第25回全国健康保険協会業績評価検討会

日時

令和元年9月20日(金)
14:00~16:00

場所

厚生労働省 共用第8会議室(11階)

議題

全国健康保険協会の平成30年度事業実績報告及び自己評価に対するヒアリング(質疑及び業績評価についての議論)
<業績に関する評価>
○基盤的保険者機能
○戦略的保険者機能

議事

 
○厚生労働省深谷全国健康保険協会管理室長 定刻になりましたので、ただいまより第25回「全国健康保険協会業績評価に関する検討会」を開催いたします。
皆様には、御多忙のところ御出席いただきまして、ありがとうございます。事務局を務めます保険課の深谷でございます。よろしくお願いいたします。
開会の前に、事務局に異動がございましたので、御紹介いたします。
保険課長に就任されました姫野課長でございます。
全国健康保険協会の渡辺総務部長でございます。
同じく榎本企画部長でございます。
次に、本日の出席状況でございますが、花井構成員が欠席でございます。参考人としまして伊藤さんが御出席の予定ですけれども、少しおくれておりますので、後ほどお見えになりましたら御紹介いたします。
また、本日の議事でございますが、前回の検討会で決定いただきました議論の進め方に従いまして、2回に分けて協会の平成30年度事業実績についての説明と質疑をお願いしたいと思います。1回目の本日は、健康保険の事業についての御審議をお願いしたいと思います。
それでは、これからは小西座長、よろしくお願い申し上げます。
○小西座長 小西でございます。不慣れな座長でありまして、前回は台本を読み飛ばして事務局を慌てさせましたけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、早速、業績評価の審議に入りたいと思います。
初めに、第1のテーマでございますが、健康保険の基盤的保険者機能関係についてでございます。全国健康保険協会から御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
○榎本企画部長 企画部長の榎本でございます。
それでは、資料の基盤的保険者機能関係について御説明申し上げたいと思いますが、その前に1点、本日の資料の中にはKPIに関する数字が多く出てまいります。ただ、KPIの設定方法につきましては、大変恐縮ではございますが、本日は時間の都合もございますので、詳細な説明は省略させていただければと思います。
それでは、資料につきまして各担当から御説明申し上げます。
○厚生労働省深谷全国健康保険協会管理室長 済みません、今、参考人の方が到着されましたので、参考人の方の御出席につきまして、座長よろしくお願いします。
○小西座長 本日、御欠席の花井構成員の代理として、伊藤参考人がお見えでございますが、出席につきまして皆様の御承認をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○小西座長 ありがとうございます。
それでは、伊藤参考人におかれましては花井構成員と同じように、どうぞ審議に御参加いただきますようお願いいたします。職名がいろいろでございますので、きょうは皆さん「さん」づけでやらせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
それでは、協会の皆様にはちょっとお待ちいただきましたが、御説明をお願いいたします。
○三浦業務部次長 業務部次長の三浦でございます。では、私から基盤的保険者機能の説明をさせていただきます。
まず、1ページの①現金給付の適正化の推進をお開きいただきたいと思います。
こちらの項目につきましては、自己評価をAとさせていただいております。その理由につきましては、まず1つ目、資格取得から申請までが短期間など、申請内容に疑義があるものについて143件の事業所の立入検査を実施いたしまして、そのうち13件不適正と判断し、返還請求を行っております。件数は昨年より減少しておりますが、これについては1つ目の○の下から3行目「なお」以降に記載させていただいておりますけれども、平成28年4月の不正受給防止を目的として行われた制度改正によりまして、不正請求の抑止効果が働いて、そういった申請が減少しているためと考えております。
戻っていただいて、上から3行目になりますけれども、不正請求を防止する観点での審査強化といたしまして、83万円以上の報酬の申請について、労務可否の確認を徹底しております。また、年金機構の資格取得処理から60日をさかのぼるなどで、支部の審査では確認できないケースについて本部でデータを抽出しまして、支部において事後調査を徹底することで、現金給付を受給するためだけの資格取得が疑われる申請を重点的に審査しております。
2つ目ですが、傷病手当金と障害年金との調整につきましても、会計検査院の指摘も踏まえまして、併給調整の手順書を作成しまして、併給調整の処理を徹底しております。また、これまで1年までさかのぼった年金の裁定につきまして、このデータの提供を5年間に拡大して併給調整の徹底を図りました。この結果、併給調整件数は7万5850件と対前年度42%増加しております。このような状況から自己評価はAとさせていただいております。
次に3ページ、②効果的なレセプト点検の推進についてでございます。
こちらの自己評価もAとさせていただいております。その理由につきましては、1つ目、各支部行動計画を策定いたしまして、その計画に基づき毎月の進捗会議で支部の現状・課題を抽出して改善策を検討し、効率的な点検に取り組んでおります。その結果、診療報酬等査定効果額も56億円と対前年度を上回る結果となっております。
また、支部の勉強会におきましては、これまでは自支部のノウハウの共有という観点でしたが、平成30年度他支部の査定データを研究するということで、他支部の事例も自支部に取り入れるところまで展開させまして、点検員のスキルアップを図っているところでございます。また、外部研修といった本部主催の新人の点検研修の実施などを行った結果、点検員一人当たり点検効果額は740万円、対前年度15万円向上しております。
一方で、平成24年度より実施しておりました内容点検の外注化につきましては、平成24年度から3支部実施いたしまして、平成28年度から全支部で実施してまいりました。外部業者の査定結果の中から協会のレセプト点検員では気づかない点検観点を協会の再審査に取り入れることで、ノウハウの収集、競争意識を促すといったことを目指し行ってまいりましたが、その結果、一定の効果はあったと評価しております。ただし、平成29年度の結果の検証において、支払基金の点検整備による支払基金からのノウハウの収集ができるようになったことや、協会のシステムを活用した点検が促進されてきたことから、外注業者と比べまして協会の点検効果が高い状況となっており、外注による費用面・スキル面での効果は限定的と判断いたしまして、平成30年10月に廃止するという判断をしております。
こういった状況から、4つ目になりますが、支払基金との合算査定率は0.383%と、わずかながら下回る結果とはなっておりますが、協会の点検においては支払基金の点検効果が低下している中で、突合点検はかなり下がっておりますけれども、単月点検及び縦覧点検は対前年度を上回る実績を出しているということ、また、資格点検、外傷点検においても前年を上回る実績を出しているということで、A評価とさせていただいております。
次に、7ページでございます。③柔道整復施術療養費等の照会業務の評価についてでございます。
こちらにつきましては、3部位または月の受診が15回以上という、いわゆる多部位頻回の受診の申請につきまして、また、部位を変えて長期的に申請が行われる、いわゆる部位転がしと呼ばれている申請につきまして文書照会等を積極的に行っておりまして、平成30年度は41万4,073件と対前年度23.9%増加した照会を行っております。あわせて毎月事業主に送っている報告書等で適正な受診の周知促進も行っております。
これらの取り組みによりまして、加入者が増加している中で申請件数は1547万1299件と7万2000件ほど減少しております。また、いわゆる多部位頻回の受診につきましても1.23%と前年度を下回る結果となっておりまして、KPIを達成しているということで、A評価とさせていただいております。
続きまして、9ページでございます。④返納金債権の発生防止のための保険証回収強化、債権回収業務の推進についてでございます。
こちらにつきましても、A評価とさせていただいております。1つ目でございますが、保険証の早期回収の取り組みにつきましては、回収催告に応じなかった方に協会から2週間以内の催告を実施、電話での催告等も含めて回収強化に取り組んでいるところでございます。また、厚生労働省に協会から申し出を行って実現いたしました保険証が添付できない場合につけていただく被保険者証回収不能届に記載されている電話番号を活用した電話催告も新たな取り組みとして実施しております。
2つ目ですが、債権回収につきましては、発生から早期、6カ月以内に回収することが重要と考えておりますので、初回通知や催告はアウトソースを図りまして、非常に効率的に電話催告や文書催告等を実施しております。また、こういった催告でも納付いただけない方につきましては、法的手続の実施を行っておりますが、こちらが対前年度12.5%増で3,386件、また、保険者間調整ということで国保との調整等を行っておりますけれども、こちらについては7,971件と対前年度で約1.5倍の実績となっておりまして、回収金額も対前年度比1.1億円の増加となっております。
こういった取り組みによりましてKPIでございますが、まず1つ目、喪失1カ月後の保険証の回収率につきましては、91.57%とわずかに目標を達成できない状況ではございました。原因といたしましては、1つ目として、日本年金機構が平成30年4月にシステムの刷新しておりますけれども、そのシステム障害によって4月、5月と返納金催告が中止され、できなかった期間がございます。2つ目といたしまして、被保険者証回収不能届、新たな取り組みとして年金機構で取得していただいているのですが、こちらの電話番号の記載率が平成31年4月時点で、まだ40.7%と低い状態にございまして、十分な催告ができなかったということがあります。3点目といたしましては、喪失者が777万人と対前年度比で増加しているといった状況から、わずかに目標が達成できておりませんが、最終回収率としては97.23%ということで、対前年度を上回る実績を出しております。
2つ目のKPIでございますが、返納金債権の回収率でございます。こちらにつきましては、日本年金機構による資格取得を2年以上さかのぼるという遡及処理や、入院等による高額な債権が増加しておりまして、1件当たりの債権金額が上昇している関係で、一括で返せない方、長期分割を希望される方が924名、336人増と大幅に増加していることがございます。こういった状況もございまして、56.16%ということで対前年度を下回る結果となっております。
次に、3点目のKPI、医療給付費総額に占める資格喪失後受診に伴う返納金の割合につきましては、こちらも加入者が増加してレセプト件数は増加している中ですが、資格喪失後受診のレセプトの発生割合、件数自体は減少しておりますが、先ほど申し上げましたとおり、1件当たりの債権の金額が高くなっているということで、金額としてはわずかに対前年度を上回る状況になっております。
外的要因等が多い中で、協会といたしましては取り組みをしっかりさせていただいているということで、自己評価はAとさせていただいております。
次に12ページ、⑤サービス水準の向上でございます。
こちらについても自己評価はAとさせていただいております。その理由といたしましては、2つ目ですが、毎年行っておりますお客様満足度調査の結果、窓口サービス全体の満足度は97.6%と引き続いて高い水準を維持しております。特に、職員の応接態度、訪問目的の達成度につきましては、対前年度を上回る結果となっております。各支部、この調査結果、支部別のカルテを活用いたしまして、問題点の把握等を行った上で研修等に取り組んでいるところでございます。
次に、サービススタンダードにつきましては、こちらも非常に加入者が増えて支給件数が増えている中で、99.99%と引き続き高い水準を維持している状況。また、年間で100%を達成している支部も41支部と2支部増加している状況にございます。さらに、平均の所要日数については7.68日と前年よりさらに短縮している状況がございます。
最後に、郵送化率につきましては、ホームページのみならず各種広報や関係団体、研修等を通じて周知等を行った結果89.3%ということで、対前年度2.6%上昇しKPIを達成している状況にございます。
こういった状況から、自己評価はAとさせていただいております。
次に、15ページです。⑥限度額適用認定証の利用促進でございます。
こちらにつきましても、自己評価はAとさせていただいております。理由といたしましては、ホームページやリーフレット等を活用いたしまして、事業主や健康保険委員、また、加入者の方に対してあらゆる機会を通じて限度額適用認定証の利用促進に向けた周知等を図っております。4行目以降の「また」に記載しておりますけれども、医療機関や市町村には直接支部の幹部職員が訪問いたしまして、加入者が入院した場合等の限度額適用認定証の利用を促すよう、申請書の設置を依頼する等、全支部が積極的に取り組みを行っております。
こういった取り組みの結果、限度額適用認定証の発行件数は対前年度で17%増加し、165万5000件となっております。また、高額療養費に占める限度額適用認定証の使用割合については、件数は81.3%と概ねKPIを達成している状況にございます。また、金額ベースでは93.3%という状況となっておりまして、加入者数が増えてきておりますが、それ以上に17%という大きな伸びを達成しているということで、自己評価はAとさせていただいております。
次に、⑦被扶養者資格の再確認の徹底でございます。
こちらも自己評価はAとさせていただいております。被扶養者の再確認事業につきましても、事業所数が対前年度で5万1000件ほど増加し、対象事業所数が増えている中で回収率は88%、これは平成30年度のKPIである87%以上を達成している状況にございます。
また、この調査の結果、7万897人の被扶養者資格解除の届け漏れを確認すること、また、これに加えまして、この資格の解除によりまして前期高齢者納付金の負担が17億3000万円軽減される見込みとなっております。
また、被扶養者状況リストの未提出事業所に対しましては、文書や電話等による提出勧奨を実施しております。これによって9万5670事業所、7,332人の被扶養者の資格を削除することにつながっております。また、住所等が違っております未送達事業所につきましても、当初3,000件ほどございましたけれども、支部等で加入者に電話照会等を実施することで、最終的には1,276事業所まで減少させております。
こういった取り組み状況を踏まえまして、自己評価はAとさせていただいております。
私からは以上でございます。
○榎本企画部長 それでは、引き続き、企画部長の榎本より⑧⑨につきまして御説明申し上げます。
まず、19ページを御参照ください。⑧オンライン資格確認の導入に向けた対応でございます。
事業計画上は現在、協会けんぽが独自に実施しているオンライン資格確認については引き続きその利用率向上に向けて取り組む。それから、別のものといたしまして国が検討中のオンライン資格確認については、新被保険者番号の発行などの保険者統一的な検討事項は国の動向を注視して準備を進めるとともに、協会けんぽのシステム改修に係る費用対効果の検証や、より効果を高めるための工夫についても検討を行うとされております。
KPIにつきましては、現行の今、協会けんぽが行っておりますオンライン資格確認システムについて、USBを配付した医療機関における利用率を36.5%以上とするというものでございます。
こちらにつきまして自己評価はSとさせていただきたいと思います。
自己評価の理由でございますけれども、まず、協会が独自に実施しているオンライン資格確認については、利用率がKPIを上回る37.1%を達成いたしました。また、国が検討を進めておりますオンライン資格確認につきましては、医療関係者や医療保険者等で構成された検討会等に参加し、導入の理念や法的整備、運用面の整理などに関して費用対効果や実効性の向上に資するような提案を行っております。その結果、オンライン資格確認の法的位置づけが明確化されるとともに、発行済みの保険証を有効活用するという協会の提案が採用されております。
このように平成30年度は計画を大幅に上回る効果を上げたことから、自己評価はSとさせていただきたいと思います。
次に、24ページを御参照ください。⑨的確な財政運営でございます。こちらは、事業計画には記載がございませんけれども評価をいただきたい項目でございます。
中長期的な視点から健全な財政運営に努める。それから、中長期的には楽観視できない協会の保険財政等について、加入者や事業者に対して情報発信を行うというものでございます。
自己評価はAとさせていただきたいと思います。
理由といたしましては、令和元年度の保険料率を決定するに当たっては、運営委員会や支部評議会においても十分に議論を尽くした上で、協会として中長期的に安定した財政運営を図る観点から、平均保険料率10%を維持したものであり、財政運営主体としての責任を的確に果たしたものと考えます。
また、高齢化に伴う今後の高齢者医療費の急増が見込まれる中、持続可能な医療保険制度の構築のために当協会を含めた被用者保険関係5団体から、厚生労働大臣に対し高齢者医療費の負担構造改革等を強く要望する旨の意見書を提出しております。
そのほか、社会保障審議会の部会や分科会、中央社会保険医療協議会などの審議会の場等においても、積極的に意見の発信を行っております。
このように平成30年度は十分な効果を上げたことから、自己評価はAといたします。
私からの説明は以上でございます。
○小西座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明あるいは資料などにつきまして、構成員、参考人の皆様からどうぞ御自由に御発言いただければと思います。いかがでしょうか。
森下さん、お願いします。
○森下構成員 森下でございます。1回目の会議は所用によりまして欠席いたしまして、まことに申しわけありません。
私も評価させていただく立場で3年目を迎えまして、大分協会けんぽのお仕事の内容がわかってまいりました。数字をずっと見させていただいていまして、発足以来10年の節目を迎えた以降も、非常に進化しているなという実感がございます。また、理事長初め理事の方々も、国のいろいろな審議会等に出席されて、いろいろな御意見を発信されているということも伺っておりまして、今後もぜひ協会けんぽのために頑張っていただきたいなということを思う次第でございます。
日本の健康保険制度というのは、協会けんぽも含めて非常に世界に誇るべき医療制度だと思っておりますが、最後に御説明があった財政の問題をまず1点御質問したいと思っています。平成30年度の収支については、結果的にはかなりの黒字額であったという御報告を受けております。このままずっと御努力によって黒字が続けばいいのですが、私としてはいろいろな懸念材料が多々あるのかなと思っております。
1つ、これまで余り世の中では表現されていないようでございますけれども、実は私の所属している業界も昔、年金基金制度がございまして、年金基金制度は非常に危ういということで、今から15~16年前ですか、日本版401k制度が導入されたときに、私も業界の年金を廃止して確定拠出に移行するという業務に携わった経験がございます。今まさに確定拠出制度は日本の年金の補完的な制度として、厚労省さんも非常に推薦されている制度でございまして、その制度の充実も最近はかなり図られてきていると。
何を言いたいかというと、逆に非常に制度が充実されているおかげで、実は総合型のDC制度の中でも、選択制DCというのですか、そういう制度の中で例えば、上限が5万5000円までは無税の積立制度ができるようになり、地域により認可されつつあります。そうなると、実は給与の算定額が減額になってしまうという反面が出てくるんです。ですから、今ここで御報告があるとおり、協会けんぽでは28万円ぐらいが大体平均の積立額というか、等級になっていると伺っていますが、もし、そういうDC制度のメリットをいろいろな会社が取り入れて給与の減額形式に評価されると、2等級、3等級の査定が下がってしまう。結果的に保険料の徴収が非常に減るという現象も将来は起きてくるのかなと思っておりまして、これは制度上の問題で非常に懸念するところです。2等級ぐらい繰り下げると、保険料自体が14%くらい現状からいくと落ちてしまうわけです。
そういうことで、これからますますそういうDCを利用した制度改革が進んでしまいますと、今度は健康保険そのものに対する影響、また年金制度の積立額に対する影響も出るような感覚も持っておりますので、その辺について現状では協会けんぽさんの報告書、冊子の39ページで、賃金上昇率を現状では0%または0.6%上昇、またはそれ以上みたいな形でずっと想定されておりますけれども、もしかすると働き方改革等の影響も受けて、場合によっては減額というシミュレーションも今後考えながら対応しなければいけないのかなということも思っていますので、その辺について、これはかなり国も含めた難しい問題かもしれませんけれども、ぜひとも御見解をいただければと思っております。
長くなりまして済みません。
○小西座長 ありがとうございました。
この仕組みの根幹・基幹にかかわるようなテーマということかと思いますが、DC制度の利用につきまして、協会の皆様どなたか御説明をお願いいたします。
○高橋理事 確定拠出年金制度の場合には、サラリーマンの方ですと自分の出している拠出金は所得控除になります。所得控除される場合には、所得税を課すベースが生の給与からいろいろな給与取得控除とかやって、残りを給与所得として課税するわけですが、生の給与収入から所得控除の1つとして確定拠出制度への拠出金を落とすので、課税ベースが小さくなっています。ただ、私ども健康保険料の保険料を課すベースは、あくまでも生の収入ですので、確定拠出のほうに幾らお出しになっても、例えば30万円が生の給与であると。401kの方には2万円出しているので、所得税の課税ベースとしては2万円ほど小さくなりますということですけれども、私ども健康保険の保険料の場合には、生の給与が30万円であれば30万円そのまま課しますので、確定拠出制度に幾ら拠出したとしても、あくまでも健康保険の保険料を課すベースは生の30万円そのものなので、そこに影響はないのだと思いますが、そこはもう一度よく調べさせていただきます。
○森下構成員 ぜひ御検討いただきたいのですが、私が伺っている範囲では、選択制のDCという制度は実は減額が認められて、今まで例えば30万円だった給与を25万円にしてしまうと。そうすると、事業主も実は保険に係る負担が減るというものが取り入れられる制度なのだそうです。ですから、この辺について私も正直言って詳細はよくわかりませんけれども、そういうものが現実に取り入れられているということなので、これは厚生労働省全体ではなくて、一部厚生労働局単位で認可するかしないか決定されているという情報がありますので、ぜひ、その辺は調べていただければと思っております。非常に影響があるかと思っています。
○高橋理事 余計なことかもしれませんが、恐らく影響があるのだとすれば健康保険だけではなくて、厚生年金そのものに影響が出ますので、全く同じ話になります。
○小西座長 ありがとうございます。まだまだいろいろ研究も重ねていく項目かと思いますが、ここは言ってみれば現場的にどうなるのかということでお互いに研究ができればいいと思います。よろしいですか。
○森下構成員 今の点については、ぜひ検討いただきたいと思います。
○小西座長 それでは、ほかの皆様いかがでしょうか。
古井さん、お願いします。
○古井構成員 御説明ありがとうございました。私から2点コメントさせていただきます。
まず、評価という観点でKPIの値の設定の仕方と、評価基準のとらえ方を少し協会本部さんに伺いたいと思います。KPIの値の設定というのは、基本的には政策とか事業の目指すところを明確に数値化するということと、数値に対して結果がどうだったかということで次の一歩を踏み出す必要性とかやり方の工夫が必要なのか、そういうものをとらえるためにKPIというのは重要だと思っています。そういう中で、長年、協会さんができてからやられている業績評価の基準というのが、今S、A、B、C、Dとなっていまして、Aというのが上回っていて、Bがおおむね達成と。この辺のA、BとかあるいはSも含めてですが、KPIに対してどうなったときにAなのかあるいはBなのかという、A、Bの考え方を伺いたいと思っています。
例示なのですけれども、3ページの査定率というのが0.395%以上というKPIがあったと。今回は0.383%であると。数値的には達成はないけれども、ノウハウが一定水準に達して外注から内製ができたといういいことがあったり、それから、内容点検全体で見るとKPI的にはぴったりいっていないけれども、単月あるいは縦覧点検自体、個々では非常に上昇しているということを評価されてのAだと思うのですけれども、その場合にあえてBではなくてAにしたことが定性的には聞いていて非常になるほどというところもあるのですが、業績評価という点でそれがAなのかBなのかという考え方、あと、KPIを全体だけではなくて単月、縦覧のようにカテゴリー化して見るやり方があります。全体だけで見るよりは層を細かく分けることで、ここはよかったけれども、ここは改善の余地があるということで意味があると思いますので、その点についてもお考えを伺いたいというのが1点です。
2点目が、12ページのサービス水準の向上のところですが、これは前から協会さんの職員の方の御努力でサービスの提供という視点では非常に高い水準になっているのかと思います。恐らく協会けんぽの職員のレベルはほぼ達成していて、むしろ今いろいろな経済状況やいろいろな社会の多様性の中で、一律のサービスでは拾えないものに目を向けていく必要があるのか。KPIとして九十九・何パーセントを突き詰めるのもなかなか大変なのかなという感想を持ちました。
以上2点でございます。
○小西座長 ありがとうございました。
ただいま取り上げていただきましたが、KPIについてどんな設定をするのか、あるいはそれに関連して評価基準の使い方ととりあえず申し上げておきますけれども、それについてはどうなのか。そして、KPIの設定にも関連して協会さんのサービスに焦点を当てたときにはどうなのだろうかといったことだと思いますが、どのようにいたしましょうか。まず、協会さんのほうから御説明いただけること、評価の基準については事務局はいかがですか。
まず、KPIの関係で協会さんから御説明をいただけますか。お願いいたします。
○藤井理事 企画担当理事の藤井でございます。
なかなか悩ましい御質問でございますけれども、総論的にざっくりと御説明させていただきますと、KPIと申しますのは、昨年度からスタートした第4期のアクションプランをつくりますときに、私どもできる限り項目ごとに協会けんぽとしての数値目標を設定しようということでつくっていったわけですけれども、基本的には私ども協会の中でPDCAを回していくための一つの目安としてつくっておりますので、そういう意味では、今回この場で私どもの実績あるいは成果なりを評価していくに当たりまして、一つの材料にはしていただけるのかなと思っておりますけれども、恐らくこの場での評価がKPIのみで判断をされるということではないのではないかと私どもは考えております。恐らく、厚労省からも何か御説明があるかと思いますけれども、KPIというのは基本的に協会けんぽ内部でのPDCAを回していくための一つの指標としてつくったものだということは御理解いただければありがたいなと思います。
したがいまして、個別個別の項目ごとの評価につきましては、KPIだけではなくて、いろいろな要素を組み合わせて御評価いただければありがたいなというのが、私どもの率直な気持ちでございます。
○小西座長 KPIについて、それから関連して協会さんのサービスも視野に入れてということですが、古井さん、よろしいですか。
評価基準について、お願いします。
○厚生労働省深谷全国健康保険協会管理室長 参考資料をお開きいただきたいのですけれども、前回の検討会におきまして皆様に決定いただきました評価の基準がございます。これは平成29年度以前から使っているものでございますけれども、その2ページ目に、評価を行う場合の留意点ということで幾つか並べてあります。
③の1つ目にございますが、業務実績のKPIが設定されている場合には、その達成度合い、いわゆるその度合いを見る。それ以外で定性的な目的の場合には、具体的な業務実績を把握して評価するということで、平成30年度にKPIが設定されましたので、こういう表現になっておりますが、平成29年度までにつきましては、業務実績の数値目標が設定されている場合に、その達成度合いということで扱っておりました。
ただ、それ以外に2つ目、3つ目、4つ目がありますけれども、単なる数値だけではなくて、そのほかのいろいろな事情を考慮しながら評価をつけていくということでございます。これにつきましては、協会さんの自己評価に当たりましてもそうですし、構成員の皆様方の評価に当たっても、この留意点に従いまして評価をつけていただくということで進めているところでございます。
○小西座長 ありがとうございました。
このKPIにつきましては、従来の協会さんが設定していらっしゃいました目標指標、検証指標といった指標をもって見るという点については変わらないわけですけれども、指標に意味づけといいましょうか、そういったことを意識してのことと理解しております。そのことについては、先ほど古井さんからの御発言もあったところでございます。評価の基準については、私ども検討会の検討の枠組みそのものに関連することでございますので、今回はもとより、今後のことをどうしたらいいのか考えつつ、今回の評価を進めさせていただきたいと考えております。
どうぞ。
○吉森理事 業務担当の吉森でございますけれども、今の古井先生の御提案の中で、例えばレセプトなどでカテゴリー別のKPIがいいのではないかというのも、非常にいい御提案だと思いますし、我々は今、内容点検をきちんとやっていくことに重点を置いていますけれども、今後、資格点検あたりはオンライン資格確認が出てきますので、そういうものも踏まえて今後どうあればいいかというのも考えていきたいと思っていますし、先ほど御発言いただいたサービススタンダードのところはおっしゃるとおりでございまして、残り1%何を我々が目指してやっていくのかというところ、また、47支部普遍的にどういうふうにやればいいのかというのも、各支部の対応もいろいろあると思いますので、その辺も御発言いただいたものをきっかけに、もう少し研究してみたいと思っております。
○古井構成員 ありがとうございました。というのは、我々評価者としてどういうことを大事にしたいかというのをもう一回改めて考えるためと、さっきのレセプト点検の推進のところは、本当に数字には見えない暗黙値というか、外注との共同作業の中から抽出されたノウハウが協会の中にたまっていくというのはすばらしいことなので、もっと評価をしたほうが逆にいいのかなと。つまり、KPIがだめだと言っているわけではなくて、暗黙値的な定性的なところを評価できるようにしておけるといいのかなと。現場でやっていることが評価できるような設計になるといいなという視点で申し上げました。どうもありがとうございます。
○小西座長 ありがとうございました。
高橋理事、何かございますか。
○高橋理事 先ほど例として挙げられたレセプトは、おっしゃるように目標は0.395で確かに下回っているのですが、業務関係の中で多分レセプト点検は一番環境が変化している業務です。10年前を考えれば、協会の発足のときはほとんどレセプトは紙でした。ですから、点検するということは、紙ですから、支払基金全体で当時7億枚くらいあったと思いますけれども、今は8億数千万枚ですけれども、大体4割強が私どもですが、紙ですから支払金額も全部はチェックできないと。ところが、この10年の間に電子化が非常に進んで、それと同様にさらにオンライン化も進んでいますけれども、紙レセはほぼ今なくなりつつあるわけで、そうすると、支払金自体の査定がどんどん進んでいるわけです。その中で私どもでもう一回審査してチェックするというのは、かなり抑制する余地が狭まっています。その中で、それでもこの数字をかなりやっているというのは、自己評価としては当然よくやっているのだろうと我々としては思っているところでございまして、例えば、ほかの健康保険組合とか共済組合のこういった再審査の数字に比べても、私どもは多分倍の数字になっています。ですから、私どもの目標設定は世間的には非常に高い水準なので、多分健保組合の平均からすると倍以上の数字になりますから、そういった意味で自己設定は高いのですけれども、我々としては全体を見ると一生懸命やっていますという気持ちを持っているということだけは一つ御理解いただければと思う次第です。
○小西座長 ありがとうございました。
それでは、西村さん、お願いします。
○西村構成員 評価について御説明ありがとうございました。今、御質問された内容とはまた別のところで2点ほど伺いたいと思います。
評価のまとめ方について、昨年までのまとめ方と少し組みかえてまとめ方を変えたと伺ったのですが、どのような点で変更されたのかを伺いたいと思います。今年の評価報告書は基盤と戦略というまとめ方で、それまでのまとめ方と違っていました。
それから、最後の財政運営のところですが、今年は黒字になっていると書かれておりまして、少し安心材料ではあるのですが、将来数年先のところではマイナス要因が予想されるので、今年度の評価ですが、将来に対して、既にどのように考えているか書き込んでいただきたいと思っています。どのように考えていらっしゃるのか伺いたい思います。○小西座長 ありがとうございました。
ただいま2点いただきました、評価のまとめ方と財政についてですが、評価のまとめ方というのは今、西村さんに御説明いただきましたが、協会の事業なり業務の分類整理といったところの変更、見直しということであろうかと思いますが、いかがですか。
○榎本企画部長 1番目の件について御説明申し上げますと、今回お出しさせていただいております資料につきましては、項目立てにつきましては平成30年度の協会の事業計画の項目に沿ったものとさせていただいております。その中で、3番目の主な重点施策といたしまして、1番目として基盤的保険者機能関係、2番目といたしまして戦略的保険者機能関係ということで書かせていただいておりますので、こちらに沿った形で今回資料をお出しさせていただいているところでございます。
○西村構成員 事業計画に合わせてということですが、事業計画作成時まとめ方を変えたのはどういうことなのかをお聞かせいただきたいと思います。
○榎本企画部長 実は、平成30年度の事業計画をまとめるに当たりましては、もう少し大元となる資料がございまして、これが平成30年度でございますけれども、それから3カ年、令和2年度まで、2020年度までの保険者機能強化アクションプラン第4期というものがございまして、実はこちらで今後の取り組みの方向性、具体的施策ということで、その具体的施策の中で基盤的保険者機能関係、戦略的保険者機能関係ということで整理させていただきました。ですから、2017年度までは第3期でございますので、ここで変わったということで、これに沿って平成30年度の事業計画、さらに今回の資料という形で整理させていただいているところでございます。
○藤井理事 補足させていただきますと、今、榎本企画部長からありましたように、第3期のアクションプランを第4期のアクションプランに衣がえをするときに、率直に申し上げて私ども結構中でいろいろ議論をしました。先ほどのKPIなどもこういう数値目標をできる限り決めていかなければいけないのではないかということも含めてかなり議論をする中で、考え方としてはできる限り戦略的保険者機能を前に進めていくために、どんな事業が必要かを改めて議論する中で、全体のいわば整理みたいなことも改めてし直したような経過がございます。したがいまして、この場での評価につきましても、項目を立てるに当たりまして、私どもとしては第4期のアクションプランの新たな頭の整理に資料も合わせさせていただいたという経緯でございます。
それから、もう一つ御質問がございました財政関係ですが、基本的にこの場の評価と申しますのが単年度の評価ですから、余り中長期的な視点で資料を盛り込んでおりませんけれども、先々のことを若干お話し申し上げますと、冊子の中の39ページ以降に、平成30年度にこれ以降の5年間の収支を見込んだもの、42ページ以降に10年間の収支を見込んだものを表なりあるいはグラフにしてつけてございます。率直に申し上げまして、先々を見れば見るほどいろいろなリスクがございまして、当座の単年度で見ますと、それなりの黒字幅を確保しておりますけれども、特にここ数年黒字幅が確保できているのは、年金機構の適用促進が進んだ関係もあって、適用事業所数や加入者数が増えたということが一番大きな要因かと思っています。ただ、これはそういつまでも続くものではございませんで、伸び率で見ますと既に鈍化しておりますので、一時的なことにすぎないかもしれないというようにも考えますし、何よりも将来を見ましたときに、高齢者の医療費がどんどんこれからも伸びていくと。特に、後期高齢者医療制度に対する私どもからの拠出金の額が高齢者医療費全体の伸びに従ってどんどん伸びていくということは火を見るよりも明らかですので、そういった先々の十分予測ができるようなリスクというのは大きいものがございますので、私どもも決して先々の財政は楽観できるような状況ではないと考えております。
したがいまして、引き続き医療費の適正化あるいは保健事業の推進をしっかりやっていかなければいけないのかなと思っております。
○小西座長 ありがとうございました。
それでは、伊藤さん、いかがですか。
○伊藤参考人 代理出席させていただきながら遅参いたしまして、大変失礼しました。
まず最初に意見を2つ言わせていただきまして、質問を3つさせていただこうと思います。
先ほど森下構成員から御指摘があった選択型DCですけれども、疑似マッチングとも言われるのですけれども、私ども労働組合としては、この使われ方について処遇の面で不利益変更を招きかねないという観点で非常に問題だということに加えて、きょうのこの議論に関係します社会保険の適用を回避するというか、先ほど森下構成員がおっしゃっていたように、社会保険料の負担を軽減するというメリットがあるんですよと宣伝されて普及が始まっているという点で、この社会保険を運営する協会けんぽ及び日本年金機構にとっては、非常に問題のある仕組みであって、きちんと適正な形で運営される必要があると思いますので、私のほうからもその点については申し上げたいと思います。
それから、4ページのレセプト点検につきましては、外部委託を廃止して品質の確保がそれなりにできているという点については評価できるのではないかと思っています。先ほど高橋理事がおっしゃっていましたが、健保組合との比較をすると本当にそういうことも言えるのではないかと思っております。
質問ですけれども、これも先ほど話題にはなっているのですが、評価基準といいましょうか、どのように自己評価されているのかを協会さんにお聞きしたいのですが、3ページのレセプト点検のところは一応KPIを下回っていてB評価だけれども、一応他律的な理由があるのでという説明がございました。
それから、9ページの保険証回収とか債権回収についても、一部KPIを下回っていて外部要因があるという御説明がありました。それに対して、15ページの⑥の限度額適用認定証も下回ってはいるのですがAということで、そこについての理由が15ページを読むと、先ほど申し上げたBとしたものに対比してAとする理由がちょっと読み取りにくいので御説明いただければと思います。
2つ目の質問は、20ページの効果額と実施支部数ですが、平成29年度の数字で書いてありますが、一応今回、平成30年度の評価をするということで、平成30年度の実施支部数と効果額がわかれば教えていただければと思います。
最後ですが、財政運営のところで、先ほどちょっと指摘がありました24ページですが、中長期的に安定したというのは大切だと思っているのですけれども、何をもって中長期的に安定した財政運営が図れていて、的確に責任を果たしていると言えるのかという点です。黒字が大きくなればなるほど安定するということも言えるとは思うのですが、一方で、支部からはこの間ずっといろいろな意見があったところでもありますので、どの程度をもって安定的な財政運営ができる体制をつくれていると自己評価されたのか、もう一度教えていただければと思います。
○小西座長 ただいまの御質問は3点ございました。1つは、自己評価の理由ということで、ごめんなさい、私はページ数を聞き逃しました。お聞きとめいただいているかと思います。それから、オンライン資格確認の効果額につきまして、平成30年度の数字はいかがでしょうかということ。それから、財政運営の安定的な運営をどのように理解し、評価するかということかと思いますが、協会からそれぞれ適宜御説明をいただければと思います。お願いします。
○春山参与 1点目に御質問いただきました限度額適用認定証の件数が未達にもかかわらず、何でA評価にしたのかというお尋ねでございます。
私ども限度額適用認定証を促進しておりますのは、従来ですと窓口で幾ら高額の負担がかかろうと一旦お支払いいただいて、その後に高額療養費という形で現金で還付するという仕組みだったわけでございます。この限度額適用認定証が何の効果があるかといいますと、これを出すことによって窓口の一部負担が免除される。いわゆる高額療養費が現物化されるということで、加入者の窓口の一部負担を軽減するというサービスの面からやっております。ですから、KPIがいいかどうかと言ったら切りがないのですけれども、1枚の発行に対していわゆる医療費の額によって当然金額が変わってきますので、全体の発行件数といいますか利用件数は足してないけれども、本来の目的である医療費の一部負担金の軽減は93%までいっておりますので、概ね達成できたのではないかということでA評価とさせていただいております。
○三浦業務部次長 1点補足させていただきますが、16ページを見ていただきたいのですけれども、加入者数と限度額適用認定証の発行件数と高額療養費の支給件数など、この対前年度の伸び率を記載した資料がございますが、加入者数が増えておりますから当然、高額療養費の支給件数も増えているのですが、対前年度の割合としては加入者数の伸びが1.2%、高額療養費は2.2%、これらの伸びに対して限度額認定証は17.4%と大幅に増やしているということもございまして、これは確かにKPIとしては概ねという状況でありますが、大きく達成していると協会としては評価させていただいております。
以上です。
○藤井理事 それでは、3点目の財政の関係で24ページですけれども、自己評価のところで幾つか書かせていただいているのですが、それをまたなぞるような説明にしかならないかもわかりませんけれども、確かにおっしゃるように私どもの運営委員会でもそうですし、あるいは支部評議会でもいろいろな意見があって、平成30年度におきましてもいろいろな議論をしたわけですけれども、私どもの自己評価といたしましては、1つ目の○にありますように、当座の保険料率を決めるに当たりましても、先ほど私が申し上げたような楽観視できないような状況の中で、中長期的な視点で保険料率を考えていくというスタンスを明確にしながら丁寧な説明を行いましたし、それをベースにして運営委員会でも支部評議会でも十分に議論も尽くしまして、結論としては、平均保険料率10%を維持したという結論に達したということが一つでございます。
また、当座の保険料率をどうするかということにとどまらず、中長期的に見たときに私どもが抱える財政的なリスクは相当大きいものがあると考えておりますので、それを踏まえて2つ目の○にありますように、医療保険制度そのものをきっちり持続可能なものにしていかなければいけないということで、私どもとしてもほかの団体とも一緒になって要望書等々の意見を表明してきておりますし、また、もう少し日常的な部分でも3つ目の○にございますように、私ども理事長以下それぞれ審議会なりさまざまな検討会等々で、保険者としての立場から積極的に意見発信を行ってきているところでございます。
こういったもろもろを踏まえて、私どもとしては的確な財政運営という項目につきましては、自己評価Aとさせていただいているところでございます。
○榎本企画部長 2番目の質問にお答えいたします。20ページの協会独自のオンライン資格確認システムの平成30年度の効果額ということでございますが、大変申しわけございません、まだ検証中でございまして現在数字はございません。申しわけございません。
○伊藤参考人 済みません、財政運営のところなのですけれども、質問させていただいた意図を申し上げなかったと思いますが、来年度以降このことをどのように評価していくかということもあるので、黒字が大きくなろうと小さくなろうとどっちにしろ、今回Aとした場合に来年度はどうなった場合にBだったり、Sだったりするのかというのが判断しかねるなと思いまして、まずは自己評価はどのようにされたのかを聞きたかったということです。
以上です。
○小西座長 これは聞いていただいたということで、よろしいですか。
それでは、私、小西から1点だけ確認の質問をさせていただきたいと思うのですが、これは事実関係という意味合いのことですが、3ページで先ほど来レセプト点検について幾つか御質問がございました。外注を廃止したということについては所期の目的を達成したといいましょうか、ノウハウを吸収することも一つの目的であったかと思いますが、ノウハウなどを吸収する、移入するということについて、どんな方法をとったのか。例えば、協働作業をしたのか、あるいは成果物をもって議論・説明などをしたのか、これは簡単で結構なのですけれども、どんな方法をおとりになりましたかという質問でございます。お願いいたします。
○三浦業務部次長 外部委託した事業者がやった査定につきましても、査定した内容を協会のシステムに取り込むことができるようになっておりまして、各支部は査定した内容がどういった内容で査定できるかというのを見られるようになっております。各支部はそういった内容を各支部の査定に参考になるものを使えるといいますか、こういった観点が査定になるということであれば、それを協会でも再審査として出せるように、そういったものをどんどん取り入れて勉強会でも共有してやっていったということでございます。
○小西座長 ありがとうございました。
ただいまのところで前段の項目を終わりたいと思いますが、よろしいでしょうか。活発な御議論をいただきまして時間を過ごしてまいりました。こうして皆様方とキャッチボールのようなやりとりができました。私ども検討会としては評価をするための情報なり、理解を深めたいという趣旨でございますが、あわせてキャッチボールの中で意見交換に準ずるようなこともできたのではないかと考えております。この先、きょうの残りの時間と、そして次回第26回の検討会の時間配分をどうするか、これは一に私の務めに係ることですが、引き続き進めてまいりたいと思います。
それでは、次のテーマに進みたいと思います。健康保険の戦略的保険者機能関係についてでございます。協会からの御説明をお願いいたします。
○松下保健部長 保健部の松下でございます。
私から資料2の戦略的保険者機能関係のうち保健事業に関しまして、資料に沿って28ページまで御説明させていただきます。
なお、保健事業に関しての評価項目といたしましては6つございます。まず、①ビックデータを活用した個人・事業所単位での健康・医療データの提供につきまして、1ページをご覧ください。時間の関係もございますので、事業計画の読み上げは省略させていただきます。
業績といたしまして、自己評価の理由の欄でございますけれども、事業所単位での健康医療データの提供につきまして、事業計画ではヘルスケア通信簿などとしておりますが、一般に事業所カルテと呼んでおります事業所健康度診断シートを健康宣言事業所等に提供し、事業所特有の健康課題等の事業主との共有や特定保健指導の利用勧奨等に取り組んだところでございます。提供数といたしましては、前年度の51%増に当たる4万9658件となっております。
また、事業所カルテにつきましては、各支部が見える化のための工夫を凝らしながら作成しておりまして、本部のほうで事業者カルテに掲載が推奨される項目等の検討を行い、健診受診者数(率)、保健指導実施者数(率)、生活習慣の傾向(問診結果)、各項目の事業所別、業態別順位の表示を推奨項目といたしました。
3つ目は、健康宣言に関してでございます。健康宣言の取り組みにつきましては、都道府県や地域等と連携し取り組むなど、各支部がそれぞれ独自性を持って実施しております。この健康宣言につきまして、協会全体としての今後の方向性等を検討するために、改めて各支部等が実施している健康宣言事業の内容等について、支部及び健康保険組合への調査を行いました。なお、有識者を交えた検討会としては実施しておりませんが、この調査の中で有識者へのヒアリングも実施いたしまして、御意見等を聴取したところでございます。
個人単位の健康医療データの提供に関しましては、国においてもマイナポータルより確認する同様の仕組みが検討されておりまして、30年度におきましては、そこで提供されるデータなどの詳細が明らかにされました。これを受けまして、協会の対応等を検討した結果、協会における先行実施は行わないこととし、国での仕組みが加入者にとってよい仕組みとなるよう、国への働きかけを行ったところでございます。
このように、事業所に対するフォローアップの強化及び支部における取り組みの全体的な底上げ等に向けて検討を行い、加入者の予防・健康づくり等を推進するための取り組みを着実に進めたことから、自己評価はBとしております。
2ページ目からが事業計画の達成状況といたしまして、事業報告書からの抜粋を記載しております。1ページと重複しない範囲で少しだけ御説明させていただきたいと思います。
1つ目ですが、各支部が工夫を凝らして作成しております事業所カルテの作成方法といたしまして、事業所カルテを作成するために必要な健診データや事業所別・業態別順位の比較等についてのデータを作成支援ツールとして本部より全支部へ提供することで、生活習慣病のリスク保有率や医療費の比較が掲載できるようにしたところでございます。各支部では、これらのデータを独自のフォーマットに取り込みながら、事業所カルテとして健康宣言事業所等に提供を行っております。
なお、実際に支部で作成している事業所カルテを3ページ、4ページにお示しさせていただいております。
3ページが鳥取支部、4ページが富山支部の事業所カルテでございますが、このように各支部では、事業所ごとの健診結果や生活習慣の傾向などをチャート図やグラフなどを使用しながら経年でお示ししているほか、県や同業種の平均との比較なども可能とすることで、健康状態等の見える化に努めているところでございます。
5ページは、個人単位の健康医療データ、パーソナルヘルスレコードに関してでございます。協会における先行実施は行わないこととした理由といたしましては、イメージ図の次に記載しておりますように、協会が加入者に提供できる情報として、マイナポータルで確認できることとしている情報以上の付加的情報は乏しいことから、費用対効果等を考慮したところでございます。
続きまして、データ分析に基づいた第2期保健事業実施計画の着実な実施につきまして、6ページをごらんください。
業績といたしましては、支部ごとに策定しております第2期計画につきましては、第1期計画の取り組みの評価等により明らかになった健康課題の解決に向けて、PDCAサイクルを一層強化するようアウトカムを重視した定量的な目標を定めておりまして、各支部ではPDCAサイクルを意識した効果的な事業展開を図ったところでございます。
また、第2期計画は6年間の計画であり、目標と目標を達成するための具体策との構成等に問題点がある場合、早い段階での見直しが今後の効果的かつ確実な実施に直結することから、全支部の第2期計画について岡村理事、古井先生を初めとする有識者の方々によるヒアリングを実施いたしました。なお、各支部ではヒアリング結果を踏まえ、必要に応じて第2期計画の見直しを行った上で、初年度の取り組みを着実に実施したところでございます。
本部と支部間の連携に関しましては、3つ目でございますが、本部主催の保健事業説明会において第2期計画の柱の1つである特定健診・特定保健指導の推進に関する事項を中心に、各支部において効果のあった取り組み事例の報告等を行い、好事例等の共有を図りました。
また、支部の各種保健事業の計画策定や実施計画の検証のため、引き続き平成27年度から作成しております特定健診・特定保健指導データ分析報告書を作成しました。さらに今年度は、新たに平成29年度に試行的に問診項目の一部について作成いたしました、問診データ分析報告書を全ての問診項目について作成し、支部に提供したところでございます。
なお、この特定健診・特定保健指導データ分析報告書と問診データ分析報告書につきましては、かなりのボリュームがございまして本日お示ししておりませんが、それぞれ生活習慣病予防健診受診者の健診データ及び特定保健指導データ、または問診データを活用し、支部別、加入者別、住所地別、市区町村別、業態別に健診結果または問診結果の年齢調整後の平均値やリスク該当者の割合を計算したものでございまして、データヘルス計画の作成や評価の際に支部の健康課題を確認するために活用しております。
これに加えまして、新たに健診実施率や特定保健指導実施率及び医療費について支部ごとの特徴をレーダーチャートやグラフにより見える化した支部別スコアリングレポートを作成し、支部に提供いたしました。支部別スコアリングレポートでは、支部加入者の健診リスク等について経年変化や全国順位を図表で確認することができるなど、支部の健康課題が一目で把握でき、支部内での健康課題把握に使用するほか、関係団体への広報、評議会での報告等に活用しております。
このように本部と支部間の連携を適切に図りながら、第2期計画をより実効性の高い計画に見直した上で、初年度の取り組みを着実に実施するとともに、支部別スコアリングレポートを新たに導入したことから、自己評価はAとしております。
7ページからが事業計画の達成状況でございます。10ページに支部別スコアリングレポートをお示ししております。各支部ごとに目次にございます内容について、28ページで作成しております。
続きまして、②ⅰ)特定健康受診率・事業者健診データ取得率の向上につきまして、11ページをごらんください。
業績といたしましては、生活習慣病予防健診実施率は50.9%、事業者健診データの取得率は7.1%、被扶養者の特定健診実施率は24.4%であり、それぞれ前年度を上回り、過去最高値となったとともに被保険者の特定健診である生活習慣病予防健診と事業者健診データの取得についてKPIを達成いたしました。
失礼いたしました。KPIにつきましては、生活習慣病予防健診受診率を50.8%以上とする、事業者健診データ取得率を7.1%以上とする、被扶養者の特定健診受診率を25.9%以上とするということで設定しております。
2つ目でございます。また、受診者数につきましても、生活習慣病予防健診は対前年度6.5%、47万人増の774万4000人、事業者健診データ取得数は対前年度14.9%、14万人増の107万3000人、被扶養者は対前年度5.5%、5万5000人増の105万5000人となり、それぞれ過去最高値となりました。
3つ目からが実施率向上のための取り組みに関してでございますが、被保険者の生活習慣病予防健診では、健診機関、商工会議所等を対象に地域の実情を踏まえた目標値を定め、その目標を達成した場合は報奨金を支払う契約方式を取り入れております。平成30年度は当該方式で契約した1,129件のうち561件が目標を達成しております。
事業者健診データの取得に向けましては、地方労働局との連名や自治体を含めた三者連名での勧奨通知を全支部で約14万1000事業所へ送付いたしました。
被扶養者の特定健診については、自治体との連携、包括協定により、平成29年度から87市区町村の増加となる1,245市区町村で各自治体の集団健診やがん検診との同時実施を行うなど、より受診しやすい環境づくりを行いました。なお、同時実施では18万2000人が受診されております。
また、協会主催の集団健診を765市区町村で実施し、対前年度14.6%、3万1000人増となる24万1699人が受診し、ショッピングセンターや百貨店等の商業施設で実施するなど工夫を凝らし、受診者数の増加に努めました。
さらに、特定健診受診率について支部間で開きが見られるため、地域間差異を生じさせる要因等の整理を行い、支部ごとの事業所規模別・業態別等の実施率、それらが実施率に与えている影響等を見える化した健診・保健指導カルテを作成いたしました。
このように第2期計画に基づく取り組み等を着実に実施した結果、生活習慣病予防健診、事業者健診データの取得及び被扶養者の特定健診の全てについて、実施率及び受診者数ともに過去最高値となるとともに、被保険者の特定健診につきましてはKPIを達成したことから、自己評価はSとしております。
12ページからが事業計画の達成状況でございます。生活習慣病予防健診に関しまして、2つ目の「また」以下にございますように、近年増加傾向にある新規適用事業所や新規加入者に対しましては、随時、健診の案内や健診申込書等を送付するなど、健診の受診を促すための対策等を実施しております。
また、受診環境の整備として進めております契約健診機関の拡充につきましては、平成30年度の契約健診機関数は平成29年度から79機関増加し、3,317機関となっております。
13ページが、直近5年間の受診者数の推移でございます。平成30年度は実施率の伸びといたしましては、平成29年度から1.3%の増加でございますが、受診者数で見ますと、平成29年度から47万人、6.5%の大幅な増加となりました。
また、16ページにございますように、健診受診率につきましては、協会発足以来、支部間に差異が見られるところでございますが、平成30年度は支部間差異を生じさせる要因等を整理した健診・保健指導カルテを作成いたしました。
健診・保健指導カルテの1ページ目を17ページにお示ししております。なお、印刷したものを机上に配付しておりますので、そちらで簡単に御説明させていただきたいと思います。
「健診・保健指導カルテ一部抜粋」としておりますA3版の資料をご覧ください。こちらが健診・保健指導カルテの1ページ目でございます。平成28年度データに基づき事業所規模別や業態別等の受診率等について支部間での比較もできるよう一覧形式で掲載しております。
裏面をご覧いただきまして、左上にございますように、健診版と保健指導版といたしまして、そちらにございます指標について受診率等を算出しております。参考資料の支部別・市町村別比較表も含めまして、全体で38ページで構成しております。
右側にございますように、指標数値として受診率等の実数値とそれを偏差値で表したものを掲載しており、偏差値が高い項目を青、低い項目を赤でマーキングしております。
また、影響度といたしまして、その項目の偏差値50、全国平均からの乖離が全体の受診率等に与える影響を記載しております。例えば、一番上の埼玉支部の場合、中規模事業所の受診率が偏差値35の44.3%でございますが、これが偏差値50、全国平均の56%であった場合、左端の支部全体の受診率43.8%は3.5ポイントアップし、47.3%となります。
なお、健診・保健指導カルテにつきましては、受診率等の向上に向けた重点的な取り組みの選別や優先順位の決定等に活用することを主たる狙いとしておりまして、分析と対応例としてお示ししておりますが、影響度が高い項目について、その対象者等に働きかけることを重点的かつ優先的に取り組むことで、より高い効果が望めるのではないかと考えております。
健診・保健指導カルテにつきましては、以上でございます。
続いて、4つ目の評価項目でございます、②ⅱ)特定保健指導の実施率の向上及び平成30年度からの制度見直しへの対応につきまして、資料18ページにお戻りください。
業績といたしましては、特定保健指導実施率は対前年度2.8%の16%であり、過去最高となりました。なお、こちらもKPIとして特定保健指導の実施率を14.5%以上とすることを定めております。このKPIを達成いたしました。
また、被保険者・被扶養者別の特定保健指導実施率及び実施者数につきましても、被保険者が対前年度2.9%増の16.6%、対前年度30.5%、7万人増の29万6,194人、被扶養者が対前年度0.9%増の5.4%、対前年度28.6%、1,000人増の4,956人であり、いずれも過去最高となりました。
特定保健指導の委託契約機関数につきましては、平成29年度から198機関増加しまして、1,178機関となりました。このうち健診当日に初回面談を一括実施する機関は715機関、分割実施する機関は480機関となっておりまして、一括・分割の双方を契約している機関も一部ございますが、単純に合計いたしますと健診当日に初回面談を実施する機関は1,195機関となり、平成29年度の586機関から倍増したところでございます。
なお、一括実施は健診当日に健診結果を出して、その結果に基づき初回面談を実施し、当日のうちに終了させる方式でございまして、従来より実施することが可能とされておりましたが、分割実施は、健診当日に健診結果の全てが出そろわなくても、問診や体重・血圧などの結果をもとに初回面談の一部を実施し、後日健診結果が出そろった段階で残りの初回面談を行い終了する方式でございまして、平成30年度からの制度見直しにより実施が可能とされたところでございます。
4つ目ですが、委託契約機関の増加にも伴いまして、委託契約機関における実施者数につきましても、初回面談実施者数は対前年度48.9%、5万人増の14万8864人、実績評価実施者数は対前年度42.5%、3万人増の10万1182人となり、大幅に増加いたしました。
また、積極的支援対象者に対する特定保健指導につきまして、支援内容や回数にとらわれない弾力的な方法によるモデル実施が可能となったことにより、協会保健師等が実施する全ての特定保健指導で一定の効果、例えば健診受診時に比べ体重2kgかつ腹囲2cmが減少していることなどでございますが、一定の効果が得られるのに必要な継続的支援のポイント数を検証するポイント検証モデルを開始いたしました。
さらに、一部の支部において従来の特定保健指導ではポイント制に算定できない新たな手法を検証する新手法検証モデルを開始いたしました。
このように、第2期計画に基づく取り組みを着実に実施した結果、被保険者及び被扶養者双方の特定保健指導について、実施率及び実施者数ともに過去最高となるとともに、KPIを達成したことから自己評価はSとしております。
19ページからが事業計画の達成状況でございます。
21ページに実施率の推移を入れておりますが、右側のグラフにございますように、平成30年度は健診受診者数が対前年度66万人増と大幅に増加したことに伴い、特定保健指導実施率の分母となります特定保健指導対象者数も平成29年度より13万人増加した中で、実施率は平成29年度から2.8%と大きく増加いたしました。
続きまして、②ⅲ)重症化予防対策の推進についてでございます。こちらもKPIを受診勧奨後3カ月以内に医療機関を受診した者の割合を11.1%以上とするということで設定しております。
業績といたしましては、未治療者への受診勧奨といたしまして、治療が必要と判断されながら医療機関を受診していない方に対して受診を促すため、一次勧奨として本部から勧奨文書を33万1940人の方に送付いたしました。その後に、支部から電話や文書などによる二次勧奨を21万2476人の方に実施いたしました。一次勧奨文書送付後3カ月間及び6カ月間の医療機関受診状況といたしましては、送付後3カ月以内に一次勧奨実施者の9.5%に当たる3万1689人の方が医療機関へ受診されました。なお、この9.5%は平成29年度の3カ月以内の受診率より0.3%減少しておりまして、送付後3カ月以内ではKPIを達成できませんでしたが、送付後6カ月以内ではKPIの11.1%を上回る15.7%に当たる5万2111人の方が医療機関を受診されており、前年度と比べましても0.4%上回る受診に結びついたところでございます。
糖尿病性腎症患者への重症化予防といたしましては、治療中の糖尿病性腎症患者に対するかかりつけ医との連携による取り組みに向け、全支部で体制の整備を図ったところでございます。
具体的には、全支部において糖尿病性腎症重症化予防プログラム等の実施に向け、県や市区町村、国保連合会等とも情報共有し、調整を進めた結果、医療機関での受診を促す受診勧奨を28支部で1万2575件、また、生活習慣改善を目的とした保健指導を29支部で798件実施いたしました。なお、そのうち16支部が受診勧奨・保健指導ともに実施しております。
このように未治療者への一次勧奨、二次勧奨を通じて、医療機関への受診につなげたこと、また、全支部で糖尿病性腎症重症化予防プログラム等の実施に向けた調整を進めた結果、41支部で糖尿病性腎症患者に対する受診勧奨や保健指導を実施できたことから、自己評価はAとしております。
23ページからが事業計画の達成状況についてでございますが、2つ目にございますように、一次勧奨文書につきましては健診受診月から概ね6カ月後に送付しております。
また、下段の※1が一次勧奨対象者、※2が二次勧奨対象者に該当する、それぞれの基準でございまして、血圧、血糖、HbA1cの数値で判定しております。
保健事業の最後といたしまして、②ⅳ)健康経営(コラボヘルス)の推進につきまして27ページをごらんください。
業績評価といたしましては、事業主に職場の健康づくりに取り組むことを宣言いただく健康宣言事業につきまして、都道府県や地域等と連携して取り組むなど、各支部がそれぞれ独自性を持って実施いたしました。これによりまして、平成30年度末時点における健康宣言事業所数は3万1033事業所となり、昨年度同月に比べ1万1466事業所増加いたしました。
また、健康宣言事業の今後の方向性等を検討するため、各支部等が実施している健康宣言事業の内容等について改めて調査を行ったところでございまして、事業所に対するフォローアップの強化及び支部における取り組みの全体的な底上げに向けて、協会における健康宣言事業のモデル案を作成中でございます。
健康宣言事業所に対するフォローアップに関しましては、フォローアップの一環といたしまして、その事業所特有の健康課題等を事業主と共有できるよう、事業所カルテを活用しています。なお、先ほどご覧いただきましたように、事業所カルテは各支部が工夫を凝らして作成しておりまして、事業主等が強い関心があると思われる項目である生活習慣の傾向や事業所別・業態別の順位の表示などの本部推奨項目を加えるなどし、従業員の健康づくりに、より一層興味を持っていただくよう努めました。
また、経済産業省の健康経営優良法人認定制度につきましては、「健康経営優良法人2019」として、協会けんぽの事業所から大規模法人部門では91事業所、中小規模法人部門では1,940事業所が認定され、健康経営を実践する事業所が飛躍的に増加したところでございます。
このように、健康宣言事業所が昨年度同月に比べ1万1466事業所増加し、3万1033事業所になるなど、日本健康会議の活動指針である「健康なまち・職場づくり宣言2020」の宣言5「協会けんぽ等保険者や商工会議所等のサポートを得て健康宣言等に取り組む企業を3万社以上とする」という目標も前倒しで達成したこと、また、事業所カルテを提供するなど事業所に対するフォローアップに努めたことから、自己評価はSとしております。
28ページの下段に、健康宣言事業所の推移と2017年度から開始されました国の健康経営優良法人認定事業所数の推移をお示ししておりますが、健康宣言事業所数が大幅に増加するとともに、健康宣言事業所内での健康づくりの取り組みが複数年継続されてきたこと等に比例する形で、健康宣言の取り組みの延長線上にあると言える健康経営優良法人の認定を受ける事業所も大幅に増加しております。
長くなりまして申しわけございません。私からの説明は以上でございます。
○榎本企画部長 それでは、引き続きまして、企画部長の榎本から③以降につきまして御説明申し上げます。
まず、29ページを御参照ください。③広報活動や健康保険委員を通じた加入者等の理解促進ということでございますが、まず、健康保険委員がいる事業所の被保険者数は平成30年度末現在約929万2000人となってございまして、これは全被保険者数の39.5%となっておりまして、KPIでございます36%を達成することができてございます。
こうした取り組みの結果、平成30年度理解度調査における加入者理解率は平均で37.9%となっておりまして、こちらも35.9%というKPIを達成することができてございます。
続きまして、④につきまして御説明申し上げます。33ページを御参照ください。
こちらはジェネリック医薬品の使用促進でございます。ジェネリック医薬品の使用促進につきましては、例えば、支部ごとのジェネリックカルテを作成しましたり、あるいは平成30年度より新たにデータブックを作成いたしまして活用いたしましたり、あるいは医療機関・調剤薬局向け情報提供ツールを活用いたしましたり、あるいは加入者に対してはジェネリック医薬品軽減額通知というものを出させていただきましたり、あるいはさらに、後発医薬品使用促進協議会で他の保険者や自治体と医療機関への働きかけや広報などについて連携を図ってございます。
その結果、年度末時点のジェネリック医薬品使用割合は78.9%に達しております。こちらはKPIの75.4%以上を大幅に上回っております。また、支部別ジェネリック医薬品使用割合の対前年同月差を見ますと、使用割合の低い山梨支部や徳島支部が全国平均より高い伸びを見せております。このように計画を大幅に上回る成果を上げましたことから、自己評価はSといたします。
なお、地域別ジェネリックカルテ、ジェネリック医薬品に関するお知らせ、院内版・院外版、調剤薬局用につきましては机上配付させていただいておりますので、御参照いただければと思います。
引き続きまして、⑤につきまして御説明申し上げます。39ページを御参照ください。
インセンティブ制度の本格導入ということでございます。こちらにつきましては、支部の広報事例や好事例を全支部で共有するなど、積極的な取り組みを促しました。加えて、本部においては全事業所向けの令和元年度保険料率のリーフレットの送付等を行い、支部においては納入告知書同封のチラシやメールマガジンでの周知広報のほかにも、関係機関の広報誌や新聞、テレビ、ラジオなどのメディアを使った広報を行う等、幅広く周知広報を行いました。また、平成30年11月及び12月に開催された運営委員会において、11月には4~8月分、12月には4~9月分の実施結果を提示いたしました。
その結果、引き続き平成31年度、今年度におきましても同様の評価指標で実施することとなってございます。このように平成30年度は計画を上回る実施状況であることから、自己評価はAといたします。
次に、⑥につきまして、42ページ御参照ください。パイロット事業を活用した好事例の全国展開ということでございますが、まず平成29年度にパイロット事業として実施した事業の効果検証を行いまして、静岡支部で実施した医療機関向け総合情報ツール事業を新たに全国展開いたしました。
平成30年度につきましては、パイロット事業・支部調査研究事業として過去最大の46支部、134件の応募があり、17支部26事業を実施いたしました。平成30年度中に完了した事業は令和元年度中に最終報告会を実施し、パイロット事業のうち効果的な取り組みのものについては全国展開をしていくこととしております。
また、これらとは別に平成30年度より本部から支部へ事業のモデル実施を依頼する、本部主導型パイロット事業を導入し、特定保健指導の新たな選択肢としての宿泊型特定保健指導や従前の特定保健指導では実施できない新たな手法の効果を検証する新手法検証モデルを7支部で実施いたしました。
このように平成30年度は計画を上回る成果を得ていることから、自己評価はAといたします。
続きまして、⑦につきまして御説明いたします。45ページを御参照ください。
医療データの分析に基づく地域の医療提供体制への働きかけということでございますが、まず、意見発信の機会を確保するため、地域医療構想調整会議への参画を推し進めまして、平成30年度末で346ある調整会議のうち、199区域、被用者保険者全体では275区域に参加し、参加率79.5%とKPIを概ね達成することができました。
また、47分の25の支部がデータ分析に基づく意見発信を行っております。なお、その他の13支部でもデータ分析に直接結びつくものではないが、病床機能の分化・連携に向けて地域医療介護総合確保基金を実効的に担保する形で活発すべきなどの意見発信を行いました。
以上のような取り組みの結果を踏まえ、自己評価をAといたします。
そして、最後でございますけれども、⑧につきまして52ページを用いまして御説明申し上げます。
医療データの分析等調査研究の推進でございますけれども、まず本部において3つのテーマを設定して分析を進め、本年9月2日にプレスリリースを行い、公表いたしております。
また、支部が独自にテーマを設定して取り組む支部調査研究事業につきましては、平成30年度は10支部で取り組んでおります。また、5月には第5回調査研究フォーラムを開催し、11月に調査研究報告書を発行しております。学会発表につきましては、平成30年度は18件の発表を行っております。
また、分析のための基盤強化ということで、各種研修、GIS(地理情報システム)の導入等を行っております。
このように平成30年度は計画を上回る取り組みを実施したことから、自己評価はAといたしております。
これで資料の説明は以上でございます。
○小西座長 ありがとうございました。
ここで会議時間について御相談させていただきたいと思います。御案内のようにこの会議、予定は16時まででございます。この会場は17時まで使うことができるということでございますが、御出席の皆様、延長可能な時間・御都合はいかがでしょうか。例えば、16時半まで可能ですとか、17時まで可能ですとか、許される御都合はいかがでしょうか。
こちらのメンバーはおおむねと申し上げますが、それぞれ都合がございますけれども、16時半ぐらいまででしたら可能ということでございますが、協会の皆様はいかがでしょうか。
○安藤理事長 こちらは大丈夫です。
○小西座長 よろしいですか。恐れ入ります。それでは、16時半まではちょっと無理ですというメンバーもいらっしゃいますが、16時30分をめどに質疑・応答を進めさせていただきます。
○森下構成員 それでは、ちょっとだけいいですか。私も時間は構いません。質問がありますので、手短に簡略化して。
○小西座長 お時間の急がれる方からでもよろしいですか。
では、古井構成員、お願いします。
○古井構成員 済みません、ありがとうございました。
3点コメントさせていただきます。まず、9ページの健診保健指導だけではなくて問診データを分析されているというのは、非常にすばらしいなと思います。健診と保健指導は市町村別と書いてありまして、問診ももしかすると市町村別に検討されているのかもしれませんが、これは今、健康寿命の延伸を考えたときに、働き盛り世代の生活習慣あるいは健康状態を捕捉するというのは公衆衛生活動で非常に大事なのですけれども、どうしても国保ですと住民の2~3割ぐらいしか捕捉できないため、これを協会けんぽが実施すると、一気に5割以上補足ができますので、この9ページの取り組みというのは協会だけではなくて、日本の公衆衛生に非常に意味があると思います。
それから、18ページの特定保健指導ですけれども、事業計画上はこのとおりだと思います。さらに加えて、特に協会さんというのは日本の人口の一番多い被保険者をカバーされているので、協会さんが特定保健指導のいわゆる構造改革というか、厚労省さんが進めている面談の分割実施、いわゆる健診と事後フォローである保健指導を健診機関でできるということは非常に意味があります。したがって、この評価以上に、昨年やられた健診機関との連携スキームをつくって実行性を上げたことと、それから保健師さんたちの努力で、効果的な手法を探るモデル的な実施検証の2つが18ページでは画期的なことだと思います。ぜひ、これが次年度以降も継続していただき、その広がりを継続してモニタリングしていただけるといいと思います。
最後の3点目は、27ページのコラボヘルスです。これは先ほど御紹介があったA3の健診保健指導カルテの真ん中あたりだと思うのですが、事業所の取り組みで健康宣言をされている事業所の受診率というのが出されていて、これも画期的なグラフだと思います。一番下だけ見ますと80.9%、一番左の被保険者あたりの平均が54.8%と、たしかこれと比べればいいと思うのですけれども、健康宣言をされている事業所の健診実施率が約25%高いと。これは支部さんが健診を受けていることを評価に掲げているという背景があるのですが、まさにコラボヘルスを進める中で、取組のベースは健診を受けて健康課題を明示するのだということを非常に強く出されて、それが結果にもつながっているというのは、宣言がふえたことももちろんすばらしいのですが、18ページ、27ページは保健事業の効果を上げる仕組みをつくったという視点で評価すべき。ぜひ、この意義を職員の皆さんにフィードバックしていただきたいと思います。
以上です。
○小西座長 ありがとうございました。
ただいまの古井さんの御発言につきまして、協会の皆様、何かございましたら、お願いいたします。
○松下保健部長 一番初めにございました問診データ分析報告書につきましては、市区町村別でも区分けしているところでございまして、区分けとしては特定健診・特定保健指導データの分析報告書と同じような、使っているものは問診結果といったような形になっております。
続きまして、保健指導の関係で御意見をいただきました。ありがとうございます。我々といたしましては、これから保健指導というのは外部委託、健診実施機関で進めていくところを増やしていきたいと考えておりまして、その中でも加入者の利便性を考えますと、健診当日に保健指導まで一貫して実施できるといったことが望ましいと考えておりますので、健診機関のほうにも保健指導ができる体制整備等も要請しながら、そちらを増やしていきたいと思っております。
なお、被保険者に対する保健指導の協会保健師が行っている部分と、健診機関等の外部委託で行っている部分ですけれども、まだ若干、協会保健師が行っているほうが割合としては高いところですが、平成29年度までは6対4ぐらいでしたけれども、平成30年度からは5対5に近くなっているといった状況でございます。
最後に、健診保健指導カルテについて御意見をいただきました。ありがとうございます。ただ、健康宣言事業所受診率だけで見ると確かに高いところなのでございますが、28ページにございますように健康宣言事業所数、これは平成28年度データでございまして、まだ平成28年度は1万社ぐらいしか健康宣言をしていなかったところでございます。その中での受診率ということで、今3万社ある中で今後さらに増やしていきたいと思っておりますので、こういった分析等は継続して実施していきたいと思っております。
以上でございます。
○小西座長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
それでは、森下さん、お願いします。
○森下構成員 きょう、こちらの2項目目を見させていただきまして、やはり今年から取り入れたKPIによる数字の査定というか、自己評価はどこのページを見ても気になるとこでした。まさに古井先生のおっしゃるように、設定自体が前回よりもちょっとでも多ければいいのか、ちょっとでも少なければ可なのか、それよりも、もうちょっと数字に幅を持たせるとか、評価の考え方が協会と我々が見る見方がちょっと違うのかなという感じが全体の点でいたします。
それと個別の評価につきましては、今、古井先生もおっしゃったのでちょっとかぶりますけれども、非常に努力されてデータそのものを生かしながらいろいろな事業所、またビッグデータを活用していろいろな統計をとられていることも評価できると思いますが、例えば、3ページとか4ページに載っているように、各支部別でちょっとオタクっぽいデータを出されると、ここまでやる必要があるのかなというのは個人的には思うのですが、一番健康に大切なのは個人の考え方であって、事業所が協力することについては私も全く同感なのですけれども、それではここの数字を見て事業所で競争させるのかということとはまた違うのかなという個人的な感じがありました。
ほかについても幾つかあるのですが、長くなりますので私はとりあえずここまでで。
○小西座長 ありがとうございます。
ただいまの森下さんの御発言に関係しまして、協会の皆様からいかがでしょうか。
○松下保健部長 まず、KPIに関する考え方ですけれども、実は健診と保健指導につきましては、国から令和5年度の目標数値が示されておりまして、健診が65%、保健指導が35%にするといったところが目標とされています。このKPIにつきましては現状等を踏まえまして、第3期特定健診等実施計画をつくったときに、当時の実施率実績値と令和5年度の実施率目標値の差を年度ごとに段階的に引き上げていこうということで定めたものとなっております。正直申し上げまして、協会の現状を見ますと、この目標値はかなり高いハードルだと考えているところでございまして、現に特定健診と特定保健指導に関しましては、目標を達成したのが発足以来、今年度が初めてといったところでございまして、ほぼKPIどおりでございますけれども、次年度以降の目標としてつなげられたということでは、高い評価ができるものと思っているところでございます。
事業所カルテにつきましては、あくまでも事業所同士を競わせようというものではなくて、事業所内の健康づくりといったところに少しでも気づいていただきたい、また、職場での健康づくりの取り組みにつなげていただきたいということで、従業員等の健康状態の見える化ということで提供させていただいているところでございます。
○藤井理事 若干補足させていただきますと、私どもの保健事業を進めていく上で、事業所あるいは事業主の御協力は随分大事なのかなと思っています。例えば、健診などでも事業所によっては勤務時間内であっても健診に行ってもいいような整理にしていただけるといったことで、事業所あるいは事業主の協力を私ども大変重視しておりまして、そういった意味でも、事業所をそういった健康づくりの関心を高めていくように引き込んでいくという考え方のもとに、こういったカルテを活用しているところでございます。
○森下構成員 御答弁いただいたとおりだと思います。ただ、一つ皆様に御理解いただきたいのは、事業主の方は私の会社もそうですけれども、非常に小規模な事業をやっておりまして、特に協会けんぽに入られている会社様というのは非常に小さな会社さんが多いと思うのですが、もちろん社員の健康は大切ですし、少しでも働ける時間があれば定年制度を超えて働いていただきたいというのが事業をする側の願いでもあります。そのためには、社員の方にずっと健康でいていただきたいという思いは共通のものだと思っていますが、ただ、そこで難しいのは、小さな事業所ほど利益が出せないという事業形態があるわけです。その中で、例えば就業時間中に人間ドックに行ってきてとか、そこは事業主としてかなりの器量が必要だと思っています。うちの会社も、私がたまたまこういう評価委員をやらせていただいているので、昨年ぐらいから社員の方々に会社で経費を出して、協会けんぽが御紹介いただく保険以外に人間ドックも受けてきなさいと。ですから、多分一人1万7000~8000円、2万円近く経費を出しているのですが、そういう取り組みをしているところも実際はあるわけです。ですから、必ずしも宣言をした事業所だから協力しているのだというのではなくて、皆さんの思いは同じなので、それをなるべくバックアップできるような協会けんぽとして、ぜひとも今後も継続をお願いしたいというのが私の願いでございます。
もう一点だけつけ加えさせていただくと、理事からもお話がありましたけれども、単年度決算なので去年よりも数字がよければいいとか、ことしは黒字でよかったということは大切なことなのですが、それと同時に、冒頭に言いましたように、健康保険制度の維持というのは非常に大切なことなので、ぜひともこの制度をずっと維持してほしいと思っていますので、できれば協会けんぽの運営そのものも会社の経営と同じように、ことしも黒だけど来年はもっと黒にしたい、それから、10年後にはこういうイメージを持って運営したいのだというような思いを持って職員の方もやっていただけると、去年よりはよかった、来年はちょっとわからないぞと、でも、それは俺の責任じゃない、ここまで言うと語弊がありますが、そういう気持ちで対応していただけると、小さな会社の代表としては大変助かりますということでございます。
長くなりまして済みません。
○小西座長 熱心な御発言、ありがとうございました。それぞれの思いがあって制度の中で生活しているということかと思います。
西村さん、お願いします。
○西村構成員 1~2点伺いたいと思います。8ページのデータ分析のところです。幾つかの慢性疾患などについて、治療を必要とする疾患が取り上げられて、目標値を掲げて分析されているのは評価できると思います。
人工透析のところ、上位目標と中位目標を設定し結果に向けての関連性が重視されていることも評価できると思います。
ここまで分析していただくと、中位目標の項目でどんな介入をしたら上位目標の割合が下回るか、次の年度に向けて一段進めるとよいと思います、把握した結果を使用してどういう介入が効果があるか検討していただきたいと思います。
人工透析などは、そういう検討を始めているかについても伺いたいと思います。
○小西座長 ありがとうございました。
ただいまの御質問に関しまして、いかがでしょうか。
○松下保健部長 8ページの表でございますけれども、データ分析ということではなく昨年度のPDCA研修で、各支部が作成しました第2期保健事業実施計画について、古井先生を初めといたします有識者の方に支部に対する個別ヒアリングを行っていただきました。そのときに有識者の方からいただいた御指摘事項でございまして、上位目標というのが10年後の目標でございまして、中位目標が6年後の目標ということでつくっているのですけれども、その計画を見ていただいて少し遠いのではないか。また、この下に、目標を達成するための具体策を定めているのですけれども、それが直接そこに結びついているのかどうかという、いわゆる構造のところもご覧いただいて、個別具体的な御指摘、アドバイスをいただいたところです。そういった御意見を踏まえて必要な見直し等を行った上で、初年度の取り組みを行ったところでございます。
また、今年度になっておりますけれども、先般、その評価の仕方ということで評価指標の見直しといったところを同じような形で、今回はグループワーク形式での研修を行いまして、来年度この6カ年計画の第2期計画の中間年に当たるところで、中間評価をやりたいと思っていますけれども、そこに向けましても評価指標等の見直し、検討を今年度行った上で必要な見直し等を行っていきたいと考えているところでございます。
○西村構成員 ありがとうございます。例えば透析だったら効果的な対策になっているかなど検討の余地はあると思います。PDCAサイクルの中で上位目標の結果につながる変化が見える形に評価体系が作成されるのが望ましいと思います。
○松下保健部長 ありがとうございます。特にアウトプットといったところでは評価が早くできるのかなということで、そういった取り組みはご指摘のとおりPDCAサイクルを回しながら行っていきたい。また、実際のアウトカムと申しますか、疾病に対する効果につきましては、少し長期的な期間が必要なものがかなりあるのかなといったところで、特に糖尿病といったものの効果をどう見ていくかといったところも検討しながら進めていきたいと思っています。
また、人工透析につきましては、協会の加入者の平均年齢が国保などと比べますと若いといったところもございますので、協会の中で人工透析をされている方の割合も考えながら、そういった取り組みを検討していきたいと思っております。
○西村構成員 もう一つ伺っていいですか。ジェネリック医薬品の34ページ、35ページのところです。目標値をかなり大幅に高い水準達成していますが、ここで起きている課題もつかめているのかということと、医薬品の飲み残しも問題になってきており、次のステップの対策も視野に入ってきているのかというところも伺いたいと思います。
○榎本企画部長 今、ご指摘いただきましたジェネリック医薬品につきましては、令和2年9月に80%以上ということでございますので、まだまだ取り組みを続けていく必要はございます。
まず、ご指摘いただきました34ページの資料に基づいて1つ課題として挙げさせていただきますと、都道府県別で使用割合に大分差があるというところがございます。例えば、字が小さくて恐縮でございますけれども、一番左に沖縄がございます。こちらにつきましては87.8%ということでございますけれども、一番右側の徳島につきましては71.2%ということでございますので、こういった地域差を少しでも埋めていくということは必要かと思います。
そのための一つのツールといたしまして、先ほどちょっとご説明させていただきましたけれども、地域別ジェネリックカルテということで、都道府県別に例えば、院内処方でどのくらいジェネリックが使われているか、院外処方でどのくらい使われているか、あるいは薬局でどのくらい調剤されているか、あるいは患者の視点でジェネリックは使いたくないという方もおられますから、そういう方がどのくらいおられるのかについて一目でわかるようなものを作成いたしまして、これを支部のほうで見て、私どもの県はどこが弱いのかということを認識いただきましてやっていただくということがございます。
さらには、医療機関や薬局ごとの割合の高い低いもございますので、そういうところにつきましては、こちらの資料でございますけれども、例えば、貴医療機関においてはこうなっていますよということをお示しして、ジェネリックの使用割合を高めていただくということがございます。
もちろんジェネリック医薬品の使用以外にも医薬品の使用についてはさまざまな課題がございます。先生から御指摘のありました飲み残しということもございましょうし、あるいは多くの薬剤を使っている方がおられるという課題もございますので、医薬品の課題につきましては私どもも今後とも分析し、精査していきたいと考えてございます。
○小西座長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
それでは、伊藤さん、お願いします。
○伊藤参考人 それでは、3点質問させていただきまして、最後に1点意見を述べさせていただきます。
11ページの特定健診の受診率の向上のところですが、「自己評価:S」の上から5つ目に、事業者健診データの取得に向けての勧奨通知を14万1000事業所に送付したということで、結果としてこのデータの取得も多くなっているということでいいことだと思っているのですけれども、全体の協会けんぽの加入者のいる事業所に対して、手元でざっくり計算すると6%程度かと思うのですが、どういう観点で抽出されたのかを教えていただければありがたいと思います。14万になった根拠というか、どうして14万だったのか、マンパワーとかそういうことなのか、先に14万というのが抽出した結果としてあって、そこが対象だったのかということを教えていただければと思います。
それから、16ページのグラフの読み方を教えていただきたいのですけれども、左側が生活習慣病予防健診ですので被保険者、右側が被扶養者ということで書いてあるとおりだと思いますが、吹き出しみたいなものがありまして、左側の被保険者だと山梨支部と山形支部とか、右側は新潟支部、山梨支部、山形支部、赤いほうは和歌山以下4支部が書いてありますが、資料集の70ページの図表4-50というのを見ると、特定の支部ではないかなとも思うので、どういう意味で書いているのかという読み方を教えていただきたいと思います。
それから、22ページの重症化予防のところですが、これも前の基盤的保険者機能の関係と同じような質問になってしまうのですが、KPIからすれば下回っているわけですが、Aとした理由をもう一度簡潔に教えていただきたいなと思います。
意見まで申し上げてしまいますけれども、こちらの健診保健指導カルテは非常に興味深く、コラボヘルスの健康宣言事業所とか健康保険委員を置いている事業所の割合と、健診受診率がどのように関連があるかと見ていたのですが、確かに古井先生がおっしゃったように、健康宣言の事業所のほうが全体として受診率が高いということが言えるのかもしれませんが、健康宣言の事業所と受診率の高さというのは直接関係がないようにも見えます。一方、健康保険委員については、受診率とは結構関係がありそうな感じもします。この辺、もしかしたら健康宣言というのはまだ始まったばかりだからということがあるかもしれませんし、宣言の内容の充実という問題とも関係するのかもしれませんけれども、こういったコラボヘルスの取り組みというのも協会けんぽの今回の評価の対象に入っていますので、これが実際の健診の受診率の向上、ひいてはアウトカムにつながるというようなことが確認できるかどうかということで、分析、調査、研究というのが52ページにありますが、そういったことを調査研究していただいたほうがいいと思いました。
あと同様に、調査研究などではジェネリックの使用率に関して、それが医療費とどのように関係してくるかの影響や、受診率の向上が医療費にどのように影響するかというアウトカムにつながる研究も、ぜひやっていただければと思います。
以上です。
○小西座長 ありがとうございました。
ただいま3つの質問と御意見とございました。この3つの質問について御回答をお願いいたします。また、御意見について何かございましたら聞かせていただければと思います。お願いいたします。
○松下保健部長 まず、11ページの事業者健診データの取得に向けた勧奨通知14万1,000事業所といった部分でございますけれども、こちらの対象事業所の抽出につきましては、原則、過去に生活習慣病予防健診を受けている方がいらっしゃらない事業所を対象としているところでございます。生活習慣病予防健診につきましては、協会で実施しておりますので、受診した場合、健診機関等から必ず結果が来るといったところで、そのほかの方については事業者健診、いわゆる定期健診で受診されているのだろうと思われるところですけれども、そのデータを提供いただかないと協会ではわからないといったところで、生活習慣病予防健診も事業者健診データもない事業所を抽出いたしまして、お願いしているところでございます。
11ページの見方でございますけれども、委員ご指摘のとおり支部間格差がございます。先ほど事業報告書の70ページにも触れていただきましたけれども、一番高かった支部の受診率と一番低かった支部の受診率を抽出して並べているところでございます。青い線の平成20~28年度山梨支部という吹き出しにつきましては山梨支部の実績で、平成29年度と平成30年度は山形支部の実績。最下位については、ずっと大阪支部といったような状況でございます。
○伊藤参考人 組み合わせているということですね。この時期でつなげているということですね。
○松下保健部長 そうです。各年度の実施率が一番高かった支部と一番低かった支部をポイントしているといったところでございます。例えば、平成20年度ですと大阪支部が21.9%で、支部の中で一番低い受診率でした。一番高いところが山梨支部の53.3%だったといったような結果でございます。
24ページのKPIを下回っているとのご指摘についてでございます。未受診者勧奨に対するKPIにつきましては、確かに3カ月以内で医療機関に受診した方の割合ということで11.1%と定めたところでございますけれども、少し言い訳になりますが、中小企業等の加入者が多いということで、3カ月以内に受診までいかなかった、その後には受診につながっているいといった方がかなりいらっしゃるということで、6カ月後で見てみますと先ほど申し上げましたように15.7%、また前年度の6カ月後の実績と比べましても0.4ポイント上回っているといったところでございます。
また、25ページに複数回対象者になる方の表を入れているのですけれども、何年間か連続して対象になる方というのは重症度が進むといった傾向が見られるところでございまして、6カ月後でございますけれども受診勧奨には結びついているといったところで、評価はAとさせていただいております。
最後に、健診保健指導カルテの関係でございます、委員ご指摘のとおり健康宣言事業所の受診率が80.9%で高いところでございますが、先ほど申し上げましたように、これはまだ1万社ほどのときの実績でございまして、この段階では何とも言えないのかなと思っています。今後引き続き見ていく必要があると考えております。ただ、健康宣言の内容といたしまして従業員の健診受診率を100%にするといった宣言もいただいているところでございまして、健康宣言事業所の健診に対する意識は高いものと思っております。
また、健康保険委員につきましては、健康保険制度などをご説明して、その健康保険関係の届け出なども含めましてご協力いただいているところでございますが、保健に対する意識や理解等が比較的高いというところで、健診受診率のほうも若干全体より高い傾向が見られるところは事実かなと思っているところでございます。
○小西座長 どうぞ。
○伊藤参考人 16ページの特定健診の実施率のグラフですけれども、被扶養者の39.2%は平成22年からずっと山形ということだと思うので、そうなりますと上のほうに書いてある健診実施率については、いずれも右肩上がりに推移しているというのは、右肩上がりとは言えなくなっている部分があるという気もするので、その辺も留意しておく必要があるのかなと。ほかの支部が頭打ちとなっているところがあるかどうか、この資料だけではわかりませんけれども、少しそこは丁寧に見ていく必要があるのではないかと思いました。
以上です。
○松下保健部長 ありがとうございました。いずれも右肩上がりとあるが、この3本全て上がっていないというご指摘かと思います。言われてみるとそうなのですが、趣旨といたしましては緑色が全国平均でございまして、健診受診率自体、全国平均としては発足以来ずっと右肩上がりで推進してきているといったところを書きたかったところではございます。
○小西座長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
そろそろめどとした時間になりました。最後に1つだけ私から質問させていただきたいと思います。
40ページにあるインセンティブ制度の本格導入についてですけれども、これは私の理解で申し上げておりますので、間違っておりましたら修正しながら御説明いただければと思います。インセンティブ制度の財源についてですが、従来のインセンティブ制度では財源に関しては加入者には波及しない。しかし、新たなインセンティブ制度では保険料率の調整という方法で加入者に波及するということでしょうか。もしそういうことでしたら、新たな制度というのはインセンティブによって動機づけ、意欲づけされるのは加入者お一人お一人ということになるのでしょうか。そこが狙い目と言っては言葉が変ですけれども、効果を期待しているところかと理解いたしました。
この制度の採用については、非常に手を尽くしていろいろ対外的なPRなど説明をなさっていると拝見しましたが、加入者がそれを意識して効果が出るということは、例えば事業所や地域、集団のチームプレーのようなことで効果が出てくるのかなと思ったりしておりますが、その辺についての施策、効果を上げていくために、効果を確実にとるためにどんな施策・方法を考えていらっしゃいますか。よろしくお願いします。
○榎本企画部長 今、御指摘のありましたインセンティブ制度でございますけれども、こちらにつきましては、来年度から支部間で保険料率の調整が始まります。といいますか、成績のよかった23支部につきましては、保険料率が下がるという形で支部間の保険料率が違ってくるという形になります。それにつきましては、まさに御指摘のとおりでございまして、それによって加入者の行動変容を促すことを趣旨としてございます。それに当たっては、当然ながらそういう制度があるということが周知されていなければ意味がございません。ということで、周知広報を積極的に取り組んでございます。資料で申しますと41ページでございますけれども、まず、好事例といたしまして、例えば、栃木支部においては下野新聞、これは栃木県内で最も発行部数の多い新聞でございますけれども、そちらの論説への記事の掲載があったり、あるいは本部において全事業所向けの保険料率のリーフレットの送付や新聞広報とあわせて周知を行っております。それから、ホームページでも全加入者に向けた記事を掲載しております。さらに、支部におけます広報の状況でございますけれども、納入告知書のチラシの同封ということは47全ての支部が行っております。そのほかメールマガジンも全ての支部、健康保険委員を通じた広報も全ての支部、あるいは事務説明会、関係機関への広報、新聞といった形でさまざまな手段を用いまして、インセンティブ制度について広報を図っているところでございます。これによって加入者の行動変容を促そうということでございます。
○小西座長 ありがとうございました。まだまだこれから効果を実感していくということだと思います。
お願いします。
○藤井理事 若干補足ですけれども、これはむしろ制度としては厚労省で決めていただいている制度だということになりますので、私どもから申し上げるのもちょっと筋違いなのかもわかりませんけれども、座長がおっしゃったような仕組みで、先ほど部長が申し上げたとおりで加入者の皆さんの行動変容を起こしていく、インセンティブをかけていくというまさにそういう仕組みなのですけれども、もともと制度設計をする段階から財源をどうするかという議論がございまして、結論としては各支部から一定のインセンティブ、この制度を動かすための一定の保険料率を課して、それをプールして財源にしているという格好なのですけれども、私ども協会としては、本来そういったインセンティブに係る財源は国のほうで手当てしてしかるべきなのではないかと考えておりますし、また要望もしておりますので、今日は当然のことながら保険課もおりますので、改めて申し上げておきたいと思います。
○小西座長 ありがとうございました。以上でございます。
それでは、本日の議論はここまでにしたいと思います。
事務局から今後の予定について、お願いいたします。
○厚生労働省深谷全国健康保険協会管理室長 長時間の御審議ありがとうございました。
次回の検討会でございますが、9月26日(木)14時から、場所が都道府県センターになりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○小西座長 ありがとうございます。
なお、構成員、参考人の皆様には、次回一通りの議論を終えたところでお一人お一人から総括的なコメントなり感想なりを述べていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
きょうはこれで閉会にいたします。皆様、時間について大変御協力をいただきまして、ありがとうございました。