第16回救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会(議事録)

医政局地域医療計画課 救急・周産期医療等対策室

日時

令和元年8月21日(水)
14:00~16:00

場所

厚生労働省専用第22会議室(18F)

議事

下記のとおり
○野口救急医療対策専門官 それでは、定刻になりましたので、始めさせていただきたいと思います。ただいまから、第16回「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会」を開催させていただきます。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中を御出席くださいまして、まことにありがとうございます。
本日、坂本構成員、嶋津構成員から御欠席の連絡をいただいております。また、井本構成員からおくれる旨、連絡いただいております。また、事務局からは、迫井審議官が急な公務のため欠席、佐々木総務課長が公務のため、おくれて出席いたしますことを御報告させていただきます。
なお、本日は、参考人として、日本DMAT事務局より小井土雄一参考人、国土交通省より豊嶋住宅局市街地建築課企画専門官にお越しいただいております。
それでは、お手元の資料を御確認ください。
まず、議事次第、構成員名簿、座席表のほか、資料1から7、参考資料1から2をお配りしております。また、資料2についてですが、机上に追加の資料をお配りしております。不足等がございましたら、事務局までお知らせください。
報道の方で、冒頭、カメラ撮り等をしておられる方がおられましたら、ここまででお願いいたします。
(冒頭カメラ撮り終了)
○野口救急医療対策専門官 それでは、遠藤座長に以後の議事進行をお願いいたします。
○遠藤座長 それでは、早速議事に入りたいと思います。
議題1「平成30年度の一連の災害のふり返り」についてであります。これまで、本検討会におきましては、平成30年度の災害が起こった後、早急に議論が必要な項目に関しては扱ってきましたが、今回、平成30年度の災害の振り返りとして整理をいたしまして、皆様に御議論いただきたいとのことですので、そのようにさせていただきたいと思います。
まず、事務局から、資料1について、続いて、小井土参考人から、資料2について説明をいただいた後に、御議論をいただきたいと思います。
それでは、資料1につきまして、事務局より説明をお願いします。
○西田災害時医師等派遣調整専門官 事務局でございます。
お手元の資料1をごらんください。2ページ目から御説明をさせていただきます。これまでの災害医療提供体制の振り返り、議論の経緯ということで、簡単にスライドを作成させていただいております。
こちらは、1995年の阪神・淡路大震災を受けて、国として初めて災害時の医療提供体制の検討を行ったことから、2011年の東日本大震災を受けての検討会において「災害拠点病院の整備」「DMATの体制強化」「中長期的な医療提供体制の確保」という3本の柱で検討を行ってきております。
また、2016年の熊本地震を受けまして、医療計画の見直しの検討会におきまして、熊本地震の振り返りが行われまして、第7次医療計画において、災害医療提供体制の構築の指針の中に、ここに書いてあるようなものを追加で盛り込んでおります。
2018年から本検討会を開催しておりますけれども、今後、発生が予想される南海トラフや、首都直下型地震等の大規模な災害への対応体制の構築に向けての議論を行うことを趣旨として、こちらの検討会を開催させていただいているところでございます。
3ページ目でございますけれども、本検討会の「災害医療提供体制の議論」と、都道府県に求める「医療計画」との関連性につきまして、簡単に図示しておりますので、こちらをごらんください。
続きまして、4ページ目でございます。平成23年に東日本大震災を受けて開始した「災害医療等のあり方に関する検討会」でございますけれども、赤字の部分です。現在も、この報告書を踏まえた対応を軸といたしまして、省として、災害医療提供体制に関しての検討と、対策を行っているところでございます。
5ページ目でございますけれども、昨年度4月より本検討会が開催されております。昨年度の8月1日の第7回検討会におきまして、こちらにございますような形で、課題と対応方針について、整理をさせていただいております。
その後、平成30年の7月豪雨、北海道胆振東部地震が発生ということで、こちらから、災害を踏まえた対応ということで、お話をさせていただければと思います。
7ページ目でございますけれども、大阪府北部地震の報告に関しまして、こちらは前年度の第7回の検討会において、藤見参考人からいただいた資料を掲載させていただいております。
課題として、主に8つ挙げられておりますけれども、やはりこちらの中で、主に災害医療コーディネーターの役割であるとか、保健医療調整本部の役割・引き継ぎに関しての混乱が見られたところが問題点として挙げられております。
こちらを受けましての主な課題ということで、8ページ目をごらんください。「大阪北部地震における主な課題と対応」というところで、左と右、それぞれ下に課題、調査、対応という形で縦に見ていただければと思います。
課題といたしまして、先ほど申し上げましたが、災害医療コーディネーターの役割等の整理が不十分であったため、混乱を生じたというところで、事前にしていた調査の結果から、やはりコーディネーターというものが都道府県でさまざまな差異があったところを踏まえまして、対応ですけれども、国として災害医療コーディネーターの活動要領を発出しているところでございます。
右側に関しましては、拠点病院での法定点検が行われていなかったことを鑑みまして、全国調査をしております。こちらは資料5にありますけれども、後ほど簡単に説明させていただきます。それを踏まえまして、都道府県のほうに通知を出してございます。
9ページ目でございます。7月豪雨と胆振東部地震における主な課題と対応というところで、同じような書きぶりになっておりますけれども、縦に見ていただければと思います。
左側の課題といたしまして、EMISの情報収集が最大限に活用できなかったというところで、EMISの問題点が浮き彫りになったところでございますけれども、それを受けまして、第8回の検討会で、ここに書いてあるような項目に関して、問題点として挙げられまして、下の対応という部分でございますけれども、前回の検討会で示させていただいたような形で、現在対応を行っているところでございます。
右側に関しましては、DMATロジスティックチーム等が、活動終了後も長期間にわたって、本来業務でないとまでは言いませんけれども、都道府県の調整本部の支援を行っていたり、災害医療コーディネーターが、なかなか各チームの役割を把握していない部分がございまして、適切なチーム配分ができなかったというような反省がありました。こちらは対応といたしましては、現状は災害医療コーディネーターの活動要領を発出させていただいておりまして、それぞれの役割を明確に、少なくともコーディネーターの役割を明確にさせていただいたところでございます。
続きまして、10ページでございます。平成30年7月豪雨の課題と対応2ということで、こちらはインフラの問題となりますけれども、特に災害拠点病院等であっても、診療の継続が困難であった事例がございました。
こちらを受けまして調査を行ったところ、燃料タンクの容量であるとか、水の確保というところで、診療機能を3日分程度維持できる設備を持たない病院があったところを踏まえまして、対応ですけれども、2つ、左と右ですが、1つは予算措置を講じたところです。対象といたしましては、こちらに書いてある病院に対しての補助という形になっておりますし、右側ですけれども、やはり災害拠点病院の要件といたしまして、最低3日分の水や電力の確保が必要であろうということで、一部努力義務ではございますけれども、指定要件の改正を行ったところでございます。
おまとめいたしましたものが、11ページでございますけれども、課題と対応といたしまして、先ほど、少し前にお話しさせてもらったものに加えまして、こちらの課題と対応という形をとらせていただいているところでございます。これらを踏まえまして、今後の災害医療提供体制について、引き続き、もしくは新たに検討するべき課題は何かというところで、御議論いただくに当たり、次のページから、事務局の方向性を少し示させていただきたく思います。
12ページをごらんください。現状、先ほども申し上げましたが、平成23年の検討会におきまして、主にこの3つの軸、拠点病院、DMAT、中長期的な医療提供体制を軸として、対策を進めてきたところでございますけれども、平成30年の一連の災害では、特に「医療機関の耐災害性」であるとか「災害時の情報収集と、その分析、利用」に関して、課題が顕在化したのではないかと考えております。そして、矢印の下ですけれども、そちらを踏まえた上で、3軸の内容に関して見直し、整理した上で、検討を行っていくべきではないかということで、13ページをごらんください。
「今後、災害医療提供体制について、以下の軸を中心に検討を進めてはどうか」というところで、大きく3つの軸は変えないのですけれども、その中に小項目、中項目というものを少し設けさせていただいて、こういったところに関して検討をしていくべきであろうというところでございます。
それぞれにつきまして、14ページから、事務局の案といたしまして、こういった御提案をさせていただきたく思います。
1つ目、DMATにつきましてですけれども、大規模災害では、被災直後からの迅速な災害医療提供体制の構築が必要となるため、その中心となるDMAT隊や、DMAT事務局機能の強化を引き続き行わせていただく。
ただ、効率的な災害医療提供体制の確立には、ほかの保健医療活動チームとのさらなる連携が必要であることも鑑みると、DMATや、他の保健医療活動チームにそもそも災害時に求められる業務、あとは平時に求められる業務について整理、共有いたしまして、必要に応じて互いの業務を補完することが重要ではないか。
続きまして、災害拠点病院についてでございます。災害拠点病院に必要な機能として、主に診療機能、診療のための自立機能、支援機能、教育機能等がございますけれども、その配分、あんばいに関しましては、各地域の状況により、その拠点病院に求められる機能に応じてさまざまである。指定要件としては、最大公約数的条件であるため、現行の指定要件について、例えばこれは言い過ぎではないかとか、こちらは最低限必要なのではないかというようなことに関しまして、その妥当性等の再評価を一度検討してはどうかというところです。
2ポツ目でございますけれども、災害拠点病院を中心とした災害医療提供体制を構築するに当たりまして、これは地域によってさまざまだとは思うのですけれども、災害拠点病院以外に求められる役割機能、主に災害拠点病院以外の病院であったり、その周辺の補助体制に関して、整理が必要ではないかというところです。
15ページ目でございますけれども、コーディネート体制の構築で、現状の都道府県での運用を把握した上で、保健医療調整本部、こちらは平成29年に通知として出させてもらったものでございますけれども、構成員の見直しであるとか、そういった構成員等が平時に行っていくべき業務に関して、再整理が必要ではないかと。
今後、保健医療調整本部と連携した運用を行っていくべきと考えます保健所レベル以下でのコーディネート体制の場である地域災害医療対策会議について、まずは実態把握が必要ではないかと。
災害医療コーディネーターに関しましては、要領を出させてもらったところでございますけれども、今後、好事例の展開、適正数、質の維持等に関して、検討していく必要があるのではないか。
災害医療情報に関しましては、今後も必要に応じて、EMISの機能改修を図るところはベースとしつつ、ほかの情報システムとの連携、まずは現在、ISUTとの連携を進めているところでございますけれども、ほかに連携すべき情報システム等はあるか、検討していくべきではないか。
その他に関しまして、災害拠点病院のBCPの質について、評価を行うべきではないか。拠点病院が全て求めたところを踏まえて、さらに上の段階になります。
加えて、一般病院でのBCPの策定について、現状、策定研修事業を当省としてもやっておりますけれども、それに加えて、例えばどのような取り組みが必要かということに関しまして、検討する必要があるのではないかという形になります。
この中でも、主に急性期の災害医療対応に関しまして、簡単におまとめさせていただいて、提案をさせていただいておりますので、これを踏まえて、御意見をお願いしたいと思っております。
資料1に関しましては、以上になります。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、資料2につきまして、小井土参考人より、御説明をお願いいたします。
○小井土参考人 災害医療センターのDMAT事務局の小井土です。よろしくお願いいたします。
資料2をごらんください。平成30年度の災害の振り返りということで、私のほうからは、7月の豪雨と、北海道胆振東部地震の主にDMAT活動について、御報告させていただきます。
まず、7月豪雨ですけれども、皆様御承知のように、大雨特別警報が運用開始以来最多となる計11府県で発表され、実際に降った雨量も、各地で観測最大値を更新しています。この豪雨により、死者数が200人を超える甚大災害となり、平成では豪雨災害として初めて100人を超えて、平成最悪の水害と報道されました。
2ページ目ですけれども、大きく被害を受けたのは、広島県、岡山県、愛媛県であり、死者、最大避難者数は、広島県が多く、長期避難の目安となる全壊家屋数は、岡山が多かったということになります。
3ページ目ですけれども、特に被害が多かったのは、広島、岡山ですけれども、その死者の分布を見ますと、広島では多数の市町村に分布している一方で、岡山県では倉敷、真備町に集中しており、ほとんどが洪水による溺死ということになります。
4ページ目ですけれども、7月豪雨災害をもたらした災害の本質は、広島県では多発土砂災害による局地災害と、ライフラインの破壊による広域災害であり、岡山県においては、河川の氾濫による洪水であったということになります。
5枚目ですけれども、これは後からお配りした1枚紙を見てほしいです。災害の初動期においては、都道府県の役割としては、災害の進展に応じて、EMISのモードを変えたり、あるいはDMAT調整本部を設置し、県内外にDMAT待機、派遣を要請することになりますけれども、本災害において、大雨特別警報の発令と、これらの災害医療対策をまとめたのが表でございます。大雨特別警報は11府県に発出されましたけれども、各県それぞれで対応が違っております。
愛媛県では、特別警報の発出前にEMISの切りかえ、DMAT調整本部の設置が行われ、発出後、早期に県内外への派遣要請が出ております。初動は迅速であったと評価できます。
広島県においては、EMISの切りかえ、DMAT調整本部の設置、県内へのDMAT派遣は迅速に行われましたが、他府県へのDMAT派遣要請は、特別警報発令から12時間以上かかっております。
岡山県においては、EMISの災害モードの切りかえ、DMAT調整本部の設置に特別警報発令後12時間以上を要しまして、DMAT派遣要請には24時間以上要していることで、初動においては迅速な判断が困難であったことが伺えます。
大雨特別警報の対応が、今後の課題だと思っています。各府県が今回はばらばらの対応となりましたけれども、気象災害はある程度予測できる一方で、起点をどこにするかというのが、今後の課題ではないかと思います。
5ページですけれども、今回の7月豪雨では、DMATは119チームが活動しております。活動内容に関しましては、いつものとおり本部活動あるいはEMISによる医療機関のスクリーニング、病院支援、病院避難ということでしたけれども、今回は、病院への補給支援ロジというものも、主な仕事としてやっております。
広島県における主なDMAT活動ですけれども、広島県においては、平成28年8月豪雨での土砂災害に見舞われた際には、消防本部にDMAT活動拠点本部を置き、消防との密接な連携のもとに、現場活動を主体とする活動が行われ、一定の成果を得ましたが、その経験に基づき、今回の災害においても、当初は消防との連携を重視し、活動が始まっております。
しかし、翌7日にかけて、土砂崩れの現場も多発している一方、病院のライフラインにも問題があることがわかり、病院の情報収集と支援を行うために、8日にDMAT活動拠点本部を県内4カ所に設置し、同時に他県へのDMAT派遣要請も出しております。
この時点で、広域な断水や、大規模な洪水が起こっていたのは呉、尾三地域でありましたけれども、しかし、これらの地域へのアクセスは困難であり、DMATはこれらの地域の医療機関を十分に評価する前に、5日目ですけれども、活動終了となっております。この時点で、EMISへの入力率も十分ではなく、また、呉、尾三では、要支援の病院もまだ多数あったということで、撤収の時期に課題が残ったということになります。
9ページで、これは広島県の断水状況ですけれども、呉圏域、尾三圏域では、多くの病院が断水になっています。また、必要な水の量が書かれていますけれども、呉、尾三、両方とも、呉が約3割、尾三がわずか5%という給水率になっております。そこで、県の調整本部は、県から厚生労働省及び国に優先給水を依頼するとともに、災害拠点病院等の重点医療機関は、国直轄で給水するようなことを依頼したことになります。
10ページ目ですけれども、その中でDMATの活動としては、DMAT調整本部が都道府県で国を通して、医療機関へ補給を調整しました。実際には、医療機関より状況を聞き取り、都道府県や国に優先順位を提示し、医療機関に進捗を確認するような活動を行ったことになります。
11ページ目ですけれども、岡山県においては、急性期最大の課題となったのは、皆さん御承知のように、浸水したまび記念病院への対応ということになりました。
12ページ目ですけれども、大雨特別警報とDMATの活動ということでまとめております。病院の浸水後に、ようやく岡山県のDMAT調整本部が設置され、その結果、避難搬送が8日夜明けとともに始まりましたけれども、他機関の救助が先行しまして、医療支援がおくれました。その結果、当初は医療搬送ができず、また、トラッキングも行われなかったというような反省点が出ました。
13枚目ですけれども、倉敷の地域では、2次医療圏の保健と医療を調整する倉敷地域災害保健復興連絡会議、通称KuraDOROが立ち上がり、調整を行いました。平成28年、熊本地震の教訓、保健と医療のさらなる連携が実践されたことになります。
14ページ目ですけれども、表は岡山県で活動した保健医療活動チームです。これらを調整したということになります。
15ページ目は、このKuraDOROの成果ということでまとめていますけれども、GAPのない指揮系統が確立できたこと、また、さまざまなステークホルダーが連携できたこと等が挙げられます。
初めての本格活動ということもあり、災害医療コーディネーター、保健所、DHEAT、サポートチームの役割、連携においては、これからというような課題も残りました。
16ページ目ですけれども、7月豪雨災害の疾病構造に関しても触れます。一昨年の7月5日文書で、厚労省から、災害時には統一した報告・記録様式を用いることと推奨されていますけれども、今回の災害診療記録の利用率は98%でした。
17ページ目ですけれども、災害診療記録には、J-SPEEDが登載されています。DPATが採用した電子システムにより、運用がなされています。現場からスマホアプリで入力することによって自動集計され、本部で活用されるシステムになっております。
18ページ目ですけれども、今回、7月豪雨災害では、J-SPEEDによって、3,524件の診療実績がリアルタイムで可視化されております。特に注目すべき点は、DMAT、DPAT、JMAT、日赤等全団体がアプリを利用しており、これにより救護班による医療救護の全体像が、即日可視化されております。この実績は、DPAT公式サーバーがオールジャパンユースということで、緊急開放されたことによって実現されたものです。
19ページ目ですけれども、J-SPEEDによって、全救護班の診療実績がデータ化されることによって可能になったのが、支援者間の連携です。消化器感染症、メンタルケアヘルスニーズ、石灰散布による皮膚・結膜への弊害など、リアルタイムに対応できて、問題の増大を未然に防ぐことができました。すなわち、データに基づいて救護資源が効率的に配分されたことで、救護の質自体が向上したと考えられます。
20枚目ですけれども、7月豪雨のDMATの課題です。広島では、平成26年8月豪雨対応のイメージが非常に強くて、当初、広域インフラの破壊への対応がおくれたことが課題です。また、ロジスティックチームがもっと早期に派遣が必要であったということです。
そして、岡山では、DMAT調整本部の立ち上げが多少おくれたことです。地震は起点が明確なので、活動開始も明確ですけれども、気象災害はある程度予測することは可能ですけれども、活動の起点、スターティングポイントをどうするかは、今後の課題だと思います。
次に、21枚目ですけれども、北海道胆振東部地震の医療活動報告です。
22ページ目は、災害の概要は省略しますけれども、今回は、この北海道の苫東厚真の火力発電所がダウンしたことで、北海道全域295万戸がブラックアウトに至ったというのが、災害の本質でありました。
23ページ目ですけれども、DMATは、北海道、東北ブロックの67チームが活動しております。
24ページ目、この北海道全域のブラックアウトに対応するために、北海道10の圏域において、各圏域をカバーする活動拠点本部が立てられまして、ここにDMATロジスティックチームを配置して、病院への補給のための情報収集を行ったということになります。
25枚目ですけれども、EMISの入力率は1日たっても30%でしたけれども、DMATロジスティックチームが入ったことで、2日目以降は80%台に上昇しております。
26ページ目、そのような中でも、1日目に250を超える医療機関が停電で要支援をEMIS上で示していたことになります。
27ページ目、停電へのこれらの対策は、自家発電機のための燃料供給とか、あるいは電源車の手配、あるいは呼吸器のついた入院患者さんの避難搬送ということでありました。この燃料供給、あるいは電源車の手配に関しては、関係省庁、部署に補給に必要な情報、優先順位を含んだ医療機関のリストを提出することが必要になったわけです。
しかし、なかなかこれが進まず、その理由としては、このEMIS上では、先ほど西田専門官からもお話がありましたけれども、この項目自体がそれに適していなかったこと、また、電源の復活に伴い、せっかく集めたデータが陳腐化するような事態も生じたことになります。なかなか進まなかったので、最終的には、国のレベルで厚労省が中心になって大規模な医療機関のスクリーニングを実施したことになります。
それが28枚目ですけれども、その情報をもとに、北海道DMAT調整本部では、個別の対応を重点的に行うことになり、北海道庁内では、燃料補給の要請及び電源車の手配を自衛隊と経産省へ要請したことになります。
次に、29ページ目ですけれども、これは8日に電源が復活したわけですけれども、それまでの間、6日、7日というところで、この搬送患者さんが60名をカウントしております。そのうちの38名が人工呼吸器がついた人、そして、13名が透析患者さんになります。
30ページ目ですけれども、DMATの転院搬送に関する活動としては、搬送ニーズの把握、あるいは搬送手段の確保、搬送先の確保になりますけれども、今回は医療圏内で受け入れが可能であり、広域医療搬送の必要はなかったことになります。
31ページ目、胆振東部地震の成果としては、全道ブラックアウトに対して、活動拠点本部を全域に設置して、情報を収集して、補給支援、患者搬送をすることによって、停電による入院患者さんの死亡を防ぐことができたことだと思います。
また、ミッション的な成果としては、東北から陸路、フェリーでDMATを投入できたこと。
そして、本部機能としては、DMATから、道では保健医療福祉調整本部、そして、2次医療圏、胆振地域では、東胆振3町医療救護保健調整本部に引き継ぐことができたことが、この成果として挙げられます。
32ページ目ですけれども、この胆振地震の課題としましては、DMATロジスティックチームに関しては、今回、初めて小型ジェットでDMAT事務局、立川から投入しましたけれども、さらなる早期に投入が必要だと考えております。
また、庁だけではなく、2次医療圏の保健所にも、いかに早期に入れられるかということ、災害のスペシャリストをいかに早く現地に送り込むかというのが、この支援のためのキーではないかと思います。
EMISに関しましては、先ほどお話がありましたように、今回は停電災害だったわけですけれども、補給を行う上では、項目が不十分であることが明確となりました。
下の2つは、今後、千島海溝地震を考えた場合に、北海道へのDMAT投入の方法、あるいは冬季ではどうするのかというような検討が、今後は必要だろうと思います。
33ページ目は、今、西田専門官からありましたけれども、EMISの改定に関しまして、復旧を行う上で、どういうような項目が必要なのだろうと、今、検討していることになっております。
34ページ目は、胆振での疾病構造になりますけれども、胆振でも、災害診療記録の利用率が98%でありました。
35ページ目、スマホアプリの運用によって、582例の診療実績が登録されています。
36ページですけれども、この結果は、被災地の自治体からも大変高く評価していただきました。客観的データに基づく調整ができた。もう少し言いますと、受援活動を効率化できたというような御意見でございました。今後の保健医療調整本部には、J-SPEEDが不可欠というような御意見もいただいています。
ただ、問題は、今回はDPAT事務局からの緊急判断をいただき、オールジャパンでのリアルタイムの可視化が可能になりましたが、これはあくまでも緊急判断であり、オールジャパン体制継続のためには、今後、運用母体の整備が必要でないかと思います。ここまでJ-SPEEDが浸透し、実績を残してきましたので、ぜひとも実現したい事項だと思います。
最後のページですけれども、ちょっと時間もオーバーしてきましたが、4つ挙げさせていただいております。
1つは、災害の本質を見抜くということで、皆さん御承知のように、同じ地震災害でも、災害の本質が倒壊家屋であったり、土砂災害であったり、火災であったり、津波であったりするわけですけれども、今回の7月豪雨では、広島は土砂災害と断水、岡山では洪水、そして、胆振ではブラックアウトということで、いち早く本質を見きわめて、迅速に対応することが求められるということだと思います。
2つ目は、籠城支援です。これは災害拠点病院の強靱化にかかわってくると思いますけれども、やはり病院避難になりますと、患者さんにとっては、大きなリスクがかかります。ですから、患者搬送よりも、物資の輸送のほうが容易でありますので、そのための補給体制を構築しておくべきだと考えます。そして、その補給体制の中には、先ほど言ったEMISの入力項目の改定も含まれると考えております。
3つ目は、ハザードマップの活用で、ハザードマップで予見可能なものに対しては、情報を照合して、先手を打つことができると考えております。今回の7月豪雨災害でも、決壊情報をもとに、DMAT事務局から情報を提供しております。また、その後のDMAT訓練等で、この手法の練度を上げています。現時点としては、このハザードマップは手作業で照合しているわけですけれども、将来的には、手作業ではなくて、システムの開発が望まれると思います。
最後です。この7月5日文書を受けて、今回、初めて保健医療調整本部が本格的に運用されたわけですけれども、県レベル、2次医療圏レベルとも、ステークホルダーのさらなる連携、役割分担、亜急性期以降への引き継ぎの練度を上げる必要があると考えます。
以上です。ありがとうございました。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
それでは、ただいま御説明のありました2つの事柄について、御質問、御意見等があれば、承りたいと思います。特に資料1の14、15ページには、事務局の原案が示されておりますので、これについては、ぜひコメントをいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。いかがでございましょう。
加納構成員、石川構成員の順番でお願いします。
○加納構成員 ありがとうございます。
先に資料2の10ページについて質問させていただきたいのですが、広島県の断水状況ということで、災害拠点病院が2カ所、一般病院が14カ所に必要とされた水が断水したと、こういう形で提示されているわけです。
これは災害拠点病院をこれから強靱化していくという話が、先ほどからの流れだと思うのですが、一般病院と災害拠点病院、このときの患者さんの数とか、そういった状況は把握なされているのでしょうか。必要となった水の量も、どちらがどれだけかという、一般病院は14もありますから、どちらが多かったのか、少なかったのか、そういう感じでもいいと思うのですが、何かそういうデータはあるのでしょうか。
○遠藤座長 小井土参考人、お願いします。
○小井土参考人 加納先生、御質問ありがとうございます。今、手元に正確なデータがありませんけれども、災害拠点病院2に対して、一般病院が10以上ですので、水の状況に関しても、必要としていたのは一般病院のほうがメーンであったことになります。
○加納構成員 ありがとうございます。その結果が下の対応なのです。医療機関リストの提示し依頼と、対応として書いてあるのですが、災害拠点病院には、重点的に国直轄で給水するよう依頼という形になっているわけなのですけれども、圧倒的に、多分一般病院に収容されている、診ている患者さんのほうが数が多いはずなのです。それを片一方の拠点病院は強靱化の名のもとに、そちらには国がどんどん優先的に災害時でもやる。そうすると、多分、拠点病院より多くの患者さんを一般病院でも診ているわけなので、そちらを放置するという意味にも、下手をすれば、そういう流れになってしまう危険があるかなと思うのです。
以前からのテーマでもあるかと思うのですが、災害拠点病院も、地域によって役割が違うと思うのです。やはり大都会で災害拠点病院といえども、周りもふだんから多くが民間の中小の病院が救急を引き受けているエリアもあれば、地方に行きますと、今回の東北の震災などでは、多分恐らく拠点病院が多くの救急を受けていたという背景があると思います。全く背景が違う中で、災害が起こったときに、同じような形で拠点病院の強靱化を考えるだけで、果たして、例えば大都会で、もしそれが起こったときに、拠点病院だけ助けるなんて何の意味もないかなと思うのです。
そういう意味で、この14や17病院のところにも関係してくるかと思うのですが、災害拠点病院だけを強靱化するという話ではなくて、地域によっては災害拠点病院に準ずる役割をしているような、2次救急で頑張っている病院とかをもっと評価して、ふだんから予算化して助けるとか、そのようなことをやる必要があるのではないかなと思うのですが、どうでしょうか。
DMATに関しても、いろいろな形があり、我々もAMATとかでの災害への派遣も行っていますし、それなりの役割分担もしなければいけないと感じています。そういう意味で、DMATとか、災害拠点病院とか、そういったものに偏った災害対策は、ぼちぼち考え直す時期ではないのかなと思うのですが、どうでしょうか。
○遠藤座長 どうでしょうかというのは、小井土参考人に御意見を。
○加納構成員 例えば一つ大事なのは予算化という形になってきて、拠点病院にはお金がいくわけです。片一方、2次救急とか、中小で頑張っている病院でも、やはり災害時には役割を果たさなければいけないと思いますし、数でいけば、場所によっては、そちらのほうが圧倒的な数の患者さんを診なければいけない。そこらを放っておいて、拠点の強靱化だけに走るというのは危険です。
一つ、現実的に起こっているのは、この前のときもちょっと申し上げましたが、例えば停電に関して、自家発電で今何が起こっているかということで、自家発電を置くのにすごいお金がかかるようになってきているのです。これは拠点病院には予算がついて堂々と買われるのですが、我々民間病院は自前で買わなければいけないということが起こっています。
そうすると、拠点病院は大きな予算で買いますと、やはり業者側はある程度の値段の、変な話ですけれども、談合ではないと思うのですが、かなり今、イニシャルコストもランニングコストも上がるようになってきていまして、我々が実際に自家発電を置こうとして、また、ランニングコストを考えてみると、非常に高い話になっています。いろいろな形で、経済的にもいびつな構造を生み出す原因になってきているのではないかということで、ぼちぼち拠点化というものを考え直す時期ではないでしょうかという提案を、厚労省にちょっと確認していきたいと思うのですが、どうでしょうか。
○遠藤座長 では、事務局、コメントをお願いします。
○松永救急・周産期医療等対策室長 救急・周産期医療等対策室長でございます。
加納先生から御指摘いただいた部分、資料1の14になりますけれども、まさに災害拠点病院と一般病院との関係性ですとか、地域において、災害時にどのような対応を構築していくべきかですとか、そういったところ、また、DMATと、JMAT、AMATといった他の保健医療活動チームとの関係性、こういったものについて、業務の整理ですとか、どのような関係性を構築するべきかといったところを整理して、必要に応じて互いの業務を補完していくことが必要だと考えておりまして、そのあたりについて、御議論を進めていただければと考えてございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
○加納構成員 そういう方向性で、ぜひとも考えていくべきだと思いますし、そういう意味でここに書かれていると理解していいということでありますね。ありがとうございます。
○遠藤座長 それでは、お待たせしました。石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 どうもありがとうございます。
きょうはおまとめいただいて、大変参考になっているのですけれども、資料1の表題が平成30年度の一連の災害の振り返りでありますので、そこら辺に集中しているのだと思うのですけれども、2ページ目の、この1995年からの振り返りで、3つの大きな地震の状況が書いてあります。ここで私たちもいろいろな教訓を得ているわけですけれども、この3つの地震の中で、やはり災害関連死というところに、私たちは非常に注目せざるを得なかったわけでございまして、その対応も今、一生懸命考えているわけでございます。
日本の災害においては、この間もちょっとそういう意見を出したのですけれども、防災の観点、それから、急性期、亜急性期、トータルの医療支援対策が必要だろうと考えております。やはり今回は平成30年度ということで、急性期中心になるかもしれませんけれども、ぜひ保健調整本部という新しい議論をする中で、この中長期の、慢性期と言ったらいいか、亜急性期と言ったらいいか、いろいろあると思うのですけれども、そこのところの災害関連死を防ぐ仕組みだとか、そういったものについても、きちんと考慮していただきたいと考えておりますので、お願いしたいと思います。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
ほかに何か御指摘、御質問はございますか。
猪口構成員、どうぞ。
○猪口構成員 加納構成員がお話しした内容ではあるのですけれども、これまでこの3つの軸を中心として行ったということに関しては、評価していいのだろうと思うのですけれども、やはり過去の振り返りの中において、平成30年度の局地災害、豪雨のときは広域とも言えるかもしれませんが、東日本のような広域災害のときには、やはり支援が十分に届かない。そのときに、災害拠点病院以外のところに支援が届かない。そこに問題があることがわかっていても、計画上にないと、支援をあえてしないでいる。どうしていいのかわからないという事例が、東日本のときには多々見受けられたと思います。
今後の方向性に関して言うと、災害拠点病院の話はもういいかなと実際思います。それ以外の多くの病院が、かなり災害に関しては重要な役割を担っているのは確かなのでありまして、この厚生労働省から発するところのものは、どうしても災害拠点病院が中心になるでしょうが、やはりそれ以外の病院、それは病院だけではなくて診療所、特に産科診療所のようなところは、非常に大事であります。
それは多分都道府県の災害医療計画であったり、市町村の災害医療計画に記されるようなところで、厚生労働省としては、なかなか言いづらい部分だろうとは思いますが、そういうところまでしっかり支援して見ていくのだというような書きぶりを発してもらわないと、災害医療計画に反映してこないのです。ですから、ぜひそこはお願いしたい。
それから、2点目としては、これも加納構成員が多少述べたところではあるのですが、今やJMATは、超急性期の段階から、被災地の場合には、みずから災害対策として医療を展開すると決まっております。
DMATが全て急性期を行うのではなくて、地元の医療機関も活動を始めます。そして、JMATは、その後、亜急性期のときには主力をどんどん投じていきますが、それ以外に、我々全日病のAMATは、急性期から動きます。というぐあいに、いろいろな医療機関、医療団体が動きますので、それを統合していくような研究、もしくは、DMATに限らず、あらゆるものを包含していくような計画を、ぜひ立てていただきたいと思っております。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
いかがでしょうか。
森村構成員、どうぞ。
○森村構成員 ありがとうございます。
一部重複するかもしれませんが、ポリシーとして2点お願いした上で、御提案をさせていただきたいと思います。
1点は、今後もエキスパートの育成という今までの姿勢、DPAT、あるいは、DMAT、DHEATといった支援に重きを置いたエキスパートの育成は続けていく一方で、これはやはり全体のレベルの引き上げ、底上げをするという観点からは、今、猪口構成員が言われたことと少し重複いたしますけれども、受援側も派遣側もですけれども、全病院的な、全医療機関的な共通する底上げをしていくようなポリシーが必要だと思います。
もう一点は、図らずとも経験してしまった災害活動に関する評価をしていく際に、支援側の評価はしやすいのですが、受けた側の、例えば今回の洪水災害であっても、受援された側の意見、あるいは実態を踏まえた上で、それぞれの活動の評価をしていかなければいけないのではないかなと思いますので、これはないことを祈りますが、恐らくはありますので、これからもそういった視点でPDCAといいますか、改善を求めていく。
その際に、評価の指標は、できれば有識者もあわせて考えながら、ストラクチャーの評価は大丈夫だったのか、プロセスは大丈夫か、そして、アウトカムをどこに求めるのか。最終的には被災者の数を、防ぎ得た災害死を減らすことにあるのだと思いますけれども、そのあたりをポリシーとして持っていただきたいなと思っております。
長くなりましたが、以上を踏まえまして、14、15ページに関して、意見を申し上げます。
14ページに関しましては、災害拠点病院の一番下のポツで「災害拠点病院を中心とした」という、ここの部分が重要であろうかと思っております。この「中心とした」という表現が、先ほどの加納構成員や、猪口構成員と重複するところでありますけれども、地域を言葉としては病院群というのか、連携をするようなネットワークの中心であるといったような位置づけを意味するところと思っております。
違う言葉を用いるなら、「地域のBCP」です。今、想定している災害のリスクを考えますと、一病院でのBCPの策定は難しいので、地域のBCPという考え方で進めていっていただきたい。それが必ず病院間連携の強化につながると思います。
あと数点、次の15ページにかかわるお話ですけれども、中長期的な医療体制に対する確保の「コーディネート体制の構築」で、これも外部支援を強化していくという姿勢は賛成いたします。加えて、これは平時の強化、地元の強化も重要であろうかと思います。これはいろいろな方略があると思いますが、訓練に積極的に参加するであるとか、そういったものをこれから盛り込んでいっていただくといいのではないかということです。
3番目が「災害医療情報」に関しても、これは今までの会議でも申し上げてまいりましたが、EMIS、あるいはそれに準ずる情報システムの平時からの使用が災害時に機能するであろうと思いますので、ぜひこのあたりを盛り込んでいただきたいと思っております。
加えて、病院の周辺の需給バランスに応じたリスク評価が具体化されませんと、自分たちの当事者意識を持った訓練や、あるいは準備がなかなかできませんので、これも進めていただきたいと思います。
最後になります。これは今まで、大友構成員が以前、少し触れられておりましたが、インフラがやられていない状況での多数傷病者事故は、多数の傷病者を医療機関が診るという点においては、自然災害と同様です。このことについては現在の枠組みでは災害ではなく救急医療の体制の中で御検討されていると推察しておりますが、これを連結させるような形で今後、検討していくことが、さらに災害時の医療のレベルを上げるのではないかなと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでございましょう。
大友構成員、どうぞ。
○大友構成員 加納構成員と、猪口構成員から出た拠点病院以外の一般病院の支援、インフラの強化に関しては、非常に賛同いたします。どのレベルまでインフラを強化するかということに関して、拠点病院と同等レベルを、その何十倍もある数の一般病院にそれを求める、もしくは、それをするためには財政的にはまず不可能だと思いますので、どのレベルまでインフラを整備するべきかということになるわけですけれども、東日本大震災、それから、熊本地震で、一般病院が被害を受けて、全病院避難になってしまった事案が多数発生しました。これは、被災地での新たな医療対応の負荷をふやすことになります。
拠点病院は災害で発生した新しい患者さんを、さらに追加で受け入れなければいけないので、6割程度の電力と3日の燃料ということですけれども、小井土参考人の資料2の37ページにございますけれども、拠点病院以外の病院は少なくとも生き延びる、新しく患者を受けるということではなくて、病院が何とか何日間かは踏みとどまって生き延びるレベルのインフラを整えていただくのがいいのではないのかなと思います。
これは東京都の災害医療体制の会議で拠点病院と、それから、東京都には災害拠点病院以外に災害拠点支援病院があるのですけれども、拠点病院のインフラの確保の話と同時に、災害拠点連携病院のインフラの確保の議論があったのです。そのときに、拠点病院以外の病院の代表者が、うちに燃料の確保とか自家発電装置の確保を求められても困るという話だったのですが、一方で、そういうインフラがないと、もし、災害で外部の電源がなくなったら、病院がもう生き延びられないので、少なくとも病院が何日間かは生き延びられるだけのインフラが必要ですねということで申し上げたのです。
やはり拠点病院と、拠点病院以外の求められる整備するインフラのレベルは違うし、一般病院の求めるインフラのレベルを明確にして、それを達成していただくことが大事かなと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでございましょう。
加納構成員、どうぞ。
○加納構成員 今の御発言に少し懐疑的なところがありまして、確かにある程度のラインをどこで引くかということは大事だと思うのです。それはそれで大事だと思うのですが、例えば計画停電が、あのときありました。計画停電は、実は最初は3次救急だけ外すという話だったのです。これはおかしいではないかということで、例えば都会で救急の多くを受けているのは2次救急であります。それが動けなくなってしまう。そういう形では困るということで、大阪発で関電が2次救急は何とかしましょうという話をしていただいたら、国全体の電力会社さんも、一応今は2次救急まで何とかするという話だったかと思うのです。
確かに先生がおっしゃるように、2次救急でも仕事をきっちりやっているところと、やっていないところはやはり差があるかなということでは、また議論しなければいけないかと思うのです。
前から申し上げているのですが、都会で災害が起こった場合にはアクセスがだめになりますから、本当に拠点病院が生き残っただけで果たして本当に災害時の患者さんが受けられるかといったら、私は阪神大震災を見たときに、あのときの朝は静かなのです。道路が全然動けなくて、救急車も走れない状況で、何をしたかというと、近くの救急病院、2次救急へみんな担いで人海戦術的に運んだというさまを見ていますと、やはりふだんから2次救急とかそういったところにもしかるべき支援が必要だと思います。
ただ、今はほとんどないわけなので、まずそこから考えていただいて、先生がおっしゃるように予算があるわけですから、この程度やっているところにはこれだけやるよということもあり得ると思いますし、まずはそれをスタートしていただきたいというお話なので、そこは余り、3次救急だけまた残せよという話になってくると、私はちょっとどうかなと思うのです。
○遠藤座長 大友構成員、どうぞ。
○大友構成員 ちょっと誤解があるので、拠点病院だけではなくて、東京都ではもう総力戦で対応しなければいけないとなっているのです。ですから、生き延びた病院は大いに頑張ってほしいのですが、そうではなくて、病院が潰れてしまうところをなくしてほしいという趣旨のお話でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
石川構成員、どうぞ。
〇石川構成員 今、計画停電の話がちょっと出ましたけれども、3.11のときに既に拠点だけではなくて、ほかの病院も全て計画停電のリストから外してもらったことがありますので、恐らくこれは全部中核だけ供給されるということではないと思うのです。
しかし、この間の胆振のことを見ますと、実は在宅のほうは大変苦労した経験がありまして、これは在宅で訪問診療をやっているところなどでは、電源の確保に大変苦労したことがありますので、これもやはり先ほど言いましたように、災害はトータルにやらなければいけない。時間的にもトータルなのですけれども、規模も含めて、在宅から大きな病院までということで、トータルにやらないと救えないのではないかなと思います。
それから、小井土先生の言ったJ-SPEEDについては、もっと厚労省のほうも災害の診療録ということで、J-SPEEDは既に実績を上げているのです。これは非常に被害が可視化する。我々が遠くにいても見られますので、ぜひ今後の案の中にきちっと入れていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
〇遠藤座長 どうもありがとうございます。
大友構成員、森村構成員の順番でどうぞ。
○大友構成員 今、御指摘いただいたJ-SPEEDに関してなのですが、各自治体、もしくは各関係する組織からも非常に有用だったというお話でございました。この胆振東部地震、それから、西日本豪雨災害のときに、急遽DPATの公式サーバーを緊急開放することによって、このJ-SPEEDを使ったということなのですが、今後、やはり緊急対応ではなくて、恒久的に何らかの形でサーバーが確保できて、J-SPEEDが利用できるようにしていくべきではないのかなと思います。ぜひ御検討いただければと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
お待たせしました。森村構成員、どうぞ。
○森村構成員 その前の話で、電力やいろいろなそういった財政面での課題もありますけれども、どこの病院群、類型に支援していくかという議論があったと思います。2次救急医療機関も包括すべきだといった議論はどうしても必要になると思うのですけれども、一義的に考えなければいけないのは、リスクの高いところは当然ながら電力を要するはずなので、リスク評価に基づくことが非常に重要な視点だと思います。
一律全部やるわけではなくて、最もリスクの高い部分は、初期、2次、3次といったような枠組みとは関係なく、優先して行う。できる限り精度が高いリスク評価をこれからも繰り返して、それをベースにして行っていくのが、もう一つの視点だと思います。意見です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
猪口構成員、どうぞ。
○猪口構成員 森村構成員から教育の話が出ました。統一したような教育ということなのですが、実は今、我々はJMAT、それからAMATの教育研修にかかわっておりますけれども、これはDMATの研修をもとにして、それぞれに必要なものを抜粋したような形でモディファイしております。そういう意味では、災害時の教育に関するベースは整いつつある印象を持っておりますので、ぜひこれはDMATをベースとしてで結構だと思いますが、これを発展するような形で、多くの医療人が共通とした教育を受けていく、研修を受けていくというのは、もう端緒にいると思いますので、これを進めていただきたい。そういう支援をしていただきたいと思っております。
○遠藤座長 ありがとうございます。
加納構成員、どうぞ。
○加納構成員 重ね重ね申しわけありません。この15ページに災害医療情報のEMISの機能改修を図るという形で書かれているのですが、EMISに関しては、もうある程度見られるようになっていると認識しているのです。書き込みに関しては、先ほどのJ-SPEEDみたいに、緊急時であったかと思うのですが、全てが書き込みできる形になっていないかと思うのです。DMAT中心でしか書き込みできないようになっているかと思うのですけれども、ここらは今回の改修を図る中で、今出てきているようなそれぞれの災害チームにも書き込みがある程度できるように、ぜひともお願いしたいかなと思います。よろしくお願いします。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに何かございますか。
久志本構成員、お願いします。
○久志本構成員 今、幾つか議論いただいたことの中で、災害拠点病院を中心にして体制を構築することに関して、全く同意いたします。これはやはり全国同じ形にはいかないと思います。各都道府県、あるいは医療圏ごとによって、医療機関の役割、構成が相当違ってくると思いますので、やはりここをしっかり把握した上で、災害拠点病院を中心に体制をつくっていくことが必要なのではないかなと思います。
それから、少し細かいところになりますけれども、中長期的といったときに、東日本のときにもあったのですけれども、実は避難所に支援チームがずっと長いこといてくれると、とてもいいことではあるのですけれども、一般の診療所とかに患者さんが行かなくなるのです。待っていればそこで受けることができて、お金がかからないということが出てくるので、なるべく早く日常の診療に復帰をするといったことを中長期の視点では、やはり早く戻る形をつくることは入れていただくことが必要なのではないかなと思います。
さらにもうちょっと細かくなりますけれども、災害拠点病院を強化する上において、3日分の電力、それから、それをチェックするだけではなくて、本当にその3日分の非常用の電力が、非常用に必要なところにちゃんとつながっているかどうかを適宜確認していくこと、実はつながっていないこともあるのです。
もう一つ、少ない電力ですので、各施設内でいかに再配分するかといったところも、御検討を加えていただくといいのではないかなと思います。
以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
関連でほかにいかがでしょう。
石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 今の久志本構成員のお話でございますけれども、私は3.11のときにJMATを本部で差配したのですけれども、地元の医療がちゃんと復旧することが一つの大前提で、そこがJMATの撤退のときときちんと決めております。今は、例えば一連の、資料1の28ページにある参考のほうですけれども、保健医療調整本部がきちんとできれば、地域の医療だとか、そういったものを見ていろいろ判断できるのではないかと思っております。
これは先ほどの森村構成員のところもあったのですけれども、どこでどういうリスクがあるのかということについても、やはり地域は把握するところですので、この保健医療調整本部というのが、中長期の医療支援も含めてきちんと考えていかないといけない。この議論は、実はこの29年7月5日にこの図が出た以上に余り議論がされていないと思うので、ここはきちんとやらないといけないと思いますので、よろしくお願いします。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
大体よろしゅうございますか。積極的な御意見、ありがとうございます。
それでは、いろいろな御意見が出ましたので、事務局におかれましては、本日の御意見等を参考に、必要な対応をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
続きまして、議題の2に移りたいと思います。議題の2は、医療計画の中間見直しに向けた課題についてでございます。資料3につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○野口救急医療対策専門官 事務局でございます。
議題の2でございますけれども、資料3にありますとおり、救急医療の課題についてというところに、今回一度おまとめというか、議論をいただいて整理をさせていただきたいと思っております。第7次医療計画の中間見直しに向けたまとめということで、実際、本検討会において、救急の領域、第10回の12月以降、2回から3回、評価項目に関していただいておりますけれども、それのまとめということでございます。
おめくりいただきまして、1ページでございます。前回第15回のときにいただいた検討事項と主な意見について、第15回においては大きく3つ、1ページから3ページでございますけれども、救急医療機関と関連機関等の連携体制に関する評価についてということでの御意見、2ページにありますような、アウトカム指標についてというところで意見をいただいております。
あと、3ページ目、今後検討を進めるべき課題として「第8次医療計画の見直しに向け、長期的に研究・検討すべき課題はどのようなものがあるか」ということです。
1ページから3ページに、それぞれの項目でいただいた意見に関しては記載させていただきましたけれども、4ページでまとめさせていただいております。
4ページでございますけれども、救急医療における指標についてでございます。
1つ目にありますように、地域で行われている多職種連携会議に救急医療の関係者が参加した場合の評価の話でありますとか、2ポツ目で、中核・高次の救急医療機関とその周辺の救急医療機関との間の病院間搬送に関する実態に関するテーマ、あとは、そのほかの課題でありますDNARやACP等を踏まえた救急医療を考慮する場合に、積極的な治療を考慮すべき事案だったかという分類の話が項目としてはございました。
また、アウトカム評価に関しましては、社会復帰、または機能予後といった観点からの指標を作成することや、今後は疾患ごとの統計も求められるのではないかという意見、それ以外にもユーザーである地域住民の満足度は大きなアウトカム評価の1つであり、今後、検討すべきではないか、救命センター等救急医療機関における看護師の配置についての検討及び反映について検討いただきたいという話題です。
さらに少しずつ大きくなっておりますけれども、下から3ポツ目にございますように、救急医療にかかる医師の労働状況、生産性の向上を目指した集約状況、タスクシフトによる救急医療にかかわる医師の負担軽減の状況等についても、指標を定める必要があるのではないかというようなテーマをいただきました。
それ以外にも、指標については大きい項目としましては、示した項目が選択されないことに関して考察が要るのではないかということ及び活用に関して、さらに検討を進めてはどうかという御意見をいただいております。
それ以外にも、収集方法というテーマでは、収集方法、またはその他ということで、御意見をいただいております。
この意見を受けまして、実際に中間見直し及び第8次医療計画の見直しに向けた検討をどのように進めるかということで、事務局の提案として、5ページ以降でございます。
まず、5ページで、中間見直しに向けた本検討会におけるまとめとして、まず喫緊のものでございますけれども、以下のような項目(赤字)を追加、もしくは重点指標としてはどうかということでございます。書いてありますとおり、ストラクチャーでいきますと「救命後の医療」で「転棟・退院調整をする者を常時配置している救命救急センターの数」を重点指標として、できるだけ各都道府県が考えてとっていただくように誘導するようなところです。
プロセスにおきましては、充実段階評価に関しましては、S評価が平成30年から加わりましたので、S評価を加えた内容、あと、転院搬送の受け入れ及び実施した件数に関して、数字として見たほうがいいのではないかということで、赤字での提案及びそれこそ連携に関しては、メディカルコントロール協議会や多職種連携会議等の開催回数といったところで、指標として加えてみてはどうかという提案をさせていただければなと考えております。後に御意見をいただければと思います。
続きまして、6ページでございます。短期的に先ほどのような項目を提案させていただきました。第8次医療計画の見直しに向けては、先ほどいただきました意見を左側にまとめさせていただいておりますけれども、検討すべき項目を、事務局としては真ん中の列にあるような割合・数値というのが評価項目としてあり得るのではないかということ。それから、期待される結果を一番右側の列に書かせていただきました。それぞれについて、可能な限り研究班等を通じて検討を進めていければいいのではないかと考えております。
事務局としては、説明は以上になります。御意見をいただければと思っております。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ただいまの資料3に関連いたしまして、御質問、御意見等をいただければと思います。特に5ページ以降が事務局原案でありますので、これについて御意見を頂戴できればと思います。いかがでございましょう。
石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 2ページ目のところにも書いてある「主な意見」のところで、こういう意見を出された方にちょっと説明いただきたいと思っています。ユーザーという言葉が出ているのですけれども、ユーザーという言葉と満足度、これは地域住民のことだと思うのですけれども、これは具体的には何なのかということを教えていただきたいと思うのです。もう少し説明が必要かなと思います。ちょっと違和感があるのでよろしくお願いしたいと思います。
○遠藤座長 では、事務局、お願いします。
○野口救急医療対策専門官 いただいたワードをそのまま記載している部分がございますけれども、実際は地域住民が救急医療を受けるに当たって、どのようなことを期待しているであるかとか、実際に現状の体制に満足をしているのかという趣旨だと思います。なので、ユーザーである地域住民、いわゆる一般国民が、この救急医療に関して、その地域において満足をしているのかというのが指標になると思っております。その評価をどのようにするかに関しては、今後はいろいろ検討が必要な事項だと考えております。
○遠藤座長 それでは、森村構成員、どうぞ。
○森村構成員 この意見は、私が多分言ったことだと思うので、ユーザーをそのまま英語のまま言ってしまったので余りよくないのですが、英語の文献等々は、EMS、エマージェンシー・メディカル・サービスのシステムを利用する人たちという意味でユーザーという言葉を使っているので、まさしくそれは地域住民であろうと思い用いました。混乱をさせてしまって申しわけありません。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
石川構成員、よろしいですか。
○石川構成員 違和感を覚えたので。
○遠藤座長 それではほかにいかがでしょう。
加納構成員、どうぞ
○加納構成員 5ページのところをちょっと教えていただきたいのですが「救護」のところに「救急車の受入件数」が書いてあって「救命医療」では「転院搬送の受入件数」、これはもしかしたら3次救急のあり方としては、やはり2次救急でどうしてもできないところの最後の砦ということで受けてくれている数かなと思うのです。
2次救急というのは、「救急車の受入件数」がやはり一番の指標として大事なところなのですけれども、これは外してあるのは何か。「転院搬送の受入件数、転院搬送の実施件数」となっているのですけれども、一番大事なのは「救急車の受入件数」で、2次救急はそれだと認識しているのですが、なぜここはそれが外れて「救護」のところに書かれているのか、そこらを教えていただきたいと思います。
○遠藤座長 事務局、お願いします。
○野口救急医療対策専門官 御指摘のとおりだと考えております。実際「救護」というところで「救急車の受入件数」と書いておりますけれども、これは実際の救急の需要の全体の話かと思います。各医療機関がどのような役割で受け入れるべきなのか。たくさん受けるべきなのか、そうではないのかといったところはさておき、各項目において、受け入れ件数を見ることは非常に価値のあることだと、意見としてはいただきたいと思います。こちらに関しての提案は、またこちらの事務局で調整をさせていただきたいと思います。
〇遠藤座長 加納構成員、いかがですか。
○加納構成員 それともう一つ、その下の「救急要請(覚知)から救急医療機関への搬送までに要した平均時間」が、救急医療までしか書いてないのか、そこも教えていただきたいと思うのです。これもやはり入院救急医療まで入っていないとおかしな話だと思うのです。
○遠藤座長 事務局、コメントはありますか。
○野口救急医療対策専門官 同様に検討させていただきたいと思います。
〇遠藤座長 加納構成員、よろしいですか。
○加納構成員 はい。
○遠藤座長 ほかにいかがでしょう。
大友構成員、お願いいたします。
〇大友構成員 やはり一番大事な客観性を持っている、地域の提供している医療のレベルを評価する意味では、アウトカムの評価は大事だと思うのですが、今、いろいろな領域で重症度をそろえて、その重症度の中でどれだけの生存率と、どれだけの社会復帰率というのは、結構正確に把握できると思うのです。ただ、もちろんそれを把握するためにはかなり労力が必要になってきますけれども、そういうのをもっと取り入れるべきなのではないかなと。
そうすると、地域ごとの成績も比較できますし、それから、年次的にどう改善したかというのも見えると思うので、逆に心肺停止に関しては、分母をどうするかでいかようにも変わってしまうので、これも層別化と言っていましたけれども、やはり目撃のある症例とか、初期発見がVFとか、もう少し限定していかないと、地域ごとの成績の比較ができないのではないかなと。ほかにもたくさん指標があるので、ぜひ活用していくべきなのではないかと思います。
〇遠藤座長 ありがとうございます。
アウトカムに関連していかがでしょう。
森村構成員、どうぞ。
○森村構成員 今のことに関連して、大友構成員の意見に全く賛成であります。その立場の上で、アウトカム指標は心停止の成績をもって、その地域の救急医療体制を全て説明できるのかどうかというのは、やはり疑問があります。
翻って言うと、質の評価指標のアウトカム指標を立てるのは、実は裏というか、その本当の真意は重要目標達成指標、キー・パフォーマンス・インディケーターと企業でよく言われているKPI、何を目標として、その目標が達成できているかどうかを推し量る指標というもので、今言われたような、疾患ごとにいろいろなものがあるのだと思うのです。
いわゆるベンチマーキングの意義ですが、他の地域と比べてどれぐらいいいのか、あるいは平均と比べてどれぐらいいいのか、悪いのかということを知ることは、すなわち自分たちの改善につながるわけで、そういった意味で積極的にそういったアウトカム指標を導入するとともに、私たちは何を目標にしていくかという、その基礎データを持たないといけないということです。
例えばそれをヨーロッパとかアメリカに求めるのかどうかわかりませんが、これだけ救急救命士の導入のきっかけになった議論は、あの当時の院外の心停止の社会復帰率が他国より低かったというところからスタートしています。同様に、例えば我が国の急性冠症候群の成績がどうなのか、脳卒中はどうなのか、外傷の予期せぬ死亡は自治体でどれぐらいの差があるのか。こういったところが出発点としてないと、このアウトカムはなかなかできないと思います。
ここは非常に難しい課題がたくさんあるのだと思うのですけれども、こういったキー・パフォーマンス・インディケーターにどういうものを用いるべきかという、まずは検討も開始しなければいけないのではないかと思いますので、そういった枠組みも御検討いただければと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
加納構成員、どうぞ。
〇加納構成員 たびたび済みません。先ほどの心肺機能停止傷病者の中には、これは孤独死が入っている可能性もありということなのですが、孤独死は外すのでしょうか。東京、大阪ですと、もうそれが圧倒的に今、数がふえてきていますし、その1カ月後の予後などあり得ない話なので、そういったものもちゃんと分類しないと評価にならないかなと思うのですが、そういう点はどのように考えられているのでしょうか。
〇遠藤座長 では、事務局、どうぞ。
○野口救急医療対策専門官 事務局でございます。
実際はどのような形で亡くなっているのか。死因が究明できている場合に関しては、しっかり消防庁のほうで正式な統計として出している数字をもって、今回はこの評価ということで活用されているものだと思います。
ただ、御指摘のとおり孤独死、死因は恐らく不明ということになると思うのですけれども、やはり評価をする際には、そのような影響を与えるような因子をしっかり除外というか、わかるような形で検討を進めていくべきだと考えております。
〇遠藤座長 畝本構成員、どうぞ。
○畝本構成員 今のお話に追加です。指標というか、患者様のADLであるとか、環境であるとか、御年齢で切ってはなかなか難しいのですけれども、そういった指標をあらかじめ決めないと、十把一からげにというか、それだけで社会復帰率をというのは無理があると思いますので、まずそこの要素を取り上げてから、この議論をしたらどうかなと思うのです。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、野口構成員、お願いいたします。
〇野口構成員 5ページの「救護」のところの下のほうに、私は前から申し上げているのですけれども「救急要請(覚知)から救急医療機関への搬送までに要した平均時間」は、まだ要りますか。症状によって全然違いますよね。急がない救急もあり得るわけで、それをどこかの都市みたいに市長さんの思い込みだけで、早ければいいのだという、直近のところ以外は患者さんがいればいいとなりますと、アウトカムもくそもなくなってしまいます。それはもう多くの知識人は気づいていますから、ぜひこの辺のところも表現方法を変えていただいて、伝統的には我々はこれをめどにいろいろな施策を打ってきて、それに従ってきたわけですけれども、そろそろこれだけをぽんと出すのは、もうやめたほうがいいと私は思います。以上です。
〇遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、久志本構成員、お願いいたします。
○久志本構成員 アウトカムの評価に関して、今、いろいろな研究において、ある治療法が有効か、治療することによってランダム化比較試験で効くのか、効かないのかという見方でなくて、実際にあるシステムが有用であるのか、ないのかということをきちんと観察研究でちゃんと出していく流れになりつつあって、それが非常に重要だという方向に来つつあると思うのです。ですので、アウトカムを設定する上において、ぜひ臨床疫学のスペシャリストの先生に加わっていただいた上で、ある治療というか、これがいいか、悪いかではなくて、実際にその地域の方にとって、そのシステムが本当に機能しているのかどうかといったところの評価をするような形をつくっていただければなと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
本多構成員、どうぞ。
〇本多構成員 心肺停止の予後評価については、前回の会議で、6ページの2つ目の項目のDNARやACPのところを1つ発言させていただきました。今いただいた御意見のとおりと思いますし、この辺をどうやってデータをとったら、本来の医学的な、前向きな予後を求めていく上で、適正な評価ができるかというのを追い求めていくべきだと思います。
これまでの会議で出ていたように、救急搬送がふえている要因は、やはり急激な高齢化に関連しているわけで、高齢者の搬送がふえている中で、恐らく心肺停止も例外ではないという状況の中で、それをどのようにアウトカムとして評価するかは、データの取り方が非常に難しいと思いますので、先ほどの御意見のとおり、臨床疫学的にどのような評価が可能なのかを慎重に議論していく必要があると思います。
〇遠藤座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
猪口構成員、どうぞ。
○猪口構成員 6ページの「検討すべき項目(案)」の件なのですけれども、一番下のタスクシフトとか、その辺の働き方改革の問題なのですが、これは救急の現場だけで考えても、なかなか出ない話でありまして、やはりその前に制度改革をしっかりやっていただかないと、タスクシフトに関しては救命救急士の問題は、制度を変えてもらわないと先に進めません。
それからタスクシェア、例えば専従の問題だとか、専任の問題だとかというようなところも、救急の現場だけではどうしようもない。多分どんどんタスクシェアをしていかないと、救急も成り立たないような状況になってきておりますので、ここに意見として大事なのですが、さらにやることをやっていただきたいなと。我々が評価できる以前の問題も結構含まれているなという印象を持っております。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに何かございますか。
それでは、一通り御意見はいただいたということですので、事務局におかれましては、先ほどと同じように、御意見を反映するような形で今後の準備を進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、続きまして、議題3に移りたいと思います。「その他」でございますが、事務局から報告事項と、豊嶋参考人より情報提供があるとのことですので、まず、事務局から、続けて、関連事項といたしまして、豊嶋参考人より資料7の説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○西田災害時医師等派遣調整専門官 事務局でございます。
資料4、5、6に関しまして、説明をさせていただきたく思います。こちらはいずれも先日報道発表させていただいた資料の報告という形になります。簡単に御説明させていただきます。
資料4に関しまして、1枚目をごらんください。「病院の耐震改修状況調査の結果」で、こちらは例年調査をしている状況でございますけれども、ポイントというところで、こちらにあるとおり、現在、病院の耐震化率は74.5%と、徐々にふえてきている状況でございます。こちらは後ろのほうにも資料があるので、後ほどごらんいただければと思います。
このうち、地震発生時の拠点となるような災害拠点病院及び救命センターの耐震化率は、90.7%となっております。参考までに、国土強靱化アクションプランにおいて、災害拠点病院及び救命センターの耐震化率の目標は、現状達成しておりますという形になっております。こちらは毎年ものですので、またごらんいただければと考えております。
続きまして、資料5に関してですけれども、こちらは先ほどの災害のまとめのほうでも少し触れさせていただいた「非常用電源の確保及び点検状況調査の結果」で、2回調査をしておりまして、そちらの概要になります。おめくりいただきまして、別紙のところにその概要が書いてあります。
1回目の調査1に関しましては「調査1の結果」になります。8,392病院に対しまして、昨年度8月1日の時点で、それぞれ非常用電源を持っている際に、法定点検として義務づけられている関係法令が「電気事業法」「消防法」「建築基準法」で、こちらは対象物によって変わってくるのですけれども、こちらに対しての点検情報の実施調査を行っております。その中で「未実施」と回答した、それぞれ563、226、301病院に関しまして、調査を追加で行っております。
調査2ですけれども、こちらは未実施とされている病院が、一定数程度存在しているところで、その理由もあわせてうかがっているところでございます。こちらの結果を踏まえまして、厚生労働省といたしましては、法令所管省庁とともに、都道府県のほうに通知を発出しておりますので、こちらもそれを踏まえて、都道府県のほうが適切に対処していただけるものと考えております。
資料5に関しましては、以上になります。
続きまして、資料6でございますけれども「病院の業務継続計画(BCP)策定状況調査の結果」というところで、こちらは前々回、第13回か第14回の検討会で、1つ目の調査に関しては、公表させていただいたものになります。
こちらも2回調査を行っておりますので、おめくりいただきまして別紙です。こちらは概要を書いております。平成30年12月1日時点と、平成31年4月1日時点での策定状況調査において再調査を行っております。それが結果として公表されておりますが、その次のページをごらんください。
「調査1の結果」というところがございまして、災害拠点病院が策定している割合が71.2%であったというところです。こちらに関しまして、調査2で追加で調査をしております。理由といたしましては、本年度4月1日の時点で、災害拠点病院に関しましては、その指定要件上、BCPの策定が義務づけられることを受けまして、その状況の確認ということで、再度調査をしたものになります。
その結果といたしましては、赤枠で囲った245病院に対して調査を行っておりますが、そのうち4月1日時点で策定済みと答えた病院が241病院であると。残りの4病院に関しましては、こちらに書いてあるとおりの対応となっておりまして、こちらは8月2日に策定完了予定というものに関しましては、策定していることを都道府県を通じて確認をいたしております。指定を返上というものに関しましては、詳細はまだちょっとわかりませんけれども、今後、都道府県等におかれまして、聞き取り等を行うと報告を受けております。
こちらは経過として以上になります。
資料4、5、6の説明に関しては、以上とさせていただきます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、引き続きまして、豊嶋参考人から資料7をお願いいたします。
○豊嶋参考人 国土交通省住宅局でございます。
本日、このような機会を設けていただきありがとうございます。
私どものほうからは、国土交通省で所管しております補助事業、表紙にありますが「災害時拠点強靱化緊急促進事業」の中身について、御説明したいと思います。
裏のほうを見ていただきますと、災害時拠点強靱化緊急促進事業の概要ということで、1枚提出させていただいております。本事業は、平成26年度に創設した事業でございます。目的といたしましては、いわゆる大規模災害時に帰宅困難者ですとか、負傷者の対応能力、これをまちづくり、都市機能の強化という視点で確保していくことを目的としております。
その下に2つの箱がございますが、1つは「帰宅困難者への対応」で、大きなターミナル駅等で、鉄道がとまる等で帰れなくなる人を一時的に収容する施設、そして、もう一つが赤の枠で囲っております「負傷者への対応」で、今の制度といたしましては、災害拠点病院の整備につきまして、いわゆる災害時に負傷者を通常の来館者を超えて収容するために必要な機能について、国費と地方公共団体の費用でもって補助をするものでございます。
支援のイメージということで、右側にマル1、マル2と2つポンチ絵が描いてございます。上のほうが民間の病院の方が整備する場合、下のほうが公共団体の、いわゆる公立の病院の場合でございますが、いずれも国費と地方費ということで、特に民間の場合は、かかります費用という形ではございますが、民間の事業者さんの負担がない形、国と地方で全て賄うようなスキームで支援をしているものでございます。
左側のほうに、紺色で白抜きで「共通的要件」とか「補助対象・補助率」「事業着手期限」というものが書いてございます。真ん中の「補助対象・補助率」でございますが、補助の対象となりますのは、そこに下線で示しておりますような、付加的に必要となるスペース、受け入れに必要なスペースですとか、防災備蓄倉庫、受け入れ関連施設で、下に青い枠で囲ってございますが、非常用発電機ですとか、耐震性の貯水槽、防災井戸、マンホールトイレ、非常用通信施設等、こういったものが補助対象になります。防災井戸等につきましては、例えば揚水機ですとか、ろ過装置、こういったものも付随するものとして、当然対象になってくるというものでございます。
かかり増し費用ということでございますので、通常の在館者と、災害時の受け入れ負傷者を人数費で按分して補助するような仕組みとなってございます。
「事業着手期限」は令和6年で、まだあと5年ほど、事業の着手ができるということでございますので、積極的に御活用いただければと思います。
また、私どもは国土交通省でございますので、通常のカウンターパートが都道府県でございますと、土木部ですとか、県土整備部とか、そういった土木関係の部局でございます。ともすれば、医療機関の皆様方に情報が十分に行かないような場合もございますので、私どもと厚生労働省さんと連携して、こういった医療関係の部局にもしっかり情報提供を行っていきたいと考えておりますし、また、国交省に直接お問い合わせいただいても構いませんので、どうか積極的に御活用いただけるようによろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
それでは、報告事項ではありますけれども、何か御意見、御質問等があれば承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
田中構成員、どうぞ。
○田中構成員 耐震の計算なのですけれども、耐震性がある、ないという計算で判断しているわけですけれども、静岡の県立総合病院では、建物の形が非常に複雑で、今まではみなし計算で耐震性は非常に強いということだったのですが、スーパーコンピューターで計算をすると、耐震性はぎりぎりだという話になりまして、結局、耐震ブレースを70カ所追加しなければいけないということになっています。ですから、計算の仕方で耐震性は意外と動くものだなということがわかりました。
スーパーコンピューターで計算できるのは、東大のたった1つの研究室しかなくて、うちの計算例は学会で発表されたということで、特殊なのかもしれないのですけれども、今まで完全にいいと思っていたものが、必ずしも余裕のある耐震性ではないことがわかったという事例がありましたので、報告させていただきます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに何かございますか。
加納構成員、どうぞ。
〇加納構成員 たびたび済みません。先ほどの国土交通省の資料7のところです。これは先ほどからの議論を聞いていただいてわかりますように、拠点病院は確かにほぼ100%、青で囲ってある設備等、全面的に支援いただける話ということで、すばらしいなと思っているのですが、先ほどからの議論であるように、やはり災害時に同じように支援できる医療機関であれば、ある程度国土交通省もきょうの意見を聞いていただいて、こういった形であるのかどうかは、それぞれの状況によって違うかと思うのです。
先ほどから議論がありますように、例えば民間の2次救急、災害支援病院等にも、このような配慮をぜひともしていただきたいなという、そういう考えを持っていただきたいなと思うのですが、どうでしょうか。
○遠藤座長 それでは、豊嶋参考人、何かコメントはございますが。
○豊嶋参考人 厚生労働省と連携いたしまして、私どものほうとしては、何らかの位置づけをいただいた上で支援をする形になると思いますので、また、連携して検討をしていきたいと考えております。
○遠藤座長 ありがとうございます。
大友構成員、どうぞ。
〇大友構成員 病院の耐震化率で、拠点病院と救命救急センターの耐震化率が90.7%、逆に言うと、10%は耐震化していないということなのですが、参考資料2のスライド45枚目の拠点病院の要件で、マル2の施設及び設備で、5ポツ目に、拠点病院の要件として、耐震構造を有することとなっているのですけれども、これは全ての施設の耐震構造を満たしていない拠点病院が10%ということでよろしいですか。診療機能を有する建物は全て耐震化されている。そうでないと、要件を満たしていない病院が10%あるということなのですが。
〇遠藤座長 事務局、いかがでしょうか。
○西田災害時医師等派遣調整専門官 資料4のほうで、耐震化に関しては、全ての構造物が耐震化されているという定義になりますので、そのうちの残りの10%というのは、おのずと、もちろんメーンの診療に関しては、耐震化というものは義務づけられております。基幹災害に関しては全てですけれども、なので、特に診療に用いる建物以外の部分が耐震化されていない災害拠点病院が一定数あるような形の解釈をしていただければと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに何かございますか。
それでは、まだ若干時間がございますが、本日の用意した議題は以上なのですが、全体を通じて何かあればお聞きしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
ありがとうございます。
それでは、基本的にこれをもちまして、本日の検討会を終了したいと思いますが、いろいろな御意見が出ましたので、事務局におかれましては、これらを反映した形で、論点の整理を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、次回の検討会につきまして、事務局から何かありますか。
○野口救急医療対策専門官 事務局でございますけれども、第17回につきましては、日程が決まり次第、お知らせいたします。よろしくお願いします。
○遠藤座長 それでは、若干時間がございますけれども、これをもちまして、本日の検討会は終了したいと思います。どうも御協力ありがとうございました。
 

照会先

【照会先】

医政局地域医療計画課
救急・周産期医療等対策室
救急医療対策専門官 野口(2556)
災害時医師等派遣調整専門官 西田(4130)