 わかりました。
原田構成員。
○原田構成員 今、堀田構成員におっしゃっていただいたそこの部分は、16ページあるいは17ページの「5 包括的な支援体制の整備促進の在り方」の中で、ややもすると福祉分野の中での包括的支援体制と、もう一方では、ポンと飛んで、地域づくり、広いところでの議論はしているのですけれども、保健・医療・福祉、今、介護の分野ではぐっと進んでいますけれども、児童や障害やいろいろな分野での保健・医療とのネットワークを強化していくとか、あるいは、今回、教育というものがすごく出てきているので、その包括的支援体制のところが、そういう福祉以外の専門職とのそこがしっかりないと、それが生活の基盤づくりにつながらないので、参加のところにもなかなかいかない。その一歩前のところのイメージをもう少し具体的に我々は共有しておく必要があるかなと思いました。
○宮本座長 ありがとうございました。
田中構成員、お願いします。
○田中構成員 別の論点で、学術論文のレビューみたいな言い方をしますが、このペーパーには「地域」と「コミュニティ」という言葉が出てきます。堀田さんなどと別の研究会でこれを考える会を進めているところですが、例えば、13ページが典型的な混乱です。「4 地域やコミュニティ」と書いてあります。日本語の文法として「や」と書いたときは、「AやB」と書くときは、AとBは違うものであるわけですね。そうすると、「地域やコミュニティ」と書いてある以上、「地域」と「コミュニティ」は意味が違うことになります。違うという文法上の理解になります。
今の4の下、(1)の4つ目の○には、2行目に「多様なコミュニティにおけるつながり」と書いてあります。一方、12ページの2つ目の○には「地域とのつながりや」と書いてあるのですね。この地域とのつながりとコミュニティとのつながりは、揚げ足を取るようですが、文法的には意味が違うはずなのですよね。
さらに、6ページの一番下の○を見ていただくと、2行目、何と書いてあるか。「地域や社会とのつながりが希薄な個人をコミュニティにつなぎ戻していく」、「地域」との関係が切れた人を「コミュニティ」につなぎ戻すと、これはまた違う使い方をしています。
私の理解では、地域はどちらかというと物理的・地理的な領域を指すのに対して、コミュニティは目的意識を持った集団で、SNS上、ネット上でもコミュニティは存在し得ます。確かに違うという最初の理解には賛成なのですが、そうなると、コミュニティとのつながりと書いているところと地域とのつながりと書いているところと、地域とのつながりが切れたからコミュニティにつなぎ直すと書いているところの意味の整理がないと、最初に申しましたように、学術論文のレビュー的な感じがするかもしれませんが、気になるところであります。
○宮本座長 ありがとうございました。
そこは、今の御指摘を踏まえて点検をするということでよろしいでしょうか。
○田中構成員 全部「地域・コミュニティとのつながり」にしてしまえば、問題は消えてしまうのですね。どっちもいいのだと、ここは学術的な定義をする場所ではないとすれば、地域とのつながりとコミュニティのつながりと使い分けないで、「地域やコミュニティとのつながり」で整理してしまえば、文章上はいいと思うのです。
○宮本座長 具体的な御指摘をありがとうございます。
野﨑参与、お願いします。
○野﨑地域共生社会推進室参与 そこはこの検討会でもいろいろ御意見があったように、いわゆる地縁というか、地域に根差すつながりと、そこでは必ずしも十分につながれない人たちを包摂するようなコミュニティという2つというか、多様なものがあるのだという御意見もあったので、両方を書こうとしながら書き分けが十分にできていないということなので、もし御異論がなければ、「地域・コミュニティ」という形で統一させていただければ、そこはそういう学術的に精緻な議論を十分にできるところまで至っていないというところもあるので、よろしければ、そのようにさせていただきたいと思います。
○田中構成員 それでいいのではないですか。
○宮本座長 先ほどの奥山構成員の件は。
○野﨑地域共生社会推進室参与 そこは、16ページのところに、段落の中に紛れてしまっていて申しわけありませんが、最初の○のところに、プラットフォームの構築のところで、「また」以下のところに、前回の奥山構成員の御意見を踏まえて、特に若い世代にとっては入り口が多様であることが望ましいので、一つのプラットフォーム、単一のものを念頭に置くよりも、多様なものが複数存在することができるモデルを念頭に置くということを書かせていただいているということは対応しているのですけれども、先ほどの御意見をどのように受けとめるか、また御相談をしながら決めていきたいと思います。
○宮本座長 奥山構成員、よろしいでしょうか。
○奥山構成員 ありがとうございます。
○宮本座長 それでは、本郷谷構成員。
○本郷谷構成員 一番最初、「このほか」の追加の検討課題の一つかなと思っているのですが、今あった13ページ、下から2つ目の○のところに、日常の営みとして「地域の祭りや自治会行事などをきっかけにつながりが築かれる場合も含め」、あるいはその下の○に「地域住民の主体性を中心に置き、地域のつながりの中で」、要するに、地域の重要性が大変強く言われていると思いますけれども、あるいは、16ページで、上から1つ目の○に、「福祉、地方創生、まちづくり、住宅施策、地域自治、環境保全などの領域の関係者」云々、「『プラットフォーム』を構築することが必要である」ということで、こういう地域とか、今も言ったコミュニティというのか、定義はここではっきりとはあれですけれども、地域というものが大変重要ですよということを認識していると思うのですが、福祉というのはどちらかといったら目的というのかな。人の生き方みたいなもので、地域というのは一つの組織みたいな手段みたいなものだと思うので、最近は、福祉というものが、大変重要な、地域にとっても大きな課題になってきているということを考えると、福祉の視点から見たコミュニティの在り方、こういうコミュニティをつくっていくべきだよという議論をしっかりとしておかないと、問題のある人を問題ないようにしておくとか、問題にならないようにしておくとか、日常的なつながりで、福祉に強い社会をつくっていくとか、そういう社会づくりはどうあるべきかというのは大変重要な課題だと思うのですけれども、これは今回の議論の中では難しいので、地域との連携が大変重要だという、あるいは、その地域ということを意識して、地域との関係は大変重要だと、では、目的的で言う福祉というものが非常に重要な課題として地域づくりをしていかなければいけないとしたら、その地域というのは、もっとはっきりと福祉を意識した地域づくりみたいなことを一回議論する必要があるのかなと、こんな気はちょっとしています。
もしできれば、最後のところに1つぐらい、今後の課題の中に、議論の中に入れていただければという気がいたします。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。
この検討会の議論は決して福祉を地域に還元するものではないのだけれども、地域は福祉の重要な足場である、その関係をどういうふうに上手に表現してと。
○本郷谷構成員 地域づくりというところをどこかが検討していて、そこに福祉も頭に入れながらちゃんとやってくれればいいのですけれども、福祉をやっている部門から見れば、福祉に強い社会、コミュニティ、地域というのはどうあるべきかというのは、一回議論してもいいのかなという意味です。
○宮本座長 ありがとうございました。
引き続き、最終報告に向けての論点とおっしゃっていただきましたけれども、もしどれか反映できる部分があれば、積極的に反映させていただきたいと思います。
平川構成員。
○平川構成員 何点か意見を言わせていただきます。
8ページのところです。1の3つ目と4つ目の○のところですけれども、「既存の制度の縦割りを再整理する新たな制度枠組みの創設を検討すべきである」という、これは今回の報告書のある意味で最も大きな中心的な課題ではないかと思います。その上で、再整理するに当たっての課題ということで4つ目の○があったかと思います。「社会保険制度と社会福祉制度の性質の違い」というところであります。社会保険制度は、負担と給付の関係の問題とか、もう一つは、介護も子ども・子育てもそうですけれども、事業計画の策定がそれぞれ義務づけられています。この事業計画の中で、新たな制度の枠組みの創設をどのように整合性をつけて進めていくのかというのが大変大きな課題ではないかと思います。ある意味、皆保険なら保険料の支払いがあり、それに対しての給付が保障されている中で、社会保険という制度の枠の外に何らかの財源を出していくということにもつながっていくわけでありますので、そこをどうやって制度的な整合性を持って進めていくのかというのが、日本に暮らす全ての人々がこれらの新たな枠組みを理解する上での大きな重要なポイントではないかと思いますので、引き続きこの留意事項にも留意しつつ、積極的にこの新たな制度枠組みの創設にしっかりと対応していく必要があるのではないかと思いました。
14ページの下から2つ目の○、「① 既存の社会資源の把握と活性化」のところです。これも何人かの方がおっしゃっていましたけれども、どうしてもこういう専門職とか、社会福祉制度の中で議論をすると、この既存の社会資源がとかく社会保障関係の資源だけにしか見えてこないという面もあります。例えば、地域組織だったり、この前も少し出ていましたけれども、農業関係の組織であったり、多様な社会資源があるという広い目を持つように、しっかりと連携をしていくということが重要なのではないかと思います。
そういった意味で、社会資源を発掘し、もしくは、つくっていくのだという方々は人材でありますので、その人材をどうやって確保していくのかということが大きな課題かと思います。今回は、この相談支援を行う人たち、人材の確保、もしくは、もっと言えば処遇の改善というところまでは議論がまだ深く進んでいなかったと思いますけれども、今後、どういうふうな人材の発掘をしていくかによりますけれども、そこで働く方々の処遇の改善と人材の確保というところは大きな課題になるのではないかと思っています。
既に生活困窮者支援の議論の中でも、この人材の確保ということで、例えば、民間団体では、事業の継続性がなかなか担保できないことによる人材確保の困難性というものもありますし、地方自治体の中でも、人事異動が頻繁に行われることによって専門性がなかなか確保しにくいという問題もありますし、そういうことも含めて、今後とも引き続き議論していくことが重要なのではないかと思っているところであります。
以上です。
○宮本座長 ありがとうございました。
恐らく第1点目と第3点目、すなわち、個別の事業計画等の関係における本中間とりまとめの枠組みの問題と3番目の人材、特に処遇や確保の具体的な方策は、最終報告に向けて深めるべき論点という受けとめ方でもよろしいでしょうか。
○平川構成員 はい。
○宮本座長 恐らく第2の社会的資源について、福祉の社会的資源と狭く理解されることを防ぐ。ここは何か文言を書き込むことが可能なのかなと思って伺っておりました。
助川構成員、お願いします。
○助川構成員 先ほどどなたかの構成員が、これからポンチ絵がすごく大事な役割を担うということで、この1枚目の図を見直してみたところ、【断らない相談】、【参加支援】のところは非常にいろいろなものが書き込まれているのですが、新しい項目の「地域住民同士のケア・支え合う関係性」というところが、これも本来的には住民同士のケア・支え合う関係性の育成として赤字で両括弧にするような形にして、この上のところが、本当にグリーンの点々の四角が本当はもう少し説明枠として入ってきたほうがわかりやすいのかなと。
「地域活動」であれば、先ほどから出ていますように、多様な担い手の参画による地域活動の促進とか、この関係性の支援のところは15ページのところなのですね。同じく15ページのところに、先ほどから出ています、学びと対話ですね。当事者の対話とか、福祉教育の推進とか、内容がもう少し明確になるような四角で入れていただければ、説明しやすいのではないかなと。
「居場所」のところも、居場所を初めとする多様な場づくりとか、そういうふうに。「居場所」と書いてあったら、これでまたさらに説明が必要になると思いますので、そういう四角の括弧で、簡単にわかるような項目に、ここのところを、非常に大事なところなので、この文章の中から大事なところを入れていただけたらわかりやすいかなと思いましたので、この上のところのほうがこれから新しく大事なところだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○宮本座長 具体的な御指摘、ありがとうございました。
事務局は、この中間とりまとめの公表と同時に、このポンチ絵についてもネット等に掲載していくという御予定でしょうか。
○野﨑地域共生社会推進室参与 はい。そういう予定でおります。少なくともこの1ページというか、この図は全体像を示すものですので、その予定で考えております。
○宮本座長 ポンチ絵は理解を促すには大変大事ですけれども、ひとり歩きもしやすいところがございますので、最後、公表直前に皆さんに回覧するような機会がございましたら、ぜひそのポンチ絵も含めていただければと思います。ありがとうございました。
いかがでしょうか。
原田構成員。
○原田構成員 何度も済みません。
19ページ、最初の○のところで具体的な枠組みのところのお話をいただいているのですけれども、多分それだと、例えば、4つ目のポツのところで、「事業の実施に係る計画など」云々というのは、一つは地域福祉計画は当然想定されてくると思うのです。ただ、全体の中で、何となく我々は前提として地域福祉計画を考えてきたので、これを出すときに、地域福祉計画という文言を、あるいはその役割や必要性みたいなものをしっかり出さないと、地域福祉計画の策定率が都道府県によってすごく違いがあるとか、地域福祉計画の中でこういうさまざまなことの議論をしていくという意味では、地域福祉計画の位置づけみたいなところをもう一度強調しておく必要があるのではないかというのが1点です。もう一点は、構成員の皆さんの議論の中でなるほどと思ったのは、人材育成のイメージですけれども、この19ページの○、ポツの5番目のところでは、包括的支援に求められる人員配置要件や資格要件ということで、ある面、先ほどもあったコーディネーターの機能が果たせる人というものをイメージしていると思うのですけれども、もう一方では、この包括的な支援を進めようとすると、あらゆる分野の援助職がこのことを理解していかないといけないわけですよね。
そして、今、社会福祉士や精神保健福祉士のカリキュラムの見直しの中でもこの包括的支援体制ということを一つ科目の中に入れるべきだという議論が進んでいますけれども、厚生労働省が実施している、例えば、何とか相談員とか、専門員とか、もっと言えば民生委員の研修とか、そういうところにも、この断らない支援とか、あるいはこの包括的支援とはどういうものかということがきちんと共通にみんなが理解できるような、そういう共通科目みたいなものをつくって研修をしていくとかしないと、また新しい専門職がやってくれるというイメージだけではないということがきちんと伝える必要があるかと思いました。
○宮本座長 ありがとうございました。
恐らく先ほどの堀田構成員の御議論とも重なるのかなと思いますけれども、それぞれの機関に求められる包括的な新しいアプローチにせよ、地域福祉計画にせよ、それ自体が多くの自治体にとってはまだ満たされていない課題であるにもかかわらず、恐らくさらにその先を目指すということになってしまうと、恐らくこの19ページの計画なども、地域福祉計画という読み方もできますけれども、見方によっては、さらにその参加支援も含めた包括的な計画というニュアンスも伴っているわけでございまして、そのあたり、きちんとこれまでのステップも踏んでいくということを含めて、今の原田構成員の御指摘は大変重要だと思いますが、具体的な書きぶりということになると、何かお知恵があれば、そのまま反映できるかどうかは別として、承っておいてもいいのかなと思いますけれども。
○原田構成員 いろいろなものが全部19ページに入ってしまうのであれなのですけれども、これからの具体的な部分というところで、そのポツの中に地域福祉計画というものをきちんと明記しておく必要があるのではないかと。
○宮本座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございましょうか。
きょうは早く終わるのかなと思っていたら、さすがこの検討会でございまして、しっかり皆さんに充実した御議論をいただいて、当然長く時間をかけたかいがあったかなと思っております。
本日、皆さんから出していただいたさまざまな御提案、御意見を踏まえて、この中間とりまとめのさらなるバージョンアップになるかと思いますが、最終的にどういう形できょうの御議論を反映させていくかということについては、私、座長に御一任いただけるでしょうか。よろしゅうございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○宮本座長 ありがとうございます。
それでは、事務局にもお願いをしながら、きょうの議論をさらに充実した中間とりまとめに向けて盛り込んでいくべく努力をしたいと思います。皆様には、公表の前にポンチ絵を含めて一度ごらんいただく機会をきちんとつくりたいと思います。
それでは、事務局からよろしいですか。
○鏑木包括的支援体制整備推進官 事務局より、次回以降の御連絡となります。
次回以降の開催ですけれども、現在のところは未定でございます。9月以降の再開を目指して、今後、事務局において準備を進めてまいる所存です。
時間、会場等の詳細は、追ってまた連絡をさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○宮本座長 ありがとうございました。
それでは、9月以降、また皆様にお目にかかるのを楽しみにしております。
夏が来るのかどうかもよくわかりませんけれども、よい夏をお迎えいただけるようにお祈りしております。
どうもありがとうございました。
 

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社会・援護局地域福祉課

(代表電話) 03-5253-1111(内線2233)