第6回 「眼の水晶体の被ばく限度の見直し等に関する検討会」議事録

日時

令和元年8月1日(木)16:00~18:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンター新館 14階 ホール14E
(〒100-0011 東京都千代田区内幸町1-3-1)

議題

(1)眼の水晶体の等価線量を算定するための実用量について
(2)眼の水晶体の等価線量限度について
(3)報告書案について
(4)その他

議事

  
○永井座長 それでは時間になりましたので、ただ今から「眼の水晶体の被ばく限度の見直し等に関する検討会」を開催させていただきます。委員の皆様にはお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。本日の出席状況ですが、萩原委員、佐々木参考人、池田参考人は欠席となります。池田参考人の代理として天野参考人が出席されていらっしゃいます。また、持田参考人は私用のため若干遅れてご出席とのことでございます。本日より公益社団法人日本歯科医師会の三井委員から濱昌代委員に交替となっております。また、本日は作業環境測定基準についてご検討いただくため、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 原子力科学研究所から古渡委員、また、公益社団法人日本アイソトープ協会より中村参考人にご出席をいただいております。カメラの撮影はここまでとさせていただきます。では議事に入る前に事務局から資料の確認をお願いいたします。
○髙山放射線室長 お手元の資料をご確認ください。議事次第に従いまして資料1から資料6までお手元にございますでしょうか。資料6は1枚紙になっていまして、報告書の概要になります。その後ろに参考資料といたしまして関係参照条文、その後に報告書案をご用意させていただいております。もし不足等ございましたら事務局までお申し付けください。
○永井座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。それでは、本日の議事に入ります。まず、場所に係る測定について事務局から説明をお願いいたします。
○髙山放射線室長 はい、事務局でございます。最初に、場所の測定に関します意見具申の抜粋ですが、水晶体の等価線量を算定するための実用量として場所に係る測定という項目がございます。赤字の部分ですが、場所については1cm線量当量または70μm線量当量のどちらか、またはその両方により、保守的に評価することができるとされています。従いまして、現時点におきましては3mm線量当量を場に係る測定として法令に取り入れる必要性は薄いという提言をいただいているところでございます。3ページ目ですが、現状の電離放射線障害防止規則における規定では、場所に係る測定として、作業環境測定を規定しております。同規則第54条第3項においては、測定等については1cm線量当量、若しくは1cm線量当量率とするとされています。ただし、70μm線量当量が1cm線量当量の10倍を超えるおそれがある場所においてはそれぞれ70μm線量当量について行う旨を規定しております。その理由は下の括弧書きのところに通達を出していますけれども、70μm線量当量が1cm線量当量の10倍を超えるおそれのある場所では実効線量が限度を超えるおそれよりも皮膚の等価線量が限度を超えるおそれの方が大きいので、そのような場所では70μm線量当量を測定、確認していれば1cm線量当量を測定、確認する必要はないという趣旨になっております。おめくりいただきまして、これらの意見具申と現行法令を踏まえますと、場所に係る測定については現行制度を維持するということでご検討いただければ幸いです。
○永井座長 はい、ありがとうございます。それではただ今の説明にご質問、ご意見いただきたいと思いますがいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ご質問、ご意見ないようですので、この問題、場所に係る測定について検討会としましては意見具申どおり、現行制度の維持ということでまとめたいと思います。続いて、作業環境測定基準について、こちらは公益社団法人日本アイソトープ協会 中村参考人からご説明をお願いいたします。
○中村参考人 はい。アイソトープ協会の中村と申します。よろしくお願いいたします。それでは、ただ今の場所の測定に関することで作業環境測定についてちょっとご説明させていただきます。1枚おめくりいただきまして、もうご存知の通り電離則等々におきまして、法令でいろいろと場の線量を測るということが規定されております。具体的にこの電離則におきましては右の方にございます。作業環境測定基準というものでございまして、右下の方に表がございますけれども、そのように規定されています。この表のすぐ上に示していますとおり、昭和51年4月に出た告示で、非常に古いものでございまして、内容を見ていただければわかりますように、中性子及びγ線又はX線について規定されているのですけれども、例えばフィルムバッジという、もう今では使っていないものがまだ残っているという、ちょっと表現は悪いですが陳腐化しているのではないかと思います。それからγ線、X線のところを見ていただきますと、例えば一番上に電離箱式照射線量率計と書いてございます。この当時は、測るのは照射線量率、レントゲンだったと思いますけれども、今はもうレントゲンではほとんど測りませんので、そういったいくつかの問題点がございますので、その点につきましてちょっと説明をさせていただいて改正の提案をいたしたいと思っております。3ページを開けてください。そこにサーベイメータに係る日本産業規格、これはつい1か月前までは日本工業規格と言われていまして、JIS規格は変わらないのですが、工業標準化法が変わりましたのでこのようになっています。内容はもちろん日本工業規格のことでございます。ここにありますサーベイメータ、それから、後ほど個人線量を測る受動型のものについての説明をさせていただきます。簡単にJISでどのようにこれが決められているかという現状、これまでの経過の現状をお話させていただきます。そこにありますように、最初はですね、これ実は1960年代頃だったんですけれども、電離箱、それからガイガーミュラー、GM管ですね、それからシンチレーション、それぞれの個別のJISが決められていました。しかしながら、国際的、具体的にはIECなのですけれども、そこら辺の方向性もございまして、検出器の種類別はやめましょうということで1984年にJIS Z 4328というふうに変わりました。この場合もまだ照射線量率が中心だったのですが、その後ご存知の通り、放射線障害防止法が二度にわたりまして大きな変更をしました。最終的には平成13年の90年勧告の採用ということがございまして、それに伴いましてサーベイメータ等々も変遷しております。まず、4328というのは古いということで、その次の下にございます、4333という新しいJISがこの時1990年に制定されております。それについてはその下に書いてございますけれども、1988年、これは昭和63年ですけれども、その時の障害防止法、そこで1cm線量当量といったものが採用されることになり、それに見合って作ったわけです。それが2006年及び2014年というところで改正されまして、現在は2014年が最終改正になっております。これにはですね、IECの60846のパート1といったものを対応国際規格として十分な整合性をとって今のものに合った、例えば、2006年までは実はX、γ線と限っていたのですけれども、2014年からはβ線も取り入れたということでございまして、JIS規格の方がここで整備されています。それから中性子につきましてはX、γ線とは別でございまして、2006年に制定されました。これはIECの61005第2版なのですけれども、これの2003年版を対応として整備されております。1枚めくっていただきまして、この次が受動型の、パッシブ型の個人線量計に係るものです。個人線量計はもちろん個人の線量を測るんですが、環境測定のために見ますと、同じ素子を長時間、ある一定のところで固定しておけば積算線量を測れるわけですから環境測定に利用されております。これについては先ほど申し上げましたように、フィルムバッジというものがもう使われなくなっております。下の左側ですね、X線及びγ線及びβ線と書いてございますけれども、フィルムバッジの後に熱ルミネセンスTLD、それから蛍光ガラス、それからOSL光刺激ルミネセンスといったものが出てまいりまして、それぞれ別個に作られておりました。これは先ほどのサーベイメータと同じなんです。これもやはりIECの動向に従いまして、やがてそれは1つにまとめようと、個人線量計は個人線量計として規格を整えていけば、内容はほとんど同じになってしまいますから、そのように変わっております。そして最終的にはですね、IEC 62387というのが2007年に整備されました。そして2012年に改正されましたので、その時を機会にして、その下に書いてございます、それまでのパッシブ型の、受動型の個人線量計をすべて一つにまとめましてJIS Z 4345という形で十分に国際整合性をとれて、個人線量計、あるいは個人線量を使った環境測定ができるように整備されております。それから同様に中性子も同じ別個に、先ほどのサーベイメータと同じでございますので、JIS Z 4416という番号の固体飛跡型の個人線量計ができております。ただTLDのアルベド式のものは、今現在はJIS化されておりませんので、固体飛跡用だけができているという現状でございます。次のページ、5ページを見ていただきまして、じゃあどのようにして変わっているか、今現在の、例えばサーベイメータの4333、2014年版はどうなっているかということについて簡単に申し上げますと、まず左側が2006年版です。右側の方が2014年版なのですけれども、まず1つは大きなところが名称でβ線、つまり適用範囲としてβ線、つまり方向性線量当量がここで追加されたということでございます。それからその次の定格範囲のところなのですが、これは先ほど申し上げました、個々に、例えば電離箱とかGMとか言いますとそれぞれに範囲が決まる、定格範囲と言いますのはいろいろと、温度とかそういう環境を変えていくのですけれども、それでもある一定の性能を示すことというのがこの定格範囲なんです。それに対して、2006年までは定格範囲だけだったんですが、2014年からですね、これはIECの考え方なんですけれども、ここにあります最小定格範囲というものが新たに追加されました。これは何かといいますとminimum rated rangeと言うんですけれども、要はサーベイメータですと場の線量を測るのに最低限これだけの性能を持っていなければいけないということで全てに共通して、何であろうと、電離箱であろうとGMであろうと、そういう形が入ってきました。実はこれはだんだんとIECの方では進んでまいりまして、先ほどちょっと申し上げました、個人線量計の62387におきましてはminimum rated rangeの他に、mandatory rated rangeといったものを導入しまして、最低限これだけのものがなかったら個人線量計と言ってはいけませんよというふうにして、性能で、これだけの性能が必要ですよということがだんだんと明確になっているということでございます。それから指示誤差試験のところは何かと言いますと、直線性で規定しているのは何かと言うと、サーベイメータの性能を規定するのと校正とは別ですよ、つまりサーベイメータの性能がちゃんと確保されていて、かつ校正すれば十分な測定器ですねという1つのコンセプトになっているわけです。それからエネルギー特性と方向特性というのはですね、これまでは別々だったのですが、やがて両方でしょうと、エネルギー変わって方向もいつも一緒ではないでしょうということで、一緒に規定されることになりました。6ページに、これは細かい数字になりますので、このようなふうにして方向性、4333、2014年版のところでなっております。そこで赤字はIECで、黒字は実はIEC規格とはちょっと性能が合わないところが3形、4形になっておりまして、これはJIS独自の性能規定という形になっております。それが若干あるんですけれども十分な国際整合性が図られているということがここで示されております。7ページを開けていただきまして、同じことが受動型の個人線量計にもございまして、先ほど申し上げましたようにJIS Z 4345というものがIECの60387を基に国際整合性を十分に図ってできている。ここに、大きなところでは赤字で書いてございますけれども、眼の3mmも適用範囲の中に入れてあるということでございます。そのことを今まで申し上げた状況を踏まえて、問題点、先ほどの2ページ目の右下にありましたちょっと陳腐化した古い告示のところについてなんですけれども、まず問題点といたしましては、サーベイメータに、最近は半導体のものも多いのですが、半導体の線量計が規定されていない。それから先ほど申し上げましたが、照射線量計の照射というのはその頃は使われておりましたけれども、今は照射、レントゲンで測ることはまずないのでちょっと古いのではないでしょうか。それから4333というサーベイメータのJISに限って、2006年版まではまだあったのですが、先ほど申し上げましたようにほとんど測定器の検出部の違いによって規定するようなことはしておりませんから、要は測定器の検出部の名称を挙げて規定するには若干の問題があるのではないかというのが問題点その1で述べていることでございます。その次のページ、9ページを開けていただいて、同じようにして受動型についてはやはりフィルムバッジはもう使われていませんよね。それから中性子の、唯一実際に使われている固体飛跡検出器が規定されていませんね。それからガラス線量計というとすぐにOSL、ほとんど今その2つが使われているんですけれども、光刺激ルミネセンスのOSLが規定されていないという問題がある。それから同じようにして、4345では受動型ということでもって、例えばTLDとかガラスとか規定がなくなっておりますので、そういう名称でもって規定することにちょっと問題があるのではないかということ。3番目には、β線がないですね、ということでございます。ではどうすればいいかということで、10ページを開けていただきまして、まずサーベイメータにつきましては先ほど申し上げましたようにJIS Z 4333というX線、γ線、β線、それからJIS Z 4341、中性子というようなことで、完全ではないのですけれども十分に整備されていることを踏まえて、サーベイメータではγ線、X線については1cmの周辺線量、あるいは70μmの方向性線量当量というもので適切に、言ってみればJISのような、そういった適切な規格でもって性能が確保されているものを使う、あるいは中性子につきましても、1cm線量当量、周辺線量当量を適正に測定するものという形でもって、個々にやるとまたいろいろと、ちょっと時間が経ちますと変わってしまいますので、というのでいかがでしょうかという提案でございます。最後に11ページを開けていただきまして、これは全く同じで受動型についてはJIS Z 4345あるいは4416等のJISを中心に、もちろん国際整合性が十分にとられたJIS等を踏まえてですね、同じように、サーベイメータと全く同じなんですが、γ線、X線、それから中性子についてそれぞれ周辺線量当量あるいは方向性線量を適切に測定できるものという感じで規定してはいかがかということでございます。最後に3番目として、何度も申し上げておりますけれども、β線で先ほどの告示にはないものですから、β線についてもやはりサーベイメータないしは受動型の放射線測定器を用いて70μm線量当量、方向性線量当量を適切に測定できるものを規定すればいいのではないかという提案でございます。以上でございます。
○永井座長 はい、ありがとうございます。なかなか難しい点、すぐに理解できる点ばかりでもございませんので、ご専門のお立場から古渡委員にご意見伺いたいと思いますがいかがでしょうか。
○古渡参集者 日本原子力研究開発機構の古渡でございます。私の方からいくつかお話をお伺いさせていただければと思います。一点目ですが、資料の8ページの現在の作業環境基準第8条の問題点(その1)のところで、半導体式の線量計の規定がないということのお話がございました。ご説明いただいた通りJIS Z 4333では、測定原理に応じてこれまで決められていたサーベイメータのJISを統合して、そもそもの性能に着目して、どんな原理でも良いから線量当量率あるいは線量当量を正確に測れるものを提供しましょうという趣旨でJISが制定されていると思いますが、半導体検出器型の線量当量計についても、私の知る限りではJIS適合のものがすでにあると思うのですが、それはそのような認識でよろしいですかというのがまず一つ目です。
○永井座長 いかがでしょうか。
○中村参考人 はい。ご指摘の通りですね、十分なものがもう存在しているというふうに認識しております。
○古渡参集者 次、9ページのところで、受動型の放射線測定器、線量当量計についてのお話です。やはりフィルムバッジはすでに使用されていないのは私も存じ上げており、個人被ばく線量のサービス会社様がもうすでにお使いではないということは、資料の中でも2011年に終了されたということで、それはもうこれでよろしいという、国内の、つまりどなたかが作業環境測定をしたい時にフィルムバッジを使いたいというふうになった時に、我が国のサービス会社では受けられませんよという認識でよろしい、ということでよろしいでしょうか。
○中村参考人 はい、やっているところがあればやっているところがあると言えるのですが、ないと言うのはなかなか難しいのですけれども、大きくされているところとしてご存知の個線協というのがありまして、個線協の中ではフィルムバッジのサービスはもうしていないということは、確認しております。
○古渡参集者 最後、今回改めてβ線の測定器についての作業環境測定について、規定の新設等々のご提案をいただいているのですけれども、これもちょっと私の考えるところですが、まず、今回中村先生からお話いただきましたJIS Z 4333の新しいバージョンで、X線、γ線及びβ線ということで線量当量計、線量当量率計の最小定格範囲等々を定めたものがございますので、まずX線、γ線の規定が作業環境基準の中にありますので、同じようにこのJISを援用できるというふうに考えているのと、私の業務の中で放射線標準という校正、こういった線量計を校正するような場を設定しているのですけれども、一部のモデルにつきましてはβ線の70μm線量当量率、あるいは線量当量を正確に測れるものがあることは存じておりますので、無理矢理、例えばβ線を測りたいんだけれどもX線のものしかないのでX線の線量計を測るといったことはしなくてもよいというふうに考えますが、それでよろしいでしょうか。
○中村参考人 私の立場からそれでいいということは難しいかと思うのですが、確かにおっしゃられる通り、まだまだ、整備されているとはいってもX線、γ線、あるいは中性子もそこに入れていいかと思いますけれども、それに比べるとβ線は難しいです。特に方向性が出てきます。ですから、ご存知の通りβ線の絶対測定というのは、言ってみると、電離箱を使ってやるのですけれども、β線用の電離箱が、例えば外装電離箱のようなものが一般的ですかと言うとそうはいかない。せいぜいもうちょっと落ちたところでシャローチャンバーとかいろいろあるのですが、そういう意味では方向性がすごい厳しいですね。ですからこれから整備していかなければいけないと思います。いろいろとそういった技術的な問題もあるかと思います。しかしながら規定でβ線を測定するという時に、やはり測定器は適切なものということで、今先生がおっしゃられたように、4333等での性能が確保されたものを使いなさいということで、現実的にはそこでいいかなという気がしております。
○古渡参集者 はい。ありがとうございました。
○永井座長 はい、ありがとうございます。いかがでしょうか。他にご意見ございませんでしょうか。
○安井環境改善室長 環境改善室長の安井と申します。一点だけちょっと確認したいのですけれども、4ページですね、中性子、真ん中あたりにJIS Z 4416というのがあって、中性子用固体飛跡個人線量計、個人線量計と書いてありますが、環境線量計じゃないのですけれども、これはこのJISを援用するというか、そういう形で環境線量も測れるサービスはあるという理解でよろしいでしょうか。
○中村参考人 厳密的には、これはパッシブのものにつきましては厳密的にはこれは個人線量計です。もちろんメーカーさん、先ほどちょっと話が出ましたけれども、個線協という、固有名詞を出さなければ個線協になりますけれども、そこでは実はサービスはしています。でもそれはJISにはないと。しかしながらサービスはしている。何故ですかというと、もちろん中性子のフルエンスを測ることはしっかりできるわけで、要は換算係数をどのように設定するかといったことでございますので、現実的には何と言いますか、ちょっと言い方はおかしいかもしれませんけど、それぞれのサービス事業者の責任でもって数字を出しているといったことで認識しております。
○安井環境改善室長 わかりました。技術的には適切だということだろうと思いますので、法令で定められた後は適切な測定器とは何ぞやというのは多分通達で示していくことになると思いますので、その際にはまたご相談にのっていただいて、JISを満たして、なおかつ何らかの要求が必要になってくると思いますので、そういったところを記載できるようにしたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
○永井座長 はい。他にいかがでしょうか。はい、どうぞ。
○中村参考人 今の件で、実は必要なんですね、環境を測る、つまり個人ではなくて。そういう意味では、これに関するのとちょっと違うのですが、62387、これは中性子を除いてるのですけれども、そちらの方のIECのグループではですね、やはり中性子の点、それについても検討する必要があるのじゃないかということが始まっていますので、そうなりますとそれでIECが改正して、今度それがJIS化されて、相当時間がかかってしまうのですが、そういう動きがあるということは今申し上げておければと思っております。
○永井座長 はい、ありがとうございます。ご質問、ご意見ございませんでしょうか。はい、どうぞ。
○古渡参集者 原子力機構の古渡でございます。先ほどから安井室長と中村先生の中性子の作業環境の測定につきまして、やはり私も中性子というものの数ですね、粒子の数は今例えば固体飛跡線量計でも正確に測ることができます。ただ、先ほどIECの動きがあって、その後JISに落とし込まれるということのお話がありましたが、やはり我が国の放射線の計測も海外と整合性がとれないと、その点についてはやはり良くないと言いますか、できるだけ海外と整合性がとれた方がいいというのは私も考えるところですし、技術的には、先ほど安井室長からのお話にありましたが、技術的には適切にできていると私も考えますので、今回対応方針のその2、11ページになるのですけれども、受動型放射線測定器(線量当量計)というところの2番の、中性子について1cm線量当量、周辺線量当量と今は呼ばれるようになりましたが、適切に測定できるものということでこの規定があって私は問題ないのかなと考えるところです。ありがとうございました。
○永井座長 はい、ありがとうございます。他にご意見ございませんでしょうか。そうしましたら、検討会としては今出されたご意見、ご議論について、今後適切に対応していただきたいということで、これから取りまとめに向かってお願いをしたいと思います。そういうことでよろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。それでは続いて、第5回検討会までの議論のまとめについて、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○髙山放射線室長 お手元の資料3をご覧ください。第5回までの検討会の議論について簡単にまとめさせていただいております。大きく4つに分かれていますけれども、まず3ページ目の2、3、4、眼の水晶体の等価線量を算定するための実用量について、緊急作業者に係る眼の水晶体の等価線量限度を意見具申どおりとすることについて、除染等業務に係る眼の水晶体の等価線量限度を意見具申どおりとすることについては記載しましたような形で検討会としてもご意見をいただいたものと考えております。また、戻っていただきまして2ページ目の、意見具申どおり眼の水晶体の等価線量限度を見直すことについて、下の3つにつきましては検討会からこのようなご意見をいただいていると考えております。一番上の丸ですけれども、一般的な医師については問題ないけれども、地域医療が守られるとのエビデンスやトップレベルの医師についての情報が提供されるまでは、一律に引き下げることは妥当ではないため調査して示すことが必要、という部分が今回の検討会の大きな論点かと思います。4ページ目に本日の論点として整理をさせていただきましたけれども、意見具申どおり眼の水晶体の等価線量限度を見直すことについて、すべての労働者に新たな水晶体の等価線量限度を適用することについて、それから始期、施行時期、算定・記録の期間について、本日中心的にご議論いただければと考えております。また、報告書案についても、前回までのご議論を踏まえまして、一旦お示しをいたしますので、こちらについてもご検討いただければと思います。以上です。
○永井座長 はい、ありがとうございます。意見具申どおり眼の水量体の等価線量限度を見直すことを検討するにあたりまして、医療分野以外については第5回までに一定の方向性が示されたということでよろしいかと思います。医療に関してですが、まず、地域医療が守られるというエビデンス、あるいはスター的なトップレベルの医師について、もう少し情報が必要で、十分な放射線防護を行ってもなお高い被ばく線量を眼の水晶体に受ける可能性のある労働者に関する実態調査を行っていただいたところであります。本日はその結果のご報告をいただきます。ご議論をいただいて、すべての労働者に一律に新たな線量限度を適用すべきかどうか、検討会としての方向性を本日とりまとめたいと思います。この論点につきましては、最初に資料4と資料5の説明をいただいて、その上でまとめてご質問、ご議論をいただく時間を設けたいと思います。また、併せて報告書のとりまとめを含め、今後の進め方等についてご検討をいただきたいと思います。では、まず労災疾病臨床補助金研究班で実施いただいております、十分な放射線防護を行っても、なお高い被ばく線量を眼の水晶体に受ける可能性のある労働者に関する実態調査の調査結果について、欅田委員からご説明をお願いいたします。
○欅田参集者 欅田です。今お話しありましたように医療分野では特に高くなり得る可能性のある方の実態はどうなのかといったことに関して、前回、フィージビリティスタディについてご紹介しましたけれども、その方法を用いまして、各学会様の方からご紹介いただいた先生方についても実態調査した結果をご報告させていただきます。めくっていただいて、2ページですけれども、こちらに書いてあります6学会の方からご推薦いただいた方々、15施設17名の方について測定した結果についてご紹介したいと思います。3ページ目をご覧ください。使用しましたのは血管造影装置10台、透視装置5台を使っている機関におきまして、問題になってくるのが様々な防護方法をとっていくということですけれども、防護方法に関しましてはこれまでも実物の回覧等がありましたような防護眼鏡ですね、4種類使っているのがありました。それと天吊型の防護板の使用、その他寝台下の防護カーテン、ベッドの下に吊るすような形の防護カーテンですね、あるいはラドパッドといったような形で鉛当量として0.25mmくらいの鉛当量ですけれども、シート状になっていて、患者さんの上に覆うような形で散乱線を防護するようなもの、こういったものを複合的に利用いただいているというふうな状況があります。その他には、透視の際には正面側面を同時照射するようなことを控えていただくような対応をとるとか、あるいは透視モードの適切な選択、切り替えということで線源となる透視装置の方の調整を行うといったようなこと、また、撮影時に室外退避する、透視視野の絞りを行うといったようなことを追加の対応として介入後の線量というような形で評価を行いました。実施方法に関しましても、下に写真が出てますけれども前回紹介しましたように、蛍光ガラス線量計を用いまして、これを郵送し、実際現場でドクターの方に、診療放射線技師などの協力をいただきながらつけていただいて返却いただくと。測定部位に関しましては眼鏡の内側、外側、それを左右両面ということで4箇所につけていただいて実施しました。次めくっていただいて4ページをご覧ください。代表的なものに関しまして解析例1、2というふうな形で、この後ちょっと詳細に紹介させていただきますけれども、最初に、解析例1は循環器領域IVRの方で比較的高い線量になる方ということです。過去の3年間の実績としましては、襟元につけました不均等被ばく用の個人線量計で算出した結果として、2016年度に約50mSv、2017年度も51.7mSv、2018年度42.3mSvといったよういな実績をもたれている先生でございます。各施術数に関しましては下に書いてありますけれども心血管系の検査、あるいは治療それぞれで、年間で昨年度実績421例を実施しているような先生でございます。次開けていただいて5ページをお願いします。防護方法の詳細ですけれども、先ほど述べましたような天吊り型の遮蔽板ということで左側に写真を示していますけれども、これが鉛で0.5mm相当のものになります。また、防護眼鏡に関しましては、比較的軽くて周囲をカバーするようなもので0.07mm鉛当量のパノラマシールドといったようなものをかけて実際作業いただいているところであります。次めくっていただきまして、6ページですけれども、実際の対応している詳細ですけれども、天吊り型の防護板をつけていただいているのですけれど、介入前ということで左の作業している写真を見ていただきますと、やはりこれまでも議論がありましたように散乱線の、散乱源になるのは患者さんなのですけれども、この写真を見ていただきますと患者さんから防護板が浮いたような状態になりまして、施術者の左腕が下に見えるような形になっているわけですね。今のは①の説明です。そういったところで防護板をちゃんと患者さんに密着するような形でつけていただくとともに、右側の方、介入後ということで書いてあります。②の方で透視モードの適切な切り替えということで、パルスモードを半分に抑えていただくような形で画像、画質を落とさない範囲でパルスモードを変えていただくような対応をとっていただきました。実際測定した結果が次、7ページのところですけれども、左右につけておりますので右の水晶体等価線量率、また左の水晶体等価線量率ということで、通常作業しております防護板のみの防護を想定した眼鏡の外側、それが遮蔽板というような形で示されている一番上の状態になります。この施術の場合は左側に線源がありますので、左側の方が高くなりますので左眼の水晶体の値を見ていただきますと、防護眼鏡をかけることによって介入前で57%くらいの線量率の低減が認められております。それで、遮蔽板の設置位置を調整していただく、それと透視のパルスモードを半減していただくというふうな形をとりますと、眼鏡をかけなくても41%の低減が認められる。眼鏡の内側になりますと58%の低減が認められるというふうな形になります。右側の方の数値が、マイナス105%とかマイナス137%というふうな形で、逆に防護眼鏡をかけることによって内側の方が線量が増えてるじゃないのと見られるところがあるかもしれませんけれども、先ほど述べましたように線源が左側にありますので右眼の防護眼鏡の外側というのが線源からは眼鏡の遮蔽板を超えた形になりますので、逆に物理的な位置として内側の方が高くなり得ることがあるということでこういうふうな数値が出てくるわけであります。次めくっていただいて8ページですけれども、この方で昨年度実績に応じて実際どの程度実施可能なのかと言いますと、今測定した結果から見ていきますと真ん中にありますけれども、各種の施術内容を昨年度と同様の比率で実施したとすると199例で20mSvに達するというふうな状態であります。先ほど述べましたように、昨年度の実績が実際42.3mSvということで20mSvを超えている状態ですから、昨年度421例実施したところですけれども、やはり症例数を半減しないとできないというふうな形になるわけです。追加の防護措置を、先ほど紹介したような形でやっていただきますと473例実施可能ということで、昨年度実績をクリアすることができると、20mSvを超えないような環境が作れるというふうなところが見てとれるわけであります。次めくっていただきまして9ページをお願いします。次は解析例の2ということで、消化器内科、ERCPを実施している方ですけれども、この方も2016年度22mSv、2017年度も21.4mSvということで、昨年度は75.3mSvと非常に高い値になっていて、昨年度実績で400例弱のERCPを実施されている先生になります。めくっていただきまして10ページですけれども、線源の方の管理ということでX線発生装置の周りに防護クロスをかけるというふうなことをすでにやっていただいている状態でした。さらに防護眼鏡もかけているような状態で実施していただいている先生でした。この方に関しましては次、11ページをご覧ください。介入前、今言いましたように左側の方、防護クロス、防護眼鏡をかけていただいてますけれども、さらに先ほど述べましたように、透視モードを適切な範囲内で切り替えていただくということで、半分の状態のものを使用していただくというふうなことを追加で行っていただきました。12ページをご覧ください。今の状態で結果を見ていきますと、やはりこの方の場合も左眼の方が高い状態になりますので左眼の数値を中心にしてご説明しますけれども、防護眼鏡をかけることによって介入前でも42%の低減になってくると。透視方法の変更を入れていくことによって眼鏡をかけなくても56%の低減、その上に眼鏡をかけた内側になると79%の低減というふうな形で、この状態で20mSvになるまでの施術数は13ページをご覧ください。昨年度実績が397例と多くのERCPを経験されている先生なんですけれども、介入前の状態で20mSvに達するのは219例ということで、昨年度のままで実施すると20mSvを超える可能性があるわけなんですが、適切な対応をとった介入後でやりますと949例ということで昨年度実績でも20mSvを超えないような環境が作れるということが示されたところであります。今、比較的高い線量の方について詳しく紹介しましたけれども、この後は各学会から紹介されました方についてまとめてご紹介します。14ページ、整形外科領域ですけれども、大学病院、総合病院、3機関からご参加いただいた方々で調査を行っております。右端の分に関してはアスタリスクがいっぱいついて解析不能となっていますけれども、参加機関の方から線量計の保管、あるいは返却が非常に遅延した等の関係でバックグラウンドが高くなって解析不能となっている方がありますので、1例は対象外となっております。また途中でも議論がありましたように、個人線量計が病院の方から配付されていないとか、配布されているけれど適切に装着されていないというふうな形で、昨年度実績が評価されていないというふうな状態のところも2例ありました。いずれにしろ、20mSvに達する症例数というのは一番下のところに書いてありますけれど非常に大きな数値になりまして、20mSvを超えることはないというふうな実態が紹介されたところであります。次、15ページをご覧ください。15ページは先ほどのERCPとか、消化器学会の推薦された方ですけれども、消化器学会の方はERCPとともにもう一つ、内視鏡的な静脈瘤硬化療法のEISという処置を行っている機関がありますので、処置内容が変わりますので、両方の代表の方をご推薦いただいたところです。B大学病院というふうに書いてある方が先ほど個別に紹介しました症例の方になっております。いずれにしましても、20mSvに達する最大の件数というのが一番下のカラムに書いてありますけれども、過去実績よりはるかに大きなものになっておりまして、20mSvをクリアするというふうな状況が消化器学会においても示されるところであります。次、16ページで、循環器学会のご推薦いただいた方になりますけれども、同様に見ていただきますと、一番右のC総合病院の方が最初に紹介しました解析例の1というふうな形で昨年度実績の高かった数値で細かく紹介した方ですけど、この方を含めて20mSvを超える方はないというふうなことが示されております。介入後は皆さん非常に低減されて、等価線量限度を超えることなく実績をクリアすることができるというふうな数値でありました。次、17ページですけれども、今度は日本医学放射線学会、日本IVR学会からご推薦いただいた方々になりますけれども、元々こちらの方は放射線科の先生方も多いところでして、比較的、昨年までの実績の線量も低いところでありました。今回、そういった状況でも新たに介入することによって55%から81%、さらに低減することができましたけれども、症例数としては非常に大きな例数まで20mSvに達するためには可能というふうなことで、いずれも20mSvを超えることがないことが確認されたところであります。最後、18ページが、日本脳神経血管内治療学会からご推薦いただいた方々ですけれども、こちらの方も昨年度実績が比較的低い線量に収まっている方々でして、そういった方においても、同様に介入することによって、お二方入っていただいてますけれども、さらに90%低減することができて、非常に大きな症例数まで対応できるということで、やはり20mSvをクリアすることが示されたところであります。最後、19ページですけれども、以上のような観点から、先ほど述べました各学会の方からご推薦いただいた15施設17名の医師を対象に、十分な放射線防護措置を実施した上でも水晶体の等価線量限度が5年間平均で20mSv/y、あるいは1年間で50mSvを超えないかということ、新たな、今回導入しようとしております水晶体の等価線量限度を守れるかということに関して検証を行いました。昨年度までの実績としまして年間20mSvを超えている方は上の17名の中で4名おられて、最大が75.3mSvというふうな状態でした。こういった方々に関しまして、今までやっておりました作業に加えまして、さらなる防護措置というふうなことで防護クロスの使用、適切な位置での遮蔽板の使用、防護眼鏡の着用、必要に応じて診療に影響を及ぼさない範囲での適切な透視モードの選択などを追加することによって、さらに線量率を大幅に低減することができる余地があることが明らかになりました。適切な放射線防護方法などの介入を実施し、防護眼鏡の内側で算定することで、17名対象者すべてにおいて20mSv以下に保つことが可能であることが示されました。医療機関における適切な放射線防護方法への対応が確保されると仮定すれば、水晶体の等価線量限度を5年間で平均で年間20mSv以下、あるいは単年度で50mSvを超えないこととする新たな眼の水晶体の等価線量限度を遵守することは可能であると考えられました。以上です。
○永井座長 はい、ありがとうございました。続いて、始める時期、施行時期、算定・記録の期間、さらに新たな水晶体の等価線量限度を適用することについての論点を事務局から説明をお願いいたします。
○髙山放射線室長 はい。資料5ですけれども、2ページ目に新たな水晶体等価線量限度を取り入れるにあたりまして、意見具申では事業者等が円滑に対応できるように適切な施行時期を設定するということが求められています。また、5年間の平均で20mSv、つまり平均で1年間に20mSvということになりますけれども、起算点の扱い方が現状の実効線量の管理と整合するようにと意見具申で言われております。3ページ目にございますとおり、電離放射線障害防止規則第4条で定める5年間の実効線量については、今も5年間の規定があるわけですけれども、この始期、いつから事業者が5年間の最初の日と定めるかということにつきましては、平成13年3月30日付けの通達におきまして、事業者が事業場ごとに定める日という規定になっています。今後、新たな水晶体の等価線量限度を適用するということにあたりまして、5年間の眼の水晶体の等価線量限度についても、その始めの日を定める必要が出てくるわけですけれども、意見具申どおり現状の電離則の実効線量と同様としてはいかがでしょうかというご提案でございます。ちょっと技術的な観点ですので先に資料だけご説明をさせていただきます。4ページですけれども、電離放射線障害防止規則の第9条におきましては、人体の組織別の等価線量について、今は3月ごと及び1年ごとの合計を算定・記録することとされています。今後新たな等価線量限度を適用いたしますと5年で100mSvという規定が入りますので、この期間を現状の3月ごと、1年ごとに加えまして、5年ごとにさせていただいてはいかがかと考えております。ということで、先ほどの研究班からのご報告もいただきまして、これからご議論いただきたい点といたしまして、まず、今ご説明しました始期及び施行時期について意見具申どおりということでいかがでしょうかということと、眼の水晶体の等価線量の算定・記録の期間は、3月ごと、1年ごと及び5年ごととしてはいかがでしょうかということ、十分な放射線防護を行っても、なお高い被ばく線量を眼の水晶体に受ける可能性のある労働者に関する実態調査の結果を踏まえまして、全ての労働者に新たな水晶体の等価線量限度を適用するということについてどう考えるかということになろうかと思います。以上です。
○永井座長 はい、ありがとうございました。まず資料5についてのご質問をお受けしたいと思いますが。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。もしご意見なければこれは始期、施行時期については意見具申どおりということ、また算定・記録の期間は5年を加えるということが望ましいということにしたいと思いますがよろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。それでは今の欅田先生のご発表に関連して、十分な放射線防護を行っても、なお高い被ばく線量を眼の水晶体に受ける可能性のある労働者に関する実態調査を踏まえて、すべての労働者に新たな水晶体の等価線量限度を適用すること及び経過措置の必要性についてご議論をいただきたいと思います。資料4の研究班の結果報告についてご質問を受けたいと思います。山口委員、どうぞ。
○山口参集者 欅田先生のご説明で大変よくわかったのですが、質問はですね、この介入前と介入後で大分違うということですが。この介入について私はまったく専門的な知識がないので教えてほしいのですが、介入の方法というのが、知識があればどこでも誰でもできるようなことなのか、それとも多少経験が必要であったり、技みたいなものも必要な、そういうある程度の年数、時間が必要なものなのかというあたりを教えていただきたいと思います。
○欅田参集者 これまでの検討会の中でも対応策としてどういうものが必要なのかということに関しては私の方からもまとめて報告させていただいたところですけれども、基本的には今回の調査も、前回も紹介しましたように郵送で線量計を送って、それで施術中の写真を撮ってもらって、送り返してもらって、こちらから説明することによってやっていただいたらこれだけできましたよということで、比較的単純に対応できる範囲のところなんですね。というのは、やはり診療放射線技師の方々が当然これらの病院の中におられるわけでして、彼らはそういった専門性を持っている方々ですので、そこと先生方が協力してやっていただくとまず大丈夫なところというのが原則です。ただし、中には前回紹介しましたように、写真だけでやっていますので、言葉で伝えてもちょっとミスになってうまく下がらなかったような事例とかもありましたけれども、そういったものに関しましては今後他のところでも今対応準備いただいているところですけれども、ガイドラインを準備するとかでマニュアル的なものが作られていくと基本的な流れは対応できるというふうに考えております。ただし、その時も、これもこの検討会の中で何回か議論があったところですけれども、どうしても最初にこの水晶体の線量ということなので防護眼鏡をかけましょうというふうな発想で議論が進むのですけれども、やはり労働衛生的な観点からいくと作業環境管理、作業管理、健康管理をしていく、さらに労働衛生教育をやっていく、その上流からやっていくことが何よりも大事なので、放射線発生装置の方に対する対応をやっていく、今機器はデジタル化されているのでほとんど先生方が気にせずにスイッチを押しちゃうといろいろ対応できるということで、あまり触っていないところがあるんですけれども、それをきちんと対応していただくというふうなところからスタートして、さらにその上に防護板をつけていく、立ち位置を調整していく、また保護眼鏡をかけるとかいった総合的な対応をとっていただくとクリアできますという、そういったことを今回お示しできたかというふうに思います。
○山口参集者 ありがとうございます。今、欅田先生のお話の中でガイドラインということが出てまいりましたが、それは大体いつ頃できて、それはその猶予措置とかそういうことに若干関係するような気がするのですが、ガイドラインがいつ頃できて、いつ頃から、今、欅田先生がおっしゃったようなことの普及が進んでいくのかということについて、事務局ですか、教えていただけたらと思いますが。
○横山参集者 よろしいですか。
○永井座長 はい、では横山先生。
○横山参集者 もし不足があったらまたおっしゃっていただければいいのですけれども、今ガイドライン、我々の研究班なのですけれども、放射線規制安全研究戦略的推進事業という中でやらせていただいております。その中で2つのガイドラインを準備する予定でして、1つはモニタリングのガイドライン、それからもう1つは医療の放射線防護というところで、医療のガイドラインの方では、各学会の代表の方、13学会(正確には15学会)だったと思いますけれども、学会の方に入っていただいて準備を進めているところでございます。こちらの方の安全研究の時期なのですけれども、今年1年でとりまとめるということになっておりまして、来年、また各学会さんの方で準備を、各診療科、各学会の方で準備を進める期間というのがあるかと思いますけれども、大元のところは本年度中にというような形で進めております。
○山口参集者 はい。どうもありがとうございます。ガイドラインができて、そこから普及して、皆さんがそのガイドラインに則った診療ができるようになるまで、日本もたくさんのガイドラインを作られて、いろんな中身は様々ですが、一般的には結構な期間がかかって徐々に普及されていくというのが通例ですので、その辺も多分、期間を考える際に重要なポイントになるのかなというふうに思いましたので発言させていただきました。
○永井座長 はい、ありがとうございます。他に欅田先生への質問は。
○細野参集者 はい、よろしいでしょうか。
○永井座長 はい、どうぞ、細野委員。
○細野参集者 細野でございます。欅田先生に貴重なご報告いただきましてありがとうございます。その中で1つERCPの術者についてのご報告で資料の12ページにございますけれども、資料12ページでこの介入をされたことによる低減率が79%ということでございまして、この介入というのがフレームレートを15から7.5に変えられたというふうに書いてございます。これ、おそらくフレームレートを半分にしただけでは低減が50%にとどまるのですけれども、それ以上に低減されたということは細かな防護策も同時にされたのかとも思いますがそういう理解でよろしいのでしょうか、まず一点目ですが。
○欅田参集者 基本的には今先生の方からご指摘いただいた通りで、先ほども述べましたように、全体的な対応をとれるようにということを私たちの研究班の方の診療放射線技師、あるいは放射線関係の先生の方からご指導いただいてやったところです。
○細野参集者 はい。ありがとうございます。今しがた、直近のご議論にもありましたけれども、いろんな対策を立てるということ、これ必ずしもまったく新しいことではなくて、かなりですね、従来も医療において放射線を扱って、その従事者の線量を下げるという方策は示されていたと思います。今回のこのERCPの術者の方もフレームレートを下げたということですとか、視野を最小限にして透視をつけられたとか、立ち位置を微調整されたとか、色々なことが総合的に効いてきたのだと思いますので、そういうような具体的な対策というのを、現にかなりわかっていることですから、これを教育訓練等で実施が確実にされるような対策が必要だということがまさにここに示されたのではないかと思った次第でございます。以上でございます。
○永井座長 はい、ありがとうございます。他によろしいでしょうか。
○永井座長 はい、どうぞ。
○松本参集者 ありがとうございます。日本循環器学会の推薦施設のC総合病院の循環器内科の先生ですけれども、資料16ページになります。しっかりと防御をすれば、これまでの総実施件数の最大値の件数はこなせるというデータをいただきましたけれども、この先生だけは総実施件数、2018年が421件で確かに超過しない最大の件数が473ということです。この先生だけ10%程度しか余裕がないというところがあるので、場合によってはこういった地域でお一人とか、お二人でやられているような病院であれば、10%の余裕しかないということは懸念材料かなと考えましたけれども。これについてはいかがかでしょうか。
○欅田参集者 はい、ありがとうございます。この方に関しましてはさっきの4ページの方で見ていただきましたように、過去実績がずっと50mSvくらいのところというふうな形で出ているわけですけれども、今、ご懸念を示されたように、50mSvを超えるような方については、一般医療で、職種別に20mSvを超えるおそれのあるものというのが第2回の検討会の時にもご検討いただいたところですけれども、その中の、資料2の中にも数値が出てきてますけれども、50mSvを超える方というのが300数十名くらいというふうな状態だと思うのです。そういった方に関して、これもほとんどが襟元で不均等被ばくとして評価しているような状態の線量であったと思いますので、それをしっかり防護眼鏡をかけていただいて、眼鏡の内側で測っていただくと20mSvをクリアできるような環境になっているという方が多くあるというふうな感じだと思います。そういう意味では先ほど議論がありましたように、複合的な対応をとっていただくとともに、どうしても、この後も議論になってくるかもしれませんけれども、20mSvを超える可能性がある人に関しましては襟元の不均等被ばくだけじゃなくて、実際眼の水晶体を測っていただくということをやって、新しい基準をクリアできるような環境を見ていただくということが進められていくのかというふうに思います。
○永井座長 よろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。それでは、これからとりまとめに関するご議論をいただきたいと思います。これまでのご議論、また本日の研究結果を踏まえて意見具申どおり新たな線量限度を適用するかどうかということについてのご検討をお願いしたいと思います。ポイントは2つありまして、すべての労働者に新たな線量限度を適用するということと、もう1つ、一部の対象者には経過措置をおくという点、この2点についてご意見をいただきたいと思います。それぞれのお立場からのご発言をいただきたいと思いますが、最初に労働衛生のお立場から欅田委員、山口委員にご意見をいただきたいと思います。欅田委員からお願いいたします。
○欅田参集者 私の方からは先ほど数値としてもお示ししたようなところで、基本的にはクリアできる環境が作れると思いますので、すべての労働者を対象として、同じタイミングでやっていただいて問題ないかなというふうに思います。
○永井座長 はい、ありがとうございます。山口委員、いかがでしょうか。
○山口参集者 先ほども発言をさせていただきましたが、欅田先生の最後のまとめの中にあります、適切な放射線防護方法などの対応が確保されると仮定すればという、この仮定が実社会でどのくらい確実性があるのかというふうなことについては、やはり未知の部分があると思います。先ほど申し上げましたようにガイドラインが大変大きな役割を果たすだろうと思いますし、そのガイドラインは多分素晴らしいものができると思うのですが、そのガイドラインが世の中に普及するという、その時間的なファクターを考慮した方がよろしいんじゃないかというふうなことも考えなくてはいけないと思います。つまり、経過措置がその分だけちょっと必要な、どれだけ必要か私はわかりませんが、ガイドラインの普及というのは普通1、2年かかるのが普通ですので、その辺のことを少し考慮した方がよろしいんじゃないかなというふうに考えます。
○永井座長 すべての労働者に線量限度を適用することは賛成であると。
○山口参集者 それは賛成いたします。
○永井座長 はい、ありがとうございます。続いて医療の現場のご意見をお伺いしたいと思います。まず細野委員からお願いいたします。
○細野参集者 はい、ありがとうございます。まず、大きな原則から言えば、今回の欅田先生のご報告からもありますように、今回の見直しを適用するというのは可能でございますし、その方向に向けて進めて行くということは必要なことであると思います。一方、今、山口先生のお話にもありましたガイドラインが出されまして、それが医療機関で実施できるようになるまで確かに多少時間がかかる可能性がございますし、また、色々な対策のための備品ですとかを準備するというようなことも、これも1か月や2か月ですぐできるかというと必ずしもそうではない、医療機関におきましてはもしかすると、例えば翌年度の予算の計上が必要となる、というようなことがあるかもしれません。そうしますと、今回示されたような、例えば医療の中で比較的に高い線量を受けられて第一線に立たれているような先生につきまして、もちろんこれがあまり遅延すると困るのですけれども、とは言うものの、円滑に新しい制度に対応するため、また実際に地域医療に支障を来さないという観点からは、限定的に、もしかすると経過的な措置が必要なのではないかと思います。ただそれは決してあまり長ければいいというものではなくて、やはり見通しをもって、その間にきっちり対策が立てられるような限定的な期間であるべきだと思います。以上でございます。
○永井座長 例えば何年とかいうご意見は。先ほどガイドラインの普及には少なくとも1、2年はかかるということですが。
○細野参集者 そうでございますね。ガイドライン、横山先生にご尽力いただいて、おそらく今年度中と考えてよろしいでございましょうか。そうしますと今年度中にガイドラインができまして、それで各医療機関、学会等が対応して色々な具体的手立てとか道具を準備するということになってきますと、ガイドラインができてからひょっとすると2年くらいはあった方がいいということになるかもしれません。そして先ほどの始期の話で、もし1年半後くらいから新しい制度になるとしますと、その時点から1年くらいは経過的なものがあってもいいのではないかと思います。以上でございます。
○永井座長 3年くらいは経ちそうだと。
○細野参集者 今からですと2年半くらいですかね。
○永井座長 はい、ありがとうございます。公益社団法人日本診療放射線技師会の富田委員、お願いいたします。
○富田参集者 診療放射線技師会の富田でございます。我々、診療放射線技師の立場から考えますと、科学的にこの欅田先生のデータ、それから今までの検討会の資料、データを拝見いたしますに、すべての方に具申どおりの線量限度適用というのは異論ございません。我々、当初から申しましているように、しっかりと防護するということであれば可能じゃないかということでコメントさせていただきたいと思います。ただその経過措置に関してましてはいろいろご議論あるとは思いますが、医療現場では放射線の専門の医師、あるいは物理士等々、いろいろいらっしゃると思うのですけれども、現場ではやはり我々診療放射線技師が一番人数的には多い、それから防護に関しての知識も豊富だというふうに思っております。何年かというところは議論の余地はあると思いますが、数年のところは経過措置があってもいいのかなというような見解でございます。その間にガイドラインを日本全国で周知しながら、医療現場で勉強して、労働者、放射線の医療労働者の眼の水晶体被ばく線量を三位一体で下げていくという考えであります。
○永井座長 はい、ありがとうございます。続いて日本看護協会 奥村委員、お願いいたします。
○奥村参集者 はい。奥村でございます。私共もすべての労働者に新たな水晶体の等価線量限度を適用する、すべての労働者に適用ということでお願いしたいと思っております。一点、お伺いしたいのですけれども、新たなこの電離則、ここで結論を得て、それから公布をされてと、そして施行という段取りになるかと思うのですけれども、実際の行政の段取りとしてはどのような時期的な目安になるのかお教えをいただければと思うのですが。それを伺った上で経過措置について意見を申し上げたいと思いますが。
○髙山放射線室長 まだ正確な日程は未定でございますけれども、今回検討会でご議論いただきました後、改正の手続き等々があります。一応目途といたしましては来年の4月を目途に公布に辿り着ければと考えておりますし、十分な周知期間が必要ということですので、原子力規制庁等々、他省庁とも調整が必要ですが、施行時期についてはその1年後、令和3年の4月頃を考えているところでございます。
○奥村参集者 ありがとうございます。そういたしますと、今の時点から見て、2021年の4月ということになりますと1年半ですか。そうですね、ガイドラインの普及についてのご意見もございました。そのご意見も重々私共も理解できますので、猶予措置を設けることに関してはやむを得ないかなと思います。ただその間に現場の取り組みが進みますように是非ご支援を強力にお願いをしたい。それから財政的な問題もまた出てくるかと思いますが、この議論はこの場ではないかもしれませんけれども、私共もその点是非、現場を押していただきたいと思っております。
○永井座長 はい、ありがとうございます。続いて日本歯科医師会の濱委員からお願いいたします。
○濱参集者 すべての労働者の方に適用するのは必要なことだと思います。こういう内容を周知すること、そしてそのガイドライン、マニュアルを説明しそれに従って現場は対応していかないといけないと思いますので、その猶予期間を、歯科は医科ほどではないかもしれませんけれどもやはり十分とっていただけるとありがたいということと、なかなか進まないところに対してはちょっとバックアップしていただけるとありがたいかなと思っております。以上です。
○永井座長 はい、ありがとうございます。日本医師会 松本委員、いかがでしょうか。
○松本参集者 はい、ありがとうございます。すべての労働者の方に線量を同じように適用するということについては賛成いたしますけれども、何人かの委員の方からおっしゃいました通り、やはりある程度の周知の時間、それからより良い防護、特に眼鏡のですね、改良に一定の時間がかかるというご意見もありましたので、そうすると何年というのはなかなか難しいかもしれませんけれども、例えば公布後3年とか、施行後2年程度はやはり必要ではないかと思います。ただですね、それになった場合でもやはりその公布後3年までは現在の線量限度でいいのだという考えではなくて、そうはなっているけれどもできる限り早めに、きちんと限度内に収めるように努力するというのが前提だろうと思いますので、猶予は特に医師に対してはあってよいのではないかと思います。今、歯科医師会からもご意見がありましたけれど、いくつかの職種に対してはそういった猶予が必要ではないかなと思います。以上です。
○永井座長 はい、ありがとうございます。続いて、産業現場等の状況を踏まえたご意見をいただきたいと思います。最初に日本労働組合総連合会の漆原委員、お願いいたします。
○漆原参集者 我々もすべての労働者に対して新たな等価線量限度を適用するということに賛成でございます。安全衛生の観点からすれば、多分横山委員の言われているものとはまた別に、電離則の仮にガイドラインを今後作るとすれば、そのガイドラインにおいて例えばマネジメントシステムの導入ですとか、そういったことを位置づけるなどが必要なのではないかというふうに思っておりますし、マネジメントシステム上でPDCAを回す際に、技師さんなど専門家の助力を得て、そういったものが適切に運用されるようなことを規定するというのも有効であるというふうに思っております。あと、公布の時期が来年の4月ということで、猶予措置をどうするかというところでございますけれども、前回の保護具の議論の時に、この時点から3年くらいかかるというご意見だったと憶えておりますけれども、3年ということからすれば、今からすれば公布が半年なので2年半くらいの経過措置が必要なのかなと思っておりますが、だとしても、すべてがその経過措置の間にということより、むしろ20mSvということを外したとしても年50mSvのところはかかるというような形も考えられるのではないかと思っていますので、そういったところの電離則上での作りこみですとか、ガイドラインの記載内容についてご検討いただければというふうに思っているところです。
○永井座長 はい、ありがとうございます。続いて、電気事業連合会の渥美委員、お願いいたします。
○渥美参集者 はい。電気事業連合会の渥美でございます。我々といたしましてもすべての労働者というところについてはまったく異論はございません。また、電気事業者という立場で申し上げますと、猶予期間というものも特に必要ないかなというふうに考えております。先ほど松本委員がおっしゃいましたけれども、なるべく早く、できるところからやっていくという精神が大事かなというふうに考えております。以上です。
○永井座長 はい、ありがとうございます。続いて、放射線審議会の横山委員、お願いいたします。
○横山参集者 私は放射線審議会のとりまとめを行った立場から言いますと、皆様が同じ時期に線量限度を取り入れということができるといいなというふうに考えておりました。1つは2017年に厚労省から通知が出ている、通知というか、被ばく低減に関してのこれから審議会が検討を行うことが予想されますので被ばく低減に心がけてくださいというような通知が出ていたと思います。それから、2018年に審議会で検討、それからガイドラインのことに関しましては今年度実施するということになっておりますけれども、2017年度から安全研究といたしまして我々の研究班で実施して、その被ばく低減に関して取りまとめたという立場からは割と時間をもって行ってきたというような思いがあったのですけれども、今皆様のご意見をお伺いしていまして、ただその規制に実際に取り入れられる、規制が改訂されるということが実際に見えてこないと対応しにくいという状況があるかと思いますので、線量限度が変わることがいつかということは置いておいてというか、そのことに関しましては今皆様の、実際の対応をされている方々のご意見を尊重していただいて、できるだけ早く皆様線量を、労働者としての線量を下げていただくという点でご努力していただければなというふうに思います。
○永井座長 経過措置の期間についてはどういうふうにお考えでしょうか。
○横山参集者 何とも言えませんけれども、実際に今までガイドライン等がまったくなかったわけではなくて、ただその分野全体に、医療の分野に関しまして、全体に浸透していたかというところでは難しいところだったのかなと思います。そういう意味では、これから1年半では難しい、今年度公布で2021年度が起算点にちょうどなりますので、そこから一斉にするといいんですけれども、やはり2~3年の時期が必要なのかなというような、お話をお伺いしているとそのように感じました。
○永井座長 はい、ありがとうございます。いかがでしょうか。何か全体、今の点、追加のご発言等ございませんでしょうか。全体としましては、全労働者に新たな線量限度を適用すると、これはよろしいですね。問題は一部の方にある程度の経過措置は必要であろうと。まったくないということではなかなか難しいかなという気がいたしますが、そこはある程度の経過措置は考慮するということでいかがでしょうか。よろしいでしょうか。はい、そういたしますと、先ほどの2点、全労働者に新たな線量限度を適用すると、これは非常に大きな決定だと思いますが、実務的なところで一部の対象者にある程度経過措置をおくということにしたいと思います。そうしますと、誰がどのくらいという問題が出てくるわけです。先ほどの調査研究を踏まえまして、一つの考え方は、十分な放射線防護を行ってもなかなか高い被ばく線量をある程度受ける方がいるということを踏まえて、高度な専門的経験があり、かつ後任者を容易に得ることができないというのは一つの視点になろうかと思うのですが、そういう方を対象とするということ、それから経過措置、2年半という話もありましたが、区切りのいいところで3年というのは一つの考え方かと思うのですが、その2点について、よろしいでしょうか。高度な専門的な経験をもち、後任者を容易に得ることができない医師を対象にして経過措置、公布から3年程度という考え方についてご意見をいただきたいと思うのですが、むしろこれは医療現場のご意見が非常に大きいかと思うのですが、日本消化器病学会 持田参考人からお願いいたします。
○持田参考人 今回の研究結果を拝見すると、ハイボリュームセンターでも防護策をしっかり行えば、対応できるのではないかと考えられます。しかし、前回の会議で問題になりましたように、線量計を装着しない医師も多いといった実態で、防護策を啓発、普及するのには、それなりの時間がかかるのではないかと思います。日本消化器病学会は8月の会議で、この問題を取り上げることになっています。日本消化器内視鏡学会と連携して、対応を進めていくことになりますが、ガイドラインが完成する前から準備を進めていく体制になっています。しかし、それでも啓発し、施設によっては防護クロスや防護眼鏡などを買う予算を計上してのぞまなくてはならないことを考慮すると、2年から3年は猶予時間が必要ではないかと考えます。特に、ハイボリュームセンターで高度医療を行っている医師は、難治例の処置を他の医師に任せられない場合がありますので、ある程度の特例条件を設けて、のぞんでいただきたいと思います。
○永井座長 先ほどの提案は、ただ高度な技術を持った医師ということではなくて、代わりがいるのであればそこは制約を受けるということはご確認させていただきたいと思いますが。
○持田参考人 もちろんそうなるかと思います。
○永井座長 はい。ありがとうございます。続いて日本整形外科学会 三上参考人、お願いいたします。
○三上参考人 はい。対象者を絞り込むという座長のご提案ですが、まさにその通りだと思います。医師、あるいは歯科医師、全員にもちろんやる必要はないだろうということであります。それから経過措置期間ですけれども、整形外科、前回の検討会でも出ましたように装着率、あるいは装着方法等についてなかなか問題が多いということもありまして、現在ガイドラインの作成に参画をしております。本年度中にそのガイドラインが概ね出来上がって、その後各学会に落とし込まれてということになりますと、その後もう少し、やはりかかるだろうということ、それから、そのガイドラインを周知していく期間、各医療機関ですね、そういうのを考えますとやはり経過措置は3年くらいいただけると大変ありがたいかなというふうに考えております。
○永井座長 はい、ありがとうございます。続いて、日本循環器学会 天野参考人、お願いいたします。
○天野講師(池田参考人代理) はい。循環器学会からですけれども、欅田先生の方の循環器領域のこの件数を見たのですけれども、これ以上やっている先生も結構いらっしゃると思い、実際いますし、もうちょっと複雑な手技をやっている、そのエキスパートの先生も、その人しかできないという先生もかなりいますので、クリアできない先生もやはり、結構それなりにいるのかなというふうには感じています。期間については計測の機器とかよく落ちたりしてということで、その辺の備品とかがやはりメーカーとかしっかり作っていただけないと、やはり着けてちゃんと計測できないので、その辺の準備期間も入れてやはり3年というのは必要になってくるのかもしれないと思います。
○永井座長 はい、ありがとうございます。続いて、日本医学放射線学会 吉川参考人、お願いいたします。
○吉川参考人 はい。吉川でございます。欅田先生のデータを見せていただいて、放射線、あるいはIVR関係はかなり被ばくに関しては従来から意識を払って、軽減に向かって努力はしているのですが、ただ1つ現場での問題点としてやはり防護眼鏡ですね、これは種類によってもやはり変わってきますし、どういうふうに装着するかとかそういうものがございます。それから1つは今ハイブリッド手術ですね、透視と外科手術の両方を手術場でやるというふうな、これに関しましてはなかなか従来のいわゆる防護の考え方が十分に浸透していないところがございますので、そういうところもやはりこういう意識を高めていく、現場でのそういう対応を進めていかないといけないということがあると思います。それから、ガイドラインを作っていただいて、それを各学会に落とし込んで、セミナーとか、講習会等、そういうので順次教育をしていって、完全に浸透するにはやはり2年から3年くらいの猶予期間は、特にそういう特別な処置を、手技を必要とする先生等に関しましてはやはり2から3年の措置期間を設けていただければ非常に現場としてはありがたいんじゃないかというふうに考えます。以上です。
○永井座長 はい、ありがとうございます。続いて、医療被ばく研究情報ネットワークの赤羽参考人からお願いいたします。
○赤羽参考人 はい。医療被ばく研究情報ネットワーク J-RIMEの赤羽です。これまでのお話を伺っていて思いましたのは、まず法令の考え方としてはICPR、IAEAも出している通り基準があります。そして、その基準というのは、すべての労働者にかかってくると、労働者の安全ということですので、基本的な考え方としては医療も非常に、もちろん医療が一番メインですけれども、医療に携わる方の防護というのは非常に重要であるということを鑑みると、やはり全員に対して、それもなるべく早く適用した方がいいのではないか、というように思います。やはり基本はすべての放射線診療従事者の防護ということですので、例外規定を設けるのであれば、あるいは猶予期間をきちんと説明するのであればやはりエビデンス、どの医師の方々がその対象となるか、その判断基準を明確にしないと、おそらく例えば医師というのは2種類あって、一般の医師と高度な医師というのではなくて、様々な医師の方がいて、どこからどこまでが高度かという区分けがなかなかできないかと思います。そういう点においては客観的な何か指標というのが必要であるのではないかというのが1つ。もう1つは、医療の現場でこれまで一所懸命やってきてなかなかできなかった医療施設もあれば、先ほどお話にも出たように線量計もなかなか着けていないとか、防護用具もあまり用意してこなかったと、できなかったのではなくて、してこなかったというような施設もあろうかと思います。そういったところをどのように対応していくかといったところも考えて、明確に説明ができるような対応策が必要なのではないかと思います。
○永井座長 はい、ありがとうございます。いかがでしょうか。今、5人の参考人からご意見をいただきましたが。例えば今の、後任者を容易に得ることができないということの客観的指標ということですが、松本委員、いかがでしょうか。この辺をどう客観化するのか。
○松本参集者 これを客観的数値で示すというのはなかなか難しいことで、多分学会の現場の先生方もなかなかこれを規定するというのは難しいとは思います。期間が絞られ、ある程度2年あるいは3年と私は言いましたけれども、絞られるということと、先ほどの繰り返しになりますけれども、それまでは現在の線量限度いっぱいでもいいんだという考えではないということが基本だと私は思っていますので、あくまでも早く、少なくとも限度内に引き下げるという努力を各現場が行っていくということが大事ではないかと私は思っております。
○永井座長 いかがでしょうか。いろいろお話をお聞きしていると、まず基本的な教育をしっかりやらないといけないということが何よりも先行して行うべきなのだろうと思います。そもそも個人線量計を装着していないとか、あるいは機器の扱い方ですね、こういうところだけでもかなり重点的に対応すれば全体量は減ってくると思います。いかがでしょうか。特に追加のご意見はございませんでしょうか。そういたしますと、後のまとめ方にも関わりますが、まず全体としては労働者の健康確保という観点から経過措置の対象者はとりあえず十分な放射線防護を行ってもなお高い被ばく線量を眼の水晶体に受ける可能性があって、かつ専門的経験、技術を持ち後任者を容易に得ることができない医師ということでとりあえずまとめさせていただいて、後、具体的にどういうふうに指導していくかというのは当局ともいろいろ相談させていただきながらまとめたいと思います。それから経過措置、2年はかかるわけですので2年半というよりも区切りのいいところで公布から3年程度というところでいかがでしょうか。そういたしますと、まとめを踏まえて報告書をどうするかということなのですが、これは事務局からとりまとめ案を提示していただけますでしょうか。
○髙山放射線室長 お手元の資料6と参考資料の3をお手元にお取りいただければと思います。検討会で方向性をおまとめいただいたものについて、報告書の雛形を参考までにご案内させていただければと思います。本日は中身について細かくはご説明いたしませんが、この検討会の経緯、放射線審議会意見具申の概要についてまとめさせていただいた後に、ご議論いただきました内容を検討の経緯で記載をさせていただきたいと考えております。その中もいくつかのセクションに分けまして、それぞれ丁寧に書いてまとめていくというのがよろしいのではないかと考えております。Ⅳに電離則等関係法令等の見直しの方向で、座長からもご発言いただきましたような形で方向性を示していただきましたので、まとめていく形で構成したいと考えております。Ⅳの見直しの方向を一枚紙に落としているのが資料6になります。例えばですけれども、今までご議論いただいた内容については、例えばこの1つ目のところにあります、眼の水晶体に受ける等価線量が、継続的に1年間に20mSvを超えるおそれのある者に対しては、健康診断の項目の白内障に関する眼の検査の省略(電離則第56条第3項)は認めないことが適当、というような形にまとめさせていただいているところでございます。本日ご検討いただきました内容も、このような形で書き込んで、今後委員の先生方にお諮りしたいと思います。以上です。
○永井座長 はい、ありがとうございます。いかがでしょうか。これは今後の予定としてはいつ頃までに最終とりまとめにもっていくのでしょうか。
○髙山放射線室長 来年の4月の公布を目指すということになりますと手続き等々がございますので、実際には9月の中旬頃までには検討会の報告ということで公開をする方向で手続きをさせていただければと考えております。以上です。
○永井座長 はい、ありがとうございます。いかがでしょうか。まだ委員の方々から意見をお伝えする期間はあるということですので、この資料を今日お持ち帰りいただいて、追加の意見等がありましたら事務局へお申し出いただくことにしたいと思います。そしてその上で、できましたら私がお預かりする形で最終的な調整をさせていただくということでいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
○細野参集者 よろしゅうございましょうか。
○永井座長 はい、どうぞ。
○細野参集者 座長のおっしゃる通りで大変結構かと思います。それで、先ほどの経過措置についても大分ご議論がございまして、おそらく経過措置をどういう形にするかという技術的なところが出てくると思います。例えば、年に50mSvを超えないこととICRPの定義にもなっていますから、多分50という考え方もおそらく経過措置の中の1つの要素にはなる可能性もございますし、そのような具体的なことを含めて座長にご一任して妥当な案をお作りいただくのがいいのではないかと思います。かなり技術的な側面もございますし、全体で細かく議論するというプロセスはもちろん重要でございますけれども、座長にご判断いただくということで調整が可能なのではないかと思います。以上でございます。
○永井座長 はい。いただいた意見を調整し、また全体をまとめて各委員にフィードバックする時間はあるということでよろしいでしょうか。そうしますと、一度意見を寄せていただいて私が単独で判断するのではなく、多少のやり取りを当然行うということを含めて、最終的には私の方で調整、お預かりさせていただく、そういうとりまとめでよろしいでしょうか。ありがとうございます。そういたしますと議事は以上でございまして、今後の予定等について事務局から説明をお願いいたします。
○髙山放射線室長 本日の議事録につきましては各委員の方々にご確認をいただいた上で公開することとさせていただきますのでご承知おきをお願いいたします。また、先ほど座長からもご発言ありましたけれども、今後の進め方については改めて座長ともご相談させていただいて、委員の先生方にご連絡をさせていただきたいと思います。また7月9日付で村山安全衛生部長が着任しておりますので、この場をお借りしてご挨拶させていただければと思います。
○村山安全衛生部長 ご紹介に預かりました村山と申します。7月9日付で安全衛生部長を拝命いたしました。本日は座長一任にとりまとめていただきましたこと御礼を兼ねまして、最後にご挨拶をさせていただきたいというふうに思います。お集まりの先生方には昨年の12月の暮れの頃だったと思いますけれども、前任の部長の椎葉のもとでこの検討会を立ち上げる中、大変お忙しい中ご参集いただき、また、本日に至るまで6回に亘りまして集中的な、また専門的な幅広いご議論をいただきました。本当にどうもありがとうございました。そして本日、永井座長におまとめいただきましたように、各委員それぞれのご知見を基に、一方では労働安全衛生の確保という観点から、そしてまたもう一方では医療を始めとする関係の職場がきちっと回るというような観点から、大変幅広いご議論のもとに一定の幅寄せを行っていただいたということで本当に感謝をしております。また特に参考人の先生方には各会から大変貴重なご意見をいただきまして、これがまた議論の客観性ですとか専門性を確保する上でも大変ありがたかったというふうに思っております。この場をお借りしましてすべての委員の先生方、参考人の先生方、また本日いらっしゃらなかった方を含めて関係の方々に厚く御礼を申し上げる次第でございます。それで、先ほど来、今後の道行きのことにつきまして何度かご質問があり、髙山室長の方からお答え差し上げている通りでございますけれども、もう少し具体的なイメージということで申しますと、まず幅広く国民の皆さんに関わる話であるということでございますので、この電離放射線の規則を変える上でパブリックコメント等の手続きがあるということがございます。また労働安全衛生法に基づく規則であるということもございまして、こうした細目に関しまして、今後もちろん座長のもとで一定のとりまとめが行われることが前提ではございますけれども、関係の審議会、具体的には労働政策審議会の方にお諮りをするという機会もございます。その中でご答申をいただいて、さらに法令的な、技術的な調整、とりわけ本日もいらっしゃっていますが規制庁さん等々の調整もきちんと行った上で、最終的な公布として、一定の周知期間をおいた上での施行ということになるということで、そうした意味では私共事務局としても今後とりまとめに向けて座長を始め、委員の先生方のご指導を引き続きいただきながら、まず円滑にとりまとめていくことのお手伝いを差し上げるということもございますが、その後の道行きにおきましても、これだけこの検討会で専門的なご議論をいただいた、幅広い観点から様々な方々の、特に本日もレポートいただきましたような大変詳細な実態の調査も行った上で詰めた議論を行って、その上でのこうした経緯を辿っての、こうした報告書なんだということを関係の方々に、また丁寧にご説明を差し上げていき、幅広いご理解をいただくことができればというふうに考えておりますので、そうした意味でも引き続き皆様方のご指導、ご鞭撻をいただければというふうに考えております。最後になりましたが改めまして、この数か月間に亘る、長い期間に亘りましての取り組みに感謝を申し上げますとともに、今後よろしくご指導いただけますことをお願い申し上げまして最後に事務局からの御礼の挨拶に代えさせていただきたいというふうに思います。本当にどうもありがとうございました。
○永井座長 はい、どうもありがとうございました。私からも一言御礼を申し上げたいと思います。委員の皆様方、参考人の皆様には長期間に亘り、特に月1回というかなりのハイピッチで6か月に亘ってご議論いただきましてありがとうございます。今回の検討会は、今部長さんからお話があったように、労働安全衛生の規制という立場と、それから現場の医療提供体制という立場の違うところからの調整が必要だったという意味で、非常に難しい検討会だったのではないかと思います。最近よくEBPMという言葉が使われるようになってきまして、これはEBM、Evidence Based Medicineから来た言葉が政策の方にも使われるようになり、Evidence Based Policy Makingというのだそうですけれども、まさにEBPMを踏まえて今回の検討会、検討期間中に調査研究が行われるという非常に新しいスタイルの検討会になったのではないかと思います。これは欅田委員、富田委員を始め多くの方々のご協力をいただけたわけですが、やはりそのデータがあるかないかで議論の進め方とか、皆様の考え方が相当影響を受けたのではないかと思います。そういういわゆるEBPMの1つのモデルとして今回の検討会は大変大きな意義があったと思います。是非、行政におかれましても、この検討会を1つの参考として、丁寧な議論が今後行われるとよろしいのではないかと思います。改めまして委員、参考人の皆様に感謝申し上げまして、本日の検討会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。