第4回精神障害者等の就労パスポート作成に関する検討会(議事録)

日時

令和元年9月25日(水) 16:11~17:59

場所

厚生労働省 専用第13会議室

議事

○地域就労支援室長補佐 ただいまより、「第4回精神障害者等の就労パスポート作成に関する検討会」を始めさせていただければと思います。
 本日は、小幡委員、中川委員が御欠席となっております。
 それでは、以降の進行は座長の朝日先生にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○朝日座長 どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、就労パスポートの様式、活用ガイドライン、御本人向けリーフレット及び活用の手引きに関して、先に行われました試行の結果を踏まえた改訂案について、議論をしてまいりたいと思います。
 次第に従いまして進めたいと思います。議題1「就労パスポートの試行結果を踏まえた様式等の改訂案について」でございます。
 まず、事務局から御説明をいただきまして、その後、協議してまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○地域就労支援室長 地域就労支援室長の澤口でございます。
 では、試行の状況、試行を踏まえた改訂案等について説明させていただきます。
 まず、資料1「就労パスポートの試行について」を御覧いただければと思います。
 試行につきましては、委員の皆様の機関、それから、企業にも多大な御協力、御尽力をいただきました。おかげさまで、いろいろ現場の意見を伺うことができました。改めて感謝申し上げます。
 「1.協力機関」ですけれども、15機関で試行を実施いたしました。
 「2.実施期間」は、6月から8月でございます。
 「3.実施件数」については、最終的に就労パスポート作成件数としては95件となっております。これを障害種別に見ますと、下に書いておりますように、精神障害の方が42%ほど、発達障害の方が20%ほど、高次脳機能障害の方が12.6%ということで、障害種別ごとに試行の状況を捉えられたと思っております。
 ちなみに、就職時点、就職後でどのような活用状況だったかを申し上げますと、就職時点が約56%、就職後が約44%でございます。就職時点が若干多いですけれども、就職時点、就職後の状況についても、大体試行できたという状況であります。
 1ページ目の一番下は、質問票の回答件数ということで、障害のある御本人、支援機関、事業主の方から、この就労パスポートについて、いろいろな御意見等をいただきました。
 その御意見の中身については、次ページ以降でございます。
 2ページ目の「4.活用のしやすさについて」でございます。
 まず「どちらかといえば活用しやすかった」、「活用しやすかった」という回答を合わせますと、一番上にありますように、活用しやすいという御意見の割合が64.5%ということで、多くは活用しやすかったという評価をいただいております。
 その具体的な意見が囲みのところにありますけれども、○の1つ目にありますように、御本人について理解促進や共通認識の形成につながったという意見をいただいております。採用面接のとき、また、職場で環境が変わるときに自分のことをよりわかってもらいやすくなると思うとか、チェック項目が具体的に複数あるので共通認識を持ちやすいといったことで、活用しやすかったという御意見をいただいております。
 次に、2つ目の○のところですけれども、支援者と話し合いながら就労パスポートを作成する中で、自分のことが整理でき、自己理解につながったといった御意見をいただきました。
 こういった非常に前向きな御意見をいただきましたので、こうした御意見を「利用者の声」として御本人向けリーフレットやガイドラインの中に盛り込むかたちで対応させていただいております。
 3ページ目でございます。こちらは、どちらかというと活用しにくかったので、このような形で直したらどうかという御意見でございます。
 一番上の囲みのところですが、これが一番多かった御意見でございます。項目や選択肢の言葉や文章がわかりづらかったということで、質問文にも難しい言葉が多いと感じましたという御意見が多かったという状況です。
 この点については、のちに各項目の修正案で御説明しますけれども、基本的にわかりやすい表現に修正することで対応しております。
 次の囲みですけれども、選択肢にチェックする形式がわかりやすかったという御意見もあれば、どちらかといえば自由記述方式にしてはどうかという、2つの御意見がございました。
 こちらも太字のところにありますように、基本的には選択方式と自由記述方式との組み合わせを維持していこうということで、ガイドラインや御本人向けの資料には自由記述欄のわかりやすい使い方等も記載することで対応していこうと思っております。
 一番下の囲みですけれども、こちらは、自由記述欄は小項目ごとに書けるほうがよいとか、少し位置を入れかえたようがよいといった御意見をいただきましたので、そういった御意見を踏まえた対応をさせていただいております。
 続きまして、4ページ目になります。
 上の囲みは「支援機関と一緒に作成するのがよい」ということですけれども、こちらはこれまでの検討会でも、支援者がキーマンになって作成を支援していくという議論を進めてきましたので、こういったところをわかりやすくガイドライン等に記述するかたちで対応しております。
 2つ目のところは、就労の可否、採用の可否に影響するのではないかという御意見であります。こちらも検討会で議論になったところですが、就労パスポートは就労の可否、採用の可否の判断に使うものではないということで、こちらもわかりやすく記載をしていくとともに、後ほど説明しますけれども、今後、完成した際には、事業主セミナー等でしっかり周知をしていこうと思っているところでございます。
 続きまして、5ページ目でございます。
 上の囲みのほうは、御本人や支援機関等からの御意見ですけれども、複数回答が可能な様式になっておりますので、その中でどれの優先順位が高いか、低いかといったところが示せるほうがいいのではないかという御意見がございました。
 「4 コミュニケーション面」、「5 作業遂行面」の欄については、今の時点の修正案としては、特に配慮を希望する項目に〇をつけられるように、優先順位欄を設けるような修正案にしてございます。
 その下の囲みは、どの程度できるかのレベル感を示せるようにしたほうがいいのではないかということで、3択方式にするとか、段階別でレベル感がわかったほうがいいのではないか。また、御本人の意見からは、評価票とかテストのような印象を受けたというような御意見をいただいております。
 就労パスポートは決して評価票というものではございませんので、こちらは自由記述欄で記載できるという記載例を盛り込んでいこうということと、御本人の希望が前面に出るようにということで「必要あり」、「必要なし」という表現を「希望あり」、「希望なし」といった表現に直させていただいております。
 続きまして、6ページ目になります。
 こちらは事業主側が配慮を考えるときに、どう対応していいかわからないといった御意見でございます。
 こちらのほうは、決して事業主が単独で全ての支援を行うべきということではありませんので、太字にありますように、支援機関のさまざまな支援も一緒に活用することが効果的といったこと、また、就労パスポートの項目の中で、こういった配慮があればこういうことができるといった書き方にしてあり、まさに「こういった配慮があれば」の部分が配慮のヒントになってくるということをわかりやすく説明を追記するという対応にしてございます。
 2つ目は、変化を追うことができるとよいということでございます。これも検討会で、御本人の希望に応じて過去の就労パスポートを残す、残さないといった対応ができるという話をさせていただいておりますけれども、過去の就労パスポートを残しておくと、経過が追えるのではないかという御意見であります。
 こちらもこれまでガイドライン等にも書いてございましたけれども、更新前、更新後の就労パスポートを残しておくとこのような比較もできますといった、更新前の様式を残す趣旨等をわかりやすく記載するという対応をさせていただいているところであります。
 続きまして、7ページ目になります。
 こちらは、就労パスポートの項目の内容によっては、就労経験がないと書きづらい項目があった。働いていないとなかなか書きづらい項目があるのではないかといった御意見であります。
 こちらも検討会でこれまで議論してきましたように、決して就労パスポートを一度に全部書かなければいけないということではございません。書けるところから書いていくという活用方法もございますので、そういったところをガイドライン等にわかりやすく記載したり、就職前、就職後のそれぞれの記載例なども入れたりして対応しております。
 その下は、就労支援機関が就労パスポートに習熟する必要があるということで、こちらは周知活動の中で支援機関向けのワークショップ等を考えておりますので、そういった中で対応していこうと思っております。
 3つ目は既存の支援ツールとの関係であります。こちらもこれまでの検討会でも議論になっていたところですけれども、就労パスポートは他の支援機関のツールと組み合わせて活用することができますので、そういったところをわかりやすく記載をすることで対応しております。
 続きまして、8ページ目になります。
活用の仕方のイメージがわからなかったということで、こちらも試行の中での利用者の声を活用して、具体的なイメージが湧くような記載をしていきたいと思っております。
 また、様式をデータで扱えるようにとか、様式をダウンロードできるようにといったことは、そのように対応していきたいと思います。
 3つ目につきましては、支援機関がきちんと作成を支援したことがわかるように、支援機関の押印欄があればという御意見ですけれども、前回の検討会でも、例えば、支援機関が添え状をつけるというやり方もあるのではないかという御意見もいただいておりました。こういったことも踏まえて、太字にありますように、別途資料を添付するような例も考えられるとガイドラインに記載させていただいております。
 9ページ目は様式の分量の関係でございます。試行した結果、分量はちょうどよいという回答が63.7%ということで、多くはちょうどいいのではないかという評価をいただいているところであります。
 中には、もう少しコンパクトにしたほうがいいのではないかといった御意見もありましたが、分量はちょうどいいという意見が最も多いということで、現時点の分量は維持しつつも、わかりやすい表現等の工夫をしていきたいと思っているところでございます。
 以降は各項目の意見でありまして、こちらもポイントを絞って御説明させていただきたいと思います。
 最初が表紙の副題の部分でございます。これまで「精神障害のある方等の」という副題にしておりましたけれども、こちらについては精神障害と限定しない表現ぶりがいいのではないかという御意見をいただきました。
 このことも踏まえて、現行の修正案といたしましては、「障害のある方が働きやすい職場づくりを進めていくための就労パスポート」ということで、障害のある方が対象ということがわかるようにしつつ、少しやわらかい表現ぶりにさせていただいているところでございます。
 次の部分は、就労パスポートは採用の可否の判断に用いるものではないことや、活用の際にはガイドライン、御本人向け資料を御覧くださいという注意書きを入れるほうがよいという御意見がありましたので、そういった対応をさせていただいております。
 続いて、10ページ目になります。
障害名を複数記入できるようにという御意見もありましたので、そういったことが可能である旨を明記しています。また、「1 職務経験」の欄については、職務経験の多い方がいるので、別紙に記入できるようにしたらいいのではないかという御意見を踏まえ、記載要領を修正しております。また、職業リハビリテーションの経歴も含めて書けることについては、改めて記載例の中に入れてございます。
 その下の「2 仕事上のセールスポイント」ですけれども、「セールスポイント」という言葉が非常に難しい、わかりにくいという御意見がありましたので、わかりやすい表現に修正をさせていただいているところでございます。
 11ページ目の「3 体調管理と希望する働き方」のところでございます。「ストレス等を感じやすい状況・場面」の欄については、場面によって違うため、場面想定を示してほしいといった御意見がございました。
 この部分については、いろいろな場面がある中でストレス・疲労を感じやすい状況・場面を記載してくださいといったわかりやすい表現に修正等をさせていただいております。また、不安や緊張、イライラを感じたり、疲れを感じたりする状況ということで、できるだけイメージできる場面・状況が書けるように修正をさせていただいております。
 次の「ストレス等のサイン」の欄については、周りが見て気づけるサインを書いてほしいという御意見がございましたので、その旨、注意書きと追記をしてございます。
 「対処方法」の欄については、御本人が自分で取り組むことと職場に配慮してほしいことの書き分けができるようにという御意見がございましたので、そのように対応させていただいております。
 続いて、12ページ目になります。
 まず、通院・服薬管理のところでございます。服薬頻度等を書けるようにという御意見がございましたけれども、現状の様式を維持しつつも、記載例において、そういったことも書けるよう表示させていただいております。
 「希望する働き方」の欄についても、希望する配慮の理由、通勤に関すること、障害以外の既往症についても書けるようにといった御意見がございました。これらについても書けることを記載例の中で表示させていただいているところであります。
 13ページ目は「4 コミュニケーション面」の欄についてです。一番上の囲みのところですけれども、場面や相手が想定されていると答えやすいという御意見がございましたので、業務中の仕事に関する会話、職場内の人との会話と欄を分けて修正をさせていただいております。
 2つ目の囲みについても、これまでの御説明のとおり、言葉や表現がわかりにくいという御意見がございました。「会話、意思表示」、「推察」という言葉もわかりにくいということでしたので、「会話、意思表示」は「相手とのやりとり」、「推察」は「読みとり」というように、わかりやすい表現に直させていただいております。
 その下は「5 作業遂行面」の欄についてです。業種別、職種別に作業が違うので、様式を別にしてもよいのではという御意見がございましたが、分量の観点でなかなか難しいということで、必要な場合は自由記述欄で対応するという考え方にしてございます。
 続いて、14ページ目になります。
 「ポイントを具体的・簡潔に」とか「指示系統」という言葉がわかりにくいといった御意見がございました。
 こちらは基本的にわかりやすい表現に直していこうということで、下の太字にあるように表現ぶりを直す、また、配慮の点で選択肢に加えてほしいものについては、選択肢に加えるといった修正をさせていただいているところでございます。
 続いて15ページ目、「就職後の自己チェック」の欄についてです。これは項目ごとに記入できるとよいといった御意見がございましたけれども、やはり分量の観点から、現状を維持しつつも、変化の内容を別途まとめておくと有効であるといった注釈を加えることで対応しております。
 最後の「参考:支援機関」の欄についてです。この欄が目立つようにとか、支援機関を全て教えてくださいとするほうがよいのではないかといった御意見がございましたけれども、改めて整理をしまして、様式の目的は自分の特徴を共有するということでもありますので、こういった観点から情報共有しておきたい機関を記載ということで明確化をさせていただきました。
 16ページの「7.支援機関向け活用ガイドラインについて」は、ガイドラインの修正案でございます。
 こちらもポイントを絞って御説明いたしますけれども、まず、全体の活用の仕方がわかりやすいように、フローチャートは一番前にあったほうがよいという御意見がございましたので、冒頭に記載をさせていただいております。
 2つ目は、合理的配慮のところの書きぶりでございます。こちらは、募集・採用時には御本人からの申し出が必要になる、採用後には事業主からの確認が必要になると明記をさせていただいております。
 「3 利活用上のルール等」について、就労パスポートの作成主体は御本人であって、支援者は決してアセスメント結果を押しつけないようにということを改めて書いたほうがよいのではないかという御意見がございましたので、そのような修正をさせていただいております。
 17ページ目の一番上の囲みのところについては、個人情報の取り扱いについて明記させていただいたというものであります。
 3つ目は、職場実習が終了した際の就労パスポートの取り扱いについて明記したほうがよいのではないかという御意見がございましたので、こういったことについてあらかじめ相談しておくことが望ましいといった記載を入れてあります。
 その下から18ページにかけては「8.事業主向け活用ガイドラインについて」でございますが、ただいまの支援機関向け活用ガイドラインと平仄を合わせた形で同様の修正をさせていただいているものでございます。
 最後、19ページ目は「9.本人向けリーフレット、活用の手引きについて」ですけれども、こちらも全体としては、わかりやすくなるように、御本人が理解しやすいようにという御意見がございましたので、そういった意見も踏まえつつ、修正をさせていただいているところでございます。
 基本的には試行で得られた御意見の最大公約数的なところを拾わせていただいて、できるだけ修正させていただいたところでございます。
 委員の皆様には様式の見え消し版の参考資料1を紙でお手元にも配らせていただいておりますが、この様式についてだけ、少し説明をさせていただきたいと思います。
 試行で頂いた御意見を踏まえまして、表紙の副題・タイトルを「障害のある方が働きやすい職場づくりを進めていくための就労パスポート」といった修正案にさせていただいているところでございます。
 様式案の1ページ目は、ただいま御説明いたしましたように、「セールスポイント」は「アピールポイント」とわかりやすい表現にするとか、下の方にある「必要あり」、「必要なし」という言葉も「希望あり」、「希望なし」というように、御本人の希望ということがわかるように修正しております。
 2ページ目の下の「4 コミュニケーション面」の欄ですけれども、こちらも場面を分けてという御意見がございましたので、赤字になっているところがそうですが、3つほどに欄を分けて整理させていただいたということでございます。
 3ページ目と4ページ目の「5 作業遂行面」でございます。文章とか言葉がわかりにくいという御指摘、また、こういった選択肢も入れたらどうかといった御意見も踏まえて、選択肢の追加等をさせていただいているのが赤字の部分でございます。 
 最後のページ、裏表紙になりますが、一番下の厚生労働省のマークの隣に「ご利用の際は、必ず『活用の手引き』をお読みください。」、「就労パスポートは採用の可否の判断に用いるものではありません。」といった注意書きをさせていただいているところであります。
 修正案の御説明は以上でございますが、事前に委員の皆様から御意見を伺う中で、この検討会の場でぜひ修正の方向性をお諮りしたいと思っているのが優先順位の欄でございます。様式案の2ページ目の「4 コミュニケーション面」の欄から、左端に「優先事項」という欄を設けました。
 記載した項目に優先順位をつけられるようにしたらどうかという御意見に対応してこの欄をつけたわけでございますが、御本人からすると、こういう欄をつけることで判断するのにかなり迷うのではないか、逆に書きづらい形にならないかという御意見、要は、一番困ることを明確にするとか、一番配慮してほしいことを明確にするということでありますけれども、そういったことを考えると、自由記述等でも対応できるのではないかという御意見もございましたので、このあたりをどういった形にするのがよいか、この検討会で修正の方向性を御示唆いただければと思っております。
 私からは以上でございます。
○朝日座長 どうもありがとうございました。
 試行の成果がフィードバックされていることを実感しまして、座長ではありますけれども、委員の皆様方を通して試行を展開できたことを感謝したいと思います。
 それでは、ただいま御説明いただきました就労パスポートの様式本体、活用ガイドライン、御本人向けリーフレット及び活用の手引きでございます。優先順位のところは後で集中して協議していきたいと思いますので、ただいまの室長からの御説明につきまして、何か御質問、御意見等がございましたら、お願いしたいと思います。
 では、栗原委員、お願いします。
○栗原委員 栗原です。
 精神障害者の就労パスポートの「精神」という文言がなくなるということは、ほかの障害のある方も対象になるということでよろしいのでしょうか。知的障害のある方も利用できるのでしょうか。精神障害以外の方々も含まれるのか、または、含まれないのであれば、口頭で「就労パスポートの対象は精神障害のある方が中心」と補足しながら進めていくのか、そのあたりをどのようにお考えでしょうか。
 もう一つ、試行の結果で「活用しやすい」、「わかりやすかった」といった回答が60%を超えていることから、これは非常に使いやすいということだと思います。それについては大変よいと思いますが、この様式について今後活用していく中で、内容を見直していくことのお考えはおありでしょうか。
○朝日座長 ありがとうございます。
 栗原委員から2つありましたけれども、この2つの内容に関連する御発言はありますでしょうか。
 ないようでしたら、この段階で事務局に回答をお願いしたいと思います。精神障害のある方を対象としたところから一旦は全くなくなって、しかし、具体的に障害のある方のためのものであるということを表現するために、現在の表現になったと思うのですけれども、その経過と意図について。また、バージョンアップをこれからやっていくのか、ある程度さらにかっちりと決めていくのかというところかと思います。いかがでしょうか。
○地域就労支援室長 ありがとうございます。
 1点目ですけれども、そもそも就労パスポートは精神・発達障害のある方の雇用促進策の一環であるということは変わらないと考えております。
 修正の経過は、現場で使っていく中で、精神・発達障害のある方以外を除くということではなく、場合によっては身体障害のある方も活用できるのではないかという御意見もございました。そこは我々も同じ考えですので、精神障害に特化していて、それ以外の障害のある方は使えないといった誤解を招くことがないようにという趣旨で、修正案のような表現ぶりにさせていただいたということでございます。
 それから、様式の改訂につきましては、1回定めたらずっと改訂するつもりはないと言うつもりはございません。これから現場において活用が広がっていく中で、もう少しこういった形にしたほうが使いやすいとか、こう直したほうがいいという御意見は出てくるだろうと思っていますので、そういう状況も踏まえながら、中長期的な話になるかもしれませんけれども、改訂をしていくということはあり得るだろうと思っております。
○朝日座長 栗原委員、よろしいでしょうか。
○栗原委員 はい。当然のことながら、ブラッシュアップしていくことは必要ではないかと思っています。ありがとうございます。
○朝日座長 倉知委員、お願いします。
○倉知委員 倉知です。
 非常にバージョンアップされていて、かなり難しい作業をとてもきちんとやられていてすばらしいと思いました。
 試行の中で、事業主の方が活用されているものもあると思うのですが、実際に事業主の方が、自分の会社で働いている精神障害のある方と一緒に就労パスポートを試行してみて、どのような意見だったのかを教えてほしいのですが。
○地域就労支援室長 成澤委員の会社も含めて、特例子会社や、就労支援機関とかかわりのある企業の中で、就職後に活用いただいたところがございます。
 全体の評価としてはいろいろな御意見がございました。例えば、特例子会社で活用した方からすると、既存ツールを一定使われているということもあって、受け入れる側としては様式をもう少しコンパクトにしてもらうほうがありがたいという御意見もございましたが、企業内で支援する方、障害のある方の職場の上司も含めて、共通理解が得られやすい形になっているという声を非常に多く得られたという状況でございまして、大変ありがたいと思っております。
○倉知委員 なぜこんなことを聞いたかといいますと、私は、就労パスポートは就職するときには随分使えるものだと思っていますが、実際に就職した後は本当にこれを使うのかなという疑問があります。わざわざこういうものを使わなくても、事業主の方と障害のある従業員の方とでやりとりをすれば済んでしまう話なので、あえて就労パスポートをつくるのだろうかというのがとても気になっています。その評価がどうだったのかを知りたかったのです。
○朝日座長 実際に試行に携わられました成澤委員、お願いします。
○成澤委員 成澤です。
 当社では職場定着の目的のために、15名の方を対象に試行しました。その中で、私が一緒にかかわった方が3名、御本人ひとりでつくった方が残り半数で、あとは、店長と一緒につくった方です。支援機関とつながっている方は少なく、今は企業と御本人で職場定着のかかわりを行っております。
 私としては、就労パスポートはとても貴重なツールとして今後も使いたいと思っています。なぜかといいますと、最初の頃は支援機関のかかわりがあるのですが、今回試行の対象とした入社3年目ぐらいの方は、今は支援の必要性があまりなく支援機関との関係が薄れていってしまっている状況です。
 そうすると、会社と御本人の2者だけになってしまったときに、この就労パスポートがあることによって、改めて御本人もふり返りをしてくれます。会社にとっても、店長や上司がかわると、障害のある方の特性がわからなくなりますし、御本人にとっても、自分をどう理解してもらったらいいのか不安になります。
 そのときに就労パスポートがあるととても助かりますという声がありました。また、店長や上司にとっても、その障害のある方がどのような方だったかを、前の店長や上司から引き継ぐときに、やはり主観的な部分も出てきますので、そのような部分をきちんと客観視して、文章にして申し送りができるといった意味ではとても活用できますし、今後就労パスポートが完成したら、全社で有効的に活用できると思います。
 また、変化を感じたこと、今までできなかったことができるようになったことを書く欄がありますが、そういったところもとても活用できると思います。
 また、支援の重要性というのも何年かたつと薄れていってしまいます。しかし、改めて就労パスポートを書きながら、支援というのも大切だということに双方がまた気づき、「どう支援につなげていこうか」ということを改めて考えることができました。当社のように人の移り変わりがある中ではとても活用できると思いました。
○倉知委員 ありがとうございました。安心しました。
○朝日座長 成澤委員は、今回の試行で、実際に3人の障害のある方と就労パスポートを介して作業をされて、普段のかかわりの中では気がつかなかった部分も大分そこで把握できたという理解でよろしいですか。
○成澤委員 はい。日々の中で最初の配慮事項を思い込んでいる部分も結構ありますので、書いてくれた内容を見ると、改めて気づくことも多くあります。御本人も日々変化していることを伝えたいけれどもうまく伝わらないという場合に就労パスポートによって伝えられるので、とてもよかったと思います。
○朝日座長 ありがとうございます。
 倉知委員からの御懸念の部分は、成澤委員の事業所だからできたということではなく、このようにすればいいということをガイドラインに書き込んでいただくことが必要だということを、やりとりを伺って感じたところです。
 ほかにはいかがでしょうか。
 では、高橋委員。
○高橋委員 高橋です。
 私どもも試行させていただきました。就労移行支援事業所という立ち位置に加えて定着支援も行っていますので、試行の対象は、雇用決定後3年半以内の方たちです。
 成澤委員と同じように、予想以上によい点が多く見られました。支援者がついて1時間前後ぐらいかけてじっくりやらせていただいたのですが、「就労パスポートはこういう趣旨です」という説明から始まり、これを機会にコミュニケーションが発展し、理解が深まっていきました。特に、就労移行支援では御本人が毎日のように目の前にいたとしても、定着支援においては毎日一緒にいられるわけでもありませんので、同じキーワードからいろいろな発展があって、理解が深まったという点では、成澤委員とかなり同意見になります。
 そのため、理解というのもそうですけれども、コミュニケーションツールという点で非常に有効な部分が予想以上にあったと思います。
 また、実際に作成する上で、紙に書きたい方とパソコンで作成したい方が結構分かれました。ICTの利活用という点においても、就労パスポートがダウンロードできたり、データで利活用できたりすると有効ではないかと感じております。
 一方で、就労パスポートの様式の裏面に「採否の判断に用いるものではありません」という言葉があり、確かにそうなのですけれども、もし書くのであれば、就労パスポートの本来の趣旨について一文入れるほうが前向きでよいかと思います。
 仮に裏面まで見た人が、表面の「働きやすい職場づくりを進めていくための就労パスポート」というところから、本人の状態についての理解促進についてまで読みとれなかったときに、「では、なぜ就労パスポートを使うのか」というように感じてしまうと、そもそもガイドラインまで戻らないといけなくなると思います。ですので、どちらかというと前向きな一文を入れて、さらに採用のところを書くのであれば、もう一文書き加えるほうがよいと感じております。
 最後に、私ども就労支援などを行っている立場としては、資料1の16ページで御説明いただいた、ガイドラインの「3 利活用上のルール等」について、1点気になることがあります。
 御本人の意思決定を大事にということで、アセスメント結果を押しつけないように留意する必要があることを記載するということは、確かにそうなのだと思います。ただ、一方で、「障害者総合支援法」上の役割の中では、当然、御本人の意思決定支援というところが大事なのですけれども、PDCAにおける客観的なアセスメントの重要性もうたわれているため、支援機関が実際に活用するときに、混乱を生むのではないかという点が気になりました。
 以上です。
○朝日座長 ありがとうございました。
 前段は、実際に移行支援事業所等の立ち位置で実践された効果についてお話しいただきました。後段のお話しの中で、ポイントが2点ございました。
 1点目は、就労パスポートの様式の裏面にある「採否に使うものではない」というところについて、もう少し趣旨に沿った前向きな書き方としてはどうかという部分。
 2点目は、アセスメントの押しつけということについてです。アセスメント自体を否定することではなく、このツールを介したときに、どのようにアセスメント結果を共有していくかということになろうかと思います。ただ、支援機関からすると、「決して自身のアセスメント結果を押しつけないように」という文章だと、やや断定的になり過ぎるということだと思うのですけれども、この点に関連する御発言等はありますでしょうか。
 まず、採否のところについて、どうでしょうか。
 倉知委員。
○倉知委員 倉知です。
 支援機関向け活用ガイドラインの1ページに就労パスポートの目的が書いてあって、その中に「事業主による採用選考時の障害理解や就職後の職場環境整備」というものがあります。こういうことを前面に打ち出していくことが重要と思っているのですが、採否に関連しないことはあり得ないと思います。むしろ採否の「採」のほうに積極的に活用してもらうために、この就労パスポートはあると思っています。障害のことをしっかりわかってもらい、いかに採用してもらえるのかというところがポイントではないでしょうか。
 ですので、採否のことをあまり書いてしまうと、先ほどおっしゃったように、「どう使うのか」というところがわからなくなってしまいます。もし本当に採否に関係なければ、採用してもらった後に渡せばよくなります。採用前に見てもらうというのは、障害のことをしっかりわかってもらって、採用を進めてもらうためにあるのだと考えるほうがよいのではないかと思います。
 それでも懸念されたのは、これで不採用とされてしまうのではないかということがあると思うのですけれども、ツールというのは必ず使う人の力量によって大きく変わってくるもので、支援者がちゃんとしていれば採用につながっていく。しかし、そういうものがちゃんとなければ、やはり不採用につながっていくということの結果ではないかと思います。
 ですので、あまりここで採否のことを言ってしまうと、目的がどんどんわからなくなってしまうので、先ほど高橋委員がおっしゃったように、これはこういうために使ってくださいという趣旨を書いて、採否のことには触れないほうがよいと思います。
○朝日座長 ありがとうございます。
 どうしても「採否」という言葉でくくっているので、この検討会の中でも、今、倉知委員がおっしゃったように、これで不採用になるというところに非常に懸念が集中していたような気がします。むしろ就労パスポートを活用して「採」のほうに結びついていくというのは、本来の雇用促進の趣旨にかなうところですので、そのような趣旨をより明確に打ち出したほうがよいのではないかという御意見だと思います。
 この点については、委員の皆さんから何か御指摘等、あるいは御賛同の意見等はありますでしょうか。
 では、清家委員、お願いします。
○清家委員 清家です。
 私も試行に参加させていただいて、やはりこの採否という点がとても気になったところです。試行では、就職前の方と就職後の方の両方で就労パスポートをつくらせていただきましたが、就労パスポートは、同様に使うのはどうなのだろうと少し疑問を感じています。
 どなたかからも御意見があったかと思うのですけれども、今後、私が使い始めるとしたら、例えば、採用前や職場実習の面談に向けてというところでは、様式の項目1、2、3をまずつくって、御本人の病気のこと、配慮していただきたいことについて企業の方に渡して面談をする。項目4、5に関しては、仕事をしたり、実習をしたりして御本人の動きがわかった中で、支援機関と事業主の方にいろいろ意見を言ってもらいながら確認するというやり方を私としてはやってみようと思っています。
 別の会議の中でも、皆さん、就労パスポートにとても関心を持たれています。ある方からは、「企業が雇用のリスクを回避するという部分と、厚労省が強く訴えている自己理解という2つを同じフォームの中でやるというところに少し無理があるのではないか」という意見もあり、それはぜひ伝えてほしいと言われていましたので、お伝えしたいと思います。
 今言ったように、私としては、使い分けをしながらそして、何度も作成していく中で、御本人のカラーというか、項目だけでは表し切れない部分があるので、そこをどう表現していくかという支援者側の力量が必要なのではないかと思いました。
○朝日座長 ありがとうございます。
 ツールでありますので、先ほどの御意見にもありましたように、逆にそれを使っていくための支援機関の力量が問われてくる。それを就職前と就職後の職場定着をめざすところとで使い分けて、きちんと出していくというのも一つの活用方法かと思いました。
 さらに、この点についていかがでしょうか。
 吉岡委員、お願いします。
○吉岡委員 吉岡です。
 これまでの議論の中で、採用の可否の判断というところは、就労パスポートのある方とない方がいて、それのあるなしで判断するものではないとか、各項目で書けないところもあるし、書きたくないところもあるし、そういう情報量が多いか少ないかで採用の可否にならないようにといった議論だったかと思います。補足です。
○朝日座長 ありがとうございました。
 採用の可否をめぐっても、いろいろな観点から、それをどう理解するかということにつながっていきます。これにつきましては、特に様式の裏面の重要なポイントでもありますので、今、各委員から出た意見を踏まえて、事務局で調整いただくということでいかがでしょうか。
○地域就労支援室長 ありがとうございました。
 採否の話でありますが、今、吉岡委員から補足いただいたことについて、事業主向け活用ガイドラインの4ページ目に書いてございます。
 今、御意見をお伺いしていて、採用の可否の判断に用いるものではないと書いてしまっているので、余計に紛らわしい気がしていたのですが、4ページ目にバツ印をつけていることは、例えば、採用の可否の判断のために、就労パスポートをつくってこないといけないとか、就労パスポートを提示しなさいというのはやはり違いますし、就労パスポートを所持していないから不利に取り扱うというのも違います。今、吉岡委員からありましたように、配慮してほしいということでチェックを多くつけるとどうも心配だという御意見もございましたけれども、そういったことで採用しないという使い方は間違っているという趣旨ですので、本日の御意見を踏まえて、表現ぶりを考えさせていただきたいと思います。
 また、そういうことも踏まえて、様式の裏面の注意書きについても、また考えさせていただければと思います。
○朝日座長 ありがとうございました。
 高橋委員からの御指摘の2点目、支援機関向け活用ガイドラインの「アセスメント結果を押しつけないように留意する必要がある」という部分の書きぶりについて、ほかの委員の皆様から何かございますでしょうか。
○地域就労支援室長 具体的にその書きぶりがどこにあるか申し上げますと、参考資料2の8ページ目の一番上の赤字のところでございます。
 お互いにコミュニケーションをとりながら、いろいろと認識のすり合わせをしていくことが大事という表現ぶりにもさせていただいていますけれども、このあたりの文章を御覧いただいて、御指摘・御示唆いただければありがたいと思います。
○朝日座長 ありがとうございました。
 高橋委員からは、アセスメント結果を押しつけるというところの表現が持つ意味合いについて、そもそも客観的にアセスメントをしているのだから、押しつける、押しつけないではなくて、それはそれで一つの見識であるというところを、一方的にアセスメント結果を押しつけるという、この「押しつける」という言葉の持つ意味合いについての御指摘かと理解しているのですけれども、そういうことでしょうか。
○高橋委員 高橋です。
 御理解のとおりです。ありがとうございます。
○朝日座長 そうしますと、「押しつける」という言い方になると、アセスメント自体の意義を最初から否定するような誤解がないような表現にしていくということになるでしょうか。
 佐保委員、お願いします。
○佐保委員 佐保です。
 それでいけば、ここの文章のうち、「差異がある場合では」というところからその後の部分を削除して、「本人の理解に寄り添った上で」とすればよいのではないでしょうか。その後、このように寄り添って、確認し合った上でやりましょうとするのが合理的かと思いました。
 以上です。
○朝日座長 御意見ありがとうございます。
 ほかに関連する御発言はございますでしょうか。
 では、佐保委員からの御意見を参考にしながら、ここの書きぶりを検討していただくということでよろしいでしょうか。
○地域就労支援室長 はい。また修正案を考えさせていただきます。ありがとうございます。
○朝日座長 では、次の段階に行く前に、澤口室長から直接投げかけをいただいておりますので、優先順位のところを御議論いただきたいと思います。
 具体的には就労パスポートの様式本体の2ページ目「4 コミュニケーション面」のところで、例えばコミュニケーションについていえば、4-1と4-2のうち優先順位の高いほうに丸をつけるイメージですよね。
○地域就労支援室長 そういうイメージです。
○朝日座長 次の3ページに行くと「5 作業遂行面」で5-1から5-5までありますけれども、この5つのカテゴリーでどの優先順位が高いかということを書いていくイメージでこの欄を設けているということです。
 これに対して御意見はいかがでしょうか。
 倉知委員。
○倉知委員 この優先順位というのは、アピールポイントの優先順位のようなイメージでしょうか。
○地域就労支援室長 試行の御意見の中であったのは、どういうことに配慮してほしいかと言われても、そこはやはり重みづけが違うのではないか。いわば一番配慮してほしいのはここだと言えるほうがよいのではないかという趣旨でした。
○倉知委員 倉知です。
 そうであれば、そこは多分、自由記述欄で書かれると思います。優先順位があると逆にわからなくなってしまうのではないかという印象を持ちました。私は優先順位欄がなくてもよいのではないかと思います。
○朝日座長 ありがとうございます。
 では、成澤委員、お願いします。
○成澤委員 就労前には優先順位をつけられるかもしれませんけれども、働き始めてからは、その人の体調の波や日々の状況などによって配慮の優先順位を決められないので、優先順位というのはかえって紛らわしくなると思います。「この人にはここが配慮するところ」ということを事業主もしっかり理解する意味では、優先順位はつけないほうがよいと思います。
○朝日座長 さらに、いかがでしょうか。
 栗原委員。
○栗原委員 栗原です。
 優先順位がなぜついているのかというのは私も理解できないのですが、今、皆さんがおっしゃったとおりだと思います。あまり優先順位にこだわることはないのではないかと思っております。
○朝日座長 ありがとうございました。
 ほかの観点からの御意見はございますか。
 高橋委員。
○高橋委員 高橋です。
 皆さんと同感です。加えて、項目の4と5にのみ優先順位をつけるというのもさらに紛らわしいのではないかと思っています。それぞれの項目が大事であるということもあるでしょうし、項目の3のほうがより大事な人もいるかもしれません。なかなかそのあたりの甲乙はつけがたいというか、選択肢も複数選択可になっていますので、優先順位をつけると、逆にほかの大事な部分にフォーカスが当たりにくくなるというところも含めて、優先順位はないほうがよいと思います。
○朝日座長 ありがとうございます。
 総括すると、優先順位をあえてつけず、本当に優先してほしいことであれば、結果的にはそこが自由記述欄に細かく書かれることが予想されるということでしょうか。
 できれば、そのようなアピールといいますか、逆に配慮してほしいというニーズが高いところは事細かく書くこともできるという説明があってもよいのかもしれません。皆さん、そのような総意ということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○朝日座長 澤口室長、よろしいですか。
○地域就労支援室長 ありがとうございました。
 御意見をいただきまして、修正方針が固まったのではないかと思っております。修正案について、優先順位の欄を落とし、また、座長からもお話しいただいたように、特に配慮してほしいことがあるとか、ここを配慮してほしいということについては、自由記述欄で書くことができることを、ガイドラインや手引き等にわかりやすく書いていくというやり方ができると思いますので、そういった形で対応させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○朝日座長 それでは、また全体をふり返っていただいて、どの部分でも結構ですので、お気づきの点などがございましたら、お願いしたいと思います。
 では、柿島委員、お願いします。
○柿島委員 柿島です。
 今回、就労パスポートの支援対象を精神障害のある方や、その他の方も含めて広くしたことで、よりいろいろな方に使ってもらえるものになったのではないかと思います。皆様のお話を伺っていて、対象者を広くしたことでよい点が何点かあるのではないかと思いましたので、発言させていただきます。
 障害をオープンにして働かれている方とクローズで働いている方の両方がいらっしゃると思うのですが、対象を広くしたことによって、既に支援機関の支援を受けてオープンで働かれている方や、特例子会社などで支援を受けている方も含め広く使っていただけるようになりました。
 障害をクローズで働いている方や、障害をオープンで入社している方で、特定の方にしか情報を伝えていない場合、例えば、先ほどもありましたが、上司の方がかわったときにどう伝えていこうかですとか、今はクローズで働いていて、支援を受けることにしたいのだけれども、情報をどこまでオープンにすべきか悩んでいる方も実は結構いらっしゃるのではないかと思っています。
 そういう方々にとって、自分の言葉でこういう配慮をしてほしいと伝えることは結構負担が大きいのではないかと思われます。ですので、就労パスポートで支援に必要な情報をオープンにしていくことが広まっていくことによって、どこまで、どういったことを伝えればよいのかという不安を軽減できる効果があるのではないか、そういった形で活用が進んでいけばと思いました。
 以上でございます。
○朝日座長 ありがとうございます。
 逆にどこまでオープンにしていいのか迷っているときに、これを見ると、こういうことも言っていいのだという気づきにつながるという御趣旨だと思います。
 ほかにはいかがでしょうか。
 児島委員、お願いします。
○児島委員 児島です。
 オープン、クローズというお話と、最初の「病名は複数記入できる」というお話も含めてなのですけれども、最初の資料で障害が「その他・不明」の割合が25%とかなり多い印象を受けました。
 今回、ハローワーク松戸でも試行し、当所には精神・発達障害者雇用トータルサポーターという、支援機関、医療機関を含めての支援をしているポストで、雇用に向けた支援をしていく専任の担当がいます。この担当は精神障害と発達障害とで役職が分かれていまして、今回、試行結果の報告用紙がチェック項目になっていて、精神障害か発達障害で選んだのですが、精神・発達障害以外にもグレーな部分でほかにも病気をお持ちの方が多々いらっしゃいました。その部分で、今回、この「その他・不明」というのは、病名を書いていないパターンなのか、それとも、今回報告するときにわからなかったものなのか。もし書いていないのであれば、オープン、クローズを含めて、そういう自分の希望ではないのですけれども、会社であればどの担当まで、病気であればどのレベルまでオープンにしていくのかという希望を入れるような項目があってもよいのではないかと、担当が言っていました。
 以上です。
○朝日座長 ありがとうございます。
 この点について、「その他・不明」は25.3%なのですが、その詳細というのは本当に不明なのか、その他なのか、このあたりの情報はございますでしょうか。
○地域就労支援室長 この部分は、「その他障害」ということではなく、回答票に全く書いていただけていなかったという意味で、全く把握できなかったというものでございます。
○朝日座長 そうしますと、クローズにしながら就労パスポートの作成に協力いただいた方もいらっしゃるかもしれないし、障害名などをわかっているけれどもあえて書かなかったという方もいらっしゃるかもしれないということでしょうか。
○地域就労支援室長 そのあたりの具体的なところまでは把握できないのですけれども、今回、支援のノウハウをお持ちのところで試行いただいたという経過がございますので、多分、障害の中身がわからないということはないのではないのかと思います。
 御本人に質問票の回答をお願いしましたので、そこには書かないということもあったかもしれませんので、今、お話しいただいている、そもそもの障害のオープン、クローズというところとは違う意味で書かないということではないのかと想像できますが、具体的にはそこまで把握できないというところでございます。
○朝日座長 ありがとうございます。
 吉岡委員、お願いします。
○吉岡委員 吉岡です。
 私どもの職業センターでも試行させていただきましたので、簡単に職業センターで行った試行の状況を報告させていただければと思います。
 私どもでは職業準備支援という通所での支援をしておりますが、障害のある方が御自身の障害特性と職場での具体的な配慮事項を整理するという意味で、ナビゲーションブックを作成する課題に取り組んだ方を中心に、最初は20人程度の試行を計画していました。しかし、試行期間の中で最終的にナビゲーションブックから就労パスポートの作成に移行ができた方は7人で、時間的な制約もあり20人全員は移行できなかったということがあります。
背景としては、そもそもナビゲーションブックについては、一義的には、自らの障害特性等について自己理解の促進を目的として作成するものでありますので、そこには作成されたものを第三者の「誰かに見てもらう」ということが必ずしも優先度は高くないのですが、就労パスポートについては、情報共有ツールであることから、ナビゲーションブックで整理した内容を踏まえて、「誰かに見てもらう、人に伝える」ことが前提とした上で作成するという点で違いがございまして、就労パスポートの内容が「誰かに伝える」内容になっているか、ということ、そこにまさに支援者が介在する意味や意義があるのだろうと思っております。
 就労パスポートの作成に携わった職員にも話を聞いてみましたが、職員の感想としては、先ほどから皆様からもお話が出ていますが、自分の状況について言語化するのがなかなか難しい方については、各項目の該当ごとにチェックを入れていくやり方は非常に有効という話もありました。それから、障害の特性によっては、新しい書式で改めて整理し直すことが混乱につながるのではと予想される方もいらっしゃいました。そういった方については、事前にナビゲーションブックを題材にして、そこから直接作っていくといった、ある程度支援者側の柔軟な判断などが必要な場面が出てくるのではないかという話がありました。
 また、先ほどもお話に出ていましたけれども、就労パスポートの作成支援で終わるのではなく、作成した就労パスポートを活用する場面についても事前に想定して練習しておくといったようなことも必要ではないかという話もありました。
 これは単純に興味からの質問なのですが、今回の試行結果では、活用しやすい、活用しにくいという回答が大体6対4ぐらいの割合で出ていますけれども、例えば、障害別に活用しやすかった、活用しにくかったといった障害別の傾向のような状況がもしおわかりになれば、参考までに教えていただけたらと思います。
 といいますのは、障害ごとに何か活用しにくい方がいた場合については、適切な支援によって活用しやすい方向に持っていきたいというところもあるのですけれども、障害別に回答に何か有意差があるのであれば、今後実施するに当たって、ある程度そういったことも頭に入れた上で支援者は対応しなければいけないのではないかと思いましたので、参考までに教えていただければと思います。
○朝日座長 ありがとうございました。
 では、吉岡委員からの投げかけの後半の部分はいかがでしょう。
○地域就労支援室長 
 障害種別に見ますと、「活用しやすかった」という回答は、精神障害のある方が75%、発達障害のある方が75%、高次脳機能障害のある方が50%でございます。これをどう分析するかですが、多くは「活用しやすかった」という傾向にあると思います。ただし、高次脳機能障害のある方は全体の数も少なかったので、この50%の評価が難しいところはあるのですが、高次脳機能障害といっても、症状の程度・種類によっては、このぐらいの文字の分量になると活用しにくかったという評価をされる方は一定程度いらっしゃるかもしれないと思っています。数字上はそのような傾向になっております。
○朝日座長 吉岡委員、よろしいでしょうか。
○吉岡委員 はい。
○朝日座長 では、清家委員、お願いいたします。
○清家委員 今の吉岡委員の質問ですが、私どもも7事例の試行で数的には多くないのですが、そのうちの3名が発達障害のある方でした。発達障害のある方はいずれも、質問項目が多かったとか、文言がわかりにくい、使いづらい、箇条書きにしていただいたり、色を調整したりなど、ガイドラインも含めて、もう少しわかりやすい形にしてほしいという御意見がありました。
○朝日座長 ありがとうございます。
 そこは多分、本体としてテンプレートで出す部分と、カスタマイズして実際の支援機関の方がかかわる部分があって、逆に言えば、そういう融通性を前提にしないと、使いづらさは解消しないということだと思います。ありがとうございます。
 吉岡委員の前段の部分でちょうどナビゲーションブックとの関係が出てきました。既存のツールと組み合わせた活用という点では、先ほどのお話ですと、それぞれの性格づけが違うので両立したという趣旨だと思うのですけれども、そのあたりについて、何か試行から学ばれたものがあれば、御紹介いただけますか。
○吉岡委員 私どものほうでは、この試行期間の取り組みとして、まずナビゲーションブックを作成した上で、就労パスポートの作成に順次移行していくという流れをとってみたわけですけれども、先ほども言いましたように、障害特性上、そのやり方だとある方についてはちょっと混乱が生じるのではないかということで、最初からナビゲーションブックのやり方のほうがよい方もいらっしゃったということです。
 私どもでの試行の数が少ないので、これが全体的な傾向かどうかについては言いづらいのですけれども、就労パスポートの想定する使い方とは異なることをある程度理解した上で、しかし、そういった使い方のほうが御本人にとって有効と思える方については、そういった使い方も制限するものではないといった柔軟な発想も持っておいたほうがよいと感じています。
○朝日座長 ありがとうございます。
 それでは、眞保委員、お願いいたします。
○眞保委員 眞保です。
 既存のツールとの両用・併用の部分から少し離れてしまうかもしれないのですが、実は、例えば地方の中小企業などの場合は、もともと既存ツールというものも全く用意していない中で初めて障害のある方を雇用するというところも多いです。そういった企業の方に、今、このようなツールの準備を考えているのですが、どうですかとお聞きしたところ、全くイメージがつかないところからだと、まず何を話していいのかもわからないし、合理的配慮としてどういったことを用意したらいいのかもわからないというところからすると、非常に参考になったというお話がありました。既存のツールを持っていない企業が大半なのだという趣旨に立つと、一定の意味があるのではないかなと思っています。
 もう一つは、今の吉岡委員のお話もそうだと思うのですけれども、支援機関のほうで既にツールをお持ちのケースもあると思います。それとの両立という部分でも、もちろんJEEDのようなところのレベルのツールから、独自に一生懸命やってみましたというレベルまで、本当にいろいろなレベル感があります。支援機関の方に伺ってみますと、就労パスポートを見て、自分たちが使っていたもののよいところと、少し改善したほうがよいところ、そうしたことも学べるのではないかというお話をいただけました。既存ツールを持っていないところ、あるいは持っていたとしても、このガイドライン、手引きを含めてまた一歩始めるというところには、利用価値があるものになっているのではないかという印象があります。
○朝日座長 どうもありがとうございます。
 この検討会で議論してきた既存ツールとの役割分担、すみ分け、あるいは併用といったところでの一定の方向性が見えてきたのではないかという印象を持ちました。
 倉知委員、お願いします。
○倉知委員 倉知です。
 この就労パスポートというのはツールなので、活用する人、要するに、支援機関の支援者の質によってプラスになったり、または、支援者の質が低いとマイナスになってしまうことがあると思うのです。利用者の方が、支援者のレベルがあまり高くない、信頼できないとなってくると、この就労パスポートをつくるのに抵抗感があるのではないかと思います。
 それは当然起こるわけで、今回、事業主向け活用ガイドラインにも、就労パスポートの提示を必須としてはいけないとか、持っていない人を不利に取り扱うのはやめようということがあるのですけれども、それでもやはり「パスポート」という名前は、持たなければいけないものという感じがとてもあるのではないかと思うのです。要するに、持っていないと、なぜ持っていないのかと言われてしまうのではないかということです。
 そこが私はとても気になっていて、名称をもう少し何とかならないかとずっと考えていました。今回、活用の手引きを見せていただいて、3ページに「2-3 いつ、どのように使う?」と書いてあるのですけれども、「自分の特徴を相手に説明するためなどに使います」と書いてあるのです。
 だとしたら、これを何かうまく使えないかと思っています。例えば、これは前にも言ったかもしれませんが「自己紹介書」とか「自己説明書」というように、自分のことを伝えるためのものということにしておけば、絶対に持たなければいけないのではないかという印象がなくなるのではないかと思っていて、再度検討できないかなという提案です。
○朝日座長 これには経過があって、初期の段階から、倉知委員ほか何人かの方から名称について御提案がありました。それに対して「パスポート」が意味するものは旅券のパスポートとは違うというところを、事務局で書きぶりを工夫していただきました。そして、前回の検討会で、試行の中で名称について御意見をいただけるかわからないけれども、試行する上でこの使い勝手についてもし意見があればと投げかけたところ、「就労パスポート」という名称はかなり耳にもなじんで、よいのではないかという御意見もありました。ただ、試行結果を踏まえて、改めて検討していただきたいというところで皆さんの思いは一致していると思いますので、その上で、この名称について改めて確認したいという趣旨でよろしいですか。
○倉知委員 はい。
○朝日座長 では、倉知委員からそういう御提案がありましたけれども、皆様方からはどうでしょうか。
 では、清家委員。
○清家委員 試行の中で、このネーミングがわかりづらいという御意見が支援者からも当事者からもありました。この後11月ぐらいから就労パスポートの研修会を順次開くというお話を聞いております。その説明のときに、この就労パスポートをどのように使ってほしいか、どういうものであるかというところをしっかり伝えて、皆さんに理解を深めていただきたいと私は思っています。
 この質問は後でいいのですけれども、その研修会のようなものをどのような形でやっていくのかについてお聞かせいただければと思います。
○朝日座長 ありがとうございます。
 試行を踏まえての名称の考え方について、前段で御意見をいただきました。
 では、成澤委員、お願いします。
○成澤委員 同じような話になってしまうかもしれませんけれども、就労パスポートという名称は当社では本当にとても評判がよかったです。企業側からすると、皆さんに浸透する言葉というのはアピール度がとても違います。今回試行に協力してくれた方からも「いい名称ですね」と言われました。皆さんに浸透するためには、今までと同じような「自己理解のためのシート」といった名称よりも、この言葉を今後まず浸透させることにかかってくると思います。
 もちろん、ネーミングでとても変わるわけではないかもしれませんけれども、この言葉に込められていることをしっかり皆さんが理解すれば、とても浸透度は高いと思います。私としては、できればこのまま実施するほうがよいのではないかと思います。
就労パスポートは障害のある方御本人が書くものです。誰にとって一番使いやすいものにしていくのかを考えたとき、もちろん支援者がそこにかかわっていくかもしれないのですが、何よりも御本人が就職をしてより働きやすくなるために、これをつくっているわけです。就労パスポートにかかわるいろいろな立場の方がいる中で、御本人が一番わかりやすくて、一番使いやすい言葉で、御本人にとって一番よいものは何なのかを考えると、自ずと答えが出てくるのではないかと私は感じました。
○朝日座長 さらに、いかがでしょうか。
 眞保委員。
○眞保委員 眞保です。
 私も最初は実は「パスポート」という言葉はどうかと思っていて、よく倉知委員ともお話をしていたのですが、いろいろなところに持っていってお話を聞いてみますと、語感が格好いいということで、私の予想以上に本当に反応がよかったのです。成澤委員がおっしゃったように、ほかにあまり「パスポート」と使っているものがないということもあると思います。
 一方で、倉知委員がおっしゃっているような「パスポート」の言葉の意味合いも、必須のものというイメージがやはりあります。その点に関しては、例えば、様式の裏面の注意書きに、採用面接時の必須提出書類としないと記載してみると、多分おわかりいただけるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○朝日座長 ありがとうございます。
 さらに、いかがでしょうか。
 では、栗原委員。
○栗原委員 栗原です。
 ネーミングについては、私も非常によいと思っています。ほかのものと全く違うということで、これは受け入れやすい感じがします。
 就労パスポートの使い道は、あくまでも就労するために障害のある方の考え方、思いを入れるものですから、自分の就労パスポートということであれば、御本人としては、ほかの名称よりもよいのではないかと思います。
 就労パスポートは障害のある方々の就労のために使われるのですから、トライアル雇用の対象になると思いますが、けれども、この就労パスポートをそれ以上の就労のための有効な手段にしていただくということでは、何度も言って申しわけないのですけれども、障害者手帳のかわりになるということがやはり一番有効ではないかと思っています。
あくまで企業側の立場で発言させていただきました。
○朝日座長 ありがとうございます。
 ほかにどうでしょうか。「就労パスポート」という文言は書いてあるのですけれども、冒頭にもあったように、精神・発達障害のある方の雇用促進という施策の方向性において、事務局としてはこの「就労パスポート」という名称を出したいというところで、もう一度御説明をお願いしてよろしいでしょうか。
○地域就労支援室長 いろいろ御意見をいただいて、ありがとうございます。
 「就労パスポート」とは何か、特徴は何かということを改めて説明申し上げますと、これまでのいろいろな御議論の中でもお話が出ていましたが、障害のある御本人と支援機関と企業の3者共通の情報共有ツールであるということがございます。また、これも大きな特徴ということで御議論があったのですけれども、就職時点だけではなく、就職後の職場定着の場面にも使っていくということでございます。
 この2つが就労パスポートの大きな特徴だということが今までの検討会でのお話だったと思います。
 そういうことを踏まえまして、ガイドラインに就労パスポートの名称の意味合いについて解説させていただいております。就職という入り口時点も含めて、職業生活上のいろいろな場面・状況をポート=港に例えています。「渡航歴」という言い方にしていますけれども、職業生活を歩んでいく中で自己理解を深めていただくとか、キャリアアップ、ステップアップをしていくこともふり返りながら、成長していただく。そういうことを通じての雇用促進という意味合いも込めて「就労パスポート」という名称にさせていただいております。
今、「就労パスポート」という名称にすることによって、必須提出書類となるという誤解が生じないようにというお話もいただきました。そのようなことが起きないようにしっかり周知していくことも大事ですので、きちんと対応していきたいと思っております。
○朝日座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 佐保委員。
○佐保委員 佐保です。
 実は私も最初のほうは「就労パスポート」というネーミングはどうなのかと懐疑的に思っていて、そういう発言もさせていただきましたが、今は何かしっくりきたという感じがしていて、これでよいかと思っています。
 当事者の皆さんが「就労パスポート」というネーミングに対して好印象を持っていらっしゃるということが第一だと思っていますので、その状況から考えれば、「就労パスポート」という名前でよいと思います。それで活用が広がっていくのなら、それにこしたことはないと思っています。
 プラスして、先ほど清家委員がおっしゃっていたように、いろいろな利用方法があると思いますので、これから先、就労パスポートをスタートさせていった後に検証などもしていただき、ガイドラインとともに、利用方法の事例集なども広めていきながら、推進を図っていくこともお願いしたいと思っています。
 以上です。
○朝日座長 ありがとうございます。
 座長を外れて委員として発言してもいいでしょうか。 今回、就労パスポートの表題、先ほどは副題という御説明でしたけれども、精神障害の「精神」は限定的なので削除し、「障害のある方が働きやすい職場づくりを進めていくための就労パスポート」ということで目的がそこに明示されているわけです。
 この目的自体はよいと思うのですけれども、職場づくりといったときに、概念がとても広くて、結局、企業の努力を求めているのかなと捉えられるかもしれません。
 もっと広い概念かもしれないのですけれども、「職場づくり」というのが狭義に捉えられると非常に限定的になりますし、そうかといって、働く人の幸せのためにというと、何かぼんやりしてしまうところが出てきます。
 今、議論を聞いていて、「就労パスポート」という言葉がこれだけ期待も込められて活用されていくのであれば、それはそれとして押さえて、副題ではなくて、それを説明するような形で書くのもどうかと思いました。例えば、「就労パスポート(障害のある方のための就職継続のためのデータブック)」とか、あるいは「紹介」というと少し異論があるかもしれませんけれども、「自分の説明書」ですとか。採否の「否」を判断するためのものではないということをむしろその後ろに括弧で書けば、「パスポート」というところでの広がりはそれで活かされるように思います。
 もう一方で、括弧内の文章によって、就労パスポートの性格はこうであるということを示すという方法にもなると思います。副題と言われた目的を上に書くよりは、括弧内でそこの性質をうまくあらわすというのも一つかと思いました。
 いかがでしょうか。
○地域就労支援室長 いろいろな御意見をありがとうございます。
 今お話しいただいたものもよいと思って聞いておりました。先ほど来、趣旨もきちんと書くほうがよいことや、就労パスポートが必須提出書類にならないようにといった押さえるべき大事なポイントについて御意見をいただきました。
 今お話があったように、「職場づくり」というと、御本人がつくるというよりもやはり企業側がつくるということでありますが、先ほど申し上げた就労パスポートの特徴として3者共通というものがありますので、前回座長がおっしゃったourパスポートというニュアンスも出せたらというのもあって、非常に悩んだところです。ですが、今、お話しいただいた、括弧書きで就労パスポートの趣旨や中身をきちんと伝わるように書いていくというのは、一番わかりやすい案ではないかと聞かせていただいておりましたので、そういった方向でよければ、また修正案を考えたいと思います。
○朝日座長 ありがとうございます。
 倉知委員、清家委員、何かございますか。
○倉知委員 検討いただけて、よいものをつくっていただければありがたいです。私は別に名前を変えてほしいというのではなく、就労パスポートをつくりたくない人がつくらなければいけない状況だけは避けたいと思っていますので、そこを考えていただければよいと思います。
○清家委員 この就労パスポートがどういうために活用していくものなのか、そこがしっかり皆さんに伝わっていけばと思います。
○朝日座長 ありがとうございます。
 では、皆様方の意見をうまく集約する形で、事務局にもう一度検討いただくということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○朝日座長 では、清家委員から先ほど出ておりました、これからの研修、ワークショップ等をどのような形で展開していくのか、その見通しについて、事務局から御説明をお願いします。
○地域就労支援室長
 これは本日、修正の方向も含めてまとまればということでの考えではありますけれども、周知活動の仕方としましては、全国的に展開していくということもありますので、厚生労働省の地方機関である都道府県労働局を通じまして事業主向けのセミナーを開催し、就労パスポートの活用の仕方やメリット等を周知していくという方法がまず1つございます。
 また、就労パスポートを地域の就労支援機関に使っていただくことも大事ですので、地域の就労支援機関にお集りいただき、就労パスポートの活用の仕方、メリット等を説明したり、実際の書き方の演習や活用方法の演習をしたりして、具体的な活用ノウハウを身につけていただくための「支援機関向けワークショップ」を展開できないかと考えているところでございます。
 これらはまだ具体的なやり方や実施スケジュール等について、労働局と調整をしたり、検討したりしているところですので、スムーズにいけば11月ごろから順次実施できるのではないかということで話していた部分が清家委員からのお話でありますけれども、そういったことで展開をしていきたいと考えているところでございます。
 周知の段取りや中身がもう少し詰まれば、また委員の皆様に情報提供させていただきたいと思っております。
 以上です。
○朝日座長 ありがとうございました。
 清家委員、いかがでしょうか。
○清家委員 ありがとうございます。
 私が一番懸念しているのは、就職活動の中で、就労パスポートを持っていけば採用になるというものではないというところを周知することです。当事者の方の受けとめ方はさまざまだと思いますので。
 ハローワークから、就労パスポートの情報を聞き、支援機関に突然やってこられて、明日採用の面接があるから就労パスポートをつくってくださいといったこともあると思います。
 そこは、私たち支援機関が、御本人によく説明をしながら対応できるかとは思うのですが、まずは就労パスポートの趣旨をしっかり支援機関に対しても説明が必要と思います。
それと、ハローワークにはいろいろな方が来られます。気になるのは、「支援機関につながっていると採用されやすいですよ」というような、そういう言葉で言われているかどうかはわからないですけれども、ハローワークから言われ、私ども支援機関に来られる方が大勢いますが、そうではないことを説明しながら支援につなげています。ハローワークの窓口の方には、就労パスポートの趣旨を十分理解し、当事者の方にこの就労パスポートを勧めていただきたいと思います。
 もう一つ、今、障害者雇用がビジネスの対象になっています。そういう中で、就労パスポートを1件幾らでつくりますよというようなところも出てくるのではないかという不安もあります。やはり最初が肝心かと思いますので、周知をしっかりしていってほしいと思います。
○朝日座長 ありがとうございます。
 今回の試行は、何といっても理解が及ぶ範囲の中での結果でありますので、これからどういう状況の中で使われるか、そのあたりをきちんと見据えて対応していくということだと思います。
 では、成澤委員、お願いします。
○成澤委員 今、清家委員がおっしゃっていたハローワークの件で、私もちょっと懸念しているところなのですけれども、今、当社の店舗では、採用するときは全国のハローワークに求人を出しております。
 応募される方たちの中には支援機関につながっていない方が半数以上いらっしゃって、その方にしてみるとハローワークの言葉が一番になりますので、例えば、「こういう就労パスポートがあるから、これを参考に自分自身をふり返ってみては」とか、「採用されてから就労パスポートを提出してみては」というように、就労パスポートが必須にならないような周知の方法が大事だと思います。弊社で採用が決まってから自己のプロフィールシートを、支援者がいる場合には協力して作成してくださいと言っています。そのように、就労パスポートが必須にならない形で事前に伝えていくには、ハローワークが本当に大きな力になります。きのうも鹿児島のある地方に行ったのですけれども、そこでは「支援機関の存在は知らないです」とか、自分の履歴書にも障害のことは一切書いていないとか、それが現状です。
 支援を受けられていない障害のある方が、この就労パスポートを利用し、全国に広がっていくことによって、障害者雇用も各地方でさらにふえていくのではないかと思います。
 以上です。
○朝日座長 ありがとうございました。
 活用の媒介として障害者雇用施策の推進を願う声が寄せられたということで、まとめさせていただきたいと思います。
 では、高橋委員、お願いします。
○高橋委員 高橋です。
 今回、試行をやらせていただいて、とてもいい意味の想定外を私自身が経験させてもらいました。弊社は送り出す側であり、障害のある方の雇用もしていますけれども、ここで議論していることや、こういうものをつくっていく趣旨や気持ちがしっかり伝わったことで、うれしいという感覚だったかなと思うのです。
 試行というのは、面倒というか、腰が重くなってしまうという場面も出てもおかしくないと思った一方で、どれだけ前向きにやろうとしている気持ちが伝わるかどうかで全く変わるのだということで、弊社の場合はかなり前向きに考えてくれている、うれしいという感覚をみんなが持てたというのは非常に大きかったと思います。
 ですので、今後の周知・広報が事務的にならずといいますか、伝える人の質に左右されるということもあるのかもしれないですけれども、みんないい形で前向きになっていけるよう、しっかり趣旨を熱く語って伝えていくことが非常に大事だと今回の経験の中で思いました。ぜひそのように広げていっていただきたいと思います。
 以上です。
○朝日座長 ありがとうございました。
 周知・広報の課題ということで御提言いただきました。
 それでは、本日の御意見を踏まえまして、御協議いただいた就労パスポートの様式、それから、ガイドライン及び御本人向けの資料の修正等について事務局で取りまとめていただき、それを委員の皆様に御確認いただいた後に、座長である私のほうで最終確認をさせていただくということでいかがでしょうか。必要であれば、また御発言いただきたいと思うのですけれども、おおむね方向性が定まり、宿題は幾つかありますが、それには順次対応していただいて、ワークショップや広報、活用の周知、活用のところで、ぜひ前向きに検討していただきたいという委員の皆様方の総意としてまとめさせていただいてよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○朝日座長 そうなりますと、議論は今回までということで終局とさせていただいて、その実現を皆さんとともに期待し、応援していきたいと思います。よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○朝日座長 それでは、私の座長としての役割は以上でございます。皆さん、どうもありがとうございました。
○地域就労支援室長 ありがとうございました。
 今、座長からお話しいただきましたように、本日いただいた御意見を踏まえて我々のほうでまた修正案をつくりまして、委員の皆様にメール等で一度送らせていただきます。その上で内容を御確認いただきまして、その内容でよいということであれば、最終的に座長と御相談をして、内容を確定させていただきたいと思います。
 内容が固まれば、また委員の皆様には報告させていただきますので、よろしくお願いいたします。また、先ほど申し上げましたように、どういった形で周知活動を行っていくかについても情報提供をさせていただきたいと思います。
 これまでの皆さんの非常に熱い議論と御検討に感謝を申し上げます。おかげさまで、新たなツールとして非常によいものができたと思っております。
 当然ながら、我々としても、これで終わりということではなく、ここからが支援のスタートだと思っております。就労パスポートの活用の状況、また、現場からの声も含めて、委員の皆様からはいろいろな御意見を聞かせていただいたり、御相談させていただいたりする場面があろうかと思いますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
 本当にありがとうございました。