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第2回社会保障審議会統計分科会 生活機能分類専門委員会生活機能分類普及推進検討ワーキンググループ 議事録
日時
令和元年9月12日(木)10:00~12:00
場所
厚生労働省 共用第9会議室
出席者
<委員(五十音順)>
- 浅川育世委員
- 出江紳一委員
- 大夛賀政昭委員
- 小松雅代委員
- 向野雅彦委員
- 村井千賀委員
- 山田深委員
- 横堀由喜子委員
- 佐藤妙子代理委員(森田秋子委員 代理出席)
議題
(1)課題別検討班からの進捗報告
(2)第8回厚生労働省ICFシンポジウムについて
(3)その他
(2)第8回厚生労働省ICFシンポジウムについて
(3)その他
議事
○事務局
それでは、定刻になりましたので、第2回社会保障審議会統計分科会生活機能分類専門委員会生活機能分類普及推進検討ワーキングを開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中ご出席を賜りまして誠にありがとうございます。
私は、政策統括官付国際分類情報管理室補佐の柳川でございます。よろしくお願いいたします。
次に、本日の出席状況でございますが、近藤委員と森田委員がご欠席でございます。また、森田委員の代理といたしまして、佐藤妙子代理委員にご出席いただいております。一言コメントをいただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。
○佐藤委員
森田委員の代理で出席させていただきます、国際医療福祉大学言語聴覚学科の佐藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○事務局
ありがとうございます。
議事に入ります前に、向野座長より委員に関するご報告がございます。向野座長、よろしくお願いいたします。
○向野座長
前回のワーキンググループの終了後、ICFの普及や教育に向けた活動においては、診療情報管理の分野の専門家にも本ワーキンググループの議論にご参画いただいた方が良いのではないか、とのご意見をいただきました。現在、リハビリテーションの分野で活用ができるようなICD-11 Vチャプターのデータセットの準備などを行っておりますけれども、次のステップとしては、診療情報管理の分野に繋げて広く情報収集を行う仕組みを作っていくことが大事であることから、現段階より、議論にご参画いただくことが宜しいのではないかと考えております。委員といたしましては、WHOの普及・教育に関する活動に長らく携わられている日本病院会教育部長の横堀由喜子さんをご推薦いただき、この度、ご就任いただいたということをご報告いたします。
横堀委員、一言コメントをいただけますでしょうか。
○横堀委員
ありがとうございます。皆様、はじめまして。日本病院会日本診療情報管理学会から参りました横堀と申します。どうぞよろしくお願いいたします。少し異質かもしれませんが、皆様、診療情報管理士という職種をご存知でしょうか。日本病院会において50年近く診療情報管理士という資格を育てて認定してまいりました。カルテからきちんとデータを取ってコーディングをして、色々な病院の中での治療や経営、また、政策にも役立つようにということで長年教育して参りました。特に、今まではICDを中心にやってきたのですけれども、近年、ICFについても必要性を感じておりまして、教育に入ったところです。皆様のデータ活用に診療情報管理士もお役に立てると思いますので、是非お仲間に入れていただきまして一緒に勉強していきたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
○向野座長
よろしくお願いいたします。現在、行っている取り組みから次に繋げていく際には、横堀委員の役割が非常に重要になってくると思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
○事務局
それでは、続きまして事務局内で異動がございましたので、ご紹介させていただきます。国際情報分類情報管理室長の三橋でございます。
また、関係部局といたしまして、老健局、障害保健福祉部よりオブザーバーとして出席いただいております。よろしくお願いいたします。
続きまして、お手元のタブレット端末にて会議資料の確認をさせていただきたいと思います。
○事務局
資料の確認をさせていただきますので、お手元のタブレットをご覧ください。議事次第、資料1、資料2、資料3-1、資料3-2、参考資料1-1、参考資料1-2、参考資料1-3、参考資料2、参考資料3、参考資料4、参考資料5、参考資料6、次は委員のみの資料になりますが、机上配布資料1-1~1-4といたしまして、本ワーキンググループの委員の皆様よりご提出いただきました資料を向野座長、横堀委員、浅川委員、村井委員、森田委員、山田委員、大夛賀委員、小松委員の順に、続いて、机上配布資料2、机上配布資料3-1、机上配布資料3-2、机上配布資料3-3を用意してございます。資料説明は以上でございます。
○事務局
円滑な議事進行のため、前取りはここまでとさせていただきたいと思います。ご協力のほどよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入りたいと思います。ここからの進行は、向野座長、よろしくお願いいたします。
○向野座長
議事1 課題別検討班からの進捗報告です。今回、課題別検討班を4つ作りまして、普及に向けた取り組みを進めております。
それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○事務局
それでは、資料1をご覧ください。
本ワーキンググループの課題別検討班をお示ししております。1つめはフィールドテスト班、リーダーは向野座長、メンバーは浅川委員、大夛賀委員、近藤委員、村井委員、横堀委員。2つめは、教育ツール班、リーダーは出江委員、メンバーは浅川委員、向野座長、村井委員、森田委員、横堀委員。3つめは、分類更新・翻訳班、リーダーは山田委員、メンバーは大夛賀委員、小松委員、近藤委員、向野座長、森田委員、横堀委員。4つめは、リコード班、リーダーは大夛賀委員、メンバーは出江委員、小松委員、向野座長、山田委員、横堀委員。以上で構成させていただいております。
各班の活動内容は、この2年間の主な活動を記載してございます。最後に記載してございますICFの使用現場における課題の検討であるとか、シンポジウムの企画、それから、情報集約サイト構築等の事例収集は、委員の皆様にご協力いただきながら進めたいと思っております。説明は以上です。
○向野座長
ありがとうございます。それでは、まず、私がリーダーを務めておりますフィールドテスト班から報告したいと思います。机上配布資料1-1ですけれども、若干の修正がありますので、私のスライドで説明させていただきます。
フィールドテスト班では、国内で実施していくICD-11 Vチャプターのフィールドテストに向けた準備を進めていく班でございます。それに向けて、どのように情報収集を進めていくかということを検討しております。
こちらがICD-11 Vチャプターの基本構造ですけれども、全部で73項目ほどになります。少しオーバーラップなどもありますのでご説明しますけれども、基本的な3つの構造からなっておりまして、1つはWHO-DAS。これはWHOが作っているものですけれども、質問紙。それから、MDS。Model Disability Surveyの項目。それから、Generic Functioning Domainsという項目が、この3つに分かれております。Generic Functioning Domainsというのは、基本的にICFをベースにした項目になっております。それぞれWHO-DASとMDSは基になる質問紙があるのですけれども、実際にデータ集めていくときに、Generic Functioning Domainの情報収集ツールがないということが問題になっておりまして、特にこの項目の中では、ICFリハビリテーションセットという、いわゆるICFコアセットのひとつが半分ぐらいは占めているのですけれども、それ以外の20項目ほどは、この中ではそのようにツールがないということになっております。ただ、その中の大部分には、WHO-DASもしくはMDSの項目が被っているものがありますので、その中で関連した採点ツールが全くないものは5項目ほどとなっております。このような状況を踏まえまして、我々では採点ツールをどうするかということを検討しております。まず、WHODASおよびMDSの項目については、WHOが作ったものがすでにありますので、それを基本的に使うということで進めたいと考えております。こちらは山田委員がリーダーを務めていらっしゃる翻訳班と連携して進めたいと思っております。
それから、Generic Functioning Domainsの項目が問題ですけれども、この中でICDリハビリテーションセットという30項目の質問、項目セットが、様々なところでリハビリテーション分野での情報収集に使われる取り組みが進んでおりますので、その国際的な取り組みの枠組みに則って進めていきたいと考えております。こちらについては、これまでに厚生労働科学研究の研究班でそのような国際的な取り組みと連携して、採点支援ツールとして、簡潔で直感的な説明文と採点リファレンスガイドというのを作成しておりますので、これをベースに考えております。
フィールドテスト班内の議論としては、さらにこれをフィールドテストで使っていくにあたって、Generic Functioning Domainsの残りの項目についても、このような採点支援ツールを作って、医療者評価の仕組みを作るということを今考えているところでございます。更に、これらの項目には質問紙がありませんので、全体を一貫した仕組みとするために質問紙も用意するのはどうかということで、今の案としては、WHO-DAS、MDS項目については患者評価を、既存の質問紙を使って集める。それからGeneric Functioning Domainsの項目については、医療者評価の枠組みとして、簡潔な説明文と採点ガイドという厚生労働科学研究での取り組みをそのまま使っていくということと、それから新たに関連質問紙を準備していくということを、案として考えております。ちなみに、ICF一般セット、リハビリテーションセットについての説明は、補足でスライドを載せておりますので、ご参照ください。
簡潔で直感的な説明文は、ICFリハビリテーションセットを対象に、臨床家に分かりやすい説明文を付けるプロジェクトで、ヨーロッパの医療専門家連合、国際リハビリテーション医学会を中心に取り組みが進められております。
採点リファレンスガイドにつきましては、日本の厚生労働科学研究で取り組んでおります。全体はこのような形で、現在、考えているところでございます。これを実現していくために、今後発生していく作業としては、まず、簡潔で直感的な説明文の作成については、これまでに作成方法が定義されておりまして、日本でも一度ICFリハビリテーションセットの説明文の作成というものが行われておりますので、ワークショップを実施するということを考えております。
続いて、採点リファレンスガイドの作成に関しては、ひとつの病院で複数の臨床家が同一の複数の患者を評価するというプロセスを、これも定義しておりますので、厚生労働科学研究の一環として実施していく予定です。
患者質問紙の準備に関しましては、これからプロセスを定義していく必要がありますけれども、できるだけ早く進めたいと考えております。大まかなスケジュールとしては、かなり少しタイトな形で作っておりますけれども、本日お見せしたたたき台で承認いただけましたら、早速簡潔で直感的な説明文、リファレンスガイド作成、質問紙作成に取り組み、来年パイロットテスト、フィールドテストを進めていきたいと考えております。以上になります。何かご質問はございますか。
○出江委員
どうもありがとうございました。大変素晴らしいと思いますので、これで進めていくことに賛成です。
私は教育ツール班なので、私たちの仕事はこれを使えるようにすることですけれども、どのように連携していくか、ということで、フィールドテストの段階で、何か教育ツールがあった方が良いのか、フィールドテストと併行してこちらはこちらで進めればいいのかということを少し考えておりました。いかがでしょうか。
○向野座長
教育ツールのベースとなるようなものについて、厚生労働科学研究でも少し作り始めておりますけれども、パイロットテストの段階で、少ない数の病院で実験をする場合には、その検討をしながらと思っております。次に広く広げていく段階では、教育ツールとしてある程度きちっとしたものを出していきたいと考えておりますので、その点を今後ご相談させていただきたいと思っております。
○出江委員
それでは、その教育ツールをフィールドテストで作っていくプロセスの中で、フィールドテスト班からもこちらに情報をいただいて一緒に考える。そういうことでよろしいですか。
○向野座長
是非そのように進めさせてさせていただきたいと考えております。
○出江委員
ありがとうございます。
○山田委員
分類更新・翻訳班でVチャプターの翻訳を担当しておりますけれども、WHO-DASの質問の内容を今後フィールドテストでどのように使っていくか。具体的には日本語訳自体に齟齬があるのを見直さなくてはいけないことと、30日振り返るというところが非常に使いにくく問題になっているのですが、そのあたりの調整をいつの段階でやるのでしょうか。
○向野座長
基本的には、この枠組みでいいということで本日ご承認いただけましたら、早速ご相談を始めたいと思っております。
○山田委員
では、合意が得られた段階で分類更新・翻訳班とも連携して動いていくということで宜しいでしょうか。
○向野座長
そうですね。
○山田委員
わかりました。ありがとうございます。
○大夛賀委員
関連することなのですけれども、WHO-DASについては、既に関連付けられた質問紙が存在するため、簡潔で直感的な説明文とリファレンスガイドは作らないという整理ということでよろしいでしょうか。現時点はVチャプターの中のWHO-DAS項目は、項目しかないので評価が難しいのではないかと考えます。私が昔WHO-DASの実用化に向けた研究を行った際には、項目だけでは自己記入はできないからという理由で、項目の翻訳の際、意訳して、項目に意味を持たせるということをしました。
基本的には本日お示しいただいた案で良いと思いますが、評価の実施可能性という観点からは、少しお手間ですけれども、リファレンスガイドのところの直感な説明文は、WHO-DASやMDSを含む、Vチャプター項目全部にあった方がベターであると思います。しかし、作業工程もあると思いますので、前向きにご検討いただければ幸いです。
○向野座長
ありがとうございます。特に簡潔で直感的な説明文に関して、WHO-DAS項目に作る上で難しさを感じるのは、項目の名前がWHO-DASから持ってきたような項目で、すでにもう内容が具体的になっているような項目というのがあるので、そういうのをどうするかというのは難しさがあると思いますけれども、ただ仰られるように、統一した仕組みの方がいいという考え方もあります。WHO-DASの使いにくさというところも今後考えて、どう解決するかまたご相談していかないといけないと思いますので、検討させていただきたいと思います。
○大夛賀委員
ありがとうございます。向野座長のスライドの3枚目を見ていただきたいのですけれども、VAあたりがWHO-DAS項目になっております。わかりやすい項目とわかりにくい項目が混在しているのがわかるかと思います。いちばんわかりにくいのは、この例えばVA52「人権」となっています。この項目は、評価が難しいのではないかと思います。
○向野座長
ありがとうございました。実際はICD-11 Vチャプターのブラウザには、もうすでにWHO-DASの項目がそのまま載っているので、基本的にはWHO-DASの質問を使って取ることを、WHOとしては想定しているのかなという感じもします。その項目を見て五件法で付けるというよりかは。いかがでしょうか。
○大夛賀委員
今山田委員がお持ちの青い本が、WHO-DASの評価表というかルールを記した本の和訳なのですが、Vチャプター項目には、評価のための説明文が載っているのでしょうか。
○向野座長
ICD-11、本自体というより、そのWHO-DASの質問が、ICD-11のブラウザにすでに説明として、詳細の説明として載っているという状況ですね。
○山田委員
向野座長の仰るとおりで、ここに書いてある患者さんに見せて聞く質問自体が、すでにVチャプターの中に取り込まれていて、例えば人権というところのVチャプターのページを見ると、人権に関する質問がもうすでにそこに書かれています。英語のまま。なので、基本的にはVチャプター使うときも、その質問を使うという姿勢で、WHOは今のところ動いています。
○大夛賀委員
状況が理解できました。私の理解不足でした。評価のための説明文があれば、一定の評価が可能と思いますが、その精査は必要であると思います。
○向野座長
人権に対応するWHO-DASの質問項目が、そこに載っています。
○山田委員
Vチャプターに、すでにもう。
○向野座長
だからWHO-DAS36項目の、ひとつひとつについてタイトルが付いていて、それがVAの項目になっていますけど、それぞれにその質問が全部載っているという状況です。
○山田委員
質問も、実際この本を日本語に訳したものがすでに存在していますけれども、それに関してはVチャプターとはまた別という位置付けで、もう1回日本語訳は見直しをして、やっていきたいという方向で考えているところです。
○大夛賀委員
わかりました。ありがとうございます。
○向野座長
ありがとうございます。他はよろしいでしょうか。
基本的にはこのような形で進めていきたいと考えておりますけれども、もし反対のご意見、なければそのようにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。
次に、教育ツール班の出江委員からご報告をお願いいたします。
○出江委員
教育ツール班では、色々な職種のメンバーが入っておりますので、それぞれの職域でどういう教育状況なのかという棚卸しからしようということで、資料を作成していただきました。
お手元の机上配布資料の、2の1から2の5までが教育ツール班の資料でございますので、それぞれ作成していただいた委員から、簡単に説明を補足いただきたいと思います。最初に向野座長の資料2-1ですね。よろしくお願いします。
○向野座長
ありがとうございます。私からは、海外にあるもの、それから、国内のもので、リハビリテーション医学領域に関わるところを主に抜粋して、載せさせていただいております。教育ツールとしては、WHOのホームページより、いくつかの教育ツールにアクセス可能です。Guide for beginners、WHO-DAS2.0、これは日本語訳も出ております。ICF RESEARCH BRANCHという、ドイツWHO協力センターのICF研究部門でもいくつか教育ツールを出しておりまして、こちらはWHOのページからもアクセス可能ですけれども、ひとつはICFコアセットに関連するもの。それから、ICF eラーニングツールです。ICF eラーニングツールは、元々このICF RESEARCH BRANCHが作ったものですけれども、その後WHO協力センターの教育普及委員会の後援のもとで、さらにブラッシュアップして、現在はそちらで普及推進されていると伺っております。診療情報管理学会で、現在仮訳を作成中ということを横堀委員からご教授いただきました。
それから、ICF Educationというサイトがありまして、そこで様々な教育ツール、ほとんどはプレゼンテーションファイルですけれども、が登録されており、アクセス可能な状態となっております。ただ、私の見る限りにおいては、採点に関するツールはございませんでした。
それから、国内に関しては、ICFコアセットというものになりますけれども、こちらに関しては、日本リハビリテーション医学会監訳で、臨床実践のためのマニュアルというものが出版されております。
それから、オンラインツールとしては、厚生労働科学研究の研究班で、我々が採点用のeラーニングツールというのを作成中です。そちらに載せておりますけれども、練習問題を解いて採点を練習するような仕組みを作っているところでございます。以上になります。
○出江委員
どうもありがとうございました。何かご質問ございますか。なければあとで全体でということで、また伺いますが。よろしいでしょうか。
では机上配布資料2-2ですね。横堀委員の資料、よろしいでしょうか。お願いいたします。
○横堀委員
私の資料ご覧ください。2の、1-2の2ですね。私からは、第1回の会議に参加していないので、皆さんの様子を拝見しながら何をしたらいいのか、考えながらやっていた状況です。
まず、委員の皆さんは、診療情報管理士の教育をご存じでしょうか。国内の教育が中心で申し訳ないですが、通信教育で日本病院会がもう50年近く、1972年から2年制の教育でやっているのですけれども、大学や専門学校も23、55ございます。日本中、北海道から沖縄まで学校を認定していますけれども、同じカリキュラム、同じ教材を使っています。ですから、日本病院会が右を向けば、皆さんが揃って始まるという、ある意味普及しやすい環境にあります。
その次のスライドを見ていただきますと、カリキュラムをご覧いただけると思います。日本病院会で、学会が協力しながら教材開発しております。診療情報管理室にいらっしゃる方というのはほとんどが事務の方ですけれども、基礎分野として医学全般を教育します。
それから、専門分野に入って、診療情報管理の仕方、医療政策、診療報酬、情報管理、統計の作り方とある中で、11、12章のところで、国際統計分類を説明しています。横にございますのがお揃いの教科書でございます。この赤いところで、前は国際分類で4コマありました。1コマを大学・専門学校は15時間やります。通信教育では、20時間やっております。対面授業が多くできないので、時間数は通信教育の方が少し多めにやります。通信教育は対面の授業を今まで3時間、今回、WEB化しましたので、今年度からWEB授業が増えていく方向です。自宅で教科書と共に、レポートをやりながら、1科目20時間分の授業をするということになります。この11章のところで、ICDを中心に教育するのですが、国際統計分類というと、中心分類のICD、ICF、ICHI、ICD-O、それからファミリーといわれるものはすべて、こういうものがあるということは教えておりまして、メインはICD。近年ICFを取り込み始めております。ご覧いただいている次のスライドで、2016年にカリキュラムを変えたときに、専門課程の先ほどの11章のところでご覧のICFに関する項目を入れました。ICFとその意義。それとWHO-FICの中でのICF、その中でのICF-CYとの関係、目的、活用範囲、特徴、構成要素、それから構成相互作用とか、ご覧のように使用方法まで教えていきます。教科書のページ数としては、だいたい十数ページございました。2016年の前は、ICFの教育に入っていませんでした。ICFは非常に大事というのは分かっていましたが、やはりご存知のように、診療情報管理士さんたちのお仕事の中で、DPCの仕事が結構あるので、ICDが中心になる中、ICFは付録として教科書に付けていました。その文章は、最初に大川弥生先生に執筆していただいて、そのあと才藤先生にご執筆いただき、おそらく向野座長も関わっていただいたのではないかと思いますが、それをベースに、教科書の中に「これを使わせてください」ってお願いして、この教科書が作られていますので、先生方の考え方は入っていると思います。
次のところ見ていただいて、試験です。やっと試験に入ったところでございます。昨年度、今年の2月に初めての生徒さんたちがICFで授業も受けるようになりましたので、今回、試験に1問入っておりました。問題はまだ公開できるレベルになっておりませんのでお見せできないのですけれども、とても簡単なものと思っていただければと思います。
次のスライドで、学会では、国際統計分類委員会という委員会がございまして、今申し上げた中心分類をはじめ、派生分類のあたりまでは担当の委員がおりまして、診療情報管理士の資格を持ったドクター、400人ぐらいおります、その先生の中で50名ぐらいが、国際統計分類委員会で委員をしたり、協力者になって入っていただいたりしています。この先生方が我々学会を支えて教材を作ったり教育をしたり、それからフィールドテストに協力したりしてくださっています。もちろんICFも指導してくださるチームがあります。
それから、POS委員会というのがありまして、POSの方でも支えてくださっております。POSとの関係でICFを勉強しよう、特にこのワーキングの仕事については当学会ではPOSの方で支えていただいて動いて方向です。
○出江委員
POSって。
○横堀委員
はい。Problem listのことです。
○出江委員
Problem-Oriented System。
○横堀委員
そうです、はい。
○出江委員
medical recordのですね。
○横堀委員
そうです。昔POS学会がございましたのをご存知でしょうか。それがなくなりまして、このメンバーは、当学会にいらっしゃいます。薬剤師さん、看護師さん等が委員会に入られてるいので、その中で考えてくださいます。どちらかというと、標準フォーマットを考えている中でICFを考えようとしています。
それから、先ほどのICF eラーニングツールについては、当学会は協力センターの一員でございますので、その中でEICという、教育普及委員会というのに入っております。その中で、EICというのは、FDRGという、ICFを検討するグループと、よく一緒に委員会を開いているのですけれども、ICF側からeラーニングツールを一緒に検討してくれという情報が入ってくるので、結構早い時点からこのツールが来ており、今翻訳中でございます。WGの先生方と一緒にやっていただきたいわけですけれども、ひとまずうちが仮訳してからの方が良いと思います。海外の教育委員会のメンバーとも、別個のツールを担当している方と連絡取っていますので、今度WHO-FICを経たぐらいでと思っております。混乱しないよう、後日ご覧いただければと思います。当学会の中で二手に分かれて、翻訳をやっていますので、ひとつにまとめてからご報告をと思っております。
それから、当学会では、ずっとICDのほうがメインだったのですけれども、ICFに関するシンポジウムも、動き始めていまして、2018年と2019年にICF関係のシンポジウムが、ご覧のように入っております。一般演題のほうでも、診療情報管理士さんたちが発表するようになってきておりまして、昨年度には1題、今年5題あり、嬉しく思っております。これから増えるのではないかと思います。
それから最後に、一緒に診療情報管理士教育を行っている大学・専門学校でも一緒に使っておりますシラバスにICFを入れてございます。ICFが入っているという参考資料を付けておきました。以上でございます。
○出江委員
どうもありがとうございました。何か今すぐに聞いておくご質問ございますか。よろしいでしょうか。
では、続きまして、浅川委員からPTの領域のお話をお願いします。
○浅川委員
私は理学療法士協会の役員ではないので、これを代表として発言していいかというようなことを、協会のほうにも確認しまして許可いただいておりますので、そのような視点で発表させていただきたいと思います。協会のほうに、ICFをどういうふうに取り組んでいるかというようなところで問い合わせしましたが、現時点で協会としてICFの教育に関する具体的な事業は、ないというのが現状です。今後、もし必要であればということで、シラバスの一部に組み込むことが可能であるというようなことを協会から聞いております。現状どうなっているかというようなところで、理学療法教育モデルコアカリキュラムですね。こちらのほうを少し見てみたところ、理学療法教育モデルコアカリキュラム内のICF関連項目として、大項目、中項目、小項目とありますが、その小項目のところで、医学的情報、それから、心身機能、身体構造について説明できる・活動について説明できる・社会参加について説明できる・背景因子について説明できるというようなところが入っているのですが、まだ細かい評価点までというのは言及されていないような状況でございます。
ただ、このコアカリキュラムの案の段階では、これ以外にも諸項目として、健康と生活機能の評価以外に、機能障害の評価とリハビリテーションならびに活動参加の評価とリハビリテーション、参加制約の評価とリハビリテーションを扱っていたのですが、特にコーディングシステムを意識されたようなものではなくて、完成版ではここらへんが削除されておりました。
じゃあ現場での状況、教育現場での状況どうなっているのかというところで、某大学、某公立大学。うちの大学でございますが、ICFの取り扱い状況というのを少し見てみたのですが、シラバス、基礎理学療法学という1年後期科目。それから、理学療法基礎評価学、2年前期科目。それから理学療法評価学、4年後期科目で、ICFに関する授業の記載が見られております。といいますか、私がやっているわけですが、十分ではない現状があると思っております。1年次の基礎理学療法学ではICF全般の概要。それから、理学療法基礎評価学、2年生では、ICFの概念的な要素を使っての評価。それから、理学療法評価学、4年生では、ICFの評価点を中心に、そういったような教育をしているところでございます。
また、総合臨床実習が4年次にあるのですけれども、それのサマリーの作成では、ICFに準拠し症例を整理することを推奨しているのですが、評価点の活用というようなところは現在行っていないような状況です。国家試験のほうではどうなっているかというようなところを少し調査しましたところ、41回、2006年からICFに関しての試験問題が出てきております。最後のほうにまとめましたが、理学療法士の国家試験にICFが初めて出題されたのは2006年ということであって、ICFのコードが出題されたのが2009年の試験からであるというところで、まあ概念的なものがあって、ようやくコードが2009年から少し入ってきたということです。2012年の試験では、初めて評価点が出題されて、2017年になってくると、コアセットが出題されたような状況になってきておりまして、私もそうなのですけれども、今後、もう少し細かいところまで、学生に教育していかなければならないと思っております。
それから、ICFの理学療法関連雑誌への掲載について、商業紙PTジャーナルの中では2002年の4月号から9月号まで特集が組まれておりました。
理学療法科学、理学療法学といったような学術誌の中では、わずかではありますが、ICFに関しての研究論文というのが発表されているのですが、十分な状況ではないだろうなということと、コードや評価点を用いるためには、まだ課題があって、なかなか使いづらいというようなふうに捉えている者が多いのかなと思っております。以上、ご報告させていただきます。
○出江委員
詳細なご報告をありがとうございました。協会としての授業の状況ですとか、モデルコアカリキュラムでの教育、それから、実際の大学のシラバス、さらに国家試験問題への出題状況などについてもお話しいただきました。よろしいでしょうか。よろしければ、このままOTのほうへ行きます。では、村井委員お願いいたします。
○村井委員
私のほうは、どちらかというと臨床の側から作業療法の色々、このICFをどうしていくのかという議論がございまして、そこを通してICFに着手し、OTが興味を持っていったかというプロセスを含め、少し現状をご報告させていただきます。
まずは、作業療法とは何かというのは、結構世の中混乱しておりまして、そもそも論に、理学療法と一緒じゃないのかというようなことが言われ、色々考えていく中でこのICFにすごく着目してきたという経緯がございます。
まず、作業療法というのは、身体や精神。作業療法は精神科の領域がございますので、そういう障害のある方に対して、その応用的動作能力というのはADLとかIADLを指しているのですが、社会適応能力というのは、仕事に行くとか社会に参加する能力を高めてくださいねと書かれているというところでございます。そういう意味では作業療法の定義も色々検討して今のところ、ひとつはその人の生活行為とか、そういうところにちゃんと視点を当てて、その人たちがそれを再びできるようになる。またそれを獲得する。そういうふうな支援をしていきましょうという方向に、今大きく協会が変わってきております。作業療法ガイドラインというのを2018年に出したわけですが、その中には作業療法の定義に基づいて、その基本的な役目を示そうということで、その中に国際生活機能分類。ICFと作業療法の関連ということで、その関係性を記述したのは、恐らく2018年が初めてだと思います。そういう意味では、今臨床の中から上がってきて、ICFを活用しよう、という機運が上がっているということも、この経緯の中からわかると思います。特に赤字で書かれた部分を読ませていただきますが、「作業療法の過程では」ということで、基本的能力、応用的動作能力、社会適応能力といった視点からですが、対象者の生活機能というものを捉えて、制度や社会資源の利用、対象者の個人特性に応じた治療・指導・援助を重視していきますということです。これらの視点は、たまたまですね、私たちは実はICFはあまりわからなかったのですが、まとめていく中で、「これってICFと全く一緒だ」という話になったというのが正直なところでございます。そういう意味では、これを積極的に活用していきましょうというようなことで、今大きく舵を切っているというところです。
次のところを見ていただきたいのですが、それが気づいたプロセスでございます。「作業療法って何」というのをずいぶん問われまして、喧々諤々5年間ですね、議論をしながらまとめてきたところです。私たちはその人の生活行為がどうして上手くできないのかと考えたときに、やはりひとつは人の分析ということで、健康状態や心身機能というところ、どういうところが障害されているのだろう。現状はどうだろう。その人のこれから、医療だったら回復する可能性があるのかどうかというところを、ひとつは見ているというところです。
もうひとつは作業の分析イコール生活行為ですけれども、活動と参加についても、やはり今現在どれぐらい活動ができていて、参加がどれぐらいできているだろうか。その人を阻害しているものは何だろうか。今後、健康状態の回復と共に有効までできるようになるだろうかというようなことをしているということがわかったというところです。
もうひとつ重視していますのは環境です。環境の分析、作業療法なら自助具とか福祉用具を使うわけですけれども、それを上手く使うことで、失われた障害の部分を補完できないだろうかというようなアプローチを組み立てているという実態があったというところです。これを基に、やはりこれはICFを本格的に学ぶべきだろうということで、OT協会では、生活行為向上マネジメントというツールを作りまして、その中に、この人の障害されている部分はどこなの、今後回復する可能性があるのという、思考のプロセスを強化しながら、適切な作業療法が提供できるようにというような取り組みをさせていただいているということです。これが、ツールセットになっておりまして、その中の、特にマネジメントシートと呼ばれるところのアセスメントシートというのがあるのですけれども、そこにICFを活用して、たとえば「この人は右上肢が切断されているけど左側は使える」とか、たとえば「義肢を上手く使えば、そういうところの生活行為がまた再びできる」というようなアセスメントの中に、ICFの思考を入れさせていただいているというところです。これを使いまして、今、作業療法士さんたちの技術のアップを図っているという最中でございます。
下のほうに付随して、生活行為向上マネジメントの分析シートというのを付けておりまして、このような評価を入れているというところです。実際にこの生活行為向上マネジメントの履修状況ですけれども、2019年の7月現在で、協会員が6万人いますが、現在、約3万弱の方々が、現在研修を受けているということでございます。尚且つ、そのツールを作りましたので、そのツールで事例登録というのを推進いたしておりまして、各領域、その事例登録の状況が右にございますこのとおりでございます。回復期がやはり一番多くて、介護保険領域では通所リハが多い。事例を登録させていただき、全員でチェックをしているというところでございます。
ツールを使って、データとして提出をするという仕組みを入れておりまして、その中にICFのコードが、一応OT協会でも集まるようになっている仕組みがございます。評価まではいってないですが、どの領域に障害があるのかという情報が、脳卒中だったらここの領域が障害で挙げられやすいとか、ここらへんが使えるというように取り上げられやすいデータを今集めている状況でございます。まだ少なくて225件しか登録されておりませんが、そういうものを収集して、少し作業療法の、そういう考え方を整理できるようなことを着手したというところでございます。
ただ、先生方の今日の話を聞いていて、評価得点とかあるといいねとか、そうするともう少し精度が、ここらへんが回復したねというのが、アプローチによってどうなるかというのが見えますので、とてもこの会には期待をしている最中でございます。
生活機能分類ですが、1500コードの解説が入っているのですけれども、読み込むのがすごく大変でやはり、「この解説どうなのだろう、わかんないね」というところが結構ございまして、ここらへんも先生方のご尽力賜りながら、深めていきたいと本当に思っています。1500コード頭に入れるのは大変ですけれども、作業療法の特性からどうしてもやらざるを得ないという、これがやれて初めて作業療法なのかと思っておりますので、今のこの本については、会員全員買うようにということと、しかし、これを教える人がいないんですね。それが今、先ほど浅川委員からも出ましたように、OT、PTのこれも問題なのではないかと思っております。そういう意味では、これから1500コードを、一個一個これからは学んでいく必要があるだろう。尚且つ、もしここで出てきた評点があれば、その評点の視点も入れながら把握していく必要もあるだろうということで、今OT協会にもこの状況をお伝えしながら、とても関心深く、高くですね、参加させていただいているというところでございます。ICF関連の教育の取り組みですが、そういうことがございまして、実際養成校についてはPT協会と変わりません。考え方を少し提示しているだけで、先ほど言ったような活用方法も話をしているのですけど、この中の細かなコードの解説等と考え方まで入ってないのですが、それをするべきではないかということで、今議論が始まったというところでございます。
国家試験のほうも、毎年2題ずつ出てるかな。考え方のレベルでございますけれども。それから、養成教育のほうでも、一応MTDLPの考え方を養成校でやっているのかという聞き方をしています。その科では半分ほど養成校がMTDLPを教え、その生活行為向上マネジメントの中のツールの中にはICFが入っていますので、これを知らないとやれませんので、そういう教育の中で入れていますよという話が入ってきております。
それからですが、養成校のアンケートの中でも、その生活行為向上マネジメントの考え方については、やはりもっと普及すべきと、約9割近くの養成校が話をしているということで、今後ますますここの教育については、重要性とかニーズが高まってくるのではないかと思っています。養成校のガイドラインが、PTと同じく改定をされましたので、今後ですが、今協会のほうでは、作業療法管理学というセッションの中で、ここらへんをもっと詳しく話をしていったらどうかという話ですが、この単位の中でできるのかという議論も今出てきています。まあ、リハビリテーションの概念の中にリンクするのが一番良いのではないか、と私個人は考えております。
そして、実習については、今その見直しがあったということで、臨床実習指導者の講習会のプログラムが、全国で始まっているところでございますが、スーパーバイザー。要するに、臨床で実習を指導するスーパーバイザーは、この知識を持っていてくださいよということが、今の講習会で全国進められております。その中にもICFの考え方が、この生活行為向上マネジメント、MTDLPの中を通して、この本を持って勉強してねと今進められている最中でございます。OT協会も本当に自分たちの職種のためにも、これはきちんと学ばなければならないという時点にきているというふうにお話ししてもいいのかなと思います。そういう意味では、評点も出てくる、解釈もきちんと出てくることを切に願いながら、また、先生方のご尽力を賜り、精度を上げていきたいなと思っております。以上です。
○出江委員
ありがとうございました。協会として、強く取り組んでいるということがよくわかりました。この教育ツール班では、色々な職種が今後相互の状況をよく理解して、それで単独でその領域、たとえば医者だけの教育ということだけではなくて、多職種連携の医療につながるように、この教育ツール自体も相互に全体として理解、色々な職種で理解して活用できるような形に進めてまいります。まずは各状況がわからないといけないので、このような形で今調べているというものです。どうもありがとうございました。
では、最後STということで、佐藤委員からお願いいたします。
○佐藤委員
森田委員の代理で発表させていただきます。私も言語聴覚士協会の立場ではございませんので、この内容でいいのかということを言語聴覚士協会の深浦会長に確認をしておりますので、今のところそんなに大きな問題はないということが、お許しが出ましたので、ここで発表させていただきます。
言語聴覚士に関しましては、国家試験となりましたのも1999年が第1回ということで、比較的新しい分野でございます。その第1回の言語聴覚士の国家試験から20回少しですけれども、STの国家試験の中では、2003年からICF関連の問題が出題されてきているということがあります。PTさん、OTさんのところでもございましたが、STのところはさらに、本当に概念図といいますか、大きな枠組みのところの範囲でしか、2003年から出ていますけれども、問題傾向としてはそこまで大きく変わっておりません。国家試験の、今度は出題基準ですけれども、5年に一度、言語聴覚士の国家試験の出題基準というのが改定されておりまして、平成15年、2003年の出題基準からICFが、医学概論。大項目医学概論の中で、疾病・障害の概念というところで、(ICIDH)から少し変革してきたよ、みたいな書かれ方がされています。平成20年の改定のところからは、しっかりと「ICF」という名前が銘打たれるようになりまして、平成25年、30年の改定では、そうですね、25年の改定のところから、背景因子がそこに加わるようになりました。平成30年の改定は、もうICFに関しては変わりないというところです。国家試験の問題も、資料として少し挙げていますが、ご覧のとおり、本当に枠組みについて問うものがほとんどでして、分類コードですとか評価点、採点法に関しては全く触れられておりません。
それと、同じようにリンクしまして、養成校の教育内容につきましても、ICFは本当に名前と概念を学んでいるというのが、そういった程度でございまして、STの養成校は4年制の大学と、大卒の2年過程というのが今ほとんどですけれども、4年制大学ですと、これもST協会としてまだアンケートとか調査をしておりませんので、森田委員と協力して、方々の養成校に尋ねて、ヒアリングをして集めた情報ですと、1、2年生で基礎科目。主にリハビリテーション概論の中でICFの概略を、1、2コマ程度で実施しており、3、4年生になりますと、専門科目の中で、事例検討を通してICFを用いた演習を実施しているというような状況です。そこでもICFの概念図を使用した演習というところまでで、コード分類ですとか、評価点、採点というところまでは実施できていないのが現状です。臨床実習においても、サマリーをまとめる際に、ICFを用いた症例報告をするというのが、どこの養成校でも指導している状況ではございます。大卒認過程では、また、それがさらにタイトになっているような状況で、2年間の授業の中で、1コマICFが触れられるかどうかというような程度だそうです。実習について、そこで、自分で調べながら、実習でICFを用いて、事例をまとめていくというのを、学生が各々しているというような状況だそうです。知識として大まかな概念は理解しているというレベルですけれども、実際にコード分類もわからないですし、採点法についても、PTさんOTさんでもありましたが、全く教えられていないし教えていないというような状況で、学生自身も調べて実施している、使用しているということは全くない状況です。A大学としてしまいましたが、これは本学のカリキュラムになります。本学では、今出江委員も仰いましたが、関連職種連携の中でICFを使っていくというようなコンセプトで取り組んでおりますので、リハビリテーション概論の中と、それから、2年生のところから、緑の字で、すみません、少し見づらいですが、示しております関連職種連携論、関連職種連携ワーク、関連職種連携実習というのが2年生3年生4年生の、実施していくんですが、これは本学ですと9職種あるのですが、看護師、PT・OT・ST、視能訓練士、メディカルソーシャルワーカー、それから医療情報の管理士、薬剤師の、そのそれぞれの職種でチームを形成して事例検討をしたり。そのときの共通言語のひとつとして、ICFを使って概念を、この共通した概念でケースを捉えていこうというような形で指導しています。ただそこも、本当に、概念図を示して、そこになんとか当てはめていくというような程度に留まっているような状況でございます。
すみません、雑多な説明になりましたが、STの現状として報告させていただきます。
○出江委員
ありがとうございました。歴史的ないきさつなども、非常にわかりやすくご説明いただいたと思います。以上です。当初このチームのリーダーとして何かまとめようかとも思ったのですけれど、このまま出させていただいて、それぞれの職種の状況というのをみていただきました。すごく大まかにまとめると、項目の教育ぐらい。もちろん概念はしっかりと教えているという。まあ、項目ぐらいで、なかなか評価点を実際に付けるという教育のところまでは難渋されているのではないかというふうな印象です。以上です。ありがとうございました。
○向野座長
ありがとうございました。只今のご説明について、質問等ございますでしょうか。はい、山田委員。
○山田委員
教育ツールを色々な団体なりが考えてやっているという現状は、今お話しいただいてよく理解できたのですけれども、色々な人が色々な解釈、色々なことを言い出すと収拾がつかなくなってしまうので、何かこう、国なのかわかりませんけども、オフィシャルな解釈というのを出す感じに、最終的にこのアウトプットとしては想定されるのでしょうか。
○出江委員
大変重要なポイントで、それが目標だと考えております。山田委員の仰るオフィシャルなというのは、もちろんこの委員会はひとつのオフィシャルですけど、そのレベルということでもよろしいですか。
○山田委員
少しそこはわからないのですけど、厚生労働省なのか、日本のWHO-FIC CCなのですかね。それとも、さっき横堀委員のeラーニングの話も出ていましたけど、あれも、WHO-FICの独立の団体が最終的には管理しているのでしょうか。そのへんの位置付けも少し整理しなくちゃいけないと思うのですけれども。
○出江委員
この委員会の見解がどの程度の公的な性質を帯びるかということですね。事務局から何かございますか。
○事務局
机上においてございます、国際生活機能分類の説明を読みますと、人によって解釈が異なったり、説明の内容が難しく感じられているようで、このような問題点を抽出して、WHOと連携もしながら、より簡潔に、しかしきちっと、ぶれのない説明資料を作成するという作業を、このワーキングで行い、親委員会に提案をし、承認をいただいて、最終的には、日本としてはこれでいきますということを示し、その結果は、協力センターのホームページに掲載する。この後でご報告しますけども、普及のためのウェブページを今作っているので、そういうところで公表を行っていきたいと思っております。
○山田委員
ありがとうございます。
○向野座長
他にご意見。はい、大夛賀委員。
○大夛賀委員
本日のご発表においては、専門職の教育プログラムにおいては分類や評価の方法については、まだ十分でないという話だったと思うのですけれども、あとで発表しますが、我々が行っているのは、今日のご発表であった分類や評価の方法の部分をまとめようとしております。
ICFの項目と評価ルールを使って評価してその情報を数量的に示していくという向野先生のフィールドテスト班の活動が一つの成果となると思いますが、一方で、リコード班で実施する既存情報を変換することで、ICFで表現していくとか、ICFのコンセプトモデルに既存情報を当てはめていきながら、ICFの内容が網羅されているかというのを確認するということも重要な内容だと思います。
これらの成果をうまく教育班の活動にも位置付けながら、2年間のとりまとめができればといいのではないかと思って聞いておりました。
○向野座長
ありがとうございます。他よろしいでしょうか。では横堀委員から。
○横堀委員
今、EICというWHO-FICの委員会に出ているのですけれども、WHOの会議もなんだかんだ長く出るようになって、色々な協力センターが、色々なものを作ったり考えたりして出てきています。だから、マニュアルだとか、それからeラーニングツールもそのひとつですし、ICD-10 eラーニングツールという、膨大なのもありました。でも、あまり普及はしませんでした。そのICD-10eラーニングツールは、EICが多くの労作をして作りました。ICFのeラーニングツールもそうですが、色々な委員会が作ったものがあり、それが最終的にWHOに認められたものか、ということがあります。現実にWHO-FICから色々資料が送られてきて、「EICこれ見て」「この教材見て」「このマニュアル見て」ときて、コメント等を出したりしますが、それが最終版に完成したものなのか。ずいぶん古いものでそのまま止まっているものもあったりして。こういうところに出す怖さも少しあります。
よく作ったWHO-FICの人たちが、WHOに「いつWHO承認してくれるんだ」って言います。WHOが承認しているというよりは、WHO-FICのメンバーがホームページに出しており、WHOそのものが認めているわけでもないものもあると思います。たとえば、これ例にならないかもしれないですけれども、WHO-FICにはAPN(アジアパシフィック)という活動があって、そこでICD-10の簡易版を作りました。発展途上国向けに、ICDに則って作ったのですが、WHOはICD-11を普及したく、あまり喜んでないところもゼロではなく。だけれども発展途上国に役に立つのです。それ使った方がいいのか、ICD-11使った方がいいのかとなれば、発展途上国への普及には、簡易版は役に立つ時もあるのです。場合によっては。しかし、理解し、気をつけて使わないと、そのままその国で、簡易版で止まってしまって、11が普及しなかったらいけないですよね。だから、少し教材も、本当によく見極めてないとならないと思います。色々な機関で、今日、教育があるのはよくわかったのですけれども、WHOのeラーニングツールならいいよねって使用するのがいいのかどうか。コアセットの方がいいのか。日本で教育をどう考えて行うかは、よく考えて教育していかないと。バラバラの教育や、あまりツールを理解しないでやってしまうという怖さがあると思いますので、是非よく考えて、教育の教材に何を使っていくか。WHOで検討していた、委員会で検討していたからといって、それでいいかというのもやはりいけないのではと思っております。
○向野座長
ありがとうございます。非常に重要なポイントだと思います。特にWHOに関しては、やはり他で作ったものをオフィシャルにするということはまずないようですので。ただ、たとえばICF eラーニングツールであれば、WHOのホームページにリンクが張ってあるということで、ある程度そこは認められているという状況なのではないかと思いますけれども、そうはいっても、WHO自体が、あんまりお金もなくて、自分で何か作っていくという状況でもないということもあって、そういう難しさがあると思うんですね。だから、できるだけオフィシャルに近いものを、まあ色々、勝手に何か作るというよりかは、できるだけ既存で、ある程度国際的に認められている枠組みを使いながら、教育ツールに関しても、使っていく、構成していくということが重要なのではないかと思っております。
ですので、ICF eラーニングツールはある程度良い入り方なのではないかと思っております。フィールドテスト班も同じように、少し考えております。はい。お願いします。
○小松委員
ありがとうございます。すいません、浅川委員よりご発表いただきました、理学療法士としてのモデルコアカリキュラムということでご発表いただいたのですけれども、比較的今回の委員になっておられる先生方が、PT・OT・ST、リハビリに関係することが非常に多いことがありまして、今回の教育ツールにつきましては、そのあたりの職種の方の教育ツールのご発表が多かったというのは当然かと思います。
ただ、浅川委員のご発表の資料の中に、ある医療職のモデルコアカリキュラムは、医学、薬学、歯学、看護学それぞれのカリキュラムがありますので、その中としてICFをどのように教育しているのかということも、非常にまとめる中で重要な役割かなと思います、思いましたので、もしも、少しお忙しいとは思うのですけども、そのあたりもしご検討いただけるのであれば、もう少し議論していただければ有難いなと思います。というのは、医療だけではなくて、ICFに携わる、リコード班でもあとでご発表あると思いますけれども、福祉職で介護認定の部分で活用しようというふうに考えているのであれば、ケアマネージャーであったりとか、福祉職の方たちにも、このICFがどのように教育されているのかということは、共通認識されておくべきかなと思いました。私は、看護大学、看護系の医療大学に所属しておりますけれども、ICFを教える内容は、国際統計分類なので、統計学の中で教えています。それ以外に、たとえば老年看護学であったりとか、障害に関する福祉関係の看護学であったりとか、その中でICFに触れることはありますけれども、統計というような、少し変わった分類の中でICFを教えているという現状もありますので、その辺り少し整理していただければ有難いと思いました。以上です。
○向野座長
ありがとうございます。そうですね、はい。
○出江委員
親委員会の立場というのは、少し今私が少しうろ覚えというか、ちゃんとしてないですいませんけれども、もちろんそういうスコープ、介護とか福祉のスコープ入っているはずですけれども、時間的にタイトなスケジュールの中で、まずこのICFを着地させるというところに主眼を置いているので、教育ツール班としても、まずそこを狙っていきたいと。
ですので、たとえばサ高住の人たちも、これはどうなっているんだとかですね、そういったところはもちろん入れて考える必要あると思いますけれども、そこで働く人たちへの教育というところは、少しこのスケジュール的には次になるかもしれません。
○向野座長
いずれにしても次のステップとしては重要なところだと思いますので、どこかのタイミングでということになるかと思いますが。
○出江委員
ありがとうございます。
○小松委員
ありがとうございました。
○向野座長
ありがとうございます。他にはよろしいでしょうか。それでは、次の分類更新・翻訳班の山田委員からご報告をお願いいたします。
○山田委員
それでは、まず、我々の班は、今回ふたつテーマがありまして、FDRGの、今度10月に開催されます投票ですね。CSACの投票の案を作るということと、Vチャプターの日本語訳ということになります。資料21-3ですね。Excelのファイルになりますけれども、最初にVチャプターの翻訳から話をしていきたいと思います。今少し画面出ると思いますが、先ほど向野座長から色々Vチャプターの話ありましたけど、七十何項目ありますが、基本的にWHO-DASから由来するものに関しては、WHO-DAS独自のタイトルが付いていまして、ICFのコードにないものが存在しているということになります。で、そこの日本語訳をどうするかというのを検討してまいりました。ICFのコードになっているものは、そのまま日本語がすでにありますので、それを利用するということで、コンセプトで進めております。このExcelのファイルに、一応既存のWHO-DASの日本語訳が、もうすでに出版されているものがありますので、そのままのものと、それと改めて直すのかどうかというのを検討したファイルになります。一部翻訳自体が間違っているものもあったりとか、名簿の使い方とかも色々問題あるものもありましたので、こちらの黄色い部分に、改め直させていただいています。これを全部見ていると時間もございませんので、1回この資料を閉じていただいて、21-3、机上配布資料1-3ですね。PDFに移っていただいて。抜粋したものがこちら、資料の1-3になります。で、この場でディスカッションはないと思います。かいつまんで、ポイントになるところだけ。括弧の1、Getting alongのところですね。たとえばVA31「Informal relationship with friends maintaining」というところですね。元々の日本語訳のWHO-DASだと、「Informal relationship」というのが、「非公式な関係」と訳されていましたので、少し、それこそ読んで直感的に理解できないということがありましたので、この部分を「形式ばらない」という日本語に修正させていただいております。そんな感じのことをやらせていただいて、ざっとすべての項目を見直させていただきました。という報告になります。
とりあえずVチャプターの翻訳に関しては、これでご意見いただければと思います。
○向野座長
はい。こちらに関しまして、翻訳に関しましてご意見何かございますでしょうか。はい、出江委員お願いします。
○出江委員
どうもありがとうございました。本当に翻訳は大変な作業だと思うのですけども、例えば学会の用語集とか、医学用語との整合性については、どの程度意識されますかね。
○山田委員
用語に関しては、日本医学会の用語集とかも参照させていただいて翻訳しておりますので、むしろあまり専門用語よりは、英語のニュアンスを汲み取ることに作業としては重きを置いてやってまいりました。WHO-DASに関しては、WHO-DASの先ほどから話題になっている質問の内容というのがあって、そこの、文章になっているのですけども、その文章からニュアンスを汲んできて、単語に落とし込んでいくタイトルの翻訳の仕方をするのか、それとも単語だけから読み取れる内容で翻訳をするのかというところを少しディスカッションがあったんですけども、基本的に単語だけから読み取れる範囲で日本語へも訳していくということでやらせていただいています。
○出江委員
ありがとうございます。
○向野座長
他、よろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。
○山田委員
では、続きましてCSACの投票の話になります。資料、23-1、机上配布資料3-1。2019年ICFアップデートプラットフォームというのをまず少し見ていただければと思います。出ますでしょうか。いきなり修正内容から始めるとイメージがつかないと思いますので、こちらの資料少し見ていただいて、はい、これですね。ホームページでICFアップデートプラットフォームというのが、基本的に誰でもアクセスできるようなところになっています。一個一個、たとえばこれ、dの138というのに関する変更をディスカッションしましょうというページの印刷になりますけども、d138というのが、Acquiring informationですね。というカテゴリなのですけども、138-8のコードが、「特定しない」とかそういうニュアンスになってしまうので、これを修正し134に変えましょうというのが、ここでディスカッションのテーマになっています。だらだらと下に移って、Votingのところですね。これに関して、各国の投票権を持っている人がイエスかノーかというのを投票しているという形になります。2019年の1回目、2回目、3回目とあって、3回目が10月の対面会議で。第2回は、9月の10日が締め切りになっています。最終的にはCSACにおいて投票をする形になりますけども、その予備投票というのもやられています。Yes、No、Can't Decideということになっています。それを日本の案として考えてきたというのをこれから触れさせていただきます。その結果が、資料03-1。資料3-1、国際生活機能分類ICFの一部改正の投票について(案)ですね。これもモニターに出ます。これもまた全部見ている時間はございませんので、要点をかいつまんでいきます。基本的に今回の改正に関しては、ICF-CYが廃止になりましたので、CYにある項目をICFに落とし込んでいくというところの是非を問うているのが多々あって、それに関してほぼ問題ない部分は○で賛成になっているか、若しくは少し議論が煮詰まらないので△になっております。日本からの投票に関しては、明らかに×と付けたものに関してはコメントを入れる。また、△にも入れていくという形でやらせていただいています。
たとえばNo.1、ID136ですね。新しい5206「Caring for ears」というコードを付けましょうということに関しては、これは×を投じさせていただいています。というのが、補聴器をどう扱うかとかいうのが、まだ少し議論が煮詰まっていないのと、Body partsですね。耳と、爪とかですね、そういった部分のケアをしましょうという大元のコードなのですけども、耳だけ入ると少し違和感があって、目のケアも必要ではないかという意見もありまして、最終的に×という形に指定させていただいております。文章、コメントのところに、コメントが多いディスカッションがあったところだけ、かいつまんでお話しさせていただきますけども、No.3のID367ですね。これは心身機能の定義にCYと同様の補足定義を追加するということですけども、CYがなくなってしまったので、心身機能を評価するときに、子どもの場合、児童・青年の場合は発達の途中で変わってくることがありますよと注意書きを入れようということ、の提案であります。これに関しては、その途中の段階で評価をするのはいいのか悪いのかという議論があって△になっています。あと5番の370ですけども、精神運動機能の組織化とその階層に関することですが、これに関しては概念の整理がまだできてなくて、何をもって精神運動機能とするのかというところが議論になって、△になっています。9番、376。Eの1200ですね。屋内の移動の道具として人力による乗り物を入れるかどうかということに関してなんですけども、人が押しているのに乗ってもらうのをどうするかというところで、子どものバギーなんかだと、自分で駆動しなくて押してもらうというものをどう扱いますかという話の議論でした。日本には人力車とか、あと昔は御駕籠があったりとかありましたので、そのあたりを少し触れて、少し議論があったので、これも△になっています。といったところで、コメントすでに厚生労働省から書き込んでいただいて、次の投票に向けての準備という形になっています。各国の動静をみながらですね、最終的な案を検討して、CSACに臨みたいと思っております。以上です。
○向野座長
こちらに関しまして、ご質問、コメント等ございますでしょうか。特によろしいでしょうか。こちらの投票に関しては、今度はWHO-FICミーティングで、また議論がされるということになります。
次にリコード班の大夛賀委員から報告お願いいたします。
○大夛賀委員
我々の資料は5つ出ています。
そもそもこのリコード班は、前回の委員会で、私がこのリコードがICFの普及推進において大変重要なので、ひとつ別に出してほしいということでお願いしてできたものです。
それは今日の議論でもありましたとおり、ICFによる分類と評価への活用が遅れている中で、もちろん項目と元々のルールを使って評価をするというのが王道なのですけれども、日本の場合は多様な領域で多様なアセスメントツールがありますし、医療介護の状況でありましても、様々な情報が行き交っていますので、既存情報を変換してICFで表現するというのも大事な仕事と思っており、その方法論の検討を進めている状況です。
活動内容を資料に書かせていただいておりますが、大きく2つあります。まずは、研究レベルにおいて、リンキングルールの様々な方法が示されていますが、これを集約していくということを行っています。次に、リコード班でもフィールドテストを行って、実際の数量的なデータを示せればいいかなということを考えております。
少し考え方の整理のために、資料にリコードの考え方を示しています。リコードには2つあると考えております。1つ目は、ICFコンセプトを用いた、既存情報のリコードということで、こちらは簡単にいうと、評点を付さないで、既存の、たとえばアセスメント情報や支援計画の内容の網羅性をICFコンセプトで整理していくことです。統一感の関係上、リコードと表現していますが、マッピングといった方がイメージしやすいかもしれません。
2つ目は、ICFの項目を使ってその項目に関わる障害の程度について評点を付していくということです。リコードという場合には、この大きく2つがあるということです。
2つ目に関連して、現在実施しているのが要介護認定情報のリコードということになっております。介護保険の中で要介護認定情報というのはかなりの大きな日本が有するビッグデータになっておりますので、これをICFで表現するというのが、チャレンジングな試みであろうということで、具体的には要介護認定項目74項目をICFの項目に置き換えて、これをICFで表現していくということを行っております。新たに加わったものとして、診療報酬上で様々な書類、たとえばケアマネージャーが任意情報提供で医療機関に送っていたり、あるいは退院のときに退院時サマリーということで、医療機関から在宅側に書いていくという、入退院の一連の流れの中でも、様々な情報が行き交っていますので、この情報をICFで整理できるのかということも、少しやってみたいと考えております。
2年間の最終的なアウトプットとしては、リコードに関しての方法論をまとめたいと思っております。
次のページにまいります。具体的に先生方のお力をお借りして、この要介護認定調査項目のリコードを進めているところでございますが、今日時点で具体的なアウトプットを示せませんでしたので、今日の時点では途中経過ということで、ご報告させていただきたいと思います。
具体的には、委員の先生方にこの要介護認定調査項目をリコードしてみてくださいということで、専門識者によるリコードを行ってみましたが、ほぼ一致していましたが、違うところも見受けられました。今回のプロジェクトにおけるリコード案というものを、次回までにはお示しできたらなと思っております。現時点で、リコードする際の留意する事項というものも、色々先生方からいただいております。これはICFでリコードを使うときの問題としてこれまでも指摘されてきたと思いますが、第何レベルで情報を揃えるのかというところが、結構鍵になってきております。
今日の村井委員の報告でも、1500コードを理解するのは困難であるというお話があったと思います。確かに、第3、第4レベルまで数えると1500になるのですけれども、実はその上の第2レベルですと362になります。
多様な内容を含んでいる評価項目をICF情報に変換するときに、2つコードが付いてしまうということもわかっておりますので、これを2つのまま集約していくのか、あるいは1項目ずつ対応させるのかということも、まだ煮詰まっておりません。
また、ICFのコンセプトの考え方をどの程度リコードにおいても加味するかという課題もございます。たとえば、活動と参加に、capacity(能力)とperformance(実行状況)と2つの軸があり評価にあたっては、その人本来の能力なのか、支援を受けた状況を評価するのかということを区別するという難しいルールがございます。現在行っている、要介護認定項目のリコードでも、もですね、能力・介助・有無というカテゴリが3つございまして、こういったものを、意味を汲み取りながら、コードを付していくのかというところも、まだ少し十分に議論できていません。
さらに、要介護認定の調査項目リコードの作業を通して、ICFの環境因子のところがさっぱり抜け落ちているということがわかりました。実際は、介護保険におけるケアプランを作成していく上で、環境調整はケアマネージャーが大変よく行っていますし、今日のお話にあったように、コメディカルの皆さんも環境調整のところをかなりやられているというところで、これをデータ化できるかというところがかなり重要なポイントになっております。
小松委員から概況調査票の項目をコーディングすれば、ある程度環境因子が拾えるのではないかかというご示唆もいただいております。
このように、要介護認定調査項目というひとつの例を取り上げても、コードに必要な留意点というのがたくさん出てきておりますので、こういったところはしっかりまとめて、既存情報を使う上での気をつけておきたいポイントを、資料としてまとめたいと思っております。
次に考え方の1つ目に関連する内容です。既存情報をICFのコンセプトでマッピングしていくということを行っておりまして、たとえば基幹統計調査といって、日本が色々な住民を対象とした国レベルの調査を行っています。これをICFで表現することができれば、かなりのICFのデータが取れるということがわかります。国民生活基礎調査とか、厚生労働省の社会援護局で所管している生活のしづらさ調査について、マッピングを行ったというような研究を行ってきましたので、あとでご参照いただければと思います。
最後に、小松委員が国内外のアセスメントツールを集めて、これをICFで情報整理していたという研究を実施しており、是非この場でご紹介いただければと思いますので、少し時間を取って研究成果を発表していただければと思っております。小松委員から、これについて説明をお願いいたします。
○小松委員
ありがとうございます。机上配布資料4-2別紙1、別紙2をご覧いただきたいのですけども、最初の分になります。ICFとの対応を検討した評価尺度というのが、かなりページ数が多くなっています。これは日本だけではなくて、世界中に非常に多くの評価尺度がありますので、まずその評価尺度をICFそれぞれの下位尺度についてのICFコードをまず振りました。ページ数としてはかなりあるので、目次の次のページを見ていただきますと、アルファベット順でAからずっと載せてあります。その項目すべて、評価尺度についての下位尺度すべてにICFコードを振る作業をまずしました。その資料が、その次の別の1になります。
たとえば、バーセルインデックスも有名なADL評価尺度になりますけども、全部で10項目あるバーセルの質問紙に対して、ICFコードをコーディングしたということになります。先ほど大夛賀委員が仰られた通りですね、1対1対応にはなっていないということ、1対2、1対3というように、非常に増えるのではないかということが、まずこれで読み取れるということになります。バーセルの中で、上から6つ目の「歩行」というのがあります。この歩行というものにまず一例を挙げてご説明させていただきたいのですけども、別2の資料を見ていただくと、ADLに関する有名な尺度になっています。これは運動の色々な評価尺度ということで、歩行を含むものです。運動・移動に関する質問項目ということで、EQ-5D、SF-36、バーセルインデックス、mRSという評価尺度がございます。耳馴染みのない評価尺度だと思いますけども、先ほどのICFとの対応を検討した評価尺度という中に、これらすべて4つが入っておりますので、それまたご参照いただければとは思います。その中で、歩行ということの質問項目は、たとえばEQ-5Dですと、「歩き回るのにいくらか問題はない」「歩き回るのにいくらか問題がある」というような設問になります。SF-36になると、「少し重たいものを持ち上げたり運んだりする」次が「階段を数回上ることができる」というようなことが、設問項目に上がっています。バーセルは基本的に歩行のメートルが基準となっています。ひとつは。「45m以上歩行ができるか」とか、「補装具を用いて45m歩けるか」というようなことを問いています。最後のmRSというのは、重症度分類という分類になりますので、「中等度の障害があるかないか」というような聞き方です。重症度の中等度か重度かというような聞き方になっています。これをすべてコーディングしたところ、その下のICF Walking and movingということで、dの450からdの469のコードを付ける場合、たとえばEQ-5Dですと、dの450、dの455、dの465には当てはまるけども、dの460には当てはまらないだろうというような考え方になります。それを全部EQ-5DからmRSまでコーディングをし、比較ができるということになります。で、この比較をするときでも、人によって、EQ-5Dはこれは全部当てはまるという人もいれば、mRSに関しても全部当てはまるという人もおり基準が違うということです。運動というひとつの歩行を取ったとしても、評価尺度によって違いがあるという考え方になります。なので、歩行に関する評価尺度の違いが、どういったところで用いられるのか、これはただ単に違うということを解釈するのではないと思います。たとえば難病、元々の研究課題は難病の方をさせていただいていますので、難病には臨床調査個人票というものがありますが、その中で医師の方が、診断ですね、行政に医療費の補助を出すために出す診療書、診断書みたいなものがあります。その診断書の中に、非常に多くの項目を書かないといけないということがあります。たとえばALS、神経難病の代表の疾患ですけども、ALSなんかですと、100項目以上の臨床調査個人票の項目があるのですけども、その中にEQ-5D、バーセルインデックス、mRS、それぞれの項目が臨床調査個人票の中に含まれているのですね。なので、歩行という項目が3回は出てきます。ひとつの疾患に関して評価をするときに、歩行という基準が、同じ人で同じ医師が診断する中で、尺度を3つ使って歩行を比較するということになります。なので、その統一性があるのかとか、医師も100項目を全部つけていくというのはかなりの作業になってきますので、単純に「歩行」というものを評価するときに、どこを基準としているのかということを、ICFと対応するような評価尺度の一覧があれば、少し参考になっていくのではないか、統一した統計的な書類として、用いることができるのではないかということで、今、進めております。これはあくまでもリコード班として進めているというわけではなくて、こちらの個人の研究で、若しくはもうひとつ別の研究班がありますので、そちらで進めてはいるのですけども、このワーキングでも当然リコード班ということで、情報を提供しながら、一緒に考えていきたいということで、今回出させていただいたという次第です。ありがとうございます。
○大夛賀委員
小松委員ありがとうございました。このように、リコードといってもかなり色々ありまして、難しいところがあると思いますが、でも考え方を整理していくことは重要なので、そのメリットデメリットがある中で、どうしたらICFというひとつの共通目標の下に既存情報を集約できるのかということをリコード班の活動を通してまとめていきたいと思っております。以上です。
○向野座長
ありがとうございました。これに関して何かご意見等ございますでしょうか。この中で、リンキングってかなり色々なところでやられていると思うのですけれども、ある程度ワーキンググループとして、こういうルールでやるんだよということを、しっかり作っていくということですね。既存の論文で出ているようなリンキングルールは、あんまり詳しいこと書いてないので、そこらへんを共通ルール化できる、意見を出していけるといいかなと思います。
他に何かございますでしょうか。
○村井委員
リコード班の発表ありがとうございます。とっても腑に落ちて共感をしているところです。小松委員の発表につきましても見させていただいて、臨床現場なんかよく、私なんかは精神科でMMSEのスコアがICFのどこを特定しているのか、今論文がいくつか出ていると思うのですけども、本当にこういう整理って、その評価から何のICFの領域が特定されているかという、そういうような総合評価だと臨床の領域ではとても使いやすくなるような気がしています。そういう意味では、私も少しよく、さっき言った水準、さっき言った300コード第3水準ですかね。その水準まででも網羅してトータルでこう丸く見られるというデータの集め方とても重要だと思っていまして、たとえば脳卒中だったらこのコードがよく使われやすいとか、たとえば介護の領域であったらこのコードが使われやすいとか、そういうデータってとても興味があるところですけれども、本当にそういうのを出てくるのならば、このあと、何かを捉えるときに、とてもいいヒント、わかりやすい関わり方、ポイントの絞った早目の対応とかがしやすくなるのではないかと思いますので、ぜひご協力していきたいと思います。
○大夛賀委員
重要なご指摘ありがとうございます。たとえば患者さんの一入院における経過を考えますと、ケアマネさんが環境因子の情報を送るけれど、病院ではあまり使われなくて、でも最終的に在宅に返すときに必要になるということもあります。現時点の入院期間の中では、環境因子の情報の共有はないとしても、今後、退院時サマリーに生活機能を付与していくみたいなことが重要になってくるかなと思います。具体的な方法論として、向野座長が進められているVチャプターであったりとか、ICFコアセットの項目を評価を入退院の様式の中に入れていくというものもあると思うのですけれども、なかなか難しい場合に、既存情報からここまで表現できるということも整理していくことが重要と思います。ありがとうございます。
○村井委員
その中ですごく感じていることがございまして、やはり共通言語という言葉がこの中にはすごく重要なものを示してくるなと思っておりまして、たとえば、注意機能ってひとつ読んでも、これ領域によって少し微妙に読み方が違っていますよね。各学会によって。ここらへんもここの班はどこまで扱われるのかなというのは、聞きたいと思っています。
○向野座長
ありがとうございます。今後の議論の中でもう少し深めていければと思います。
お時間もありますので、このへんで打ち切らせていただきたいと思いますけれども、課題別検討班からの活動のご報告をひととおりいただきました。このワーキンググループの目標としては、令和3年3月の任期終了までに、ICF普及に向けた項目セットの検討、それから普及教育資料の作成、国内フィールドテストの実施、ICFリコードルールの検討といったところを進めていくということになっておりますので、その中で先生方にも、委員の先生方にも、ご協力をいただきたいと思います。今年度3月末にはですね、ICF専門委員会に中間報告をしたいと思いますので、今後はメール等にて議論を進めさせていただきたいと思います。
また、検討事項の2年間の具体的なスケジュールですね。こちらも整理してお送りしていきたいと思いますので、委員の先生方におかれましては、ご確認をお願いしたいと思います。
以上になります。次に議事の2、少しお時間がなく申し訳ありませんが、ICFシンポジウムについてお願いいたします。
○事務局
簡単に申し上げます。今年度も第8回厚生労働省ICFシンポジウムの開催を予定しております。資料の2をご覧ください。概要を、ざっくりとしか書いてございませんが、日時、場所は決まっております。2020年1月18日土曜日です。12時開場、13時開会の16時45分閉会というスケジュールになっておりまして、場所はイイノホール。ここから近いところですけども、主催は厚生労働省。もちろん費用は無料でございます。定員がございますので、募集をいたしまして、定員を溢れてしまったらお断りしなければいけないこともあるかもしれませんので、早めにご案内をしようと思っております。併催行事としては、毎年、ポスターを募集しています。ICFの活用状況を教えていただく。それだけでは少し勿体ないと思って、少し具体的なポスターのタイトルも考えてみたと思っております。
詳細なプログラムは、リーダーの方たちと詰めさせていただいて、ご案内をしたいと思っております。以上です。
○向野座長
ありがとうございます。こちら、特にこのワーキンググループの取り組みの内容も、ここで発表できるようにお願いしていきたいと思いますので、皆様ご協力をお願いいたします。何かご質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、議事3のその他について、事務局よりお願いいたします。
○事務局
それでは、机上配布資料の、資料の3-2をご覧ください。委員からとても有用なご発表いただいておりまして、こういう情報をひとつのサイトに集めて、一般の方たちからアクセスして、「ICFって何」「ICFどんな研究しているの」「どんなことがわかるのだろう」というような情報を集約していきたいと思いまして、今用意しているところです。私共、日本WHOの協力センターとなっておりまして、サイトを持っております。そこにこのWEBの場所を用意しようと思っています。コンテンツとしては、先ほど話題になりました国際生活機能分類の赤本ですね。既存のものがだいぶ議論が進んで、委員会でも一部改正ということで集約しておりますが、2011年から2017年、18年まで溜まっておりまして、そういったものはもう委員会で公表されているのですけども、やはりサイトに載せて、元々のものはこれで、そこからアップデートはこのようにしていますよというような情報をお伝えする。
それから、厚生労働科学研究でICFに関するご研究を大変多くの方々に行っていただいておりますが、それらもリスト化掲載します。そこにアクセスすると保健医療科学院のデータベースに到達して内容を閲覧出来るようにする。
そしてこれまで3回になりますでしょうか、シンポジウムでポスターを募集して集約しておりますが、そういったものも見ることができるようにということを考えて、今作っております。先生方、委員の皆さんには、テストサイトをお送りしますので、ご意見をいただいて、最終的な公開の目標としては次回のICF専門委員会までには公開できるように準備したいと思っております。以上です。
○向野座長
ありがとうございます。この件について何かご質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
はい。引き続き、その他の議題についてご説明をお願いいたします。
○事務局
参考資料の6番および机上配布資料の3-3をご覧ください。こちら英語のままになってございますが、例年WHO-FICの協力センターネットワーク会議が、各国の持ち回りで行われております。本年はカナダのバンフにおいて、10月6日から11日まで開催される予定でございます。当室からは私とこちらの柳川補佐、あと中山係長の3名が参加する予定でございます。先ほどご議論いただきました、ICFの一部改正の投票を行うCSAC-ICFは、10月9日木曜日のオレンジ色のところになってございます。
また、ICFの各国の活動報告や、ICFの一部改正、EICやFDCといった、他の活動グループとの関連項目などを話し合うFDRGの会議は、10月6日日曜日の午後、また、7日月曜日の午前に開催されます。ワーキンググループからは、大夛賀委員、小松委員、向野座長、山田委員、横堀委員。またICF専門委員会からは、橋本委員にご参加いただきます。当室は柳川補佐が担当いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
○向野座長
ありがとうございました。それでは、その他の項目についてですけれども、まとめて事務局からの説明についてのご質問、もしございましたらお受けしますがいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
では、以上になります。
○事務局
ありがとうございます。本日は活発なご議論いただきまして、誠にありがとうございました。次回のワーキングは、来年の3月頃の開催を予定してございます。1年間のワーキングの活動のまとめ、親委員会への報告事項について中心に議論させていただければと考えております。
事務局より早めに日程調整をさせていただきたいと思いますので、ご多忙の中恐縮でございますが、ご都合をお知らせいただければと思います。
それでは、以上で第2回社会保障審議会統計分科会生活機能分類専門委員会生活機能分類普及推進検討ワーキンググループを閉会いたします。本日はお忙しい中ありがとうございました。
(了)
照会先
政策統括官付参事官付国際分類情報管理室 三橋、高橋
代表03-5253-1111 内線7493