2019年8月23日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

令和元年8月23日(金)16:00~

場所

厚生労働省専用第21会議室(17階)

出席者

出席委員(16名)五十音順


欠席委員(5名)  (注)◎部会長 ○部会長代理

 
行政機関出席者
 
 樽見英樹(医薬・生活衛生局長)
 森和彦(大臣官房審議官)
 山本史(医薬品審査管理課長)
 関野秀人(医薬安全対策課長)
 新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
 森口裕(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
 宇津忍(独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)
 鈴木章記(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役) 他

 

議事

○医薬品審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開催いたします。本日はお忙しい中を御参集いただきまして、誠にありがとうございます。本日の委員の御出席状況ですが、大隈委員、濱委員、増井委員、山口委員、山本委員より御欠席との御連絡を頂いております。また、少し御到着が遅れている先生もおられますが、現時点のところ、本日21名の当部会委員数のうち、15名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。
 部会を開始する前に、事務局より、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告申し上げます。今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいております。毎回のことではございますが、委員の先生方には、書面を御提出いただくお手数と御負担をおかけしておりますが、何とぞ引き続き御理解と御協力を頂けますよう、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、清田部会長に以降の進行をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○清田部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から配布資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて、御報告をお願いいたします。
○事務局 事務局です。まず、配布資料の確認を順番にさせていただきます。本日、机の上に議事次第、座席表、座席表の裏面に当部会の委員の名簿を配布しております。議事次第に記載されている資料1~資料18-2をあらかじめお送りしております。会議のペーパーレス化に向けた取組として、本日の部会では、あらかじめお送りしております紙資料と同様の内容を、電子ファイルにしてタブレットに格納して閲覧していただけるようにするとともに、机の上には配布する紙資料を審議品目に係る諮問書、審査報告書及び添付文書とさせていただいております。
 そのほか、資料19「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」を配布しており、また、タブレット内には資料20として各審議品目に係る専門協議の「専門委員リスト」を、資料21として「競合品目・競合企業リスト」を格納しております。なお、タブレットの動作不良等がございましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し付けください。
 続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告させていただきます。資料21を開いていただければと思います。1ページ目から御説明いたします。1ページ目、ラスビック錠75mgですが、本品目の競合品目を選定した理由の2行目以降にありますとおり、咽頭・喉頭炎等を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の品目を競合品目として選定しております。
 2ページ目を御覧ください。イスパロクト静注用500他4規格ですが、本品目は、血液凝固第VIII因子欠乏患者における出血傾向の抑制を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の品目を選定しております。
 3ページ目、ベネクレクスタ錠10mg他2規格ですが、本品目は、再発又は難治性の慢性リンパ性自血病を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に記載の競合品目を選定させていただいております。
 4ページ目、オテズラ錠10mg他2規格ですが、本品目は、局所療法で効果不十分なベーチェット病による口腔潰瘍を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤を記載しております。
 5ページ目、ベバシズマブBS点滴静注100mg「第一三共」他1規格ですが、本品目は、治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の品目を選定しております。
 6ページ目、リツキシマブBS点滴静注100mg「ファイザー」他1規格ですが、本品目は、CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫等の効能・効果を予定効能・効果としており、同様の薬剤を資料に記載の競合品目として選定をさせていただいております。
 7ページ目です。アダリムマブ(遺伝子組換え)ですが、本品目は、壊疽性膿皮症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。以上です。
○清田部会長 ただいまの事務局からの御説明に、特段の御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつきましては、皆様の御了解を得たものといたします。
 それでは、委員からの申出状況について御報告をお願いいたします。
○事務局 事務局です。薬事分科会審議参加規程第8条及び第11条に基づいての、各委員からの申出状況ですが、次のとおりです。議題1のラスビックについては、退室委員は川上委員、議決には参加しない委員は清田委員、中野委員、南委員です。議題2のイスパロクトは、退室委員はございませんが、議決に参加しない委員として亀田委員、川上委員、清田委員、島田委員、中野委員、南委員です。議題3ベネクレクスタについては、退室委員はございませんが、議決に参加しない委員が亀田委員です。議題4オテズラについては、退室委員はございませんが、議決には参加しない委員が亀田委員、清田委員です。議題5ベバシズマブBSですが、退室委員が川上委員、南委員、議決に参加しない委員が亀田委員、清田委員、中野委員、渡辺委員です。議題6リツキシマブBSですが、退室委員が南委員、議決には参加しない委員が亀田委員、渡辺委員です。最後に議題7アダリムマブですが、退室委員なし、議決に参加しない委員が亀田委員となっております。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。今の事務局からの御説明に特段の御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。よろしければ、皆様に御確認いただいたものといたします。本日は、審議事項7議題、報告事項10議題、その他の事項1議題となっております。
 それでは、審議事項議題1に移ります。川上委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議題1の審議の間、別室で御待機いただくものといたします。
                                (川上委員退出)
○清田部会長 それでは、議題1につきまして、機構から概要の説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料1、ラスビック錠75mgの製造販売承認の可否等について機構より御説明いたします。ラスビック錠75mg、(以下、本剤)は、キノロン耐性菌の拡大が懸念される昨今の現状を踏まえ開発された、新規のキノロン系抗菌薬であるラスクフロキサシン塩酸塩を含有する錠剤です。本剤は、2019年7月時点で海外で開発及び承認されている国又は地域はありません。本申請の専門委員として、資料20に記載の10名の委員を指名しました。
 審査内容について、臨床試験成績を中心に説明いたします。有効性について、審査報告書の通し番号48ページの表45を御覧ください。呼吸器感染症患者を対象とした臨床試験における有効性をお示ししています。上から2行目にお示しした市中肺炎患者を対象とした臨床試験(AMX-T301試験)において、本剤群の有効性は対照薬であるレボフロキサシン群と同程度でした。また、下3行にお示ししたとおり、慢性呼吸器病変の二次感染患者及び急性気管支炎患者を対象としたAMX-T302試験においても同様の結果が得られました。
 次は、審査報告書の同じページの通し番号48ページの表46を御覧ください。耳鼻咽喉科領域感染症患者を対象とした臨床試験における有効性を示しています。上から2行目にお示しした副鼻腔炎を対象とした臨床試験(AMX-T303試験)において、本剤群の有効性は対照薬であるレボフロキサシン群と同程度でした。また、下6つの行にお示ししたとおり、中耳炎、扁桃炎及び咽頭・喉頭炎患者を対象としたAMX-T304試験においても同様の結果が得られました。
 以上より、呼吸器感染症患者及び耳鼻咽喉科領域感染症患者に対する本剤の有効性は期待できると判断しました。
 安全性については、審査報告書の通し番号50ページの表48を御覧ください。国内第III相試験における安全性の概要を示しています。全体的な有害事象、副作用等の発現割合についてはレボフロキサシン群とほぼ同様でした。
 次ページ、審査報告書の通し番号51ページの表49を御覧ください。非臨床試験において血液毒性に関連する所見が認められたことから、国内臨床試験における血液毒性に関する有害事象の発現状況を確認したところ、本剤75mg投与時の発現例は全て軽度であったものの、推奨用量の2倍に相当する本剤150mg投与群で、投与終了翌日に重篤な白血球減少症が認められ、入院加療等の処置により回復した1例が報告されたことも踏まえ、白血球減少症について添付文書の重大な副作用の項で注意喚起をする必要があると判断しました。
 審査報告書の通し番号52、53ページにかけての表50~54を御覧ください。キノロン系抗菌薬に特徴的な副作用の発現状況を確認したところ、いずれも重篤例は認められていませんが、これらの事象については、類薬と同様に添付文書で注意喚起を行う必要があると判断しました。
 以上の審査を踏まえ、機構は、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体は劇薬に該当し、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しています。薬事分科会には「報告」を予定しています。
 なお、審査報告書に誤記がありました。通し番号60ページの上のほうの表の2行目に、12ページの14行目の修正事項を記載しておりますが、前のページの59ページにも同じ記載があり重複しておりますので、削除させていただきます。この修正による審査結果への影響はありません。以上、ご審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、委員の先生方から御意見、御質問がありましたら伺いたいと思います。いかがでしょうか。
○長島委員 ラスビックの審査報告書の42~44ページの国内第III相試験の所を見ると、有効性解析対象集団がPPS、それから、主要評価項目がPPSにおける治癒判定時の臨床効果ということで、PPSが対象になっていますが、ファイルとしては添付文書の案の一番最後のページの添付文書の4ページになりますが、ここでもっている臨床効果は、表7、表8ともFASになっています。これは実際に有効に対象としたのがPPSだったので、こちらの添付文書に載せるものもPPSであったほうがいいように思いますが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきまして、ありがとうございます。まず、各試験の主要評価項目の解析対象は、御指摘のとおりPPSで設定されていましたけれども、現時点において機構としては、ITTの原則に基づくFASの結果で評価することも重要との方針で、PPSにおける結果とともにFASにおける結果も確認しております。先ほどの御説明においても、FASにおける結果を御説明いたしました。
 添付文書にPPSの結果を載せるべきではないかという御指摘については、申し上げたとおり、機構としては、ITTの原則に基づくその結果で評価することが重要というように考えておりますので、添付文書にはFASにおける結果を情報として載せております。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
○長島委員 実際の審査としてPPSをやって、対象が有効なものとやってたので、そこの情報もきちんと載せたほうがいいのではないかと思います。
○清田部会長 いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 説明をさせていただきます。今回、主要評価の対象はPPSとされ、副次の対象としてFASとされていました。ただ、一方でFASとPPSというのはそれぞれ集団が異なることによって、そのメリット、デメリットというものが存在します。今回、我々としては、PPSのほうがFASに比べて集団が少なくなってしまい、それによって比較可能性というものが低下してしまうことを考慮して、PPSも重要ですが、FASの結果も確認しました。今回、情報提供するに当たって比較可能性という部分を重視しまして、FASで評価してそれの情報提供をすることが重要であろうという形で、添付文書のほうもFASとさせていただいた次第です。
 一方で、添付文書のほうにPPSの結果も記載したほうがよいのではないかという御提案については、その点に関しては過去の事例等も1回確認させていただいて、添付文書にたくさんの情報を書き込むことのデメリットというものもありますので、そこも踏まえて検討させていただければと思います。
○長島委員 御検討をお願いします。
○清田部会長 では、御検討をお願いして、後日御報告ということで。ほかにありますでしょうか。
○南委員 もっと突っ込んで言えば、なぜ審査のときにPPSを受け入れたのでしょうか。本来であれば、やはりランダム化した症例を全て解析するFASを、主たる解析とすべきではなかったのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 今回、非劣性検証を目的とした試験となります。ICH-E9にも記載があるのですが、そのような非劣性試験の場合にはFASが必ずしも保守的ではないというところがあります。そういった観点からPPSのほうがより保守的ということになりますので、そういった点でPPSのメリットというところがあります。
 一方で、先ほど申し上げたとおり、症例が除外されてしまうことによる影響もありますので、両方大事というところがあり、当時、審査ではPPSでもよいのですが、FASも含めて両方しっかり評価をするという形で審査をさせていただきました。
○南委員 この試験はランダム化試験で、プラセボをコントロールにおいていたのでしょうか。プラセボは置いていないわけですよね。ということは、除外した中に投与をやめた症例も含まれているようですので、その除外した症例によるバイアスを検討していただいたという理解でよろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 PPSによって、一部、投与期間が短いとか、そういった形の患者様が除外されていますので、そういった形を考慮したかったというところで、FASという解析対象集団を評価したということです。
○南委員 ただ、うがった見方をすると、重症でとても効きそうにないから、試験薬に当たったので投与を中止したという状況も考えられます。
○医薬品医療機器総合機構 少々データを確認させてください。申し訳ございません。
○南委員 そのようなことがないことさえ確認できていればいいと思いますが、やはり、FASを中心にしたほうがいいのではないかという気はいたします。
○医薬品医療機器総合機構 今回、途中でやめられた患者様は、FASでは評価不能ということで、実質上無効扱いによって解析がなされています。
○南委員 それが本来の解析かなという気がするのです。
○医薬品医療機器総合機構 途中でやめてしまった患者様に関しては、PPSの解析では、今回含まれてこないところではありますが、それが適切な形での除外であったということは信頼性調査等で分かっておりますので、問題はないと思っております。
○南委員 信じます。
○清田部会長 ほかに大丈夫でしょうか。
○宗林委員 そもそもクラビットが有名で、適用菌種も、適応症も非常に広く、よく使われていると思っていたのですが、これの耐性が問題、非常に深刻な状態だということなのでしょうか。新たなラスビックは適用範囲もほとんど重なっていて、さらに、従来あるクラビットのほうがずっと範囲は広いと思いますが、これが出てきたということは耐性菌が相当深刻な状態ということでしょうか。教えてください。
○清田部会長 これは私からお答えできればと思います。すごく深刻な状態ではないのですが、将来、クラビットのほうから耐性菌が進んでくるというのが、大いに予想されるのです。それで、もうちょっと耐性化を起きにくくするようなメカニズムのお薬を、ですから、今のうち武器を持っておいたほうが将来いいのではないかというような狙いで出てきたお薬という理解でよろしいかなと思います。現時点でそれほど差はないのですが、将来、クラビットのほうが先に、よく使われているものですから耐性化が進むだろうという感じの御理解でよろしいかと思います。ほかに御意見はありますでしょうか。
○大曲委員 コメントになります。資料1の青字で書かれているページ数の53、54にかけての、いわゆる臨床的な位置付けのところですが、特に54ページの所に書かれている機構の御意見として、これに関しては「他の抗菌薬と同様、本剤についても医療現場で適切に使用されるよう、申請者は情報収集及び情報提供に努めることが重要である」ということで御意見を示されています。端的には、大変賛成で、コメントするとすれば、実際にこれが、特に情報収集がきちんと行われるような御配慮というか、そのようなところをお願いできればと思います。
 というのも、ここの議論のとおりでありまして、この薬の想定される適用というのは国内のガイドラインで示されています。適応症については、比較的狭めに書かれています。先ほどもお話がありましたけれども、実際に今回の添付文書でお示されている適応症はかなり広いです。例えば、咽頭炎等も入ってきます。ですので、こういったお薬の投与のしやすさということを考えると、特に監視をしない状況におかれた場合に、本来使わなくてもいいような軽症の疾患等々にどんどん使われてしまうということは、十分想定し得るわけなのです。そういうことは過去にもあったと思います。そういうことが起きないようにということで、機構の御意見としては、厚労省の抗微生物薬適正使用の手引き等を挙げられて、本来、自然軽快するような必要のない疾患等々に関しては、使用が推奨されないといったことを引きながら、先ほどのように「申請者は情報収集及び情報提供に努めることが重要である」と言われているわけですし、重ねますと、これ、賛成ですけれども、実際には情報収集をされている、例えば咽頭炎にこれぐらい使われているといった状況が見えるような数字というのはなかなか出てこないところでありまして、そういったものが見えるような形で、実際に書いてあることが、要は実現するような形で動いていけばいいかと思いますし、御配慮いただければと思います。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 御意見を頂き、ありがとうございました。適切な患者様に投与されるように情報提供をするとともに、どういった患者様に実際使われているのかというところの情報収集を、申請者にしっかりやっていただくように伝達したいと思います。
○清田部会長 よろしいでしょうか。それでは、そろそろ議決に入りたいと思いますが。
○登美委員 よろしいですか。テオフィリンとの相互作用が併用注意ということになっているのですが、それほど血中濃度の上昇としては大きくないのですが、ここで挙げたというのは、基本的には治療域が狭いからということでよろしいのですか。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○登美委員 もともとそれをやった理由というのは、多分、CYP1A2が誘導されるということでやったのだと思いますが、結果的には血漿中濃度が上昇しているということで、理由としてはよく分からないのだと思って読んでいるのですけれども、これ、要するに、添付文書には「薬物動態の項参照」と書いてあるのですが、じっくり読めばCYP1A2が誘導されていて、一方で血漿中濃度も上がっているということで、何かしら機序不明であるなら、機序不明であると明確に書いたほうがいいのかなと。血漿中濃度が上昇によると考えられているというのは、ちょっと説明としては不十分というか、機序が分からないなら分からないとしたほうがいいのかなということです。
 それから、細かいことなのですけれども、上昇によるものと考えられているというのは、今、エビデンスとしては、上昇することのみが分かっているので、エビデンスはたくさんあるのですが、ここにおいては「上昇によると考えられている」とするよりも、「上昇する可能性がある」という表現のほうが、よりふさわしいのではないかと思いました。
○医薬品医療機器総合機構 検討させていただきます。ありがとうございました。
○清田部会長 ありがとうございます。ほかによろしいでしょうか。この辺りで議決に入りたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 申し訳ございません。先ほどPPSの症例で、中止になった患者様の取扱いで、少し誤りがありますので訂正させていただきます。PPSですが、もともとの定義として、基本的には中止になった患者様を解析に含める形にはなりますけれども、服薬率は非常に悪い患者様を除外するような形の定義でした。したがって、途中で中止になった患者様に関しては治癒していないということになりますので、無効扱いとして解析に含まれていたということになります。大変申し訳ございません。
○南委員 全く投与されていない患者さんはどうなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 全く投与されていない患者様は、その解析から除外されております。
○南委員 ですよね。だから、相手が手強そうだ、試験薬に当った、だからやめたという行動が許容し得る状況ですので、そこら辺については、やはり解析の際には十分注意していただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
○清田部会長 よろしいでしょうか。途中ですが、中野委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。私も同様の扱いでございます。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。別室で待機されている川上委員をお呼びください。
                                 (川上委員入室)
○清田部会長 それでは、議題2に入ります。機構から概要の説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料2、医薬品イスパロクト静注用500他の製造販売承認の可否等について機構より御説明します。タブレットを御覧になる際は、資料2のフォルダを開き、マークが付いている審査報告書のファイルをお開きください。審査報告書ファイルのページ下部に記載された通し番号5ページをお開きください。審査報告(1)の冒頭に、1.起源又は発見の経緯として、本申請及び疾患の概略を記載しています。本剤は、本邦で既に血友病Aの適用で承認されている遺伝子組換え血液凝固第VIII因子製剤であるノボエイト静注用の有効成分であるツロクトコグ アルファに、血漿中消失半減期の延長を目的に、ポリエチレングリコールを結合させたツロクトコグ アルファ ペゴル(遺伝子組換え)を有効成分とする製剤です。海外においては、米国では本年2月、欧州では本年6月に承認されています。本剤の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料20にお示しした6名の方々です。
 審査の概略について、臨床試験成績を中心に御説明します。審査報告書の通し番号21ページの表17を御覧ください。有効性について、重症血友病A患者を対象とした国際共同第III相試験において、主要期間における定期投与群の年間出血回数、ABRが評価され、ABRの推定値は3.70、両側95%信頼区間の上限は4.66であり、両側95%信頼区間の上限が8.5を下回るという、事前に規定された基準を満たしました。以上の結果から、本剤を定期的に投与した際の有効性は期待できると判断しました。
 続いて、21ページの一番下の行を御覧ください。同じ試験の被験者において、試験期間中に発生した出血に対して本剤を投与した際に、止血が成功と評価された出血の割合は84.2%であり、出血に対する本剤の止血効果についても期待できると判断しました。
 続いて、審査報告書の通し番号の28ページを御覧ください。安全性については、提出された臨床試験の結果から、既存の血液凝固第VIII因子製剤と比べて問題となる有害事象等は認められておらず、本剤の安全性は忍容可能と判断しました。
 29ページ、下から2段落目を御覧ください。血液凝固第VIII因子製剤に共通して見られるインヒビターの発生や、ショック・アナフィラキシーの発現リスクについては、添付文書等で適切に注意喚起される予定です。
 最後に、審査報告書の通し番号35ページをお開きください。3.総合評価に記載したとおり、以上の審査の結果、機構は本剤を承認して差し支えないと判断しました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品に該当し、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しました。薬事分科会には「報告」を予定しております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○清田部会長 それでは、委員の皆様から御意見、御質問を伺いたいと思います。いかがでしょうか。
○長島委員 12歳以上の小児及び成人の国際共同第III相試験の結果で、審査報告書21ページの表17では、ABRの使用期間の中央値が1.33で175例なのですが、添付文書(案)の7ページ目の臨床成績、17.1.1の第III相試験の表では、1.18で、同じ175例ですが、この違いはどこから生じているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。審査報告書の通し番号21ページの表17のABRの算出方法については、表17の下に「a)」として脚注を記載しています。試験の途中で中止された患者さんのABRについては、観察された出血回数に基づきまして補完をしています。また、投与開始後1か月以内、かなり早期に中止した場合には、その被験者の残りの期間のABRを24回として補完して算出しています。このような補完をした場合の数値が1.33で、補完をしていない場合の数値が1.18となります。小児を対象とした試験では、早期中止例に対して残りの期間のABRを24回とする補完はしていませんでした。補完した場合としていない場合で、試験成績に大きな差がないということは確認した上で、添付文書では補完をしていない値を記載しています。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
○長島委員 両方で補完のありなしを選択した理由は。
○医薬品医療機器総合機構 12歳以上を対象とした試験では「24回」という値は成人の情報に基づいて設定されています。小児については同様の情報がなく、小児を対象とした試験では補完を行わないこととされました。結果としては、補完のありなしにかかわらず、同様の成績が得られています。
○長島委員 数値が同じはずなのに違っている場合は、きちんとその説明はしていただいたほうがいいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。
○清田部会長 ほかにいかがでしょうか。
○南委員 この薬のメリット、利点は何でしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 臨床的位置付けについては、審査報告書33ページの下から4行目の「臨床的位置付けについて」という項に記載しています。本剤については、患者さんの状態によっては週1回の投与ができること、また、最近承認された、エミシズマブという第VIII因子の代替ができる抗体医薬品は、最長で4週間間隔の皮下注射が可能というメリットがありますが、エミシズマブ製剤の投与経験は第VIII因子に比べて乏しい状況ですので、全てがエミシズマブに置き換わっていくということはないだろうと考えており、本剤を含む第VIII因子についても、定期的に投与をする薬剤として選択肢になり得るだろうと考えています。
 また、審査報告書には記載していませんが、本剤はノボエイトをPEG化した製剤ですので、ノボエイトからの切り替えもある程度は想定されるだろうと考えています。類薬は多数ありますので、本剤が類薬に比べて、特段のメリットがあるかと言われると、ちょっと説明が難しいと思いますが、基本的には類薬と同様の位置付けで使っていただけるものと考えています。
○清田部会長 ほかに御意見はありますでしょうか。
○川崎委員 2点あります。まず、本品は製造工程で抗体や酵素などの生物由来の材料を用いているのですが、これらの抗体や酵素の感染リスクに対する管理方法が製造販売承認申請書からは確認することができませんでしたので、ウイルス感染などのリスクがある原材料については、製造販売承認申請書に「生物由来原料基準適合品を用いる」というようなことを明記する必要があるのではないかと思いました。
 つぎに2つ目です。PEG化の工程は、有効性と安全性に関わる重要なステップと考えます。特に、酵素の比活性はPEG化に大きく影響しますので、その管理が重要と思いますが、申請書を読んでも、CTD2を読んでも、この比活性の管理、つまり単位の定義とか、どのような試験を実施しているのかということが分かりませんでしたので、それについても申請書にしっかりと記載する必要があるのではないかと思いました。
○医薬品医療機器総合機構 コメントありがとうございます。まず、1点目の感染リスクの評価や管理については、審査において、セルバンクのウイルス否定試験の実施状況や、使用している抗体や酵素の製造工程がウイルスクリアランス能を有していることを確認しています。現状、承認申請書においては、感染リスクの評価や管理に関する記載がありませんので、生物由来の材料であることが分かるように、記載を検討させていただきたいと思います。
 もう一点コメント頂いたPEG化に使用する酵素の単位の定義や試験方法の詳細については、承認申請書上には記載はありませんので、企業に確認の上、適切な記載になるように修正したいと思います。
○川崎委員 よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ほかに御質問、御意見はありますでしょうか。
○菊池委員 ほかのPEG化した製剤でもそうなのですが、今度のこれもPEGのことについて余りほとんど書いていないですよね。PEG化したということしか書いていなくて、普通、薬だったらそういう説明は書いてあるわけですが、これは何で書いていないのですか。このPEGは一般的なもので、全てのほかの薬に使っているPEGは同じPEGですよね、これ。そこら辺のことが全然書かれていなくて、それは今回ほかのPEGにされている薬も見ましたけれども、PEGのことはほかのものも余り書いていないのですが、それはいいのですか。
○医薬品医療機器総合機構 PEGの情報については、審査報告書の最初のページの「本質」で、ポリエチレングリコール鎖の合計の平均分子量が約4万ということを記載しており、結合の様式についても、2ページ目に簡単にではありますが、記載していますけれども、どういった情報を。
○菊池委員 普通は薬だったら、添付文書にもうちょっとしっかりそういうものが入っているということを書いてあるものだと思いますが、これは余り書いていませんよね。例えば、今、言ったような分子量のこととか、添付文書の中には書いていませんよね。書いてありますか。
○医薬品医療機器総合機構 添付文書ですと、「19 有効成分に関する理化学的知見」として本質を記載していまして、添付文書4ページ目に平均分子量が約4万のポリエチレングリコールが結合しているということは記載しています。
○菊池委員 分かりました。ここに書いてあるのは分かりましたけれども、普通、薬のもっと前のほうに、薬の薬効成分だったら書きますよね。これ、補助するものだからということで、こちらに出ているということなのですか。
○医薬品医療機器総合機構 有効成分そのものにPEGが結合していますので。添加剤の場合には、添付文書の前のほうに、組成として記載すると思います。
○菊池委員 先ほどの1題目の議題とかで、添加物としてこのように書かれますよね、いろいろアルギン酸とか何だとか、色素が何だとかなりますけれども、PEGはそういう扱いではなくて、全然そういうものではないというものについては、どういう取扱いなのですか。
○医薬品医療機器総合機構 これは有効成分である第VIII因子にPEGが結合しているので。
○菊池委員 知っています。私、血友病やっているので。患者さんにも説明するわけですけれども、これは患者さんから言われて、PEGのことが書かれていないと、よく見る人は。書かれていないのです、ほかのにも。そうだなと思って。薬の成分なのに、何で書いていないのですかという素朴な疑問です。
○医薬品医療機器総合機構 PEGが結合したものが有効成分ですので、添加剤という位置付けではないのです。既に化学結合でくっ付いているので。
○菊池委員 そうですけれども、それが付いているからこそ、それがゆっくりリリースするから効果が長くなるわけであって、そういう役割をしているわけですよね。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○菊池委員 それがまた体の中に戻ったりして、それが蓄積しているとかいうことを、患者さんは気にするわけです。どこで代謝されてとか、そういうことを余り書いていないので、どうなのかなという思いです。いいです、あまり本質的では。
○清田部会長 審査部長、どうぞ。
○ワクチン等審査部長 機構から補足させていただきます。先ほどからお話に出ていますとおり、遊離したポリエチレングリコールが製剤に入っている場合は添加剤として書かれることになります。しかし、有効成分にポリエチレングリコールを化学結合させた場合は、結合した物質を有効成分として取り扱うので、添加剤として書かれることがないというのは先ほど御説明したとおりです。
 添付文書で分かりやすい所に記載があったほうがいいのではないかという委員の御指摘については、例えば、この品目ですと、添付文書の一番上の販売名の上に「ペグ化遺伝子組換え型血液凝固第VIII因子製剤」というように書いてあります。これはほかの例えばPEG化インターフェロンなどでも同じように、その製剤の特徴ととして、こういった形で添付文書の一番上に書かれるようなことはあると思います。
○清田部会長 いかがでしょうか。
○菊池委員 だから、アディノベイトもそうやって書いてありますよという話ですよね、それは分かるのですが、そこの所になくていいのか、ちょっと素人的には不思議だなという。薬の成分としてというか、第VIII因子だけの話だけではなくて、リコンビナントのVIII因子以外のこととして、それがあるからこそ長く効くという製剤なわけですから、そういう説明が余りにも少ないなという意味です。
○ワクチン等審査部長 おそらく、他のインターフェロンとか、G-CSFとか、PEG化した製剤は同じような形で書かれていると思いますので、共通した課題として御指摘を受けたいと思います。
○清田部会長 では、御検討いただくこととして、よろしいでしょうか。ほかに御意見、御質問はありませんでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。それでは、議決に入ります。亀田委員、川上委員、島田委員、中野委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。私も同様でございます。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に「報告」とさせていただきます。
 それでは、議題3に移ります。議題3について、機構から概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料3、医薬品ベネクレクスタ錠10mg他の、製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。タブレットを御覧になる際には、資料3のフォルダを開き、審査報告書のファイルをお開きください。
 B-cell leukemia/lymphoma 2、以下Bcl-2と略しますが、Bcl-2は抗アポトーシス作用を有し、腫瘍細胞の生存に重要な役割を果たすことなどが報告されています。本剤の有効成分であるベネトクラクスは、Bcl-2に対する阻害作用を有する低分子化合物であり、Bcl-2に結合し、Bcl-2による抗アポトーシス作用を阻害してアポトーシスを誘導することにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられております。今般、本剤は「再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」を効能・効果として承認申請されました。令和元年5月時点において、本剤は慢性リンパ性白血病に係る効能・効果にて68か国で承認されております。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料20にお示しした9名の委員です。
 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を御説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、MURANO試験と呼ばれる海外第III相試験であるGO28667試験が提出されました。
 有効性については、審査報告書の45ページの表33及び46ページの図1を御覧ください。再発又は難治性の慢性リンパ性白血病患者を対象としたMURANO試験において、主要評価項目とされた無増悪生存期間について、対照群であるベンダムスチン塩酸塩とリツキシマブ(遺伝子組換え)との併用投与群に対する、本剤とリツキシマブ(遺伝子組換え)との併用投与群の優越性が検証されたこと等から、本剤の有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性については、審査報告書50ページの上から8行目以降を御覧ください。本剤の使用時に特に注意すべき有害事象として、腫瘍崩壊症候群、感染症、骨髄抑制及び二次性悪性腫瘍が認められております。これらの有害事象については、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識と経験を持つ医師による観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断いたしました。ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には、本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。
 以上のような審査の結果、機構は「再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。
 本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会には「報告」を予定しております。
 なお、川崎委員より事前に2つ御質問を頂いております。1点目は、製造販売承認申請書27ページの製剤の確認試験に関して、確認試験を紫外吸収スペクトル測定法と液体クロマトグラフィーの2つに分けて、それぞれについて試料溶液と標準溶液の調整法、試験条件、判定基準、システム適合性を記載すべきではないかという御指摘を頂いております。
 もう1点は、製造販売承認申請書7ページの残留溶媒の○○○○に関して、検出器が○○○○○○○○○○○○○○○○○○なので、検出条件を記載する必要がないのかとの御指摘を頂いております。これらの2点につきまして、頂いた御意見を踏まえて、より適切な記載となるよう検討させていただきます。御指摘を頂きありがとうございました。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 委員の先生方からの御意見、御質問を伺いたいと思います。
○南委員 これは異なった剤形の間の同等性を見ていないのですか。見たけれど同等性が言えなかったのですか。要するに、20mgの投与は10mg製剤を使い、50mgの投与は50mg製剤を使う、その際、現場としてどのくらい血中濃度が上がっていると心積もりしておいたらいいか、その点について何か情報はあるのでしょうか。あったら、それは出せないのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。審査報告書の33ページを御覧ください。製剤間の生物学的同等性について検討しているのかどうかですが、こちらに記載しているとおり、製剤間の生物学的同等性は検討されておりません。なお、主な臨床試験では各製剤、錠剤の組合せが固定された製剤を使っていて、臨床試験ではそういう組合せが固定されており、臨床試験で有効性、安全性が示されております。
○南委員 ただ、各用量で少数例ながら血中濃度AUC、apparent clearanceは出ているようですが、それが実際にどういう意味を持つのか。要するに、用量を漸増していくという通常の抗がん薬としては奇異な使用方法を求めますので、その間増量する過程で血中濃度がどう変化しているのか、現場の医師がイメージを持てるような情報は出せないのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 審査報告書の28ページの表22に、各単回投与時の本薬のPKのパラメータを提示しております。先ほどの御指摘に対する明確な説明にはならないかもしれませんが、基本的には投与量の増加に伴って血中濃度が上昇する結果が得られている状況です。
○南委員 ただ、これを見ると、用量を倍にしていますがapparent clearanceは3分の1になっています。症例数が少ないので確かなことは言えないのですが、用量を上げているのにAUCが下がっているという奇異なデータになります。現場としては、剤形が変わるときに、血中濃度は実際どうなっているか情報があれば、何か起きたときに対応しやすいのですが、全くその情報はないということでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 血中濃度として検討されているのは、今御説明した結果しかないという状況です。
○南委員 分かりました。ないものは出せない、仕方がないとは思うのですが、このやり方で臨床試験において安全性が確認されているので、言われたとおりにやってくださいというスタンスでいくしかないとは思います。
 あともう1点、CLLは基本的には腫瘍量が少ない時はまず経過観察から入って、治療が必要となったら治療を開始するのですが、この再発難治という表現からは、第II相試験ではイブルチニブ(BTK阻害薬)、それからイデラリシブ(PI3K阻害薬)の後というセッティングで使用したと理解できるのですが、第III相試験は単に再発難治と書いてあるのですが、前治療は制限しなくていいのでしょうか、要するにファーストラインから使えるのかという点に関してはどうでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 第III相試験に関しては再発又は難治性の患者、セカンドライン以降の患者を対象に実施されていますので、ファーストラインの患者に対する投与は推奨できないと考えております。
○南委員 その場合、ファーストラインは何でもいいとの考え方でしょうか。かなり期待されて注目されている薬ですので、はっきりさせておいた方が良いように思います。言ってみればCLLは全て難治ですので。
○医薬品医療機器総合機構 第III相試験の前治療に関しては、特定の薬剤の使用歴に限定した形での設定にはなっておりません。
○南委員 とにかく全て既治療例だったから、何らかの治療が入っていればいいわけですか。
○医薬品医療機器総合機構 そのような設定になっています。
○清田部会長 ほかに御質問はありますか。
○登美委員 最初の質問に関連するのですが、線形性があるかどうかのところは、PBPKモデルを使ったシミュレーションなどもやられていると思うのですが、非線形がありそうだというようなエビデンスがそこからは出ているのか、出ていないのか、どうでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ちょっとお待ちください。
○登美委員 あと、もう1つ別のところで、薬物動態的な相互作用を見るときに、いろいろな併用薬との相互作用を見られていて、結論としては妥当だと思っているのですけれども、一部の薬物について、全体的にもそうですが、審査報告書等を読んでも、なぜ相互作用試験をやったのかがよく分からなくて、もともとそれは何を考えて、どのような安全性上の懸念を考慮して試験をやったのかいつもよく分からないので、もう少し報告書とかそういうものに反映できないのですか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より説明いたします。まず、最初の御質問の線形性の点については、残念ながら現時点でまだ十分な情報が得られていないので、明らかに線形だとか非線形だとかの結論を出すのは難しい状況です。ただし、少なくとも言えることは、生物学的同等性試験は実施されていないので、この各含量間の生物学的同等性が示されているとは判断できないということです。いわゆる互換使用と言われる、錠剤を組み合わせてある投与量に合わせる使い方については、それを推奨できる情報がないので、現時点では制限を掛けざるを得ない状況です。
 2点目の御質問については、基本的には抗がん剤の治療に関連してですので、ほかの症状の治療とかも実際は行われることが想定されております。そのときに使われる可能性のある薬剤についても、相互作用がどうなるのかはやはり検討すべきだということで、通常、できるだけそういう検討をすることを求めているところです。今回は、比較的数種類の薬剤との検討をした結果が提出されており、報告書にもその旨を記載しております。薬剤については、例えばCYP阻害剤とか、そういう中で代表的な薬剤が選択されている状況です。
○登美委員 どういうことを考慮しないといけないかということを踏まえた薬剤のチョイスの課程も、承認する上では重要な情報だと思うので、そこがきちんとできているかということでも、その辺の情報があるとより分かりやすいかと思いました。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございました。
○清田部会長 ほかにいかがですか。
○菊池委員 46ページの図1、メインリザルトですが、本薬とリツキサンで、BRはベンダムスチンとリツキサンなわけですよね。これは、もう分かっている人にはそう見えますけれども、片方が本薬+リツキサンとして、BRを一単語にしてそのまま添付文書に「BR群」と「V+R群」となっていますが、これはやはりよくないと思うので書き直したほうがいいと思います。添付文書も「V+R群」と「BR群」となっていて、その辺の記載を整備したほうがいいような気がします。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。略語については、審査報告書にも別表を付けて記載しておりますし、添付文書にも略語の意味が分かるように補足はさせていただいております。先生から頂いた御指摘については、今後の参考にさせていただきたいと思います。
○清田部会長 ほかに御意見はありますか。よろしいでしょうか。それでは議決に入りたいと思います。亀田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に「報告」とさせていただきます。
 議題4に移ります。機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題4、資料番号4、オテズラ錠10mg他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。タブレットの資料4のフォルダを開いていただき、一番上の審査報告書のファイルをお開きください。なお、審査報告書のページ数は、審査報告書のファイルの下部に青字で記載しているページを使用いたします。
 審査報告書の5ページを御覧ください。こちらに本申請の概要を示しております。オテズラ錠の有効成分であるアプレミラストは、ホスホジエステラーゼ4阻害薬であり、本邦では「局所療法で効果不十分な尋常性乾癬」及び「関節症性乾癬」に対して承認されております。今般、「ベーチェット病による口腔潰瘍」に係る効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。
 申請効能であるベーチェット病による口腔潰瘍は、ベーチェット病のほぼ全ての患者に認められるとされており、特に活動期には強い痛みを伴うことで、患者のQOLが著しく低下するとされております。本申請の専門委員として、資料22に記載されています5名の委員を指名いたしました。なお、本剤のベーチェット病による口腔潰瘍に対する効能は、米国において本年7月19日に承認されております。
 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に御説明いたします。まず審査報告書10ページを御覧ください。こちらの表5です。有効性につきまして、局所療法で効果不十分な口腔潰瘍を有する活動性ベーチェット病患者を対象とした国際共同第III相試験であるBCT-002試験の有効性の主要評価項目である「ベースラインから投与12週時までの口腔潰瘍数の時間曲線下面積」、表ではAUC12Wと略しております。こちらについてまとめております。表の3行目に記載していますとおり、口腔潰瘍数のAUC12Wの平均値が本剤群では122.04、プラセボ群では208.39であり、群間差の最小二乗平均値は-92.60の値が得られておりまして、本剤群とプラセボ群との対比較において有意な差が認められ、プラセボに対する優越性が示されております。また、同ページの表6の日本人部分集団の解析結果でも、全体集団と同様の傾向が示されております。
 続いて、審査報告書13ページを御覧ください。中ほどの表9に、主要な副次評価項目の全体集団及び日本人集団の成績を示しておりますが、投与12週時のVASによる口腔潰瘍疼痛のベースラインからの変化量等、いずれの評価項目・集団においても、本剤群においてプラセボ群を上回る傾向が認められております。
 以上より、機構は本剤のベーチェット病による口腔潰瘍に対する有効性は示されていると判断し、臨床試験の組入れ基準を踏まえ、効能・効果は「局所療法で効果不十分なベーチェット病による口腔潰瘍」とすることが適当と判断いたしました。
 次に、安全性について御説明いたします。審査報告書17ページ、表11を御覧ください。こちらの表はベーチェット病又は本剤の既承認の適応症である尋常性乾癬及び関節症性乾癬患者における有害事象の概要を示したものです。機構は、尋常性乾癬及び関節症性乾癬患者と比較して、ベーチェット病患者で有害事象の種類や治療群間差は大きく異なる傾向は認められず、新たな安全性上の懸念は示されていないと判断いたしました。ただし、臨床試験では、本剤の効果が期待されたベーチェット病患者による口腔潰瘍に対する有効性を適切に評価するため、生物製剤等の全身性の免疫抑制剤による治療が行われるベーチェット病の主要臓器病変を有する患者は除外されていたことから、製造販売後の調査等で情報を引き続き収集し、新たな情報が得られた場合には医療現場に適切に情報提供する必要があると判断しております。
 以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会にて御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は新効能医薬品としての申請であるものの、既に付与されている再審査期間の残余期間が4年以上であることから、再審査期間は残余期間である令和6年12月18日までと設定することが適当と判断しております。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○清田部会長 委員の皆様から御意見、御質問を承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。それでは、議決に入ります。亀田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。私も同じ扱いです。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に「報告」とさせていただきます。
 それでは、議題5及び報告事項1に移ります。利益相反に関する申出に基づきまして、川上委員には議題5及び報告事項1の審議の間、南委員は議題5及び報告事項1並びに議題6及び報告事項4の審議の間、別室で御待機いただくことにいたします。
                            (川上委員、南委員退室)
○清田部会長 議題5及び報告事項1について、機構から御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 審議事項の議題5と報告事項の議題1について御説明いたします。資料はタブレットの資料5、8になります。
 まず、審議事項の議題5、「ベバシズマブBS点滴静注100mg「第一三共」及び同点滴静注400mg「第一三共」の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」に関して御説明いたします。タブレットの資料の別紙(3)毒薬・劇薬等の指定審査資料のまとめ、別紙(4)生物由来製品又は特定生物由来製品の指定資料のまとめを適宜御覧ください。
 本剤は抗VEGFヒト化モノクローナル抗体であるベバシズマブ(遺伝子組換え)[ベバシズマブ後続2]を有効成分とする製剤です。アバスチンを先行バイオ医薬品とする2番目のバイオ後続品として、第一三共株式会社より製造販売承認申請がなされました。先行バイオ医薬品アバスチンは、原体・製剤ともに劇薬に指定されていることから、アバスチンと同等/同質である本剤についても、原体・製剤ともに劇薬とすることが適当と考えております。また、チャイニーズハムスター由来の細胞を用いて製造されていることから、生物由来製品とすることが適当と考えております。
 審議事項の議題5、本剤の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について、御審議のほどよろしくお願いいたします。
 同一品目に係る報告事項の議題1についても併せて御説明いたします。機構における審査の結果、本剤とアバスチンの同等性/同質性が確認されたことから、本剤をアバスチンのバイオ後続品として承認して差し支えないと判断いたしました。
○清田部会長 委員の皆様から御質問、御意見を承りたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、議決に入ります。亀田委員、中野委員、渡辺委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただきます。私も同様です。本議題について、劇薬及び生物由来製品の指定を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告させていただきます。
 それでは、別室で待機されている川上委員をお呼びいただきたいと思います。
                                 (川上委員入室)
○清田部会長 議題6及び報告事項4に移ります。議題6及び報告事項4について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 審議事項の議題6と報告事項の議題4について御説明いたします。資料はタブレットの資料6になります。審議事項の議題6、医薬品リツキシマブBS点滴静注100mg「ファイザー」及び同点滴静注500mg「ファイザー」の、生物由来製品及び特定生物由来製品の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について御説明します。資料6の別紙(3)毒薬・劇薬等の指定審査資料のまとめ及び別紙(4)生物由来製品又は特定生物由来製品の指定資料のまとめを適宜御覧ください。
 本剤は、抗CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブ(遺伝子組換え)[リツキシマブ後続2]を有効成分とする製剤であり、リツキサンを先行バイオ医薬品とするバイオ後続品として、ファイザー株式会社により製造販売承認申請がなされました。先行バイオ医薬品のリツキサンは、原体・製剤とも毒薬及び劇薬に指定されていないことから、リツキサンと同等/同質である本剤についても、原体・製剤ともに毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないとすることが適当と考えています。また、チャイニーズハムスター由来の細胞を用いて製造されることから、生物由来製品とすることが適当と考えております。
 審議事項の議題6、本剤の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について、御審議のほどよろしくお願いいたします。
 同一品目に係る報告事項の議題4についても併せて御説明いたします。機構における審査の結果、本剤とリツキサンの同等性/同質性が確認されたことから、本剤をリツキサンのバイオ後続品として承認して差し支えないと判断いたしました。以上になります。
○清田部会長 よろしいですか。ありがとうございます。委員の皆様からの御意見、御質問を承りたいと思います。どうぞ。
○川崎委員 2つあります。1点目は、先ほどのベバシズマブとも共通することですが、ガイドラインによると、先行品は国内承認品にするということだったと思います。今回は、国内先行品と米国、EUの先行品は試験結果から同一であると見なせるということで、先行品との比較試験において、米国やEU品を用いているようです。ロットが異なると、品質試験成績も異なってくると思うのですけれども、同一の定義、同等性/同質性との違い、また同一と判断する基準がありましたら教えていただきたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御質問についてお答えさせていただきます。まず、バイオ後続品の先行バイオ医薬品との同等性/同質性についてですけれども、先行バイオ医薬品と品質特性の類似性が高く、かつ品質特性に何らかの差異があったとしても、安全性及び有効性に影響を及ぼさないことを科学的に判断できることを説明できる必要があります。一方、先行バイオ医薬品について、本邦の承認医薬品ではなく、海外で承認されたものを使用する場合については、海外承認品が本邦の承認品と同一であることを示す必要があります。その場合の同一ですけれども、製造方法、製造管理が同一であるはずですので、この同一と判断する場合の基準については、先ほどの同等性/同質性の基準よりも、より厳しい判断をする必要があると考えております。
○医薬品医療機器総合機構 ちょっと補足しますと、本剤と、先行バイオ医薬品は、例えば宿主細胞が異なる場合、糖鎖プロファイルが異なることはありますが、それがわずかに異なったとしても、有効性、安全性に影響を及ぼさないとすれば、同等/同質と判断しています。一方、リファレンスである海外承認品と国内承認品の比較については、例えば糖鎖が異なる場合には、そういう質的な差異があれば、それは同一とはみなさないと考えております。ただ、バイオ医薬品なので、やはりばらつきはあるので、ロット間差程度のばらつきであれば、もちろん許容しておりますけれども、国内品と海外品の同一性においては同等/同質よりも厳しく判断しております。
○川崎委員 分かりました。2点目なのですけれども、先行品とリツキシマブのBS品では、糖鎖プロファイルは異なり、ADCC活性もBS品のほうが高くなっています。しかし、臨床的には影響を与えるものではなかったので、同等/同質であると判断したということです。
 今回は品質試験においては、含量をタンパク質量で設定し、比活性はCDCのみでADCC活性は設定していません。代わりに総アフコシル糖鎖含量試験を設定していて、一見問題がないように見えるのですけれども、今後は臨床試験による同等性/同質性が確認できれば、品質規格、例えば含量規格などを含めて、先行品と異なるようなケースが出てきても、それは問題ないという理解で合っていますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構よりお答えいたします。先生も御存じのとおり、バイオ後続品の品質、安全性、有効性確保のための指針では、先行バイオ医薬品と品質特性において類似性が高く、かつ品質特性に何らかの差異があったとしても、最終製品の安全性及び有効性に有害な影響を及ぼさないことを示すことをもって、同等性/同質性を判断することとされております。
 本剤の場合、審査報告書9ページにお示ししたとおり、ADCC活性の試験成績においては、必ずしも類似性が適切に評価できたとは言えませんが、そのほかの品質特性の類似性に問題がなく、臨床的に許容される差異であったと考えております。そのため、臨床試験に使用したロットを含め、これまでの実績を踏まえて設定した範囲内でアフコシル化糖鎖を管理することで、臨床試験で先行品との同等性が確認された範囲にADCC活性を管理することは可能と判断いたしました。また、今後のバイオ後続品の審査においても、品質特性で認められた差異については、程度や臨床的有効性、安全性に与える影響を検討して、仮に一部の品質特性が先行バイオ医薬品と異なる範囲であったとしても、臨床試験成績を踏まえて臨床上影響を与えないと判断される場合は許容されると考えております。
○医薬品医療機器総合機構 少し補足いたしますと、先生から含量規格も含めという例示を頂きましたが、今までADCC活性が少し違っても、ほかのバイオ後続品も承認しておりますが、含量規格のように一番大事な所である場合に同じような判断をするかについて、まだそれを同等/同質と判断した事例はありません。基本的に品質特性の類似性が確認されたけれども、付随するような生物活性が少し違うという場合には許容しているという状況です。
○清田部会長 よろしいでしょうか。ほかに御質問はありますでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。それでは議決に入りたいと思います。亀田委員、渡辺委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決権の参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題について、毒薬あるいは劇薬に指定しないということと、生物由来製品の指定を可とするということとしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。別室で待機されています南委員をお呼びください。
                                  (南委員入室)
○清田部会長 議題7に移ります。議題7について、事務局から概要を御説明いただきたいと思います。
○事務局 議題7、資料7のアダリムマブ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について御説明いたします。タブレットの資料7のフォルダをタップしていただいて、2番目の事前評価報告書のファイルをお開きください。
 報告書1ページ目中段ですが、申請者アッヴィ合同株式会社、予定される効能・効果が壊疽性膿皮症(以下、PGという)になります。オーファンの3要件のうち、まず1つ目の対象患者数です。日本皮膚科学会の調査研究に基づくと、このPGの年間発症者数が100万人当たり3人とされております。また、PG患者の症例報告において、PGの診断年齢の中央値が53とされており、PGが寛解しないことを前提としても、日本の人口及び平均寿命から算出した推定患者数が約1万3,000人となっており、患者数5万人未満という基準を満たしているものと考えております。
 続いて2ページ目、医療上の必要性について御説明をいたします。本邦において、PGの適用を有している医薬品はありません。また外科的処置については、病変の炎症が認められる状態での皮膚移植が困難であること、また外科的処置により更なるPGの発症が誘発される可能性があることから、適応症例は限られておりますので、新たな治療法の開発が望まれております。以上より、医療上の必要性が高いと考えております。
 最後に、開発の可能性について御説明をいたします。こちらは潰瘍型のPG患者を対象とした国内の第III相試験において、主要評価項目である投与26週時のPG潰瘍が治癒した被験者の割合ですが○○%となっており、申請時までに新たな安全性シグナルは認められていません。また潰瘍型以外のPGの病型についても、潰瘍型PGと同様と考えられることから、本剤は潰瘍型以外のPGに対しても同様の有効性及び安全性を有することが期待されています。以上より、本剤の開発の可能性は高いと考えています。従って、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えています。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。それでは、委員の皆様からの御質問、御意見いかがでしょうか。よろしいでしょうか、ありがとうございます。それでは議決に入ります。亀田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにします。本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので指定を可として薬事分科会に報告といたします。
 それでは、報告事項に移ります。報告事項議題2から6について、事務局から御説明を頂きます。
○事務局 報告事項の議題1と議題4については、先ほどBSの審議の際に御報告をしていますので、私から議題の2、3、5、6について、まず御説明いたします。
 最初に、議題2の医薬品アービタックス注射液100mgの製造販売承認事項一部変更承認について御報告します。こちらは報告事項のファイルの資料9になります。本剤は、上皮増殖因子受容体、以下はEGFRと略しますが、EGFRに対するIgG1サブクラスのキメラ型モノクローナル抗体であり、現在は、EGFR陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん及び頭頸部がんを効能・効果として承認されています。
 今般、メルクバイオファーマ株式会社から、既承認効能・効果である「EGFR陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」を、「RAS遺伝子野生型の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」に変更する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。こちらですが、機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断されています。
 続いて、報告事項の議題3、医薬品テセントリク点滴静注840mgの製造販売承認について及び併用して使用されます議題6の医薬品アブラキサン点滴静注用100mgの製造販売承認事項一部変更承認申請に関して、併せて御報告します。
 テセントリクのほうは、資料10になります。テセントリクは、PD-L1に対する免疫グロブリンG1サブクラスのヒト化モノクローナル抗体であるアテゾリズマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、現在は「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を効能・効果として承認されています。なお、テセントリクに関しては、8月2日に開催された当部会での審議を経て、進展型小細胞肺がんに係る効能・効果でも承認を可とされています。
 また、資料13のアブラキサンですが、こちらはパクリタキセルを有効成分として、ヒト血清アルブミンを添加物として含有する抗悪性腫瘍剤で、現在は「乳がん」、「胃がん」、「非小細胞肺がん」及び「治癒切除不能な膵がん」を効能・効果として承認されています。
 今般、テセントリクについては、中外製薬株式会社から、PD-L1陽性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がんに係る効能・効果、用法・用量及び剤型を追加する製造販売承認申請がなされました。
 また、アブラキサンについては、大鵬薬品工業株式会社から乳がんに対するテセントリクとの併用投与に係る用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされています。両品目につきまして、機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないとの判断がされています。
 続いて、議題5の医薬品ベンリスタ点滴静注用120mg及び同点滴静注用400mgの製造販売承認事項一部変更承認について御報告します。こちらは、資料12になります。本剤の有効成分であるベリムマブ(遺伝子組換え)ですが、可溶型Bリンパ球刺激因子に対する遺伝子組換えヒトIgG1モノクローナル抗体であり、「既存治療で効果不十分な全身性エリテマトーデス」を効能・効果として、成人に係る用法・用量で承認がされています。
 今般、グラクソ・スミスクライン株式会社より、5歳以上の小児に係る用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断しております。議題6までの報告については以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。委員の先生方からの御質問、御意見はありますか。大丈夫ですか。
○事務局 事務局です。報告事項の議題3について、最適使用推進ガイドラインがありますので、説明させていただきたいと思います。
○清田部会長 はい、どうぞ。
○事務局 マイプライベートファイルに戻っていただいて、その他議題のフォルダに格納している資料18-1、テセントリクの乳がんの最適使用推進ガイドライン(案)を御覧ください。ガイドラインの構成については、これまで作成しているガイドラインと同様です。
 3ページを御覧ください。枠内に対象となる効能・効果、用法・用量を記載しています。対象となる効能又は効果は、PD-L1陽性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がんになります。アルブミン懸濁型のパクリタキセルと併用して、2週間間隔で1回840mgを点滴静注するという用法・用量になります。
 5ページ以降に臨床成績を示しています。今回転移、再発乳がんに対する全身性の治療歴のないホルモン陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん患者を対象に、アルブミン懸濁型パクリタキセル投与下で、本剤とプラセボを比較する国際共同第III相試験が実施されていて、PD-L1陽性集団で本剤投与により無増悪生存期間の有意な延長が認められています。
 続いて、8ページの「施設について」です。マル1の2の所で、乳がんの化学療法及び副作用発現時の対応に十分な知識と経験を持つ医師を治療の責任者として配置いただくよう記載しています。そのほかについては、これまでに作成しているテセントリクのガイドラインと同様の内容となっています。以上です。
○清田部会長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、この議題について御確認いただいたものとします。引き続き、議題7から議題10です。
○事務局 議題7、優先審査指定品目の審査結果について説明いたします。資料は報告議題のフォルダの資料14になります。ページ番号は最下部の通し番号に基づき説明します。資料の2ページを御覧ください。優先審査の取扱いについて示しています。この指定に当たっては、適用疾病の重篤性、医療上の有用性を総合的に評価して判断することとしています。
 1ページにお戻りください。今回、優先審査の対象となった品目がありましたので報告します。販売名はオプジーボ点滴静注20mg他2規格、一般名はニボルマブ(遺伝子組換え)、申請者は小野薬品工業株式会社です。がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行又は再発の食道がんに係る効能・効果で申請がなされました。
 機構の報告書に基づき、当該薬剤の優先審査の該当性について御説明します。7ページを御覧ください。適応疾病の重篤性についてですが、こちらは、生命に重大な影響がある疾患(致死的な疾患)に該当すると判断されています。医療上の有用性につきましては、本剤について化学療法歴を有する根治切除不能な進行又は再発の食道がん患者を対象に、既存治療であるタキサン系抗悪性腫瘍剤を対照とした第III相試験が実施されており、主要評価項目とされた全生存期間について、本剤群で有意に延長するという結果が得られています。安全性については、現時点で得られている情報を踏まえると、忍容可能であると考えられることから、本剤は「有効性、安全性、肉体的・精神的な患者負担の観点から、医療上の有用性が既存の治療法、予防法若しくは診断法より優れていること」に該当すると判断されています。以上を踏まえ、当該薬剤は優先審査品目に該当すると判断しました。
○事務局 報告事項議題8、医療用医薬品の承認条件についての御説明をいたします。資料は報告事項のフォルダの資料15です。今回はトファシチニブクエン酸塩を有効成分とする医薬品ゼルヤンツ錠5mgの承認条件に係る御報告となります。報告書2ページ目を見ていただくと、本剤は平成25年3月に「既存治療で効果不十分な関節リウマチ」の効能・効果が承認されていて、その際にこちらのページに記載されている承認条件2及び3が付されています。このたびファイザー株式会社から、医薬品の使用条件の設定に関する考察及び対応に関する報告書が提出され、この承認条件の2番目について評価がされましたので御報告します。1ページ目、製造販売後調査の実施の経緯ですが、こちらは本剤投与全例を対象とした使用成績調査を行うことが、承認条件として課されていました。
 この結果につきまして、安全性については5ページ、2の(1)の2)の安全性に記載しております。本調査における副作用の発現状況は、承認時までの臨床試験と比較して大きな違いがないと考えられていることから、現時点では更なる注意喚起は不要と考えていて、今後も副作用の発現状況を注視して、添付文書の改訂及び安全確保措置の必要性について検討すると説明がされています。最後に総合評価についてですが、機構のほうで総合評価として提出された資料から、承認条件は対応されたものと判断されていますので、これを踏まえて承認条件が満たされたものと判断しています。
 続きまして、議題9、医療用医薬品の再審査結果について御報告します。資料番号16-1と16-2の医薬品再審査確認等結果通知書になります。資料16-1ですが、有効成分名テムシロリムス、販売名トーリセル点滴静注液25mg。資料16-2ですが、有効成分名トブラマイシン、販売名トービイ吸入液300mgです。
 こちらの品目については、製造販売後の使用成績調査及び特定使用成績調査に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要がない「カテゴリー1」と判定をしています。
 報告事項の最後です。議題10、希少疾病用医薬品の指定の取消しについて御報告します。こちらは報告事項のフォルダ最後の2つ、資料17-1と17-2になります。
 まず、資料17-1についてファイルをお開きください。こちらはトシリズマブですが、届出者は中外製薬となっています。本剤は、平成28年3月16日に全身性強皮症を予定される効能・効果として、希少疾病用医薬品に指定されています。今回、届出者が全身性強皮症患者を対象に国際共同の試験を実施していましたが、主要評価項目での統計学的な有意差を確認することができず、全身性強皮症患者に対する本剤の有効性が認められなかったということで、申請者が開発の中止を決定したとのことです。よって、本剤の本予定効能・効果に係る希少疾病用医薬品の指定を取り消すこととしました。
 続いてお戻りいただいて、資料17-2を御覧ください。届出者が科研製薬株式会社、医薬品の名称がリファンピシンです。本剤は平成8年4月1日にハンセン病を予定される効能・効果として、希少疾病用医薬品に指定されました。この指定された後、平成8年8月よりハンセン病の効能・効果に係る承認を取得して、その後約20年間販売を継続していましたが、原料価格の高騰等により不採算となったので、製造販売の中止の手続きを行ったとのことです。なお、本剤と同時に希少疾病用医薬品に指定された同成分、同規格の医薬品は現在も製造販売が行われている状況です。よって、本剤の効能・効果に係る希少疾病用医薬品の指定を取り消すこととしました。報告事項は以上になります。
○清田部会長 ありがとうございます。委員の先生方からの御質問、御意見を承りますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは報告事項の議題7から議題10については御確認いただいたものといたします。続いて、他事項の議題に移ります。よろしいでしょうか。
○事務局 事務局です。マイプライベートファイルに戻っていただいて、その他議題資料18-1と18-2のフォルダをお開きください。先ほど、テセントリクの報告事項の際に、資料18-1については御説明しましたので、今回は資料18-2のほうについて御説明します。
 対象医薬品の選定、デュピクセントのファイルをお開きください。サノフィ株式会社よりデュピクセント皮下注300mgシリンジにつきまして、鼻茸を伴う難治性慢性副鼻腔炎に係る効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。本剤は平成29年9月15日付けの最適使用推進ガイドラインの取扱いに関する通知におきまして、最適使用推進ガイドラインの作成対象となる医薬品に該当しますので、当該医薬品を最適使用推進ガイドラインの作成対象として選定しています。今後、関係学会にガイドライン(案)の検討依頼を行い、対象医薬品の承認について審議等を行う本部会において、改めてガイドライン(案)を御説明したいと思います。以上です。 
○清田部会長 ありがとうございます。この点について皆様の御意見、御質問はありますか。よろしいですか。
 本日の議題は以上です。事務局から何か御報告はありますか。
○事務局 次回の部会ですが、10月31日午後5時から開催する予定ですので、またよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。本日はこれで終了といたします。ありがとうございました。
( 了 )
 
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 荒木(内線2746)