第22回社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因分類専門委員会 議事録

日時

令和元年9月26日(木)10:00~11:30
 

場所

厚生労働省 共用第9会議室

出席者

<委員(五十音順)>

議題

(1)委員長の選出について
(2)ICD-11の世界保健総会における採択について
(3)ICD-11の日本語訳について
(4)死因選択検討ワーキンググループの報告について
(5)ICD-10(2013年版)提要の修正について
(6)その他

議事

 

○事務局
定刻になりましたので、これより第22回社会保障審議会統計分科会「疾病、傷害及び死因分類専門委員会」を開催いたします。委員の先生方におかれましては、お忙しいところご出席賜りまして、誠にありがとうございます。
本日の委員会は、本年3月26日に、第7期の委員の方が任命されて最初の委員会となりますので、委員長が選任されるまでの間、事務局にて進行を務めさせていただきます。私、政策統括官付国際分類情報管理室の高橋と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
はじめに、本日の会議資料を確認させていただきますので、お手元にあるタブレット端末をご覧ください。
 
○事務局
ご説明いたします。画面でもご覧になれますので、ご一緒にご確認をお願いいたします。
議事次第、資料1、資料2-1、資料2-1別紙、資料2-2、資料3、資料4。
次に、参考資料1、参考資料2、参考資料3、参考資料4、参考資料5、参考資料6。
次に、これは一般公開ではございませんが、委員のみの参考として机上配布資料。資料は以上でございます。
 
○事務局
それでは、今回、第7期最初の委員会ということになりますので、最初に委員の皆様方を私からご紹介させていただきます。お名前を読み上げましたら、一言ご挨拶をお願いします。
では、五十音順に時計回りでご紹介させていただきます。まず、昭和大学、明石委員です。
 
○明石委員
外科学会より参加しております。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○事務局
聖マリアンナ医科大学、新井委員です。
 
○新井委員
日本血液学会より参加しております、聖マリアンナ医科大学の新井です。専門は血液内科です。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○事務局
千葉大学、安西委員です。
 
○安西委員
おはようございます。薬理学会から参加しております。第2期目になります。よろしくお願いいたします。
 
○事務局
東京大学、今井委員です。
 
○今井委員
医療情報学会から参加しております今井でございます。よろしくお願いいたします。
 
○事務局
鈴鹿医療科学大学、大西委員です。
 
○大西委員
感染症学会からまいりました。よろしくお願いします。
 
○事務局
徳島大学、加藤委員です。
 
○加藤委員
整形外科学会からまいりました。よろしくお願いします。
 
○事務局
九州大学、神庭委員です。
 
○神庭委員
日本精神神経学会です。よろしくお願いします。
 
○事務局
香川大学、木下委員です。
 
○木下委員
法医学会からまいりました。よろしくお願いします。
 
○事務局
横浜市立大学、小林信明委員です。
 
○小林信明委員
アレルギー学会からまいりました。よろしくお願いいたします。
 
○事務局
政策研究大学院大学、鈴木委員です。
 
○鈴木委員
日本内分泌学会からまいりました。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○事務局
杏林大学、滝澤委員です。
 
○滝澤委員
呼吸器学会からまいりました。よろしくお願いいたします。
 
○事務局
岡山大学、伊達委員です。
 
○伊達委員
脳神経外科学会からまいりました。よろしくお願いします。
 
○事務局
順天堂大学、寺尾委員です。
 
○寺尾委員
日本産科婦人科学会からまいりました、寺尾です。よろしくお願いいたします。
 
○事務局
埼玉医科大学、名越委員です。
 
○名越委員
日本消化器病学会からまいりました。よろしくお願いいたします。
 
○事務局
国立社会保障・人口問題研究所、別府委員です。
 
○別府委員
私は人口側の、利用者側の立場で参っております。よろしくお願いいたします。
 
○事務局
東京都医学総合研究所、本多委員です。
 
○本多委員
睡眠学会からまいりました本多です。よろしくお願いいたします。
 
○事務局
東松山医師会病院、松本委員です。
 
○松本委員
日本診療情報管理学会の代表として参加させていただきます。よろしくお願いいたします。
 
○事務局
筑波大学、宮園委員です。
 
○宮園委員
日本周産期・新生児学会からまいりました。よろしくお願いいたします。
 
○事務局
長崎大学、森内委員です。
 
○森内委員
小児科学会からまいりました、森内です。よろしくお願いします。
 
○事務局
明治薬科大学、矢久保委員です。
 
○矢久保委員
日本東洋医学会から来ました。よろしくお願いします。
 
○事務局
杏林大学、安田委員です。
 
○安田委員
日本糖尿病学会からまいりました安田です。よろしくお願いします。
 
○事務局
東京大学、矢冨委員です。
 
○矢冨委員
日本内科学会からまいりました矢冨です。よろしくお願いいたします。
 
○事務局
最後に、国立長寿医療研究センター、鷲見委員です。
 
○鷲見委員
日本老年医学会からまいりました、鷲見です。よろしくお願いいたします。
 
○事務局
ありがとうございました。本日のご欠席の委員ですが、井関委員、井本委員、柏井委員、桑原委員、小﨑委員、小林一女委員、東條委員、戸倉委員、豊國委員、中原委員、中島委員、冨士委員、古田委員、横尾委員の14名でございます。出席委員は3分の1を超えておりますので、運営要綱に則りまして会議は成立しておりますことをあらかじめご報告申し上げます。
議事に先立ちまして、本年7月に幹部の人事異動がございましたので、最初に厚生労働省参事官、武藤よりご挨拶を申し上げます
 
○事務局
皆さんおはようございます。参事官の武藤と申します。本年7月9日に着任したところでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
本日、委員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところ本委員会にご出席賜りまして、誠にありがとうございます。本委員会は、平成18年に社会保障審議会統計分科会の下に発足して以来、すでに10年が経過し、このたび第7期がスタートすることになりました。多くの委員の方々に引き続きお願いいただけると共に、このたび9名の委員の方々に新たにご就任いただいております。委員にご就任いただき重ねて御礼申し上げます。
さて、本委員会は、ICDに関する普及や改善などの業務について、専門的な立場でのご協力をいただくこととなっております。現在ICDは、政府統計において使用される統計分類として位置付けられておりますが、実際は私共の局で所管しております人口動態統計や患者統計といった統計調査だけではなく、医療保険や障害認定など幅広い分野において活用されており、国の施策を進めていく上で必要不可欠な行政ツールにもなってございます。
また、委員の皆様方のご承知の通り、本年5月にはICD-11が、WHAにおいて正式承認されました。このたび、ICD改訂にあたりましては、ここにいらっしゃる委員の皆様方にも多大なるご協力をいただきましたことを改めて御礼申し上げますと共に、この第7期では、ICD-11の早期国内導入を目指して委員の皆様方の多様なご意見を頂戴したいというふうに考えております。
最後に、委員の皆様方におかれましては、専門的な見地から忌憚のないご意見を賜りますと共に、ご協力・ご尽力を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
 
(拍手)
 
○事務局
併せて事務局の人事異動についてもご報告いたします。まず国際分類情報管理室長だった森が、本年7月に異動となり後任に三橋が、また室長補佐だった阿部が本年4月に異動となり、後任に柳川がそれぞれ着任いたしましたので、この場を借りて挨拶させていただきます。
国際分類情報管理室長の三橋でございます。是非よろしくお願いいたします。
室長補佐の柳川と申します。よろしくお願いいたします。
円滑な議事の進行のため、写真撮影等ここまでとさせていただきます。ご協力よろしくお願いします。
 
○事務局
議事に入ります前に、事務局より委員会運営について説明させていただきます。本委員会の運営については、社会保障審議会の運営に準ずること、会議は原則公開であること、議事録も原則公開されることとなっております。
では、議題に入らせていただきます。まず、議題1の本委員会の委員長の選任を行いたいと存じます。委員長は委員の互選により、選任することとなっておりますので、委員の中からご推薦をいただきだいと思いますが、各委員の先生方いかがでしょうか。
 
○名越委員
よろしいでしょうか。
 
○事務局
はい。
 
○名越委員
消化器病学会からまいりました名越ですけれども、本委員会、先ほどご挨拶ありましたように、多様な領域、そしてまた学会から参加していただいております。ICD-11あるいはICD-10は、やはりかなり内科領域の疾患が多いということもありまして、初期は、実は消化器病学会の理事長がずっと委員長を務めておりましたけれども、ある時期からやはり内科学会の理事長が務めるのがよろしいであろうということで、内科学会理事長が歴任されております。
したがいまして私は、内科学会理事長の矢冨裕先生を推薦させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
○事務局
名越委員、ありがとうございます。矢冨委員推薦のご発言がございましたが、いかがでしょうか。
 
(拍手)
 
○事務局
ご異存ないようでしたので、本委員会の委員長は矢冨委員にお願いしたく存じます。矢冨委員はお席の移動をお願いいたします。
 
○矢冨委員長
ただいま委員長にご指名いただきました矢冨です。よろしくお願いいたします。本委員会のミッションの重要性はよく認識しているつもりですので、皆様のご支援ご協力をいただきまして、的確に進めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 
(拍手)
 
○事務局
ありがとうございます。では、矢冨委員長、本専門委員会での運営要綱上では、委員長は委員長代理を指名することができるとされております。委員長代理の指名をお願いできますでしょうか。
 
○矢冨委員長
私といたしましては、豊富な経験をお持ちの鷲見委員を委員長代理にお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 
(拍手)
 
○矢冨委員長
ありがとうございます。
 
○事務局
鷲見委員、お席の移動をよろしくお願いします。
 
○矢冨委員長
それでは、さっそくですけれども、議事の2に移らせていただきます。「ICD-11の世界保健総会における採択について」事務局から説明をお願いいたします。
 
○事務局
資料の1をご覧ください。WHOの世界保健総会で採択されました、ICD-11の決議文書の仮訳版でございます。昨年12月に開催されました前回のICD専門委員会において、WHOがICD-11を公表したことについて、ご報告をさせていただいたところでございます。その後、本年の5月28日の世界保健総会におきまして、ICD-11が、日本を含むWHO加盟国の全会一致で承認されましたことをご報告させていただきます。
中ほどの1.に記載がございます通り、発効、いわゆる施行が2022年の1月1日からとなっております。発効までにはまだ2年以上ございますが、2022年以降は、WHOによるICD関連の公式文書などは全てICD-11に基づく表章となります。
また、次頁の2の、2.(4)にございます通り、ICD-11の導入に当たりましては、国ごとの事情も異なることより、「2022年の1月1日から少なくとも5年間は、加盟国がこれまでの国際疾病分類の改訂版を用いて統計をまとめまして報告できるように、必要な長さの移行期間を設けること」とありますので、一定の移行期聞が定められておるところでございます。厚生労働省といたしましては、現在、こちらにいらっしゃる委員の皆様方のご協力の下、ICD-11の日本語訳、翻訳作業を進めているところでございます。現在の進捗については、この後の議題にもございます通り、今後、翻訳の妥当性やICD改訂による影響について検証を行いまして、統計法告示改正の手続きとともに早期の国内導入に向けて鋭意作業を進めて行きたいと考えております。
簡単ではございますが、「1CD-11改訂の承認」についてのご説明は以上となります。
 
○矢冨委員長
ありがとうございました。只今のご報告に対して、何かご質問とかございますでしょうか。
ICD-11が、日本を含むWHO加盟国の全会一致で承認されたということと、発効、いわゆる施行は、2022年の1月1日からということであります。皆さんご存知だと思いますけど、是非、頭の中に入れていただければと思います。よろしいでしょうか。
それでは、次に移らせていただきます。議題3は、ICD-11の日本語訳についてということで事務局から説明をお願いいたします。
 
○事務局
資料の2-1、また資料2-1別紙に基づきまして、ICD-11の和訳作業の進捗状況と今後の進め方についてご説明をいたします。
ICD-11が昨年6月にWHOから公表されたことを受けまして、現在、ICD-11の国内適用のために、和訳作業を進めているところでございます。昨年、12月に開催いたしました前回のICD専門委員会ののちに関係学会に和訳案のご提出をお願いいたしました。まずは、ご多忙の中、非常に膨大な作業をご協力いただきまして、厚く御礼申し上げます。
それでは、資料の2-1をご覧ください。全部で、約10万弱の用語がございましたが、こちらの和訳をお願いいたしまして、本年9月13日現在で39学会から全体の約9割の用語の和訳案をご提出いただいたところでございます。現在、ご提出いただきました和訳案は、事務局において全体の統一性などを中心に確認しており、整理を行っております。
なお、この資料2-1の1.の下方に※印がありますが、こちらに記載の通り、各学会にお願いした版に関しましては、2018年の6月18日付の公表版を元にしておりました。2019年5月の採択版では、もう少し用語が増えてございます。こちらにつきましては、ご提出いただきました和訳を参照させていただきながら、一旦、事務局にて和訳を行う予定としております。今後の進め方でございますが、現在、事務局にて全体の訳語の統一を図りながら、ICDの章ごとに整理を行っております。準備が整いました章から、順次、日本医学会、日本歯科医学会を通しまして提出いただいた学会にお返ししていこうと考えてございます。事務局といたしましては、できれば今年度の2020年3月末までに、第1章から26章をお返ししたいと考えておりますが、なるべく統一的な訳語とするために、少人数で対応しているところでもありますので、全てが縞麗に埋まった状態でお返しできるかは、今後の作業次第となっていきます。
また、事務局案を作成するにあたりまして、事前に調整が必要な揚合もございまして、調整が必要な用語については、今後、個別に調整を行っていただく揚合もございます。その際、学会よりご推薦をいただいておりますICD専門委員会の委員の皆様方を通じまして、調整をお願いしたいと思っておりますので、是非ご協力のほどよろしくお願いいたします。
なお、ICD専門委員会委員が不在の学会につきましては、日本医学会、日本歯科医学会を通じて調整をいただきますのでよろしくお願いいたします。後ほど、すでに調整を進めさせていただいた日本精神神経学会から、先行事例といたしましてご発表をいただく予定としてございます。
続きまして、今後順次お返しさせていただきますファイル。これをもう一度各学会にてご確認いただきたいと考えておりまして、依頼の内容がどのようなものとなるのか事前にご説明させていただければと思います。
資料の2-1、別紙をご覧ください。こちら、以前、和訳を入れていただきましたエクセルファイルと似た形のファイルになっているかと思います。今回は学会案をいただいてございますので、同じ英語に対して、複数の学会から和訳案をいただいた揚合に関しましては、それをすべて横に並べてございます。その中から、いずれかを選択するか、訳語の統一をとるためにいたいだいた和訳案を修正するなどして、現在第二次の事務局案を入力しているところでございます。
まず、エクセルの作業ファイルの全体イメージになります。資料2-1別紙の1ページ目でございます。こちら全体のイメージで、左側の緑色の部分が、原文と元の事務局案でございます。黄色の部分が、各学会様からいただきました和訳案でございます。その隣の青色の部分に関しまして、こちらが第二次の事務局案と、学会への質問等。更に右側が第二次事務局案に対する回答・意見でございます。
それでは、2ページ目3ページ目の具体例をご覧ください。実際に各学会の皆様に作業いただくイメージを具体例に沿ってご説明いたします。スライド2をご覧ください。原文用語に関しまして、こちらは 「drug-induced hypoglycemia」でございます。こちらB学会様からの案としましては、「薬物誘発性低血糖」、C学会からは、「薬剤性低血糖」、同義語「薬物誘発性低血糖」というご提案をいただいてございます。現在、事務局で行っています作業に関しましては、学会からいだだいた和訳案を元に、第二次の事務局案を入力する作業でございまして、この揚合は、全体の定型訳といたしまして「drug」は「薬物」、「medicament」は「薬剤」としておるところでございまして、また、原文の「induced」は、忠実に訳すという意味でも、事務局案2としては、B学会にご提案いただきました「薬物誘発性低血糖」を選択しているところでございます。
ただ、論文等の検索では、薬剤性の低血糖がよく使用されていることも確認できますため、同義語といたしまして、C学会様からご提案いただきました「薬剤性低血糖」を追加するという事務局案としてございます。B学会様には、ご提案いただいた通りでございますが、同義語を追加して良いかというポイント、また、C学会におかれましては、ご提案と異なる訳語が代表語に選択されましたので、そちらで問題ないかということをご確認いただければと考えております。
続きまして3ページ目をご覧ください。原文の用語が「Congenital hypothyroidism due to iodine deficiency」でございます。A学会様からは「ヨード欠乏による先天性甲状腺機能低下症」、B学会様からは「ヨウ素欠乏による先天性甲状腺機能低下症」というご提案をいただいております。こちらのケースでもやはり、論文検索のヒット数の多さやICD-10やマスターでの用語を考慮いたしまして、事務局案2では、「iodine」の訳語といたしまして「ヨード」を選択しております。ただ、「ヨウ素」につきましても、かなり使用されてございました。すべての用語に、両方を追加しますと、用語が倍になってしまいますため、分類用語名のみ「ヨウ素」を同義語に追加する案としてございます。学会で、事務局案2をご確認いただく際には、煩雑となりますため、「ヨウ素」は同義語として追加する必要はないのか、やはり「ヨウ素」を代表的な訳語として、すべきであるだとか、そういったご意見を賜れればと考えてございます。
4ページ目以降に関しましては、詳細なご説明になるところでございますが、具体的に作業をされる際のご参考としていただければと考えてございます。この場では説明は割愛させていただきます。
駆け足でのご説明のため、ご不明な点がございましたら、事務局までお問合せをいだだければと考えております。
また、こうした「iodine」を「ヨード」とするのか、「ヨウ素」とするのか、事務局案を作成するにあたりまして、特に全体への影響が大きく、事前にご確認をいただく必要がある揚合には、事務局から個別にご連絡させていただく揚合がございますので、その際は、ご協力をいだだければ幸いでございます。和訳作業に関するご報告・説明は以上でございます。
 
○矢冨委員長
ありがとうございました。ICD-11の和訳作業も、皆様方がご関与されている学会、さらには事務局も大変な作業をされていると理解しておりますけれども、現在の進捗状況と今後の進め方に関してご説明いただきました。非常にわかりやすい具体例を交えていただきましたので、ご理解いただけたかと思いますけれども、何かこの場でご質問とかございましたら。はい、どうぞ。
 
○本多委員
同義語の位置付けと、その扱いがどうなるかについて教えていただきたいのですが。たとえば保険病名として同義語で出した場合も、そのまま同じように使われるということであれば、代表名であるか同義語であるかはそこまでこだわる必要はないかと、我々の学会では話しておりました。代表語になるか、同義語になるかで、どのような違いがあるのでしょうか。
 
○事務局
代表語に関しましては、告示に載っていく形になりますので、法令に基づく用語になります。同義語に関しましては、同じように検索できる形になるのですが、代表的な用語、その法令に基づく用語からひとつ落ちるという形でございます。
 
○矢冨委員長
よろしいでしょうか。
 
○本多委員
実際の扱いはどうなるのですか。
 
○事務局
法令上は、告示に定められているものということで整理されるのですけれども、実際活用していただく際には、大きく差は出ないのではないかなというところで、配慮しながらやらせていただきたいと思っております。
 
○矢冨委員長
よろしいでしょうか。この作業は、厳密に進めないといけないのですけど、そうすることが大変難しいということが十分理解できます。今後も必要に応じて、事務局のほうにご質問等させていただいてよろしいわけですね。
 
○事務局
はい。よろしくお願いします。
 
○矢冨委員長
そうしましたら、次に進めさせていただきます。
冒頭に事務局からのご説明がありましたが、第6章の精神の章の和訳に関しましては、すでに事務局と相談を進めておられるということで、日本精神神経学会より資料2-2をご提出いただいておりますので、これに基づいてご説明いただきたいと思います。
それでは、神庭委員、お願いいたします。
 
○神庭委員
ありがとうございます。精神神経学会では、これまでICD-10の第6章「精神、行動および神経発達の疾患」に含まれる、あるいは、そこから今回ICD-11で外れる、例えば性同一性障害なども外れるのですが、関連の深い病名用語について和訳を検討してまいりました。
スライドの2を見ていただきたいのですけれども、精神神経学会の精神科病名検討連絡会というのは、精神神経学会の病名検討委員会を中心として関連学会の方にお集まりいただきまして、精神疾患の日本語病名を検討してこうということで、2012年に設置いたしました。DSM-5という米国精神医学会が作成した、「精神疾患の分類と診断の手引き 第5版」、これに出てくる病名を学会として統一して、適切な和訳名を当てようということで、発足したものでございます。DSM-5と、ICD-11とは、精神の領域ではハーモナイズするということが決められておりまして、できる限り異なった病名などは使わないようにしようということにして、DSM-5をしっかり検討しました。この背景には、精神科の病名というのは、とかく様々な誤解や偏見を招くことが過去の歴史に多々ございましたので、そういうことはなるべく避けたいということでございました。DSM-5は2013年に発表されたわけでございますけども、その後もICD-11の病名検討に向けて連絡会を走らせております。
もうひとつ、精神科の特殊事情がございまして、精神科の診断というのは、主観的、そして多少客観的な症状から構成される症候群です。その症候群は、バージョンが変わるたびにどういう症状がそこに入るか、その症状をどう定義するかというのは、流動的で変わり得るものであるということ。そして、その症候群をいかに診断していくかという診断のガイドラインが別に作られているということがあります。つまり、たとえばうつ病であれば、抑うつ気分だとか興味関心の低下、以下9つの症状が並んでいて、このうちの5つを満たしていて、それが毎日ほぼ1日中、2週間以上というのは、これはDMS-5の定義なのですけども、こういうガイドラインがあって、そのガイドラインを十分身につけていないと適切な診断ができないという状況がございます。ICD-11では、今言いましたうつ病の診断基準も変わりました。そのために、2022年ですかね。ICD-11に変わる以前に、学会員にガイドラインを理解して頂き、ICD-11に切り替わったときに、適切に使ってもらうということも考えていまして、それでかなり早くから検討をスタートいたしました。
3枚目を見ていただきたいのですけれども、これまで、もう2年も前になりますかね。日本医学会の用語管理委員会の執行部の方々とお会いして、これから私たちのところで日本語病名を作成する作業を始めることについてご相談し、完成版ができたらまたご意見をいただきたいと思うとお伝えして作業を始めています。
4番目を見ていただきますと、これが病名連絡会参加学会の組織一覧でございます。日本うつ病学会、摂食障害学会、日本心身医学会、日本児童青年精神医学会、日本不安症学会、日本統合失調症学会、日本睡眠学会、日本精神科診断学会、日本トラウマティック・ストレス学会、日本老年精神医学会、日本アルコールアディクション医学会、性同一性障害に関する委員会、これは学会内の委員会でございます。それから、ICD-11委員会、これも学会内の委員会。それからオブザーバーとして、日本小児神経学会、日本小児科学会、日本小児精神神経学会、日本小児心身医学会、日本神経学会、これは脳神経内科の先生方の学会です。これらの学会の方に参加していただいて合計20にわたるのですけれども、連絡会を開いてきております。新病名を検討するに際して大原則を最初に決めました。日本医学会の病名の原則にほぼ則っておりますが、患者中心の医療が行われる中で、病名・用語がよりわかりやすいものであること。患者の理解と納得が得られやすいものであることです。たとえば、かつて統合失調症は、「精神分裂病」、認知症は「痴呆症」と呼ばれていたわけですが、これらの病名も変わりました。差別意識や不快感を生まない名称であること。国民の病気への認知度を高めやすいものであること。直訳が相応しくない場合は意訳を考え、なるべくカタカナは使わないと。なかでも大きい変更は、ICD-11では原則として「disorder」という用語を、日本語の「症」と訳そうと決めたことです。統合失調症や夜尿症の症。「症」に変えようということを決めました。その試みは、6ページのDSM-5の翻訳の中にも少し取り入れました。それは特に、小児思春期関連のところと、かつて不安神経症、神経症と呼ばれていた領域ですね。精神疾患の中でも、神経症は、どちらかというと軽症な患者さんが多いわけです。また小児の方々も、患者さん家族に「あなたのお子さんはなんとか障害です」という病名を伝えると、かなりのネガティブインパクトを与えるということから、まずDMS-5で、その領域の障害を「症」に変えました。それで手応えを調べたわけです。一般的に、以前は「自閉症スペクトラム障害」という病名でしたが、今は「自閉スペクトラム症」というふうに変わりまして、広く一般的に用いられているように思います。そういうことで、「症」に変えることは、大きな混乱は招かないなということが、ここでわかったわけでございます。
7ページご覧ください。「Panic Disorder」というのがございますけども、この「disorder」というのは、今回は「パニック障害」ではなくて、「パニック症」と置き換えたいということですが、その理由の最も大きなものは、この最初のポツの日本語の「障害」、あるいは「碍」を書いたり、平仮名で「がい」と書いて、なるべく「害を為す」の「害」をですね、使わないようにしようという流れが生まれています。法律用語の中にも平仮名で「がい」が出てくることも散見されますけども、この「障害」は、実は英語でいうと「disability」の意味で、日本ではよく知られていまして、身体障害、精神障害、知的障害、発達障害等々の「障害者」といった場合は「disability」でございまして、「Panic Disorder」の「パニック障害」の障害とは意味が違う。精神疾患の、例えば「Panic Disorder」のようなものは、可逆性なものでありまして、それを「障害」というふうに訳しますと、「disability」であるかのような誤解を招いてしまうと。しかも、先ほども小児関係で申しましたが、患者さん家族に病名を伝えたときのインパクトが強いということもあって、「障害」というのは「disorder」です。しかも「order」が「dis」になっている。失調しているわけですから、日本語でいうと病だれの中に「order」である、「正しい」という、この漢字が相応しいのではないかというふうに考えております。
その例をご紹介しますが、8枚目を見てください。ただし、原則の例外というのがございまして、これは「Depressive Disorder」をどう訳すか。これは多くの、今日お集まりの先生にはあまり関心のないことかもしれませんけれども、精神科の疾患の中では大変重要な、厚生労働省の患者統計では毎年100万人以上の方が治療を受けてらっしゃるというメインの病気になります「Depressive Disorder」。これを従来は「うつ病性障害」と訳していましたが、これを、今回の定義をみますと、抑うつを呈する精神疾患という広義が与えられていましたので、4ポツ目ですけれども、「Depressive Disorder」は「抑うつ症」と訳したいと考えております。そうしますと、啓発活動が非常に進んで、人口にも膾炙され、産業メンタルヘルス、自殺対策等々でもよく用いられてきた「うつ病」という病名が、診断分類から消えてしまうことになりますので、それは好ましくないと考えます。DSM-5で私たちが「うつ病」と呼ぶ病態に一番近い病態。一番下のポツですが、単一エピソードの「Depressive Disorder」と、反復性の「Depressive Disorder。」ここだけに「うつ病」という病名を当てようというふうに考えています。
それから、病名変更の例で、9ページを見ていただきたいのですけども、「Selective Mutism」という言葉がございます。これは「選択性緘黙」とICD-10で訳されていました。これに関しては、パブコメをしたときに、緘黙の会の、ご家族の会からご意見をいただきまして、「選択性という用語には、患者さんたちが、その場を意図的に選択しているかのような意味が含まれるので是非やめてほしい」と。「場面緘黙」として欲しいと希望されました。「ニュートラルな用語に変えてほしい」ということで、ご意見をいただいて変更したものもございます。
それから、10ページを見ていただきますと、病名変更の例4。今まで「disorder」と「disorders」というのを、日本語では基本的に英語の単数・複数は分けないことが多いのですけども、第6章の中に設けられている、サブグループの実際的・教育的価値を考えて、「disorders」の「s」には「群」というのを当てはめました。たとえば、これは抑うつ症群の中にうつ病があり、気分変調症があり、何々がありという、下位項目があるときの大項目として、「disorder」に「s」が付いている場合は「群」というふうに表記を変えたいと思っています。
次をご覧ください。11ページです。ICD-10自体が英文病名を変えた部分ございまして、たとえば「mental retardation」。「精神遅滞」と呼ばれてきました。さらに前には「精薄」というような名前が付けられていましたが、非常に問題のある病名だと思います。何も精神が遅滞しているわけではなくて、特定の知的な発達が遅れているだけです。さすがにDSM-5で英文病名も変わりまして、ICD-11では「disorders of intellectual development」と。「知的発達症」というふうにいたしました。
また、DSM-4で出てきた概念であります「性同一性障害」です。これはICD-10でもこのように「性同一性障害」でございましたが、DSM-5で「Gender Dysphoria」というふうに病名が変わりました。これは当事者の方の活動が大きかったと聞いていますけども、当事者は、自分たちの問題は、性の同一性という精神機能の障害をもつわけではないのだと。「gender」と「sex」が一致しないことに違和感を感じていて、それによって苦しんではいるのだ、ということで、「Gender Dysphoria」という名前に変わったのです。そしてICD-11では「Gender Incongruence」つまり「genderとsexが一致しない」という、それだけの、さらにニュートラルな病名に変えてほしいということがございまして、これを日本語でもその背景を理解して、「性別不合」というふうに訳したいと思っております。
それから、12ページです。ICD-11で新しく病名が導入されたものもございます。従来、日本語病名がなかった病名で、たとえば身体反復行動症。自分の皮を何度も何度もむしってしまうとかですね、そういう障害です。「遷延性の悲嘆症」。大切な人との死別反応のあと、何週間経っても抑うつ状態が続いてしまうような場合です。あるいは「ためこみ症」。最近ゴミ屋敷でマスコミを賑わすことがありますが、病名が付いております。「身体的苦痛症」。これは「身体表現性障害」と、かつて呼ばれていたものです。「身体完全性違和」。ちょっと説明は省きますが、「Neurocognitive disorders」。これは認知症群、認知症疾患系の大項目なのですけども、神経というのが付きまして、「神経認知症群」となっております。
13ページご覧ください。この病名変更の例の7番目として、従来の日本語病名が誤解・偏見を生んでいる場合がある。それは変えようということでございます。「Adjustment Disorder」は「適応障害」ですね。これは比較的広く理解されていると思うのですが、最近の用いられ方をみますと、その職場の環境に適応できないのは患者側の問題であると受け取られてしまう。本当は環境側の問題が多い場合もあるのですけれども、すべてに「適応障害」という病名を私たちが付けてしまうと、患者が適応すべき環境に適応できなかったというふうに誤解されることがあります。たとえば、毎日旦那から暴力、DVを受けている女性が、うつになり、適応障害になった。これは適応できないのが当たり前なのであって、それを「適応できないのは患者の問題」という、そういう理解につながっているような印象がございます。患者さんは環境に適応しようとするから、反応としてうつや不安や様々な身体症状が出るのであるから、本来は「適応反応症」と呼び変えようと言うことです。
それから、「ADHD」は「注意欠陥多動性障害」でしたが、「欠陥」という言葉がいかにも強いので、「欠如」と。「多動性障害」の「障害」は、「多動症」とします。「Anorexia Nervosa」は、「神経性無食欲症」と訳されてきました。患者さんたちは食欲がないのではないのですね。痩せるために拒食をしているのであって、この「無食欲症」という訳自体が、疾患の本体を適切に表していない病名だということがありまして、「神経性やせ症」というふうに、DMS-5のときに変えてあります。
最後「PTSD」はICD-10では「外傷後ストレス障害」となっております。ただ「外傷」というと、実は神経の疾患の「Brain Trauma」、たとえば交通事故後の高次脳機能障害等のtraumaと混同される可能性があります。「Post-traumatic stress disorder」でいう「trauma」というのは心の外傷のことですので、英文にはないけど和文では心的外傷と訳すというふうに決めております。
最後14ページ。専門外の先生方には、ここで詳しくお話しするつもりはございません。従来から「Psychosis」、ドイツ語の「Psychose」ですね。これを「精神病」と精神医学では訳していました。精神病学教室とかですね、ということで使われてきたのですが、今日ICD-11の「Psychosis」を読みますと、かつてドイツの「Psychose」とは、概念がだいぶ変わってきていまして、その「精神病」という言葉を当てはめるのは、不適切ではないかということと、「精神病」という用語自体がもうすでにかなりのスティグマがまつわりついた用語となっていること、「精神疾患は精神病だ」と思っている人も少なくありません。この「精神病」に代わる語として「精神症」を検討していますが、これは学会の中でまだ意見が分かれていまして、結論に達するのにもうちょっと時間が必要かと思います。
以上、簡単ですがご説明させていただきました。
 
○矢冨委員長
ありがとうございました。日本精神神経学会は病名、用語を真摯に検討されて、本当に敬意を表します。すでに事務局と協議されているということで、事務局のほうから補足・追加をいただいて、そのあと皆さんからご意見・ご質問をお受けしたいと思います。
では、事務局お願いいたします。
 
○事務局
神庭委員ありがとうございました。「disorder」につきましては、全体に使用される用語で、でございますので、少し我々事務局から補足させていただきます。
ICD-10では、これまで「disorder」に対しまして、「障害」を用いておりました。事務局といたしましては、ICD-11でも定型訳といたしましては、引き続き「障害」を用いたいと考えております。ただし、日本精神神経学会で、長期にわたり関係学会とも調整いただきながらご議論をいただいた上で、今回の和訳案をご提出いただいたものでございます。患者様への配慮等も含めまして、「症」という訳語をご提案いただきました。
そこで、参考資料1の「訳語の取扱」に関しまして、「定型訳を用いない揚合は、章や共通する分野では一定程度統一した考え方を踏まえて定める。」という方針に従いまして、第6章内では、統一的な使用を行っていただけるようお願いいたしまして、今回、整理をいただいたところでございます。今後、和訳を進める中で、今回ご発表いただきました中でも、もう少し調整が必要というところもあるかと思いますが、引き続き是非よろしくお願いいたします。
また、今回先行事例といたしまして、参考としていただくために、ご発表いただきましたが、個々の事例を全てこの専門委員会の場で議論していくことは、現実問題としては難しいと思いますので、事務局のほうで個別に調整をさせていただくことをお許しいただければと思います。
以上でございます。
 
○矢冨委員長
ありがとうございました。それでは、ここで、委員の方々からご質問等ございましたらお受けしたいと思いますけど、いかがでしょうか。
大変大きな提案で、教科書の記述も変わるような提案だと思いますけれども。
 
○矢久保委員
東洋医学会の矢久保ですが。一時期WHOのほうから、機械翻訳といいますか、コンピュータ翻訳といいますか、ある程度用語に関して確定されたら、あとは全部機械で翻訳をしてしまおうというような提案があったということ記憶しているのですが、そういった方向性はいかがなものなのでしょうか。
 
○事務局
事務局としても機械での翻訳やAI等を活用できればとは考えたのですが、なかなか難しく、現時点で、すべてを機械に任せるということはできない、という判断をしてございます。ひとつひとつ調整しながら、事務局のほうで、人の力を使って作業を進めているところでございます。
 
○矢久保委員
今のご説明は、病名に相当する分類のほうだと思うのですけども、かなり学会によって混乱が出てくることを心配しております。
 
○事務局
今回のことで申しますと、こちらの「disorder」に関してのご提案で、章を限って使っていくということで、まずその整理をするという形で考えておりまして、当然「disorder」は他の章にも使われてございますので、今後色々な検討をしていく必要があると思います。
ただ、まず今回、事務局の中での考えているところでございますが、6章に関しまして、変えていく整理がついていけばと考えているのですが、その他の章に関しましては、今のところ、統一的な用語として、「disorder」に関して「障害」という形で、ICD-11の訳語としては、進めていくということで考えてございます。
和訳に関しましては、基本的には、お示ししている通り、統一をなるべく図っていきたいと考えておりまして、そちらの調整をさせていただきたいところでございます。ただ、今回、精神に関しましてご発表いただきましたのも、やはりその分野におきまして、長年使われていらっしゃる解釈ですとか、そういったところの背景もございますので、そういったところがもし各学会様でございます場合は、事務局にご相談をいただきまして、全体の統一の訳と図りながら、調整をしていくというところが、今後必要かなと思っております。
今回、先行事例としてご発表いただいたというところでございますので、今後ご意見等ございましたら、実際使っていく上で、どの様なものが良いかと考え始めた段階で、色々なご意見等があるということも思っておりますので、そちらに関しましてはご相談いただければと思っております。
 
○矢冨委員長
ありがとうございます。他いかがでしょうか。
 
○安田委員
糖尿病学会の安田ですけども、現場としては、おそらく今ICD-10で使っている訳語との対応をどうする、どこに表記されるかというのが問題になってくると思うのですね。ですので、たとえば、ICD-10からICD-11で、英語のほうが変わったものもありますけれども、同じ言葉の英語だけど今回の流れで和訳が変わるというものもあると思います。従来はICD-10のときは、ICD-9との対応については一覧表がありましたけれども、今回は日本語としての対応の変化と、英語表記が変わったためなのかも含めて、かなり色々なパターンがあると思いますし、色々な、診療の場でも、あるいは統計の場でも、今までの用語との日本語での対応というものは、どういう形でアナウンスする予定かによって、学会としてもどういう形で落としどころにするか変わってくるのではないかと思うのですけど、今事務局での方針で決まっているものありますか。
 
○事務局
事務局といたしましては、代表の訳とその同義語という形で、学会案としていくつか出てきた場合等も含めまして、それぞれ併記するという形で、代表語に関しましては、告示という作業が出てまいりますので、法令における用語としては、ひとつに決まっていく形を考えてございます。
ICD-10で使用されていた用語を、ICD-11でどのように変えるのかというところについては、ICD-10が使いにくい等、色々なご意見もありまして、ICD-11に関しましては、比較的現場の臨床の名前にも近いものというところで、基本的には、現場に即した形ということで変更も踏まえて、ICD-10からICD-11に関しましては、あまりICD-10に縛られずというところで現在考えております。
 
○矢冨委員長
ありがとうございます。他いかがでしょうか。
 
○本多委員
翻訳の学会案を出すにあたって、索引語というのがたくさん入っておりました。前の版との対応のために付いているのかなと思っていたのですが、全く使われない用例がゼロの語もあり、そこまで訳出する必要はないのかと意見がありました。WHOに索引語の訂正/削除の提言ができるのかによりますが、学会翻訳案のリストの中に、不適切な索引語についての訂正意見は付けて提出しております。おかしいものは・不要なものは残す必要はない、と考えております。それと関連して、索引語がどのような位置付けとなっているのか、索引語を全部訳す必要があるのか疑問に思っていたところなので、お伺いしたいと思います。
○事務局
日本で馴染みのない用語等々ありまして、そちらに関しましては、無理して日本語に訳す必要はないと考えておりまして、英語表記のまま残すとか、落としていくとか、そういったところは今後検討してもいいかなと考えております。
 
○加藤委員
今の話に関係するのですけど、特に整形外科だと、サイトコードがたくさんあります。部位が。体幹の疾患であるにも関わらず、四肢の病名があって、それを和訳しなければいけないと。そういうのは非常に、作業する上では大変です。だから、いわゆるウェブ上のサイト、場所を選ぶということであれば、現実は実際にそんなに問題ないかもわからないのですけど、それをたとえば出版するとかいうことになると、ありえないサイトコードがいっぱい病名にくっついているのです。だからそれをどうするのかというのは、ちょっとお考えいただければなと思うのですけど。
 
○事務局
ご意見ありがとうございます。こちらとしてもまだ整理がついていないと思うところもございまして、やはりそこは活用しやすいように、今後、検討させていただきたいと思っておりますので、そういった点がございましたら、なるべくこちらに伝えていただければと思っております。よろしくお願いいたします。
 
○矢冨委員長
今回の日本精神神経学会から、非常に適切なご提案いただいて、内容そのものも非常に適切と思いましたけれども、今後の作業を進める上でも、非常にいい事例であったと思います。
今回、具体的には「disorder」を「症」で、「disorders」は「症群」ということで、これに関しても、第6章内ではこれで進めていただくと。ただ、全体としては、またこれまでどおりということで、おそらく今後も、全体の整合と個別の章のベストの追求とで少し食い違うこともあろうかと思いますけれども、今回のような形できちっと解決いただければと思います。他にも、ICD-10とICD-11の整合だとか、今ご質問いただいたこととか、多々問題点が生じるかもしれませんけれど、それはその都度事務局にご相談いただいて、また次の委員会等でフィードバックさせていただければと思いますので、よろしいでしょうか。
それでは、次は議事の4に移らせていただきます。「死因選択検討ワーキンググループの報告について」ということで、このワーキンググループ座長をお務めいただいております鷲見委員からご説明をお願いいたします。
 
○鷲見委員
それでは、簡単に報告させていただきます。昨年の12月13日に第7回の死因選択検討ワーキンググループが行われました。1点だけです。脊椎椎体圧迫骨折の分類についてということで、この脊椎椎体圧迫骨折およびその後遺症については、死因の原因が、死因の種類が病死・自然死で、かつ軽微な外力以上の受傷機転の記載のないものは、「骨粗鬆症、病的骨折を伴うもの」に分類するということです。この場合の「軽微な外力」というのは、立った姿勢からの転倒か、それ以下の外力ということ。今非常に、我々のところに来ている高齢者なんかは非常に転倒して骨折って、圧迫骨折って多いわけですけども、こういったものを、「骨粗鬆症、病的骨折を伴うもの」のに分類するということで、まあ妥当な分類かなというふうに考えています。以上です。
 
○矢冨委員長
ありがとうございます。只今のご提案、ご説明に対して、何かご質問等ございますでしょうか。
それでは、これはご承諾いただいたということで進めさせていただこうと思います。よろしくお願いします。
それでは、次は、議事の5であります。「ICD-10 (2013年版)提要の修正について」ということで、事務局からのご説明をお願いいたします。
 
○事務局
資料の4をご覧ください。提要を出版してからだいぶ経っておりますが、まだ少し修正がございます。内容例示のほうでは、目次が抜けておりまして、それを追加するということ。それから、掲載した名簿の時点が間違っておりましたので、それを修正すること。あとはいわゆる誤植です。WHOの本体と整合性の取れない和訳にしておりましたのでそれを直すということです。索引のほうも、誤訳といってよいと思うのですが、今までの訳だとコーディングするときに誤解を生じるということがあって、「celiac」は「セリアック」と直そうということでございます。以上でございます。
 
○矢冨委員長
ありがとうございました。何かご質問・ご確認ございますでしょうか。適切なご提案だったかと思いますので、それでは、お認めいただいたということで、進めさせていただきます。
それでは、次は、議事の6ということで、「その他」であります。事務局から報告事項ございますでしょうか。
 
○事務局
議事6については特段、資料は準備しておりませんが、毎年秋に開催されます「WHO-FICネットワーク年次会議」について、本年は10月の第2週にカナダのバンフで開催されることとなっております。例年、WHOから最新の情報が発信される会議でもございます。ICD、ICFを中心とした国際統計分類に関する各国の取り組みや意見交換を行う場でもあります。日本からは、WHO国際統計分類協力センター長でもある三橋室長をはじめとして、協力センター構成員の方や各専門分野の先生方、総勢30名ほどが出席する予定です。この会議のご報告につきましては、次回専門委員会にてご報告させていただきます。
それから最後に、次回の委員会の開催ですけれども、こちら今のところ未定ですが、現在事務局にて作業を進めておりますICD-11日本語翻訳案が概ねまとまりましたところで、本委員会にお諮りしたいと考えておりますので、委員会開催の日程調整については追って依頼させていただきますので、よろしくお願いいたします。事務局からの報告は以上になります。
 
○矢冨委員長
ありがとうございました。只今の事務局からのご報告ご説明に、何かご質問とかご確認ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 
○名越委員
全体を通してなんですけれども、今後ICD-11のディスクリプションについては、和訳というのはどのようにお考えになっているのか。もし考えられていらっしゃいましたら、お聞かせください。
 
○事務局
本当に痛いご指摘でございますが、まずは、告示範囲から先に和訳を進めさせていただきまして、順次その後に着手するという形で考えております。
 
○矢冨委員長
ありがとうございます。重要なご指摘だったと思います。他いかがでしょうか。
 
○安田委員
知らないので質問なので申し訳ないのですけども、今ウェブ上のICD-11は、いわゆるfixバージョンと、それから、リアルタイムで更新されているバージョンがあって、糖尿病の領域でもいろいろと分類について議論したものが、リアルタイムの方でまたひっくり返ったりしたものが結構あってですね、どのタイミングでどういうふうに対応すればいいのでしょうか。今日の和訳の話とは少し違うかもしれませんけど、少なくともなかった単語が出てきたりしていますので、その辺りに関しては、たとえば学会レベルも含めてですけど、どういう形のアクションをそれぞれ取るのが正しいのでしょうか。
 
○事務局
約10万語の用語、訳語を各学会に振ってお願いしたところですが、2019年の採択版では、用語が更に増えてございます。こちらをすべて各学会に振るというのは、かなり膨大な作業になりますので、まず我々、事務局のほうで訳を行いまして、それを各学会に、また相談させていただくという形を今のところ考えてございます。
事務局におきましてもこのようにリアルタイムで、ウェブ上が変わっていることを認識しており、今後も恐らく変わってくるかと思っております。そのような中で、どの時点で告示等の対応を行うかということが問題になるのかなと思っておりまして、現時点では、告示の時点も、どちらで定めてやるのかというところも、きちんとまだ線引きをしていないところでございます。一旦、告示の時点を線引きするということと、その後の対応につきましては、改めて検討をしていくということになっていくかと思います。
 
○安田委員
とりあえず告示に関しては、今のfixバージョンが対象になっていて、リアルタイムに変更しているものについては、ある時期にまたfixされる可能性があるので、そうしたタイミングまでに色々な意見を挙げればいいってことになるのですか。それとも今でも日々対応したほうがいいのでしょうか。ちょっと和訳だけの問題じゃなくてですね、元の、本体のほうについて。
 
○事務局
こちらは、やはり、線引きをどこかでしまして、本当に、日々コロコロと変わるところもございますので、内容により時期を定めて、対応していくということになるのではないかと思っております。
 
○矢冨委員長
本日は今後作業を進めていただく上で重要な情報を共有できたのではないかと思っております。
それでは、第22回の社会保障審議会統計分科会「疾病、傷害及び死因分類専門委員会」をこれで閉会させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 
(了)

照会先

政策統括官付参事官付国際分類情報管理室 三橋、高橋

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